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2011年7月13日 第25回高度医療評価会議 議事録

医政局

○日時

平成23年7月13日(水)16:00~17:00


○場所

中央合同庁舎4号館 共用108会議室


○出席者

猿田座長、伊藤構成員、金子構成員、佐藤構成員
柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、林構成員
藤原構成員、堀田構成員、村上構成員、山中構成員
越智技術委員、松山技術委員
(事務局)
医政局研究開発振興課長、医政局研究開発振興課治験推進室長
医政局研究開発振興課再生医療推進室長
医政局研究開発振興課高度医療専門官・治験推進室長補佐
医政局研究開発振興課再生医療専門官
医政局研究開発振興課高度医療係長
保険局医療課企画官、保険局医療課課長補佐

○議題

1.新規申請技術の評価結果について
2.協力医療機関の追加について
3.先進医療専門家会議の審査結果等について
4.その他

○議事

○猿田座長 
時間が参りましたので、「第25回高度医療評価会議」を始めます。本日は大変暑いところ、またお忙しいところを委員の皆様方にはご出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 早速、本日の構成員の出欠状況ですが、山口座長代理、川上構成員、田島構成員、葉梨構成員、永井構成員、山本構成員からは、ご欠席との連絡をいただいています。
 本日は特別の技術ということで、技術委員であられる松山先生と、整形外科の領域ということで広島大学理事・副学長であられる広島大学大学院整形外科教授の越智光夫先生に来ていただいています。よろしくお願いします。
 事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局(高度医療係長)
配付資料について確認をします。議事次第から始まり、座席表、開催要綱、構成員・技術委員名簿と続きます。次に、新規申請技術の評価結果として、資料1-1から資料1-4があります。次に、協力医療機関の追加として資料2があります。次に、先進医療専門家会議の審査結果等として資料3-1から資料3-3があります。最後に参考資料として、参考資料1から参考資料5まで付けています。本日の資料は以上です。過不足等がありましたら、事務局までお知らせください。よろしいですか。
 利益相反についてですが、今回の未承認医薬品はサポートする企業が存在しないため、事前の確認はしていませんが、もし何らかの利益相反がありましたら、この場でご報告をお願いします。こちらも特にないということでよろしいですか。
○猿田座長
 早速、議事次第に従いまして議題の第1番目「新規申請技術の評価結果について」、事務局からご説明いただけますか。
○事務局(高度医療係長)
 事務局より説明します。なお、撮影されている傍聴者の方は、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
 資料1-1をご覧ください。新規申請技術の評価結果として、整理番号035、高度医療名は「軟骨無形成症等骨系統疾患に伴う低身長症例および下肢長不等症例に対する培養骨髄細胞移植の併用による骨延長術併用療法」です。適応症は、「軟骨無形成症などの骨系統疾患、下肢長不等により骨延長術の適応のある症例」が対象となっています。申請医療機関は、名古屋大学医学部附属病院です。
 今回、審査を担当していただきました構成員として、主担当が竹内構成員、副担当として金子構成員、佐藤構成員となっています。また、越智技術委員、松山技術委員にも評価をしていただいています。
○猿田座長
 今日の審議は、整理番号035、いまお話がありましたように、主担当は竹内先生ということで、竹内先生からまずお話していただいて、それから各委員の先生方のコメントをいただくということで、よろしいですか。竹内先生、お願いします。
○竹内構成員
 私から発表します。総評としては、「適」と判断しました。すでにヒト幹のほうでは通っているということですので、最初に「実施体制の評価」で、金子先生、または越智先生、松山先生にお話をいただいたあとに、倫理的な面から佐藤先生にお話をしていただきまして、たぶん高度医療に関していかに臨床試験で有効性を判断するか焦点になると思われるプロトコールの評価に関しては私から少し報告したいと思っています。よろしくお願いします。
○猿田座長
 最初に金子先生からお話していただけますか。
○金子構成員
 私から発表します。骨延長術は、近年急速に適応が拡大している技術でして、初めは長幹骨、四肢の長幹骨の骨延長、いまは顔面骨、特に上顎・下顎とか、あるいは頭蓋骨の骨延長も行われています。この場での発言が適当かわかりませんが、実は究極の美容外科といいますか、足を伸ばすということでは、今後も非常に広く用いられる可能性がある技術です。
 ただ、長期間延長したままの状態を保つ保定が必要でして、それは2カ月、3カ月、あるいはもっとかかるということで、長ければ長いほどいろいろな合併症の起こる可能性があると。また、骨の形成不全が起こりますと、長幹骨だと荷重がかかって骨折、変形に陥ると。顔面骨等でありますと、後戻りという問題がどうしても付きまとうわけです。この研究はPRP(多血小板血漿)をスカフォード(足場)と細胞増殖因子として用いるという点で非常に斬新であり、先行する臨床研究においても良好な結果が得られているということでした。
 私も骨延長をする立場からいくつか質問をさせていただいたのが、13~14頁です。特に13頁の2ですが、この論文の中では40%の患者に2回目の注入をしているということがあったので、それを初めからプロトコールに組み込むべきではないかということとか、あるいは3番目、次の頁をめくっていただいて、初回手術後3週間でPRPを注入するけれども、延長してからのほうがいいのではないか、そういった質問をしましたが、これらについてはすでにいろいろな基礎実験、あるいは臨床的にも解決済みであるということでした。
 以上から、この研究に関しては実施体制、9頁にお戻りいただいて実施責任医師等の体制、2番の実施医療機関の体制、医療技術の有用性等、いずれも「適」と判断しました。
○猿田座長
 続いて技術的な面を越智先生と松山先生から、まず越智先生からコメントいただけますか。
○越智技術委員
 すでに金子構成員からお話がありましたように、骨延長というのは古くて新しいといいますか新しくて古いといいますか、日本でもかなり前に札幌医大の名誉教授で、お亡くなりになりましたが河邨文一郎先生が積極的に取り組まれた方法だったのです。ところが、一気に伸ばして、そこに骨移植をするとかいう形での骨延長だったために、先ほどお話がありましたように折れたりすることが起こって、だんだん省みられなくなりました。
 日本ではそういう経緯があったのですが、約20年ぐらい前にイタリアのバスチアーニという先生が、新しいタイプの力学的に非常に強い創外固定器というのを開発されて、それで少しずつポピュラーになった。実はロシアでもイリザロフという先生が別の形の創外固定器を使って骨延長、これはここにありますように徐々に伸ばしていく、仮骨を延長していく方法ですが、それをやられていたということです。先ほどお話がありましたように、これはHealing Indexといいますが、1cm伸ばすのに非常に日にちがかかるということで、ピンを打っているその周囲に感染が起こってくるということがあります。ある程度仮骨ができても、そのピンを取り外すとそこで骨折が生じてくるという大きな問題点があったわけです。
 骨延長というのは、自分自身の骨髄から出てきた骨を形成する細胞が骨を十分に形成する前に少し伸ばして、また付こうとすると少し伸ばしていくという方法で、非常に優れた方法ですが、一般的に言うと、そこにいる細胞の数が少し足りないというところがあって、なかなか思ったより早くコンソリデーションが起こってこない、固くならないというところがありました。それなら外から何か自分自身の細胞を追加したらいいのではないかという発想は誰でも出てくるのですが、そこに細胞を液体の状態で打った場合に流れ出たり吸収されたりする可能性があるので、そこの部位に自分自身の細胞をたくさん置いて固めてしまったらいいのではないか、という発想で行われた非常に画期的な方法であります。
 論文とか学問的にはいくつか、例えば入れた細胞が固められてしまうと、栄養はどこからもらえるのかとかいろいろあるのですが、それは動物実験でそういうところを乗り越えて、非常にHealing Indexがいいという証明をされていますので、臨床応用、しかもその上に40肢70骨以上に良い結果を得ているということで、私自身はこれは「適」ということで問題ないと考えました。
○猿田座長
 松山先生、お願いします。
○松山技術委員
 本案件は2002年からすでにスタートされており、今年でほぼ10年近く行われてきておりまして、大きなトラブルもないと伺っております。最初から骨髄由来の細胞だけではなくてPRP多血小板血漿によるいわゆるサイトカインエフェクトも期待でき、トロンビンとカルシウムを同時に移植する技術であります。移植した細胞が移植部位以外に拡散していかないことが期待できます。一般的に間葉系幹細胞は、移植部位から遊走していく性格をもつのですが、そこをトロンビンカルシウムで補足しており、いま遡ってみれば非常に安全性も担保されていますし、しかもカルシウムを入れているということで、骨化のスピードが速いということを考えると、非常に合理的なシステムを組んでいらっしゃると考えます。
 加えて臨床研究、2002年はまだヒト幹細胞臨床研究の指針はありませんでしたが、倫理委員会を通してしっかり臨床研究を開始され、次いで、ヒト幹細胞臨床研究指針を通して、今回、高度医療評価に出てきたという形で、おそらく再生医療の領域でほぼトップランナーであり、今後、このプロトコールをパイロットケースにしていく形で再生医療の1つの保険医療化が進むのであろうと認識しています。我が国における骨再生の臨床研究を牽引する素晴らしいプロトコールであると思います。
 マイナーなところですが、いくつかコメントしまして、統計の部分が40症例t検定という形になっているのですが、統計の先生などもっと専門の先生が加わられればより有効性が早く検証されるだろうというコメントです。あと、私のメインは細胞培養のところのチェックということですので、Trypsin-EDTAでのトリプシンというブタ由来ということがあって、なかなかブタ由来のウイルスのチェックができていない試薬が非常に多いので、ここを将来的に変えていただけると、製造販売承認、治験に行くときにいいのではないかというコメント等を加えさせていただきました。先方から非常に素晴らしいコメントをいただいています。
 なお、このプロトコールに関して、ヒト幹細胞臨床研究の指針でも一度チェックをしていましたので、そのお陰で大体見なければいけないポイントは理解しておりましたので、技術委員としては非常に楽だったというところもあるのですが、一方で一度ヒト幹細胞臨床研究を通していますので、再度ここで、例えば患者のリクルートを一旦中止となると、素晴らしいものがなかなか患者に届きにくいのではないかということもあり、いろいろご考慮いただければありがたいと思います。
○猿田座長
 いまお話いただきました技術面では問題ないだろうということです。かなりの症例数をこなしていただいており、ヒト幹細胞指針の審議も通っているということですが、倫理面から佐藤先生、よろしくお願いします。
○佐藤構成員
 倫理面からの審査をしました。当初頂いたものについては少しコメントを付けて事務局にお返しをしていたのですが、最終的にはすべてよくなりましたので「適」としました。細かいことについては、17頁以下をご参照ください。
 子ども用の説明文章というのが付いているのですが、20kg以上が対象ということです。大体小学校に入るぐらいの年齢で、この文章でわかるかなというのが少し気にはなっていますが、しかし文章を読んでわからなければ、これは親の代諾でいくしかないだろうと考えました。患者相談等についても、適切だろうと思います。
 補償内容ですが、今回資料として付けられていないと思うのですが、名古屋大学医学部全体の補償のルールに則っている。健康被害が出た場合には保険を使って治療して、自己負担分については一時的に患者に払ってもらって、それをあとで病院がもう1回患者に戻してあげるという仕組みでしたので、別に綴じてある申請書の表紙は医療費「なし」になっているのですが、これは「あり」という理解でよろしいですか。細かいことで申し訳ありません。「あり」ということでした。
○猿田座長
 そうなりますと、全体的に竹内先生からプロトコール、その他、やり取りを包括的にお願いします。
○竹内構成員
 いまのお話の中では、すでに基礎科学または技術面では問題ないということのコメントがありましたし、倫理的にも問題がないということで私は理解しています。さて、そのような技術をどのような形で臨床現場に出していくかということで、有効性をどのように測っていくかは、提出されたプロトコールをチェックしました。何回も出てきていますようにプロトコールは非常にクリアに書かれており、こちらからもいくつかの懸念等は事務局を通して質問等を出しているのですが、その回答も非常に端的な回答をいただいていますので、実際に担当の先生がこの技術を非常によく理解しているという判断でした。
 ただ、1つ私が懸念したのが、一応ヒストリカルコントロールを使うということで、いままでは35例の68の骨からデータが算出されており、有効性を推測してきています。そのデータより症例数等を算定していますので、名古屋大学には実際にそのような形でマッチングする臨床デザインを想定しているのですかという質問等を出しましたところ、そうではなくて、順次入ってくる患者に対して技術を適応していくという回答がありました。臨床現場では患者さんのバックグラウンドに多様性があり、いままでのお話ですと技術面に対しても何回も注射を打たないといけないとか、副作用が出てくるかもしれないという懸念等もありました。一応、名古屋大学には、それであるならば独立で得たモニタリングの委員会で、臨床医の先生と統計の先生に入っていただきたいという要請をしましたところ、わかりましたという返事をいただき設置するということで代表者の先生方の名前も報告はされてきています。それらのことを考慮して「適」と判断いたしました。
○猿田座長
 竹内先生との間のやり取りで4件の回答が付いていますが、きれいに回答も出されていますし、いまお話がありましたように、技術面でもいままで長い間検討されてきて、多くの症例で検討されてきており、倫理面でもよろしい。総括的に見て竹内先生も問題ないということですが、委員の先生方からどなたかご意見はありますか。
○藤原構成員
 インディベンデント・データ・モニタリング・コミッティーと効安(効果安全性評価委員会)の違いがよく理解できなかったのですが。
○竹内構成員
 独立データモニタリング委員会の先生方はこの試験に全く関連してなくて、一応名前を見ると名古屋大学の先生のお名は載っていたので、実は本当にリクルートされてくる患者はバイアスがかかってないとか、本当にいままでの症例数でいいのかということを私は多少疑問には思って、たぶん柴田先生からも出るのではないかとは思っているのですが、症例数が足りないという懸念もありましたので、そこを全く試験に関連していない先生方から見ていただいて判断していただく、ということが適切ではないかと思いました。
 最終的な総評ですが、臨床の名古屋大学の先生方は薬事の専門家ではないと思いますので、独立データモニタリングの判断された内容を、大変申し訳ないのですが高度医療の事務局に報告をしていただいて、問題がなければそのまま試験を継続していただくことにすれば、たぶん科学的にも行政的にもうまく試験がスムースに進むのではないかという判断をしました。
○藤原構成員
 それならば効安をなくしてインディベンデント・データ・モニタリング・コミッティーがフォローするとかはできないのかと思っているのですが。
○竹内構成員
 たぶんデータモニタリング委員会に全く関係のない先生が、独立しているというお立場の先生が、一応効安のこの技術をよく知っている先生方に「いや、自分たちはこういう懸念があった」ということを出していただいて、その効安の先生が「ああ、わかりました」と。「でも、そうはおっしゃるけれども、いや、この技術はそういうのは承知している」という専門的な判断で二重のネットを張っておいたほうが、特に新しい技術ですので安全かという判断はしました。
○藤原構成員
 あとは、新しいメンバーのところを見ると、整形外科の診療グループは違うのですが、診療科長のもとで助手の先生が言えるかというのがあったので、メンバーは少し考えたほうがいいかと思いました。
○猿田座長
 越智先生、何かありますか。
○越智技術委員
 おっしゃられるようなこともあるかも分かりませんので、そういうことも考慮したほうがいいのかもわかりません。いまはグループ別で打打発止やり合っていますので、それはあまり関係ないとも考えます。
○村上構成員
 同じ話を質問しようと思っていたのですが、もともと呼び方が違うだけで実態は同じものですよね。
○竹内構成員
 はい。
○村上構成員
 名古屋大学の効果安全性評価委員会のSOP(標準手順書)を添付していただいていますので、実はそれを見ると、研究組織から独立した方にしていただくとはっきり書いてあります。きっとこの標準手順書どおりにきちんとした効果安全性評価委員会を作っていただいて、竹内先生がおっしゃられるように5例ごとの安全性、有効性のデータをきっちりと報告していただく、その報告先をPI(実施責任医師)や高度医療評価会議にしていただく、という旨を研究計画書に書いていただいたら、私はそれで済むのだろうと思うのです。わざわざ2つの委員会を併存させる必要性はないように思うのですが、いかがですか。かえって混乱、権限等々で混乱をまねく気がしますので、一本化して、委員をきっちりと定め直していただくという形のほうがよろしいかと思いますが。
○猿田座長
 書類上にはそう書いていますが、藤原先生、そういう意味ではどうですか。
○藤原構成員
 運営のときに何か混乱するかと私も思ったので、1つの委員会で行う方が楽かと思ったので。
○竹内構成員
 私はそれでいいと思うのですが、最終的にもし万が一デザインを変えてくるとか、リクルートする患者が変わってくる、また症例数を変えてきた場合に、実際のトライアルをやられている先生が、バイアスがかかっており、いいほうへデザインを変更したのではないかということを、例えば論文で発表される場合に、そこの透明性を問われると私は怖いと思っていました。そこで、実は全然独立した方からそういう意見が出て、効安とPIの先生方がそこをある程度検討していただいて、そうしたということになっていれば、たとえプロトコールまたはデザインを変えていったとしても、実際に参加された先生方の、いわゆるCOI(利益相反)に対しても問題ないと判断しました。
○猿田座長
 そのあたりでいいですか。どうですか。もしよろしければ、その点はご理解いただいたということで。ほかに。
○柴田構成員
 国立がん研究センターの柴田です。解析方法であるとかデザインについては、竹内先生と申請者の先生方とでやり取りされているところですので、私はこれは前に進める形でよいと考えています。
 実際にこれが前に進められた場合に、評価表にもありますが高度医療評価会議に5例ごとに報告をという話があります。そうすると、報告はされたものの、こちらで判断ができない状況であれば困ってしまいますので、何を報告していただくのかとか、最終的にこの試験の結論をどのような形で下すのかというところは、きちんと定めた上で前に進めていただく必要があるかと思います。
 後者については、いま回答書の中に解析方針などが書いてありますが、これは臨床試験実施計画書に記載すべきことですので、それは改訂した上で前に進めていただく必要はあると思います。
 それに伴って、7月12日付の竹内先生からの照会事項に対する回答(4)という36-2頁の回答書を拝見しますと、低身長症例の患者と脚長不等症例の患者を別々に検討すると書いてあります。そうすると、この構成割合にもよりますが、必要被験者数が足りなくなるのではないかという懸念も当然出てまいります。そこのところは改めてご検討いただいた上で、30骨でよいのかを確認をした上で進めていただくほうが安全かと思います。
 さらに、高度医療評価会議に出していただくときには、これは先生方のご意見も伺いたいと思いますが、基本的には有効性のデータをこの場でその都度見るのは不適切ではないかと思います。そのため、登録状況、背景、どういう状況の患者が登録されているかなど、安全性にかかわる状況をご報告していただき、それで想定してない形で、一定の患者が偏って登録されているとか、安全性上問題があるのであれば、ここで議論するという方法であるほうがいいかと判断しました。それで、先生方のご意見をお伺いしたいと思います。
○猿田座長
 この高度医療評価会議のあり方の問題もありますけれど、事務局のほうで何かご意見はありますか。
○事務局(高度医療専門官)
 すみません、事務局です。まずその5例ごとの報告ですが、これは実際、高度医療評価会議に出して報告になりますと、これからだんだん案件も増えてきて、5例ずつ上がってきて、またこれを継続するかしないかは、実際上なかなか難しいかなという部分もあります。それは一旦事務局のほうに報告をいただいて、適宜、主担当、副担当、今回担当いただいた技術委員と相談していきながら進めていければと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○猿田座長
 どうでしょうか、そういう形で。この案件は非常にクリアカットなものですから、いま事務局からお話があった形で通っていくということです、よろしいですか。
○堀田構成員
 違うことでもよろしいですか。技術委員の先生に教えていただきたいことがあります。細胞浮遊液とトロンビンの溶液が、それぞれ5ccと2ccでトータル7mLを局所に同時に打つという形になり、それで瞬時にゲル化すると言うことかと思います。局所注入が切断から3週間後というと、骨と骨の間隙が1cmまでいっていない段階ですよね。そこへ7mLを打つと、局所に納まるのだろうかというのがちょっと気になるのです。拡散してどこか別の所、例えば筋肉の中で骨形成が起こってしまうというようなことはどうなのでしょうか。
○越智技術委員
 スペースが、骨のサイズによって少し狭いということはあると思います。ただ、漏れ出たのが例えば筋肉の所で骨になるかというような事象は今までの中でないということと、打てるだけのスペースは、打つ所は骨髄ですので、もし圧をかければそこの間、骨髄の中に留まるような形になるのではないかとは想像できますけれども。骨皮質にかこまれた骨髄腔の中で。
○堀田構成員
 輪切りになって断面がドーナツ状で、その上下の骨髄腔に入ってくるということですね。
○越智技術委員
 そうです。ある程度留めおかれるのではないかと思います。
○猿田座長
 ほかにありますか。
○関原構成員
 大変素人ぽい質問ですけれども、患者の「受ける方へ」という別添1の資料の19頁です。下から7、8行目“いままでは動物実験では有効だったが、それがヒト応用した際に有効であるかどうかを検討する”と説明されています。ところが次の頁の「試験の目的」を見ますと、動物では有効でも人間はどうかには、一切触れていません。人間で有効だけれども、期間が短縮するかどうかだけをチェックするのですとの説明になっているだけです。あとはもちろんステムセル(幹細胞)を培養するわけですから、安全性等いろいろあるのでしょう。そもそもこの治療は必ず効果があるということを前提に書かれているような気がするのですが、そういう理解でいいのですか。そうすると最初のところは、何か動物ではやったけれどもヒトではまだわかってないとの説明と異なるように読めるものですから。そこのところを教えていただけるとありがたいです。
○猿田座長
 佐藤先生、よろしいですか。書き方の説明の問題だと思いますけれど。
○佐藤構成員
 私がうまくお答えができるかどうかわかりませんが、これまでもヒトで試しているわけですね、高度医療に入る前で。そこである程度の予測が立てられるぐらいのデータは出ている。ただ、それはあくまでもこれまでの30件でのデータですので、ヒトで本当に有効かというのは、少なくとも現在は確実には言えない。30例のデータの限りでは有効であろうということは言えるが、あとはどのくらいの確実さをもって言えるかということだろうと思うのです。
 19頁のほうですと、それほどの確実さはまだない、だからもっともっと調べないといけないということなのですが、20頁のほうでは、これはむしろいままでの骨延長術でももちろんかまわないわけですが、この方法を一緒に使うと、おそらく骨延長にかかる時間が少なくて済むだろうと。だから骨延長術の有効性をさらに強化するという意味なんだ、というように私は理解をしましたので、2つは必ずしも矛盾はしてないのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○猿田座長
 書き方の謙虚さの問題かと思います。すでに動物実験から臨床研究がなされて、ある程度効果が出てきて、それからさらに今度はこの高度評価のほうでやって、その辺りの書き方で、関原構成員のおっしゃることはよくわかるのですけれども。書き方の問題かと思います。
○関原構成員
 これは治療を受ける方へと書いてあるもので、最初のところに動物実験はやったけれども、まだヒトは全然やっていないように書いてあるなと。次にこっちを見ると、いやそうではなくてというように思えたものですから、それでちょっと質問をしました。
○猿田座長
 ありがとうございます。患者さんの立場からということで、関原さん、よくわかっていらっしゃるから。他にありますか。
○村上構成員
 この再生医療技術がこの様な適応疾患に使われ、そして非常に効果が期待されているということで、早く実用化させていただきたいという思いの中で、ロードマップを添付していただいていますのでそれを見てみますと、この高度医療評価制度に基づいて実施されたあとメーカー参加を検討し薬事承認にもっていく、というように書かれているのです。しかしながら、実はこういった医療技術の場合、なかなか企業の参加が得にくいといったことが非常に想定されます。そこで、再生医療技術の実用化に関して非常にいいモデルになると考えますので、どういう形でもって薬事承認を取っていくのか、そして保険収載されていくのか、というロードマップ並びに高度医療のあとのシナリオに関して、申請者だけに任せるのではなくて、国主導で、是非とも検討を始めていただきたくお願いしたいと思います。
○猿田座長
 ありがとうございます。そこは非常に重要な点です。確かにこの委員会としてもそういったところをお願いしたいと思いますが、事務局としてはどのように考えますか。
○事務局(高度医療専門官)
 その辺につきましても名古屋大学のほうにお伝えした上でしたいと思いますけれども、興味ある企業もいくつかあると聞いておりますし、この7月1日にPMDAで薬事戦略相談というものも始まりまして、そういったものも活用して、実用化の道については、積極的に支援してまいりたいと思っております。
○猿田座長
 どうもありがとうございます。
○松山技術委員
 実は私はヒト幹細胞の臨床研究の審査委員等もしておりまして、私どもが審議したときを加えると、2回見させていただいたのです。指摘事項がずいぶん高度医療評価会議と違うということと、もしかしたらプロトコールの目的が違うのかもしれませんが、一方でシームレスな展開を考えると、2回の審議で、それだけで半年から1年間以上停まってしまうということもあり、できるだけ2つの制度をどう運用するかという問題があります。また、高度医療評価会議でで議論された内容をできれば取りまとめて、ヒト幹のほうに投げていただく等考えられないでしょうか。事務局にお願いする形になるかもしれないのですが、枠組みと連携性の面で、是非とも何かご検討いただければ非常にありがたいと思います。
○猿田座長
 いま松山先生がおっしゃったことは、特に事務局のほうも同じ思いがありますので、そこをしっかりどういうように考えていくかということ。これはいい例だったものですから、その辺りきちんと整理してやっていきたいと思います。
○事務局(高度医療専門官)
 基本的には今回ヒト幹審査委員会を通って高度医療評価となったのは、今回のケースが初めてです。基本的には重複のないようにさせていただきたいとは思っておりますけれども、もともと高度医療のほうは医政局長通知の中で、やはりモニタリング等、データの信頼性とか、そういう部分について上乗せがありますので、そういった中でヒト幹指針も当課の所掌ですので、どのような形がシームレスにいくかどうかということも検討した上で、行いたいと思っております。
○猿田座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。非常にしっかりした技術でかなり有効な方法であり、プロトコールそのほかの面でもご検討いただいたということで、この案件はこれで「適」というようにもっていきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
                  (異議なし)
○猿田座長
 それではお認めいただいたということにさせていただきます。いろいろな先生方にご協力いただきましてありがとうございました。
 続きまして、「協力医療機関の追加」として、番号020です。よろしくお願いいたします。
○事務局(高度医療係長)
 資料2、41頁です。協力医療機関の追加としまして、まず1つ目、番号020。高度医療名「パクリタキセル静脈内投与(一週間に一回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(三週間に一回投与するものに限る)の併用療法」です。申請医療機関は、埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関はご覧の3施設となっています。
 続きまして番号022。「蛍光膀胱鏡を用いた5-アミノレブリン酸溶解液の経口投与又は経尿道投与による膀胱がんの光力学的診断」です。申請医療機関は、高知大学医学部附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、奈良県立医科大学附属病院となっております。
 続いて番号029。高度医療名は「脂肪萎縮症に対するレプチン補充療法」です。申請医療機関は、京都大学医学部附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、慶應義塾大学病院となっております。
 続いて番号032。高度医療名「神経症状を呈する脳放射線壊死に対する核医学診断及びベバシズマブ静脈内投与療法」です。申請医療機関は、大阪医科大学附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の2病院となっています。
 最後に、高度医療評価会議での指摘事項に対する修正については完了し、今回の協力医療機関の追加と併せて、今度、先進医療専門家会議のほうへ報告予定の「原発性ALアミロイドーシスに対するボルテゾミブ・メルファランを用いた併用療法」です。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の5病院となっております。
 事務局において、倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制等を事前に確認しております。特にご意見等がなければ、追加の手続きを進めたいと思います。以上でございます。
○猿田座長
 いま資料2をご説明いただきましたけれども、020、022、029、032の追加資料、それから最後に原発性ALアミロイドーシスに対するボルテゾミブ・メルファランを用いた併用療法ということで5施設ということで事務局のほうからご説明いただきましたように、詳細を確認していただいて大丈夫だろうということですが、どなたかご意見はありますか。ここで通ったものが少しでも症例を多くして検討していただければというのが、この委員会の役割ですので、追加施設も出てきているということは非常にいいことではないかと思います。
○伊藤構成員
 すみません最後のアミロイドーシスの話ですが、前に医療機関の申請のときにボルテゾミブを使ってない方が、というのが問題になったことがあって、その点だけ、施設の選定の際に必ずチームの中にボルテゾミブをお使いになられた方が入っていることだけ、確認をお願いいたします。
○猿田座長
 ありがとうございました。いまご指摘いただきましたボルテゾミブの使用のところで、そこだけご確認いただきたいということです。
○堀田構成員
 1点ですけれども、おそらくここに挙がっている5つの病院は骨髄腫の診療は十分やっておられるので、骨髄腫治療の延長でボルデゾミブの使用経験は十分ではないかと私は思いますが、確認だけはしておいていただくとよいと思います。
○伊藤構成員
 チームの中にどなたか入っていただきたいと。もともとのチームが必ずしも血液内科の先生が治療に当たられている病気とも限らなかったので、そういう事例があったので。
○堀田構成員
 これは多分、代表者が教授の名前で、専門診療科が必ずしも血液内科ではなかったりしたものだからそうなるのであって、実施チームは血液内科の人しかやらないと思いますよ。
○伊藤構成員
 そうしていただければと思っております。
○猿田座長
 これは事務局のほうで、一応確認をよろしくお願いいたします。ほかにご意見ありますか。もしなければ、ここではお認めいただいたということでよろしいでしょうか。いまの伊藤先生のご指摘のところはきちんとさせていただきます。
(異議なし)
 これをお認めいただいたということで、その次が第3番目の議題「先進医療専門家会議の審査結果等について」です。ここから高度医療のほうを通りますと、今度は先進医療のほうに回って、もう1回チェックをされていくということです。この前の先進医療にもかかってきましたけれど、そこのところを事務局からお願いいたします。
○事務局(高度医療係長)
 まず資料3-1、43頁になります。こちらの整理番号030。「症候性脳放射線壊死に対する核医学的診断とベバシズマブの静脈内投与による治療」。こちらは申請医療機関は、大阪医科大学です。
 次に65頁、整理番号031。「エストロゲン受容体陽性HER2陰性乳癌に対するティーエスワン(TS-1)術後療法」で、京都大学医学部附属病院が実施医療機関です。
 最後に77頁の資料3-3、整理番号019。「局所浸潤性膀胱癌症例に対する血液透析併用バルーン塞栓動脈内抗癌剤投与法(BOAI)、および、放射線療法による集学的膀胱癌治療」の技術です。こちらも大阪医科大学附属病院となっております。
 最初の2つ030、031については3月、最後の019については6月の先進医療専門家会議に提出され、保険との併用との観点から「適」として了承されております。また中医協にもその旨報告されております。以上でございます。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。これまで高度医療のほうで通ったのがどうなっているか報告がなされなかったということで、ここでも一応先進医療のほうにかけさせていただき、先ほど言ったように030、031は3月のとき、019は6月の先進医療専門家会議で通りまして、それからそれがさらに中医協のほうに回って、混合診療として認められるということになるわけです。その通り進んだということをいまご報告いただいたわけですが、どなたかご質問はございますか。流れとしては順調にいきはじめたということで、この委員会と先進医療の委員会で、少しでも早く患者さんに良い技術を届けようということで、少しでもその通りの形で届けられればと進めさせていただいております。
 先生方のご苦労で非常にスムーズに流れるようになってきたということで、今日は特にヒト幹細胞指針の問題があって、こういったものをかけさせていただいて、これも新しいところだと思います。ありがとうございました。これに関しまして、どなたかご意見ありますか。高度医療、先進医療という流れをもう少しスムースにいければというのが、私のまたお願いです。
○柴田構成員
 ヒト幹とこちらの審査に、松山先生もコメントされていたのですが、ちょっと気がついたことをコメントさせてください。
 先ほど臨床試験実施計画書の改訂をしていただくべきだということを申し上げましたが、やはりそれをやるとこの会議のあと時間がかかります。それを見ていただく2週間なり1カ月なり、場合によってはこれまでの経験からいくと、数ヶ月とかなり長くかかった申請もありました。ヒト幹のときの議事概要などをネットで調べてみますと、例えばこういうことが書いてあります。「ヒストリカルコントロールをおいてHealing Indexで両群を比較する場合、Healing Indexに影響する因子(年齢、部位、延長量など)についても検討していただきたい」というコメントがもうすでに出されています。
 生物統計の専門でない先生にはもしかしたらあれだったかもしれませんが、竹内先生が最初にコメントを出されたところはこの問題であって、ヒストリカルコントロールとの比較可能性があるのかないのかということに関して、デザイン上の問題を指摘されるコメントであったと私は理解しております。
 そう考えますと、これは去年の段階でそこのところできちんとデザインについて検討していただく体制があれば、これからプロトコールを改訂するという時間は削ることができる部分でもありますので、当然本省の方に、会議が2つあることによるデュプリケートなどは減らしていただくような方向にもっていっていただきたいと思います。と同時に、研究者の側の先生方も、そこのところでうまく臨床研究のデザインであるとか、そういうところに留意をしていただくことで、数カ月という単位で短縮できる部分はあると思いますので、ここはちょっと気になったところとしてコメントさせていただきます。
○猿田座長
 ありがとうございます。竹内先生、何かありますか。よろしいですか。
○竹内構成員
 いま初めて気がつきました。であれば、そこで直しておいていただければ、スムースにすっといくと思います。
○猿田座長
 事務局のほうで何かご意見はありますか。要するに少しでも無駄がなくスムースに流れるようにすることが大切ですので、そういう方向でいければということで、柴田先生、どうもありがとうございました。
 それではそういった形で、いまの先進医療のほうもまとめさせていただいたということになりますが、今日審議していただくことと報告の事項は以上ですが、折角の機会ですので、ほかに委員の方からご意見はありますでしょうか。もし特にないようでしたら、先の予定を事務局からお願いします。
○事務局(高度医療係長)
 次回の日程は、現在調整中です。詳細等が決まりましたら追ってご連絡を申し上げます。また、本日の議事録について、作成次第、先生方にご確認をお願いし、その後公開をさせていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。以上です。
○猿田座長
 どうも先生方、お暑いところお集りいただきまして、また時間が早く終わってしまい申し訳ございませんけれど、これで第25回の「高度医療評価会議」を終わりたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03-5253-1111
高度医療係 新美 内線2589

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