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2011年3月30日 第20回医薬品・医療機器等対策部会議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成23年3月30日(水)10:00~


○場所

厚生労働省12階専用第12会議室


○議題

(1)ヒヤリ・ハット事例等収集結果について
(2)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果について
(3)その他

○配布資料

議事録

○議事

○事務局 開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴にあたっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。
 定刻になりましたので、ただいまから「第20回医薬品・医療機器等対策部会」を開会いたします。本日の部会は、従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力のほどをお願いいたします。
 本日ご出席の委員の先生方におかれましては、震災の対応等でご多用なところご出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、本部会委員14名中10名の出席をもちまして、部会を開催させていただきます。なお、寺井委員、中尾委員、原田委員、福井委員は欠席とのご連絡をいただいております。また、事務局ですが、医薬食品局総務課の中井補佐が後ほど会に同席いたします。この先、議事進行は外部会長にお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。

○外部会長 九州大学の外です。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。初めに、資料の確認をお願いします。

○事務局 配布資料の確認をいたします。資料のいちばん上が議事次第、次に座席表、委員名簿、配布資料一覧となります。資料1「医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果」及び参考資料1-1~1-3となります。資料2「医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果」及び参考資料2-1~2-9となります。資料3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」及び参考資料3-1~3-3となります。資料4-1「PTP包装シート誤飲防止対策について」、資料4-2「産婦人科領域における医薬品の誤投与に係る医療安全対策について」、資料4-3「肺炎球菌ワクチン誤接種防止対策について」、資料4-4「下大静脈フィルターに係る添付文書の改訂指示等について」、資料5-1「PMDA医療安全情報?.19「カリウム(K)製剤の誤投与について」」、資料5-2「PMDA医療安全情報?20「人工呼吸器の取扱い時の注意について(その3)」」、資料5-3「PMDA医療安全情報?21「輸液ポンプの流量設定時の注意について」」、資料5-4「PMDA医療安全情報?.25「血液浄化用回路の取扱時の注意について」」、資料6「「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について」。参考資料として、当部会の設置要綱等が付いております。資料は以上です。過不足等がありましたらお申しつけください。

○外部会長 資料が多くありますが、よろしいでしょうか。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めます。今日、【検討事項】が3つと【報告事項】はその他が1つとなっております。最初の検討事項の1.ですが、「医薬品ヒヤリ・ハット事例等収集結果について」です。事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料1をご覧ください。本報告書は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、医薬品の使用方法及び名称・包装等の物的要因の観点から、財団法人日本医療機能評価機構による医療事故情報収集等事業の第21回、第22回の報告書及びホームページ上で公開しているデータ中のヒヤリ・ハット事例記述情報及び医療事故事例の概要について結果を報告したものであり、分類して事例を掲載しております。
 1枚めくって、今回のヒヤリ・ハット事例等の報告の内容です。医療事故関係につきましては、医療事故情報収集等事業第21回、第22回報告書中の記述情報及び日本医療機能評価機構のホームページ上の公開データから抽出した平成22年1月1日~6月30日の間に報告・公表された事例です。ヒヤリ・ハット事例関係につきましては、当該報告書中の記述情報から抽出した平成22年1月1日~6月30日の間に報告された事例、また、当該報告書中の記述情報から別途抽出した医薬品にかかる事例となっております。医薬品に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から安全管理対策に関する専門的な検討を行うため、各医療関係職能団体代表等の委員から構成される総合機構での「医薬品・医療機器安全使用対策検討会」で検討した内容を報告いただいたものです。
 今回の調査報告では、次の頁の上にありますように、記述情報100事例について調査を行っております。医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例、製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例の4つの事例に分け、各報告書の件数を掲げた表です。今回、製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はありませんでした。既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が1件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が76件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は23件でした。
 検討結果の調査につきましては、次の頁からをご覧ください。製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例として、抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)の事例となっております。関節リウマチの患者に対して、初めてリウマトレックスの投与が開始されることになり、次回来院予定の3週間後までの処方入力時に曜日指定を行わなかったことから、本来週1回、3日分の処方とすべきところを、21日連日投与の処方となってしまった事例です。なお、院外薬局において疑義照会がなされなかったということで、結果として払出しがされてしまい、骨髄抑制などの副作用を来たし、入院加療を要した事例となっております。
 抗リウマチ剤メトトレキサート製剤に関しては、参考資料1の1頁ですが、平成20年8月29日付「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)に関する医療事故防止対策について」という通知と、8頁の「抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)防止のための取扱いについて(注意喚起)」という通知が出ております。こちらにより、製造販売業者に包装・表示等の改良を行うこと、及び医療機関等に誤投与防止の注意喚起がなされております。参考資料の21頁ですが、PMDAの医療安全情報も発出しており、注意喚起がなされております。なお、当該製品につきましては、既に包装・表示等の改良品が出荷されております。
 事例に戻りますが、次の頁からはヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例となっております。こちらに関しては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。なお、ヒューマンエラー事例に関しては、日本医療機能評価機構において従来から別途検討がなされており、定期的に医療安全情報等を発出するなど注意喚起が行われております。
 44頁からは、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例となっております。1番はロヒプノールによる副作用症状とも考えられる事例となっておりますが、患者の合併症及び既往歴等の詳細な情報が不明で、検討困難と考えられた事例です。2番はカリウム製剤を側管から急速に静注した事例となっておりますが、当該製品は誤投与防止対策品として付属の専用針でしか接続できない製品であることから、どのように投与したのか不明であることから、検討が困難と考えられた事例となっております。なお、資料5-1の「PMDA医療安全情報?19」の4頁に、当該製品に関する写真等情報が書かれておりますので、参考にしていただければと思います。このような製剤で、状況はよくわからないのですが、投与されてしまったという事例となっております。
 3~11番に関しては、薬剤による副作用症状と考えられる事例です。12~16番は血管炎、血管外漏出事例、17番は副作用症状と考えられる事例となっており、併せて検討困難と考えられた事例です。
 54頁からは放射線検査関連の事例ですが、こちらも造影剤による副作用症状で、検討が困難と考えられた事例となっております。資料1については以上です。

○外部会長 ありがとうございました。医薬品のヒヤリ・ハット事例収集結果について報告がありました。100例の中で既に対策が取られているものが1件、ヒューマンエラー・ヒューマンファクターが76.0%ということです。既に対策が取られているものについては、以前から指摘されている同様の事例があったわけですが、抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与ということで、既に対策が取られているということでした。カリウム製剤についても、似たような事例が発生しているようです。今回の検討結果等について、委員の方々から何かご意見があればお願いします。

○土屋委員 既に対策が取られているメトトレキサート製剤ですが、現実としては2つあって、基となる原因としては、まずシステム上で実質投与日数を言うのに投与期間がそのまま入ってしまったということが1つ。そして、これはどちらかというと薬剤師の医療事故に近いと思うのですが、その後の対策で通常ならば薬剤師から疑義照会が行くはずであるにもかかわらず、それが行われなかったという、この2点だと思うのです。薬剤師のヒューマンエラー防止のPTPシートの話等については対策が取られているのですが、システム上の問題という、保険で休薬期間のあるものを出すときには実投与日数を記載することになっているのですが、そこが実投与日数と書かれずに、服用期間のことを大き目に書いてしまうところがあることも事実ですので、今後休薬期間のある薬の投与の仕方を、これは昨年1月に出た処方せんの記載に関する検討会の報告では、過渡期の書き方等も含めてもっときちんと書いてあるのですが、もう1回処方のシステム側のこともチェックをしておかないといけないのかなということが1つあります。
 参考資料1にありますように、ここでこのようにちゃんと書きましょうと、PTPシートについては1シートごとに確実に書けるように、また昔は「休薬期間」と書いてあったのを、望月委員がそういう言葉ではわからないといけないので、薬を飲まない期間を必要とするということをわざわざ表記することによって、患者にも気づいていただこうという対策を取ったのですが、今回初診ということもあったのかもしれませんが、結果としておそらくいつ飲むかが書かれていない。これを毎日飲むように書くとすると、それは薬剤師がどうという話になってしまいますが、そういったことがあり、ものとしては対策を取っているのですが、それが実行に移されていなかったという意味のエラーなのかなという気がします。
 ただ、この件で1つ残念なのは、先発であるリウマトレックスが、この通知にあるときにはこういう包装形態になっていたにもかかわらず、これが出たあと6連にしてしまって、書く欄がものすごく小さいものに変えてしまったのです。後発に倣ってしまって、小さい欄で6連のものにしたという、またそれをこの通知に合わせて、この通知はわざわざ医療機関に対して2カプセルシート、3カプセルシート、4カプセルシートと、大変だけれど、包装シートもなるべく備蓄するようにということまで書いてあるにもかかわらず、先発が6連1つにしてしまったというのは極めて残念なことです。そういった意味では書きづらくなるような、ここの趣旨がよく通っていない対応策を、しかも先発はもともとそうなっていたのに、それをわざわざ改悪してしまったのです。そのことは、何か対策を取らなくてはいけないのかなと思っていたのですが、今回たまたまリウマトレックスの量が変わったことで、6錠シートの意味がほとんどなくなってくるのです。アッパードースが変わったので、それを出そうと思うと、昔の2、3、4のものは何とかなるのですが、6連のものは使い勝手が悪くなるということで、そういう意味では不適切な包装形態にするからだと思ったのですが、そういうことを含めて、ここで決まったことを企業が違った形で出すのはいかがなものかなと。我々の本心、親心を知らずに対策を取ってしまっているというところがあるので、システムとしては対策が取られているのですが、それを実行していないというか、禁止はしていないけれど、後発の参天と田辺は従来12になったのを6にしたというのはわかるのですが、先発が2、3、4と分かれていたものを6にするというのは本当に残念な対応ですので、企業の対応としてここの意味をよく理解した上でやっていただきたい。そういう意味では、そういうところに対してはまだ指導の余地があるのかなという気がします。

○外部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。かなりリスクを伴う薬剤ですので、非常に注意が必要かなと思います。たぶん、このような対策でも完ぺきに抑えることはできないのではないかと思いますが、いろいろな形で対策を取っていくことが必要かと思います。医薬品に関してはよろしいでしょうか。

○大西委員 いま部会長のお話にありましたように、今回のメトトレキサートの場合は、これだけの対策をした上でなおかつ起こってしまった。こういう形で起こると、リスク対策をいくつも準備して、物も手配する、システムも大体できている、薬剤師も疑義照会する、そういうたくさんの対策におけるチーズの穴を抜けてしまっている。逆に言うと、物も含めてこれ以上何をしたらいいのかというレベルの事例になってます。だからこそ、この1例は、本当に起こらないはず、起こってはいけないことが起こってしまっている事例と思います。
 薬の側から言うと、これだけのことをして、これだけの薬で、医師や医療関係者がリスク意識を持っていて、起こることがないと思っていることが起こってしまったときに、どう対策をするかは宿題になりますが、なかなか良い答が出てこない。土屋先生なども良い答を見つけようとして日々努力なさっておられると思います。先ほどおっしゃったように、6連問題についてメーカーで意識を十分持ちなさいというご指摘はそのとおりだと思います。ただ、本件は、本質的には問題を意識して、対策して、なおかつそうなったという事例です。それもご理解いただければと思います。

○外部会長 この件に関して何かございますか。

○安全対策課長 1点確認ですが、報告事例自体はこの製剤の改善前の事例であったということです。したがって、この改善策の徹底を現場でやっていただくことが重要かと思います。先ほど6連のご指摘もありましたが、実態を確認して、どういう対応ができるか考えてみたいと思います。

○目黒委員 テルモのKCLのことで、私も昨日仕事をしながら使っていたもので、非常に不便を感じているのです。これが一般に普通に使えない、側管から入らないとか、資料5-1の4頁に絵が出ているのですが、どのようにやったか全然情報が得られないというのはよくわかるのですが、一般に心臓の手術のときに高濃度のカリウムを使う心筋保護というのがあって、このために我々はこのKCLを入れるのに非常に苦労しているのです。それでも安全対策上必要だということでこれを導入して、うちの病院では1molのKCLで運用されているのですが、どういうふうにやったのかという情報がないからしょうがないのですが、知りたいという思いを伝えたかったということです。

○外部会長 物でミス防止対策は取られているけれど、逆に何らかの工夫をして使っているという現状もあるのかなと思います。非常に怖い薬ですので、この辺の情報はこれ以上のことはわかっていないということですね。

○望月委員 少し違う視点になってしまうかもしれませんが、資料1の2/57頁で、この症例は入院の患者に対する処方であると。この中で、真ん中の事故の背景要因の概要の5番目に「薬剤科で全患者の病名を把握していない」、あるいはそのあとに「薬剤師が薬剤指導等の介入をしていない」云々という記述があります。外来の患者ですと、処方せんが院外に出ている場合に、情報が一元化できていないケースもいまでも存在するとは思うのですが、これは入院の患者ですので、薬剤師、薬剤科との間で診療情報がきちんとシェアできていないということは、医療事故対策から考えると少し不足の部分があるのかなと思います。こういうことがないように、最低でも院内での医療従事者間の連携が図れる形ができていない施設については、第三者的な機構のような所が指導するのかもしれませんが、何らかの対策が講じられないかなという気がしました。

○土屋委員 この点も、薬剤師のところでスルーしてしまったというのは残念ですが、本来、日本病院薬剤師会では、糖尿病用薬について言えば、「調剤をするときには必ず薬歴を見なさい」、「前回処方があるかどうかを見なさい」、「初回投与時には必ず医師に確認する」という手順を決めて、全国徹底を図っているのです。ですから、たとえこういうことで選択エラーでオイグルコンが初めて出てきたとしても、そういう仕組みを持つことで病名がわからなくても、少なくとも疑義照会ができるという手順を持つことが、このようなハイリスク薬についてはそういう形で二重、三重にやっていくことが必要だと思います。こういうことがありましたので、一度医療機関には徹底をしたいと、また、そういうことが実施できていない所がどれぐらいあるかという調査も、一度してみたいと思っています。

○外部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 それでは、次の議題に移ります。議題2「医療機器ヒヤリ・ハット事例等収集結果」についてです。事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料2をご覧ください。こちらは先ほどの医薬品と同様で、医療機器に関するものとして「ヒヤリ・ハット事例等収集結果-医療機器-」です。内容につきましては、分類して事例を掲載しております。
 1枚めくって、報告内容として医薬品と同様に、医療事故関係については医療事故情報収集等事業第21回、第22回報告書中の記述情報及び日本医療機能評価機構のホームページ上の公開データから抽出した平成22年1月1日~6月30日の間に報告・公表された事例となっております。ヒヤリ・ハット事例については、当該報告書中の記述情報から抽出した平成22年1月1日~6月30日の間に報告された事例となります。また、当該報告書中の記述情報から別途抽出した医療機器にかかる事例も、併せて検討しております。
 医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、医療機器としての観点から安全対策に関する専門的な検討を行うため、医薬品と同じく総合機構の医薬品・医療機器安全使用対策検討会において検討した内容を報告いただいたものとなっております。
 今回の調査報告では、次の頁の上にありますように、記述情報65例について調査を行っております。医薬品と同じく4つの事例に分け、各報告書の件数を掲げた表となっておりますが、今回の製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例はありませんでした。既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例が18件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が41件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例が6件でした。
 検討結果の調査については、次の頁からをご覧ください。なお、日本医療機能評価機構のホームページ上で製品名が確認できたものについては、不具合報告の提出の有無等についても併せて確認しております。製造販売業者等により既に対策が取られているもの、もしくは対策を既に検討中の事例として、1番は非絶縁型バイポーラ電気メスによる熱傷事例になりますが、非絶縁型タイプのバイポーラ電気メスでは、添付文書に意図しない組織の熱傷に注意する旨記載がなされており、参考資料2の1頁にありますように、「PMDA医療安全情報?16」においても注意喚起を行っていることから、対策済みと分類されております。
 2番ですが、こちらは靱帯・腱手術用器械の還流液温度上昇による熱傷事例となっております。当該事例につきましては、薬事法に基づく不具合報告が行われており、術野が非常に狭かったために還流液がうまく還流せず、熱傷に至ったものです。当該バイポーラ電極の添付文書には、不十分な還流による熱傷のおそれや、小さな関節に使用する場合には出力を下げたり、還流液を増やすことが記載されております。こちらの記載に関しては、参考資料2の6頁の右上の(3)に記載がされております。
 3番は、手術用光源の光源コードによる熱傷事例となっております。当該光源装置の添付文書には、光源コードを取り外す前に必ず電源を切ることや、照明光が出ている状態で外すと、光源コードの接続部が接触した場合にシーツ等が燃えたり、患者や術者に熱傷が発生するおそれがある旨が記載されております。参考資料2の9頁の左上の2つ目と3つ目のポツにそのような記載がされております。
 4番は、マイクロカテーテルの抜去困難事例です。当該事例につきましては、同じく薬事法に基づく不具合報告が行われており、抜去困難な原因は、当該カテーテルが屈曲部位に挿入され、先端が曲げられたためとのことです。添付文書には、併用する塞栓剤を注入する前に、カテーテルが抜去できない血管に挿入されていないことを確認する旨記載がされております。こちらも参考資料2の14頁の左の9)に同様の記載がされております。
 5頁です。5番は、植込み型除細動器のリードの断線事例についてです。当該リードにつきましては、同社他製品と比較して性能維持率の低下傾向がみられたことから、自主回収が実施されております。参考資料2の15頁に自主回収の概要を付けておりますので、参考にしていただければと思います。
 6番は、植込み型ペースメーカーの回路部品の故障事例についてです。当該事例につきましては、薬事法に基づく不具合報告が行われており、当該ペースメーカーのテレメトリー不全の原因は回路構成部品の異常と推察されておりますが、当該製品による同様事例は発生しておらず、今後の発生傾向について情報収集に努めることになっております。参考までに、参考資料2の17頁に当該製品の添付文書を付けております。
 7番は、埋め込み型ポートの破損事例となっております。当該製品につきましては、品質上の問題から当該企業により自主回収が実施されております。参考資料2の25~28頁に、こちらの製品の自主回収の概要を付けております。
 事例8~16番までは、皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例になっております。報告事例中の皮下植込み型ポート用カテーテルの断裂事例につきましては、薬事法に基づく不具合報告でも同様の事例が報告されており、現在製品の改良等が実施されているところです。また、添付文書には第一肋骨と鎖骨間の挟み込み等による断裂について注意する旨が記載されております。製品に関しては、いま実際のものを見ていただく形で回しておりますので、ご確認ください。参考資料2の29~32頁にありますように、注意喚起文書の配付や製品改良が行われているところです。
 10頁です。17番と18番は、MRI検査時の高周波ループによる熱傷事例となっております。MR装置の添付文書には、高周波ループによる熱傷のおそれと、皮膚同士が接触する場合にタオルを挟む等の予防方法が記載されております。また、参考資料2の53頁ですが、日本画像医療システム工業会の「MR装置引渡しにおけるガイドライン」においても、同様の記載がなされております。なお、前回の本部会においてMRIの使用中のヒヤリ・ハット事例が多いことから、対応が必要とのご意見をいただいており、定期的な注意喚起について、日本画像医療システム工業会には引き続きご対応をお願いしております。
 11頁からはヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例、33頁からは情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例となっております。これらにつきましては、時間の関係で説明は割愛させていただきます。
 その他として、前回の本部会でいただいたご意見についてです。人工呼吸器のフィルターについては、本体に注意を促すシールが貼れないかというご指摘をいただきましたが、フィルターの大きさがさまざまということで、一律の対応は難しいという回答をいただいております。ただ、業界として人工呼吸器の安全セミナーの定期的な開催を初め、さらなる検討をお願いしているところです。また、医療機器の情報提供体制について、PMDAによる医薬品・医療機器情報配信サービス「PMDAメディナビ」の内容の改善等を行っておりますので、併せて報告します。資料2については以上です。

○外部会長 ありがとうございました。医療機器の場合には、既に対策が取られているもの、もしくは対策を検討中の事例が18例ということで、約3割が含まれております。それらの内容について、いま説明していただきました。熱傷事例が、電気メスや還流液、電源コードで3例、カテーテルの抜去困難、さらにポート用カテーテルの断裂事例、これが事例としてはいちばん数が多いようです。それから、MRIの熱傷事例となっております。これについては既に対策を取ってきたわけですが、こういうことが事例として起きております。この報告に対して、委員の皆様からご意見はございませんか。

○目黒委員 私は臨床工学の立場からですが、こういう事例報告の中で機械に関わる部分、例えば電気メス等我々臨床工学に密接に関わる部分に関しては、病院の中でも対応できる部分が多々あるかとは思いますが、こういう事例に関して病院の中でどのように周知徹底していくかがいちばん大きい問題かと思います。PMDAでもこのような非常にわかりやすい絵などを作っていただくのですが、それをどのように医療現場の中で周知徹底させるかということになると思います。
 機械については、我々のほうでもいろいろ意見ができるかと思いますが、放射線は放射線の部署、皮下植込みポート関係は先生方が中心になると思うのです。それを全部一まとめにして、私も悩むところですが、どこか窓口があって良いものなのか、最近は医療安全管理室などがありますので、そこが本来窓口になって新しく入ってきた情報を、当然先生たちにはすぐに情報が行くかと思いますが、それを病院施設の中でどのように周知徹底するかは、今後検討する必要があると考えます。医療機器は非常にバリエーションが多いということと、カテーテルや体の中に挿入している管関係のものは、我々とはまた別の部分で看護師や先生たちが直接関わる部分が多いので、そういうところをもう少しわかりやすく、みんなに周知徹底する方法ができればいいなと考えます。

○石川委員 同じ意見なのですが、MRIに関しても私の所属している工業会がガイドラインを出しています。機構さんからも出していただいてはいるのですが、弊社だけで言うと、少なくとも1ヶ月に2~3件、吸引事故の報告が上がってくるのです。これだけあちこちで何回も話していても起きるというのなら、どこか別の手段をとらないと直らないのかなという気がします。先ほど土屋先生からもあったように、別な形も考えないといけないのかなと。情報提供の仕方が問題なのか、情報提供をした後の問題なのかわかりませんが、そこも手を入れていかないといけないのではないかと思っております。
 2点目は、先ほどステムの話があったと思いますが、管に関することは材料の問題とかいろいろあって、それぞれメーカーは苦労していると思いますが、改良した結果、これは承認基準なのかわかりませんが、そちらのほうにもはねてくるのか、それともこれを一応こういうスタンダードでやっていこうということにするのか、私も勉強していなかったのですが、せっかく一生懸命やって改良されたのなら、良い方の改良はこの1社だけではなく、やっていかれたほうがいいと思うのです。その辺りは、うまくシステム的にできるのかなというのは、私も調べてこなかったのですが、業界の中でも広めていきますが、できれば標準化していったらいいかなと思います。

○目黒委員 いまの話ですが、行政のほうでもいろいろ作っていただいているので、それを見ると、医療機器の安全管理責任者は病院の中にある医療機器すべてということになっています。施設長以外の誰かがメインになって動くことにはなっているのですが、小さな施設では、技師(士)がいる所では一般的臨床工学技士がなります。技師(士)がいる所でなったとしても、範疇を超える部分についてどのようにするかという部分もありますので、いろいろ対応はされているのですが、対応を超える、あるいはある意味名前ばかりになっている部分もあるかと思っています。その辺りを実効性のある医療機器安全管理責任者がきちんと動かすにはどのようなことをしなければいけないか、例えば保険点数なり安全管理料を上げるとか、そういう部分での対応策もありなのかなと、いまほど土屋委員がささやかれたものですから、一言述べさせていただきました。

○外部会長 この辺りについては、厚労省から何かご意見はございますか。物の対策だけでは十分に徹底できないということですが。

○土屋委員 医薬品安全管理責任者にせよ医療機器安全管理責任者にせよ、法的にというか、制度上のものとしてきちんとすることは大事なことだし、おそらく手順書を作ることも大事。しかし、まずそういう仕組みを作ることが大事で、その仕組みはできた。でも、実際それに実効性を持たせるにはどうしたらいいかというときに、現実としてはそこがうまくいっていない。対策としてもの部会は物について言えばいいのだけれど、実効性をあらしめるためには、せっかく医療安全推進室長もいらっしゃるので、平成14年に医療安全推進総合対策が出、平成17年に今後の医療安全対策の追加が出て、それがあのときに当時当面の課題と将来像と2つ出したのですが、その将来像の議論のときに、何年後と言ったときに、10年後ではなく5年後ぐらいだということは、まさに将来像も、いま既に実行されていなくてはいけないぐらいのタイムスパンになっているのです。
 そういった意味では、ここの部会で言っても無理だということはわかるのですが、現実的に実効をあらしめるためには、診療報酬上の問題とか、そういうことを是非強く、せっかく作った仕組みが実効性を持たないとするならば、そこは診療報酬上の何らかの仕組みを、時限的な何回かでも4年間だけでもいいから、そういう仕組みを作るための政策を考えていただくのが良いのではないかと思います。あえてこの部会で言うべきことではないかもしれませんが、提言としては言いたいと思います。

○安全使用推進室長 いまご指摘いただきましたように、医療法のルールの下で医薬品、医療機器それぞれ安全管理責任者を病院の中に配置することを、平成18年からやっているわけです。ちょうど5年ということですが、平成22年の診療報酬改定の中で、医療安全についての薬剤に関する加算の部分はできてきている状況でもあって、それが実際にどのぐらい活用されて、かつ役に立ったものであるかという部分については、薬剤については先行事例として是非実績を上げていただく。また、その中の活用状況もいろいろと教えていただきながら、次の対策も実効あるものにするため、目黒委員のご意見等も伺いつつ進めていくのかなというのが現状かなと思っております。

○医療安全推進室長 ヒューマンエラーの関係で言うと、繰返しになりますが、「医療事故収集等事業」ということで日本医療機能評価機構でやっていただいており、年に4回、冊子を出して公表して、それに対する周知徹底を各医療機関に呼びかけております。また、月に1回、医療安全情報ということで呼びかけており、精いっぱいやっているかなと思っております。
 いまご指摘のあった院内での実効性のあるものについても我が方で承知しました。対外的に私の部署が各医療機関の研修会等にお話に行く場面もありますので、そういった中で、事故情報のシステムはそれなりにあり、管理者はそれなりに設定されているけれど、すべてうまく院内で整理されているような体制になっているかどうか、いまひとつ見直していただきたいというスタンスに立って、機会を捉まえてコメントを発していきたいと思っております。

○外部会長 いまのご意見だと、ヒューマンファクターに関する検討は日本医療機能評価機構で十分なされて、そこから情報が発信されていると理解してよろしいのでしょうか。

○医療安全推進室長 今日、冊子を持ってきたのですが、このぐらいの「事故情報等事業報告書」があって、これが年に4回出されています。それとは別に、年に1回報告書が出されていて、なおかつこちらの機構のホームページにばっちりこの辺りが出ているということもあって、情報としては対外的には発信しています。また、我が方とこちらの機構でも、年に4回、上がってきた情報の内容について精査等々をするような機会を持っているという状況です。

○土屋委員 厚労省の検討の仕組みを見ると、この「もの部会」と「ヒューマンエラー部会」があって、私もヒューマンエラー部会の委員なのですが、ヒューマンエラー部会はずっと開かれていないという現状もあります。たとえ機能評価で十分であっても、もの部会は機能評価で出てきたデータをもう1回見直そうとか、全体を見ようというところもあるわけですので、そういった全体のものもせめて1年に1回ぐらいは開かれて、専門家の委員の意見を聞くことも大事なのではないかという気がします。

○高杉委員 いろいろな分析、あるいは報告書はいいのですが、同じことが起るなら、このカラーの図式をいかに病院で利用するかだと思います。視覚的にいちばんよくわかるけれど、それがやられているのかなというのが非常に気になります。これがあれば、カラーの情報は非常にわかりやすく書いてあるので、現場でもっと利用すべきだろうと思いますが、現場ではどうなのでしょうか。報告書は管理者が見るのであって、薬剤部長が見るのですが、現場でやっているときには、これを見てくださいというのがいちばん役に立つのだろうと。あるいは、看護の現場でカリウムのところをポンと見せると。それは視覚的な訴えですから、病院、病院の取組みがあるでしょうけれど、もっと利用されていいのかなと思います。

○石川委員 私も日本医療機能評価機構の委員をやっておりますので、高杉先生も一緒に出ておられるので、日本医療機能評価機構でやっている改善策と書かれている内容は、病院で取られたことが書いてあるだけで、実際日本医療機能評価機構で委員も含めて皆さんがこうしたらいいのではないかと言う改善策ではないのです。これはあくまでもその病院で取られた事例が書いてあるだけなのです。
 それではいけないだろうということで、先ほど高杉先生がおっしゃったように、特徴のあるものに関してはカラーでちゃんとこういうもの(PMDAで出しているものと同じような形式のもの)を出しましょうとしています。目的は、それを各病院で貼っていただいて使えるように、プラスPMDAでやってくださっているものと合わせて、双方同じアイディアで、すばらしいカラーのものがずっと出てきているわけです。間違えてはいけないのは、(評価機構での)改善策と言っているところは、正しい改善と私たち委員も思っていないものが結構あるので、間違えてしまうのではないかということです。委員会で何回も皆さんで話し合っているのですが、そこまではタッチできないということで、いま評価機構としての改善案提示は止めております。逆に、もの部会では機構さんが入ってくださっているので、不具合報告やメーカー等とのコンタクトをした上での、詳細な原因と改善が出てくるので、私からするとより明確な使用者に対する改善、またはメーカーに対する改善等が表現されていると思っています。
 問題がいくつかに分かれて、議論が分かれてしまっていますが、私は日本医療機能評価機構がやっていることがすべてだと思っていなくて、そのお手伝いをしていると思っていますし、ここでも100%かというとそうではなくて、(評価機構では使用上の安全確保に関する)もともと生のデータから取れればいいのですが、そうではなく間接的なデータからお取りになっているということで、ここもジレンマがあると思います。それでも、これだけの情報を外に発信しているのですし、医療法も改善されたのですから、どのような形でどのような仕組みで、もっとその情報が伝わるかということをどこかで検討していただきたいというのが、ずっとここの委員をやっている先生方のご意見ではないかと私は思います。どこが悪いではなくて、どのように伝えていくのかが大事だと思います。病院も大小があるし、得意、不得意もあるし、やっている所も違いますから、情報の取捨選択があるだろうと。それで佐藤さん(安全対策課)の所でも別な手を取ってやろうとしているわけですが、私はプッシュメールと言ったほうが楽なのでそう言いますが、ああいうやり方で情報を提供しましょうと、できるだけ広く提供しましょうということをしています。
 途中の過程にはあるのだと思いますが、それにしても5年くらい既に随分経っているけれど、なかなか周知できないのは、確かにもどかしいと皆さん思っていらっしゃるのではないかと思います。でも、昔に比べたら随分変わったと思うので、そこは評価したいなと思います。

○森委員 先ほど、土屋委員からもヒューマンエラー部会が動いていないという話がありましたが、今日の報告を見ても、物に関してはさまざまな対策が取られてきたせいか、物に関しての対策が必要であるとの事例報告は少なく、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられる事例が多く報告されています。もしかしたら、物に対してさまざまな対策が取られて、以前とはヒューマンエラーやヒューマンファクターが違っているかもしれません。そういう意味では、対策が取られた上でも間違っているのは何がそのファクターになっているのかを検討して、対策を立てることによって、もっと事故が減るのではないかと思います。

○外部会長 貴重なご意見をありがとうございます。ほかにこの件に関してはよろしいですか。石川委員にまとめていただいたようなところがありますが、医療安全推進室長からのご意見として、日本医療機能評価機構の報告が出ているから対策が十分なのではないかというご意見だったと思いますが、そういう認識では皆さんがいまおっしゃったように十分カバーし切っていないのではないかと思います。もっとアクティブにいろいろな情報、日本医療機能評価機構に集まる情報だけではなくて、日本全国からいろいろな形で収集される、特にヒューマンファクターに関する情報は集まっていますし、こういうもの部会を通して見るヒューマンファクターの側面も出てきているので、その辺りも参考にして新たな展開を見せていただければと思います。

○望月委員 少し違う視点から意見を述べたいと思います。今日の参考資料2-3の8/58、12/58、17/58で医療機器に関連するものの添付文書を、種類の違うものをいくつか拝見しています。医薬品の添付文書も情報量が多すぎて、本当に必要なことが伝わるのだろうかということがいつも議論に上るのですが、今回これを見て、医療機器はもしかしたらもっとすごいかもしれないと思うぐらいに非常にたくさんの情報量で、先ほどからの議論にもありますが、何を注意するべきことかがうまくこれで伝わっていくのかは、難しいところもあるかなと思いました。
 細かなことなのですが、多少変えられるのかもしれないと思った点が、8/58のライトガイドケーブルの左の【禁忌・禁止】事項ということで、赤枠で括られている中をざっくり読むと、ここに書かれていても何の情報にもなっていない情報が結構書かれています。もっと言うと、これは禁忌・禁止事項ですから、やってはいけないこと、使ってはいけない人の記述であるはずなのに、例えば使用方法の最初はこのように「使用すること」になってしまっています。3つ目の最後も、このように「使用すること」になってしまっています。これは禁忌・禁止事項の書きぶりではないと思います。
 また、ここではあまり気付かなかったのですが、〈適用対象〉とか〈併用医療機器〉という言い方が、禁忌・禁止事項の中の項目名として適切だろうかと。適用してはいけない対象とか、適用してはいけない併用医療機器とか、そういう項目名にしないと、もしかしたらうまく伝わらないのかもしれないということがあります。本当に細かな点ですが、特にそれを感じたのは17/58です。ゼファーDRの禁忌・禁止事項が〈適用対象(患者)〉と書いてあると、こういう人に使うのかなという印象を、私は医療機器の添付文書の専門家ではないので、そのように見てしまうのです。もちろん、きちんと読むと「使用しないこと」「行わないこと」と書いてあるのですが、ここはどうしてはいけないというのが、大きな項目ではない部分でも工夫できるところがあるかもしれないと思いました。

○外部会長 貴重なご意見をありがとうございます。石川委員からコメントをいただけますか。

○石川委員 まず、歴史から申し上げますと、機械のほうは、確かにおっしゃるようにこの頁数ではとても書き切れないというのは事実です。しかし、一応薬剤と同じような添付文書の形を取って、使用者の方々に赤字の【警告】とか、【禁忌・禁止】の赤枠黒字というスタイルを、同じ様式で伝えようという趣旨の下に医療機器も始まりました。ただし、頁数は全然足らないので、せめて8頁という非常に長いものにしました。しかも、フォントもとても入らないので小さくしてとか、いろいろなことを業界で話し合いながらここまで来ました。
 そういうことをご理解いただいて、おっしゃるように赤枠黒字の中に書かなければいけない禁忌・禁止のこととか併用医療機器に関しては、通常は明確にこの機械等を使ってはいけないとか、こういう患者には使うなとはっきり書かなければいけないところで、詳細は添付文書の後ろの方にある独立した項目、併用機器のところに書くとか、使用上の注意のところに書くことになっているのですが、どうもメーカーにはそれぞれ温度差がありますので、皆さんは赤枠をいちばん見るであろうと思うわけです。では、ここにこういう患者には使用しないでほしいとか、これはこうだと書いてしまえというところもあります。ですから、いまは随分時間が経ってはいるのですが、医薬品に比べればまだまだ赤ん坊で、これから成長していく過程にありますので、もう少し見直しをしなければいけないと思っております。先ほど、どなたかがおっしゃましたが、あまりにも種類が多いために、同じパターンで書けないのです。そのために、機種群なら機種群なりの書き方をしようということで、そのようにしてきたつもりなのですが、それでもまだバリエーションがありすぎるのが現状です。
 今後、厚労省さんやPMDAさんとも相談しながら、この8頁が良いのかも含めて、もう少し何とかできないのかということと、メーカーとしては紙でやるのも大変なので、できれば電子にしたいと思っております。添付文書は電子化していますが、電子化することによってお使いになる方々にとって、もう少しメリットがあるような方法にならないかと、そのときに伝えなければいけないことを、そこはスタンダライズしなければいけないのかなと思っております。いま、そういうことをこれから検討しましょうということで、来年度から検討が始まると思いますので、また、是非いろいろなご意見をいただければと思います。

○外部会長 医療機器に関してはよろしいですか。
 それでは、次の議題に進みます。検討事項3「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果」です。事務局から説明してください。

○事務局 資料3をご覧ください。こちらは平成21年4月より事例収集が始まりました、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業収集結果です。評価機構が公表しております薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業平成21年度年報に該当する事例につきまして、ホームページの公開データ(平成21年4月1日~12月31日の間に報告された事例)1,460件のうちの「規格・剤形間違い」、「薬剤取違え」、「その他」及び「疑義照会」に関する事例につきまして、医薬品の使用方法及び名称・包装等の観点から、ヒヤリ・ハット事例収集と同様に、総合機構の医薬品医療機器安全使用対策検討会で、検討をした内容を報告いただいたものです。
 今回、医薬品の製造販売業者等による安全使用対策の必要性の有無によりまして、444事例及び疑義照会107事例について調査をしております。医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例は1件です。製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例は1件、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例が425件、情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例は17件でした。また、疑義照会107事例につきまして、その理由等を分類したところ、下の表のような結果になっています。
 1頁飛ばしまして、検討結果の調査についてです。医薬品の1/96のところですが、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例としまして、パッケージデザインによる誤認事例です。参考資料3の1頁と2頁を一緒にご覧いただきたいのですが、こちらはリピディルカプセル100の処方のところ、パッケージの100カプセルとの表示に目がいってしまいまして、リピディルカプセル67のほうの箱をとり、調剤してしまった事例となっています。本体のカプセルの色の違いに気がついて、患者さんには渡されてはいませんが、この事例を踏まえまして、包装単位と有効成分量を誤認しないような視認性を高めたパッケージデザインにするように、当該メーカーにただいま検討いただいているところです。資料としてお付けしたのは、現在のパッケージになっています。
 事例の次の頁になりますが、製造販売業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事例については、インスリン注射薬のノボラピット注300フレックスペン処方のところ、ノポラピット注30ミックス注フレックスペンを調剤してしまった事例となっています。インスリン製剤の販売名につきましては、参考資料3の3頁にありますインスリン製剤販売名命名の取扱いについてによる、命名方法を規定していまして、この通知を踏まえて、ノポラピット注300フレックスペンは、ノボラピット注フレックスペンに既に販売名が変更されているところです。
 事例の3頁からは、ヒューマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例になります。また、66頁からは情報不足等のため製造販売業者による対策が困難と考えられた事例、これらにつきましては時間の関係で説明は割愛させていただきます。
 71頁からは疑義照会の事例となっています。事例の7番につきましては、医薬品の安全使用に関して製造販売業者等による対策が必要又は可能と考えられた事例としまして、70頁に別途記載がしてあります。70頁をご覧ください。こちらの事例はアルマール錠10のところ、アマリール1mg錠で処方されていた処方せんを、調剤薬局において患者さんと確認したときに処方ミスを発見した事例となっています。発見しまして疑義照会がなされて間違っていたことがわかった事例となっています。そして処方が変更になっています。こちらの両剤の名称類似性につきましては、これまでにも注意喚起や表示の変更等を行っているところですが、今回の事例を受けまして注意喚起文章の見直しを再度検討いただいているところです。参考までに現時点における両者の注意喚起文章ならびに関係する通知等におきましては、参考資料3の6頁以降に入れてありますので、参考にしていただければと思います。
 その他の疑義照会事例につきましては、時間の関係で割愛いたしますが、この疑義照会事例につきましては、同様の事例の集積を今後行いまして、対応を検討していきたいと考えております。資料3については以上になります。 

○外部会長 薬局ヒヤリ・ハット事例収集ということで、今回から新しくこの会でも取り上げているところです。多くの薬が薬局で処方されるということで、この薬局でのヒヤリ・ハットも非常に重要な情報であると思います。今回は新しく対策が必要、あるいは可能というのが1例、これは箱の表示によって誤認があったというものでした。あとは既に対策がとられているもの1例、インスリンの名称類似例です。あと、疑義照会としてアルマール、アマリールが以前からある事例ですが、報告がなされています。この事例の分析等を通じて何か委員のほうからご意見がございますか。

○森委員 今回の報告書にも規格間違いの事例が多くあります。薬剤師であれば、規格が複数あるから気をつけなければならないということは十分認識しています。厚生労働省でも2000年の9月に販売名の構造に関するルールの徹底として第935号通知で医薬品は、ブランド名、それから剤形とともに、規格を必ず付けるという対策がとられています。でも、未だにこれだけのヒヤリ・ハット事例等が報告されています。ちょっと気になっているのが、最近承認された医薬品で規格が確か4種類あり、プラス普通錠とOD錠ということで、同じ医薬品で計8種類が承認されているものがあります。もちろん必要性があると判断して販売したのでしょうが、本当にそんなに規格が必要なのか、考えてみてもいいのではないかと思います。今日の報告の中でも、ワーファリンに関しての事例が多く報告されていますが、以前から心配していることですが、これだけハイリスクの薬でありながら0.5?錠と5?錠と10倍量のものが販売されていることです。患者さんの服用は楽かもしれませんが、医療安全の点から10倍のものがあっていいのか、そのような視点で考えて製造することによって事故を防止できるのではないかと思います。そして最近承認された4種類規格があってOD錠まで含めると計8種類の薬が、本当に必要であったのか、今後、検討をする必要があるのではないかと思っています。以上です。 

○外部会長 ありがとうございます。貴重なご意見だと思います。

○土屋委員 この薬局ヒヤリ・ハットというのはすごく大事なのは、医療機関は採用薬をコントロールすることによって、いま森委員のおっしゃったようなことを防ぐという手立てがあるのですが、薬局の場合はそれができない。結局、薬価基準に載っているものは、基本的にはラインナップとして処方がくれば揃えざるを得ないという意味では、医療機関における対策とは、また違った対策をとらざるを得ないことになります。そういったことがこういうところで出てくるということは、すごく大事なことだと思うのです。
 先ほどのリピディルの話もそうですが、医療機関でしたらおそらく棚に入れてしまうのですが、薬局の場合だと箱が保管容器になっていることがあります。そこの表記が結果として棚だったらもっと複数規格とかいろいろなことがやれても、箱でどうするかということは、もう少し企業側でお考えいただきたい。
 そういう意味で言いますと、これは参考資料3の3頁で青く書いてある、平成16年ごろにやりました医薬品類似性ワーキンググループの報告書の中で、複数規格がある場合の注意表示についてです。複数規格が存在するというのを人間工学のほうでよくやられているのは、ステレオタイプという複数規格の存在を示す表示方法というのがある。ただし、これは通知にはなっていないのです。その後、研究などもいろいろ進んできて、こういう箱自体に「複数規格が存在しますよ」という表示の仕方をほかの世界ではやっています。そういったことをやっていくことも1つの方法だと思いますので、そういうことが出るということは、今までのあれではなく薬局ヒヤリ・ハットで出てくる、あるいは後発品に関する話と、おそらくこちらのほうで出てくると思いますので、すごく大事なことではないかなと思います。

○望月委員 今回、初めて薬局でのヒヤリ・ハット事例集が出されて、私はとてもよいことであると思いました。特に疑義照会事例のところが、これだけリスクの高いものが薬局の疑義照会によって未然に回避できているということを、実例をもって発表していっていただけることは、私はすごくよいことであると思いますし、薬局の皆さまが疑義照会というのが、どれだけ自分たちの責務なのかということを、改めてこれで実感していただくためにもよい情報になるのではないかなと思いました。

○外部会長 ありがとうございます。ほかにこの薬局ヒヤリ・ハット事例についてはよろしいですか。

○高杉委員 いまジェネリックがこれに入ると、ものすごい数になりますよね。そこのところはどうなのでしょうか。これは薬剤師さんたちの本当に大変な業務です。これを患者さんは希望すればできますが、そのときにもう1つの操作が入ってくる、あるいはドクターが「ジェネリックでいいですよ」というのはいいけれども、それでどうなのかなというのは非常に気になります。

○大西委員 望月先生もおっしゃったように、実態調査の報告が今回出てきたことは非常にいいことです。実態が分かって初めて対策がとれる。今回見せていただいた報告は、業界としても、勉強のできる非常に貴重な資料と思います。この実態を基にしてどうしていくかというのは、この部会でこれから考えていくことだと思います。ジェネリックに関しては、今回の報告はジェネリックも入った上でのデータになっているので、これを基にして考えていくというスタンスでいいのではないかと考えます。

○土屋委員 あとからその他で言おうかなと思ったのですが、今回、類似名称のこととジェネリックの話が出たときに、今回の震災のことを考えると、結局、医薬品がいろいろなところにいって、そこからのレポートを聞くと、薬剤師がいるところでは「ジェネリックとこれは一緒ですよ」ということがすぐ判断できる。薬剤師がいないところでは「それは大変だ」というのがある。そうしたときに提言が3つあるのですが、まず1つは後発品で未だにブランド名が残っているものがある。これはやはり危ないのですね。正直申し上げまして、昨年の調査で一文字違いのものがまだ1,000近くあるのですね。そうすると、例えばこのアルマール、アマリールでいくと、今は名称変更になりましたから大丈夫ですが、ああいう中で患者さんがアルマトールという名前をもし言ったとします。すると、これはアルダクトンAの後発品なのだけれど、アルマトールと言ったとたんに、先生方は、「あっ、アルマールかな」と思ってしまうことが起きたとしてもおかしくないのですね。こういう混乱の中で、しかも扱っていない薬の名前を聞いても、人間はどうしても、自分が知っている名前でそれを判断してしまうというところがありますから、そうすると、やはり名称類似とかいうことは、正確な情報が常に伝わっている中でもこれだけ事故が起きるのに、震災とかそういうことがあったとき、記憶に頼っていろいろなことをやらざるを得ないという場面では、そこで起きる事故を防ごうと思うと、そもそもの母数を減らしてあげるしかないのですね。そうすると、後発品がブランド名を持っているということが、すごく阻害要素になり得ることがあるものですから、しかも先ほど言いました一文字違いのものというのは、ほとんどが後発品と先発品との間とか、後発品と後発品の間の類似名称なのですね。そういったことは、今後検討すべきかなということです。
 あと、その対策として1つ、これが先発のメーカーがオーケーするかどうかは別ですが、必ず箱には○○の後発品という表示をさせることは、すごく大事なことではないかなという気がするのです。後発のメーカーも箱単位で、ああいう被災地に送ったり、ものを送ったりしていますので、そのときに何々の後発品と書いてあれば、それは薬剤師でなくても分かりやすくなります。それは普段のときでも、そのことが箱に表示されていても、別に商標権が云々かんぬんといいますか、それは医療安全とかいろいろなことを考えたときに、それはそれでいいのではないかという気がします。それが侵害になるということは、侵害されたと先発のメーカーが言わなければいいのですから、やはりそういったことを考えるのも、医療安全のための表記として後発品には先発品、ただ、それをやるとメチコバールみたいにもう親(先発)がいないものがあるので、困ることぐらいは重々知った上で、でも、多くのものはそういうやり方で助かるのではないでしょうか。
 ついでに言えば、薬価基準の収載名です。販売名は、どれだけ長く正確に一般名プラスというルールでやっていってもいいのですが、薬価基準がそもそも○○の後発品(屋号)というような形で載れば、そうすると分母を少なくすることによって、そもそもの勘違いをなくす、あるいは薬によってはコペガスとレベトールのように、同じ成分でありながら適応症が違うのもあります。でも、それだったら何々の後発品と言えば間違いはないわけで、その適応の違いもスルーできるので、そういうことを含めて言えば、これはここで言うべき話ではないということは重々承知していますが、薬価基準の収載名というものも、そういうことを考えてもいいのではないか。そうすると、患者さんが「何とかの後発品を使っています」と言えば、先発品のブランド名のメリットは短いということで覚えやすいということがあります。そういったことも広い意味での対策として、考えておいていいのではないかなという気がいたします。

○外部会長 いくつか提言がありましたが、何か厚生労働省からご意見がございますか。

○安全使用推進室長 今、いろいろとご提言をいただきましてありがとうございます。いわゆる医薬品の名称に関する部分、確かに土屋先生がおっしゃられるように、今、被災地の現場からきている情報の中で、ずっと後発品をお使いになられた方が、それと同じものがない状態の中でどれに切り換えるかということで、その名前を言っただけではなかなか理解をいただけないという状況です。その中で、派遣されている薬剤師の方々が、大変なご苦労をされまた活躍をされているということを被災地からの連絡等でも、我々は日々承知している状況でございます。いつ起こるか分からないというのが災害というもので、では、常に災害に向けて、全てのものを災害モードで対応できるかというと、必ずしもそうでない部分もあります。そこはおっしゃられた部分で、なかなか先発品の名称をそのまま、これは何とかの後発品ですよという形で使えるかというと、そこはいろいろな商標上の問題もあれば、いろいろな壁を乗り越えていかなければならない部分もあります。
 そういうところも、いろいろな課題を1個1個解決していかなければならないところだと思います。現在、有事の対応という中ですぐ出来ることと出来ないこと、それは職能団体の立場からも、いろいろと土屋委員には整理していただいて、アドバイスをいただければと思います。やはりこういう時だからこそ、薬のプロとしての薬剤師の方が、そういう困難な部分を何とか乗り切ってご協力をいただけるのは、私は非常に素晴らしいことではないかなと思っております。

○土屋委員 もちろんプロが全てやって、そこに存在価値が認められるということは当然分かっていますが、しかし、そういう人がいない所も当然あり得るわけです。シートに書けなんて言いません、箱にそういう表示をしてあげることは、せっかく物が来ながら、「あっ、そうだったのか」と。結局、神戸のときも余ってしまったとか、うまく利用ができなかったとかいうことがありますので、そういう表示があることはいいと思います。
 先発の名前はその栄誉をたたえて長く表示をしてあげて、後発もそれを本調子でやる。ただし、保険制度なので経済的にそれを変えることはあるけれども、その先発の短かく良い名前は、長く栄誉をたたえて使ってあげればいい。そういう使われ方をすることについて、先発メーカーさえ変なことを言わなければそれでいいと思います。箱の表記は、業界に是非検討していただいて、全体のために、あるいはこれは緊急時というだけではなくて平時でも、それがあったほうが説明しやすいとかいろいろなことがありますので、そういったことが必要かなと思います。

○外部会長 提言ということで参考にしていただければと思います。この議題についてよろしいでしょうか。それでは次にいきたいと思います。次は報告事項「その他」となっています。事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料4をご覧ください。こちらは前回の本部会以降に発出されました医療安全関連の通知となっています。資料4-1は「PTP包装シート誤飲防止対策について」です。医薬品のPTP包装シートについて、医薬品を包装シートから押し出すことなく服用した場合、喉や食道などを傷つけるおそれなどから、このようなPTP包装の誤飲を防ぐための留意事項について、医療機関及び薬局への周知をお願いした通知です。
 資料4-2は「産婦人科領域における医薬品の誤投与に係る医療安全対策について」です。子宮収縮止血剤のメチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤が、妊婦に誤投与された事例が複数報告されていることから、同様の誤投与防止のために該当する製品に関して、妊婦・妊娠の可能性のある方は服用禁止の表示を行う等の対策を講じるようにお願いした通知です。
 資料4-3は、「肺炎球菌ワクチン誤接種防止対策について」です。接種対象者ではない者への接種が行われた事例が複数報告されたことから、誤接種防止のための留意事項について、医療機関等への注意喚起をお願いした通知です。
 資料4-4は、「下大静脈フィルターに係る添付文書の改訂指示等について」です。下大静脈フィルターを長期にわたり留置していた患者において、フィルターの移動及び折損、並びにそれに伴う塞栓、穿孔などが報告されていることから、長期留置によるリスク等を使用者が認識する必要性から、該当製品の添付文書の改訂と医療機関への情報提供の徹底についてお願いした通知です。
 なお、前回の本部会において、医療安全関連の主要な通知に関して、英語版を作成してはどうかとのご意見をいただきました。通知の英語版に関しましては、PMDAのほうで対応しているものが既にいくつかあるといったことから、医療安全関係の通知に関しても基本的なものについて作成することについて、ただ今調整をしている段階でございます。資料4については以上になります。
 続きまして資料5をご覧ください。こちらは前回の本部会以降に発出されましたPMDA医療安全情報となります。資料5-1は「PMDA医療安全情報?19「カリウム製剤の誤投与について」」です。カリウム製剤の取扱い時の注意点と、誤投与防止対策品について紹介しております。カリウム製剤については希釈せずにワンショット静注してしまうと、大変危険でありますことから、しっかりラベルを確認することや、複数人でのチェックの必要性について注意喚起しております。
 資料5-2です。こちらは「PMDA医療安全情報?20「人工呼吸器の取扱い時の注意について(その3)」」です。人工呼吸器の使用中の電源に関する注意点と、電源表示の見落とし防止対策の例について紹介しています。
 資料5-3は「PMDA医療安全情報?21「輸液ポンプの流量設定時の注意について」」です。輸液ポンプ使用時の注意点についてと、滴下制御式輸液ポンプ使用時の注意点について記載されています。滴下制御式輸液ポンプ使用時の注意点につきましては、前回の本部会において報告された事例に関しての注意喚起となっています。
 資料5-4は「PMDA医療安全情報?22「血液浄化用回路の取扱い時の注意について」」です。血液浄化用回路の接続時の注意点についてと、ルアーロック式血液浄化用回路への切り替えについて注意喚起しています。資料5については以上になります。
 資料6「「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について」ですが、これまで実施時期について、別途通知するとしていました医療用医薬品の内容薬、外用薬の調剤包装単位についての実施時期について、今般、明記するなど「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正(案)について、ご意見を求めるパブリックコメントを、今週の月曜日、3月28日から開始しましたことをご報告させていただきまして、参考までに付けさせていただいています。資料6については以上です。
 また、昨日、日本医療機能評価機構から、医療事故情報収集事業第24回報告書及び薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業第4回報告書が、日本医療機能評価機構ホームページ等で公表されております。公表の際には都道府県をはじめ関係団体等へ報告書の公表を連絡するとともに、同様の事例の再発防止及び発生の未然防止のために、報告書の内容を確認の上、共有すべき医療事故情報等の内容に留意されるとともに、注意喚起を促すように周知を依頼しております。この報告書ならびに評価機構ホームページ上で公表されているヒヤリ・ハット事例記述情報等の中から、独立行政法人医薬品・医療機器総合機構が、医薬品・医療機器に起因する観点から、専門的な評価・対策の検討を加えた報告書を次回の本部会でご審議いただきたいと思っております。その他については以上になります。

○外部会長 資料4、5、6を通して、いまご説明でこのような対策をとってきたということがありました。厚生労働省のほうからの通知といいましょうか対策、そして、PMDAのいろいろな図入りの情報、そして、資料6では医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項の一部改正ということ、28日付のものが出ています。この説明を通して何か皆さんのほうからご意見があればお願いします。 

○石川委員 質問です。最後のバーコードのところで、薬とは異なり機械の方は、まだ全部の機種にバーコードを薬事法上つけることにはなっていないのですが、手元に通知がないので正確ではありませんが、先ほど言っていた規格の違いというのは、箱は何箱入っているかというのは、たしかGS1に書いてあると思うのですが、規格違いというのもバーコードの中では、商品コードが違うのですか。

○土屋委員 規格違いのそもそもが調剤包装単位を見ても、バーコードが違っていますので、そもそもの製品コードが違います。ただ、そのバーコードを読んだからといって規格違いがあるかどうかは分からないので、むしろバーコードを読むことによって、それはバーコードシステムのほうで規格注意とかというのを出せればいいので、それはまさに活用のほうで出てくるかなと思います。
 いま注射薬には全て付いていますが、これはまだ、それほど現場で多く使われていないのは、やはり、ほかのものも付かないとなかなかということがあるのですが、やはり製薬企業のご努力もありますので、そういった意味で、せっかく医療安全のために付いたバーコードを、いかにみんなで利用するかについては、今後対策をとりたいと思いますし、本当にこういうことがベースでやられることになるのは、すごく大事なことだと思います。

○大西委員 資料4-1のPTP包装シート、誤飲の問題について補足いたします。これは、昨年度、国民生活センターがアンケート調査を行った結果、「こういうものがありますよ」と報告されて、当局からの通知が出たものです。これは新しい問題ではなくて、皆さんもご存じのように、古いというか、いまから約15年前の平成8年度にこの問題が提起され、誤飲の問題で死亡例も出たということから発しております。これについて平成8年から、当局と業界で検討をし、多くの先生方のご指導も受けて対策を練ってきました。包装形態においては、バラバラに1つずつ細かく切り離せないような対策をしました。材質については、材質をもっと軟らかいものにできないかとか、諸々の検討があったのですが、安定性を保証するということで、いい材料が見つからなかった。
 表示については、注意事項で、シートの裏側に「1つずつちゃんと出して飲みなさい」という表示にしました。医療現場における啓発ということで、各薬剤師さんを含めて、患者さんに「ご注意ください」と伝える対策をとってきました。にもかかわらず、昨年度の国民生活センターの調査で、事故事例がまだありますよという報告になったと思います。再度業界としては、これを検討しました。検討した結果は、材質についてはこの15年という時代を経ましたが、なかなかいいものがまだ見つかっていません。いま採れる方法としては、「1つずつ切り離さないで飲んでください」ということを、再度、徹底していただくことになります。その方法としては薬剤師さんから患者さんへ服薬指導を伝達いただく。その資料としては、いまPMDAのホームページ等にある、注意喚起のパンフレット等を利用していただき、「ハサミで1つずつに切って飲める形にしないでください」ことを徹底するという対策が再度必要であり、その方法論も含めて検討し、実施していくことにしております。すべて1包包装にできればいいのですが、現実は困難なようです。
 この問題について、同じアンケートでないので直接比較はできないのですが、15年前に出ていた発現件数数字と、今回の国民生活センターの数字を比較すると、ずいぶん年間の発生数としては減っていると思っています。これは以前の対策が有効であったと考えられます。ただ、残念ながらなくなってはいない。事例を見ますと、初めて飲んだ人が誤飲を起こしてしまうのではなくて、長らく飲んでいる人が、忙しさとか諸々のことがあって飲んでしまったという報告事例が多いのです。これに対する対策をどうすればいいのか。これについても諸先生のアドバイスをいただければ、業界として対応していくつもりです。どうぞよろしくお願いいたします。

○外部会長 ありがとうございました。土屋委員どうぞ。

○土屋委員 これに関しては、私どもこの通知が出て、なおかつ国民生活センターから日本病院薬剤師会と、日本薬剤師会に対しても要望がきておりましたので、まず、こういう通知があるよということを周知徹底していることと、少なくともそこには患者さんの状況を見て、あるいは患者さん、あるいはその看護に当たっている方に対しての情報提供をきちんとしてやりましょうという話はしておりますが、正直言って10年間で86人という数が、我が国でPTP包装を飲んだ回数分ということで見たときに、メチャクチャ小さな数字で何百億分の86、ただ、実際86が起きているということを見たときに、医療というのは残念ながら通常の産業といいますか、通常の部門ですと「それはしようがないよね」、「防げませんね」というところで終わるのですが、医療は「必ずゼロを求めろ」ということが求められてしまっているというこの辛さがあります。
 そうなると、あと残るのは、患者さんに対する啓発ということがありますので、薬の飲み方というビデオでも作ってCM、あんなにACのことをいろいろやれる暇があったら、そういうCMでもこの際流して、「薬の飲み方はこうですよ」というのをやったほうが、国民にはアピールするかなという気もいたします。薬の宣伝をやるときに必ず「PTPを誤飲しないように気をつけましょう」とかいうことも含めて、やはり国民啓発活動をやらないと、1錠に切るなといっても、私ども患者さんが持参薬で持ってくると、実際は1錠に切っちゃっています。
 ピルケースといって世の中に売っているケースは、入れていくとなっていますが、そもそも1錠、患者さんの自己責任で切ることになっています。そうなると、こういうことをやるときに、そのグッズをどうするのかという点もあります。それから、世の中にはほかのものの流用ですが、角を落とすためのハサミというのもあります。テプラの角を落とすハサミがあって、それでやると角が丸くとれるのです。ただ、そんなことを薬剤師がやり出したら、もうとてもできないので、それは患者さんがどうしても1錠にしたければ、「こういうもので角を切りなさいね」というような話もあっていいのかもしれません。
 そういった意味で総合的に考えないと、これ本当に我々としては、この通知で少なくとも訴訟を起こされたら薬剤師は負けるなというのは、指導不足だったという話になってしまうのかなとは思っています。ただ、全体として薬の飲み方ですが、テレビを見ながら薬を飲んだとかいう話は聞いていますので、薬は何とかしながら飲むものではないという教育をきちんと長年しておくことが、大事なのかなという気がいたします。是非、製薬企業のほうも、長い目で見て地道にずうっと教えていくということですかね。そういうこともやられたらいかがかなと思います。

○望月委員 土屋委員のおっしゃるとおりで、私ももう10何年か前に誤飲の事例を。私は当時大学病院に勤めていましたが、1年に1例ぐらいはあったのでしょうかというような経験なのですが、そのことが結構いろいろな所で起こっているということが注目されて、誤飲に関する対応策というのが講じられたということは、私はすごくよかったことだと思っています。それをいろいろなことを講じてもまだこういうふうに残ってしまうのは、やはり使う側を啓発していくことが必要な時期にきているのかなと思います。
 資料4-1のいちばん後ろに、2種類の患者さん向けのPTPの誤飲防止のためのチラシのようなものがございますが、先ほどのお話にもありましたように、飲んではいけないということがわかっている人がうっかり飲むというケースが多いように思います。うっかり飲まないように、テレビを見ながら飲まないとか。私もそういう話は聞いたことがあります。それから、飲んでしまったらどんな事態に陥るのかということも併せて、きちんとご理解いただくような機会をたくさん、もう薬剤師さんも説明しますでしょうし、先ほどのテレビのコマーシャルを使ってというのもあるかもしれませんし、そういう対策は講じていかれたほうがいいのかなと思います。
 この話とはずれるのですが、全体を通じての話です。先ほどから何人かの委員から、トレンドとしてこの対策を講じたあと減っていっているだろうと思われるというような、専門家としてのご見解がこの中で出てきておりまして、そのトレンドを見るということが、以前に私はここの検討会で申し上げた記憶があるのですが、どういう対策を講じたあとどういうふうな変化が起こっているかということを見ていくことによって、そのあと、どこをきちんと対策として講じていくことが必要かという分析が、きちんとできていくのかなと思うのです。もう、物のほうの対策は講じきってしまっていて、あとはヒューマンのほうをというような話も、今日たくさん出てきておりましたので、分母がどういう形になっているのかが、私はいまよくわかっておりませんので勝手なことを言っているかもしれないのですが、是非、その対策とトレンドをきちんと見れる形で分析をしていただきたいなと思います。

○外部会長 貴重な意見をありがとうございます。トレンドと言いましたが、これまでの対策の成果を踏まえて、これまでのトータルの評価というのを、もう掴まえておられますか。長年、検討をしてきましたが、どういう成果を上げておられますか。

○安全使用推進室長 トレンド分析につきましては、望月先生のおっしゃるとおりだと私どもも思っております。ただ、一方でこの医薬品の名称にしても、先ほど土屋委員のおっしゃられたように、一文字違いのものがそれこそ1,000品目あって、全ての名称変更したもののトレンドを、つぶさにこちらで紹介したり分析するのはなかなか、我々もリソースがあるものではございませんので、例えば今日1番目に出てきているような事例とか、繰り返し起こっているようなもの、こういうものについては当然日本医療機能評価機構、PMDAからも常にモニターをして件数を見ているわけです。そういう事例を紹介するときにこれまで過去何年間どういう形で、どれだけの件数が報告できていて、それが実際にある時点、平成15年なら平成15年の時点で対策をとって以降、減っているのかというような参考数値とかを少し示しながら、個々に全てをやるというわけではなくて、やはりリスクの高いものについて、また、その問題が起こっているものについて、これまでの数字的な状況等がわかるような形で、我々も資料を作成する工夫は少しずつできるのかなと思っているところです。

○外部会長 ありがとうございます。あとご意見ございますか。私はPTPシートはずっと以前から問題になっているのですが、確かに材質の改良も難しいということで、ここまでかなという気もあるのですが、一方では、やはり何か画期的なブレークスルーできるようなものの改良ができないのかと思っています。縫い目がありますよね。あれと同じように縫い目ができるのであれば、ガチャンとその間に空間を作って、尖るところだけはなくなるような、何かできないかなと思っています。尖っていなければ飲んでも全然問題がないわけで、あの尖ったところを何とか製造の過程で、かなりのコストはかかるのでしょうけれども、そういうのを長い将来的な解決策としてあっていいのではないかなと思いました。

○大西委員 部会長のご指摘のように、まだまだ検討を続けることは必要と思いますし、対応しております。いまの角を取る方法は、15年前にも話が出まして、検討をしたのですが、結局、いまのPTP包装を型押しで抜いていく方法では、角を取ろうとすればするほど、逆に今度は少しのずれで鋭利なところが残ってくることがあります。いわゆる角取りのプレス形態のものは、かえって危ない結果を生むという検証結果もございましたいまのところは型取りで角を取るのはなかなか難しいという状況になっております。でも、それでいいのではなくて、やはり今後は製造方法、技術的なものも含めまして検討を継続して、より良い方法を見つけるように業界として努力いたします。

○外部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。

○医療安全推進室長 医政局医療安全推進室長ですが、ヒューマンエラーのほうにつきまして一言コメントなのです。物のほうの対応と対応の仕方が違って、非常に難しい背景がございます。また、院内での対応のことについて、行政的にどこまで介入できるかということもあろうかと思っております。先ほどお話のあります日本医療機能評価機構で運営委員会という協議機関を持っておりますので、まずはそちらとも、今日は貴重なご意見をいただきましたので、皆様方からのそのようなご意見も踏まえまして、どういう対応があり得るのか等々を検討していくような形で進めていきたいと思っております。ありがとうございました。

○外部会長 よろしいですか。それではこれで今日の予定を終わりますが、事務局から追加はございますか。

○事務局 次回の部会開催の予定につきましては、委員の先生方の日程を調整いたしましてご連絡をさせていただきます。また、本日の議事録につきましては、後日送付させていただきますので、内容のご確認をお願いいたします。なお、修正・ご確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますのでよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○外部会長 それではこれで閉会いたします。どうも今日はお疲れさまでした。


(了)
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