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2011年7月26日 生活保護制度に関する国と地方の協議(事務会合)第4回議事要旨

社会・援護局

○日時

平成23年7月26日(火)


○場所

○ 検討項目のうち、住宅扶助の適正化、介護扶助の適正化、生活保護費の適正支給の確保等について意見交換。

○ 厚生労働省及び地方自治体からの主な発言は以下のとおり。

1.住宅扶助の適正化

(1)本人の意に反して保護費を搾取する等の貧困ビジネスに対する規制について
 
<地方自治体発言>
○ 大阪府においては、民主党の議員立法案(以下「法案」という)と同様の条例を施行したが、届出事業者数は少ないと聞いている。

○ 貧困ビジネス法案には、無届事業者に対する罰則がないのではないか。また、金銭管理を承認することは、その管理に対する対価を認めることであり、金銭管理が可能な額について行政がお墨付きを与えることにならないか。

○ アルコール依存症者向けの施設入居者等については、受給者本人が金銭管理を望んでいる場合も多い。本人が同意している場合、規制が困難な場合が多い。一方で、地方自治体が行う権利擁護事業も手一杯で活用できない状況。

○ 国は、「たまゆら」における火災事故をはじめ法的位置付けのない施設における事件をどのように総括しているか。福祉事務所は好んで「法的位置付けのない施設」に入居させているわけでなく、アパート等の確保が困難な高齢の生活保護受給者やホームレスなどの受皿の整備を検討する必要がある。でなければ、ある意味必要悪として、規制の網の目をすり抜ける事案が後をたたないことになる。規制するだけでは有効に機能しない。

 ○ 貧困ビジネス法案が成立した場合、法律の所管はどこか。保護部局が対応することを想定しているならば、現行の体制では、人的にも職員の知識面でも不十分。地方交付税等による体制整備に係る充分な支援措置が必要。

○ 新たな法律による規制という方向性は賛成であるが、その一方で、法案は、社会福祉法等の既存の法体系との整理が必要である。また、具体的な実施体制の整備に当たっては準備が必要なので、法案成立後の政省令の検討に当たっては、地方自治体と事前に調整してほしい。多くの地方自治体は議員立法が早期成立するものと期待して独自の対応を控えてきたが、もし早期成立が難しいのであれば現行法下での対応強化も考えざるを得ない。法案の成立の見込み・見通しの状況をどう考えているのか。中途半端な状況が続いているので、国としてのスタンスを明らかにして欲しい。貧困ビジネスの規制に当たっては法案の成立を待たずとも、運用上できることを進めるべき。

○ 近年、事業者が借り上げた部屋にルームシェアリングという形や仲介業者がサブリースという形で複数の生活保護受給者を入居させるというケースが生じている。また、この場合、住宅費以外の根拠が不明確な利用料を徴収するケースもある。サブリース、ルームシェアといった新たな形態の貧困ビジネスは、事業者の利益が上がる結果となっており、消費者保護や宅建業規制等の他の法令での取り締まりも必要である。現行の生活保護では転居指導が精一杯だが、転居させても新たな入居者が続くだけで、根本的な解決に至っていない。入居契約は外見上民々の契約であり、当事者がサブリースやルームシェアと主張すれば、行政は貧困ビジネス事業者に対する指導が困難となる。貧困ビジネスの温床となり得るサブリースやルームシェアについて、運用上整理が必須である。

○ サブリース事業者に対しては宅建業法の取引違反などで指導する方が実効性があると考える。これは都道府県の管轄なので我々も調整は行うが、国の中でも国土交通省等部署へ貧困ビジネス対策として話をして欲しい。

○ サブリースやルームシェアリングを行う事業者に対しては、早急に居宅に係る住宅扶助基準とは別の基準を設定する等の対応を検討してほしい。事業者の不当な利益をなくすような見直しをしないとこのような事業者は減らない。利益が上がるからこそ事業者は貧困ビジネスに参入してくる訳で、そのメリットを低減させるべき。
○ 地方議会においても貧困ビジネス法案の動向は話題になっている。成立に向けて国としても努力いただきたい。

○ 法案の対象は生活保護受給者に限定しているのか。施設に入居しているのは生活保護受給者に限らず、年金受給者等の高齢者も相当いる。本来ならば、全ての入居者に対して安定した住居の確保を図るべきであり、住居としての在り方そのものを考えるべき。

○ 近年、生活保護受給者を囲い込み、療養・介護系のサービスを提供する貧困ビジネスが横行している。このような貧困ビジネスの温床となりうる高齢者を多く抱える施設には対しては、何かしらの届出をさせるべきではないか。

<厚生労働省発言>
○ 議員立法案については、一昨年の事件発生から時間も経過し、民主党内において、改めて貧困ビジネスに対する規制の在り方について議論されていると聞いている。厚生労働省としては、法案準備に向けて必要な協力をしていきたい。自治体や地方議会からも、早期の法規制に向けての要望を各地からいただいていることは十分承知している。一方で、現行法下でも可能な方策についても検討していきたい。

○ 法案においては、無届事業者であっても行政の立入検査が可能であり、事業者がそれを拒む場合は事業停止命令を課すことができ、事業停止命令の違反者は刑事罰の対象となる。一方、現行の社会福祉法においては、無届事業者が立入調査を拒んだとしても業務停止命令や刑事罰の対象とはなっていない。また、金銭管理については、無承認で行えば直ちに刑事罰の対象となる。さらに、セットサービスの対価の内訳については届出事項となっており、必要に応じて立入検査や報告徴収を行い、事業者がそれらを拒めば、事業停止命令を課すことができ、事業停止命令の違反者は刑事罰の対象となる。

○ 規制法だけで問題が全て解決するとは考えていないが、高齢被保護者の受皿の問題は、要介護高齢者全体の受け皿をどうするかという問題であり、生活保護行政からのアプローチだけでは限界がある。本協議においては、まずは少しでも生活保護行政の上で前進できるよう貧困ビジネスの規制について意見を伺いたい。

○ 法案が成立すれば、主に生活保護受給者を対象とする事業の規制であるため、所管は厚労省(保護課)になるのではないかと考えている。ただし、消費者契約に関する規制法であるので、消費者庁等との関係も出てくるかもしれない。

○ 法案が成立すれば、金銭管理の事前承認等で地方自治体の事務量は増えることになるが、成立の可能性が高まった段階で、国からどのような支援ができるのか検討したい。このため、自治体の準備に余裕が持てるように、法案の施行日は配慮いただいているものと承知している。

○ 法案は、被保護者等の生活安定や自立助長を図ることを目的とするため、2人以上の被保護者等に対して住居と生活サービスをセットで提供する事業者が規制対象となっている。当該事業者であれば、被保護者等以外の者も含めた一般的な責務規定もあるし、被保護者等以外の者についても公序良俗に反するような契約であれば、民法によって無効となる。

(2)住宅扶助の現物給付への拡大について

<地方自治体発言>
○ 現行でも生活保護受給者は公営住宅に優先的に入居できるが、公営住宅の空き部屋が少なく、公営住宅への入居を希望する一般の住民は多い。公営住宅を現物給付の活用として、生活保護受給者の枠を拡大させることは、他の一般低所得者の入居枠を減少することに繋がるため、一般低所得者との均衡が必要である。

○ 公営住宅は一般市民にも人気があり、生活保護受給者のために公営住宅を用意することは困難ではないか。民間の賃貸住宅を現物給付として提供する場合、生活保護受給者には居住の自由が保障されており、強制的に入居させることは困難ではないか。
一方で、生活保護受給者には近隣相場に見合わない家賃を家主等が請求する事例が多く、住宅扶助の基準を見直す必要がある。

○ 住宅扶助の特別基準額はどのように決めているのか。現状では、近隣価格を上回る生活保護受給者独自の家賃相場ができている。本来ならば、受給者以外の一般世帯を含めた家賃相場を基礎に住宅扶助の特別基準額を決めるべきではないか。

○ 生活保護受給者のために現物給付の対象物件を自治体が管理することは難しい。一方、代理納付は民間の賃貸住宅でも実施可能であり、生活保護費の適正支給の観点では有効に機能している。

○ これまでの公営住宅政策との整合性もあり、現時点で生活保護行政として住宅扶助の現物給付を拡大する必要性は特段ないと考えるが、低所得者に対して安定した住宅に適正に入居できるための仕組みが必要。

○ 現在布団等について現物給付を行っているが、その他にも家具什器、眼鏡、葬祭扶助、引越し等どのような現物給付ができるか検討している。
一方で、現行の一時扶助は、本来生活扶助で賄うべきものまで認めており、一時扶助の在り方や必要性について、生活保護基準部会において議論する必要があるのではないか。

<厚生労働省発言>
○ 現行法上、住宅扶助の現物給付として宿所提供施設のみが定められている。実際に公営住宅や民間アパートを現物給付として活用するかどうかは、各自治体の判断になるが、その選択肢を拡げる意味で現物給付の法的根拠を整理する必要がある。

○ 住宅扶助基準の検証自体は生活保護基準部会で議論しているが、意見等あれば、部会での議論に反映させたい。

○ 住宅扶助の特別基準額は、現行の特別基準額に消費者物価指数(CPI)の伸び率を基本として、その地域の大部分の生活保護受給者の家賃がカバーされる額となるよう調整している。

○ 一時扶助は、ホームレスの方等が居宅へ移行した際に必要な生活用品等の購入費用を措置するためには、引き続き支給する必要がある。また、基準部会では一時扶助の必要性に関する議論はこれまで出てきていない。

○ 現行法においても、住宅扶助は本人の意に反して提供することはできず、実施機関が生活保護受給者の住居を強制することはできない。

(3)住宅扶助基準や敷金・礼金の水準等の地域差について

<地方自治体発言>
○ 敷金が家賃の3か月分という基準は実態に即しておらず、地域によっては入居が困難な状況にある。

○ 市町村合併によって自治体の範囲が広くなり、また2人世帯に対する特別基準の1.3倍の適用など世帯人員別の家賃水準にばらつきがでている。同じ都道府県内の同じ級地でも家賃水準の差は大きく、もう少し細かな設定が必要ではないか。

3.介護扶助の適正化

<地方自治体発言>
○ 国民健康保険団体連合会のデータを活用して生活保護受給者と一般世帯の介護サービスの上限額に対する利用率を比較した場合、生活保護受給者の方が高いという調査結果がある。

○ みなし2号被保険者については、介護保険に優先して障害サービスを利用させ、障害サービスにはないサービスについて介護扶助で不足分を補っているが、上限いっぱいまで介護扶助を請求する事業者がある。
また、高齢者見守りサービス等を始めたが、居場所づくりや社会参加へつなげ、要介護に至る前の支援をさらに拡大したい。

○ 介護サービス事業者に対して、生活保護法の指定介護機関としての手続が必要であることを理解していない事業者がいる。利用料の確認が必要なサービスを除いて居宅系の介護サービスを提供する事業者については、介護保険法の指定をもって生活保護法の指定があったものとみなす範囲を拡大してほしい。

○ 特別養護老人ホームの個室に関しては、社会福祉法人等による利用者負担額軽減制度事業により一定の効果はあったものの、認知症グループホーム等は、都市部では利用料(家賃・食費・光熱水費等)が高くて、現行の保護基準(特に住宅扶助の上限額)では生活保護受給者が利用することはできない。生活保護受給者も介護保険制度の被保険者であり、介護保険法が認める介護サービスであることを踏まえ、適切な介護扶助のために、都市部における住宅扶助の基準のあり方について特別基準を設けるなど、生活保護基準部会で議論して欲しい。

4.生活保護費の適正支給の確保

(1)不正受給対策について
1 実施機関による調査・照会範囲の拡大について

<地方自治体発言>
○ 実施機関による調査権限の範囲は、現行では資産及び収入の状況に限られているが、過去の職歴や自立支援医療の受給状況等の調査も必要なため、規定には「その他必要な事項」を加えてほしい。包括的な調査権限を規定することが法制上困難であれば、政令に委任し限定列挙すれば、社会情勢に応じた柔軟な対応ができるのではないか。

○ 法第29条の解釈上、調査の対象となる「要保護者」に「元保護者」が含まれるか否かは自治体によって対応が分かれる。生活保護廃止後の法第78条等の適用に関して、法第29条に基づく調査が必要なことから、法改正によって解釈を明確にしてもらいたい。

○ 法第78条の対象となる者について、借金を抱えているケースが多い。福祉事務所において債務調査が可能となるような枠組みが必要。

<厚生労働省発言>
○ 現行、民間事業者等に対して網羅的な調査を可能としている他法令は、テロ対策等の高度の国益に関するものであり、生活保護行政の分野で民間事業者に対して包括的な調査をかけることは慎重に検討する必要がある。また、関係行政機関に対する調査照会については、課税調査をはじめ、網羅的な調査を可能としている用例はある。
 
2 調査・照会事務の効率化・円滑化について

<地方自治体発言>
○ 申請者が遠方に口座を開設している場合について、金融機関に対して漏れなく照会することが困難であるため、本店一括照会が可能となるよう、調整してもらいたい。また、照会に係る手数料についても無料となるようにしていただきたい。

○ 法第29条に基づく調査は時間がかかる。申請に対する処理期限は法定で14日以内となっているが、当該期間内の返答は困難な状況。事後的に返答があっても、既に給付した医療扶助等について返還等の手続でトラブルになるケースが多い。

○ 年金記録に関する調査について、日本年金機構から本人の同意書を添付して欲しいと言われる。同意書の扱いについて確認したい。また、日本年金機構からの回答にも時間がかかっている。

○ 年金記録を確認するウィンドウ・マシーンを日本年金機構から福祉事務所へ貸与することについて、年金部局は個人情報保護を懸念しているようだが、地方公務員にも守秘義務は課せられているので、厚生労働省内で調整して、福祉事務所が確認できるように是非措置してもらいたい。

○ 金融機関に対する資産・収入照会については、先方から手数料を求められることがある。金融機関サイドも生活保護部局からの照会のために人件費がかかっているようだが、国において、何かしらの対応ができないか。

○ 現状、継続ケースに関する調査員については、セーフティネット支援対策等事業費補助金において人件費等の補助が措置されているが、新規ケースに対する調査に対しても相当のコストをかけている状況。セーフティネット支援対策等事業費補助金での措置をお願いしたい。
 
3 照会に対する回答の義務付けについて

<地方自治体発言>
○ 金融機関からは、調査に際して生活保護受給者の同意書の添付を求められる。国で同意書の取扱いを明確にしてもらいたい。また、金融機関からの照会に対して、直ちに回答が得られにくい。回答を義務付ける法的根拠が必要。

<厚生労働省発言>
○ 民間事業者に回答を義務づけ、罰則をかけることは、他法令においても例がなく、慎重に検討する必要がある。

4 不正受給に対する刑事罰の引上げについて

<地方自治体発言>
○ 自ら不正を行う者に対しては、刑事罰の引上げよりも、一定期間保護の停止や減額等のペナルティを考える必要があるのではないか。

○ 不正受給に対する罰則について、他法令と均衡を図る必要があることは理解できる。しかし、現行規定でも、不正受給事案を事件化するかどうかは、警察当局内で積極的な所とそうでない所で温度差が激しい。国レベルで警察庁等と十分に調整して、現場レベルでの警察当局との連携・意思疎通が円滑に進むように、刑事告発に関する統一的基準を示してほしい。

<厚生労働省発言>
○ 生活保護の不正受給に対する罰則の引上げについては、国民年金法等を参考に、他法とのバランスを考慮する必要がある。

○ 全国統一の告発基準については、警察庁等との協議を検討したい。

5 不正受給に係る返還金の取扱について

<地方自治体発言>
○ 返還金は、分割払いとしても回収することが困難。本人の同意があれば銀行口座からの天引きも可能であるが、本人の同意を得られないのが現状。

○ 生活保護受給者が自己破産をした場合、弁護士からは、法第63条や第78条の返還も困難と言われる。法的には疑義があるが、現実的に返還が難しいので、不正受給者が返還金を滞納した場合、滞納分が自治体の負担とならない仕組みが必要ではないか。

○  不正受給に係る返還金についても、一括返還が困難な場合、生活保護受給者に対し職権での保護費からの徴収ができないため、毎月の返還額を話し合いで決めざるを得ないという奇妙な実態にある。そのため毎月の返還額が極めて少額かつ返還期間も異常に長期化せざるを得ない事例も発生している。一定割合又は一定金額まで、保護費から職権で徴収できる仕組みが是非必要。
それでも生活保護を受給中であれば少額でも返還が行われるが、元生活保護受給者に対しては、民事訴訟法に基づいた手続きが必要なため、時効中断等の手続きを行うのが精一杯。旧生活保護法に措置されていた地方税の滞納処分を復活させ、福祉事務所による返還金の回収が円滑に行われるように措置すべきではないか。
生活保護費の差押禁止及び譲渡禁止規定は、第三者との関係で効力を有するものであり、生活保護受給者と実施機関との間では考え方が異なるのではないか。

<厚生労働省発言>
○ 返還金を保護費から差し引いて支給することについては、最低生活費の考え方と生活保護費の差押さえ禁止規定との関係を整理する必要がある。

6 第三者行為による損害賠償請求権について

<地方自治体発言>
○ 交通事故等の第三者による損害事故について、損害保険会社は被害者が生活保護受給者と分かると、保険よりも医療扶助を適用させようとするため、損害賠償請求の場面でトラブルになることが多い。昔からの懸案なので対応を検討してほしい。

<厚生労働省発言>
○ 第三者への損害賠償請求権の取得は、現行は健康保険・国民健康保険等保険各法の中で規定されている。また、給付の免責規定とセットになっており、それらとの関係をどのように考えるか。

7 収入認定すべき公的給付を、給付機関から実施機関へ委任払いすることについて

<地方自治体発言>
○ 年金の受給権があるのを現業員が発見し、申請指導と受給後は速やかな収入申告の指導をしていたのにもかかわらず、収入申告をしないまま遡及年金を全額消費してしまう事案が多発している。遡及年金については、委任払いを認めてほしい。これにより、法63条や78条に基づく返還金の取扱いに関する事務が大幅に減るのではないか。

○ 公的給付については、それが見つかると保護費が減額されるので生活保護受給者が申告をしないケースが多い。実施機関への委任払いとすることで収入を把握することができ、法第63条を適用する必要がないため、事務の効率化が期待できる。

○ 遡及年金を申告せず、翌年の課税調査で発見することが多い。その後の調査、返還を求める事務に多大な労力を割かねばならない。給付機関(日本年金機構)から実施機関に対して、支給した事実を通知するような仕組みを構築できないか。

(2)暴力団員該当性に関する照会事務について

<地方自治体発言>
○ 県外での生活歴のある暴力団員については、該当性の把握が困難である。また、準構成員については照会しても非該当となってしまうが、暴力団員と同様に取扱うべきではないか。

○ 少しでも疑わしい者に対して警察照会を実施しているが、何も疑わしいところがなく、特別に確認をしなかった者が暴力団員だった場合、法第78条に基づく返還を請求することが困難。住宅手当と同様に保護申請時に、暴力団員でない旨の誓約書を取る等の制度を導入できないか。

○ 申請時には元暴力団だった者が、保護開始後に現役の暴力団に復帰しているケースがある。暴力団員であることが判明した場合には、法第27条に基づく指導等を経ることなく、速やかに生活保護を停廃止できるようにできないか。事案も巧妙になっており、国と地方の実務者レベルで、対策の検討をしたほうがよいと考える。

○ 一定年齢以下の生活保護受給者について、本人同意なく一律に警察へ照会することは、人権上の問題もあり慎重に検討すべきと考えるが、保護開始時に暴力団員でないことの確認を求める等の対応は、その後の法63条・78条に基づく返還金の取扱いとの関係上必要と考える。

<厚生労働省発言>
○ 準構成員については、特定が難しく、警察でのリスト化も整備されていない。構成員排除の取組も未だ徹底されていない現状においては、まずは構成員の排除を徹底したい。

○ 警察当局との連携や暴力団員排除に関する新たな取組については、本実務者レベルでの検討がまとまれば、警察庁と検討を進めたい。

(3)その他

1 生活保護受給者証への写真添付について
<地方自治体発言>
○ 近年、ケースワーカーの受け持ち件数が急増し、ケースワーカーの人事異動等で、生活保護受給者の確認が難しいのが現状。警察から死亡した生活保護受給者の身元確認を求められることもあり、写真添付について検討すべきではないか。

○ 最近同一人が複数福祉事務所で重複保護を受けた事件が起きている。現在、社会保障と税の共通番号制度の整備が検討されているが、導入前のモデルケースとして、生活保護カード(共通番号、写真添付等)について検討してはどうか。また、重複受給者に関する名寄せができない場合の情報集約のあり方についても検討したい。

○ 新規の申請者は、保護開始時に写真撮影をすればよいが、既に生活保護を受けている者の対応について、検討が必要。

○ いくらスティグマ感がうすらいだとしても、生活保護受給者証への写真添付は違和感がある。世帯員全員を撮影するならば、子も対象になるため、問題ではないか。場面を限定した対応とすべき。例えば、医療扶助で提案した医療証を導入する際に写真を添付するなど、生活保護受給者の理解が得られる工夫が必要。

2 外国人に対する生活保護準用の在り方について

<地方自治体発言>
○ 実施機関では、適法な入国者か否かについて判断できない。国において、入管局等関係機関と連携し措置してもらいたい。

○ 外国人に対する生活保護については、昭和29年の局長通知に基づく暫定的措置として生活保護法の準用という対応となっており、現在まで続いている。通知に基づく措置であるため、罪刑法定主義の観点から、不正受給者に対して法第85条に基づく刑事罰が適用されない。外国人の生活保護について制度化し、刑事罰が適用できるよう措置すべきではないか。

○ 昭和29年通知は時代にそぐわないものになっている。通知の内容と実際の現状が合わず、昨年生じた入国直後の外国人による生活保護大量申請事案なども発生しており、現行の通知の運用で対応するのは限界である。現行通知を見直し、新たに外国人の生活保護に関する考え方を整理すべきではないか。

○ 現行の生活保護法は、憲法の規定に基づき国民に対する生存権を具体化したものであり、外国人まで対象としていないという解釈のはずである。歴史的経緯はあるが、外国人に関する保護の法制化は慎重にすべきと考える。ただし、外国人には生活保護法を準用する一方、不正受給に対する刑事罰が科せられないのは不均衡であり、是正すべき。

<厚生労働省発言>
○ 昨年の不正事案を踏まえ、法務省から各入国管理局に対して、入国審査を徹底する旨の通知を発出したと聞いている。厚生労働省としても、法務省と調整した上で、外国人からの生活保護申請に対しては、当該申請者が入国手続の際に入管当局に提出した資料の提出を求め、生活保護受給目的の入国者については、準用対象としない等の考え方を発出する予定。

○ 外国人に対する生活保護法の準用は、人道的観点等から措置しているものであり、法制化については慎重に考える必要がある。

3 その他

<地方自治体発言>
○ 年金担保貸付は不正受給の温床となっているので廃止すべき。

○ 生活保護制度のあり方を論じるに、それを運用する保護の実施機関のあり方は重要で、特にケースワーカーの質と量を如何に確保・向上させるか、またどこまで現業業務を外部委託できるかについて、別途協議すべきではないか。
ケースワーカーについて、地方交付税の算定上地域の保護率が反映されていないのではないか。またその標準数の算定に当たっては、地方公務員法が適用される再任用短時間職員及び任期付短時間職員も常勤換算のうえカウントできるよう解釈してほしい。

○ 地方公共団体の総定数について、総務省から抑制するように指導されてきている一方、厚生労働省からはケースの増加に伴い職員の増員を求められている。両省間でケースワーカー数を別枠にするなどの調整をしてほしい。

○ 福祉事務所の現状として、ケースワーカーは国の標準数80を大幅に超える120・130という世帯を受け持っている。1対1の対人援助を行う現業員にとって、これは非常に重たい数字である。この負担を十分に理解した上で、調査等は厳に削減していただきたい。

<厚生労働省発言>
○ 年金担保貸付利用者に対する生活保護制度上の取扱いについては、対応を厳格化するよう関係部局と調整中である。

○ ケースワーカーに係る地方交付税の算定に当たっては、保護率等による補正係数がかかっており、地域の実情が反映される仕組みになっている。これまでも毎年度ケースワーカーの増員を図るなど総務省から特別な配慮をしてもらっているが、もし交付税の算定方式について具体的な矛盾点などあれば教えてほしい。


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