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2011年7月12日 第4回緩和ケア専門委員会議事録
健康局総務課がん対策推進室
○日時
平成23年7月12日(火)13:30~17:00
○場所
ホテルフロラシオン青山 2階 芙蓉(東)
○議題
【参考人意見聴取】
1 がん治療専門医から見た緩和ケアのあり方(田村参考人)
2 早期からの緩和ケアに関する看護師の目から見た課題と今後の対応(清水参考人)
【議 題】
1 治療の初期段階からの緩和ケアの実施について
2 その他
○議事
出席委員:江口委員長、大西委員、志真委員、丸口委員、前川委員、余宮委員
参考人 :川越参考人、松月参考人、清水参考人、田村参考人
○がん対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第4回がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局のがん対策推進室長・鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、秋山専門委員、東口専門委員につきましては御都合により御欠席との連絡を受けております。中川参考人につきましても、同様に御欠席との連絡を受けております。
以上、緩和ケア専門委員会の参考人を除く委員定数8名に対しまして、本日は6名の委員の方に出席いただいておるところでございますので、議事運営に必要な定足数に達しておることを御報告申し上げます。
また、本日は国立がん研究センターの田村参考人、神奈川県立がんセンターの清水参考人にも参加いただき、後ほどがん治療の現場における緩和ケアの現状等について御説明をいただくこととしております。
それでは、以後の進行につきまして、江口委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。
○江口委員長 皆さん本当に暑い中、御苦労さまです。第4回のがん対策推進協議会の緩和ケア専門委員会ということですが、今までの3回の討議を踏まえて、今日のテーマとしては、治療の初期段階からの緩和ケアのあり方ということに少し焦点を広げまして、今まで事前に委員の方々からたくさんの御意見いただいていますので、その委員の方々の御意見と、今日は特別に参考人をお二人ほどお呼びしております。神奈川県立がんセンターの清水参考人、国立がんセンターの田村参考人ですが、田村参考人は時間の関係で遅れるということですけれども、これらの招聘の参考人の方々からいろんな御意見をお伺いしたいと思います。
この専門委員会ですけれども、かなり時間的には、毎回お話しますけれども、タイトなスケジュールになってきておりまして、今日も3時間ほどフルに時間を有効に使ってテーマについて具体的なことを討議したいと思いますが、19日に予定しております第5回の委員会、そして8月の委員会で報告書までこぎ着けるというところの段取りを念頭に置いておりますので、緊密な討議をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、資料のことについて確認を事務局でお願いします。
○がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、本日お配りしている議事次第のほか、資料1、「緩和ケア専門委員会名簿」、資料2、「清水参考人提出資料」、資料3、「各委員からの意見書」、資料4、「大西委員提出資料」、資料5、志真委員提出資料」、以上でございます。
過不足等がございましたら、また事務局のほうにお申し出いただきたいと思います。以上です。
○江口委員長 お手元の資料、確認よろしいでしょうか。
今日は治療の初期段階からの緩和ケアということで、地域の中でのいろいろな役割を含めて、広い問題点を取り上げていきたいと思います。委員の方々からの御意見書があるわけですけれども、まずは参考人のお話をお聞きして、そして質疑を行い、それから委員の方々の御意見についての討議を行いたいと思います。
まず、清水参考人からお話をお願いしたいと思いますが、時間がかなり限られておりますので、15分ぐらいでお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○清水参考人 本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、お話を始めさせていただきます。本日、皆様のお手元に、委員の先生方には机上配布をさせていただいた資料がございます。資料2として、事務局のほうで用意してくださったものと、本日配布したパワーポイントの資料は同じでございます。ゼムクリップで綴じてある資料がありますが、これは参考に付けさせていただいたもので、これは新たに机上配布させていただいたものになります。
クリップ止めの資料の1枚目を見ていただきますと、私が本日お話したいと思っております内容の論点が項目ごとに挙げてありますが、順次、パワーポイントの資料のほうで説明をさせていただきます。それでは、よろしくお願いいたします。
私が所属いたします神奈川県立がんセンターの概要をお話しさせていただきます。
私どもの病院は病床数415床。緩和ケア病棟14床をこの中に含んでおります。平均在院日数:14.9日のがん専門病院でございます。
めくっていただきまして、表にしてありますのは、神奈川県立がんセンターにおける専門看護師・認定看護師数です。
専門看護師:6名を初め、がん性疼痛看護認定看護師:8名などがん領域の認定看護師・放射線治療看護認定看護師を除いて、がん看護領域の全ての領域の認定看護師が配置になっています。参考に一番右側の列に全国における数を付けています。
そのような専門看護師・認定看護師の相談業務の状況を次の表で挙げています。
がん看護専門看護師は、看護師からのコンサルテーションへの対応を中心に行っています。各認定看護師は、ここの表に挙げてありますように、相談外来をある一定の割合で担当しています。このような活動状況にあります。
次のページをご覧いただきまして、ここで少し専門看護師と認定看護師の確認をさせていただきたいと思って資料を入れました。
専門看護師は、大学院修士課程を卒業後、必要な実地経験年数を経て、認定審査に合格することで認定を受けております。役割はここに挙げております6つ。専門とする領域はがん看護、精神看護など、このような領域の分け方になっています。
次に、認定看護師ですが、認定看護師は、6か月・600時間以上の教育課程を修了して、認定審査に合格することで認定を受けております。役割としてはここにあります3つの役割を果たすことが規定されております。専門とする範囲は、同じがん看護領域の中でも、がん性疼痛看護、乳がん看護など、範囲が少し狭くなってまいります。
次のページをご覧いただきまして、私が所属します医療相談支援室の概要ですが、私の所属は受付業務、相談業務、医療連携業務を担当している部署になります。
私自身が院内で行っている業務は、医療相談支援室長(管理職)としてのマネジメント業務。それから、相談員として直接ケースを担当して、相談・医療連携業務を行ったりしております。私自身ががん看護専門看護師ですので、そちらの業務としてのコンサルテーションなども行っています。
ちょっと前置きが長くなりましたが、ここから本日のお話の本題に入らせていただきます。
私からは、臨床現場で体験していることから、「早期からの緩和ケア」に関する私見を述べさせていただきます。
まず「早期からの緩和ケア」について、私がとらえている定義づけについてお伝えをしたいと思います。
めくっていただきますと、 WHOの緩和ケアの定義をここに載せておりますけれども、下のスライドの「早期とは」というところが、私が申し上げたい点で、つまりたとえ、身体症状がなくても、?がん疾患が疑われたとき、?がんの診断がついたとき、?積極的ながん治療が困難だと言われたときは、心理社会的、スピリチュアルな面で大きな問題を抱えます。この部分にも緩和ケアは必要といった考えを持っています。
それらのことを踏まえまして、次のページで、介入すべき時期のイメージを図式化しています。これは横軸に診断から終末期というように、患者さんの治療、病気体験における時間的な流れを示しているのですけれども、身体的な症状に注目した場合の介入の時期はこの青の部分になろうかと思います。
心理・社会的な面にも注目した場合、診断から治療に入るまでの時期も経過観察の時期も介入すべき時期になるのではないかということです。
では、どのような課題を臨床現場で感じているかということについてですが、「課題と思うこと?」というスライドをご覧ください。まず1つ目の課題と思うことです。診断の衝撃に対して、また治療に向かうための心理的・社会的な準備を整えることに関しての支援がほとんどないような状況にあるのではないかと感じています。
例えば私が相談の場面で出会う患者さんやご家族の言葉として、「妻が進行がんと診断され、手術できないと言われた。手術をしてくれる病院を探している」ですとか、「早期がんだと言われた。医師から5年生存率は98%だと言われてショックだった。もっとよい治療法がないか相談したい」、「外来での抗がん剤治療が必要だと言われた。仕事を辞めるべきだろうか」というような相談をいただくことがあります。
ここに先ほどの図を載せておりますけれども、つまり、診断期の支援ということに十分手が届いていないのではないかということと、もちろん初発時だけではなく、再発時にもこのような課題があるのではないか、ということです。
このことに関連して、現在、診療報酬ではがん患者カウンセリング料というのがあります。カウンセリング料について、参考にスライドを何枚か入れておりますが、「神奈川県立がんセンターの場合」というスライドをご覧ください。私どもの病院では、実は平成22年3月~平成23年6月までの間で、がん患者カウンセリング料を算定した患者数は17名です。これは算定の条件を満たすための緩和ケア研修を終了している医師と、半年以上の研修を修了している看護師といった組み合わせの同席が現実的に難しいということによって、十分この算定ができていないという状況があります。
次のスライドに行きますけれども、がん患者さんが必要としていることは、がん患者カウンセリング料がついたことで実施できている事柄とあっているのでしょうか。
がんの診断・再発の診断ということにあわせて治療法のことがよく付随してまいりますけれども、このことだけが問題なのではなくて、その出来事が心や生活に強く影響を及ぼすということが非常に重要な問題ではないかと思っています。それは、たとえ治療方針には納得していても、がんの診断や治療が心や生活に大きな影響を及ぼすということに変わりがないからです。
次のスライドにまいりますが、つまり必要なことは、「・落ちついて話せる場」、「・心おきなく生活や気持ちの問題を打ち明けられる場」、「・その人が必要としている病気や治療の一般的な情報を、その人がわかるように提供してくれること」、「・患者の立場を擁護して、医師とのやりとりなど院内調整を図ってくれること」、これは必要に応じてですけれども、そういったことをしてくれること。「・家族内の調整を支援してくれること」というようなことではないでしょうか。
そこで具体的な提案?として、ここで「看護師の相談外来」という名前をこれは暫定的につけておりますけれども、申し上げたいことは、医師との面談の後、看護師との面談を1つの流れにするということです。つまり病状説明や治療方針の説明の後、心の問題や生活の問題について、看護師のほうでサポートするというような役割を分担しながらチームで患者さんを支援するということを提案したいということです。
次に課題と思うこと?です。
がんサバイバー支援のシステムが希薄ではないかと思っていることです。
このことは、図式化してお示しした図の経過観察のところに焦点を当てて考えていることです。
「相談支援で出会うこと?-1」というところを見ていただきますと、具体的には患者さんからの御相談で、がん治療を終えて、または治療しながら社会に戻った後の孤独、疎外感・心細さ、そういったことの相談を受けることがあります。
グラフに示しましたように、がん患者の罹患率は今後上昇していきます。つまりがんサバイバーの数が多くなっていくということです。
では、この課題に対応できる資源や取り組みがどのようなものがあるかということについて3点ほど、スライドで述べさせていただいています。
1つは、実際に行われている取り組みとしてセルフヘルプグループです。これは当院の例えば「患者会コスモス」などは、この1つの例になると思います。自主運営のセルフヘルプグループでして、活動内容は委員の皆様に配布しました資料の中にお示しをしています。後ほどご覧いただければと思います。
次のスライドで、私ども医療相談支援室が患者会をどのように支援しているかということの内容をお示ししています。・運営についての世話人からの相談への対応など、幾つかの支援をしております。
このセルフヘルプグループは、図式化しましたように、患者会自体は自主運営でして、患者・家族の自助が主体です。医療者は、側面からのサポートというかかわり方をしています。
次に実際に行われている取り組みの?としてサポートグループがあると思います。古くからホスピスケア研究会では「がんを知って歩む会」を実施していらっしゃいますし、国立がん研究センター中央病院、北里大学病院ほか、幾つかの病院がサポートグループに取り組んでいらっしゃいます。
ここでの支援の内容は、支援プログラムの作成・運営、1)情報提供すべき内容の精選や提供方法の検討や運営、2)交流の場のファシリテートということになろうかと思います。
これを図式化いたしますと、次のスライドのように、医療者が支援プログラムを検討し、場の設営・運営をする。そこに患者さんや家族が参加するというようなあり方だと思います。
次に実際に行われている取り組み?ピアカウンセリングがあると思います。
・ピアカウンセリングの取り組みは始まったばかりですので、医療者がどのように支援をすればよいか、どのように協働していくことが効果的か、まだ検討段階にあると理解しています。
しかし、・乳がん患者のピアサポートについて、e-learningなどによるピアサポーターの養成プログラムについて研究が進んでいることも聞いています。
ピアカウンセリングのあり方を図式しますと、このようなことかということでスライドをお示しします。
がん体験者であるピアカウンセラーが訓練を経てカウンセラーとして活躍するわけですが、そこに患者・家族が相談者としてアクセスをするというやり方です。
更に、経過観察の時期だけではなく、治療を終えて終末期に向かう段階でも支援が必要なのですけれども、ここにもまだ手が届いていないと思っています。
相談支援で出会うこと?-2としてお示したように、再発し、がん治療は限界だと言われ、寝込むほどではないが、病気の進行による症状がある。これまでと同じようには過ごせない。一人で過ごす時間の心細さ・不安・恐怖といった問題です。
このことについて、参考にできる取り組みとして、「在宅緩和ケア支援センター 虹」の取り組みを紹介したいと思います。虹では、デイサービスを行っています。「症状とのつき合い方や生活を工夫し合い、気分転換をしながら気力を整えるサポートをします」という説明をこのNPOのホームページではなされています。
これらのことを踏まえて提案としては、・がんサバイバーを支援する取り組みは、部分的に既に始まっています。・先行している取り組みについて、各地域で実践が広がるよう、前提条件や実施方法、課題を共有し、推進していくことができる段階に入ってきているのではないかと思います。
次に身体症状についてです。
身体症状に対応するシステムとしては、・緩和ケア外来・緩和ケアチームによる対応 ・緩和ケア研修会による医師の教育などが取り組まれています。
私どもの病院の実績をお示ししていますけれども、緩和ケアチームへの相談は、実件数、これは22年度1年間を通じて44件。緩和ケア内科の新患数は25件でした。
一方、連携を担当している私たちの部署では、地域からは、こんな声も聞きます。
・在宅医が麻薬製剤を増量してくれない ・明らかに神経障害性疼痛だが、鎮痛補助薬を処方してもらえない ・在宅医で疼痛コントロールに対応できる医師が限られる、といったような声です。
このような状況に至っているのにはさまざまな要因はあると思います。しかし、緩和ケア外来、緩和ケアチームのシステムが本当に根づいていくためにはもう少し時間がかかるのではないでしょうか。
しかし、実際に症状に苦しんでいる人もいます。
そこで、提案?-1ですけれども、がん性疼痛がある患者については、包括指示に基づいて、看護師がマネジメントをしていくことはいかがかと思っています。このことには、標準的な対応が可能なように専門看護師や認定看護師がかかわるということも可能ではないかと思います。
更に、次のスライドでは一歩進んで、疼痛コントロールについて、標準的な処方や薬剤の調整などを「標準的な包括指示」として示すというようなことはいかがかと思います。それをもとに看護師が生活に合った調整を支援していくことができるのではないかと考えるからです。
実際に病棟での指示などを見ますと、オピオイドの開始量、レスキューの量を医師が示した上で、レスキューの制限なし、ベースアップ゛ベースダウン適宜可というような包括指示で、医師に報告しながら、患者に合った薬剤調整を行っている事実があります。
次に医療連携調整についてです。
課題?は、がんターミナル患者の療養先がないということを感じています。
背景(1)としては、ここにデータを幾つか載せてありますけれども、神奈川県における死亡者数、緩和ケア病棟の病床数。
当院における亡くなった患者さんの死亡場所が自院では4割程度であるというようなデータをお示ししてあります。
次のページをご覧いただいて、療養の場の調整が難しくなっていることの1つは、緩和ケア病棟の数と申し込みまでの手続に時間を要することがあります。療養の場の組み立てとして、私たちの病院では、可能であれば在宅療養支援を訪問看護や在宅支援診療所に御協力いただいて支援し、入院が必要であれば一時入院先をあらかじめ手配し、緩和ケア病棟を希望があればあらかじめ申し込みを早めにしておくというような調整をしておりますが、それは「在宅で最後まで」というふうに最初から思い切れる患者さんや家族は少ないからです。
ページを少し飛ばしていただきますけれども、32ページをご覧いただいて「しかし」というところですが、一時入院先を受け入れてくれる病院は、地域によって多少異なりますが少ないというのが現実かと思っています。また、在宅を支える地域の資源にばらつきがあるということも課題と思っています。
一方で、チャレンジとして、?療養の仕組みづくりに取り組んでいる病院もあり、訪問看護師支援のモデル事業も行われたということを理解しています。
提案?として、つまり症状のコントロールに関して、看看連携を基盤として、地域の緩和ケアを支援する取り組みが始まっていますので、このような取り組みを広げていくことを提案したいと思っています。
更に、訪問看護指示書についてです。
訪問看護指示書は、現在医師が記述をしています。しかし内容は、疾患や治療に伴う日常生活上の留意点や、在宅の生活で看護に何を依頼したいかというものです。
これらの情報がタイムリーに的確に伝わることは、在宅療養支援を効果的に展開することを助けると思いますので、提案としては専門看護師・認定看護師がそれを記載するということはいかがかと思っています。
目指したい姿としては、患者さんが患者会などの支援システム、緩和ケアチーム・緩和ケア外来、暫定的に看護外来と置きましたけれども、看護師による相談対応を受けながら、専門看護師・認定看護師、地域の医療資源、これらのさまざまな支援を受けながら、療養をしていけるという姿が望ましいと思っています。
最後に、日本がん看護学会の実績を活用することも方法の1つではないかと考えています。〈出版物によるケアの均てん化への働きかけ〉、研修会を通じての働きかけなどが活用できるものになるのではないかと思っています。
なお、A4のクリップ止めの一番上の用紙にもお書きしましたけれども、私の提案の中には、専門看護師や認定看護師がたくさん出てきます。ですけれども、それらの看護師でないナースにも優れた看護実践ができる看護師がいることは、ふだん接していて十分承知をしています。
一方、専門看護師・認定看護師はがん患者へのケアについて、一定の学習や訓練を積んでいるものとして、ケアの質が保証できるのではないかと考えています。
また、専門看護師は担当する領域が認定看護師より広く、より多くの役割を担当する訓練を積んでいると理解しています。これらの資源を有効に活用していただくことを今後御検討いただけたらありがたいと思っています。
以上です。
○江口委員長 清水参考人、ありがとうございました。広範な話題をかなり要領よくまとめていただいて、緩和の介入時期のタイムスケジュールというか、イメージ、そういうものを表にしながら、おのおのの時期に課題がどういうところにあって、どういうような解決策が考えられるかということを看護の立場からいろいろまとめていただいたと思います。特に専門看護師・認定看護師の役割に関して、今までこの専門委員会ではほとんどその話題について内容は飛ばされていたところなので、今回のいろんなお話、すごく意義深いと思います。
特に御提案が5項目ぐらいあって、そして最初の提案1では、看護師の相談外来ということを位置づけられ、2番目の提案では、がんサバイバーの支援ということで、これは先行事例から積み上げていくようなことを考えているといったこと。3番目には包括指示で動いているところに、もう少し現場の資格を持った看護師のマネジメントというものを入れていったらどうかということですね。特に標準的な包括指示から少し個別化したようなところまで看護師が担当するということ。4番目には看看連携といって、地域の中でもう少し看護師同士の連携を強めて、患者・家族のために何か動けないかということ、基盤づくりのこと。5番目には、今まで訪問看護の指示書が医師だけの視点で書かれていたものを看護師の視点というものをもう少し加えていったらどうかというようなことですが、委員の方で、これらに関してまず御意見等々、少し質疑をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○川越参考人 川越です。すごくよくまとめて、さすが現場からの本当の声だなという感じを受けて、興味深く拝聴させていただきました。わからないのがあるので教えていただきたいのですけれども、これは11ページのところの下に、神奈川県立がんセンターの場合に緩和ケア云々、半年以上の研修云々ということで、このカウンセリング料を算定する場合には、医者と看護師の同席が必要だと。その医師、看護師は一定の資格を持っていないといけないという内容だと思うんですけれども、医師のほうはどういう資格なのか。看護師のほうは、半年以上の研修を修了して、具体的には認定と専門看護師ということになるのでしょうか。それとこの領域は問わないのでしょうか。領域は問わないというか、オンコロジーというか、がん専門なのか、疼痛とか、いろんなCNSがいますね。それのことについての規定はないわけでしょうか。そこを教えてください。
○清水参考人 今、私の手元には診療報酬の規定を示しているのを持参しているんですけれども、がん患者カウンセリング料に関して、私どものほうで理解しておりますのは、医師に関しては、緩和ケア研修を修了していることが1つの条件で、もう一つは、半年以上の研修ということです。領域については、ここで言っているがんの診療の経験を有する医師及びがん患者の看護に従事した経験を有する専任の看護師というような規定がありますので、がんの看護の領域でということになろうかというふうに理解しています。
○川越参考人 今の質問は、看護協会で認定看護師とか専門看護師という資格認定を行っているわけですけど、実は臨床の現場でそれが十分活かされていないと、つまり診療報酬上の、そういう指摘以前からあるわけですよね。ですからここのところの規定がそういうことと関係しているのか、そうだとしたら、非常に好ましいといいますか、むしろもっと専門看護師になろうとか、認定看護師の資格取ろうとか、そういうモチベーション働くと思いますので、それで質問させていただいたのですが、いかがなんでしょうか。
○清水参考人 おっしゃっていただいたように、そのことについてはモチベーションが確かに上がる話だと思うんですけれども、実際認定看護師や専門看護師がカウンセリングのためだけに人員的に浮いているわけではありませんし、医師も医師の時間の中で診療を展開していきますので、双方の都合を合せて協働して動くということが、実際にやってみるとなかなか難しいというのが正直な感想です。そういった課題の反映かと思います。
○江口委員長 よろしいですか。恐らく今のカウンセリング料、実数として調べればわかりますよね。この制度が発足してから、どれぐらいか。
○がん対策推進室長 社会医療行為別調査で、保険局のほうで、実際統計情報部ですけれども、調査していると思いますので、ただ、1か月間という形で出るとは思いますが、次回までにそこは実績は提示させていただきたいと思います。
○江口委員長 今、川越参考人が言われたようなインセンティブになるまでの制度には今はなってないような気がいたします。というのは、先ほど御指摘あったように、おのおののナースとか、おのおのの医師が、自分たちの仕事の合間にこういうことをやらなければいけないというのが今の現状だと思うので、私はそういう認識なんですけど、ほかの病院いかがですか。
○丸口委員 私もこのことはずっと前から言っているんですけど、いろんな話を聞きますと、この診療報酬をとるために全く患者さんにかかわったことがないような認定看護師に同席してもらって、面談しているという話ですとか、それから、あるところでは相談外来に必ず認定看護師と、研修受けられた先生がペアで相談外来をやって、それで診療報酬をとっているということがあるようです。本来のカウンセリングとか相談とかといった意味合いには全くなってないのではないかと感じております。
○江口委員長 ほかによろしいですか。
○志真委員 参考人のプレゼンテーションはとてもよかったと思うんですが、今日の論議を始めるに当たって、早期からの緩和ケアは何なんだということをある程度認識が共有されないとまずいと思うんですね。ここに書かれているように、身体的症状がなくても、要するに身体に限らず、がんの患者さんの抱えている苦痛を診断の時期から対応するということが早期がんの緩和ケアではないかと私は思いますし、参考人の意見に賛成です。
実際これは診断の時期というより治療の時期ですけれども、今日、私が提出した資料の中で、外来化学療法中の患者さんの中等度以上の苦痛ということで、痛みが17%、倦怠感が15%、気持ちのつらさが15%というふうに、そういう実際データがあるわけですね。中等度以上の苦痛がそれだけあるということで、あと、心理・社会的なニーズということについても、パーセンテージは7%、0.7%、1.6%、0.9%というふうに少ないのですけれども、かなり自由記載欄にはそれについてのさまざまな訴えもあったということですので、そういう身体症状のみではなくて、心理・社会的な苦痛も含めてがんの診断の早期から対応すると、そういう考え方で論議を進める必要があるのではないかと思います。質問というより意見です。
○江口委員長 何かコメントはありますか。清水参考人、よろしいですか。
○清水参考人 はい。
○江口委員長 ほかにいかがでしょうか。
○前川委員 8ページに、「相談支援の場面で出会うこと」と3点ほど書いてあるのですけれども、こういう相談があった場合に、相談支援センターの回答といいますか、どういうお答えをされていて、患者さんや御家族が相談をしたけれど納得が出来なかったり、思ったような回答を得られなくて、悶々としているというケースを聞くことがあります。そのあたり、この3点でも結構なんですけれども、回答内容とか、患者さんの返事というか、そのあたりを教えてください。
○清水参考人 ありがとうございます。1点目の「妻が進行がんと診断され、手術できないと言われた。手術をしなくれる病院を探している」という似たような相談が以前あったときには、この御主人が担当の先生から、どのような説明を受けていらっしゃるかというようなことを、多くは電話相談が多いのですけれども、電話でのやりとりの中で確認をさせていただくことをよくします。そうしますと、人によっては、おおよそ聞いてはいる。例えば転移があるので手術はできないというふうなところまで聞いているというようなケースだったりします。そうしますと、転移があるということと、手術をした結果、効果として得られる治療効果の間の理解が御主人にはつながっていないということがあるんですよね。それで「手術療法というのは、手術で取り除いたところにしか治療効果がないんです」と。「再発転移ということは残念ながら、もともとのご病気があったところから、細胞が流れて出てしまって、ほかのところに漂着して増殖をしまっている状態なので、ほかにも根がないとは限りませんよね」と。「なので、先生がおっしゃっているのは、手術という、その部分だけに効く方法ではなくて、全身に効くような抗がん剤というような御提案だったんじゃないでしょうか」と。「そこのところをもう一度よくお話を聞くということはできそうですか」ということでお話しますと、ああ、先生が言っていたことはそういうことだったのかということで、「少し腑に落ちました」と言ってお電話を終わることもあります。
また、早期がんだと言われて、5年生存率、98%だと言われてショックだったと。治療法がないか、相談したいというような御相談を割と若い方から御相談を受けることが多いのですけれども、「残念ながら、がんの治療というのは、初期治療が終わった段階で100%治りますという治療法は恐らくないと思うんですよ」と。「それは経過を見ていかないと、それが100%治ったよというふうには残念ながら言えないんですよね」ということをお伝えすると、それはつき合っていかないといけない問題なんですよね、わかりました、というような展開におおむね。その経過の中ではたくさん相談者のお話を伺うのですけれど。そのようなことで、例としてはよろしいでしょうか。
○前川委員 ありがとうございました。今、お話伺っていて、そのような説明だったら、きっと患者さんも納得される。すごくハイレベルな相談支援センターだなと思って感心いたしました。ありがとうございました。
○江口委員長 今回の御発表は、恐らく専門看護師・認定看護師の役割をかなりクローズアップしたような形だと思うんですけれど、これで例えば冒頭に神奈川県立がんセンターの配置、認定看護師・専門看護師がどれくらいいるかというようなことがあったのですけど、これは実際には何か病院の育成プログラムみたいなのがあって、それでこういう人数になったのか。あるいはそういうのはないんだけど、実質的に次々に看護師さんが応募してこういった形になっているのかというような、これは全国の数も書いてありますけど、今日御提案あったようなことはいくつかもし実現するとしたら、実際にどういう数を張りつけなければいけないかということが問題になってくると思うので、その辺はいかがですか。
○清水参考人 私どもの病院では、これは一番最初から全て適用になっていたわけではないんですが、というのは、がん看護専門看護師については、数年前からの取り組みになりますので。「職専免」といって、在籍したままこういう研修コースですとか、大学院への進学へ、働きながら出るというようなシステムを病院の中でとってくれています。それは希望すればだれでもというわけではなくて、もちろん院内で選抜があるわけですけれども、そういったシステムがあります。それに助けられてキャリア開発が進んできた経過があります。また、がん性疼痛看護認定看護師が多いのですけれども、これは私どもの病院の隣が養成機関になっております。地理的な便もあって多くなっていると思います。
ということで、施設側の支援がこのような結果につながっていると思います。
○江口委員長 松月参考人にお聞きしたほうがいいと思うんですけど、全国でこれだけの人数があって、例えば今御提案のあった相談外来とか、看看連携とか、そういうようなものを組み立てようとしたら、大体人数としては、これからどれくらいの人数に目標として持っていかなければいけないか。
○松月参考人 今、がん看護系の認定看護師の数は希望者が多くて、養成する施設も増えておりまして、全体の数、先ほど参考人の御提案にあった、どこまでをカバーするかということによると思うんですが、最終的な在宅、例えば居宅又は在宅支援センターみたいなところにも、そういう専門的な看護師を配置することになると、多分1か所に一人ということではなくて、例えばある地域のところを複数受け持つという、そんなスタイルにしていけば、今現在この領域の看護師の数は、毎年、済みません、数字を忘れてしまいましたが、養成機関も増えておりまして、大体認定看護師が2,000人ぐらいずつ増えていきますので、またことしも増えると思いますので、そういう仕掛けづくりをすれば、それを希望して、今現在多くの知識を持っているナースたちは、先ほどの参考人の話にもあったと思いますが、緩和ケアチームの中に、ある時間を割いて病院の中で認められて活動している看護師たちはおりますので、その者たちを入れれば、拠点病院ではかなり進んでいると重いますので、そんなに難しくはないのではないかと勝手に考えております。
済みません、数までは言えません、申し訳ありません。
○江口委員長 神奈川県立がんセンターの場合には独立したがんの専門病院ということですけれども、拠点病院の中に再三、今まで私たちお話してきたように、がんだけではない全科の病院があるわけですよね。そういう場合にこういう認定看護師ががんだけに特化して動くということになると思うんですけど、その辺、院内での看護人員の配置とか、そういうことに関していろんなことを、ほかの要素を考えなければいけない部分が出てくると思うんですけど、そういう点に関しては何か。
○松月参考人 それに関しましては、感染管理・医療安全に関しては、診療報酬上専従でなければいけないという規定をつくっておりますので、そのような形である条件を満たした病院はそういうものをつくっていただいて、それを例えば地域支援、拠点病院の中だけではなくて、その地域のサポートにも出かけて行っていいという、そういうスタイルにしてしまえば活動は十分可能なのではないかと思っております。
○江口委員長 現状では人的なリソースが足りなくて、がんに割けないなんていうところが結構あるわけですけど。
○松月参考人 ただ、認定看護師を持っている人たちはどういうジレンマを持っているかというと、私は資格をせっかく取ってきたのに、病院が、あなたはただ資格を取ってきただけよ。それで活動を認めるわけにはいかないわ。あなたも一看護師として働いてもらわないと困るのよということがあるんです。それは財政的な裏づけがないし、その人を一人で独立させておけるお墨つきがないということが理由なんですね。ですので、実際は活動ほとんどできてない。それですごいジレンマを持っている認定看護師はたくさんおります。
○志真委員 トータルで数だけ見ているといいように思いますけど、先日、山梨県に行ったところ、山梨県では認定看護師はがん関係は3名だけだと言っておられました。ですから都道府県ごとにきっちりと養成計画を立てて、細かくやっていかないと現場の実際の需要には対応できないのではないかと私は思います。
それから、もう一つは、清水参考人の御提案の中に、看護の外来業務を充実させることが提案されていますけれども、拠点病院も含めてだと思いますが、外来から看護師さんをどんどん引き揚げている。数が非常に減っている病院が多いのではないかと思うんですね。 実際にこういう相談外来を充実させようとすると、役割分担をして、認定とか専門の看護師のところにつなぐ役割の人がいないと、ただ患者さんと家族がそこにいて、相談できますよという窓口つくっただけでは多分機能しないと思うんですね。実際それぞれのドクターの外来ブースとか、そういうところでしっかりそういうニーズを把握する人がいて、そして、こういう相談場所があるんですよといった役割分担をしないといけないと思うんですよね。それが果たして、拠点病院などでも可能かどうかというのは、私は必ずしも楽観できないのではないかと思っているんですけれども。
○松月参考人 私、実は今は看護協会におりますが、この3月まではがん拠点病院で仕事をしておりました。患者さんは本当にどこに相談したらいいかわからなくて、外来でずっとお待ちなので、ポスターを貼っただけなんです。こんな相談をここで受けております、と貼っただけで、患者さんは、私、そこに申し込みをしたいとか、地域支援の受付であるとか、外来の受付のところへ声をかけられるということがありますので、直接、例えば医師からの紹介がたとえなくても、患者さん自身が声をかけてくるというのはすごくありました。そういうことで、それが軌道に乗りますと、医師のほうからも、僕はここまで話ししたら、後はお願いね、みたいな、そんな形は出てきたという経験はございます。それが全国共通かどうかわかりませんが。
○大西委員 清水参考人、発表ありがとうございました。私も前、一緒に働いていた病院などで当時のことを思い出しました。言っていただいてよかったなと思ったのは、心理的・社会的な問題が苦痛だということを今日おっしゃっていただいたことはよかったかなと思いました。どちらかというと身体面に傾いてしまいがちですよね。そうすると痛みは確かに目に見えるし、苦痛というのはわかりますけど、メンタル、心理の面が非常に苦痛だということ、それを私、専門家として常々強調していたのですが、それを看護のほうから出していただいて、とても私としてはありがたかったなと思っております。
それから、あと認定看護師制度ですけど、私どもの病院はがんセンターと救命救急と脳卒中と3つ、急性期の総合病院みたいな感じですが、比較的認定看護師さんがその場、その場に応じた配置をされています。あと上の人たち、看護の上の人たちが、この人たちはそこというように決めて配置していただければ、皆さん生き生きと働いて、せっかく資格取ってきたというのに、資格取った場所で働かないのは逆に苦痛です。それこそ心理的な苦痛になってしまいますので、そういう対策もやればできるのではないかと思ったりしました。
あと、18ページにサポートグループとかピアカウンセリングの話がございましたけど、実は恐らく関東平野の端で行われているので、まだそこまで行ってないと思うんですが、私どもの病院でも行っておりまして、私どもはもうちょっとサポートグループとピアカウンセリングを進めて、精神科と、うちは看護はそこの部分足りないので、心理の者が同席して、ほとんど再発がんの患者さんのグループの診療という形でやっています。私もそこに出ていて思ったのですけど、皆さん薬どうしたらいいのとか、いろいろ相談が出てくるんですね。そういうのに答えられる体制で医療従事者、医者ないし看護師が少なくともいてやるグループ療法があれば、更にこれを一段階上に上げてもっといいものになるのではないかと思いました。
ちなみに集団精神療法という仕組みがありまして、医者と看護師が組んで2時間やれば1人点数が取れるという制度もありますよね。そういうのも活用すれば、患者さんのためにもなるし、診療報酬上もある程度取れるのではないかと思ったりしました。
○余宮委員 清水参考人の意見にとても賛同して聞いておりました。特に提案?の「看護師の相談外来」という、今、志真委員と大西委員からもいろんな意見が出たのですけれども、山梨県では3人しか認定看護師がいないというような認定看護師・専門看護師の県による偏在という問題が大きく横たわっているかなと思うんですね。是非看護師の相談外来というのが実現できたら、どんなにか患者さんの心理社会的な面に対して福音になると思います。認定や専門といった研修を済んでいない看護師であっても、看護外来の専任や専従という枠組みの中で、看護師が活動できるといいと思います。必ずしも認定看護師でなくても、「認定を受けていることが望ましい」ということでしたら、県の偏在の問題がある現状でも十分実現されると思います。
○江口委員長 現実的なことをお聞きして申し訳ないんですけど、先ほど都道府県で非常にばらつきがあるとか、そういうことに関して、これはプログラムの養成計画などは看護協会でやっておられることなんですか。それとも専門の者は各大学のあれに任されているわけですか。
○松月参考人 ある程度のコアになるカリキュラムというのがありまして、それに沿ってそれぞれの養成機関でやるんですけれども、最初は日本看護協会でプログラムをつくって、それで認定していたのですが、最近は各大学がそういう認定看護師の教育、専門看護師の教育に非常に力を入れていまして、山梨の予定は聞いておりませんけれども、その養成機関の認定をまた看護協会がするという仕組みで一応質の担保を図っているというのが仕組みになっております。
○江口委員長 そうすると、中期計画とかそういう形で、例えばこの県に何人いなければいけないとか、どこかで調整しないといけない。
○松月参考人 そうです。偏在していて、例えば一人もいないようなところとか、3人ぐらいのところは大学に働きかけて、あなたのところで、こういうコースをつくってもらえないとか、そういうことの働きかけはいたします。
○江口委員長 それは日本看護協会にそういう特別な人が。
○松月参考人 そういう部門がございます。
○江口委員長 どういう部門の方がやっておられるんですか。
○松月参考人 認定部という部門に。
○江口委員長 それはがんだけではなくて、いろんなものについて。
○松月参考人 全ての認定、今、18領域ありまして、それを認めております。
○丸口委員 認定看護師教育課程ですけど、あちこちで開講されていますが、がん領域でも応募者が非常に少なくなっていて、2次募集、3次募集しても、定員に満たないというところもあるようですね。都内の有名な大学でも、2次募集、3次募集をしているような現状もあります。認定看護師の育成計画の目標値を上げても、自分で申請して受験するわけですので、行きたい人がいるか、それから行きたいと言っても、職場をやめて行かざるを得ないということもあるかと思いますので、目標値に達するように育成するのは難しいと思います。それから、認定看護師が活動することでどれぐらい診療報酬が得られるのかということがないと、なかなか有効に活用できないということもあると思います。看護外来をやりたいとか、相談外来をやりたいとか、いろんなことを思うんですけど、その人たちを1日出して、幾ら診療報酬得られるかということになると、全く今は持ち出してやっているわけですね。リンパ腫の外来もうちもやっていますけど、週1回やって、それも全部持ち出しなんですね。
ある程度、診療報酬がつかないと慈善事業的にはできないという現状もあるのではないかと思います。
○江口委員長 この辺ははっきりと煮詰めて指摘しなければいけないところだと思います。
○松月参考人 そうですね。その仕組みをつくっていただくということが、潜在的なニーズとしては非常にスピリチュアルな部分にかかわるものなので、ナースは心のケアということが自分の独自の領域だと思っているナースたちは非常に多いので、がんの領域というのはそういうインセンティブが働けば非常に進むのではないか。そういうことをやりたい人は非常に潜在的には多くあると思っております。
○江口委員長 よろしいですか。私の心づもりとしては、教育体制とか、研修体制の件について、当初2回目でかなりディスカッションしたのですけれども、あの後、こういうようなディスカッションを含めて、もう一遍時間をとってやろうと思うんですね。今日のところは、いろいろなことを考えていくうちに、教育研修というのはどこにでも顔を出してくるものだというのをみんなで認識しておいていただければいいかなと思いますけれど、具体的な教育研修に関しては、もう一回、時間をとってやろうと思っております。
それでは、清水参考人の今回の御発表に関してよろしいですか。
(「はい」と声あり)
○江口委員長 わかりました。では続けたいと思います。それでは、田村参考人が恐らく3時ごろ来られると思うので、それまでの間、各委員からの御意見書について、これは一つひとつを細かい質疑でやっていますとちょっと時間が足りなくなると思いますので、委員の方々、ご自分の御発表について、5分ぐらいでやっていただいて、どうしてもそこで御質問があれば、1つか2つお受けしますけれども、最後、総合討論でまたやりたいと思います。
途中で田村参考人が来られたら、申し訳ないんですけど、田村参考人のお話のほうに移りたいと思います。
最初は綴ってあるので、資料3でいきますと、前川委員。
○前川委員 私が問題点と考えましたのは3点ありまして、まず「がんと診断とされたときについて」と、次のページにあります「緩和ケア研修会」、それと、病院内の「緩和ケアチームの充実について」が、私が思う問題点であります。
がんと診断されたとき、これが最も大事な時期で、先ほど看護協会の松月さんがおっしゃいましたように、看護師さんは患者の心のケアは出来ていると思いますが、現実には「あなたがんですよ」と言われたときに、看護師さんの出番がない病院が多いと思います。あと、先生が「がんですよ」とおっしゃったときに、どなたもおっしゃいますけれども、先生が説明されたときに、「はい、はい」という返事はします。しかし、実はその内容を理解できてないことが多いんですね。そういうことも一応医療者は患者が返事したから理解していると考え、そのあたりのすれ違いもあるのではないかと思います。
【問題点】の最後のほうに書いていますが、例として、とても元気な方ががんとわかったときには、肺がんの末期でした。その患者さんは御自分の病状の厳しさも理解することができないで、1か月前にがんとわかって、1か月後は輸血を1日2本もするような状況だったんですけれども、「明日、僕は外泊するんだよ」と言って楽しみにしておられました。結局それもかなわずに数日後に亡くなられたのですが、亡くなる前日の言葉は、「夕べは、死んだほうがましと思うほど、苦しかった」と言われました。その翌日に亡くなられましたが、そのときの苦しい思いとか、現実に苦しかったのが医療者には届いていない。これはまさに治療の早期というか、途中経過もですけど、心身ともに緩和ケアができてなかったケースだと思われます。
【対応策】ですけれども、がんと診断されたときには、必ず主治医と担当看護師とかがん看護専門ナース、緩和ケアチームとか、情報を共有することが大切ではないかと思います。
あとは、がんと診断されときに、患者に一律の「初期からの緩和ケア」とか何かパンフレットを相手にわかるようなものを全国一律なものを作成して、それを渡すということが大切ではないかと思っております。
がんに携わる全ての医師の緩和ケアへの理解が必須条件であり、それを実施すべきであると思います。現状では、まだそういうことができてないと思っております。
あと、患者と医師のコミュニケーション。これは医師も患者も両方ともコミュニケーション技術というか、上手なコミュニケーションのとり方を学ぶべきではないかと思っております。
次に「緩和ケア研修会」です。「緩和ケア研修会」、きちんとしたプログラムができているんですけれども、プログラム、小学校とか中学校でいえば教科書ですね。教科書は同じでも、実は教える人によって、参加者が内容を理解できるかどうか分かれると思います。病院長とか施設長も緩和ケアを理解してない方もいらっしゃるので、がんになったときから緩和ケアの理解が低いケースもありますので、右側に書いていますように、施設長、病院長も研修会受講を義務づける。これは受けたほうがいいとかというのではなくて、義務として、そういうふうにしていただければなというのが対応案として出しております。
それと緩和ケアの研修会受講医師が1名おれば、「がん疼痛緩和指導管理料」が加算されるという現状ですけれども、これはやはり研修会修了者のみに限定するのがいいのではないかと思っております。
左のほうに、課題のところに書いていますけど、現状はある開業医の先生は、1年後に、「去年習ったことを全部忘れたよ」というようなことをおっしゃっていて、それでは何のための緩和ケア研修会かなと思って、非常に残念に思いました。
次に3番、「緩和ケアチームの充実についての現状」、どこの病院にも緩和ケアチームは存在しておりますけれども、皆さん御存じのように、病院によってはきちんと稼働しているところもありますが、緩和ケアチームあっても稼働してないところもたくさんあります。そして患者は院内に緩和ケアチームがあるということを知らないことも多々あります。そういうことも知らしめるべきだと思っております。
(田村参考人入室)
いろいろ右のほうに書いていますが、この5年間で計画どおりに策定が進んでないので、次の3点を基本計画に盛り込むべき事項として御提案いたします。がんになったときから、緩和ケアの実施のためには、医学部での緩和ケアを必修化するということを提案いたします。それと2番目に、「がん疼痛緩和指導管理料」の見直し、3番目に、ちょっと過激なんですけれども、厚労省内に、がん患者のための強力な「がん対策室」、これは患者のためになるがん対策室も設置していただければなと思っております。
○健康局長 ためになってない。
○前川委員 なっていますけど、患者は、がん対策室があるとか、そういうことも全く知らない。本当に知らない人が多いんです。一生懸命やっているけれど、患者は知らない。その差がありますので、済みません、局長さん、そのあたりやわらかくおとりください。よろしくお願いいたします。
○健康局長 きつい言葉。
○江口委員長 ありがとうございました。前川委員からは、初期からのチーム、チームというのは緩和ケアチームだけではなくて、主治医も含めた担当看護師も含めたチームがつくれないかということで、それは何よりも情報共有をするということですね。それから、患者さんのほうには、初期からの緩和ケアの啓発をもっとやるということですね。それから、教育のことになりますけれども、緩和ケア研修会、医学部での緩和ケアの教育といったことも言及されています。それから、この委員会でも出ました病院全体が緩和ケアに理解をする。あるいは緩和ケアを志向するということで、病院長、施設長なども研修会に出るといったことを提案されています。
それから、ちょっと気になったのですが、大西先生が、きょうおいでになっているんですが、4ページ目の真ん中のところ、「精神科医がいなくても、緩和ケア診療加算を可能とする」、これは前川委員の。
○前川委員 私に。
○江口委員長 ここに書いてあるんですけど、大西委員の前でコメントありますか。きつい意見を。
○大西委員 記載ミスじゃないですか。
○前川委員 何ページですか。
○江口委員長 4ページの「*」の前なんですけど。
○前川委員 今、現状で精神科医が少ないんですね。私は山口県なんですけれども、精神科医が少ないので暫定的な意味で、このように書きました。全国的に、どうなんですか、少ないでしょうか。
○大西委員 これはいつも言われていることで、今、うちも実数調べている最中なんですね。ある程度の病院には充足しているはずなんですけど、これが一人走りになっちゃうとちょっと危険だなと実は思っておりまして、心のケア、総論賛成、精神科医いなくて、毎回議事録読むと悲しい気持ちに私もなっているんですけれども、毎回出てきますよね。ですから、これに対して慎重に考えていただかないと、例えば精神科医が抜けるということは、緩和ケアにフェンタニルが要らないと、例えばモルヒネが要らないというのと同じなので、そこは私としては、今回、専門家として、ある程度言おうかなと。緩和ケアにモルヒネが要らないと同じだと私は思っております。
○前川委員 専門の精神科医が、今現在いないので、週に1回とか、そういうふうなのだったら、患者のことがわからないかなという意味で書きました。
○大西委員 ここは出るたびに議事録にも残っておりますし、非常にここに関しては精神科の、私も四半世紀精神科やっているので、いかにメンタルケアが大事かということに関しては、毎回、皆さんから意見も出ていますけど、ここは慎重に考えていただきたい。特に緩和ケアで出てきますけど、緩和ケアの中でメンタル抜けていますね、全体的に。メンタル抜いてやっちゃうと、結局はインセンティブはできた、質は下がっただと、国民のためになりません。だから、私はそこに関してだけはいい合意を得たいなと思っているんですね。ここで抜いちゃったら、多分たくさんの方がやるかもしれません。だけど、質の低いのがもしできたとしたら、それは日本国にとっては損失だと思います。恐らく国もそう考えていらっしゃるのではないかと私は思っております。
○江口委員長 それだけで時間を使いたくないんですけど。
○大西委員 大丈夫です。
○江口委員長 逆に先生方が絶対必要だと思われるスタッフというのは、いつ頃できるのでしょうか、配置が。
○大西委員 次回までに。
○江口委員長 是非それを出していただかないと。
○大西委員 数字を出さないといけないですね。
○江口委員長 必要だといって、制度をつくって、だけど、その制度が実際にはうまく動かないということですから、その問題はどこかで解決しなければいけないことですね。
○大西委員 精神科医がいないから動いてないというのは、私たちいつも犯人にされているんですね。精神科医がいないから動かないというのは、それは問題かなと思うんです。だれが犯人なのか、私たちが、精神科がないからといつも出てくるんですけど、そこに関してはしっかり、私も今日は国民を代表して来ていますので、専門家として。
○江口委員長 だから犯人捜しよりも、今後、いつまでの間にどうしたら解決するかという、それを出していただかないと。
○大西委員 それは私ども学会として今やっている最中でございます。
○江口委員長 よろしくお願いします。
○川越参考人 精神科医が少ないという問題が確かにあるし、精神科医の中でこういう緩和ケアに興味持っている方が更に少ないということを言われておりますよね。それを問題にする精神科の先生方、是非その辺、今、委員長が申しましたように、検討していただきたいと思います。それから、質の問題という点から言うと、精神科医だったらだれでもいいという考え方ではなくて、精神科医の中でもこういうものを興味持っていただいてやるような、そういうカリキュラムを含めて、精神科の先生、ほとんどの方はいわゆる精神病と言われているものに興味持たれるのではないかと思いますので、その点、お願いしたいということが1つ。
それから、もう一つは、臨床心理士が、今、かなり似たような仕事をしていると伺っているんですけど、それを例えばこのチームの中に持っていくというような検討はなされているんですか。あるいはそれはまずいというような意見なんでしょうか。その辺も聞かせてください。
○大西委員 まず、1点目の質問は、今、すこっと頭から抜けてしまいました。
○川越参考人 精神科医。
○大西委員 精神科養成チーム。養成に関しては、学会でまず若手が育たないといけないと思うので、若手のセミナーは年に1回開いております。そこには100人近い方が出席されていろいろと熱心に、我々のほうからも、学会もすごい人数を出してやっております。
心理士に関しましては、がん対策基本法なりで、心理技術者という形で入っていますので、ちなみに私どもの大学では入れております。必ず回診しています。外来でも必要だと私は思っております。
○江口委員長 田村参考人来られたのですが、まだ、いきなりだと無理かと思いまして、私が委員からの意見でいろいろいただいた中で、東口先生のご意見、これはかなり外来化療などについてコメントをされているので、田村参考人におかれましては、16ページからなんですけれど、これをさっと読んでいただいて、こういうことに関しても言及していただければと思います。その間にもう少し各委員の意見を進めたいと思いますので、あと10分ぐらいしたら、田村参考人のほうにお話をお願いしようと思っています。よろしいですね。
○田村参考人 はい。
○江口委員長 2番目、順番で行きますと、秋山委員なんですけど、これは私の代読でよろしいですか。ここでは問題点と対応策がきちんと対応して書かれております。1つは、「緩和医療提供状況の把握」ということで、がんのどのステージで緩和医療が提供されているのかという実施状況が把握できていないということなので、まずは「見える化」というふうに秋山委員は言われていますけれども、まずは拠点病院でがん診とか、ステージ別の緩和ケアの提供状況を報告させるようにしたらどうかということですね。
それから、早期からの緩和ケアということに対する医療者の認識が不足しているということで、これは教育研修の実施ということになります。専門医レベル、研修医レベル、医学部のレベルということになります。
それから、6ページに行きまして、「患者の情報不足」ということで、緩和ケアは末期のものだという患者の認識があるということで、これはその対応策として、情報提供にはがんの相談支援センターの役割を十分に活用したらどうか、そして住民への啓発などもそこに入れたらどうかというふうなことが言われています。相談支援センターが単に個々の患者さんとか御家族の支援だけではなくて、地域全体の啓発も役割として持つということになります。
それから、「社会的苦痛の対応」、これは先ほど来、出ていますけれども、精神的・社会的な苦痛、そういうものに対して、今度は役割としてはソーシャルワーカーが緩和ケアチームに入って活動したらどうかということがあります。
こういうことを次期のがん計画に盛り込むということになりますと、緩和ケアのサービスの実施状況を拠点病院ごとに出す。教育カリキュラムの改訂、がん相談支援センターの役割をもう少しエキスパンドするということと、社会的あるいはトータルペインに関する体制づくりということで、ソーシャルワーカーをもう少し活用したらどうかといったことがご提案としてあります。
次、大西委員。
○大西委員 私、先ほど済みません、たくさんしゃべらさせていただきましたので、簡潔に済まさせていただきます。資料4と併せてご覧いただければと思います。
今日、私がお話したいのは、資料4の?)を見ていただきたいと思います。私たちが精神の専門家として考えなければいけないのは、精神症状が苦痛だということを皆さんに知っていただければと思います。例えば疼痛は先ほど言いましたように痛いとわかります。だけど、なかなか精神は痛いとは見えません。だけど、そのつらさというものは筆舌に尽くしがたいものがある。かつ見逃されているんですね。筆舌に尽くしがたい痛みが見落とされていて、それが一番の問題になっていると思います。ですから、それをまず踏まえた上で、私の問題点を読んでいただければと思います。
【問題点】?外来における心理的苦痛の問題がございます。一番多いのはうつ病の見落としです。ただ、眠れない、御飯が食べられないという体の症状に見えまして、うつ病が非常に多くなっています。その人たちを見逃すことで、果ては自殺につながりますので注意しなければいけません。ですから少なくともがん診療拠点病院に常勤の精神科医又はコンサルテーションの精神科医を配置しなければならないと思います。
?、「相談支援センターでの精神心理的支援体制」が整備されておりませんので、サポートプログラムを私どもで作成いたしまして、それで提供する。そして、そういう方々が相談支援センターでどのような精神的な問題に対応したらいいのかを、私どもは提供できればと思っています。
?緩和ケアチーム、病棟では一生懸命みんな活動しているんですが、外来での支援が進んでおりませんので、そこの部分も、私どもがやっていかなければいけないところだと思っています。
あと、10ページの?の上を見ていただきたいのですが、抗がん剤治療中、皆さん食べられなくて、体がだるくて、何となく倦怠感が出ますけど、抗がん剤使用中の症状がうつ病の症状と全く同じなんですね。その症状が実はうつ病だったということもございますので、そういうことの見逃し。一番気をつけなければいけないのは気がついてないということなんですね。気がつかないのが一番危ないです。ですから専門家の配置が必ず必要だというふうに思っております。
?「医療者のコミュニケーション技術の向上が必要」だと思います。これは私どもも皆様にいろんな面からサポートを提供いたしたいと思っております。
それから、資料4の一番最後のページを見ていただければと思います。これは英国の支援マニュアルなんですが、「がん患者の心理学的評価のサポートの4段階」というのがございます。
第1段階が全ての医療者がかかわるものです。心理的ニードの認識と基本的なコミュニケーション、それは私たちも協力したいと思います。
第2段階:心理的知識を有する医療者によるスクリーニング、専門看護師などの方にやっていただければと思っております。
第3段階が、日本で緩和ケアチーム、ここは専門看護師が入っていいかもしれませんが、ここは日本に応じてモディファイしていけばいいのではないかと思います。
第4段階に関しまして、私ども精神保健の専門家がいろいろ重症のうつ病、薬物乱用、自殺の問題などに取り組んでいければと思うんですね。
私たちが心配しているのは、第3段階、第4段階は非常に重要です。第2段階の後半から第3段階、第4段階を抜けるということは医療に非常に損失を来すと思っておりますので、そこに関して抜けないような議論を重ねていただければと思っております。
以上です。
○江口委員長 ただいまの御意見に対して何か、委員の中で、特に、どうぞ。
○松月参考人 先生が最後に御説明いただいたがん患者の心理学的評価とサポートの4段階の表なんですけれども、第3段階で、訓練と認定を受けた専門家(日本では緩和ケアチーム)、第2段階が、心理的知識を有する医療者(専門看護師など)というと、ナースから見るは反対かなと思っているんですけど。
○大西委員 逆かもしれません。済みません、ここは後で訂正するかもしれません。
○松月参考人 わかりました。
○大西委員 専門看護師さんたちがしっかりやっていただければと逆に思っています。
○松月参考人 それで結構です。
○大西委員 第2から第3の両方にかかわっていただければなと思っております。申し訳ございません。
○江口委員長 それでは、田村参考人、よろしいですか。
○田村参考人 よろしくお願いいたします。
○江口委員長 簡単に御紹介します。国立がんセンターの通院治療室医長・田村研治参考人です。通院治療の面での緩和ケアということで、主に腫瘍内科の立場からということですが、よろしくお願いします。
○田村参考人 よろしくお願いします。国立がん研究中央病院の田村と申します。江口教授からの御指名で、今日は参考人ということで、初めてこの会に参加させていただきます。
私は日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医でありまして、立場としてはいろんな臓器の化学療養を携わっている者であります。もう一つ、特徴としましては、がんセンターに来て4年でありまして、実はいろんな病院を回っておりまして、例えば大学病院で言いますと、広島大学病院とか近畿大学病院。それから、地域の拠点病院としては近畿大学奈良病院とか、広島の共済病院とか野戦病院とか、いろいろな病院を回って、今、がんセンターに赴任しております。私は今は乳腺科・腫瘍内科ということで、乳がんの患者さんとか卵巣がんの患者さんをよく診ておりますけれども、もともとは呼吸器内科医でございまして、肺がん、今、腫瘍内科医ということで、肺がん、大腸がん、乳がん、いろんながんのがん薬物療法を携わってきた立場の者でございます。
前置きが少し長くなりましたけれども、江口先生からは、この会でできるだけ早期からの緩和ケアというものがディスカッションポイントになっているということで、実地に化学療法している立場から、あるいは外来化学療法を統轄している立場から何か意見をということでありますので、僣越でございますけれども、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
今、外来化療法がすごく件数が増えております。外来日以外は患者さんは自分の副作用・有害事象とか、そういうものを自分でセルフケアをしたりするような状況が多くなってきております。そういうものががんセンターだけではなくて、今、がん対策基本法以来、均てん化を推進するに当たりまして、がん拠点病院で標準的な治療法をしていこうと。そして外来化学療法も進めていこうという流れにはあると思います。ただ、患者さん側からしますと、昔は長期入院でずっと診てもらったものが、自宅での療養をしないといけないということで非常に不安であったり、この会議で問題になっておりますいわゆる緩和的な側面で不備なところもあるのではないかと思います。
私が考えますに、大きく2つの側面がございまして、1つは何といっても疼痛管理だと思います。2つ目は精神的なケアだと思います。ほかにもあると思いますけれども、私ががん医療を長くやってきまして、この2つが非常に大きなポイントであると思います。
それから、早期ということで考えますと、例えば乳がんの患者さんなどは、現在、術前・術後で化学療法を多くやられることがございます。乳がんの患者さんは平均年齢も非常に若いということで、仕事を両立させながら続けるわけですけれども、手術後の痛みがかなり強いということで、術後にすぐ化学療法に移行しますと、そういう疼痛管理がうまくいかない場合もございます。あるいは精神的な負担もございます。
一方、消化器の患者さんは、例えば管がつくことが多くて、在宅で栄養管理をしないといけない人もいたり、そういうストーマの処置をしないといけない人もいます。卵巣がんでは化学療法の経過中に体液、腹水とかが急激にたまることもございます。臓器の違いはございますけれども、化学療法中でも早期からいろいろな問題点が出てくるということであります。
私の考えを述べますと、まずがんセンターとかがん拠点病院というのは、疼痛面と精神面でそれを専門的に扱う部署、そして、その人員配置が必要ではないかと思います。一方で、現在がんの医療では、1つの病院で、1つの科が、1つの先生がずっと診ていることが多いのですけれども、私が近畿大学奈良病院、奈良などの地域でがん治療をしていたときの経験からしますと、実際にいわゆる化学療法をしている病院と地域でそういう痛みとか緩和をサポートしている病院が役割分担をしているという場合もございました。
どういうことかと言いますと、例えばホスピスなどの病床を持っているところが外来をしてくれるところがあったということですね。そして早期から併診をしていると。私のほうで、化学療法をして、あるいは月曜日にして、木曜日にはそういうホスピスを持っていて、病床を持っていて、外来を開けている病院にもかかっていると、そういった経験をしたことがございます。そうしますと、終末期に移行するときも、急に紹介状を書いたり、あるいはいろいろな書面の整備をしなくてもスムーズに移行できるというような経験をしています。これは大阪でもそうでありました。
私、東京へ来て4年ですけれども、がんセンターでそういうものはないかといろいろ探すのですけれども、ほとんどのホスピスの病院が積極的な治療法を終えた人でなければなかなか受け入れは難しい。それから、外来の併診も難しいということで、少し私が感じているのは、東京都内でそういうことの難しさということも考えております。
また、話は戻りますけれども、疼痛と精神でございますけれども、現在、そういう専門科は、化学療法の専門科も少ないのでございますが、数が非常に限られていると思います。ですので、がんセンター、腫瘍内科を持つ大学病院、がん拠点病院というところには、できれば1つずつそういう科があって、その科での精神的な緩和と疼痛緩和をしていただきたい。もう少し、そういう専門科並び準専門科は、拠点病院で化学療法するのではなくて、そういう緩和ケア施設とか、そういうところに配置があって、併診をしていただくとかなりいいのではないかという印象を持っております。
以上です。また、質問で。
○江口委員長 今までのこの委員会の議論と全く別な立場の、全くではないけれども、別な立場から見た通院治療ということですけれども、せっかくの機会ですから、委員の方々からいろいろな意見があると思います。
○川越参考人 治療病院と一般病院、開業の先生との連携ということで、併診ということ、1つ大きな課題だと思うんですけれども、東京ではなかなかうまくいかないと。関西ではうまくいったと。その差はどこにあるのでしょうか。
○田村参考人 どうなんでしょうね。私が奈良とか大阪で化学療法をするときに、併診してくれた幾つかの緩和ケア病棟とか、ホスピスとか、そういう診療所の先生は、私たちは化学療法はしませんけれども、早くから緩和に携わりたいので、また急に送られても困るので、むしろ併診させてくださいというようなことがありまして、私はその当時は進行の肺がんも持っていたんです。乳がんはちょっと違いますけど、初診から2年以内に終末期に至ることが多かったです。診断から治療を始めたころから紹介をして、1年ぐらいずっと外来で、それは毎週ではございませんけど、元気なときは2か月に1回とかというスパンでございましたけれども、併診していただきまして、そこに最終的に送るということは何度か経験をしております。
○川越参考人 私、想像しているところ、いろんなところを伺っていますと、がんセンターとの併診の問題ですね。1つはどこまで、自分たち、自分たちというのは併診する側のがんセンターではないところは、どこまで自分たちがやったらいいのかというところがわからないと。それから、何かあったときに引き受けてもらえないのではないかというような、そういう危惧が実際あるので、その辺が控えているというようなことになっているように聞いておりますけど、いかがでしょうか。
○田村参考人 そのとおりだと思います。私も院内の的場という者がおりまして、緩和ケアチーム、その会でも問題になりましたけれども、大分後になってご紹介をしたときに、どこまで病状の説明をされているかわからないとか、家族はまだ積極的な治療をする気でいたとか、あるいは早期から早期といっても、自分たちは何をしていいかわからないというようなディスカッションは多く聞きました。
その中でありましたのは、何でも中央病院で処方をするのではなくて、合併症のお薬とか、あるいは疼痛のパッチとか、併診していただける病院でできるところ、投薬できるところをできるだけ役割分担をしてはいかがというような話はありました。ただ、今、先生がおっしゃるように、そういう情報の共有とか役割分担が明確になってないところが併診の難しさだとは思います。ただ、そこを進めることが、中央病院の状況を言いますと、中央病院はホスピスがございません。ですので、最終的に緩和ケア病棟などに御紹介をすることがあるんですが、中央病院のほうでも、早くから、そういった併診をすることによって、患者さんの苦痛を減らしたいというふうには思っております。
○志真委員 川越先生の今の疑問に少しお答えしたいと思うんですけど、大都市圏と地方都市圏と過疎地、それはそれぞれシステムが違うと思います。私どものところでは、今、先生が言われたような併診体制は筑波大学病院と私どもの病院はとっております。ですから地方都市、20~30万人の都市であれば、医療機関は無数にあるわけではないので、ある程度、顔の見える関係、信頼関係があれば、今、田村先生が言われたようなシステムは現状で可能だと私は思います。言われますように、地域でどうやって緩和ケアを提供していくのかという側面と、早期からの緩和ケアという側面と両方考えていかないと、多分このことはうまくいかないのだろうなと思います。
その場合に、これは緩和ケア病棟などの側にも問題がありまして、しっかりした外来機能を持っているところがまだ少ないんですね。要するに入院の窓口、受入れ窓口としては開いているけれども、がん治療をやっている先生方と一緒に診ていくというような、そういう外来の機能を備えたところはまだ少ない。今後、私どもの協会で調べていこうと思っていますけれども、ですから、そういう早期の緩和ケアを実現するためには、外来機能ということをしっかり考えて、少なくとも拠点病院にはつくっていかないとうまくいかないだろう。
ただ、緩和ケアの、私の意見書に書いてありますけれども、いわゆる専門外来的な緩和ケアの外来機能をつくっても、残念ながらその効果は限定的だと思います。それは私どもも日常の臨床で感じておりまして、専門外来につなぐだけでは不十分であって、外来の中で、例えばさっきちょっと出ましたような看護師による相談機能とか、そういったものも含めて、外来機能全体が充実していかないと、早期からの緩和ケアは非常に難しいのではないかと。ですから、そういう併診体制ということももちろん視野に入れながら、緩和ケアの外来機能をどうしていくのかということが非常に重要なポイントではないかと思います。
○江口委員長 よろしいですか。地域ごとの医療事情とかバックグラウンドが違って、ある程度の規模の地域だったら非常にやりやすいとか、基幹病院があって、こういう言い方はちょっと語弊がありますけど、ピラミッド型の医療が行われているところは割合まとまりやすいとかというようなことはあるのかもしれないんですけど、一般的には、例えば奈良とか大阪とか、先生のおられたところで、そういう併診先の病院とのつながりの最初のところというのはどういう形でできるんですか。あるいは継続して、そういうものを、一応恐らく面としてつないでいくのだろうと思うんですけれども、何か定期的な会合とか、そういうものをやって、ある程度顔見知りになるとか、そういうことはあるんですか。
○田村参考人 そうなんですね。奈良のお話をしましょう。近畿大学奈良病院というところに2年ぐらいおりました。それは大学病院なんですけど、地域の大学病院で400床ぐらいで、がん治療はあまりやっていなかったのですが、私が赴任して外来化学療法したようなところです。奈良というのは、先ほどの地域の差といいますと、大きな家をお持ちの方が多くて、それで家で亡くなりたいという希望が結構多いということで、それで在宅ホスピスといって、在宅に通って最終的に看取ってくれるようなドクターが奈良には大阪よりは少し多いように感じました。
一方、ホスピスの横で外来をしていると。それはあまり専門的な外来ではありませんけれども、最終的にはここに入院をしますよと。私が腫瘍内科の科長で行ったのですが、見えている施設が4つぐらいございまして、その先生方とは1か月に1回ぐらい緩和ケアの勉強会をしたり、その後、飲み会をしたりしてコミュニケーションをして患者さんの状況を把握するような形でした。
その前に、私は近畿大学の狭山におりまして、それは近畿大学の本院、比較的大きな病院です。その場合は全く違いまして、病診連携はいわゆる相談支援室を使って、もっと多数の病診連携をしておりましたけれども、実際には相手方の顔が見えるという意味では田舎のほうがよく見えていた気がします。
○江口委員長 あと今言われたおうちが割合大きなところが多いとかということですけど、併診することに限って、患者さんとかご家族の人の理解とか了解とかということに関して、どういうところに注意すれば比較的早い時期から併診できるとかということが何かあるんですか。
○田村参考人 病状が大分進んでから、ご紹介するほうがむしろトラブルが多いような気がします。一番初めから我々のところは、外来化学療法で例えば中央病院とかでも、3週に1回、外来通院する人は、バックアップ病院というのを開業医さんとか、そういうお医者さんにお願いをして進めることがあるんですが、そういう説明と一緒で、緊急のときにはもちろん奈良病院に来なさい。だけど、家の近くでケアしてくれる病院を見つけましょうみたいな、そういうところから入って、一番初めに併診をしていくというような形をとっていたような気がします。
○川越参考人 併診の問題というのは、今回のテーマの1つの大きな柱だと思うんですね。その場合、整理しておかなければいけないことがいくつかあるのではないかと思っているので、先生、お願いいたします。1つは、診療拠点病院のような、例えばがんセンターのようなところと病院が組むといった場合、治療はがんセンターの外来でやって、地域の一般病院にフォローしていただくというような、在宅期間中、そういうやり方が1つ考えられる。もう一つは、一般病院でなくて、我々のような診療所でフォローしてもらうというか、在宅期間をやっていく、その2つの場合が考えられると思うんですね。
問題は何か起きたとき、どうするかという問題が、例えば私たちのところへ来ますと起こるわけですよね。ですから何かあったとき、どうするかというようなことも含めて、役割分担を先ほど申しましたような、そういうものは1つのマニュアル化するということが必要ではないか。そのほうがいろんなところで混乱が実は起きている、あるいはできないとかというようなことになっているところがありますので、1つのスタンダードをつくって、ここまではここがやる、こっちはこうやるというようなものをつくっていく、そういう時期に達しているのではないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○田村参考人 そのとおりだと思います。この問題は多分に今、医師のことをずっと言いませんでしたけれども、がん薬物治療専門医が非常に少ないと。そういうことをマネージするためには、そういうことに非常に詳しい、がんの専門と言える医師が少ないということは1つ大きな問題でありまして、今、術前・術後の化学療法も多くなっていますので、どの層をどういうふうに地域連携できるかとか、この辺の層は地域連携は難しかろうとか、あるいはそれを事前にマニュアル化してお話をするとか、そういうことをきちんとできる医者側の資質がほとんど多くの拠点病院を含めて全部できるかといいますと、それはまだ難しい状況です。
ただ、今後、発展的に考えるならば、今、がん薬物治療専門医もまだ600人でございますので、そういうところでも緩和とか、そういうことをよく教育をして、体制づくりとしては理想を掲げて、先生のおっしゃるとおり、これはこうしてくれというマニュアルをつくって進めていくべき事項であると思います。実際に主治医が何をしていいのか、よくわからない。どう話したかもわからない。何をしてほしいかもわからないということでは連携は全くできませんので、それは医者側の問題も多分にあると感じております。
○松月参考人 今、先生、お話いただいた薬物専門医なんですが、その教育と今後の展望というのはどんなようになっているのでしょうか。
○田村参考人 今、専門医が標榜できる、いわゆるがん薬物治療専門医というのは、日本臨床腫瘍学会というところで認定しております。今、合計大体600人ぐらいが認定されております。そこでの教育カリキュラムとか、受講とかいろいろなことはあるんですが、試験自体を申しますと、筆記試験と面接、患者さんのサマリーをもとに認定しております。
そこで一番重要視しているのは、もちろん現在のがん薬物の標準的治療を行う。行うというのは、意味のない化学療法をするのではなくて、エビデンスのあるきちんとした治療を行うということ。それから指示療法ができること。それに加えまして、こういう緩和ケアの知識とか精神的なケアの知識とか、総論としてきちんと理解できるというところを目標にはしております。
特に専門試験の中では、珍しく面接試験をしておりまして、そこでの一番重要視事項は、エビデンスに基づいた化学療法プラスアルファのところをしっかり面接させていただいておりまして、そこで認定はしております。認定ですので、専門医の中でもグレードの差はございますけれども、比較的厳しいストイックな形で、数は少ないけれども、専門医をつくり出していこうというのが学会の姿勢でございます。
○松月参考人 今後、それはどのくらいの割合で増えていくのでしょうか。
○田村参考人 現状では1年で100人。
○松月参考人 100人。
○田村参考人 はい。1年の100人のペースしか増えておりません。アメリカの同じような専門医の数からしますと、現在4,000人が必要です。ただ、アメリカの内科専門医の数も、日本の内科専門医の数よりも少のうございまして、それを勘案すると、大体目標として2,000人ぐらいのがん薬物治療専門医は必要ではないかと私見でありますが、考えております。そうした場合に、そういった人たちががんセンター、がん拠点病院、大学の腫瘍内科、これは難しいのですが、地域でされるところに適正に配分することを考えますと、2,000人ぐらいは将来ほしい。今、まだ600人でございますので、1年間に100人ということでありますと、十何年かかる事業ではございますけれども、質を保ちながら増やす必要があると思っております。
○松月参考人 わかりました。私もがん拠点病院におりまして、一番困ったのは、そこでナースの専門性の高い人は増えているんですが、一緒に話をしていただける医師がいないと。主治医と話をしても、主治医は腫瘍の専門じゃないので、いや、私たち習ってきたのは、こんなのと違うんだけどなと思っても、なかなかそれが通じない。話しても、どうしてもわかっていただけないというジレンマを非常に持ったのですが、十何年かかるということになりますと、例えば準専門家というのをどうするかとか。
○江口委員長 その議論はまた。
○松月参考人 済みません。
○大西委員 ちょっとよろしいですか。ありがとうございました。いろんなお話を聞いて、私も参考になったのですけど、お伺いしたいのは、皆さんにお伺いしたいのですけど、我々、早期からの緩和ケアというときに、私なんかも併診受けるときに今考えたんですが、医者から併診受けたことないです。だけど、ナースは気がついて、先生、あの人、大変そうなんだけどと言ってもつながらないことがあるんですね。それは疼痛でも同じだと思うんですけど、そういうシステム上の問題はないんですか。私、ナースから併診、1回ぐらい、十何年やっていて。
○江口委員長 田村参考人、どうですか。
○田村参考人 あると思います。今、我々ががんセンターの中で、がんセンターの問題ばかり言ってもしようがないんですが、がんセンターも臓器別になっておりまして、がんの病院ですから、腫瘍内科的なものはありますが、私は腫瘍内科から出てきましたので、がんセンターでは臓器別なので、割と異質です。ただ、外来化学療法という枠で、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー、CRCの会をやっています。
その中で1つ、最近問題になったのは、併診するときの紹介状がドクターしか書かないと。それで、今、ミラクラ上、電子カルテの中にそういうフォームをつくって、ドクターが書くところ、看護師が書くところ、薬剤師が書くところ、いろんなところから書き込んで、最終的に紹介状をつくろうみたいなことをやっています。今は例で挙げましたけど、そういうようにドクターが主導で、この人はそろそろ送らないといけないとか、連携しないといけない。イニシエーターはドクターなんですが、それについて看護師とよく話し合い機会があることはあります。近くで、看護師さんはよく見ていますから、先生そろそろとか言ってくれることがありますけれども、例えば会としてとか、そういう定期的に全体を見回すという、そういうような会は残念ながらないと思います。
○江口委員長 さっきの併診マニュアルとか、介入時期の、どの時期にどうだというようなことを文書化するというようなことですけれど、それと今、あちこちで言われているクリティカルパス、あれとの関係はどうもよくわからないんですけど、先生から見ると、こういうものというのは、パスみたいな形ではあり得ないだろうと、そういうことですか。その辺の。
○田村参考人 なかなか難しいと思っていまして、ただ、その会で、3つの紹介状のパターンをつくりました。1つは乳がんの患者さんが手術をした後に、現在ほとんど乳がんの患者さんが6か月ぐらいの化学療法をしています。それは割と若くて、仕事を続けながらやっていて、そして6か月で必ず終わるような、でも脱毛があったり、痛みがあったり、そういうふうな、いわゆるパスですね。パスに乗っけられるような事項に関しては、その間に併診できる病院を探すということでは、パスができるのだと思います。ただ、各臓器の進行がんになった場合は、ファーストライン、セカンドライン、サードラインそれぞれプロフェッションフリーも違いますし、状態も違いますので、なかなか一律にパス化というのは難しかろうというふうに思います。
もし標準的治療がなくなって、緩和にお看取りとか、そういう紹介状も、これもなかなかパス化というのは難しい。ただ、できるとしたら、今かなり増えていますね。エビデンスが術前・術後に増えてきましたので、術前・術後でルーチンワークとしてやる化学療法、これはパス化しやすいのではないかと思います。
○江口委員長 そういうパス化と同時に、地域の併診が進められるということですか。
○田村参考人 はい。
○江口委員長 ほかに何かいかがでしょうか。委員の方々で、よろしいですか。
それでは、田村参考人、もしお時間があればいていただいて結構ですし、お時間がなければ御退席いただいて結構です。
○田村参考人 ごめんなさい、済みません。
○江口委員長 はい。ありがとうございました。
(田村参考人退室)
それでは、議事を先に進めたいと思います。次は各委員の意見書で、志真委員。
○志真委員 私は3点に問題を絞って意見を述べさせていただきます。
治療の早期というか、診断も含めて早期の段階からの基本的な緩和ケアを実施するためのキーワードは、1つは早い段階での「苦痛のスクリーニング」。2番目は、先ほども申し上げましたけど、「緩和ケアの外来機能」を充実させる。3番目は、医師と限らず「医療従事者からの情報提供」をどうするか、この3点であります。
外来化学療法とか外来の放射線治療における苦痛のスクリーングについては少しずつデータが出てきております。それからスクリーニング方法もある程度確立してきております。例えば秋月先生なんかが作成した「つらさの寒暖計」とか、あと海外のものですけれども、「STAS-J 」、「EORTC QLQ-PAL」といったようなものがありまして、ある程度スクリーニングができる体制にありますので、それから、これらを全部統合いたしました森田先生の「生活のしやすさの質問表」といったようなものがありますので、こういったものは系統的に使って苦痛をスクリーニングするという方法ができるのではないか。
しかし問題は、スクリーニングをしたけれども、それにどうやって対応するかということが考えられていないと、ただスクリーニングをしただけで終わってしまう。そのために、先ほどから申し上げています外来機能を充実させていくことが重要で、その中で特にキーパーソンは看護師によるケアのコーディネーションではないかと思います。現在のカウンセリング料などにいたしましても、看護師が単独では動けないというのが現在のシステムではないかと思います。特に外来では看護師が単独で動けるようなシステムが必要になってくるのではないか。しかし先ほど楽観できないと申し上げましたけれども、果たして診療報酬もさしてないような状況の中で、看護師を外来に配置することが果たして現実的にできるのだろうかという疑問はちょっとございます。
それから、緩和ケア普及のための地域介入研究「OPTIM」という研究がございましたが、この中の自由記載、大体患者さんで資料5にその論文が古村さんの論文がございますが、数としては、自由記載271名、遺族の方が、1,110名、かなりたくさんの方の自由記載をまとめますと、まず「気持ちのつらさ」、「意思決定の支援」についての心のケアというか、サポートを求める声が非常に大きかったということです。それから、「金銭的な負担の軽減」、「待ち時間・「診療時間をもう少しスピーディーにやってほしい」といったことがかなり高い優先度で書かれております。 こういったことが、早期の緩和ケアの範囲に入るかどうかというのはいろいろ意見はあろうかと思うんですけれども、しかし、苦痛を緩和するという、そういう観点から見れば、これは無視できない患者さんからの要望ではないかと思います。こういったものに対する対応が必要ではないか。
それから、もう一つは、「医療従事者からの情報提供」ということですが、実は厚労省の委託を受けまして、緩和医療学会で「オレンジバルーンプロジェクト」というのを進めてきております。この中で幾つか普及啓発に関する調査をしておりますが、患者さん、あるいは一般の方が情報提供を最も受けたいとか、受けやすいものはというと、身近な医療従事者ということで、その後、インターネット、テレビ、新聞と続いておりますが、日本の今の患者さん、一般市民の方が医療情報を手に入れるのは身近にいる医療従事者から手に入れるのが最もやりやすいと答えておられます。そういうことを考えると一般的に病気ではない方に緩和ケアの情報を提供することも必要ですが、それはさほど優先順位は高くなくて、医療従事者から早い段階でどうやって緩和ケア、がん医療に関する情報を提供するのかということが求められていると思います。そこに提案を書いてありますが、医師が短時間にそういった緩和ケアに関する情報を提供できるような、そういうパッケージみたいな、あるいは看護師が情報を提供できるパッケージとか診療システム、(看護師のためのブース)と書いてありますが、そこに行けば看護師に話ができて、情報が手に入るというような、そういったこと。それから、相談支援センターに緩和ケアを専門とする相談員を配置するといったようなことが必要なのではないかと思います。
以上です。
○江口委員長 今の御意見についての、最初のところですけれど、外来の化療・放射線の苦痛のスクリーニングということですけど、これは特にほかの、言葉じりとらえるわけではないわけですが、ほかの治療やなんかをやっている人たちのことももちろん含めてということなんですか。つまり外科的な手術を終わった人とか。
○志真委員 もちろんそうですけど、データがないんですね。外科の手術が終わった人たちがどんな苦痛を感じているかというデータがないので、今のところ、私が知り得たデータはここにある2つのデータなんですね。ですから外科の生活が術後のがんの患者さんにどんな苦痛があるのかというスクリーニングをしてくだされば多分苦痛がわかると思うんですけど、どんな苦痛があるのか、よくわからない。
○江口委員長 非常に大事なことだと思うんですよね。だから、ここではそういうことですね。データのあるものを先生が使われたということですよね。
何か委員の方で、よろしいですか。後の総合討論ということで。
大分時間も過ぎたのですが、ちょっと休憩しませんか。そしたら、35分でいいですか。10分間弱休憩しましょう。
(休 憩)
○江口委員長 そろそろ再開したいと思います。
それでは、続けて委員の意見書についてですが、順番でいくと、東口委員になりますか。今日御欠席なので、私が簡単にかいつまんでお話したいと思います。
さっき田村参考人のところに、私、東口委員の意見を読んでくださいと言いましたけれど、結構日ごろのたまっているものがここに書かれているようです。問題点・課題等のところに、読んでいただければ内容はわかると思いますが、日ごろ東口委員が非常に苦労されていることよくわかります。
【対応案】ということなんですけれども、これで見ると理念はともかくとして、やることとして具体的に出されているのは教育の問題だと思うんですね。最初の16ページのところですけれども、「医師教育の徹底」、「コミュニケーションスキルの教育」、特に「死に際して」のことなども含めて、あるいは17ページで、実際の「傾聴の徹底」、「説明能力の増進」、これは全て教育にかかわることで、こういうことは今までもここでも論議されていることであります。
それから、早期からの方策の中では、治療をしているときに、化学療法とか放射線治療、治療しているときに緩和ケアを並立して実施したほうがいいということですね。これは先ほど来、出ていることです。私も言及しましたけれども、がん治療パスへの緩和ケアの導入というようなことまでここに出ております。それから東口委員は栄養のことを随分やっておられるので、がん患者の栄養というのも通院治療中から含めて大事だということがそこに出されていると思います。
パスの件に関しては、先ほど田村参考人が言われたようなことで、必ずしも進行がんの場合にパスがどこまで類型化できるかといったようなこと、あるいは利用できるかといったようなことに関してはかなり問題がいろいろあると思います。
それから、在宅医療の推進ということで、ここでは地域の組織をどうやってつくるかということに注目されています。
それから、専門病院ですが、これが東口委員が気にされているところだと思います。全ての体制をもう一度見直してほしいといったことで、現状での専門病院の中が非常にタテ割方式であまり緩和に関してはうまく動いてないということを言われているのだろうと思います。具体的なことについてはあまりここでは触れられておりません。
そして診療連携拠点病院、地域中核病院ということですが、盛んに理念としては、生命の維持から療養のハピネス(幸せ)ということに、具体的に診療の軸足を変えるべきであるというようなことが書いてあります。医療機関の役割として診療所のことが次の19ページあたりに、あるいはホスピス・緩和ケア施設のこと。それから、施設ではないですけれども、緩和ケアチームのことについて。これも診療報酬的なことで少し考慮すべきであろうと。ホスピスについても同様ですけれども、そんなことが提言されています。
あと、教育機関や教育のことですが、これも再三出てきております。緩和ケア研修会の必須化とか、大学の講座をつくるといったようなことであります。
最後の21ページの向かって左のカラムのほうですが、真ん中辺、上から8行目のところ、「全く指名を全うする」の「指名(正:使命)」が変換が間違っておりますので訂正していただきたいということですね。
大体以上で、主に教育を中心としたようなことが書いてありますが、あとは組織としてタテ割のところを直すという、そういうような御意見だと思います。
それでは、特になければ、丸口委員、お願いします。
○丸口委員 よろしくお願いします。私は問題点を3つ挙げました。先ほどから何回も出ている同じことの繰り返しになるかもわかりませんけれど、まず1点は、「がん治療病院の医師・看護師に緩和ケア病棟が後方病棟として認識されているようで、患者・家族への適切な情報提供がなされていない」ということで、以下、いろんなことを書いてありますけど、これは東京だけではなくて、あちこちから意見をもらった中でこういうことが現実に起こっているということがありました。
それから、2点目は、「治療病院でのがん治療からホスピス緩和ケア病棟への間をつなぐ仕組みがない」、先ほどから出ておりますけど、外来がなくて、依頼したい、相談したいといっても相談ができないといったことが出ておりました。相談支援センターでも依頼された患者、相談に来た患者が対象になっていて、患者・家族の相談に行った人はいいんですが、潜在的なニーズがなかなか見出せない。そちらのほうが問題ではないかと思います。そういうところの相談体制がないということです。
3番目に、先ほどから出ております「がん患者カウンセリング料が算定できるようになっておりますが、先ほど清水さんもおっしゃいましたけれど、医師とナースが同席するということは非常に難しい話で、全く有効に使えてないのではないかというふうなことが考えられます。
それに対して対応策としては、資料戻りますけれども、1.2.3.に対して、まず1つ目は、「緩和ケアチーム、相談支援センター以外の、患者・家族の潜在的なニーズに対応できる相談体制をつくる必要があるということで、これはナースが患者・家族のニーズの問題点に相談できる体制づくりをしていく必要があるということ。それに対してコスト算定ができるように考えていくということ。
2番目は、緩和ケア病棟の絶対数が少ないということで、「緩和ケア病棟を増やす」策を何らかの形で考えていかなくてはいけないのではないかと思います。地域の医療機関との連携をとって緩和ケア病棟の設置の検討を行う必要があると考えます。
それらを含めて、【次期がん対策推進計画に盛り込むべき事項】としては、25ページに挙げましたけれど、まずは「●患者・家族の潜在的なニーズ(問題)に対応できる相談支援体制をつくる」ということで、これはナースが中心になって相談を行う体制づくりをするということが1つ。
そして2番目には、コスト算定ということが大きいと思いますので、これは新たな算定方法ができればもっといいと思うんですが、現実的に考えるときに、「がん患者カウンセリング料」の要件を拡大し、看護師が患者・家族の相談を受けた場合に、例えば入院・外来共に月1回500点を算定できるようにするということも検討していいのかなと思います。
「要件の拡大」としては、下に書いておりますけれど、「医師が同席しなくてもいい」といったことが考えられるかと思います。
3番目は、26ページですが、「緩和ケア病棟の増床(増設)」ということですけど、「施設基準の見直し」、具体的には考えられなかったのですが、例えばハードかソフトか、例えば個室料についても、半分だけということではなくて、全室個室であれば、例えば2,000円でも3,000円でも取れるようにするとか、あるいは緩和ケア病棟入院基本料をもう少し上げるとか、施設基準の中に要らないものと言ってはおかしいんですけど、どうしても設置しなければいけないとは思えないような、例えば台所だとかそんなのはなくてもいいのではないかと思うんですけど、そういうあたりのものを少し見直して、でも質を落とすわけにはいかないと思いますが、何らかの形で増やすということを考えていく必要があると思います。
これは先ほど言いましたように、地域の医療機関との連携の下に運用できるような基準を設けることが必要かと考えます。
以上です。
○江口委員長 ありがとうございます。緩和ケア病床の増床ですけれど、これは絶対数が少ないと書いてありますけど、大体どういうことが満たされればいいと考えますか。
○丸口委員 多分絶対数は少ない。今でも4,000床ちょっとぐらいです。数として200施設ぐらいですから、まだまだ、東京都内ですと結構ありますけど、地方に行くとほとんどないところもありますし、例えば先ほど外来の話がありましたけれど、治療を受けている患者さんが併診して緩和ケア病棟の外来に行って、緩和ケア病棟とのつながりをつけていくとか、そういうことがどこでもできるほどにはまだまだないと思いますので、どこまで数が増えればいいかというのはわかりませんけれど、患者さんが住んでいる地域に、近くに通える範囲に1つぐらいが最大目標にあればいいかと思います。数としてはほど遠いとは思いますけれど。
○江口委員長 さっきの専門看護師さんの資格の数とか、そういうのと同じように、地域で必要とされる人数というのは違ってくるし、それは病床に関してもそうだろうと思うんですけど、だから、これは一律に何千床だから足りないとかという話ではなくて、恐らくその地域でどういうところまでが許容範囲なのかといったことも含めて考えていかないといけないのではないかと思うんですけど、どうですか、その辺。
○丸口委員 そうだと思います。それと、あとは亡くなる患者さんが34万から35万人いらっしゃる中で、7.5%ぐらいの人しか緩和ケア病棟で亡くなってないということを考えると、現実的にはまだまだ、どこまで増やしたらいいのかわかりませんけど、足りないとは思います。
○川越参考人 今、江口先生がコメントされたことは非常に大事なことだと思います。緩和ケア病棟、幾つ病床を目的とするかということも確かに議論として大事だと思うんですけれども、今の時代に要求されていることは、いわゆる早期からということとちょっと離れちゃうんですけれども、一番後ろのほうになっちゃいますので、最終的な人生の最後を終える場所をどういうぐあいにするか、そういう計画を立てなければいけないと思うんですね。というのは、緩和ケア病棟が数足りないといったから、増やせ増やせと言ったら、そういう議論よりも、今、江口先生おっしゃったように、適正配置がどうあるべきかというようなことで、これは緩和ケア病棟だけでなくて緩和ケアを担う、例えば我々のような診療所も含めて、そういう適正配置がどうあるべきかということを考えていかなければいけないということが第1点だと思います。
それから、もう一つは、緩和ケア病棟は入ると、かつの特養みたいな状況になっておりますので、在院日数今短くなっていますけれども、回転がよくできるような仕組みを考えなければいけない、そうい時代に私はなっているのではないか。それはもちろん緩和ケア病棟だけで問題を解決しようということは前提にしてないわけでございますけれども、そういう議論をしなければいけないと思います。
○丸口委員 川越先生がおっしゃるとおりだと思うんです。緩和ケア病棟のほうも見直していかなければいけないことがあって、入院したら最期まで退院しないということではなくて、地域との連携の中で、緩和ケア病棟をどういうふうに有効に使っていくかということも考えていかなければいけないと思いますし、でも現実的には入院できない、どこにも引き取り手がない患者さんもいらっしゃるということもありますので、そういう患者さんの受け皿ということも考えて、患者さんがどういうところで過ごすのが一番いいのかということも考えた上での緩和ケア病棟の役割だったり、数だったりということかと思います。
○前川委員 今のお話をお聞きして、川越先生のおっしゃることもよくわかるのですけれども、一般病棟で行くところがなくなって、さあ、地域に帰りなさいと言ったときに、緩和ケア病棟というのはある意味必要だと思います。2次医療圏でベッド数が決まっていて、それ以上オーバーすると、ベッド増やせないということで、緩和ケア病棟をつくりたくてもつくれない病院とか地域がたくさんあります。特例病床とるには非常に難しいということがありまして、そのあたりも何か考えていただきたいなと思っています。緩和ケア病棟、もう少し患者の立場からはあってもいいと私は考えております。
○清水参考人 地域医療連携の仕事をさせていただいていますと、患者さん方が本当にターミナルに近くになったときにとても恐れることは症状のことと動けなくなったときにどうしたらいいだろうかということを心配なさるように思うんですけれども、緩和ケア病棟をお使いいただいたほうが、それは症状的にいいのではないかなといったケースもあるし、一方で、介護力がなくて、御自宅で過ごすことも難しい。介護力さえあれば、御自宅で過ごすことができるけれども、それも難しい、不安というようなケースもあるかと思うんですね。地域の中で、一部小規模多機能の福祉施設が、小規模多機能ですと、訪問診療も訪問看護も別口で入れますので、そこに緩和に強い先生が入ってくださって療養を支えるというようなケースも少し出てきています。そういった地域の資源をどのように用意したら安心して療養していただけるのかというのは、もしかしたら医療の枠組みだけではなくて、福祉も関係してくださると選択肢が少し広がる部分もあるのかなといった意見を持ちますということと、あとは、これは突拍子もない話かもしれないですが、訪問診療が定期的に入ってくださるのであれば、ナーシングホームみたいのでも十分対応できる部分があったりしますよねというようなことをお話が出るときもあります。
連携をしていて、そのようなことがありますので、済みません、発言させていただきました。
○江口委員長 これはどうですか、志真委員のところなどは、筑波の地域のところでは、今みたいな御意見に関して何かありますか。
○志真委員 前回の専門委員会でかなりそこら辺のところ論議されたと思うんですけれども、地域の中でがんの患者さんが療養できる場所、看取る場所ももっと多様化していかないと対応できないというのは明らかです。ですからその中で、今、言われたような介護施設も含めて、小規模多機能も含めて、そこに今度はどう緩和ケアを提供していくのかという仕組みづくりを多分しなければいけないのだろうと思います。
これは我々が考えることではなくて厚労省が考えることなのかもしれませんけれども、政策的にそういう療養の場所、看取りの場所をどういった形で地域に配置していくのかということを考える必要性があると思います。
数字的なことで簡単に参考で言いますと、イギリスでは、ユナイテッドキングダムということで、アイルランドとスコットランド全部入れますと、大体ホスピスで17.5%、日本では7.5%というような数字になっています。私は日本が目指すべきは17.5%まではなかなか難しいでしょうから、どの地域でも10%から15%ぐらいの人たちが緩和ケア病棟を利用できて、最後過ごせるというあたりが現実的な線ではないかなというふうに思っています。
○江口委員長 それは裏づけというか、一般市民の方の考え方とか、患者さん、御家族の方の希望というか、要望というか、そんなような具体的なあれは出ますか。
○志真委員 そういうデータがないんですよね。国際的に比較しようにも、そういう日本にデータがないので、国際的にもまだ十分データがあるわけではないので、多分一般の人、病気じゃない方を世論調査でやると、緩和ケア病棟を利用したいというのが、最後のところは60%ぐらいになるんですね。ですから60%の人が緩和ケア病棟を利用できるか。それだけの数を揃えなければいけないか、これも短絡した議論かと思うんですよね。ですから多様化していく中で、質の高い緩和ケアをそれぞれの方が必要な場所に提供していくという考え方のほうが私は現実的ではないかと思っています。
○江口委員長 私は地域背景とか、そういうものがかなりあるし、その中でどういうような施設とか、どういうような場所だったら、一般の人、患者・家族が好むかというのは地域差とかそういうのがあると思うんですね。だから最低限のところでどれだけ揃えなければいけないか、そんなような議論になるのかと思いますけど。
あと、ホスピスの施設基準の見直しというのは、これは今まではやられていますよね。
○志真委員 2008年に。
○江口委員長 2008年。これは定期的に行われるものなんですか。
○志真委員 いや、2008年に行われたのは多分4年ぶりだと思います。2010年には、特に見直しはされてなかったですね。
○がん対策推進室長 してないです。
○江口委員長 これも動機づけがあってする、あるいは定期的に見直しするということなんですか。
○がん対策推進室長 多分この施設基準は、診療報酬における施設基準ということになりますので、定期的にというよりも、指摘等があって、見直しを行うというほうが多いと思われます。実際はどうなっているかというと、担当課でないのでわかりませんけど、一般的にはそうだと思います。
○江口委員長 よろしいですね。
それでは、次、余宮委員、お願いします。
○余宮委員 資料の27ページからです。私は早期からの患者の苦痛の把握とがんとか緩和ケアについての義務教育の導入について、さらにがん治療医の教育と3点挙げさせていただきました。
「早期からの患者の苦痛の把握と緩和ケア実施計画について」と書きましたが、実施計画というよりは、早期からの患者の苦痛の把握というところに実は力点があります。早期からの緩和ケアということで、緩和ケアチームが整備されていますけれども、本当につらい患者さんが適切に緩和ケアチームを受診できているかというとなかなかそういった現実にはなっていない。それにはがん治療医側の理由や患者さん側の理由、あとは緩和ケアチーム側の理由などさまざまありますけれども、今、ここで強調したいのは、医療者が患者さんの苦痛や希望についてきちんと把握をしていないという事実について何か対策を練られないかということです。
前川委員からも、患者さんの苦しい思いというのは医療者に届いていないといった発言もありましたし、大西委員からも、医療者が精神症状に気づいていないところに大きな問題があるという指摘もありました。また、患者さん側も遠慮があったり、心の準備がなく余裕もなくて、なかなか自分のつらいことや希望を治療医に伝えられない。また知識も不足しているので、十分表現ができていないということが挙げられると思います。
それに対しての【対応策】ですが、入院患者さんについて書いているのですが、志真委員の意見を見せてもらいまして、是非外来でも同じことをやりたいと考えております。患者さんの苦痛、痛みや生活のしやすさの質問表に含まれているような心理・社会的なものも含めてできればいいと思いますけれど、定期的に苦痛の評価を行うべきではないかと思います。これは私は入院時と入院中、例えば2週間に1回とか、外来なら1か月に1回、2か月に1回とか、一定期間ごとにできれば看護師がチェックするような形でしていただいて、外来であれば、がん治療医が目に触れるような形にするとか、先ほど清水参考人から出たがん看護相談外来につながるような形にしていく。治療医のほうで適切だと思われれば、緩和ケアのほうの外来につながるでしょうし、入院の場合でしたら、患者さん看護師がチェックしたものががん治療医の目に触れる形にする。定期的に緩和ケアチームがそれをチェックするといった、そういうシステムづくりが必要だと思います。
そうすることで、せっかく今まで設置されていた緩和ケアへの依頼の時期もより早期になることが期待されますし、患者さんも定期的にチェックをするという機能の中で、苦痛を医療者に表現しやすい環境が整備できるのではないかと思います。ここでもがん治療医の時間の限界等もありますので、先ほど前川委員も言われた、看護師の職能は非常に高いのですけれども、患者さんのケアに十分活かしきれていないという非常にもったいない状況になっています。ナースの出番が何でないのだろうというところで、看護相談外来の設置と併せて看護師などによる患者さんの苦痛の定期的なチェックを是非進めていけたらいいなと考えています。
2番目ですが、これは実は後のほうに出てくる中川委員もほとんど同様のことを意見を出されています。今やがんは国民病ですけれども、「がんについての教育が初等教育」や義務教育で全くなされていないです。昔であれば、おじいちゃん、おばあちゃんが、畳の上で亡くなるということがあったのですけれども、今は核家族化など、また病院療養の多さも死や病気に対する経験や体験の不十分さにつながっていると思います。ほかの委員からも患者向けのパンフレットが患者さんに配布するのがいいのではないかということで、国立がんセンターのホームページなどで、パンフレットがダウンロードをできるようになっております。内容はとてもいいと思うんですけれども、現場では患者さんが治療中なので痛みの治療はまだ早いとか、緩和ケアはまだ早いというふうに思うために、なかなか患者さんが手にとらない。渡されても読まないとか、効果的に使用されるのに至っていないということがあると思います。
先ほど参考人のほうから、奈良で早期から緩和ケアやホスピスを紹介するといいという話を聞きましたけれども、現状では鎮痛薬とか緩和ケアに世話になるようになったら終わりだというふうに患者さんが考えていたりとか、痛みを医師に伝えると、抗がん剤治療をやめられてしまうのではないかというおそれを抱きやすかったり、なかなか患者さんも痛みとか苦痛を訴えにくい状況になっているのかと思います。いろいろ整備はされていても、患者さんが緩和ケア外来の紹介状まできちんともらっているのに、緩和ケアを受診したら、もう終わりなんじゃないかということを、知識については説明されてあるのだけれども、自分に烙印を押してしまうような気がして、どうしても受診できなかった。あまりの激痛に耐えかねて受診しましたというようなことが最近もありました。患者さんはがんと言われて、心の余裕がなくて、がんで療養するということのイメージもわきづらく、初等教育のころから「がんとは」とか、がんになって痛みが出ても、早期から痛みの治療をしながら治療を進められるとか、苦痛が出ても、早期から緩和ケアを受けることで自分らしい生活を送ることができるとか、がんで死ぬことがあっても、緩和ケアを受けることで苦痛がやわらいで過ごせるといったようなことを、がんになる前から国民が常識として知っているということは非常に大きな効果を生むのではないかと思うんですね。これががんになったときの心の準備というふうになる効果は無視できないと思います。もちろん、これが将来の来るべき医療者の教育にもなるということで、具体的に、どのようにするのかということで考えたことは、冊子(教科書)をつくって、教材のDVDと、教師用の手引き書などを作成して、それを義務教育の中に入れていくのはどうでしょうかということを考えました。志真委員からも、先ほど、がんになってからだと緩和ケアに対するイメージが皆さん暗いものがあって、頭ではわかっていても心がついていかないということがあると思います。それから、最後に「がん治療医への教育」です。がん治療医が患者さんの苦痛をまず把握するところから、緩和ケアチームへのコンサルトをしていきますので、がん治療医の緩和ケア研修会の受講数のアップということが大切な課題にずっとなってきているわけです。全てのがん治療医が医師のための緩和ケア研修会を修了することとなっていますけれども、現実的にはまだそれがほど遠い。受講の機会がないからというより、忙しさもあるのでしょうけれども、将来的に受けるつもりがあるのだろうかというような、先生方もいらっしゃるかもしれないと思います。厚労省が打ち出している全てのがん治療医が受講するということをもう少し国として推進していくために、何か新しい手だてを盛り込む必要があるのではないかと思います。そこで、1つ提案なのですが、各拠点病院による「がんを診療する常勤医師」数に対する研修会修了者数の割合の報告を、毎年報告を義務づけられていると思いますけれども、報告義務を義務づけて公開すべきであると思います。
こうしますと、忙しくて受講できなかった先生などが多くいらっしゃいますが、病院全体で受講生を、忙しくても支援するような代診の手配などを協力的にするような、研修を受講するための支援体制も整っていくのではないかと思います。そこに施設長や「レジデントの必修化」と書きましたけれども、基本的には100%の受講修了を目指すということで、こういう提案をさせていただきます。
まとめますと、?入院時だけではなくて、外来から定期的な看護師による痛みなどの苦痛の評価と医師による、それに対する対応を事業化すること。?がん緩和ケアの初等教育の実施。?がん治療医のがん緩和ケア研修会修了者の割合の報告の義務化と公開の実施。
以上、提案させていただきます。
○江口委員長 ありがとうございます。幾つか今日のディスカッションの中でも出てきたことも含まれていると思いますけど、症状のスクリーニングのツールを看護師などが中心的になって行うといったこと。実施計画、外来の充実といったようなこと。あとは教育のことでいろんな仕掛けをつくろうということですけど、よろしいですか。
それでは、川越参考人のほうから。
○川越参考人 私は30ページから31ページについて書いて、問題点として挙げたのは3つありまして、「治療の早期段階からの緩和ケア」という言葉の意味といいますか、これがちょっと混乱して十分共通の土俵で語られていないのではないかということを挙げております。 それから、全人的な苦悩、いわゆるトータル・サファリングという意味が十分理解されてないのではないかという問題。そして3つ目に併診の問題を掲げております。
これは先ほど来から議論されていて、私、これ以上、つけ加えることはあまりないので、1つだけ、ここに書いてないことで、先ほどから議論になっていることでちょっと言いたかったのですけど、言えなかったことを言わせていただきたいと思います。かなり言ったのですけれど、最終的な療養場所といいますか、療養というのは、これは患者さんも考えたくないし、日本のがん対策というと、どうやって死なないか、予防するかということで進んで、私は絶対間違いではないと思いますけれども、現実に3人に1人の方が亡くなっているということは無視できない。それをどうするかという問題を基本的に計画として整理しなければいけないのではないかと思っております。
国は在宅推進を行ってきているわけですけれども、現実には非常に在宅はやりにくい時代になってきていると。独居の方が御承知のように世帯で一番多いとか、これは先ほどの何先生だったか、挙げていらっしゃいましたけれども、頼みとしている開業医の9割以上はこういう在宅の緩和医療にはかかわりたくないとはっきり言っております。これは墨田区でも同じデータがありますが、そういう中で在宅を今のままで進めていいのかということが1つ大きな問題でございます。
それから、これは志真委員がおっしゃっていたサービス提供の多様化ということで、いろんなところが考えられると思います。委員会の対策推進協議会の中で1つ挙がっているので、例えば療養病床をこういうのに受け皿として使えるのではないかというような議論も実はありますが、私、現実的には今のままでは到底福祉施設をこういうものに使うのは無理だと思いますので、もしそれを使うとしたら、そういう体制づくりを整えていかなければいけないというようなことを思っております。
それから、PCUの問題ですけれども、これは先ほど申しましたように、幾つか問題がございます。先ほど言った2つは省略して、現場でどういうことが起きているかというと、私が病院長になってつくった賛育会病院の緩和ケア病棟22床があるんですけれども、それは十分稼働してないんですね。つまり看護師さんがいないことが一番大きな理由なんですけれども、ベッドだけ増やす。だけど、実際はそこで働き手がいないということが現実に起きてきている。そういうことも含めて総合的な対策をしていかなければいけない。
緩和ケア、特に最初でなくて最後のところを「緩和ケア」という皮肉な表現ですけれども、そこのところは避けて通れない問題として、そこに対して総合的に、かつ基本的に目標を立てていかなければいけないというぐあいに考えております。
以上です。
○江口委員長 よろしいですか、コメント、特に。
それでは、次、順番では中川参考人なんですけど、松月参考人から先にお願いいたします。
○松月参考人 それでは、35ページをおめくりください。私が問題として考えておりますところは、大体今まで議論されたところが大筋でございます。その中で一番重要だと思うのは、治療が終わった経過観察の時期です。この時期が私は一番、がんを慢性疾患として考えれば一番重要な時期だと思います。この時期は、再発するかもしれない、またはしないかもしれないという時期ですので、この時期の集中的な患者・家族の教育の仕組みが、私は緩和ケアの概念、正しい緩和ケアの概念であるとか、痛みのとり方はこんなのがあるとか、万が一、あなたが今度痛みがあってもこういう方法があるのだというのは、この時期に集中的に行うのは、何も専門医とか専門職がいちいちマンツーマンでやらなくても、例えばWeb上でやるとか、e-learningでやるとかという仕組みを私は相当使えるのではないかと思います。特に若くしてがんになられた方には、そういう方法をきめ細かくつくれば、それぞれのがん看護学会もそうですし、精神科の医師の団体でもそんなに難しくないのではないかと思っているところが1つのところです。
35ページの最後のほうに細かい字で書いてありますが、「空白の時間」と呼ばれる時間をもうちょっと大事に使えば、在宅で自分は死にたいのか、そのための環境は整っているのかというようなことも含めて、そういうことを促すプログラムをここでつくったらどうかと思っております。それと、ケアがみんなぶつぶつ切れちゃって、患者さんがそこに行かないと何も相談も聞いてもらえないしという仕組みではなくて、がん登録との関連も出てくるかもしれませんが、ただ単に、天気がどうなったかということをとるのではなくて、その方が生きているときのサポートの仕組みとして、それをPRして、登録制を活性化させれば、どこにいても、あなたは今、どこで、どんな治療をしていますか、こんなサービスが受けられますよといった全体的な仕組みを患者さんの目線で、患者さんのプロセスに合せて「緩和ケア」という概念は発生してから亡くなるまでと考える仕掛けを考えたらどうかと思っているところが、今までの追加意見のところです。
それと、先ほど今までの議論をお伺いしていて、90%の開業医はやりたくないのだと言っていらっしゃるということであると、ここは緩和ケアであるとか、緩和ケア又はナースであるとか、そういう人たち又は緩和ケアチームが在宅に出て行って、その方たちも巻き込んだ活動が始まらないと、いつまでたっても緩和ケア病棟は足りないしということになるのではないかと思っております。
それと、私も以前の病院にいましたときに、そんなの僕の病院では引き受けたくない、と言われた医師を、あまりお年を取った方は無理だったのですが、若い年齢の方ですと、そこに働きかけますと、わかった、僕もちょっとやってみるよ、と言ってくださる方もいらっしゃったので、そこへの教育や働きかけも必要なのかなと思っております。
以上です。
○江口委員長 ありがとうございます。よろしいですか、コメントは。
それでは、中川参考人の御意見ですが、ちょっと戻りまして、32ページのところです。ここでもいろんな委員から意見が今日出た「症状チェックシート」というようなことで、スクリーニングがかなり今お粗末だよということでしょう。「5つ目のバイタルサイン」と。バイタルサインというのは看護師さんが、入院されていれば毎日1日3回とかとるものですけれども、5つ目に加えて、こういうものをとったらどうかということですね。もう一つは、ソーシャルワーカーを緩和ケアに全面的に参加させること。一番下にはクリニカルパスのことがちょっと書いてありますね。この場合には、今日の討議に出てきたクリニカルパスと意味合いが少し違うことですね。疼痛の当初の医療麻薬なんかの使い方のときにパスを導入したらどうか。チームで役割分担するといったことですか。
それから、33ページでは、緩和ケアチームの質的評価の尺度をつくって、そういうもので更に上の緩和ケアチームの活動を目指す。あるいは保証するといったことだと思います。
あとは教育のことですが、「がんプロ」がおありになりますけれども、続けて「第2期がんプロ」をスタートさせてはどうかといった意見。
34ページには、中川委員がふだんから実践もしておられますけれども、義務教育段階でのがん教育ということをもっと強力に推したらどうか、そのような御意見だったと思います。
今まで、今日はヒアリングの2名の参考人の方のお話もありましたけれども、かなりいろいろな意味で、治療の初期段階からの緩和ケア、問題点、ヒント、今後の方策がある程度この委員会の中で共通の認識も得られたのではないかと思います。それを総合討論で少し確認しておきたいと思うんですが、1つは、最初に言われていました初期段階からの初期というのは、どういう認識かというところなんですけれども、何か御意見ありますか。
○余宮委員 いいえ。
○江口委員長 いいですか。治療が始まるということ、あるいは「がん」という診断がついたというところからということで。
○大西委員 疑いがいいのではないか。
○江口委員長 疑いから。
○大西委員 私のところはそれでいきますから、併診が。
○江口委員長 これはどうですか。
○川越参考人 私は、同じようなことを書いたんですけれども、医療というのはそもそも緩和医療としても人類の歴史の中でスタートしているわけで、実はがんだけが初期でいくというわけ、これは考え方としてはおかしな話ですので、その辺のところも含めて定義をもう一度見直さなければいけない。今の問題に関して言ったら、本当にがんが診断されたというか、実はその前に不安になるわけですから、そこのケアも必要といえば必要なんですけれども、それは一時的なものですからいいのではないか。だから言葉としてはこのままでいいと思います。
○江口委員長 一応の合意としては診断された時期とか、そういうところで始まるといったことですね。それから、必ずしも身体症状だけではなくて、精神的、社会的な問題も含めてといったことですか。これは清水参考人の資料の中の一連のチャート、これは割合イメージとしてわかりやすいと思うんですけれども、こういうようなことで、ですから治療が終わって経過観察の時期も非常に重要な、取り組まなければいけないテーマであるというところだと思います。
それで、実際にそういうところの認識から始まって、1つは今日の4回目でいろんな意見が出たのですけれども、緩和ケア外来のあり方と院内の緩和ケアチームのあり方、その辺ではいかがですか。緩和ケア外来を充実させなければいけないというのはかなり要望が多いと思うんですけれども、それが今は恐らくほとんど実際に、いわゆる外来という我々が医療者がイメージしているような、毎日開いていると。場合によっては朝から晩まで開いているというような、そういうような外来のイメージでは全くないということだと思うんですけれども、これに関して、充実させるということで言うと、今日の議論を踏まえてどういうところをポイントにしたらいいと思われますか。
○川越参考人 これを充実させるということで、本当にそのままでいいのかなということはちょっと疑問に思います。それは志真先生の資料の中にもありましたように、どの人に一番相談したいかというと「身近な医療者」ということですので、例えば緩和ケアチームがなかなか機能してないということが1つ大きな問題になっていると同じようなことにならなければいいかなということを危惧いたします。つまり治療を専門にしている先生が、緩和ケアを踏み込んでやっていただくということで、緩和ケアの専門家が外来を持つというのをどういう形態にするかということは難しい問題です。別個にしてしまったら多分患者さんは受けないと思うんですよね。ですから私の結論としては、これがうまくいっている先行事例があるはずですから、そこをしっかりまず見させていただいて、そういう形で進むと。ただ緩和ケア外来をつくればいいのではないかと、そういうあまりイージーな方向は私は反対です。
○江口委員長 これは恐らく「緩和ケア外来」という言葉で、みんな考えていることが違うんですよね。今日の田村参考人のお話だと、恐らくふだんからペアになって組んでいる併診先のところが、緩和ケアも含めたその患者さんの療養を支援するといったことがあると思うんですけど、どうぞ。
○丸口委員 緩和ケア病棟でも外来が要らないとか、外来がないという理由がよくわからないのですけど、長期入院、入院の窓口はあるんですけど、外来がないというのは、1回入院されたら、ずっと入院していればいいという長期入院型のところがそうなのかなと思うんですけど、当然退院されれば外来に来られるとは思うんですけど、ない理由は何かあるのでしょうか。
○志真委員 決められてないからでしょう。
○丸口委員 やらなくていい。
○志真委員 病棟には別に外来をつくらなければいけないという決めはないので、やってもやらなくてもいいんですけど、実際上、入院患者さんを外から受けるためにはそういう受け口がどうしても必要なので、最低限相談の受け口は自主的につくっているわけですよね。だけど、ずっと今言ったように、一遍退院した人をフォローしなくちゃいけないとか、外来通院の体制を保証するとかということについては緩和ケア病棟は決めがないので、それは各施設の自主性に任されていると。
それから、外来についていえば、既に緩和ケアチームの施設基準の中に定められているんですね。診療拠点病院の整備に関する指針の中で、外来において専門的な緩和ケアを提供できる体制を整備することというのが拠点病院の条件になっているんです。だけど、実際にはどうやって整備すればいいのかということについては、緩和ケア診療加算の基準の中で、緩和ケアチームにかかる業務に専従する医師であっても、専門的な緩和ケアに関する外来診療を目的に連携している保健医療機関からの専門的緩和ケアを要する紹介患者を外来で診察することについては差し支えないものとする。ただし所定労働時間の2分の1であることという決めがあるんです。
川越先生が言われたことが、専門的な緩和ケアの外来はなくてもいいということであれば、それは違うと、こういうふうに定められているので、これは整備しなくちゃいけない。ただし、かなり及び腰なわけですよね。緩和ケアを専門にしている医師でも、自分の労働時間の半分を超えて外来をやってはいけないと決められているわけですね。だから、そういう意味では、専門的な外来をどう整備するのかという問題と、それから言われたように、一般的にどの外来であっても緩和ケアについての機能を持つ。それは忙しい外来診療の間で、がんの治療をしている医師が一人ひとりの患者さんに緩和ケアの情報を提供するなんていうことはできないということはわかっているわけです。それは聞き取り調査でもわかっているんです。そんなのは無理だと。だとしたら外来で看護師が中心になって情報提供ができるような仕組みが必要じゃないか。これは外来機能における緩和ケアの機能の充実ということだと思うんですね。それと専門外来の充実ということは分けて考えないといけないのではないかと私は思うんですけど。
○江口委員長 大分認識が交差していますよね。1つは、例えばPCU、拠点病院でがん緩和ケア病棟のあるところでの緩和ケア外来というのは、今はどうなっているのかということと、それは実際にそれを広げようとしてもいろんな意味での今の仕切りがあるわけですよね。だから、それと実際はスタッフ自体もなかなか回っていかないですよね。緩和ケアチームやなんかやっていて、なおかつ外来もやるということでは、時間的にももちろんできない。マンパワーなどでもできないことがあるから、そういうような意味での外からのコンサルテーションも受けたり、専門的な緩和ケア外来をやっていくことに関して1つ問題があると。仕組みを少し変えなければいけないことがあると。
それから、もっとそれよりも一般的な意味で、治療に伴ういろいろなことを相談するということに関しての外来機能であれば、これは例えば専門看護師みたいな人たちがそれなりのトレーニングを受けて、そういう機能を果たすということは新たな仕組みとしてつくるということになると思うんですけど。
○川越参考人 私ばかりしゃべって恐縮なんですけど、PCUにおける緩和ケア外来ということについて絞ってお話したいと思います。確かにPCUの患者さんで外来を管理するという方はどうしてもターミナルということになりますので、そういう外来管理が本当にいいのかということは1つ議論しておかなければいけない点だろうと思います。つまり外来管理はあくまで外来医療ですから、患者さんの生活の場で診ているわけではないので、もし本当に患者さんの目線に立ってこの問題を考えたときは、緩和ケア病棟で全て解決するということではなくて、在宅の医療機関と連携しながら、つまり在宅医療を提供しながら、必要になったら入院するという連携をとって、そういうことの評価のほうがむしろ大事ではないかということを思っております。
○志真委員 それについては、2008年の施設基準で既に定められておりまして、地域との連携を重視したそういう仕組みを持てと施設基準の中に入っているんですね。だけど、外来についての決めがないので、各緩和ケア病棟としては、どうやって、どういう方法で地域と連携すればいいのかということになっているわけですね。ですから外来を設けなくてもいいわけなので、外来を設けずに地域の医療機関とどうやって連携するのかと。そういう点についていえば、もしそこまで書き込むのだったら、ちゃんと緩和ケア病棟も専門の外来を持ちなさいと書けば、そういう連携の仕方も出てくるわけです。今はただ病棟で地域の連携をしなさいという施設基準しかないんです。
○川越参考人 まだ議論する必要があると思います。
○江口委員長 前川委員。
○前川委員 私の知っている緩和ケア病棟は、緩和ケア外来があって、地域との連携もしていて、別の病院から紹介状もなく、結構自由に外来受診ができ、そこでセカンドオピニオンも週1回やっています。だからそういう姿が本当の「がんになったときからの緩和ケア」というのだなと思って見ています。先ほど成功事例というか、そういうところがありますので、参考にしていただければなと思います。
○江口委員長 よろしいですか。今のところだから、拠点病院とかPCUを持った病院とか、あるいはホスピスとかというところの外来のことですけれど、先ほど来、出ている一般病院の中にそういう外来機能をつくって、そして地元では患者さんがそちらに併診するといったことで療養を勧める。そういうことに関してはどうですか。
○志真委員 一般病院の窓口として緩和ケアの専門外来をつくって、そして例えばがんセンターから受けて、その患者さんがぐあいが悪くなったら国立がんセンターは必ず引き受けてくれるのかと。一般病院に入院しろと言ったらだれが診るのかということになりますよね。だから、それはそういうことが一般の病院で緩和ケア病棟がないところで緩和ケアの外来をつくったときには必ず生じるわけです。だから緩和ケア病棟を持っている病院であれば、緩和ケアの専門外来つくっても機能はしますよね。ぐあいが悪くなったら緩和ケア病棟で引き受けましょうということになるのですが、もし緩和ケア病棟がない病院で緩和ケアの専門外来をつくったら、そこでぐあいが悪くなった人はだれが対応するのかということになるわけですね。
ですから緩和ケアの専門外来ということと、さっきから言っていますけど、緩和ケアの専門外来をつくるのであれば、当然そこでぐあいが悪くなった人をどう対応するかというシステムを含めて考えなくちゃいけない。でも外来機能の中で緩和ケアの機能を強めましょうということであれば、それは専門的な緩和ケアの対応ではなくて、基本的な緩和ケアの対応なんですから、各診療科で、例えばスクリーニングは必ずするとか、外来化療室では必ず苦痛のスクリーニングをするとかというような形で患者さんに対応することは可能だと私は思います。
○江口委員長 そういう機能を一般病院でもできる。
○志真委員 できると思います。
○江口委員長 そうですね。それから、あくまでも1つの病院ということでなしに、それはある程度緩和の素養・技量を身につけたドクターとかナースでないといけないと思うんですけれども、その病院で、なおかつそれがまたコンサルテーションできるとか何とかという、そういう地域の中での連携はやるわけですよね。
○志真委員 やれるかもしれないですけれども。
○松月参考人 それは、以前、仕事をしていました病院では、先ほど志真先生が御指摘いただいた、例えば緩和ケア外来ではありませんが、狭い意味の緩和ケアの患者さんが、急に入院が必要になったような場合は、救急扱いということで、救急の中へ必ずリストをつくっておいて、この人が来たら必ず入院をさせてくださいというリストをつくっていたんですね。ですので、その方がいらっしゃったら、普通の救急の入院と同じように入院をさせていたんですね。ですので、必ずしも緩和ケア病棟がなければ患者さんが入院できないわけではなくて、もともとそういう呼吸困難であるとか、すごく痛みが強いとか症状があるわけですから、そういう扱いにすれば、別に入院はそんなに困らないと思います。
ただ、本当に緩和ケアの外来の機能をすごく高度なものにしてしまうと、なかなかこれは専門医が少ない段階においては難しいと思いますが、でも標準的な緩和ケアというかなりいろんなガイドラインとか、いろんなものが出ていますので、そういうものを学んだ医師が、緩和ケア外来をやっていいですよというような形にすれば、広く広がることは十分できると思います。必ず地域と連携をしないと外来機能は成り立たないんですね。ですので、それはそういうインセンティブが働くと私は思いますけれども。
○江口委員長 これに関してほかに何か。よろしいですか。今の議論にあったようなことを少し凝縮して。
○松月参考人 「緩和ケア外来」という言葉が本当に外来の名前としていいのかなんてちょっと思いました。患者さん・家族の方が思っているイメージが物すごく、あなたは最後ですみたいなイメージを持っていて、この間、患者さん・家族の方がアンケート調査の結果を私にはかなり衝撃で、「緩和ケア」という言葉を知らないとか、多くの方がそういうメッセージをくださっていたので、そんな形がいいのかなとちょっと思っています。中身の機能はいいと思いますが、見せ方として、「緩和ケア外来」というのが本当に患者さん来るのかなと思います。
○江口委員長 名称のことは考えなければいけないかもしれない。ちょっと蒸し返すようですけれど、看護師さんなどが外来機能を担うと。相談窓口みたいみたいな形の、それをもうちょっと発展させたような形になると思うんですけど、そういうことに関してはどうですか、実際の現場では。
○丸口委員 それはインセンティブが働けば可能だと思います。今はできないのは、そこが一番問題だと思うんです。できる人はかなりいると思いますので、そこさえ解決できれば可能だと思います。
○松月参考人 認定看護師や専門看護師が自分の活動を専門的に1年じゅう専任の活動はできなくても、彼女たちはケーススタディーは非常に熱心にやるんですね。そういうことに興味と関心を持つナースが非常に育つんですね。ですので、先ほど丸口委員が言われたように、そこにそれをどんどん進めるんだとか、そういうことさえ盛り込んでいただければ、看護師はもともとの母集団の数が多いので、広がるのはそれほど時間はかからないのではないかと思います。
○丸口委員 それから、病院の持ち出しになっていますけれど、そういうことをやっているところは今調べているところですけど、かなりあるんですね。だからそこにインセンティブつけていただければ、もっと活発にできると思います。
○江口委員長 外来としては標榜できないんですよね。
○がん対策推進室長 私の理解が悪いのか、具体的な業務がどういう形になって、それをほかの診療科がいう外来という形と同じような言い方になるのかということはあると思います。もう一つは、標榜については、たしか医療法だったか忘れましたけれども、法律上の標榜は規定されていますので、ですからそれはできませんが、いわゆる通称という形でいろんな名称を医療機関のほうがやっているというのはある。
○江口委員長 院内標榜で。
○がん対策推進室長 院内標榜で。
○川越参考人 今の問題、確かにトータルケアということの視点におきましては看護が非常に重要だということはわかるんですけれども、先ほどの病気といいますか、フェーズによって医者の話が非常に大事だというところがあるわけで、つまり治療の本当の早期は緩和ケア大事ですけれども、患者さんの一番のやってほしいことは治療をちゃんとやってほしい、治りたいということですので、医師の説明にかかわる時間が足りないのではないかという不満があるのではないかということをちょっと考えているんですよね。いわゆる斜めの線でいくと、医療が無力になってきたときに本当に、これは看護師が非常に大事な役割をすることになりますので、もしこの問題を考えるとき、あれもこれもと確かに看護師さんがいることは非常に大事だと思いますけれども、少しめり張りつけて考えなければいけない問題ではないかということを思っております。
○江口委員長 そうすると具体的にはどこら辺まで。
○川越参考人 具体的には治療初期には医者・治療医のコンサルテーションといいますか、相談料というのを、ごめんなさい、病院の診療報酬体系どうなっているかよく知らないので的外れになったら恐縮なんですけれども、治療医がそういう患者さんに対しての治療の計画とか何かというのを詳しく説明する。それから、外来に来て、まだ再発もしてないような段階では、医者がどういう治療を考えているかというようなことをじっくり時間をとって説明できる、相談に乗れる、そういうものが診療報酬上の加算に加味できるのではないかということを思っているわけです。
○志真委員 川越先生、1日に50人とか60人とか診ている。ほとんどみんなそうですよ、がんを扱っているお医者さんたちは。
○江口委員長 そうです。
○志真委員 そこに加算がついたとしても、その患者さんのために1時間割いたら、後の人のどうなるわけですか。だから、それはさっきから論議しているように、実際上、そういう診療システムをつくれないので、また患者さんたちも、もちろん医師からのきちんとした情報提供は求めていますよ。身近な医療者からきちんと説明してほしいというのは、それはそのとおりなんですけれども、だけど、現実問題として可能なのは、まずスクリーニングをして、どういうことで困っているのかというのがわかって、そしてその次に、どういうことで困っているのかというのがわかって対応できるのは、それは看護師さんたちだろうと。
看護師さんも、更にその中に専門とそうじゃない一般の方といるので、そういう中で更に困ったら専門の看護師さんに上げる。専門の看護師さんが、これはやっぱり緩和ケア専門のドクターにつないだほうがいいと判断すれば、専門の緩和ケアの外来につなぐというようなシステムが整備されないと、早期からの緩和ケアは難しいということなんです。
○川越参考人 ちょっと暑さのせいで考えが取り乱したところでして恐縮でした。私、申し上げたいのは、医者じゃないと答えられないという問題、結構求められることが多いと思いますので、そこに看護師さんが入るというのはもちろんすごくよろしいと思うんですけれども、例えば看護師さんのほうが時間をじっくり取って、トータルな悩みに答えることができるということであれば、それが一番いいと思いますけれども、そこに治療医との連携がしっかりいくような格好を考えていただきたい。これは制度的にどうこうするという問題ではないかもしれませんけれども。
○江口委員長 これは恐らく患者・家族が一番よく知っていて、ここは看護師さんに相談しようとか、思わず話しちゃったとかというのがあるし、あるいはここの内容について、主治医に聞かないと嫌だと。看護師さんの話は満足できないというような、その選択はかなりシビアにやっていると思うんですね。
○松月参考人 看護外来というのが各種いろんな領域で看護師の専門外来が、糖尿病とかがんとかいろんなのがあるんですけれども、非常に患者さんの満足度が高いのは、医師との連携が非常にいいからなんですね。ですので、どんな治療を受けているかとか、そういうことは非常に終わった後の連携が非常にいいカンファレンス、必ずチームカンファレンスをしているので、川越先生が御心配していただいているように、看護師の言うことと医師の言うことが違うとか、乖離しているとか、現実的にはあり得ませんし、患者さんがよく見ていらっしゃるので、その辺は御心配ないと思いますので、その辺は大丈夫だと思います。
○川越参考人 そうですか。
○江口委員長 逆にあり得る場合はそれは淘汰されていく。
○松月参考人 そうなんです。そういうところには来ないです。
○江口委員長 そういうところに寄りつかない。ただ、糖尿病教室なんかがあれだけ世間に広まっているのは、教える内容とか、それがある程度きっちりしていますよね。
○松月参考人 そうなんです。その具体的なプロトコルも一緒にナースも話し合いをしてつくっていますので、そういう意味ではもとになる基本的な治療方針であるとか、ベースになるものは情報共有されていますので、そこは。
○江口委員長 してないところも世間では多いわけですけど、でもそれはそういうことを前提にやると。あるいはそういうことを含めてやるという形に持っていかないと、もし新しい仕組みをつくったとしてもうまくいかないと思うんですね。だけど、ニーズとして、今、今日のお話やなんかを含めると、それこそ資格を持ってある程度場数も踏んでいる、キャラクターも非常にいい看護師さんで、患者さんの身になって考えるといったことがあれば、これはそういう人たちが相談に乗ってくれるということは物すごくメリットだと思うんですよ。
逆に主治医なんかに遠慮して言えないとか、説明受けたんだけど、やっぱりよくわからないとか、早すぎちゃってだめだったとかという人は山ほどいるんです。だからそういう意味では、窓口が別にできるというのはいいことなのではないか。ただし、それは連携がきっちりとれてないと、あるいは受ける内容をどういう形で受けるかということについての教育なり道筋ができてないといけないということだと思います。
そういうところが、ある程度、この委員会に共通のあれとすれば、形は変えるにせよ、そういう機能を考えなければいけないというような提言になると思うんですけれど。
○大西委員 一言いいですか。
○江口委員長 はい。
○大西委員 今日、この中に心理士がだれも来てないので、それを代弁してやるんですが、心理士もすごい高度なメンタルの力を持っているんですけど、その人たちの活躍の場がない。そこも外来の1つ機能に入れていただければいいかなと思うんですね。私も今心理士と診療していますけど、医者と心理士の発想は全く違います。情報共有しているからすごくいいんですが、ああそうなんだということがいっぱいあります。看護師の話も入れたりしてすごくよくなる、いいシステムだと思うので、そういうところも提言に少し盛り込んでいただければ。今まではここの中に出てこない。
○江口委員長 恐らく、例えば外来とか外来機能といった場合には、その中の一番の責任者はある程度一人になると思うんですね。一人というのは、そこの部門のブースでという意味では。だからチームとして動くというのはいいとは思うんですけれども、例えば仕組みをつくるとしたら、それこそかたい文章になっちゃいますから、臨床心理士を置くとかということになると、今度は臨床心理士でなければだめだとかという話が出てくるんですけど、その辺はどうですか。
○大西委員 数は山ほどいますけど、心理士は実は多いんです。
○江口委員長 今の時点ではナースですよね。
○松月参考人 私たち特定看護師の今議論をしておりますが、試行事業が始まっておりまして、一番感じるところは、私たち十分できるとは思っていましたが、実際責任を持って外来をやるということになると、その病気とは何も関係のない病気が、例えばたまたま発症すると、あなたに見てもらっていたせいで、私はこんな病気になっちゃったということを言われるんですね。もちろんその方は嫌なら、私の外来ではなく医師のほうにしますかと言うんですが、通ってはいらっしゃるんですが、そういうことを引き受けなければいけないんだということの責任の違いですね。だから自分が責任を持って看護師外来をやるということの責任というのはそういうことなんだということを今感じているというのがありますので、外来を背負っていくという覚悟はなかなか、それまでのトレーニングは、チームは幾らでも成り立つと思いますけれども、そこに大きな壁があるなというのを、今ナースたちは実感しているところです。江口先生が言われる意味は非常によくわかります。
○江口委員長 今日ソーシャルワーカーのことも出てきましたね。ソーシャルワーカーとか心理士とか、こういう方がチームとして参加するとか、当面前に出ている人をバックアップするとかということは当然やるべきだと思うんですけれど、プライマリーにどういう人が担当するかとか、どういう機能にするのかというところではある程度絞り込んだ形のあれがいいと思うんですね。
(健康局長退室)
○清水参考人 発言させていただいてもよろしいでしょうか。
○江口委員長 はい。
○清水参考人 今の「外来」という言葉で紛らわしくなった部分もあるかもしれないと思うんですけれども。本来、外来を運営するのは医師であって、医師が治療方針を説明するとか、そういったことがあるわけですよね。そこに付随して、その治療を受けるときに、どういった生活調整が必要なのか、どういった準備が必要なのか、そのあたりの支援をするというところが1つナースには大きな役割だろうと考えます。
更に、先ほど大西先生がおっしゃった心理的な問題のスクリーニングですとか、そういった部分を踏まえて心理士につなぐとか、精神科のほうにつなぐとか、そういったつなぎの役割も看護の大きな役割だろうということと、あと、最後に高齢者が増えていきますので、だんだん自分が外来に入るときに何を伝えれば医師とうまく治療上のやりとりができるのか。これは医師に話すべきことなのか、だれに話すべきことなのか、どういう聞き方をすればいいのか、そういうことの交通整理がだんだん難しくなってきていて、そこの部部分のサポートという意味でもナースの役割は大きいのかなと考えます。
○江口委員長 わかりました。緩和ケアチームのほうは話題が出なかったのですけれど、これに関して何か追加で。あと、人的なリソースのことから言うと、緩和ケアの外来と緩和ケアチームというのが同じ人がやるわけにはいかないわけですよね。
○余宮委員 やっていますが。
○江口委員長 やっていますけど、そこには無理がありますよね。
○大西委員 うちもやっています。
○江口委員長 だからやっているけど、無理はないんですか。
○余宮委員 今は、チームで身体の専従が2名いるのでよいですが、1名だときついですね。
○江口委員長 多くの拠点病院は1名ですから。
○余宮委員 かなりきついとは思います。
○江口委員長 実質できないということになるわけですよね。
○余宮委員 かなり努力が必要とはなります。
○江口委員長 その辺も、例えばこういうような専門委員会で何か方策としてどういうふうに考えていけばいいのかというところは一言言及しないと、やれやれと言って無責任だという話になりますよね。
○松月参考人 緩和ケアチームのチームメンバーのあり方だと思うんですが、私、以前、仕事をしていたところは専門の腫瘍の方はいらっしゃらなかったので、緩和ケアチームが、チームですごくいい結論を出していた。お互いにちょっと足りないところはあるんですけれども、そこで協議をしていい結論を出していたというのがありますので、もちろん理想的にはそういう理想的なチームがつくれることが一番いいと思うんですが、この緩和ケアチームという考え方を普及させるためには、そういう人がいなくても、一部欠けていたとしても、例えば一人しかいなかったら外来をやっていらっしゃるけれども、そこと常にアクセスがとれるようにするとか、例えば2つくらいの病院を専門の、例えば精神科の専門医とか、そういう方がカバーしてくださることでコンサルをするとかというような機能をも、十分緩和ケアチームという考え方というか、そういう概念は私はすごく進んだなという経験がありますので、2段階でもいいのかなと、専門医、準専門医と同じように、準緩和ケアチームと広く普及させるためには、そういう考え方があってもいいのかなと思っていますけれども。
○江口委員長 それはどうでしょうか。というか、サービスを受ける側のほうの人たちがそれで果たしてうまくいくかどうかということも考えないといけないですね。もう少し具体的に言うと、週のうち何曜日にしか来ないような人がね。
○松月参考人 そうではなくて、例えば緩和ケアチームで、チームで回っていて、いろんな情報を集めて、どういう治療プログラムにしようかとか、そういうことを考えるわけですよね。これは入院ということを考えてですか、それとも外来ということを考えて。
○江口委員長 緩和ケアチームで一応プライマリーには入院ですよね。
○松月参考人 入院ですよね。入院ということになりますと、専門の医師がいなくても、例えば、今いろんな形で遠隔医療という考え方があるわけですから、別にその方が一から十まで診察をしなくても、例えば電子カルテの情報を共有するだとか、そんなことは今随分進んでいるのではないかと思うんですけど、だめですか。
○江口委員長 病理診断とか、そういうやつは遠隔のでもいいんだけれども、この緩和ケアについては患者さんの体触ったり、話したりしないと。
○松月参考人 触って診察をなさった結果を専門医のアドバイスを受けるということは難しいですか。
○江口委員長 専門医の側から、いや、ここはこうですよというのが、それは患者さんの顔つき見たり、触った結果で顔しかめたりとか、そういうようなことの総合判断をしないと無理でしょう。
○志真委員 無理です。コンサルテーションの情報だけでは、私たちも実際的確な答えは返せないですし、見て初めて、そのドクターの評価が甘かったり、我々の考えとは違う評価をしてないということですから、遠隔はなかなか、例えば電話で我々も相談受けますけど、必ず見に行きます。相談受けたら、その患者さんについての状況はどうかということを見ないと、それはなかなか的確な判断はできないと私は思いますし、準緩和ケアチーム、緩和ケアチームということで言うと、現実にもうそうなっているんです。
○松月参考人 そうですね。
○志真委員 緩和ケア診療加算を取っている緩和ケアチームと、それは準とは言っていませんけど、緩和ケア診療加算を取ってない緩和ケアチームは分かれちゃっているんです。それで緩和ケア診療加算を取っていないチームはほとんど外科のドクターとか、内科の消化器のドクターとか、みんな兼業でやっているんですよね。
○江口委員長 だから、準と言っている意味はダブルでチームをつくってやるということでしょう。
○松月参考人 そうです。
○志真委員 ダブル。
○江口委員長 位の順、正式な順ではないんですよ。主治医と副主治医みたいに、主治医が都合悪いときは副主治医が診るとか、そういう意味での緩和ケアチームというのを。
○松月参考人 そうです。
○江口委員長 それはなかなか難しいので、それで、しかも何曜日に来る先生とか何とかでは、ちょっとそれは。
○大西委員 メンタルに関しても診察全く不可能です。我々聞いてみて、審査・診断面が全然違うことがある、考えていることと。メンタルに関しては全く表現ができないですから、皆様方、それはもう。
○松月参考人 例えば、でもそれは、一度も診察してない人は無理ですよね。
○大西委員 我々診てないで、例えば。
○松月参考人 診ている患者さん。例えば毎日いるわけではないと今おっしゃったので、それだったらということで。
○江口委員長 いろいろ議論あるんですけど、私の司会の不手際で、ここはホテルなので、時間が厳守ということです。
今日いろんな委員からの御意見もあったし、ある程度、共通認識は得たと思うんですけど、例えば外来1つについても、みんなの考えているイメージは、先ほどのお話のように、かなり食い違っている部分もあるということですが、幾つかの新しい提案はあるので、それをもとに、これ、議事録は起こせますか。
○がん対策推進室長 起こします。
○江口委員長 議事録を起こして、それを各委員にお配りして、それは19日の前にできますか。
○事務局 19日の前は無理です。
○江口委員長 わかりました。私のメモから起こしたものを、今日の出席の方々にお配りしますので、それでもう少し、ここはそういうことではなかったというようなことがあれば、つけ加えていただいて、私の備忘録にしたいと思います。十分議論は尽くさないところあるかもしれませんけれども、次の回については、今日いろんな教育のことが出てきましたけれども、そういうことについて、あるいは今日の話の続きとしてのちょっと残された幾つかの課題について討議をしたいと思います。
それから、参考人の招致がありましたですね。この次は、評価の件で、東北大学の宮下先生、それから、患者さんの代表ですね。原さん。
○事務局 今、調整中です。
○江口委員長 そのお二人をお招きするということにしてあります。7月19日も迫って大変なんですけれども、何せスケジュールが立て込んでいますので、よろしくお願いします。
今日はどうもありがとうございました。では事務局のほうにお返しします。
○がん対策推進室長 今、委員長から御説明ございました、次回につきましては、第5回緩和ケア専門委員会は7月19日(火曜日)とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。時間は1時からということで、若干、前にお配りしたものと、30分ほど早くなっております。参考人の方につきましては、今、委員長からお話がございましたが、お二方をお招きしてお話を聞くということにさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○江口委員長 どうもありがとうございました。
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