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2010年7月6日 第12回ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会 議事概要
医政局研究開発振興課
○日時
平成22年7月6日(火)15:00~17:00
○場所
経済産業省別館10階 1038会議室
○出席者
(委員)
永井委員長 | 青木委員 | 位田委員 | 貴志委員 | 島崎委員 |
中畑委員 | 前川委員 | 松山委員 | 湊口委員 | 山口委員 |
(事務局)
厚生労働省医政局研究開発振興課 |
○議事
議事概要
すでに厚生科学審議会科学技術部会に付議されたヒト幹細胞臨床研究実施計画のうち、継続審議となっていた名古屋大学医学部附属病院、国立大学法人高知大学医学部からの申請に加え、平成22年6月4日付で、新たに付議された岡山大学病院及び平成22年6月7日付で付議された長崎大学大学院医歯薬学総合研究科からの申請をあわせた、計4件の申請について審議された。
その結果、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科からの申請については了承し、次回以降の科学技術部会に報告することとされた。継続審議の名古屋大学医学部附属病院からの申請は持ち回り審議、継続審議の国立大学法人高知大学医学部、新規申請の岡山大学病院の申請については、次回審査委員会以降も継続して審議していくこととされた。
(審議された臨床研究実施計画の概要は別紙1~4参照。)
(別紙1)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成22年7月6日審議分
研究課題名 | 培養骨髄細胞移植の併用による骨延長術 |
申請年月日 | 平成22年2月15日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:名古屋大学医学部附属病院 総括責任者:石黒 直樹 |
対象疾患 | 骨延長術を要する以下の症例 1.各種骨系統疾患(軟骨無形成症、軟骨低形成症など)に伴う-3SD以下の著しい低身長を呈する症例 2.外傷や先天性疾患により3cm以上の脚長不等を有する症例 |
ヒト幹細胞の種類 | 骨髄間葉系幹細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 研究実施期間は、承認後5年間 目標症例数は、主要評価項目解析対象数として50骨 |
治療研究の概要 | 骨欠損のため骨延長を要する症例を対象として、培養骨髄細胞移植を併用した骨延長術の有効性を検討する。2002年より、培養骨髄細胞と多血小板血漿をトロンビン、カルシウムとともに延長部位に移植する治療を開発し、これまでに40例、70骨以上に対して臨床研究を実施し、良好な仮骨形成を確認してきた。さらに、GMP基準を遵守した細胞調製室で実施し、臨床応用基盤を確立する。 |
その他(外国での状況等) | 骨髄間葉系細胞を培養下に骨芽細胞へ分化、増殖させる技術は確立されてきた(Pittenger et al, Science, 1999)。分化・増殖させた骨芽細胞を移植部位において良好な増殖および骨形成能を発揮するためには、細胞増殖因子と足場の開発が行われている。 |
新規性について | ヒト幹指針の施行前に既に開始され、安全性と有効性を示してきた臨床研究について、臨床基盤を整備したうえで臨床応用を目指す。 |
(別紙2)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成22年7月6日審議分
研究課題名 | 小児脳性麻痺に対する自己臍帯血幹細胞輸血による治療研究 |
申請年月日 | 平成22年2月26日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:国立大学法人高知大学医学部 総括責任者:杉浦 哲朗 |
対象疾患 | 小児脳性麻痺 |
ヒト幹細胞の種類 | ヒトさい帯血幹細胞(自己) |
実施期間及び 対象症例数 | 登録期間は2010年9月1日より2014年8月31日 目標症例数は10症例 |
治療研究の概要 | 出産時に採取された自己さい帯血を治療に用いる。さい帯血から比重遠心法にて分離された単核球を、ステムセル社の細胞調製施設にて凍結保存する。保存された自己さい帯血幹細胞を脳性麻痺患児に投与し、安全性を評価するとともに、身体的機能障害及び発達障害の回復をはかる臨床研究。 |
その他(外国での状況等) | 現在、自己さい帯血幹細胞を用いての小児脳性麻痺への治療は、米Duke大学のDr.Kurtzberg研究室でOpen Studyが実施されている。200症例以上実施(2010年2月)の経験があり、現在、二重盲検試験を米国FDAに申請している。 |
新規性について | 自己さい帯血幹細胞を脳性麻痺患者の治療に応用するという新規の臨床研究であり、米国の研究機関以外からの報告はない。 |
(別紙3)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成22年7月6日審議分
研究課題名 | 機能的単心室症に対する自己心臓内幹細胞移植療法の第1相臨床試験 |
申請年月日 | 平成22年5月13日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:岡山大学病院 森田 潔 |
対象疾患 | 機能的単心室症由来の小児心不全 |
ヒト幹細胞の種類 | 心臓内幹細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 登録期間(試験開始から1年間)、試験期間(最終症例の移植後1年間) 7症例 |
治療研究の概要 | 機能的単心室症の小児心不全患者に対して姑息的心修復術を行う際に、心筋組織を採取する。細胞調節センターにて心臓内幹細胞を精製、培養する。術後一カ月後に心筋内幹細胞を心臓カテーテルにより冠動脈内に注入し、移植する。安全性の評価を主要エンドポイントとする第?相試験。 |
その他(外国での状況等) | 左室低形成症候群の小児を対象として骨髄幹細胞の冠動脈注入を施行した症例が、2009年にRuppらにより報告された。一方、成人の心筋梗塞に対する心臓内自家幹細胞の冠動脈内への移植療法について、米国ではMarbanらによって30例の第1相臨床試験が実施されている。 |
新規性について | 本研究は、小児心不全を対象として、心筋内幹細胞を培養し冠動脈内に注入する自家幹細胞治療の安全性を検証する臨床研究。 なお、本研究で安全性が判定された後に、第2相試験で有効性の評価を行う計画も予定。 |
(別紙4)ヒト幹細胞臨床研究実施計画の概要 平成22年7月6日審議分
研究課題名 | 末梢動脈疾患患者に対するG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植治療のランダム化比較試験 |
申請年月日 | 平成22年5月28日 |
実施施設及び 総括責任者 | 実施施設:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 研究責任者:山下 俊一 |
対象疾患 | 末梢動脈疾患 |
ヒト幹細胞の種類 | G-CSF動員自家末梢血単核球細胞 |
実施期間及び 対象症例数 | 厚生労働大臣の意見発出から3年間 144例(推奨療法群72例,推奨療法+細胞移植治療群72例) |
治療研究の概要 | G-CSF皮下注射から4日目に自己末梢血を採取、アフェレシスにより単核球を採取、末梢動脈疾患患肢に筋肉内注射し、末梢血管再生効果を見る。札幌北楡病院等を含む計21施設で多施設共同研究を予定。 |
その他(外国での状況等) | Inabaら、Asaharaらは,G-CSFで動員された末梢血単核球からCD34陽性細胞を単離・純化し,慢性重症下肢虚血患者に対して臨床研究を実施。一方,Kawamuraら(2005)はCD34陽性細胞を単離・純化することなく,G-CSF動員による末梢血由来の単核球細胞を重症下肢虚血患者への移植を報告している。その他、Huang, Ishida(2005)、Hoshino(2007)による同様の臨床研究の報告がある。 |
新規性について | 本研究は用いる幹細胞、対象疾患としての新規性はないが、計21施設が参加予定の多施設臨床研究として実施され、推奨療法群あるいはG-CSF動員自家末梢血単核球細胞移植併用治療群のいずれかに無作為に割り付け,この併用治療の有効性と安全性を評価するものであり、ランダム化比較試験としての新規性を認める。 |
厚生科学審議会科学技術部会 ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会委員名簿
氏 名 所 属 ・ 役 職
青木 清 上智大学名誉教授
阿部 信二 日本医科大学呼吸器感染腫瘍内科部門講師
位田 隆一 京都大学大学院法学研究科教授
掛江 直子 国立成育医療センター研究所成育保健政策科学研究室長
春日井 昇平 東京医科歯科大学インプラント・口腔再生医学教授
貴志 和生 慶應義塾大学医学部形成外科教授
木下 茂 京都府立医科大学眼科学教室教授
小島 至 群馬大学生体調節研究所所長
島崎 修次 杏林大学救急医学教室教授
高橋 政代 理化学研究所神戸研究所網膜再生医療研究チームチームリーダー
戸口田 淳也 京都大学再生医科学研究所組織再生応用分野教授
○ 永井 良三 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
中畑 龍俊 京都大学iPS細胞研究所臨床応用研究部門疾患再現研究分野教授
中村 耕三 東京大学大学院医学系研究科整形外科学教授
前川 平 京都大学医学部付属病院輸血部教授
松山 晃文 先端医療振興財団先端医療センター研究所膵島肝臓再生研究グループグループリーダー
水澤 英洋 東京医科歯科大学大学院脳神経病態学教授
湊口 信也 岐阜大学大学院医学研究科再生医科学循環病態学・呼吸病学教授
山口 照英 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査第一部
(敬称略)
○:委員長
<照会先>
医政局研究開発振興課
電話:03-5253-1111(内線)2587
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