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2010年12月3日 職業能力開発分科会若年労働者部会(旧勤労青少年部会)

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成22年12月3日15:30~


○場所

中央合同5号館庁舎


○議題

・第9次勤労青少年福祉対策基本方針の骨子案について
・その他

○議事

○ 清家部会長 
定刻になりましたので、第7回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会を開催します。本日は、永田委員が欠席です。先般、11月5日付でこの部会に所属する委員の交替がありましたので、報告をさせていただきます。交替後の名簿は、お手元の参考1をご覧ください。武山委員に代わりまして日本労働組合総連合会連帯活動局長である坂委員が、花井委員に代わりまして日本労働組合総連合会雇用法制対策局長である市川委員がそれぞれ就任されていますので、よろしくお願いします。両委員から一言ずつお願いします。

○ 坂委員 
9月から連合本部にまいりました坂と申します。その前は、連合の大阪の事務所で仕事をしていまして、出身は電力です。どうぞよろしくお願いします。

○ 市川委員 
皆さん、こんにちは。花井の後任で当部会の委員をさせていただきます市川と申します。10月に連合内部の異動がありまして、花井はいま、男女平等局長を務めています。私が後任となりましたので、花井同様に、よろしくご指導をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○ 清家部会長 
ありがとうございました。よろしくお願いします。早速、議題に移ります。議事次第にありますように、本日の議題は「第9次勤労青少年福祉対策基本方針の骨子案について」です。前回出された意見について補足資料も含めて事務局から資料を一括してご説明いただきます。

○ キャリア形成支援室伊藤室長 
私から資料の説明をします。今日のメインテーマである基本方針骨子案の説明に先立ちまして、前回、私どもから勤労青少年を取り巻く現状について幅広い資料、データを示す中で、いくつかの指摘、問題提起をいただいていますので、それに関連して準備をした資料2-1以下をはじめに説明します。
 資料2-1の構成ですが、上に前回示した関連資料を再度掲げた上で、今回新しく準備した資料をそれぞれ下に対応する形で掲げています。
 はじめに、2頁の下の「若年失業者の求職理由」についてです。これについては、上の若年者の雇用指標に関わる説明で、特に、三浦委員から若年失業率の上昇にかかわって、学卒未就職者の増加がどのぐらい寄与しているのかという観点からのご質問をいただきました。その場で、その点についての一定の寄与はあるけれども、全体としては、いわゆる事業主都合等による失業者の増加の影響が大きい傾向があると申し上げましたが、改めてデータとして示しています。
 労働力調査の中で、失業者に関して求職理由の調査項目がありまして、その中で、ここに出ています「定年又は雇用契約の満了」「勤め先や事業の都合」「自発的な離職」「学卒未就職」「その他」といった分類があり、それぞれ年齢別に、これら事由による失業者数が算出される仕組みになっていまして、24歳以下と25~34歳の2つの年齢層について示したのが棒グラフです。今回のお尋ねとの関わりで言いますと、学卒未就職者は薄い紫色で表示をしています。当然のことながら、学卒未就職者は一定の年齢を越えますと、ほとんど出てこないことになってくるのですが、24歳以下に関しては、失業者の中で学卒未就職者が占める比率が相当程度あります。年平均を用いているのは季節性が非常に強い指標であるということです。直近の平成21年の年平均は52万人の中で、学卒未就職者が11万人で、前年と比べますと3万人、全体で9万人増えている中での3万人増ですので、この年齢層に限って言えば一定の寄与があります。それ以上の年代層では当然のことながら、学卒未就職者は絶対数としてはもともと限られているということで、25~34歳では87万人中2万人で、いまほど申し上げましたように、主に事業主都合の失業者の増減によって、若年失業者の増減も概ね規定されているのが、全体としての傾向ではないかと思っています。
 次に2点目です。前回、自立に向けて課題のある若者の典型としてフリーター・ニートについての代表的なデータを3頁の資料で示していますが、フリーターとニートの概念関係についても少し複雑な部分がありまして、若干審議いただいたところですので、確認的に4頁の資料を掲げています。フリーター・ニートともに統計上の年齢定義としては、15~34歳ということで、それぞれ労働力人口と非労働力人口に分かれる。前者が1,900万強、後者が1,000万弱です。後者の大数は学生・生徒になってくるわけですが、フリーターは基本的には、いま申し上げた2つの分類で言いますとごく一部の例外がありますが、労働力人口に属する概念で、就業者のうち、勤め先の呼称がアルバイト・パートである雇用者と、失業者のうち家事も通学もせずアルバイト・パートを希望する無業者の合計がフリーターの178万人です。
 それに対して、ニートは、いわゆる非労働力人口、就業もしていないし、求職活動も行っておらず、さらにその中で家事・通学をしていない方がニートの定義でして、63万人です。ここに注釈をつけているように、アルバイト・パートを希望して求職活動には至っていないという、わずかな概念の重なりがありますが、ごく少数ということでご理解いただいて、基本的にフリーターは労働力人口、ニートは非労働力人口の一部ということでご理解いただいてよろしいと思います。
 次に、ニート等の若者がなぜ求職活動をしないのかという観点でもさまざまな観点で、三浦委員、小杉委員等々からいろいろなご指摘をいただきました。これに関しては、2つのデータを準備していまして、1つはJILPTが平成19年の就業構造基本調査の特別集計によって算出された若年無業者が求職活動を行わない理由に関して、若年無業者全体と学歴別にデータを取って分析をしたものです。若年無業者全体については、横の棒グラフの一番上ですが、「病気・けがのため」とする方が3割弱で最も多い。一般的によく言われるニートの典型像とは違う層です。
 こういった傾向に関しては、学歴によりかなり差がありまして、高校中退も含めた、中学卒に関して言いますと、絶対数としてはピンクの網かけのような部分の「病気・けがのため」がいちばん多いのですが、他の学歴区分に比べますと、真っ赤の「探したが見つからなかった」、あるいは「知識・能力に自信がない」の辺りが典型的なニート層と言えるかと思えるのですが、こういった理由により、求職活動をしない方の比率がより高くなっています。大学卒では、「病気・けがのため」とか、あるいは具体的に学校に通っていないけれども、「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」という理由の方がより高いということで、前回、5頁の資料で学歴別に無業者比率に非常に顕著な差異があると申し上げましたが、若年無業者のうち、求職活動をしない理由についてもそこまで顕著ではありませんが、学歴別の特徴があります。
 もう1点、いま申し上げたデータを踏まえて、ニートのうち、いわゆる職業的自立支援施策の対象者がどういう層なのかについて、複数のデータにより概観をした資料が8頁の資料です。その前提として、その上にありますように、ニート等の若者のうち就業希望があるものとないものの内訳がほぼフィフティーフィフティーです。
 これを前提として、労働力調査に基づくニート63万人について施策対象という観点で言うとどのような捉え方ができるのか。63万人は、いま申し上げました就業希望のあるなしで一旦仕分けをし、就業希望がある方の中で働く能力を有するけれども、一時的な就業の制約によって無業状態にある方、いま病気・けがと申し上げましたが、一時的な病気・けがとか家族の介護、看護従事とか、あるいは通学以外の勉強といった方が就調などに基づいて大体15万人程度、就調と労調で完全に定義が合致していませんので、概数でご理解いただければと思うのです。これらの方については、いわゆるニートの職業的自立支援施策等の対象とは少し性格が違う方であろうと思っています。
 他方、左側ですが、就業希望を有さない方の中にも非常に多様な属性がありまして、一番左はそれぞれ別の統計から掲げているものですが、例えばひきこもりの方とか、あるいは疾病・けがによる長期入院の方、重度障害の方といったいろいろな課題を抱え、結果として無業であり、かつ就業希望も有さない方がいて、トータルでいうと33万人います。こういったデータを前提として、ニート等の若者のうちサポートステーション事業などによって、職業的自立支援施策の対象になる方は、右下の能力も意志もあるけれども、今この瞬間、就業制約がある方や、最終的には自立に向けた支援が必要なのだけれども、職業的自立支援と別の観点の専門的支援の方を除いた方、とおおむね整理ができるのではないだろうか。
 先ほど申し上げましたように、引き算の概数ですが、大体15万人程度見込まれるわけですが、私どもとしては左側の就業希望を有さない方が今後ともずっと職業的自立支援の対象になり得ないと必ずしも思っていません。就業希望を有さないのだけれども、客観的には就業可能性を有し、かつ切迫をしている方が間違いなく一定数存在をしています。こういった方々には、いままで具体的に行き届く施策アプローチがなされていませんでした。この部分に関しては、事実上はそれ以前からも一部行われていたわけですが、本年度から特にサポートステーションにおけるアウトリーチ、自宅訪問等の能動的支援を本格的に展開をする中で、左側の層の一部についても施策対象になり得るのではないかと考えています。そういった層も含めて考えるならば63万人で、幅のある数字ですが、20万人前後ぐらいが広い意味での職業的自立支援施策の母数ではないかと、大まかな考え方をこの資料で示しています。
 次の頁です。若者の職業意識についてもさまざまなご指摘をいただきました。それを踏まえ、追加で1点、意識にかかわる日本生産性本部と日本経済青年協議会の合同調査によるデータを掲げています。勤続希望にかかわる意識調査「定年まで働きたい」「とりあえずこの会社で働く」「状況次第でかわる」ということで、ずっと経年調査を行っています。この回答に関しては若者の意識そのものだけではなくて、時々の雇用経済環境が非常に影響するデータと認識していますが、そういったバックグラウンドもご理解をいただきまして、結果としては直近の平成22年の状況で申し上げますと、「定年まで働きたい」、「とりあえずこの会社で働く」とする若者の比率がここ5年、10年で大幅に増加し、逆に「状況次第でかわる」という転職を意識した回答が相当大幅に減少している状況が見て取れます。以上がデータにかかわる説明です。
 次に、前回3つほど勤労青少年ホームの活用、活動にかかわる好事例をご紹介しましたが、前回もそれを元にさらに深めたご議論をいただき、さらにその中で勤労青少年ホームや類似施設において若者キャリア形成支援の居場所、交流の拠点としての有効活用の可能性という観点で多くの委員の方から問題提起、ご指摘をいただきました。そういった観点で、私どもがさらにもう1つの事例について把握をしたものが札幌の事例です。
 もともと勤労青少年ホームが母体となっている施設ですが、施設の老朽化等々の状況を踏まえ、勤労青少年から少し設置運営の目的を広げまして、若者向けの総合的なサポート施設というふうに衣替えと申しますか、その位置付け、役割をさらに拡大する形で、平成22年4月から旧勤労青少年ホームの運営主体である札幌市が中心となった基本構想議論等を踏まえ、「若者支援総合センター」として見直しをしました。設置主体は市ですが、いわゆる指定管理者制度をとっていまして、運営主体は財団法人青少年女性活動協会が行っています。青少年女性活動協会については、センターの中で事業運営をしていますサポートステーション事業の運営団体でもあり、かつ札幌市については、今回の「子ども若者育成支援推進法」に基づく地域協議会について真っ先に立ち上げを行った地域、自治体の1つですが、「子ども若者育成支援推進法」に基づく指定支援機関、事務局の役割を果たす団体の位置付けにもなっています。
 この支援センターにおいては、中段に書いているようなさまざまなコミュニケーショントレーニング、ある種のクラブ活動といった従来からの勤労青少年ホームの流れを組んだ活動も行っていますし、いま申し上げましたサポートステーションにおけるニート等の若者に対する自立意識喚起のためのさまざまなプロブラム、ジョブ・カフェとの連携、ここを拠点として、非常に中退率の高い定時制高校に対する専門スタッフ、キャリアコンサルタントの定期派遣も行っています。高校側からも大変大きな効果が上がっているという反応を得ています。
 こういった事業運営を行うにあたりまして、この青少年女性活動協会、実はほかの関係施設についても指定管理者ということで資源を大変幅広く持っていまして、同じく指定管理者として運用している児童館との連携とか、教員OBや学生なども支援全体としてオーガナイズをしているということで、大変大がかりな若者支援という観点での運営のネットワークを構築した上で若者支援総合センターが運営、活用をされ、その中で事業のパーツとして、サポートステーションについても全国的に見ても大変高い実績を上げている状況です。この辺について、おそらく小杉委員や宮本委員は実際現場の状況などもお詳しいのではないかと思っていますので、後ほどの質疑の中でお気づきの点コメントいただければありがたいと思っています。
 次の頁ですが、前回、ワーキングホリデー制度についてご説明した中で、前花井委員から少し補足的なデータ提供の要望をお寄せいただきまして、それに対応した資料です。前回も口頭で申し上げましたが、ワーキングホリデー制度のそもそもの意味付けですが、次の資料の上の箱書きにありますように、基本的には異なった文化の中で、若者が休暇を楽しむ、国際交流をしていく、ひいては、国際性を持った青少年を育成し、両国間の相互理解、交友関係を促進するということが目的です。若者が1年といった長期にわたる滞在期間の費用を予めすべて賄うことが一般的には困難という認識のもとで付随的に就労することを認める。そのために2か国間で協定等を締結した上で、バイで制度運営をしています。
 前回、定員と実態についてもご指摘をいただきましたので、現在、我が国としては11の国、地域とこのような形で協定等締結し、相互にワーキングホリデービザの発給を受けた受入れを行っています。直近の例で言いますと、日本人がこれら諸国にワーキングホリデーで出ている人数が1万8千弱。それに対して、諸外国から日本に来ている人数が1万2千弱ということで、入超と出超という観点で言うと全体としては出超になっているのですが、ここにありますように国によって、出入りに相当顕著なコントラストがあることが数値として確認いただけるのかと。オーストラリアなどのように圧倒的にこちらから出向いている人数が多いところもあれば、逆に韓国のように逆のケースもあることを確認いただければと思います。
 資料3については、前回、若年者対策の関連予算について資料の提供をさしあげましたが、9月早々ということで、概算要求の資料が時期的に間に合わなかったものですから、若干時期を失しているような感じを持ちつつ、安定局要求のもののウエイトがかなり高いのですが、改めて平成23年度の若年者対策関連予算概算要求の概要、新卒者支援、未就職卒業者支援、フリーター支援、先ほども少し触れましたサポートステーションなどのニート等の若者の自立支援、フリーター等の能力形成機会の提供といった関連項目を提示しています。以上が関連データに関わる説明です。
 配付資料の1-1に戻っていただきまして、今日のメインテーマである「第9次勤労青少年福祉対策基本方針骨子案」に関わる一連の資料について説明します。前回、私ども事務局から方針案について、今後ご審議いただくにあたっての論点をご提示させていただき、それについて方針案を充実させる方向での大変意義あるご意見を多々いただきました。前回、提示した論点とそこで頂戴したご意見を踏まえた形で全体のコンセプトの整理をさせていただきました。
 前回もご審議いただいたように、青少年福祉を考える上で、普遍的な課題としては青少年段階での発達課題を捉まえ、同時に、いま現在の社会経済環境の変化、その中で生まれている就業上の課題を踏まえていく必要があるという考え方に立つべきではないかと考えています。その上で具体的には3つの柱。1つは学校段階、学校から職業生活への移行時、さらに企業内、失業した場合など求職段階といった各段階における計画的、継続的なキャリア形成・能力開発の促進です。前回の審議の中でも、小杉委員から勤労青少年福祉の意味付けを時代環境の中で適宜読み替え充実していくべきではないかという趣旨のご指摘をいただいたところですが、そういった意味では、こうした計画的、あるいは初期からのキャリア形成が1つのポイントになるのではないかと考えています。
 2点目は、そういう基本的な問題意識のもとで、ある種青少年が抱えている課題が端的に表われ、勤労青少年にいま立ち至っていない若者として、ニートを含めた自立に困難を抱える若者について、就業、職業的自立促進ももちろんありますが、勤労青少年福祉対策の枠組みをより有効活用した考え方として、職業的自立促進に先立って、ソーシャルインクルージョン、社会的にこれらの若者を包摂をしていく場を作り上げていくというアプローチが非常に重要ではないかという問題意識です。
 3点目は、いま申し上げましたアプローチを実行あるものとする上で、勤労青少年ホームなど地域のリソースを有効活用すること、青少年相互という観点はもとより、青少年とほかの年代層の交流の場を作り上げていくということ、青少年を支え、自ら参画をするネットワークや支援人材の育成などの基盤整備を図る必要があるのではないかといった点について、ここではポイントとして触れています。
 対象年齢については、前回ほとんどの委員からご発言をいただきまして、基本的には現行どおり「15歳以上35歳未満」という設定で、個々の施策対象については必要に応じ、これを超える方についても対象とするという弾力的な考え方をとってはどうかということで、このように書いています。
 前々回の審議の中で、最終的に第9次方針について若者自身はもとより、関係者により訴求力のあるものにするためにサブタイトル的なものを考えてはどうかというご指摘をいただいたことを踏まえ、いま申し上げましたような基本的考え方を短い、センテンスの中でまとめたものとして「青少年の主体的なキャリア形成と社会参加を支える社会的ネットワークの構築を目指して」ということで、私ども事務局がたたき台として示していますので、この点についてもご審議いただければと思います。
 こういった基本的な考え方のもとで、勤労青少年福祉法に基づき、基本方針については、大きくは勤労青少年をめぐる現状とそれを踏まえた基本的施策の2つの構成によることとされています。具体的な内容のポイントは、ポンチ絵の下のほうで示していますが、時間の制約もありますので、これに関しては資料を1つ飛ばして、資料1-3の第9次福祉方針の骨子案の中で、ポイント、即ち前回委員の皆さまからいただいたご指摘を踏まえた記述ですとか、あるいは前回の第8次方針との比較で特徴的な記述を中心にざっと構成を説明します。
 「はじめに」の部分で、方針にかかわる基本的な考え方を示しています。キーワードとなる部分だけを拾った形で説明しますと、社会環境、労働市場の構造変化の下で、各段階におけるドロップアウトのリスクが増嵩していること。言い替えれば青少年期の「発達課題」達成に至らなかったニート等の若者が増え、ニート状態から脱け出せない、「勤労青少年」となれない構造が顕著化しているのではないかという点。前回も説明しました人口構成の変化などから若者の社会の担い手という視点で捉えた場合の「希少性」が一層高まっているのではないかという点。「勤労青少年福祉」については、福祉の概念は前回も申し上げましたように、非常に幅広いものですが、現状を踏まえるならば、より充実した職業生涯の実現、即ち福祉向上の基盤となるキャリア形成の支援がとりわけ重要な課題ではないかという点。
 そういった考え方を踏まえ、第9次方針にあっては、第8次方針策定以降の社会・経済の変化、例えば、雇用環境という意味で言いますと、前回の第8次方針の審議をいただいた時期は全国の求人倍率の1倍を超え、むしろ人手不足が非常に大きな社会的な課題になっていた時期で、その後の経済環境の変化で様変わりをしている。そういった状況と、より普遍的に少子化の進行などに伴う若者に求められる社会の期待などを踏まえ、勤労青少年が仕事と人、社会の関わりで自信、意欲を備え、自律的キャリア形成の実現をする。あるいは成長するための基本的施策を示すものとしてはという基本的な考え方をたたき台として述べています。対象年齢の考え方は先ほど申し上げたような内容で、ここになお書きで書いています。
 次の第1が先ほど申し上げました現状編です。こちらに関しては、前回、かなり詳細にわたる資料を提示して、骨子の段階ではポイントとして掲げているものですので、詳しい説明は割愛したいと思います。青少年人口、あるいはその比率の低下の現状ですとか、若者をめぐる雇用情勢がより厳しくなっている。継続的なキャリア形成が困難な状況が生まれている。就業構造、雇用形態の変化、自立に困難を抱える若者の発生。先ほども少し触れさせていただきましたが、働くことにかかわる不安ですとか、あるいは自己啓発にかかわる認識の高まりといった最近の若者の意識変化の状況。勤労青少年ホームについては、また後半で出てきますが、とりあえずこの部分では施設数の減少の状況やその中で幅広い年齢層を対象とした、非常に活性化をした活動事例も認められることについて簡単に触れています。
 3頁の中段の第2以下が基本的な施策です。1では、勤労青少年福祉行政の方向性ということで、先ほど冒頭で申し上げた内容と一部重なりますが、勤労青少年を成長過程にある者、今後の社会経済を支える者という位置付けを改めてした上で、現在若者の雇用をめぐり生じている現象が、若者自身の将来のキャリアのあり方という観点に加え、社会・経済活動、地域活力にも影響を与えるおそれのある課題ではないかという点。
 そういったことを踏まえ、勤労青少年福祉行政の立場で、固有の資源、ネットワークを最大限活用しながら、勤労青少年自身はもとより、学齢期を超えても発展性のある働き方、実現に至っていない若者に対してもアプローチをし、自立に向けた道筋を描いていくことが必要ではないか。
 とりわけ象徴的、端的な課題として、ニート等の若者に対する重点的なアプローチが必要であって、ニート等の若者だけではなく、そこに象徴されるように、「孤立」「孤独」といった問題は潜在的には若者全体にとっての普遍性を備えた課題であって、そういったことを踏まえるならば、「居場所」とか、あるいは「同世代・異世代間のリアルな交流の場」の整備が必要であり、勤労青少年ホームについても、こういう観点から役割・位置付けを再整理すべきではないかといった点について触れています。
 2以下が具体的な施策編です。初めに、先ほども触れました長期的な視点からのキャリア形成の促進。ここで、概ね若者自身の発達段階に応じた形で順を追って柱立てをしています。1点目は、学校在学段階からの職業意識形成等計画的なキャリア形成の推進です。現在、中教審においてもキャリア教育のあり方について精力的な審議がなされ、近く答申取りまとめと聞いていますが、この中でも「職業能力開発を担う厚生労働省との連携・協力」という方針が盛り込まれつつあり、また大学設置基準等の改正によって、各大学等においてキャリアガイダンスの実施体制の整備が求められている状況です。
 労働行政の側から致しましても、若者対策の、いわば「川上対策」として、こうした学校在学段階からの取組み、学校との連携が大変重要ではないかと考えています。そうした観点からの労働行政が有するさまざまなリソース、能力開発キャリア形成にかかわる情報・ノウハウを学校、キャリア教育の中でも積極的に展開してはどうかということをここでは触れています。
 (2)が学校から職業生活への移行です。学校から職業生活への移行にあたりましての、きめ細かい就職支援の必要性は普遍的な課題ですが、今日的な状況・課題を踏まえまして、学卒者の募集採用のシステムについてもここで言及しています。これまでの新卒一括システムについて、これまでの社会環境の中で一定の合理性を持つ雇用慣行であったという分析をしつつ、現在生じている学卒未就職者の状況などを踏まえ、ちょうど先般、青少年雇用指針を取りまとめられたところですが、卒業後の一定期間まで新卒扱いとする。あるいは、通年採用など、いわゆるチャンスを広げる取組みが必要ではないかということをここでは触れています。また、中小企業をはじめとする人材、ニーズに着目した企業規模などにとらわれない職業選択、定着を促す取組みの重要性といった点についてもここで触れています。
 (3)は、基本的に入職したあとの話を中心としての基礎的・実践的な職業能力開発の推進に関してです。当局が現在推進している施策のうち、若者にかかわる代表的な施策をここでは掲げていますが、雇用ミスマッチ、求人ニーズに対応した民間機関を活用しての公的職業訓練の積極的な推進。とりわけフリーターなどの職業能力形成機会に恵まれなかった若者を就職に結びつけるための仕組としてのジョブ・カード。コミュニケーション能力などの基礎的能力修得のための取組み。まだ議論が緒に就いたばかりですが、いま内閣府を中心に議論が進みつつある「キャリア段位」といった「職業能力見える化」の一連の取組みとの今後の連携の可能性についても一定言及していますし、また現在職業能力開発分科会でも具体的な審議を進めていただいています雇用保険受給者以外の能力開発、就職支援が必要な方を対象とした求職者支援制度の活用の可能性についても(3)で触れています。
 (4)ですが、就業に向けた自信・意欲の獲得のための支援。前回の第8次方針の中でも初めてこうした観点からの取組みを言及しましたが、第8次方針の策定の時点ではまだ国としてのニート等の自立支援が緒に就いたばかりということで、まだ実践値の積上げがなかったわけですが、この間関係者の皆さんのご尽力によりまして、サポートステーション事業を中心にこの分野で一定の実績が上がりつつあり、同時に課題が見えてきている状況です。その中には、例えば先ほどデータで紹介しましたように、高校中退者などニート化しやすく脱け出しにくい層が明確に把握されている。こういう状況を踏まえて、自宅等への訪問支援(アウトリーチ)といった能動的なサポートによる未然防止対策。「学び直し」にかかわる文科行政と連携をした支援。能力開発と生活面を組み合わせたきめ細かいフォローアップの必要性について触れています。
 以上の(1)から(4)の全体に共通して、これらきめ細かい支援を支える専門人材が当然必要になってくるということで、非常に幅広い人材像が求められます。その中でも、キャリア形成支援にかかわるいちばん基盤的な人材としてキャリア・コンサルタントの養成・普及。この間、技能検定制度の中への位置付けなどによりまして、能力評価体系の整備が図られつつありますが、必ずしも学校教育段階とか、あるいは若者に特化した専門人材としてのキャリア・コンサルタントが十分活用されているとは言い難い状況にあります。こういった若者の福祉向上とか、キャリア形成支援という観点でキャリア・コンサルタントの一層の専門性向上、いわば若者専門キャリア・コンサルタントの育成が非常に重要な課題になるのではないかということです。
 (6)は労働条件にかかわる課題。非常に幅広いテーマですが、特に若者に特徴的な重点とすべき取組課題として、労働基準、労働契約などに関する理解の促進、労働者としての権利・義務制度についての理解の促進の必要性といった点。家庭の形成という観点からワーク・ライフ・バランスや、いま職場、場合によっては学校などでも大変大きな問題になっているメンタルヘルスという観点からの専門的アプローチ、対策の充実の必要性についてここで述べています。
 7頁は、勤労青少年の交流、多様な活動の促進です。前回もこうした観点からさまざまな問題提起、ご提案をいただきました。働くということを狭く捉えるのではなく、ボランティア活動なども含めた、青少年の育成という観点から社会活動の参加促進。そのための地域ネットワークの整備の必要性。若者相互、あるいは世代を越えたリアルな相互交流の必要性の中で、既にある拠点としての勤労青少年ホームなどを活用した「居場所」の整備の必要性が非常に高いのではないか。前回、遠藤委員からご指摘いただきましたが、今日改めて関心が高まっている企業としての従業員福祉に係るさまざまな取組みについても、勤労青少年の成長や交流という観点で捉え直すことにより、より創意に富んだ対応が期待されるのではないかといった点に触れています。先ほど、ワーキングホリデー制度についての補足資料を紹介しましたが、こうした国際交流の促進の点について(3)で触れています。
 以上申し上げましたような、さまざまな取組みの基盤となる部分について、4、5で簡単に触れています。支援のための地域ネットワークの構築の基本的な考え方を申し述べたうえで、本年4月に「子ども・若者育成支援推進法」が施行されたということで、対象層や目的について相重なるものという認識のもとで、こうした「子ども・若者育成支援推進法」による地域協議会、ネットワークの有効活用、労使はもとよりNPOをはじめ、勤労青少年キャリア形成、あるいは子ども・若者の育成に関わるさまざまな機関による顔の見える実効性のあるネットワークを構築する必要性があるのではないかという点。
 前々回の審議の中で、勤労青少年福祉対策についてもPDCA、政策評価が避けられない大きな課題であるとご指摘いただきました。せっかく、こういうネットワークを整備するのであれば、客観性がある政策評価、PDCAという観点でこういうネットワークをそのような観点からも有効に活用していく意義があるのではないかという点についても付言をしています。
 勤労青少年ホームについてもさまざまなご指摘をいただき、全体としてはここにありますように、さまざまな現実的な事情のもとで施設数が減少傾向にあると認めざるを得ないわけですが、設置運営主体、あるいは関係者の創意工夫のもとで、もともとの勤労青少年ホームのタイプの中で非常に実績を上げているところ、活性化をしているところ、地域の若者人材定着に寄与しているところもあります。それに加えて、勤労青少年のキャリア形成支援という観点で機能付加をすることによってさらにその役割を広げていく好事例、これが少数か多数かということはなかなか評価しにくいのですが認められています。こういう地方公共団体、その他の関係者のご尽力を共有化するという視点も踏まえまして、運営の主体となる自治体を中心に勤労青少年ホームの活性化、関係者の参画による基盤整備が重要ではないかという点についてここで触れています。
 以上の取組み、推進にあたりまして、先ほどキャリア・コンサルティングの話に触れましたが、それ以外にも教育、福祉、余暇活動、社会参加、いろいろな分野の専門家が必要ではないか。そういった支援人材の育成のための事例の共有化、研修等の機会の整備の必要性。また、最後に勤労青少年ホーム福祉に関する啓発活動の実施についての各機関のそれぞれ果たすべき役割、あるいは勤労青少年自身に対する情報発信の有用性について触れています。
 以上申し上げましたような内容を仮に前提とした場合には、この前の資料の1にあるような第9次方針の構成、第8次方針との対比ですが、全体としては現行計画2の職業生活の充実の部分をコンセプトを広げ、中身を充実し、勤労青少年の長期的な視点からのキャリア形成の促進という観点で整理をする。現行方針の3以下については、その後の情勢の変化の中で項目としてまとめ上げている部分もあります。前回、前々回も方針の中身の重要性だけではなく、どのようにメッセージ性として活用し、発信していくのかということでもご指摘をいただきました。勤労青少年福祉法に基づいて、この方針を取りまとめた際には概要を公表することになっていますが、これまでの方針も全体を速やかに大臣告示として公表をし、かつさまざまな媒体を通じて、若者自身、自治体、その他の関係者に対して発信するとともに、都道府県や市町村の事業計画の拠り所にもなっています。その辺の勤青方針のそれぞれの地域における活用、反映のされ方については、このあとの審議の中で必要に応じ、補足説明を申し上げたいと思います。いまほど申し上げました方針のコンセプト、個々の中身、これを今後どのような観点で有効活用するかという点も含め幅広くご審議いただければと思います。若干時間を超過してしまいましたが以上です。よろしくお願いします。

○ 清家部会長 
はい、ありがとうございました。それでは、今日の皆様に議論いただくメインテーマとして、いまご説明いただきましたこの資料1-1にあります第9次勤労青少年福祉対策基本方針のコンセプト案、これをもとにした主に資料1-3の第9次基本方針の骨子案について、議論をいただくわけですが、その前に事務局のほうから特に資料2-1から2-3辺りを中心に前回委員の皆様からご要望があった資料等についても説明がありましたので、まず内容について議論にいく前に、いまの要望事項への事務局からの説明について、確認あるいはご質問などがありましたら、まず挙げていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

○ 小杉委員 
1点確認だけいいですか、資料2-1の8頁の追加で作られた図、大変工夫してよく作られた表がありますが、ちょっと確認なんですが、就業を希望する者約30万人ぐらいだろうと、半分ずつぐらいだろうというふうに分けられたんですが、「その他」は多分上の黄色に入ったのかなと思うんですが、そういうことですか。


○ 伊藤室長 
まず、約30万人、33万人の出し方としては、労調の中ではご案内のようにこれに直接対応するデータはないものですから、労調63万人に就調の希望あり・なしを掛けて近似値として出したというのが、まずそこの部分の出し方です。

○ 小杉委員 
その希望を有するほうの30万人の下が15で上が15っていう、これは多分「その他」は上に入ったのかなと理解してるんですが。

○ 伊藤室長 
そうですね、そこの部分、いささか不明確な部分については、この整理上は上のほうに含まれております。

○ 小杉委員 
わかりました。

○ 伊藤室長 
厳密に言うともしかしたらその中で、この右下に近いような属性を持ってる方もいるのかもしれませんが、既存の統計の中でできるだけ実像に迫るということで、こういう整理をしています。

○ 小杉委員 
わかりました。

○ 清家部会長 
ほかに確認あるいは質問に関することはありますか。

○ 市川委員 
下のほうに6頁と書いた「若年無業者が求職活動をしない理由(追加)」の「中学卒」と「就業経験なし」では、3割以上の方が「その他」ということになっているのですが、これは多分選択肢がこれ以上ない「その他」なんでしょうけども、非常に多いという感じがしまして、多分この調査で考えつくような選択肢以外の我々が掴みにくい何か非常に複雑な理由があるのかななどと推察するのですが、この辺の3分の1、3割が「その他」というのがちょっと気になったんです。


○ 小杉委員 
この調査は私たちの研究所が作ったデータなんですけど、おっしゃるとおりですよね。もうこれ以上に私たちにも何だろうと思いながらも、これ以上には迫りようがない、全く社会に関係してない、就業経験が全くない人で非常に多いとか、学歴でも早い段階で学校を離れたら非常に多いっていうところなので、まあ何んだろう、障害とかもひょっとしたらあるのかもしれないし、あるいは何らかの形でこういう調査に直接答えられないような状態とか、そういうものもあるのかなとか、推測する限りなのですが、もっと重たい課題があるのかもしれない。

○ 市川委員 
我々大人が、想像できない何かがあって、その辺に非常にもしかしたらヒントがあるのかなとちょっと興味があったものですから質問しました。

○ 小杉委員 
大変私も興味があるのです。

○ 伊藤室長 
いまの市川委員お尋ねに関して、基本的には専門家である小杉委員のお答に尽きるのですけれど、私ども、この若年無業者問題に具体的な事業を通じたアプローチをする中で、やはり、その学歴によって、同じ現象としてニート状態と言っても、抱える課題にかなり差があるなと。
 比較群として、例えば大学卒のほうを捉えた場合、今日も午前中たまたま別の議論の場がありまして、そういう類の議論を小杉委員等ともさせていただいたのですが、大学の教育ユニバーサル化の中で、例えば発達障害、学習障害等の課題を抱えながら、なぜか大学に進んでいるような若者もいて、そういった若者がニート化するケースというのももちろんあるのですけれども、どちらかというとマジョリティーとしては一定の発達課題達成をした後に、何かの躓きのもとでニート化してしまった。家庭環境の中であったり、あるいは学校の中の人間関係であったり、俗な言葉では、例えばネトゲ云々、そういうふうな言葉もあるんですけれども、いったん社会活動から完全に回避をしてしまうようなそういう状態に、言ってみれば退行してしまったようなタイプっていうのは、どちらかと言うと高学歴のニートには多いのではないのか。
 それに対して、数としては中学を卒業して就職、ドロップアウトした方よりは、高校中退の方の数のほうが圧倒的に多いわけなのですけれど、いま小杉委員のほうからも紹介がありましたが、本当にその課題として複雑で、その課題の中にはご本人の能力・属性的な課題もあれば、家庭環境等に関わる課題というのも相当多くて、そういう意味では、「その他」の中には、障害とか家庭環境とかそういったものも想像されます。
 更にそういったことでもなかなか割切れないような、曰く言い難い極めて特異な課題というものが、ここに含まれている可能性があるということには、私ども様々な事業を担当している立場で十分思いを馳せないといけないんじゃないのかなという、そういういろんな含意を持ったデータであるというふうに私どもも認識をしているところです。

○ 清家部会長 
ほかにありますか。

○ 宮本委員 
いまのことに関わって1つ、もしかすると若干出て来るかもしれないなと思うのは、内閣府が高校中退調査を今年かなり本格的に実施して、データが全部回収されて、これから分析が始まるところなのですが、全国で1,200名の中退者データを取り込みまして、そこのところにここが若干傾向が出てくる予想がつくのと、あとその調査票の最後のところに詳細な聴取り調査に協力している方というのを呼び掛けたら、どういうわけか450人が名前と住所を書いてくれてたんですね。それで残念ながらそれに全部インタビューするわけにいかないので、40~45人をこれから年度末にかけて委員が分担して聴取りを行うという予定になっているというのが第1点です。
 それからもう1つちょっと伺いたいのは、この「病気・けがのため」というのがかなり多いですよね。これはずっと以前からこういう傾向なのですけど、この「病気・けがのため」というのはいわゆる病気・けがに限定されているのか、あるいは障害的なものがここにも入ってるのか、その辺りって判断がつくのでしょうか。これは小杉さんに伺うのがよろしいですか。

○ 小杉委員 
調査票はこういう表現なので調査票でしかわからないので、何とも判断はできません。「病気・けがのため」というこういう表現なので、ここに障害が入るとか何か注意書は一切ありませんから。

○ 宮本委員 
ですけど、私がこの間関わった定時制高校なんかの実態などを見ると、結構慢性疾患とか、いわゆる通常病気だったもんだから仕事に就けないっていうよりも、もう少し何と言うか根が深いというか長期的なというか、つまり虚弱であるとか慢性的なものとかそういうタイプが、結構多いように思われるのですよね。ですから、ここの言葉を通常の病気・けがというようなふうに取らないほうが実態に合ってるだろうっていう感じはしますけれどもね。

○ 伊藤室長 
これも1点ちょっと補足よろしいですか。いま宮本委員からお尋ねがあった点に関連するデータとしては、右側の8頁の左側の部分をちょっとご覧いただければというふうに思います。これは、この6頁の就調とは別のそれぞれの専門調査で把握したデータですが、例えば患者調査というものが行われておりまして、これにより年齢階層別の長期入院者、これは疾病・けがを両方含めてですが、そういうデータがあります。15~34歳で3カ月以上の病気・けが入院者は2万人いて、こういうかなり属性がはっきりした層もいて、それからいまの話とも関わってくるのですけれども、障害に属する課題を抱える方、これも当然別途のデータがあって、これは15~39歳ですが、1、2級で12万人です。したがって6頁のデータだけですとなかなか本当にこれ以上の実態というのはわかりにくいのですけれども、こういう他の統計も組み合わせながら少しでもブラックボックス化しやすい、こうした課題を抱える若者の実態全体像に少しでも迫りたいなという意図で、この8頁の資料も作ったところであるのですが、また専門的な観点からいろいろご助言いただいて、もう少しこの制度も高めていきたいなと思いますので、その点よろしくご協力お願いしたいと思います。

○ 清家部会長 
宮本委員よろしいですか。

○ 宮本委員 
はい。

○ 清家部会長 
ほかに何かご質問ございますか。それではまた後ほどこちらのほうに戻ることもあるかと思いますけれども、今日、主に議論をいただきたいのは先ほど事務局のほうから資料1-1のコンセプト案と、資料1-3の骨子案の説明をいただきましたが、そのコンセプト案にもとづいて主に資料1-3の骨子案に関する御意見を伺いたいと思います。伊藤室長のほうから骨子案の説明をいただきましたが、この骨子案の○が付いた、箇条書ではありませんけれども、こういう項目別の書きぶりになっていますが、おそらくこれを膨らませる形で報告書ができる形になるかと思いますので、そのようにこの骨子案を膨らませて基本方針ができるという前提で議論いただければと思います。

○ 小杉委員 
2つ言葉が引っかかりました。1つは「計画的」という言葉、4頁の学校段階からの計画的となっていますが、多分これは各学校段階で、あるいはその先まで続けて職業意識形成、キャリア形成支援をしていくということで、ただ計画があればいいというわけではなくて、その学校段階それぞれの間がきちんと連携が取れていて、私は多分言葉としては「体系的」というような表現のほうが当っているのではないかというので、計画だけではないというふうに思います。これが1点目。
 2点目は主体的なキャリア形成という言葉が出ていますが、これが大変引っかかりました。キャリアは1人じゃ作れない、本人がいくらやりたくたって労働市場が許さなければ絶対就きたい仕事には就けませんし、主体的な職業選択までは主体的と言っていいと思うのですが、むしろこれをあまり誇張しますとやりたいこと志向だけを煽ることになってしまいますし、あるいは自己責任論ですね。そうなったのは自分が主体的に動かなかったからだという、自己責任論になってしまうような言葉だと思うのですね、主体的なキャリア形成と言ってしまうと。「主体性を尊重したキャリア形成支援」とか、そういう表現ならとてもよくわかるのですが、ちょっと長ったらしいですが。ここまで縮めてしまうと誤解を生むのではないかという危惧を覚えます。

○ 伊藤室長 
いまの点よろしいですか。いま非常に重要なワーディングについて2点指摘がありました。1点目のまず「計画的」の、もともとここで案として記述をした意図としては、小杉委員のほうからもおっしゃっていただいたとおりに、個々人のプランニング、先にありということでは全くなくて、中教審のキャリア教育・職業教育特別部会でも学校種ごとのキャリア教育の目標、その目標に基づく教育課程のポイントといったことが審議されているわけですが、そういう段階段階において一般的に期待をされるキャリア教育を通じて達成すべき課題あるいは身に付けるべき能力、そういったものをできる限りステップを踏んでというぐらいの意味合いでして、何か個々人について固定的なプランを作るという意図は全くございません。最終的にこれを書き下していく段階ではこのままだと誤解を招くということであれば、いま小杉委員から紹介があった、例えば「体系的」という言葉を用いるということも含めて、表現ぶりについては工夫をしてみたいなというふうに思っております。
 それから後者に関しまして、キャリア形成支援の文脈で、主体的とか自立的という言葉はしばしば用いて、キャリア・コンサルティングという概念自体に関しては、前の第7次の職業能力開発計画、その前提としての能開法の改正辺りから本格的に労働行政における概念として確立をし、いわば「あてがいぶち」の再就職支援ということではなくて、当時は主に中高年ホワイトカラーの方などを念頭におきながら、それぞれの方の意思、職業経験、職業資産というものを尊重しながら、そういった意味での自立性とか主体性を重んじたキャリア形成支援といった概念設定をして、現状でも一般的な意味でのキャアリア形成支援キャリアコンサルティングの中には自立性とか主体性というものが、共通的あるいは重要なコンセプトとして含まれていると思っています。ただそれは全ての人にそのままあてはめるわけではなくて、非常に極端なケースとしては学校在学中の方とか、あるいはニート等の若者について、いきなりさあ自立的に、あるいは主体的にと言っても、それが全く現実性があるものかないものかといえば、当然それは現実性から乖離をしてくるということになってくると思います。
 したがって、回りくどい説明になったんですが、キャリアの自立性というのは、その対象や文脈によっては強調すべき部分もあるかと思いますけれども、ご指摘を踏まえ、例えばその学校から職業生活への移行という、そういう文脈でわざわざ「主体的な」という言葉を打ち出すというのは確かに誤解を招くおそれがある、あるいはその政策の方向性としてミスリードする可能性があるというのは、いまの指摘を通じて私も認識したところですので、この点に関しても「主体性」に代わる適切な表現を少し工夫をしてみたいなと思います。

○ 清家部会長 
小杉委員どうでしょう、よろしいですか。

○ 小杉委員 
はい、もちろんです。

○ 清家部会長 
では、ほかにご意見ご質問等ありますか。

○ 坂委員 
よろしいでしょうか。それでは資料1-3の中で5頁の上段のところに、確かになぜ就職に至らないのかという現在の状況がきちっと書いてあると確認していますが、その次の6頁の(4)のところですが、要するに就職に結び付けていくんだという支援のところで意見があります。私、実はハローワークとかに何回か足を運んでおります。そのときに受付をして、そして自分で見て、何も合う仕事がなかったらそのまま帰ってしまうんですね。だから、これはもったいないと、したがって本当はハローワークの中に退職された方でも結構なんですけれども、なぜ帰ってしまうのか、要するに自分で諦めているかもわかんないし、中小の企業から来ているせっかくの就職に対して自分の認識不足で就職に至らないとか、どうも1人で悩んでその場を去っているのではないかと。
 したがってここの支援の中に、私の意見としては、ハローワークを充実させる、あるいは若者とか35歳の年齢のことも出ていますけれども、新卒の方はもちろんいま就職活動でパーセントは出ていますけど、35歳の皆さんは、どうも就職に就こうと思っても正社員の求人がないとか、本当に結婚を間近に控えて、何か仕事を探してるはずなんですけれどもミスマッチが起こっていると。
 だから、繰り返して恐縮なんですけれども、ここの支援のところにハローワークというもう1つの機関があるんだから、そこを各都道府県に対して充実させるとかサポート態勢を少し出してくれないかというような表現を書かれると、それを見て、自分たちの都道府県ではやっぱりサポート態勢が少ないとか、足りてるとか足りてないとか、そういう判断になるんじゃないかなと。せっかく分析があるので、ここまで支援しなさいというところをここで少し書けばいいんじゃないかなと思いました。

○ 清家部会長 
それでは、事務局のほうはご意見などよろしいですか。

○ 伊藤室長 
受け止めて、関係部局とも相談をしながらふさわしい場所にふさわしい記述を考えてみたいと思います。

○ 清家部会長 
坂委員よろしいですか。

○ 坂委員 
はい、どうもありがとうございます。

○ 清家部会長 
それでは、ほかにご意見ありますか。

○ 市川委員 
「はじめに」のところにあります2つ目の○の「希少性」という言葉を人に使うということに対して、希少金属とか希少動物を連想するせいか違和感があります。これは骨子ですからそういう表現をされるかもしれませんが、1枚もののポンチ絵のところも「希少性」というのがキーワードのような形で出ていて、もちろんそれはこういう人口構造になっていくということで当然若年者の数が少なくなっていくし、高齢社会の担い手としての非常に貴重な存在なんだという意味はわかります。でも「希少性」という言葉については、違う表現をお願いできないかなと思います。

○ 伊藤室長 
例えば、こういう表現とか、何か具体的ご意見ございますか。

○ 市川委員 
1つの単語で表現しなくてはいけないとするとちょっと難しいですが、文章的に書けば、「社会の担い手として重要な存在であり」などという感じなのです。「希少性」という1つの単語で表記しなくてはいけないとしたら、代案はございませんが。

○ 伊藤室長 
例えばイメージとしては、「若者一人ひとりが社会の担い手という観点でもより重要な存在」とか、そんなイメージですね。

○ 市川委員 
はい、そうです。そういうような表現にしていただければと思います。

○ 伊藤室長 
わかりました。私も、こういう案を作りながら、自分自身でも若干違和感がある中で、言い訳的にカギをつけて表現しているのですけれども、委員の指摘はもっともだと思います。例えば、いま申し上げたような案も含めて適切な言葉を検討させていただきたいと思います。

○ 清家部会長 
では、ほかにご意見ございますか。

○ 三浦委員 
4頁の下の(2)で、「学校から職業生活への円滑な移行」のところで、その移行にあたって、適性・能力や職業生活設計に即した職業選択という記述があるのですが、予め決まった適性とか能力があって、それに基づいて職業選択をするということをあまり強調しすぎるとどうかと思うのです。その職務に入ってから能力開発をして、その仕事の面白さを見つけて行くということがあるわけです。そこのところもちょっと見ておいたほうがいいと思います。

○ 清家部会長 
これは事務局はそのようなご意見を踏まえて。

○ 伊藤室長 
いまのご指摘の趣旨、1点だけ付言させていただきますと、骨子で非常に圧縮した記述になっておりますので包括的にこのような書きぶりになっているのですが、例えば、同じ学校生活から職業生活への移行としても、普通高校を卒業してすぐ就職される方と、高等教育機関でその専門教育を修得された上で就職をされる方で、能力の意味づけというのは自ずと違ってくるのかなと思っております。先ほど部会長からもお話いただきましたように、これを膨らまして更に成案と考えているわけですが、三浦委員のご指摘の趣旨はよく理解できたつもりですので、いま私から申し上げたような点も加味しながら、より正確な、あるいは誤解を与えないような表現を工夫してみたいと思います。

○ 清家部会長 
では、三浦委員もよろしいですか。ほかにいかがですか。

○ 市川委員 
まず5頁の最初の○で、「こうしたことから」ということで、一定期間新卒扱いとすることが、ついこの間の雇用対策法に基づいて「青少年雇用機会確保指針」として、ほかの分科会でたしか確認されたと思うのです。少なくとも3年間新卒として応募できるという、新しい政府の対策もできていますので、そういったものも補強しておくべきではないかと思います。
 次の○の中小企業の存在ということですが、大卒のほうで、中小企業の求人倍率は大手に比べれば高いのに充足率が非常に少ないという問題が、テレビなどでも報道されています。いろいろな省庁でこの若者対策がされているのをトータルして、効果を大きくするような、そういう省庁を挙げて、政府を挙げて、施策をやっていくという視点が少しどこかに触れられればいいと思いましたので、お願いいたします。

○ 伊藤室長 
折角ご指摘いただいたので、いまの点について。5頁の最初の○の記述については、市川委員からご指摘のように、先般告示して発表されました雇用対策法に基づく「青少年雇用機会確保指針」を念頭に置いた記述でして、ここにいらっしゃる皆さんもたぶんご案内のことかと思います。この指針の中で、募集条件設定に当たって、学校と卒業者が卒業後少なくとも3年間は応募できるものとする、あるいは年齢の上限を設けないようにするとともに、上限を設ける場合には青少年が広く応募することができるよう検討するといった内容が盛り込まれたことも念頭に置き、こちらのほうはおおむね5年間の方針ですので、それを少し一般化した表現で、このような形としているところです。
 こうした取組みあるいは勤青方針という枠組みの中で、さらに関係者に浸透を図ることの重要性は委員ご指摘のとおりですので、そういう趣旨がより正確に伝わるような表現を最終的に工夫させていただきたいと思います。
 政府各省その他関係者トータルでの取組みということに関しては、以前、若者自立挑戦ということに関して当省が音頭をとり、関係省庁、労使の方々のご協力もいただいて、「若者人間力国民運動」といった具体的な取組みを推進していた局面もありまして、現行8次方針策定の段階では、ちょうどその国民運動が緒についた段階ということで、それを具体的に念頭に置いた内容を現行の8次方針には盛り込ませていただいております。情勢の変化によって、この国民運動については少し位置づけが変わってきているところではあるのですが、この若者の自立、あるいはその自立に向けた能力を身につけるために関係省庁だけではなく、労使関係者、力を合わせてという、そのコンセンサスは何ら変わってないと思っております。そういう考え方は、勤労青少年福祉法あるいは福祉方針の目的にも当然合致をするものだと思います。これも、いまの方針の書き方そのものは採用できないと思うのですが、市川委員から2つの重要な点をいただきましたので、入れる場所も含めて、工夫しながら考えてみたいと思います。

○ 宮本委員 
1点つけ加える必要があるのではないかと思いますのは、第8次の改訂の時期にはほとんど認識されなかったホームレスの問題があると思うのです。この間、国は若年者に関してはネットカフェ難民問題、それから派遣切りという形で取り組んできたところですが、いまいろいろな現場でホームレスの現象に関わって認識されていることは、中高年ホームレスはもちろん数が減っているわけではなく、むしろ増える傾向にあるのだけれども、40代以下の部分がぐっと増えているところに特徴があると、どこでも指摘されているところです。
 その若年者のホームレスの現象というのを、私、先ほどここへ来る前に、ビッグイシュージャパンが、昨年から今年にかけて、販売員になっている若い人たちの聴取り、50人の調査をして、今度白書の形で発表することになっておりまして、それに関わっているのです。まずは低学歴者が非常に多い。半分が片親あるいは施設出身、もちろん低所得です。これは池袋の団体も明らかにしていますが、3割近くが知的障害の可能性があるとか、そういういろいろな意味で言うと、先ほどの就業構造基本調査のうんと凝縮された形で、あるいはニートの実態の凝縮された形がホームレスだというのではないかという感じがしているのです。
 その辺りのこの間の国としての若年者ホームレスへの取組みも結構ばらばらです。ネットカフェ難民問題があり、派遣切りがあり何々ということで、いろいろなプログラムもいろいろな形であちこちから出ていて、使い勝手が非常に悪いと言われているのですが、その辺りを整理する意味でも、ここにきちんと入れることが必要ではないかと思います。

○ 伊藤室長 
イメージとしましては、おおむね今日提示しております体系を前提とした場合、いわゆるドロップアウト層の自立支援という観点では、いまの2の(4)にニート対策など書かせていただいているのですが、この辺りで整理するイメージなのか、あるいは。ただ、後半は青少年の交流とか、一般的な環境整備の話で、ちょっと書きにくいので。

○ 宮本委員 
まず1つは、2頁辺りの実態のところに1つもホームレスという話が出てないですが、それを入れることが必要なのと、取組みとしてはホームレス問題は雇用と、もう1つあるのは住まいなのです。若者と住まいというテーマなのだと思うのですが、その辺りのところを対策として1項入れていただくことになるのかと思うのです。

○ 伊藤室長 
イメージとしては、例えば、現在ハローワーク、自治体と連携して推進をしております就業、福祉、住居等を含めたトータル支援、いわゆるワンストップサービスの話ですとか、あるいは宮本委員がご参画されているパーソナルサポーターの取組みとか、そういったもののイメージ、観点ですか。

○ 宮本委員 
そうですね。ホームレスの地域センターを何て言いましたか、ありますね。ホームレス自立支援センターが2000年代にできているのですが、これは若年者対象ではないのですよね。しかも、もう本当の限られた大都市だけだと思います。そこで行われるべきことというのが、この若年者に関しても入るべきなのだろうと思うのです。あるいは、第2のセーフティネットという一連の事業がありますが、そこに絡めた形の記述が何か必要ではないかということですね。

○ 伊藤室長 
いま基金訓練で行っております訓練就職支援と、生活面の支援、パッケージの展開、求職者支援制度にいずれ移行していくまでの間ですが、例えばそういう話などですね。

○ 宮本委員 
そうですね。要するに、パッケージでない限り機能しないというところが、ホームレス問題の場合には非常にはっきりしているわけですね。当面の住まい、お金、仕事、それと生活支援ですか、そこらをパッケージにしたものということになるかと思います。

○ 小杉委員 
その場合、やはり青少年という切り口を最初に出しておかなくてはいけないところもあると思うのです。つまり、出生家族から自立していく存在としての青少年であって、だからその地域間移動とかそういう移動にさらされるわけで。それに対しての住宅問題というのがいままでは企業が確保してくれたりとかそういうことがあったのだけれども、今回の派遣切りなんかではその問題が出てきている。そういう自立するべき存在としての青少年に対する住宅の部分が、いま十分にケアされてない。その出方の1つがホームレスだという位置づけのほうが、青少年福祉対策の中に入れるのにはいいのではないかと思います。

○ 三浦委員 
いま宮本委員がおっしゃられた若年のホームレスというのは、先ほど説明いただいた資料2-1の8頁の下の図でいくと、真ん中の黄色の対象者、ニートという形で捉えていますが、対象者のうちの左側のちょっと薄い黄色の部分、本人は就業希望を有していないが、客観的には就業可能性を有していて、かつ切迫しているような層、この層の一部として位置づけられるという形で捉えることはできないのですか。この部分でカバーできることにはならないですか。ホームレス一般として取り上げてしまうということになると、ちょっとこの指針の課題を超えるような感じがしますので。支援をしなければいけない層の一部としてはそういうのもあるという位置づけも可能かという感じもしますが。

○ 小杉委員 
その中でニート状態と言う場合には、保護する家族がいる状態で、ひきこもる家がある。保護する家族がいなくて孤立化すると、路上に出てきてしまうのです。この中に収めるには、家族の機能があるかないかで出てきてしまうというような形で収めることも可能かと思う。

○ 伊藤室長 
いま各委員から関連するご指摘をいただきまして、宮本委員からいただいたご指摘について、この勤労青少年福祉方針の文脈で取り上げる場合には、やはり政策的には小杉委員からお話がございましたように、青少年の自立のプロセスという捉え方がいちばんオーソドックスな捉え方なのだろうと。前回、中・高卒者の地域間移動についてのデータをご紹介いたしました。小杉委員から、必ずしも中・高卒というフェーズだけではなくて、ほかの地域間移動のフェーズもあってというご指摘もいただいて、いろいろデータも提供いただきながら、我々も分析したのですが、残念ながらこの場でかちっとした形でお示しするほどデータの整理は容易ではありませんでした。
 全体的には、委員からご指摘いただいたように、中・高卒就職という局面だけではなく、そもそも高校から大学に進学するに当たって非常に多くの方が地域間移動をして、大学居住地でそのまま就職をしたりとか、そうした形で元々の居住地以外の地域で就業している方というのは全体数を正確には捉えにくいのですが、相当数いて、それは必ずしも減っていないという認識を持っております。
 そういう環境のもとで、とりわけベクトルとしては地方から都市というベクトルが多いわけです。言うまでもなく、その場合には居住費の負担が非常に大きい。そうしたことが就業そのものの支援と、具体的な機会支援としてパッケージで講じられなければ、勤労青少年福祉方針が目指すところの青少年のキャリア形成実現も図りがたいという観点での整理は、これは勤青方針の目的とか性格に鑑みて、あまり大きな違和感がない部分ではないかと思っております。
 そういう意味では、いま宮本委員から具体的なデータや施策についていくつかご紹介いただきました。1つは、やはりその中で青少年の実態がどうなっているのかについて捉えませんと、この中で位置づけにくいということになります。そこはいろいろご助言もいただきながら、その中で若者はどうなっているのかという部分と、いま私が申しましたような典型的な層なのか、何かそれ以外の事情でホームレス、住居確保に困難をきたしているのかどうかという要因も分析する。
 あと具体的な施策として、ほかの項目も同様ですが、全く施策の裏付けもないことについては私ども検討することもいろいろ支障もありますので、既にご紹介いただきましたような、いくつか現行も取り組みつつある施策との関連性を重視しながら、どういう書き方があるのか。勤青方針全体の方向性にそぐわないような形で整理の工夫もし、また次回の部会でもいろいろな目線でご確認・点検をいただければと思います。

○ 清家部会長 
要するにこれは対策の基本方針ですから、具体的な細かい施策をどうするかというところまでは書き込まないわけですね。ただ、一方で、この基本方針を踏まえて、是非具体的にいろいろな政策を進めてほしいわけだから、それを書くときに、その背後に具体的な施策等をイメージしながら書くという、そこのバランスでしょうね。

○ 伊藤室長 
おっしゃるとおりです。

○ 清家部会長 
そこのところを、ただこういう書きぶりの背後にはこのような具体的な施策がある。先ほど、例えば坂委員からも、ハローワークでもう少しいろいろな対応ができるのではないかというお話もありました。やはり具体的にこれをやれというものではありませんが、やってほしいという期待を込めて、方針を書いていく。具体的にはそのような政策に落とし込んでほしいという形で、書いていただくということかと思います。


○ 伊藤室長 
はい。わかりました。

○ 清家部会長 
もう1つ、またいろいろご議論あるかと思うのですが、今回このコンセプト案、資料1-1のコンセプト案の下に、副題のようなものが付けられています。「青少年の主体的なキャリア形成と社会参加を支える社会的ネットワークの構築を目指して」、これは基本方針について、以前から副題のようなものをつけたらどうかというご提案が委員の中からもございましたので、今回事務局のほうで少し工夫をしていただいたところです。この副題などについても、何かご意見がありましたらいただければと思います。

○ 伊藤室長 
小杉委員のご指摘からすると、この副題の「主体的」というのも少し考えなければ。

○ 小杉委員 
「主体的なキャリア形成」というセットだと、主体でキャリアは、1人では作れないということになるので。
○ 伊藤室長 
とりわけ職業経験の乏しい若者にあっては、困難度がより高いという意味合いも含めてでしょうか。

○ 坂委員
「社会参加を支える社会的ネットワーク」のところですが、短かくするという発想になれば、「社会参加を支える」というのを取り除いても、わかるのではないかと思いました。「社会的ネットワークの構築を目指して」としても社会的ネットワークで社会参加だということで置き換える、そういうふうにわかるのではないかと思うのですが、私の意見です。

○ 清家部会長 
社会的ネットワークという中に、当然社会参加を支えるという趣旨も含まれているということですね。

○ 坂委員 
例えば、標題で、社会的ネットワークの構築を目指すのだとなれば、それはここのことなのだということで、つながるような書き出しというか、赤い字のところです。社会的ネットワークとはと上に出しているのだから、それはこういうことをやるんだという。こういうふうにつながれば、いまの社会参加というのは取り除いても、下を見ればわかると思うのですが。

○ 伊藤室長 
ご指摘の趣旨としては、方針に書く具体的な施策の中身についても、その社会的ネットワークとか、あるいは社会参加という要素も含めたことをしっかり書くとともに、タイトルについてもそういうニュアンスがよりしっかり出るようにというご指摘の趣旨と理解してよろしいでしょうか。
○ 坂委員 
私は、生活を守るのには社会的ネットワーク、先ほど出ていましたように、住む所がないというのを支えるのも社会的ネットワークの1つだと思うのです。だから上で、社会的ネットワークは大切だ、構築だと出しておきながら、それでは下を見ると、いろいろな所に書いてあるような気がするのです。この赤の?項で起こして、こういう施策を打つという書き方がいいのではないかという意見です。

○ 清家部会長 
ほかにご意見ございますか。例えば、先ほどの小杉委員のご意見等も踏まえて、そしてこの副題というのはキャッチコピーのようなものだから短かいほうがいいとすれば、主体的なというのも取ると、「青少年のキャリア形成と社会的ネットワークの構築を目指して」といったような、少し短めの副題というのもあるでしょうか。

○ 小杉委員 
キャリア形成を支える社会的ネットワークですかね。キャリア形成を目指してというか、キャリアは個人のもので、それを支援するのが行政のやることではないかと。

○ 清家部会長 
おそらく、キャリア形成だけに社会的ネットワークを掛けてしまうと、さっき坂委員が言われたことからいうと、少し狭くなりすぎるのではないかというのが、問題だということなのでしょうね。

○ 小杉委員 
はい、確かに。何か青少年の生活を支えるみたいになってしまう。生活とか人生ではないですね。まあ、自立かな、自立。

○ 清家部会長 
青少年の自立を支える社会的ネットワークということですね。

○ 小杉委員 
はい。

○ 市川委員 
そうすると、「青少年のキャリア形成と自立を支える社会的ネットワーク」。


○ 小杉委員 
なるほど

○ 市川委員 
自立を支えるというのが、ちょっとおこがましいかなという感じがしないでもないですね。

○ 清家部会長 
これはもちろん副題、最終的につける副題ですから、今日決めなきゃならないわけではないのですが、少しご意見をいただいておきたいということですね。

○ 伊藤室長 
労働行政の立場でいきますと、いきなり「自立」と言うよりは、「キャリア形成」があって、その結果の自立というニュアンスが出るほうがよりフィットするのかなというのが、いまの各委員のお話を聞いて、私も印象として思っております。

○ 市川委員 
キャリア形成を通してとか、そんな感じですね。

○ 清家部会長 
これは副題ですから、この勤労青少年福祉対策の基本方針にいつでもくっつく副題ではなくて、この第9次の、特に目玉というのでつけたいわけですからね。

○ 伊藤室長 
はい、今回の9次の副題ということです。



○ 清家部会長 
ほかに、この副題の問題以外にも何か意見はございませんか。

○ 坂委員 
全体的なところを見て、いままでの経過も見させていただいているのですが、広報、お知らせをするという場合に、どの媒体を使ってお知らせするのかというのはいろいろな媒体があります。何かこういう制度があるんだよ、だから皆さん、安心してここに来たらどうだというような呼びかけも、この項目の中に少し書いておけば、それを見た各都道府県が何をするのかは具体的にやってもらっていいわけです。何か呼びかけていくことも1つ必要ではないかと、広報ということについて感じました。

○ 清家部会長 
ほかにはどうぞ。

○ 伊藤室長 
私から1点お願いとして、前回も少し触れましたが、この勤労青少年福祉対策上の固有の事業施設として、今回の骨子である、後半で何度か出てまいります勤労青少年ホームの存在があって、キャリア形成という観点からの活性化という視点をこの中で出させていただき、現実に、今日ご紹介しました札幌、前回ご紹介しました新潟の三条、そうした観点で非常に先進的な取組みをしている所もあるのです。
 私もこの間、勤労青少年ホームいくつか回り、前回あるいは今回紹介しました事例以外でも、勤労青少年ホームのあり方について、若者の自立という観点と勤労者福祉、両方の観点で大変重要な施策であるという認識のもとで、その主体で公労使参画の審議会を設け、勤労青少年の活性化について審議をしたり、勤労青少年ホームの類似の施設とのさまざまな機能、広報、登録の共有化、こういった工夫を講ずることによって利用実績が大幅に伸長している。勤労青少年法に基づく方針というのは、そういった自治体やホームの運営関係者にも大変注目されております。実際にそういった地域ベースの審議会の答申などを見ても、現行の勤労青少年福祉方針を紐解いた上で、就職支援、キャリア形成の観点からの勤青ホームの活性化とか、他の施設との相互乗入れと。こういった提言がなされ、実際に拡充もなされる。
 そういった意味では、今回のこの方針に関し、青少年自身に対するメッセージという側面もございます。それから企業をはじめ、青少年を取り巻く関係者に対するメッセージということもございます。非常に具体的な部分としては、自治体における具体的な施策展開において、その関係者のコンセンサスを得て、予算も含めた必要な事業立てを講じていく。関係者のコンセンサスを得る上で、この国の勤青方針にこの勤労青少年ホームの前向き、有効な活用の方向性が示されることに対しての期待が非常に強いと、私も担当室長として感じるところです。そういう思いも含めて、今回のこの骨子案を書かせていただいているところです。
 そういう観点でこれを目にした自治体あるいは関係者が、こういう国の方針に沿って自分たちの勤青ホームそのもの、あるいはほかの関連施策とうまく連携づけながら、より活性化させていこうというような思いに立ち至る。そんな観点で、さらには各委員の立場でさまざまなご指摘、アイディアをいただきましたらそれも頂戴をし、最終的な方針にもできるだけ反映したいと思っております。そういう観点も含めて、もしお気づきの点があれば是非ご意見を頂戴したいと思っております。
○ 宮本委員 
ここにどう盛り込むかどうかあまり具体的に考えてないのですが、いまの伊藤室長のお言葉に対して少し考えていることなのですが、単なる就労支援というだけでなく、もっと広い意味での支援が必要だということがいろいろな形で嫗われている中で、勤労青少年ホームをどういう場所とするかということに関して、ここを広く活動の拠点にするということはもちろんいいのですが、もう1つ、ここを若者年齢層の人たちの情報センターにするというのは是非必要なのではないかと日頃から思っています。例えば、ジョブカフェに行くと、仕事の情報しかないですね。それから、いわゆる青少年会館とかいうのは基本的に青少年までですから、仕事に関する情報は一切なしなのですね。青少年センターだと、教育に関する情報もないと思います。地域における青少年の活動の情報だけというように、非常に偏っていて、単発的で縦割行政そのものなのですね。
 いま必要なのは、もっとそういうものを全部ひっくるめたような情報で、そこへ行くと必要とされているものが全部そこにたまっているという場所ではないかという感じがしております。その点で、全国の勤労青少年センター、活動を本当にしている所はまだまだそんなに多くはないのだけれども、そこをもっと徹底して活用する形でモデルを示すのだったら、もうそこが情報センターであり活動の拠点であり、具体的なパーソナルなサポートもしてもらえるというような機能強化があるのではないかと思うのです。

○ 清家部会長 
ほかにはいかがですか。

○ 小杉委員 
勤青ホームの中には運営に若者自身が参加しているという例があったと思うのですが、それを前面に、この交流とか活動などの1つの項目としてもっと出したほうがいいのではないか。若者自身の参加、運営面での参加というようなことを、この社会活動への参加の中の最も大きなやりやすいものとしてそこをこうもっと、事例の1つの中に埋め込めないで、この中に出していくというぐらい、当事者の参加というのは大事だと思います。

○ 遠藤委員 
 今日ご提示いただきました資料を何度か読ませていただいたのですが、そうすると、どうしても頭の中にいつも残ってしまう1つのワードがあって、それは「困難」という言葉です。メッセージの出し方として、サポートする側、政策を展開する側の人たちにとっては、こういう人たちは多くの困難を抱えています、だから皆さん、手厚くあるいは連携取り合って対応してくださいということです。しかし一方で、若者たちが、あなたは自立に向けて困難を抱えていますねって言われた時点で、私はそんな状態なのかっていうのが、逆に頑張ろうという気持を萎えさせてしまうようなことになりはしないかなと思っています。困難と言われた時点で、何か蓋をされてしまうようなことがもしあるのだとしたら、そういうのは避けたい気持ちがあります。
 どちら側にメッセージを出すかによって良い形で展開する言葉なのかもしれないけれど、逆の使い方をすると、何か蓋をしてしまうようなそういう部分がありはしないかということです。「困難」という言葉を置き換えられるようなところはいくつかあります。ただし、すべて「困難」をやめてしまって、言葉を置き換えられるようにこれができるかというと必ずしもそうではなかったので、発言はここまで控えていました。感想ということでお聞きいただければと思います。

○ 坂委員 
意見ですが、この勤労青少年ホームというのを今回のこの資料で初めてといっていいほど、先ほどから出ているようにあまり認知されている名前ではないのですね。したがって、どこに存在をしているのかというのは、ハローワーク・ジョブカフェのほうはよくわかるのですが、この勤労青少年ホームというのはこのように大切な機関だからもっと使おうよと出してきているのですけれど、果たしてどこで何があるのかという存在がわからないから、利用者数が減っているのではないかと思うのです。
 だから先ほどから出ました、ネーミングとかも含めて、ここに行けばいろいろな情報があるというような言葉を括弧書きでも書いて、このホームという名称はおそらくどこかで決まっている名前だから、勝手に名称変更というのはすぐにはできないと思うから、、この委員会で何か情報発信基地とかいうような意見が出ていましたから、そのような括弧書きで何か示しながら、わかりやすく、お知らせをする、そういうつなぎをしてほしいというのが、私の意見です。

○ 阿部委員 
資料1-3の6頁の上段です。「ニート状態に陥りやすく抜け出しにくいという高校中退者等の実態を踏まえ、高校中退者等を対象に、自宅等への訪問支援(アウトリーチ)といった能動的なサポートを行うことにより早期の自立・進路決定を促すこともとりわけ重要」と書いてありますが、これは実際どのような形で行われているのでしょうか。

○ 伊藤室長 
いまご指摘のあった部分ですが、地域若者サポートステーション、ニート等の若者自立支援の拠点におきまして、昨年度まではモデル的・試行的にいくつかの所で行っておりました。今年度はすべてのサポートステーションではないのですが、全国100カ所のうち50カ所指定をしまして、私どもだけではなく文科省、教育委員会の協力もいただき、必要な情報提供、言ってみれば支援先に関わる情報提供などもいただきながら、今年度から本格的に全国でこの取組みを進めている段階です。
○ 市川委員 
ホームの下のところにあります、8頁の支援に関わる人材育成で、企業における推進者(勤労青少年福祉推進者等)、これは、実は私も恥ずかしながら初めて知ったのです。調べたら一定人数の青少年を雇っている企業はこういう推進者を置くという努力義務があるのを知ったわけですが、実際にどの程度機能されて、配置されているのか、その辺の状況がわかったら教えていただきたいのです。
 そして、この指針の中で、キャリア形成支援の観点から専門性がより重視されるということを今回示したということは、この規則などを少し変えていくのかどうか、それを目指しているのかどうかを伺いたいと思います。

○ 伊藤室長 
いまご指摘ございましたように、勤労青少年福祉推進者については勤労青少年福祉法に基づく努力義務で、具体的な配置の基準とか、推進者の要件については勤労青少年福祉法の省令で定めているという構造です。現状で見ますと、配置をする事業場の範囲については、常時使用する20歳未満である勤労青少年の数が20人以上の事業場に配置をすること。ですからイメージとしては、新規高卒者で、定期的にかなりまとまった数の採用を行っている事業所が中心になってくるのかと。ですから典型的に見ると、製造系のかなり大きな職場がそのイメージになってくるのではないかと思っております。
 具体的な勤労青少年福祉推進者の配置者の資格について、同じ省令の中で規定をしております。これはかなり緩やかな規定で、一定の学歴によって微妙に要件は違ってはいるのですが、その勤労青少年の指導についての実務経験1年以上とか、その他勤労青少年の福祉推進業務についての必要な知識経験を有していること、特に排他的な規定を設けているわけではございません。
 先ほどお尋ねがあった実態ですが、20歳未満勤労青少年の数20人以上というのは全国に極めて多数に及び、かつ元々努力義務であることからして、そこは大変恐縮ですが、私どももこの要件に当てはまる事業場について、勤労青少年福祉推進者についての配置の状況にまで具体的に統計的に把握をしている状況には立ち至っていないところです。
 私ども実態把握が不十分ということは認めざるを得ないのですが、一方で、ここでこのような形で書かせていただいております趣旨としては、勤労青少年、この方針案全体貫いておりますのは余暇中心の従来型の福祉ということではなく、キャリア支援の取組みです。もちろん勤青ホームであったり、サポステであったり、ハローワークであったり、そういった所の役割も大変大きいわけですが、やはり7・5・3と言われる状況、高卒であれば3年間で5割の若者が離職をしているという実態を踏まえるならば、こうした公的就職自立支援機関だけではなく、企業そのものにおける若者に対するキャリアもありますし、その前提としての教育、いろいろな観点からの総合的なアプローチが重要であります。それを別の表現で表わしたのが、前回遠藤委員からのご指摘も踏まえて加えた、「企業内の福祉について、いま今日改めて見直しの気運が醸成をしていて、そうした視点と個々人へのキャリア支援の視点を組み合わせて」ということを別のパートでも書かせていただいてはおります。
 そういう企業の視点、いま申し上げたような役割、決して形式として勤労青少年福祉推進者として委嘱されている人が担わなければいけないということではないのですが、勤労青少年福祉法に基づく方針ですので、その後に法律の中に位置づけられている立場にある勤労青少年福祉推進者がその役割を担うのに最もふさわしい代表的な方ではないかという認識のもとで書かせていただきました。ただ、そもそもの実効性については、いま私のほうから申し上げましたように、この仕組みが十分に浸透しているわけではないことも認めざるを得ない部分があります。
 あと、先ほど坂委員から、広報的な観点で問題提起をいただきました。それも是非取り入れていきたいと思います。
 関連する1つの事例としてご紹介したいと思うのですが、先ほど勤労青少年ホームの活性化という観点で、市単位で公労使含めての協議会を設け、いろいろな提言、取組みをしている事例があることを申し上げました。私が先ほど申し上げた具体的に念頭に置いておりましたのは、兵庫県の西宮市です。ここでは、勤労青少年ホームと隣接しております勤労会館等の施設について、先ほど少し触れましたように、相互乗入れをするとともに、活性化を図る上での1つの取組みとして愛称を募集する。ですから法律に基づく名称としては、西宮市勤労青少年ホームというのがもちろんあるのですが、ここでは「プラット・アイ」、プラットというのはたぶんぷらっと立ち寄れるという意味で、アイというのはたぶんいろいろな意味があるのでしょうけれども、一人称のアイとか、ラブの愛ももしかしたら入っているのかもしれません。そういう愛称を用いることによって市民により親しみやすい存在になって、認知度が高まって、それも活用実績の伸長の1つの要因になっているというような説明も聞いております。
 ですから、そういう意味では方針の中でそういう考え方を示し、現実にそれぞれの地域ごとに勤青ホームの活性化を図る上で、そういう広報上の工夫を行っていくことが意味あるものであることは、そういう個別の事例からも一定裏付けられているかと思っております。先ほどのご指摘の趣旨を、これまた工夫をして取り入れてみたいと思います。

○ 清家部会長 
既に時間もまいりましたので、今日の議題は、第9次勤労青少年福祉対策基本方針の骨子案についてですが、その他として、この基本方針に関連するもの以外で、特段何かご意見があれば、ご発言をお願いしたいと思います。何かございますか。よろしいですか。
 それでは予定した時間に近くなりましたので、本日の議事はこれで終了とさせていただきます。最後に、事務局からお願いいたします。

○ 事務局 
本日は貴重なご意見を賜り、ありがとうございます。今後のスケジュールですが、お手元の資料4をご覧ください。本日12月3日にこの骨子案を審議いただきました。次回ですが、1月下旬頃、第8回ということで、本日いただいたご意見を踏まえて、基本方針原案を作成してまいりたいと思います。これをご審議いただきたいと思いますので、また日程については事務局のほうから調整させていただきたいと思います。また、お手元にお配りしております青いファイルの資料ですが、また本日の資料を加えて、次回お配りしたいと思いますので、本日はそのまま置いていってくださればと思います。以上です。

○ 清家部会長 
本日の議事録の署名委員ですが、部会長の私と、労使双方からお一人ずつということで、恐縮ですが労働者代表委員の坂委員、使用者代表者委員の遠藤委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日の部会はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)
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