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2011年6月7日 第5回今後の高年齢者雇用に関する研究会

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成23年6月7日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省専用第19・20会議室(合同庁舎第5号館17階)


○出席者

権丈教授、駒村教授、藤村教授、清家塾長


中沖高齢・障害者雇用対策部長、土田高齢者雇用対策課長


上田高齢者雇用事業室長、前田高齢者雇用対策課長補佐


桃井高齢者雇用事業室長補佐


○議題

報告書(案)について

○議事

○清家座長 定刻になりましたので、第5回「今後の高年齢者雇用に関する研究会」を開催したいと思います。本日はお忙しい中、またお暑い中をお集まりいただきまして誠にありがとうございました。本日は報告書(案)について検討をしていただくこととなっています。
 その前に、一言申し上げたいのは、実はいま、税と社会保障の一体改革が政府において検討されていて、去る6月2日の税と社会保障の検討会議において、この年金制度についての見直しについても検討されるという議論が出てまいりました。ただ、我々のここでの議論は、年金制度が変わるとしても今すぐ変わるわけではありませんので、現行制度を前提に議論を進めることとしたいと思いますので、その点だけご了解いただきたいと思います。
 そこで先般来、ご議論いただいていた報告書(案)について、前回までの議論を踏まえて事務局にこの報告書(案)を取りまとめていただきましたので、今日はその検討をすることとします。それではまずこの報告書(案)について事務局からご説明をお願いします。
○前田高齢者雇用対策課長補佐 報告書(案)について、ご説明をさせていただきます。全体の構成としては、「はじめに」があり、その後、Iが「高年齢者雇用の現状と課題」、IIが「今後の高年齢者雇用対策」、最後に「おわりに」という構成になっています。順序に従ってご説明させていただきます。
 1頁の「はじめに」ですが、少子高齢化に伴う労働力人口の減少を跳ね返し、経済の活力を維持するためには、若者、女性、高年齢者など全ての人が可能な限り社会の支え手となることが必要である、ということ。また「新成長戦略」でも、国民すべてが意欲と能力に応じ労働市場の様々な社会活動に参加できる社会、「出番」と「居場所」と言っていますが、それを実現し成長力を高めていくことを基本とし、国民各層の就業率向上のための政策を総動員するという方針が示されています。高年齢者については、長い職業人生で培った職業知識や経験を経済社会において有効に活用することが重要であり、そのためには年齢にかかわりなく意欲と能力に応じて働くことができる環境を整備することが必要です。
 また、個人に着目すると、公的年金支給開始年齢の65歳への引上げが開始される平成25年度を目前に控える中で、現行の高年齢者雇用制度の下では60歳で定年に到達したが、希望したにもかかわらず雇用が継続されず、年金支給開始年齢までの5年間、無年金・無収入となる者が生じる可能性があることから、雇用と年金の確実な接続が喫緊の課題であるとしています。「新成長戦略」においても、65歳までの希望者全員の雇用が確保されるよう、施策のあり方について検討を行い、その結果を踏まえ、2013年度までに所要の措置を実施すべき、とされています。
 本研究会においては、このような問題意識の下、昨年11月から、希望者全員の65歳までの雇用確保策、年齢にかかわりなく働ける環境の整備について主に議論を行ってきた。今般その議論・検討の結果を報告書として取りまとめたので、ここに報告する。以上が「はじめに」です。
 本文に入り、Iの「高年齢者雇用の現状と課題」ですが、1は現状について記載しています。2頁で(1)の高年齢者等の雇用・就業の状況ですが、当初、人口について触れていて、我が国の人口は、今後、減少局面に入り、2015年には、2009年と比較して若年者の人口は155万人減少すると見込まれています。ただ、いわゆる団塊の世代が全員65歳以上となっていく中で、60~64歳の高年齢者の人口も102万人減少すると見込まれていると書いています。また、現在の性・年齢階級別の就業率を前提とすると、2020年では2009年の時点と比較して、若年層の就業者数は302万人減るのですが、60~64歳の就業者数も116万人減少し、全体として就業者数が433万人減少すると書いています。
 2005年から2010年までの変化を見ると、60~64歳層の常用労働者は78万人から162万人に、65歳以上でも27万人から59万人と、高齢層の労働者が大幅に増加している点を記載しています。また、就業率についても上昇傾向にあるということで数字的な記載をしています。ただ、最後から2行目で「また」として女性については、高齢女性ですけれども、就業率は上昇しているものの、男性に比べて低い水準になっていると記載しています。
 (2)の雇用制度の状況ですが、平成16年に改正された高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が、平成18年から施行されていて、事業主に対し、雇用確保措置のいずれかを講ずることが義務化されています。これを受けて、労使で協議を重ねて解決策を見いだす中で、企業においては、少なくとも65歳までは意欲と能力のある限り働き続ける環境の整備が着実に進展したと書いています。
 3頁で、全年齢の就業率は微減傾向にありますが、60~64歳の層で見ると就業率は上昇傾向にあります。特に改正高齢法の施行前後で見ると、5年間の間で5%ほど上昇していることを記載しています。
 雇用確保措置を導入している企業の割合ですが、直近の2010年には全企業の96.6%に達しています。そのうち継続雇用を導入している企業が多く、数字としては83.3%となっており、定年の引上げ、もしくは定年の定めを廃止した企業の数字より高いものとなっていると記載しています。雇用確保措置を講じている企業のうち、89.9%の企業が年金の支給開始年齢の引上げに先駆けて確保措置の上限年齢を65歳に設定している。残りの10.1%の企業も上限年齢を64歳としており、雇用確保措置はほぼ定着したものと言うことができると書いています。
 2の高年齢者雇用を進める上の課題として、3つ挙げています。(1)は労働力供給減少への対応で、「はじめに」に書いてあることとほぼ同じことを書いてありますが、高年齢者が、少なくとも働く意欲と能力を有しているのに、働くことができない環境は改善する必要があり、また、今まで培ってきた職業知識や経験を経済社会において有効に活用していくための方策を検討する必要があるとしています。
 4頁で(2)の雇用と年金との接続ですが、「はじめに」で触れていますので最後の3行のみ申し上げます。「高年齢者の生活の安定を図るために、60歳以降年金支給開始前までの雇用を確保し、雇用と年金を確実に接続させることが課題であり、特に、定年制の対象となる者については、企業の社会的責務として、雇用と年金の接続を図るべきである」と打ち出しています。
 (3)は、たたき台では触れていませんでしたが、高年齢者雇用と若年者雇用との関係の記載を設けています。若年者雇用と高年齢者雇用の代替性を指摘する意見があること。企業に対するヒアリングでは、高年齢者と若年者では労働力として質的に異なるという意見や、新卒採用の数は高年齢者の雇用とのバランスではなく、景気の変動による事業の拡大・縮小等の見通しにより決定しているといった意見があったこと。
 また、欧州の例についてもご紹介しており、かえって社会的コストの増大につながったとの認識が示されていること。結論としては、必ずしも高年齢者の早期退職を促せば、若年者の雇用の増加につながるものではないとしています。若年者については、最後の方の「いずれにしても」のところで、新卒の労働市場では、結局、ミスマッチが生じていますので、求人と求職のミスマッチの解消を更に促進していく必要がある、という形で締めています。
 IIの「今後の高年齢者雇用対策」ですが、1で施策の方向性、2で施策の進め方を書いています。1の施策の方向性として、最初のパラグラフでは前に述べたようなことを書いていますが、6行目で、このため、中長期的には、高年齢者が可能な限り社会の支え手として活躍できるよう、年齢にかかわりなく働ける「生涯現役社会」を実現する必要がある、という形で打ち出しています。
 年齢にかかわりなく働けるようにするためには、「定年制」の問題が出てきます。ただ、一方で、定年制は、定年までの雇用保障という利益を伴うものとして企業や労働者に受け入れられている。このため、現段階では、制度的には定年制を選択する余地は残しつつ、実態面では今の雇用確保措置がほぼ定着していることを踏まえ、70歳まで働ける企業の拡大・定着を当面の課題として、将来的に生涯現役社会の実現に向けてさらなる環境整備を進めることとすべきである、としています。
 次に年金の話で6頁です。先にも述べましたが、60歳代前半の者の生活の安定は基本的には、働く場の確保により支えることとすべきであり、65歳以前に定年退職等により離職する場合には、年金支給開始年齢までの間に無年金・無収入となる者が生じることのないよう、確実な雇用と年金の接続が必要である。そのためには、当面は、有期契約労働者も含め雇用される人の全てが少なくとも65歳まで働けるようにするとともに、特に、定年制の対象となる者について希望者全員の65歳までの雇用確保を確実に進めることが急務である、としています。
 2の施策の進め方ですが、(1)は希望者全員の65歳までの雇用確保、(2)は生涯現役社会の実現のための環境整備という項目を設けています。(1)の希望者全員の65歳までの雇用確保の部分ですが、現在の65歳までの雇用確保措置がほぼ定着している現状の下、希望者全員の雇用確保を進めるためには、マル1は法定定年年齢を65歳まで引き上げる方法、あるいは、マル2の法定定年年齢を現行の60歳としたままで希望者全員の65歳までの継続雇用を確保する方法を考えるべきである。この2案を提示しています。併せて、いずれの場合においても、60歳代以前の期間も含めた賃金制度や昇進・昇格などの人事管理について適切な見直しを行う必要があるとしています。
 また、有期契約労働者も含め離職する方も当然発生しますので、それらの方々に対する再就職の支援を進めることも必要であるとしています。
 ここまでがリード文で、個別には次のところから入ります。マル1が法定定年年齢の引上げについて述べています。法定定年年齢の引上げを行う場合に、やり方として2つあり、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の65歳への引上げ完了を機に、高齢法の法定定年年齢を65歳まで引き上げるという方策、または、老齢厚生年金の報酬比例部分の引上げに合わせて、段階的に高齢法の定年年齢を65歳まで引き上げていく。こういう方策が考えられるとして提示しています。
 我が国では、高齢法で定年年齢は60歳を下回ることができないと規定されており、定年年齢で雇用を喪失するという不利益があるものの、定年までの雇用保障という利益を伴うものとして受け入れられていること。
 これに対して、欧米先進国では、年齢差別禁止に係る法制が整備されており、定年年齢の定めはないものの、年金の支給開始年齢と実行ベースの引退年齢を連動させることにより、雇用と年金の接続が図られている。
 ただ、我が国の状況をみると、平成6年当時の定年の義務化の状況とは企業の取組状況が大きく異なっている。また、企業に対するヒアリング、また労使団体に対するヒアリングにおいても、時期尚早ではないかといった意見や、今後のあるべき方向性として検討すべきものであるといった意見があり、こうした意見などを踏まえると、ただちに法定定年年齢を65歳とすることは困難な側面が大きいと考えられるが、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の65歳の引上げが完了するまでには定年年齢が65歳に引き上げられるよう、引き続き議論を深めていくべきである、という形で締めています。
 マル2ですが、定年の引上げによらない場合ということで、希望者全員の65歳までの継続雇用について検討しています。継続雇用は、各企業の実情に応じた対応も可能となることから、広く現状活用されています。現在の高齢法に基づいて継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準制度が設けられていますが、これにより離職した方が定年到達者全体に占める割合は2.0%になっています。
 基準制度については、労使団体に対するヒアリングで、使用者側からは基準は必要というご意見、他方で労働団体からは、基準の設定を認めない方向での見直しが必要とのご意見がありました。研究会としては、定年年齢の引上げを行わない場合において、雇用と年金の接続を確実なものとするためには、基準制度は希望者全員の65歳までの雇用確保を実現するための、いわば過渡的な措置であるものとして、廃止するべきであるとしています。
 現行の高齢法ですが、施行後5年が経過したにもかかわらず、雇用確保措置の未実施企業があり、指導の徹底を図る必要があることから、指導のあり方について検討する必要もあるとしています。
 高齢法では、現在、雇用確保措置を実施していない企業について、勧告まではできることになっていますが、制度的に勧告では実施が徹底されないのではないかというご意見や、雇用確保措置を講じていない場合の私法上の効果を持たせるべきである、というご意見があります。私法上の効果については、雇用確保措置のうちいずれかの措置を原則と定める必要がありますが、例えば、定年の65歳への引上げを原則とすることとした場合には、結果として65歳定年制を制度化したことと同様となる、という指摘をしています。
 このため、雇用確保措置を存置する場合、勧告を行ったときであってもなお雇用確保措置を講じない企業については、義務の履行を確保するための社会的制裁として、企業名を公表するなどの方策を講じることを検討すべきとしています。
 マル3の賃金・人事処遇制度の見直しですが、いずれの方策をとる場合でも、60歳代以前の期間も含めた賃金制度や人事管理について、労使の話し合いによって適切な見直しを行う必要があること。
 また、60歳代前半の者の賃金は、在職老齢年金などを前提に決定されている側面もあると思いますが、そちらの部分が今後、段階的に引き上げられてなくなっていくことを考えると、労使の話し合いにより、仕事内容とそれに見合った労働条件の設定について、適切なものとしていくことが重要であるとしています。
 マル4の再就職の支援ですが、高年齢者については可能な限り安定した雇用を確保することが基本となるものの、有期契約労働者も含め離職する労働者に対しては、少なくとも65歳まで働くことができるよう、再就職のための支援を進めることが必要であるとしています。具体的には、ジョブ・カードの利用やマッチングの促進を記載しています。
 10頁で(2)の生涯現役社会の実現のための環境整備ですが、これはマル1からマル4までの章立てにしています。マル1は労働者自身による中高年期からの高齢期を見据えた職業能力開発及び健康管理の推進、それに対する企業による支援及び取組、マル2は高年齢者の多様な就業ニーズに対応した雇用・就業機会の確保、マル3は女性の就労の促進、マル4は超高齢社会に適合した雇用法制及び社会保障制度の検討等の総合的な環境整備を進めていく必要がある、としています。マル1ですが、たたき台では職業能力開発をメインに書いていましたけれども、健康管理の重要性についてもご指摘がありましたので、一緒に書く形で書いています。下から5行目ですが、「職業生涯の節目ごとに休暇を」という形で休暇取得についての方策にも言及しています。
 11頁でマル2の高年齢者の多様な雇用・就業機会の確保ですが、高齢期において意欲・体力等の面で個人差が出てくること。また家庭の事情で家族の介護を要する方が生じるなど状況も異なってきますので、それに応じて正社員以外の働き方や短時間・短日勤務やフレックス勤務などを希望する方々に対しては、そういうニーズに応じた環境整備を行うことによって、働く機会を確保する必要があること。また、生きがいや社会参加のために就業している方が多いことから、雇用にこだわらない就業機会の確保も重要であると書いています。
 (a)の企業における雇用環境の整備については、例えば高年齢者を活かすための職場の創出、新たな事業分野への進出や職務の設計等による職域拡大、高年齢者に配慮した機械設備、作業方法又は作業環境の導入・改善、高年齢者の就業の実態や生活の安定等を考慮した賃金制度、短時間勤務などの柔軟な働き方の導入などの環境整備を進めるべきであること。また、国はこのような企業の取組を支援するために、何らかのインセンティブも考えていくべきであるということ。(b)のシルバー人材センターを通じた就業機会の確保についても書いています。
 12頁でマル3の女性の就労促進ですが、高齢期の女性の就業率は、それ以前の年代における就業の影響をかなり受けることから、若年期からの就労促進が必要であること。いわゆるM字カーブの解消も必要であること。出産・育児を機にいったん離職した方については、再就職のための支援が必要であり、それによって高齢期まで働き続けられるような環境整備を行うことが必要であるとしています。
 マル4の超高齢社会に適合した雇用法制及び社会保障制度の検討については、一つのあり方として、年齢差別禁止を行うことも一つの方法であるとしていますが、他の国の事例と比較し、我が国で年齢差別を禁止しようとする場合には、社会や雇用システムへの影響などについて多角的な観点から考慮する必要があり、現段階ではまだ議論が十分に熟していないため、中長期的な課題として引き続き議論を深めていく必要があるとしています。
 他方で、超高齢社会に適合するよう、高年齢者の就業を促進する観点から、雇用法制のあり方について見直し、検討を進めることが必要である。例えば、現在、65歳以上は適用除外とされている雇用保険の適用対象の拡大についても検討するべきである、と問題提起しています。年金等についても、整合性を図る観点から見直しを検討する必要があるとしています。
 最後に、「おわりに」として、政労使一体となった施策の実現を期待するという形で締めています。以上です。
○清家座長 ありがとうございました。ただいま事務局からご報告をいただきました、今後の高年齢者雇用対策についての報告書(案)について、ご審議をいただきたいと思います。この案は、これまでのご議論を踏まえ、また事前に皆様方からもいろいろご意見を伺った上で、事務局においてまとめていただいたものですが、改めてこのように通して皆様にお読みいただき、何かお気づきの点等がございましたらご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○権丈委員 報告書案は、これまでの議論の流れに沿っていますし、前回お話ししたようなことも取り入れられているので、よいと思います。あまり論旨と関係ないところで少し気になりましたのは、6頁から7頁にかけての法定定年年齢の引上げにおける欧米先進国についての記述です。6頁の最後の行に「欧米先進国では、年齢差別禁止に係る法制が整備されており、定年年齢の定めがないが、年金支給開始年齢と実行ベースの引退年齢を連動させることにより、雇用と年金の接続が図られている」と書かれていますが、ヨーロッパでも、定年年齢の定めがある場合もありますので、「定年年齢の定めがない」という部分を削除するか、少し検討していただければと思います。
 定年年齢の定めについては、例えば第2回の研究会で配付していただいた資料1の関係資料の11頁に、「『雇用及び職業における均等待遇の一般的枠組みを設定するEU指令』について」があります。そこに年齢差別の禁止があるのですが、いちばん下に参考として、欧州司法裁判所による年齢による雇用差別に関する判決では、労働契約により定年の定めをすることを許容する国内法規定は、EU指令に反しない旨判示したとあります。ヨーロッパでは、日本の定年制のように、定年があってその後も働いているというわけではないのですが、定年の定めが全く存在しないわけではないということです。「年金支給開始年齢と実行ベースの引退年齢を連動させる」という記述については問題ないと思います。
○清家座長 そうすると権丈委員のご提案は、例えば6頁から7頁にかけての「定年の定めがないが」を取ればよろしいと。
○権丈委員 そういうことです。
○清家座長 その前と後をくっつける。この点について何かご意見、ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。事務局はどうですか。
○土田高齢者雇用対策課長 確かにこれで見ますと、定年の定めをしている場合でも有効だということですので、可能かと思います。
○清家座長 そうすると、そこの文章は、例えば「年齢差別禁止に係る法制が整備されており、年金支給開始年齢と実行ベースの引退年齢を連動させることにより、雇用と年金の接続が図られている」とするか、あるいは、「年齢差別禁止に係る法制が整備されている一方」とか、そんな感じの接続ですか。並列的よりは「整備されている一方」「整備されているところであるが」とし、「年金支給開始年齢と実行ベースの引退年齢を連動させることにより」という接続で、よろしいですか。
○権丈委員 そうですね。
○清家座長 では今のような形で、少しワーディングについては私と事務局のほうにお任せいただくとして、「定年年齢の定めがないが」という部分を取って前後を接続する。よろしいですか。
○権丈委員 お願いします。
○清家座長 駒村先生もよろしいですか。ではそこはそのようにします。ほかにいかがでしょうか。
○藤村委員 私も基本的に、この報告書の内容でいいと思います。ちょっと気になる点が2つあります。1つは、4頁の(3)の上で「企業の社会的責務として、雇用と年金の接続を図るべきである」とあり、これはそう思うのです。ただ、この報告書の中には企業の責任は書いてありますが、個人の責任というのは書いていないのです。つまり労働の需要と供給によって雇用というのは発生するわけで、企業に対して一方的に責任だと言うのはどうかなと思います。やはり個人の側も、企業に雇われるような能力をちゃんと持っていなければ駄目ですよ、それが個人の責任ですよというのが、どこかで入っていてほしいと思います。
 それをどこに入れるかということですが、私が読む限りでは次の5頁の1の施策の方向性のところです。労働の需要と供給によって雇用というのは発生するのだから、企業側の責任もさることながら、個人の側も、それに対応できるようなことを考えなければいけない。高齢者雇用というのは柔軟性がとても大事だと思います。もう一つは歩み寄るということです。つまり企業はこういう形で、こういう労働者を雇いたいと思っている。働く側は、こういう働き方をしたいと思っている。これが若年から壮年期にかけては、個人が企業の働き方に割と合わせてくれるのです。だから企業は、あまりそこに気を使わなくていいのですが、例えば女性の雇用や障害者の雇用となると企業は合わせざるを得ない。そこは柔軟に対応しなければいけない。
 高齢期もそうだと思います。例えば週40時間、フルタイムで働く働き方でない働き方をしたい人たちもいて、これは、まさに年金との接続というところで言うと月に30万円も要らない、例えば20万円でいいと。それに対応した働き方として週に5日でなく4日とか、そういう労働供給側の思いがあって、それにお互いが歩み寄る。その中で高齢者の雇用というのは実現していくと思います。ですから、どこにどういう文言をというのは、すぐには思い浮かばないのですが、労使ともに企業側も従業員側も柔軟性というのを大事にしながら、お互いに歩み寄る姿勢でやっていかないと、現実の雇用というところでいろいろな問題、つまり雇用されない人が発生してしまう。それを少しでも少なくするというのが今回の趣旨だと思いますので、1の施策の方向性というあたりに、そういう部分を入れていただけるといいと、改めて読んで思いました。
○清家座長 その点はどうですか。1つは、そこに入れるということもあるでしょうし、4頁の(3)の上のところの記述を、「企業の社会的責務」と言うと言い方がきついので、例えば「特に、定年制の対象となる者については、雇用と年金の接続を図ることが企業には求められている」とか「求められる」とか、そんな表現にすることも考えられるかもしれません。
○藤村委員 ただ、「社会的責務」でいいと思います。
○清家座長 わかりました。「社会的責務」は残して、?の1の施策の方向性で、例えば「このため、中長期には」のあたりか、どこかに「労使双方の努力により、そのような社会をつくることが求められる」としますか。例えば「このため、中長期的には労使双方の努力により、高齢者が可能な限り社会の支え手として活躍できるよう、年齢にかかわりなく働ける「生涯現役社会」を実現する必要がある」とか、この段階であまり柔軟性とか何とかたくさん書き込むのは大変なので、少し言葉を継ぐような、あるいは「特に、諸外国と比べて就業意欲が高い我が国の高齢者の能力や経験が十分に発揮できるよう、企業と労働者双方が努力する必要がある」とか。
○藤村委員 そういうところですね。
○清家座長 そのようなニュアンスのことを、どこかに入れるということで、よろしいでしょうか。
○藤村委員 なぜ、そういうことを申し上げるかというと、改めて通して見ると、何か企業側に対して、これやれ、あれやれということばかり言っているような感じがするのです。これを企業が受け取ったときに、だっていろいろな労働者がいて、喜んで雇いたいという人もいれば、そうでない人もいるんだと。そういうことに対して全く配慮がないのかという、そんな批判もあり得るかなと思います。だったら働く側も、それなりに努力しないと駄目ですよと。それを後ろのほうで能力開発というところに入れていただいているわけですが、こういったものというのは企業側に対して制度を作って、やってくださいねとお願いするのは、そういう趣旨であるというのはわかるのですが、同時に、彼らが思っているある種の「そうは言ってもね」という難しさみたいなものを、わかった上で言っているんだよというのが入っていたほうが、一般には受け入れやすいのかなと思います。
○清家座長 今回の場合には特に定年の引上げ、あるいは、いわゆる対象者を基準を設けて選別しない、すべての人の雇用継続というのをお願いしているわけで、そういう面では藤村さんが言われるように、そうは言ってもという人がいたとしても、そこを何とかお願いしますという報告書ですから、そこのところの配慮を少しどこかのワーディングで入れたほうがいいかなと思います。そこは事務局と私のほうで工夫させていただいて、あまり大きな節を入れるとかは難しいと思いますが、いま言ったようなニュアンスが入るように、ちょっとそれは考えましょう。藤村さんのご意向では、例えばIIの1の施策の方向性あたりのところに入れたらどうかと。
○藤村委員 そういうふうに思いました。
○清家座長 それは、権丈委員、駒村委員、よろしいですか。駒村委員、何かございますか。
○駒村委員 ほとんど、ここまでくるとコメントするところもないわけですが、13頁の「おわりに」の前が、ちょっとこの文章は後を見たときに理解できるのかなと。本当に細かい話というか、「おわりに」の前の「同時に、年金その他の社会保障制度についても、高年齢者の雇用のあり方との整合性を確保する観点から見直しを検討する必要がある」というのは、ずいぶん多義的に読めるような文章になっています。これは前回の議論でも、集中検討会議でも在老のあり方というのは議論されているわけで、在老を含めたり、あるいは社会保険料の負担を含めたり、高齢期の働くインセンティブを、ほかの社会保障制度が阻害しないような形にしましょうという部分も、意識したほうがよろしいのではないでしょうかと、たしか議論している話なので、そう読めるかどうか。ちょっと多義的かなと思うので、もうちょっと明瞭に伝わる文章がなかったかなと思います。いま改めて読み直して、見直しをする際にもう少し一義的に読めるように、メッセージがやや曖昧な感じもするので、ワーディングの話ですけれども、少し工夫をしてもらいたいと思っています。
○清家座長 何か年金局との省内対応的な問題もあったりする。
○土田高齢者雇用対策課長 上のほうにも、高年齢者の就業を促進する観点からというので入っていますので、同じような趣旨であれば同じような形で書かせていただくということもあります。
○清家座長 「高齢者の就業を促進するという視点とも整合性を確保する」と書けば、そういうことですかね。「高年齢者の雇用のあり方との整合性」と言うと、ちょっと。
○駒村委員 ちょっと意味が、よくわからなくなってしまう。
○中沖高齢・障害者雇用対策部長 たぶん大丈夫だと思います。一応、確認させていただきまして、また先生のほうには配付したいと思います。
○清家座長 よろしくお願いします。ほかにはよろしいですか。そうしましたら今日、いただいたご意見も含めて、この報告書を最終的に取りまとめていきたいと思いますが、一応、それ以外の点については概ね各委員のご了承を得られたということで、よろしいでしょうか。今日、先生方からご指摘をいただいた点については事務局とも相談して、私のほうでこれを修正して、そんなに大きくないので先生方にもう一度見ていただいて、ご了解をいただく時間的ゆとりがあると思います。直しは今日中ぐらいにできるので、また見ていただいて修正を行った上で、皆様方のご了解を得てというか、今日、一応、これでご了解を得たのですが、最終的に修正部分についてご了解が得られましたら、今月中を目途に最終的な報告として取りまとめたいと思います。それでよろしいですか。ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。いま申しましたような修正を加え、また委員の先生方からもう一度ご確認をいただいた上で、最終報告書については、事務局のほうから各委員の先生方に送付させていただいた上で、公表するという段取りにさせていただきます。ありがとうございました。
 皆様方には短期間でしたけれども、密度の濃い議論をしていただき立派な報告書になったと思っています。この研究会をこれで終えることになりますが、最後に研究会を終えるにあたり、中沖高齢・障害者雇用対策部長から一言、ご挨拶をいただくことになっていますので、よろしくお願いします。
○中沖高齢・障害者雇用対策部長 委員の先生方には、今後の高齢者雇用のあり方につきまして報告書をまとめていただきまして、ありがとうございます。昨年の11月5日以来、研究会を5回開催したわけですが、委員の先生方は本当にお忙しい方ばかりでありながら出席を賜りまして、熱心なご議論、有益なご意見を賜ったわけでございます。改めて感謝申し上げます。
 今後の日程ですが、9月以降、労働政策審議会の基本問題部会において、この報告書を基にご議論を進めていただき、建議、答申を経て法改正という形になろうかと考えています。なお、最初に清家座長からありましたとおり、税と社会保障の関係で一体改革を政府の中でいま議論していますので、先生方には研究会という形ではないかもしれませんが、またいろいろお知恵を拝借することもあるかと思います。よろしくお願いいたします。
○清家座長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして今後の高年齢者雇用に関する研究会を終了いたします。これまでの皆様方の積極的なこの研究会へのご参加に改めて御礼申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。




(了)
<照会先>

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課
(TEL)03-5253-1111(内線5815)

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