ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(慢性期入院評価分科会))> 平成23年度第2回慢性期入院医療の包括評価調査分科会議事録




2011年6月2日 平成23年度第2回慢性期入院医療の包括評価調査分科会 議事録

○日時

平成23年6月2日(木)10:00~11:57


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第18・19・20会議室(17F)


○出席者

【委員】
池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理 猪口雄二委員 大塚宣夫委員
酒井郁子委員 佐柳進委員 椎名正樹委員 武久洋三委員 三上裕司委員
【事務局】
井内課長補佐 他

○議題

1 医療区分1の実態について
2 横断調査の追加分析について

○議事

○池上分科会長
 おはようございます。これより分科会を開催したいと存じます。まず、事務局から本日の御案
内をお願いいたします。
 
○坂上主査
 おはようございます。事務局でございます。
 まず、本日の委員の出席状況につきましては、全委員より御出席をいただいております。
 それでは、本日の議事と資料の確認をさせていただきます。
 資料の1枚目の「議事次第」をご覧ください。
 議題としまして、慢-1ということで、中医協総会から付託のありました「医療区分1の実態
について」、御議論していただきます。
 2番目に、慢-2ということで、前回の分科会で御指摘いただきました「横断調査の追加分析
について」、御説明したいと思います。
 資料につきましては、「議事次第」の次に「座席表」。
 次に、委員の御一覧。
 続きまして、慢-1-1「武久委員提出資料」、次に、慢-1-2「猪口委員提出資料」、 
3番目に、慢-1-3という横紙1枚がございまして、「三上委員提出資料」となっております。
 続きまして、慢-1-参考で、1枚紙を付けてございます。
 その後に少し厚い慢-2という縦紙の資料を用意しております。
 抜け、乱丁等がありましたら、事務局までお願いいたします。
 以上です。

○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず、「医療区分1の実態について」を議題にさせ
ていただきます。
 本日、武久委員、猪口委員、三上委員より資料を御提出いただいておりますので、お一人10分
程度ずつ説明いただいた後に、まとめて質疑を行います。
 それでは、武久委員よりよろしくお願いいたします。

○武久委員
 よろしくお願いいたします。それでは、資料1を見ていただきます。これは、日本慢性期医療
協会、前身は日本療養病床協会ですけれども、療養病床、医療療養と介護療養と両方の病床を持
つ病院が主に加入しているところでございます。そこからの24年度診療報酬改定への要望といた
しまして提出いたしております。
 まず、1.医療区分の大幅改革ということを要望しておりますが、これは医療区分1の中の重
症病態を評価してほしい。医療区分1というのは、医療区分2、3以外という大まかな区分にな
っておりますので、その中でも重症の病態が混在しているということでございます。
 それから、重複項目の重症状態の評価ということは、医療区分2の項目が幾つか重なって、例
えば3つ重なった場合に、医療区分3にしていただいてはどうか。というのは、医療区分2の項
目が1つあろうと、5つあろうと、いずれも医療区分2になってしまうということでございます。
 それから、慢性期病態別診療報酬を考慮と書いてございますけれども、これは当協会の方で慢
性期病態別診療報酬体系の試案をつくりまして、いろいろ調査いたしております結果についてで
すけれども、がんのターミナルの評価とか、低栄養、脱水等の改善とか、急性期後のPost acute
状態患者の評価。また、後ほど詳しくお話したいと思います。
 2.一般病棟の特定除外患者の厳格適応、3.20:1の医療区分2,3の割合を、今、おおむ
ね80%ですけれども、医療区分1の中の重度の人が非常に増えているということもかんがみます
と、70%程度に緩和していただきたいということと、25:1の廃止の見直し。
 それから、慢性期医療病棟に対しての72時間適応の除外というのは、患者が重症になって当直
の看護師を増やせば増やすほど、この72時間適応がクリアーできなくなるという矛盾したことに
なっております。
 平均在院日数の短縮への評価、また在宅復帰への評価、初期加算の増額。現在、2週間以内、
150点になっておりますけれども、一般病床と比べて非常に低いので増額する。
 在宅療養支援病院の許可ベッドが200床未満になっておりますが、これは非常に熱心なところ
であれば205床でもいいのではないかということで、撤廃を要望しております。
 また、訪問看護、訪問リハの医療保険適応の拡大。夜勤体制加算の評価。
 12から15までは、21年度の介護報酬改定のときに介護保険の方で評価されたものですけれど
も、この中で医療保険で評価できるものはないかということです。
 16番は、障害者施設等入院基本料が、特殊疾患とかの場合に7:1、10:1への看護補助加算
については、いずれも救急対応の場合に限られておりまして、むしろ障害者病棟、特殊疾患病棟
の場合は救急対応というよりも、これは介護職員としての機能がありますので、そのように変更
していただきたいということと。
 地域における急性期病院と慢性期病院の医師の訪問連携、これは急性期病院から慢性期病院へ
のスムーズな患者の移行のためには役に立つのではないか。
 続きまして、1ページの表は、慢性期病床、すなわちここでは一般病床の13:1、15:1、医
療療養というのが一つのパターンとなっておりまして、寒色系、ブルー系のものは、医療系の処
置を書いてあります。いずれにしても、療養の20:1はかなり重症者がいることがわかっており
ます。
 2ページは、医療療養病床の在宅復帰率を調査しております。回復期リハビリテーションは、
この当時は重症患者割合が15%、今は20%になっておりますけれども、在宅復帰率が60%です
が、医療療養病床の我々の調査では、重症度が70%以上でありながら、在宅復帰率は46%と、医
療療養の在宅復帰をかなり頑張っているということが調査の結果、出ております。
 3ページ、医療区分1を、後ほどこの根拠が出てきますけれども、ここに書いてあるような病
態、すなわち1-5という状態も、今は医療区分1となっております。どう見ても、一般の方が
見られても、結構重度な方が医療区分1になっている現状がございますので、それを重症度別に
1-1から1-5まで分類してみた。これは、当協会で独自にやったものでございます。
 その次の4ページ、医療区分1の割合が、18年度と20年度ではそう大きく変わっていないの
ですけれども、ここにご覧いただけるように、141%、医療区分1-5、すなわち一番重い区分1
のところが41%も増加していることがわかりました。
 その次の5ページは、それが18年度のときと20年度のときで、18年度を100として20年度
はどれだけ多くなったかというのを指数であらわしております。医療区分1-1と1-4、それ
から1-3となっております。
 それから、7ページでございますけれども、先ほど言いましたように慢性期病態別の診療報酬
体系を考案しておりますけれども、この中で医療区分1の患者さんの状態を調べております。こ
れは18年度と20年度と22年度を対比させて、増加を調査しました。調査は、日本慢性期医療協
会と日本医療法人協会の協力を得まして、全部で1万1,183床。7:1、10:1、13:1、15:
1も含まれております。医療療養病床では、延べ3万3,063人のデータです。
 次の8ページは、いずれも医療療養病床についてのみのデータでございますけれども、がんの
ターミナルということで、今、がんの患者さんは麻薬を使っているときのみが評価されておりま
す。現実にはまだ少ししか増えておりませんが、これからはがんのターミナルの患者さんを医療
療養病床で受け持たないといけないという状況がございますので、これに対する評価。
 また、重度意識障害は大変増えておりまして、Japan Coma Scaleの30以上になりますと35.8%
になっておりまして、その前の年の9%ぐらいよりはるかに増えて非常に重度の人が多くなって
いる。
 仮性球麻痺も非常に多くなっておりますし、その他感染症。
 左側の黄色で書いてあるところは、医療区分1の項目でございます。1-5、1-4というの
は、先ほど言いました医療区分1-5、1-4という表示でございます。右側の方は、慢性期病
態別区分の類似項目でございます。一応、医療区分1の状態の移動、増加を調査しております。
 それから、感染症につきましては、尿路感染症と肺炎しか基本的には医療区分にはないのです
けれども、その他の感染症も非常に増えておりまして、倍ぐらいになっている。
 特筆すべきは、低栄養が非常に増えているということ。それから、脱水もパーセントは少ない
けれども、倍以上になっているということがあります。
 次のページでございますけれども、高血糖。今、医療区分では血糖値を1日3回以上調べたら、
あと3日間は区分があるということでございますけれども、現状として、こういう血糖値が高い
方が大変増えていることがわかります。
 また心不全に関しましても、胸水の貯留とか調律異常、洞房ブロック、AVブロック、徐脈等も
非常に増えております。これらについては、いずれも医療区分では評価されておりません。
 またCKDは慢性腎臓病ということですけれども、クレアチニンが4以上は10%以上増えてい
るということが出ております。
 次の10ページですけれども、喘息の重積発作とか肝不全、肝硬変等については、それほど大き
く増えているわけではございません。
 その次のページも、医療区分1-3、1-2となっております。
 別添の書類につきまして簡単に御説明します。
 別添診療1は、慢性期病態別診療報酬の調査といたしまして、1ページを開けていただきます
と、1万1,183の病床でチェックしましたということ。
 これを詳しく見たところでございますが、9ページにございますように、左側の項目が大分類
で全部で13までございます。黄色で書いてあるところが医療区分の中にない項目でございます。
それが各病棟によって、どれだけのパーセントあるかということをあらわしてございます。ご覧
になっていただきたいと思います。
 後の方になりますけれども、通し番号29ページを見ていただきますと、グラフの3、各項目に
よって病棟のパーセンテージを出しております。特殊疾患では意識障害が非常に多いのがわかる
のですけれども、一番右の栄養障害というのが、ほかの病棟に比べて一般病棟に非常に多いとい
うことが出ております。
 それから、別添2は加算に関するアンケート。
 それから、別添4の最後の28ページを見ていただきますと、どういうところから患者さんが入
っているかというと、一般病床が一番多くなっております。自宅からは22%で、一般病床からは
約50%近く。退院は自宅に30%と、一番多くなっております。
 次の別添5の通し10ページを見ていただきますと、表がございます。これはどういうことかと
いうと、転帰の医療区分平均ということで、入院時に1.88だった平均の患者さんが、6か月以内
に1か月目、2か月目、3か月目とどんどん退院していきますけれども、それぞれの退院時の平
均をしますと1.7に、医療区分の平均をしております。よくなっている場合はこういうふうに順
調に退院しておりますが、現在、入院中の場合は2.07か2.03と、ほとんど区分が変わっていな
い。
 それから、一番下ですけれども、入院時は2.44ということは医療区分2か医療区分3というこ
とですけれども、退院時に2.72、要するに重度になっているという自然の経過が出ております。
 また、別添6でございますけれども、医療療養病床の患者の状態調査ということで、通しの10
ページを見ていただきますと、これは各病院において、次の診療報酬の際に加えていきたい医療
行為や処置について御記入くださいということで、全部書いていただきましたところ、10、11ペ
ージにありますように、このようにたくさんの診療の現場からいろいろな意見がございました。
 それから、別添7は診療の質の評価でございます。また、お読みください。
 次の8も入院患者の状態調査でございます。9は、影響調査。それから、10は薬剤管理業務。
 11は、改定による影響度調査でございますけれども、8ページにありますように、医療区分の
患者状態を、先ほど最初に言いましたように、18年度、20年度、22年度によって、どの項目が
どのぐらい上がったかということを調査したもとでございます。
 別添12は、患者分類に対するアンケートでございまして、医療区分1また1-1から1-5、
また慢性期病態別の診療報酬体系のもとになりましたのは、結局、会員の皆さんからのアンケー
トで、こういうものは医療区分1ではおかしいのではないかという項目を列挙されております。
これを基に医療区分1を分類させていただいた結果でございます。
 13は、慢性期医療の包括調査の一部でございます。
 以上のようになっておりまして、担当課から出ておりますように、平成16年、17年度の医療
療養病床というのは、社会的入院もある程度あったように結果が出ておりますけれども、それか
ら18年に医療区分が導入されまして、これは非常にいい制度だと私は思っているのですけれども、
現状としては、非常に重度の患者さんを医療療養病床は見ているということで、これはその医療
区分導入の成果が十分にあったのではないかということ。
 一方、今は医療区分1の状態で、非常に安い診療報酬で、非常に重い患者さんを診ているとい
う非常に気の毒な状況もございます。平成15年、16年、17年、18年、19年ぐらいまでは、確
かにこの医療区分というのはよかったと思うのですけれども、その後に非常に多彩な病態が入っ
てきたために、むしろ医療の要素が非常に強くなりまして、今の医療区分のままではなかなか難
しいのではないかということで、我々としてはこういういろいろな調査をしたうちの一部を御提
示しまして、皆さん方にお考えいただくということであります。
 このうちのどの項目を医療区分1から医療区分2、3に入れてくれということは、当然私の方
からは申しませんし、これは担当課の職員の皆さんのお仕事だと思っております。いずれにして
も、こういう診療報酬の改革をするときに、1分間タイムスタディーを前にもしております。例
えば中医協では、整形にしろ、皮膚科にしろ、耳鼻科にしろ、点数が変わったり、制度が変わる
ときに、1分間タイムスタディーをしたことは多分ないと思います。15年、16年のときは、医療
療養もどちらかといえば介護的な要素が結構あったと思うので、これは1分間タイムスタディー
も有効だったと思います。
 今は、そういう調査をするべきかどうかというのは、私の方からはちょっと言えませんが、担
当課の方が考えていただけることだと思っております。
 以上、簡単に説明しました。

○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、質問は最後に受けるとしまして、続けて猪口委員からお願いいたします。

○猪口委員
 それでは、平成21年度の老人保健健康増進等事業の中の認知症の研究を、全日病と日慢協でと
もに行いましたので、その調査結果の労働力と費用の調査、第2次調査なのですが、この調査結
果の概要を簡単に説明させていただきます。
 17ページに目次がありますが、これは非常に厚い報告書の中の一部を抜粋してありますので、
ここに振ってあるページ数と齟齬があるかと思いますが、御容赦ください。
 最初に、調査の目的というのがあります。4行目に書いてありますように、認知症患者及び治
療が必要な合併症を有するケースにおいて、労働力の費用の面から調査するということでありま
す。調査方法は、その下に書いてございます。
 続いて、めくっていただきますが、調査の対象病院です。これは17施設であります。ここに書
いてありますように、一般病床、精神、療養も医療療養と介護療養を選んでございます。
 図表の下の2、回収結果でありますが、病院数は17施設、病棟数は21です。一般が5病棟、
精神が1病棟、医療療養が8病棟、介護療養が7病棟で、患者数は978名であります。それで、
認知症がある、なしで分けてありますが、どこで切ったかといいますと、一番下に書いてありま
すが、ランクIV、ランクMということで、認知症としては非常に重度の人たちを認知症ありとい
うことで、ランクIIIまでは認知症なしということで区切ってあります。
 次の調査結果でありますが、これは認知症ありとなしで、それぞれの病床区分において、まず
個別のサービス提供時間を比較してあります。一般病床ですけれども、認知症あり、なしを見ま
すと、非常に大きい85.5分の差が付いておりまして、認知症ありの方が225分になっております。
精神病床でも、認知症ありが145、なしが113分ということで、大きい差が付いております。医
療療養でも、認知症あり155分、認知症なしが98分。介護療養では、同じく認知症ありが164
分、なしが118分ということで、一般、精神、療養、関係なく、認知症ありの方がはるかにサー
ビスの提供時間が多いという結果が出ております。
 続きまして、22ページですが、これは各スタッフの時間帯において、つまり0時~8時、主に
深夜帯、それから8時~16時という日勤帯、それから16時~24時の準夜帯の3つの時間帯で分
けて、それぞれ認知症で医療処置とか個別ケアの時間の差を出した棒グラフであります。
 最初にあります図表4が一般病床で、真ん中辺りの日勤帯8時~16時の看護師の時間が、認知
症ありの方がかなり飛び抜けて、差が大きく出ているということがわかります。
 次のページが医療療養です。医療療養の場合も、日勤帯において看護師及び准看護師の医療処
置及び個別ケアの時間が多く出ております。
 それから、図表6が介護療養病床です。この場合にはちょっと変わりまして、日勤帯の個別ケ
アの場合には、准看護師と看護補助の方が強く出ております。
 これらを考えますと、要するに病床における人員配置の差というのが大きく出ているわけで、
いずれにせよ、認知症ありの方が医療処置及び個別ケアの時間が多いわけですが、あとは配置す
る職種によって、このような差が出てくるだろうということであります。
 続きまして、関連要因の分散分析というのがございます。これは認知症のあり、なし、それか
らADL区分の場合には、医療区分3と1、2を分けて、それぞれどういう要素で作業が分散され
ているかを示したものであります。
 図表7ですが、係数がどれぐらい関与しているかということになりますけれども、認知症が一
般病床では一番高く、医療療養でも一番高い。介護療養の場合も、医療区分3が一番高く出てお
りますが、認知症ありも19.5と高い値が出ておりますので、認知症だけ取り上げたのではなくて、
このような医療区分とかADL区分の重症と比較しましても、認知症はかなり大きい要素を占めて
いることがわかります。
 続きまして、人件費コストの比較を出しております。これは、タイムスタディー調査で測定し
たケア時間を給与で割り戻したものでありますが、一般病床で認知症あり、なしで見ると、あり
の方が1万7,700円、なしの方が1万2,528円と、かなりの差が付いております。精神でも、認
知症の方が1万円、なしの方が8,298円と、差があります。医療療養でも、認知症ありが9,800
円、なしが8,600円、介護療養でも、ありの方が1万1,000円、なしの方が8,700円と、いずれ
も認知症があった方の人件費コストが重く出ている結果になりました。
 以上の結果から、最後のページにまとめが書いてありますけれども、2行目から、「認知症あ
り」の患者が受ける個別サービス時間や人件費コストの方が多くなる。例えば一般病床で見ると、
「認知症あり」の患者群の方が、個別サービス時間では、患者1人1日当たり86分長い。人件費
コストでは、5,173円上回っているという結果が出ております。
 そのほか、今回の結果では、2つ目の下の方ですけれども、認知症患者が広く一般病床や療養
病床に入院できる体制とか、診療報酬、介護報酬を決めていく必要がある。これは、自分も現場
にいて身をもって分かっておりますのは、認知症ありの方が何らかの疾病において一般病床に入
院してきた場合に、とても手がかかる。手術1つとっても、あり、なしでは、ありの方が術前・
術後の管理、特に術後の管理で合併症を起こさないための人手というのは、大変多く必要として
おります。
 したがいまして、認知症に対しては、何らかの診療報酬、介護報酬の報酬における評価という
ものがないと、今後、認知症を受けることが極めて困難になってくるという結果ではないかと思
っております。
 以上、簡単ですが、説明させていただきました。

○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、三上委員から御説明をお願いいたします。

○三上委員
 これも中医協の下の組織ということで、介護療養のことについて議論するというのは余り適切
でないかもしれないですが、慢性期の患者さんが介護療養にも医療療養にもいらっしゃるという
ことで、18年に決定された介護療養の廃止という問題がずっと尾を引きずっているわけです。そ
の原因、根拠となりましたのが、今日提出させていただいた17年11月、中医協に出された資料
のこの2つのグラフになります。
 上の方の図も、本来のグラフと違う形で説明がされておりますし、下の図も本来のものとは違
う。そのものがさまざまな会議で説明資料として使われて、最終的に介護療養を廃止するという
結論が導かれたということなので、その辺のところが、そもそも間違っていたのだということを
説明したいと思います。
 まず、上のグラフですけれども、医師による直接医療提供頻度と書いてあります。上に医療療
養病床、下に介護療養病床のグラフがございます。医師による直接医療提供度が、医療療養では
48.8%がほとんど必要なし、介護療養については50.1%がほとんど必要なしとなっております。
このグラフ、もともとのグラフは、すべて項目が変わっております。
 ほとんど必要なしというものにつきましては、医療的な状態は安定しており、医師の指示の見
直しがほとんど必要ないということで、すべて指示見直し回数について、必要があったのか、な
かったのかという文言になっているわけで、ここでは医療の提供がほとんど必要ないという文言
に変えられたということが1つございます。
 それから、下の図ですけれども、これは本来16年3月に医療経済研究機構が、療養病床にお
ける医療提供体制に関する調査として行ったものですけれども、これが説明されたのは、厚生労
働省が療養病床の将来像ということで使われた資料が、このような形になったのですけれども、
これは全く違った形になっております。上が介護保険適用の療養病床平成16年3月となってお
りますが、医療保険と介護保険の上下が逆さまになっておりまして、本来の医療経済研究機構の
ものは、上のグラフが医療保険、N=5,422という数が入っておりますけれども、下に介護保険、
N=7,079という形になっております。
 数字の並びも変わっております。左から、介護保険の方が15.5、19.6、35.4、28.2%という形
になっており、それぞれ病状が不安定で常時医学的管理を要するから、容態急変の可能性は低く
福祉施設や住宅によって対応できるという形になっておりますが、すべて違う形になっておりま
す。
 本来は、一番左の紫のものは、常時医学的管理を要し、病状も不安定である。次の19.6と35.4
となっておりますけれども、これは入れ換わっておりまして、2番目は35.4%ということで、一
定の医学的管理を要するが、容態急変の可能性は低いという形になっており、その次に19.6%の
バーが来ておりまして、そこには医療依存度は低いが、容態の急変が起きやすいとなっておりま
す。
 そして、28.2%のバーが来て、医学的管理をさほど必要とせず、容態の急変の可能性も低いと
なり、これが下のグラフとして示されているわけですけれども、35.4と19.6をひっくり返すこと
によって、35.4プラス28.2、あるいは37.8と29.5を足した、7割近いものが、逆に言えば、容
態の急変の可能性は低く、福祉施設や住宅によって対応できるかのごとく議論を誘導したという
ことではないかと考えております。
 そのために、会議の中でこれを示されて、その場にいた委員や議員たちも疑問を挟むことなく、
社会的入院の整理ができるということで、介護療養の廃止、35万床を15万床に減らすという結
論が導き出されたのではないかと考えております。先日、厚労省の方から、30万床程度まで療養
病床を維持する。医療療養で引き受けるのだという話が出ておりました。それにつきましても、
もう一度議論し直していただくということを申し上げたいために、この資料を出させていただき
ました。
 以上です。
 
○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、3人の委員の方々から発表いただきましたので、順不同でも結構ですし、最初から
でも結構ですけれども、何か御質問がありましたらよろしくお願いいたします。どうぞ。
 
○三上委員
 池上先生にお伺いしたいのですけれども、武久委員から出された医療区分1の細分化というか、
細かくもう一度見直して区分し直すというやり方ですけれども、本来、平成17年に医療区分を
つくったとき、こういったものを余り想定せずに区分されたと池上先生が発言され、中医協の基
本小委の中でもそのような発言をされたように記憶しています。
 これから、診療報酬の値付けをする操作において、こういった医療区分自体を見直すというこ
とが必要かなと私も思うのですが、先生の御意見も少しお伺いしたいと思います。

○池上分科会長
 基本的にコストに反映されるかどうかということがキーになると存じます。その際、武久委員
から、これは私の分科会長ではなく研究者としての立場で申し上げますと、医療の必要度が高ま
ったので、タイムスタディーによるコストの裏付けということが適切でなくなったのではないか
という趣旨の御発言と受け取りましたけれども、私はそうではないと思います。
 急性期の整形外科ではタイムスタディーを行っていない理由は、それは1日ごと、あるいは時
間ごとの患者の容態が変化しますので、ある時点における患者の状態像と、それに要するケアの
程度、そしてコストとの関連を見出すことが難しいからであります。
 これに対して、療養病床においては、たとえ医療的な必要度が高まったとしても、基本的には
急性期病床のように、患者が分ごと、あるいは時間ごとに変化するわけではありません。だから
こそ慢性期と言われているわけでございますので、患者の状態が安定しておりますので、少なく
とも1日単位では安定している。そうしますと、タイムスタディーによるコストとの関連を今後、
まずそれによって検証できると研究者として私は考えております。
 そして、こういうことをせっかく御提示していただきましたので、これを今年度はちょっと難
しいかと存じますが、今後、タイムスタディーによって検証していくことは一つの方法ではない
かと考えております。これは研究者として、三上委員から指定されましたので回答申し上げます。
 どうぞ。
 
○高木分科会長代理
 先ほどの武久先生と猪口先生の説明に関して、補足的に今の話に関連しますので説明させてい
ただきます。
 今、分科会長が言ったように、患者の像が大きく変わったのでタイムスタディーをもう一回や
ることが必要だと思います。最終的に、診療報酬はコストの評価ですので、タイムスタディーを
ベースに議論していくことは大切だと思います。
 猪口先生の発表の中で、例えば個別サービス時間という図表3が載っていますけれども、精神
病床の医師が一番短い。これは、精神科で働く精神病床の医師は、プロだから短い時間で動くの
か、短いけれども、深い考察をするからこうなるのかというのは、実はわからない。介護という
のは手間ですが、これを見ると差が一番小さいのが専門特化した精神病床なのです。
 そうすると、サービス時間が一番大きい一般病床のは、認知症ありだと、手間やケアが慣れて
いないからということで見るのか、それに対してどう答えていくのかというのが、まさにコスト
をタイムスタディーに落とすときに、その短い時間をどう解析・評価するのかというのは、これ
は非常に厄介です。これは、うまい医師ほど手術は短いというのと一緒です。
 だからこそ、医療区分だけではなくて、ADL区分も踏まえて相互包括的に検討するというの
が分科会の出発だと思います。

○池上分科会長
 どうぞ、武久委員。

○武久委員
 研究者としての御意見は承りましたけれども、現実問題として、急性期でも科目によっては、
皮膚科や眼科や耳鼻科のように急変しない科もたくさんありますし、歯科の場合もいっぱいあり
ます。一方、介護療養型でも医療療養型でも、死亡退院患者が30何%あるという状態から見ます
と、死亡する前に刻々と病状が変わるのは当然のことである。
 それに対して、全部1分間タイムスタディーをしなければ診療報酬体系に一切触れられないと
いうこと自身は、この病態が昔は確かに16年、17年、三上委員がお示ししたような資料があり
ますが、これも意図的に調査されていたということがありますが、現実に介護的な要素が非常に
高かったんです。
 ところが、22年ぐらいになってきますと、お示ししたように、また昨年の横断調査でも明らか
になったように、重度になっているということはみんなわかっているんですよ。それは、急性期
だったら、ほかの科目だったら、そういう必要はないけれども、慢性期だったら、重症であって
も1分間タイムスタディーをしなければ一歩も前へ動かないということは、私は研究者ではない
ので、委員としては承服しかねるということでございます。
 
○池上分科会長
 御意見としては承りました。ほかにコメントございますでしょうか。どうぞ。

○大塚委員
 現場に携わっている者の実感として申し上げますと、この区分が導入されてから、明らかに受
け入れる患者さんの医療度あるいは手のかかり方が増していることだけは確かです。地方のこと
はよくわかりませんけれども、都市部というか、東京近辺では、介護付きの有料老人ホームとい
うのがすごい勢いでできており、入居する人たちを奪い合うような状況すら起きております。
 私たちのところに来るのは、そういうところで受けとめられないような、医療的にも、あるい
は介護的にも非常に手のかかる人。その中には、認知症も含め非常に多くの問題を抱えている人
も含めての話でありますけれども、そういう人が私たちのところに来る。その前の段階は、みん
な介護付きの有料老人ホーム、あるいはそれに類似したところが少し頑張ってでも受けとめて、
そこでとめられなかった人が脱落して我々のところに来るというのが現状だと思います。
 我々、受け入れる側からすれば、前よりも職員の数が増えているわけではないし、明らかに中
の働いている職員に労働の負荷としてかかっている面が1つ。もう一つは、本来ちゃんと手をか
けるべき人に手がかけられなくなっている。この2つの現象が現場では起きているということを
御認識いただきたい。
 ですから、タイムスタディーによるコスト調査というのは、それは限られた人数と限られた状
況の中で、どこにどれぐらい配分がされているかというだけのことであって、全体にかかる負荷
の量がどれぐらいかということを見ているわけではないということを、もう一度御認識いただき
たいということであります。

○池上分科会長
 先生、私から。今、2番目におっしゃった本来かけるべきところにかけられなくなったとおっ
しゃいましたけれども、具体的にどういうことでございましょうか。

○大塚委員
 言ってみれば、昔はそれこそ一方で余り手のかからない人もいて、もう一方で非常に手のかか
る人がいる。そうすると、同じ100人であれば、その手のかからない人の分を手のかかる30人に
より多くかけることができるんですね。だけれども全体として重症化してきたら、どの人も均等
にかかるようになってきたら、本来かけるべき人たちにも手がかからなくなっている。結果とし
ては、手をかけられなくなっているということだと思います。

○池上分科会長
 そうしますと、全体量としての医療を増やさないと、配分だけを論じても問題であると受け取
ってよろしいでしょうか。

○大塚委員
 そのように御理解いただきたいと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。そのほか、御意見ございますでしょうか。どうぞ。

○高木分科会長代理
 先ほどの武久先生の意見と今の大塚先生の意見に対して、タイムスタディーをやらなければ、
診療報酬改定などをやってはいけないと言っているのではありません。現場にゆがみがあったら、
経営者としてはそのゆがみを解決するのは当然ですので、調査結果だけをふりかざして、調査を
不可欠にしているわけではありません。
 どうしてかというと、どういう患者に本来かけるべき手間をかけられなくなっているのか。幾
ら調査してもすごく難しいのです。しかし、慢性期入院医療全体のマネジメントの上で現場でゆ
がみができているのならば、それはまさに政策的判断ですので、それは否定しません。

○池上分科会長
 どうぞ。

○武久委員
 関連して。高木先生、確かにそのとおりだと思いますけれども、研究としては私も非常に興味
があるんです。どういう状態の人に一番手をかけているかということと。
 それから、1分間タイムスタディーの欠点といえば欠点だと思いますけれども、行かないとい
けないのに、行かなかった場合に、行く必要がないとされてしまう可能性があるんですね。そう
すると、各病院によって、ここはよく職員が頑張っているというところはどんどん行っている。
けれども、そうでないところは余り行っていない。
 その病院間格差というのも、1分間タイムスタディーをすると出てきて、研究としてはおもし
ろいのですけれども、診療報酬ということになってきますと、それが前提でないと動かないとい
うのもおかしいし、またそれをもとに決めていくというのもどうかなと思うんです。
 というのは、中医協のほかの診療科目と比べて、先ほど池上先生がおっしゃったように、余り
変わらないだろうという認識をいまだお持ちのようですけれども、医療療養は大変変わっている
んです。だから、そういうことをまず認識していただいて、研究としては非常に私も興味がある
ので、是非協力させていただきたいと思いますが、診療報酬になりますと、すべてのお金を換算
してやるというのは、ほかの科目ではないんですね。それは実調でやっているわけですよ。
 実調でちゃんとやっているのに、慢性期の分科会だけは1分間タイムスタディーをやらないと
診療報酬が付かない。これがちょっとおかしいのではないかという疑問を呈しただけのことでご
ざいます。

○池上分科会長
 すみません、その点だけ。全体の予算枠というのは実調から導き出す。医療療養病床への配分
は実調を反映していまして、タイムスタディー云々というのは、その配分の問題でありますので、
医療療養にどれだけの財源あるいは点数が付くかということは、実調をも踏まえて中医協で決め
ていただいていると私は認識しております。
 タイムスタディーはあくまでも中医協で医療療養病床に充てられた分をどう配分していくかと
いうことでありますから、医療療養病床に充てられる全体の財源として、大塚委員から御指摘い
ただいたように、不当に少ないというのだったら、これはこの分科会ではなく、中医協で御議論
いただかなければいけない課題であると存じますので、この分科会だけが実調以外の要素でやっ
ているという認識は、私は持っていません。
 実調の総額をどう配分するかということについて、これまでタイムスタディーの結果が重視さ
れてきたわけで、そのタイムスタディーというプロセスが不適切あるいは不十分であるという御
指摘は、それは承りましたけれども、全体の財源に関しては、それはここでは議論できない課題
だと私は認識しております。これは分科会長としての考えでございます。
 三上委員、どうぞ。
 
○三上委員
 タイムスタディーを基本にというのはよくわかるのですけれども、それ以外に、医療の問題に
つきましては医学的管理という部分が非常に大きくて、状態によっては比較的安定していても急
変する可能性があるかどうか、モニタリングしていることについての評価がタイムスタディーは
なかなか難しいのではないかと思います。
 先ほど私が提出しました資料でも、主治医の見直しがなければ何も医療をしていないかのごと
く判断されるのは、やはり間違っているのではないでしょうか。常に安定した状態で維持できて
いるかどうかを管理することが、医学的管理、医学管理料として、本来は診療報酬の中にも含ま
れるべきものです。
 ここで、認知症の問題でも、見守りということについては評価されにくいということで、今日、
猪口委員から出された資料で、看護師さんが処置などで手間がかかるというのは、認知症がある
といろいろな処置に非常に手間がかかる。それは意思の疎通がうまくいかない、多動であったり、
いろいろなことで時間がかかるというのは、もう出ているわけですけれども、そうでない場合に
ついては余り変わらない。見守りという形で、精神科病床等については、タイムスタディーでは
時間としてカウントされないということがあります。
 基本的には、医学的管理という、見守るとか管理するというものに対する評価を、こういうと
ころでは入れていただきたいなと思っております。

○池上分科会長
 ありがとうございます。失礼しました、椎名委員、どうぞ。

○椎名委員
 1つ前の武久委員からの発言で、この分科会だけタイムスタディーにこだわっているのではな
いかという意見がありましたけれども、私は分科会長の意見に基本的に賛成です。
 つまり、今まで余り根拠のない形で診療報酬は決まってきた。それに対する反省で、平成15
年3月の閣議決定に基づいて調査専門組織ができ上がり、あくまでもきちんと調査を設計して、
調査データに基づいた診療報酬改定をやっていこうという形ができた。特に慢性期に関しては、
基礎的な調査を踏まえてタイムスタディーをやって、そのコストに応じた形で包括評価を見てい
こうという形で、平成16年、18年にこの分科会から報告を出して現在の支払方法になっている
わけです。
 基本的な考えは、コストに基づいた区分で考えていくべきで、その精神は私は全然変わってい
ないし、今後もそういう形でいくべきだと思います。ただし、方法論として、タイムスタディー
がすべてをはっきりクリアーにカバーできるかどうか、技術的な問題はありますけれども、現時
点ではそれにかわる方法もなかなかない。その辺は前回あるいは前々回辺りで既に議論されてい
ると思います。
 
○池上分科会長
 どうぞ。

○武久委員
 だから、コストに基づいた診療報酬体系をつくるためのタイムスタディーであれば、平成18
年4月の改定は、医療区分1のADL3のところは非常なコスト割れをしていることが明らかであ
りますし、必ずしもそのコストに反映するような1分間タイムスタディーの結果が出ているわけ
ではないと思いますし、それに反映されないのであれば、では、何のためにやったのかというこ
とにもなりますので。
 その辺が公平性と普遍性を担保するものであれば、私も何の問題もないと思っておりますけれ
ども、その大作業がなければ、医療区分には一歩もタッチしてはいけないということも、また問
題ではないか。これは、担当課及び担当課の職員の皆さんがこういういろいろなデータを見て案
を出して、それをこの分科会で検討するべきものではないかと思いますし、またそれをサポート
するために、研究的にも1分間タイムスタディーの調査もあわせて行うとか、後で行うというこ
とは、私は意味があるものだと思っております。

○池上分科会長
 ありがとうございました。ほかに御意見。猪口委員、どうぞ。

○猪口委員
 コストと診療報酬の関係ですけれども、これのほかにコスト分科会というのもあって。結果か
ら言うと、政治的判断等で医療区分1がどうこうなっているということは、ちょっと置いておい
て、そうではなくて、医療区分もADL区分も、きちっとしたコストというのはこの分科会から発
表されているわけです。それに対して診療報酬をどう付けるかというのは、この分科会を超えた
話なので、そこはちょっと抜いたとして、でもきちっとしたデータが要る。
 むしろそういうデータが、この慢性期以外にないということが今の日本の診療報酬の問題だろ
うということで、先日も入院基本料のコストというのは果たして出るのかということが、全く定
義付けがされていなくて出ないというのが今の結論でありますので、むしろそっちを変えるべき
であって、こっちはこのとおり進めていくべき。
 ただ、先ほど言ったように、単なる人的な面での働いたか働かないかという時間と、慢性期に
おいても急性期にもおいてもそうですけれども、医師が実際、患者さんに手を下している時間と、
その下すためにいろいろなことを調べ、考え、それから下すという思考の時間は実は入らない。
例えば看護師にしても、いろいろなカンファレンスをして、じゃ、この患者さんにはこういうこ
とをしましょうと決める。ところが、スタディーでは実際に手を下した時間がカウントされると
いうところは、もう少し加味していかないと。
 特に、医師の仕事量はすごく小さいので、仕事をしていないのかみたいな話もありましたが、
そういうことではなくて、全体的な中で個々に対応しているのだということを何らかの形で示せ
れば、もっといいなと思っております。
 以上です。

○池上分科会長
 その点だけ申し上げますと、まずカンファレンスをある特定の患者について行った場合には、
そのカンファレンスに出席した全員分の患者についての検討に充てられる時間は、タイムスタデ
ィーによって把握されますので、その点は問題ないかと存じます。
 私は大塚委員から御提起された、全体の量的負荷が増えたことに対する危惧というのは、非常
に重く受けとめるべき課題だと存じまして、それに対しては、質の評価ということが重要で、こ
れは私の研究者としての課題でもあるので強調したいと存じます。
 例えば、身体抑制は介護保険施設においては原則的に禁止されています。しかし、医療保険の
療養病床においては、過去の当分科会における調査結果を見ましても、比較的高い割合となって
おります。あるいは、尿路感染の割合が8割を超えているような病院もあります。こうしたこと
は、まさに武久委員から御指摘のあった、病院による医療の質の格差を反映していると存じます
ので、もし患者の重症化によって医療の質が低下しているということが問題であるならば、それ
を実証的に提示するのはこの分科会の役割ではないかと思います。
 事務局に対しても、QIの値の横断調査から分析できた結果を御提示してくださるようにお願い
したのですけれども、これは後ほどそれを提示いただいたかどうかわかりませんが、国民、社会
に向かって財源の不足による質の低下を患者の重症化によって招いているという事実を客観的に
提示するためには、必要なデータだと存じます。申しわけありません、私のこの問題について、
これからの追加分析の中に含まれておりますでしょうか。

○坂上主査
 事務局でございます。この後になるのですけれども、慢-2で追加分析をさせていただいてお
ります。後ほど詳しく御説明いたしますが、今回、QIという形ではないのですけれども、尿路感
染症への検査実施状況とか、全患者に占める尿路感染症の患者の割合については集計させていた
だいておりますので、後ほど御説明させていただきます。

○池上分科会長
 身体抑制は。

○坂上主査
 身体抑制は、前回の資料で御提示させていただいておりますので、今回は御提示しておりませ
ん。

○池上分科会長
 社会に発信するためには、トレンドとして、調査対象は違いますけれども、重症化という事実
がもしあるとしたら、それとの関連で提示する必要があると存じますので、また改めて傾向とし
ての比較、できるだけ可能な範囲で提示いただければと存じます。

○椎名委員
 今の医療の質の評価について分科会長より発言がありましたけれども、身体抑制のほかに、例
えば褥瘡とかADL低下、尿路感染についての追加調査をお願いしたい。前回の議事録を読んでき
たのですけれども、その点が明記されているんですね。質の評価についてQIを測定する、そうい
うものをレセプトに添付して出してもらうことになっているわけです。
 平成18年度と平成20年度の報告書では、質の評価に関して非常に重要な項目だということで
この分科会として進んできているわけで、質の評価という項目を今年度調査の結果として、更に
きっちりしたものとしてまとめていかなければいけないと思うので、事務局にお願いですけれど
も、そういったQIについてのデータを現在ある調査結果の中から出せる範囲で出していただきた
いと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。どうぞ。

○武久委員
 1分間タイムスタディーもうまく行えばいいと思うのですけれども、実は私がちょっと不信感
を持ったのは、20年のときの報酬改定の19年度のタイムスタディーで、医療区分2の項目が複
数重なった場合に、これは当然のことながら、医療の常識から考えると、いろいろな状態が重な
ったら、看護師さんやお医者さんもそこにたくさん関与すると出ると思っておりましたら、ほと
んど差がないと出たことが、私がこの1分間タイムスタディーという手法に対する疑惑が発生し
た1番でございます。
 というのは、ちゃんと行って、例えば中心静脈栄養をやっていて、人工呼吸器を付けていて、
発熱があって、胃瘻があるという場合には、いろいろな機器を見るだけでも、酸素だけやってい
る人に比べたらたくさん関与しないといけないというのを、私としては思うんです。それにもか
かわらず、ほとんど差がないというデータが出たので、この手法で果たしていいのか。
 椎名委員の言うように、これできちんとした結果が出れば、それに信頼を置いていろいろなこ
とができますけれども、その辺のところが、資料にも出しておりますように、項目ごとに1.何
倍という表示をしておりますけれども、そこのところを解消できるような手法がございましたら、
私も一番いい方法ではないかと思っております。

○池上分科会長
 それについては、申しわけありませんが立場を分けて発言します。
 研究者として申し上げることは、状態像としてとらえると、1つにチェックされると、必然的
に患者の状態として複数含まれることが、シンドロームといいますか、症候群に対応してケアパ
ッケージという考え方があって、それの1つの指標として1つを選べばほかも当然チェックされ
るけれども、そのチェックされているたくさんの中の1つに着目したのが医療区分の項目と私は
認識していますので、現実には、複数の項目を付けられている調査票が多くあったわけです。
 ただ、それはケアパッケージの中で、どれの識別性が高いかということで医療区分項目が選ば
れたという分析経過がありますので、そのように認識を私はしております。ただ、その中でも、
組み合わせとして、必ずしも十分に追求できるだけの例数がなかったために有意性が出なかった
という可能性がありますので、今後、規模を大きくした調査を行えば、御指摘の点を検証できる
かと存じます。

○武久委員
 先生、すみません。だから、先生も個体数が少ないとか、いろいろな条件下においては、きち
っとしたデータが出ない可能性があるということを図らずもおっしゃったわけですけれども、そ
れにかかって診療報酬区分が決まるということになると、各病院にとっては非常に大きな死活問
題になるわけですね。死活問題になるもとが、信頼が十分でないということ自身は、これは全国
の療養病床の先生方は疑問を呈するのではないかと思います。
 普通に考えて、酸素をして人工呼吸をして、いろいろな項目が重なっている人というのは、時
間がかかるのが当たり前だと私は思うんです。だから、看護師さんもお医者さんもそう思うと私
は思うのですが、結果として出てきたのがそうでなかったので、この手法ではコンプリートとい
うのはありませんけれども、妥当な結果が得られないのではないかと、この1分間タイムスタデ
ィーという手法自身に疑問を投げかけているだけであって。
 これのほかに方法がないというなら仕方ないですけれども、もうちょっとこれが信頼できるデ
ータとして出るまでは、これにすべてにオンするということは、私は全国の医療療養病床を運営
している先生方に対して、責任がある立場として申し上げたいと思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○高木分科会長代理
 まさに診療報酬というのは経営の死活問題であるというのはわかりますが、日本の慢性期医療
を正確に反映した精緻な研究調査は結構難しく、そう簡単ではない。
 先ほど終末期医療の話が武久先生の方からも出ましたけれども、多分、こういう包括評価の支
払い方式の中で、家族や患者本人の意向は出て来て、それで時間がかかった場合、これは患者の
選択だから、患者に負担してもらうということにはならないはずです。タイムスタディーは供給
サイドの議論であり、とりあえずは全体の資源配分はこの辺でどうかとは政策的判断となる。

○武久委員
 それに関してですけれども、よろしいですか。

○池上分科会長
 はい。

○武久委員
 先生も研究者の立場としてと、池上先生もそうおっしゃいましたけれども、ここは研究者の立
場の人もいるし、2号側みたいな立場の人もいらっしゃいますし、いろいろあるんですけれども、
それぞれの立場から話すというよりも、研究の場ではないので。それについて断った上でお話さ
れているので、私は別にいいと思うのですけれども。ここは先ほど言ったように、医療療養病床
の慢性期の病院が生きるか死ぬかの刹那的な討論をしている場なんですね。だから、そのことを
もう少し御理解を賜ったらと思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○三上委員
 タイムスタディーを中心にするということには限界があるということは、皆さんそう思ってお
られるだろうと思いますが。
 1つは、先ほど武久委員が言われたように、複数の要素が重なったときのタイムスタディーと
いうもののあり方というのは限界があって、パッケージでやられるということだと思うのですが。
そうすると、非常に手間のかかる人を引き受けて、しんどい思いをする医療機関が大変になると
いうことが当然あります。
 ですから、1つ前提としては、タイムスタディーを中心とした医療区分で行くと。そして、そ
れについて診療報酬が付くということであれば、複数の要素が重なった場合に類上げされるとい
うルールを作ってはどうかということが1つあります。また、先ほど申し上げたように、タイム
スタディー以外の要素、いわゆる医学的管理と言われる頭脳プレイをした場合の評価を、どのよ
うに考えるかということについても、もう一度検討していただければと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。御要望として承りました。

○大塚委員
 議論を蒸し返すようで申しわけないのですけれども、タイムスタディーというのは限界がある
ということは十分承知しておりますけれども、タイムスタディーによって大ざっぱに医療度と
ADLの区分がなされたわけですね。
 今、一番問題になっているのは、診療報酬で見た場合医療区分1、そしてADL3という部分が
タイムスタディーの結果をちゃんと反映していない。その判断は、政治的判断でそうなったとい
うことは十分承知しておりますけれども、この委員会として、その部分については承服しがたい
ということをもう一度きっちり言っていただくのがよろしいのではないでしょうか。

○池上分科会長
 かつて一度、分科会として報告書にも提示して申し上げて、もしそういう大塚委員からの御要
望に賛同いただければ、前回は全員一致でそういうことを申し上げたのですけれども、改めてそ
ういうことを後ほど報告書に盛り込むことに対して御賛同いただけますでしょうか。

○椎名委員
 確かに18年度の診療報酬改定で非常に理屈に合わない値付けが行われたことについて、この分
科会で、これはおかしいので、言うべきことは言おうということで、異例の意見書を出しました。
そのときに特に議論になったのは、医療区分1は医療の必要がないカテゴリーだということでし
た。今の大塚委員のお話ですと、医療区分1でADL区分3に特化した話ではなかったと思うんで
す。
 確かにこれは2~3年さかのぼる話なので、もしこの分科会で何らかの意思表示をするという
ことでしたら、当時の資料に基づいて、一旦おさらいをしてから、やるかどうか決めたらどうか
と思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○大塚委員
 椎名委員のおっしゃるとおり、値付けで一番乖離が大きかったのは、医療区分1、ADL3の部
分であったから、私はそれを典型例として申し上げただけであって。是非おさらいをしてでもお
願いしたいと思います。

○椎名委員
 関連してですけれども、18年度は5区分で簡素化という名目で、我々が提示した3×3の9分
類ではない形で値付けが行われました。4年後に、前回の平成22年度改定で基本的に3×3の分
類に見直されたという中で、その値付けについて、分科会で再度、過去のデータに基づいて検証
して、それから言うかどうか決めたらどうかと思います。

○池上分科会長
 それでは、それについて、これまでの経緯のデータを次回の分科会に提出いただけますでしょ
うか。それを踏まえて、この分科会として改めて意見を大塚委員から御提案のあったようにする
かどうか、最終的に決めさせていただきます。

○武久委員
 それについてですけれども。

○池上分科会長
 はい。

○武久委員
 厚労省の医療課かもしれませんが、ADL3ということは介護の手間がたくさん要る、医療区分
1ということは医療の手間は少なくていい。そういう人は、医療療養に置いておく必要はないの
だという厚労省当局のマインドが働いていると思うんです。そういうことと、1分間タイムスタ
ディーの結果に整合性がないということをここで文句を言っても、私は詮ないことではないかと
思います。
 政策として、ADL3の医療区分1は、どちらかというと介護療養なり介護保険施設なり介護福
祉施設の方にシフトしていっていただきたいという意向がある以上、そこがマイナスになるから、
これを少しコスト調査と同じように整合性を合わせろということを、我々の方で言うべきかとい
うことになると、大きな2025年問題とかを考えると、果たしてその主張の方がいいのか。
 というのは、22年度のときに、それは日本医師会の主張もありまして、少しですけれども、大
分是正された経過があるんですね。今後、そういう1本の大きな政策について、この会でもある
程度考慮しながらいかないと、この会のことだけでいろいろなことを主張する方がいいのかとい
うことも、私はちょっとダウトフルなところがあるんです。それについて、皆さんの御意見もお
伺いしたいと思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○三上委員
 ここは診療報酬を考えるところですけれども、1つ大きな問題は、介護療養を廃止するという
法律がまだ残ったままになっているということが前提で、そして先ほど言われたように、医療区
分1、ADL3という状態の方々は、本来、介護療養にたくさんおられるということが1つある。
ですから、そこの問題は今後非常に大きくなってくるということは多分あるだろうと思います。
 もう一つ大きなものは、医療区分1は、2、3を決めて、それ以外という形に決めたことが、
医療区分1は本当に医療が必要なのかどうかということで、いつも問題になって、その中にも医
療の必要がある人が数多くおられますけれども、医療の必要のない人もいることもたしかという
ことなので、議論がどちらに寄るかによって、もう要らないのではないかとか必要だという形に
分かれてしまうのだろうと思いますので、医療区分1の定義についてもこの分科会で見直してい
くということは、必要な作業ではないでしょうか。
 もう一つは、先ほど3掛ける3の9分類でしたけれども、以前にそれに認知症加算の11分類と
いうのがあったわけです。非常に少ない加算だったのですが、それについて認知症のありなしの
タイムスタディーというのですか、かかる時間が出されておりますけれども、この認知症につい
てどのようにするのかについて十分検討いただきたい。
 介護保険の方では、認知症についての手間というのがかなり研究されているわけですけれども、
普通は要介護にしても1段階か2段階上がる程度の、かなり大きな評価をすることに傾いてきて
いるわけですが、医療の中でもタイムスタディー、手間ということを考えれば、認知症に対する
評価というのはもう一度見直す必要があると思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。どうぞ。

○井内補佐
 すみません、今、御議論いただいているところを事務局の方として少しだけお話させていただ
きたいと思います。
 まさに本日の議題が、医療区分1の中でやっていけないというものがどういうものがあるのか。
それを具体的に提示していただきたいというお題を総会の方からいただきましたので、それを分
科会の方で御議論いただくということでやってきたと思っております。ですので、そういう意識
も総会の方にはあるということで会議が進んでいると認識いただければと思うのがまず1点。
 あと、総会とこの分科会の関係等々もございます。各委員の方からもいただきましたように、
医療制度全体を取り囲むような環境の変化等も加味しての、これまでのいろいろな変化があった
ということでもございますので、報告書に何を書くかということで、またトータルで御議論いた
だければと思います。
 その中で個別に、過去、これがこうだったからこれがおかしいと言う以上は、それよりも我々
の方としては、本日、タイムスタディー自体も、なかなか実施の方法、コンプリートするのは難
しい中で、どういう要素を入れてどういう評価を今後していくべきなのかということ、そういっ
た御提言をいただいた方がいいのかなというイメージを持っております。
 勿論、過去こういうことがあったということも踏まえてということだと思いますが、それを踏
まえて、今後、こういうところをこういうふうに加味してほしいということなのかなと思ってお
りますし、分科会としては、そのために今後はこういう方針で検討を進めていくということなの
かなと思っております。
 それにつきましては、この場面で一つひとつ、まずこれは確実に書きましょうというよりも、
勿論、本日はフリーディスカッションですし、次回も認知症に関してお願いしたいなと思ってお
ります。今日ずっと拝聴しておりますし、先生方の御意見を反映した上で、分科会として発信す
るのはこういうことかなという案を我々の方で提示させていただきたいと思います。
 その中で、バランスでいくと、全体としてはこういうことを言うべきだとか、ここをもっと強
調すべきだという御議論をいただければと思っておりますので、よろしくお願いします。

○池上分科会長
 時間の関係で、今、11時半で、12時に終える必要がありますので、これについて全体的な方向
性について、事務局から改めて御意見をちょうだいしまして、それについて改めて議論する時間
をまた次回以降、設けたいと存じますけれども、今日提示された資料についての説明をまず終え
てから進めたいと思いますので、慢-2についてお願いします。

○椎名委員
 慢-2というと、議事が進むのですか。1つ質問なのですけれども、いいですか。

○池上分科会長
 どうぞ。

○椎名委員
 猪口委員提示の資料について1つ教えてください。
 資料5ページ図表3で、認知症の割合についてですが、医療療養の認知症ありが約5割弱、介
護が約6割という数字になっているのですけれども、これは少し多いかなという感じがするんで
す。似たような、同様な調査の結果に比べて、この割合は少しどうかなという疑問があるんです。

○猪口委員
 認知症をどこでとるかによって、大分変わるんですね。先ほど説明しましたように、この場合
はランクIVとMを認知症ありにしています。だから、もっと軽くから認知症ありでとっていくと、
実はもっと増えてしまうんです。

○椎名委員
 それはそうですけれども、この調査は重度の認知症を対象にしているはずなので、それにして
は、この数値はどうなのかという疑問です。

○大塚委員
 多すぎるのではないかと。

○椎名委員
 ちょっと多いのかなと。だから、似たような調査ではどんな結果でしょうかという質問です。

○猪口委員
 ちょっと調べてみますけれども、認知症IからMまでの割合と入所の関係を数で出せば、これ
が妥当かどうかわかります。

○椎名委員
 すみません。お願いします。

○武久委員
 調査のときに、意識障害と意識混濁と認知症と、よく似たところがあって、そこを混同すれば、
現場として介護療養型で6割の人がIVまたはMというのは、私は納得できるのですけれども、医
療療養で5割というのは少し多いかなと思います。そこのところは少し検討したらどうかと思い
ます。

○猪口委員
 多分、前回のこの分科会の調査で、その辺の分析もかなり出ていたはずなので、そことちょっ
と比べればわかるかなと思います。
 あと、病棟を選ぶときに認知症がかなりいないとこの調査が進まないということで、認知症の
多い病棟を選んだ結果ということもあるかと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。それでは、調査について疑問があれば、まだこれからも対応したい
と存じます。
 事務局からの追加の資料について、説明していただけますか。

○坂上主査
 事務局でございます。それでは、慢-2の資料について御説明させていただきたいと思います。
 前回、横断調査の結果を御提示させていただいたのですけれども、それで追加分析の御指摘を
いただきましたので、丸1感染症患者に対する検査の実施状況と、丸2緊急入院患者0人の病院
の特性について集計させていただきましたので、御説明させていただきます。
 ページをおめくりいただきますと、3ページに前回御提示させていただきました全患者につい
ての検査実施状況が載っておりますが、これに加えて、90日超え、転帰などを揃えた患者につい
ても御提示させていただいたのですけれども、検査すべき感染症の患者についてはどうなんだと
いう御指摘をいただきましたので、2ページに肺炎の患者と尿路感染の患者についての検査の実
施状況を集計させていただきました。
 2ページの上が在院日数90日超え、かつ肺炎の患者について、病棟ごとに直近1週間の検査の
実施状況ということで集計させていただいております。濃い青が一般病棟13:1、薄い青が一般
病棟15:1、濃い赤が医療療養病棟20:1、薄い赤が医療療養病棟25:1ということで、検体
検査(尿・血液検査)、生体検査、X線単純撮影、CT-MRIということで並べております。上の方
が肺炎患者で、下の方が尿路感染の患者ということで、同様に病棟別に検査の実施状況を比較さ
せていただいております。
 全患者に比べて、差は若干縮まっていると思うのですけれども、病棟ごとの差はあるのかなと
いう認識でございます。
 続いて、4ページでございますが、続いてレセプトの請求金額はどうなっているのだというこ
とで御提示させていただいております。
 上の方が先ほどと同様に、在院日数90日超え、かつ肺炎患者ということで、左から病棟ごとに
並んでおります。一番左が一般病棟13:1、次が一般病棟15:1、次が医療療養病棟20:1、
次が医療療養病棟25:1ということで、青の方が1日当たりの請求金額で、赤の方が30日換算、
一月当たりということで御提示させていただいております。
 下の方が在院日数90日超え、かつ尿路感染患者ということで、これも同様に病棟ごとに並べて
おりまして、青の方が1日当たりの請求額、赤の方が30日換算の請求額になっております。これ
も病棟ごとである程度の差ができてきているのかなという認識をしております。
 続きまして、5ページ、6ページは参考ということで、前回御提示させていただいた資料でご
ざいます。
 7ページは、グラフのもとになったバックデータのエクセル表ですけれども、先ほども少し御
指摘がありました尿路感染患者とか肺炎患者の割合がどうなっているかというのを、グラフにし
ていないのですけれども、御説明させていただきたいと思います。
 上の方が在院日数90日超えで、更に肺炎の患者についてなんですけれども、割合の一番下の行
に参考とありますが、これは患者全体に占める肺炎の患者の割合をパーセントで御提示させてい
ただいております。これが病棟ごとに、かつ在院日数ごとに割合が書かれております。一番左が
一般病棟13:1ですけれども、これが在院日数90日以下では、全患者に占める肺炎患者の割合
が10.4%、90日超えだと12.2%。
 次が一般病棟の15:1ですが、90日以下ですと、全患者に占める肺炎患者の割合が10.5、90
日を超えますと10.4%となるという見方でございます。
 次に、医療療養病棟20:1、25:1と並べておりますが、医療療養病棟についても、90日以
下ですと5.6%、90日を超えますと2.7%。25:1の病棟になりますと、90日以下ですと4.5%、
90日超えですと2.4%になると見ていただければと思います。
 下の方は、同様に尿路感染症の患者についての病棟ごとの割合を示しておりますが、一番下の
参考、全体患者に占める尿路感染症患者の割合というところを見ていただきますと、同様に一般
病棟で90日以下ですと3.5%、90日超えですと7.8%と、病棟ごとに割合を御提示させていただ
いております。
 続きまして、緊急入院患者0人の病院の特性の説明に移らせていただきますが、9ページをご
覧いただければと思います。
 前回、一般病棟に限ってですけれども、救急医療体制の提供ということで御提示させていただ
いたのですけれども、その中で、上の方にありますが、時間外緊急入院患者0人の病院について
の特性がどうなっているのかという御指摘をいただきましたので、集計させていただきました。
 下の方が医療区分の分布で、全体の病院の医療区分の分布と、緊急入院患者が0人の病院の医
療区分の分布を比べさせていただいております。上の2つのグラフは、一般病棟13:1、15:1、
全体の患者に占める医療区分の分布でございます。下の方が緊急入院0人の病院の特性というこ
とで、13:1、15:1の医療区分の分布を比較させていただいております。下には参考というこ
とで、医療療養病棟の医療区分の分布をさせていただいております。
 ご覧いただきますと、全体と緊急入院患者0人の病院については、そこまで差はないのかなと
考えております。
 続きまして、10ページでございますが、施設の所在地の分布について集計させていただきまし
た。
 左側が13:1の病棟で、右側が15:1の病棟になります。青色が全体の病院の分布になりまし
て、赤の方が緊急入院患者0人の分布になります。若干の差はあるのですけれども、級地ごとに
比べまして大きな差はなかったのかなと考えております。
 続きまして、下の方が施設の病床規模の分布を御提示させていただいております。これも同様
に、左側が13:1、右側が15:1で、青色のグラフが全体の病院の分布、赤色のグラフが緊急入
院患者0人のグラフでございます。13:1と15:1は若干違うのですけれども、やや小規模な施
設が多いのかなという分析結果になっております。
 続きまして、11ページですが、病棟ごとの在院日数90日超え患者の割合を御提示させていた
だいております。
 上の方が13:1の病棟、下の方が15:1の病棟になります。これも同様に、青色が全体の病院
の分布、赤色のグラフが緊急入院患者0人の病院の分布となっております。これも13:1、15:
1で若干違うのですけれども、全体の病院の分布と赤色の緊急入院患者0人の病院の分布につい
て、大きな差はないのかなと考えております。
 後ろの方は、グラフのもとになりましたバックデータを付けさせていただいております。
 最後の「参考資料」ですけれども、これは療養病棟入院基本料と医療区分、ADL区分などの、
現行の診療報酬についてまとめさせていただいた資料になりますので、必要に応じて適宜ご覧い
ただければと存じます。
 以上です。
 
○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただいたことの事実関係を中心に御質問があればお願いいたしま
す。どうぞ。

○武久委員
 御存じのように、入院病棟は一般病床、療養病床とケアミックス的に差がありますけれども、
外来機能としては余り差がないわけですね。
 だから、ケアミックス病院の場合は、一般病床もあるし、療養病床もあるし、そして緊急入院
があるか、外来がどうかということになってきますので、必ずしも緊急入院がないからといって、
一般病床の機能が低いということも言えませんし、また療養病床を併設するとかしないというこ
とはあると思いますけれども、それと直接的な相関関係はないのではないかということで、こう
いう結果を出しても、余りクリアーカットな成果が出なかったということで、いずれにしろ病院
間格差はある程度あるということは認められると思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○佐柳委員
 この前の議論で、どれだけ急性期的な要素をこの13:1、15:1の一般病床が持っている
かということでの、救急に関与しているという資料だと思います。これで全く関与していないと
いうか、1年間を通して救急車が来ていない典型的な例でしょうけれども。このデータを見ると、
1つはっきりしているのは50床未満ということだけですね。極めて小さいところだから、当然、
救急に関与していないのは当たり前だと思うんですね。
 もう一つ、急性の要素にどれだけ関与しているのかを見れば、ゼロではなくして、年間に1件
から9件のところが大勢を占めるわけです。そこをもう少し全体として見ていく必要があるので
はないか。どこで切るかということが1つあるかと思いますけれども、1桁なのか、2桁なのか
ということが、数の分析からいけばやりやすい数値だという気がします。ゼロだけというのは、
端的にここではっきりしたものが見えれば一つの所見ではあったと思いますけれども。50床未満
で本当に小規模でやっているところをあらわしているだけのデータである気がいたします。
 1つの案として、1人から9人という枠ももうちょっと調べてみた方がいいのではないかとい
う気がします。

○武久委員
 どうぞ。

○猪口委員
 今の御意見、私もそうだと思いますが、50床以下で際立っている。これは1か月でしたか。

○坂上主査
 直近1か月のデータでございます。

○猪口委員
 1か月でこうですから、1年で大分違ってくるのですが。確かに50床ぐらいですと、1か月間、
緊急入院なしということは結構あり得るだろうと思うのと。
 あと、よく北海道の先生などで、北海道の北の方の町立病院等で50床規模というのは結構いっ
ぱいある。そこでは15:1みたいなものが多くて、なおかつ周りに療養病床もないので、90日超
えがどうしても増えてきてしまうという事実もあるらしいです。ですけれども、その50床という
規模で、病床を2つにケアミックスに分けることもできないし、90日超えの除外規定でやってい
るということもあるように伺っていますので、その辺の実態というのは少し明らかにした方が。
 場合によっては、その実態に合わせるならば、亜急性期がそうであるように、1つの病床の中
で部分的に療養部分を認めていくという考え方も、ひょっとすると成り立つのかもしれない。そ
の辺は、どういう方向でということではなくて、今、出てくるデータがあればいろいろ教えてい
ただきたいなと思います。

○池上分科会長
 そういうデータはありますでしょうか。
 
○坂上主査
 今のところ、これぐらいの分析しか行っていないのですけれども、今、御指摘いただいたよう
な1~9人ということについては、追加で可能ですので、どんな特性があるか、やってみたいと
考えております。

○池上分科会長
 どうぞ。

○高木分科会長代理
 今の北海道の話ですが、資料の級地別に見ると、3級地、4級地にも全部あって、都市部だと
かえってないとも読める。だから、小さくても都会にある民間病院、農村部にある北海道の町立
病院、まさに医療機能のどこに着目して検討するのかという難しさを思っています。

○池上分科会長
 ほかにございますか。どうぞ。

○三上委員
 レセプトの請求金額による比較が出ていますが、これは13:1、15:1、20:1、25:1と、
看護師の配置によって書いてあるのですけれども、いわゆる看護師1人当たりという形ですか、
これだけ見ると非常に差があるように見えるのですけれども、看護師当たりにするとどうなのか
なということも少し興味があるので、資料提出をお願いします。あるいは、療養と一般で、16:
1と48:1の医師の配置によってもどうなのか。それを勘案すればどうなのかということも含め
て、出していただければと思います。

○武久委員
 それに関して言えば、ハードの部分、4.3m2、8人部屋のところと、6.4 m2、4人部屋のところ
では、当然かかっているコストが違うわけですから、そういう要素も入ってきますので、単純に
総額で調査して、13:1は25:1の倍近く看護師さんがいるわけですから、その分の入院基本料
が入っていると思います。それを差し引いてもかなりの額になると思いますので、ハードの部分
は全く無視して、3人部屋でも10人部屋でも一緒だという入院費用になっておりますので、そう
いうところも考慮してやっていただけたらと思います。

○池上分科会長
 どうぞ。

○猪口委員
 今のことは前から時々議論されているのですけれども、要するに療養病床は6.4 m2が最低基準
で認められた。ところが、一般病床は昔の4.3 m2というのがまだ残っている。これは、数字があ
るものなのですか。例えば病床規模によってとか、どれぐらい4.3m2で。内容は療養だけれども、
4.3 m2だから療養に行けないのだという話もよく聞くのですけれども、本当に4.3m2の病院がど
れだけあるのかというのは、僕らはよくわからないで議論しているんですね。そういうデータと
いうのは出るものなのでしょうか。

○武久委員
 各地の厚生局のデータにありますから、出してみたらわかります。

○坂上主査
 事務局でございます。今回の横断調査では調査しておりませんので、今、事務局の手元にもな
いのですけれども、データとしてあるかどうかも含めて、ちょっと探してみたいと思います。

○池上分科会長
 ありがとうございました。そろそろ時間となりますので、今日は。

○武久委員
 最後にいいですか。

○池上分科会長
 はい。

○武久委員
 24年の同時改定が行われる予定で進んでおりますけれども、いろいろな御意見もありますが、
前回の22年度は足立政務官が急性期病院を中心に上げた。その彼が、次は慢性期病院を中心に上
げるのだということをおっしゃっている。民主党もそういう方針であるということも聞いており
ますが、ここの分科会長の御意見ですと、1分間タイムスタディーは、今回は間に合わないだろ
うということであると、その1分間タイムスタディーが必要十分条件であれば、今回の24年同
時改定は慢性期の評価は出ないと考えてよろしいのでしょうか。

○井内補佐
 まず、改定率等々につきましては閣議決定で年末に出るという状況でございます。それまでに
は、いろいろな方がいろいろな御意見があるということでございますし、内訳が、どこにどれだ
け付けるかというのは中医協総会での議論ということでございます。
 この分科会では、中医協総会に対して、現状、こういうデータがあるということをお示しする
ということですので、実際、ここの慢性期分科会が御提示した御意見どおり通らない場合も当然
ございますし、ここでの御意見が尊重される場合もございます。そういった整理ですので、慢性
期分科会として、ますどういった御意見をまとめていただくかということになるのだと思います。
 その先はいろいろステップがございます。中医協総会での議論、閣議での改定率の決定等々を
踏まえて、更に中医協の中でも議論されるということですので、その中では慢性期分科会からの
意見にはタイムスタディーがないとだめだという取り決めは特にございませんので、それは慢性
期分科会が、どういったものに基づいた、どういう意見を上げるかということを主体的に決定し
ていただければと思っております。

○池上分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、まだ意見はおありだと存じますけれども、時間となりましたので、本日の議論を踏
まえ、次回必要な資料について事務局より適宜、提出いただきたいと思いますが、それでよろし
いでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○池上分科会長
 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。
 本日の分科会は以上にしたいと思います。次回の日程について、事務局から説明をお願いしま
す。

○坂上主査
 事務局でございます。次回は6月17日を予定させていただいております。詳細については、
追って御連絡させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○池上分科会長
 ありがとうございます。
 それでは、本日の分科会を終了させていただきます。お忙しいところありがとうございました。






(了)

厚生労働省保険局医療課包括医療推進係

代表 03-5253-1111(内線)3289

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