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2011年6月28日 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 第15回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成23年6月28日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省19階専用第23会議室


○出席者

秋山 正子 (ケアーズ白十字訪問看護ステーション 統括所長)
有賀 徹 (昭和大学医学部救急医学講座 教授)
井上 智子 (東京医科歯科大学大学院 教授)
川上 純一 (浜松医科大学附属病院 教授・薬剤部長)
神野 正博 (社会医療法人財団董仙会 理事長)
小松 浩子 (慶應義塾大学看護医療学部 教授)
真田 弘美 (東京大学大学院医学系研究科 教授)
竹股喜代子 (前 医療法人鉄蕉会 医療管理本部 看護管理部長)
英 裕雄 (医療法人社団 三育会 理事長)
星 北斗 (財団法人星総合病院 理事長)
前原 正明 (防衛医科大学校外科学講座 教授)
山本 隆司 (東京大学大学院法学政治学研究科 教授)

○議題

1)特定看護師(仮称)の業務範囲や要件等について
2)その他

○議事

○島田看護サービス推進官 
 それでは、定刻より少し早いですが、委員の先生方おそろいでございますので、始めさせていただきます。
 ただいまより第15回「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用中のところ、ワーキンググループに御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、本日の委員の出席状況でございますけれども、大滝委員より御欠席という御連絡をいただいております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第の下に座席表を配らせていただいております。それ以下が資料でございます。
 資料1-1、試案作成に当たっての基本的な姿勢
 資料1-2、特定看護師(仮称)の考え方(試案)
 資料2、看護師による積極的な実施が期待される業務・行為について(案)
 参考資料1、参考資料(事務局提出資料)
 参考資料2、特定看護師(仮称)業務試行事業 指定施設一覧
 不足のものなどございましたら、事務局にお申し付けください。
 それでは、有賀座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○有賀座長 
 委員の先生方、おはようございます。
 本日も活発な御議論を賜りたく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 議事次第にありますように、今日の議題は「特定看護師(仮称)の業務範囲及び要件等について」というのがあって、あとは「その他」です。
 先ほど資料の説明がありましたが、資料1-1と資料1-2については、ぱっと見ておわかりだと思いますけれども、一応このワーキンググループの座長の責任において、より活発な議論が展開できるだろうということもありますので、このような形で資料の提出をさせていただいております。
 資料2以降は、事務局にお願いすることになりますが、資料1-1と1-2については、今の次第で私が少し説明を申し上げた方がいいだろうと思いますので、引き続き発言をします。
 資料1-1は、資料1-2をつくるに当たっての基本的な姿勢ということで、これは何事についても前文のようなものですから、特別なことはございませんが、資料1-2を作成するに当たっての基本的な考え方は、そこにありますように、1年以上にわたる本ワーキンググループの議論、それ以前の議論もありましたけれども、その議論を踏まえて、1年以上にわたる議論をしてきた。それらを踏まえて、今後、さらなる議論を進める上でのたたき台として示したい。
 考え方、作成に当たっての基本的な姿勢は1として、患者さんにとって最良の医療を提供することが最大の目的なんだ。これは当たり前と言えば当たり前ですが、患者さんに最良の医療を提供するためには、さまざまなスタッフの連携が大前提である。チーム医療の推進に貢献するように議論を進めていきたいということであります。
 連携と言っても、寄ってたかれば連携というわけではなくて、情報を共有しながらお互いにいろいろな意味で助け合いながらということになりますので、そういうチーム医療の推進に貢献するように議論を進めたい。
 ここは看護業務について特化されていますので、看護業務ということで話が展開しますけれども、ここに書いてあることは、すべての職種に関係することであります。
 それから、医療安全の確保に十分配慮する。これは議論の中で、多少難しいことをするのだったら、きっと医療安全は付いて回るという話でございます。業務を安全に実施することができるように、実践的な知識や技能を習得できるような教育などの枠組みを検討する必要がある。
 鶏と鶏の卵みたいな話をしましたが、卵のところもそうですし、その後の鶏にかえった後の仕事ぶりについても同じことであります。
 医療現場の実態を踏まえながら地に足の着いた議論を進める。地に足の着いた議論は、地に足が着かなければ何が起こるかというと、多分空中戦のようなことが起こるわけで、空中戦は空中戦である意味、理論と理論の闘いでいいんですけれども、結局は現場の患者さんそのものは空中戦に関わるわけではありませんから、現場の実態を踏まえながらということは、私たちの仕事ぶりをよくわかってということであります。
 現場の実態を正当に評価した上で、現場の取組みが阻害されるような、つまり、今、行われているところが変になってしまうことは困るということで、スタッフがイメージできないような結論では困る。厚生労働省はそういう意味では空中戦は得意ですけれども、陸戦が得意ではないのかもしれませんので、そういう意味では地に足の着いた、陸戦がイメージできるような話を進めたいということであります。
 資料1-2に移ります。
 字がたくさんあるので申し訳ないのですが、検討の背景、枠組みの考え方、制度の骨子とあり、ここら辺が一番ポイントなのかもしれません。最後に引き続き検討を要する論点についてのお話を並べてございます。
 背景ですが、医療現場においては患者さんの高齢化、医療そのものの高度化、複雑化に伴って、高度かつ専門的な疾病の治療の提供と併せて、療養生活の質を向上させるための専門的なケアを提供する必要が高まっている。
 これは患者さんが高齢になればなるほど、抱える問題点が増える。医療そのものは、どんどん進化、進歩していくということがありますので、疾病の治療に関して言うと、それなりの成果が得られたと仮定しても、いずれ患者さんは生活に戻るということになりますと、さまざまな職種が専門的なケアをお互いに出さないといけないということであります。したがって、そのようなことのためには、医師のみならず、多様な医療スタッフが互いに連携、補完し合って、チーム医療の推進をしなければいけない。
 多様な医療スタッフの中でも、看護師さんは、あらゆる医療現場において、医学的な観点のみならず、社会的な背景や心理的な状況も含めて、患者さんの状態を総合的かつ継続的に把握、評価しながら、診療に関連する業務のみならず、患者の療養生活の支援に至るまでの幅広い業務を実践している。
 このためには、看護師さんには他の医療スタッフと目的、情報を共有することによって、円滑なチーム医療の遂行に寄与する。多分中心的な役割を病棟ではしている。医療関係者や患者さんのニーズに合わせて、疾病の治癒の促進と療養生活の質の向上の双方に視点を持ったサービスを提供しなくてはいけない。看護サービスと書いてありますが、サービスかどうかというのは議論がありますけれども、平たく広い意味でサービスを提供することが求められている。
 在宅医療の場面などでは、在宅療養をしている患者さんたちの増加が見込まれる中で、医師が医学的な判断に基づき治療計画を決定し、看護師たちが日常的な症状のコントロールや軽微な症状変化への応急的な対応等についても、幅広く実施するといった連携、協働のモデルを推進していく必要がありますということです。
 こうした医療現場のニーズに対して、さまざまなことをやってきましたけれども、看護師の業務のうち「診療の補助」(医行為)について、個々の医行為が診療の補助の範囲に含まれるかどうかわからないというグレーゾーンが多々出てきた。そういうわけで、そういう専門的な能力を医療現場で最大限に発揮することは、今のままでは難しい。
 こうした状況を打開して、患者さんに対して更に良質なサービスを提供するために、検討会での提言を受けて、従来の医行為、診療の補助の在り方を再評価した上で、一定の専門的な実践能力を有する看護師さんたちが総合的かつ継続的に、看護の職能を基盤として診療の補助を中心とした幅広い医行為を実施することができるように、新たな枠組みをつくりたいということで検討してきましたというのが検討の背景です。ここら辺は皆さん、そうだねということでいいんだと思います。
 その次に、枠組みについての考え方になりますが、看護師さんたちは保助看法の定義のとおりに、患者に対して患者の状態を総合的かつ継続的に把握、評価しながら「診療の補助」と「療養上の世話」とを統合した看護サービスを提供する役割を担っている。
 ここは会議をしているところなので、理屈ということで「診療の補助」に特化した議論をしていたことにはなっているんですけれども、看護師さんたちからすると「療養上の世話」と「診療の補助」が不可分のものであるという観点で、看護師をやってきたということもありますので、そういう意味では統合した看護サービスを提供する役割を担うというのは、そういう意味であります。
 今後、患者さんの高齢化や今、言ったような医療そのものが高度化していくという中で、従来よりも質の高い医療を提供するためには、あくまで看護師本来の機能を基盤としながらも従来の範囲に含まれているかどうか、グレーゾーンにあった医行為について検討して、適切にそれを取り込む。したがって「診療の補助」の部分が少し濃くなるかもしれないが、両方を統合した看護サービスを提供できるようにする必要があるということであります。
 こうした観点から専ら侵襲性の高い医行為などを行う新たな職種を創設するのではなくて、看護師さんの能力に応じて、医療機関などにおいて医療安全を十分に確保することをしながら、医療現場のニーズを踏まえて適切かつ効率的に看護業務が展開する枠組みをつくりたいということであります。
 具体的には(1)、医療現場の実態に即して、特定看護師などについて「業務独占」とはしない。しかし、その一方で、十分に医療安全を確保することができる枠組みを構築することが必要だ。
 一定の要件を満たした看護師に限って、特定の行為の実施を認める内容(いわゆる「業務独占」)の法整備を行う場合には、その他の看護師はできなくなってしまう。昨年の看護常務実態調査において、調査対象とした業務・行為のほとんどについて、少数ながらも現在、看護師がやっていますという回答がなされたことにかんがみて、やれるかやれないかという話についてどんと天から降ってしまうと、医療現場が混乱する。
 そうは言いつつ、現行法の下で通知等により「診療の補助」の範囲を明確化する場合には、法律上実施することが認められる業務はすべての看護師について同一であるということになってしまうので、その範囲については看護師全体の平均的な能力を前提に検討する必要がある。その結果、明確化できる範囲は限定的なものにならざるを得ない。
 したがって、新しい枠組みとしては、業務独占ではなくて幅広い医行為を含めた看護業務について専門的な能力を備えていると公的に認められた看護師、いわゆる特定看護師(仮称)が医師の包括的指示の下で実施することができると、そういうふうなことにしたい。その他の看護師は、医療安全を確保できる十分な体制の整備がなされた状況において、医師の具体的な指示の下に実施することができる。
 つまり、包括的指示ということであれば、特定看護師はその下でできる。もしそういう教育に至っていない看護師がいたとすれば、比較の上で包括的だということよりは、より具体的な指示の下に実施することがあるだろう。どちらにしても医療安全という枠は、病院長の下できちんとしていないとだめだということになります。
 名称に関する枠組みということで、看護師と異なる新たな職種の創設と誤解されないように配慮する。名称独占とはしない。たけれども、医師や患者さんたちがわかりやすいと、容易に識別できるように「見える化」を図ることとする。
 「見える化」という日本語が公文書の中でどういう位置づけなのかは知りませんが、いわゆる「見える化」をしたい。
 一定の要件を満たした看護師に限って、一定の名称、例えば「特定看護師」を名乗ることを認める内容の法整備を行った場合に、業務範囲が医学的専門性、独立性を有している場合には、新たな職種として同様の法整備が行われてきたことにかんがみて、看護業務の在り方に関する検討であるにもかかわらず「看護師」と異なる新たな職種の創設と誤解される可能性がある。再三同じようなことがここに書いてあります。
 このために、いわゆる「名称独占」ではなくて、安心や安全の確保をする。安心というのは、どちらかというと情の世界ですね。飛行機が何回飛んで、1回しか落ちないので安心だ。だから、飛行機に乗る。でも、やはり嫌だということがありますので、患者さんの安心といったときには、単に安全というサイエンスの部分だけではなくて、情の部分が入っている。そういうことで「見える化」の中で患者さんの安心が得られれば、それはそれに越したことはないだろうと思います。
 安心や安全の確保、スタッフ間同士の連携を推進する観点から、専門的な能力を備えている看護師について、容易に識別することができるように「見える化」を図ることとするということで、制度の骨子、認証の方法等であります。
 「見える化」の延長線上に、骨子案があります。認証の方法ということで、以下の要件を満たした看護師は、その専門的な能力について、厚生労働大臣の認証を受けることができることとする。
 これは今までも多々出てきました。ただ、少し議論が必要だと思いますが、?看護師の免許がある、?実務経験が5年以上ある、?厚生大臣の指定を受けたカリキュラムを受けている、?試験に合格する。
 認証には2年間のカリキュラムを経て、習得した能力の認証と、これは案ですから、8か月程度のカリキュラムを経て習得した能力の認証を受けることとする。8か月程度のカリキュラムの修了者は、いわゆる日本看護協会の認定看護師さんたち、場合によっては専門看護師さんたちを対象としております。2年間のカリキュラムの修了者は、どちらかというと、大学院などを想像することができると思います。
 8か月程度のカリキュラムの修了者については、2年間のカリキュラムの修了者に比べ、より限定的な分野に関連した能力の認証を受けることとなりそうだということであります。今、言った認定看護師にしろ、専門看護師にしろ、それぞれ分野について認定ないし専門看護師ということになりますからね。
 認証を受けた看護師さんたちは、医師や患者が容易に識別することができるような「特定能力認証証」(仮称)を着用することとする。見てわかれと、そういう話です。
 それから、試験や認証の実施の事務は厚生大臣が指定する第三者機関に委託する。これは国家試験に準ずるときっとこんなことになるんでしょう。
 業務の実施の方法ですけれども、(1)の認証を受けた看護師さんは「診療の補助」のうち実施に当たり高度な判断を要する一定の医行為について、その他の「診療の補助」と同様に、医師の「指示」を受けて実施することを可能とする。
 (1)の認証を受けていない看護師が特定行為を実施する場合は、医療安全の確保から、平時、緊急時のいずれにおいても一定の組織的な安全管理体制等が整備されている状況において「具体的な指示」を受けることとする。これは具体的な指示であれ、包括的指示であれ、医療安全という体制そのものについては、基本的には同じと言えば同じなんですが、その安全体制の中のどの部分をどのような形で役割を担うかということでいくと、特定看護師の方が包括的指示の下で、より高度な診療の補助、特定行為が可能となる。こういう形式だと考えます。
 ここから先はより重要かもしれません。引き続き検討を要する論点ということで、新たな制度を実施するためには、専門的な能力を確保するということが最も重要で、教育体制の整備、専門的な能力の確認システムの構築が必要不可欠となる。
 こうした観点から、カリキュラムや試験の内容や方法、先ほど言った医行為、特定行為の内容については、昨年度から実施しているところの「特定看護師(仮称)養成調査試行事業」、今年度から実施している特定看護師の業務試行事業、つまり、卵をかえす方とかえった鶏が働くところの実施状況を踏まえて、引き続き検討を進めていかなくてはならない。
 それから、専門看護師、認定看護師、関係団体等により、これは日本看護協会ということになるんでしょうが、等による専門的な能力を備えた看護師の認定制度の認定を受けた看護師が3.(1)の認証を受けるための要件について、医療安全の確保からその知識、技能の水準を勘案しつつ、具体的な検討を進めたい。
 診療の補助に専ら議論が集中してきたことでおわかりのように、専門看護師や認定看護師は、そういう診療の補助という観点からすると、従前からの範囲にとどまるということに論理的にはなるわけです。しかし、そうは言っても看護師さんの中では、こういう方たちがそれぞれ羽ばたいて、今、働いているということがありますので、そのような方たちが認証を受けるための要件については、やはり具体的な検討をもう少し進めてもいいのではないかという話であります。
 チーム医療を推進し、良質な医療の提供を実践するためには看護業務の在り方、看護師一般の業務範囲の拡大、明確化、事務職員や看護補助者を活用すること。それから、看護師の基礎教育及び継続教育の内容、その他の医療スタッフ等の役割分担、連携。これは薬剤師であれ、リハのスタッフであれ、そのような方たちとの検討を行う必要がある。
 包括的指示と言ったときにそれは何だというときに、しばしばクリティカルパスが俎上に乗りますけれども、乗った途端に、他の医療スタッフとの役割分担、連携等についてという話がとんと乗りますので、そういう観点でいけば、引き続き検討を要する論点も地に足の着いた議論をしようと思っている限りにおいては、それほど迷走することはないだろうと考えて、資料1-2を書いた次第であります。
 1-1も1-2も一体的なんですが、その後の資料2や参考資料なども今、お話した今後の課題などについて多少関連することもあります。議論が行ったり来たりするよりは効率的な時間の使い方ということがありので、私の資料1-1、1-2に補足があれば、まずそれをしていただいて、引き続き資料2以下を事務局からお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。
○島田看護サービス推進官 
 それでは、資料2から説明をさせていただきます。
 資料2、看護師による積極的な実施が期待される業務・行為について(案)でございまして、これは特定看護師(仮称)の議論と同時に、その他の看護師の業務内容、範囲の明確化についても課題の1つでございましたので、前回のワーキンググループの資料の中でもお示しておりました現行の看護基礎教育で対応可能であり看護師のさらなる活用が望まれる業務・行為につきまして、資料をお付けしております。
 冒頭にございますように、そういったものの中では、以下のような業務・行為が挙げられるということで、前回の資料では行為については箇条書きという形でお示しておりましたけれども、それらについて一連の業務の流れをイメージしながら記述をしております。
 アンダーラインの部分が看護基礎教育で対応可能であるような業務・行為でございまして、4つほどございます。時間もございませんので、お目通しをいただければと思いますけれども、動脈ラインからの採血ですとか、下の方には12誘導心電図検査などがございます。
 下から2つ目の○にございますが、上記の業務・行為については、現行の看護基礎教育を基盤として実施し得るものと考えられるものでありますので、積極的に看護実践の中で実施することによって、患者に良質な看護サービスが提供できると考えられると、そういった旨を厚生労働省において、周知を図ることが適当ではないかとしております。
 更にこれらのほか、患者に良質な看護サービスを提供する観点から、看護師による積極的な実施が期待される業務・行為について、更にはそのために必要とされる看護基礎教育・継続教育の内容ついては、引き続き検討を進める必要があるという形で案としてお示しております。
 参考資料1を少し説明させていただきたいと思いますけれども、事務局からの資料ということでおまとめしておりますが、前回のワーキンググループでお示しをしました内容を少し充実させる形でお示しをしております。
 1ページ、今回の座長におまとめいただきました提案でございます能力認証について、その裏付けとなる必要となるカリキュラムの内容について、前回の資料を基につくっております。
 右側に看護の免許取得前、いわゆる基礎教育でも、左側に掲げる内容について基礎的な部分については学んでおりますので、そういった内容を記述しておりまして、左側にそれに積み重ねる形で能力認証を受けるために必要なカリキュラムとして、こういったものが考えられるのではないかという形でまとめております。
 2ページの参考2でございますが、医師の指示の在り方をまとめております。これにつきましても前回お示したものとほぼ同じものでございますけれども、先ほど能力認証を受けた看護師とそれ以外の看護師との業務の差、違いということで「具体的な指示」というのが出てまいりましたが、2ページの2.に「具体的な指示」と「包括的指示」という御説明がございます。
 2.の1つ目の○、2行目ですけれども「具体的な指示」は、医行為を実施する際に伴うさまざまな判断、実施の適否、実施方法等について、指示を受けた者が裁量的に行う必要がないよう、できるだけ詳細な内容をもって行われる指示と法令上解釈をしております。
 4ページ、救急救命士方における「具体的な指示」という文言が救急救命士法の第44条で記載されておりまして「医師の具体的な指示を受けなければ、厚生労働省令で定める救急救命処置を行ってはならない」とされておりまして、具体的に厚生労働省令で定められている救急救命処置というのは、その下に?~?と書いてございますけれども、乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液といった、これらの3つのものでございます。
 これら3つに対して医師の具体的な指示の例を通知でお示しておりまして、4ページの下の方の四角で囲んでいるところでございますけれども、乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液であれば、静脈路確保の適否、静脈路確保の方法、輸液速度等について、医師が指示を与えるために必要な情報を医師に伝えた上で指示をもらって、実施をするということでやるとお示しをしております。
 3ページの上の方に書いてございますが「包括的指示」につきましては、法令上の規定がされておりませんので、※にありますように、診療分野、業務の内容等によりまして、それぞれの医療機関において異なった方針や考えの下で幅広く運用されているというのが実態ではないか。
 そして、3が.今回追加しているところでございますけれども「包括的指示」を活用する際の留意点としては、どういったことが考えられるのかというところでございますが、医療安全の確保の観点から、それら3つの点に留意する必要があるのではないか。
 まず1つ目ですが「包括的指示」に基づいて対応可能な状態を逸脱した場合に、早急に医師に連絡をとり、その指示が受けられる体制が整えられていること。
 そして、医師と看護師との間で「包括的指示」の内容の認識にそごが生じないよう、その指示内容が例えば標準的プロトコールでありますとかクリティカルパスといったものを活用して、文書で示されていること。
 「包括的指示」による処置等が適切に実施されたどうか事後的に検証できるよう、実施した内容を記録、管理しておくといったことを留意していただきつつ、活用していただくことができるのではないかということでおまとめをしております。
 5ページですけれども、能力認証を受けた看護師が実施する特定行為を含めて、どういった看護業務の流れで実施されるのかという具体的なイメージをお付けしておりますが、前回の資料では3つほどの場面を設定しておつくりしておりましたけれども、今回はその他の業務・行為につきましても、場面や対象者を設定して、イメージ図をお付けしております。
 5ページに書いてございますように、先ほど座長からの御提案の中にありましたが、2つ目の○にありますけれども、厚生労働大臣の認証を受けた看護師であれば、標準的プロトコールやクリティカルパス等の文書を活用した医師の事前の指示に基づき、必要に応じて医師や他の医療スタッフと連携しながら、図に記載された業務全体を実施することが可能。
 その下でございますが、能力認証を受けていない看護師も同様に、医師の事前の指示に基づき、図に記載された業務全体を実施することが可能である。ただし、斜めの赤文字で示しております特定の行為の実施に際しましては、医師に対して判断を下すために必要な情報を伝えた上で、医師から「具体的な指示」を受けて実施しなければならないというのが案でございます。
 6ページ以降がその具体的なイメージでございますが、これらにつきましても1つずつ御説明はいたしませんけれども、帰宅可能な外傷患者への対応に関連した業務、胸部症状の患者への対応に関連した業務、急激に症状が変化した患者への対応に関連した業務、手術の実施に関連した業務ということで、周術期の術前、術中。10ページが周術期の術後。11ページが人工呼吸器からの離脱に関連した業務。12ページが外来でがん化学療法を受ける患者の治療・処置等に関連した業務。
 13ページ、症状の安定した慢性疾患患者(糖尿病)の対応に関連した業務。
 14ページ、栄養状態の改善に関連する業務、
 15ページ、褥瘡の処置に関連した業務。
 16ページ、在宅医療等における終末期がん患者の対応に関連した業務。
 といった形で示させていただいております。
 斜めの赤字でお示してあるものが先ほど申し上げた特定の行為でございますけれども、場面や業務の流れによりましては、重複してお示しているものもございますが、いずれにしてもこういった能力認証を受けた看護師がこういったことを実施するというイメージを付けさせていただいております。
 17ページ以降でございますが、前回もお付けしておりますけれども、医療現場における専門看護師、認定看護師の役割の一例ということで、日本看護協会で示されております専門看護師、認定看護師の制度の概要ですとか役割について簡単な絵にまとめたものを19~20ページでお付けしております。
 参考資料としては、以上の御説明でございます。事務局からの説明は以上でございます。
○有賀座長 
 ありがとうございます。
 参考資料2はいいんですか。
○島田看護サービス推進官 
 参考資料2でございますけれども、御報告ということでまとめてございます。今、御説明させていただきます。
 業務試行事業につきましては、特段申請の締切日を設けておりませんところでございまして、順次申請をしていただいているところでございますが、ワーキンググループの先生方にも書類が整ったものつきまして御確認をいただいております。どうもありがとうございました。
 昨日、6月27日時点で、ここに記載させていただいております9施設の指定をさせていただいております。
 右側にありますのが、左側の指定された施設で今回業務試行を行っている対象となる看護師の養成課程の名前ということで、一覧でお示しさせていただいております。
 以上でございます。
○有賀座長 
 確認していいですか。
 漫画の数が全部で11でしたね。業務試行事業は9施設です。この9施設は漫画のどれかに該当すると考えていいんですか。
○島田看護サービス推進官 
 はい。該当いたします。
 ただ、今、この指定させていただいている9施設以外にも、申請をいただいている施設がまだございまして、まだ手続途上のところでございますので、そういったものも含めますと、かなりさまざまな場面でやっていただけるものが表れるのかなと思っております。
 一方で養成調査試行事業の実施課程でまだ修了者が出ていないところもございますので、そういったところも合わせますと、ここでお示ししております業務のイメージが網羅的に実施していただけるようになるかなと考えております。
○有賀座長 
 ということで、どうもありがとうございます。
 特定看護師(仮称)の業務範囲及び要件等に関する議題のその1ということで、資料の説明をさせていただいたところです。
 自由にいろいろな角度から議論を。
 いつもの星委員、どうぞ。
○星委員 
 今の件を確認したいんですが、参考資料2の老年、救急、感染、慢性期とこの漫画と一致するという話なんですけれども、どう一致するんですか。私には理解不能なんですけれども、何と何がどう一致しているんですか。
 例えば感染と書いてありますね。中身とここで言う11の業務には感染に関することが何も書いていないんだけれども、どちらかに何かの間違いがあるんですか。それとも11以外にも想定しているんですか。
○島田看護サービス推進官 
 この業務試行事業でやっていただいている業務の内容が11の場面にすべて表わせているというものではありません。
 逆に、ここでイメージ図として示させていただいているものは、今、指定させていただいているところ、まだ養成課程で養成されているところもありますけれども、そういったところでも今後実施していただけるという内容が含まれているところですので、業務試行事業の中でやっていただいているものが、すべて今の資料として絵でお示しできているわけではないです。
○星委員 
 だって、示させていると言ったでしょう。
○有賀座長 
 だから、私が聞いたのは、そういうことで議論をしていきたかったので聞いたんですけれども、例えば飯塚病院の救急というのは、専らたしか救急外来における患者さんの緊急度などを見て、いわゆるトリアージについてでした、災害ではないトリアージですけれども。
 そのトリアージナースのような仕事だったように思いますが、そういう看護師が場合によっては、漫画の1の帰宅が可能な外傷患者さんへの対応に関連して、外来では例えば浸潤麻酔だとかホチキスの使用だとかもあり得る。つまり、こんなような組合せが起こっているということでいいんですね。
○島田看護サービス推進官 
 はい。
○有賀座長 
 どの漫画がどの病院というわけではなくて、漫画で示された具体的な景色というか状況の組合せが起こり得るということですね。
○島田看護サービス推進官 
はい、そうです。
○有賀座長 
 だから、そういう意味では、漫画の6ページと7ページはたまたま飯塚病院ではきっとこんなことが起こるだろうなと。それから、急激に病状が変化したというか来た瞬間に既に救命処置を行わなければいけないという患者さんがもし飯塚病院に来れば、これも多分行われるだろう。そういうことですね。
 恐らく救命救急センターの仕事ぶりだというと、救急の中に含まれる可能性は少ないのかもしれないけれども、飯塚病院において場合によっては、救命センターの病棟で11ページの人工呼吸器からの離脱にもコミットしているかもしれないということですね。
○島田看護サービス推進官 
 はい。
○有賀座長 
 わかりました。
 そういうふうな質疑応答によって理解を補おうという話。
 星委員、お願いします。
○星委員 
 非常に不思議なので、私は理解ができないんですけれども、8か月コースと2年コースをつくるというのはそれはそれとして、8か月コースは具体的な業務範囲を決めて、2年コースは決めないと私は理解したわけです。
 2年コースをやると、ここに書かれている漫画のすべての景色を1人でやれる看護師さんをつくるというイメージなんですか。だから、その辺の位置関係がわからないんです。その辺りのところを8か月コースと2年コースにしてしまうから、よけいに非常に不可解さが増すので、この関係はどうイメージしているのか。
 少なくとも事務局なりがどうイメージしているのか、説明してくれますか。
○岩澤看護課長 
 2年課程について、実際に養成調査試行事業で分野を決めて、実施されているところもありますが、そこで必要とされる業務、判断される内容は分野間で一定程度重なりがあると思われますので、2年の課程を修了した場合には、急性期、慢性期あるいは在宅、いずれの分野でも対応可能な能力を習得することができるのではないかと思っています。
 ただし、これは修了時にどの程度の習得度を目指すのかということと関係してくるかと思っております。
○有賀座長 
 恐らく本件は、専門性とか特定とか一定と言ったときに、どういう分野で頑張って勉強することが可能なのかという話とほとんど同じですので、認証といったことも含めて全部に関係する大事な話なんですね。
 どうぞ、神野委員。
○神野委員 
 前々回に井上委員もたしか発言されたと思いますが、ここでオールマイリティをつくるのではないというのを皆さんで合意したような気がいたします。
 実際に養成事業にしても試行事業にしても、オールマイティは今まで1つもつくっていないわけで、ある分野に関しての特定医行為に対して深堀している講座としてつくってきたということで、2年コースに関して、オールマイティという話を聞いて、また戻ってしまったというか、あれって思ったのです。
 先走りますけれども、有賀座長の認証証を付けるという話にもつながってきて、認証証という「見える化」はとても大事だと思うのですが、その中でオールマイティの認証証、救急の認証証、老年の認証証、ありとあらゆるいろいろな認証証を付けるのかという話とかヒエラルキーをつくらないかといったことを危惧いたします。
 もう一度確認しますが、オールマイティという話ではなかったのではないかなと思います。
○有賀座長 
 資料1-2の3ページ、引き続き検討を要するというところの6行目、専門看護師・認定看護師の認定を受けた看護師さんが認証を受けるための要件についてということで、結局のところ、専門看護師も認定看護師も「診療の補助」の部分については、特別なことになってはいない。そういう観点で関係団体、つまり看護協会からの分野別の専門ないし認定ということできているわけです。
 ですから、医行為に直には関連しないということによって、専門性を高めていくプロセスにおいてすら、このような形での分野別が起こっているというときに、特定看護のどちらかというと医行為ということで、医師の人たちから言わせると、結構危ないこともきっとやってもらうといったときに、専門看護師や認定看護師のプロセスの延長線上にもしあるとすれば、やはり分野別ということは考えざるを得ないのではないかと論理的にはなっていってしまうんだろうと私は思うんです。
 その部分をどういうふうにして、卵がかえるプロセスの2年間のコースと、認定看護師さんたちがもう少し勉強して特定看護師になろうというコースとの話の上手な整理整頓が必要になってくるのではないかと思うんです。地に足の着いた議論というのは、そういうところなのではないかと私は思うんです。
 どうぞ、小松委員。
○小松委員 
 このところの部分で整理をしておきたいことが1つあります。
 先生がおっしゃったように、特定看護師の分野を決めたりというお言葉が今、あったんですが、この中のことに関しますと、特定の能力を認証する看護師となるわけであって、2ページにありますように、名称に関する枠組みとしては、特定看護師という新たな職種の創設と誤解される名称は用いないということが前提にありながら、この位置づけとして能力を認証していくというときに、どうも特定看護師と今後使わない方が私はいいのではないかなと思っていて、特定の能力の認証を受けた看護師とかと言っていく必要がもう一つの整理の仕方としてあるのではないかと思います。
 というのは、業務に関する枠組みのところと2番のところは非常に矛盾していて、業務に関する枠組みで用いられている公的に認められた看護師、いわゆる特定看護師がと言いつつも、こちらではそれは言わないとなっているわけであり、それは非常に混乱を起こすので、今まではどういう位置づけで能力認定をしていくのか、資格にするのかという論議をいろいろしてきて、ここでそこのところは能力の認定にするのであれば、今後、特定看護師(仮称)という名称で、それぞれあらたかも人格があるような感じの専門職の名称で論議を私はしない方がいいのではないかと思います。
○有賀座長 
 名称で議論をしなくても名称を使っても、それは(X)でも別にいいわけですよ。ただ、そういう実体についての議論をするときに、対象となる呼称はどう在るべきか言えば、多分一番分かりやすかったのが特定看護師(仮称)だっただけの話で、それを今後どうするかという話は、そのような実体を持つナースが出てきたときに、どう呼ぶかという話になり得ますね。だって、そうしておかないと、だれにもわからない。
○小松委員 
 それはそうなんですけれども、例えば認定看護師にしろ、認定看護師制度というのがあって名称が認定看護師になるのであって、専門看護師もそうですし、専門医もそうだと思うんです。専門医制度があって、専門医と名乗っていく。
 でも、ここでもしもこのワーキングの中で出している認定能力の認証といった場合に、それは認定能力を持つ看護師というのが主語であるのではないかと。
○有賀座長 
 だからそれでいいわけですよ。
○小松委員 
 だから、それをそれぞれのさまざまな分野で能力を持つ人たちを一括して、医療の中で特定看護師と用いることが非常に混乱を起こすのではないかという懸念もあるので言っているんです。
○有賀座長 
 ここにいる人が混乱しているのだったら、もうそれは用いるはずにはならないわけです。だから、それはそれでいい。もう少し本質的なことを私は議論しようとしているんです。
 どうぞ、井上委員。
○井上委員 
 最初に名称独占と業務独占しないということは、前回も出ていたのですが、前回は両論併記で、ほかの人がぱっと読んだら、名称独占、業務独占をしないとは読めないだろうなと思っていたのです。今回で明確に名称独占をしないと出したのなら、今回はしようがないとしても、次回からのワーキングには特定看護師(仮称)というのは一切使わないでほしいと思うのです。それが混乱のもとになり、それをずっと引きずってしまう危険性があります。
 私がもっと言いたいことは、資料1-2の3ページの業務の実施方法で、1つ目の○はいいとして、2つ目の○が非常に私は引っ掛かるのです。これは業務独占をしないからこうなるんだろうと思うのですけれども、認証を受けていない看護師が特定行為を実施する際には、平時・緊急時でも、いずれも組織的な安全管理体制が整備されている状況において「具体的な指示」と書いてあって、具体的な指示は参考資料の2ページの2.の○のところで、医行為を実施する際にさまざまな判断について、指示を受けた者が裁量的に行う必要がないよう、できるだけ詳細な内容をもってと。要するに、判断をするな、思考停止でいいという感じで。
 それと併せて読むと、3ページの(2)の○が例えば、新人看護師がいて、医師が手とり足とり丁寧に教えて、安全体制も万全だと。しかし、どう読んでも、安全管理体制の整備に教育というのは入っていないと思うのです。それなのに万全な安全管理体制があり、手とり足とり教えたら新人看護師でも挿管できますよということが成り立ってしまうのです。
 これは非常に論理矛盾で、それなら厚生労働大臣まで引っ張り出してきた認証評価、教育、5年の臨床経験とは何なんだということになってしまうんです。業務独占しないとなった時点で、歯止めが利かなくなっているのではないかと思うのです。
 ただ、誤解されたら困るのですが、最初に有賀先生がおっしゃったように、私は看護師の医療行為と「療養上の世話」を統合して提供していきたい、その中には役割拡大、今までできなかった医行為もできるようになってほしい。あれもこれもできる人をつくりたいというわけではない。それは是非進めてもらいたいと思っているのですが、まず特定の領域ごとに小さな単位で決めていって、それをどう教育するかという議論を進めて欲しい。2年というコースは前回の資料の10ページに松竹梅の松のコースで全部載っていたのを小松先生が処置屋しかイメージできないとおっしゃった、あれにつながってしまうと思うのです。
 いろいろなことをたくさん言い過ぎたかもしれませんが、業務独占をしない段階で教育のことをあれこれ考えるのは、むなしいような感じになってしまうのですが、法律のことに関しても山本先生にもお聞きしたいとも思っています。
○有賀座長 
 むなしいかどうか知りませんが、今、言ったように、挿管も抜管も個別具体的にはやってきた経験があるわけですよ。ですから、そういうことではなくて、体系的にというかシステマティックにというか、国の仕組みとして、この手のことをきちんとやっていこうという話があるので、こうなっているんです。
 だから、私が私と一緒に働いている集中治療室のナースに挿管してもらったりしたことは、昭和大に来てからはまだありませんが、前の病院では多々あるわけですよ。朝、よろしくと言って、夕方が手術場から出てくるまでに。
 そういうこともあるので、現場が困らないようにしたい。だったら、こういうことでやれるところはやってくれと、その代わりシステマティックにやるのであれば、こういう教育やこういう社会の仕組みでいきましょうということを書いているだけですから。
 何がどうむなしいのか私にはわかりません。
○井上委員 
 有賀先生は完全な性善説だと思います。
○有賀座長 
 性善説でいいではないですか。それを何とか皆さんでするんでしょう。私が性善説だったら、性悪説は星先生が言ってくれたらいいわけですよ。
○井上委員 
 抜け道のような形で教育に出すなんてとんでもない、お金もかかるから、という施設が出てこないとも限らない。
○有賀座長 
 抜け道かどうかという話は、抜け道になるかどうかは星先生が言ってください。私が性善説だったら、先生が性悪説でやっているんだから。
○星委員 
 いっぱいいろいろな人が話した方がいいですね。
○竹股委員 
 私にも話させてください。
 井上先生がおっしゃった御懸念、私も業務独占がなくなった段階で発生したということについては、いろいろな思いを持っています。特に今日の資料のように、具体的に漫画で出されてきたものを見渡すとよけいにその辺の感を深くいたしました。
 例えば前回は松竹梅で、梅の部分のレベルの医行為であれば現行のナースたちが一定の教育なり習熟なりを経てやり得るだろうと思ったんです。
 しかし、これを全部見ると、かつての特定看護師(仮称)がやり得る医行為であっても、具体的なこの局面で指示があれば、現行の看護師でもあらゆることができますよと。ただ、やるときにこれをやっていいんですかという許可だけを医師に承認を受ければ、いいんですよというふうに見えるんです。
 私は、有賀先生が今までいろいろな状況でやってきた現場に非常に混乱を与えるというのはわかるんですけれども、やっていない現場に非常に混乱を与えるだろうなと思えてならないんです。
 多分、今の日本の医療現場は非常に格差があって、その格差の中で、現場のリアリティですから待ったなしでやってきた現実はあったにしても、しかし、やはり先進国の医療ですので、一定の質の担保、体制の下に、だれもが一応認識できるレベルで行い得たことが何でもありとなると、安全の担保、一体それって何なんだと、更に言えば教育も入っていない。
 だから、多分その辺が今後の中で、安全の確保とは何なのか、起きてからのことを言ったってせんないことで、起きる前にどのような安全の担保ができるのかということが議論としてなされるべきです。現場の一般のナースたちは、本当に現場で一生懸命勉強してきましたが看護で目指したものが違うのです。有賀先生はきっと一生懸命教えて、そして、お互いの信頼関係を持って、これなら患者様の命をちゃんと守れるということでやったはずだけれども、しかし、井上先生がおっしゃったように、それはどこも本当にそうなのか。
 有賀先生のような先生がいらして、きちんとスタッフに責任を持って、患者様にも勿論責任を持ってやり得るのかというところは、私も現場では若干性善説だけ言うわけにはいかないかなと思いながら、今、伺っていました。
 あちこち言いましたけれども。
○星委員 
 何でこんなに今、混乱しているかと言うと、私も混乱しているんですが、名称独占も業務独占もしないんだというのがスタート地点になって、それでも前にやりたかったことができるようにという、要は、前はできない人とできる人を分けないといけないという議論で始まった議論が出口になって、そうではないというときに、今、言った包括的指示と具体的な指示の話で、そこが違うんだというある種取って付けたような区別をしたので、私たち自身は非常にわからなくなっているのが1つ。
 もう一つは、8か月コース、2年コースも最初から何だかよくわからないけれども、そういのがあるねと始まっていて、そして、先ほどの説明によればですが、2年コースだと、包括的に何でもできるよう人になりそうだと。
 しかし、その議論は既にやっていて、そういう処置屋、何でも屋はつくらないという話をしてきているので、8か月コースと2年コースのスタート地点がなぜか大学院を一方で想定し、一方で認定看護師が6か月なので、プラス2か月で8か月だったかもしれませんが、そうやって始めているので、この辺でそろそろ業務独占と名称独占をしないということで、現場が混乱をしないという前提で、かつ看護師さんたちが安心して働けて、患者さんたちも安心できる環境をつくるためにはどうすればいいかということをもう一回考え直していいんだろうと思うんです。今までの議論を参考としつつも、別にとらわれずに、私はやっていくべきだろうと思っているんです。
 そのときに、もう一つネックになるのがなぜ国家認証なのか。名称独占もしない業務独占もしないのに、なぜ国家が国家免許ではないけれども、国家認証という今まであるかどうかわからない仕組みを新たにつくってまでやろうとしているのかというところで、3つの矛盾が今、同時に発生しているので、私たちの間で何かとてもよくわからないような。
 皆さんは名称独占、業務独占ができるという前提で考えていた人もいるし、そんなものけしからぬと思っていた人もいるんだろうと思いますが、一応方向性としては、現場の混乱を避けるという意味で、それぞれの独占を行わないというところで、1回別の地点に降り立ったので、そこからもう一回飛び立つ準備を、今までのことは今までのこととして、もう一回やる必要があるんだろうと思うんです。
 だからこそ、先ほどの説明も事務局の方をあげつらうわけではないけれども、対応していますと言った後で、必ずしも対応しているとは限らないんです、含まれているんですと言ったが、でも、感染の内容など出ていないわけです。
 だから、これはすべてではないんですとなると、一体私たちが議論してきたことが本当に次の着地点に向かっていけるかどうかということを、ここでじっくり、座長に私が御進言申し上げるような立場ではないのかもしれませんが、違ったイメージを持ってここまで来た人たちの次の議論のためには、それなりの時間と説明と理解のためのさまざまな努力が私は求められると思うので、そこら辺を慌てず、急がずにしっかりやることが私は最終的に、最初に言った目的、つまり、看護師さんが安心して働ける、患者さんたちが安全で安心した環境で療養できるという状況をつくるのだろうと私は思っているので、そこを是非お願いしたい。
 専門医制度というのがあって、それは多分公表、公開していいというだけであって、専門医を持ってなければ何ができないという制限をしているものではないですね。私は何が専門性なんだろうと思って、例えば私が病院の委員長で、専門医を持った先生が来る。例えば心臓外科の先生で専門医を持っていると、きっとどんな手術でもできるというわけではないですね。基本的にはことはできるだろう。この先生は、その上で自分はこの手術なら自分1人でできる、これはできないということを自分が理解していて、それ以上のことを病院側からやれと言われても、私にもできない、やるとすればこういう人の助けが必要だから、呼んで来てやりますよと。これは日常的にある話です。
 ですから、きっとこの看護師さんたちの、これを国家認証でやるかは別として、専門医に相当するような、ここで専門看護師と言うとわけがわからないので、専門医に相当、あるいは認定に相対するようなものについて言うと、その2つが必要だと思うんです。
 要は、最低限できるねということをみんなが知っていることと、本人がこれ以上はできないということを知っている。これがまさに私は専門性だと思うんです。
 そのときに、外的に認証を受けているから、ここまでは必ずできると思われて、指示を出されてもできないということがあったときに、医師の場合は最終決定者なので、できませんと言えるかもしれないけれども、看護師さんたちにそういう状況で包括的指示になったときに、いや、実は私できないんですと言われない状況をつくってしまうかもしれないということもあるんだろうと思います。
 だから、そういう心配をそれぞれの場面でしているので、今、冒頭に言った8か月、2年の話も含めて、領域の話も含めて、もう一回名称独占、業務独占をしないということを前提に整理し直すことを是非お願いしたい。連続している今までの資料も、そのことを前提にもう一回議論をしてほしいと私は思います。
○有賀座長 
 包括的指示と言ったときに、包括的指示とは何なのかという話になるではないですか。それがあらかじめスタッフ間でディスカッションされている、こういう内容で、こうなったらああで、ああなったらどうしようという話になったときに、突然包括的指示がナースやレントゲンの技師さんたちにぽんと上から降ってくるということは多分ないと思うんです。今までの議論を踏まえた包括的指示であればね。
 だから、先生が今、言った、できないことをやらされるということは包括的指示とは何かという議論の中に多分含まれる。
 もう一つ、専門医の話が出たので、この間のことを思い出したんですけれども、国家認証は麻酔科の標榜医だけですね。だから、私も先生も麻酔は勉強してきている。私も麻酔科の教授から「お前、欲しいんだろう」と言われたから「要りません」と言って、別のところに行った覚えがあるんですけれども、全身麻酔をすることができるが、標榜医であるかないかという話と国家認証という観点で言うと、少し似ているのかなという議論をしましたね。だから、あれは名称独占と言わないらしいのですが、言うんですかね。
○星委員 
 名称独占でしょう。
○有賀座長 
 よくわかりません。ただ、私自身はあのイメージだったんです、イメージとしてはね。
 麻酔の標榜医は名称独占なんですか。たしかあれと同じだという議論はここでやったので、神野さん、覚えていますね。
 前原委員、どうぞ。
○前原委員 
 また混乱して、私だけが混乱しているのか、皆さんの意見と違うかもしれませんけれども、2年と8か月という2つのコースで、私はもともと2年がいいだろうと思っているんですが、資料1-1に書いてあるとおり、患者にとって最良の医療を提供するのが最大の目的でありまして、そして、医療安全、現場に地の着いたという3原則でやってきたんだろうと私は思います。
 この高度、複雑化、高齢化する医療をやっていくに当たって、認定看護師さんが活躍されて、今、現場でやっているんですけれども、このままのこれにプラス8か月、この方かどうかわかりませんが、それに8か月をやって解決するのかというよりは、今やっている行為は法律でも、診療の補助として余り認められていない、グレーゾーンの行為を含みます。
 実際はもっとやりたんだけれども、できない。そして、やってもらうと患者さんにとっても助かるんだけれども、できないところを何とか解消しようと、医療の質を上げようというところが出発点だったと思う。
 それにはどうすればいいかと言ったときに、医療の安全ということも考えますと、今の看護教育を否定するわけではありませんけれども、もう少し医学的知識、医学的な判断の下にアセスメントをし、治療にも加わってもらいたい、そういう看護師さんもいっぱいいらっしゃると思いますから、それができるようにする仕組みをつくりましょうということです。
 その仕組みをつくるときに、先ほど神野先生がおっしゃったような、特定だけにしたんだと、私はそういうふうに思っていません。急性期、慢性期と2つに分けて、グローバルに両方ともわかるような看護教育に医学的教育をプラスした人をつくるには、やはりその医療のレベルを保つためには、2年間のコースが必要でしょうと私は思います。
 あと8か月のことに関しては、今の認定看護師さんが頑張っていらっしゃって、その方がもう少しやれるようにするためには、より医学的知識なりを身に付けて、実施もできるようになり、加わってくれればいいのではないかという2つのことが出てきたんだろうと思います。
 そこで法律、枠組みを決めないで、業務独占だとか名称独占ではないということは余り論議しても今は仕方のないことだと思いますけれども、ある程度枠組みをつくるためには、それに対する法的なもの。今までのように、認定看護師さんの看護協会の認定制度だけでいいとは思わないというのが皆さんの原点だろうと私は認識しておりますので、そこを何とかするためには、よりよくして、厚生労働大臣なり国家資格なり「見える化」をして、患者さんにも国民にもわかるものにしていかないと、今のこの医療の複雑さ、高齢化、医療崩壊とも言われているこれを何とか乗り切るためにも必要だろうという認識です。
○有賀座長 
 先生、質問してもいいですか。
 2年の看護教育、修士課程のような教育が先生のお話を聞いていると、基本的なもので、今いる認定看護師さんや専門看護師さんたちのプラス8か月コースは、現状においてはしようがないけれども、遠い将来においては、修士課程が基本になっていくと考える方が正しいというお考えなのでしょうか。
○前原委員 
 私はそういうふうに思っています。
○星委員 
 私は全くそう思わないです。
 ですから、その辺が多分違うところで、何をもって2年間と言うのか、単位数がどうなのかという話で、今の専門看護師の単位も基本的には修士課程で2年間コースです。しかし、領域を決めていて、実は今、我々が議論している技術的なところ、特に医行為に関するところはどちらも、認定も専門も大してやっていない。つまり、やれないという前提でやっているからという認識だと思うんです。
 認定の人たちと専門の違いはここに最後の漫画に書いてあるように、専門の方はいろいろな社会的なものとか倫理的判断とか、そういう職種横断的な協調とか、専門分野の領域をより生かしていくために、教育的な指導とか、いろいろなことができる人をつくっている。
 ですから、今、私たちが議論している新しい枠組みで言うと、8か月と2年コースというのはある種一緒なんだろうと、一緒だというのはわかりませんが、結局2年コースで先ほど言ったオールマイティをつくるではないけれども、領域で大体できるから、できる行為が決まっていますねという課長の苦しい説明をあえてそうだと受け止めるとすると、多分専門看護師の2年コースは新しい枠組みでいうと、きっと8か月コースになってしまうんだろうと。つまり、領域を持ってやるわけですからね。
 ただ、ちょっと待ってという話が1つあって、オールマイティをつくるという話は舌をかむので、領域ごとにやると考えれば、2年間である必要があるのかなという話にもなってくるわけです。
 要は、特定の医行為を含む看護職の仕事、看護の全体をある専門領域に関して、より高い能力を持っているという認証を受けるという意味において言うと、多分その期間が8か月であるか2年であるかは別として、多分同一のものであるだろう。つまり、1種類なんだろうと思うんです。
 ですから、先ほどの課長のすごく苦しい説明を撤回してもらって、やはり領域がありますという話なら何となく話として前に進むんですけれども、どうも先ほどの2年コースと8か月コースの違いの説明がどうにもみんなの腑に落ちていないので、より入口で。
 とりあえず、先ほど言った1回着陸したと、もう一回飛び立とうと思って、次の島を目指そうと思ったら、みんな違う方向を向いている。何でだと思ったら、今までどこに降りるかわからずに議論してきたさまざまなことが、まだみんなの記憶の中に色濃く残っていて、多分それぞれの思っているところはベースになるところが違ったところで議論してきたことをまだ引きずっている部分があると思うんです。
 ですから、そこを整理して、例えばそうではないんですと、もうとにかく11なら11の領域、あるいはもう少しあるのかもしれませんが、これを足して3つの領域になるか4つの領域になるのかわかりませんけれども、ある種の1つの枠組みとして考えようというのであれば、何とかそう言われればそうかもしれないなと思うんです。
 ですから、あえて2年コースと8か月コースの違いと、これからもみんなで認めていくのかどうか、その辺はどう考えるんですか。少なくとも課長さんは先ほどああおっしゃったけれども、私はそれだと前に進まないような気がするんですが、どうでしょうか。
○有賀座長 
 医師の世界も免許証を取って、初期臨床研修をやって、今、専門医認定制機構などで議論しているのは、その後に後期研修のときに、専門性を勉強し始めてもらおうと。まずは、基礎的な十幾つのところに所属してもらって、そこで勉強してもらって、とりあえずは1階建ての専門医になってもらう。
 でも、そこでは多くの場合、家庭医とか救急医とかリハビリテーションはかなり横断的ですけれども、皮膚科とか眼科とか耳鼻科とかといってくると、相当程度に分野別ですね。
 その後に、内視鏡とか2階建ての部分に進もうという話になりますので、看護師さんだけがいつまでも横断的に横にだっと専門性が高いまま、ホバリングするような景色はどうも、私も実はよくわからない。
 その業界筋で専門看護師や認定看護師をつくってきた歴史があるので、その歴史を十分に尊重すると、やはりそれが何か月コースなのかは別にしても、そういう分野ということにならないと、看護師さんたちもむしろ困るのではないかと素朴に思うんです。
 資格は1つですよという話はそれはそれで、将来、専門医認定制機構が第三者的なものをつくったと仮定して、その第三者評価によって認証された専門医でありますという言い方での専門医は多分国家認証であれ何であれ、広く専門医ということでくくられるんでしょうけれども、星先生は何ができるのとか有賀さんはどうしたのと言ったら、やはりそこのどれとか、超急性期のこの部分とか、こんなことになってくるのではないかと私は思うんです。
 では、そこら辺のことをお願いします。
○前原委員 
 まさしく今、有賀座長がおっしゃられたとおり、私の考えなり医学教育とかミニドクターをつくるのかなど言われてしまうとあれですけれども、やはり前提としては、2年コースは何も修士でなくても私はいいと思っています。
 2年間は看護をやった人も、そのほかのことをやった主に看護をやった人、その後の2年間は、看護教育でも医学の教育はしていますけれども、グローバルに浅く広く、医学生が勉強するように、解剖なり生理なり病態なりということを浅く広く認識をした上で、先ほど言ったように、2階建てとしては「がん」なのか、「在宅」なのか、「小児」なのか、「新生児」なのか、「終末期」なのかというところに分かれていくんだろうと思うんです。
 ただ、そこは「がん」のことだけ一生懸命やっていてということよりは、教育として、医療の安全、診断能力、そのことも広くABCのABCがわかるような人材をつくるためには、私は2年間の教育が必要だろうと思います。何もそこを卒業したときに、この医行為が全部できるということはありませんし、医者でもそうですね。私たちが6年で出た後に、心臓外科をやりたいと言ってすぐできるわけではありませんし、そういう医行為はその場で、その場で教わっていくわけです。
 だけれども、そこはベースとして、医学教育、看護教育両方の医学の教育の知識があるからこそ、そういうふうにマッチできるわけです。今の認定看護師さんが、そこのところを1つだけ掘り下げていく技術を学ぶというよりは、その8か月というのはやはり医学教育というか医療の教育というのが必要だろうと私は思っている。
 このままでいいんだったら、何もこのワーキングを開くことはないですねと、私は思います。
○神野委員 
 今、おっしゃったのは、新しい資格のような気がしてならないんです。
 参考資料の18ページに、専門看護師と認定看護師の概要が載っています。私は、専門看護師の実務経験5年以上で2年間ということを考えると、もしかしたら、この大学院の専門看護師コースに特定医行為ができるような講座もありますというので、ここを卒業すると、専門看護師もこの特定医行為の免許証も両方もらえますよというぐらいに、ぐらいしてというのは失礼ですけれども、というぐらいに思っていたのです。
 というのは、ここの専門看護師さんで10のいろいろな分野がありますけれども、例えばがん看護とか在宅とか、それを一生懸命おやりになっていけば、当然特定医行為も専門性をどんどん追及していかねばならない。ここで言う特定医行為が必要になってくるはずなので、それが今までできなかったから、この専門看護師のこの大学院のコースで100%イコールとは言わないけれども、きちんとした教育カリキュラムをつくった専門看護師コースの大学院は特定医行為ができる資格も一緒に取れますよというものかなと。
 先ほど前原先生がおっしゃったのは、また新たな2年制の大学院というか、今までにないものをつくるということになると、今、ここで名称独占をしないという話ですけれども、やはりNP的な新たな資格ができるととらえざるを得ないかなと思いました。
○有賀座長 
 前原先生、必ずしもそうではないですね。
○前原委員 
 そうですね。私の心の奥底にはあるかもしれませんけれども、神野先生がおっしゃったとおり、そういうのもありだと思います。私の認識では、それは8か月コースだろうと思っています。
 2年コースは、私の頭の中ではやはり広く医学教育、医療教育を受けた人たちが2年間で育っていただきたい。その人たちは、それがNPなのかPAなのかということを言い出すと、そこをねらっているのではないかと言われますけれども、そういう人たちも今のこの現状からすると、この医療の忙しさ、この医療崩壊の中で必要だろうという気はあります。
 だけれども、先ほども言いましたように、医学、診断学、基礎、解剖、病態生理ということをもっとしっかりやってもらいたい、そういう人をつくらないと。過去の教育の専門看護師と認定看護師を全部否定するわけではありませんよ。そういうのがやはり必要なのだろうと。それでなおかつ患者さんのそばにいて、看護をしていただいている看護師さんがそれを持てば、より質の高い医療ができるだろうし、その辺のところは非常に患者さんにとってはいいだろうということを目指している。
 ですから、ただ、ここにあるものを深く、深くどんどん掘り下げていけば、今までどおりでいいではないかとは私は思っていません。
○有賀座長 
 でも、先生のおっしゃっていることを、先生の思いどおりのことで出発していたかどうかは別にしても、大分県立看護科学大学大学院の老年とか国際医療福祉大学の大学院の慢性期だとか。そういうのは今、神野先生が御指摘になった専門看護師さんのこの部分の多少のモディフィケーションによって、このトライアルに入ってきたということになりますから、そう極端に矛盾した話を先生がおっしゃったとは私は思っていないのです。
 それで、2年間と8か月のプラスαコースと歴史的にはどういうプロセスをたどるのが正しいのかわからないので、お聞きしたということ。
 どうぞ、井上委員。
○井上委員 
 先生、1つ訂正させていただきますけれども、大分も国際医療福祉もCNSプラスではないです。
○有賀座長 
 だけれども、専門看護師さんの2年間と似て非なるところがあるので、トライアルとして入っているんでしょう。
○井上委員 
違います。専門看護師ではないです。Aコースの修士課程ではあるけれども、専門看護師ではない。
○有賀座長 
 わかりました。でも、専門看護師さんは修士課程を利用していることは間違いないでしょう。利用していないの。このうち6か月は、修士課程修了の実務研修と書いてありますよ。
○井上委員 
 5年の臨床経験がある人が大学院に入って、なおかつ大学院修了後に更に6か月実務をしてから、専門看護師の試験が受けられるということです。試験を受ける条件です。
○有賀座長 
 つまり、知らない人というか私みたいに人が読んで思ったのは、専門看護師さんというのは修士コースを経ていると思ってはいけないんですか。
○井上委員 
 修士です。
○有賀座長 
 それでいいんでしょう。
○井上委員 
 はい。
○有賀座長 
 だから、そういう観点で言うと、そういう2年間の勉強をした人がこれに乗ってきていると。
○井上委員 
 それには乗っていません。専門看護師は1つも乗っていません。
 先生、説明をさせてください。看護系大学院はたくさんありますが、専門看護師コースかどうかというのは、看護系大学協議会が認定を出しているんです。そこを終えたところは、修了生はもう一回試験を受けますけれども、それで専門看護師になれるんです。
 ただ、昨年の養成試行調査は、専門看護師であろうがそれ以外であろうが、こちらの基準に合えばエントリーできるということであったので、今年の業務試行調査には、残念ながら専門看護師コースの人は乗っていません。
 なぜかと言うと、ここにあるように、半年間は実務研修をしないと専門看護師の試験が受けられないんです。ですから、今年の卒業生はそちらの方を重点的にやっているので、とても試行事業に参加する余裕がない。来年は可能性があるかもしれませんが、その業務試行調査は今年は乗れない仕組みになっています。それはこのワーキングでも何回も申し上げました。
○有賀座長 
 だから、そういう状況であったにしても、修士課程を経たものが現在、働いているという認識で、トライアルがあって、実務のトライアルもあると、それでいいんでしょう。
○井上委員 
 修士課程は置いています。
○有賀座長 
 だから、いいんでしょう。
○井上委員 
 はい。
○有賀座長 
 専門看護師さんは、修士課程を経ているということでいいわけでしょう。
○井上委員 
 だから、修士課程の中に専門看護師の認定を受けたのと、そうでないのがある。
○有賀座長 
 そんなのおたくの業界の勝手ですね。
○井上委員 
 先生、それはすごく大事なことで、そこを勝手と片付けられてしまうとすごく困ります。
○有賀座長 
 大事なことはわかりますけれども、事の本筋からすると、私たちが今、議論しようとしていることは、そのことについて粘着する必要はないんですよ。
○井上委員 
 粘着していません。
○有賀座長 
 真田委員、お願いします。
○真田委員 
 今の議論でなくてよろしいですか。
 先ほどからお話を伺って、今回すごくよかったなと思うのは、有賀先生の資料1-1を出されたことだと思うんです。何が基本なのかということを考えて、やはり戻って見ますと、もともとの昨今の日本の医師不足、看護師の質の向上、併せて今、一番大事なことは何だったのかといったら、この3点だったと改めて確認させていただいた。
 だれが一番今、困っているのかというと、やはり在宅、高齢者の施設、医師が本当にいなくて、医師の治療が受けられない。それから、医師不足である地方の総合病院だと私は思って、ずっと悩んでまいりました。
 そのときに、この議論の一番大事な根幹なんだろうと思うんですが、8か月と2年、何が違うのかというと、私は働く場が基本的には違うのではないかと思うんです。在宅や高齢者の施設、広くてある一定の医行為を看護の中で取り入れなければ、患者さんの症状コントロールができないような場。でも、ある一方では、今までの総合病院、あるいは地域の病院において、非常に先駆的な治療をされる中で特定の領域をカバーして、医師と協働してチーム医療をする必要性。この2つから考えると、もしかしたら前原先生が少し言われたけれども、広い範囲をカバーできる必要性のある場が必ずある、臨床にはあると、私は思っています。それが今回の2年と8か月の違いかなと思っています。
 この議論をもとに戻すと、本当にこの1年間は何だったんだろうというところ、棄却されてしまうのではないかと心配します。
 もう一点ですけれども、疑問に感じているのは、なぜ名称独占をしないのだろうということはずっと実は悩んでいたことで、と言いますのも名称独占の解釈を私が間違っているのかもしれませんが、例えば今、保健師という仕事があって、保健師は業務独占をしていなくて、名称独占だけをしている。
 その違いは、健康指導、保健指導を業とするというときに、保健師は名称独占をしていますから、保健指導をしてもいい。でも、ほかの職種もしてもいい。ならば、今回名称独占をしない理由がわからなかったというのが疑問で、してもいいのではないかと思っています。
 もししてしまったときの問題点が、本当にほかの職種ができないということなのか。それは業務独占であって、名称独占ができないという意味が特定看護師と出すから名称独占ができないのか、あるいは認証された看護師と出しても名称独占ができないのか、そこら辺の疑問を御説明していただきたい。
 そうすると、今の名称独占をしてしまったら、ほかの職種の人たちというか、今まで実際にやってきた方々が困るのではないかということは、問題なくなるのではないかと思ってお聞きしたんですが、いかがでしょうか。
○村田医事課長 
 資格法規上の名称独占にあたるのかというご質問ですが、山本先生もいらっしゃるので、不十分な部分は御指摘いただければと思いますけれども、通常、行政上は、名称独占は法律上の定義があるわけではございませんので、法律の中に○○師とかそういう名称を付ける。一定の要件を満たした人以外はこれを名乗ってはいけない。仮にそれ以外の人が名乗った場合は罰則があるという法律上の構造を持つものを普通名称独占と言っています。
 今回の特定看護師(仮称)の御議論の中で、なぜ名称独占とすべきではないかという考え方の根拠は、座長の御見解も示されていますけれども、結局新たな名称を設けると、つまり「○○師」という名称を付けてしまうと、それは看護師、准看護師に並ぶような職種をつくるのかという御議論とか、あるいは看護師という職種の枠を外れて、「○○師」という職種ができるみたいな話が出てくるのかとか、そういった違う議論を引き起こす可能性があるし、御懸念があるということで、そういう意味では、あくまでも今の保助看法上、法律上の「看護師」の枠の中で特定の能力の認証という形で枠組みをつくった方がいいのではないかというのが座長の御見解の中身ではないかと理解しております。
○真田委員 
 わかりました。
 というと、やはり名称独占というのは、新しい職種をつくることになるという解釈で私が理解すればよろしいですか。
○村田医事課長 
 その懸念があるのではないかというのが1つの問題点だったと受け止めております。
○真田委員 
 それがもしなくて、例えば医行為認証をされたナースとかいうのでは、やはりそれは名称独占という意味には反しますか。枠組みの中でということで。
○村田医事課長 
 これは言葉の定義に戻ってしまいますけれども、少なくとも御懸念の中で、つまり、看護師の中にそういう差を設けるというか違う職種をつくるのではないかという御懸念に対しては、それはあくまでも看護師という枠の中で考えていくということだと理解しています。
○真田委員 
 それは変わりませんね。
○村田医事課長 
 はい、そこは変わらないということであると思います。
○真田委員 
 先生、いかがでしょう。
○有賀座長 
 今のお話で。
 どうぞ、山本委員。
○山本委員 
 前回も申し上げたかもしれませんが、業務独占とかあるいは名称独占は、結局国が法令でもって一定のプロの集団を1つの固まりとして認めますという意味合いを持っているんです。
 今回は、それはしませんと。だから、特定看護師というものを1つ認めて、逆に言うと、特定看護師以外の看護師という固まりもあるということになりますから、そういうことはしませんという意味で言われているんだろうと思うんです。
 ただ、勿論専門的な技能を安全に提供するという必要はあるので、したがって、例えば業務に関して言うと、そこは教育と国の認証のプロセスでもって、そこは担保しましょう、チェックしましょうと。
 それから、名称に関しても、これで特に現場でわからなくなってしまう、あるいは患者さんから見て何かよくわからない状況になってしまうといけないので、3ページでは、そこは識別できるように、認証証のようなものを着用するようにしましょうというところで、担保しているということだろうと思います。
 併せて申し上げますと、先ほど3ページの認証を受けていない看護師の方が特定医行為と言われるものをやる場合の話が出てまいりましたけれども、勿論教育課程を経て、認証を受けた看護師さんと同じことをやってもいいという話になりますので、当然それなりに重い要件がなければ、安全あるいは安心が確保できないだろうということがあります。ですから、これは今後、もう少し具体的に話をしていかなくてはいけないだろうなと思います。
 例えば平時、緊急時のいずれも一定の組織的な安全管理体制とここには書いてありますけれども、これをもっと具体的に、これはどういうことなんだということを詰めていくことが必要なのではないか。
 私が理解するところ、平時における組織的な安全管理体制は、当然日常的に看護師さんに対して、教育や研修が行われている、あるいはその看護師さんのパフォーマンスについて評価が行われているといったことまで含めて書いてあるのではないかと思いますので、その辺りのことを今後、具体化していく必要があるのではないかと思います。
○竹股委員 
 名称独占の話なので。
 私も若干疑問に思ってしまうのは、私どもは看護師、保健師、助産師という名称独占、一部業務独占という職種。看護師という資格を前提にして、既にあるわけですね。
 だから、違ったものをつくると言っても、別にそういう視点で言えば、看護師というベースの資格なりそういう教育の上に、更に積み重ねて得られる資格があるということではないかと私は思っていたんです。何か新たに特別なものをつくるというのは、言ってしまえばそうなんだけれども、しかし、それは看護師の資格が前提で、そこに積み上がっているということ以上のものではないと考えていました。
 いかがでしょうか。
○有賀座長 
 だから、卒業して一生懸命看護師さんが看護実践をいろいろやってきた。そして、ある日、認定看護師さんになっていった。その後、場合によっては大学院を経て、先ほど言ったみたいにそのプラスαがあるということだと思うんですけれども、専門看護師の資格も取ったという、今、ある看護師さんたちのキャリアパスのようなものと、今回のそれをどうシンクロさせるかというところが一番ポイントではないかと私は思っているわけです。今後、展開される部分が一番大事だと言ったのは、そういうつもりなんです。
 実を言うと、センスは同じなんです。要は、そういうものなんだろうなと思って、先を見据えたときに、実は法的な解釈からすると、専門看護師にしろ、認定看護師にしろ、診療の補助という少しプラスαの危うい部分については、基本的にはその延長線上にあるのかというと、少し違って診療の補助というディメンション、つまり次元の違うところに、新たな職種のようなものが存在する。
 私が先ほどXと言いましたけれども、専門、認定とか言うとややこしいという人がいたら、そのXという資格があったときに、それは認定、専門の向こうなのか、一番線か二番線に乗り換えたものなのかというところで、これをどう位置づけるか。
 だから、もっと露骨なことを言えば、医師の専門医ってありますね。だから、あれも厚生労働省からすると、単なる任意団体の業界の中の勝手なルールで、私たちは知ったことではありませんという話でいけば、今回の専門看護師や認定看護師も、日本看護協会が考えている業界の、ここに「関係団体等により」とかと書いてありますので、厚生労働省としては知ってはいるけれども、具体的な名前を挙げるのははばかるような、そういう任意団体が勝手にやっている。それに比べると、厚生大臣のお墨付きがつきますよと、こういう先ほどから言っているディメンションの違いがある。それをどうしていくのかという話で、議論のための議論として試案が出てきている、こういう話です。
 どうぞ、英委員。
○英委員 
 名称とか業務の独占、あるいは2年とか8か月という枠組みの議論も非常に重要だと思うんですけれども、あと30分ぐらいしかないので、ほかのところも少しだけ私が感じているところをお話させていただきます。
 実はこれだけ漫画というか絵をたくさんかいていただいて、これからの特定看護師(仮称)が担うべき現場での像が非常にイメージされやすくなってきたのかなと思う一方で、大変卑近な例で申し訳ないですけれども、在宅医療における終末期、がん患者の対応に関連した業務の16ページ、この辺りのイメージは本当に現場ではこういうことを担っていただけたらありがたいと思う一方で、実際に訪問看護の方々がもしこういうことをやったとしたら、現場ではどう対応したらいいかなというイメージが幾つか私の中でつかみ切れないので、これをつくられた方々がどんなイメージを持っていらっしゃるのかも含め、これからの議論だと思いますけれども、問題提起だけさせていただければと思います。
 通常、医療機関の内部で看護師さんと医師が同じ所属、機関で行われている場合には、例えば処方だとか保険請求、これは一医療機関から行われるので、さほど問題にならないかもしれないですけれども、現場で何か看護師さんにお願いした場合に、必ず問題になるのは実際の処方はだれが切るのか。実際の請求はどこが上げるのか。
 例えば訪問看護ステーションの方々に点滴をお願いした。その点滴の請求は実際には医療機関の方で請求を上げていたりとか、まだまだその辺りが処方権の問題や請求権の問題がある。
 ここでは麻薬が取り上げられていますけれども、当然のことながら下剤や整腸剤が付随してきます。鎮痛補助薬等々が付随してくる。
 ですから、処方の問題や請求の問題やそのほかの行為の問題、そういうものも広げて今後、議論していかないと、特定看護師さんの業務は見えてこないのではないかと思うものですから、その辺りだけ感じているところを述べさせていただきました。
○有賀座長 
 今、先生が後半でおっしゃったことは、業務の試行で言いますと、大分県の佐伯中央病院だとか、同じ法人のようですが、その下の鶴見の太陽という老人保健施設だとか。いかな包括的指示とはいえ指示を出すドクターと現場の特定看護師(仮称)との間について先生が言われた、具体的にはどうなっていましょうかというのは、この書類を見て同じ質問を実は投げかけました。そのことに関して、佐伯中央病院やその他の慢性期の在宅に関連したところでは、当面は本件に関してこういう漫画で示されるものについては、院長先生と特定看護師(仮称)との閉じた空間で、本件のトライアルについてはやっていこうということを言っているようです。
 ただ、極めて具体的には、そんなことを言っていたら、いつまで経っても本当の仕事ぶりを反映することには多分ならないと思いますので、特に急性期やリハビリなどの病院の中に比べると、在宅は多少そういう意味では包括的指示とか具体的な看護師さんのパフォーマンスに関しては、複雑なことが本当の場面では起こってくるだろうと私は思いました。
 先生、そういう意味ですね。
○英委員 
 そうです。
○有賀座長 
 何か事務局ありますか。私が質問したことについて、向こうから多分着々と答えが返ってきているんだと思いますけれども。
○島田看護サービス推進官 
 今回在宅関係ですと、例えば今、座長からお話がありました2つ目にあります介護老人保健施設、在宅といいますか介護系のところでございますが、それと更にその3つ下の川崎大師訪問看護ステーションなどです。
 例えば川崎大師訪問看護ステーションの場合は、業務試行ということもございますので、このステーションで対象となる看護師が担当する在宅で療養されている方は、実は誠医会という同じ法人の病院が隣接していまして、そこと密な連携で業務試行をやっておられていて、その病院の医師が主治医の在宅療養者に今回限定して実施をしているというのが今の業務試行でございます。
 先生が御指摘の薬の流れについては、在宅ではありますけれども、今の時点では同じ医療機関というのとかなり近い形で業務試行はしていただいていると思います。
 ただ、おっしゃるような課題は挙がってこようかなと思っていますので、これから中間報告ですとか先生方にごらんいただく場面もあろうかと思います。そういったところで、そういった内容を確認できればと思っております。
○英委員 
 処方権と請求権という問題だと思うんです。
 イメージとしては、常に看護師さんの要請の下で我々が処方を切らなくてはいけなくなって、患者さんの要請の下で請求を上げる役割を今後担う形なのか、もしくは独自にある程度の薬剤だったりをあらかじめ大量の物を処方しておいて、それを自由に使っていただく形になるのか、あるいは保険請求はどうなるのかというのが、これだけの医行為を担った場合、多分どの医療現場でも本当はその部分が出てくるんだと思うんです。
 その辺りがこれから現場的には大変混乱する議論なので、詰めていく必要があるのかなと思っています。今の実際の事例では、非常に隣接した関係なので、余り問題になっていないのかもしれないですけれどもね。
○有賀座長 
 そもそも包括的指示とは言いながら、地域におけるさまざまな医療資源がそこに投入されるような、そういう話ですね。どちらが請求しているのかという話は。
 だから、それはこの業務でもって、その手のことがかなり浮き彫りになったということはそのとおりなんだけれども、現在も実は起こっているわけです。だから、そういう意味では地に足を着けた議論というのは、それでもってなおかつこういうことでやっていったらどうなるんだろうという話を同時進行的に解決していかなくてはいけないのではないかという話だと私は理解しているんです。
○英委員 
 まさにそのとおりです。
○有賀座長 
 どうぞ、秋山委員。
○秋山委員 
 これに関しては、看護師に対する医師の指示の在り方の2~3ページ。以前も薬剤師さんとの関係も含めて、処方権は医師にある。そして、禁句になっているNPの場合は、ある一定の範囲で処方ができるという形での解決の仕方もあるけれども、そうではなくて、現状は包括的指示な下で処方がある程度されている中のことをかなり裁量を持って判断をし、それをきちんと報告していくという関係の中での包括的指示であると解釈して今まできたのではないかなと、私は在宅でもそれはあると考えています。
○有賀座長 
 個々の事例について確認することがあったということです。
 今日は特定看護師さんの話ですけれども、特定薬剤師さんという話がもしあれば、個人的には薬剤師さんも処方をする、処方を変更することも含めて、私が普段付き合っている薬剤師さんとのディスカッションでは、十分あり得るとは思います。今日、ここで話をしてもしようがありませんけれどもね。
○川上委員 
 済みません、機会をいただいたようなので。
 薬剤師が処方オーダーを修正しているのは、疑義照会の義務が薬剤師法にあり、その法律に基づいて照会した医師の同意の下に処方修正をしているので、医師の指示を受けて薬剤師が処方しているわけではないと思います。
○有賀座長 
 そうは言っても、きっとあるべき姿はもうわかっているのでということです。
 疑義照会をする私たちの仲間の薬剤師さんたちは、答えを知っていて、疑義照会をしているというのが実態なんです。本当の疑義を疑義としているのではなくて、その先をいっているという意味です。
○川上委員 
 それは、医師が最終的な処方を確定しやすいようにサポートするような形で疑義照会をしていることかと思いますし、このワーキンググループの議論も大前提として、処方されて調剤済みの薬を看護師は選択・使用しているのが大前提なので、そこをはずしてしまうと、積み重ねてきた議論が崩れしてしまうと思います。
 この機会に、有賀先生の資料を拝見して私が思ったことを述べたいと思います。前回5月16日、第14回のワーキンググループで「公的認証」の件が初めて出てきたのですが、「公的認証」であって「国家認証」ではなかった。今回、「国家認証」という言葉は使っていないのですが、認証者は厚生労働大臣、試験の実施は厚生労働大臣、実施の事務だけを第三者機関に持っていく形で資料がまとめられていますけれども、実施の主体も公的な第三者機関であればいいのかなと思います。すなわち、厚生労働大臣が国家試験をして、厚生労働大臣が国家認証を与えるということは、新たな職種の創設につながるのかなという懸念を持ちました。
○有賀座長 
 麻酔科の標榜医の話が出たので、あれかなという意味です。だから、麻酔科の標榜医そのものは、ほかの麻酔科の指導医にしろ、救急科の指導医にしろ、専門医にしろ、任意団体によるものですので、それで厚生労働大臣という話をここに試みとして挙げたという話です。
○川上委員 
 もう一つよろしいですか。
 今まで、個々の医行為が診療の補助に含まれるか否か必ずしも明確でないグレーゾーンをはっきりさせて、グレーゾーンの業務をどうやれば実施できるかという議論をしてきたと思います。
 グレーゾーンと言うからには若干の違法性を含んでいるので、その違法性をどうやって阻却するかという話になると思うのですが、その三条件には、資格を得る前の教育と、得た後の安全管理体制と研修、3番目にその業務をその資格の人が行う必要性とか必然性があると考えます。
 さらに、その必要性・必然性には2つあるんですけれども、1つはきちんとした指示体系の下で行われていること、2つ目としてはチーム医療の中でそれを誰が担うことが結果としていいのか、ということも考えなければいけないと思います。
 例えば、有賀先生の資料1-1には、「チーム医療を阻害するのではなく、チーム医療の推進に貢献するように議論する」とあります。今回は特定看護師(仮称)による「業務独占」とはしないと言っていますが、何かその人たちが「業務優先」するような形になってしまって、その結果、一般の看護師、あるいは他の職種がその業務を実施しづらくなるようでは、すなわち「業務独占」ではなくても「業務優先」に近い形では、チーム医療を阻害するおそれがあると、資料を拝見しながら感じた次第です。
○有賀座長 
 だから、同じことをやるにしても包括的なあらかじめのルール立ての中で、局面、局面によって判断をしながらやっていく。そういうことでいけそうだというのが包括的指示の話であって、そうではない看護師さんたちにはと言えば、それに相対する言葉として、具体的な指示という言葉が出てきた。
 具体的な指示といったときに、包括的指示はやることが具体的ではないのかと言われれば、極めて具体的ですから、そういう意味では包括的指示ではない指示と言ってもいいのかもしれません。個別具体的だと言えば、そのとおりですし、患者一人ひとりの現時点における具体的なと言えば、それもそうかもしれません。
 だから、そこら辺で現場が困らないようにということで、言葉としてどう説明するかというのは難しいので、事務の人と一緒に考えるとこうなってしまうんですけれども、医療者として現場の景色というか状況についてイメージできれば、あんなところだろうなというところは、多分川上先生も私も同じだとは思うんです。
 そこで、先ほどから出ている性悪説か性善説みたいな話になると、性悪説的な人がどうするかということに関しては、やはり私ではない星先生みたいな人にばちっと固めていただかないといけないだろうという話に多分戻ってくるんだろうと思うんです。
 竹股先生、そういうことでしょう。いや、わからない、わからないと先ほどからおっしゃっていて、現場の婦長さんがわからないとだれもわかりませんよ。
○竹股委員 
 ここ数回の中ですごく鮮明に利害関係がなってきているなと印象を受けているんです。先生のお話と少しずれてしまうかもしれませんけれども、もともと私は繰り返し申し上げているんですが、これからまさに少子高齢化の中の本当に増大する医療サービスの必要性の中で、ありとあらゆる職種がやれることをともかく自分たちの専門教育の内容に合わせて拡大していくということの話でやってきているわけですね。
 そのときに、しかしそうなんですけれども、我々の業界の視点も非常に重要なわけで、そこの中で私たちがイメージするのは、先ほどキャリアパスという言葉が出ましたが、自分たちの専門性を重ねていく目標の中に専門看護師あるいは認定看護師という目標があります。そして、その人たちの医療現場実践を目の当たりにして、こういうことが自分たちはできる。教育を受けていますからね。そういう、私どもが今まで脈々と積み重ねてきた専門性の実践というか、実績に対して、現場のナースたちがそこを自分たちのキャリアパスの1つとして目指してきたということは、非常に大きな前提で今回の話があると一昨年のスタートのときに思っておりました。
 ですから、先生方はなぜ大学院が必要なんだということになるけれども、私たちがどうしても患者様の命を高度な専門性をもって全人的に守っていく、医療サービスの中で支援していくということになったときには、もっと幅広い、系統的な教育というのでしょうか。その技術に特化することも大事だけれども、しかし、もっと前哨戦の部分も含めて、トータルに教育を受けて、そしてその延長線上の中に個別具体的な医行為が出てくるというイメージを持っているので、相応の教育が必要だということなのです。
医療業界で一番多くの数で働いている看護師たちは、いろんなイメージ、今回のことでもいろんな懸念を持ったり、混乱したりということがあるけれども、でも、ベースは自分たちの専門性をどう発展させるかというところでみんなでつながっているんです。ですから、そういう気持ちを利用していただきたいと思うんです。そこを利用していただければ、我々はどんどんあるべき姿を目指してやっていけるのかなと思うんです。
 だから、その辺の今までの実績とか実践を、それはそれと言われてしまうと、私は今まで現場の管理職として考えたときには、今まで鼓舞してきたナースたちに何をこれから言うのかなという感じになりますね。
 これは今、話の全体の中で感じたことです。先生のお話のお返事になっておりませんが。
○有賀座長 
 昭和大の中での議論も、そういう意味では今も続いているんですよ。専門看護師さんや認定看護師さんの数は、昭和大という法人全体で見ると非常にたくさんいるみたいなんですね。100人はいないらしいですけれどもね。
 だから、その人たちが今回のこういう新しい資格のようなものについて議論すると、その延長線上に思っていないと、少なくともどうもイメージは十分に湧かない。だから、そういうことです。もう時間がないのでね。
○前原委員 
 専門看護師、認定看護師を否定しているわけではありませんし、その延長線上にあるとは認識をしておりますけれども、何も業界の対立でこのワーキングが行われているわけではなくて、今やっていた認定看護師さん、専門看護師さんが一生懸命働いている中で、その医行為をやり、もっと業務拡大をしたいと思っているところのレジテーションは何かというと、グレーゾーンでやっているけれども、本当は法律的にはやってはいけないんだと。それを安心して、よりよく患者さんに提供し、そうしたことがよりよく医療の質も上がるし、医者が不足しているから、これをつくりましょうというわけでもなくて、それが目的ですので、その辺のところは認定看護師、専門看護師もこのままで人数をどんどん増やしていけば、それで解決するのかというところは、このままだと解決しないと思っています。
だから、そこで何か新しい枠組みというものをつくるなり、もう少しブースターなり、そういうものがない限りは、直接これだったらいつもto lateと言っているのは、10年経つのか、20年経つのか、30年、100年経っても変わらないと言っているのはそういう意味で、勿論、今、現場で働いている中で、私としてももうちょっと業務拡大ができて、医療行為ができれば、そういう希望の人はたくさんいます。でも、できないんだよね。それは何だといったら、法律もあるし、上から抑えられることもあるだろうし、周りの看護師さんが、あなたそれはやり過ぎよ、それはお医者さんの仕事よと言って、それはだれが困難、不利益になるかというと患者さんに来るわけですよ。患者さんに、お医者さんが来るまで待っていてねというその辺のところで良しとするかで、勿論良しとされないわけです。
そのためには、新しい枠組み、新しい職種をつくる、NP、PAをつくると言って、前原が代表で言っているということは全くありませんで、それはその延長線上として、業務拡大をして、医療の質を高めたいと思っているわけです。
○星委員  
 資料2というのが今回ぱっと出されて、この話をしないで今日終わってしまうのは何なので、まさに皆さんが心配しているうちの一部の話は、この話を先行してやることで、解決とは言わないけれども、少し前に進むんだろうと思うんです。これがばっと出てきて、私はどういうふうにして出してきたのかよくわからないんですが、あれだけの調査をやった結果とこれとの関連性がいま一つわからない中で、4つの一連の作業というのが出てきているんですが、この辺りを次回少し集中的にやるならやる。というのは、やはり材料の不足。つまり、実践の結果とか、教育の結果というのがそろそろ出てくるわけで、そういうものが出てくるまでの間に、せめてこちらの先に、つまり認証制度をどうするかとか、試験をどうするかなんて話の前に、できる話については、やるべきだろうと思うんです。
 なので、前回の調査とこれとの関係を含めて、ほかに前広にこんなこともできるのではないのかということは、みんなで少し俎上に出してもらって、これは危ないよという話も含めて、具体的に。実践現場の意見を言う人がここにいる人で足りないのであれば、そういう人たちの意見も聞きながら、少しこのことを議論するべきではないかと思うのですが、座長、その辺の仕切りをお願いしたいと思います。
○有賀座長 
 もう今日は電気が消える前にやめようと思っていますが、松竹梅の梅に関しては、恐らく厚生労働省の例えば局長通達のような形で、一定の水準での現場の理解が得られるだろうという話があったではないですか。だから、出すとすればこんな感じだという程度のイメージは、次回には出していただいてもいいのではないかと思います。
 それは事務局にお願いするとして、今の松の部分で、包括的な指示に従ってこんなことが、あんなことがという話についての超具体的に関して言えば、どうやら夏休みは本当に夏休みとして、余りここでは会議をしないことになっているらしいので、各委員の先生方には、試案という形で出てきたものと似たようなものであれ、また全く違うものであれ、やはりこういうことだなということを考えて頂きたい。松の部分も、それはそれで梅と同じように大事ですから、字面でまとめる程度には考えていただきたいと思う次第ではあります。
 宿題を出すわけではありませんが、せっかくここまで議論をしてきたので、先ほどの8か月コース対2年コースの話にしても、分野別の話にしても、包括的にというか、総合的な話にしても、やはり宿題という意味では大事な部分が議論として残っていることは間違いありませんので、そのように思います。
 先ほどから申しますように、法的な位置づけからすると、専門医や認定医の話は、全く任意団体が勝手にやっているというわけで、麻酔科の標榜医の話が少し厚労大臣に関係した公的な部分であると。そういう意識でもって公的なということでいくと、特定看護師さんの話は、専門または認定看護師さんたちとは全然ディメンションが違うと言えば違うんですが、現に働いている人たちの心象風景から見て、全く違うディメンションのものが突然現れたときに、そんなエイリアンなんてかなわないなという話になってしまうと、これはまたどうにもならないので、そこら辺の部分は、せっかく勉強してきたまじめなナースたちが、そのプラスαで安心して、ナースたちの職務満足度が高い状況において松と言われるようなものができるようなことをきちんとやっていかないといけないだろうと思います。そこには包括的な指示という話が出ましたので、それとは何かを含めて議論は進めていかないといけないと思っております。
 また電気が点いてしまったので、何か言いたいことがある人はいますか。
真田委員、どうぞ。
○真田委員 
 すごく危険な発言かもしれないんですけれども、名称独占についてはわかりました。新しい職種をつくるということになってしまうのではないかということの懸念はわかったんですが、それならば、資料1-2の3ページ(2)の2つ目をあえて明記する必要があるのかということに疑問を持ちました。
 今、大変ディスカッションになっている一般の看護師ができなくなるという制限をなくすための文言がここに書かれているんですけれども、ずっとこの内容を見てくると、今の枠組みに至るまでのことだけであって、多少ほかの看護師がどうするという一般の看護師に関しては全く記述がなかったわけですね。これを入れることによって、大変大きな困惑が生じたり、混乱が生じたりするのではないかと思って、特に入れる必要はないのではないかと2つ目の○については思ったんですが、山本先生、最後にいかがでしょうか。
○山本委員 
 これは私の考えですが、論理的には、名称独占、業務独占はしないといった場合に、(2)の?の部分が絶対必要だというわけではないのではないかと思います。なくてもいいのではないかと思います。
 ですから、?の部分は恐らく2つの理由があって、1つは、それでもこれがあった方が法制度をつくる場合に説明しやすいということと、2番目は現場においてこれがないと混乱するのではないかという話だと思いますので、論理的には少し分けて考えた方がいいのかもしれないなと思います。
○真田委員 
 ありがとうございました。
○有賀座長 
 括弧付きですかね。
 どうぞ。
○石井医事課長補佐 
 麻酔科標榜医の件が先ほど宿題になったと思いますけれども、名称独占かどうかということにつきましては、いわゆる一般的に名称独占と言われているものも定義が厳密にあるわけではないんですが、いわゆる資格法は医師であれば医師法という名前の付いた法律がありますが、麻酔科標榜医については、医療法における診療科の広告の位置づけの1つでございますので、ほかのいわゆる名称独占と言われているものとは異なるということかと思います。
 それから、民間でということをおっしゃっておられたところがありましたけれども、審査につきましては、医道審議会の中に部会がございまして、こちらも役所でやっていますので、そういった面も含めて、事務的手続を含めて公的にやられているという位置づけになっておりますので、民間で自由にということとはちょっと違うというので、公的な認証というところにはちょっと近いかなというイメージは一緒ですが、手続としては役所でやらせていただいているということでございます。
○有賀座長 
 事務局、特に医政局長、最後に何かございますか。座長は午前中なんですけれども、疲れています。
○大谷医政局長 
 今日は座長の試案という形で、これまでの議論を踏まえたたたき台を出していただいて、大変感謝しております。それによって茫漠としていた部分のエッジが立ってきたし、議論の焦点も絞られてきたと思います。
 我々もマックスとしての言わば法律改正、それから、現実としてどこまで現場でいけるか。相当まだ幅がある議論だと思いますけれども、ひとつこの御議論を深めていただいて、現場が一番うまくいく形の制度化につなげていきたいと感じていますので、引き続き、議論をよろしくお願いします。
○有賀座長 
 では、事務局お願いします。
○島田看護サービス推進官 
 次回の日程につきましては、また調整させていただきまして、御連絡させていただきます。
 以上でございます。
○有賀座長 
 7、8月はないんですね。
○島田看護サービス推進官 
 はい。
○有賀座長 
 ということで、じっくり考える時間がございます。
 では、以上です。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室

看護サービス推進専門官 高橋: 03-5253-1111(代表)(内線4174)
03-3595-2206(直通)

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