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2011年3月3日 第4回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成23年3月3日(木)
17:00~19:00


○場所

弘済会館 「萩」の間
 東京都千代田区麹町5-1


○出席者

出席委員:(10名)五十音順、敬省略、◎座長

井廻道夫、小幡純子、小山信彌、直江知樹、林昌洋、前野一雄、牧野茂義、益子邦洋、◎溝口秀昭、三村優美子

欠席委員:(3名)敬称略

大平勝美、鈴木邦彦、花井十伍

行政機関出席者

三宅 智(血液対策課長)、安田 尚之(血液対策企画官)、難波江 功二(血液対策課長補佐)、秋山裕介(血液対策課需給専門官)

○議題

1 これまでの議論について

2 血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会中間報告(案)について

3 その他



○議事

○血流対策企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第4回血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日御出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、鈴木委員におかれましては、御都合により欠席されるとの御連絡をいただいております。また、大平委員、花井委員は、所用によりかなり遅れるとの御連絡。それから、本日は小幡先生、井廻先生が若干遅れて来られる予定になっております。
 それと、本日、当初ですと、平山大臣官房審議官が参加する予定でございましたが、急用により参加できなくなりましたので、そちらの方も御報告させていただきます。
 それでは、溝口座長、議事の進行をお願いいたします。
○溝口座長 それでは、議事次第に従って議事を進行させていただきたいと思いますが、まず、議事の1「これまでの議論について」ということでございますけれども、第1回検討会から第3回検討会までの議論のまとめを事務局から報告していただきます。次に、議題2では、これまでの議論や前回行われました事業者のヒアリングの結果を踏まえまして、当検討会としての中間報告のとりまとめについて御審議いただきたいと思います。
 それでは、事務局から、まず資料の確認をお願いいたしたいと思います。
○血液対策課需給専門官 資料の確認をさせていただきます。
 本日の座席図とともにお配りしましたお手元の資料をごらんください。1枚目に「議事次第」がございまして、本日の議事と資料の一覧を記載しております。次の2枚目が「委員一覧」でございます。
 その次の資料1が「第1回~第3回検討会における議論について」で、次の資料2が「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会 中間報告・案」でございます。
 以上が、本日の資料でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 先生方、お手元の資料で何か欠けたものがございますか。
 ございませんようですので、では、早速議事に移らせていただきたいと思います。
 それでは、議事1「これまでの議論について」でありますが、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○血液対策課需給専門官 それでは、資料1の御説明をいたします。
 資料1としまして、「第1回~第3回検討会における議論について」まとめたものでございます。検討会の構成・目的につきましては、第1回目に御紹介をしました要綱のとおりでございますので、割愛させていただきます。
 2ページ目をごらんいただきたいと思います。
 まず、第1回検討会でございますけれども、平成22年11月8日に開催いたしました。審議の内容としては、議題ですね。「アルブミン製剤の国内自給率低下の要因について」が一番大きな話としてとらえたものでございます。それから、「血漿分画製剤のコスト構造について」特に国内献血由来製造と輸入製剤の比較でございます。それから、「アルブミン製剤と免疫グロブリン製剤の使用実態について」、それから、「患者・家族へのインフォームド・コンセントについて」、さらに「血液凝固第8因子製剤の国内血漿由来製剤のシェア低下について」、それから、「遺伝子組換え製剤の長期的な観点からの評価のあり方について」、そして、「個別製剤(輸入に依存している製剤等)の供給動向について」と、こうしたことが議題に挙がったわけでございます。
 主な御意見としましては、まず、最も大きな問題意識として、無償の献血由来である国内製剤が有償採血の輸入製剤よりも販売価格が高くなるのはなぜかといったことですね。これは最も大きな問題意識として示されたものでございます。そして、国内製剤をもっと安くできないのかといった御意見。さらに、今、適正使用の関係ですが、我が国のアルブミン製剤の使用量はいまだに多過ぎるのではないかといった問題意識が示されました。
 それから、インフォームド・コンセントに関連しましては、インフォームド・コンセントをしたくても、医療機関で、国内、輸入の両方の製剤をすることが困難であるといった御意見。さらに、安全性の問題。国内製剤と輸入製剤で、安全性に差があるのかといった御質問があった次第でございます。
 それから、血漿分画製剤を他の医薬品と同等に扱っていることが疑問であるといった御意見。さらに、アルブミン製剤のうち、特に等張製剤(5%製剤)の国内自給率が非常に低いという問題。これを受けまして、まず、等張製剤の自給率を上げることを視点に入れてもよいのではないかといった御意見も示されました。
 そして、遺伝子組換え製剤の市場が非常に伸びている。特に第8因子製剤のところがそうでございますが、今後においても非感染性の副作用を含めたリスク管理が必要ではないかといった御意見もございました。それから、危機管理的な観点から遺伝子組換え製剤も国内で製造できることが望ましいといった御意見もございました。さらに、特殊免疫グロブリンの国内自給が非常に低いわけでございますが、これについても、できる限りの努力が望まれるといった御意見を承っております。
 それから、次の3ページ目でございますが、第2回の検討会。これは、年が明けまして平成23年1月21日に開催いたしました。審議の内容としては、第1回目の検討会で先生方から御要望のあった資料、できるものを提示いたしまして、引き続き自由討議を行ったところでございます。
 ここでは、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の国内・国外の使用実態について御説明をいたしました。そして、血漿分画製剤のコスト構造につきまして、一部各事業者から提供のあった資料について御案内したところでございます。各事業者のコスト構造の詳細につきましては、この後の第3回の検討会でヒアリングによって聴取することとされました。また、血漿分画製剤の安全性につきまして、外部委員を招きまして、国内製剤と輸入製剤の安全性に差はあるかということについて考察を聴取したところでございます。ここでは、既知の感染症に対する製剤の安全性につきましては、明確な差はないことが示されております。検討の前提として、こうしたことが示されたということでございます。
 そして、喫緊の課題でありますアルブミン製剤の国内自給率低下問題の原因となっている製剤のコスト構造の問題を優先して議論をいただきまして、結論を薬事・食品衛生審議会の血液事業部会に報告することとし、それ以外にある問題ですね。「輸血用血液を含めた血液事業全般の価格構造のあり方」、「血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方」、「血漿分画製剤の輸出」、「国内自給が困難な製剤の供給のあり方」、「血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤のあり方」、「各製剤の国内自給推進方策」と、こうした問題点につきましては、4月以降に引き続き検討をすると、こういうところで論点整理を行っていただいたところでございます。
 第2回の主な御意見につきましては、原料血漿確保までの段階で、国内と海外で相当の条件の違いがあるといった点。それから、原料血漿確保までのコスト構造、それから、製造工程から供給までのコスト構造、大きくこの2つに分けて議論するべきと、こういうふうな御意見をいただいております。
 さらに、国策として国内自給を推進するのであれば、競争力強化のために国からの何らかの手当が必要ではないかといった御意見も承っております。
 それから、国内事業者と海外事業者を比較しますと、事業規模、スケールメリットに大きな差があるという点。それから、いずれの国内事業者も海外事業者に比べると規模が小さく、効率が悪いということで、国内事業者を例えば統合するという選択肢も考えるべきではないかと、こういった踏み込んだ意見もいただいております。
 それから、合併などにより規模を確保することは、安定供給の問題、リスク管理の問題として重要である。国がある程度の方向を示す必要があるといった御示唆もいただいております。
 それから、国内の工場の稼働率が飽和していないのであれば、国内事業者間で製造ラインの融通などができないのかといった御意見・御質問もあった次第でございます。
 それから、血漿分画製剤をDPC(包括医療)の枠から外すか、あるいは、輸血用製剤と分画製剤の価格を政策的に改定するしかないのではないかと、こういったような御意見もいただいております。
 第2回目につきましては、このような議論が行われました。
 そして、第3回目につきましては、次のページ、4ページ目でございますが、2月7日に行われまして、ここでは非公開で事業者ヒアリングを実施したところでございます。このヒアリングの中で確認された点、ごく大まかでございますが挙げております。
 我が国におきましては、原料血漿の採漿は、輸血用の血液と共通の施設・資材、及び手技で行われている。製品及び献血者への安全対策も輸血用血液と同一の対応が行われている。こういう点が特殊な点である。
 一方で、海外事業者においては、事業者の子会社が原料血漿を採漿するセンターを運営している。採漿の際の資材は、輸血用血液に用いるものとは異なりまして、例えば輸血用バックではなく、樹脂製のボトルとか、そういったものを使っている。また、日本では一律に行っております白血球除去処理、初流血除去処理といったものは、原料血漿に対しては海外では行っていない。ドナー1人当たりの採漿量が600~800mLと日本の平均の400強と比較すると多いといった点、採漿の手法や環境に相当の違いがある。
 それから、国内事業者の生産規模。ここでは、アルコール分画の年間処理能力ということで考えたわけですが、1事業者当たり大体20~40万Lということで、4事業者ですので、合計がざっと120万L程度しかない。また、我が国では、血漿分画製剤の輸出が認められていないという、これは1960年代から続いておりますが、このために、国内市場でしか連産品構造のギャップの吸収が行え得ないといった問題点があるということが示されました。
 一方、海外事業者の生産規模は、外資企業例えば1社で我が国全体の5倍程度の能力を有していることがわかりました。そういうことで、国内事業者とは、生産規模が大きく異なる。これによって相当のスケールメリットが得られて、しかも、製品は市場性に応じて国境を越えて供給されている。製品数も多いため、連産ギャップの調整を世界規模で行うことが可能であると、こうした違いが明確になったところでございます。
 以上が、第1回から第3回検討会における議論の概要でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 当検討会のこれまでの議事をおまとめいただいたわけでありますが、ただいまの資料1のまとめにつきまして、先生方、何か御意見・御質問はございますでしょうか。
 前回、ヒアリングに大分時間がかかりましたけど、この場をお借りしてお詫び申し上げます。大変有意義な会であったと思います。いずれにしましても、私が見たところでは、特に大きな問題はないと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、次に議題2に移らせていただきます。議題2は、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会中間報告の案について御議論をいただきたいと思っております。
 本日、資料2に中間報告の案が示されておりますが、これは、これまでの議論を踏まえまして、事務局が委員の先生方の御意見を伺いながら作成したものでございます。報告書はかなり長くなりますけれども、構成は、第1から第6に分かれておりますので、事務局から、まず第1の「はじめに」と第2の「血漿分画製剤を取り巻く環境・問題点」を説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○血液対策課需給専門官 それでは、事務局から、資料2の御説明、第1の「はじめに」と、第2「血漿分画製剤を取り巻く環境・問題点」につきまして御説明申し上げます。
 まず、第1「はじめに」ということで、⑴「検討の経緯」が書いてあります。これは、当初、検討会発足のときにも御説明したところですが、我が国の血漿分画製剤の製造・供給体制のあり方等につきましては、これまでにも様々な場で議論が行われてまいりました。特に近年、主な血漿分画製剤であるアルブミン製剤の国内自給率の低下の問題が起きている。あるいは、遺伝子組換え製剤の伸長によって血漿由来製剤のシェア低下等の状況が生じている。こうした状況を受けまして、血漿分画製剤が国民の献血で得られた血液を原料とするものであるという特殊性を踏まえまして、将来にわたって安全な製剤の安定的な供給が可能な体制の構築を図ることを目的として、血漿分画製剤の国内自給、そして、供給体制等に係る諸問題について改めて検討を行うと、こういうことで平成22年11月に本検討会を設置して、検討を行ってまいったところであります。
 これは、薬事・食品衛生審議会の血液事業部会の場で、アルブミン製剤の自給率の低下を契機として、このような様々な問題点について専門的に検討を行う場を設けるべきであると、こういった御指示を受けまして、こういう検討会の設置に至った経過がございます。
 そして、今般、これまでの検討会での御議論、先ほど御紹介しました議論等を踏まえまして、特に、国内自給率低下の要因として大きな論点となりました血漿分画製剤のコスト構造の問題。国内製剤は、輸入製剤に比べ価格が高いという問題ですね。それから、国内製品の競争力強化の問題への解決策という観点で、これを中心に現時点でのとりまとめを行ったという形にしております。そういうことでここに報告するという前文になっております。
 そして、⑵でございます。「これまでの血液事業の経緯と議論の必要性」でございまして。我が国の血液事業の歴史が書いてございます。非加熱製剤によるHIV感染問題等を踏まえて、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保等を図るための法的な枠組みとして、平成14年7月に公布された新たな血液法が平成15年7月から施行されているということでございます。
 この血液法第3条第2項には、基本理念の1つとして、「血液製剤は国内自給が確保されることを基本とするとともに、安定的に供給されるようにしなければならない」ことが規定されております。また、血液法第4条第2項におきましては、国の責務として「国は、血液製剤に関し国内自給が確保されることとなるように、献血に関する国民の理解及び協力を得るための教育及び啓発、血液製剤の適正な使用の推進に関する施策の策定及び実施その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とされております。さらに、この法律の審議における国会での委員会決議では、「血液製剤は、人体の一部である血液を原料とするものであることから、倫理性、国際的公平性などの観点に立脚し、国民の善意の献血による血液によって、国内自給を達成できるよう、全力を傾注すること」ということが付されております。
 このような背景、これまでに血液事業をめぐって行われてきた議論、その経緯等を踏まえて、さらに、血漿分画製剤が高齢社会を迎える我が国に必要不可欠な極めて重要な製剤であること、将来にわたる安定的な供給が強く望まれていること、それから、この検討会の前身の検討会として平成14年8月から平成19年11月にかけて開催された「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会」における検討ですね。このときも網羅的な検討をしておりますけれども、この検討からの一貫性あるいは継続性も考慮しつつ検討を行ったということでございます。
 次に第2でございます。第2は「血漿分画製剤を取り巻く環境・問題点」でございます。今回検討するに至った様々な事象、問題点について順に書いております。
 まず「血漿分画製剤の特徴」ということで、前提として、血漿分画製剤がどういうものであるかということですね。第1回の検討会の資料でも御案内しましたが、その特殊性が書いてあります。
 この中身は割愛させていただきますが、⑵にまいります。⑵では、輸血用の製剤あるいは一般の医療用製剤との違いが記してあります。輸血用血液製剤は、採血された血液を遠心分離しまして、「赤血球製剤」、「血漿製剤」、「血小板製剤」、「全血製剤」に分けたものでありまして、我が国では唯一の採血事業者でもある日本赤十字社のみが製造し、医療機関に直接供給している。輸血用製剤は薬価基準での販売が行われている。競争がない状況でございますので、薬価どおりの価格で販売されていることになります。
 一方、血漿分画製剤は、現在、4つの国内事業者、それから、2つの海外事業者(外資系企業)が製造または輸入並びに供給を行っております。国内献血由来製剤については、日本赤十字社から各事業者に原料血漿(献血から得られたもの)が販売されていることになります。製剤の多くは、市中の卸売販売業を介しまして、一般の医薬品と同じようなルートで医療機関に供給されているということで、価格競争が当然生じている。製剤の薬価基準は、実勢価格の下落とともに、薬価調査でとらえたもので実勢価格で薬価が変わりますので、年々低下している状況でございます。また、流通において、一部では「総価山買い」といった、いわば十把一からげで何%引きでという取引という不適切な価格交渉が行われているとの御意見もあります。
 血漿分画製剤は、ヒトの血液中のたんぱくから製造されるものでありますから、画期的な新薬の開発の可能性はほとんどない。いわゆる昔言いました「ピカ新」ですね。新有効成分といったような考え方のものではないということでございます。ですから、一般の医療用医薬品とは収益構造が異なる。新薬の開発を繰り返すことによって開発費用を回収するといったようなことが困難な世界である。このため、前述の価格競争によりまして薬価が下落しますと、その分、利益が圧迫される。やがては採算性が悪化して供給不能となるリスクを抱えているということが言えるかと思います。その旨を書いております。
 そして、⑶ですが、「血漿分画製剤の国内自給の必要性」について、改めて述べております。なぜ国内自給が必要かという点について、改めて立ち返って整理したものでございます。
 まず[1]、1つ目として「倫理性の問題」。血漿分画製剤は、臓器と同じように人体の組織である貴重な血液から製造されるものでございます。その供給や使用に当たっては高い倫理性が求められる。こうした特殊な製剤が一般の医療用医薬品と同様に市場性を理由に国境を越えて売買されることは倫理性の観点からも問題ではないか。また、現在でも一部の国で行われている有償採血を助長する結果にもつながりかねない。世界保健機構(WHO)においても、1975年の総会で、無償の献血を基本とする血液事業を推進することを、また、2010年の総会でも、国内自給を達成するため必要な措置をとることを加盟国に勧告しております。
 それから、2つ目でございます。[2]「国際的公平性の問題」という切り口です。かつて、1980年代ですね。前半と書いてありますが、正確には半ばでございます。我が国ではアルブミン製剤の使用量が世界生産量の3分の1に達してしまっていた。前述のWHOの勧告との関係においても問題となったところでございますけれども、世界的に血液の需要が高まる中、かつて問題となったように、例えば新興国から大量の血漿を採集しまして、そして、製造された血漿分画製剤を先進国で使用してしまう。そのようなことがありますと、それが国際的公平性の観点から大きな問題もあるととらえております。
 3つ目です。[3]として「安定的確保の面での問題」という切り口です。2001年に発生しました輸入の遺伝子組換え型血液凝固第8因子製剤の一時供給停止問題がございました。この際には、医療需要を満たすために国内献血由来の血液凝固第8因子製剤の増産を緊急に行う等、各方面に多大な影響が生じたところでございます。また、国内での製造量が一定量下回ってしまった場合、企業としての事業継続が困難になる。すなわち供給ができなくなるというおそれもございます。
 製剤供給の大部分を輸入に頼るという体制、これは近年、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の世界的な需要の変動が著しい。免疫グロブリン製剤が非常に伸びているということ、アルブミン製剤も、近年米国では供給量が増えているということがございます。こうした大きな変動がございますので、また、世界の医療が、先進国も新興国も一様に均一化に向かっているという考え方もできるかと思いますので、今後、新興国等でこれら製剤の需要が高まる可能性もある。そうしますと、製剤全体の需要が高まりますので、危機管理的な観点からも、製剤の安定的確保の面では問題になるのではないか。すべてを輸入に頼っている形は問題ではないかということでございます。引き続き、血漿分画製剤の国内自給に向けた取組が必要であろうということで整理をしております。
 それから、[4]でございますが、「血漿分画製剤の安全性について」ということでございます。こちらが、先ほど第2回の検討会の審議の中で一定の整理をしたところでございますけれども、国内献血由来製剤と輸入製剤におきまして、現在、検査が実施されていて、不活化工程が有効とされているHBV、HIV、HCV等の既知の感染症に対する製剤の安全性には、国内献血由来製剤と輸入製剤において明確な差はないと考えられる。これが前提でございます。
 しかしながら、不活化工程の効果が確認されていないプリオン病や未知の感染症あるいは非感染性の副作用を起こす因子に対する安全性の差異については、現時点ではどちらが安全かといったことは言及することが困難だということでございます。また、未知のリスクに対する備えでございますけれども、これについては、その国ごとの方策において必要な体制が構築されているということで、そのアプローチに国ごとに若干の差異があるということでございます。括弧で例示しておりますが、例えば米国においては、安全性向上のために感染症リスクを考慮して、大都市圏には採血所を設置していないといったようなアプローチがなされている。あるいは、初回供血者の血漿は使用しない。リピーターからしかとらないということで、このような取組がなされている。我が国日本においては、輸血用血液と同様に、献血者個人単位での保管検体を11年間保存しているといったようなこと。また、冒頭にありましたように、輸血用製剤と一緒に採血をしておりますので、輸血用と同じ安全対策がとられていると、こういったような違いがあるところでございます。
 それから、⑷でございます。「血漿分画製剤の国内自給の状況」について、実態について申し述べております。アルブミン製剤については、かつて1980年代に、我が国が世界生産量の3分の1を使用していた時期には、この製剤の国内自給率は極めて低い状況でございました。2%といったような数値であったということです。その後、適正使用の推進によりまして、製剤の使用量が大幅に減少してきた。それとともに海外事業者の撤退等もありまして、平成19年度にはアルブミン製剤の国内自給率が62.8%まで上昇いたしました。ところが、平成20年度以降、特にDPC病院におきまして、国内製剤と比較して安価な輸入製剤への切り替えが進んでいる状況があるということで、平成22年度上期のアルブミン製剤の国内自給率は58.4%まで低下している。5ポイント近く低下してしまっているという状況でございます。
 次の4ページに移ります。
 また、アルブミン製剤は大きく高張製剤と等張製剤に分けられます。これは使用の実態が違うことが第2回の検討会で明らかになっておりますが、高張製剤は膠質浸透圧の改善が主な適応でありまして、特に消化器内科等で多く使用されております。国内自給率は平成21年度において72.3%と、アルブミン全体よりも高い自給率になっている。一方、等張製剤の方は、循環血漿量の是正が主な適応でありまして、胸部外科、消化器外科及び救命救急科等で多く使用されている。平成21年度の国内自給率は23.8%と極めて低い状況にございます。
 なお、近年、欧米諸国においては、免疫グロブリン製剤の使用量が大きく増えておりますけれども、連産品構造の中では、アルブミン製剤との生産比率で見ますと、アルブミン原料に余剰が発生しているのではないかということが推察されるということを書いております。これも第2回の検討会の中で、理論値的に、一番効率のいい生産比率が6.666という数字を挙げておりますが、これより多い・少ないによって、どちらが余るかといったような整理をしたところでございます。
 次に、免疫グロブリン製剤の状況でございます。前述しましたとおり、近年、欧米諸国での使用量が大きく増えている状況でございます。ただ、同製剤の我が国における使用量はほぼ横ばいでございます。その国内自給率は平成21年度において95.1%と高い状態を維持しております。これはなぜかということでございますが、輸入製剤の我が国での適応が国内献血由来製剤に比べて現状では適応が少ないということが1つあるかと。それとともに、海外事業者の我が国の市場に対する事業戦略、市場に魅力があるかどうかということも含まれるかと思いますけれども、そうした事業戦略が影響しているのではないかと推察されるということでございます。
 次の血液凝固第8因子製剤でございますが、血漿由来製剤としてのこの製剤は、平成6年度に国内自給100%を達成しております。一方で、平成5年9月に輸入の遺伝子組換え製剤の発売が開始されておりまして、以後、輸入遺伝子組換え製剤が大幅に伸長している状況でございます。この遺伝子組換えも含めた国内自給率という出し方をしますと、年々低下をしているということで、平成22年上期においては23.7%ということで、4分の1を切ってしまっている。そういうところまで低下している状況でございます。欧米においても同じような状況で、遺伝子組換えへの移行が随分進んでいると聞いております。
 次に、各製剤の国内自給率の状況でございますが、6つのグループに分けることができるのではないかという考察が述べられております。ここで言う国内自給率は平成22年度上期のものでございますが、まず1つ目です。[1]として「国内自給率100%を達成しているもの又は極めて自給率が高いもの」につきましては、ここに記しておるような製剤でございまして。先ほど申し上げた人免疫グロブリン製剤も非常に高い、このグループに入っております。
 そして、2つ目のグループ。[2]でございますが、「製剤の価格差により国内自給率が低下しているもの」です。これがアルブミン製剤ということで、58.4%となっています。
 3つ目ですが、[3]としまして、「輸入の遺伝子組換え製剤の伸長により国内自給率が低下しているもの」国内血漿由来の率が低下しているもの、血液凝固第8因子製剤が23.7%、それから、乾燥濃縮人血液凝固第9因子が66.7%まで下がっております。第9因子については、昨年度新たに遺伝子組換え製剤が上市されておりますが、1年余りでこのぐらいに下がっているということでございます。
 4つ目でございます。[4]国内で抗体価の高い献血者の血漿確保が容易でないといった環境あるいは技術的な問題ですね。ということで、国内自給率が低いものとして、特殊免疫グロブリン3種類ございますが、こちらに挙げられたとおりでございます。
 それから、5つ目。既に海外メーカー、海外事業者が先行して供給を行っておりまして、現時点で国内メーカーが参入できる状況にないもの、難しいものということで、インヒビター製剤はじめ3製剤が挙げられております。非常に患者さんが少ないものも中にはございまして、特殊なものでありますので、なかなか参入ができていない状況という整理でございます。
 それから、[6]その他の要因で国内自給率が低い状態で推移しているもの。組織接着剤ということで、これが大体40%台から50%の間で推移しているということでございます。
 以上の6つのカテゴリーに分かれるのではないかという考え方でございます。
 ⑸として「血漿分画製剤のコスト構造と市場規模」につきまして。これは第3回の検討会におきまして、事業者ヒアリングをしたわけでございますが、このヒアリングを通じて、血漿分画製剤のコスト構造等について判明したことが幾つかございました。それを整理したものでございます。
 まず国内事業者でございますが、議論の中で、原料血漿確保までと、それから、それ以後の製造工程から供給まで、大きく2つに分けて議論すべきではないかという御示唆がございました。それに従って分けますと、まず、原料血漿確保までのところでございますが、我が国においては、原料血漿の採漿は、輸血用血液製剤と共通の施設、資材及び手技で行われ、製品及び献血者への安全対策も輸血用血液製剤と同一の対応が行われている。また、採血所が医業に当たることから、医師の配置が必要となっている。必須であるということですね。さらに、無償の献血という状況でありますから、好立地の採血所の開設。つまり、繁華街に近いところとか、人の多いところ、こうしたところに採血所を開設しないとなかなか運営が難しいという問題があります。それから、普及・啓発にも、相当の広報等の経費が必要になることも高コスト構造の一部になっているのではないかという考え方でございます。
 それから、製造工程から供給までに目を転じますと、ヒアリングの結果では、事業者によりましてコスト構造の内訳は異なりますが、会社なり事業体によって異なりますが、一様に言えば、製造原価の割合が高い。一般の医薬品に比べると非常に高いということが共通してあります。それから、販売管理費が占める割合は、自社でMRを多く抱える事業者が高いといったような傾向がございました。そして、流通経費の占める割合が高いところは、いわゆる販社(販売会社)に供給を委ねている事業者が高かったということが言えます。それから、特徴的だったのが日本赤十字社でございますが、輸血用血液製剤の供給システム。輸血用血液を病院に直接納入する体制をとっておりますけれども、各血液センターから医療機関に直接納入する、このルートを活用できるため、販売管理費あるいは流通経費の占める割合が、ほかの事業者と比べて極めて低かったという特徴がございました。それから、生産能力で、アルコール分画の年間処理能力にしますと、国内事業者全体で120万Lですが、各事業者とも製造する製剤の種類が限られておりますので、連産品構造の中で効率的な製造が難しい状況になっている。いわゆる連産ギャップが生じている。もうひとつ。我が国におきましては、昭和41年以降、すべての血液製剤を国民の貴重な献血血液により賄う体制を構築するといった観点から、輸出貿易管理令の運用により血液製剤の輸出を認めていないことがございます。現状でも認めていない。これによりまして、国内事業者は国内市場でしか連産ギャップの吸収を行い得ないことも、生産効率なり供給の効率に影響しているのではないかということでございます。
 次に、海外事業者でございます。こちらは原料血漿確保までのところを見てみますと、海外事業者においては、メーカーの子会社が原料血漿を採集する採漿センターを運営しているということでございました。採漿の際の資材は、輸血用血液に用いるものとは異なっておりまして、我が国とは違いまして、輸血用バッグではなく、例えば樹脂製のボトルといったものを使っている。また、規制当局の基準によって、例えばアメリカでは州法によって規制が異なるということですので、規制当局の基準によって必ずしも医師の配置は求められていないという状況があるようでございます。
 次のページに移ります。
 日本では輸血用と一緒ということで一律に行っております白血球除去処理あるいは初流血除去を原料血漿に対しては行っていない。これは、原料血漿が分画製剤を製造する上で様々な工程がありますので、これをやっても意味がないという考え方に基づいて行っていないという考え方ですね。それから、供血者、ドナー1人1回当たりの採漿量でございます。これは採血基準が異なります。民族間の体格差等がございますので、採血基準が大きく異なっております。欧米では600~800mL1回当たりとれる。我が国では、平均430mLでございますので、かなりな差になっている。これも一種のスケールメリットではないかと考えております。それから、供血者に対する1回採漿当たりの報酬ですね。非献血ということでございますので、有償採血、1回採漿当たりの報酬として、20~30ドル程度が支払われているということでございます。それから、安全対策としては、安全性向上のために、感染症リスクを考慮して、大都市圏には採血所を設置していないという特徴がございます。そうした採血・採漿システムで安全対策を運用しているということでございます。
 それから、海外事業者の製造工程から供給までに目を転じますと、まず生産能力ですね。アルコール分画の年間処理能力、これは外資企業1社で我が国全体の5倍程度の能力を有しているということもございました。国内事業者とは生産規模が全く異なるということが言えると。これによって相当のスケールメリットが得られること。それから、製品は市場性に応じて、輸出ができますから国境を越えて供給される。製品数も多いため、連産ギャップの調整を世界規模で効率的に行うことが可能になっているということでございます。
 以上が、第1と第2の御説明でございますが、本日遅れて来られます花井委員から、コメントを若干いただいておりますので、簡単に御紹介したいと思いますが、細かいところ、事務局(案)にミスがございましたので、そこもあわせて御案内したいと思います。
 まず、2ページ目、第2の⑵でございます。2ページ目の中ほどでございます。⑵「輸血用血液製剤、一般の医療用製剤との違い」の部分でございますが、この3行目です。「日本赤十字社のみが製造し、医療機関に直接供給している。」とありますが、これはすべてではなく、大部分でございますので、一部は献血供給事業団といったようなところが供給している地域もございますので、「日本赤十字社のみが製造し、」の次に「大部分を」という文言を入れるべきであると。「大部分を医療機関に直接供給している。」これが正確であるという御指摘がございました。
 それから、次の3ページ目でございます。先ほどの御説明の中でも若干申しましたけれども、3ページ目の一番上の[2]「国際的公平性の問題」の冒頭ですが、「1980年代前半」とありますが、これは正しくは「1980年代半ば」でございます。大体1984年85年辺りが一番多かったということでございますので、「半ば」という表現に改めるべきであるという御指摘でございます。
 以上が、第1と第2の御説明でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 この後、第3、第4、第5、第6と御説明を願うのですが、皆様の御意見を聴いた後で、これは中間報告として、血液事業部会、明日行われるのですか。
○血液対策課需給専門官 8日でございます。来週の火曜日でございます。
○溝口座長 8日に行われる血液事業部会に提言を出したいと考えております。そういうことでございますので、今の第1、第2につきまして、先生方、何か御意見・御質問はございますでしょうか。
 さっき、「大部分を」というのはどういう意味ですか。
○血液対策課需給専門官 輸血用製剤につきましては、圧倒的に血液センターから医療機関に直販されるという仕組みになっておりますが、東京都におきましては、日赤の血液センターではなく、献血供給事業団という財団がこの配送業務を行っております。ということで、「大部分」という表現にさせていただきました。
○溝口座長 わかりました。
 ほかに、何かございますでしょうか。
 3ページ目の[4]の「血漿分画製剤の安全性について」で、一番下に「アプローチに若干の差異がある(米国:安全性向上のため感染症リスクを考慮し、大都市圏には採血所を設置していない。初回供血者の血漿は使用しない。等/日本:輸血用血液と同様に献血者個人単位の保管検体を11年間保存している。等)」海外が2つで、日本が1つで、バランスをとるのだったら、何か日本も2つにした方がいいのではないかと。原料血漿を6か月間貯留保管しているとか、何かそういうのを1つつけ加えたらどうかなと。貯留保管中にまた献血者が来て、ウイルスが陽性だったらそれを排除するというようなことを行っているのですけれども、日本赤十字社にちょっと確認をしてください。入れても大きな影響はないと思うので。
○血液対策課需給専門官 安全対策の取組としまして、海外では大まかに言うと、再来者を中心にやっている。再来したときにチェックができることを担保にしているということだと思いますが、我が国においては、今御案内のあったとおり、6か月間の貯留保管もございますし。
○溝口座長 それがバランスとれるかなとちょっと思ったんです。
○血液対策課需給専門官 はい。ここはよく相談したいと思いますので、早急に確認いたしますので、表現として、二対二の格好にできるかどうかということを検討したいと思います。
○溝口座長 ほかに何かございますでしょうか。
 4ページ目の真ん中辺に、「血液凝固第8因子製剤においては、」というのがありますね。その一番最後のところに「平成22年度上期においては23.7%まで低下している。」と書いてありますけれども、今回は主にアルブミンの問題を取り上げて、その後、1年間かかって第8因子製剤のところはまた議論をすることになっていますけれども、どの状態なら血漿時の第8因子の製造を維持できるのでしょうか。その辺をあんまり議論しなかった覚えがあります。
○血液対策課需給専門官 これはかなり大きな議論にもなると思うのですけれども、まず、欧米諸国がどうであるかということも一つの参考になるかと。欧米諸国でも、もっと速いスピードで、もう10%台になっている国もあるとも聞いておりますし。それから、原料血漿から考えますと、血液凝固因子製剤が非常に多くの原料血漿を使うものでありますので、この量自体がずっと減っていってしまうと、我が国の原料血漿確保目標量にも大きく影響することになる。すなわち、献血の事業にも大きな影響が出かねないということになりますので、そうした観点からも検討が必要である。例えば理論値としてどのぐらいが好ましいかといったような議論も一つにはあるのかなと思っておりますので、これは今後よく整理したいというふうに考えております。
○溝口座長 何かほかにございますか。
 小幡先生、国内自給のことはかなり強く出ていますけれども、よろしゅうございますか。WHOである程度言ったのは事実でしょうから。
○小幡委員 我が国でも法律がありますので、それを踏まえたここの検討会でございますのでよろしいと思います。必要性、倫理性と、それから国際的公平性という言葉がありますが、これは一般に使われている言葉ですね。
○血液対策課需給専門官 はい。
○小幡委員 [1]~[4]までという必要性のところは、項目はまとまっているかなと思います。
○溝口座長 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 次は、大平委員や花井委員がいらしてからと思ったのですが、ここで第3の論点に移りたいと思いますので、では、御説明願いたいと思います。
○血液対策課需給専門官 それでは、第3の論点の部分を御説明したいと思います。6ページ目をごらんいただきたいと思います。
 まず、⑴~⑼まで分けておりますが、⑴です。「なぜ、輸入製剤に比べ国内献血由来製剤の価格が高いのか」と。これは第1回の検討会でまず示された大きな問題意識であったかと思います。国内献血由来製剤は、無償の献血のものがなぜ有償採血のものより高くなってしまうのかという素朴な疑問から始まっております。この検討会における御議論の中では、原料血漿確保までのコスト構造、それから、その後、製造工程から供給までのコスト構造によって議論をするべきとの意見が示されましたので、前述したとおり、我が国における原料血漿の採漿が輸血用血液製剤と一緒に行われている。献血ルーム等で行われている。そして、輸血用血液製剤と同一の安全対策が行われているということで、いわば手厚く安全対策を行っている。これは製剤に対しても、ドナーに対してもということになりますけれども、これが欧米諸国と大きく異なる点である。
 まずは、製造工程から供給までのコスト構造につきまして、先ほど申し上げた事業者ヒアリング等を通じて分析をしたところですが、この比較を行うべきであるという意見が示されて、先ほどの状況がわかったことでございます。
 そして、2つ目⑵でございますが、それでは、国内献血由来製品、国内製品の競争力強化のために何が必要なのかという次の点でございますが、検討会における御議論の中で、特に2回目にかなりな御議論をいただいたわけですけれども、国策として血漿分画製剤の国内自給を推進するのであれば、競争力強化のために国が何らかの関与をする。または、国からの何らかの政策支援が必要なのではないかといった御意見が示されたところでございます。極端に言えば、税金を投入するといったような考え方もあるのではないかといったようなお話がありました。また、血漿分画製剤は、人の血液中のたんぱくから製造される製剤であるため、先ほど申し上げた画期的な新薬、新有効成分といったような切り口の新薬の開発の可能性がほとんどないという特殊なものである。そうすると、一般の医療用医薬品とは収益構造が異なりますので、国内事業者、海外事業者ともに、ヒアリングの場でもいろいろ御説明がありましたけれども、現行の医療保険制度における血漿分画製剤の取扱いに一定の問題意識を持っているということでございます。薬価が下落し続けると、収益の部分がどんどん圧迫されていって、いずれは供給できなくなるようなおそれがある。こうした点について問題意識を持っているというところでございます。検討会の事業者ヒアリングにおいても、複数の事業者から、この医療保険制度での扱いに対する様々な要望が示されたところでございます。
 それから、さらに、いずれの国内事業者も、海外事業者に比べると事業規模がとにかく小さい。工場の年間アルコール分画能力にしますと20~40万L程度でありますし、さらに、4つの国内事業者の製剤の多くが競合をしている。4社ともアルブミンをつくっている。そういう点で効率的ではないことから、ここで、例えば国内事業者が4つございますが、これを統合するといったような施策が必要ではないかとの踏み込んだ意見も示されております。大きな銀行の再編という表現を用いられましたけれども、4つのうちの幾つかを統合できないか。それによって事業体を強くする、大きくすることができないのかといったような御意見が示されたということでございます。
 それから、3つ目でございます。⑶「アルブミン製剤の適正な使用を一層推進すべきではないか」これは第2回の検討会の中で、資料でも御案内しましたが、診療科あるいは病態ごとに使用実態が様々である。それぞれ特徴的なところがあるわけですが、アルブミン製剤について適切な使用を一層推進すべきではないかといった問題意識も示されております。
 次、⑷でございます。7ページです。「輸血用血液を含めた血液製剤全般の価格構造のあり方について」これにつきましては、第2回目の検討会の中の資料で御案内したところですが、平成2年の当時、我が国における現行の原料血漿の価格、当時、L当たり1万円とすることが決められておりますが、さらに、輸血用血液製剤の価格は、平成2年4月の薬価改定におきまして、かなり大幅に変えている。政策的に基本部分を設計されたというものでございますけれども、これが20年間を経た現在においても、同じような構造が維持されているわけですので、これについて見直す必要がないか、検証すべきといった認識が示されております。これは論点整理ということで、4月以降の主な議題となるということでございますので、この部分は、また、今後、御議論いただくということになります。
 それから、⑸「血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方について」これは安全性については、先ほど第2回の検討会で一定の整理をしたとおり、既知の感染症レベルでは明確な差はないんだという整理をしておりますけれども、一方で、患者様の選択権あるいは知る権利を満たすためのインフォームド・コンセントという見方もあるということで、このあり方について、必ずしも今、例えば表示義務があります採血国の違い、あるいは、献血・非献血の別ですね。こういった情報が患者さんやその御家族に必ずしも伝えられていないというふうな調査結果もございましたので、これをどうするかという御議論を若干いただいております。ただ、医療現場での実効性ある運用ができるのかどうかという観点からは、例えば救命救急の現場で、全部いちいちこれをとるのは大変なことであるといったような御意見もありましたし、いかに実効性のある運用が可能かどうかということも改めて検討をすべきだという認識で一旦保留になっているというふうにとらえております。これも4月以降にもう一度御議論いただきたいということになります。
 そして、⑹「血漿分画製剤の輸出について」でございます。我が国において1966年以降、血液製剤の輸出を認めていないということですが、これもこれまでの議論で、事務局からも御説明しましたが、1966年当時、ベトナム戦争が行われていた時点でございますが、このころ、我が国の献血の歴史で言いますと、1964年に閣議決定がされまして、以後、献血が急速に拡充したのですが、まだ、その黎明期の時代でございます。多くは、当時、いわゆる売血でございましたけれども、国民の血液がベトナム戦争の戦地で使われているのではないかといったような指摘が国会でなされたということで大きな問題となったということで、当時、厚生省、通産省が協議しまして、輸出貿易管理令という仕組みが当時ございましたので、この輸出を制限する品目の中に加えて、当面、輸出を承認しないという取扱いにしたということでございます。これが現在まで続いているということでございます。一方で、前述したとおり、製剤を輸出できないことが国内事業者の事業効率に大きな影響を与えているのではないかとも考えられますので、ここは大きな海外事業者との差でもありましたので、倫理性や国際的公平性で問題が生じないような形で、この血漿分画製剤の輸出を行うことができないのかと、こういった検討をすべきとの認識が示されたということでございます。これは、また、今後、御議論いただくことでございますけれども、原料血漿なり製剤が余ったからといって、例えば新興国に全部出すのだと、こういうことがそもそも国内自給の基本にもとる話ではないかということもございますので、その点は慎重に議論すべきではないかというふうに考えますけれども、いずれにしても、倫理性や国際的公平性に問題が生じない形で、例えば公的な枠組みの中で輸出を行うことができるかどうかといったような御検討を4月以降に行っていただきたいということであります。
 それから、⑺でございます。「国内自給化が困難な製剤の供給のあり方について」具体的には特殊免疫グロブリン3種類ございますけれども、この国内自給化の取組でございます。現在、抗HBs人免疫グロブリンについては、一部で研究費レベルで抗体価の高い方への取組をどうするか。医療関係者に多いという情報がございますので、その取組が一部で始められておりますけれども、今後、一定の公的な枠組みの中で、例えば日本赤十字社を中心にできる限りの努力をすべきではないかといった認識が示されております。これも、今後の御議論になります。
 それから、⑻でございます。「血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤のあり方について」先ほど溝口座長からも御指摘がありましたけれども、この動きについて、今後どのように検討するのか。例えば血漿由来製剤の製造が停止した場合等に安定供給が保証されるのかといった問題意識もございますし、今後、国内の血漿由来製剤のシェアは何%が望ましいのか。これは原料血漿確保量や血液事業全般にかかる話でもございますので、そういった議論が必要ではないかとの認識が示されております。
 そして、最後に⑼でございます。「各製剤の国内自給推進方策」でございます。各製剤の国内自給率の状況は、第2の⑷で御説明したとおり、6つのカテゴリーに分類しております。いまだ国内自給率が低い製剤については、その要因がカテゴリーごとに異なるということが言えるかと思いますので、今後、個別に具体的な国内自給推進方策を検討することが必要ではないかと、こういった御認識が示されております。
 以上が、これまでの議論の中で主な論点となった部分を整理したものでございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 第3の論点につきまして、先生方、何か御意見をどうぞ。
○小山委員 論点のところで言うべきなのか、提言で言うべきなのか、ちょっと迷うのですけれども。ただ、話を聞いていまして、どうも、かゆいところを洋服の上からかいているような感じがして仕方がないのですよね。基本的に、これ一番問題なのは、日本の血漿原料が高いからということが物すごく大きな要素なんですよね。それをはっきりここではうたっていませんね。論点のところの一番最初は、なぜ日本のものが高いかという形をしているのだけれども、価格が高いのは、原料の血漿が高いから高いんじゃないのですか。それは言ってはいけないのですか。
○血液対策課需給専門官 今御指摘のあった原料の血漿、原料確保の部分までで相当な違いがあることを受けて、原料血漿が高いのではないかという部分でございますけれども、御指摘のとおり、輸血用と一緒に採漿をしておりますので、その点で非常に経費がかかることは事実であります。
 ただ、先ほど、平成2年当時の価格の考え方の設計がありましたけれども、例えば実際に相当の金額がかかっていても、原料血漿価格は1万円で取引をしますということが決められておりますので、国内の事業者は実際にかかっているよりも安い価格で原料血漿を購入しているということも言えるわけでございますので、そこら辺は大きな議論としてこの後もなされるわけではありますけれども、今回の提言の中で、後ほど触れますが、原料血漿確保の部分で、例えば過剰な対策ではないかといった見方ですね。初流血除去の問題、これは全部に必要なのかといった問題ですとか、こと原料血漿に関しては、白血球除去が不必要ではないのかといった議論もあるかと思います。これは初期投資を既に行ってしまっている。これまでの安全対策の歴史の中でつくられたものでありますので、全部を今海外のやり方に倣うことは難しいと思いますけれども、安全対策の上で問題がない部分について、今後、費用対効果も踏まえて見直しを行っていくことが必要ではないかということをこの後提言で述べているところでございます。
 あと、大きなところは、価格の考え方の設計ですね。ここにつきましては、輸血用を含めた御議論が必要になってくると考えております。
○小山委員 ですから、論点とすると、原料血漿が高い。もとをただせば、血液製剤の値段が適正なのかというところまで行ってしまうので、ここで言うべきかどうかはちょっとわからないのですけれども、先ほど1Lが1万円ですか。単純計算すると、400ccの血液は4,000円ということですよね。その価格が適正なのかどうかということを議論しないと、ただ高い・安いことだけ言っていて、少なくともヒアリングの中で、日本の業者が異常に収益を上げているというふうには到底見えないわけですね。日本の業者の方はかなり努力されているというふうに見れると。
 その中で一番の原因なのは、原料が生産コストの半分ぐらいですね。これは普通の商売だったらあり得ないことなんですね。だから、ここのところを論点に入れておかないとぼけてしまうのではないかなという感じを少し持つのですけれども、いかがでしょうか。
○溝口座長 その辺、どうするかですけど。ヒアリングの部分がちょっとクローズドになっていますのでね。なかなかそこはオープンにしにくいところですが。
○小山委員 そうですね。
○溝口座長 どういうふうにすべきなのでしょうね。
○小山委員 そのままでいいのですけれども、4月からの討論でも構わないのですけれども。この中に、原料血漿、いわゆる血液の値段にも触れておく必要があるのかなというふうにちょっと思ったのですよ。これからの議論の中の⑷番に入れておりますけれども、現在の血液の値段が、本当にこれが適正なのかということの議論も1つ入れておかないと、確かに今、血液が集まらなくて、財団の方々がいろいろな工夫をしていますね。いろいろなキャンペーンを張ったり。僕はそこのメンバーにもなっているので、よくわかるのですけれども、いろいろなものを配ったり、あるいは、いろいろなものを飲んでいただいたりとかと、いろいろ苦労していることはよくわかりますけれども、そこのところ辺のコスト構造がもし本当に適正だというのだったらば、そこをまず固めておかないと、一番の根元が確立されていなくて、上だけの議論をしていても、ちょっと机上の空論になってしまうのかなと思うので、日本の場合はこの価格が適正なんだというようなことが言えるならば、そのようなことを、じゃ、そうしましょうという、あるいは国から手伝ってもらいましょうとかといういろいろな議論があると思うのですけれども、この価格を決める一番の根元をもうちょっと触れておいた方がいいのではないかな。あるいは、これから議論しますよという一言でもいいから入れておいていただければと思います。
○血液対策課需給専門官 御指摘よくわかります。この核となる部分ということですね。価格の考え方という部分、果たして適正なのか。これは輸血用も含めて議論しないと見えてこない部分でございますので、御議論自体は4月以降にかなり深い議論をお願いすることになるかと思います。今、この時点で、中間報告としてお示しできる部分、これは勿論この後触れますが、国内事業者として汗を流していただかなければならない部分も出てきますので、それはそれで今回整理させていただいて、最終報告という形ですね。この秋に向けて、また御検討をいただくことになりますので、その中で輸血用も含めた価格の考え方が果たして正しいのかということも含めまして、提言としての完成形を求めたいと思っておりますので、今回、論点の中に、今後ここでも議論をするんだということもにじませるということでありましたら、ちょっと表現ぶりについてはよく検討をして御案内したいと思いますが、いかがでしょうか。
○溝口座長 どうですか。
○小山委員 勿論、これでいいと思うんですよ。一番のもとはそこだというところをちょっと押さえておいてほしいなというふうに思うのですよね。
○溝口座長 ⑷に書いてあるように、「輸血用を含めた血液製剤全般の価格構造のあり方」というのは、平成2年に積み上げ方式でなく決められた感じがしますね。その辺がきちんとした費用を積み上げていったものはどうなのかというところだということは先生のおっしゃるとおりだと思います。
○小山委員 極端な話、ここがもし1割安くなれば、海外と十分戦えるわけですよね。価格の差からすると10%もないぐらいの差ですからね。ここの価格がもし1割でもポンと下がれば、もう全然海外と同等の戦いができるのだけれども。どういうふうに皆さんが感じられているかわかりませんけれども、この前のヒアリングの中では、国内の方は非常に一生懸命やっておられるし。海外はどうもベールに包まれてしまって、状況がわからなくて、ある会社はどこでどういうふうにとっているか、それもお示しできませんなどと言われてしまうと、おれたちそんなのを使っているのというぐらいの実は非常に驚きを持ったものですからね。その中で、日本国内自給を進めるのだとしたらば、一番の根元をちゃんと議論しておかないとその次に進めないのかなというふうに思いましたので、ちょっと今さら遅くなって申しわけないのですが。
○血液対策課需給専門官 今おっしゃられたことは、製剤の薬価としましては、市場実勢価格という実績がございますので、こうした形で価格が形成されている前提に立てば、それはそれでいいのかと思いますけれども、今おっしゃられた原料血漿価格の考え方、ただ、これを恣意的にどこまでできるのかということが非常にデリケートな部分もあるかと思いますので、海外事業者の立場からしてみれば、それを政府がすごくダンピングするということであれば不当ではないかという見方もあるかもしれません。総合的な観点から判断しなければいけないと思いますので、そうしたことを今後議論をしていただきたいと。そういう議論が必要であるということは、この論点のところにも書くべきだという御意見というふうに承りますので、よろしいでしょうか。
○小山委員 はい。
 もう一点よろしいでしょうか。
○溝口座長 はい、どうぞ。
○小山委員 もう一点が、やはり薬価制度の問題ですけれども、価格が実勢価格に反映され過ぎてしまうといろいろな問題が出てくると思うのですね。だから、市場価格を調査して、それに合わせますね。この生物由来製剤は、そことはちょっとなじまないものがあるのではないかという感じがするのですね。そこは提言してもいいのではないでしょうか。つまり、価格は何らかのもっと違うような、いわゆる化学的につくるものとはちょっと違うので、そこの価格はある程度維持できるような制度は提言してもいいのかなという感じがします。輸血は、これから10年も20年も30年も使い続けるものだと思うのですけれども、それに対して薬剤はそうではなくて、ある程度変わっていくものとはちょっと違うので、そこら辺のところで価格の設定の仕方がほかの薬剤と全く同じような範疇の中で価格が決められるのは、ちょっと違うのかなという感じは持っているので、それをもし入れられれば、入れていただければと思います。
○溝口座長 それは、先生、後で、提言のところにも出てきているかどうかをちょっとごらんになってから、また、みんなで考えましょう。
○小山委員 はい、そうですね。
○溝口座長 三村委員、先ほどの原料血漿が高過ぎるのではないかと、そこを何か入れる必要があるかどうかという御議論を。血液の価格は、平成2年を見ると、人為的に決められている。現在は法律ができまして、ますます国が血液事業全体をやっているわけですから、そこでの運営に必要なお金を国が何らかの方法で獲得して、それを使っていくという形になっていると思うので、ちょっと人為的にならざるを得ないのかなという気がします。市場に任せるというわけにはいかないのではないか。三村委員、どうですか。何か御意見はありますか。
○三村委員 私の印象としましては、今の原料血漿の価格が高過ぎるのかどうかについては、検証がまだちょっと不十分だと思いますし。ここで出てきます7ページの⑷が、今のところはまずここの指摘の段階が十分かなと。ただ、それを前提として、血液事業全体のいわゆる事業の健全性とか、それにおける運営の仕方とかということを含めた上での全体的な議論の中でという方が基本的にはいいのかなというふうに、私は印象としては思います。
○溝口座長 今回は主にアルブミンを中心に提言をするわけですが、この後の議論でコスト配分、いわゆる輸血用血液製剤の費用とかの配分を変えられるかどうかとか、そういう議論もだんだん出てくると思いますので、血液製剤の価格は国の施策で決まっていくものかなという気がしていますので、高過ぎる、安過ぎるというのは、なかなか難しい問題かもしれませんね。人為的に下げることは可能だとは思うのですけれども、先ほどおっしゃったように、それは国がダンピングを指導しているようなことになりかねないと秋山さんはおっしゃっていましたが、やはり問題になる可能性はありますか。
○血液対策課需給専門官 海外でそうした事例があったというふうな話を聞いたことがございますので、ひとまず7ページの⑷のところでございますね。このパラグラフの末尾に、この問題が分画製剤の原料血漿価格の評価をどう考えるのかといったことにも影響するのだといったようなにじませ方で論点として整理するのが望ましいかと思うのですが、いかがでしょうか。
○溝口座長 よろしいですか。
○小山委員 はい。
○溝口座長 ほかに何か御意見はございますか。
 なければ、第4の提言の方まで行っていただいて、その上で、また、必要なら論点の方に戻らせていただきます。では、よろしくお願いします。
○血液対策課需給専門官 それでは、第4の「提言」につきまして御説明したいと思います。提言につきましても、幾つかに分けて整理をさせていただきました。⑴~⑸まで分けております。
 まず⑴「製造効率の向上」という観点でございます。血漿分画製剤の製造効率に影響する要素としては、大きく「[1]原料血漿確保まで」と「[2]製造工程から供給まで」の2つに分けて検討することが妥当であると整理をしてあります。
 そして、次の8ページ目でございます。まず、「原料血漿確保まで」のところでございますが、我が国の原料血漿の採漿方法は、第2⑸で前述していますが、輸血用と共通にとられているという特性がございます。また、無償の献血のために、好立地の採血所、いわゆる地価が高いようなところに献血ルームを設けるというようなことも必要になりますし、あるいは、普及・啓発、広報に相当の経費も必要としていることが実態でございます。
 一方で海外事業者の採漿は、採漿センターを効率的に運営できている。原料血漿の採集に特化しているという点。輸血とは別でございますので。それから、安全性向上のための感染症リスクを考慮して、立地について一定の配分をしている。あるいは、1人当たりの採漿量が異なる。成分採血により採漿しているので、白血球除去処理あるいは初流血除去処理は、原料血漿については不要であるという考えから行っていないといったようなことで、我が国とは相当に環境が異なっている。つまり、こうした部分での効率性やコストに相当の差が生じている。これは、先ほど小山委員から御指摘があったような部分ということになります。
 我が国の現行の採血・採漿システムは、過去からの様々な安全対策に係る検討を経て、この十数年以上の検討を経て築き上げられたものでありますので、直ちに欧米の採漿システムに倣うことは妥当ではないということでございます。ただ、引き続き、現行の採血・採漿システムの検証を行いまして、十分な安全性を確保できるということであれば、我が国の血漿分画製剤の製造効率の向上に資する改善点があるのであれば、それは費用対効果も踏まえて積極的に見直していくことが望まれるといったような提言ですね。これは、先ほども御案内したところでございますけれども、血漿を採漿する部分について、ここはもしかしたら要らないのではないかといったような議論ですね。これを今後も行うことが大事ではないかという点でございます。そして、改善ができる点については、費用対効果も踏まえて見直しをしていくことが望まれるという提言でございます。
 次、[2]でございます。「製造工程から供給まで」の部分でございます。第2⑸でも言っておりますが、生産規模が海外事業者、国内事業者で全く違う。海外事業者ははるかに大きい。製剤の供給も世界規模で行っているので、大きなスケールメリットを享受できる。つまり、連産ギャップの調整が世界規模で効率的に行われていることがあります。ですから、製造効率が相当に高い。将来にわたりまして、我が国の血漿分画製剤の安定的な供給を維持するために、国内事業者においては、新たな製品開発、あるいは免疫グロブリン製剤の適応追加、こういったことによって生産ラインの稼働率の向上を図る。あるいは、連産ギャップの吸収を図るといったような取組ですね。こうした製造効率向上のための不断の努力が望まれる。これが是非やっていただきたいことでございます。
 なお、第2で述べたとおり、アルブミン製剤のうち、特に等張製剤(5%製剤及び4.4%製剤)の国内自給率が極めて低い状況が続いているという問題があります。当面、当該製剤の国内自給促進に向けた国内事業者の特段の努力が望まれることを提言として示すと、こういう案でございます。
 それから、⑵でございます。「事業規模の拡大・事業基盤の強化」という観点でございます。⑴でも述べましたが、海外事業者との生産規模の差は歴然としております。今後、国内献血由来製剤の安定的な供給を継続して、我が国の血液事業を健全に維持していくためには、国内事業者の事業規模の拡大等による事業基盤の強化が不可欠であるということでございます。事業基盤の強化に当たりましては、現在の4つの国内事業者の事業規模から考察しますと、例えば4事業者のうちの複数を統合すること等によって、せめて欧州の平均並み、欧州の平均が少し前で、平均70万L弱と言われておりますので、このくらいの生産能力を確保することが必須ではないか。製造効率の向上を図るとともに、国内製剤に同一規格製剤が多数存在する状況。先ほど、4社の競合の話を申し上げましたが、これは不効率であると言えますので、この観点から、不要な競合を解消するといった考え方、統合によって不要な競合を解消できるのではないかということでございますが、それによって効率的な供給体制を構築することが望まれる。さらに、その際、これも先ほど述べました日本赤十字社の供給体制、輸血用血液製剤の供給システムの中で分画製剤の供給を現在行っているわけでございます。そして、これが販売管理費及び流通経費が圧縮できているという利点もございますので、このシステムを有効に活用する形での統合などの検討が極めて有効な手段ではないかというふうに記しております。
 それから、なお書きでございます。なお、血液事業が献血者、医療関係者及び患者をはじめとする国民の理解により成り立っていることから、将来の新たな事業体の構築に当たっては、統合等による新たな事業体の構築に当たりましては、高い倫理性と透明性の確保が必須条件となることは言うまでもなく、各国内事業者をはじめ関係者の今後の努力が期待されるという結び方にしております。
 次に⑶でございます。「製剤の流通取引における留意点」でございます。ここは、血漿分画製剤の卸と医療機関の間の流通取引、いわゆる納入のところの取引でございますが、国内献血由来製剤、輸入製剤ともに、その製品の価値が価格に正当に反映されるよう単品単価取引を原則とするべきである。「単品総価」とか、「総価山買い」といったようなことは望ましくない。いまだに、「総価取引」というやり方で交渉しているという指摘もあるということでございますので、この点は、個々の製品の価値が価格に正当に反映されるよう単品単価取引を原則とするべきということを御意見として承っておりますので、これを提言として、ここに述べたものでございます。
 次⑷でございます。「製剤の使用環境の改善」としまして、これは血漿分画製剤の国内自給の必要性につきましては、第2の⑶で[1]~[4]まで、倫理性の問題、国際的公平性の問題、製剤の安定的確保の問題、引き続きこうした理由から国内自給化に向けた取組が必要であるという整理をしております。平成15年7月の血液法の施行から一定期間が経過しております。それから、一部製剤の国内自給率が低下している。これはアルブミン製剤でございますが、このことから、いま一度献血者、医療関係者及び患者さんをはじめとする国民に向けまして、血漿分画製剤の国内自給の必要性を訴える必要がある。国をはじめ関係者がこのことを強く意識するとともに、国民の理解が得られるよう不断の努力をすることが強く望まれると、こういった文章にしております。
 次に⑸でございます。「安定供給・国内自給促進を支援する施策」でございます。国としての施策は何ができるかという考え方でございます。第2の⑵及び⑶で述べたとおり、血漿分画製剤は、人の血液中のたんぱくから製造される製剤であるため、画期的な新薬の開発の可能性はほとんどなく、一般の医療用医薬品とは収益構造が異なるとともに、人体の組織である貴重な血液を無償の献血により採集し製造されるものであることから、供給や使用に当たっては高い倫理性が求められる。このように血漿分画製剤は高齢社会を迎える我が国に必要不可欠な極めて重要な製剤であるとともに、上記のように特殊な位置づけの製剤でもあるという御説明をしております。そして、安定供給・国内自給促進を国策として行うものであること及び血漿分画製剤の特殊性から考察しますと、製剤の安定供給を維持し、国内自給を促進していくためには、血漿分画製剤の診療報酬上の取扱いの検討などが期待されると、こうした文言にしております。
 以上が、第4の御説明でございますが、先ほど御案内したとおり、まだ来られておられませんが、花井委員から1点御指摘をいただいておりまして。今申し上げた9ページの第4の⑷でございます。「製剤の使用環境の改善」でございますが、この下から3行目~4行目ですね。「今一度、献血者、医療関係者及び患者をはじめとする国民に向け、」という部分ですが、ここに「献血者、医療関係者」の次に「・関係学会」を入れてほしいという御意見を承っております。「献血者、医療関係者・関係学会及び患者をはじめとする国民に向け、」というふうな書きぶりでございます。こうした御指摘を受けております。
 以上が第4の「提言」の御説明でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 ここが一番大事なところだと思うのですが、これが血液事業部会に中間報告として我々が提案する一番ポイントのところだと思いますが、先生方から何か御意見はございますか。
 先ほど、小山先生が1つ後におっしゃった点は、⑸の医療保険制度における支援と国としての何らかの支援策というようなところになっているのではないかなと思いますが、こんなところでよろしゅうございますか。
○小山委員 そうですね。
○溝口座長 あと、単品単価取引が⑶にありますが、この辺は、三村委員、何か御意見はありますか。これでようございますか。
○三村委員 前回の提言のところに、「除外」という言葉で使っていただいて、実は最近卸の関係者の方とその後ちょっとお話ししたことがありますが、当時、こういったような製剤であるので、それが除外になるということは、ある意味では納得できるというふうには少し期待されたのだそうです。ところが、取引の現場におきましては、なかなかそういったものの方針とか考え方がある意味では浸透していなかったこと。それから、価格競争が非常に激しいという現実があったということです。もともと単品単価取引というのは、薬価制度そのものが実は前提条件になりますので、これが実は本当は前提条件。それを今のところ単品総価もある意味では一応許容しているというお話でありますから、もともと薬価制度の原点へ戻ろうという話ですから、決してこれはおかしな指摘ではなく、むしろ、原則はそうだという指摘はあっていいと思います。
 それから、そういう取引の現場からすると、ある意味では明確な方針を厚労省が出してほしいというようなこともありますので、こういうふうに書いていただく方が、取引上という意味においても改善は進みやすいというような話は受けております。
○溝口座長 林委員、何か御意見はありますか。このような提言でよろしいですか。
○林委員 今までの御議論に出ているように、こういう貴重な製剤ですので、一般的な医薬品と同じような交渉体系の中に盛り込むのは再考して良いと思います。どういうアプローチがあるかは議論するとしても、考慮していくべきだろうと思います。
○溝口座長 ありがとうございます。
 ほかに何か御意見はございますか。
 どうぞ、益子委員。
○益子委員 私、この第1回に参加させていただいたときに、アルブミンの自給率が下がってきてしまって、これは政府として異常事態で喫緊の課題である、何とか直近の対策でもって解決しなければならないというふうに感じたものですから、具体的な対策を立てなければいけないと前にも発現したわけですが、中長期的な課題はそれでいいと思うのですが、今回のこの提言を見ますと、ちょっと玉虫色過ぎると思うのですね。皆さん検討してくださいねという形で。会社も検討をして、統合できるかどうか考えてくださいねという感じで、それから、製造効率もよくなるようにしてくださいねと。それはそのとおりなんですけれども、でも、今待ったなしのときに、国民の皆さんに、国内自給の必要性を訴える必要があると訴えて、来年度から自給率が上がるのかという問題は、私とても疑問なんですね。だから、この会は、具体的に自給率を上げるための施策に踏み込まないと、玉虫色の報告書ではいけないのではないかと思うのですが、例えばそのことについては、保険局の役割だから、この委員会で発言するのは越権行為だとか、そういうことがあるのでしょうか。そうであるならば、これは言ってはいけないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。
○溝口座長 事務局は何か御意見はありますか。
○血液対策課需給専門官 勿論、具体的な解決方策ですね。これが一番重要であると考えております。ただ、今回のこの問題については、医療費抑制策であるDPCの場で、逆にそれが国内自給という観点からは不利な方向に働いている。すなわち、国の施策が自己矛盾を起こしているような仕組みになっているということで、一方で、これをひっくり返すとなると、医療費抑制策に反するようなことになるのではないかという非常に微妙なところにございますので、具体策を出したいところなんですが、おっしゃるとおり、医療保険制度、診療報酬の問題は、中医協の方で、これから次の改定に向けた議論が行われるわけでございます。今でも行われておりますが、2年に1回薬価の診療報酬の改定が行われるということで、この4月は実はございません。来年4月になりますので、そこに向けた議論がこれから行われます。勿論、事務局の方でも、省内でのそうした相談なり、協議は行うことになりますので、その中で実現を目指すというような方向で考えることになるかと思いますので、今ここで具体的なものを出してしまうと、これは公開の会議でございますので、その議論にも影響することになりますので、なかなか難しい面があるというのが正直なところでございます。ただ、勿論、具体的な方策としてできることはやっておきたいということで、これらのものを並べたということでございますので、その点は是非御理解いただきたいと考えてございます。
○溝口座長 よろしいですか。
○益子委員 はい。
○溝口座長 前回の血漿分画製剤の製造体制に関する検討会の結果は、出たことは出たけれども、その後、実際に行動が余り行われてなかったような気がするのですね。例えば三村先生の提言の血液製剤は法律で決められているものだから、一般の医薬品とは別の取扱いで売買されるべきだという提言が、その後実際に行われていなかったのではないかという気がするのですけど。今回のこういう提言が、例えば採漿するところから販売するところ、使うところまでですべてが行動を起こすかどうか、その辺が一番問題だと。ある行動目標を挙げて、そこに向かって動くかどうか。それを動かすにはどうしたらいいか。そこを問題にされたわけですね。どうですか。この提言が有効に皆さんの各段階における人々の行動目標になり得るかどうか。
○血液対策課需給専門官 御指摘の点でございますが、まず1つには、国内事業者あるいは日赤について一定のハードルを課すような内容になっているかと思いますので、これでどういう行動を起こしていただけるか、どう考えていただけるか、これが一つのポイントだと思っております。
 もう一つ、国として何ができるかということを多分おっしゃっていることですね。この点については、今これをやるんだということがなかなか言えないという事情は今申し述べたとおりでございますけれども、勿論、国あるいはほかの関係者ですね。血液法の中で責務として最初に申し述べたとおり、措置を講じなければならないということになっておりますので、この中で何ができるかということは、これは深甚に私どもが考えなければいけないと考えております。どういうふうな行動を起こせるのかということですね。行政として考えなければいけないということだと思います。
○溝口座長 どうもありがとうございます。
 ちょっと1つ気になるのですけれども、8ページ目の「[2]製造工程から供給まで」。ほかのところにあるかもしれないのですが、「当該製剤の国内自給促進に向けた国内事業者の特段の努力が望まれる。」と書いてあるのですけれども、医療機関は関係ないのでしょうか。医療従事者は。直江先生どうですか。
○直江委員 これは事業者が努力することではないような気がしますね。関係者か、医療者を含めたものではないのでしょうかね。
○林委員 ここのところですが、私も、少し前に、都内の幾つかの病院で調査したことがあるのですが、結局、国内血の5%製剤は、実は買いたくても買えない状況が存在しているのですね。ですので、日本の国内血による原料血漿のアルブミンを25%にするのか5%にするのかの比率をうまく考えていかないと、25%は買おうと思えば、どの医療機関でも買えるという状況があるのですが、5%は買おうと思っても買えないという施設もありますので、その辺をうまく需給を見たバランスのとり方はつくられている側でまず考えていただかないと、買いたくても買えないという現実が存在しているようです。
○溝口座長 買えない原因は何なんですか。
○林委員 5%の流通量が少ないということです。
○血液対策課需給専門官 今、御指摘のあった点でございますけれども、これも前の回、林委員から御指摘のあったことでございます。5%製剤が非常に入手が難しいという状況があるのは事実かと思います。現実に、5%製剤については、国内製剤が入手できないということで、現状で輸入製品をやむなく使っているところがもしあるとすれば、これは国内製剤が流通すれば使っていただけるということになるわけでございますが、ここで1つ問題がございまして。現在、25%製剤が七十数%という自給率を確保しているのですけれども、この枠の中で5%製剤をつくるとなると、25%製剤を減らさなければいけないということになってしまいます。ですから、生産効率を上げて、全体の生産量を上げるようなことをしない限りは、これはなかなか難しいことになりますので、例えばタンクの大型化とか、そういった製造工程での努力は必須であるということが裏にございますので、ここは特段の努力は、まず国内事業者にやっていただかなければならないと、そういうことでございます。
○溝口座長 わかりました。
 ほかに何か御意見はございますか。
○直江委員 ちょっとよくわからなかったのは、8ページ目の下の2段ですが、これは流通とか供給体制は、日本赤十字社の供給体制を有効に活用する形でのというふうな書きぶりですが、ここは議論の中では余り出て来なかったような気がするのですが。というのは、日本赤十字社のアルブミンでも特段安いことはないわけですね。むしろ高いということなので、ここは全く理解できないのですが。この文章が何で出てきたのかというのが。
○血液対策課需給専門官 この部分ですが、ヒアリングの中で示された材料としまして、ここで非公開のものを余りしゃべるわけにはいかないのですけれども。日赤の方から示されたものとしては、ポイントとしては、流通経費、販売管理費を低く抑えられている。それは輸血の供給ルートがあるからだということでございました。
 一方で、日赤の製剤は安くないではないかという点、これにつきましては、勿論、効率性の問題、日赤そのものの問題もあるかもしれませんし、もう一つは、薬価制度のシステムの中で、薬価から値引して競争が生じますから、値引して販売することになるのですが、献血由来の製剤をむやみに値引してはいけないといったような哲学ですね。日赤はこれを持っていると、そういう説明を聞いたことがありますので、その辺を勘案しまして、統合という御提案がありましたので、もしもやるのであれば、こうしたことも考えられるのではないかと。そうした踏み込んだ記載をした経緯がございます。
○直江委員 あたかも日赤と統合をしなさいというふうにこれは読めるのですけれども。それはちょっと読み過ぎですか。
○血液対策課需給専門官 もう一点補足をしたいのですけれども、以前、大平委員からも御指摘があったのですが、例えば不採算である品目については、なかなか民間企業は手を出さない。特殊免疫グロブリン辺りがまさにその問題を抱えておるのですけれども、こうしたものはある程度公的な枠組みの中で取り組んでいかないととても供給できないではないかといったことは、かなり以前から御意見として承っているところでございます。そうしますと、こうした製剤については、日赤こそが中心に供給していただきたいというふうなこともありますので、それをやるのであれば、少しでも販管費が少ないような仕組みの中でやるべきではないか。そういう考えも含ませております。
○直江委員 細かいことですが、括弧書きのところが何か誤解を生じる。供給体制と言えば、その辺を含んだ全体という感じがするのですけれども、括弧の中で、販売経費や流通経費を圧縮できているというふうなところを書かれますと、ちょっと誤解を生じるのかなと思います。
○血液対策課需給専門官 これはおっしゃるとおりだと思います。誤解が生じないような形に、単純に供給体制を有効に活用する形というふうに変えた方がよろしいということであれば、そのようにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○溝口座長 ほかに何か御意見はありますか。
○直江委員 最後に出てきた「診療報酬上の取扱いの検討」という微妙な文言ですけれども、この会として、提言に何か期待されるという他力本願のような書き方ではなくて、勿論、それはいろいろな局の間のがあるのでしょうけど、この検討会としては、短期的にそこを改善すると一番実効性があるのではないかという委員の中の共通認識とすれば、何かここの書きぶりだけが、それこそ奥歯にものがはさまっているような感じがするのですがね。
○溝口座長 この議論は、みんな記録に残ってインターネットに出ますから、ちゃんと国民の耳に届くと思いますけど。
 前野委員、どうですか。ちょっと微妙なところらしいんです。細かいところはよくわからないのですけれども、本当は、今、直江委員の言ったとおりだと思いますけれども。
○前野委員 確かに、そこは一番の根幹であるし、先ほど触れられたDPCの扱い、さらには同一規格における血漿製剤の薬価が多重価格という実情もあります。そのような問題を、提言として指摘するのか、その前の議論のところに入れるかは、議論の余地があると思いますが、そこでの考え方が重要であるような気がします。検討会としてより明確にした方がはっきりするのではないか考えます。
○溝口座長 もうちょっとはっきりする言い回しにできるかということですが、いろいろな局を越えた問題がおありのようですが。ただ、血液法ができたときには、血液事業は非常に大事なものだから、国の事業であるということで法律で決まったわけですから、局を越えてサポートするということがあって、健康局、医政局、いろいろな局の職員が、保険局は来たかどうかはわからないのですが、そういう経緯はあります。お金なしでは血液事業はできませんからね。
○血液対策課需給専門官 今の御提案なんですけれども、具体的な方策をここに書くのはちょっとぐあいが悪いということを申し上げているわけでありまして。最後の「検討などが期待される」という部分について弱いのではないかということでございましょうか。
○溝口座長 そういうことでしょうね。
○血液対策課需給専門官 でありましたら、その表現ぶりについて、具体的なことを書くのではなく、ポリシーとして、ここは強めるべきという御意見であれば、それは是非検討をしたいと思いますので、この点は、この会議が終わりましたところで、検討をした上で、委員の先生方に対案をお示ししたいというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○溝口座長 それでよろしゅうございますか。
○小山委員 DPCに深くかかわっている者の一人として、もしこれをDPCが除外するというような項目が入るのだとしたらば、私は反対をいたします。結局、本来的な考え方が違うわけですよね。この価格については議論をしなければならないことはもっといっぱいあるわけですよ。そんなことを言うと、後発品と先発品の話になってしまうわけですね。だから、逆に言えば、高い方の薬を使うように導入しなければならないという話になってしまいますので、全体的な流れの中で、DPCから外へ外すという議論は、今実際にやっている議論は、高額の薬剤と抗ガン剤のレジュメをやっているわけですよ。これは物すごく違うのですね。だから、ここら辺のレベルと比べると、それほど大きな問題と言ってはおかしいかもしれないのですけれども、金額的ベースからすると、そんなに物すごく議論をして、ここでもってそれをやることがすごく有効であるというような形にならないのではないかというふうに思うので、具体的にDPCから外すというふうな提言は是非入れないでいただきたいと私は考えています。
○溝口座長 林先生、どうですか。別枠にしても、あまり影響はないと、どこかのシンポジウムでお話しになっていましたが。
○林委員 今、小山先生がおっしゃられたように、要するに、薬品を効率よく医療の中で使用していこうというときに、国策の期待に応えるストラテジーが何かというと、抗ガン剤とか、非常に高額な薬品から後発品に取り組んでいく事になります。いろいろな医療施設で、血漿分画製剤に手をつけている施設もあるでしょうけれども、これだけがやり玉に挙がっているわけではないと思うので、そこを今直接書き込むというこの会議の議論ではなくていいように思います。
 一方で、「期待される」というまとめ方は、相当軽い表現のような印象がありますので、それも含めて本来の価格構造と日本の診療報酬の中でどうするのか、もうちょっと具体的に検討すべきという意見は出ていたので、「期待される」よりはもうちょっと強くていいのかなと思います。
○小山委員 いじるとすれば、薬価を決めるときの決め方を、生物由来は別だよというようなことは言ってもいいと思うのですね。普通に化学的につくるようなものとは違うので、値段が、実勢価格で下がったからどんどん下げていっていいというものではなくて、製造元は人間なんだから、人間のものがつくっているんだから、ここの価格については実勢価格ではなくて、ある基準が必要だから、それ以上下がらなくていいようなシステムはつくってもいいのではないかという提言は、僕はそこは全然問題なく言ってもいいのではないかなと思うのですけれども、DPCから外すとか外さないという話になってしまうと、これは全然論外で、何を考えているんですかという話になってしまうので、是非、それはかなえてください。
○溝口座長 議論の中に出てきたのは、定額にするか、下支えをするかというような議論は出てきましたね。そこまで踏み込むかどうか。
○小山委員 4月からの方がいいかもしれませんね。この先の議論に。
○溝口座長 この後の議論にですね。
○直江委員 それにしても、そこも含めて、先生だと「診療上の取扱いの検討などが必要である」でしょう。
○溝口座長 「支援策を講じることが必要である」と。ちょっと強いかな。その辺、後でまた。
○血液対策課需給専門官 トーンを強めるということですね。これについては、御意見として承りますので、表現ぶりについては、是非、こちらで検討をさせていただいて、御案内したいと思います。ありがとうございます。
○溝口座長 ほかに御意見はございませんか。
 なければ、第5、第6の「その他の意見」、「今後さらに検討が必要な課題」について説明をお願いしたいと思います。
○血液対策課需給専門官 第5でございます。「その他の意見」ということで、これは検討会におきまして、診療科や病態ごとに使用状況が様々であるアルブミン製剤につきまして、適正な使用を一層推進すべきではないかといった問題意識が示されました。この課題につきましては、引き続き、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会の中に、適正使用調査会、安全技術調査会といった場がございます。こちらにおいて継続的に協議をしておりますし、製剤の使用実態を調査等によりましてより的確に把握しまして、最新の知見を踏まえた議論をこの調査会の場で行うことが適当だというふうに考えておりますので、今後、そのようにしたいということでございます。
 それから、第6でございます。「今後さらに検討が必要な課題」でございます。4月以降の検討会におきまして、引き続き検討をすることを列挙しております。
 まず⑴として、これは小山委員からも重要な御指摘がございましたけれども、「輸血用を含めた血液製剤全般の価格構造のあり方について」ということで、検証を含め見直す必要はないか、引き続き検討をしていくということでございます。これは大きなテーマになるかと思います。
 そして、⑵「血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方」先ほど申し上げたとおり、実効性のある運用が可能かどうかという議論でございます。これも必要であると。
 そして、3番目。「血漿分画製剤の輸出について」その可能性について御検討をいただくことも大きなテーマでございます。
 それから、4つ目。⑷「国内自給化が困難な製剤の供給のあり方」特殊免疫グロブリンの今後の取組についても、できる限りの努力をすべきという御意見もいただいておりますけれども、引き続き御検討ということでございます。
 それから、⑸「血漿由来製剤及び遺伝子組換え製剤のあり方について」これも本日、溝口座長からも御指摘がありましたけれども、今後、先ほど申し上げたような具体的な検討を行っていくということでございます。
 それから、⑹「各製剤の国内自給推進方策」各カテゴリーごとに具体的な国内自給推進方策を検討するというものでございます。
 これらの検討、特に⑴とか、⑶輸出の問題については、これまでの運営してきた血液事業制度の中の問題、これをどう変えるかということになりますので、非常に大きな御議論であると考えております。これらを経まして、秋ぐらいまでに何とか検討会の方で御議論いただいて、最終的な報告につなげていきたいと考えております。
 以上でございます。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 御発言をしなかった委員は、井廻委員、何か御意見はありますか。全体を通してでもいいですし、「期待される」のところでも結構ですけれども。
○井廻委員 やはり一番の問題は価格構造。これは今後是非議論を深めていって、日本で自給できる方向に持っていきたいと思います。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 牧野委員、いかがですか。
○牧野委員 最後の「今後さらに検討が必要な課題」の中の⑵番で、血漿分画製剤のインフォームド・コンセントのあり方ですが、我々は全国で使えるような輸血の説明書・同意書を作っているところです。今回の国内自給に向けて、患者さんの選択権、知る権利を含めた説明・同意書を作成しています。当然、それを使う施設は小規模の施設から大規模の施設まで、非常にばらばらですが、どこでも使えるような、そして、患者さんには非常に分かりやすく、医療従事者に対して余り負担にならないようなものを作成しています。これも今後の国内自給においては非常に重要なところであると思いますので、引き続き実現するように行っていきたいと思います。
○溝口座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかになければ、いろいろ御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。この前は1時間以上延長して申しわけなかったのですけれども、今日はちょっと時間が余っていますね。この辺りで、今御議論いただいた内容を中間報告として、8日に行われる血液事業部会に提出したいと思っております。
 事務局は、今加わりました、特に「期待される」のところが議論になりましたが、その議論を踏まえまして、修正箇所についてはおまとめいただいて。「期待される」のところはちょっと難しいようですけれども、ほかのところは特に修正はございませんですね。
○血液対策課需給専門官 細かな修正は、花井委員からの御指摘があった部分がございますので、文言の修正は精緻に行います。
○溝口座長 それから、括弧書きをちょっと。
○血液対策課需給専門官 その部分の表現ぶりについても、再検討しまして、御案内したいと思います。
○溝口座長 今、御議論いただいた内容と、さらに、幾つかの修正点がございますが、それをもちましてこの中間報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
(了 承)
○溝口座長 特に御異議がないようでございますので、そうさせていただきます。
 ありがとうございました。
 では、この内容を当検討会の中間報告として、8日の血液事業部会へ報告したいと思います。
 事務局は、修正した資料ができ次第、各委員に速やかにお送りいただきたいと思います。
 以上で、今日の議事を終わらせていただきます。
 事務局、これからの予定について説明をお願いします。
○血液対策企画官 溝口座長、どうもありがとうございます。
 ということで、検討会報告書につきましては、先生方に至急お送りさせていただきますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。
 それから、今、座長の方からもお話がございましたとおり、本日のできます中間報告につきましては、3月8日に薬事・食品衛生審議会血液事業部会が開催される予定でございますので、そちらの方に報告させていただくこととなっておりますので、よろしく御承知おきをお願いいたします。
 それから、今回、新しいテーマということで、今後議論をしなければならないところがございますが、次回の検討会の予定につきましては、改めて、また、御案内させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そして、最後に、この会を閉める前に、血液対策課長から一言ごあいさつをさせていただきたいと思います。
○血液対策課長 先生方には大変お忙しい中、11月から始めさせていただいて、4か月という非常に短い期間でしたけれども、精力的に御議論をいただきまして、非常に論点をまとめていただきました。まだ、これは秋に向かって、さらに議論を深めていただいて、是非アウトプットにつなげていただきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。本当にどうもありがとうございました。
○溝口座長 どうもありがとうございました。
 これからは、今までよりは緩やかな進行になりますね。よろしくお願いいたします。
 では、今日はこれで終わります。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬食品局血液対策課

03(5253)1111内線(2905、2917)

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