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2011年6月27日 第1回抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会 議事録

○日時

平成23年6月27日(月) 18:00~20:00



○場所

厚生労働省19階 専用第23会議室


○議事

○横幕医薬品副作用被害対策室長 ただいまから、「抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」の第1回を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
医薬食品局の医薬品副作用被害対策室長、横幕と申します。座長を決めていただくまでの間、進行役をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず、この検討会の開催に当たりまして、医薬食品局間杉局長から御挨拶をさせていただきます。
○間杉医薬食品局長 医薬食品局長の間杉でございます。
 本日は、大変お忙しいところ、また遅い時間の開催になってしまいましたけれども、お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
 私から、まず一言御挨拶を申し上げます。
 既に御案内のとおり、医薬品副作用被害救済制度は、サリドマイド、それからスモンといった被害を契機といたしまして、医薬品の副作用によって健康被害を受けた方を迅速に救済することを目的として、約30年前に創設されました。製薬企業からの拠出金を財源として、被害を受けた方に医療費、障害年金などの給付を行う本制度の仕組みは、我が国独自の制度として発足したものでございます。
 また、制度創設以来、制度の改善・普及のための取り組みを行ってまいりました。例えば平成16年4月からは、血液製剤などの生物由来製品を介した感染などによる被害を救済する仕組みを設けるなど、制度拡充をしております。また、制度を必要とする方が確実に制度を利用できるよう、折に触れて周知のための取り組みを行ってまいりました。
 このような取り組みの結果、給付件数は右肩上がりで増加し、被害者の方々の迅速な救済のために社会的にも大きな役割を果たしてきたものと考えております。
 他方、創設から約30年が経過し、本制度のあり方、とりわけ除外医薬品の在り方につきまして、改めて論点が提起されております。創設以来、医薬品副作用被害救済制度では、抗がん剤に代表されます除外医薬品の副作用による健康被害は救済の対象とされておりません。これは、その使用に当たり相当の頻度で重い副作用の発生が予測されること、重篤な疾病等の治療のために、その治療が避けられないことなどの理由から、医薬品を使用する患者が副作用の危険を引き受けるべきものとして救済の対象外とされているものでございます。
 この点に関しては、除外医薬品の場合であっても救済されるべきケースはあるのではないか、死亡することについてまで患者が危険を引き受けたと考えるのかといったさまざまな論点が提起されております。このため、新たに検討会を開催し、医薬品副作用被害救済制度について根本からの議論を行っていただくことにより、制度についての基本的な考え方を整理していただくとともに、抗がん剤等の副作用による健康被害を救済するとした場合の課題等について論点を整理していただきたいと考えるに至ったものでございます。
 先生方には、お忙しいところ、大変恐縮ではございますが、このような趣旨を御斟酌賜り、何とぞ御議論、おとりまとめをいただければありがたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 では、議事に入ります前に、今日は第1回目でありますので、委員の皆様からまず、恐縮ですけれども、自己紹介をお願いできればと思います。
 お手元の資料のうち、右肩に資料1と振ってあるものが検討会の開催要綱(案)でございますけれども、この2枚目に皆様のお名前を記載しております。五十音順ですので、恐縮ですけれども、この順番で一言ずついただければと思います。
 今日の検討会では、後ほど十分に意見交換をいただきたいと思いますので、まずは一言ずつ自己紹介をお願いできればと思います。遠藤委員からお願いいたします。
○遠藤委員 明治薬科大学の遠藤です。非常に難しい問題だと思うのですが、しっかり考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
○北澤委員 日経BP社の北澤です。医師や薬剤師向けの雑誌の記者をしています。よろしくお願いします。
○倉田委員 納得して医療を選ぶ会の倉田雅子と申します。医療の受け手の立場、患者や家族の立場として、この検討会に参加させていただきました。よろしくお願いします。
○齊藤委員 一橋大学の齊藤です。保険制度やリスクマネジメントを専攻しております。よろしくお願いいたします。
○祖父江委員 国立がん研究センターの祖父江です。がんの疫学とか統計とかいうことを専門にしています。よろしくお願いします。
○檀委員 日本医科大学の檀といいます。名簿には、病態制御腫瘍内科学分野と難しい名前がありますが、血液内科です。この検討会のテーマの抗がん剤を最もよく使う領域から出ているという形で出させていただいております。よろしくお願いいたします。
○中田委員 虎ノ門アクチュアリー事務所の中田でございます。アクチュアリーと申しますと、皆様、初めてお聞きになった方もあるかと思いますが、生命保険ですとか損害保険、あるいは年金、こういったものの保険料計算をする仕事だと、端的に言えばそういうことになろうかと思います。私は、現在は年金制度の調査、それから設計、数理計算、そういったものをやることを仕事としております。どうぞよろしくお願いいたします。
○中村委員 東京大学医化学研究所の中村と申します。私は、基礎のがんの研究者でありまして、最近やっているのは、その副作用を予測することができないかというような研究を行っております。よろしくお願いいたします。
○長谷川委員 名古屋大学の呼吸器内科を担当しております長谷川です。我が国の死因の第1位であります肺がんを主に扱っておりますし、イレッサも当初から使ってきたという経緯があり、何か御助言できればと思います。よろしくお願いいたします。
○藤村委員 弁護士の藤村でございます。弁護士とは書いてありますけれども、実際にはずうっと裁判官をやっておりまして、医療事件等も関与したことは結構あるのですけれども、こういった分野、全くの門外漢と言ってよく、もらった資料を見たのですけれども、とても重大な問題をはらんでいるので、軽々な発言はできないなと思っております。皆さんの御意見を伺いながら、現実をよく見て、先々に、後戻りしてやり直さなければいけないということのないような結論が出せる議論に寄与できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○本田委員 読売新聞の本田と申します。私は、社会保障部という部署の記者をしておりますけれども、主に医療と介護の問題を担当しています。また、現役のと言うのはおかしいかもしれませんが、乳がん患者で、今も治療をしているのですけれども、大変難しい問題で、なかなか私もわからないことだらけで、どのように考えていったらいいのかと思っているのですけれども、ここで皆さんとじっくり考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
○森嶌委員 森嶌と申します。私、この名簿では、名古屋大学名誉教授と書いてありまして、何をやっているかよくわからないでしょうけれども、法律で、損害賠償とか損害賠償制度、現在は環境法とか、いろいろなことをやっておりますけれども、実はこの分野ではスモンの訴訟にかかわりまして、先ほど局長の方から御紹介がありました医薬品の副作用の被害者救済制度の創設にかかわってまいりました。その後も、幾つかの厚生労働省関係の被害者救済にもかかわってまいりましたし、公害健康被害補償法の制度づくりにもかかわってまいりました。今回のこの問題につきましては、制度を設計したときにもいろいろ議論がありまして、大変難しい問題だと存じますけれども、皆様の御意見を伺いながら考えてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○山口委員 早稲田大学の山口と申します。ここにもありますように、法学部でして、医療に関する民事損害賠償等について研究をしております。よろしくお願いいたします。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 ありがとうございました。13人の委員、今日は皆さん御出席いただいています。これからどうかよろしくお願い申し上げます。
それから事務方の出席者を紹介させていただきたいと思います。
先ほど間杉局長から御挨拶いたしましたけれども、その隣、平山審議官でございます。
その隣、医薬食品局安全対策課安全使用推進室、佐藤室長です。
健康局がん対策推進室の鈴木室長です。
医薬食品局安全対策課の広瀬補佐。
副作用対策室坪井補佐です。
それから、現行の副作用救済制度は医薬品医療機器総合機構で運営されているわけですけれども、PMDAからも参加をお願いしています。健康被害救済部長、増田部長。
それから安全第二部の調査役代理、堀さん。
以上です。よろしくお願いいたします。
まず、この検討会の座長を決めていただきたいと思います。先ほど御紹介ありましたとおり、森嶌委員、法律の専門家でいらっしゃいますけれども、現行の副作用救済制度の創設時から中心メンバーとして参加をいただいていて、また、公害健康被害の補償などにも深く携わってこられています森嶌委員に座長をお願いしてはどうかと思います。皆さん、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○横幕医薬品副作用被害対策室長 では、森嶌委員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○森嶌座長 ただいま、座長に御指名いただきました森嶌でございます。大変な役目でございますけれども、改めてよろしくお願いをいたします。
今日、第1回目ということで、この後予定されておりますのは、事務局の御説明と、それから皆様の、今回は比較的フリーディスカッションということでございますけれども、今後なかなか難しい議論になると思いますけれども、法律家ですので、なるべく淡々と司会をしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事を進めてまいりたいと思いますが、その前に、事務局の方から本日の資料の確認をお願いいたします。
○坪井医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、事務局からですけれども、お手元の資料の方を御確認いただければと思います。
資料1、開催要綱、検討会メンバー名簿。
資料2-1から2-4まで、現状の医薬品副作用被害救済制度の説明をする資料。
資料3、スケジュール(イメージ)。
参考資料といたしまして、参考資料1、参考資料2-1と2-2、参考資料3ということでお配りしております。
最後に、倉田委員から提出していただいている資料を配付させていただいております。
資料は以上です。不足等ありましたら、事務局の方まで御連絡いただければと思います。
○森嶌座長 資料はよろしゅうございますか。
 それでは次に、事務局から本検討会の公開等について御説明をお願いいたします。
○坪井医薬品副作用被害対策室長補佐 今回のこの検討会につきましては、多くの方が関心を持っていらっしゃいますので、本日の会議は公開、そして、次回以降の会議も公開としたいと考えております。
 そして、会場にすべての傍聴希望者に入っていただくということも物理的には難しい面もございますので、議事録、そして資料、これに関しましても、審議会等の例にならいまして、今回も含めて公開にしたいということで考えております。
それから議事録につきましては、御出席の委員の皆様の御確認をいただいた上で、厚生労働省のホームページに掲載したいと考えております。
以上につきまして、委員の皆様の御了承をいただければと思います。
○森嶌座長 ありがとうございました。
ただいまの事務局の御説明で、何か御意見等ございましょうか。
よろしゅうございますか。
それでは、特にないようですので、本検討会の会議、議事録、資料等については、事務局の御説明のとおり公開ということで進めさせていただきます。
それでは、議事に入らせていただきます。本日は、第1、検討会の開催の趣旨、第2、医薬品副作用被害救済制度の現状につきまして、事務局から説明をしていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 まず、お手元の資料1、検討会の開催要綱でございます。冒頭、局長から御挨拶を申し上げましたとおり、抗がん剤等による健康被害の救済に関しまして課題を整理いただく、今後の施策の在り方を検討いただくということを目的としております。このため、現状、それから救済の必要性、救済を行う場合の在り方等についてこれから御議論をいただきたいと思います。
資料1、以上でございます。
○坪井医薬品副作用被害対策室長補佐 それでは、引き続きまして資料2-1をごらんいただければと思います。
こちら、「医薬品の副作用等による健康被害救済制度について」という資料でございます。まず、1枚おめくりいただくと、健康被害救済制度はこれまでどのように変遷してきたかという資料を載せています。御案内のとおり、サリドマイド、あるいはスモンといった被害、そういったものを契機といたしまして、昭和54年の9月に、医薬品副作用被害救済基金法が成立いたしまして、翌年の5月から、医薬品副作用被害救済制度が開始されたということでございます。
これまでの間、さまざまな研究などの役割も追加されながら制度としては変遷してきております。さらに、いわゆる医薬品の副作用とは概念上はちょっと異なる生物由来製品による感染被害、こういったものを救済していこうということで、新たに平成16年の4月から制度が開始されております。それで、現在に至るという変遷になっております。
次のページをごらんいただければと思います。こちら、健康被害救済制度のそもそもの仕組みでございます。医薬品、あるいは先ほど申し上げたような生物由来製品というものは、幾ら使用に当たって万全の注意が払われたとしても、副作用、感染等のリスクを完全になくすことはやはりできないということがございますので、これによって、健康被害を受けられた方に対して、医療費、あるいは障害年金といった救済給付を支給するというのがこの救済制度の概要でございます。
財源としては、製薬企業から、いわゆる社会的責任に基づいて支払っていただいた拠出金というものを財源にしているということでございます。
次のページをごらんいただければと思います。それでは、実際、救済給付としては一体どういうものがあるのかというのがこのページでございます。大きく分けると、医療費、そして障害になったときの障害系の年金、そして亡くなられたときの遺族年金、遺族一時金、あるいは葬祭料ということで大きく類型化されます。
給付額といたしましては、医療に関しては、保険等による給付の額を除いた自己負担分、それから医療手当ということで、主には病院に行くための交通費とかを想定しておりますけれども、大体3万5,000円程度。それから障害年金といたしましては、1級、2級分かれておりますけれども、それぞれ月額22万円から18万円。障害児養育年金に関しても、月額7万円から5万6,000円程度。遺族年金といたしましては、月額大体20万円程度、これを最大で10年間。遺族一時金、こちらは、遺族年金と異なりまして、生計維持者以外の方が亡くなられた場合ということでございますけれども、一時金として大体700万円。そして、葬祭料としましては20万円という給付になっております。
次のページをごらんいただければと思います。それでは、そもそも救済制度の基本的な考え方というのはどういうものなのかということでございますけれども、大きく2つでくくっております。1つ目は、製薬企業の社会的責任に基づく迅速な救済を目的としている。これは(民事責任との切り離し)と書いております。
1つ目の○ですけれども、そもそも医薬品に関しては、有効性、安全性、このバランスの上に成り立っているという特性がある。更には、副作用被害については、企業、あるいは誰かに民事責任というものが発生しない場合もある。あるいは、民事責任が発生する場合であっても、司法手続で明らかにしていくことはなかなか難しいという特性がございます。
そういうことも踏まえまして、生じた被害を社会的にそのまま放置しておくわけにはいかないということで、誰からも損害の賠償を受けることが困難、予期し得ない重大な健康被害に関して社会的に救済することを目的としているという趣旨で制度がつくられたということでございます。
それから、では誰が財源を負担するかということでございますけれども、やはり企業の方が資力、あるいは安全な医薬品を供給するという社会責任も有しているということに絡みまして、全企業からの拠出金を財源として給付を実施するという仕組みになってございます。
それから給付の方でございますけれども、これはあくまで損害賠償とは切り離した給付ということで、生活補償、それから見舞い的な色彩を持った独自の給付ということになっております。
それから下の箱でございますけれども、もう一つの特徴としては、強制保険のシステムとして運営されていて、社会的な合意のある健康被害が救済の対象になっているという特徴があります。
この趣旨としましては、やはりいつどのような副作用が発生するかわからないということがありますので、すべての製薬企業が拠出金を支払って、副作用被害が出たときに備えようという一種の強制保険のシステムになってございます。有効性と安全性のバランスの上に成り立つという医薬品の特殊性がございますので、そういった観点から、社会的に公正な、あるいは社会的合意のある健康被害を救済の対象にしていくということでございます。
こちらに関して、少し詳しく説明したのが次のページになります。「健康被害救済制度の救済の対象」ということで書いておりますけれども、まず、?としまして、「民事責任の追及が困難な場合を前提」ということにしています。これはあくまで、誰に責任があるのかわからないと、あるいは責任が発生しないということが前提でございますので、損害賠償の責任を有する人が明らかな場合は救済の対象外にしている。
それから2つ目は、「適正」に使用されたことを前提としております。
それから3つ目は、「副作用」、あるいは「感染」に着目している。例えば障害の状態になったということに関して、その原因が医薬品の副作用によるというその原因を問う制度であるということです。
4つ目としましては、「重い」健康被害が対象ということで、軽微な健康被害は対象外という形になっております。
それから5番目、こちらが今回論点になっているところでございますけれども、「危険を引き受けたと考えられない健康被害が対象」ということになっております。こちらに関しましては、例えば重い副作用があっても、その治療のためには使用しなければならない必要な抗がん剤、こういったものによる健康被害、あるいはその究明のためにやむを得ず通常の使用量などを超えて使用したことによる健康被害など、本来の治療のために健康被害の危険を引き受けたと考えられる健康被害は対象外にするということになっております。
現在、その除外医薬品としましては、抗がん剤、免疫抑制剤等、大体125品目が指定されているという状況でございます。
次のページをごらんいただきたいと思いますが、それでは、その除外医薬品というのはそもそもどういう趣旨で規定していたのか、というところで、大きく2つ書いております。1つ目は、先ほども申し上げたような、いわゆる危険の引き受けということで、やはり相当の頻度で重い副作用の発生が予想される。一方で、重篤な疾病のために、それを治療するために使用が避けられない。そして代替する治療法がないといったことから、危険を引き受けたと言わざるを得ないような医薬品ということで救済の対象外にしているというのが1つでございます。
それから、こちらは昭和54年の医薬品副作用被害救済基金法が審議されたるときの答弁でございますけれども、やはり患者の方を迅速に救済するという観点から、除外例をあらかじめ明記しておくということによって、難しい事例に関しては争いを避けて、迅速に救済を行うというのが一つの趣旨になっているということでございます。
次のページをごらんいただきますと、具体的に、法律上、法文上どういう規定になっているかということでございます。枠で囲っておりますけれども、いわゆる救済の対象となる医薬品というのは、製造許可を受けて、承認を受けて流通している医薬品ということになりますけれども、そのうち括弧でくくっておりますがんとか、そういった疾病に使用される医薬品に関して、厚生労働大臣が指定するものに関しては除外するということになっております。
それから、これとは別に、16条、下の方でございますけれども、こういう場合には救済給付は行わないと書いておりまして、その中で、あらかじめ健康被害の発生が認識された場合、あるいはこれに準ずると認められる場合に関しては救済給付を行わないということで規定されております。
次のページをごらんいただければと思います。先ほどまではどちらかというと給付の話ですけれども、こちらは、負担の方、拠出金の仕組みはどうなっているかというペーパーでございます。そもそも給付の財源となる副作用の拠出金、これは一般拠出金というものと付加拠出金という2種類に分けられます。一般拠出金というものは、給付の原因になったか否かにかかわらず、医薬品の製造業者がすべて支払う拠出金という形になります。
こちらにつきましては、下の拠出金額という項目のところですけれども、出荷数量×単価、いわゆる出荷額をベースにして納めていただくという形になります。
付加拠出金の方は、実際給付がなされたわけですけれども、その給付現価の4分の1が原則になるということでございます。
こちら、1つごらんいただきたいのは、一般拠出金の係数というところがございます。例えば新薬に関しては2.0ということで少し高目に設定されておりますけれども、ある意味、副作用がある程度起こり得るのではないかというものに関しては、係数を設定することで公平性を保つ仕組みになっております。
拠出金の総額としましては、合わせて、平成21年度で38億円ということになっております。
次のページをごらんいただければと思います。こちらからは実際の制度の仕組みの運用面になるかと思いますけれども、下のフローチャートを見ていただくと、被害を受けた方がまず医薬品医療機器総合機構に請求する。そして、その医薬品によって出た健康被害なのかどうかといったところの判定を厚生労働大臣に申し出るという形になりまして、薬事・食品衛生審議会の判定部会の方で、そうだというふうに認められれば、医薬品機構に通知しまして支給がなされるという仕組みになっております。
こちらに関しては、標準的な事務処理期間、8か月になっておりまして、現在では、支給、あるいは不支給の決定件数のうち60%以上を6か月以内に処理することが目標という形になっております。
厚生労働省としましても、判定部会を二部会制にして、迅速な審査判定を実施しているという状況にあります。
こちらでは、先ほどの判定部会というところでは、右の下の箱ですけれども、例えば医薬品の効能・効果が適正目的であったか、あるいは適正な使い方であったか、あるいは受忍すべき事例に該当するかどうか、こういったものを個別に判定していくという仕組みになっております。
次のページをごらんいただければと思います。こちらは決定に不服があった場合の厚生労働大臣に対する審査請求です。これに関しては、決定に不服がある方は直接厚生労働大臣に対して不服申し立てを行うという形になります。
次のページをごらんいただければと思います。こちら以降は、医薬品副作用被害救済制度の実績という形になります。請求件数に関しましては、制度開始以降増加しておりまして、給付総額も、10年前と比べると約2倍、額としては大体18億円に増加しているという状況でございます。
次のページをごらんいただければと思います。こちらは先ほどの給付額を給付の種類ごとに分けたものということでございます。障害年金が最も高く、遺族年金、遺族一時金と続くという状況でございます。
次のページをごらんいただければと思います。副作用被害救済制度の財政状況の推移でございますけれども、救済制度では、将来にわたって財政の均衡を保つと、制度を安定的に運営するという観点から、少なくとも5年ごとに、副作用の拠出金率、保険金の料率みたいなものと考えていただければと思いますけれども、それを再計算するという形になっています。近年、やはり給付額が増加することに伴って拠出金率を上げるということで対応しているという状況です。
こちら、直近を見ると拠出金額が大きくなっているように見えますけれども、下の方に収支差というところで書かせていただいております。実際には拠出金額から給付金額、それからそれ以外の支出を引くと収支差というものが出てくるわけですけれども、平成10年代は収支差がマイナスになることが多かったという状況でございまして、平成20年度、あるいは平成15年度くらいから拠出金率を上げて、何とかプラスになっているという形になっております。
次のページをごらんいただきますと、以下は救済の実績ということで、比較的細かい数字ですけれども、副作用被害救済に関しては、決定件数が1,000件程度。感染救済、こちらは平成16年度から始まっているものですけれども、これは年間10件程度という状況でございます。
その後ろ、次のページでございますけれども、副作用による健康被害、どういうものが起きているのかというのがペーパーが1ページ、2ページ、3ページ続いております。こちらは後でごらんいただければと思います。
そして最後、「医薬品副作用救済制度不支給の理由」ということで載せておりますけれども、左の四角に囲まれていますとおり、決定件数のうちの不支給が大体13%ということで、その13%を更にブレークダウンしたのが右の円グラフでございますけれども、例えば判定不能であるというのが13%、適正目的、適正使用ではない、あるいは障害等級に該当しない軽度なものだというのがそれぞれ20%ずつ占めているということでございます。
以上、資料2-1でございます。
○広瀬安全対策課課長補佐 それでは引き続き資料2-2につきまして御説明させていただきます。
資料2-2、1枚おめくりいただきまして1ページ目をごらんください。1ページ目では、一般の薬と抗がん剤の比較ということで縦横の表を作成させていただいております。左側が大きく一般の薬の場合、右側は抗がん剤についてということです。上段が有効性についてでございますけれども、一般の薬でございましたら、基本的には病気が治癒することを期待するもの、全般的に有効性が高いということもございますが、抗がん剤につきましては、主として延命効果を期待するもの、全般的に治療に対する有効性は低く、治癒する患者は限られるというような状況がございます。
 続きまして、下段の安全性の部分でございますが、一般の薬につきましては、全般的に副作用は少なく、重大な副作用はまれという状況がございます。一方、右側の抗がん剤の部分になりますけれども、重大な副作用は多いが、死に至る疾病であり、他に治療法がないので使用されるというような傾向がございます。
 2ページをごらんいただければと思います。ここから数ページ、抗がん剤の副作用の報告についての状況を御説明させていただきたいと思います。
 なお、主に、この資料につきましては、企業からの副作用報告に基づくデータをまとめたものでございます。こちら、薬事法に基づきまして、企業が医療機関等から収集いたしました医薬品の副作用等の情報を厚生労働大臣に報告するとされております。この副作用報告について整理してとりまとめたものでございますが、実際の副作用報告につきましては、情報の整理、調査の実施が独立行政法人医薬品医療機器総合機構の方に委託されておりますので、PMDAの方に副作用報告がなされているという状況です。
 2点目ですが、医師が副作用と判断しなかった場合など企業が知り得ないものにつきましては報告されないという状況がございますので、発生したすべての副作用が報告されているわけではございません。また、使用者数、母数が不明であるというようなことがございまして、なかなか発生率などの把握が困難であり、報告された数字の評価にも限界があるというような状況もございます。
 それでは3ページの方をごらんいただければと思います。こちらに過去5年の副作用報告の現状をまとめてございます。一番上の段が副作用報告の公表数ということで、大体2万5,000から2万8,000ということで、3万弱でございますが、平成22年度のところは2万件くらいになっていますけれども、これは平成22年11月報告分までを整理したものであります関係上、数が少なくなっております。
 次の段が死亡公表数ということで、PMDAの方で公表させていただいております死亡症例の数になっております。このうち因果関係が否定できないものというのがその下の段にございまして、平成18年度で517件、19年度で454件、20年度404件、21年度354件というような数値になっております。このうちの抗がん剤によるものが一番下の段で、18年度で214件、順次、176件、210件、219件となっております。死亡公表で、因果関係の否定できないもののうちの3分の1から半分ぐらいが大体抗がん剤となってございます。
 続きまして4ページをごらんいただければと思います。こちらは、21年度の副作用症例の集計について、少し細かく抗がん剤について示させていただいたものでございます。
 一番上の欄の外に21年度の副作用報告数というのがございますが、こちらは医薬品医療機器総合機構の方に報告のあった副作用につきまして、報告後に取り下げのあったものとか対象外の報告を除いた数で受理件数となっております。
 この次に、表の中の一番上の副作用報告公表数になりますが、こちらと副作用報告数との間に2,000件ぐらいの差がございますけれども、この副作用報告公表数につきましては、取り下げ報告や対象外報告のほかに、情報収集中の報告、いわゆる報告がまだ完了してない未完了の報告を除いた数値となってございます。
 平成21年度の場合、死亡公表数は、全医薬品で2,424件、抗がん剤の場合には、その右隣、1,003件となっております。このうち因果関係が否定できないものについては、全医薬品で354件、抗がん剤で219件ということでございます。また、因果関係が認められないもの、因果関係が評価できないものがこのような数値になっております。
 死亡公表数、抗がん剤のところで見ていただきますと、1,003件のうち因果関係が否定できないものは219件ということですが、因果関係が評価できないものが666件ということで、因果関係が評価できないものが、1,003件の中でもかなりの割合を占めているということがわかるかと思います。
 5ページ以降につきましては、実際の細かい各抗がん剤ごとの、数値を示しております。これが5ページ、6ページ、7ページ、8ページとついておりますので、後で御参考に見ていただければと思います。
 恐縮ですが、9ページをお開きいただければと思います。9ページ以下につきましては、副作用報告の制度につきまして、簡単に概略を御説明させていただく趣旨で用意をさせていただいた資料でございます。
 薬事法に基づきます副作用等報告の制度ですが、市販後の医薬品・医療機器等の副作用、感染症、不具合等に関する情報を収集することを目的とした制度でございます。大きくは、企業報告制度と、それから医薬品医療機器等安全性情報報告制度ということで、直接の医師や歯科医師、薬剤師等の医薬関係者から報告をいただく2つの制度になってございます。
 次の10ページをごらんいただければと思います。副作用報告の期間等についてお示ししたものでございます。左側のところに大きく未知と既知と赤字で書いたものがございますけれども、使用上の注意、これは添付文書等に記載させていただいておりますが、予測できるものと予測できないものでまず大きく報告期間が分かれております。予測できないものについて、死亡であれば、国内は15日以内+FAX報告とか、外国では、重篤な場合には15日、非重篤な場合には、未知・非重篤副作用定期報告というような形で、それぞれ報告期間が異なっているという状況がございます。
 11ページをごらんいただければと思います。こちらには「副作用報告等の処理の流れ」をお示ししております。左側に企業、中央にPMDA、右側に厚生労働省という構成となっております。上段の方に、医薬関係者からの報告というのが、左側の企業と右側の厚生労働省にそれぞれなされておりますが、医薬関係者から企業に報告がありましたものにつきましては、企業をつうじてPMDAの方に報告がなされるということになっております。
医薬関係者から厚生労働省に報告がされますものにつきましては、同じように、データベースの方に登録をされまして、PMDAに報告される情報と医薬関係者から厚生労働省に直接報告される情報は共有できる形となってございます。
このデータベースをもとに、PMDAにおきまして、データの分析・評価、専門家における評価、企業ヒアリングなどを行いまして、必要な措置等を検討していくという流れとなっております。措置が決まりましたものにつきましては、通知し、公表するという流れになっております。
続きまして12ページをごらんいただければと思います。こちらは医薬品副作用感染症報告の経年変化となっておりまして、企業報告の国内が赤のカラムになっておりますが、大体3万件前後というような形となっておりますが、企業報告の外国からのものは若干増える傾向がございます。
13ページをおめくりいただければと思います。13ページ以降17ページまでは企業からの副作用・感染症報告の実際の報告様式の例となっております。このような様式に従いまして、どういう年齢、性別の方からどのような医薬品をどのような期間投与されて、どんな副作用があらわれてきたかというような報告となっております。
次、14ページをごらんいただければと思いますが、実際の副作用の発現に至る投薬等の詳細な経緯等をお書きいただいております。
あと、15ページは飛ばしまして、16ページをごらんいただければと思いますけれども、上段の方に担当医等の意見と報告企業の意見ということで、このように、それぞれ担当医、企業からの意見もお書きいただいているということです。
最後の17ページになりますが、その副作用報告に関連する臨床検査値の数値等、報告の様式でございます。
少し長くなってしまいましたが、報告は以上でございます。
○坪井医薬品副作用被害対策室長補佐 資料2-3をごらんいただければと思いますけれども、先ほどまで御説明差し上げていたのが現行制度の説明及び現在の状況の説明ということになりますけれども、資料2-3は、これまでの抗がん剤副作用被害救済に関する議論の経緯に関する資料になります。
いわゆる薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会というものが、C型肝炎訴訟を契機としまして開催されておりましたけれども、こちらの最終提言の中で、抗がん剤の取り扱いについても検討すべきではないかということが言われております。
それから次のページをごらんいただきますと、イレッサ訴訟の関連で、大阪、東京両地裁から和解勧告が出されたわけですけれども、これに対する考え方ということで厚生労働大臣談話が出されました。この中で、抗がん剤の副作用救済に関しても検討を行うということで、下線部でございますけれども、談話を出しております。
こういったことを踏まえまして、今回御議論いただく形になったということでございます。こちらはこれまでの経緯ということでございます。
そして資料2-4をごらんいただければと思いますが、「検討の論点(例)」ということでお示しさせていただいております。論点としましては、たくさんあるかと思いますけれども、例えばこういったところが論点になるではないかという点をごらんいただきながら議論いただけるといいのかなということで、事務局で用意させていただきました。丸としては6つ書いております。
順番に申し上げますと、まず1つ目は、そもそも抗がん剤の副作用救済をどのように考えるのかというところでございます。新たに救済する場合の必要性。その意味ですと、現行制度の考え方。こちらはいわゆる危険の引き受けがなされたと考えるかどうかといった考え方を今この時点でどのように評価するのかといったことが一つの論点になるのかなと。
それから2つ目の丸でございますけれども、抗がん剤、もしくはがん医療そのものはどういう状況にあるのかということで、そもそも抗がん剤に関しては、ほかの医薬品とやはりちょっと違うのではないかということで除外になっているだろうと思いますけれども、こういったところに関して現状はどうなのか、あるいは副作用と被害の因果関係をどのように判定するのか。こういったところも論点になるのかなと。
それから3つ目ですけれども、仮に救済を行うとしたとき、給付と負担についてどのように考えるか。給付対象者はどのぐらいになるのか。例えば給付内容とか水準とか、それから負担者、負担割合をどのように考えるのか。それから運営コストと書いております。現行の制度は医薬品医療機器総合機構でやっておりますけれども、実際運営するとなったときにどういったコストが発生するのかといったところ。
それから4つ目の丸でございますが、制度が関係者の行動にどういう影響を与えるのかといったところ。
それから次の丸ですけれども、医療行為の無過失補償との関係、医療行為によって健康被害が生じたときに補償すべきではないかという議論もありますけれども、そういった議論との関係をどのように考えるのか。
そういったところが一つの論点になるのかなということで提示させていただいております。以上、長くなりましたけれども、事務局は以上です。
○森嶌座長 それでは、冒頭に申しましたように、最初にお一人3分ぐらい、ワンラウンド、御意見をいただきたいのですが、それにしても、論点だけでも6つあるのに3分ということですから、全部ということでなくて、その中で、今お考えのところで結構だと思います。その前に、今、事務局の御説明になったところで、この点はちょっと確認しておきたいということがございましたら、御質問ということで、資料の点で何かございますか。あるいは、御意見の中で資料の中のこの点ということで言っていただきましょうか。
 それでは、また、先ほどのように、遠藤先生の方から、大体3分ということですけれども、そのぐらいのめどでということでよろしくお願いいたします。
○遠藤委員 私、薬学の立場なのですけれども、抗がん剤を使って患者さんを治療する場合ですが、やはり多くの抗がん剤に副作用が出ますので、実際の診療に関しては、抗がん剤の副作用についても十分に説明をし、対応策についても説明をしながら使っているのですが、それでもやはり救命できない副作用が出てきますす。そういう問題があるので、その場合、どのような救済をするのかということがあります。
 それと、先ほど資料の説明をしていただいたときに感じたのですが、現行の救済制度の条件でもし救済するとしたら、どの領域のところが抗がん剤の対象になるのかなというのは、聞いていて思いました。そういうところも今後検討する必要があると思いました。
 それと、実際に治療していても、どの期間を救済の対象にするのかというところも考えなければいけないと思いました。余り具体的なお話はちょっとできなかったのですが、そのようなところを議論していけると少し先が見えてくるのかなと思いました。
○森嶌座長 ありがとうございました。
なお、今の遠藤先生のお話にもありましたけれども、今日の資料で足らないので、次回までにこういうものをもう少し用意してくれというのがございましたら、これも含めて御発言いただきたいと思います。
 それでは、北澤先生。
○北澤委員 私は、医師や薬剤師向けの雑誌の記者として、医学、医療について取材してきました。イレッサについては、以前に多少記事を書いたことがあり、また、厚生労働省で2005年に開かれたゲフィチニブ検討会の委員を務めた経験があります。とはいえ、あくまで医療を外から眺めてきたにすぎません。医薬品副作用被害救済制度では、当初から抗がん剤は対象外でした。今日も御説明のあった大臣談話によれば、抗がん剤は重い副作用を理解した上で使用せざるを得ないこと、副作用と死亡の因果関係の判定が難しいといった理由により、これまで除外されてきたという経緯があるとのことです。
 ですが、本来、薬というものは害より利益の方が大きいと予測できるからこそ使用されるのであり、一方で死亡とは害の程度が最も高いものです。したがって、薬の使用により患者が死亡するというような事態はできる限り避けなければならないと思いますし、抗がん剤もその例外ではないと思います。
 これから、この検討会でさまざまな議論がなされると思いますが、今の段階では、抗がん剤治療では副作用により死亡することがあるのはある程度仕方がないから救済制度は必要ないというのでも、抗がん剤治療では副作用により死亡することもあるから、それに備えて救済制度を用意しておくべきというのでもなく、抗がん剤治療でも、副作用による死亡はできる限り避けなければならないが、起こってしまったことに対しては、他の薬と同様に、救済制度で対応すべきではないかと考えています。
 とはいえ、抗がん剤の救済制度の実現にはさまざまな課題があることも確かです。この検討会で特に議論していただきたいこととして、私の方としては、次の5点を挙げさせていただきたいと思います。
 まず1番目が、抗がん剤の副作用と使用との因果関係について、誰が、どのように、またどの程度判定するのか、またできるのか。2番目が、抗がん剤が適正使用か不適正使用かを誰がどのように判定するか。3番目が、救済制度が導入されることが抗がん剤使用へのインセンティブにならないか。4番目が、あえて抗がん剤治療を選ばない患者との間で公平感が保たれる制度にするにはどうすればよいか。5番目が、申請事例の検討を次の健康被害を防ぐために活用するにはどうすればよいかという点です。
 事務局に対しては、検討会での議論の参考にするために、海外の同様の制度について報告していただきたいと思っています。また、この検討会の委員には製薬企業の方がいらしゃいませんけれども、これまで拠出金を企業が担当してきたという事情もあので、企業の方からも御意見を伺いたいと思っています。
 また、今日もたくさんの資料の御説明をいただいたのですけれども、限られた時間の中で議論を深めるために、資料を読み上げる形での説明は最小限にして、ディスカッションの時間をなるべく多くとってほしいと思っています。よろしくお願いします。
○森嶌座長 倉田先生、どうぞ。
○倉田委員 納得して医療を選ぶ会という医療市民団体の者です。医療の受け手、患者や家族の立場で検討会に参加させていただきます。私は、PMDAの救済業務委員会の委員でもあります。健康被害救済制度などを参考にしながら、この新しい救済制度というのを考えてみたいと思っています。
 今や、日本人の2人に1人ががんになり、その3割ががんで死亡するという、その数は年間30万とも言われています。他人事ではもう済まされない問題であるにもかかわらず、一般の人はどのように考えているのかと考えますと、がんの化学療法である抗がん剤の副作用については、知らないとか、知りたくもないとか、まだ知らないで済んでいる人もあり、知っておいた方がいいと思う人もあれば、絶対知るべきだと思っている、本当にさまざまな意見があると感じています。
 私が考慮すべき課題として考えたのは、がんの医療体制の整備ですが、医師と患者間の信頼関係の構築が必要だと思っています。まず、がんの薬物療法は専門医だけが行うべきなのでしょうか。日本臨床腫瘍学会も、もう10年ぐらいになると思いますが、今、会員も増えて、何人になっていらっしゃるか私はよくわかりませんが、そういう方たちだけにするべきなのでしょうか。
 2番目。薬物療法の専門知識、これは是非研修を重ねていただいて、全員の方がそれを勉強していってほしいと思います。
 それから副作用の頻度や重篤度ですが、副作用も、最小限になるための対策をしてほしいと思います。この抗がん剤を使うと、99%、骨髄抑制が出るというものもありますが、それを早く察知して、患者さんにもそれをわかってもらって、最小限にその副作用がおさまるようにしてほしいと思っています。
 それからインフォームド・コンセントの徹底ですが、これはムンテラが行われますけれども、医師だけではなく、ほかの看護師や薬剤師などが在籍するような体制を考えてほしいと思っています。言葉だけでなくて、テキストやパンフレットなどを利用して、このインフォームド・コンセントは徹底してほしいと思います。
 それから医療者や患者双方の情報の共有が必要だと思います。そして、治療の進捗や予後など、本当に理解を得られているのか、納得して治療を受けているのか、それは始終お互いにわかっていなければならないことだと思います。
それからもう一つ、最近、外来で化学療法を行いますが、外来で治療した後、家に帰って副作用が発現したときに、早期に発見できることと、それから、その後の対処の仕方で、どうやったら病院に早く連絡ができるだろうか、入院の手はずができるだろうか、そのようなことを考えていただきたいと思います。
 それには、医療者だけでなく、患者やその家族、また製薬会社やマスコミ、行政、すべてがもっと努力して改善してほしいと思います。
 それから2番目には、抗がん剤の副作用救済制度についてですが、がん自体が重篤であり、副作用による死亡か否か判定が困難になってきます。それは、調査は健康被害救済制度よりも煩雑になると思いますし、申請から支給、決定まで長期間になると思います。今、健康被害救済制度は大体8か月ぐらいまでになりますが、多分、この制度が始まったら、8か月ではおさまらないのではないかと思うのですが、それは病状の悪化による死亡なのか、それとも副作用なのかというのを知るために詳細な治療や看護の記録が必要になってくるからだと思います。
 制度の申請後は、外部専門家の意見の聴取や審議が行われますけれども、だからといって、行政上の救済制度であるから、一定程度蓋然性があれば救済の対象とするような判定が行われるべきか、それはもう一つ考えなければいけないと思っています。
 それから抗がん剤が単剤でなく、多剤併用の場合はどのように判断するのでしょうか。それから、あえて積極的な治療を選択しない緩和ケアとの間で不公平はないでしょうか。それから、がんが重篤で、予後の悪い患者に対し家族が必要以上に抗がん剤の治療を勧めるようなこと、そんなことがあってはいけないと思っています。そのような手だてが必要にならないでしょうか。
 それから最後に、抗がん剤を不適切に使用した医療者には、罰則が必要でしょうか。行政処分があるのでしょうかということです。
以上です。
○森嶌座長 それでは、齊藤先生。
○齊藤委員 一橋大学の齊藤です。今回の救済制度を考えていく上で、経済学的な側面から言うと、器が必ずしも大きな器ではなくて、製薬会社の社会的責任という形で支えられている、緩やかな責任の中でつくられた器であるということをある程度は前提としないといけないと思っています。その制度の中でリスクをどんどん引き受けていってしまうと、制度自体の維持可能性とかいう問題が出てくると思います。特に付加負担金は事後的に製薬会社の方での負担ということになりますので。
それと、今までお話があったように、副作用で、その後の帰結が死亡ということになりますと、引き受けているリスクも非常に大きくなります。死亡という場合、患者本人に対する経済的な救済ではなくて、患者家族になります。特にがんのような状況の中での死に対する救済というのを、亡くなった後の患者の家族の方に対して、経済的、金銭的なものだけなのかどうかということは、ちょっと考えてみないといけないと思っています。
それともう一つは、抗がん剤というのが先端医療の実践の場であるという側面はどうしても無視できないと思います。そうすると、先端医療にかかわらず、あらゆる技術革新の場がそうですけれども、ある程度のリスクというのをどのように社会が分担していくのかということの中で、この制度の中に全部を含めていくのがいいのかどうかということも考えないといけないと思います。
まとめてみますと、この制度の中であらゆる問題を引き受けて考えていくというよりも、先ほど御説明ありました抗がん剤使用に関する政策課題への取り組みということで4つ柱があって、がん医療体制の整備とか、医療品安全対策の強化で、その中にはいろんなリスクコミュニケーションやインフォームド・コンセントの議論、安全性向上の議論などがありますから、広くこうした側面も考えつつ、この中で、この救済制度がどこを拾っていけるのかというような発想で議論を進めていった方がいいと思います。
 以上です。
○森嶌座長 祖父江先生。
○祖父江委員 私、専門は、がんの疫学というものによっているのですけれども、先ほど事務局から報告のあった副作用報告等がすべて症例数何件とかいうような形で報告されていますけれども、重要なのは、背後にある分母ですね。薬剤がどれだけ使用されてこのような死亡事例が出てきたのか、抗がん剤によるものがそのうちどれだけだったのかということが重要だと思います。頻度で考えるということなのです。
こういう副作用救済制度に関しても、どの程度の副作用に関して、どの程度の頻度をこういう救済制度でカバーするのが適切なのかというところもやはり議論になるところだと思いますし、こうした分母になるようなデータをいかにして得ていくかというところも非常に重要なところだと思います。
 諸外国では、公的な薬剤の使用のデータベースがかなり充実してきていて、イギリス、フランス等ではそうしたものを使って研究等も行われているというところですので、我が国における薬剤の使用に関してどのような公的なデータベースが必要なのか、ナショナルレセプトデータベースというものもできてはきていますけれども、それがどのように使えるのかということも考えていきたいなと思います。
○森嶌座長 それでは、檀先生。
○檀委員 日本医科大学の檀ですが、私は、この検討会に参加している立場、先ほども申し上げましたが、1つは、血液内科の診療に携わっていて、血液内科というのはほとんどが造血器悪性腫瘍、がんの患者さんばかりなのですけれども、そういう立場と、それから医薬品の副作用の中には、特に抗がん剤の副作用としては、ほとんどすべての抗がん剤に共通した副作用が骨髄障害ですね。そういうこともあって、血液内科としての意見を述べる必要があるのではないかと思っています。
 それからもう一つの立場は、先ほど御説明がありましたけれども、現行の医薬品副作用被害救済制度、長いこと行われていますけれども、この制度の中の副作用感染等判定部会として判定にずっと長いこと携わってきておりますので、その2つの立場から意見が言えたらと思っています。
 現時点での意見としましては、先ほど説明していただいた資料2-4の検討の論点というのがありますけれども、この中で言いますと、最初の論点、「抗がん剤の副作用被害救済をどのように考えるか」ということと、もう一つは4番目、「関係者の行動にどのような影響を与えるか」というこの2点についてだけちょっと意見を言わせていただきますと、現在の医薬品副作用被害救済制度、これは非常にすぐれた制度であると思っています。適正に医薬品が使われたにもかかわらず、いろいろな副作用が出てきた患者さんの救済のためには、社会的な補償制度としては非常にいい制度だと思っていますが、幾つかの欠点もあると思います。
1つは、こういう制度があって、先ほどのグラフにもありましたように、救済される患者さんの数とか件数は右肩上がりにはなっていますけれども、医療全体からすると、この普及度がまだまだ低いということです。PRが足りないということが一つの問題だと思います。
 もう一つは、今回の検討会の課題である抗がん剤、これを対象に入れるかどうかということですけれども、こういう救済制度をずっとやっていますと、抗がん剤を対象に入れないのは極めて不公平であろうとずっと思っております。がんの患者さんは、がんと宣告された時点から、それ以外の一般の疾患に比べれば、精神的な苦しみといいますか、負担が非常に大きいわけで、そのようなその後の治療をずっと受けていくわけですけれども、更にその上に、こういう救済制度からは対象外であると、抗がん剤は対象外だから救済されませんというようなことであると、これは二重にがん患者さんにとっては非常に不公平でありますので、是非とも、今回の検討会をきっかけに、対象薬を抗がん剤というところにも広めていっていただきたいと私は思っています。
 それからもう一つは、4番目の論点ですけれども、「関係者の行動にどのような影響を与えるか」。この中の製薬企業ですね。先ほどちょっと御意見がありましたけれども、最近、御存じのとおり、日本の医薬品は、諸外国に比べると、新しく使われる新薬の登場は数年間ぐらい遅いわけですね。ドラッグ・ラグと言われていますけれども、そのような状況で、この間の、先ほどの資料にもありましたイレッサのような裁判の判決が出ますと、製薬会社は、あのような判決によって余計新薬の開発からは腰が引けてしまって、今まで以上に、日本のがん患者さんは、適正な、最先端のがん医療から取り残されていってしまう可能性があるように思います。そのメーカーの新薬への取り組みとか開発の取り組みを少しでも進めるためにといいますか、腰が引けないようにするためにも、このような、抗がん剤も救済制度があるというような制度をつくって、少なくともあのイレッサのような判決が出るようなことに対する抑止力になれば、製薬企業の方もより強く新薬の開発に取り組んでいけるのではないかと思います。
 そのようなことから、こういうがん、抗がん剤も含めた医薬品副作用の被害救済制度を新たにつくる必要があると、現時点では私はそのように思っております。
○森嶌座長 ありがとうございました。それでは、中田先生。
○中田委員 虎ノ門アクチュアリー事務所の中田でございます。
 私は、アクチュアリーという仕事柄、数字を見る機会が多いので、どうしてもそういう方に目がいくわけでございますけれども、そうした点から、要望を1つ、それから資料に関して質問を3つほどさせていただきたいと思います。
 まず要望ですが、ほとんどは、資料について資料出所が書かれているのですが、時々、資料の出所がない資料がありますので、資料出所をきっちり書いていただきたいということでございます。よりその資料について詳細に見たいとか、あるいは関連情報を見たいというようなことも出てくると思いますので、それをお願いしたいと思います。
 それから資料に関する質問ですが、資料2-1につきまして2点ほど質問させていただきたいと思います。
 1つは、14ページに被害救済制度の財政状況の推移というのが出ているのですが、その数字を見ますと、例えば平成15年度以降は、このグラフ上で見ますと、拠出金の額が常に給付金を上回っていると、大きく上回っているのですが、その差額、収支差というものを見ますと、マイナスになったり、プラスになっても非常に小さいプラスでしかなっていないということがありますので、これはどうしてかというのを御説明願えたらと思います。
 それから、ちょっと戻りまして12ページです。支給件数、どんどん増えてきているというのが出ているのですが、これは事務局にお伺いするのがいいのかどうかちょっとわかりませんが、この支給件数、あるいはこうした副作用の被害者の方々、この数が今後大きく増えていくものなのか、この図で見ますと、このまま増えていくと大変なことになるわけですけれども、それはどのように見込んだらいいか、その辺に御意見があれば教えていただきたいと思います。これは恐らく具体的な制度設計になった場合にはかなり大きなポイントになると思いますので、御意見があれば教えていただきたいと思います。
 それから3点目ですが、資料2-2の12ページに、「医薬品副作用/感染症症例報告数の経年変化」というのがあるわけでございますけれども、何で医薬品の副作用と感染症が一緒になって出てくるか、これがどうもよくわからないというのと、できればこれは分けて出していただかないと、中身わかりませんが、特に外国の関係は、感染症が非常に多いということも考えられるわけでございます。したがって、これはできれば分けて出していただきたいということ。なぜ一緒になったのかということ。
それから、具体的な質問は、企業報告(外国)というのはどういう意味なのかというのを教えていただきたいということでございます。
 先ほど申しましたが、ほとんどの資料については資料出所が書いてあるのに、これについては資料出所がないということですね。もしかすると難しい資料なのかもしれませんけれども、その質問3点、よろしくお願いいたします。
○森嶌座長 今の点で、お答えになりますか。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 まず、出所はなるべくきちんと書かせていただきたいと思います。
資料2-1の14ページで、折れ線グラフが2つ書いてあって、給付金と拠出金で、この差と、それから棒グラフで示されている収支差とはどういう関係かということではないかと思います。この折れ線グラフで書かれている給付金は毎年実際に支出する額ですけれども、実際の給付のうち年金の形で支給されるものが最近非常に増えてきていまして、収支差を計算するときには、実際に毎年支出した額だけではなくて、将来の年金給付を行うために必要な原資を、現時点で持っておかなければいけない額というのを計算しておりまして、責任準備金と機構では呼んでいますけれども、将来のために必要な額も計算した上で、実際の収入との間の収支差がこういった棒グラフで示されています。
 それから12ページの方のグラフで、最近、請求件数が増えているけれども今後どう見込んでいくのかというのは、非常に難しい、なかなか回答がないところですけれども、医薬品機構では5年ごとに財政再計算をやっておりまして、直近では平成19年度に行って、それを20年度から反映した形で勘案されています。拠出金率がそこで1,000分の0.3から0.35に上がっているというのはそういう意味ですけれども、19年度に検討された際には、それまでの請求の伸び方が高い伸びを示していますので、この伸びがある程度維持されるということが前提に計算されたということだったと思います。今、正確なところは持ち合わせませんが、大ざっぱに言えばそういうことです。
平成20年度以降の拠出金率を0.05引き上げていますが、これは将来に向かって更に請求件数が増えるだろうと。増えても、向こう5年間にわたって責任準備金が何とかぎりぎり保てるようにという観点から、拠出金率が設定されると理解しています。
○中田委員 今の点で、平成19年度に再計算されたというお話でしたけれども、ということは、5年ごとの再計算で、次は平成24年度ということですか。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 そうです。
○佐藤安全対策課安全使用推進室長 安全対策課でございます。
 資料2-2でございますけれども、12ページで御指摘いただいた部分でございます。「医薬品副作用/感染症症例報告数の経年変化」ということで、例えばこの赤い棒をごらんいただいたときに、この中には副作用報告と感染症報告、双方が入っている形になっております。中田委員御指摘の点で、ここを分けられないかということでございますけれども、分けることは可能でございますので、また資料を整備させていただきたいと思いますけれども、大体感染症の方は数百件もいかない程度で、数的に小さい数でございますので、国内報告、大体3万件あるうちのそのぐらいということで、今回まとめてグラフにさせていただいております。
 あと、企業報告というものがわかりにくいという御指摘でございますが、現在の副作用報告制度、これはあくまで医療現場において副作用におけるようないろいろな重篤な健康被害が発生しているかどうかということを医療関係者の方々等にモニターしていただいて報告していただく制度ですけれども、先生方が企業の担当者に話をされて、そこで企業は必ず法律上報告する義務があると。そういう企業経由で来る報告が企業報告と書かれているものであって、この黄色の医療関係者からの直接報告というのは、そういった企業を経由せずに、直接医療関係者の先生方が御報告いただく仕組みということで、そこは分けて記載させていただいているというものでございます。この辺、資料の趣旨がよくわかるように、少しまた資料の方は改善させていただきたいと思っております。
○中田委員 外国というのはどういうことですか。
○佐藤安全対策課安全使用推進室長 外国というのは、外国で販売されている医薬品と同じものを日本国内で販売する場合には、例えばアメリカとかヨーロッパとかで起こっている副作用について、その当該企業が、国内というか、厚生労働省の方に、外国で起こっている副作用報告も併せて報告をいただくという制度でございまして、それを外国報告とここでは書かせていただいております。
○中田委員 わかりました。
○森嶌座長 それでは、中村先生。
○中村委員 東京大学の中村です。
 このような検討会が開かれる背景としては、がん医療を取り巻く背景が大きく変わってきたということがあると思うのですけれども、それを前提に考えないと非常に議論が難しいと思います。恐らくそれぞれ思い浮かべているがん治療の内容が違うと、救済をどうするのかという考え方も違ってくると思います。全般的に言えば、救済する方がいいに決まっていると思うのですけれども、これまでの医薬品の副作用救済というのは、特定の医薬品に限られてきたと思うのですけれども、今回検討されるこの場というのは、抗がん剤という非常にブロードなものを対象にしているわけですね。10年前であれば、細胞毒を転用して抗がん剤に使っていたものが多かったので、多分、ある程度副作用を受忍してやらないといけないからという形で対象から除外されてきたと思うのですけれども、10年少し前から分子標的治療薬という概念が入ってきて、比較的副作用は軽微だと。でも、一部の患者さんには非常に重篤な副作用を示すようなものが出てきた。そういう薬の内容も背景として考えないと、一概に抗がん剤の副作用という言葉ではくくれないということを前提に置いて議論しないと議論が難しくなるのではないかと思います。
 それからもう一点は、今お配りしていただいた2-2によると、抗がん剤というのは余り治癒しなくて、死に至る疾病の人にだけ、ほかの治療法がない人に使うと書かれていますけれども、現実的には、手術の前にがんを縮小するために使ったり、あるいは術後に、がんがない状態で、再発を予防するために使われているというような状況もあるわけですから、必ずしもこの表にまとめられたような条件でない、一見、がんがない患者、あるいはがんがあっても非常に健康な患者さんに投与される機会というのが増えてきたわけで、必ずしも進行がんでも何もないという患者さんだけが対象ではないので、その条件によっても、多分考え方が変わってくると思います。進行がんの患者さんであっても、1回目のがん治療なのか、1つ失敗して、また次なのかでかなり条件が違ってくると思いますので、そういう患者さんの置かれた状況も考えないと、一概には言えないという難しさがあると思います。
 もう一点は、先ほどリスクとベネフィットということを言われましたけれども、あくまで今の抗がん剤の承認の仕方というのは、ある集団とある集団を比べて、あるいはある薬とある薬を1,000人ずつで比べて、リスクが増したのか、ベネフィットが増したのかという議論だと思うのですけれども、今や個別に、こういう例えば遺伝子を持った患者さん、あるいはこういう遺伝子を持ったがんに対してリスクがあるのかベネフィットがあるのかという議論に変わってきていますので、経済的な救済も大事ですけれども、救済の一番の方法というのは副作用を回避するということですから、それは別の場所で検討されるかもしれませんけれども、是非そういうことも考慮に入れていただきたいと思います。
 それからもう一つは、実際の現場として難しいのは、多分、適用外使用されているケースをどう考慮していくのかということで、それは関係者の行動にどのような影響を与えるかという観点ではちょっと慎重に議論しなければいけない論点だと思います。
 それから、恐らく個人輸入しているようなケースもあるので、その場合はどうなるのかという難しい観点もあると思います。
いずれにせよ、個別の薬剤と抗がん剤全体という観点ではかなり議論が違うと思いますし、先ほど祖父江先生が言われたように、それぞれの抗がん剤でどれぐらい使って、どれぐらいこのような形で副作用が出てきたというような数字が必要だと思いますので、我々のところ、今、バイオバンクの資料を集めていますので、参考程度ですけれども、少なくとも大ざっぱな分母は提供できると思いますので、それを利用していただければと思います。
 まだ言いたいことありますけれども、時間も迫っていますから、これぐらいにしておきます。
○森嶌座長 長谷川先生、どうぞ。
○長谷川委員 名古屋大学の長谷川です。
 この委員に推薦されて、明確な考え方というのはまだ現在のところできていません。実際の現場で治療している者として、いろんな現状についてお話しできればと思います。一医療人としては、これまで患者さんに治療してきて、決められたように治療しても起こってくる予期せぬ副作用で重大な障害が起きたときに、必ずしも現場の医療者の責任ではないと感じる反面、このような不確実にして起こってきたことについて、患者さんに何かしてあげることがあればいいなという思いはあります。もしこういう制度ができれば、医療者と、患者さんの間の関係というのは、案外もやもやとした形で終わっていたところがもう少しすっきりすると思います。
 ただ、いいことは何でもできるというわけではなくて、地球というものも限度があるように、資源も限度があるわけですので、新しい制度の創出がどれぐらい現実的なものかということは、恐らくこれからいろんな資料が出てくる中で検討をすべき課題であると思います。現在、製薬会社の拠出金で賄われているということですが、その額が増加すれば、最終的には国民への負担になってきます。薬価に反映され、医療費に反映され、国民に負担がかかっていくわけです。我々の次の世代に負担をかけてしまうということがありますので、その辺りをどのぐらい国民が許容できるかという実質的な検討が必要だろうと思います。
 次に、がん治療に携わる者としての実感をお話しいたします。資料2-2を見ていただきたいと思います。最初のページの抗がん剤の項目の有効性のところに腫瘍縮小効果というのがございます。抗がん剤A、肺がん、21%、抗がん剤B、肺がん23%。これは我々が日常使っている抗がん剤です。腫瘍縮小効果というのは大体3~4割です。すべての人に効くわけではありません。仮に患者さん全員に治療すると、例えば6か月か7か月の生存が平均12ヶ月ぐらいまで延びますが、あくまで平均値であり、あなたが効く集団に入るかどうかはわかりませんとご説明します。医療そのものが個人にとっては、不確実性の上に成り立っており、確率で医療が形成されていて、しかも、その中には未知の部分が多く存在することを理解する必要があるのではないかと思います。
 抗がん剤の副作用の発生リスクがどれぐらいかについてご説明いたします。その根拠となるのが、2002年に米国のNew England Journal of Medicineという大変有名な雑誌に報告されていますが、約1,000人の肺癌患者に、現在実際に使用している4種類の治療法を実施して比較する研究です。非常に状態のいい患者さんに抗がん剤を治療して、しかも癌治療専門家が非常にいい環境で治療して、大体2%の方が治療関連死で亡くなっています。正確には1,183人で19人亡くなっています。非常に理想的な治療状況であってもかなりの数の死亡はやはり抗がん剤治療にはつきまとうのだということを理解していただいて、その算定も含めて考えていく必要があると思います。今後、科学的なデータを検討しながら、実際我々が国として持っている財産として、どれぐらいのものを国民の皆さんが許容して、そこへ支出できるのかというところの落としどころがわかればいいかなと思います。
 以上でございます。
○森嶌座長 では、藤村先生。
○藤村委員 弁護士の藤村でございます。
 お話を聞いておりまして、私が一人、議論の前提となる事実関係について知識がないような気がして大変困っているのですけれども、私がわからないところというのは、がんの病理そして、イレッサも含めて抗がん剤が効くとか副作用が生ずるとかいうのが一体どういうことなのか。これを、言ってみれば、生理学的な面からこのように理解したらいいのですよということがわかれば、いろんなことを考える上で限界もわかるのではないかなという気がするものですから、是非それをどなたかに、こういうものを見て、このように理解すればいいのですよと教えていただきたい。
 それから、これも先ほど来皆さんが御指摘になっていることと関連するのですけれども、救済制度採否の問題というのは、結局は副作用被害を放置することが許されない違法な状態かどうかということに法的に言えばなるのではないかと思うのですね。そういう状態の放置が法的に一体どういうことなのかということをやはり個別具体的に検討しなければいけないのではないかなと思うのですね。
 そういう意味で、併せて、他の一般的な、社会的に弱者というのか、苦しんでいる人たちというか、本人の責めに帰すことのできない事情でそういう状態に置かれている人たちに対する救済とのバランスということもやはり考えなければいけないのではないかなという気がします。
 それからもう一つ、今後のヒアリング等であるのかもしれないですけれども、救済財源の拠出者の話を聞くという機会は是非設けていただきたい。我々は、一般論として、言葉は悪いのですけれども、製薬会社は健康の被害を及ぼしながら利益を得ていると、このようなことを平気で言う意見も耳にするわけですね。ですけれども、責任を持った議論をするためには、どのような安全検査の過程を経て薬剤ができているのか、その過程をきちんと我々が知見を持っておくということも必要ではないかなという気がするものですから、是非製薬会社の方にその辺のところの説明をする機会を設けていただきたいと思います。
 いろいろほかにも感ずるところはあるのですけれども、今日のところは以上にさせていただきます。
○森嶌座長 それでは、本田先生。
○本田委員 私は患者でもあるので、大変難しい問題で大変悩ましいなあと感じていますけれども、何点か疑問に思うことと意見を申し上げますと、まず、各委員がおっしゃっているのですけれども、私自身も、術後補助療法ならわかる場合も多いと思うのですけれども、進行末期がんの場合に、それが症状の悪化なのか副作用なのかというのはきっちりわかるものなのかということがまずわからないと思っていることと、さまざまな、特に進行している場合とかは、副作用どめとか症状を緩和するお薬、そういうものの中にはかなり厳しい副作用があるものもあると思いますけれども、そういうものをいろいろ併用しているけれども、これは抗がん剤のAというお薬の副作用なのだというのが特定できるものなのかということを是非教えてもらいたい。割合的にそういうことがわかるものなのでしょうかということが疑問に思っています。というのは、そういうものがわからない中でやるというのは、患者にとっては何か不公平な感じもしないではないという気持ちがあります。
 あと、ちょっと言葉が悪いかもしれないのですけれども、治る状態の人とか、治る病気というものと、残念ながら、このお薬をすることでも、1か月、数か月の延命効果しかないという状態の人、また進行がんの場合でも、程度によっていろいろあると思いますけれども、そういう場合に抗がん剤の副作用だと特定できるのだとしても、その補償の内容とか水準とかの決め方ってかなり難しいのではないかとちょっと感じています。条件によっていろいろ考え方が変わっていくのだろうなというのも、バランスをどうとっていくのかというのをとても疑問に思っています。
 あと、救済制度というのは、全体としては救済されることにこしたことはないとは私も思っているのですけれども、制度のあり方次第で、その関係者、特に患者ですね。患者というのは、今の患者だけでなくて、次世代の患者ということはみんな国民ということになると思うのですけれども、の本当にプラスになる場合と、救済制度ができてよかったと思っていながら、実はがん医療を受ける立場になったときにはマイナスになることもあるということがあるかと思います。
 私、患者としては一番そこの部分が関心事でもあるのですけれども、例えば、先ほど、こういう制度ができることで企業も安心できるのではないかという考え方があるという意見もありましたけれども、確かにそういう面もあると思うのですけれども、一方で、企業が、こんな薬はあるのかないのかわからないのですけれども、切れ味はいいけれどもリスクも高いというようなお薬は日本では上市したくないという考えに走らないのかとか、あと、拠出金が上がるという形でこれを賄うとすると、抗がん剤、それでなくても高いのですけれども、薬の値段が上がるということなのかなと。結局はそれは国民全体の負担で救済制度をするということなのかなと感じました。それをどう考えるかということがあると思います。
 あと、患者として一番不安に思っているのは、こういう制度が標準治療しかできない医療になるのではないかという、不安と言ったらちょっと言葉は悪いかもしれませんが、先ほどほかの委員も、何が適正使用で何が不適正使用かと言い切れるのかとおっしゃいましたけれども、私も本当にそう思っていて、がん治療は日々刻々と進化していると思います。その中で、例えば標準的にはこの2つの使い方が、今、国際的に認められているのだけれども、まだ標準とは言えないまでも、この組み合わせになると実はいいんだよね、もしくはこの用法にするともっと効果が上がっているんだよねというのが世界的にわかってきたような場合に、患者としてはできればそれを試したいと思います。お医者さんもそれをやってみたいと思ってくださる方もいます。それを臨床試験という形できっちりやれる体制が日本に整備されていればいいのですけれども、なかなか現実そうでない中で、厳密に言うと適用外使用になるようなことも臨床現場ではされているかと思います。そういうことをどう考えていくのか、治療の選択が狭められないかということも不安に思っています。
 ただ、いろいろ不安は申し上げましたけれども、こういうことがいろいろ納得できるような形であるならば、救済制度も対象になるということは、患者としてはプラスになるという形が納得できればそれはありがたいことだと思っていますが、救済制度だけではなくて、これも各委員がおっしゃっていましたけれども、がん医療体制というか、がん医療の環境整備でもっとしなければいけないことというのも、これに関連することがたくさんあると思いますので、それをやはり併せて考える必要があると思っていまして、私自身も実はがん対策推進協議会の委員でもありますので、そちらですべき議論というのも整理していく必要があるのではないかと思います。
 あと事務局にお願いしたいこととしては、これも繰り返しになりますが、諸外国ではどのように考えて、どのような仕組みを持っているのかというのを参考に是非提示していただきたい。
 もう一つは、私、途中で退席してしまったので、基本的なことで恐縮ですけれども、もう説明があったのかもしれませんが、これは抗がん剤のことだけを議論するのでしょうか。「抗がん剤等」というのは何ですかというのを教えてください。
○森嶌座長 その点だけ。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 これは今後の議論次第ですけれども、事務局としては、現行制度で除外医薬品と言うときに、大宗は抗がん剤ですけれども、それ以外に免疫抑制剤とかも同じような仕組みになっています。議論いただくときには、抗がん剤を念頭に置きつつ、それも頭に置いていただくとか、あるいは、新しい仕組みをつくるときには、免疫抑制剤とかほかの薬でも同じようなルールで多分やっていくということになるのではないかと思いますので、そういう気持ちがあるということです。
○森嶌座長 よろしいですか。
○本田委員 はい。
○森嶌座長 それでは、山口先生。
○山口委員 早稲田大学の山口と申します。
 先ほど檀先生からお話がありましたけれども、私も、医薬品副作用の救済の判定委員として現在もやっておりまして、それとの関連から少しお話をさせていただきたいと思うのですが、結論的に、私が考えていたのは、ただ、先ほどの本田委員のお話を聞いて、そこのところも少し考えなくてはいけないのかなとは思っていたところですけれども、この制度自体につきましては、抗がん剤であれ、この救済の制度といったものを、これをつくっていくという方向で考えていくべきではないかとは考えているところです。
 それは、勿論、救済という点もありますが、現在、通常の副作用被害救済といったものが果たしている役割、適正使用とか適正目的での、そういった医療の質の確保といった点、それにも貢献しているのではないか。そういった側面からあるのでと、そういったことがあります。
 ただ、では仮にそれをつくっていくという場合において、どのようにつくっていくのかということについてはやはりかなり議論していかなくてはいけないだろうと思っておりまして、一番簡単なのは、考え方として一番単純なのは、現行の制度の中に入れていくということだろうとは思います。
 ただし、るる御説明もありましたし、先生方からの御意見もありましたけれども、かなり現行の制度と違う部分といったものがあるだろうと。この危険の引き受けという部分も勿論そうですし、あと因果関係の判定といったものもかなり違うものになっていくだろうと思います。
 それから、この制度の役割という側面につきましても、先ほど申し上げた点にも少しかかわりますが、現行の副作用救済制度につきましては、この医薬品がこの副作用の原因薬剤であると特定されているという場合において、今後それにつきまして、それを使わないようにという部分での個々の情報を提供するという側面もあるだろうと思いますけれども、この抗がん剤について、これが副作用の原因であると特定できたとしても、今後も使わなければいけないという状況といったものはあり得るのだろうと思います。
 更にもう一つ非常に大きいのは、救済の基準ですね。給付の基準といったものが、これはやはりかなり大きく異なってくると考えざるを得ないのではないかなという感じがします。特に、この整理の中で示してくれたような、延命効果を期待するものというような場合につきましては、現行の救済制度の基準でやっていった場合においては、逆に、言い方悪いですけれども、利得をちょっと与えてしまうという、そのような側面すら出てきてしまうのではないかというような感じがいたします。ですので、その点についてはかなり考えていかなくてはいけないとは思うのですが、ただ、仮に給付水準を下げてというようなこと、例えばそのようなアイデアがあった場合においても、それでも救済をするということは、やはり納得といった点では非常に大事なのだろうと思います。
実際、現行の副作用被害救済制度についても、これはかなりの手厚い給付水準だとは思いますけれども、ただ、通常の裁判であるとか、あるいはほかの人身損害に関する基準といったもの、これは交通事故なんかの基準といったものが基本になっているというのが法律家の間での常識ということにはなっておりますけれども、それと比べてしまうとかなり低いという側面があろうかと思います。
 それでも、現行の制度がきちんと納得を得ながら進んでいるという側面があります。ですので、そういったことなども考えると、仮に給付水準を下げるとかそういったことなどでも、自分が救済されているという、その納得といったものをどのようにつくっていくのかという点で、違う枠組みで考えていくのか、あるいは同じ枠組みの中には入れるけれども違う判断方法をとっていくのかという、少なくとも現在と全く同じ方法だと少し難しいかなと考えますので、その違いといったものをきちんと把握した上で、それぞれが納得いく制度をつくっていくことが大事なのかなと考えております。
 以上です。
○森嶌座長 ありがとうございました。
ツーラウンドを考えていたのですけれども、ワンラウンドでほぼ時間がなくなりましたけれども、今までのお話の中で、1つは、先ほど本田委員の方から、抗がん剤等というのがあるけれども、等だけでなくて、中村委員の方からもありましたが、抗がん剤そのものは、私の昔の抗がん剤のイメージと今の抗がん剤と大分違いますし、これから対象を考えていく場合にも、抗がん剤というのはどういうものをこれから我々は議論するかというときに、副作用を考えるにしても、ここで何を議論しようかということで、是非この次までに、何が今日本で使われている抗がん剤で、副作用にしても何にしても何が問題になっているのかというその点の事実を是非整理しておいていただきたいと思いますし、それとの関係で、実際に、今の関係で、副作用とか、どのように投与されているのかということについての、先ほどこれは祖父江先生なんかの話もありましたけれども、どうも今日のデータにはありませんので、もしかして膨大な数であるとすれば、下手なものをつくると、それだけで救済制度が、ほかのものも含めて全部ぶっ倒れてしまうのかもしれませんし、そうでない場合には、かなり手厚いものをつくってもびくともしないかもしれませんし、その制度づくりをする場合に、どれぐらいの副作用があるのか、それから、そもそもそのもう一つ手前に一体日本で抗がん剤なるものはどれぐらい生産され使われているのかというデータも含めて、これはいろんな先生がおっしゃいましたけれども、これは、先ほど祖父江先生、イギリスにはあると言われましたけれども、多分日本には余りないのではないかと思いますが、先ほど、中村先生ですか、データ提供できるとおっしゃいましたが。
○中村委員 いわゆるバイオバンクに5万人くらいの抗がん剤患者のデータがあります。
○森嶌座長 ですから、日本国全体でなくても、ある程度制度づくりに見当のつくデータを是非何とか、少なくともいいかげんなものでぽんとつくったということでないようなものを是非整理していただきたいと思います。
 そのほか、皆さんの方からは、是非製薬会社にも聞いていただきたい、それからいずれ患者の方なんかの御意見も聞くことになると思いますけれども、少なくとも影響する側の御意見も、金を出していいか悪いかでなくて、どういうことが問題かということを聞くという意味で、これもいずれお手配をいただきたいと思います。
 そのほか、いろいろ御注文が出たと思いますけれども、私も幾つかメモしたのですが、時間的にあれですので、そちらでメモしておられると思いますが、今まで伺ったところでは一番その点が、今日のデータでは必ずしも十分ではないのではないかと思われますので、是非お願いいたしたいと思います。
 あと、それぞれの御意見がありましたけれども、この際言い残したのでという方がおられましたら、1人2分くらいでどうぞ。あと6分しかありませんけれども、どうぞ。
○中田委員 言い残したわけではないのですが、今、委員長が、抗がん剤とか副作用の整理をというお話をされて、それはそのとおりだと思いますが、私など素人風に見ると、抗がん剤が何百とか何千とか出てこられてもよくわかりませんので、その前に、先ほど藤村先生が、抗がん剤は効くというのはどういうことなのか、あるいは副作用というのはどういうことなのか知りたいというお話をされていましたけれども、私も同じように、そういったものを勉強するような機会を、これはこの委員会でやると大変なので、恐らく委員会とは別で結構だと思うのですが、そういう機会を少し考えていただけたらと思います。
 以上です。
○森嶌座長 それでは、私も含めて素人向けのレクチャーをお願いするかということ、これもお考えいただきたいと思います。ある程度知識水準を、一緒にするというわけにいかないかもしれませんけれども、少しでも近づけるためにということ、これもまたお考えいただきたいと思います。
 ほかに何か御発言ございましょうか。
○中村委員 現在の救済制度の前提は、「予期し得ない」という言葉が入っていますけれども、だんだん研究が進んで予期できるようになってきたけれども、それをやるには大変な環境になっているわけですね。この現行の救済制度の「予期し得ない」という言葉の定義もかなり変わってきていると思いますので、それを一回整理していただければと思います。
 それから副作用に関しては、恐らく薬理作用上の延長線上で出てくるような副作用と、それから全く作用機序とは別で起こる副作用、スチーブンス・ジョンソン症候群などがそうですけれども、そこも分けて整理する必要がいずれかの時点ではあると思いますので、またそれは改めてお話しさせていただきたいと思います。
○森嶌座長 ほかに御質問。なるべく今のうちに御質問出していただいた方がいいと思いますが。
 よろしいですか。
 それでは、事務局の方から何かございますか。
○横幕医薬品副作用被害対策室長 もう一つの資料に沿ってスケジュールについて御説明したいと思いますけれども、その前に、最後に座長からいただいた宿題を次回に向けて作業したいと思います。我々もほぼ同じような問題意識を持って、実は既に作業をしかけておりますけれども、なかなか難しいところがあって、悩ましいところが多いのです。今日いろんな先生方からヒントもいただいたので、そういったところも個別に御相談させていただきたいと思います。
 それから最後に中田委員がおっしゃっていた、効くとか、副作用がどういうことかというのは、できれば、事務局だけでなく、ここにいらっしゃる専門家の先生方からむしろ教えていただけるようなこともできたらと感じますので、それはそれでまた御相談させていただきたいと思います。
 外国のことも、現在調査中です。
 では、スケジュールを御説明させていただきます。
○坪井医薬品副作用被害対策室長補佐 今後のスケジュールですけれども、資料3をごらんいただければと思います。
6月27日、本日第1回目の検討会ですけれども、次回まで、第1回から第2回までの間に、本日も御議論いただいた、いわゆる論点、あるいは基礎的なデータの収集、そういうことをやって議論の材料を作成したいと考えております。
そうしまして、8月もしくは9月ごろに第2回の検討会を開催するということで、それ以降はおおむね月1回から2回くらいのペースで議論、そして、本日もお話ありましたけれども、関係者、特に製薬企業の方も含めて、ヒアリングということも含めて進めてまいりたいと考えております。そして、最後ですけれども、平成23年12月をめどにとりまとめを目指して御議論いただきたいと考えております。
 今後の主なスケジュールとしては以上でございます。
○森嶌座長 今日は第1回ということで、委員の皆様からいろいろと御意見をいただきまして、宿題を事務局の方に出して、なかなか大変だと思いますけれども、ひとつ第2回までに。できればなるべく早目に、全部一式ポンとでなくて結構ですから、徐々に出していただいて、その資料に対して何か御質問があればそれぞれにお答えいただくという形で、なるべく第2回目のときには皆さんそれぞれ準備ができるような状況で臨めるようにしていただきたいと思います。
 それでは、時間がぴったり終わる、それだけが座長の自慢になるわけではありませんけれども、ちょうど8時1分前ということでございますので、何か特に御発言ございましょうか。
 よろしゅうございますか。
 事務局、よろしいですか。
 それでは、長時間にわたりまして熱心に御議論いただき、ありがとうございました。次回の日程につきましては事務局の方で調整してからということでございますので、よろしくお願いいたします。どうも本日はありがとうございました。


(了)

<連絡先>
厚生労働省医薬食品局総務課
医薬品副作用被害対策室
TEL 03-5253-1111(内線2718)

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