ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 人材開発統括官が実施する検討会等> 中央訓練協議会> 第4回中央訓練協議会議事録




2011年7月6日 第4回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成23年7月6日(水)13:00~14:30



○場所

経済産業省別館 825会議室(8F)


○議事

○田畑職業能力開発局能力開発課長 定刻になりましたので、ただいまから第4回「中央訓練協議会」を開催させていただきます。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。私は、本協議会の事務局を担当しております、厚生労働省職業能力開発局能力開発課長の田畑です。よろしくお願いいたします。今回の協議会の議題に入る前に、構成員の変更についてご報告させていただきます。これまでの労使団体、教育訓練関係団体、政府関係者に加え、より幅広い視点からご議論いただく観点から、学識経験者にもご参画いただくことといたしまして、労働政策審議会職業能力開発分科会長であります今野浩一郎学習院大学教授に加わっていただくこととしております。
 また、議事を円滑に進めるため、中央訓練協議会開催要項を改正し、職業能力開発局長が、構成員に座長を依頼できることといたしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○田畑職業能力開発局能力開発課長 ご異議はないようですので、そのようにさせていただきます。また、本協議会より、今野教授に座長をお願いしたいと考えておりますが、この点もよろしいでしょうか。
(異議なし)
○田畑職業能力開発局能力開発課長 それでは、今野教授に座長をお願いするということで、ここからの進行は今野座長にお願いいたします。
○今野座長 ご指名をいただきましたので、議事進行役を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。本日の会議の出席者については、参考資料1に出席者名簿があります。お1人ずつご紹介するというのは時間がもったいないですので、この名簿で紹介に代えさせていただきます。本日は、日本商工会議所の関口部長が欠席です。議題に入る前に、小林厚生労働大臣政務官にご出席いただいておりますので、ご挨拶をお願いいたします。
○小林厚生労働大臣政務官 皆さんこんにちは。ご紹介いただきました、厚生労働大臣政務官の小林正夫です。平素、公共職業訓練、あるいは基金訓練をはじめとして、厚生労働行政に多大なるご貢献をいただき、またご協力をいただいていることを改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
 大変暑い日が続いております。まだ関東は梅雨明け宣言はありませんけれども、この大変厳しい折に多くの方にご参集いただき、このような会議ができたことを本当にうれしく思います。どうぞ、本日の会議が有意義で、これから求職者支援法をさらに充実していくために、いろいろお知恵をいただけますようお願いいたします。求職者支援法は、雇用保険制度と、生活保護制度との間に、第2のセーフティネットを作るのだ、これが日本にはないのだという思いで、私たちは野党時代から、この法案が必要だという訴えをさせていただいておりました。それが政権党になり、閣法という形で国会に法案を提出して、5月13日に全会派一致という形で成立できたことを大変うれしく思います。この法案が10月1日から施行されるわけですが、それまでの間に、是非多くの方のご意見をいただきながら、充実した制度としてスタートができるように、どうぞよろしくお願いいたします。
 この法案は、民主党政権となってから、初めての厚生労働関係の新法としての位置付けです。さらに労働関係の新法としては、平成19年の労働契約法以降4年ぶりの新法だということで、先ほど言いましたような思いもあり、今回こういう法律ができて、今日このように皆様に集まっていただき、会議を進めていただけることを本当にうれしく思います。特に、10月1日から開始するに当たって、求職者支援訓練が効果的になることが大変大事でありますので、訓練分野、規模、あるいは就職率の目標などの点について、実施計画案を皆様と共に作っていただき、より良い制度にしていきたいと思います。本日の会議をはじめとして、これからも皆様には大変お世話になりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。
○今野座長 ありがとうございました。本日の議題の「平成23年度における職業訓練実施計画(案)」を事務局から説明していただいてから議論をしたいと思います。なお、小林政務官は公務のため途中でご退席いたします。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○松本職業能力開発局総務課企画官 事務局の、職業能力開発局総務課企画官の松本です。どうぞよろしくお願いいたします。資料1「平成23年度における職業訓練実施計画(案)」についてご説明させていただきます。前回4月22日の中央訓練協議会で、平成23年度における職業訓練の実施方針を取りまとめていただいたところですが、その後、求職者支援法が成立し、緊急人材育成支援事業による職業訓練(基金訓練)の終期と、求職者支援法による認定を受けた職業訓練(求職者支援訓練)の始期が確定したことを踏まえ、その内容を改訂し、求職者支援法に基づく職業訓練実施計画としようというものです。
 1頁の1.「総説」は新設ではありますが、その内容は「実施方針」で、各項に分散していた事項を整理したものです。1.(1)「計画のねらい」は、求職者支援訓練、公共職業訓練等の実施に関し、重要な事項を定めるものであることを記載しております。(2)「計画期間」は、平成24年3月31日までとして、基金訓練は9月30日まで、求職者支援訓練は10月1日からという点を特に明記しております。(3)「計画の改定」では必要な場合には改定する旨を記載しております。
 1頁の下半分の2.「平成22年度における職業訓練をめぐる状況」について、追加・変更点が2点あります。1点目は、1頁の下から5行目から、求職者支援法の対象である特定求職者がどの程度の人数であるかという点を記載しております。2点目は、2頁の11行目から18行目までにかけて受講者数、また実績の指導の就職率の数値を更新しております。いずれも、平成22年の数値です。
 次は2頁から4頁までの記載ですが、3.「平成23年における職業訓練の実施方針」(1)「公共職業訓練」について変更はありません。3頁の(2)「緊急人材育成支援事業による職業訓練(基金訓練)」についても変更はありません。4頁の下から9行目から6頁まで続いていますが、(3)「求職者支援訓練」のところが、今回新設しようとする事項です。
4頁の下から6行目、平成23年度予算で見積もられている求職者支援訓練の受講者数は12万6,000人ですが、これに則して12万6,000人程度に訓練機会を提供するため、訓練認定規模を15万7,500人としております。この訓練認定規模の意義として、5頁の中段にある注1にあるように、訓練認定規模を超えては認定しない、いわゆる上限値であること。訓練認定規模を超える認定申請がある場合は、就職実績が良好なものから認定すること。これを原則として明記しております。
 戻りまして4頁の下から4行目から、労働政策審議会職業能力開発分科会で、求職者支援法に関してご報告をいただいた際、実践コースを中心とすることとされております。これを受けて、実践コースを求職者支援訓練全体の80%とすることとしております。具体的には5頁の4行目から、求職者支援訓練全体の15万7,500人の20%に当たる3万1,500人が基礎コース、同じく80%に当たる12万6,000人が実践コースという割振りになっております。さらに実践コースの内訳としての分野と分野別の規模については、年度途中ということもあり、4頁の5行目から、現行の基金訓練についての分野と分野別規模が、既に4月22日に策定した実施方針で示されているところですが、この分野と規模を踏襲しております。
 5頁の11行目からの2つ目のポツで、新規参入については5%から10%の範囲内で、都道府県ごとに策定する地域訓練実施計画で定める数値によることとしております。ここで地域訓練実施計画と申しましたが、同じく5頁の中段の注2をご覧ください。以上ここまで書いた内容は、全国での目標であり、今後速やかに都道府県単位で定める地域訓練実施計画では、地域訓練協議会での議論を踏まえ、地域の実情に応じて、全国の計画と異なる設定とすることを妨げるものではないということを入念的に明記しております。ただし、注2のイからハまでの3点については、制度の根幹にかかわり、また予算上の支障から、則っていただくことを条件としております。
 5頁の下から10行目、?の直前です。就職率の目標については、基礎コースを60%、実践コースを70%としております。5頁の下から8行目から6頁の中段までの?「訓練修了者に対する就職支援等の充実」です。基本的には、現行の基金訓練と同様の記載です。1点違っている点は、6頁の4行目から5行目にかけて、訓練機関が交付したジョブ・カードに関する記述が追加になっております。最後に6頁中段からの(4)「推進体制」の下から6行目、地域ジョブ・カード運営本部に関する記載を追加しております。そのほかは実施方針から変更はありません。以上が事務局からの資料の説明です。
○今野座長 ご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
○小林労働政策部長 実施計画について異論はないのですが、従来からこの中央訓練協議会が開催されて、国全体の方針が示されているところであります。ここにも書いてあるとおり、都道府県ごとに地域の訓練協議会が開催される形になっております。それで、また地域の訓練実施計画を定めています。いままで、この地域の訓練計画がまとめられて出されたことはないです。いままで基金事業でやられていた部分で、その基金事業の実施のほうが急がれているところがあったのだと思うのです。恒久措置としての求職者支援制度が今度できるわけですから、この求職者支援制度ができてからは、是非とも地域の実情についての実施計画をいただくのか、その概要でも結構ですのでお示しいただいて、国との整合性というわけではなくて、国全体としてどうだ、地域でどうだというようなことを確認しながら、国のほうの訓練計画を直すような仕組みを是非とも、とっていただければありがたいと思います。
 恒久措置で、今年の10月からずっと継続されるわけです。この1つの大きな狙いというのは、先ほど政務官が言われたように、就職に結び付けることが重要であります。第2のセーフティネットだけではなくて、就職に結び付けていくというのが大きな目的でもあります。国全体でも成長戦略があって、その分野の労働者を増やしていくという目的があるわけです。それぞれの県の、それぞれの地域に合わせた訓練計画を、それぞれの分野ごとに定めていただくとは思うのですが、国全体でも整合性を持って、その分野が的確なのかどうかも検証しながら、できればこの協議会の中で、実施計画をまた練り直すような形の材料を是非とも提供していただければありがたいと思います。これはお願いです。
○松本職業能力開発局総務課企画官 ご指摘のとおりかと存じます。求職者支援制度については、これが認定の上限値であり、現行の基金訓練の目標値とは大きく性格を異にすることもあります。また、地域の実情に応じて定められた地域計画が、結果としてどうなったのか。今後、国としてどうするのかという点も積上げ方式で見ることも非常に重要かと思います。次回以降は、地域計画の状況がどうであったか、またその実績はどうであったのか、という点もお示した上でご議論いただけるように準備いたしたいと思います。
○浦山理事・総務委員長 いまの質問と重複するかもしれません。5頁の就職率の6割と7割ですが、こういう数値を目指して、実施機関がより一層レベルアップしてやっていくということの意義についての理解はできると思います。同時に、求職者支援制度の対象となる方々は、どちらかというとこれまでの基金訓練もそうでしたが、円滑に社会に移行できないような局面もあって3か月、6か月の訓練で、高い実績を目標にすることはいいのですけれども、できないこともあり得るかもわからない。そういうときに、できなかったら、それは目標を達成していないのだからということで、竹を割ったようなことになるのではなくて、なぜできないかということも含め、例えば地元のハローワークはオーバーフローも甚だしい状況になっておりますので、実施訓練機関とより密接な、いろいろな協議を持ちながら、どうやったらこの6割、7割のところに到達する方法があるのかということも、極力協議させていただくような機会を持っていきながら、毎年毎年この目標値の適正化を検討していただくようにしていただくと大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○松本職業能力開発局総務課企画官 浦山委員のご指摘もそのとおりかと思います。地域訓練協議会で議論した上で、地域計画を策定する際に、訓練機関の方々のご意見もお伺いした上で定めます。あくまでもこれは認定の上限ですから、この数字をどうするか、また配分をどうするかという点もご議論いただくものと考えております。仮に事業の実績が出た段階で、この目標率が達成できなかった場合は、まさにご指摘のとおり、なぜ達成できなかったのかというところを検証して、次に達成するためにはどうすべきかという点を前向きな方向で検証するために用いたいと考えておりますので、おっしゃることは、そのとおりかと思います。
○高橋経済産業政策局産業人材政策担当参事官室長 5頁の注2のところで、地域訓練実施計画においては、イロハを除いて自由に作っていいということですが、そのうちのハの部分で新規参入枠を5%未満又は10%超としてはならないことと決められております。訓練の質をさらに上げていく観点から申し上げますと、職業訓練機関間の競争を促進するということも必要なのかと思い、新規参入枠を5%未満ではなくて、もっと上に上げなさいというところは結構だと思うのです。10%超としてはならないというふうに上限を決められている理由を教えてください。
○松本職業能力開発局総務課企画官 競争促進という観点が極めて重要という点は同意いたします。新規参入枠の位置付けというのは、純粋な新規参入だけではなくて、2回目、3回目であっても就職実績がまだ出ていない所も含めて、新規参入枠扱いとするわけです。
 その直前の注1との関係もありますが、新規参入枠以外は、就職実績が良いものから順番に認定していくということです。つまり、新規参入枠が多いと、就職実績が良い順というところの枠が小さくなるということです。新規参入の所と、実績を持っている所と、訓練として、どちらが結果を出しているかという点において差があるということです。訓練受講者にとっての安定性といいますか、期待可能性を高めるためには、実績のある所の枠を相当程度確保することが必要という考え方です。
○今野座長 いろいろご要望は出ましたけれども、内容についてはご異論がないようですので、この実施計画案をもって本協議会の取りまとめとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○今野座長 そのようにさせていただきます。今後、職業訓練実施計画を議論していただくことになりますので、本日は民間職業訓練関係団体の皆さんから、それぞれ取り組まれている内容についてご紹介をしていただき、それで議論をして、さらに今後の参考にしたいと考えております。まずは、浦山全国専修学校各種学校総連合会理事・総務委員長からお話をいただきます。続いて谷治社団法人全国産業人能力開発団体連合会専務理事・総務委員長からお話をいただきます。
○浦山理事・総務委員長 全国専修学校各種学校総連合会総務委員長の浦山です。よろしくお願いいたします。資料の2頁です。話の内容を3つの観点でいたします。1つは、専門学校制度の制度を含めた全体の規模の概要です。2つ目は、就職の状況・局面がどうなっているか。3つ目は、今どのようなそれぞれの分野の学科に学生たちが入学をしているのか。その3つの観点でお話をさせていただきます。
 3頁で、専門学校というのは、いろいろなことで私たちは一生懸命やっておりますが、なかなか社会には認知されていない局面にあります。昭和51年に専修学校制度が創設されました。現在は8分野の教育分野があります。右側の上にあるように、「専門士」という称号をいただくことになっていて、大学編入等をしております。この分野は、約2,951校です。「高度専門士」ということで4年制も持っていて、これが322校で503学科を持っております。これは大学院への編入資格が付与されます。下の表ですが、現在は高等学校卒業者の専門学校への進学率は15.9%、大学は47.8%、短期大学は6%です。いま現在学生数は、専門学校は56万4,000人強です。大学は約250万人強です。短大は14万9,000人ということです。ご参考にしていただければと思います。
 4頁には、先ほど申しました8つの教育分野でどういう学科があって、どういうことを学んでいるかというものです。この中身の細かいことについては後ほど見ていただければと思いますが、新成長分野に謳われている介護の分野、医療事務の分野、農業、環境、観光のそれぞれの分野がすべて網羅されております。
 5頁目以降は、どういう資格を、どの学校で主にやっているかということです。自動車整備士について、5頁の図を見ますと、専修学校が5分の4を占めている状況です。このようなことで6頁、7頁と順番に見ていただきますと、看護師のところは、いま大学や短大でも設置学科は増えておりますが、専門学校が4分の3近くを取っている状況です。医療のリハビリテーションの分野も見ていただきますと、同様に4分の3ぐらいが専門学校です。このようなことで、各分野でどのような資格を、専門学校が取るような段階になっているかということです。
 そういう資格を持っていると、どのような就職の進路になるかということが11頁です。資格を取得して卒業する学生がほとんどですので、専門的や技術的職業従事者の割合が多いのだということがご覧いただけます。上から4番目は医療の分野です。ここの専門的・技術的職業の従事者が96.3%となっております。これは看護師、放射線技士、臨床検査技士、工学技士、理学作業療法士、歯科衛生士といった類のところを、専門学校の卒業生が担っているということです。
 もう1つ割合の大きいところは教育・社会福祉のところです。ここも保育士、幼稚園教諭、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士というような新成長分野のところにも、極めて重視されている分野のところで頑張っているということを、見ていただければと思います。
 次は就職に関係したことで12頁です。資格とか知識を持って、どのような業種にいるのだろうかということです。ブルーのところが専門学校の卒業生です。いちばん多いところは、左側の16番の医療、福祉のところは先ほど申しましたような分野で頑張っております。上から9行目の卸売業、小売業、それから学術研究、専門・技術サービス業のところです。これはどのような分野かというと、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士、税理士という分野にも最近は出ております。そういうところで活躍をしているということです。
 全体的に就職率はどうだったのだろうかということが13頁にあります。これは一言で言うと、上に赤で書いてありますように、大変だったときもありますけれども74.3%ということで、悪くても7割を下回ったことはないということで、ほかの学校種との比較も見ていただけるようになっておりますので、ご参考までに見ていただければと思います。
 項目の3つ目は、最近どのような分野に学生たちが入学しているかということです。専門学校もご多分に漏れず少子化の影響を受け、平成15年度からは減少ぎみになったということですが、昨年度はやっと7年ぶりに増加いたしました。真ん中の表は入学者数で、上の赤の部分が平成22年度、下のブルーの部分が平成21年度ということで、8つの分野において入学者が前年度よりも上回って入学したということが見て取れます。
 15頁では、どういう分野が多いのかということです。具体的には学科数を上から順番に見ていただくと上位20位までありますが、やはり看護が学科数としても多くなっています。情報処理、ファッション、理学・作業療法、美容師などもそうですが、12番目は介護福祉があります。学科数が多いのは、いちばん左側の上位20位ということで、その次の右側のところは入学者です。入学者は上から看護、美容、情報処理という分野になっています。学生数も、いまは看護の分野、理学・作業療法士がいちばん多くなっています。美容がその次になっています。順番にそのような傾向を参考までに見ていただければと思います。
 1学科当たりの平均学生数はいちばん右側の表にありますので、参考にしていただければと思います。わかりにくい点もあったかと思いますが、ご参考になればと思います。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。次に谷治さんからお願いいたします。
○谷治専務理事・総務委員長 資料3「民需による教育訓練サービスの現状について」説明します。1頁では、民間の教育訓練事業者がどのようなジャンルの講座を開講しているかということです。いちばん多いのが会計・法律関係で39%、建設・不動産関係が16%、語学の17%、医療・福祉の7%、ITが15%という形で開講されているのが実態です。
 その下に細かい表がありますが、これは2頁にグラフになっています。平均どのぐらいの時間をかけて教育しているのかといった時間の考え方です。IT関連は大体155時間、ファッションは138時間、医療・福祉関係は45時間、会計・法律は212時間、建築関係は153時間、語学は99時間、保育は88時間です。修了生は、通信、通学、Webとかいろいろあるわけですが通学だけ抜き出した数です。医療・福祉関係が5万9,000人、会計・法律が3万5,000人、語学が2万人という形で、医療・福祉に希望者が集まっています。1講座当たり平均いくらぐらいのお金をかけて勉強しているのかというと、IT関連が42万円、語学が43万円、医療・福祉が12万円、会計が24万円、保育が26万円、平均して約34万円ぐらいで1講座当たりを修了しているというのが、民間の教育事業者の金額になります。
 3頁は、1時間当たり平均いくらぐらいのお金をかけているのかということです。IT関連では1時間当たり2,700円ぐらい、会計・法律では1,100円ぐらい、保育では2,900円ぐらい、平均では1時間当たり大体2,900円ぐらいで勉強の単価が設定されています。
 本日のテーマにもありますように、これからどのようなものを研修していったらいいか、どういうものを身に付けたらいいかという今後の予想です。社会的背景から考え、超高齢化社会という分野では、やはり医療・福祉関係で、医療事務とかホームヘルパー講座。少子化という部分から考えていくと、保育士、ベビーシッター、チャイルドマインダー。グローバル化、その他では語学関係。IT関連の急速化の部分では、Webとかその他新講座。これからは海外の観光客を増やしていくことになるでしょうから、そうなると通訳、ツアーコンダクター。環境に対して、エネルギーに対してということになると、スカイフロントコーディネーター、例えば屋上の緑化であるとか、太陽光パネルを設置するための太陽光設計士であるとか、環境に対応する新しい講座を開発し、それを学習していくことが雇用のニーズに相当つながってくるのではないか。もう1つはキャリアコンサルティングをもう少し拡充させていくことにより、雇用率の促進を図っていくことが今後ニーズが高まるであろうと思われるジャンルです。
 最後に、学習方法の多様化ということです。通学という部分ではかなりお金がかかりますので、通信であるとかeラーニングの併用ということを考えていくと、非常に低コストで多くの方に勉強してもらえるような機会の提供もできるのではなかろうかということで参考までに書いております。以上です。
○今野座長 ありがとうございました。ご質問がありましたらお願いいたします。私から質問させていただきます。谷治さんの資料3で2つお聞きします。1つは、こちらの連合会は民間の職業訓練会社はいっぱいあるわけですけれども、会員企業はどの程度あって、それが民間の教育訓練の会社の中で大体どのぐらいのシェアを占めているというようなことはわかるのですか。
○谷治専務理事・総務委員長 加入団体は、いちばん最後の頁に書いてあります。
○今野座長 いちばん最後の頁のが全部ですか。
○谷治専務理事・総務委員長 そうです。業界全体のどの辺まで、例えば幼児教育辺りまで含めた訓練で考えるのか、社会人を対象としたところの訓練で考えるのかで比率は、だいぶ変わってきてしまうのかなと。ここは産業人を対象とした訓練を中心にしている事業者団体と考えてもらえればいいと思います。
○今野座長 そうすると、お客様は在職者と考えればいいですか。
○谷治専務理事・総務委員長 これから転職をしたいとか、これから就職したいとか、いまは働いているけれども、将来のために勉強しておこうという人。あるいは会社の中で働いていて、いまの職場でこの知識が必要だという人になります。
○今野座長 本日ご紹介いただいた調査では、お客様の特性のデータは取っていないのですね。
○谷治専務理事・総務委員長 本日の資料では、そこまでは取れていません。
○高橋経済産業政策局産業人材政策担当参事官室長 厚生労働省におかれては、ジョブ・カードによって、研修を受けられた方がどのような能力を持っているのかを把握するための制度がありますが、それと併せて、政府全体としては、いま内閣府を中心にして、実践キャリアアップ制度が考えられております。その中で、まさに今後の将来ある産業として医療・介護分野と、エネルギー・環境分野、もう1つ六次産業分野が位置付けられております。
 ちょっと離れるかもしれませんが、震災のあった東北地方の農林水産業というのは非常にやっていたところが打撃を受けてしまった。今後の復興という観点からも、農林水産業の復興が必要なのではないかと考えられるところです。ここの部分は農水省の事項ですが、このようなところにおいて、世界へ向けても今後農林水産物資を日本からどんどん輸出していく。放射能の問題で、風評被害等々もあって打撃を受けているところですが、日本の農林水産業の復興というのは、今後輸出なども含めてキーになっていくのかと考えられます。
 そのような中で、先ほどのご説明の中で見ていると、どうしても専門学校で農業分野に入る方が、ほかの分野に比べると若干少ない。また民需における教育訓練サービスにおいても、現在のところ、農林水産分野の教育的なところが目立っていないのです。農林水産分野における人材育成、又はより農林水産業の経営の活性化といった観点もあろうかと思いますが、その辺りについてはどのように見ているのか、また今後人材を育成していこうというようなニーズといいますか、そういうものがあるのかどうなのかということについて、もしご知見がありましたらお聞かせください。
○浦山理事・総務委員長 農業・水産についてはご指摘のように、いま入学者の正式な数は手元に持っておりませんが、ほかの分野に比べて圧倒的に少ないということです。最近は、新しく農業に伴なう分野を学科として開設する専門学校も全国的には少しずつ増えてきています。特に農業そのものの生産ということと、それをどのように加工していくかというところも併せた学科として、少しずつ増えてきているということが見えてきているということなのだろうと思います。
○谷治専務理事・総務委員長 当連合会のほうでは、いまお話を伺っていて非常に重要な分野であるし、これから、かなり大きく発展させていかなければいけない分野だと思っております。当連合会としては、この方面にかかわる人材育成に対して、どういう対応をしていくべきか、連合会の中で十分検討し、また企画していきたいと思っております。
○今野座長 先ほどの資料を見ていると、民間の場合だったら、大体1時間当たり3,000円取らなければペイしないというような、時間単価のデータがありましたけれども、大体そんな感じでしょうか。
○谷治専務理事・総務委員長 学科とか中身にもよってくると思うのですが、なるべく短い期間で、受講生の費用負担を少なくするような方法は何かというところで、各社とも設定していると思います。
○今野座長 私立大学の文系というのは、1時間当たり4,000円ぐらいでやっていますので、もう少し高くしてもらわないと。
○谷治専務理事・総務委員長 そうですか。
○今野座長 たぶん、専門学校はもう少し高いかもしれません。
○浦山理事・総務委員長 いいえ、そんなものです。塾のほうが高いです。
○今野座長 専門学校についてお聞きしたいのは、これまでは基金訓練、今回の就業者支援制度もそうですけれども、その前だったら公的な委託訓練があります。それは、専門学校全体の中でどういうポジションを占めてきているのかということはどうなのですか。
○浦山理事・総務委員長 ポジションとしては、極めて重要な位置付けで全体ではやっています。同時にいろいろな課題も出てきています。例えば、すべてが入札になってきています。一言で言えば「安かろう、悪かろう」的なものに私たちはそこまで行けないので、その辺をしっかり見据えながら、やっていっているということです。最近は、ほかがかなり安いので入札では取れないという問題があります。
○今野座長 民間のほうはいかがですか。
○谷治専務理事・総務委員長 入札ということですか。
○今野座長 入札というか、いまでしたら委託訓練は、変な言い方をすると商売の中に上手に組み込むとか、基金訓練を上手に組み込むとか。
○谷治専務理事・総務委員長 ポジションとしては極めて重要な事業として取り組んでいます。入札については空教室であるとか、講師のローテーションをうまく効率化していく等考えていけば、ある程度のことで入札もできていけるのかと思っています。
○圓入生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室長 専門学校を担当している文科省です。こういった求職者支援制度を恒久化するということで、今後どういう位置付けになっていくかということです。現状としては浦山委員からご説明がありましたように、専修学校であれば修業年限1年以上ということで教育カリキュラムを提供しておりますので、実際はその中で付帯事業として、専門学校では3か月、6か月のコースに取り組んでいただいているものがあります。せっかくこういう制度がスタートするということでありますので、文科省の課題としては、3か月から6か月の中で実施していただいたものを、例えばもう少し国家資格を取っていきたいというときに、国家資格は2年、4年という課程が求められますので、その中にきちんとカリキュラムとして、認定できるような制度改正について検討する予定です。
 経済産業省さんからご指摘のあった農業については、浦山委員の資料の12頁の下のほうの?として書いてありますけれども、専門学校だけではなくて、専門高校レベルでも、かなり輩出している状況があります。ただ、私どもの問題意識としては、これまでの教育内容に加えて、6次化に移行するに当たって必要な部分を、例えば専門学校だけではなくて、大学あるいは専門高校などで、ほかの学校種と一緒にカリキュラムを組んでいけないかということがあって、本年度はそういう枠組みを作るための支援事業に取り組ませていただこうと思っております。
 専門学校については、少ないですが、昨年度の事業の中から、6次化に向けた、先ほど浦山先生がおっしゃっておられましたような、新しい学科が今年度からスタートしている状況です。
○藤本大臣官房参事官(兼経営局) 農業の関係ですけれども、いま6次産業化の話が出ましたが、専門学校との関係でいうと、農業の分野では県農大が各県にあります。短期大学的な位置付けになろうかと思いますが、農業高校からさらに実践的な農業を学ぶ場です。全国に40校ぐらいありますけれども、それが順次専修学校の形式を取らせていただいて、専門士を取れるような形で進んでいて、そのような取組も農業分野ではやっております。
 一方、6次産業化ということになってきますと、県農大のほうは、出れば即就農するという形での就農者を育成するのが中心になってきますけれども、6次産業化になってきますと、いわゆるアグリビジネスといいますか、経営あるいはいろいろな商法の関係、流通の関係のノウハウ、あるいは経営意識を持った人材教育が求められているということなのだろうと思います。
 そういう意味で、県農大の分野でもそういうことをやろうとしていますけれども、専門学校のほうで、そういう所の人材教育に、さらにご協力いただけると我々も助かります。先ほどいろいろな所との連携、地域との連携の取組というのもありましたが、我々もそういう形を一生懸命やっていきたいと思っております。そういうところでご協力いただければありがたいと思っています。
 それからご質問なのですが、13頁の表で、就職率に関して専門学校はずうっと7割を切ったことがないということで、高い安定した就職率を確保しているわけですが、ほかの教育機関と比べて、どういうところにこういう強みといいますか、実績があるとご自身、皆様方のほうでは評価されているのかというのを教えていただけますか。
○浦山理事・総務委員長 決してほかの学校種と比べて優位だという観点では毛頭ないのですが、極めて地元地域に密着した学生たちもそうですし、学科もその地域に密着した分野がありますので、地元への就職が極めて高いのです。ほかの大学等々は、出身県もいろいろありますので、その辺で就職の機会を失ってしまう場合もあります。日ごろから地元の企業、商工会議所などとの連携も密にしています。学生たちもそうですが、教職員の日ごろの業務の極めて重要なところに、企業との密接な関係を常に持っているということもあります。それに伴って、学生が入学してきた段階で、すぐ就職というところの意識付けをどのようにしていくかというところで、少しずつ就職率を保っていっていることになるのかということだろうと思います。
○藤本大臣官房参事官(兼経営局) 日ごろから就職先と学生との間でコンタクトが取れるような雰囲気とか、場面とか、そういうことが普通の教育機関より圧倒的に準備されているというようなこともあるのでしょうか。
○浦山理事・総務委員長 横に大学の先生がおられるので、ほかの教育機関でもやっているということは申し上げませんが、極めてその辺は重視しながら日々やっておりますので、地域の企業との連携は各県においてやっているのではないかと思います。そういったものが、おそらくつながっているのかと思います。
○桑田大臣官房審議官(職業能力開発担当) 先ほどから、キャリア段位の話等々も出ており、また、文科省のほうから資格との関係も言及されましたので、それに関連してコメントさせていただきます。先ほどご指摘がありましたように、キャリア段位で具体的に介護セクターというのが有力なものとして検討されているところです。これについて、キャリア段位の介護の分野でのエントリーレベルについて、キャリア段位の中で認定されれば、一種外部労働市場で通用するような格付けになるような話です。
 それについては、現行の基金訓練の世界であっても、3か月ぐらいの基金訓練を介護分野でやっていただいて、それでホームヘルパー2級という仕組みになっております。これが、求職者支援制度に基づく訓練において、例えば3か月で2級ヘルパーということになってくるのではないかと思いますが、そうなれば2級ヘルパー的なコンピテンシーを、キャリア段位の中のエントリーレベルに位置付けることになれば、求職者支援訓練の3か月の介護のコースが、キャリア段位のエントリーに位置付けられるということで、その辺の政府の動きとも関連してくるということで、我々も問題意識を持っています。
 そういう観点でいうと、確かに悩ましいと思っているのは6次産業化人材についてです。6次化の場合、いまの介護のようなエントリーレベルの訓練を念頭において考えた場合、6次化のエントリーレベルというのが求職者支援訓練などとどうすり合うかというイメージが、なかなかつかめないのです。先ほどおっしゃったように、専門学校で、農業分野のトレーニングを受けて、六次産業化人材を育てるというよりも加工業だとか、外食産業だとか、そういう部分での研修の結果、六次産業化人材が育つということなのでしょうか。
○今野座長 その点についてですが、ここにはキャリア段位をやっている人がいないのです。
○圓入生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室長 専門学校を担当させていただいている立場で持っているイメージですが、いくつかいろいろな分野がありますので6次化に限って申し上げます。専門学校は地元と密着して教育内容が提供できるかどうかが、非常に大きな鍵になると思います。資格というよりは、地域の方の、例えば農業関係者のご意見をお伺いしながら、もともと専門学校で得意な分野としてビジネス系などもありますので、実習先を農業関係の方にご提供いただきながら、ビジネス関係を農業向けにシフトしたような学科を作っていけるという話がでてきております。
 他の学校種に比べると、インターンシップというよりは、もともと本格的な実習時間というものが5、6割を占めますので、6次化の関係でもそのような学科を作っていくことを目指しているというのが1つです。
 また、1つの学校で、そういう学科が作れない所については、より基礎的な・理論的なところを大学に提供していただいて、実践的な実習の場は、実際の農業の関係者からご提供いただいて、加工業・流通というところを専門学校が担うということで、何者か複数の方で1つのカリキュラムを作るというのを、いま長期的な視点で目指しております。そういうことを、今年度も来年度もやりたいという話を、担当者と文科省の中で相談させていただいております。いずれ農水省や関係省庁の方々にもご相談させていただきたいと考えております。
○今野座長 何か追加はありますか。
○藤本大臣官房参事官(兼経営局) 6次産業化との関係では、いずれにしても純粋に農業技術の問題以外に経営、そういう意味では正しい経理とかから始まって、新分野とどのように融合させることによって、新しい価値を見出すか、昔から言われている消費者基点の発想からの、消費者が求める食の安全とか安心に呼応するようなものをいかに結び付けるかという発想。そういう形でマネジメントとか、流通サービスとか、いろいろな分野を勉強しながらというのが、1つあるのだろうと思います。
 私も必ずしも詳しいことをいま把握しているわけではないのですけれども、いずれにしても、関係省庁とその辺を詰めていっているということです。そういうことで、いろいろな要素をはめ込むような形になっていくのかと考えております。
○桑田大臣官房審議官(職業能力開発担当) 専門学校の分野ごとのリストがありますが、これで見ると農業セクターのウエイトは小さいですけれども、いまのような構図を考えると、農業セクターの専門学校の学科というよりは、農業従事者が、例えば工業だとか商業実務といった所を受けることによって、農業従事者がより6次化に向けての能力を蓄積していくことも大いにあり得るので、そういう意味では、専門学校としても随分貢献の余地があり得ると考えていいわけですよね。
○圓入生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室長 はい、そうです。
○藤本大臣官房参事官(兼経営局) 先ほど文科省がおっしゃられたのは、こういうことなのかなという私の勝手な理解でいうと、経産省とか、文科省とか、うちなども、かかわってやっていくことも考えていきたいと思うのですが、いずれにしても地域において、いろいろな学校分野、教育機関が連携して学際的なところを学べるような機会、あるいは場みたいな所を提供するような動きがあります。そういう意味では、専修学校だけで、いま言われたようなことを学ぶというのではなくて、学生のほうが、あるいは学びたい者のほうが、そういう所でそれぞれを利用してキャリアアップしていくとか、知識を付けていくというようなやり方も既に起こりつつあるみたいなところがあるのだろうと思います。
○今野座長 大学などにいると、なんとなく思うのだけれども、そういう仕組みがうまくいくためのすごい重要な条件は、強力なディレクターがいることですね。これが仕切れるかのポイントです。やはり、みんなで集まるとなかなか進まないです。それぞれみんな仕事を持っているからね。余計なことを言いました。専門学校で農業関係をやるといったら、実習場がないから大変ですよね。自分で農場を持ったら大変ですよね。
○浦山理事・総務委員長 農場ではないのですが、温室などを持ってやっております。先ほどの話ですけれども、例えばビジネス分野では、いろいろな能力検定的なこともやってきているわけです。一口に簿記ということではなくて、農業分野の簿記・財務と、ほかの分野の簿記・財務というようなことも少しずつ分けながら、果たしてそういう分野は、どのようなマネジメントが必要なのかというところも少しずつ始めているところです。
○今野座長 本日は、最後に情報提供もしていただきましたので、これから議論をするときに何かの参考にしていただければと思います。予定では1時間半ということになっておりますが、本日の中央訓練協議会はこれで終了させていただきます。次回の開催については、別途事務局から連絡をさせていただきます。ありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

職業能力開発局能力開発課 企画調整係: 03(5253)1111 内線(5924)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 人材開発統括官が実施する検討会等> 中央訓練協議会> 第4回中央訓練協議会議事録

ページの先頭へ戻る