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2011年6月14日 第5回がん研究専門委員会議事録
健康局総務課がん対策推進室
○日時
平成23年6月14日(火)14:00~17:00
○場所
厚生労働省 9階 省議室 (東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館)
○議題
1 公衆衛生・政策研究分野における論点整理
2 がん領域における臨床研究のあり方について
3 その他
○議事
出席委員:野田委員長、大津委員、祖父江委員、直江委員、中西委員、平岡委員、松原委員、間野委員
○鈴木がん対策推進室長 それでは、定刻より若干早いですが、委員の皆様方にお集まりいただきましたので、ただいまより第5回がん対策推進協議会がん研究専門委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局のがん対策推進室長、鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
本日の出欠状況でございますが、がん研究専門委員会の委員定数8名に対しまして、本日は8名の委員全員に出席いただいているところでございます。したがいまして、議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。
それでは、以後の進行につきまして、野田委員長にお願いいたします。委員長、よろしくお願いいたします。
○野田委員長 室長、ありがとうございます。本日は第5回ですが、第3回までは基礎研究や橋渡し研究の在り方について、前回の第4回が疫学研究、政策研究の在り方について重点的に議論をいたしました。本日は、前回の疫学研究、政策研究の在り方についての論点整理を、前回ディスカッションをリードしていただいた祖父江先生に作成していただきましたので、それをまず議論して、その後で次のセッションに移って臨床研究の在り方について議論をしたいと思います。
まず初めに、事務局より資料の確認等よろしくお願いいたします。
○鈴木がん対策推進室長 それでは、資料の確認をさせていただきます。なお、以上をもちまして撮影を終了し、カメラを収めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
資料でございますが、第5回がん対策推進協議会がん研究専門委員会議事次第が1枚もの。それから、資料1が名簿、以下資料2~5までつけさせていただいております。
また、追加資料といたしまして、本日カラー刷りでございますが、中西委員から「がん医療の向上と臨床試験」という横のポンチ絵のものが配られております。
そのほか、机上配付資料といたしまして、『平成21年度科学技術総合研究委託「健康研究推進における基盤整備のための疫学研究の実態に関する調査研究」報告書』を祖父江委員提出資料としてつけさせていただいております。
以上、資料の過不足等がございましたら、事務局にお申し出いただきたいと思います。
○野田委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、最初の議事、祖父江先生につくっていただきました公衆衛生の政策研究の在り方についての議論の一次取りまとめを行いたいと思います。もう一回前に戻りますが、基本的には議論した内容を現状と課題ごとに、どのような施策と目標が今後新たながん対策基本計画においては必要と考えるかというものが整理されています。これが大きな取りまとめとなって、更にこれをもう少しブラッシュアップいたしますが、大きな取りまとめになり、それを基にして、がん対策基本計画に書き込まれるべき部分を更にまとめるというステップになりますが、今回は第1回の大きな取りまとめの中で、祖父江先生にこの間の議論を中心に結果を取りまとめていただきました。したがって、細かいところや順番などはこれからも動きますが、事実誤認があるんじゃないかとか、あるいはこれが抜けているんじゃないか、この間のディスカッションのとき、こういう重要な部分が出たけれども、抜けているんじゃないかというようなところを中心に指摘していただくということで、また祖父江先生から説明していただき議論するという流れでやりたいと思います。
それでは、祖父江委員、よろしくお願いいたします。
○祖父江委員 前回は貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。公衆衛生、政策研究に関しての第1段階の取りまとめということで御報告させていただきます。
お手元の資料2ですが、前回の対応策と前回の議論に基づいて一度整理し直したものです。タイトルが少しずつ変わっていて、前回は課題と問題点とか対応策と書いていましたけれども、取りまとめの方法のところに現状と課題を取りまとめ、それに対する施策と目標と書きましたので、それに従って多少変更しています。
それから、枠組みはほとんど変わっていませんが、「法制度・指針」からいきますけれども、指針にガイドラインと書いていましたが、ガイドラインだと診療ガイドラインとちょっと意味合いが混同するかなと思って、ここは「法制度・指針」と変えました。
それぞれについて小見出しというか、まとめのタイトルのようなものをつけています。「公的統計・行政資料の研究利用促進」というような形で、できるだけ公衆衛生・政策研究に特化したような現状と課題を取り上げてはいますが、どうしても共通した部分というのが出てきますので、それはまた後で取りまとめの方にも含めていただくということになるかもしれません。
最初からいきますと、?公的統計・行政資料の研究利用促進ということで、特に、公衆衛生領域では行政資料の依存度が高いので、それが円滑に活用できていないところが問題としてあり、特に個人単位のリンケージの必要度が高い。こうした公的な資料を個人情報つきで利用することができると、研究費をそれほど多くかけることなく質の高い研究が実施可能となるという背景があります。それに対して、個人情報保護と適正なバランスを保ちつつ、こうした利用を促進できるような法的な枠組みを整備するということ。特に、National Death Indexのような仕組みをつくる。それから、第三者機関を設立して、個人情報をリンケージするというような仕組みを研究費で運営するということが書いてあります。それから、情報利用に関しては、研究者に一定の資格・条件を課すというようなことが議論されました。
これは、ずっと続けていいですか。
○野田委員長 大分変わっていくので、ここだけでまずいきましょうか。?の今のポイントについて御意見があればということで。特に大事なポイントは3つ、問題点はともかくも出してきた3つのポイントは、法的な枠組みの整備、データベースの構築、最後に基本的には第三者機関が担うべきであって、それは研究費によって運営される第三者機関が必要だという3点セットがあるということだと思うんですけれども、最後の情報利用者としての研究者に一定の資格・条件を課すという言葉の意味が、この間のディスカッションに入った人はわかるけれども、これだけポッと出てくるとちょっとわかりにくいという感じがしますが。
○祖父江委員 こういう公的な資料を使うことについて、やはり利用者側の資格にある程度ハードルを設けた方がいいのではないかという意味合いですけれども、研究費を取るというようなところにもまた連動するかもしれません。もっと細かく書くということですか。
○野田委員長 実際の分量ですので、大きなまとめのところでこれだけあればいいと思うので、これ以上余り細かく入る必要はないと思います。ただ、具体的に割と明確なものを最後の計画に残すべきだというものに関しては、なるべくここで明確な姿を入れておく必要がありますが、すべてについて細かく入れていく必要は必ずしもないと思います。なので、単に1、2、3に比べて4番目がちょっと意味がとりにくいかなと思っただけです。
松原委員どうぞ。
○松原委員 表題のところは研究利用促進となっているんですけれども、その中身を見ると最後に「一定の資格・条件を課す」で終わっていて、逆に、このレギュレーションを大きくするというような感じになってしまうかなと。
○野田委員長 わかりました。では、そこはこれからのブラッシュアップでこちらに任せていただいて、松原先生のおっしゃっているのは、中身のいわゆるディスクリプションの方向性が規制をかけるというよりは、研究利用を促進するためにこういう整備をすべきだと、促進をもっと打ち出せということで、祖父江先生、それはよろしいですか。
○祖父江委員 了解です。
○野田委員長 では、祖父江先生、次に移ってください。
○祖父江委員 ?、?は倫理指針とか研究倫理の話です。?が研究倫理指針の共通化ということで、現状の問題としてはゲノム、疫学、臨床研究指針がバラバラであって、各領域で整合性がとれていないところもあると。特に、ゲノムの指針がややほかの指針と比べて匿名化プロセスなど条件が厳しいというところがあります。そこについては、研究倫理指針を統合して、共通部分と個別部分に分けて記述することによって整合性を高める。これは公衆衛生・政策領域だけではなくて、ほかの研究領域にもかかわることであるということです。
?は施設倫理審査委員会における判断の平準化ということで、これは割と公衆衛生領域に特有かもしれませんが、特に同意の取得に関して保守的に偏る傾向があるということがあり、特に疫学研究倫理指針は、他の指針に比べて研究者からの同意を必ずしも必要としない場合が多いということで、その施策と目標としては、倫理審査委員会の判断事例をデータベース化して、他の組織で参照できるように公開するということです。
○野田委員長 よろしいですか。研究基盤共通のものとそうでない部分というのをどう書き分けていくかという部分はあると思うんですけれども、特にここということであると、?の施策と目標のところ、倫理審査委員会が保守的な判断に偏らないようにするため、中核的な組織における倫理審査委員会の判断事例をデータベース化し、他の組織で参照できるように公開すると。目的の部分はともかくも、倫理審査委員会の判断事例のデータベース化ということですけれども、ここも含めて研究基盤共通でおかしくないですね。研究基盤共通のときに内容によって向かう方向が違ってくるというところではないですか。
○祖父江委員 疫学研究において特にコンサバティブに同意のレベルを厳しくという影響は大きいですけれども、臨床研究でも観察的な研究はありますし、ほかの研究領域でも共通のことはあるかと思います。
○野田委員長 裏返して、それは疫学研究に特異な保守的判断に偏らないようにするための施策として大まとめに残すべきなのは、このデータベース化だけでいいですかということです。それであれば、ここにデータベース化ということでいいんですけれども。
○祖父江委員 ほかに方策があるかというと、きちんとは思いつきません。
○野田委員長 わかりました。では、ここに残して。
○祖父江委員 では、次に2)施設・基盤整備で、?研究支援専門機関の育成ということで、特に大規模な研究が必要だということで、研究マネジメント機能を請け負う専門機関が不足しており、数万人という規模をマネジメントすることが研究者自身のみではできないという背景があります。目標と施策では、研究マネジメントに関する専門性を有する人材を確保した研究専門機関を育成すると。この際に、大学修士レベルの専門家集団、これは研究者ではない人たちですけれども、必要になるということです。
○野田委員長 機関の育成というのは何となくそぐわない。やはり、機関は整備でいいんじゃないかと。人材だったら育成であるけれども。そして、大学修士レベルの専門家の育成を図り、この機関に配置することが必要であるということだと思いますけれども。
○祖父江委員 では、「整備」に直します。
それが下支えなんですけれども、?としては研究者自身が不足しているということがあり、Needs-drivenの研究分野において、特に質の高い研究者が不足していると。ただ、Curiosity driven、Needs-drivenというのは画一的に分けられるものではなくて、研究領域によっては混合したところもあるということです。こういった領域では、研究費の配分のみではなくて、ワークショップを開催するなり、ネットワークを構築するなりの人材育成の仕組みをFAがサポートする、FAの機能を強化することが必要であるということを言っています。
○野田委員長 いかがでしょうか。施策の方は研究全体共通と考えてもいいですか。
○祖父江委員 そうですね。
○野田委員長 特にここに傾向が強いでしょうけれども、Curiosity drivenとNeeds-drivenのある程度の分別あるいは混ざっている分野に対して、それに合わせた人材育成のシステムをファンディングエージェンシーがサポートすべきであるということでは、ある程度いいですか。では、そのようにしていきたいと思います。
○祖父江委員 では、次に、3)研究費・研究費配分ということですが、ここはもともとの資料にはなくて前回の御議論の結果、付け加わったところです。他の分野との優先順位づけですけれども、公衆衛生領域の研究費の配分というのは大きなお金になりますので、他の分野との調整が必要となると。ただ、現状としては予防観察研究については割と国際的なレベルの研究費が配分されているのに対して、予防介入研究・検診評価研究への配分が先進諸国に比べて少ないという現状です。その対応として、データに基づく研究費配分の仕組みを構築するということで、今後のがんの動向を踏まえた介入効果の大きさを重視すると。特に、がん死亡数、がん罹患数を減少させる大きさがどうなるか、患者・家族のQOLの向上の程度がどうなのかを重視すると。それから、海外と我が国における研究進捗状況のバランスを考慮する。海外でやられている研究がもしあるとすれば、特に日本でやる必要はないという判断もあるかもしれません。予防介入研究・検診評価研究の中で生体試料を収集するということで、バイオバンクと同様の機能を効率的に果たすことができるということも配慮すべきであるということです。
○野田委員長 ここは、いろいろ考え方があると思うんですが、いかがでしょうか。
まず1つ質問なんですけれども、この間どうなったのか忘れたんですが、要するに、?の一番最初の大きな枠組みでの他分野との調整が明確化されていないと。これに対して、施策の方には結論が出ていないで、つまり、それぞれの枠組みの中のこれが重要だ、あれが重要だというのは右側に書いてあるけれども、大きな枠組みでの他分野との調整。
○祖父江委員 そのために、今後のがんの動向を踏まえた介入効果の大きさを重視するというのは、他分野との調整のために、ある程度客観的な指標でもって重みづけをするという意味で書きました。
○野田委員長 それはいいんだけれども、この間のディスカッションのときは、例えば、いろいろな形の研究があるときに、同じ物差しでは比べられないものをある程度長期的な目で、そして、枠組み同士の調整をする場所が必要だというのは一つありましたよね。更に、その中でこれでできますかね。介入効果の大きさを比べれば、その枠ごとの調整はいくというものでもないように思うんですが。
○祖父江委員 ですから、重視するというのは、ほかのファクターも勿論考えるという意味で、今まで効果の大きさを余り配慮していなかったのではということですけれども。
○野田委員長 単純に、もっと強く言っていいと思うということなんですが、?と?で要するに疫学研究、予防研究の重要性というのは、ある政策的な意図も含めて、そして、当然アウトカムとしての効果のエバリュエーションも含めて、他ときちんと枠組みを国として決めてサポートするべきだと私は書いていいと思うんですけれども。
○祖父江委員 どうしても、治療の方に偏重するということで、予防とか早期発見のところにもバランスのとれた資金配分が必要であると。
○野田委員長 資金の配分だけではなくて、配分の仕方、つまり、そこだけは長くていという後の方にも出てきますよね。それを少し入れたらいいと思うんですけれども、ちょっと細かくなって弱くなっているという気がするんですね。更に、内容として考えたときと、介入研究へのいわゆるデータを見ながら力を入れることを考えるべきであると。本当に観察研究だけやり続けていると、特別枠と言ったら変だけれども、やはり介入研究でいわゆる単打を飛ばしながら点数をとっていかないと、予防疫学もなかなかお金をキープできないと思うので、やはり介入研究を重視すべきだというのは、ここでもう一つ打ち出してもらいたいという。
○祖父江委員 それを言いたかったんですが、ちょっと言い方が間接的で申し訳ありません。では、そのように、もうちょっと直接的な表現に変えます。
次に、?は通常、長期にわたる研究になるわけですけれども、それに見合ったような研究費の配分の枠組みができておらず、対応としては計画期、実施期、追跡期、評価期、フェーズに合ったような研究費の配分と適切な評価の仕組みをつくるということでございます。
○野田委員長 しつこくさっきのことを言いますけれども、こういうふうにきちんとしているから長期ができないのではないんだと私は思うんですよ。つまり、すべて研究であったら同じ精度で、同じ評価で、同じようにされるべきだとなってしまうと、ますます難しくなってしまうので、前のところからそういう意味合いも少し入れていただけると。
○祖父江委員 分けない方がいいですか。
○野田委員長 研究の種類によって対応が違ってくるので。
ということで、ここまでの予防研究、いわゆる疫学研究の今後に関してはよろしいでしょうか。松原委員どうぞ。
○松原委員 ?のところで「予防介入研究・検診評価研究の中で生体試料を収集することで、バイオバンクと同様の機能を効率的に果たすことができる」と書いてしまうと、枠は要りませんよねという話になってしまうと思うので、生体試料を収集することが一つのバイオバンクとして機能するとか、そういう形で書かないと変な誤解を生む可能性があると思います。
○野田委員長 これは、こちらで引き取らせてください。バイオバンクを進めるべきだ、それにこれも貢献できるし、バイオバンクを使うことでこちらの研究も一層促進されるという書き方をします。それでいいですよね。
○祖父江委員 そのとおりですね。
○野田委員長 よろしいでしょうか。そうしたら、後半の政策研究の方にいきたいと思います。
○祖父江委員 政策研究も公衆衛生研究と割と似ているので、項目として掲げているところは共通です。1)法制度・指針、2)施設・基盤整備ですが、特に政策研究では課題設定機能が仕組みとして脆弱であって、データに基づいた課題設定の仕組みをFAに構築すると。専任の研究者を置き、ピアレビューの立場を保つということが議論されました。これはまだ生煮えのような感じになっていますけれども、このように書いています。
○野田委員長 書き方あるいは表現がまだ内容を的確に表せていないと思うので、それは後でやりとりしますが、この間出てきた中での問題点あるいは解決の施策としてはどうですか。施設・基盤整備は前とどうしてもダブるところも出てきますし、共通のところもあります。もう少しあれしましょう。というのは、祖父江先生は前のところを一生懸命まとめて政策研究の後半に入ったせいか、前の影響を引きずっているところもちょっとあるので、政策研究はもう少しつけ加えるものが出てくるような気がしますが、今のところはこういうことで。
あのときちらっと出てきましたが、精度、精度という前に、たばこ等のように明確なものはこれから5年間というときに打ち出すべきではないかということもありました。そのたばこがこちら側に来ている理由は、結局、税金を上げればいいんじゃないか、値段を上げればいいんじゃないかというところまで含めた対策をここで打ち出さないのかという話も出ましたが、それはここからはなくなったということですか。
○祖父江委員 まだ頭の中でよく整理ができていないのは、個別の対策については別のチャプターで予防の部分もあるし、早期発見の部分もあるので、そちらで書いた方が適切ではないかという思いがあって、ここで書きにくいというか、頭の整理がついていないというところです。
○野田委員長 なので、政策研究という割と概念的なものにどうしてもなると。それはそれでいいですね。ここの課題については、それぞれの対策や予防といったところに書き込んでもらうのがいいだろうということでいいですか。
○祖父江委員 では、がん検診、たばこ対策というのは、この項目から抜くという判断でよろしいですか。
○野田委員長 抜くのではなくて、課題の左側に「臨床で」と書いてありますよね。ここに明記してくれますか。これについては例えば予防のところでより強く明記すべきだとか、研究のところに明記されるべきことは右側に書いていいんですけれども、ここに書いておいてくれると、それをもう一回チェックすることは可能なので。抜いてしまうと討議の対象になったときにあれなので。
○祖父江委員 わかりました。では、項目は残しておいて、ここのチャプターで検討すべきであるという記述を残しておきます。
「2.政策研究」の研究費配分も公衆衛生の記述とほぼ同様でした。いいですか。
ガイドラインに関しては、かなり議論があったんですけれども、公衆衛生・政策研究というだけではなく、ほかの領域ともまたがるので分けて書きました。診療ガイドラインについては、作成に公的支援が不十分であるということがあったんですけれども、資金を援助するなり、支援するなりについては一長一短であるという議論がありました。Mindsというところが公表の場として確保されていると。エビデンスだけで語れない部分があって、そういう領域のガイドラインをどうするか、あるいはガイドラインと診療実態の差を検討することも必要だということが議論されて、その方策としては、ガイドラインの在り方に関してはコンセンサス形成を行う必要があると。ガイドライン作成方法について、あるいは内容についての評価の仕組みを検討する必要があると。作成手順については、特に患者向けのガイドライン等が各学会での取り組みがバラバラなので、それを支援する。それから、エビデンスレポート、システマティックレビューをするような機関を構築するということが議論されました。
○野田委員長 よろしいですか。左側に例のもう一つ、ガイドライン作成を推進するという別の項目がありますよね。そこにも記述するが、研究の項にもきちんと書くべきと入れていただいていいと思うんです。つまり、ガイドライン作成は研究という側面も非常に強いということを書いていただくと。そうすると、右側があっていいと思うんですけれども。
○祖父江委員 ちょっと浮いてしまうのが、予防・検診に関してもガイドラインはあるんですが、チャプターとして存在しているのは恐らく診療ガイドラインをカバーするためにあるんですけれども、予防・検診ガイドラインについても今、研究班がガイドラインを作成しているような状況が余りよくないということがあって、常設の公的機関がガイドラインを作成すべきだということをどこかに入れてほしいなという気はします。
○野田委員長 これは、この間のディスカッションになかったですね。では、ここは1~2分使って。これは私の意識では、この間ディスカスされていないと思うんですが、研究班のガイドラインを作成することがどうなのだろうと。そして、それは診療ガイドラインも含めたところでは、むしろいい面もあるというような言い方だったわけですけれども、更にここに来て、研究班がガイドラインをつくって、予防・検診ガイドラインというのでいいのかと。常設の公的機関。
○直江委員 ちょっとお伺いしていいですか。?の診療ガイドラインについては、学会や研究会ということになっていて、?だけが常設の公的機関という、そこがちょっと。
○祖父江委員 勿論、学会でもいいんですけれども、予防・検診に関して受け皿となるような学会が適切なものがないかなというところがあります。個別の臓器について、それぞれ診療ガイドラインの中で検診の部分がカバーされているところもあるんですが、検診と治療に関してエビデンスの扱い方がやや異なるところもあります。要は、RCTをどれだけ重視するのかというところなんですけれども、そこで今、割と研究班でやっている検診なり予防なりのガイドラインの作成が、世の中的には影響力が大きくなっているという状況を書いたわけです。
○野田委員長 中西委員どうぞ。
○中西委員 祖父江先生がおっしゃるとおりだと思います。実は肺がん領域にも類似の問題があるんですが、検診のガイドラインが肺癌診療ガイドラインの中で少し浮いてしまうんですね。というのは、学会を構成する構成員の多くは検診とあまり関係ない方が多いという事情があります。もう一つは、検診に関しては検診の学会がありますので、どうしても肺癌学会としてはその扱いに苦慮しています。
一方で、検診というのは疾患の患者さんを診るわけではありませんので、新しいエビデンスが出たときのインパクトが非常に大きい。それに対してなかなか疾患を対象とする学会がうまく機能しにくい面があります。実は私ども今、CT検診に関する世界的なエビデンスが出たので、どう対応しようかということで非常に苦慮しています。そういうこともあって、検診というのは現在の疾患を対象とする学会等がつくるものとは少し違う形でやっておかないといけないと思います。どの組織等がガイドラインを出すかで、社会的な影響の出方も違うと思います。
○野田委員長 そこは確かに間違いないと思うんですけれども、ただ、そこで公的機関というのが出てくることが、祖父江先生がおっしゃっているのはわかりますけれども、方向でエビデンスが完全にそろっているもの、よく見れば白黒はっきりするものをつくり上げていくという作業に比べると、もう少しエビデンスが薄いものに関しても、やはりコンセンサスを得ながら進めていくというような作業が必要な部分も恐らく出てくるときに、もう一回公的というのは何となく日本のコミュニティの流れとしては、少し逆行するのではないかという気がしないでもないと。加えて、検診の費用が都道府県のああいう形になっていてというときに、そのガイドラインは検診は都道府県に渡したお金でやりなさい、どうやられているかのデータを取るのは、ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、昔よりは難しくなってきますよとなってしまって、でも、ガイドラインは公的にお国が決めますよと受け取ってしまうと、逆にそこにワンクッション入って、こういうところのエビデンスをきちんとアセスできて、それを出していけるような研究というのは、一般的な学術機関の研究ではなかなか難しくて。
○祖父江委員 別に学会でも構わないんです。学会を勿論含んでいいんですけれども、研究班で行うのはどうかなというところなんですよ。研究班というのは、基盤としてはやや公平性とか中立性というのがちょっと欠けるので。
○野田委員長 そうすると、機関なのか、研究班が組織としては適当でない組織だということであって、やはり公的機関あるいは組織がとしてくれるといいんですけれども。
○祖父江委員 そういう趣旨です。だから、学会を排除するという意図は全くなくて、学会がつくってもいいと思うんですが、やや診療と検診の意識がずれるところがあるので、別の組織の方がいいのかなという感じがするということです。
○直江委員 私が言いたかったのは、別に公的機関でもいいんですけれども、例えば、国としてガイドラインが有効であったかどうかを評価する、それも国だとすると、自分でつくって自分で評価するという格好になりはしないかということです。研究班がもしだめなら学会でもいいとおっしゃったのでいいと思うんですが、そこはチェックする必要があるのかなと。
○野田委員長 厚労省の根本的な今までの臨床研究に対する施策の一つのポイントで、研究班がガイドラインに当たるようなものまで出してもらえるということでやってきていますよね。
○祖父江委員 最初の研究班での取り組みが、今は学会の方に順次移行していて、恒常的な組織でつくると。研究班というのはあくまで一過性のものだと思うので、そちらに移行しているのだと思いますけれども。
○野田委員長 わかりました。では、今のを少し取り込んで、もうちょっと。ここは重要だと思います。公的機関と言うと、ちょっと過敏になり過ぎると困るかもしれませんので、お願いします。
では、よろしいでしょうか。今のをブラッシュアップして皆さんに回しますので。そして、この中からこれから5年に向けて、やはり日本のがん対策のために疫学研究・政策研究でこの部分が重要だというところを更に抜き出して、短い言葉にまとめていくという作業を祖父江先生とやって、また、皆さんの前に出すということで最終稿という形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○野田委員長 ありがとうございました。
では、次の議題に移りたいと思います。臨床研究となっていましたが、問題にすべき次の5年間と言ったときに、医療、治療、予防も含まれますが、予防診断治療を開発するための一連の研究ということでまとめて、それを前半部分として基礎研究、そして橋渡し研究というのをやはり大津先生にリードしていただき、あるいは間野先生に資料を出していただいて前半戦が終わっていると。今回は後半部分ということで臨床研究ということですので、関係する委員の方で大津先生、それから、直江先生、中西先生から資料を出していただきましたので、まず、資料についてもう一回ディスカスして、一番最初のときに大津先生からの資料でのディスカッションをやっているわけですけれども、もう一回思い出したり整理する意味でこれを勉強して、その上で、一番最初に出した課題に基づいて議論を進めていくということにしたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、順番にまず大津委員、お願いいたします。
○大津委員 それでは、よろしくお願いいたします。お手元の資料3に沿って説明させていただきます。
○野田委員長 これはかなり分厚いので、これで終わってしまうので、適宜省いていただいて重要なところをお願いします。
○大津委員 2ページ目に一応臨床研究の分類として、観察研究、介入研究、臨床試験、治験の位置づけということで図示させていただきました。いろいろな言葉が出てくるのでわかりにくいかと思いますが。治験に関しては、企業治験と現行では医師主導治験があるということになります。
3ページですが、基本的に3つのポイントで説明させていただきます。1つは、日本全体としての臨床試験環境が世界からちょっと浮いているという部分での特異性。2番目は、いわゆる初回承認の未承認薬の承認申請試験、いわゆる治験と言われる部分になります。これは企業治験、そして研究者主導の未承認薬試験、これは日本では申請目的でいく場合といかない場合ということが許容されていますので、2)は試験となっていますけれども、この中には申請用の医師主導治験も入っています。
3番目は適応拡大試験、御承知のように、がんの場合は薬の最初の承認が終わっても、そこから先のエビデンスの構築というのはいろいろな集学的治療であるとか、あるいは併用とかいろいろなエビデンスをつくるための試験が必要になりますので、その部分と3つに分けてお話しさせていただきます。
4ページ目の臨床試験環境の特異性として、日本においてはいわゆる企業治験と研究者主導臨床試験のダブルスタンダードで臨床試験が行われています。世界的にはICH-GCP準拠というのが、すべての臨床試験の標準にもなりつつあるんですが、それが担保されているのは日本においては企業治験だけということになります。これは企業治験とプラス医師主導治験も含まれます。
2番目が、臨床試験に対する法整備がされていないと。未承認薬の部分で許容されているのは先進国では日本のみです。
それから、国全体のアメリカで言うところのNCI-CTEPに相当するような臨床試験の全体の統括をしているところがなくて、多くの場合は無秩序な市販後のマーケット試験が多数を占めている。なかなかインパクトの高い試験ができないというのが現状かと思います。
後で出しますが、新薬承認の遅れがあって、いわゆるドラックラグで研究者主導の臨床試験の大半の申請がなくなっている。これはまた日本からインパクトのあるエビデンスが出しにくいようになっています。
規制要件の違いは皆さん御承知のとおり、海外ではほとんど法規制で行われています。日本だけが治験だけGCPで法規制され、ほかは薬事法での規制下にありますが、ほかはガイドラインのレベルです。
6ページ、これはアメリカだけではなくてヨーロッパも、いわゆるEC指令というのが2004年に発令されて、ヨーロッパにおいてはすべてアメリカ同様に、基本的には試験実施前に倫理委員会の審査に加えて、規制当局の承認審査が必要であるというふうに2004年から変わっています。
7ページに、イギリスとフランスの臨床試験の規制等が書かれていますけれども、イギリスもフランスも基本的にすべての医薬品がかかわる臨床試験に関しては、一応イギリスが薬事法で、フランスが生物医学研究法の法規制下にあると。GCPの遵守等が規定されているということです。
この辺は、これによって欧州の臨床試験、いわゆる研究者主導の臨床試験がかなり減ったということで、それをいいと考えるか、悪いと考えるかという問題はあると思います。
ただ、世界の流れとして、8ページに書いていますとおり、ほぼ先進国をベースとして、韓国においてもすべての医薬品を使用する臨床試験でICH-GCP対応が必須となってきています。
原則的にすべて、いわゆるIND申請を規制当局に提出して、許可が必要となっています。
倫理審査に関しては、最近は多国籍試験が増えてきているということで、国や地域によっては1つのIRBだけで承認という、いわゆるセントラルIRBを採用している国も増えていると。
○野田委員長 最近では、何が増えてきているせいですか。
○大津先生 国際共同試験です。
次に、既承認薬の一部の試験では、IND申請は不要で、いわゆる承認された後の適用範囲を超えないような使い方であれば、いわゆるエクセンプションとして例外的にそこは出さなくていいと。日本の場合はほとんどがこれに当たるところでの臨床試験が行われていて、なかなかイノベーティブな試験ができていない状況にあります。
あとは、未承認薬を治験届なしに臨床導入することは、各国とも規制がありますので、日本だけが例外的な状況になってきています。国際試験が一般化した現在において、こうなってくると日本だけが別でできますという話、別ですという話にはなかなかいかなくなってきていて、いわゆる日本の臨床研究の論文数が減っていると言われる根拠になっている『New England』や『Lancet』などのトップジャーナルでは、ほとんどすべて英文のプロトコルも要求されますので、こういったレベルの試験をしないと現実には通らないというのが実際になってきています。
それから、一応そういったことを踏まえると、1つ大きなポイントとなるのは、いわゆる先進国に並べて、すべての医薬品を使用する臨床試験の届出と当局審査、ICH-GCP必須というような規制をかけるかどうかということ。現時点において日本ではかなり大変だと思うんですけれども、勿論それをサポートするような施設の支援であるとか、規制側の審査人員の確保等が必要になってくるだろうと思います。2番目が、公的な施設の基盤整備への支援や、支援スタッフ雇用のための研究費の柔軟な運用。特に、臨床試験の場合はほとんどが人ですので、人を雇用しやすいような研究費の運用を考えていただければと思っています。
あと、国全体の臨床試験を統括をするとか、CTEPの場合は審査もしますけれどもサポートもしていますので、薬事面のサポートをするような部署がないと、現実に日本でINDを出してICH-GCP対応はかなり大変だろうと。やはりそこをサポートするような部署が必要なのではないかと思います。
あとは、研究者自身がいわゆる既承認のマーケットの試験になれてしまっているというのが現実ですので、それをイノベーティブな試験の方に変えるというのも結構大きな問題だろうと思います。
10ページ、2番目の課題で、いわゆる初回の承認申請試験の部分です。最初に、企業治験の方からいきますけれども、御承知のとおり日本では、いわゆる新薬承認の遅れというドラッグラグがかなり大きな問題になったわけです。なにゆえかというと、11ページの図に示されていますとおり、世界の新薬の開発試験というのは、いわゆる国際共同治験として行われて、各国同時承認というのが2000年ごろから一般化していたわけですが、日本がそこに入れなかった。これはいろいろな理由があります。結局、海外で3相試験が終わったころから、ようやく日本で1相試験が始まって、承認を取るころには海外で既承認の後の適用拡大的な後期の開発試験というのがほとんど済んでしまって、その状況で何をやるのかという状況にいっていたのが、つい5~6年前です。
12ページに細かく書いていますけれども、今の流れというのが一般の企業の新薬に関して、例えば、日本だけで承認を取ることはほとんどなくなっていますので、最初の開発治験の段階というのは基本的には国際治験がほとんどです。ですから、そこに入れないと、結局本当のイノベーティブなところはやれないというのが現実だろうと考えています。
実際いわゆるFirst in Man的なフェーズ1に入れるというのは、恐らく世界でも20施設ぐらいしかありません。ですから、そこに入っていかないと本当のイノベーションは進まないんだろうと思っています。
基本的にグローバルの3相試験が終わってから国内で適応拡大が始まりますので、だから、適応拡大試験をイノベーティブなものにするには、最初の承認のところが少なくとも日本で遅れたらばそこが致命傷になってしまう。かつ、適応拡大もしないようなINDエクセンプションの試験ばかりやっていては、これでイノベーションを生み出すのは極めて難しい。
一番左に書いてありますとおり、結局、施設の役割分担を進めるべきだろうと思います。本当の早期の開発試験をやるところ、いわゆる承認前の治験段階のグローバル試験に国際共同治験に参加する施設、一般の国内試験、適応拡大試験、そして、一般の均てん化を目指したような試験。その施設の切り分けを考えていかないと、1つの施設ですべてをやるというのは無理だろうと思います。今まで日本でできなかったのは、いわゆる一番早い段階の試験に入る施設がほとんどなかったというのが遅れの原因ですので、そこに入っていく施設をまず整備すべきろうと思います。
13ページは、2006年にガイドラインが変わってから我々のところも、かなりメジャーな施設はほとんど入っていると思いますが。
○野田委員長 すみません、もう一回、先生のいつも使われる12ページの図ですけれども、再確認させてもらうと、新規抗がん剤の最近のトレンドは一番上のような形であって、多いパターンがグローバルと国内開始がこういう形のずれが来ると。そうしたときに、世界トップ施設、グローバル治験施設、国内治験施設、臨床研究施設とあるときの、今の世界トップ施設に当たる部分がないことを、これからどうしたらいいかというところに入りましたよね。その次のグローバル治験施設、かろうじて日本から入っているような、ここの問題点も一緒に今話をするんですか。そうではなくて、今は青いところだけまず話して、またここへ戻るんですか。それとも前半、後半に分けて話をされるんですか。
○大津委員 それも含めて後から話します。
結局、入りやすいのは最初の国際共同治験の3相からですけれども、13ページにうちのがんセンターの実績が書いてありますが、恐らくメジャーな施設はほとんど治験というと国際治験という状況に変わってきていると思います。結局、1相のところ、我々の施設は一応、臨床開発センターという名前もありまして、いわゆるFirst in Human的なものにどんどんいこうという形で整備を進めて、後で出しますが、結論はかなりそこに入りつつあります。
結局、国際治験をリードしていこうとすると、最初の早い段階から入っていないと試験の中心には入れませんので、14ページは胃がんに対して今、国際的に走っている3相試験の表ですけれども、右から2つ目のカラムになりますが、日本が参加しているのが6つで、◎は日本が中心になって計画した試験です。一番右端が国別の登録数でいくと、登録が終わっている試験では4つのうち2つが日本がトップで、あと2つが2番目。胃がんですから、当然疾患頻度が多いのでそういう傾向にあります。
あとは、大腸がんで3相試験ですが、胃がんだけではなくて大腸がんでも大分日本からの登録はスムーズにいっていますので、これは最近行われた3相試験ですけれども、15ページの表のとおり、日本の登録数が全体では3番目ですが、登録期間が3か月と短いというのは、これは企業側の問題が一番大きいですが、要するに日本の参加が遅れていたと。なぜ遅れているかというと、大腸の場合は日本が中心ではないからです。遅れてはいたけれども、月当たりで見ると日本が一番数は多くて、Screening failureというスクリーニングして入れなかった症例、結局クオリティが悪いとそういうのが増えますけれども、それも一番少ない、クオリティもまずまずと。
16ページが、いわゆる世界トップの施設、トップの施設というのは、いわゆるFirst in Humanをやれるような施設と一般のJCOGであるとか、一般の臨床試験グループでの施設に求められる実績や能力ですが、やはりFirst in Humanをやるというのは、ほとんど一番左になりますが、そこに入っていこうとすると極めて要求度が高くなって、要するに365日24時間グローバルに対応できる体制をとらないと入れない。ようやくそこに入りつつあるというところです。
17ページが、我々のグループでやっているフェーズ1の23試験での海外での時相比較ですけれども、23のうち7試験が海外でも1相試験、要するに、ほとんど時差がなくなりつつあって、そのうちの5つはいわゆるFirst in Humanの試験です。これは要するに大手企業の治験です。
その下に、多分今、世界で数としては一番やっていると思われるMDアンダーソンでのフェーズ1試験の症例数とFirst in Manの割合です。施設の規模が我々の施設から見れば5倍ぐらいになっていますので、数はその差になりますけれども、First in Humanはもうちょっと我々の施設も増やしていく必要がある。
今の図式が18ページですが、要するに今フェーズ1のところがようやく海外と時差がなくなってきて、かつては海外で3相が終わってからのフェーズ1だったわけですが、今はそこが横並びになってきていますので、そうすると、疾患ごとにやるフェーズ2レベルというのが、ここで研究者主導の試験としてやれる、いわゆるリサーチIND制度に基づいた試験ができる環境というのが今ようやくできてきていると。ここからが要するに本当の研究者主導の臨床試験でイノベーティブなことをやる環境が少しできつつあると。
実際、ここの新薬開発はすべての企業がやっているのではなくて、海外ではアメリカもヨーロッパもそうですけれども、実はここのP-?のレベルやPOCの試験というのは多くが研究者主導で、要するに、企業から薬の供与を受けて研究者主導でやって、当たりを見てよさそうであれば、3相はさすがに企業がやらないと無理だと思いますが、そういうパターンです。そこの部分のイノベーション。
19ページが、日本とアメリカでのその部分の違いですけれども、いわゆるアメリカで言うところのリサーチIND制度を用いた試験、この部分をつくるのが日本でイノベーティブな研究者主導の臨床試験を進める上では極めて大事なポイントになるのではないかと思います。
20ページですが、実際にアメリカにおいて、いわゆる治験届の数の推移を見ると、いわゆる企業治験よりも研究者主導の、日本で言えば医師主導治験に当たると思いますけれども、研究者主導の臨床試験の方がむしろ多い。この部分をどうやって日本でつくっていくか。日本では今までそれがなかったわけです。最初のフェーズ1が完全に遅れていましたが、今ようやく追いついてきているので、ここからどうやってつくるかの話だと思います。
それをサポートしていくにはやはり施設として、21ページが米国スローンケタリングでの臨床試験の支援体制ですけれども、そのサポートスタッフ、我々のがんセンターと比べると、向こうの方が5~6倍の規模ですが、300人以上のサポートスタッフがいると。5分の1として我々の施設でいうと50~60人ぐらいのサポートスタッフが必要。
○野田委員長 これで処理されている臨床試験あるいは治験の数は比例しているんですか。
○大津委員 やはり施設規模と比例していると思います。ですから、サポートスタッフとほぼ比例しているんじゃないかと思います。
あと、日本では高度医療評価制度ができるようになって、未承認薬を使った試験が制度上できるようになってきています。ただ、高度医療評価制度ができたということを批判するのではなくて、現時点で未承認薬の研究者主導臨床試験として行うには問題点が幾つかあって、1つは、試験の質の保証が不明瞭。高度医療評価に関してはGCP準拠というのが現時点では求められていません。いずれ求めるようになるとは聞いていますが、今はそれがないので、そうすると、企業側に薬剤の供給を依頼するときも、大手企業の場合は説明がつかないという問題があります。
それから、高度医療評価の場合は、研究者が審査を行っているので、研究者間のCOIを生じる可能性があって、機構なりそういうところで審査を公平に行った方がいいのではないかと思います。
あとは、GCP準拠ではないので申請データに使用できない。この辺は逆に、リサーチIND制度をやっていこうとすると、企業側から薬をもらってやらなければならないので、こういったデータが使えないようなものには、なかなか大手企業は薬を出さないというのが現実です。
○野田委員長 高度医療評価制度の問題点はこういうふうにあるけれども、それでどういうふうにすればいいと考えていますか。
○大津委員 それが23ページに入っています。23ページは全体のまとめですけれども、1つは、今の初回承認申請試験の部分で言うと、First in Human試験の実施施設、早期の開発拠点を重点的に、まず、とにかくFirst in Humanの施設は日本全体でも5施設ぐらいで十分だと思います。あとは、企業が治験を実施しない、これは全然別枠になってしまいますけれども、希少疾患での新薬開発試験体制も構築しなければならないと思います。
○野田委員長 これは初めて出てきましたね。
○大津委員 すみません、これは触れていませんでした。
3番目が、さっき話しましたリサーチIND制度は、現行の日本の枠で言うと、多分、医師主導治験の形をとらざるを得ないと思うんですけれども、高度医療評価にICH-GCP準拠が明記されれば、また話は変わってくるかと思いますが、柔軟な制度の構築と、それをやれる実施施設、多分、今の医師主導治験とGCP準拠という話になると、CRCがつかないとまずできない、医師だけではとてもできないと思いますので、基盤整備が必要であろうと。あとは、アメリカで言うところのいわゆるCRADAという企業との薬剤供与とかデータ受け渡し、医師主導治験でやりました後のデータ受け渡しに関しての法的な整備や、この部分に関してPMDAになるのか、あるいは本省側になるのかわからないですが、いずれにしても審査官の増員が必要ではないかと思います。
それから、研究費の配分として、多分リサーチIND制度の未承認薬の研究者主導の試験というのは、今ようやく日本ができるようになった段階ですので、この部分を活性化する意味では、その部分をサポートするような試験に研究費配分をよりすべきではないかと思います。そういういわゆるイノベーティブなところをやれる施設、多分、この試験をやれる施設をつくるのは全国でも10~20で十分ではないかと思いますが、その部分で整備をしてしまえばいいのではないかと思います。
一番最後ですけれども、結局、結構問題なのは、施設によってはなかなか治験に対する認識が十分ではなくて、世界的に見れば日本の治験はかなり高い金が施設に行っているはずなんですけれども、それでも整備が進まないということで、結局ちゃんとした整備を施設がやらないと、そういうところには入れなくなってくるのではないかと思います。
最後ですけれども、多分この後は、直江先生とか中西先生の方がより資料を詳しく出されていますので、さらっといきます。次は、適応拡大試験の方ですが、いわゆる研究者主導の臨床試験グループというのは、世界的にも幾つかありまして、25ページの図に示してあるとおりです。アメリカで一番しっかりした組織は、NCI-CTEPの傘下でスタディグループをつくっています。CTEPは御承知のとおり、FDAとか企業、アカデミアの産官学の連携をここでうまく結んでいる役割を果たして、国全体の臨床試験を統括しているというポジションです。日本にはここがない。
ただ、世界の最新の動向を聞くと、27ページですが、いわゆるNCI—CTEP傘下のクリニカルトライアルのグループ、3相試験のグループというのが全部で10個組織されていますけれども、実は先日もNCI-CTEPの方に聞きましたが、いろいろな問題があって近いうちに3グループに再編成されるということです。
右側が、アメリカの1相とか2相の試験として、CTEPトライアルをやる施設の認定でN01とかU01というのが決められているということです。
28ページですが、ずっとアメリカのスタディグループがリードしてきていたんですけれども、本音で聞くとNCI傘下の臨床試験グループが、それぞれのグループ間でなかなか方向性が合わなくなってきて、調整ができなくなってきたと。悪い言葉で言えば足の引っ張り合いをするようになってしまったということで、もうまとめてしまえという方向に向かっているようです。
あと、施設側から見ると、今は国際治験とか新薬の試験がかなり企業治験というのが花盛りになってきていると、両方見比べるとどうしても新薬の企業試験に流れてしまう、施設側から見るとそういう問題があるようです。
それから、研究費の削減と効率化が必要ということで、再編成すると聞いています。
一方で、日本の場合は、今のところ公費でサポートされているのがJCOGで、あとは中西先生や直江先生が中心的にやっておられるWJOGとか、JALSGなどのしっかりとした組織、データセンターを持ったグループというのが幾つかあります。ただ、数からいくと地域ごとに小さい○で29ページに表していますけれども、地域ごとに乱立してしまって、全然組織立った動きがされていないということです。
30ページがそのまとめですが、なかなか方向性がとれない。やはりこれを統合するような部分が必要ではないかと。
JCOG以外は公的なサポートがほとんどないに等しい状況ですので、実際上は企業からの寄附で賄っているのが現実で、この辺の問題点は後ほど直江先生、中西先生がお話しされると思います。
いずれにしても、適応拡大申請を目指した試験を行える臨床試験グループというのは、日本ではまだわずかです。多分JCOGとかJALSGなどというのは、その中では抜けたエビデンスをつくるためにしっかりした組織であると思います。他の多くの場合は学会や論文発表目指すだけで、申請のロードマップが考えられていないというのが現実だと思います。
適応拡大に関しては藤原先生がいらっしゃるので、ずっと御尽力されている高度医療評価から公知申請という流れが日本の中でもできていくのかなということで、そういう仕組みがつくっていければいいのではないかと。要するに、すべてを企業治験に頼っているのではなく、研究者が自立してそういった適用拡大の承認を取るような、結局イノベーションを出そうとすると必ず申請が絡んでしまうので、それをクリアできるような形にしないと、イノベーションにはならないのではないかと考えています。
32ページは、適応拡大試験に関しては、まずそれを実施できるような臨床試験グループを育成して支援する。
それから、どうしても時間がかかりますので、3相試験の場合は4~5年かかるのが常識的ですので、長期間継続可能な研究費枠の構築、それから、今の高度医療評価から公知申請への枠組みをうまくつくっていければいいのではないかと思います。
それから、この部分もいろいろなCOIが絡んできてしまいますので、国と企業とアカデミアとをうまく調整する場所が必要になるのかなと考えています。
以上です。
○野田委員長 ありがとうございます。
一番最後の辺り、特に直江先生、中西先生の範囲にも入っているので、またそちらでもあると思います。基本的にこの流れで、それぞれのフェーズあるいはそれぞれの施設等に関する問題点を今挙げていただいて、早期臨床開発から後期臨床までを言っていただいたということです。これで出てきた問題点が、これからのディスカッションになりますが、質問はないようですので、次に直江先生、お願いできますか。
○直江委員 私の方は資料4をごらんください。今、大津委員からFirst in Man、それから、治験という流れで、どちらかというと早期の臨床試験を中心にお話しされましたので、私としましては後期臨床試験が非常に重要であるという観点から、少しお話をさせていただきたいと思います。
もう既にこの会でも何回か出ていますけれども、我が国では例えば『Nature』は第4位だけれども、『New England Journal』『Lancet』というのは10位にも入っていないということはよく言われているとおりで、我が国において特に広い意味での臨床研究をもう少し促進していかないと、今後非常に大きな問題になるということはいろいろ御指摘されているとおりでありまして、私が今日お話しする内容は、日本学術会議に臨床医学委員会臨床研究分科会というものがございまして、ここでも討論している内容と少し重なるということをまず御報告しておきます。
2ページですが、特に、臨床試験の中でもフェーズ3を中心にします、検証的治療研究と今回呼ばせていただきますけれども、それが非常に重要であるということと、実はこれは日本の中でもそう簡単ではない、非常に困難があるということをまず指摘したいと思います。
新しい薬というのは、承認されたところですべて患者さんにメリットがあるわけではなくて、より有効であるとか、安全性を高めるためのステップが必要です。例えば、併用するとか、ドーズをセッティングするとか、それから、少しはみ出ますけれども、拡大に持っていくということがあります。何が一番よくて安全な医療であるかということは、通常は科学的・倫理的ないわゆる検証によって初めてもたらされると。このステップを経てこそ患者さんにメリットがあるということですので、ここのエビデンス構築は最終的なアウトカムに一番近いところであると思います。
この検証的治療研究というのは、我が国においては大学病院やセンターの基幹病院等において中心的に行われているわけですけれども、これまでも大変なんですが、今後も恐らくこのままでは大変だろうと思っています。
まず1つは、アカデミアにおいて科学としての評価がいまだに低いということです。まず1つは、このデータを得るには人と金と時間がかかると。簡単に言うと、例えば、大学院生の研究論文には非常になりにくいということは、大学病院においては圧倒的に大変なことでございます。
それから、もう既に指摘されているとおり、インフラ、人が圧倒的に貧弱でありまして、現場医師の負担が非常に増えているということです。
それから、先ほど大津委員からもありましたように、病院長の理解、病院は臨床研究をやっても儲かるわけではない。むしろ補償の問題とか責任問題が今、臨床研究の倫理指針でかなり院長の責任が重くなっておりますので、ここは一つクリアしなければいけないことかと思います。
それから、臨床研究をやっても生体試料のレポジトリー、バイオバンクに近いんですけれども、これがないと。ある研究をやっても、その検体はどうだったのか、後でジェネティックなバックグラウンドと評価をしようと思っても、それはもうないということで、やりっ放しというところが大きな問題です。それで実際問題、臨床論文というのは日本においていろいろな要因がありますけれども、最近減少していると言われています。
そこで、どうするかということで、次から簡単に言いたいことだけ5つにまとめました。1つは、先ほどから話が出ているように、では、どうすればいいのか。一方では、企業は企業治験をどんどんやってまいりますし、企業もフェーズ2あるいはフェーズ3をやってきます。そういうものに乗るということも非常に大事なことなんですが、やはり日本人のエビデンスを我々の手で出していくためには、遂行可能性の高い治療研究グループに対して基盤を整備する、モデル事業として育てていくというステップが必要なのではないかと思います。特に日本の場合、各病院の規模が非常に小さいです。アメリカのように巨大な病院、ないしは韓国のような幾つか加われば済んでしまうという状況ではございませんので、この辺は恐らくこれから相当時間が経っても多分状況はそんなに変わらないのではないかということで、やはりネットワーク化を成功させないと日本が生き残っていくことはできないのではないかと思っております。具体的に先ほどから名前が出ているJCOG等の名前を出させていただきました。
?ですけれども、検証的治療研究にかかわる競争的科研費も一つ考えていただきたいと思います。国として将来最も必要なところに必要なお金を投与すべきだということですが、まず、?で基盤整備はしてほしいと申し上げました。?では、プロトコルベースでお金を出していただきたい。例えば、プロトコルをつくるということ、それから、症例をリクルートする、それから、治療研究のスタディが完遂する、それでアウトカムが論文化されるということで、きちんとマイルストーンを設定して、それらを達成するときちんきちんと毎年お金が出ていくと。
臨床研究は我々の分野でも最終的なアウトカムを出すには、プロトコルをつくるのに最低1年、それから、リクルートに3年から長いもので5年近くかかると。最終的にペーパーになるのに10年近くかかっているんですね。ということで、これも先ほど疫学研究でありましたように、単年度ごとの研究費ではフェーズ3のデータを出していくことは非常に難しいと考えています。これは是非、御考慮いただきたいと思います。
?ですが、治療研究の科学的妥当性と被験者保護を担保する、いわゆる統一システムということでございます。1つは、臨床研究についても、すべからくGCPにのっとって実施するということで、科学的妥当性、患者保護をきちんとするということは担保すべきだと思います。その上で、統一したシステムや、例えば、法律的なものがあるのかどうかというと、今は薬事法は一部の医師主導治験はGCPですけれども、それ以外は臨床研究に関する倫理指針にすべて寄っているわけですが、例えば、患者さんが研究に参加した結果として受けた健康被害、補償のための保険、その他をちゃんと書きなさいと書いてあるんですが、どのような補償対応をとるべきかについては、研究者ないしは施設に任せられているということがございます。一方で、例えば、抗がん剤の試験をやっても、一般的には医薬品で、例えば、抗がん剤というのは医薬品副作用被害救済制度においては免責になっているわけです。ただ、臨床試験であれば市販後でも補償しなければいけないのかも含めて、この辺は現場では非常に難しいところなので、できればこの辺をまとめたような、いわゆる上位のルールないしは法律を整備する必要が将来的にあるのではないかと考えております。
それから、我が国の医療の中で1つは均てん化ということを考えますと、いろいろな病院、つまり、どんどんグローバルで戦えるトップの施設をつくるということは、大津先生もおっしゃったように非常に重要だと思います。First in Manができるところ。ただ、それだけでは全体がよくならないので、やはりいろいろな施設が参加できるような、先ほど200~300という話がありましたように、そのようなフェーズ3のネットワークをきちんとするということが、多くの国民に対していい医療を還元することにもなりますし、均てん化やレベルアップにつながるのではないかと。そのためにも、国民の理解を同時に入れていく必要があるだろうと思っています。
次に?ですけれども、検証的治療研究のための人材育成は既に何度か話が出ていることですので省略いたしますが、やはり人材が足りないということ。
2番目は、透明性ないしは継続的にサポートする組織、施設の中の組織もそうですし、全体もそうです。それから、いろいろCOIの問題、知的財産の問題もあります。この辺を考えていただくことが必要だろうと思っております。
?ですが、先ほど申し上げましたように、生体試料はこれからの基礎生物学と臨床研究の橋渡しに非常に重要ですけれども、先ほど言いましたように、臨床プロトコルや1つのコホートを丸ごと生体試料を集めることについては、多分JCOGもまだやっていないのではないかと思いますが、臨床データとリンクした生体試料というのはこれから非常に価値のあるサンプルだと思います。ヨーロッパやアメリカ、オセアニア等に非常に多くのシステムが現在整備されておりまして、早く我が国も特にこういうところは国が力を入れてサポートすべきではないかとお願いしたいと思います。
簡単ですけれども、以上です。
○野田委員長 最後のところで言われた、レポジトリーのところですけれども、エビデンスを創生する治療研究というと、前のところでフェーズ3のところからがこれになると。そのフェーズ3の果たすべきそもそもの役割と、その推進機関のクオリティと、このレポジトリーシステムとは合致するんですか。
○直江委員 レポジトリーは恐らくフェーズ3に限ったわけではなくて、フェーズ1の段階から必要だと思っております。ただ、フェーズ3はnの数が圧倒的に多いわけです。そのことと、先ほど言いましたように臨床情報、医療情報がリンクしているということで、それが将来的に二次利用の可能な生体試料であるということが非常に重要かと思っています。
○野田委員長 もともとの治験や何かの進展にこれをカップルさせてやるということが少し足かせになったり、あるいは、足かせにならないようにするために何か制度だったり、整備する必要も一緒にはあると。
○直江委員 既に話が出ています、例えばゲノムの問題、個人情報の問題とカップルしますので、ある程度第三者的機関ないしは国のがんセンターでもいいんですけれども、そういうレポジトリーシステムがカップルしているという形で透明性と科学性・倫理性を丹保した形でデポジットするというものが望ましいのかなと思っております。
○野田委員長 わかりました、ありがとうございました。
質問がなければ、中西先生、お願いできますか。
○中西委員 私の準備したものは、別添資料にございます。大津先生のプレゼンテーションと一部重複するところがありますので、大津先生が今日提示された資料の12ページを一緒に見ながらお話を聞いていただければ、多分混乱せずに理解できる気がいたします。
大津先生の準備された絵の中で、私が今日主としてお話ししたいのは、一番下の「ここをいくら効率化しても」というところにありますが、いわゆる国内フェーズ3以降のところ、それと、そこから少し前の方で、世界同時とかあるいはリサーチIND制度に基づいたという辺りの事情をお話ししたいと思います。あくまでも国内を前提に考えております。
先生のお話にもありましたように、やはりイノベーションに関して言えば、非常に早い時期から治験にアクセスすることは非常に大事なことだろうと思います。日本が全く実現できていないかというと、実は大津先生のグループのご尽力等もあったと思いますが、胃がんや肝がん、肺がんの一部などでは、実際にかなう状況になってきたと思います。また、グローバル治験の中でも最近はアジア諸国に引けを取らない対応ができており、登録が非常に早くなってきて、逆にほかの国よりも早く登録して外国に当てられた症例を肩代わりしている状況はあるかと思っています。
そういう意味では、先端的な組織はかなり充実してきている。勿論それで十分とは申し上げません。この問題は日本全体として基盤工事をしていかないと、適切な臨床研究実施能力が国全体に広がらないのではないかと思っております。
そういう意味で私の資料をお目通しいただければと思いますが、がん医療はエビデンスに基づいて実施されるわけですが、当然、臨床試験をしないとエビデンスは作れません。現在私どもがいわゆる診療ガイドライン等に記載しておりますことは、あくまでも第3相の大規模比較試験から導出されるエビデンスです。これに影響を与えるには多施設共同試験をしないといけない、多くの施設が参加しないと大規模な臨床試験はできません。世界でも日本でも、現在がんでこれを担っているのは臨床試験のグループです。
もう一つ重要なことは、最近になりまして、がんそのものあるいは抗がん薬に対する反応性に人種差があることがわかってまいりました。フェーズ3の成績については、欧米のデータをそのまま引用すればいいんじゃないかという考えが以前はあったんですけれども、やはり日本人あるいはアジア人にとってのエビデンスがないことには、本当の国民に有用な実地医療には結びつけることができない、あるいは欧米のデータをそのまま外挿すると非常にリスクがあることがわかってまいりました
臨床試験遂行には非常にお金はかかるんですが、臨床試験から得られるデータが国民の信頼を得るためには公的資金による支援が望ましく、しかも、この部分への公的資金で得られたデータがエビデンス構築にはきわめて有効ではないかと思っています。
2枚目に書いておりますのは、例えばWJOGですとか、あるいはJCOG等、比較的組織がしっかりしたところは大体この図に示したくらいの機能を持って運営しているものでございまして、具体的には試験の質を担保するためのデータセンターや監査委員会、効果・安全性評価委員会、クオリティコントロール(QC)、QAなど、臨床試験の質を上げる努力が必要なんですけれども、現状JCOG以外はこれをすべて自らの資金で賄わなければならない現状にあります。決してそれは簡単なことではありません。
3枚目には、そのことを含めまして現在、日本のがんの臨床試験グループが抱えている課題を指摘しております。1番目は、今COIの話もありましたけれども、透明性、公正性、合理性、倫理性をしっかり担保していく必要がある。それから、研究の質は担保しなければなりませんが、同時に迅速でないといけない。それから、活動基盤の強化という意味でデータセンターと支援組織に対する十分な支援が必要ではないかと思っております。勿論、財政基盤も重要です。情報提供や啓発活動も大きな活動の1つになっておりますし、少し前のところに示したような、医師主導治験あるいはグループ間や国際共同試験の推進等も是非進めていく必要がありますし、グループの中での教育あるいは人材育成も現在多くのがん臨床試験グループが自らやっているところでございます。
一番下に書いてございますように、こういったことをやるための原資として、企業との連携は必要なんですけれども、やはり透明性や公平性を担保して活動基盤を整備・向上させるためには、公的な資金の配分が欠かすことができないのではないかと思っております。
次のページに書いておりますが、私がざっと調べた中でNPO、一般社団法人など、臨床試験グループはかなりのものがあります。これ以外にもあると思いますけれども、実際まともにエビデンスを出せているところはそう多くないという話は、先ほどお二人の委員の先生からも出たところでございます。
出口戦略を強化するためには勿論人材は決して欠かすことはできない。それはやはり今の幾つかのシステムを有効に活用することが大事だと思います。
もう一つは、臨床研究、臨床試験につきましては、現在の大学幹部等がなかなか十分に理解していない部分も多い。そんな中で、やはり学部教育にこれらを組み入れていく努力も重要ではないかと思っています。
それから、規制の問題につきましては、大津委員からお話もあったと思いますが、1つは、新規医薬臨床開発の迅速化のための規制対応の問題があると思います。とりわけリサーチIND制度に基づいた未承認薬試験は、多くのグループがやろうとしているところでもありますし、一部の組織は実際にやり始めておりますけれども、PMDAとの会話が十分できているかというと問題もあるかもしれません。
次に、ICH-GCPの話、これは先ほどお二人の委員からもお話がありました。当然のことながら、研究者主導臨床試験をGCP水準へ到達させるのは非常に重要だと思いますけれども、一方で、やみくもにGCP、GCPと一気に決めてしまいますと、ヨーロッパの例のように臨床試験そのものが止まってしまうおそれもあります。ここはやはり柔軟にかつ周到な対策をしていくことが必要ではないかと思っております。
そういうことをベースに、今ある臨床試験のグループを支援する、その上で、そのグループが単に臨床試験の後期だけではなくて、より早期の方にアクセスしてイノベーションに起用できるような形、こういった規制の問題や支援の問題についての対応が必要ではないかと思っております。
以上です。
○野田委員長 ありがとうございました。主に後期臨床開発のところを臨床試験グループの活動を中心にお話をいただいたと思いますが、よろしいでしょうか。
今お三方から共通に出てきたものでも、例えば、今のICH-GCPに対する考え方でも温度差というかいろいろな違いもまたありますので、そういう点を問題点を絞りながら討議していきたいと思いますが、ここで5分間お休みをいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、休憩したいと思います。
(休 憩)
○野田委員長 それでは、論点整理に基づいて進めていくということで、大津先生に進めていただきたいと思います。
先ほど中西先生が使われたように、大津先生の12ページの図を脇に置いておいて、論点はどこのフレーズのどういう目的のためのどういう話なのかというのは整理ができると思います。ただ、大津先生の資料で矢印の中はいいけれども、矢印の外にあるものは大津先生の意識がかなり強く出ているので、ここはあれとして、この絵はマップとしては非常にいいので、これを見ながらこちらの論点整理について進めていくと。
第2点目は、先ほどの祖父江先生ので見たように、課題・問題点に基づいてしゃべったものがまとめられていますが、今回は大津先生のアイデアで対応案の方の模範回答集みたいなものが後ろについていますので、ここはある程度意識をしながら、皆さんでこれに対して自分たちはどう思うかを言っていくという形で、大津先生にリードしていただくことにしたいと思います。
それでは、大津先生、よろしくお願いします。
○大津委員 それでは、よろしくお願いいたします。資料5の論点整理の方で進めさせていただきたいと思います。
まず最初に、1)法制度・ガイドラインに関する課題・問題点としましては、未承認薬を用いた臨床研究を実施するための適切な制度が存在しないと。現実には今の枠組みでいけば、医師主導治験という枠組みは存在しますので、存在しないわけではないと思いますけれども、いわゆるアメリカで言うところの研究者が治験届けを出して、CTEPがサポートするというシステムができているわけですけれども、そこがないということで、対応案としましては、リサーチIND制度を参考にした新たな臨床試験の枠組みの構築、これは現行では医師主導治験になるのかなと思いますが、高度医療評価制度というのがGCP準拠ということになってくるのであれば、また話は変わってくると思います。この件に関してはいかがでしょうか、直江先生、中西先生。
○直江委員 これだとリサーチINDと医師主導治験のここが違うというところがわかりにくいのではないかという気がするんです。先生がおっしゃったように、既に枠組みがあると言われると。
○大津委員 枠組みというのは、制度上できますと。アメリカの場合は制度上もそうですけれども、そこにサポートがいろいろあるわけですね。
○直江委員 つまり、審査だけではなくて、支援をサポートする機関がないということですね。
○大津委員 サポートをするところが、その後のCTEPがその役割だと思うんですが、そこがないというのが日本の場合は問題なのかなと。
それから、薬剤の供与とかデータの受け渡しに関しての、いわゆるNCIが契約企業との間の契約もサポートするという調整役もしていると思うんですが、日本ではそこがないという状況だろうと思うんです。では、その部分をどこがやるのかという話になると難しいんですが、やはりそこをサポートするのがないと、現実にアカデミアだけですべてやれと言われるとかなり大変なものだろうと、現実にはなかなか根付かないだろうと思いますが、いかかですか。
○中西委員 先生がおっしゃるとおり、日本にも是非CTEP様の機能を持った組織が必要だろうと思います。大賛成でございます。実は私が所属するWJOGでも未承認薬で企業と組織とで合同で治験をしようとしたことがあるんですが、これがどうもGCP上適切ではなさそうだというのでできなかったという経緯もあります。
それから、小さな試験であれば1施設でもいいのかもしれませんが、多施設でやろうとすると、今の医師主導治験の枠組みは一つ一つの研究者がすべて自ら主体の実施者になりますよね。その仕組みが非常に難しいといいますか、多施設共同研究をする上では足かせになっております。勿論、いろいろな運用でカバーしている部分はありますが、やはり医師主導治験そのものの枠組みを、どちらかといいますとリサーチIND制度のような柔軟な形でやっていただく方が、それを医師主導治験に落とし込んでしまうよりも現実的で、しかも実行可能性がある気がいたします。ということで、医師主導治験そのもののグレードを落とせと言うつもりは決してございませんけれども、今、世界的に行われているGCPの現実的な運用レベルに近づく努力は必要ではないかと思います。
基本的な精神あるいは対応そのものはICH-GCPとJGCPは大きく違うわけではないということは理解しております。むしろ、データの取扱い方の閾値が全然違う。つまり、法は同じだが、運用のための基準が我が国は非常に厳しいというのが実態ではないかと思います。私たち自身は、そういう意味でやみくもにJGCPに問題ありとするよりも、今、世界で行われているICH-GCPに準拠して行われる試験というのがどういうクオリティなのかについて研究しないと、どうも同じ衣装のようだけれども、随分と内容が違うような気がいたします。その2点が今後解決すべきことではないかと思います。
○野田委員長 今の話を聞いていると、まとめ方のポイントなんだけれども、法制度・ガイドラインに関することとしてリサーチINDを参考にしたというのでスタートすると、いかにも制度のように見えるけれども、結局、大津先生が言うのは制度、そして運用、そして組織、つまりCTEPのようなものという、それが一体になったものをここで表しているので、言っていることはよくわかるんだけれども、もうちょっと明確に記載しないと非常にわかりにくくなってしまうと、それが1つです。
2つ目は、今、中西先生が言ったポイントが重要で、リサーチIND制度はそれでよかったんですけれども、ICH-GCPになったときにはICH-GCPレベルがどうのこうのという以前の運用や実態の検証がなされることが必要であるとすれば、それはどこで誰がすべきだとお考えですか。
○中西委員 恐らくそれは、公的資金によって支援される研究グループなり、公的機関がやはり実際に現場に赴いてどういう状況かということを情報収集する必要があるのではないかと思っております。私たちもプライベートにやろうとはしておりますが、ある程度公的なファンドで支援するプロジェクトでないと、それを我が国に持ち帰るときのインパクがないと思います。
○大津委員 現行で行っている治験でも、いわゆる企業治験のJGCP、結局差というのは運用面での差ですので、実際上はICH-GCPもJGCPも変わりありませんので、運用面では企業治験よりは医師主導治験の方がかなり楽になって、例えば、ランダムサンプリングやモニタリングも全例というわけではなくなっています。それは海外も一緒であって、いわゆる企業治験の国際治験などの場合、JGCPと同等以上ぐらいに厳しいところは厳しいですので、それは決して日本だけが特殊というわけではないと思います。ですから、海外の場合も企業治験の場合と研究者主導の、日本で言えば医師主導治験の場合とでは運用面でかなり違いがあります。ですから、それは多分つくっていかないとしようがないと思うんですよね。実際に現場としてやりとりしながら、妥当なラインにつくっていくべきだろうと思っています。
○野田委員長 わかるし、いつもそこに落ち着くんだけれども、つまり私たちみたいに脇から聞いていると、あるグループ、ある立場の人たちは引き上げないと日本のクオリティは動かないと言い、ある立場の人たちは、いわゆる医師主導の臨床試験ができなくなってしまうような環境は非常に困るので、そこをうまくマージさせることが必要だという話が続いてきて、大津先生に聞くと、今のように実体的に見ればそんなに違いはないんだということなんだけれども、もう一回考えて、今のところをそういうあるクオリティを持った臨床研究グループなり臨床研究者が、そういうことを続けることを担保しながら全体としてのクオリティを維持していくためには、これから5年間具体的には何をすればいいのか、それともそれはどうせそうなっていくよということなのか、そこなんですよ。
だから、例えば、ここで「ICH-GCPレベルに引き上げる事が必要」の後に、大津先生は当面の対応策として「高度医療評価制度の活用、Compassionate use制度の整備などに積極的に取り組む」と書いてあるけれども、これはちょっと違う。これそのものはやるべきことではあるんだけれども、ICH-GCPレベルに引き上げるためには何をというところをもう少し明確にしないと、何か踏み込めていないのではないかと思うと。それをしているときに下のことも平行してやっておくべきだと思うけれども、そうではないですか。
○大津委員 先生のおっしゃるとおりです。ですから、上の部分と下の部分はちょっと違う話です。
○野田委員長 そうすると、せっかく大学、アカデミアのそういうものを物すごく経験してこられている直江先生がいて、そして、臨床研究グループの実態をよくわかっている中西先生がいるときに、大津先生がいて藤原先生も来ているわけだから、これから5年間のがん対策基本計画のここに引き上げるのか、引き下げるのか、ちょっと言葉が悪いから後で消してもらうけれども、そこで何をこれからするのがいいのかというのはここに書いた方が、もう一つ踏み込んだ話は要らないですか。
○大津委員 必要だと思います。まず、ICH-GCPレベルに引き上げること、これを海外先進国同様にするという話になったら、日本の臨床研究がかなりの打撃を受けるのは現実の問題で、それをどうするかですね。例えば、JCOGとかWJとかそういうメジャーなグループは恐らく対応できると思うんですけれども、では、さっき中西先生が出されていたローカルのグループまで全部できるかというと、そこまではどうなのかなと。そこのリスクはどうしても生じる可能性があります。
○直江委員 ここですべての臨床研究をICH-GCPレベルに引き上げるというのは最終的な目標なんですけれども、多分、未承認薬や拡大治験というものについては、まず一段目はそこをクリアしないといけないという書きぶりであれば、恐らく問題ないのではないかと。ただ、既に承認薬の適用範囲の中でやるものも含めてとすると、ほとんどの研究グループの研究はぽしゃってしまうのかなという危惧はしますが。
○大津委員 その辺をどう考えるかということですよね。ヨーロッパがかなり打撃を受けたのは現実ではあるんですけれども、では、『New England』とか『Lancet』とかに出てくるような論文が減ったかというと、減ってはいないんですよね。日本は減っているけれどもというのは考えなければいけないのかなとは思っています。
○直江委員 どうやってソフトランディングさせるかというか、お金があれば。基本的にはお金と人の話なのかなと。だから、すべてそういうきちんとしたプロトコルで臨床研究を出して、そういうものに国がじゃんじゃんお金をつけますよと。その代わり、これを満たさないものはだめですよとしてしまえば、それなりにいくのでしょうけれども、そうはならないですよね。
○大津委員 どの辺まで言うかですね。結局ヨーロッパに関しても、EC指令に出すのに3年ぐらいの憂慮、その間に整備してくださいということをやって、一応ゴーしたわけですよね。勿論、臨床研究に先ほどのグループが全部そのレベルになってくれればいいんですけれども、現実にそこまでのサポートができるかどうかというのは、一つの問題になるかと思います。
○野田委員長 藤原先生、何か言いたいことはありますか。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 最初の大津先生の課題のところで、適切な制度は存在しないというのは言い過ぎで、やはり今、先進医療と高度医療評価制度があるので、それを短期的に活用すれば十分いい制度だと思いますし、リサーチINDというのはそもそも高度医療評価制度と同じようなものなので、そこを短期的に利用されるのが一番いいのかなと聞いていて思いました。
それから、CTEPというのはアメリカの組織なので、アメリカ帝国主義に巻き込まれないように、別の言葉を使って、例えば、Academic Research Organization(ARO)とかAcademic Clinical Research Organization(ACRO)でもいいですけれども、文部科学省は各大学にTR拠点などを設けていますが、本来のTR拠点というのは早期の開発ですが、こういうCTEP機能に近いことを想定されて予算がついているようなものですから、国で1つにすると言うと必ずいろいろなところから反発が出てくるので、地域で1個ずつ、AROあるいはACROみたいなものを整備するという方が段階的にはいいのかなと思いました。
今、皆さんが議論されているところは、来週月曜日に薬事法の制度改正の検討会議がありますし、今週は医療イノベーション会議というのが官邸でも開かれますし、その辺でいろいろなアクションプラン、総合科学技術会議の方もアクションプランを書いて、これからレギュラトリーサイエンスの充実ということもうたっていきますから、もうしばらくすると今皆さんが言われていることは大体どこにも盛り込まれているような事実なので、それを踏まえて対応策、次の5年間がん対策基本法に基づいて何かやるかというのはつくられた方がいいのかなと思います。方向性は間違っていないと思うんですけれども。
○野田委員長 今のところは再確認しますけれども、アクションプランが総合科学技術会議のところに書き込まれても、それが具体化するとは限らないわけだから、当然同じことでも今から必要なものは書くと。ただし、それが実現してからその先のことを考えるんだよという場合は、それはそれでいいと思いますが、それはまだ実現はしないわけでしょう。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 今週1~2週間のうちにいろいろな会議で出てきて、皆さんが言われたこととほとんどオーバーラップしていることが表に出てくるので、それをうまく書き込んだ方が、みんな同じことを考えているんだなとはいくと思います。
○野田委員長 わかりました。
それから、前に戻りますけれども、私もそっちは藤原先生のお考えに賛成なんですが、やはりCTEPがいいにしても、CTEP様のと言ってしまうと確かにあれですよね。だから、もう少しそれを的確に表す言葉に変えて、こういう機能のものが必要だと。そして、例えば、アメリカだったらこういうものをやっているねという程度にしないと、何となくアメリカを追いかけるようなイメージになるので、書き方としては何となく合わない。
○大津委員 今の藤原先生の言われたことの1つのポイントは、国として1つにまとめて統括するのか、リージョナルにそれぞれのアカデミックな組織、今の文科省のTR拠点とかそういうところでやっていくのかというのは大きなポイントになるかなと思いますが、
実際に中西先生のところはいかがですか。
○中西委員 私は橋渡し研究支援事業の採択を受けてTR拠点事業もやっておりますけれども、なかなかCTEPのような形で企業側に強い圧力をかけることは簡単ではないというのが現実の話で、ひたすら企業と研究者の調整に回っております。やはりここをどう落とし込むか、もう少し慎重に考えてもいいとは思いますが、一番私たちがCTEP様の機能に期待しているものは、企業がやりたくない治験なんですね。つまり、ヘッド・トゥー・ヘッドの試験をやるとか、2つの未承認薬の併用を見るとか、研究者としては非常に興味もあるし、また、それが必ず次の医療に役に立つと信じているものであっても、企業側が企業としての製品展開の中では歓迎しない枠組みのものをやらせてくれる制度が欲しいなという気がしておりまして、それが地域でもやれるのか、あるいは中央一本にしたときに弊害がどうなのかは、今の時点では私は何とも言いがたいと思っています。
○野田委員長 本当に単にバラバラになっているか、まとまっているかの違いで、CTEPをバラバラにしたらアカデミックCROになるとは私はとても思えないんだけれども、やっている役目や予算の取ってき方の構造が随分国と中とで立ち位置が違っているような気がしますけれども。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) CTEPは確かにそうなので、多分、これは厚労省や文科省や経産省とかいろいろなところが納得していただければですけれども、CTEPが一番力を持っているのはお金を持っているからなんです。金を持っていないのに文句だけを言っても誰もついていきませんので、ちゃんとそこは厚労省、文科省、経産省、NEDOが持っているとか、JSTが持っている予算とか、厚労科研費が持っている臨床研究に対する試験研究費をちゃんと意志を持ってこういうところに配分しますと言える組織を皆さんに合意してもらえれば、それが一番いいと思います。それを支えるのが、AROとして各拠点に、全国でそんなにたくさんは要らないと思うんですけれども、そういうところが整備していけばいいと思いますので、それは野田先生がおっしゃるとおりで、CTEPの機能とAROの機能が少し異なるということは事実です。
ただ、CTEPのような統一機関を日本全体としてつくるとここでしっかりうたうか、そこまで踏み込まないかというのは難しい課題だと思います。
○野田委員長 その中間の部分として、例えば、臨床研究推進に向けて統一した調整をして、CTEPのある指令塔機能みたいなところを担う組織と、実施組織が逆にアカデミックCROのようなもの、そこは分けても構わないわけですね。ただし、今金がどうせあるのだったら、そこは臨床試験に流れている部分だけでもいいから統一して、スムーズな流れと制度の整備を一緒に見られるようなところがあっていいというのはいいわけですよね。
大津先生、どうですか。
○大津委員 そこのポイントが大きくて、CTEPが強いのは多分、金だけの問題でもない。やはり国として当局と別組織ですけれどもコネがあるというか、レギュレーションがかかるところと近いので、企業側としてもそこをなかなか無視できない。ただ、中西先生おっしゃったように、いわゆるグローバル企業みたいな大企業の国を超えているような力を持っている企業の場合は、そこには余り乗せないと。だから、むしろCTEP試験でやっているのは、どちらかというと中小的な企業やアカデミアからのベンチャーとか、そういう基盤が弱いところが乗りやすいとは聞いています。ですから、日本からのアカデミアなりイノベーション、イノベーション推進室もそうですけれども、そういう発想で考えれば、そこの部分は必要なのかなと。
逆に言ったら、日本で言えば、余り固有名を出すのはあれでしょうけれども、大手の例えば武田とかエーザイというところは、かなりグローバル的な考えですので、そういうところの人は多分、日本でそういうCTEP版ができたとしても余り乗らないだろうと思いますし、逆に弱いところを対象にしていくのかなという気はしますけれども。
○野田委員長 そうすると、CTEPという言葉はそのまま使わないだろうというところを利用して、今の果たすべき役割とか位置付けをある程度少し幅を持ちながら大津先生に書いてもらって、そういう機能なり組織が必要であるというのはうたったらどうだろうかと。
○大津委員 恐らく、試験制度としては医師主導治験なり高度医療評価という部分でできますので、全体像としてサポートをする部分が必要であるということと、CTEPという言葉は使いませんけれども、CTEP的な中央の組織をつくるべきという方向性でいくのか、それともさっき藤原先生が言ったように、それにかかわらず普通にリージョナルにアカデミックCRO的なところで対応していくという。
○野田委員長 それになってしまうと支援だけの話になってしまいますよね。支援の実態は、今、藤原先生が言われたことでいいんだけれども、その支援の実態に力を持たせるためにどうしたらいいかという、どんな組織なりどんな機能が必要かというのは、やはり考えて書く方がいいとは思うんですけれども。それがなかったら。
○大津委員 では、一応それを入れるということでよろしいですね。
○直江委員 ちょっとよくわかっていないんですが、CTEPに我々が書きぶりで期待していることは産官学、特に承認側、PMDAとかそちらがある程度最終的な受け皿にならざるを得ないということで、現在の例えば高度医療評価制度にしても、臨床試験にしても、INDもなければ、それが申請データにつながらないということのダブルスタンダードが問題になっているということなので、この組織に規制側が入ってくれないと、つまり、臨床試験をプロモートするだけで民間と病院を取り持つだけでは、ちょっと考えていることが違うのかなという気がしたんですけれども、そういう意味で、リージョナルに幾つかできてしまうと、その辺はどうなんですか。つまり北と南とインディペンデントに同じような試験が始まったら、それは非常にむだだと思うんですけれども。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) ちょっと誤解を与えた発言でしたら訂正しますが、実は指令塔機能が必ず1人いて、そこでファンディングエージェンシーならファンディングエージェンシーがちゃんと全体の目配せをすればいいと思って、AROというのはそれぞれの施設で今のTR拠点がやっているような各試験をサポートするという体制でいいと思いますけれども。
○直江委員 上にいてということですね。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) それをここにどこまで書き込むかは私はよくわからなかったので、それはがん室の方々がいろいろ考えられると思います。
あと、PMDAとの交流というのは、CTEPの中にも別にFDAの担当官がいるわけでもなくて、月に1回ジョイントミーティングをして、薬事の規制に関していろいろな情報交換しているだけだというのがあるので、日本でもPMDAができたわけですから、彼らにもう少し啓蒙して、もっと臨床試験を知ってもらう。今は若い人しかいないので、余り実臨床をやったことがない人がたくさんいますから、そこをちゃんと教育して、我々の方がPMDAはこういうことをちゃんと見てくださいよとか、GCPで言えば信頼性保証などのところで非常に厳しい指摘をしたりする人たちがそういう見方をするのではなくて、こういうふうに見た方がいいですよと。例えば、去年のJCOに出ていましたけれども、シカゴのシルスキーがフェーズ3のデータを過去見直して、安全性評価をここまでしておければ大体承認基準には達していますという論文をまとめて出しているんですね。ああいうのを日本のアカデミアの人たちが、例えば、科研費でやった試験では、これぐらいの基準でやっておけば安心して承認審査に耐え得るデータ、フェーズ3のデータになりますよというプロポーズをしてあげればPMDAはのんでくれると思うんですけれども、先ほど中西先生がおっしゃったような、実地調査をしっかりしてプロポーズしてあげるというのが大事かなと思いました。
○野田委員長 今、2つ新しいことが出てきたと思うんですけれども、1つは、規制当局との関係の問題ですが、規制当局との関係の問題で今、藤原先生が言ったことは非常に重要で、規制そのものの話ではなくてここは研究の話だから、研究が規制当局に対して、あるいはこれからのそういうものに対してやるべきことということでは非常にいいと思うんだけれども、CTEPの話が出てきたところにそれがはまるものなのか、はまらないものなのかというのが、まず1つはありますよね。ただし、1つ前の一番最初のところに戻ると、CROがいろいろなところで支援は実情に応じていろいろするにしても、全体を統合する組織が必要だと。おまけに、その組織は今いろいろな形の予算が結果として臨床研究に出るわけだから、それを見通せるような、つまりそれを全部マネージメントするという人はどこにもいないわけだから、それをある程度見通して調整できるような組織が必要なんじゃないかということはいいですか。
○大津委員 それをつくるべきというのは、みんなの意見だと思います。ただ、現実にできるかどうかは別問題として、先ほど中西先生が出されたような全国のいろいろなグループが届けを出すということになれば、そこである程度調整はつくと思うんですよね。ただ、それが実際のキャパシティとしてできるかどうかは別として、それがグループに対してのいろいろな教育でつながるでしょうし、それから、そこで情報が集まれば、どこどこの試験でこうやってネガティブでしたよという情報も行くと思いますので、そういう調整する場というのは必要なんだろうと思います。全体のグループを底上げするという意味においても必要だと思います。ただ、現実にそういう部署がつくれるかどうかということと、現実にそれをできる人が日本の中にどれだけいるかという問題が非常にあると思いますので、それをつくったはいいけど、やれる人がどれだけいるかというと、非常に心もとない部分ではあります。そういう問題はあると思います。それは多分、藤原先生とかがずっと苦労してやってこられたところだと思います。
○野田委員長 どういうふうに書き込んでいきますか。それは、例えば、中西先生の後のがんの臨床研究グループの立場から見たときに、自分たちも参加してそういうものをつくったらいいと思わないですか。例えば、国がお金を持ってしてくれてサポートが来たらいいなと思うだけですか。
○中西委員 私が頭の中に入れているCTEPの機能というのは、ある程度企業側に発言力があるようなところなんですね。実施グループそのものがそれまでやってしまうと、どうも話が変なことになるので、ここは第三者的に、あるいはもっと公的な立場から、それは国民に提供すべきかどうかを決めていただいた方が、特にCOIの絡みの問題もあって、いろいろな意味でいいような気がいたします。
○大津委員 基本的に、企業との契約で新しい薬が弱い企業と言ってはあれですが、そういうところから来て、こういう薬がありますけれども試験をやるグループはありませんと手を挙げてもらって調整してやりとりしているのが、今のNCI-CTEPのやり方だと思うんです。ある程度、企業側とアカデミアを結びつけるということですよね。だから、規制してどうこうということではなくて、それをちゃんとサポートとして新しいものをつくる調整役ですよね。
○中西委員 ただ、ある程度彼らがこうでしょうと言うと、企業はそんなことはしないとは言いにくいという話を幾つか聞かされているんです。
○大津委員 それは、企業とそこの力関係にあるのだと思うんですけれども。
では、一応、全体としては統括とかサポートするのは、つくるべきだという書きぶりを。
○野田委員長 統括はよくないですよ。
○松原委員 よろしいですか。統括はまだ早いかなと。調整プラスサポートだと思います。むちゃくちゃお金があって、いろいろなお金をたくさん出してくれるのだったら統括していただいて多分いいと思うんですけれども、そんなお金はまだまだ出てこないと思うんです。そうすると、ある一部分だけがサポートされることになると、それがすべてを統括すると非常に問題になると思うので。
○大津委員 でも、実質上、未承認薬からスタートしていって、だんだんと一般の適応拡大とか、一般の研究者主導の臨床試験の方に拡大していく、段階的にはそういう図式ですかね、現実問題として。
○直江委員 あと一つは、やはり結果的に例えば、メーカーのある未承認薬と既存の抗がん剤を使ってこういう試験をやりたいというところを例えば、CTEPのような新しい組織に申し込んだときに、それが認められてある程度のファンドという形、例えば、厚労科研でも何でもいいんですけれども、そういう形でサポートしてもらうという資金的な部分がないと、結局絵に描いた餅になる可能性もあると思うんです。だから、CTEP様の組織が力を持つのか、先ほど金を持っているからアメリカのCTEPは力があるんだという話がありましたけれども、ここが要するに実際問題どういう支援をするか。調整はわかるんですけれども、どういう支援をするのかということになると、例えば、厚労省がサポートするがん研究の臨床試験のお金の部分をある程度決めるという機能はどうなんでしょうか。やはり持たないと力がないんじゃないですか。
○大津委員 まさに、くっつけられれば一番理想的で、ファンディングの部分と調整の部分が両方できればベストだとは思うんですけれども、一応、実現できるかどうかは別にして、そういうことが望ましいという書きぶりで書く必要性はあるんじゃないでしょうか。
○中西委員 がんの臨床試験等も含めて、厚労科研は近いうちにプロトコルベースで見るようになるだろうという話は聞いておりますが、例えば、そういう厚労科研のスポンサーが同時に全体の調整役であるとか情報について取りまとめて、あるいは場合によっては企業とのコーディネートをするみたいな形になれば、恐らく大きなお金をかけずとも、自ずからそういう力あるいはそういう役割が果たせるのかなという気がいたしますが。
○大津委員 それも含めた、勿論、ファンディングの部分も入れていかないと実質上の力は出ないだろうと。
○野田委員長 今の話からもFAとの連携は必要だけれども、FAそのものが全部それをやってしまうと、これはまた企業との話までになってしまうとちょっと方向が違ってしまうと思うので、FAとの連携を密にしていというのはいいと思いますが、そこまで含めた調整役だというのはいいと思いますが。
○松原委員 あと、直江先生が言ったように、出口がすごく大事でPMDAが臨床試験の結果できちんとその薬を市場化するのかどうか、その市場化すれば企業も乗ってくるはずなんですよね。幾ら『New England』に出たって、それが市場化されなければ企業は乗ってこないんですよ。なので、さっき大津先生は医師主導治験と企業の試験で違うようになったと言っていますが、私は最近話していないのでわからないですが、数年前は全く違ってダブルスタンダードはないというのが彼らの基本スタンスで、要するに、企業治験だろうか医師主導治験だろうが同じ基準で審査する。ICH-GCPでやったときに、やはり日本の基準と違う部分があって、ICH-GCPでやったけれどもPMDAは通さないということになると、やはりだめなわけです。だから、そこのすり合わせがきちんとできるのかどうか。それを大学の人間や研究者がPMDAとやり合っても余り動かないので、CTEPに代わるような調整サポート役がICH-GCPにのっとってやった試験なので、これはPMDAで考えてくれますかというやりとりをやるようなところです。市場化を目指したことをやってくれるような組織になれば、多分研究者としては非常にありがたいし、そうすると、企業も多分乗ってくるのではないかと思います。
○野田委員長 それは、さっき私が言ったことと近いんだけれども、そうすると、つまらないことで申し訳ないんだけれども、この範囲がカバーする臨床研究の線は、何かミシン目がその間に入りますよね。
○大津委員 医師主導治験だけですべて3相までいって承認がとれるということは現実には無理だと思います。ここで言う未承認薬の医師主導治験というのは、あくまで企業の3相に持っていくためのつなぎのところです。規模的にもそんなに大きな規模をやるというのは、今の開発の治験の中では無理ですし、そこの企業治験のクオリティというのはかなりなものを要求されますので、昔は2相試験で承認だったので、それはありかと思いますが、今の中ではちょっと無理なんじゃないかと思います。あくまでここで想定しているのは、いわゆるフェーズ1、2、POCスタディという小規模な部分だと考えています。よろしいですか。
○松原委員 それはどちらでもいいんですけれども、それは予算の話で変わってくるので、それはどこまでできるか。だけれども、そういう機能を果たすかどうかというのが大事かなと思うんですけれども。
○野田委員長 藤原先生は、今言ったような組織は要らないと。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 日本の先生方に一番欠けているのは、企業とタイアップしてどこまで製品化に持っていくかというところを全然知らないので、日本の研究者を企業が相手にしないんですね。いいと自分たちは言うんだけれども、企業の目から見るとグローバルのほかのアカデミアがつくっているものの方がよほどよくてというのはよく聞くんですよ。そこの目利きのところがCTEPでもいいでしょうし、大学でもいいですけれども、これをどう市場に出すか、そこまで育てるかを広いロードマップをかけて提示できる人がここにいればいいのかなと。
○野田委員長 それはわかるし、アカデミックCROのときに最も求められるところだと思うんだけれども、松原先生はそれだけではやはりだめだろうという意味でさっき言ったわけです。
○大津委員 AROさんには当然レギュレトリー担当がいて、企業のGCP担当で定年になるような人とか、PMDAが終わった後の定年になった先生方とかそういった人たちが入ってきて、普通にコミュニケーションと同じような言葉を使ってPMDAの窓口でやりとりしていただくような人がここに来れば、もっとやりやすくなると思います。千葉大学では臨床試験が多分試みられて、これから伸びるんじゃないかと思うんですけれども、京大にも探索医療センターにいろいろな人が入ってきてそれが進んでいけばいいので、そういうものが各施設にあれば同じような用語でPMDA相談、コミュニケーションできると思いますので、それをつくるというのは非常に大事だと思いますけれども。
○野田委員長 そういう意味での機能は持ったらいいと。だけれども、何となく資格を持たせるとか、そういう位置付けをするということとはちょっと違うことを藤原先生は言っていると。
○大津委員 世界のメジャーな施設はほとんどそういう薬事関係を持っていますので、それも含めたCROですね。そこの部分を知らないと、いわゆるメジャーな臨床試験にはなかなか入れないというのは多分、世界共通だと思います。
○野田委員長 そういう能力まで含めて書き込んでもらえたら。
○大津委員 それは次のページの方に施設基盤整備の課題で出ております。
○野田委員長 もう一回戻ってしまうんだけれども、今そういう全体のシステムの問題をディスカスしているんだけれども、まず法制度・ガイドラインという言葉は祖父江先生が言ったように、なじむかどうか別ですが、法制度というのが出てきたときに、ここでまず何をうたうべきなのか。今はCTEPのところに話が集中してしまって、CTEP機能なり、CTEPシステムを日本でどうやって担保すべきかと。
○大津委員 一番はICH-GCPをどこまで広げるかという書き方ですね。
○野田委員長 そこの書き方に戻ってください。
○大津委員 要するに、申請が絡む治験だけの話にするのか、一般の研究者主導の臨床試験まで広げるか。言葉は悪いですけれども、医師主導治験は既にGCPの対応ですので、適応拡大の部分まで広げるか、それとも更に一般のところまで広げるかという。
○野田委員長 一番最初の未承認薬に関しては、もうICH-GCP。
○大津委員 未承認薬のところはいいですよね。今のだと、むしろ大学などでやっているアカデミアの自主研究という臨床試験、未承認のワクチンとかやっているものの取扱いをどうするかという、かなり大きな問題になると思うんですけれども、それに規制をかけるかどうかということですよね。それは非常に大きな問題だと思います。
○松原委員 規制をかけると、多分ほとんどの研究がストップします。というのは、お金がないからです。ICH-GCPでやると無茶苦茶お金がかかるわけです。そのお金がない限り臨床研究は進めませんからストップしてしまうと思います。日本でそれだけ臨床研究にお金を出してくれるのかというと現状出してくれていません。今レベルは低いとは入ってもEvidence based medicineが大事だと言って、臨床家が臨床試験になじんできて、いろいろな臨床試験に参加するような雰囲気がようやく一般の医療者にも出てきたところにそれをやったら多分、日本の医療にとっては非常に。『New England』とか『Lancet』とかフェーズ3を狙うものだけ推進するんだったらいいんですけれども、底辺は多分逆にしぼんでしまう。底辺をしぼませても上がすぐれればいいというスタンスならば、それでいいんでしょうけれども、そこはいかがですかね。
○大津委員 異論はいろいろあると思うんですが、先生のお気持ちは十分わかるし、多分アカデミアの人、大学の先生方は恐らくほとんどそうだと思うんですけれども、ただ、それが世界に通用しなくなってきているというのが現実だという状況で、決して海外がすべて正しいとは思いませんが、日本だけがちょっと特殊な状況というのは先のことを考えると難しい。逆に言ったら、それをちゃんとやることによって、よりちゃんとしたものだけが残る。だから、薬の開発の全体像で考えたときには、結局、臨床に入ってからやめるよりも、前臨床の段階と言ったら言葉が悪いですけれども、いろいろなシーズの中で残っていくのはわずかで、それをすべて臨床試験でやっていくというのは極めて効率が悪い話になるんじゃないかと思います。ですから、そこはある程度の基準をクリアしていかないと難しいと思うんですよね。
○野田委員長 それは書き方の問題です。
中西先生どうぞ。
○中西委員 総論的にはそのとおりだと思うんですけれども、今お話があるように、オンゴーイングのスタディがどうなるんだという話もあれば、例えば、全国区の大規模比較試験みたいなJCOG、WJ辺りでやるものも、その前に必ずコンビネーションのフェーズ1、フェーズ2をやっているんですね。それはGCPではなくてこっちがやっているんですけれども、その根っこのところ、いわゆる薬の併用のコンセプト、アイデアを次に持っていこうというところには相当大きな影響力のような気がします。
○大津委員 そうではなくて、JCOGとかは未承認薬ではなくて既承認薬です。
○中西委員 今は未承認薬の話ですか。
○野田委員長 限っていないけれども、まず未承認薬だけでもそういうことを言えるのかと言ったので、そこに限っただけで。
○中西委員 それに関しては、私もいずれはそうならざるを得ないと思うので、ここはある一定の目標の期間を乗せた上で、この時期までに努力目標とするぐらいの言葉で落とし込むのが妥当ではないかと考えます。
○大津委員 私もそう思っています。だから、いきなり来年からやりますというのは、とても無理な話で、だから、さっきのヨーロッパ形式に何年か後にはそうするという話で入っていかないとまずいのだろうと思います。
○中西委員 それを達成するための幾つかの施策をするんだということも。
○大津委員 とりあえず、未承認薬に関してです。
○中西委員 特に、ペプチドとかがんワクチンのところですね。
○直江委員 今の御議論はそのとおりだと思うんです。やはり一定の期間を設けるということがまず1つです。
2つ目は、GCP、GCPと言いますが、やはりこれは承認申請とカップルしないと、基準だけ厳しくしようということでは方手落ちだと思うんですね。そうすると、承認申請を誰がするのかということです。アカデミアができるわけではなくて、最終的にはメーカーがやるということなので、先ほどのCTEPの話に戻るんですけれども、未承認薬を誰がつくっているのか、誰が承認申請をするのかという問題とかかわると思うんです。メーカーはそんなことは全然関心がないと。だけれども、私たちが例えば、アカデミアがGCPだけ守ってきちんとやりましたと、こんなにいいデータがありますと。だけれども、それは誰が使うんですか。承認申請しないとアウトプットがないじゃないですか。だから、そこはさっきのCTEPの話と絡んで両方やらないと、自主規制だけ厳しくやりましょうよでは乗ってこないのではないかと思うんです。
○大津委員 我々のところでもワクチンの話もやっているんですけれども、結局緩いところで臨床に持っていって、GLP、GMPに対応せず、非臨床もやらず持っていったときに、そこは自主研究でやってフェーズ1とかフェーズ2になったときに、なかなか進まなくなる。結局そこは企業に戻して、そうすると、もう一度企業で一から全部、前臨床から何からやり直しという話ですので、それはサポートする部分も含めてつくっていかなければならないと思うんですけれども、それはつくっていかないと難しいんじゃないかと思います。
○直江委員 だから、結局のところ、ベンチャーとか大手のビッグファーマーにつなぐところ、我々ではない外の話が影響しているので構造的な問題かなと。では、その部分が抜けたときに、ここの話だけをしていても誰がやってくれるんだということになる。例えば、アカデミアでGLPできちんときれいな状態でワクチンをつくったと、これは効くはずだと思って一生懸命やりますね、自主研究の形で。それで感触が得られたとしても、メーカーが乗ってこないという状況に結局陥るという構造的な問題があるんですね。
○大津委員 それはもう早い段階から企業と話を進めないと、本当の意味の開発にならないと思います。だから、企業が手を出さないで自分たちだけでやってという話というのは、膨大な研究費をかけて臨床に持っていくことはできても、そこから先が難しい。やはり企業側から見たときに、研究者が幾らこれはいいからと言っても、後ろのデータが何のクオリティの保証がないと言われると、企業もなかなか乗らないと思うんですよね。それは日本に限らずどこでもみんな大きな問題だと思いますけれども、それはやはり早い段階から企業と一緒に進めるような話を考えていかないと、どう見てもアカデミアが薬を製品化して販売するというのは、まず無理な話ですから、やはりいかに早い段階で企業に持っていくかということを考えながらいかなければならないと思います。それは多分それぞれの施設でやってもらうしかないと思うんですけれども。
○野田委員長 そうすると、結論はここに今書いてある対応案になって、それを含めてすべての臨床試験をICH-GCPレベルに引き上げることが必要と。
○大津委員 いえ、とりあえず未承認薬はその段階を踏んでICH-GCPレベルに持っていくというのは今、先生方もある程度合意されたと思うんですが、それ以外ですね。未承認薬ではなく適応拡大とか、あるいは一般の臨床試験のレベルまで言及するかどうかということに関してはいかがでしょうか。
○直江委員 適応拡大はいいんじゃないですかね。次の段階はやはり適応拡大です。やはり既承認薬の諸々のものまでそこですぐやるのかというと、そこはちょっと難しいんじゃないかと思います。
○大津委員 その申請側からの未承認薬と適応拡大のシステム化に関しては、GCP基準に期限を設けて、何年とかは書かない方がいいですか。
○野田委員長 書かないです。
○松原委員 今の案で非常にいいと思うんですけれども、それには必ず研究費がついてくるということを明記しておいていただきたいと。要するに、今の研究のままでそこだけいってしまうということは逆に縮小することになるので、それをやるにはその分の研究費がきちんとくっつくと。その辺を強調していただけると。
○大津委員 施設側のサポートは次のページにありますので。
○野田委員長 でも、やはりそれだけではなくて、引き上げるという意識の中に引き上げる引き上げ方も、単に基準を厳しく適用することのみならず、そういうものを乗り越えられる研究が組めるような環境を整備することが入ってこなければいけないということなので、ここにちょっと入れていただけますか。
○中西委員 1ついいですか。この話をもしやると、がん以外の臨床試験はどうなんだという話も出てきそうな気がするんですが、例えば、高度医療評価制度などにICH-GCPの基準を取り入れるというのは、がんの領域ではあるべきだと思っていますが、それ以外の領域に対する影響というのは私たちは考えなくてもよろしいのでしょうか。
○大津委員 今の話は薬事法改正になるんですか。未承認薬とか適応拡大にICH-GCPを必須ということにすると、それは薬事法の改正ということに。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 治験届の要件の中で出てくるかもしれないですけれども。ほかのがんも多分早期とポックぐらいのレベルの臨床試験であれば、ICH-GCPと言っても小さいサンプルサイズの試験であればモニタリングは1施設でやればいいので金はかかりませんし、ドキュメンテーションさえちゃんとしておけば、あとはいつもみんながやっている臨床試験のままで多分対応できるので、そこには余り経費がかからないので、むしろGNPとかGLP対応で、例えば、ICHのM3とかS9のような前認証でどこまでグローバルスタンダードのレベルにいくか。そうすると多分2億円とか3億円ぐらいかかると思うんですけれども、それを要求される方が多分皆さん大変になるかなと。だから、GCPの方は小規模トライアルのときには余り心配されなくてもいいのかなと思いますけれども。
○大津委員 むしろIND届ですね。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 日本の治験届のときには、いろいろ細かいことを言うかもしれませんが、それは薬事法の制度改正の検討会で今いろいろやっているところなので。
○大津委員 いわゆるアカデミア発のFirst in Humanでも要求するという話にすると法改正?
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 現行法制度の中でそういう運用をしたいるから。
○大津委員 逆に言ったら、それ以外を規制することになるわけですよね。必須とするという話をしたときには法改正になるんですか?
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) アカデミア発のそういうものではない、GCP対応ではないものを使うということですか。
○大津委員 今やっているアカデミアからの研究者主導の自主研究的なものに規制をかける。全部INDとGCP準拠というのを明記するという話になると。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 薬事法ではないと思います。実際に皆さんがやっているのは、医師法とか医療法の範疇でやっていらっしゃるわけですよね、今のアカデミアの試験というのは。
○大津委員 だから、それを規制すると。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 業として販売する人たちに対する規制なので、アカデミアを規制する法律ではないですよね。ここで議論してもちょっと。
○大津委員 ヨーロッパは薬事法ですべての臨床試験は規制するという話ですよね。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) ヨーロッパは臨床試験指令というもので、薬事法とはまた全然別次元の話ですけれども、それが日本の場合は臨床研究倫理指針でソフトロー的に対応されているんだと思います。
○大津委員 いやいや、ICH-GCPとかINDに移行すべきだという話と、それをマストにするという話では違うと思いますけれども。マストにするときは、今の薬事法改正というのが必要になる?
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) マストにするのだったら薬事法ではなくて、別の法制度が必要になると思います。
○大津委員 医師法ですか?
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) いえ、どういう法律になるかは別で。それは、例えば、前回の臨床研究倫理指針の改定の検討委員会が厚生科学審議会でありましたけれども、あのときも法制化した方がいいのかという話もありましたが、今の日本のいろいろな実態を考えたときに、予算措置とか人材のことを考えたら、そういう法制化は難しいでしょう話が結構多かったところもあります。いきなり全部をぎちぎちに規制する、法律でやるというのは、かなり大変な話になると思います。
○大津委員 では、INDは別として、GCP準拠だけをうたう。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) INDの場合は、高度医療評価制度という中の運用で、例えば、高度医療評価制度がリサーチINDに近いと私は思っているんですけれども、高度医療評価制度に応募していただければ保険外療養費という健康保険上のいろいろな利益を得られますというのが一番メリットだと思うので、それを活用して臨床試験をやってくださいと。全額自己負担のような試験をやらなくてもいいですよと。
○大津委員 その場合だと、要するにアカデミアからの初回のFirst in Humanといったときの審査が極めて難しいと思うんですけれども。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 高度医療評価制度でFirst in Manをどうやっていくかというのが今後の課題だと思います。
○大津委員 なかなか一般の臨床医では判断がつきにくいところですよね。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) はい。
○大津委員 そうすると、ICH-GCPを要求して、いわゆる治験届、非臨床等々のデータまでは要求しない。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 高度医療評価制度とかFirst in Manのトライアルというのは、世界的に見てもICH-GCPよりもむしろGLPとかGNP対応の方がよほどハードルが高いので、そちらをちゃんと守っていただければ人にはFirst in Manで投与できますよとされるんじゃないかと思います。
○大津委員 もし、高度医療評価でFirst in Humanをやるときに、非臨床のデータが全然なくてもオーケーする?
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 高度医療評価会議の構成員ですけれども、それはGLPとかGNP対応でなければ困りますと言うと思います。
○大津委員 そうですよね。そうすると、やはりそこはマストになりますよね。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) それは、保険外療養費という仕組みの中で運用するというのでマストということではないかと思います。
○大津委員 それは非常に複雑ですよね。
○中西委員 たしか高度医療評価制度は、本当はピカシンは受け付けませんね。
○大津委員 いやいや、だから、さっきディスカッションのあったアカデミア発のFirst in Humanのものをどこまで、いわゆる普通の治験届を非臨床のデータまでそろえて、海外はみんなそれをやっているわけですよね。そのサポートするシステムがあるわけです。多分、コンサルテーション会社とかそういうところに出せば非臨床とかまで含めて、金さえあればそれをやってくれるという、向こうはそういうシステムができているから、多分そういうところに投げてしまうのだろうと思うんですけれども、日本はそこを許容するかどうかというのはすごく大きな問題だと思うんですよね。
○中西委員 高度医療評価制度で相談したときはノーと言われたんですが、GLP、GNPをクリアした、一度も人に使ったことがないものを医師主導の臨床試験でGCP外でやって、このたび医師主導治験をやろうという話が私の大学でも動いているんですけれども、そのときはデータがしっかりしていれば、いきなりフェーズ1からやり直ししなくてもよいというコメントをいただきました。ただ、やはり一番最初、GLP、GNPをクリアしたにもかかわらず、First in Humanは高度医療評価制度の範疇外ということに関しては、先生がおっしゃるように、それを落とし込んでいただければいろいろなことが円滑にいくような気はいたします。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) そこは今日、研究開発振興課が来られていませんけれども、これから先進医療の仕組みと高度医療の仕組みを合体するというのが5月の中医協でも議論されているように、仕組みを変えてFirst in Manを高度医療評価あるいは先進医療の中でやっていくという議論をちょうどされているところなので、恐らく変わるのではないかと傍目から見ていると思います。
○大津委員 だから、この委員会としてどっちの方向にすべきかという話ですよね。
○直江委員 高度医療評価制度の話になっているんですけれども、基本的に高度医療評価制度は出口が承認申請というものを前提にしていないわけですから、余りその話に立ち入ると袋小路に陥ってしまうのではないかなという気がするんです。つまり、結局RDでGCPを守りながらINDを出して、どんな研究でも承認申請、出口の方を目指そうよという話なのに、高度医療評価制度だとGCPでやりなさい、そこは混合診療を認めますという話に陥ってしまうと袋小路になってしまうんじゃないですか。
○野田委員長 中途半端なところでずっと止まってエンジンを吹かしているのだったら、ちゃんと排気ガスがいいエンジンを吹かしてよという話をして、お客さんが向こうに届かないことになってしまうから、ちょっと順番が。高度医療評価になったところで、ちょっと話が変わってしまって、ここに書いてあるように、当面の対応策としてこれだというところにくっついているのはいいけれども、もう一つ正面からICH-GCPレベルのことを考えて、より出口に日本の研究者がものを出せるためには、本当はどっちがいいのかというディスカッションに。
○大津委員 システムは彼らに考えてもらうとして、とにかく方向性としては海外と同じように普通にINDに治験届を出して、未承認薬の話に関してはそういう方向性でやるべきだと。
○野田委員長 それはさっきのでよかったじゃないですか。だから、適応拡大もそれでいいだろうという話になっている。
○大津委員 では、それは普通の枠組みに関しては一応、医師主導治験とか高度医療評価と言うとあれでしょうから記載しないと。今の枠組みでいけば多分、医師主導治験が一番近いのだろうと思いますけれども。
○野田委員長 ちょっと気をつけないと、藤原先生が例えば、高度医療評価がリサーチINDに近いんじゃないかとおっしゃる、今の判断とかクオリティで近いということと、今、日本の国内でどういうものに使われているかを考えることと違うので、もうちょっと一つ一つにこだわらずに、ここでこの5年間に研究に関して臨床研究がこうなるというところから、なるべく端的な表現に落とし込んだ方がいい。今ある制度を一々評価したり、一々触れたりする必要は逆にないと思います。
○大津委員 我々としては、要するに、高度医療評価は非常にいい制度で頑張ってつくっているのはよくわかるんですけれども、わかりにくいところが非常にあるので、そうすると、またダブルスタンダードというおそれがあると。いずれにしても、世界標準に合わせる方向で考えれば、治験届を出してGCP準拠ということを未承認薬に関しては目指すべきだと。
○野田委員長 それはいいと思います。
○大津委員 医師主導治験とか高度医療評価という言葉は入れずに、とりあえずそれはよろしいですか。
○野田委員長 藤原先生が言うみたいに、ここから数週間でもっと斬新なことがうたわれてしまったら、ここに書いてあるのがあれになってしまうから。
○大津委員 では、1枚目のところで、適応拡大まではいわゆるINDに治験届を出してGCP準拠と。それ以外の普通の既承認薬の試験に関しては、特に言及しないということでよろしいでしょうか。
あと?ですが、倫理委員会に関しては、先ほどの祖父江先生のところにも出ていましたが、中核的な施設での公開ということでよろしいでしょうか。セントラルIRB的なものを考える必要はございますか。
○野田委員長 考えるというか、触れるべきなんじゃないですか。すべてがセントラルIRBだという必要はないけれども、そういうシステムを動かさないと、さっき言ったように。
○大津委員 セントラルIRBには一長一短があるとは思うんですけれども、例えば、名古屋大学のIRBが通れば名大系列病院に、あと全部通るみたいな話ですよね。リージョナルに考えれば。
○直江委員 特に、多施設共同研究の場合に温度差があるというのは一つ問題なので、こういうデータベースで情報公開をするというのは非常にいいと思うんですけれども、GCPのときは恐らく責任医師と契約者の間の結びつきが非常に強いんですが、いわゆる普通の臨床研究の場合に、施設長の立場というのが非常に強いです。その場合に、ほかの施設がいいと言っても、施設長がそれで大丈夫かというようなことがあるので、今のは臨床研究の倫理指針の問題にもかかわると思うんですけれども、やはりその辺はセントラルIRBの概念もよしだし、もう少しその辺の皆さんのコンセンサスが変わってこないと、どうしても解決しない問題かなと思っているんですけれども。
○大津委員 私がちょっと心配しているのは、セントラルIRBとなったときに、IRBは何も審査して通すだけのジャッジではなくて、その後のいろいろな管理、安全性、有害事象何たらかんたらとコントロールしていますよね。どこまでセントラルIRBでできるのかなと。では、セントラルにして名大系列病院の全部と言ったら、多分、名大のIRBがパンクするんじゃないかなとは思っているんですけれども。
○野田委員長 系列病院全部というより、すべていずれそっちのシステムに変えるんだという書き方ではなくて。一長一短あるのであれば、その一長一短をみんながちゃんと取捨選択できるようにセントラルIRBをやろうと思ったら、それができるようなサポーティングをすべきだと。
○大津委員 セントラルIRBも考慮すると。セントラルIRBを設立する方向に働く。
○直江委員 選択できるようにするという、選択肢の一つと。
○大津委員 何となく中途半端だったら書かない方がいいかなという気もするんですけれども。藤原先生、セントラルIRBの情報とかはあるんですか。
○内閣官房医療イノベーション推進室(藤原氏) 官房ではなくて個人的な見解としては要らないと思います。国立病院機構もセントラルIRBをつくっていますけれども、そんなにスムーズに機能しているわけではないですし、NCIもセントラルIRBのプロジェクトをアメリカのNCIが始めましたけれども、実際にはまだプロジェクトの段階のままで、大々的には導入されていません。それは、先ほど大津先生がおっしゃったように、副作用情報やインベスティゲーターのクオリティをチェックするという本来の機能のIRBはセントラルでは非常に難しいというのがあると思うので、IRB機能を集約したからといって日本の医療システムは病院長が責任を持つという、医療機関という単位でいろいろな医療が成り立っているところがあるので、セントラルIRBをやったからすべてが流れるというわけにはいかないなと思います。
○大津委員 では、ここはよろしいですね。とりあえず今回はまだ。もうちょっと機が熟してからにしたいと思います。
では、2ページにいきまして、ある程度のところは済んでいるんですが、?は先ほどのお話で、GCP準拠で治験届を出してやるというところで、それを行える施設のサポート体制整備を行うということでよろしいでしょうか。支援すると。
○野田委員長 それはいいんじゃないですか。
○大津委員 その下に開発研究者が不足していると書いたんですけれども、この教育といってもなかなか難しいなとは思うんですが。これは削除してもいいですか。
○野田委員長 臨床開発研究者と言った場合、どのくらいの職種と言ったら変だけれども、幅広さと、どういう人を指すわけですか。
○大津委員 定義はございません。単にそこでやっている人たちということでしかありません。特に資格もありませんので。では、これは削除します。
○平岡委員 ちょっといいですか。1つは、研究を支援する人も必要なんですけれども、リーダーシップをとるのは現場の医師だと思うんですよね、研究主導型の。そういう人が日本ではほとんど臨床で病院を仕切って、十分時間がとれていないと。多くのスタッフがやはり半分臨床、半分研究というようなダブルアポイントメントをやっている、それがすごく開発研究に向いている仕組みだと思うんです。
○大津委員 これを書かせてもらったのは、さっき直江先生が言われたんですけれども、試験全体の調整・統括をする医師に関しては、決して登録施設数が多いとか数で決まる問題ではないんです。結局、企業から見たその人の評価、それは、臨床試験に対する能力もそうだし、いろいろな学問や臨床的な能力、勿論GCPの対応なども含めて判断されるので、胃がんの場合はどうしても日本にアドバンテージがありますけれども、大腸でも我々がそこに入るようにしてリーダーをつくっていかないとというのは、そうしないと日本が中心になれないという意味合いがあってそこの部分は書いているんですけれども、ただ、それを教育するという話になると非常に難しい話なので。
○平岡委員 私が申し上げているのは、仕組みの問題で、例えば、10人スタッフがいて、半分が臨床のことで半分が研究となれば、20人のスタッフがやっているわけですよね。そうすれば今よりはるかに臨床研究の量も質も上がるんじゃないかと思いますし、実際にうちで見ていても、本当に臨床のデューティーで大学病院は9時、10時までやっているという状態がありますので、そういうものが私は臨床開発の研究者の役割になるんじゃないかと思いますけれども。
○野田委員長 今の大津先生の話だと、ここで大津先生が書いた臨床開発研究者というのはそれとはまた違うことですよね。いわゆるPIとしてリードできるようなところがあるので。ただ、逆にそういう人が育つためにも、実際に臨床研究の推進に携わる人たちの立場をもっと強くするという方向の記述はあってもいいけれども、今大津先生が言った部分だけに特化しなくてもいいような気がします。
○大津委員 わかりました。より評価を高くするようなという感じですね。
○野田委員長 そうですね。その後ろの論文になりにくい臨床試験というのは、すべて同じようなところに集約されていくような気がします。
○大津委員 わかりました。
では、?の希少がんというのが、今回のディスカッションから全く置き去りにされている状況なんですが、これをどうやってつくるかというのは、非常に難しい話ですよね。
○野田委員長 2つポイントがあるんですけれども、1つは、がん対策協議会の中に小児がんの分科会があります。小児がんの分科会から小児がん研究はどっちでやるんですかと言われていて、私たちは私たちで小児がんも含んでやりますと。最後に書き分けるときにあれはしますということは言っているので、もうちょっとここでは広く考えて、先ほどのいわゆるグローバルマーケットの時代でそういうふうにみんなが戦っているときに、国がやるべきことの対象として希少がんが含まれるのではないかという部分が強く意識されるならば、やはり書き込むことは必要なのではないかと思いますけれども。
○大津委員 多分、希少がんにおいては、一番合致するのはJCOGになるのかなと。要するに、企業が手を出さないようなところで、そこをちゃんと公費で賄ってつくっていくという話になると、いわゆるJCOG的な組織かなと思っているんです。名前をJCOGと入れるかどうかはまた別問題ですけれども。
○野田委員長 ちょっとそこは難しくて、JCOGを入れようが入れまいが、例えば、あるフィールドにお金が流れ込んでくるときに、プライベートセクターのお金と国のお金が入ってくるときに、国のお金を使うところは、今言ったような普通の市場原理では流れ込みにくいところのサポートに使われるべきだというところまで踏み込んで書くのだったら、やはり書いていいと。それを担う機関がJCOGであるかどうかというのはまた別で、今であればJCOGになるのでいいですけれども、むしろそういうところをしっかり意識して、がん対策における臨床研究はやらなければいけないということは書いて。
○大津委員 では、具体像はなしに、要するに、企業が手を出さないような希少がんに関しては、公費で手厚くサポートするというレベルでいいですか。
○中西委員 恐らくネットワークだけではなくて、希少がんを対象とした臨床試験がありますよね。それに対しての支援を行うという言い方にすればどうかという気がします。つまり、ネットワークはそう簡単にできませんから。
○大津委員 試験単位でのサポートをするか、あるいはグループとして研究班というような形でつくるかという違いです。
○直江委員 私も中西先生の意見と近いんですけれども、基本的にこの書きぶりだと、希少がんのネットワークをわざわざつくるみたいに読めるので、それではよくなくて、既存のネットワークを使いつつも、メーカーが乗り出さないような希少がんに対しての臨床研究をサポートするという書きぶりだといいと思いますが、このとおりだとちょっと誤解を与えるのかなと。そのためのネットワークをわざわざつくるのではなくて、例えば、既存のJCOGならJCOGがあるじゃないかと。その中で希少がんに対してもちゃんとプロトコルを走らせて、それに対してはきちんと国がサポートするようにした方がいいでしょうという書きぶりなら、全然問題ないと思います。
○平岡委員 企業がサポートしやすい研究と、しにくい研究の切り分けというのはすごく大事だと思うんです。今、希少がんのお話をされましたけれども、例えば、我々の放射線との併用というのはマーケットが小さいから余り企業が手を出さないんです。でも実際、いろいろなサバイバルユニットとかそういうことを考えると、ケモラジがこれから分子標的に変わっていくという研究も大事なんですが、それは多分国の支援がないとなかなか進んでいかないと思いますので、もう少し一般的な記載も必要ではないかと思います。
○大津委員 では、「希少がん」という言葉を除いて、企業が手を出さないような。
○野田委員長 いえいえ、希少がんを初めとするというような、希少がんだからお金が行くわけではなくて、ポリシーなり考え方を表すので、希少がんは入れておいていただいた方がわかると思います。
○大津委員 では、?はよろしいでしょうか。生物統計家、データマネージャー、CRC。
○野田委員長 これは最後のところで、もう一つ人材育成なり基盤のところでもどう切り分けるかは別として、必ずこれは残るということで。どこに書くかはわからないけれども。
○大津委員 では、?が業績として評価されるように啓蒙を図ると書いてはいますが、何かよき手段はありますでしょうか。
○直江委員 ここは難しいんですけれども、別の観点なんですが、臨床研究を積極的に行っている、例えば、医療施設に対するインセンティブ、それはちょっと書き過ぎですか。
○大津委員 せっかく医者が頑張って臨床試験に登録してやっている施設の先生方も、結局治験のお金とかいろいろな研究費で、実際上CRCを雇ったりという話ができないという声が多いので、そうすると結局、無理だと思うんですよね。GCPというのはとてもじゃないけど無理だと思います。だから、金は施設に入っているのに、それが有効にそこに行っていないというのをサポートできるような話は。
○野田委員長 それと?は随分違いますよ。
○大津委員 そうですね。こちらは業績の評価ということになっていますけれども、一応置かれる部分も含めての話です。
○直江委員 ちょっと言いたかったのは、?はMindsの話ですよね。Mindsの話だと切れてしまうので、もうちょっと書き方を先生がおっしゃったように、臨床研究をやっているとどうしても医師主導の、いわゆる普通の臨床研究なんですけれども、大変な現場の医師のモチベーションをどう上げていくのかについて、やはりそこの施設長がある程度理解を示してくれないと非常に困るということとか、今、大津先生がおっしゃったように、せっかくお金を配っても、例えば治験の企業が入っても、その人たちに還元されないというところがあるので、現場では何とかここがもうちょっとならないのかなという気持ちはいつも持ちながらやっているものですから申し上げたわけですけれども。こうすればいいというのは、ちょっと思いつきませんが。
○大津委員 では、時間もあれなので、後でつくって先生方にお目通しいただきますので、よい意見があれば教えてください。
あと?が臨床研究のデータセンターが少ないと。例えば、WJとかJALSG等の部分にそこのサポートというのはないですよね。
○直江委員 だから、いわゆる臨床研究としての研究費のファンドはありますけれども、いわゆる事業といいますか、データセンターをマネージするというお金は全くないんですね。
あと、もう一つここに書き込んでほしいのは、先ほど私が申し上げた生体のサンプルのレポジトリーというものをどこかデータセンターと同じにサポートするようなものは、皆さんの財産として、ある程度サポートするべきなのかなと。
○野田委員長 結局、基礎研究のときからずっと、要するにバイオバンクとの絡みになってきますよね。だから、バイオバンクを書き込むところに逆に、やはり臨床研究の推進とカップルして、それをすべきだと。つまりバイオバンクと言って臨床研究とは全く別に患者さんの治療とは全く別に、血をください、血をくださいと集めて回るのではなくて、こういうものときちんとカップルして、そういうものを積み上げていくことが大事だと。
○大津委員 そうすると、先生のイメージでは、JALSGとかWJというグループごとにそういう枠的なものを置くという話ですか。
○直江委員 そうではなくて、例えば、これはプロトコルベース、コホートベースでいいと思うんです。それはどんどん生体試料は使われていくものですからなくなりますよね。どこかにデポジットができる、例えば、匿名化して個人情報をある程度くっつける、ある程度くっつけないというところを選択して、どこかでバンキングできるというところが必要だと思います。
○大津委員 それは、グループごとの話ではないですか。
○直江委員 グループごとでもいいですよ。
○大津委員 臨床試験グループごと。
○野田委員長 でも、一緒でも構わない。
○大津委員 それをやるとなると、かなりな運営費と維持管理コストが。
○直江委員 ただ、各グループで全部持つと、もっと高いんですね。
○野田委員長 後のところで、ここに欠けている1つの部分として、今のものをがん臨床研究グループの在り方というところから考える部分が数行あっていいと思うんですよ。がん臨床研究グループというのは何のためにあって、何に貢献して、そのためにはどういうお金が入って当然だという部分と、更にこういうふうにも貢献できるように使うんだから、そのお金は公的なところから来るべきじゃないかという切り分けのところが、今まさにデータセンターの扱い方と、それから、バイオバンクの扱い方。バイオバンクの方がより公的な方に貢献できるし、だからといって、データセンターのところも統一フォーマットや何かを使えるようにしていけばというところはあると思うので、特にバイオバンクは踏み込むと。
○野間委員 バイオバンクはテンキョウのところでも随分話があったんですけれども、例えば、臨床試験のサンプルをどのようにその後で使えるかというのは、臨床試験のファンディングをした製薬企業によっても結構難しいところがあると思うので、余り細かく今規定するのはちょっと現実的には難しい。ただ、私も書いたように、直江先生もおっしゃるようにそういうレポジトリーが大事であることは間違いないわけで、それをここで書くか、あるいは研究のところで書くか、いずれでも構わないですが、そのサポートを拡大するとかそういう形の文言程度にとどめるしか現段階ではないんじゃないかと思います。
○野田委員長 あと、さっきの16日の医療イノベーション会議から数週間の間、バイオバンクのところは言葉が出てくるとガタガタするから、その後で書き込んでいくということで、バイオバンクに関しては任せてください。
ただ、1つだけ5分間でもいいからディスカッションしていただきたいのは、臨床研究グループの在り方というのは、今のままでずっと食べていけるところは食べていける、食べていけないところは食べていけない、全体として見ればいろいろなものがあるけれども、日本の臨床研究あるいは医療の創世に役立っているねというだけでいいのか。全体としてのあるべき姿、そのために合わせた評価で今言ったようにスタディを完結するためのお金と、そういうものが今、日本の中に存続していくためのサポートというのは、今のと絡めて要らないのかと。その辺せっかく中西先生や直江先生もいらっしゃいますし、あとJCOGのこともあるので、その辺をお聞きしたいんですけれども。
○直江委員 要するに、研究グループは研究グループだけのためにあるところと、最終的なアウトプットは一般の国民や世のためにあるところと2つあると思うんですけれども、前者は要するに、ある程度臨床研究も世界競争というところがあります。例えば、どちらが早くエビデンスを出すかというところもあって、それはやはりグループとして競っていかなければいけない。例えば、患者さんのリクルートを早める、より効率のいい臨床研究をやる、デザインをする、これはやはりグループ間が競争しないとよくないところだと思うんです。だから、国からこれをやりなさいと言われて、それだけやっていたのでは絶対にだめだと思うんです。ただ、最終的にはデータは国民に還元され、論文として出る、エビデンスとして出る。それから、さっき言いましたように、スタディが終わった後何が残るのかというと、論文と検体が残るということが私としてはいいものではないかと。つまり、先ほどの話に戻りますけれども、検体はある程度進めば、ある程度の審査をして、ある程度グループ外の方も使えるという形になるものであれば、公的にある程度支援していただくのがいいのではないか。中のグループの人だけが使うのであれば中でやればいいと思っています。
要するに、グループ間で、いろいろな研究グループがあるので、そこを横につなぐネットワークといのうは今のところ余りないんです。ちょっと中西先生がかかわっていらっしゃるかもしれませんけれども。これからは、そういう各研究グループの在り方というものをそろそろ考えるべきなのかなと、役割分担とか方向性を考えるべき時期かなと思っていますけれども。
○中西委員 まず、がんの臨床研究のグループに関しては、特に持っているデータ、それから、質を担保するためのクオリティアシュアランスやクオリティコントロール、そういった恒常的にクオリティを上げるためのものというのは常に必要なんですね。ここのところは自前で準備しないといけませんが、企業との連携で生み出されるものではない。それは、最終的に出てくるアウトプットは必ず国民の医療に役立つわけですから、これについては是非、公的資金で御支援をいただくということがいいんじゃないかと思います。
また、直江先生もおっしゃっているように、バイオバンクをもし比較的大きな臨床研究のグループが持つことができるとすれば、臨床データとリンクしますから非常に価値は高くなります。ただ、私どものWJOGで考えているんですが、どうしてもぶつかるところがサンプルは誰に帰属するのか、そして、そこから出てくる知的財産権は誰のものなのか、そして、ゲノムを含めてもう一つ先のステップに行くのに倫理的な問題がどうなのか、どうしてもそこでとまってしまうんですね。そういうこともあるので、私自身はむしろバイオバンクに関しては各グループが持つこともそれでいいんですけれども、むしろあるべきかどうかという前に、それについての規制や倫理的側面についてある程度国の指針が欲しい。それがあれば、逆に柔軟な運用ができると思っています。
実は、バイオバンクがもし持てるとしたら、そこから出てくるデータというのは、ただ単に、がんの患者さんだけではなくて新しい科学を生んでくると思いますし、それに対しては当然投資価値はあるのではないかと思っています。
○大津委員 恐らくJALSGとかWJとかしっかりしている組織は問題ないと思うんです。だから、それ以外の一般の臨床試験グループ、国としてどういう方向性にいくかというのは多分大きな問題だと思います。
○中西委員 それは、やはり競争の中で、しっかりいろいろなものを整理できるところが生き残るのではないかと思いますし、ただ、これがないとお金を出さないよということよりも、指針としてきちんと定義した上で、これだけのものがあるところに公的資金が行きますよという話をしておけば、ある意味健全な統廃合が行われるという気がするんです。
○野田委員長 今のは公的資金のところですね。だから、規制の話になってしまわないように、公的資金が臨床研究グループのトータルのクオリティを上げるには、どういうサポートがいいのかということを少し考えるのはどうですかというだけなんですけれども。
○中西委員 ですから、そこに今のような横断的な領域あるいは企業からの支援がなかなか得がたいところ、しかし、質を高めるもの、一定のこれだけの要件に対して国が公的資金でサポートするという話で持ってくると、地域に必ずある弱小集団は統廃合することによってクオリティを高めようという動きになると思うんです。それが最終的にはいい方につながるのではないかという気がするんですね。
○大津委員 特にその部分のサポートの記載という特別なことはしないということでよろしいですか。
○中西委員 それは書けないと思います。
○大津委員 結局そうならざるを得ないと思うんですよね。
○直江委員 それは最終的にアウトカムというか、要するにどれだけのアウトプットを出しているか、あとはもしも申請があったときに、プロトコルベースで科研費を審査していくということしかないんじゃないですか。
○大津委員 ただ、私自身の方向性としては、全体がもうちょっとそれぞれのいわゆるFirst in Humanから治験からJCOGとかこういった臨床試験グループまで全部含めて、全体がよりイノベーティブな方向に、やはりイノベーションという意味合いを出していくとなると、承認申請か適応拡大の効能追加に絡む話が一番インパクトとしては高いので、全体でそういうものをよりサポートするような形にすべきだと思います。
○野田委員長 私もそういうことなんですよ。全体と言っているけれども、別に全部と言っているわけではなくて、よりそういうものに対して強くサポートすると、全体がトータルされるし、進むだろうと。あと、大津先生が臨床研究グループ、そしてJCOGとよく言うように、そこにJCOGもあるし、そうすると、もう少しそこをプッシュするようなものは要らないのかなという。
○中西委員 それこそ、さっきCTEP様のという話があったと思いますが、実際に大津班でやられたみたいに日本じゅうのがんの研究グループを集めてやられましたよね。肺がんの領域も恐らくそれをベースに、日本じゅうのグループが統合して大きなトライアルをしようという話になっているんですけれども、CTEPの位置づけをどうするかは別にしても、統合して全体の情報交換をしながら、そして、クオリティを上げる、あるいは日本のがん臨床研究グループというのは、少しずつイノベーションに近づくべきだというような世論形成をするような組織が、決してお金をかけて箱をつくる必要はないと思いますけれども、それがあるというのは非常に有効であると思います。
○野田委員長 ですから、ここでもう少し研究を整備しましょうというときに、縦割りで話をせずに、イノベーティブな次世代の創世に向けた流れで話をしましょうと言ったわけですから、そうすると、この部分を担っている臨床研究グループに対して、より積極的にトライアルするようなものに対しての支援を少し強化すべきだという形でやるのが重要だと思うんです。
○大津委員 そうすると、先生がおっしゃったような、がん臨床研究の在り方みたいなものを一番最初に全体像として、日本では今までこういうところが足りなかったから、もうちょっとイノベーティブな方向にということだけ一言入れて、あとは今後のことという話でよろしいですか。
○直江委員 それでいいんですけれども、先ほど言いましたように、いわゆるイノベーションというと早期臨床試験のところがどうしても中心になると思うんですが、私が言ったように後期試験も重要であるということと、どういうふうに整合をとるのかというところでもあるんですけれども。
○大津委員 その後期試験というのは、別に承認後の。
○直江委員 だから、イノベーションというのは単に新薬開発だけではなくて、最終的なアウトカムまで含めて。
○大津委員 だから、今は新薬開発が3相に来てしまうので、ある意味一番インパクトがあるのはそこで、そこからいろいろな適応拡大をしていくわけですよね。それは非常に大事なことで、ただ、インパクトという意味から言えば、やはりそういうところを狙うべきなのだろうと思うんです。決して治験がすべてだとは全く思わないんですけれども、世の中に与えるインパクトを出していく試験をつくっていく。なかなか既承認薬でいって、しかも適応拡大が絡まないような、いわゆるエクセンプションのところでいくと、例えば、それが『New England』か『Lancet』のレベルの雑誌に通りますかと言われるとなかなか難しいですよね。それはアジュバントでポジティブに出る場合は適応拡大と同じなので、そういうところは物すごくインパクトもあると思うんですが、アジュバントであるとかケモラジであるとか、そういうのはいわゆる適応拡大で、それはやはり既存の規制の承認の枠を超えた話をつくっていくような試験をやっていくべきだと思うんです。
○野田委員長 大津先生の話だと、ここは要らないと聞こえてしまうところがあるので、ちょっとそこは難しいですけれども、ただ、2つ分けていただきたいのは、まず1つは、要するに、イノベーティブなものをつくる中での臨床研究が果たすべき役割というので明記すべきことと、臨床研究はそれだけやっていればいいというのは全く違う話です。いろいろあるので、それはまた後でここにつけ足しますが、今はたまたま基礎研究からの流れでそういうものを生み出して日本の医療を変えていく中で、臨床研究のあるべき姿、その中で臨床研究グループをどのようにサポートするかということであって、そうでないものにバツをつけるという方向の書き方はしませんので。
○大津委員 それは、JALSGであれ、WJであれ、より早い段階で展開をつくっていくべきだと。
○野田委員長 そこは書いてもらってから話をしてみませんか。
そろそろ最後ですか。
○大津委員 最後の研究費に関しては、単純に増額をということです。
それから、公的研究費を用いる場合に、要は、人件費としての雇用が非常に公的研究費ではいろいろな。
○野田委員長 これは数日の間に中西先生なり、直江先生なり、もっと端的にこれだというのがあればここに入れていただいて、これは割と明確にした方が。公的研究費での臨床試験サポートが、これではできないよという問題があれば。
○直江委員 ちょっと漠然とした話なんですけれども、文部科研と厚労科研と私から見ると2つあるんですけれども、言いにくいんですが、厚労科研は非常に制約が多いんですね。何でこんなに制約が多いのかというぐらい。もうちょっと具体的に書いた方がいいのだったら幾らでも用意できますけれども。
○野田委員長 大事なポイントは、結局、制約が多くてなかなか来ないということがありますので。
○大津委員 結局、臨床研究は人を使うので、人に使えないと何も使うものがないんですよね。人に使えない研究費ならもらってもしようがないというぐらいなんですよね。それを何か。
○野田委員長 でも、わかるけれども、使いやすくするというのはわかりにくいですよね。
○直江委員 だから、例えば、人件費のCRC雇用費という項目をつくってほしいんですね、臨床研究用に。普通の科研費は実験をやるようなベンチワークのようなスタイルで置きますでしょう。そうではない、やはり臨床研究は臨床研究のフォーマットで出せる。
○大津委員 一部のものは結構そういうところもできていましたよね、最近。藤原先生の班などはそうでしたよね。
○野田委員長 それをもっと広げるような。
ちょっと時間もあれなので、そろそろ。
○大津委員 では、以上で大体の論点は終わりましたけれども、全体を通して何かございますか。
よろしければ、今日の文章をしっかりまとめて先生方にお送りします。これはいつまでですか。
○野田委員長 次回に間に合わなくても、それはしようがない部分もあるので。
○大津委員 来週の21日がちょうど1週間後ですよね。いつまでに出せばいいですか。かなり文章が慎重になると思うので、各先生方にチェックをいただかないと。
○鈴木がん対策推進室長 次回の話にも絡むと思いますので、次回の日程と今後の日程を御説明せさていただきますが、次回の第6回の専門委員会につきましては、6月21日で調整させていただきましたので、この日に行いたいと思います。
また、それ以降の日程につきましては6月30日、7月11日を予定しております。その中で今回のことをお考えいただければと思います。
○野田委員長 前の基礎の方の取りまとめがあるじゃないですか。あれを次回話し合ってということでいいのだと思います。これは次々回のときに、今日の祖父江先生と同じようなことをやればいいと考えています。
次回はそれに加えて機器ということで、診断機器、治療機器というので幾つかの項目でディスカッションすることにしたいと思います。なるべく機器の方はコンパクトにしたいと。こちらに比べるともうちょっとシンプルだと思いますが、平岡先生よろしくお願いいたします。
以上、ちょっと時間が過ぎてしまって大変申し訳ありませんでしたが、本日はこれで終了にしたいと思います。室長何かございますか。
○鈴木がん対策推進室長 いえ、ありません。
○野田委員長 では、どうもありがとうございました。
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