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2011年2月7日 第1回児童館ガイドライン検討委員会

雇用均等・児童家庭局育成環境課

○日時

平成23年2月7日(月) 17:00~19:00


○場所

経済産業省別館 共用1111会議室


○出席者

委員

柏女座長、岡委員、鈴木委員、高橋委員、中川委員、根津委員、野中委員、保志委員、松田委員、渡辺委員

厚生労働省

真野育成環境課長、柳澤児童健全育成専門官

○議事

次第:
 1. 開会
 2. 議題
   (1) 座長の選出について
   (2) 児童館ガイドライン検討委員会の公開について
   (3) 児童館ガイドラインの作成について
   (4) 児童館ガイドラインの柱(項目)について
   (5) 児童館ガイドライン案について
 3. 閉会


配布資料:
 資料1  児童館ガイドラインについての研究提言
 資料2  社会保障審議会少子化対策特別部会抜粋資料21.10.13
 資料3  児童館概観基礎資料(児童健全育成推進財団作成)
 資料4  児童館数・全国分布・事業・種類・補助金沿革・子育て支援事業
 資料5  児童館関係法令等
 資料6  児童館の設置運営形態等
 資料7  児童館の設置・運営について(次官通知・局長通知等)
 資料8  児童館運営規程の変遷・児童館発達史
 資料9  子ども・子育て新システム基本制度案要綱
 資料10 放課後児童クラブガイドライン
 資料11 児童館ガイドライン検討委員会開催要綱
 資料12 児童館ガイドライン検討委員会名簿
 資料13 第1回児童館ガイドライン検討委員会議事次第
 資料14 児童館ガイドライン検討委員会スケジュール
 資料15 児童館ガイドラインの項目(柱)
 資料16 児童館ガイドライン案
 資料17 第1回児童館ガイドライン検討委員会座席表

 参考資料1  児童館の活性化に関する調査研究・平成22年3月
 参考資料2  京都市児童館活動指針(第2次改訂版)京都市
 参考資料3  地域子育て支援拠点事業における活動の指標
       「ガイドライン」普及版
 参考資料4  養育支援訪問事業ガイドラインについて 平成21年3月16日
 参考資料5  保育所保育指針 平成17年10月12日 第2版




議事:
○柳澤専門官
 定刻になりましたので、ただ今より「第1回児童館ガイドライン検討委員会」を開催いたします。委員の皆さま方には、本日大変ご多用のところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。私は児童健全育成専門官の柳澤と申します。座長を選任するまでの間、議事の進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に先立ちまして、厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課長の真野寛より、ご挨拶申し上げます。

○真野育成環境課長
 育成環境課長の真野でございます。各委員の皆さま方におかれましては、本当にお忙しい中を第1回児童館ガイドライン検討委員会にご出席いただきました。また、委員就任のご承諾をいただきまして厚く御礼申し上げます。
 今日は局長も出席したいと申しておりましたが、ご案内のように、子ども手当法案を出しておりまして、それが非常に難しい状況でございまして、野党の先生にも十分ご説明しなければいけないということで駆け回っておりますので、申し訳ございませんが今日は欠席させていただきます。
 本検討会は、可能な限り3月末までに報告書をまとめていただきたいと考えております。お手元にございますけれども、予め事務局におきまして「たたき台」を作成しております。できれば、これを参考にしていただきましてご検討いただき非常に短期間の検討会になりますけれども、よろしくお願いいたします。
 全国の児童館の現状でございますが、新設の施設整備費の交付状況を見ますと、ここ数年は毎年、30~40か所の新設の申請があり、交付しております。毎年30~40か所は増えているけれども、総数が増えていないという状況にございまして、全体では微減の傾向にございます。この減少している要因としまして我々が考えますところ、子どもの数が少ないとか、30年代、40年代にできました児童館がかなり老朽化している状況であるということと、最近の市町村合併によりまして廃止されたり、他のを福祉施設に転用されているという状況も聞いております。廃止されている児童館につきましては、よくよく考えてみますと、その活動が行政やその地域でよく認められていなかったのではないかと考えるわけでございますが、ここに今の児童館活動の問題点があるのではないかと考えているところでございます。また、地方の財政が非常に厳しいということで、経費の節減や効率化のみを目的とした指定管理者制度による職員の資質の問題や処遇の問題といったものも、いろいろな課題としてあるのではないかと考えているところでございます。
 これら児童館の課題などを十分にご議論いただきまして、地域における子どもたちの健全な育成を支援する児童館活動がさらに推進されるガイドラインが策定できますように、よろしくご検討のほど、お願いいたしまして、簡単ではございますが開会のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○柳澤専門官
 続きまして、委員の皆さまを私から紹介させていただきます。お手元の資料でクリップ留めしてある一番上が開催要綱となっておりますけれども、1枚めくっていただきますと資料12という資料の中に検討委員会名簿が付いております。五十音順、敬称略でご紹介させていただきます。
 まず、大妻女子大学大学院准教授の岡健委員でございます。

○岡委員
 どうぞよろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、淑徳大学教授の柏女霊峰委員でございます。

○柏女委員
 柏女です。どうぞよろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、財団法人児童健全育成推進財団理事長の鈴木一光委員でございます。

○鈴木委員
 鈴木でございます。どうぞよろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、栃木県高根沢町長の高橋克法委員でございます。

○高橋委員
 よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、公益社団法人京都市児童館学童連盟統括監の中川一良委員でございます。

○中川委員
 中川でございます。よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、茨城県地域活動連絡協議会長の根津久美子委員でございます。

○根津委員
 根津でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○柳澤専門官
 続きまして、鎌倉女子大学非常勤講師の野中賢治委員でございます。

○野中委員
 よろしくお願いいたします。

○柳澤専門官
 続きまして、港区子ども家庭支援センター所長の保志幸子委員でございます。

○保志委員
 保志幸子です。よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、NPO法人せたがや子育てネット代表の松田妙子委員でございます。


○松田委員
 よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、日本福祉大学教授の渡辺顕一郎委員でございます。

○渡辺委員
 よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 続きまして、事務局を紹介させていただきます。先ほど挨拶いたしました育成環境課長の真野寛でございます。

○真野育成環境課長
 よろしくお願いいたします。

○柳澤専門官
 私は柳澤と申します。よろしくお願いいたします。
 続きまして、本日配付させていただきました資料の確認をさせていただきます。お手元にはクリップ留め冊子と、もう一つ黒いクリップで留めてある厚いものがございますが、黒いクリップで留めてある冊子のものは既に各委員にお送りしてあるものの一式でございますが、本日は折りにふれて、必要に応じて見ていただくように黒いクリップで綴じさせていただいております。その他の小さいクリップで留めてあるものの確認をさせていただきます。資料11が「児童館ガイドライン検討委員会開催要綱」、資料12が委員会の名簿でございます。資料13が検討委員会のレジュメでございます。資料14が「児童館ガイドライン検討委員会スケジュール」、資料15が「児童館ガイドラインの項目(柱)」、そして資料16は「児童館ガイドライン」の案を綴じております。ただ今ご紹介した資料11~16が、本日主に使う資料になるかと思います。その他に参考資料としまして、色の着いた冊子やガイドラインのいろいろな例のものを5冊配布させていただいておりますので、確認させていただきます。参考資料1として、桃色の表紙の「児童館の活性化に関する調査研究・平成22年3月」です。参考資料2として「京都市児童館活動指針(第2次改訂版)」という京都市発行の青色の表紙のものでございます。参考資料3として、桃色の表紙の薄いもので「地域子育て支援拠点事業における活動の指標「ガイドライン」普及版」でございます。その他に、印刷物で「養育支援訪問事業ガイドラインについて 平成21年3月16日」と「保育所保育指針 平成17年10月12日 第2版」を配布させていただきました。以上、不足等はございませんか。
 それでは早速、議事に入らせていただきます。はじめに議題(1)の「座長の選出について」でございます。座長の選出につきましては、委員の中から互選でということになっております。委員の皆さま、何かご意見がありますでしょうか。野中委員、お願いしたします。

○野中委員
 柏女委員にお願いできればと思います。

○柳澤専門官
 今、野中委員から、柏女委員にというご推薦がございました。皆さま、いかがでしょうか。

○鈴木委員
 私も、柏女委員にお願いしたいと思います。

○柳澤専門官
 ありがとうございます。委員の皆さまのご推薦をいただきましたので、柏女委員に座長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 早速でございますが、以降の議事進行を柏女座長にお願いしたいと思います。ご挨拶を含めまして、どうぞよろしくお願いいたします。

○柏女座長
 ただ今、この「児童館ガイドライン検討委員会」の座長を拝命いたしました淑徳大学の柏女と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど、真野育成環境課長や柳澤専門官から、この検討委員会の趣旨について、少々お話がございましたけれども、今見ておりますと、この検討会はできる限り、3月末までにガイドラインの作成をということで、非常にタイトなスケジュールで進めていくことになるかと思いますので、委員の皆さま方のご協力をいただきまして鋭意務めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速、議事に入っていきたいと思います。次の議題は「児童館ガイドラインの作成について」ということで、この検討会に与えられた役割、あるいはガイドライン作成の意義等についてのご説明があるかと思います。事務局から、よろしくお願いします。

○柳澤専門官
 それでは、お手元の資料番号11~16をご用意ください。まず、本検討委員会開催の趣旨でございますが、資料11の開催要綱にございますように、子どもの育成環境の変化により、地域における児童の健全育成の必要性の高まり、その中核をなすべき児童館の本来機能が十分発揮されていないということが問題になっております。よって、全国の地域の児童の健全育成を推進する観点から、児童館のガイドラインの策定について、ご検討願うところでございます。
 「検討事項」について、お話しさせていただきます。厚生労働省としまして予め「児童館ガイドライン案」を検討し、本日お手元の児童館ガイドラインのたたき台としまして用意しております。本検討委員会では、これを基にご議論・ご検討をお願いいたします。
 この「児童館ガイドライン案」は、昨年3月に児童健全育成推進財団の鈴木理事長より、3年にわたる「これからの児童館のあり方についての調査研究」の報告書が提出され、先ほどご紹介しました別冊の桃色の参考資料にございますが、その中で「児童館ガイドライン」の必要性についてご提言がございました。その提案を参考にさせていただきまして、国としての「児童館ガイドライン案」をここにたたき台として用意した次第でございます。
 これから、この検討委員会におきまして細部までご覧いただき、全国の児童館の活動や運営がある程度同様に、その基本機能が十分に発揮されますよう、児童館ガイドラインについてのご検討をお願いいたします。
 本日はこの後、まず資料15の「児童館ガイドラインの項目(柱)」について、ご意見をいただき、その後は時間の許す限り、資料16の「児童館ガイドライン案」について、ご議論をお願いしたいと考えております。
 検討に際しまして、児童館について3点ほど、その共通理解をお願いしたいと思います。一つ目は、ここで対象とする児童館は、地域にございます小型児童館と児童センターであります。他に児童館の種別としましては、大型児童館やその他の児童館がございますが、ここでは主として考える対象とはしないものとして、よろしくご理解をお願いいたします。二つ目は、児童館は児童福祉施設の中の児童厚生施設であり、児童厚生施設の中には児童館と児童遊園というものがございます。しかし、ここでは児童遊園については議論の対象とはしないものとして、ご理解をお願いいたします。三つ目は、児童館の事業・活動の中身でございます。遊びの活動、子育て支援の活動など児童館ではいろいろな活動が実施されているわけでございますが、それぞれについての専門的に特化して考えられるものではなくて、広く児童館活動の中の一つとしてそれぞれをご理解いただけますようお願いいたします。
 最後に、本検討委員会のスケジュールでございますが、資料14をご覧ください。課長の挨拶にもありましたように、3月末までに検討委員会の報告書をいただけますよう、本日を含めまして全3回で予定しております。年度末を控え、委員の皆さまにおかれましては大変お忙しくなる時期ではございますが、何とぞよろしくご協力をお願いいたします。
 事務局からは、以上でございます。

○柏女座長
 これまでの研究の積み重ねをベースにして、「児童館ガイドライン」について集中的に議論をしていくというお話がございました。その方法として、この「児童館ガイドライン」の項目・柱立てについてまず議論し、そして「児童館ガイドライン」本体についても今日はできる限り進めてくださいというお話でしたけれども、できれば「児童館ガイドライン」全体についてのご意見も粗ごなしいただければと思っています。
 この検討会の主たる役割は、この「児童館ガイドライン」の検討会としての報告書を作成するということが中心になるかと思いますけれども、先ほどの課長からのお話にもありましたように、子どもの健全育成上の課題というのは本当に今、たくさん広がっています。また、政策的にもそれらに対応する形で「子ども・子育て新システム」の検討が急ピッチで進んでいる状況の中にあって、「児童館ガイドライン」の存在意義を示していき、あるいは全国で先ほどの専門官の話を借りると、いわば児童館として必要とされる事業・活動が均質化というか特性を持ってもよいのですが、最低限必要なことがガイドラインとして全国的に示されることの意義はとても大きいと思っています。
 ただ、それだけにとどまらず、後ほどお諮りしたいと思いますけれども、健全育成上の課題等についても、できれば幅広くこの検討会の中で、どれだけ議論ができるかわかりませんけれども、どのような課題があるのか、どのような方向性を目指すべきなのかといったことについても、委員の方々のご意見を併せて頂戴できればと思っておりますので、ぜひご協力をお願いできればと思います。
 それでは、今のスケジュール等についてのご説明について、何か確認しておくべきことなどが、ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、今日はできるだけガイドライン本体についての議論もしたいと思いますので、短期間で進めていく形になると思いますが、ご協力をよろしくお願いします。
 それでは、次の議題「児童館ガイドラインの柱(項目)について」、ご意見を伺っていくことにしたいと思います。資料については事前に送られていたかと思いますので、それについての説明をしていただいた上で、ご意見をいただこうと思います。よろしいでしょうか。

○柳澤専門官
 それではお手元の、先ほどからご紹介しています資料15「児童館ガイドラインの項目(柱)」です。大きなくくりで1番から5番までとしています。1番目に「児童館の目的と機能・役割」、2番目に「児童館の活動内容」、3番目に「児童館の職員」、4番目に「児童館の運営」、そして最後の5番に「児童館とボランテイア」という大きなくくりの中で、次に小項目を幾つか設けております。これらの柱を見ていただいて、皆さまそれぞれのお立場から、このような活動や事業を思い浮かべたときに、それらがどの項目に入るのかを見ていただき、もしかすると抜け落ちなどもあるかもしれません。それから、児童館は事業だけではなくて建物がございますので、そこの施設や設備、そこにいる職員などを考えていただいたときに、思い浮かべる大事なものがこの項立ての中で保障できるかどうかを見ていただきまして、忌憚のないご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○柏女座長
 まず、全体の柱立てで、今数えてみましたら、5領域で19項目になっているかと思います。全体を網羅できているだろうかという視点から、さまざまなそれぞれのご専門の観点からご意見を頂戴できればと思います。もちろん、内容に入ってからでも「これが足りないから、これは1項目起こした方が良いのではないか」というようなこともあるかもしれませんので、行きつ戻りつしていきたいと思いますが、まず全体をご覧になって、いかがでしょうか。何かございましたら、ぜひお願いします。
 私から、一つよろしいでしょうか。保護者との連携の話はどこかにありますか。確か最低基準にも保護者との連携の問題はありますよね。それを独立させる必要なないでしょうか。子育て支援など、いろいろなところにもぐり込んではいるのですが、児童館に遊びに来ている子どもたちの保護者とどのように連携をとっていくのかということについて、特出しする必要はないのだろうかと思ったのですが。保護者の子育てを支援するとか要望への対応など、個別にはあるのですけれども特出しする必要はないのかと思ったのです。最低基準にもあるということを考えると、それを起こしておいた方が良いのではないかという感じはしたので、またご検討いただければと思います。
 他に、何かございますか。渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員
 これは私自身がどうすればよいのかという意見はまだ明確に持ってはいないのですけれど、1の目的から機能、役割のところをざっと見て思うことは、要は児童館の社会的な働きや役割というものが、とても不明確になっていて、これは私が言うまでもないことですが、例えば児童館の場合は、1日であれば午前中は子育て家庭の幼い子どもと母親たちが利用する子育て支援は必要だと。午後になると今度は小学校の低学年から子どもたちが帰ってきて放課後児童クラブがあって、その後は活発に活動されている児童館であれば、さらに中学生の居場所というところもカバーされているかもしれません。
 要は1日の流れの中でいくところの午前中の子育て支援部分というのは、例えば地域子育て支援拠点であったり、その他の事業がどんどん活発になってきていて、さらに先ほど座長から「子ども・子育て新システム」のこともという話がありましたけれども、こども園が増えていけば、こども園は認定条件の一つに子育て支援があるわけですから、地域の中で子育て支援をする拠点というのはどんどん広がりをもって増えていくわけですけれども、そことの重なりがある。
 それから、放課後児童クラブ自体は児童館の事業に付随してくるものですけれども、これは必ずしも児童館にくっつかなければいけない事業ではありませんので、これはまた別事業であると。
 放課後のさらにもう少し学童より上の思春期の子どもたちも含めた居場所づくりも文部科学省その他でも居場所づくり事業というのはどんどん進んできていますので、簡単に言うと、本来児童館が持っていた例えば0~18歳部分をカバーするいろいろな取組があったのですけれども、それらが部分部分に分かれて特化されて事業化されていって、しかもそれらの活動がかなり活発化しているという動きの中で私自身が思うのは、児童館というのは一体何だという本来的な機能をもう少し、本来的な機能というのか、あるいは今の時代に合った機能というのか、そういったものを少しきちんと議論していかないと、単に今は個別にいろいろな事業が発展してきていて、それを三つともくっつけてやっているのが児童館ですよというだけでは児童館の働きというものが非常に曖昧になっていくという危惧は持っています。実際に現場にかかわっていても、そういうことは思います。
 ですから、五つの機能というものがどうこうというよりも、本来の児童館の目的というところも含めて今、児童厚生員の方々が現場で「児童館とは一体何だろう」という迷いをかなり持っていらっしゃるというのは、私が現場でかかわっていて思うことです。もう少し新しい時代の中で児童館の果たすべき役割というのは実はこうですよと。全国に4,700もあるわけですから、その辺のところから、きちんと幹を組み立てていかないと、枝葉だけが立ち上がっていっても何かガイドラインの柱というか骨格が見えてこないような気はしています。

○柏女座長
 とても大切なご指摘ではないかと思います。この後、「児童館の目的と機能・役割」のところの原案もありますので、ぜひまたそこでご意見を頂戴できればと思います。
 それぞれの専門とする事業がそれぞれ発展してきて、そしてそこがとても元気になってきている中で、総合的にやっている、いわばデパートなのかスーパーなのかわかりませんけれども、その児童館の役割がとても見えにくくなっているというご指摘はそのとおりだろうと思います。児童館の一番大事な、コアな部分は何なのかということを明確化することが大事だというご意見だったと思います。ありがとうございました。
 他には、いかがでしょうか。中川委員、どうぞ。

○中川委員
 今のご意見をお聞きしまして、本当にそうだなという思いを持っております。児童館の現場を私自身も役職の関係もありまして、いろいろ回っておりますが、さまざまな取組がさまざまな子どもたちに対してされているわけです。ところが、その取組はいろいろなところでそこをピックアップして行われていることも事実です。私どもはやはり児童館は、その中で子どもたちが出会う場所、あるいは子どもたちが体験を深めていく場所。子育て支援拠点事業ですと、どうしても乳幼児の子どもと母親たちが主な利用者ということになろうかと思いますけれども、児童館の場合ですと、そこに例えば小学生、場合によっては中学生・高校生もその児童館という場所の中で出会いが図れる。そのような意味での総合的な子どもの地域における出会いの場面というものを児童館は実は大事にしていくのではないかということを日ごろから私どもは考えておりまして、児童館の特色、地域のすべての0歳から大人になるまでの子どもが集まる場所としての特性を生かしていくというような意味でいいますと、このガイドラインの中にも、そこの打ち出しは私はもう少しあってもよいのではないかと。児童館ならではの他の施設にはない特性で年齢を超えて子どもたちが集まる、そこで交流がある、出会いがあるという一つの児童館のあり方の根幹を成す際の考え方がそこにあるのではないかと思っております。

○柏女座長
 ありがとうございます。1の「児童館の目的と機能・役割」のところはとても大事だというご意見だと思います。またそこで議論ができればと思います。
 他にいかがでしょうか。岡委員、どうぞ。

○岡委員
 今、お三方から出ていたお話とも絡むと思いますが、特に最初に柏女座長からお話があった連携や協働という話になったときに、児童館の場合は、場を提供してやってあげるという施設は馴染まないと考えた方が良いと思っているところがかなり強くあるのです。
 もう一つは、今の出会いということの問題もそうですが、この中の項目でいうと、目的や機能あるいは職員の倫理問題の辺りになってくるかもしれないのですが、例えばこれは構造的な問題だと思いますけれども、子どもにかかわる人が例えば教員であれば日本国憲法をやり、例えば児童厚生員の資格の保育士たちもさまざまなことを学んでいるのですが、子どもの遊ぶということの権利の問題について、実はどこまできちんとやれてきているのか。遊ぶことの問題は、主体性や自立性ということでいえば、それは保護者の問題と育ちゆく子ども自身の問題の両方が重なっている話で、その子どもたち、保護者たちが自分たちが主体的な当事者であるということをどのように保証することが、例えば組織面、運営上の面、それから職員の専門性の面や倫理上の問題、例えばアドボカシーの問題一つをとっても、子どもの問題で条例を築くことが難しくても、例えば児童館の職員の中にはアドボカシーという視点は明確に打ち出していく必要があるのではないかとか、それをサポートするような運営上の組織上の仕組みがなくてよいのだろうかということは非常に感じておりまして、それが最初に座長からも出ていた連携という問題をもう少し踏み込んでいくことがあってもよいのではないかと思っております。

○柏女座長
 ありがとうございます。とても大切な視点だと思います。これからガイドラインを見ていくと、幾つかのところで、「子どもに~させる」というような表現も散見されますけれども、それは今の岡委員の自立性、子どもの主体性という視点に立てば、そのような表現は変えていかなければいけないし、どのような視点でこのガイドラインを書くかということもとても大事なのだということを思い知らされました。ありがとうございました。
 他に、いかがでしょうか。保志委員、どうぞ。

○保志委員
 私も児童館に20年、プラス館長になって6年くらいいたのですが、今お話しされていることをずっと迷いながら自分も働き続けたような気がします。今は違う仕事に移りましたけれども、実感として一番思ったのは、町の人にとって必要なことが児童館の中にいつもなくてはいけないと思います。それは大人にとっても子どもにとってもです。その意味では、地域懇談会や子ども会議などをつくり続けている、生き続けている児童館になるような仕組みが何らかの形で入るとよいと思います。どんなに楽しそうな活動をしても、例えば館長が変わりましたとか中心になっていた職員が変わりましたというと、あっという間に違う姿になっていくというのが、皆さま大きくうなずいていらっしゃいますけれども、本当にそのようなことがあって、逆の意味でもどんどん活性化していくことにもなるのです。何度でも息は吹き返せるというところはあるのですけれども、そのように今生きている、今町が必要。例えば安全面でパトロールのようなことがとても大事だといったら、児童館の職員も行きましょうというような、何か助けてもらう。町の人にやってもらうのでなくて、一緒にできることをどんどんつくり出していくというか、可能性を生み続けられるような児童館、生きのいい児童館というのか、そのようなものがとても大事だと思います。ですから、確かに子どもを中心にしたいろいろな活動というのは、今とても自覚的に自主的にNPOなどをつくられる方も多いですし、保護者もお父さんの会などで父親の子育て参加は随分増えてきています。いろいろなことが起こってくるのですが、そういう人たちはそういう人たちで、自分はこれをやっているけれどもこれだけでよいのかということも、今子ども家庭支援センターには随分寄せられていて、子育て支援者カフェのようなものができないだろうかという話も入ってきました。ですから、いろいろな活動があればあるほど、そこをつないでいくようなネットワークの母体になるとか、児童館の活動自体の中にもそこと一緒に何か協働でやるとか、そのようなイメージのものが入ってくるとよいと思います。一つは懇談会のようなものです。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。それは先ほど岡委員がおっしゃったことも含めて、4か5のどちらかか、両方か、そのような視点を入れていく必要があるのでしょうね。とても大事なご指摘だと思います。児童館の運営にも必要でしょうし、児童館と地域とのいわば町とおっしゃいましたけれども、そこともつながるためにも、それはもしかすると5番のところになってくるのかもしれないし、児童館とボランティアだけだと狭いのかという感じもしました。この辺は工夫が必要ではないかと思いました。ありがとうございます。
 他には、いかがでしょうか。松田委員、どうぞ。
○松田委員
 松田です。「遊び」というところが、項目だけを見ても2の(1)のところに出てくるだけで「遊びを通して」となってしまっているのですけれども、先ほどどなたかがおっしゃっていたように「遊び」というのは本当に児童館の大きなテーマだと思いますので、もう少し遊びというものが見えてくるとよいのではないかと思いました。「子ども・子育て新システム」の子ども指針でも「遊び」という言葉があまりにも出てこなくて「遊び」と入れないでよいのですかと私は言ったのですが、「大切ですね」と言われてしまったのです。児童館はそこをより主張していかないと。何かをするための手段ではなくて、遊びは遊びでしょうというところを誰が言うのかと私は思っています。
 小さいことですが、老朽化ということが課題の中にもあったと思いますが、児童館で私の知っている所は少ないのですが、2階であったり割と行きづらい建物の中にあって、私は世田谷区ですが、この間ユニバーサル審議会の中でも、児童課からのユニバーサルデザインへの課題というのが、児童館に車イスの子どもが来られるようにするということで、それはユニバーサルデザインではなくてバリアフリーの問題でしょうという話が出たのです。もしこれから建て替えということも含めて、この話が入っていくなら、渡辺委員が詳しいと思いますが、そのときの条件で障害を持った子どもたちが来にくいということもあると思いますけれども、行きやすい、まずハードのところからも受け入れやすいというところで、この4の(1)のところに入るのかどうかはわからないのですが、ガイドラインに入れていただけると安心だと思いました。

○柏女座長
 ありがとうございます。もしかしたら4の中のどこかに項目立てをして、障害のある子どもへの配慮という形で入れて、ハード面からソフト面まで含めて幾つか入ってきているのですが、それも障害のある子どもたちへの配慮ということで、まとめてもよいかもしれませんね。ありがとうございます。
 他には、いかがでしょうか。
 よろしければ中身に入っていって、そこでまた足していくような感じでやっていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。その中で、ここの部分は項目として特出しした方がよいとか、いろいろな意見も出てくるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 2の「児童館の活動内容」のところで、「遊びを通して」という遊びを手段として考えるのではなく、遊ぶことそのものを大事にすべきだというご意見なども、とても大事だと思うので、そこも含めて2番のところに新しい項目として入れていくこともあるのではないかと思います。
 それでは、次の協議の3と4を一緒にしながら進めていきたいと思います。資料16の「児童館ガイドライン案」について、事務局から説明していただいて、残りの時間で協議していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○柳澤専門官
 それでは資料16「児童館ガイドライン案」、2月7日の提案版ということで、先に皆さまに見ていただくためにお送りしたものと、分量・中身がかなり変わっている部分がございまして、先週の金曜日の遅くになってお送りしたのですが、委員の皆さまにこの2月7日提案版が届くのが遅くてご覧になっていない方も多いと思います。大変申し訳ございませんでした。大きな項立ては今ご議論していただきましたようなガイドラインの項目に従って書いておりますので、大きな項目は変わっていません。項立ても大きくは変わっていませんが、その説明、いわゆる考え方や理解・説明については大分整理しました。ガイドラインですので、ぜひ長く伝えたいと思いますが、理念的なものをかなり書いてしまうと、読んでいる者がすぐにわからないということもありまして、割愛させていただきました。最初にお断りしておきますが、皆さまが事前にご覧になったものよりは、かなりスリム化にしていると思います。1番から先ほどの項立て5番までということで大きく書いていますが、表現や分量的なもの、または今までご議論に出たようなところで、先ほど言ったのはここの部分に入れてもらいたいというものがありましたら、ご意見をお願いしたいと考えております。資料16を基にご意見をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○柏女座長
 この資料について、簡潔に説明していただいてもよろしいですか。

○柳澤専門官
 それでは、1ページ目からでよろしいでしょうか。1番は「児童館の目的と機能・役割」ということで、こちらは三つの項立てで説明しています。(1)に児童館の目的、そして(2)に機能・役割。ここは五つを書いています。柏女座長、こちらは読み上げないでもよろしいでしょうか。

○柏女座長
 読み上げまでしていただく必要はありません。どのようなことを含めたか、趣旨に入れているのかを説明していただいた方が、趣旨がよく伝わると思います。

○柳澤専門官
 (3)に「今日の児童館に期待される内容」ということで、児童館の機能の中でも特に今日的課題といいましょうか、子どもたちの現状から、ここの部分を担保してもらいたいというものを起こしました。1番目が先ほどからご意見が出ていまして、児童館の本来機能は何なのか。いろいろな事業も行われているという意見がありましたので、非常に大事な部分になると思いますので、?については(1)(2)(3)の柱も含めて十分児童館の大事な機能がこの三つの柱で保障できるかどうかを見ていただければと思います。めくっていただきまして、2ページ目の?~?は?の続きで今日的な児童館の課題を書いています。
 2ページ目の一番下に大きな項立てで2「児童館の活動内容」があります。こちらでは児童館で行われるべき核となる活動をお示ししました。これは(1)~(6)までということで書いています。(6)については、児童館の中に「放課後児童クラブ」もございますので、児童館と放課後児童クラブの関係というのでしょうか、児童館の中にある児童クラブについてはどうかかわるか。かかわることが必要だということを書いています。
 めくっていただきまして4ページは3「児童館の職員」についてでございます。(1)には「児童館長の職務」。(2)には「児童厚生員の職務」ということですが、(1)と(2)を合わせて児童館の職員の職務ということになりますが、皆さまも既にご覧いただいていると思いますが、厚生労働省では、次官通知と局長通知で児童館の設置と設置運営について細かく説明させていただいているところでございますが、その中では特に館長はどのような職務をするのかということで「館長」という言葉、または説明がございません。ここではぜひ児童館というのは館長または児童厚生員がいて、どのような仕事をすべきなのかということで(1)と(2)に分けて明示させていただきました。
 4ページの一番下は4「児童館の運営」になります。運営のところでは先ほどから出ました、(3)では配慮事項というのでしょうか、安全にかかわることや地域との問題なども細かな項立てで起こしてございます。さらに、この中には先ほどの意見に鑑みますと、もう少し配慮を要する児童についてのことなども入ってくるべきなのかという気がしております。
 最後6ページでございますが、大きく「児童館とボランティア」とくくりましたが、確かに地域とのかかわり、ボランティアだけではない他のいろいろな団体と児童館との関係、整理というものも必要になってくる気がしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○柏女座長
 ありがとうございました。資料の最終的な今日のこの2月7日提案版のお送りしたのが遅くなったこともあって、ご覧になっていない、あるいは十分検討していない委員もいらっしゃるかもしれませんが、これに基づいて進めていきたいと思います。今5時45分過ぎですので、約1時間くらい時間があると思います。そのような意味では全体について集中的にご意見を頂戴しながら、ご質問の場合は事務局で答えていただく形にします。ご意見の場合は、一つ一つそれについてやり取りをしていますと随分時間が経ってしまうので、とにかく出していただくという形にしたいと思います。それから、それらの採否を事務局でご検討いただいて、次には2次版というものを出していただくという流れで進めていきたいと思います。そのような流れの進め方でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは6ページものですので、どこまでと区切らずに全体を通してどこからでもご意見をいただく形にしてもよろしいでしょうか。それではぜひ積極的なご意見をお願いしたいと思います。
 野中委員、お願いいたします。

○野中委員
 全体の構成のことについて、2点ほどあります。一つは先ほど渡辺委員が指摘されましたことについては私も全く同感でございます。ただ、そういう点については多分前文、鑑文だと思います。このガイドラインの本文というよりは鑑文の中で、なぜ今のこの時期にこのガイドラインが必要なのかについては、しっかり触れていただく必要があるのではないかと感じています。
 2点目に、1の(3)「今日の児童館に期待される内容」でございますが、この内容と2ページ目の2「児童館の活動内容」が、内容的に重なっているのです。先ほどの話の流れから考えますと、「今日の」ということを強調する意味に積極的な意味合いがあると受け止めましたので、ここを分けたことについてはそれなりの意味合いがあろうかと思いますが、実質の表現が重複していることを考えますと、例えば今日の児童館に期待される内容とその活動という形にして両方の内容を生かしながらまとめていく構成も考えることがあろうかと思いました。
 それからもう1点ですけれども、今、児童館のガイドラインを出す意味は、児童福祉法が制定された当時の理念は、子どもの活動が地域の中で遊びや活動が地域全体を使って展開されることを想定しつつも、館がありそこに専門の職員がいることによって、それをより充実させていく方向を意図していたものだと思いますが、そのことが専門のさまざまな活動で、いろいろなメニューなり活動が展開される中で、先ほど課長がおっしゃいましたように、なぜ今そのような形なのかということが薄れてきているということをお話しされたように思います。その部分でいいますと、児童館の職員が何をすべきかということについては、もう少しはっきりした位置付けを示すことがあってもよいのではないかと思いました。3の「児童館の職員」の中で、(2)児童館の職員のところに?「子どもと地域の実態を把握する」ということが一つあるのですが、この意味はとても大きいと思いまして、全体のところで遊ぶことそのものの意味とそのようなことのお話がありましたけれども、そういうことはもう少し強調してもよいのではないかと感じました。

○柏女座長
 ありがとうございます。一つすみません。今の野中委員のご意見で、事務局に確認したいのですが、このガイドライン自体はどのような形で、課長の通知になるのか局長通知などの通知として出されるのか、性格を教えていただけますでしょうか。それによって鑑文を誰宛てに出すのかにもかかわってくるので。

○柳澤専門官
 これは検討委員会でご意見をまとめていただいて、その中の児童館ガイドラインの部分については当省の雇用均等・児童家庭局の局長通知で発出を考えています。

○柏女座長
 局長通知ですね。そうすると児童館の都道府県政令指定都市だけではなくて、市町村長にも宛てるという形ですか。

○柳澤専門官
 そうでございます。

○柏女座長
 そういうことですね。局長通知として出すということですね。ということは、当然行政にこのような趣旨でガイドラインを出すのでよろしくという形になるので、鑑文のところには先ほど渡辺委員がおっしゃったような、なぜ今ガイドラインが必要なのかということがしっかりとそこに書かれるという形になるという理解でよろしいのでしょうか。

○柳澤専門官
 はい、ぜひそうさせていただきたいと思います。

○柏女座長
 わかりました。ありがとうございます。では、そうした前提で何かまた他にご意見はございますでしょうか。
 高橋委員、お願いいたします。

○高橋委員
 私は田舎の町長をやっております。私どもの町にも児童館があり、現場で職員が頑張っていらっしゃる。それを見ていての正直な気持ちを申し上げたいのですが、児童館の機能・役割が書いてありますが、私どもの中にあっては実は児童館はこのようなものではありません。もっと重要な、私の仕事は「町づくり」ですけれども、町づくりの根幹施設の一つです。というのは、町をつくっていく、地域をつくっていく場合に、例えばそこに住んでいる方が今を生きている中での横のつながり、これは横軸です。それから、ご先祖さまから今の自分があって、これから子ども・孫といく時間軸の縦軸がしっかりしている地域は町づくりはしやすいのですが、私が町長をやっている田舎町でもだんだんそれがなくなってきている部分が、特に市街地はほとんどそれがなくなってきてしまいました。純粋な農村地帯はまだありますが、私どもの町は人口が3万1,000人弱ですから、適度に市街化が進んで、片方では農村地帯もしっかり残っているのだけれども、そのような状況を考えると、この縦軸と横軸をしっかりやりましょうと地域に言っても、地域ではそれを担えない、力がない地域があります。その場合はどうするか。実はこれは不穏当な発言かもしれませんけれども、私は大人に期待していないのです。それを取り戻すためには、大人に100回200回言っても効果が出ないだろう。子どもたちしかないと思っています。そのような意味では、高根沢町の場合は児童館の方々が一生懸命に頑張ってくれて、できるだけ開放する、オープンにする。地域の年寄りが毎日のように来ますし、それから午前中は赤ちゃんを子育て中の母親が来られます。それと中学生をマッチングしているのです。その赤ちゃんたちと中学生をマッチングすることによって、中学生が驚くような、うれしいような反応を示していて、いわゆる継承型子育てというものが再び私どもの町に根付き始めたような気がしますし、赤ちゃんを抱く経験もないまま親にはさせないという思いも児童館の職員の中にはあって、障害児の放課後児童クラブも実は併設しているものですから、そこには障害を持った子どもたちも一緒にいるのです。
 もう一つは、これは運営主体の問題ですが、先ほど課長から財政上の問題で指定管理者制度という話がありましたが、私どもは指定管理者ですけれども、財政上の問題はあまり考えていないのです。というのは、次世代育成支援行動計画を以前つくりましたけれども、次世代育成支援行動計画策定委員会が2年間かけてボランティアの方々と侃侃諤諤の議論をしてつくってくれたのです。次世代育成支援の計画、そして行動計画ですから、そのときに「行動計画をつくったのなら、あなた方が実際に行動をしてしまえば」ということで、その方々が母体となって任意団体でしたが、児童館と放課後児童クラブの運営を一手に引き受けてくださっているのです。年間7,000万円近いお金がそこにいくのです。最初は議会からも「任意団体にやらせてよいのか。プロの業者を雇えば安全面も全部大丈夫ではないか。何を考えているのか」と言われたけれども、いや、違う。そこまで2年間も無給で、ボランティアで侃侃諤諤の議論をしてきてくれた人たちに任そうではないか。それで任せて実は昨年NPO法人「次世代たかねざわ」という法人格を取られたのです。これは受け皿として法人格を取られたのだけれども、それでだんだん見えてきたことは、その方々はとにかく自分が子育て真っ最中で共稼ぎで苦しかったときに地域のお年寄りが助けてくれた。地域の人たちが助けてくれた。今は自分たちは子育てが一段落している。今度は私たちがそれをやる番なのだ。命の連鎖、思いのバトンタッチ。これなのです。これを私たちはやりたいし、私たちがバトンを渡した人たちには、時間が経ったらそれをまた次の世代に渡してもらいたいという形で運営しているものですから、これは町長としての私にとってはとてつもない「町づくり」なのです。本当に良い町になるのです。ですから児童館の機能・役割は私にとってはこれも当然なのだけれども、私どもの町にとっては児童館は町づくりの根幹施設です。そのように感じています。
 それから3ページ(2)「子どもの居場所、問題の発生予防、福祉的課題に対応」のところで、この次に「教師」の下に線が引いてあるのは、何か意味があるのですか。私は多分教師があまり協力的ではないからこのようにわざと書いてあるのかと。実は放課後児童クラブも先生方の資質によって、校長先生の考え方によっても違うのだけれども、中には厚生労働省のことは文部科学省は関係ありませんからとはっきり言う人がいます。私は町長だから「子どもは同じだから、そんなものは関係ないだろう」と言うけれども。はっきり言って、放課後児童クラブは学校とは関係ありませんと言う方が今でもいますから。ただ、それをされると、教育委員会や教師は私たちが口出しできない世界なのです。こちらは給料を払っていないから。国と県ですから。私たちには人事権はないですし。柳澤専門官が教師に線を引いてあるのはそういう意味かと思ったのですけれど、それは後で。
 それから4ページの4「児童館の運営」の(1)「施設・設備」で、「集会室、遊戯室、図書室、相談室、創作活動室、事務執行に必要な設備ほか」と書いてあり、「備えること」と書いてありますけれども、多分その意図はないと思いますが、文部科学省でよく小学校は3メートル以上の天井高がないと駄目だと。そのような基準は私たちにとっては困るのです。あまり意味がないと思います。ですから、これを「必ず備えなければいけない」というのはどうなのだろうと思いました。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございました。とても大切なご指摘をたくさんいただいたように思います。最後のところだけ伺いたいのですけれども、このガイドラインの性格はどうするのですか。「必ず置かなければいけない」としないでほしいという意見が今ありましたけれども、ガイドラインの性格はどのようになるのでしょうか。

○柳澤専門官
 いわゆる「必ずしなければならない」という最低基準的な性格のものではなく、望ましい運営や活動をしていただきたいという願いで全国の4,700か所近くある児童館が共通して質を担保して、健全育成ほかを提供できるように、これをお手本に望ましい方向に作用することを目途にするものです。

○柏女座長
 わかりました。

○柳澤専門官
 それから先ほどの「教師」に線を引いてしまったのは私の仕業には間違いないのですけれども、申し訳ありませんが、これは最終案として皆さまにお送りするときに、私も読み上げながら書いていて、「保護者・教師・地域住民」という並び方で適切なのかどうかで悩んでしまったのです。「先生」というのもどうなのだろうと思いながらチェックのつもりで印を付けてそのままになってしまったもので、特に教師が悪いという意味で付けたのではありません。申し訳ありません。

○高橋委員
 それは残念です。絶対に教師も必要だと私は思います。しかし、先ほど言ったような行政上の仕組みの問題があります。ですから、私の町は法律で教育委員会部局を町長部局に持ってこられないのですけれども、町長部局は持っていけるということで、児童福祉の部分を教育委員会に持っていってしまいました。そして教育長の事項に入れてしまったのです。そうすれば教育長ですから、教師を束ねる人ですから、これをやるためには教師もやらなければいけないということで、こどもみらい課をつくったのです。児童福祉もこどもみらい課の所管事項なのです。そして教育長が上にいるのです。これなら逃げられないだろうということです。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。
 では中川委員、お願いいたします。

○中川委員
 項目ですけれども、「児童館の目的」が最初に出てまいります。先ほども少し申し上げたのですけれども、児童館は他の児童福祉施設にない特性を有しております。そこの部分です。例えば先ほど申し上げましたように、地域のすべての子どもを対象とする施設なのだと。ここには「地域の18歳未満の子どもを対象にして」という表現をしておりますけれども、もう少しそこの部分を強調していくことが児童館のそれ以降の機能・役割を考えるときに必要ではないかと思っております。高橋委員がおっしゃったように、赤ちゃんと中高生が児童館の中では自然に交流できる。それは地域のすべての子どもを対象とする施設特性を児童館が有しているからだという意味合いにおいても、そこはしっかりと押さえていく必要があるのではないかと思っております。
 それから、「今日の児童館に期待される内容」です。この中で虐待です。児童虐待の問題について、もう少し児童館がしっかりと果たすべき役割や内容が書かれるべきではないかと私は考えております。「問題の早期発見に努め」という文言は出てきますけれども、むしろ今の虐待が全国的に非常に多数発生する中で、虐待予防という観点で児童館は虐待の問題に対して、しっかりと対応していく力があるのではないかと思います。つまり、幼児クラブであったり、赤ちゃんクラブであったり、赤ちゃん広場であったり、そのような所で母親と子どもが楽しく過ごす経験を児童館でしていただく。あるいは母親同士の横のつながりが出てくる等を通して、虐待に至らない親子関係をつくる力が児童館にあるのではないか。むしろ、そこを児童館がしっかりとやっていくべきだという意味で虐待予防の観点を織り込んでいただければどうかと思っております。
 それから職員です。「職務」という形でおまとめいただいているのですけれども、実際に職員は何をどうしたらよいのか。そこの活動のスキルというのでしょうか、方法論のようなものも少し。例えば私どもですと、プレイワーカーは遊びの指導をしっかりとしなさいということを京都では言っておりますし、グループワークは異年齢の集団を児童館の中で意識的につくり上げることよって、子どもたちのいわば異年齢の交流を通した成長が期待できるから、そこでグループワーカーとしてしっかりとやりましょうと申し上げております。あるいはケースワーカー的な役割もあります。個別の相談にしっかりと対応していこうというように。あるいは地域との関係でいいますとコミュニティワーク、この辺りも必要なのではないか。このような文言を少しうまく入れていただくと、児童館の職員も自分がどのように活動していったらよいのかという部分が見えてくるのではないかという思いもあります。
 たくさん言って申し訳ないですけれども、「児童館の運営」の中で「情報公開」という言葉が少しあってもよいのではないかと思います。ともすれば児童館はどのような取組をしているのか、どのような施設なのか、なかなかわかりにくいというようなことをよく地域の方から指摘を受けます。その意味でもしっかりと自分たちがやっていることを地域に対して社会に対して公開していく、あるいは情報を発信していく。このようなことも大事なのだということも打ち出していただけたらありがたいと思います。
 最後になりますけれども、地域の皆さま方のお力をどのような形で具体的に児童館の運営の中に取り入れていくかということで、我々京都市では地域運営協力会を立ち上げることを各児童館に求めております。それはボランティアの方にも入っていただきますし、地域のいろいろな団体、子どもにかかわる団体の方に委員として名を連ねていただいて、児童館と一緒になって、地域の子どもたちのためのさまざまな活動に取り組んでいこうということで、そのような組織を作り上げることも一つ考えていただければどうかと思っております。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。本当に大切なご指摘を幾つもいただきました。一つ一つが大切ですし、項目としても虐待や先ほど障害の問題もありましたが、それらを項目として別立てしていくことも必要かもしれません。ありがとうございました。
 他に、いかがでしょうか。松田委員、どうぞ。その後、鈴木委員お願いいたします。

○松田委員
 まず、確認したいのですけれども、児童厚生員は「児童の遊びを指導する者」となったと思いますが、ここでは「児童厚生員」と書かれていて、普段はどのように使われているのかということが一般の普通の利用者の母親にはわかりにくくて、ここではどのように記載されるのかということが一つです。
 あと先ほど虐待のお話があって、私もそれは実態として物理的に手を出してかなりフォローしているということを伺っているのですけれども、記録のことなどはここの3の「児童館の職員」の中にも、(2)で「記録」とあるのですけれども、これは「内容を改善するために記録をとる」と書いてあるのですが、子どもや親子について虐待対応とは限らず、かかわり記録のようなことや、実際にやっているのかどうかわからないのですが、この辺はどこまでをやってほしいというよりは、どこまでそのようにされているのかを含めて伺いたかったのですが、お願いします。

○柏女座長
 今、2点ありましたけれども、それについて事務局はいかがでしょうか。

○柳澤専門官
 1点目の「児童の遊びを指導する者」と「児童厚生員」という言葉の関係ですけれども、確かに平成10年の児童福祉施設最低基準の改正で、それまで児童館の職員は児童厚生員と呼んでいたものを児童の遊びを指導する者に変えてありますが、ここでは言葉として児童館の職員のことを言いたいときに、児童館の児童の遊びを指導する者についてはという表現が難しいので、私は児童厚生員を使って書いているわけです。もしお時間が許せば、ぜひ各皆さまで遊びを指導する者という呼び名と児童厚生員は、私ども作った方では同じ意味で使用しているわけですけれども、その呼び名については児童館に関する方もいらっしゃいますので、何かご意見がありましたらぜひいただいて、この中でどうにかするかわかりませんが、検討委員会の意見としても承りたいと考えております。1点目はそのようなことで、よろしくお願いします。
 虐待防止については、どの程度踏み込めるかということも、私どもには虐待防止対策室がありまして、そちらの専門職と照らし合わせているわけではありませんので、今回はどこまでということははっきりとは申しませんが、間違いなく皆さまも確信を持っていらっしゃるのは、児童館職員は子どもについても親にしても、接することが非常に多いと思います。むしろ学校などよりは、子どもや親に職員が実際にお会いして、様子を見てお話しする機会が多いものですから、そのような点である程度のいろいろなところから早期発見に向けたポイントのようなものが出されているかと思いますが、そういったものを児童厚生員に研修等で身に付けていただいて、できる限り、わかる範囲で早期発見等、今は共通ダイヤル等で通報などもお願いしていますけれども、そういった時点で早めに事故防止になればと考えております。虐待防止対策室の専門職と実際にどのようなことができるかということを現時点ではしておりませんので、よろしくお願いします。

○柏女座長
 もう一つ、松田委員のご質問の関連で、いわゆる気になる子どもや、障害のある子ども、ネグレクトの子どもなど、個別の子どもの記録をとっていることはあるのですか。それから開示請求があった場合にどうするかなどについては、どうですか。ここに「記録をとる」とありますので、松田委員のご質問もその辺にあったのではないかと思いますけれど。

○柳澤専門官
 児童館でいう「子どもの記録をとる」というのは、学校などで子どもの記録をとるという性格のものとは少し違うと思います。児童館は地域の0~18歳のすべての子どもが自由に利用できる場所になっておりますから、出入り利用は自由ですけれども、児童館の役割として地域の児童の健全育成について責任を持つということで、誰がいつ利用したか、どこの子どもがどのように利用したかということをきちんと把握しておくという責務からきています。なぜかというと、それはやはり児童館で遊ぶ子どもに事故や病気等があったときに、早期に対応することを考えたときには、やはりその子どもが何町のどのような子どもなのか、あるいはどこの小学校、どこの中学校に通っている子どもなのかという辺りまでは把握しておかないと、そういった対応ができないということから、実際にはその子どもの生育歴や行動の記録をとって、どうのというところまでは。いわゆる学校の指導の範囲の中にあるようなところまでの踏み込みは想定していないと思いますが、児童館でのご経験が長い人もいらっしゃいますので、いかがでしょうか。私の考えですけれども。

○柏女座長
 野中委員、どうぞ。

○野中委員
 今の記録のことについてだけ発言します。記録については二つありまして、一つは「児童館の設置運営について」という局長通知がありますけれども、この中で利用児童の把握ということで、児童館を利用する児童についてはその児童の住所、氏名、年齢、緊急時の連絡先等、必要に応じて登録すること等により把握することとされているのですが、実際には形骸化している実態も半分ぐらいありまして、そのように地域での子どもの生活を把握するための基礎情報もない児童館もあるのです。そういう意味では、柳澤専門官がおっしゃったことはとても大事だと思います。
 ただ、もう一つは今日的な役割と連動すると思いますが、先ほどの虐待の予防や早期発見というお話ですけれども、地域によってはそこにとどまらないで実際にある一定程度一時預かりをしたり、そのような形があった後、地域の中で特に児童館が積極的に虐待からの回復の役割を持てるように努力をしているという踏み込んだ実践をしている児童館等もあります。そのような所では情報の管理は一般に公開できる範囲ではなく、まさに個人情報の厳格な管理もしなければいけないところに踏み込んだ児童館活動をしている所もありますので、大方のところは自治体の中での情報管理に委ねているのですけれども、この二つの面があるということは把握しておく必要があるのではないかと考えます。

○柏女座長
 ありがとうございました。松田委員、その件についてはよろしいですか。

○松田委員
 はい。

○柏女座長
 では鈴木委員、ご意見をお願いいたします。

○鈴木委員
 質問と提案とを混ぜて五つばかり話をさせていただきたいと思います。まず、ガイドラインの6ページのものですが、これを市町村の担当の方ないし児童館長が読んで、これは具体的になかなかわかりにくいと思います。これについての説明書やテキスト的なものは追ってお作りになるつもりなのか。もし、その予定がなければ、この検討会で作った方が良いのではないかという提案を一つしたいということが1点です。それによって遊びのプログラムの細部や具体的なものはそちらに落とした方がむしろ興味や関心をもって読んでいただけるのではないかという意見です。それは提案というか、質問です。
 それから中身についてですが、冒頭で渡辺委員がおっしゃったことに私も賛成です。基本的にこの研究を3年間やったことの趣旨というのは、どうも児童福祉法が作られたときの子どもに対する思いや地域に対する思いが、その後すり減ってきている。そういう中で、子どもはそれぞれ学校がある、保育所がある、養護施設がある、町のNPO法人で子育て支援をしている、そのようにたくさん頑張っているところもありますし、非常に魅力的なところがありますけれども、子どもの児童福祉というのは、このような視点でなければならないというトータルとしての思いがどうも散逸しているのではないか。それを考えたときに、児童福祉の福祉たる所以を考えた児童館にもう一度てこ入れする必要があって、この児童館が持っている発達を遊びで保障していく、先ほど松田委員も言われた遊びが、遊んでいればよい。これが先ほどの児童厚生員と関連しますが、遊びを指導する者となったものですから、「遊ばせ屋」になってしまって、児童福祉という視点を忘れてしまった。ですから私はむしろ個人的にも「児童厚生員」を復活して使いたいと思っております。まさに厚生労働省の「厚生」なのです。そこに意味がある。職員がまずきちんといられるような施設としてガイドラインの中に職員を置きたい。そう考えたときに、やはり発達を保障することと遊びを目的の中で明確に書く必要がもう少しあるのではないかと思います。骨子としてここは抜かせないという思いです。
 それから、野中委員が言われましたが、私どもが研究で作ったときをガイドラインで言いますと、1ページの大きな1の(3)の?~?と、それから2「児童館の活動内容」の(1)~(6)は、やはり児童館の今日的な必要性を抽象的に理念化したくて置いて、では具体的に児童館はどのような日常があるかということを活動内容に落としたつもりですけれども、どうも重複する場面があるので、これは野中委員がおっしゃるように一つにまとめて書ければ、その方が見る方は見やすい。なぜ同じことを繰り返しているのかと思う方も出てくる感じがしました。
 それから「倫理規定」についてですが、4ページの(3)で「児童館の職場倫理」が書いてあります。これよく言われるように職員そのものが暴力を振るわない、それから秘密保持など、きちんとプライドを持って働くためにも倫理が大事だと思いますが、それと同時にそこにいる職員が暴力を振るったり、暴言を吐かないということで、そのこと自体が子どもにとっての居場所になるので、まさに児童館職員の言動は福祉なのです。ですから、単に置いておきましょうではなく、安心できる大人が近くにいるということを保障する意味でもここはもう1行、一言、二言、強調してよくて、あって当然のことなのだという前提を置いていただけたらどうかと思います。
 それから、私は児童館をずっと運営してきまして、どちらかというと理想に偏ったり、また全くひどいところを見ると怒りに駆られたりと両極端を行ったり来たりするのですが、児童館は2人の職員がいればよいという最低基準に則って、その2人が思うように独断と偏見でやっている児童館も結構あります。そういう意味で、職員や館長が代わっても、運営が変わらないように地域によって呼び名は違っても運営委員会をきちんと骨格に位置付けるのと同時に、その運営委員会がまた児童館側からもボランティアの組織として活用できる。そういう意味で運営委員会を設置して骨格に置くことを提案したい。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございました。今、ご提案のあった保育所保育指針の解説書のような児童館ガイドラインの解説版を行政としてお作りになるご予定があるかどうか、その辺については今のところのお考えで結構ですが、いかがでしょうか。

○柳澤専門官
 かなり精査したとはいえ、今まで皆さまの意見を反映すべく文言としては現在は言っておりません。ぜひ、そのようなものを反映させたいと考えると、私はやはりもう少しこちらを精査して、きちんと細かいところまで説明できる解説版は、私どもの課長通知等を追補で出せたらと考えております。そうできれば、思い切ってこちらの方は筋だけをまとめていただいて、今まで出ているような理念や考え方、特に配慮を要する子どもへのかかわりや、児童厚生員は本来どのようなことをするのかという中川委員のお話や、高橋委員からありましたような町づくり。地域と児童館がどう関係していくかについては、なかなか項立てだけでお示しするのは難しいと思いますので、できましたら通知などで解説版ということで発出させていただければと考えます。

○柏女座長
 わかりました。そうしますと、それ自体はこの委員会で検討するというよりは、そういうことをしてほしいという形で提言をすればよいということになりますか。わかりました。児童館ガイドラインと同時に課長通知で一つ一つのことについて詳細な解説を行い、理念も盛り込んでいくということです。
 それ以外に、例えばもう少し実務的なものをこの検討会で作るということはあるかもしれませんけれども、行政としてはそのように考えているということです。
 他には。高橋委員、どうぞ。

○高橋委員
 今の件で。確かになかなか具体的なイメージが湧いてこないときに、そういった解説書は有効だと思いますが、例えば2ページの?のウにある「不登校やいじめ、非行などの子どもが抱える問題の発生を防止し、そのような問題に直面した際には、家庭や学校と連携し、子どもがそれを乗り越える手助け」と。「子どもがそれを乗り越える」とは具体的にどういうことなのかとなりますよね。そうすると、実は日本全国ほとんど不登校になった子どもは学校復帰を前提として適応指導教室をやるのです。実は私どもの町は学校復帰を前提としないのです。ですから、文部科学省が言っている常識のとおりにされてしまうと、これが来たら私どもは全然できません。私どもは学校復帰を前提としませんので。どこで学ぶかが大事ではなく、何を学ぶかが大事という方針でやっていますから、その辺のところは細かいところを解説するのはよいけれども、少し気を付けてほしいと思います。以上です。

○柏女座長
 そのとおりかもしれません。渡辺委員、お願いいたします。

○渡辺委員
 それでは私からも5点ぐらい、手短に話をさせてください。まず一つは先ほど中川委員からもご意見があったように、今のガイドライン案の中には児童館は0~18歳までの発達をトータルに見ていけるという視点は書いてありますが、やはり違うのは、むしろ1人の子どもの成長を見守れるという視点だけでなく、さまざまな子どもたちがいて、その子どもたちの交流やかかわり合いが児童館に果たせる特徴であるとするならば、やはりそれはもっと前面に出すべきだと思っております。「児童館の機能・役割」の1の(2)などでもっと年齢はもちろん障害の有る無しを越えて、子どもたち同士がかかわり合って育み合う、もちろんそれをなぜ前面に出さなければいけないかというと、それをきちんと強調しておかないと、それを本当にやろうと思うと、児童厚生員たちは意図的にというか、ある程度仕掛けを自分で作っていかなければいけないわけですから、ある程度強調しておかないとその働きは見えにくくなってしまうと思いますので、強調していただきたいと思います。これが一つ目です。
 それから二つ目が、実は最初に柏女座長がおっしゃったところに戻ってしまうのですけれども、やはりこのガイドラインを読むと、先ほどの学校のところで出てきた2ページの?のウのところに「家庭や学校と連携し」と「不登校やいじめ、非行などの子ども」の脈絡の中に出てくるのですが、それ以外のところはほとんど家庭むしろ子育て支援の対象、つまり支援の対象としては捉えられてはいるのですけれども、何と表現したらよいかわかりませんが、要保護まではいかなくても要支援に近い子どもに対して、やはり保護者と連携して問題解決に努める必要性は、しっかりと「児童館の機能・役割」の中に明確に位置付けておかないと、児童館の働きはともするといわゆる健全育成という言葉が妙に前に出過ぎて、健全な子どもたちばかり対象にする施設のイメージが。先ほどの鈴木委員の歯に衣着せぬしっかりとしたご発言に触発されて私も言うと、都心部でもそうかもしれませんが地方の児童館を回っていると、本当に最近よくあるのが例えば中学生や高校生ぐらいの子どもで部活動や学校になかなか放課後なじめないけれども、かといってつるんで外で悪さするまではできないぐらいの子どもたちが、実は児童館を居場所に使っているようなことがあって、その受け止め方は児童館によって随分違うと思っております。そこを支援していかなければいけないという児童館もあれば、最近あのような子どもたちが来て困っているというような感じで邪魔に扱っている児童館も散見します。そうではなく、これは児童福祉施設であるという原点に返るならば、もちろんそういう子どもたちは支援の対象であるということを明確にすることと、その場合にもちろん虐待対応とどこまで関連するかということはあっても、最低限やはり必要に応じて保護者ときちんと連携を取って問題解決を図りましょうということぐらいは。子どもだけが対象ではない。いきなり連携というのは関係機関ということではなく、保護者との連携は前提としてまずあって、ということをきちんと明確にしておかないと、怖いのは問題の発生予防・早期発見が、違うコンテクストで捉えられる場合があるわけです。「早く発見して他機関につないでしまえばよい」という短絡的な発想につながることがあるので、そうではなく、児童館の働きの中に「問題解決にきちんと関与する」ということがある。その上で、保護者との連携はやはり不可欠なのだということをしっかりと明確にしておく必要があると思います。これが二つ目です。
 三つ目は、先ほど児童館の2人の職員が独断でやってしまう所があるというご意見がありましたけれども、その反対に、2人の職員が事務室の中にこもってしまって、貸し館的になっている児童館もたくさん見ましたので、そういう意味で言うと、もう少しこの児童館職員の配置という職務に、ただ置くではなくて、ソフトがあってこその児童館だということはどこかにきちんと明確にしておく必要があるのではないかと思います。あるいは今のところの、4ページの3番の(4)の「児童館職員の研修」というところも、非常に曖昧なのですけれども、これからガイドラインをある程度、今回の3回の会議で詰めていって、職員に求められる資質がある程度明確になってくれば、そういう資質を研修の中に織り込みなさいときちんと含めていかないと、職員の資質はなかなか上がっていかないと思います。そういう意味で研修の内容にまである程度踏み込んだ方がいいと思います。これが三つ目です。
 四つ目は、やはり少し気になってしまうのが、同じ4ページの(3)の「児童館の職場倫理」。職場倫理というのかどうかわかりませんが、倫理部分については、やはり少なくともこの中に守秘義務はきちんと明確にしておくべきです。これは柏女座長が参加された放課後児童クラブのガイドラインでもそうだし、今回の資料の中にある養育支援訪問事業のガイドラインでも、守秘義務はきちんと一つの独立した項目を立てて明確化しているわけで、守秘義務や個人情報保護に関するものは、ある程度児童館に合った形の文面が必要ですけれども、それはきちんと独立させて作っておかないと、非常に曖昧になります。最後の6ページの一番上のところに、コンプライアンスと絡めてぱらぱらと書いてあるのですけれども、ここはもう少ししっかり書いた方が良い。それから、やはり4ページの職場倫理、これは倫理にかかわってくるとは思いますけれども、やはり子どもの最善の利益の優先という視点をどこかにきちんと含めていく、子どもの権利条約の理念はどこかにしっかり含めておくべきだと思います。
 最後ですけれども、6ページに「児童館とボランティア」と最後にくっついてくるのですが、私は最後にくっついている感じよりは、もっと前に出した方が良いと思います。先ほど高橋委員のとても強いお言葉を聞きながら、ああ、地域の人たちが一緒にかかわって子どもたちを育もうとしているのだと感銘を受けているのですが、ハード面の運営上の課題や防犯なども全部終わって、最後にボランティアがついてくるという付録的なものではなくて、児童館は地域の人たちのボランティアをもっと活用しなさい、地域の中にある資源、もっといろいろな人材にかかわってもらうことで、児童館活動はまさに地域の中にある児童館になっていくのだということを、もっと前面に押し出した方が良いのではないかと思います。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。他に意見は。根津委員、お願いいたします。

○根津委員
 今と同じ意見で恐縮でございますが、先ほどから館長の資質であるとか、職員や児童厚生員の仕事、ここに出てきておりますが、やはりその質であるとか、人となりがとても重要な課題だと思います。これだけいろいろな大事なことを担うわけでありますので、やはり館長、そして厚生員はたくさん研修を重ねて仕事に邁進することがとても大事であると思います。地方に行きますと、出先機関にはどうしても人を配置するだけという方も多く見られます。そういうことのないように、もう少し踏み込んで、職員や構成員の研修を多くするとか、そういうところまであってもよいと思います。
 それからもう一つ、地域の人的資源をもっと活用してほしいとおっしゃっていただきまして、そのとおりだと私も思います。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。保志委員、お願いいたします。

○保志委員
 幾つか重なりますけれども、まず学校に関してです。児童館の中にいると、本当に学校や保育園・幼稚園と連携することで、子どもがとても安心してゆっくり遊ぶことができるようになっていくのです。校長先生が見にきてくれたとか、ドッジボール大会に担任が来たというだけで全然目の色が変わってしまって、非常に生き生きしていく。そういう学校であってほしいし、そういう児童館でありたいという意味で、ぜひ、教員、教師という書き方、また教職員などいろいろな書き方があると思いますけれども、保育園や幼稚園など、実際に0~18歳の子どもは同じ子どもですから、そこを見ている機関に関しては少し特別に、関係機関という言い方以上にもう少し書いてもよいと思います。
 二つ目は広報活動です。そういう表現がふさわしいかわかりませんけれども、児童館でどんなことをやっているか町の方がよく知らないと言われます。本当に子どもがどんなに生き生きして愛すべき存在なのか。大体、負の部分の方が皆さんは見やすいです。コンビニの前でたむろしているとか、また万引きをしたとか、そういうことばかりが噂になるので、町に発信していくときにはもっと何か、このお祭りを手伝ってこんなに生き生きしたとか、今まで皆さんからご発言があったような、高齢者とのかかわりがこのようにできたとか、町の人全部がもっと子どもを信じられるような、未来に確信が持てるようなことを、強いて児童館はどんどん発信すべきだと思います。説明責任とか情報発信とか広報とか、何らかの形でそういう役割も、子どもの代弁者のような役割も児童館にはあると思います。
 それから、虐待に関しては、私も今は子ども家庭支援センターにいますので、説明のところに入れるかどうか、要保護児童対策地域協議会の一員であることをどこかではっきりと入れる。児童館の職員がきちんとそういう勉強をするためにも、このガイドラインに入れなかったとしたら説明のところに入れるなりする。支援まで含めて仕事ですので、決して発見して終りということはありません。実際には児童館の先生だからと告白した親は何人もいますし、児童館にだけ言うという子どもも何人もいました。やはりそういうところの役割は、非常に深いところに児童館は持っていると思います。
 それから、全体に「児童館の子どもと職員」という書き方になっているところが多いのですが、やはり子ども同士の中で作られるものがとても多いので、特に年長児童に関しての自主的な活動支援のようなところを。小さい子どもに伸び伸び遊ばせてあげるということとは別に、少し自主活動のようなものも入っていたと思いますが、そこはもう少し強調して、児童館の活動を少し任せていくような役割を、発達段階に応じて徐々に設定するような活動も本当は必要ではないかと思います。そうでないと、だんだん飽きてきてしまうのです。学童クラブも、とても楽しかったのに3年生になるとやめたくなってしまうのです。4年生になると大体あまり来なくなって、5、6年生になるとどこにも行き場がないということがよくわかって、主のようにずっと毎日いるとか、塾に行く前に1時間だけいるとか、そんな子どもを見てきているので、自分たちの場所だということが年齢に即して設定できないと、やはり同じことだけをして遊ばせてあげるような感覚は違うと思います。
 最後に、6ページの最後の「協働体制づくり」のところは、何度も言っているのですが非常に大事なところだと思います。先ほどの高橋委員のお話は非常に感動的でしたけれども、やはり大事な役割を地域が児童館にどんどん担ってもらおうというように、周りの大人が変わっていく。それは児童館自体がそういう体制をとりますと表現しなければそうはなれないのですけれども、逆にこのガイドラインを読まれる児童館職員でない人たちが、「そうか、児童館はそんなふうに頼もしい存在に作り替えていくことができるのだ」とアピールできるようなガイドラインの発信がここにあるとよいと思います。

○柏女座長
 ありがとうございます。岡委員、お願いいたします。

○岡委員
 今お話ししていたこととも随分絡むのではないかと思っているのですが、先ほど専門官からもお話があった「児童厚生員」と「児童の遊びを指導する者」の問題に関して言うと、それこそ遊びという問題を専門の立場から言うと遊びは指導できない。「遊び方」は教えることができても「遊び」は指導できないというのが基本的な立場だろうと思っています。ですから、書き方の中で引っ掛かってしまうのは、先ほど松田委員からもありましたけれども、例えば1ページ目の「遊びは自発的・主体的になされなければならないが、子ども同士の遊び文化の伝承が難しくなった今日にあっては、大人が子どもの遊びに積極的にかかわることが大切である」は、わかるようではあるのですが、実は子どもが遊ばなくなったり遊べなくなったりしているのは、大人の社会の環境のつくり方や生活時間のつくり方の方にそもそもの原因があるのです。それを復活していこうと思ってもらわないとまずいとは思っていますが、本当に思うのであれば、基本的には、だからこそ子どもの立場にという問題がある。先ほど代弁者というのが保志委員からも出ました。例えば京都からも委員がいらっしゃっていますが、京都で、これは児童館ではありませんけれどもユースホステル協会の水野さんたちがいわゆる年齢の高い子どもたちに対しての居場所づくりをしているときに、水野さんが語られているのは「第4の居場所」という言い方でユースワーカーの問題を指して言っているのです。親が第1、学校が第2、地域が第3。やはり地域の役割はとても大事なのですが、地域も利害関係でいったときに、子どもたちは利害的に弱い立場にある。先ほどのように、コンビニの前でたむろしていたら悪く言われる。「何だあそこのガキは」と言われるのは、地域であればあるほど、そのことに対しての非情な意味での生きにくさというものも、もしかすると抱えている。その子どもたちの利害関係と、大人の社会との調整役という側面が、本来は多分、子どもの傍らにいる大人の役割の中にあるのだろうと思っています。
 その意味で言うと、先ほどお話があったのですが、代弁者というのは誰の代弁者なのか。一般論になると必ずマジョリティの代弁者で、権力の側の代弁者で、力やお金を持っている人の代弁者になるので、そうすると子どもの代弁者にはなれないのです。例えば苦情が来れば、お金を出してくるところがあれば、そこの言うことを聞かれなければならない。だから本当に心ある児童館の職員が中高生の話を聞かなければいけないときに、中高生の世代の子どもで学校に行っていなかったりもする。そうするとその子どもたちが、彼らもきちんとわきまえていて、迷惑がかからないようにと閉館時間後などに来るわけです。でも本来は、そこで働いている職員たちは時間外の、しかも気を付けなければ後ろ指を差されたり町内の中でも無茶苦茶に言われるような立場の中で仕事をしている彼らの、もしかすると仕事の役割の意味を守るのは、多分個別案件になってきてしまう。それだったら、代弁者ということが誰の代弁者なのかといったときに、一つにはまず子どもだろうし、その意味で言うと子育て支援のさまざまな場ができてきたのも、母親の声がやはり抹殺されてきたからこそ、その代弁者の声をつくらなければいけないと、ここまでできてきた経過があった。そのときに、児童館という場所が、もちろんさまざまな機能があるので、さまざまな意味でだと思いますが、その意味では説明しなければいけないと思います。代弁者という言葉はとても大事だと私は思っています。その意味では、それこそ柏女座長が保育所の倫理綱領を作られている中にも代弁者という言葉が入っていると思いますけれども、そのことがとても大事だと思います。
 それから、渡辺委員からも出ていた、さまざまな子どもに対して、対象はそこだということをあえて意識しておかないと、その人たちの専門性や職能がきちんと得られていかないのではないかと。本当にそうだと思いつつ、それが一番わかりにくくて、大体「遊び」などと言った瞬間に「いいよね」と言われたり、「ろくなものじゃないよね」と言われたり、しかもさまざまのなどと言ったら「いるの」と言われたりというのが多分現状だと思ったときに、ここで例えば質の担保というものが出てきたときに、一番危ないのは第三者評価だと思っています。当事者でない誰かが来て、良いの悪いのと言われるのは一番まずいパターンで、そうすると何か非常に意味のあることはしているのに、明確に一言で言えない。こういう場所に第三者評価の網をかけると、とても危ない状態が起こると思います。
 ですから、何人もの委員から出ているように、一つには今の子どもたちの社会状況を一番ダイレクトにつかんでいる人たちでもあるわけです。この人たちが今の子どもの社会はこうですとか、子どもに囲まれている生活はこうですよと。子どもの安定した日々の生活を支援するというのは、極端なことを言ったら、それなら食事を出したいのだけれどとか、館を22時まで開けてもよいかということが、もしかすると今の格差社会の中で子どもたちを見ていたら、そんな声をあげたくなるような人たちがたくさんいる。多分、児童館の人たちが見ている子どもたちの中にはいるのだと思います。この人たちが、そのことを伝える、公開していく、情報を発信していくということが責務の中に入って当たり前だと思うし、そのことを伝えることをもってある意味で評価という。いわゆる保育の場で、公開保育ということがとても大事だと言われているように、もともと誰でもオーケーという施設ではあるから、いつでも公開しているという意味では公開しているのですが、そのことを意図的に社会に発信していくことが、役割としてはとても大事です。そのことを一緒に考えていく組織運営体としての運営協議会を作っていく必要があるということが、非常に大事だと思っています。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございました。これもとても大切なご指摘をいただいたと思います。
 他に、ございますでしょうか。松田委員お願いします。

○松田委員
 これをいただいたときに、私も言おうかどうか迷ったのですが、ボランティアというところで、児童館の立場からするととても大事なことだと思っていますし、この章立てをどうするかというお話もあったと思いますけれども、児童館のためにボランティアをするということより、もう少し広く捉えていただけないかと思います。先ほど、高橋委員が「町づくり」とおっしゃっていましたけれども、その経緯があって、ゴールとして児童館の運営があったのですけれども、こうなると児童館の運営があって、そこにボランティアというようにどうしても書かれていて、中には安いアルバイト扱いされているボランティアも、正直に言いますとかなりいるのです。例えば私が乳幼児の親であった時期は、母親サークルとして児童館の中で活動すると、とてもちやほやされます。ただ、NPO法人や地域のグループを作って出ていくと、何かライバル関係になったり、人の取り合いをしているのではないかと思われたり、応援してもらえなくなるようなことを聞いたこともあります。私は幸い世田谷区ではとてもよい関係を取らせていただいていますけれども、やはり児童館の中で活動している人たちには優しいけれど、出ていくと急に冷たくなったり、意地悪されたりするから、ボランティアが疲れて辞めていってしまうという実態も正直あります。自分たちが自発的にかかわるというよりは、児童館で決められたことをこなしてくださいとか、このことをしてほしいのでボランティアをしてくださいという形で、なかなか地域の側からかかわっていくときに、児童館のいろいろな事情ももちろんあると思いますけれども、特に人的に足りないとか、お金的に足りないとか、いろいろな意味で地域のボランティアが使われてしまっているという現実も、幾つかの館ではあると思います。私はよく見聞きしてしまうので、ここは丁寧に書かないと、こうすればよいのだという変な勇気付けにならないとよいと思います。少し言いにくいのですけれども、上手にそこが入っていくとよいと思います。最後の「協働体制づくり」というところで、少し広くなっている、児童館から外に出ていこうと書かれているので、同じ町を一緒につくろうとなると、とても良いけれども、地域住民に大切に思ってもらえるように頑張れと書いてあると、何か小難しいと考えてしまいました。すみません。

○柏女座長
ありがとうございます。中川委員、お願いいたします。

○中川委員
 具体的な項目ですけれども、6ページの?「児童館の職員体制と労働環境の整備」のウ、エです。これは私自身が長く児童厚生員の職についていたものですから言わなければいけないと思って申し上げるのですけれども、一般的にガイドライン、例えば放課後児童クラブでもそうでしょうし、保育所保育指針でもそうですけれども、いわばこのウ、エは施設の活動内容あるいは職員の役割というところを少し越えた内容になっているような気がします。一言で言いますと職員の処遇です。処遇について踏み込んで書いていただいているわけです。これは恐らく児童館の職員が全国的に大変厳しい処遇の下にあるということで、このような項目をお考えいただいたのだろうとは思いますけれども、やはりガイドラインとして考えたときに、処遇にまで踏み込むのかという議論は、少し整理しておく必要があるのではないかと私は思っております。むしろ、このことを言うならばもっと他の、例えば正規職員として雇用すべきである、うんぬんという部分が先に出てくる。そういう意味で言いますと、児童館の職員を長い間やってきた人間としてはありがたい話ですけれども、ガイドラインとしてはここにはあえて触れずに、別の機会にまた議論していただくのが良いのではないかと思って発言させていただきました。

○柏女座長
 少し項目の整理も必要だというのは、そのとおりだと思います。ありがとうございました。他は、よろしいでしょうか。
 私も少し言わせていただいてよろしいでしょうか。重複したところは言いませんけれども、全体を通して語尾というか、体言止めになっているところと文章になっているところがあるので、ここは整理したた方が良いということです。それから「求められる」「望ましい」と、さまざまな語尾があるのですが、いろいろお考えになっていらっしゃると思いますが、これも少し整理した方が良いと思いました。それから、やはり先ほど少し申し上げましたが、2ページの?のところで「児童館に取り込む」とか、一番下の2の(1)の?で「参加させたり」とか「遊びを企画・計画をさせたり」という形の表現があるので、この辺は少し修正した方が良いと思いました。そして、4ページで、先ほどご意見もありました3「児童館の職員」のところですが、「館長を置くことが望ましい」というのは、そうなのですか。兼務もいないのですか。つまり、行政の係長が兼務しているとか、そういうものもないのですか。置くのではないのですか。

○柳澤専門官
 私どもの方で、次官・局長通知等で「館長を置く」という文言はありません。地方の自治体によっては、良いところは役場の課長が3館4館の館長を兼務するということがあります。

○柏女座長
 館長兼務ということは、つまり館長がいるということですよね。兼務しているわけですから。

○柳澤専門官
 児童館の中にはいないけれども役場の中にはいるということです。

○柏女座長
 それは館長を置いているのではないですか。

○柳澤専門官
 そういうことなりますが、それすらもない場合もございます。

○柏女座長
 その職員を指導監督する人は。

○柳澤専門官
 いわゆる厚生員しか配置していないところもございます。

○柏女座長
 それは「あり」ですか。そういう人たちは誰が指導監督するのですか。その2人は。

○柳澤専門官
 私は自治体にそのことをお伺いしたいと思いますが、訪問した際に伺うと、「こちらの方が私より先輩だから、この人が責任者でしょう」と言って、「いいや、いつそんなことが決まったの」というような話になったりするわけです。どちらの責任なのかと聞くと、この児童館を設置した役所に大きな責任はあるけれども、具体的に箇所としてこの館の責任者はどちらかでしょうということがあるのですが、どちらも児童厚生員だから館長ではないというところもございます。

○柏女座長
 素人目から見て、「館長を置くことが望ましい」などということがあり得るのかと、率直に思いました。兼務であろうが何であろうが、お金を出さないから専任の館長は別にいなくても構わないと思いますけれども、館長の職に相当する人が誰もいないというのは想像できない。

○柳澤専門官
 私も気持ちとしては専任以外の何ものでもないと思いますが、そこは私どもが思い切ってそこまで。

○柏女座長
 書けないですか。「館長を置く」とは書かなくても、「児童館の館長の職務は以下の五つである」にしてしまったらどうですか。

○柳澤専門官
 ありがとうございます。検討させていただきます。

○柏女座長
 それから、「児童厚生員の職務」のところで、先ほどどなたかがお話しされました専門性。こういうことについて専門性が必要だということを、専門性というか、グループワークやコミュニティワーク、コーディネートなど出ておりましたけれども、そうしたものをここに書いても良いのではないかと思いました。
 それから「児童館の職場倫理」については、やはり守秘義務を含めてどのようなことが必要なのかという例示はとても大事ではないかと思いました。
 それから、5ページですが、(3)は「運営上の重点課題」にするのか「運営上の問題」なのか、そこの?「開館時間」です。これはこれでよいのですけれども、例えば放課後児童クラブを併せてやっている場合、それから先ほどあったように支援が必要な子どもがいるような場合の開館時間の配慮というか、それは何か特記して、「放課後児童クラブを併せて行っている場合」とか、「支援が必要になる子どもの実情に応じ、それを配慮しなければならない」といった文言を入れておいた方が良いと思いました。
 それから、最後ですけれども、6ページの?のイで、児童館には「複数の児童厚生員を配置すること」となっているのですが、これは2人以上の児童厚生員を置かなければいけないと前に書いてあるので、複数は当たり前なのではないですか。常時複数なら別ですけれども、常時複数ではないのでしょう。本当は常時複数が良いと思いますが。

○柳澤専門官
 そのとおりでございます。

○柏女座長
 それならば、複数の児童厚生員を配置するのは当たり前のような気がしました。もともと2人以上置くことになっているわけなので。
 あとは、ボランティアの関係ですけれども、つまり先ほどからのお話では、町づくりの活動をするボランティアの方々をコーディネートするのが児童館というイメージで、児童館にボランティアをしてもらうという考え方とは少し違うような感じがしたので、少しこの辺の書き方は整理しなければいけないと思いました。
 それから最後の「協働体制づくり」のところで、地域運営協議会の話も出ていましたが、私も今、地元で自治会の役員をしてるのですけれども、児童館の職員においでいただいた役員会は1回もないのです。やはり、来ていただければと今日見て思いましたし、言ってみようと思っています。私からはそれぐらいです。
 時間がだいぶ押してきましたが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。本当にたくさんのご意見を頂戴して、まだ細かいところ、大きいところを含めてご意見を出したいところもあるかもしれません。ぜひ終わってからでも、3月末ぐらいまではこの検討会が続きますので、思いついたらぜひ事務局に「ここは直した方が良い」ということについて、ぜひご意見を頂戴できればと思います。
 それから一つは、私から事務局へのお願いというか、冒頭に少し申し上げたのですけれども、この検討会自体は「児童館ガイドライン検討委員会」ということで、児童館のガイドラインを作成することが目的となるわけですが、今のお話を伺っていても児童館のガイドラインに収まり切らない、さまざまな健全育成上の問題や提言が出てきていたように思います。私の気持ちとしては、このガイドラインを作ると同時に、せっかく厚生労働省で健全育成関係の検討会を開いていただいたので、さまざまな子どもの育ちや子育てをめぐる課題、それから対策。社会的養護や障害などは、それぞれのところでやっているのですが、一般のというか、すべての子どもたちを対象にした育成上の課題や子育て支援の課題、あるいはそれに対してどのような政策が今後必要になってきているのかというようなことについて、できればこのガイドラインの報告書の後ろの方に、この検討委員会のメンバーの意見として載せておきたいと思っているのです。
 そういうこともありまして、検討が3回しかないということですので、ここからは事務局へのお願いと委員へのご提案という形になるのですが、それぞれの実践の場で、あるいはご経験の中で、健全育成上の課題あるいは必要とされる政策例、あるいは先駆的な事例等について、ご意見をペーパーでまとめていただけないだろうかと思っているのです。それを次回ぐらいまでに出していただいて、それを事務局で少し整理していただいて、次回ももちろん「児童館ガイドライン」の検討もするのですが、それ以外に少し別のことも。出していただいたものも包括的に次回、事務局でまとめていただいたものを、最後の30分間ぐらいでも意見交換し、最後の3回目の検討会のときに「児童館ガイドライン」とそれから健全育成上の課題や今後必要とされる政策や視点などを、理念も視点も全部含めていただいて、それを議論して、そしてこの検討委員会の報告書に載せたいと思うのですが、ご賛同いただけますか。まず、委員の皆さまにお伺いしたいと思います。

(「異議なし」の声あり)

○柏女座長
 ありがとうございます。それでは、ぜひそういう意見をお寄せいただければと思います。
 次は事務局に伺いたいと思いますが、そういうことでも、よろしいでしょうか。

○柳澤専門官
 ぜひ、そうさせていただくと、広い意見をいただけますのでありがたいと思います。

○柏女座長
 行政にとって耳の痛いご意見ももちろん出てくるかもしれませんけれども、そこは度量の広さで受け入れていただいて、ぜひお願いしたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、そのようなことで、事務局にマイクをお返しして、その意見を集めていただく方向、あるいはこのガイドラインを次回までにどのように料理して、次回のテーブルに載せていただけるか、その辺のことも含めて、事務局からご意見を頂戴できればと思います、よろしくお願いいたします。

○柳澤専門官
 ありがとうございました、委員の皆さまの大変積極的なご議論をありがとうございます。今まで出されたご指摘や修正部分などをできる限り修正いたしまして、また次回に間に合うようにお手元に届けたいと思っております。最後に柏女座長ほか各委員からご提案があったことにつきましては、A4の紙1枚ぐらいに簡単にまとめられるようなフォームを考えたいと思います。それで簡単な作業の提案をさせていただきたいと思います。
 それでは、事務連絡をさせていただきます。次回の日程につきましては、今、皆さまから回収させていただいています日程表で調整しておりますので、一両日中に返答できると思います。よろしくお願いいたします。
 また、本日ご検討いただきました部分については、早速訂正版という形でお手元に届けたいと思います。極力、事務局でさせていただきますが、より皆さまのご意見を反映できますように作業班として事前にお願いしておりますが鈴木委員、中川委員、野中委員、保志委員には見ていただく部分でお手伝いを願うこともありますので、よろしくご協力をお願いいたします。
 最後に、机上の資料でございますが、大変量が多く荷物になるという方がいらっしゃいましたら事務局へ言っていただければ郵送等でお届けすることもできます。事務局からは、以上でございます。

○柏女座長
 ありがとうございました。今日は本当に貴重なご意見を頂戴することができました。鈴木委員からは児童福祉法ができたときの子どもたちへの期待がすり減ってきているのではないかというような深刻な認識もいただきました。確か児童福祉法を制定するときにかかわった松崎さんという方は「子どもは歴史の希望である」と前文に書こうとして、それは少し文学的過ぎるということで止められたとか。でも、その精神は今でも残っておりますけれども、その「子どもは歴史の希望である」ということが今はどんどんすり減ってきているのではないかと受け止めさせていただきました。本当に今、このような検討会つくっていただいた厚生労働省にも感謝しながら、ぜひそのような声をこの検討会の中で生かしていきたいと思います。
 それから、もう一つ、とても感銘を受けたのは、先ほど高橋委員がおっしゃった、児童館というのは町づくりの横軸と縦軸の接点にあるという認識で、町づくりの視点で、これを考えていかなければいけないということも、私にとってはとても印象に残りました。そういう意味では、本当に各委員からガイドライン本体の詳細のことも含めて、たくさんのご意見をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 次回は2月の終わりぐらいになると思いますけれども、そのときにはまたよろしくお願いしたいと思います。それでは、今日のご検討会はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それからワーキングチーム、作業班の方々には、恐縮ですがどうぞよろしくお願いいたします。


(了)

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