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2011年2月28日 第2回児童館ガイドライン検討委員会

雇用均等・児童家庭局

○日時

平成23年2月28日(月) 17:00~19:00


○場所

経済産業省別館 共用第1115会議室


○出席者

委員

柏女座長、鈴木委員、高橋委員、中川委員、根津委員、野中委員、保志委員、松田委員、渡辺委員

厚生労働省

真野育成環境課長、柳澤児童健全育成専門官

○議事

次第:
 1. 開会
 2. 議題
   (1) 児童館ガイドラインについて
   (2) 児童健全育成上の課題等について
 3. 閉会


配布資料:
 資料1  第2回児童館ガイドライン検討委員会次第
 資料2  児童館ガイドラインの項目
 資料3  児童館ガイドラインについて
 資料4  児童館ガイドライン前文について
 資料5  第1回検討委員会各委員からの主な発言内容と作業結果について
 資料6  児童健全育成上の課題等各委員の提言について



議事:
○柳澤専門官
 定刻となりましたので、ただ今より「第2回児童館ガイドライン検討委員会」を開催いたします。委員の皆さま方におかれましては、大変ご多用のところ、また、本日は足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 早速ではございますが、事務局から本日の各委員の出欠状況、また、配付の資料の確認をさせていただきます。本日は、岡委員が都合によりご欠席でございます。
 お手元の資料をご確認願います。資料1が「第2回児童館ガイドライン検討委員会次第」で、会議の内容と配布資料について記載しております。資料2は「児童館ガイドラインの項目」で、これは修正後項目となります。資料3は「児童館ガイドラインについて」ということで本日、中心的にご検討いただくガイドラインの本体でございます。資料4は「児童館ガイドライン前文について」ということで、この後ご説明させていただきます。資料5は「第1回検討委員会各委員からの主な発言内容と作業結果について」という、赤字で修正等が入っているものがございます。最後に資料6「児童健全育成上の課題等各委員の提言について」がございます。最後に1枚白い紙で、野中委員からのご意見をいただいておりますので、付けさせていただいております。不足等はありませんでしょうか。
 事務局からは以上でございます。ここからの進行は、柏女座長にお願いいたします。

○柏女座長
 皆さま、こんにちは。本日は雨で足元の悪い中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。年度末のお忙しいところを調整していただきまして、感謝申し上げたいと思います。また、第1回と第2回の間にワーキンググループでも真剣なご議論をいただきまして、本当にありがとうございました。
 事前に委員の先生方のところへも資料が送られていると思いますけれども、1回目と比べて、かなり全体がまとまった形になってきたという気がしております。また、健全育成上の課題についてのご意見も頂戴いたしまして、ありがとうございました。今日は「児童館ガイドラインについて」と「児童健全育成上の課題等について」という、大きく二つの議論を進めていく形になりますので、ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、今日の議論の進め方の大まかな時間の配分ですけれども、「児童健全育成上の課題等について」と「児童健全育成上の課題等について」の二つを議論していく形になりますが、本日は「児童館ガイドラインについて」の議論がかなりの比重を占めるのではないかと思いますので、できましたら、健全育成上の諸課題を1時間弱、40~50分。そして児童館ガイドラインを60~70分ぐらいの目途で、6:4ぐらいの配分で考えていきたいと思いますので、ご協力をお願いしたいと思います。
 それでは早速、議題1の「児童館ガイドラインについて」、検討していきたいと思います。事務局から、説明等がありましたらお願いいたします。

○柳澤専門官
 それでは、お手元に資料2「児童館ガイドラインの項目」という1枚紙をご用意いただきたいと思います。本日はこれから児童館ガイドラインの本体を見ていただきますが、その修正内容にもかかわりますので、まず項目について、大きい部分だけを紹介させていただきます。
 これは先ほどお話しいただきましたワーキンググループの各委員のご意見と事務局の意見を反映したものでございます。この中では、2の「児童館の活動内容」の(4)「子どもの意見や考えが述べられる場の提供」が新しく入っております。子どもたちを自主的に参加させる、子どもたちの意見を反映させるというご意見がありましたので、(4)に項を起こしております。
 それから、2の(8)の「配慮を必要とする子どもへの対応」は、前回多くの委員から、気になる子どもへの配慮をもう少し書き込んだ方が良い、障害児への配慮についても、もう少し必要であるという意見がありましたことから、こちらの(8)に項を起こしまして内容を書き込んでおります。
 それから、3「児童館と家庭・学校・地域との連携」でございますけれども、こちらについては前回の項立てでは最後の5「児童館とボランティア」の中の「協働体制づくり」という項目でご議論いただきましたけれども、もう少し地域との関係を整理した方が良いのではないかという皆さまのご意見から、3として大きく「児童館と家庭・学校・地域との連携」と整理して設けました。
 それから一番下の5「児童館の運営」でございますけれども、この中の(3)に?「運営委員会等の設置」と?「運営管理規定の作成」という二つを新規で立てさせていただいております。
 こちらの項立てで、この後資料3の「児童館ガイドラインについて」という本体を見ていただくことになるかと思います。
 お手元に資料3をご用意いただきたいと思います。こちらについて、特に事前にご紹介しておきたいところだけを説明させていただきます。このガイドラインの3ページの(8)「配慮を必要とする子どもへの対応」の?と、その下の3「児童館と家庭・学校・地域との連携」の(3)の?が、児童虐待等の防止または早期発見への対応ということで、発見だけではなくて、もう少し追随してかかわっていけるようなことも必要ではないかというご意見がありましたので、3ページの(8)の?と3の(3)の?については、児童虐待防止等の観点で、これは私どもの児童虐待防止対策室と意見交換しまして盛り込ませていただきました。
 同じように、4ページの(2)「児童厚生員の職務」の中の?「児童虐待防止の観点から早期発見に努め、その対応・支援については、市町村や児童相談所に協力する」ということで、こちらの方にも先ほどと同じように虐待防止対策室と調整しまして書き込ませていただきました。この三つが児童虐待防止に関して新たに項立てして入れさせていただいたところでございます。
 次に、資料4をご覧いただきたいと思います。資料4については「児童館ガイドライン前文」と表題を付けておりますが、こちらについては、前回各委員の皆さまからいただいたご意見を、ワーキングの委員と加除訂正の作業をしていく中で、どうしても理念とか、児童館そのものの機能というものについて、もう少し強く書き込んだ方が良いというご意見を反映させる作業をしていたわけですけれども、その中で、これをガイドライン前文という位置で、ここに例文を書いておりますが、このようなことで、明示した方が強く理解していただけるのではないかというワーキンググループからの提案でございます。これはワーキンググループ4人で調整していただきましたけれども、できましたら鈴木委員から、この資料4の前文についてという経緯をご説明いただければと思います。
 それから、資料5については、このタイトルにありますように、前回各委員から細かいご指摘・ご意見をいただいたところについて、これは発言順でございますけれども赤字でこのような作業をしていますということで、ガイドラインの本体のどこの部分に入れ込ましたとか、これは解説文の方に入れてはどうかということで案文でございますけれども、作業の経過を明示しているものでございます。
 最後に、資料6でございますけれども、先ほど言いましたように、こちらは児童健全育成上の課題について、各委員からご提案いただいているものをまとめたものでございます。ここに綴じてあるものと野中委員から本日いただいたものがありますが、ご提出いただいているものだけに限らず、今回お集まりの委員の皆さまには、児童健全育成上の課題でお気づきの点がありましたら、出していただければと思います。
 ということで、これからガイドラインについてご審議いただくに当たりまして、お手元の資料を説明させていただきましたけれども、この後は資料3の「児童館ガイドラインについて」ということで、よろしくお願いいたします。

○柏女座長
 どうもありがとうございます。全体の骨子と、ガイドライン本体。また、ガイドラインに入れるか入れないかも含めて議論が必要な前文。この三つがあるということですけれども、もし前文が入るとすれば、資料2の「児童館ガイドラインの項目」の1の前に「前文」が入ってくることになるだろうと思いますが、その是非も含めて、大きく論点は二つあると思います。一つは前文を入れるか否かということ。二つ目は、その内容をどうするかという話になるかと思いますけれども、ワーキンググループの方で議論がなされてきたようですので、その経過等について、あるいはご意見等について、鈴木委員からお願いしたいと思います。

○鈴木委員
 それでは、失礼します。4人と事務局で検討を重ねた結果でござます。年の功でもないのですけれども代表して説明させていただきます。
 2月7日の検討会の結果、お手元の資料5に、それぞれ委員の先生方が述べられた意見がございます。これをワーキンググループでは受け止めまして、この意見をそれぞれ五つに分類してみました。一つはその趣旨として、それぞれの文言の加除修正では対応できない、どこで受け止めるかという趣旨で受ける項目。
 それから文言として、個々の文章・文言の加除修正で対応する。ただ受け入れるか、それともこの意見についてはまた2回目等で検討会の意見をいただくかというように文言はさらに分類しました。
 3番目は組み換えで、原文は変更しないで、章立てや構成の組み換えのみで対応できる中身かどうか。
 4番目は、新規に項目を起こさなければいけない。今、事務局からありました子どもの意見を聞くというようなことは、それに該当したと思います。
 最後に5番目として、本文では加除修正で対応するべきではなくて、前回出ました課長通知のようなものの中で詳細に書く。このように分類しました。
 これで最低限をしたものが今、お手元にある今回のガイドラインでございますが、どうしてもご意見の中で子どもへの思いを強く述べる児童福祉の精神というようなもの、それから、児童福祉法上の施設であるということをあらためてしっかりと明記する。それから「遊びの大切さ」を強調する。児童館ならではの機能を強く言えないだろうかというご意見、それから児童憲章・子どもの権利条約にも触れるというようなことを、どうしても本文に入れるわけにはいかず、前文というようなものがふさわしいかどうかはともかく、そういったものの中で抽象的に理念で、具体的に少しそれも解きほぐせるようなものを置ければ、それが一番良いのではないかということでつくってみたということでございます。
 なかなか簡単明瞭で、しかも量をとらずにということで、それなりにワーキングでは苦心したつもりでございますが、座長が言われましたように、この可否も含め、内容の訂正等は当然ですがご審議いただければと思いまして、ここに提示いたします。

○柏女座長
 ありがとうございました。今、ワーキンググループと事務局で案文を考え、かつ、前文という形で入れることができないだろうかというご提案ですけれども、他の委員は、いかがでしょうか。もし、入れるという形になればまた内容の精査を今後進めていくということになるかと思います。
 私から一つ、事務局に伺いたいのですけれども、このような形で、これは局長通知という形になるというお話が前回ありましたけれども、その中で前文というものが入っているものというのは、前例があるのかということ。
 それから通常、法令の場合は、前文というのは法的な拘束力はない。通知全体もそうですけれども、そのような場合に、通知の中の前文というのはどういう位置付けになるのか。その辺を伺わせていただいてよろしいでしょうか。

○柳澤専門官
 ガイドラインというものの中で最近のところを探したのですが、見当たらないのです。いわゆる法律については教育基本法をはじめ少子化社会対策基本法などは、しっかりした前文があるわけです。通知等の部分と前文との考え方、分け方という点では、ガイドラインを見て児童館の運営や活動を十分にしていただくときに、やはり通知ではわかっていただけない最も重要な部分、児童福祉の理念にかかわるような部分だと思いますが、そういったものを理解した上でこのガイドラインを利用していただきたいという点では、入れてはどうかという考えを持つわけです。
 座長のご質問のように、前文があるものがあるかという点については、このご意見をいただいたときから見ているのですが、今申し上げたような大きな法律には前文としてかなり書き込んだものがあるということでございます。

○柏女座長
 前文としてはあるということですけれど、他の通知関係、つまり運営のガイドラインについては見当たらないということでしょうか。たしか、保育所保育指針もありませんよね。他も、ないものが多い。あるものは見当たらなかったということで、よろしいのですね。

○柳澤専門官
 そうです。

○柏女座長
 ということで、放課後児童クラブガイドラインもそうですけれども、ガイドライン等で前文があるものは、前例がないから駄目だということではありませんが、前例はない。しかし、法律にはあるということですが、いかがいたしましょうか。特に、ワーキンググループの方々は、ご意見がありますか。
 方向としては二つあると思います。前文ではなくて報告書にしっかりとその趣旨を書き込むという方法。もう一つは前文として入れていく。この二つが大きい選択肢だと思います。

○野中委員
 ワーキングの中での議論を少しお示しした方が整理に役立つのではないかという意味で発言しますけれども、いきさつは鈴木委員の話のように、前回の皆さまのご意見の中で「大事にしなければいけないものをどうやって表すか」というプロセスの中で考えたものですが、もう一つは今お話がありましたように、前文という言葉のイメージは総論的なものや包括的なもの、いわば全体を通す理念と捉えられることがあるので、そういう面からすると、ここの文章は必ずしもすべてを網羅したものとしてではないのです。そういうところの座りの問題というのは残されておりまして、何らかの形でこの内容がガイドラインの本文なり全体の中に位置付けられていれば、必ずしも前文という形にはこだわらないということで考えたのが先ほどの鈴木委員の話の内容と合致すると思います。
 ですから、どういう形であっても、ここのところの内容は生かす形を考えられればよいのではないかと思います。

○柏女座長
 今のお話の趣旨は、前文としてやると、かなり包括的・総論的な視点が必要だけれども、そこをすべて網羅しているわけではなくて、「遊びの重要性」というところをかなり強調しているので、大切であることは間違いないけれども、もしも前文に入れるとすると、もう少し包括的な例えば地域の健全育成なども入れていかなければいけないということを考えると、前文でなくてもよいというご意見です。
 他には、いかがでしょうか。
 鈴木委員と野中委員のご意見を含めて、追加的なご意見がないようでしたら、もちろん前例がないからやってはいけないということはないのですけれども、前例はないということと、それから、あくまでも通知は技術的な助言ということになりますし、一定の拘束力ではありませんけれども、通知としてお示しすることになりますので、そういう意味では前文として入れるのではなく、ガイドラインは報告書の添付のものになると想像できますので、その報告書の中に児童館の活動で大切な点や見過ごしてはいけない点を、この案を含めてしっかりと書いていくということでどうかと思いますが。よろしいでしょうか。
 後半で各委員から出していただく意見の中にも、児童館というのは、こういうことを重視しなければいけないということも入っておりますので、それらも含めて報告書の中で文章化していくということで、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○柏女座長
 ありがとうございます。それでは、そのような形で扱わせていただきたいと思います。ガイドラインの中には直接含めないけれども、ガイドラインを考えていくに当たって、どうしても忘れてはいけないという視点を報告書本体の中にしっかりと書き込んでいくということで進めていきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、ガイドラインの方へ入っていきたいと思いますが、これについて、事務局から何か説明がありますか。説明していただいた上で、入っていきたいと思います。

○柳澤専門官
 先ほど、一括して説明してしまったので、それで結構でございます。これからは資料3と資料5を用意していただいて進めていただければと思います。よろしくお願いします。

○柏女座長
 それでは、事前にお送りいただいていますし、特に追加的な説明はないということですので、これについては50分ほど、ご議論いただきたいと思います。
 最初に、全体の構成についてお諮りします。資料2です。3番が新しく増えたということで、こうした座りになっているのですけれども、前文は入らないということになりましたので、このままでよいと思いますが、この全体構成については、いかがでしょうか。これは、どういう理念で並べたのですか。どのような考え方で。

○柳澤専門官
 前回と比べて特に留意した点は、ボランティアの育成や児童館と地域のかかわりというものは最後の方に付いていて「おまけ」のような感じもするという話もありまして、これは非常に大事な児童館の活動内容であろうということで、一つは「活動内容」という整理をさせていただきました。
 それで、3という大きな項を起こしたのは、今までもそうですが、これからはなおさら地域と児童館というのは非常に児童館のあり方としては大切な部分であるということで、「地域と児童館」としてくくってしまうのではなく、(1)家庭(2)学校(3)地域ということで、それぞれ起こして明示した方が良いというご意見で、特に3番については多くのご意見をいただきましたので、新しく起こしたということでございます。

○柏女座長
 なるほど。よくわかりました。3番については、児童館の活動の内容として地域そのものを視野に入れていく必要があるという視点から、これは活動内容として扱ってよいのではないかということで3番にもってきたということですね。
 そうすると、機能・役割が最初にあって、そして児童館で行う活動の内容が2番・3番で、それを支える専門職が4番で、そして児童館全体の運営が5番。下支えするものが4番と5番という構成になっているということですね。
 そのような理念、考え方の下にこの構成をしたということですが、よろしいですか。

(「異議なし」の声あり)

○柏女座長
 ありがとうございます。それでは、全体の細かいところへ、一つ一つの文章に入っていきたいと思います。これは前回と同じように、どこからでもということにしたいと思います。いかがでしょうか。どなたからでも結構です。次回が最後という形になると思いますので、どこからでも、お願いできればと思います。
 渡辺委員、お願いいたします。

○渡辺委員
 また後ほど意見を述べさせていただくこともあるかもしれませんが、まず口火を切らせていただきます。先ほど、座長からもお話がありましたように、前文は内容の中にできるだけ織り込んでいくような形にするということで、一つは意見というか、お伺いしたいことですが。例えば前文のところにあった「子どもが,心身ともに健やかに生まれ且つ育成されるよう努める」という児童福祉法第1条の理念であったり、児童憲章や子どもの権利条約等が前文のところには入っていたのですけれども、こういった制度など、子どもの権利に関する重要な宣言や条約の内容をどこまで、このガイドラインの入口の部分に織り込んでいくのかというところが一つは課題にになるのではないかと思っています。
 と申しますのは、私は東京都のような大都会はよくわからないのですが、私が地方を転々としてきて思っていることは、児童館が児童福祉施設であるということの認識がどこまで現場の人たちの中にあるかということについては、多々疑問を感じることがありまして、自治体によっては児童福祉施設だけれども、実際には教育委員会の管轄になっていたという自治体もあって、前回と同様正直にお話しするならば、例えば自治体によっては、児童館職員の中には教員免許を持っているけれども教員採用試験に受からなかったからという人たちが腰掛けのように児童館で仕事をしているという自治体も中には見受けられます。そういう方々は、いわば児童福祉法の理念あるいは児童福祉という中での児童館の位置付けを知らないで、教育というところから切り込んで入っていくわけですけれども、児童福祉施設であるという位置付けをもっと明確にする必要がもしあるのであれば、最初の部分に児童福祉法の中の児童館の規定、あるいはガイドラインの前文に入っていた児童福祉のそもそもの理念などを「目的と機能・役割」の中に明確に位置付けて、ここは児童福祉施設であるということをはっきりさせなければいけないと思いますが、制度に書いてあることで、これは知っていることとしてガイドラインを進めていくのか。それとも、あらためてこれをきちんとガイドラインの中に含める必要があるのかについては、他の委員のご意見も承った上で、決めていったらどうかと思っています。

○柏女座長
 前文を外してしまうとすれば、1番をもう少し強化していく必要があるのではないかということになるかと思いますが、他の委員の方はいかがでしょうか。特に(1)の目的のところですか。それとも、(2)の機能・役割のところでしょうか。

○渡辺委員
 もともとの前文のところにも、児童福祉法の理念はそのまま理念の文言だけが最初からスタートしてきて、この理念は「その後の児童憲章」となってくるのですが、これは多分、児童福祉法そのものを知らない人にとっては「その後の」と言われても、これが児童福祉法の理念であるということが、わからないまま読んでいくと思います。例えば、児童福祉法の中での位置付けであったり、児童福祉法の何条にこう書いてあるという規定であったり、あるいは児童福祉法の第1条の理念はこうであるというところを、きちんと目的なら目的のところに明確にそれを書き込む必要があるのかどうか。あるいは、技術的なものを提示していくものであるとしたら、それは法の中に書いてあるからここには要らないという判断になるのかというところです。

○柏女座長
 いかがでしょうか。局長通知の鑑文の中に入れるという手もあるのですが。

○渡辺委員
 どちらでも。一番適切な方法を考えていただけたらと思います。

○柏女座長
 いずれにしても、児童館がいわゆる児童福祉施設であるという認識については乏しいところも散見されるので、その部分をしっかりと明記しておかなければならない。その理念等についても明記しておかなければいけないということです。これは事務局で、本体であれば目的のところを??にするか。あるいは鑑文のところにそれを明記していくか。ご検討いただく形にしましょう。ありがとうございます。他には、いかがでしょうか。
 私から1点、よろしいでしょうか。1ページの2の(1)ですが、旧前文のところにもあったのですけれども、「遊びを通した」というのが私自身は少し気になるのです。遊びは手段なのかと思っていて、でもこれは児童館の活動に直接携わっていらっしゃる方の中ではかなり大切な文言というか、あるいは合意されているものなのでしょうか。そこをどなたかに伺えればありがたいのですが。
 中川委員、お願いいたします。

○中川委員
 「遊びを通した子どもの育成」という表現ですが、私も児童館の現場に長くおりりまして、子どもたちは基本的に何かのために遊ぶというかかわり方は基本的にありません。楽しいから遊ぶ。面白いから遊ぶ。これは子どもの側からすると紛れもない事実だと思います。ただ、実際に遊びの中で「遊びを通して」という言い方をあえてしますと、子どもたちはその中で例えば仲間との付き合い方であったり、ルールを守ることの大切さであったり、自己主張すること、自分が相手の意見に譲ること等を、結果として子どもたちは遊びの中で学んでいく。あるいは体得していく。そのことについて我々現場は、遊びを通して子どもたちは成長していくのだという実感を日ごろから持っておりました。そのような意味で言いますと、遊びの大切さということをしっかり皆さま方に、それこそ社会全体に対して訴えていくためには、遊びを通して子どもたちは成長するのだ、発達するのだ、育成されるのだということを打ち出すことが重要ではないかと思っております。

○柏女座長
 わかりました。ありがとうございます。保志委員、どうぞ。

○保志委員
 私も児童館で働いていまして、今、中川委員がおっしゃったことと本当に同じことを思っていました。前文のところに入れたかった遊びに対しての気持ちとか、先ほどの児童福祉施設であるという認識がこの「遊びを通した」という言葉の中に込められていると思っていますし、そのように働いてきたように思います。30年ぐらい前に職員になったときは、本当に遊びそのものが仕事の中心だったのですが、その空間を安全な中で守るとか、どのような遊びをさせるからということではなくて、その空間をつくることや、中にはなかなか入れないというときに、先ほどから出ている障害児や友だちとのかかわりが苦手で学校に行けない子どもたちもたくさんいて、そういう子どもたちが皆一緒に遊ぶということに関しては、大人の手助けがどうしても必要な場面も実際にはあって、地域の方にも学校にも保護者にも、そのようなすべてを守っていくために児童館という場所があるということを伝えたいときに、その言葉の使い方として、遊びを通して子どもを育成していると言わないと、子どもと寄り添って遊んでいるときは全然これは何のためのものではないというのは真実ですけれども、それをいろいろな大人が理解していく。子どもがない町の方も地域の方もたくさんいるわけで、そこを守ること自体が町をつくり、次世代育成していることを伝えるためには、全部を込めて「遊びを通した」という表現は必要だと思っています。

○柏女座長
 わかりました。よく理解ができました。他に、意見はございますでしょうか。

○野中委員
 今のことですけれども、お二人の委員がおっしゃったとおりだと思います。ただ、一般的な意味で「~を通して」というと、座長がおっしゃいましたように、功利的に「~を活用して」という手段、あるいは遊びの持っている教育的な効果の部分を抽出して捉えられがちな一面もあると思います。私ども児童館そのものにかかわっている者からすると、遊びを通してというのは、そのようには捉えていませんで、遊びの中でとか、遊びそのものの価値ということを考えるのですが、必ずしも用語そのものが全くそういう遊びに関して普段思うことがなかったり、あるいは実際の施策の面で児童館は何だと初めて見る方からすると、座長がおっしゃった意見は考慮に入れる必要があるのではないかと私は思います。この用語一つ一つはもし可能であれば、今後の作業の中で実質誤解のないような形で置き換えられるものは置き換えるし、その「通して」という用語を使うことの方がより誤解なく適切であるということであればそうするということで、もう少し精査することを含めていただければありがたいと思います。

○柏女座長
 わかりました。私のように児童館活動に直接携わっていないと、遊びを中心とした子どもの育成というようなイメージの方が良いと思ったりするのですが、わかりました。「遊びを通した」という言葉の意味はよくわかりましたので、少しここは報告書の中でどのような形になるのか。言葉を変えるのか、そこを含めてご検討いただければと思います。
 他は、いかがでしょうか。もう一つ、私ばかりが言って申し訳ないのですが、中身が幾つか子ども自身が受身で「~される」という表現がかなり多いような気がして、もう少し子どもの主体性を重視した表現ぶりにした方が良いのではないかと思ったところがありました。例えば1ページの(2)の?「子どもの自発性・主体的な活動が尊重され」それから「提供され」という形を、子どもたちが「される存在」だけではなく、もう少し能動的な書きぶりができないかという気がしたのです。
 それから(4)「子どもの意見や考えが述べられる」です。その2行目「それぞれの意見や考えが自由に述べられる場を設ける」というところが「子どもたちが集い、それぞれの意見や考えを自由に述べることを支援する」という形にできないかと思ったのです。受身の表現が多かったので、そこが気になりました。可能ならば子どもを能動的な存在として、特にここは能動的な存在としてみていくということであるかと思いますので、そのような意味では可能な範囲でそうした書きぶりにできればと思いました。
 その他、いかがでしょうか。松田委員、どうぞ。

○松田委員
 これは私も迷うところですが、能動的というところで、活動内容のところに職員の役割が入っているので、そうなってしまうのかという気がして、そこが整理できるとよいのではないか。児童館イコールスタッフがいる、職員がいるということがとても大事だということがわかるのですが、そういう人がいるので、中で何かをする人が受身的に書かれてしまう。保護者や地域の人もそのようになってしまうのではないかと思います。地域はそうでもないですが、保護者も提供される側、支援される側になってしまうので、そうなるように児童厚生員は援助するとなった瞬間になってしまうのではないかと感じました。

○柏女座長
 書きぶりとしては支援することが大事だとかそういう書きぶりのところもあるのです。ですから、そのようにすればよいのではないかと思ったのです。例えば今の2ページの(4)で「子どもの意見や考えが述べられる場の提供」ではなく「子どもが」を主語にして「子どもが意見や考えを自由に述べる場の提供」としていった方が良いのではないかと思ったのです。ありがとうございました。保護者の方も何かそれらのことがありましたか。全体をそのような視点で見ていただければと思ったのですが、ありましたか。

○渡辺委員
 ざっくり見ていたのですが、細かい文言のことでもということであれば、幾つか今細かく見ているので1ページしかまだ言えないのですが、例えば先ほどから柏女座長も言われている遊びなどが目的なのか手段なのかわからないようなしっくりこない感じが私も感じてはいるのです。例えば1の(2)の機能・役割の?の「日常の生活の支援」でも、例えば「地域において、子どもの居場所・遊びの拠点となり、そのことを通して子どもの活動状況を観察し」というのも、児童福祉施設であったり支援を行う場としての表現としてしっくりこない。むしろ、ここは一人一人の子どもを理解しましょうということであれば内容はわかるのですが、子どもを観察しなさいという表現がどうなのかとも思います。
 それから、次の?「子育て家庭の支援」というところも、松田委員も私も子育て支援にかかわっていますけれども「相談・援助を行い」というのはよいとして、次の「共同で子育てをする場づくり」と言われても「共同で」というのはどのような意味合いを言っているのかということです。「共同で」というのは親同士が協力しなければいけないという前提で進んでくるのかというところも、ここはどうもしっくりこないです。
 それから、次の?の早期発見・予防というのはおっしゃりたいことはわかるのですが、「子どもが抱える可能性のある問題を発生予防・早期発見し」という表現もしっくりこないです。?「地域組織活動の育成」の最初に「母親クラブ」が出てくるのも個人的には引っ掛かります。「母親クラブ」という呼称がどれだけ今使われているかということもあるのですが、それだけではなくて、もう少し言うと子育て支援というか「地域組織活動」のこの項目に最初から母親が出てくるのは、男女共同参画社会といわれているこの時代に「母親クラブ」というのが最初から前提で出てくるのがとても違和感があります。それから「ネットワーク化を構築し」というのが次の行に出てきますが「ネットワークを構築し」ならばわかるのですが「ネットワーク化を構築し」というのは意味が違ってくるので、どういうことだろうと思います。
 次の2番の「児童館の活動内容」でいうと、先ほど柏女座長からもご指摘があった部分の?の例えば「子どもにとって、必要な要素であり、その遊びにより肉体的・精神的なバランスを保つ、体力や活力を養う、情緒を育てる」、その後に「社会適応能力の増進」まで出てくるのですが、ここまでを児童館の子どもの遊びの中に果たして求めるのかどうか。あるいは、そうなってくると、遊びを純粋に楽しむという意味合いではなくて、遊びは手段であって、遊びを通して児童館は子どもに対しての精神のバランスの情緒的安定、体力の増進、情緒の育成、さらには社会適応能力の促進までが求められるという表現は、遊びそのものが持っている目的のようなものが薄れていく感じがして違和感を感じます。
 それから、次の(2)「子どもの居場所の提供」についても「子どもの安心・安全と情緒の安定が図られる居場所」と書いてありますが、図られるのかどうか。文言そのものということになると一つ一つが引っ掛かってきて、引っ掛かってくる先に向こう側に見えてくるのが、子どもの主体性や自発性、そもそも遊びというものが持っている楽しさや喜びということよりも、これを通して支援者が何をすべきか。例えば松田委員ともかかわってきますが、子どもはあくまでも支援を受ける対象であって、何かをさせるという意味合いが強くなってくる感じがして、違和感を感じがします。以上です。

○柏女座長
 大切なご指摘ではないかと思います。いかがでしょうか。大事な点だと思いますので、一定の方向性を出しておきたいと思います。全体に通じるところではあるのですが、母親クラブ等については、この機会に通知を変えてもよいのでしょう。「母親クラブ」という名称を変えることについては全体で反対が多いのですか。

○根津委員
 茨城県からまいっております茨城県地域活動連絡協議会の根津と申します。以前は「母親クラブ」の歴史は50年と聞いておりまして、私たちは「母親クラブ」という名称で各県レベル、市町村、単位クラブもすべてその名称で活動させていただいておりましたが、今、県レベルは地域組織活動という名称でさせていただいておりまして、単位クラブは「母親クラブ」という名称で今も活動させていただいております。しかし、母親だけではございません。中には父親もおります。祖父母もいらっしゃいます。そして子育て支援に興味のある方は、その組織の中に入ってくれて活動していただいておりますので、ここに「母親クラブ」という名称を書いていただいて、個人的にはとてもありがたいと思っております。まして「母親クラブ」は、今は子育て中の親子も、そして私たちのようにある程度先輩の母親も同じ組織の中で活動しまして、子育て支援の受け手が今度は支援に回る体制を組織の中でできていると思いますので、そこのところをご理解いただければ、とてもありがたいと思います。

○渡辺委員
 少なくとも、子育て支援分野でも「母親クラブ」という言い方をしないのです。どうなのですか。

○柏女座長
 今は、どうなっていますか。通知上の話であれば、そうした「母親クラブ」という単位主体が児童館の活動の中に入ってくることはとても大切なことですけれども、その活動の単位の名称が「母親クラブ」でなければならないということではないと思います。それは例えばこの局長通知を出すに当たって、そちらの通知自体も変えることができるのであれば、それはもし変えた方が良いということであれば、そして変えることが可能であれば、この機会に変えてしまうことも考えられると思います。そこはどうなのでしょうか。

○柳澤専門官
 現実的には今、根津委員から説明があったような形で全国では進んでいると思います。そこを変えるということになると思いますが、私どもの局長通知では、ここは児童館の機能の中に、母親クラブや子ども会等の地域組織活動の育成助長及びその指導者の養成を図ると書かせていただいていますので、それがそのまま今生きている状態でございますので、局長通知に基づいてこちらにもその表現を使わせていただいたということです。

○真野育成環境課長
 今、全国で何組織あるのですか。

○根津委員
 20万人が市町村に。

○真野育成環境課長
 我々は「母親クラブ」はこういうボランティアの代名詞に使っているのです。非常にわかりやすい言葉です。

○渡辺委員
 それはわかりますけれども、内閣府・国が中心になって男女共同参画社会だと言っている時代に、「母親クラブ」という単位活動は馴染まないと私自身は社会の動向の中で思いますし、地域子育て支援で携わっている部分では、少なくとも「母親クラブ」という言い方はしないわけで、もう少しいくと、子育ては果たして母親が担わなければならないものなのかという、簡単に言えば親役割なのに女性を特定するような名称が入っていることに関しても、社会全体の動向として旧態依然とした感覚を持つことは確かなので、違和感を感じます。

○柳澤専門官
 児童館の中に、ここに局長通知にも書いてあるように、子ども会もそうですけれども「母親クラブなどのボランティア組織を育成し」と書いてある理由については、母親クラブの活動の中身も関係しているわけです。詳しくは根津委員が詳しいところですが、児童館を活動拠点において子どもの安全や子育てに関する研修などを行うというのが中心だと思いますが、確かに渡辺委員のようなご指摘も今の時代からするとあると思いますので、ここは「母親クラブ」という表記をこのまま言い回しとして後の方にも出すか出さないかということも含めて、どのような形で位置付けるかというのは、私どもでも検討させていただけたらと思います。

○中川委員
 実は私がおりました児童館でも「母親クラブ」がございました。それは子育てを終えた母親たちが今までは自分の子どもが地域の皆さまにお世話になった、あるいは児童館にお世話になったので、今度は自分たちが一段落ついたので、地域の子どもたちのために何かできないかということでお集まりになって、基本的には職に就いていらっしゃらなくて、専業主婦として子どもを育て家庭を守ってこられた方たちが、自分たちにできることは何かないだろうかということで、ボランティア的に地域の子どもたちの健全育成のために取組をしたい。例えば自分たちで人形を作ってその人形劇を子どもたちに上演するとか、あるいは地域の公園で危険な場所がないだろうか、交通事故の多発する所はどこだろうかということをお調べになって、それを子どもたちあるいは地域に啓発する。そのような取組を現にされているグループがあるわけです。それは母親たちも自分たちのことを「母親クラブ」と。

○渡辺委員
 現場でそういう言葉を使うことについては何も言っていないです。こういうガイドラインというこれから先ずっと何年も生きてくるものの中に「母親クラブ」という言葉をこの時代の中で使って、そのままこれがこれからもずっと生きていくとしたら、これを使い続けてよいのかということを言っているのです。

○中川委員
 私が申し上げたいのは、現に例えばそういう活動をしている母親たちのグループが全国にたくさんあるわけです。実際に私も自分の児童館でそういう母親たちの取組を目の当たりにしておりますし、そこのところを大事にしていくことは間違っているとは思わないのです。

○渡辺委員
 大事にするどうかということと、この中に載せるかどうかは別だと思います。

○中川委員
 ガイドラインの中に織り込むことは大事にすることにつながると思います。ですから、申し上げているわけです。

○渡辺委員
 私の今の感覚から言うと、これから何年か先ずっとこれが続いていくわけですが、その中に「母親クラブ」という子育てにある意味で一段落ついてバックアップする活動としても、その中に「母親」という女性を特定する名称が入り続けることに対して、大変違和感を感じるということです。例えば児童館ではそういう活動されているかもしれませんが、地域子育て支援の分野でいえば、既にそういう人たちがNPO法人を立ち上げて、自分たちで拠点をつくったりする活動に動いていたり、そういう活動の中で、父親や男女の間に起こってきている性別役割分業を何とか変えていって、親同士で父親・母親に関係なく子育てに従事しようという活動を広げていくような時代に、名称は確かにあると思います。だから、最近の言葉の中に「母親クラブ」という、もう少し言うと児童福祉法の中で昔の児童自立支援施設にしても「教護」という表現がなくなって、児童自立支援専門員、児童生活支援員と法律上の名称も性差がはっきりわかるような職種をなくしていくことが当たり前の時代の中にあって、保母さんも保育士になり、保健婦も保健師になっている時代に、こういうガイドラインつまりある程度意味を持つ形になったものの中に、「母親」と女性を特定する表現が入ることについての違和感が私にはあります。

○中川委員
 繰り返しになりますけれども、私は現にある活動を大事にしていきたいと思いますし、むしろそれ以外の活動も含めて、児童館のボランティア活動としてしっかり位置付けていく。例えば父親たちの活動があっても良いと思います。

○渡辺委員
 もちろんです。では「父親クラブ」も書いたらどうですか。

○中川委員
 ただ、現に「父親クラブ」の存在は、児童館の中であまり活動されている例もないですし。

○渡辺委員
 現にあることは別に私は全然問題にしていないし、それはお続けになったらよいと思いますが、児童館の活動はこうあるべきですと示すものの中に、「母親クラブ」という表現が入ると、読んでいる人によっては、これから先も母親に対して中心に組織していかなければいけないと取られかねないと言っているのです。

○中川委員
 ある意味、先生は「母親クラブ等」という言い方でとおっしゃっているわけですね。

○渡辺委員
 それ以前に、ここに「母親」という表現が入ること自体に違和感があります。

○中川委員
 「父親」はオーケーなのですか。

○渡辺委員
 母親も父親も両方載せたらよいと思います。

○中川委員
 わかりました。そこは検討課題として。ただ、「母親クラブ」が現にあることは大事に考えたいと思いますし、その活動を今後も児童館として私は大事に考えたいと思いますし、その活動を今後も児童館として大事にしていきたいと思います。

○渡辺委員
 母親ということに固執している根拠というか、理由が私にはわからないのです。

○中川委員
 ですから、母親の活動もあれば、父親の活動もある。そういうことなのです。

○高橋委員
 我々も気を付けているけれども、結局、ここに「等」と書いてあるから、等というのは役所にとって便利な言葉です。ただ、並び方として母親クラブは実際にあります。あるけれども、あえて一番目にくるということが与える誤解ではないけれども。渡辺委員がおっしゃっているのがどういう意味なのか、感覚として私はよくわかるのです。そこはやはり我々は小さな町ですけれども、為政者としては常に気を使っているけれども、もう一方からすれば、現場で一生懸命に汗を流している方々がいる現実は何らかの形で評価申し上げたい、何か良い方法がないかという思いがあります。ただ、渡辺委員が言われていることはよくわかります。そういった言葉がつくっていってしまう部分、単語がつくっていってしまう部分が実際にありますから。

○柏女座長
 この問題は、かなり大切な、先ほど申し上げた受身形の表現が多い、それからジェンダーの問題があったりするのは、いわば旧このガイドラインの一部限界を示していて、次官通知、局長通知そのものの枠を越えないということが一つネックになるのだろうと思います。もちろん、次官通知、局長通知の実施要綱の中に、それらの表現が使われておりますので、そことの整合性等を考えるとなかなか削除しにくいという問題も課題もあるのだろうと思います。ただ、そうは言っても、今、渡辺委員がおっしゃったことは私もとても大切なことだと思いますし、また、子どもを主体として児童館を考えていくとするならば、できる限り子どもが主体となるような表現ぶりをしていくことは大切なことだと思いますので、実施要綱等もこの機会に変えられるものであれば、「母親クラブ」そのものをどうするかはご検討いただくことにして、現実にある大切な活動をしていらっしゃる団体ですので、そこはご検討いただくことにして、局長通知や次官通知を全く変えないということではなく、この機会に、ガイドラインに合わせて変えられるものであれば変えていくことをご検討いただけないでしょうか。その方が良いのではないかと思います。もしもそれが現状の中でできないというのであれば、報告書の中に、今後そうした視点を入れて、例えば「母親クラブ」という名称についても今後検討が必要だという形でガイドラインそのものに入れ込むことができなければ、報告書の中にそうしたことを我々検討会の意見として表記していく。そこは考えていけると思いますので、その二段段構えでやれること、やれないことを整理していただけますか。

○柳澤専門官
 わかりました。ありがとうございます。

○柏女座長
 よろしくお願いいたします。他に、いかがでしょうか。

○柳澤専門官
 すみません。それでは1ページ目で渡辺委員からご指摘いただいた中で2点、説明させていただきたいと思います。一つは皆さまにご相談ですが、1点目の(2)の「機能・役割」の?の「子育て家庭の支援」の中で、「共同で子育てをする場づくりを」の「共同で」という意味のことについても触れられましたけれども、これはワーキンググループからも意見が出て、私どもも悩んだところですが、いわゆる児童館という所がやはり子どもを持つ親がたくさん集まって、一緒にそのような場をつくっていく、場を構成するのだという表現をしたいときに、何と言ったらよいかという意見があったわけです。例えば「協働で」というコラボレーションの「協働で」なのか、協同組合の「協同」の方がよいのか、または「一緒に」など、いろいろと言葉を探したのですが。申し訳ありませんが事務局で預からせていただいて、私どもの方で無難な「共同で」ということで明記させていただいたところですので、この「共同で」については、皆さまのご意見をいただければと思います。
 もう1点は完全な文字表記上の間違いで、同じ(2)の「機能・役割」の?の2行目です。「ネットワーク化を構築し」は「ネットワークを構築し」で「化」を取るということでお願いできればと思います。2点です。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。前段の方はいかがでしょうか。これは「ともに」では駄目ですか。松田委員、すみません。

○松田委員
 「支え合いの」の方がよろしいかと。「ともに」でもいいですね。柔らかすぎますか。漢字の方がよろしいですか。

○柏女座長
 「ともに子育て」、「支え合いの子育てをする」というような意見がありました。参考にしていただければと思います。
 文章表記はもう少し精査しなければいけないところがありますよね。例えば(2)の?です。「子どもが抱える可能性がある問題を発生予防・早期発見し」というのは少し何か変ですよね。「発生予防し」という表現はないですから、書くならば「発生を予防し、かつ、早期に発見し」というような形になるのではないかと思いますが、この辺の文章表記は精査していただければと思います。他は、いかがですか。
 私の方で2ページの(6)の?ですが、ここの「ボランティアの活用」というのが少し上から目線のような感じがして気にはなるのです。児童館、ボランティアとの協働ではないかと思います。「児童館活動におけるボランティアとの協働」ではないかと思ったのです。

○松田委員
 先ほどの話に戻ってしまうかもしれないのですけれども、1の(2)の?の「地域組織活動の育成」と2ページの(6)の「ボランティアの育成と活動内容」というのは、なぜ別々に書いてあるのかと。2ページの方は子どもがその後も少しかかわって。しかし、例えば子育て卒業組がかかわってというのと、子ども会がなぜ分かれているのかということ。これは機能の中に入っていて、こちらは活動内容なので、両方にあってもよいような気はするのですけれども、そこに書かれていることが微妙にずれているので、整理があったらよいかと思いました。
 私は今日の意見の6ページにも、今も保護者も自分たちが子育ての真っ最中の人たちもかかわれた方がよいですし、企業の社会貢献ボランティアなど、学生インターンやプロボノなど、今そのようなものがとても盛んになってきていて、児童館はそのようなものに対して開かれているのかというところがわからないですけれども、そういうときにここに書かれていないと閉じられてしまうのではないかと心配になって、置いていかれてしまうのではないかという心配がとてもあります。

○柏女座長
 具体的には、それはどこに表記すればよろしいですか。

○松田委員
 どこに入れたらよいかわからないのですが、「児童館が育成し」とした瞬間に、外からやりたい、かかわりたい人たちはどうやってかかわるのだろうと。それは(3)のところには「地域住民やNPO、関係機関」と書いてありますけれども、ボランティアとしての位置付けは。

○柏女座長
 書き分けた方がよいのかもしれません。そのジュニアボランティア等の育成の話と、外部の方々とコラボレーションしていく話は書き分けた方がよいかもしれません。おっしゃるとおりだと思います。
 他に、いかがでしょうか。野中委員、どうぞ。

○野中委員
 今のところですが、多分(3)の「保護者の子育ての支援」の?と、(6)の?、?の後に重なる形であるということで、これは少しワーキンググループでも議論したところですが、今の松田委員のお話にありましたように、多分多少重なっても、きちんと明示することができる方がよければ、そのようにすることが可能だと思います。
 それから、少し話がずれるのですが、先ほどの渡辺委員のお話にありましたように、遊びを手段化しないということの大切さは私も全く同感で、そういう点で通してみたときに、やや慣例として使われている用語の部分について柏女座長のお話にもありましたけれども、もう少し精査が必要ではないかというのはご指摘のとおりだと思いますので、それは全部通しで考えるということを提案したいと思います。

○柏女座長
 ありがとうございます。この辺は今の野中委員のご提案のように、少しワーキンググループで詰めていただくということで、よろしいでしょうか。申し訳ありませんが、そこをお願いしたいと思います。
 それでは、他にいかがでしょうか。渡辺委員、お願いいたします。

○渡辺委員
 細かい文言のことというよりも、2ページですけれども、これは少し違いを明確にしたいのですが、(3)の「保護者の子育ての支援」の?のところに、「地域住民やNPO、関係機関と連携を図り、共催事業を行うなど、子育てに関するコミュニティワークの展開」という表現が出ているのですが、ここで「子育てに関するコミュニティワーク」という表現を使っていることの意味が私にはもう一つよくわかりにくくて、その二つ下の(5)の「地域の人々に支えられた健全育成の推進」というところでは、例えば、地域のさまざまな人たちの協力であったり、「地域に開かれた子どもと子育ての支援拠点」という表現が出ているのですけれども、保護者との支援の中にコミュニティワークという表現が入ってきて、こちらの地域との関係性の中にはそのような言葉が出てこないで、例えば「開かれた」「協力」という表現になっているというところは何か、特に子育てに関しては福祉援助記述でコミュニティワークという表現を使う意味がよく捉えられないので、ご説明いただきたい。

○柏女座長
 ここはどうでしょうか。ここだけ援助技術が入っているということは、渡辺委員がおっしゃるように少し違和感がありますよね。これは深い意味はなく「コミュニティワーク」という言葉を使ってしまったということでしょうか。

○柳澤専門官
 そうですね。特に上の?のところは、私が取りまとめをしておいて大変失礼な話ですけれども「コミュニティワークの展開をすること」ではなく、ここは「コミュニティワークにより」としたかったところです。ここだけと言われれば、そういうことになってしまうのですが、ここでは地域住民等と連携を図りながら、コミュニティワークを広げていくという意味合いでよいのではないかと思ったわけですけれども。文言としては、コミュニティワークはワークなので、展開するということは少し重なる表現になってしまうと思いますが、コミュニティワークを使うことが適切かどうかについては皆さまのご意見をいただきたいと思います。

○柏女座長
 「コミュニティ」という言葉そのものも、ここだけしか使っていませんよね。これは誤解を招くと思いますので、やめておきませんか。その方が確実だと思いますので。とても大切な指摘があったと思います。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。
 もし一当たり、細かな文章上の表現はまだまだ精査するということですので、大きな点でのご指摘がなければこのガイドラインについての議論は打ち切りにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 そして、今日出た意見を踏まえて、少しまたワーキンググループでの議論もしていただきながら修文、修正を図っていただきたいと思います。また、厚生労働省には基になっている次官通知、局長通知も併せて修正可能なところがあるかないか。それも含めて、ご検討いただければと思います。
 実は別件ですけれども、社会的養護の関係だと、今、私が座長をしている社会的養護の検討会では、すぐに通知の文章を他の実施要綱のすべての実施要綱について改正することにして、文言上の表記も変える作業を進めています。3月14日には審議会に挙げて、そしてすべて改正するということをしておりますし、最低基準についても地方委譲ということになれば、あまり古くさいというか、一定の価値を押しつけるような文言が残ったまま都道府県で最低基準を決めなければいけないということは不幸なことでもありますので、この機会に変えられるものはすべて変えておいた方が良いのではないかということも思っております。ぜひ、そのようなことも併せてご検討いただければと思います。
 他は、よろしいでしょうか。松田委員、どうぞ。

○松田委員
 2ページ目の(4)の中の?です。気持ちはよくわかりますが引っ掛かっているのは、「年長児童がリーダーとなり」はなぜ入れなければいけないのかという気持ちがあって、教えていただきたいので、お願いいたします。

○柏女座長
 では、お願いいたします。

○柳澤専門官
 4人の先生方でご意見があったらまた言っていただきたいのですけれども、こちらはやはり児童館の特に中・高校生です。はっきりいうと、年長児童は中・高校生に当たると思いますが、その子どもたちを育てるという意味です。いわゆる小学生児童という小さい子どもたちを大人の児童厚生員が引っ張っていっていろいろな活動をするよりも、自分たちと年齢が近い、お兄ちゃん・お姉ちゃんたちが中心となってやる活動によって育てられることも多いだろうということで、ここで言いたかったことは主に中・高校生を育てるという意味合いで書き込んだのですけれども、いかがでしょうか。ご意見をいただければと思います。

○高橋委員
 柳澤専門官、「年長児童」というと中・高校生というイメージを私は抱かないです。年長児童というと小学校高学年のような。市町村で児童生徒と言うでしょう。児童は小学生ですけれども、生徒は中学生なのです。ですから、どうしてもそのようなイメージで私は読んでいました。

○松田委員
 リーダーシップが取れたら上下は関係ないという気持ちで言ってしまったので、中・高校生という意味だったのだと。

○柏女座長
 確かに子ども同士の、同じ年齢同士の子どもたちの場合もあるでしょうし、年長の子どもたちがリーダーになっている場合もあるでしょうし、そうでなく年は下ですけれどもリーダーシップのある子どもがやっている場合もあるでしょうし、一つの方式をここに提起してしまうのは危険かもしれません。いろいろなパターンがあるので、年長児童がリーダーになると書いてしまうと、子どもの話し合いの場は年長児童がリーダーにならなければいけないと捉えられてしまう可能性があると思いますので、ここは少し慎重にした方が良いのではないかと思いました。

○高橋委員
 柏女座長、大きい2の(1)の?にある「社会適応能力」ですが、先ほど渡辺委員がおっしゃったけれども、社会適応能力を育てるためにはやはり年長者がリーダーになって、年上を敬うという社会的な規範を教えるということでこれは対応しているのではないかと。

○中川委員
 児童館の現場からしますと、児童館がそうなのかどうかわかりませんけれども、今の中学生や高校生がいつまでも子どもなのです。どこかで大人へ変わっていくきっかけを児童館の活動の場で提供できないか、活躍の場をという意味合いで私は現場にいるときは、やはり中・高校生が引っ張っていこうという形で呼びかけをしましたし、実際にその中で中学生、高校生も自信を付けていく。その次の世代を直近で担う子どもたちですので、非常に活動の中身としては必要なのではないかという思いもあります。

○柏女座長
 それは?に入れるからなのです。保志委員、どうぞ。

○保志委員
 多分、私の前回の発言の中で、中学生や高校生がのびのびと過ごせる場として児童館があってほしいと言ったので、このようなところに入れていただいたのではないかと思って責任を感じていますが、ここは話し合いの場のところなので、今、皆さまがおっしゃったように、そこに入れてしまうと、例えば私が前に児童館にいたときは、話し合いは低学年の話し合いと大きい子どもたちの話し合いは別にやっていたのです。そうでないと、小さい子どもたちが言いにくくなったり、発達などが全然違うのでよくわからない話などが1年生などには出てきて、十分に楽しいのですけれども、中学生ぐらいになるとやりたいことなども全然違うので、話し合いのところに限定しないような書き方が必要だと思うのと、5ページの児童館の設備のところには、これは設備ですが(1)の?と?のところに、私も児童館にいたので「年長児童」のような言い方を書くときにはしてしまっていましたけれども、確かにそれは地域の方に出す文章にはあまりそのような書き方はしなかったので、そういう文言の問題は残ると思いますけれども、多分そのような小さい子どもたちのためだけの場所ではなく、中学生になっても自分たちの居場所だと思えるような設定でありたいということを言っていただいたと思います。

○野中委員
 関連ですけれども、用語として児童福祉の部分では「生徒」という言葉は使いませんので、中学生や高校生を表す言葉として、「中・高校生」という用語ではなくて、「年長児童」や思春期児童など、表現に苦慮してきた流れの文章ですので、一般的ではないとご指摘があればそのとおりだと思います。
 それから、ここでのことですけれども、私も柏女座長のご意見に賛成で、やはりここに具体的なパターンの例示を書くということは一つの例示として固定してしまいますので、話し合いの場はやはり自分たちが中心になって取り組んで、そこに児童厚生員が援助できるというファシリテートの考え方が大事だということで、後は場面に応じた形でよいのではないかと思います。
 それから、1点目の?のところの表現ですけれども、「自由に述べられる場を設ける」の「述べられる」は受動態ではなく、可能を表した「述べることができる場を設ける」という意味で使ったのだろうと思います。先ほどの柏女座長のお話にありましたように、少しそこのところは両義的に取られる可能性があるので、その部分は文言整理をする形もあるのではないかと思いました。少し関連して、申し訳ございません。

○柏女座長
 ありがとうございました。この児童館ガイドラインというのは、児童館の運営がばらつかないように、一つのガイドラインを定めるという点と、もう一つは児童館が地域に開かれていくということ、つまりガイドラインを示すことによって、児童館はこのようなことをするということを他の方々にわかっていただくという二つの意味があると思いますので、前者の方では先ほどの「母親クラブ」など、大切にしてきたことを大事にしていく、今まで大切にしてきたこと、あるいは児童館活動の中で育まれてきたことを大切にすることは大事だと思いますが、一方で、対世の中との関係で見たときに、やはりここは変えていかなければいけない部分、あるいは外に対してご理解いただかなければいけない部分があるのだろうと思いますので、その部分の整合性の取り方がとても大事かと思います。表記上、そこは苦労が要るところかもしれませんけれども、ぜひお願いしたいと思います。
 それでは、また意見がありましたら、ぜひメール等で出していただけるとありがたいと思います。何か、ありますか。

○柳澤専門官
 「母親クラブ」の文言のことで、これは5ページの真ん中に(3)の「運営管理」があります。その?のところに運営委員会を設置するということを新しく設けましたと言いましたけれども、ここの例示でどのような方が運営委員会に出るかという例示をしているわけです。「子どもや保護者の代表、児童委員、社会福祉協議会、母親クラブ等地域組織の代表者」が出ると並べて書いてあるのですが、こういったところの表記も、先ほどのご議論と同じように「母親クラブ」という言葉自体が出てくることについては考えて配慮する点でしょうという確認をしたのですが、同じことですよね。前段の母親クラブうんぬんのところの表記もそうですし、こういうところで例示を出す場合も同じように考えた方がよいということですよね。

○渡辺委員
 個人的には、その点ではいろいろなご意見があると思います。少なくとも例えば児童館ガイドラインから柱を訴えている「児童館の目的と機能・役割」というところに「母親クラブ」という表記が入ってくるのと、このように現にあるものに対して、このようなことと例示的を示すものとでは意味合いが変わってくると思いますので、例示的に出すものについてまで、どうのこうのと言うつもりはないのですけれども、児童館の本来の働きはこうだと示すところに出てきたことには抵抗があります。

○柏女座長
 それでは、全体の骨格についてはこれで進めていかれると思いますので、繰り返しはしませんけれども、幾つか出た視点があると思いますので、その視点に基づいて修文をお願いできればと思います。そして、次回にもう一度検討したいと思います。その方法ですけれども、もしも次回までに時間がありましたら、事前に委員に送っていただいて、そして修正意見も出していただいた上で、それを反映させたものが第3回で出てくるととても議論が進みやすいと思いますが、もし難しければ、ワーキンググループで修正したもので次回に議論してもよいかもしれません。そこは日程上の関係もあると思いますので、ご検討いただければと思います。
 それでは、次のテーマにいきたいと思います。議題の2「児童健全育成上の課題等について」、このようなことを考えていく必要があるのではないか。その課題について次の議論に移っていきたいと思いますが、最初に私を含めて6人の委員から意見をペーパーでいただいておりますので、時間の関係もあるので、1人2、3分程度で簡潔にご意見を頂戴できればと思います。そしてその後、それ以外のことも含めて、ペーパーで出していらっしゃらない委員も含めて、ご意見を頂戴できればと思います。それでは、まず鈴木委員からお願いしたいと思います。

○鈴木委員
 まずペーパーを出させていただいておりますので、児童厚生員が「遊びを指導する者」という表記に平成11年辺りに変わりました。両言併記されていますので、そのこと自体は児童厚生員になるための基本資格なども謳われておりますから構わないのですが、どうも「遊びを指導する者」という記述があると、遊んでいればよいのだろうと「遊ばせ屋」というような雰囲気も現場では出てきまして、渡辺委員もおっしゃいましたが、やはり児童福祉施設だという視点が現場で非常に希薄になるのです。それから、「遊びを指導する者」が先ほどからの議論の中にもありましたが、遊び自体、人間は遊ぶものだということと、遊びというものの哲学的、社会的な使命を肯定していくことと同時に児童館が遊ぶことによってあらゆる機能を肯定していくことができるので、手段的に遊びを使う部分もあるのですが、どちらかといえば功利的な目的よりもきちんと遊びを遊ぶという人格をつくっていきたいと思うことが薄まってしまう要素がある。やはりこれは、厚生労働省の「厚生」を使う「児童厚生員」として、福祉施設としてまず子どもたちをきちんと支援していくのだという名称そのものになると思いますので、これを機にこのガイドラインではぜひ「児童厚生員」を使っていただきたいということが、私の意見の一つです。
 それから、2番目は児童館ですべてが完結するわけでは当然ありません。児童館を支えるあらゆる家庭や地域や学校、それから児童館をさらに支えてくださる県立や国立の児童館もありますので、こういうところそのものが今度は具体的にどのような機能を負っていけばよいのかということや、児童館は調べれば調べるほど児童館内活動とは法の制定者は考えていないのです。地域全部が児童館で、雨が降ったときだけ建物内に入る。今の児童館活動をつくられた途中経緯が、保育士が多く職員になったものですから、保育所の延長を類似として活動されているということで、創立者の一人に「児童館を矮小化するな」と私は怒鳴られたことがありまして、子どもは外で遊ぶのだ、外で遊んで雨風が強いときだけ建物の中に入るのだ、保育所とどこが違うのだと怒鳴られたことが20年ほど前にありました。そういうことから考えると、一緒に児童厚生施設にセットされている児童遊園等いろいろな外の遊び場とどのように連携していくのかということを児童健全育成として相対的に考える場をずっと継続していただきたいということをお願いします。

○柏女座長
 ありがとうございました。本当に貴重な、歴史的にもそうであったのかと改めて思いましたけれども、松田委員などが常に主張されていらっしゃることが本当は目指されていたのだということだろうと思います。ありがとうございます。
 では、中川委員、お願いいたします。

○中川委員
 私は、児童館が今、求められている役割と取組について、今の私たちを取り巻く社会の問題から引きつけて考えてみました。ご承知のように、進行する少子化や、児童虐待の件数は年々増加しておりますし、子どもたちの育ちと心も非常に揺らいでいます。こうした直面する課題の中で求められているのは、一言で言うと子育て支援の充実と子どもの健全育成の推進であろうと思います。その中で、児童館は何ができるのかということで、大きな柱を二つ立てました。一つは、子ども自身の健やかな育成です。それを「子どもの社会性の向上や自立の促進」という表現でまとめてみました。これからは、ますます少子化が進み、子どもたち自身も育ちにくくなっていく中で、子どもがしっかりと社会性を身に付けていく、あるいは自立していく力、それをどのようにして児童館の中で付けさせていくのか、子どもたちが付けていくのか、支援していくのかという観点で、「子どもの生きる力の育成」や「次世代を育む親になるために」という小項目を設けながら、それぞれ健全育成の居場所づくり、あるいは先ほども出ていましたように、思春期児童の活動拠点です。学校とも家庭とも違う第三の場所として児童館が機能できないかということを観点に、子どもたちの社会性の向上、自立の促進ということを考えてみました。
 それから、二つ目の大きな柱は「地域における子育て支援」です。今、乳幼児を育てていらっしゃる在宅の親に対する支援というのが大きな課題であると思っています。7~8割の方が保育所に子どもを預けるまで、0~1歳の間は手元で育てるという統計も出ています。そうした中で、そうした0~1歳の子どもを育てている在宅の主に母親をどのように支えていくのかということ。それはまさに児童館だからこそできるのではないか。児童館は地域のすべての子どもを対象としているわけですし、まさに乳児から乳児の親も含めて児童館でしっかり支えていくことができるのではないかと、乳幼児クラブあるいは子育て広場、地域子育て支援拠点事業の児童館型の展開なども含めて提案しております。2点目は、子育てを支えるネットワークづくりです。ガイドラインの中にも出てきますけれども、児童館だけではなかなか難しい、児童館が核となって地域の中で子育て支援のネットワークをつくっていく、その役割を児童館が果たすべきではないか。そのことを通して、児童館の今日的重点課題である「子どもの社会性の向上と自立の促進」、「地域における子育て支援」が我々にとって非常に大きな課題であるだろうし、これをやり抜くことが児童館に求められているということを提案いたしました。以上です。

○柏女座長
 どうも、ありがとうございました。総括的に目指すべき方向と役割等についてご提示いただきました。
 それでは、続いて保志委員、お願いいたします。

○保志委員
 私は、全体的にというよりは、ここを今強調したいということだけを書いています。一つ目は、先ほどから何度も出ている「福祉的機能」についてです。これは、ずっと皆さまがお話しされていますし、私も先ほど発言しましたので、その中で二つだけ、本当に今の子どもたちはとても疲れていて、遊びにくるというよりは休養にきている子どもがとても多いことが、児童館にいた最後の5、6年の実感でした。塾の合間に高学年はただ座っていて塾に出かけていくとか、中・高校生も疲れてしまっていていろいろな提案をしてもとにかく休ませてほしいとか、好きにさせてほしいとか、とにかく机一つあれば皆とここでおしゃべりをしておやつを食べて帰りたいと言われて、なかなかいろいろなことをやってくれないのです。でも、そこから始まるというか、やはり今、自分たちが本当に動き出すには、とても緩やかな安心できるところというのが非常に求められていて、そのような子どもたちと一緒に何をつくり出せるかということや、その子どもを通して見える今の地域の中の子どもたち全部に何が必要なのか、そこから一緒に順番に考えていかないと、なかなか思い描いたような美しい世界というのは、そう簡単には生まれてこなかったと思います。まさに心のよりどころというようなものから始まるのではないかということで、これは児童自身の悩みや不安に対応しながら、そこにいること自体が遊びではありますけれども、そこから何かをつくっていく活動というものが出てくるのではないかと思いました。それは保護者に関しても全く同じで、ある意味、今、中川委員がお話しされたような乳児連れの母親は、いろいろな場所があると結構元気になっていかれる方も多くいらっしゃるのですけれども、小学校より上の子どもで、学校に行かなくなってしまったとか、友だちの家から何か持ってきてしまったというようなことが始まってしまうと、とても暗い感じになっていて、小学校以上の子どもを持つ保護者の相談機能というのは非常に大事なところだと実感しましたので、そういったことを見つけ出すような福祉的な能力のある職員がいることが、そこに指導者というか大人がいる、専門職がいる意味はとても大きいと思いました。
 2番の遊びのところは、お話が何度も出ているので省略します。
 3番のところですが、もう一つは「地域」と私もずっと言っていますし、活動してきた実感としてはこれもなかなか難しくて、ただ待っていても誰も手伝いには来てくれないです。いくら子どものことだといっても、例えば学童クラブにいる間は手伝ってくれるのですが、高学年になると来てくれないということがあって、どうしたら大人も生き生きと子どもと一緒に児童館を通して過ごせるのだろうということをずっと考えていました。やはり、まだ児童館の職員が本当に今この町の中で必要なことは何かということが実感として外に出ていてわからないと、ただで手伝ってくれる人を求めているようにしか見えないのです。そこは一緒に今何が必要かというところからつくり出すというのは子どもと同じですけれども、大人とのかかわりというのはやはり難しいことでした。いったんそういったことが始まると、ここで面白いことができる、地域に必要なことを児童館がやってくれるとなって、活動はいったん広がり始めると人が人を呼んでくるので大勢の方が来てくれます。その辺のことが今とても大事で、児童館の職員が地域の中に自分も出ていき、子どもと一緒につないでいくというところがとても大事だと思います。「異世代交流」も児童館の職員としては、夢のようにずっと思っているのですが、お年寄りと子どもを一緒の場所に置けばよいということではなくて、うるさいとか、押されてケガをしてしまったとか、逆にここにいると演歌ばかり歌わされるので嫌だとか、いろいろなことがそれほど簡単ではないのです。その辺も双方の本当にやりたいことで接することができるのは何なのだろうというのは、児童館職員が一緒になって考えていかないとなかなか回答は出ないと思います。それをやっていくことによって、児童館の児童館らしさが生まれて、他ではできないオリジナルのものを地域の中でつくり出して、人がつながっていく活動ができるのだろうと思います。表現が稚拙ですが、「つなぎ役」の意味にはとても深いものを込めたいと思いました。それが次世代を育成する町づくりということではないかと思います。

○柏女座長
 ありがとうございます。
 それでは、松田委員、お願いいたします。

○松田委員
 ありがとうございます。まず、前回も質問させていただいたのですけれども、鈴木委員もおっしゃっていました「指導する者」にとても違和感があり、シンプルに「児童厚生員」とどうしてできないのかということが1点です。法律上のことはよくわからないのですが、これを機に検討していただけないかと、とても強く思います。現場の方がどのように思っているかわからないので、仇になってはいけないと思っているのですが、私はそのように思います。
 それから、ボランティアの研修のことが前回のところに載っていたのでここに書いたのですが、今回変わってしまったのですが、もしボランティアの育成というものが児童館の機能の一つであるならば、1館ごとにやるということだけではなくて、既にされているのかもしれませんが、広域エリアでの実践交流をしていくと、もしかするとそこに大型児童館の仕掛けが入ってくるのかもしれませんが、一つ一つの児童館だけの活動としてしまうと苦しいのではないかと感じました。それから、スタッフの側の職員の方たちも、もう一度ボランティアコーディネートをいうものを、きちんと研修の中に位置付けるとか、既にされているかもしれませんが、何かそういったことがセットにないといけないのではないかということです。
 それから、これも今回のガイドラインに入っていたのですけれども、要保護児童対策地域協議会への参加です。世田谷区では支援協議会と呼んでいるのですが、要保護児童対策地域協議会の位置付けの中にきちんと現場の人が行けることがとても大事だと感じます。先ほど、虐待保護の要保護児童対策地域協議会のネットワークもお話にあったのですが、児童館は子育て支援のネットワークを構築していただきたいと思います。要保護児童対策地域協議会は対症療法的で、起こってしまったことにあるということで、発生予防のところで何か起こってからのネットワークや対応型のものではなく、日常的な地域のつながりというは、皆さんがおっしゃっていることと同じです。ただし、児童館こそがその核になるべきだとなってしまうと苦しいと思っていて、それは地域によってどこが音頭を取るのかはどこでもよいのではないかと思います。ですから、児童館がなってくれてもうれしいけれど、この指とまれとなったときに児童館がとまれるかということの方が課題だと思っています。自分のところが核にならないとやらないというところでは困るので、どこかが音頭を取ったらそこに参加していくということがむしろ大事なのではないかと思います。それは、出向いていくということを先ほどおっしゃっていましたけれども、そういう部分も強く感じます。要は、中に来てもらうことはとてもやられるのですけれども、外に出て行くということが児童館としてできるのか、職員の方たちがそれをできないのであれば、やりなさいと言われても無理なことなので、それができるような働き方やそこが業務になっていくという捉え方をしていただければ地域としてもうれしいです。呼びかけになかなか出てきていただけないという事情があると思います。それは、職員の方の意識の問題だけではないと思いますので、そこが少し課題と感じます。
 先ほど途中で発言しましたが、支援の対象だけではなくて一緒につくっていくというところに保護者も入れていただきたいということと、新しい形で、仕事を持っていない専業主婦だけではなく、仕事をしながらでもかかわりたい方や、若い世代は子どもたちのところにとても関心を持っていますので、そういうところにどんどん開いていくということがあるとよいと思います。
 それから、市町村の責務というところですが、ここはイコールのところも多いと思いますけれども、なかなか見えてこなかったということがあって、要は現場の職員という意味ではなく計画づくりであったり、設置する側がもう少しあると、働いている人たちがもう少し守られるのではないかという気がします。5年経つと辞めなければいけない人がいるという制度があるらしく、どうしてなのかという気持ちもあるので、雇用のされ方なども含めて何か良い形はないかと感じました。
 2番のところはとてもたくさんあって、なかなか発言しにくかったのですけれども、皆さまも書いていらしたので、あまり深く書かなくてもよいのではないかと思いました。ただ一つ、先ほど鈴木委員もおっしゃっていましたけれども、外遊びのことについては、児童館と公園の所管が違うという気持ちも皆にありますが、子どもの居場所も含めて放課後のデザインがこの国全体ではないということがあって、その中に子どもの文化なども含まれると思いますけれども、乳幼児期からはもちろんですが、18歳までと広く見通したときの育ちの部分で分断されているという実感があるので、児童館の活動を切り口にして、これから検討が始まるとよいという期待があります。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございました。
 それでは、別綴じの1枚紙のものですが、野中委員、お願いいたします。

○野中委員
 1点目は、形にはこだわりませんが児童館活動の理念をガイドラインで明記したいと書いたのですが、これは先ほどの座長のお話にありましたように、今あるものの整理にとどまらずに今後に向けた理念を明確に示すという、ある意味では少し緊張関係を伴うとは思いますが、そこが今回のガイドラインの大事な役割だと思いますので、そういう点で何らかの形で今後につながる児童館活動の理念をきちんと示したいという思いでした。
 2点目は、児童遊園とのことですが、先ほどの鈴木委員のお話にありましたように、児童福祉法制定当時は、これは不可分なものとして考えられていたと思いますが、その後の施策の経緯で別々の経緯をたどってきていると思います。実際、児童遊園については、例えば冒険遊び場など、さまざまな形で法制定当時にはなかったものも生まれてきておりますし、逆に地域空間の状況も非常に変化してきていますから、そういった意味で新たに見直す必要があるのではないかと感じました。
 3点目は、今回のガイドラインの延長線上にあるものとしてぜひお考えいただきたいので言いますけれども、現在の児童福祉法第40条の規定は歴史的な役割を果たしてきたと思いますけれども、今後、10年、20年先に十分に活用できる文章だと私は思いません。やはり、この第40条の現在の規定は書き換えられる必要があるのではないかと思っています。一つは、遊びということに限定していますけれども、遊びは子どもの生活の重要な部分ですけれども、やはり地域における子どもの遊びと生活をしっかり位置付ける、対象としてその仕事の中に位置付けるということと、何かのお話にもありましたけれども、地域における子育て支援に児童館がどのような役割を果たすのかということにもはっきり触れるべきではないかと思います。そういう点で児童厚生施設、児童館の役割をガイドラインの検討を通して、将来にわたってその第40条が活力を持てるような形につなげる議論ができれば良いというのが私の気持ちでございます。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。最後の7、8ページに私の意見を網羅的に書いておきました。1番のところは、報告書の本体に記入していくものとガイドラインとを分けて考えていく必要があるのではないかと思います。今の野中委員のご意見の児童館活動の理念をしっかりと明記するということも、ガイドラインに明記しなくても報告書の中にしっかり明記しておくことが大事ではないかと思いました。
 2番のところでは、かなり包括的に次元が全然違うことを書いたのですが、1番は子どもの遊ぶ権利を規定していくことが大事なのではないかということです。今、障害者基本法の改正の中に障害を持つ子どものことをぜひ入れたいということで、障害者の余暇と子どもの遊びとは全然違うのだと言うことをしっかり書いて、遊ぶ権利というようなことを入れたいと要望しているのですけれども、そういったことが将来的に児童福祉法の理念の中に入れられれば良いと思いました。2番はやはり児童遊園や児童厚生施設について児童福祉法第40条は根本的に考えなければいけないのではないか、それからプレイパークや冒険遊び場なども施策に取り込んだ規定にしていって、助成の道を開いていくことも大事なのではないかということです。それから、3番の児童福祉施設最低基準の児童厚生施設部分について、この児童館ガイドラインの趣旨を生かした修正を行い、また、先ほど申し上げましたけれども実施要綱の見直しも進めていけばよいのではないかということです。4番は、社会福祉士を明確に位置付けることが必要なのではないかということです。5番は児童館の理念にもかかわるところですが、これは報告書の本体に生かしていただければと思いました。6番は、先ほど松田委員からお話があった要保護児童対策地域協議会の一員であるということもあるのですが、保志委員のお話にもありましたけれども、親が夜遅く帰ってくる家庭で子どもたちの生活をどのように支援していくかというのはかなり大きな問題で、特に都市部で大きな問題なのではないかと思っていて、この実態把握と生活支援のための仕組みを整備すべきではないかと思います。それから、中・高校生については、それこそ家庭に居場所のない子どもたちに対しての支援が必要なのではないかということです。8番は、先ほど市町村の児童館の整備の役割に触れる必要があるというお話がありましたけれども、ガイドラインに触れることの中では児童館の運営についてですので、なかなか難しいと思いますが、やはり子ども・子育て新システムにしっかりと児童館というものを位置づけていく必要があって、その整備計画などもしっかりと立てていくことが必要なのではないかということです。9番は子どもの健全育成にかかわっている官民あるいはボランティアのさまざまな団体があるので、この団体がそれぞればらばらに行われているので、相互交流も必要なのではないか。そういう意味では10番にありますように、いわば全国レベルの子どもの健全育成にかかわっている団体が中心となって、緩やかな組織化を進めて、そして国と協働して社会や企業に発信していくようなことが大事なのではないか。特に児童育成協会などがそういう役割をもう少し担えないかと思っています。11番ではこうしたことを一体的に検討できる場が政府に必要ではないだろうかという提言をさせていただいています。これらの意見について、報告の中に以下のような意見があったという形で、類型化しながら網羅的に書き込んでいただければ幸いに思います。
 他に何かご意見はございますか。渡辺委員、どうぞ。

○渡辺委員
 ペーパーを出していなくて申し訳ありません。今度出させていただきますが、今、皆さまのご意見を伺いながら、全くそのとおりだと思いました。同じようなことになるかもしれませんが、少し付け足してもよろしいですか。
 まず、先ほど鈴木委員がおっしゃったように、外で遊ぶということも含めてとにかく地域の子どもの遊び場なのだということはとても大事なことで、先ほど言いましたように児童福祉法に基づく児童福祉施設であるということをきちんと強調した方が良いと今も思っておりますが、一方で施設という表現はその中で完結するかのようなイメージが付いてくるというか、本来は施設イコール箱ではないのですが、施設を機能として捉えないということがありますので、先ほど言われたようにむしろ児童館というのは施設ではあるけれども、それは単にその中で完結するものではなくて、むしろ地域の中の一つの資源であり拠点であるのだという位置付けを明確にした方が良いのではないかとも思いながら伺っていました。
 それから、これはまだ出していなくて申し訳ないのですが、私がずっと前から気になっているのは、児童福祉法第40条のお話も今ありましたが、いつも「健全」という言葉に引っ掛かってしまって、何が「健全」なのだろうということが常に健全育成という言葉を使うときには問われると思っています。例えばガイドラインの中に私たちの考えでこれが健全だということ、それ自体が健全だと思わないので、それを書くことが良いとは思わないのですけれども、あまりに健全という言葉が独り歩きすると子どもが失敗したり子どもがリスクを犯して学び取ることにあまり価値を置かないというか、むしろ「遊びを指導する者」という表現にもあるように、一定の方向性に導いていく、私たち大人が思う「健全」というモデルの中に子どもたちを当てはめていくようなリスクをとても感じています。例えば日本の子どもの自己肯定感が低いということはあらゆる調査で出てきていて、今、非常に問題になっていますけれども、今の子どもたちは思春期になっても幼い感じがあるということですけれども、その背景には子どものときから与えられるものであったり、してもらうことの方が多くて、彼ら自身が自発的に何かをやってそれが成功したり失敗することによって学ぶチャンスがなくなってきているのではないかと思います。最近では柏木恵子さんが「先回り育児」などという言葉も使いますけれども、今多い環境というのは子どもに対して大人が先回りし過ぎていないかということがあって、児童館のガイドラインでも何が健全化であるかということまでは示せないにしても、大人が導いてあるところに引っ張っていくことではなくて、むしろ子どもたちが自分らしくあるいは自分の考えや意思に基づいて何かをしていけるような仕掛けを作ることが、私たち支援する側の役割ではないかということがもう少し出せると良いのではないかと思っています。それが一つです。
 それから、子育て支援に関しては、地域子育て支援事業の児童館型ができたこともあるのですが、今の状況でいうと地域子育て支援拠点は平成21年度末で5,200個所あり、平成22年度が終わる時点で6,000個所を超えていると思います。つまり、今は児童館よりも拠点の数が多いのです。さらに、柏女座長もかかわっていらっしゃいますけれども、子ども・子育て新システムの動向の中で幼保一体化がもしこれから加速度的に進んでいくことがあると、こども園の認定条件の一つに「子育て支援をすること」が入っていますから、それこそ幼保全部で3万7,000園ぐらいありましたか、その施設が子育て支援をするようになったときに、それらが子育て支援をしたときに児童館は何をするのかということが問われると思います。地域ということもあるのですが、地域子育て支援拠点自体が地域の子育て力を高める取組みや、地域拡充型などといって地域の子育て力を高めるということが要綱の中に入っている時代であって、私はむしろ今、子育て支援にかかわっていて思うことは、先ほどのご意見の中にもあったように、日本の今の施策は就学前には子育て支援や親支援などがあるのですが、思春期になったときに子どもの居場所などはあるけれども、例えば親が思春期の問題、あるいは思春期の子どものことで悩んだり苦しんだときにかかわれる、もっと年齢が上の方まで使える施設が持っている働きというものを十分に生かした子育て支援、つまり年齢層でいうともう少し年齢の高い子どもとその親を支えるような子育て支援のありようというものを児童館は持っていくことによって差別化が図れるのではないかと思っています。
 それから、調査の中で見えてきたことは、仮説としてあったのですが、実は子育てしている母親たちの自己肯定感が低いことも調査結果の中で見えてきていて、つまり自分の子育てに自信が持てない。あるいは一人の人間、女性、社会人としての自信が持てないという育児をしている母親の状況が見えてきて、先ほどの保志委員の子どもだけではなくて親も疲れているという話は全くそのとおりだと思っています。その中で、ともすればエンパワーメント、主体性、先ほどの「母親クラブ」でも、母親たちの力を生かして組織化することが大事ですけれども、本当に疲れている人たちが多い状況の中で、前に向ける人と、児童館にしても子育て支援の場にしても、とにかくほっと一休みさせてくれとか抱えている役割を少しだけおろさせてくれという人たちが増えていることに合うような支援のあり方を考えていかないと、組織化とかエンパワーメントという言葉を前にして、元気のない人にまで、あなたたちが支え合うことが大事だとか協力し合うことが大事だという役割を求めることは、かえって鞭打つことにならないかという心配を持っています。
 それから最後に1点ですが、柏女座長や鈴木委員も書いていらっしゃるのですが、児童館の職員の専門性にソーシャルワークを位置付けることも大事なことだと思っています。むしろ、子育て支援などの場も今は予防ということが必要とされているのですが、むしろ要支援や要保護につながりやすい子どもたちへの支援というところは、実は児童館がもう少し中心的な役割を担ってもよいのではないかと思っていますので、そのような意味でもソーシャルワーク機能の明確化が大事だと思います。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございました。根津委員、お願いいたします。

○根津委員
 「母親クラブ」について、もう少しだけお話しさせていただいてもよろしいですか。先ほどからご指摘があったように、「母親クラブ」という名称でよいのかという議論は、私たち全国の母親クラブの地域活動連絡協議会の会議でも出ています。ただ、単位クラブまで変えようというところにまでは至っていない現実がございます。先ほども申し上げましたが、私たちは「母親クラブ」という組織の中で、子育て中の親子の仲間づくりもさせていただいているわけです。そして、子育てに自信が持てないというお話がたくさん出ましたけれども、子育ての活動の中で仲間づくりをしながらそのような話をして、解決になるかどうかはわかりませんが、今日も実は児童館で雨の中、25組くらいの0~3歳くらいまでの親子が集まって、親子運動遊びをしておりました。そして、その活動のリーダーは2人子育てがある母親で、組織のリーダーとして、いろいろ事業を進めています。そのような方が子育てのいろいろな話ができたり、そのような人たちがそこでつながり合って、また子どもが大きくなると同時に、地域でつながり合える活動ではないかと私は思っております。どうぞ私たちのこの活動が、子育て中の親子の仲間づくりもできて、また支援者の仲間づくりができて、地域でつながり合える、地域で活動できる人が少しでも増えていけたらよいと思っておりますので、どうぞご理解のほどよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

○柏女座長
 ありがとうございます。私も貴重な活動をしていらっしゃる母親クラブの方を存じあげておりますけれども、本当に素晴らしいと思っています。ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。高橋委員、お願いいたします。

○高橋委員
 健全育成の「健全」というのは、秩序をなるべく乱さないで国家のためになる人をつくるということで、それをやってきたために自己肯定感が育まれない子どもが多くなったという非常に面白い現象だと私は思っています。これは大変なことだと思っています。それは先ほど先生が言ったから言っただけで、私はどちらかというと概念規定をきちんとやらない職業です。すなわち、限られた時間で限られた文字数、言葉でわかってもらわなければならないという世界にいるわけです。ということは、理解してもらうよりも感じてもらいたい部分。これは非常に曖昧なことです。そのようなことで言うと、先ほどから議論になっている前文の問題もありましたし、目的の問題もあったのだけれども、はっきり言って、これは内部的に携わる方々が読む分にはよいと思うのだけれども、そうではない場合は何も感じてもらえないのです。ですから私はよく児童館の問題で、町民や議会の方と話すとき、石井桃子「ノンちゃん雲に乗る」に子ども時代を十分に楽しみなさい。そのことがあなたが大人になったとき、老人になったときに、あなたを支えるのはあなたの子ども時代ですよという言葉が確かあったと思います。そういうことを言うと、これはとても情緒的な話だけれども、わかってもらえるのです。「だから大切なんだよね」ということは、一人の人間がそうなっていくことは、地域がプラスだし、あまり国家ということは言いたくないのだけれども、国も良いのだよね。そういうことではないか。「だから大切なんだよね」という言い方をすると、理解はしてもらえなくても感じてもらえるということがあるのです。「ないものねだり」をしても仕方がないので、これ以上は言わないけれども、ガイドラインは概念をきちんとしていかなければいけないというのはわかるけれども、説明して理解してもらうというよりも、感じてもらうようなことはできないのかと思いました。以上です。

○柏女座長
 ありがとうございます。恐らくこれについての解説書の話も出ておりますけれども、そうした中で、それらの視点を最初のところで気持ちを動かすようなものが入れ込めていくとよいと思います。以前に、子どもの権利条約の外務省訳、政府訳に携わっていたことがあるのですが、味も素っ気もないというか、でもそれを高校生たちが、私たちのための子どもの権利条約を訳すと、本当に生き生きとした表現になっていて、そのようなことを今、高橋委員はおっしゃってくださったのではないかと思っています。そういう言葉の力を出せるものは、こうしたガイドラインや通知等では難しいとは思いますけれども、解説書という意見もありますので、もしそれが行われていくようであれば、子どもたちにも参加してもらって、インパクトのある、子どもたちにも訴えていける、そのようなことがこのガイドラインの解説になれば良いと思います。
 他はいかがでしょうか。何かございますでしょうか。もしよろしければ時間も過ぎておりますので、この健全育成の課題については、一つ一つを解決して方向性を導き出すところまでは時間がございませんので、包括的・網羅的にこの意見をこの報告書の中に書き留め、そして今後に生かしていただくという形にしたいと思います。これからでも結構ですので、また今日ペーパーで出せなかったけれども意見を出したいという方、あるいは追加で意見を出したいという方は、ぜひ事務局にお寄せいただきたいと思います。
 これで二つの議題については終えたことになりますけれども、何かその他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局には申し訳ありませんけれども、最初のガイドラインのブラッシュアップと、それからこの意見を健全育成上の課題・意見については少し整理をして、項目ごとにこのような意見があったという形で、例えば理念とか法制度上の問題点という形で類型化した上で、書き留めていただければと思います。
 次回は、どのような形になるのでしょうか。事務局から、お願いします。

○柳澤専門官
 では、事務連絡です。第3回児童館ガイドライン検討会は、3月18日金曜日17時から厚生労働省9階の省議室にて開催いたします。また、座長のご意見にもありましたように、ワーキンググループの委員の先生方には、今後修正作業にご協力をお願いしたいと思います。以上でございます。

○柏女座長
 次回は、報告書素案について検討するという形になりますでしょうか。

○柳澤専門官
 そうですね。ガイドラインも含めて報告書全体を見ていただく形になると思います。

○柏女座長
 報告書全体について見て、そしてその添付としてガイドラインが入るというイメージでよろしいでしょうか。では、全体を議論していただく形で、少し量が多くなるかと思いますので、可能でしたら事前にお送りいただいて、もう少し時間があったら、18日というと時間がないと今、思ったのですが、専門官に苦労していただいて、ワーキンググループの方々にもご迷惑をおかけしますけれども、お知恵を出していただけたらと思います。
 それでは、今日はこれで終了にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。


(了)

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