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2011年2月15日 第4回「厚生労働省環境自主行動計画フォローアップ会議」議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成23年2月15日(火)
10時00分~


○場所

厚生労働省専用第19会議室


○議題

(1)所管団体ヒアリング
    ○日本生活協同組合連合会
    ○日本製薬団体連合会
    ○日本医師会・日本病院会・全日本病院協会・日本精神科病院協会・日本医療法人協会
(2)議論
(3)その他

○議事

○海野政策企画官 時間前ではありますが、皆様おそろいですので、始めたいと思います。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。会議に先立ちまして、厚生労働省労働政策担当参事官より一言ご挨拶を申し上げます。

○酒光参事官 高い席から申し訳ございません。労働政策担当参事官の酒光でございます。今回はお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。環境自主行動計画を、厚生労働省の関係ですと、生協、製薬業、私立病院の3団体に、つくっていただいているということで、そのフォローアップが今回で4回目ということになります。今後、企業活動を進めるに当たって、非常に難しいところもある反面、非常に大事なものでもございますので、是非、そういった観点からこのフォローアップについてご議論いただき、ご意見いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○海野政策企画官 今後の議事進行は、座長の森口委員のほうにお願いします。よろしくお願いします。

○森口座長 おはようございます。ただいまより「第4回厚生労働省環境自主行動計画フォローアップ会議」を開催します。座長を仰せつかっています森口です。今回、4年目、第4回ということになりますが、本日もよろしくお願いします。まず、事務局から本日の会議の進め方について、評価の指針、今後のスケジュール等について、ご説明をお願いします。

○海野政策企画官 事務局から説明します。委員のご出欠状況ですが、本日は中津委員がご欠席でいらっしゃいまして、6名の方で評価いただきたいと思っています。中津委員については、関係資料を送付し、またコメント等がありましたら、メール等でご連絡いただき、評価に反映させていきたいと思っています。
 本日の会議の進め方ですが、生協、製薬、私立病院と3つの団体のフォローアップを行います。ヒアリングについては、順次行いますが、大体説明で15分、質疑応答で15分といった流れを想定しています。順番については、いま申し上げましたとおり、生協、製薬、私立病院の順番でお願いしたいと思っています。繰り返しますが、説明時間は15分程度ということですので、進行のご協力をお願いします。
 今後のスケジュールについては、資料5をご覧ください。いちばん下のほうにスケジュールの流れを示しました。会議の開催については、本日の1回のみです。そのあと追加質問、報告書の文案について、主にメールでやり取りしたいと思っています。追加質問については2度ほど受けるということで、その上で事務局で報告書原案を作成するという流れを想定しています。また、報告書原案については、ご意見をいただき、年度内に厚労省のホームページで公開する予定です。
 最後になりますが、本年度の会議も開催が非常に遅れ、タイトなスケジュールになってしまったことはお詫びしますと同時に、ご協力をお願いしたいと思っています。
 ヒアリング終了後、全体の議論の時間を15分程度設けたいと思っています。団体からのヒアリングの結果を踏まえ、委員の皆様方でご議論いただきたいと思っています。事務局からの説明は以上です。

○森口座長 本日の進め方あるいは本日の会議以降の進め方について、何かご質問等はありますか。よろしいですか。私から確認します。最後におっしゃった各3団体との間でのプレゼンテーション、質疑応答のあとの最後の議論のところには、業界の方も同席いただいてよろしいのですか。あるいは、退席いただいて議論することになりますか。

○事務局 大丈夫です。

○森口座長 とどまっていただいてよろしいですか。

○事務局 はい。

○森口座長 特に進め方についてご質問がありませんでしたら、早速ですがヒアリングを行ってまいりたいと思います。事務局からご説明がありましたように、説明時間は15分ということで是非厳守をお願いしたいと思います。日本生活協同組合連合会組織推進本部長の山内様、環境事業推進室長の大沢様、ご説明をお願いします。

○山内様(日本生活協同組合組織推進本部本部長) おはようございます。日本生活協同組合連合会の山内です。本日、用意している資料は、5点あります。お手元の資料2-1がパワーポイントのスライドを印刷したものです。資料2-2が報告の本資料です。資料2-3、2-4はセットになっていますが、生協の店舗別のエネルギー使用実績の報告のまとめと実際の店舗別の実績の一覧表を付けています。もう1部、最後にお配りしましたのは、2010年5月に策定しました「2020年に向けた生協の新たな環境政策」のパンフレットです。
 それでは主にパワーポイントの資料2-1と所々で資料2-2を参照しながら説明します。最初に生活協同組合のカバーの状況について、資料2-2を1枚おめくりいただきまして、3頁をご覧いただきたいと思います。生活協同組合の業界全体の規模は、厚生労働省のデータでは、252生協ございますが、日本生協連に加入いただいております生協は154生協ございます。いちばん右端の下のほうを見ていただきますと、154生協のうち、今回のデータの集計への参加は67生協です。生協数で言いますと、厚生労働省の252生協に比べまして26.6%ですが、供給高、売上高規模ですと、下の欄にありますが、厚生労働省の生協に比べまして94.7%をカバーしています。実際の仕事をしている部分の相当数をカバーしています。これは押さえていただきたいと思います。
 パワーポイントの1頁にお戻りいただき、生協で設定している目標値の確認をしたいと思います。京都議定書の期間の2008~2012年の間の商品供給高、生協では売上げのことを供給高と言っていますので、売上げと読み換えていただいて結構ですが、商品の供給高1億円あたりのCO2排出量を単位にしており、2008~2012年度の5年間の平均で2002年度比4%マイナスというのが目標です。これに対して現在の進捗状況をご報告申し上げます。なお、2011年、2012年はこれからですので予定の計画数値も組み込んであり、当面の2011年度は、5年間の目標を達成するために2002年度比で7.5%削減の目標を設定しています。
 1枚おめくりいただき、現在の進捗状況です。先ほど申し上げましたように、目標値は2008~2012年度の5年間の平均の数値でして、資料2-2の1頁に平均値を載せていますので、ご参照いただければと思います。
 2009年度までは実績の数値でして、生協では環境省の2003年のガイドライン(試案)に沿って電気は0.378kg/kwhの係数を使って自主目標を作っており、2009年度のCO2排出量は73.7万tになっています。併せて電気事業連合会の調整の前と後の係数でも参考に計算していますので、ご覧いただければと思います。0.378の係数で計算しますと、供給高1億円あたりCO2の2009年度の実績は29.9tとなっており、これは2002年度比で97.1%です。
生協では3年を単位にした計画を毎年見直しており、それを日本生協連で集計しています。資料2-2の1頁をご覧いただければと思いますが、2010年度、2011年度、2012年度の計画数値も全体集計して、先ほど申し上げました目標にしている2002年度比で4%削減、すなわち96.0%が実現できれば良いことになります。2010年度、2011年度、2012年度も入れて5年間平均で29.1tになる計画を組んでいますので、この計画通りまいりますと2002年度比94.6%ということで、5.4%マイナスが実現できる見込みになっています。従って、2009年度までの実績とこれからの計画を織り込んだところでは、設定している目標をクリアできるという状況になっています。
 なお、参考までに電気事業連合会の調整前の係数と調整後の係数での計算値も入れていますが、調整前の数値は少し厳しい数値ですが、これも1億円単位あたりの排出量は31.3tということで、2002年度に比べれば97.2%、調整後では係数が相当低くなっていますので、84.1%になっています。
 スライドを1枚おめくりいただきまして、2009年度供給高1億円あたりは、いま申し上げましたので、もう1枚おめくりいただきまして、<2009年度のフォローアップの指摘への対応>です。これは前回ご質問いただいたものをもう一度再掲しています。生協の事業をご理解いただくのに参考になるものがあります。例えば、私どもは食品スーパー部門が非常に多いので、「売場面積×営業時間あたりCO2」がチェーンストア協会と比べると大きくなっている状況ですとか、3にありますが、生活協同組合は店舗が4割、注文いただいたものをトラックで毎週配達する宅配が6割という状態になっており、普通の小売業と少し違う構成になっていますので、このあたりはご理解いただければと思います。なお、CO2の排出量では、店舗が全体の59%、約6割、宅配部分が17%、残りが物流や生産などの後方施設と事務所等で24%という構成になっています。
 次の頁に<CO2排出量の要因分析ガイドラインベース>というのがあり、この2、3年の実際のCO2排出総量の変化を載せています。2008年度は75.6万t、2009年度はそれに比べて約2万tマイナスになっており、73.7万tとなっています。
 それぞれ増加と減少の要因がありますが、増加の要因については、2002年度と2009年度を比べて、供給高が6.1%増加していますので、店の数も増えて、生鮮が増えており、生鮮の扱いには冷蔵設備等が必要ですので、そうした品温管理の強化のための施設が増えています。消費者の皆様からは、惣菜やベーカリーなど出来上がったものへの要望が増えています。そのため、そうしたものへの比重が増えており、CO2排出が増えています。
 ただし、減少のほうも相当な努力はしております。計画を作りながら具体的に省エネをどのようにするのか、また進めたら良いのかということについては、日本生協連の中に委員会をつくって管理していますし、年に1~2回、省エネのための店の交流等も進めています。こうしたことが効を奏しており、かなり省エネも進んでいます。さらに効率の悪い店の閉店や旧来型の施設の閉鎖等も効率の改善に影響していると思っています。また、生協によっては、カーボンオフセットを実際に実施している所もあり、2009年度までに1.1万tのカーボンオフセットを実施しています。
 次の頁は<温暖化対策の実施状況>ということで、店舗事業、共同購入、宅配等の中で行っている対策の詳細を書いています。
 その次からはグラフや写真が掲載されていますが、実際にそれぞれの生協で努力されている例を載せています。「コープかごしま」と書いてありますが、これは省エネチューニングとして、あらゆる施設の中からどの辺りが省エネできるか洗い出しをして、たくさんのきめ細かな省エネ対策を積み上げて省エネ実績を上げています。次の頁ですが、宅配の中では、バイオディーゼル燃料を導入することによって、CO2排出を削減しており、2009年度までに550台ぐらい導入しており、今後も増えていく予定になっています。その他、営業時間の短縮や、グリーン電力証書の購入をしているとか、ソーラーパネルの設置の例がありますので、ご覧いただければと思います。その次に、カーボンオフセットを実施している生協の例、店舗における照明をLED蛍光管に交換している例を載せています。
 最後の1枚もののイラストですが、北海道の生協で木造の店舗を造っており、昨年から今年にかけて3店出店の予定になっています。鉄を使わない構造になっていますので、店を建てるときに今までと比べてCO2削減が相当できているということと、省エネ設備の導入と運用の改善により、いままでと同規模の店に比べて合計では5割ぐらいのCO2排出削減になると見込んでいる事例です。
 資料2-3は、これは前年もお示ししましたが、生協の1,000店以上ある店からそれぞれのデータを頂き、規模別に平均値を出しています。2008年と2009年、店の数は全く同じではありませんので参考値ではありますが、平均では全体で3.7%のCO2排出量が減少しているということですので、ご覧いただければと思います。
 最後に、いちばん最後にお配りした「2020年に向けた生協の新たな環境政策」のパンフレットの4頁です。私どもは、大きく環境にかかわる施策を4つ立てていますが、その1番目、これから2020年までの生協の排出総量を、2005年と比べて3割減らしていこうということで、全国の生協で計画づくりと省エネの取り組みを進めることになっています。実際に総排出量での30%削減は相当大変だと思いますが、省エネの努力を最大限した上で最終的にはカーボンオフセットも必要になると考えています。

○森口座長 大変限られた時間でのご説明ありがとうございました。これから質疑に入りたいと思います。一問一答していますと時間がかかってしまうかと思いますので、質問をまとめて取らせていただいて、まとめてお答えいただく形を取りたいと思いますが、委員の方々でご質問がある方、札をお立てください。今日は4年目でありますので少し落ち着いていきますか。高村委員、お願いします。

○高村座長代理 ご報告どうもありがとうございました。いくつか質問があります。数値の点で確認ですが、資料2-2にこの間の排出量のデータ、あるいは1億円あたりの排出量のデータを書いていただいているのですが、他方で資料2-1、CO2排出量の要因分析ガイドラインベースの表で、基準年度比の排出量の数値が、資料2-2の1頁の数値と合っていないのです。これは推測しますと、カーボンオフセット分がこちらの資料2-1には入っているということでしょうか。というデータの読み方についての質問が1点目です。
 実質の内容の点でいきますと、この間の昨年のフォローアップを含めて対応いただいているというふうに拝見しました。とりわけ非常に重要だと思いましたのは、資料2-2でご紹介いただいている5.「2008~2012年目標達成に関して」とあるところです。こちらのところで、これまでの進捗状況を踏まえてどういう対応を取るかというところを明確にしてくださっているというのは、非常に重要だと思っております。これはそういう意味では、来年度以降の進捗状況の際に是非ご紹介いただきたい点であるわけです。特に重要だと思いましたのは、先ほどもご紹介ありましたいくつかの先進例といいましょうか、モデルケースを、どういうふうに普及して各生協の所で実施に移していくかという点です。その点について、もしご教示いただければというのが2つ目です。
 3つ目はそれにかかわってですが、非常に詳細なデータを出していただいており、特に資料2-3の2頁に店舗規模別CO2排出量があります。こうしたデータを踏まえますと、困難はどこにあるのかという点です。ざっと見たところでいきますと、店舗に関しては小規模の店舗の対応策がなかなか難しいように拝察しますが、どこに困難があるのかと。これは逆に言いますと、どういう公的な制度なり政策の導入が必要かという観点でご意見いただければという点です。以上3点です。

○森口座長 委員からほかに。江原委員、お願いします。

○江原委員 私はスーパーマーケット専門なので、申し上げますと、去年の指摘へのご回答をいただきましたが、スーパーに限らず、それなりに電力使用量が多い業態でも、1時間で0.12~0.13kWh/1平方メートル、いい所だと0.11kWhを切る電力使用量になっています。コンビニエンスストアでも0.11kWhぐらいです。例えばコンビニエンスストアですと、光熱費は本部負担なのです。そういう意味では、強力に省エネのドライブがかかるわけです。そういうものと比べて生協さんは少し多いなという感じがしたわけです。それで去年質問したのですが、資料2-3にある売場面積平方メートル・営業時間あたりと。これをキロワットに直すと多いわけです。売場面積以外の事務所部門が、おそらくスーパーより多いであろうということがあります。営業時間が普通のチェーンストアよりも短いだろうということがありますので、多少多くなるのはしようがないと思うのですが、その辺がほかの業態に比べてまだ少し多いという気がします。それが第1点です。
 第2点は、いま先進事例をご紹介いただいたのですが、みんながトップランナーになることはできないのです。これは規模別の分布を示していただきましたが、例えば労働生産性などですと、チェーンストアだと5段階に分けてB+、成績5段階で4の生産性をみんなで目指すわけです。B+ワーカーで、作業割当の人事配分をしたりするわけです。だから、4はみんな取れるだろうと。
 そういう意味では、みんながトップランナーになることはできませんので、例えば平均より、標準偏差より、その中間ぐらいですね。多少同じような業態、同じような規模で、少ない電力量でやっている所は、何をやっているのかというところが全体に共有される施策があるといいという感じがします。
 率は何でもそうですが、一つひとつ細かい積重ねで、全体として結構大きく差が出てきますので。要するに、分布が大きいということは、それだけ多様な営業をされているわけで、こと集計に関しては、まだ努力の余地があると。ただ、全体として目標は達成していますので、それほど強く申し上げる気はないのですが、分析を聞いた限りでは以上2点をお願いします。

○森口座長 またあるかもしれませんが、高村委員から3点、江原委員から2点のご質問をいただきましたので、ここで一旦お答えをいただけますか。

○大沢様(日本生活協同組合組織本部環境事業室長) 私から回答します。高村委員からの一番目の質問ですが、排出量の数値は合っているとは思うのですが。

○森口座長 細かく言いますと、おそらく2008年度が105.6%というのと、パワーポイントのほうで105.5%とか、最後の桁が違うのです。これは何か理由があるのかと、そういう趣旨でよろしいですか。

○高村座長代理 そうです。

○大沢様 わかりました。105.6%が正しく、パワーポイントの105.5%は入力ミスだと思います。申し訳ありません。
二番目の先進事例の普及という点では、いくつかの各生協の、例えば施設開発の担当者を集めた研究会や交流会、環境の担当を集めた研究会とか、そういうところでそれぞれの生協の先進事例を報告したり見学会を実施したりして、それを持ち帰って自分の生協でできることはないかと、そういう交流をしています。方針上の大きな問題については、年1回温暖化対策のトップセミナーを行い、各生協の役員、トップに直接、情報を提供しています。そういう中で普及しています。併せて、例えばエコストアコンセプトや、いろいろな省エネ調査の報告書を作っていますので、それを各生協に渡して、これを基に各生協で対策を検討してもらう、そういう資料集等も作成して普及しています。
 三番目の店舗の規模別のデータで、困難はどこにあるのかという点について、ここはなかなか難しいところですが、同じ生協で同じ規模の店でもデータがだいぶ違うということがあります。例えば、かなり年数の経った店で省エネ対策が取られていない、経営的にも厳しくて投資がなかなかできないという店と、新しい店でかなり対策を取っている店では、売場面積はほとんど同じだけれども、データが結果としてかなり違うという場合があると思います。そういう点では、もちろん生協の店舗の経営をきちんとするということと併せて、この間も省エネ対策でいろいろな国のモデル事業や補助金などを頂いて実施している店もありますので、公的な支援という意味で、そういうところをさらに充実していただくことはありがたいと思っています。
 江原委員から、生協の売場面積のCO2は、単位あたりがまだ多いということでご指摘いただき、私どもはまだまだ頑張らなくてはいけないと思っています。他の業界団体について私は十分に存じ上げてはいないので、対象としているエネルギーを含めて調べて比較したいと思います。
 グラフの差のところでは、ご指摘いただいたように平均より下を目指そうということですが、とりわけ「標準偏差×2」の上に飛び出ているところは、省エネ対策を重点的に取っていきましょう、ということで全体の平均を下げるとことにつなげていきたいと思っています。

○森口座長 関連して、江原委員からのご指摘事項の1点目は、これは原単位の取り方の話と業態の話とそれぞれあるのだと思いますが、おそらく売っておられるものが食品主体であるかどうかということによって、かなり原単位が違ってくると思います。再三出てくる話ですが、営業時間を掛けるということが、原単位的に見るとかなり原単位を押し下げる要因になるわけですが、一方で労働環境等々も含めた上でどういう形の営業形態を取っていかれるのかという話も、おそらく前回以前も出ていたかと思います。最終的には供給高あるいは売上高を確保しつつ、CO2排出量の総量をどう下げていくかというところかと思いますので、このあたりを業界間でいろいろな原単位で比較してみて、お互いの改善につながるきっかけが得られればと思います。生協さんについては厚労省さんのもとでフォローアップをし、一般のスーパーマーケットと流通は経済産業省の流通の分科会でヤダ先生のご参加のもとでやられているということで、場が違うものですからなかなか一堂に会して議論をする機会がないわけですが、また今後とも数字の比較等を通じて両方の改善につながっていければと願っています。
 まだ多少時間がありますが、よろしいですか。吉田委員、お願いします。

○吉田委員 簡単な確認事項だけですが、資料2-2の1頁の「目標進捗」における2009年度までの実績の部分については、これはすでにカーボンオフセットの効果を加味したといいますか、カーボンオフセットの分は引いたものという理解でよろしいですか。というのが1点です。あとは、今後の見込みの部分で、どれぐらいのカーボンオフセット利用を見込まれているのかという点です。カーボンオフセットの内訳については、京都メカニズムクレジットだけではなく、グリーン電力証書という部分も効果として入れているのかというところです。
 最後に2つ目ですが、こういった宅配などという業態については、今後高齢者対策などというところで安全確認や食事の配達など、そういう形で業務内容の拡大といいますか、新たなサービスみたいなものが広まるのではないかという話を聞いています。そういった業務内容の拡大に伴う排出量の増加は、直接的に排出量の増加にインパクトがあるのか、それとももともとやっている活動の中の一環として行えるので、そういった業務内容の拡大があったとしても排出量の増加にはあまりつながらないのか、その辺のところをお聞かせ願えればと思います。

○森口座長 2点ご回答をお願いします。

○大沢様 カーボンオフセットは、結果についてはCO2排出量から引いてあります。これから先、計画にどれだけ入っているのか、今、手元に数字がないので後で回答したいと思います。対象として京都メカニズムのCERは入っていますが、グリーン電力は念のため点検して、回答したいと思います。
 ご指摘のとおり、最近、例えば買物難民への対策ということで、宅配の事業が注目されており、経産省のモデル事業にも全国の生協でいくつか選んでいただいたりしています。配達する中で一人暮らしのお年寄りの様子も見ながらということとか、最近、移動スーパーマーケットとして、トラックの荷台を簡単なスーパーマーケットに改造して、それで巡回するということで、買物に行けない方の所にも届けるサービスも始めています。そこでCO2のインパクトがどのぐらい出てくるかは、まだ始めたばかりですので十分把握できてないのですが、通常の配達よりも少し多くなるのではないかと思っていますが、まだデータとしては持ち得ていません。

○森口座長 2点目について、これは私も別の場で少し議論には参加しているのですが、お客様のほうが店舗である車まで乗ってこられる部分は基本的にカウントされなくて、宅配に行くとカウントされてしまう。特に非常に辺ぴな所まで配達に行くと、その部分が事業者側にカウントされてしまうということで、そのあたりはどういうバウンダリーで捉えていくのか、なかなか難しい問題があるように思います。また、そのあたりも機会がありましたら議論したいと思います。
 まだご質問はあるかと思いますが、ちょうど時間もまいりましたので、本日の日本生活協同組合連合会様へのヒアリング質疑応答はここまでとしたいと思います。もし追加のご質問等がありましたら、追って書面でお願いしたいと思います。本日は、お忙しい中どうもありがとうございました。
 引き続きまして、日本製薬団体連合会のヒアリングに入ります。日本製薬団体連合会環境委員会委員長の竹縄様、同じく調査役の鈴木様からご説明をお願いします。15分間ということでよろしくお願いします。

○竹縄様(日本製薬団体連合会環境委員会委員長) それでは、製薬業界における地球温暖化対策の2009年度の進捗状況について、説明させていただきます。資料につきましては、資料3-1のパワーポイントの資料と、既に提出させていただいています資料3-2の2つです。本日は、資料3-1、パワーポイントの資料をメインに説明させていただきます。それと、昨年度ご指摘いただきました内容については、このパワーポイント資料の説明の中に折り込んで報告させていただきます。
 まずスライド2です。(数値目標)、2010年度約束期間5カ年の平均値の製薬企業の二酸化炭素排出量を1990年度レベル以下に抑制するというのが、製薬業界の目標です。業界団体としては、日薬連の業種別団体は14団体ありますが、現在数値目標、行動計画に参加している業界団体は、日本製薬工業協会(製薬協)と、OTC薬協、GE(ジェネリック)薬協の3業界団体です。対象部門は、工場と研究所から排出するエネルギー起源の二酸化炭素排出量です。2009年度の参加企業ですが、日薬連業種別団体(14団体)すべてを合わせますと、380社ありますが、上の3業界からの回答ということで、アンケートの回答企業は97社、数値目標集計企業数は67社ということで、この67社については昨年度と同様となっています。97社が67社になる理由としましては、1990年のデータがないといった企業が大半を占めています。
 スライド3にいきます。自主行動計画参加企業は、いちばん左の会員企業数、製薬協が68社、OTCが83社、GEが44社の195社です。対象企業となりますと、製薬協は68社、OTC薬協は会員企業は83社ですが、製薬協やGE薬協とダブルで入っている企業を除き、フォローアップが開始される2007年度以前から参加していた企業と、省エネ法で第1種の指定工場を持っている企業を合わせた9社を対象にしています。回答数は右側にありますように、製薬協が68社中64社、OTCは全社、GEは40社中24社となり、合計97社ということです。有効回答数は、先ほど申しましたように、1990年度のデータがある、ないといった問題であり、これは経団連の方針で集計対象外となりますので、それを除いた企業数が製薬協51社、OTC薬協7社、GE薬協9社、合計で67社となります。
 このカバー率ですが、昨年度もカバー率の向上についてご指摘をいただいています。2012年までの行動計画については、現在これをある程度固定した状況で考えています。後ほど説明をさせていただきますが、2020年度の数値目標を既に作成しています。ここに、これ以外の業界団体にも現在働きかけていまして、参加企業を増加する方向で検討しています。カバー率は注3)のところですが、企業数では回答企業で25.5%、有効回答で17.6%ですが、売上高でいきますと89.8%をカバーしている状況です。
 スライド4は、67社の集計の結果を表したグラフです。昨年まで1990年度比で107%ということで、7%オーバーしていましたが、2009年度は調整後の電力排出係数ですが95.5%ということで、単年度ですが初めて数値目標を達成できた状況にあります。上に青い折線グラフがありますが、これが実排出係数を使った場合で102.8%ということで、実排出係数を使う場合にはややオーバーという状況ですが、経団連の方針に合わせて製薬業界では、調整後の排出係数を使っていますので、95.5%になります。
 スライド5は、売上高原単位の変化です。原単位は順調に低下していまして、2009年度は調整後の排出係数で0.553、実排出係数で0.597ということで、1990年度レベルから考えますと、40%以上の改善となります。スライド4、5で、2008、9年度のグラフの上に載っています赤い部分は、電気の排出係数での削減量を表しています。
 続いて増減の要因ですが、1990年度との関係で表しています。2009年度は調整後の排出係数で、159.1万tということで、95.5%になります。括弧の中の数字が、実排出係数を使った数値になります。売上高は、2008年から9年でおよそ4.4%増加しています。1990年度比でいきますと、2009年度は172.7%ということで、売上げに関しては非常に大きな伸びを示していますが、何とか95.5%総量で目標が達成できました。増加要因としては、1990年度比ですが、生産活動が97万t増加した点です。減少要因ですが、電気の排出係数の影響が14万t、省エネ対策による影響がマイナス90万tとなります。
 2009年度の主な取り組みについては、後ほど説明をさせていただきます。スライド7ですが、これは49社の集計で、毎年報告させていただいています。2007年度にフォローアップ会議が開始される前から、行動計画に参加していた企業を集計した値です。これは、製薬協45社とOTC薬協の4社の集計データです。こちらに、より重い責任があるということで、毎年データを報告させていただいています。このデータでいきますと、67社集計よりもさらに数値は改善されていまして、2009年度の調整後の排出係数で89.1%と、10%以上の削減を達成したことになります。青いグラフですが、実排出係数を使った場合でも96%と、マイナス4%ということで、単年度ではありますが、数値目標を達成している状況にあります。
 続いて原単位指数ですが、こちらも67社集計以上にさらに改善が進んでいます。1990年度比でいきますと、2009年度は0.525で、実排出係数でも0.565ということで、さらに原単位指数は改善されている状況にあります。増減要因については、67社とほぼ同じで、売上げについては2008年度比で4.3%増加、この中での削減となります。
 続いてスライド10にまいります。エネルギー別の二酸化炭素の排出量ですが、左が調整後の電力排出係数を使用したもので、右が実排出係数を使用した場合です。グラフの真ん中にあります鼠色の所が液体燃料です。上がガス類、下が電気です。年度が進むにつれて、液体燃料が減少して、気体燃料ガス類が大きく増加しています。これは、燃料転換がかなり進んでいる効果によって、二酸化炭素が大きく減少していることを表しています。また、電気の使用量についても、少しわかりにくいのですが、1990年度からいきますと、電気の使用割合がじわじわ増加傾向にあるという状況がわかります。
 スライド11は、電気の使用量です。これは、あえてここで説明させていただいていますのは、燃料転換だけではなく、製薬業界ではヒートポンプなどの高効率機器の導入を現在推奨しています。ヒートポンプの導入が進みますと、電力の使用割合が増加するということで、その辺りを少し分析したものです。1990年度から2005年度ぐらいまで、電気の使用割合は少しずつ低下していっていました。この辺りは、蒸気を使った吸収式冷凍機が普及したことが影響したと思います。それが2006年度ぐらいからは、今度はヒートポンプの方向に動いていまして、2009年度では全エネルギーの55.2%が電気となっています。
温暖化対策の実施状況ですが、主なハード対策は、いちばん上にあります燃料転換が2009年度もいちばん大きいと。2番目に、高効率機器があります。これについては、2008年度から2009年にかけて大きく増加しています。これは、ヒートポンプなどの導入が進んでいる状況にあります。主なソフト対策についても、1万3,000tぐらいが削減されていることになります。
 続いて、スライド13です。数値目標の達成状況ですが、第一約束期間の目標を既に達成している企業は、まだ8社しかないと。これは、昨年度と同様で、全然動いていません。達成できない会社が45社あります。したがいまして、数値目標の達成は、結果的には、この8社がかなりの大きな役割を果たしている状況にあります。それから、約束期間の削減計画ですが、これもほとんど動いていませんで、目標を設定している企業が15社です。製薬業界全体で分析しますと、この目標を設定している企業こそ、大きな数値目標の達成に効果を表している傾向があります。やはり、目標を達成する方向でいま働きかけていますが、なかなか増加しないのが現状です。
 スライド14ですが、2008年度から2012年度の見込みです。今後の計画を出してそれを集計していきますと、2012年度に数値目標をやや上回る傾向がありますが、現在出た計画だけを集計した場合でも、この5カ年でマイナス2.4万tということで、かろうじて5カ年平均でも数値目標は達成できる状況にあると思っています。今後予定されています温暖化対策ですが、エネルギーの代替についてはポテンシャルがもうほとんどなくなってきているということで、今後は高効率機器の導入、その他小さな対応策を組み合わせて、地道に活動していく必要があるのではないかと思っています。
 続いて部門間の比較ですが、工場、研究所のエネルギーの使用割合をスライド16に示していますが、スライド17のグラフで説明をさせていただきます。これは、すべてのデータが揃っている28社を抽出して分析したものですが、売上げに連動して研究所の床面積は増加していることが、ここからわかります。
 続いてスライド18ですが、工場と研究所で原単位がどのように変化したかです。工場は、下の赤い折線グラフですが、順調に生産量あたりで原単位が改善しています。研究所については、床面積あたりですが、2007年度までは悪化の傾向がありましたが、2008年度、2009年度と2年連続で改善がみられました。
 続いて参考資料です。製品由来のフロンの排出量ですが、2009年度は103tで、目標の150tを下回ることができました。いままでは、特定フロンを入れて計算した数値で、フロンの排出量だけを報告していましたが、これをすべて二酸化炭素に換算した場合どのような具合になるかを、右のグラフで表しています。これでいきますと、特定フロンを代替フロンに替えることや、製剤的には粉末化などの技術の組み合わせもあり、現在、二酸化炭素換算では2000年度比で87%が削減できている状況です。
 このほか簡単に説明させていただきますが、本社事業所では、床面積あたりの二酸化炭素が62.9kg/?ということで、少しでこぼこしていますが、2006年度以降、改善傾向にあります。取り組み状況については、いろいろな取り組みが全体的に割合として増加傾向にあります。下のグリーン電力の購入以下については、なかなか進捗はみられない状況です。
 スライド22の営業車からの二酸化炭素の排出量です。ハイブリッド車の導入が2006年度では700台強だったものが、2009年度は7,700台と10倍に増加していまして、営業車の効率化がいま製薬業界ではかなり大きなテーマになっていまして、ハイブリッド車の導入が急激に進んでいる状況です。車1台辺りの二酸化炭素の排出量についても、2009年度は大きく改善しています。
 最後にフォローアップとは関係がありませんが、2020年度の数値目標を製薬業界でも作成いたしました。そこにありますように、2020年度の製薬企業の二酸化炭素排出量を、2005年度を基準に23%削減するのが目標です。基準年度を2005年度にしたのは、参加企業を増やしたいということもありまして、1990年度を2005年度に変更しました。現在製薬業界14団体に対して、この行動計画への参加を要請しています。以上です。

○森口座長 ありがとうございました。電力排出係数の問題を、実排出としても大幅な削減を達成され、かつ最後に説明いただいたように、2020年度の目標をお立てになったということで、非常に興味深く聞かせていただきました。委員の先生方から質問がありましたら、お願いします。私から1点お尋ねします。コメント的になるかもしれませんが、前半部で説明いただいた排出量で、いわゆる調整後排出係数と実排出係数を両方併記されていますが、調整後排出係数でやるとそれで下がったのではないかとみられる場合もありますので、経団連さんからの方針等あろうかと思いますが、実排出係数でもこれだけ下げているのだということを主張いただくのも、業界さんとしての努力をより適正に評価いただくうえでは、そのような見せ方もあるのかなと思います。特に、スライド7で見せていただきましたが、49社と67社との違いは、初回のフォローアップから参加しておられる企業ということでよろしかったでしょうか。

○竹縄様 そうですね。

○森口座長 そういったところで、より大幅な削減が進んでいるということを伺いまして、非常に心強く思った次第です。何かその辺り、初回から参加しておられるということで、より削減が進むような状況が業界の中であったのかどうか、そういう働きかけ等があったのかどうか、その辺りを後ほどお答えいただければと思います。委員の方々からいかがでしょうか。

○佐藤委員 スライドの13にあるのですが、目標が業界目標に連動していない、あるいは設定予定がないという会社が、33社と半分近くありますよね。これに対する何か働きかけのようなことはあるのでしょうか。

○森口座長 非常に進んでいる所があれば、あまり参加意欲がない所もあると、両極端があって、業界の中での差が大きいのではないかという指摘かと思います。ほかにいかがでしょうか。

○高村委員 既に佐藤先生がおっしゃった点なのですが、やはりスライド17の所の全体の進捗、自主行動計画の達成状況が気になります。つまり、対象となっている本業界の所では、全体として進捗は順調だということですが、他方で多数の個別の事業者さんの所では目標が達成できないということで、働きかけをされているということなのですが、なぜできないかという理由と、もう1つは計画作成そのものがなかなか働きかけても増加をしない理由を伺えればと思っています。

○森口座長 ほかにいかがでしょうか。もしよろしければ、私が最初に申し上げたことも含めて、私からもう1つ質問を追加させていただきたいと思います。これはいろいろな考え方があると思うのですが、業界としてこうやって取り組んでいただいている以上は、すべての社になるべく均等に削減していただきたいという考え方もありますし、業界全体として減らすということで、対策のしやすい所を集中投資をしてやっていただく考え方も、業界あるいは国全体の削減ということではあり得るのかなと思います。特に削減が進んだ事業者さんで、中身を拝見しますとエネルギー転換や、高効率機器を入れるなど、ある種設備投資が必要なところが多いのではないかと思います。設備投資は必要ではありますが、おそらくこれはランニングコストといいますか、エネルギー費である程度回収できる部分もありますので、そういった投資回収年数のようなものを計算しておられるのかどうか。特に、49社の中でそういったものをやられた所があるのではないかと思います。投資のために費用はかかるのですが、何年かである種元が取れるというようなところもあろうかと思いますので、その辺りをどの程度業界として踏み込んで把握しておられるのかも併せてお教えいただければと思います。佐藤委員、高村委員からご質問いただきましたところも含めてお答えいただけますでしょうか。

○竹縄様 第1点につきまして、49社が達成度がより大きい理由ですが、49社の内訳は製薬協加盟企業が45社、OTC薬協加盟企業が4社になります。したがって、ある程度の大手企業がここに入っていることになります。67社集計では、これに加わるのはほとんどがGE薬協加盟企業ということになりますので、こちらは国の政策もあり、市場も大きく伸びていますので、エネルギーが大きく増加している状況です。そういう理由もあって、49社がより効果を現していることになります。
 数値目標の設定予定がない企業が33社というように、いろいろなばらつきが出ている状況なのですけれども、これを業界団体としてはなかなか強制しにくい面があります。そういう面で、毎年皆さんには数値目標の設定をお願いしますということで、お願い段階で終わっていて、結果的にはほとんど増えていない状況にあります。
 投資回収年数の考え方については正式なアンケート調査をやっているわけではありませんが、企業でいろいろな情報交換をやっていると、厳しい企業では3年で回収という企業もありますし、もっと長いスパンで考えて、例えば10年で回収というようにいろいろな企業があります。設備投資をしないと、二酸化炭素が削減できないのは事実ですけれども、これを3年で回収ということになると選択肢が少なくなってくるという状況もあるように思います。
 戦略的な投資ということで、投資回収年数は10年として、あとは二酸化炭素そのものに1tいくらという値段を付けて、その値段をこの回収の中に入れて計算している企業もあるようです。企業により考え方はいろいろあります。その辺りをどういうふうに見るかによって、削減に大きく影響してくると思います。投資回収年数をどのように考えるかが、設備投資に意欲的になれるかなれないかの大きな要因になっている可能性はあると思っています。
 計画を作成している企業数が増加しない理由という高村先生のご質問ですが、こういう理由でしょうというのはなかなか言いにくいのですが、大手企業ですと、ある程度の暗黙の合意のような意識もあるようにも思いますが、今いろいろな企業に参加をお願いしている段階ですので、数値目標の設定まではまだ強く言えていないのが現実であり、このことが計画作成企業数が増加しない理由の一つになっていることも考えられます。

○森口座長 スライドの3を拝見しますと、アンケート調査の回答率もまだ低いという状況で、まだ参加意欲が相対的に低いグループもいるようです。その業界内の構造的な問題もあるのかもしれませんので、この辺りは厚生労働省の働きかけも場合によっては必要な分野なのかもしれません。いずれにしても、一部のグループ、特に製薬協さんでは非常に対策が進んでいるというように、今回のご報告から理解いたしました。

○佐藤委員 ジェネリックの話はある意味でよくわかるのですが、その原単位を考え直す必要があるのではないかという感じがします。売上高でやったら、それだけでジェネリックは高くなってしまうに決まっているのだから、出荷高とか原単位を考える必要があるのではないかと思ったのです。これは先の話だと思いますのでお答えいただかなくても結構です。

○吉田委員 先ほど、委員の方々から既にご質問のあった点で、私もスライド13のところで、今後もこの8社が頑張って牽引していけばいいのかということ。それで業界的には不公平感もなく、しようがないなという感じになっているのかと思っていました。自主行動計画のところで、努力目標的なところがあって、省エネするとなるとお金もかかりますので、身銭を切ってそこまで頑張って減らしていくような会社を増やしていくのは難しいのかと思うのです。
 ここ1年ぐらいで、東京都の排出量取引制度とか、来年度からは埼玉県も排出量取引制度が始まるということで、地方自治体のほうで、排出量規制が増えていく中で、自主行動計画は努力目標だけれども、実際にどこどこの地域では新たな規制がかかってしまって、削減目標を立てなければいけないとか、ある程度お金をかけてCO2を減らさなければいけないというような状況も一部出てくる部分もあるのではないかと思うのです。その辺の実態といいますか、これまでは特に規制がかかっていなかったのだけれども、そういう規制がかかる可能性がある、もしくは実際にかかったという会社がどれぐらい増えたのか。
 そこで減らせば、こちらのほうの排出量も自動的に減ってくる部分もあると思います。今後の削減の見込みといいますか、予測の部分でも、そういった実態調査みたいなものが少しは役に立つのではないかと思いました。質問というかコメントでした。

○森口座長 佐藤委員からご指摘いただいた原単位の問題は、どこの業界でもそうであって、何あたりで取るのが公平なのか、あるいは業界内でそういうものを比較するのが公平なのかという問題は常に付きまとう問題です。規模が拡大する中で、どういう指標を取っていけばいいのかというのは非常に難しいところがあろうかと思いますが、是非この辺りも工夫していただければと思います。コメントということでしたが、何かリアクションいただくことはありますか。

○竹縄様 GE薬協が今後大きく伸びていきますので、業界全体としての売上げあたりの原単位は取りますが、各業界比較での原単位は分母に売上げを持ってきてという考え方ではやらない予定にしております。2020年については、その辺りを明確にして運用していきたいと思っております。トータルとしては、市場に対する二酸化炭素という考え方ではいきますけれども、各業界団体レベルでは別次元でいろいろ分析をやっていきたいと思います。
 強制力の問題は確かにそのとおりで、もう少し規制がいろいろな所で広がれば、皆さんやらざるを得ないという力が働いてくるのではないかと、私も個人的考えですが、ある程度その辺りに期待したいとの考えもありうるように思っております。

○森口座長 いずれにしても、目標は原単位ではなくて総量でお立てになっているということですし、今後の社会のことを考えると、むしろ全体としての活動規模が増えていくことが想定される業界であるにもかかわらず、総量としてのこういう目標をお立てになっているということですので、そこの部分である種のしっかりとした縛りはかかっていると理解しております。それぞれのご努力を、より適切に評価するための指標は別途必要かと思いますので、今後のさらなる改善に期待させていただきたいと思います。

○畑仲様(日本医師会総合政策研究機構主席研究員) 19頁の、製品由来のフロン排出量はどういう過程で出るのかということ。それから4頁の目標の数字の中に20万tというのは載っているのか載っていないのか。この2点をお聞きします。

○竹縄様 フロンの排出量はあくまで参考資料で、数値目標には入っておりません。数値目標は、エネルギー起源の二酸化炭素ということに限定させていただいています。ただ、フロンについても温室効果ガスですので、別途部会をつくって削減計画を作って行動していることになります。この排出段階は、患者さんの使用段階で排出されるフロンです。

○畑仲様 使用段階というのはどういうことですか。

○森口座長 衛生3段階ではなくて、出荷後に実際にお使いになるときに。

○竹縄様 出荷後に、喘息薬などのスプレーで排出されるフロン量をここで算出しています。

○畑仲様 生産するときではなくてですか。

○竹縄様 はい。

○畑仲様 生産するときには、ほとんどないということですか。

○竹縄様 ほとんどないです。

○江原委員 3-2の7頁にあります。

○森口座長 定量噴霧エアゾール剤からのフロン類の排出ということでお示しいただいております。
 最後に全日本病院協会常任理事の加納様、日本医師会総合政策研究機構主席研究員の畑仲様よりご説明をお願いいたします。同じく15分でお願いいたします。

○加納様(全日本病院協会常任理事) 病院における地球温暖化対策協議会の座長をさせていただいております加納です。この協議会は、日本医師会、日本病院協会、全日本病院協会、日本精神科病院協会、日本医療法人協会という病院団体のメインの所で行っている協議会です。
 本日、報告書という形で出させていただいているのですが、本年3月7日に最終的な協議会をする予定ですので、そういう状況であることをご理解の上報告させていただきます。報告に関しては、日本医師会総合政策研究機構の畑仲主席研究員から報告させていただきます。

○畑仲様 1-2頁を開けていただきますと、全体の要旨が書いてあります。それから参考にしていただく表として1-4頁に表1-1の目標達成度というのが、2006年度を基準年度として、今回調べました2009年度までの4年間について載せてありますので、この表を参照しながらご報告させていただきます。
 今回の報告については、2009年4月から2010年3月までの達成度の状況についての結果です。CO2の排出原単位対前年1%減を目標としております。表1-1のいちばん上の欄を見ますと、2009年度の場合はマイナス1.1%ということで、目標としては1%を下回りました。この背景としては、当然エネルギー消費原単位が下から2段目の行のように0.9%減少しているということで、この部分の減少分によって、CO2の排出が進んだということだと思います。
 こういう目標が達成された背景としては、これまでと同様エネルギー転換で、先ほど来出ておりますように重油・灯油といった化石燃料の削減、それから電力消費量の減少といったことが今年の場合は考えられます。ただ、今年は若干の課題が生じております。1-2の中段に書いてあることなのですが、CO2排出原単位が、表1-1を見るとわかりますように、2008年度は対前年7.9%減ったのですが、2009年度は1.1%ということで減り分が非常に少なくなりました。産業界ほかをマクロ的に見るともっと減っているのですが、病院の場合はそれほど減らなかったということが1つの特徴として今回はあります。
 その辺の原因について我々もいろいろ分析してみたのですが、考えられそうなことは文章のほうの1-2の中段に書いてありますように、夏季は涼しかったのですが、冬季は前年よりも若干暖房を必要とする日が多かったことが1つあります。
 もう1つかなり大きいのが、ガス消費量の増加です。化石燃料から電気、ガスへと進んだのですが、特に電気への集中が2008年度は多かったのです。ところが2009年度にかけてはガス会社がかなり頑張って営業をして、ガスの使用量がものすごく増えました。その分のエネルギー消費量が結構増えました。化石燃料から電気やガスへ転換したのですが、今度はガスの部分が増えてきてしまったのです。この部分の増加を、これは会社の営業スタンスなのでなんとも言い難いのですが、ヒートポンプはガスでも行えますし、これからは燃料電池とか、いろいろな形態が出てきます。ですから、単純に電気やガスへの転換だけを進めていればいいというものでもなさそうな段階に入ってきているのではなかろうかという感じがしております。
 もう1つの課題が、CO2トータルの排出量です。表のいちばん下ですが、前年度は対前年で結構減ったのですが、今年度はトータルとしては逆に3.4%増加しました。全体の目標は達成しているのですけれども、CO2の排出量を参考値として我々は出しているのですが、これが対前年では3.4%増加しています。
 その要因として、1-5頁に算式を太い黒枠で囲ってある上のほうで、2009年度CO2排出量の算出式と、2008年度CO2排出量について、対前年の数字にどのぐらい減ったかという係数を掛けて出しています。これを見ますと、上段の右のほうの延べ床面積が、2008年度に比べて3%増えました。我々は抽出のアンケート調査をやっているので総量ではないのですけれども、アンケート調査結果からすると、延べ床面積が増えてしまった。それから、CO2排出原単位が前年度ほど減らなかったこともあり、トータルのCO2排出量が増えてしまったという状況です。
 この延べ床面積については、いろいろな政策の影響とか病院特有の問題があります。病院については、環境をより快適になるように、6床室から4床室にする、4床室よりも2床室を増やして経営的な安定性を増すというようなことが1つあります。これについては加納先生が専門なので後ほど説明があるかもしれませんが、病院特有な、いかに快適な環境を患者さんに提供するかというのが、もともと本質的なものとしてありますので、その辺が今年だけではなくて、今後もそのようなものが増えていきます。あるいは厚労省の政策として、病院の新たな建て替えなどのときの補助金の条件として、病床を1割削減しなさい、統合する場合には1割削減しなさいとか、なにしろ病床を規制するような方策をとっています。例えば同じ建物でも、内部を改修して病床を1割削減すると、1病床当たりの面積が増えます。その辺で1病床当たりの延べ床面積が増えて、トータルとして延べ床面積が増えてくる傾向があります。そのように病院業界特有のいろいろな条件があります。ですから、この辺の延べ床面積の増加というのが、構造的な問題として今後出てくるのではないかと考えております。
 トータルの総量について、我々の目標としてはいまのところ参考値ということで出しておりますけれども、環境の基本的な法律が出ておりますので、その辺の扱いが原単位方式なのか、総量の規制なのか、そういうこととも大きく関係してくるので、この辺は注意深くウォッチしていきたいと考えております。
 我々としては、地球温暖化対策基本法案については非常に関心を持っております。ご承知のように、2020年度までに25%削減するという中期目標の設定。環境税についても加納先生のほうから、病院経営の視点から、こういう税金についてお話があるかと思います。いまのところは取りやめている排出量取引制度ですが、こういうことについて国民からのいろいろな意見、業界からの意見を取った段階では、かなり拙速な形で進められているのが現状だと思います。
 やはり、現場を預かっている現場の意見を十分聞いた上で、その辺の法律の中身についてはこれからかなり具体的な目標をどうするのかとか、そういうものが決められてくるかと思います。その辺については、十分業界の意見を聞いていただくと同時に、厚生労働省から環境省のほうに、この辺をどういう考え方で進めていくのかについて、小沢さんが大臣のときに我々も直接環境省へ行きました。その辺について、厚生労働省のほうも十分関心を持って、他省庁にはなりますけれども、情報収集、言うべきことは言うというようなことをやっていただきたい。
 これはほかの業界のほうであるのかどうかわからないのですが、これは過去2年間私のほうから言わせていただきましたが、経済産業省が進めている国内クレジットについて、情報自体の説明をなかなかしていただけない。特に環境省が経済産業省と同じ仕組みを持っているということの説明が1つありました。もう1つは、国内クレジットに参加している病院は大企業扱いであるということについては、環境省が頑として譲らない。経済産業省はやりたいのだけれども、環境省が譲らないという言い方も聞いております。ですから、その辺の情報を我々は断片的にしか聞いておりません。その辺はうちの事務局のほうから、環境省なり経済産業省のほうにいろいろ教えてください、正確な情報を提供してくださいと再三再四言っているのですけれども、この辺の情報を教えていただけないという状況です。先ほど先生がおっしゃいましたように、協議会の場にオブザーバーということで来ていただく予定ではありますけれども、その辺についてお聞きしたいということです。
 これも、これまで申し上げてきましたように、業界団体として一体的に進めている中から、例えば典型的な例は、医師会病院が引っこ抜かれるというのも実際にあるわけです。今年は40~50が候補に挙がっています。場合によったら来年は100単位とか、そのぐらいであと2年間ぐらい引っこ抜かれる可能性があります。
 我々が調査した数字というのは、業界団体全体の数字に直していますから、その中から100~200減ってくると、過去の数字と現状の数字をどうやって比較したらいいかというロジック上の問題が生じます。病院が少なくなれば、当然排出量は減るわけですから、それを過去のものとどのように比較するのかという問題も生じるので、その辺については是非ご検討をお願いしたいということです。
 あとは先ほど結論を申し上げましたので、ポイント的なところをご説明させていただきます。1-7のところですが、これまでと同様に我々はアンケート調査でやっています。2008年度は非常にドラスティックに下がったので、これは推測ですが、2009年度は病院のほうも多少油断があったのか、前年度はアンケート調査の回収率が32.7%だったのに対して、29.9%と落ちています。特に、小さな病院の回収率が落ちています。この辺のところがどうなるのかということで、我々としてもなるべく努力して回収率を上げていきたいという感じがします。
 この辺については、先ほど来製薬業界のお話を聞く中で、特定の業界全体ではなくて、その中の一部の企業だけの数字で物事をおっしゃっていました。ところが、我々は少なくとも全業界の数字に直して数字を出しています。その辺についてフォローアップの基本的な考え方として、どういう考え方をとるのか。これは2年しかないから、2年のうちには結論は出ないかもわかりませんけれども、その次に法律が通った後の段階で、それをどのようにしていくのかということ。
 それから、1-4の電力の排出係数について、我々は一応真面目に2006年度の実績値の0.410という数字をフィックスしています。これを変えても統計上意味がないので、やはり後でフォローできるような形にしておかなければ統計にならないので、我々はフィックスでやっています。ですから、こういう係数にはどういう数字を使うのか、それから原単位について我々は面積あたりの原単位にしていますけれども、売上げにしてもいいのではないかという話もあります。そうすると、ドラスティックにこれは減ってきます。その辺についてはどういう考え方でいくのか。今後進めるに当たって課題は多々あるのではないかと思っております。
 これまでにないものとして、1-16は病院の本音です。エネルギーの使用量に影響を与えた外部環境は何なのか。これを見ますと気象の変化がマルチアンサーで74%、石油価格の大幅変動が35%というのが高くて、その次が入院患者数の変化で30%、外来患者数の20%ということです。本音としては、まだ外部環境の変化のほうが、エネルギー使用量に与える影響は多々あります。当然病院としても努力しています。いままで見ていただいたような、いろいろな手立てについて徐々には上がってきているのですけれども、やはり外部環境の変化というのが、エネルギー使用量に結構影響を与えています。いままではこの項目を選択肢として入れていなかったのですけれども、そのようなところの結果が出ております。
 大規模病院のほうの増加ですが、1-28のグレーの棒グラフがCO2排出原単位なのですが、大病院になればなるほど対前年度で増えているところがあります。ですから小さなほうは減っていますが、中央から大きいほうにかけて増えているところがあります。やはりその辺の大きい所を減らさないと駄目なのではないか。これも、いままで出ている数字です。
 いちばん最後のフィードバック票を見てください。去年までと同様にアンケート調査をするに際して、各病院ごとに「あなたの所の前年度の回答を踏まえて、CO2の排出はどのぐらいでしたよ」、それから「どういうことをあなたの所はやっていて、平均の数字に対してどういう状況にあります」ということで、3-18、19のデータをアンケート調査に際しては一応戻しています。これについては、今後とも継続的にやっていきたいと考えております。

○森口座長 ありがとうございました。ご指摘いただいた温暖化対策の国全体としての基本的なところについては、全業界にかかるところかと思いますので、最後にまとめて議論させていただければと思います。
 事務局に確認をさせていただきたいのですが、本日は環境省で責任あるお答えをいたただける方のご出席をお願いしていただいているのでしょうか。つまり、事前に業界のほうから要望的なものをいただいていました。これは例年オブザーバーだったか、どういう資格であったかは記憶しておりませんが、環境省にもご出席いただいていたかと思うのです。それは依頼はされましたでしょうか。

○海野政策企画官 今年度についてはいらしていただいておりませんので、私どものほうで持ち帰らせていただき、環境省のほうには私どものほうから申し述べさせていただきたいと思います。

○森口座長 そうせざるを得ないかと思いますが、せっかく同じ5号館で、6フロア上に担当がおりますので、呼んでいただいてもいいのではないかと思いますが、それはちょっと言いすぎかもしれません。こういう場で直にやりませんと、なかなか伝わらないところもあろうかと思います。その件は後ほど少し時間を取って議論させていただきます。
 全日本病院協会、日本医師会のほうからご説明いただいた内容についてのご質問等がありましたらお伺いいたします。

○村田委員 ご説明をどうもありがとうございます。他の業界に比べてカバー率があまりにも低すぎて、出てきている数値をどこまで信用していいのかということが1点あります。
 それから構造的な問題として、地球温暖化対策そのものが浸透していないのではないかということが窺えるデータが示されているような気がします。例えば1-22の省エネ活動の実施状況を見ますと、照明器具の清掃、管球の交換は80%以上やっている。だけど、下のほうにあります高効率照明器具の使用は40%にとどまっている。日常業務として、電球が切れたら換えますというような活動は確かにあるのですけれども、省エネ活動そのものをきちんとやろうとしているのかというのを見たときに、それを窺えないような結果が多いようです。
 お金のほとんどかからないと思われる職員に、地球温暖化対策の研修、情報提供、あるいは地球温暖化対策活動の参加奨励等々を見てみますと20%前後ということもあります。病院協会として、それについてきっちりご指導というか、推進するような方策をとられたほうがよろしいのではないかということが1点です。
 太陽光については5%しかないのですけれども、今後、例えば外科系の手術室などの施設のある病院においては、停電時の電源対策等でもバッテリーを使う可能性もあると思うので、私も当てずっぽうで言っているのでわかりませんけれども、もう一度その辺も調べて、太陽光で充電しておくというのも1つの方法かと思いますので、ご検討いただければと思います。
 生協さんのように、もっと具体的な例を、各病院に対して、こういう例がある、こういう例があるというのを示していただければ、もう少し実施状況もよくなるのではないかという気がしたのですが、いかがでしょうか。

○森口座長 ほかに関連する質問等がありましたらお受けいたします。

○高村委員 全体として非常に詳細なデータといいますか、丁寧に分析してくださっていて、どこが問題かという辺りを私はわかりやすく読ませていただきました。1つ目は村田先生からご指摘があった点にかかわるのですけれども、例えば自治体でさまざまな検証制度であるとか事業計画、特にここにある省エネ法の対象になるような大きな病院の取り組みを紹介してくださいますと、かなりいろいろ努力している例があるものですから、そうした例を普及していただくというのはかなり大きな効果があるのではないかと思いました。
 2つ目は昨年と同じような趣旨で、うまく伝わったかどうかわかりませんが、例えば1-10、あるいは1-11にあるような大規模病院に、かなり大きな重点を置いて取り組みの働きかけをしてもよいのではないか。つまり、小さな病院に、排出量からいっても推進はするけれども、そこに大きな焦点を置くよりはむしろ大きな所。しかも、そこはかなりの部分のアンケートも回収されている実態があると思いますので、そこに明確な焦点を置かれてもよいのではないかという意見を持っております。

○森口座長 私のほうから、村田委員のご指摘に関連して1点確認をさせていただきたいのですが、カバー率は1-7では病院数で示されているわけですが、どういう指標がいいのかわかりません。病床数がいいのか、何がいいのかわからないのですが、規模等を反映した上で、どの程度のカバー率になっているのかということ。それからちょっと気になりましたのは、エネルギー消費量等の数字をお示しいただいているのですが、この毎年の数字というのは、直接比較してもよい数字なのかどうか。つまりその回答対象が毎年変動するということの影響はないのかどうか、その辺りの事実を教えていただきたいと思います。いくつか質問が溜まりましたので、まとめてご回答をお願いいたします。

○加納様 最初の努力内容に対しての村田先生からのご指摘なのですが、太陽光発電なりにどんどん変えろというお話でした。もともと医療会の診療報酬で前から申しておりますように決まっています。特に私的医療機関に関しては、いま本当に限界のところでやっているのが現状です。今回診療報酬改定があって、久方ぶりのプラス改定だったのですが、0.19%のアップで、実質的にジェネリックどうのこうのを差し引きしますと0.03%のアップということで、これでまた2年間やれということです。こういう中で、そういう原資がどこにあるのかというと、全くないというのが我々業界での状況です。その点は先生方にも、もっと別の意味からご支援いただきたいかと思います。
 それから職員に対する指導についても、我々はこういう形でフィードバックしながら関心を持ってもらうようにいま最大限努力しています。これは厚生労働省のほうに申したいのですが、ドクターをはじめ職員全体に対して、いま病院の中での委員会活動は非常に多くなっております。その限界の中で我々は積極的に頑張って取り込もうとしているわけなのです。そういう煩雑な医療行政の指導というのが1つ問題になっているのかというのが、我々の勝手な言い分かもしれませんがそういう状況があります。我々が環境に対する対応ができるように、診療報酬を上げていただきたいという、前からの声に変わるかと思います。
 それから自治体病院の例を出されましたが、自治体病院は我々私的病院とは全く違います。26%は税金で補填されているわけです。太陽光発電とか対策はなんぼでもできるのですが、それは別の会計で出ていくのです。我々は先ほどから申していますように、診療報酬改定の中で、一生懸命病院経営をやっているわけなので、そういう意味で自治体病院の例を出されると私たちはいちばんカチンと来るところであります。あそこは別会計であるということ、税金で補填されている病院だからできるけれども、我々の所のように全く補填がない病院ではできないというのがいまの現状であることをもう一度認識していただきたいと思います。

○高村委員 すみません、私の言葉というか質問の趣旨が十分表現できませんでした。自治体病院ではなくて、いくつかの自治体等で、病院も含めた計画書制度等を導入していて、その中で私立の病院で非常に努力して削減されている例がいくつか出てきております。そういう意味で、私立の病院の努力を、もしできれば普及していただくというのが、かなりほかの病院のインセンティブになるのではないかという趣旨です。

○加納様 そういう意味でしたら納得できます。本当に私的病院は限界の中で頑張っていることを理解していただきたいと思います。例えば我々の病院でも、先ほどから出ている療養環境が大事であって、患者様にいかに良い環境で療養していただくかということになります。うちの病院でもいま努力して、廊下の電気は半分消すというようなことをやっていますけれども、それでは暗くなってしまうのです。それが果たして治療にいいのかどうかということになってくると、別の問題の考え方がまた出てくるかもしれないのです。我々はそういうことと葛藤しながら現場で一生懸命やっているのが現状ですので、そういうことを言って広めるのがいいのかどうかということもまた心苦しいところがあります。そういう意味での努力は、我々もいま最大限頑張ってやろうとしていることはご理解いただきたいと思います。

○畑仲様 それ以外の質問については私のほうから答えさせていただきます。カバー率については、回収率29.9%ということで、そもそも母集団は5,680しかありません。確かに比率的には3割ということで、これは前にもお答えさせていただきましたけれども、通常のアンケートですと10%ぐらいでものを言っているところが、約3割ぐらいで、なおかつ母集団が5,680ということです。これは統計学的な信頼性を出せば、かなり高い数字が出てくるはずだと思います。いまは出しておりませんけれども、そのように考えております。
 1-22の、どこまで対策が浸透しているのかということについては、いま加納先生のほうからお話がありましたように、やるためのお金が必要です。極端な話が、地球温暖化対策基本法で言っている、1990年度比の25%削減をするために病院はどのぐらい投資したらいいのかというのを超概算で私は出しました。そうしたら10年間で2兆円必要です。診療所が約8,000億円必要です。合計では2兆8,000億円必要です。これは、病院の新築部分は含めていません。毎年5,000億~6,000億円ぐらいが新築で投資されるのですが、それを除いた改修を超概算で出すと約3兆円弱ぐらいのお金が必要になります。
 ですから、ああいう法律を出すのは結構だけれども、我々の収入は診療報酬だけですから、このお金をどうやって手当てしてくれるのですかということです。そういう意味では、先ほど環境省のほうに言ったときに、この数字はお示ししました。光発電とかそういうことはやりたいですよ、やりたいけれどもお金が必要になります。そのお金をどうやって捻出するのですかというのが、いまの政府のいちばん大きな課題なのではなかろうかという感じがしています。業界としても、なるべく自助努力でやりたいことについてはやりたいとは思っております。ですから、ドラスティックなことをやろうとすると、それだけのお金がかかることはご理解いただきたいということです。
 太陽光発電について、これはお答えにはならないかもわかりませんが、今回のアンケート調査で駐車場の面積を聞いています。2-10にあるように、駐車場の面積は、1病院当たり4,346?ぐらい持っています。当然これは病院によって面積は違います。これは、ある意味で病院の特徴で、患者さんが来るための駐車場を確保しないと来られないということです。これは土地の面積で、立体駐車場の延べ床面積という形ではないです。ですから、こういう所に光発電の屋根を簡易にかけて、それを買取制度の対象にしてもらえれば、光発電については結構進む可能性はあるのではなかろうか。
 ただ1つ課題があるのは、国土交通省のほうの工作物としての認定をされると、全部に屋根をかけることはできない可能性があります。この辺は、ある意味での規制緩和みたいな話で、光発電をする屋根をかけた所については工作物として認めないとか、そういうみなし規定か何かを導入していただいて、なおかつ補助制度を入れていただければ、病院というのはこれだけの面積を更で持っていますから、その部分が光発電として使える可能性があるということです。このデータは取っておりますので、試算はしていきたいと考えております。
 具体的な事例については、先ほど加納先生のほうからお答えいただいたようなことと、我々のほうでも事例を病院の担当の方にお示ししていきたいと考えております。
 大規模病院への働きかけについては、私にもはっきり答えられない分野なのですが、大学病院協会とかいろいろな業界に分かれていますので、そういう業界を通じてやるのがいちばん効率的だと思います。この辺については、国のほうで動いていただくのがいいのかと思います。日医のほうでも、別の切り口から大学病院協会の方々との話合いを始めておりますので、そういう場でこういうこともこちらから情報提供するということを、担当のほうには言っておきたいと思っております。

○加納様 いまの点に追加なのですが、確かに大病院には積極的にやっていただくように指導するのはポイントだと思います。ただ、この数字で見ていただいたらわかりますように、回収率とか回答率はいいのですが、実際に日本の病院は中小病院がメインで支えている実態があります。その中小病院の圧倒的な数を抜かしてどうこうするというのはどうかと考えております。

○畑仲様 病床数の変動が、トータルの排出量に影響するのではなかろうかということについて、具体的な数字は持ってきていませんけれども、病床数については、そんなにドラスティックに減っているわけではなくて微減です。減っていることは減っているのですけれども、CO2の排出量のほうにそんなに大きな影響が出ているということではないと思います。

○江原委員 1-29とか1-30のところの皆さんの議論で、平均値はお伺いしたのですが、規模別に何ができるかという分布が必要だと思います。これは生協さんと同じように、できれば分布も出していただけないでしょうか。

○森口座長 本日は、3-18といういちばん後ろの頁に、延べ床面積とCO2排出量のグラフを書いていただいています。これの傾きがある種の分布を示すのではないでしょうか。左上には、明らかに傾きの大きいものがあって、これがもし数字の間違いでないとすれば、これが、ほかに比べて桁が大きいことになると思います。こういうところは、もう少し精査をしていただかなければいけないのかと感じています。こういう個別のデータが必要だということですか。

○江原委員 これを規模別に分布を出して、良い所と悪い所はどう違うのだろうかということが次の議論につながると思います。

○森口座長 まだご質問、ご指摘があろうかと思いますが、ちょっと時間が押しておりますので、私立病院にかかわる質疑は以上とさせていただきます。残り10分程度で、全体にかかわる議論がありましたらお願いいたします。

○村田委員 皆さんにお聞きしたいのですが、昨年の夏は猛暑と言われて電力消費が多かったのではないかという気がするのです。それぞれの部署で達成可能なのかという見通しだけでもお聞きしたいと思います。

○森口座長 今回は2009年のフォローアップですが、1年後には2010年のフォローアップをすることになります。2010年夏の電力消費量はかなり高いと思います。ちなみに国立環境研究所もかなり高かったという実績を既に得ております。それはどこも同じかと思いますが、その辺りのデータを既に把握しておられましたらお願いいたします。

○大沢様 データ把握はこれからですが、同じように心配はしています。

○加納様 実感ですけれども、私どもが持っている病院で、先ほどの補助金をいただいて、太陽光発電に切り換えた所があります。それでだいぶ安くなるのかなと思っていたら、昨年の猛暑ではそんなに変わっていなかったということです。先生がおっしゃったように、たぶん日本の病院全体も今回の環境の影響がかなり大きく来年は出てくるのではないかということを懸念しております。

○畑仲様 これは厚生労働省にお願いしたいことなのですけれども、環境省が小沢試案として出された、1990年度比25%が、2008年度比ではいくらなのかということで、業務系について2008年度比だと25%減なのです。2008年度比だと43%から48%減らさないと駄目だと小沢試案に書いてあります。
 これがあるので病院はどうなのかというと、先ほど製薬業界さんが過去のデータがないから出せないみたいなお話をされましたけれども、エネルギー経済研究センターで出しているマクロ的な数字を使って、過去に遡って、それに我々の2006年から2008年までを足して、実際にこれからどれぐらいやらなくてはいけないのかという数字を出しました。
 先ほど言いましたように、この1年は3%増えているので、それを除くと約15%ぐらい減らせばいいという数字が出ました。厚生労働省としては、環境省が出している業務系の、対2008年度比43%などというべら棒な数字は、製薬業界さんは驚いて目を回すのではなかろうかという数字です。この辺は、我々業界を束ねる官庁として、環境省が出しているマイナス43%というのはどうなのだと、我々も出しますけれども、それを出していただく。少なくとも病院についてはこんなにならないはずです。たぶん18%ぐらいになるのではないかと思います。43%とか48%を2008年度比10年間で減らせというような話には問題意識を持って対応していただきたいと思います。これはお金も含めてです。

○森口座長 また、コストの面はなかなか厳しいというお話がありましたが、一方で製薬業界さんのほうから、3年という投資回収年数の話がありました。猛暑の話もありましたけれども、効率の高い機器に変えることによってエネルギーコストを下げられる、回収できる部分もあろうと思います。そういうところの情報が十分に共有されていないところもあろうと思います。これは若干行きすぎた発言になるかもしれませんが、病院のように温熱需要の高い業種であれば、太陽光発電などにお金を投じるより、はるかに費用対効果の良いものもたくさんあります。太陽光発電も、シンボル的なところとしては非常にいいかと思うのですが、実効ある対策ということでいえば、やはり投資先はもうちょっと別の所にあると思っております。そういうところの情報が業種によってどういうところを対策すべきなのかというところの情報がなかなか行きわたっていないように感じるところもあります。
 特に病院については、国立病院はまた別、大学病院はまた別というようなことで、それぞれ所管の役所も違います。それから、自主行動計画の枠の中なのか外なのかということについては非常に制度的な問題があると考えております。対策技術という点では共通性が非常に高いものですから、例えば生協さんに対しては流通業を見ておられる江原先生から貴重なコメントをいただきましたように、もう少し厚生労働省所管業種についても、他の場での知見が反映される仕組みということを、国として考えていかなければいけないかと思います。少し行きすぎた発言があったかと思いますけれども、本日のいろいろなご意見を踏まえ、関係各方面に私のほうからも働きかけていきたいと思います。

○佐藤委員 気になったのですが、アウトソーシングとか外部委託で一応減ったように見えても、先ほど座長がおっしゃったように、所管の違う所に付け換えるだけみたいな話になってしまうのだろうと思うのです。そういうのを全体的に見る仕組みは大事なような気がしたのです。

○大沢様 先ほど吉田委員からのご質問に関連して、東京都の話がありましたが、東京都の制度が強制力を持っている中で、グリーン電力証書は優遇して入れても良いことになっています。一方で自主行動計画ではグリーン電力証書を入れることはいかがなものか、という話もあります。強制力があるところに対して頑張ってグリーン電力証書を入れて対策をとったのに自主行動計画には反映されないことになると、変な感じがします。国と地方との関係があるかと思いますが、そうした点の調整について改めてご検討いただくようお願いしたいと思います。

○加納様 せっかく厚生労働省の方が来られていますので。環境税の問題を医療現場では非常に不安に思っております。先ほど申しましたように、我々の収入というのは診療報酬ですから、消費税の問題もそうだったのですが、きっちりと対応を考えていいただかないことには、現場はまた非常に厳しい状況になるだけという形になりますので、是非ともちゃんとした対応をお願いいたします。

○酒光参事官 環境税が導入された場合には、診療報酬などで配慮が必要ではないかという趣旨でしょうか。

○加納様 診療報酬かどういう形にするのかという議論をしっかりとしていただきたいと思います。

○酒光参事官 はい。

○森口座長 全体に対して、役所に対する厳しい注文が多々あったかと思います。これは厚生労働省だけでは受け止めきれない点もあろうかと思いますので、その辺りは必要に応じてご支援させていただきたいと思います。時間が来ておりますので、各業界からのプレゼンテーション、質疑、全体議論については以上とさせていただきます。
 本日いただきました意見を基に、事務局で報告書案を作成し、委員の皆様に報告書案を送付してご確認いただくことにしたいと思います。それ以前に追加質問等をお受けする期間がありますので、冒頭に説明のありました手順で今後まとめさせていただきたいと思います。それでは、事務局のほうに進行をお返しいたします。

○海野政策企画官 本日はどうもありがとうございました。最初にご説明させていただきましたが、本日委員の皆様からいただきましたご意見、またご欠席の委員からもご意見をいただけることがあろうかと思いますので、そういうことを下敷にして、事務局で報告書案をこれから取りまとめます。その上で、委員の皆様に送付させていただきたいと思っております。報告書案については、委員とのご意見に大きな隔りがないようであれば、座長とご相談させていただき、私どもとして責任を持って取りまとめさせていただきたいと思っております。

○森口座長 本日はこれで閉会とさせていただきます。大変お忙しい中ご出席をありがとうございました。


(了)
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