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2011年6月13日 平成23年度第3回診療報酬調査専門組織DPC評価分科会議事録

○日時

平成23年6月13日(月)13:00~15:45


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第22会議室


○出席者

【委員】
小山信彌分科会長 吉田英機分科会長代理 相川直樹委員
池上直己委員 伊藤澄信委員 緒方裕光委員 金田道弘委員
熊本一朗委員 齊藤壽一委員 酒巻哲夫委員 嶋森好子委員 
瀬戸泰之委員 難波貞夫委員 松田晋哉委員 美原盤委員 
山口直人委員
【参考人】
瀧内比呂也参考人(大阪医科大学化学療法センター長) 
宮坂信之参考人(東京医科歯科大学病院長・膠原病リウマチ内科教授)
島田安博参考人(国立がん研究センター中央病院消化管腫瘍科 消化管内科長)
松久哲章参考人(国立病院機構四国がんセンター薬剤科 副薬剤科長)
小笠原敬三参考人(倉敷中央病院長)
片桐修一参考人(市立豊中病院長)
井原裕宣参考人(社会保険診療報酬支払基金東京支部 副審査委員長)
【事務局】
迫井医療課企画官 他

○議題

1 平成23年5月30日DPC評価分科会 検討概要(検討事項と主な意見等)
2 DPC/PDPSにおける高額薬剤の取扱いに係るヒアリング

○議事

13:00開会

○小山分科会長
 それでは、定刻となりましたので、平成23年度第3回「診療報酬調査専門組織・DPC評
価分科会」を開催させていただきます。
 委員の出席状況についてでありますけれども、本日は、三上委員、それから鈴木委員が一
応御欠席との御連絡をいただいております。
 また、松田先生は、15分くらい遅れるということでもっていらっしゃるということなの
で、これで予定の方の全員出席となりましたので、これから開催をしたいと思います。
 本日は、DPCにおける高額薬剤の取扱いに係るヒアリングを行うということでもって、
大学病院はがん専門病院あるいは地域の中核病院やあるいは審査の支払機関の先生方にも
お越しいただいておりますので、後ほど紹介をさせていただきますが、どうか、よろしくお
願いいたします。
 それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いいたします。

○丸山主査
 事務局でございます。それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず、1枚目表、議事次第、めくっていただきまして先生方の座席表、次が先生方の名簿
一覧でございます。
 めくっていただきまして、D-1、前回の検討概要をまとめさせていただいた紙が1枚。
 D-2ということで、本日のヒアリングの先生方の名簿を載せさせていただいているものが
1枚。
 めくっていただきまして、本日の御議論の参考にということで、4月14日に提出させて
いただいている資料を参考という形で付けさせていただいております。
 そこから後ろは、本日、お越しいただいた7名の先生方に事前に御提出をいただいた、ヒ
アリングのための資料となっております。
 順番に、瀧内参考人資料、宮坂参考人資料、島田参考人資料、松久参考人資料、小笠原参
考人資料、片桐参考人資料、井原参考人資料は3部に分かれておりまして、丸1から丸3ま
でございます。
 過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

○小山分科会長
 ありがとうございました。資料については、何か過不足ありますでしょうか、よろしいで
すか。
 では、今回、全国各地からヒアリングのために先生方、お越しいただきまして誠にありが
とうございます。厚生労働省は、こういう暑さの中で、我々はこれからまだ何回も会議を続
けなければならないという地獄のような日が続くわけですけれども、せっかく今回いらっし
ゃいましたので、ヒアリングのお話をするだけではなくて、なかなかこんな機会はないと思
いますので、最後の討論では是非参加していただいて、私はこう思うというような形の話を
是非していただいて、このヒアリングが決して前々年回は、ヒアリングは何か取り縛りの場
のようなことを言われておりましたけれども、そうではなく、これはDPCをよりよい制度
にするためのこういう会を開いているということでもって、どうか肩の力を抜いて、オープ
ンでやりますから、オープンだということだけ頭の中に入れながら、御自由な御意見をおっ
しゃっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、平成23年5月30日の検討概要について、事務局から御説明をお願いいたし
ます。

○丸山主査
 引き続き失礼いたします。お手元にはD-1を御用意ください。
 こちらは、先々週5月30日御議論いただいた内容、議事概要をまとめさせていただきま
したので、簡単に御紹介させていただきます。
 5月30日は医療機関群の設定について御議論をいただいております。いただいた意見と
しては、まず、医師研修機能について、A)と書いておりますが、医師研修機能については
調査する方向性、これは御了解できるということですが、臨床研修指定病院、こちら研修医
の定員や受入人数をとっても中身が千差万別ですので、実態を調査した上で1つの医療機関
群になり得るかどうか検討すべきと、こういった御意見をいただいております。
 もう一つの○としては、臨床研修指定病院は、より手厚い人員体制を必要とする医療の提
供が行われていると、この前提について、手厚い人員体制をとっていることと、手厚い人員
を要する医療を提供すること、これは別のことではないかと区別して分析すべしという御指
摘をいただきました。
 これに対して、臨床研修指定病院は、研修医を教育するための人員配置、これがあり、そ
の分手厚い配置となっていると考えるべきと。
 また、臨床研修指定病院の中には、研修医の定員が大学病院本院と同等の機能を有する医
療機関もあり得るということで、実態の分析をしつつ、大学本院に近い医療機関は別扱いと
いうことも検討してはいいのではないかと、こういった意見を医師研修機能についてはちょ
うだいしております。
 また、E)で他病棟の連携機能、ケアミックスに関しては、効率化のために努力をしてい
ると、結果的に効率的であると、これだけで医療機関群を分けることには公平性を欠いてい
るのではないかと。
 また、これに対して、効率化の努力を区別するために、群を分けて基礎係数に反映するこ
とを検討してはどうかと、こちらの御指摘をいただいております。
 もう一つは、ケアミックス病院が分化するバックグラウンドは違うと、これを考慮すべき
ではないかと、昨年末の社会医療法人のデータを例示して御指摘いただきました。それで、
ケアミックス病院として一くくりされることに違和感があるという御指摘でございました。
 これについては、大学本院も多様性があり、基礎係数はあくまで基本的診療機能を評価す
るものであって、ある程度の機能で一くくりにしたらどうかと、また、多様性は別途評価す
るもの、機能評価係数IIというものがありますという御意見を御披露いただきました。
 裏面でございます。今後の対応につきまして、我々から御提示させていただいた箱ひげ図、
これはどの医療機関群も有意差がなく、群内の差の方が大きいと解釈できるのではないかと。
 これについて、今回の集計が予備的な既存類型に基づく集計であって、今後の評価指標に
基づいたものではないということ。また、箱ひげ図だけでは有意差があるかどうかはわから
ぬということで、今後、更に統計的分析を行うべしという御指摘をいただいております。
 2つ目です。実際に基礎係数を検討する際、機能評価係数I、IIも差し引いた上で、要は
適切な補正を行って分析をするべきであると、こういった御意見もいただいております。
 3つ目の白丸ですが、臨床研修医を受け入れているか否かなど、最低限の基本的な機能の
評価は基礎係数、連続的な評価は機能評価係数IIと、こういったように基礎係数と機能評
価係数IIは一体として議論すべきであるという御意見もいただきました。
 最後、まとめですが、医師研修機能、小児医療提供機能、他病棟との連携機能、この3つ
について今後検討を進めていくという方向で御了解をいただいたということで理解をして
おります。
 D-1としては、以上でございます。

○小山分科会長
 ありがとうございます。前回の検討事項の総まとめというのですか、概要であります。こ
れについて、何か御意見があれば、ここが違っているよみたいなことがありましたら、どう
ぞ。

○相川委員
 相川です。大体よろしいと思うのですけれども、A)の2番目の丸の3つ目のパラグラフ
ですけれども、臨床研修指定病院の中には、研修医の定員が多く、大学病院本院と同等の機
能を有する医療機関があり得ると思われると、多少ちょっとニュアンスが違うようにも考え
ます。臨床研修、すなわち卒後2年間の医師臨床研修の機能に関しては、このとおりでよろ
しいと思うのですけれども、この文面を読みますと、臨床研修医の定員が多く、大学病院本
院と同等の機能、同等の機能というのは、臨床研修に対して同等の機能ではないかと思いま
す。
 なぜならば、大学病院は、御存じのように、当然のことですけれども、卒前の学生ですね、
医学生の臨床実習、これは大変なものでして、その機能ということもありますし、また、更
に診療報酬には直接関係はないものの、更に研究とか、教育ということでも機能は違うと思
いますが、いかがでしょうか。

○小山分科会長
 先生の御意見は、このところでもって、つまり、大学病院本院と同等の研修機能を有する
みたいな形の方がよろしいのではないかという御意見ですね。
 事務局、いかがでしょうか。

○丸山主査
 御指摘を踏まえて、今後の検討の資料を出させていただきたいと思います。

○小山分科会長
 では、ここの解釈の仕方は、あくまでも大学病院本院と同等の機能というのは、同等の臨
床研修をするという意味でよろしいですか。
 どうぞ。

○丸山主査
 済みません、失礼しました。ここの部分のサマライズは伊藤委員の御発言を踏まえてまと
めさせていただいた部分なのですが、そういった意味では、間違い等ございましたら、御指
摘をいただければと思います。

○伊藤委員
 それで結構でございます。ただ、大きな病院の中には様々な形で卒前教育も含めてお手伝
いをしている。とりわけ、大学病院本院だけでなく分院でも同じような機能をしているとい
う意味で申し上げたのであって、こちらの本院以外のところで卒前教育をやっていないとい
うことではないと思います。

○小山分科会長
 確かに微妙なところがありますね。これはちょっと大事ですね。一応、ここの文面の中で
は、研修医の教育も含めというような表現になりますかね。伊藤先生と相川先生の御意見は、
それでもって入りますかね。よろしいですか、そんなところで、何かございますか。
 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがでしょうか。
 特になければ、一応、このような認識の中で前回の会議が終わったと御理解をいただけれ
ばと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きましては、本日の主題でありますDPC制度における高額薬剤の取扱いに係るヒアリ
ングに入りたいと思います。
 まずは、大変遠いところから非常に準備をしていただいて、遠路はるばる来ていただいた
先生方の出席があるのですけれども、その病院の先生方の紹介を事務局の方からよろしくお
願いいたします。

○企画官
 それでは、御紹介をさせていただきます。
 大阪医科大学化学療法センター長、化学療法センター教授、瀧内比呂也先生でございます。
 東京医科歯科大学附属病院病院長、膠原病・リウマチ内科教授、宮坂信之先生でございま
す。
 国立がん研究センター中央病院、消化管内科長、島田安博先生でございます。
 国立病院機構四国がんセンター、副薬剤科長、松久哲章先生でございます。
 倉敷中央病院、病院長、小笠原敬三先生でございます。
 市立豊中病院、病院長、片桐修一先生でございます。
 社会保険診療報酬支払基金、医科専門役、井原裕宣先生でございます。
 以上、7名の方においでいただいております。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ヒアリングの先生方は、大変お忙しい中、または大変暑い中、当
分科会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいた
します。
 それでは、もう時間も限られておりますので、今回のセッションでは、お一人10分程度
ずつお話しいただきまして、全員のプレゼンテーションが終わったところで、最後にまとめ
て議論をしたいと思います。
 先生方のお手持ちの資料のD-2にあります、これが今日のヒアリングの対象の7名の先
生の御紹介であります。
 参考のために、その下のところに、各先生に一体どんなことをお願いしたのかということ
を、一応、(1)(2)裏面に行きまして(3)という形でもって事前にお話をいたしました。
 この内容に沿いまして、各先生方のヒアリングを行いたいと思っておりますので、よろし
くお願いいたします。
 それでは、まず、瀧内先生からよろしくお願いいたします。

○瀧内参考人
 大阪医科大学の瀧内でございます。このような発表の機会を与えていただきまして、本当
にありがとうございます。
 私は、消化器がん、特に胃がんの化学療法を専門とする立場から進行再発胃がんの化学療
法の現状と問題点について、皆様方に御紹介したいと思います。
 御指摘のヒアリング項目、事前にいただいておりましたものですから、その項目にできる
だけ沿った形で、胃がんの治療の変遷、DPCで問題となる高額薬剤の実例、患者間、治療
レジメン間のばらつき等について御紹介させていただきます。
 その後に、今後の展望も踏まえた上で、胃がん治療の進歩のために御提案をさせていただ
きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、瀧内参考人資料のスライドの2をごらんくださいませ。
 先生方も御存じだと思いますが、非常に胃がんは、日本の国民病とも呼ばれまして、毎年
11万人が新たに罹患しまして、約5万人の方が残念ながらお亡くなりになっておられると
いうのが実情でございます。
 多くの場合には、早期に発見され、手術で治癒するケースが多いわけでございますが、残
念ながら他臓器などに転移しているような場合は、切除不能進行・再発胃がんと呼ばれまし
て、手術で十分に病巣を取り切れないため、化学療法を中心としました治療が行われている
のが現状でございます。
 何も化学療法をしない場合、何も治療しない場合、ベストサポーティブケアと呼びますが、
生存期間の中央値は約3~4か月ということが、臨床試験の結果、報告をされておりますが、
80年代に承認された薬剤を、幾つかございますが、幾らうまく使いましても、残念ながら
生存期間の中央値は大体6~7か月というのが現状でございました。
 しかしながら、1990年代後半にTS1を始めとした幾つかの新規抗がん剤が承認されまし
て、その生存期間中央値は、約1年に延長したというのが現状でございます。
 また、今年の3月に承認をされましたトラスツズマブ、分子標的治療薬を組み込むことに
よって、その生存期間も更に延長しておりまして、最近報告される臨床試験のデータからは、
生存期間中央値は約1.5年というのが、平均値として示されているということから、ここ
10年の間に、非常に胃がんの化学療法も進歩したということがおわかりいただけると思い
ます。
 スライドの3をごらんくださいませ。
 先ほども申しましたように、1999年にTS1という経口剤が承認されましたが、残念なが
ら約10年以上の間にわたりまして、胃がんの領域では新薬の承認がございませんでした。
 先ほど御紹介いたしました胃がん化学療法の治療成績の向上は、やはり新薬の承認によっ
てもたらされたものでございまして、やはり新しい有効薬剤を手に入れるということは極め
て大事な状況にあるわけでございます。
 今年の春にトラスツズマブ、それからカペシタビンという2つの新しい薬剤が承認を受け
まして、実臨床の中で投与が可能となったわけでございます。
 これら薬剤を速やかに患者様にお届けしまして、今後、患者様の予後を改善するというこ
とが我々に課せられた大きな責務であると考えているわけでございます。
 スライドの4をごらんくださいませ。
 しかしながら、今回のトラスツズマブ、商品名ハーセプチンになりますが、承認とその問
題点というものも浮き彫りになってきたわけでございます。
 今年の3月10日に、胃がんに対してトラスツズマブは承認をされました。6月には、胃
がん治療ガイドラインでこの薬剤は、日本胃癌学会から推奨される予定になっておるわけで
ございます。当然、ガイドラインで推奨される薬剤でございますので、速やかに実臨床にお
いて応用されるべき薬剤ではございます。
 しかしながら、このトラスツズマブは高額な薬剤であるがために、現在の包括評価では赤
字になることが当初より予想されておりました。昨年胃癌学会より、本剤を包括評価の対象
外としていただくように要望書を提出させていただきましたが、しかしながら、現時点まで
に出来高の通知は得られておらないと、また、その理由も明らかにされていないというのが
実情でございます。
 そのため、当院では、少し工夫をして外来で投与をするようなことをやっておりますが、
基本的に安全性の観点、それから併用薬であるシスプラチンの投与を考えますと、やはり入
院で投与しなければならない薬剤でございます。
 そういった意味で、本院のみならず、他の病院におきましても、このDPCの問題が解決
されるまでには、トラスツズマブの処方を例えば控えたり、また、いろんな抗がん剤のレジ
メン登録というものが、いろんな病院では進んでおりますが、レジメン登録を控えたりする
ような病院があるというのも耳にしているのが現状でございます。
 スライドの5をごらんくださいませ。
 これは、大阪医科大学における高額レジメンの事例を提示させていただきました。
 それで、大阪医科大学の病院係数は1.4329ということでございまして、現時点で胃がん
に対する標準的治療でございますSP療法という、シスプラチンとTS1を併用する療法、こ
れは一般的にガイドラインの推奨レジメンでございますので、幅広く行われているわけでご
ざいますが、その治療法ですら、現行のDPC下では、下にございますように、当院におい
ては1週間の入院をしたと考えましたら、2万円強の赤字が生まれると、患者様にとって一
番メリットのある治療を御提供した場合に、こういったことが生じているというのが現状で
ございます。
 更に、今回、承認されましたハーセプチンを併用しました場合に、10万円から15万円、
この15万円というのは初回投与で、ハーセプチンの場合には、初回投与の場合には、体重
1kg当たり8mgが投与されます。2回目以降は、体重1kg当たり6mgが投与されるわけ
でございまして、このような幅になっているわけでありますが、きちんとした、質の高い医
療を提供すればするほど赤字になるというのが、現状になっているわけでございます。
 伝え聞くところによりますと、ある大学病院あるいはある病院におきましては、やはり1
万円でも赤字が出た場合には、事務方からその処方がストップされるというようなことが実
際行われているということを耳にしていますので、やはり一番恩恵を受けるべき患者様にと
って、やはり非常にいい治療が受けられないというのが現状かと思います。
 続きまして、スライド6をごらんくださいませ。
 ヒアリング項目にございましたように、患者間、レジメン間のばらつきがあるかというこ
とでございますが、基本的に当院を含めまして、それなりの質の高い病院におきましては、
胃がん治療ガイドラインで推奨されているレジメンもしくは臨床試験として行われている
レジメンを選択するというのが一般化してきていると思います。
 特に、胃がんにおきましては、やはり食物摂取等が非常に困難な患者さんも多くございま
して、他の疾患に比べまして全身状態が悪い患者様も多いわけでございます。
 それによりまして、やはり年齢あるいは病態に応じて若干の治療法の違いはございますけ
れども、基本的には有効薬剤というものが非常に限られておりますので、結果的には、患者
間の大きなレジメンのばらつきというものは実臨床の中では少ないと考えられるわけでご
ざいます。
 また、基本的に質の高い治療を提供する病院におきましては、がん薬物療法専門医を中心
とした腫瘍内科医が抗がん剤投与を行うということでございますので、きちんとした投与量
に基づいた、いわゆるエビデンスに基づいた投与量を患者様に投与するというのが一般化し
ております。
 ですから、昔、抗がん剤でこれでも投与しておこうかといった、「なんちゃって化学療法」
という揶揄した表現がございますが、そういった化学療法は、やはりもう明らかに最近の病
院では少なくなっている。そういった化学療法をしている施設は、むしろ、今は非常に少数
派になっているというのが現状でございます。
 スライドの7をごらんくださいませ。
 レジメン間のばらつきがあるかということでございますが、基本的にエビデンスに基づい
た治療を行っている病院におきましては、大きなレジメン間のばらつきはございません。
 しかしながら、先ほど申しましたように、DPCで赤字等が発生するということを踏まえ
まして、やはり若干の薬剤のモデフィケーションが実際行われているということも耳にして
おります。
 そういった意味では、一番質の高い治療法ではない治療法が患者様に提供されているとい
うのも現状かと思います。
 また、施設間のばらつきにつきましても、現状、それほど胃がん患者様あるいは大腸がん
患者様におきましては、大きなばらつきはないと思います。特殊な患者様ばかりが集まると
いう病院は非常に少数でございますので、そういったものは基本的には、可能性はございま
すが、大きなばらつきはないものと認識しているわけでございます。
 スライドの8をごらんくださいませ。
 今後期待される胃がんの新薬等の一覧表でございますが、これらの薬剤のすべては、今回
承認をされましたハーセプチンと同じく、いわゆる分子標的治療薬と呼ばれるものでござい
まして、非常に高額な薬価が付く可能性が高いわけでございます。
 特に、こういった高額な分子標的治療薬が承認されますと、その推奨レジメンの追加がガ
イドライン上も行われることとなります。
 しかしながら、これらレジメンが開発されるたびに、これは医療の進歩をもたらしている
わけでありますが、DPC診断群分類の見直しや、細分化がなされるようでは、現場はます
ます混乱していくものと予想されます。
 分子標的治療薬は、通常の抗がん剤よりは認容性が高い部分もございますが、非常に副作
用の強い部分もございます。
 そういった意味から、臨床試験で証明された以上の用量で、そのドクターの裁量によって
抗がん剤が投与されるということは決してないということが考えられます。
 また、今後、専門医での処方が普及していくと思われます。そういった意味でも抗がん剤
の適正使用は一層広がっていくものと考えるわけでございます。
 最後の9枚目のスライドをごらんくださいませ。
 胃がん治療の専門医の立場、化学療法の専門医の立場から提言をさせていただきたいと思
いますが。

○小山分科会長
 済みません、そろそろ時間なので簡潔にお願いいたします。

○瀧内参考人
 はい。ドラッグラグの解消がほぼなくなってきたと思います。それによりまして、ガイド
ラインも非常に全国的に普及してきたと思います。
 そういった中で、先ほど申し上げましたように、DPCとの間に若干の問題点が生じてき
ているというのが現状でございますので、できましたら、高額な新薬の承認、適用、追加と
同時に、やはりできましたら抗がん剤につきましては、出来高にしていただきたいというの
が、私の申し上げたい一番のポイントでございます。
 以上でございます。少し時間を超過して申し訳ございませんでした。

○小山分科会長
 瀧内先生、どうもありがとうございました。大変熱い思いが伝わりました。
 済みません、質疑応答は最後にさせていただきます。では、次の宮坂先生、よろしくお願
いいたします。

○宮坂参考人
 私は、関節リウマチ分野からの考察として発表したいと思います。
 リウマチの治療薬というのは、2に書いてありますけれども、今までは消炎鎮痛薬、それ
からメトトレキサートに代表される抗リウマチ薬、ステロイド、ここまででしたけれども、
4番目の薬として生物学的製剤が出てまいりました。
 3番目、この薬の利点というのは、ステロイドよりも速効性があるということと、早期か
ら使えば、約50%の患者さんが寛解、すなわち症状がない状態まで行けるということ。そ
して、この薬剤を使うことで関節破壊を止められ、関節機能も正常に戻すことができますし、
昨今の欧米のデータでは、生物学的製剤を使っている患者さんと、使っていない患者さんで
比べると、明らかに使っている患者さんで寿命が延びるということもわかっています。
 では、我が国でどれくらいの患者さんがいるかというと、これは推測ですけれども、約
76万人の患者さんがいると思われますけれども、実際に生物学的製剤を使用している患者
さんは、一番右側のピンクの16%、これは2009年現在です。実際には、多分その倍使っ
た方がいい患者さんがいるであろうと、適応のある患者さんがいるだろうと考えられていま
す。
 実際に生物学的製剤としては、5に示してありますけれども、現在、5種類の薬剤があっ
て、そのうちの3種類は静脈注射あるいは点滴で使いますし、残りの2種類は皮下注射で使
います。用法・用量もそれぞれの薬剤でまちまちでありまして、例えばレミケードですと、
通常量は3mg/kgを8週に1度使うわけですけれども、不応例に対しては、更に多い量が
使われることもあります。
 それに対して、例えば右側のアクテムラとかオレンシアですと、体重当たりの決め打ちの
量となります。
 このリウマチ治療薬のマーケット、これは6に書いてありますけれども、右側のカラムを
ごらんいただければおわかりいただけますけれども、生物学的製剤は1,000億円を超えるマ
ーケットとなってきていて、次々に新しい薬剤が増えるごとに、このマーケットが広がって
いくというのが現状でございます。
 7番ですけれども、私どもは大学病院ですけれども、左側にあるのは病院の実力という、
これはたしか週刊朝日の特集ですけれども、ここで私どもの病院は生物学的製剤の使用では
全国の3位、関東第1位ということになりましたけれども、結局、そうなりますと、こうい
った高額な薬剤を大学病院に患者さんが集まってくる、大学病院が最後の砦になるという傾
向がございます。
 それが、証拠に、この8をごらんいただきますと、私ども大学の医学部附属病院の医薬品
購入上位10品目をここに並べてありますけれども、なんとそのうちの4品目までが生物学
的製剤、特に一番上のレミケード、これは関節リウマチだけではなくて、消化器疾患、炎症
性腸疾患のクローン病あるいはベーチェット病に使われていますけれども、断トツに多い。
 更にアクテムラ、ヒュミラ、エンブレルが続くという状態で、いずれも2%以上というこ
とになります。
 では、保険診療上の取扱いあるいはDPC上の取扱いはどうなっているかといいますと、
これも薬剤によってまちまちでして、特にレミケードは関節リウマチでは個別包括というこ
とになっていますけれども、ベーチェット、クローン病は出来高となっています。
 最近承認された強直性脊椎炎、乾癬、潰瘍性大腸炎はすべて対象外となっています。
 ヒュミラも関節リウマチと強直性脊椎炎は個別包括ですけれども、それ以外のものは対象
外というふうに薬剤によって、DPC上の取扱いが非常にまちまちになっております。
 では、実際に生物学的製剤を使う際にどう使うかというと、導入と維持とに分けることが
できます。この薬剤を導入して3か月ぐらいがいろいろな副作用が起こりやすいわけですけ
れども、私どものような大学病院は、ベッド数が限られていることもあって、導入、維持も
多くの症例は外来で行うわけですけれども、一部の病院では、導入の部分は入院でやる。そ
して、維持だけを外来でやったり、あるいは導入も維持も入院でやるという場合もあります。
これが点滴静注の場合です。
 皮下注射の場合には、多くの場合、外来でやりますけれども、それでも導入は入院でやる
というようなものもあります。
 それでは、実際に全国のDPC病院で平均入院日数は薬剤別にどうなっているかといいま
すと、レミケードが2日、ヒュミラ、エンブレルが皮下注射ですけれども、これは導入のと
ころで自己注射の練習をするという名目でわざと長くしています。というような状態があり
ます。
 12以降で、具体的な個別の薬剤でDPCの点数と薬剤点数がどうなっているかというのを、
まず、レミケードでお示しをいたしますけれども、このカラム、1、2、3、4日と書いて
あるのは入院日数、1日というのは日帰りです。2日というのが1泊、その後が2泊、3泊
といきますけれども、通常は体重1当たり3mgでいきますので、2Vまでということで、
2万円のところに赤の点線が書いてありますけれども、これが薬剤の点数です。
 そうしますと、日帰りでやると、病院は損をする。1泊でとんとんで、2日、4日といく
と、ようやくそれを越える。ただし、この薬剤は効果が不十分の場合には3V用いますので、
3Vを用いると入院3日までは明らかに病院が損をするということになります。
 では、別の薬剤のヒュミラはどうかといいますと、ヒュミラは通常量は2週に1度、40mg
の皮下注をします。そうすると、7,110円のところに赤線が引いてありますけれども、日帰
りですと損をする。3日目以降でようやく病院が得をするということになっています。
 これに対して、皮下注射で行うエンブレルというのは、25mgの製剤を週2回というのが
通常量ですけれども、2日目、3日目、4日目ですと、薬剤の点数よりも実際のDPC点数
の方が多くなるということになります。
 その次のアクテムラ、これは、実は関節リウマチではなくて、もともとアクテムラという
のは、キャッスルマン病という病気に承認をされたわけですが、これはキャッスルマン病の
例で書いてありますけれども、キャッスルマン病でいきますと、400mg製剤、赤線が引い
てあるのが1万1,746円のところでありますけれども、これは1、2、3、どこでやっても
病院は損で、4日目以降で薬剤の点数をようやく越えられるというところになります。
 ということで、リウマチ分野におきましては、生物学的製剤を使うと、最初に入院期間あ
るいは患者の体重や効果に応じた投与量によっては、薬剤費がDPC点数を上回り、収支差
損が発生するというのが、まず、第1点。
 第2点は、同じ薬剤でも効能によってDPC上の扱いが異なる。包括の場合もあるし、出
来高の場合もございます。
 ということで、これは私の提案ですけれども、リウマチ分野における生物学的製剤につい
ては、すべてDPCの対象外として出来高とするということで、今の問題は回避できるので
はないかと考えます。
 以上です。
 
○小山分科会長
 ありがとうございます。それでは、引き続きまして、島田先生、よろしくお願いいたしま
す。
 
○島田参考人
 それでは、お手元の消化管がんの高額医薬品というレジュメをごらんください。
 先ほどの瀧内先生と若干ダブりますので、その当たりはスキップしたいと思います。
 消化管がんにおきまして、現在、高額薬剤と考えられるものを、スライドの2枚目に示し
てあります。胃がん、大腸がん、肝がん、膵がん、GISTという特殊ながんでありますけれ
ども、これらを適応症として、2000年以降、たくさん承認をされております。
 これらは、すべて臨床的な有意差をもってベネフィットがあるということで承認をされた
わけであります。スライドの3枚目、4枚目に示しますように、体重50kg、体表面積1.6
の一般的と思われる患者さんでの分子標的薬の値段を示してあります。
 右側のところが、1か月の薬剤費というものでありまして、28万から高いものでは100
万と非常に高額になっております。
 上段の方は、静注剤でありますので、今回のDPCの対象になるかと思いますが、いずれ
にしても、かなり高額であるということであります。
 それで、この同一DPCにおける実際のばらつきについて、次の5ページ目にまとめまし
た。
 レジメンの管理につきまして、採択に関しましては、当院では先ほどありましたように、
RCTあるいはガイドラインの記載などを参考にしまして、経営よりもEBMベースに採択
をしております。
 しかしながら、同一のレジメンでありましても、患者さんの状況によって、若干、投与量
が変わっていくというのが、次のスライドに書きました。
 まず、その患者さんへの適用判断というのは、幾つかのステップがありまして、検査、
KRAS遺伝子検査とか、Her2遺伝子検査、そういうものを外来で行う。これは、要するに
コストを下げるという意味で外来で行っております。
 それ以降のポートの造設あるいは画像診断、CT等の画像診断、それから経口剤等はでき
るだけ外来でやっているわけでありますが、やはり一部こういうものも入院でやらざるを得
ない。
 更に、入院期間は最短時間でいくように大体平均7日以内というふうにしております。
 高額医薬品につきましても、1回目の投与は、副作用をチェックという意味で入院で行っ
ておりますが、これは持ち出し覚悟での実施ということになります。
 それから、ばらつきに関してですが、同じDPCでありましても、患者さんの状況によっ
て大きく変わる可能性があります。初めて抗がん剤を受ける方は、通常、100%の投与量を
行うわけでありますが、治療が進むにしたがいまして、副作用が蓄積したり、あるいは全身
状態が悪化するということで減量ということが起こります。すなわち、同一DPCが振られ
ていても、実際、使われる薬剤費が下がってくるということが起こるということであります。
 それから、レジメンによるばらつきについては、基本的には、先ほどありましたように、
ガイドラインに従っておりますので、余り変わらないのですが、それ以外の制吐剤等が若干
医師によって変わってまいります。したがいまして、そこのばらつきは起こり得ると思いま
す。
 施設間については、可能性があるかと思いますが、比較のデータはございません。
 それで、実例をお示ししたいと思います。7ページ、8ページ目、上下に書いてあります
が、大腸がんの一般的に行われます治療法の方から医事課において試算をしていただきまし
た。FOLFOX6とアバスチンという第1次治療、初回治療での実際でありますけれども、こ
のシミュレーションも当日に入院されて化学療法を開始して、最短期間で帰るという状況で
やりますと、2泊3日ということで、抗がん剤が朝終わって、その日に帰れば、病院側とし
ては459点のプラスということであります。
 これには、ポートの挿入あるいは検査がないということでありますので、このレジメンに
ついては、DPCで新たに枝をつくっていただいて、何とかもっているということでありま
す。
 アービタックスの方は、同様なコードが振られるわけでありますが、これも1泊2日、こ
れは単剤で投与した場合には、こういうことで1泊2日の場合はマイナスになるのですが、
2泊3日となるとプラスになっていく。
 本来は、医学的には1泊2日で帰れるわけでありますが、病院の経営を考えますと、長く
してしまう。
 それから、アービタックスと同様の薬剤でありますベクティビックスは、現在は出来高で
あって、DPC外というふうな不整合があるという現状がございます。
 次の9ページ、10ページは、先ほど瀧内先生から御指摘がありました、3月に承認され
ました胃がんに対するハーセプチンでありますが、上段がその根拠を書いてありますが、下
についてはシミュレーションであります。3日間の入院で15万円の持ち出し、7日間で11
万円の持ち出しということで、現在、経営を考えれば、当然この治療法は、幾らランセット
で報告された標準治療であっても実施ができないというのが現状ではないかと考えており
ます。
 現行方式の問題点を11ページに示しました。新規の標準治療が、やはりかなりのスピー
ドで出てまいりますので、それを的確に反映することが可能であろうかということ。
 それから、適応症につきましても、初回治療である1日量、それ以降の再発治療に対する
二次治療、三次治療によって適切な対応が可能かどうかということ。
 更には、高額の検査法、遺伝子検査あるいはペットの検査等が入ってまいりました。更に、
制吐剤が、今、急激に広がり高額になってきている。更には、麻薬鎮痛剤あるいはイレウス
に対する薬剤等、緩和療法も非常に高くなってきているということで、こういうものを実際
の臨床現場の状況を考えますと、すべての医療技術の進歩に対応したDPCというのは、本
当に可能であろうかと考えております。
 結論としましては、次の12ページに書きましたように、やはり高額な抗がん剤につきま
しては、DPC外にしていただく必要があろうかと考えております。
 最後の2ページは、今年のASCO、先週終わったものでありますが、抗がん剤の医療の
価値というものについて、最近の大規模な比較試験の結果が示されて討論がされました。
 クリニカル・ベネフィットというのは、要するに副作用と生存という意味での見方でござ
います。すべて統計学的には有意であるのですが、クリニカル・ベネフィットはここに示し
ますように非常に幅があるということ。
 更に、コストまで含めたバリューという面で見ますと、下に書いてありますように、非常
に大きなもの、いわゆる統計学的には差があっても臨床的な意味合いがかなり違うと、そう
いうものを本当にこういうDPCで反映したものが可能かどうかというところを検討する必
要があろうかと思います。
 以上です。
 
○小山分科会長
 ありがとうございました。それでは、4番目の松久先生、よろしくお願いします。

○松久参考人
 四国がんセンターの松久でございます。私は、薬剤師の立場からということで、スライド
を13枚にまとめております。
 早速2枚目のスライドに移っていただければと思いますが、まず、当院の概要でございま
す。都道府県のがん診療連携拠点病院、愛媛県に所在地がございます。
 ベッド数405、入院、外来の昨年度22年度の患者数あるいは処方箋枚数等を紹介してお
りますので、ごらんいただければと思います。
 職員数は、本年度4月時点で655名でございます。
 この中では、看護師の入院の体制でございますが、7対1といったところの状況でござい
ます。
 続きまして、3枚目でございますが、こちらも数多く今まで出ておりますけれども、抗が
ん剤の種類に関しまして、系統的に分類をしたアルキル化剤に始まり、その他といったとこ
ろのものを、代表、2、3の品目でなどなどという形で表現しております。こちらも一般的
にもう本邦で使われている薬剤の大部分が当院の採用薬となっております。
 続きまして、4枚目のスライドでございますが、まず、薬剤師の立場では、多くの診療科
の全体を見据えてといったところでの紹介をさせていただきますが、新規の抗がん剤の登場
の中におきまして、最近、承認されたレジメンにつきましては、胃がんの、先ほど来もお話
に出ておりますが、シスプラチン、カペシタビン、そこへトラスツズマブを加えるというも
のがレジメン審査委員会で通過しております。
 そして、今のトラスツズマブに関しましては、分子標的薬という位置づけになりますので、
まず、こちらを紹介申し上げますと、大きく2つ、小分子製剤、それと抗体製剤というふう
な言い方で分かれております。その化学構造式上の特徴から小分子が語尾にニブ、抗体がマ
ブという製剤になっているかと思いますが、小分子の方は内用薬が中心で単剤療法が主とな
っているかと思います。
 抗体療法の方は注射薬で、殺細胞効果の高い抗がん剤との併用というのが一般的かと思わ
れます。
 続きまして、5枚目のスライドでございますが、こちらは、まず、治療費の採算ラインと
いう見出しで考えてみました。医事部門のスタッフと協力してデータを抽出してみたのです
けれども、まず、採算ラインというとらえ方に関しまして、DPC対出来高という、いわゆ
る診療報酬上の現時点の考え方と、マターの中に人件費も踏まえて見るべきではないだろう
かという考え方もありますが、ここではDPCマイナス出来高といった金額で、左の非常に
細かな表になっておりますけれども、22年度に使用された頻度の高いレジメンごとの収支
比較を掲示してございます。
 黒文字の方が、いわゆる収支で上がっているところ、赤文字は赤になっている収支損とい
ったところのものでございます。
 こちらにあるものは使用頻度の高いものを上位から表しておりますが、実は、ここに表れ
ていない中には、最も赤字となるレジメンの内容といたしましては、整形外科領域で使われ
る骨肉腫とかで用いられますが、高用量のメソトレキセートというものが1回の治療で患者
の体重、体格にもよりますけれども、100万近くの赤字になるというものがあると聞いてお
ります。
 今回、話にも出ておりますけれども、そのほか、大腸がんのBevaプラスXELOX、それ
から胃がんの、先ほどありましたシスプラチン、カペシタビン、ハーセプチンといったとこ
ろが考えられてございます。
 勿論、血液腫瘍化の場合は、重傷であればあるほど入院が長期化いたしまして、その部の
包括枠の中では赤字になってしまうというものもございます。
 続きまして、6枚目のスライドでございますが、DPC制度が導入されてからの薬剤部門
としての業務といったところを、大きく3つ紹介をさせていただきます。
 当院では、2009年の7月よりDPC病院となっておりますが、まず、1番目といたしま
しては、後発医薬品の切り換え、これは薬事委員会で決定いたしまして、もう一つ、がん化
学療法委員会とのリンクも図っておりますけれども、そのような作業を行いました。
 2つ目には、クリニカルパスへの参画でございます。当院の場合は、年間のパス使用率は
約6割弱といったところでございまして、そこでの薬剤管理指導、薬剤師の指導になります
が、その項目を追記して、指導件数の増加を図っております。
 3点目は、レジメン管理ということで、これは先ほど来のがん化学療法委員会といったと
ころのタイアップの業務ということになります。
 7枚目のスライドになりますが、当院の、先ほど申し上げました後発品への切り換えとい
うことに関しましては、ここにお示ししているとおりの幾つかの品目、下から2行目になり
ますが、グラニセトロンというものは、制吐剤でございます。
 下段のブルーのところで、少し特記事項を書かせていただいておりますけれども、治験、
臨床試験に関わる部分がございますので、その場合は、先発品の銘柄指定ということで先発
品が残っているものも一部ございます。
 いずれにしても、そのような後発品の切り換えに当たりましては、患者向け説明に関して
一時的には主治医といたしておりますけれども、必要に応じて薬剤師からの補足説明を行っ
ているところでございます。
 8枚目のスライドでありますが、クリニカルパスというものに関しましては、患者様の知
識、教育の欄の部分に薬剤管理指導が理解できるといった項目を盛り込んでおります。
 以前は、薬剤管理指導の項目のみにしかパスの記載はなかったところでありますけれども、
こういったチェック方式、スライド上の右下の枠になりますが、チェックボックスを設ける
ことによって、ドクターの業務軽減、それとこういったものを見てもらう看護部門といった
ところのチーム医療といったところでのスタッフの意識の統一が図れるようになってござ
います。
 9枚目のスライドになりますが、レジメン管理におきましては、がん化学療法委員会から
の委任を受けて、レジメン審査委員会、これは9名の組織からなっているところでございま
す。
 当院では、この2つの委員会を併せてキャンサーボードと称しておりますが、その中にあ
りまして、薬剤部門では両委員会の事務局、院内への情報提供の広報活動、そこには医療安
全といったところのキーワードをもってしております。
 日常的なレジメン・チェック、無菌調製はもとより、ドラッグ・インフォメーション、院・
内外の研修担当という業務を行っております。
 10枚目のスライドは、ここからがばらつき等の紹介でございますが、同一DPCコードの
薬剤費、ここでは肺がんの治療の内容をお示ししてございます。
 肺がんでは、ベバシズマブという薬剤を使うことがございます。DPCとPDPSでの出来
高指定の請求となるわけでございますが、来年度以降の包括として請求を行うような場合の
検討課題が今後必要になるのかなと考えております。
 こちらには、ベバシズマブを含む4つのレジメンを紹介してございますが、横軸に在院日
数、縦軸に薬剤費用を示しているグラフになっておりますが、幾つか、そのプロットしてい
るポイントで見ていただくとおり、レジメンによって少しばらつきが出てきているというの
がございます。
 来年度以降、新規の分類を検討いただくところかと思いますけれども、やはり新薬の薬価
収載の際には、新たなレジメンが出るたびのDPCの検討をどのようになされていくのかと
いうのも、ここで併せてお伺いしたいなと考えて出席しております。
 続きまして、11番目のスライドでございますが、こちらは先ほどに類するところで肺が
ん領域の治療でございますけれども、横軸に在院日数、縦軸は薬剤費、経口剤も含めてのレ
ジメン内容を表しております。
 そして、円の大小といったところで、症例数の数を表しておりますけれども、この中で最
も多いとされるものが、シスプラチン、ビノレルビンというものでありますけれども、費用
は低額で、入院期間も短いといったところがおわかりいただけるかと思います。
 一方、経口抗がん薬のエルロチニブ、商品名はタルセバというものになりますが、こちら
は金額がやや突出しているというのが実情でございます。
 続きまして、12枚目のスライドでございますが、こちらはトラスツズマブ、現時点では、
乳がん領域の治療というものでグラフを紹介させていただきます。
 同様に横軸に日数、縦軸が薬剤費でございます。こちらは、1入院でトラスツズマブと放
射線療法の併用を行っておるところでございますが、該当する診断群の分類がないために、
ルールにのっとってトラスツズマブありで請求を行っているところでございます。
 トラスツズマブと胸部放射線の併用療法というのは、添付文書上警告となっていること、
診断分類上、過剰請求となり得ないというような問題があり、あえてトラスツズマブの投与
日を入院期間に含まれないように調整を行っているところでございますが、ただ、乳腺がん
領域のドクターからのリクエストあるいは情報によりますと、放射線との併用は特に問題な
いとの論文もあるという報告もいただいております。
 最後になりますが、今後の課題ということで申し上げますが、現在のDPC制度では、患
者に対して最適な治療が実施できるかということが問題かと考えております。
 抗がん薬の治療の副作用と、そのモニタリングの重要性を考えるとき、また、がん対策基
本法という流れの中での医療の均てん化という言葉もございます。治療の内容が施設、診療
科、治療レジメン、更には地域性。地域性といったところは、本論では紹介しておりません
でしたけれども、四国の実は県境の山間部あるいは諸島部といったところの患者様におかれ
ましては、外来での治療はなかなか希望されないというようなことから入院をしての治療と
いうものが実はございます。そういうことを含めての紹介ではありますが、地域性といった
ところも踏まえての検討も必要かなと考えております。
 いずれにしても医療費適正化政策の一環の中に後発品の使用推進ということもございま
すが、DPC制度といったとこの医療の質の確保、維持といったものを希望するところでご
ざいます。
 以上でございます。
 
○小山分科会長
 先生、ありがとうございました。引き続きまして、5番目、小笠原先生、よろしくお願い
いたします。
 
○小笠原参考人
 よろしくお願いします。倉敷中央病院の小笠原でございます。
 スライドに提示しましたように、倉敷中央病院は、岡山県の倉敷市にありまして、先ほど
のシミュレーションで赤字部分がかなり強く強調されていたと思うのですけれども、その
DPCの医療機関別係数というのがあります。当院は1.39ということで、この値を係数とか
けまして、実際の診療の中ではどういうふうになっているのかということを併せて発表させ
ていただきたいと思います。
 スライド3のところですが、今日、プレゼンテーションをさせていただきたいのは、高額
薬剤、先ほども紹介がありました。それから、ばらつきの実情がどういうものであるか、い
ろいろな例を挙げることはできるとは思うのですけれども、リツキサンの症例と大腸がん、
胃がんの症例について発表させていただきます。
 入院化学療法、最近は外来化学療法が盛んにやられておりますが、どうしても入院でやら
なければならない要件として、以下の点を挙げております。
 5枚目のスライドをごらんください。
 これは、当院における化学療法実施件数ということで、薬剤部から処方箋として切ってい
るものでありますが、入院化学療法が2007年をピークにして余り増えておりません。むし
ろ外来化学療法化に、今、どんどん移行しているという状況です。
 それから、スライド6は、当院はがん化学療法審査委員会ですべてのレジメンを管理して
おりまして、レジメンなしの化学療法は一切できないとなっております。
 化学療法審査委員会は、ドクター、薬剤師、そして看護師で構成されております。
 次のスライド、高額薬剤の話が出ましたけれども、抗腫瘍薬とか、分子標的薬というのは、
当然ながら薬価が高いのですけれども、今後、支持療法薬あるいは遺伝子検査というものも
注目しなければいけないと思っております。
 胃がん、大腸がんにつきましては、こういうふうな単剤あるいは併用療法、レジメンとい
うものがありますが、支持療法薬もガイドラインができておりまして、プラチナ製剤に関し
ましては、必ず3社製剤を使うようにというガイドラインが出ております。
 次に9枚目をお願いします。
 薬価は、こういうふうに非常に分子標的薬は高いのでありますけれども、支持療法薬もこ
れからどんどん新しいものが開発されれば、薬価が高いことによって影響を受けるものと思
います。
 遺伝子検査に関しましても、患者さんに適した化学療法をやるためには、こういう検査を
しなければいけないということで、これからも化学療法というものはお金の面でいろいろ考
慮すべきことと思います。
 FOLFOX、FOLFIRIのレジメンを以下に書いておりますが、また、参考にしていただき
たいと思います。
 11枚目ですが、FOLFOXとFOLFIRI、これは大腸がんによく使われるレジメンでござ
いますけれども、こういうふうなものを使っております。これは単価でありまして、実際は
体表面積当たりに換算して使用しますので、当然、薬に対する費用は上がってきます。
 それでは、同一DPCにおけるばらつきにつきまして、リツキシマブの症例を提示したい
と思います。
 非ホジキンリンパ腫に関しまして、40xがリツキシマブのDPCであります。
 次のスライド、15ページ目ですけれども、右肩上がりに直線上に上がっていくのが、こ
れがDPCで評価されている積算された医療費です。
 山型になっているのが患者数です。
 そして、青色がいわゆる注射薬で化学療法に使っているものです。注射薬に関しましては、
入院期間にあまり関わらず、大体同じような費用をかけておりますけれども、違いは入院費
といいますか、紫色の費用がどんどん上がっていくという、そういうことを示しております。
 ちょっと図がややこしいので、その下に症例数と在院日数、そして、対出来高差でマイナ
ス、プラスというようなところでプロットしております。
 当然ながらといいますか、10日以内の退院の場合は、マイナス部分が非常に多いです。
これはあくまでも1.4という当院の医療機関係数をかけた上での話ですので、もし、医療機
関係数が1だとすれば、この40%のところがラインになると考えていただきたいと思いま
す。
 次に、17枚目のスライド、なぜこのリツキサンの同じDPCコードで違いがあるかと言え
ば、当院、化学療法をやっていますけれども、チョップ療法をやって、その後、その有効性
と副作用を見た上で、次にリツキサンとチョップをやるというレジメンです。
 これは、なぜかというと、リツキサンで有効だったのか、チョップ療法で有効だったのか
わからないということと、チョップ療法は、かなり副作用が強いということで、こういうレ
ジメンを使っている。これが、長期間の入院のグループです。
 それから、その下は、チョップ療法が有効ではないという判断をされた場合には、当然チ
ョップ療法は使えませんので、それ以外のものとリツキサンというふうになりまして、大体
1週間以内に退院ということになります。
 リツキサンチョップ療法に関しましては、この2回を1入院でやりまして、その後、外来
化しているということであります。
 大腸がんと胃がんにつきまして御報告させていただきます。
 大腸がんの場合は、99xの後に2xとか付きますが、2004年では分枝が?の化学療法あり
というものだけでした。
 2005年4月にオキサリプラチンが薬価収載されまして、その2005年のデータを見ます
と、当院の7割がマイナスという現実、これはシミュレーションではなくて、現実になりま
した。これでポート化して外来化をするということが推し進められまして、翌年には20%
台になっております。
 2007年には、ベバシズマブが薬価収載されまして、その1か月後、8月から1SDルール
が適用されております。
 2008年に?、?と、FOLFOXとベバシズマブ。
 2010年にはFOLFOXとセツキシマブとベバシズマブ、こういうふうに分類されており
ます。
 21枚目、これは大腸がんの治療アルゴリズムで、これはガイドラインとしてきちんとあ
ります。ただ、DPC上は、FOLFOXだけが指摘されておりまして、FOLFIRIに関しては
指摘されていません。このアルゴリズムによりますと、FOLFOXあるいはFOLFIRIを対
等で治療すると、FOLFOXがだめであれば、次にFOLFIRIをやるというふうなファース
トライン、セカンドライン、サードラインというようなものがある。
 それで、FOLFOXとFOLFIRI以外で患者に副作用等々の負担が強ければ、?、?のレ
ジメンでやると、こういうのが大腸がん治療のアルゴリズムということになっております。
 22枚目、大腸の悪性腫瘍に関しまして、3つの化学療法の分枝があります。30x、4xx、
5xxとなっておりまして、FOLFIRIはFOLFOXと同等でありながら、30xに分類されてお
ります。
 続きまして、5xxに関しまして、分子標的剤を使ったものでどれぐらいマイナス症例が出
るかといえば、FOLFOX4と分子標的プラスFOLFOX4あるいはベバシズマブとXELOX、
こういったものがマイナス比率として出るのでありますけれども、その下のものを見ると、
これは症例数と在院日数、そして、DPCの3、4、5を分類しているのですけれども、大
半が3日、4日で退院しております。2日で退院とか3日で退院しますと、こういうふうに
赤字のマイナス分が出てきて、レジメンというよりは、このレジメンを採用したために早期
退院が可能であるということで、マイナス分が増えるというようなことであります。
 25枚目、これは直腸の場合も大体同様なことでありまして、同じく3、4、5と分枝し
ているものであります。
 胃がんにつきましても、大体同様の傾向がありまして、レジメンによってというよりは、
そのために2日で退院とか、3日で退院すると、どうしてもマイナス分が増えるというよう
な傾向にありました。
 27枚目のスライドでございますけれども、これも症例数を在院日数当たりに棒グラフで
書いたものですが、2日で退院、3日で退院、4日で退院というのがほとんどであります。
 そうした場合に、どうしても出来高差というものはマイナス部分が増えるということであ
ります。医療機関係数というものを含めて、当院としては、こういうことなのですけれども、
医療機関係数によって、各病院で異なってくるとは思いますけれども、こういうようなデー
タが出ております。
 結論といたしましては、丸1抗腫瘍薬とか分子標的薬だけではなくて、支持療法薬も高額
に次第になりつつあるというところです。
 それから、丸2非ホジキンリンパ腫のように、レジメンによっては短期入院グループとそ
うではないグループがあるのではないかというような指摘がなされております。
 それから、丸3大腸がんに関しましては、レジメンによるばらつきというよりは、レジメ
ンによる入院日数が異なるためにばらつくというようなことであります。
 先ほどから出来高評価ということが強く言われておりますけれども、私たちは、こういう
短期間で退院できるようなレジメンの化学療法は鼠径ヘルニア等々のように、短期滞在手術
基本料に準じた、1入院当たりのDPC/PDPSとするか、あるいは化学療法も手術に準じた
といいますか、化学療法というのは外科系の手術に匹敵する、それだけ真剣に治療しなけれ
ばいけない。そうすると、薬を一つ一つ評価するのではなく一連の化学療法(レジメン)そ
のものを出来高評価とし、手術や人工腎臓と同様に評価していくべきではないかと、そうい
うふうに考えた次第でございます。
 以上です。
 
○小山分科会長
 ありがとうございました。引き続きまして片桐先生、よろしくお願いいたします。

○片桐参考人
 市立豊中病院の片桐です。よろしくお願いします。
 私の方は、ある急性期の病院で全体に胃がんの診療がどのくらいを占めるのか、更にその
中の化学療法、抗がん剤がどういうふうな位置づけにあるかを順番にお話ししたいと思いま
す。
 当院は、大阪市の北にあって、38万の人口、自治体病院で、周辺は大小の病院が密集し
ている状態です。
 急性期病院で594床で、利用率が95%、あと、地域医療支援とか、がん診療拠点、周産
期母子センターなどを兼ねております。
 1年間の入院が大体1万6,000件くらいです。DPCの適応率が89%、入院のうち30%
は救急外来からの入院ということになります。
 2枚目をごらんください。
 昨年度後半、6か月のMDC、6けたで見る退院数を示しています。
 やはり高齢者の誤嚥性肺炎とか、肺炎・急性気管支炎、あるいはがん化、消化器で、悪性
腫瘍が4番、6番、7番、9番、それから非ホジキンリンパ腫が15番に位置づけます。
 3枚目は、このMDCの収入で見ますと、若干悪性腫瘍が順位を上げていて、非ホジキン
リンパ腫がここで8位に入ってまいります。
 次に、4枚目をごらんください。
 まず、基準として、一応出来高で計算したものとどのくらい差ができるか、プラスになる
か、マイナスになるかで大まかなところをつかみたいというところなんですけれども、4枚
目、MDC6けたで出来高と比較して増収になるものと減収になるものを示しています。
 増収となるものは、非ホジキンリンパ腫、それから肺の悪性腫瘍、胃の悪性腫瘍、DIC、
脳梗塞と続きます。
 減収になるものというのは、1当たりの額の多いものは難治性の真菌感染とか呼吸不全と
いうことになります。
 5枚目をごらんください。
 当院では、いろんな診療科でいろんな分野で悪性腫瘍の診療、化学療法をやっているんで
すけれども、勿論、入院患者数、診療報酬から見て、かなりの部分を占めることになります。
 本日のテーマであります化学療法、高額薬剤の問題を考えるために、内科の方のデータに
絞ってお話をさせていただきます。
 5枚目のスライドは、内科の方のMDC6けたでの疾患頻度ですけれども、消化器の良性
疾患が1番、肺炎が2番なんですけれども、3、4、6に肺がん、胃がん、非ホジキンリン
パ腫、そして、肝・肝内胆管、肝がんが続きます。
 6枚目のスライドですけれども、これはMDC6けたの収入金額で見ると、どうなるかと
いうことですけれども、非ホジキンリンパ腫が第1位に上がってきます。3、4、6にそれ
ぞれ肺、肝、胃などのがんが入って、急性白血病が9位に上がってくる。
 大体常時40名くらいの血液内科入院があるので、ちょっとやや偏っているかもしれませ
ん。
 次に、7枚目のデータをごらんください。
 これは、MDC6けたで出来高に比べて増収となるものを示しています。
 1位が非ホジキンリンパ腫、2位が肺の悪性腫瘍で、胃、食道の悪性腫瘍等も上位に入っ
てまいります。
 次の8枚目のスライドですけれども、これはMDC6けたで出来高比較で、減収になるよ
うな病を示しています。
 肺炎、気管支炎、消化器良性疾患は、減収額が多いです。あとは、この後半6か月では悪
性腫瘍というコードには入りませんが骨髄異形成症候群が7位に入っております。
 9枚目のスライドは、もう少し細かくDPCのコード別対出来高比較増収となるものの順
位です。
 やはりリツキシマブ使用の非ホジキンリンパ腫、それからペメトレキセド、肺がん、それ
からがんではありませんが、γグロブリン対応の出血性疾患、あるいはトロンボモデュリン
αやATIIIで治療されたDPCなどがここに入ってまいります。
 第7位に急性白血病とありますが、これは高額薬剤ではなく以前からずっと今も用いられ
ている標準療法のレジメンでの治療ですけれども、これもよく担保されていると思われます。
 10枚目がDPCコード別の出来高、減収になるものですけれども、1例当たりで見ると、
真菌感染や難治性の呼吸器障害、それから、後で少し触れますけれども、急性白血病のゲム
ツズマブオゾガマイシン、マイロターグと言われる薬ですけれども、これを用いた場合と、
あるいは有効な治療が確立していない、骨髄異形成症候群で大きな減収になります。
 11枚目なんですけれども、こちらの方は、当院の化学療法のレジメン管理を示したもの
です。
 一応、外来化学療法委員会の下部組織にレジメン審査委員会があり、そこに審査したのち
薬剤部でレジメン登録を行います。
 レジメン登録をしないと、入院、外来ともに化学療法はできないとなっています。
 ただ、それぞれの専門領域のことになりますので、それが最新、最良で標準治療ないしは
それに準ずるものであるというエビデンスを出してもらって、それが保険医療の枠内で可能
ならば、原則許可して、このときは、収支のことは一応周知はしますけれども、それによっ
てレジメン審査には影響しないということになっています。
 12枚目のスライドですけれども、DPCでどういうときに大きな減収になるかというのは
重要な問題で、先ほどリツキシマブレジメンの非ホジキンリンパ腫の治療というのが増収に
なるということを示したんですけれども、これは例えばペメトレキセドで肺がんを治療する
場合と同じで、初回のクールが終了したら、外来化学療法に移行してしまいます。
 あと、入院治療で負荷が大きくなるのは、そして経営面でも圧迫しがちになるのは、より
難治性で治療抵抗性の場合です。
 同じ非ホジキンリンパ腫で、減収になるものをそこにお示ししています。もともとリツキ
シマブとは無縁の成人T細胞性リンパ腫、それからリツキシマブなどが効かなくなったよ
うな、難治性、治療抵抗性の濾胞性リンパ腫などは、そこに書いてありますように、ベンダ
ムスチンというような薬を使用した場合など、かなりの減収ということになります。
 13枚目ですけれども、これは同じコードで非常によく患者さんの状況によって変わって
くるというのを端的に示す例を1つ挙げたいと思います。
 4例は、すべて急性骨髄性白血病で、DPCの分枝コードはすべて同じです。
 再発の対する寛解導入のために、ゲムツズマブオゾガマイシンというのを使うわけです。
 4例ありまして、在院日数はほとんど同じ、それで最下段だけ少し増収で、あと3例は減
収、その差は約90万円になります。
 4例目は、実は3例目の急性骨髄性白血病、再寛解導入後の地固め療法というのが、条件
が一番いいわけですね。1例目、2例目は、急性白血病のM0、2番目が非ホジキンリンパ
腫で一旦化学療法して治癒したのですけれども、7年目に治療関連急性二次白血病というも
のになりまして、寛解導入する場合、どちらもすごく条件が悪くて合併症が起こりやすい。
 こういう場合は、同じコードでも経営の負荷という点で見ると、全く異なるということに
なります。
 14枚目から少し私見を述べたいと思います。
 病院長の立場といいますか、病院経営の立場からは、たくさんの患者さんがいろんな病態
がございますので、個々の患者の影響、余りあれこれ言っても仕方がないという気もします。
 当院は、地域医療圏での立ち位置とか、設立母体から見て、救急、周産期、小児がん、そ
れに心血管などを含めて幅広く対応するのが役割なので、病院全体を見て経営を考えるのが
筋というか、それしか手がないというのが実情です。
 それは、ある程度の病院規模と入院患者数の数、それから疾患のバラエティーがあれば、
多少の増収、減収というのが均てん化されるので何とかなりますけれども、もっと規模を小
さくあるいは疾患の多様性がそれほどない、あるいは個々の診療科での収支が非常に厳しい
というような状況では、ちょっといろんな影響が大きくなってくるんではないかと思います。
 DPCにおける高額薬剤については、現行の分枝化していただくと、それなりに機能して
いて、それほどコードが精緻化して、複雑化するわけですけれども、それほど問題になるほ
ど複雑だとはちょっと思えない。
 ただ、いろんな適用拡大がどんどん進んでくると、高額薬剤同士の組み合わせとか、いろ
いろ出てきますので、そうなると、簡単にはいかないかもしれません。
 それで、1SD、ここで取るというのは、それなりに一つの見識だと思うんですけれども、
分枝コードされている薬と、されていない薬も価格的には差がないというのがよくあるわけ
ですね。そうなると、ちょっとつらいときがあるので、高額薬剤というのは、とりあえず出
来高にしていただいて、ずっと出来高がまずいというのであれば、1年でもいいですから、
1年間、例えばそのレジメンなり薬の位置づけというのは、かなり明らかになります。です
から、そうしていただけると、非常に助かると思います。
 最後のスライドですけれども、体格差とか使用薬剤量はかなり違うときがあります。それ
から、高齢とか合併症があって、副作用が出て、レジメンが十分使えないというようなこと
もあります。それでも全部同じなるというのは、ちょっと不思議な気もしないでもありませ
ん。
 一番危惧するのは、白血病の例で示しましたように、難治性治療抵抗性など、病態が悪く
て、そういうときはすごくDPCのこの制度では不利になる。そういうふうになると、なか
なか受入先がそれで制約が起こってこないとも限らない、そういうことを未然に防ぐために
も高額薬剤は出来高にして、その後に検討していただくというのが、一番いいのではないか
と思います。
 薬剤費というのは、しょせん、医療機関にとっては。

○小山分科会長
 先生、そろそろ。

○片桐参考人
 済みません、患者さんに投与して、それでお金の面では出ていくだけですので、医療資源
という点では、人的なことも大きいので、どうぞ、その点の御配慮をお願いできたらと思い
ます。ありがとうございました。

○小山分科会長
 ありがとうございました。今までは、それぞれ病院の立場でもって御発言をいただきまし
た。最後に、井原先生は、保険側のお立場で御意見をいただきます。
 先生、よろしくお願いいたします。

○井原参考人
 支払基金の井原でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 私は、資料が丸1丸2丸3と3部に分かれてございます。丸1丸2は、レセプトの写しで
ございますが、皆様御存じのように、もう既に電子レセプトになっておりまして、実際、私
どもは、この形で審査をしているわけではございません。これは、審査委員同士で協議する
とき用に支払基金の中で打ち出して見やすくした紙に印字したものでございますので、通常
のレセプトの様式とは異なるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、多少お見苦しいのですが、個人情報に関すること、及び医療機関別係数その他
のところは黒で抹消してございますので、特定できないように配慮はしてございます。
 丸1丸2がレセプト、丸3は私の若干考え方を述べた1枚ものになっております。
 レセプトは、普段ごらんになっていない先生からはなかなか理解が難しいところがあるで
しょうけれども、わかりにくいところがあれば、後ほど御質問をいただければと思います。
 では、まず、資料丸1をごらんください。2件は両方とも平成22年4月、前回改定後の
ものでございます。この審査時レセプトをごらんになっていただきますと、まず、DPCの
傷病名はS3200、腰椎の圧迫骨折ということで、医療機関はコーディングをしております。
 すぐその上を見ていただきますと、そこに上6けた、16の0690というコードと同時に、
そのあとにDPCの分類の番号が書いてありますが、ごらんになっておわかりのように、手
術だけは区分に、いわゆるツリー図に設定がございますが、あとはすべて×印になっており
ますから、処置等1、2、つまり関連ある手術とか化学療法とか、全くこういうものはツリ
ー図上評価をしていない分類区分であるということは、容易におわかりいただけると思いま
す。
 そして、入院時併存傷病名というところを見ていただきますと、乳がんの再発、この方は
骨折でコーディングをしているけれども、乳がんがあらかじめあった患者さんだということ
がおわかりいただけます。
 そして、入院区分も緊急入院ですから、恐らく骨折があって緊急に入院されたものと理解
できます。
 右側をごらんいただきますと、退院時にもまだロキソニン、ボルタレンといったかなり鎮
痛療法に苦労なさってこのコーディングを選ばれたと思います。
 1枚めくっていただきますと、コーディングデータが書いてあります。私、前回、この分
科会に呼んでいただきまして、そのお陰でこのコーディングデータがつきまして、齊藤先生
からもご賛成いただきまして、お陰で今回、こういう例がわかるのでございますが、コーデ
ィングデータの1枚目を見ていただきますと、ごらんになってわかるように、やはり鎮痛剤
やなかなか患者さんの痛みに対して主治医の皆さん、一生懸命なさったことがよくわかりま
す。
 そこで、コーディングデータの2枚目を見ていただきますと、ちょうどこの入院中に、中
ほどになりますが、タキソールとハーセプチンという抗悪性腫瘍剤が投与されております。
投与されておりますが、最初にお話ししたように、この分類区分には最初から化学療法は設
定されておりませんので、これはせっかく化学療法をなさっても残念ながら評価されていな
いと、恐らく、今日、お話になった最初の5、6方は、恐らくこういう例が出てくるのだと
いうこと、これが奇しくもわかった事例でございます。この部分は残念ながら病院さんの持
ち出しといえば、そうなのかもしれません。
 次に、これとは逆に、資料ナンバーの丸2にいっていただきます。
 この一番上にございますのは、総括表と申しまして、同一月にレセプトが2件以上あった
場合には、必ずこの総括表を書いていただいて、その理由を書いていただくということでご
ざいます。
 ここに書かれているのは、入院3を超えて入院している、つまり2SD、DPCの設定を超
えて入院したと、だからレセプトが複数件あるんですよということでございます。中を見れ
ば、DPCレセプトと出来高に分かれております。
 1枚めくっていただきます。これがDPCのレセプトでございます。傷病名は直腸がんと
いうことでC20でございます。すぐ上に上6けたは06の0040と、そのあとにざっとあり
ますが、手術は99でなしでございますが、手術・処置等2のところに5番ありとなってお
ります。
 そこで、一番下を見ていただきますと、何をしたかといえば、平成23年3月22日にベ
バシズマブを投与したということが書かれております。
 そして、もう一回上に目を向けていただきまして、この患者さんが入院なさったのは3月
14日のことでございます。そして、3月19日にDPCは退院と書いてありますが、DPC
の場合は、終了して出来高に移行した場合も退院というところに日付が入ることになります。
この場合、19日で2SD、つまり特定入院期間が終わったということを意味します。
 したがって、この患者さんは、退院したわけではございません。引き続き入院しておりま
す。
 そして、そのすぐ下に目を移していただきますと、入院1に14125点が2日、つまり金
額にしますと、14万1,250円を2日間支払うと、こういう化学療法を評価した分類区分に
なっております。
 その次からは、いきなり、つまり4万円に下がる、つまり化学療法があることによって
14万円という非常に高価なお金が評価されている分類区分であります。
 そして、次から以下、DPCのコーディングデータがずっと書かれておりますが、いろい
ろな検査をなさったり、いろんな処置をなさっておりまして、全く問題はないのであります
が、この中で、この化学療法のコーディングの中を見ますと、評価をされた金額の対象の薬
剤は入っておりません。
 そして、その次、右上に7ページと書いてございますが、これは出来高のレセプトになり
ます。つまり、DPCの期間が終了して出来高に、この患者さんは移行したということにな
ります。
 そうしまして、その次のページ、右上で8ページと書いておりますが、その左中ほどから
下をごらんいただきますと、点滴注射が、中心静脈注射がされておりまして、ここにアバス
チンですね。それから、トポテシンというような抗悪性腫瘍剤が使用されておりまして、こ
こでその日の薬の薬価としては15469点、つまり15万円を超える薬剤が出来高で算定され
ていると、こういうことになります。
 では、どうしてこれを我々がどうすることもできないかというのは、最後にツリー図が付
いております。
 この患者さんは、DPCとしては、当然手術はなしでございますから、上の方の7つぐら
いを見ていただければよろしいのですが、手術なしというところの手術・処置等2のありの
5番のところですね。上から7番目になりますが、6日間のDPC設定で、点数がこのとお
り請求されております。
 ところが、この患者さんは、6日以内に化学療法を行いませんでしたので、当然、上の1
番目か2番目に該当します。20日、37日という長期の設定でございますので、この患者さ
んは、1入院期間という視点でとらえますと、どういう時点で化学療法を決意し、行われた
としても、調整をするときには、必ずこの下の5番、ありというところを選択すれば、もう
6日間でDPCは終了するという部類区分になりますので、この請求法で何ら問題はないと、
我々はそう考えざるを得ない、現時点では、ルール上、そう判断する、こういう事例でござ
います。
 以上、化学療法、抗悪性腫瘍剤に関しましても、いろいろな事例が、審査現場では存在し
ているということになります。
 次に、1枚もののA4判の資料でございますが、いわゆる平均+1SDルールについて、い
ろいろ今日も御指摘がございました。
 我々から見ますと、この薬剤、これに該当した薬剤があると、出来高請求になります。出
来高請求されているレセプトの中に、どうしても担当の先生方は保険に通った、薬価が認め
られたということの方に、やはり視点はいきますので、適応症に対する理解が必ずしも十分
ではない。したがって、理解されているとは言い難い請求例があることは事実でございます。
 ですから、このルールをきっちりと周知するということは、我々も責任がありますし、や
る必要がございますが、やはり告示等で示される際に、薬剤名と適応症だけではなくて、本
来、1SDから外れればDPCの話でございますから、DPCだとすれば、この上6けたの診
断群分類に適用があるんですよということまできっちりと指定表示していただければ、使わ
れる先生方も、この薬剤はここでなければいけないのだということの理解が今以上に深まる
のではないかと、そんなような工夫ができればしていただきたいと思います。
 次に、DPCを高額薬剤から外すという御意見が今日もございましたが、一定額以上の薬
剤をすべて外すという御議論が確かにあるのでございますが、現行のDPCの記載要領とい
うことをちょっと考えていただきますと、これは各傷病名の数が限られております。最大で
も13です。今でもこの記載病名数に制限があることから、なかなか出来高部分の審査に苦
慮している部分があるものでございますから、高額薬剤が同一レセプトで次々出てきますと、
一体どのように審査をしたらいいのか、傷病名を正しく書いていただけるのかどうかという
点で、私は審査の現場でかなり混乱をするといいますか、審査に支障を来す可能性は極めて
高いと考えております。
 それから、抗がん剤に限って外すという御議論もあるのでございますが、これは抗がん剤
が極めて重要、それはだれにも異論がない、そのとおりだと思いますが、しかし、今日もほ
かの薬剤もございますように、抗がん剤に限ってということになりますと、これに匹敵する
薬剤はほかにもいろいろありますので、やはり不公平感というものは否めないのではないか
と、この辺には十分御配慮いただきたいという思いはございます。
 それから、これらに共通する問題点としまして、やはりここは人情でございますから、出
来高で請求できる、わずかの金額の違いで、この薬なら出来高でできる、この薬はだめだと
いうことになりますと、どうしてもやはり高額の薬剤を優先して請求してくるということは、
医療機関を信じてくださいとおっしゃられれば、そのとおりでございますが、やはりそうい
った危惧というものは、私どもは抱かざるを得ないと、やはり適正な保険診療という視点か
ら考えますと、やはりこの辺については、いささか危惧があると、私は考えております。
 最後に、私、そこにおられる吉田先生の御指示もありまして、この制度ができました2003
年の4月診療分、5月請求分からずっと8年以上、DPCレセプトを見てまいりましたが、
通じて感じていることは、やはり今日、お話になったような細かいことは、確かにいろいろ
あるのでございますが、このDPC制度というものを病院としてどのように受けとめている
のか、どう考えている、そして、どのようにレセプトをつくっているという、その観点から
見ますと、やはり医療機関ごとのばらつき感といいますか、温度差というものは、非常に残
念でございますけれども、あることは事実だと思います。
 そして、やはり経営のこと、当然でありまして、医療機関としてはどうしてもPDPSの
部分、支払額の部分に関心が集中するということは、十分理解できるのでございますけれど
も、そして、本日のように、そうした具体的問題に対して、きちんと対応していくというこ
とについて全く異論はございません。
 それはそうなのでございますが、その一方において、そうした部分は、当初8年以上前に
この制度ができたときには、病院全体として考えるという議論もあったと、私は記憶してお
ります。
 したがいまして、やはりDPCが、普段、松田先生もおっしゃっておられるように、やは
り日本の入院医療というのを考える上で大変すばらしいものだと、また、各病院が自分たち
の病院のなさっている診療行為がどうだということを他と比較する、いろんな意味で、大変
有効なツールであるということも、また事実でありますので、各病院にはコーディング委員
会等が必ず設置されているはずでございますから、やはりそういったところで十分にDPC
の本来の意味ということもお話し合いになって、DPC/PDPSという制度全体に対して、も
う少し広い視点で見ていただいて、そして、理解を深めていただいて、適正なレセプトを提
出されれば、私どもは大変にありがたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思
います。
 どうぞ、よろしくお願いします。ありがとうございました。
 
○小山分科会長
 井原先生、ありがとうございました。これで、今日、お越しいただきました先生のお話を
すべて終了いたしました。予定時間よりも8分ぐらい延長しておりますけれども、ほぼ順調
に終了いたしましたことを感謝申し上げます。
 それでは、これから議論をしたいと思うのですが、ただ議論するというと、いろいろ話が
ややこしい話になりますので、手元の資料の診調組D-2をごらんください。ここに高額薬
剤等の取扱いに係る論点という形で書いてあります。これが、今日のお話の一番の抜粋であ
りますけれども、めくっていただきまして、2ページ目の下の指摘されている課題等につい
て、これから一つひとつ議論をしたいと思います。
 ただ、ここの議論が始まる前に、個別にここだけは、個別のヒアリングに来ていただいた
先生方にお聞きしたいということがありましたら、ちょっとだけお引き受けしたいと思いま
すけれども、特に、個別の質問はよろしいでしょうか。
 よろしいですか、では、全体的な討論で、資料D-2の2ページ目の(3)のところから
議論を進めたいと思います。
 まず、指摘されている課題ということでもって、まず、1つ目の議論は、在院日数への影
響ということでもって、ちょっと読まさせていただきますけれども、1日当たり定額という
DPC/PDPSの特性から、薬剤投与量が全体のばらつきでない場合であっても、投与日や在
院日数にばらつきが生じている場合には、平均在院日数に相応の在院期間がないと十分費用
償還ができないため、在院日数を延ばすようなインセンティブが働いているというような御
議論がありましたけれども、これについては、どうでしょうか、皆さん、どのようにお考え
になりますでしょうか。
 つまり、在院日数が、本当はもっと短くできるのだけれども、取るために長くしてしまっ
ているという議論があったと思いますけれども、そこら辺については、いかがでしょうか。
 どうぞ。
 
○瀧内参考人
 これは、当院ではございませんが、聞くところによりますと、やはり在院日数が短い場合
には赤字になるということで、わざと入院日数を延ばされている病院もあると聞いておりま
すので、やはり施設間のばらつきは若干あると思います。それは経営方針によると思います。

○小山分科会長
 どうぞ。

○宮坂参考人
 私の発表のところでもスライドの11枚目をごらんいただければわかりますけれども、例
えばレミケードという点滴の薬は、平均入院日数は2日なのに、皮下注射の薬は13、14で
すね、これは明らかに経営のことを考えて、言い方は悪いですけれども、損しないために、
あるいはもうかるためにやっている。同じ生物学的製剤でありながら、点滴と皮下注射だけ
でこれだけ違うというのは、やはりそういうことが関係してきます。

○小山分科会長
 これは、ときどき話を聞きますけれども、いかがでしょうか。
 そこら辺の日数に関しては、基本的には2年ごとに見直しをしてやっていくわけですね。
今日、皆さんのお話をお聞きしますと、どうしても収益ということが前面に出てしまうんで
すね。そうではなくて、患者さんにとって一番適切な在院日数は何日かということをどうか
考えていただくと、すごくいい制度ではないかと思うのですけれども、今までの出来高の点
数のように、収益だけを考えていってしまうと、ちょっと違うのが、このDPCなのかなと
いう感じは持ちますけれども、いかがでしょうか、この在院日数と償還価格というのですか、
収益の問題については、何か御意見はございますでしょうか。
 どうぞ。

○松田委員
 御指名ですので、1つは、今のDPCの場合は、使われた実績に基づいて点数を決めてい
るというのがあると思うのですが、もし、学会全体として、こういう新薬等について標準レ
ジメン、日数も含めて標準レジメンが決められるのであれば、実績に応じてというよりも、
標準レジメンに基づいて価格をシミュレーションするということは、あらかじめ決めること
ができると思いますので、諸外国の例でいいますと、大体こういう高額薬剤というのは、ポ
ジティブリストで出来高化してやるか、あるいはレジメン化してやるかという、この2つの
方法しかないわけですけれども、ただ、日本と違うのが幾つかあります。
 1つは、国全体でレジメンをきちんと決めているということ。これは保険者の支払方式と
連動してレジメンが決まっているということでございます。
 もう一つは、行える医療機関並びにその制度が、いわゆる報酬とリンクしていますので、
行える機関、それを行える医師が指定されているという問題があります。日本の場合、ここ
ができていないということがかなりばらつきの原因になっている部分もあると思うのです
けれども、それをどうするかという問題が、やはりこの問題の根っこのところにあるのかな
と思っています。
 ただ、今、だらだらと話しましたけれども、レジメンの方で初めからかなりきっちりした
ものがあるのであれば、それに併せて最初から点数を設定するという方法もあり得るのかな
と思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ある意味、逆にDPCの反省点として、やたら在院日数が短くな
り過ぎてしまって、実は患者さんがとっても被害を被っているというような実情も考えます
と、そこら辺のところでもって、一番いいところは、どこなのかなというのは、今までは、
このぐらいだろうというような中でお話をしてきたのですけれども、現在は、DPCからい
ろんなデータが出てきて、そのデータをベースにして、では、この治療をしたら、全国平均
はこのぐらいで、適当なところはここだろうというような数値の付け方をしていますね。で
すので、逆に言えば、今、宮坂先生がおっしゃったところは、リウマチを主に扱う先生がど
う考えて、この皮下注射と静脈注射を最適な治療にもっていくかという方向の1つの方向性
を示すような形になるのではないかと思いますが、どうぞ、先生。

○宮坂参考人
 皮下注射が長いというのは、決して本来の姿ではなくて、むしろ、副作用が多いのは、点
滴、静注製剤の方が多いわけですから、それなのに皮下注射を長くしているというのは、こ
れは明らかに経営のことを考えているんですね。だけれども、今のシステムではこれを止め
られない、これをコントロールできないというところは、やはり問題だろうと思います。
 ですから、今のシステムがこれでいいとは思いませんけれども、これをコントロールでき
ない点が問題だろうと思います。

○小山分科会長
 どうぞ。

○山口委員
 標準レジメンに基づいてという議論の中で、ガイドライン等の改定のスピードを見ますと、
もう毎年改定するような、特にがん、大腸がんとか、そういう頻度になってきていますので、
標準レジメンという言葉で、それをすごくスタティックなものと考えるのは、なかなか難し
くなりつつある現状もあるのではないかということを、ちょっとコメントします。

○小山分科会長
 ありがとうございます。今日の説明の中で、たしか小笠原先生ですかね、1入院当たりで
決めてしまったらどうかというような御意見もありましたけれども、そこら辺のところは、
いかがでしょうか。

○小笠原参考人
 これは、薬だけを取り出して出来高にすると、いろんな問題が起こってくるのではないか
ということから、もう少し大きく包括したものか、あるいはそういうレジメン、化学療法を
使用する薬剤も含めて、出来高にするかという、そういうのをアイデアとして浮かんだので
提案しました。

○小山分科会長
 ありがとうございます。この入院期間、在院日数に関しましては、両方短くすることにイ
ンセンティブを与えるというのも1つですけれども、逆に長くすることに対するインセンテ
ィブを与えるという両方の考え方もありますけれども、どうでしょうか、ほかに御意見はご
ざいませんか。
 特になければ、方向性とすると、短期入院で採算が合わないということに対しては、今後
DPC評価分科会としても検討する必要がありますが、このベースとなるのは、DPCのコー
ディング委員会というところにもなりますので、恐らく皆様方の御意見がそこら辺に反映さ
れてくるものだと思います。もう少しこの在院日数の、私の感じではすごく短くなり過ぎて
しまって、実は患者さんはもう少し入院したいのだけれども、無理やりとは申しませんけれ
ども、退院しなければならないような状況が起きているのがちょっと心配なので、単に短く
するだけではなくて、少し長くする方にインセンティブも働く必要があるのかなという感じ
をもっておりますが、よろしいでしょうか、在院日数に対しては何か御意見はございますか。
 どうぞ。
 
○池上委員
 基本となるのは、医療の質の担保だと思います。その際、コーディングセット、あるいは
様式1から具体的にレジメンどおりに行われているかどうかということの検証と、そのレジ
メンに対応した患者の特性があったかどうかということを何らかの形で評価するというこ
とが、今後の課題だと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。瀬戸先生、どうぞ。
 
○瀬戸委員
 入院、在院日数のことに関して言えば、胃がんにハーセプチンが通るようになって、東大
病院で調べてもらったのですけれども、やはり入院期間が延びると、病院自体の収入という
意味では赤字にならないんですね。
 そういう意味では、恐らくはどうしてもこういった高額の抗がん剤を入院で使う場合には、
在院日数が長引く方向に、現状ではいってしまわざるを得ないではないかと思うのが1つと、
ただ、その場合、どうしても例えばハーセプチンなんかは3週に1サイクルなんですね。3
週ごとに何日間かずつ入院していかなければいけないという、それも患者さんにとっては明
らかに不利益になるわけですから、そこもやはり考えなければいけなくても、それはかなり
難しいことなのだろうと思います。

○小山分科会長
 問題は、だれがそれを考えるかですね。3日ごとに退院させるのは患者さん大変じゃない
のと親身になって考える方はどなたかかというところが、主語が非常に問題になるのであっ
て、それをこの評価分科会で考えるのか、それとも各医療機関の先生方が考えるのか、そこ
が問われているのかなという思いもするのです。
 ですので、患者さんを中心に考えたときに、やはりこれだけ必要だということを言って通
せるようなものがあると、実はその2年後に、これだけ必要だというような評価になると思
います。ですので、どっちがというのは、なかなか難しいので、そこに余りインセンティブ
を与えることができないような感じがするのです。ですので、だれが3日ごとの入院はかわ
いそうだから、1か月間入院させておいた方がいいのではないのというようなエビデンスで
すか、そういうものを考えていただくのがという感じがするのですが、どうですか。

○瀬戸委員
 恐らく在院日数への影響というのは、確かにあるだろうというのがこの項目に対しての結
論であって、在院日数を第一義的に考えるための、今日は会ではないと思うので、それはあ
くまでも在院日数へ影響は出てしまうということが、ここの項目の対する結論だと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかにどうでしょうか。
 どうぞ。

○伊藤委員
 今日のデータを見せていただいて、大変面白かったというと、怒られてしまうのですけれ
ども、前半のプレゼンテーションを聞いていると薬剤費によって収支がプラスも、マイナス
もいろいろで、後半のプレゼンテーションで見ると収支がプラスになっていることも多くて、
オーバーオールで見たときは、多分全体として見てプラスになっていそうな、薬剤費が持ち
出しになっていないというのがデータとして出ているように見えます。当初は宮坂先生とか、
島田先生に組して薬剤の外出しの話をしようと思っていた元気がなくなってしまったので
すけれども。ただ、一部、チェリーピッキングのような形で一部の患者さんは長く入院させ
ておきたい。患者さんの短期入院の希望を診療報酬上の理由で無理に長くしていることは防
がなければいけない。そういう点からばらつきをできるだけ小さくするような、先ほど小笠
原先生が言われたような抗がん剤とか特殊な薬剤に関してだけは、DRGと、入院期間を別
にして診療報酬を一本化するというような折衷案的なアイデアを出してもいいのではない
かという気がいたしました。

○小山分科会長
 ありがとうございます。そこに例えば先ほど松久先生がおっしゃった四国の県境のところ
の病院のお話もされましたけれども、そのいわゆる交通手段によっては、場合によっては、
もう少し長くさせなければならないというところもあるので、この辺のところは、実はここ
の議論よりも、もしかすると、基礎係数あるいは調整係数の方でもっと議論すべきことかも
しれませんね。
 ほかにいかがでしょうか。では、在院日数は、一応そういうことでもってお話をさせてい
ただきました。
 では、その次のページ、丸2であります。新たな高額薬剤のDPC/PDPSにおける取扱い
ということでもって、さまざまな御意見が出てまいりましたが、いかがでしょうか。これに
対する御意見をちょっとお伺いしたいと思います。

○吉田分科会長代理
 もともとこのDPCが病院全体ではプラスになるようにという調整係数なんですね。です
から、初めから血液内科とか、抗がん剤については赤だろうと、だけれども、病院全体とし
ては黒ですよということで調整係数が出たんですね。
 ですから、個々の診療科でもってやると赤は出ると思います。実際、医科歯科大なんかで
全体を見ていると、ほかの科でもってプラスになっていますから、多分赤字ではないですね。
 そういう点から言えば、このDPCとしてやっていく、それから、そういうことがありま
したので、丸山主査がやっていますように、高額な製剤が出た場合には、1SD超える、超
えないかはすぐ計算すると、それで計算した場合にそこで検討して出来高にするという方策
をやっていますので、私、見ていてこのままでいいのかなと、先ほど伊藤先生が言ったみた
いなプラスもマイナスもありますけれども、科によってやってしまうと、全部マイナスにな
ってしまうんですね。血液内科は全部赤ですね、だけれども、緊急とかほかのいろんな医療
収入を含めて、例えば医科歯科大なら病院全体ではプラスですよという調整係数がいったわ
けですね。そこから論定しないと、この科が赤だからだめだというと、今、実際、各大学は
血液内科は赤なのでもうなくしてしまおうかという大学があるんです。そうではなくて、全
体としてやっているのだから、別に患者にとって血液内科というのは必要ですね。そういう
大学も出てきていますので、そういう間違えた考えにもっていかないようにしなければいけ
ないのかなと思います。

○小山分科会長
 どうぞ。

○齊藤委員
 小笠原先生の御意見をちょっと伺いたいのですが、先生、リツキシマブのことをかなり話
していらっしゃいましたね。リツキシマブは、高額薬のかなり古顔であって、それで1SD
で初め外出しになって、その次の改定のときにリツキシマブ使用例というのが包括の枝の名
前の1つになったわけですね。
 それで、この問題は治まったのかなと思っていたわけですが、また新たなレジメンと合わ
ない場合があるとか、多々問題を指摘されている。だけれども、それは許容できないほど困
難なことなのでしょうか。つまり、1SD出たものはある時期は緊急として外出ししなけれ
ばならないけれども、次の改定のときには、できるだけそれを含めた診断群として1つ枝を
設けて、それで包括化していきましょうというのが、基本的な考え方で、ほかの抗がん剤な
んかについても言えていたことだろうと思います。
 リツキシマブが、やはり具合がよくないのだと言われてしまうと、高額薬の先発隊を見る
ものとしては、あれっという気になってしまうのだけれども、本当に具合が悪いのですか、
それが逆に、さっきこれの豊中病院の片桐先生なんかは、リツキシマブを使うような非ホジ
キンリフォーマがあって、結構たくさん黒字を出して、いい収入出ていますねと、こういう
ふうに言っておられるわけですね。だから、リツキシマブを使えば、全部具合が悪いことに
なってしまうわけではないというのは、豊中病院のデータから言えば、むしろかなり調子よ
くいっている方で、それで結局、でこぼこがいろいろあるけれども、DPCというのは病院
全体としてはうまくいきますねと、先ほど分科会長が言われたような方向なのだろうと思う
ので、それはリツキシマブの点から見れば、すごく不都合なのですか。

○小笠原参考人
 ちょっと誤解をされているところがあるかもしれませんが、こういう早期に化学療法を使
う、リツキシマブを使う群と、少し後で3週間後、4週間後で使う群がありますよというこ
とでありまして、先ほどのレセプトのところでも少し出たと思うのですけれども、化学療法
というのは、最初には25パーセンタイル、それは償還できないということ、5パーセンタ
イルという前倒しにしてきたわけですが、必ずしも化学療法というものでそういうふうに前
へ前へと、入院してすぐやる、医療資源をつぎ込むという場合だけではありませんよという
事例を御紹介いたしました。

○齊藤委員
 それでは、リツキシマブに限って言えば、制度設計としては、どういう制度なら納得でき
て妥当だと思われますか。

○小笠原参考人
 これを見て、大分考えたのですが、それはわかりません。

○齊藤委員
 そんなにDPC全体として見れば、リツキシマブのてん末というのは、困ったことになっ
たことではないと理解できるのかなという気がするんです。
 それと同じことは、さっきの宮坂先生が示したレミケードの問題ですね。これなんかも確
かにそういうリウマチにおける生物学的製剤の使用というのは、確かに突出したものになる
けれども、レミケードもいろんなことに使われるし、リウマチもいろんな薬物があって、そ
ういうことで全体として見れば、それほど物すごく困った状態に患者を置き込むわけではな
いと、現制度が、患者を困った状況に置き込むわけではなくて、ここはやはり医者の良識と
いうこともすごく大事だと思うんですね。これは患者にとってすごく大事だから、ここはち
ょっと赤字になるけれども、思い切って使いましょうと、これはDPCの制度を最初に導入
したときに、いろいろな方から伺ったので、やはり基本的には医師の良識というものを、性
善説として信じて、もうからないから使わないとか、損するからやめるとか、そういうこと
ではないという大前提を信じてはどうかなという気もするのです。
 
○瀧内参考人 
 先ほど齊藤先生あるいは吉田先生の言われたことも、まさしくそのとおりだと私も思って
おります。我々もそれを信じて実臨床で実践しているわけですが、今日、実例で挙げさせて
いただいたハーセプチンが承認から三月経っているのですが、まだ、全国で150名しか使
われていないんです。ということは、やはり赤字になるがゆえに、処方控えが顕著に表れて
いる実例だと思います。
 ですから、本当に総論では経営面からいけばそのとおりだと思いますけれども、やはり各
論面で、各論のことを言ってはいけないと言われたかもしれませんが、そういう処方控えが
ある、いわゆる患者さんにとって不利益があるということを考えると、なかなか医師の良心
だけでは解決できない部分が、これだけの高額であればあるのではないかと、正直思ってお
ります。
 
○小山分科会長
 どうぞ。
 
○片桐参考人
 血液内科出身ですけれども、結局、ある診療科がすごくマイナスになりがちというのは、
その診療科がどうしても、いろんなところでやはり減っていくと危惧します。
 それで、私が病院長だからということもあるのですが、うちはなるだけ血液内科はやって
いきたい。リツキシマブは要するにR-CHOPと言われる、一番標準的な、あれのレジメ
ンでは割といけるんです。ただ、難治性とか、そういうものになってきて、ややこしくなっ
て、リツキサンとCHOPよりももっと強いレジメンが組み合されて合併症が増加する、リ
ツキサンが無効なほかの血液、急性白血病系なんかで赤字が出ると、それを均てん化してそ
こそこ行けば、それはそれでいいことにはなるのですけれども、そうなると、重症な患者さ
んが入院できる施設が減ったりしないか、それを未然に防ぐには、やはり高額薬剤はとりあ
えず外へ出してもらったり、分枝コードをつける、今はちゃんと付けていただいていると思
うんですけれども、そういうものにしてくれると、すごくありがたいなと、そういうことで
す。

○小山分科会長
 ありがとうございました。
 どうぞ。

○宮坂参考人
 先ほどの齊藤先生のお話ですけれども、勿論、我々は性善説に基づいてやっていますし、
今のこの制度があるから、治療のパターンが変わるかというと、勿論、そんなことはないで
す。
 ただし、さっきもスライドの11でお示ししたように、本来であれば、安全な皮下注射の
薬剤を使っている患者さんが2週間も入っているとか、これはやはりどうしてかというと、
この国はこういう高額な薬剤を専門医だけではなくて、だれでも使えるようになってしまっ
た。ですから、その人たちは必ずしも性善説に基づいて診療しているわけではない、ちょっ
と言い過ぎかもしれませんけれども。
 もう一つは、では、それを私、日本リウマチ学会の理事長ですけれども、学会がコントロ
ールできるか、ガイドラインで縛れるか、これは縛れない、そこが問題です。

○小山分科会長
 ガイドラインに関しては、ここでもさんざん議論して、ガイドラインに沿った治療をして
いることを評価しようというのもあったのですけれども、佐藤先生、山口先生であったんで
すけれども、なかなかガイドラインで、ではどこのガイドラインを信用するのと、いろいろ
ここでも議論を苦労しております。
 ちょっとこればかり議論しているわけにはいきませんので、このDPC、高額の薬剤に関
しては、皆さんの、例えば島田先生とか片桐先生もお話になっていましたけれども、1SD
ルールが少し厳し過ぎるのではないのというのは、確かにちょっとあるのかなと、もう少し
緩和して使いやすく、例えばハーセプチンは体重によっても変わってきますね、だから、そ
こら辺のところは少し考慮する必要があるかなという思いはしております。
 もう一つは、井原先生が最後にお話になった、上6けたで少しコントロールする必要があ
るのだということも考えております。そこら辺のところを、これからもう少しこの会議で議
論を進めたいと思いますが、この高額薬剤の取扱いについて、どうぞ。

○相川委員
 今のお話と、それから先ほどのデータを見ていますと、やはり性善説で初めてはいるもの
の、特に患者さんと向き合っている医師は、多くはやはり性善説だと思います。ところが、
施設を経営している経営者にとっては、患者さんは目の前にいませんし、データで見ている
わけですね。経営者がみんな悪者だとは言いませんけれども、その施設がどんどん赤字を出
していけば、今度は、その施設の機能が落ちてしまう、あるいは存続が難しくなる、これは
当たり前のことですけれども、ここのところを何か、今、小山先生がおっしゃったような、
幾つかの方法で、やはり性善説が通用するような幾つかのテクニックで、なるべく出発時点
の性善説が守られているような形に、それを見つめていくというのが、ここでの今回の議論
ではないかと思っています。
 今、小山先生、2つおっしゃいましたけれども、そのこともその方策の幾つかのものだと
思いますけれども。
 
○小山分科会長
 ありがとうございます。一生懸命やればやるほどマイナスになるのではなくて、DPCの
いいところは、確かに2年間マイナスのところがあるかもしれませんけれども、その次の制
度の中で評価されるというところでもって、どうもこのDPCそのものを理解の仕方の深さ
によって、その病院を運営する先生方のDPCに関する考え方の理解度というか、それによ
っても大分変わってしまうのかなと思います。
 私は、DPCで一番いいと思っているのは、確かに最初ちょっとつらいかもしれないけれ
ども、患者さんに一番いい治療をし続ければ、これがいい治療法なのだということでもって、
その次の評価をするというところなんですね。だけれども、ここのところを病院の、どちら
かというと、今、相川先生がおっしゃった患者さんを見ない、事務方という言い方はあれで
すが、医療経営者、悪者だけではないのですけれども、そこら辺のところを、もう少しDPC
制度そのものをもう少し包括的にとっていただければという感じがいたします。
 余りしゃべり過ぎると怒られてしまうので、ほかに御意見、よろしいですか。
 どうぞ。
 
○緒方委員
 全く別の観点から1つだけ、今、平均値+1SDでやっていますが、これは数学的にいう
と、左右対称の分布のときに使える話であって、高額のものが増えていけばいくほど、すご
くずれてくるものが出てくるわけです、そのときに1SDという、これに余りこだわってい
ると、もともと仮定している分布が変わってくるので、これは見直した方がいいかなという
気がします。ちょっと別の観点ですけれども。

○小山分科会長
 ありがとうございます。先生、どうぞ。

○美原委員
 今、井原先生がおっしゃったことで、ちょっとどういうことなのかなと思ったのは、井原
先生が御発表なさった、最後の部分で、レセプトの請求内容に医療機関に温度差があるとい
うようなことをおっしゃっていたのですが、具体的にどういうことをおっしゃっているのか
というのがわからないのですけれども。

○小山分科会長
 オープンですので、そのつもりでお話しください。

○井原参考人
 個別の事例については、やはりこういう場で発言するのは適切でないので、それは控えさ
せていただきますが、やはり1つは診断分類区分の選び方、それから高額薬剤を何らかの工
夫をしながら、何とか出来高で、一部は請求するような考え方、そういったものがいろいろ
と混ざり合って、レセプト全体として見たときに、やはり非常にすいすいと納得いくという
ことで、チェックができる機関と、どうしてこの分類区分かなと、どうしてここでこの薬剤
かなというようなことが引っかかるところがあるというのが、ぼやっとした言い方では、そ
ういう表現になります。

○小山分科会長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 どうぞ。

○伊藤委員
 先ほど吉田先生から、病院全体としてみれば、各診療科別の収支は大きな問題でないとい
う話が出たのですけれども、診療科の医師は管理者から呼びつけられて、おまえのところは
赤字だとやられるところもなきにしもあらずですので、特定の診療科が赤字になるのは望ま
しくないと思います。全体としてよければいいではないかということではなくて、やはり診
療科単位である程度見てあげないと、そこに勤める医師がかわいそうだと思うので、発言さ
せていただきました。

○小山分科会長
 ありがとうございます。まさにそのとおりでありまして、ただ、今の吉田先生の発言は、
意図したところはそこではなくて、もう少しDPC制度そのものを理解してほしいというこ
とと、それからまさに、今日、この会議を開いているのは、そういうところの人たちが後ろ
めたい思いをしながら治療しなくて済むにはどういうようなDPCをブラッシュアップした
らいいのかということですので、そのように伊藤先生、御理解ください。
 ほかにいかがですか。
 どうぞ。

○齊藤委員
 診療科は、確かにでこぼこが出ると、診療科の課長とか部長はつらい立場に置かれるとい
うのはよくわかるんです。ただ、ここでやっている、求められているのは、経営者ないし管
理者が、そこの部門の赤字がなぜ出てきているのかということをきちんと見る目を持つとい
うことが大事なんですね。
 前のヒアリングのときに、小児の肺炎や何かで、DICやゼプシスがむやみと多くて、み
んな驚いたことがあるんですね。それは、やはり小児科は非常に経営が苦しかった時期に、
管理者がそういうふうに非常に指導なさるという苦渋の内情を話された先生がありますけ
れども、やはりそれは、これからの病院経営者、管理者に最も求められる資質で、赤字がな
ぜ起こってきているのか、それは今後どう展開するであろうかということをしっかり見てい
ただきたいのであって、赤字が出るから、出ないように、出ないようにと追い回していくの
は、DPCグループとしてはかなりきつい作業になるのではないかという気がします。

○小山分科会長
 ありがとうございます。先生、どうぞ。

○瀬戸委員
 私もこの会議に参加させてばかりで不勉強であれなのですけれども、ちょっと確認という
か、質問ですけれども、先ほど齊藤先生がおっしゃられたリツキシマブでしたか、最初は出
来高で、今はそうではなくなってうまくいっていらっしゃるということですけれども、今回、
胃がんにハーセプチンが適用になったときに、1SDルールを上回っているわけですね。そ
うすると、そうではない、上回っていないということなのですか。

○小山分科会長
 そこは丸山主査、お願いします。

○丸山主査
 事務局でございます。胃がんのハーセプチンについては、効能追加の際に、平均+1SD
の計算をしておりまして、こちらについては該当しないという結果になっております。

○瀬戸委員
 それで、出来高扱いになっていないと、根拠はあるわけですね。

○丸山主査
 はい。

○小山分科会長
 それで、まさに今日の議論の中で、ハーセプチンの費用が非常に強くなっている中で、
1SDはちょっと厳しいのではないのというお考え、もう少し違う方法を考えたらどうです
かというのが、まさに今の議論の中のあれなんです。

○瀬戸委員
 どうしても、さっき瀧内先生がおっしゃっていたのですけれども、外来では出来高で、入
院するとDPCの中に入ってしまうという、これがどうしても個人的には引っかかる、そう
すると、外来でやればいいんだということになってしまって、ハーセプチンをやるときだけ
入院して、今までの最初に認められたレジメンから逸脱して、入院と外来をうまく分けてや
ることによって、うまく経営的には乗り越えていくという動きがなきにしもあらずと伺って
いるので、どうしても現場としてはそういう混乱が生じてしまっていることは否めないです。

○小山分科会長
 瀬戸先生、是非、今回、この委員になられたので、そうではないよと是非大きな声で言っ
ていただければと思います。これは、2年後にちゃんと評価されるのだということを是非伝
えてほしいですね。だから、逆に経営サイドの方にいってしまうと、本当に負のスパイラル
に入ってしまうのがDPCです。そうではなくて、患者さんの方を向けば、どちらかという
と、どんどんプラスの方の、自分たちのやりたい診療をできる方向に動いていくということ
を、是非、今日来ていただいたヒアリングの先生含めて考えていただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
 
○吉田分科会長代理
 今日はがんセンターの島田先生がいらっしゃるので、実際、がんセンターは、否応なしに
入りましたね、それでがん研が、がんセンターの状況を見て考えたいといって、ずっと様子
を見ていたんですね。ですから、多分がんセンターで大赤字になっているのかどうかという
のを、是非教えていただきたいのですけれども。

○島田参考人
 それについては、詳しい情報は知りませんけれども、オフィシャルには黒字だと言われて
いるのですが、わかりません。

○小山分科会長
 どうぞ。

○片桐参考人
 分科会長がおっしゃられることはもっともだと思うのですが、ただ、いろんな病気をなら
したところで、全体を見ろというのはわかるんです。ただ、ある患者さん1人をとって、も
う入院する前から大赤字が決まっていると、まだ治療もしていないのに、結果もわからない
のに大赤字だけが決まっていると、ちょっとそれはしんどいかなと思います。やはりその辺
はならしておかないと、それで、最初リツキサンが入った時に、そこを勘定して、、それで
大赤字を垂れ流している血液内科でしたが、一部の病気ではちょっと一息つけていました。
ただそういう患者さんはすぐ外来に行ってしまいますけれどもね。まだ、ちょっとこれは入
る前から赤字という薬剤があるので、その辺を是非、下の方を均てん化していただけたらす
ごくありがたいと思います。

○小山分科会長
 大変貴重な御意見をありがとうございます。まさにそこら辺のところが非常に重要なとこ
ろで、ただ、私たちとすると、すべてのデータを見ていますので、例えば2年前のヒアリン
グでは、マイナス1万円になるような評価はどんなものなのかと、一応一通り全部並べてみ
て、そこで評価をもう一回考えようというようなことをやっています。ですので、データと
して全部出ていますので、余りにもひどいところ、採算が合わないところは何とかしようと、
それらの1つとして今回の高額薬剤を使ったということを御理解ください。ありがとうござ
いました。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○松田委員
 この会議で申し上げるようなことなのかどうかわからないのですけれども、やはり根っこ
のところの問題点にイノベーションを医療保険でどう見ていくのかと、多分そこの議論があ
るのだろうと思います。
 ですから、先ほど非常にいい資料だなと思って見ていたのですけれども、島田先生が出さ
れたクリニカル・ベネフィットとバリューの話というのは、諸外国でも、いわゆる高額な薬
剤とか、あるいは高額な材料とか、新しい医療技術が導入される際に、いわゆる医療保険で
の社会保障での価格をどういうふうに決めるかというところで、メディカル・テクノロジ
ー・アセスメントとか、いろいろなことをやりながら来ているのですけれども、日本の場合、
そこのところが非常に弱いということが根っこにあって、どうしてもこの問題が出てきてし
まうと思います。
 ですから、この場で提言するようなことではないとは思うのですけれども、やはりイノベ
ーションを医療保障の中でどう見ていくのかということを、多分きちんと議論しないと、い
つまで経ってもこの問題は解決しないのではないかと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。高額薬剤について、もう少し皆さん、
強烈な意見が出るかと思ったのですけれども、よろしいですか。
 では、大体、今、ここで議論したような方向性でよろしいですか。一番の今回のあれは、
1SDはちょっと厳し過ぎるので考える必要があるのではないかなということはよくわかり
ました。特にハーセプチンの例を取りまして、この辺のところはよくわかりましたので、今
後どうするかということ。
 ただ、その一方で、新しく出てくるレジメンをすべて出来高にもっていくということも不
可能であるということも御理解をいただいたのだと思います。
 よろしいでしょうか。特になければ、その次の3番目に入りたいと思います。
 これは、先ほどの片桐先生がおっしゃったところに少し関わってくるかもしれませんけれ
ども、DPC精緻化の在り方というところです。これについて、全般的な議論をいただきた
いと思いますが、いかがでしょうか、よろしくお願いいたします。
 これをちょっと読ませていただきますと、上記丸2の対応により、診療報酬改定までの間、
出来高評価の取扱いとなった高額薬剤について診療報酬改定以降の取扱いを検討する場合
には、DPCを分離する等の適切な対応、例えば22年5月のドキソルビシンへの対応が求め
られると。
 一方で、抗がん剤治療のレジメンには多種多様で、かつ技術革新の影響による変化が極め
て早く、レジメンごとにDPCを設定すると、DPCが細かくなり過ぎるとの概念が示されて
おり、今後、DPCを設定する際の基準をより明確化するべきではないかというような御指
摘が今回ありました。
 今、私が最初のところで、余り細かくするというお話をしましたけれども、逆にこれだっ
たらもう少し精緻化して細かくした方がいいのだという御意見もあるかと思いますけれど
も、そこら辺も含めて、皆様の御意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○片桐参考人
 DPCも付ける側の方から、制度をつくっている側の方からいうと、精緻化して複雑化し
ていると思っている方もおられると思うのですけれども、付ける方は病気が決まっているわ
けですから、そこでの選択肢はそんなに多いわけではないわけで、現状が細かくて困るかと
いったら、ほとんどコンピュータが選ぶわけで、困るわけがないと、今のレベルでは、そう
思います。
 それで、やはりそういうふうに考えていただくのが、細かくしていただく方が大まかに包
括されるよりははるかにましかなと思います。
 
○小山分科会長
 そういう意見ですが、いかがですか。
 どうぞ。

○緒方委員
 この制度は、一種のモデルであって、そのモデルを余りにも現状に合わせようとすると、
恐らくパラメーターの数がむちゃくちゃ多くなってくると思います。今は、もしかしたらい
いかもしれないけれども、将来的に技術革新がどんどん進んでいくわけですから、それをす
べてモデルの精緻化で対応していこうとすると、いずれ元の趣旨からだんだんずれていく可
能性があると思うんですね。ですから、対応できる段階はそれでいいのですが、いずれどう
したらいいかということは、どこかでちゃんとルールづくりをした方が、私はいいと思いま
す。
 つまり、精緻化の方向でない方向で何か工夫ができないかということを考えていった方が
いいと思います。
 
○片桐参考人
 だから、考えていただくのはいいけれども、しばらくはこれで良いではないかという話で
す。

○緒方委員
 恐らく、多分段階があると思うんですね。ですから、いきなり精緻化にする方向というよ
りは、何か精緻化にするための一つ前の段階をつくっていくのがいいのではないかと、私は
思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ここら辺は両方の意見があると思います。結局、そもそもDPC
を始めたのは、今の保険制度が余りにも煩雑過ぎるので、もう少し単純化しようよというと
ころから始まった制度です。それで、来年で約10年が経つというところでもっていろんな
調整をしているわけです。
 ですから、今回の話の中でも、例えば島田先生ですかね、今の制吐剤あるいは緩和療法も
どんどん高額化してきているし、すべて医療技術の進歩に伴ってDPCを精緻化していくの
は、ちょっともう限界ではないかというような御意見もいただいている一方、先生も、そう
じゃなくて、コンピュータでちょっとチェックすればいいのだから、もう少し多くてもいい
のではないという考え方も1つとしてあると思います。
 ただ、1つの疾患において選ぶ分枝が5とか10だったらいいのですけれども、それが3
0も40もあって、更にその後ろに機能評価評価係数のIとIIがあって、調整係数があっ
て、基礎係数があってというようなところの全体を見たときに、非常に複雑化し過ぎてしま
って、全体像を見たときに余りにも複雑化過ぎてしまって、本来の目的の簡素化というとこ
ろで少し問題がある。でも、不具合のあるところは直していこうということで、今、ジレン
マに陥りながら苦労しているので、大変貴重な御意見だったのですけれども、ほかにこの精
緻化ということで御意見いかがでしょうか。

○相川委員
 今の繰り返しになりますし、また、過去の議論でもそうですけれども、精緻化をどんどん
進めるとDPCの制度は破綻すると思いますから、やはりいろんな形で工夫をしていかない
といけないと思っています。
 もう一つは、日本の医療は3割負担がありますと、医療費がどのぐらいかかるのかという
ことを患者さんにも説明しなければいけないような状況にこれからもなってくると思うん
ですね。例えば、この薬を使うと入院期間はこのぐらいになっていたけれども、3割負担の
分もかなりかかりますよと。勿論、その後で負担がある程度超えれば、またバックされるこ
ともありますけれども、そのような事態になると、複雑になればなるほど、ちょっと負担額
はわかりませんということになるので、やはり本来のDPCを導入したときに、ある程度余
り複雑な医療の制度を、なるべく支払いにおいてシンプルにしていこうという、その1つの
大きな流れの中で、やむを得ず精緻化をせざるを得ないということとのしのぎ合いだと思う
のですけれども、私としては、やはり先ほど緒方先生がおっしゃったように、どんどん精緻
化すればいいのだという方向は、私は反対です。

○齊藤委員
 今まで診断群分類の病名分類を担当した座長としては、そのときの心得に精緻化と簡素化
を、精緻化を図ること、そして簡素化を図ること、二律背反の2つの言葉が並んでいて非常
に難しいんですね。どっちかに落とし込まなければならないと。
 ただ、どっちが大事かというと、それは、非常に厳密にその薬や何かの値段が反映される
なら、また出来高の方がいいということになってしまうし、病気の診断群分類も薬の数ほど
診断群分類をつくれば一番精緻化が進行できることはたしかですが、それは出来高の長い間
の歴史が示すように、多くの弊害があると、そういうところからDPCで包括評価していき
ましょうという部分があるので、どちらかというと、やはり簡素化、包括化ということが、
薬の使い方についても理解されてほしいなと思います。
 ただ、限度があるでしょうから、その限度をどこに引くか、そして、限度を余り医療機関
や個別の、例えば血液内科の痛みにならないような方策というのは何なのかと、そこに知恵
を絞っていくのが大事なところかなと思っています。

○小山分科会長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。精緻化に対して、何か、今日、ヒアリングで
いらっしゃった先生、もし、御意見がありましたら、どうぞ御遠慮なく御発言ください。
 どうぞ。

○嶋森委員
 精緻化と簡素化の話ですが、DPCそのものは、ある種の簡素化をやっていくことと、そ
れらのデータを出していただくことが質の担保になっていると思います。この制度の中で、
皆さんにデータを出していただき、こういうヒアリングをする中から、先ほどのエンブレル
のように皮下注の場合の入院日数が長くなるというような矛盾点が見えてきています。そう
いうことをやりながら、今回のような現実を踏まえた形で、どういう簡素化と精緻化ができ
るかというのを具体的に考えていくということを積み重ねていくことで、ある程度の調整が
できてくるのではないかと思いますし、それでいいのではないかと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。この精緻化ということに対しては、片桐先生はコンピュータでチ
ェックするから、どんなに細かくてもいいのだというのですけれども、全体を見ると、なか
なかそうもいかないということを御理解いただければと思いますので、ただし、それが余り
にも数が多かったりした場合、少し考えていかなければならないと考えております。
 あと少しこのところで、どうぞ。
 
○池上委員
 今の原点としての整理として、DPCというのは、PDPS、つまり報酬化を前提としない
臨床分類であるということをこの分科会で説明を受けました。
 ところが、今、ここで精緻化というのは、分類の精緻化の話をしているのか、それとも報
酬体系の精緻化をしているのかというところが、混乱していると思います。
 したがって、もし、ここで診療報酬上の評価ということが、私はDPCの分類そのものに
重要であるということを再認識して、そうであるならば、臨床という観点だけでDPC分類
をつくるのではなく、コストという観点で最初からPDPSを前提とした分類を全体として
見直す必要があって、臨床分類にすぎないというDPCの考え方を見直す必要があると思い
ます。

○小山分科会長
 ありがとうございます。どうぞ。

○松田委員
 リファレンスコストですけれども、出来高の点数をベースにして、それを含めて分類はつ
くっているので、ですから、それが現在のきちんとした正確な原価かと言われると、それは
いろいろ問題があると思うのですけれども、一応、現行の点数表をベースとした、いわゆる
コストの分析はしていますので、ですから、それも含めて分類をつくっているということに
なります。多分、それ以上のことは、今あるデータからはできないだろうと思います。

○池上委員
 私が申し上げたのは、最初に臨床分類がありきであって、その後にコストあるいは点数化
というのがあるので、その証拠にDPC分類はあっても値づけがなされていない分類が多数
あるという実態があるから申し上げている次第です。

○小山分科会長
 だから、後ろに今回はDPCでしたか、ややこしいのですけど、どうぞ。

○松田委員
 精緻化と簡素化のバランスを考えるということですけれども、余りほかの国のことばかり
言っていてもしようがないのですが、例えばオーストリアという国は、化学療法をグループ
化しているんです。例えば先ほどのリツキサンですと、リツキサンみたいなもので1クール
投与と2クール投与というのは、別の分類、グループになっていて、日本の今のDPCは、
どちらかというと、レジメンベースで分類を分けているのですけれども、そのレジメングル
ープという形で分けるという方法が多分あるのだろうと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○吉田分科会長代理
 ちょうど精緻化していくと、井原先生が出した2枚目の最後にありますね、これはMDC
部会でいろんな抗がん剤が出てくるのですが、昔1、2、3しかなかったものを4、5と入
れたんですね。抗がん剤のときに、これをずっと見ますと、これが6、7、8、9、10と
いってしまうんです。そうすると、もうDPC本体が崩れてしまうと、齊藤先生は、MDC
班長ですので、よくおっしゃっているので、こういう形が増えていってしまうんです。実際
に、井原先生が出したみたいに、この表を見ていって、皆さん、右からこっちを見ないんで
す。必ず上から見ていって、もうかる枝を選んでしまうんですね。だから、こういうのが出
てきてします。だから、余り精緻化でどんどん増やしてしまうと、全体を見ていて、最後、
お金がもうかるものから選んでいってしまうんです。そういうのがレセプト上出てくるので、
余り精緻化をすると、このDPCそのものが崩れてしまうと思います。

○小山分科会長
 ということですけれども、いかがでしょうか。DPCの設定の、今の先生の話の中では、
ある程度の数が、今、DPCそのものの分類というのは2,500から2,600ですね。そのうち
使っているのは1,500ぐらいというところだと思いますけれども、ある程度合理的な数値目
標を設定して、そこに合わせていく必要があるのかなと思います。
 それから、今日、いろいろ御意見をいただいた中で、やはり採算が合わないところが非常
に強調されましたけれども、最初に先生方、その辺を強調されましたけれども、後の方では、
ほかの同じような疾患の中でも扱い方によってはプラスになるのも出てきて、少し数が、十
分な症例数をある程度見れば、一応、平均的な費用が支払われるような体系になっていると
いう御意見もありました。
 そこら辺のところの、いわゆる特殊性というのですか、幅ですね。幅のところは、これか
ら我々が議論する機能評価係数のIIなんかに吸収させていくような形のものを考えており
ます。
 この精緻化については、御意見はこんなものでよろしいでしょうか。
 どうぞ。

○齊藤委員
 今まで余り議論に出なかったのですが、この島田先生のレポートで、遺伝子検査がかなり
突出しているという御意見があるんですね。
 今までも検査、例えば心臓の電気生理学的な検査というので、一旦、外出しになって入っ
てきたのがありますけれども、検査もこれから化学療法の適切使用とか、副作用の要件とか、
そういうことで遺伝子検査が非常に高額であるけれども重要だという場合があり得るので、
今後は、遺伝子検査なんかについても一定限度以上のものについては、ある時期外出しにす
るとか、そういう対応は考えられてもいいのかなと、島田先生のお話を聞きながら、ちょっ
と考えていたわけであります。

○小山分科会長
 ありがとうございます。これから高額薬剤だけではなくて、高額の検査もということです
ね。これからの検討項目に入っていくものと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、大分時間も押してきましたので、最後の4番目の長期継続的な投与を要する高
額薬剤の範囲ということでもって、HIVあるいは血友病の薬剤についても同様な課題があ
るという指摘があるということですけれども、これに対しては、先ほどの島田先生でしたか、
経口剤が非常に高額になるというお話がありましたけれども、ここら辺に対して、何か御意
見がありましたら、お聞かせください。
 リウマチですけれども、リウマチの本家本元が時間で行ってしまったのであれなのですけ
れども、いかがでしょうか。どうでしょうか、この辺のところに対する御意見は、どうぞ。

○吉田分科会長代理
 ちょうどこれは血液内科の片桐先生がいらっしゃるので、ちょっと血液内科としての現状
として何か困っていらっしゃることがあったらおっしゃっていただきますか。

○片桐参考人
 うちはHIVはほとんど扱っていないし、血友病もほとんど扱っていないんですよ。だか
ら、ごく少数例は赤字は少々なろうと、それは別に仕方がないという話なので。

○小山分科会長
 ほかにいかがでしょうか。井原先生からは逆の立場で、出来高にしてしまうということの
御意見がございましたけれども、どうぞ。

○井原参考人
 先ほど齊藤先生からも御指摘がありましたように、やはり薬剤だけではないんですね。レ
セプトを見ていますと、やはり検査につきましても、特に内分泌系の負荷試験であるとか、
いろいろと高額になるものがたくさんほかにもございます。
 こういったものもどう取り扱うかなということは、一つ御検討をお願いしたい点だと思い
ます。
 もう一つ、経口剤につきましては、やはり外来レセプトとの関係というものが、あとは御
推察をいただきたいのですけれども、それはどうしてもチェックをしていると目につく点が
ございます。
 以上です。

○小山分科会長
 ありがとうございます。ここら辺のところは、全部透明になってしまって見えてしまうの
で、余り利益を追求するのではない、やはり医療を提供していただきたいということだと思
いますけれども、ほかにいかがでしょうか。
 ここら辺のところはコーディングのところで少しコントロールする必要があるというこ
とですかね。
 ほかは、いかがでしょうか。この辺で一番恐れるのは、高額薬剤を外側にして、余りイン
センティブを与えてしまうと、みんなそこへ走ってしまって、そうじゃなくても、今、医療
形態は傾いてしまっているのにますます傾くということになると思うので、そこら辺のとこ
ろは、少し視野の中に入っているのかなと思います。
 ほかにいかがでしょうか、御意見はありませんか。
 大体4項目について、今までずっと議論してまいりましたけれども、3ページの一番下に、
一応論点整理を載せております。DPC/PDPSにおける薬剤は包括評価とすることを原則と
しつつ、制度創設以降、包括評価をより適切なものとするために(1)として薬剤使用実態
のばらつき、新たな高額薬剤の保険導入、それから副傷病名の治療に要する長期継続的な高
額薬剤投与により対応してまいりました。高額薬剤等の取扱いに関する論点については、今
日、皆様方の御意見をお伺いいたしまして、どう考えるか、次の最後のページを見てくださ
い。表になっております。
 一応、今日のヒアリングにいらっしゃった先生方の資料を事前に見せていただきまして、
事務局で一応、このようなまとめ方をいたしました。

○丸山主査
 事務局でございます。これは4月14日に出した資料そのままコピーアンドペーストでも
ってきております。

○小山分科会長
 失礼いたしました。4月14日の資料をもってきたということで、このような論点があっ
て、一応いろんな先生方のヒアリングを受けて、また、今日、御意見を伺いましたので、こ
れを次回にまとめてこの場でまた議論をしたいと思います。
 全体を通していかがでしょうか。
 どうぞ。

○嶋森委員
 先ほど、長期の薬剤、投与継続に必要な薬剤のことについて、意見が出なかったので言っ
ておきたいと思います。私は、HIVや血友病はきっちり診断が決まっていますので、こう
いう特定の疾患で高額の薬剤が新しく開発されて効果があるものについては、きちんと外出
しでもいいと思います。これはほかの意図が入り得ないので、いいのではないでしょうか。

○小山分科会長
 最後のところの長期投与に関しては、血友病とか、あるいは血液凝固因子なんかは、ちょ
っとほかの疾患とは違うので、これはこれで外出しでいいでしょうということですね。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○相川委員
 今日、幾つかデータを見せていただいたのと、今までも私は感じていたのですけれども、
性善説でやっているものの、DPCが入院に適用されているというところで、外来がいろい
ろなところのクッションというか、場合によっては逃げ道になっているということで、それ
自身がやはり患者さんにデメリットになっている。例えば外来化学療法に十分移行できない、
特に副作用が起こり得る可能性が高い新薬などにおいても外来でやれば、持ち出しがないと
いうことで、そうなっている危険性もあり得ると思います。
 ですから、将来的に大きな目で、やはりDPCは入院だけでいいのかというところも視野
に入れてこれから議論していかないと、いろんなものをつくっても外来が1つ逃げ道になっ
ているところで、また、むしろ医療の質が落ちてしまうようなところもあるということを懸
念しています。

○小山分科会長
 ありがとうございました。この外来もという話は、一部、高齢者医療について導入したり
なんかして、大分反対も強かったわけですけれども、でもやはりこれからはよりよい医療を
適切に供給するという意味では、大変重要な議論だと思いますけれども、これはこれからも
議論をしていきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか、全体をとおして、どうぞ。

○金田委員
 金田です。大変有意義な会だったと思います。今日、病院経営者という言葉が何度か出て
まいりまして、医療法人の経営を25年しているものとして、一言申し上げたいのですけれ
ども、今、御承知のように、社会経済情勢、医療経済情勢が震災もあり、ますます厳しくな
ってくると、これはマネジメントなくして医療の継続なしだと、この思いは是非統一する必
要があるのではないかと思います。
 診療内容に立ち入って指示することは全くありません。私が一番言っているのは、この地
域にとってなくてはならない病院であるためには、どういうことが必要なのか、どういうこ
とが期待されているのかということを、みんなで常に考えようと言っています。
 もう一つは、救急車を断らないようにしてほしいということです。
 もう一つ、でこぼこという話がありました。疾患ごとに黒字や赤字がある。しかし、これ
が病院全体で吸収できるのではないかというお話がありましたね。これを更に発展させて考
えると、病院ごとにでこぼこがあっても、地域内の複数の病院が連合することにより吸収で
きる可能性があるということになります。アメリカはじめ先進各国では統合ヘルスケアネッ
トワークというのがありますけれども、地域ごとに病院事業体を形成することにより病院の
でこぼこが吸収できる、すなわち究極の連携は統合に行くだろうと、いずれは連携から統合
への流れが求められる時代が来るのではないかというような印象を持ちました。ありがとう
ございました。

○小山分科会長
 ありがとうございました。まさにその基礎データとなるのが、松田先生がしょっちゅう言
っていらっしゃるDPCのデータという、今日の参考資料の中にもそれを入れていただいた
先生もいらっしゃいますけれども、そこら辺を見ながらということですね。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。

○齊藤委員
 今、金田先生がおっしゃったことのちょっと補足ですが、今、病院の情報開示とか、それ
から患者さんの一人ひとりの治療の中身とか、これはかかりつけ医の先生たちが非常によく
見ていますね。だから、例えば不適切な長期入院とか、そういうものがあると、たちまち地
域での病院の評価が変動するというところがありますので、以外とDPCの制度を担保する
地域の体制というものは、整いつつある側面もあるのかなと思っております。補足です。

○小山分科会長
 ありがとうございます。どうぞ。

○酒巻委員
 全然違う話になりますが、島田先生が出していただいた資料の最後ですね、クリニカル・
ベネフィットあるいはバリュー。こういう資料といいますか、こういう検討をどのような体
制を組めば私たちにもできるようになってくるのでしょうか。この分科会の仕事ではないか
もしれませんけれども、検討していく必要がある大変参考になる資料だと思って見させてい
ただきました。
 ここの部分がうまくできていないから結局小さなところにこだわっていってしまうと思
うものですから、是非みんなで検討したらどうかと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。先生、ごらんになって、どういうふうにという考えはありました
か。

○島田参考人
 これは、2年くらい前、国内からでもいろんな議論はしておりますけれども、結局、いろ
んな領域の人たちが利益関係にあるということで、だれが決められるかというのは非常に難
しいと思います。
 ですから、やはり本当にそれぞれの分野の人たちが集まって、今、日本における医療の価
値をどのようなところに置くかというのを議論するしかないかと思いますし、やはりがんと
ほかの病気とは全然違うと思いますし、そこはどこがリードするかというのは、常に問題で
はあるのですが、もうやらないと、医療が成り立たない時期になっていると思いますので、
そういう面で、たまたま今回同じことを学会で言っていたので参考に出させていただきまし
た。

○小山分科会長
 ありがとうございます。大変貴重な資料で、いろいろなことを考えなければならないとい
う感じも、今日持たせていただきました。
 ほかにいかがでしょうか。金田先生のような考えの病院長先生がいっぱいいらっしゃると
いいのかもしれませんけれども、美原先生、どうですか、何か御意見はありますか、よろし
いですか。難波先生、よろしいですか。

○難波委員
 金田先生と、私も経営者として、いろいろそういう場合に当たりますけれども、医師の善
意というのは信じたいと思っているのは、実は抗がん剤であと1日入院を延ばせばペイがよ
くなるのですけれども、私はその1日は何もすることはないから、これで早目に退院させま
すと言ってくる医者が実際におります。ですから、かなり医者の善意を信じて進めていって
いいのではないだろうかと、私自身は思っておりますが。

○小山分科会長
 ありがとうございます。あと、もう一方だけ、熊本先生、何か、せっかくですので。

○熊本委員
 時間もあれですが、小笠原先生が1つ、さっきもありましたけれども、1入院と、ちょっ
とアイデア的には面白いと思ったのですけれども、ただ、手術の場合はそういうことではっ
きりとした日数があるからできたのですけれども、化学療法のレジメンの場合も、そういっ
たことが本当にできるのかなと、そういう例があれば、是非お示ししていただいて、そうい
う方法のアイデアとして1つそれを考えてもいいのかなと思いました。
 もう一つ、外来と入院との関係で、外来の入院との連携という調査も、いろいろ松田先生
はされていますけれども、それをもっと広げたりとか、そういったことは今後何か考えがあ
るのかどうか、ちょっとそれをお伺いしたかったのですけれども。

○松田委員
 基本的には技術的には、もうできます。それから、改めて外来のEFファイルとか様式1
ということを取らなくても、例えば電子レセプトがほとんど100%、いわゆるこういうDPC
対象みたいに動いていますので、それを出していただくことで入院と外来をつなげることが
できますので、実質的にはもうできますので、あとは調査の枠組みを決めていただければ、
外来と入院両方ともできると思います。

○熊本委員
 そういったことの必要性が今後出てくる可能性が非常に強いかなと思いました。

○小山分科会長
 ありがとうございました。ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。本分科会としましては、今日お伺いいたしました皆
様の御意見や問題意識を踏まえまして、今後の議論の反映にさせていただきたいと思います。
 どうも、大変長い時間ありがとうございました。
 それでは、これでもって本日の議論を終了したいと思いますけれども、事務局からの連絡
がありましたらお願いいたします。

○丸山主査
 次回の分科会でございますが、7月6日水曜日を予定させていただきたいと思います。

○小山分科会長
 ありがとうございます。それでは、平成23年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評
価分科会を終了させていただきます。
 どうも本日はありがとうございました。

15:45閉会


                                       


(了)
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厚生労働省保険局医療課包括医療推進係

代表: 03-5253-1111(内線3289)

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