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2011年6月16日 第76回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

○議事

23/6/16 第76回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

1 日時及び場所 平成23年6月16日(木)
午前9時00分から午前12時00分
全社協・灘尾ホール
 
2 出席委員:池田、井部(齋藤参考人)、大島、大森、勝田、木村、久保田(藤原参考人)、高智、木間、小林、齋藤、佐藤、篠原、武久(池端参考人)、田中(雅)、中田(桝田参考人)、馬袋(佐藤参考人)、福田(和田参考人)、三上、村川、矢田(上田参考人)、山田 (敬称略)

○宇都宮老人保健課長 定刻になりましたので、「第76回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 本日は、田中滋委員、藤原委員は御欠席とのことです。また、井部委員に代わり齋藤参考人、久保田委員に代わり藤原参考人、武久委員に代わり池端参考人、中田委員に代わり桝田参考人、馬袋委員に代わり佐藤参考人、福田委員に代わり和田参考人、矢田委員に代わり上田参考人が、それぞれ出席されております。
 以上より、現在22名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 また、本日はヒアリングを行うため関係団体の方々にもお越しいただいておりますので、後ほど御紹介させていただきます。
 なお、本日の議題に関連しまして、事務局側に障害保健福祉部より福田精神・障害保健課長に出席いただいております。
 では、以降の進行は、大森分科会長にお願いいたします。

○大森分科会長 おはようございます。
 本日は、そこにございますように、高齢者の住まい及び認知症への対応について御議論いただくことになっています。あらかじめ事務局に、これに関係いたします基礎的なデータの資料を準備していただくようにお願いしてございますので、その説明を受けた上で、本日おいでくださっている方々からヒアリングを行いたいということでございます。
 では、ちょっと資料の確認をいたしましょう。

○宇都宮老人保健課長 では、資料の確認をさせていただきます。
 座席表、議事次第に続きまして、資料1「高齢者の住まいについて」。
 資料2「認知症への対応について」、それから、資料2の参考として「複合型サービスについて」というものがございます。
 続きまして、資料3「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律の概要」。
 それから、ヒアリング資料1として「高齢者の住まいについて」。
 ヒアリング資料2-1として「社会保障審議会介護給付費分科会ヒアリング資料」、認知症グループホーム協会からの資料でございます。
 資料2-2として、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の資料でございます。
 それから、番号を振ってございませんが、「特定施設入居者生活介護について」という特定施設事業者協議会の追加提出資料がございます。
 それから、分科会の名簿でございます。
 以上でございます。不足がございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○大森分科会長 よろしいでしょうか。
 それでは、最初に高齢者の住まいにつきまして議論いたしますけれども、今日お越しくださっている方について、事務局から御紹介をいただきましょうか。

○宇都宮老人保健課長 本日は、議題に関連しまして、一般財団法人高齢者専用賃貸住宅協会の橋本俊明氏にお越しいただいております。

○大森分科会長 よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、高齢者支援課長さんから説明がございます。

○水津高齢者支援課長 それでは、役所側の資料でございますが、資料1をごらんいただければと思います。「高齢者の住まいについて」ということでございます。順にポイントだけ御説明させていただきます。
 1ページですが、上の方からシルバーハウジング、高齢者専用賃貸住宅などなど、住宅から施設へと戸数をストックで積み上げたものでございます。住まいが少ないということです。
 それから、次の3ページ、右下に3と書いてあるページですが、外国と比較したものです。青が施設、黄色が住まいというようなイメージで分けております。日本は住まいが少ないと。ちなみに、1.5%と書いてありますが、国土交通省の成長戦略では、これを10年ぐらいで3ないし5%まで引き上げることを目標にしております。
 それから、高齢者専用賃貸住宅の戸数の推移が4ページにございます。大体年間1万戸ペースで増えているということですが、後ほどのページにありますが、今年度の予算では、大体3万戸相当の予算を積んでいますので、この戸数も思い切って増やしていこうという予算上の裏づけがなされているということです。
 それから、次の5ページですが、高齢者専用賃貸住宅の入居者の姿、平均的なもので、年齢が79歳、要介護度が1.8ぐらいということでございます。併設されている事業所は、そこにございますとおり、訪問ヘルプとか通所系のサービスが多いということです。
 それから、6ページのところですが、どういうふうにこのサービス付き高齢者住宅と介護保険を連携していくかというそのイメージ、絵が描いてありますが、四角で囲ってある中にございますように、「住み慣れた地域で安心して暮らすことを可能とする」ということがポイントだと考えております。住宅ですから、比較的元気なころから入居する高齢者の方も多いと思います。ただ、そういう方が、要介護度が重くなっても、基本的にはそこで住み続けられるようにしていくと。転居を余儀なくされたり、場合によっては施設等々たらい回しされるようなことがないように、住み続けられるようにというのがポイントなのだろうと思っています。
 それから、次のページですが、これは分科会でも御議論というか資料として提出させていただきました定期巡回・随時対応サービスのイメージ図でございます。
 それから、8ページが、高齢者住まい法等の改正概要ということですが、特に改正概要のちょうど真ん中あたりですけれども、今まで幾つかあった住宅の類型をサービス付き高齢者住宅に一本化をして、それで厚生労働省も含めて国土交通省、厚生労働省の共管の、一緒にやりましょうという制度にしたということです。
 それから、9ページですが、特に一定の質が確保された質の高い住宅ということですが、大きく3つポイントがあると思っております。1つは、ハードと書いてありますが、バリアフリーであること、それから居室が、1居室25平米と最低限の居住環境を備えている、こういったバリアフリー、ハード面の話が1つ。それから、2つ目が、きちんと暮らしていけるサービスがついているということ。最低限、いわゆる見守りサービスがついているというのを基準にしております。それから、契約内容とありますが、これは、要するに居住する権利、入居者の権利が保護されているということです。賃借権であればきちんと法律によって保護されますが、仮に利用権方式というような形で、契約によってそこを措置する場合でも、例えば入院を理由に事業者から一方的に契約が解約されない、そういったことなどを条件にしております。
 そのほか、情報をきちんと公表していく、高齢者の方ですから、情報の格差あるいは情報の非対称性といったものがあってはいけませんので、情報をきちんと公表・公開していく、利用者に説明していくとか、それから、もろもろの基準を守っていくために、都道府県の方になりますが、登録を受ける都道府県が監督・指導をしていくといったことが法律の内容として書かれているということです。
 それから、11ページが支援措置でございます。予算が1戸当たり100万円というのが基本的な額になりますが、これを補助すると。あと、税制とか融資とかがつきまして、基本的には、例えばマンションとかアパートとか、そういうものと競合するような高齢者向けの住宅の方に市場全体を誘導していこう、政策誘導をしようということでございます。
 それから、12ページがその予算の概要を更に書いたものですが、例えばその他の要件というところがありますが、10年間、サービス付き高齢者住宅として登録をするとか、あるいは家賃が近傍同市と均衡を失しないとか、それから、家賃も前払いだけというルールはだめですよと。こういった、予算上一定の制約をかけて質の高いものを供給していこうということでございます。
 それから、13ページは、有料老人ホームとの関係をイメージしたものです。例えば、その上の四角にありますように、食事等々、いずれかのサービスを提供していれば有料老人ホームにも該当するというようなこと、それから逆に、いわゆる見守りだけということであれば、これは有料老人ホームに該当しないというようなことですが、特に薄く黄色がかかった部分で、なおかつ青からはみ出している部分、サービス付き高齢者住宅ではないけれども有料老人ホームであるというところが相当数ございますし、また、この中には、低所得者向けも含めて、サービス付き高齢者住宅とはまた別に、政策課題を抱えるところも相当数あるということだと思います。
 それから、14ページは、高齢者住まい法の方で県がつくることになっております高齢者居住安定確保計画の策定状況です。今現在5ですけれども、介護保険事業計画に併せて策定をしましょうというところが相当ございまして、今年度中には40近くの都道府県で策定をする見込みということです。
 それから、15ページは、これも何回かごらんいただいたことがあるかと思いますが、サービス付き高齢者住宅の一つの例でございます。たまたま昨年、当時の前原国土交通大臣と長妻厚生労働大臣がそろって視察に行かれた横浜の日吉の方の例をここに上げております。
 それから、16ページ以降、サービス付き高齢者住宅ではないけれども、有料老人ホームとなり得るような施設についての問題を幾つか書いております。16ページは、未届、老人福祉法上必要な届出の義務を果たさないとか、あるいは当然守ってしかるべき消防法を守らないとか、建築基準法を守らない、そういうものが多々あるという現状にあるということでございます。
 それから、17ページは、有料老人ホームに関するトラブル、消費生活、国民生活等々の観点から寄せられたトラブルについての集計でございます。国民生活センターの方の資料を借用しておりますが、全体として増えていると。中でも、下の折れ線グラフにありますように、契約なり解約、結局、死亡されるとか、あるいはその内容について説明が不十分で気に入らないから出ていく、そういうときに、例えば高額な一時金を取られていて、その返還について問題になる、そういった契約・解約関係のトラブルが多いというのが特徴でございます。
 そうしたこともありまして、下のページにありますように、消費者委員会の方から、昨年の暮れに厚生労働大臣の方に建議をいただきました。いわゆる90日ルールという、短期間で契約を解約した場合に、一時金について実費相当を除いて全額返還する、こういったことを法律上きちんと法定化しなさいなどなどの提言をもらったということです。
 それを受けまして、次の19ページでございますが、今回の高齢者住まい法、それからサービス付き高齢者住宅に該当しない有料老人ホームも共通でございます。逃げ道なしということで、どちらも共通のルールとして、今ほど申し上げましたいわゆる90日ルールの法定化ということと、それから右側の欄になりますけれども、権利金、建設協力金、礼金等々、言い方はいろいろありますが、いずれにしても家賃、敷金、あるいはそのサービス、あるいはこれらの前払いという一定のサービスに対する対価としての説明がきちんとできないお金は取ってはいけないということを、法律上明記したということでございます。
 以上を踏まえた論点として御提示させていだたいているものが20ページになります。1点目は、特に24時間対応の「定期巡回・随時対応サービス」、これを初めとして、居宅サービスをきちんとレベルアップして、高齢者住宅にきちんと住み続けられるようにしていくために、重度化しても住み続けられるようにしていくためには、どのように基準を設け評価をするかというようなことで、これをもって地域包括ケアの実現にどう結びつけていくかということが大きな論点だと思っております。
 併せまして、若干役人的な話になるかもしれませんが、いわゆる見守りサービスと、それから介護保険により提供されるサービスとの連携についてどう考えるか、こういう形で論点として御提示させていただいております。
 以下、参考資料でございます。
 以上です。

○大森分科会長 ありがとうございました。
 それでは、橋本さんから引き続きまして御説明いただきますけれども、時間が短くて恐縮ですが、10分程度でお願い申し上げます。

○橋本意見陳述人 高齢者専用賃貸住宅協会の会長をしております橋本でございます。本日は、高齢者の住まいについてということで、考え方を述べさせていただきます。
 まず、高齢者の住まいということですけれども、これは、この戸建て住宅、それから集合住宅という種類の違いがございますが、この住宅ということにつきましては、施設との間にはっきりした違いがあるだろうと考えているところが一番大きなポイントでございます。一般の認識では、軽度の人は高齢者住宅、それからもう少し重度になったら施設に入ったらいい、こういう考え方が不適当だろうと。住宅と施設の間にははっきりした違いがあって、施設に入る場合には若干依存的な状態にならざるを得ない、住宅の場合は自律的な状態で生活することができる、この2つの違いが大きいだろうと思っております。
 その最初の1ページ目の「福祉行政と住宅行政の統合」ということでございますけれども、従来、多分、現在でもそうだろうと思うんですが、日本におきましては、高齢者問題は、高齢者介護、あるいは高齢者医療というところが中心でございまして、高齢者住宅については余り重要視されていなかったということがございます。しかし、1916年に当時の建設省のシルバーハウジングプロジェクトというものがスタートしております。これは、高齢者住宅に対する施策でございますけれども、あくまでも健常な高齢者を対象にしております。健常な高齢者というのは、実は対策が必要かというと、必要がそんなにないわけでございまして、対策が必要になるのは障害を持った高齢者ということに集中するべきだろうと。その点では、厚生労働省が1989年の高齢者保健福祉推進10カ年戦略、いわゆるゴールドプランを策定したときから、本年度のサービス付き高齢者向け住宅で、障害を持った高齢者の住宅の建設というところに至るまで、約20年間のギャップがあったんだろうと思っております。
 次のページをお願いします。我々が運営しております高齢者専用賃貸住宅について、若干の御説明をしたいと思います。
 高齢者専用賃貸住宅と申しますのは、高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅」のうちの、もっぱら高齢者を賃借人とする賃貸住宅でございまして、それを登録するということでございます。登録基準は、居室の面積が25平米以上でございます。トイレ、洗面所、キッチン、浴室などの設備を義務づけております。それから、前払い金の保全処置、登録時に賃貸契約書の提出を義務づけております。
 このような高齢者専用賃貸住宅は、施設との違いという点で、1つには、安全性・便宜性の見方の違いということがございます。それから、第2点としては、住まいとケアの分離ということをはっきりやらないといけなという点がございます。安全性・便宜性の見方というのは、その下に描いてある図でございますけれども、左上の戸建住宅というもの、それから右下の施設介護、これが両方あるのですが、戸建住宅におきましては、当然ながら自由度が高い、しかし、安全性・便宜性が低いということがございます。施設では、その反対でございまして、自由度が低い、その代わりとして安全性・便宜性が高いという特徴があるだろうと思います。
 双方に利点、欠点と両方ございますけれども、この集合住宅としては、当然ながら、自由度が高くて安全性・便宜性も高いものをねらっていこうということがその目的ということになります。しかし、この安全性・便宜性というのは、普通は拘束とか依存とかというものの代償として安全性・便宜性が得られるということが一般的でございますから、この拘束性とか、それから依存性とかということをなくしつつ、安全性・便宜性を高めていこうというのが一つの課題ということになっております。
 では、次のページをお願いします。続きまして、高齢者専用賃貸住宅のポイントとしまして、「住まいとケアの分離」という原則がございます。そこに書いておりますように、従来型の考え方では自宅の場合には、住宅部分は充実しているのだけれども、ケアの部分がちょっと不足だよということで、それがどんどん住宅部分が狭くなりまして、貧弱になりまして、ケア部分が大きくなるというのが一般的な考え方だったのだろうと。それを、住まいとケアの分離というのは、住宅部分は最初から変わらない、ケアの部分だけがどんどん大きくなっていくというのが、住まいとケアの分離ということでございます。
 それで、その下に今回のサービス付き高齢者向け住宅の創設というものがございます。これにつきましては、現在あります高齢者専用賃貸住宅制度とそんなに変わらないのかなという感じはしております。本質的には、多分余り変わらないだろうと思います。ただし、最も変わったところは、概要の登録基準の最初にございます「有料老人ホームも登録可」ということでございます。この有料老人ホームと、それから高齢者専用賃貸住宅を合わせて「サービス付き高齢者向け住宅制度」ということでございますけれども、ここには十分に整理しないと、若干、いわゆる住宅と施設の境目があいまいになるのではないかという危惧がございます。
 次のページをお願いします。高齢者専用賃貸住宅の構造といいますか仕組みでございますけれども、大きくわけまして、家賃、共益費の部分、それから生活支援サービス費の部分、それから介護保険サービス、医療サービスというパブリックなサービスの部分、その3つの部分がございます。
 家賃、共益費の特徴としましては、通常の賃貸住宅よりもやや高いが、介護付き有料老人ホーム等よりも大幅に安いという特徴がございます。これは、考え方としまして、賃貸住宅から導入された家賃でございますから、賃貸住宅に極めて近いものになっているという特徴がございます。
 それから、次の生活支援サービス費ですけれども、今現在やっております内容は、見守り、生活相談、随時対応、それから20分以下の短時間の介護サービス、介護保険で請求できない介護サービスということでございます。今回のサービス付き高齢者向け住宅とほぼ一緒のことを、高齢者専用賃貸住宅のかなりの部分でやっていたのではないのかという感じがいたします。
 それから、4番目、5番目の介護保険サービスと医療サービスは、当然ながら、国民であればだれでも受けることができるという原則でございますから、当然できるだろうということでございます。
 それから、次に、高齢者集合住宅(高齢者専用賃貸住宅)で守るべきものということで、まず、住まいの変更あるいは居室の変更を強いることがない、これが施設の一番の特徴かと思います。施設ですと、例えば313号室から、都合によって201号室に替わってくださいというのは簡単に言う習慣がございます。こういうことは絶対ないようにしましょうと。
 それから、生活上の拘束は一切行わないこと。今、施設で一番問題だろうと私が思っておりますのは、帰宅願望という、問題行動と称して施設で拘束するということが日常茶飯事的に行われているという実態がございます。これは、本当はかなり問題なのですけれども、昔から施設ではこういうふうにやっていたということで、現在でも見過ごされているという実態がございます。
 それから、3番目、公的サービスに対する自由なアクセスというのは、例えば医療サービス等、それから賃貸住宅の運営とが一体になっているケースもございます。つまり賃貸住宅入居者に対して医療機関を指定するというたぐいのものもございます。これは極めて自由なアクセスということを妨害するので、これは問題だろうと。しないようにしなければならないということでございます。施設の場合ですと、これが対になっておりまして、この施設はこういう医療機関で医療を受けてくださいということが、これも恒常的に行われております。
 それから、4番目としまして、適正なアセスメントに基づくケアプランが双方の合意のもとに実施されること。総合的アセスメント能力の必要性、これは、自宅、施設のケアマネとも現在不足しております。それから、随時対応の少ないケアプランをつくること、それから1日8回程度の定時訪問(生活支援サービスとして)も可能であることということがございます。
 以上のことが大切でございますけれども、介護保険が存在する日本におきましては、高齢者集合住宅が最も効率的に機能するのではないか、デンマーク、スウェーデンよりももっと有効的に機能するのではないかと考えております。
 では、次のページをお願いします。高齢者集合住宅(高齢者専用賃貸住宅)の問題点ということでございますけれども、先ほどの守るべきものとの対比ということでございます。
 まず、借家権契約が理解されていない、従来の施設の利用権契約と一緒のような契約が行われていると。それから、住まいとケアの分離が不十分(生活上の拘束が残っている)。それから、公的サービスに対する自由なアクセスが保障されていない。4番目としまして、適正なアセスメントに基づくケアプランが双方の合意のもとに実施されていないということでございます。総合的アセスメント能力の不足、随時対応の少ないケアプランがつくれない、不適正な介護保険請求を行っている事業所に対して、行政の監視が乏しいということでございます。
 続きまして、その下の、今回の介護保険改正の一つのポイントでございます定期巡回・随時対応訪問介護サービスの問題点というものを、高専賃の立場から申し上げたいと思います。
 高専賃の立場からというのは、高専賃では既に、先ほど申し上げました生活支援サービスとして定期巡回・随時対応を行っております。その知見としましては、包括報酬を行った場合、従来の施設ケアプランと同様の実質の乏しいものとなる。2番目、アセスメント能力を持つ担当者が存在するかどうか。3番目、要介護度の高い場合、家族の関与を必要としなければならないようになるのではないか。4番目、独居の高齢者のみに限定できるかどうか。5番目、高齢者住宅に対して、包括報酬の場合は、特定施設と同様の形態になるのではないかということでございます。
 では、次のページをお願いします。介護保険改正に対する高齢者集合住宅関連の要望を申し上げたいと思います。
 第1番目として、サービス付き高齢者向け住宅に対する定期訪問・随時対応サービスの適応方法について、特に包括報酬についてということでございます。これによって高齢者住宅の施設化の懸念が高まります。それから、ケアマネジメントがなおざりになります。それから、従来あります生活支援サービスとの整合性がちょっと難しいということがございます。
 それから、2番目として訪問介護事業所の開設制限。これは、地域独占ということも考えられておるようでございますので、この高齢者集合住宅に対して、既存の事業所は、24時間対応になっている事業所は非常に少ない。それから、自由な介護の提供がないとサービス付き高齢者住宅の利点が生かされないということでございます。
 そういうことに対して、私どもは訪問介護の短時間サービスの創設をしてはどうかと考えております。24時間巡回訪問サービスは、包括報酬よりも短時間のサービスに対する報酬の新設が望ましいと。今現在、特定施設でも、外部対応型の特定施設は短時間サービスがございますけれども、これはほとんど使われておりません。例えば10分以内のサービスでこういう点数が新設されれば、それが望ましいと考えております。
 それから、4番目は、細かいことでございますけれども、特定事業所集中減算というものが今、居宅介護支援事業でございます。これは、集中減算に対する基準のうちの「正当な理由」に関する部分を明確にしていただきたい。都道府県によってこの基準がばらばらでございまして、こういう理由だったら、この特定事業者集中減算をしない、あるいはそういう理由があってもするというのが都道府県によってまちまちでございますので、これを明確に一本化していただきたいということでございます。
 最後に、サービス付き高齢者向け住宅に対する定期訪問・随時対応サービスの適用方法についてということは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、高専賃でのサービス構造というのは、生活支援サービスが有料で、大体3万円前後だろうと思いますが、これでいわゆる随時対応サービス、それから生活相談サービスというものをやっております。ここの有料サービスと、それから、もしも包括報酬になった場合に、このようなサービスとの整合性はどうなるのかという点が若干気になるところでございます。
 その次のページからは添付資料でございまして、最初は、高齢者の居住施設が、今の規約でありますとどんどん伸びていきますということ、それから、高専賃の登録戸数が、そこに書いてあります大体20戸から30戸ぐらいが中心ですということ、それから、高専賃の住戸面積は、半分以上が25平米以上になっております。
 それから、次のページをお願いします。家賃額が、例えば介護付き医療老人ホームとか住宅型医療老人ホームと比べて非常に低い値段で推移しているというところも特徴かと思います。大体5万円、7万円というところが標準だろうと思います。
 介護度は、55%ぐらいが要介護者、そのほかが自立、要支援者ということになっております。これは、協会会員だけの調査でございます。
 その次のページは、高専賃居住者に対する介護保険請求額。これは、私が会長をしております株式会社メッセージというところで、約1,000人足らずの人を調査したのでございますけれども、左から、要支援1から要介護5まで、赤い色が限度額、ブルーが実際に訪問介護で請求している額でございます。要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3ぐらいまでは限度額よりも低いのですけれども、要介護4ぐらいになったらだんだん近づいていくということでございます。
 介護時間の介護請求ができない見守り時間の比率というものをその下に書いておりますけれども、要支援1から要介護5まで、介護時間が赤い色、見守り時間がブルーでございます。まあ、見守り時間はこの程度だろうということでございます。
 一番最後のグラフは、次のページでございますけれども、私どもの会社のやっております特定施設と高専賃の比較で、随時対応の頻度の比較をしておりますが、これは、左側の高専賃の方が、同様の介護度の人を比較した場合に非常に低いという、5分の1程度だろうということでございます。
 以上でございます。

○大森分科会長 御苦労さま。ありがとうございました。
 それでは30分程度、せっかくお見えくださっていますので、御質問等ございますればしていただいて、できるだけ共通認識を持ちたいと思います。どなたからでも結構です。三上さんどうぞ。

○三上委員 高齢者住まい法ということでこういったものが必要というのはそのとおりで理解しておりますけれども、橋本さんのお話にありましたように、ヒアリング資料1の8枚目に高専賃等の守るべきもの、あるいは問題点というものが指摘されておりますが、この居住系施設と言われるものについての問題点として、4番に上げられております「適正なアセスメントに基づくケアプランが双方の合意のもとに実施されていない」というのは、従来からよく指摘されていたことだと思います。特に、不適正な介護保険請求を行っている事業所に対して行政の監視がないということも以前に指摘されたと思うのですが、これは、基本的には在宅サービスと居住系サービスの違いというものが少しあいまいになっているところがあり、そのためにこういったことが起こるのではないかと。高専賃等が居住系施設ということであれば、いわゆる自宅ということとは区別をして、報酬体系についても違う形にするのがいいのではないか。特に診療報酬でも、同一建物に対する訪問サービス等については類型を変えておりますので、介護保険についても、その居住系施設と自宅について、同一建物とそうでないもの、個別の住宅については別の形にするのがいいのではないかと思うんですけれども、この辺について、厚生労働省の方の御意見を少し伺いたいと思います。

○大森分科会長 基本的な事柄に関係していますけれども。それでは、どうしますか、課長さんかな。では、そちらからお願いしましょう。

○水津高齢者支援課長 まさにこれから御議論いただくべきテーマだと思っております。

○大森分科会長 三上さんの御趣旨をもうちょっと言っていただけますか。

○三上委員 在宅サービスと居住系サービスというものが違うものかどうかということなのですが、これは、居宅サービスということもありますし、居住系施設という言い方をすることもあるのですが、この辺のところをうまく使い分けられると、非常にモラルハザードみたいなものも起こる可能性がありますので、その辺のところをきちっと分けていただけないかと。これは、老人保健課長に聴くのがいいのではないかと思うのですけれども。

○大森分科会長 御指名です。

○宇都宮老人保健課長 今の御趣旨というのは、集合住宅みたいなものと一軒家が違うという、そういう御趣旨でいらっしゃいますか。その辺については、ですから、まさにこれから御議論いただいて、そういうものを違えた方針にするのか、あるいは同一にするのかということについて、まさに委員の皆様方に御議論いただくことではないかと思いますけれども。

○大森分科会長 せっかくですから、橋本さん、今の点は何かお考え方がありますか。

○橋本意見陳述人 それがまさしく問題点でございまして、高齢者住宅、現在ですと高専賃なのですけれども、これを住宅と見るのか、施設と見るのかというところの観点というものをはっきりさせておかないといけないと思います。住宅と見るのであれば、集合住宅というのは、分譲住宅を初め、一つの建物にたくさんの所帯があるというものが集合住宅でございますので、こういうタイプのカテゴリーの中に入るものとしての高専賃なのか、あるいは施設というふうにもうみなしてしまって、施設の一つの類型だよという感じにみなしてしまって位置づけるのかという選択がございます。
 私どもとしましては、当然ながら施設とは違うと、完全にそこで線を引かないといけないというところがポイントでございます。ですから、先ほどの観点から言えば、高齢者集合住宅は、確かに介護保険の適用につきまして戸建て住宅とは違います。戸建て住宅の場合には、1軒から1軒に行くのに最低でも数分はかかるだろうと。しかし、集合住宅の場合は1分で行けるということが違います。その違いによって、施設ぽい運営をするというところが一番の問題となるわけでございまして、あくまでも一戸一戸の所帯が違うよということを原点にして考えるべきだろうと考えております。

○大森分科会長 ちょっと恐縮ですけれども、制度のことはちょっと今、度外視しまして、住まいということに限定して言うと、個々に暮らしている個住ですが、それと集合で暮らすものについて言うと、高専賃も特養も同じことになりませんか。集合で暮らしている。それを施設と見るか、それとも新しい形態のものと見るかという議論は残りますけれども、住まいとしては同じになりませんか。

○橋本意見陳述人 はい。見た目が同じでも実質は違いますということでございますね。見た目が集合していても、実質的に個別住宅と位置づけなければならないという観点が私の見方でございます。

○大森分科会長 池田さんどうぞ。

○池田委員 施設か在宅かということはなかなか区分できないのは三上先生のおっしゃるとおりでありますが、ひっくり返して考えることもできます。つまり、施設サービスというのは、特別養護老人ホームだけとする。老人保健施設、本来在宅サービスではないでしょうか、中間施設という考え方では。だから、在宅サービスに位置づける。療養病床は医療施設ということで医療に持っていく、その方がすっきりするのではないかという考え方も片方であるよということは、申し上げておきたいと思います。
 そこで、橋本先生にちょっとお伺いしたいのですけれども、高専賃の構造のところで、20分以下短時間介護サービスというものが現在提供されているということですが、この内容は身体介護的なものか、家事援助的なものなのか、それともそれ以外のものなのか。つまり、介護報酬の対象にならない理由は何だろうかというのが1点わからなかったことでございます。
 それから、高齢者集合住宅で守るべきもので1番目に書いてあることは、私は非常に重要だと思うんですよね。「住まいの変更を強いることがないこと」、しかも「居室の変更を迫ることがないこと」と書いてある。これはおっしゃるとおりで、掲げるべき理念だと思いますが、実際上つくられている建物を見ると、自立の人が入る棟と要介護の人が入る棟が別々につくられているケースって少なくない。要するに要介護状態になったら、少なくとも居室は移動するということになるので、いかがかなという感じはするのだけれども、その辺は、いわば業界という言い方は失礼になるかもしれませんが、その中ではどういう考え方になっているのだろうかということが2つ目の質問でございます。
 それから、「適正なアセスメントに基づくケアプランが双方の合意のもとに実施されること」とあります。これは大変重要なことなのですが、これが全然できないというのは、居住系サービスだけではなくて、はっきり言ってどこもそうなんです。だから、これを取り上げて1つの特定のサービスについて問題にするということではなくて、これはこれで全体の問題として、ケアマネジメントシステムの再構築という意味で考えなければいけないので、これをいわば住居系サービスの中に持ってこられると、ちょっとバランスが崩れるのではないかという感じを受けました。
 その次のページのところで、包括報酬について言われて、短時間サービスの報酬、例えば20分未満の訪問介護というような新類型をつくるということも一つの選択肢だということが書いてあるのですが、その場合、これも最初の問題と重なるのですが、個別の住宅を訪問介護する場合は、当然のことながら移動コストがかかります。集合住宅の場合であれば、移動コストというのは非常に低く抑えられる。そうすると、現行の制度で言えば、個別の自宅を巡回するのと、集合住宅の中でやるというのは違いますから、そこのところというのは差が出ざるを得ないのは、私は不合理ではないと思っているんです。訪問介護って、もともと移動コストが含まれているという考え方でつくられているわけですよね。そうすると、同じになってしまうということになると、居住系サービスが得をしてしまう。そういう矛盾が起きてしまうのですが、その辺はどういうふうに解決すればいいのだろうかということです。
 その次のページの要望のところで、包括報酬については今言ったようなことで、2番目の地域独占は、よく明確におっしゃいませんでしたが、これ、1社地域独占はいかんよということをおっしゃっているのですか。

○橋本意見陳述人 いかんよということではなしに、集合住宅の場合に、例えば集合住宅建設を促進するという観点からは矛盾するのではないかということです。

○池田委員 非常に優しいおっしゃり方だと思うのですが、私も、基本的には地域1社独占というのはよくないと思っているんですね。地方においては自動的にそうなるでしょう。多分1社独占になってしまうので、制度的に規制する必要は全くない。大都市の場合は、むしろ競争した方がいいのであって、いわゆる地域独占というのはやはりちょっとまずいなという意味で、自分では、ある意味で共通した考えを持っていると思います。
  それから、これも非常におとなしい言い方をされているのですが、私も、特定事業所集中減算はもうやめてほしい、撤廃してほしい。消費者がいいサービスのところに集中して、それが1社に集中するというのは契約の世界では当たり前です。そこを特定の事業者が、例え優良であっても、そこに集中してはならないというのは、これはおかしいのです。これは、もともとケアマネジャーとか事業者の囲い込みという問題の中で出てきたわけで、実際上、囲い込みが行われていないとは言いませんけれども、それほど大きな矛盾にはなっていない。したがって、この際、今回の介護報酬で特定事業所集中減算というのはもう撤廃する、やめる、そういうふうにした方がいいのではないかと思っています。これは先生への御質問ではなくて、厚生労働省への要望ということになります。
 以上です。

○大森分科会長 それでは、すみませんけれども、御質問の部分について。

○橋本意見陳述人 いろいろございましたから、一番最後の忘れにくいところから最初に申し上げますけれども、例えば集合ですと一戸一戸の家を訪問するのに非常に短い時間でできると。だから、その訪問時間に介護サービスの時間が含まれているので少し減額した方がいいのではないか。それは、つまり合理的なことをしたら少し料金が安くなるよということと一緒だろうと思うのですけれども、それはそうかなと思います。事実、例えば要介護3以上の方ですと、かなり工夫しないと限度額におさまりません。反対に言えば、現在の一つ一つの個々の報酬が若干高過ぎるということでございますね。ですから、私の考えとしましては、一つ一つの短時間サービスの報酬を新設する、限度額を上げていただければそれに越したことはないのですけれども、財政的なところから難しいということになれば、一つ一つのサービスの価格を下げて短時間サービスを認める、そういう観点が一番合理的ではないかという感じがいたします。
 実際に要介護4、5になりますと、普通の介護報酬の算定をすれば、大体40万円から50万円ぐらいの算定になります。1カ月が4万点から5万点ですか。それを、一つのサービスを一緒にしたり、これは報酬を請求しないようにしたり、そんないろいろな工夫をして現在の33万6,000円程度におさめているような感じが実態でございますから、そういうふうな工夫も必要ではないかと考えております。
 それから、一番最初におっしゃいました生活支援サービス費のどのようなことをやっているかということですけれども、これは、大部分が見守りと見回りということでございます。その多くは、多分3分の1ぐらいが排せつの援助ということになります。排せつの援助は、定期の排せつ援助でございますから大体10分以内で終わることが多いと。それが、多いときには十数回排せつ援助が起こってくる、それが今、一番大きなポイントではないかと思います。それから、相談というものも当然ございます。
 それから次の、例えば介護棟と自立棟と分けたらどうか、これは、この協会の中でも意見がはっきりしているわけではございませんから、これは協会の意見というよりも私個人の意見として申し上げたいと思うのですけれども、これは、分けるのは適当ではないと思っております。分けてしまうと、やはり介護棟の方は施設化いたします。ですから、やはり障害の少ない人と障害の多い人が一緒に生活するという観点は非常に大切でございまして、それから、自分の居室を移動することがないということも大切でございますので、混合にした方が多分いいだろうと思っております。

○池田委員 ちょっとお聴きしたいのですが、20分以下の短時間介護サービスが生活支援サービスで行われているというところでちょっと気になったのは、例えば相談とか見守りとか巡回というのはわかるんですよ。そこに排せつ介助が入ると、これは身体介護になります。そうすると、この生活相談員を置かなければいけませんよね。それが一定の介護技術・知識を持っていなければいけないという縛りがかかると、例えば2級ヘルパー以上でないとこれはなれないとかということをやられると、非常に阻害要因になると思うんですが、、、。

○橋本意見陳述人 それは、結局、介護度5の人までそこで生活する権利を保障するということになると、どのようなサービスを提供するかという選択肢になると思うのですけれども。例えば介護度1の人が、何かの理由で介護度5になってしまった。そこへ住み続けたいと外部サービスで訪問介護を受ける。その訪問介護の方法はどうなのかという問題だろうと思います。ですから、その場合、短時間サービスしないという選択はあり得ないということでございますので、随時対応ではなしに、定期巡回サービスとしての短時間サービスということでございます。あくまでもケアプランに記載された状態で短時間サービスするということになります。

○大森分科会長 ケアプランのことは、今の御回答でいいでしょうか。
 では、どうぞ。

○村川委員 今、御説明がありましたが、高齢者住宅の場合の基本的な自由度、相対的に入所施設と対比して、入所者の選択性も含めた、そうした生活のあり方は評価されると受け止めた次第であります。具体的には、これまでの高専賃あるいは高優賃などの御努力として、一定の生活相談機能あるいは随時対応機能があったということは評価されるわけですが、率直に申して、これは諸外国の影響といいますか、英国などでのいわゆるワーデン、つまり見守り員、一定の支援という程度でとどまっていくのか、あるいは排せつ介助等の御紹介もありましたが、明確にホームヘルプの機能、このスタッフの資格であるとか、研修であるとか、その辺についてどんなお考えがあるのかということをお聞かせいただきたいということが1つあります。
 それで、この高齢者住宅に付設されるサービス機能については、主として訪問系を想定されまして、それはそれで大変意味があると私は思いますが、集合住宅の規模にもよりますが、例えば20~30戸規模以上の場合には、場合によっては通所のサービス、これはミニデイと言うべきか、サテライトデイと言うべきか、介護保険の報酬の対象と考え得るところまで考えるべきなのか、それともサロンといいましょうか、むしろ保険外の、そこの居住者の一面の共同性といいましょうか、今回の震災後の動向等を見ていましても、やはり入居される方々の横のつながりというようなことの大切さということも言われる時代になっておりますので、そういったような機能等について、もし何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

○大森分科会長 いただけますか。

○橋本意見陳述人 この場合にはっきりしておかないとけないのは、外部サービスという視点が必要だということでございます。高齢者住宅あるいは集合住宅自体は、そんなに機能を持っていないという原点が必要だろうと思います。何か高齢者集合住宅にくっつけていろいろなものがセットであるという、外目に見ればそうかもわかりませんけれども、システムとしては外部から来るよということをはっきりしないといけない。そうすると、それはデイサービスであろうと、それから訪問介護であろうと、訪問看護であろうと、どんなサービスでも、限度額というものの縛りがございますが、限度額内で利用者がそれを要求すれば、当然それは提供されないといけないということでございます。

○大森分科会長 後者の方はいかがでしょうか。

○村川委員 後者はよろしいが、前者の方をできればもうちょっとお答え願えれば。

○橋本意見陳述人 すみません、もう一度ちょっと。

○村川委員 高専賃、高優賃など、いわゆる高齢者住宅あるいはまたケア付き住宅というような発想の中では、見守り員といいましょうか、軽微な相談、初動的な対応をしていただくことの大切さはよくわかりますが、先ほど一部の事例については排せつ介助までやっておられるということで、この住宅に置かれるスタッフの資格といいますか、あるいはその受けるべき研修というようなレベルについて、どんなお考えを持っておられますか。

○橋本意見陳述人 失礼しました。今度のサービス付き高齢者住宅につきましては、まだそのあたりがはっきりしていないと伺っているのですけれども、この機能を余り過大に評価するべきではないと思います。この機能を評価しますと、家賃にどんどんその賃金がはね返ってまいりますので、これは、あくまでも賃貸住宅という原点をはっきりさせておくべきだろうと。それに外部から訪問介護サービス、先ほど申し上げた排せつ介助というのは、現在では訪問介護サービスの一つとしてやっております。これがサービス付きになりますと、そこの施設についた見守りサービスとしてやるのかどうかというのは別の議論でございますけれども、現在では、訪問介護サービスのケアプランの中に記載された一つとしてやっております。ただし、これは介護サービスが10分以下ですのでできませんもので、それはもう純然たる無料、サービスということでございます。

○大森分科会長 なるほど。よろしいでしょうか。
 桝田さんどうぞ。

○桝田参考人 今日いただきました資料で少し疑問点がありますので、お答え願いたいのですけれども、まず、高専賃の4ページ目の生活サービス費のところですが、サービス付き高齢者住宅で、今回の部分で言うと、一番最低条件というのが、いわゆる生活相談であったり、そんなにウエートの高い部分でない生活支援サービスが最低義務づけられている。今いただきました2ページの部分で高専賃の構造という形で、生活支援サービスで見守りから、それこそ20分以下の短時間介護サービスまでというのが書かれていると。これは、実際にその事業所、事業所によって異なるのは確かだろうと思うんですよね。いわゆる生活支援サービスという部分で皆さんが内容をつくられて、それに見合ういわゆるサービス費をいただくということで組み立てが行われるので、それこそ完全な住宅に近い形のものから介護付きの有料老人ホームの分まで幅広い形がつくられると。
 その中で一番懸念しますのは、今回、誇大広告につきましては、当然ペナルティが科せられるような部分も入っていますけれども、それが一番怖い問題になってくる。サービス内容がないのに、料金は高くて、実際にトラブルが起こってくる可能性が出てくると。というのは、今日いただきました2ページ目の資料は、施設介護と集合住宅と比べています。ある意味では、協会の方でつくられた資料とすれば、こういう自由性の問題というものを書かれていると。でも、よく見ていただきますと、施設介護、ベッド数は5つも6つも空いておられる。それで、今、特養にしても老健にしても、こういう施設は存在しない。しないのに5つも6つもベッドを書いて、さも施設が雑居部屋で、集合住宅はいいんですよといういわば誇大広告でもっとひどい事例を出されていると。それが全体の台数になるのであれば、非常に懸念しなければいかんことだと思います。
 それと、サービス付き高齢者住宅は、これから必要な条件としてかなりつくっていく必要があると思うんですよね。ただ、問題点は、では、介護サービスを外づけでつけた場合に、どの程度の方までここで生活を続けていけるのかと。そうすると、例えば要介護4、5の方が、では、24時間対応の部分でどこまで実際にサービスがつくられるのか、これはまだやっていませんのでわかりません。でも、理想像であるけれども、やはり限界点も出てくるだろう。限界点の一つに費用の問題が出てくると。やはり利用者の方が自費で払える限度額というのは、その方の収入に応じて変わってきます。今のいわゆる厚生年金の方の対象でないと、基礎年金の方ではちょっと難しいであろうと。そうすると、いいサービスを受けるためには、どんどん費用が高くなっていく。地域によっては、大都市部であれば、当然家賃も高くなってくるから、その問題が出てくると、今度は逆に、サービス付きの高齢者住宅でない、低所得者のためのいわゆる貧困ビジネスがもっと大きくなってくる可能性がある。そこの対策というのをやはり十分しておかないと、いいものをつくって、いいサービスは提供できるけれども、それを受けられない方がどんどん増えてしまっていくと、一つ大きな問題点になるのかなと。
 それと、やはり住宅と施設介護というのは、両方をつくっていって初めていろいろな機能が果たせるのではないかと。住宅で施設介護がすべて補完できますよというのは、その人、その人に応じた必要な介護とか、必要な医療とか、そういう部分を考えていくと、やはり両輪としてつくっていくべきものであって、住宅、居住系サービスをもって介護がすべて外づけでオーケーですというのは、少し行き過ぎではないかと思いますので。

○大森分科会長 御意見があれば、橋本さんお願いします。

○橋本意見陳述人 この図でございますけれども、施設介護が雑居部屋のようだということは、勿論すべてがそうではございませんが、こういうものがありますよという典型例でございます。
 それから、最後のすべて在宅サービスでできるのか、これは当然できません。例えば、認知症の方々がどのように生活するかという、オリエンテーションが非常に障害されている方にとっては、共同生活というものが選択肢としては非常にいいわけでございまして、現在行われているグループホームという形式は、かなり質のいいサービスを提供できる方法としては、推奨されるべきものだと思っておりますし、それから医療が非常に必要になったという人に対しては、若干医療の強いような施設系のサービスが必要だろうとも考えております。
 今現在、日本の問題は、施設系サービスが足りない、少なくなっていくという問題ではなしに、居住系サービスが少ないというところが一番問題でございますので、居住系サービスを増やすと同時に、施設系サービスの伸びは少し抑制したらどうかということが私の考え方でございます。

○大森分科会長 この2ページは一例だそうです。普通で見ると、やはりこれはちょっと古めかし過ぎて、どこかで「一例です」という表記がないと、今まで特養でいろいろ頑張って、いろいろ改善してきたり、個室ユニットもございますから、ちょっとそこは、一例だという御了解でいいと思います。
 まだありますか。それではお2人。

○桝田参考人 ちょっといいですか。事例でも、介護施設になれば、こういう定員は今、認められていないはずです。

○大森分科会長 4人以下ですからね。

○桝田参考人 はい。だから、もう明らかに間違っていますので。

○大森分科会長 そういう御指摘でございますので、よろしくお願いします。
 4人。そうしたら、一つ一つについてだけ。それでは勝田さんからいきましょう。

○勝田委員 全体として、高齢者の住まいについては、サービス付き住宅と定期巡回・随時対応型訪問を組み合わせていくと効率的にやるという今回の御提案は、これはもう国土交通省と一緒に建設するということで出ているわけですが、先ほどもおっしゃいましたが、やはり費用の問題が本当にネックになってくる、それから認知症の方についてもそうなのですが、国民年金の受給者では、とてもじゃないけれども入れないというのは、ここの表にも示されています。
 8ページにあります国土交通省の住まい法のところでは、リバースモーゲージを強制しておりますが、財産を使い果たした場合はどうなるのか、サービス付きのこの住宅の会社が、事縮小や倒産した場合に、そこに入っている方たちの保護というのはどういうふうになるのか。併せまして、地方では持ち家率が高いわけですが、何よりも高齢者が、その地域の中で安心して暮らしていくという中には、住宅が一つは心のよりどころになっているかと思います。定期巡回、このような形もいいのですが、本当に従来の滞在型の訪問介護は、認知症の人にとってもとても必要です。住まいというのは、住宅だけではなくて、施設、特養ホームの整備は、併せて今後とも早急に整備していっていただかなければ、今のサービス付き住宅だけで解決できる問題ではないと考えています。
 以上です。

○大森分科会長 ちょっと今の、御質問みたいなものがありましたか。こういう場合にはどうなるのでしょうかと。

○勝田委員 そうです。

○大森分科会長 では、そこの点についてだけ。

○橋本意見陳述人 ちょっと誤解がございますけれども、私が申し上げたいのは、定期巡回・随時対応サービスをサービス付き高齢者住宅に適用するのはどうかということでございます。適用するのがいいというのではなしに、どちらかというと疑問ということでございます。
 それから地方でどうか、施設がないところはどうかということなのですけれども、それは、当然ながら、施設の少ないところは施設をつくっていけばいい。ただし、今の日本の現状からいって、先ほど申し上げましたように住宅が不足しているということでございますから、その方を重点的にやった方がいいのではないかということでございます。

○大森分科会長 住まいとの関係で御質問でいらっしゃいます。

○水津高齢者支援課長 はい。リバースモーゲージを使い果たした場合ということでございましたけれども、民間で行っているリバースモーゲージというのは、数はまだそんなに多くないと思いますが、例えばリフォームの資金、それから通常の生活資金、それに対して融資をするのですが、そのときに自宅ですね。戸建て住宅であれマンションであれ、それを事実上、担保に供していただいて、高齢者が亡くなったときにそれを清算するという形でございます。
 それで、例えば生活資金の場合であれば、その貸付額はどんどん増えていくので、それを普通とは違うリバースの貸し付けなのだということでそういう言葉がついているのだと思います。したがって、一般的には、勝田委員が言われたような使い果たすというようなことはないように組まれたのが、リバースモーゲージだということだと思います。
 ただし、今回、住まい法の関係で特例を設けているのは、そういったいろいろなパターンのリバースモーゲージに対する拡充ということではなくて、あくまでサービス付き高齢者住宅に一時金が必要な場合には、その一時金について民間の金融機関がリバースモーゲージを設定する場合に、住宅金融支援機構の方がそれを付保する、保険の対象にするという形でございます。したがって、勝田先生が言われたようなことについて、直接今回の法律の方で何か対応しているということではないという点は、御理解いただければと思います。

○勝田委員 あともう一つの、縮小したり倒産した場合は。

○水津高齢者支援課長 金融機関なりがということですか。事業者がということですか。

○勝田委員 そうです。

○水津高齢者支援課長 事業者の倒産については、これは今の有料老人ホームでもありますが、民間事業者がやる以上、そういったリスクがある程度ついて回るということだと思います。
 それで、今回の法律の中に特に明示をしておりません、要するに全国的な基準とはしておりませんが、例えばサービス付き高齢者住宅を提供する事業者の資力とか、信用とか、そういったものについて、地方公共団体の方で居住安定確保計画で上乗せというか、横出しというか、そういった基準をつくることも考えられますので、その辺についての指針なり考え方というのは、現在、国土交通省と厚生労働省の方で検討しているところでございます。それでも100%安全ということではありませんけれども、一定の資力なり信用なりがある事業者が供給するものということで、サービス付き高齢者住宅に入居を考えている方の安心感が高まるのではないかと考えております。

○大森分科会長 では、木村さん。

○木村委員 4ページ、5ページにある高専賃で守るべきものと、それから問題点の中にあります、これは表裏の話だと思うんですけれども、1点だけ、4.の「適正なアセスメントに基づくケアプランが双方の合意のもとに実施されていないこと」とあるんですが、あと、特に問題点の中に不適正な介護保険請求を行っている事業所に対して云々というのもあって、質問は、ここに住まれている方々が、自由にサービスが選択できて、自立支援のために介護サービスが使えるためのケアマネジメントである環境というんですか、それに今足りないものというか、それから、それを進めるためにアイデアがあれば教えてほしいということです。

○橋本意見陳述人 それは、一言で言えば行政の監督だろうと思いますね。外部サービスでございますから、当然、訪問介護事業所の範囲ということになります。訪問介護事業所のケアプランをチェックする能力が地方の行政にあるかないかということでございますけれども、現在のところは、残念ながらないということが言えるのではないかと思います。
 ケアプランをこのようにつくって、表面上、事務的にこれで整合性が合って、住まわせているよと言ったら、その内容について、なぜ、例えば介護度2の人がこんなに限度額を使わないといけないのかということに対しての地方の行政からの指摘が余りないということがポイントだろうと思います。

○大森分科会長 ちょっと今日は保険者が2人ともいないものですから議論が進まないのですけれども。
 それでは、お隣に行きましょうか。藤原さん。

○藤原参考人 経団連の藤原と申します。
 冒頭、事務局から御説明のありました資料1の20ページでございます。高齢者の住まいの主な論点というものがありまして、ここの1つ目の・の3行目からです。「また、こうした「サービス付き高齢者向け住宅」を拠点として、地域に展開していくことによる、地域包括ケアの実現について、どう考えるか。」と、これが論点に上げられているわけですが、橋本さんのこれに関するお考えはどういうものなのかということをお伺いしたいと思います。

○橋本意見陳述人 ちょっと難しい御質問です。いっぱいあると思うんですけれども、どう言いますか、問題をやはり住宅としてとらえて、それを外部サービスでやっている、そういうことだけで地域との連携はすごく取れるのではないかと。施設ですと、やはり施設が地域から孤立してしまいまして、全部そこで完結しているサービスでございますから、地域から、地域と協働でやりましょうと言っても、それはしょせん、多分無理だろうと思うんですね。地域に行くのは、町内会に入るとか、その程度でございます。
 この地域のいろいろなサービスをそこに集中してやるアクセス数を限定しない、例えば、ある会社が訪問介護事業所を持っていても、自分のところの会社だけのサービスを強制しない、それをはっきり最初から行政的に担保できれば、地域との連携は多分できるのではないかと思っております。

○大森分科会長 では、池端さん。

○池端参考人 武久に代わり代理出席させていただきます池端です。よろしくお願いします。
 1点だけ、今、橋本さんたちの高専賃等に入っている利用者の方が、介護度がどの程度までを現在主に対象にしているのかと、もう一つ、医療必要度に関してどの程度までを考えていらっしゃるかということと、あと看取りですね、厚生労働省は、最終的には看取りまで、そこの居住系サービスでやっていこうという方針があるように聞いていますが、現状でその看取りまでできる体制がある程度あるのかどうかということと、看取り率がどれくらいか、今後それを進めていく方向にあるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

○橋本意見陳述人 まず、介護度でございますけれども、介護度は、自立の方から要介護5まで、だれでも結構だというのが原則でございます。
 それから医療についてでございますけれども、ちょっとこれは言いにくい、こういうところで本当に言っていいかどうかわからないのですが、施設で限定した医師を確保しますと、その医師の医療レベルはどの程度かというのはおのずとわかるところでございます。私も医者でございますので、開業医がそういうところへ行って診療をやるということと、施設専属の医者と、その医療レベルはどちらが高いかというと、それはもう最初から明らかでございますから、外部からの医療サービスの方がいいだろうということでございます。
 それから看取りでございますけれども、看取りは、介護で看取りをするのかということが議論になっておりますが、私の立場からは、やはり看取りは医療の問題だろうと。どうしてかと申しますと、やはり看取りというのは、終末期の苦痛に対してどのように緩和ケアをやるかということでございますので、これは介護ではできません。医療的なケアが重要になります。ただし、現在、緩和ケアができる在宅医というのはそんなに多くはないというのも実態でございますので、今後とも、緩和ケアを在宅医の間に広めていく必要があるのではないかと思っております。

○大島分科会長代理 1つだけよろしいですか。

○大森分科会長 それでは、これで最後にしましょう。

○大島分科会長代理 簡単にお答えいただきたい。施設系とのすみ分けのポイントは一体何なのかというのを一言だけ。

○橋本意見陳述人 施設系とのすみ分けは何か一言でというのはなかなか難しいのですけれども、一言で申しますと、そこへ住んでいる人の自由な行動ということでしょうか。拘束されないということが一番だろうと思いますけれども。

○大森分科会長 長時間ありがとうございました。それでは、一応この問題については以上とさせていただきます。
 ただいまから10分程度お休みしてから再開いたします。

( 休  憩 )

○大森分科会長 それでは、そろそろ再開させていただきます。
 次の議題は認知症への対応についてでございますけれども、関係団体からお見えくださっています。御紹介をいただきましょう。

○宇都宮老人保健課長 それでは、本日は、認知症という議題に関連しまして、公益社団法人日本認知症グループホーム協会の岩尾貢様、それから全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の川原秀夫様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

○大森分科会長 お2人ともありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 それでは、室長さんから資料の説明をさせていただきます。

○千葉認知症対策室長 それでは、説明させていただきます。
 お手元の「認知症への対応について」という資料について御説明申し上げます。
 駆け足になって恐縮でございますが、まず1ページでございます。単独の世帯の比率というものが今後増えていくということを表しております。
 また、2ページをお開けいただきますと、「認知症高齢者の日常生活自立度」(ローマ数字2)以上の高齢者の推計ということでございまして、2010年段階で208万人、2025年段階では323万人ということでございまして、1.6倍程度になるということが見込まれているところでございます。
 3ページでございますが、認知症の方への支援体制ということでございます。医療・介護・地域、ステージごと、それぞれの強みを生かしていろいろなサービスが展開されているという状況にございます。
 それから、4ページでございます。認知症の経過と医療依存度ということでございまして、認知症に関する医療依存度につきましては、このピンクの線でございますが、BPSDが多発いたします中等度、このあたりがピークになるわけでございますが、片や黄色のところ、身体に関する医療依存度、これは終末期になるに従って高くなっていく、こういった模式図を表しております。
 5ページでございますが、認知症地域医療支援事業の概要ということでございまして、認知症サポート医、現在1,677名を数えるに至っております。また、かかりつけ医認知症対応力向上研修事業を受講された方についてでございますが、2万6,024名を数えるに至っている、こういったデータを紹介させていただいております。
 6ページでございますが、認知症サポート医の役割でございます。認知症サポート医は、かかりつけ医を対象といたしまして研修の企画立案などを行う、それから地域医師会、包括支援センターとの連携づくりの協力を行うということでございまして、一言で申し上げますと、連携の推進役を期待されているということでございます。
 続きまして、8ページでございますが、認知症疾患医療センターの関係でございます。現在のところ150カ所の設置予定ということで動いているところでございますが、以下、9ページから12ページにかけまして、新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第2R)、これは昨年12月に認知症と精神科医療中間とりまとめが出ました。
 そのポイントについてお話し申し上げたいと思いますが、現状と課題というところでございます。認知症患者は急速に増加している。それから身体合併症を持たれている方も多い。更に申し上げますと、入院患者の中で、居住先や支援が整えば、近い将来には退院が可能となると回答された方、患者数は約5割であるといった現状を紹介しつつ、10ページでございます。
 10ページの基本的な考え方というところにございますように、認知症患者に対する精神科医療の役割としては、以下の点を基本的な考え方とすべきであるということでございまして、例えば(マル1)でございますが、早期から正確な診断を受けられるようにするとか、(マル2)アウトリーチの重視とか、(マル3)BPSD、こうしたもののときには、速やかに症状の軽減を目指して、退院を促進していくといったことなどが提言されているところでございます。
 それから次に、ちょっと1ページ飛ばせていただきまして12ページをお開けいただければと思います。今、認知症の医療の関連につきましては、先ほど来申しておりますような中間とりまとめも出たわけでございますけれども、また今年の春、5月から中間とりまとめの内容を具体化するために検討を再開しておるところでございます。
 以上が認知症の医療関係の説明でございまして、以下、介護の関係、その後、地域の関係ということで説明させていただきたいと思います。
 次に、今度は介護関係でございますが、13ページはグループホームでございます。
 グループホームの概要については皆様御案内かと思いますが、14ページをお開けいただきますと、グループホームの人員体制について書いてございます。人員体制上どうなっているかということでございますが、介護従事者について見ますと、例えば夜間とか深夜については、これはユニットが2つある場合において、利用者の処遇に支障がない場合には1人でも可とするとか、あるいは計画作成担当者のところではユニットごと1人以上ということであります。2ユニット以上の場合には、少なくとも1人は介護支援専門員でなければならないとか、こういった規定が設けられているところでございます。
 それから、15ページ以降、グループホームの質の問題について取り上げております。グループホームは、よく玉石混淆という言われ方をすることもございます。こうした中でどのように質を上げていくかということでございますが、自己評価とか外部評価を少なくとも年1回開催していただきまして、サービスの質の改善に努めていただくということがまず1つございます。
 16ページをお開けいただきますと、運営推進会議という制度がございまして、利用者、利用者の御家族あるいは地域住民の代表者の方、市町村の職員の方、こうした方々などから構成されます協議会をおおむね2カ月に1回程度開いてくださいというお願いをしております。6回程度開いているところも47.1%あるわけですが、残念ながら0回、1回、2回、こういうところも見られるところでございます。
 それから17ページでございますけれども、認知症の研修体制でございます。ステップアップの方式を取っておりまして、実践者研修を終了すれば実践リーダー研修、更には指導者研修ということで、こうした研修体系が敷かれているということの御紹介でございます。
 18ページをお開けいただきますと、認知症グループホーム、これは、できた当初は平均要介護度が、これは赤丸のところでございますが2.23ということで比較的低目であったわけでございますが、その後、重度化が進んできておりまして、現在、平成22年段階で2.74まで上がってきていると。重度化が進んできているということが見てとれるところでございます。
 19ページでございますが、さて、そのような中でグループホームにおける医療の体制はどうなっているだろうかということについてでありますが、グループホームは、看護師の配置基準がございません。当然、医師もついておりませんが、協力関係で、協力医は提携することになっていますけれども、内製化されているわけではございません。また、この訪問看護のところをごらんいただきますと、介護保険、医療保険、いずれも一定の制約がございます。
 続きまして20ページでございますが、こうした点をカバーするということで医療連携加算というものが現在設けられております。看護師を1人以上配置したり、あるいは訪看ステーション等との連携によって、1人以上看護師を確保するということが行われている場合において、一定の単位がつけられているという状況にございます。これは、ちなみに7割程度つけられているという状況にございます。
 それからあと、21ページでございますが、グループホームにおいて看取りなどの状況がどうなっているだろうかということについてでありますが、グループホーム利用者が、退去されてから具体的にどういうところに行くのかというのが、この1番のところの帯グラフでございまして、最も多いのが病院への入院です。続きまして、介護施設など特養等、こういうところに入るのが25.4%、あと、自宅に戻られる方はまだ少ないですが5.5%、それから死亡による退去が22.7%で、グループホーム内での看取り、勿論これは全部が全部できるわけではないと思いますが11.4%という状況になっております。
 なお、このグループホームの看取り体験がどれぐらいあるかということでございますが、21ページの一番下のところにありますように、看取り体験があるというのが40%ちょっと、ないというのが約6割弱、このような状況になっております。
 それから、22ページでございますが、グループホームのユニットの状況でありますが、2ユニット以上が6割程度、1ユニットが4割程度ということでございます。また、下にありますように法人種別、これはグループホームにおいてはばらけております。株式会社であったり、有限会社であったり、社会福祉法人、更には医療法人、NPO、多様な法人種別が参入しているという状況にございます。
 続きまして、グループホームとともに、認知症デイと、あと小規模多機能、これらが特に認知症の方に対しまして有効なサービスであると目されることが多いわけでございますが、認知症デイについて説明させていただきたいと思います。
 23ページにございますように、認知症デイは、単独型、併設型、あるいはグループホームなどとの共用型に分かれます。12人以下という利用定員でございまして、比較的小振りな体制で運営しているということでございます。
 24ページをお開けいただきますと、認知症デイの概要がございます。介護報酬を見てみますと、グループホームと共同で運営している共用型は低い報酬体系になっております。ほかについては、一般デイ並みの報酬体系になっていると。あと、認知症デイの事業者数につきましては、現在3,319を数えるに至っているということでございます。
 あと、25ページから26ページにかけまして、小規模多機能について概説、説明させていただいております。「通い」、「訪問」、「泊まり」、こういったものを組み合わせてサービスを提供していくということで、この小規模多機能型サービスが成り立っているところでございますが、その数は、26ページを見ていただきますと、請求事業者数ベースで言いまして2,744ということになっております。
 いろいろなサービスがあるわけでございますが、その単位数が要介護度別にどうなっているだろうかということを見たのが27ページの下の図でございます。こちらを見ていただきますと、赤丸が認知症グループホームでございますが、特徴的なのはフラットな体制であると。要介護1、要介護2、比較的これが高目で、全体的に見ればフラットな状況になっているというところがグループホームの特徴的な報酬体系であろうかと考えております。
 なお、28ページをごらんいただきますと、昨年の11月末の段階で介護保険部会の方から意見が出されました。その意見の中で認知症に関連して言われていることを若干紹介させていただきますと、認知症を有する人についてのケアモデルの構築を図った上で、地域の実情に応じてケアパスの作成を進めていくことが重要である、このような提言がなされているところでございます。
 以下、29ページ以降、時間の許す範囲で地域関係についてお話を申し上げたいと思いますが、まず、30ページをお開けいただきますと、市町村認知症施策総合推進事業、こういったものを展開させていただこうと思っております。これは、今年度からスタートということでございまして、やはり認知症の方が、住み慣れた地域で暮らし続けるということについて言えば、地域と医療と介護、これらが有機的に連携を取って展開していくことが大事だと思っています。いわばこれをうまくつないでいく、なおかつ当該市町村の中で認知症にかかわるこの施策を展開していく、立案したりしていく、こういった役回りというのを、この認知症地域支援推進員という方に負っていただいて、事業展開していただきたいと考えております。
 31ページでございますが、認知症地域支援推進員が行う業務の例ということで幾つか実例を書いております。例えば、関係機関へのつなぎ、連絡・調整への支援とか、あるいは連絡会議開催、更に言えば、地元医師会とか、あるいは認知症サポート医等とのネットワークを形成していくとか。更に、(2)のところでございますけれども、在宅介護サービス事業者に対しまして認知症研修を行う、こういったことをやっていただくことも、この事業の枠組みで可能でございます。
 更に、今度は33ページをお開けいただきたいと思いますが、地域の力として認知症サポーターでございます。できる範囲の手助けをする方でございますけれども、この認知症サポーターを教え込む方がキャラバンメイトでございますが、このメイトとサポーター合計いたしまして、平成23年3月31日現在で252万4,513名を数えるに至っているという実情にございます。
 続きまして、34ページでございますが、認知症コールセンターでございます。これは、私どもの方から一定補助をさせていただきまして、都道府県の方でコールセンターを設ける。その事業の実施主体としては、都道府県が、例えば認知症の人と家族の会などに対しまして委託を行いまして、コールセンター事業を実施していただいているところでございます。
 続きまして、36ページ以降、やはり認知症の方の権利をどのように擁護していくか、これは地域の中でしっかりやっていかなければならないといった要請というものが今後強まってくることも考えられるところでございます。市民後見人の育成及び活用というところでございまして、介護サービスの利用契約の支援などを中心といたしまして、担い手としての市民の役割が強まるものと考えられます。市町村が市民後見人の育成などを図っていく、こういったことがこれから先、重要になってくるかと考えております。
 38ページから39ページにかけて基礎的なデータを載せさせていただいておりますが、成年後見関係事件の申し立て件数が推移してこのように増えてきている中にあって、市区町村長申し立て、主に身寄りのない方中心でございますが、こうした方々については、そのウエイトというのが10%を超えるに至っているということでございます。
 それから、ちょっとページが飛んで恐縮でございますが、42ページから43ページにかけまして、老健事業で実施いたしました市町村長の後見申立と市民後見人、介護と連動する市民後見研究会報告書の概要ということで、5つの柱ということで提言をちょうだいいたしております。私どもといたしましても、この御提言いただいた中身を踏まえまして、今後、事業展開をつつがなく図っていきたいと思っております。
 また、この中に、42ページのところで、今後の工程というところでモデル事業を実施するということが書かれておりますが、厚生労働省といたしましても、市民後見の関係でいろいろスキームをつくっていかなければならないという課題がございます。
 若干前後して恐縮でございますが、36ページをお開けいただきますと、市民後見人の育成及び活用というところでございますが、研修を行って、研修修了者を登録して、登録した人の中から家裁に推薦して、実際、市民後見人として活躍される方に対しては、その方々に対しましてバックアップを行っていく、支援をしていく、こういったスキームづくりが大事になってくるかと思いますので、こういったことを幾つかの自治体を舞台といたしましてモデル事業を展開していただきまして、その結果を全国に広めてまいりたいと。現在のところ37市区町が実施する予定でおるところでございます。
 最後になりましたが、44ページでございます。それでは、主な論点としてどのようなものが考えられるのかということでございますが、認知症への対応に当たりまして、医療、介護、地域それぞれの役割と、それから、それらの間の連携についてどのように考えていくべきであろうかということが第1点でございます。
 2点目といたしまして、グループホームについてでありますが、重度化が進んできております。医療提供のあり方はどう考えていくべきか、グループホームは、これから先どのような方向性でいくべきなのか、こういったあたりについて御議論いただければ幸いに思っております。
 事務方からの説明は以上でございます。

○大森分科会長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きましてお2人から御発言いただきますけれども、まず岩尾さん、次に川原さんでお願いいたします。時間が短うございますので、恐縮ですが10分でお願いしたい。後で御質疑がございますので補足していただきますから、よろしくお願いいたします。

○岩尾意見陳述人 公益社団法人日本認知症グループホーム協会副代表の岩尾でございます。本日は、このような機会をいただきましてありがとうございます。
 早速ですが、資料に沿って説明させていただきます。
 当協会の沿革は、資料2ページのとおりでありますが、時間も限られていることから割愛させていただきます。
 さて、私ども認知症グループホームは、「住みなれたまちにグループホームを~その人らしく最後まで~」を合い言葉に今日まで実践してまいりました。今後のグループホームの方向性を考える上で大切にしたいことは、常に認知症ケアの本質に立ち戻っていくことだと考えています。
 資料3ページをごらんください。認知症グループホームの将来ビジョン2010は、介護保険制度が始まってからのグループホームの取組みを検証し、認知症高齢者の社会生活支援の大切さを改めて確認した研究事業です。この中で提言した地域社会生活の敷衍性や関係性支援を基本とする認知症ケア、また、認知症の人のエンパワーメントの活用などは、2015年の高齢者介護が示した高齢者の尊厳を支えるケアと何らぶれるものではありません。
 さて、こうした認知症ケアの基本を踏まえながら、今後進められていく地方包括ケアシステムの中で、グループホームがどのような役割を担っていくかを考えてみますと、サービスの多機能化や重度化対応、看取りケアなどの対応力を強化しつつ、地域の介護拠点になっていくことが重要だと考えております。
 資料4ページは、地域包括ケアシステムにおけるグループホームの役割や機能を考えたものです。地域ニーズの掘り起こし、地域の介護拠点としての価値を高める、認知症ケアの専門性の地域への還元、在宅復帰支援強化など4点ほど上げていますが、こうしたことを視野に入れながら、これからのグループホームをつくっていくことが求められていると考えています。
 また、資料5ページから7ページにかけましては、今、御説明したようなグループホームの機能を強化していくために、制度や仕組みでバックアップしていきたい内容を整理しました。
 資料5ページをごらんください。今後、地域包括ケアシステムの構築に向けての取組みが本格化する中で、グループホームが地域の認知症ケア拠点として機能していくことが望まれます。これは、グループホームが持つ認知症の専門性を、利用者だけでなく地域高齢者全体に還元していくという意味でもあります。地域拠点とは、グループホームが地域の寄り合いどころになったり、在宅の認知症高齢者やその家族の相談役や支援者になったりするイメージですが、地域のニーズに柔軟に対応する認知症の専門拠点ととらえていただければよいと思います。
 更に、入居を前提として想定していましたが、入居後、状態改善を図れた利用者はたくさんおられます。今後は、こうした利用者を在宅復帰に結びつける支援にも取り組んでいかなければならないと考えております。
 グループホームを地域の認知症ケアの拠点として位置づけるとともに、その取組みに積極的に事業者が評価されるよう、事業所の地域連携力を強め、サービスや支援力を多様化させていくことが必要であります。
 資料8ページの資料1をごらんください。運営推進会議は、現在、グループホームや小規模多機能に制度化されている地域住民参加型の会議です。当協会の研究事業では、地域ニーズを掘り起こし、関係者の連携力を高めていく起爆剤として大変に有効であることが確認されております。こうした実態を踏まえて、行政担当者や地域住民の皆さんを巻き込みながら、運営推進会議の役割や効果を周知し、更に活性化させていくような働きかけが重要と考えております。
 資料5ページに戻ります。グループホームにおけるショートステイや共同型デイサービスの活用が促進されるような制度上の配慮をお願いしたいと思います。グループホームにおけるショートステイや共用型デイサービスは、グループホーム入居への円滑な移行だけでなく、グループホームから段階的に在宅復帰するためには欠かせない在宅サービスです。
 資料9ページ目の資料2をごらんください。実態としては、要件的に取りにくいという理由からその利用促進が図られていません。開設後3年という経過要件の撤廃や入居定員枠外でのショートステイ利用が可能となるようにお願いしたいと思っております。
 資料5ページに戻ります。夜勤職員配置が安定的に行える所要の措置を講じた上で、1ユニット1名の夜勤職員配置を必要にしていただくようお願いしたいと思います。
 上記に加えて、更に手厚い夜間の職員配置をしている事業所への「夜間ケア加算」について、各事業所の算定が促進されるような所要の措置を講じるようお願いいたします。
 資料11ページの資料4をごらんください。グループホームの夜間ケアについては、ユニットごとに1名以上が基本とされ、2ユニットの場合には1名でもよいとされていますが、認知症ケアを専門とするグループホームでは、ほとんどの事業所がユニットごとに1名の夜勤体制を取っています。利用者への処遇上の配慮や安全確保の観点から1ユニット1名の夜勤職員配置を必置にしていただくようお願いいたします。
 一方で、こうした事業所の多くは通常の基準以上に人員配置をするなど経営努力をしておりますので、その点についても御配慮いただきたいと思います。
 また、夜間ケア加算については、1ユニット1名に加えて、常勤換算1名配置という実態に見合っていない要件のため、算定事業所はごく少数にとどまっております。夜間における安全確保対策の一層の強化を図るグループホームが正当に評価されるような算定要件への変更をお願いいたします。
 資料6ページをごらんください。グループホームでの看取りの際、医療連携に伴う集中的なケアを要することから、看取り介護加算について、死亡日並びに死亡日前の数日間につきましては、手厚い報酬上の配慮をお願いいたします。
 資料12ページの資料5をごらんください。グループホームの中で最期を看取られている方は退去者全体の1割程度ですが、この割合は年々増えております。また、7割のグループホームが「医療連携体制加算」を算定しております。グループホームでの看取りの多くは、住み慣れた場所での最期を望む本人、家族たっての希望であります。いわば自然死に近い最期になることが多く見られ、死亡日前の数日間は特に手厚いケアが必要となります。死亡日並びに死亡日前の数日間につきましては、手厚い報酬上の配慮をお願いいたします。
 資料6ページに戻ります。認知症グループホームの面的整備について、利用者、家族が事業所を選択することができ、日常生活圏域での競争原理が働くような整備目標となることをお願いいたします。当協会は、グループホームが地域密着型サービスに位置づけられたことは大いに意義があることだと考えておりますが、市町村における総量規制によって、依然としてグループホームが不足している多くの地域があります。今後とも増加する認知症の人の生活支援を行う拠点として、各地域にさらなるグループホームが整備されることが必要であると考えております。
 次に、グループホームの指定基準並びに審査のあり方について、グループホーム事業全般の質の底上げを図るべく、グループホーム事業者の質が担保されるような仕組みへの変更をお願いしたいと思います。グループホームのケアの質の確保・向上につきましては、当協会でもサービス評価事業や運営推進会議を通じて積極的に取り組んできたところです。しかし、個々の事業所におけるケアの質は、経営者の認知症ケアに対する理解に負うところも大きく、その経営意識がグループホームの運営や利用者の生活に大きく影響してきます。今後、良質なケアサービス普及させていく上では、各市町村における地域密着型サービスの指定基準並びに審査のあり方を見直し、グループホームの事業者の質が担保されることを望みます。
 最後に、資料13ページの資料6をごらんください。当協会の実態調査では、利用者が入院した際に、洗濯や洗面、身の回りの世話をした経験のある事業所は全体の4割程度を占めており、1年間の延べ対応日数の平均は20日以上となっております。また、身寄りのない利用者の葬儀やその後の手続を行ったことのある事業所は7%程度でしたが、これらの支援に生じた労力、コストなどは、ほとんどの場合がグループホームやスタッフの善意として取り組んでいる実態があります。事業所側の不利益な状況の中で利用者を支え続けることは、長期的に見ると支援を受ける利用者の不利益にもつながります。権利擁護の仕組みの中にグループホームのかかわり方や費用捻出に関する考え方を明確にしていくことも必要ではないでしょうか。
 また、参考資料にあるとおり、いまだ2割弱のグループホームでは、利用者の自由な外出を拒む施錠に頼りながらサービス提供しています。同じグループホームでありながら、権利擁護に細心の注意を払う良質な事業者との質の格差は歴然としており、高齢者介護の基本を理解しない事業者については、何らかの差別化を図っていくような施策の検討も必要ではないかと考えております。
 以上のような取組みが当協会の課題意識でありますが、その他、生活単位と経営規模や自然災害も含めた安全対策としての取組みなど多くの課題を抱えておりますが、時間の都合もありますので次の機会にしたいと思います。
 以上、協会としての意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。

○大森分科会長 ありがとうございました。
 それでは、川原さんお願いします。

○川原意見陳述人 全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会の川原です。今回、こういう意見を述べさせていただく機会をいただきまして本当にありがとうございます。
 小規模多機能は、平成18年の制度改定で生まれたサービスです。この5年、6年目にかかったわけですけれども、非常に厳しい中で、ただ、在宅の利用者を支えていくという取組みをきちんとやってこれているのかなと思っています。
 小規模多機能の事業者連絡会は、平成18年の制度改正に併せてつくりました。ただ、全国の地域密着サービスということで、全国の市町村の連絡会あるいは都道府県における連絡会とのネットワークを大事にした組織です。各地での取組みをベースにしながら活動させていただいています。
 では、早速資料に移らせていただきます。2ページを見ていただければと思います。小規模多機能は、現在、5月末で3,000カ所を超えたところです。1カ所平均18名ぐらいの登録という数字になってきています。定員いっぱい近くなってくるとどうにか運営はできる、だけれども、利用者が少ないうちは、もう赤字だということになっているのが小規模多機能の現実です。
 ただ、定員いっぱいになったとしても、実際は非常に苦しい状況があります。これは、12ページの資料1を見ていただければと思うのですけれども、小規模多機能の職員の給与、ほかのところの給与と比べたら物すごく低い状況に抑えられています。特養なんかに比べると8万円以上低いというのが現実です。そういう中でやっと成り立っているのが小規模多機能の状況だということです。
 ただ、小規模多機能は、制度をつくるときには、今回の資料にもあったように、通いを中心として、随時訪問や宿泊を組み合わせてという形でのサービスで発足しました。ところが、実際の実践の中で、在宅の利用者のニーズというのは非常に多様化しています。ですから、その多様なニーズに応えるために取り組んでいると、小規模多機能も非常に多様な姿が今生まれてきているのだというところです。
 ただ、小規模多機能は、今回のテーマにありますように、認知症の方をきちんと支えていくようなサービスになってきている。利用者の80%以上は認知症の方だということです。それから、独居あるいは高齢者だけの世帯、そういうところをきちんと支えてきているという姿もあります。
 今後、地域包括ケアを更に進めていくために在宅限界を高めていく、そのことが必要になっていくと思います。そういうときに小規模多機能の果たす役割は更に問われているのではないかと思います。ただ、今のままでそれができるかというと、なかなか厳しいということで、幾つかの提案を、御意見を述べさせていただけたらと思うところです。
 3ページをお願いいたします。今回、提案します趣旨というのは、地域包括ケアを実現するためにどうしたらいいのだろうかということで提案させていただきたいと思っています。どこに住んでいても同じサービスが受けられる、在宅だろうが、居住、住まいを移してだろうが、あるいは施設だろうが、どこでも同じサービスが受けられるということが基本だろうと思うんです。地域包括ケア研究会の報告でも2025年の姿が示されています。どこで住もうと安心・安全あるいは健康面、そういうことが保たれた生活が送れるというのを目指しているわけです。ですから、どこでも同じようなサービスが受けられないといけないのかなと思うところです。
 4ページをお願いします。そこで、そういうものを目指すために小規模多機能としてどういう姿をつくっていくかということです。実態として、ちょっとこの図のところ、実態と、それから将来像のところから実はライフサポートセンター構想のところに矢印が出ています。ちょっと色が薄くて見えないかと思うのですが、現在の実態と将来像を考えて、ライフサポートセンター構想というものをつくっていきたいと考えているわけです。
 先ほど小規模多機能は多様化しているというお話をしました。右上の方に書いていますように、「利用のしかたの多様化」ということがあります。通い中心という形でつくられてきたわけですからそれがベースになっていますけれども、やはり在宅で暮らすことをさせるとしたら、訪問も大事な要素になっています。それから医療ニーズの高い方を支えていくということも必要になっています。これは、今回の複合型という形で実現できるかとは思っています。それから4つ目に地域生活支援というか、障害者分野では地域生活支援という形で取組みがあるわけですが、これまで暮らしていたものを、そのまま暮らしていけるという形をつくっていかないと始まらないと思うんですね。そういうことの取組みも小規模多機能の中で始まっています。そして、併設した住まいに対する支援というものも行われているというところです。
 続いて、5ページをお願いいたします。ですから、小規模多機能は、どういうことを果たさないといけないのかということを示したのが次の図です。右側の方に「これまでの介護」としています。排せつとか入浴とか食事、そういう身の回りのことだけを支えていく介護から、これからはもっと暮らしを支える、そういう介護にならないといけないのかなと。利用者の状態に応じてフレキシブルに、柔軟に、適切に支援していくことが必要だと。そのときに、ある意味では混合介護というか、介護保険だけで支えていくという話では支え切れないのだと思うのです。ですから、それ以外の部分を取り入れられるような仕組みにしていくことが必要だと思っているんです。
 ですから、私たちは、ライフサポートワークという形で、介護保険だけではなくて、それ以外のいろいろな地域の互助とか、そういうことも含んだ形での支援を考えていこうということに取り組んでいるわけです。そこでは、ここで「市町村モデル」という形で書いていますけれども、市町村の力、地方分権になってますます市町村の力が必要になっていくと思います。その力を合わせて、あるいは地域の力、いわゆる互助の力を合わせて支えていくという仕組みをつくっていかないといけないかな、それをどうしたらいいのだろうかということで今回提案させていただきます。
 6ページをお願いいたします。6ページの部分は、運営の規模は大きくし、ケアの単位は小さく、それで身近にすることをお願いしたいと思っているんです。ややもすると、どうしても経営の問題になります。そうすると、大きいものをつくって、大きいところにどんどん集めてしまうという発想になりますけれども、それでは地域で住むということはできません。できるだけ利用者が住んでおられる、そこにサービスが出向く、そのことが今から先、地域包括ケアということを実現するためにも必要だと考えます。
 7ページをお願いします。ですから、具体的なものとしてライフサポートセンターというものを今回、制度改定に併せてお願いできたらと思うところです。これは、集合住宅や団地、そういうところの空いている1部屋あるいは2部屋を改修して活用しながら、その生活圏域全体を支えていくということにできないのかというところです。そういう小さなサブセンターを2カ所、3カ所と、コアのセンターを合わせて、そこを一体的に運営していく、そのことによって経営的なメリットを出しながらも、利用者のところにきちんと出向いていくという仕組みをつくれないかというところです。全体の管理者とか、あるいは看護職員、あるいはケアマネジャー、そういうところについては全体で統一していければ軽減できるわけです。その分を地域支援ということで、地域支援の部分にきちんと振り分ける力を持たせていただけないかというところです。今回、制度化される複合型、そういうことも併せて取り組ませていただくことによって、地域できちんと支えることができる。今回の新しい定時巡回・随時対応サービス、そういうものとの一体的な運営もできるようにしていただければと思うところです。
 次の8ページをお願いします。これは過疎地モデルです。過疎地も同じです。住んでいるところから、全部まちの中心に呼び寄せて、そして施設や病院に入れてしまうという形が現在行われています。それを、やはりお住まいのそこで支えていく、そういう仕組みができないのか。それは、その地域に要介護者が10名ぐらいしかいらっしゃらない。だからサービスは入れないよという形になってしまうのですけれども、そういう形ではなくて、そこに拠点をつくり、ただ、運営は統一させていくという発想です。具体的な中身については、あとの資料を見ていただければと思います。
 提案の2です。9ページをお願いいたします。小規模多機能の人員配置についてのお願いです。現在、小規模多機能の職員の配置というのは、通いに対して3対1、プラス訪問の1という形になっています。ですから、25人登録であっても6名の昼間の職員で回しているという形になります。となると、15人通ってこられたら、あと残りの10人は1人の職員で回っているということです。ですから、25人の利用者の方をきちんと支えていくというのは不可能になってきています。ですから、そこをどうにか25人の方が安心して在宅で暮らせる仕組みをつくるためには、3対1の人の配置にお願いしたいと。通いに対して3対1ではなくて、登録者に対して3対1という配置をお願いできたらと思います。
 資料6、17ページにユニット型特養との比較を書いています。そんなに人が増えるという話では当然ありません。また、そういう形にしたら、介護保険も当然パンクするわけですから、そういうものではなくて、効率化を図ることによって在宅での暮らしを支え切れる、そういうふうにできればと思うところです。
 次の10ページをお願いいたします。10ページは、そういう登録者に対し3対1ということをお願いするためには、それに合わせた報酬をお願いしますということです。ここに出している資料は、老人福祉施設は1日1万2,000円近くになりますけれども、小規模多機能は5,550円ぐらいにしかなりません。ただそれは、今はまだ要介護度が低いということもあります。まだ、ここにあるように2.59という数字です。ただ、小規模多機能はこれから先、多分、在宅の中・重度、要介護3とか4とか5とか、ここであえて平均要介護度4という数字を出しました。それを出しても特養に比べたら明らかに少ない状況です。ですから、そういうことを勘案していただいて、是非、報酬の見直しをお願いできたらと思うところです。
 それから、小規模多機能を全国津々浦々に是非つくっていただきたい。そのことは、相当サービスがいいということで後ろの方に資料を載せています。この基準どおりにはできなくても、相当サービスということで離島とかでもつくれるという仕組みもあります。あるいは、いろいろな組み合わせができれば、もっと全国各地につくれるものだと思います。ですから、そういうものとしてつくっていただければと思います。
 それから、一番最後の資料になりますけれども、私たちは、自治体の職員の方と一緒に、自治体の戦略という形で地域包括ケアの勉強会をずっと継続しています。そういう中で自治体職員の方から上がった意見を一番最後につけさせていただいています。
 以上、意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございます。

○大森分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、事務方からの説明がありまして、お2人からのお話、また自由にいろいろ。できれば、今日せっかくお2人がお見えになっていますので、その方々にいろいろ御意見を伺っていただければと思っています。どうぞ。

○佐藤参考人 今の小規模多機能の御説明ありがとうございました。非常に内容的にも理解できるものが、ライフサポートセンター構想ということで出たなという感じでございます。
 その中で1点伺いたいのは、小規模多機能事業所については、やはり在宅、居宅の地域密着型という位置づけでありながら、サービス事業が始まりますと、現実には地域から隔絶されると。つまり居宅介護支援を含めて完全に分離されるという中で、今、この地域包括の中での役割を、連携を取りながらやりたいと御説明になった、その視点は、どのような形でこの小規模多機能をその地域包括ケアの中での役割として担おうとお考えになっているのか、その1点をちょっとお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いします。

○勝田委員 今、小規模多機能の中で地域包括ケアの関連で、地域支援事業と小規模多機能を、一緒に使えるということが前提になっているように思うのですが、そういうことでいいのでしょうか。

○大森分科会長 まず、それをお願いしましょうか。

○川原意見陳述人 資料の5ページを見ていただくと、小規模多機能でどういうことを果たさないといけないのかということで、単に介護保険でやることだけではなくて、そういう本来市町村がやるべきこと、あるいは地域の住民と一緒にやること、そういうことも含んで果たしていかないといけないのかなということを感じているわけです。そのことを実際の事業所の中でやっていくとなると、介護保険だけやる事業所と位置づけてもらうとなかなか難しい。ですから、7ページの図にあるように、基本機能は小規模多機能のこれまでの機能です。それにプラスして地域支援機能という形で、こういう機能も果たしていくのだと。これについては、ある意味では市町村が小規模多機能に対して財政的なことも含めてということもあるでしょうし、いろいろな支援をお願いできたらというところもあります。それから、地域のいろいろな力も合わせてこれを行っていくのだと。介護保険だけでという枠組みではなくて、介護保険の給付に該当する枠組みではなくて、それ以外のところも取り込んだ形で、こういう形を取り込むから50名の登録者にしていいよという形でお願いできないかというところです。

○勝田委員 これだと、併用できるということが基本ですよね。結局、今は地域支援事業か介護保険かを選ぶということが出ていますよね。法律なんかも今後、出てきたのですが、このお考えだと、併用していくという考えですね。そのことを確認したかったのです。

○川原意見陳述人 地域で暮らすという話は、介護だけで暮らせないので。介護というのは、やはりその地域での暮らしのほんの一部だと思うんです。ですから、それ以外の部分も取り込んでということで考えています。利用できるという形で。

○大森分科会長 ほかに。どうぞ、ほかの方々。では、お願いします。

○?智委員 ただいまの小規模多機能の関係で御意見があったわけですが、基本的なコンセプトも含めて、例えば生活を支援するという基本的な方向、それからフレキシブルに柔軟性を豊かにしていくという方向、とてもすばらしいことだと思います。
 その一方で、今日の資料のパワーポイントのナンバー2ですけれども、「認知症高齢者の日常生活自立度」(ローマ数字2)以上の高齢者の推計、この数値は若干古いように思います。平成15年6月ということですが、これによりますと、2010年で208万人、そして、あと3年半足らずで2015年になるわけですけれども、その数値が何と250万人ということになっております。これは驚くべき数値だと思いまして、今はこの訪問的なサービスで済んでいる方々も、ゆくゆくは施設の方に行かなければならない方も相当出ると思います。
 実は、私はちょっと外国の例を調べてまいりました。スウェーデンにおいては、自宅で過ごせる認知症の確定診断を受けた方、あるいは確定診断らしきものを受けた方、そのうちで自宅に残っておられる方の割合は16%にすぎない。6割以上はナーシングホーム(医療介護度の高い福祉施設)に行く。サービスハウス(自立する高齢者のための住居)というものがあるそうですが、サービスハウスに行っている方も、結局はナーシングホームに数%が戻ってくる状況です。そうしますと、今の小規模多機能施設にお世話いただいている相当多数の方々が、こういう箱物の方に移らざるを得ないことも、この2番の資料によると十分に予測できることと思います。
 1国だけ調べたのではちょっと甘いかなということで、これは結構新しい資料ですが、今年の4月19日付のドイツの新聞、フランクフルトの有力紙でございますが、それに発表されましたベルリンの研究所から出た認知症レポートがございます。それによりますと、ドイツ人では、95歳から99歳では女性の38%、男性では29.7%、男性が少ないのは、95歳から99歳の間、生きておられる方がほとんどいないということだと思います。80歳から84歳では男性の10.3%、女性の12.8%、70歳から74歳では、女性が3.1%で逆に男性が3.2%と0.1ポイント高くなっています。その数は、2030年には30万人から40万人の間、2050年には何と総計で60万人に到達するということでございます。
 またスウェーデンの方に戻りますけれども、認知症患者の要介護者と非認知症の要介護者の方とで費用計算の比較をいたしますと、3ないし4倍の開きが出る。この費用のことも併せて考えてみますと、人の移動、先ほどの参考人の御意見にもありましたが、居室を変更させないという考え方も示されまして、これは、入る方としてはなかなかいいなという考えもありますが、やはり客観的に見て、これからの問題として認知症の問題につきましては、今日1回だけの議論では済まないような重要な要素を含んでいると思っております。
 事務局に伺いますが、平成15年6月の数値から、23年までの間で数値に変更要素があったならば、その要点だけ教えていただきたい。それから、小規模多機能施設には、今入っておられる方がどのような方向で流れていくのか、感触をお伺いしたいと思います。

○大森分科会長 では、事務方から行きましょうか。

○千葉認知症対策室長 事実関係を申し上げますと、お示しさせていただいております2ページ、こちらの資料から、例えば更に新たに推計し直して数値をつくったということはございません。したがいまして、今お話をさせていただいているのは、介護の手間で見て(ローマ数字2)以上ということで、どれぐらいの方が認知症の症状を持っておられるかということで、介護の手間の観点からまとめさせていただいた数字を提示させていただいているところでございます。

○?智委員 すみません、この(ローマ数字2)以上の更に細分化したデータはないのですか。

○千葉認知症対策室長 別に(ローマ数字3)以上というのはあるんです。(ローマ数字3)以上というのはありますが、それ以上細分化したものはございません。

○大森分科会長 ちょっとその御趣旨は、そういう(ローマ数字2)以上の資料が欲しいということですか。

○?智委員 あればなおわかりやすいなということです。それをお示しいただいた資料が平成15年の資料なものですから、この間に8年ほどたっておりますので、変動要素等が見えなかったようなことがあれば教えていただきたいと思います。

○大森分科会長 これしかないの。

○千葉認知症対策室長 現在において、介護の手間という観点からはかりましたデータは、これ以外はございません。ただ、先ほど来御質問がありますように、若干、(ローマ数字3)とか細分化したものがございますので、(ローマ数字3)以上ですね、こういったものについてお出しすることについて、また検討させていただきたいと思います。

○大森分科会長 どうしてないのですか。そんな大事なデータがどうしてないのだ。

○千葉認知症対策室長 基本的に(ローマ数字2)以上のデータを取って以降、大きな変化というものが、人口構造上の変化というものはあるかもしれませんが、それ以上のものは、大きなものはないだろうということで、とりあえず今まで変わっていないわけです。そういう観点で、現在、業務的に介護の手間からみてどれだけの方が認知症と目されるのかという点を、今のところはデータとして示させていただいているという状況にございます。

○大森分科会長 なるほど。

○池田委員 認定ネットワークがありますね。あそこは要介護度と認知症の生活自立度は全部押さえているはずですよね。そうすると認定された人にとどまってしまうのだけれども、そこで総数はわかるし、それを人口で割れば%は出てくるはずです。ところが、認定ネットワークのデータは、一部、2004年ぐらいだったかな、一回、私は自治体から入手しまして分析したことがありまして、その後、実は新しい認定者のすべての数字も密かに手に入れて持っています。残念ながら後者の方は余り正式な手続きで手に入れたと言えないので出せないのですが、そこのところは認定ネットワークを使えば、ある程度、認定された人間であるという前提ではあるけれども出ると思います。ただ、この場合、生活自立度の判定が、訪問調査員と医師と2つありまして、これも余計なことですが、医師の診断はほとんど当てにならないので、訪問調査員のものを使っております。これは、どの自治体の担当者に聴いても同じ回答でした。医師の生活自立度の判定はほとんど当てにならない。訪問調査員の方が当てになるということを、10自治体以上から聴いておりますが、それは共通でした。そういうことで、そこのところは、今おっしゃられたとおり、具体的な数字を追いかけるというのは、プロジェクトをつくっていらっしゃるわけですから、これは出していただきたいなというお願いであります。

○大森分科会長 お医者さんがおいでになるので、一言。今のことに関係してだけについてお願いしましょう。

○大島分科会長代理 今、池田委員の方から非常に厳しい御指摘がありましたけれども、認知症の診断基準そのものが多少揺れているということがあって、最近それが随分固まりつつあるのですが、このような状況の中で発症率についても、調べるたびに増えているというのが実態です。一番新しいデータでは、ある地区においては、65歳以上で10%ぐらいの確率で認知症だと診断されるなんていうようなちょっと驚くべきものが出てきたりして、もう少し時間的な経過をきちんと追う必要があるということなど、その点が、まだ認知症の診断が幅広く本当に行き渡っているという段階には行っていないという部分が、正直なところあります。ただ言えることは、とにかく増え続けていると。したがって、今のここの手元にあるデータよりは確実に増えていると考えていただいていいと思います。

○大森分科会長 この問題についてちょっと御質問がありましたので、川原さんお願いしましょう。

○川原意見陳述人 小規模多機能でここまで支え切れるかという話なのですが、小規模多機能は、施設の在宅版と考えています。施設は一つの建物の中で支える仕組みですけれども、地域を一つの施設とみなして支えていく仕組みが小規模多機能なのだと考えています。ですから、在宅で暮らしていくということは相当可能だと、在宅圏外をどんどん高めていく、そういうサービスなのだと考えています。ほかの国にはないサービスです。ですから、日本独自の施設の在宅版というサービスが生まれて、そこである程度支えることができるのだろうと考えています。実際、私のところの事業所では、平均要介護で4でも十分在宅で支え切れています。そういう状況です。

○大森分科会長 では、次の方に参りましょうか。どうぞ。

○田中(雅)委員 グループホーム協会の岩尾先生にお願いしたいのですが、運営推進会議について提出されました資料4についても、この会議が地域ニーズの掘り起こしや地域連携力の強化を図る上で有効な起爆剤になるということで、この推進会議についての評価をなされております。私自身も、富山県におきまして第三者評価調査員としてグループホームの方に外部評価に伺うことがありますので、この運営推進会議については、やはり地域との連携を図る上で大変有効だということを実感しているわけでございます。
 しかしながら、先ほど厚生労働省の方から御説明があった資料の16番目、これを見ますと、一応設けられて、開催時期についておおむね2カ月に1回、すなわち年間6回ということがあるかと思いますが、それらをきちんと守られているのが実は半数に満たないという統計も出ております。また、先ほど岩尾先生の方からお示しいただいた資料1、すなわちページで言えば8番目になるのでしょうか、そのパワーポイントを見ますと、実はそういった運営推進会議の意味は理解しているけれども、一方では、それに対する考え方として、開催準備に係る労力やコスト面に関して、このことを業務の範囲を超えた「余計な仕事」としてとらえているのだという調査研究のデータも出ております。
 ここで御質問したいのは、効果的であるものが実際には行われない、この実態に対してどうすれば本当の意味の有効な水準の地域連携との会議にしていくことができるかということについて、もしお考えがあればお示しいただければと思います。

○大森分科会長 では、お願いしましょう。

○岩尾意見陳述人 ありがとうございます。運営推進会議は実は非常にいろいろな意味で地域とつながっていくにはとても有効な仕組みといいますか、そういうことであります。今度の震災を受けても、実は運営推進会議をきちんとやっているところは、死亡者を出していないとか、それから被災後の地域と相互でのいろいろな支え合いとか、そういうことが非常にうまくいっているところは、大体運営推進会議をきちんとやっているところだというような、ちょっと訪問して回りますと、そういうこともわかってまいりました。
 要するに、グループホームが、グループホームという家の中で抱え込み型でやっていると、なかなか地域をどういうふうに使って、地域とどういう関係をつくってやっていけばいいかという、基本的なグループホーム自体のそういう手法がわかっていないというか、そういうスキルがないといいますか、そういうところと、どんどんやはりグループホームが地域に出て行って、地域との交流をすることによって、むしろそういう運営推進会議の有効性みたいなものをどんどん発展させているところと、そこの格差がどんどん広がっているところがあります。ですから、運営推進会議のテーマをどうすればいいかというような、そういうことに悩んでいるレベルと、もうテーマがあり過ぎて、毎月でもいいのではないかというようなことを考えているところと、そういう面で非常に格差が広がっているということは、それは事実だろうと思うのです。
 協会は、実はこの運営推進会議の研究事業というものを、いわゆる福祉医療機構の方から支援いただきまして研究事業としてやったものが2010年3月に発表されてあるわけです。これには、運営推進会議のやり方とか有効性とか、更に、市町村に対しても、こういう有効性がありますよというようなこともお示しして、協会としては、できるだけこういうものが広がるような努力をしているところです。
 実は、グループホームだけの問題でなくても、市町村がかなり、おおむねだからと、おおむねは年3回だとか、そういうようなことを言ってしまうと、そこには余り重きを置かなくてもいいのだと考えていて、つまり、いわゆる行事がためのというか、イベント型の運営推進会議にしてしまうところがあるわけです。それを防ぐためには、この運営推進会議をもう少しきつ目に義務化した方がいいと考えているのが、私どもの考え方であります。よろしいでしょうか。

○田中(雅)委員 今の御説明の中で、市町村のとらえ方なり、地域密着ですから、市町村側の運営推進会議に対する考え方が、あるところはきちんと行うようにという指導をするところもあるけれども、一方では、おおむねだからということで、3回でもよしとしているところがあると聞こえるのですが、であるならば、ある意味では、先ほど川原先生もおっしゃいましたが、利用者にとって、住むところ、地域によってサービスの質に差があってはならないというのを私は基本的に思っております。であれば、国としてというか、厚生労働省としては、今、この実態についてどのようにされるのかについてお聴きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○千葉認知症対策室長 まず、現状認識といたしまして、この運営推進会議そのものの効果につきましては、これは、例えばグループホームの中で虐待案件とかがまま出てきたりします。こういったことを風通しよくして防ぐとか、更に言えば、防災対策とかこういった観点でも、日ごろから消防なども含めてつき合いを保っておくといったことは極めて重要であります。
 したがいまして、私どもといたしましても、この運営推進会議そのものというのは、回数だけが問題なのかというのはいろいろ御意見があるかもしれませんけれども、実質的な話し合い、こうしたものを、事業者さんを中心に行っていただくことが大事だと考えております。
 では、具体的な方策として何があるのかということについて、今この場で具体的なことまで申し上げることは難しい面はございますけれども、実際、この規定そのものが参酌の基準になるということもございます。したがいまして、実際のところ、では、こういった運営推進会議について余りやられていないような事業所さんに、どのような評価と言うと変な言い方ですけれども、考え方でいくのか、このあたりについては、今後、皆様方の御意見も踏まえながらいろいろ考えていかなければならない点だろうと思っております。

○大森分科会長 ありがとうございました。
 次の方。

○三上委員 池田委員の方から認知症に関する診断についての医師の役割についての御指摘がございましたけれども、あえて反論いたしませんが、認知症の診断につきましては、認知症疾患医療センターでの確定診断と、それにつなぐための地域包括支援センターあるいは認知症サポート医の役割というものがあるわけですが、認知症の地域医療支援事業の中にも認知症サポート医の養成事業とか、あるいはかかりつけ医の認知症対応力向上研修会など、さまざまな事業をやっておりますし、その他の研究事業の中でも、認知症尺度に関する研究でありますとか、あるいは主治医意見書の書き方に関する研究でありますとか、そういったものも併せて、医師の認知症対応力の向上についての努力をしているところであります。
 この資料2の6ページに認知症サポート医の役割というものが書いてあるわけですが、現在1,600人を超えるサポート医が養成されておりますけれども、これがなかなか活用されていないという現状がございます。30ページのところにも、市町村の認知症施策総合推進事業というものが書かれていますが、この30ページの左下の医療のところに「サポート医・かかりつけ医活用」という項目が入っているのですが、これは、嘱託医として配置をすることが望ましい程度の記載しかなく、ここでの予算措置というものも十分取られていない。当然、診療報酬や介護報酬の中でも認知症サポート医の評価というものが全くされていないというのが現状で、なかなか活用されないということではないかと思いますので、是非、次回改定には、こちらの方は配慮をいただきたいと思っております。
 それから、小規模多機能についてのことですが、小規模多機能のヒアリング資料2-2の4ページのところに、「利用の仕方の多様化」というものが書かれてありますけれども、通い中心、訪問中心というのがありますが、13ページを見ますと、「通い+宿泊」というのが一番多そうな感じということで、泊まり中心というのがどうなのかということ。資料1のP5でも、小規模多機能と併設している高専賃が5.4%ほどあるそうなのですが、併設した住宅からの利用の実態というのはどういうものなのかということについてお伺いしたい。
 それと、もう一つは、医療ニーズの高い方の利用ということについて、ここの小規模多機能は、居宅でないということで、医療が提供できるのかどうか、できないのではないかと。あるいは、これはグループホームもそうなのですけれども、居住系サービス、あるいは居宅系サービスなのかどうかということについての考え方についての整理を、厚生労働省にひとつお願いしたいと思います。
 以上です。

○大森分科会長 それでは、まず、どうしましょうか。それでは、厚生労働省の方から行きますか。お答えしていただく点について。認知症サポート医をどうするかは今後の話ですから、それはいいとして。

○千葉認知症対策室長 お答えさせていただきたいと思います。認知症サポート医の件につきましては、現在、確かに一定数もう既に養成しておりまして、この役回りといたしましては、地域における連携のかなめであるということで、私どもお願いしておるところでございます。実際のところは、活動状況等を見てみましても7割程度ですね。自治体などにおきまして、地域連携・地域展開を保っているという状況は見てとれるところでございます。
 こうした中で、私どもといたしましても、認知症サポート医の養成研修事業を引き続き的確に行っていくということもございますが、地域の中で認知症サポート医の方を十分活用していただこうという考え方というのを持っておりまして、具体的に申し上げますと、先ほどコーディネーターのお話もさせていただきましたが、このコーディネーターそのものになっていただくという可能性も勿論あるわけですが、こういった事業を行う場合にあっては、サポート医の方を嘱託医などとしてつけていただいて、医療的な例えばアドバイスといったものを行っていただいて、介護と医療との間の円滑な連携に役立たせるようにする、こういったお願いというものをしております。
 今年度からこのコーディネーターの養成事業というものは広まるわけでございまして、数自体も150を超える数が今後計上されることになるかと思いますが、できるだけ多くのところでサポート医の方が活躍できるような足場というものをつくっていきたい、このように我々としてもお願いしていきたいと考えているところでございます。

○大森分科会長 いいですか。

○桝田参考人 関連でよろしいですか。

○大森分科会長 今のと関連してですか。ちょっと御質問が出ているので、それを済ませてから。
 川原さん、御指摘あったことについて何か。

○川原意見陳述人 小規模多機能の併設した住まいからの利用というものは、高専賃と有料老人ホームからの利用というのが、高専賃からは2.4%、有料老人ホームからが1.8%という数字が出ています。ですから、多分、併設の部分というのはその数字なのだろうと思っています。

○大森分科会長 よろしいでしょうか。それでは、今の関連したこと、どうぞ。

○桝田参考人 認知症ケアの中で、今、医療の面のお話がありましたけれども、ちょうど今日はお持ちできませんで、次回のときに資料提供いたしますが、特養における認知症高齢者の原因疾患別アプローチとケアのあり方の調査研究がほぼまとまってきますと、やはり介護だけでは認知症ケアというのはもう無理ではないかと。やはり医療と介護の両方がきちんと機能して初めて認知症ケアというものが確立してできていくと。というのは、いわゆる認知症ケアという中に、例えばアルツハイマーであったり、脳血管性であったり、レビー小体であったり、すべてケアという部分は、勿論治療による薬の問題もありますが、ケアの方も、介護の方も、やはり職員がそれなりの知識を持って対応していく必要が出てくると。やはり一つずつ違ってくるというのがかなり鮮明に出てきました。ですから、今までの形のいわゆる認知症ケアですよというのでは、もう無理な時代に入ったのではないかなと。
 その点、グループホーム協会さんの方の資料の中で、医療との連携の部分というのが触れられていませんので、ちょっとどういうふうにされるかわかりませんけれども、やはり介護が幾ら頑張っても無理な領域は当然起こってくると。というのは、医療との連携がないためにそれが起こってきていて、薬の副作用であるのかどうかという部分も、やはり介護側から医療の方に情報提供をきっちりしていかなかったらそこの部分も不可能だろうし。そういう面で、連携体制というものをもう少し重要視して、介護の方と医療の連携という部分を構築すべきではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○大島分科会長代理 この認知症のサポートについては、この資料にも載っていますように、国立長寿医療研究センターが国から委託されてやっている事業でありまして、平成17年度から昨年までに1,677名の研修が終了していまして、その下の2万6,024という数は、これは、サポート医が地域へ戻って、そして地域の医者に集まってもらって更に研修を行っていくという仕組みで行った結果で、これは、医師会の名前が出ていませんが、日本医師会との協力体制で行っている事業です。当初は、参加が非常に少なくて、これはどういうことになるかと思っていたのですが、年ごとに増えて今では1回の研修で100名を超すぐらいの方が集まります。私も皆出席でずっと出ていたのですが、その雰囲気が、日常的に認知症の診断・治療、あるいはそれに対するケアも含め、地域全体の中でどうしていくのかそのためのきちんとした知識なしには、これからの診療はあり得ないということが地域のドクターが骨身にしみてわかってきている、それぐらいの状況に今なってきていると思います。
 先ほど三上委員からお話がありましたけれども、地域によっては、地域の中での認知症医療ケアをどういうふうにやっていったらいいのか非常にいいモデルを幾つかのところでつくり始めています。そういったものがこれからどう展開していくのかというのは、これからの大きな課題だろうと思っています。先ほどサポート医をどう評価するかというような議論もありましたが、私たちは、サポート医をどう評価するかという観点からは考えてきませんでしたが、サポート医が、地域の中における医療介護ケアの、非常に大きな役割を荷っていく可能性が非常に高いと。しかも、いいモデルもできつつありますので、これからこれを報酬の中でどう考えていくか、あるいは、そんなことはもう基本的な役割で、特に考える必要がないというような考え方でいくのかということなど、議論の余地があるかもわかりません。

○勝田委員 関連です。

○大森分科会長 ちょっとお待ちください。大事な論点が出ていまして、先ほどのデータのこともありますし。私は、ちょっと座長として言い過ぎですけれども、認知症ケアのあり方について具体的な病気との関係、それから実際の経験とか、精神科のお医者さんの知恵とか、今のような新しく実験を始めているモデルとか、そういうものを総結集すべきだと思うのですよね。その体制をできるだけ早い時期に立ち上げるべきではないかと前から個人的に思っていまして、現場の方のいろいろ苦労もありますし、それから、余りある種の偏見というかな、予断を持って当たると悪化するケースもあるはずですので、やはりこの機会に、認知症ケア及び医療と介護との関係を総合的に、集中的に検討すべきではないかと思っているのですけれども。
 ちょっと今日は意気込んで言っているのですが、室長さん及び当局はどう考えているか、一言お伺いしたいと思っています。シナリオに全くありませんので、余計なことを言っているのですけれども、大事ですので、踏み切ってもらいたいというのが私の感じ方ですが、いかがでしょうか。

○千葉認知症対策室長 御指摘の点、私どももよく了知はしております。認知症のこのケアモデルのあり方については、なかなか確立されていないという問題がございました。この点について、私どもといたしましても、できる限り、どのようなサービスを展開していくべきなのか、あるいは組み合わせみたいなものもあるかもしれません。そういったものを提供することによって、認知症の方が落ち着くのかということは、これは考えていかなければならない事項だと思っております。
 また、1つ申し上げられることは、やはりこういうことに関しましては、実践現場で、例えば御苦労なさっておられる事業者の方々、あるいは医療サービスで医療の担当をなさっておられる方々、こうした方々が、例えば原因疾患別に見てどういう状況にあるのか、あるいはステージ別に見てどういうことになっているのか、そういったあたりというものを、知見を今まで暗黙知の領域にとどまっていた部分もあるかもしれませんが、そういったところをできるだけ出していただいて、一般的なプロトタイプみたいなものが出せるのかどうか、そういったあたりにつきまして我々としても検討していきたいと。また、そういったものを踏まえながら施策のあり方というものを更に探ってまいりたい、このように考えているところでございます。
 いずれ、そうした場というものを設けることも含めまして検討させていただきたいと考えております。

○大森分科会長 では、勝田さんどうぞ。

○勝田委員 今、座長さんがおっしゃってくださったことには大賛成です。認知症ケアとは何なのかということについて、本人と家族も含めて、今改めて私たち自身も考えていますが、是非そういうことを早急に総結集してやっていただきたいと思います。そういうところには当事者や関係者も必ず入れていただきたいと思います。
 ただ、認知症ケアについては、先ほど岩尾さんが、グループホームの関係で専門性を地域の中に普及していくのだということをおっしゃいましたが、認知症ケアについてそれぞれのイメージでやっているのではないかと思います。
 当事者として確認したい。前々回だったでしょうか、私たちが積み重ねてきた認知症ケアの一つとして、「寄り添うケア」について、本人や家族に寄り添いながら一緒にやっていく、そのことがとても大切なのだということを私たちは感じていますし、またいろいろな研究もされて成果も上げています。池田委員が「寄り添うケアというのはばかげているのだ」との御発言があったと思うのですが、私たちはそれに対しては異論がありますし、どのようなエビデンスをもってそのようにおっしゃったのか、今日でなくても結構です。今、当事者本人の気持ちに沿う介護、そのことも含めた認知症ケアではないかと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○大森分科会長 ちょっと1回きちんとして検証の場に乗せるべきだと思うんですよね。勝田さんたちはクリバヤシクレストのことをおっしゃっているのですけれども、お気持ちはわかりますが、先ほど言ったように、きちんとした検証の場に据えて、具体的にこうすると、こういうふうになる、こういうサービスはこういう意味で有効なのだというそのことをきちんとやれない限り、繰り返し同じことをやっておられますので、私はそういう議論もどこかで断ち切りたいと思っているのですよ。ですから、そういう形できちんとしたルールに乗せていきたいと思っているのですけれども。
 池田さんも一言。

○池田委員 まず、三上先生、大島先生の方から言われたのですけれども、一言多いというのが私の問題らしいのですが、実は、お医者さんが悪いということを一方的に言っているのではなくて、認知症生活自立度というものが果たして信頼できるのかという問題も言っているのです。あれは、施設の中におけるBPSDの類型化みたいなところから始まっているので、医学と全然合わないのですよ。だから、お医者さんにそれを求めるというのはちょっと無理があるのではないか、矛盾を感じてしまうのではないか。その結果として、なかなかお医者さんの生活自立度のものというのは現実とずれてしまうということだろうと思うので、お医者さんのすべてがひど過ぎるなんていうことは一言も言うつもりはなかった。ただ、今の生活自立度を使う限り、ずれみたいなものはどうしても起きてしまうよというところが言い足りませんでした。
 それから、先ほどの千葉室長の議論を聴いていてもそうなのですけれども、重要なのは、原因疾病の解明と脳の損傷状態と、そのことから来るBPSDというものを解明していく、そこからケア方針の基本が立つわけですよ。ところが、聴いていると、全部経験則でもってケアの議論がされている。それはどこかで断ち切らないといけないと思います。
 したがって、認知症ケアの中で結構有力あるいは参考になる意見というのは、高次脳機能障害の研究者の方たちの議論というのは、すごくよくわかるところがあるんです。そういった意味では、従来のケアの要するに経験と勘の世界でできていたケアの世界から科学の世界へ戻そうということを言っているわけです。そこから出発しなければなかなかうまくいかないよという意味では、先ほどの室長の言い方は、どうもやはり経験則の積み重ねみたいなところがあって、それではだめだと思うのですね。それも必要だろうと思いますけれども、「よりそう」などという情緒ではなく、科学から出発するということで、それが重要であると思います。

○大森分科会長 ちょっと私が横にそれたものですから議論がちょっと横に。今日はお2人来ていますので、まだ御質問があるのでしょう。そちらもあったね。そちらが先だったかな。では、篠原さんと、それから池端さん、お願いしましょう。どうぞ。

○篠原委員 ありがとうございます。それぞれ認知症の件につきましては、初期の発見とか治療、また予防ですとか、あとは、家族の方への相談の体制をきちんと整えていくというところも重要ではないかと、思っています。
 その上でいくつか質問をさせていただきたいと思います。川原さんにお伺いしたいのですが、まず初めに、8ページ目のところで、ライフサポートセンター構想ということで、都市部のイメージと過疎地のイメージということで、大都市と過疎地のすみ分けというか、それぞれニーズが違うことから、それぞれの形をきちんと考えるということが、大変重要だと思います。その過疎地のイメージという部分で、A地区からC地区、それぞれ記載されていますが、どのくらいの広さの状況が一番ふさわしいかどうかということをまず1点お聴きしたいのと、あともう一つ、参考資料のところにあります、12ページ目のところに介護職員の給与ということでそれぞれ給与の棒グラフが載っていすが、改めて、なぜ低いのかどうかというような理由をお伺いしたいと思います。その2点です。

○大森分科会長 お願いしましょう

○川原意見陳述人 まず、ライフサポートセンターのところですけれども、これは、基本的な枠組みは、都市部だろうが過疎地だろうと全く同じだと思っています。ただ、そこの担当するエリアというのは、やはりそれぞれの市町村によって、状況によって違います。基本的には、生活圏域という形での30分エリアを一つのエリアと考えたいなと考えているところです。
 それから、職員の報酬についてですけれども、小規模多機能が一番低いというところ、これは特養なんかに比べると、まだできて新しいオージオだということで、サービスだということで、まだ新しい職員が多いというのも一つの要因であるかとは思います。ただ、もう一つ大きなのは、やはり厳しいので、職員の給与をここら辺に抑えないとやり切れない、経営できないということで抑えられているというところが一番あるのかなと思っています。

○大森分科会長 池端さんどうぞ。

○池端参考人 主な論点の中で医療提供のあり方というものがありますので、それについてちょっとお伺いしたいのですけれども、事務局からの資料の19ページに、グループホームの医療的ケアの中で、看護配置基準と訪問介護のあり方ということで、グループホームは看護師の配置基準がなしということで、小規模多機能に関しては○ということになっていますが、それに対して、訪問看護の提供は、いずれも条件付き、末期がんとか急性増悪のみということになっています。グループホームでは看取りもどんどんやっていくというお話も先ほどありましたので、今後グループホームに対する訪問看護の提供のあり方等について御意見がありましたら、岩尾さんにお伺いしたい。
 それと、もう1点は、川原さんの方には、同じように、逆に小規模多機能には訪問看護を内包化する複合型ということが今、俎上に上がっていますが、となると、これは木村さんからお話しいただいた方がいいかもしれませんが、ケアマネジメントが在宅から小規模多機能に移ると、すべてそこのケアマネジメントになってしまうという、それに訪問看護がついてしまうということに対して、多少疑問の余地があるのかなという気がします。その辺について御意見をいただければと思います。

○大森分科会長 では、岩尾さんから。

○岩尾意見陳述人 グループホームは、今、看護師の配置率が大体35.9%と、今どんどん増える傾向にあります。主にグループホームのスタッフが、非常に介護の人たちが不安に感じるのは、いろいろと身体症状に対して、やはり十分な知識がないとか、余り職種に厳しい基準がありませんので、高校を出てすぐの子とか、急に亡くなるような経験をしたりというところで、そういう面では、看護に対する依存する気持ちというものが非常に高まっていまして、現場としては、看護師の配置率がどんどん上がっているということであります。
 ですから、医療連携体制加算というものがあるわけですから、訪問看護を非常に有効に使おうという気持ちは十分あって、むしろ全体的に見てもらうというより、ある部分的なところをきちんとそういう医療系にフォローしてもらいたいというところで、有効な関係というか連携の仕方というものをもう少しモデル的にきちんと確立していくというのは重要かと思っております。

○大森分科会長 川原さん、お願いします。

○川原意見陳述人 小規模の方には現在でも看護師配置になっているわけです。ただ、その看護師の役割というのが、非常にあいまいとしています。健康管理ぐらいしかできないということで、本当にもったいないというか、そんな状況です。今回、複合型ができたにしても、では、小規模多機能のこれまでの看護師とこの訪問看護での訪問看護師の役割はどう違ってくるのだろうかというところを少し危惧はしているところです。具体的な中身が、やはり通ってきている場面とかでは、訪問看護あるいは看護師の役割は、本当に健康管理ぐらいしかできないという状況なので、そこら辺が大きな課題かと思っています。
 それから、複合型が入ることによってケアマネジメントはどうなるんだという話ですけれども、先ほども言ったように、小規模多機能は施設の在宅版ということで考えていますので、ある意味では、全部トータル、包括して構わないと。そういう形でつくっていくのだろうと考えています。ただ、それが閉鎖的になったり周りから全然見えない形になったら、それはおかしいわけですから、あえてライフサポートワークという形で地域の力をも合わせてやっていくような形を考えているというところです。

○大森分科会長 あと5分しかありませんので、齊藤さんと齋藤さん、お2人で終わり。木村さんも。どうしても。

○齊藤委員 すみません、貴重な時間をおかりします。
 川原先生ありがとうございました。先生は、今日の主要なテーマではないので御遠慮されたと思うのですが、資料の最後のページの中に、自治体の職員の皆様との意見交換といいますか、勉強会の中で、地域包括ケアを進めるために重要なことの一つに、市町村の職員の養成ということを述べられております。私も全く同感でありまして、地域包括ケアを進めるためにはさまざまな課題がある中でも、やはり私も大きな課題の一つがこれだと認識しております。その上で、国で是非取り組んでいただきたい事項ということが3点上がっておりますが、私は一義的には、自治体がもう少し本格的に取り組んでいただくべきだと思っておりますが、それをサポートしていただく意味での国、それから県の役割は非常に重要ではないかと思っておりますので、事務局の方でこれに関して何かお話といいますかコメントがありますれば、支援という仕組みの中でお考えがありますれば、是非この機会にお聴かせいただきたいと思います。

○大森分科会長 大事な問題ですけれども、今日は保険者が2人ともいないのです。ですから、おられるときにその話題がどこかに出てきますので、今後の体制のあり方については、この点についてはそのときにいたしましょう。
 もう一人の先生。

○齋藤参考人 グループホームの医療の連携のところについて少しお伺いしたいと思います。この制度ができてから、いろいろな形で加算等が整備をされて、住み慣れた環境で最後まで生き切るためにケアを提供するというのがグループホームの役割だったかと思うのですが、厚生労働省から出されました20と21のスライドを見ますと、医療連携体制加算は割と整備されてきたのだけれども、退去先と看取りの状況を見ると、病院への入院が最も多く、グループホーム内での看取りは少ない。こういった状況をみると、この連携加算というのは本当に機能しているのだろうかというのが、非常に疑問でございます。
 今後、いろいろなグループホームに関する報酬単価とか加算の体系を一度整理して、可能な限りグループホームでも看取っていくという方向を見据えていかなければいけないだろうと思うのですが、そこで質問なのは、その看取りがないという中でも、11.4%はグループホームで看取ったと。これには、いわゆる連携加算の中でも訪問看護事業所と連携でやる場合と、グループホームにナースを配置する場合があると思います。先ほどナースの配置割合が少し高くなってきたということが出ていたのですが、どういう体制だったらこの看取りがだんだん広がっていくのかについて、お考えを少し伺いたいと思います。

○大森分科会長 やや難しい問いかけですけれども、よろしいですか。

○岩尾意見陳述人 まず、地域の医師とどれだけきっちり連携が取れているか、これがとても大きいのだろうと思うんです。幾ら看護師を配置しましても、医師との連携がうまく取れていないと非常にうまく機能しないというようなこともあるわけです。その医師がどれだけグループホームが確保できるか、グループホームそれぞれの一つの努力によるようなところも実際あるわけです。地域によっては、全く訪問してくれない、そういう医師がいないというようなところがあったりとか、それから主治医とか協力医とか、そういうところともうまく連携が取れないというようなところでは、やはりちょっとした変化を怖がってすぐ入院させてしまうというのが起きてしまうというのは、事実あるのだろうと思うのです。
 できるだけ最期まで看取りたいということで見るところは、例えば、いわゆる苦痛を取るような、そういうものまでグループホームがやっていいかどうかというのは、これはかなり無理があるだろうと思っています。むしろ自然死というか、非常に安らかに目を閉じられる方というのは結構いらっしゃって、そういうことの支援というのは、実は看護師が1人いるだけで、その看護師の指示に基づいて、介護スタッフも一緒に看取る、そういうことというのは、実は割と進んできているような、そういう感じはあるのだろうと思うのです。そういうことが、どういう看取り方が実際行われているかという実践事例を我々ももう少し出していく必要があるなという、そのことがグループホームにおける看取りのあり方ということも出てくると実際思っているわけです。
 一方、医療の連携というのは、実は、正直なことを言いますと、我々の中にもちょっと医療不信があるのです。例えば入院して、1カ月かかりますというのが3日で帰ってくるわけですね。何でしょうと言ったら、やはり医療の方に認知症に対する理解がなくて、きちんとした医療が提供できないという状況で戻されたりしたときに、やはり医療とどれだけ連携すればいいのだろうかという、つまり、それは地域の中で、現場サイドとしてどれだけ医療と連携すればいいのだろうかというのは、率直に疑問に思いますし、医療ビジネスの中には、空床対策に使うというところだってないわけではないのですから、そういうところでは、やはり私たちも、ある一定の医療に対する構えを持っているというのは、それはちょっと否定できないところであります。
 しかし、実際、重度化がどんどんグループホームの中で進んでいるわけですから、医療の力を必要としているというのは歴然たる事実ですので、もう少しその辺の、例えば連携、例えば認知症についての医療の連携のし方、それから、いわゆる身体的なそういうものに対する医療の連携のあり方、そういうものもきちっとそれぞれに連携のあり方というものを整理して考えていかなければならないというようなことは、率直に思っているところであります。よろしいでしょうか。

○大森分科会長 ありがとうございます。
 木村さん、ごめんなさい、忘れそうだった。

○木村委員 川原さんにちょっと教えてほしいのですけれども、今日の資料2の参考の中に、2回前のときに小規模多機能居宅介護事業所における医療ニーズのある利用者の状況ということで、服薬の援助とか管理が58.2%、浣腸とか摂食、創傷等々いろいろな医療ニーズがあって、それができないので複合型サービスという流れになっていて、法律が通ったのはいいのですが、実際、この医療ニーズの高い人たちを今の小規模多機能で、あるときはお医者さんの往診とか、それから、あるときは薬剤師の居宅療養指導とか、あるときは訪問看護とくっつけるような、サービスを組み合わせられるようになっているのですが、それがうまくできないということがあるのであれば、その原因というか要因というか、それを教えてもらいたいと思うのですけれども、お願いします。

○川原意見陳述人 利用者がお住まいのそれぞれの御自宅においては、当然、医療も入れるわけなので、往診いただくし、訪問看護も入れるわけです。ところが、昼間通ってこられる場面があるわけですけれども、そこには入れないのですね。ですから、そこの場面は、どうしても来てくださいと言うわけにはいかないし。ところが、実際はそこの中で具合が悪くというか、急性期のときには往診をいただくのですけれども、それ以外で定期的に来ていただくというわけにはいかないので、やはり御自宅でということになります。それで、通ってきている時間、昼間の時間、通ってきておられるわけですけれども、医療がとなったら御自宅にお帰しして、そこで受けてもらうという形になるので、非常に手間暇かかっているという状況です。

○大森分科会長 それでは終わりにいたします。もう12時超えていますので。何ですか。

○三上委員 今日の話と別の話で少し発言したいのですが。

○大森分科会長 今日は終わりです。恐縮ですけれども。
 介護保険法等が通りましたので、一言総務課長さんから御報告いただきます。
 あの、次回にいたしますから。

○大澤総務課長 お手元の資料3をちょっとごらんいただきたいのですが、法律案の「案」の取れた資料をお配りしてございます。この給付費分科会におきましても資料としてお配りいたしましたが、この法案については、去る3月11日に閣議決定いたしまして、国会の方にその後提出をいたしましたが、衆議院において一部修正が行われました。それは、社会医療法人に特別養護老人ホームの設置を認めるという部分、これにつきましては、衆議院段階で削除されましたが、それ以外のところについては原案どおり可決されまして、昨日、6月15日に参議院の本会議におきまして、修正後の案について可決して成立したということでございます。
 近く公布される段取りになりますが、1ページ目の一番上の脚注にございますように、介護療養病床の廃止期限の猶予と、それから、介護福祉士の資格取得方法の見直しについては、その公布日から施行いたしますけれども、それ以外の部分については来年の4月1日から、第5期の介護保険事業計画が始まるのと併せまして施行するということで、今後、関係政省令、通知等のたぐいについて整備をしていくことになりますが、その中で、勿論必要な介護報酬、それから必要な基準等については、当分科会におきまして御議論を経て決めていただくということになりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○大森分科会長 次回について。

○宇都宮老人保健課長 次回日程については、ただいま調整中でございますので、決まり次第御連絡させていただきます。

○大森分科会長 以上でございます。ありがとうございました。


(了)

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