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2011年5月31日 第24回高度医療評価会議 議事録

医政局

○日時

平成23年5月31日(火)15:00~17:00


○場所

経済産業省別館 825号会議室


○出席者

猿田座長、山口座長代理、伊藤構成員、金子構成員
川上構成員、柴田構成員、関原構成員、竹内構成員
藤原構成員、村上構成員、山中構成員、山本構成員
(事務局)
医政局研究開発振興課長、医政局研究開発振興課治験推進室長
医政局研究開発振興課高度医療専門官・治験推進室長補佐
医政局研究開発振興課高度医療係長
保険局医療課課長補佐2名

○議題

1.新規申請技術の評価結果について
2.協力医療機関の追加について
3.その他

○議事

○猿田座長 
 定刻になりましたので、第24回高度医療評価会議を始めさせていただきます。3月の震災の影響で少し会があきまして本日になりましたが、お忙しいところ、委員の先生方におかれましては、ご出席ありがとうございました。本日の委員の出欠状況ですが、佐藤構成員、田島構成員、永井構成員、葉梨構成員、林構成員、堀田構成員からはご欠席との連絡を承っております。伊藤構成員は少し遅れて出席してくださいます。山本構成員は他の会議があって4時頃から早退なさるということです。
 それでは早速ですけれども、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局(高度医療係長)
 机上の配付資料について確認をさせていただきます。まず、議事次第から始まりまして、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿と続きます。次に、新規申請技術の評価結果としまして、資料1-1から資料1-5があります。次に、協力医療機関の追加として資料2があります。その他として、平成23年5月19日開催の社会保障改革に関する集中検討会議資料としまして、医療イノベーションに関する資料が付いています。最後に、参考資料1、2を付けています。本日の資料は以上です。過不足等ございましたら事務局までお知らせいただけますでしょうか。
○事務局(高度医療専門官)
 いま、クールビズでございまして、お暑ければスーツは脱いでいただいて結構です。
○事務局(高度医療係長)
 それから、利益相反につきましては、対象となる医薬品及び医療機器の企業等につきまして、資料1-1に記載しております医薬品・医療機器情報をご覧ください。対象となる企業及び競合企業に関して事前に確認させていただいています。事前の届出以外に特別に関与するような事例はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。該当なしということで、よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 早速、議事に入らせていただきます。まず最初に、新規の申請技術の評価結果につきまして、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。
○事務局(高度医療係長)
 事務局よりご説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方がいらっしゃいましたら、ここまでとさせていただきます。
 資料1-1、6頁をご覧ください。新規申請技術の評価結果としまして、整理番号034、高度医療名は「腹膜播腫を伴う胃癌患者に対するパクリタキセル腹腔内投与併用療法」です。適応症は、胃癌腹膜播腫が対象となっております。申請医療機関は東京大学医学部附属病院です。審査を担当していただきました構成員は主担当として村上構成員、副担当として山口構成員、田島構成員となっています。以上でございます。
○猿田座長
 どうもありがとうざいました。早速ですけれども、村上構成員から、まず全体的なご説明をお願いいたします。
○村上構成員
 説明させていただきます。今回申請されました薬事未承認の医療技術は、いまご紹介がありましたが、肉眼的腹膜播腫を伴う初発胃癌に対しての抗癌剤パクリタキセルを腹腔内投与として使用するものです。なお、このパクリタキセルは、静脈内投与につきましては胃癌に対して既に薬事承認されているものです。この医療技術は、第9回高度医療評価会議で審議されまして、肉眼で腹膜播腫が認められている、あるいは腹水細胞診で陽性であった腹膜播種を伴う初発又は再発胃癌を対象疾患として、第2相試験を行うことが承認されています。その後、先進医療の第三項として臨床試験が実施されまして、肉眼的腹膜播腫を伴う初発胃癌につきましては、予定症例数に達し、試験の結果がまとめられました。その結果につきましては、お手元の資料に添付されておりますのでご確認いただければと思います。既に報告されております臨床試験の結果同様、とてもよい結果が見込まれるということで、今回、次のフェーズとして本医療技術の安全性・有効性を検証することを目的として、同疾患の標準治療であります、S-1とシスプラチン併用療法を比較対象にしたランダム化比較試験を行うに当たり、高度医療に申請されました。対象疾患及び抗癌剤の投与レジメンですが、高度医療として第2相試験を行い、試験結果が取りまとめられたものと同様であります。即ち、肉眼的腹膜播腫を伴う初発胃癌を対象として薬事承認されている抗癌剤パクリタキセルの静脈内投与に加えまして、薬事未承認である本薬剤の腹腔内投与、さらにS-1の経口投与を併用するというコンビネーション・テラピーが行われます。一方で、実施医療機関につきましては、単施設から多施設に拡大されます。前回の試験では東京大学1施設でしたが、今回は新潟県立がんセンター、近畿大学、兵庫医科大学、帝京大学が現時点で申請されており、試験計画上は20施設を予定されています。予定症例数は180例です。
 評価結果です。お手元の資料1-2をご覧ください。実施体制の評価を山口先生に実施していただきました。実施責任医師等の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等、すべて「適」の判定をいただいております。実施医療機関の体制等について問題はなく、実績についても申し分ないため「適」としております、とコメントをいただいております。山口先生からご説明いただければと存じます。
○山口座長代理
 実施体制については、東京大学はもちろん問題ございませんし、そのほかの新潟がんセンターや大学病院に関しましても、胃癌の実績も十分ありますし、化学療法についても十分スタッフが揃っていますので、体制については特に問題ないかと思います。
○村上構成員
 次に、倫理的観点からの評価についてです。田島先生に実施していただきました。同意に係る手続、同意文書、補償内容ともに「適」の判定をいただいております。コメントとしまして、説明文書については、質疑応答を経て所要の修正がなされた結果、問題点が解消されたので「適」とする。患者相談等の対応は整備されている。ただ、患者相談等の対応が整備されているかについても記載してください、というコメントをいただきました。
 最後に、プロトコールの評価です。私が担当させていただきました。なお、評価に当たりましては、提出された書類だけでは情報が不足していたり、少しわかりにくい点があったりしましたので、事前に質問をさせていただきました。特に今回の試験は、単施設から多施設に施設数を拡大して安全性及び有効性を検証することになりますので、施設間のばらつきによって試験の信頼性に影響が出ないような対応がなされているかという観点から、例えば、手順書の整備状況等について細かく質問をさせていただきました。その結果はお手元の資料1-3に添付されておりますのでご確認いただきたいと思います。資料のように、私の質問に対して真摯に、丁寧に、迅速に対応していただきました。ただ、時間的な制約等があったと思います。まだまだCRFが完全なものにはなっておりません。また、データ提出手順も少し不明確で、安全性及び有効性に関するデータが適切に収集されるのかどうかについて若干の不安があります。また、データマネジメントの観点からCRFの取扱い手順、CRFの情報及びWeb入力された情報の管理等につきましても、いま一つ手順がわかりにくいところがあります。明確な手順を定めていただきたく存じます。
 さらに、生物統計の専門の立場から竹内先生からコメントをいただきました。資料1-4にそのコメントがあります。本試験では、中間解析が2回実施される予定です。この中間解析では、有効性に対しての治療群のキーが開示された形で解析されますので、本試験の独立性を保持するために、効果安全性評価委員会にどのような流れで中間解析結果が報告されるかのフローチャートの提出が必要であると判断します、とコメントをいただいています。竹内先生、何かございますか。
○竹内構成員
 本試験では中間解析が2回行われました。まず第1回目では、無作為化がちょっと複雑になっておりますので、その無作為化が適切になっているか、ターゲットポピュレーションがしっかりとリクルートされているかのチェック。2回目には、実際に症例数がこれでいいのか、又はもう少しフォローアップをしないといけないのかということがありますので、いわゆるアダプト・デザイン等をこの試験では適用していくと私は理解しておりました。そういう中で、やはりデータが東京大学の中にありますので、キーが開いてしまっている状態で、もう既に試験を実施されている施設がわかっているのであれば、やはり独立性が欠けます。独立のモニタリングを作っていただき、結果を判断していただいて、その試験を今後どうするかを、効果安全性評価委員会の先生方に提言するかのフローチャートが必要であると私は判断いたしました。このような意見書を提出させていただきました。
○村上構成員
 ありがとうございます。本医療技術につきましては、標準治療に比べ、素晴らしい臨床効果が期待できることから、有効中止といったことも想定する必要があると思いますので、中間評価解析の結果の取扱い手順につきましては、事前にしっかりと定めていただきたく存じます。以上の点を踏まえまして、評価表のとおり、有効性及び安全性の評価方法と試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方法の項目について「不適」と判定いたしました。なお、不適項目につきましては、いま言いました点を踏まえ、各種手順書、CRF等をよりよいものにしていただけるならば「適」と評価できると考えております。
 総評です。医療ニーズが非常に高く、かつ、高度医療評価制度に基づいた第2相臨床試験で臨床効果が確認できた医療技術であることから、遅滞なく次のフェーズに進め、安全性及び有効性を検証することが肝要と考えます。ただ、実施にあたっては、単施設から多施設に施設数を拡大し本医療技術を評価することになりますので、試験の信頼性確保の観点から各種手順を入念に取り決めたのち実施していただきたいと考えております。そのためにも、プロトコール、手順書等の精度をワンレベル高めていただくことを求めたいと思います。以上より、総合評価を「条件付き適」とし、指摘事項がすべて修正あるいは確認されれば、「適」としてよいとさせていただきました。
 なお、コメントの最後に記載させていただいた点です。本医療技術の実用化・保険収載が円滑に行われるように、また、本医療技術を希望される患者さんに切れ目なく提供できるように、何らかの配慮も必要ではないかと考えております。そういう点では、簡便に、あるいは迅速に、そして低コストで本医療技術の安全性及び有効性のデータが入手できるので、今回の試験を高度医療として行うことについては十分価値があると考えております。ただ、今回の試験は治験ではありません。確かに、いろいろと手順等を定めていただき、倫理性、科学性、信頼性の確保に努めていただいておりますが、GCPに準拠したレベルとはまだ言い難い状況です。そのために、この試験の結果がたとえ素晴らしいものであったとしましても、本試験のデータを以て薬事承認・保険収載に持っていけるのかどうかについては、いろいろな議論があろうかと考えております。そのためにも、この試験の後のシナリオが非常に大切になってきますので、今後のシナリオに関しまして、是非、厚生労働省、関係当局を交えた検討を早急に始めていただくことをお願いいたしまして、説明を終わらせていただきます。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。ただいま審査に当たられた先生方からのご説明がありましたが、委員の先生方からご意見をいただきたいと思います。
○山中構成員
 今回、生存期間の中央値を12カ月から22カ月に10カ月延長することを目標として180例という症例数を設計されているのですが、ちょっと少ないかなという気がします。今回の試験はTS-1は両群で飲むことを前提としまして、パクリタキセルとシスプラチンを比較する試験と考えられると思うのです。シスプラチンもパクリタキセルも両方IVで入れた場合、2つのレジメンに差がないということは、胃癌の先生ならばほぼ同意いただけると思います。今回はパクリタキセルの部分をIVだけではなくてIPを交ぜているわけですがIPを交ぜることによって2相試験の成績からもかなり有望であることは予想できるのですけれども、ただ、生存期間の中央値を12カ月から10カ月間延長する、倍近く延長するのは、ちょっとオプティミスティックではないかなと思いますので、もう少し生物統計の先生と相談をしていただきながら、症例数を増やす方向にもっていけないかと思っております。
○猿田座長
 ありがとうございました。その点、何かございますか。
○山口座長代理
 1年生存率が70%、80%のところまできていて、我々の常識から言えば素晴らしい成績だと思います。P1で、ほんの僅かばら撒かれているものでさえ、がん研のデータを見たら40%ぐらいしかないのですが、それが倍ぐらい延びている。その中に、いまでいうP-2、P-3になってくると、もう20%とか10%しか1年後には生き残っていませんから、かなり期待はできるのではないかと思います。10カ月が適切かどうかは、ちょっと私も意見を持っていませんけれども。その点を詰めていただいて、是非、前に進めていただければと思います。
○猿田座長
 症例数の問題は、このぐらいで大体よろしいですか。
○竹内構成員
 たぶんその辺は勘案して、2回目の中間解析で、実際に、22カ月と12カ月ぐらいが、集まった症例数で推定できるのかどうか。今後、症例数を増やすのかを検討するために、2回目の中間解析をやると私は理解していました。やはり独立性のモニタリングを、生物統計の先生とほかの先生方がしっかり議論していただいて、このプロトコールの効果安全性委員の先生方に提言していただく形にしているのかなと私は理解したのです。
○山中構成員
 竹内先生のおっしゃっているデザインがいいと思うのですけれども、ただ、いまこのプロトコールを見る限り、そういう適応型の試験ではないですよね、恐らく。
○竹内構成員
 詳細には書いてはいないのですけれども、中間解析の書き方を見てみると、たぶんそういうことをやるのではないかと私は想像しました。先生がおっしゃるように、22カ月と12カ月と結構差があるので、そこがまだデータがないので、はじめに集まった症例数である程度推定していきながら次の症例数を増やすのか、そのまま延長して引っ張るのかという判断をするのだと私は理解したのです。
○山中構成員
 そこも含めて手順の明記が必要だということですね、先生がおっしゃったのは。
○竹内構成員
 そうです。
○村上構成員
 その点もしっかりと確認させていただきまして、適切に対応していただこうと思います。
○猿田座長
 ありがとうございます。
○山口座長代理
 やはり、1年ちょっとしか余命のない人が10カ月延びるということになったら大変なことで、すぐストップしなければいけないのだと思うのです。ですから、先ほど有効中止もあり得るとおっしゃったのですけれども、その辺りを含めて、是非このチームに指導していただければ大変ありがたいと思います。というのは、もしこういう高度医療制度がなかったら、このチームがうまく動けたかどうかわからないと思うのです。第1回目のときにも、いろいろな手直しが入ってそういうレベルにようやく達して、一応データが出たわけですから、今回も、温かい目というとちょっとおかしいですけれど、指導的に、そういう良い試みをうまく科学的に判断できる形に整えてあげる姿勢が非常に重要だと思います。そういう意味では、今回良いデータをうけて、この次にまた良いデータが出たら、こういう制度ができた本当の意味が出てくると思うのです。是非、そういう目で見ていただきたいと私は思います。
○猿田座長
 それと、参加施設が非常にしっかりしている所ですから、その点も考慮に入れたらいいと思います。山口先生、どうですか、よろしいでしょうか。
○山口構成員
 はい、それで結構です。
○猿田座長
 ほかに、どなたかご意見ございませんでしょうか。
○藤原構成員
 評価の方々は既に申請者とのやりとりの中で聞かれたかもしれないのですが、第3相試験は両群が負担とかリスクとか期待される便益などが同じぐらいでないといけないと思うのですけれども、同意説明文書などを読みますと、費用積算では、ウイークリー・タキソール群が10万円ほど余分にかかるのです。これで患者さんの登録がスムーズにいくのかが気になります。IC文書をよく読まないとそこは理解できないかもしれないのですけれども、明示的にちゃんと書いて説明したら、あなたのほうが10万円たくさん払うのですよと言ったときには、参加を躊躇されるのではないか思ったのです。そこはどう思われたのでしょうか。
○村上構成員
 いまのご指摘は気にはなる点ではありますが、費用負担の件につきましては、私は、この場での議論というよりは、この上位の先進医療専門会議での議論になるのかなと思いまして、敢えてそのことについては判断を下さなかった、ということです。
○猿田座長
 あとは担当の所に任せることになりますか。ほかにご意見ございますでしょうか。
○関原構成員
 私がちょっと気になったのは、「患者さんへ」というペーパーの2頁目の中ほどの後に、「腹膜播腫を伴う胃癌でどの化学療法が最も有効であるかは、未だ分かっていません」との記述です。最も有効であることはわかっていないけれども、いまは一種の標準治療としてこのシスプラチンの治療をやっています、こういう説明なのです。ところが、12頁にいきますと、「この試験に参加しない場合の他の治療方法」というところがありまして、そこの真ん中より下のところに、シスプラチン療法で「現在のところ、これらの治療の効果ははっきりとは分かっていません」と、こう書いてあるのです。これだと要するに効果は分かりませんと。だけれど、最初には、有効の中の1つであると書いてある。一方、今回のタキソールのものは、予想される利益がずっと列挙されているわけです。私も素人ながら、この腹膜播種を伴う胃がん治療は中々上手くいかないから、これは非常にいい試験だし副作用も大したことはないと思うのだけれども、これを見たら、いま受けている治療というのは、本当に効果がないものをやっていると読めてしまうものですから、ここのところをどうこの説明は考えていいのか非常に引っ掛かっています。12頁に書いてある、効果ははっきりしませんとあるのです。
○川上構成員
 これは違いますね。なくてもいい一文ですね。
○関原構成員
 だから、いまの効果があまりはっきりしないのだったら、これは是非、今回のものはかなり有望だからみんなやりたいという話になるから、私はこれはこれで非常にいいと思うのだけれども、何とはなしにここのところが見ていておかしいと思いました。
○村上構成員
 今日、田島先生がご欠席ですので、その辺りも含めて、また後で先生と検討させていただきたいと思います。ご指摘の趣旨はよく理解したつもりです。
○猿田座長
 確認させていただくということです。
○関原構成員
 わかりました。
○山本構成員
 この、指摘された部分ですけれども、恐らくは、ここに挙げてある抗癌剤すべてが臨床試験で確認されたものではないと言いたいのではないかとは思うのですけれども、だとすると、この一言で、「治療の効果ははっきりとは分かっていません」では、不親切だろうなと思いますので、少なくともシスプラチンについては、S-1とS-1+の併用療法での比較の結果はあると前段に書いてあるので、それ以外の抗癌剤についてももう少しは情報を提供するか、あるいはパクリタキセルの今回新たに使う試験薬のアームにものすごい希望を持たせるような書き方を控えていただくかは、したほうがいいのではないかと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。そこのところを少し指摘させていただきます。ほかにご意見ございますでしょうか。もし、ございませんようでしたら、いまの形で、条件付きになっておりますので、そこのところを少し検討していただくことで、最終的には認めさせていただくことでよろしいでしょうか。
○事務局(高度医療専門官)
 藤原構成員からご意見のあった費用のことですけれども、費用については、また先進医療専門家会議に上がる際に保険局とその辺は、どの部分が保険でどの部分が保険外かというところも詰めた上でしますので、金額自体はまた変わることもあります。また、もちろん、両群の費用があまりに大きく変わることは通例上好ましくないことは当然と思いますし、今回は東京大学が企業と無償提供についてもよく交渉されているということですので、その辺も踏まえて、また先進医療専門家会議の結果をお待ちいただければと思います。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。そういう形で、この文章にも書かれていますけれども。それでは、もしよろしければ、こういう形で条件付きでお認めいただいたことにさせていただきます。
                (異議なし)
 続きまして、協力医療機関の追加につきまして事務局からご説明をお願いいたします。
○事務局(高度医療係長)
 資料2をご覧ください。45頁です。協力医療機関の追加としましては、番号020、高度医療名は「パクリタキセル静脈内投与(一週間に一回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(三週間に一回投与するものに限る)の併用療法」です。申請医療機関は埼玉医科大学国際医療センターです。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の4施設となっております。
 続きまして、番号029、高度医療名は「脂肪萎縮症に対するレプチン補充療法」です。申請医療機関は京都大学医学部附属病院です。今回追加を予定している医療機関は、ご覧の福岡大学病院となっております。事務局にて倫理審査委員会の構成、医療機関の実施体制等を事前に確認しております。特にご意見がなければ、追加の手続を進めたいと思います。以上でございます。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。お覚えかと思いますけれど、020に関しましては、上皮性の卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんに対して埼玉医科大学の国際医療センターから出ておりまして、4つの機関の追加があるということです。それから、もう1つの、脂肪萎縮症に対するレプチン療法、これは京都でやられたものですけれども、これに対して追加の協力機関としては福岡大学病院という形でお認めいただいた。いろいろな審査上では問題ないだろうということですが、委員の方からご意見ございますでしょうか。もしよろしければ、この形で追加協力医療機関をお認めいただいたとさせていただきます。よろしいでしょうか。
               (異議なし)
 今日審査をする項目に関しては以上ですけれども、事務局から、この後の進め方についてご説明をよろしくお願いします。
○事務局(高度医療係長)
 資料3をご覧ください。平成23年5月19日に開催された社会保障改革に関する集中検討会議において、議論された医療イノベーションに関する資料について、医政局研発課宮田専門官から説明します。
○事務局(治験推進室長補佐)
 本日は非常に早く終わってしまうということでして、この際ですので税と社会保障で我々が検討している医療イノベーションに関する事項について、少し時間をいただきまして説明をしたいと思っています。
 これについては、今年2月に菅総理が総理大臣官邸で少子・高齢化の進行をはじめとして社会経済状況が大きく変化しているという中で、国民生活の安心を確保するために社会保障制度を根本的に改革する必要があるということでして、その中で社会保障改革の全体像とともに必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すべく議論を進められているというところです。
 まさに5月19日に第7回社会保障改革に関する集中検討会議があり、その中で我々厚生労働省案として医療イノベーションおよび医療介護の分野について討議がされました。医療イノベーションに関する資料が資料3です。これについて説明したいと思います。
 キャッチフレーズとしては、日本の医薬品・医療機器産業の国際競争力強化と高い経済成長を実現ということでして、基本的な考え方としては、現状の課題として日本で行われる臨床研究に対する支援や制度上の制約が障壁となり、日本発のシーズが革新的な医薬品・医療機器の開発につながっていない。
 さらに、企業の治験着手の遅れ、治験の実施や承認審査に時間がかかる等により、欧米との間にドラッグ・ラグ、デバイス・ラグが生じているということでして、今後の施策の方向として臨床研究の質と量の向上を図るとともに、臨床研究の成果等を治験や承認につなげるための基盤整備等を強化してまいりたいということです。さらに、医療上必要な医薬品・医療機器が患者に迅速に提供されるよう、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグを解消するといったところです。
 その下に具体的な内容が書いてあります。これについては次のスライドをご覧いただければと思います。その1つで、日本発の革新的な医薬品・医療機器の研究開発の推進ということです。これについては、基礎研究成果、シーズが日本発であっても、インフラの整った海外で先行して実用化された後に遅れて日本に導入される状況を解消するために、基礎研究から実用化の間の橋渡しに支援を重点化する。その中で臨床研究中核病院等の創設をはじめ、基礎研究から非臨床試験・臨床試験につながる段階の支援体制を強化するとともに、臨床試験の推進体制・制度改革を検討するといったところです。
 左側にこれまでの課題が書いてあります。その中で2点挙げており、新薬の開発には多大な費用と長い時間がかかり、リスクも高い。そのため優れたシーズを広く学会などから吸い上げて産業界の新薬開発につなげることが不可欠であるが、この橋渡しが円滑に進まない。
 2点目としては、日本は世界に先駆けてヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨床試験体制が不十分であるため、基礎研究成果が日本発であっても、インフラの整った海外で先行して実用化された後に遅れて日本に導入される状況にあるということです。
 右側に具体的な政策が書かれています。その中で日本の臨床研究の質と量の向上については、1として、ICH-GCP、国際水準の臨床研究を実施する臨床研究中核病院等を創設し、ヒトに初めて新規薬物・機器を投与・使用する臨床試験等を推進し、臨床研究中核病院等においては未承認等の医薬品・医療機器について、その特性に応じて先進医療制度の申請・審査手続の効率化を図る。
 2として、臨床研究に係る研究費の拡充と集中、及び審査組織の創設。その中で臨床研究のプロトコール審査を一元的に行う組織を創設するとともに、その審査で見込みのある研究に対して研究費を集中的に投入するということです。
 3に関しては革新的な医薬品・医療機器創出のための人材の育成、4に関しては臨床研究・治験活性化のためのIT基盤の整備、5については臨床研究・治験の無過失補償制度の創設の検討等が盛り込まれています。さらに、個別重点としては、がん、再生医療、医療機器、個別化医療といったところを重点分野として頑張ってまいりたいということです。
 次頁以降は、医薬品・医療機器の開発の流れと、あとは日本の医薬品・医療機器の輸出入額の推移ということで、輸入額がかなり大幅に超過しているという現状です。
 6頁に現状の医薬品・医療機器開発の問題点といったところがあり、昨今、基礎研究では、日本もノーベル賞はかなり増えてきてまいりましたが、基礎研究で1番になっても臨床現場では遅れてしまう。その中で日本ではヒトに初めての臨床試験等を可能とするインフラが不十分ということで、有望なシーズであっても欧米に流れてしまう。そうなりますと結局は海外企業も撤退して、国内の雇用の消失も出てくるわけです。欧米等でヒトに初めての臨床試験を可能とするインフラがありますので、欧米で開発が着手されて、そこから日本で治験に着手ということがあれば、結局、いくら審査期間を早くしても、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの根本的要因はなくならないといった図です。
 その中で下に革新的新薬・医療機器創出のための臨床研究中核病院の創設といったところですが、真ん中にヒトに初めての臨床試験を可能とするインフラの整備が書かれていますが、特定領域において、これはまたすぐに15カ所というわけではありませんが、徐々に最終的には15カ所程度、こういったところの整備を進めていき、人材というところが非常に重要ですから、臨床試験に精通する医師、臨床研究コーディネーター、生物統計家、プロジェクトマネージャー、関係法令、特にそういった審査をよく知っている人とか、こういったものをしっかりと配置し、その中で設備整備、新規薬物等の品質確保、いわゆるGMP、さらに非臨床試験と、そういったところもきちんとできるインフラを整備してまいりたいということです。そして、世界に先駆けて日本発の革新的新薬・医療機器を創出したいということです。
 次の頁は、高度医療を含めた先進医療制度の運用の見直しですが、こちらについては前回も高度医療会議で紹介したもので、高度医療会議と先進医療会議の一本化も含めて、そういったところが記載されており、これについては、いままさに保険局と調整をしているところでして、できるだけそういった制度の運用の見直しを実施してまいりたいと思っています。
 これ以降は、臨床研究の成果等を治験や承認につなげるための基盤整備ということで、例えばPMDAの体制強化とか、オーファンドラッグ、オーファンデバイスの研究開発の拡充とか、あとは薬価・医療機器の保険償還価格等の設定におけるイノベーションや医療経済的な観点を踏まえた評価のさらなる検討といったところが盛り込まれています。
 これ以降の頁は薬事戦略相談事業、これは医薬食品局でまさにいま検討されていますが、治験相談よりも早い段階からPMDAの相談に乗っていただけると、そのような制度です。
 さらに、11頁ですが、PMDAの審査体制等の強化についても、今後さらなる増員について検討してまいりたいと、そのようなことが書かれています。
 さらに次の頁には、日本発の革新的医薬品・医療機器の迅速な実用化に向けて、レギュラトリーサイエンスの推進といったところが書かれています。
 下の四角に書いてありますが、出口、実用化を見据えた開発を可能とするために、「迅速な実用化を可能とするために・有効性と安全性を確保するために」と、いくつかキャッチフレーズが入っていますが、レギュラトリーサイエンス研究の推進が不可欠であるといったところが期待されています。
 この下には、希少疾病用医薬品・医療機器(オーファンドラッグ・オーファンデバイス)の指定制度について書かれており、その右下に現状の助成金交付事業について書かれています。この中で右下の助成額といったところをご覧いただきたいわけですが、これ自体は平成19年度以降、6億円~7億円で推移しているところですが、運営費交付金の範囲で助成金の交付対象となる経費の50%に相当する金額を限度としていますが、予算の制約もあり、平均助成額は現在36.9%から38.2%といった形で推移しており、40%を下回っている状況です。これについては、いまの医薬食品局で薬事法改正部会が開かれており、その中にもこういったところを拡充する必要があるのではないかという意見を聞いています。
 次の頁については、医療上必要な医薬品・医療機器の患者への迅速な提供ということでして、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグへの対応ということです。「申請ラグ」短縮への取組については、実施していくと。さらに、医療保険制度上における取組等についても、検討していきたいといったところが書かれています。
 次頁以降は、これまでのドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの対応について書かれていますので、また時間のあるときにご覧いただければと思っています。
○猿田座長
 厚生労働省として医療イノベーションに関するこういう検討がなされているということで、先生方からご質問を受ける前に実は、いま内閣官房の医療イノベーション推進室次長をやっておられる藤原先生がいらっしゃいますので、何かコメントはありますか。
○藤原構成員
 厚生労働省にいろいろやっていただければと思っているところです。
○猿田座長
 いまのご説明で何かご質問はありますか。驚きますのは、確かにPMDAも審査委員の方を随分増やしていただいたことです。4、5年前ですか私は学術会議のほうで委員長をさせられて、少しでも早くドラッグ・ラグ、あるいはそういったものを解消するために、人を増やすようにお願いしましたが、随分増えて、驚くところであります。
○山口座長代理
 本日の資料の38頁に戻るので申し訳ないのですが、質問に対する回答があって、いちばん最後の5のものですが、村上先生に対する回答ですが、本試験終了後のシナリオについてどうするかという問いに対して、企業は採算が合わないからやらないだろうし、自分たちも忙しくて困難である、と書いてあるのです。ですから、ここでストップするわけです。ここの先をどこかに導いてやらないと、せっかく蒔かれた種が伸びないと思います。
 ただ、私はこれを読んだとき、いま地域に臨床試験を推進するいろいろなNPOがたくさんありますからこれを利用すべきだと思いました。こういうNPOはかなりしっかりしたデータセンターを持っています。そういう知識を研究者にインフォームしてあげたり、あるいはそういうNPOにこういういい種があるから、そちらでやったと言ってあげれば、必ずしも企業の手を借りなくても国にそれほどサポートをしてもらわなくても、こういうものは済むのではないかと思うので、是非そういう情報を発信してあげていただければいいと思います。
○山本構成員
 癌の領域では、日本でもコーポレイティブグループという制度というかシステムを一部でつくられていますが、アメリカでもたぶん癌ばかりだったところが、ほかの領域でもそういうものができ始めていて、そういうコーポレイティブグループの特に神経疾患の領域のその中のキーになっているデータセンターを、昨年訪問したことがあったのですが。非常に効率的に動いておられるということと、そこはただのデータセンターだけではなくて、プロジェクトマネジメントも一部やっておられたのですが、アメリカの臨床研究や治験というのは、その方たちの話を聞いていると、インベスティゲーターはただプロトコールにあった患者を入れていくだけなのです。あとの周りのことは、例えば計画の準備の所は、かなり生物統計家やデータマネージャーが寄って集ってつくっていると。データのシステムもデータセンターが準備する。
 アメリカはレギュラトリーの提出書類や手続がすごく繁雑ですが、それらを全部プロジェクトマネージャーがやっている。実際に始まってしまうと、あとリクルートは施設のCRCがほぼやっていて、結局、インベスティゲーターは何をやっているかというと、その上に乗っかって患者を入れていっているだけという感じなのです。だから、そこまでシステム化しているというか分業化して、それであれだけのことが動いていると。
 そうなりますと、私自身、ベースは臨床医なので、あまりに臨床医がお飾りになり過ぎている嫌いはあるので、そこまで行き過ぎるのはどうかと思いますが、そのぐらいインベスティゲーターがただ乗っていって患者をどんどん登録していけば、そのぐらいのことができるインフラと人材が基幹病院にできてこないと進まないだろうと。ですので、そういう意味で15カ所程度の拠点病院をつくっていくという方向に、全部が全部なる必要はないと思いますが、拠点のそういう病院があって、あとは、例えばそのほかのもう少し小さいサテライトの病院もCRCを雇えば何とかそれに乗っていけるというスタイルになっていかないと、絵に描いた餅になってしまうのではないかという気がします。
○猿田座長
 いま山本先生がおっしゃったとおりで、アメリカはその形でしっかり出来上がっていますし、日本もやっといま動き出したということで、いろいろなことに対してGLP準拠あるいはGCP準拠できちんとやっていかないと、国際的な勝負に勝てないですね。ですから、7頁の真ん中のところに先ほど説明していた人材育成、特に日本では臨床コーディネーター、生物統計の方、プロジェクトマネージャー、そういった方が必要で、今度橋渡し研究をやってみて、そこは本当に弱いと思いました。ですから、それをいま厚生労働省としてもかなり力を入れてやっていこうということなので、将来に向かっては非常にいい方向に行っているのではないかと思います。絵に描いた餅ではなくて、本当に前進していってもらいたいと思う次第です。
 ほかにどなたかご意見はありませんか。全体としては非常にいい方向に向かっているのです。藤原先生、どうですか。
○藤原構成員
 いい方向に行っていると思います。
○山口座長代理
 これは私の感想になりますが、臨床試験に関しては、臨床試験の決め方は企業がどうしてもリードしていって、当然のことなのですが企業は今得ている利益をキープしていけるかどうかが重要な視点になります。自分の所の薬が駄目になるかもしれないような試験はやらないのです。それは当然なのですが。そのときに、新しい薬が開発されたときもそうで、都合のいい所に試験を持っていきがちです。例えば藤原先生のように優れた研究者が高い見地からこういう比較試験をやるべきだと言っても、メーカーがそういう薬を提供しないとか、嫌だと言ったら、それで終わりになってしまうのです。
 例えばアメリカなどで臨床試験をやるときに、NCIかNIHかどちらか知りませんが、これは非劣性試験でやるべきだとか、優越性を調べるべきだとか、向こうはかなり口を出してきて、そういう視点から強権を持って指導していますよね。国があまり威張るのはよくないとは思いますが、日本の専門家はたくさんいますから、そういう人の意見をよく聞いて、臨床試験をやりやすいようにしてあげていただきたいと思います。
 というのは、薬を使えないために結局妥協して、メーカーが提供してくれないからこれとこれで手を打とうとかという試験が行われると、大変よろしくないと思うのです。厚生労働省にこのような視点からの指導に関しては強くなってくれと言っているわけで、よろしくお願いします。
○柴田構成員
 いまの山口先生のお話は私も同じように感じるのですが、もう1つ違う切り口で補足したいと思うのですが、例えば今日出てきたプロトコールは、外科の先生方が臨床試験のイニシアティブを取って組まれている。これはとても重要なポイントです。製薬企業でなく、薬の開発を、今回は対象になっているのは薬ですが、外科の診断、手術の流れの中で、ここに薬を入れて、あるいはこういうランダム化の仕方をして比較をしましょうという臨床試験が出てきています。
 そういうものは、やはり製薬企業の方ではなかなか組めないと。そういうノウハウが日本には蓄積しつつあるというところは、日本の強みとして明確に知っておいていただく必要があると思いますし、企業ではできることではなくて、医療現場のニーズをすくい上げた開発であるとか、あるいは薬とほかの診断であるとか治療と組み合わせた医療の現場でしかできない臨床研究をやる仕組みは、当然こういう形で別立てで必要ですし、これはドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの解消だけでなく、新しい治療、医療の現場でいい治療をつくるという意味でも重要な体制整備になるのではないかと思いました。
 癌の領域ですと、外国の多施設共同研究グループはたくさんありますが、そういう所でも外科の手術が絡んでいる臨床試験はさほどやっていないのです。単発の外科の試験は結構やっていますが、グループの中で恒常的に外科の試験あるいは外科と薬との組み合わせの治療などをやっているのは少なくて、逆にそういうものは日本のほうが積極的にやっている傾向もあります。それは新しい、例えば再生医療とか、がんワクチンとか、いままでの薬とは違う治療法の臨床試験の組み方を考える上でも、そういうノウハウを持っているということは非常に強みになるはずで、そういう所にも今回のスキームの中でそういうノウハウが蓄積していく方向に誘導していただくと、よりいい方向に行くのではないかと感じました。
○猿田座長
 実はこれは高度医療制度ができ、それでこのようなことができるようになったと思っています。いままではそういうことができなかったですから、それは確かにこの制度が非常によかったことではないかと思います。
○村上構成員
 せっかくの機会なので、医療イノベに関する資料の8頁で少し気になっていることについて、1点だけ質問したいと思います。高度医療で行われる臨床試験のデータの取扱いに関連しての話ですが、1-4に書いてある文章です。「薬事承認の効率化を図る」ということで、その下に「国際的なGCP基準を満たす場合など、臨床試験の質を確保できた場合」と書いてあって、あえて治験をやりなさい、治験です、と書かれてはいません。これはどう解釈したらいいのか、とこの文章を読んで悩ましく思っています。
 治験は治験できちんとした標準手順書はありますが、それと同様に治験ではない国際的なGCP基準を満たす標準手順書等を新たに作るつもりなのか、そうでないのかを含めて、この趣旨や意図するところを少し教えていただければと思います。細かい話で申し訳ありません。
○猿田座長
 ご意見ありますか。難しいところかも。
○事務局(治験推進室長補佐)
 これについてはまだ検討中のところもあり、あまり深く申し上げられない部分ではありますが、まさに医薬食品局の薬事法改正部会でも少し意見が出ていますが、治験制度と臨床研究制度といったものがきっぱりと2つに分かれていると。その中で臨床研究も国際的な水準である程度のレベルでもってやっていただかなければ、治験とか薬事承認のほうになかなかつながっていかないのではないかといった問題意識があります。
 その中でいまちょうど先進医療制度の運用を見直しているところですので、医政局と保険局の中で効率化をするだけでは、やはり若干不十分なところがあるのではないかといったところで、医薬食品局ともよく連携して、こういった先進医療、高度医療のところが、きちんと国際水準で一定程度のレベルが確保できたときに、逆にそういったレベルを保つためにはどういったところが要るのかというところは、医薬食品局とまさにいま調整しているところですので、少しお待ちいただきたいと思っています。
○猿田座長
 村上先生がおっしゃるところは、私たち現場においていちばん問題になっているところなものですから、なかなか難しいところなので、ここをうまく検討していただければと思うのです。
○伊藤構成員
 せっかくの機会なので教えていただきたいのですが、7頁で、今後、臨床研究中核病院の創設をされると書かれている部分ですが、ここには「特定領域」とかなり明示的にお書きになられているのですが、ということは、例えば村上先生の所とか、国立病院機構とかの総合的領域は対象にしないということでしょうか。
○事務局(治験推進室長補佐)
 「特定領域」と書いているからといって、特に国立病院機構を排除するとか、そのような発想はもちろん一切ありません。
○猿田座長
 いまそういうところも含めてこういうことで検討しているということです。
○竹内構成員
 せっかくですから7頁ですが、先ほど山本先生のお話で、最近ボストンの先生方と交流する機会があって、医者は何をやっているかというと、データの解析しかしていないのです。医者が実際のデータの解析をやっていて、私は臨床試験ではこういう結果の解釈をするのだから、次の臨床試験はこうだということはわかってきています。製薬会社の人の確保、話しをする場の現場からの意見が非常に反映されて、臨床試験をやって、それがニューイングランドに載っていくということで、そのデータを利用して弟子が全部解析をやって、次にどうしたらいいのだという話をしっかりしていますので、少しそこら辺をするためにはPMDAが全くデータを解析していないというのは私は不思議・もったいないと思っています。
 例えば精神疾患の領域ですと、プラスエボレスポンダーが違いますと言うのですが、そのエビデンスはどこですかといった場合は全くないと。せっかくPMDAにデータがいっぱいたまっていますので、それをしっかり解析する医者と生物統計家がいらっしゃって、そこで戦略を立案するのであれば非常に有意義だと思うのですが、それもなしにただ単にそう思うだけでやっていっても私はしょうがないという気がします。そこは日本と欧米との全くの、いくらインフラ構築をしていったとしても、実際の生データを触るか触らないかと。ただ単に見ていてOKというのか、実際に自分たちがそれを解析した上で違うというのを経験するのかでは、大きい違いがあると判断します。
 ということは、PMDAへ行って質問事項を投げたとしても、そこで解析するわけではなくて、また企業にいって、企業の担当者が解析をするわけではなくて、本国にいって、データは全部本国にあってというやり方をやっていると、一体いちばん重要な財産が何なのだと。臨床試験はあくまでデータが資産・財産ですので、そのデータの帰属がどこにあるのか?すべての解析・解釈はグローバルでやって、日本の企業でさえも海外移行して、日本の担当者も解析しない、PMDAも解析はしていない。議論をしているのは紙ベースということになりますと、私は実際のデータからのエビデンス抜きで議論をしていても全くわからないと思うときがたまにあるのです。
○猿田座長
 ありがとうございました。そのあたりのところは特に重要と思います。
○事務局(治験推進室長補佐)
 その辺りは先日、イノベーション室次長の藤原先生とワシントンでFDAとNCIのワークショップに行きましたが、藤原先生、いかがでしょうか。
○藤原構成員
 FDAと企業とNCIとASCOとかAACRという学会とか、すなわちアカデミアと企業と規制当局が1週間缶詰めになって、直近に承認された品目をもう一度振り返ってディスカッションして、臨床試験はきちんと進んでいたのかとか、今後、同じようなタイプの臨床開発をするのであれば、前臨床試験をどうプランしたら良いかとか、生物統計学的にはどんなことに注意すれば良いかなどをみんなでフランクに話し合うワークショップでした。日本のPMDAの治験相談のように言外の意味をくんで欲しい方式ではなく、これはここがおかしいとか、こうやったらいいとかとかをFDAの審査官たちははっきり述べてましたし、FDAの言っていることはここがおかしいいうのをアカデミアや企業からの参加者もはっきり言ったうえで、建設的な議論がなされていました。もう8回目になるのですが、そういう会をやっているのです。
 日本でもこのようなワークッショップができるようになれば、いろいろな人たちが臨床試験の進め方を実務的に理解して、いま日本でやっているお互いの立場をわからずに批判だけしあっている現状が改善していくようになると思いますし、事実、FDAのPazdur部長やDuke大のLyerly教授とはこういうのを日本でやりませんかという話はしてきました。
○猿田座長
 日本はスタートラインに入ったところで、やっとPMDAの体制も整ってきたところと思っています。これから特に厚生労働省とPMDAとでしっかりやっていくことが非常に大切だと思います。
○事務局(治験推進室長補佐)
 12頁のレギュラトリーサイエンスの推進で、基礎研究からのシーズの品質試験、非臨床試験、臨床試験などといったそれぞれのステージで、きちんとした開発のストラテジー、評価方法の構築についても推進していくといったところが記載されていますので、そこのところもご覧になっていただければと思います。
○川上構成員
 このとおりやっていただければ大変いい国になると思うのですが、レギュラトリーサイエンスはトランスレーションリサーチのためにやる言葉でも何でもなくて、フェーズ4試験もそうですし、あとはデータベースを利用してどうやって日本人の健康を上げていくかが大変重要だと思うのです。そう考えると、所管課で縦割りに行動されるのではなくて、センチネルも採択実施されるようですが、ほかにも総務省の国民背番号制度の取組もありますし、是非連携してやっていただきたいことが1点です。
 もう1点は大変細かい話ですが、臨床試験の精通者を育てる意味だけでなく、日本に臨床疫学者が、少ないことが何よりも問題だと私は思うのです。
 私は今日午前中、厚生労働省厚生科学課の別の戦略研究の会議に出ていたのですが、そこでも生物統計家や疫学者などが一緒くたにされているのですが、違います。疫学というのは臨床疫学も薬剤疫学も古典的疫学もありますから、その中で特に国に臨床疫学をどれぐらい理解していただくかということが、今後、日本が臨床試験や臨床研究のプロトコールをきちんとつくれる、研究のクエスチョンを構造化して記載できるといういちばん重要なことだと思うのです。ですから、そういったことに対してご理解いただければと思います。
○猿田座長
 非常に貴重なご意見をいただきまして有難うございました。この方向へ厚生労働省としてもいま動き出しているということで、非常に重要なことであり、どうか頑張っていただきたいと願っています。皆様方のご意見を取り入れていただいて、進めていただくことが大切と思います。
○医政局研究開発振興課治験推進室長
 どうもありがとうございました。医政局だから答えられないとか、決してそういう話ではありません。いままでのご意見を頂戴したものについては、各方面にお伝えをしながらオール厚生として頑張っていきたいと思います。先ほどのことで若干追加でコメントをしますと、この手のお話になりますと、PMDAのちょっと一言がどうしても出がちになるところではあります。先ほどの中でも竹内先生から、せっかくいいデータがある中に、そういうものを、今後の自分たちのスキルアップ、あるいはいろいろな面で活用しない手はないではないかというご指摘はごもっともです。
 この中で先ほども少し説明をしました薬事戦略相談というものについては、今後まさに早期の段階から開発の方針を産官学が一体となって指導・助言をしていくというところですので、そういうためには先ほどのようなことをやっていきませんと、PMDA側もノウハウは蓄積しないし、スキルアップもできないというところですし、また単にトランスレーションリサーチの部分だけではなくて、薬事全体、承認審査、実用化、こういうところを目指していろいろな部分で一丸となって取り組んでいるところです。今回は、たまたまこういう面でスライドを作りましたということをご理解いただければと思います。
○医政局研究開発振興課長
 皆様方からいろいろなご意見をいただきまして大変緊張しているわけですが、実は私どもはこういう資料を出して説明するのは大変嬉しゅうございまして、いままではこういったことさえもなかなか議論ができなかったわけです。日本からそういう臨床研究の中核病院をつくっていこうと。しかもこの発信源が官邸でして、それから今後プロトコール審査をしていこうということですので、これもこの制度の中でいろいろ使われた技術がだんだん花開いていくものだと考えており、それからPMDAの改革とか、さまざまな方面に行きますが、本当に日本の医療を変えていこうということで、これまでは医療制度、社会保障制度、介護保険制度、この現行の制度をどうするかだけだったのですが、これにプラスして日本からのイノベーションをどうやっていくかという観点も入りましたので、これについてはあまり反対する方々はいらっしゃらないので、むしろなぜやらなかったのだと、進めていけという方向ですので、いろいろなご意見をエンジンとして、ガソリンとして、我々も進んでいきたいと思いますので、決して一医政局のみならず全省、それから関係省庁を巻き込んで、そのうねりの中でやりたいと考えています。本日は本当にどうもありがとうございました。
○猿田座長
 これで第24回高度医療評価会議を終わりたいと思いますが、事務局から先の予定をお願いします。
○事務局(高度医療係長)
 次回の日程ですが、現在調整中ですので、詳細等が決まりましたら、追ってご連絡を申し上げます。また、本日の議事録については、作成次第、先生方にご確認をお願いし、その後公開をしますので、併せてよろしくお願い申し上げます。
○猿田座長
 委員の先生方、ご協力ありがとうございました。これで終わりたいと思います。


(了)

照会先
厚生労働省医政局研究開発振興課
TEL 03-5253-1111
高度医療係 新美 内線2589

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