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2011年4月25日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会議事録

○日時

平成23年4月25日
14:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館17階 
専用第18,19,20会議室


○議事

○石丸食中毒対策係長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒・乳肉水産食品合同部会」を開催いたします。
 監視安全課食中毒被害情報管理室の石丸です。よろしくお願いいたします。
 開会に当たりまして、梅田食品安全部長からごあいさつ申し上げます。
○梅田食品安全部長 本日はお忙しい中、食中毒・乳肉水産食品合同部会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、委員の先生方におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進に当たり格別の御理解と御協力を賜り、重ねて御礼申し上げます。
 山本部会長を始め、委員の先生方におかれましては、今後とも当部会の運営に当たりまして御協力くださいますようよろしくお願い申し上げます。
さて、本日の議題は、平成22年の食中毒発生状況についてその概要を御説明させていただきますとともに、近年全国で発生が報告されております生食用生鮮食品を介する原因不明の有症事例について、その発生状況や調査結果等を御報告させていただき、これらについて御議論いただく予定にしております。
また、今回新たに参加される委員の先生方もいらっしゃいますが、是非積極的に審議に御参加いただきまして専門家の立場から忌憚のない御意見を賜りたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、開会に当たってのごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○石丸食中毒対策係長 ありがとうございました。
 本部会は、4月に委員の人事異動がございまして委員の改正が行われております。
 北九州市保健福祉局保健医療部の江副委員、国立感染症研究所の宮村委員、長野県教育委員会の吉川委員の人事異動がございまして、後任として岩手県環境生活部食の安全安心課の白岩委員、国立感染症研究所の渡邉委員、静岡県の塩崎委員となっております。
 また、今回は、国立医薬品食品衛生研究所の鎌田先生、大西先生、国立感染症研究所の八木田先生、八幡先生、東京大学の横山先生に参考人として来ていただいております。
 本日の合同部会は、白岩委員、山下委員は欠席していますが、26名の委員のうち24名の委員に御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定に基づき、成立していることを御報告いたします。
 本日は、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長の山本先生に部会長をお願いしておりますので、議事進行は山本先生にお願いしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。
○山本部会長 山本でございます。今日は2つ大きな議題がありますが、平成22年の食中毒発生状況と原因不明食中毒ということで2つ用意しております。
 平成22年の食中毒発生状況については、報告をいただいた後に御質問をお願いします。後半の原因不明食中毒については十分御討論いただこうということで、前半1時間程度、後半は2時間の時間配分としております。議事進行に御協力よろしくお願いいたします。
本日、欠席の議員には議題について目を通していただいております。
それでは早速、議事に入りたいと思いますが、初めに事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○石丸食中毒対策係長 資料の中に資料リストがございますので、よろしくお願いします。
 資料1-1が「平成22年度食中毒発生状況」。
 資料1-2が「キノコによる食中毒発生状況」。
 資料1-3が「甘茶を原因とする食中毒について」。
 資料1-4が「ノロウイルス感染症発生動向について」。
 資料1-5が「北海道で発生したサルモネラ・エンテリティディス大規模食中毒事件について」。
 資料2が「原因不明食中毒について」の6点でございます。
 資料がない方は挙手してください。お願いします。
○山本部会長 皆様方、資料はそろっておりますでしょうか。資料1-1は一部大きく留めてありますが、1-2から1-5までは1つの塊としてホチキス留めされております。資料2-1以下がまた別の資料として全部固めて留めてありますので、御確認よろしくお願いいたします。落丁等がありましたらお申出ください。
 それでは、議事に入りたいと思います。まず、平成22年度食中毒発生状況について、キノコによる食中毒発生状況、甘茶を原因とする食中毒について、それから更にノロウイルス感染症発生動向について、事務局から報告をお願いいたします。
 なお、野田先生にノロウイルス感染症発生動向について分子疫学的動向の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局からよろしくお願いします。
○松岡監視安全課長補佐 それでは、監視安全課・食中毒被害情報管理室併任の松岡でございます。座ったままで説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、平成22年食中毒発生状況につきまして資料の1-1を中心に、その途中途中で1-2、1-3、1-4、1-5に沿いまして御説明をさせていただきます。
 それでは資料1-1、1ページ目をごらんください。
(PP)
「年次別食中毒発生状況」で、一番下が平成22年となっております。平成22年事件数は1,254件、21年から比較しまして206件の増となっております。
 次に患者数でございますが、2万5,972名、平成21年度と比較しまして5,723名の増となっております。去年と比較しまして、事件数、患者数ともに増加しておりますが、これについては、例年ノロウイルスは11月から12月にかけて急増しますけれども、平成21年は11月、12月が低い数字で推移し、年が明けての22年の1月にずれ込んだことによるノロウイルスの増加というふうに考えております。
 なお、死者数でございますが、22年はゼロとなっております。
それから1事件当たりの患者数は20.7人、10万人当たりの罹患率は20.4名という数字になっております。
(PP)
それでは、2ページをごらんください。「年次別食中毒事件数」と「年次別食中毒患者数」をグラフで表しております。事件数でございますが、平成10年をピークに減少傾向にあります。それから、下の患者数でございますが、平成13年以降、患者数は2万人から4万人の間で推移しております。
(PP)
それでは、次に3ページから6ページにつきまして、都道府県別食中毒発生状況を平成20年から22年の3か年分を整理しております。特に大きな変化があるという傾向は見られておりません。
(PP)
 次に、7ページに移らせていただきます。「患者規模別発生状況」について、過去3年分をグラフにしております。1事件当たり1名から10名の事件が最も多くなっております。患者数が多いほど事件数が少ないという例年どおりの傾向でございます。
(PP)
 次に、8ページでございます。「年齢階級別食中毒患者数」のグラフになります。特に大きな変化はございませんが、20代から50代の年齢層が多いという傾向でございます。
(PP)
 次に、9ページでございます。「患者数が500人以上の事例」でございますけれども、22年は4件発生しております。サポウイルス1件、ノロウイルス1件、サルモネラ菌O7、O9、1件、病原大腸菌O6、1件となっておりまして、4事例とも仕出し屋が原因施設となっております。
(PP)
 次に、10から13ページにつきましては「月別発生状況」について、平成19年から21年の3か年分を整理しております。
 10ページの上段に事件数と患者数の一覧が掲載されておりますので、そちらをごらんください。
 22年の事件数につきましては10月が163件と最も多く、次いで1月154件、2月126件となっておりますが、20年、21年と比較しまして1月から3月の冬場、10月の発生件数が多いという傾向を示しております。
 平成20年の患者数につきましては1月が5,658名と最も多く、2月が3,047名、8月が2,632名となっておりまして、冬場の患者数の発生が多いという傾向になっております。
なお、22年の1月につきましては、愛知県倉敷市での500名以上の事例が2件発生した関係で多いということになっております。
(PP)
続きまして14から17ページでございますけれども、これまで御説明いたしました月別の発生状況を病因物質別に整理したグラフです。
14ページのグラフをごらんください。事件数の発生状況を中心に御説明させていただきますが、22年におきましても例年と同様、夏場には細菌性の食中毒が多く、冬場にはウイルス性の食中毒が多く発生するという傾向が見られております。
また、10月には植物性自然毒、主に毒キノコの食中毒が多く発生しております。
(PP)
ここで一たん、資料の1-2、「毒キノコによる食中毒発生状況」をごらんください。
1ページでございますが、平成22年は毒キノコによる食中毒が多く、事件数は91件で患者数も263件、例年の2倍の発生がございました。
(PP)
 2ページでございますが、都道府県別で見たところ、福島県、山形県、岩手県などの東北地方に多く発生が見られたということでございます。
(PP)
 3ページでございますが、食中毒の原因となったキノコの種類はクサウラベニタケが32件、ツキヨタケが27件となっております。その後、ニガクリタケが続くということでございます。これが上位3物質で全体の67%を占めており、発生要因は食用キノコの誤食が多いということで、素人によるキノコの採取は危険であるという観点から、厚生労働省ではホームページにおいて注意喚起の意味合いで内容をアップデートしておりまして、自治体においても同じような対策を取っているところでございます。
 再び資料の1-1に戻ります。
(PP)
 資料の15ページをごらんください。病因物質別の月別患者数につきましては、2名以上を上段、1人事例を下段に示しております。2人以上の事例につきましては全体に示すものと同じような発生状況になっておりますが、1人事例につきましては細菌性食中毒や自然毒によるものが主体となっております。
(PP)
 次に、18ページをごらんください。「原因施設別発生状況」の表でございます。一番左に原因施設の種類、その次に事件数を示しております。
 事件数で見てみますと、最も多いのが飲食店の662件、次いで家庭、旅館、仕出し屋、事業場の順になっております。これら上位5施設で、全体の79%の割合を占めております。
 次に、患者数でございます。飲食店が1万1,280名で最も多く、次いで仕出し屋、旅館、事業場、学校の順になっておりまして、これら5施設で全体の91%を占めております。
(PP)
次に、23ページに移らせていただきます。「原因食品別発生状況」を示した表でございます。最も多いものが、その他に属するものということで560件でございます。次いで魚介類、野菜及びその加工品、肉類及びその加工品、複合調理食品の順になっておりまして、これらの上位で全体の76%を占めております。
次に患者数でございますが、これもその他が最も多く1万5,409名、次いで複合調理食品、魚介類、肉類及びその加工品、穀類及びその加工品の順になっておりまして、上位5品目で全体の78%となります。
(PP)
次に、28ページに移らせていただきます。「病因物質別発生状況」の表になります。事件数で最も多いものは、ノロウイルス399件、次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリ361件、そして植物性自然毒、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオの順になっておりまして、これら5つの病因物質で全体の77%を占めております。
なお、毒キノコ以外の植物性自然毒は朝鮮アサガオ、ジャガイモのソラニン等がございました。患者数を見ますと、ノロウイルスが1万3,904名、サルモネラ属菌2,476名、次いでカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、ウエルシュ菌、病原大腸菌の順となっておりまして、これら5つの病因物質で患者数全体の約80%を占めております。
(PP)
ここで、資料の1-3の方をごらんください。平成22年は21年に引き続きまして、甘茶による食中毒が発生しました。甘茶は濃い濃度で入れると苦味成分が強く、吐き気、悪心を催すことがあります。
普通の濃度で入れることで本来の甘みを感じ、先ほどの吐き気、悪心を催さずに飲めることがわかっておりまして、これは東京海洋大の長島先生が主任になっている自然毒のリスク管理に関する研究事業で実験を行っていただきまして、今、厚生労働省のホームページにも載せておりまして発生防止に努めているところでございます。
(PP)
 それでは、再び資料の1-1にお戻りください。29ページから32ページは、主な病因物質別の数字をグラフに表したものでございます。
(PP)
33と34ページは、病因物質の中の細菌の部分をピックアップして整理したものでございます。例年と大きな変化はございませんが、カンピロバクターを除きまして細菌性食中毒の事件数は年々、減少傾向にあることが示されております。
(PP)
 次に35ページ以上のグラフでございますが、主な病因物質別に見た原因食品別及び原因施設別の事件数及び患者数の年次推移のデータとなっております。本日は時間の関係もございまして、詳細な説明は省略させていただきますが、63ページをお願いいたします。
(PP)
63ページは、ノロウイルスについて見た原因食品別及び原因施設別の患者数の年次推移のデータとなっております。
(PP)
ここで御説明しますよりも、資料の1-4「ノロウイルスの感染症発生動向について」をごらんください。
 2010年のノロウイルス食中毒は事件数394名、患者数1万3,491名、2009年と比較しまして事件数は106件増、患者数は2,617名増でございました。そのうち、患者数が500名以上の事件は1件、1,197名でございまして、先ほども出ました仕出し屋でございました。
月別の発生状況は、2010年の1月に119件、4,501名、2月が90件、2,666名ということで冬季に集中しておりました。原因食品は食事等に分類されるものが最も多く、その後、魚介類、貝類も含みますが、それが続き、複合調理食品という順番になっております。
 次でございますが、感染性胃腸炎の動向について、国立感染研が出している週報からの抜粋でございます。2010年の感染症胃腸炎、これは食中毒だけではございませんけれども、定点当たりの報告数でございますが、2010年は第1週から例年よりも多くの報告があり、例年急増が見られる45週以降においても、過去の一般的な状況に比較しても高い状況でございました。
 2011年につきましては第12週の定点当たりの報告数までを載せておりますが、過去10年間の同週の水準と同程度で推移しているというふうな状況でございます。
 12週における都道府県別の定点当たりの報告数では、中国地方、四国地方、九州地方で多いという傾向がございます。
 それでは、野田先生、よろしくお願いいたします。
○野田委員 それでは、?の「病原微生物検出情報」と「分子疫学調査」について説明いたします。
(PP)
最初に「病原微生物検出情報」に関してですけれども、全国の地方衛生研究所では散発性の感染性胃腸炎や学校・高齢者施設での集団発生、または飲食店やレストラン等での食中毒の原因究明検査を行っております。ノロウイルスはそれらの患者さんから検出されるわけですけれども、その検出されたウイルスは病原微生物検出情報として感染研の感染症情報センターの方に報告されております。2010年に報告されましたノロウイルスは4,175株でした。
検出されたノロウイルスを遺伝子群別に見ますと、遺伝子群G?が3,610株、G?が232株、未群別が333株でG?が大半を占めておりまして、これは従来と同様の傾向にあります。
遺伝子群?、?はそれぞれ更に細かく遺伝子型、ジェノタイプと言いますけれども、それに分類されております。ジェノタイプは検査が複雑ですのですべての株について行われているわけではありませんが、今年度は報告数の約33%、1,400株程度の株について遺伝子型別に報告されております。
図2は、遺伝子型別の検出状況を2007年から本年の3月までのものを示したものです。2007年は御存じのように、2006年からノロウイルスが大流行を起こしまして、本食中毒部会でノロウイルス食中毒対策についての提言が取りまとめられるきっかけとなった年ですけれども、その年に新型のG?/4が流行したことが明らかになっており、この図からも約80%がG?/4でした。
それ以降、毎年G?/4がメジャーな遺伝子型だったんですけれども、近年、減少傾向にありまして、昨年、今年とG?/4は40%程度に落ちております。その代わりにG?/2とG?/3といった新しいタイプが増加傾向にありまして、今後これらの新しい遺伝子型について動向を注目する必要があるということです。
(PP)
続きまして、「分子疫学調査」の方です。図がわかりにくくて申し訳ないんですけれども、それぞれの遺伝子型に分類されるノロウイルスも更に細かく見ますと遺伝子的に変化を起こしていまして、毎年新しいタイプの型が検出されております。その解析を行うのがこの系統樹解析ですけれども、図の3は2010年4月から今年3月までに検出されたノロウイルスの遺伝子を分子系統学的に解析したものです。なお、データは先ほどの図2と違ったものを用いていますので、多少検出数の割合は異なっております。
ただ、同様の傾向としまして、G?/4が若干減少傾向にあって、G?/2と3が増加傾向にあるということ、そして、G?/2はちょっと見たらわかるんですけれども、大きく2つのグループに分かれると思うのですが、そのように新たなグループの出現も認められております。
以上の結果を総括しますと、G?/4が減少傾向にあって新しいG?/2や3が増えてきたということで、これらの動向に今後注目する必要があるということが言えると思われます。
 以上です。
○松岡監視安全課長補佐 それでは、最後に資料1-5でございます。
 ここにつきましては、平成23年の2月に発生した件ではございますけれども、今年の前半でかなりそれなりに発表もあり、大きな事件でございましたので、ここで報告をさせていただきます。
 今のところ北海道庁からは中間報告ということで、まだ食中毒の詳報まではきていないということでございますが、これを基に説明させていただきます。
(PP)
まず、23年の2月、北海道の岩見沢市で学校給食による食中毒ということでございます。
1ページ目にございますように、「探知」は2月14日、岩見沢市の医療機関から保健所に届出があったものでございます。
人数でございますけれども、今のところ1,375名ということで報告をされております。これは最終的には変わり得るということでございますが、2月9日の夕方に患者が発熱、腹痛、下痢、嘔吐等を起こしたということで、853名が医療機関で治療を受けたということでございます。
学校給食は共同の調理所で調理をされておりまして、市内の9校に行っております。そのコースはAコース、Bコースというふうに分かれているということでございます。
(PP)
それでは、2ページにいきます。発症状況と、あとは岩見沢の共同調理所でつくった給食のみということ、共通食は学校給食ということで道庁の方は絞込みをしているということでございます。
先ほど申しましたAコース、Bコースでございますが、Aコースの方が発症率53.7%ということで、明らかにそちらの方が高いという傾向がございます。
(PP)
 3ページ目でございます。発症日別の人数を出したグラフでございますが、明らかに一峰性のグラフになっている、曲線になっているということで、単一曝露を示しているものだということで、これもAコースがかなり出ているということを示しております。
(PP)
 4ページでございますが、有症者、あとは従事者の便、保存食2検体、調理済みのブロッコリーサラダ、白菜クリーム煮、この2つの食材につきましては、1釜と2釜という釜がある中で、1釜でつくったものでございます。
 あとは、1釜の攪拌羽基部からすべてサルモネラ・エンテリティディスが検出されておりまして、すべての遺伝子パターンが一致したということでございます。
(PP)
 少し飛びまして5ページでございますが、下の方にいきますと調理工程の図がございまして、ブロッコリーサラダについては加熱する工程がないということ。白菜のクリーム煮につきましては炒める工程がありまして、これについては95度で加熱するものということでございます。
 施設側の問題点としましては「保存食の採取」、5ページの一番下から6ページにかけてでございますけれども、採取の方法につきましても問題があったということが調査で言われております。
(PP)
 6ページでございますけれども、衛生管理の不備、回転釜についても温湯洗浄を日常的に行っていたという不備があるということでございます。
 以上のことから、道庁の方では単一曝露で潜伏期からしまして2月9日から10日の間に曝露されたものであろうということで、Aコースのもので、9日に提供されたブロッコリーサラダ、クリーム煮を疑っておりますけれども、クリーム煮は加熱工程があるということでブロッコリーサラダを主に汚染源ということで考えております。
 ただ、その汚染原因につきましては、はっきりとどこから二次汚染が起こったのかということはいまだにわかっていないということでございます。
 以上、事務局から簡単ではございますが、報告をさせていただきます。
○山本部会長 どうもありがとうございました。大変膨大な資料を簡潔に御説明いただき、ありがとうございました。
それでは、平成22年度食中毒発生状況に関するただいまの説明に関して御意見、御質問はございますでしょうか。
では、阿南委員どうぞ。
○阿南委員 ノロウイルスについて質問させていただきたいと思います。
 先ほど御説明いただきましたが、この型が変化していくというものについて、その型がそれ自体で変わっていくというか、進化していくものなんでしょうか。
 それと、その型によって汚染する食品は変わりがあるのでしょうか。
○野田委員 
流行する型は変化していきますし、特定の型自体が変化いわゆる進化するということもあります。
 それで、汚染する食品に違いがあるかということでは、基本的には違いはありません。ただ、型によって食中毒を起こしやすい型であるとか、ほとんど人から検出されない型であるとかということは実際にはありますけれども、特にどの型がどの食品に汚染されやすいという明確な傾向はありません。
 また、普通、二枚貝が関連する事例からはG?とG?が大体同じ割合で検出されるんですけれども、それ以外の調理従事者に関連するような事例はG?に属するグループの方が多いといった疫学的な特徴はあります。
○山本部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。
 では、渡邊先生どうぞ。
○渡邉委員 図2のノロウイルスのデータは、集団事例からのウイルスは1として数えているんですか。それとも、その中に幾つかこれは入っているんでしょうか。
○野田委員 これは感染研の片山先生がまとめられたものですので正確には存じておりませんが、1人の患者から1株出たものを1として計上されていると思われます。
○山本部会長 ほかにございますでしょうか。
○石川委員 ノロウイルスのことですけれども、御説明いただきました2ページ目についてちょっと教えていただきたいと思います。
 2010年に地方衛生研究所からということで遺伝子群の分類をされているわけですけれども、遺伝子群?(G?)86.4%と書いてあり、その下の段に報告数の33%に当たると書いてあるんですけれども、この33%というのは母数は一体、何でしょうか。
○野田委員 4,175株が報告されまして、その中の33%の1,378株が細かく遺伝子型別が行われたという意味です。G?とかG?とかというのは群別のレベルの話なので、もう一つ更に細かく、群から型に分けたものは全体の33%であったということです。
○石川委員 わかりました。
○山本部会長 ほかにございませんでしょうか。
○谷口委員 1つ教えてください。資料1-3の甘茶の有毒成分の一番下の段に「シアン化合物が検出されるとの報告があるが、普通の濃度で入れた甘茶では検出されていない。」と記載されていますが、そうするとこれは濃く入れると検出されるという意味なんでしょうか。教えていただければと思います。
○松岡監視安全課長補佐 甘茶では2つの実験を行っておりまして、濃度の変化については先ほどの研究事業というのでやっているんですが、別の研究でシアンの分析を葉っぱ自体でやっておりまして、実際に葉っぱからはシアン化合物が出るということはやっておりますが、それをこの製品というか、そちらにしてからシアンは出ないという実験をしていまして、それとこの全体に薄めて気持ちが悪くなったというのは別の実験でやっております。その2つの実験を1つの報告書の中に加えさせていただいています。
○山本部会長 ほかにございませんでしょうか。
○石川委員 また教えてください。私は小児科で、子どもたちがどうやって食中毒にならないかということの教育をいろいろしたりしているんですけれども、お母さん方も含めてですね。それで、ここに食中毒としてノロウイルスだとか、そういうものの統計が上がっていますけれども、ほかの例えば定点でやっているものでは食中毒の扱いではなくて定点報告であるわけですよね。
 これは研究している先生に聞きたいんですけれども、推定すると日本の中でノロウイルスについてもっと何十倍かの集団があるというふうに考えた方がよろしいわけですね。
○山本部会長 どうしましょうか。ノロウイルスに関してですが、野田先生よろしいですか。
○野田委員 食中毒統計に上がってくるものは、あくまで行政的に食中毒と判断されたものだけです。
 定点病院で検査されるのは、当然全国の一部の病院のものしか検査されません。ご指摘のように実際には食中毒統計の何倍、何十倍といった発生があるように推定されると思います。
○石川委員 私は実は老健施設を持っていまして、老健施設では毎年のようにこれは発生するんですよね。それは食中毒統計の中に入るわけですか。
○野田委員 老健施設で発生したものが、食品を媒介したいわゆる食中毒だというふうに行政的に認定された場合は、それも入ってきます。
 老健施設の場合はヒトヒト感染の方が実際には多いと思いますけれども、それらは入りません。その中で一部、食品媒介だということが行政的に断定されたものは食中毒統計として上がっていきます。
○加地監視安全課長 視点はある部分は違うかもわかりませんが、大体その予防策としては重ねる部分が多いのかなと思っています。
 例えば、ノロウイルスに感染して嘔吐した。例えば、こういうような絨毯のようなところで嘔吐した場合には、それが乾燥して今度は粉塵となって空気中を飛んで、それからまた感染するというようなこととか、あるいは保菌者、ウイルスを持っている人がトイレに行って、そこでノブとか、あるいは便器とか、そういったものを汚染したことによる。
 いろいろその基となるところが、食品であろうがなかろうが、その防止対策と言いますか、施設の防止対策ということであればかなりの部分は共通性があるんじゃないかと思っています。
○山本部会長 よろしいですか。ほかにございますか。
○阿南委員 北海道の学校で起きた食中毒の件ですけれども、保存食の容器の洗浄、消毒の問題と、その調理後の食品を運ぶ際の運び方の問題などの指摘がされていて、まだ最終的にそれがわからないということですが、そういう学校給食における調理の仕方だとか、今の観点に関する一定の基準というものはあるのでしょうか。
○山本部会長 よろしいでしょうか。
○松岡監視安全課長補佐 厚生労働省では平成9年から大量調理施設衛生管理マニュアルを大規模食中毒対策等の通達の別添として発出しておりまして、それに従って各自治体で御指導していただくことにはなっております。
 今回も、この事件はまだ中間報告という段階でございますけれども、ある程度のことが出た段階でこれを各自治体にもお知らせして、こういう事例があったということの紹介とともに再度、施設への指導なりを徹底していただくということはあると考えております。
○阿南委員 要するに、今こうではないかと言われている部分についての取扱い基準みたいなものはあるのですね。
○松岡監視安全課長補佐 指導する各施設で食中毒を予防するためのマニュアルというものがあって、各自治体で監視指導すべきポイントもそれに書かれております。
○阿南委員 マニュアルがあるということですね。
○松岡監視安全課長補佐 マニュアルは基本的なものはあるんですが、今回の事例の中で特異的なものがないかどうかを今、北海道と検証しているところなんです。ですから、今のマニュアルに足りない部分があればそこを追加しなければいけない。特にこれの場合は、いわゆる1釜の攪拌するところの洗浄不足ということが一番大きい原因じゃないか。それで、その攪拌するファンは使うときはふたを閉めるような形なんですが、それを上げているんです。そのファンも取り外しができないような状態になっていたということになると、その液面より下に下がっているファンというのは必ず加熱をするような工程がある食品であればそこで殺菌ができるんですけれども、その上の軸の部分ですね。軸の部分は、その水面というか、食品の部分より上になっていた。そこにかなりサルモネラが付いていたのではないかということになると、ふたを開けて洗浄するときに全体をきれいに洗っておく、あるいは分解するとか、そういったところの必要性が可能性としてあるんです。
 だから、そこの部分について今の大量調理マニュアルにそこまで細かく書いているかというとそうではなくて、そういう器具はちゃんと洗浄消毒をしなさいよという一般的な話なので、もしも念には念をということでこういうところに注意すべきということがあればそれを追加することもあると思っています。
○渡邉委員 何年か前に豊橋市で多分同じような事例があったと思うんですけれども、あのときは前にそういう器具を卵か何かの料理で使っていて、その洗浄がうまくいっていなかったという結果に多分なったと思うんですが、今回の場合にはそのような卵とかを扱ったというような経緯はないんでしょうか。
○松岡監視安全課長補佐 今、北海道から中間報告を受けているメニューでございますけれども、2ページに当時のAコースのメニュー、あとは釜の使用状況につきましては5ページの表8にございます。ブロッコリーサラダと白菜のクリーム煮、あとはその前後のものはこれには詳細に載っておりませんが、AコースなりBコースの前の日の献立を見る限り、余りサルモネラに特化したような獣肉というのはないのではないかと考えておりますけれども、そこまでの詳しい情報はまだ持ち合わせておりません。
○渡邉委員 豊橋市の事例も結構前で、かなり前のものが残っていたというような結果だったと記憶しているんですけれども、詳細ははっきり覚えていません。
○加地監視安全課長 これも直近はこのようなメニューなんですけれども、当然さかのぼればどこかの時点でそういう卵なり鶏肉、あるいは何かを使ったサルモネラの汚染原因となったものがあるはずなんですね。そこが、なかなか今のさかのぼりでは特定ができない。
 ただ、いずれにしてもその軸受けの部分に付いていたということは、非常にこれは明確な話なので、そこのところがポイントかなと思っています。
○山本部会長 ほかにございませんか。どうぞ。
○工藤委員 基本的な質問なのですが、教えていただければと思います。資料で言えば資料1の18ページに「原因施設別発生状況」という表がございまして、飲食店が一番事件数としては多いとありますが、飲食店の定義といいますか、例えば何食以上出すとか、そういった定義というものは特にあるのでしょうか。
○松岡監視安全課長補佐 飲食店は、食品衛生法で言う営業許可を取っている飲食店ということで、かなり幅広いものが入ってはきますが、特にレストランだけだとか、そういうものではございません。
○松田委員 最初の方で、愛知県の食中毒でウイルス性食中毒はサポウイルスが原因というふうにおっしゃったようにお伺いしたのですが、サポもかなりノロに近いと思うんですけれども、これは極めてまれな例なのか。かなり患者さんの数は多いんですけれども、あるいはかなり最近はサポも増えてきているのかという辺りはいかがでしょうか。
○松岡監視安全課長補佐 ウイルスというふうに分類されたものの中では9割程度はノロウイルスという報告が出ておりますが、それ以外では説明しましたサポウイルスもございますし、今回御説明しておりませんが、ほかにも件数は少ないですがA型肝炎も入っております。
 ただ、ノロウイルスの次に出るぐらいの数と言われますけれども、圧倒的にノロウイルスが報告数は多いというふうにこちらではデータを見ております。
○山本部会長 野田先生、何か追加ありますか。特にありませんか。
○野田委員 追加というか、コメントですけれども、特に最近ノロウイルス以外のウイルスも検査するようになってきましたので、原因として違うウイルスを特定する割合は高くなっているという背景が一方であるのと、確かにここ数年、サポウイルスによる食中毒事例というのはノロと比べると圧倒的に少ないんですけれども、増加傾向にはあるので注意が必要かなとは考えております。
○石川委員 サルモネラの話で、軸受けのところが消毒していないということで、そこで例えば大量のサルモネラが繁殖したんでしょうか。これはちょっとサルモネラの自然歴というか、そういうものはよくわからないんですけれども、そういうところで繁殖して大量の食中毒の原因になるかどうかということは、そういう推測は立つんですか。
それとも、例えばこれは小動物も含めてサルモネラは結構いろいろなところにいますので、そこに侵入した小動物、あるいは人間が最初の病原だったというふうには余り考えないんでしょうか。ちょっと教えてください。
○加地監視安全課長 非常に一般的なサルモネラ食中毒の話ということでしょうか。
○石川委員 そこの軸受けに付いていたということは、消毒が足りなかったというのがこれの結論ですよね。
 しかし、そうではなくて、そこの施設の管理的な問題としてその小動物が入ってきた。あるいは、その調理の方たちの問題はどうだったのかということを聞いているわけです。
○加地監視安全課長 これは、まだ私のところでお答えできるものではないと思うんです。この北海道の事例につきましては、まだ調査が終わっていないといいますか、結論が出ていませんので。
 ただ、一般的なことを申し上げますと、サルモネラ食中毒として一般的にサルモネラ食中毒というのはやはり食材、食品にサルモネラ菌が付いていて、それが調理加工の段階で過熱不十分であったとか、あるいは二次汚染をしたとか、そういった形で食品中に残ってそれが増殖をする。温度管理の中で喫食するまでの間に食品中で増殖をして、それを喫食することによってサルモネラ食中毒は起こるというのが一般的なサルモネラ食中毒の考え方でございます。
それで、今回の釜の攪拌棒の軸のところなんですが、これは恐らく見た目には当然洗浄という形で前の料理が残っているというようなことはまずはないと思うのですが、ただ、目に見えないぐらいの小さな透き間であるとか、金属と金属の合わせ目であるとか、あるいはネジの部分であるとか、そういった部分の透き間に今まで使っていた食材の残りかすがあって、その中に微生物が隠れて住んでいる。そういった状況の中で何回か食事をつくっているうちに、これは加熱しますからちょうどいい温度で増殖をしてしまうというような可能性もある。
そういったものが、今度攪拌するときに新たに、例えば今回で言えばブロッコリーのような加熱を要しないようなものの攪拌をするときに、その釜を使ったことによって軸受け部なり、その部分に増殖していたサルモネラ菌が食品の方に混ざり込んでしまうといいますか、そういうことが一つの可能性として考えられるのではないかというのが今の中間的な報告です。
○山本部会長 よろしいでしょうか。
 大量調理施設マニュアルというものが腸管出血性大腸菌O157の事件を機にしてでき上がったわけですけれども、今回はサルモネラということでまた新たな事例が発生しています。十分検証していただいて、今後の対策に活かしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、ノロウイルスにつきましては依然として発生数が多いということから、ますます重要なものになってきていますので、きちんとした対策が必要ということを全国的にもアナウンスしていく必要があると思います。厚生労働省からも是非いろいろとアプローチしていただいて、自治体での対策強化ということを進めていただければと思います。それでは、ないようでしたら報告につきましてはこれで終了させていただきたいと思います。
 では、次に「原因不明食中毒について」の概要を事務局から説明をお願いいたします。
○松岡監視安全課長補佐 それでは、再び監視安全課の松岡でございます。私の方から報告をいたしまして、その後、ここ数年間研究をしていただいている先生方に御報告をお願いしたいと思います。
(PP)
私の方は「生食用生鮮食品を共通食とする病因物質不明有症事例を巡る経緯」につきまして、ここ数年のお話をしたいと考えております。
(PP)
 先ほどの1の議題のところにございましたけれども、今のところ食中毒の統計につきましては9割方は病因物質が判明しております。その1割については判明していないというのが裏返しでございますけれども、近年、特に平成18年、19年におきまして、食後数時間程度で一過性の嘔吐、下痢を起こす原因不明の食中毒とか有症事例が多いということが瀬戸内地方及び北陸地方の一部の複数の自治体から挙がっておりました。
 ここの一番下にございますように、地域保健総合推進事業というものを研究事業として実施していまして、主に倉敷保健所の先生に御協力をいただきまして全国のアンケートをやったところでございます。その結果、先ほど言いました一部の地域のみならず、全国的にこのような症状のある事例が多いということがわかってきたということでございます。
 ただ、このときはまだその病因物質が何であるということはわからないし、ここにも書きましたように一部のマスコミではなぞの食中毒というふうなこともあって、保健所の方も一般衛生的な指導をしても改善が見られないとかということで、我々も年に1回ある自治体の会議におきましてもこの問題について厚生労働省でいろいろ研究事業をやるなりして解明してほしいという要望も何年か続いて出されたところでございます。
(PP)
 そういう中で、当時はまだ漠然としたものでございましたけれども、ここ数年そういうものが引き続き、先ほどのグラフにございましたように、今までは1年で10件程度の例でございましたが、ここ2、3年は90件とか100件近い例があったということでございます。
 主に生鮮の食品と言っても魚介類を中心にしていることもあるということで、厚生労働省の方でまだ表には出しておりませんが、自治体あてに事務連絡を発出しまして、こちらの方で今までの事例等から病院物質の不明の有症の定義をいたしました。先ほども言いましたように、「一過性の下痢、嘔気および嘔吐を主症状とする集団発生であり、既知の病原物質が検出されない、あるいは検出されても症状等と合致しない有症例」ということで、各自治体からその報告があり、場合によってはその検体について提供を願いたいということです。同時に、その検体につきましては、今回御発表いただきます国立衛研の方で感染研と共同しながら病因物質究明及び予防策までを検討していただいたという経緯がございます。
(PP)
 ここが、先ほど通知をいたしました21年の7月から直近の23年の3月までの事例でございます。
 先ほどちょっと言い忘れましたけれども、あくまでも食中毒として挙がっているものが半分弱ということで、残りは有症苦情というようなものも今回は拾っていただきまして、そういうものもこの中には入っております。
 また、メニューの中でも、例えば居酒屋さんであっても刺身の中にいろいろなものが入っていて、それと一緒に場合によっては端っこにあります馬刺しを食べるような方もおられる。メニューの中でひと盛りの中にヒラメとかタイとか、そういうものも計上しております。だから、あくまでも有意があるというものというより、自治体から報告があったものを集計していくとこのような数字になったということでございます。主にヒラメが全体の中でも135件を超える例があるということで、魚介類の中では明らかにヒラメが多いという傾向が見られました。
 ヒラメ、マグロと続いておりますけれども、それ以外にも獣肉の中では馬刺しというのが35件ばかりあるということで、これについても病因物質としては魚介類と獣肉でございますが、別の要因ががあるのではないかということで、これについても研究班の中で各先生方に実施していただいているところでございます。
(PP)
 このような研究を続けていただいて3年ばかりやっていたところでございますけれども、そういう中で次のスライドでございますが、去年の10月でございます。ちょうど連休の前でございますけれども、A県で食中毒が発生しました。これは、県の方で食中毒としての報告を出しております。これは、県の特定の養殖のヒラメを喫食した当該県と、それを送った県8県で摂食した534名のうち113名が、先ほど症例定義をしたような症状が出たということでございます。
 これにつきましても、その後、疫学的な調査をまた研究の方でお願いをし、今回はその残品というのはなかったのでございますけれども、その養殖をしているところで同じような検体につきましては送付をして、同じく分析をしていただいているということでございます。
 大体、行政からの説明は以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。御質問、御意見につきましては次の先生方の御説明の後でお受けしたいと思いますので、続きましては原因不明食中毒の原因究明研究について、研究機関の先生方であります小西先生、横山先生、八幡先生、大西先生、鎌田先生、八木田先生、この順番で御担当の分野をそれぞれ5分程度で報告をお願いいたします。
 では、小西先生よろしくお願いいたします。
○小西委員 国立医薬品食品衛生研究所の小西と申します。私は、最初にヒラメの喫食による原因不明食中毒等の推定原因物質の関係の研究概要をお話させていただきます。
(PP)
最初のスライドを見ていただきます。
これは、厚労省の方から平成20年度からこういう調査研究をするようになりまして現在に至っているわけですけれども、その間に行いました調査研究をまとめたものでございます。
まず平成20年度におきましては、まだ食中毒事例の検体が手に入らない状態でございましたので、市場に流通しているヒラメを60尾ほど買ってまいりまして、その中の寄生虫、それから一般生菌数、それと平成15年ぐらいからヒラメ特有に広がっている感染症であるストレプトコッカス属菌の検査を行いました。その結果、60尾中1尾から寄生虫が見つかりまして、これがよく調べてみますと新種のものであり、後から出てきますが、kudoa septempunctataという名前の新種の寄生虫であることがわかりました。
それから、一般生菌数は非常に低かったという結果でした。ストレプトコッカス属に関しましては、可食部からは検出されませんでした。
平成21年に入りまして、各自治体にその事例検体を送付していただくように呼びかけましたところ、冷凍検体が幾つかまいりました。それを使いまして、マリントキシン、レクチンを調べてみましたが、これは陰性でございました。
そして、国立感染症研究所の協力を得まして、その1検体につきまして網羅的DNA解析を行いました。次のスライドでその結果を御報告いたしますけれども、ここからクドア属が有意に検出されました。そこで、クドア属の検出法をPCR法をつくりまして、送られてきました冷凍事例を使いまして検出いたしましたところ、非常に高い検出率が観察されました。
毒性に関しては、この時点で冷凍検体を使った場合には陰性でございましたので、平成22年度に入りまして冷蔵の検体を送っていただくように要請いたしました。それを使いまして、実験動物及び培養細胞で毒性評価の系をつくることを行いました。その結果、クドア胞子に嘔吐毒性、それから下痢原性があることが実証されました。
 もう一つ、検体といたしましてはクドア感染ヒラメをある養殖場からいただきまして、リアルタイムPCRの確立、それから毒性実験をやっております。
(PP)
 これは、平成21年度に行いました国立感染症研究所のゲノムセンターの黒田先生の御協力によりスライドをいただいていますけれども、このようにヒラメサンプルをイルミナという装置を使いまして網羅的解読をいたしました。
 その結果、左側にお示しいたしましたバクテリアと真核細胞と、それからウイルス、この3つを見ていただきますと、当初バクテリアではないかという予想を立てていたんですけれども、それは非常に低く0.03%、ウイルスも0.03%しか出てこない。それで、ユーカリオートが17%出てきたという結果になりました。
 このユーカリオートの中では、クドア属という寄生虫のDNAが非常に多く検出されたという結果に至りました。
(PP)
 そこで、ヒラメに関しましてはこのクドア属に標準を合わせましてPCRを確立したり、顕微鏡検でそのクドア属を直接見るという方法で数を数えてみました。このときに使いましたのは、A県の食中毒事例と、それからA県以外の食中毒事例でございますが、ここでちょっとサンプルの説明が不足でございますので説明をさせていただきますと、先ほど松岡さんから御説明があったように、A県の食中毒事例の場合には残品はございませんでした。そして、検証として配布されたわけですけれども、配布されたヒラメというのは1尾そのままが配布されたわけではなくて、まず水産加工工場で全部ばらばらにしてランダムに半身を4枚、それから骨が1つ計5つを1セットとして送っております。ですから、例えば食中毒を起こした方が食されて残したものがあったとしても、違うパックであれば違う個体になってしまうということを御理解いただきたいと思います。
 そこで呼びかけまして、配布されたヒラメを返却していただくことにしまして、御協力いただいたのが74検体、これを使いましてそれぞれのクドア胞子数を測ってみました。その結果、103以下は検出限界以下で測れませんので、それ以上のものが50%以上あったということでございます。これは、食中毒の患者さんが食べたものの結果ということではございません。
右にお示しした表のA県事例以外の事例の場合ですと、これはほとんどが食中毒事例の残品と考えてもよろしいんですけれども、呼びかけが徹底してなくて、同じいけすの中にいたヒラメを送ってきていただいたりとか、同じ宴会に出されたんだけれども事例を起こした同じ個体ではないヒラメが残っていたということで送られてきたりというヒラメも入っております。ですから、全部が残品というわけではございませんが、その結果、60%近くがこのクドア属が検出されたという結果になっております。
(PP)
 まとめでございますけれども、以上の結果から食中毒事例から得られましたヒラメからは高い確率でクドア属が検出されております。
 後で担当者からお話がありますが、そのクドア属の毒性として嘔吐毒性、下痢原性が実験動物で検証されております。
 このことから、クドア属が含まれるヒラメと、本原因不明食中毒等とは相関性が非常に高いということ。そのため、推定原因物質の可能性が高いと考えられるということでございます。以上です。
毒性に関しては、この時点で冷凍検体を使った場合には陰性でございましたので、平成22年度に入りまして冷蔵の検体を送っていただくように要請いたしました。それを使いまして、実験動物及び培養細胞で毒性評価の系をつくることを行いました。その結果、クドア胞子に嘔吐毒性、それから下痢原性がありましたことが実証されました。
 もう一つ、検体といたしましてはクドア感染ヒラメというのをある養殖場からいただきまいて、それを使いましてリアルタイムなPCRの確立、それから毒性実験をやっております。
(PP)
 これは、平成21年度に行いました国立感染症研究所のゲノムセンターの黒田先生の御協力によりスライドをいただいていますけれども、このようにヒラメサンプルのイルミナという機械を使いまして網羅的解読をいたしました。
 その結果、左側にお示しいたしましたバクテリアと真核細胞と、それからウイルス、この3つを見ていただきますと、当初バクテリアではないかという予想を立てていたんですけれども、それは非常に低く0.03%、ウイルスも0.03%しか出てこない。それで、ユーカリオートが17%出てきたという結果になりました。
 このユーカリオートの中では、クドア属という寄生虫のDNAが非常に多く検出されたという結果に至りました。
(PP)
 そこで、ヒラメに関しましてはこのクドア属に標準を合わせましてPCRを確立したり、それから顕微鏡検でそのクドア属を直接見るという方法で数を数えてみました。このときに使いましたのは、A県の食中毒事例と、それからA県以外の食中毒事例でございますが、ここでちょっとサンプルの説明が不足でございますので説明をさせていただきますと、先ほど松岡さんから御説明があったように、A県の食中毒事例の場合には残品はございませんでした。そして、検証として配布されたわけですけれども、配布されたヒラメというのは1尾そのままが配布されたわけではなくて、まず水産加工工場で全部ばらばらにしてランダムに半身を4枚、それから骨5つを1セットとして送っております。ですから、例えば食中毒を起こした方が食されて残したものがあったとしても、違うパックであれば違う個体になってしまうということを御理解いただきたいと思います。
 そこで呼びかけまして、配布されたヒラメを返却していただくことにしまして、御協力いただいたのが74検体、これを使いましてそれぞれのクドア胞子数を測ってみました。その結果、103以下は検出限界以下で測れませんので、それ以上のものが50%以上あったということでございます。これは、イコール食中毒の患者さんが食べたものということではございません。
お隣のA県事例以外の事例の場合ですと、これはほとんどが食中毒事例の残品というふうに考えてもよろしいんですけれども、呼びかけが徹底してなくて、同じいけすの中にいたヒラメを送ってきていただいたりとか、同じ宴会に出されたんだけれども同じ個体ではないヒラメ、残ったものということで送られてきたりというヒラメも入っております。ですから、全部が残品というわけではございませんが、その結果、60%近くがこのクドア属が検出されたという結果になっております。
(PP)
 まとめでございますけれども、以上の結果から食中毒事例から得られましたヒラメからは高い確率でクドア属が検出されております。
 後で担当者からお話がありますが、そのクドア属の毒性というのは嘔吐毒性、下痢原性が実験動物で検証されております。
 このことから、クドア属が含まれるヒラメと、本原因不明食中毒等とは相関性が非常に高いということ。そのため、推定原因物質の可能性が高いと考えられるということでございます。以上です。
○山本部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして横山先生、お願いします。
○横山参考人 東京大学の横山と申します。
(PP)
私は、今まで水産学という分野の中で、天然魚や養殖魚に寄生する寄生虫としての粘液胞子虫というものを研究してまいりました。それで今回、粘液胞子虫というお話が出てきたわけですけれども、特に今までは医学系、人間に寄生するものではありませんので余りなじみのない方もいらっしゃるかと思いまして、まずこの粘液胞子虫という寄生虫はどういうものかというお話から入りたいと思います。
(PP)
「粘液胞子虫とは」という話ですが、これは極嚢を有する胞子を多数形成する寄生虫というふうに定義されますけれども、極嚢というのはこの模式図にもありますが、その中に極糸という糸状の構造物がくるくるとらせん状に巻いているような、そういった細胞を持っています。これは図ではちょっとわかりづらいかもしれませんけれども、この極糸が感染をするときにぱっと弾出するんですね。そのときに、模式図ではこの殻があるんですけれども、殻がぱかっと開いて中の胞子原形質が感染する。ですから、感染をするときの補助的な役割をするようなものが極嚢、極糸です。
それで、分類上は以前は原虫であると言われていましたけれども、最近の分子系統学的な解析から刺胞動物、つまりクラゲとかイソギンチャクの仲間に近い後生動物と言われていますが、刺胞動物と分類するよりはミクソゾア門という名前で分類される方がまだ一般的かと思います。この中には2,000種類以上記載されている結構大きなグループなんですけれども、そのほとんどすべてが魚類に寄生します。人間など哺乳類には寄生しませんので、今まで公衆衛生上は無害なものと言われてきました。
(PP)
 この寄生虫の特徴的なところは、その「生活環」にあります。今、魚類に寄生する寄生虫だと言いましたけれども、魚から魚へ移っていくのではなくて、その間に環形動物という無脊椎動物を介在します。つまり、この粘液胞子虫の胞子、魚から出てきた胞子が淡水であればイトミミズ、海産であればゴカイなどの仲間なんですけれども、それに経口的に取り込まれると、その腸の中でさっき言った極糸が断出をして感染が起こるわけです。
 その中で、放線胞子虫というまた別の形態の発育が起こります。そして、最終的に放線胞子と言って、こういう3本のアンカーのような形をした姿に形を変えまして、これが水の中に出てきます。そして、水中を漂っている間に魚と接触をすると、体表とかエラから経皮的に感染が起こります。
 その後、栄養体が分裂、増殖をして、最終的にまた胞子をつくるわけですけれども、寄生虫の場合、いろいろな宿主が介在する吸虫とか線虫とか、いろいろあります。よくあるのは中間宿主とか終宿主という言い方をしますけれども、この粘液胞子虫の場合は交互宿主という言葉が使われます。交互にくるという意味ですね。ですから、この粘液胞子虫は環形動物がいないところでは増えない。つまり、小さな水槽とか水族館みたいなところでは増えないということとか、もう一つ補足すると感染してから粘液胞子になるまでに大体2、3か月かかります。種類にもよりますが。
(PP)
 今回、問題のクドアなんですけれども、これは先ほどから言っています極嚢が4個以上ある粘液胞子虫の属のことです。多くは海産魚の筋肉に寄生するんですけれども、これが食中毒の原因になったという話は世界的にも前例がなくて、今までは水産的に商品価値が落ちるという点で問題と言われていました。
 例えば、このK.amamiensisですね。これがブリに寄生しますと、この白い米粒状のシストをたくさんつくる大体1?、2?ぐらいのシストですが、それで商品価値が落ちる。
 それからもう一つ、K.thyrsitesという種類、これもヒラメとかいろいろな魚に寄生するんですが、魚に寄生するとジェリーミートと言われる筋肉組織がどろどろに融解してしまう現象を起こします。それで、商品としての価値がなくなるということで問題とされていました。それは昔から知られていました。
 今回、問題となっているK.septempunctata、今回は新種として報告されたわけですが、ヒラメからしか見つかっていませんけれども、これはシストもつくらないし、ジェリーミートにもなりません。無症状である。見た目にわからないということで、それが気持ち悪いというか、逆に問題点ではあると思います。
 その他、御質問あるかもしれませんけれども、それはまた後ほどということで、以上です。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして八幡先生お願いします。
○八幡参考人 国立感染症研究所の八幡と申します。よろしくお願いいたします。
 私は、疫学的な側面での検討をさせていただきました。
(PP)
今回、A県における事例ということで調査をさせていただいたんですけれども、以前にあった事例に関しましては、まず宴会場とかでよく食べられているような船盛りであったりとか、個別に鉢を食べられるような状況であるということで、皆さん同じような喫食状況であったりというようなことで、なかなか疫学的な調査というのが難しかったのが、ひとつ精度を低くしている点だと考えておりました。
今回の事例に関しましては、皆さん家族で食べられたりしているんですけれども、その中で25%ぐらいが発症しているというような状況であるということで、また調査精度に関しましてはすべての方、同じようなものというようなことで全部食べてしまったとかといったようなことではなく、いろいろな食べ方があったりするというようなこともわかってきましたので、今までの事例と違うというところが少し新規性があるような内容であるということで、今回は発症のリスクの推定とか喫食した量との関連、あとは発症するクドアの量の推定などを行ってみました。
今回は、特定の養殖場でのヒラメなんですけれども、そのヒラメを食べて消化器症状が呈した方を症例とし、一緒に食べられた方で消化器症状を呈していない方を対照ということで調査をいたしました。
調査方法は当該する県、市の保健所より調査票を配布していただきまして回収しました。ロジスティック回帰分析をする上でゼロセルになる部分もありましたので、その辺に関しましては一応足したもので、この辺は議論があると思いますけれども、ロジスティック回帰分析をいたします。
それから、クドアを喫食して摂取して発症する量ということで25%ぐらいの方が発症しているということで、上位25%の喫食量を今回簡易的に75%タイル、閾値ということで設定をして算出してみるというようなことをしてみました。
(PP)
 「対象者の属性」ということで男女差を見たんですけれども、症例は24%、26.7%ということで、特に大きな差はありませんでした。
 それから、治療中の疾患ということで症例、対象は3割、4割ぐらいでそれぞれ多かったのは高血圧、糖尿病といったようなものでした。
それから、アレルギーに関しましても5%程度の方が症例でありまして、対照が7.8%ということで大きな差はなかったです。
それから、保管方法に関しましては、冷蔵が症例の方が48.3%、対照が63%ということで、こちらの方は差があり、対照の方が少し冷蔵をしているようでした。
あとは、発症した方の症状ですけれども、下痢が79.7%と一番多く、次いで嘔吐ということで、これまでのいろいろな報告と余り差はなかったような感じでした。
それから潜伏期ですけれども、中央値が5時間ということで、大体こちらもこれまでの報告と同じぐらいでした。
あとは、喫食量についてですけれども、発症者、非発症者、それぞれ見たのですが、かなりばらつきがありました。ヒラメを摂取しているから発症するというようなものではなさそうな分布をしておりまして、食べている人はすごく食べている。食べていない人は余り食べていないといったようなことで、ただ、今回、1尾そのままきたので摂取量は普段よりも多いような摂取量が中央値として発症者66.7g、非発症者77.5g、摂取をされていたというようなことでした。
(PP)
 次は、「ひらめ喫食量と潜伏時間」ということでドーズレスポンス的な検討をしてみたんですが、余り強い相関はなく、有意ではありましたけれども強くはなかったというような状況です。
 それから、調理方法で生で食べた方が発症するかどうかということで検討してみたんですけれども、オッズ比は7.26ということで高かったのですが、信頼区間を見ていただきますと0.95から55.44ということでかなり広く、かつ有意ではなかったということでばらつきがいろいろあるような状況で、もしかするとこれはヒラメに含まれているクドアの量が調整などをすることによって随分改善されるのではないかというようなことを考えたりはいたしましたが、今回そのようなデータは取れませんでしたので、ちょっと検討することができませんでした。
(PP)
 今回、最終的なゴールとしまして設定を計算させていただいたものなんですけれども、先ほど小西先生の方から74検体のヒラメの検体から得られたデータを基に、またかつ今回の疫学調査で得られたデータを基にモンテカルロシミュレーションによって10万回ランダムに抽出して、摂取量とクドア量と合わせて分布をつくりまして、75%タイルの値ということで7.2×107個摂取すると発症するというような値を算出させていただきました。
 以上で、私の方からの報告を終わらせていただきます。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、大西先生よろしくお願いいたします。
○大西参考人 国立医薬品食品衛生研究所の大西と申します。クドアに対する毒性について御報告させていただきます。
(PP)
 クドアなのですが、この臨床症状から見まして大きく分けまして1つは嘔吐毒性、それから下痢毒性を持っているということが推測されました。このクドアによる症状の特徴的なことは摂取後の潜伏期間が非常に短いということと、それから発症した後の予後が非常に良好であるという2点が挙げられます。そこで、この嘔吐毒性、下痢毒性を調べてみました。
 まず嘔吐毒性についてですが、嘔吐毒性にはスンクスという実験動物を用いて調べてみました。このスンクスはモグラの仲間になるんですが、実験動物の中では非常に珍しく嘔吐を起こす動物です。そのためにいろいろな実験で各種、嘔吐モデルとして頻繁に利用されている動物です。このスンクスに対して、ヒラメの筋肉から精製してきましたクドアをスンクスの胃内に直接投与をしてみました。
 その結果、ここに書いてありますように、投与後20分から30分という非常に早い時間でスンクスが嘔吐を開始しました。1回の投与で3回以上、ひどいときには5回以上の嘔吐を繰り返すということが実験的に証明されました。
また、この最初に述べたのは精製したクドアを胃内に直接投与した場合なのですが、スンクスは肉食動物ですが、ヒラメを食べるように訓練しまして、自由にヒラメを食べさせたんですが、その場合でもクドアを含むヒラメを食べた場合、嘔吐が起こるということがわかりました。また、ヒラメの中に含まれているクドアの容量依存的に嘔吐を起こす確率が上昇するということもわかりました。また、以前から言われていますように凍結したヒラメでは食中毒が起こらないということがわかっているのですが、凍結したクドアではスンクスは嘔吐を起こさないことがわかりました。
 ここで注目していただきたいのは、投与後20分から30分という非常に早い潜伏期で嘔吐が起こるということと、この嘔吐は1時間ぐらい続くんですが、この1時間の嘔吐症状が終わった後は、動物自体はけろっと非常に元気で予後良好ということで、非常にヒトの臨床症状と似たような症状を示すことがわかりました。
(PP)
 次に、このクドアの下痢毒性について見たんですが、下痢毒性については乳のみマウスを用いて調べてみました。乳のみマウスを用いた下痢毒性というのは、コレラトキシンや大腸菌のエンテロトキシンなどを調べるときに常に使用されている実験系です。やはりこの乳のみマウスに対しても、ヒラメの筋肉から精製してきましたクドア胞子を直接投与してみました。
 その結果、投与後1.5時間で腸管に液体の貯留、下痢が認められました。更に、その投与後4時間で腸管に貯留していた液体が下痢便として外部に排出されました。この液体で排出された後は、一切その後の液体貯留というのは起こらず、この4時間の時点で終了します。やはり潜伏期間が非常に短くて、下痢が一度起こった後の予後は非常に良好ということで、クドアを投与することによってヒトの臨床症状に近い症状、この下痢毒性を起こすことがわかりました。
(PP)
 最後に、本当はヒトに対する毒性というものを調べられればいいんですが、実際にそういうことはできませんので、今回はヒト細胞に対する毒性というものを調べてみました。
 このヒト細胞を用いた細胞は、ヒトの腸管上皮細胞のCaco-2細胞と呼ばれている細胞です。このCaco-2細胞は実験室内の試験管の中で非常にヒトの腸管上皮に似た特殊な構造をとることが知られておりまして、以前からこの下痢症状、下痢疾患を調べる場合のモデルとして使用されています。
 概略ですが、このスライドの左側の図を見ていただきたいのですが、このように細胞培養用の試験菅の真ん中のところにCaco-2細胞の細胞層をこのように形成いたします。通常、この腸管上皮細胞というのは非常に細胞と細胞の間が密接に結合しておりまして、この細胞の上部と下部の間に物質の自由な透過性というのが認められません。これが正常なヒトの腸管上皮細胞の状態なんですが、もしこの細胞の中に下痢を引き起こすような物質を投与した場合、この細胞の上部と下部の間の物質の透過性が非常に更新するということがわかっています。
 そこで、このクドアを入れたときに、この細胞の上部と下部の間に物質の透過が進むかどうかを調べてみました。その結果が右のスライドになります。縦軸に、Caco-2細胞層の物質透過の抑制を見ております。横軸に、クドアを投与してからの培養時間を示しております。このグラフ中の△がコントロール、クドアを投与しなかった場合、もしくは凍結したクドアを投与した場合が○印です。この場合は、この細胞層の物質透過抑制性がスタートから下がりませんでした。ところが、精製したクドアを投与しますと、培養開始後わずか1時間でこの細胞の物質透過抑制がスタートの5分の1以下に低下するという結果を得られました。
 このことから、ヒトの細胞を用いたこの下痢モデルに対してもこのクドアというのが毒性を示すということが明らかになりました。
(PP)
 最後に今回の実験結果をまとめたものですが、今回見たのはスンクスを用いた嘔吐毒性、それから乳のみマウスを用いた下痢毒性、腸管の水分貯留及び下痢便です。それから、ヒトの腸管細胞を用いた細胞層の物質透過について見ました。
説明のときには若干省かせていただきましたが、クドアを含んだヒラメのホモジネイト、ヒラメをすりつぶしたものですね。これを投与しますと、スンクス、乳のみマウス、ヒト細胞、すべて毒性がありました。
しかし、クドアを含んでいないコントロールのヒラメをすりつぶしたものを加えても、すべての系で毒性は見られませんでした。また、ヒラメから精製したクドアを各系に加えた場合、すべての系で毒性が認められました。
以上のことから、このクドアというのが本食中毒における原因物質の一つであるということが強く示唆される結果を得られました。以上です。
○山本部会長 ありがとうございました。
 ヒラメとクドアの関係につきましては以上ですが、次に馬肉のことにつきまして鎌田先生からお願いいたします。
○鎌田参考人 国立医薬品食品衛生研究所の鎌田と申します。よろしくお願いいたします。
(PP)
ヒラメとほぼ同時進行で原因がよくわからない食中毒のとき、共通食として馬肉が挙がってきましたので、私どもの方で分析をいたしました。
馬肉なんですが、中央衛生研究所で検査をしていただきましても特定の食中毒細菌、ウイルスが検出されないという特徴があります。獣医学の領域ではいわゆる家畜、食べる動物ですけれども、その筋肉、食べるところに寄生虫がいるというのは教科書レベルのことなんです。
ごらんになれるかどうか。住肉胞子虫と言いまして、この住肉胞子虫はかなりの種類がありますが、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、もろもろの家畜、人間が食べる動物肉です。その動物種におります。
こういうことは教科書レベルでわかっていたんです。それで、私たちは文献検索をいたしましてこの住肉胞子虫について調べますと、ウシに寄生します住肉胞子虫の一種、Sarcocystiscruziという主、ある程度の毒性の分析が行われておりました。後ほど申しますが、シストをすりつぶしまして、そこからたんぱく質を分離します。そのたんぱく質をウサギに投与いたしますと、そのウサギに病的な状態が誘発されたという先行研究がありました。
これはウシの肉に対してでしたので、ではウマではどうか、馬肉ではどうかということでアプローチした結果です。10倍から50倍ぐらいの実態顕微鏡で馬肉を調べますと、長さが1?弱、幅が0.5?ぐらいの白いひも状の寄生虫が分離されました。ごらんになっていただけているところだと思いますが、これを寄生虫学的に種を同定いたしますとSarcocystis fayeriという種になりました。
(PP)
 この馬肉に寄生するSarcocystis fayeriですが、かなり生活環に特徴がございます。終宿主と言われる次の世代をつくる宿主はイヌ科の動物です。そのイヌ科の動物の便の中に、いわゆる卵ですね、スポロシストと呼ばれる卵を排出いたします。その卵は、環境中に分散されます。たまたまそれが牧場で起こった場合に、その草をはみましたウマがその卵を口から摂取することになります。ウマの消化管を突破しまして全身に分布し、筋肉の中にシストを形成いたします。シストというのは袋という意味でして、その袋の中に実際寄生感染の主役として働きます感染性虫体を中にたくさん持つことになります。その感染性虫体のことをブラディゾイトと言います。このときSarcocystis系、寄生虫一般ですけれども、非常に宿主特異性が強くて、自分が好みの主でないと寄生感染いたしません。このSarcocystis fayeriの場合には、たまたまイヌに摂取されたときにシストの中からブラディゾイトが出て、そのブラディソイトが腸管上皮細胞の中に侵入して増殖して次のものをつくるという生活環を経ています。
 そのシストの特徴ですね。中に感染性虫体を持っているんですが、酸・ペプシン耐性で胃の条件を通過する耐性であるということがわかっています。これが筋肉中にたくさんあるわけですね。
(PP)
 左上ですが、感染研の八幡先生に分析していただきました6つの事例の疫学解析の結果です。オッズ比と信頼限界が出ておりますけれども、この数値を見ますと高いオッズ比が出ておりまして、信頼限界の1を超える、赤字に付けるところですけれども、疫学統計学的にこれは有意だろう。主に馬肉が原因であるというふうに統計学的には物申すことができる事例があるという結果が出ております。
 私たちはその事例を県の協力を得まして集めまして、シストが実際にどれぐらい筋肉中に食べる部位に存在するかということを調べました。顕微鏡下では、そのシストは大きなシストと小さなシストに分類されます。1から9までの事例を見ますと、大きなシストは13ぐらい、小さいシストは101、これが一番少ない数字でありました。そのシストの中にはブラディゾイトがいっぱい入っておりますので、平均の数字を出しておきまして、ブラディゾイト総数でどれぐらいのブラディゾイトが体の中に入れば病気が起こるのかというのを計算した数字がこれです。わずか9例の中の一番少ないブラディゾイト数を出したんですけれども、2,600万というブラディゾイト数であります。
 この検査結果を基に、今までは事例の分析でしたので、一般に流通している馬肉中にどれぐらいシストが存在しているのかということを調べました。そういたしますと、ウマが生まれた場所が外国である、日本であるという分類をまずしておきまして、外国のものを26事例、日本のものを7事例調べました。調べた部位は、横隔膜です。その横隔膜を病理切片を切りましてシストがいるかどうかを調べましたら、外国産のものには26例の全例に、日本で生まれたウマについては3事例、3検体におりました。
 ただ、そのときのシストの数なんですけれども、これは小さなシストですが、1c?当たり6.1、あるいは2というふうにして、事例に比べますと圧倒的に少ない数字であります。全体としましては、88%の市販流通の馬肉中には寄生虫、Sarcocystisがいるという結果になっております。
(PP)
 では、そのSarcocystis fayeriの毒性はいかがなものかということなんですが、毒性の検査の方法はウサギ腸管ループ法という方法であります。腸管を10?ぐらいに区切りまして、その中に直接検体を注入しまして腸管が腫れてくる、中に水分がたまる、いわゆる下痢ですね。下痢が起こる毒性を持っているかどうかを調べた結果です。
 fayeriの資質を持っている馬肉のホモジネイトをループ内に入れますと、明確な腫脹と液体貯留が見られました。コントロール実験でシストがない馬肉を注入いたしましてもそのような結果は出ません。
では、虫体でありますシストですね。それから、シストの中に含まれているブラディゾイトで起こるかと言いますと、このスライドのとおり陽性の結果が出てきまして、少なくとも腸管に対する下痢毒性はブラディゾイトのところに近因するだろうという結果であります。
先ほど申し上げましたように、先行研究で毒性たんぱく質らしくものが見つかっているというのが別の種でありましたので、このfayeriについてもやってみました。分子量が15KDaぐらいというのが先行研究でありましたから、その部分について分析いたしますと、同じ方法なんですけれども、ウサギにそれなりの症状が出ておりまして、現在考えているところではこのシストが持っている特定のたんぱく質が原因なのではないかというところであります。以上です。
○山本部会長 ありがとうございます。
 それでは、最後に八木田先生お願いいたします。
○八木田参考人 国立感染所研究所の寄生動物部の八木田と申します。よろしくお願いします。
(PP)
 ただいまの鎌田先生の御報告に続きましてSarcocystisなんですが、私の方はこのように馬肉の中にSarcocystisという寄生虫が見つかったということで、今後、国内の調査とか、そういうことの可能性を考えまして、比較的現場でも簡単な検査法ということでPCR、遺伝子検査法をつくろうじゃないかということで、私の方でそれを担当させていただきました。
 2つ行いました。1つは、馬肉中のSarcocystis、今のところfayeriということが想定されていますが、それに関してはもうちょっと遺伝学的にちゃんと特定しようということでございます。これは、定性PCRというふうに呼ばせていただきます。
 もう一つは、ではもしそういった馬肉中から遺伝的に特定されたものが出てくれば、それが食中毒事例の残品、あるいは市販の馬肉中にどれぐらい含まれているのかという辺りをもうちょっと定量的に調べようということも考えました。これは、定量PCRということで御報告させていただきます。
 まず、最初の定性PCRの方です。これの方法としては後ほどちょっと御説明しますが、Sarcocystisにはたくさん種類がございます。ここではいろいろなSarcocystisについて検査可能なようなプライマーと申しますが、それを使いましてSarcocystisならば検出できるというような方法を使いまして18SrRNAという、これは分類によく使われている遺伝子ですけれども、そこを部分的に増幅してそこの塩基配列というものを調べます。
 そうしますと、右の方に系統樹といういろいろな枝分かれをされている図がございますが、これまでよく知られておりますほかのSarcocystisの18SrRNAのシークエンスとは比較することが簡単にできます。そういった形で、今回の馬肉中に見つかったSarcocystisのシークエンスはほかの種類とどういう関係があるかというのを示しているのがこの系統樹というものでございます。
 まず、はっきりしましたのは、一番ヒトに感染し得るということがわかっておりますSarcocystis hominisとか、あるいはS. suihominisというものとは違うということです。
 ちなみに、この図の中ではSarco HRSという形で系統樹のちょっとした4分の1ぐらいのところにありますけれども、これが今回調べたSarcoの1ですけれども、今、申し上げましたようにS. hominisとかS. suihominisというものは離れている。
 あともう一つ、ウマではSarcocystisのneurona という、ウマに対しては明らかに神経学的な障害を起こすもの、病原性があるものがありますが、それとも異なるということで、今のところこの検出されたSarcocystisに関してはウマ特異的な問題であるというふうに考えております。
 実は、ここの時点でこのSarcocystisのfayeriという種類、あるいはベルトマーニという種類も古くからウマに関しては知られているんですが、それとの比較をしようと思ったのですが、これらの種類に関してはシークエンスの情報がございませんでしたので、残念ながらそこの比較はできませんでした。
 しかし、形態的にSarcocystis fayeriというふうな答えが出ておりますので、そのシークエンスとして今回明らかになったかなと思っております。
大事なポイントは、その下の図のところに書いてありますが、今回、喫食馬肉と、それから市販の流通品に関して幾つか調べたんですけれども、それらはすべてシークエンスとしては一致したということでございます。つまり、市販品の中に事例と同じシークエンスが見つかっているということがわかりました。
(PP)
次に定量PCRということですが、今回わかりましたウマの特異的な配列を基にしまして、今度はこのウマタイプだけをきちんと検出できるようなPCRの反応系をつくりました。そういった方法で?とありますが、国内のと畜場と輸入馬肉に関して定量PCRを行った結果です。
ここで何を見ているかと言いますと、この一番上の方に食中毒喫食残品として今回2件使われたんですが、例えば1g当たり1.2×106から6.6×106、これは1つのSarcocystisの量とお考えください。こういった量が見つかったということでございます。
同様の方法で、このと畜場で得られた馬肉、あるいは輸入品についてどうかといったことがその下の方にまとめてあるわけですけれども、結果をまとめて言いますと、国内では7地域に関しまして検体数が5から10程度を調べました。そのうち、1つの地域に関してだけ事例の汚染度と同程度のものが見つかっております。
一方、これと対照的なのが輸入品の方でございまして、これは9検体を調べたんですが、そのうちの7件が事例と同程度、あるいはそれ以上の汚染量が見つかったということでございます。
もう一つの特徴として、国内の検体というのはおしなべて低汚染なんですが、実はよく調べますと肉の部分によって高いところ、たくさん検出されるところと低く検出されるところが混在しているということがございますので、この辺は方法論の点で今後もうちょっと詰めていかなければならないと思っております。
○山本部会長 どうもありがとうございました。原因不明食中毒につきましても、寄生虫ということが少し見えてきたのかなというところなのですが、ヒラメの場合と馬肉の場合とではちょっと原因の物質が違うということですので、最初にヒラメの方のお話で質問、御意見等をお伺いしたいと思いますが、今の御説明に関してどなたかございますでしょうか。
 では、甲斐先生どうぞ。
○甲斐委員 ヒラメの下痢原性について教えていただけたらと思います。
 今の資料の11ページの下の方のパワーポイントですね。「乳のみマウスに対する下痢毒性」ということで、投与して1時間半くらいで液体貯留が認められるということなのですが、この液体貯留量というのはどのくらいなのでしょうか。コレラ毒素や何かですと胃の中の貯留量、重さを、胃を除いた部分の重量で割った比を取っているかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○大西参考人 いわゆる先生の御質問はFHと呼ばれるものですか。
○甲斐委員 そうです。
○大西参考人 大体1.5時間ですと0.08とか、その辺りということで、一応コントロールに対しては有意な値が出ています。
○甲斐委員 コレラ毒素のときは0.085から0.9辺りを陽性、それでコントロールが0.05 から0.06くらいになるんじゃないかと思うんですが。
○大西参考人 そうですね。大体その程度です。
○甲斐委員 ということは、先生のやられた方法ですとサンプルでは0.08くらいで、コントロールが……。
○大西参考人 0.06くらいです。
○甲斐委員 それで、その貯留液は透明な液なんですか。
○大西参考人 はい。
○甲斐委員 それがしばらくすると排泄されて、水溶便というか、水みたいな感じで排泄されるという理解でよろしいでしょうか。
○大西参考人 はい。それで、4時間後にはFHには有意差がなくなるということです。
○甲斐委員 ありがとうございます。
○山本部会長 西渕先生、どうぞ。
○西渕委員 私も、今の御質問に関連した質問があります。
 私も、かつて細菌性たんぱく毒素で乳のみマウスをやっておりました。それで、液体貯留が1.5時間というのはかなり早いと思うんです。たん白毒素だと3時間から4時間くらいでレスポンスがあって、下痢が起こるのはもっと後の時間なので、この物質が一体何か、たん白毒素を考えておられるのか。それとも、それ以外の何か特殊なものを考えておられるのか。非常に興味があるところではあるんですけれども。
○大西参考人 実は、このクドアによる下痢原生のメカニズムを頑張って研究しているところですが、今のところまだどういったものかという具体的な物質に関しては、残念ながら候補は挙がっておりません。
 何らかの毒素による可能性というものが一つ挙げられますが、もう一つは余りにも先生がおっしゃられますようにたん白性のものとしては早過ぎるということがありますので、例えばこの寄生虫によって腸管そのものが何らかの物理的な障害を受けて、その障害を受けた箇所から下痢が起こっているんじゃないかというメカニズムも、一つ今のところ想定して研究を進めております。
○西渕委員 その可能性も非常に重要だと思います。最近、大腸菌でその組織などを刺激してレスポンスが起こるというようなことが言われておりますので。
 それから、次の12ページの下のスライドですね。乳のみマウスの結果をまとめられたところなのですが、クドア含有ヒラメホモジネイトと、それから精製クドアとで毒性ありの下の括弧は5×107/g以上と、どちらも同じドースなんですけれども、これはホモジネイトの場合でもグラム当たり5×107で、精製クドアでも5×107という意味なのでしょうか。
○大西参考人 非常にややこしくて申し訳ないのですが、これは実際に投与した値ではなくて、ヒラメの中にこれくらいの5×107/g、ヒラメ1g当たりにこれくらい含まれているクドアを実験に使用したという意味で、実際に投与した量ではございません。すみません。
 それで、この乳のみマウスの実験ですと、1匹当たり105程度投与しますと下痢を起こすことができております。
○西渕委員 いずれにしても、原因物質が何かということを明らかにするのは非常に難しいと思うのですが大事なことで、例えばPCRの標的にするにも何を標的にするかということに行き着くと思うので、是非今後の御検討を期待しております。
○山本部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。
○松田委員 今の質問に関連してですけれども、凍結したクドアでは起きないということがちょっと引っかかったのですが、クドア自体は凍結によって死滅するということでしょうか。
○大西参考人 今のところ、死滅すると考えています。
○阿南委員 この検査は養殖魚を使っていますね。
○大西参考人 はい。
○阿南委員 8ページの生活環を見ますと、寄生するにはゴカイなどを食べて感染するということと、体表などからの経皮感染もあるということですね。そうしますと、養殖魚であるから特にということはないということですね。
 要するに、こういう生活環であれば養殖でなくても可能性としては非常に高いということですか。
○大西参考人 もちろんそうだと思います。
○阿南委員 ありがとうございました。
○今村委員 資料2-1の10ページ目の「発症と健康状態及び喫食方法」で、調理法が生のときに59例中59例ですから100%、生で出ていると思うんです。すると、有意差が出ていないということでありますけれども、これは数を数えていけば必ず有意差が出るというふうに思えるので、そこはそういうふうに考えるべきかなと。
 その上で、そうすると生で食べていない人で対照群の中で174名中156名が生ということは、残りの18名の方は何らかの調理をしたら不活化したというふうに考えることができると思います。すると、そこでどういうふうな不活というか、調理に効果があったのかということを考えると、冷凍以外の方法というものが出てくるのではないかと思います。
 その上で、生で100%起こるんだったらロジスティックス解析するときに対照群から生で食べた人に絞ってやった方が、恐らくオッズ比はきれいに出てくるんじゃないかと思いました。以上です。
○八幡参考人 ありがとうございます。多分そうだとは思っております。特に機序として、先ほどもありましたように冷凍すると不活化する。それから、長時間保存していると不活化するということがありますので、生に関してもどれぐらい保存しているかというのを時間でもう少しやってみようということは考えておりますけれども、今回しておりませんので、今後の参考にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
○山本部会長 ほかにございますか。では、中村先生どうぞ。
○中村(好)委員 今の表についてですけれども、先ほど説明の中で調理法、生のところは統計学的に有意でないのでというようなことをおっしゃっていたと思うのですが、これは症例の方で、生で食べていないのがいない。すなわち、2×2の分割表で1つのセルにゼロがあるので、そこのところは1を加えるというふうにしていますけれども、これは1がいいのか、0.5がいいのか、0.1がいいのかということで随分違ってきます。そういう意味では、余り検定の結果、有意でない、有意であるということは言わない方が私自身はいいと思います。意見です。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
○八幡参考人 ありがとうございます。これはかなり議論があるところなので、今後も参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○山本部会長 それでは、林谷先生どうぞ。
○林谷委員 ちょっと教えていただきたいんですけれども、5ページの先ほどの御説明でヒラメのクドアの汚染状況について平成20年度では60匹のヒラメから1匹検出されたというふうに伺ったのですが、実際にその後の検査で陽性の検体では50%、A県の事例では50%以上ですか。次の6ページのところの表で、A県以外では60%以上のクドアが検出されているということなのですけれども、一般に市場で出回っているようなヒラメでどの程度汚染があるのかという調査がされているのかということと、先ほど養殖の話が出たんですけれども、天然のものと養殖のものでその汚染状況というのは違うかどうか、そのようなデータはあるのでしょうか。
○小西委員 お答えいたします。今、市場に出回っているヒラメの調査はしておりません。平成20年の時点で60尾をやっておりまして、そのうちの1尾からこのクドアが検出されておりますが、それはそれほど多い量ではなかったんです。ですから、それ以降の市場調査はやっておりません。
 それからもう一つの御質問は、養殖場と天然物との違いというものも、正直、天然物というのはそれほど検体というか、消費量が多くないものですから、養殖が需要が多いということから、養殖の方の実態調査というものを今、我々ではなくて水産庁の方にやっていただくようにお願いはしております。
○林谷委員 どうもありがとうございました。
○山本部会長 水産庁から、参考意見みたいなものは何かございますか。
○早乙女水産庁栽培養殖課長補佐 今のお話ですが、我々の方で今回の調査をされている過程の中で養殖ヒラメの中でこのクドアが見つかっているということを受けまして、まず養殖の実態としてヒラメというのは陸上養殖でほかの養殖とはちょっと形態が違うこと、それから先ほど来もありましたが、このクドアというものの生物の生活環ですね。この中で陸上養殖の過程で一体どのような形でそれが入り得るのか、非常に難しいところがあるということで、まず養殖の実態調査を今かけております。
 それで、全県にお願いをして、各養殖場でどのような形でヒラメが飼育されているのかという情報を今、集めましてそれを整理しているところでございます。このうち、ヒラメのクドアについての分析方法が大体確立してまいりましたので、今度は実際のPCR検査なり、あるいは検鏡法により、クドアが感染しているかどうかというデータを更に取っていくということを考えております。
○山本部会長 確認ですけれども、その陸上養殖ということはこの生活環を見たときの交互宿主の片方がないというふうに考えてよろしいのですか。
○早乙女水産庁栽培養殖課長補佐 それは、必ずしも限定はできないと考えております。例えば、陸上養殖の場合に海水をろ過するときに砂を使ったりしている場合もございますから、そういうところにゴカイのようなものがいる可能性はまたございます。
 それと、もう一つ可能性としては、養殖場に入る前の段階の種苗の段階でこれが入ってくるのではないかということも否定しておりませんので、その辺の可能性も含めて検査を実施するということを考えております。
○山本部会長 ありがとうございました。
○渡邉委員 感染研から感染研に質問するのはおかしいのと、私は御説明を受けているのでまたあれするのもおかしな立場なんですけれども、ちょっと確認です。
 この感染事例とクドアの胞子数との相関というのは、最終的にはあるというふうに考えていいんですか。それとも、そこはよくわからないということなのですか。それが1つです。
 あとは、乳のみマウスに下痢毒性を発すると、これは投与後4時間で下痢として排泄された中には胞子が出てくるのか。つまり、この乳のみマウスの中でクドア自身が増殖なり、そういうものをしている結果なのかどうか。それが人間にも当てはまることなのかどうか。その辺の知見があったら教えてください。
○山本部会長 最初は小西先生、その次が八幡さん、それから大西さん、お願いします。
○小西委員 吐しゃ物の中にはクドアは検出されるんですけれども、便の方には検出されない。PCRでやっていまして、今のところはできないという結論になっております。
○八幡参考人 クドア量と発症ということでのお話なんですけれども、私自身の疫学的な関連の中では検討はできていない、データは取れていないのですが、ただ、最後の図にもありますように、モンテカルロシミュレーションをした上でやはり量が多いと発症する。7.2×107くらいの量を取ると発症するということで、ここから大雑把な推論になってしまいますけれども、たくさんの量を取っていると発症するというようなことが考えられるということを私自身、大雑把ですが、推論しております。
○大西参考人 クドアが乳のみマウスの中で増殖するかについてですが、まずは潜伏時間が非常に短いということがありまして、それから先ほど横山先生のお話にもありましたようにクドアが非常に宿主特異性が強くて、かつ乳のみマウスの中では生活環が成立しておりませんので、恐らく増殖はしていないだろうと考えております。
○渡邉委員 では、もう一つ確認ですけれども、ヒトの事例においてヒトに感染したというエビデンスはどこから出てくるのか、その辺をお願いします。
○八幡参考人 私自身は今のところ持っていないのですが、例えば便から取れるとか、吐しゃ物から取れるといったような、特に顕微鏡とかで見られるようなレベルであれば、ヒトに感染して症状を呈したということが言えるだろうとは思っているんですけれども、私自身はその情報というか、エビデンスを持っていないので仮説でしかないのですが、そのようなことは考えております。
○山本部会長 今のことは、感染するというふうに考えているわけですか。そうじゃないということですか。
○八幡参考人 増殖するとは今のところ考えられないんですけれども、特にインキュベーションピリオドが短いということを考えますと、そうすると何らかの生態的な反応が起きて下痢なり嘔吐なりが起こるだろう。
 それで、ひとつ、今回、多分違うだろうとは思ったのですけれども、アレルギーのところもあるかないかを調べたのは、実はアレルギーでの反応ではないかどうかというのをちょっと見ようかと思っていたのですが、有意な差は出そうもないような結果であったというようなことで違うのかなというような印象は持っております。
○山本部会長 小西先生、何か補足はありますか。
○小西委員 この食中毒が感染という言葉が適当かどうかというところまで、まだ言えない状態でございまして、発症形態からいくと毒素性の食中毒という考え方がまず浮かぶだろうと思います。
 それで、予後が良好ということがありますので、一過性で排泄してしまえばもうなくなってしまうということから、感染して体内に長く残るということはないだろう。そうなると、毒素か、先ほど大西先生がおっしゃったような物理的な刺激か、それ以外も当然範疇に入れていかなければいけませんが、そこをフォーカスして今後研究を進めていかなければいけないと思っております。
○渡邉委員 さっきの発症時間はたしか1.5で短いので、それとたんぱくであるかどうかという議論がさっきあったんですけれども、もしこれが感染ではなくて毒素性のものでたんぱくであったのならば、一般的には胃液でやられてしまうんですが、そうじゃない場合というのはボツリヌスとか嘔吐毒がありますね。嘔吐毒はたんぱくではないですね、バチラスの。それと、あとは耐熱性の毒素なのかということを考えた場合、例えば耐熱性の毒素でこういう嘔吐毒というのは今までありますか。
 それから、さっきたんぱくであるかもしれないというふうな話がちょっと出たんですけれども、その可能性というのはあるんでしょうか。
○大西参考人 正直言いまして、現時点でたん白であるというふうに断定できるようなデータは我々は得ておりません。
 それで、先ほど先生がおっしゃいましたように、耐熱性とか、あとは胃液で分解される等についてですが、1つすごく特徴的なのは、このクドアの、例えば超音波で破砕したり、そういったものではこの症状は起こらないということは先ほどのCaco-2細胞の細胞系に関してですが、そういうものは起こらない。
 かつ、凍結したクドアではこの状態が起こらなくて、どうしても生きているクドアが必要だということが前提になっておりまして、これはあくまでも完全なスペキュレーションなのですが、生きているクドアが何らかのメカニズムによって、もし毒素性の場合はそのクドア自身が腸管細胞の中に毒素を注入できるようなメカニズムを持っているのではないかと今、考えております。
○渡邉委員 それでさっきからちょっと聞いているのは、感染性と考えるのかどうか。つまり、便中に出てくるのかどうか。その辺と、生きているということがどういう意味を持つのか。その辺の矛盾点が幾つかあるので、その辺をお聞きしようと思っているんです。
 ですので、これはよくよく慎重に考えないと結構矛盾点が、それを解決するためにどうすればいいかということを少し検討した方がよろしいんじゃないかというのが、今、幾つか質問をしている経過なんです。
 恐らく、この疫学的な解析及び動物実験からすると、クドアが何らか、あとは網羅的ゲノム解析をした場合にそれが有意に出てくるということからすると、何らかの関係性はもちろんあると思うんですけれども、それをダイレクトにそうであるというふうなエビデンスは今のようなことを考えた場合には少し慎重にした方がいいんじゃないか。
 科学的に議論する場合ですよ。印象的にはいいんじゃないかと思うんですけれども。
○山本部会長 ありがとうございます。それでは、どうぞ。
○賀来委員 東北大の賀来です。先ほどちょっと席を外したので、もしかしたらもう既に御質問があったかもしれないのですけれども、感染研の八幡先生に患者さんの背景、対象者についてですが、既往歴としていわゆる抗潰瘍薬みたいなもの服用している方に発症者が多いとか、そういうバックグラウンドはわかりますか。
○八幡参考人 2名ほど胃の薬を飲まれているということで、抗潰瘍薬かどうかまでは効いておりませんでしたけれども、胃薬を飲まれているという方は発症者の中に2名ほどいらっしゃいました。
○賀来委員 特に発症していない方の中にも、抗潰瘍薬を含めた胃酸の分泌などを抑えるようなものを持っていらっしゃる方はおられたのでしょうか。
○八幡参考人 こちらも制酸薬かどうか詳しくは聞いておりませんが、数名ほどおりました。
○山本部会長 ほかにございますか。
○石川委員 日本医師会の石川です。教えていただきたいのですけれども、要するにヒラメは生で食べない方がいい。特に活きのいいものはだめだということが結論でしょうか。
○八幡参考人 私が解析した事例に関しましては、まず養殖である事例ばかりであるということ。それで、天然の事例は数十例のうち1例くらいしかなかったのですが、その1例というのもすごく喫食された方が少ないというような状況ですので、そこから推論するとですけれども、養殖で起きている可能性が高いということがまず1つあるということ。
 それからもう一つは、ヒラメがどれぐらいクドアに汚染されているかどうかということが次の問題だと思います。汚染されていないヒラメを食べればいろいろな実験の結果からもそうなんですけれども、発症はしないというようなことですので、生のヒラメを食べてはいけないというメッセージではないと考えております。
○石川委員 これは子どもも発症しているみたいですけれども、子どもの方が多いとか、そういうことも数が少ないからまだわからないですね。
 それと、このクドアというのがいるのはヒラメだけなんでしょうか。
○八幡参考人 子どもに関しては、子どもが食べられている割合が少ないということですので、子どもが少ないというふうな状況にはあります。
 あとは、ヒラメかどうかは横山先生にお願いします。
○横山参考人 このseptempunctataという中毒の原因になった種類については、現状ではヒラメだけからしか見つかっていません。
○加地監視安全課長 今の石川委員の最初の御質問の食べていいのかどうかということは、この後でまた議論ということで、今はこの原因論といいますか、病因論といいますか、その議論を踏まえた上で次にどう行政的な対応をとるのかということを議論していただければと思っています。
○山本部会長 失礼いたしました。仕分けが悪くて申し訳ないです。
 今のseptempunctataに限定できるのかどうかという問題は非常に大きなところだと思いますけれども、事例としましてはほかのマグロや、そういったものもあるということが報告されていましたね。ですから、その辺との関係がなかなか難しいということですけれども。
○松岡監視安全課長補佐 ヒラメはあくまでも自治体から厚生労働省に上がってきた有症苦情例の中であったということで、よくよく調べていただくとヒラメが中心だったという話で、自治体の方から出たのはヒラメとかサーモンとかいろいろなものが回ってきたのは事実でございますけれども、それが原因の食品かどうかまではまだ研究は進んでいないということはございます。
○山本部会長 わかりました。ヒラメに関してはseptempunctataが原因かどうか、まだ断定はできないかもしれないですが、それが検出されているということで、ほかのもので有症苦情が出ているものについては本当のところの原因というのはまだわかっていないという理解でよろしいわけですね。
 西渕先生、何かありますか。
○西渕委員 それに関して質問しようと思っていたのですが、一部の方はこれをクドア属というふうに呼ばれておられたので、横山先生にもお聞きしようと思ったのですが、ヒラメに特異的なこの種のみが対象になるべきかどうか。今までヒトには害はないと言われていたものの一部に害がありそうだということになったので、ほかのクドア、あるいは粘液胞子虫はどうかということはいずれ考える必要があるかと思っております。
 そうする場合、名称をどうするか。種が確定しているのは、その種を特定して呼ぶべきなのかどうかということです。
○横山参考人 今の段階では、やはりkudoa septempunctataという1種類に絞って話をするべきだと思います。クドア属とか広げてしまいますと非常にたくさんの種類になってしまいますので、それは一つひとつ詰めていかないといけないと思います。
○山本部会長 では、現時点ではヒラメとkudoa septempunctataと関係があって、それが原因となり得るという可能性が示唆された状況ということで御理解いただければと思います。
ちょっと長くなって申し訳ないんですけれども、ここら辺でヒラメの方の質問を終了しまして馬肉の方で何か御質問ございますでしょうか。
 では、甲斐先生どうぞ。
○甲斐委員 またマウスのときと同じような質問で申し訳ないのですが、配られました資料の14ページの下の方のパワーポイントですけれども、ウサギの腸管ループ試験をやられて、そのときに直接検査材料を注入して液体貯留が認められたということだろうと思うんですけれども、このときの貯留量というのはどのぐらいだったのか、データをお持ちでしょうか。
○鎌田参考人 注入できるものがなかなか手に入りにくいですので部分的な成績ですけれども、最も少ない、だけど陽性反応が出たものが3.5mlです。それで、ブラディゾイドというものがかなりたくさんあった状態ではありますが、これが13mlくらいの液体貯留がありました。
○甲斐委員 13mlというのは、ループ当たりですね。ということは、ループは10?程度ですか。
○鎌田参考人 実際に測りましたら、6?から12?の間です。
○甲斐委員 普通、液体貯留量というのはループ1?に対して何?というような表現方法を使われるかと思うのですが、レーシオ(ratio)としては1から2と理解してよろしいでしょうか。
○鎌田参考人 そのとおりです。
○甲斐委員 それで、その貯留液というのは、色はどんなものだったのでしょうか。
○鎌田参考人 多少、血清の少しかき色っぽい、茶色っぽい液体の貯留です。
○甲斐委員 それで、ウサギのループ試験をやって、それで反応を見るまでの時間というのはどのくらいたつと反応が出るということですか。
○鎌田参考人 これは、1点だけの実験しかしておりません。夕方、5時、6時に実験が終わりまして次の日ですので、十数時間の結果です。
○甲斐委員 その時点で1から2の値だったというふうに理解してよろしいですね。どうもありがとうございます。
○山本部会長 ほかにございますか。どうぞ。
○阿南委員 外国産だとシスト検査でも感染率100%という結果が出ていますし、15ページの症例タイプの汚染調査結果でも結構輸入品の割合が高いわけですけれども、外国ではこれだけあるということは、外国の方がむしろ日本よりもこういうことを把握していて何らかの規制があるのかどうか。もちろん生では食べないでしょうから、生で食べないという規制があるのかとか、それを前提にした規制の枠組みがつくられているのかどうか。もし御存じでしたら教えていただきたいのですが。
○鎌田参考人 生で食べませんので事件の報告はないです。行政の方は、行政の方からお願いします。
○松岡監視安全課長補佐 まだ研究段階で検証も必要だということで、特定の名前を挙げてはいないんですけれども、今、日本での馬刺しの一番中心になる自治体と、外国で一応途中まで肥育したウマを日本に輸入するような形態もあるということで、そういうものについては外国産というところに入れていますが、そのようなウマを調べたところこういうデザインになったということで、実際に向こうの国では今、先生がおっしゃったように実際にウマを食べるような習慣も生で食べるような習慣もないということで、今は慎重に事態を進めているということで、政府間でそういう規制の方とか、そのようなところまで調べていないという実態でございます。
○山本部会長 ちょっと理解が異なっていると思うんですけれども、ウマとして輸入される話で、これは馬肉として輸入されているわけではないんですか。外国産というのは、そういうわけではないんですね。
○事務局 説明させていただきます。
 まず私の理解なのですが、こういったウマのSarcocystis fayeriというもののいわゆる食中毒とか、そういった健康被害というようなものはこれまで世界的にも報告されていないというふうに理解しておりますので、そういった対策等についても今回この場で初めてこういう報告をさせてもらっているということになります。
 そういった意味で、市場で購入する外国産というのはいわゆるスーパーとかで売っているもので外国産というふうに書いているものですので、これはいわゆるJAS法で成り立つ外国産というものになっておりますので、外国で肥育されたというか、外国で生まれたウマを生体で、生きているウマで輸入されて、それを国内で肥育されるというものも外国産というふうに表示されて売られております。
 片や、もう一つの実態調査の方で説明させてもらっている15ページの下の方の図なのですが、こちらはその表に輸入品というふうに書かれているとおり、これはウマの肉として輸入されているものと理解していただければと思います。
○山本部会長 ありがとうございました。
○渡邉委員 15ページの下の図ですけれども、この陽性数というのは1×106以上あれば陽性というふうに読んでよろしいのですか。それが陽性とされた理由というのは、食中毒喫食残品の2検体の中で1.2×106と6.6×106があったからということですか。
○八木田参考人 そういうことです。
○渡邉委員 そういうことですね。それで、それ以下でもって起こらないというデータはありますか。
○八木田参考人 この問題があったものに関しては国内の2件だけなんです。それがすべてです。そこの最少の検出量というものが1.2×106です。
 ですから、これ以下で感染、トラブルが起こるかどうかというのは恐らく今後あり得るかと思います。といいますのは、もっとたくさん国内で事例を調べて、この数よりも少なくなる可能性はまだ残っているというふうに考えております。
○渡邉委員 そうすると、これは陽性と書くとちょっと語弊が出てきて、これ以下だったら何か起こらないというふうに、このまま出ちゃうと読んでしまう可能性があるので、正直に言えば、要はわからないということですね。
○八木田参考人 そうですね。
○渡邉委員 あとは、14ページの上の方に苦情馬肉のシスト検査というものがあるんですけれども、これは結構な量で事例番号1から9まであるというのは、この事例というのは、苦情というのは何か症状を起こした人との関係があるという意味ですか。
○鎌田参考人 そうです。完全に患者さんがこれを食べたよというところまでの証拠があるのと、そこまでつかみ切れていないものもありますが、有症事例というふうにして地方衛研から上がってきたものを、その検体をいただいた分析した結果です。
○渡邉委員 これを見る限りにおいては、ブラディゾイト換算数というのは一番少ないものでも1×106ですね。これは、さっきの15ページの下の図と合わせて考えるとどういう値ですか。グラム肉重量なんですか。その単位はどういうものですか。
○鎌田参考人 まだすり合わせができていません。今後、八木田先生と私どもの間でそれをやって、先生がおっしゃるどれぐらいで線引きができるのかということを極めないといけないと思っております。
○渡邉委員 これは重要で、次の検査にも響くので。
○鎌田参考人 そのとおりかと思います。
○加地監視安全課長 ちょっと追加いたしますと、有症苦情というのは結局その原因物質、病因物質が判明しないので、食中毒様の症状を起こしたけれども食中毒として特定できなかったというものでございます。
○山本部会長 これも、さっきの議論と同じようにfayeriだけを考えてよろしいですか。それ以外もまた考えなければいけないんでしょうか。
○鎌田参考人 最初に私から申し上げます。調査できているのはfayeriだけです。八木田先生がおっしゃいましたように、まだウマに寄生するものがいますので、調べないとわからないというのが正直なところです。
○八木田参考人 その可能性は念頭にございまして、定性PCRというものをまずやってみたんですけれども、今のところ1種類のシークエンスしか出てこない。
 ただし、これは多分メジャーなものであるという可能性がありまして、もしかすると数%のものは別なものが入っているかもしれない。それが、もしかしたら原因である可能性もまだ排除はできないという状況にあると思います。
○山本部会長 ちょっと事務局の方に聞きたいんですけれども、こういうSarcocystisの事例というものを報告するようにというような通知は出してはいないんですね。
○松岡監視安全課長補佐 はい。出しておりません。
○山本部会長 わかりました。
 予定より30分もオーバーしてしまって申し訳ないのですが、それでは次に対策を考える上で必要なことということで、先生方に御報告をいただきたいと思います。小西先生、横山先生、八木田先生、鎌田先生の順でそれぞれ5分間ずつお願いいたします。
○小西委員 では、早速、予防対策のことについてお話させていただきたいと思います。
(PP)
まず、予防対策の前に、クドアの検査法というものを確立することが重要だということがありますので、この検査法の確立を行いました。
検査法と言っても大きく2つに分けられまして、食中毒の原因究明のための検査法と衛生管理のための検査法、この場合ですと養殖場でのモニタリングのための検査法でございます。食中毒の原因究明のための検査法におきましては、先ほど来からkudoa septempunctataが推定の原因物質であろうということはわかっておりますけれども、広くクドア属という観点で我々は検査法をつくっております。そのため、septempunctataは特異的なプライマーではなくて、クドア属に反応するようなプライマーをつくっております。DNAを用いた定量リアルタイムPCRをつくりまして、そのテンプレートもつくっております。これにより、各検査法が違って機種など違っていても定量数値というものを一致させることができる予定でございます。近々、コラボラティブスタディを行う予定でございます。
それと、このPCRでこのクドアが確認された場合でも、一応顕微鏡の所見でクドア胞子を確認するということはセットになって進めていきたいと思っております。
次に、養殖場でのモニタリングのための検査法でございますが、この後に横山先生から詳しい御説明があるかと思いますので、ここは省略させていただきます。
(PP)
次に予防対策でございますが、まず疫学的な観点から今までのデータを重ね合わせて何かしらの予防対策はないものかと思っておりまして、季節性と、それから取扱い量などを見てみました。左側にお示しいたしましたグラフは取扱い量と、それから事例のグラフでございます。このように取扱い量は線グラフで表してございますが、12月から1月にかけて取扱い量は増えております。しかしながら、事例は7、8、9、10、夏に多いという季節性があることから、この取扱い量とは逆の相関が見られ、量が多いから発症が多いというわけではないことがわかりました。
右側のグラフを見ていただきますと、今度は水温との相関性を見てみました。そうしますと、夏には養殖場の水温が上がってくるということと一応一致いたしまして、何かしら水温と事例数というのは関連があるのではないか。要するに、低温では発症しにくいのではないか。これを利用して何か予防策はできないだろうかということを考えております。
(PP)
 次に、実験的な観点から見まして、この表の左の欄を見ていただきますと冷蔵、用量依存、冷凍、pHの変化、しめた後の処理、それから過熱という項目でその毒性の変化を見ております。それを見ますと、冷蔵では先ほど来から言っておりますように、日数とともに毒性は減少していきますが、1週間ぐらいはこの毒性を保っていることが種々の実験から確かめられております。
それから用量依存性ですが、これはスンクス、乳のみマウス、それからヒトのCaco-2培養細胞からもすべてにおいて用量依存性があることがわかっておりまして、非常に大量にないとこの特性は出ないということが推察できると思います。
冷凍に関しましては、‐80℃で2時間、‐30℃で1日、それから‐20℃で4時間以上置きますと、完全に毒性は失活しております。
それからpH、お酢に漬けたり等調理的な変化ではどうかと見てみましたけれども、これは乳のみマウスで見ておりますが、pH4から8の処理では毒性の変化はありませんでした。
それから、しめた後の処理でございます。氷漬けにしておくと失活する可能性はあるようなデータが出ておりますけれども、ばらつきが今の段階では多いため、これを常用する前にもっと条件の検討が必要です。しかし、可能性がないわけではなさそうという結果が得られております。
次に加熱でございますが、これは完全に75度を5分やりますと失活します。
(PP)
 まとめでございますが、冷凍とか過熱ではクドアの毒性がなくなることは確かめられました。しかし、お刺身で食べるヒラメにおいては現実的にはそぐわないので、このほかの方法も検討しなくてはいけないのでしてみました。
 1つは、これは一番重要ですけれども、養殖場での管理、要するにクドアがいるヒラメを育てない、出荷しないということで、この汚染は止められると思います。それには低温の環境の飼育が有効かもしれない。そういう観点からも実験を始めております。
それから2番目にしめた後、またはしめ方などによっての予防対策というのが重要ではないか。1つは、氷漬けの保存で一部に良好な結果が得られていますが、再現性については検証が必要であるという状態でございます。以上です。
○山本部会長 ありがとうございました。続いて、横山先生お願いします。
○横山参考人 私の方からは、養殖場の生産現場で感染を防除するとか、あるいは感染してしまったものを正確に診断して、それを排除するということができないかということを調べてきています。
(PP)
 このスライドにありますように、ヒラメの筋肉に寄生する粘液胞子虫、今回問題となっているのはseptempunctataですけれども、それ以外にも実はkudoa thyrsitesというのと lateolabracisという、これらはジェリーミートの原因になるもので食中毒のものではないですけれども、こういったクドアが存在します。
 存在というか、常にあるわけではなくて、ごくまれにですけれども、ぽつぽう出てきます。ですから、この3種類はきちんと識別して診断しなければいけません。つまり、septempunctataとそれ以外とは分けなければいけない。
 そのためには、この写真にありますけれども、形態的には極嚢の数で簡単に区別できます。Septempunctataは極嚢が6個から7個であるのに対して、あとの2つは4つですので、胞子が観察できれば簡単に分けられるんですが、胞子形成前の段階、もっと感染初期の段階、具体的にヒラメで言うと種苗の段階では検出できない。胞子をつくっていませんのでわかりません。ですから、遺伝子に基づくPCR法が有効ということになるんですが、先ほど出てきました定量リアルタイムPCRのようなものでは18SrDNAのデータに基づいていますけれども、クドア属の18Sというのは非常に保存性が高いので3種類とも引っかけてしまう可能性が非常に高いんですね。ですから、こちらではこの3種類を分けるということを目的にして別の領域のデータを基にしました。
(PP)
 それが次の「PCR法による検出」で28Sという領域、この方が変異が高いので、それぞれに特異的なプライマーというのを設定しまして、結果的に3種類を分けるということが可能になりました。
 Septempunctataについては、このプラスミドに導入して希釈系列をつくることによって非常に微量なものでも検出できるということで、下のテーブルで顕微鏡とPCR検査の長所、短所をいま一度確認してみますと、顕微鏡では胞子の形態で識別は簡単ですけれども、短所としては感染初期には検出ができない。それに対してPCRは全発育段階で検出できますし、また、種特異的で高感度である。
 これは当たり前のことかもしれませんが、感度というのは具体的に言いますと、顕微鏡では検出限界が1g当たり2万個ぐらいないと見つからないのですが、PCRでは換算しますと240個で見つかる。100倍ぐらい感度が高いということになります。
 ただ、短所としてはあえて挙げれば時間、コストがかかるということが言えると思います。
(PP)
 そこで、実際のヒラメについて検出ができるかどうかやってみました。どこを調べるかというところから入りまして、有眼側と無眼側、表と裏ですね。そこから3か所ずつ取りまして、肉片を取ってホモジナイズしてろ過して顕微鏡で胞子密度を測定してみたところ、その6か所の間で大きな偏りはないというデータが出てきましたので、一番取りやすい有眼側の中央部から肉を取ってDNA抽出してPCR検査すればよろしいのではないか。
 ここでは更に、水産の現場ではPCRでさえも置いていないようなところもありますので、もっと簡単にできないかということで簡易的な診断法を評価しました。これは鰓蓋、えらぶたの裏のところの筋肉をちょっとメスで傷を付けて、綿棒を突っ込んで、ちょっと肉片を取ってスライドグラスに置いて、カバーグラスをかけて顕微鏡で検査すると。
 そうすると、さっきのように1g当たり何個という定量的なデータは出ないですけれども、寄生しているか、していないかということでは1の方法と検出率に差はないということがわかってきました。このエラブタの裏というのは、表から見えないですので、商品価値を損なうことがないという意味でも現場的に有用です。
(PP)
 そこで、養殖現場における診断法ということで、養殖のスケジュール別にどういった方法が考えられるかといったことをまとめてみました。種苗導入時には胞子はできていませんので、顕微鏡的な方法は使いません。
PCRが有効ということになりますので、種苗を幾つかサンプリングして調べる。あるいは、非常に小さい魚だったらプールしちゃって一緒くたにしてとにかく陰性のロットだけ購入する。これだけでかなり防除はできると思います。
ただ、養殖期間中に感染しないとは言えませんので、その間、定期的にサンプリングしてモニタリングする。それは、PCRが使えるんじゃないか。もちろん、並行して顕微鏡検査を行ってもいいだろうと思います。
最後に出荷前に、これはさっきのえらぶたの裏の簡易検査によって一時スクリーニングを行って、それでいたものについてのみ胞子密度を測定して定量的なデータを出したり、定量PCRでもいいでしょう。最終的にはPCRで確定診断をするといったことで、感染ロットを特定できるのではないかと思います。
 今後の研究として、この下に2行ありますけれども、養殖期間中に感染が起きないように防除する給水処理法と、先ほどありましたが、ヒラメというのは陸上養殖で養殖されているという点がありますので、水を処理することによって感染体が入ってくるのを排除することが可能である可能性がある。それを検討する必要がある。
 第2は、これは研究というよりは行政的なところもあるんですけれども、こういった検査をしている間に、要するに養殖期間中とか出荷前にポジティブに出てしまった。PCRだけでポジティブで胞子は見つからないというのは非常に軽い感染だと思う。そういうものがあり得ると思うんですけれども、それは恐らく食中毒にならないのではないか。
 先ほどあったように用量依存性というものがありましたので、非常に軽い感染の場合、そういったロットの場合においても処分させるのかどうか。あるいは、ここにちょっと書きましたけれども、何らかの基準値を設定して、これ以上あればだめということにするのか。この辺りについては、今後の検討課題かと思っております。以上です。
○山本部会長 ありがとうございました。続けて、Sarcocystisの方も御説明お願いいたします。
○八木田参考人 私の方は、先ほど御報告いたしましたデータで、こういう方法でやりましたということの御説明をしたいと思います。
(PP)
 まず最初のスライドは、馬肉の試料からどうやってDNAを抽出するのかということを検討しました。実は、これは一番この問題では大事な点かと考えております。
 といいますのは、横山先生のお話にもありましたように、やはり現場でこれからルーチン的にやらなければならない検査といいますと、どうしてもたくさんの試料をほぼ同時に、かつ簡便に迅速に行わなければならないというような必要性に迫られると思います。
 いろいろな方法がありまして、肉から抽出するには大きな肉片をそのままプロテアーゼみたいなものを溶かして、全部のDNAを回収するという方法もございますが、そういった形ではちょっと対応が難しいかなという点と、あとはPCRというのはとても交差汚染が恐ろしいといいますか、これに対しては十分に注意しなければならないということで、今回に関しましてはごらんのような非常に手作業が多いやり方なのですが、こういった形でDNAを抽出しました。
 具体的には、一番上にお肉の写真がございますが、こういった形のものを検査することになると思います。こういう黄色い丸から最終的には0.3mgぐらいのお肉を取って、カミソで今回は十分つぶして、要はミンチ状にします。プロテアーゼで完璧にこの肉片を溶かし切るというのではなくて、まずミンチ状にする。そこに適当なバッファーを入れまして攪拌して、その上澄みからDNAを抽出するという非常に簡便な簡易な方法を取っております。これが、DNAの抽出法です。
(PP)
 このように調整しましたDNAを、まずは定性PCRで検査しようといたしますと、そこにございますようなプライマーを使いまして18SrRNAの1,100bpを増幅します。この1,100bpの間に可変部という形でだいだい色の線が下の方に書いておりますが、いろいろな種類のSarcocystis18Srをアライメントと言って並べてあるわけですけれども、このように種によって異なるところがございます。
 そこを外して、多くのSarcocystisが反応するような部分を選んでやる。これが定性PCRです。先ほどお話がありましたが、fayeri以外のものはどうかという場合には、この可変部の中で種特異的なプライマーをデザインしてやれば、調べたいSarcocystisが調べられるということになります。
(PP)
 あとはもう一つ、定量PCRの方ですが、これはほとんど一般的なほかの微生物のやり方と同じです。DNAの材料さえ手に入れば同じだということで、このスライドの右の方には、現在こういった形で条件設定をしてやっている。左の方は検量線と言って定量PCRで一番大事な条件ですが、検量線がきちんと引ける実験条件であるということです。これは、確認する必要があります。
 ここで1点だけお示ししたいのは、このグラフの下の方に喫食馬肉のデータ範囲というふうにちょっと赤い線で引いてございますが、これが先ほどの表の1.2×106から6.6×106に相当するところでございます。現在この部分が、要するに喫食材料から得られているデータで、それより下の方に下がりますともっとたくさん検出されました。左上にいくに従って数は少なかったですということを示しております。今のところ、右の下の方に落ちていくものがあって、これが先ほどの輸入試料などの材料が落ちてまいります。
 こういった形で、まだ基準というところまではいきませんが、汚染を相対的に材料間で比較するという点に関して、一応定量PCRが使えるかと考えております。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、続けて鎌田先生お願いします。
○鎌田参考人 若干、疫学的な情報を先に御説明いたします。
(PP)
 まず、左側の数字がいっぱいある方ですが、市販で売っておりますウマの肉、馬刺しなんですが、21か所食べられる部位がございます。その21か所から、ブロック肉の5か所を取りまして、1cm2当たりの組織切片を切って顕微鏡ですべての領域のシストを数えた。それを表にしたものです。AからEまでが外国で生まれて日本で肥育されたウマ、F、Gが国産です。
 ぱっと見ていただきまして、国産にはこのときにはいなかった。それから、上から2番目のタテガミというところはゼロ、ずっと下がりまして心臓、肝臓、心根と読むんでしょうか、ここの部分にいない。内臓と、それから脂肪の非常に多いところにはシストは存在しないということがわかりました。
 その残りの喫食可能な部分で筋肉が含まれているところなんですが、所々にゼロがあり、1があり、小数点1けたがあり、じっくり見ますと26ですとか22とかという数字が出てまいります。おわかりいただけますでしょうか、小さくて申し訳ありません。
 これを見ましてまとめますと、シストの分布の特徴が出てまいります。まず、外国で生まれたものに特定できることではあるんですけれども、喫食部位の多くの筋肉のところにはとにかくシストは基本的にはいるんだろう。ところが、その数なのですが、非常に少ないのが普通で、所々にぽこっ、ぽこっと高濃度にシストが存在するという状態になっている。こういうふうに、この表は読み取りました。
 それで、有症苦情事例の馬肉のシストを調べてみますと、1cm245から420ぐらいいる。これを馬肉部位別のシスト数の一番下、平均シスト数を見てみますと、1.5とか7.4とかという数字が出てまいります。
 この検査結果から、先ほどのシストの分布の特徴で言えることがありまして、喫食部位の大きなシストは存在するけれども、基本的にそのシストというのは非常に少ない。有症の事例から比べても少ない。所々に高い部位が存在するのではないかという結果になります。
(PP)
 次に具体的な制御方法ですが、食品中に含まれている寄生虫の制御法に冷凍処理を行うということはもう既に事例がございます。そこで、2つの方法で冷凍の効果を試しました。
 まず、馬肉、ブロックをつくっておきまして、それを凍らせます。一定温度、一定時間キープいたしまして、その後、解凍してシストを取り出して、そのシストを染色いたします。トリパンブルーというもので染色しますと、中にいます感染性虫体、ブラディゾイトが死んでいる場合は染色され、生きている場合は染色されません。この方法で、ブラディゾイトが生きているか、いないかというのを検討したのが真ん中のカラムです。冷蔵ですと長期間生息いたしますし、温度が下がりますとより短い時間でブラディゾイトの染色、死んでいるものだけを染色するということで染まってまいります。
 これではブラディゾイトが死んだ、死んでいないだけになってしまいますから、実際に人間が食べたときの状態を想定いたしまして、もう少し違う分析をいたしました。馬肉を冷凍して一定時間キープするというのは同じなんですが、その後、シストを取り出しまして人工胃液の中で15分間ほど処理をいたします。その人口胃液には、たんぱく分解酵素でありますペプシン、それからpH3ぐらいの酸状態をつくってあります。
 その状態で15分間キープ、シストと人工胃液の状態で37℃で反応させて、シストは当然なんですけれども、ブラディゾイトを顕微鏡下でいるか、いないかという方法で見たものです。こうしますと、‐20℃では2日間ぐらいでいなくなる。それで、温度が下がるに従って短い時間でブラディゾイトが消失している。液体窒素で凍らせると、わずか1時間でよろしいという結果があります。
(PP)
 今の考え方を整理しましたのが、冷凍処理によるシストの毒性死活のことであります。通常、馬肉の中にいますシストといいますのは冷凍状態で元気でおります。つまり、毒性を持っております。これは胃の中のアルカリや酸、たんぱく分解酵素にシストは強い耐性を示す。生きているからですね。そのシストに対して冷凍処理を行いますと、シスト壁が障害を受けます。それで、馬肉と一緒に食べましたときに、そのシストが胃である程度破壊させてしまう。ブラディゾイトも死滅する。ここで冷凍庫処理を行って、シストの健全性を失わせさせると胃の中で壊れてしまうというストーリーです。
 最後の部分ですけれども、今のところ我々としましては毒性たんぱく質というのがぼんやり見えておりますので、この毒性たんぱく質が失活するというところを見たい。行政的には、このブラディゾイト失活のところでよろしいかと思います。
(PP)
 「馬肉制御法の指針」としましては、考えていることであります。現在、手に持っております成績から言いますと、‐20℃で48時間ぐらいの保持を冷凍処理してやるのがよろしいだろうと考えております。
 しかし、先ほど申し上げましたように実際の事例ですね、非常にたくさんのシストが存在しています。感染はしていますけれども、シストは存在していますが、スクリーニングをかけますと少しずつシストの数は少ないです。ひょっとしますと、スクリーニングをして何かしらの制御ができるかもしれない。生で食べられるような状況があるかもしれないとも考えていますが、現在の状況では冷凍が望ましい。シストの分布は少ないけれども、喫食できるいろいろなところに寄生がおりますので、これへの対策としては冷凍が望ましい。
それから、日本国内で生まれたウマと外国で生まれたウマとでは非常に大きな差がありますので、制御としてこれへの対応も必要だろうという結果です。
○山本部会長 どうもありがとうございました。
 次に、こういったヒラメと馬肉に対する対策、予防法について少し議論いただきたいのですが、時間が大分なくなってきているのですが、事務局、もう少し延びても大丈夫ですか。
○加地監視安全課長 会場は、あと1時間ぐらいは大丈夫です。
○山本部会長 今日お帰りになる先生もおられると思いますので、なるべく早く進めていきたいと思いますが、私から2点お願いしておきたいと思います。
 まず、冷凍というものがひとつ見えている話なんですけれども、ヒラメそのものが冷凍すると食品としての価値を失ってしまうということが対策のネックになる可能性が1つです。それで、馬肉の方は冷凍の可能性というのはかなり有望なところが見えているのかもしれない。ですから、その辺も考慮しながら少し予防法の議論をしていただきたい。
 もう一点、小西先生にお願いしておきたいのですけれども、検査法のコラボの話です。原因究明の方に関しては、余りコラボというよりも、検出できる方法論であればそれでいいと思うのですが、実際に現場で使うものに関しては、ある基準以上のものが入っている場合に必ず検出できるという方法であるということをコラボスタディによって確認しておいていただきたいんです。
 ですから、どちらかというと横山先生がつくっておられる方法が、コラボスタディでどこでもだれでもある一定量入っていれば必ずできるというようなこと。それから、馬肉の方でもどのぐらいの量があれば必ず現場で見つかってそれを基準として検査できるというところをしっかりと押さえていただきたいと思っております。
 それでは、予防法に関しまして何か御意見はありませんか。もしくは御質問がございましたらどうぞ。ヒラメの方で決定打というのはなかなか難しいところがありますが。
 では、石川先生どうぞ。
○石川委員 さっきからしつこくやっていますが、そうしますとこれは例えばヒラメの活きのいいものは危ないことがある。特に養殖場のものでは危ないことがあるということだけでも流れますと、今はやりの風評被害ではないですけれども、生ではほとんど食べないということが起こるわけです。ですから、そうじゃなくて、私も食べたいのでこれがちゃんと食べられるように正確な情報を流すということは必要だと思います。
 それで、1つお聞きしたいのは、私たちはいけすのところにいるヒラメをすぐ食べるということがあります。私はすぐしめるのは好きじゃないんです。おいしくないですから。しかし、いけすの中でこれが感染するということはあるんですか、ないんですか。
○横山参考人 いけすというのは、料亭とか、そういったところですね。そこでは、まずほとんどあり得ないと思います。
○山本部会長 もともと持っているものがそこに入ってくれば、人に症状を起こすという可能性はあるということで。
○横山参考人 もちろんそういうことです。
○山本部会長 そうですね。その中で増えたりとかということではないというふうに考えてよろしいですね。
 では、渡邉先生どうぞ。
○渡邉委員 PCRをこういう基準に入れるというのは今までありましたか。多分ないですね。私の知っている限りもないんです。かなり重要なことなんじゃないかと思います。
 ないということでよろしいんですね。
○加地監視安全課長 ないです。
○渡邉委員 そうすると、ヒラメの場合には養殖期間中にPCRが陽性のものは皆、排除するということになるんですか。それとも、そうじゃなくて参考資料として使うということですか。
○加地監視安全課長 そこは、行政的な手法としていろいろな方法があると思うんです。一番厳しいのは規格基準にしてもう流通を認めないという話なのですが、この場合は生で食べることがそのリスクが高いということですので、それが本当に生食用としていくものとそうでないものと今度は分けるという、牡蠣のようなやり方もございますし、もう少し緩いところでいけばこういう努力目標をつくっていただいて全体のリスクを下げていくということもあろうかと思います。
○山本部会長 現時点での養殖場での汚染状況にもよっていると思うんですけれども、まずはそこが本当に下がってくるとほとんどのヒラメは食べていいということになるのではないかと思いますが、どれぐらいのサイクルでヒラメというのは成長して出荷されているということなのか、水産庁から何か御説明がありますか。
○早乙女水産庁栽培養殖課長補佐 今の養殖の形態であれば、1年くらいの飼育期間と想定していただければ、おおむね1キロくらいのものが流通形態です。それを2年、3年と持っている例はほとんどないと思います。
○山本部会長 1年で出荷してしまうと、そこの水槽というのを完全に空にして、また新たなものが群として入ってくるというふうに考えてよろしいですか。
○早乙女水産庁栽培養殖課長補佐 はい。そのように考えてよろしいかと思います。
○阿南委員 私は、風評被害ということもあるのだけれども、それはやはり正確に情報を伝えないとかえって風評被害は広がると思うのです。ですから、ヒラメを生で食べる時にはリスクがあるということをはっきりと伝えで、それはどういう症状なのかということもちゃんと伝え、この18ページのまとめにありますけれども、養殖場での管理の仕方ですとか、それから氷詰めで保存するとか、こういう防護対策を促進していくということが重要ではないかと思っていまして、そういう努力の仕方についてもちゃんと説明していくことが必要ではないかと思うんです。ですから、そういうリスクを隠すのではなくてちゃんと伝えて、どういう施策をとっていくのかということをちゃんとはっきりと説明することが重要だと思います。
○山本部会長 その伝え方がなかなか難しいところがあるんですけれども、どの時点まででひと段落するかというか、生産段階がそれを排除することが可能なのかということがかなり大きなキーポイントになってくるような気がしております。
 ですから、一概にその基準を設けて規制していくという形よりは、もう少し現実的な対応の規制ということの方が今の段階ではよさそうな気がいたしておりますが、座長が余り話し過ぎるとよくないので、皆様方からもう少し御意見がありましたらお願いします。
○今村委員 対策として、恒久的な対策と当面の対策という意味で2種類検討が必要かと思うのですが、当面の対策という意味では先ほどのヒラメのデータを見させていただいていると、夏場にかけて増えていくということであれば、今年の夏にかけてどうするのかということが目の前の問題としてあるのではないか。これだけリスクがあるということがわかってきているんだったら、その情報発信というものはやるべきではないかと思います。
 ただ、風評被害というのは当然考えられて、それをどこまで受け入れてもらうかということが当面の対策としてあるのかなと。その上で、恒久的に温度管理をするとか、検知法を確立するとかということは、当面の対策がどれだけ長持ちする対策かということと兼ね合わせて考えていったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本部会長 ありがとうございます。確かに、この夏場に向けては非常に緊急を要するのかなというふうには考えます。
○小澤委員 この症状は、2、3回嘔吐をするとけろっと治ってしまって、例えば生命に危険が及ぶというような非常に重大な、あるいは重篤な食中毒とは考えられないです。だから、そこはちょっと考えなくちゃいけないので、規制だけ先にありきという議論は私は時期尚早ではないかと思います。
 もう少しよく調べた上で何か予防法とか、そういったものがもう少しつまびらかになってから考えてもそんなに緊急性を要するような、例えば明日にでも人が病気になって入院をするとか、そういった類いの食中毒ではないということははっきりしていますので、更に言えば命取りになるようなものではないので、余り緊急に何かやらなくちゃいけないという切迫感を持って議論すべき話ではないと考えます。
○山本部会長 ありがとうございます。確かに症状は一過性であって、しかもそこまで重篤なものではない。予後は非常に良好であるということを考えますと、もう少し研究の成果を待ってから本当の意味での規制をどうするかということにしてもよろしいかと思いますが、ヒラメとクドアに関してほかに御意見はございませんか。
 石川先生、どうぞ。
○石川委員 それはしかし、一応何回か吐く、あるいは下痢が出るというのは、例えばこれは子どものデータも有症状であったようですけれども、1歳からあったんですね。そういうこともありますので、それはわからないんですね。症例が少ないからそうであってということで、実際に先ほど阿南さんがおっしゃいましたように、正確に一応事実は伝えた方が私はいいんじゃないかと思うんです。その上で、そこは軽い症状だから大丈夫なことは多いけれどもということで、わかったことは国民に教えた方がいいと思います。
○谷口委員 実は私も非常にこれは軽症なのですが、これまできちんと詰めてこられて、まだまだわからないところはあるのですが、すべてのデータに一貫性はあると思います。ラボ、毒性、あるいはエピ、皆、一貫性があると思います。だから、やはりここまでわかっている段階では、まだわからないことが多いんだけれども、わかっている段階で何ができるかということを考えるべきだろうと思いますし、その点においてこれは注意深いコミュニケーションということが最も適切な方法ではないかと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。そうしましたら、クドアの議論としてはここまでわかった情報について適切なリスクコミュニケーションを行うということが1点あるかと思いますし、または予防策につきましてもさまざまなことが提言されるわけですけれども、ここで今これだけでOKということはちょっとないようなのでもう少し検討が必要ですが、我々の意見として厚生労働省側にお伝えするという形で提言できればと思います。
 あとは、Sarcocystisの方について何かございますか。
 では、Sarcocystisの方については特にないということでしたら、冷凍などが有力な手段だろうということの御意見があったということと、これも実際にどういうふうにするか。そのまま生で食べないようにということを注意喚起するということですね。そういうことが必要になってくる可能性は十分あるので、その辺をきちんとリスコミするということになるかと思います。
 これまでのところで、少し提言の案として私の方で最初に考えていたものがあるんですけれども、事務局、いかがいたしますか。
○加地監視安全課長 見ていただいて、御提案していただいて、それでもし付け加えるところがあれば付け加えていただくような形で。
○山本部会長 それでは、用意したものがありますので、提言の案ということで皆さんにちょっと見ていただいて、付け加えることがあればそこに付け加えるということで我々の提言にしたいと思います。
 では、事務局から配っていただけますか。
(提言案配布)
○山本部会長 「生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例についての提言」ということで、この段階ではここに食中毒という言葉を入れておりません。ですから、まだ原因不明で因果関係が本当にわかったのかという部分も若干残っているところがあるわけですが、今のところここでの議論の中でヒラメとクドア、それから馬肉とSarcocystis fayeriの2つでしょうか。クドアと言ってもクドアはSeptempunctataに限定した形にはなると思います。
 それで、中身については事務局の方から読上げをしていただいて、皆さん方に確認をしていただいた後、御意見をいただきたいと思います。
○加地監視安全課長 申し訳ないのですが、1と2については概要を書いているだけでございますので、もし後でお気づきの点があったら修正させていただくようにして、時間がございませんので、3の「提言」のところを読み上げさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○山本部会長 それで結構だと思います。よろしくお願いします。
○松岡監視安全課長補佐 それでは、松岡の方から3の提言からまいります。
「3.提言
(1)ヒラメを介した有症苦情事例の予防方法
?養殖段階における対策
・養殖現場に稚魚を導入する段階で、汚染稚魚を排除することが重要な対策となりうる。
・養殖時の飼育環境からの汚染を防止することも対策となりうる。
・出荷前の養殖場における汚染のモニタリングも有効な対策となりうる。
?流通・加工段階における対策
・冷蔵や冷凍の条件によって失活することが示されたので、研究でしめされた条件をもとに対応することが考えられる。
 -15℃~-20℃で4時間以上保管する方法、ヒラメの表面を真水で作った破砕水で12時間以上被覆する方法
(2)馬刺しを介した有症苦情事例の予防方法
?農場段階における対策
・Sarcocystis fayeriの生活環が判明していることから、馬の感染を防御することが重要な対策となりうる。
?流通・加工段階における対策
・冷凍によって失活するので研究で示された条件をもとに対応することが考えられる。
 馬肉を-20℃「中心温度」で48時間以上、-30℃「中心温度」で36時間以上、-40℃「中心温度」で18時間以上及び急速冷凍装置を用いた場合は-30℃「中心温度」で18時間以上を保持する冷凍方法、並びに、液体窒素に浸す場合にあっては、1時間以上保持する方法。
(3)今後の課題
 病因物質不明有症事例について、下記の事項について対応をとることで発生防止を図ること。
・都道府県等は、引き続き、病因物質不明有症事例について調査情報等を国に提供するよう努めるとともに、国は、都道府県等と連絡を図ることにより、事例の収集に努めること。
・病因物質の失活条件に関する調査研究をさらに進めるとともに、明らかになった事実は速やかに公表していくこと。
・養殖場、農場等においては、生産の段階での病因物質排除等の可能性を検討すること。
・病因物質を特定すること。」
 以上でございます。
○山本部会長 ありがとうございました。それでは、この提言の部分につきまして、御意見がございましたらお願いいたします。
 では、石川先生どうぞ。
○石川委員 馬刺しのところで、農場段階における対策というのはウマの感染を防御することは重要な対応と、今までの議論の中で何かありましたでしょうか。イヌを牧場の中に入れないとか、そういうことですか。
○松岡監視安全課長補佐 実際は、まだ研究をやっていただいている中には入っておりません。ただ、さっきの生活環の問題で、イヌとウマの間に立つということが生活環でわかっておりますのでここでは入れておりますけれども、現状として具体的なものがあるわけではございません。
○加地監視安全課長 ここは生活環がわかっている寄生虫であって、全くウマの対策をとらない、片やヒラメの場合は養殖場から稚魚から対策をとって、やはり元からきれいなものを生産しようという考えがあります。
 それで、ウマの場合ももちろんこのfayeriがフリーのものであれば、この後の流通加工段階における対策というものは必要なくなってきますので、もともとファームトゥーテーブルというか、ファームからきれいなものを生産していただければそれに越したことはないということでここは入っているんだと思います。
○寺嶋委員 今の議論に関してですけれども、いただいたデータの中で外国産の馬肉というのは非常に高濃度に汚染されているようですが、先ほど肥育という言葉が出ましたけれども、いわゆる輸入されたウマそのもの自体が感染しているという場合、そういうものもモニタリングするような形で将来的に考えるという方向なのでしょうか。それとも、そういうものは入ってきてもしようがないけれども、国内で除染するなり治療というか、そういう形で感染を抑えていくという方向に対策を向けていくという形でしょうか。
○加地監視安全課長 先ほどの阿南委員からの御質問でも、外国では生で馬刺しという形で食べない以上、外国政府なり外国の輸出国でもって何か対策をとってもらうというのは非常に難しい問題だと思っています。
 一方で、これは恐らく先ほどの感染環の話ですが、外国でウマを生産しているところというのはイヌなり、あるいはイヌ科の動物が牧場の中に入ってくる、あるいは牧羊犬として飼われている。そういうところで感染が維持されているのではなかろうか。
 今後の問題としては、子馬を飼って国内で肥育をしていくというようなときに、これはもちろん家伝法、家畜伝染予防法にもかかりませんので、ボランタリーに輸入をする際に向こうで日本の業者が買付けをするときにそういうフリーのものを買ってくるという方法はとれる対策ということはあろうかと思います。
 ただ、今はそこまで一気にいくかどうか、いかないので、少しずつ短期的あるいは長期的な話として、対策として考えられるのではないかと思っています。
○山本部会長 ほかにいかがですか。
 それでは、小西先生どうぞ。
○小西委員 今は馬肉になっていますけれども、ヒラメ関連でもよろしいでしょうか。
○山本部会長 ヒラメでも結構です。
○小西委員 ヒラメの中で?の「流通・加工段階における対策」というところですが、冷蔵や冷凍の条件によって失活することが示されたとございますけれども、冷凍の場合は失活するメカニズムというものがもう明らかでありまして、寄生虫が冷凍によって死んでいるから当然毒性がなくなるということで理解しやすいんですけれども、冷蔵においては毒性が落ちる場合もあるし、落ちない場合もあります。そのメカニズムが、今のところは不明なんです。
 そういうことで、これだけが一人歩きしてしまうというのは非常に危険ではないかと思いまして、まだ条件検討が必要、またはメカニズムが非常にリーズナブルであるという裏づけが必要であるということはここでコメントさせていただきたいと思います。
○山本部会長 そうすると、小西先生の意見としては「流通・加工段階における対策」としての「冷蔵や」という部分は入れておかない方がいいということでしょうか。
○小西委員 そこのところが、冷蔵は確かに今のところ効果がある場合もあるんです。それで、今後その効果を常に出すような条件検討というものが必要ですので、入れていただいて結構だと思うんですけれども、そこに何か補足して条件検討が今後必要であるということをどこかでわかるようにしていただきたいということです。
○山本部会長 わかりました。そうしますと、2番の対策の?のところは流通・加工の対策ですから、今後の課題の中にその冷蔵条件についてはさらなる検討をしていただくということを盛り込むというようなことでいかがでしょうか。
○阿南委員 そこに関しては、やはりここの対策のところに入れておく必要があると思っていて、冷蔵と冷凍を一緒くたにして「失活することが示された」というふうにして断定することに問題があるので、これを分けて、対策として有効であると書けばいいのではないかと思いました。
 それと、ほかの点でもいいですか。全体の文章ですけれども、わかりにくいと思います。例えば「排除することが重要な対策となりうる」というところは「排除することが重要である」とか、言い切った方がいいと思います。以下、全部そうです。「考えられる」もそうですね。
 それから、全体として付け加えたいのは、正確な情報提供とリスクコミュニケーションの推進ということをちゃんと言った方がいいです。マスコミの協力なども得て正確に伝えていかないと、とんでもない情報が伝わっていくことになってしまいますので、そこは情報提供をしっかりやりましょうとか、消費者とのリスクコミュニケーションをちゃんとやりましょうということを、この中に盛り込んでおいた方がいいと思います。以上です。
○山本部会長 それでは、鈴木先生どうぞ。
○鈴木委員 これはヒラメのことなんですけれども、リスクコミュニケーションに関連することですが、この提案を例えば消費者あるいは流通業者の視点で見た場合、恐らく1番の種苗管理と2番の冷凍による失活というものがあるんですけれども、消費者や流通業者の視点で見ると、自らが実施できる対策というのは多分2しかないと思うんです。
 そうしますと、例えばヒラメというのは冷凍して食べなければいけないとか、あるいは冷凍したものでないと流通させてはいけないとか、そういう誤ったメッセージを与えてしまうおそれがありますので、例えば1番の種苗管理を十分に実施したものに関しては必ずしも凍結する必要はないとか、そういうもう少しきちんとした情報を出していただいた方がいいと思います。
○山本部会長 ありがとうございました。
 まず阿南先生の御意見で、冷蔵と冷凍の条件によってというところの、これは冷蔵によっては失活が小西先生の意見だとまだ必ずしも達成できるとは限らない。冷蔵は限定的な失活、冷蔵条件は限定的な失活をもたらすということで、ちょっと言葉が難しいですね。あとは、冷凍は失活することが示されたということを分けて表現をするということ。
 それから、更にこの?の流通・加工段階、これは消費段階もそうでしょうけれども、ここにおいては種苗管理がしっかりと行われている場合には下の対策はする必要がないということを盛り込む。
○中村(好)委員 ちょっとよろしいでしょうか。今日の議論の中で今の話は出ていましたか。要するに、?の管理をきちんとすれば?は必要ないというような根拠というのは私は示されていないと思います。それは、今後そういうデータをつくっていってからそういうことを言わなきゃいけないんじゃないでしょうか。現実問題としては、?の対策がとれていたところはこうで、そうでないところはこうというデータは全く示されていないと思いますけれども。
○山本部会長 今のところはそうですね。
○鈴木委員 ただ、クドアがほぼ原因であろうということが示されているわけですから、それがもし排除できるのであればこの食中毒は起こらないわけですね。
 そこで、その一つの案として養殖管理をきちんとやれば排除できるだろうという議論が先ほど出たわけですから。
○中村(好)委員 だから、きちんとというのはどこまでやるのかということについては、現段階ではデータがないですよね。それが示されたら、ここまでやれば2番の管理は必要ありませんということを言うのが私はサイエンティフィックだと思います。
○谷口委員 今のお話ですが、これはあくまでもわからないところもいっぱい入っていて、それも全部含めてあるので、現実的にはステップ・バイ・ステップで、とりあえず現状でわかる範囲ですること。そして、今後これをしていくとともにこうなっていくという道筋があると思うんです。
 恐らく、コミュニケーションの場合にはそれを全部入れなければいけないと思うんですが、これはいわゆる科学的なというか、提言ですので、コミュニケーションの手法も入れつつ、提言もステップ・バイ・ステップ、時間に従って全部記載するというのは非常に難しい話なので、少し今後やっていくこととか、整理するならばそういうふうに整理した方がいいと思いますし、考えられるものを全部書くのであればとりあえず考えられるものを全部書きますというふうに書けばいいでしょうし、それはこれの提言の書き方だろうと思います。
○山本部会長 危険があるということを伝えて、こういう対策があるということを現時点でわかっていることを伝える。これは、事実を伝えることですから大事だと、それはよくわかります。
 ただ、そうすると今後どういうことが必要かという中に今のことを盛り込みつつ、やはり今、全部のヒラメが危ないというようなニュアンスでいくというのはちょっと現実的にはまずいのかなという気はしておりますが、文章的にはなかなか難しいですね。そうすると、今後の課題となるとまだ……。
○加地監視安全課長 まさにこれは、この両部会で今日の議論の中から提言をしていただけるものを提言していただく。これはまだ提言できないということであれば、これはもちろん落としていただいてもいいですし、その辺のことはどうでしょうか。
 ここまでむしろまだ言えないんじゃないかというようなことについてもあろうかと思いますし、谷口先生がおっしゃったようにこれは今、考えられる対応、対策というものを順番とか何とかは考えないで全部網羅的に書いております。あとは、フィージビリティも考えないで、一応一つひとつの理論的に考えられる対応ということを今までの研究成果を踏まえた形で対策案、対応案というものはこういうものがあるんじゃないかということでまとめられているというふうに理解していただければと思います。
○小澤委員 現状で確実な予防策というのは、冷凍することしかないわけですね。
 ただ、馬肉の場合は冷凍しても食べられるけれども、結局ヒラメの場合は冷凍してしまうとその商品価値がなくなる。ここでジレンマが生じているわけですから、確実にというか、現状の予防策として効果、有効だと考えられるものはこうであるということと、それから将来これが予防策として奏功するかもしれないということをやはり別に分けてきちんと述べるべきだと思います。
 これを見ていると、何か可能性と、それからある程度確実といいますか、科学的根拠があるものとがごっちゃになって出ていますので、それはやはり別項目にするか、読んでいる人がはっきりわかるような、例えば先ほど「有効な対策となりうる」という文言はいかぬという話があったのですが、「有効な対策となりうる」としか現状では書けないですね。有効な対策であるということはわからないんだから。
 だから、やはりその「なりうる」というものは今後の調査とか検討を待って、予防策として採用できるかどうかを検討すべきであるということがわかるようにするべきだと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。
 それでは、渡邉先生どうぞ。
○渡邉委員、実際にこういう先ほどから出た事例が起こるということと、あとはこれの先ほどのデータがいろいろと不足というか、十分でないところで、市場での汚染状況というものがさっき60匹調べて1匹という話ですね。それで、養殖魚は調べた場合にはどうなんですか。さっきは全部と言いましたか。
○小西委員 養殖魚でも、養殖場によって非常に感染率が高いところと、全然ないところがあるというふうに聞いております。我々が調べたわけではないのですが。
 ですから、感染率が一概に幾つとは言えないんです。養殖場によって違うんです。
○渡邉委員 そうすると、先ほどから今、話が出ている、一般消費者がどのぐらいこれを危険と考えていいのかというデータというのは、さっきの60分の1ではなくてわからないということですか。
○小西委員 その養殖場も今は国産のものを言っていますけれども、養殖ヒラメというのは韓国産も相当の量が入ってきておりまして、韓国産の場合は養殖場の汚染というのはわからないです。国産の養殖場であれば調べることはできましたけれども、輸入の方はわからないです。
 それで、輸入の方をランダムに取って60尾調べたのは養殖30と国産30ですけれども、輸入の方の30尾から1尾出ていますので。
○渡邉委員 国産は出ていないんですか。それでどうこうと言うにはちょっとデータ不足で、なかなか国産が大丈夫だとは言い切れないですね。
○小西委員 国産の場合は、そのときに協力してくださいましたある1つの養殖場から仕入れていますので、そこの養殖場はたまたま汚染がなかったというふうに考えることもできます。
○渡邉委員 そうすると、やはり事実を述べて、現在何年間でこのくらいのこういう事例があって、ヒラメが疑われる。そのヒラメを現在調べたデータではこうこうであって、ある程度危険性が考えられるので、最悪のと言ってはあれですけれども、それを完全に防ぐためには、例えばこの夏場においては冷凍するのが一番よろしいであろうというようなことで、やはり消費者を納得させるためには何にしてもデータ不足なんじゃないかと思うんです。
 それで、この辺の現状がどうなっているかというのはもうちょっと大規模に調べて、どのくらいこれを一般の人が怖がるべきなのか。その辺のデータを示していただかないと、これが数字がなくて一人歩きしてしまうと、先ほどのような風評被害ばかりが多分大きくなり過ぎるのではないかという気がいたします。
○加地監視安全課長 おっしゃるとおりなのですが、ただ、一方ではこれは例えば飲食店であるとか、あるいはヒラメの養殖業者などにとっては今できる対策も、それは法的に規制をされる前であってもどんどんやっていって、やはり自分の施設から有症者を出さないということも大きな要請としてあります。
 そこのところと、消費者に情報提供する場合、それから今度は営業者ですね。営業者がやはり自己防衛していく必要もあると思うんです。そちらの方の対策も進めていかなくちゃいけないということで、その辺のジレンマもあるわけでございます。
○谷口委員 結局、要するにわからないという状況で流れることが最も悪いと思いますので、やはり現在わかっている状況はこうで、この中でとり得る範囲はこうということだろうと思うのですが、ただ、今の話だと消費者をオーディエンスとしたコミュニケーションと、これはどちらかというと専門家を対象にしたものだと思うんですが、あるいは養殖業者とか、コミュニケーションは本来オーディエンスによって全部異なるべきなのですが、それが今はごっちゃになっていると思うんです。恐らく消費者に対してであれば、現在は例えばヒラメは年間このくらい消費されていて、現在このくらいの報告があるということから始めて、しかもその症状はこういう状況である。だから、今の状況はこうで、こうでという話になるんだろうと思うんです。
 だから、提言の内容とコミュニケーションの内容と、これがそのまま消費者にいくわけではないと思うので、そこら辺は切り分けて考えていただかないと、いつまでたっても内容は詰まらないと思います。
○山本部会長 現実的に対応していこうとすると、どっちつかずのことになるので、なるべくならば事実だけを提言としては書きたいところではあります。
○鎌田参考人 一言いいでしょうか。文章に直接戻っていただきたいのですけれども、この提言の拘束力が気になりまして、私どもが実験した結果、馬肉の冷凍処理ですね。非常に実験結果をそのまま反映した数字で、何度で何分、何時間というものが出ているのですが、これがこのまま提言が拘束力を持って世の中に出ていくのでしょうか。よくあります、これこれと同等の効果を示すものとか、こういう表現はできないんですか。
 といいますのは、やはり食品の保管方法、保存方法、加工方法は日々進歩しますから、私たち実験をした人間にとってはこれが正しい結果ですので、これですべてやっていただきたいとは思うんですけれども、果たしてこれがものすごく大きな拘束力を持ってしまって、全然ウマのシストがいないものについてもすべてしないといけない状態というのは、ある部分、事実をそぎ落としてしまうような危険性をはらんでいないかと、改めて文章を読んで心配しているんですけれども、事務局側としてはいかがでしょうか。拘束力ですね。
○加地監視安全課長 拘束力は、基本的にこれはありません。提言という形で、私どもが拘束力を持つといいますか、部会から行政側に提言をしていただく。それをもって私どもが拘束力を持たせるか、持たせないかという、いわゆるリスク管理機関としての判断をするわけでございます。
 ただ、先生がおっしゃるように、ここにこういう具体的なものを載せることによって拘束力を持つような誤解をされるおそれは十分ありますので、ここの表現はまさに書き方、あるいはその表示の仕方といいますか。
○鎌田参考人 ここは実験事実としてしっかりしたものではありますから、それは自信があるんですが、その次ですね。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○西渕委員 提案なんですけれども、今後の課題の中に今後、より正確なリスクアセスメントが実施できるように調査研究を進めていくというようなことを入れていただいたらどうでしょうか。
 そうすると、例えばクドアの病原性のところに書いてありますけれども、高濃度のクドア胞子を含む云々と書いてあって、それが実際に人間に反映した場合にどうなるかというような定量的な解釈が入っていないんですね。ですから、そういうことを定量リスクアセスメントもできるようにして、その情報を皆さんに提供するように進めていくというのはどうでしょうか。
○山本部会長 いろいろな意見が出ていまして、なかなか最後の提言のところをまとめ上げるのは難しいんですけれども、1つには阿南委員がおっしゃるように、なり得るかどうかということであると、わかりにくいというのはわかるのですが、今のところなかなか限定的にこれだというふうに書きにくいというところがあるのですが、それで「なりうる」というのを残すというのはやはりちょっと理解しにくいでしょうか。
○阿南委員 例えば、?の「稚魚を導入する段階で、汚染稚魚を排除することが重要な対策となりうる」。当然、汚染稚魚を排除することは重要じゃないですか。そのように思っているのですが。
○山本部会長 そういうことですね。文章として何かあいまいに書かないで、これは一つの可能性としてはあるんだからそう書けばいいということですね。それは構わない。事実としてやって……。
 ただ、中村先生から因果関係の問題で排除するということと、今後の対策を軽減するというところの文章は続けないということがありましたので、「養殖段階における対策」ということは、この「なりうる」を取って「なる」というような表現に変えるということでよろしいですか。
 それで、次にこういう養殖段階の対策がとられれば、次の対策は要らないということに関してはなかなかはっきりと言い切ることは難しい。ですから、そのようなことができるかどうかについて、今後検討を更に深めるというようなことを今後の対策の中に入れる。
 それから、2番の「流通・加工段階における対策」として、ヒラメの表面を真水で作った破砕水で12時間以上被覆する方法といった冷蔵条件で、ある程度の失活は認められた。
 それから、-15℃から-20℃で4時間以上保存する方法で失活した。これが2つで、これを凍らせろということにはならないと思うんですけれども、それは事実としての記載をするということでよろしいでしょうか。
 これは、実際の事実が書いてあるんですね。
○加地監視安全課長 先ほど飛ばしましたけれども、2の方に全部書いているんです。ですから、あえてこの提言の中にもう一度繰り返す必要はないわけです。
○山本部会長 そうすると、対策として加工段階、流通段階におけるものというのは、上の冷蔵であればある程度の失活が見込まれる。それから、冷凍では失活したという事実があった。その2つが方法論としては考えられるということだけは書きますか。-15℃以下は前に書いてあったことなので省く。
○阿南委員 科学的な事実は失活することが示されたということでなくて、有効な対策であるといったらどうですか。これは、「流通・加工段階における対策」について言っているのですよね。前でもう科学的なことは述べているので。
○山本部会長 そうすると、冷蔵は完全にそれが対策としてなり得るかどうかというのはなかなか難しいところがありますので、冷蔵条件というのが「一定の」と入れますか。一定の対策となりうる。それで、冷凍条件は有効な対策となりうる。
 まだこれは確定してこれだということでは言いにくいところがあるんですけれども、上と同じようにするのであれば「なる」というふうにするのですが、それでよろしいですか。
 では、冷蔵では一定の失活の対策となる。冷凍では有効な対策となる。
○加地監視安全課長 もう時間も大分オーバーしておりまして、皆さん、先生方もお疲れのことだと思いますし、ここのワーディングというか、言葉のところにつきましてはさまざまな先生から御意見をいただきましたので、その全体をもう一度私ども事務局の方で整理をさせていただいて文章にして、部会長に御相談しつつ、または各先生にも見ていただくという方向で、ここの提言のところを書き直すことをさせていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山本部会長 大変時間も過ぎておりまして、私のまとめも悪かったんですけれども、そういうことにしたいと思いますが、中身について少し確認だけさせていただきます。
 (2)の後に、リスクコミュニケーションをきちんと行うというような文章が一文必要かなというのが阿南委員から出ていましたので、その辺を入れておきたい。
○阿南委員 「今後の課題」のところで結構です。
○山本部会長 では、「今後の課題」の中にリスクコミュニケーションのことを入れるということと、西渕委員から出ていました定量的リスクアセスメントができるようなデータを収集するため、今後の研究の継続は必要であるという文章も入れる。
 それ以外に、何かございますか。
○賀来委員 今のことで、今、課長が言われたことと重なるんですけれども、3のところの「提言」というのは全体が提言なので、3のところは今後の課題と対応という形でいった方がずっとわかりやすいですし、(3)の「今後の課題」のところを上に上げて、今後の課題と現在望まれる対応みたいな感じで書いていただいた方が、きっと皆さんすっきりするんじゃないかと思うんです。
 だから、そこのところにリスクコミュニケーションのことも書き、またさっき課長が言われた現実に業者の方々がとるべき対応みたいなことも含めて、少し提言という言葉よりも今後の課題と対応ということを大きな3番にして、そして今のリスクコミュニケーションのことも入れながら、最後に現在とり得る対応だとか、考えられるべき対応みたいなことを書いていただいた方が、この全体の流れとしてはすっきりすると思います。
○山本部会長 大変ありがとうございました。今の賀来先生の御意見というのは非常に……。
○加地監視安全課長 全体で今後の課題と対応という形で提言をいただいたということですね。
○山本部会長 ヒラメとクドアの関係につきましては、まだまだ検討を要するものもありますので、今後の課題がまだいっぱい残っているということがまずあって、その上で今、とり得るべきというか、とれる対策は何かということを後に書くという賀来先生の御意見を取り入れさせていただきたいと思いますので、その方向で事務局とワーディングの方は整理させていただいた上で、皆様方の御意見をもう一度、会議は開けないのでメール会議になりますが、送らせていただきます。よろしいでしょうか。
 大変申し訳ございません。時間が大幅に延びてしまいました。
○松田委員 すみませんが、1つだけよろしいでしょうか。
 1番、2番は事実が述べてあると思うのですが、1番にその発生状況というものが書かれていて200件とか百何件とあるのですが、先ほどちょっと御意見を言ったんですけれども、いわゆる生で消費されているヒラメとかマグロがどれくらいかということが1文前にあった方がいいかと思います。
 要するに、リスクがどれくらいかということを消費者に伝えたくて、ものすごく確率は低いと思うんです。もしその情報がわかれば、1文入れておくといいかと思います。
○山本部会長 ありがとうございます。全体でどれぐらい食べている中でこれが起こっているかということですね。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、本日はそういうことでまとめさせていただくということで、大変申し訳ありませんでしたが、この辺で議論を終了したいと思います。大変時間が長引いてしまいまして申し訳ありませんでした。
 それでは、ほかに事務局から御連絡等はありますか。
○石丸食中毒対策係長 特にございません。
○山本部会長 それでは、これで食中毒・乳肉水産食品合同部会を終了いたします。遅くなって申し訳ございませんでした。御審議ありがとうございました。


(了)
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