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2011年3月8日 第22回年金記録回復委員会議事要旨

○日時

平成23年3月8日(火)18:00~


○場所

厚生労働省 9F 省議室


○出席者

(委員)磯村委員長、稲毛委員、岩瀬委員、梅村委員、金田委員、駒村委員、斎藤委員、廣瀬委員、三木委員
(日本年金機構)紀陸理事長、薄井副理事長、矢崎理事、石塚理事、喜入理事、中野理事ほか
(厚生労働省)大塚厚生労働副大臣、榮畑年金局長、石井年金管理審議官ほか

○議事

(1)年金記録問題に関する諸事項の状況について

○ 日本年金機構より資料1(P1~8)についての説明があり、委員から異議なしとの回答を得た。

○ 日本年金機構より資料1(P9~39)についての説明があり、委員から次の意見があった。

■ P11の基金突合の関係で、基金に加入していたが基金記録がない場合や、逆に基金記録はあるが国の記録がない場合のようにいろいろな不整合ケースがあると思う。国の記録については第三者委員会へ申し立てればよいが、基金記録についての申立ては第三者委員会でも取り扱わない。不服を申し立てる場所を示したほうが良いと思うがどうか。

→ 年金局と相談して整理してみる。

 

■ P17以降「年金受給にできる限り結び付けていくための取り組み」のうち、P3170歳までの間の保険料納付により受給資格期間を満たす方に対するお知らせ」についてはカテゴライズを考えたほうが良い。任意加入を促しているのだから、二段目の「国民年金に任意加入中」という方は、お知らせの送付をきっかけとして任意加入をしたのか、それともそもそも任意加入をしていたのか精査して見る必要がある。その上でこのお知らせによりどれだけの方が「任意加入」のアクションを起こしたのかを、きちんと把握する必要がある。それにしても3%というのは、母数が少ないので、1通あたり160円程度だとしても160万円くらいのコストに対して成績としてはいかがなものかと思う。3番目の「オンライン記録上25年の受給資格期間を満たさない方に対するお知らせ」だが、5,000万円の予算規模に対して裁定された方が9.5%というのは、通知をきっかけとしての成績としてはいかがなものか。今後工夫をしていく必要がある。「こういうお知らせをすると効果的」というものの統計を取っていき、足りない部分は色々な手段を取っていく必要がある。

→ 任意加入中の方が通知をきっかけに任意加入をしたかどうかについては、今回はそこまで作業できなかったが、精査してみたい。この割合は少ないというご意見に関しては、さらに分析をしてみたい。25年のオンライン上の資格期間を満たしていない方なので、いくら記録を調べてもどうしても年金に結びつかない人が相当程度いる、ということ。一昨年の7月に社会保険庁が行ったサンプル調査でオンライン上資格期間を満たさない方への訪問調査を685人に行い、そのうち受給資格期間を満たしていた方は13.7%、これは主にカラ期間が見つかった方であった。調べてもカラ期間も足りないなど受給資格期間を満たしていない方は86.3%であった。タイムラグで既に請求済みの方を合わせてみると12.2%なので、13.7%と比較してみてもそれ程悪い数字ではないという感じもする。任意加入すると受給資格を満たせる方も9.6%であったので、こういう方が実際にどれくらい任意加入に結びつきどれくらいの期間が上乗せできるかというところをフォローしていく必要があると思う。

■ 次回以降工夫していただきたい。

 

(2)第3号被保険者の記録不整合問題に対する今後の対応について

○ 大塚副大臣より資料4-1~4-4について説明があり、委員から次の意見があった。

 

(大塚副大臣)年金制度とりわけ運用3号が急展開しているので、本日はその事のご報告と、皆様方へのご検討のお願いをしたい。

前回の委員会の時点でも報道機関の記事等において運用3号の在り方について、色々とご指摘をいただいていたが、2月24日の衆議院予算委員会において運用3号の在り方についてこのままでよいのかとの指摘があった。また、総務省の年金業務監視委員会でも運用3号の在り方についてご指摘・ご意見を賜った。このように監視委員会からも指摘を受け、更には国権の最高機関である国会でもご指摘を受けたこともあり、大変大きな問題であるという認識の下で厚生労働大臣としては、即日、224日付けの大臣談話にある内容の決定をした。

すなわち、1215日の通知をもって受付を開始した運用3号の対応については当面留保する、また新たな裁定も対応を留保する、そしてこの委員会にも関係するので朗読するが、運用3号の今後の対応については、「厚生労働大臣に助言を行う立場にある年金記録回復委員会に意見を求めるとともに、年金事業の実施状況等について総務大臣に意見を述べる立場にある総務省の年金業務監視委員会の見解を求めつつ、総務大臣と厚生労働大臣で協議し、厚生労働大臣が決定する。」という決定を速やかに行った。

国会では2月24日での指摘後、衆議院予算委員会の理事会等で、年金業務監視委員会が翌週に開催されることが決まっていたのでそれを前倒しで開催し一刻も早く監視委員会の意見をもらったらどうか、という指導を受けたが、時間がなく委員会を前倒し開催することは困難だったため、その時点で総務大臣は既にそれまでの監視委員会での意見を聞いていたので、翌日に総務大臣が聞いていた内容を厚生労働大臣に伝え、総務大臣、厚生労働大臣の連名で第3号被保険者記録の不整合問題に対する今後の対応ということで7つの基本的留意点をまとめた。この7つの点に留意しつつできるだけ早く検討し、厚生労働大臣が適切な結論を出すことを2月25日に両大臣が合意した。

また、翌月の3月2日には、厚生労働大臣として更に省内で検討を進め基本的な方針を大臣談話として確認するとともに、記者クラブを通じて国民に発表した。

昭和61年4月に第3号被保険者制度が始まったが、その時点から配偶者が転職をしたり本人が働くことにより収入が基準額を超えた場合には、第3号から第1号へ変更の届出をしなくてはならなかったが、それが必ずしも十分には行われていなかった。その背景には社会保険庁側の対応にも問題があったことは申し上げるまでもない。平成9年1月には基礎年金番号が導入され、第3号被保険者が裁定請求をする際のチェック等が従来よりも行われやすくなったが、届出勧奨をしても届出が行われなければ第3号被保険者のままとなっていたということがある。更に平成17年4月以降は、勧奨後本人からの届出がされなければ職権により種別変更を行うことになり、徐々に体制は整備されつつ今日に至ったが、平成19年と20年に「ねんきん特別便」が送付されたときは、不整合記録のまま送付された。

本日の衆議院の厚生労働委員会でもこの点が議論になった。ご本人がねんきん特別便において不整合記録に気づいたらきちんと申告するべきものである、という指摘があったが、気付いた方はきちんと手続きをしている方もいるが、一方で制度を理解していなかったり、自身が第3号被保険者であると信じきっているようなケースでは修正がされないまま今日に至っているという経緯がある。

平成2111月に社会保険庁職員等を対象に行ったアンケートにおいて、年金記録を適正なものにしていくために留意事項・懸念事項があれば申告するようにしたことで、第3号被保険者の不整合記録がかなり広く発生しているということが認識され、回復委員会の助言を受けながら昨年3月29日に厚生労働省として「運用3号」の対応を決定し、1214日の委員会において実務についての大まかな詰めは終わったという報告をし、翌日15日に通知が発出されたという経緯である。

だいぶ理解が浸透してきた面はあるが、突然この「運用3号」という事態が発生したわけではなく、昭和61年以降このような状態が放置されている中で、今後どのように無年金者や低年金者への対応をしていったらよいかという議論において、この運用3号というルールを決定してきた。

しかし、資料4-1、4-2のとおり、大変多くの指摘、意見、批判をいただく中、年金業務監視委員会から遅くとも3月末までには意見書をもらえるとされていたが、本日、総務省より意見書が出された。資料4-4の結論として、「運用3号はその内容が国民年金法に違反する疑いがある上、年金受給者間において著しい不公平をもたらすと考えられることから廃止すべきである。一方、年金記録上、既に第3号被保険者資格を失っているにもかかわらず、第3号被保険者として記載されている者に対して、何らかの対策を講じる必要があることも否定できないところであり、早急に、公平・公正な対策を検討し、必要な立法措置を講ずるべきである。なお、「運用3号」の適用を受けることを申し出た者のうち、裁定未了の者については、「運用3号」の適用を行わず、正規の種別変更を行うこととし、既に裁定済みの者についても裁定の取消等の措置を検討すべきである。」とされている。

このような結論を総務大臣に提出し、同時刻くらいに総務大臣から厚生労働大臣にこの意見が正式に伝えられたと聞いている。なお、この結論に至る理由としては、1点目に違法の疑いがある、と指摘されている。この運用3号は国会における質問主意書に回答する中で内閣法制局としては法律的に必ずしも問題があるとは言えない、という結論をいただいているところであり、そういう意味で厚生労働省としては法律的に必ずしも問題があるとは認識していないが、監視委員会としては違法の疑いがあると指摘されたところである。

2番目の理由は、実質的な不公平と不公正があると指摘されている。

3番目には、適用の範囲の恣意性ということが監視委員会の見解として表明されている。ここに記載されている内容は機構の方がよくご承知かと思うが、1215日に通知が発出されたことから、1215日から受け付けたものについて1月1日から運用3号を実施したということになっており、1215日から1月1日までに受け付けたものも適用対象となっている点も指摘の内容となっている。

4番目には、年金制度及び運用への信頼崩壊への恐れがあるということ。対応の不公平性ということが年金制度への信頼を失墜させるということを強く指摘されている。

最後に参考事項が記載されているが、これについては回復委員会でも検討していただいている。

2月24日に厚生労働大臣が国権の最高機関である国会の指摘を受け止め、運用3号についての対応を留保し今日に至る中で、関係大臣で協議もしつつ本日監視委員会から正式な意見書が総務大臣に提出されたことを皆様にご報告申し上げる。

その上で、年金記録回復委員会の皆様に3点ほどご意見を賜りたい。これから詳細な案を検討していくが、国民の関心の高さを考えるとできる限り早く方向性を示すことができるとよいと考えている。(1)昨年3月29日時点での運用3号の決定はやむを得ないものであったかについての現時点での感触、(2)既に厚生労働大臣が所管大臣として法的対応を含めた方向で措置をしたいとの考え方を示しているが、その点について現時点における考え・感触、(3)旧社会保険庁のあり様なども影響して根深い問題を抱えているということもあるので、今後も第3号被保険者の不整合問題に関して、必要に応じて委員会の助言を賜りたいということに対しての感触。以上3点について何らかのご示唆を賜れば監視委員会と回復委員会の意見が出揃うので、その上で可能な限り速やかに次のステップに進みたいと思っている。

 

■ (1)納付書が届いていないという事実を非常に重く受け止めている。監視委員会の言うように全くゼロに戻すというのはいかがなものかと思う。各所から勧奨を行っていたとあるが、結果として相当数の不整合記録が出ているということは、それが実際には活きていなかったということなので、そこは重く受け止めたい。1号未納に戻すというのは反対、いくらかの救済という方向で考えたい。(2)は手段によるので、法律によるのか、それとも事務連絡によるのかこだわりはない。歴史を振り返ると、年金問題は非常に事務連絡が多い。年金問題は国民の利益に直結するため常に政局になり事務連絡に終始してきているという側面がある。パート労働者の加入の取り扱いは内かんで進んでいる。今回法的対応を方向感として示すのであれば、政局にしないということを強くお願いしたい。法律を制定する以上、時限立法で期間を決めてその期間について運用することを強く希望する。(3)現在、不整合記録の処理の対策についてのみ議論が終始しているが、そもそも3号制度自体が矛盾を抱えている。現在も3号不整合記録の候補が出ている。方向感としては蛇口を閉める、3号不整合記録を発生させないところも議論をしていただきたい。

 

■ (1)なぜこういう問題が起きたかというと、本人の記録と配偶者の記録の照合が当時は一切されていなかった。それを窓口で調べれば判るが調査を窓口に任せていたことが一番問題。それが抜けていたことに対して不満である。もう一つ、「3号」というのは、収入はないが共済組合や厚生年金被保険者の拠出金によって「納めてある」ということが前提なので、処分としては妥当ではないか。ただ、たくさんの問題を抱えており、それらを全て整合性を取るべきであるので、法律改正をすべきということも当時から申し上げている。ただ、現時点として「納めてある」ということからそれについては触れないということになればやむを得ないのではないか。「1号」というのを、2号・3号でなくなれば強制的に1号になる、だから届出は不要ということを基本にすればこの問題は解決できるのではないか。(2)現時点においては、このように言わざるを得ないだろう。(3)中途半端で終わっていると思っているので、十分に論議すべきだと思う。

 

■ 判断の是非については、1番目は(不整合記録を)見つけた以上未納のままにする、2番目は特例納付あるいはカラ期間にする、3番目は追認する、と3つの案を示した。結論としてはどの案も一長一短であり、全ての点で優越している案はなかった。1番目の案は社会保険上の原則からすると正しいが、一方で既にもらってしまっている人の扱いという問題がある。2番目は、特例納付はなるべく乱発すべきものではなく、保険料を払えばいいといものではない。最後の65歳の時点でまとめて保険料を払うということになれば、これは保険方式ではない。保険方式の原理原則を守るためには、あまり特例納付は認めるべきではない。今回特例納付を認めるとするならば、3号不整合記録に限らず全面的に特例納付になってしまい、払うべき時に払うという制度が壊れてしまうデメリットがある。夫婦で1号と3号という組み合わせは、現時点で夫婦揃っているから確認できるのであって、もう既に離婚している人の記録についてはチェックのしようがない。こういう場合において、見つかった人だけがペナルティを受け見つからなかった人はいいのかという、別の不公平感を同時に引き起こすことになるだろう、ということを考えると、全ての面において優越する案はなかったのだろうということになる。

三つの基準で判断しているが、一つは社会保険の原理原則上どうなるかということ、社会保険実務という中で厳密さを考えるとどうなるのか。もう一つは無年金・低年金者が増える可能性があるということに対しての政策的な対応、三つ目は立法の可能性と、現場において本当に誤った3号がきちんと見つけられるかという現実可能性から考えるとどうなのか、この三つの評価基準で評価した上で、当時の状況であれば運用3号でやむを得ないだろうという判断である。

(2)は、全ての案で優越する案はない。専門家は自説に囚われる傾向があるが、自説にとらわれずに専門家として比較考慮した上で自分がどの部分に評価ウエイトを置いて判断したかということを明確にして議論していく必要があると思う。少なくとも、自分が考える案がどういうデメリットがあるか、可能な案なのか不可能な案なのかをきちんと評価する必要がある。別の不公平性を生む可能性、分かりやすい不公平性だけが問題ではなく分かりにくい不公平性が出てくることも触れなくてはいけない。

(3)この制度については、制度の複雑性と国民の年金に対する知識と世帯単位でバックアップできる年金記録管理システムがなければいけないが、この三つのバランスが非常に悪かったと思う。その責任を誰が取るのかという問題である。制度改革においては、この3号という、拠出は世帯単位を擬制しながらも受給は個人単位として、しかも本人の所得だけではなく配偶者の所得によって動いてしまうというややこしい制度をどういう形でシンプルな制度にするかということを考えねばならない。当面は3号不整合という問題が出てくる可能性があり、そこに何らかの救済をすればモラルハザードを加味する可能性もある。今後このような問題が起きないようなアップグレードを早急にやらなければいけない。引き続き助言はしていく。

 

■ (1)について、この時に決定したのかどうか若干疑義がある。書面を見ると「以下の方向で検討する」という文章になっているので、「検討することを了承する」というように受け取っていた。昨年12月になり1月から運用するとなったときに「年金記録回復委員会の議論を経た」という文章があったが非常に違和感がある。それにもかかわらず反対しなかったのも事実である。昨年3月12日にこの案を初めて見たが、このときは3号についての記載はなかった。自分以外の社労士ではない3人の委員は3月29日に初めて内容を見たものと思われる。そこで判断をするということはかなり難しいのではないか、つまり「十分な議論なくして判断せよ」と言っているようなものであり、その意味ではやむを得なかったということは言えると思う。自分自身もこの時点で反対意見を構築はできていなかった。法令上の問題であるとか不公平の問題であるとか、かなり後になって意見ができあがったことも事実であり、時間的な意味でやむを得なかったと言えるとは思う。

(2)法的対応は当然必要であると考えている。監視委員会と同じように、法令違反の疑いがあるということは最初に述べている。今考えてもこれは法令上に合わないことをやろうとしているので無理であり、法令でやる以外はないと考える。

(3)この委員会でどういう結論を出すのか分からないが、なぜ運用3号という案を了承したかということについて、委員会として充分に総括してから分析かつ反省して今後のことに当たりたいと思う。

 

■ (1)結論から言うと妥当だと思う。委員として認識の違いはあるにしても、委員会というのは色々な意見を出して議論をした結果、委員会としての案がまとめられたと考える。委員会の案としてまとめられたことは妥当だと思う。

(2)すさまじい議論が起こって運用3号はダメだということになっている以上、この問題を放置せずより良い方法をこれから考えるということは、委員会としてやるべきことであろうと考える。

(3)委員会の中でもう一度議論をしろということであれば、回復委員として議論をしていきたいと考える。

 

■ (1)法改正が非常に難しい状況の中で、運用3号は容認できたのかなと理解している。現在問題提起されているのは公正というところで、実をつけてしまったことについて保険料を払った人と払っていない人との不公平感が極端に出ているということである。救済という名目であるとすれば、カラ期間に国庫金の1/3を載せるなど、そのような救済もあるのかな、という気もする。それが、法改正が必要であったとすればきちんと法改正をして対応するというのが整理する順番というように考える。

(3)引き続きの助言は留保したい。

 

■ (1)は妥当であったと思う。委員として考えるときに二つ大きな視点があり、一つは国民のためになるかどうかという問題である。コストがどれくらいかかるのか、これは納税者である国民に対してやるべきことなのかどうかということと、年金を受け取る受給者の立場から、ためになるのかどうか、ということをまず考えなければいけない。第二に旧社会保険庁のミス・落ち度というものがあったときには、その責任を取るということも考えなければいけないということ。これは一貫した態度であったと思う。運用3号に関して不公平であるという意見があるが、これまで不公平な論議はたくさんあった。これだけのコストをかけて年金記録を洗い直した結果記録が間違っていたので年金をもらいすぎである方がたくさん出てきたが、それは旧社会保険庁の落ち度なので年金を戻して下さいということはお願いしない、ということを言っているわけである。今回に関しては旧社会保険庁の落ち度ということは問わずに払った人と払わなかった人の不公平感だけを取り上げて、ここで急にこれまでの話との一貫性がなくなってきた気がする。一貫して旧社会保険庁の責任を問い受給者の不利にならないようにするというように今までやってきたのであれば、それは一貫してやっていく必要があると思う。判断をするときに一貫性と整合性をもつというのは委員としての責任であろうと思っているので、今回の運用3号についてそういう意味では妥当な考えであったと思っている。

(2)法的対応は、検討すべき事項であろうと思うし、是非3号という問題を考え直すきっかけとしてもらいたいと思っている。

(3)引き続き参加していきたいと思っている。

 

■ (1)「やむを得ない」が妥当であったと考える。一つは公平性の観点ということがあるが、運用3号をしない状況でも非常に不公平な状況であったと思う。本来であれば1万数千円払わなくてはいけないものを100万人の人が払っていないということは1ヶ月で130億円請求していないということであり年間にすると千数百億の保険料を請求していないというのは非常にまずい状況である。早急に改めなければいけないと認識している。もう一つは、間違えていたら訂正していただきたいが、不整合の理由として配偶者の転職・自身の収入増とあるが、実際はこのようなケースは少なくリストラされて無職になったというような人が多いというのが実情だと思う。そのような人に対しても公平の観点から厳しくやっていかなければいけないということはあるが、政策的な判断というのは政治的な判断というところで尊重すべき世界であり、委員会としてはそこにはあまり立ち入らなかったということだと思う。

(2)条件がいくつかある。早くやらないといけない。今後システム的には人数が把握できる。この人数が分かったときにどういう対応をするのか、早め早めに準備をしていかなくてはいけない。かつて特別便を送付したときに、政治的に急いで決める必要があるという中でとにかくやった結果、ますます窓口も混乱し国民も混乱するということになったので、そういう意味で早く決めていくこと。またオペレーションについてはゴールをきちんと明示しなくてはいけない。一連の業務を決めないまま、とにかくやってしまうと過去の特別便のような対応の繰り返しになる。その際に気をつけないといけないのは、100万人はあくまでも推計であるということ。最終的には職権による種別変更を一斉に行うのか通知を送り順次やっていくのか、対象となった人とのコミュニケーションを図らないと信頼の構築には繋がらないと思う。三つ目、法律でやる場合に、ずっと特例納付でやり続けるのは良くないので、2年なら2年と期限を決め工程表を持ち、その上で法律面と摺合せしたものに落ち着くところが見えると良いと思う。

(3)過去の経緯も委員として議論をしてきたので、是非とも協力していきたい。

 

(磯村委員長)(1)法改正が困難であろうという事情から、やむを得ず妥当なものと選択せざるを得なかったという気持ちである。

(2)選択の幅が広がるという意味では大変結構なことだと思うが、どういう方策を採っても必ず文句をいう人と不公平だと思う人は必ずいる。その辺のバランスをどう取るかということだろうと思う。

(3)今後も引き続き議論したい。

 

(大塚副大臣)可能であれば集約して今日にでも大臣へ助言できたら有難い。

委員からのご指摘についていくつかお答えしたい。

機構の窓口対応が杜撰であったことについて、私はたまたま金融機関の出身であるが、旧社会保険庁の窓口業務の在り方というのは、現金を扱い国民の重要な届出を扱う業務体制としては、まだまだ強化すべき点があまりにも多いと思っていた。金融機関では、窓口でどのようなアクションをするかということは全て規定で決まっており、場合によっては3人が同じチェックをする。機構の窓口体制はそのようになっていないと思う。もし一人で窓口業務をしていて、仮にその人が窓口でチェックをしなかった場合に誰もその届出をチェックしないということになる。真面目にやっていたとしても、たまたまチェックが漏れてしまうことも起きるが、業務運営上そういうことが起きないように、今後しっかりと体制整備をしていただきたい。また年金制度及び年金機構を所管する厚生労働省の責任でもあるのでしっかりと進めていきたいと思う。

典型的な例は違うのではないかという指摘について。本日の厚生労働委員会でも「正しいと判明した記録は全て直すのは当然だろう」という意見があったが、正しいかどうかということもご本人が分からないケースがあるということを申し上げた。

総括的に委員の皆様にご報告し助言を賜りたいと考えているが、4月に社会保障制度の今後の改革の原案を示すということで作業を進めている。今回の件で明らかなように、年金記録は間違いがないという無謬性という前提に立ってこれまで運営されてきている現実を国民にしっかりと理解いただき、無謬性を前提とした運営というのは1億3千万人を相手にする以上、事実上困難であるということを正直に申し上げる必要があると思っている。できる限り無謬な状態を作り上げようと思えば、届出や保険料という形ではなく、必ず誰もが間違いなく納めていただけるような別の形の徴収方法を取ることになる。あるいは制度設計そのものを現在の制度を微調整しながら今後も使い続けるという意見が本当に現実的かということは、是非今後ご意見を賜りたい。

機構の皆様には再三申し上げているが、年金業務は巨大な装置産業といっても過言ではない現実がある。巨大なコンピュータシステムがあってこそ動いているが、このシステムの全貌を機構の幹部の方がきっちり国民に説明できるほど熟知しているのかどうか大きな疑問を感じている。そういう観点からいうとシステムの中身が解らない状態、しかも制度が複雑で無謬を前提とできないという現実の下で、現行のシステムと現行の制度をチューニングしながら半世紀、百年と使っていけるのかどうかといことを、4月に国民に示さなければならないと思っている。

今回の問題や3号制度そのものについて、本質的なところからご議論・ご助言をいただきながら、国民から信頼される制度に近づけていきたいと考えている。

年金業務を担っている中堅・若手は、辛い立場に置かれていて可愛そうだと思っている。こういう状態を放置してきた既にリタイアしている年金業務関係者の皆さんには、このような意見が耳に届けば、後輩あるいは国民に申し訳ないという気持ちを持って臨んでいただきたいと個人的に思っている。委員の皆さんからの意見と助言をもって、これから年金業務、年金行政を担っていく機構や厚生労働省の次の世代が意欲的に前向きに仕事ができるようにしていきたいと思っているので、ご協力いただきたい。

 

(磯村委員長)副大臣から伺った、(1)昨年3月29日時点での運用3号の決定はやむを得ないものであったか、(2)既に厚生労働大臣が所管大臣として法的対応を含めた方向で措置をしたいとの考え方を示しているが、その点について現時点における考え、(3)今後も第3号被保険者の不整合問題に関して必要に応じて委員会の助言を賜りたいということ、この3つについて各委員のご意見を大臣あてのペーパーとしてまとめた。このペーパーについてご意見があれば教えてほしい。

 

■ 項番1のところ、方向性としてはモラルハザードをこれ以上起こさないという前向きな施策がいくつかあった中でやむなくスタートしたということにしてほしい。運用3号がスタートしたから不公平が生じたということではなく、もともと是正しなくてはいけないというところからスタートしたという点を、色々な方に理解してもらうことが大事。

 

(磯村委員長)「今後への是正策の観点から」にする。他に意見があれば、また別の機会に伺うが、このペーパーをこの場で大塚副大臣にお渡しする。

 

■ 資料4-3の別紙について、平成15年に3号被保険者を事業主経由で届出が法改正で可能になったのに「出」の部分の対策を行わなかった。ここは重要な事項なので、図に入れてほしい。

 

■ 3号問題は、昭和61年4月から社労士会連合会では事業主経由で行うべきと具申があったと記憶しているので、是非入れていただきたい。

 

(大塚副大臣)意見を入れてまた修正していきたい。今後、この現実に直面すると、年金はシンプルでないと理解できないし、持続可能性も維持できない。最終的にどうなるかは分からないがシンプル・イズ・ベストであるということは、是非発信していっていただきたい。

厚生労働省は困っているケースや異例なケースに遭遇すると、その都度色々な対応をしていく。国民も行政にそういう対応を要求するが、その結果としてどんどん複雑な、しかも誰かが全貌を解っているかというと誰一人全貌を解っていないという仕組みになっているような気がする。そういう点をご理解いただき、今後の年金制度についてもご議論賜りたい。機構についても、業務を行っていて感じる限界や矛盾などを、この機会を逃すとそのような意見を発信するチャンスを逃してしまうので、現場の声を吸収して、現場のモラルアップをすると同時に現場の現実を踏まえて行政当局に対して意見具申をしていただきたい。

 

■ システムの話しが出たので申し上げるが、消えた年金問題も、全て転記ミスであったり3条件が違うということで起きている。携帯電話の契約などでは3情報は一切書かない。免許証を出したら窓口担当者がシステムに打ち込み、それをプリントアウトしたものにサインをするだけである。機構は、その突合作業を何人もの人が行っている。絶対に間違わないシステムでしかもお客様との突合を絶対に置いている仕組みを作れば間違いがない。原理的に、入り口で全て入力をしてサインだけ書いてもらう、その後は全てシステムが行うようにしなければいけない。もう一つ大事なのは、いつの時点でIDが振られて制度に加入していくのかということ。契約のような行為がないので、入り口のところで加入して、サインしてということをやっていかないと、申請主義なのか自動的に把握して仕組みを作るのかということも含めて決まっていかないと思う。

 

(3)「ねんきんネット」サービスの開始について

○ 日本年金機構より資料2について報告があった。

 

(4)遅延加算金請求勧奨ダイレクトメールの回答状況等について

○ 日本年金機構より資料3について報告があった。

 

(5)その他

○ 次回開催は3月11日(金)18時からとのお知らせがあった。

 

 

以上


<照会先>

年金局事業企画課

担当・内線: 本間(3653)
佐々木(3658)
電話代表: 03(5253)1111
直通: 03(3595)2806

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