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2011年6月20日 第4回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会議事録

医薬食品局総務課

○日時

平成23年6月20日(月)18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省12階 専用第15・16会議室


○出席者

委員

片木委員 坂田委員 澤委員 鈴木委員
寺野委員 永井委員(部会長) 長野委員 七海委員
花井委員 羽生田委員 原澤委員 藤原委員
堀田委員 望月(正)委員(部会長代理) 望月(眞)委員 山本委員

事務局

平山審議官(医薬担当) 中垣総務課長 成田審査管理課長
俵木安全対策課長 國枝監視指導・麻薬対策課長 横幕医薬品副作用被害対策室長
関野医療機器審査管理室長 山本薬事企画官 佐藤安全使用推進室長
宿里監視指導室長

(独)医薬品医療機器総合機構

内海理事・審査センター長 川原理事(技監)

○議題

1.薬害再発防止のための医薬品行政等の見直し(最終提言)について
2.望月(眞)委員の研究班((1)患者からの副作用報告について、(2)製薬企業からの適応外使用に関する情報提供について)の結果について
3.医療イノベーションの観点からの薬事法関連規制に対する提言について
4.その他

○議事

○永井部会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第4回「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」を開催させていただきます。
 本日は、委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ多数お集まりいただきましてありがとうございます。では議事に入る前に、事務局から本日の委員の出欠状況についての確認をお願いいたします。

○中垣総務課長 委員の出欠状況でございますが、本日は委員16名、全員ご出席とのご連絡をいただいておりますが、山本委員がまだ到着ではないようですが、ご連絡もないので程なく到着されると思います。いずれにいたしましても、本日は厚生科学審議会令の規定により、この部会は成立いたしておりますことをご報告いたします。

○永井部会長 ありがとうございます。では、事務局から本日の配付資料の確認をお願いします。

○中垣総務課長 まず、議事次第、座席表。資料1-1が本日寺野委員にご説明いただく最終提言の概要について。資料1-2、最終提言への対応を項目ごとに整理したもの。資料1-3、最終提言の全文です。第1回の部会で最終提言を資料としてお配りした際には付けておりませんでしたが、今回は厚生労働省職員及びPMDAの職員を対象に行ったアンケートの調査結果を付けております。資料2-1「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」の結果について、資料2-2「医薬品適正使用のための学術情報提供に係る規制方策に関する研究」の結果について、それぞれ望月眞弓委員からご説明をいただくこととなっております。資料3、本日澤委員からご説明いただきます「医療イノベーションの観点からの薬事法関連規制に対する提言」。
 参考資料ですが、参考資料1、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会委員の名簿。参考資料2及び参考資料3は、第2回の部会において、坂田委員から「添付文書の諸外国の現状について」と「上田班の研究班の報告書」について提出してほしいというご要望がございましたので、付けたものでございます。参考資料4、坂田委員及び花井委員からの意見書でございます。
 資料は以上でございます。資料に乱丁、落丁等ございましたら事務局までお申し出いただければと思います。なお、前回までの配付資料、議事録をファイルにまとめて机の上に置いてございますので、適宜ご参照いただければと思います。

○永井部会長 それでは、早速議事に入ります。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 本日は、まず最初に寺野委員から最終提言についてのご説明をお願いし、続いて望月眞弓委員から研究班の結果についての説明をお願いいたします。そのあと、澤委員から医療イノベーションの観点からの薬事法関連規制に関する提言についてのご説明をお願いすることにしたいと思います。
 なお、第2回の部会で、坂田委員から「添付文書の諸外国の現状について」資料を提出してほしいというご意見をいただきましたので、本日は簡単に事務局からご説明をお願いしたいと思います。
 では最初に寺野委員から、最終提言についてのご説明を10分程度でお願いします。

○寺野委員 寺野です。「薬害肝炎検証・検討委員会『最終提言』について」ということで、資料1-1をご覧ください。この委員会は薬害肝炎の訴訟和解時の基本合意に基づいて設置されたということで、平成20年5月に第1回が開かれています。「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」という非常に長い名前なので一応「薬害肝炎検討会」と言わせていただきます。
 このときは、当時の舛添厚労大臣が非常に熱心にこの会を立ち上げていただいて、不肖、私が座長にさせられたのです。委員としては、肝炎の被害者の方、エイズの被害者の方、あるいはサリドマイドの被害者の方等と、医師数人、弁護士を含む法律家、合計20数人の委員会で、大変にぎやかな委員会でした。この委員会は、平成22年3月30日までで23回開きまして、1回について3時間以上やっていましたので、合計すると70時間以上で、それを10分で説明しろというのは不可能ですので、ちょっと時間をいただきます。
 委員会としては、平成20年7月に「中間取りまとめ」、平成21年4月30日で「第一次提言」を出しました。実はこれで終わる予定だったのですが、とてもそれでは片付かないということで、もう1年時間をいただいて、その間にいろいろな作業をしたわけですね。それで、平成22年4月に最終提言を出したわけです。委員会はその間に、厚生労働省医薬食品局や、PMDA職員に対するアンケート調査、第三者監視・評価組織に関して、それぞれワーキングチームを設置して検討しております。さらに、非常に重要なこととして、薬害肝炎事件の検証作業として、日本病院薬剤師会会長の堀内代表により、「薬害肝炎の検証及び再発の防止に関する研究」の研究班。ここで、事件当時の行政及び製薬企業担当者へのヒアリング、医療関係者の意識調査、被害実態調査等を含め、詳細な検証を実施しておりまして、厖大な資料を用意いたしました。
 2頁を見てください。これが今日お話する報告書全体の構成なのですけれども、全部詳しく話す時間はございません。第2のところに、実際に「薬害肝炎事件の経過から抽出される問題点」が書かれています。これは見ていただければよろしいのですが、これが非常に大変な作業であったことは事実です。そして、先ほど言いましたような、ヒアリング、医師のアンケート、医師のインタビュー、患者調査、遺族調査まですべてやってまいりました。
 そして第3「これまでの主な制度改正等の経過」を見ていただきたいのです。この委員会の本質はこの第3のところにあると思うのですが、第5を見ていただきたいと思います。「医薬品行政を担う組織の今後の在り方」ということで、医薬品行政組織についての議論が整理されています。医薬品行政組織の一元化、これは国つまり厚生労働省か独立行政法人PMDAかなどの論点を中心に、かなり熱心に議論をいたしました。これに関しては、A案B案と言っているのですけれども、これを1つPMDAのほうに一元化するか、あるいは厚生労働省の医薬食品局に一元化するかという議論がありました。もちろん、C案として現状を肯定する案もございますが、これらについて随分議論をいたしまして、これに関しても両方の職員にアンケート調査を実施いたしました。
 最終的な結論は、本委員会としては出ませんで、国が責任を負うという当然の形とすることで、一応これは政治的な判断等にお任せするしかないということになっております。具体的には、この委員会としての大きな成果になるわけですけれども、「第三者監視・評価組織の創設」を提案しています。これも後ほど述べます。第4で、いまから述べることについての基本的な考え方等が書いてありますが、これは省略します。最終的には、医薬品行政に関する総合的な基本法の制定を検討する必要がある、という意見がかなり強かったということであります。
 3頁ですが、これは基本的な考え方です。「理念と責務」等々。予防原則に立脚した迅速な意思決定が不可欠であるということ。あるいは既に製薬企業や行政が把握していたリスク情報の不十分な伝達、またその情報を不当に軽視したこと、また行政が入手していた情報の評価を誤り、規制の意思決定を行わなかったところに本質的な問題があるということに留意すべきである。薬事法に関係者の薬害再発防止のための責務等を明記すべきであるということで、これは本委員会と非常に強い関係があると思います。
 「組織・人材」についてです。1つは、やはり予防原則等に立脚した組織文化の形成のためには、将来にわたる人材育成、組織及び活動に対する透明性が確保できるシステムが必要、構築すべきであるということです。人員等の確保、適切な配置、能力が発揮できる環境の確保が必要であることがアンケート等から明らかであります。人員増については、本委員会としては、ラグ解消のために審査に焦点が当たりがちであるけれども、安全対策も重視するべきであろうと提言しています。厚生労働省・総合機構と関係分野の人事交流、あるいは製薬企業出身者の就業制限等の在り方を常に点検し、必要な見直しを行うべきであるということです。
 5頁、「教育、コミュニケーション」です。これについては、やはり初等中等教育はある程度手が付けられているようですけれども、生涯教育としての学習として薬害を学ぶ必要があるということです。また、医学部・薬学部・看護学部教育における医薬品に対する認識を高める教育を行う必要がある。そして、薬害に関する資料の収集、公開等を恒常的に行う仕組み、いわゆる薬害研究資料館なるものを設立すべきではないかと提言しました。
 6頁、「第三者監視・評価組織の創設」については先ほども少し述べましたけれども、薬害の未然防止を目的として、医薬品行政機関とその活動に対して監視・評価を行い、特性として独立性と専門性と機動性が重要であるということを提言しています。結局、過去の薬害事件からの既存の組織とは別に、監視・評価体制が必要と判断したところであります。権能としては、薬害防止のために適切な措置を取るように提言を行っております。具体的な権限としては、厚生労働省・PMDAから定期的に医薬品の安全に関する情報の報告を受けること。行政機関に対する資料提出命令権限があること。行政機関を通じ製薬企業や医療機関等から情報を収集すること。収集した情報に基づいて医薬品の安全性を評価すること。さらに監視・評価の結果に基づいて行政機関に提言すること、ということです。そして、行政機関は、それに対して報告することです。
 7頁。これは厚労省の活動を監視・評価する機関でありますから、厚労省からの独立が必要であるということです。中立公正な立場から厳正に監視・評価を行うため、厚生労働省から独立した組織が望ましい。とは言いながら、当面は厚労省の中に作らざるを得ないだろう。しかし、既存の審議会等とは異なる仕組みが必要である。この異なる仕組みというのは、やはり基本的に委員会自ら審議事項を発議することが可能で、ほかの諮問機関等々から諮問があって討議するのではないというところに、これまでの既成の審議会とは違うものという特徴を持つべきであるということです。構成人数等々については、資料にあるように、薬害の被害者、市民、医師、薬剤師、法律家等々10名ぐらいであるということです。どこに作るかについていろいろ議論がありましたけれども、先ほど申したとおりであります。
 この第三者監視・評価組織というのは、この委員会としても非常に具体的に提言できた1つの大きな成果でありますので、この点は薬事法の中に入れるなり、あるいは全く別の法体系を構築するなり、この点にはしっかり力を入れてもらいたいということ。これは、当局、あるいは大臣か副大臣か忘れましたが、しっかりと約束をさせていただきました。
 「アンケート調査結果について」。これもこの委員会の後半に短時間でやったことですが、職員の意識調査が重要だということで、厚労省医薬食品局の職員158名、PMDAの職員637名、回答者430名、回答率54%で、非常に内容のあるアンケートになったと思います。第一次提言の内容全般、第一次提言を知っているかどうか、その内容をどう感じるか。使命感と資質を備えた人材の育成・確保。そのような人材が能力を発揮できる環境の整備や組織の文化の醸成ができているか等についての事項についてアンケートを行いました。
 回答状況ですけれども、この医薬品行政組織については、国の組織とすべきであるという意見、そうでないという意見の双方が存在しました。厚労省と総合機構の関係については、どちらか1つにするというよりも、役割分担が不明確であること。それから、厚労省の職員からは、総合機構の職員が行政の考え方をわかっていない。総合機構の職員からは、厚生労働省の方向性によって科学的とは言えない観点から覆されることへの懸念がある、ということがそれぞれ出ています。
 人事異動について、非常に関心がありまして、厚生労働省内の短期間での異動が専門性を損なうものである。総合機構内での異動の少なさや専門性を活かした人事配置が要求されている。また、総合機構の幹部ポストの多くが厚生労働省の出向者によって占められており、総合機構がプロパー職員の管理職登用が狭く、厚生労働省から短期間総合機構に出向し厚生労働省に戻るという管理職異動の在り方が問題である。そのような不満がかなりのものを占めておりました。
 そのほか、専門性が発揮できない。人員不足が原因ということですが、この人員については、第1年目に約300人の人員を増員すべきであるという予算をこの委員会として提案し、それが実現しつつあると思いますが、まだ全部が充足しているわけではなさそうであります。しかし、問題は、その配置が問題ではないかということです。これらが問題となりました。
 「承認審査体制」があります。承認審査の透明性を確保することによって、安全性を確保する必要があるのですけれども、承認審査の専門性を高め、効率的な承認手続とすることなどにより、医薬品の迅速な承認を目指しつつ、一方で科学的な判断を基礎として、慎重な承認審査を行う必要があるということで、これがおそらくこの本委員会における最大の議論になるところだと思いますが、この肝炎委員会でも議論いたしました。
 まずは透明性ですけれども、審議会等々の公開の在り方を見直すべきであることが当然のことながら出てまいりました。もう1つは、この委員会の特徴は、当然安全確保でありますから、審査を担当する厚生労働省・PMDAの人的資源の確保が必要である。それと同時に、迅速化。ドラッグラグ、デバイスラグが問題になっているので、PMDAでの審査終了から厚生労働省の審議会等の手続に関する期間を短縮すべきである。これもある意味当然といえば当然になりますが、そのような意見が出ています。
 臨床試験や治験についても議論しましたが、その中で公的基金の設立ということが重要だということです。これは臨床研究、特に希少疾病、薬剤、疫学研究等はほとんどが企業資金で賄われているので、これを公的資金で賄うべきであろう、そして客観性を出すべきであろうということです。
 次に11頁。再評価制度については、市販後に想定されるリスクを特定し、薬剤疫学的手法を取り入れた「新たなリスク管理」手法、つまり「リスク最小化計画実施制度」を速やかに導入すべきであるということ。その中でも、特に電子レセプト等のデーターベースなどを活用していくべきではないか。これは、そのあと、永井先生が座長をされている「医薬品の安全対策における医療関係データーベースの活用方策に関する懇談会」で議論されているようでありますから、質問があれば永井先生にしてください。
 12頁、添付文書です。これについては、やはり承認審査の対象として薬事法に明記するなどとして、行政の責任を明確にすべきであるということを提言しました。
 次の「リスクコミュニケーション」に関しては、患者とのリスクコミュニケーションを円滑に実施する体制を構築すべきであり、特に患者からの副作用報告制度の創設が重要である。その他、いろいろ「苦情解決部門」等々の提案をしています。副作用などのグレー情報の段階で、市民や医療関係者に早期の情報を提供するWebサイトの創設等も必要であろうということです。
 14頁、「未承認薬の特例的使用の枠組み」ということです。これはやはり「コンパッショネート・ユース」ということで、人道的医薬品使用手続の国内導入等例外的使用システムを構築すべきであるけれども、かえって薬害を引き起こすことにならないように、慎重な検討と制度設計が必要であるということです。
 また、個人輸入の問題も議論いたしました。これについては、いろいろ個人輸入品の薬品のデーターベース化・公表等々をしっかりして、監視・取締の強化をし、安全対策を遵守すべきである。ただこの点は、ドラックラグ等のご意見とちょっとぶつかるところがあるかもしれません。ここで議論をすべきことだと思います。
 その他、「がん等の特殊疾病医薬品における救済制度の在り方の検討」についてです。これはスモン訴訟後、医薬品を適正に使用して副作用被害救済に遭ったときに、補償する制度ができたわけですが、まだ周知徹底が十分行われておらず、利用されていないというのが現状であります。また、抗がん剤などの一部の薬害は救済の対象となっていないということで、救済対象とすることも含め見直しを求めたいということです。
 最後に私が申し上げたいことなのですが、この最終提言というものの内容をこの本委員会、永井委員会における位置づけとしてどのようになさるのかという問題です。肝炎委員会最終提言のどの部分を実際薬事法改正に活かすことができるかという点を、じっくりと分析してもらいたいということ。そして、薬事法の改正が、今年12月を目標というふうに聞いておりますけれども、実際は薬害の再発防止のための具体的な法案をできるだけ早く提示してほしい。そして、薬剤、医療機器の安全性とドラッグないしデバイスラグとの関連性というものをしっかりと議論して、肝炎薬害委員会は当然のことながら安全性中心の議論となりましたので、当然この委員会の中でドラッグ・デバイスラグとの調整をしていただきたいということが最大の問題であります。そして、最後に申し上げたいことは、薬事法改正等々の計画があるのならば、具体的な法案をできるだけ早く出していただいて、それを基にした議論をしなければ、しっかりした身に付いた議論にならないのではないかと私は思うわけでありまして、できるだけ早く具体的な法案を出してもらいたいものです。
 そのように申し上げまして、最終提言からの報告とします。70時間にわたる議論を10分、20分でなかなか難しいのですけれども、要領よかったほうではないかと思います。そういうことで、以上、報告とします。

○永井部会長 ありがとうございました。結局、この中で、制度改正が必要な部分と運用の見直しでできる部分と、ある程度整理する必要があると思いますが、まず制度改正がここは必要になるというところを少し整理していただけますか。

○寺野委員 これは、先ほど言いましたように、まずは第三者監視機関というものを作らなければいけないということですね。それから、これは大きな問題過ぎるので直ぐにはできないのですけれども、やはりこの医薬品行政そのものに関して、いまのままでいくのか、あるいはPMDAというものを中心にいくのか、あるいは厚労省中心になるのかということ、この点の大きなところを見ていかなくてはいけないのではないかというのがもう1つの大きな問題であろうと思います。そしてもう1つは、具体的に今ここでこのような案にすればいいというのは出ないのですけれども、やはり安全性と迅速性で、薬剤の認可等々の迅速性との兼合いを、薬事法等の中で具体的に出していかなければいけないのではないかということ。また、そのほかに関しては、個人輸入の問題とか、治験の問題とか、それはそれぞれについて全部問題になるわけでありますから、これはやはり具体的なシステムとして考えていかなければいけないと思います。肝炎委員会の最終提言としては、主に7つの提言を行っているわけで、これらの法案化を具体的に検討して頂きたい。

○永井部会長 それは、ある程度は運用でもできることですね。いちばん大きいのは、とにかく第三者の監視機関。

○寺野委員 これは、具体的に作ってもらわなければいけないということですね。運用でできるかどうかは、なかなか難しいと思います。やはり、可能なものは、具体的に法案化していくべきだと思います。

○永井部会長 これについては、事務局はどのようにお考えになってらっしゃるか、ご意見いただけますか。

○中垣総務課長 基本的には第2回のときにご議論いただきましたが、またこの委員会の中で十分ご議論いただければと思っております。

○永井部会長 まず、その辺りについていかがでしょうか。

○花井委員 全部が全部、運用でできるとは思えないですね。ただ、添付文書をちゃんと法的に位置づけなさいと書いてあるわけで、それは薬事法のいわゆる審査のところで、いま通知でやっている部分を法律に持ち上げるというところはいくつかあろうかと思うのです。オーファンの規定にしてもそうですし、デバイスにしてもそうですが、いま通知でやっていて、事実上そうだと言っても、法の中でステータスを明らかにする作業は必要かと思います。

○永井部会長 第三者機関については、どういうイメージで捉えていらっしゃいますか。

○花井委員 議論に加わった者からすれば、理想的にはいわゆる公取委のようなものを描いたのですが、それはかなり難しいのではないかと。三条委員会ということではなくて、いわゆる審議会のようなものでやることになるのかなと。先ほどあったように、官房に作ると。

○寺野委員 第三者委員会といったもののイメージとして議論したのです。三条委員会、八条委員会があるのですが、三条委員会はすごく大きな委員会なのです。公取委員会とかそういうものだから。八条委員会としてなら十分可能だろうということで、その位置づけで委員会としては納得したので、それを要求しているのです。これは薬事法とどういう関係になるのか、全く別の法体系にするのかというのは、法技術的にはもちろん問題がありますが、結論としては、独立した法体系でしょう。

○花井委員 つまり、いずれにせよ、その委員会については立法措置が必要だということは間違いないと、そういう理解です。

○永井部会長 薬事法を超えているかもしれない。

○花井委員 もちろん、薬事法の中に位置づけるのも方法論としてあり得るけれど、立法措置なしには作れないということだと思います。事務方もそういう考え方だと思います。

○永井部会長 あとは、PMDAと厚労省との関係をどうするか。これはかなり大きな問題ですが、ここだけで議論できるのか、これについてはいかがでしょうか。何でもご発言いただければと思いますが。

○寺野委員 この問題は、2年前の5月にスタートしたときから、最初からの問題だったのです。これは肝炎が見逃されてきた過程を見ると、(当時はPMDAではないですが、)PMDAから提案したことが行政では理解してもらえないという事実があったのです。資料が見つからなかったのは、隠されていたのかたまたまなのか、それはわかりませんが、資料が散逸してしまっているということもある。PMDAと医薬食品局とは一致した形のものにしなければ、この問題は解決しないのではないかということです。そういうことで、これはいろいろ議論しましたが、最終的には政治的なマターになるかもしれないということで、一応両論併記のままで終わりました。

○永井部会長 いまの点についてでも、何か委員の先生方からご意見はございますか。

○花井委員 これに関しましても、いま意見があったように、医薬食品庁という庁を作って、そこでFDAのような形にしてやったらいいのではないかという案と、そうではなくて、PMDA、独法ということでやったらいいと。1つの掴みとしては公務員総定員の問題があって、公務員法の縛りがあるところでやると、いわゆる専門職のキャリアパスや人材も苦しいのではないかという反対論と、責任の所在が曖昧になる独立行政法人ではいかがなものかと。しかも、独法になるとFDAは半分ぐらい税金でやっているわけですが、PMDAは90%以上を民間の企業からのお金でやっているので、中立性が危ないのではないかという議論が両論あって、取りまとめられなかったということです。もし、この議論をここで蒸し返すとすれば、これだけで1年かかるような議論になるので、今回の法立改正に盛り込むのは困難ではないかという気はするのです。もちろん、問題点としては皆さんにご理解いただきたいと思います。

○永井部会長 もう1つ、添付文書の法制化の問題です。これはこの前も少し議論しましたが、参考資料2で提出いただいていますが、これについて事務局からご説明をお願いします。日本の特殊性は一体どこなのかを少しご説明いただいたら、委員の方々がおわかりになりやすいと思うのです。

○俵木安全対策課長 参考資料2について簡単にご説明します。日米EUの添付文書に関する規制の状況について事務局で調査した結果です。3つの観点でご説明したいと思います。1つは承認の段階でどのように添付文書が取り扱われているのか。2つ目は市販後に添付文書の内容を改訂していくわけですが、その変更の段階での取扱いはどうなっているか。3つ目は、2頁ですが、定期的な添付文書の内容の見直し制度について日米EUでどうなっているか。この3つについてまとめております。
 承認段階の取扱いです。共通の事項としては、日米EUとも、承認審査の段階で添付文書の案を提出させ、その内容について、場合によっては審議会のような場での議論も含め確認をしていることについては共通ですが、米EUでは承認申請時に提出すべき資料として法的に明確化されております。一方、日本ではその部分が通知で、行政指導の形で提出を指示しています。指示して出てきたものについては、どこの規制当局も確認をしていることは変わりがなかったということです。
 市販後の変更段階です。共通していることとしては、日米EUとも、添付文書のうち「効能・効果」や「用法・用量」、医薬品の基本の情報については、変更する場合には承認申請の手続が必要とされておりますが、安全対策のために迅速な対応が必要な「使用上の注意」の警告欄や禁忌欄、新しい副作用の追加といった改訂については、承認審査に用いるような一般的なデータパッケージ、又は通常の承認申請手続を要求しないということは共通です。
 1つポツを飛んで、米EUでは、「使用上の注意」の改訂のプロセスについては、製販業者が行政に内容を確認する手続として、届出又は年次報告といった法的な手続が明記されておりますが、日本はこの改訂の部分については法的な手続が明確にされていない、行政指導で行われているという点が違います。ここで言う米国での届出というのは事前の届出で、記載内容の確認、場合によっては修正も指示がされるということで、単純な届出制度ではない形ですが、いずれにしても法的に手続論が規定されているということです。
 1つポツを戻って、日米EUとも行政が改訂内容については確認をしているということにおいては共通ですが、いま見ていただきましたように、手続論が明確になっているかどうかというところが違います。
 4つ目のポツですが、日米EUとも収集した副作用情報等のデータに基づいて、行政が「使用上の注意」の改訂が必要だと判断した場合においては、製販業者に対して指示をして、それに従って製販業者が改訂を行うということは共通です。米国では必要な場合に添付文書の改訂を指示できる権限が法的に規定されておりますが、日EUでは法的にはそのような権限は規定されていないということです。
 次の頁です。「定期的な見直し」ですが、日本では新医薬品について承認後一定期間、安全性定期報告制度があり、承認から2年以内は半年ごとに、その後、再審査期間中は1年ごとに、定期的に安全性の情報をまとめて報告する制度があります。また、新医薬品については再審査制度があり、承認からおおむね8年のところで見直し、再審査が行われるという制度があります。一方、EUと米国については、新医薬品に限らず、すべての医薬品について安全性定期報告制度や、EUでは5年目の更新制度があります。また、米国では、安全性定期報告制度と、すべての医薬品について年次報告で添付文書の提出義務がかかっているという状況です。
 3~4頁が対比した表です。いまご説明した点について、三角になっている部分ですが、承認時の取扱いは日米を比較した場合に、我が国で承認申請時の添付文書の提出について通知での指示になっているということで、この部分が△です。また、市販後の取扱いですが、アメリカでは市販後に改訂を指示する権限があるということで、法律は○になっておりますが、日本とEUでは指示する権限が法的には規定されていないということです。また、いちばん下ですが、定期的な見直しについては、我が国は新医薬品についての定期的な見直し制度となっている点が△ということです。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。寺野先生、検討会でどれがいちばん問題になるかですね。法的な位置づけなのか通知なのかということはもちろん違うようですが、いちばんの問題は何なのですか。指導の権限ですか。

○寺野委員 添付文書に関してですか。

○永井部会長 はい。

○寺野委員 いろいろ議論もあったのですが、いちばん問題なのは、承認審査対象として明記して行政の責任を明確にすべきと書いてあるのですが、これに関してもある程度の定期的な添付文書の見直しを義務化する。これは製薬会社からかなり反発がありましたが、そういう具体的な問題は随分議論されてきました。

○永井部会長 実際、承認審査のときに添付文書が審議されてはいるのです。ですから、単なる運用的な話なのか、もっと強制力が必要か、必要な部分はどれなのか。

○寺野委員 委員会としては、これは強制力がある程度必要であるという結論なのです。でも、もちろん製薬会社の委員もいらっしゃいましたので、そう簡単にはいかないという話もありました。

○永井部会長 いずれにしても、いろいろな見直し、安全性を常にチェックする体制の強化ということですね。

○寺野委員 添付文書に関しては、我々現場の医者として見ると、とてもではないけれど、読めもしないようなものをぞろぞろ並べられても困るのではないのかという意見もないわけではないのです。だけど、それがみんなにわかるように、きちんとわかりやすく書くことが非常に大事だし、そういうことを法的にどうこうはできないかもしれないのでこれは運用面になりますが。

○永井部会長 そういう意味では、第三者の監視委員会の役割が非常に大きくなると思いますが、規模としてはどのぐらいを考えていらっしゃいますか。それは、おそらくたくさんいれば、いたほうがいいのでしょうけれど。

○寺野委員 委員としては、いまのところは大体10人程度と思っていますが、常勤としては2、3人ぐらいが限度であろうと。本当はもっとほしいのだけれども、最初はそれでスタートするしかない。消費者庁などもそうだったのですが、そういう形でスタートして、運用次第で予算を増やしていくことになるのでしょうね。

○永井部会長 これまでの議論について、委員の方々からご発言はありますか。

○望月(眞)委員 いまの添付文書のところで、日本の場合通知で指導をしていくという対応が多いと思うのですが、通知の受け止め方は業界によってかなり違うような気がしています。添付文書に関しての行政指導の通知は、製薬企業はきちんと受け止めて対応を図っているというのが私の印象です。全然違う業界に行くと、それは通知でしょうと、法律ではないから、別に守らなくても罰則はないという整理をする業界もあります。医薬品の添付文書に関して、製薬企業という業界については、通知でも十分いままでも機能してきたのだと思っています。ただ、欧米と比べて、それを法的に位置づけたほうが、もっと行政指導が動きやすいということになるのであれば、そういう形を取ると行政指導が徹底するということはあるのかなと思います。
 もう1つ、全部の添付文書を定期的に見直すというのは、人的資源とお金のかけ方をもう少し整理して考えなければいけないところがあるのかなと思います。当然、市販後に定期的に安全性定期報告や、あるいはそれがさらに進むと再審査、再評価が行われるというプロセスの中で、定期的に副作用等の「使用上の注意」の改訂が行われていくと思うのです。そうではなくて、いままでのいろいろな安全上の問題は、1つには市販後の早期の段階で、治験の段階で得られたデータと違う使い方をされたり、違う母集団に使われたときに、安全上の問題が予測できない部分もあるし、予測できた部分もあるのかもしれませんが、出てくるというのが、これまでの非常に大きな副作用等の問題ではあったような気がします。
 そうした市販後の早期の段階、あるいはどの段階できちんとチェックを入れていくのだというそこの制度、私はいま結構いい制度になっていると思うのです。市販直後調査の制度などは、市販後の半年の間できっちり副作用のモニタリングと、安全に使うための適正使用の情報を付加して提供することを行っていくということで、かなりいい制度になっていて、このごろ出ている安全性情報等を見ると、大体市販後の3カ月ぐらいの間で集まった副作用情報等を基に、添付文書をこのように変えなければいけないとか、適正使用の情報提供について、これだけ充実を図らなければいけないという形に動いていると思うのです。

○永井部会長 要するに制度の問題なのか、運用の問題なのか、お金の問題なのか、人の問題なのか、そこをもう少し整理して、どこに問題があるか。

○望月(眞)委員 私は、いちばん大きな視点としては、副作用について改訂をしていくときに、通知レベルではなくて法的にしたほうが行政指導が徹底するとか、そういうことがあるのだったら、法的に位置づけることが役に立つのではないかと思うのです。

○寺野委員 そこは随分議論になったところです。

○山本委員 先ほどの第三者機関のことで、1つお伺いしたいのです。今日の資料の6~7頁、特に6頁に「権能、具体的権限」という形で並べられております。これはたしか報告書の中にもありますが、行政のあり方全般の問題と個別の医薬品の問題とが含まれています。おそらく、個別の医薬品の問題の場合にも、すでに問題が非常に顕在化したものについて検討する場合もあれば、情報を掘り起こすというか、掘り起こした上で検討する場合まであるのかなと思うのです。
 先ほど伺ったところ、組織の規模として大体委員が10人ぐらいで、常勤の方が1、2人ぐらいというイメージだと伺ったのですが、そうすると、この権能で言うとどこにウェイトが置かれる機関になるのでしょうか。全部やるのは、おそらくその規模ですと不可能だと思いますので、そうすると検討されたときはどの辺りに力点を置いた機関を念頭に置かれていたのかをお伺いしたいと思います。

○寺野委員 先ほど言いましたように、10人程度というのは委員であって、その下に職員を付けることは十分可能なのですが、組織としては限度があるということは当然です。特に初期の段階ですべてをやること、問題を全部掘り起こしてくることは無理であろうということは当然と考えております。ですから、問題を掘り起こすというのはまた別の機関で確保しなければいけなくて、そういう問題が起こってきたことに関してこれを調査していく。それに対して調査権限を持つという形でないと、一つひとつの全国からの問題点が出てくることをすべて掘り起こすわけにはいきません。ただ、できるだけそういう問題が掘り起こされるようなシステムを作ることは、この委員会で可能で、ここには命令と書いてありますが、厚生労働省にお願いしてそういう形にしてもらうことはできると思います。ただ、具体的に一つひとつについて全部この委員会でやることはできません。限界があります。将来的にはわかりませんが。

○永井部会長 あと、臨床試験の法制度化の問題が取り上げられています。これを全国に欧米並みに持っていくには相当な体制が必要だと思うのですが、どのぐらいのタイムスケジュールを考えておられるのでしょうか。

○寺野委員 臨床試験・治験に関しては別の委員会がありまして、この委員会でやっています。これを具体的に法律の中へどう活かしていくのかが我々としての問題で、この臨床試験の倫理的な問題も含めて、すべてをここでやるわけにはいかないので、そこまでの時間は割いておりません。
 しかし、どちらにしてもこのような登録の義務づけ、登録内容や開示範囲の一層の拡大に関しては、何らかの形で薬事法なりでもう少し充実させたほうがいいのではないかと思います。先ほど言いましたように、公的基金の設立が重要なのではないかということが、ここでは議論されました。ただ、これもあまり大きな問題すぎて、そう簡単に我々の委員会なりがすべて議論できるわけではないので、そこには限界があります。

○永井部会長 新たなリスク管理手法ですが、これは私が検討会でいろいろな処方箋のデータとか薬剤疫学的なデータを活用するシステムが必要であると。早く検出することが大事だと思うのです。いま、厚労省では拠点病院でデータベース化を推進するという話も動いていると思いますが、少し状況をお話しいただけますか。

○佐藤安全使用推進室長 いま永井部会長からご指摘いただきましたように、いわゆる医療現場にある電子的な医療情報を活用して、そこから副作用やそういった情報をできるだけ早く検出していく、また検証していくような取組みとして、昨年8月に永井先生が座長の検討会がありましたが、そちらからご提言をいただきまして、平成23年度から3カ年計画で、そういった医療情報のデータを活用するための拠点を整備していこうということで事業をスタートしております。現時点では、10カ所の拠点となる医療機関に対して公募して、ちょうど公募を終えて、実際その10カ所においてこれからデータベースを設置するための仕様や規格について検討を始めた段階です。
 また、これプラス6医療機関で、PMDAからの資金的な助成はありませんが、事業において協力をするという所も加わった形で、これからデータベースの設置と稼働に向けて、3カ年計画で進めていこうという状況になっております。

○永井部会長 「リスクコミュニケーション」は、もちろん教育を徹底していかないといけないと思いますが、いまの体制でも運用の中で教育を徹底することが大事だろうと思います。これは何か提言の中に盛り込められればいいと思うのですが、もう1つ大きな問題はコンパッショネート・ユースです。これはどういうところが問題なのか、つまり、もちろん状況はわかるのですが、かえって薬害を増やすのではないかという懸念もあります。医療機器の場合と薬剤の場合も状況は違うと思うのですが、それはどのぐらい議論されたのでしょうか。

○寺野委員 これに関しては、個人輸入の問題とオーバーラップするところもあるのです。実際こういう形で我々が議論している中で、本委員会の中心となるのは、どうしても安全性というところが中心になってきます。安全性を追求していくと、当然のことながら承認等々に時間がかかる。それをいかにして、何とかこれを解決できないかということで、個人輸入の問題等も議論した中でコンパッショネート・ユースが出てきたのです。ですから、それはそういうことで安全性は重要だけれど、できるだけ早くドラッグラグを少なくする方法の1つとして重要ではないか。
 しかし、逆に言うと、これは使い方によっては非常に危険なことになる可能性もあるということで、我々も結論は出せませんが、ドラッグラグと安全性との1つの典型的な例としてこういうことが議論されました。これを法の中でどうするのかはわかりません。ですが、こういう使い方が外国としてはかなりやられているようですから、こういうことで安全性を追求しながら、何とかドラッグラグを解決する方法になるのかなという程度の問題性を出しています。

○澤委員 この件に関しては、後ほどの私からの提言にも入っていまして、そこで議論させていただきたいと思いますが、安全性を十分に議論した上での推進だと思っています。

○永井部会長 最終提言のお話をいろいろ伺っていますと、いちばん大きいのは第三者の監視機構と添付文書の問題でしょうか。

○寺野委員 もっと大きい組織的な課題は今の時点では手が出ないので。

○永井部会長 そうですね。これについては、法的なことも含めて少し事務局で整理していただいて、次回以降何かまとめを出していただくということでいかがでしょうか。山本委員にも加わっていただいて、法的な問題がどこにあるのか。とりあえず、そういう整理でよろしいでしょうか。あとの問題については、ドラッグラグとか承認審査のあり方等も関係してきますので、今後継続して審議していくということかと思います。

○坂田委員 添付文書に関して、一言お願いします。今日、平成13年6月21日に出された審査管理課長通知をプリントアウトしてきたのですが、通知と法律がどれだけ違うか、それを皆様にわかっていただきたいと思います。通知は、「ご了知の上、貴管下関係業者に対し指導方ご配慮願いたい」というのが最後の文言です。ということは、助言という形です。これが普通「通知」と呼ばれております。それと法律とは全く違うということです。
 最終提言では、「添付文書を承認の対象とするなど承認時の位置づけを見直し、公的な文書として行政の責任を明確化」ということを言っています。もし、現在のままでいいとのことであれば、従わなかった場合はどうされるのかと思うのです。ちゃんとやっていますと言われるのはとてもわかります。わかりますが、最終提言では通知管理では駄目なのだと、薬事法上の位置づけをきちんとしなさいということを言っています。何か法律にしてはいけない理由があるのかなと思うのですが。今回出していただいた上田研究班でも、研究報告書には添付文書はとても大切なのだということがきちんと書いてあるかと思います。

○永井部会長 これは一度事務局で整理していただいて、次回以降まとめをご提示いただくことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○寺野委員 いちばん最後に言ったことなのですが、結局、最終提言の範囲が非常に広いということで、部会長も戸惑われているのはよくわかるのです。我々も70時間やったわけですから、いっぱいいろいろなことをやってきている。それを、どこの部分をこの委員会で活かすかということを整理してもらうということが重要です。しかし、12月ぐらいまでに案が出るような話なのですが、いまどこを直そうかと言っているレベルで、そんなふうに進むのかと疑問に思っているのです。できるだけ早く具体的にこういう形のものにしたいという案を出してもらわないと、なかなか議論がしにくいですね。

○永井部会長 だから、今日一通りお伺いして、第三者の監視機構と添付文書の問題だと思うのです。あとはいろいろ動いているようなところもありますし、まさに運用の中でできる問題が大きいように思います。特にそういう重い問題については、いまお話したように、まず事務局で法的なことを整理していただくことが非常に重要だと思うのです。理念だけ言っていてもしょうがないわけですから、山本委員がその辺りのことは詳しいと思いますので、アドバイスをいただいて、論点を整理して、次回以降も議論を続けるということでいかがでしょうか。

○花井委員 最終提言の49頁に、「審査手続、審議の中立性・透明性等」があって、薬食審の位置づけについていくつか議論してあるのです。本報告書の50頁に利益相反の話が出ているのですが、現在、薬食審の利益相反はご存じのように申合せ事項という形で運用しておりまして、もし法を変えるのであれば、この機会に薬食審における利益相反ルールをちゃんと薬食審の位置づけと一体化するとなれば法整備ということになるので、いま申合せ事項を上に持ち上げられるのであれば、最終提言にもこの件は触れてはいますので、ご検討いただけますでしょうか。

○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、その点について事務局で整理していただいて、次回以降お願いしたいと思います。
 いままでの議論とも関係しますが、望月眞弓委員が研究班の中で「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」を進めて来られましたので、資料2-1についてご報告をお願いします。

○望月(眞)委員 資料2-1と、もう1つ適応外使用情報の提供のあり方に関する資料の2つがありますが、続けてご説明させていただきます。
 資料2-1が「患者から副作用情報を受ける方策に関する調査研究」になります。1頁ですが、「背景」です。副作用の報告制度は現在日本でも動いておりますが、企業報告と医療関係者からの報告を比べると、企業の報告に比べて医療関係者からの報告の割合は1割ぐらいでしょうか、とても低いという状況です。副作用の報告者の幅を広げるということで、より早い段階で、できるだけ問題になりそうな副作用のシグナルを集めることができるのではないか。そのためには、副作用の第一発見者が患者自身であることが多いので、患者に直接報告をしていただくのはどうかということがあります。諸外国では、2000年代に入ってからかなりの国で、10カ国ぐらいで患者からの副作用報告収集制度が活発に動くようになっています。一方で、ドラッグラグの解消等に伴って、市販前の段階の情報がかなり小さな情報になって、市販後の安全性の監視が重要になることもあるということで、この研究班では患者からの副作用情報を受ける仕組みについて、課題と解決策を提案したいということで、そこにある4つの項目を検討しました。
 2頁です。Figureになりますが、いま現在Webで副作用報告を患者から出していただけるようなシステムを構築し、患者が副作用を入力すると、それがデータセンターに送られます。それについて、内容を専門家が確認作業をして、副作用用語のコーディングをする。そのプロセスの中で、報告者あるいは医療機関にお問合せをして確認する事項が生じたときは、電話もしくはメールでやり取りをするという運用になっています。データがたまってきたものについて、研究者やデータ解析者等がその蓄積データを利活用するというのが最終的なゴールになります。
 Webサイトをオープンしているのですが、まずはWebサイトがオープンしているということで、患者さんたちに報告ができるということを宣伝しましょうということで、ポスターやPMDAのホームページにリンクを張っていただき、また、次の頁になりますが、医薬品医療機器等安全性情報の中で、これは医療関係者向けの解説書になりますが、このWeb報告システムについてご紹介いただいて、医療関係者に患者に紹介していただくなりのご案内をすることもご協力をいただいてしてきました。
 実際のホームページが6頁になります。このようなサイトから副作用報告をしていただく形で、次の頁ですが、現在収集している情報は1~7になります。ざっくり言いますと、どのような副作用症状があらわれて、誰にあらわれたのか。副作用の症状がいつあらわれ、どの時点で医薬品を使っていて、どの時点であらわれたのか。あらわれた際に使っていたその他の医薬品も含めて、全部の医薬品名を正しくご報告いただくこと。結果として副作用症状が回復しているのか、していないのか等々。過去に同じような副作用を経験した場合には、そのときの医薬品と副作用の状態をご報告いただくことをお願いしています。6、7で個人の情報、医療機関等に確認をさせていただける場合については、その連絡先等を教えていただくという形になっております。
 本年の1月10日にこのシステムがオープンしておりますが、お示しするのは3月8日までの報告の集計結果になります。まず、副作用出現時の出現者の年齢ですが、多岐にわたっているということで、特別にどこか多い世代があるというほどでもないということです。
 次の頁ですが、副作用症状の発現時から報告までにどのぐらいの期間を要していたかです。1週間以内が97件中10件程度、1週間から1カ月以内が8件、残りはそれ以上の期間経ってからのご報告が多く、3年以上経ってからのご報告は、ここには件数は書いておりませんが、26件だったと思います。かなり昔の副作用について、システムをオープンした初期のせいもあるかもしれませんが、ご報告が多かったという状況です。
 次の頁が、お1人の報告当たり副作用の症状の種類が何件程度であったかです。1件というのがいちばん多いのですが、複数件、4、5件報告されている例がそこそこ多く存在しました。もっと多くて10件以上というのも何例かありました。
 次に、副作用が回復しているかどうか等についても報告いただいていますが、「回復した」「ほぼ回複した」で約半分、「回復していない」という人が40件程度いました。回復していないというのは、精神・神経系の副作用などで、その障害がいまだに継続しているような例が多く見受けられました。
 次に、報告の内容についてご確認させていただきたいときに、電話、メール等でご連絡していいかどうかに関しては、「連絡してほしくない」という方は少なくて、積極的にこういうシステムを使ってまでも副作用を報告したいと思われている方ですので、連絡して結構であるというのが多いという結果でした。特に「メール」の希望が多かったです。
 次の頁ですが、この報告Webシステムの使用感について簡単なアンケートを取りました。全体を通じて、入力の方法は難しいと言った人はとても少ない、あるいは入力時間が長いと感じている人もかなり少ない。入力が煩雑であるかというのも、どちらかというと煩雑でないと答えてくださった方のほうが3分の2ぐらいいらっしゃる。今後これを利用しようと思うかということに関しては、全員が「はい」とお答えくださったという状況です。
 次の頁に、副作用が発現していたときに使用していた医薬品の種類について、大きな薬効分類ですが、示しています。原因と思われる医薬品と患者のほうで報告されたものの中には、中枢神経系用薬、精神・神経系の薬が非常に多いという状況でした。
 次の頁に、実際の副作用をMedDRAの用語で分類をしていったときのPrimarySOCで示すと、いちばん多かったものが精神障害、次に神経系障害という分類になりました。
 次にグラフがあります。本年1月10日にオープンしているのですが、当初の2カ月間は月50件程度のご報告をいただいていたのですが、3月に入って東日本大震災もあった関係で、ぐっと件数が減りまして、最近になって少し元に戻ってきているかなという状況です。
 最後の頁です。平成21年、平成22年と2年間検討してきましたが、これまでの結果を踏まえて今後の課題を挙げております。システム上で入力する際に日付を間違えている場合、あるいは医薬品名が正確に入力されていない場合等々がありましたので、ここを何かできることがないかということです。2つ目が、発現した副作用の症状をMedDRAコードで適切にコーディングしないと、最終的なデータベースの利用性が確保できないので、コーディングする努力をしているのですが、副作用症状を患者さんの言葉で入れていただいたものをコーディングするところの難しさが存在します。これをうまくコーディングしていくためには、専門家も関わった形で考えていかなければいけないかもしれないという状況にあります。
 3番目ですが、お1人の患者さんが異なる時期に発生した複数の副作用と思われるイベントを報告していることが今回わかりまして、イベント発生日と薬との関係がきちんとわかるような報告システムにしないといけないのだろうということで、これはすでに改善をしつつあります。
 4~6に関しては、副作用の内容を医療機関等に照会するときの体制、あるいは蓄積データの利活用の方法です。また、6番ですが、このWebシステムがあるということについて、広報をもう少ししないといけないのだろうと。現在、日本薬剤師会にご協力をいただいて、いま薬局等で広報をしていただいてはおりますが、実際にこれを運用する際に、折角こういうシステムがあってもなかなかご報告をいただけないようなことにならないように、こうしたサイトの周知を、何らかの手段を講ずる必要があるかなと思っております。

○永井部会長 もう1つも手短にお願いいたします。

○望月(眞)委員 資料2-2です。これに関しては製薬企業が、医薬品の適応外使用に関する情報提供をする際に、どのような提供のあり方が望まれるかということを検討したものです。「製薬企業が」というところがご注意いただきたいところです。実際にどのように病院や製薬企業で情報を扱っているか、という実態調査をまずいたしました。そして、国外のFDA等の規制の状況も調査し、日本ではこのようなという提案をさせていただいております。
 実態調査に関しては4頁です。日本病院薬剤師会の会員の施設から抽出された1,000施設に対して、薬剤部と、その施設の医師に対して調査をさせていただきました。薬剤部からは約半分、医師からは27.3%の回収率になっています。
 5頁で、どのような薬を適応外使用しているかに関しては、国内で販売されている医薬品の承認外の使用がほとんどです。あとは、製品としては入手できないものを、病院内の院内製剤として調製して使用しているというのがそれに続いています。治験中の薬とか、承認申請中の薬等々を適応外使用しているケースはかなり少ない状況でした。
 適応外使用する際に用いている根拠になる情報源が6頁です。点々で切ってある所の上のほうは、病院の薬剤部も、病院の医師も、左右にありますようにほぼ同じ傾向で、自分自身で文献を入手する、あるいは学会や研究会の報告などを入手する等々が上位を占めています。薬剤部のほうで特徴的なのが、点々の下です。製薬企業の学術部やMRから入手したとか、他の薬剤師や他院の薬剤部から入手したというのがかなりの割合を占めています。これは、院内製剤として入手できないものを調製するに当たって、情報がかなり必要だったのではないかと私どもは推定しています。
 7頁で、基本的に適応外使用の情報というのは、医療機関からの要求があって提供するというのが基本的な姿勢かと思うのです。MRから、そういう要請ではなく、積極的に提供されたことはないかということを聞いた結果です。476施設中34施設ですので1割弱になりますが、提供された資料は学術論文や学会発表の資料が主だったということです。
 8頁は、適応外使用に関して病院内ルールを持っているかどうかを尋ねたものです。病院薬剤部のほうで見ますと、半数の施設でルールを持っているということでした。医師からは、ルールを持っているのかどうかわからないと答えた方が多い状況でした。
 9頁は、院内でルールを持っている場合に、どのような条件、あるいはどういう資料を添付することを条件にしているかです。かなり、きちんと厳正にされているという印象です。234施設が院内ルールを持っていますが、ほとんどの施設で使用計画書の添付や、根拠となる論文の添付を求めています。半分強の施設では、同意の説明文書や、使用後の報告を求めている施設もかなりありました。
 10頁は、日本製薬工業協会加盟企業のうち、「おくすり相談」対応部門でどのような対応をされたかに関して調査をさせていただいた結果です。その次にありますが、非プロモーションとして提供する場合の判断基準というのは、基本的には下から2つ目の、医療従事者が適応外であることを認識している場合、学会や学術論文でエビデンスがある場合、ガイドラインになっている、公知の情報であるなどを基準に提供できるという判断をしているものが多かったと思います。
 実際に提供する情報が12頁です。論文や学会の抄録を提供しているものが多いということです。
 14頁は、医療従事者からの問合せを受ける中で、適応外使用情報の提供を求められた場合に、製薬企業が非常に戸惑いを持っていることがここで窺えるように思います。下から2つ目の棒グラフは、適応外使用の意味を理解してはいるけれども、医師の裁量で使用すべきという考え方もあるので非常に難しい。1つ飛んでその上では、企業は求めがあれば情報提供すべきと医療従事者は考えている。その上で、医療機関における適応外使用の対応に企業が踏み込めない。1つ飛んで上の、企業が薬事法やプロモーションコードに基づいて情報提供していることの理解がなかなか得られない。支払い基金の判断基準において、適応外使用でも認められている場合もあるので、そういう場合には無闇に断れないという戸惑いも企業にはある状況です。
 ルールを持っているかどうかですが、16頁にありますように、ルールを持っている企業は大体半分です。製薬工業協会のプロモーションコードに準拠するという会社、自社で独自に作っているという会社がありました。
 17頁は諸外国例です。今回、特にFDAを中心に調査をさせていただきました。FDAの「Off-label Use」が、日本語の「適応外使用」に相当するものになります。それはどういうものかという見解に関しては、添付文書の「効能・効果」欄に記載されていない疾患や症状に対して使用する場合、それから「用法・用量」欄に記載されていない使い方をする場合、Ageというのは、添付文書に記載されている年齢以外の患者に対して使用する場合。もう1つ、院内製剤等に関しても適応外使用とみなす場合があるというのがFDAの見解です。
 2つ目の菱形のところですが、製薬企業が適応外使用について販売促進するのは違法であるというのが、FDAの見解です。ただし、企業に対しては厳格な規制がありますが、医師の医療行為については、FDAでは審査の対象外であって、医師が医学的に適切であると考えていて、患者の同意が得られた場合には、基本的にいかなる目的用途にも処方可能であるというのがFDAの見解になっています。
 Off-label Useをする場合には、安全性や有効性の十分なデータがないことが1つの問題ではあるのですが、医療機関側にとっては保険償還がされない可能性があることも問題になります。
 保険償還される、されないの基準が21頁にあります。保険償還するに当たり、それがかなり信憑性のある、それから患者にとっても有益で、医療全体にとっても有益であることが認められないとなかなか償還されないのですが、アメリカではメディケアという公的な保険があり、それの償還をするか、しないかはCMSがしています。これに関して1つは、コンペンディウムといわれる医薬品集、そこに書いてある1、2、3、4のような医薬品集に、そのOff-label Useについて記述がされているということ。もしくは認定されたpeer-reviewed journalが22頁の一覧表になりますが、ここに載っているジャーナルに、きちんとした臨床試験の結果が載っていて、有効性が検証されているものであれば、保険償還しますということになっています。ある意味では、保険会社がOff-label Useを認めているみたいな形になります。
 どのような情報を配布するかに関しては19頁です。FDAは、FDA近代化法の中で、2006年9月30日までの期限付きで、Off-label Useに関する情報提供についてルールを持っていました。そのルールの1つ目は、ある情報を配布する場合には、その前に当該文献をFDAに提出して承認を得ること。2つ目は、将来の一定期間の中に、その適応について追加申請書を提出することを求めていました。しかし、これは2006年9月30日までの期限付きでした。
 それでずうっと放置されていたのですが、20頁の2009年1月にOff-label Useの情報提供に関するFDAの最新ガイダンスが発表されております。適切な医薬関係のジャーナルからの記事であること、学術的に健全で十分管理された研究の記述であること、誤解を招かないもの、論文は要約されたりアンダーラインやマーカーなどで強調されたものでないこと、未承認であることを目立つラベルを貼り安全性に関する情報は必ずその際にも提供しなさい、現在承認されている添付文書も一緒に付けなさいというガイダンスになっています。ここで大事なのはこのガイダンスなのですが、中で「should」という言葉をよく使っているのですが、それは必ずしも義務ということではなくて、このガイダンスというのはこういう提供の仕方を推奨するのだという言い方で整理をしていました。
 最後は23頁の図です。要点としては、外国でも適応が承認されているものについての適応外使用の場合、有効性の情報に関しては、医療機関からの要望があったら提供できますよ、特に自社品に関連する場合。安全性は、特に医療機関から請求がなくても、積極的にそうした適応外に使ったときの問題については提供できますというのが大きな点です。
 もし外国では承認されていなくて、まだ外国でも治験中、あるいは治験を行っていないときに関しては、基本的に有効性の情報は原則として提供できない。特に、どうしてもこれでないといけないという患者がいて、それを提供しないことによってかなりの不利益が患者に生じる場合以外は提供できないことにしています。ただし、治験中のような場合であっても、安全性に関する情報は積極的に提供できると整理しております。
 ただし、安全性に関する情報の中には、注意喚起をするのではなくて、従来のものに比べてより安全であるというような情報もあるかもしれません。そういう場合に関しては、有効性の情報と同じぐらいにかなり厳しい制限を設けて、きちんとした臨床研究によって証明された情報でなければ提供できない等々の基準を作ってはどうか、ということを最終的に提案させていただきました。

○永井部会長 前半は、副作用情報を患者さんから収集するという調査研究ですけれども、これをどのように使ったらいいかということが問題になると思うのですが、その点についてのご提案はありますか。

○望月(眞)委員 いまのところ、集まった副作用が、かなり昔に経験した副作用が中心になっておりました。実際に運用したときに、比較的最近の副作用等々をご報告いただけますと、最近はどうもこのような薬の中で、このような副作用症状の報告が多いかもしれないというシグナルを見つけていく。それを基に、例えばデータベース研究のほうにつなげていくというような、きっかけ作りに使えるのではないかというのが1つあります。
 それから、医療関係者にはなかなか言いづらい、ちょっと恥ずかしくて言えないといった類の副作用というのは、こうしたサイトであればかなり報告しやすくなるのかという辺りがあるのかと思います。

○永井部会長 医療機関からの情報を集めるシステムについては、何か検討されましたか。

○望月(眞)委員 いいえ、特にそれに関して今回は検討していません。

○永井部会長 寺野先生の委員会で、これから早期の副作用情報を集めなければいけないということで検討されていると思うのですが、それはどんなイメージなのか。こういう話はもちろん役には立つと思うのですけれども、先生はどのようにお考えですか。

○寺野委員 非常に細部にわたってよく調べておられると思うのですが、なかなか患者さんからの情報は集めにくい。これは非常に重要で、私も先ほど言ったように、それをいかに効率よく収集するかということです。それから、実際に本当の本音のところがちゃんと集められなければいけないということ。それは確かにそのとおりなので、こういう形で研究されているということでいいと思うのです。
 実際問題としては、それが副作用であるということの認識を患者さんが持つにはかなり難しいところがあります。C型肝炎のことなどは、副作用として出てくるのは随分時間が経たなければ認識できないわけです。そういう類のものも、重大なものにはあるのです。もちろん精神神経薬などで、作用がすぐに出てくるということで、本当に副作用なのか、本来の作用なのかわからないものも当然あるわけです。そういうものが混在しているのかとは思います。
 でも、医療機関からというのも非常に重要なので、それも是非次にやってほしいのです。私は先ほど言ったように、患者さんからの報告を重要視する。そして、それを先生のような所できちんと把握されて、ここは重要な問題であると解析されたものを、先ほど言った第三者機関に持ってきていただいて、それを厚生労働省等々がきちんと把握して、PMDAが把握しているかどうかを監督していくというようなことにすれば、先ほど言ったようなことは役に立つということで聞いていました。

○堀田委員 大変斬新といいますか、我々医療者からすると、少し違う視点からの副作用収集というのは、これはこれで別の意味で非常に意味があるのではないかと思います。ただ、寺野委員がおっしゃったように、添付文書に書かれているいろいろな副作用なり、重大な事象について、それもある程度勉強していただいてということが前提でないと、何でもかんでもここに載ってしまうという話になると、余計混乱する可能性もあるので、その辺りは患者さんの啓蒙も含めて、こういうものが両立していくといいと思います。
 もう1つは相談システムがないと、言いっ放しだと、それに対して自分は完全に副作用だと思って報告しているのに、何の音沙汰もないということになると、これは少し問題かということで、その辺はどうするのかということをお聞きしたいところです。

○望月(眞)委員 質問を寄せていただくのが、このサイトの最後のほうにあるのですが、その中には、この報告したものが最終的にどんな形で自分たちに還元されるのかということ。あるいは、このサイトには副作用としては報告したくないのだけれども、実は自分はこういう経験があるというというような形の意見がかなり寄せられています。どういう形でフィードバックできるのかというところに関して、いま私たちは答えをまだ持っていません。今年度の検討課題だと思っています。
 本当にいろいろなタイプの報告が集まりますので、これからその数がどのぐらい伸びるかによって、それらをすべて個別に対応するのか、あるいは定期的に集計した形で、個人が特定されない形で見られるようにしていくとか、いろいろな方法があると思うのですが、実はまだ結論に至っておりません。
 先ほどからお話にありますように、情報内容の正確性という部分でも、入力システム上の問題もあるかもしれないのですが、まだもう少し詰めなければいけないところもあるかと思っております。

○片木委員 とてもすごいシステムだとは思うのですが、前回の会議でも言わせていただいたように、患者さん自体PMDAを知らないのです。PMDAを知っていますかという質問をしても、1割か2割の患者さんしか知らないという状況です。それだけが知っていればすごいなと。うちの患者会がドラッグラグのことをやっているので、たぶん認知がものすごく高いと思うのですが、そういう状況です。
 実際にPMDAのサイトに行けば、それぞれ患者さんが使用されている薬に対して、患者さんにわかりやすく提供されているページがあるのですが、それ自体を患者さんが知らないから、これがどの薬の副作用なのか何なのかということ自体も患者さんが全く把握していない状況があります。
 がん患者さんに関しては、私も望月先生のお話を聞きながら、自分の体験を思い返すと、抗がん剤を打つ前に、吐き気止め、胃の薬、気持を安定させる薬とか、ありとあらゆる副作用対策や、しびれに関する薬なども併用しながら抗がん剤を打つような状況です。漢方薬1つに関しても、間質性肺炎というものが添付文書の中に入っているような漢方薬もあって、一体それがどの薬の副作用なのか、正直私自身も自分に出た副作用がどの薬から貰った副作用、後遺症なのかがわからないのです。そういうところもあって、がん患者から意見を集めるとなると、あなたが使ったお薬は何ですかと言ったらものすごく膨大な数と、あとは副作用に応じて、それぞれに緊急的に対処する薬もあるので、2~3週間のスパンで、いつ、どの薬を使いましたかということを集めないといけないというのは、相当難しいのではないかと感じています。
 先ほど堀田先生がおっしゃられたように、患者さん自身が、それをフィードバックしてもらって、私のために何の役に立つのかというところがない限り、たぶん登録しないのではないかとは感じています。

○坂田委員 望月先生ありがとうございました。患者さんたちが副作用を積極的に報告したいというのがよくわかりました。2頁の図に、紙での報告というのがありますけれども、どのような形での報告を想定されているのかと思います。私は、よく病院にお世話になる患者の1人なのですが、薬の情報を知る方法は、薬局で渡される医薬品情報(薬情)、本日も持ってきていますが、いちばん左に薬の名前、そして薬の写真が載っています。効能・効果、注意事項が載っている薬情です。
 この紙とは別に、副作用救済制度と、先生が調査研究された副作用報告制度の趣旨を書いたものを付ける。あとは、PMDAへファックスで報告できるように、両面でそれを添付するというのはとてもわかりやすいと思います。片木委員が言われたように、国民がPMDAをよく知らないこともありますので、一般の方もPMDAに対する認識が高まると思うのです。高齢者からの報告アップにもつながるのではないかと思います。
 それから、副作用の原因の特定に当たっては、処方せんに関しては、いまの薬情に写真が載っているので役に立つと思いますが、一般用医薬品に関しては、医薬品のパッケージの写真が必要だと思うのです。そこでは、是非企業の方々に協力していただいて、ホームページ等にアップしていただくことが必要ではないかと思います。
 いちばん最後の頁にありましたけれども、報告システムの広報とありますが、いまは日本薬剤師会の力を借りているということなのですが、都道府県や市町村の自治体のホームページや広報紙がありますので、その辺も利用されたらいかがかと思いました。

○望月(眞)委員 いまのことで、先ほどは申し上げなかったのですが、イギリスはだいぶ前から患者さんからの副作用報告システムを導入しています。薬局でその報告システムの紹介を積極的に患者さんにしていただいて、かなりその報告数が上がったということもあります。薬剤情報提供文書に案内を入れるとか、サイトを紹介するという方法は、かなり効果的に作用するかもしれないと思います。

○永井部会長 後半のOff-labelの問題は、おそらく澤委員のお話にも出てくると思いますので、先に澤先生からご説明をお願いできますか。コンパッショネート・ユースについても触れていただければと思います。

○澤委員 ファーストインマンとか、POC臨床研究を行ってきた臨床医の立場、そして医療イノベーション推進の立場から、この薬事法関連規制に対して提言させていただきます。簡潔に進めていきます。
 1枚目は皆さんご存じのように、2010年度の医薬品・医療機器の1兆7,000億円の輸入超過の図です。こういう問題が、医療費に非常に大きな影響を与えている観点から、国際競争力を持った日本初の医薬品・医療機器、再生医療等の開発を推進するということで、医療イノベーション推進室が、本年1月7日に設置されました。その方向性についてはここにありますように、医療システムを抜本的に変革する、日本の成長産業を創出する、費用対効果の高い医療を実現するという観点で進めております。
 次の頁から4枚は、NIHがいかに戦略的に新薬開発を行っているかを現しております。内容は割愛させていただきますが、その4頁が評価とデータベースが重要である、その5頁がRoadmap、6頁が目利き機能が必要であるということです。
 7頁ですが、このような背景の下に、戦略的に医療イノベーションを推進することが重要であり、革新的な新薬をいち早く安全に患者さんに届ける、世界標準の未承認薬・適応外薬を必要とする患者さんに遅滞なく安全に利用できるようにする、革新的な医療機器をいち早く医療現場に届ける、再生医療製品の実用化を促進するために「規制改革が必要な場合は手を打つべき」というのが方針であります。
 8頁で、まず「戦略的な臨床研究推進の必要性」から、早期・探索的臨床試験等を推進するために、ICH-GCP水準の臨床研究を実施する臨床研究中核病院と、PMDA・厚生労働省との連携が必要と考えます。NIHはもちろんのこと、中国においても、国家新薬臨床試験研究中心というようなセンターを設けて効果を上げていることからも、やはり医療イノベーションのためにはこのような取組みが重要かと考えます。
 9頁では次の観点として、「治験との連続性の確保」が重要だということから、高度医療評価制度の下で、ICH-GCP水準に適合して実施されたファーストインマン試験、POC試験については、やはり承認申請資料として活用することが重要ではないか。即ち、再度やり直すようなことでは非効率であり、そのデータを初めからICH-GCPのレベルで実施しておいて、それを承認申請に使用することが重要と考えます。
 10頁では、「革新性を見据えた審査制度」が必要であり、特に革新的な医薬品や医療機器については、特別審査ルート、特に優先審査に相当するものを設置する必要があるのではないかと考えます。優先審査権については、米国FDAにおいても、ウルトラオーファンへのインセンティブがあり、スペシャル・プロトコール・アセスメントとか、プライオリティ・レビュー・バルチャーなどの例があります。これらは、決して審査の質を落とすようなディスカウントするものではなく、やはり優先審査ということを重点に置いた特別審査ルートであり、こういうものが審査を推進する上で大変重要かと認識しております。
 11頁は、「PMDAの公開性の向上」です。これは先ほどの寺野先生の最終提言にもありましたが、PMDAの公開性を向上するために、例えば申請から一定期間、仮に1年を経過した段階で、PMDAは審査報告書を取りまとめ、薬食審で審議する。PMDAにおける面接審査会は廃止して、薬食審で審議して結論を出す、という形が効率性を増して、PMDAの公開性も向上して、審査の迅速性が図られるのではないかと考えます。
 12頁は、ウルトラオーファンのような市場に導入しにくいものについては、先ほども議論がありましたが、条件付きの承認、条件付きの使用が必要ではないかと考えます。条件付き承認については、リスク管理の必要性に応じて、一定期間使用可能な医療機関を制限するなどの「条件付き承認」制度を活用する。一方、「条件付き使用」については、一定条件を満たす未承認の医薬品・医療機器について、人道的観点からの例外的使用を可能とする仕組みを導入するという形で、オーファン等希少疾患、それから人道的な立場が重要な製剤について、迅速審査、もしくは例外的使用を可能にしていただければと考えます。
 13頁で、「体外診断薬承認のプロセス改革」については、現在、機器部門で審査されておりますが、決してプライオリティが高くないために、非常に審査が遅れがちなコンパニオン体外診断薬については、やはり個別化医療を推進する観点からも、薬事承認プロセスの改革が必要だろうと考えます。14頁は、そのことを説明した図ですが、この説明は割愛させていただきます。
 15頁は、「レギュラトリーサイエンスの推進」のために、これは以前からいろいろな学会からも提言されてきましたが、レギュラトリーサイエンス推進のために体制強化、特にPMDA、それから国の規制研究機関を強化する。それから、レギュラトリーサイエンス研究予算を拡充すべきと考えております。体制強化については、人的な強化・確保とともに、審査・相談体制の強化が重要かと考えております。
 16頁は、「革新的医療機器の創生」を目指してです。医療機器については、実用化の段階でも、既に実用化されながらも、改良・工夫が非常に重要になってきますので、そのような特性や実態を踏まえた後発品、一変への配慮など、弾力的な規制の運用が重要だろうと考えております。例えば、認定施設における治験の実施については、個別の治験届の提出を不要とする措置なども検討すべきではないかと考えます。
 17頁で、再生医療については今後その実現が大変期待されていますが、その特殊性、進歩し続けている段階の技術であること、患者数が少ないこと、医薬品とは異なる評価基準が必要であることなどを加味しながら、先端医療技術特有の効率的な審査方法が必要で、関係学会とPMDAの連携、再生医療製品の特性に鑑みた審査の実施が重要であると考えます。関係学会との連携については、専門家をPMDAに派遣する、再生医療に係るガイドラインの策定、組織の設置をする。薬事戦略相談の充実とPMDAの体制強化。これは先ほども申しましたが、薬事戦略相談の体制を整備していただくとともに、PMDAの人員については、独立行政法人としての国の人員削減方針とは別枠で、是非正規職員を増員していただきたいと考えました。
 18頁も、同じく再生医療の実現のために、さらに審査を実施する枠組みを再考していただければと考えます。先ほども申しましたが、PMDAからは、報告書の提出を、申請から1年などの期限付きに対応していただく。既に血液製剤や生物製剤に設置されているような調査会を、薬食審の部会の下に設置していただく。即ち再生医療調査会を設置していただいて、審査報告書を審議する。それから承認の可否差し戻し等の判断を行うことにより、この図にありますようにPMDAからの報告について、最終的に承認の可否差し戻しの判断もできるような調査会を設置していただくことで、専門性を確保しながら審査を迅速にする、という枠組みを再考していただければと考えております。

○永井部会長 これは、まさに医療イノベーションのためにと謳っていますが、ある意味では寺野委員会で検討されてきた問題でもあるわけですので、寺野先生から、いまの澤先生のご説明についてご意見をいただけますか。

○寺野委員 これは、私が第2回のときに申し述べた内容で、澤先生がこういう報告をされるだろうということで大変楽しみにしていました。ドラッグラグという問題は非常に重要なのですが、同時にデバイスラグという問題が比較的いままで議論がされていないのです。しかも先ほどのように医薬品も含めて医療機器は相当の輸入超過で、技術立国と言われているはずの日本が、外国から医療機器を輸入せざるを得ないということになっています。しかも、日本でも随分そういうものを工夫し、作り上げる能力は十分あるはずなのに、それを作っても、こういう審査過程において時間がかかって、それがなかなか認められないうちに、ほかの外国にやられてしまうというのが結構あると思うのです。
 私は、カプセル内視鏡のことを前にも言ったのですが、外国で開発されたとしても、やはり日本でできるだけ早くそれを使えるようにして、例えば小腸の出血等々についての診断がきちんとできるようにといくら言っても、それは4年もかかってしまうというような現実があったのです。これは1つの例です。そのような問題を考えると、いま言われたような形でシステムをきちんと変えて、迅速なる審査が必要だと考えています。同時に、我々は安全性を重視してきたので、この辺が疎かにされてはいけないのですけれども、澤先生は心臓外科医ですから薬剤だけではなく、デバイスを非常に重要視されていたのではないでしょうか。
 ただ、最後に言われた、PMDAの増員に関しては、現実問題としてドラッグに関しての増員は結構進んでいるみたいなのですが、デバイスについては本当に人がいないということで、なかなか進んでいないらしいのです。これをちゃんとするためには、そこに書いてあるように学会の意見を代表できるような専門家、学会をできるだけ利用する、協力してもらうというシステムをPMDAも厚労省も、もっともっと積極的に対応される必要があるのではないかということを申し上げたのです。

○永井部会長 それについて薬事制度では、「医薬品・医療機器」となっているのですか。そこを、もうちょっと区分を明確化したほうがよろしいのではないかという意見を聞いたことがあるのですが、これは事務局のほうにお聞きします。

○関野医療機器審査管理室長 承認制度に関しては、個別に一つひとつの品目を申請するという意味では、医薬品も医療機器も共通です。その場合も、医薬品の申請資料の構成と、医療機器の申請書の構成はそれぞれ別々に定めております。「医薬品・医療機器」という言い方をよくされますけれども、基本は、申請あるいは審査に関しては個別に一つひとつ分けているのが実態です。

○永井部会長 部門が一緒になっていて、マンパワーがデバイスのほうに十分行っていないということはないのでしょうか。

○関野医療機器審査管理室長 PMDAのほうから少し補足の必要があればしていただければと思いますが、これについても基本は、PMDAの中でそれぞれ部が分かれていて、なおかつ医療機器の審査人員に関しては、確かに医薬品に比べて強化という意味では、スタートが遅れているという指摘がありますけれども、平成21年度からの5年計画で、当初の平成20年度が35人に対して、それから5年計画で3倍にしようということで、平成25年の段階では104名にしようという計画が示されております。

○堀田委員 先ほどの澤先生の報告の中で、医療イノベーションのために、治験との連続性の確保というところで、高度医療評価制度などICP-GCP対応でやれば、基本的にはそれは申請資料として評価できるのではないかというのは、医師主導治験とはどう違う位置づけになるのですか。

○澤委員 医師主導治験はほぼ治験に近い段階ですので、そういう意味では高度医療評価制度はそれの前の臨床研究の立場ではあります。こういう希少性疾患とか、治療自身がハードルの高い疾患を扱う場合が多くて、そういう場合は最初からGCPレベルでしっかりやるということ。そこが、GCPレベルでないギリギリのところでやってしまうと、もう一度最初からということになります。

○堀田委員 従来の高度医療評価制度は、公知申請という方向は将来あるにしても、当然治験の一歩手前という位置づけでしたね。

○澤委員 そういう位置づけであります。

○堀田委員 今回の提案はある程度そこを乗り越えられるようにということですね。

○澤委員 そこは連続性を強めることと、逆に治験のほうがそれを活用するというような、いわばモチベーションを上げるというか、インセンティブ的なところがあれば高度医療が。

○永井部会長 そのためにはGLP、GMP、GCP、国際的にきちんと管理できたデータについてもマネージャーを置いて。

○堀田委員 そういう意味で、拠点の選択と集中をしないと、全体がやってくださいと言ってもできるわけないです。

○永井部会長 そうです。その予算をどう捻出するか、制度全体のインフラをしっかりしないと、先ほどの寺野委員からの課題にも応えられないと思うのです。ただ、これは方向性としては間違いないわけで、どのぐらいのスピードでやっていくかということが大事になります。あまり急ぎすぎると、またいろいろな問題を起こすだろうということなのです。

○澤委員 そうなのです。

○長野委員 寺野委員のお話、澤委員のお話で、例えばコンパッショネート・ユースであるとか、国内未承認、あるいは適応外薬について、あるいはウルトラオーファンという話も出ました。また前回、片木委員から、日本で適応外になっている薬剤の開発に関し、製薬企業が手が出せない理由を教えてほしいというお話もありましたので、意見を述べたいと思います。
 まず、コンパッショネート・ユースという手法でいくよりも、基本的には当該企業が国内にいるのであれば、その企業がきちんと製造販売承認取得するというのが当たり前の姿だと思います。一方でウルトラオーファンなどの場合はどうするのだという話もありますが、過去の事例を調べてみますと、国内の臨床試験の対象患者さんの数が例えば1例で、海外では50~55例という事例でも、これは2005~2006年だったと思いますが、承認審査されて、承認が下ろされている事例もあります。さまざまな事例が、日本においてもこの5~10年であったわけです。
 さらに申し上げますと、この2~3年間で、特に2009年の夏の厚生労働省による国内未承認薬、適応外薬に関するパブリックコメントで、当時さまざまな要望が寄せられました。それも、堀田委員が座長をされている未承認薬会議の先生方の熱心な議論の結果、それまで時間がかかってしまっていたようなものがすべて解決され、加えてその300数十件についても順次非常に前向きに短期間に動き始めたわけです。多くの企業が自社でやれない場合、あるいは国内にそういう企業がない場合は、ベンチャーも含めて手を挙げ、かなりスピーディに解決の方向にいま向かっている機運が、あるいは実態があると思います。
 その上でウルトラオーファンで、それをさらに解決、加速させるための企業が手を速やかに挙げられるような条件はさまざまあるのですが、あえて2つ申し上げます。1つはオーファンドラッグとしての指定時期が、どうしても日本の場合は結果的にかなり後期になってしまって、米国とか欧州にあるような、かなり早い時期に指定をして、企業もその指定を受けたことによってどんどん加速して臨床開発を進めるということが出来にくい、日本と欧米では指定時期の差があるのではないか。これは、是非、今後改善を前提とした議論を進めていただきたいと思います。
 2つ目はいろいろな企業が未承認薬であっても、昨今ベンチャーがたくさん名乗りを上げて、積極的に開発を進めていただいています。オーファンドラッグ、あるいはウルトラオーファンも手掛けている、あるいは手掛けようとしている。こういう企業は、いま申し上げたような、指定時期の早期化、もう1つ相談制度とか申請制度でお金が非常にかかることについて、ベンチャーですと企業規模が小さいですから、そこまでのリスクは負い難いこともあって、なかなかうまくマッチングが起こらない、あるいは手を挙げにくいということもあります。そういう審査費用の免除、あるいは大幅な減額を是非検討いただきたい。これは大手の立場ではなくて、一般的なベンチャー育成という立場からも、ウルトラオーファン、オーファンの解消に役立つのではないかと思いますので、その2点を申し上げて、前回の回答にさせていただきます。

○片木委員 澤先生、長野委員ありがとうございました。この委員会の目的というのは、安全性もそうですけれども、ドラッグラグ解消というのも1本の柱に掲げられていると思います。望月先生の2本目の発表のように、適応外が多くされている実態がグラフで出ていたと思うのですが、なぜ医療機関が適応外使用をしなければいけないのか、という理由が調査の中には挙がっていませんでした。承認されていない、適応症、効能・効果が書いてないという理由もきっと多いと思っています。それは、医療上必要性の高い未承認薬、適応外薬検討会議にどれだけの数の声が上がったかというところで、証明されていると思うのです。
 今回、がん対策推進協議会のがん研究部会でも、未承認薬、適応外薬、がんの問題を解決するには、ICH-GCPをやるしかないという声も上がっています。私は、この委員会で何を考えてほしいかというと、患者さんの生命のためにどうしたらいいかということなのです。助けてくださいということです。私は抗がん剤の話をよくしますけれども、抗がん剤というのは効かないくせに高いよねとか、がん患者はどうせ死ぬんだからというような見方をする人もいます。新しい薬がある、治療方法の選択肢があるというだけで、患者さんは希望が持てます。そして、1日でも生命が延びることで、家族と一緒にいる時間が延びます。そして副作用をコントロールできること、QOLを保てることによって、患者さんが亡くなるまでの時間を少しでも楽に生きることができるということを、なんとか薬事法の中でできないか。もちろん安全も大切ですけれども、そこも考えていただきたいと思っています。
 だから、私は澤先生が提案されたICH-GCPというのはとても共感できますし、良い試験をすればとか、良い取組みを医療機関が臨床試験ですれば良いことがあるということを、薬事法の中に盛り込んでいただきたいと思っています。その良いことというのは、本当はお金と言いたいところなのですけれども、良いことがあるというのは参考にされて、薬事承認につながって、そして医療者の皆さんというのは患者さんの生命を助けたい、より良い生活を送らせてあげたいということだと思うので、患者さんのためになるというインセンティブだと思っています。澤先生の提案、長野委員の提案にはその思いが入っていたことをとてもうれしく思います。

○望月(正)部会長代理 澤委員の資料の15頁にある「レギュラトリーサイエンスの推進」についてです。ここに記されているように、体制強化として、PMDAと国の規制研究機関があげられております。この規制研究機関として、私自身が考えるのは、国立医薬品食品衛生研究所(国衛研)です。PMDAがレギュラトリーサイエンス実施の組織であるのに対し、国衛研はデータ作りという基礎の部分を担当している。さらに、レギュラトリーサイエンスのサイエンスの部分を担当しているのは国衛研だと思うのです。
 なぜ私がこんなことを言うかというと、3年ずつの国衛研の機関評価においての評価委員をしています。国衛研の皆さんは一所懸命努力されているのですけれども、この10数年来ずっと問題が出ます。7年後には移転するからというので、施設は一切新しいのはなく、いまだにプレハブが建っているぐらいなのです。それに関連して新しい機器にしても入れることはなかなか難しいという状態です。これがレギュラトリーサイエンスそのものを担っている機関の現状なのです。
 澤委員の資料を拝見いたしますと、いちばん下に「国衛研の現地建て替えに併せて設置」と非常に驚いた言葉が書いてあります。いま国衛研が移転しようとする府中市から、移転にノーという言葉が出ているらしいのです。そんな状態で、いつまでも移転を延ばしているべきではありません。国衛研が日本の国の中でどういう立場にいるのかを考えていただくと、今の場所で、現地建て替えでいくしかしようがないと思うのです。その上で、日本のレギュラトリーサイエンスの研究の中心としての国衛研と、レギュラトリーサイエンスの実施の中心としてのPMDAが人材を確保するのは絶対に必要ですので、これだけは是非言わせていただきたいと思います。

○永井部会長 ただ、ここでは運用の問題から行政問題まで全部は議論できません。やはり大事なのは、制度改正が必要な部分ということに絞る必要があると思います。澤先生の本日のお話の中で、制度改正が必要なのはどこかをもう一回整理していただけますか。

○澤委員 すぐにすべてを整理するのは時間のこともありますし、まだ議論も必要だと思います。基本は、運用等、通知等でできるものはできるだけ迅速に。そこは整理させていただきながら、最後にどうしても変えなければいけない部分を盛り込むということでいくべきかと考えています。例えば、機器の特殊性はあまり薬事法の中には謳われていませんのでそういう部分とか、再生医療とか、新しい分野のところはそのような考え方として入れていただけるものは入れていただきたいと思っています。

○永井部会長 本日で議論が終わるわけではないのですが、先ほど寺野先生もおっしゃられたように、そろそろ案が出てこないといけないだろうということで、論点の整理を次回までにしていただこうと思います。それに当たっては寺野先生、澤先生、望月先生、本日ご報告をいただいた委員の方々から、制度のどこの改正が必要かということを整理していただいて、また山本委員にも加わっていただいて、事務局のほうで次回までにまとめていただくということでいかがでしょうか。もしよろしければ、そういうことで進めさせていただきます。次回の日程等について、事務局からお願いいたします。

○中垣総務課長 本日は長時間どうもありがとうございました。次回は7月22日(金)の16時から、本日と同じこの会場にて開催を予定しております。議題は、いま部会長からもご提案がありましたように、本日の部会まででご議論いただきました事項について論点を整理したものを提出させていただきます。いま座長からご提案がありましたので、各委員からも是非私どものほうにご意見をいただきたいと思います。

○永井部会長 本日はこれで終了させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。


(了)
<照会先>
医薬食品局総務課: 03(5253)1111(内線2713)

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