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医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室

○日時

平成22年9月3日(金)13:30~16:00


○場所

三田共用会議所 講堂


○出席者

薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会

江馬 眞 (座長) 清水 英佑 高木 篤也
田中 博之 西川 秋佳 西原 力
前川 昭彦

化学物質審議会安全対策部会評価手法検討小委員会

有田 芳子 亀屋 隆志 北野 大
庄野 文章 鈴木 恵子 恒見 清孝
原田 房枝 中西 準子 (委員長) 林  真
安井  至 吉田 喜久雄

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会委員

青木 康展 菅野  純 日下 幸則
白石 寛明 鈴木 規之 田中 嘉成
田中 嘉成 田辺 信介 田辺 信介
中杉 修身 (委員長) 吉岡 義正 和田  勝

○議題

1.改正化審法における化学物質のスクリーニング・リスク評価手法の検討について
2.スクリーニング評価の具体的な手法及び論点について
3.その他

○議事

○経済産業省 それでは、時間が参りましたので、ただいまから平成22年度第5回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会、化学物質審議会安全対策部会第1回評価手法検討小委員会、第102回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会の合同審議会を開催いたしたいと思います。
 本日は、いずれの審議会も開催に必要な定足数を満たしており、それぞれの審議会が成立していることをご報告いたします。
 審議に先立ちまして、夏季の軽装のお願いについて申し上げます。地球温暖化防止及び省エネルギーに資するために、政府全体として夏季の軽装に取り組んでいるところでございます。これを踏まえまして、事務局は軽装にて対応させていただいております。委員の方々におかれましてもご理解、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、お手元にお配りしました資料の確認を行いたいと思います。お手元の資料でございますが、議事次第がございまして、議事次第の下に順に、資料1-1、資料1-2、それから資料2-1、資料2-2、資料2-3、最後のほうに参考資料1、参考資料2をつけております。過不足等ございましたら事務局までお申しつけください。
 それでは、これよりご審議いただきたいと存じます。今回の審議に当たりましては、化学物質審議会安全対策部会評価手法検討小委員会の中西委員長に本合同審議会の座長として議事進行をお願いいたしたいと思います。中西先生、よろしくお願いします。

○中西委員長 中西です。では、この議事をあずからせていただきます。
 初めに、本日の会議の公開の是非についてお諮りします。各審議会の公開につきましてはそれぞれ規定のあるところでございますが、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、または特定な者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合など、非公開とするべき場合には該当しないと考えますので、原則公開といたしたいと思います。ただし、営業秘密等に該当する場合は、秘匿することを認めることといたしたいと思います。よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきます。それでは、本日は公開といたします。
 議事録につきましては、後日ホームページ等で公開されますので、あらかじめご承知おきお願いいたします。
 それでは、まず議題1に入りたいと思います。議題1、改正化審法における化学物質のスクリーニング・リスク評価手法の検討についてということです。それでは、まず議題1の改正化審法における化学物質のスクリーニング・リスク評価手法の検討に当たり、事務局のほうから、本会の位置づけ、スケジュール等、続いてスクリーニングの基本的な考え方についてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○経済産業省 お手元の資料1-1及び1-2に沿いましてご説明を差し上げたいと思います。
 まず資料1-1でございますけれども、めくっていただきまして2ページ目、こちらはご案内のとおり、化審法改正の概要ということでございまして、細かな説明は省かせていただきたいとは思いますけれども、右側の四角にありますとおり改正の概要ということでして、まず基本的にすべての化学物質を対象に、数量などの届出を新たに義務づけしたというところが何と言っても大きな改正点の一つということになります。また、国際的整合性の確保なども考慮して今回の改正がなされているわけですが、既に今年の4月に第1段階施行を終えまして、今申し上げたすべての化学物質に関する届出ということを、来年の4月以降、第2段階の施行で行うために、まさに準備を行っているところという状況でございます。
 めくっていただきまして、改正化審法の概要を図でお示ししてございます。左側の現行法に関しましては、特に高蓄積でない物質に関しましては、今までは有害性の疑いがある監視化学物質に関しまして事業者に届出などをいただいていたところでございますけれども、右側、今後は、一般化学物質といたしまして、基本的にすべての物質を継続的に監視を行いますし、リスク懸念があるかどうか、リスク評価を優先的に行うべき物質を優先評価化学物質と指定いたしまして、適切な管理を行っていくといった改正になっております。
 また4ページ目、下のほうのパワーポイントにも書いてありますけれども、これまで主にハザードベースの管理を行っていたところをリスクベースの管理へと移行するということでございまして、具体的には、有害性の指標、ハザードの指標に加えて、暴露(排出量)の指標といったものも加味しまして、こうしたリスクベースでの物質の管理を行っていく。こちら、4ページ目の一番下に書いてありますとおり、平成23年度以降、こういった執行を円滑に行うためには、今年度内をめどにスクリーニング評価及びリスク評価、スクリーニング評価というのは、優先評価化学物質を選ぶためのステップとなりますし、また優先評価化学物質を対象としたリスク評価を改正化審法に基づいて行うことになりますが、こうした評価の具体的な手法を検討し、取りまとめる必要があるということでございまして、今回この会議を開催させていただいているという次第でございます。
 めくっていただきまして、1ページ飛びます。6ページになりますけれども、この検討小委員会・調査会のスケジュールをご説明いたします。こちらにありますとおり、本日1回目、また10月の上旬に2回目ということで、この2回でまずはスクリーニング評価の具体的な手法についてご審議いただければと考えております。こうしたまとめられた手法については、パブコメなども経まして、具体的に今年は届出の情報を持っている第二種監視・第三種監視物質に関しまして、実際にスクリーニング評価を行い、予定といたしましては、1~2月ごろの審査の部会におきまして、優先評価化学物質の指定ということについて別途ご審議をいただく予定といたしております。そうした審議を経まして優先評価化学物質の指定ということになるわけでございますが、こちらにつきましては、平成23年度の4月、すなわち第二種監視・第三種監視化学物質が廃止される日に合わせまして、それから由来される優先評価化学物質の告示を予定しております。また一方で、こちらの検討委員会のほうでございますけれども、今年の秋から冬にかけまして、今度はリスク評価の具体的な手法についてご審議をいただくことを考えておりますが、こちらの回数とかタイミングにつきましては、追ってご相談させていただきます。
 続きまして、資料1-1の8ページ、スクリーニング評価の基本的な考え方をご説明させていただきたいと思います。スクリーニング評価に関しましては、先ほども申し上げたとおり、ハザードベースからリスクベースの管理ということでございまして、指標といたしましては、有害性の指標、また暴露の指標、この2つの指標を使って優先評価化学物質物質の選定を行っていきたいと考えております。こちらの具体的なイメージといたしましては、8ページ中ほどにあります優先度マトリックスというところでございまして、横軸にまず一番目の指標である有害性クラス、これは強い順から弱い順までクラス分けして物質のクラスをつける。また、暴露に関しまして、縦軸に書いてございますけれども、こちらも暴露のクラスの大きいものから小さいものということで、クラスをつけていくといったイメージになってございます。
 もう少し具体的に申しますと、有害性クラスに関しましては、有害性、ハザードの強弱のランクをつけることになりますが、こちらはなるべく基本的にはGHSなどの国際的に認識されている方法と整合させた有害性クラス、かつ過去化審法において運用してきた手法などにも配慮しつつ、このクラスをつけていきたいと考えておりますが、こちらの詳しい説明につきましては、議題2のほうで改めて説明、ご審議いただければと思っております。
 暴露クラスに関しましては大小のランクをつけると申しましたところは、実際に事業者の方々から製造・輸入数量の届出をいただくことになりますので、まずそうした届出をもとにいたしまして、さらには用途別に排出係数を策定いたしまして、それを掛け合わせによって推計される全国排出量をもとにした暴露クラスを当てはめることを考えております。
 また、こちらにありますとおり、有害性クラスが強いあるいは暴露クラスが大きいといった、このマトリックスでいうところの左上に近いものに関しましては「高」というクラスをつけまして、逆に右下のほうのマトリックスに位置づけられる物質に関しましては「低」、その間につきましては「中」ということで、「高」・「中」・「低」の3つのクラスをその物質に付与するといったことを考えております。詳しい説明は追って差し上げたいと考えております。
 続きまして9ページ目になります。こちらはスクリーニング評価の対象ということでございます。これまでの化審法でも、人健康と生態それぞれの毒性について判断してきたわけでございますけれども、今回改正化審法におけるスクリーニングにおいても、人健康と生態それぞれ有害性情報とか暴露の指標が異なってきますので、独立してスクリーニング評価を行うということを考えております。そして、人健康あるいは生態のどちらかでリスク懸念がある、または優先的に評価を行ったほうがいいということになりますと、その物質は優先評価化学物質として実際に指定される。こうした考え方をとりたいと考えております。
 続きまして10ページ目になります。スクリーニング評価の具体的なやり方をもう少し詳しくお話しいたしますと、先ほど優先度のマトリックスの中で、左上に属する物質は「高」、右下に属する物質は「低」というお話を差し上げておりますけれども、「高」と判定された物質に関しましては、リスクが十分に低いと判断できないということになりまして、優先評価化学物質として指定することを考えております。具体的な指定につきましては、厚生労働省・経済産業省・環境省の3省の審議会で実際に優先評価化学物質相当を判定し、最終的には今申し上げました3省の大臣が指定するという形になります。そして、優先評価化学物質に指定された物質を対象に実際にリスク評価を行うといった流れになります。
 一方で「中」・「低」に区分された物質に関しましては、まずは一般化学物質ということで整理いたしますが、こちら一般化学物質の下のほうに、左のほうに戻る矢印がついてございますが、こちら、一般化学物質に関しましては、例えば暴露の量あるいは有害性情報に関して新たな知見を得られるといった事態も考えられますので、毎年度継続的にスクリーニング評価を行い、場合によっては優先評価化学物質に指定するといった流れもあるものと考えております。
 10ページ目の一番下の吹き出しのところに書いてございますが、先ほども申し上げましたとおり、今年度につきましては、実際に製造・輸入数量の届出を既にいただいております第二種及び第三種監視化学物質を対象にいたしまして、スクリーニング評価を行いまして、23年度以降に続けて一般化学物質のスクリーニング評価を行うということを考えてございます。
 こちらは、すみません、先ほどは説明を割愛させていただきましたが、国際的に合意されております2020年までにすべての化学物質のリスクをなるべく低減するといった国際目標を計画的に達成するということでして、あと10年でこうした目標の達成ができるように、効率的に順次こうしたスクリーニング評価、リスク評価を進めることが重要ではないかと考えております。ただし、こうした考え方に関しましては、新しい知見などが得られることも考えますので、一定期間後に手法を見直すといった余地も当然ながら必要だとは思っております。
 有害性クラスについて、同じく10ページ目の上のほうに吹き出しをつけさせていただいておりますが、この有害性に関しましては、いまだ国が有害性情報を持っていないような場合もかなりありますので、こちらに関しましては、事業者などによります化審法に基づく、あるいは任意の有害性データをいかに取得していくかというところも課題の一つだとは考えております。
 また、得られた有害性情報とか、こうしたスクリーニング評価を行った結果につきまして、どのように情報公開をしていくかということに関しましても、後ほど考え方をご説明させていただきたいと思っております。
 以上、資料1-1で、本会の位置づけ及びスクリーニング評価の大きな考え方についてごくごく簡単にご説明させていただきましたが、続きまして資料1-2をごらんいただければと思っております。
 資料1-2でございますが、大まかには、今申し上げたようなスクリーニング評価の基本的な考え方を今度は文章で書かせていただいております。
 まず(1)、2020年をターゲットにいたしました国際目標を達成するために、いかに効率的にこうした化学物質の管理を行っていくかというところが、まずその大きな背景としてあるかと考えております。
 それを受けまして、(2)手法についてでございますけれども、先ほど申し上げましたマトリックスの考え方をスクリーニング評価においてはとっていきたいというところでございます。
 [1]優先度マトリックスというところに書いてございますとおり、各物質を横軸で書いてあります有害性クラス、縦軸で書いてあります暴露クラス、こちらの2軸の観点から「高」・「中」・「低」という3つに分けて優先度をつけるという考え方をしております。こちらに書いてございますとおり、「高」に該当する物質は、優先評価化学物質と判定。一つ飛ばしまして、「低」に関しましては、一般化学物質と判定いたします。また「中」に関してでございますが、こちらは現時点においては一般化学物質と判定することを考えておりますが、「高」に該当する物質のリスク評価がある程度進んだ時点をもって、一定期間の評価結果を踏まえ、改めて優先評価化学物質相当と判定すべきかどうかというところを検討したいと考えている次第でございます。また、ここにもありますとおり、一度一般化学物質と判定された物質に関しましても、もろもろの条件の変動があり得ますので、毎年度評価を繰り返すこととするというのが基本的な考え方でございます。
 続きまして2ページ目でございますが、こちらも先ほどご説明をいたしましたとおり、人と生態に関しましてはもちろん異なる指標を持って考えていかなければいけませんので、2通りのスクリーニング評価を実施いたしまして、人あるいは生態または両方のいずれかで「高」に該当するような場合には、優先評価化学物質相当とするというのが妥当ではないかと考えております。
 また、[3]、スクリーニング評価も、先ほどのマトリックスの横軸のほうになりますけれども、有害性クラスに関しましては、基本的にはGHSと整合させつつ、過去の化審法の運用との整合性などにも配慮するという大きな考え方をとっております。こちらの詳細につきましては、また次の議題でもご紹介いたします。
 [4]、縦軸の暴露クラスに関してでございますが、こちらは事業者などから届出をいただきます製造・輸入数量ですが、こちらの製造・輸入数量は用途別にお届けいただくことになっておりますので、この届出をいただいた届出数量に用途別の排出係数を掛けまして、そこから推計される全国の合計排出量といったものを暴露クラスの指標に置きたいと考えております。
 [5]、こちらは少し細かい話になりますが、スクリーニング評価を行う物質単位といたしましては、可能な範囲でCASベースの評価を行いたいと思っています。
 続きまして、その運用に関しましてですが、物質指定の審議は、先ほどお話ししたとおり3省の審議会で毒性の専門家の知見を活用しながら、おのおの評価を行うということになります。この際に、必要に応じては個別に判定を下すことはできるものと考えております。また、情報の公開に関しましては、国が収集した情報に関しては、基本的には著作権などには留意するものの、その審査シートなどの概要については公開する。また、スクリーニング評価結果については、優先評価化学物質と指定された根拠とともに公開するということを考えております。
 スクリーニング評価の進め方は、先ほど説明したとおりでございますけれども、1点、毒性に関するデータ、有害性に関するデータがないような場合に関しましては、そのデータを事業者から国が取得することを促進するために、国への有害性データの提出について一定期間を付与することを考えております。
 QSAR、カテゴリーアプローチに関しても、どのような場面で使えるかというところも検討することになりますが、こちらも後ほど議題にのせさせていただきます。
 また、一定期間後の見直しということで、優先評価化学物質の指定を見直す、あるいはその手法自体を見直すといった考え方も入れ込んで、今回その基本的な考え方とさせていただきたいと思っております。
 以上、ご説明をいたしましたので、ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○中西委員長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明につきまして、ご質問などございますか。ネームプレートを立ててください。細かい具体的なランキングのことなどについては2番目の議題でやりますので、ここは全体の枠組みについてのご意見をお願いしたいと思います。では、菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 このフローの中で、物質がどのように扱われるかは書いてあるのですが、どこの段階でどういうミーティングが行われるかというのがないんです。これがないと、例えば後で問題になる有害性評価のところでの病理毒性学者の参加する場所がどこにあるのかというのがわからないものですから、どこでどういうミーティングをやるつもりなのかというところはお示し願えないでしょうか。

○中西委員長 わかりました。
 ほかにご意見はございますか。林先生、どうぞよろしくお願いします。

○林委員 この基本的な考え方の中でQSARとかカテゴリーアプローチのインシリコの項目が入っていて、これは非常にいいことだと考えているんですけれども、とにかくまだ開発途中の状況にあるということを認識した上で、とにかく一度今使える手法をもって多くのものについて評価を試みてみる。そして、その評価を試みた結果、インシリコの指標自身の評価も同時に行っていくといったことを考えていただいて、ぜひ積極的に取り入れていただきたいということだけは申し上げたいと思います。

○中西委員長 わかりました。2のところでもう一回QSARのことを具体的に議論させていただきたいと思います。
 ほかにご意見は。吉岡先生ですか。はい、どうぞ。

○吉岡委員 2のほうでまた議論になるかとは思いますけれども、資料1-1の4ページなどに、この基本的な考え方として、クラスでマトリックスをつくって、それで判定していこうという考え方が記載してございます。これに45度斜めの線を引きますと、一線上に「高」・「中」・「低」が分かれるはずです。ということは、もともとこれは有害性クラスがどうだとか、暴露クラスがどうだとかというよりも、その比率でもって全部値が決まるのだという考え方に等しいような気もします。そのときに、なぜわざわざそのクラスというものを分けてつくっておかなければいけないのかという、その部分のご説明をいただきたいと思います。

○中西委員長 わかりました。
 それでは、どうぞ。

○中杉委員長 2点です。これはきょうお答えをいただくという話ではないのかもしれませんけれども、優先評価化学物質のリスク評価をした後の取り消しの話なんですが、取り消しをして一般化学物質に戻ってきたときに、そのままの状態ですと、情報はまるっきり変わっていないので、もう一回優先評価化学物質にすっと戻ってしまう。仕組みとして、最初に優先評価化学物質に持っていって、その次にリスク評価へ行くわけです。もう一回一般化学物質に戻ってしまうと、そのままの状態だと、単純に優先評価化学物質のほうにいってしまう。従前はハザードでやっていたので、一旦一般化学物質に戻ると、それ以降は次に行かないという流れになってしまうのでいいんですけれども、今回は生産量がふえてきたりすると、またもう一回リスク評価をしなければいけなくなることが出てくる。そういうときに、単に消したものをほかのまだ評価していない一般化学物質と同等に扱えるのかどうかというのは、少し事務局のほうで議論していただいて、考え方を整理していただく必要があるのかなというのが1点です。
 それからもう一つですけれども、スクリーニング評価の進め方のところで、二監と三監についてやるというのは現実的な対応だろうと思うんですけれども、要望としては、数が非常に多いので、できればということなんですが、三監については二監も同時に評価をしていますので、二監に該当するかどうかという、その辺のところは簡単にできるんですけれども、実は二監については、改正前の指定化学物質の時代で三監の評価をしていない部分があります。これは、暴露のほうの情報は一応整理ができるので、有害性情報のあるものについてはできるだけ前倒しで評価を進めていただく必要があるだろうと。これは非常に数が多いわけですから、できるだけ前倒しで作業を進めていくことが必要だろうと思いますので、その辺もご検討いただければと思います。

○中西委員長 わかりました。
 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(規)委員 後で説明があるのかもしれませんが、暴露の点について、どうもずっと拝聴していますと、暴露の指標としてのエントリーは基本的に排出量のみからこの評価のスキームに入るとなっているように見えるんですけれども、私は全体をまだ把握しておりませんが、多分すべての情報に不確実性があることを考えると、評価のスキームに入るエントリーは排出量のみというのは、いささか狭いような印象を私個人的には受けるんですけれども、お考えがあれば伺いたいと思います。

○中西委員長 わかりました。
 では、ここで事務局のほうからご回答をお願いしたいと思います。

○経済産業省 まず、菅野委員からご指摘がありましたミーティングに関しましては、先ほど資料1-1でご説明を差し上げましたとおり、優先評価化学物質として判定を行う際に、毒性等の専門家から構成される審議会において、こちらは大臣からの諮問ということで判定を行っていただくことを考えておりますが、そのほかに関しましてはまだ検討中という状況になってございます。
 それから、林委員からいただきましたQSARに関しましては、後ほどご議論いただければと思いますが、ご意見を踏まえて今後の方法を検討したいと考えております。
 吉岡委員からいただきました比率でという、対角線上のところでございますが、後ほどそれぞれ暴露と有害性に関しましてどのようなクラスの考え方をとっているかというところをご説明いたしますが、こちらに関しまして、連続的ではなく、非連続的な指標というものを置いている関係で、こうしたそれぞれ6クラス、5クラスといった非連続的なマトリックスをご提案させていただいているというところでございます。
 中杉委員からご指摘いただきました優先評価化学物質の取り消しに関しましてでございますが、具体的な取り消しをどうやっていくのかという話に関しましては、後半のリスク評価のほうでご議論、またご検討いただければと思っておりますけれども、基本的には、優先評価化学物質でリスク評価を行いまして、第二種特定化学物質に相当しないといった判定に関しましては、通常の一般化学物質と全く同じ扱いにするのかというところをよく法律にも整合させて整理して、また事務局としてご提案をさせていただきたいと思っております。
 また、同じくご指摘のありました第二種・第三種の今年度の評価に関しましては、すみません、先ほど説明を省略させていただきましたが、資料1-2の3ページ目の上のほう、[3]のところに、事務局提案といたしましては、この限られた4月までの中で、22年度に関しましては、今年度の4月時点で指定されている第二種、第三種化学物質を対象にいたしまして、これまで有害性とか物化性状等の情報を国が有しているということにかんがみまして、第二種監視化学物質については人健康、それから第三種に関しては生態影響のみについてまずはスクリーニング評価を行いまして、それぞれ交互するほかの影響由来の優先か、または優先ではないかといった議論は、来年度以降、同じく一般化学物質と同じタイミングないしは早目にというご指摘もありましたので、そうしたものを踏まえまして今後検討していきたいと考えております。
 また、暴露の指標に関しましてもご質問をいただきましたが、こちらに関しましては、御指摘のとおり、製造段階と出荷段階の排出量ということでクラス分けをすることを考えていますが、後ほどご紹介いたしますので、またご審議いただければ幸いでございます。

○中西委員長 中杉委員のご質問の件で、二監・三監については、二監・三監になっているということは、何らかの形の有害性が片方で強いということであるわけだから、人健康について強いから、生態系についても強い可能性があるから、てきるだけそれは急げというご意見でしょうか。

○中杉委員長 実際には、三監については二監も同時に評価は終わっているんです。ですから、二監でなければ、そちらのほうはそれを使ってやればいいんですけれども、昔の指定化学物質については、生態毒性の試験がないので、そういうものは次の年に延ばすのではなくて、暴露のほうの評価はできるので、有害性情報が既にあるものであれば、どんどん作業を進めてもらったほうがいいということを申し上げております。

○中西委員長 そういう希望だということで、わかりました。今、大体お答えいただいたのではないかなと思います。
 どうぞ。

○菅野委員 質問が悪かったようなんですが、要するに、ここで手続が何カ所かありますね。そのおのおのはどこで行われるかという質問だったんです。ですから、有害性のクラス分けと、優先評価化学物質の審議と、何カ所か手続が踏まれますけれども、そのおのおのはどういうメンバーでやるのかという質問だったんです。

○中西委員長 なるほど。レビューはどこかと受け取ってしまったようで。はい。

○経済産業省 大変失礼いたしました。ご質問に関しまして、基本的にはスクリーニングということでございますので、なるべく機械的にと申しましたけれども、これからご審議いただく指標にのっとって検討を行うということを考えておりますので、基本的に新規審査などと同様に3省及び国系の研究機関等で作業を行うことを考えております。

○経済産業省 すみません、説明がちょっと悪かったのですけれども、有害性クラスのスクリーニングなどの評価は、現在新規の物質について判断していただいています、経産省でいきますと審査部会、あと環境省さん、厚労省さんが3省合同の部会で審議いただいて、あわせてその結果を踏まえて、その場で優先の物質について適切かどうかということもやっていただこうかと、今のところ事務方は考えています。

○中西委員長 よろしいですか。足りないようでしたら、またお願いします。
 ほかにはご意見。よろしいですか。
 それでは、議題2のほうに移りたいと思います。議題2は、スクリーニング評価の具体的手法及び論点についてということで、お願いしたいと思います。資料2-2は使わずに、資料2-1と2-3について、では説明をお願いいたします。

○経済産業省 時間の関係上少し駆け足になってしまいますが、具体的な手法についてお話をさせていただきたいと思います。
 資料2-1をめくっていただきまして、まずは先ほどの横軸に当たります有害性クラスの設定についてお話をさせていただきます。
 5ページ目に飛んでしまいますけれども、先ほどもありましたとおり、人と生態それぞれでクラスを設定するということを考えております。まず人、それから生態について、クラスの考え方の案をご提示させていただきます。
 まず人に関してでございますが、6ページ目をごらんください。対象とする項目はこちらに掲げてございます4項目、すなわち一般毒性、生殖発生毒性、変異原性、発がん性の4つをクラスとして提案させていただいております。
 めくりまして、有害クラスの具体的な置き方ということでございますが、GHS分類に準拠しつつ、これまでの二監の判定基準との整合性を考えまして、8ページ目にありますとおり、変異原性と発がん性に関しましては、こちらは毒性の閾値がなく人に影響するといった考え方から、クラス1から順に弱いほうに向けてクラス4、それからクラス外という区分をさせていただいておりますし、一般毒性等と生殖発生毒性に関しましては、最高のものを2といたしまして、そこから数字がふえていくようなクラスの分け方をさせていただいております。ここでD値というのは有害性の評価値で、NOEL値などを不確実係数積で割り算したものという考え方をさせていただいております。
 こちらの不確実係数積に関しましては、9ページ目に具体的に掲げさせていただいているとおりでございまして、一般毒性の場合、生殖発生毒性の場合ということで、こちらに書いてあるとおりということになります。
 こうした4つの項目に関しまして有害性クラスのクラスを与えた後、4項目それぞれクラスを付与した後に、最も厳しい有害性クラスをその物質の有害性クラスということで付与するという考え方になります。
 続きまして、生態に関する有害性クラスのつけ方を11ページ以降でご説明いたします。生態に関しましては、基本的には水生生物の慢性毒性データがある場合にはそちらをPNECに外挿する、それがない場合には急性毒性データを同じくPNECに外挿するということを考えておりまして、13ページにありますとおり、生態に関しましては、PNEC:無影響濃度、すなわち最小毒性値を不確実係数積で割り算いたしましたこちらの値のみをこのクラス分けの手がかりといたしまして、強いほうから1、2、3、4、クラス外という分け方を考えております。  PNECを導出するための不確実係数につきましては、14ページにありますとおり、これまでの三監判定などで使っている不確実係数を使ってはどうかというご提案をさせていただいております。
 続きまして、15ページ、16ページでございますけれども、具体的な有害性データがない場合には、デフォルト、決めの値でクラスを与えてしまうということを考えておりまして、人健康に関しましては、先ほど申し上げたとおり、人への毒性の閾値がない場合をクラスの1と想定していることから、化審法に基づく調査の求めで得られる試験データで付与し得る最も厳しいクラスはクラス2ということでありますので、具体的に人健康で毒性データがない場合は、クラス2をデフォルト値、決めの値として入れるということを考えております。
 一方、生態に関しましては、人と同じ考え方で、化審法の有害性調査の求めで得られる最も厳しいクラスということで、クラス1をデフォルトの値として付与することを考えております。
 生態に関しましては、17ページの右側の表にクラス別にこれまで既存点検などでクラスを付与された数の割合を書いてございますが、生態毒性の有害性クラス1に関しましては、過去のデータでも約3割弱が指定されているということでございまして、こういった情報などももとに、デフォルトのクラスを1と提案させていただいているということになります。
 18ページ、有害性クラスづけに用いる有害性情報に関しましては、今後事業者の皆様方などから情報を収集するということを考えておりますが、この際、実際にこういったクラスづけに用いることができるか、できないかといったデータの信頼性の基準のようなもの、使用可否基準を設けることが適切ではないかと考えておりますが、こちらの基準に関しましては具体的に検討したいと思っております。
 以上が有害性クラスの設定に関しましてのご説明でありましたが、続きまして暴露クラスの設定に関しまして、20ページ以降でご説明を差し上げております。暴露クラスに関しましては、人と生態それぞれで設定しますが、人に関しましては大気及び水域の経由、生態に関しましては水域経由ということで設定しております。
 21ページにございますとおり、スクリーニング評価用の排出量の推計方法といたしましては、製造段階の排出量及び出荷して以降用途別の排出量を両方とも足し合わせた総排出量で判断したいと考えております。
 22ページにございますのは、これから来年4月以降一般化学物質に関して届出を具体的にいただく様式をご紹介してございますが、ここにもあるとおり、製造数量と用途別の出荷量というものの届出をいただくということになりますので、これを具体的に今申し上げた上の式に当てはめていくということになります。
 スクリーニング評価用の排出係数に関しましては、製造段階の排出係数と用途分類別の排出係数といったものを別途パブリックコメントなどで策定しているところでございますので、これを当てはめるということを考えております。
 続きまして、クラス分けにつきましては、今、二監・三監かつPRTRの対象物質を対象にいたしまして、仮にリスク評価を行いまして、具体的にどういった区分の仕方が一番適切であるかということを試算いたしております。
 1ページ飛びまして、26ページをごらんいただければと思います。PRTR排出量を使用いたしまして仮にリスク評価なりリスク総合指標を設けたというのが、左から2番目に書いてあります色づけがしてあるところになります。こうしたPRTR排出量をきっかけといたしまして計算した結果、ある程度のリスク懸念レベルになる物質というものを今回のスクリーニング評価の排出量の判断においても「高」としてカバーするといった考え方で案1、案2、案3それぞれについて試算をしたというのが、右側の列になります。
 案1に関しましては、排出量1トン以上で、それ以降10トン区切りでクラスをつけていった場合に、どのように判定されるか。案2は、10トン以上で10 トン区切り、案3は排出量100トン以上で10トン区切り、こうした区切りを試してみましたところ、まず案1に関しましては、こちらに並べてある下のほう、本来リスク懸念がないと考えられる物質まで過度に優先評価化学物質として判定してしまうといった懸念がありますし、一方で案3、一番右側のほうに関しましては、リスク懸念があると考えられる物質を優先評価化学物質として判定から漏れてしまうといったおそれがあるということから、その間の案2、排出量 10トン以上で、10トン区切りでクラスを付与していくやり方が最もふさわしいのではないかというご提案をさせていただいております。
 続きまして、27ページになります。こちらは人の健康と生態のスクリーニング評価のどちらにも共通する事項となりまして、まず評価の対象とする一般化学物質でございますが、製造・輸入数量の合計10トン以上は、既存の新規化学物質の低生産の制度などとの整合性から、10トン超のものを評価の対象としてはどうか。また、低懸念ポリマーとか高分子フロースキームで白判定と確認できた場合には、優先評価化学物質としないということでいかがかということを書いてございます。物質の単位につきましては、先ほど申し上げましたとおり、可能な範囲でCAS番号単位で行うということを考えております。
 それから、28ページになりますけれども、良分解性と判定される物質の扱いについてでございますが、こちらは環境中でどう考慮していくかということに関しましては、資料中にもございますとおり、検討のための資料を次回ご提示いたしまして、詳しくは次回ご検討いただきたいと考えております。
 下水処理場での考慮に関しましては、そちらの処理場での除去率を加味するということを考えております。また、分解生成物に関しましても、こちらに書いてあるとおり、複数の有害性情報がある場合は最も強い有害性、また排出量に関しましては親化合物の排出量を用いるといったことを考えております。
 29ページ目以降は、全くの架空の物質αといったものを設定いたしまして、今申し上げたような方法でスクリーニング評価を行うとどのように判定されるかということを順を追ってお示ししてございますが、こちらは時間の関係上ご説明を省かせていただければと考えております。
 続きまして、資料2-3でございます。今までご説明差し上げましたスクリーニング評価の詳細につきまして、事前に皆様方からご意見をいただき、論点と考えられるところを改めてこの資料2-3にまとめさせていただいております。
 資料2-3でございますけれども、まず有害性クラスに関しましては、[1]、これまでの化審法判定基準とGHSに配慮して区切ってはどうか。項目といたしましては、ここにありますとおり、反復投与毒性、生殖発生毒性、変異原性、発がん性の4項目としてはどうかというご提案をさせていただいております。
 また、[2]、有害性データがない場合に関しましては、デフォルトの値ということで、人に関しましてはクラス2、生態に関しましてはクラス1を設定してはどうかということを考えてございますが、こちらは、先ほどの基本的な考え方にもあるとおり、有害性データがない場合のデータを収集する猶予といったものも運用としては考えているというところです。
 [3]、QSAR、カテゴリーアプローチに関しましては、実際にどのような場面で活用可能かを検討し、活用可能と考えられる部分について、実際に試行することを目指すべきではないかという、こちらの考え方を書かせていただいております。
 めくりまして2ページ目でございますけれども、有害性データを集めた後、それを使うか、使わないかの条件に関しましては、そうしたデータの信頼性の基準を策定し、それに合致しているか、していないかということで使用の可否を決めてはどうかというご提案をしております。
 暴露クラスに関しましては、先ほどありましたとおり、6段階にクラス分けを行うということが妥当ではないかと考えております。なお、全国排出量1トン以下は、少量新規化学物質の運用との整合性を踏まえ、また製造・輸入数量10トン以下に関しましては、低生産新規化学物質の運用との整合性を踏まえ、評価の対象外とすることが妥当ではないかというご提案でございます。
 [2]排出係数に関しましては、今後また産業界などから情報を提供していただいたり、そのほか、状況が明らかになってくるにつれて柔軟に更新するということを考えております。
 (3)スクリーニング評価全般にかかわることでございますが、高分子化合物の取り扱いに関しては、PLC相当または高分子フロースキームで白判定相当と確認できた場合は、優先評価化学物質としないことが妥当ではないかとということを書いてございます。
 最後の[2]、良分解性物質の取り扱いに関しましては、また次回ご議論をいただきたいと考えております。
 以上、駆け足ではございますが、資料のご説明をさせていただきました。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○中西委員長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、ご質問とかご意見がございましたら、相当あるのではないかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、亀屋委員、それから菅野委員といきます。

○亀屋委員 すみません、ちょっと勘違いしているといけませんので、確認のため教えていただきたいんですが。

○中西委員長 はい、結構です。

○亀屋委員 生態の場合には水域への排出量だけを考えるということなんですけれども、人健康の場合に、例えば慢性毒性が一番有害性クラスとして高くなったときに、そこの物質に対しての排出量というのは、これも総排出量で考えるのか、大気と水の両方を合わせたもので考えるのか、あるいは水域だけのほうで考えるのか、それはこの説明を読むと必ずしもはっきりとはわからないので、説明をお願いしたいと思うんですけれども。

○中西委員長 では、その点だけまずお答えしていただいて、先へいきましょうか。

○経済産業省 人健康に関しましては、大気と水両方の合計になります。水生生物、生態のほうには水のみということになります。

○亀屋委員 それで、人健康で、例えば経口慢性の場合には大気への排出というのは余り実際には効いてこないようにも思うんですけれども、そこでもやはり総排出量を使うという、そこの考え方です。それをどのように整理されているのか。

○中西委員長 では、それはちょっと議論のところで聞きます。

○亀屋委員 はい。

○中西委員長 では、菅野委員、どうぞ。

○菅野委員 事前にコメントをする機会が私の場合ぎりぎりで、ここで複数コメントしなければいけない状況にあるんですが、まず人健康の場合の有害クラス1というのはかなり特殊なものであるので、これは恐らく全部閾値がないということも想定すれば、1トン以上は全部「高」、これで言うと黒色の分類にするのが妥当なのではないかという意見が一つ。実際に運用の段階での最高クラスは2になりますね。ですから、このマトリックスは、人健康の場合は2・3・4・クラス外という4カラムの図になる。一番左が2となりますので、なおかつ既存でデータのないデフォルトがクラス2に来るということからすれば、クラス2の中の一番下に「低」というものがあることは整合性上よくない。であるから、「高」、「高」、「高」、「高」、「中」あるいは「高」、「高」、「高」、「中」、「中」と直すのが妥当ではないかということであります。
 もう一つは、先ほどお答えいただいた、実際に目に浮かぶ会議のやり方は今までの3省合同と近いと伺うと、では実際、毒性学者あるいは病理学者がその場で何をやっていたかというと、このスキームに当てはめれば、レポートに書いてあるNOELはこういう値だけれども、神経毒性が強いとか、回復性が悪いとか、もろもろの診断理由により、これはNOELは幾つであるけれども、二監にしましょうということで、これで言うと、枠を1つあるいは2つ横にずらす、あるいは、流涎はこの場合関係ないから、有害事象とはとらないことにしましょうと言って右に動かす。要するに、このスキームの中で上下ではなくて左右に、化学物質の生体影響ごとに判断して動かすという作業をやっていたということになるわけです。それをどの段階でやるかというのが一つ。「新規」の場合は、今までと件数はそんなに変わらないでしょうから、想像がつくわけですが、ここで一番問題になるのは、「既存」の1万8,000物質をどう20年までに完結するかという問題だと思うんです。
 恐らくここのデータに足りないのは、暴露量に依存しての件数の分布だと思うんです。1,000トン以上というのはほとんど件数がなくて、「新規」の場合ですと、下のほうの10トンとかにたくさん固まるわけですが、そういう分布と実際にこなせる数とのシミュレーション結果が必要になります。その上で提案したいのは、1万トン以上は、どんなに毒性評価しなくても「高」になりますから、次の段階の審査に行くからいいんですが、100トン、1,000トンあたりのものに関して、件数が一番多いところでは、デフォルトで2になった場合は、先ほど提案したとおり「低」というものをなくしていただきたいという提案につながります。そうすれば、何らかの手当てができるわけですが、「既存」で情報がついてきた場合に、横方向へのシフトをこの段階でやらないと、自動的に業者が出してきたNOELの値だけで計算して、エキスパートによるジャッジをしないで、「低」に入ってしまいますと、次に審査にかかる確率というのはもうほとんどないに等しいわけです。1万8,000物質もある中の何割かです。ですから、そこの手当てをするのが大事になると思うんです。100、1,000あたりの中程度のものを主体とした「既存」のものでデータが出てきたものは、理想としては「新規」と同じように扱いたいわけです。そこの手当てをできるかどうかの試算が知りたいということになります。
 以上です。

○中西委員長 わかりました。ご意見はよくわかりました。
 ほかにご意見は。どうぞ。

○西川委員 菅野委員の意見にもダブるんですけれども、資料2-1の9ページのところに不確実係数の点数が書いてありますが、ここに重篤性が、平たく言えば神経毒性等ですけれども、全く考慮されていないというのはちょっと懸念されます。それで、その辺を導入するかどうかを含めて議論いただければと思います。

○中西委員長 どうぞ、では青木委員。この青木さんのご質問が終わったところで一度お答えをお願いします。

○青木委員 一つは、ここにない論点になってしまうかもしれないんですけれども、特に一般化学物質の場合は、従来あるデータを活用することになると思いますので、そのデータの信頼性について、ご案内のとおりREACH等ではある意味厳しいコードを設けておりますので、この化審法のスクリーニングの中ではそれをどのように考えられるのかという問題が一つございます。
 それで次の点、ここからは若干細かい話になっていくんですが、このパワーポイントの8ページにあります有害性クラスに関して、一般毒性、生殖発生毒性に関しては、それぞれオーダーで2、3、4というところが区切られております。ただ、変異原性のところに関しては、これは定性的にやっているので、それがちゃんと整合性がとれるものなのかというか、何らかの形で検証されているのかどうかという問題でございます。
 それら、これも若干細かくて恐縮なんですが、9ページにあります一般毒性の場合のいわゆる不確実係数なんですが、試験期間に合わせて6、2、1と、これは確かにこのように区切られるのも一つの考え方としてはわかるんですけれども、これはあくまでもどのような考え方でこういう振り方をしたのか。若干技術的な問題なんですが、後に影響を与えることになると思いますので、一応伺っておきたいという、その3点でございます。

○中西委員長 わかりました。
 それでは、ただ今までのご質問についてのご回答をお願いいたします。

○経済産業省 菅野委員からいただきました、特に人毒のカテゴリー1に関するご指摘あるいは毒性の重篤性といったところでございますが、まずこちらで人毒の1に関しましては、ご指摘のとおり「中」といった区分があるわけでございますけれども、「中」といった区分に関しましては、先ほどもご説明したとおり、「高」の評価が進んで、ある程度知見がたまった時点で妥当性を見直すということを考えておりますし、また「中」も含めて、当然ながら一般化学物質と判定されても、毎年度評価は行うというのは前提ではございます。
 また、専門家のご判断ということで、先ほど基本的な考え方でもご説明させていただきましたが、スクリーニング評価の最終的に優先と判定するかどうかといったところには必ず専門家のご判断をいただきまして、いろいろ議論のあるところに関しましては個別にご判断をいただくというケースもあり得るかとは考えております。したがいまして、事務局といたしましては、「中」という区分も含めたマトリックスをご提案させていただいているところでございますが、ぜひご意見をいただきまして、本日のご議論を踏まえましてまた検討させていただきたいと考えている次第でございます。

○中西委員長 件数の分布についてのデータがない。これはいいご指摘かと思うんですが、いかがでしょうか。

○経済産業省 件数の分布に関しましては、資料2-1のほうのパワーポイント資料の25ページ目には、これは実際に、25 ページと26ページを見ていただきまして、第二種監視化学物質のPRTRデータ、これが両方とも指定されている物質に関して考察しているところでございます。26ページの表で見ると、31物質目で切れておりますが、人健康の場合は48物質で検討しております。上の25ページのほうを見ていただきまして、◆ とか○とか△のプロットがあるかと思いますが、こちらのほうは製造・輸入数量に沿って排出量を計算した場合の実際の二監の排出量分布、縦軸の分布を見ていただけると、そういった状況になっているということであります。現在のところ二監の分布しかとれておりませんで、いわゆる既存化学物質、一般化学物質全体に関してはまだ解析できておりませんが、第二種監視化学物質とPRTRが同時に指定されているものは、こういった状況にあるということになります。

○中西委員長 菅野委員のご希望は1万8,000の物質についてのそういうデータですが、残念ながらそれはまだないということでご理解いただければと。どうぞ。

○菅野委員 審査できる状態にあるというコメントはよくわかるんですが、1万8,000のうちの半分ぐらいが、データがないとしてカテゴリー2に自動的に行くとして、残りの8,000ぐらいが、2020年までのうちの発がん性試験ができる時間を残してとかというと、数年のうちにけりをつけなければいけないといって、毎月1回やったときに、1回に出てくる化合物の量は幾つなんだろうとやったときに、クラス分けをする段階のところまで我々がきちんと見られるかという問題も当然出てくるわけですけれども、その辺、やってみたら結局全然できないから、NOELの数値だけで突っ走りますと言われるのも困るわけです。ですから、そこを事前に知っておきたいんですが、ある程度の皮算用を。

○中西委員長 ただ、残念ながら…。

○菅野委員 今のエスティメートが大体合っているとしたら、あと8,000件を2020年までにやるとして、どのくらいになりますかという計算でもいいかもしれません。

○中西委員長 ただ、今議論していただいているのはまず最初のスクリーニングのところなので、その点はぜひご理解をいただければと思います。ただ、スクリーニングで落ちてしまうからというご心配だとは思うんですが、余り……。

○菅野委員 心配の一つの理由は、今までにせっかくやった二監は、これでやると8割方落ちると承っています。1割が「高」に入って、1割が「中」にとどまって、残りは全部「低」になってしまうと。ですから、それを我々が聞いたときに、では今までやってきたことは何なのかという問題も含めて、今後1万8,000をやらなければいけないということはよくわかるけれども、一番いいところでといったときに、ちょっとシミュレーションが足りないなと、もうちょっと知りたいなということになるわけです。

○中西委員長 今の菅野委員のご意見のほうはこれでちょっととめさせていただいて、亀屋さんのご意見がありましたね。それは、ご意見を承るということにしておきますか。

○経済産業省 経口経由での毒性に関しましても、すべて人健康の場合は大気または水域に排出したということになりましても、我々がこのパワーポイント資料の25ページ、26ページで試算したものは、そういう意味では摂取量換算でこういった考え方で「高」の配置を設定しているということになりますので、すべて摂取量換算をするという考え方から、大気に出るもの、水域に出るものも一緒に考えている。ですので、人の場合は、いわゆる吸入の場合もしくは、例えば水を飲むとか、そういったものもあり得るかと思いますが、摂取量換算して計算するということをベースに置いて設定したことになりますので、大気・水ということになります。

○中西委員長 それから、西川委員のご質問。

○経済産業省 重篤性に関しましても、今ご議論いただきましたとおり、エキスパートジャッジをというところは考えているところでございます。また、スクリーニング評価ということで、非常に多くの物質を相手に評価を行っているというところでありますので、ある程度簡便な方法ということで今回のようなご提案をさせていただいているところでございますが、またご議論いただきまして、本日の議論を踏まえ検討させていただきたいと思います。

○中西委員長 青木委員のご意見は。

○経済産業省 申しわけありません。青木委員からご指摘のありました、まず1点目、データへの信頼性に関しましてですが、有害性クラスのデータの信頼性ということでよろしいでしょうか。こちらは、資料2-1の18ページに、先ほど申し上げました有害性クラスづけに用いることができる信頼性基準といったことで、詳細につきましては検討中でございますが、まず化審法での判定根拠とした情報、[2]、GLP準拠での試験データ、あるいは[3]、同じく化審法の試験法通知に準じた試験データとか、そのほか、[4]信頼性の定まった情報源からの有害性情報というところを実際に使用可能とするようなことを考えておりますが、特に[4]あたりはまだまだ検討が必要なところと考えている次第でございます。

○中西委員長 はい。

○青木委員 多分[4]が一番多いと思うんです、現実的には。[4]に当たる部分というのがデータの数としては一番多いと思うので、逆にこれだけ出されてもちょっと調子悪いと思って言った次第です。

○経済産業省 こちらの[4]に関する基準に関しましては、まずは今年度実施いたします二監・三監に関しましては、そういう意味では審査の情報がございますので、それを使えるということになりますので、実際一般化学物質をスクリーニングする段階までに必ず間に合うようにこういったものを、例えばGHSなどでも、国が分類する場合の信頼できる文献リスト等々を設定される。これはREACHもしくはOECDのシーズなども、そういったピアレビューされた文献等があって、そういったものから選ぶといった基準があるかと思います。こういったものを参考にしつつ、我々のほうも検討していくということを考えております。

○吉田委員 すみません、言わせていただいてよろしいですか。

○中西委員長 ちょっと待ってください。今のお答えに対してのご意見ですか。

○吉田委員 亀屋委員に対するお答えに対しての追加コメントですが、よろしいですか。

○中西委員長 では、どうぞ。

○吉田委員 先ほど大気を含めることについてご質問がありましたけれども、私どもの詳細リスク評価では、疎水性の化学物質、例えばプラスチックの中に入っているような物質は、大気にかなり出ます。大気に出て、その後農・畜産物に入ってヒトが摂取するという流れがありますので、水だけというのは私はちょっと違和感があって、大気も含めた排出量の推計を検討されるべきと考えております。

○中西委員長 ここのところはちょっともう議論をやめましょう。それで、いずれにしろ、本当の意味のリスク評価ではなく、スクリーニング段階ですので、排出量を両方入れてしまおうといった非常に大まかな考えで今できています。ただ、これはもう少しきちんと議論していく場がまたきっとあるかと思いますので、そこはご了解いただきたいと思います。
 あと、青木委員のご質問のほかのところにお答えをお願いします。

○経済産業省 もう一つ、不確実係数の設定に関しましては、これはEUのほうの設定の考え方、もう一つは、ご説明しましたように、我々はこの有害性の分類に関しましてはGHS等の国際整合性ということを考えております。実際、GHSのほうでは28日間と90日間で3倍設けているというところもございますので、そういったことを参考にして……。失礼しました。90日未満が6と、90日以上12カ月未満が2のところが3倍違っているというのは、そういったあらわれでもございます。

○中西委員長 今のはよろしいですか。
 では次、どうぞ。

○前川委員 先ほどの有害性情報の信頼性にかかわる問題なんですけれども、これからいろいろな情報のないものに関しまして、業者のほうからいろいろなデータを出してもらいたいといった話があったときに、GLPなどに関係のない形で、業者が持っているデータが出てくるケースがある。そのときには、例えば極めて簡単な急性毒性のデータなどが出てくる可能性もあろうかと思うんです。この急性毒性のデータなどというのは、ある意味ではGLPに関係のない形でなされている、業者が持っているデータが出てくる可能性もある。だけれども、この急性毒性というデータは、ある意味では極めて重要なデータです。ただ、その中身が問題でして、単なるLD50といったデータでは全く意味がない。だけれども、きちんとなされたデータであれば、これは極めて重要なデータです。問題はその中身です。ですから、そのデータの信頼性の問題になります。ですから、この資料2-1の18あるいは19に関係することだと思うんですけれども、結局それはだれがどのように評価をするかということにも絡むと思うんですけれども、その辺のところもこれからのこの委員会での議論の対象になろうかと思います。非常に重要な問題だろうと思います。
 それに多少絡むんですけれども、最近私自身、新規の化学物質の評価にも絡んでいるんですけれども、極めて懸念されているのは最近のデータの質が非常に落ちてきていることです。すなわち、データをつくる人たちのレベルが落ちているということです。その辺のところも非常に懸念しております。ですから、評価をするほうも非常に注意しなければいけない。逆に言えば、データそのものの信頼性の問題です。その辺をちょっと一言付記して下さい。

○中西委員長 ほかに。庄野委員、どうぞ。

○庄野委員 ちょっと違った観点から2つ質問と、それから1つちょっと、お願いといいますか、ご意見を申し上げたいと思います。
 1つは、先ほどのご質問にも関係するのですが、8ページの人の健康に係る有害性クラスのいわゆるリスクキャラクタリゼーションなんですが、これは恐らくREACHでいうところのDNELと同じような概念だろうと思いますけれども、ここでは非常に画一的に数値的にこれがあらわられるのですが、これはエンドポイントのファクター、要するにそのシビアリティーという意味で、深刻さという意味でのファクターというのは入り得るのだろうかということです。例えば肝重量変化と同じような指標で、例えば別の非常にシビアな毒性があった場合、NOELで同じようなデータが出たらどっちを重視するのか、そのような議論ができるのかどうかという点をちょっと確認したいと思います。
 2つ目はQSARの件なんですが、QSAR、カテゴリーアプローチ、踏み込んだ表現の仕方をしていただいて非常にありがたいと思うんですが、もう一つ踏み込みますと、実際に資料2-3の最後の書き方であれば、「利用可能か等を早急に検討し」ということと、それから「活用可能と考える部分については」、「試行する」ということなんですが、もう少しこれを具体的にご紹介いただければありがたいと思います。我々としても一つ期待しているところでございます。
 最後の3つ目なんですが、これは既に我々業界からもかなりお願いしているんですけれども、デフォルト値を毒性試験のないものに応用しますと、デフォルト2で、汎用品で非常に高生産なものをつくっている場合は全部ことごとくこれで優先評価化学物質側でのプライオリティーが高くなってしまうというシステムなんですけれども、我々にすれば、従来からこの50年間我々がつくってきたプラスチックと言われる、いわゆる石ころ系の高分子というものは果たして同様に扱えるんだろうかという議論を我々としてはしています。画一的に確かにデフォルトを使ってしまえばそういう考え方なんでしょうけれども、ある意味では、これは国際的な動きを見ながらも、さらに実際ポリマーで、石ころそのものといいますか、ポリマー自体というよりむしろモノマーに起因する問題のほうが多いので、ここはもう一つ工夫していただけないかと。実際に、例えばいわゆるローコンサーンポリマーあるいは高分子フロースキームでの評価をやるとしても、ご存じと思いますが、こういうポリスチレンとかポリプロピレンといったものは、非常に重合度がばらばらですし、ロット・バルクによって全然違います。そういった意味ではテクニカルな対応が非常に難しいということもぜひちょっとご理解いただいた上で、もう一工夫をお願いできないかといったことでございます。
 以上3つでございます。

○中西委員長 中杉先生、それから江馬先生、ご意見がありますか。では、お二人、続けてお願いします。

○中杉委員長 今、庄野委員が言ったQSARの話なんですけれども、これは私の個人的な考え方で、QSARをどうやって使うのかという考え方は2つあると思うんです。一つは、その前に有害性データがない場合というのは、これはできるだけなくす必要があるだろう、できるだけ有害性データを得てから評価する必要があるだろうということになると思います。これは事業者の方にやっていただくのですけれども、事業者の方に有害性データをとったほうがいいですよと言うための情報として、このQSAR等を使うというのは一つあるんですが、情報提供する。これは、デフォルト値を使っても優先評価化学物質だとなってしまえばあえてやる必要もなくて、後でやればいいんですけれども、どちらかわからないといったときに、事業者の方が試験をやって結果を出せば、優先評価にならないかもしれない。そういう情報を提供するという使い方がまず一番目にあるだろう。
 それからもう一つは、もっとあえて使ってしまうと。ある程度の安全率を見て、ランクを1ランクか2ランクか動かすときか、そういう形でQSARの結果を使うということもあり得るかもしれない。ただ、それができるかどうかということに関しては、今やられているものを少し集めてみて、実際に評価の予測結果と計算結果がどうかというデータを少し蓄積する必要があるだろう。そういうことをやっていく必要があるのかなと思っています。
 それから、後で鈴木委員からまたご意見が出るかと思うんですが、モニタリングデータの扱いの話なんですけれども、多分今回は2020年までに全部をやらなければいけないという重い課題があって、ある程度割り切った形でのスキームで動かざるを得ないんだろうと考えています。そういう意味でいくと、今回の提案されている方法というのは、ある割り切りの中での一つの方法であろうと。これが最後までいったから、もうそれですべて安全だという話ではないんだろうと。これはまた見直しをしますよということを言っていただいているので、そういう中ではこの方法で、暴露量についても排出量等から推計していくのでやらざるを得ないだろう。ただ、そうは言いながら、化審法は製造使用する化学物質の環境リスクの話ですけれども、ほかの発生源がある場合に、それは知らない、別だというわけにも必ずしもいかないので、環境モニタリングデータというのはやはりそれなりに意味を持っていくだろう。ただ、これは改めてスキームの中に入れてやるというほどデータはそろっていないと思っていまして、その辺のところは、前の資料2-2の中にも書いてあるエキスパートジャッジメントというものはどうしてもこういうものにつきものです。そういうものの中でモニタリングデータがある場合には、それをどう扱うかということを議論していけばいいのではないかと私は今考えております。

○中西委員長 江馬委員、どうぞ。

○江馬座長 有害性クラスを区切るための基準、スライドの7です。一般毒性と生殖発生毒性は定量的にクラス分けするとなっているのですが、有害性を反映するためには、その試験のエンドポイントあるいは毒性の質のようなものを加味していかないと、なかなかうまく有害性が表現できないと思います。最低限のエンドポイントだけでもここに加味するようにお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、刺激性とか感作性とかが見られた場合は、どこに表現されるのでしょうか。これは質問です。

○中西委員長 吉岡先生と吉田委員、いいですか。はい、どうぞ。

○吉岡委員 幾つか質問がございます。まず第1点は、実際の評価においては多分2つの指標が合同されて使われるはずです。すなわち、PNECとPECの2つの数字でもって判定されていくだろうと予想されます。そのときに、PECは製造・輸入量というところから排出係数を掛けて求められる。PNECは何かというと、データから求められる。そうすると、この2つの数字の割り算によって決定されていくということになります。そのときにランクというのはどういう意味を持つのだろうかというのが1点。またランクが、例えばGHSなどの基準になぜ合わなければいけないのか。結果として毒性がこれだから、GHSの基準だったらここに入りますというので、それでおしまいではないだろうか。優先評価化学物質を選ぶ場合にそのランクというものがどういう意味を持つのだろうかというのがよくわかりません。
 2番目の問題で、2020年までに大量の物質を処理しなければいけないという話になってくると、優先物質内のさらに優先順位というものが存在しないだろうかという議論が先ほどからあったと思います。つまり、今はとりあえず基準値をここに置いて、これ以上のものは挙げるけれども、その次になったら、基準値をもう少し下げて、危なそうなものもひっかけるという形、そういうシステムというものは考えられないだろうかということになります。
 少し細かくなりますけれども、正しいデータをとるためにGLPなどの機関によって試験されたデータを使うということになってくるだろうと思いますが、環境濃度から逆算して、これだけの濃度以下のPNECであるならば、あるいは毒性値がこれ以下であるならば、問題はないはずだという計算ができるかもしれません。その計算ができるとするならば、1点だけ、つまり限度試験、環境の場合には100ppmではないのですけれども、例えば1ppmでも、これで大丈夫だという濃度があるならば、その限度試験だけを行えばそれで済むといった試験システムを導入するかどうかという問題があるだろうと考えています。
 以上です。

○中西委員長 ありがとうございました。
 吉田委員、どうぞ。

○吉田委員 暴露ということを考えますと、環境中の濃度は、その排出量には比例するわけですが、一方では分解によって減少するわけです。それで、手法としては環境排出量で考えられるということですが、少なくとも良分解の物質について言えば、環境中の濃度は少なくとも水系に出ているものについては補正ができるのではないかと思います。大気に出ているものについて、分解度試験で良分解だからといって濃度が下がるかというと、そうではないですが、水系に出たものについて言えば、微生物分解というものをある程度考慮して、濃度が下がる方向に働いていることは考えていいと思います。例えば水系については、良分解であれば、排出量のカテゴリーについては「高」から「中」、「中」から「低」になるとか、そういったことも少し検討していただければと思います。

○中西委員長 わかりました。とりあえず、ちょっとここで切らせていただきます。それで、時間が余りありませんので、ちょっと時間の節約のために私が答えられる分だけ答えてしまって、それであと、できるだけ難しい問題はよろしくお願いします。
 まずQSARの問題は、何人かの方から、この間林先生からも出ましたけれども、中杉委員からも出ていましたが、ここの書き方がいまだに「検討する」になっていることは物足りない。このお気持ちはものすごくよくわかるので、これは事務局に次のときまでにぜひQSARのことをもうちょっと検討するようにということでお願いしたいと思います。
 それから、良分解性の吉田委員のご意見については、次回の委員会までに事務局がデータをそろえて、どういう処置が可能かということを提案できると考えております。
 あと、シビアリティーの問題については、これはもしかして違ったら事務局のほうで訂正してほしいんですが、シビアリティーについては当然入れるべきなんですが、今の段階では、一般毒性と生殖毒性とか変異原性、発がん性と分けるのが精いっぱいというところだということをご理解いただきたい。これは、今議論していただいているものは、何しろ2万の化学物質を分類するための方法です。その中からずっとだんだんいって1,000とか2,000となって詳細に分類するわけですから、2万という物質だということをぜひご理解していただいてご意見を出していただきたいと、これは私のほうから要望したいと思います。
 それで、あと残った問題は、前川先生の信頼度は、もうちょっとこの2万の段階だということでご理解いただいて、さらにその後へということで。
 それで、庄野委員の質問のD値とカテゴリーアプローチですが、カテゴリーアプローチはQSARと一緒に議論させていただくと。それから、このデフォルト値のところの知恵がないかということについて、知恵はそちらからは何かご提案いただけるのでしょうか。

○庄野委員 実は既にもう一部我々としても検討しているんですけれども、この問題は、むしろ先ほど申し上げましたバリエーションが非常に広いんです、この物質自身が。そういう意味では、代表選手を選んでやらなければいけないというところなんでしょうけれども、果たしてそれがどこまで可能かというのを今後詰めさせていただかないと、これは動かないだろうと思っていますので、我々としては全くリラクタントではないので、ただどうやって進めるのかという議論を詰めさせていただこうかなと思っています。

○中西委員長 それは、ことしいっぱいは二監・三監ですけれども、早急にむしろ提案をしていただくのがいいんじゃないかなと思いますけれども。

○庄野委員 全く何もないままでの議論というのは結局できないだろうと思いますので、それはある程度我々としても今後考えていきたいと思いますので、それはその都度フレキシブルに考えていただければと思います。

○中西委員長 それから、江馬委員の生殖毒性について、最低限のエンドポイントというのは、これとこれとこれは見なさいといった感じで考えてよろしいんでしょうか。

○江馬座長 例えば生殖発生毒性については、少なくとも母体毒性が発現しない量で見られた奇形あるいは胎児の死亡とか新生児の死亡とかは重篤な影響と考えるべきだと思いますし、先ほど神経毒性の話が出ましたが、一般毒性でも神経毒性は追加の係数を用いる、あるいはエキスパートジャッジをするとかということが必要かと思います。

○中西委員長 この2万の物質を最初にスクリーニングするというところでそこまで厳しい議論をしなければいけないかというところはいかがでしょうか。

○江馬座長 2万データがあるわけではないので、それはどのぐらいデータがあるかによると思いますが、特に生殖発生毒性はそんなに多くないはずですので、不可能ではないと思います。一般毒性はどのぐらいデータがあるかはよくわかりませんが。

○中西委員長 わかりました。
 私のほうが間違いだったところを訂正していただくのと、あと残った問題としては、今のそういうエンドポイントのあたりの問題について、一応どのような検討をしていただいたかということについてお答えいただければいいかなと思いますが。

○日下委員 すみません、残っているところで、感作性のことも出たので、私もお願いしたいんですが、刺激性と感作性のことです。

○中西委員長 そうですね、刺激性、感作性のことも含めて。

○経済産業省 感作性等の影響に関しましては、まず化審法で今見ていますこのスクリーニング評価、リスク評価に関しましては、環境経由の影響ということを考えておりますので、ここでは入れていないということになります。

○中西委員長 ちょっと待って。環境経由でないから考えないというお答えでいいんですか。感作性・刺激性までは今考えられないというのは、2万の化学物質を対象にして、それはいいと思うんですが、環境経由ではないから考えないというお答えでいいのか。

○経済産業省 恐らく化審法では有害性は長期毒性の観点で見ておりますので、感作性・刺激性については必ずしも長期毒性の中のカテゴリーとしては見ていないのではないかということで、例えば従来のスクリーニング法などのところでは見ていないということでありますので、現時点の中では見ていないということになっております。

○中西委員長 どういう有害性を考えなければいけないかというところに、従来の化審法をひきずった議論をしなければいけないのかどうかということについて、ちょっと一度整理していただいて、次回までにもう少しそこを整理して、みんなにわかるようにしてください。お願いします。
 ほかにご意見。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(規)委員 モニタリングデータのところはさっき中杉先生が言われたので繰り返しませんが、用途別の排出係数ということをこれだけ整理されたのは、私が見ても、私が言うことではないですけれども、非常に大変な仕事だと思ったので、それ自体には敬意を表しますが、多分、排出係数は当然非常に大きな幅があると思うので、私が参加している幾つかの会合でも排出係数の概念みたいなものは常に議論されていまして、これが例えば中央値みないなものを算出しようということを少なくとも目標に算出した排出係数なのか、ワースト係数みたいなものを算出しているのか、ある種、多分データ自体を集めるだけでも大変だと思いますので、容易ではないかと思いますが、どういう目標で、あるいはどういうコンセプトでこの排出係数の集積あるいはこの使い方を設計されようとしているのかということをお尋ねしたいと思います。

○中西委員長 ほかに。菅野委員。

○菅野委員 繰り返しになってしまったら申しわけないんですけれども、現体制でできる範囲でやりましょうというのが大前提になってしまっているところがあるから、2020年までにこなすためには質がちょっと落ちてもしようがないんですよねと言われているところがあるんです。そこはもうどうしようもないのか、要するに人員とか体制を強化できないのかというのが一つ。
 もう一つは、3省合同のやり方というのは非常によくて、これは踏襲しなければいけないんだけれども、2020年までの非常事態としては、例えば一度集まったらブレークアウトして、3つのグループでおのおのの専門のものをバーッとやって、最後にもう一回集まって見直すというちょっとした工夫をやるだけで、ひょっとすると、少なくとも人影響に関しては3倍から4倍、5倍ぐらいこなせる可能性があるわけです、一定の時間で。要するに質をどこまで落とす必要があるかという試算に基づくんですけれども、その辺までかなりきめ細かく考えていただくと、スループット性も上がるかもしれないんです、ちょっとの工夫で。それと先ほどの試算とで、本当に2万全部なのか、5,000ぐらいで勝負がつくのかというところで、かなり中身が変わってくると思うので、ぜひ多角的に討議願いたいと思うんです。

○中西委員長 ご提案ありがとうございます。ほかにご意見、どうぞ。恒見委員、林委員、それから原田委員ですね。すみません。この順序でいきます。

○恒見委員 排出係数ですけれども、中央値、ワースト係数の議論もありますし、ライフサイクル段階で見ても、最終製品消費もしくは廃棄段階などを勘案されていると思うんですけれども、かなり情報的にも不確実性の高いそういうデータも含めて議論されているのかというご質問と、あと将来的にスクリーニング評価を繰り返しやるときに、生産量の変化というものもありますけれども、逆に企業・業界の排出量低減の努力、すなわちそれは排出係数の変化というものも将来的に見る必要は、もしくはそういうのに柔軟に対応される必要があるのかなと思います。 ○中西委員長 ありがとうございました。
 林委員、どうぞ。

○林委員 コメントと質問があります。まず最初に、資料2-1の16ページにあるんですけれども、有害性データがない場合の人健康のデフォルト値のところなんですけれども、変異原性の場合、データがない場合には2というデフォルト値が一応今当てはめられているんですけれども、今の新規化学物質でもこの2になるものというのはほとんどないわけです。だから、どの辺にするかというのは、現状のデータも少しもう一度見直してからにしたほうがいいのではないかと思います。GHSの2というのはin vivoのデータですので、今はスクリーニングでもin vitroしか要求していないわけですから、その辺のところを少し考えるというのが必要かと思います。もし私の勘違いだったら、教えてください。
 あともう一つは、これは先ほどの基本的な考え方のところにも出てきていたんですけれども、「評価を行う化学物質の単位」というところで、「原則として化学物質単位」と書かれて、その後ろに括弧書きで「CAS番号単位」と書かれています。このCAS番号単位というのが何を意味するのか、これを少し教えていただきたい。何か一つの化合物があって、それの塩が違う、そういう塩違いだけでもCAS番号が変わっていますし、もっと大きくグループ的なもので番号がつけられている場合もあるし、その辺のところを少しご説明いただければありがたいと思います。
 あと、QSARに関しましては、もうこれ以上話はしませんけれども、次回までにもう少し細かく検討していただけるということであれば、またそのときに私の持論もいろいろと出していきたいと思います。
 その中で、カテゴリーアプローチという話があります。そのカテゴリーアプローチということに関しては、今の何を単位としていくかという、その辺も少しはっきりしておかないと、そのカテゴリーアプローチに持っていくときに少し混乱が生じるかもしれませんので、質問したような次第でございます。

○中西委員長 原田委員、どうぞ。

○原田委員 効果的にスクリーニングをしていかなければいけないという点は、非常に理解できますし、いい方法だと思います。その中で少しでも評価のスピードを上げるといった点では、有害性クラスの算定のときに、今、生のデータから出していますけれども、既にOECD/HPV等で評価が済んでいるようなNOAEL値または生態毒性だとPNECといったものは大いに活用していくことで効果的なものができるかなと思いました。
 それと、先ほど人健康のほうの不確実係数のとり方は、事務局からEUという話がありまして、そこは理解したのですが、ちょっとめくってみたら、生態毒性の不確実係数のところが日本独自的になっているように思われました。具体的には、14ページのところのACRの扱いについてです。国際的なところで今使われているのは、マックスの不確実係数積というのは1,000だと思います。これは、ACRを掛けていくと一番下のところ、100×ACRというボックスを見ると、このACRの最大値が100になっていますので、日本より高い1万という数字を使うことになります。こちらは優先評価化学物質を選ぶといったところできつく見ているのか、もしくはこれはリスク評価でもこの考え方を踏襲していくべきかといった技術的な論点があったのか、その点について教えてください。

○中西委員長 わかりました。では、ちょっとこれらの点についてお答えいただけますでしょうか。現体制を変えられるかというのは、これはご提案として受けとめて、排出係数のお二人のご質問、それから林委員からのGHSの変異原性の問題、それから化学物質の単位という問題、それからQSAR、カテゴリーアプローチ、それから今の原田委員のACRの問題です。よろしくお願いします。

○経済産業省 まず、排出係数のコンセプト等に関してお答えします。今回、排出係数は用途分類別に付与しておりますが、まずはこのスクリーニング評価用の排出係数の策定の前に、詳細用途分類ごとの排出係数を策定するということを行いました。詳細用途分類というのは、一般化学物質ではなくて、優先評価化学物質の届出の際に事業者のほうから届出をしていただきます用途分類表になりますが、まずそちらで細かいほうの用途分類ごとに排出係数を策定します。その際参考にしましたのは、EUのTGDのAテーブルなどでありました排出係数をそちらのほうの用途などとマッピングした排出係数を用い、かつ日本版となりますように、PRTRデータ、それから取り扱いデータなどを加味しまして排出係数の補正を行って策定したものでございます。また、この排出係数に関しましては、製造段階、それから調合する段階、それから工業的に使用する段階、それから長期使用製品で使われて排出される段階と、こういったライフステージごとにも設定してきたところでございます。そういったところから、今回のスクリーニング評価で行います排出係数は、それらを丸める形で設定したということになります。詳細用途分類から、例えば用途分類ごとに詳細用途分類はA、B、Cと細かく分かれておりましたが、それらを平均化する形で今回の排出係数を設定したということになります。値としましては平均値ということになりますが、こちらのほうは、例えば同じ物質、化管法、PRTRデータなどとも比較を行いまして、それより下がることがない、PRTRデータのほうが、事業者からの届出でもありますので、まだ正確なデータであろうということから、そういった値よりは高い値になるということは検証して策定してきたところでございます。
 排出係数に関しましては、恒見委員からもご指摘いただきましたが、廃棄段階の排出係数というのは現状のところ入れていないということになります。また、排出係数の設定に関しましては、基本的な考え方は個別論点のほうにも記載させていただいておりますが、こちらのほうは柔軟に、より高精度な情報がございましたら、そういったものを取り込みまして修正していくという形で考えております。
 それから、CAS番号ベースというところの評価の物質の単位に関しましては、基本的な考え方のほうにも記載させていただいておりますが、有害性情報がどのような単位で存在しているかというところも配慮しつつ、異性体混合物とか解離性を有する化学物質については必要に応じてグループ化を行ったりして、そういった形、またはMITI番号で行う場合もありますので、その辺は柔軟に、まず例えば有害性情報があるものはその単位と同じものを使うといった形で行っていくというのを基本にしております。
 変異原性のランキングに関しましては、現在、人健康のデフォルト値というのは主に、スライドで申しますと、資料2-1の17ページの左側のグラフに、一般毒性のほうでこのような形で、ちょっと文字が小さくて申しわけありませんが、一番左の棒がクラス2に相当するもので、このクラス2に相当する物質が8%ぐらい存在するということで、こういった8%は考慮しないといけないということで、クラス2を立てたことになります。林先生がおっしゃいましたように、変異原性に関しても、実際の今回のこのクラス分けでどのあたりに該当するかというのは、検討してみたいと考えております。
 それから、原田委員からご指摘がございましたACRに関しましては、環境省から。すみません。

○環境省 ACRの件につきましては、まず国際整合性ということなんですけれども、今回の基本的な考え方に書いておりますように、スクリーニングで可能な限り国際整合性を図るということはもちろんなのですが、これまでの化審法の運用というのがございますので、そちらにも配慮しながら、どの値がいいのかということを事務局では検討してきておりまして、このACRにつきましては、化審法のこれまでの判定基準の中でこの考え方を組み込んでおりまして、これまでそれで運用してきたということがございます。というのも、化審法は長期毒性という観点で判断を下す法律でございますので、基本的には慢性毒性値で判断するというのが大前提だと思っておりまして、そうはいっても慢性毒性データはなかなか集まってこないという実態がありますので、慢性毒性を急性毒性から外挿するためにこのACRというものを用いております。これは、日本独自に慢性毒性値と急性毒性値を調べて、安全側に立ってきちんと急性毒性値から慢性毒性値を外挿できる値はどういうものかというのを分析した上でこのACRを設定しております。ですので、この部分は日本独自のローカルルールになるかと思っています。
 もう一つのご質問としては、リスク評価の最終段階までいってもこの1万という数字が出てくるのかということなんですけれども、先ほども申し上げたとおり、慢性毒性で規制を講じるのが化審法ですので、二特にするかどうかというリスク評価の段階では、当然そこは慢性毒性のデータをもとに判断を下すことになりますので、ここで書いているような慢性毒性試験結果が欠けている場合という状況は起きないので、その段階ではこういったところは1万というものは出てこないと思っております。
 ちなみに、その1万という数字につきましては、これは生態のほうだけではなく、人健康のほうでもそれが出てくるという話がございましたけれども、スクリーニングの段階では人健康も含めてそういった1万という不確実係数というのが出てくるのかなと思っておりまして、スライドの9枚目ですけれども、生殖発生毒性の場合は、影響の重大性とか試験の質といったところまで加味すると、こちらも1万というものが出てくるところはあるのかなと思っております。
 以上でございます。

○中西委員長 ちょっと私の意見を言わせてください。この委員としての意見を一つ言わせていただきたい。皆さんの先ほどからのご意見を聞いていますと、ここでスクリーニングで落ちてしまったら、あとはすくいようがないという考え方が随分出されていますが、化審法というのは化学物質全体の入り口ですので、ある種、落ちてもいいというか、いろいろな意味で、そこを余り厳しくしてしまうと物質は使えなくなってしまうので、その中で最後のところで環境規制もあるし、いろいろなモニタリングもあるし、さまざまなものがあって、そういうものも合わせながら全体を規制していくという化審法の入り口としての特性というのを考えた上で、ある程度、しかも最初のスクリーニングはラフにやるということは、決していいかげんなことではなくて、私はプラクティカルな選択だと思っています。もう一つ、人間の健康影響と生態毒性という、生態毒性といっても、試験をやっているのはミジンコとか、そういうものです。それのウエートが、バランスが悪いなということを非常にPRTRのときから考えていました。生態毒性というのが非常に重くなってしまっています。PRTRの新しい物質を選出するときも、ほとんど生態毒性だけでひっかかってくるという感じで、では現実にそんなに生態毒性を起こしているかというと、そんなふうにも思えない。そういう意味で言うと、今回のものも、健康影響のほうは事実上2から始まるのに、生態毒性のほうは1から始まっていて、PRTRのデータなどを見ていてもクラス1というのが非常に多いというのがあって、これはバランスが悪いなと。今この化審法のシステムを日本からアジアの国に広めようと、課長を初め化学物質管理課の方たちが一生懸命努力されているわけですが、そういう国際的なことも考えたときに、このバランスがちょっと悪いなというのが私の意見です。個人の意見を言わせていただきました。
 ほかの方のご意見を続いてどうぞ。青木委員、どうぞ。

○青木委員 ちょっと先ほどの感作性の問題とかかわるのですが、エンドポイントをどのように決めていくかというのは非常に重い問題だと思います。先ほどの感作性のことを少し具体的に申し上げますと、例えば、ご案内のとおり、免疫毒性に関してはWHO/IPCSで今検討が進んでいるところです。そう思ったときに、例えばこの2020年の段階を見据えたときに、途中で、この段階でもエンドポイントをきちんと決めることは大切なんですが、リバイズしていく形をとっていかないと、2020年になったときに国際的に見てとてもおくれていたということが一番恐ろしいと思います。ご案内のとおり、免疫学というのは多分ライフサイエンスの中で一番速い学問であって、10年前の文献などはほとんど古文書ですから、2020年を見たときに今の段階の古文書は頼りにならないかもしれない。そういう状況であることはご理解いただいて、エンドポイントのことは考えていただきたいと思います。

○中西委員長 エンドポイントについては、次回までにもう少し説明を整理していただくということで、ほかにご意見はございませんか。庄野さん、どうぞ。

○庄野委員 ちょっと蒸し返すようで恐縮ですけれども、15、16のいわゆる有害性がない場合のデフォルト設定なんです。一般毒性、変異原性は、要するにこれはデータがない場合と書いてあるのだけれども、実はデータがとれない場合というのがある。だから、非常に多様なことを考えた上でデフォルトを一挙に「2」というお考えをされているかどうか。というのは、先ほど中西委員長からもご指示がありましたように、我々としてはどういう対応が望ましいのか、ちょっと我々としてもアイデアを捻出してみたいという観点があるので、そのご意見を聞きたい。要するに、これは今後のことを考えますと、今後いろいろな化学物質が出てくる中で、全く不可能、そういう試験ができないというケースがあるんです。それも想定したことを考えていっていいのかどうかということをちょっと確認していただきたいと思います。

○中西委員長 今のご意見は、一般毒性のことを言っていらっしゃるんですか。

○庄野委員 一般毒性と変異原性は、データがない場合「2」ということで、発がん性と生殖は、ない場合が多いので、それは当たり前の話なんですが。

○中西委員長 要するに、では一般毒性と変異原性のところのことを言われている。

○庄野委員 そうです。もう一つは生態影響のほうが一挙に「1」ですね。そういうところは、データがとれないケースがある。例えば水に入れると分解してしまうとか、そういうケースはあるわけですから、そこまで考えてこのデフォルト設定というのは本当に正しいのかどうか、一度またご意見を伺いたいと思うんです。高分子に関しては、先ほどの議論で、相当するもの——どういうものでアイデアを出せるかというのはちょっと考えますけれども、高分子を離れても、そういうところでの議論は必要ではないかなと思います。

○中西委員長 中杉委員、どうぞ。

○中杉委員長 中西先生のさっきのご意見に対して、これも私の個人的な意見ですけれども、化審法というのは、化審法で全体の入り口ですので、有害性の可能性があるもの、この優先評価化学物質というのは有害性の可能性が否定できない物質は一応入れておきましょうという考え方でつくられていますので、できるだけ拾い上げる必要があるだろうと思っています。ほかの後発に続く化管法にしろ、大気の規制とか水の規制物質を選ぶ母集団にもここから始まっていくのだろうと私は考えていますので、ここではできるだけ漏れないほうがいいだろうと思っています。
 人健康と生態毒性については、これをどのぐらい見るかというのは非常に議論があるところですけれども、今回化審法の中では、水の生態の基準を決めるときのように、水の基準を決めるときに必ずしもそうしているわけではないんですけれども、あるデータはすべて使っていくという考え方ではなくて、一応3種類の生物に限定した評価をしているという意味では、無制限にやっているわけではないだろう。これでも少しバランスがとれていないということになるのかもしれません。
 それともう一つ、庄野委員が言われたことに少し絡んでですけれども、生態試験のPNECの出し方というのは、結構無理をして出しているものがあります。PRTRが対象物質を選ぶときにも、環境挙動を考えまして、非常に揮発性の高いものについては生態毒性の試験があって、かかっても外しましょうという考え方をしました。そういう考え方というのは化審法の今回の中にも入れ込むことができるのかなと思っています。

○中西委員長 ほかにご意見は……。西原先生、どうぞ。

○西原委員 一番最初に僕も聞いておくべきだったかもしれませんが、今になって言ってあれですが、2万物質がと言いますが、その2万物質というのはすべて化学構造はわかっているんでしょうか。わかっているにしても、特にポリマーがどのくらいのパーセンテージでその中に入っているかとか、混合物がどのくらいあるのかとかという情報をまず最初にちょっと出しておいたほうが、いろいろなことを細かくやっていけばいくほどそのようなディスカッションの時間が必要ないかもしれないなという気がしたんです。というのは、私が前にちょっとやったときに、化学構造がわかっていないものが3分の1ぐらいあったような気がしたんです。それで、それだともうQSARは絶対できませんので。そういうことです。そういうデータを出していただけたら。

○中西委員長 どうぞ。

○菅野委員 中杉委員の発言を支持します。大もとはPCBの難分解性高蓄積性という問題で、環境に一度出してしまったら回収できないという問題からスタートしているという面も、幾らたくさん短時間にやらなければいけないという命題があっても、その基本線というのはどこかにあるはずなんです。ですから、可能な限り慎重にやって広くとるというのは、やはり守るべき路線なのではないかなと思います。その上で、2万なのか、本当に1万8,000なのか、5,000に落ちるのかというところを見た上でというアプローチをぜひとっていただく必要があるのではないかと思います。

○中西委員長 大体ご意見は出尽くしたと考えてよろしいでしょうか。意見の違いは統一されているというわけではありませんが、大体出尽くしたということで、ではきょうの議論をちょっとまとめて、次回への橋渡しとしたいと思います。
 資料2-3の個別論点というところをちょっと見ていただきまして、有害性クラスというところでは、むしろ有害性クラスについて非常に疑問があったというよりは、エンドポイントのところをどうやって選んだのか、どういう観点から選んだのかということを説明してほしいということがあったかと思います。それが次への宿題と考えさせていただいて、この[1]、[2]は大体そういう形の話。
 [3]のQSAR、カテゴリーアプローチ。これは、次回までにもう少し具体的な、殊にカテゴリーアプローチというのが何を意味しているのかというところについての説明がきょうは全くありませんでした。庄野委員のことも一つのカテゴリーアプローチかとは思いますが、どういうことを考えているのかということについての説明が次のときまでに欲しいということです。
 それから、[4]は一応済んだと考えていただいて、次の(2)の暴露クラスの[1]届出数量による暴露クラス。これはほぼ、この[1]と[2]はそんなに強い反対意見は出されなかったとまとめたいと思います。それから、(3)の高分子については、反対意見はなくて、賛成意見があったと。
 それから、[2]については、ご意見はあったけれども、次回にもう一度議論するということでまとめさせていただこうかと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、こういう形でまとめさせていただきました。
 では、これできょうの議論は終わりにしたいと思います。
 では、事務局のほうから、次回のことなど、よろしくお願いいたします。

○経済産業省 どうもありがとうございました。
 第2回につきましては、現在のところ10月8日金曜日の午後を予定しております。場所と詳細な時間については、後日またご連絡させていただきます。

○中西委員長 それでは、以上をもちまして3省合同の審議会を終了したいと思います。大変暑い中、朝10時から引き続いてという方も大勢いらっしゃいましたが、どうもありがとうございました。これで終わりにいたします。


(了)

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