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2011年3月8日 薬事・食品衛生審議会血液事業部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年3月8日(火)16時~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(11名):五十音順 敬省略

 大 戸   斉、  大 平 勝 美、  岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、

 佐 川 公 矯、◎高 橋 孝 喜、 花 井 十 伍、 幕 内 雅 敏、

 三 谷 絹 子、  山 口 照 英、  吉 澤 浩 司

   (注) ◎部会長  ○部会長代理

 他参考人6名

欠席委員(10名):五十音順 敬省略

 朝 倉 正 博、 稲 田 英 一、 ○大 石 了 三、 嶋   緑 倫、

 鈴 木 邦 彦、 半 田   誠、  前 野 一 雄、 三 村 優美子、

 山 口 一 成、 渡 邉 治 雄

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 三 宅   智 (血液対策課長)

 安 田 尚 之 (血液対策企画官)

○議事

○血液対策企画官 定刻となりましたので、ただ今から「平成22年度第2回薬事・食品衛生審議会血液事業部会」を開催します。なお、本日は、公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いします。
 本年1月に薬事・食品衛生審議会総会が開催され、委員の改選がありました。江戸川大学の中村雅美委員が退任され、読売新聞編集委員の前野一雄委員に御就任いただいています。本日は、朝倉委員、稲田委員、大石委員、嶋委員、鈴木委員、半田委員、前野委員、三村委員、山口一成委員、渡邉委員から、それぞれ御欠席との連絡をいただいています。
 また、本日は採血事業者で血液事業の担い手として日本赤十字社血液事業本部から田所経営会議委員、石川副本部長、石井副本部長、日野副本部長、菅原献血推進課長、五十嵐臨床開発課長にお越しいただいていますので、よろしくお願いします。
 本日の部会においては、個別品目の承認の可否や個別品目の安全対策措置の要否の審議はありませんが、血液事業の運営において、日本赤十字社が調達する技術の提供企業との利益相反を確認する観点から、薬事分科会審議参加規程に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、審議及び議決への参加については、「退室委員及び議決には参加しない委員は、ともになし」となっていることを申し上げます。
 ただ今、委員21名中11名の御出席をいただきました。定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により本部会が成立したことを報告します。
 この後の進行については、高橋部会長、よろしくお願いします。
○高橋部会長 事務局より資料の確認をお願いします。
○血液対策企画官 資料は、議題1、議題2、議題3、議題4、議題5というところから、資料1-1「平成23年度の献血推進に関する計画(案)について」、資料1-2「平成23年度の献血の推進に関する計画(案)に対するパブリックコメントについて」、資料2「平成23年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」、資料3-1「血液製剤及び献血に関する感染症報告事項について」、資料3-2「XMRVに関する文献報告(続報)」、資料3-3「献血血液の研究開発等での使用に関する指針(案)」、資料3-4「英国滞在歴に関する制限緩和に伴う献血状況(報告)」、資料3-5「採血基準の改定に伴う準備状況(報告)」、資料3-6「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」、資料4-1「血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会中間報告」、資料4-2「平成23年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)について」、資料5「血小板がすべて成分献血由来となった経緯等について」。以上です。
○高橋部会長 議事に入りたいと思います。議題1、平成23年度の献血の推進に関する計画(案)についてです。これは血液法の規定により、計画の策定に当たっては、厚生労働大臣の諮問を受けて当部会で審議し、答申することとされているものです。委員の皆様には、昨年12月の前回の部会において、平成23年度の献血の推進に関する計画(案)について御議論いただいたところですが、その後パブリックコメントの募集が行われ、意見が提出されています。本日、改めてこの場で皆様の御意見を伺い、部会としての意見をまとめ、答申したいと思っています。事務局から資料1について、御説明をお願いします。
○事務局(難波江補佐) お手元の資料1-1について、事務局より説明します。表紙があり、次ページに献血者の推移のグラフを添付しています。平成22年の値がまとまり、平成22年の延べ献血者数は532万人ということで、平成21年に比べて約3万人増加しています。
 年代別で見ますと、10代、20代については、引き続き減少傾向にあると。またオレンジ色の30代についても、前年に比べて若干減少をしているところです。一方で40代、50代、60代といったところが伸びており、全体として約3万人増加という結果となりました。なお、具体的な年代別の献血率については、本年4月以降に総務省より公表される年代別の全人口のデータが得られた段階で把握される予定です。年代別の献血率が明らかになりましたら、今、この値を中期目標でも掲げられていますので、来年度の献血推進調査会において詳細な御審議を行っていただければと考えています。
 2ページが諮問書となっており、3ページ以降に来年度の献血推進計画(案)を添付しています。中身については、昨年12月に御審議いただいたものより若干文言の修正等はありましたが、内容についての大きな変更はないものとなっています。
 お手元の資料1-2が本献血推進計画(案)に対するパブリックコメントで、本年1月18日から2月16日まで募集したものですが、いただいた御意見等、厚労省の考え方をまとめたものを付けています。
 次ページにコメントと御意見と考え方を示しています。3名の方より御意見をいただきました。一つ目は女性、41歳、会社員の方からの御意見です。体重が50kgしかなく、400mL献血ができない。献血バスでは200mL献血が断られる場合があり、400mLを受け付けている採血ルームに行く時間がない。献血のできる環境や採血基準の見直しをお願いしたい、という御意見です。考え方としては、現在、医療機関からの需要は400mLが増えているということを説明した上で、200mL献血の在り方については、医療機関での使用実態等を踏まえ検討し、今後、皆様の善意が無為にならないよう取り組んでまいります、という回答をしています。また、採血基準についても、将来的な見直しも視野に入れ調査・研究を実施しており、貴重な御提案として承り、今後の参考にさせていただく、としています。
 二つ目ですが、職場の健康診断に合わせて献血を行ってはいかがかという御提案です。回答としては、既に一部そのような取組みを行っている所もありますが、健康診断の多くは採血を伴う場合が多いことから、献血者への負担を考え、できるだけ健診とは別の日で献血をお願いしている、という回答になっています。
 3番目の方からは三つの御意見をいただいています。男性、45歳、公務員の方です。一つ目は、献血推進計画(案)にある「感染症の検査を目的とした献血」の防止と、健康管理サービスの充実という文言には本質的な矛盾があり、実現不可能な命題ではないか、という御指摘です。考え方としては、健康管理サービスは、コレステロールやグリコアルブミンといった値を通知することにより、日ごろより献血者の健康に御留意いただくものを趣旨とするもので、献血血液の安全の確保を目的とする感染症の検査とは目的を異にするものであるとしています。また、B型肝炎等の感染症検査の結果で通知を希望される方については、早期治療につながることを目的として、健康管理サービスとは別に親展にて通知し、受診勧奨を行っています、と記載しています。
 二つ目の御意見です。「低色素により献血できなかった方に対して栄養士による健康相談を行う」ということが献血計画(案)にありますが、これによって貧血の検査を目的とした献血の増えるおそれがあり、血液製剤の安全性を損なうおそれがあるのではないか、という御指摘です。考え方としては、ヘモグロビンの濃度を測った上で、基準値を下回った方からの献血は御遠慮いただいていますので、健康相談を実施しても血液製剤の安全性を損ねることはないとしています。
 三つ目の御意見ですが、「献血者の本人確認の徹底」を行うことが、なぜ「検査目的の献血の防止」に資するのか理解できない。つまり、検査目的に来られる方は、結果の通知を欲しているわけで、住所氏名等を正確に伝えるのが普通ではないか、といった御意見です。回答としては、献血時の本人確認については、血液事業部会での審議において、感染リスクがあるという不安定な精神状態のため、検査目的で献血に行きながら、自らの住所氏名を偽ってしまう事例の存在等が指摘されたことから、平成16年より実施しているところであり、その外遡及調査を確実に行えるようにするとともに、「責任ある献血」という意識をもって献血に御協力いただく趣旨で実施していますので、御理解のほどよろしくお願いします、としています。
 以上、パブリックコメントと平成23年度の献血推進計画(案)です。御審議のほどよろしくお願いします。
○高橋部会長 ただ今の御説明について、御意見、御質問などがありましたら、お願いします。いかがですか。すでに昨年12月の部会でも少し議論があったところですが、よろしいですか。議決に移りたいと思います。いかがですか。それでは、「平成23年度献血推進計画」を告示する際に、法令的な観点から形式的な修正がありました場合は、私に御一任いただきたいと思います。相談・整理して、告示したいと思います。
 議題2に移ります。平成23年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可についてです。これも血液法の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならないことになっており、これに当たっては、審議会で審議して答申されることとなっています。本計画は、採血事業者である日本赤十字社から提出されたものでありますので、この場で委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。日本赤十字社から御説明をお願いします。
○日本赤十字社(石川) 日本赤十字社血液事業本部の石川です。私から平成23年度の献血受入計画(案)について説明をします。この案については、先ほどの献血の受入れに関する計画(案)の内容を踏まえて作成しています。また、時間の関係で概要のみの説明になることを、御了承いただきたいと思います。
 お手元の資料の3ページを御覧いただきたいと思います。1の「平成23年度に献血により受け入れる血液の目標量」から御説明をいたします。平成23年度に献血により受け入れる血液の目標量については、過去3年間の輸血用血液製剤の供給量が各製剤ともに毎年3~4%程度増加していることを踏まえ、全血献血は145万L、血漿成分献血については27万L、血小板成分献血は35万Lとし、合計207万Lを受け入れることとしています。各都道府県の詳細については、資料の8ページの別紙1にまとめていますので、御覧いただきたいと思います。
 2の「前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。(1)「献血受入の基本方針」について、御説明をいたします。1.「目標量の確保」ですが、各都道府県の需要に見合った血液を確保するため、受入施設別の稼働数、目標量を定め、400mL献血及び成分献血を中心とした献血者の受入れを行います。これについても、本資料の9~10ページにあります別紙2-1、2-2にまとめてありますので、後ほど御覧いただきたいと思います。
 2.「献血受入体制の整備」としては、献血者の安全性と利便性に配慮し、立地条件等を考慮した採血所の設置、移動採血車による計画的採血等、効率的な採血を行うための設備・体制を充実してまいりますとともに、採血所における休憩スペースの十分な確保や地域の特性に合わせたイメージ作りなど、環境の整備に努め、一層のイメージアップを図ることとしています。
 3.「献血者の処遇等の充実」です。献血者が安心して献血できるように、これまでも献血者に対して感謝の気持をもって丁寧な処遇を心がけてまいりましたが、引き続き職員の教育訓練を充実強化し、さらなる改善に努めてまいります。また、献血者の個人情報保護や献血者健康被害救済制度についても、適正な運用に努めてまいります。
 4.「初回献血者への対応」です。初めて献血される方の不安などを払拭するために、献血の手順や献血後の過ごし方などについて、映像やリーフレット等を活用して事前に説明を十分に行います。また、初回献血者の多い学校献血会場において、採血後の献血者をケアする担当者を配置し、採血副作用の防止に努めます。
 5.「検査サービス等の実施」です。生化学検査、血球係数検査、それに加えてヘモグロビン濃度の低値、従前は低比重と言っていましたが、そういったことで献血に御協力いただけなかった献血申込者に対して、次回の献血につなげていただけるよう健康相談等を引き続き実施し、献血者の増加を図ってまいります。
 (2)「献血者の確保対策」について御説明をいたします。将来にわたって血液が安定的に確保される体制を維持するため、若年層、企業や団体、複数回献血者の募集を重点的に行ってまいりますが、健康な高年齢者層の献血受入れも積極的に推進してまいります。また、病気や怪我のために輸血を受けた患者やその御家族の声を伝えるなどにより、血液製剤がこれを必要とする患者への医療に欠くことのできない有限なものであることの内容を含めた献血思想の普及を図ってまいります。特に少子高齢化による若年層への対策として、体験学習の継続的な実施など、献血への動機付けとしての活動も積極的に推進してまいります。
 1.「若年層を対象とした対策」としては、今御説明した内容を中心にして、ターゲットとする年代を明確にした対策を展開することとします。(イ)小学生、中学生を対象とした対策、(ウ)高校生を対象とした対策、(エ)大学生を対象とした対策というように、ターゲットごとに対策を立てたことに加え、(オ)にありますように、本年4月からの採血基準の改正に基づき、男性に限り400mL献血が17歳から可能となることについての普及啓発に努めてまいります。
 2.「献血者の年齢層に応じた献血推進対策」です。(ア)の20歳代後半~30歳代の女性を対象とした対策です、地域の特性に応じて献血ルームにキッズスペースを整備するなどの受入体制を整え、親子が献血にふれあう機会を設けるよう努めてまいります。この外に(イ)の40歳~50歳代を対象とした対策、(ウ)の60歳代を対象とした対策という献血者の確保対策を実施してまいります。また、(ウ)の第2段落に書きましたように、70歳以上の献血ができなくなった方についても、個人ボランティアとして御協力いただき、献血の推進に御支援いただけるような方策をとってまいりたいと考えています。また、血小板成分献血についても、採血基準の改正に合わせ、男性に限り69歳まで可能になることについての普及啓発にも努めてまいります。さらに、企業等における献血の推進及び複数回献血者の確保についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 これらの確保対策の効果を上げるために、5.に示しましたように各種の献血推進キャンペーン等を実施してまいります。特に今年度においては、(ア)に記載しましたように、重点的に複数回献血者を確保するため、4~5月の2か月間にわたり、新規にキャンペーンを実施してまいります。(イ)~(カ)については、本年に引き続き実施するものです。
 なお、次のページの3にありますように「その他献血の受入れに関する重要事項」について、(1)~(5)にありますが、これについても本年に引き続いて実施してまいります。
 以上、概略ですが、平成23年度の献血受入計画(案)について御説明をいたしました。今後とも国、都道府県、各市町村、献血協力団体などに御理解、御協力をいただきながら、安定的な献血者の確保と安定供給に努めてまいる所存ですので、何卒御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○高橋部会長 ただ今の御説明について、御意見、御質問があれば、お願いします。相当きめ細かく年代別に対処するというお話ですが、いかがですか。議決に移りたいと思います。いかがですか。それでは、事務局におかれましては、本計画の認可の手続を進めていただきたいと思います。日本赤十字社におかれましては、今後とも受入計画に基づいて献血の受入れの円滑な実施に努めていただくよう、よろしくお願いします。
 議題3、平成23年度血液事業部会運営委員会の審議結果についてに移ります。事務局より資料の御説明をお願いします。
○事務局(難波江補佐) お手元の資料3ですが、これは今年の2月18日に改正された血液事業部会運営委員会で用いられた資料になります。審議の結果と併せて報告します。資料3-1、1ページですが、これは供血者から始まる遡及調査の実施状況です。テーブルの右側、平成22年4月1日~平成22年11月30日までの供血者から始まる遡及調査の実施状況ですが、個別NATの実施件数としては1,146件ありました。うち個別NATが陽性となった件数は下の真ん中辺りにありますが、65件すべてHBVということです。
 医療機関まで遡った結果ですが、陽転事例は3例ありました。これは昨年12月に9月30日までの結果を報告しましたが、その時点では個別NAT陽性が52件すべてB型肝炎で、その時点で陽転事例が3例ということでしたので、今回は追加13件個別NAT陽性件数が増え、陽転事例の追加はなかったという報告です。
 2ページ、これは医療機関からの感染症の報告です。32件ありました。この期間は、平成22年10月26日から平成23年2月2日までです。内訳としては、B型肝炎報告事例が8件、C型肝炎報告事例が13件、HIV感染報告事例が0件、その他として11件あります。B型肝炎のうち陽転事例は7例あり、個別NATは1例が陽性でした。C型肝炎ですが、10例の陽転事例があり、個別NATの陽性事例は2例でした。この2例は、輸血によるC型肝炎の疑いが非常に高いという報告が、2007年以来3年ぶりになされたものになります。後ほど詳細を説明します。HIVが0例、その他B、C以外の肝炎報告事例が2例、細菌検査について無菌検査陽性事例は0例でした。
 3ページ、これが先ほど御説明しましたC型肝炎の事例2例です。原因となった血液は、2006年11月に全血採血により献血で得られたもので、全血採血により得られた赤血球製剤とFFP(新鮮凍結血漿製剤)が製造され、それぞれの患者に使われたものです。
 1例目、赤血球製剤の投与がなされたのは2006年12月です。この方は2007年7月にはC型肝炎ウイルス抗体が陽性であることが判明していましたが、実際に医療機関から日赤には、RNA陽性となりました2010年10月になって報告がなされたという事例でした。日赤でこの報告の結果、片割れであるFFPの使用状況について遡及調査したところ、すでに医療機関に出荷され、使用されていました。使用された患者をお調べしましたところ、この方は2007年8月にFFPの投与を受けておられ、HCVの抗体が陽転していたことが確認されました。献血者の保管検体から得られたウイルスと2名の患者から採取されたウイルスの塩基配列の一致が確認されています。
 運営委員会での審議においては、1例目の陽性が判明した時点で速やかに日本赤十字社へ報告がなされていれば、2例目は防ぎきれたのではないか、という御指摘をいただいています。また、2008年以降、導入されている高感度NATであれば、このレベルのウイルス量であれば検知できたであろう、という御意見もいただいています。
 本事例を受けまして日本赤十字社では、改めて医療機関に迅速な情報提供をお願いするとともに、国としても医療機関に対し、輸血による肝炎ウイルス等の感染が疑われた場合は、速やかに日本赤十字社へ御報告いただくよう、改めてお願いの通知を発出したところです。
 4ページ、HIVの陽性件数です。一番下、2010年の1年間の陽性件数ですが、献血者は531万8,000人という値となっており、陽性件数が86件、10万件当たりで見ますと1.617ということで、ここ5年では最も低い値となっています。
 ただし、次のページにありますが、都道府県別に見ますと、東京は25件で、平成21年の19件を上回っています。また、大阪が18件で、平成21年の13件を上回り、都市部、大都市圏で増加が見られたという結果です。
 資料3-2です。これは12月の血液事業部会でも報告しましたXMRVの文献の続報になります。XMRVと慢性疲労症候群の関係については、前回御報告しましたとおり、昨年5月と11月の運営委員会で2度にわたり審議が行われ、XMRVと慢性疲労症候群の関連について肯定する論文、否定する論文がそれぞれ出され、未だ不明であります。我が国で慢性疲労症候群の患者100名の血液検査をしたところ、いずれからもウイルスは検出されなかった。献血は健康でなければできないので、現在、慢性疲労症候群の症状を呈している方については、実質的に献血制限がなされています。また、既往歴まで含めた献血制限を実施した場合、患者及び家族へ社会的影響の及ぶ可能性があることから、慎重な対応が求められる等の理由により、現時点では献血者一人一人の既往歴まで遡っての献血は行わず、現況の動向を注視すべきという結論が得られているところです。
 その後、本年2月に開催された運営委員会において、資料3-2に記載されている、去年の暮れに新しく出ました4本の論文については、岡田委員より御報告いただきました。この結果は、いずれも実験室から得られた検体や市販されているPCRキットにXMRVのウイルスがコンタミとして見られたという報告です。この結果も踏まえまして運営委員会においては、これまでの方針に変更の必要がないことが確認されたところです。
 資料3-3です。資料3-3は、前回の12月の本部会において審議を進めることで了承いただきました「献血血液の研究開発等での使用に関する指針(案)」です。お手元に配付していますのは、2月18日の運営委員会で御審議いただいた結果を反映したバージョンです。
 資料について御説明します。もう一つ資料3-3の参考資料がポンチ絵として後ろに付いているかと思いますが、まずはそちらで御説明したいと思います。1枚目、献血血液の研究開発等での使用に関する指針(案)の概念図ですが、現在、献血は日赤により行われ、日赤で血液製剤の製造、検査を実施し、また研究開発等も実施しています。日赤では医療機関に対して規格に適合した製剤を供給し、また分画製剤の販売業者に対しては、原料血漿の提供を行っています。また、日赤の中では、規格不適合血や検査用の検体残余なども管理しています。分画製剤においても製造、検査等を実施し、研究開発等も実施しています。そして、規格に適合した分画製剤を医療機関に提供しているというものです。今回の指針の主なポイントとしては、日赤と分画製剤製販業者以外のその他の研究開発者が献血血液を用いた研究開発等を実施したい場合に、どのようなプロセスで提供すべきかを定めたものです。
 2ページになりますが、これは手続(案)の概要です。まず献血血液を用いた研究開発等の希望をする方については、日赤又は分画製剤製販業者にその旨御申請いただきます。日赤又は分画製剤製販業者では、その申請内容を精査・評価し、分類別に事前の評価を血液事業部会運営委員会にお願いする、又は事後報告をするというものになっています。分類は、また後ほど御説明します。運営委員会においては、事前評価を行い、又は事後評価を聴取し、その結果を日赤、分画製剤製販業者に通知するとともに、血液事業部会に報告するという形になっています。
 3ページがその分類です。左側を「使用目的等」とし、右側を「使用者」としています。使用目的ですが、大きく二つに分けています。一つ目が、(ア)「血液製剤の有効性・安全性及び献血の安全性の向上を目的とした使用」です。二つ目の(イ)が「広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用」です。(ア)の中に1.から5.まで分類をしています。
 研究開発や品質管理試験、また検査試薬など、採血事業者と血液製剤の製販業者が行う場合においては、これは血液法で定められた業者の責務ですので実施していただき、事後報告を血液事業部会にしていただくこと。また、公的な研究機関や大学等の研究機関が、研究開発、品質管理、検査試薬を行いたい場合においても、採血事業者又は製販業者の内部で評価をしていただき、血液事業部会に御報告いただくという形になっています。
 ただし、営利を目的とする方が使用を希望される場合においては、血液事業部会の運営委員会において事前に評価を実施していただくという形になっています。また、疫学調査・研究については、献血者に対する影響や、その使用量も多くなるということに鑑み、運営委員会で事前に評価するという形になっています。(イ)の「広く公衆衛生の向上を目的とした使用」については、いずれも運営委員会によって事前に評価いただくという形になっています。
 ヒト遺伝子解析・検査等が含まれる場合、これはHLAタイピングの血液の安全性を目的としたルーチンでやっているものは除きますが、それ以外を希望される場合においても、運営委員会において事前に評価すること。規格適合製剤を用いる場合についても、採血事業者、製販業者については業務として行う必要がありますので、それ以外の方については、事前に評価を実施するという形になっています。
 4ページです。評価の事項です。運営委員会で評価するに当たって、どういった点を御審議いただくかという内容になっていますが、使用目的として、血液製剤の有効性・安全性及び献血の安全性の向上又は広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用であることが明らかでなければならないとしています。
 二つ目、使用する献血血液としては、血液製剤としての規格に適合する血液の使用は限定的でなければならず、使用する場合においては、その目的を達成するため、当該製剤以外では代替できないことが明らかでなければならない。要は、医療機関で使える適合製剤は、基本的には研究開発に使うべきではないという考え方です。また、献血者に対する感染症検査が陽性となった場合、血液は感染拡大防止の観点から、特別な場合を除き、原則、用いてはならないとしています。特別の場合というのは、安全性の向上のための品質管理など、ルーチンでやられているものとなります。
 使用量としては、血液製剤としての規格に適合する血液を使用する場合においては、血液製剤の安定供給に支障が生じないよう配慮しなければならない。規格不適合血や検査残余血を用いる場合、特定の者に使用が偏ることがないよう配慮しなければならない。また、使用量が多くなることで採血事業者及び血液製剤製販業者に過度の業務負担がかかり、血液製剤の供給の遅滞等、医療に支障の生じることがあってはならないとしています。使用者ですが、本指針及び関連指針等を遵守し、献血血液の使用が適切に行われる体制が整備されていなければならないとしています。その他の留意事項が5ページに記載されています。
 資料3-3の本体に戻っていただき、こちらを用いて説明します。概要は、ポンチ絵で説明したとおりです。指針本体の案としては、前文があり、基本的な考え方の目的、適用範囲があります。研究開発等に用いられる可能性がある献血血液として、2ページになりますが、1.規格に適合していない血液、これは検査不適合血とか有効期限切れ、2.として血液製剤の製造に伴って副次的に得られた物、これは検体残余血液など、規格適合血液です。4番目、研究開発等に使用できる者として、可能な限り多くの者に有効利用が図られるべきである、ということを記載しています。
 具体的に献血血液を用いられることができる研究開発等として、先ほど申しました(ア)の血液製剤の有効性・安全性の向上及び献血の安全性の向上を目的とした使用、(イ)として広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用を記載しています。
 4ページ、献血者への対応です。インフォームド・コンセントについて。献血者は、自らの血液が患者への治療に役立てることを期待し献血を行うものであるので、献血血液が研究開発等で使用される可能性があることについて、献血者に対し献血の実施前に文書による説明を行い、同意を得る必要があります。また、疫学指針の対象となる研究を実施する場合においては、指針におけるインフォームド・コンセントに係る規定が遵守されなければならないとしています。
 七つ目として、個人情報保護について。個人情報保護法を遵守し、研究開発等の利用のため献血血液を用いる又は第三者に提供する場合は、匿名化(連結不可能匿名化又は連結可能匿名化であって、対応表を提供しない場合)の処理を行い、特定できなくする措置を講じなければならないこと。ただし、血液製剤の有効性・安全性の向上及び公衆衛生の向上等の目的のため、個人情報の利用が不可欠である場合においては、個人情報保護法又は関連指針の規定に基づき実施される場合は、この限りではないとしています。
 八つ目、ヒト遺伝子解析・検査等について。先ほど申しましたとおり、HLAタイピングなどについては、献血者に対し献血の実施前に文書による説明を行い、同意を得る必要があること。それ以外を実施する場合においては、個別に内容を説明し、同意を得る必要があります。また、その関連指針が遵守されなければならないとしています。
 5ページ以降は、先ほどポンチ絵でお示ししました手続になります。
 7ページのその他として、いくつか記載しています。12、市場に流通する血液製剤が研究開発等へ使用される場合においても、血液法の基本理念に鑑み、適切にとり行われなければならず、血液製剤の安定供給に支障が生じることがあってはならない。血液製剤の製販業者においては、当該利用に疑義が生じた場合は、厚労省に適宜報告するものとするとしています。
 13、残余血液の対応としては、廃棄物処理法等関連法規を遵守し、適切に処理しなければならない。無断で第三者に譲渡してはいけないとしています。
 最後のページになりますが、8ページ、14、危害の防止のための報告として、研究開発等で保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知ったときは、直ちに厚労省に報告しなければならないとしています。
 15、不適切な使用への対応として、不適切な使用が認められた場合は、必要に応じ、運営委員会において対応につき審議するとしています。
 16、疫学研究の留意事項を記載しています。献血血液を用いた疫学研究の実施は、血液の安全性の向上のみならず、医学の発展や国民の健康の保持増進に多大な役割を果たすことが期待される反面、多くの献血者の血液を用いる必要があることや、その結果が献血者へ及ぼし得る影響に鑑みると、特段の配慮が求められる。そのため献血血液を用いた疫学研究を実施する場合においては、以下の点が遵守されなければならない。
 疫学研究の倫理指針の対象となる疫学研究を実施する場合においては、指針が遵守されること、同様にヒトゲノムの解析を実施する場合においては指針が遵守されること。血液の安全性の向上を目的とした研究にあっては、研究の実施者に採血事業者又は血液製剤の製販業者が参画していること。当面の間の措置として、採血事業者、血液製剤の製販事業者、国若しくは地方自治体が設置する研究機関により実施される研究又は公的補助金を受け実施される研究であることとしています。
 17、細則として、この指針以外に細則を別に定めるとしております。
 18、指針の見直しとして、必要に応じ、又は施行後5年を目途として本指針の見直しの検討を行うものとしています。これは後ほど御審議いただければと思います。以上が資料3-3です。
 資料3-4です。これは2月の運営委員会で日本赤十字社より御報告いただきました。資料3-4は、英国滞在歴に関する制限緩和に伴う献血の状況です。次ページは英国滞在に基づく献血制限ですが、これは昨年1月27日から、それまでの英国滞在(1980年~1996年)の1日滞在であった制限が1か月という形に緩和され、その後献血者がどの程度増えたかというものです。
 結果としては、実数としては3万7,366人の方がこの1年間で献血をしていただいています。これは延べ数にしますと、具体的な数値は把握できなかったのですが、推計値として約6万4,000人の1か月以内の英国滞在歴のある方に献血に御協力いただいたという推計になっています。右がグラフになっています。3万7,366人、1年間に実数として献血していただいた方です。運営委員会で御質問が出まして、このうち全く初めての献血の方がどのぐらいかという御質問でしたが、52%の方は初めてで、残りの48%の方は以前に献血に御協力いただいていた方でした。
 次のページがその滞在期間の値を示しており、90%以上の方が2週間以内の滞在であったというものです。4ページ以降は、日赤のこの制限の緩和についての普及啓発活動についてお示ししています。以上が資料3-4です。
 資料3-5です。これも昨年の本部会において御了承いただきました採血基準改正に関する報告事項です。今年の4月1日より採血基準の変更になりますが、日本赤十字社より受入体制の準備状況について御報告いただきました。
 1ページ、採血時のリスクと対応策を事前にわかりやすく情報提供したものとして、説明用のDVDです。2ページにホームページの改修、3ページが受入会場での案内、4ページにはネックストラップがあります。初回の献血者にはネックストラップを付けていただいて、職員が常に注意を払って安全確保に努めるというものです。5ページが案内のリーフレットの変更内容、6ページが問診票。採血ルームでは問診票をシステムで行っていますので、この中で初回献血者を対象とした質問項目などを入れています。7ページは血色素量に統一の準備状況、8ページは休憩スペースの確保状況、一番最後が健康相談の案内内容となっています。以上が資料3-5です。
 資料3-6ですが、これは定例で報告を行っていますフィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査の現状についてです。1ページ、これは2月25日時点での報告ですが、フィブリノゲン製剤納入医療機関の調査対象6,610施設のうち、2ページになりますが、2月25日時点では1,006施設から1万4,486人の方の投与が確認されたという御報告をいただいています。うちお知らせの行われているのが8,409人と約58%の方になっています。
 5ページが血液凝固因子製剤の第?因子製剤などの調査状況でして、調査対象施設が2,899施設となっており、6ページの下の方ですが、血友病以外での使用状況として191施設より1,760人への使用が確認されたという御報告があります。
 9ページは3月3日付のプレスリリースです。C型肝炎の和解訴訟、訴訟の和解ですが、これまでのところ1,708人の方の和解が成立し、新規提訴人数は1,913人というものです。以上、運営委員会の報告です。
○高橋部会長 ありがとうございました。膨大な資料ですが、このうち資料3-3「献血血液の研究開発等での使用に関する指針(案)」について、審議したいと思います。御意見、御質問があればお願いします。
○大戸委員 短期間に、これだけしっかりしたものをまとめていただきまして、大変ありがとうございます。細かいことになってしまいますが、3ページで、使える範囲を少し広くしてほしいと思います。研究開発で試薬だけでなく機器の開発、輸血と関係ある機器もそうですし、国民の福祉、公衆衛生のために使われるものの試薬の開発にも使うことを許してほしい。もう一つは教育です。学生の実習あるいは検査技師や医師の血液型判定トレーニングの場面でも、使用させてほしいのです。
 5ページで、使用目的が「広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用」ですが、「広く」と制限されると少し辛いものがあります。つまり特殊な病気の人とか、少ししか患者がいない疾患とか、そういう研究のためにも使うことを許してほしいというのがあります。ですから、広くなくても、国民の公衆衛生の向上に役立つものを認めてほしいというのであります。同じ理由で、5ページの下に「精度管理等」となっていますが、安全性向上に機器・試薬の向上という概念も入れてほしいです。全体としては、使われなかった血液も有効利用して、国民のために役立つのではないかと思っています。ありがとうございました。
○高橋部会長 いかがでしょうか。
○事務局(難波江補佐) 御指摘、ありがとうございます。一つ目の御指摘の機器の開発というのは、開発段階にある機器という理解でよろしいでしょうか。
○大戸委員 開発段階にあるものもそうですし、改良という概念も含んでいただけると有り難いです。
○事務局(難波江補佐) 分かりました。アの1.の研究開発の具体例として、機器の開発という形で例を入れたいと思います。二つ目の教育ですが、これは、目的としては検査試薬としての使用という理解でよろしいですか。
○大戸委員 検査試薬というよりは、検査マテリアルになってしまいます。検査材料という感じです。
○事務局(難波江補佐) 分かりました。ではここの「検査試薬」という表現を工夫させていただいて、あと具体例の中で教育というものを入れることで問題がないか、もしよろしければこちらでも御審議いただければと思います。三つ目の広く公衆衛生というのは、御指摘の、数が少ない疾患への対応が広くということで読めるかと思いますが、もしそこで誤解が生じるようであれば、「広く」を削除することで特段の支障はないかと思います。四つ目の安全性の向上を目的とした精度管理等の中で、ここに機器・試薬を入れるということですが、これは試薬の開発というイメージになるでしょうか。
○大戸委員 特に感染症に関する試薬類あるいは検査機器類というのは、日本ではメーカーが感染血を使えなかったために、ほぼすべて外国製品になってしまいました。この感染血を、日本の機器製造メーカー、検査試薬製造メーカーに渡す道を広げてほしいということです。
○事務局(難波江補佐) ここの目的が感染拡大の防止ですので、そこが担保されるのであれば大きな問題はないかと思いますが、こちらも部会で御審議いただければと思います。
○高橋部会長 大戸先生が言われた、広く国民の公衆衛生の向上というのは、恐らく血液事業とか輸血事業に限らず、国民の公衆衛生全般にという意味の「広く」だと思うので、そういう意味ではこのまま残したほうが、別に稀少疾患は除くとは謳っていないので問題ないと私は思います。実質的に支障のない範囲で、現在、輸血用に用いられるのみで使われる献血血液の有効期限切れのものであるとか、そのまま廃棄されるものを何らかの形で活用したいということで、もう少し詰めていきたいと思います。その他いかがでしょうか。
○佐川委員 私も大戸先生と同じように、短期間でこのような指針を作っていただいた事務局に非常に敬意を表したいと思います。この指針は潜在的に大きな発展が見込まれる指針と考えています。それは、いろいろな研究開発あるいは教育等も含めてですが、広く利用される可能性があるものです。従来は一定の年限が経てば廃棄されていたものです。それが有効活用されるわけですから非常に画期的だと思うし、国民の広い意味での公衆衛生に役立つものと思っています。
 大事なことは、この段階ではなかなか細かいことまでは詰め切れないと思いますが、こういう目的で使いたいと申請を出して、それをピュアレビューする機関がきちんと整っていますし、そこでこれが良いとか悪いという評価ができるシステムになっているので、それは機能すると私は考えています。
○小幡委員 献血なさる方は、できるだけ有効に活用してほしいと思っているでしょうし、究極的に公衆衛生の目的に使っていただけるのは、大変良いことではないかと思います。先ほど研究開発等と例示をしていくと限定的なイメージになるというお話がありましたが、今佐川委員がおっしゃったように、4ページのインフォームド・コンセントのところで、「献血の実施前に文書説明を行い、同意を得る」わけですが、ここで研究開発等で使用される可能性があることと、今、お話のあった手続についてですが、血液事業部会運営委員会とか倫理審査委員会などが、この研究に使用してよいということについて、審査をする手続になっていることを、簡単でいいので知らせて安心していただくことをやっておけば、研究開発等という言葉について先ほどから議論がありましたけれども、最終的にはこの部会で審議し、きちんと然るべき使い方をするということが理解しやすくなるかと思います。あと細かなことになりますが、個人情報保護等のことも書いてありますけれども、採血事業者の日赤は特殊会社ですが、行政機関個人情報保護法の適用はないのですか。
○日本赤十字社(石川) ないです。
○小幡委員 御自分のところで、個人情報保護規程をもっているということですか。
○日本赤十字社(石川) はい。
○小幡委員 そうであれば、個人情報保護法を遵守していただくことになるでしょうし、疫学研究の倫理指針やヒトゲノムの倫理指針等々、これはもちろん事務局はお分かりだと思いますが、最初の年のことを書いていますが、次々と改正になっていますので、最新の指針に従っていただくということで、よろしくお願いしたいと思います。
○三谷委員 今の小幡先生の御質問にも関係しているのですが、8のヒト遺伝子解析・検査等についてのインフォームド・コンセントは、献血者全員からいただくことになるのでしょうか。それとも副作用防止の観点から特定の方だけになるのでしょうか。
○事務局(難波江補佐) 現状、8番のHLAタイピングについてはすでに献血者全員の方に御説明し、御了解を得て献血いただいていることになっています。その下にあるその他のものについては今やっていませんので、仮にやるとなると、今の包括のものでは指針に抵触する形になります。
○高橋部会長 その他、よろしいでしょうか。それでは事務局におかれましては、ただ今の御意見を踏まえて指針を修正し、また今後の進め方について事務局より御説明をお願いします。
○事務局(難波江補佐) 御審議ありがとうございました。ただ今いただきました御意見を踏まえまして事務局の方で指針(案)を修正し、後日、皆様にメールで送付させていただきます。それで御了承いただけましたら、法令的な観点から修正を加え、その後、パブリックコメントを募集します。その後、いただいたパブリックコメントを踏まえて修正の上、改めて委員の皆様に御案内させていただきます。その際、改めてこの会議の場で御審議をいただく必要があるか。又はメール等による文書での御確認とさせていただくかについては、部会長と協議の上、決めさせていただければと思っています。
○高橋部会長 事務局からの御説明について、御意見、御質問はございますか。よろしいですか。それでは「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」については、今、事務局から御説明があったように対応することにします。
 資料3-3に集中して議論してきたわけですが、議題3の残りの資料について、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。献血の若干の増加が見られたと、実は3年ぐらい前がいちばん底だったということで、次年度に資料が得られれば、各世代の献血率の推移がまた見えてくるといったお話でしたが、いかがでしょうか。それでは議題3はここまでとして、議題4の平成23年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)(案)についてですが、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるものです。委員の皆様には昨年12月の前回の部会において、本計画(案)について御議論いただき、原料血漿の確保目標量と需要見込み、製造目標量等については、事務局案を暫定的に了承していただいたところですが、今回は原料血漿の配分価格も含めて、最終的に部会で審議して答申したいと思います。また、今年度に立ち上げた血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会について、中間報告が出されましたので、それについても事務局から御説明をお願いします。
○事務局(秋山専門官) 資料4-1により、本部会において設置の御指示をいただいている、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会のこれまでの審議状況と、検討会の中間報告について御説明したいと思います。
 我が国で使用されている主要な血漿分画製剤であるアルブミン製剤の国内自給率については、平成19年度に62.8%まで上昇しました。しかしながら平成20年度以降、下落傾向に転じています。この点は昨年度の血液事業部会においても御議論いただいたところですが、このアルブミン製剤の国内自給率低下の問題を始め、血漿分画製剤のコスト構造、あるいは生産及び供給に係る効率性の確保、患者及びその家族へのインフォームド・コンセントの在り方や状況、また遺伝子組換え技術等の新たな技術への対応など、血漿分画製剤を取り巻く様々な課題について検討する場を設けるべきであるとの御指摘をいただいていましたので、昨年11月に血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会を設置したところです。
 資料4-1ですが、検討会の委員構成については、12月の本部会においても御案内したところですが、資料の2枚目に名簿をお示ししています。次に1枚目で検討会の開催実績です。11月8日に第1回検討会を開催しています。以来、4回の検討会を開催していますが、第1回検討会においては、血漿分画製剤を取り巻く諸問題について自由討議を行ったところです。喫緊の課題であるアルブミン製剤の国内自給率低下の問題については、特に平成20年度以降、DPC病院において、国内製剤に比べて価格の安い輸入製剤への切り替えが進んでいる状況を御紹介したところですが、なぜ国内献血由来製剤の価格が高く、輸入製剤が安いのかという点について議論が集中したところです。
 1月21日に行われた第2回検討会では、製剤の使用実態やコスト構造に係る資料を基に、引き続き自由討議を行いました。論点の整理として、アルブミン製剤の国内自給率低下を代表とする血漿分画製剤のコスト構造の問題、その改善策に係る議論を優先して、血液事業部会への中間報告において、この点につき検討会としての提言をまとめるべく審議を進めることとされました。それ以外の課題、特に昨年度の本部会でも御指摘をいただいていた輸血用製剤である新鮮凍結血漿の価格と、分画製剤用の原料血漿価格の関係の問題、これは同じ血漿であるのに輸血用と原料血漿で、1L当たりの価格が数倍も違うのはおかしいのではないかといった御指摘、あるいは輸血用を含めた血液製剤全般の価格構造の在り方の問題やインフォームド・コンセントの在り方、血漿分画製剤の輸出に係る検討などの課題、これらについては中間報告を行った後、4月以降に引き続き、この検討会で検討を行うこととされました。
 第3回検討会は、製剤のコスト構造や、原料血漿価格に係る我が国と海外の手法やコストの違い、生産規模の違い等について、より詳細な情報を把握するために、2月7日に非公開で事業者ヒアリングを行ったところです。
 第4回検討会は、先週の3月3日に開催し、これまでの御議論あるいはヒアリングにより把握できた実態等を踏まえて、本部会に報告される中間報告(案)について討議が行われ、この中間報告が取りまとめられたところです。
 検討会中間報告の具体的な内容について、御説明します。1ページに第1「はじめに」とあります。ここは、いま申し上げたように(1)検討に至る経緯と、(2)これまでの血液事業の経緯と議論の必要性について解説しています。この部分については時間の都合で割愛させていただきます。
 2ページで、第2「血漿分画製剤をとりまく環境・問題点」ですが、御議論の中でも様々確認されたところがありますので、この点について若干詳しく御説明したいと思います。(1)は血漿分画製剤の特徴です。これはタンパクを血漿から順に抽出・精製したものである点、製品は安定性が高く有効期間が長い点、あるいは数千人分以上の血漿をまとめて製造する工程から、万一、ウイルスが混入した場合に多数の患者が感染する恐れがある点、現在では最先端のウイルス除去・不活化処理工程を導入した結果、製剤の安定性が飛躍的に高まっている状況について書いています。
 (2)は輸血用血液製剤、一般の医療用製剤との違いについて書いています。輸血用血液製剤は、採血された血液を遠心分離し、「赤血球製剤」「血漿製剤」「血小板製剤」「全血製剤」に分けたものであり、いわゆる生血と呼ばれていますが、我が国では唯一の採血事業者であもる日赤十字社のみが製造し、大部分を医療機関に直接供給している状況です。輸血用製剤は競争がない関係上、薬価基準(保険償還額)での販売が行われている状況です。
 一方、血漿分画製剤は、現在、四つの国内事業者及び二つの海外事業者が製造又は輸入並びに供給を行っています。製剤の多くは市中の卸売販売業者を介して医療機関に供給されているため、また価格競争が生じているため、製剤の薬価基準は実勢価格の下落とともに年々低下している状況になっています。また、流通において、一部では「総価山買い」といった不適切な価格交渉が行われているとの意見もあります。
 血漿分画製剤は、ヒトの血液中のタンパクから製造される製剤であるため、画期的な新薬の開発の可能性がほとんどないという特徴があります。一般の医療用医薬品とは収益構造が異なり、新薬の開発を繰り返すことにより開発費用を回収するといったことが困難です。これは非常に特殊なケースです。このため、前述の価格競争によって薬価が下落すると、その分利益が圧縮され続け、やがては採算性が悪化して供給不能となるリスクを抱えている、という状況を書いています。
 (3)は血漿分画製剤の国内自給の必要性について、改めて述べています。1.の倫理性の問題、2.の国際的公平性の問題、これらの角度からの必要性については、かねてから訴えられてきているところです。もう一つ3.として安定的確保の面での問題を取り上げていますが、この後半部分です。製剤供給の大部分を輸入に頼る体制は、近年、アルブミン製剤及び免疫グロブリン製剤の世界的な需要の変動が著しい。特に米国、ヨーロッパにおいて免疫グロブリン製剤は非常に伸びています。我が国で横ばいですが、世界的に非常に需要が伸びている状況があります。また、世界の医療が均一化に向かっているという状況、今後、新興国等でのこれら製剤の需要が高まる可能性があることから、危機管理的な観点からも製剤の安定的確保の面で問題があると考えられ、製剤供給の大部分を輸入に頼る体制は、そういう意味で危機管理的に問題があるのではないか。引き続き血漿分画製剤の国内自給に向けた取組みが必要と書いています。
 4.は血漿分画製剤の安全性について言及しています。国内献血由来製剤と輸入製剤の差ですが、現状、検査が実施され、不活化工程が有効なHBV、HIV、HCV等の既知の感染症に対する製剤の安全性に明確な差はないと考えられる。しかしながら、不活化工程の効果が確認されていないプリオン病や未知の感染症、あるいは非感染性の副作用を起こす因子に対する安全性の差異については、現時点で言及することが困難であるということです。未知のリスクに対する備えについては、その国ごとの方策によって必要な体制が構築されていますので、そのアプローチに若干の違いが見られるということです。括弧で米国の例、日本の例を挙げていますが、日本では輸血用血液と同様に、献血者個人単位の保管検体を11年間保存している等、様々な手当がとられている。米国においては、安全性向上のため感染症リスクを考慮し、大都市圏には採血所を設置していない。あるいは初回供血者の血漿は使用しないといった工夫がなされている。それぞれ工夫がなされているということです。
 (4)は血漿分画製剤の国内自給の状況を、製剤ごとに述べています。先ほど申し上げたアルブミン製剤を始め、様々理由があります。4ページですが、各製剤の国内自給率の状況については、六つのグループに分けることができるのではないかという考えが示されています。4ページの後半から5ページに1.から6.まで6つの理由に分けたところです。
 5ページの(5)は血漿分画製剤のコスト構造と市場規模についてです。これは事業者からのヒアリング等を通じて、血漿分画製剤のコスト構造等について判明したことを記しています。国内事業者ですが、原料血漿確保までの部分と製造工程から供給までの部分と、大きく二つに分けて整理しています。原料血漿確保までの部分ですが、我が国においては原料血漿の採漿は、輸血用血液製剤と共通の施設、資材及び手技で行われている。輸血用と同様に献血ルームなどで採血されて採漿されるということです。製品及び献血者への安全対策も輸血用血液製剤と同一の対応が行われているのが特徴です。また、採血所が医業に当たることから、医師の配置が必要である点、さらに、無償の献血であるため、好立地の採血所の開設、人の多い所ということになりますので、当然、地価が高いような所に献血ルームを開設することになります。また普及啓発に相当の経費が必要となることが特徴かと思われます。
 製造工程から供給までの部分では、事業者が四つありますけれども、事業者によってコスト構造の内訳が異なり、製造原価の割合が高いことが共通しています。販売管理費の占める割合は自社MRを多く抱える事業者が高く、流通経費の占める割合は、販社に供給を委ねている事業者が高い。日本赤十字社については輸血用血液製剤の供給を行っていますので、この供給システム(各血液センターから医療機関に直接納入)を活用している。したがって販売管理費、流通経費の占める割合が、他の事業者と比べ極めて低いのが特徴です。
 全般に言えることですが、アルコール分画という工程の年間処理能力は、国内事業者全体で120万L程度です。各事業者とも製造する製剤の種類が限られていることから、分画製剤は連産品構造と言って、一つの原料血漿から順にタンパクが取り出されるのですが、各事業者とも製造する製剤の種類が限られていることから、この連産品構造の中で品目が少ないということで効率的な製造が難しい状況、いわゆる連産ギャップが生じている状況になっています。
 我が国においては、昭和41年以降、すべての血液製剤を国民の貴重な献血血液により賄う体制を構築する等の観点から、輸出貿易管理令というものがあります。この管理令の運用により現在でも血液製剤の輸出を認めていない状況です。これにより、国内事業者は、国内市場でしか連産ギャップの吸収を行い得ないことが特徴です。
 一方、海外事業者の状況です。原料血漿確保までの部分ですが、海外事業者においては、メーカーの子会社が原料血漿を採集する採漿センターを運営している。採漿の際の資材は輸血用血液に用いるものとは異なる。我が国は輸血用血液と同様に輸血用バッグを用いていますが、海外の採漿センターにおいては輸血用バッグではなく、樹脂性のボトルなどを使っている。また、規制当局の基準によって、必ずしも医師の配置は求められていない状況です。アメリカでは州法によって規制が掛かりますので、州によって違うことになります。
 6ページですが、日本では一律に行っている白血球除去あるいは初流血除去を、この原料血漿に使う採漿に対しては行っていません。不要だという考えです。ドナー1人1回あたりの採漿量も、採血基準の違いがありますし体格の差もありますので、1人あたり600~800mLです。日本は平均430mLですので、比較するとかなり多い点も一つの特徴です。供血者に対する1回採漿当たりの報酬として20~30ドル程度が支払われている。有償採血ということになります。安全性向上のために感染症リスクを考慮して、大都市圏には採血所を設置していません。
 製造工程から供給までの特徴ですが、先ほど申し上げたアルコール分画の年間処理能力は、海外事業者1社で、我が国全体(120万L)の5倍程度の能力を有している。国内事業者とは生産規模が大きく異なることになります。それにより相当のスケールメリットが得られ、製品は市場性に応じて国境を越えて供給されています。製品数も多いため、連産ギャップの調整を世界規模で行うことが可能です。こうした点が判明した点です。
 第3の「論点」ですが、なぜ、輸入製剤に比べて国内献血由来製剤の価格が高いのか、ここに議論が集中したところです。「原料血漿確保までのコスト構造」と「製造工程から供給までのコスト構造」に分けて議論するべきということで、今のような状況が分かってきたということです。
 (2)ですが、国内献血由来製品の競争力強化のために何が必要かという論点です。いずれの国内事業者も海外事業者に比べると事業規模が小さい。そして工場の年間のアルコール分画能力にして20~40万L程度である。さらに四つの国内事業者の製剤の多くが競合している点も効率的でないことから、御意見として、例えば国内事業者を統合するといった施策が必要ではないかと、こうした踏み込んだ意見も示されています。
 (3)は、アルブミン製剤の適正な使用を一層推進すべきではないかとして、若干角度は違いますが、アルブミン製剤は、かつては世界の生産量の3分の1を使っていた時期があります。これは1980年代半ばです。その後、適正使用推進方策によりかなり減ってきたのですが、まだ改善の余地があるのではないかといった問題意識が示されています。
 7ページの(4)で、これも論点ですが、輸血用を含めた血液製剤全般の価格構造の在り方について、先ほども御紹介しましたが、昨年度、この血液事業部会において、同じものであるはずの輸血用の新鮮凍結血漿と、分画製剤の原料である原料血漿と、1L当たりで数倍違うのはおかしいではないかといった御指摘をいただいています。この点についてどう整理するかの議論です。我が国における現行の原料血漿と、輸血用血液製剤のコストの考え方の基本部分ですが、平成2年当時に設計されたものということが分かっています。20年間を経た現在において、これを見直す必要がないかどうか検証すべきだという認識が検討会の中でも示されています。
 (5)は血漿分画製剤のインフォームド・コンセントの在り方についてです。患者さんの選択権・知る権利を満たすためのインフォームド・コンセントの在り方については、救急とか外科領域では、そこまで細かくやっていられないだろうといった御意見もいただいていますが、医療現場における実効性のある運用が可能かどうかも見据えつつ、検討すべきとの認識が示されています。
 (6)は血漿分画製剤の輸出についてです。先ほど御紹介したとおり、我が国においては、1966年以降、輸出貿易管理令の運用により輸出を認めていない状況です。製剤を輸出できないことが、国内事業者の事業効率に大きな影響を与えているとも考えられ、この点は、倫理性や国際的公平性に問題が生じない形で、輸出を行うことができないかの検討をすべきといった御意見をいただいています。
 (7)(8)(9)について、それぞれ自給化がなかなか困難な状況の製剤について、あるいは遺伝子組換え製剤の在り方について、各製剤のそれぞれの推進方策について御議論いただいたところです。
 次に第4の「提言」です。今回の中間報告の中心部分ですが、(1)の製造効率の向上について、8ページを御覧ください。1.の原料血漿確保までの部分ですが、先ほど申し上げたとおり、我が国と欧米では、その手法やコストに相当違う部分があります。我が国の現行の採血・採漿システムというのは、過去からの様々な安全対策に係る検討を経て、何年もかかって築き上げられてきたものであり、直ちに欧米の採漿システムに倣うことは妥当ではないものの、引き続き現行の採血・採漿システムの検証を行い、十分な安全性を確保しつつ、我が国の血漿分画製剤の製造効率の向上に資する改善点があるのであれば、費用対効果も踏まえて積極的に見直していくことが望まれる、と提言いただいています。
 2.の製造工程から供給までについては、大きなスケールメリットの差があるということですが、将来にわたり血漿分画製剤の安定的な供給を維持するために、国内事業者において新たな製品の開発、免疫グロブリン製剤の適応追加といったことがありますが、こうしたことによる生産ラインの稼働率の向上、それによる連産ギャップの吸収等、製造効率向上のための不断の努力が望まれるということです。具体的にはアルブミン製剤のうち、特に等張製剤(主に外科領域で使われ、5%製剤)と呼ばれるものがありますが、この国内自給率が極めて低い状況にあります。当面、当該製剤の国内自給促進に向けた国内事業者の特段の努力が望まれる、との提言をいただいています。
 (2)の事業規模の拡大・事業基盤の強化ですが、国内事業者の事業規模の拡大等による事業基盤の強化が不可欠であるということです。現在の四つの国内事業者の事業規模から考察すると、4事業者のうちの複数を統合すること等により、せめて欧州並みにする。欧州というのは、2007年当時の年間アルコール分画能力で平均70万L弱となっていますので、この程度の生産能力を1社で確保し、製造効率の向上を図る。そして国内製剤に同一規格製剤が多数存在する状況から、不要な競合を解消する等、効率的な供給体制を構築することが望まれる、といった御提言をいただいています。
 9ページで(3)の製剤の流通取引における留意点についても、御提言をいただいています。医療機関への納入のときの取引において、国内製剤、輸入製剤ともに製品の価値が価格に正当に反映されるよう、品目ごとの単品単価取引・評価を原則とすべきであると提言いただいています。
 (4)は製剤の使用環境の改善とありますが、平成15年7月の血液法の施行から一定期間が経過しています。そして一部製剤の国内自給率が低下していること等から、今一度、献血者、医療関係者・関係学会及び患者をはじめとする国民に向け、血漿分画製剤の国内自給の必要性を訴える必要があるといったことです。
 (5)は安定供給・国内自給促進を支援する施策として、この血漿分画製剤は無償の献血により採集して製造されるという特殊なものですので、高齢社会を迎える我が国に必要不可欠な極めて重要な製剤であるとともに、特殊な位置づけの製剤でもあることから、安定供給、そして国内自給促進を国策として行うものであること及び血漿分画製剤の特殊性から考察すると、製剤の安定供給を維持し、国内自給を促進していくため、国として行う施策について検討を進めることが強く望まれる、といった御提言をいただいています。
 第5の「その他の意見」ですが、先ほど若干触れたアルブミン製剤等についての適正使用の関係です。これについては、この血液事業部会の下に適正使用調査会あるいは安全技術調査会といった調査会がありますので、そこで製剤の使用実態を調査等により的確に把握し、最新の知見を踏まえた議論を行っていただくことが適当であると示されています。
 10ページで第6の「今後さらに検討が必要な課題」として、(1)~(6)まで示されています。以上が中間報告の概要です。
 続いて議題4のうち、平成23年度の血液製剤の安定供給に関する計画、いわゆる需給計画について御説明します。資料4-2を御覧ください。平成23年度の需給計画の案に関しては、血液法第25条第5項の規定により本日の部会で御審議いただくものです。既に12月の部会において、暫定的に量的な部分については御了承いただいていますが、今回はそれに原料血漿の標準価格を加えた案となっています。1ページが諮問書、2~7ページが需給計画の本体です。なお3ページにありますように、平成23年度に確保されるべき原料血漿の量の目標については、昨年12月の部会で御了承いただいた95万Lとしています。5~7ページまでの別表については、昨年12月以降、企業側の製造計画等に一部見直しがあった関係で、需要見込量や製造輸入目標にわずかな変更がありましたが、原料血漿確保目標量に影響はなく、また医療需要に対しても安定的に供給されるよう確認されていますので、このままとしています。
 平成23年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方について、9ページを御覧ください。標準価格算定の基本的な考え方は、各採血方法別の確保量以外は昨年度までの考え方と全く同様です。
 血漿成分採血については、昨年度までと同様に、献血全般に共通する事項とサービスに係る経費は除き、必要経費を積算しています。また全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保に係る費用としては一部に限定して積算しています。ただし、平成19年度より赤血球製剤の白血球除去処理の導入に伴い、原料血漿の製造に生じた費用を一部含めています。積算はこれまでの年度と同様に、まず凝固因子製剤用の原料血漿について経費の積算を行っています。配分量は確保目標量の合計を95万Lとし、原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しています。この積上げに用いる経費については、直近の実績である、日本赤十字社の平成20年度及び平成21年度決算の平均の数値を使用しています。
 積算する費用の内訳については、10ページの表を御覧ください。費用は採血から原料血漿を製造・保管するまでに必要な材料費、人件費、経費及び日赤の管理センター等への原料血漿搬送・貯留保管経費である管理供給・調査研究費で構成されています。このあたりはすべて従来どおりです。
 採血方法別の原料血漿の配分量については、13ページを御覧ください。これは日本赤十字社の献血推進計画に則って策定され、平成23年度の事業計画に基づいて設定されたものです。下の黄色の原料血漿確保量の部分が、採血種別ごとに示されています。この内容を一覧表にしたものが11ページになります。11ページに少し細かい表がありますが、今申し上げた方法により、採血種別ごとに積算された1L当たりの単価を1.とし、この1.に、それぞれ採血別に原料血漿確保見込量の2.を掛けて、採血別の確保費用を算出し、その総額は3.ですが、95万Lで除して、消費税を掛けて1L当たりの原料血漿標準価格を求めています。凝固因子製剤は1万1,150円となります。この結果、凝固因子製剤については平成22年度の単価の1万2,380円より1,230円減となっています。1,230円減の要因ですが、最も大きい要因は原料血漿確保目標量が96万Lから95万Lと、前年度に引き続き1万L減少したことが挙げられます。
 11ページの2番目の表の原料血漿確保見込量の2.の欄ですが、このうち血小板成分採血見込量の16万4,863Lは、平成22年度見込量の22万2,353Lから相当に減っています。その結果、原料血漿標準価格を積算する過程において、採血したものがそのまま原料となることから、各献血種別のうち負担する費用が最も大きく、ほかの献血種別よりも1採血あたりの単価が高い血漿成分採血の費用が、相当に圧縮されています。同じ費用の確保費用総計は3.で、12億3,000万円程度の減額となっています。このことにより1L当たりの算出価格が大幅に減となったものです。
 その他の原料血漿ペースト分については、12ページに示しています。昨年までと同様に今回の凝固因子製剤用の価格改定率を用い、それぞれ比例計算で算出しています。その結果、その他の分画製剤用が1,120円減の1万180円、ペーストについてはII+IIIが4,730円減の4万2,910円、IV-1が1,420円減の1万2,910円、IV-4が1,490円減の1万3,510円となっています。なお、これ以降の資料ですが、14ページは平成23年度の需要見込関連表であり、15~22ページまでは血漿分画製剤の自給率の推移等各種統計関係の資料となっています。
 A3の資料で需給計画の状況の大きな表を御覧ください。この資料の中段の表の右側部分で、平成22年度4月~12月の9か月間の実績を示しています。アルブミン製剤の国内自給率は58.1%、血液凝固第VIII因子製剤のうち、国内血漿由来製剤の占める率は22.4%まで低下している状況です。統計資料については、また後ほど御参照いただければと思います。
 原料血漿価格については、御説明したとおり、これまでの算出方式に則った算定を行った結果、1割程度の値下げとなります。先ほどの検討会の中間報告の御説明でも触れたとおり、昨年度の本部会において御指摘いただいた輸血用の新鮮凍結血漿と分画製剤用の原料血漿の価格差が、さらに拡大する傾向になりますけれども、この血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会では、この後、4月以降に、輸血用を含めた血液製剤全般の価格構造の在り方に係る検討を行うこととしています。今後の検討会の審議の中で、輸血用血液製剤と原料血漿のコストの考え方の基本部分について整理をしていく方向ですので、年末の血液事業部会において検討結果を御報告したいと考えています。
 以上が資料の説明です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○高橋部会長 ただ今の御説明について、御意見、御質問などございませんか。なかなか資料4-1は大作で、背景から提言までよくまとまっていて、問題の本質がよく分かるような構成になっていると思いますが、いかがでしょうか。
○花井委員 検討会の委員をやっていましたので、中間報告についてコメントしたいと思います。この問題は1970年代からずっと議論している問題だと思いますが、今回の報告に関してはかなりコスト構造に切り込んで、現実というものを見据えた形になっていることと、事業規模そのものも、提言においても70万という具体的な数字を入れてかなり踏み込んで、国内の事業者に対してこうあるべきというところに踏み込んでいる点、さらに輸出にまで言及している点から言って、これまでのものより、かなり現実的な今ある状況をリアルに盛り込んだものだと思っています。価格構造というのは、いろいろ難しい問題もあるのですが、かなりそれは踏み込んでいますし、これは中間報告ですが、先ほど事務局から報告があったように輸血用との兼合いも含めて、今後、かなり踏み込んだ議論ができたら、具体的な対策は盛り込めるのではないかと思います。提言にありますように、これは医薬食品局だけでは、どうしようもないことがたくさんありますので、提言にある「国として」という部分は、もっと広く国の国策としてどうするか、ここで取りまとめを国全体に全体化していただけたらと思います。
○高橋部会長 その他、いかがでしょうか。統合ということになると自由主義経済というか、独禁法の問題という観点も問題になるかもしれませんし、様々な意見をまた、それこそ国としてまとめないといけないということです。あるいは輸出ができないというのも、極端な血液製剤の輸入という状況で作られた非常措置だと思いますが、それが続いているので、それをそろそろ見直すべきだということでしょう。
○三谷委員 非常に単純なことを教えていただきたいのですが、価格構造にいく前に、日本での国内自給率を拝見すると、グロブリン製剤はかなりいいところをいっていて、アルブミンは駄目ですよね。日本の無償の献血者から得られる原料血漿で、その原料血漿から得られる例えばアルブミン製剤を考えた場合に、もし日本の医療従事者あるいは患者さんが国内品を選択した場合には、十分な供給が得られるのでょうか。
○事務局(秋山専門官) 御指摘の点のアルブミン製剤について、今60%を切っている状況です。特に等張製剤については20%そこそこの自給率ですので、この点、需要が一気に集まったときに対応できるかということですが、御指摘のとおり、今の製造能力のままでは、にわかに対応することは困難です。5%製剤を増強することを、今の一つの設備の中でやることになると、今度は高張製剤を抑えなければいけない仕組みになっていますので、企業としては事業体を強化して処理能力を高めていただくのが先決であると考えています。
○三谷委員 処理能力を高めていただければ解決する問題なのでしょうか。要するに原料が十分にあるかということですけれども。
○事務局(秋山専門官) 原料血漿の点については、もちろん献血推進の現場と連動する話です。そして無駄な処理はしていけないということがありますので、十分注意すべきなのですが、最近の状況として、アルブミン製剤については63%近くまであった自給率が下がってきたということで、各事業者あるいは日赤についても原料血漿の在庫が非常に増えている状況です。ですから、今だぶついてしまっている状況です。
○高橋部会長 その他、いかがですか。
○岡田委員 効率をよくするという点から、例えば、今メーカー間でペースト等の移動はできない。日赤から民間の方にペーストの移動はできますけれども、民間メーカー間でそういうペーストの移動ができない。そういうのも移動ができるようになれば、ある程度集約化はできるのではないかと思います。
 あと、製剤はいろいろな種類がありますが、例えばAT3みたいに同じような作り方で各民間業者が作っている製剤もあれば、グロブリン製剤は各メーカーが、それぞれ自分の特徴をもった製法で作っているので、そういうのは一概に一緒にすることは不可能ですから、製剤ごとに一緒にするのか、また別々にするのかというのは考える必要があると思います。特に製法が違うということは何らかの原因というか、一番簡単な理由はグロブリンですけれども、あるプラントが問題があると分かったときに、複数の方法で作ってあれば生き残る製法もありますので、そういう面では危機対応にも順応できるのではないかと思っています。
 それと、価格の面で問題になるのが、いわゆる国際的な分画メーカーです。分画しかやっていないメーカーと、あとはヨーロッパとか、献血血液から輸血用血液と分画製剤の両方を作っているところを一緒くたに比較してというのは、値段的に最初から話にならないのではないかと思います。そういう面でヨーロッパでどういう価格を設定しているかも、一つの参考になると思います。
○高橋部会長 今の岡田委員の前半のお話と、三谷委員の御質問とリンクすることがあると思いますが、かなり柔軟に対処しながら、走りながら体制を整えることが必要なのではないかと。現行のままであれば作ったものもなかなか国産品は売れない状況で、そうするとメーカーとしても倉庫に一杯溜まって、ますますコスト構造としては厳しくなるということです。それぞれの会社が別々にやっていたのでは具合が悪い部分もある。ただ、岡田委員が言われるように、場合によっては独自性をもって緩やかな連携をしていただいた方がいいかもしれません。
 ヨーロッパなどの海外とは状況が違うというお話ですが、先ほど御説明がありましたように平成2年に価格の決め方をしました。その時でも非常手段だったのでしょうけれども、その価格差が、片や保険償還されるシステム、片や全くの市場経済でどんどん開いていったということで、この件に関しては次年度の血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会で、是非揉んでいただいて、果たしてどういうふうな価格設定が正しいのか。幕内委員がしばしば指摘されていますように、通常の輸血用血液の価格設定と、この血漿分画製剤の価格設定、原料血漿の価格設定をどういうふうに考えるか、本格的な議論をすべきではないかと思います。
 先ほどの御説明で割愛していましたが、実は血漿分画製剤の製造体制のあり方に関する検討会というのも、平成14年から5年ぐらい、かなりやっていて、それで少しずつ問題点が分かってきたのですが、今回は花井委員が言われるように相当踏み込んでいます。今までは、そこまではできないだろうという感じでしたが、「国策」とか「輸出」という言葉とか、供給の一元化に向けた努力とか統合とか、そういうようにかなり踏み込んだ議論が進んできたので、相当前向きになったのではないかと思います。いかがでしょうか。
○大平委員 私も一委員として参加させていただいているのですが、よく血漿分画と輸血用血液製剤との違いということで、割と分けて考えられているところがあります。日本の血液事業の中で献血をベースとして推進していく場合には、両方がきちっと献血者の方たちに認知されないといけない。輸血用血液だけで献血を行っているという誤解が出ないように、気をつけていただきたいということが一つあります。
 分画製剤は、結構いろいろな場面で使われていますけれども、実際、献血血液から使われているという広報は、なかなか伝わりにくいところもあって、特に医療機関から積極的に患者に伝えられているかというと、なかなか広まっていない傾向はいつも感じます。ですから、この献血から輸血用血液製剤、そして血漿分画製剤が有効に、きちんと使われていることを献血される方にPRし、もう少し普及して、国内での血漿分画製剤が有効に使われるコンセンサスをもう少し高めて、そういった国民的な認知が進めばと思います。血漿分画製剤、アルブミン、免疫グロブリンなど、いろいろな問題について、特に第?因子製剤のシェアの下がり具合は、本来なら国策で作られている製剤で、それに対しての血漿分画への売渡し価格というのは、そこを根拠に行われているところもあるのに、かなりそこが衰退している。そこは私たちとしても厳しいかなと感じるわけです。そういった面で、広く血漿分画製剤の在り方を周知できるような方法を検討していただければと思いますし、血液事業部会を通して広く周知していただきたいと改めて思いました。
○高橋部会長 大事なお話だと思います。インフォームド・コンセントと言っても、それの前に国民のある程度の常識として、血漿分画製剤がどういうもので、何が大事かという話がある程度伝わっていないと、非常に部分的な周知に止まってしまうのではないかと思います。いずれにしろ次年度に向けて、さらに供給のあり方に関する検討会で検討していただきたいと思います。
 それでは、資料4-1の需給計画(案)の議決に移りたいと思います。日本赤十字社の方々は議決に参加できませんので、御承知おきください。いかがでしょうか。よろしいですか。それでは繰り返しになりますが、平成23年度の血液製剤の安定供給に関する計画を告示するにあたり、法令的な観点から形式的な修正があるかもしれませんので、その場合には部会長に御一任いただきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは時間が押してしまいましたが、議題5、その他の報告事項に移りたいと思います。日本赤十字社より御説明をお願いします。
○日本赤十字社(五十嵐) 資料5について説明します。血小板がすべて成分採血由来になった経緯についてまず話をさせていただきます。次のページのグラフと一緒に御覧下さい。
 安全性の向上、すなわち感染や抗HLA抗体産生リスクの低減ということ及びこれまでは1単位の血小板しかありませんでしたので、医療機関で10単位輸血するのには交差試験が10回必要ということがありましたので、医療機関からの要望等がありまして、それらを考慮して昭和61年に成分採血由来血小板を導入しています。それ以降、国の御支援もありまして、平成12年の時点で血小板のほとんどすべてが5単位以上の成分採血由来血小板へと移行していました。
 さらに、平成15年4月に全製剤について白除する方針が決定された際、プールをしていない全血採血由来血小板については、血小板数や容量が20mL、40mLとかなり少ないものでして、これをフィルターに通すと、残液等の関係で単位が確保できない問題があったため、1、2単位の成分採血由来血小板を分割して作ることになりました。以上のような経緯で、現在、血小板についてはすべて成分採血由来血小板から製造しています。
 4ページは「全血採血由来血小板を導入した際に発生するコスト等について」ということで、5ページ目に「全血採血由来血小板を導入した際のコスト計算の考え方」というものが1枚あります。全血採血由来血小板を製造することによって、同時に赤血球及び血漿の製造方法も一部変更になってしまいますので、血小板のコストのみではなく、同時に製造される赤血球や血漿のコストも含めて考える必要があります。
 簡単に製造方法を説明させていただきます。まず、今現在行っている成分採血の血小板製造工程です。ドナーの方に成分採血装置にかかっていただいて、血小板と原料血漿として200mLの血漿を献血していただきます。白血球除去については、成分採血装置とキットの中で完了して出てきたものはもう白除が終わっているものです。
 400mL全血採血からの現在の製造方法です。400mLの献血をいただきまして、まず、白血球の除去をします。ただし、この除去フィルターでは血小板がここにトラップされてしまいますので、血小板はここで除去されてしまうことになります。白血球除去のあとに遠心をして、血漿と赤血球に分離します。2単位赤血球とおよそ240mLの血漿の製剤が得られます。血漿の約3割は新鮮凍結血漿として、7割は原料血漿として使用されています。
 次に、全血採血からの10単位血小板等の製造工程です。これは、現在行っていないものです。400mL全血を採血させていただきます。ここで、血小板を回収できる全血処理用のフィルターが実用化されていればいいのですが、そういうものはありませんので、まず遠心分離をして、血液を血漿とバフィーコート、これは白血球と血小板が主に含まれるものです。それと赤血球に分離します。分離したものそれぞれに白血球除去をする工程が必要になります。バフィーコートについては、約2単位の血小板を含んでいるので、6人分プールをして、最終的に10単位の血小板を調製します。2単位ですので、5本でいいのではないかということですが、製剤にするためには平均10単位ではなく、最小で10単位と要求されるので、6人分プールが必要になります。
 ここで血漿の量を見てください。バフィーコートに少し血漿を残さないといけませんので、血漿の製剤としてできるものについては、今の方法に比べて約40mL減少します。6人分減少しますので、約240mL分の血漿が減少することになります。減少した血漿は、最後の10単位の血小板に入ってくることになります。
 以上のような製造工程を経て血小板を作るわけですが、血小板10単位1バッグと一緒に製造されます赤血球6バッグ、血漿6バッグについて必要な資材等について数えてみました。まず、全血採血由来血小板で血小板を作る場合です。絵は今御説明した製造工程を簡単にしたものです。血漿と赤血球別々に白血球を除去するということなどから、使用する塩ビのバッグの数が合計で32バッグになります。白血球除去をそれぞれの製剤別々に実施するので、白血球除去フィルターの数として、13個必要になります。6人から採血をするので検査が6回となります。
 一方、成分採血由来の場合は、同様に数えていくと、塩ビのバッグは18バッグ、白除フィルターが6個です。血小板用については、下の成分採血キットに含まれているとして計算をしています。採血人数が7人ですので、検査が7回ということで、左側の全血採血由来から成分採血由来を引いた差は、次のページの赤い白抜きの文字ですが、14バッグ+7白除フィルター-1成分採血キット-検査1回となりまして、この単価を下に示しています。
 誤解しないでいただきたいのですが、バッグと成分採血キット、検査費用については日本赤十字社の購入価格あるいは必要費用の実額で示し、白除フィルターについては、単品で売られているものがありませんので、材料価格基準に示された価格の記載をしています。個数と単価を合わせたものを合計すると、全血採血由来血小板が8,478円高くなります。実際に、白除フィルターを購入する場合には、バッグと採血針、あるいは抗凝固剤と組にしたシステムとして購入しますし、購入する際には価格交渉等をしっかり行いますので、この価格で買うことはありません。
 総計がいくらになればいいかといいますと、先ほど血漿が減少するという話をしましたが、血漿として採れる量は、FFPとしては40mL×6で240mL減り、血小板採血のときに一緒に採血される原料血漿が200mL減る。合計で440mL減ることになりますので、それを補うためには、血漿の成分採血の大体1人分が余計に必要になることを考慮しますと、総計が7,000円程度のマイナスまで下がらないと、資材費としては同等ではなくなる計算になります。そうしますと、単価として2,730円、あるいは3,190円というものが500円までに下がってこないと、資材費としては、全血採血に切り替えた方が高くなってしまう計算になります。
 11ページは、全血採血した原料血液から血小板を製造する場合に予想される影響です。そもそも安全面から始めた成分採血ですので、1製剤あたりの献血者数が1人から6人に増加するということで、抗HLA抗体の産生増加が懸念されます。
 また、プールによる感染症のリスクの増大も考えなければいけません。これに対応するためには、例えば細菌検査を追加したり、あるいは感染性因子の低減化を図ることが必要になりますので、また費用がかかってしまうことになります。一方、供給面ですが、プールするときにはNAT検査が終了していないと、プールしたあとにNAT検査が陽性と分かってしまうと6本無駄になってしまいますので、NAT検査判明後にプールし、製造する必要があります。
 そうすると、全血採血由来血小板の出庫が成分採血由来血小板よりも半日程度遅くなる。すなわち、実質的な有効期間が短縮されてしまうことになります。全血採血由来血小板だけで需要を満たすことができませんので、全血採血由来血小板と成分採血由来血小板と別々の在庫管理が必要になってくることになります。
 そうすると、在庫管理で期限切れが発生しないようにコントロールすることが非常に難しくなります。現在、2%強ぐらいの期限切率で推移しています。採血したけれども、使われなくなる血液が増加するという懸念があります。先ほども申し上げたように、バフィーコートに血漿を残す必要から、今の血漿の400mL採血では、血漿の容量が240mLから200mLぐらいに減少する問題があります。
 献血者確保面です。血漿が減るため、血小板10単位を全血から作った際には、成分採血由来血漿が1人分必要になるということで、献血者としてはほとんど減少しないと見込んでいます。コスト面については、先ほど話したとおりです。それに加えて、白除の工程が単純に2倍の工程数になるということから、製剤部門の人件費の大幅な増加が見込まれています。幕内委員が御指摘になりましたように、全血採血由来血小板を利用できない点がありますが、安全面・供給面・コスト面を考えると、今のところ最良の方法ではないかと考えています。
 次に海外の状況です。ここに示したのは、各国の成分採血由来血小板の割合です。欧州医薬品品質理事会(EDQM)の組織の資料とアメリカの保健福祉省(HHS)の資料から抜き出したものです。アメリカについては2007年、ヨーロッパについては古くて申し訳ありませんが、2004年が最新版ということで、この資料を提示しています。各国で見ると、アメリカや、フランスの87%からオランダの8.9%まで、国の方針の違いによってかなり差があるとお分かりいただけるかと思います。
 同じHHSの資料で、米国における1997年から2006年までの推移を14ページにグラフで示しました。下側の青い部分です。アメリカにおいては、年々成分採血由来血小板の割合が高くなっています。
 EDQM、ヨーロッパの2004年の資料には、同じく下のような英語の文書がありましたので、簡単に仮訳したものが16ページにあります。ヨーロッパでは、血小板は一般的に4~5人分の献血由来バフィーコートから調製されてきたのですが、変異型クロイツフェルトヤコブ病に関連した議論によって、単一供血者由来血小板、要するに成分採血由来血小板の使用を増加させるプログラムの策定へと導いたということで、これについてはリコメンデーションが出ています。
 これらのプログラムは、全血採血由来血小板に比して成分採血由来血小板の使用量が比較的多い加盟国であるということはすなわち成分採血装置の導入がある程度進んでいた国に大きな影響を与えて、その国の使用量が増えた結果だったそうです。成分採血由来血小板の供給が未だ100%になっていないのは、成分採血をする意思のある供血者の数に限度があるためということが記載されていました。
 以上が2004年の状況です。最近、フランスなどの一部の国において、成分採血由来血小板の比率が下がっている情報があります。原因は現在調査中です。もしかすると先ほど話に出た血漿の需要がかなり増加していますので、そちらの影響が血小板に及んでいるのかもしれない状況です。現在、下がっている国も多少あるようです。
 成分採血由来血小板と全血採血由来血小板の価格です。各国、アメリカ、オランダ、スペイン、ドイツ、フランスのデータがありましたので、成分採血由来血小板と全血採血由来血小板の価格をドル表示で載せています。日本については円表示ですが、昨今のリーマンショック以降、急激に円高が進んで、80円で換算するのか、あるいは2~3年前の120円で換算するのかで大きく解釈が異なりますので、日本だけはあえて円で表示しています。最近の80円のレートで比較すると、日本の価格は高いことになります。120円の例で比較していただきますと、それほど高いものではないことがお分かりいただけるかと思います。
 全血採血由来血小板と成分採血由来血小板の価格の比です。お互いに単位数が異なりますので、一概に比較ができないのですが、単位数を換算すると、アメリカなどは大体同等の価格になっています。逆に、ほかの国については、概ね全血採血由来血小板のほうが安い価格になっています。ただし、ここで血小板の価格だけを載せていますが、アメリカ、フランスなどは赤血球の価格が230ドルぐらいします。230ドルを80円で計算しても、大体1万9,000円ぐらいということで、赤血球の価格が日本よりかなり高くなっています。そういうこともありまして、価格については事業全体で見ていただければと思います。以上です。
○高橋部会長 ただ今の説明について御意見、御質問等ございますか。話が細かすぎた嫌いがあるのですが、要は7ページで、全血採血から白除しようとすると、成分が分離をしない限り、血小板がトラップされるので、全血採血由来から血小板を採ろうとすると、成分が分離してからそれぞれに白除しなければいけないということで、コストが相当かかる。あるいは、血漿のロスがある等々のことだろうと思います。いかがですか。
○幕内委員 ちょっと分からないのですが、これは全血を売って、血漿を売ったときの400?あたりの計算をなさっているのですか。そういう視点がないのではないですか。10単位の血小板に集中しているので、全体の計算をしないと、どちらがどうだという話はできないのではないですか。
○日本赤十字社(五十嵐) 価格は今のとおりで、10単位血小板と赤血球と血漿を作りますので、価格は変わらないというところで比較しています。それに、製造の部材としてこれだけ増えるのでというお話をさせていただいたのだと思っています。価格としては、全部売ったときの価格という中で、これだけ余計にかかりますという数字です。
○幕内委員 ですから赤血球濃厚液と血漿と血小板が採れるわけですね。成分採血はそうではないわけです。医学的にもちろん成分採血がよいのは当然のことで、そのほうがよいだろうということです。ヴィールスは現在不活化ができるようになっています。下に書いてある使用資材等云々というのは、全部やって採れて、こういう計算になるのではないですか。
○日本赤十字社(五十嵐) そうです。
○幕内委員 そうでしょ。ですから、全部成分採血由来血小板の値段に付けるのはおかしい。
○日本赤十字社(五十嵐) いや、全部付けているわけではありません。これは増加分だけの費用ですので、血小板10単位と赤血球6バッグと血漿6バッグを作ると一緒にできてしまいますので、その単位で考えたときに、これだけ価格が増加しますよと。あるいは、その価格の増加を抑えるためには、白除フィルターが500円ぐらいにならないと価格の上昇が抑えられませんよという数字と御理解いただければと思います。
○幕内委員 今は捨てているわけですね。そこから作るときに、赤血球のバッグや血漿のバッグは必要ないわけです。
○高橋部会長 いやいや、先生、先ほどの7ページの、トラップされてしまって、あえて捨てているよりは、除去されているのですね。
○幕内委員 いや、それは遠心法の順番の違いとか、そういうことでリカバーできるわけで、そうではなくて、9ページを見ると要するに、この比較はどうも使用機材の比較において問題が生じるのではないかと思います。売っていくらということが書いていないのですね。
○日本赤十字社(五十嵐) 売っていくらというのは、その製剤の価格ということですか。
○幕内委員 そうです。それが正当かどうかの問題は、7倍も違うわけだから指摘されるところだけれども、それを引いて、それでどうかということを計算するには使用機材だけの話では済まないし、順番を変えれば、例えばヴィールス検査その他で検出されない血液は血漿と血小板一緒にしてもいいわけだから。そうでしょう。そういう問題があるわけではないですか。最終的にはどうせ一緒にするわけです。
○日本赤十字社(五十嵐) 採血した段階で検査をしますので、血小板としては別に血小板にしてから検査するということではありません。全血で6人分検査をする。成分の方は、全血の献血者6人と、成分の献血者1人分の検査が必要ということで、検査については1回分減るということです。
○幕内委員 検査は7回と書いてあるのはどうなのですか。
○日本赤十字社(五十嵐) 成分由来の血小板の場合です。
○幕内委員 全血は6回です。
○日本赤十字社(五十嵐) はい、検査については1回分減る計算です。
○幕内委員 使用機材として32バッグ、白除フィルターが13バッグ要るということはどういうことなのですか。
○日本赤十字社(五十嵐) 上の絵で示したように、全血から血小板を回収する際には、最初に全血の段階では白血球除去ができませんので、まず血漿とバフィーコートと赤血球に分離してから、それぞれに白血球除去をしなければいけないということで、例えば血漿と赤血球で6人分ずつ白除をしないといけないので、そこで12個フィルターが必要になります。血小板についても、プールの段階、あるいはプールしてから白血球除去が必要になりますので、もう一つフィルターが必要ということで計13個です。
○幕内委員 血漿は血漿として売れるわけでしょう。例えば全血採血由来血小板の値段にかける必要がないわけです。トータルとしてここに書くのはおかしい。
○日本赤十字社(五十嵐) トータルとしての費用がどのぐらい異なってくるかという計算を示したものです。血小板だけの費用を比較するというのは、最初の仮定の段階の5ページに書きましたように、同時に調製される赤血球と血漿の価格が異なってきますので、これを合算した費用について計算させていただきました。
○幕内委員 赤血球や血漿は別に値段が定まっているわけですね。赤血球と血漿は別に計算されているわけでしょう。ここの「使用機材等」という32バッグは、純粋に血小板のためだけではないでしょう。
○日本赤十字社(五十嵐) 血小板だけの価格で比較しますと、赤血球や血漿の価格が上がるということが見えなくなってしまいますので、あえて3つ、6人分ずつ合わせた価格で設定させていただきました。
○幕内委員 それでは比較にならないではないですか。日赤の血液事業部としては、それでいいかもしれないけれども、患者側からいくらでこれが手に入るのかという計算にはなっていないと私は指摘しているわけです。
○大戸委員 医学的に、特に感染症の方はアフェレーシスの血小板の方がずっといいと思います。ただ、コスト計算で。
○幕内委員 私の今言ったとおりです。
○大戸委員 そうです。先生のおっしゃるとおりです。
○幕内委員 よくなってきているわけですよ。実際、白血病でも、成分採血で採ったものは能率がいいことはよく知られている事実で、それを私が知らないわけではなくて、この計算法がどうかということを聞いている。
○大戸委員 先生のコメントになるのですが、赤十字の計算方法以外にもう一つあって、テルモ社は、ヨーロッパでタクシスというプール血小板を作るシステムを販売しているのです。タクシスを使うと、コスト計算は別の計算になってしまうかもしれません。
○幕内委員 何を使えばどうかを聞いているのではなくて、今の計算法として、全体の費用はここに出ている。この中から全体でできてくるのは、赤血球濃厚液と血漿と、さらに血小板です。各々のコストのところに使用機材がいくら必要かということでしょう。それが出ているわけです。その計算をするときに、それは間違いではないですか。ここから全部売るお金を引いて、そのコストを引かないと。各々で分担しないと。
○日本赤十字社(五十嵐) 血小板だけの費用として見たら確かにおっしゃるとおりだろうと思いますけれども。
○幕内委員 そうです。血小板だけの費用と成分採血で採る血小板の費用を計算しないと話が違うのではないのですか。
○日本赤十字社(五十嵐) その血小板を全血由来から作るためには、一緒に作る赤血球と血漿の費用が変わってきますので、トータルして出しているわけですが、それをいくらずつ配分するかというのはまた別の問題だろうと思います。今回お示ししたのは、トータルとしてこのぐらいという目安と御理解いただければと思います。
○幕内委員 それはそれでいいのですが、トータルの中から実際に血小板10単位にかかる費用はいくらかを出さないと、血球は血球で売れるわけだし、血漿は血漿で売っているわけでしょう。それは話が違うのではないですかということを申し上げている。
○日本赤十字社(五十嵐) 最終的には、血液バッグと採血針、抗凝固剤、マップ、白除フィルターなどを一体化して、システムとして購入します。そういうシステムは今、日本にはありませんので、そういう計算は今のところできないことを御理解ください。
○高橋部会長 幕内委員は個別にとおっしゃられますが、日赤としては濃厚赤血球もFFPも血小板もきちんと供給しなければいけないと。バランスよく出すために、トータルコストがいくらかという比較だろうと思います。
○幕内委員 コストはいいのですが、日赤は、赤血球も血漿も血小板もみんな売っているわけでしょう。全部の収入を勘案してそして純粋に血小板だけにかかった費用を比較しないと、さらに費用から収入を引いて比較しないと何とも言えない。
○高橋部会長 売っているというよりは、保険で償還されているわけですから、それ自体はプール血小板にして、新たな高いコストを付ければ変わるかもしれませんが。
○幕内委員 高橋先生、よく考えてくださいよ。9ページの図はおかしいのですよ。人件費もいろいろあるでしょうけれども、かかる費用が下に書いてあるようなことだとすると、これだけが違うとすると、全血由来の血小板を採るときには、赤血球と血漿は多少の量の違いがあっても売れるわけですよ。要するに、下の資材等に反映されていない。だから、血小板が実際売られたときにいくらになるか計算が出されていないわけですよ。
○日本赤十字社(田所) 今、需要のある赤血球や血漿は量が決まっています。新たに全血から血小板を作るときにできた赤血球や血漿が追加的に売れて、儲けになるものではないわけです。需要から足りない分は作るわけですから。ですから、需要が変わらないのだから、トータルとして作る量は変わらないわけです。
○幕内委員 国策的に言えばそのとおりですよ。
○日本赤十字社(田所) でしょう。
○幕内委員 要するに、実際には、献血者から採って集めている血小板を捨てている事実ですよ。それは事実として重いものとして受け止めなければならないし、費用計算がこれで済むのかというと、私は違うと思います。
○日本赤十字社(田所) もっとかかりますよ。
○幕内委員 かかるとかいうのではなくて、この計算がこれからでは出せないと言っているので、この図がおかしいと。
○日本赤十字社(田所) 何がおかしいのかきちんと言わないと。
○幕内委員 赤血球もだぶついていることはよく承知していますが、6人分で6人分の血漿と6人分の赤血球ができるわけではないですか。きちんと全体で売れるとしたら、いくらになるかという計算ができないではないですか。
○高橋部会長 左と右と保険で償還される費用は同一のはずですよね。ここの標題にあるように、血小板10単位と。
○幕内委員 成分採血では赤血球は出てこないですよ。
○高橋部会長 ですから、右側の表も成分献血とともに全血採血もして、現行の方法で赤血球とFFP等を作っているわけですよ。それでトータルで同じものが得られると。それでコストがいくらかという単純な比較だと思います。
○幕内委員 そうならないのですよ。全血を採って血小板を抜くのと、成分採血でヘモレテックスを回して採るのと、費用の比較の方法はこれでは駄目だと私は言っているだけで、それ以上でもそれ以下でもないのですよ。
○高橋部会長 だいぶ時間がオーバーしていますから、今日のところはこれまでにして、考えてみると同じ会社の中でよく議論していただければいいような気がしますので、また先生の正しい計算方式を示していただいて、議論を尽くしていただければと思います。司会の不手際で時間が超過して申し訳ありません。本日の議題はこれで終わります。次回の日程等については、後日、事務局から御連絡申し上げます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 血液対策課 課長補佐 伯野(内線2905)

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