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2011年1月31日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年1月31日(月)13時~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(11名):五十音順 敬省略

 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 千 葉   勉、  手 島 玲 子、

○永 井 良 三、 野 田 光 彦、 檜 山 行 雄、  古 川   漸、

◎松 井   陽、 松 木 則 夫、 山 田 清 文

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

 欠席委員(7名):五十音順 敬省略

 清 水 秀 行、  鈴 木 邦 彦、  成 冨 博 章、 西 澤   理、

 林   邦 彦、  村 田 美 穂、  本 橋 伸 高

行政機関出席者

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。
 最初に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われまして、この部会につきましても新しく委員の任命が行われたところでございます。つきましては、お手元にございます「医薬品第一部会委員名簿」に即しまして、委員の先生方を私の方から御紹介申し上げたいと思います。
 順番にお名前を述べさせていただきます。加藤総夫委員です。佐藤田鶴子委員です。清水秀行委員は御欠席です。鈴木邦彦委員は御欠席です。千葉勉委員です。手島玲子委員です。永井良三委員です。成冨博章委員は御欠席です。西澤理委員は御欠席です。野田光彦委員です。林邦彦委員は御欠席です。檜山行雄委員です。古川漸委員です。松井陽委員です。松木則夫委員です。村田美穂委員は御欠席です。本橋伸高委員は御欠席です。山田清文委員です。
 また、この部会の部会長でございますが、1月24日に開催されました薬事分科会におきまして選出が行われておりまして、この医薬品第一部会につきましては、松井陽委員に部会長をお願いすることとされておりますので、私の方から御報告申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方、関係各位の皆様方、よろしくお願いいたします。
○審査管理課長 さらに、部会長代理でございますが、規程により部会長から御指名いただくこととなっております。松井先生、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 私といたしましては、前期に続いて永井良三先生に部会長代理をお願いしたいと思います。
○審査管理課長 それでは、部会長代理につきましては、引き続き永井委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 永井先生、部会長代理席に御移動お願いいたします。
 本日の委員の出席についてですが、現在のところ、当部会委員数18名のうち11名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。 それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付しています。議事次第に記載されている資料1~10をあらかじめお送りしています。
 このほか、資料11「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料12「専門委員リスト」、資料13「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。
 また、当日配付資料といたしまして、資料14「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」を配付しています。
 続きまして、本日の審議事項に関する資料13「競合品目・競合企業リスト」について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。資料13を御覧ください。
 1ページ目のミラペックスLA錠ですが、本品目についてはパーキンソン病を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ目のスープレン吸入麻酔液ですが、本品目については全身麻酔の維持を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ目のトラムセット配合錠ですが、本品目については非オピオイド鎮痛剤で治療困難な非がん性慢性疼痛、及び抜歯後の疼痛における鎮痛を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ目のリパクレオンですが、本品目は膵外分泌機能不全における膵酵素補充療法を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する承認品目及び開発中品目は無いことから競合品目は無しとしております。以上です。
○松井部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見等はございますか。
 それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了承を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。
 議題1の「ミラペックス」について、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、永井委員、野田委員、古川委員、松木委員です。
 議題2の「スープレン」について、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。
 議題3の「トラムセット」について、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は、千葉委員、永井委員、野田委員、松木委員です。
 議題4の「リパクレオン」について、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。以上です。
○松井部会長 本日は、審議事項は4議題、報告事項が6議題、その他が1議題となっています。
 それでは、議題1にうつります。議題1について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題1、資料1「医薬品ミラペックスLA錠0.375mg及び同LA錠1.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 審査報告書3ページを御覧ください。本剤の有効成分であるプラミペキソール塩酸塩水和物は、非麦角系のドパミン受容体作動薬であり、本邦では、本薬の速放錠(以下、「IR錠」)である「ビ・シフロール錠0.125mg、同錠0.5mg」が、2003年10月にパーキンソン病を効能・効果として承認され、さらに2010年1月に特発性レストレスレッグス症候群の効能・効果が追加されています。IR錠のパーキンソン病に対する用法・用量は、維持期で1日3回投与であることから、1日投与回数を減らすことを目的として、べーリンガーインゲルハイム社により本薬の徐放性製剤の開発が行われ、欧州では2009年10月、米国では2010年2月に承認され、2010年7月時点で、本剤は42か国で承認されています。
 本邦では、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社により開発され、2009年6月に、国際共同治験及び国内外の試験成績を基に、「パーキンソン病」を効能・効果として製造販売承認申請がなされました。
 本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料12に記載されております委員が指名されました。
 本品目の審査の概略について臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性については、まず、審査報告書25ページ「L-Dopa非併用パーキンソン病患者を対象とした国際共同試験」の項を御覧ください。L-Dopaを服用していない早期のパーキンソン病患者を対象に、日本人83例を含む国際共同治験が実施され、パーキンソン病患者の日常生活動作の機能障害の程度を評価するUPDRSpartIIのスコアと運動能力障害の程度を評価するUPDRSpartIIIのスコアの合計のベースラインからの変化量が主要評価項目とされました。各群の成績は次のページの表3のとおりであり、試験全体の成績で本剤のIR錠に対する非劣性が認められました。また、日本人部分集団の成績は28ページ表5に示しますように、全体集団と比較して大きな違いは認められず、また、主要評価項目以外の有効性の各評価項目についても同様であり、有効性成績の一貫性が示されたことから、日本人のL-Dopa非併用パーキンソン病患者における本剤の有効性は示されたものと判断しました。
 続いて、審査報告書29ページのL-Dopaを服用している進行期パーキンソン病患者を対象とした国内第III相試験の項を御覧ください。表7に示しますように、国内第III相試験の本剤群では国際共同治験と同じ漸増方法が採用され、IR錠群では、本邦のIR錠の承認用量・用法に基づく漸増方法が採用されました。本試験では、IR錠に対する本剤の非劣性の検討は計画されていませんでしたが、次のページの表8に示しますように本剤とIR錠で同程度の有効性が示されました。また、審査報告書33ページの表11に示しますように、L-Dopaを服用しているパーキンソン病患者を対象とした海外第III相試験ではプラセボに対する本剤の優越性が示され、国内外いずれの試験でも本剤とIR錠で同程度の有効性が示されたことから、日本人のL-Dopa併用のパーキンソン病患者においても、本剤はIR錠と同様の有効性が期待できると判断しました。
 次に、安全性について説明いたします。審査報告書26ページ表4を御覧ください。国際共同治験において、いずれかの群で3%以上に認められた有害事象を示しております。傾眠、浮動性めまい、悪心、便秘等がプラセボ群より本剤群で多く認められていますが、既承認のIR錠群と同程度であり、28ページの表6に示しました日本人部分集団の成績においても同様の傾向が認められました。また、L-Dopa併用のパーキンソン病患者を対象とした国内外の試験でも本剤とIR錠の安全性は同程度であることが示されたことから、添付文書(案)に記載されている注意等に従い適正に使用されれば、承認の可否に影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。
 本薬の臨床的位置付けについて説明させていただきます。審査報告書41ページ「本剤の臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。本剤の有効性及び安全性はL-Dopaの非併用患者及び併用患者でIR錠と同様であることが示されたことから、本剤はIR錠と同様、L-Dopaの併用の有無にかかわらずパーキンソン病患者に広く使用可能な薬剤であり、また、服薬回数の軽減を目的として、IR錠を服用している患者にIR錠から切り替えて使用されると考えます。ただし、腎機能障害患者では本薬の半減期が延長し、血中濃度が増加することが明らかであり、申請者も透析患者を含む高度な腎機能障害を有する患者に対しては、IR錠の使用を考慮する必要があると説明していたため、当該患者には本剤が禁忌であることを明確にすることが適切と判断しました。また、IR錠のみ適応を有する「特発性レストレスレッグス症候群」に本剤を使用することは適切ではなく、パーキンソン病より低用量で用いる用法・用量とされている当該患者に徐放錠が誤って投与された場合は過量になることから、本剤が当該患者に誤投与されないよう、IR錠と異なる販売名とすることが適切と判断しました。申請者は、医療関係者及び患者に対してリーフレット等の資材を配布し、本剤とIR錠では用法・用量が異なることや、本剤とIR錠は有効成分が同じ薬剤であり、誤って本剤とIR錠が併用されることのないよう、注意喚起を行うことを予定しています。
 本剤の「用法・用量」についてですが、審査報告書52ページ「用法・用量について」の項を御覧ください。本邦におけるIR錠開始用量は1日量で0.25mgであるのに対し、本剤の開始用量は0.375mg/日とされていますが、先ほどの表7にて示しましたようにIR錠を0.25mgから開始したIR錠群と、本剤を0.375mgから開始した本剤群を比較した国内第III相試験において、投与初期の時点も含め群間で安全性に大きな差はみられなかったことから、本剤の開始用量を0.375mg/日とすることは可能と判断しました。また、IR錠から本剤に切り替える場合は、表7に示しました切替えルールに基づき用量コントロールを行った時に有効性及び安全性に大きな問題はなかったことから、当該切替え方法を添付文書及び情報提供資材にて情報提供することが適切と考えます。
 製造販売後調査については、審査報告書52ページを御覧ください。製造販売後調査として、腎機能障害患者及びIR錠からの切替え症例における安全性に加え、本剤の長期投与時の安全性及び有効性について情報収集することを目的に、500例を対象とした長期特定使用成績調査を実施する予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。再審査期間は4年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、事前に清水委員より2点御質問をいただいております。1点目は、添付文書の重要な基本的注意の(1)の項の参照項目に、「副作用」の項のみでなく、「警告」の項も加えるべきではないかとの御指摘であり、御指摘の通り、警告の項も含めるよう対応したいと考えております。また、2点目として、IR錠から本剤に切り換える時の用量設定と注意点について、添付文書の記載だけではわかりにくいのではとの御指摘があり、この点につきましては、添付文書に加え、医師用に配布する情報提供資材の中で、IR錠と本剤の用量換算表等を図示することでよりわかりやすく説明していく予定となっております。以上2点の御質問に対する機構の回答は、事前に清水委員にお示しし、了承を得ております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○佐藤委員 細かいことで恐縮ですが、審査報告書の28ページの表6を見ると、5%以上見られた有害事象が記載されております。パーキンソン病の患者さんのUPDRSの使用評価の項目を見ると、この薬によって運動能力の改善も得られることになっています。表6の下から3行目に「齲歯」とありますが、プラセボ群では、有害事象が14.3%あるにもかかわらず、本剤群では2.9%、IR錠では0.0%ということを踏まえて、予想を立ててみました。
 日常動作の運動機能が働き、ブラッシング等、口の中の清掃も自己で行うことができるほどの効果があるのではないかと予想しました。読み過ぎでしょうか。それとも偶然性のことなのでしょうか。このような小さなことでも、長期にかかる患者さんにとっては、苦労することが沢山あります。参考意見がありましたら、教えてください。
○機構 御指摘のように、特にUPDRSpartIIであれば、日常生活として実際に咀嚼、ブラッシング等ができるというスコアも本剤の主目的として評価されています。PartIIIは、手の震え等がどれだけ治まるかということも評価されております。そのようなことから、日常生活の中で、齲歯の対応がより改善されたと推測することもできます。
 ただ、プラセボ群14例の中で2例出るだけでも10数%となり、ある程度偶発的なものであるという可能性も否定できません。本剤によって、そこまで予防することができるのか、現時点では明らかになっていないと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。清水委員からの御質問に関しては、お答えして納得は得られたということです。ほかに御質問、御意見はよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、永井委員、野田委員、古川委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題2にうつります。議題2について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題2、資料2「医薬品スープレン吸入麻酔液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 本剤は、デスフルランを有効成分とするハロゲン化吸入麻酔薬です。海外においては、2009年9月現在、米国、欧州等67か国で、全身麻酔の導入及び維持に対して承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料12に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 まず本剤の臨床的位置付けについて、審査報告書10ページ、表1を御覧ください。本剤は他の吸入麻酔薬と比較して血液/ガス分配係数が低い特性を有しており、このような特性を有する薬剤は麻酔深度の調節が容易で、麻酔からの覚醒/回復が早いことが期待されます。
 一方、本剤はイソフルランやセボフルランと比較して気道刺激性が強いため、本邦においては全身麻酔の維持に対してのみ開発が行われており、「効能・効果に関連する使用上の注意」として、導入には使用しない旨を注意喚起しております。
 本剤の有効性について、審査報告書29ページ、表6を御覧ください。日本人一般外科手術患者を対象とした国内第II/III相試験において、プロポフォール、フェンタニル及びベクロニウムによって麻酔導入し、気管挿管後に、本剤群ではN2O又はO2併用下で本剤を3%より開始して終末呼気濃度8.5%以下、セボフルラン群ではN2O併用下でセボフルランを1%より開始して終末呼気濃度4%以下で、適宜増減して吸入して麻酔維持した時、同ページ、脚注29にお示しした体動、覚醒・記憶、救済処置、血圧及び心拍数を指標とした麻酔薬としての有効性(機能)が「機能あり」以上と判定された症例の割合(有効率)とその95%信頼区間は本剤群で98.8[95.7、99.9]であり、95%信頼区間の下限値は期待有効率90%を上回りました。また、審査報告書29ページ、表7にお示ししたとおり、吸入終了後から抜管までに要した時間を指標とした麻酔からの覚醒/回復までの時間(平均値±標準偏差)は、N2O併用下で本剤群10.1±4.6分、セボフルラン群14.8±8.4分、両群間の差とその95%信頼区間は-4.6[-6.6、-2.7]であり、95%信頼区間の上限値は予め設定された非劣性限界値(Δ=1.0分)を下回り、セボフルランに対する非劣性が検証されております。
 本剤の安全性について、審査報告書30ページ、表8を御覧ください。前述した日本人一般外科手術患者を対象とした国内第II/III相試験において、因果関係が否定されていない有害事象として、悪心、嘔吐等が多く認められ、心臓障害及び血中ビリルビン増加が本剤群でのみ認められましたが、重度の症例は認められておらず、現時点で大きな問題は認められていないと判断しております。
 本剤の用法・用量について、審査報告書38ページ、表18を御覧ください。国内第II/III相試験では、海外添付文書に準じて本剤3.0%より開始し、終末呼気濃度8.5%以下で維持すると設定されましたが、近年はバランス麻酔が主流となっており、ほとんどの症例でフェンタニルが併用され、平均終末呼気濃度7.6%までで手術は支障なく施行されたことから、成人には3.0%で開始し、通常7.6%以下で維持できると設定することが適切と判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、清水委員より事前に2点の御質問をいただいております。1点目は、「添付文書の『【取扱い上の注意】1.~デスフルラン専用気化器を使用すること。』の記載内容は、用法・用量に関する使用上の注意、又は重要な基本的注意の項に記載してはどうか」との御意見ですが、吸入麻酔薬の気化器は、薬剤取り違い防止のため、気化器の薬剤注入口(又は注入ノズル)には適用となる薬剤瓶のみが一致するような構造となっております。本剤及び既承認の吸入麻酔薬は、いずれも正確な濃度調節が可能な気化器を用いて気化する必要があり、既承認製剤の添付文書では「取扱い上の注意」の項に「正確な濃度の気体を供給できる専用気化器を使用することが望ましい」旨の記載があります。一方、本剤は既承認の吸入麻酔薬と比較して高濃度の薬剤を必要とするため、電気的な加温が必要となりますが、吸入麻酔薬と専用気化器が対応している点に関しては既承認製剤と違いはないことから、本剤での注意喚起は既承認製剤を上回るものではなく、同様に対応すべきと判断しました。2点目は、「包装単位について、類薬であるセボフルランと同様に1本単位が良いのではないか」との御意見です。こちらにつきましては、申請者に1本単位とすることを検討するよう指導させていただきます。これら2点の事前質問については既に回答させていただき、御了解をいただいております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。目的は、全身麻酔の維持ということです。
○永井部会長代理 審査報告書の11ページにあるイヌの実験では、吸入終了後の血圧の上昇が、従来薬よりも激しいと思います。これについて、問題はないのでしょうか。
○機構 本剤の心血管系への影響については、審査の際にも議論させていただいております。御指摘のとおり、イヌを用いた非臨床試験において、本剤群とセボフルラン群とを比較すると、臨床最高濃度のおよそ2倍以上になる2.5MAC(MAC最小肺胞内濃度)と、本剤群の方が血圧及び心拍に対する影響は強く認められました。一方、臨床用量の範囲内では、類薬との差は認められておりません。
 また、審査報告書12ページにお示ししましたとおり、国内の第II/III相試験においては、心臓障害の発現率がセボフルラン群の2.0%に対して、本剤群では7.2%でした。しかしながら各症例の詳細を確認しましたが、手術中止に至るような症例は確認されておりません。
 海外においては、少し古い時期に実施された臨床試験であるため、対照薬がイソフルランとなっておりますが、イソフルランとの比較において、本剤群で特に問題となる事象は認められておりません。
 さらに公表文献等では本剤の心血管系への影響について、セボフルランと比較してでは「同じである」という報告と、「本剤の方が、リスクが高い」という両方の報告があり、現時点で、ヒトにおける本剤のリスクが類薬を上回るか否かは、明確にされていません。
 本剤による心血管系のリスクについては、製造販売後の調査においても積極的に収集していく予定ですが、本剤の申請用法・用量は最小肺胞内濃度比では約1.0MACと類薬と比較して、低いことを考慮すると、現時点で臨床上問題となるような大きなリスクがあるとは考えておりません。
○松井部会長 私が指摘するまでもなく、この薬剤は麻酔医のコントロール下で用いられるということです。ほかにありますか。
○加藤委員 小児の使用についての安全性、あるいは副作用について伺います。小児では、どの程度の安全性や有効性が確立しているのでしょうか。添付文書(案)4ページの「7.小児への投与」の項の(1)では、「幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない。)」という記載があります。(2)では、「幼児(6歳以下)のフェイスマスク又はラリンゲルマスクを用いた麻酔の維持に本剤を用いた場合、咳嗽、咽頭痙攣、分泌亢進等の呼吸器系の副作用が多く認められ」と記載があります。恐らく、現在一番使用されているのは、日本も海外もセボフルランだと思いますが、小児の場合、比較的高頻度に離脱時の異常興奮が起こっていることから、問題となっています。小児麻酔の分野では、それをどのように抑えるかということがしばしば話題になっています。セボフルランが小児に対して「使いにくい」という認識になっているということから、麻酔科学会では議論があるようです。そこで実際に、麻酔科医は本剤を小児に対して使っても良いのでしょうか。それとも、セボフルランを避けて使うだけの価値があり、そのような選択肢を勧めるのでしょうか。これらについて、申請者はどのような見解で、どのように進めていくのかを教えてください。
○機構 本申請においては、日本人の小児のデータを含む臨床データパッケージは構築されておらず、小児の用法・用量は申請されておりません。そのため、日本人の小児の有効性及び安全性は確立していないと考えており、添付文書(案)にこのような記載をさせていただいております。
 冒頭に申し上げましたように、海外において、本剤は小児には麻酔の維持に対してのみ承認されております。その理由は、本剤は気道刺激性が強いため、小児を対象とした臨床試験において、麻酔導入の際に多くの有害事象が認められているからです。したがって、小児には、気道刺激性の点で使用しにくい部分があるのではないかと考えております。
 離脱の際の精神症状については、本申請では、小児を対象としていないため、詳細は確認していない状況です。
○加藤委員 添付文書(案)の2ページ、「用法・用量」の項に、成人への投与についてが記載されています。この文章には、小児の使用の可否に対する指示も含まれているとみなすのですか。
○機構 本剤に限らず、他の薬剤でも同様ですが、成人に対する用法・用量のみが申請されている場合にはこのように記載させていただいております。臨床現場では小児にも使わなければいけないという状況が全く想定されると思いますが、あくまでも、推奨できる範囲にはないということで、「通常成人には」と記載しております。
○松井部会長 現在では認められていませんが、今後必要が出てくる可能性は大いにあると思います。
○松木委員 私の感覚であれば、「通常成人には」というと、通常ではない場合に小児も含まれていると考えます。「成人には通常以下の用量」といった表現の方が、分かりやすいと思います。
○機構 御意見ありがとうございます。類薬も含めて、このような記載になっており、他の領域の薬剤でも、「通常、成人には」という記載が一般的ですので、このような記載にさせていただきました。ほかの薬剤での記載も確認し、検討したいと思います。ただ、既存の薬剤がこのような表現になっていますので、既存薬との違いが生じ、現場の混乱の一因になることがないよう配慮して再度検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 検討するということです。
○永井部会長代理 審査報告書の42ページに「専用の気化器を用いる」という記載があります。これは、どのようなものですか。規格や標準化等、審査は必要ないのでしょうか。
○機構 専用の気化器については、審査報告書の4ページの脚注4)に記載させていただいております。現在、専用の気化器として三点ほど、医療機器としての申請がされております。本剤の承認時期と合わせて、この気化器についても同時に承認できるように、医療機器審査部と調整しております。
○松井部会長 気化器についても、承認申請中ということですか。
○機構 現在申請中であり、承認の時期を本剤と合わせられるように、審査を進めている状況です。
○松井部会長 ほかに、御意見等はありませんか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 それでは、議題3にうつります。議題3について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 議題3、資料3「医薬品トラムセット配合錠の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 本剤は、オピオイドμ受容体作動作用及びモノアミン再取り込み阻害作用を有するトラマドール塩酸塩(以下「トラマドール」)、並びにアニリン系解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンを有効成分として含有する配合剤です。本邦において、トラマドールを有効成分とする製剤は1978年2月に注射剤が「各種癌及び術後における鎮痛」を効能・効果として、2010年7月にカプセル剤が「軽度から中等度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」を効能・効果として承認されており、アセトアミノフェンを有効成分とする製剤は1958年1月に承認され、現在までに原末、細粒剤、ドライシロップ剤、シロップ剤、及び坐剤が種々の疼痛、急性上気道炎等に対して使用されております。また、海外において、本剤は2010年3月現在、米国、英国、ドイツ等70か国で承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料12に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 本剤の抜歯後疼痛に対する有効性について、審査報告書26ページ、「抜歯後疼痛患者を対象とした国内第II/III相試験」の項、4段落目を御覧ください。骨削除及び歯冠分割を必要とする下顎埋状智歯の抜歯術を施行し、抜歯後疼痛を有する患者を対象とした国内第II/III相試験において、本剤2錠を単回経口投与した時、投与後8時間までの痛みの改善度の総和は、同量のトラマドール又はアセトアミノフェン単剤と比較して統計学的な有意差が認められました。また、本剤の慢性疼痛に対する有効性について、審査報告書28ページ、図5を御覧ください。非ステロイド性消炎鎮痛剤の投与により十分な除痛が得られない腰痛症及び変形性関節症を伴う日本人慢性疼痛患者を対象とした第III相試験において、用量漸増期に非盲検下で本剤を1日4~8錠の範囲で適宜増減した後、二重盲検期に非盲検期終了時と同量の本剤又はプラセボを2週間経口投与した時、二重盲検期での「鎮痛効果不十分」をイベントとしたイベント発生までの期間は、本剤群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意に長いことが示されました。
 本剤の安全性について、審査報告書40ページ、表21を御覧ください。慢性疼痛患者を対象とした国内第III相及び長期投与試験において、傾眠、浮動性めまい、悪心、嘔吐等が特に投与初期に多く認められており、抜歯後疼痛患者を対象とした国内第II/III相試験においても同様の傾向が示されています。なお、本邦におけるアセトアミノフェン単剤の承認用量は、本年1月21日に1日最大4,000mgまでに変更されており、新たに重篤な肝機能障害に関する警告欄が設けられておりますが、本剤でも同様の注意喚起を行う予定であり、本剤の長期投与試験において、本剤4錠(アセトアミノフェンとして1日1,500mg)を超えた場合に安全性上の特段の問題は認められておりません。
 本剤の臨床的位置付けについて、審査報告書35ページ、「(1)本剤の臨床的位置づけについて」の項を御覧ください。トラマドールは弱オピオイド鎮痛剤に位置づけられることから、本剤はアセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛剤等の非オピオイド鎮痛剤では確実な鎮痛効果が期待できない抜歯後疼痛患者又は十分な疼痛管理が得られない慢性疼痛患者に適用されるものと考えております。また、審査報告書8ページ、表1にお示ししたとおり、亜急性腰痛患者を対象とした海外臨床試験において、本剤又はトラマドール単剤を十分な鎮痛効果が得られるまで適宜増減した時、本剤群ではトラマドール群と比較してトラマドールとしての1日投与量は少なく、有害事象発現率は低値を示したことから、配合剤とすることによりトラマドールの用量を低減させ、副作用の軽減が期待できると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、原体はいずれも劇薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、清水委員より事前に2点御質問をいただいております。
 1点目は、「本剤の有効成分の一つ、トラマドール塩酸塩はカプセル剤が承認されたのは2010年7月であり、本剤の申請時効能・効果とは異なるものの、鎮痛を目的とした内服製剤である。単剤での安全性を確認する意味から、2011年6月までは承認を見送るべきではないか」との御意見です。本剤の配合意義に関しては、前述したとおり、「副作用(毒性)軽減又は相乗効果があるもの」に該当すると考えております。また、トラマドール塩酸塩及びアセトアミノフェンの安全性については、1.トラマドール塩酸塩及びアセトアミノフェンはいずれも世界的に古くから使用されており、トラマドール塩酸塩については、本邦では経口剤の開発が大幅に遅延したものの、世界的には1973年に注射剤及び坐剤、1980年に経口剤が承認されており、1億人以上に投与されたと推定されていること、2.本邦において、トラマドール塩酸塩の注射剤は1978年2月に承認され、承認用量は1回100~150mgである。一方、経口剤の承認用量は1回最大100mgであり、絶対的BAが68%であることを考慮すると、注射剤の曝露量を上回らないと推定され、国内外の臨床試験成績及び海外製造販売後の安全性情報において、経口剤に特有の安全性上の問題は認められていないこと、3.本剤は2001年8月に米国で承認されて以来、英国、ドイツ等を含む70か国で承認され、2010年9月までに3,000万人以上に投与されたと推定されており、本剤の薬物動態プロファイルは日本人と外国人で同様であり、日本人特有の有害事象は認められていないことから、両成分の安全性プロファイルは既知のものであり、適切な安全対策を講じることが可能と考えております。
 2点目は、「本剤の適応症について、同成分の単味製剤で開発を行わなかった理由は何か」との御質問です。本邦において、トラマドール塩酸塩(単剤)の製造販売承認は、注射剤及び経口剤共に日本新薬株式会社が取得しており、本剤の申請者であるヤンセンファーマ株式会社とは異なります。申請者が本邦における本剤の開発を検討した当時、トラマドール塩酸塩(単剤)の経口剤は日本新薬株式会社により既に開発が行われており、申請者は、本剤は配合剤とすることにより、同程度の鎮痛効果を得るために必要なトラマドール塩酸塩の投与量を低減し、副作用の軽減が期待できることから、配合剤として開発することが適切と判断しております。一方、本邦におけるトラマドール塩酸塩の経口剤の開発は、日本新薬株式会社が1997年より臨床試験(第I相試験)を開始し、まずは注射剤と同一の適応症(がん性疼痛及び術後疼痛)に対する開発を先行させるとして、がん性疼痛及び術後疼痛患者を対象とした国内臨床試験が1999年より開始されました。その結果、術後鎮痛に関しては、ジクロフェナクナトリウムを対照とした二重盲検並行群間比較試験において非劣性が検証できなかったため、開発が中断され、がん性疼痛に関しては、2010年7月に承認に至っております。また、非がん性慢性疼痛に対しては、現在二つの国内第III相試験が実施中です。
 なお、以上2点の事前質問については、既に清水委員に回答させていただき、御了解をいただいております。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。昨年、私どもの第一部会では、経口配合剤について随分と時間をかけて議論しました。その時の議論に基づいて御判断いただきたいと思います。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
○松木委員 昨年問題になった配合剤の問題点や利点は、今回示されていると思います。その面では良いと思います。しかし、オピオイド系の弱いオピオイドμオーニストとアセトアミノフェンを組み合わせるということから、プラスの効果が出たことは分かりますが、この鎮痛剤のニーズを考えた時に、もう少し強いオピオイド剤が、これを凌いでしまうのではないかと考えられます。その辺はいかがでしょうか。
○機構 本剤の臨床的位置付けについては、御指摘のとおりトラマドールがμオピオイドへの作用とノルアドレナリン、セロトニン再取り込み阻害作用を持っているということで、トラマドールの作用にプラスして、アセトアミノフェンの作用もあるということが期待できると思います。
 トラマドールは依存性や乱用のリスクが少ないということから、本剤は、モルヒネやフェンタニルのような依存乱用のリスクの高い薬剤を使用する前に、既存のNSAIDs等では十分な疼痛管理が得られない患者に対して非常に価値があるものだと考えており、専門協議でも同様の意見をいただいております。
○佐藤委員 薬効についてお伺いします。申請時の効能・効果の病態を見ると、本薬がこのような場面で効果を示したということから、どの程度のものに効くのか類推ができ、そこから慢性疼痛と抜歯後疼痛が出てきます。私は歯科担当なので、使用できるツールが増えることは、大変ありがたいと思っています。
 これを見てみると抜歯後埋伏智歯という、骨の中に一部潜った親知らずの骨を開削して抜歯するものが対象であり、通常では治験を行います。通常NSAIDsのもので治験を行っても、3分の1ぐらいの方は鎮痛薬を飲みません。ドロップアウトしてしまう症例が多くあります。「必ずしも、抜歯後に痛みが起こるものではない」というレベルの考え方もあります。
 すると、慢性疼痛を見ていくと、下の方に出ている腰痛症、打撲症やがんによる疼痛がありますが、こちらはトラマドールの方で適用が通っているようです。かなり長期に、連投して使わなければいけません。ただし、抜歯後疼痛の場合は、使ったとしても恐らく、局所麻酔が覚めて痛む場合の頓用を1回服用していただければ、効果は十分あると思います。
 先ほども申しましたが、服用しなかった場合でも翌日に、「薬は要らなかった」といったケースもあるので、大きな差がみられます。慢性疼痛と抜歯後疼痛では、少し違い過ぎます。使用できるようになることは、ありがたいのですが、薬効はNSAIDsとは違い、かなり広い範囲の術後痛のコントロールに使えるという解釈をして良いのですか。難しい質問なのですが、教えてください。
○機構 本剤の効果が広範囲の術後疼痛に対して認められるのかという点に関して、トラマドールの注射剤の効能・効果は、術後疼痛となっておりますが、本剤の開発の際には、申請者は術後疼痛とすると様々は術式があり、患者背景のばらつきも大きく、単剤に対する優越性を示すことが難しいと判断しております。
 その辺の経緯は、審査報告書35ページ、「(1)本剤の臨床的位置づけについて」の項の「1)抜歯後疼痛及び慢性疼痛における鎮痛を適応症とすることについて」に記載させていただいております。申請者がそのような判断であったために、急性疼痛に関する本剤の臨床試験は、抜歯後疼痛の患者を対象に実施されております。
 したがって、抜歯後疼痛のみのデータをもって、全身の手術等も想定されるような術後疼痛に拡大解釈をすることは困難と考えており、急性疼痛に関しては、「抜歯後疼痛」のみに適用となると考えています。
○佐藤委員 今、アセトアミノフェンは、2倍量で投与するようになってきました。そのため、十分にコントロールはできますが、逆にそのぐらいの薬効を持っている薬という捉え方でよろしいのでしょうか。
○機構 御指摘のとおりです。なお、添付文書(案)における効能・効果を御覧ください。本剤は非オピオイド鎮痛剤で、治療困難な下記疾患における鎮痛としており、非がん性の慢性疼痛及び抜歯後の疼痛のうち、あくまでも既存のNSAIDs、アセトアミノフェン(高用量も含む)では十分な鎮痛効果が得られない、もしくは得られないことが想定される患者さんに対してのみ適用となると考えております。
 本剤の適正使用に関しては、適正使用のガイドブックを抜歯後疼痛と慢性疼痛とそれぞれに分けて作成しております。特に歯科領域の先生方にも、この薬剤について十分御理解いただけるような体制を講じるよう申請者には指導しております。
○山田委員 配合剤の配合の意義は分かりました。2点あります。1点目ですがトラマドールの単剤の効能に、慢性疼痛は認められておりません。こちらは、海外でも認められていないのでしょうか。
 2点目ですが、慢性疼痛の治療は、がん性疼痛と同様、3段階除痛ラダーで行われるということですが、NSAIDsをベースにして弱オピオイド、それが無効な場合には強オピオイドへ切り換えることになります。本剤が無効であった場合、NSAIDsではありませんが、ベースのアセトアミノフェンもなくなるということで、無効であった場合の治療については、どのような方法がとられるのでしょうか。
○機構 1点目のトラマドール単剤が慢性疼痛に対して、海外で承認されているか否かですが、海外と日本では承認する効能・効果の考え方に若干違いがあります。本邦では、効能・効果としてがん性疼痛と癌以外の慢性疼痛を区別しておりますが海外では、両者は区別されておらず、本剤、トラマドール単剤共に、急性及び慢性のがん、非がんによらず使用できるという状況です。
 2点目の除痛ラダーに関して、がん性疼痛と同じように慢性疼痛では3段階除痛ラダーが準用されております。非オピオイド、NSAIDsは、第2段階では併用する場合と中止する場合の両方が想定されると思います。しかしながら、本剤が無効で、第3段階の強オピオイドへ移行する場合には、作用機序が同一のμオピオイドに対する作用であるため、通常は本剤とは併用せず、μオピオイドの作用が強いモルヒネやフェンタニルに切り替えられるものと考えています。
 一方で慢性疼痛の場合、必ずしもオピオイドが適用となる患者ばかりではなく、心因的な要素が強く関与している場合や、オピオイドによる作用が十分ではない場合もあると思います。そういった患者さんの選択については、十分な注意が必要だと考えています。
○松井部会長 ほかには、ございますか。
○野田委員 1点、確認のための質問があります。今回の配合剤は、昨年末頃に決めた配合剤の例外の形という理解でよろしいでしょうか。
○機構 昨年11月の医薬品第一部会で整理がされております。その際は、平成17年3月31日付の「医薬品の承認申請に対して留意すべき事項について」という通知に記載されている4つの配合理由1.「輸液等の用時調整が必要なもの」、2.「副作用軽減又は相乗効果があるもの」、3.「患者の利便性の向上に明らかに資するもの」、4.「その他配合意義に科学的合理性が認められるもの」のうち、4.に該当するものについて、「より安全サイドに立った措置として、原則として単剤の承認後、一定期間をおいて承認することとしてはどうか」という整理がなされたものと理解しております。したがいまして、本剤に限らず、4.以外の理由によるものにつきましては、この原則に従わない場合があると理解しています。
○野田委員 例外となっている理由は、先ほどの清水委員に対する御解答のところで、「他剤型での使用実績があること」、「効果が相乗的であること」という二つを挙げられたように記憶しております。これで、よろしいですか。
○審査第三部長 私より、お答えさせていただきたいと思います。野田委員がおっしゃるように、その2点ともう1点あります。亜急性腰痛の試験結果ではありますが、配合することによって、副作用も若干軽減しているという結果がありました。それも併せて判断しています。
○野田委員 分かりました。その3点ということですね。
 もう1点ですが、薬物依存について多少エクスプリシットに御説明いただければありがたいと思います。
○機構 審査報告書の46ページを御覧ください。こちらに薬物乱用、薬物の依存リスクについて記載しております。国内外の臨床試験では乱用、依存の有害事象は報告されておりません。海外の安全性情報につきまして、国際誕生日以降、2010年10月末までのデータを元に集積された重篤な有害事象として、薬物乱用が34件、依存が35件、離脱症候群が38件報告されております。一方で米国において本剤承認後、2年間に報告された薬物乱用の発現頻度は、トラマドール単剤に比べてさらに低く、非がん性の慢性疼痛患者に対して、NSAIDs、トラマドール、本邦未承認であるヒドロコドンの三つの薬物乱用のリスクを元に、乱用の程度を比較した公表文献では、NSAIDsとトラマドールでは同程度であったとされています。トラマドール単剤の薬物乱用、依存につきましては、経口剤の承認時にも説明させていただいており、WHOでは、トラマドールによる乱用は、近年臨床での適用機会が増大しているにもかかわらず、低いレベルを維持していて、乱用の増加を示唆する情報はないと最終的に判断されております。本邦でも、トラマドール単剤は特に規制の対象とされておらず、本剤でも同様の扱いとすることが適切と考えております。
 しかしながら、米国で報告された薬物乱用等のうち、94%以上が他の薬物乱用の既往歴を有する患者であったことから、乱用、依存傾向のある患者さんにつきましては、慎重投与として注意喚起させていただいております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに御意見、御質問はございませんか。
○加藤委員 先ほどの説明で十分に理解できなかったので、アセトアミノフェンの用量設定についてお伺いします。審査報告書の38ページを見ると、現在日本では、アセトアミノフェンは成人に対して、最大用量1,500mgまでが認められています。今回の薬剤を推奨している用量の範囲内で投与しても、これを越えることがあります。それが、なぜ認められるのかということが、38~42ページまで続いています。どのような根拠から、このような結論になったのかが、分かりにくいと思いました。添付文書(案)の1ページを拝見すると、「警告」として赤字で「アセトアミノフェンの1日総量が1,500mg(本剤4錠)を越す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど、慎重投与すること」と記載があるので、きちんと警告はされているようです。しかし、38ページから展開されている論理を見ると、日本におけるアセトアミノフェンの最大用量1,500mgというのは、そもそも間違っているという結論が出ていると思います。今後、どのように考えていくのが良いのかを教えて欲しいと思います。配合剤を使ってしまうことにより、アセトアミノフェンは日本の承認最大用量を簡単に越えてしまいます。そのことは、ここでは認められますが、今後もアセトアミノフェンの単剤は、従来の用量しか認められないということなのでしょうか。こちらについて、コメントをお願いします。
○機構 説明が十分ではなかったようで、申し訳ありません。アセトアミノフェンの単剤の承認用量については、今月21日に本邦において最大4,000mgまでの用量が公知申請に基づき承認されております。その承認用量に比べますと、本剤は8錠でもアセトアミノフェン2,600mgであり、現時点ではアセトアミノフェンの承認用量を上回っておりません。実際に臨床試験の中では、ほとんどの症例が本剤4錠で疼痛がコントロールされているため、実際には1,500mg以下で投与される症例がほとんどではないかと考えております。
 しかしながら、ただ、本剤の最大用量は、添付文書(案)の「用法・用量」に記載しましたとおり、8錠、アセトアミノフェンとして2,600mgまで投与であるため、従来のアセトアミノフェンの最大用量である1日1,500mgを越える場合には、注意が必要である旨を注意喚起しております。なお、本剤の添付文書(案)の「警告」、「重要な基本的注意」に記載している肝障害に関する注意喚起は、先日承認されたアセトアミノフェンの4,000mgまでの添付文書と同様の注意喚起です。
○松井部会長 よろしいですか。ほかには、いかがでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 なお、千葉委員、永井委員、野田委員、松木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、議題4にうつります。議題4について、医薬品医療機器総合機構から概要を説明してください。
○機構 それでは議題4、資料4「医薬品リパクレオン顆粒300mg分包及び同カプセル150mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
 膵外分泌機能不全は、膵外分泌機能の障害による膵消化酵素の分泌減少に伴って起こる脂肪、タンパク質、炭水化物の消化吸収障害を特徴とする病態の総称であり、慢性膵炎、膵嚢胞線維症等の原疾患及び膵切除により引き起こされ、脂肪便、下痢等が出現し、栄養障害、体重減少等が生じます。
 治療法としては膵消化酵素補充療法が基本となりますが、本邦既承認の膵消化酵素製剤は一般的な消化不良症状を適応としており、膵外分泌機能不全の患者に対しては酵素の力価が十分ではないため、承認用量を超えた大量投与を余儀なくされています。一方、欧米では、膵酵素を外部から効率よく十二指腸に到達させるための高力価膵消化酵素製剤の開発が進み、現在では基本治療法と考えられています。
 パンクレリパーゼ(以下、「本薬」)はブタの膵臓から精製された膵酵素であり、既存の膵消化酵素製剤と比べて高力価のアミラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼを含有する製剤であり、1995年5月にドイツで承認されたのをはじめ、2010年10月現在、米国を含む世界80か国以上で承認されています。
 今般、アボット製薬株式会社により、本薬の有効性及び安全性を確認するための臨床試験が実施され、承認申請がなされました。
 なお、本品目については、2009年8月に「膵嚢胞線維症の治療環境を実現する会」より、「医療上の必要性が高い未承認の医薬品又は適応の開発の要望に関する意見募集について」に基づき膵嚢胞線維症患者の脂肪吸収及び栄養状態の改善を目的として要望書が提出されており、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて、平成22年5月21日付で申請者に対し開発要請が行われています。
 本品目の専門協議では、本日の資料12に示します専門委員を指名いたしました。
 以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 本申請に際し、第I相試験2試験及び第III相試験3試験が有効性及び安全性の評価資料として提出されました。
 有効性について、審査報告書21ページの表9を御覧ください。非代償期の慢性膵炎及び膵切除患者を対象とした第III相試験である122試験における脂肪吸収率及びその変化量を記載しております。
 主要評価項目である治療期における脂肪吸収率の観察期からの変化量について、プラセボ群に対する本薬1,800mg/日群の優越性が検証されたことから、本薬1,800mg/日投与による有効性は期待できると考えました。
 また、審査報告書22ページの下から6行目を御覧ください。膵嚢胞線維症患者を対象とした一般臨床試験である002試験において、用量漸増により各患者における至適用量を投与した時、対象患者5例全例で観察期に比べて便中脂肪排泄量の減少傾向が認められました。
 安全性について、審査報告書20ページの表7、審査報告書21ページの表10を御覧ください。第III相試験である115試験及び122試験における有害事象を記載しております。
 有害事象について、発現率はいずれの試験もプラセボ群、900mg/日群及び1,800mg/日群で同程度であること、表7の115試験についてプラセボ群に比べて本薬群で「便秘」及び「下痢」等の胃腸障害の発現率がやや高い傾向が認められましたが、重度な有害事象は認められていないこと、そのほかにプラセボ群と比べて問題となるような差異は認められなかったことを確認しました。
 また、審査報告書33ページの表24を御覧ください。国内で実施された長期投与試験を併合し、1年以内に認められた有害事象について時期別の発現状況を示しております。 本薬の投与期間が長期になるにつれて発現率が上昇するような事象は認められなかったことを確認しました。
 以上から、膵外分泌機能不全患者における本薬投与時の安全性に大きな問題はないと考えました。
 以上のような機構での審査の結果、本薬の有効性は期待でき、安全性は許容可能と考えられることから、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 なお、本薬は新有効成分含有医薬品に該当することから再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。
 なお、清水委員より事前に御質問を4点いただいております。まず1点目ですが、小児の国内使用例の用量が臨床成績の項に記載されているので、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」の項の「臨床成績」に「膵嚢胞線維症」を追加すべきではないかという御指摘をいただいております。この点については、清水委員に御指摘いただいたように、「用法・用量に関連する使用上注意」の項の臨床成績に膵嚢胞線維症を追記するよう、申請者に指導したいと思います。
 2点目の質問事項といたしましては、添付文書(案)の「使用上の注意」の「6.適用上の注意」の「(2)服用時」に注意喚起がなされておりますが、これは「用法・用量に関連する使用上の注意」の項目にすることが適切ではないかという御指摘をいただいています。この点につきましては、その他の腸溶性製剤、ベリチーム顆粒やエフラーゼ錠等でも、「使用上の注意」の「6.適応上の注意」の項に同様の記載があるということから、本薬についても同様に、「6.適応上の注意」に記載したいと考えております。
 3点目は、カプセル剤に識別コードは記載されていないのかという御質問をいただきました。市販製剤には、印字される予定となっております。また、組成、性状の項に識別コードを記載するよう、申請者に指導をしたいと思います。
 4点目の質問事項については、分包品の包装単位の点ですが、カプセル剤の包装と比較して、通常用量を勘案すると、半量の60包、300包が良いのではないかという御指摘をいただきました。この点につきましては、清水委員からいただいた御意見を申請者にも伝えて、また今後も臨床現場の先生方の意見も踏まえ、必要に応じて包装単位を変更いただくよう、伝えさせていただきたいと思います。以上4点の御質問については、事前に清水委員により御了解をいただいています。以上です。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
 子供の膵嚢胞線維症は、コーカサス人種には軽症例を含めますと4,000~5,000人に一人と言われています。日本人では非常に珍しく、十数年前の調査の際も、報告例は20数例だったと思います。それだけ希なのですが、現在のパンクレアチンという酵素製剤の効果は不十分であり、また外国から取り寄せなければならないということで、このリパクレオンが主張されたということです。むしろ大人の膵臓を切除した患者さんの方が、多いのかもしれません。いかがでしょうか。
○佐藤委員 今、質問しようと考えていたことを部会長から教えていただいたので、ついでながら質問します。ここに2種類の製剤が出ています。小児に対して、希少疾患であると考えても、投与する必要があれば使用していけるということですが、小児にもいくつか年代層があると思います。先生がおっしゃったのは、恐らく、かなり小さな子供のことだと思います。このようなカプセル剤で服用できるものなのでしょうか。この質問は、先生に伺うことではないのかもしれませんが。
○機構 膵嚢胞線維症患者は、遺伝子変異を原因とする疾患であり、小さな時から発症している患者さんもおられます。今回の製剤としては、カプセル剤に加えて、顆粒の分包剤もありますので、小さなお子様でも、ある程度服用は可能かと考えております。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに、御質問はありますか。
○松木委員 審査報告書の11ページですが、酵素活性の測定方法について、日局法とFIP法を比較してみると、FIP法の方が優れているということから、そちらを使っても構わないといったことになっています。日局法では、古いところもあるかもしれません。申請者の言い分かもしれませんが、機構としては、FIP法で出てくれば、日局法に準拠しなくても良いという考えなのでしょうか。違うのであれば、これに関して薬局方部会の方に、早く改定するようにアクションをする等が重要だと思います。今後は、どのように考えているのですか。
○機構 今回の品目につきましては、FIP法を用いた形で、規格等を設定しておりますので、FIP法を用いることで差し支えないと考えております。また、日局法が古いということですが、この規格等については個別の品目ごとで、どのような測定方法を用いるのが適切か、判断をさせていただこうと思っています。
○松井部会長 よろしいでしょうか。私も含めて、FIP法と日局法の違いがよく分かりませんでした。松木委員、簡単に教えていただけますか。
○松木委員 そんなに詳しくはないのですが、恐らく測定方法の違いだと思います。FIP法は、様々な箇所でよく取れる方法を採用しています。申請者の回答は、必ずしも日局法が劣っていて、FIP法が優れているということではないと思います。申請者の回答は、FIP法が優れているので、この場合は日局法より、FIP法を使う方が適切と判断したということです。承認する時の条件としては、日局法もFIP法も両方オーケーという表現にしていただければと思います。
○審査第一部長 御指摘のように、こちらではFIP法が日局法に比べて、必ずしも優れているとは判断しておりません。ただ、この品目の場合には、開発当初からFIP法を採用しており、日本国内の承認申請に当たって、日局法を採用するということは困難ということもあり、この品目に限ってはFIP法の単位を設定することを許容しています。今後、どのような場合でも、このような方針とすると決めているわけではありません。現状として、既承認のものは、ほぼ日局法で酵素単位が表示されています。通常であれば、日局法を優先するということだと思います。
○松井部会長 むしろ、ここでは「FIP法によって、判断した」と考えてよろしいでしょうか。
○審査第一部長 はい。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。
○手島委員 過敏症が起きる可能性について、お聞きしたいと思います。副作用として、過敏症は1~5%未満程度で起きるかもしれないということになっています。実際、長期投与試験の中でも、副作用の10%以上という中には出てきていません。この製剤は経口投与なので、それほどの過敏症、抗体産生が起こるケースは多くないと思います。実際に、そのような抗体産生が起こった例はあったのでしょうか。説明を願いします。
○機構 どの製剤においても、過敏症等が出る危険性はあると思います。この品目につきまして、禁忌の項で過敏症の注意喚起をさせていただいております。また、今回の臨床試験で、重篤なものは、それほど出ていないと確認をしております。ただ、抗体産生が起こるのかについては、この品目は経口投与製剤であり、消化管内に元々ある酵素を補充するものになるので、それほど大きな問題にはならないと考えております。その点について、海外でも大きな問題にはなっていないと思っています。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかに、御意見等ございますか。ありがとうございました。それでは、議決に入ります。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議が無いようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。以上が審議事項で、次は報告事項になります。
 それでは、報告事項について、説明をお願いします。
○事務局 報告事項議題1「医薬品ノボリンR注フレックスペン、同R注100単位/mL、同30R注フレックスペン、同N注フレックスペン及びイノレット30R注の製造販売承認について」、報告させていただきます。資料5になります。
 本剤は、ヒトインスリン(遺伝子組換え)を有効成分とするインスリン製剤であり、「インスリン療法が適応となる糖尿病」の効能・効果で承認されております。
 今般、ノボノルディスクファーマ株式会社から、原薬の製造に用いる細胞である組換え体の変更を含む原薬の製造方法の変更を実施するための申請がなされたものです。なお、本申請は、昭和59年3月薬審発第243号通知に基づき、1-(1)新有効成分含有医薬品として取り扱われたものですが、申請製剤と現行製剤との同等性・同質性が確認されたため、再審査期間の新たな設定等を要さないと判断されました。製剤の処方及び製造方法、効能・効果及び用法・用量等については現行製剤と同じです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題2「医薬品注射用プロスタンディン20の製造販売承認事項一部変更承認について」、報告させていただきます。資料6になります。
 本剤はプロスタグランジンE1にα-シクロデキストリンを包接したアルプロスタジルアルファデクスを含有する注射剤であります。
今般、小野薬品工業株式会社より、「勃起障害の診断」の効能・効果、及び当該効能に係る投与経路、用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。なお、本申請は、「適用外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」(平成11年2月1日付研第4号及び医薬審第104号、厚生省健康政策局研究開発振興課長及び医薬安全局審査管理課長通知)に基づく申請であることを申し添えます。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題3「医薬品ネシーナ錠6.25mg、同錠12.5mg及び同錠25mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告させていただきます。資料7になります。
 本剤は、アログリプチン安息香酸塩を有効成分とする経口血糖降下薬であり、現在は、本剤の単独使用、本剤とα-グルコシダーゼ阻害薬、本剤とチアゾリジン系薬剤との併用について承認されております。
 今般、武田薬品工業株式会社から、本剤とスルホニルウレア系薬剤及び本剤とビグアナイド系薬剤との併用について、効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とスルホニルウレア系薬剤及び本剤とビグアナイド系薬剤を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項議題4「医薬品ワーファリン錠0.5mg、同錠1mg及び同錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告させていただきます。資料8になります。
 本剤は、抗凝固薬のワルファリンカリウムを有効成分とする錠剤であり、既に「血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防」の効能・効果で承認されております。
 本剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成22年8月26日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、エーザイ株式会社から、小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題5「優先審査指定品目の審査結果について」、報告させていただきます。資料9になります。
 今回、ペガシス皮下注90μg、同皮下注180μg、成分名ペグインターフェロンα-2a、コペガス錠200mg、成分名リバビリンの「C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」の効能追加について、承認申請と共に優先審査の指定申請が出され、優先審査品目に指定しましたので御報告いたします。資料の2ページに、優先審査の取扱いについて概要を示しておりますが、優先審査品目に指定するか否かについては、適応疾病の重篤性及び医療上の有用性を総合的に評価して判断をすることとしております。
 資料の1ページにお戻りください。C型代償性肝硬変は、非代償性肝硬変への進行及び肝がん発生リスクの高い疾患であることから、生命に重大な影響がある疾病と考えられ「生命に重大な影響がある疾病(致死的な疾患)」に該当すると考えられます。また、医療上の有用性についてですが、1.現在、インターフェロン製剤の適応がない「Genotype1かつ高ウイルス量のC型代償性肝硬変」に対してはHCV排除が可能な治療法が無いこと、2.それ以外の患者について、既承認のインターフェロン単独療法と直接比較できる臨床試験成績はないものの、実施された国内第II/III相臨床試験(JV19595)等の成績から、リハビリン併用による上乗せ効果は期待できると考えられること、3.安全性については、本併用療法に特異な事象は認められておらず、慎重な観察をすることで安全性は臨床的に許容できると考えられること、4.既承認のインターフェロン製剤と比較してペグインターフェロンα-2a製剤では投与頻度が低く、患者の肉体的、精神的負担の軽減に繋がると考えられることから、本併用療法の有用性は高いと考えられました。
 以上より、本併用療法を優先審査とすることとしました。この品目については、審査を経た後に、また改めてこの部会で御議論いただくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○松井部会長 資料9は報告事項ですが、実際に今おっしゃられたほかに、HCV-RNAが消える、あるいは量が減るという効果があります。これを優先品目として審査するということでよろしいですか。それでは先に進んでください。
○事務局 続きまして、報告事項議題6「医療用医薬品の再審査結果について」、報告させていただきます。資料10-1~10-3で、これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料10-1は、一般的名称は「パロキセチン塩酸塩水和物」、販売名は「パキシル錠10mg他」のものでございます。
 資料10-2は、一般的名称は「ピラセタム」、販売名は「ミオカーム内服液33.3%」のものでございます。
 資料10-3は、一般的名称は「ゾルミトリプタン」、販売名は「ゾーミッグ錠2.5mg他」のものでございます。
 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします。続きまして、その他事項について、説明をお願いします。
○審査管理課長 その他事項、議題1「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」、説明させていただきます。資料14を御覧ください。
 12月に開催されました薬事分科会におきまして、薬事分科会と部会手続きの見直しについて検討するということとなりましたので御報告いたします。「1.背景」を御覧いただきたいと思いますが、規制・制度改革に係る対処方針、薬事の承認審査にかかる手続きの見直し、あるいは新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」というところでは、薬事・食品衛生審議会の規程の必要な改正を行う、あるいは薬剤肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会におきましては、薬事審議会等の手続きに要する時間の短縮についても考慮すべきであるということ、また、○の4番目ですが、審査期間の目標値としては、来年度、通常品目で12か月、優先品目で9か月とされているところです。
 「2.現状」を御覧いただきたいのですが、別添ですが、医薬品部会と薬事分科会の審議品目を御覧いただきたいと思います。部会で審議された品目のうち、新有効成分、例えば作用機序が新しいタイプや構造が新しいものについては、部会審議、分科会審議、さらに副作用適応毒性副作用から見て慎重に審議するものについても、分科会審議ということになっております。そうしますと、部会の審議に加え、分科会の審議も1番、2番に関しましては加わるということです。そのような背景があり、分科会審議品目につきましては、部会と分科会の見直しについて、検討をさせていただくということを12月の薬事分科会で御報告させていただきまして、御了解いただいたところでございます。
 これに関しましては、3月の薬事分科会で御審議いただきまして、改正が必要ということであれば、分科会審議品目と部会審議品目の配分について見直しをさせていただきたいと思います。もちろん、安全性等についての議論も必要ですので、部会で審議いただく委員の方について、どのようにするのかということも含め、検討させていただくことになろうかと思います。以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質問等ありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 それでは、その他事項については御確認いただいた方針で事務局にて検討いただくものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次会の部会は、既に御案内のように、2月21日(月)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。
○事務局 本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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