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2011年5月27日 第3回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会議事録

医薬食品局総務課

○日時

平成23年5月27日(金)18:00~20:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省19階 専用第23会議室


○出席者

委員

片木委員 坂田委員 澤委員 鈴木委員
寺野委員 永井委員(部会長) 長野委員 七海委員
花井委員 羽生田委員 原澤委員 藤原委員
堀田委員 望月(正)委員(部会長代理) 山本委員

事務局

間杉医薬食品局長 平山審議官(医薬担当) 中垣総務課長
成田審査管理課長 俵木安全対策課長 國枝監視指導・麻薬対策課長
横幕医薬品副作用被害対策室長 関野医療機器審査管理室長 山本薬事企画官
佐藤安全使用推進室長 宿里監視指導室長 椎葉研究開発振興課長(医政局)
佐藤治験推進室長(医政局)

(独)医薬品医療機器総合機構

内海理事・審査センター長

○議題

1.医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認について
2.医薬品等監視の強化について
3.その他

○議事

○永井部会長 定刻になりましたので、第3回「厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会」を開催いたします。委員の皆様方には、お忙しい中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。事務局から、本日の委員の出欠状況について確認をお願いいたします。

○中垣総務課長 委員の出欠状況ですが、本日は望月眞弓委員が欠席です。本日は、15名の委員にご出席いただいておりますので、厚生科学審議会令の規定により、定足数に達しておりますので、会議が成立いたしますことをご報告いたします。

○永井部会長 次に配付資料の確認をお願いいたします。

○中垣総務課長 第3回厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会議事次第、座席表、資料1と資料1についての項目ごとの詳しい参考資料として資料1-1から資料1-4まで、資料2と資料2についての詳しい参考資料として、資料2-1と資料2-2を用意しております。参考資料1は委員名簿、参考資料2は澤委員からの意見書、参考資料3は片木委員からの意見書、参考資料4は長野委員及び藤原委員からの意見書です。資料は以上です。なお、前回までの配付資料及び議事録をファイルにまとめて机の上に置かせていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

○永井部会長 議事に入ります。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。3月の第1回部会で、委員の皆様にご了承いただきました「今後の検討の進め方」に従い、本日は「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認等について」及び「医薬品等監視の強化について」の自由討論を行います。まず、資料1に従い「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認等について」の説明を事務局からお願いいたします。

○成田審査管理課長 資料1「医療上必要性の高い医薬品等の迅速な承認等について」をご説明させていただきます。(1)から(4)の観点でこの資料をまとめております。1頁は、(1)から(4)の観点でお示しいたします論点を、医薬品等の基礎研究から承認に至るまでの開発ステージのどのステージに対応するのかをお示ししたものです。
 2頁は、(1)「医療上必要な医薬品・医療機器の承認審査、開発について」です。論点として4つ掲げております。1つ目は、欧米で使用されている医薬品・医療機器が早期に使用できるよう、ラグの解消に向けた一層の取組みを進めるべきではないか。2つ目は、希少疾病の研究については、薬剤疫学的研究等の促進とともに、公的基金の設立による支援を検討すべきである。これは、最終提言でご指摘いただいた項目です。3つ目は、希少疾病に関して、患者数が極端に少ないなど開発が困難な分野について、開発に着手しやすくするための、更なる環境整備が必要ではないか。4つ目は、画期的な研究成果を実用化に結び付けるための基盤整備が必要ではないか。
 「現状」は、ラグの解消に向けて医薬品・医療機器総合機構(PMDA)の審査人員の増員、相談体制の整備、事前評価相談制度の導入、ガイドラインなどの審査基準の明確化等の取組みを進めております。これらに加え、革新的な医薬品・医療機器の創出に向け、優れたシーズを実用化につなげる薬事戦略相談の創設をすることとしております。また、世界で先行している未承認薬等について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会の検討に基づいて、企業への開発要請等を行っております。医療機器については、「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で対応しております。承認に当たっては、薬事・食品衛生審議会の手続が必要ですが、手続の見直しを行ったところです。
 3頁は希少疾病用医薬品・医療機器についてです。希少疾病用医薬品・医療機器については、薬事法に基づいて対象患者数が具体的には5万人未満であること。医療上の必要性、あるいは開発の可能性を要件として、一般的に探索的試験結果を基に、指定の可否を判断しており、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、最終的に指定をしております。希少疾病用医薬品・医療機器の指定を受けると、医薬基盤研究所における試験研究に関する指導・助言及び助成金の交付を受けることができます。また税制上の優遇措置も受けることができます。また、PMDAにおける優先的な治験相談・審査の実施、申請手数料の減額等を受けることができます。
 なお、医薬基盤研究所が行う希少疾病用医薬品・医療機器に係る業務については、昨年度の事業仕分けの結果を踏まえ、「平成23年度から国による実施スキームを構築する」とされたところです。
 「留意点」を5項目掲げております。1点目は、更なるラグの解消に向けて、有効性や安全性の評価を十分に行いつつ、開発期間や審査期間短縮のために、審査や調査手続について一層の効率化を図るべきではないか。2点目は、細胞・組織加工製品(再生医療製品)など先端的技術を用いた製品の開発初期段階から、開発の支援のための薬事戦略相談の強化・充実が必要ではないか。3点目は、先端的技術を実用化につなげるための各種ガイドラインの策定等が求められておりますが、先端的技術に対応した適切なガイドライン策定の基盤として、レギュラトリーサイエンスの研究を充実させることが必要ではないか。4点目は、希少疾病用医薬品・医療機器の更なる開発促進のため、試験研究に関する指導・助言体制を充実させるとともに、助成金額の充実や患者数に応じた助成率の引上げが必要ではないか。5点目は、医療上の必要性の高い医薬品・医療機器については、早期の段階から開発を支援するため、希少疾病用医薬品・医療機器指定制度の柔軟な運用や、開発者を幅広く支援する観点から、法的措置を視野に入れた新たな制度についても検討してはどうか。
 4頁は、希少疾病用医薬品・医療機器の指定制度について、目的と指定要件、支援内容について、先ほどご説明した内容をもう一度説明したものです。5頁と6頁は、これらに関連する条文です。
 7頁の(2)は、「医療上必要な医薬品・医療機器へのアクセスについて」です。「論点」として、代替医薬品のない疾患や希少疾病に対し、患者数が極めて少ない等により承認申請が進まない国内未承認薬について、適正な使用等が行われるよう、例えば欧米で制度化されているコンパッショネート・ユース等の人道的な医薬品の使用手続の国内導入等の例外的使用システムを構築すべきである。その際は、かえって薬害を引き起こすことにならないよう、また企業が承認を得るインセンティブを失うことのないよう、未承認薬状態をかえって長引かせることにならないよう、慎重な検討と制度設計が必要である。いずれも最終提言で指摘していただいている項目です。
 「現状」は、治験は承認申請の資料の収集を目的として、医薬品の臨床研究の実施の基準に関する省令(GCP省令)等に従い、企業治験又は医師主導の治験として行われております。個人輸入については、「医薬品等輸入監視要領」に基づき、治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、自己の責任の下、自己の患者の診断又は治療に供することを目的とする等の確認を、地方厚生局において受けることが必要となっております。
 未承認薬の個人輸入において、重篤な副作用の発生したものの、副作用の報告制度がないことから、患者の安全確保に問題があった事例がある。エイズ治療薬等、海外未承認薬を用いた臨床研究を実施することにより、患者による医療上必要な医薬品・医療機器へのアクセスを図っている場合がある。
 臨床研究のうち、高度医療評価会議において研究計画の妥当性、倫理性等の評価が得られたものについては、保険併用を可能とすることにより、患者へのアクセスが図られている。
 8頁で「留意点」です。例えば致死的な疾患や、日常生活に著しい支障がある疾患で、代替治療がない等、特に医療上の必要性が高い医薬品等について、治験の参加基準に外れるなどの理由で治験に参加できない患者に対する、新しいアクセス制度を検討すべきではないか。このアクセス制度においては、倫理性や安全性の確保に加え、副作用報告等も含めて適正な管理を行うべきではないか。本来、医薬品等は有効性、安全性を確認し、薬事法に基づく承認を得て使用されるべきであり、企業による未承認・適応外薬等の承認取得のための開発を阻害しない制度とすべきではないか。
 患者の経済負担の軽減に配慮しつつ、一方で医療上の必要性に鑑み、有効性・安全性が確認されていない医薬品等を使用するものであり、患者、医師(医療機関)、企業がそれぞれ応分の負担やリスクを受け入れ、相互に協力できる制度とすべきではないか。
 9頁は、アクセスの考え方についての図です。現状では治験、臨床研究というものがあり、そのほかに個人輸入が行われています。個人輸入のうち、国内で治験が開始されているようなものについては、致死的な疾患や日常生活に著しい支障がある疾患であり、代替治療がない等の医療上の必要性が高い医薬品等については、倫理性や安全性の確保に加え、副作用報告等も含め、適切な管理を行うアクセス制度を検討してはどうか。
 10頁、倫理性、安全性の確保方策をとった上で、副作用報告等の情報を承認申請に際しても活用できるような検討ができるものと思っています。以上(1)(2)についてご説明させていただきました。

○椎葉研究開発振興課長 (3)臨床研究のあり方についてご説明させていただきます。論点は2点用意しております。いずれも最終提言でご指摘をいただいたものです。1点目は、治験以外の臨床試験と治験を一貫して管理する法制度の整備を視野に入れた検討を継続すべきである。その際、被験者の人権と安全が守られることが絶対条件であるため、被験者の権利を明確に規定すべきである。
 2点目は、臨床研究に関する情報です。公共の財産とも言うべき側面があり、公正さを確保するためにも、登録と積極的な情報公開が求められている。登録の義務付けや、登録内容と開示範囲の一層の拡大が必要である。
 2.現状の1点目は、人を対象とした医学系研究ですが、薬事法に基づく承認申請を目的に行う治験と、それ以外の臨床研究に大きく分かれます。臨床研究の形態は、医薬品や医療機器を用いた介入研究のほか、手術方式を比較するなどの、医薬品等を用いない介入研究や、カルテなど診療情報を用いた観察研究など多様な形態があります。また研究計画の内容に応じ、種々の倫理指針、これはほとんどが大臣告示ですが、例えばヒト幹細胞を使用した研究については、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針が適用されることになり、その遵守が求められるところです。
 2つ目は、医師自らが行う医薬品・医療機器を用いた介入研究について、医師主導治験として実施する場合ですが、これは薬事法に基づく臨床試験の実施の基準(GCP)により、またそれ以外の場合については法に基づいたわけではありませんが、臨床研究に関する倫理指針が適用されることになります。この2つの中身について比較いたしますと、倫理審査委員会、インフォームドコンセント、健康被害の補償措置等に関しては同じように規定されているところです。
 他方GCPの基準は、モニタリングや監査、記録の保存など、データの信頼性保証に関する規定が、臨床研究指針よりも厳密となっているところです。これにより、データの信頼性が保証されることから、医師主導治験の結果を承認申請に用いることが可能となっています。
 12頁ですが、臨床研究であっても、保険併用ができるものがあります。これについては第3項の先進医療、いわゆる高度医療というものですが、この高度医療については、高度医療評価会議において、研究計画の妥当性や倫理性等の評価を行い、また実施する医療機関の要件等を定めた上で行うことにしております。これにより、治験や薬事承認につながる科学的な評価可能なデータの収集ができるといった迅速化を図っているところです。
 これまでの実績ですが、医師主導治験については、平成16年から6年間の届出プロトコール数が40件、高度医療は平成20年度からの3年間で36件にとどまっているところです。次の○は、論点に示された臨床研究の法制化などについてです。現在の臨床研究指針については、平成20年7月の改正の際において、被験者保護の一層の向上を図るために、医薬品等を用いた介入研究の場合の健康被害に対する補償措置を盛り込むなどをしたところです。この際、法制化について、欧州で見られるような、臨床現場での負担や萎縮、それに伴う医療の提供に対する支障や、医療の硬直化等のデメリットなどが指摘された経緯があり、5年後の平成25年7月を目途とした全般の見直しの議論において引き続き検討することとしております。
 登録や情報公開については、患者さんや国民の皆さんに対する臨床研究・治験の普及啓発と情報提供のために、平成19年10月から国立保健医療科学院において、臨床研究登録情報検索ポータルサイトを開設しております。これにより、臨床研究・治験の透明化の確保に努めているところです。これまでの臨床研究の登録数は7,051件になっております。
 3番目に「留意点」として、臨床研究の法制化を含めたあり方については、先ほどもご説明いたしましたが、平成20年7月の改正の際に一度議論しているところですが、5年後の平成25年7月を目途とした臨床研究指針全般の見直しの議論、これは舞台が厚生科学審議会の科学技術部会になっておりますが、こちらにおいて引き続き検討する予定となっております。
 次の○では、医療上の必要性の高い医薬品等の早期承認のためには、一定の質が確保された臨床研究を推進する必要があるのではないかと考えております。このため、我が国の企業主導治験の中心的役割を担うとともに、医師主導治験や、高度医療など質の高い臨床研究が実施できるような医療機関(臨床研究中核病院)の更なる整備。整備の中には、必要な人的体制や設備のための支援が必要ではないかということでまとめさせていただいております。
 13頁は、「臨床研究」と「治験」の違いについてわかりやすく示したものです。14頁は、「臨床研究に関する倫理指針」における「臨床研究」と「介入」の定義などを書いております。以上です。

○関野医療機器審査管理室長 引き続き15頁から始まる(4)医療機器のところについてご説明いたします。いままで説明のありました(1)から(3)の部分に関しても、基本的に医薬品のみならず医療機器についても検討対象に含まれているところですが、15頁から始まる(4)については医療機器固有の検討項目ということで掲げさせていただいております。3つの項目に分かれていますので、簡単にご説明させていただきます。
 15頁の(4)1は「改良・改善の円滑化と製品の安全確保」というタイトルを振っております。1.論点のところで、医療機器に関しては国内有数の技術の進歩、医療現場からのニーズを製品に反映させ、かなり継続的に改良・改善が重ねられる性格を持っております。この辺りは、かなり機器特有の性格ではないかと思っております。そういう改善を図るに当たり、「現状」の2つ目にありますように、実際に個々の承認を得た医療機器に関して、その変更の度に原則一部変更承認申請が必要になってきますが、医療機器の改良・改善のスピードに対して、現状こういう承認申請の制度が対応しきれているかどうかというところに関して指摘があるということです。
 そういうことを踏まえ、16頁の「留意点」をご紹介いたします。いま申し上げたようなことに対応するために、留意点に書いた2行目のところですが、一部変更承認が不要な範囲について、更にいろいろ明確化を図り、医薬品とは少し異なる運用により、その改良・改善に対応していくことが、むしろ医療機器が医療上必要なものとして使われる上で必要ではないかという点での検討です。その際、留意点の1行目にありますように、「QMSによる設計開発管理の下」ということで、これはQuality Management Systemの略ですが、個々の医療機器の承認に当たり、製造する企業に対して改良・改善を行った場合の品質の保証、改良・改善を行った結果、それが臨床上どういう影響を及ぼすかといったリスクベネフィットに関する管理、影響評価というものを求めております。この辺りを徹底することにより、一部変更承認が不要な範囲について、更に明確化を図っていくことが可能かどうかという点での議論です。
 17頁の2「品目ごとのQMS調査の見直し」に関しては、「現状」の1つ目の○のところで、いま申し上げたQMSに関しては省令で、正式には「製造管理及び品質管理の基準に関する省令」というものですが、これに適合しているかどうかを確認しております。
 2つ目の○の1行目にありますが、この確認行為は、医療機器の承認を受けるとき、あるいはその承認を受けてから5年ごとという形で定期的に行っているものですが、このQMSというのは先ほど申し上げたように、製品の改良・改善に対して、その管理の体制を求めているものです。一方で、製造所の中で行われている管理体制に関しては、おそらくその製造所単位で品目ごとによらず、同じ管理体制を求めている可能性も多々あり、品目ごとにこのQMSの調査を行うことに対して合理性があるかというご指摘があります。
 したがって、品目ごとの調査ではなくて、一部の品目に関しては一定の範囲を定めることにより、品目ごとではなく、製造所単位で行うようなことが可能かどうかという点での検討項目になります。
 18頁の「留意点」のところにもありますとおりヨーロッパやアメリカにおいては、一部品目ごとの調査ではない形式をとっている部分もありますので、こういうものも踏まえながら見直しの検討ができるかどうかということです。留意点の2つ目にあるとおり、人体へのリスクの高い品目については引き続き品目ごとに確認することも踏まえながら、品目ごとでない調査が可能かどうかについてご議論いただければと思っております。
 19頁の3その他です。これについては非常に細かい話になるかもしれませんが、論点の2つ目の○で、医療機器は非常に多種多様なものが含まれております。ここに示したような大型医療機器で粒子線治療装置のようなものだと、許可を受けた製造所できちんと品質を担保して作ってくださいということを制度上求めているわけですが、実際は組み立ててしまった最終製品はなかなか持ち運びが不可能なものも現にあります。したがって、医療現場で組み立てる行為を行わざるを得ない部分がありますが、こういう大型の医療機器の製造に関して、いまの薬事法が想定していない部分もあり、制度上明確でない部分もありますので、こういうところに対して明確化できないかということです。
 一方で情報技術の発展とともに、ソフトウェアが画像診断や情報の解析に使われている状況です。この情報が診断に一定の影響を及ぼすことも考えられますので、こういうものについても、医療機器として扱うべきかどうかも含め、現状そういうものを取り入れるだけの制度になっておりませんので、何らかの受け皿になるような制度に見直していくべきではないかということが論点です。
 いま申し上げたことが「現状」あるいは「留意点」のところに繰り返し書いてありますので、その下の説明は省きますが、こういう現状に則した制度上の対応をとることが合理的ではないかということで項目として挙げさせていただいております。それ以降については参考資料ですので、少し機器についてわかりにくい点があろうかと思いますので、後ほどの自由討論の中で、必要があれば適宜補足的に使わせていただければと思っております。以上です。

○永井部会長 ご質問をお受けしたいと思いますが、その前に澤委員から意見書が出されておりますのでご説明いただけますか。

○澤委員 参考資料2です。本日出させていただきましたのは、私たち研究者もしくはユーザーとしての立場であり、かつ学会の立場であると同時に、医療イノベーション推進室の立場からも、イノベーションを推進するための薬事法の関連規制に対して提言を申し上げたいということです。
 ここにあるような項目が挙げられます。特に薬事法全般に関することと、後半では医療機器、特に再生医療についてはそのような項目もありませんし、特殊性、これから開発段階、しかもその成果というか応用が非常に早期に求められている観点からも、是非この規制に関する提言をさせていただければと思っております。

○永井部会長 この件は、先ほど議題1で説明していただいた内容と関連がありますが、本日は非常に盛りだくさんなものですから、次回の議論ということでよろしいでしょうか。

○澤委員 はい。

○永井部会長 澤委員からの意見書については、次回改めてご説明をいただいた上で議論したいと思います。第4回のこの部会で、医療イノベーションについて、更に詳細にご説明いただいて、ご議論いただきたいと思います。事務局から説明のありました資料1の内容についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

○片木委員 参考資料3を使って少しお話をさせていただきます。議論に入る前に、薬が届かないという患者さんに対する1つの問題についても知っていただけたらと思っています。迅速に必要な医薬品・医療機器を患者さんへ届けるという面で、先ほどの事務局からの説明の中では、未承認薬であったり、希少疾病であったり、これから医療を創出していくための観点は入っていたのですが、その中でちょっと抜け落ちていると思うのが適応外薬の話だと思います。
 2頁で適応外薬です。2頁から4頁までに付けているように、がん領域ではずっとある疾病には使えるのに、ある疾病には使えない、同じがんなのに使えないという問題で、患者さんはずっと闘ってきました。近年でも、私たち卵巣がん患者も、2000年ごろに膵臓がん患者が闘ったゲムシタビンで、同じゲムシタビンが欲しいということで私たちも闘ってきました。来週の月曜日には、膵臓がん患者さんが、肺がんで使える薬を自分たちにもということで署名を提出するという闘いがいまでも続いています。
 なぜ、こういうことががんで続いているのかというと、5頁で、例えば2009年にアメリカのASCOで発表されている臨床試験なのですが、乳がん患者さんに対して、国内の未承認薬と、適用されているゲムシタビン、そしてカルボプラチンという3つの薬の併用療法が有用ではないかという臨床研究の発表がありました。この研究に関しては第3相試験で少し疑問点も出てきたので、これから追跡をされるような話ではあるのですが、これがもし有用となったときに、1990年に発売されて、いろいろながんで承認されているカルボプラチンは、いわゆるジェネリックも出ている状態で、乳がんに有用だと出たら認めてもらえるのか、誰が開発に乗り出すのかというとても難しい現状がいまあるのではないかと思っています。
 6頁で、抗がん剤である薬が承認されて、それが長い時間経った後に、用法・用量とか、ある薬と組み合わせることで使えるようになることが発見されます。それで55年通知問題が中医協で去年話合いがなされて、いまも継続されています。私たちも、71のがん患者会が、こういう問題をなんとかしてくれと中医協で出しているのですが、薬に保険だけでも付けてほしいのだというような話ではあるのですが、こちらに関してもなかなか進捗が難しいと思っています。
 8頁からは、先ほどの事務方の資料の中でも話が出ていた、医療上必要性の高い未承認薬適応外薬検討会議というのも出ているのですが、議事録から若干抜粋させていただきました。現場ではハロペリドールは患者さんに対して使っているのに、これに関しては医療上必要性が高いと認められませんでした。そのやり取りが載っているのですが、現場で使っているとか、9頁の表にあるようにハロペリドールは名だたる緩和の学会が要望しているにもかかわらず、医療上の必要性が認められないという状態で、やはりこの中でも落ちてくるものがあります。
 10頁も、先ほど事務方から紹介されましたが、一部の薬は保険適用が前倒しになっているというのですが、企業にとっては前倒しされても、プロモーションができないということで、先生方にこの薬が保険で使えますというアナウンスができないということで、先生たちが使えることを知らないのです。
 これで、「医師に説明することができない」と書いてあったのですが、それは先生たちにお知らせができないということで、使い方を求められれば教えることはできるらしいのですけれども、それができないということで、これは薬事法なのか、制度なのかと言われると、もしかしたら制度論かもしれません。点ではドラッグラグに関しては少しずつよくなってきているのですけれども、面ではよくなっていない現状があるような気がしています。
 11頁に患者さんのお手紙を抜粋させていただいております。薬があることで患者さんが一体どういうふうに思っているのか、薬が承認されることでどのように患者さんが時間を過ごすことができるのかという基本的なものだと思いますので、できればお時間のあるときに読んでいただいて、薬を患者さんに届けることという意味を考えていただけたらと思っています。
 私たちは、この話というのは先ほども申し上げましたように、適応外の問題に関しては薬事法でできることは少ないのかもしれません。製薬業界の方たちに教えていただけたらと思うのですが、適応外の問題で、薬事法でもしハードルになっているものがあるのであれば、できればそれを課題として出していただいて、そこを考えることができないのかということです。
 ドラッグラグというのは、欧州の薬であったり、米国の薬だったりということもあると思いますので、欧州製薬協、米国製薬協といった所で、実際にどうして適応外の薬が乗り出せないのかというところを原因として聞くことが大事なのかなということ。先ほどご紹介したように、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」でも、現場で使っている薬がなぜ医療上必要性が高いと認められないのかという議論があるので、こういう議論で提言されている先生方をヒアリングに呼んでお話を伺うことができないのか。薬を届けるということは、やはりこういうことだと思いますので、患者の気持をまず知っていただきたいと思って時間を取っていただきました。ありがとうございました、以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。ただいまの件につきましてどなたかご意見ございますか。

○長野委員 長野です。製薬産業に身を置くものとして委員で参加させていただいています。いま片木委員からのお話につきましては、今日、きちんとしたお答えができるものを用意していません。したがいまして今後の様々な議論、意見交換の中で、製薬協としても議論をできる限りいたしまして、この場で発表できるような形につなげてまいりたいと思います。それから、私と藤原委員連名で参考資料4で意見を取りまとめております。
 引き続きポイントのみ触れさせていただきたいと思います。本日ここに掲げたものは先ほど事務局からもご説明があったことをすべてを網羅しているわけではございません。しかし、片木委員からもご紹介のあった製薬協の中で、数年来、様々な議論を重ねてきた中で、本日私たち両委員の考え方ということで説明をさせていただこうと思います。若干お時間を頂戴いたします。ちょっとわかりづらい文脈にもなっていますので、補足をしますと、「我が国が」とありますが、我が国の製薬企業自身が、自ら計画を立てて新薬をはじめ医療上必要性の高い医薬品を迅速かつ自立的に開発できる体制を確保することは、製薬産業自身として必要なことだと痛感しておりますし、加速しなければならないと思っております。そのことをまず冒頭に申し上げます。
 これまでの取組みにつきましては、ご案内のところでございますので、これまでの取組みの(1)と(2)につきましては割愛をさせていただきます。(3)(4)の製薬産業の取組みの現状について少し補足をいたします
 まず(3)の「世界同時開発の推進」ですが、様々な施策を追加していただいたことにより、日本国内におけるドラッグ・ラグの解消が順次進んでおりますし、それに向けて企業も努力しております。特に先般、国際共同治験に関する基本的な考え方を厚生労働省より示していただいたことによりまして、新しい薬については、ここにきて世界同時申請を達成する企業も出てきております。そういう効果が現実的に現われてきています。
 (4)は「未承認薬・適応外薬の開発促進」ですが、これも片木委員、あるいは患者会の皆様、学会の皆様からまさに医療上必要性があり、日本で使えないということをずっとご指摘を受けて、今日に至っております。これもご理解いただいているところは一部あると思いますが、製薬協で2009年に会員会社の協力を得て、支援センターを作りまして、今日に至っております。検討部会で検討していただいたもの、過去の宿題を清算できましたが、まだまだこれから続いていくものと自覚をしております。
 最後ですが、「今後取り組むべき課題」を挙げています。まず臨床研究と治験ですが、先ほど事務局からご説明がございました。私どもは患者さん、そして臨床現場の先生方の望む医療ニーズの高い医薬品を迅速に開発・承認を取得するために、日本国内において、時間がかかるかもしれませんが、臨床研究の実施基準と治験の実施基準の統一化に向けてご努力いただきまして、グローバルに通用する水準にすべきだと思っております。少し言葉を補足いたしますが、今後予定されております指針見直しの中で、是非とも検討していただきたいと思います。その際、我が国で実施されるすべての臨床研究が、できればグローバルレベル即ちGCP基準下で実施されるように、指針の見直しについて継続的に検討をお願いしたいと考えております。日本の臨床研究が、世界水準で実施されるということになりますので、大変重要だと思っております。
 2番目の希少疾病用医薬品です。この指定制度の改善ですが、改善に向けた期間の短縮、あるいは相談部門の設置、手続業務の簡素化、指定のための患者数枠の拡大。補足いたしますと、米国ではオーファン指定を受けた新薬を日本で開発したいというときに、日本は患者数が5万人以内、米国が25万人とオーファンの基準は異なっております。人口比が1対2程度としますと、米国でオーファン指定を受けて開発が進んでいる。日本国内でドラッグ・ラグをなくすようにした場合に、5万人という枠が少し小さいというケースがどうもあるようです。特に欧米企業などは、5万人の枠ということと米国の25万人の枠とのギャップがかなりあるために、なかなかスムーズな連続的な開発が国内でできないという現状を抱えているようで、是非改善できればという要望を持っております。少し言葉を付け足しますと、希少疾病用医薬品につきましては、開発支援体制が最も重要な要素になると私どもは思っております。本領域は、ベンチャー企業など企業規模の小さな会社が手がけることが多くございます。指導・助言について専門性を有している基盤研の体制の充実・強化というのが非常に大事だと思っております。そして予算の増額ということもあります。是非これまでよりも後退してしまうことのないような施策をしっかりやっていただきたいし、加えて、先ほどご紹介がありました事業仕分が昨年の春あったわけですが、何とかそういったものを克服して、基盤研での様々な事業を強化していただけないのかというのが、製薬産業サイドのお願いでございます。
 最後になりますが、これは先ほども出ておりますが、あるいは澤先生もご指摘でしたが、POCを大変充実しなければならないと思っています。法改正事項ではありませんが、早急に進めるべきことだと思います。申し添えますと、製薬企業においても開発着手の早期化、効率的な開発、開発可能性の早期見極め。いわゆる希少疾病用医薬品の開発にこれまで以上に努力することが課題であると認識しておりますし、実現に向けた経営努力を加速しなければならないと認識しておりますことを、最後に申し添えます。長々申し訳ございませんでした。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。

○堀田委員 いまのお二方のご発言を伺っていまして、日本は世界の潮流と随分かけ離れている大きなポイントが2つあると思います。1つは臨床研究と治験が全く別個に構成されていて、臨床研究の成果は公知申請などが一部ありますが、基本的には薬事承認のパッケージとしては使えないという状況があって、いくら臨床研究を積み重ねても、その成果が行政に反映することは少ないという問題が1点です。これに対していろいろな提言が今回もあるので、深める必要がある点だと思います。日本では、臨床研究には倫理指針がありますが、これは法ではありません。大臣の告示であって、これと薬事法とは随分の乖離があるということです。いちばんポイントとなるのは、やはり品質保証で、モニタリングやデータの管理とか、あるいは監査などが指針には抜け落ちているというところがいちばん大きなポイントだと思います。この整合性をどのように付けて、日本の臨床研究が将来の薬事承認にもつながるような、質の高い研究になっていくか、これが日本の臨床研究の大きなポイントだと思います。
 もう1つは、高木委員が申されましたが、適応外使用にしても、日本のいまの保険制度の中ではすべて薬事承認を前提にしているという点です。長年の歴史があるものですから、一概にいいとか悪いとかは言えないのですが、現実にはこれが患者さんに迅速にあるいは世界の標準治療が早く患者さんに届かない1つの原因になっているのが事実だと思います。海外では、何らかの形で薬事承認と保険の償還というのは、必ずしも一対一でリンクしているわけではなくて、保険ではもう少し広くカバーをされるということが、現実あるわけです。その点をどう考えるかということは、薬事法の直接の問題ではないかもしれませんが、日本が世界と大きくずれているといいますか、日本がガラパゴス化している2つの点だと私は思っています。この際、何らかの解決を図るべき内容だと思っています。

○澤委員 私も論点として臨床研究についてということと、希少性疾患に対する対応について意見を述べさせていただきたいと思います。まず、臨床研究について、いま堀田委員、長野委員がおっしゃったことは、私ももっともだとは思いつつも、私たち臨床研究をやっている立場で言いますと、確かに以前は企業治験かもしくは医師法だけでやる臨床研究しかなかったのです。ところが、いろいろな整備が進んで、新しい治療法に関して先ほど言いましたように、ヒト幹細胞の臨床研究の指針など、非常に厳密に守っているところです。それと、臨床研究の状況は必ずしもすべてが薬事承認を得るための臨床研究ではない。そうした場合に、臨床研究の指針に沿って、倫理性とかきっちりと感作のリスクベネフィットを説明した中で、しかもほぼGCPに基づくような、かつ、ある程度GMPレベルを準拠したような臨床研究をやるような仕組みがいま作られていますので、そういう意味ではステップバイステップに進化していくのかな。一足飛びにいってしまうと、例えばアメリカでもすべて臨床研究はFDAで縛っている中には、やはり臨床研究はそれで済まないという意見もあります。私は日本の制度は、そういう意味では一見中途半端な、勝手にやれるように見えたかもしれませんが、新しい研究開発については遺伝子治療にしても細胞治療にしても、そういうステップになってきています。堀田委員がおっしゃることをものすごく痛感していて、ヒト幹細胞の臨床研究を指針でやった中でも、レベルというか、安全性は確保されても、有効性がはっきり出なければ治験になかなかいけないです。有効性が出てきたら、これは企業治験にいくべきで、その辺りの連続性を見極めるように、いまの日本のシステムはできているのではないか。
 問題点はむしろそのようなことに関わっていない医師法でやっている臨床研究であって、臨床研究というのか、勝手に個人輸入でやったりしますよね。そこはもっとしっかりと考えないといけないのだろうと思っています。その中間のレベルの新しいがん細胞の研究とかその辺りはいまいろいろな整備がされて、うまくいきつつあるようにも思いますし、そこは確かに常に臨床研究と治験との連続性を思っている人間としては、総論的には堀田委員の意見に賛成なのですが、若干その辺がステップバイステップかなと思います。
 あと、希少性の話、オーファンについては、先ほど来、長野委員がおっしゃったことと同じで、事業仕分でせっかくオーファン・ドラッグの良い制度があって、それが進んでいて、それを国の実施スキームにというようなことになって、オーファンラグがまた逆にタイムラグを生じて、せっかく基盤研で制度、もしくは体制ができているわけですから、それを国に移管しているタイムラグよりは、むしろ基盤研をもっと充実していただくなり、事業費をもっと増やしていただくのが非常に重要だろうと思います。あと、内容的には機器があまり利用されていないのです。オーファン・ドラッグという形で言っていますが、デバイスという言葉もオーファン・ドラッグアンドデバイスという形で進めていただければ、しかも既に基盤研がそのように整備されているわけですから、それをむしろ逆に活生化して、弾力性のある事業に進めていただきたいと思います。以上です。

○永井部会長 先ほどの臨床研究の体制のことですが、やはりまだまだGCP対応をするためには相当なマンパワーとデータマネジメントと施設が必要だろうと思うのです。まずどのくらい必要か積算してみて、ステップバイステップでいかないといけないでしょう。いきなりそうあるべきだというだけでは話が進まないように思うのですが。

○堀田委員 私も別に一足飛びにいかなければいけないと言っているわけではなくて、少なくとも人を対象とする介入試験で、例えば未承認の薬であるとか、適応外薬を用いて臨床試験をやる場合は、せめてそこを押さえられるようにしていたいと思っています。臨床試験全部に法で網をかけるよりは、例えばこういう施設でやってくださいというように臨床研究拠点というような形で整理するのも1つの方法だと思います。すべての研究を全部最高レベルで一本化してやらなければいけないと言っているわけではありません。しかし、例えばいまポータルサイトに7,000件の臨床研究が登録されています。あれは介入を伴うものを登録するという話になっていると思うのですが、7,000件の臨床試験が本当にいま日本で必要かと私は単純に思います。本当に良いものをもっとセレクションして、そこできちんとしたエビデンスを出していくということが大切で、それをサポートするシステムを作っていくのがいいのではないかと思います。

○花井委員 いまいくつか議論が出たところと重なります。2つだけその中で指摘したいことがあります。まずオーファンについて、資料1の2頁と3頁に該当するところですが、閣議決定でいわゆる国が実施スキームを構築するという部分については、PMDAから移管したいわゆるオーファンの助成事業については、直接的には及ばないと理解しています。その辺をあとで説明してほしいのですが、実はこの基盤研にこれを移管したときの思いというところで、いわゆる助成という事務的手続きもあるのですが、基盤研の中でこの事業だけが、薬のタイムラグの中でいちばん後ろの事業なのです。ほかは基盤研は大体いちばん最初のシーズの部分を扱っているわけです。特に希少疾病でも、5万人ではなくてさらに小さいウルトラオーファンで開発のインセンティブが非常に低いけれども、難病で少数の患者さんが困っている部分を何とか助けるようにしてほしいというのを国会でも議論して、基盤研に移管した経緯がありますから、基盤研のいわゆるシーズをウルトラオーファンの難病の患者さんに何とか製品化して届けるという部分については、この閣議決定は極めて遺憾な話です。いまいくつか議論が出て、委員会でも指摘が出たので、今回は取りまとめがあった時点で、やはりここについては基盤研の役割というのを、本当に困っている患者さんを助けるシーズを製品につなげるという、いわゆるこのオーファン制度とはもうちょっと別の、前のほうからつなげていくということを期待していたことが、基盤研としてはやりにくい環境になりつつあるので、そこをちゃんとしてほしいということが1点。
 もう1つはいわゆる個人輸入の件です。7頁にコンパッショネート・ユース等々の議論で出てくるのは、先ほどちょっと澤委員からもあったのですが、臨床試験でガイドラインによってちゃんとやっている分はだいぶよくなっているわけです。問題視するのは、要するに適当にやっているというのは悪いのですが、個人輸入をして患者負担にして、何かすごくいいぞという宣伝で患者が多額の負担をしながらそれを使わされていると言ったらなんですが、患者は藁にもすがる思いですので、個人輸入全体を制度的に縛るというのは困難だとは思うのですが、やはり本当に必要な部分についてはちゃんと研究班を立てていただいて、研究班等々でいわゆる個人輸入医薬品を扱う。患者さんが研究班ベースになれば、患者さんの負担も減るから、高額なほうに患者もいきにくいという構造になるので、これは一部例外的に熱帯病とかエイズでも若干研究班を利用した例がありますが、研究班を薬事というか医薬食品局マターでもいいので、最初は科研の指定研究的なものでもいいですし、いろいろなスキームでもいいのです。そうすると、研究班であれば、エビデンスのフィードバックが確保できるので、書くかどうかは別として、やはりある程度公的な監視の下で個人輸入ができるスキーム、お金を増やすと。そうすると患者さんの負担も減ると。法外なお金を取っている所から患者が遠ざかるというので一石二鳥ではないかなと思います。この2点についてご検討いただければと思います。

○永井部会長 ありがとうございました。

○片木委員 私も個人輸入に対しては少し思いがあります。例えば先日もある放射線の末梢血細胞移植に関して、ある病院が末梢血を早く取れる未承認薬を50人分輸入したというような記者会見の報道があったと思うのですが、7頁の下の「現状」の2を見ると、「自己の患者の診断又は治療に供することを目的とする等の確認を」と書いているのですが、それに関しては、どこの誰べえさんに使うために輸入したというのとはどうも違うイメージを報道から受けたりとか、いま、不活化ポリオの問題がとても話題になっていますが、もう不活化ポリオのワクチンはうちにはありますというような医療機関はいっぱいあると思うのです。先日、予防接種部会で進展はあったのですが、もちろん生ワクチンでポリオにかかってしまうという問題が報じられる中で、やはり不活化ポリオの必要性があるのに、なかなかそれが国で認められないという問題からやむを得ずという所もあるかもしれないのですが、どこの誰べえさんに打つのかわからないものが輸入されて使われて、それが把握されていない状況になっていくのは、すごく怖いなと思っています。
 また、私が所属している所の患者さんでも、どうしても治療の手段がありませんということで、自費診療のクリニックに行って治療を受けている患者さんがいるのですが、その際にも本当に卵巣がんに対してエビデンスがあるのかというような未承認薬の名前がポンポン出てきます。それがブログで拡散されていってどんどんそういう所に患者さんが飛び付く現状があるので、こういう所に関しては先ほど花井委員がおっしゃったような話も含めて、もっときっちりと考えていけるようにしていただけたらと思っています。

○坂田委員 2頁の2の「現状」の3番目の○なのですが、「医薬品等の承認に係る薬事・食品衛生審議会における手続きについて、安全性の適切な評価や透明性の確保を図りつつ、効率的な運用が求められており、部会審議の充実等を図った上で、分科会/部会の審議の対象範囲の見直しを行ったところ」とあります。最終提言書の50頁なのですが、承認手続き、審議の中立性、透明性等のところなのですが、6行読ませてください。「承認審査の透明性を図るため、薬事・食品衛生審議会での承認に係る審議や資料を公開することを含め、審議会の公開等の在り方を見直すべきである。必要に応じ、サリドマイドの再承認に際し、承認前に審査報告書等を公開してパブリックコメント募集手続を行い、安全管理方策については、公開の検討会で審議した例にならって、より積極的な公開手続を組み入れるべきである。」と書いてあります。今回、急ぐことや効率の話ばかりで透明性が出てこないというのを、とても私は不安に思うというか気になっています。この部会も議論すべきではないでしょうか。承認前に審査報告書を公開すべきではないでしょうか。サリドマイドの件も法律の改正なしで審議会にかける前に、パブコメを募集し、そして公開の検討会で審議されていますよね。第三者が承認前にチェックできるようにすべきだと思うのですが、どのように考えられていますか。それと、最終提言書を見ていたのですが、最後の部分の厚生労働省とPMDAのアンケート部分がすっぽり抜けているのですが、それはなぜですか。なぜ抜かれているのかわかりませんが、最終提言書はホームページで公開されていますので、すべての分を委員に配っていただくよう、是非よろしくお願いします。

○永井部会長 事務局。

○成田審査管理課長 ただいまご指摘いただいた点ですが、薬事・食品衛生審議会の審議の取組みにつきましては、薬事・食品衛生審議会のほうでご議論いただきまして、手続きの見直し、パブリックコメント等を求めるときの取扱いについては、確認等をさせていただいて、それは公開させていただいております。また、いまご指摘がありました、例えば社会的関心の極めて高いものについてはパブリックコメントを求めるということで、直近ですと、緊急避妊薬につきましてはパブコメを求めておりますし、その前ですと、インフルエンザのワクチンの特例承認の件のときもパブリックコメントを求めています。その辺につきましては、薬事・食品衛生審議会の運用の中で公開・パブリックコメント等の範囲はご検討いただくということになっています。

○坂田委員 承認する前に審査報告書を公開すべきではないかと言っているのですが、その点に関してはいかがですか。

○成田審査管理課長 ですので薬事・食品衛生審議会のほうでご議論いただきまして、関心の極めて高いものにつきましては承認前に審査報告書も公開させていただいておりまして、それを踏まえた意見を薬事・食品衛生審議会の薬事分科会でご説明させていただいて、それを踏まえてご議論いただいています。

○花井委員 先ほどのいわゆる閣議決定が、どこに対して即ちオーファン助成事業自体を見直すということになっているかどうか、一応教えていただけますか。

○椎葉研究開発振興課長 オーファンですが、資料1の4頁の下の支援等の内容についてというところで、基盤研が行う事業がいくつかございますが、これにつきまして国のほうで行うようにというような閣議決定が出されています。

○花井委員 基盤研から外してほかに持っていくという、そういう趣旨です。

○椎葉研究開発振興課長 国に戻すという。

○堀田委員 国に戻すということは国のどこに戻すということになるのですか。医薬食品局ですか。

○椎葉研究開発振興課長 まだ決まっていませんが、私ども研究開発振興課のほうになるのではないかと思っています。

○堀田委員 でも、そうすると、国家公務員の総定員法の枠の関係で増やすということは可能なのですか。

○椎葉研究開発振興課長 実際、法律改正が必要ですし、それからそれに伴う定員増、実際、基盤研で事業を行っている利益が出たものに関しては、納付金という形で還元させていただいて、それをまた研究に使うという弾力的な運用もやっているわけですが、国に戻しますと、そういったものが一切できなくなるというようなこともありまして、いろいろと検討しなければいけないところが多いかと考えています。

○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。

○藤原委員 先ほどご説明いただいた中で聞き損ったのかもしれないのですが、9頁、10頁のところなのですが、「現状の個人輸入」というところに関して、右側のほうに「医療上必要な提供」という2の枠を作られているのですが、めくりますと、個人輸入のところに×がついているのです。この意味はどういう意味なのかなということで、私ども製薬業界からすると、8頁に、例えば治験の参加基準に外れる理由で云々というところもありますので、除外基準というのはそれなの理由があり除外して治験をきちんとやっていますので、どういうことをイメージして2を書いているのかわからなかったので、少しご説明いただければと思います。

○成田審査管理課長 資料のほうをご説明させていただきます。10頁のところをご指摘いただいていますが、右側の承認申請に際してデータの利用というところのものについて、個人輸入で実施されたデータというのは、基本的にはオープンになっていませんし、薬事承認の際にはデータの利用としては難しいのではないかという意味で、×を付けています。
 また、臨床研究につきましては、いろいろなところでご検討いただいております。例えば堀田委員からもありましたが、一定のものについてはここに書いてあるような、どのように活用できるかというのは内容によるのかもしれませんが、そういうことがあるのではないかという意味合いで書かせていただいております。
 ついでに補足させていただきますと、薬事承認申請を行いますのは企業の方でございまして、品質の有効性、安全性に関して市販後も責任をもって情報を提供していだだくという大前提があります。ですので、臨床研究といいますのは、医療機関のほうで行われますので、それが薬事承認申請の臨床資料の位置づけの中でどのような部分なのか1つ問題になってきます。臨床研究を薬事承認申請についてデータとして活用する場合には、そういうことも含めて考慮しなければいけないのではないかと思っています。また、薬事承認に関しましては、やはり品質、有効性、安全性が、薬事法の観点からすれば、一定レベル以上のものということを確認するという手続ですので、ご理解いただきたいと思っています。

○堀田委員 いまの2のところに関係するのですが、治験から外れたけれども実際その薬にアクセスしたいという方をどうするかについては、安全性確認試験であるとか、あるいは追加的治験ということで、一時期導入をしたのですが、あまりうまく動かなかったのです。何で動かなかったかと言うと、治験を一方でやりつつ、それはかなり厳格な対象をきちんと選んでやるのだけれども、そこから漏れた人たちは結構リスクが高い人が藁にもすがる気持ちで入られるわけだから、当然いろいろな有害事象が起こります。そうすると、それも企業としては申請のときの資料として評価されると苦しいというところがあって、協力しなかったというのが実情ではないかと思っています。治験から外れた人についてもアクセスできるような仕組みについては、審査の参考にするにしてもそれが承認のときにものすごく影響を与えるとなると、やはりリスクが高い人には差し上げるのはやめておこうとなるので、もし進められるのであれば、その辺をきちんと、過去の轍を踏まないようにしていただきたいと思います。

○望月(正)部会長代理 ちょっと違う観点なのですが、いずれにせよ治験とか臨床試験の評価をするというときには、人材が不足しているというのが大きい問題だと思うのです。新しい薬学教育は6年制の6年目にきているのです。薬学教育のモデル・コアカリキュラムの中には、レギュラトリーサイエンス関連事項が多く含まれています。治験、生物統計、薬剤疫学、薬剤経済学などの項目が全部入っています。共用試験の範囲からはそれらが外れているので、共用試験が終わってから、ということは5年生、6年生で学ぶべき科目になっております。当然、全員が学んできているはずです。5、6年生で学んできた薬剤師がレギュラトリーサイエンスの仕事にも、どんどん入っていくということは、層を厚くして、結局は人材の1つの確保の方法になると思うのです。そのためにも6年間でレギュラトリーサイエンスの教育もきちんと行っている大学、学んできた人間を薬剤師として評価するような方式を考えるべきと思います。国家試験では、必要な項目は入れるべきです。些末な細かいものを入れるのではなくて、大事なものを入れることによって、大学教育は本来の教育内容に変わっていきます。厚生労働省はそのような形で大学教育に関わることが必要で、、そういう意味で考えていただければと思います。PMDAがすごい勢いで人間を増やしています。企業では申請するための人材を企業に入れてから育てなければいけないのです。そのような人材を育てるための大学教育を充実することでラグを防ぐことができるので、是非、そういうことも頭に入れていただきたいと思います。

○永井部会長 1つ医療機器審査管理室長さんにお聞きしたいのですが、医療機器のカテーテルなどの並行輸入が非常にしにくいために、内外価格差が生まれているという話をよく聞くのですが、それはこの22頁、23頁の表から見るとどういうところが問題なのか教えていただきたいのですが。

○関野医療機器管理室長 適切なお答えになるかわかりませんが、いまご指摘のありました21頁をご覧ください。医療機器に関する基本的な資料です。左から右にかけて表になっておりますが、クラス1からクラス4という形で書いておりまして、全体が医療機器になるわけですが、そのうち左から右にかけて人に対するリスクがより大きなものという形で、4つの分類をしております。それぞれ承認制度あるいは認可の制度が異なっておりまして、比較的リスクの低いクラス1、クラス2については、この表の下のところをご覧いただきますと、「規制」ということで届出であったりとか、PMDAあるいは厚労省の承認ではなくて、「第三者認証」と書いてあります。一定の国が認めたところの民間企業が国が作った基準に製品が合致しているかどうかということの確認をもって、世の中に売ることを認めているといったものも一部ございます。いまご指摘のカテーテルに関しましては、おそらく直接人に使う侵襲性の高いものだと思いますので、多くはクラス3に入ってくる、場合によってはクラス4というところになってきますので、これに関しては国の承認、審査が必要となってきます。

○永井部会長 並行輸入が非常にしにくいという、既に認められているものは、外国の何倍もすると、もっと別のルートで同じものを輸入したくてもなかなか審査が厳しいということを聞くのですが。

○関野医療機器管理室長 少し前置きが長くなってしまって恐縮だったのですが、承認が必要だということをもって、どうしても海外が先行しているがゆえに、日本に海外のものが入ってくるタイミングとの関係で、持ち込みにくいということでしょうか。

○永井部会長 国内でA社が入れているものをB社が入れるときに、また審査が非常に大変になってくる、そこの問題だと聞いているのですが。

○関野医療機器管理室長 その審査も実は先行している国内承認品があれば、全くの革新的な新医療器としての審査が必要ではなく、基本的には後発扱いということで審査を行いますので、それに関してはPMDAの体制を強化して、できるだけ審査を急いでやるといったところで頑張らせてもらうしかない部分かなと思っております。

○鈴木委員 やはり医療機器ですが、20頁で、医療機器が30万種、医薬品は1万7,000種ということで、大変多ございます。また医療機器はいまの医療に大変かかせないもので、日々改良がされているわけです。そういう中で医療機器の取扱いはいろいろ考えていかなければいけない。平成17年の薬事法の改正の中で、医療機器の分類などを変えましたし、医療用具から医療機器というように名前も変わりました。約6年経ちまして、制度全体を見直していく時期になっているのかなと思います。また、QMSというクオリティマネジメントシステムについても品目ごとにやってきましたが、それをもう少し丸める中で効率的にやることで、我々都道府県の薬事監視員の仕事も、もう少し濃淡を付けながらやっていくこともできますので、ご検討をお願いしたいと思っています。

○永井部会長 そろそろ次の議題に入ります。

○原澤委員 いま、部会長からもお話があったカテーテルの件ですが、規制の問題と運用の問題の双方があると思います。非常に原材料の同一性が厳しく求められるところが、また検討したり試験をやらなければならない、それで非常に時間がかかることがあると聞いています。医療機器のラグですが、全体的には申請ラグと、申請後のラグがありますが、薬事法だけの問題ではありません。医療機器の特徴は、市場があまり大きくないということで、申請を躊躇することについては、やはり保険収載の問題があります。最後まで保険がどのくらい付くのかわからないこととか、市場関係のことがあります。申請後の話としては、承認基準の不確かさや諸外国の規制との整合性の問題であって、さらに追加の検討をしなければならないところがありまして、その辺がポイントになるのだと思います。
 それから、全体としてのボリュームの問題ですが、事務方からの資料ですと、新規のものについてだけが示されておりますが、医療機器の場合は、改善改良品、モデルチェンジ品といいますか、そういうものについてもラグはあることに是非ご留意いただきたいと思います。

○永井部会長 いろいろご意見おありかと思いますが、また書面等で事務局にお寄せいただきたいと思います。そろそろ議題2へまいりたいと思います。資料2につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 それでは資料2の「医薬品等監視の強化について」参考資料として、資料2-1、資料2-2ということですので、それも適宜ご参照いただきながら見ていただきたいと思います。
 1つ目は「個人輸入対策の強化」、2つ目は「GMP調査体制の強化」、これらは最終提言のご指摘をいただいているものです。私どものほうからご提案ということで、「指定薬物の取締の徹底」この3つについてご説明したいと思います。
 1頁目の「個人輸入対策の強化」の最終提言の指摘については、個人輸入で国内で使用される未承認薬品について、薬監証明をデータベース化して、これを公表すべきではないか。もう1つは、個人輸入の未承認の副作用情報については、必要に応じて、広く迅速に注意喚起を図るべき。特にリスクが高い医薬品については、登録制度を導入すべき。医療機関からの副作用情報を積極的に収集・分析・公表はもとより、その他の安全対策についても充実強化を図るべきである。
 3点目は、個人輸入される医薬品について、安全性や有効性が十分に確認されていないものがあるということで、国民の啓発に力を入れるべきと。特に、インターネットを通じた未承認薬の個人輸入に関する規制を強化する。個人輸入代行を装って、実質的に未承認医薬品の広告、販売などを行っている者への監視・取締を強化すべきである。
 現状については、資料2-1の参考に簡単にまとめてあります。我が国の有効性・安全性等が確認されていない医薬品であっても、個人輸入して自己の責任で使用することは、他者に販売・授与しない限り、薬事法では禁止されておりません。薬監証明自身は、「医薬品等輸入監視要領(局長通知)」に基づいて、記載してある内容のものについては地方厚生局で確認を受けることとなっております。医薬品を輸入する場合には、関税法の規定で、税関での輸入申告において、所定の要件が具備されていることの確認を受ける必要があります。その際には、製造販売業者、あるいは製造業者にあっては、薬事法施行規則で輸入届を出すことになっております。個人輸入については、薬監証明がその要件となっています。実際には、個人輸入としては、一般消費者と医師に分かれますが、一般消費者の個人輸入については、直ちに自己使用であることが認められる一定数量以下。例えば、処方箋では1カ月、あるいはOTC薬だと2カ月以下であるような場合には、薬監証明による確認の必要性なく輸入が可能となりますが、一定数量を超える場合は、治療上必要との医師等の証明があることを薬監証明により確認しております。
 一方、医師などによる個人輸入については、輸入の数量に限らず、自己の患者に対する治療に必要であること。国内に代替する医薬品が流通していないことなど、薬監証明により確認する形としております。
 2頁目は、ご承知のように、インターネットの普及や輸入代行業の増加などで、海外からの未承認薬が容易に入手することが可能となりまして、一般消費者が海外の販売サイトなどから、独自に購入するケースがあり、健康被害の問題なども生じております。また医師においても、適正管理が必要なサリドマイドが多く輸入されていたなどの事例もありました。このため一般消費者に対しては、重大な被害を生ずるおそれがある医薬品については、自己使用の目的であることが認められる一定数量以下であっても、治療上必要等の医師の証明があることを薬監証明により確認をしております。また厚生労働省のWebサイトなどは、自己判断のみでは安易な個人輸入に対する注意喚起を行っております。さらに個人輸入されている未承認医薬品を買い上げて分析をし、その結果、健康被害を生じさせるおそれがあるような成分を含有することが判明したものについては使用を中止するよう、注意喚起を行うなどの取組みを行っているところです。
 医師などについては、輸入される医薬品の中には、海外で製造されているということで、有効成分の含有、あるいは品質などが不十分なものがある可能性があることの注意喚起を行っております。サリドマイド等につきましては、当該医薬品を厳重に管理し、適正に使用するようにということで、必要留意書の中で、こういったサリドマイドの厳重管理や適正使用の遵守などの制約などを求めて、輸入時に周知徹底を図っているところです。
 さらに肝炎検証委員会での提言を踏まえて、現在、薬監証明のデータベース化を図って、一般消費者、あるいは医師などにより個人輸入された医薬品の実態把握などを行うことで、昨年度から開始しております。
 輸入代行業者につきましては、輸入者の要請に基づいて、個別の消費の輸入に関する手続を請け負うというのが本来の役目ですが、実際には、代行業者が購入して、これを個人に直接販売するということが行われている。あるいは個人に直接販売はしなくても、未承認の医薬品を広告宣伝しているといったような、不適切な事例が見られており、消費者に対しても、安易な個人輸入を助長しているということから、個人輸入代行業の指導・取締等の通知を発出して、インターネットなどの監視を行うとともに、未承認医薬品の広告などについての指導・取締を行っております。以上が「現状」です。「留意点」ということで、個人輸入については、従来から啓発、あるいは一部のものについては副作用情報提供などを行っておりますが、これらを強化するとともに、現在、整備を進めているデータベースなどにより、個人輸入の状況の把握を努めて、国際的な動向にも考慮しつつ、より適切な管理のための方策を検討すべきではないかと考えております。
 3頁目は「GMP調査体制の強化」です。「最終提言」としては、「地方自治体でのGMPの調査の質の向上を図るべきである」ということで、これについては国、総合機構、地方自治体が連携して行うべきである。地方自治体のGMP調査の充実のためには、総合機構の専門家の協力を得ることができるように考える必要があるということ。調査に必要な知識、経験を習得するための研修の機会を増やすとともに、自治体の場合には、人事異動があって効果的な調査の弊害になる場合があるということで、担当者の計画的な要請などの人事面での配慮が必要ではないかということです。「現状」については、GMP調査については、新医薬品、生物学的製剤などについては総合機構、その他の医薬品の製造所については都道府県が行っており、国においては、合同の模擬査察とか、保健医療科学院での薬事衛生管理研修などを行って、都道府県の薬事担当者に研修を行い、その調査員の質向上に取り組んでおります。また整合性検討会を国で設けており、都道府県の担当者を集めた会議で、都道府県のGMPの調査業務の平準化を図っているところです。しかしながら、都道府県によって製造所の数や種類が異なる等があり、都道府県ごとのGMPの調査担当者の資質確保の取組みにはかなり偏りがあるのが現状です。
 平成22年度からはGMP調査体制の強化検討会を開催しており、各都道府県、総合機構のGMP調査部門の調査体制の強化と、GMPの査察当局には国際的な枠組みということでPIC/Sがあります。これは資料にありますので、後ほどご覧いただきたいと思います。こういった国際的な団体の加盟を目指した検討を行っており、この中で国際水準のGMPに基づくような製造管理・品質管理の強化のための調査員の資質向上による全体的な査察水準の底上げが求められているということです。ドイツや欧州などでもさまざまな調査母体がありますので、調査部門間の調整組織を設けて、調査業務の平準化を行っております。
 「留意点」については、GMP調査の専門家集団である総合機構が都道府県のGMP調査の資質の向上に対する支援の中には、教育研修だけではなく、実際の査察の中にも入り込むといった仕組みを考えるべきではないかということです。GMP調査に携わる担当者については、実務経験や研修内容などを求められる要件を定めることによって、資質の引き上げを図っていくべきではないか、といったことが留意点として考えられております。
 以下、5頁から関係する法令です。8頁の「指定薬物の取締の徹底」ですが、指定薬物については、「現状」をご覧いただきますと、アダルトショップなどで、薬事法、あるいは麻向法の規制を逃れるために、いわゆる合法ドラッグと称して、海外で製造された麻薬類似の物質を販売目標を偽って、つまり人体摂取であることを否定してですが、販売していろいろ問題になったということで、国としては、平成19年4月に薬事法において、幻覚作用などを有する一定の物質を薬事法の中の指定薬物ということで指定しており、その製造、輸入、販売などを規制しているところです。「論点」としては、指定薬物、その疑いがある物品の乱用を防止し、国民の健康被害の発生を予防するためには、新規乱用薬物の検知、情報収集などの行政上の監視・指導から犯罪捜査まで一貫した対応をとることができるようにすべきではないかというのが論点です。
 「現状」としては、国、都道府県にいる薬事監視員が取扱業者に対して監視・指導ということで、具体的には、インターネット監視とか、立入検査、買上げ調査を行って、指定薬物を含有するような製品を発見し次第、廃棄、回収などの指示を行っているのが現状です。
 実際、指定薬物の取扱業者が、取扱製品の中に薬事法違反に問われたような場合には、販売を中止し、代わりにすでに規制されている薬物の化学構造式の一部を変えたような乱用物質が海外でどんどんつくられているということで、そういったものを輸入することで、販売が継続されているという現状があります。
 こういった製品の中には、本来であれば、麻薬に該当するような内容のものもあり、中には麻薬・覚醒剤などの規制薬物の密売人によって、こういった販売が行われていることもありまして、従来の薬事監視による行政的な指導ではなく、犯罪捜査に移行すべきような場合も現状としてはあります。3番は「留意点」ということで、以上のような状況ですので、指定薬物などの取締りについては、麻薬取締官、あるいは地方自治体の取締員もいるので、これに行わせることをすべきではないかということです。これは分かりにくいので、11頁をご覧いただきたいと思います。ここに「麻薬及び向精神薬取締薬法」ということで、「麻薬取締官及び麻薬取締員」とありますが、そこの規定に書いてあるような法律については、犯罪捜査を行うということで、特別司法警察員としての職務を行うという形になっております。現在は、麻薬・覚醒剤、大麻などについて司法警察員して職務を行っておりますが、こういった業務に拡大して、薬事法の指定薬物を対象とすることができれば、こういった違法薬物について一貫した対応がとれるのではないかということでの提案です。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明にご質問、ご意見がありましたらご発言をお願いいたします。

○片木委員 前回、第2回のときに参考資料3として、「医薬品関係者の安全対策への取組・促進について」という資料を出させていただきました。ここで、いわゆる個人輸入による偽造医薬品、カウンターフィット薬の問題について意見を出させていただいたのですが、今回、関連するのに付けていただけなかったことはすごく残念ではあったのですが、ここで添付させていただいている資料の中に、後ろのほうから3頁目ぐらいに、ED治療薬の問題を付けております。実は、昨日、厚生労働省のWebサイトにもアップされていたと思うのですが、昨日もED治療薬を個人輸入されていたのではないかと疑われる、その中でも偽造、含有成分の量が、いわゆる正規品とは違うものが発見されたという報告が上がっていたと思います。よくカウンターフィット薬の話をすると、企業の方たちの中には、偽造医薬品というのはアフリカとかに届いているので、日本は卸がしっかりしているから大丈夫だとおっしゃるのですが、日本の卸しの方たちは、確かに国内にあるメーカーのものはとてもしっかりしていると思います。ただ、海外から入ってくるものに関しては、偽造医薬品があって、残念ながら健康被害を生じさせている方がおられる現状が、すでに日本でも発生しているのです。
 1つ前の頁に「日本製薬協Webサイト」と書いてあるところに、実はWHOにも関係していらっしゃる木村和子先生が、カウンターフィット薬、偽造医薬品の問題にとても精通されており、私もいくつか論文を拝見させていただきました。海外の偽造医薬品が入ってこない取組などに関してもよくご存知かと思っております。いわゆる個人輸入に関して、どういった対策を日本でやっていけばいいのかというヒアリングを行って、是非意見を聞くことが必要ではないかと思いますので、ご提案させていただきたいと思います。以上です。

○寺野委員 デバイスに関しては、前にも言いましたが、3頁の「監視」のところで、デバイスの申請と承認に関しては、私は消化器内科なので、カプセル内視鏡の申請と承認に4年間かかって、全く国際的に大きな遅れをとって大恥をかいたという苦い経験がある。それに基づいて簡単に申し上げます。たくさん問題点はあるのですが、その中で重要なのは、PMDAの中でのデバイス関係の位置づけが一体どうなのかという問題です。人数がすごく少ない。これは澤先生もよくご存知だと思います。これも「最終提言」でも若干問題にしているわけです。ここでPMDAそのものの質が問われているのです。人数が少ないということが1つあるのですが、それは少しずつ増やしています。そのほかに質の問題で、薬剤に関しては、薬学部の人でかなりわかるのだと思うのですが、デバイスに関しては、はっきり申し上げて薬学部の人にはわからないという面が非常に多いわけです。ところが、実際にその中での医師の数というのは微々たるもので、しかも、就職しても、理由はわかりませんが辞めてしまう。PMDAの、特にデバイスにおける専門家の質が問題になると思うのです。この点は、私も近藤理事長にも提案したことがあるのですが、専門学会をいかに使うかという問題だと思うのです。そのシステムができていない、というのが非常に大きな問題だと私は感じています。
 そうすれば、特に外科学会は随分協力するはずなのです。私のほうも消化器ですから、たくさん内視鏡の機器があるので、いくらでも協力できると思います。それが1つ大きな問題点で、それを位置づけてもらいたい。
 「人事異動」については、地方の問題だけではなく、PMDAそのものにも問題があるのです。人事異動のたびに、実はカプセルのときは初めからの資料を全部出させられたのです。3、4回初めから出し直しました。そのことにものすごい時間をとったわけで、もちろん会社のほうにも問題があると思うのですが、そういうふうな不合理性をなくしていくことが必要ではないか。澤先生はどう感じられているかわかりませんが。

○澤委員 いまの寺野委員がおっしゃったことは、非常に確信をついていると思います。これからPMDAの体制を迅速な承認という、この目的を達成するためにも、是非充実していっていただきたい。特に専門官の要請と同時に、学会と一体なって専門家を早期から議論に参加させていただくとか、医薬系だけではなくて、デバイスのわかる人、もしくは新しいバイオ製品が出てきたり、再生医療が出てきたりしていますので、やはりそのフィールドを広くしていただきたい。これはFDAの専門官の量も違いますし、かなり質というと失礼な言い方ですが、知識的にも人がたくさんいて、しかも幅広い知識を持ったフィールドの人をたくさん集めているという観点から見ると、PMDAの方々が一生懸命いくら頑張っても限界があるのだろうなと。それが徐々に今回の委員会をもとに、是非、これをきっかけとして改善していただけたらと思います。質も、量も是非お願いしたいし、これは学会も一体となってやるべきかと思っております。

○(独)医薬品医療機器総合機構内海理事・審査センター長 ただいまのご指摘について、これまでの問題点と現状、あるいはこれからということでお話させていただきます。先ほど寺野委員、後発医療機器については原澤委員、再生医療については澤委員からご指摘がありました。確かに後発医療機器については非常に審査が遅れていた部分がありますし、また人材確保について、これまで足りなかった点というのがあります。これにつきましては、現在、アクションプログラムに従って、着実に人材は増えております。いま薬学の人たちというお話がありましたが、工学出身者も非常に増えております。例えば、人材育成の面からも、工学と薬学、あるいは医師という形で連携を組みながら審査を行うという体制を確保し、3月末の段階で、医療機器の申請者の方々と審査を適切に行っていくということで意識を共有しているところです。まだまだ足りないところはあろうかと思いますが、いまいただいた3名の委員からのご指摘は若干以前のことでありまして、いまは着実に進んでおります。医療機器の申請者の方々からも、つい直近では変わりつつあるというご意見もいただいていますから、もう少し長い目で、そんな2年、3年という意味ではありませんが、一緒にこれからもPMDAと医療機器の審査の改善を進めていきたいと思います。

○堀田委員 自分はデバイスのほうは直接関係していないのですが、現場の医師や研究者の意見を聞くと、薬事法ではすべて「医薬品及び医療機器」と書いてありますが、実際はほとんど医薬品のことしか書いていないのではないかという印象があります。医薬品とデバイスは、いろいろな意味で違うところがあるのに、特性をきちんと書き込んでほしい、場合によっては、別立ての法律を作ってくれという意見もあるぐらいです。しかし、それでは今後どんどん開発内容が複雑になっていきますと、これを分けてしまうと問題があると思うので、1つの薬事法の中デバイスとか再生医療といったものをきちんと書き込むようにすべきたと考えます。全部一括で「医薬品・医療機器」と言って済ませてしまうのではなく、折角の機会ですから、今後はその辺も含めて検討をしていただければと思います。

○寺野委員 いま反論されたので、再反論いたします。随分よくなっていると言われることはいいと思います。工学部の方が入って来られるのは非常にいいと私は思うのです。ともかく我が国の基本的な方向として、技術立国という基本方針があるわけで、やはりメディカルデバイスというのは非常に重要な役割を果たしています。我が国からそういうものを国際的に発信しなければいけないというときに、いわゆる零細企業とか中小企業が一生懸命こういうものをつくるわけですが、その審査に時間がかかって、どうしようもないという状況は何としても払拭しなければいけないと思います。ですから、工学部の方は大いに結構ですし、随分改善されているというのも信用しますが、3年前はそうではなかったということです。

○(独)医薬品医療機器総合機構内海理事・審査センター長 いまのご指摘ありがとうございます。1つだけここで工学部だからいいということではなくて、私は1年3カ月前にPMDAのセンター長になったときに、医療機器の大学の先生方から、医療機器がわかる人がなるので、というようなことも言われましたが、日本の工学は残念ながら、ものづくりをしてこなかった経緯があるものですから、先ほど学との連携というお話がありましたが、私も是非情報発信をしながら、共に携わってやっていくということです。
 もう1点は、工学も分野が広く、現在は工学の中の専門をきちんと理解しながら、それぞれの審査が進むようにということで注意していますので、至らない点がありましたら、またご指摘をいたたきながら進めていきたいと思います。是非、よろしくお願いいたします。

○澤委員 私は内海さんがおっしゃったことに反論ではなくて、違うことを言っているのではなくて、これまでの話として申し上げたのと同時に、これはいま機が熟してきたと思うのです。こういう会が持たれているということ自体も、学会側も、私が今回いろいろやらせていただいている医療イノベーション室においても、規制をとにかく迅速に承認するためにということで、PMDAが悪いとか、どうという議論をする時代は確かに3年、5年前の話であって、そういう議論では全くありません。
 逆に言うと、PMDAの方にも、審査を迅速にしていただけるようなガイドラインを作るなり、申請する側もこれは未熟な状況でかなり申請して、PMDAの方に迷惑をかけながら、それで審査が遅くなるとか。
 FDAはある一定の期間で答えを出してしまいますが、ある意味、それは迅速審査と見えるかもしれませんが、逆に言うと冷たいというか、そこで切ってしまうわけです。しかし、PMDAの方は逆にやさしすぎるというか、長期審査になるという面もあるとも聞いていますので、両方の面から、やはりどうやったら短かく審査が迅速にできるかということを是非次回にお話させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○原澤委員 私ども医療機器業界も、日ごろよりPMDAとはいろいろお話させていただいており、一緒に少しでもよくしていこうというところです。ただ、医療機器は、先ほど来話がありますように、たくさんの種類があります。そういった意味では、経験が重要で、審査の質の確保についてもなかなか大変ではないかと思います。
 我々医療機器業界も、いろいろな形でその辺のところは話し合ったり、サポートしていきたいと思います。是非、もっとよくする、早くするということでよろしくお願いします。

○片木委員 個人輸入のところで、国民に向けてインターネット上に啓発しているという文言とか、先ほど来、未承認薬の問題とかでも啓発に関する文言はたくさん出てくるのですが、参考資料3の最後の2頁を見ていただくと、これは2回のときにやり取りした中のことも含めるので、次回の宿題にもつながるのかもしれません。第2回のときに医薬品の添付文書に対するやり取りがあって、そのときに私が欧州などでは、患者さん向けの添付文書も作って出しているようだというお話をさせていただきました。そのときに患者向け医薬品ガイドであったり、企業の冊子であったりという形で啓発しているというご意見をいただきました。そこで、最後の頁のグラフに、私の患者会は、インターネットを使えることが参加条件になっています。全員がインターネットを使えるというバイアスはあるのですが、そこで「患者向け医薬品ガイドを見たことがありますか」「企業の冊子を見たことがありますか」というところを取ったら、インターネットを使える方であっても、こういった情報が届いていないのです。患者さんが「PMDAって何ですか」みたいなことを逆に聞いてくる状態です。
 そこで私たち卵巣がんは、標準治療薬はパクリタキセルだったりするので、パクリタキセルの情報やPMDAに載っている情報を実際に見ていただきました。そうすると、こんなにわかりやすい情報が載っているのかと、患者さんは大喜びしたのです。ですから、啓発していただいても届いていないのが現状で、個人輸入に関しても、すごくいい啓発、資料を作って、ものすごく努力しているのはわかるのですが、それが届いていないのが残念だと思います。
 薬事法の中で、第2回の最初の項目で、「国民に求めること」というのも入れてはどうかという提案があったと思います。そこで国民に薬に対するいろいろな思いを求めるのであれば、国民に情報を届けるという意味でも、もう1歩踏み込んでいただけたらと思います。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。

○花井委員 資料2の2頁の「現状」のいちばん下の○の部分に「代行と言いながら、直接販売を行っている。もしくは未承認を広告宣伝している等の不適切な事例」と書いてあるのですが、これは違法という理解ではないかというのが1点です。
 今回、薬事法改正の議論ですので、もしこれらが違法ではないのであれば、新しい法では違法性をちゃんと位置づけた上で、罰則は強化しないと、おそらくこういったことは難しいと思うので、現行法で違法かどうかという説明と、今後、罰則強化についての議論をいただきたいという2点です。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 ここに「不適切」と書いてありますが、未承認の医薬品の広告宣伝は薬事法の68条の違反ですので、薬事法違反です。これまでの罰則を強くするかどうかという問題については、ほかの規定との関係の整理などがあると思います。いずれにせよ、こういった形でのインターネットを使った新たな形でのいろいろな販売形態があることについて、しっかり対応するということで、どういった形で対応していかなければいけないのかについては検討しています。ただ実際の問題として、インターネットのサイトが、現在、かなりの部分が海外に行っているということで、私ども警告メールだけを発するということだけで本当にいいのかどうかという問題もあるのですが、これについてはどういった形で適切に対応するか検討しているところです。

○花井委員 ということは、不適切が違法だったら、ちゃんと「違法」と書いていただかないと、今後も違法なものが不適切的になって、一般用医薬品販売でもあったのですが、なし崩し的になってくると、法自体の規制という機能が失われていきますので、違法であればちゃんと「違法である」と記述していただけたらと思います。

○坂田委員 2点教えていただきたいのですが、資料2-1の8、9頁に「インターネット監視」とあるのですが、具体的にどうされているのかを教えていただきたいのです。担当者が時間が空いているときに、チラチラ見られているのか、それともへばりついて見られているのか。その点について厚労省としてはどちらか知りませんが、どのようにお考えなのか。
 GMPに関しては、実際、厚労省にGMPの専門家がいるのかどうか。それを知りたいです。PIC/Sに加入するために、現在も国際会議などがあると思いますし、今後も国際会議というのは次々あると思うのですが、それに対して誰が同行されているのか。そして、同行されていないとすれば、今後、どのようにされるのか。その2点を教えてください。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 資料の「検討項目2-(1)個人輸入対策の強化」のいちばん最後の頁をご覧いただきたいと思います。これが私どもがいまやっている「現状」ということで、インターネット、厚生労働省、都道府県などで広告を監視をしているということです。ここに書いてある件数は厚生労働省の件数です。
 インターネットについては、業界団体と話し合いをして、昨年の3月にガイドラインを作って、こういったものは未承認の医薬品ですよ、あるいは違法薬物ですよといったものについて、プロバイダーにもわかる形で示しております。 また、各自治体で改善指導に入る場合と削除する場合の2つがあるかと思いますが、削除してほしい場合には、こちらのほうに連絡をするようにという通知を出しているところです。
 もう1つは、厚生労働省のなかにGMPの専門家がいるのかという話については、「専門家」と言うかどうかわかりませんが、1つはさまざまな薬事の分野について経験を積む中で、GMPについての基本的な考え方を習得する。少なくとも私どもの担当者は、そのような経験を積んでいます。また、人事異動の中で、都道府県の自治体の人と交流などをしておりまして、GMPについて経験の深い人をこちらのほうに来ていただくこともやっております。PMDAには、品質管理部というのがあり、ここは医薬品のGMP調査や医療機器のQMS調査を担当しており、そういった所との人事異動もやっておりまして、私どもの資質の確保を図っています。
 PIC/Sの関係等の国際会議については、ICHやGHTFなどについては私どもは参加しているのですが、最近、PIC/Sの関係については、今日も非常に大量になってしまったので大変残念ですが、参加しておりません。総合機構のPMDAの品質管理部のほうから、それらについては品質管理に関して詳しい者が参加しているということで、日本国全体としては、しっかり対応していると考えております。

○坂田委員 インターネットについてはチラチラ見ているのか、それともへばりついて見ているのか、その辺の答えがきちんとされていない。それと国際会議に厚労省本庁が参加されないと、そこは問題だと思うのです。やはり、最終的な決定権というのは厚労省だと思うのです。その辺に対しての考えをお聞かせください。

○國枝監視指導・麻薬対策課長 インターネットの監視については、先ほども言いましたように、空いた時間にやっているということですので、特別に時間をとって専念してやっているという形ではありません。ただ、私どもは一定の目標を定めて、それに向けて取組をしています。この件数は件数として、ある程度やっていかなければいけないと思いますが、単に削除するだけというのは、イタチごっこのような形になりますので、そういった面で自治体とか、いろいろな関係機関とも協力し合いながら戦略的にやっていく必要があるのではないかと思っています。
 PIC/Sの件については、我が国は加盟をまだしていないということで、正式なメンバーではないのですが、オブザーバーとして総合機構の担当者が出席しております。もちろん、厚生労働省も行こうと思えば行けるわけですが、残念ですがいままで行けておりません。少なくともICHやGHTFの重要な所については、参加させていただいております。

○永井部会長 そろそろ時間のようですので、最後に鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 いま個人輸入のインターネットの話が出ましたが、私どもも職員が6人、ずっと張り付いているわけではないですが、かなり一生懸命インターネットを含めて個人輸入や広告の指導をしております。
 我々が見るだけではなく、企業の方々、あるいは住民の方々からもいろいろと問題点のあるサイトについては、東京都等にご連絡をいただきながら、監視をしていますが、先ほど課長からお話があったように、海外サイトとか、そういう問題がだんだん大きくなっていますので、これらについての指導の仕方については新しく考えていかなければいけないと思っております。
 個人輸入の問題では、先ほどED薬の話が出ましたが、実は医薬品として個人輸入されるものだけではなくて、健康食品として入ってくる強壮剤の中にもシルデナフィルなどがかなり入っております。これらについても東京都も含めて、買い上げをして検査を行っています。毎年いくつかシルデナフィルなどが検出されています。患者さんが一方で処方薬を飲みながら、こういった強壮剤を飲むということになれば、用量を超えるということで問題になってくる。健康食品として輸入されていますので、これをどう取り締まっていくかというのは大きな問題だと思いますし、国民の方々に十分こういう危険性を認識していただくことが必要ではないかと思っております。
 GMPについては、私どもが東京都、あるいは都道府県の職員が検査に行っておりますが、研修等を、さらに国等も含めて強化して、職員の資質の向上に努めていきます。是非、そういった点ではPMDAも含めて、資質の向上をいろいろ考えていきたいと思っています。それは私ども都道府県職員も、いろいろ厳しい面もありますが、知恵を絞りながら資質の向上を考えていきたいと思っています。
 最後になりますが、指定薬物も、国では平成19年ということですが、都は独自の条例を平成17年に制定して、指定薬物について取締りを強化してきております。ただ、いくつか問題があります。1つは、先ほども課長からお話がありましたが、1つの化合物を指定すると、少し化学構造式を変えてすぐ新しい薬物が出てくる。海外でもいろいろと研究が進んでいまして、どんどん新しい成分が開発され輸入されています。ですから、都道府県の要望としては、個々の薬物指定ではなく、もう少し包括的な指定ができないのか、ご検討をいただきたいですし、「留意点」にありますように、警察との連携、あるいは取締員の活用も含めて、こういったものの取締りの強化をご検討をいただければと思います。

○永井部会長 どうもありがとうございました。

○坂田委員 2点だけ。薬剤疫学の専門家等を育てる人材教育に関しては、全然書かれていないので、そこがどうなっているのかなと思います。法律と関係ないから載っていないのかなと思いますが、法律と関係ないから載っていないのでしょうか。資料にも法律に関係ないのがたくさん載っていますけど。この点も是非よろしくお願いします。
 2点目は、この部会で「最終提言」の実行に沿って、薬事法でやるものとやらないものを区別していただきたいと思います。やらないものに関しては、どこでやっているのかをはっきりさせていただきたい。すべてをきちんと示してほしい。
 前回、私の意見書に宿題として書きましたが、次回提示していただけるということなので、その点も是非お願いしておきます。以上です。

○永井部会長 ありがとうございました。まだいろいろご意見はあろうかと思いま
すが、メールなり、書面でお送りいただければと思います。以上で本日の議事を終わります。事務局から連絡事項をお願いいたします。

○中垣総務課長 本日はどうもありがとうございました。次回は6月20日(月)18時から、専用15、16会議室において開催を予定しております。議題としては、最初に説明いたしましたが、資料3、先日の第2回で坂田委員からご提言がありました「最終提言」の概要等につきまして、寺野委員からご説明をいただきます。
 続きまして、これも坂田委員から要望があったと思いますが、「最終提言」に基づいた研究班の研究結果について、本日は欠席されていますが、望月眞弓委員からご説明をいただきます。
 本日、部会長から提言がありました「医療イノベーションについて」、澤委員からご説明をいただくということで進めたいと思います。7月以降の予定につきましては、今日は議論ができませんでしたので、また座長ともご相談をして提案させていただければと思います。以上です。

○永井部会長 これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>
医薬食品局総務課: 03(5253)1111(内線2713)

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