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2011年4月22日 第3回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課

○日時

平成23年4月22日(金)16:00~17:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用21会議室(17階)


○議事

○井上総務課長 
 一部の委員がまだお見えになっておりませんが、定刻となりましたので、ただいまから第3回中央訓練協議会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、本日の司会進行を務めさせていただきます厚生労働省職業能力開発局総務課長の井上と申します。よろしくお願い申し上げます。それでは、開会に当たりまして職業能力開発局長の小野よりご挨拶を申し上げます。
○小野職業能力開発局長 
 皆さんには日ごろから能力開発施策の推進に当たり大変ご協力をいただいておりまして、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 今日は、こういう形で約1時間ほど協議会を開かせていただいて、平成23年度の職業訓練の方針についてご意見を頂戴したいと思っております。ご承知のように、東日本大震災で雇用のほうにも相当影響が出ているということで、後ほど、そういう状況につきましてもご報告させていただきますが、いま政府でも災害対策本部の下に被災者等の就労支援あるいは雇用創出の推進会議というものを設けておりまして、小宮山副大臣が座長ということで政府を挙げて、関係省庁のご協力もいただいてとりあえず緊急対策を打ち出して、さらに今後、補正予算とか法律関係事項に伴う次の段階の施策もいま取りまとめを急いでいる段階です。その中で職業訓練についても、これから特に復興に応じて訓練需要も相当出てくると思いますので、被災者の方々の雇用の促進という面と被災地での復興の支援と言いましょうか、そういう人材育成も非常に重要になってくると考えておりまして、職業訓練の拡充等も強力に進めていきたいと思っております。
 平成21年の7月から実施しております基金による職業訓練の事業も、今後、恒久化ということでこの10月から新しい求職者支援制度に切り替えていくため、いま、この国会にも法案を提出しておりまして、審議は今日、ちょうど衆議院でスタートしたところでもあります。こういう諸々のいろいろな内容も後ほどご紹介しますが、今日は、平成22年度の計画のフォローアップと、それを踏まえての平成23年度の方針について活発なご議論をよろしくお願い申し上げたいと思います。
○井上総務課長 
 本来ですと、本日お集まりの方々、お一方ごとにご紹介させていただくべきところですが、時間の関係もありまして、恐縮ではありますが、お手元に座席表と参考資料1として出席者名簿をお配りしておりますので、ご紹介に代えさせていただきたいと思います。
 続きまして本日の議題ですが、平成22年度の職業訓練の実施状況をご報告するとともに、平成23年度の実施方針についてご議論をいただきたいと考えております。それでは、訓練の実施状況あるいは実施方針の案を含めまして、お手元の資料についてご説明させていただきます。
○田畑能力開発課長 
 能力開発課長の田畑でございます。お手元に資料として1から6までご用意させていただいておりますが、一括してご説明させていただきます。
 まず資料1ですが、東日本大震災による被災者等に対する職業能力開発支援の施策について取りまとめた資料です。今般の大震災によりまして、岩手県、宮城県、福島県を中心として、公共職業能力開発施設について建て替えや設備の修繕等が必要な状況が生じております。青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県に34の公共職業能力開発施設がありますが、そのうち23施設に被害が生じております。そのうち4施設、宮城県多賀城市にあります雇用・能力開発機構の宮城ポリテクセンター、県の施設としまして岩手県大船渡市にあります大船渡職業能力開発促進センター、宮城県石巻市にあります石巻高等技術専門校、福島県南相馬市にありますテクノアカデミー浜、この4施設については甚大な被害が生じておりまして、施設の復旧の目処が立っていない状況です。そういう状況の中で、それぞれの施設で復旧に力を入れ、34施設のうち18施設が既に訓練を継続ないし実施していただいております。12施設が5月中旬までには復旧の見込みということで、先ほど申し上げた4施設は、現時点ではまだ復旧の見込みが立っておりませんが、他の施設について徐々に訓練を実施できる体制が整いつつあるということです。私どもとしては、こういった施設の復旧について早急に訓練再開ができ、また、よりよい環境の下で訓練が実施されるよう、補正予算などにも必要な経費を盛り込み、取り組んでまいりたいと考えております。
 人的な被害につきましても、宮城県内で5名の方、福島県内で1名の方、訓練生で4名、指導員で2名の方がお亡くなりになられています。この場を借りまして心よりお悔やみを申し上げますとともに、被害を受けられた方にお見舞いを申し上げたいと思います。また、委託訓練を受託している訓練機関等におきましても物的・人的被害が生じていると承知しております。私どもとしてでき得る措置はとっていきたいと考えているところです。
 こういった状況の中で「被災者等就労支援・雇用創出推進会議」を小宮山副大臣の下に設置いたしまして、その中でいろいろ議論を進めて、4月5日に「『日本はひとつ』しごとプロジェクト」というものが取りまとめられております。その中には被災地や被災した方の受入先地域において被災者向けの特別コースを設置するなど、職業訓練を機動的に拡充し、実施するという内容が盛り込まれております。これが資料1の1に掲げている事項です。職業訓練定員の拡充や被災者向け特別コースの設定など、雇用・能力開発機構、また都道府県で実施するということにしております。それから、青森、岩手、宮城、福島、茨城の雇用・能力開発機構と都道府県センターで震災特別相談窓口を設置いたしまして、事業主などに対する相談も実施しているところです。
 震災による被災者等に対する職業能力開発支援の2項目として訓練手当の特例措置を設けたところです。被災に伴い離職した求職者の方が公共職業訓練を実施する場合に、職業転換給付金制度に基づき訓練期間中の訓練手当を支給可能としているところです。
 3点目、4点目は震災発生時に公共職業訓練や基金訓練を受講していた方に対する特例措置です。まず1点目としまして、訓練期間の8割を修了している場合、訓練を修了したものと扱うことができること。2点目としまして、訓練生が被災した場合、訓練が休講になった場合においても、その間、基本手当や訓練生活・支援給付を受給できるように措置をしております。3点目として、訓練を中断した場合に次の訓練の受講あっせんを速やかに行うことができるよう、訓練と訓練の受講期間が通常は1年以上ないと次の訓練を受けられないということになっているわけですが、こういう要件を適用しないこととしているところです。こういった対応をまず講じておりますが、今後、一次の補正予算、また次の補正予算もおそらく編成されると私どもは考えておりまして、現地のニーズを十分にお伺いしながら必要な対策を今後ともとってまいりたいと考えております。以上が資料1の説明です。
 次に、公共職業訓練の実施状況についてご説明申し上げます。資料2をご覧ください。施設内の職業訓練につきましては、雇用・能力開発機構で主にものづくり分野を中心とした6カ月間の訓練を実施するとともに、都道府県で地域の実情に応じた職業訓練を実施していただいているところです。また、委託訓練として、専修学校などの民間教育訓練機関を活用いたしまして、介護、情報通信、経理事務等、多様な職業訓練を実施しております。当該委託訓練については、本年度から都道府県ですべて設定することとし、国は都道府県に対する訓練コース設定などのノウハウ支援を行っていくということにしているところです。
 その実績ですが、資料の3頁目をご覧ください。平成22年度の受講者実績は、データの集計の関係で平成23年2月末時点の実績までとなっていますが、施設内の訓練が4万5,348人、委託訓練が11万7,312人、合計16万2,660人となっているところです。それから、分野別の実施状況につきましては4頁の表をご覧下さい。情報系、事務系、介護系、これらの訓練の設定が多い状況がうかがえる状況にあります。それぞれの応募倍率が5頁にあります。平均で1.85倍で、その中でも特に介護系の応募倍率は2.34倍です。そういった高い応募がなされている訓練コースもあります。なお、平成20年度の応募倍率は1.68倍、介護分野の職業訓練についての応募倍率は1.79倍で、平成21年度はこれを上回る状況です。
 続いて、資料3は緊急人材育成支援事業による職業訓練の実施状況です。この事業は、平成21年7月から、緊急人材育成・就職支援基金ということで基金を造成いたしまして、雇用保険を受給できない方々を対象に無料の職業訓練と訓練期間中の生活給付を行う制度として設けたものです。平成22年度の受講者数が27万7,368人、また、訓練・生活支援給付を受けるための資格を認定した件数が18万4,938件ということで、これは平成21年7月末からのスタートでしたが、平成21年度実績の受講者4万8,533人、資格認定件数3万7,396件をはるかに上回る実績を上げることができたところです。
 訓練コースとしてどういうものを設定しているかは、資料の3頁にありますように、職業横断的スキル取得訓練コースということで文書作成、表計算、プレゼンテーション制作等の職業横断的な情報技術等が不十分な方に対する訓練を行うもの、医療、介護・福祉、ITなどの新規成長分野や雇用吸収分野における職業訓練として、若年者・未就職卒業者向けの職業訓練を行う基礎演習コース、座学方式や座学と実習を組み合わせたデュアル形式によって実践的な能力を習得する実践演習コース、社会的事業者等の担い手を育成することを目的としている社会的事業者等訓練コースなどの訓練を設定いただくことにしているものです。なお、基金訓練につきましては、基礎的な能力を習得したあとに実践演習のコースを受講し、実践的な職業能力を習得した上で就職をしていただくという連続した職業訓練の受講も可能としている、そのような制度設計としているところです。
 5頁に訓練の目標値があります。平成21年度の訓練の定員数、平成22年度の受講者数を目標値として掲げていたものですが、先ほどご紹介申し上げましたように、平成22年度はこれを上回る実績が得られたものです。
 資料の6頁に訓練のコース別の計画認定コース数と定員数を記しております。この状況を見ますと、職業横断的スキルで大体17万3,000人、基礎演習で6万人、実践演習で27万人、こういったコースとそれに見合った定員を準備して、先ほど申し上げた数の受講生に受けていただいているものです。それから、実践演習コースを分野別に整理をしたものがありますが、IT、事務、介護・福祉、医療事務といった分野の職業訓練が多数設定されている状況です。その就職率は7頁に資料をお付けしておりますが、全体で68.8%です。この数字は就職活動に要する期間を考慮して訓練修了後3カ月時点の数字をとっておりまして、最新のデータは、11月までの修了コースの就職状況ですが、7割近い数字が上がってきています。
 なお、就職率をコース種別ごとで見ますと、基礎演習コースが最も高くて、次いで実践演習コースが高いという状況にあります。実践演習コースの就職率を主な分野別に見てみますと、情報通信関係が67.9%、介護・福祉関係が77.7%、事務関係が68.2%ということで、特に介護・福祉関係の就職率が高い状況です。
 次に、資料4、「求職者支援制度の概要」の資料をご覧ください。先ほどご説明申し上げました緊急人材育成支援事業につきましては、資料3の1頁に「新たな制度として検討」ということで記載しておりますが、平成23年度に求職者支援制度として恒久化することを考えております。政府としては「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律案」、私ども、略しまして「求職者支援法」と呼ばせていただいておりますが、それを国会に提出しているところです。
 この制度の概要ですが、まず趣旨・目的としまして、雇用保険を受給できない求職者に対するセーフティネットとして、求職者の早期の就職を支援することとしております。また、この制度に基づき求職者の就職に資する新たな訓練を設けることとしておりまして、新たな訓練のコースは、成長分野や地域の求人ニーズを踏まえて設定することとしております。給付につきましては、「一定の要件に該当する場合、受講期間中の訓練の受講を支援するための給付を支給する」ということで、1月当たり10万円の給付を行いますとともに、訓練機関に通うための交通費(実費)を支給する制度としたところです。また、循環的に受給することを防止するような仕組みを設けるとか、不正受給について不正受給額の返還・納付などのペナルティを設けるとか、訓練をしっかり受けていただき、給付目的の訓練受講を排除する仕組みなども盛り込んだところです。さらに、訓練受講者に対する就職支援をしっかり行っていく必要があるということで、訓練開始前、期間中、訓練修了後と一貫して、ハローワークが中心となりまして、訓練実施機関と緊密な連携を図りつつ支援を行うこととしております。具体的には、ハローワークにおいて訓練受講者ごとに個別に支援計画を作成いたしまして定期的な来所を求めて支援を行う、必要に応じて担当者制での支援を行うこととしているものです。
 なお、財源は、先ほどご説明申し上げました基金訓練は一般会計の負担で実施しているものですが、新たな制度では雇用保険制度の附帯事業として位置付けをしているところです。こういった制度を新たに設計いたしまして、現在、法律として国会に提出し、ご審議いただいているところです。施行は平成23年10月1日からということで、それまでの間は、現行の緊急人材育成支援事業による事業を継続する、切れ目がなく新しい制度につなげるように措置をしております。これに必要な予算も、平成22年度の補正予算におきまして積増しを行っているところです。
 こういった現状等を踏まえまして、資料5「平成23年度における職業訓練の実施方針(案)」を私どもで作成させていただきました。これについてご説明を申し上げます。
 まず1として、平成22年度における職業訓練をめぐる状況について記載しております。雇用失業情勢は、平成21年度に比して持ち直しの動きが広がりつつありますが、依然として厳しい状況にあります。こうした中、離職者に対する職業訓練として公共職業訓練は過去最大規模と同水準の22万人の訓練定数を確保し、基金訓練についても、先ほど基金訓練の実績で申し上げましたように、地域の関係者の連携協力の下に職業訓練コースの設定などの取組みが進められています。こうした結果、公共職業訓練として約16.3万人、基金訓練として約28万人、合計、約44万人に対して職業訓練を実施していること、また、訓練修了生に対する就職支援についても、訓練の実施機関、雇用・能力開発機構、ハローワークの連携によって取り組み、施設内の就職率が78.4%、委託訓練が63%、基金訓練が68.8%となっていることについて記載しております。
 2として、平成23年度における職業訓練の実施方針です。総論としましては、引き続き厳しい雇用失業情勢が続くことから、平成23年度においても成長が見込まれる分野における人材育成に重点を置き、昨年度と同規模で実施することとしております。また、訓練が計画的、効率的に実施できるよう地域レベルにおける協議の場を設けることとしております。特に今般の東日本大震災に伴い離職された方の再就職を支援するため、被災者向けの特別訓練コースについて、被災地や被災した方々の受入先等における公的な職業訓練を機動的に拡充、実施することを盛り込んでおります。
それから、(1)で公共職業訓練、(2)で緊急人材育成支援事業による職業訓練の目標値等について記載しております。
 公共職業訓練については別添1の資料、6頁をご覧ください。離職者訓練の平成23年度の実施規模は前年度とほぼ同程度を予定しているものです。実施分野別の目標は、平成21年度の訓練実績をベースとしつつ設定を行っております。
 なお、情報通信分野は、前年度目標数が9万であったものを1.5万人ほど減らし7.5万人という目標を設定しておりますが、これは、基金訓練の情報通信分野の目標数を平成22年度よりも増やすといったことも踏まえて設定したものであり、総量として、情報通信の分野につきましても引き続き必要な職業訓練が実施できるようになっているものと考えております。介護・福祉分野の職業訓練は、ご説明申し上げましたように、応募倍率が高いという状況もあり、引き続き十分な設定がなされるように取り組みたいと考えておりまして、設定数も1割弱増加させているところです。訓練修了者の就職率は、この表のいちばん下にありますが、施設内訓練は80%、委託訓練は65%ということで設定を行いたいと考えております。新成長戦略においても、施設内訓練は80%、委託訓練は65%の目標を掲げており、本方針についてもこの目標値を踏襲して、これを目指したいと考えております。
 本文に戻りまして、公共職業訓練の(1)の?で「都道府県における主体的な取組みの推進」について記載しています。公共職業訓練の委託訓練は、地域主権の改革の流れの中、平成22年度は全体の8割を都道府県において実施するということで都道府県のウエイトを高めてきておりましたが、平成23年度はこれをさらに進めまして、委託訓練のコース設定はすべて都道府県が行うこととしております。都道府県において、地域のニーズを踏まえ、成長分野における職業訓練や地域の産業ニーズに沿った独自の職業訓練の設定を進めることとしているところです。
 次いで基金訓練につきまして別添2の7頁の資料をご覧ください。緊急人材育成支援事業による基金訓練の実施規模・分野・就職率ですが求職者支援制度への恒久化ということを踏まえまして9月までの実施として設定をしております。上半期の受講者数は、年間、大体24万人ぐらいを求職者支援制度等を含めて設定することが必要であろうと考えまして、その半分程度の12万人に対して訓練を提供することを目標にしたいと考えております。また、それぞれのコースごとの目標値ですが、実践的能力の習得のための訓練コースの設定を強化するということで、基礎的なコース、職業横断的ITスキルコースと基礎演習コースがこういった基礎的な能力を身につけるための訓練ですが、これを4.8万人、実践的な演習コースとして7.2万人を設定する。およそ、4:6で設定をしたいと考えているところです。それぞれのコースの分野ごとの目標値につきましては平成22年度の実績をベースに設定しておりますが、情報通信や介護・福祉といった成長分野における職業訓練を引き続き進めることとしたいと考えております。
 本文に戻りまして、(2)の?修了者に対する就職支援等の充実につきましては、まず受講段階から適切な訓練コースの設定ができるようハローワークにおいて適切なキャリア・コンサルティングを実施すること、また、正社員経験が少ない方もおられることから、きめ細やかな支援が必要ということで、訓練実施期間中にキャリア・コンサルティングに取り組んでいただくとともに、訓練修了後にハローワークにおいて個々の未就職者の就職支援に取り組み、緊急人材育成支援事業の目標である就職率60%以上を目指すこととする、ということで記載させていただいております。
 (3)として推進体制について記載しております。平成23年度におきましても昨年度同様、今回の実施方針を踏まえ、都道府県ごとに地域訓練協議会を開催いたしまして、公共職業訓練と基金訓練の受け皿が地域において確保され受講者に提供されるよう、地域の訓練実施機関の団体や労使団体のご協力もいただきながら推進していくこととしております。また、地域訓練協議会において訓練内容の検討を行うワーキングチームを必要に応じ開催することも記載しております。
 最後に、本実施方針につきましては、今後とも、中央訓練協議会を開催し、職業訓練の実施状況をフォローアップするとともに、方針の改定を行うことを記載しております。また書きとしまして、求職者支援制度として恒久化された後の当該職業訓練の計画について、法案成立後設定をするということを記載しております。以上が実施方針の説明です。
 最後に、資料6として基金訓練の不正事案の調査結果等の公表についてご説明申し上げます。本年2月下旬、栃木県の基金訓練実施機関で不正に訓練奨励金を受給しているのではないかという報道がなされ、この報道を受け、その事実関係を調査してまいりました。この結果、報道の対象となった基金訓練実施機関で不正が行われた事実が確認されましたので、昨日、不正に受給された訓練奨励金の全額の返還を求めたものです。事案の不正受給の概要は別紙1に記載をしておりますが、不正金額として174万円の返還を求めることはもとより、不正があったコース以降に開始された全コースについて、支給された訓練奨励金及び新規訓練設定奨励金の返還を求めるということで、総額8,290万円の返還を求めることとしているところです。また、不正に訓練生活給付を受けられた方、5コースで8名おられましたが、これらの方々についても返還を求めております。
 また、本件と併せて全国調査を行っておりまして、596コースを対象に雇用・能力開発機構の都道府県センターの職員が訓練実施機関を訪問して必要な書類のチェック、また、受講者に対してアンケートを行いまして問題がないかどうかを確認し、問題がある場合は事情聴取等も実施してまいりました。そのうち不正の疑いが残り、引き続き本人から事情の聴取等により確認、調査が必要なものが、現時点で10コース、13名残っております。これらのケースにつきましても引き続き確認を進めて、不正が認められた場合には厳正に対応してまいりたいと考えております。さらに、こういった状況にあることから、今後、同様の不正事案の発生を防止するためにチェック体制の強化や訓練実施機関への抜き打ち調査を行うこと、それから、不正の事実が認められた訓練実施機関に対して、当然、基金訓練として認定をしないこと、不正に受給された金額に加えて、不正があったコース以降に開始されたすべてのコースについて支給された奨励金の全額を返還させるなど、厳正な対応をしてまいりたいということで、基金訓練の制度が適切に運営されるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。私からの説明は以上です。
○井上総務課長 
 ただいまの説明につきまして、ご質問などあれば伺いたいと思います。その後、平成23年度の職業訓練の実施方針(案)についてご審議をいただきたいと思います。説明についてのご質問などがありましたら、よろしくお願いいたします。
○高橋委員 
 先ほどの説明に関して2点質問させていただきます。1点目は、公共の委託訓練にかかわるところです。今年度から委託訓練を都道府県に委ねるということですが、資料2の4頁に平成21年度における離職者訓練の分野別実施状況が提示されておりますが、能開機構も含めてで結構ですので、平成22年度の就職率を分かる範囲でお答えいただければと思います。
 もう1点は、基金訓練に関する質問です。資料3の7頁に就職率が68.8%という数字が出ていましたが、これは、たしか私の記憶では、訓練修了後3カ月後に追跡が可能だった方を基本としていて、追跡が可能でなかった方は除かれていたのではないかと思うのです。それがもし間違いだったらご訂正いただいて、もし私の記憶が正しければ、追跡が可能だった割合は何%ぐらいだったのかを教えていただければと思います。
○田畑能力開発課長 
 お答えします。平成22年度の就職率は、平成22年度の10月末の修了者にかかる数字が最新のものですが、これによりますと、雇用・能力開発機構の施設内訓練が81.4%、都道府県の施設内が64.8%、委託訓練は機構の実施分が63.1%、都道府県が62.9%という数字です。ちなみに、平成21年度の数字は、機構の施設が79%、都道府県が63.4%、機構の委託訓練が67.1%、都道府県が57.4%です。この数字は暫定値でして、確定値はこれよりも少し下がるだろうと思っています。特に、都道府県の委託訓練は昨年は57.4%であり、速報値の62.9%は確定値になると、もう少し下がるのではないかと思っていますが、それでもおそらく昨年並みぐらいの数字は確保できるのではないかと思っています。
 2点目の基金訓練の就職率は、高橋委員からお話がありましたように、アンケートで状況が確認された方を対象に就職率を算定していますので、未回答の方の就職状況は反映されていません。未回答の中には就職をされた方も、されていない方もおられるとは思いますが、実際に就職率を計算する時にはアンケートを回収した方のみを対象としています。
 そのアンケートの回収率ですが、以前はあまり芳しくないところもありまして、我々、回収率の向上に努めており、直近の3カ月の回収率・回答割合は81.8%となっています。いちばん高い数字で85%近い回収ができている月もあり、最近は大体8割半ばぐらいまで回収できている状況になりつつあるだろうと分析しています。いずれにしても、できるだけ状況を把握することは重要ですので、訓練機関に対して回収率100%を目指して取り組んで、状況を把握していただくよう引き続きお願いしていきたいと考えています。
○浦山委員 
 公共職業訓練の関係ですが、入札になって、金額だけの判断がいま非常に多くなっている感じがします。入札の基準をある程度明確にしておかないと、金額だけでやると、思わぬ弊害が出てきています。
 例えば入札の金額を低くするわけですから、当然、講師の方々の給与などもかなり下げている現状があるやに聞いています。いま就職率向上の話もされていますが、入札の基準を明確にしないと、実際これまでやってきていた委託先も、手を引かざるをえなくなります。実際に大手企業さんや学校関係も引き始めています。
 杞憂に終わればいいのですが、こういう訓練だけで参入されて来られる所は、もしかして資金的に非常にお困りになると、しまいには会社自体も閉鎖しなければいけないと、そんなところもちょっと漏れ聞いております。そうすると、せっかく雇用率を上げようとするための制度なのに、そういう思わぬマイナス面の結果が出る、というようなことになってしまっては大変で、やはり我々はその辺を慎重にしなければいけないと思いますので、入札基準をより一層明確にしていただくことで、そういったことも少しは防げるのではないかな、というような思いをもっています。
○田畑能力開発課長 
 随意契約から入札による透明・公正な契約の流れの中で、委託訓練についても、そういった流れにある状況はあろうかと思います。ただ、いま浦山委員からもお話がありましたように、安かろう悪かろうになっては成果もなかなか上がっていかないということは私どもも懸念しています。仕様書で条件を決めたうえで入札にお諮りするわけですので、仕様書でできる限り訓練の質が担保されるように、まずは仕様書を適切に設定することが重要だと思います。
 これからは都道府県において全ての委託訓練を行うこととなりますので、私どもも都道府県の実情をよくお伺いして、訓練の質が担保されるように、どういった仕様書にすればいいかをお互いにいろいろ相談しながら、訓練の質が高められるような取組みに心掛けたいと考えています。
○井上総務課長 
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ、資料5「平成23年度における職業訓練の実施方針(案)」についてご審議をお願いいたします。
○市川委員 
 2頁の上の「大震災に伴い離職した方々の再就職を支援」をしっかりとやっていただきたいという要望です。とりわけ「『日本はひとつ』しごとプロジェクト」では一体的に、生活支援等々も含めてやられているということですが、その中で、復興事業と言いますか、公共事業になるべく被災者の方を雇っていただくといった時に、いま求められている被災者の事業はどちらかと言うと土木・建設関係で、そちらに、慣れない被災者の方がやられることに懸念を抱いております。いままで建築等々の仕事をされてきた方が引き続きされるというのはいいのですが、そうでない、例えば漁業をやられていた方がそういう建築現場に行かれるというのは非常に危険であり、大変なことですので、訓練と同時に安全衛生教育も併せてしっかりやっていただきたいと思います。
 それと、瓦礫の撤去などはどのくらいかかるのかも見当もつかないのですが、そこからさらに今度、中・長期的には、復興して、新しくどういう産業を起こしていくのか、どういう町にしていくのかを考えることになります。政府に構想会議などもできているようですが、そうなりますと、そこにどのような産業を置いていくのか、新しい漁業基地になるのか、グリーンエネルギーになるのか、そういった構想があると思いますが、そうすると、そういう新しい産業に必要な職業訓練が当然出てくると思いますので、復興計画に基づいた職業訓練のあり方等、必要な訓練も併せて考えていただきたいと思います。以上です。
○田畑能力開発課長 
 市川委員から2点ご指摘がありました。大震災に伴う訓練コースの中で、建設・建築関係、瓦礫撤去等に必要な免許資格、重機のオペレータといった人材が必要になろうと考えていますので、そういった訓練コースを設定することにしています。当然、こういった建設・建築のコースにおいては、安全教育も含めて、これまでもカリキュラムを組んで実施されていると認識していますが、ただいまのご指摘も踏まえて、きっちりとそういったものが教育・訓練の中で身に付けられるように、訓練を設定する都道府県や、これは雇用・能力開発機構においても訓練設定をしていきますので、そういった施設内の訓練でもきちっとした教育ができるように意を用いていきたいと考えています。
 2点目として、どのぐらいで復興が果たせるかということは、本当に見通しがつきにくい状況の中で、それぞれの被災地域に応じて、どういった形で産業を復興させていくかということで、いろいろな議論がなされると考えています。そういった議論を十分に訓練の設定にも活かしていく、そういったものを踏まえた訓練コースを設定することが重要と考えています。推進体制として地域の訓練協議会で地域の労働団体、使用者団体、都道府県の関係者の方にも集まっていただいていますので、いろいろなお話を提供、提起していただいて、それぞれの地域で必要な訓練が設定されていくことを期待していますし、うまく機能するように、私どもとしても努力していきたいと考えています。
○浦山委員 
 求職者支援制度自体を国会で議論されるということですが、2頁の「概要」の真ん中の委託先団体はいつ頃明確になるのでしょうか。
○田畑能力開発課長 
 新しい制度においては、仕組みを全面的に見直すことにして、いまは中央職業能力開発協会に基金を造成し、そこからの業務委託を受けて、雇用・能力開発機構が訓練の開拓業務を行うこととしていますが、新しい制度では、国が事業を直接行うということとしています。なお、訓練の開拓等の業務については、雇用・能力開発機構、本日法案が成立しましたので、高齢・障害・求職者雇用支援機構が訓練開拓業務も行うということで、いま法案を提出しており、成立すれば、そういった形で事業を実施していくことになります。
○高橋委員 
 先ほど質問させていただいたことと関連するのですが、基金訓練のアンケートが8割台半ばというのは、個人的にはあまり高い数字ではないと思っています。本来であれば100%でなければならない数字ではないかと思っていますので、是非、受講生に対して、ハローワークと実施機関双方から、とにかくアンケート調査に回答するまでがこのプログラムといいましょうか、基金訓練は将来的には求職者支援制度ですが、そこまでが求められる、すなわち義務なのですよということを周知徹底し、限りなく100%を目指して取り組んでいただきたいというお願いです。
○田畑能力開発課長 
 高橋委員がおっしゃるように、当然、就職をするために訓練を受けられるので、そういった状況をご報告いただくことが必要と考えています。私どもも回収率100%を目指して、できる限り高めるべく引き続き訓練機関に対して指導していきたいと思っています。また、新たな求職者支援制度においても、きっちりとそういったデータを取れるように必要な措置をとりたいと考えています。
○井上総務課長 
 ほかにありますでしょうか。特にないようでしたら、この実施方針(案)をもって本協議会の取りまとめとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

○井上総務課長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。次回の会場については、求職者支援法案の国会審議の状況なども踏まえながら、改めてご連絡申し上げたいと考えています。本日の協議会はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業能力開発局能力開発課

企画調整係: 03(5253)1111 内線(5924)

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