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2011年4月13日 平成23年度第1回慢性期入院医療の包括評価調査分科会 議事録

○日時

平成23年4月13日(水)15:00~18:10


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第18・19・20会議室(17F)


○出席者

【委員】
池上直己分科会長 高木安雄分科会長代理 猪口雄二委員 酒井郁子委員
佐柳進委員 椎名正樹委員 武久洋三委員 三上裕司委員
【参考人】
朝田隆参考人(筑波大学臨床医学系精神医学教授)
遠藤英俊参考人(長寿医療研究センター内科総合診療部長)
池田学参考人(熊本大学神経精神科教授)
【事務局】
井内課長補佐 他

○議題

1 横断調査・レセプト調査の分析について
2 認知症の専門家からのヒアリング
 ・朝田隆参考人(筑波大学臨床医学系精神医学教授)
 ・遠藤英俊参考人(長寿医療研究センター内科総合診療部長)
 ・池田学参考人(熊本大学神経精神科教授)
3 コスト調査について

○議事

15時00分 開会

〇池上分科会長 
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、平成23年度第1回診療報酬調査専門組織
慢性期医療の包括評価分科会を開催させていただきます。
 本日の出席状況については、大塚委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日は、認知症御専門の先生方にお越しいただきますので、後ほど御紹介させていただ
きます。
 事務局に異動がありましたので、紹介をお願いします。
 
〇坂上主査
 事務局でございます。事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 4月1日付で異動になりました宮嵜医療指導監査室長でございます。

〇宮嵜医療指導監査室長 
 宮嵜でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事と資料の確認について、事務局からお願いします。

〇坂上主査 
 事務局でございます。
 それでは、資料の1枚目を御覧いただければと思います。本日の議題につきましては、3つ御
用意させていただいておりまして。まず、慢-1ということで、横断調査・レセプト調査の分析
について御議論いただきたいと思います。
 次に認知症の専門家からのヒアリングということで、3名の先生方にお越しいただきます。
 最後に、コスト調査についてということで御議論いただければと思います。
 資料につきましては、お手元の資料を御覧いただければと思いますが、議事次第の次に、座席
表、委員の先生方の御一覧。続きまして、慢-1-1ということで一枚紙を入れております。次
に、慢-1-2で、集計結果の方でございますが、まず丸1ということで単純集計、次に丸2と
いうことで、分科会で御指摘いただいた集計ということで厚い資料がございまして、次に丸3追
加集計ということで、こちらも厚い資料を入れさせていただいております。その次に、慢-1-
参考、慢-1-別添ということで過去の調査結果などを入れさせていただいております。その次
に、ヒアリングでお越しいただく先生方の資料でございますが、慢-2-1ということで筑波大
学の浅田先生の資料、慢-2-2ということで長寿医療センターの遠藤先生の資料、続きまして
慢-2-3ということで熊本大学の池田先生の資料というふうに続いております。最後に、慢-
3—1ということで、コスト調査の概要ということで一枚紙、その次に、慢-3-2ということ
で、コスト調査の調査票の二枚紙を入れさせていただいております。乱丁、抜けがございました
ら、事務局にお申しつけください。
 以上です。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 では、資料の方はよろしゅうございますか。
 それでは、16時に参考人の先生方がお見えになりますので、列車の関係で御到着が多少遅れ
た場合には、お着きになっておられる先生から順にしていただきたいと存じますので、一応16
時に一旦審議を区切りまして、参考人の先生方に、1時間ほど御発表並びに質疑をしていただい
た後に、再びもとの審議に戻りまして、今日は恐縮でございますが、3時間程度を予定させてい
ただいておりますので、何とぞ御了承のほどをよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、横断調査・レセプト調査の分析について、事務局より説明をお願いします。

〇井内補佐 
 それでは、横断調査・レセプト調査の分析についてお話をさせていただきます。
 まず、該当部分の資料でございますが、右肩に慢-1-1と書いているもの、慢-1-2丸1、
慢-1-2丸2、慢-1-2丸3、これを使いまして御説明をさせていただきたいと思いますの
で、よろしくお願いいたします。
 まず、慢-1-1でございます。「医療施設・介護施設の利用者に関する横断調査」及び「レセ
プト調査」の分析項目について、というものでございます。
 これは、分科会で御指摘いただいた項目と追加項目ということで、上段と下段に分かれており
ますが、この上段部分については、今まで2回議論していただいた中で、横断調査・レセプト調
査等々で、こういった分析をしてみてはどうかということでいただいた内容ということでござい
ます。その追加項目ということで、その後、先生方にメール等々で、どういった分析をするべき
かというようなアドバイスを頂きましたもののを踏まえまして、事務局で一定の分析をしたもの
が下段ということになっております。この1枚目の一枚紙に基づきまして、事務局では、できる
限り分析をさせていただいたということでございます。その結果を発表させていただきたいと思
います。
 それでは、資料の方に移らせていただきます。慢-1-2丸1でございますが、これにつきま
しては、単純集計ということで、いわゆる発送数が幾らか、回収数が幾らか等々の資料というこ
とで、非常に定型的になっておりますので、これにつきましては、この場での御説明は割愛させ
ていただきたいと思います。
 それでは、慢-1-2丸2でございます。分科会で御指摘いただいた集計と分析結果につきま
して御報告させていただきたいと思います。
 まず、2ページを見ていただければと思います。「医療区分の病棟ごとの比較」ということで、
まず分析をしております。上段がすべての患者ということで、一般病棟13対1、15対1、療
養病棟20対1、25対1、それぞれにおきまして、医療区分3、医療区分2、医療区分1の方
が、どれだけ入院されているかということでデータをとったものでございます。
 その下の方に行っていただきますと、再掲と書いておりますが、今度は、それぞれの病棟に入
院されている患者さんで、在院期間が90日を超えている患者さんのみで分析させていただいた
ものでございます。一番上が一般病棟13対1、次が15対1、その次が療養病棟20対1、2
5対1という順番は同じで、医療区分3、医療区分2、医療区分1の表記につきましても同じで
ございます。この分析結果でございますが、在院90日超えの患者のみということで、長期入院
の患者に限りましては、医療区分3については、順序よく、13対1が一番多く、25対1が一
番少ないとなっております。医療区分2までを足したものを見ますと、療養病棟20対1が一番
多くなっておりまして、その次に一般病棟の13対1、次が15対1、最後に療養病棟の25対
1になっているというものでございます。
 次、3ページに行かせていただきます。「併設病棟の有無による医療区分の比較」ということで、
これにつきましては、上段が、医療療養病棟を併設しているところで、その下段の方が、医療療
養病棟の併設なしの部分ということでございます。併設病棟のある、なしで、医療区分3、2、
1の分布状況が変わるかどうかということを分析する目的でさせていただいたものでございます。
 次に、4ページを御覧いただければと思います。次は、「施設の所在地(級地)による医療区分
の比較」で、これは級地で分けました。上段が1~6級地で、いわゆる都市部、人口の多いとこ
ろ。その他がそれ以外の地域、地方の部分でございます。それぞれに所在する同様の医療施設に
おきまして、医療区分3、2、1の分布がどうなっているかを見たのがこの表でございます
 次の5ページになります。5ページでは、「病棟ごとの在院日数90日超え患者の割合」で、グ
ラフが4つありますが、一番上から、一般病棟13対1、その次が15対1、3つ目が医療療養
病棟20対1、その下が25対1に分けております。その中で、病棟ごとに在院日数が90日を
超えている患者の割合が何%あったかというものでございます。一般病棟に関しては、在院日数
90日超えの患者さんの割合が低い方がピークになっているというものでございます。医療療養
病棟の方は、対照的に逆になっておりまして、長期入院患者さんが90%以上のところが、一番
高くなっているというものでございます。
 その次の6ページに移らせていただきますと、「直近1ヶ月の急性期医療の実施状況(一般病棟
のみ)」ということで、青色が13対1、緑色が15対1でございます。救急告示をやっている1
3対1の病院は、一次を救急告示でやっているのが15.7%、二次をやっているのが53.5%、
やっていないのが28.0%と、そういうようなグラフでございます。次に24時間の救急対応
をやっているか、やっていないかということで、同じように、青色は13対1、緑色は15対1
ということでございます。同様に、救急車受入件数、7ページに行きますと、時間外緊急入院患
者数。これは、時間外の入院患者数を同様に示したものでございます。さらに、手術件数、全身
麻酔下手術件数と続くものでございます。
 続きまして、8ページでございます。ここからが「レセプト調査の分析」で、各病院からレセ
プト収集にご協力をいただきまして、その分析を行ったものでございます。まず特定除外項番別
の患者数ということで並んでおります。1~12号が、一般病棟13対1、15対1、それぞれ
どこに何人おられて何%かというのが、ここに表記されております。
 この中で、12号の下は、このレセプト調査に御協力いただいたレセプトを分析させていただ
いた結果、項番が不明だったものがこれだけのパーセントあるというものでございます。さらに、
一番下でございますが、在院日数90日超え患者に占める割合ということで、それぞれ90日を
超えた患者のうち、いわゆる特定除外として請求するという形になっているレセプトが、一般病
棟13対1では96%、一般病棟15対1では94%になっているというものでございます。下
が、特定除外患者の病院ごとの割合をグラフにしたものでございます。
 次のページ、9ページに移らせていただきます。「レセプト請求金額」で、左から、一般病棟の
13対1、15対1、医療療養病棟20対1、25対1と順番に区切っております。さらに、一
般病棟13対1の中では、全体、特定除外患者、特定患者ということで分けさせていただいてお
ります。上が1日当たりの平均コストで、下の方が30日換算したものでございます。下の方で
説明をさせていただきますと、一般病棟13対1に入院されている方の平均の月のレセプト請求
額が75.4万円です。さらに、この患者さんの中で、特定除外患者として入院されている患者
さんの平均が65万円で、特定患者として入院されている方は33.4万円という資料になって
おります。
 以上が資料2ということで、基本的には、先ほどの一枚紙の上段、分科会で御指摘いただいた
項目を踏まえまして分析をしたものになります。これが一つの結果であると思っております。
 さらに、次の資料ですが、慢-1-2丸3で追加資料がございます。これにつきましては、先
ほどの一枚紙の下段の部分、追加項目としました内容を踏まえて、事務局として資料を作成した
ものです。
 まず、1枚めくっていただきまして、2ページでございますが、全患者ということで、これは
何をやりましたかというと、年齢階級別で、それぞれ在院日数がどうかということを、青の療養
病棟と赤の一般病棟で分けて分析をしたものであります。右下に箱ひげ図の参考として、意味を
書かせていただいておりますが、箱の部分が、中央値から中間50%の方が在院している期間、
下と上に棒が伸びておりますが、上位25%、下位25%がこの範囲にあるということでござい
ます。
 さらに、次の3ページ目に移らせていただきますと、これは、先ほど、丸2で掲載させていた
だいたものの再掲でございます。一般病棟の13対1、15対1、療養病棟の20対1、25対
1で、それぞれに長期入院患者さんを含む割合でございます。これをもとに一定の分析というこ
とで、在院日数90日を超える患者さんの割合が50%を超える施設と超えない施設で、その施
設ごとの特性に差があるかないかということを少し分析をさせていただいたものが、4ページ以
降になります。
 4ページを御覧いただければと思います。先ほどのグラフでもありますように、13対1の病
院で、90日超えの患者が50%を超える病院は非常に少なくなっておりますので、それが、4
ページの一番右の方に書いております。まず、グラフを説明させていただきますと、救急告示、
24時間救急対応の可否、救急車受入は、先ほどのグラフと同じでございますが、この青の方が、
在院90日超えの患者さんが50%未満の施設で、赤の方が50%以上の施設でございます。左
の方が13対1の一般病棟、右の方が15対1の一般病棟でございます。
 先ほど御説明させていただきました13対1の赤の方の棒グラフにつきましては、N数が5と
いうことなので、参考データで見ていただければと思います。それぞれ救急告示、24時間救急
対応の可否、救急車受入件数で、5ページ目の方に行きまして、時間外緊急入院患者数、手術実
施件数、全身麻酔下手術件数と並べております。
 6ページに行っていただきますと、施設の所在地の分布で、先ほどと同様で、青と赤は同じで、
左が13対1、右が15対1と同じような表記でございます。どこに設置されているかというこ
とで、それぞれの級地別に並べたもののグラフでございます。
 さらに、その下でございますが、医療区分の比較で、90日超えの患者さんが、50%未満の
病院と50%以上の病院を、それぞれ比較をして、医療区分3、医療区分2、医療区分1の患者
さんが何%ずつそれぞれ存在するかということを出したものでございます。
 7ページ目からは、少し系統が変わります。「直近1週間の検査の実施状況」で、全患者の一番
上のグラフですが、検体検査、生体検査、X線単純撮影、CT-MRIとございますが、それぞれ
の検査を実施された方のパーセントをとったものであります。棒グラフが4つごとに区切られて
おりますが、一番左から、濃い青が13対1の一般病棟で、右の薄い青が15対1、濃い赤が療
養の20対1、薄い赤が25対1になっております。それぞれの検査をどれぐらい患者さんがや
っているかというものでございます。このグラフは、患者全体ということで、入院されている患
者さん全員を対象としてパーセントをとったものでありますが、その下につきましては、さらに
対象を絞り込んでおります。在院日数が90日を超えていて、かつ、30日後の病状の見通しが
不変と思われる患者について集計をとったものでございます。
 さらに、8ページを御覧いただきますと、先ほどのいわゆる長期入院患者、90日超えの患者
さんで、30日後の病状の見通しが不変というものに、上のグラフではさらに、医療区分3の患
者さんに絞り込んだというものでございます。下の方は、90日超えの患者さんで、30日後の
病状の見通しが不変であって、かつ、医療区分2の患者さんについて絞り込みを行って、それぞ
れ直近1週間で検査をやった割合を提示しているものでございます。
 9ページですが、疾患別の構成で、数が多過ぎて、ちょっと見にくくなっておりますが、それ
ぞれ現在治療中の疾患で、一般病棟13対1から15対1、療養病棟20対1、25対1と比べ
て、それぞれどういった分布になっているかというのをつくったものでございます。それを、下
の方が30日後の病状の見通しが不変、かつ在院90日超えの患者、先ほどと同様の絞り込みを
したものでございます。
 次の10ページになります。これで、今回御報告させていただく分析は最後になりますが、レ
セプトの請求金額で、これも、上が1日当たり、下が30日換算で出しておりますが、これが左
から、13対1、15対1、20対1、25対1となっておりまして、13対1、15対1の場
合は、在院90日超の特定除外患者の平均のレセプト請求額。次の2段目が、30日後の病状の
見通しが不変の患者の請求額となっております。右に行けば、20対1、25対1、これも同様
の分類で区切っているものでございます。
 一応、13対1、15対1の一般病棟と20対1、25対1の医療療養病棟での患者さんの分
布やレセプトの状況等、前回御指摘いただいた点を中心に事務局として分析をしたというところ
でございます。
 以上で、今回の御報告とさせていただきます。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明いただいた内容について、御質問・御意見はございますか。

〇佐柳委員 
 ちょっと聞き漏らしたのかもしれませんが、丸2の5ページの、これは何回も出る資料ですが、
これは病棟ごとということなのですが、分母は施設数ですか、それとも病棟数ですか。

〇坂上主査 
 これは、看護配置ごとの病棟数で見ております。

〇佐柳委員 
 病棟が分母ですか。
 それと、もう一つ、同じ?の8ページですが、レセプト調査の分析、特定除外項目の患者の内
訳ですが、先ほどの説明で項番号不明が相当な数になっているのですけれども、これの中身、何
が不明なのかよくわからないのですけれども、番号はもう少しありますね。番号は、12号より
ももっといろいろありますね。

〇坂上主査 
 いえ、12号までです。
 
〇佐柳委員 
 そうすると、これは記載がないということですか。

〇井内補佐 
 はい、不明ということです。

〇?木分科会長代理 
 今の質問に関連しますけれども、項番不明が3分の2ぐらいあって、これでよいのかというの
がまず1つですね。
 次の9ページにあるレセプト請求金額で、特定除外患者と特定患者の費用の違いがこれだけあ
れば、むしろ、特定除外患者というネーミングがおかしい。これだけ医療費を使っている人を特
定除外患者というのではなくて、医療資源を使っている人としてきちんとグルーピングしておか
ないとまずいと思います。今回こういうデータを見て、患者分類の概念の整理としてきちんとす
べきではないかというのが感想です。
 
〇武久委員 
 8ページの特定除外の項番別ですけれども、たしか20年10月までに、特定除外項目のうち
の脳卒中後遺症と認知症は、特定除外から除くということが出まして。それが現在まで達成され
ずに、経過措置でずっと来ていると思うのですけれども、その条件の中に特定除外項番の1~1
2の中に、脳卒中後遺症及び認知症を除くという項目の中にどれが該当するのかということと、
もう一つは、そういう人たちは、退院を促進することをしておけばいいけれども、そうでなけれ
ば特定除外を認めないという経過措置だったかと思うのですが、項番が書いてないということは、
逆に言うと、特定除外の点数は請求できないという、不正請求になるのではないかと思うのです
けれども、このへん、ちょっと説明していただけますか。
 
〇井内補佐 
 まず、項番不明のところですが、これにつきましては、支払機関で審査をしたデータをもらっ
たというよりも、各病院にレセプトを出していただくようにお願いをして、いただいた審査前の
形ですので、ここの記載がないからと言って突き返して、もう一度書いてくれと言うわけにはい
かなかったというものがございます。
 あと、武久委員からいただきましたのは、今日の資料の慢-1(参考)と書かれているものの
2ページ目を見ていただければと思います。先ほどの表では、ちょっと省いていて、正確ではな
かったのですが、これの2ページ目の下、特定除外項目の丸3でございます。これが先ほどの表
の3号の部分と同じです。丸3重度の肢体不自由者のところで、(脳卒中の後遺症の患者及び認知
症の患者を除く)という部分がございまして。重度の肢体不自由者であっても、こういった方は
除くというのがここに明記をされているものでございます。ですので、丸3の特定除外項目で挙
がってくる場合につきましては、この重度の肢体不自由者という場合は、脳卒中の後遺症もしく
は認知症は外されているという認識でございます。
 
〇武久委員 
 そうすると、喀痰吸引とか、リハビリテーションとか、いずれも、これは脳卒中後遺症で典型
的ですね。こういうふうな項目だと、脳卒中及び認知症の患者の概念の中に入っていないという
ことでいいのでしょうか。
 3番の重度の肢体不自由者の中に脳卒中は入らないけれども、リハビリテーションをしている
とか、頻回に喀痰を吸引しているとか、こういう項目はどちらかというと、脳卒中後遺症に結構
特徴的ですけれども、これは医療区分に入っていますね。だから、3番に〇を入れた分だけが対
象であって、3番に〇を入れないで、8番に〇を入れた場合には、脳卒中後遺症の対象でないと
見ていいのでしょうか。

〇井内補佐 
 例えば6番の脳血管疾患等リハビリテーション料を算定されている方や、8番の頻回喀痰吸引
については、脳卒中の方は入っていると。
 
〇武久委員 
 入るのですか。

〇井内補佐 
 はい。

〇武久委員 
 それだったら、ここにそのように書いてないですよね。

〇井内補佐 
 除くところだけ、そう書いているということでございます。脳卒中と認知症の方は外すのが、
重度の肢体不自由者と脊髄損傷等の重度障害者。この2項目で、脳卒中の後遺症の患者及び認知
症の患者を除くということでございます。

〇武久委員 
 項番が書いてないのが過半数ですね。ということは、レセプトには書いているけれども、こち
らの調査には書いてないのか。それとも、レセプトにも書いてないのかということはどうですか。

〇井内補佐 
 我々としては、「レセプトをください」という形で調査をしました。実際に支払機関に提出され
ているレセプトと、今回我々がいただいているレセプトに、それぞれの施設で差があるのかどう
かというところまでは、詳細はちょっとわからないです。我々の調査は、病院から協力をいただ
いた調査票を集めての集計ということになっております。

〇武久委員 
 これは、条件の中に入っている、退院促進をするという何らかの証拠があれば、経過措置とい
う項目が確かあったと思うのですけれども、それは、どこかに何か確かめるようなポイントがあ
るのでしょうか。
 
〇坂上主査 
 先生がおっしゃっていらっしゃるのは、おそらく90日を超えた患者さんについて退院支援状
況報告書を提出することになっているのですけれども、それは最後の12がその項目でございま
す。「前各号に掲げる状態に準ずる状態にある患者」というところは、これは何かといいますと、
脳卒中とか認知症も入るのですけれども、退院支援で退院が見込める方については、退院支援状
況報告書を提出すれば、特定除外項目としてもよいというような取り扱いになっております。
 
〇武久委員 
 12あるうちで、同じ人で幾つか〇が付きますね。同じく3つとか4つとか付きますよね。そ
うした場合には、この12も〇をしたら、退院促進したということになるのですか。それとも、
レセプトに退院促進何とかと何か書いて一緒に出すのですか。

〇坂上主査 
 退院支援状況報告書については、各厚生局に届け出ることになっておりますので、レセプトに
12とか、もしくは「その前各号に準ずる状態」と明記するとともに、退院支援状況報告書を厚
生局に提出することが、ルールとして決まっております。

〇武久委員 
 これは毎月ですか。1人の患者で1回でいいのですか。1回だけ「退院を促進しています」と
言えば、1年入院しても、2年入院しても、一切出さなくていい制度になっているのですか。制
度がよくわからないので聞きたいのですけど。

〇坂上主査 
 少しお待ち下さい。
 
 申し訳ございません、時間がかかりまして。今、関連通知等を確認させていただいたのですけ
れども、退院支援状況報告書は、毎月提出するものとしております。

〇武久委員
 それは、厚生局にですか。

〇坂上主査 
 はい、厚生局にです。

〇?木分科会長代理
 まさに、そこが重要であり、重複して書いていないのですね。全部1項目で、そこに188足
すと277になって、みんな1人1個しか付いてない。12号に落としても、ここではきちんと
「前号に準ずる」という状態を退院支援状況報告書という形で毎月チェックしているわけです。
ここを緩くしたら全部ここに落ちてきます。そういう意味でも、3分の2が項番不明というのは
おかしいし、現場のデータがきちんと取れない。
 
〇武久委員 
 調査ですから、「記載なし」といって返ってくるということは多分ないと思うのです。医療関係
者は割合まじめですので。今の結果から見ると、実質、有名無実のような感じがしますけどね。
形だけそうしているけれども、実際は野放しで、延々と特定除外患者は入院できると。しかも、
レセプトに付ける項番もろくに見てないし、ただ機械的に厚生局に、月に一遍だけ出していると
いうように見えるのですが、担当部局はどう見ていらっしゃいますでしょうか。
 
〇井内補佐 
 まず、今回の項番不明のものが多いというのは、我々も同様の認識を持っております。これに
つきましては、ここの調査で返ってきたというものであるので、実際、審査等に使われているも
のと全く同じものなのかどうなのか、施設でどう取り扱っているのか等につきまして、個別の事
情は存じ上げないというものであります。ただ、御指摘のような内容等についても、この調査等
から疑えるということもありますので、今後、個々に何か問題があるのかどうかというのは、我々
としてもしっかり見ていかないといけないなと思っております。
 
〇武久委員 
 経過措置だから、もうちょっときちんと管理されているものかと、私自身も思っていたので、
多分、三上さんとか、猪口さんも同じだと思うのですけれども、こんなような、項番にも全然丸
が付いてないということは、多分その記録にないか、出したやつにないか、それでフリーパスに
なる状態だとは、だれが責任を持って管理するのかということがちょっとはっきりしていません
ね。多分、医療課ではないと思うのですけれども、ここのところは、こんなルーズだとは夢にも
思ってなかったので。

〇椎名委員 
 この件につきましては、今のやりとりをお伺いしていて、これ以上、このデータに基づいて議
論をしてもしようがないと、そういう結論になろうかと思います。つまり、このレセプト調査に
よる調査を素直に分析した結果、項番不明がいっぱい出てきたと、そういうふうな正直な受けと
め方以外になくて、さらに、この件をきちんと確かめるには、審査支払機関等の別なルートの調
査をやらないとはっきりしないと思うのですね。あくまでも算定要件としては、この項番の番号
をレセプトにちゃんと記載しなくてはいけないということは当然ですから、審査支払機関等の別
の調査で、きちんと調査すれば、実態がわかってくるかと思います。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 私は、これまで指導監査の上がってきた報告書などに、そういったことが対象になっているか
どうかを確認することも必要ではないかと思いますので、もしそういう資料があれば、あるいは、
指導監査の手引きみたいなのがありますけれども、それも確認するべき対象であるかどうかによ
って、当然、指導監査の着眼点になるかどうかという、これは全体に関して、これまでこの分野
における対応が必ずしも十分ではなかったかもしれません。

〇猪口委員 
 確かに90日超えという部分の該当項目をこの調査ではちゃんと調べられてないと。実際に本
当にそうかどうかというのは、調べないとわからないというところだと思うのですね。支払基金
の調査の方の話ですから。
 ただ、ここで出てきたデータで見ると、少なくとも90日超えの患者の割合は、この間、たし
か二層性だとか何とかいろいろな話が出ていましたけど、これで見る限り、きれいに並んでいる。
あと、医療療養とは全く逆のような並べ方で、その13対1、15対1が、無理に90日超の患
者を集めて長く入院しているのだということはないということは、これではっきりしているわけ
ですよ。
 それから、その13対1、15対1も、ここで医療課の方で調査してくれた中では、救急の方
も、かなり半数以上が頑張って、一次、二次を合わせると、7割とかが救急もやっているし、そ
れから、24時間にも対応しているということがありますので、そういった意味では、まるで、
13対1、15対1が、医療療養と変わらないというようなお話も前回あったように思いますけ
れども、90日超の項目については、確かに調べる必要があるかもしれませんが、そのほかの部
分については、急性期、一般病床として頑張っているということが、今回結果として出ていると
思います。

〇武久委員 
 そのとおりだと思います。だから、前の調査のときに、一般病床の13対1、15対1のうち
で、90日以上の患者さんの割合を出したときに、大体20%前後だったのですね。だから、そ
の20%前後の統計が出ていると考えれば、医療療養の方はどっちかというと逆でありましたか
ら、これは妥当な調査だと。
 ただし、救急はやっているとか、時間外対応しているとか、24時間対応しているとか言いな
がら、その件数は少ないところが多いですね。だから、一部の13対1、15対1は、結構な救
急車が来て、それから、全麻の件数もあって、いろいろ対応しているのだけど、ほとんどのとこ
ろは、2日に1人とか、そういうふうな状況で、実態としては、そんなに積極的にやっているの
ではない。だから、私は、どちらかというと、今までずっと救急指定とか、外科とかやってきて、
だんだん症例が減ってきたと。そういうところがどうしても慢性期の患者さんの割合が増えてき
ている。一部のところはどんどんやっているから、13対1、15対1の看護師さんの少ない中
で非常によくやっていると。そういうところでは二極分化してくるのではないか。
 だから、90日超えの人が50%以上のところは、少ないけれども、あるわけですから、逆に
言うと、そういうところに集中して、そういう特定除外の患者さんがいる可能性があると。この
データから見ると。
 13対1、15対1のところが、全部が医療療養と同じような患者さんを診ているとは、私は
一言も言ってないわけですから、そういうふうに思います。

〇?木分科会長代理 
 私もそう思うのですが丸3の追加集計の2ページに箱ひげ図があります。一般病棟は、13対
1、15対1を足しているわけで、これで約2,000ある。これを9区分すると、きれいに均
等だとは思わないけれども、そこそこ数はあるから意味ある分析はできる。
 一般病棟は50%の幅がすごく小さい。療養病床という幅の大きいのを、医療区分とADLの9
区分でとらえようと頑張っているわけですけれども、一般と療養は違うし、療養は大変だなとい
うのを感じました。

〇武久委員 
 今のに関連してですけど、慢-1-2丸2の5ページは、確かに猪口委員がおっしゃったよう
に、一般病棟の方が90日超えの患者さんの割合が少ない。療養病床の方は多いというのが出て
いますが、考えてみると、入院して3か月を超えている患者さんが半分以下のところも結構ある
のですね。ということは、療養病床でもかなり頑張っているところはある。今、高木先生がおっ
しゃったように、療養病床は、いかなる一般病床より劣っているということは言えないのではな
いかと思います。

〇池上分科会長 
 ちょっと私から1つお願いがありましたのは、今は、病院の機能に着目して、救急を含めた一
般の医療を行っているかどうかということが課題となっていますので、慢-1-2丸2の7ペー
ジにある、この中では、地域の一般の医療に対応するという観点からすると、時間外緊急入院患
者数がある程度あらわしているのではないか。手術については、外科系かどうかによって分かれ
ますので、また、救急車の受け入れは、これは外来だけの場合もありますので、時間外緊急入院
患者数のこの0人という病院の特性は、どういう病院かという観点からも比較できる表を作成し
ていただけますでしょうか。
 といいますのは、90日超える患者だけに別の対応を行うことは、病棟管理上なかなか難しい
面もあるのではないかという気がしますので、どうしてもその病院もしくは病棟の機能に着目し
なければいけないので、時間外緊急入院患者数がゼロであるところは、在院患者を含めて、病院
としての特性を見ていく必要があるのではないかという気がしたので、これは一委員として追加
の分析をお願いします。

〇坂上主査 
 事務局でございます。今は、ちょっとデータが手元にないのですけれども、次回以降、データ
を集計して、御提示させていただきたいと思います。
 
〇武久委員 
 6~7ページは、これは一般のデータしかないのですね。これは、療養病床だけの病院でも、
時間外緊急入院をしているところは、幾らもあると思うのですね。それから、これにつきまして
は、当然のことながら、救急指定の病院もあるかもわかりませんし、これは一般だけのことが出
ていますが、この一般であるということは、一応、急性期を前提としていると私は仮定している
のですけれども、だけど、急性期でないような病院が何十%かあるということの方がむしろ問題
ではないかと思いますけどね。
 
〇池上分科会長 
 ですから、そのために、時間外緊急入院患者数がゼロである病院の特性を病院として把握する
必要があるのではないかということをお願いした次第でございます。
 ほかによろしいでしょうか。

〇佐柳委員 
 今回のデータで、90日オーバーという共通点で見ると、療養病床と一般病床に同じ人が入っ
ているのかどうかがまず問題で、先ほどの中身の不明なことがありますけれども、仮に似たよう
な人が入っているとした場合、明らかに出ているのは、この処置の程度は、一般病床が相当いろ
いろな処置をしていることは間違いないわけですね。検査の件数にしても、数値上は2倍か3倍
ぐらいやっていますね。それが無駄なのか。それとも、それが何らかの効果をあらわしているの
かですね。一般病床では90日以上であっても、全般として見た場合には、そんなに何百日と続
く人たちが多いとは限らない。多分短いのではないかという予想は何となくするのですけれども。
一方、療養病床の方は、相当長い療養期間を持っているので、全体コストで見た場合に、どっち
が得なのかなとか、どっちが効率的なのかなとか、そんなことも、今回のデータで多少疑問が出
るのですが、そういう意味では、特に今出ているのは、90日超えの一般病棟の場合で、検査件
数、放射線とか、いろいろな手だてがいっぱいされているわけですけれども、その効果を何で見
るのか。私も、それこそお知恵をいただきたいことですけれども、効果があるのかどうかですね。
その一つの効果は、90日を超えてから後にどれぐらいで退院になっていったのかというのも一
つのことだとは思うのですけれどもね。その辺のことを見れば、一般病床と療養病床との比較と
いうか、本質的な差が少し見えてくるのかなという気がしますけれども。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございます。
 その議論は、また、後ほど。4時となりましたので、一旦区切らせていただきます。ただ、一
言申し上げれば、これは横断調査ですので、そういうアウトカムとしてどうなったかということ
は、今のデータでは無理だと思います。
 それでは、この件は、参考人の先生方から御発表をいただいた後で、また、必要に応じて戻ら
せていただきます。

〇坂上主査 
 朝田参考人より御連絡がありまして、20分程度遅れられるということですが、来られている
先生方から順に始めていただきたいと思います。
 
〇池上分科会長 
 それでは、今日は、お忙しいところをわざわざありがとうございました。
 では、遠藤先生から、よろしくお願いいたします。

〇遠藤参考人 
 長寿医療センターの遠藤でございます。今日は、宿題といいますか、テーマとして、臨床評価
尺度について話すようにということですので、お手元の資料を用意いたしました。現在よく使わ
れているものを中心にお話をしたいと思いますし、それから、将来、今後、療養病床等でも使え
そうな資料ということで用意いたしました。
 お手元の資料の下の段のパワーポイントの1番を見ていただいて、「代表的なアセスメント・ツ
ール」。臨床評価なので、画像診断等は、現在、CTとか、MRI、SPECTをやるのですが、評価尺
度として、長谷川式、ミニメンタル、これは先生方も御存知のようなものですが、これは、質問
をしながら、その認知機能の程度を診る補助診断で使われています。結果を見るために、縦断的
に見ていくというのに有効だと思います。
 それから、精神科領域では、さらに、中核症状を見るために、WAIS-?メモリースケールとか
いう心理士がやると加算が取れるようなものもございます。それから、観察指標といたしまして、
そこに書きましたような、丸1番FASTというもの、それから、丸2番OLDというもの、丸3番
CDRというもので、これは根拠があるものとして使われておりますが、重症度の程度分類を使う
ものであります。丸4番で、今回新しく、社事大の今井先生たちと一緒に研究したものを持って
まいりました。
 では、次のページをお願いします。
 原因疾患同定ということで、今現在、アルツハイマー認知症の中に認知症をターゲットにした
場合、5~6割がアルツハイマーだと思います。実際に、要介護認定を受けた方の半数が認知症
で、施設の8~9割が認知症という状況で、施設によって、どこまでできるかという問題はあろ
うかと思いますが、主に身体所見をとって、神経学的な所見を診て、画像診断ということを治せ
るというか、よくなる、インプルーブする認知症を除外するということで、特に、正常圧水頭症
とか、慢性硬膜下血腫とか、甲状腺機能低下症等の身体疾患といいますか、それから、手術で治
るような認知症を、ここの初期の段階で除外診断いたします。
 評価尺度に入っていくときに、我々は、中核症状と周辺症状と分けて判断することが多くて、
特に最近は、周辺症状のことについては、BPSDと、行動・心理症状とお手元には書いてありま
すが、分けて評価することが多くなっています。中核症状については、先ほどの長谷川式ミニメ
ンタルを主に使いまして、BPSDの抑うつ、興奮、徘徊、睡眠障害、妄想については、それぞれ
さまざまな評価尺度がございます。これを、また、紹介させていただきます。
 次のページを御覧いただきまして。「アルツハイマー型認知症の経過を追った症状の変化」で、
物忘れから始まって、経過を約10年かかるということで、徐々に機能が低下していくという過
程をスライドに合わせたもので、現在、さまざまな薬物療法は、先月から、また、新しいお薬が
出てきまして、進行を抑制するといいますか、遅延させるお薬を、今後は選択する時代になった
ということで、ただ、薬価の問題があって、老健、療養病床ではなかなか使いにくい状況があり
ます。ただ、初発のお薬は、ジェネリックが出てくるということがあって、今後、お薬の使い方
は変わってくる可能性があろうかと思います。
 我々としては、まだ治す根本治療薬はありませんので、進行を遅らすことはできないかと。そ
のときに、早く診断することと、それから薬物療法を開始する。早く診断してし、早く治療する。
そして、よいケアが大事だと。介護、環境が大事である。それから、リハビリテーションのよう
な、短期集中リハビリなども導入されていますが、そういったものの組み合わせが非常に重要で
あろうと考えています。それによって、さらに進行を遅らすことができる。そして、よい状態を
保つことができるということがわかると思います。
 その下のスライドは、隣におられる池田先生がつくられたものをお借りしてきましたけれども、
慢性硬膜下血漿、アルツハイマー型、血管性によって、進行のパターンがちょっとずつ異なる。
脳卒中、血管性認知症であるとか、アルツハイマーによっても、少しずつ進行の経過をとるパタ
ーンが変わることが示されています。
 次のスライドは、ミニメンタルステートのもので、本当は内容も持ってきたかったのですが、
スライドの枚数に制限がありまして、よく使われている、アメリカから作成されて導入されたも
のです。それから、その下に長谷川式スケールで、両者30点満点で、両者の相関はあることに
なっていますが、カットオフ値がちょっとずつ違うとか、動作性の空間認知の作業がミニメンタ
ルには入って、長谷川式にはそういうものはないというような、少しずつメリット、デメリット
があろうかと思います。
 その次の資料で、OLDを紹介したいと思います。これは、東京都認知症の研究・研修、東京セ
ンターの本間先生たちが導入されたものですが、オランダだったと思いますが、OLDというもの
があります。これは簡易の12項目から見るテストで、ただ、課題としては、初期の一般プライ
マリーケアで見つけるような項目しかないと。下の5番に書いてありますが、「いつも日にちを忘
れている」から始まって、丸12番の「家族に依存する様子がある」というものの中の4つ以上
あると、認知症を疑って、専門医に、もしくは専門検査を行うというようなもので、スクリーニ
ングテストに用いられています。
 次のページを御覧いただきまして、症状といいますか、時期の評価にFASTが使われています。
もともと薬の評価に用いられるために開発されたものですが、この分類が1~7で細かいという
ことで、最近では、非常によく使われております。臨床上、今どのステージにあるか。例えば、
4の軽度、5の中等度、6のやや高度、7の高度で、実際、薬物療法をする上で、今は新しい薬
が3つできて、4つの中で、症状によって薬を使い分けるというのが出てまいりましたので、こ
の重症度評価尺度が非常に重要になっております。
 その下にまとめたものが書いてあります。主な認知症の評価尺度。先ほどから言っている中核
症状の値、状況を見るものと、それから、BPSDを見るものと大きく2つに分けられると思いま
す。長谷川式、ミニメンタル、そして、介護保険に使われている認知症の日常生活自立度もあり
ますが、以前の緊急プロジェクトで、厚生省の中でも、より使いやすいものに一度見直そうとい
う動きがありまして、今実際に頻用されています認知症の日常生活自立度の見直しが研究班で行
われたということであります。その結果、ADL+行動心理評価(新評価尺度)で、まだ検討中で
ありますが、社事大の今井先生が中心となってまとめられているものを後から紹介したいと思い
ます。それから、FASTの分類。
 それから、今回、療養病床でも、認知症でさまざまな症状で、認知症看護上・介護上困るとい
うようなのが、この周辺症状でありまして、それを評価する尺度として、NPI、DBD、BehaveAD
がありますが、やや項目数が多いとか、専門的である、研究目的で使われるものもありますので、
実際、臨床応用はなかなか厳しいと思います。ただ、専門病院等では、これは導入されて行われ
ています。
 次のページを御覧いただきまして、BPSDを特に分類する方法を、今まで簡易なものはなかっ
たのですけれども、この今井先生のグループで、0、I、II、III、そして、nというものを分類い
たしたものを、今研究を平成20年度、21年度の2年間行いました。0が「行動・心理症状が
ない又はあってもわずか」、Iが「行動・心理症状はあるが、見守りがあれば日常生活が営める」、
IIが「行動・心理症状があり、常に目が離せない」、IIIが「自傷・他害などがあり専門医療を必
要とする行動・心理症状がある」というもので、先ほどの中核症状のテストに合わせて、こうい
った心理評価尺度が有用ではないかと考えています。ただ、今は、まだ研究が終わった段階で、
頻用されているものではございません。
 そして、ちょっと付け足しでDCMを紹介したいと思います。これは、認知症の方のケアを評
価するものですが、実際には、お年寄りをmapperという評価者が6時間施設に伺って評価して
います。5分ごとに、よい状態か、悪い状態かというのを見ています。
 次のページを御覧いただきまして、このマッピングは、まずは、施設の職員に事前説明します。
そして、mappingの日を決めて、一日朝から晩まで見させていただいて、データ分析して、それ
を施設の職員に結果説明して、その後のケアの向上に役立てるということで、このデータ分析を
することで、施設ケアの評価がかなりはっきりわかるために、お年寄りを見るのですけれども、
ケアの内容が見れて、その後のケアの向上に役立つことができる。右のページにマッピング例が
ございますけれども、5分ごとに、どんな行動をしているのか、どんなケアが行われているかと
いうのを見てみます。その下の表で、よい状態か、悪い状態か、5点満点で、5、3、1、-1、
-3、-5で評価しているので、一日のうちにどの時間がよい状態かがわかります。それから、
WIB値がその下にありますが、これによってケアがよいかどうかという定量化が可能になってい
ます。これは主観的な評価をしているのですが、mapperがトレーニングを受けているので、客観
評価をかなりできるようなものになっています。こういった評価系もございますということです。
 次のページを御覧いただきまして、「療養病床の入所者の特徴」で、私はもともと29年間、老
年介護をやっていまして、療養病床で働いたこともございまして、そこにあるようなパターン化
を見てみました。認知症を特に基軸に見てみますと、ベースに血管障害や頸部骨折、心不全、経
管栄養の方が入られています。先ほどの90日議論もありますが、動ける認知症、転倒しやすい
認知症、寝たきり認知症と。特に、動ける場合、転倒しやすい方のケアがより大変であることも
わかっていますので、今後、療養病床等の評価に、BPSDを評価するのは有用ではないかと考え
ています。
 振り返って、医療区分2を見てみますと、その下にありますように、せん妄・うつ状態・暴行
が毎日みられる状態が医療区分2ということで見ていますが、ただ、観察手法としますと、この
BPSDは、出る人も、人によっては3~4割とか、日によって出る・出ないがありますので、こ
れが毎日みられるのは非常に厳しいものではないかと考えています。データに基づいて評価でき
ればと思っています。
 次のページを御覧いただきまして、私は内科医ですので、認知症でお年寄りを診ていく上で困
ることは、主な病気が、全般的に全人的に診れるのが大事だと考えていまして。そのときに、高
血圧・糖尿病・脳梗塞・虚血性心疾患、そして、便秘・不眠をちゃんとコントロールできること
が大前提ですが、その後、急性期の病気が出てまいります。誤嚥性肺炎とか、心不全の増悪とか、
脱水とか、こういったものに適切に対応できる病院、療養病床が欲しいと考えています。
そのときに、特に認知症に特化した場合、認知症の診断・治療、合併症、BPSDの治療、それか
ら、内服のコンプライアンス、アドヒアランスを最近言いますがその問題。そして、インスリン
注射が問題で入院できないというケースもあります。それから、褥瘡が途中でできたりする場合
もありますので、褥瘡の治療、それから、経管栄養、徘徊・迷子、これは比較的元気な方の問題
ですが。それから、痰の吸引が大事ではないかと。
 最後に、「まとめ」として、要介護高齢者の半数は認知症で、介護施設入所者の約8割は認知症
を伴っており、BPSDにおいては、その約半数というか、時期によっても違いますが、身体合併
症、BPSDがあることを適切に評価する必要があるのではないか。そして、最近では、新しい薬
の登場によって、ステージ分類が非常に大事で、軽度・中等度・高度で、その時期に応じて、ま
た、BPSDに応じて治療を加えていくことが重要であると考えています。
 以上です。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 申し遅れましたが、各先生方、15分ずつ発表を続けてしていただいて、そして、後ほど、ま
とめて御質問などをさせていただきたいと存じます。
 それでは、お着きになった順で恐縮ですが、池田先生に次にお願いできればと存じます。
 
〇池田参考人 
 熊本大学の神経精神科の池田と申します。よろしくお願いいたします。
 今日、私は、今、遠藤先生からも御紹介あったBPSDを地域でどのように診療しているのかと
いう宿題をいただきましたので、このカラー刷りで恐縮ですが、パワーポイントの資料を見なが
ら説明させていただきたいと思います。
 まず、「認知症医療に求められている課題」。これは、先ほど遠藤先生も御指摘になりましたが、
特に、正確な早期診断と、それから、さまざまな治療法が出てきましたので、より的確な治療、
介護計画の立案。そして、最も介護者に求められているのは精神症状や行動障害(BPSD)の治
療。それから、認知症の方で合併症を持った方の治療をどこでするのかということが、非常に大
きな問題になっています。言葉は悪いですけれども、このような患者さんはどうしても地域の医
療機関では敬遠される。身体合併症があって、身体的なケアを一般病院でしないといけないのだ
けれども、夜間に妄想が出る、幻覚が出る、徘徊があるというような方が非常に問題になること
が多いわけです。こういったニーズに応えるということで、厚生労働省が、たしか今年度いっぱ
いを目標だったと思いますが、全国150か所で、認知症疾患医療センターという、認知症に関
する専門医療を提供できるセンターの設置を進められています。
 次のページを御覧ください。我々は、その制度に乗りまして、熊本県で、認知症疾患医療セン
ターを中心に、特に、私は精神科医なものですから、BPSDの治療対応を進めていこうというこ
とを目標にしました。ここにございますように、「熊本式認知症疾患医療センターの整備について」
という模式図ですが、これは、私どもの大学病院の神経精神科内に、認知症疾患医療センターの
基幹型という、すべてを統括と言ったらあれですけれども、全体をカバーするという施設を1つ
置きました。地域の精神科病院で認知症医療を熱心にやっているところに、地域拠点型というセ
ンターを設けまして、その地域拠点型が、実際にはこういった医療の最前線ということで、介護
等は地域包括支援センターを通じて強い結びつきを持っておりますし、かかりつけ医のクリニッ
クや地域の総合病院、それから、療養病棟を持っている病院などとは、この地域拠点型がネット
ワークをつくっているということでございます。
 次のページを御覧ください。現在、大学病院に基幹型が1か所と、それから、地域の拠点型が、
3月までは8か所あったのですが、この4月から、さらに、この空白地帯の人吉とか、福岡県境
に2か所設置されまして、現在10か所で熊本県の場合は、その疾患センターが設置されていま
す。ですから、国全体で150か所が目標なので、多分、人口当たりでは非常に多いのが特徴で
す。目標は、できれば、車で30分以内で専門医療が提供できないか、激しい精神症状を出して
いる認知症の方、高齢者の方を移送するといいますか、受診に結びつけるためには、せいぜい3
0分ぐらいが限界ではないかと考えております。
 その下が、基幹型と地域拠点型の役割分担でございますが、基幹型の方は、その早期診断、さ
まざまな高度の画像機器や合併症も、非常に重い合併症を、空床も確保してもらっていますので、
大学病院で治療していくというバックアップです。そして、地域拠点型の方は、特にBPSDを治
療していくということでございます。
 次のスライドです。ただ、現在、認知症の方は、おそらく250万から、それ以上と言われて
います。ところが、認知症医療を担う専門医の数が非常に少のうございまして、統計によって違
いますが、専門医1人がカバーしないといけない認知症の方は、大体2,000~3,000人
と言われております。ですから、トリアージが非常に重要になってまいります。介護者からの相
談も非常に多い。そこで、熊本県では、認知症コールセンターを家族の会に委託しまして、ここ
で、まず大まかなトリアージをしてもらいます。本当に医療が必要な相談の場合に、認知症疾患
医療センター、家の一番近くの地域拠点型に電話をつなぐ。それから、介護保険等に関しては、
最寄りの包括支援センターに相談する。実際の介護相談に関しては、家族の会が、みずから経験
者ですから対応をするというようなことで、なるべく負担を分散するということをしています。
 ここにございますように、疾患センターの相談件数は、これは一昨年の冬のデータで、ちょっ
と少ないので申しわけないですが。でも、大体250件以内で、一応各疾患センターに専属のコ
ーディネーターが1人ずつおりますけれども、そこで何とか賄えるぐらいに抑えられております。
 次を御覧ください。これは、BPSDとも関連はしますが、最も大事な早期診断の役割分担です。
認知症疾患センターには、CTの設置だけが義務づけられております。おそらく、これで8~9割
画像診断はいけるとは思うのですが、レビー小体型認知症と言われる3番目に多い認知症とかは、
機能画像の診断も要りますので、ごく初期の方の場合には、特に、基幹型大学病院で、さらにデ
ィープな検査をするということであります。
 この下が地域拠点型で、連続100例の診断をお示ししたものです。これは地域の精神科病院
の専門外来に来られた認知症の方というふうに御理解ください。遠藤先生がおっしゃいましたよ
うに、アルツハイマーが50%を超えています。血管性認知症が15%、今申し上げましたレビ
ー小体型認知症が9%、それから、認知症の前駆状態が6%、そして、大事なのは、正常圧水頭
症とか、それからBPSDには含まれないこともありますが、激しい精神症状を伴うせん妄、意識
障害が7%といったような、根治の可能性のある病態がかなり含まれているということでありま
す。
 次のスライドを御覧ください。今日の主題のBPSDの役割分担でございます。熊本の疾患セン
ターは、精神科病院の専門医がいるところが設置先に認定されていますので、ここで大部分を診
る。ですから、地域の療養型病院とかリハビリの病院、一般総合病院からも、ここへ直接外来あ
るいは転院の依頼が来るという仕組みになっております。そういったBPSD、鑑別診断、早期診
断は大事ですが、さらに、認知症の場合、これも遠藤先生が御指摘になりましたように、慢性硬
膜下血腫といったような救急対応が必要になるもの。救急で治療すれば治るけれども、ちょっと
判断を見誤ると治らない認知症になる、命さえも危ないというものも一定の件数で混じってまい
ります。地域拠点型で、大体一つの拠点型で、年間5例ぐらいは、即日脳外科で手術するといっ
たものも混じってくるわけです。
 次を御覧いただきますが、NPIによるBPSD有症率。先ほど遠藤先生が御紹介のあったNPI
というBPSDの評価尺度を、熊本の8か所の疾患センターではすべて使っています。これでほぼ
包括的な精神症状が把握できるわけですが、これを見ていただきますように、先ほどの連続10
0例の来られた初診の患者さん、2か月ぐらいで来られた初診の患者さんを見ていただきますと、
BPSDは90%の方に出ています。ですから、勿論、疾患センターに来られる方というバイアス
はありますが、認知症では、精神症状や行動障害が非常に出やすいと考えていただいていいかと
思います。
 その下に、これも一昨年のデータで恐縮ですが、今のようなトリアージをいろいろしても、1
か月に来られる再診の方も含めた患者さんの数は、100か所のセンターで、今、3,200例
ぐらいに上っております。ですから、非常にニーズは高い。特に、一般病院やクリニックに通院
中の方で、精神症状が出た場合の対応は物すごく難しいとかかりつけの先生は感じていらっしゃ
るということでございます。
 次のスライドを御覧ください。もう一つ、私の宿題ではありませんが、では、合併症をどうす
るかということですが、この合併症は、逆に、認知症疾患医療センターに来られた方で、かかり
つけ医が大体おられます。そして、地域の総合病院等も、こういった疾患センターは非常に密な
ネットワークをつくっておりますので、場合によっては、疾患センターから精神科医が出張する
ような形で、往診するような形で入院をお願いして、身体合併症の治療に専念していただく。あ
るいは、絶えずそういった病院から看護師さんが付き添ってその疾患センターに来られて、精神
症状のコントロールをしながら、例えば透析を続けるとか、手術の準備をするといったような、
地域に根ざしたネットワークをつくっております。
 これが最後のスライドですけれども、これは、私に付いてきている若いドクターが、地域の精
神科病院の疾患センターの医療行為をまとめてくれたものです。初診の先ほどの100例の方の、
その後初診の3か月以内にどんな医療行為をやったかということですけれども、これで御覧いた
だきますように、非常にさまざまなことが要求されてまいります。先ほど遠藤先生がおっしゃっ
たような、デイサービスに導入して、さまざまな活動性を上げていくというようなことから、運
転を中止することを説得したり、あるいは、当然薬物も投与いたします。抗精神病薬、あるいは
抗うつ薬、それから、抑肝散という漢方薬も少数ですが投与しています。認知症の場合は、これ
はほとんどオフラベルでございますので、非常に微妙といいますか、インフォームドコンセント、
きっちりした治療をやっていく必要がございます。それから、ここにございますように、脳外科、
内科、循環器科、整形外科に紹介しておりますように、合併症をここで見つけて、地域の病院で
治療をしていく。療養型にお願いする、一般病院にお願いするといったようなこともございます。
 以上のように、BPSDは非常に高頻度に認知症には出てくるものでございまして、大体欧米の
データでも8~9割の認知症の方に、何らかの精神症状が合併していて、その一方で、専門医が
非常に少ないという現状があって、かかりつけ医の先生が、ふだん認知症の方も診られているわ
けですけれども、いったん精神症状が出てきた場合の対応が今非常に求められているというのが、
地域の現状でございます。
 以上です。
 
〇池上分科会長 
 池田先生、どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、朝田先生よろしくお願いいたします。

〇朝田参考人 
 失礼いたします。私は実態調査ということで、こうした認知症の方が、いわゆる適材適所で処
遇を受けているかどうかということを、先ほど遠藤先生がございました舛添大臣の緊急プロジェ
クトの取組として行ってまいりました。いわゆる4病協と日本慢性医療協会に所属する6,00
0余りの病院の中から2,200の病院を抽出しまして、そこにアンケート調査をしたというこ
とでございます。
 1枚めくっていただきまして。その結果、2,200の病院のうち30%から御回答をいただ
きました。また、各施設から、平均6枚ぐらいの臨床個人票といいますか、個人的に無作為に選
んだデータを送っていただきました。
 回答施設の特徴は、病床数が平均で231といいまして、いわば中規模の病院で、亜急性期か
ら慢性期の患者さんを主として対処している病院、そういうところが回答施設の主なところでご
ざいます。
 まず、その病院の概要等について御説明申し上げます。下の棒グラフが、介護系と医療系とに
分けて、赤い方が医療系ですけれども、こうした施設ごとに認知症が付いている患者さんで、大
体平均年齢はどれぐらいですかというものを問うたものでございます。概して介護保険系が高く
て、医療系が低いのですが、一番高いのは療養病床、それから、一般、精神となっております。
ここに、まず1つ、療養が高いという特徴がございます。
 1枚めくっていただきまして。今度は寝たきりですけれども、これは介護保険の主治医意見書
の中の日常生活自立度を借用いたしまして、それで答えていただいたのですけれども、これは医
療・介護において、そうは差はないのですが、やはり療養が一番高くて、精神が一番低いという
ことで、療養におられる方は寝たきり、精神の方はBPSD等、活発に動き回れる人だろうなと示
唆しておるようです。
 それから、今度は、認知症の自立度となりますと、ほぼ横一線に見えるのですけれども、これ
も主治医意見書の認知症患者の日常生活自立度から選んでおりますけれども、このように、認知
症が一番多いのは、精神科病床の方で、一般病床の方は比較的軽いだろうということが言えます。
 さらに、医療依存度は何かといいますと、主治医意見書の特別な医療、多々項目ございますけ
れども、これを診療報酬の点数表に基づいて数値化して、合計点を出してみたときに、どこで一
番医療が多いかというと、意外ですけれども、一般ではなくて、療養の方が高いのですね。精神
はかなり低い。ということがわかりました。
 次にダイナミズムということで、どこから患者さんは来て、どこへ行くのだろうかということ
で見たのが、下にある表です。2つ上と下にございます。療養病床が上の方、下の方が一般病床
ですが、一般病床から見ていただいた方がわかりやすいと思います。12,715名の入院があ
った。そのうち約半数弱が自宅から来られて、3,000名が他の医療機関から来られた。そし
て、2,200名の方が亡くなられた結果、1万人ちょっとの方が退院された。そして、その多
くは自宅であり、おそらくもとの医療機関でしょうけれども、そこへ移られたということで、あ
る意味で真っ当な予測どおりのダイナミズムです。それに対して療養病床を見ますと、4,20
0人入られて、2,000人と申しますから、半分の方が亡くなられている。ここで終の住処に
なっている。しかも、他の医療機関から来られた方であっても、2,400名来られても、69
0名しか他の医療機関へ帰れない。自宅に帰る人もおられますけれども、一般病床の場合と比べ
ると低い。要するに、療養病床は終の住処になっていそうだということでございます。
 次に、一人ひとりの状況ということで、臨床個人票から患者さんの特性に注目してみました。
池田先生が強調されたBPSDは非常に重要なキーワードですが、これについて見てまいりますと、
精神病床でそうした症状があると言う人は83%に対して、療養で60%、そして、一般病床で
は59%と申しますので、みんな認知症はあるのですが、激しい人は精神病院に行って、一般病
床では比較的少ないという特徴が見てとれます。
 また、BPSDでも、幻覚、妄想とか、昼夜逆転とか、さまざまなものがあるのですが、どれを
とって見ても、精神科病床における患者さんが一番見られがちであって、次に療養、一般と続い
ているという、この傾向がどのような問題行動といいますか、周辺症状についても見てとれるわ
けでございます。
 さて、先ほど、医療依存度に関しては、一般病床ではなくて、療養病床が一番高かったという
話を申し上げたのですが、その原因は何だろうと思って精査してみた結果が、次のスライドです。
どうも、経管栄養ではないかということです。経鼻もあります、PEGといいますか、胃瘻もござ
います。すなわち、精神病院でそのようなものを使っている人は4.5%なのに対して、一般病
床では10%、療養病床になりますと21%というふうに、倍、倍となっていくわけでございま
す。それに呼応するわけですが、いわゆる摂食嚥下機能の低下はあるかという項目、介護保険の
項目ですが、それについて見ますと、精神病院で約4分の1、一般病床でも5分の1に対して、
療養病床における患者さんでは、3分の1以上の方々で摂食嚥下機能の低下があるとなっており
ますので、これは非常にポイントになろうかと思います。
 さて、特に精神科病院系では、ロジスティックあるいは後方支援をしてくれる施設、病院がな
いから、精神科病院にとどまっていて、停留してしまうのだということが言われるのですが、そ
のダイナミズムは本当に動いているのかどうかということう見たわけです。それは、平成20年
度に在院された認知症の患者さんが、入院の1年後にどうなったかという質問をしたわけです。
まず、一般病院から見ますと、これは先ほどと一緒です。さすがに1年在院される方はいなくて、
自宅へ退院される方が一番多い。おそらく、これは長期にわたるぞと思われたような人は介護保
険に移られるのだろうし、その他の合併症等であれば、他の医療機関へ移っているのだろうなと
いうことで、なるほどと思われる結果が、一般病院については見てとれます。ところが療養病床
に関しては、終の住処ということで、入院継続が最も多くて、その次に、先ほど半分亡くなられ
ると申したのですが、死亡退院、さらに介護保険系へ移っておられるということでございます。
精神病院も似たようなもので、このような場合には、終の住処というよりは、BPSDが激しくて、
どこもとってくれないから、仕方がないから、ある患者さんは一つの病院にとどまっておられる
ケースがとても多いということがわかります。
 そして、その業界では「退院支援」と呼んでおるようですけれども、普通に「退院してね」で
はなくて、退院してもらうためには、特別にさまざまなスタッフがそのバックアップして、家族
あるいは地域に働きかけることが必要で、認知症の場合にはそういうことが多いわけです。意外
ですけれども、一般病床も精神病床についても、大体40%台で来ているのですけれども、むし
ろ、療養病床は少ないと。これも先ほどの終の住処という意識があるのかなと思いました。
 最後から2枚目です。そして、力を入れた結果、どうなったのですかということを見ていきま
すと、一般病床の場合には、めでたく40%ぐらいの方がお家に帰っておられるのですね。この
ことは、おそらく地域包括とかさまざまな地域のサービスあるいは医療体制が連携してうまく何
とかかんとか回しておられるのだろうということが読めるわけです。
 ところが、一番左側の精神病床を見ていきますと、737人おられて、1割しか自宅には帰れ
ない。自施設在院は、どこも受け取ってくれないから、しようがないからうちにいるという意味
ですけれども、これが極めて多いということで、このBPSDが、言葉では在宅での生活とか言い
ますけれども、実際には、地域での生活には戻れないでいるというところを表わしていると思い
ます。
 今、熊本のすばらしいモデルについて池田先生から御発表があったけれども、そうした地域の
認知症医療は、ある意味では、むしろ内科系のお医者さんたちの方が今本気になっておられると
ころも多々ございます。私どももそういうところですけれども、そういう内科系のお医者さんた
ちは、精神科病院はいわばBPSDが激しくなったときの駆け込み寺であるという認識は、皆さん
とても共通してなさっておられます。
 ところが、では、おなじみの連携精神病院があるのですか、先生が御存知でなくても、PSWさ
んとソーシャルワーカーさんが熱心に連携をとっておられるのですかと聞きますと、このように、
「ある」は半分を割ってしまう。そのお医者さんに直接電話をかけて「何で先生のところはしな
いのか」と聞きますと、要するに、「精神科病院はいつも満床なのだ」と。
 以上です。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 それでは、3人の先生方にプレゼンテーションをしていただきましたので、順不同で結構でご
ざいますので、御質問があれば、5時まで20分程度ございますので。

〇武久委員 
 朝田先生の御発表を見てもわかるように、療養病床は認知症の方とか重度の方を結構みている
ということが出ているわけですが、下の方ですけれども、自宅への退院者は、割合にしますと、
一般病床の方が約25%で、療養病床の方は約18%ですから、そんなにばかみたいに少ないわ
けではない。ただ、最後どこで亡くなるかということですけれども、ある程度一般病床は、一応
急性期病院という名前がついていますから、急性期治療が終われば一応退院することになります
ね。療養病床に入ったときに、よくなれば介護施設へ行きますが、最後、一般病床から送られて
きた重い人を、最後まで面倒を見なければという機能がありますので、これは死亡退院が多いの
は当たり前だと思います。
 その後に、7ページですが、医療依存度が高いということは、先生御存知かどうかは知りませ
んが、医療区分が入りまして、医療区分で3とか2とか重くなっていますから、結局、そういう
患者さんが最終的に医療療養病床なりに入っていると。療養病床としてはひと括りになっていま
すけれども、介護療養と医療療養でかなり差が出ているのではないかと思うので。
 
〇朝田参考人 
 多くの種類があるので、一つひとつに区分するとばらけて一定の傾向が出ないので、仕方なく
括ってあります。

〇武久委員 
 大体でわかりますけれども、そういうことで、9ページの上の方ですけれども、「認知症患者の
入院1年後の転帰」で、療養病床は自宅へ帰るのが10.6%、精神病院が12.7%というこ
と、それから、他の医療機関へ行くのと、ということになっていますけれども、結局、死亡退院
が多いというのは、先ほどのあれだと思います。
 私も療養病床の現場でいますけれども、認知症の症状を呈している方で、私は症候性認知症と
勝手に言っているのだけど、要するに、呼吸器疾患になったための肺性脳症的な要素とか、脱水、
低栄養等で、かなり認知症は進行したり助長したりすることが、現実に治療をやってみてありま
す。確かにそういうことで認知症があっていろいろな合併症があるという患者のうちで、例えば
がんの手術をしたり、脳卒中の急性期とかいうのは、割合そのときで処置が終わるのですけれど
も、その後が慢性期病床へ移ってきて、非常に込み入った複雑な病態を呈した患者さんをみてい
るというのが現状でございます。そのためには、これを見ても、認知症は精神科がほとんど診る
のだという先生もいらっしゃいますが、高齢者が認知症になる例が多いわけで、アルツハイマー
の非常に早期は別として、そうなってくると、内科と精神科とが一緒になっているような病院が
一番適切だと。ところが、精神科病院は、なかなか内科医がいつかないというか、精神科と内科
が一対一でいるような病院は少ないのですね。したがって、結局は、内科中心の療養病床に、認
知症の重度の人が吹き寄せられてくると言ったら悪いのですけど、そういう状態です。その中で
18%の自宅退院になるということは、これは療養病床がかなり頑張っているのかなと私は思う
のですけれども、症候性というか、いわゆる精神科的な典型的なアルツハイマーとか、レビー小
体とかいう以外に、身体疾患によって増強する認知症があると思うのですけれども、それについ
て御意見がある先生がいらっしゃったら、ちょっと教えていただけたらと思います。

〇朝田参考人 
 調査の中では、一応基礎疾患についても調べております。一番多いのは、アルツ+脳血管性と
いうことで、おそらくそんなにひどい方ではないとは思うのですが、ある程度そういう基盤があ
って、その上に肺炎であったとか、何らかの身体合併症が悪化したときに、先生がおっしゃるよ
うに極めて重度になられるというのがあって、精神科のBPSDとは違うつらさを先生たちのとこ
ろで経験されていることはお察しします。

〇三上委員 
 朝田先生、どうもありがとうございます。
 療養病床に認知症の方はたくさん入っておられるというのがわかったのですけれども、基本的
には、先生もパワーポイントの中で少し示されていますが、精神科病床に入られている認知症と
療養病床の認知症は大分形が違うのではないか。BPSDがひどければ、療養病床ではかなり難し
いのではないかと思いますが、一定程度はいらっしゃるということは、これは基本的には紹介を
受けてもらえる精神科病床がないので、仕方なく、周りの患者さんへの配慮とかもありながら、
苦しい中でみておられるところが多いのではないかと思うのですけれども、その辺のところはわ
かりますか。

〇朝田参考人 
 おっしゃるとおりで、そういう傾向は読めるとは思うのですが、例えば7ページの上の方の表
で申しますと、要するに一言でBPSDと申しますけれども、幻覚や妄想は比較的初期なんですね。
それが昼夜逆転しているとか、弄便行為とか便こねになってくると、これは重度だということが
わかります。1つの例ですが、昼夜逆転に関しては、精神と療養は同じなんですね。すなわち、
認知症はおそらく中期の最も扱いにくいところを診ているのが精神科で、先生方は、それを超え
られた、もうちょっとさらに重度のところを、さっきの武久先生がおっしゃったような一つのグ
ループと、もう一つのグループとして、もう四肢の屈曲拘縮が来てしまって、便こねとか昼夜逆
転ぐらいしかないよというふうな方が多いことも反映するのかなと思います。

〇三上委員 
 私の病院には、武久さんがおっしゃったような、精神科と内科と半分ずつある総合病院です。
ですから、精神科病床におられる方もいらっしゃるし、療養病床にいらっしゃる方も、一般病床
におられる方も、私どもの医療機関にはいるのですけれども、それぞれ特徴的で、ここで朝田先
生が出された動ける認知症の方でBPSDがある方は、精神科病床でないと、閉鎖病棟とか、そう
いったところでないと対処できないという部分もございますし、身体合併症がひどくて、透析を
週3回しないといけないというような方については、精神科病床の方もいらっしゃいますし、一
般病床の方もいらっしゃるというような状況がございます。
 池田先生にちょっとお伺いしたいのです。池田先生のところで、地域包括支援センターが活躍
しているような形に書いてございますが、ここには認知症へ対応するスタッフ、臨床心理士とか、
PSWとか、そういった方がいらっしゃる、いわゆる認知症疾患医療センターに対応した全国15
0か所と言われる、そういうふうな特別な地域包括支援センターを意味しておられるのか。
 また、かかりつけ医と地域の総合病院における連携もあるのですが、ここでは、認知症サポー
ト医も全国に1,200人ぐらい養成されていますけれども、そういった方との兼ね合いはどう
いうふうになっているのか。

〇池田参考人 
 ありがとうございます。
 1つは、認知症の包括センターの場合に、先生おっしゃられるように、中核になっているのは
認知症対応型です。特に熊本の場合は、モデル事業もいただいて、疾患センターの地域に、対応
型の包括センターを1か所ずつ置いていただいているので、そこが非常に活躍をして、ほかの包
括支援センターのレベルアップもしてくださっているということがあります。ただ、それがなく
ても、かなりきっちりと包括支援センターとその地域拠点型が結びついてやっているという地域
がございます。
 それから、サポート医の先生、勿論、疾患センターの精神科医がそのままサポート医もやって
いるというところもあるのですけれども、正直言ってなかなか難しいです。と申しますのは、今、
内科の先生方、それから、プライマリーで認知症を診ておられる先生方が、技術を持っていらっ
しゃって、認知症を十分診ていらっしゃって、そこで困られた方が回ってくるので、少々の研修
では対応できないような方しか実は回ってこないという現状があります。先ほど、私が、3か月
診た患者さんの何をやったかと見ていただきましたように、かなり難しいことを、要するに、虐
待をどうするのだとか、それから、合併症もあって、BPSDもある方をどこでマネジメントする
のかといったような依頼がまいりますので、なかなかサポート医の先生だけで対応するのは難し
いのが現状です。逆に、地域の内科とか整形外科の先生方は、それくらい認知症のことを勉強さ
れているのだと私は思っています。

〇酒井委員 
 まず、朝田先生に御質問です。療養病床に入ってくる患者さんは、他の医療機関から入って来
られる方が多いというデータがあって、また医療依存度の高い人が多い原因は、経管栄養という
ことになりますと、経管栄養が始まったところは、他の医療機関で経管栄養が始まって、ほかの
介護施設に入居できずに、療養病床にいらっしゃるケースが多いのか、療養病床で経管栄養が始
まるのかというところのデータがあるのかどうかということを教えていただきたいと思います。
というのは、最近、認知症の患者さんに胃瘻を適用していくことの是非が非常に問われている現
状があるので、その辺のところをデータであればということが1点です。
 遠藤先生に御質問です。DCMに関しまして、mapperの養成とか、非常に手間がかかりますし、
コストもかかるのかなと思っていまして。日本での普及の現状とかが、もしデータがあれば教え
てください。
 
〇朝田参考人 
 療養病床における胃瘻の設置がどこで行われたかという問題について、それを特に調べたこと
はないのですが、8ページのスライドから推察しますと、療養に来られる方は、精神病床からは
あんまり行かれないので、これはおそらく一般だと思うのですね。一般から療養への移動だと思
うのですが、その上のスライドでおわかりのように、一般に比べて療養が多い。また、今度、下
を見てみましても、摂食嚥下機能の低下のある方についても、一般よりは療養の方が多いという
ことからは、おそらく個々の病院によって相違はあると思うけれども、一般的には、療養に移ら
れてからつくられているのかなというふうに想像はしております。おそらく、ケース・バイ・ケ
ースで、特に熱心な消化器外科の先生がおられたら、きっとそこでおやりになるとは思うのです
けれども。

〇遠藤参考人 
 DCMについてですけれども、御質問ありがとうございます。
 我々は、このイギリスの研修を日本に導入して8年になりまして、今、全国で600人のmapper
ができました。本当に自主的に臨床のケアをよくしたいという方が手を挙げて。そろそろどこか
の施設なり、地域なりで、系統的に導入をしたいと考えていますが、その自主的に手を挙げた人
がばらばらな地域におられるので、まだ普及までは至っていません。ただ、22年度に、厚労省
からの依頼で、在宅の認知症を診ておられる方の家にmapperが行って、今100人の調査を終
えたところなので、今後、そのデータもまた開示していきたいと考えています。

〇武久委員 
 池田先生と朝田先生にお聞きしたいのです。まず、朝田先生は、療養病床で胃瘻が多いと言う
のですけれども、酒井さんがおっしゃるように、認知症に対しての胃瘻をどうするかということ
が一部の人で言われていますが、では、認知症の胃瘻はだめで、統合失調症の人の胃瘻はいいの
かとか。例えば、うつ病の人の胃瘻はいいのかということになると、これは何とも言えないので
はないかと私は思うのですけれども。それは、例えば脳卒中の後遺症であれば、脳神経の嚥下障
害に対しては、急性期病院で胃瘻をつくってきて、むしろ、早期に、我々のところで嚥下訓練を
して治していくという例がありますが、認知症とか統合失調症の方も結構お年をどんどん召して
きて、最後の方で食事が食べられないということで、そういう胃瘻をつくっておられる場合もあ
りますけれども、その辺のところが、胃瘻はだめだとか、認知症とかはだめだとかという偏った
見方でなしに、何か一つの概念が精神科としてあれば教えていただきたいことと。
 もう一つは、我々のところで、身体脱水とか、いろいろな呼吸器疾患で入院している人がBPSD
になったときには、それを精神科に紹介するよりは、精神科の先生に来ていただいて診ていただ
く方が私はリーズナブルだと思っていますので、そのときには、精神科の先生にお願いをして来
ていただいております。そうすると、特殊な手術をしたり、電気ショックをするのでなしに、薬
物療法で治療をしていただけますので、来ていただいて、後の経過を報告するということで、処
方の変更をしたり、うまくいく場合が多いのですけど、先ほどの池田先生のように、認知症のセ
ンターに送っていく方がいいのか。それとも、元気で動ける精神科医がその患者さんのもとに来
てくれる方がいいのかというと、診断の面は別として、実際の治療の面ではそっちの方がいいと
思うのですけれども、そういうふうなことが進むような方向性は、池田先生いかがでしょうか。
 
〇池田参考人 
 御指摘のとおりだと思います。その疾患センターでも、地域の拠点型の方は結構往診に行って
います。その報酬があるのかどうかはわかりませんが、相互の信頼関係で。そのかわり、入院中
のBPSDがあるような認知症の方が合併症になった方の場合には、今度はそういった一般病院が
頑張って診てくださる、入院を許可してくださるというような相互の信頼関係でいくこともあれ
ば、実際、お元気な方はセンターに来ていただく。双方向が非常に重要かと思いますし。それか
ら、先ほども御指摘にありましたけれども、今、精神科医と内科医とが同じ職場でいる機関が残
念ながら少なくなっています。総合病院の1~2人いた精神科医も非常に少なくなっております
ので、そういった場をどうやってつくっていくか。先生がおっしゃったように、往診をしていく
のも一つの重要な手法かと思います。

〇池上分科会長 
 今のに関連して、お答えになる前によろしいでしょうか。熊本の病院に、精神科の病院に入院
された方が6人となっていますけれども、この6人は、このセンターができてから、これは増え
る傾向にあったのか、減る傾向にあったのか。

〇池田参考人 
 これは、僕も注意深く見ているつもりです。今8か所あるのですけれども、8か所で、大体月
平均が40人前後です。ですから、決して多くないです。抱え込んでいるわけでもなくて、むし
ろ、大部分は在宅あるいは一般病院、療養型病院にほとんど外来で帰られています。それでも、
どうしても難しい、本当に激しいBPSDの方だけが入院しているということでございます。
 
〇池上分科会長 
 つまり、このセンターができることによって振り分けがより適切に機能して、精神科病院に入
院するケースが減った可能性があるということですか。

〇池田参考人 
 それはあると思います。

〇池上分科会長 
 ただ、それはまだ裏付けはないですか。

〇池田参考人 
 裏付けはないです。少なくともそこへ患者さんが集中して、その方々で入院が増えているとい
うことは全くございません。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 どうも申しわけありません。朝田先生よろしくお願いします。

〇朝田参考人 
 簡単に。酒井先生、武久先生に大変重要なポイントを御指摘いただきまして、ありがとうござ
いました。
 この問題ですけれども、オランダに代表されるように、ヨーロッパであれば、自分の口で食べ
られなくなったら積極的な医療はもうしないのだという一つのある意味では立派な理念があると
思います。
 日本の場合は、そんなことを言いますと、これがまた極論でございますので、現時点では、SOL、
生命の尊厳といわゆるQOLとの間でもって、何がバランスがとれたところなのかを、ここは個々
に論じていくしか、その付ける、付けないに関してないと思いますし、また、やるにしても、い
つやるかというのを、これもまた臨床的にはとても大変な問題ですので、いずれにしても、SOL
とQOLの間でもんでいかなくてはいけないという意識は植えつけていく必要は本当に大切だと
思います。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 朝田先生に一言。こういうデータがあれば、また、後ほど提出いただければと思います。「病院
種別の入退院者の動向」がありますけれども、これは、精神科の病院に対しても、入院患者の動
向は把握されていますでしょうか。

〇朝田参考人 
 はい。

〇池上分科会長 
 私からのお願いでございますけれども、それも後で提出していただければ。といいますのは、
精神科への入院の敷居が高いというお話をされたのですけれども、その中で、どのような適切な
振り分けがなされているかどうかということを見る一つの指標として、どこから精神科の病院に
入院して、また、精神科の病院から退院する場合に、いわゆる中期のBPSDが激しいときに、精
神科の病院でしか対応ができないというのですけれども、中期ということは、後期にやがて行く
わけですので、そうなると、必ずしも精神科の病院で入院する必要がなくなるので、そうした観
点から、ただ、一回精神科の病院に入院しますと、なかなかほかの病院では受け取ってもらえな
いという事情もあるので、精神科の病院の入退院については、ここに提示していただけなかった
ので、恐縮ですが、あわせて御提示いただければと思います。

〇朝田参考人 
 はい、承知いたしました。

〇?木分科会長代理 
 遠藤先生に質問をしたいと思います。
 先ほど、アルツハイマー型認知症の経過について、最近はいい薬もできていてという話しでし
た。最後のまとめに、的確な検査と治療が必要だということで、慢性期入院医療の包括化を検討
をしている我々としては、経済的に新薬をなかなか使えないというところに興味がある。医学的
可能性と支払方式としての9区分のバランスをどう考えようとしているのか質問したい。池田先
生には、医療連携について是非留意すべきだというか、まだまだ認知症の部分は医学的にもフロ
ンティアで、それなりの医学的なインターベンションが可能性あるという中でどういうことに留
意すべきかお尋ねしたい。

〇遠藤参考人 
 非常に難しい質問だと思いますけれども、私はもともと内科医なので、ここで議論されている
ような、90日以内に帰すということが大事だと思っています。そして、その90日間に高価な
薬、新薬が使いにくいという現状があるので、その問題は今非常に難しい問題で、本来なら受け
られるべき治療が受けられないというのはやめるべきだと思っています。ですから、高価であっ
ても、必要と考えた場合は使いたい。
 例えば療養病床はわかりますが、老健でも、100人は無理でも、5人ぐらいは高価な薬を使
うということも聞いていまして。在宅支援、在宅ということがまず大事だと考えていますので、
多分、頑張る療養病床も精神科も、在宅支援をやる場合に、一番ネックになるのは薬の継続性な
んですね。ですから、僕自身は、初期から中期・後期に合わせてBPSDの治療も含めて新しい薬
剤の投与は、エビデンスとしては、多分、まだBクラスとかCクラスだと思いますけれども、今
後エビデンスができた場合、その投与は必然になっていくのではないかと考えています。さっき
の朝田先生のQOLとかSOLをよくするためにも、こういった薬が世界的に使われている、高価
であって使えないという場合はありますけれども、お金の問題を除けば使いたいと考えていると
ころですね。ですから、次期ステージに合わせて、在宅支援するための治療を継続すべきだと考
えているところです。

〇猪口委員 
 池田先生に教えていただきたいのです。
 BPSDで役割分担というスライドがありますが、BPSDは、実際に在宅とか特養とかで発生す
ると本当に手に負えなくて、これは紹介するときには、入院が前提のように思うのですが、ほと
んどがそうなのか。それと、もしも外来で診るということになると、そこで何か投薬されても、
症状が常に変わっていくので、多分、とても施設対応とかできなくなってくるのですが、そこら
辺の対応はどうされているのでしょうか。

〇池田参考人 
 おっしゃるとおりで、そういった場合は、外来も非常に緊迫してまいります。したがって、か
なりの治療技術が要ると思っています。先ほど私が申しましたように、基幹型をつくっています
のは、そこで育成するというのが一番重要なポイントで、今既に、8か所のうちの7か所までは、
少なくとも週1回大学から専門医が行って、専門外来を必ず1日は開いております。ですから、
その病院の先生方が御覧になって難しいケースは、すぐにその週の専門外来で、もう一回大学か
ら行った専門医が一緒に診させていただくというようなサポートシステムをとっています。それ
から、月一度、そういった非常に難しかった事例を、全センターのドクターとソーシャルワーカ
ーが集まって、事例検討をやって、こういった場合、こうやったけれども、うまくいかなかった
とか、こういう場合はこうやった方がよかったというようなことを、既にずっと蓄積してきて、
目標としては、8か所のレベルを、先生方の御期待に応えられるようなレベルを維持すると。そ
うすれば、先ほど申しましたように、来られるときは、確かに入院を求めて来られるのですけれ
ども、おそらく8~9割ぐらいは一旦は外来でやりましょうということになると思います。

〇猪口委員 
 ありがとうございました。

〇武久委員 
 遠藤先生がおっしゃっていたように、我々は、現場である程度認知症が進んだ例に継続投与し
てみても、ほとんど効果ないと。その費用対効果。要するに、薬価が高過ぎるのに、スパッと効
かない。例えば高くても、心臓の薬とか、抗生物質とか、幾ら高くても、効果があれば、療養病
床だから使わないということは、そういうことは多分ほかの療養病床の先生も思っていないと思
うのですよ。費用対効果の問題で、私としては、文献を読んで、学者の人がこうだと言っている
のを信用したいし、また、昔、脳代謝復活剤ということで、エレンとかいろいろなものが山ほど
出て、結局、なんにもなくなったという経験をしている医者の世代ですのでね。臨床という意味
では、そういう種類はかなり懐疑的に見ているのですけれども、今度の貼り薬にしても、一回試
してはみようとは思うのですけれども、なかなか精神の認知症の問題は、現場で治療する上で非
常に難しいのですが、それよりも、よく話を聞いてあげて、スキンシップをして、そばにいてあ
げる方が、私は効果があると思うので、その辺はいかがでしょうか。

〇遠藤参考人 
 早期に使って、初期の状態、病状をどうするかということのポイントが大事で、高度になった
場合に、薬の効果というのはなかなか難しいので、どこかで判断をしないといけない。海外では、
おそらく台湾でもそうですけど、高過ぎて使われていないので、もともと制限がそこでかかって
いるので、僕は個人的には、保険適用から外してもいいのではないかなと思っています。ちょっ
とこれは過激な意見で、ここで言ってはいけないと思いますけれども、費用対効果は、やはり今
後も検討をすべきだと思います。一旦出てしまうと、そういうのがないので、出た後も検討をす
べきだと考えています。

〇三上委員 
 朝田先生にお伺いしたいのです。
 新しい精神保健の医療提供対策は検討会でもお話を伺ったのですが、在宅で認知症の方を診る
ためには、地域移行というか、退院調整をする場合に、さまざまな条件が整ってないと難しいと
思うのですが、今後、独居の高齢者あるいは老老世帯といいますか、そういったところが増える
中で、どういうアウトリーチが必要な条件としてなってくるのでしょうか。

〇朝田参考人 
 とても難しくて、私に答えられるような質問ではないのですけれども、逆に言うと、だめなの
は、どうにもこうにもならないというのはある程度わかるのですよ。それは簡単に言うと、私が
面倒を見ようというキーパーソンがいない。それから、その家族の中でも、微力だけれども、み
んなで1が5つ集まって5だみたいな協力性が全然ない。さらに、もう一つは、悪いのですが、
お金がないとなると、これはどうにもならない、というのは、私自身の印象ではございます。

〇池上分科会長 
 ちょっと精神科の観点から伺いますけど。精神病床の中に、認知症治療病棟がありまして、こ
の分科会では取り上げないことになっていますけれども、今日はお二人の精神科医の先生がお見
えですので、例えば熊本県には、そういう精神科認知症治療病棟はあるのでしょうか。そして、
ある場合には、このセンターとはどういう関係にあるのかということと。
 朝田先生には、精神科医として、認知症としての特別な病棟をつくった方がよろしいと考える
のか、それとも、ここに調査された病院は、どのような精神の病院のもとで対応がなされている
かということを教えていただければと存じますので、まず、池田先生の方からお願いします。

〇池田参考人 
 熊本県にはございます。ただ、正直言いまして、すべての治療病棟がアクティブに活動できて
いるわけではございません。ただ、これが、治療病棟がアクティブに活動できますと、非常に大
きいと、僕自身は考えています。そもそも熊本モデルをつくろうと思ったのは、前任地の愛媛の
ときに、治療病棟のある精神科病院を重点的に大学と一緒にサポートさせていただいて、そこが
規定どおり3か月で8割の方が退院されていくと。ですから、大学のように毎週のカンファレン
スで10人入院されて10人退院していくというようなことができたので、それをしますと、グ
ループホームとか、特養とか、療養型の病院の先生方や介護職の方が随分安心してくださったの
で、最終的にはそのぐらいのアクティブな体制をつくりたいと思っています。看護技術も要りま
すし、それから、先ほどの退院先がどこになるのかという議論にもありましたように、ソーシャ
ルワーカーとかそういった方々が、どのくらいアクティブに有能に動けるかということが、医師
だけの問題ではなくて、大きいと思っています。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 確認ですけど、熊本県の現状では、まだそこに達していないということですか。

〇池田参考人 
 すべてが達しているわけではございません。幾つかは非常にアクティブに動いていますけれど
も、余りアクティブに動けてないところもあります。先ほど、少し御議論にもなっていましたけ
れども、結局、退院がないと満床で入ってこれませんので、そういった非常に重点化した病棟の
場合には、絶えず退院の方を促進していかないと、本当に必要なときに入院してもらえないとい
うことになってまいります。療養型の病院からそういう依頼があっても、結局「満床です」とい
うことになってしまいますので、絶えず積極的に退院を促進して、緊急的な入院に備えておくこ
とがポイントになるかと思います。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 では、朝田先生よろしくお願いします。

〇朝田参考人 
 釈迦に説法ですけれども、160万ある病床の中の35万が精神科でございます。その精神科
病床の今15%は認知症の方で占められているというデータがございます。ちなみに、統合失調
症はどんどん減っていまして、既に40%を割っていると。ですから、全国平均で言うと、精神
科病院に入院している患者さんとして最も多いのは、統合失調症だけど、2番は認知症というふ
うな時代にもうなっておりまして。しかも、これから認知症は増えるが、統合失調症は減るとい
う傾向がさらに強まるそうです。
 認知症の方に特化した病床なのか、あるいは、一般病床なのかということなのですけれども、
ここも一つの問題で、特化したら特化したでいいと思うのですが、実は一つの病院であっても、
認知症病棟に入れていたり、一般病床に入れていたりということは少なからずあるというのは、
これはおそらく個々に選別、セレクトはかかっているとは思うのですが、それにしても、これは
どんなものだろうというふうな気はします。
 最後に、先生がおっしゃったことの特殊なそういう認知症系の精神病院の中のものがいるかと
いうことに対するお答えですけれども、私はもっと極端なことを言いますと、医療と介護保険と
のどっちも移行体、カメレオン病床があってもいいのではないかというふうなことは、実際に、
こういう調査をしてみると、何の違いがあるのだろうかということをしばしば思って、これも確
かに過激な意見ではあるのですけれども、そのような印象を持っております。
 
〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 私の質問を含めて、ちょっと時間が超過してきましたけれども、何か最後にありますか。

〇武久委員 
 以前に、認知症がひどい人を近くの精神病院に2か所ぐらい送ったことがあるのですけれども、
1か月か2か月の間にみんな亡くなってしまったと家族が言ってくる。統合失調症に対するメジ
ャーのやり方と認知症に対するやり方とは、爆弾と鉄砲ぐらい違うのだということを言った精神
科の先生がいるのですけれども、これは、統合失調症治療の専門の先生と、認知症の専門の先生
は違うのではないかと思うのですけれども、そういう意味で池田先生とか朝田先生みたいな先生
がいるような、送りやすい民間病院があれば、簡単に送って、ちょっと症状がよくなったら帰し
て来られるとなるのですが、何しろ、低栄養で脱水で認知症があるような人で、余りひどいので
送ったら、すぐ死んでしまったというのでは、ちょっと送りにくいのですね。その辺のところは、
これからどんどん改革されていくとは思うのですけれども、見通しをちょっと最後にお願いした
いと思います。

〇池田参考人 
 非常に重要な御指摘だと思います。熊本でも、認知症疾患センターの精神科医だけではなくて、
少なくとも認知症の病棟を持っておられる先生方には、研修会を今年からやって、県も、研修会
修了後に一定の資格を付与するということをやっています。それは非常に重要な御指摘で、一般
の方は、この精神科医が認知症を診れる精神科医なのか、統合失調症専門の精神科医なのかとい
うことはわかりませんので、一定のトレーニングをして、きちんと対応すべきだと思いますし、
すれば、十分できると僕自身は思っています。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。

〇酒井委員 
 先ほどの池田先生のお話で、看護のスキルが非常に重要であるということなのですが、私たち
の調査でも、認知症のケアをやれる人は、急性合併症のフィジカルアセスメントがちょっと苦手
で、大学病院とか特定機能病院などで、日々高度医療に触れている人は、認知症ケアの知識が基
本的にない。そこの融合が、今看護の世界でも非常に重要な課題というふうなことがあるので、
熊本では、そのような看護師をはじめとする介護士もそうですが、多職種の人材育成に関して、
何か工夫されている点があるのかということを教えてください。

〇池田参考人 
 ありがとうございます。
 特にこれということではないのですが、先ほどの事例検討会は、医師とソーシャルワーカーは
義務づけているのですが、ほとんどのセンターは、看護師、臨床心理士も参加しています。です
から、看護師が絶えずそういった最先端のマネジメント、治療を勉強しながら、それを持ち帰っ
て、病棟でまた広めているというのが今の段階です。ただ、御指摘のように、これは医師の側に
も、先ほどからディスカッションしておるようにあるのですけれども、内科的な側面とBPSDの
側面を両方ある程度できるという場が非常に少ない。これは一人の人が両方やらなくても、同じ
場所に片方ずつができる方がいれば十分だと思うのですが、そういう場すらないというのが、ま
さに先生の御指摘だと思います。

〇酒井委員 
 医師の場合は分化して大丈夫だと思うのですけれども、看護・介護は、それが多分できない。
24時間生活支援ということになると、両方ともできる能力をある程度療養病床にしろ、どこに
しろ、必要かなというふうに今は思っています。

〇池田参考人 
 それは、本当に理想だと思います。

〇池上分科会長 
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは、先生方、お忙しいところをどうもありがとうございました。御退席いただいて結構
でございますので、どうもありがとうございました。
 それでは、また、もとの議題に戻りまして、横断調査、レセプト調査分析について、何か追加
で。

〇武久委員 
 さっきの追加ですけれども、慢-1-2丸3の検査のところですけれども、これは、多分、1
週間以内に実施した患者さんの数ですね。我々の療養病床でも、人工呼吸器を付けていても、熱
も出ない、落ち着いていれば、1週間血液検査をしないことはよくあります。ただし、ターミナ
ルになったり、いわゆる高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡みたいな状態になってくると、一日の
うちの何回も血液検査をしたり、毎日、電解質を見たり、当然いたしますよね。そうすると、こ
れはその割合から言うと当たり前の話であって、療養病床としては、20%前後ぐらいは、要す
るに、5分の1の患者さんは常にチェックしないといけない状態で、あと5分の4は何とかいけ
るだろうと。ところが、同じ状態像で、横断調査でよく出ているにもかかわらず、どうして一般
病床の方はこれだけたくさん血液検査をやるのかということと、これは、一般病床での検査やい
ろいろなレントゲンなどが正しいのか、妥当なのか。それとも、療養病床の方は、いわゆる出来
高ではありませんから、丸めたから抑制してわざとしないのか。その辺のところが多少ニュアン
スが違うと思うのですが、我々のところで一回調べたことがあるのですね。そのときにも、療養
病床は、CTは通れば請求できるけれども、CTが特に多いわけでもない。胸の写真を撮っても請
求できないけれども、胸の写真はそこそこ撮っている。血液検査も、これはやっている人の数で
すから、実際の診療報酬を換算して比べてみないとわからないのですが、これをもって一般病床
はちゃんとやっている、療養病床はあんまりやってないということは全然言えないのではないか
と思いますけれども、担当部局はどういう解釈をなさっていますでしょうか。
 
〇井内補佐 
 ここで提示させていただきましたのは、我々としましては、この調査で、これだけ違いがあり
ますということを示させていただいたつもりでございます。全患者ではなくて、在院日数90日
超え、30日後の病状の見通しが不変と病院の方で判断されている方、かつ、医療区分3及び医
療区分2でそろえまして、これだけ違いが出たということだという認識をしております。
 我々の方としては、いずれにおきましても、各個人への必要な医療がなされていると、個別に
見ればそうだというふうには認識はしておりますが、実際、一般病棟と医療療養病棟で、トータ
ルで比較すると、これだけ差が出ているのが事実という認識でございます。
 
〇椎名委員 
 先ほどの佐柳委員の質問、今の武久先生の質問に関連してなんですけれども、まず?の資料の
9ページに現在治療中の疾患ということで、一般病棟と療養病棟、なおかつ、30日後の病状の
見通しが不変と2つに分けて分析していますけれども、基本的にこれをどう見るかについて事務
局にお尋ねしたいのですけれども。
 結論から私の見方ですと、程度の差は若干あるけれども、基本的に疾患別構成は、一般病棟と
療養病棟と変わりないのではないか。
 あと、もう一つ、丸2の資料の2ページですが、医療区分について、一般病棟と医療療養病棟
を見ていますけれども、少なくとも、医療区分3と医療区分2を合わせた数から見ますと、一般
と療養の差はほとんどないのではないかと思うのですけれども、その辺はどうかと。
 3つ目は、先ほど来、検査の実施状況ですね。丸3の7ページの資料が議論になっていますけ
れども、これは、きちんとその医療がなされているかどうかというのは、こういった調査結果か
らはわからないというのが正解で、私はどちらかといったら支払方式の違いではないかと。つま
り、出来高か包括か、それに由来している可能性が非常に高いのではないかと私は思うのですけ
れども、それについて、事務局のお考えを聞かせていただければと思います。
 
〇井内補佐 
 まず、丸3の疾病別構成のところでございます。30日後の病状見通し「不変」かつ在院日数
90日超えの患者での病態を、こうやって出させていただいたと。ここで、議論いただく、評価
いただくということだと思いますが、我々といたしましては、病棟によって特別これが多い、こ
れが少ないというような傾向はないのかなというイメージを持っております。
 あと、丸2の方でいただきました2ページ目のところでございますが、実際、今御指摘いただ
きましたように、上の方の全患者というと、一般病棟では退院が早い患者さんも含まれての評価
になってしまうので、やはりおかしいと思いますので、下の在院90日超えの患者さんのみとい
うところを見るべきだと思っております。実際、医療区分3に関しましては、13対1から25
対1まできれいに並んではいるということですが、確かに医療区分2を入れると、簡単に言いま
すと、20対1が突出して多いという形になっているものだと考えております。
 また戻りまして、丸3のところの検査の違いへの評価ということですが、実際御指摘まさにい
ただきましたとおり、これで個別の患者さんに適切な評価がどうかというような評価は、なかな
か難しいというふうには思われます。ただ、赤系と青系で、かなり頻度が違っておりますので、
御指摘いただいたような、診療報酬上の体系の違いも影響があるかなしかは、ここで御議論いた
だくお話ですが、そういった考え方もあるのかなと思っております。
 
〇猪口委員 
 診療報酬体系というか、制度設計によって、よくビヘイビアがあるとかというような話、これ
は多分あるのだろうと思います。ただ、それだけで全部片づくのかどうかということをちゃんと
考えておかないといけなくて、特に、丸2の3ページで、医療療養が「あり」と「なし」の一般
病床が、13対1でも、15対1でも、半々ぐらいあるのですね。ここで、医療療養があっても
なくても、ほとんど医療区分3、2の割合が全然変わってこないということは、もしかすると、
一般病床で、医療区分3と称される人たちをみている像と、医療療養の医療区分3とは違う可能
性があるのです。なぜかというと、そもそも、この医療区分をつくるときには、療養病床で何を
やっているかということを抜き出して、その時間配分、コストスタディなどをやって決めていっ
ているのですね。だから、療養病床での医療区分の3、2、1は、多分、かなり均一化されたも
のがとれているのですけれども、一般病床の長期に関しては、同じスケールでそれが測れるかど
うかということが実証されてないのですね。ですから、確かにビヘイビアが違うと言ってしまえ
ばそれきりなのですけれども、それだけではないところがあり得るので、ここは少し調査しない
と、こういう結果には多分なってこないのではないかなというような気がいたします。
 
〇三上委員 
 診療報酬体系は、包括とか、出来高であるということによって、当然医療行動は変わるという
か、それを前提にそういう形をとっているということなので、幾分かそういう影響はあろうかと
思いますが、この図は、いろいろ見方があると。例えば丸3の先ほど指摘された9ページの図で
すけれども、疾患構成に差がないと見る人も当然あるかと思いますが、見方によっては、例えば
脳血管疾患は、療養病床は一般病床の倍あるし、2番の緑の骨折の部分は、一般病床は圧倒的に
多い。いわゆる悪性新生物(がん)についても、一般病床が療養病床に比べて圧倒的に多くて、
認知症の数は余り変わらないとか、心疾患の数も変わらないというようなことで、それぞれにか
なり違う見方ができます。
 また、丸2の方の2ページの下の90日超えのところで、医療区分2まであれば、余り変わら
ないという話がございましたけれども、あるいは、20対1の療養が多いという話だったのです
が、3と2を足すという話は、1と2を足すということもあるわけで、逆に、3がその順になっ
ているということは、1と2を足せば明らかに違うということなので、見方によってはどんな見
方もできるわけで、これによって言うのもどうかなと思います。
 それと、もう一つは、特定除外の項番不明のことが非常に問題になっておりましたけれども、
これもレセプトで判断をしているわけで、実際に、これが支払基金なり、国保の審査が通ってき
ているわけですけれども、これは本来は、カルテを見なければ実際のところはわからない。とい
うことであれば、おそらく今までカルテと突合した、いわゆる指導あるいは監査といった形で、
そういった13対1、15対1の病院について、カルテとレセプトを突合した例が、おそらく厚
生労働省は持っておられると思うのですけれども、そういったところで、90日超の、あるいは
特定除外のそういった人たちがどういうふうになっているのかと。実際には、カルテにはそうい
う状態は読めるけれども、レセプト上に記載がなかったのかどうかということはわかるのかどう
かということをちょっと教えていただけたらと思います。

〇池上分科会長 
 その点に関しては、私も同様に考えて、先ほど事務局にその照会をお願いした次第でございま
す。よろしくお願いします。

〇佐柳委員 
 検査とか、その辺りが、療養病床と一般病床と、基本的にこんなに差があるということですけ
ど、実際、個別にどういうケースが、こんなに長期になっているケースがあるのかなというのを
想像して見ていったりすると、確かに、同じ病気であっても、非常に不安定な状態の方が必ずあ
る頻度では起こってきます。だから、そういうケースを取り上げて議論するのもちょっとおかし
いと私は思うので、むしろ、病態が似ているか、似てないか。そして、それが適切なケアがされ
ているかというのは、先ほど、病棟単位で、50%という一つの指標で、過半数がそういう患者
様で占めているというのを、これは簡単で非常にわかりやすいのですけれども、かなりの集団が
病棟をそれで占めているというのと、病棟の中で何人か不安定な方がおって、結果としては、同
じ病名であっても、何であっても、90日を超えていく、180日まで超える。これは相当な急
性期病院だってあるわけですので、それと一緒くたの議論をしてみるとわかりにくいのではない
かなという気がするのです。繰り返しになりますが、集団である程度90日を超えた人たちが占
めている病棟ですね。そこで、これは果たして何なのかという辺りを、全く病態は同じなのか、
それとも、やっぱり違っているのか。検査や措置の違いによって結果がどんなに違ってくるのか
というのは見るべきではないかなという気がします。
 
〇池上分科会長 
 それに関連して、私からお願いがありまして。まず、関連ないようなことから申し上げますと、
質の問題として、ケアの質とデータの質が課題になります。例えば尿路感染となれば、医療区分
2になるけれども、その医療区分2になる尿路感染の患者に対して、然るべき検査がなされてい
るかどうかという見方も一つはあるので、医療区分としてチェックされた、特に感染症関係の項
目と検査との関係、あるいは、肺炎であれば、当然レントゲンの胸の写真を撮られているはずで
すので、そうした関係から見ていった方が、マスで見るよりも妥当な対応であろうと考えます。
 それに関連して、慢-1-2丸2の23ページを御覧になってください。「身体拘束該当患者数
の分布状況」がございます。これで見る限り、20対1という看護・介護配置が多い病棟におけ
る身体拘束の割合と25対1と比べると、20対1の方がむしろ高くなっていますので、これは
誤差範囲かもしれませんけれども、少なくとも低くはなってないわけですので、これはもう少し
追求するべき課題ではないかと思います。
 それと、質に関連して、尿路感染とそれ以外の褥瘡の割合、あるいはADLの低下などが、これ
まで求めに応じて、病院側として、その割合を提示することになっておりますが、この割合が、
今回の私は指摘したつもりでおりましたけれども、この丸2の中に、その結果は、身体拘束以外
は表示されてないので、次回、御提示いただければと存じます。それが20対1、25対1によ
って違うかどうか。あるいは、一般病棟においても、同様な調査を行っていただいたわけですか
ら、一般病棟においても、限られた側面でありますが、質の評価からして、どちらが高いかとい
う、単に点数あるいは検査の課題ではなくして、その質の観点から本来とらえるべきだと思いま
すので、次回、御提出いただければと存じます。

〇武久委員 
 丸2の併設ですね。いわゆるケアミックスの病院と療養単独の病院では、ちょっとビヘイビア
が違うのですね。ケアミックス病院は結構多いです。そうすると、療養病床で重症化すると、一
般病床に移して、写真を撮ったり、血液検査したりする例は結構多いわけです。したがって、残
った療養と比べたときに、療養の方が検査とかレントゲンは少ないことは当然あり得るわけです
けれども、これは、その差が出ないとちょっとわからないということと、この2ページの表では、
医療区分という非常にグローブな大づかみなことですと、差はないけれども、実際は大きな差が
ある。例えば、先ほどの丸3の9ページを見ていただいたら、疾患別ですが、確かに三上先生が
おっしゃるとおりであるのですが、ただ、30日間病状が不変だという例では、もうほとんど一
緒ですね。ということは、結局、一般病床の中には、骨折して、手術をしたりする人も中に入る
し、ギプスも、そういう人もこの上の方に入っているのですけれども、30日間変わらないとい
うところではもうほとんど一緒だと。だから、ここでちょっと分けて考えなければいかないと思
うのですけれども、この検査についても、ケアミックスの病院は、そういうDPCでも、ケアミッ
クスのときにいろいろ問題になりましたけれども、療養病床と一般病床とが混在しているときに、
その使い分けをキャッチボールしているような病院もあると聞きますけれども、その辺のところ
も考慮しないと、実際ははっきりしたことはわからないということで、椎名さんがおっしゃった
ように、これだけではわからないということだと思うのですが、ここははっきりさせた方がいい
のか、はっきりさせない方がいいのかというと、私は、一般病床の名誉のために、はっきりさせ
ない方がいいのではないかと思っています。
 
〇池上分科会長 
 ちょっと繰り返しになりますけれども、先ほど私が申し上げたことを、尿路感染や肺炎に対す
る適切な検査がなされているかどうかということで見た方が、医療区分というグローブな見方、
あるいは、それをもって一般と療養の違いを見た方がよろしいのではないかということを再度繰
り返します。
 ちょっと時間の関係で、また、追加の分析があれば、事務局の方にお願いするとして、とりあ
えずは、横断調査、レセプト分析に関しての検討は、ここまでとさせていただきまして。
 コスト調査について、これは簡単なことだと伺っておりますので、事務局から、説明をお願い
いたします。
 
〇坂上主査 
 コスト調査の概要について御説明させていただきます。資料につきましては、右肩に慢-3-
1と書かれている「コスト調査の概要について」を御覧いただければと思います。
 まず、一番目については、検討の経緯を記載させていただいたのですけれども、前回の分科会
におきまして、従前のコスト調査の方法では、多数の客体数が確保できないことと、その詳細な
コスト構造を分析することは困難だという御指摘をいただきました。しかしながら、医療療養病
棟を有する病院全体の収支だけでも確認したいという御意見がございまして、決算書を収集して
はどうかという御意見をいただいたところですが、事務局等でも検討させていただいたのですけ
れども、決算書を収集する方法につきましては、決算時期の問題と、多数の関連施設を有する医
療機関につきましては、決算書が介護施設等の関連施設も含めた決算になってしまいまして、病
院に係るコストを按分できないという課題がございましたので、各委員にも御相談させていただ
いた上で、次のような調査を行いたいと考えております。
 まず、調査の対象につきましては、2ポツ目をごらんいただければと思いますが、回答率を高
めるために、従前の横断調査で既に回答をいただいているところについて、施設を対象とするこ
とで回答率を高められるのではないかと考えております。しかしながら、先月発生しました東日
本大震災の被災に鑑みまして、調査対象を、東北地方・関東を除く北海道と西日本地域に所在す
る医療機関に対して調査を行ってはどうかと考えております。これで約1,000施設について
は調査対象を確保できると考えております。
 次に、調査内容についてです。従前のコスト調査につきましては、病院の事務負担が多いです
ので、かなり簡素化することを考えております。そのために、決算書を集めてはどうかという御
意見もいただきましたので、決算書に基づいたような調査内容をさせていただいて、関連施設は
除く病院全体の収支がわかるような調査を行いたいと考えております。
 詳細につきましては、慢-3-2の「コスト調査票」をごらんいただければと思います。内容
については、まず、2ページ目ですが、介護施設等の関連施設を持っている場合には、それを御
記入いただいて、それを除くとした上で、3ページ目で病院全体の収支を見るということでござ
いまして、これは決算書に基づいた、決算書とほぼ同じ内容を御記入いただければ回答いただけ
るというような内容にしておりますので、これで、病院の事務負担も軽減できて、N数が確保で
きるのではないかと考えております。
 全体の粗いスケジュールは、今回御承認いただければ、4月中には調査票を発送いたしまして、
5月中には御記入いただいた上で回収いたしまして、6月中の分科会においては、速報結果を御
提示できるのかなと考えておりますので、事前に、各委員にも御相談させていただいております
ので、御意見をいただいた上で、特に問題がなければ、こういう形で進めさせていただこうかと
考えております。
 
〇武久委員 
 それに関して、私は、決算書等で簡単にできるのであれば、したらいいと思ったのですけれど
も、決算書では、確かにいろいろな要素があって難しいというのであれば、この間の中医協でも、
コスト調査は難しいし、一気にできるものでもないということが中医協でもはっきり出ています
から、慢性期のこの分科会だけが、どうしてもコスト調査をしないといけないということにはな
らないと思うので、先ほど言ったように、ケアミックス病院が圧倒的に多いので、一般と療養が
あったときに、その按分の問題もあるし、また、BPSDと療養とか、極端に言えばあるような病
院もあったり、いろいろな要素を含んだ法人の決算で、そこだけ取り出してやるのは、院長先生
の給料の割り振りとか、いろいろ問題が多いので、必ずしもそれが診療報酬で、例えば医療区分
3のADL3が、点数がどうのこうのと言ったって、医療区分が軽い方がマイナスになるのは当た
り前の話ですから。だから、それが出たから、軽い方の枡目を全部プラスにしてくれるのですか。
それがないのであれば、やっても意味ないです。労多くして功なしだと思うので、私はいっそそ
んなことはしない方がいいと思います。
 
〇猪口委員 
 これでやると、介護施設は省けるのですけれども、病院で出てきてしまうわけで、一般と療養
を切り分けることは多分できないですね。それで、実調などでは、療養が60%か何か超えてい
る病院と療養がない病院みたいな分け方をしているのだと思うのですね。だから、数さえあれば、
医療療養だけというところが結構出るかもしれないです。もしくは、介護療養と医療療養だけだ
ったら、介護部分は多分別計算されて分けているはずなので、それは分けられるかなという気も
しますけど、一般とのケアミックスは、コストはなかなか出ないかなという気がしますね。
 
〇武久委員 
 問題は、コスト調査したのを、いつも前任者が反映してくれないではないですか。だから、や
っても反映しないのだったら、池上先生も前にも怒っていらっしゃったけれども、反映しないの
だったら、やることだけ損ですよ。しかも、それははっきり出ませんし。慢性期だけコスト調査
をすると、これもおかしいですよ。そんなことよりも、もうちょっと本質的なことをやった方が
いいように思います。
 
〇井内補佐 
 前回の御議論の中で、実際、客体を多くするというのと、簡単にもらえるようにするというの
で、前回決まったようなやり方でということで、出来合いの決算書をいただくということで、そ
れができなかった理由は、先ほど説明させていただいたとおりです。
 前回の御議論を踏まえて、我々事務局といたしましては、今まで、2年おきに、療養病棟だけ
でやっているところが中心になっているのですけれども、実際、支出の項目をそれぞれ聞いてき
たという経緯もございましたので、少なくともその部分と、プラスアルファで今回御協力いただ
けるところについていただくと。そのデータについては、まさに今御議論いただいたとおり、そ
れできっちり何もかもわかるかというと、かなり難しいと我々の方も認識しておりますので、そ
こは参考と、今までの2年おきにやった調査との整合性をとって経緯を見ると。実際、前回の改
定で、それぞれの区分を9区分にしてやったというのもありますので、その影響等についての一
つの参考データとしてとるという意味合いで、こういう形で進めればいいのではないかなという
理解を我々としてはしていたというものでございます。

〇三上委員 
 今日書いてある「コスト調査の概要」は、どちらかというと実調に近いものですね。今まで、
この分科会でやっていたのは、枡目ごとの費用と点数を出してどうかというのをやっていたと思
うのですけれども、いわゆる医療機関というか法人全体の決算云々で比較したわけではないと思
うのですね。今まで2回やっていますけれども、それぞれ医療区分1については、大きく赤字に
なっている、経費の方が大きかったわけですけれども、それは是正しないというのは、当然、病
床を減らすという大きな目標を厚生労働省が持っていたということで、目標に合わせて反映した
ということになるのではないかと思うのですが、今日の参考資料の慢-1の方にも出ていますけ
れども、特定包括の928点とか、医療区分1の722点から934点の幅の中では、どうして
も赤になるということが、今までの2回からもはっきりわかっているわけですから、余り意味が
ないのではないかという気はしていますけれども、いかがでしょうか。
 
〇井内補佐 
 前回、数をたくさんとれる、簡単にとれるという前提でコスト調査を進めるということで、実
際に議論の中で、我々の理解といたしましては、何らかの形でこういう支出の部分についても、
どういう変化があったかわかる範囲でデータをとった方がいいのではないかという結論に至って
いるという認識でおりましたので、こういう調査を準備して進めているというところでございま
す。
 もし、本日、そういった前回の議論ではそういうのではないと。そもそも前回のやり方が運用
上できないということであれば、この会としてコスト調査をしない方がいいという御結論であれ
ば、現時点で、このコスト調査はなしにするということでも結構かと思います。

〇池上分科会長 
 中医協から付託を受けた内容は、平成22年度の診療報酬の改定の影響を見るためにコスト調
査をするようにという付託だったと記憶しています。そうなりますと、一時点の平成22年6月
もしくは直近1か月の状況について把握できたとしても、これは改定によって収支が改善したの
か、悪化したのかがわからないままだと思うのです。もし、実調のように、ほぼ無作為といいま
すか、回収率等に問題がありますから、一応同じ手法で2年ごとに調査する手法で行っていれば、
その入れ換えがあっても、ある程度状況は把握できますけれども、これは一時点だけのここの収
支状況が把握できたとしても、これは好転しているのか、悪化しているのかがちょっとわからな
いという気がいたします。といいますと、これまでの慢性期の分科会で、コスト調査をしても、
同じ病院の収支がどうなったかということで議論しないと、たまたまある年の調査において、収
支が悪い状況の病院が集まったら、これは改定の影響がよくなかったということになりますし。
ですから、もし、この形式でなさるとしたら、少なくとも平成21年6月の状況もあわせてとる
か、21年の何らかの数値と比較しない限り、中医協の付託に回答できないと思うのですね。た
だ、今、武久委員から、特に、これは余り反映する、しないというのはこちらでは関知しないこ
とで、粛々とデータを集めるのはこの分科会の使命であるのですけれども、どうも、付託事項に、
今のこの形式では対応できないのではないかという気がします。それについては、事務局はお考
えになりましたでしょうか。
 
〇井内補佐 
 御指摘いただいていますように、前回、改定の影響を見るということですので。ただ、実際、
今後調査をやったとしても、それに応えられない、耐えられるようなデータが出せないという御
判断であれば、その調査はある意味やっても無駄ということですので、やめるという判断もある
と思います。その場合は、今ある横断調査とかレセプト調査等の結果を見ながら、例えば今回の
改定の影響等について、できる範囲で御議論していただくということになるのだと理解しており
ます。

〇椎名委員 
 この分科会は、まじめにいろいろ調査をやって、それで、平成18年度改定に3×3の分類を
提言したわけですね。ですけれども、実際、簡素化とか、あるいは非常に乱暴な、政策的という
か、そういった値付けがなされた。それに対して我々分科会としてはきちんとした調査に基づい
て、エビデンスのあるデータを挙げて提案したにもかかわらず、値付けはおかしいと、非常に異
例な意見具申をしたわけですね。ですから、上げる、上げないは、この分科会の権限ではなくて、
あくまでも中医協の権限であると。我々は、付託されたことをきちんとやるしかないということ
で、今、委員長が言われたように、ある程度の連続性を見なくてはいけない。あと、中医協から
の付託に沿った形で我々は調査して、議論をしなくてはいけない。そういう観点から、参考デー
タにしかならないかもしれないし、私は、このレベルでいろいろ不満はあるかもしれないけれど
も、やる必要があると思います。
 
〇?木分科会長代理 
 今の椎名委員と基本的には同じです。先ほど、分科会長から、ケアの質とデータの質という話
が出ましたけれども、赤字だから、やっても意味がないではないかというのはおかしくて、すべ
てが黒字の企業は少ない。どこまで赤字なら持ちこたえられて、稼ぐところが稼ぐか。それがイ
ノベーティブなサービスをつくっていくので、調べるべきだと思います。
 もう一つは、もともと診療報酬は、出来高にしろ、包括化にしろ、現場の人がより良いサービ
スをつくるように考えるべきだと思っています。確かに書類は煩雑だし、書かせられるのは大変
かもしれないけれども、例えば質のデータは、医療区分のチェックのデータを重ね合わせれば質
の評価につながるような仕組みになっている。むしろ、90日超のを1か月に1回文書を出させ
るなどというのは、そっちの方が私から見るとおかしいので、現場に負担をかけなくて、より良
いサービスをより効率的により安くというのを基本に、この分科会はやるべきだと思っています。
継続の意味でデータをとるべきだし、あとは分科会長一任でこの件に関してはお任せしたいと思
います。

〇猪口委員 
 これは、多分22年6月時点ということは、前、横断調査をやったときと同じで、そうすると、
病院基本情報はそこと変わらないからという意味合いでやっているのでしょう。だから、これの
目的が、おそらく22年で25対1と20対1で点数の差がついて、実際、25対1は下がって
いるわけで。その場合になり行かなくなると、また、法的に言うと、23年度末に、今のままい
くと、なくなってしまうとかという問題もはらんでいるので、私としては、今さら「やっぱりな
くすよ」と、実質的に多分できなくなっていると思うのですね。まだ半分しかいけてないわけだ
から。そうすると、データはデータで、私はつくった方がいいのではないかなと思うのですね。
だから、これぐらいのデータであれば、正直言うと、その前年の分で同じのを書いてと言っても、
書けない量ではないと思うので、できれば、2か年でそこの差を見ていかないと、一般と療養の
ケアミックスがあると、全く見えないですね。特に、今度は、一般は多少よくなっても、療養が
下がっていたりということがあるので、それをトータルで見てしまったら、もう見えなくなって
しまうから。そうすると、前年度分のある程度の比較で、何か指標が多少見えたぐらいの感じで
使うのがいいのかなというような気がします。
 
〇武久委員 
 担当課がやると言うのだから、やっていただいて結構でございます。賛成です。

〇池上分科会長 
 やり方において、もしやるとしたら、私が分科会長として出過ぎていますけど、2つお願いが
ありまして。1つは、先ほど猪口先生からも御指摘いただいたように、22年だけではなく、2
1年についても、そうしますと、これは1会計年度全体がわかりますので、本来は、それを6月
相当分にするべきかどうかと、そういう技術的問題は別として、少なくとも改定の影響を見るた
めには、一回だけでは何も出てこないと思います。
 それから、もう一つは、これは実際に調査に当たるところにお願いしたいのですが、既存の情
報から、例えばDPCとか、およその一般と療養の収益配分が推測できるものかどうかということ
を少し検討していただいて、もし、それが粗々でもできるという見通しがあれば、これはそれな
りに一応価値があると思いますので、その2つの条件を付けて実施ということでよろしいでしょ
うか。
 
〇三上委員 
 実施でかまわないですけれども、できれば、診療報酬に反映させるための調査というふうな考
え方でいいわけですね。もともと中医協からの。

〇池上分科会長 
 診療報酬改定の影響を見るための調査かと。

〇三上委員 
 影響を見るというのは、今後の値付けというか、診療報酬改定に向けての参考にするための資
料でしょう。それをはっきり前提としていただかないと、そのためには、逆に言えば、病院全体
で、法人全体の収支というよりは、この項目がどういう影響があったかというようなことがわか
る形の調査にしていただきたいと思いますし。先ほど言ったケアミックスの難しい問題がござい
ますけれども、できる限り、それが排除できるように、ホモジニアスなというか、そういう形態
のところを選定するとか、工夫をしていただくことが一つ要るのではないかと思います。以前は、
18年改定は、療養病床を38万床から15万床に減らすという目的のために、椎名さんがおっ
しゃったように、とんでもない値付けがされたことがあるわけですけれども、今後はそういうこ
とがないということを確認しながらお願いしないと、医療機関にとっても、これはある程度負担
をお願いするわけですから、アンケートに協力してもらうわけですけれども、減らされるために
協力するのは、なかなかお願いしにくいことなので、形としても、そういうことではないという
建前でやっていただかないと、今までの前例からすると、なかなかお願いしにくいのではないか
と思うのですけれどもね。
 
〇池上分科会長 
 その課題は、中医協に持ち帰っていただければと。私はそんな権限はありませんので、中医協
で十分御審議して、分科会の委員からそのような御指摘があって、それを踏まえた上で、これを、
コスト調査の実施に賛同したというふうにお伝えいただければと存じます。
 そして、あわせて、個々の既存のデータから、医療療養病床分の収支が把握できるかどうかを、
モデルないし、あるいはきっちりとれている病院についてのデータと照らし合わせながら、どの
ように配賦・按分するかということを十分検討して、是非、めどを立てていただければと存じま
す。
 それでは、そういうことを踏まえまして、調査を実施させていただきたいと存じます。
 では、本日、3時間以上に及びましたが、これをもちまして、本分科会を終わりにしたいと存
じます。
 次回の予定をよろしくお願いします。

〇坂上主査 
 次回は、6月2日を予定させていただいております。詳細は、追って御連絡させていただきま
す。

〇池上分科会長 
 ありがとうございました。
 それでは、本日の分科会を終了させていただきます。お忙しい中をありがとうございました。

午後18時10分 閉会                             


(了)

厚生労働省保険局医療課包括医療推進係

代表 03-5253-1111(内線)3289

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