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2011年1月19日 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会議事録

医薬食品局

○日時

平成23年1月19日(水)13:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(12名):五十音順 敬省略

 岡 野 栄 之、 斎 藤   泉、 鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子、

 新 見 伸 吾、○西 島 正 弘、 貫 和 敏 博、 濱 岡 隆 文、

◎早 川 堯 夫、 松 岡 厚 子、 森 川 裕 子、 横 田 恭 子

(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名):五十音順 敬省略

 神 田 忠 仁、  俣 野 哲 朗、 渡 邉   信

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 三 宅 真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会を開催させていただきたいと思います。本日は、お忙しい中御参集いただきましてどうもありがとうございます。
 本日の委員の出席についてでございますが、神田委員、俣野委員、渡邉委員より御欠席の旨御連絡をいただいております。なお、鈴木委員と松岡委員は少し遅れているようです。
 現在のところ、当部会委員数15名のうち10名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。
 それでは、早川先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○早川部会長 本日の審議に入ります。まず事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~6をあらかじめお送りしております。このほか資料7「専門委員リスト」、資料8「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。当日配布資料としまして、資料1の諮問書に訂正がありましたので、資料9「諮問書(写)」を配布しております。また資料10「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(概要)」を配布しております。不足等がございましたら事務局までお申し付けください。
 続きまして、資料8、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御報告いたします。
 競合品目選定理由です。資料8の1ページを御覧ください。
 「骨格筋芽細胞シート」です。本品目は、患者自身から採取した骨格筋芽細胞を、体外で培養して増殖させた後にシート状にして患者の心臓に移植する、というヒト(自己)由来細胞・組織加工品です。本品目の対象となる患者は、既存の「薬物療法が有効でない重症化した慢性心不全患者」です。本邦において、開発段階にある同様の品目は確認できなかったことから、競合品目・競合企業はなしとしております。以上でございます。
○早川部会長 今の事務局からの御説明に、特段の御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、委員の先生方の了解を得たものといたします。それでは各委員からの申出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況についてですが、議題1の「骨格筋芽細胞シート」につきまして、退室委員、議決に参加しない委員は共にいらっしゃいません。以上です。
○早川部会長 本日は審議事項が1議題、報告事項が5議題となっております。
 早速ですが議題1に入ります。
審議事項議題1「細胞・組織を利用した医薬品の品質及び安全性の確認について」です。
この細胞・組織を利用した医薬品の品質及び安全性の確認に関する制度の概要について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 当日配付資料10「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針(概要)」を御覧ください。この制度につきまして事務局より簡単に御説明申し上げます。
 この指針の目的ですが、「1.目的」のところにありますように、ヒト由来の細胞・組織などを加工した医薬品の品質及び安全性の確保のための要件を定めたものです。
 「2.確認申請」ですが、品質及び安全性を確保するために、この指針に適合しているかどうかの確認を厚生労働大臣に求めること、とされているところです。その確認の際の主な添付資料ですが、3.の1)~7)にあるとおりです。製造方法から品質管理の方法、その安定性、安全性などについての資料を、申請者に御提出いただき、機構及び本部会で御審議いただくことになっております。
 「4.確認後の取扱い」ですが、これは臨床試験の前の確認ですので、指針に適合することが確認された場合、薬事法に基づく治験がこの後に実施されることとなっています。治験の結果などもありますので、指針への適合が直ちに医薬品・医療機器としての製造販売承認に結び付くものではありません。
 本確認申請の趣旨としましては、事前にお送りしている参考資料1-1「ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」の1ページ、2.の3行目にありますとおり、当該細胞・組織加工医薬品等の治験を開始するに当たって支障となる品質及び安全性上の問題が存在するか否かの確認です。概要の説明は以上です。
○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明について、何か御質問等はございますか。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。それでは引き続きまして機構から本品目について概要を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○機構 資料1「骨格筋芽細胞シートの細胞・組織を利用した医薬品の品質及び安全性の確認について」医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
 本品は患者自身の骨格筋組織から採取した骨格筋芽細胞により製造される細胞シートであり、重症心不全患者を対象としております。心不全は、心臓の構造的・機能的異常のために、代謝組織が必要とする血液を駆出・充満できなくなった状態ですが、病態の進行を完全に抑制する治療方法は確立されておりません。したがいまして、薬物療法が無効な場合や他に治療方法のない重症末期心不全の場合には、左室補助人工心臓の装着、更には心臓移植が最後の治療手段となりますが、それぞれ合併症や感染症による死亡のリスク、ドナー不足等といった多くの問題を抱えているのが現状です。本品は、内科的療法が有効でない重症心不全患者の心臓表面に貼付することにより、心機能を改善させることを期待して開発されているものです。
 申請者のテルモ株式会社は、かねてから心機能改善を目的とした骨格筋芽細胞を用いた製品の開発を進めており、患者自身の骨格筋組織から骨格筋芽細胞を採取・培養し、緩衝液に懸濁し、注射器を用いて心壁に注入する製剤につきまして、本品に先立って確認申請を行っており、平成18年4月12日に開催されました本部会において、臨床試験を開始することについて御了承をいただいております。
 本品は、この先行開発品と同じ製造方法及び品質管理項目によって製造しました骨格筋芽細胞に、温度応答性培養皿を用いたシート化培養工程を付加してシート状とした製剤であり、懸濁細胞の心壁への注入において懸念される心壁注入部位からの細胞の漏出や細胞死を回避することを目的としております。
 シート化培養の際には、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□ことが確認されます。
 本品の品質管理といたしましては、□□□□□□□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□品質試験が設定されています。最終製品を対象とした品質試験としては、□□□□、□□□□□□□、□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□、□□□□□□□□□及び□□□□□□□□□が設定されています。このうち、□□□□以外の試験成績は、被験者への適用後に判明するため、試験成績が不適合であった場合は速やかに治験実施施設に連絡し、被験者の経過観察や抗生物質の投与等、必要な対処方法に関する協議が行われます。
 また、安定性試験成績に基づき、貯法及び有効期限は暫定的に□□□℃、□時間と設定されております。
 非臨床試験といたしましては、免疫不全マウスであるNOGマウスを用いた全身毒性試験及び腫瘍化否定試験に加えて、軟寒天コロニー形成確認試験及び核型分析試験が行われており、特段の問題はないとされています。また、効力又は性能を裏付ける試験として実施されているブタ心不全モデルを用いたブタ自家骨格筋芽細胞シート移植試験におきましても、安全性上特段の問題となる所見は認められておりません。
 また、効力又は性能を裏付ける試験として実施されていますブタ心不全モデルを用いたブタ自家骨格筋芽細胞シート移植試験では、ブタ自家骨格筋芽細胞シート移植群におきまして、対照群に比して有意な左室収縮能の改善が認められております。
 次に、機構の事前審査における主な論点を御説明いたします。本品の組織採取から骨格筋芽細胞の培養までの製造方法及び品質試験項目は、既に確認申請において品質及び安全性に関する評価が終了している先行開発品と同じであることから、それ以降の製造工程及び最終製品の品質管理を主要な評価対象といたしました。
 まず、シート化培養工程に用いられる温度応答性培養皿の表面にコート剤としてポリN‐イソプロピルアクリルアミドが塗布されていることに関し、温度応答性培養皿由来成分が本品に移行する可能性及びそれが安全性に及ぼす影響について評価をいたしました。
 申請者は本品を用いたNOGマウスでの全身毒性試験で、特段の問題となる所見は認められておらず、また、臨床試験で使用する製品の製造に用いる温度応答性培養皿については、□□□□□□に加え、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□及び□□□□□□を実施し、陰性であることを臨床試験の開始までに確認すると説明しています。更に、当該培養皿上に残存する未重合のN‐イソプロピルアクリルアミドは検出限界である□□□以下であったことから、培養皿1枚当たりの最大残存量は□□程度であり、被験者1人に□枚が適用されると最大□□□となりますが、当該成分のマウスにおける最小致死量が500mg/kgであることを踏まえますと、全量が本品に移行したとしても、臨床試験時の毒性は無視できると考えられることから、安全性上特段の問題はない旨の説明がなされています。機構は、この申請者の説明を了承いたしました。
 次に、最終製品の品質管理についてですが、本品は物理的外力に対して極めて脆弱であり、現時点で適切な輸送条件が確立できていないため、申請者の製造施設で単離・培養・凍結いたしました骨格筋芽細胞を治験実施施設に輸送し、以降の工程は各施設で実施されることが計画されていますが、治験実施施設における本品の品質に係る検討は現時点では実施されておらず、申請者の製造施設で実施された試験の成績が提出されています。機構は、製造方法及び品質試験項目については特段問題はないと考えており、治験実施施設において申請者の製造施設で製造したものと同等/同質の品質を有する製品を恒常的に製造可能であることについては、初回治験届出提出時に確認する予定です。
 以上、提出された品質及び安全性に関する資料を評価した結果、現時点の科学的水準から、治験において十分に安全性を確保できる方策を講じることを前提に、治験を開始することは差し支えないと判断いたしました。
 なお、本品の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料7にありますとおり5名の委員です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対しまして、委員の先生方から御質問あるいは御意見をお願いいたします。
○新見委員 確認なのですが、この細胞の培養に用いるのは□□□□□□□であり、それを□□□□□□□で、□□□□□□□が有効であるかどうかを確かめるということが記載されていると思うのですが、その場合、万が一、□□□□□が骨格筋芽細胞に不適合の場合であったらどうなってしまうのかということをお聞きしたいのですが。
○機構 □□□□につきましては、品質を担保するための受入れ規格が設定されていまして、それに適合しない場合は、臨床試験には入らない取扱いになっております。
○早川部会長 よろしいですか。
○新見委員 記載のことなのですが、一番の問題は、ゲノムタイプとしてきちんと機能を持つ細胞が担保されているということが大事なのですが、この場合はそこまではやられていないということです。記載されているように、いろいろな増殖因子など、ELISAなどの発現能を調べることによって、きちんとした細胞の能力のようなものを評価する方向で、今後検討していただきたいと強く思います。
 細かいことなのですが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を用いると書いてあったのですが、これはなぜでしょうか。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□と単純な疑問として思いましたので、答えていただけたらと思います。
○機構 御指摘のとおりで感度の問題はあるのですが、申請者からは、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□旨の回答がされております。
○岡野委員 腫瘍化否定試験としてNOGマウスを使っているということですが、T細胞並びB細胞のみならず、NK細胞がフリーな動物を使うということは、非常に厳重性が担保できるということでいいと思うのですが、一方、軟寒天のソフトアガーコロニーフォーメーションというのは、いわゆるオンコジーンを検出するようなアクティブな癌のものです。これは質問なのですが、本当にこれが我が国の腫瘍原性のスタンダードとして、今、時流に乗った形でグローバルにも使われているかというのをお伺いしたいということです。
 NOGマウスですが、資料ではなかなか分かりにくいのですが、これ腫瘍原性の観察期間に関してどれぐらいで、いくつの細胞を使って良しとしたかということについて、もう少し詳しい情報を、見落としているのかもしれませんが、お教えいただきたいと思います。
○早川部会長 2点ほど御質問がありました。
○機構 まず1点目ですが、NOGマウスを用いた腫瘍化否定試験が実施されているということです。こちらの試験につきましては、WHOのガイドラインに沿って実施されているということです。
○岡野委員 具体的に数値をお伺いしたいのです。
○機構 細胞数といたしましては、1匹当たり□□□□□□cellsを投与しているというものです。
○岡野委員 観察期間はどうですか。
○機構 観察期間につきましては、移植3か月後まで観察をしているというものです。
○岡野委員 3か月ですか。一応、それは国際基準と考えてよろしいのですか。
○機構 先ほども申し上げました、WHOのガイドラインに準じて実施をされております。
○岡野委員 WHOの基準に従ってということだけは受承りましたので、ここでどういう基準で審査するかに関しては、座長にお任せしたいと思います。
○早川部会長 何か追加でコメントがございますか。 
○生物系審査第二部長 ここで引用されておりますWHOのガイドラインというのは、いわゆる医薬品の製造に用いる細胞基材のガイドラインで、細胞そのものが製品に混入するリスクは低いという前提のガイドラインではあるのですが、実際に具体的な試験条件が記載されているガイドラインはこれしかないので、多くの場合は、これをまず参考にやるということが出されています。国際的な基準として定まっているものというのは、こういう細胞組織製品についてはございません。これは世界中各国で、今議論をしているところです。例えば細胞そのものの性質がどうかとか、後もう一つは投与対象、投与される部位です。部位の周囲の影響も受けますので、個別にどのような性質の細胞であって、どのような所に投与されるのかとか、それに応じて個別にケースバイケースで評価すべきというのが、今の議論の流れというように理解をしています。
○岡野委員 □□□□□□というのは、1匹当たりということですか。ネズミでですか。
かなり多いですね。 
○機構 はい。1匹当たりです。 
○生物系審査第二部長 一応、資料の別紙5の1ページの下の方にそれの記載がございますが、この製品については、このような試験がなされているというところです。
○岡野委員 ただ、1匹当たりのシート移植数というのは、下を見ますと1匹当たり□□□□□□というのは、通常の治療効果を見る場合はそう書いてあるのですが、それより□倍ぐらい多めに入れて、腫瘍原性を見たと理解してよろしいのですか。
○機構 はい。
○岡野委員 分かりました。
○早川部会長 先ほどの先生の御質問で、これは軟寒天培養、それをNOGをやっているのに、やる意味があるのかというような趣旨の御発言ですね。
○岡野委員 はい、そうです。比較的これは、この手の審査として我が国の草分ですので、これがスタンダードとすると危険な気がします。そこは早川部会長の御意見を伺いたいと思います。
○早川部会長 淡々として言えば、申請者側がこういうふうにやってきましたということで、これが本当にこれ以降もスタンダードになるのかということについては、先ほど御説明があったように、どのような細胞からスタートして、最終製品としてどういう細胞を使っていて、それからどういう投与部位、適用部位なのかということを、もう少し合理的に考えないといけないだろうと個人的には思います。ですから投与量も、もちろんそういうことなのですが、一般的に考えると、心臓という環境相手で、そこに貼り付けるという状況ですね。それから骨格筋芽細胞ということですから、言ってみればやり過ぎかもしれないと私は思います。
○岡野委員 可能性の低いところを徹底的に調べられたという趣旨ですね。
○早川部会長 そういう趣旨です。そのように私は思います。ですから、これが将来ずっとこれで、どのような場合でもやらなければいけないということは、議論をしなければいけないのではないかと思います。今回はこうやっていきます、という趣旨です。そういうことでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○松岡委員 本日の品目で細胞シートという形態をとっていますが、医薬品という記載になっています。その理由を教えていただけますか。
○機構 御指摘のとおり剤形につきましては、シート形状をとっておりますが、資料中にもありますように、本品の作用機序については、まだ完全には明らかにはなっておりませんが、細胞から産生される生理活性物質の効力というのが、かなり可能性としては高いというところでして、そのような薬理的な効果を期待したものということで、今回は医薬品ということで取扱いをさせていただければと考えています。
○早川部会長 いかがですか、よろしいですか。分類上いろいろ問題かとは思うのですが、要するにこの製品の安全性の問題なので、どちらから見ても同じような基準でものを見ていくのが、本来的なアプローチかと思います。多分薬事法上のことで今はそういう仕分けにされているという理解でよろしいですか。
○機構 はい。
○手島委員 ブタを用いた実験では、移植後□週目も有効であったというデータなのですが、シートは体内でどれくらい安定なのでしょうか。
○機構 移植された細胞ですが、移植□週後までの挙動と言いますか、そこに存在しているか否かにつきまして検討されていますが、現時点では□□□□□□□□□□□□□□という成績が出ているということです。
○早川部会長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
○岡野委員 実際に数年前に予備的な審査が行われたわけですが、その時に議論になりましたのは、実際に移植後の不整脈等の可能性に関して、今後この数年間の間でも検討するということで、一応予備的な段階ではゴーサインということになりました。もともと、開発されている澤教授はかなりやっていらっしゃると私は記憶していますが、実際この製品化におけるプロセスで、その点につきましての有害事象の検討をされたかどうかということに関しまして、確認いただけたらと思います。膨大な資料の中のどこかに書いてあるかもしれませんので、申し訳ないのですが。
○機構 御指摘のとおり製品の特性といたしまして、不整脈のリスクというものは完全に否定することができないというものですが、これまでの国内外における臨床適応実績につきましては、まず先ほどお話が挙がりました阪大での臨床研究におきましては、これまで重篤な不整脈関連の有害事象というものは報告されていません。また、海外におきましても、骨格筋芽細胞に起因すると考えられるような有害な不整脈の発生は認められていない状況です。本品につきましては、今後治験に入ることが予定されていますが、先ほどのリスクが完全に否定できないというところもありますので、□□□□□□□□□□□□□や、□□□□□□□□□□□等、考えられる対応に関する検討がなされている状況です。
○岡野委員 審査基準については私もよく分からないので、外国でやった研究、あるいはほぼ同等な方法と思われた国内の臨床研究を、一応エビデンスとして治験をしていこうと。きりがないと思われますが、一応そういう御判断でしたら、私はそれに従いたいと思います。
○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。
○貫和委員 1点、病理組織像、組織学的検査の18ページの(3)ですが、ブタの自家の筋を用いての血管増生に関する検討というところは、(2)の線維化のようなものとの関連を目的とした検討なのか、あるいは移植細胞に対しての栄養的なものを目的とした検討なのか、そこは読んでいて少し分からなかったのですが、それはどういうことか分かります
でしょうか。
○機構 18ページにございますとおり、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□という状況でして、これを実施された背景ですが、申請者の本品の作用機序の考察の中に、サイトカイン、そういう血管増生に関係するような因子についても、これまでの文献報告でそのようなものが産生されるというものがあるといったところから、恐らくこのような検討がなされるものと推測をしているところです。
○貫和委員 先ほども議論があったようですが、□週ということの縛りが何でしたか、WHOの基準でしたか。私聞き落としたと思うのですが、要するに、もう少し長期に見る必要性について、機構の方から何かおっしゃいましたでしょうか。
○機構 申し訳ございません。手元の資料を確認させていただきたいと思います。少々お時間を頂戴できればと思います。
 先ほど御指摘いただきました事項につきましては、今後確認をさせていただきまして、
後日御報告申し上げたいと思います。申し訳ございません。
○早川部会長 多分、例えば骨格筋芽細胞ですね。シートであれ、あるいはサスペンジョンであれ、心不全などの治療に用いるということ自体が新しいので、それに対して確としたこうすればよろしいというスタンダードがないのだと。ですから、結果的に言えば、手探りでやっていくという状態なのだろうと思います。今日御審議いただいているのは、先ほど機構から御説明があったような点について、メーカーが懸念があったのでやってみたということで、そう言われればそうですし、では、それはどうしてもそういうふうにやらなければいけなかったのか、条件として良かったのかということについては、経験を重ねていく以外にないのではないかと、私は思います。個人的に申しますと、そのような状況
ではないかと思います。
○機構 部会長、申し訳ありません、確認いたしました。□週の設定根拠ですが、移植をいたします骨格筋芽細胞につきましては、融合、分化、筋線維となるということがこれまでの文献で報告されていますが、それが移植の1~4週後であるという報告がこれまでにあるというのが、まず1点です。
 もう1点としましては、これまでにブタ心筋中へのブタ骨格筋芽細胞移植試験におきまして、移植3か月後に心機能の改善が確認されているという報告があります。これらのことから、移植したブタ骨格筋芽細胞の定着と有効性が確認できる試験期間としまして、移植後□週間というものが設定されています。
○早川部会長 何か御意見ございますか。
○貫和委員 今、早川先生がおっしゃられたとおりだとは思うのですが、ブタでできるならば、少し長期の成績があってもいいのかというのが、私の印象でした。
○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。
○岡野委員 別紙5ですが、シート移植群の5・2・7・6の病理解剖学的検査ということでいくつかの所見がありますが、そもそも、NOGマウスは、私かなり使っていますが、重症度免疫不全動物ですからもともと弱いところがありますので、シート移植による直接の有害事象なのか、何らかのアーチファクトなのか、それぞれ考えられますが、若干シート移植と関係しそうなところは、やはり□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、軽度ですが見られる。これは実際臨床上問題にならないということが澤先生等の臨床研究によって言えるのであれば、全然問題視する必要はないと思います。もちろん解剖学的特徴がマウスとヒトでは違いますので、必ずしもこれでもって、どうこうということはないのですが、ここは大丈夫だろうということに関する所見です。
 先ほどの腫瘍原性に戻りますが、私の考えでは、腫瘍原性はこういったin vitroでのものと、それから免疫不全動物に移植しての長期間の観察と、それから核及びゲノムの解析という三本立てというのが一般的な考えだと思います。第三番目のものに関して、これ核型しか見ていないですね。現在のテクノロジーですとCGH arrayだとかSNP arrayとか、かなり多くのことが検討できるかと思いますが、この核型が良かったということでよしとするかと。これは多分部会長がコンテントにディペンドしたリスクとベネフィットを考えれば、今回はこれでよしということになるかもしれませんが、今後、腫瘍原性に関して、単にkaryotypeだけでよしとする前例にはしていただきたくないと思っています。
2点御検討をいただきたいと思います。 
○早川部会長 何か機構の方からコメントがございますか。
○生物系審査第二部長 腫瘍原性について御指摘、御意見を、我々も参考にしまして、今後の製品によって、何をどのように評価をするかは整理していきたいと思います。御指摘のiPS、ESのようなもの、あるいは体性幹細胞で骨髄とかそういうものに比べて、こういう末梢の所に由来するものについては、腫瘍化リスクは一般に低いと考えられることでも、現時点ではその細かい検討までは求める必要はないだろうというような考えで整理していますが、テクニック的にも技術は進んでいますし、いろいろな製品でいろいろな解析をされる事例もありますので、それを踏まえて今後、どういうケースで何を見るということを整理して、我々の考え方として公にしていくようにやってみたいと思います。
○岡野委員 機構が言われるように、それぞれの事例を積んで今後の参考に是非していっていただけたらと、個人的には思います。
○早川部会長 お作法としてやるのではなくて、それぞれのケースごとに、一番合理的なやり方でやると。今回の場合、わざわざin vitroもkaryotypeをやる必要はなかったかもしれない。そのものの由来、細胞の性質から考えればということも含めて、もう少し合理的にしていただきたいと思います。やったことがスタンダードにならない、お作法にならないということがメッセージだと思います。
○岡野委員 はい、是非お願いいたします。前半のところです。
○機構 1点目ですが、□□□□□□が認められるということでして、当該所見につきましては、sham operation群でも□□□□□に認られているという事象でして、毒性学的に特段の問題があるものとは判断しておりません。
○早川部会長 これも実際に治験をやって、そことの動物実験をやることの意味合い、あるいは出た所見がどういう意味を持っていたのか、持っていなかったのかということが突き合わされる話ですね。
○岡野委員 ここはかなり外科医のスキルと言いますか、ステイトパートに相当依存するところですから、きっちりとした然るべき医療機関でやれば、クリアーはできるという御判断でしたら、それでよろしいかと思います。
○生物系審査第二部長 ブタの試験でそういう重大な問題というのは、特に見られていないということと、そうとはいえ非臨床、動物試験で何らかのリスクが示唆される場合には、当然臨床試験の中で類似の現象が起こらないかということは、しっかり見ていく必要があると思いますので、それは申請者の方にまた伝えたいと考えます。
○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。非臨床試験の位置付けというのは、これで実はなかなか分かる話ではなくて、こういうことが起こっているので、そういうことを念頭に置いて臨床をやっていただいて、何かその相関があるのかないのか、注意深く見てくださいと、そういう意味合いだとは思っています。ほかによろしいでしょうか。議決に入ります。
 本品目につきまして、「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」に適合するものとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは本品目につきましては、指針に適合し品質及び安全性が確認されたものといたしまして、薬事分科会に報告させていただきます。
 次に報告事項に移ります。報告事項について5つございますが、御説明をお願いいたします。
○機構 報告事項議題1、資料2「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認について」御説明いたします。
 最終ページにカラーで「参考資料」として、本遺伝子治療の概要と、今回の確認申請の趣旨をまとめておりますので、そちらを御覧下さい。
 本品はタカラバイオ株式会社より開発されているTBI-0301という遺伝子治療用医薬品です。資料2、図1を御覧ください。本品による遺伝子治療は、造血器悪性腫瘍に対する同種造血幹細胞移植後の再発患者を対象としたドナーリンパ球輸注において、移植片対宿主病(GVHD)が発症した場合に速やかな沈静化を図ることを目的として実施されるものです。青色の四角で囲んだ部分が本遺伝子医療です。
 本品は参考資料2-1、2-2、2-3として配布されております「遺伝子治療医薬品の品質及び安全性の確保に関する指針」への適合性について、平成19年に、本生物由来技術部会において御議論いただきました結果、指針に適合するとして、既に臨床試験を開始しているものです。
 今般、申請者タカラバイオ社は、遺伝子導入ドナーリンパ球をあらかじめ調製・凍結保存し、これを用時解凍して投与することを可能とすることなど、図2の赤枠で囲んだ部分の変更をしたいと考えまして、指針への適合状況について再度の確認を求めてきたものです。
 医薬品医療機構総合機構におきまして、凍結保存条件や凍結保存溶液等の変更点について審査を行いました結果、提出された検討結果や造血幹細胞移植における凍結保存の実績等から、指針への適合性に影響を及ぼさないと判断し、確認事項の変更に該当することから本部会に報告するものです。議題1は以上でございます。
 報告事項議題2、資料3「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」、いわゆるカルタヘナ法の第13条に基づく、遺伝子組換え技術応用医薬品の「第2種使用等」をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について御説明いたします。
 2ページ、カルタヘナ法の概要を示したものです。ページ中段にありますように、「第2種使用等」とは、「環境中への拡散防止をしながら行う使用等」のことをいいます。前回の生物由来技術部会で御報告して以降、平成21年5月から昨年12月までの確認を行ったものについて、次ページの表にまとめています。19件ありまして、いずれの組換え微生物もGILSP又はそれに相当する拡散防止措置が適切であると判断して確認を行ったものです。議題2は以上です。 
○事務局 報告事項議題3、資料4「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく動物用遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」農林水産省より御報告いたします。
 これは同じ時期に、動物用組換えDNA技術応用医薬品調査会におきまして、審議を行い、GILSP又はGILSP相当として確認した品目をまとめたものです。
 次ページにこの4品目があります。1品目、2品目が不活化用ワクチンの抗原、3品目がサイトカイン製剤、4品目が抗アレルギー製剤用の抗原です。以上です。
○機構 報告事項議題4、資料5「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の一部改正について」です。
 2ページにGILSP告示の概要をお示しております。カルタヘナ法では、GILSP告示に定められていない遺伝子組換え生物については、その第2種使用等をするに当たり、その拡散防止措置についてあらかじめ厚生労働大臣の確認を受けなければならないこととされています。一方で、GILSP告示に定められた遺伝子組換え生物については、定められた拡散防止措置を執ればよく、あらかじめ厚生労働大臣の確認は要しないこととされています。定められた拡散防止措置の詳細は3ページ、別添1に示しております。
 告示の詳細や構成につきましては、4ページの別添2に示していますように、宿主及びベクター、挿入DNA、選択マーカー遺伝子の組み合わせにより、GILSP遺伝子組換え微生物が定められることとなっております。
 今回、これまでにGILSP基準を満たすとして個別に確認された遺伝子組換え微生物に基づいて、GILSP告示に定める遺伝子組換え微生物を拡充し、今後の行政手続を簡素化するとともに、併せて告示内の表記の見直し等を行うものです。具体的には、6ページからの別添3に、新旧対照表で下線で示していますが、この部分の変更を行う予定としていまして、本部会後パブリックコメント等の諸手続を行いまして、改正を行うこととしています。
 報告事項議題5、資料6「ウシ由来原材料を使用した医薬品のリスク評価について」です。BSE発生国産のウシ等由来原材料については、原則使用禁止及び非発生国への原材料の切替えを求めているところですが、切替え困難な場合においては、薬事・食品衛生審議会において評価いただきまして、個別に使用継続が認められることとされています。今回、供給の関係から米国等のウシ由来原材料の使用を余儀なくされている品目が2品目ありまして、御評価をいただくものです。
 3ページ、最初の品目はジェンザイム・ジャパン社のセレザイム静注用200単位、同400単位です。本剤はゴーシェ病患者に酵素補充を行うための希少疾病用医薬品でして、同種同効薬はありません。本剤のセルバンクにおきまして、米国産及びカナダ産のウシ胎仔血清が使用されています。
 4ページ、「切替えが困難な理由」を御覧ください。ワーキングセルバンクは2011年末を目処に生物由来原料基準適合国の原材料を用いたワーキングセルバンクに切替えるとして、ジェンザイム社でも検討を進めていましたが、今回、ニュージーランド産のウシ由来原材料を用いて新たに調製したワーキングセルバンクが、更新の基準を満たさなかったことから、米国産及びカナダ産のウシ由来原材料を用いたセルバンクを継続使用せざるを得なくなったという経緯です。
 妥当性の項を御覧ください。継続使用の妥当性につきましては、原材料の管理、精製工程によるリスク低減、これまでの国内外の本剤の使用実績等を踏まえて、当該原材料を含むセルバンクを使用することによるTSE伝播のリスクは極めて低く、一方、セルバンクの切替えによる品質への影響は大きいことから、当面、当該原材料を含むセルバンクの使用は妥当であるとされています。
 医療機関や患者に対する情報提供措置といたしましては、5ページに添付文書(案)を示していますが、「使用上の注意」の「2.重要な基本的注意」において引続き、米国産及びカナダ産のウシの使用について情報提供をする予定としています。
 2つ目の品目は、エラプレース点滴静注液6mgです。9ページを御覧ください。
 本剤はムコ多糖症II型に対して、酵素補充を行うための希少疾病用医薬品でして、同種同効薬はありません。これまでもセルバンクや精製工程で米国産のウシ由来原材料を使用しておりましたが、今回、新たに生産培養の培地成分としてニュージーランド産ウシ血清に代えて米国産ウシ血清を使用することを希望するものです。
 10ページ、「切替えが困難な理由」を御覧ください。本剤は、これまでニュージーランド産ウシ血清を使用して製造してまいりましたが、有効成分の力価が低い傾向がありまして、16ロット中7ロットで力価が規格を逸脱し、規格に適合する製剤の安定的な製造が困難であることが明らかになりました。ニュージーランド産ウシ血清のその他の供給元についても検討を行ったものの、いずれの血清を使用しても製剤の安定供給の見通しが立っていない状況です。
 一方、日本にはこれまで出荷されていませんが、海外41か国向けに6年間で□ロットの米国産のウシ血清を用いた製剤の製造実績がありまして、規格不適合がないことが示されていることから、本邦への安定供給のために米国産を使用可能としたいというものです。
 妥当性の欄です。米国産を使用することによって、BSEリスクの理論値はこれまでよりも高くなりますが、原材料の管理、製造工程でのリスク低減、世界的な本剤の使用実績から安全性は確保されているとされています。
 情報提供措置としては、12ページ以降です。添付文書の冒頭に注意喚起を行う予定をとしています。これらの変更を含め、機構で現在審査中ですが、米国産原材料に変更する方針につきまして、あらかじめ本部会で事前に御了解をいただきながら進めさせていただきたいと考えるものです。以上でございます。
○早川部会長 ありがとうございました。今、報告事項5議題について、御説明をいただきましたが、いずれからでも結構でございますので、委員の先生方から御質問等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは御報告をいただいた事項につきましては、御確認をいただいたものといたします。本日の議題は以上でございますが、事務局の方から連絡事項はございますか。
○事務局 次回の部会についてですが、改めて日程調整をした上で御連絡をいたします。
よろしくお願いいたします。
○早川部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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