ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業能力開発分科会)> 第61回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録




2011年3月25日 第61回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成23年3月25日15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第15会議室 (12階)



○議題

○今野分科会長 それでは、時間ですので始めたいと思います。第61回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。
 本日は、黒澤委員、水町委員、高倉委員、大野委員、荒委員、浦元委員がご欠席です。井上委員と高橋委員は、もう暫くしたらいらっしゃると思います。それと、阿部委員の代理として、平澤様がご出席をされています。
○平澤氏(阿部委員代理) 平澤です。よろしくお願いいたします。
○今野分科会長 また、大江委員の代理として、梅沢様がご出席されています。
○梅沢氏(大江委員代理) 梅沢です。よろしくお願いします。
○今野分科会長 それでは、早速始めたいと思います。お手元にある議事次第にありますように、今日は8つ用意しておりますので、順次やっていきたいと思います。
 1番目の議題は「東北地方太平洋沖地震に係る対応について」です。事務局からお願いします。
○井上総務課長 お手元の資料1をご覧ください。今般の震災への対応等ということです。初めに、今般の震災で亡くなられた皆様方、そしてご遺族の皆様方に心より弔意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 それでは、資料の順に沿ってご説明を申し上げます。1「被害の状況」は、これまでに確認できている職業能力開発関係の被害の状況です。1の公共職業能力開発施設と2の認定訓練施設に分けています。詳細についてはこの後、別表でご覧いただきたいと思いますが、全体として申し上げますと、公共職業能力開発施設関係で訓練受講生の方について、現時点で連絡がとれていない方がいらっしゃいます。また、岩手県、宮城県、福島県を中心とした施設において、かなりの大きな被害が生じています。認定訓練施設についても、現時点でまだ連絡がとれていない方がいらっしゃいます。岩手県、宮城県、福島県、千葉県などの施設において、大きな被害が生じています。
 3頁の別表では、縦に3つに区分して、左側が雇用・能力開発機構関係施設、これはポリテクセンター、あるいはポリテクカレッジということですが、その人的被害、物的被害の状況をまとめています。真ん中は、各都道府県立の能力開発施設の人的被害、物的被害の状況についてまとめています。いちばん右は、各都道府県の認定訓練校の人的被害、物的被害についてまとめています。
 1頁に戻って、2は、職業能力開発関係で、これまでに講じた措置を整理してあります。1は、雇用・能力開発機構の設置する公共職業能力開発施設等について、地方公共団体などから要請があった場合には、仮設住宅用敷地等として提供することを、雇用・能力開発機構に依頼をしているものです。
 2は、公共職業訓練及び基金訓練の取扱いです。(1)訓練の修了要件の特例については、通常ですと訓練時間、訓練カリキュラムの定められたものを全て終了して修了となるわけですが、訓練時間の8割を受講しているときには、訓練を修了したものと取り扱うことができる取扱いをしています。(2)基本手当、訓練・生活支援給付の支給については、雇用保険を受給している公共職業訓練の受講者、あるいは基金訓練の受講者が、被災による訓練の中断等により訓練を受けることができない場合には、基本手当、あるいは給付等を受けることができるという扱いをしています。
 2頁、(3)受講あっせんの特例については、公共職業訓練、基金訓練について、被災等により受講不能となった場合には、通常の場合にはその後1年間同種の訓練を受講することができないところ、今回は1年以内であっても受講可能とするものです。
 3は、キャリア形成促進助成金・認定訓練助成事業費補助金の特例ということで、被災地域の事業主等が行う職業訓練について、そのキャリア形成促進助成金・認定訓練助成事業費補助金について、被災により訓練が中止等となった場合にも、それまでに要した経費については補助の対象とするものです。
 これまで講じてきた措置については、以上です。今後、公共職業能力開発施設、認定訓練施設では、先ほども申し上げたように、かなりの被害が生じていますので、その復旧に向けた取組み、あるいは民間教育訓練機関を活用した訓練の活用等について、検討課題として取り組んでいくことを考えています。以上です。
○今野分科会長 何かご質問ございますでしょうか。
○新谷委員 今回の震災では、大変大きな被害を受けました。我々の仲間も甚大な被害を受けていまして、被害に遭われた方に対して心からのお見舞いを申し上げたいと思っています。
 その上で、いまご報告をいただいた内容ですが、震災発生以降、これまで能開局で講じていただいた措置については、迅速な対応をしていただき、この点については評価申し上げたいと思っています。現在はまだ、救援から復旧の段階になってきて、これからまた復興のステージが論じられると思いますけれども、被災地域で職場を失われた方もたくさんおられますので、今後、被災地域での復興に向けて雇用創出のためのいろいろな政策的な展開がされると思いますが、そのときに雇用対策と連動した職業能力開発対策を是非進めていただきたいと思っています。
 特に、今回の被害のご報告をいただいた中でも、公共訓練施設についてのご報告をいただいたわけですが、例えば公共職業訓練の委託訓練先であるとか、基金訓練の受託訓練機関等も多分甚大な被害を受けていると思います。特に、津波が押し寄せた沿岸部については、民間の訓練機関が訓練の受け皿として、現状はよくわかりませんが、甚大な被害を受けているのではないかと思っています。被災地では、雇用を吸収する公的な事業は多分展開されると思うのですけれども、訓練のほうでも是非新しい仕事に就けるための訓練を実施するために、受け皿となる民間の訓練機関がかなり弱っていると思いますので、その再生に向けての手当をしていただくとともに、やはり民間がかなり傷んだということもありますので、民業圧迫にならない範囲ですけれども、公的な訓練の拠点を是非設けるべきではないかと思います。立派な建物でなくても構わないと思っていますので、緊急に簡易な建物でも構いませんので、国による受け皿のための施設の設置、拠点の設置を、是非検討いただきたいと思っています。
 また、本国会で審議が予定されている求職者支援法案も、雇用保険を受給できない方の訓練の受け皿として重要な政策ですので、一日も早くこれも成立させていただき、その上で雇用対策、訓練対策をしていくことが重要だと思いますので、厚労省にも、この点について是非ご努力を継続していただきたいと思っています。以上です。
○梅沢氏(大江委員代理) 全建総連の梅沢と申します。私どもも今回被災をされた東北3県と、関東の茨木の4県で13校の認定訓練校の運営をしています。まだこういう状況なものですから、全ての学校と連絡が取れたわけではないのですが、状況がわかったところでは、地盤沈下をして、校舎が危険で使用できないのではないかという所もありますし、2階まで津波を被ってパソコン室をはじめ、機器材が全て使用不能の状態になってしまったという被害報告が寄せられています。認定訓練校全て運営基盤が非常に脆弱な中で訓練をやっています。今回の被災を契機に、一気に廃校にと繋がる可能性もあるのではないかと心配をしています。是非、民間の協力訓練校に校舎・設備、また運営の両面から手を打っていく必要があるのではないかと思っているところです。以上です。
○今野分科会長 他にいかがでしょうか。よろしいですか。いま、お2人からご発言がありましたので、何かありましたらまとめてお願いします。
○井上総務課長 新谷委員からご指摘がありましたように、今後、雇用創出をはじめとした雇用対策と、能力開発対策を連携させた形で、必要な施策を展開していくようにしていきたいと考えています。また、公共訓練、民間訓練、あるいは公的な訓練の場という形で、数々のご提案をいただきましたので、検討させていただきたいと思います。
 それから、梅沢さんから認定訓練施設の関係でご意見をいただきました。認定訓練施設についても、先ほど申し上げたように、今後の復旧等に向け、支援できる対策を検討していきたいと考えています。
○今野分科会長 それでは、よろしいでしょうか。では、次の議題に入ります。2番目は「第9次職業能力開発基本計画について(諮問)」です。本日付で、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問がなされたところです。これを受けて、本分科会において審議を行うというものです。まず、事務局から説明をお願いします。
○井上総務課長 ただいま会長からお話をいただきましたが、資料2-1をご覧ください。本日付で第9次職業能力開発基本計画(案)について、諮問をさせていただきたいと思います。
 資料2-2をご覧ください。諮問の対象となるのは、資料2-1でお付けしている、かなり分厚い本文です。この本文については、これまでご議論いただいてきた内容を整理し、関係機関との調整を並行して行ったものです。関係機関との調整が終了したものについて、委員の皆様と調整もさせてきていただいたところです。全体が、かなり大部にわたりますので、この計画案の説明について、資料2-2の全体像、概略図で説明します。
 まず、いちばん上の「現状認識」です。ここでは、少子高齢化等社会経済環境の変化を背景として、労働力の需給両面にわたる構造的な変化が著しく進行していること。非正規労働者の数、あるいは割合が増加していること。そして、そうした状況の下で、持続可能な活力ある経済社会を構築するためには、一人ひとりが職業訓練等を通じて能力を高め、生産性を向上させることが不可欠であることを整理しています。
 「今後の方向性」として、5点挙げています。1つは、成長が見込まれる分野の人材育成、あるいはものづくり分野の人材育成が喫緊の課題であるということ。2つ目は、雇用のセーフティネットの仕組みを充実、創設していくことが必要であるということ。3つ目が、能力本位の労働市場の形成に資するため、教育訓練と結び付いた職業能力評価システムの整備を行うことが必要であること。4つ目には、個人の主体的な能力開発や企業による労働者の能力開発を支援していくことが必要であること。5つ目として、国、地方公共団体、民間教育訓練、企業等の多様の主体が役割分担しながら、我が国全体として必要となる職業訓練等を実施していくことが必要であること。これらを整理しています。
 下に「今後の職業能力開発の基本的施策の展開」について、8本の柱に分けて整理しています。1つ目の柱は「成長が見込まれる分野・ものづくり分野における職業訓練の推進」です。(1)成長が見込まれる分野の人材育成と(2)ものづくり分野の人材育成を並べて整理しています。2つ目の柱は「非正規労働者等に対する雇用のセーフティネットとしての能力開発の強化」です。(1)雇用のセーフティネットとしての職業訓練の役割と機能強化、(2)第2のセーフティネットの創設、(3)ジョブ・カード制度の普及促進です。3つ目の柱は「教育訓練と連携した職業能力評価システムの整備」です。4つ目の柱は「職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進」です。(1)個人の主体的な能力開発の支援、(2)企業による労働者の能力開発の支援、(3)キャリア教育の推進です。5つ目の柱は「技能の振興」です。6つ目の柱は「特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進」です。7つ目の柱は「職業能力開発分野の国際連携・協力の推進」です。8つ目の柱は「我が国全体の職業能力開発のプロデュース機能(総合調整機能)の強化」です。(1)職業能力開発のビジョン・訓練計画の策定、(2)職業訓練のインフラの構築です。説明については以上です。よろしくお願いします。
○今野分科会長 ただいまのご説明について、ご質問、ご意見をお願いします。
○井上委員 資料2-1、20頁に「特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進」とありますが、こちらは、長期失業者、母子家庭の母、障害者という特別な支援が必要となった人たちのところですけれども、今回の震災によって被災された方々に対しても、特に特別な支援が必要となってくるかと思いますので、是非、この必要な施策についての推進をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
○井上総務課長 今回の震災により被災された方々の職業能力開発の支援については、これまでに講じてきた措置、今後の方向性については、先ほど申し上げたとおりです。私どもとして、今後被災地における訓練についてのニーズの状況を的確に把握しながら、きめ細かく配慮した施策を展開していきたいと考えています。
○今野分科会長 基本計画はこのままにしておいて、その問題については別途ちゃんと対応していただくということですか。
○井上総務課長 今後、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
○今野分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○新谷委員 資料2-1の28頁で「職業訓練実施体制」の整備の?に、文章を修正するかどうかという話ではなくて、中身に関連しての意見を申し上げたいと思います。?の最初の段落の最後に「国は民間教育訓練機関に対し、就職支援技法等のノウハウを提供する必要がある」という記述があります。実は、昨年末にポリテクセンターの視察に行かせていただいて、今日持ってきたのですが、能開機構の本部で「就職支援行動ガイド」や「就職支援マップ」をお作りになられていて、これらを拝見しますと、中身が非常にいいものが作られているのです。ご承知のとおり、公共職業訓練で国の能開機構の施設内訓練の就職率が8割近いものになっていて、今日のような非常に厳しい雇用環境の中でも、かなり高いレベルで就職に結び付けているという実績が出ているわけです。なぜそんなに高くなるのかを見ていたら、この「就職支援行動ガイド」の中でも、実は訓練受講者、あるいは修了者が、就職活動に向けてどうしても挫けそうになるときに、挫ける事象に対して、ケーススタディでそういう事象に対してはこういうアドバイスをしろとか、あるいは就職の面接に行くときに、指導員が寄り沿い型で一緒に付いて行って、求人先の社長に対してこの訓練生はこういうところがいいという売込みまでやっているということが書いてあります。これは、全国の指導員の方々が、その中でも実績を上げているハイパフォーマーの事例を集めたもので、いままでのノウハウというものを可視化して冊子にまとめたというのは、すばらしいことだと思っているのです。
 こういうものが能開機構の大きな財産として作られていますので、これは能開機構だけの財産ではなく公共財として、全国の地方自治体の訓練施設とか、民間の教育機関に対しても、やはりどんどん広めていくべき内容だと思っていますし、第9次職業能力開発基本計画で記載されていますので、この実現に向けて、今後の年度計画の中でも、そういう取組みを是非前向きに展開していただきたいと思います。意見であります。以上です。
○今野分科会長 ありがとうございます。要するに、しっかりやれという話なのですけれども。
○井上総務課長 資料2-1、25頁の中程をご覧ください。ここは「職業訓練のインフラ構築」の訓練カリキュラム・指導技法等の開発ということで、新谷委員からご指摘がありましたように、雇用・能力開発機構で開発した訓練カリキュラムや、あるいは指導技法等についてオープンリソースとして都道府県の能力開発施設のみならず、民間の教育訓練機関、あるいは民間企業に広く活用されるような形で情報提供を積極的に進めていきたいと考えているところです。
○中村委員 しっかりやっていただきたいという観点から、1点ほどご意見を申し上げたいと思います。先ほど説明がありましたように、この職業能力開発基本計画については、5年ごとに策定をしているわけです。今回は第9次の基本計画となるわけですので、今後とも、定期的に基本計画の進捗状況や実態を把握し、さらには検証して、必要な施策を確実に実行していただきたいと思っています。さらに、基本計画をしっかりと遂行するためにも、助成金等の確保や、予算措置を確実に講ずることが必要であると考えていますので、この点についてもしっかりと取組むよう強く意見、要望として申し上げておきたいと思います。
○井上総務課長 9次計画については、今回策定となると、そこが終着点ではなく出発点だと考えていまして、今後5年間の中期にわたる計画として、ご指摘がありましたように定期的に進捗状況を検証し、また新たな行政課題が生じているかどうかについても十分に検証しながら施策の展開に反映させていきたいと考えています。また、そうした施策を的確に実施するための基盤となる予算についても、必要な予算の確保に力を尽くしたいと考えています。
○大久保委員 今回の基本計画の内容に関しては、これまでも十分に議論を積み重ねてきたものでありますので、全く異論がありませんが、職業能力開発行政の中身に関しては、一般の国民の人たちにあまり正しく認識、評価されていない部分があり、どうも誤解されていることが多くて、新聞報道でも事実と違うことが書かれることがよくあります。この基本計画を公開する際は、広報の重要なタイミングでもありますので、是非わかりやすく伝える工夫をしていただきたいというのを途中段階で1回お願いしたと思いますが、改めてお願いしたいと思います。
 それから、もう1点、今回の第9次の基本計画は、第8次の基本計画と比べた場合、どういう特徴があると説明するかという観点を確認のために質問したいと思います。
○井上総務課長 まず、1点目のご指摘です。これまで能力開発行政、ないしは能力開発施策について、国民の皆様に対してきちんとメッセージを伝えられていないというご指摘は、そのとおりだと思います。今回、9次計画の策定を1つのきっかけとして、能力開発行政、能力開発施策について、国民の皆様に広く適切に情報発進できるようにしていきたいと考えています。
 それから、8次計画との関係ということで、資料2-1、9頁をご覧ください。「第3部職業能力開発実施目標」の7行目からの件です。「第8次職業能力開発基本計画では」以下のところで、第8次職業能力開発基本計画の中では「2007年問題」を背景として「現場力」の強化という施策が1つの柱になっており、さらにもう1つの柱は「職業生涯を通じたキャリア形成支援の施策」ということで、8次計画ではこれらが大きな柱となってきたということです。9次計画との関係については、その後生じてきた課題、成長が見込まれる分野における人材ニーズへの対応、あるいは非正規労働者の増加等の状況に対応して、9次計画においてはこれが大きく2つの柱になってきますが「成長が見込まれる分野の人材育成」「雇用のセーフティネットの強化」を中心として取り組んでいくということで、2つの計画の関係について整理していますので、これを参考にしていただければと思います。
○今野分科会長 ほかに、いかがでしょうか。
○高橋委員 資料2-1、7頁ですが、(2)「前述したように」という文章から始まる数行が、前回から付け加えられたのではないかと思っています。この(2)の記述の内容は、前頁の6頁の下から2段落目に書いてあることと、内容がほぼ同じ記述になっています。6頁の記述は、労働力の供給面の変化ということで、供給の中心であるところの労働者の方にお伺いをした内容ですので、極めて適切な内容ではないかと思うのですが、7頁は、労働力の需要面の変化という記述に関して、供給面の変化と同じ記述が加わっているというのは、ちょっと違和感があります。何らかの理由で付け加えたのだと思いますけれども、もし仮に追加がどうしても必要だとしても、併せて労働力の需要面に係わる統計なり、企業に対するアンケート調査なりといったようなものを(2)に加えるというほうが、内容としては好ましいのではないかと思います。
○井上総務課長 ただいま、ご指摘のあった点です。6頁の2「労働力の供給面の変化」の最後のパラグラフに、「労働者が非正規雇用の就業形態を選んだ理由は」というところで、これは「就業形態の多様化に関する総合実態調査」から引いてきたものです。供給面のところでここの記述を引用するとともに、3「労働力の需要面の変化」ということで、7頁の(2)にいま高橋委員がおっしゃられたように、引きましたのは、この正社員として働ける会社がなかったという部分については、供給面の理由であるとともに、需要面での問題でもあるのではないかという関係機関からの指摘があったことを踏まえ、このような記述を入れたものです。重なるのではないかというところについては、(2)の冒頭で「前述したように」ということで、再掲である旨を明確にしておりますので、その位置付け整理をそのようにさせていただいたということで、ご理解をいただければと思います。
○今野分科会長 これは結局、(2)というのは、需要側がもう正社員を絞るということかな。そういうことを言いたいのだね、これ。
○井上総務課長 供給側の理由であると同時に、需要側の理由としての側面も持っているということで「前述したように」という形で、再掲であることを明示しつつ、ここにも位置付けをしたということです。
○今野分科会長 ちょっと切れが悪いけど、いいのではないですか。
○高橋委員 それはいいのですが、私が申し上げた2点申し上げました。2点目についてはご回答いただいていませんので。もし、例えばこの記述を残すとしても、労働力の需要面を直に尋ねた調査であるとか、企業に対するアンケート調査でも結構ですし、そうしたようなデータを合わせて(2)に足していただく、需要面の変化を如実に表す需要サイドから捉えた統計等を加えていただくということはどうでしょうかということを申し上げたのです。それについては、お答えがありませんでしたので。
○今野分科会長 その前に(2)の趣旨は、需要側が正社員を絞るということなのかな、これは。
○井上総務課長 それも含めて、需要側の理由にもなっているということです。
○今野分科会長 さて、本日はこれで諮問案をここでご承認いただきたいと思っているのです。高橋委員が言われる変更ということになると、その文面を作らなければいけなくなってしまうので、そうするとここでは無理になるのですね。少し文章としては出来が悪いけど、いいかということにならないですか、高橋さん。
○高橋委員 結構でございますが、ただ、私が指摘した点についてのお答えだけいただければ、それで結構です。
○井上総務課長 ここの部分、2回出てきているところ。
○高橋委員 2回出てきているところではなくて、他の調査を加えて出す。
○井上総務課長 この部分は「就業形態の多様化に関する総合実態調査」から取っておりまして、ここではおっしゃられるようなそれ以上の掘下げが、この調査にはなかったかと思います。それで、さらに何か別途詳しいものということになりますと、すぐには見当たらないというところです。
○今野分科会長 よろしいですか。ほかの点でありますでしょうか。よろしいですか。それでは、いくつかご意見をいただいた、要するに頑張れというのと、ちょっとわかりにくいというのとありましたけれども、全体としては当分科会としてはこの案を妥当と認める旨を私から労働政策審議会会長宛に行いたいと考えておりますので、よろしいですか。それでは、事務局から報告文案を配付してください。お手元の案でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○今野分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきたいと思います。
 それでは、続いて、3番目の議題です。「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。これも本日付で、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問がなされたところです。これを受けて、本分科会において審議を行うものです。まず、事務局から説明をお願いします。
○浅川育成支援課長 資料3-1がいまご紹介がありました大臣からの諮問文と要綱です。具体的には、資料3-2で省令の内容を説明させていただきます。私からは、1番の認定訓練関係、2番のキャリア形成促進助成金関係のご説明をさせていただきます。
 まず、認定訓練関係です。別添1を1枚めくっていただいてご覧ください。認定職業訓練は、民間事業主や公的団体が行う職業訓練のうち、公共職業訓練に準じた時間数、カリキュラムといった一定水準を満たしたものを都道府県知事が認定して、それに対して国、都道府県から補助をしています。補助の体系は、2番をご覧ください。認定訓練を行う主体のうち、現在の補助は、中小企業事業主とその団体を対象として国と県から補助しています。負担割合は国が3分の1、県が3分の1、補助を受ける人が3分の1ということで、3分の1ずつ分担して補助している体系になっています。
 第9次計画の中に、職業訓練が多様な主体によって全国にわたり担われるようにインフラの整備をすることがうたわれています。認定訓練の制度でも、これに対応できるように、今回、補助の対象を現在の中小企業主とその団体に加えて、職業訓練法人等の公的な団体も補助の対象にするといったものです。これによって、多様な訓練主体をより育成していきたいと考えています。法律上は、現在もこれらの法人は訓練を行えることになっていますので、今回補助の対象にするというところは省令の改正です。これが、1番の認定職業訓練の改成の内容です。
 2番のキャリア形成促進助成金は、別添2に改正の内容が書いてあります。また、その次の頁は支給実績になっていますので、こちらもご参照ください。改正の内容で説明させていただきます。キャリア形成促進助成金については、見直しを行う内容について節目節目で報告させていただきました。今回は、これを反映した省令改正を行うものです。見直しの背景は、助成金の支給実績から見て将来的な財政負担がかなり多くなることが予想され、それを抑制する必要性があったということが1点目です。また、昨年行政レビューと事業仕分けというものの対象になって、ご指摘を受けたことに対応した見直しを行う必要があるということが、見直しの大きな2つの背景です。それに基づいて見直した結果、表のブルーの部分が今回見直した部分です。
 表の上から説明させていただきます。メニューは、?「訓練等支援等給付金」から?「中小企業雇用創出等能力開発助成金」まで4つに分かれています。?「訓練等支援給付金」のうち、一般メニューはあとで説明します。次の「自発的職業能力開発」というメニューの中の4つのメニューのうち、「勤務時間の短縮等の措置」と「長期職業能力開発休暇の付与」のメニューについては、実績がないということで、今回廃止させていただきたいと考えています。また、上2つの「教育訓練経費の負担」と「職業能力開発休暇の付与」については、大企業の利用が少なく、実績が少ないということで、こちらも平成23年度から廃止という見直しを行うこととしています。少し飛びまして、?「職業能力評価推進給付金」、?「地域雇用開発能力開発助成金」についても実績が少ないということで、平成23年度から廃止することにしています。
 前後して恐縮ですが、少し上に戻って「ジョブ・カード制度関連」です。このメニューの実績は非常に出ていますが、昨年の事業仕分けに際して、企業への支援が手厚過ぎるといった指摘がされました。また、これについては支給申請が非常に伸びてきているということで、将来的な財政負担の懸念もあるということで、今回廃止をして、いちばん上の一般メニューのところへ統合することにしたいと考えています。したがって、一般メニューにOFF-JT、今回OJTを新たに加えることで、以後OJT訓練はこちらで見ていくという見直しを行うこととしています。以上がキャリア形成促進助成金の見直しまでのご説明です。
○田畑能力開発課長 続いて、3の「地域職業訓練センター、コンピュータ・カレッジの地方自治体への移管に伴う経費の負担について」、説明します。資料3-2の6頁をご覧ください。地域職業訓練センター、コンピュータ・カレッジについては、事業を廃止し、施設について希望する自治体に移管することとしていますが、移管にあたって、赤字で記載のとおり、激変緩和措置として平成23年度からの一定期間、修繕費等について国が全額の負担を行うこととしています。このため当分の間、これらに要する経費の補助を行うものとするとの、制度改正を行うものです。説明は以上です。
○今野分科会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見お願いします。
○高橋委員 キャリア形成促進助成金の見直しですが、私はこの会合で何回も見直し内容については、反対を表明してまいったところです。ただいまのご説明を伺っていると、実績が少ないからやめるとか、そういう説明だったような印象も受けました。雇用保険二事業は、本来ご承知のとおり、事業主が100%保険料を拠出して行っている保険制度です。その見直しにあたっては、PDCAサイクルを回して事業の見直しを行ってきているところなのですね。実績がないからやめるとか、やめないとか、そういう話では、そもそも二事業としてはないだろうと。保険制度であるならば保険料の拠出者が企業規模の大小でもって、助成を受けるとか受けられないとかということがあっていいのかどうかというのは極めて疑問だと私は思っています。そうした観点から言うと、今回の見直し内容に、また改めて反対を表明したいと思っています。
○澤田委員 関連してよろしいですか。いま、同じ4頁のキャリア形成促進助成金の関係ですが、いつから導入したかというのは私も細かく承知していないのですが、いろいろ議論した上で、こういう制度、取扱いがあったほうがいいではないかということで導入されたと思います。資料にもあるように実績が少ないということですが、議論をして導入した制度であるにもかかわらず、使用実績が少なくなってきたということをどのように分析されているのかということは、今後再度こういう制度を導入すべきかどうかという議論になることも考えられるので、後々にフィードバックすべき事項だと思います。当初はよく活用されていたのか、それとも制度自体に無理があったのか、その辺の分析を現状把握しているところをお聞かせ願いたいと思います。
○今野分科会長 いま、2人からご質問があったので。
○浅川育成支援課長 まず高橋委員からのご指摘に対してお答え申し上げます。高橋委員からのご指摘は、実績の有無でメニューの廃止を判断するのはおかしいというご指摘が1点ありました。また、企業規模の差で支給対象から外すとか、外さないといった考え方は保険制度上おかしいのではないかというご指摘であったと思います。これに対してお答えします。
 今回助成金を見直すことが求められて見直さなければならないとなった場合、助成金の趣旨が事業主の方に計画的に訓練に取り組んでいただくことであることを考えると、実績のある、つまり利用者の多いメニューを廃止するとなると、このような取組み、事業主の取組みに具体的な支障が出るということで、本助成金の目的達成が危ぶまれることが懸念されたものですから、見直しの対象としてできるだけ実害が少ないことを考えて、実績が少ないものという基準を作って見直しをしたものです。
 そうは言っても政策的にどうしても必要な分野については、仮に実績がなくても旗印をたてた上で、実績を上げていく努力を別途の政策をしていくという政策のやり方もあると思います。
 ご指摘のある自発的職業能力開発のメニューについて、今回大企業のメニューを廃止した理由ですが、単に大企業だからという理由で助成を廃止したわけではありません。助成の実績が少ない一方で、大企業において自発的職業能力開発に対する支援制度を導入している企業の割合が7割にものぼっているということで、この助成金の政策効果はあまり高くないとこちらで判断して廃止したわけです。したがって、大企業だからという理由で廃止したわけではないということをご理解ください。
 二事業の性格ということでご意見がありましたが、確かに満遍なく事業主の皆さまからお金をちょうだいして、政策の推進のためにお金を使っているわけですが、その政策を推進するために、どういう方たちに支援をしたほうが最も政策の推進効果があるかを考えて制度を作っていますので、その結果として、助成率の差が出てきたり、また助成の対象になったり、ならなかったりといったものが出てくるというのはあり得ることなのかと考えています。
 澤田委員からのご質問、ご指摘ですが、今回実績がなくて廃止するものがいくらかあります。それについて、どういう分析をしているかということでしたが、自発的職業能力開発については、制度を作ったとき以来、あまり実績が上がっていません。作ったときがたしか1年か2年前だったと思うのですが、ちょうど景気が悪くなってきた時期でして、事業主で長期休暇なりを従業員に取らせて自己啓発を図らせる余裕がなくなってきたのかもしれないと考えています。また、勤務時間の短縮等の措置についても、例えば自己啓発のために朝少し遅れてくるとか、少し早く帰るといった方に対して、年休の分といいますか、その分の一部を出すということでして、こと細かな申請手続といったものが非常に負担だったのかと考えています。
 また、職業能力評価推進給付金については、こちらも実績はあまり変わっていません。昔はよかったけれども、いま少なくなったということはありません。技能検定の受験者数が約67万人のうち、助成したのが大体平成21年度で1万人弱ということで、実際はこの助成金がなくても受ける人は受けるし、受けない人は受けないということだったのではないかと考えています。
 地域雇用開発の助成金については、現場などのヒアリングによると、雇用情勢が悪い地域に適用される助成金なのですが、新しく人を採用して一から職業訓練を行わせるといったニーズが少なくて、景気情勢が悪い地域ですので、むしろ即戦力となる、つまり職業訓練のいらない人を雇うニーズが高くて、この助成金の利用が少なかったのではないかということです。以上です。
○今野分科会長 いかがですか。
○高橋委員 すみません。まったく納得のいかない説明で本当に困っているのですが、雇用保険二事業は、先ほど私申し上げたとおり、PDCAサイクルを回して不断の見直しを行ってきているのですね。キャリア形成促進助成金の自発的職業能力開発に関することにしても、目標を立てて、事業の執行率を見て評価しています。平成21年度の評価はA評価だったのですね。その目標は何かというと、実績ではないのです。助成措置の対象となった従業員から助成対象となる訓練、休暇、能力評価等によりキャリアアップを図られた旨の評価を受ける割合が80%以上が助成金のPDCAサイクルを回すための目標だったのですね。自発的職業能力開発を受けられた従業員の方にお伺いする。それで効果が上がったかどうかの目標を立てて、あと執行率で見るというものと違うことをこれからやろうとしているということなのでしょうか。
 また、実績だけを見ると、例えば雇用調整助成金、過去を振り返ってみても、例えば平成17年度、平成18年度といった2年度を見ると、大企業に対する支給の実績はゼロです。そういったもので、雇用調整助成金は大企業の支給実績がないからゼロだから廃止するのだという形になるのでしょうか。私はまったく納得いきません。
○今野分科会長 高橋委員の言われているのは、2つ違うことを言っていて、1つは先ほど澤田委員の言われたことと趣旨としてはほとんど一緒で、こういう政策を見直すときにどういう観点からどういうふうに見直すのだという問題が1点と。もう1つ高橋委員が言われたのは二事業の性格そのもので、端的に言うと出したものは戻せと。大企業だって出しているのだから大企業にきちんとよこせという。2つのことは、まったく違うことをおっしゃられているので、特に後者は二事業そのものをどう考えるかというテーマなのですよね。つまり例で言うと、フランスみたいに出した額は全部もらうというものもあるわけですよ。フランスの二事業は全部そうです。大企業中小企業考えなく出したものは全額もらうと。でも、日本の場合は、出したものはもう一度中で政策効果を考えて、戻すのではなくて出すやり方なので、そうすると高橋委員の言われたことを極端に言うといい悪いは別にして、フランスがやっているように変えろみたいな、二事業の仕組みそのものの問題なのですよね。1番目の問題は、それを前提にしておいて、個々の政策を評価して改善していくにはどうしたらいいかという問題。いずれにしても、高橋委員の場合は、2つの理由から今回のキャリア形成促進助成金の見直しについては反対ですか。
○高橋委員 はい。
○今野分科会長 少し不満ではなくてですか。
○高橋委員 反対です。
○今野分科会長 反対ということ。両方の理由でですか。特にどちらかが強いということがあるのですか。
○高橋委員 こうした見直しが制度そのものを揺るがし兼ねないと私は思っています。
○今野分科会長 制度とは私の言った後者のほう。
○高橋委員 二事業の。そうです。
○今野分科会長 後者のほうですか。
○高橋委員 全部返せとか、そういうことを求めているわけではなく、助成率等に格差をつけることを否定しているわけでもありません。だけど、大企業は助成ゼロ。今回の自発的な職業能力開発部分の助成は中小企業のための助成制度とするという見直しなわけですよね。
○今野分科会長 もしそういうことだったら、高橋委員の疑問は私が言ったような1番目です。2番目については、別に傾斜があってもいいということですよね。つまり、大企業、中小企業で差があってもいいと。傾斜があってもいいというのですか。
○高橋委員 はい。
○今野分科会長 そうすると、傾斜のつけ方によってゼロがあり得るということなのです。言っている意味はわかりますか。私がさっきお聞きしたのは、そうではなくて、出したものはよこせと聞こえたものですから。そうすると、私がさっき言った2番目のような問題提起になると私は整理したのですが、そうではないのですね。
○高橋委員 資料3-1のキャリア形成促進助成金制度の改正で、「事業主の助成を、中小企業事業主に対するものとする」と。
○今野分科会長 結果的に傾斜をつけたらそうなったということだと思います。
○高橋委員 傾斜と言ってもゼロというのは、私はそこは先生と考え方は共有しませんけれども。
○今野分科会長 でも、傾斜はあってもいいのですよね。
○高橋委員 格差があることは構いません。
○今野分科会長 いいですよね。
○高橋委員 はい。
○今野分科会長 傾斜があったときに、傾斜の下のほうがゼロということが絶対受け入れられないという意見ですか。
○高橋委員 そうです。
○今野分科会長 でも、それは傾斜の1個なのだけどね。
○高橋委員 私はそれは認められない。
○今野分科会長 傾斜を認めた以上は、いまの制度は基本的にはOKですね。だから、そうではなくて、今度は私が整理した1番目の問題で、今回の助成金の見直しについては納得できないというほうがすごくわかりやすいのだけれども、私にとっては。言っている意味はわかっていただきましたか。
○高橋委員 私は理解しませんけれども。
○今野分科会長 いずれにしても制度そのものの議論ではないのですね。
○高橋委員 制度そのもので言えば、PDCAサイクルを回して見直しをするというのが二事業のこれまで取り組んできたやり方だし、それはよろしいのではないかと思っています。いまのご説明を聞いても、そうした観点からの見直し案ではないわけですよね。
○今野分科会長 広い意味ではPDCAサイクルで回して、政策的な順位をつけたというように私は。
○高橋委員 いやいや、PDCAサイクルというのは、すべての事業について目標を定めているのです。あと、事業の執行で4象限でA、B、C、D等の評価をして、A評価の場合だったら政策継続。もちろん効率的な運営には努めているわけですが、今回の助成金の場合は、平成21年度評価はA評価だったのです、政策継続という評価ですね。
○今野分科会長 最終的には、優先順位をつけるわけですよね。
○高橋委員 二事業は150ぐらいの事業をやっていまして、A以外の事業がたくさんあるわけですよ。そういう事業はかなり見直しをしていくことで二事業全体の効率を高めてきたというのが、これまでのやり方ですから、今回はそういうやり方を変えていくつもりなのかということにも繋がり兼ねないと。
○今野分科会長 ご質問は、それを変えるつもりがあるのかどうかという。
○高橋委員 変えることになるのだったら反対だということです。これまでのPDCAサイクルで回してきたやり方をさらに徹底するという趣旨からの見直しだったら私はよろしいと思いますけれども。いままでと違う見直しの考え方に立脚して見直しをすると。
○今野分科会長 それについてどうですか。
○井上総務課長 いま、高橋委員がおっしゃっているPDCAサイクルで評価している、これについては私も出席しているので承知しています。そこでのPDCAサイクルを活用した評価方法と今回の関係となってくるかと思います。この点については、雇用保険二事業、百数十のものについて、目標設定とそれに対する達成率、その場ではそういう議論がされています。今回、加えて先ほど浅川が説明の中で触れたように、行政事業レビュー、あるいは事業仕分けという中で、さらにキャリア形成促進助成金の各メニューについて実績や政策効果等の観点から精査するということが指摘されたことを踏まえて、その観点も踏まえて、今回の見直しさせていただいたものです。
 おそらく高橋委員のご指摘は、そうした雇用保険二事業の場の評価のサイクルの話と、こういった事業仕分け、行政事業レビューとの関係を明確にするということがお答えになると思いますので、これについては二事業の評価の関係部局とも相談して、また整理させていただきたいと思います。
○今野分科会長 PDCAサイクルでやっている評価とそれ以外のほかの評価があるわけで、それを総合的に考えて総合的に評価して、こういう政策にしたというふうに我々は思うけれども。
○井上総務課長 今回の見直しは、いま会長からお話がありましたように、そういった二事業についてのPDCAサイクルの評価に加え、事業仕分けや行政事業レビューの指摘も踏まえて見直しを行ったというものです。
○今野分科会長 ほかにご意見ございますか。
○平澤氏(阿部委員代理) 同じキャリア形成促進助成金の関係なのですが、今回の震災の影響によって、平成22年度中に訓練を開始する予定だったところが、訓練の開始を平成23年度、要するに4月以降に延期せざるを得ないような場合も出てきていると聞いています。この中で、平成22年度から平成23年度にかけて、だいぶ助成が縮小するような形になっているものですから、今回の震災にからめて、なにがしかの特例措置を是非ご検討いただきたいと思います。
 もう1点は、助成金の支給申請にかかわって、提出書類、訓練の日誌ですとか、あるいは各種の証憑類を紛失してしまった企業もあると聞いていますので、その辺についても特段のご配慮をお願いしたいと思っています。以上です。
○浅川育成支援課長 まず、いまお話になった第1点目です。今回の震災によって、計画変更を余儀無くされたことで助成金の支給条件にも変更があったという場合において、私の理解ですと、得べかりし利益についても補償してほしいという要望と1点目は理解しました。震災によって、予定していたことができなくなって、得べかりし利益が受けられなかったケースは、本助成金以外でも、おそらくほかの助成金、他省庁も含めた補助金、私たちの日常生活の中においても多々あったと思います。このような場合に国から補償するかどうかについてですが、議題1で説明させていただいたとおり、既に有していた資産や投資を震災により失った方々への復興支援、また医療機関受診の際の負担の義務的な経費を払えなかった方への免除といったものを中心に現在は優先して対策を講じているところでして、その一環としてキャリア形成促進助成金についても既に訓練を行っていた方が途中で中断せざるを得なかった、そこまでの間に支出した訓練経費については、訓練は終了していませんけれども、みましょうという整理をさせていただいています。
 ご要望のようなケースについては、まだ開始されていない訓練に対してですので、実際に被害が生じたわけではありませんし、訓練開始時期の変更によって、訓練を開始していただければ、確かに条件に変更がありますが、助成金は支給できますので、現段階で改正前の助成率を適用することは考えていません。これが1点目です。
 2点目は、今回の震災で申請書類を紛失したりといった事業主はおそらく多いと思いますので、そういう方への対応については、いま支給機関の雇用能力開発機構のほうでもどういう対応をするか検討させていただいているところです。以上です。
○今野分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
○新谷委員 先ほど来高橋委員から出された問題については、澤田委員からも確認させていただきましたが、資料3-2が、資料3-1との関係で、訓練等支援給付金について中小企業に限ったものとするというところがわかりにくいのです。よく見ると、4頁の下に「助成内容の括孤内は大企業」と書いてあって、それが平成22年度と平成23年度で消えているところが一部あってということです。資料3-2には中小企業とするという大きな枠組みの変更についての記載がなくて、小さな括弧で書いてあって、それを読み取れという資料になっています。また5頁でも問題となる数字が出ているのですが、支給実績についても大企業と中小企業を分けた記述がなくて、合算で書いてあって、確かに実績は低いことは低いのですが、焦点があたっている大企業と中小企業の区分がない。だから、全体の論議の中で、論議をする資料としては、確かに高橋委員がおっしゃるようにフォーカスされていなくて、資料としては弱い感じがします。だから、改めて5頁の資料の中に、大企業の分を外すといったときに、実績の中に、平成22年度はまだ年度途中ですが、大企業と中小企業に違いがあって、どれくらい大企業が影響を受けるのか、わかれば議論の参考にさせていただきたいと思います。
○今野分科会長 いまわかりますか。
○浅川育成支援課長 わかります。
○今野分科会長 対象となっているところだけでいいです。
○浅川育成支援課長 自発的能力開発のところが問題になっていると思います。平成21年度の大企業の実績は242万円です。
○今野分科会長 トータルでですか。
○浅川育成支援課長 はい。
○今野分科会長 年間トータルでですか。
○浅川育成支援課長 はい、年間トータルです。中小企業は、平成21年度の実績は2,883万円です。平成21年度の実績を件数で見ると、大企業は8件、中小企業は146件です。
○新谷委員 事前に内容について説明をいただいたときに確かに実績が少ないとお聞きしていまして、実績が少ないからしょうがないと思ったのですが、いま改めてお聞きして、大企業が8件で242万円というのは、国としてのレベルで政策を論じる水準ではないという感じが率直にします。先ほど澤田委員が申し上げたように、なぜ少ないのか。それはPRが不足しているのか、あるいは全然ニーズにマッチしていないのか。もちろん作るときにはこの審議会に諮ったはずですから、我々も責任を共有しているわけですが、そこのところの分析をして、影響を考えながら、これくらいの件数で今後続けるのか、続けないのかというところを数字をベースに論議をしたらどうかという感じがします。
○今野分科会長 その点はこれに限らない話ですよね。
○新谷委員 限らないです。
○今野分科会長 限らない話ですよね。ですから、今後政策変更をしていくときに、そういう視点が必要だということですよね。ほかにいかがですか。
 何度も言ってしつこいのですが、いま言われた点ともう1点の二事業で傾斜をつけることの問題と、これは別の問題ですからね。後者は、仕組みそのものの問題なので、前者はオペレーションの問題なのです。ほかにございますか。
 今おっしゃられたように、政策をこうやって変更していくときには、今日高橋委員からもありましたし、労側の委員の方からも複数ありましたように、今度なぜ作って、実績がどうしてこうなってということをきちんと議論できるような形にしていきましょうという意見が非常に強くありましたので、そういう進め方を今後事務局にしていただきたいということをきちんと議事録に残していただいて、今回のこの案件に限ってはこの諮問を私としては妥当と認めたいと思っているのですが、1つ気になっているのは、高橋委員が反対と言ったから、それは気になっていて。
○高橋委員 反対である、適当でないでも結構ですが、そういう趣旨の委員の発言があったことを文章、答申文に是非お入れいただくことを検討していただきたいと思います。
○今野分科会長 「おおむね妥当」である。書き方は、1人の委員の方から、こういう点で。
○高橋委員 使用者側の一部の委員。
○今野分科会長 文章をいま考えますので。使用者側の一部の委員から適当でないという発言があったというのをつけると。少し文章を考えるかな。事務局と相談するから5分間休憩させてもらえますか。いいですか。また、こう出して反対と言われると恰好悪いので一気にいきたいと思いますので。
○中村委員 大体パターンがあるのではないですか。
○今野分科会長 いいパターンを探してきますから、5分間休憩させてください。
(休憩)
○井上総務課長 いまお手元に答申の案をお配りしております。
○今野分科会長 基本的には「おおむね妥当」としておいて、下に先ほどの高橋委員の意見を付記するという形で、私から労働政策審議会会長宛に報告することにしたいと思います。よろしいですか。
(異議なし)
○今野分科会長 それでは、そのような形にさせていただきます。次に、4番目の議題に入ります。「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。これも本日付で、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に諮問がなされたものでして、これを受けてここで審議を行うものです。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○田畑能力開発課長 職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について説明いたします。資料4-1が改正省令案要綱の諮問文です。その改正内容について、資料4-2に基づき説明いたします。3頁をご覧ください。公共職業能力開発施設で実施する職業訓練については、職業能力開発促進法第19条において省令で定める基準に従うこととされており、また同法施行規則において、訓練課程ごとに訓練の対象者、教科、訓練時間、訓練期間等が定められております。また、主要な産業分野に関しては、訓練科ごとに標準的な訓練内容等が規則別表に規定されているところです。
 訓練基準の見直しについては、9頁に「見直しの流れ」として資料を掲げておりますが、近年の産業技術・産業動向等の変化を踏まえて、順次見直しを行っているところです。今年度においても、都道府県の職業訓練指導員や大学教授など専門家の方々を構成員とする専門調査員会を開催し、その検討結果を踏まえて今回省令案を作成し、諮問しているところです。
 3頁に戻りまして、主な改正内容として3項目を掲げております。1点目はビジネス関連分野及びデザイン関連分野の訓練科について、訓練基準(教科の内容及び訓練時間数の配分等)の改正を行うというものです。2点目が環境関連技術やエネルギーの効率的な利用に関する技術と電気分野の技術・技能を持つ高度な人材を育成するため、電気エネルギー制御分野における訓練科を新設するというものです。3点目は「製版・印刷科」「広告美術科」「デザイン科」及び「貿易事務科」の職業訓練指導員試験について学科試験の科目の内容の改正を行うというものです。
 4頁、5頁にはその具体的な内容が掲げてあります。1点目のビジネス関連分野及びデザイン関連分野の訓練科の改正ですが、前年度の分科会で一部の訓練生にコミュニケーション能力の低下があるということで、これに対する対応が必要ではないかという指摘があったところです。こういったご指摘や昨今の状況も踏まえて、基礎的なコミュニケーション能力を習得できるようにオフィスビジネス系、流通ビジネス系、接客サービス系の中で、必要な訓練科に「コミュニケーション概論」の学科と「コミュニケーション実習」の実技を追加するというものです。デザイン関連分野においては、知的財産権の問題がより重要となっていることから、この知識を習得できるように関連法規を学ぶ学科を追加するというものです。
 また、印刷・製本系の関係においては、写真等の画像加工における技術がアナログからデジタルへ移行しつつあること、またデスクトップ・パブリッシング(DTP)に代表されるコンピュータやパソコンを利用して印刷を行う技術が主流となっている状況を踏まえて、これらに関する技能・知識を習得できるように「コンピュータ概論」の学科と「コンピュータ操作基本実習」の実技を追加するというものです。
 2点目は環境関連技術、エネルギーの関係の高度な人材を育成するための訓練科の新設です。5頁ですが、昨今の環境分野の人材育成の必要性に鑑み、環境関連技術や省エネ技術に精通した技術者の育成というニーズに対応するため、専門課程に「電気エネルギー制御科」、応用課程に「生産電気システム技術科」を新設するとともに、必要な訓練基準を定めたいと考えております。
 3点目は「製版・印刷科」「広告美術科」「デザイン科」及び「貿易事務科」の職業訓練指導員試験について、学科試験の科目の内容の改正を行うというものです。先ほど説明したように、「製版・印刷科」で科目の追加をしたことから、これを踏まえた学科を指導員試験の科目に追加するとともに、近年の産業動向に合わせて、表現ぶりが若干古くなっている科目等がありましたので、それを改めるというものです。今般の改正の内容は以上です。
○今野分科会長 ただいまの説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします。
○新谷委員 説明がありました訓練基準や訓練科の新設、試験の学科の科目の内容変更については時宜に合った変更だと思うのですが、やや遅きに失した感もあるのではないかと思っております。特に、製版・印刷で「アナログからデジタルへ移行しつつある」などとありますが、移行はほぼ終わってしまっているのではないかという気がしますので、この辺のアップデートと言いますか、現場でいま起こっている変化を訓練の中にどう取り込むかが重要だと思います。最後の9頁には、今後の見直しの流れの中に、平成24年度以降については4年とか、情報・通信については2年といった見直しのサイクルが書かれてあります。いちばん上には見直しのワンクールは2年間かけてやると書いてありますが、現場で起こっている変化を吸い上げる仕組みなり、見直しのサイクルとか、ワンクールで見直すのを2年かけてやるということについても、もっとスピード感を持って取り組んでいただければいいのではないかと思います。
○田畑能力開発課長 訓練基準の見直しですから専門性も必要ということもあって、しっかりした研究を行い、それを基に専門家の方々にお集まりいただいて検討を進めると、一定の時間が必要ですので、今はこのような形で進めておりますが、今後の見直し方針については、委員からご指摘があったように、スピードを速めて、5年サイクルだったのを4年間にするとか、情報・通信分野については4年ワンサイクルではなく、2年ごとに行うとか、緊急性を伴うものについては適宜対応するとかしております。全体のスケジュールについても委員のご指摘を踏まえつつ、一方ではしっかりした検討の下に、見直しを行う必要性も勘案しながら、どういった対応が可能かを検討していきたいと思います。
○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。ないようですので、当分科会としてはこの要綱を妥当と認め、労働政策審議会会長宛に報告したいと考えておりますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○今野分科会長 事務局から報告文をお配りしますので、ご覧ください。そのような報告文でよろしいですか。次に、5番目の議題の「職業能力開発促進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」、先ほどと同じタイトルですが、これも厚生労働大臣から本日付で労働政策審議会会長宛に諮問がなされたところです。これを受けて、ここで検討したいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○田畑能力開発課長 同じ施行規則の改正ですが、この改正は職業能力開発総合大学校の職業訓練の見直しに関連して、新たな課程を設けるという内容です。資料5-1が省令案要綱の諮問です。内容については資料5-2に基づき説明いたします。職業能力開発総合大学校の指導員訓練の見直しについては、1頁の趣旨に記載があるように、昨年7月の職業能力開発分科会におけるとりまとめにおいて、将来的にも安定的に質の高い指導員の供給が行われる制度とすることとされております。今般、職業能力開発総合大学校の小平校で実施している専門課程、応用課程を、4年間で体系的に実施する高度職業訓練として、特定専門課程、特定応用課程から構成される総合課程を設けるということです。
 2頁ですが、この総合課程においては生産技術・生産管理部門のリーダーとなり得る人材を育成するとともに、将来的に質の高い職業訓練指導員となり得る人材を養成するために、特定専門課程、特定応用課程を設けるというものです。これを体系的に実施することで、総合課程を実施することを考えております。いまの専門課程、応用課程においてはそれぞれの課程ごとに技能照査を行うシステムとしておりますが、特定専門課程、特定応用課程については、4年間で体系的に実施することから、特定応用課程の修了前に技能照査を行うこととしております。
 また、総合課程を卒業し、その後民間企業に就職する方々に加え、当該課程の卒業生は将来的にハイレベルな職業訓練指導員として必要な能力を付与するための訓練を受けることにより、職業訓練指導員となることも想定しているものです。施行日については、総合課程の学生が入学する平成24年4月1日を予定しております。また、学生の募集活動のために資するよう、公布日については平成23年4月下旬ということで、いま作業等の予定をしております。なお、当該課程については訓練修了時に学士の学位が取得できるように、今後、大学評価・学位授与機構に対し、学位の取得申請を予定していることを申し添えさせていただきます。以上です。
○今野分科会長 ただいまの説明について、ご質問、ご意見があればお願いいたします。
○高橋委員 質問ですが、今回の総合課程の内容について、あえて2年・2年という形式を残しています。4年間で体系的に総合課程を実施するのであるならば、4年間課程とすることも考えられたのではないかと思うのですが、2年・2年を維持したのはなぜか、教えていただければと思います。
○田畑能力開発課長 今回の課程については、高度な職業訓練として位置づけるものですが、現行の法体系の中でそういった位置づけで整理したいと考えております。いまの長期課程は4年の課程として設けておりますが、今回小平校で実施する課程については、現在の専門課程、応用課程の体系を実施する高度職業訓練の特定の課程として位置づけることで整理している、そのようにご理解いただければと思います。
○今野分科会長 高橋委員、いかがですか。
○高橋委員 もう少しわかりやすい質問にします。4年課程にしない理由を教えてください。
○田畑能力開発課長 総合大の見直しの中で、長期課程の4年というものを廃止することで整理し、審議会の場でも説明させていただきました。4年制の課程を廃止することと、総合大や能力開発機構の中で専門課程2年プラス応用課程2年のコースで実施していることを勘案して、4年制の課程を置くのではなく、いまの専門課程、応用課程の枠組みを活かしつつ、学位の取れる新たな課程を設けることで整理をしたということです。現在、4年の長期課程は総合大の相模原校でやっているのですが、今後これを廃止するという見直しをしたことを考慮しつつ、新たな学位を設けるシステムを作るときに、どういった体系とするかということで、いまの専門課程、応用課程の枠組みを活かした形で新たな課程を設けることを考えたということです。
○今野分科会長 高橋委員、よろしいですか。
○高橋委員 またちょっと考えてから。
○浅井委員 いまのお2人の議論を伺っていて確認をしたいのですが、学位授与認定、学士を申請するということは、特定専門課程と特定応用課程を、4年間トータルで修了した人間に対しては学位を授与するという意味ですか。
○田畑能力開発課長 そうです。
○浅井委員 前半の特定専門課程の2年間で修了するケースはあるけれども、その方はそのままという意味ですか。
○田畑能力開発課長 4年間で学位が授与できるようにすることを考えておりますので、中途の2年間で出た場合、もしかするとそこで就職する方もいらっしゃるかもしれませんが、そのような場合は学位は授与されないということになります。
○新谷委員 ちょうど1年ほど前にこの問題を大論議しまして、労使ともに相模原の長期課程の廃止については反対をしたと思います。そのような中で小平に移って、総合課程という名前で長期課程を残していただいた、私はそのように解釈しております。今回4年間の総合課程で、学位授与機構で学位が取れる見込みになっているようですが、これについては去年の論議を踏まえて、ここまでよく戻してもらったなという気がいたします。その点については事務方のご努力だと思っております。説明にもあったように、総合大学校の総合課程と言いますか、元の長期課程は、ハイレベルの指導員を養成するという重要な役割を担っていたわけで、それを裏づけるのは学位が取れるかどうかというところにかかっていると思っております。そのような意味でも、今後、規則の一部改正がなされた後に学生の募集が始まると思いますが、この大学校のユニークさというか職業訓練の重要性を是非PRしていただいて、質の高い学生を継続して採る努力をしていただきたいと思っております。
○今野分科会長 いまの新谷委員の話で、事情が少しわかりやすくなったのではないかと思います。その他ないようですので、当分科会としてはこの要綱を妥当と認め、私から労働政策審議会会長宛に報告するということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○今野分科会長 お配りした案でよろしいでしょうか。それでは私からその報告文案で報告させていただきます。次に、6番目の議題に入ります。「職業訓練実施計画について」、事務局から説明をお願いいたします。
○田畑能力開発課長 職業訓練実施計画の概要について説明いたします。職業訓練実施計画については、職業能力開発促進法第15条の7で、国が設置する公共職業能力開発の行う職業訓練及び国が行う職業訓練について、厚生労働大臣が厚生労働省令で定めるところにより作成する当該職業訓練の実施に関する計画に基づいて実施するという規定があります。資料に掲載はしておりませんが、条文に基づいて作成するものです。計画の期間、計画の期間中に実施する職業訓練の対象者数、計画の期間中に実施する職業訓練の内容、その他必要な事項を定めることとされているもので、施行規則でこういったものを定めることが規定されております。
 まず、計画の目的ですが、現下の雇用失業情勢等を踏まえ、対象期間中における国が実施する公共職業訓練の対象者数等を明確にし、計画的な公共職業訓練の実施を通じて、労働者の職業の安定及び地位の向上を図ることとしております。対象期間は平成23年4月1日から平成24年3月31日までの1年間です。労働市場の動向については、雇用失業情勢が依然として厳しい状況であり、特に、若年者については新規学卒者の就職環境が非常に厳しく、これらの者の能力向上を図り、正社員への移行を促進することが重要となっております。また、ものづくり現場の中核となる人材育成が重要であることが記載されております。また、障害者についても福祉から就労への移行を促進するため、障害者の就業能力開発機会の拡大を図ることが必要と記載しております。
 実施する職業訓練の対象者及び主な取組みについては、(1)の離職者訓練の対象者数は19万7,400人としており、そのうち民間教育訓練への委託訓練は16万5,800人となっております。この委託訓練のうち、4,800人については介護福祉士及び新たに保育士の資格取得を支援する2年間の訓練として設定していること。さらに、2万1,300人については日本版デュアルシステムの職業訓練として、2,200人については母子家庭の母等に対する職業訓練として実施することとしております。これらの訓練の実施に関しては、引き続き、地域の離職者や企業のニーズに応じて民間教育機関を活用した多様な職業能力開発機会の提供に務めていくこととしております。(2)の在職者訓練の対象者数は5万7,000人としており、地域の中小企業等の人材ニーズを踏まえ、高度な技能及び知識の取得に対応できる在職者訓練を実施していくこととしております。
 (3)の学卒者訓練の対象者数は5,900人で、ものづくり現場の戦力となる高度な実践技能者を育成するため、引き続き産業界及び地域の人材ニーズを把握し、訓練科の見直しを図りながら、効率的な実施に務めていくこととしております。(4)の障害者に対する職業訓練の対象者数は1万3,200人としており、そのうち民間教育訓練機関等への委託訓練は9,600人です。委託訓練については平成23年度から座学と実習を組み合わせた日本版デュアルシステムを、障害者向けに新たに導入することとしております。
 4として、公共職業訓練の実施に当たり公共職業能力開発施設が行うべき事項等を記載しております。関係機関との連携として都道府県労働局、公共職業安定所、地方公共団体、労使団体等関係機関で構成される協議の場も活用し、人材ニーズに応じた効果的な職業訓練が、質及び量の両面にわたり、十分に実施されるよう検討、協議及び必要な調整を行うことを記載しております。また、受講生の能力及び適性に応じた公共訓練の実施、公共職業訓練の委託先への就職指導等の実施についても記載しております。
 以上が職業訓練計画の概要です。3頁以降は訓練計画を表としてまとめたもので、この表は雇用・能力開発機構と都道府県の分を合わせた形で整理しております。このうち、黒い網掛けの部分が国として実施するものということでこの計画に定めているものです。説明は以上です。
○今野分科会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○大久保委員 質問が2点あります。学卒者訓練に関しては去年と同じ数字が計画されているようですが、実績はどうなっていたのでしょうか。もう1つは障害者の訓練で、9頁にある実績を見ると、昨年度は計画よりも大幅に下回っているのですが、今回の計画は増やすことになっています。この辺りの関係はどのように考えられているのでしょうか。
○田畑能力開発課長 障害者の訓練に関しては障害者の訓練ニーズの増大、また昨今の実績を9頁に掲げておりますが、委託障害者訓練の実績が年間着実に上がっていることも踏まえて、実際の計画数に対応して7割程度の実績ですが、この実績を高める努力を引き続き行うとともに、障害者の訓練ニーズの増大ということも踏まえ、計画数の積増しをしているということです。学卒者訓練の実績については速報値ですが、機構実施分で6,531名となっております。
○今野分科会長 6,531名というのは、いつ時点の数字ですか。
○田畑能力開発課長 平成22年10月までの受講者数を把握したものです。
○今野分科会長 ちょうど半期ですね。
○田畑能力開発課長 そうです。4月入校生が比較的多いのだと思います。
○大久保委員 質問の仕方が悪かったのですが、障害者の訓練ニーズは増大しているという話と実績が6割から7割という、このギャップの構図、これはどうしてこうなっているのかということをお聞きしたかったのです。そこを教えてください。
○田畑能力開発課長 委託訓練は都道府県に実施をお願いしているわけですが、都道府県もそれぞれの実情に応じて、また、どれぐらい処理できたかという結果もありまして、予算は都道府県に配布はしているのですが、結果として6割、7割の実施状況となっているということです。
○大久保委員 受入体制が整っていないということですか。
○田畑能力開発課長 そのような意味では都道府県に実施をお願いして、年間計画を立てていただき、こちらから予算を配布してお願いしているのですが、委託先を見つけるのがなかなか難しかったとか、適当な企業がうまく探せなかったなどといったことで実施に至らなかった分が年度末に少し出てきて、100%に至っていないということだと思います。ただ、実際に障害者訓練を受けたいというニーズは相当数ありますし、福祉から雇用への移行を進めるということで、こういった訓練数の設定の増大を図っていくことが必要ということもあって、計画数については積増しを図り、その計画に向かって頑張っていただきたいということで、我々も都道府県のほうに一生懸命お願いしていこうと考えております。
○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。
○新谷委員 離職者訓練のうち、委託訓練について申し上げたいと思います。資料3、4頁に2年度に跨っての委託訓練の数字が出ておりまして、委託訓練は能開機構から都道府県に移管していくということで、平成23年度はかなり減っています。ご承知のとおり、委託訓練の就職率については、能開機構の委託訓練のほうが都道府県よりも高く、都道府県がやっている委託訓練はかなり劣位にあるという結果になっております。それが今度また都道府県に移管されるということなのですが、離職者訓練の目的は最終的に就職にどうつなげるかということだと思っております。委託訓練の発注方式が、最近言われる発注の透明化ということもあって、随意契約から一般競争入札にどんどん変わってきているという話を聞いております。
 従来の随意契約はいろいろな問題を孕んでいたのかもしれませんが、委託先の訓練機関の持ち味と言いますか、就職の強みなどというのも勘案しながら随意で契約できたのが、一般競争入札になると、安い所に落ちていくという傾向にあるようです。そういったときに、離職者訓練の目的である就職にどうつなげるかという機能が落ちてしまうのではないかという気がしておりまして、今後、都道府県に移っていく委託訓練について、発注の方式と、就職率を高めるための仕組み、委託先の訓練機関の質の保証をどうするかなどといったところを総合的に考えていかないといけないのではないかと思っております。もちろん、ISO29990の認証の仕組みでは、現在、国内での学習サービスの質の認証のシステムを検討中ですが、それでこの就職率の問題がカバーできるかどうかはわかりません。その辺の取組みについて、何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○田畑能力開発課長 新谷委員からのご指摘にお答えする前に、大久保委員へのお答の中で、障害者訓練の設定数は去年と同数であるのを、間違って積増しと言ってしまいました。障害者訓練の設定数は去年と同数を予定しております。
 委託訓練は都道府県に全面的に移管ということについてですが、平成21年度の実施は機構と県が大体半々で、平成22年度は県が8割程度、平成23年度から全面移管ということになっております。平成21年度からこのような形で移管を進めている中でモデルカリキュラムとか、委託先にどういった機関があるかなどのリスト、訓練コースごとの定員応募状況、就職率の状況等機構の有するノウハウの提供を行ってきたところです。また、機構においては職業訓練全般に関わるプロセス管理をしっかりとやっていく必要があるということで、これに関するマニュアルの策定も検討しておりますので、このようなものも活用して職業訓練を実施する機関の質の向上を支援していく必要があるだろうと思っております。就職率については9次計画のときにも指摘がありましたが、当然、機構が持っているノウハウを広く関係機関に伝えていくことが必要だと思っておりますし、また、しっかりした機関を選定することも必要だと考えております。
 都道府県の場合、企画競争でやっている例や一般競争入札でやっている例など、都道府県によって若干差異があるようですが、企画競争であれば企画を見て選定する、就職率が高い所を選んでくださいといったことを要領でも示しておりますので、競争の中で適切な訓練先を設定することになると思います。一般競争入札の場合でも、訓練実施計画の具体的なカリキュラムや就職支援体制などを仕様書できっちり示すことによって、質というものが担保できると考えておりますので、その基準を仕様書でしっかり示した上で選定することによって民間訓練機関の質の維持を図っていただくよう、我々も都道府県にお願いしていきたいと思っております。なお、平成22年度から、機構では一般競争入札により委託訓練については民間訓練機関を選定しておりますので、その中でいろいろと得られた知見等もあろうかと思います。こういったノウハウの提供も行うよう機構にはお願いしていきたいと考えております。
○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。ないようですので、次の議題に入りたいと思います。7番目は「平成23年度職業能力開発局重点施策と予算案の概要について」ですが、事務局から説明をお願いいたします。
○井上総務課長 資料7をご覧ください。平成23年度職業能力開発局重点施策と予算案の概要です。平成23年度の重点施策と予算案については要求段階でして、昨年10月5日の当分科会では、その時点のものをご説明いたしました。資料の構成は10月5日の分科会と同様の構成としておりまして、1頁から4頁は政策ベースで整理をしております。5頁は「その他の主な経費の概要」で、政策、施策ベースだとなかなか表現しにくい主要なその他の予算について、2頁にわたって整理しております。
 1頁に戻りまして、平成23年度の施策、予算案について、大きく7本の柱で構成しております。これは昨年10月5日に説明したものと変更はありません。第1の大きな柱は「雇用のセーフティネット機能の強化・成長分野を支える人材の育成のための職業訓練の充実強化」で、317億円となっております。その中には1の人材ニーズを踏まえた計画的な人材育成の推進、あるいは2の介護・福祉、医療等の分野における職業訓練の推進等といったものが含まれております。
 次頁の第2の大きな柱は「求職者支援制度の創設」です。昨年10月5日の時点では、事項要求として数字が入っていなかったものです。今回は数字が入っておりまして、求職者支援制度全体で665億円、そのうち職業能力開発局分が279億円です。第3の柱は「教育訓練と結び付いた実践的な職業能力評価制度の構築」で、124億円です。この中には1のジョブ・カード制度の推進、2の職業能力評価基準の整備及び活用促進等などが含まれております。
 3頁の第4の大きな柱は「職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進」で、13億円となっております。この中には1の企業のキャリア形成体制の強化、2の労働者の自発的な能力開発のための助成措置の活用促進などが含まれております。
 4頁の第5の大きな柱は「ニート等の若者の職業的自立支援の強化」で、20億円です。第6の大きな柱は「障害者の職業能力開発支援の強化」で、56億円です。第7の大きな柱は「人づくりを通じた国際協力の推進」で、4の6億円です。この中には1の新たな技能実習制度の適切な実施などが含まれております。
 次に、5頁の「その他の主な経費の概要」をご覧ください。4頁までに出てきていない主な予算については都道府県関係予算、それから独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構関係は法案が成立して法人名が変わりますが、また、これら以外をその他として区分しております。6頁は高齢・障害・求職者雇用支援機構の関係予算についてですが、本部、ポリテクセンターとそれぞれの施設、部署ごとに人件費、業務経費がどの程度の予算になっているかを示しております。説明は以上です。
○今野分科会長 ただいまの説明について、ご意見、ご質問があればお願いいたします。
○高橋委員 最後の6頁に関連するポリテクセンターについては、都道府県への移管ということも考慮した予算になっているが故に、たぶん数字も下がっているのかなと思うのですが、移管の現在の状況と言いますか、わかる範囲内で結構ですので教えていただければと思います。
○井上総務課長 ポリテクセンターの移管については、現在の雇用・能力開発機構法ではできない仕組みになっておりまして、いま雇用・能力開発機構法の改正法案を国会に提出しておりますが、それが成立して施行されて、初めて可能となるものです。したがって、ポリテクセンターの都道府県への移管については、現在はそこでストップしているという状況です。
○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。
○井上委員 いま雇用・能力開発機構法の廃止法案が国会に出ているものの、ストップしているというお話ですが、年度末まではあとわずかしかありません。現場では大変混乱しておりまして、例えば能開機構のホームページでは、一般競争入札をするに当たっては、法案が成立した場合の取扱いについてはホームページ上でお知らせするとか、停止条件付のことが記載されていたりします。また、仮に年度末までに法案の審議が行われなかった場合、4月1日を跨いだあとはどうなるのか。ジョブ・カードを含めて事業は継続してあるわけですし、震災対応に関しては業務が新たに増えてきましたので、そのような意味では機構を上げて取り組んでいくという強い気持で頑張っているところなのですが、一方、法案がこのような状況になっていて、例えば新年度以降、能開機構の名称を使用できる担保というのはちゃんとあるのかどうか。そのようなところも含めて、現場では大変不安な声も出ておりますので、4月1日以降、新年度に向けてどのような形で行っていくのかをお聞かせいただければと思います。
○井上総務課長 現在、国会に提出しております雇用・能力開発機構の廃止法案が、施行日になっている本年4月1日までに成立、施行されなかった場合はどうなるかについてお答えいたします。施行日までに法案が成立、施行されなかった場合は、施行日をあとに繰延べすることが可能です。すなわち、これは仮定の話ですが、4月1日を越えて雇用・能力開発機構の廃止法案が成立、施行された場合は、その時点で施行日をそこから先の一定の期日に修正し、その日に施行することが可能だということです。
 また、廃止法案が成立、施行されないまでの間、雇用・能力開発機構の姿がどうなるかということですが、施行されるまでの間は雇用・能力開発機構のままです。雇用・能力開発機構の名称で、これまで行っていた訓練等の業務を行うことになります。また、ホームページの記載内容などによって混乱が生じているのではないかという点ですが、これについてはご指摘を踏まえ、混乱が生じないよう改善を図ってまいります。
○今野分科会長 その他何かあればお願いいたします。
○三村委員 第9次職業能力開発基本計画においてもキャリア教育の必要性が「格段と高まっている」と書き直していただきまして、ありがとうございました。3頁の第4の3の「学校教育段階からのキャリア形成支援の推進」について、平成23年度は中学校段階に焦点を当てたということで予算が組まれておりますが、平成22年度は高校段階で事業が行われたと認識しております。私も少し関わっておりますので、高校段階の事業は非常に成果を上げていることも感じておりますが、高校段階の事業は今年度で廃止となり、中学校段階に移るわけです。高校段階での事業の継続は、なぜ行われないのか、そして、今後はまた中学校段階の事業が行われるわけですが、次の段階は小学校段階という継続性はあるのかどうか、以上2点についてお伺いします。
○伊藤キャリア形成支援室長 3頁の3にある「学校教育段階からのキャリア形成支援の推進」については、いま三村委員からもご紹介があったように、今年度の新規事業として、まずは高校段階に焦点を当て、キャリア・コンサルタントや高校教員等を対象に、キャリア教育プログラムの企画、個別の支援等に係る知識、技能習得のためのテキスト、プログラムを開発し、全国で展開する中で、全般的には大変大きな成果が出つつあったものと思っております。ただいまご指摘にありましたように、高校という部分ではそれをやめるのかを含めた、今後の展開の方針ということですが、私どもとしては、文部科学省においても先の中教審答申などを踏まえ、学校段階ごとの発達課題などを踏まえたキャリア教育に積極的に取り組んでいくということであり、私どもも文科行政と連携、役割分担を果たしながら、これを前に進めていきたいという考え方を持っております。
 そのような文科行政の取組みとの関係を考えた場合、私どもは個別の事業として特定の学校種に焦点を当ててキャリア教育に関わる推進人材を養成するというよりも、そこで具体的な養成プログラムを開発し、実行・検証した上で、むしろ方向性としては、この間養成し、既に6万2千人というストックがあるわけですが、キャリア・コンサルタントというキャリア形成支援専門人材、いわば共通的な能力としてキャリア教育に従事し、リードすることができるような人材、キャリア・コンサルタントが広くそのような役割を果たせるような基盤を果たしていく方向に発展させていきたいという考え方です。
 より具体的には、現在のキャリア・コンサルタントの能力要件あるいは養成プログラム、試験科目の中には、現在キャリア教育が位置づけられておりませんが、次年度以降、そのような基準の中にキャリア教育に加え、ジョブ・カード、若者自立支援といった要素も合わせて盛り込んでいきたいという考え方を持っております。いわば、そういった要素をキャリア・コンサルタントに標準装備させていくという形で横断的に展開を図っていくことが、私どもとしての基本的な戦略です。そのためには具体的な中身を、具体的な事業の実践を通じて固めていく必要があり、その第1弾が高校、第2弾としては中学です。ただ、来年度の事業の中では専ら中学ということで、高校はノータッチとするかどうかについては、もう少し検討してみたいと考えております。その後の展開については平成24年度以降のことですので、現時点ではこのような方向ということは明確に申し上げる段階にありません。いま小学校というお話もありましたが、他方、大学におけるキャリア教育については、本年4月施行の大学設置基準改正によって、より本格的な展開が図られていくことから、こういったことにどう対応するかというのも大変重要な課題です。三村委員はじめ、この分野の専門家、実践家の方々のさまざまなご意見も取り入れながら、そうした具体的な今後の方針をよく精査していきたいと思っております。
○上原委員 冒頭に地震の話がありましたが、これは平時の予算だと思います。復興するために、たぶん別の予算を組むのだろうと思いますが、放っておけば、間違いなく雇用の維持というのは大変だと思うのです。その辺の見通しというか、何らかのお考えなりがあるならば、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○井上総務課長 先にわたっての見通しと言いますか、見えないところがありますが、現在、第1次の補正予算の編成に向けての作業が行われているところです。これについては、いわば第1段階として瓦礫の除去であるとか、あるいは仮設住宅の建設などが盛り込まれるようです。また、これだけ被害の大きい震災ですので、第2次以降の補正についても検討されるのではないかと考えております。
○今野分科会長 予定の時間をだいぶオーバーしておりますが、その他いかがでしょうか。
○桑田審議官 時間は押しておりますが、最後に一言だけ御礼を申し上げたいと思います。今日は局長が国会に行っておりまして、出席できずに大変申し訳ございませんでした。本日は本当にお忙しい中、4件の諮問案件も含めて熱心にご審議いただきました。本当にありがとうございました。特に、9次の計画については、昨年以来熱心にご議論を重ねていただきまして、お蔭様で成長を支えるという攻めの分野と、セーフティネットという守りの分野と非常にわかりやすいメッセージを込めた計画ができたと思っております。しっかりフォローしていきたいと思っております。
 また、議論の過程で、例のキャリ形については高橋委員から大変厳しいご指摘を承りました。限りあるお金を有効に使っていくという観点から、やはり一定のめりはりを付けることが必要だと思いますが、その際、実績はもちろんそうですが、それだけではなく、政策目的などさまざまなものを総合的に勘案して政策判断をすることが重要だと今日も実感いたしました。その際、こういった場での皆様方のご議論も十分踏まえて政策判断をしていくことが重要だと思っておりますし、そもそも計画自体もそういった心構えでフォロー、実現していきたいと思っておりますので、今後ともご指導のほど、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○今野分科会長 それでは、今日は以上で終了いたします。次回の日程等については、また事務局から連絡をさせていただきます。本日の署名委員は、労働側は澤田委員、使用者側は高橋委員にお願いいたします。ありがとうございました。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業能力開発分科会)> 第61回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

ページの先頭へ戻る