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2011年4月18日 第6回チーム医療推進会議 議事録

医政局医事課

○日時

平成23年4月18日(月)16:00~18:00


○場所

厚生労働省 専用第18~20会議室


○議題

○平成23年度 特定看護師(仮称)業務試行事業について
○その他

○議事

○石井補佐 定刻となりましたので、ただいまより第6回「チーム医療推進会議」を開催いたします。会議の開催に先立ちまして、まず初めに、このたびの東日本大震災で被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになられた方々に、慎んでお悔やみを申し上げます。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙中のところ、当会議にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですが、本日は小川委員からご欠席の連絡をいただいております。山口委員は少し遅れてご出席との連絡をいただいております。
 それから、本日の議題にあります特定看護師(仮称)業務試行事業の申請施設の方々、申請施設で事業の対象となる看護師を養成された機関の方々にお越しいただいておりますので、簡単に紹介させていただきます。まず申請施設の佐伯中央病院及び鶴見の太陽から小寺隆元副院長、甲斐かつ子副院長兼看護局長。飯塚病院から鮎川勝彦副院長、須藤久美子看護部長。養成機関から大分県立看護科学大学大学院の福田広美准教授。日本看護協会から洪愛子常任理事、同じく日本看護協会研修学校認定看護師教育課程の溝上祐子課程長、中田諭集中ケア学科主任教員。以上の方々にお越しいただいております。
 また、4月1日付で事務局に人事異動がございましたので紹介いたします。看護課長の岩澤、看護サービス推進官の島田、文部科学省医学教育科課長補佐の小野です。どうぞよろしくお願いいたします。 
 それでは、初めに配付資料の確認です。「議事次第」「座席表」「チーム医療推進会議 開催要綱」。資料1「平成23年度特定看護師(仮称)業務試行事業の申請施設一覧」、資料2「特定看護師(仮称)業務試行事業の申請書(医療法人小寺会佐伯中央病院)」、資料2(参考1)「特定看護師業務試行事業の対象看護師の履習内容」が付いています。資料3「特定看護師(仮称)業務試行事業申請書(鶴見の太陽)」、資料3(参考1)「特定看護師業務試行事業の対象看護師履習内容」、資料4「特定看護師(仮称)業務試行事業申請書(飯塚病院)」、資料4(参考1)「特定看護師業務試行事業の対象看護師履習内容」、資料5「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループにおける主な御意見」で、先週行われたワーキンググループの意見を取りまとめたものです。
 参考資料として「特定看護師(仮称)業務試行事業募集要項」を付けています。資料の不足・乱丁等がありましたら、いつでも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 それでは、以後の進行について、座長、どうぞよろしくお願いします。
○永井座長 前回のチーム医療の推進会議において、この業務試行事業については重要な事業であり、安全管理体制あるいは試行する具体的な業務等申請内容について、事前に確認することになったわけです。今回は、これまで申請された3施設についてご議論を行いたいと思います。まず事務局より資料の説明、そして看護業務検討ワーキンググループにおけるご意見について、有賀委員よりお願いします。
○島田看護サービス推進官 それでは、事務局より資料の説明をいたします。資料1の申請施設の一覧ですが、本年4月13日の看護業務検討ワーキンググループでは、4施設が申請施設ということで提示しておりましたが、先方の事情により1施設から申請取下げという連絡がありましたので、本日は3施設での資料を提示しております。
 申請施設とその事業対象の看護師の養成課程名の一覧となっています。資料2からが申請内容となっています。まず資料2の医療法人小寺会の佐伯中央病院からの申請書一式です。1~5頁が申請書本体で、それ以下が添付の資料です。
 申請書ですが、本日参考資料等を付けていますが、業務試行事業の募集要項にある指定基準の内容が網羅されいるのが申請書です。1頁は実施施設の概要、管理責任者を置くようにとなっていますので、管理責任者についてが記載されています。
 申請書の2頁は安全に係る管理体制ということで、安全管理体制に係わる組織の有無、その組織の構成員です。その下にありますが、本事業に係わる担当医の人数で、担当医5名とあり、担当医の構成が書かれています。担当医については、臨床研修指導医の資格があることが望ましいとなっており、こちらでは2名がそういった資格を持っているということで申請されています。
 その下の安全管理に係る緊急時の対応手順には、こういったものがあるということを示しており、3頁の上にありますが、添付資料として、こちらでの安全管理体制の添付を後ろに付けております。院内報告制度等の整備状況は添付資料が出されており、インシデント・アクシデントの報告体制などが添付されており、こういった内容で整備されているといったことが書かれています。
 3頁の真ん中からは対象となる看護師について記載されております。どういった養成課程を修了されているか。勤務体制は常勤で、どこで活動しているかということで、こちらの場合は病棟、外来での活動が予定されているということが書かれています。
 4頁は、業務範囲で、業務試行事業で実施対象とする業務範囲ですが、一覧としてこのように書かれています。いちばん上に「以下の業務・行為を医師の包括的指示のもとで実施する」と書かれており、こういった内容について実施を予定するとされています。
 5頁は業務範囲が続いて記載されていますが、いちばん下に添付資料10とあり、包括的アセスメント・医療処置管理プロトコールといったものが添付として出されています。
 その下の養成調査試行事業実施課程との連携体制は、こちらも指定の基準になっていましたが、養成課程との連携を持っていただくということで、定期的な会議の開催などが記載されています。
 資料2の33頁には(別添1)と記載されていますが、この事業の募集要項の中で、実施基準として示していた内容などを取りまとめて施設から出していただいたものです。こちらでは事業対象の看護師の目指す役割などが記載されており、佐伯中央病院では、目指す役割として、「高齢者(成人を含む)に対して医師と連携してプライマリケアを提供する」とか、「医師にアセスメントの報告を行い、医師の診療につなぐといった医師との協働により、安全・安心なきめ細やかな医療をタイムリーに提供することが可能」といったことが記載されています。
 33頁の下のほうに、この業務試行事業のこちらでの位置づけが書かれています。○の3行目ぐらいですが、「養成課程においては、主に医学的教育による講義・演習・実習が行われているが、医療現場での実践にあたっては更なる実践能力の向上を目指すとともに検証が必要であるということから、1年をかけて自律的に業務が行えるよう指導する」といった体制で事業を行うとされています。
 33頁のいちばん下から安全管理体制について記載されており、34頁に管理責任者がどういうことをするかということが書かれています。そして(2)で、医療安全管理委員会についての記載があります。こちらの病院では既設の医療安全管理委員会を、この事業に係る安全管理に係る組織とするということで、メンバーなどが記載されています。
 その2つ下辺りに、「業務試行事業開始前に、医療安全管理委員会においては、患者や家族に対する説明及び相談についての規定、緊急時対応についての手順、試行対象の業務や行為に係るプロトコールを具体的に決定し、明示する」とされています。その1つ下に、「手順、試行対象の業務や行為に係るプロトコール等、必要があれば、適宜、医療安全管理委員会において見直しを行う」と書かれています。
 34頁の下からは担当医についての記載があり、35頁の2つ目の○には「担当医は事業対象となる看護師と定期的かつ必要時にカンファレンスを開催し、業務実施状況の報告、連絡、相談を行う」といったことが記載されています。養成課程との連携については、定期的に連携するということで、何ヶ月かに1回会議を開催をするといったことが書かれています。
 36頁には各種手順・ルールについて記載されています。いちばん上に「原則として、現在、院内及び施設内において運用されている手順やルールを支用する」とありますが、医療安全管理委員会において修正等が必要とされれば、修正するということで、修正の際の視点が示されています。
 36頁の4.はプログラムということで、こちらの病院では対象となる看護師を受け入れる際のプログラムをこのような形で考えているということで示されています。1ヶ月までの間ですが、まず業務を観察、病院のシステムや体制を理解するということで、常時担当医と行動を共にし、担当医の立会いの下で補助的な業務を実施するとあります。
 37頁は1~3ヶ月の間では、常時担当医と行動を共にしながら、指導を受けながら業務を実施。業務実施後は業務内容及び実施条件について担当医に必ず報告し、担当医はその内容を確認と書かれています。3~6ヶ月では適宜担当医と行動を共にする。包括的指示の下で看護師の判断で実施するが、担当医の立会いの下で医行為等を実施とあります。6~9ヶ月ありますが、医師の包括的指示の下、様々な業務を実施とあります。9~12ヶ月では、医師の包括的指示の下、様々な業務を自律して実施とあります。業務実施後は、業務内容及び実施条件について担当医に必ず報告するということです。それから担当医と共に自らの業務内容及び実施について振り返りの機会を定期的に設けるということで、導入プログラムを考えているということが資料として示されています。
 資料2(参考1)については、事業対象となる看護師が養成課程でどういうことを学んできたかということと、その資料の4頁からは(参考2)とあり、この対象となる看護師の修了時の習得状況を資料として提示しています。
 資料3です。資料3は医療法人小寺会 介護老人保健施設 鶴見の太陽からの申請書です。申請書等の構成は先ほどのものと同じですので、ご確認いただければと思います。施設概要、管理者、安全体制、担当医、安全管理に係る対応、院内報告制度の整備状況が書かれています。3頁からは対象となる看護師について書かれており、常勤として介護老人保健施設と併設の診療所で業務をする予定であるということが書かれています。
 4頁の業務範囲ですが、同じように以下の業務行為を、医師の包括指示の下で実施とあって、添付資料の9としてプロトコールが22頁から添付されています。そして、養成調査試行事業の実施課程との連携体制についてもこちらに記載されています。
 資料3の28頁に(別添)として、実施基準で記載されているような内容をまとめて施設から提示いただいております。目指す役割としては、1つ目の○の4行目に「医師にアセスメントの報告を行い、医師の診療につなぐといった医師との協働により、安全・安心なきめ細やかな医療をタイムリーに提供する」ということが記載されています。
 28頁の下のほうに、業務試行事業の位置づけとありますが、4行目に書かれている「医療現場での実践にあたっては更なる実践能力の向上を目指すとともに検証が必要であることから、1年をかけて自律的に業務が行えるように指導する」ということで事業をするということです。
 29頁は安全管理体制について記載されています。管理責任者、医療安全管理委員会の開催などについて記載されています。
 30頁には担当医について書かれており、担当医は、業務対象の看護師の医行為等の習得度について、プログラムに沿って確認し、必要に応じて直接指導を実施とか、カンファレンスの参加を積極的に促すという役割について書かれています。そして養成課程との連携についても定期的な連携を持つといったことが記載されています。30頁の下からは、各種手順・ルールが記載されています。
 31頁の4.にプログラムがありますが、1ヶ月まで、1~3ヶ月、3~6ヶ月、6~9ヶ月、9~12ヶ月というようにプログラムが記載されております。3~6ヶ月では、適宜、担当医と行動を共にし、医師の包括指示の下で業務対象の看護師の判断で実施する。必要時担当医の立会いの下で医行為等を実施。業務終了後は業務内容、実施状況について、担当医に必ず報告し、担当医はその内容を確認といったことが記載されています。9~12ヶ月は、医師の包括的指示の下、様々な業務を自律して実施。事業対象の看護師は担当医と共に、自らの業務内容実施についても振り返りの機会を定期的に設けるといったことで、導入プログラムとして記載されています。
 資料3の(参考1)(参考2)は、先ほどと同じように、この対象となる看護師の養成調査試行事業実施課程での履習内容と修了時の習得状況を資料として付けております。
 資料4は飯塚病院からの申請書です。申請書の1頁には施設の概要、管理責任者について、管理体制について、担当医が書かれています。安全管理に係る緊急時の対応手順については、添付資料3として、飯塚病院医療安全管理基準が添付されています。院内報告制度等の整備状況についても添付資料2に、飯塚病院の医療安全管理基準が記載され、ご提示いただいております。
 3頁は事業対象となる看護師について記載されており、修了された養成課程名、勤務体制が書かれておりますが、こちらでは非常勤として外来の救命救急センターでの活動が予定されていると記載されています。3頁の真ん中からが業務範囲となっていますが、「以下の業務・行為を、医師の指示のもとに実施」ということで、行為の一覧が書かれています。
 4頁は、養成調査試行事業実施課程との連携体制が続いて記載されており、会議を定期的に開催、評価のフィードバック予定が記載されています。
 5頁以下は添付資料として提出いただいたものですが、20頁は実施体制としてまとめていただき、提出していただいたものです。対象看護師の目指す役割の4行目後に、「医師とその他の看護師との役割分担の中で、医師とともに緊急検査や救急救命処置を施行する」とで書かれています。その1つ下の○には「事業対象の看護師は、救急搬送ではない患者の中で、医師の包括指示のもと、トリアージナースによるトリアージ後の患者に必要な緊急検査の実施の決定と一次的評価を行い、医師の診察の効率化を図り、患者の待ち時間短縮や患者満足度の上昇に貢献する」といったことが、目指す役割として記載されています。
 20頁の下は業務試行事業の位置づけです。前半の3ヶ月間は病院における業務の実施方法・手順を習得することに重きを置く。そして、後半の9ヶ月間は医師の包括的指示を受けて業務を安全かつ適切に判断及び実施できるよう、約1年間をかけて本来業務の実施方法に近づけていくこととする、といった位置づけで業務を実施すると記載されています。
 21頁からは業務の実施に係る安全管理体制で、管理責任者、医療安全管理委員会の設置、こちらでは医療安全管理委員会として、その中にワーキンググループを設置し、この事業の具体的な内容を策定するといったことが書かれています。
 22頁は担当医の設置について書かれており、担当医の役割が書かれています。22頁の担当医の4つ目の○に「担当医は、事業対象の看護師が業務を実施する前に、医療安全管理委員会において決定されたルールに従い、患者や家族に対して、本事業についての適切な説明を行うとともに、患者や家族の相談の求めに十分に応じ、信頼関係を構築する」といったことが記載されています。
 23頁は養成課程との連携が記載されており、(5)に各種手順・ルールについて記載されています。こちらについては原則として、現在院内において運用されているものを基本としつつ、事業開始前のワーキングにおいて必要な修正を施す、といったことが記載されています。
 24頁はこちらでのプログラムが記載されており、前半の3ヶ月までは前半とされており、病院における業務の実施方法・手順を習得するということで3ヶ月までは担当医の立会いの下で業務を実施すると書かれています。そして実施前には、想定シミュレーションをして準備をする、といったことが書かれています。
 (2)は後半の3~6ヶ月、6~12ヶ月に区分されて書かれています。3~6ヶ月では包括的指示を活用して業務を実施、その2つ下では、業務実施後に業務内容及び実施状況について担当医に報告し、担当医は報告内容を確認するということが書かれています。6~12ヶ月では包括的指示を活用して業務を実施ということで、25頁には同じように業務実施後に業務内容・実施状況は担当医に報告し、担当医は報告内容を確認するということで、プログラムとして計画されているという内容です。
 資料4については、こちらで対象とされている看護師の履修内容、修了時の習得状況が提出されています。資料の説明は以上です。
○永井座長 ありがとうございました。では、有賀委員からお願いします。
○有賀委員 ワーキンググループの座長ということで、本年4月13日に、いまの資料などと、本日陪席されている各関係者の方々からのプレゼンテーションを交えて議論をしましたので、その結果をご報告します。
 資料5に○がいくつかあります。委員はいろいろな方々がおられますので、比較的辛辣な意見もありますが、まとめるとここにあるようなものになります。いま、3施設分からの資料の説明がありました。冒頭に事務局から、4施設目のことで、都合により撤退ということがありましたが、その辺のことが関係しているのかもしれません。○の3つ目に、全体的に準備が不足しているのではないか。申請書の内容では業務の試行を行わせるのは、やはり不安がある。ゆっくりと焦らずにいろいろな体制を整えてからやるべきではないか。
 ○の3つ目は基本的に参考資料「特定看護師(仮称)の業務試行事業募集要項」で、要するに基礎的な勉強をしてきて、卵から孵った鶏が働くという場所についてのトライアルとしての事業は、この項目に則って厚生労働省のほうに「よろしくね」という話ですから基本的にこれに則って書かれるわけです。医療安全などについて少し詰めが甘いのではないかということで、3つ目の○が書かれているわけです。
 1番目の○ですが、そうは言うものの、いずれの新設施設についても、今日の資料にありますように、撤退した1施設は別としても、特定看護師(仮称)の業務試行事業の募集要項の基準を基本的には満たしていることについては間違いなかろうと。それから安全管理規定も、それぞれの施設にはそれぞれ十分な歴史があります。また、今回の作業についてはその病院ごとにそもそもプロトコールがあるので、これでやるのであれば、とりあえず問題はなかろうという意見が大半です。
 3つ目の○は、それに先立って1つの施設がそのような匂いがプンプンしたので、そういうことがあったということになります。
 安全管理体制についての整備を、この試行事業の募集においては求めているわけですが、実際に安全管理体制がどの程度機能しているかは、引き続き資料の提出を求めるということがありましたので、4つ目の○には、そのように書かれています。つまり、体制がそのようになっていたと仮定して、例えばヒヤリ・ハットなどがあったときに、それをどのような形で病院の安全の強化・向上に役立てているか。
 どちらの施設もよく言われます。しかしナーシングスタッフはどちらかというと、そのような安全管理体制にインシデントレポートなどを提出することが習慣化されていますので、いいのですが、全体として、例えばドクターたちからも「どうなのだ」という機能の部分については資料がほしいということがありました。確かにこれは施設それぞれについての安全管理に対するイメージを考えたときには組織図、その他の規定、会議の在り方などを見るのはベーシックでもストラクチャーとしてはいいのですが、プロセスはどうなのだという話になるのだと思います。
 それから、同じことですが、試行事業を実施するにあたっては、やはり評価が必要だろう。つまり、このぐらいになったら、次はこのようにして、それで1年間かくかくしかじかという大体の目安は全くそのとおりです。しかしどのような方法で評価するかは、ある程度客観的な尺度というか物差しというか、そのようなものが必要なのではないかという議論です。これはとりあえず出発するときの資料ということで、厚生労働省側から募集要項が出ているわけですので、走り続けている中で、おそらく必要になってきます。例えば臨床研修医の評価の在り方を参考にして、どのようにしていこうかということも重要になりそうです。
 走り始めて途中で評価をどうするか。例えば、臨床研修医について言うと、必要な症例、必要な病態、必要な疾患などについてレポートを書く。そのレポートに対して指導医がどのような形でその内容を評価しているかということが記録に残っている。その記録を見て、指導医が臨床研修医に指導した結果をフィードバックするという仕組みがありますので、それはここでも使えるだろうという話です。
 ただ、ここではチーム医療の中でのナーシングスタッフの話ですので、もしその手の話を評価ということで臨床研修医に関して言いますと、臨床研修医は指導医からのみ評価されているわけではなく、その他のコメディカルの方たちからも評価を受けます。それはナーシングスタッフからも評価を受けますし、レントゲン技師や検査の場合、諸々の局面において、その他の職種からも評価を受けることがあり得ます。現に、臨床研修医の第三者評価という方法論の中にはそれが出てきますので、今回も特定看護師が薬に関していろいろな勉強をすることがあれば薬剤部門から評価されるとか、レントゲンのことがあればレントゲン技師たちからも評価されるといった意味での多面的な評価が必要だろうということがこの○です。
 その次の「各施設において、試行対象の看護師の業務実践の在り方に関するイメージが異なる」ですが、これを飯塚病院に関して言いますと、急性期のトリアージなどに関することが専らですし、小寺先生の所の2つの施設は飯塚病院に比べれば、患者の流れとしては後ろのほうというか、慢性期というか、介護などになりますので、そういう意味では看護師の業務の実施の在り方に関するイメージがある意味で異なっています。これは当たり前といえば当たり前で、その部分をどのような形で皆で共有していくかという話はきっと大事なのだろう。ただ、私たちが共通の価値規範としている医師との関係性の観点からいえば、包括的指示といったときに、超急性期とその後と、うんと後とそれぞれ包括的指示の在り方についても、たぶん違うイメージを持っている可能性が高い。そういう意味においては、この部分についての在り方を真正面から同時進行でやっていかなければいけないのではないかという議論もありました。
 その次の○ですが、プログラムが大まかなものになっていると。各施設でもさらに詰めていただく。これはある意味、初年度のバージョン0と言ったらいいのでしょうか、バージョン1と言ったらいいのでしょうか、大まかなものになると言えば、確かに大まかなのでしょうが、これはやっていく中で卵を育てる所との連携がありますので、そのような意味ではさらにお互いに詰めていくことになるのではないかと思いました。だからどうだということはもちろんないのですが、このような意見もありました。
 いまの○と論理的には同じですが、特定看護師(仮称)について検討を行うためには、4施設、1施設が脱落していますが、いまの3施設のみならず、もっと多くのデータを収集したい。これはいろいろなイメージが、場合によってはバラバラッと広いスペクトラルの中に広がる。急性期から介護まで含めて広い射程の中でこの話がありますから、そういう意味では、例えば急性期のトリアージをやるような施設が、もし4つとか5つ集まってくれば、それはそれで多くのデータを収集したその暁に、具体的なプログラムの大まかなものを少し整理できるという話にもなるでしょうということです。
 これは特定看護師の今回のものに特化した議論ですので、厚生労働省が資料5として出してきていますが、実はそこの意見の中に、そもそも看護師がどんな仕事をしているのだろうということでデータを取って、そのデータの中から早速、厚生労働省の医政局長の判断で、この程度は明日からどんどんやりなさいというものがもしあれば、それはそれで言ってもいいだろう。つまり、A・B・Cとか甲・乙・丙と言いましたが、そのようなものを早く区分けしましょう。特定看護師に関していうとAランクというか、甲・乙・丙の甲の部分になりますので、議論としては、甲又はAの部分についての議論がこうだったということになりますが、早いところCも出せばいい。そうすると、Aがそれなりに決まると残りがBということになりますから、それに関しては病院の中でトレーニングというか、ある決められたルールに従ってBができるような看護師たちをインテンシブケアの部分だったり、その他介護の部分だったりというように決めてもいいのではないかという議論も実はありましたので、○にはありませんが、追加しておきます。
 ベーシックな議論はそのようなことがあって、いまAの議論に花が咲いているという話になります。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。では、申請施設から本日おいでいただいておりますので、どのように事業を実施しようとしているのか伺いたいと思います。まず佐伯中央病院の小寺副院長からお願いします。
○甲斐参考人 甲斐が説明いたします。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
○永井座長 小寺先生の所は、介護老人訪問施設についても、併せてご説明をお願いします。
○甲斐参考人 同じグループなので一緒に説明いたします。約10分間いただきましたので、パワーポイントの資料、資料2の38頁の中から3点について説明いたします。1点目は、当院で特定看護師(仮称)を受け入れた経緯、2点目は佐伯地域の医療・保健を取り巻く環境、3点目は特定看護師に期待する役割について述べたいと思います。
 1点目ですが、私たちの県南地域では当院が日本糖尿学会の教育認定施設となっております。専門医を中心に糖尿病療養指導士、中には看護師、管理栄養士、PT、OT、健康運動指導士、薬剤師、MSW等がそれぞれの専門性を活かしながら、患者や地域の住民の保健事業に積極的に関わっています。中でも地域の専門職のレベルアップを目的に14年前から全国に先駆けて、大分県でも最初に佐伯地域糖尿病研究会を立ち上げ、当院の医師、看護師を中心に大分県で糖尿病診療で活躍している講師を招き、1年間を通して研修会を行っています。卒業生の中には、医師を含め、400名以上が地域で活動しています。糖尿病専門病院として機能していく上で、チーム医療の重要性は誰よりも認識しているつもりです。医師だけでやれるフィードは限りがあると思われ、看護師とともに連携と協力が必要と実感しています。
 現在、法的な医師数はもちろん確保していますが、より質の向上を考えたとき、医師数は不足状態だと思います。糖尿病を中心に生活習慣病や、中でも腰痛、膝関節痛等を訴える患者が多く、検査や指示、薬剤の選択使用が活かされる体制づくりが必要ではないかと思っています。しかし、看護師であれば誰でもというわけではなくて、今回の事業対象看護師のように、看護師としての視点を持ち、医学的教育を受け、社会から認められた看護師の存在が必要だと思っています。今回の事業対象看護師は、意欲と資質のある看護師が教育を受けています。大学院での教育内容も充実しており、質が担保されると思っています。
 2点目は、佐伯地域の医療・保健を取り巻く環境です。佐伯市は大分県の南に位置する人口約8万人の市で、平成17年に大分県の市町村合併で周辺の8町村が合併したため、市の面積は九州第1位となりましたが、過疎の町村を合併したために人口密度は低下しました。町村合併に伴い、各町村にあって保健センター等も佐伯市の市街地の保健センターに統合されました。過疎地ですが、本年4月1日付で医療機関は精神科の病院を入れて9施設、診療所52施設があります。数的には十分ではないかと思いますが、住民から見たとき、質に問題があると思っています。2~3施設の診療所の医師は、オンコール体制を採っていますが、その他の診療所では、夜間や休日は留守番電話のアナウンスが流れる状態です。
 かかりつけ医が推奨されていますが、夜間や休日こそ、患者にとっては医師不在の医療機関では不安になってきます。このような患者は、かかりつけ医ではない病院を受診するようになり、情報やデータのない病院では一から検査等を行うという医療費抑制に反することをしなければいけない状況になっています。全く医療保健施設のない4つの島にも約1,300人の住民が生活しており、これらの人々の日常の医療の確保をどうするかも大きな課題となっています。佐伯市の高齢化率は全国平均を大きく上回る31.4%に達しており、今後、佐伯市の超高齢化社会はますます加速していくものと思われます。
 大分県立看護科学大学で佐伯市の無医地区の住民を対象にして、佐伯市の医療状況に対する意識調査を行いました。その結果、緊急時にすぐに医療を受けられない、24時間いつでも医療サービスを受けられない、自宅療養ができる医療体制がない、看取りができる医療体制がない等の回答からも、現在の佐伯市の医療状況が窺えるかと思います。
 また、佐伯市にはへき地診療所が8ヶ所あります。そのうちの1ヶ所が医師の確保困難となり、この4月1日より佐伯市の指定管理をいただき、当院が運営をさせていただくことになりました。当院はへき地医療拠点病院の指定をいただいております、佐伯市をはじめ、大分県内では研修医の認定施設が少なく、若い医師を育成したいと思っても他県に出ている状況です。病院の中核となる医師、中でも若い医師が不足の状況です。そのような中、今回の事業がありましたので参加いたしました。
 3点目は特定看護師に期待する役割についてです。病院では3点あります。患者のメリットとして、教育を受けた事業対象看護師が介入することで初期診断が従来の看護師が行うより的確に行われ、医師のスムーズな診療に結び付けることができ、待ち時間短縮につながると思われます。また、ゆとりのある包括的健康アセスメントやマネージメントができ、患者満足度向上につながると思われます。
 2点目は、医師サイドのメリットです。医師は医師にしかできないことに専念できると思います。医師の労働環境の改善や医学研究への取組み、一人ひとりの患者に対してゆとりのある診療が行われるのではないかと思われます。
 3点目は、他の看護師のキャリアアップにつながると思われます。看護が魅力ある職業であることの幅が広がるのではないかと思います。老健施設においても同様で、入所者、ショートステイ、デイケアの利用者の中には利用度の高い方がいます。100名の入所者プラス、デイケアの利用者に対して1名の常駐医師と非常勤医師の診察となっています。
 ここでのメリットは4点あります。1点目は、基礎疾患のある利用者に対して病状の変化の早期発見ができ、重症化予防ができる。2点目は、医療必要度の高い利用者の包括的健康アセスメントやマネージメントができる。個人を対象としたプライマリケアの提供ができる。施設で人生の幕を閉じたいと思っておられる利用者にとって、終末時の看取りができるようになれば、本当の意味でのプライマリケアの完結になると思います。
 将来的な地域での役割期待を述べます。医師に取って代わると考えているわけではなく、医師と協力して医行為を行うことで、地域住民の安心した生活が確保されるのではないかと考えられます。いまの医師の多くは犠牲的精神と言われるものは変化してきているのではないかと感じています。先ほど説明しましたが、かかりつけ医が機能していないと感じています。しかし、診療所の医師は1人で運営しているため、365日終日診療というのは酷なことと思っています。
 2月に行われた地域の保健所の運営会議の中で、地域にとって救急病院と認識している病院の医師の勤務実態状況の説明がありました。奥さんと小さなお子さんがいる中で、昨年の休日は1日だったと報告していました。奥さんから「こんな環境の中では教育にも影響が出てくるので、都市部に出ていきたい」といつ言われるかわからない状況とのことでした。
 診療所で医師と特定看護師が勤務し、往診など一緒に同行すれば、夜間・休日などで変化があったとき、交代で対応でき、医師の負担軽減につながると同時に、地域の住民の安心な生活が確保されると思います。これは離島においても同様であると考えます。また、医師が常駐していない特別養護老人ホームで医療処置が必要な利用者に対して、医師の包括的指示の下で、特定看護師が特定の医行為が実施できるようになればと思います。
 最後に、事業対象看護師が勤務し始めて2週間が経過しました。事業対象看護師と接した患者に反応を尋ねています。「本当にやさしく話をよく聞いてくれた。丁寧に診てくれました。あの看護師さんが新しい取組みの看護師さんですね」と答えてくれました。医療は医療者サイドだけで評価するものではなく、対象とする患者、地域の住民の方々だと思います。地域の方々に質の高い医療が提供でき、安心な生活が送れるためにはどのようなことに取り組んでいかねばならないのかということではないかと思います。
 以上のことから、特定看護師の役割が期待されると思われます。いま説明させていただいたことを考慮し、その視点でこの制度を考えてほしいと思っています。以上です。
○永井座長 ありがとうございました。続きまして、飯塚病院の鮎川副院長です。
○須藤参考人 こんにちは、飯塚病院です。飯塚病院は地域の基幹病院として救命救急センターを持っております。1時から3時までやっております。土・日になりますと、1日の患者数が200人を超えるという状況です。その中で救命と重症化を防ぐための早期介入ということで、現在、簡単なレントゲン等はマニュアルを通じてナースが先に撮っています。もう少し踏み込んで血液の検査などをやると、もっと早く治療が進むのにというナースのジレンマも多く出てきているのも間違いないと思っています。
 飯塚病院は、今回、特定ナースに関しては非常勤という形で受け入れております。その中で、佐伯中央病院でもありましたが、医師不足、人不足があります。その中でチーム医療をやっていかないと医療はやれない時代が来ていると思っています。チーム医療のキーとなるのは分業と協働だと考えております。この分業と協働の中には、いまはあまりにもグレーゾーンの部分が多いのではないかと感じております。このグレーゾーンの部分を明確にして、ここに何らかの対応ができれば、私たち誰もがつらい目に遭わないためにやれるのではないかと期待をして、今回の試行事業を受けさせていただきました。
○鮎川参考人 追加で発言いたします。救命救急センターですので、医師はいます。多くの場合は具体的指示になっていると思います。ところが、患者が多いので相対的には医師不足で、特にトリアージのところになると、具体的指示ではなくて、包括的指示で検査などをやらないと間に合わず、患者を待たせることになります。こういう制度をうまく使うことによって患者サービスにつながるし、ここで挙げているような項目は、決して医師でなければいけない項目ではないと思います。そういうところもありますので、適応とか禁忌、あるいは教育といったところをしっかり充実させながら、こういう所は看護師にしてほしいというのが我々の目的です。そして、できるところは患者にもしっかり説明できると思いますが、急ぐところになると、そういう暇もない場面もありますので、院内の掲示をしっかりしながら、地域の方々の理解を求めていきたいと思っています。これで一旦終わります。
○永井座長 それでは、先ほどの資料と、ただいまのご説明を含めて、ご質問、ご意見をお願いします。
○北村委員 短い期間の中でこのような申請書として出していただきました。ただ、前回のこの会議で、年度末だから申請だけはまず認めましょうということで終わったと思います。その中で議論になったのは、資料2の4頁にもあるとおり、実施予定の業務・行為というのがすべての所であると思います。これをどこまで特定看護師にやらせるか、どこまでいいのかというのを、まず議論したらいいのではないかということだったと思います。
 さらに先ほど有賀先生からもあったとおり、いまの教育課程の中で、そのままやらせてもいい業務をまず取り上げたらいいのではないかということがあったと思います。そういう意味では会議の進め方についても、ちょっと疑問を感じる次第です。
 それから、前回の「ワーキンググループにおける主な御意見」の中の下から3つ目の○ですが、こういう業務を進める上では、「包括的指示」の在り方をしっかりしたものにしていかなければ、安全面も含めて進められないのではないかと思っています。以上です。
○永井座長 いかがでしょうか。これは実際の業務をきちっと実施できているのかどうかとか、記録はどうなっているか。例えば、医師でしたらカルテがありますし、看護師は看護日誌というのがあります。こういう方々は行った行為に対して、誰が確認をして日々の仕事のチェックをして、記録はどういう体制で臨まれるのでしょうか。どちらの施設でも結構です。
○小寺参考人 当院の場合は、医師のカルテに特定看護師が記載していただいて、ダブルチェックでサインをするという形にしています。指示に関しては、当院の場合は電子カルテではなく、紙カルテですから、医師の指示を書く欄があって、そこに自分と一緒に書いてもらって、最終的には医師がサインをさせていただくという形をとっています。
○永井座長 各行為の項目ごとのチェック、例えばいろいろな判断が入っている所がありますが、そういうものをきちんとそれで良いのかどうかという医師の最終的なチェックは行われるのでしょうか。
○小寺参考人 行うようにしております。当院の場合、先ほどの説明にもあったように、基本的には生活習慣病をベースにした方の教育入院、感染症での入院、腰痛での入院、あとは高齢の方で、例えば家で寝たきりの方、施設入所の方が、少しエピソードがあって、入院するようなケースが多くて、飯塚病院のように、一瞬の治療が必要という方は少ないものですから、そういう面ではゆっくり指示が出せるケースが多くて、わりと目も通せるというところはあるかと思います。
○永井座長 しかし、原則というか、まず基本的には医師がもちろん包括的指示を出されて、最終的な行為もチェックすると考えてよろしいのですね。
○小寺参考人 はい。
○永井座長 飯塚病院はどうですか。
○鮎川参考人 トリアージに関しては、もう10年行っていて、その受付システムの中でもその判断というのは入ってきています。検査に関してはその記録が残ってくるし、トリアージについては、教育するという体制もあるのでチェックできるようにはなっています。
○永井座長 できるというのと、するというのは違うのですが。
○鮎川参考人 チェックしてきています。
○有賀委員 いま飯塚病院がトリアージの件を発言されましたが、いくつかの先行する施設においては採血をするとか、レントゲンのことについては、それぞれ個別的な特定看護師としての教育のプロセスがあって、今回のようなこの業務への参入という話になります。
 いま鮎川先生がおっしゃったトリアージに関して言えば、どのぐらい急ぐかというランキングを看護師たちが決めて、決めたランキングに関して、それを後から見たドクターが、これはもっと早くやるべきだったとか、こんなに早くなくてもよかったとか。だから、災害時のトリアージと同じような色分けをもし使ったとすると、赤とナースが言ったが、実は黄色だった。ナースが緑と言ったが、実は黄色だったのではないのということの積み重ねを10年間ずっとやってきているということですね。
○永井座長 そういうことです。それをやっていかないと、もちろん安全性ということもありますし、教育、修練にはならないわけです。そのシステムを作って実施していただくということが極めて重要だと思います。
○鮎川参考人 それはこの事業に限らず、基本的にはされてきていることです。
○永井座長 それがきちんと書面として残って、さらに後でもチェックができず、現場任せになっていると、非常に危惧する状況も起こり得るのではないかと私は思います。
○鮎川参考人 うちの病院に入院している心筋梗塞の患者の2、3割は救急車を使わず、こういったトリアージの中から、早期に発見されながら診療されてきているというものもあります。心筋梗塞に限らず器質的疾患もです。
○永井座長 何か問題があったときに、我々は場合によっては調査しなければいけないかもしれません。そのときにきちんと記録が残っているはずです。それを見て、どこに問題があったかということはわかるシステムになっていると考えてよろしいのですね。
○鮎川参考人 はい。
○太田委員 私は、在宅療養支援診療所という立場でこの会議に参加させていただいております。質問は老人保健施設に関わることです。ここの構成員の方々に具体的に老人保健施設で何をやっているかイメージすることが難しいのではないかと思いまして、私が質問させていただきます。
 老人保健施設というのは、介護保険施設で、基本的には入所者全員が要介護認定を受けています。その対象となる疾患の大部分は認知症、脳血管障害だと思います。もちろん運動域の疾患もありますが、運動域の疾患単独では重介護と認定されることがないので、必ず何らかの合併症を持っていることが多いわけです。そういった方が100名いる所で教育をするわけですが、内容を見ますと、糖尿病のスキンケアの問題と看取りが、提出された書面には書かれています。実際にこの100名の方々の中に糖尿病の方がどのぐらいいらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。
 いわゆるインテンシブケアの場面ではなく、ロングタームケアと言われている領域ですから、生活支援医療が中心になります。生活支援の医療というのは、医療が介入した妥当性の尺度がQOLを高めたかどうかということになって、標準的医療が必ずしも必要な人たちだけではないのです。仮に骨折したとしても、本来は手術すべきですが、保存的に診ましょうという判断が必要な人たちです。したがって、最終的には看取りという場面にも遭遇するわけですが、看取りの、具体的には死亡診断までしてしまうのかどうかということです。
 3点目にちょっと気になったところは、薬剤師や放射線技師、歯科医師とはどのような係わりが老健の中であるのかということです。もちろんPT、OT、STは勤務することになっていますが、その他の職種、管理栄養士がいる場合は多いと思いますが、その人たちとの連携、特に薬に関しての連携は包括的な中で運営されていますので、難しいかなという気がしました。質問はその3点です。
 ただ、私はこれを聞くことが老健で手を挙げたことに関してはあっぱれだと思って、むしろ後押ししたいという立場です。ですから、老健のアイデンティティを確立する意味でも、老健で特定看護師の教育ができることは、非常に素晴らしいことだと思っており、ネガティブな立場での質問ではありません。ですから、100名の中の基礎疾患と看取りにどう係わるのかということ、薬剤師・放射線技師・歯科医師との連携をどう扱っていくのかという3点をお答えください。
○甲斐参考人 まず、糖尿病の患者の数については、当院と併設している老健施設のために、かなりの数がいるとは思うのですが、今回、数は把握しておりません。
 2点目として看取りに関するご質問があったのですが、いま実際に老健施設で最期を迎えたいという方がいらっしゃいます。そのときに1名の常駐医師だけではなくて、事業対象の看護師と連携することによって、本当のプライマリケアができるのではないかと期待しております。
 3点目の薬剤師等の連携、かかわりについても、今年2月から当院は薬剤師が増えましたので、もちろん医師の指示の下で、薬剤師との連携を持ちながらかかわっていきたいと考えております。
○永井座長 ここに「死亡確認」と書いてありますが、これは最終確認ではないはずですよね。当然、後で医師がチェックするわけですか。
○甲斐参考人 いまは、24時間以内に医師が診察していれば構わないという法律になっているかと思うのですが。
○永井座長 まさか診断書を書くということではないですよね。
○甲斐参考人 はい、それはないです。
○永井座長 それは医師が必ず確認して。
○甲斐参考人 夜間などの場合、その時点で事業対象の看護師が確認をしてということになりますが、もちろん診断書は医師が発行します。
○太田委員 そこの部分が非常に重要だと私は思っています。実際に老健施設には医師が常駐していますので、24時間見ていないということはないです。夜間に亡くなったときに死後の処置を開始できるかできないかというのが、非常に大きいのです。死亡診断書は翌日、医師が発行してもいいですし、患者を診断しないで死亡診断書を記載することも可能ですが、医師が死亡確認をするまで、死後の処置をしないまま待っているということが一般にあるわけです。そうなりますと、亡くなったということをナースが判断して、そのまま死後の処置に移行できるという意味合いかと思って、私はお聞きしたわけです。
○永井座長 それは実施上、特に問題は生じないのでしょうか。
○太田委員 そもそも法的に問題はないです。ただ道義的な問題として、主治医が判断しないまま死後の処置に進むことに対して、ご家族がどういった気持を持たれるかという問題は残っていると思います。現行の法律の中で、すでに行えることではないかと思っています。
○永井座長 やはり今ここでは、実施していただくとしたらどういうところに問題があるかということを議論すべきだろうと思います。ですから是非、委員の先生方からご意見を。
○藤川委員 まず確認いたします。資料2と資料3を同じグループにされていますが、佐伯中央病院の医師数14名(非常勤含む)の常勤の数と、鶴見の太陽の医師数4名のうちの常勤の数です。今回の事業に係わる担当医を見ますと、同じメンバーが含まれているようです。年齢、診療科、専門医を見ますと、1名だけ23年臨床経験の内科医は違うようですが、こうなった場合に、医師は同じ時間帯にどちらかにしかいられないわけですよね。本事業に携わる医師はお互い4、5名と書いてありますが、実際にその時間帯には片方にしかいられないわけですよね。たぶんメインは急性期の病院だろうと思います。こちらのほうが当然忙しいですから。本事業に本来、常勤として携われるのは1名ではないかという気がします。老健自体が大体1名だと思いますので、こういう表現はいかがなものでしょうか。常勤4名で見ているようで、安全性があるように認められますので、こういう表現はしないほうがいいかなという感じがいたします。
 先ほどの飯塚病院は、私も筑豊労災病院におりましたからよく知っています。非常に忙しかった。ただ問題は、夜間の救急などは非常に多いですよね。100名とか200名とか言われていました。特に私が知っているころは小児科です。最近、特に小児科には女性医師が多いのですが、小児科の急患がたくさん来たときに非常に大変だということです。医師が患者を診ても急変する場合がありますので、家族からの要望が非常に多いですし、それを忙しいということで、果たして特定看護師(仮称)が医師の不足分、最善のトリアージやプライマリーケアを代われるかというと、私は荷が重いのではないかと思います。医師の代わりをするほどトリアージができるのかということです。
 例えば最初の胸写を取るとか、そういう段階は全然問題はないと思います。しかし今回の特定看護師(仮称)というのはそういう所だけではなくて、非常にリスキーな所までするのです。先ほど有賀先生が言われたように、A・B・Cランクがあると、Aという非常にリスキーな所まで行こうとしていますので、我々日本医師会としては反対しています。我々は、Aのようなリスキーなものは、あくまでも医師がすべきだと。Bのいわゆる安全性はどうかという所は、今回の実施事項でチェックする。安全性は高められているけれども、まだやったりやらなかったり医療機関が迷っているようなCの所は早速、特定看護師(仮称)に限らず看護師に業務を拡大して、医師の最初のトリアージの部分の負担を取ってやる。それで十分できるのではないかと考えております。
 我々日本医師会が言っていることは、看護師の全体的なレベルアップによって医療安全を高めると同時に、医師の負担を軽減することです。一部の看護師にしても、結果的にその看護師がいない場合はできませんから、同じ5年、7年の経験を持つ看護師であれば、すべて標準的な看護レベルを上げてやっていくほうが、最終的にどういったナースをへき地医療に送っても、救急医療の現場や災害医療に送ってもできるのではないでしょうか。そういう全体的なレベルアップをしたいというのが、我々日本医師会の主張です。
○永井座長 ただいまのご質問に、まず小寺参考人からお答えいただけますか。
○小寺参考人 医師数ですが、佐伯中央病院のほうが常勤医8名で、鶴見の太陽のほうが常勤医1名です。
○永井座長 それから事業に係わる担当医が、3人重複していますね。それは可能なのかということを教えてください。
○小寺参考人 曜日を決めて行ったりしているので、可能かと考えております。
○永井座長 可能かというのは。やはり可能でないと困るのです。
○小寺参考人 可能です。
○永井座長 同じ日に両方を診るということはできないですか。
○小寺参考人 半日は施設に行って、半日は病院にいるという日はありますので、そういう観点でいくと、両方の日に診ることはできます。やはりメインとして、常勤でしているのは佐伯中央病院のほうなので、どうしても施設に関しては、基本的に1名という体制です。
○永井座長 老人保健施設で中心的になさる方は、どの方ですか。
○小寺参考人 最初に書いてある、37年目の内科と産婦人科の先生です。
○永井座長 この方が指導している。しかしこの方は、佐伯中央病院でも勤務していらっしゃるわけですか。37年の経験年数の方は同じ方ですか。
○小寺参考人 はい。
○永井座長 その方がいないときはどうするわけですか。
○小寺参考人 その先生がおられないときは、下に書いてある担当医が行っております。
○永井座長 それから、飯塚病院の業務内容ですが、Aランクには非常に難しいものが入っているのではないかというご指摘だと思うのです。その点についてはいかがですか。
○鮎川参考人 いま藤川委員が言われた、小児科の非常に厳しい業務の事情というのは、地域の支え合いということで、地域の先生方にも入っていただいています。あと、家庭医コースのドクターもそこをサポートしてくれるので、昔に比べたらだいぶ緩和しております。Aランクのものは、今回は基本的に入れていないつもりです。
 もう1つ言われたのは、ほかの看護師もできるようにというのが願いですよね。それは我々の願いでもあります。特定看護師の方々がこの業務を確立するということで、一般の看護師をしっかり教育してもらうというところまで、本当は広げたいというのが個人的な希望です。そのためにも今回、この特定事業をしっかりと引き受けて、その業務が看護師でもできるように確立する。その次の段階は、先生が言われたようなことを目指したいと個人的には考えています。
○藤川委員 いま言われたことはよく分かりますが、大学院を卒業して特定看護師(仮称)の業務で来た学生より、現実に優れている看護師が全国の現場にはいるのです。救命センターなどは特にそうです。有賀先生の所など、いっぱいいらっしゃると思います。そういう救命救急や手術場での専門の看護師というのは、私も数多く知っています。後から出てきた人たちを特定看護師(仮称)ということで位置づけても、現場ではその肩書きよりも実力は違うわけです。実際にできる人はいっぱいいます。
 大事なのは、いま現実にできる人たちをどうきちんとするかです。たくさんいらっしゃる。その人たちを早くそれなりの業務ができるようにしてやるほうが先です。「特定看護師(仮称)を1人つくって、前に進めてその後から来るぞ」などと言っても、早い話、医療の現場からすれば日が暮れます。ですから、いい意味で絶対にここは大丈夫だよという線を早く引いてくれというのが、たぶん能力のある看護師たち、現場で一緒にやっている、あるいは先生たちのような救命の場でやっているドクター、勤務医の声ではないかと私は認識しています。
○鮎川参考人 私も基本的には同じ所です。ところが今の法律の段階では白とは言えずに、グレーのところでやっているというのが非常に問題です。それを解決する1つの手段が、この事業ではないかと思います。
○永井座長 そうですね。まさに各施設がこういうように事業をするから、これでグレーと決めましょうと言っているわけではなくて、これがうまく円滑にいけば白になってしまう可能性もあるわけです。そういう考え方でよろしいですか。その辺を事務局にお伺いします。
○村田医事課長 何が特定看護師(仮称)か、特定の医行為かということが確定しているわけではありません。そういう意味ではこういった試行事業を通じながら、具体的にどの事業が特定の医行為に当たるのか、一般の看護師でも可能なのか、その辺りも含めて検証したいと考えております。
○中山委員 いまの議論と重なり合うと思うのですが、今回の試行業務事業をやる人たちは、看護部に属しているという形になりますね。先ほどの指導医との関係は、普通の業務もやる中でこれまでグレーゾーンと言われたり、もう少し踏み込んだ医行為をしたりするときに指定医、指導医が来てやるのですか。それともずっと1日中、指導医と一緒に動いているのですか。その業務の在り方が見えなかったのです。飯塚病院の場合も佐伯中央病院の場合も、看護師は普段の仕事をする中で特定の医行為だけをするのか、普通の業務をする中での特定医行為の範囲なのか、その辺を教えていただければと思います。
○鮎川参考人 飯塚病院のほうからいきたいと思います。最初はもともとうちの職員ではなくて、この事業のために非常勤で雇い入れている優秀な看護師に、まずは病院の仕事に慣れてもらって、トリアージという日常のところに入ってもらいます。日常の業務の中では指導医が見ていますし、かつ、この事業は特に注視しながら見ていくつもりです。基本的には日常の業務の中で特定医の行為というものが安全にできるかというのを見て、チーム医療を高める事業であるというのを確認していきたいと考えております。
○小寺参考人 当院も所属は看護部ですが、自分のほうに付いてもらっています。このプログラムでは、最初の1ヶ月は業務に慣れるということだったので、いま来ている特定看護師も当院で1ヶ月ほど実習しておりました。もう慣れてしまって、大体1~3ヶ月ぐらいの業務で血液ガスを採ったり、一緒に検査の指示を出したりという形でしております。所属は看護部ですが、当院の場合は若い研修医など、まずおりませんので、できない行為はあるけれども、研修医を育てるようなイメージで対応しております。
○中山委員 勤務するときはほとんど指導医と一緒に、ずっと1日中動くというイメージでよろしいのですね。
○小寺参考人 はい、基本的にそうです。
○山本(信)委員 お話を伺っていますと、各施設の方々は、薬剤師と連携をするというお話で、大変ありがたく伺っていますが、例えば大分の小寺先生の件でいきますと、既存のシステム、既存の施設で安全管理の委員会ができていて、試行事業でも同じものが移行しているという状態だと思うのです。先ほども甲斐先生から、薬剤師も含めて連携していますというお話でしたが、少なくともこの資料を見る限り、医薬品に関する部分が試行の中にもかなり入っているわけですよね。にもかかわらず、既存の安全管理委員会には薬剤師が入っていながら、新たな試行に薬剤師がいないというのは、どういうように理解したらいいのか理解に苦しむというのが1点です。
 もう1点は、教育側のほうにお伺いしたい。参考資料2-1でも3-1でもいいですが、提供されている大学病院の試行プログラム、例えば佐伯中央病院でいくと、たしか向精神薬の薬剤の選択という項目があると思います。にもかかわらず教育のほうは、演習の中で抗不安薬だけをいじっていて、実地のほうで向精神薬に対して対応されている。たぶん精神科領域の薬については、薬剤師もかなり神経質に使っているはずです。抗不安薬だけを演習にしておいて、実地のほうで向精神薬で幅を広げるというのは、私どもとしては少し理解できない。それほど簡単な薬なのかなという感じがするのが2点目です。
 これらはとてもささいなことなので、少なくとも連携をしていただけるという意味では、連携があるのだろうとは思うのです。鮎川先生がお話になった中で、最後のほうに薬剤師と連携するということが書いてありますが、具体的にどのような形で連携するのかというのが全く見えてきていない。さすがに手術場の中や救急などで薬剤師が活躍する場があるかというのは、なかなか難しいのかもしれません。少なくとも表現として、そうした記載があるという点で少し気になります。
 前回のワーキンググループの中で、川上委員もご指摘されていると思いますが、「医師の包括的な指示の範囲」という表現の中で、一体どういう状況でどのような医行為ができるのかを、もう少し明確にしないと。先ほど医事課長もおっしゃいましたし、座長の永井先生もおっしゃっているように、結果としてそれができるかどうか、どこまで可能かという評価をしなくてはいけない。にもかかわらずプロトコールを拝見しても、どういうシチュエーションで、どのような行為をするかというのが必ずしも明確に見えてこない中で進めていかれるというのは、いささか不安がよぎります。
 特に薬の場合で言えば、「包括的指示の範囲」という所で全部くるまれています。この場所でも、包括的指示の範囲というのは調剤された薬剤だという了解は得られていますが、この辺りについてはどう考えても。例えばTDAも何かしようとか、薬を選択するというのは、薬剤師とどういう連携を取ってなされるのかが正直言って見えてきません。かなりハイリスクな薬を使う中で、一体どういうように影響するのか。それなしに一気に進んでしまうことについては、薬剤師としては極めて不安が生じます。その辺りはもう少し明確にプロトコールなり、どのような対処なのかということをお示しいただいたほうが安全ではないか。そうでないと、折角こうしたものをつくって、いいシステムをつくろうとしても、おそらく処方権なり調剤権という議論がまた出てきてしまいます。
 試行事業というのはもう決まったことですから、とやかく言うことではありません。ただ具体的になさることについて、より明確な指摘がない状態はいささか気になります。よく有賀先生が、「心配するのはみんな分かっているから」とおっしゃる。それは私も理解いたしますが、少なくとも試行事業として評価するからには、評価軸というものをもうちょっと明確にしないと、評価に耐えられないのではないか。それは太田先生がおっしゃった、薬の部分がないのではないかというのと全く同じ議論です。是非その辺りをお示しいただきたいのです。
○永井座長 追加いたしますと、私も佐伯中央病院の4頁の「薬剤の病態に応じた使用」というのは、高脂血症剤から抗圧剤、利尿剤、糖尿病治療薬、高カロリー輸液とありますが、これが漠然としていると結構難しいと思います。事故も起こりかねない。そうすると包括的指示としても、かなりきめ細かい個別の状況に応じた指示がないと、薬剤の選択というのは非常に大きな問題を起こしかねないだろうと思います。その辺の体制について、もう少し詳しくご説明いただけますか。
○小寺参考人 その点に関しては、当院でも糖尿病などの主要なところのプロトコールはつくっているのですが、プライマリケアになると先生のご指摘のように、かなり広範囲になりますので、むしろ調査機関というか、実施施設としてはこういう場で皆さんに議論していただいて、是非ともある程度の指針を示していただけると、いちばん助かるというのが1つです。
 もう1つはガイドラインなどに則り、特定看護師が処方したものを見て、まずは今までと同じものを処方しながら、変えるときに関しては必ず一緒に見て、安全性を評価しているというのが今の実情です。
○永井座長 やはりそういうことをきちんと書いておかれないと、看護師に任せきりということも起こりかねない記載のように思うのです。我々は、実施する以上はそういうところをしっかり書いたものに関してやってくださいと言えるわけです。その辺は非常に慎重にして、漠然とした表示はできるだけ避けるべきではないかと思います。是非先生方の病院のほうで、こういう場合はこうするというものを。まさかここでいきなりインシュリンの処方が出るわけではないと思います。しかしこれだけを読めば、そういうことも起こり得るわけです。そこの記載について、やはりもっときめ細かい配慮が必要ではないかと思います。
○山本(信)委員 糖尿病という範囲であれば、むしろ糖尿病だけで特定可能な範囲がどこというように決められるのが指導だと思うのです。にもかかわらず、プライマリケアがうまくできないかもしれないという中で、臨時投薬にせよ、これだけの範囲の薬の選択を判断するということまで載せられてしまいますと、一体誰がという話になります。
 一方で言えば、たぶんお言葉のちょっとした間違いだと思いますが、処方するのは医師であって看護師ではないですから、その指示に従って私どもが動くというのは、薬剤師としていささか納得できかねます。そうであれば、すでに調剤されたものではない薬を私どもが扱う形になります。そういった意味で言えば、この項目についてはまさに時期尚早というように、先回、うちの川上からお話があったという気がいたします。その辺りはいかがでしょうか。
○小寺参考人 やっているのは薬剤の選択です。自分の言葉違いでした。そこに関しては失礼しました。
○永井座長 それを後で医師がチェックをして、最終的に処方するという体制になっているかということですか。
○小寺参考人 そういう形にしております。
○鮎川参考人 医療安全委員会には薬剤の主任が参加しています。ただワーキンググループという小さい所では、今のところは入れていないのですが、我々の所で使う薬剤に関しては、ほとんど医師が近くにいる具体的な指示になるような薬剤です。そういう意味で薬剤に関しては、あまり心配はないと思っています。
○山本(信)委員 わかりました。飯塚病院の場合はきちんと薬剤師が入っているので、別に問題はないのです。ただ佐伯中央病院では、少なくとも医療安全の中で既存のものと試行との差がありましたのでご質問したのです。先生の所はとやかく言う話ではないので、その点は誤解なきようにお願いします。
○有賀委員 個別具体的にこれはどうだ、あれはどうだという話で責め立てれば、いろいろなことが起こり得ます。おそらくどこの病院もそうですが、具体的には、それぞれの薬の使い方にしても、それぞれのナーシングスタッフのパフォーマンスにしても、いま流の言葉で言うとクリニカルパスとかクリティカルパスというような、あらかじめの合意があって行われているのが専らだと思うのです。ですから特定看護師の業務の試行事業の募集要項に従うと、こうなってしまうという話なのです。
 この募集要項の書き勝手についてのオリエンテーションは、たかだかその程度と理解して、具体的にその現場に立ち至って、もし私と座長と2人で見に行ったとすると、「これに関するクリニカルパスはどうなっていますか」という話で、「これはやっているのですね」と。「最終的にこちらの処方はどなたがいつ書くのですか」といったら、例えば「朝、追いかけて書いています」ということだって、場合によってはあり得るものだということで理解していくものだと私は思います。ですから、その場で薬剤師がどのように関与しているかというのは、局面局面についての関与というよりも、むしろあらかじめの関与としてどうだったかという話のほうが、もっともっと深刻で大事だと思っています。
○永井座長 パスが結構キーワードになると思います。ですから、それをきっちり整備しないと、少し危ないところが起こり得るのではないでしょうか。
○山本(信)委員 解説をいただくと、いつも納得してしまってすみません。確かに有賀先生のおっしゃるとおりだと思うのですが、少なくともこの募集要項の良し悪しではなく、具体的に試行して医行為をどう整理していくかという観点からすれば、この試行が悪いとか、看護師の業務の範囲を拡大するのがいけないという意味ではないのです。これをもし進めるとするならば、当初の話だった、医師も看護師も専門職がお互いに補完し合いながら仕事をするという観点からすると、やはり明確にしておいたほうがいいのではないか。それは今後の議論として、野放図に拡大するのは好ましくないと思っておりますので、先生のおっしゃることはよくわかります。募集要項の問題も去ることながら、やはりもうちょっと見えるようにしていただきたいと思います。
○有賀委員 ですから全く同じシンクロナイゼーションが起こっていると思います。主な意見の中に評価という部分が入ってきているのは、やはりそういう観点です。評価をするときにどういうように評価するかということで、いま私が座長と2人で行って見て来るのがいちばん早いのではないかというようなことを言いましたが、そういう意味では第三者的な評価があってもいいのではないかと思っております。
○永井座長 ですから最初にお話したように、勤務日誌を見て、どういうことをやって指導医がどういうように感じたのかが分かるようにしておいていただかないと、「今日は特に問題なし」「問題なし」で続いていたら、全く評価になっていないと思います。
○半田委員 試行事業の評価ということで、1点確認したいと思います。小寺先生の所は正規の特定看護師として雇用されているのですよね。
○小寺参考人 はい。
○半田委員 飯塚病院はよその人だから、非常勤雇用だとおっしゃいましたよね。これでは評価がものすごく大きく違うと思うのです。今後の特定看護師をどう雇用するかは、もうお仲間として抱えたというのと、飯塚病院はよその人だからというところからスタートしているわけです。これを評価するとしたら、その人の雇用状況によっては大きな違いが出てきそうな気がします。このことはやはり整理をしておかないと。特定看護師はどういう立場でそこにいるのか。飯塚病院が言われたのは、よその人だからというように思って私は聞きました。ただ正規に雇用してしまって評価するのだったら、お仲間をお仲間が評価するという形になるわけですよね。これで本当の評価ができるのか、どうなのだろうという疑問を持ったのです。もう1回確認しますが、正規の職員として看護師として雇用されている。
○小寺参考人 はい、そうです。
○半田委員 飯塚病院は非常勤雇用ということですね。ここはやはり整理しないと、評価に大きな影響が出るような気がします。
○永井座長 その点は堺委員、どうぞ。
○堺委員 評価に関してはかなり重要だと思うのです。皆さん評価が重要だと言いながら、例えば初期臨床研修制度でも、正式な第三者評価は全くなされない。ですから今おっしゃったような院内の評価というのは、あまり意味がないと思います。これだけ議論が出ているので、この際、当初はなかったのかもしれませんが、第三者評価をどこかでやるというのをしっかり明示していただいて、それに向けた方策を考えていただければ、非常にありがたいと思います。
○永井座長 これはよろしいですね。やはりやるべきですね。非常に大きな社会的な影響のある事業ですし、グレーゾーンがどこかというところすら、まだよく分からないままやるわけですので、是非ワーキングなり、こちらの委員が加わった形で1年後なりに評価を行うと。あるいは、問題があったときは調査に行きますというぐらいのことはお伝えしておいたほうがいいかと思います。事務局、そういうことでよろしいですね。
○藤本委員 いまのお話の補足です。私は社会保障会議の医療部会にも所属しており、特定機能病院の承認に関しては必ず現場に行くのです。医療安全の在り方などについては、その場でいろいろな医療スタッフをつかまえて、「ここの医療安全の責任者のお名前を知っていますか」とやるわけです。すると実際に知らなかったりする。そうすると書面では整っているけれども、現場に行ったときにどうだろうかと。先ほどの機能のお話がまさにそれです。ですから書面だけでスルーすることがどうなのかという疑問を持っております。今こうして要項に則った申請書が出される中で、これだけでは分からないものというのがいろいろ出てきています。実際の業務に当たられる看護師の人数というのが、数字として見当たらないのです。1名ずつ看護師のことを書くという所を見ると、ここでは1名だなということは分かるのですが、何人の看護師がこの事業に当たるのかというのが、一覧表の中で見当たらなかったのです。
○永井座長 これは各施設1名ずつということでよろしいですね。
○藤本委員 今後の希望として、書類の中にそういう欄があったほうがいいかなということです。そうすると研修する事業に当たられる看護師に対して、指導するスタッフが足りているか足りていないかという話も見えてくると思います。その2点を私は感じました。
○太田委員 折角、老人保健施設が特定看護師の教育の場になるわけですから、是非とも慢性期から終末期のケアの在り方を学ぶ場にしていただきたいと思います。例えば医師が連れて歩いて、もう終末期だと判断した患者に、熱が出たからといって検査をして、その結果を見て薬を出して、場合によっては点滴をするという、いわゆるキュアの場面で行われる医療をそのまま老健でやるのはもったいないわけです。もう終末期ということになれば、何も積極的な医療介入のないまま、ナチュラルデストを支えるというのも1つの在り方です。そういったところにこそナースの力が出せると思うのです。
 インテンシブケアの場面で、医師がナースを連れて歩くというのも大事なことですが、むしろ老健であればナースが医師を連れて歩いて、これは深い治療をしないほうがいいよとか、このケースに内視鏡はよくないというアドバイスもできるような、イーブンな関係で学んでもらうことも、老健では非常に重要だと私は思います。先ほどの説明を聞いていますと、病院の医療をそのまま老健に持ち込んでいるような印象を受けたので、是非とも発想を変えて、医師とナースが一緒に学び合うということが、老健では大事だと私は思います。
○永井座長 その辺は例えば学会とか、もちろん現場でもいろいろな話合いやガイドラインで、コンセプトはこれからもお互いにつくっていかないといけないですね。学会あるいは医師会などで、そういうコンセプトづくりはされていらっしゃるのですか。
○太田委員 ホスピス関係のダイイングペーシェントに関しては、バリアティブケアを適用させることに対する合意はあります。ただし、高齢者におけるエンドオブライフケアの客観的指標というのは、医学的整理がないですよね。何をもって老衰と診断するのか。ですからこれからの課題で、それもやはり在宅医療のような所が頑張らないと、そういった物差しは出てこないだろうと思っています。
○坂本委員 太田先生が言われたとおり、私もそう思います。例えば先ほどの丁寧に話をよく聞いてくれたというのと、ドクターと一緒に回っているというのとでは、この人はずっとドクターなのかと。そうではなくて、こういうことをしているわけだから、そこが全体的に見ているのだろうと思うのです。そうすると、おそらくお1人ではいろいろなことができないわけですから、他の医療チームや介護の方たちや薬剤師と、どのように協働しているかということも、指導の中にも教育の中にも入れていただきたいと思います。これから少ない人数で担っていくときに、ケアを中心にしながらキュアもできるように取り入れながらやっていくという所には、特定看護師(仮称)が入ったとしても、お1人だけでは成り立たない。その方がキーパーソンかどうかはわかりませんが、全体で見ていくような仕組みを、いろいろな所でやれるような状況をつくっていくべきだと思います。
○藤川委員 まず終末期医療の問題については、有賀先生の所でも我々日本医師会でもガイドラインを出しています。ですから終末期ということに関しては、別に特定看護師の問題で考えずとも、現実に現場で終末期の同意書を取っています。医療機関であれ、特養であれ、老健であれ、在宅であれ、それはきちんと取るように、日本医師会としても各都道府県医師会にガイドラインを出しています。
 問題は、老健の特定看護師(仮称)と救命センターの特定看護師(仮称)とでは、もともと違うのです。ですから特定看護師(仮称)というファジーな表現は駄目ですということを、我々日本医師会は以前から言っています。やはり救命センターの専門看護師とか、老健の看護師などがあると思うのです。その場その場で違うわけですから。ファジーな特定看護師(仮称)という表現を早くやめて、そこの現場現場に合った専門的な看護師というものをきちんと養成していくことのほうが、本当は現実的ではないかと思っております。
○中山委員 これは今日のプレゼンテーションをしてくださった試行事業とは、違う形になるかもしれませんが、今のことと同じです。今回、このような中で試みてくださる施設に対しては、敬意を表しなければいけないのですが、いかんせん数が少ない。これを今のような形でいろいろ広げていかなければいけないという問題があります。これはワーキンググループでも出ています。
 それと、1つだけ危惧することは、特に大分県立看護科学大学では特定看護師の養成を前面に出し、その人たちの能力がどういう能力かということも規定し、それを佐伯中央病院が受けて、特定看護師として雇用するというシステムをつくると、これが特定看護師のイメージとして一人歩きすることを多少懸念しております。今日も傍聴席に、これだけたくさんの方がいらしています。これがそういう形になれば、こういう形のものが特定看護師の案なのかということで、一人歩きされることが多少懸念されるのです。
○永井座長 しかし、そこはどうなのでしょう。これで終わりならそうかもしれませんが、今後いろいろなプログラムが出てくるということではないでしょうか。事務局、そこはどうですか。
○島田看護サービス推進官 本日お示ししている資料は、本年3月31日までに申請があったものについて、書類を整えてご提示しております。この事業はまだ受付中で、この後も実際にいただいている所もありますので、例数としてはまだ増えるかと思います。
○永井座長 来年になると、2年の教育が終わった方々も出てきますね。そういうものを見ていると、特定看護師とは何ぞやという概念がこれからつくられて、場合によっては、これは単なる普通の専門看護師だという話も出てくると思います。それは藤川先生のご指摘のとおりです。その辺を見極めるというのが、今回の試行事業ではないかと理解しているのです。
○北村委員 確認です。昨年度に教育を受けた人数がどのぐらいかというのが、たぶん出ていると思うのです。そして今年も2年目が予定されていると。その中でかなりのデータを取らなくてはならないということで、今後、予想としてはどのぐらい申請されるかというのも、かなり重要なファクターかと思いますが、いかがでしょうか。
○島田看護サービス推進官 昨年度の養成調査試行事業にご参加いただいた養成課程があります。2年コースもありますが、申請時点で今年度に修了される方は100名の予定でした。ただ、この100名の中には大学院などでの長期履修ということで、必ずしも今年度で修了しない方もおられましたし、なかなか修了が難しかった方もおられました。昨年度の養成調査試行事業の報告は、いただいているものを集計しているところですので、まだ明確な数字は把握できておりませんが、平成22年度は100名に満たない方が修了されているというように承知しております。
 その中で委員がご指摘のように、業務試行事業に申請する上では、病院などでそれなりの体制を整えていただくということで、準備にはかなりのご負担をおかけしているのではないかと思っておりますので、100規模での申請はなかなか難しいところではないかと思っております。しかし1カ所でも多くの所にご参加いただきたいと事務局では思っており、その辺りのご相談などには積極的に、これからも応じていきたいと思っております。
○北村委員 そういう意味でも実施予定の業務、医行為をどこまで実習の中でやらせるかというのが、かなり重要なものになってくると思うのです。それで、かなりいろいろな意味での医行為が載せられている。その医行為の範囲をどういう形で進めていくか。先ほどもあったとおりガイドラインとか、それらをしっかりした形で一つひとつつくっていかなければならないだろうと思います。それと老健施設や地域医療の問題など、やはりやり方が違うと思うのです。ですから、それも場面場面によって一つひとつつくっていかなくてはならないと思っているのですが、いかがでしょうか。
○永井座長 私もおっしゃるとおりだと思います。いろいろな医行為はやり方次第だと思うのです。それが1つだけポッと出てきた場合と、ガイドラインできめ細かく指示があって、評価チェック機構がある場合とでは全然違うわけです。それは看護師の能力に応じた、あるいは施設のいろいろなキャパに応じた体制づくりを、各施設にきちんとつくっていただくことが、やはりこの事業では非常に重要だと思います。何か事故があったときに、この事業全体が信用を失うことがあるということを、よくお考えの上で進めていただきたいと思いますが、その辺りはいかがですか。
○鮎川参考人 先ほど半田委員が、よその人がというように受け取ったということも含めての説明です。先ほど申し上げたのは、いままで一緒に働いていないので、3ヶ月ぐらいは働きぶりを見ながら、どこまでさせていくかというのを決めていくという意味で申し上げたのです。今回もプロトコールさえあれば、誰にでもこれをさせるとは我々も思っていません。本人の力量を十分判断しながら、そのプロトコールをつくっていかなければいけない。今回は対象が1人ですので、そこが十分その人に合った形になっていくと思っています。
○永井座長 それはきちんと書類で残るということでよろしいですね。後で評価に伺ったときにわかるようにファイルされていて、それを使っていることがわかるようにしていただきたいと思います。
○鮎川参考人 そのために準備期間も必要なので、3ヶ月というのを1つの目安にしながらそこをつくっていって、この事業に乗せていくということです。
○永井座長 佐伯中央病院では。
○小寺参考人 これから世の中に認知していってもらわなければいけない制度だと思いますので、当院としてもまずは安全第一で、危険な行為や薬剤の選択というのは、1年間は行わないような形でやっていきたいと思っております。実際にそういう形でやらせていただいているというのが、今のところの現状です。
○北村委員 この試行事業を行う上で、責任というものがかなりあると思うのです。やり方を全部その施設に任せるのか、ある程度この会議としての方向性というか、枠組みをはめるかどうかですね。そこら辺の問題はどうなのでしょうか。
○永井座長 試行事業の主体は厚生労働省なのです。そこをどういうようにそこまでにするかということをお聞かせいただけますか。
○村田医事課長 責任の問題は、この席でも何回かご質問いただいております。基本的に2つの側面があります。1つは、厚生労働省の事業としての業務試行事業です。一方、それは同時にそれぞれの医療機関なり、老健施設での個別の医療行為であったり診療行為であったりします。この試行事業全体の責任は当然厚生労働省で、厚生労働省が予算をいただいてやっています。一方で具体的な内容、安全性などの問題については、専門的な見地からワーキンググループ、あるいはこの会議でもアドバイスをいただいて、それを基に厚生労働省の責任で行います。ただし個々の医療行為については、それぞれの病院の責任があって、病院の診療行為として行われるわけです。それは別にほかの医療行為と違うところはありません。事業全体としては厚生労働省の担当ということになります。
○永井座長 進捗管理というのも変な言い方ですが、進行状況のモニタリングは、厚生労働省のほうでなされるわけですね。
○村田医事課長 はい。その意味では一定期間。今のところの予定ですと、7月末と11月末に中間的な報告をいただきます。そこで先ほどアドバイスいただいたような形で、場合によってはフォローして評価をしていただきます。年度終了時に報告書を出していただいて、年度の最終的な評価をするという形になっております。
○半田委員 今日の会議の3つの施設の研修は、試行事業としていいのかということが求められているとするならば、太田委員から大歓迎だというご発言があったのですが、老健が試行事業として成り立っているのかというところについては、私はもっと厳選しないとと思います。今回の第1発目で、どこか注意するで終わったのでは、今後の認定作業が非常に甘いものになってしまうのではないでしょうか。先ほど藤川委員が医師の数のことをおっしゃいましたが、安全管理体制に3人の名前がある中で、1人の方がグループホーム管理者となっているわけです。このグループホームの管理者というのは、老健のスタッフですか。
○甲斐参考人 老健の中にグループホームがあります。会議などは全部一緒に行います。
○半田委員 事業主体は別でしょ。
○甲斐参考人 別ですが、医療安全や苦情処理などは、一緒に委員会を行っているのです。
○半田委員 これは事業体として受ける事業ではないのですか。チームという言い方がどうかはわかりませんが、例えば老健施設でやるとするならば、通所とかいろいろな機能がありますよね。グループホームを併設しているというのは、あまり例がないような気がするのです。そうでもないですか。老健だけではなくて、グループホームまで一緒の形でいいのですか。
○堺委員 トータルで見ているのが普通です。問題は、いろいろな施設が個別にあるものが、なかなか難しいのです。医療提供の連携の中でやっているという理解だと思うのです。ですから、あまり不自然ではないような気がしています。
○半田委員 そうですか。そうすると、老健施設だけではないということですね。
○甲斐参考人 そうです。老健の1つの建物の中に入所者とショートとグループホームとデイケア、それと併設の診療所があるという形の状況です。
○半田委員 わかりました。ただ、もうちょっと全体を。それと、先ほど藤川委員がおっしゃった、ドクターはどういう状況かということについても、この時間はどなたがいるといった安全管理体制について、やはりはっきりしたことが要るのではないでしょうか。質問に対してのお答えがそういうお答えだったものですから、どういう体制が敷かれているのか、医師がゼロになることがあり得るのかないのか。
○有賀委員 私たちのワーキンググループでは、そこまでの議論は出ませんでしたが、評価という観点で、入口はとりあえずこれで出発していいだろうと。その代わり、途中の評価はきちんとやっていこうということになっています。今おっしゃったようなことも、例えば2人で現場に行けば、どういう景色で何が起こっていて、特定看護師の候補になるような人が、どのような形で包括的指示の中で動いているかという話は、おそらく現場ではわかると思うのです。ここでは紙面を見ながら形而上的な議論をガンガンやっていますが、私たちの現場は患者があって、いろいろな話が展開しているのです。そういう意味で私は、あまり心配していないのです。ただ、評価をするときの評価の基軸というところでは、きちんとした議論をして乗り込むことが必要ではないかと思います。
 先ほど常勤と非常勤の話が出ました。それは内部での評価ということでいけば、おそらく差が出るとは思いますが、実は患者たちは常勤であろうが非常勤であろうが、一蓮托生状態で診療を受けています。そういう意味で、一蓮托生状態でどうかという評価になると私は思います。とりあえず給与体系が非常勤かどうかという話は、鮎川先生の所ではそれなりの事情があるのだろうと思います。評価ということでいけば、非常勤だから良いとか悪いとか、常勤だから良いとか悪いという話にはならないのではないかと思っています。
○半田委員 第三者評価がびっしりできるのであれば、そこでカバーできると思います。その話を具体化していただければ。
○有賀委員 先ほど来、何となく具体化したほうがいいのではないかというムードがあったので、いまのような発言をしました。
○山本(信)委員 飯塚の場合は先生の手元に薬があるという状況で判断していますが、佐伯中央病院の場合は表側、いわゆる以下の業務を行いますと言って、慢性疾患の中に病名を挙げておられて、具体的な選択の部分については、かなり幅広に取られているのです。薬屋は薬にしかこだわり様がないものですからこだわります。例えば高脂血症もそうですし、利尿剤もそうです。その辺りで幅が広がっていくものを、糖尿病の続発症として捉えるかどうかという点がクリアでない。しかも臨時投薬の中に、抗不安薬から向精神薬まで入っていると、頭に掲げている医師の包括的指示の範囲の中で取り扱う慢性疾患と、具体的な選択の対象というのは、随分と違ってくるのではないかという気がします。
 そうであれば、なぜ実施機関に薬剤師が絡んでいないのかという点について、いささか不思議に思います。そういった意味で安全管理をどうなさるのかということは、やはりもう少し明確にしていただかないと、薬で事故が起きたときに誰が責任を取るのか。調剤した者なのか、それを使った者なのか、選んだ者なのかということも含めて言えば、かなり疑義が生じます。このこと自体に反対はしませんが、もう少し薬なり何なりの制限をしたり範囲を狭めたりしていかないと、再現なく広がってしまう。
 例えば、老健のお話が出ていましたが、在宅ではこれに近いことがきっと起きるだろうと思います。しかし、それにはそれなりの一定のプロトコールがあるわけですから、ここで挙げられたものと選択が違っているというのは、私どもとしてはいささか理解に苦しむのです。
○甲斐参考人 医療安全の管理者の委員ですが、「各部署の責任者」と一括りでまとめてしまいました。この中に薬剤師の薬局長が入っております。薬剤等については、管理委員会の中で一緒に検討するようになっております。表現がまずくて申し訳ございません。
○永井座長 薬剤の選択ももう少し絞って、どの辺までを現場での判断にするかという枠組み、フォーマットのようなものをしっかりお作りになってから始められたほうがよろしいと思います。
○小寺参考人 その辺はまた検討させていただいて、当院なりのガイドラインというわけではないですが。
○永井座長 やはりガイドラインだと思います。
○小寺参考人 クリニカルパス的なものを作成してみて。
○永井座長 それを一応作成しておいていただきたい。
○坂本委員 これは想像ですが、いまは詳しく説明されなかったけれども、こういう症状のときにはこの薬、この範囲内でというように、みんな決まっているわけですよね。それをちゃんと説明してあげれば。それは薬剤師も入って決めているわけですよね。そこを明らかにされれば、心配されないのではないかと思います。
○永井座長 症状だけではなくて、やはり病態というものがあるわけです。そういうものを踏まえて薬を使わないと、副作用が出てしまうということは十分あります。
○藤川委員 今いろいろな問題が出ているところで、老健の問題が出ました。特養などもそうです。その前は必ず医療機関にいて、医療機関から老健に行ったり特養に行ったりするわけです。いま現場で非常に問題になっているのは、かかりつけ医に長年診てもらっていたのに、老健に行って切られた、特養に行って切られた、診てもらいたいと言うけれども、なかなか診てもらえないということです。例えば、往診したりその患者さんが受診したり、みだりに診療をするとアウトだというのが、通知で来ていますよね。いま現場で大混乱しているのです。
 国民の気持としては、かかりつけ医に最期まで診てもらいたいという希望も実際にあるのです。近所の診療所で診てもらっていた先生に、最期まで循環器を診てもらいたい、40年診てもらったのだから、終末期も診てもらいたいという人がいます。少なくとも死を見てくれなくても、処方の薬は可能な限りその先生の指示に従ってもらいたいという患者たちが、老健や特養に入所するわけです。それを看護師が代わりをするということはあり得ないことです。老健であれ特養であれ、そこに嘱託医や常勤の先生がいらっしゃったら、その先生がきちんと処方して、それを薬剤師が調剤するという標準的なものは押さえておいて、臨時で微調整をするという表現にしておかないと、大本からメスを入れて処方権ということになると、医師の処方権と薬剤師の調剤権などにぶつかってきます。その辺はやはり注意した表現にしておいたほうがいいかと思います。
○洪参考人 教育現場から一言、説明を追加したいと思います。先ほど藤川先生から、いまも現場でこういった医行為をできる人がいるのではないかというお話がありました。看護師を大変評価してくださっているのには感謝したいと思います。実際に日本看護協会で行った教育を、18名が修了しております。認定の資格を取ってから10年、あるいは認定看護師の資格だけではなくて、専門看護師の資格を取得された方も、この18名の修了者の中にいらっしゃいました。その方たちが今回の医行為として挙げられているものを、いままでの教育でできるかというと、それぞれ自己学習はしているのですが、やはり系統的な学びをしていないので大変不安であるというところから、今回、養成調査試行事業では病態学、病態生理学、薬理学を強化して、その内容に沿った教育が行われました。それを修了されて、実際に医行為の習得が部分的にはできたのではないかと。
 ただし、その医行為の範囲については、領域によっては大変幅が広いということがあります。そのことに関しては今回3施設が、段階的に個々が実際にどのレベルを取得しているかということも見つつ、いきなりすべての医行為を場に広げるのではなくて、場を限定したり、業務の範囲もいま挙げている習得しているであろう医行為の部分的なものから進めていくことが、「段階的な事業の実施体制」という所で書かれておりますので、そういった点もご理解いただければと思います。
○永井座長 それは最終的にこの試行事業の評価の中で、もう1回議論になると思うのです。そもそも医行為なのか、いままでの看護行為の一環なのかということは、最後に、1年後に議論したいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。これは本当に実施の仕方次第です。それから各施設における状況、候補者のいろいろな能力、病院の体制次第です。やはりきめ細かい枠をつくっていただいて、事故のないように進めていただきたいと思います。また、折に触れて厚生労働省ともよくご相談いただき、我々のほうにも適宜情報を流していただいて、円滑に進めていただければと思います。特に評価というのは、かなり厳しい評価調査がいくのではないかと思いますから、各施設ではそれをしっかりご準備いただきたいと思います。そういうことでいかがでしょうか。それでは、最後に事務局からお願いします。
○石井補佐 次回の開催については日程調整の上、追ってご連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○永井座長 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)
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