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2011年3月7日 第2回船員保険制度に関する懇談会議事録

○日時

平成23年3月7日(月)17:10~18:15


○場所

全国町村議員会館 2階会議室


○出席者

岩村委員(座長)、菊池委員、大谷委員、大内委員、田中委員、立川委員、
江口委員、小坂委員、佐々木委員、三木委員、藤原オブザーバー、
中澤オブザーバー、高原オブザーバー
(事務局)
外口保険局長、唐澤審議官、武田総務課長、西辻保険課長
城全国健康保険協会管理室長

○議題

(1)傷病手当金の見直しについて
(2)給付の算定基礎が異なるため労災保険の休業(補償)給付の額が平成19年
   改正前の船員保険制度の給付額と異なるケースへの対応について
(3)その他

○議事

○岩村座長 それでは、皆様おそろいでございますので、ただいまから第2回「船員保険制度に関する懇談会」を始めさせていただきたいと思います。
 まず、本日の委員の出席状況でございますが、これにつきまして事務局の方から報告をいただきたいと思います。お願いいたします。
○西辻保険課長 本日の委員の御出席の状況でございますが、田付委員と清水委員が御欠席でございます。また、本日はオブザーバーといたしましてお三方に御出席いただいております。
 財団法人船員保険会の中澤常務理事。
 全国健康保険協会の高原理事。
 前回御欠席でした日本経済団体連合会の藤原経済政策本部長は本日御出席ですので、御紹介させていただきます。
○岩村座長 ありがとうございました。
 それでは、事務局の方から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○西辻保険課長 資料でございますが、まず最初に議事次第が1枚と座席図。
 資料1「傷病手当金の見直しについて」。
 資料2「労災保険の休業補償給付・特別支給金と船員保険の休業手当金・特別支給金との関係」。これはA4横のポンチ絵でございます。
 参考資料1「傷病手当金について(船員保険と健康保険の比較)」。
 参考資料2が先ほどの船員保険協議会の資料でもございましたが「船員保険の中期的収支見通しについて(2)(収入の見通し編)」。
 そのほか委員の皆様方には机上配付ということで、第1回の懇談会の議事録の概要。これはまだ御確認の途中ですので、未定稿という段階でございますが、配付させていただいてございます。
御確認をお願いいたします。
○岩村座長 資料の方はよろしゅうございましょうか。
 それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
 まず最初が傷病手当金の見直しについてでございます。これについては先ほど御紹介がありましたように、事務局の方で資料を用意していただいておりますので、まずそれについて説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○西辻保険課長 改めまして、保険課長でございます。
 前回2月7日の第1回の懇談会で資料を御説明させていただいたんですが、資料のつくり方につきまして、船員保険の実態を正確に表していない、あるいは誤解を招きやすいという御指摘がございまして、そういった辺りを修正して委員の皆様に御確認をいただいた上で、資料をつくり直したところでございます。あらかじめ各委員の皆様には修正したものについて、御案内をさせていただいているところでございますが、資料1の1ページ「3 船員保険制度における傷病手当金の見直しの考え方」でございます。
前回提出いたしました資料につきましては、文章のほかに※で、健康保険の傷病手当金の支給期間は1年半であるところ、船員保険は3年であるといったこと、あるいは支給の金額は標準報酬の多寡等に大きく関係してくるわけでございますけれども、これが健康保険と比べてかなり差があるといったことが書いてございましたが、今回の見直しの提案と直接関係ないということで、そういったところを削除いたしまして、かつ、前回の御議論も踏まえて3のところを修正させていただいております。
 1つ目の○でございますが、健康保険制度に関する焦点につきましては、全国健康保険協会から給付の重点化あるいは不正受給対策の観点から、見直しの要望があった。他方、船員保険につきましては前回、高原オブザーバーからも御説明があったように、不正受給は確認されていないものの、傷手は健保と共通の制度であるので、船員保険としてどう考えるのかというのが1つ目です。
 もう一つ、船員保険の財政状況等を踏まえ、保険給付の中での現金給付の位置づけ、支給額の水準等についてどのように考えるのかということで、整理をさせていただいております。
 以下、資料につきまして簡単に御説明をさせていただきますが、おめくりいただきまして2ページでございます。これは前回も付けさせていただいておりましたが、陸上の健康保険に関しまして昨年、社会保障審議会医療保険部会に提出した資料でございます。傷病手当金の見直しにつきまして、協会けんぽから何点か見直しの提案があったところでございますが、上限の話、実際に支給の基準となる報酬額のとらまえ方の話、加入期間要件の話等々ございましたけれども、結果的には上限の設定というところが、おおむねオーソライズされたと受け止めているところでございます。
 3ページ、これは前回、医療保険部会においてはどういう意見があったのかということを、改めて整理するということで説明していたものでございました。
 1つ目の御意見でございますけれども、今、標準報酬の最高等級に見合った傷手の支給額は81万円でございますが、この上限については一定の水準ということはあるのではないのか。ただ、その場合は国際基準への留意ですとか、保険料を報酬に比例してとっているというその上限と給付の上限が違うことを、どう説明するのかを検証してほしいという御意見がございました。
 次に、やはり保険料を報酬比例で徴収しているということとの整合性の整理が必要。ただし、社会的に見て相当なレベルで上限を設定することは、諸外国の立法例等を見てもできないということではないのではないかという御意見がございました。
 更に、支給上限を設けるという考え方についてはある程度やむを得ないが、やはり負担等の違いということの問題点をちゃんと検証してほしいという御意見。
 4番目ですけれども、諸外国の傷手の例を見るとかなり低いので、その辺も参考になるのではないかという御意見。
 ILO条約との関係では当たり前の話ではありますが、抵触する場合にはその条約に沿ったものをという御意見がございました。
 4ページが今の医療保険部会での議論とも関係してくる資料でございますが、これは全国健康保険協会から提出があった資料をそのまま付けておりますけれども、諸外国の傷病手当金の考え方でございます。日本は支給率が3分の2ということでございますが、イギリスに関しましては定額ということで、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェーにつきましては、それぞれ7割、5割、8割、100%となっておりますが、括弧で書いておりますように上限を設定しているということでございます。上限の金額につきましては、それぞれの国の家計の消費支出の状況等々も含めて、それぞれの国の哲学が恐らくあるんだろうと考えております。
 5ページのILO第102号条約は、医療保険部会で国際基準についての言及があったことに対する1つの説明資料でございますが、ILOの102号条約は社会保障の最低基準に関する条約でございますけれども、この条約自体は海員あるいは海上の漁船員については適用されておりません。船員の方に関しましては別途ILOの条約がございまして、日本が批准している条約もあるわけでございますが、いずれの条約につきましても現金給付の支給水準に関するものはございません。陸上の労働者よりも不利にならないようにといったことを書いておるものはございます。
 陸上の労働者の傷手の水準に関する条約の基準というのが、2つ目の四角のところにございます。65条でございますが、1つが従前の勤労所得の45%以上というものが最低基準として記載されております。もう一つ、ただし、最高限度額を国内法令で定めることができ、その場合の水準というのは男子熟練労働者、平均の大体1.25倍の所得以下の方について、すべての方が45%以上ということで、これはかなり低い水準ではないのかと思っております。
 6ページと7ページが、船員保険と協会けんぽの傷病手当金の支給実績のデータでございます。そもそも船員保険と協会けんぽでは制度が違っている部分があり、保険者の財政規模も違っておりますので、そこは比較と言いますよりは、それぞれ制度が違っている部分が反映された形の支給状況になっていることがわかるということでございます。
端的に言いますと6ページ真ん中の参考の2段目ですが、保険給付費に占める傷手の割合ということで、船保は大体最近は9%台で推移しておりますけれども、協会けんぽの場合ですと4%弱ということです。これは、船員保険の場合には支給期間が陸上と比べて倍の最長3年間ということが制度上決まっておりますし、任継になってからも傷手の支給があり得る。また、下から2段目の平均標準報酬月額はアベレージで見ても10万以上の差がある。当然これは支給額にも大きな影響を及ぼしてくると考えられますので、こういったところが保険給付に占める傷手の割合の違いに表れているんだろうと考えております。
 8ページと9ページでございますが、これは前回もお示しした資料でございます。9ページからまいりますと、これは船員保険の疾病部門の直近数年間の収支状況でございます。疾病部門ということで職務上と職務外が実は分かれていない形でございまして、職務外だけ取り出した数字は従来つくっていなかったということですが、平成15年から平成21年まで、上外含めると単年度収支差は黒字であるものの、黒字幅は小さくなってきております。
 8ページはまさに職務外の部分のみでございます。平成22年度の数字と平成23年度の見込み、これは12月時点ということでございますが、赤字が出てきておるということでございます。
 参考資料2をごらんいただきたいんですけれども、先ほど船員保険協議会の中で御説明がありましたので、詳細は省略させていただきますが、5ページのところでございます。これは非常に簡便な方法で一定の前提を置いて推計を行ったという御説明が、全国健康保険協会からございましたが、保険料の収入を見て、やはり平成23年度から目先5年ぐらいの間は大体2%程度落ち込んでいくだろうということ。他方、被保険者数に関しましては次の6ページで、1%台半ばから後半ぐらいの伸びだということです。これにつきましては先ほど協議会の中でも、まだ見込みが甘いのではないかという御意見もあったところでございます。
 以上のような資料を踏まえまして、また資料1の1ページ目に戻っていただきたいのですが、船員保険における傷手について上限をどう考えるのかということでございます。医療保険部会でもいろいろ議論がございまして、報酬から保険料を応能でとっていることとの関係というのは、やはり整理をしなければいけないという意見は多かったと思いますが、私どもといたしましては、上限を設定することが全くの考え方の変更とまでは思っておりません。上限をどの水準で設定するかにもよりますけれども、上限以下の方につきましては引き続き3分の2の支給割合が維持されるということで、特に高い水準に上限をかけることに関しましては、やはり船員保険の疾病部門の財源が被保険者あるいは船舶所有者の保険料から成り立っていること、国庫も入っておりますが、そういった社会保険の性格から考えると、一定のところで上限を設定することは国内法的に考えて、おかしいということではないだろうと考えています。
 以上、資料の説明でございますので、よろしく御審議をお願いいたします。
○岩村座長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料1につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。大内委員、どうぞ。
○大内委員 資料の内容に関する質問の前に、考え方について申し述べておきたいと思います。
 前回のときにも多少申し上げましたけれども、船員保険の職務上部分と失業保険部分が陸上の保険に統合されていくという移行がございました。そのときに私どもは海上労働の特殊性という部分でのお話を申し上げた。陸上の方に移行されていくということで、その辺の移行後の取扱いについて、陸上の皆さんでいろんなことをお決めになられている。でこぼこの部分を勝手に削り取られることについては、これは我々としては大きな問題としてとらえます。
 そこで船員保険部分については今、懇談会が立ち上がりましたけれども、船員保険協議会の中で決定をさせていただく。そういうことで協会の運営委員会でも、その辺については尊重していただくということで移行に入ってきたんです。
そこで私は何を言いたいかといいますと、今回陸上の保険部分、船員保険でない部分の陸上の皆さんの協会けんぽの保険について、上限をこういうことで設定したから、それにならうような形で船員保険も認めてほしいという御提案と、私は受け止めました。それは船員保険の独自性といいますか、これを陸上が決めたら海もこうだという形で押しつけられることを、当時かなり私どもとしては強い懸念を持って、そういう話を移行時に当たってさせていただきました。今回はその辺の懸念をこのような形で表していることに、私どもとして上限の見直し、あるいは上限の設定に関して、陸上が決めたから海上もこうだという話では、受け入れ難いということを基本に思っております。
あえてこの場で付け加えて申し上げさせていただきますと、船員保険法というのは今、疾病部門だけで残っておりますけれども、そもそも船員保険法というのはどういう形で成り立ってきたのか。あえて私の方から申し上げるまでもないかもしれませんが、これは労働基準法、陸上で言うところの労働保護法でございますけれども、その中に唯一入っていないのが船員でございまして、そのために船員法というものが船員という唯一の職業に対する労働保護法という形で、陸上の労働基準法に入らなかったわけでございます。
これはなぜ外れてきたのか、なぜ船員法が労働保護法になったのか、こういうところのいきさつ、経緯もいろいろありますけれども、そういう形で分かれて、それに基づいて船員保険法が定められ、あるいは船員中央労働委員会が定められ、それに関連する独自の船員職業安定所も独自に定められてきている。こういういきさつがございます。
そういうところからこの問題が発生をしてきている中で、時代の変遷とともに船員保険の被保険者数がどんどん少なくなってきた。そういう意味で陸上の保険と統合という部分については、時代の趨勢ということからやむを得ないという形で、先ほど申し上げた職務上災害部門の労災保険への統合、失業部門の雇用保険への統合。唯一残ったのが疾病部門、健康保険部門となったんです。
陸上の方に統合されるのはやむを得ないけれども、海上労働の特殊性を過去の経緯も含めて、そういうところをきちんとお認めいただく。そういう中での船員保険制度についてどうするかという問題提起であれば、我々も真摯にその内容について臨んでいきたいと思いますが、陸上の方がこうだから海もこうやるということに関しては、私どもとしては受け入れ難い理由でございます。内容的にはいろいろと資料を出されておりますけれども、そのことについて否定をするつもりはございません。そういうことをまず意見として申し上げておきたいと思います。
そこで、このことだけ言ってしまって、あとは知らぬということになるかと思いますが、船員保険法について陸上がこうだから海上もこうだということとは、一線を画していただいて、船員保険の問題としてこの場で審議をしていただくんだということを明確におっしゃっていただければ、あえてこれ以上のことはないだろうと思います。
以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。では、保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 今回、船員保険で見直しの提案をしたことに関してですが、陸上の方で健保でやったから直ちに船保も同じようにという趣旨ではございません。健康保険の方は特に協会けんぽが給付の重点化、もう一つ不正受給防止対策という観点から提案をし、議論の結果、上限設定がある程度合意されたと考えておりますが、船員保険に関しましては先ほど資料の中でも御説明いたしましたように、不正受給防止といった観点からの問題は少なくともないということです。
他方、給付の重点化は財政状況とも密接に関係してくるわけで、保険料を財源として制度を維持する中で、船員保険も先ほど中期的な収支見通し、特に収入の方でございますが、決して楽観はできない中で、船員保険独自の問題として給付の重点化を議論することは、やはりあってもいいのではないかということでございます。したがって、陸上がやるからすぐに船保もやってくださいというところまで申し上げているつもりは、ございません。
 また、労働者保護の根拠法規が労働基準法ではなくて船員法で構成されていることはよく承知しておりまして、そこから事業主の責務というものも当然違ってきていると理解しております。したがって、その法律の構造を反映するような形で保険の法律でも、先ほども傷手についての制度の違いも御説明申し上げましたが、やはり船員労働、海上労働の特殊性を踏まえた措置というものは行われているのが現状だと認識しております。
○岩村座長 ありがとうございます。三木委員、どうぞ。
○三木委員 資料1の9ページを拝見いたしまして、船員保険の単年度収支決算(疾病部門)の単年度収支差がどんどん逼迫してきているというところが、非常に気になっております。
 私どもは内航海運業を代表して出席させていただいておりますが、今のリビア情勢を踏まえて燃料費が高騰していることもあり、また、国際的に日本の経済が非常に厳しい状況にあって、我々の荷主産業がどんどん海外に逃げ出している。あるいは国内に残るところも統合合併しスリム化している中で、我々の収入そのものが今後急速に減るという状況にございます。
そういう中で我々の負担が非常につらくなってきて、恐らく4月以降の新年度については一体どういうことになるのか。内航総連合会でも皆さん非常に心配して議論しておりますが、こういう状況の中で今後は負担が増えるという点については、とても難しいということを是非御理解いただいて、是非我々の状況を御理解いただいて、支出を少しでも協力していただきたいと思います。
陸上の話はちょっとよくわからないところがあるので置きまして、我々海運事業者が仕事として働いていただいている船員の皆さんの給付金につきましても、我慢できるところはできたら我慢して下げていただきたいとお願い申し上げます。非常に厳しい状況にあることは御理解されていると思いますが、ひとつよろしく御理解をお願いしたいと思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございました。大内委員、どうぞ。
○大内委員 今、三木委員からお話がございましたけれども、上限を見直したら保険料率が少しでも低くなるんですか。その辺を教えてください。
○岩村座長 保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 仮に上限を設定する場合、どこに上限を設定するのかという考え方にもよりますが、当然上限をうんと低いところに設定すれば、財政影響も非常に大きいということだと思います。場合によっては数億という数字が出ることもあるかと思いますけれども、やはりこういった上限の設定というものに今までと若干違う考え方を入れるということであれば、そんなにたくさんの方が該当するような水準には、仮に設定するにしても設定できないとなれば、おのずと財政影響というのは数千万程度に小さくなってくる。ただ、小さくなってくるから保険料にどの程度影響があるのかないのかという議論になりますと、小さいながらも船員保険のファンド自体にいい影響を与えることは間違いないわけです。ただ、その影響というのは結果的には小さいという形にならざるを得ないのではないかと思っております。
○岩村座長 では、田中委員、お願いします。
○田中委員 意見でございますけれども、総論的には今おっしゃったようなことかもしれませんし、三木委員がおっしゃるようなことなんだろうと思います。ただし、例えばこの事業を運営するためにどう経費を見直していくかとか、そういう議論というのはいいわけですけれども、そもそも保険の制度の給付を削減することを前提に議論するのはおかしいですし、経営が厳しいからといって事業主として保険料負担をするというのは当然のことですから、そういう経営の問題をこの種の話に持ち込むというのは、まず考え方が間違っていると申し上げたいと思います。
 その上で今回の提案内容を見れば、これはほとんど精神論に近いのではないかと思います。保険課長は陸上がやっているから船員でもやってくれというものではないと冒頭に発言をされておりますけれども、しかし、実際にこれで収支がどう改善するかということについて言えば、影響はなくはないという話をされているわけで、すなわちほとんど精神論に近いような提案ではないかと思っています。ですから、保険制度とは何かと言えばまさしく相互扶助の保険制度ですから、それらについて単純にこういう精神論を持ち込むというのはいかがなものか。これは反対だということを申し上げます。
 仮に保険収支の問題で、このことを例えば導入しなければ財政的にこうなる。そういう状況であれば、それはそれぞれ議論をして、具体的にこういう措置をすれば、これだけの収支改善があって、この制度はこういうふうになるんだということでコンセンサスが得られていくと、我々も理解をすることになると思いますけれども、あえて先ほど数億という数字を挙げておっしゃいましたが、果たしてそういうことなのか。数億にするんだったら、どれだけ下げたら数億になるのかよくわかりませんけれども、今の発言はちょっと軽い発言を課長はされたのではないかということでございます。
 保険給付を単純に収支が厳しい、経営状況が厳しいからと言って下げることは、ナンセンスだと申し上げたいと思います。
 以上です。
○岩村座長 三木委員、どうぞ。
○三木委員 今の御意見の気持はよくわかるんですが、我々は民間事業者でございますので、経営が厳しいということは根本的な問題だと思っております。ここは御理解いただきたいと思うんです。我々が払うべき保険料がどこかからわいてくるわけではございませんので、事業の中で何とかそれだけのお金をつくり出して、保険料として国に納めているわけでございますから、経営が厳しくなったときにはこれができなくなって、場合によっては海運業から撤退していくことにつながっていくわけです。
 今、課長の方から数億かもしれないという概略のお話もいただきましたが、こういったことを積み上げていって、何とか我々は生き抜いていきたいと考えております。こういう非常に切羽詰まった厳しい状況にあることも御理解をいただきたい。とにかく払えばいいと言っても払えない状況になりつつあるということを、是非御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○岩村座長 ありがとうございます。今、数億というところが独り歩きしているんですが、先ほど課長もおっしゃいましたように大幅に下げればという仮定での話でして、そこのところは御注意いただければと思います。そうするぞという話ではありません。
○田中委員 数億下がるというのは、一体幾ら下げたら数億になるのか。そんな発言を議事録にわざわざ残すんだったら、そこまで発言してもらわないと、その発言は無責任だと言っているんです。
○岩村座長 保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 私は先ほど、大きく下げると数億という効果があるかもしれませんが、実際にはこういうものでいきなり多数の方が上限に該当するのは難しいと思うので、そうなるとやはり数千万となるのではないかと思いますという発言をさせていただきました。
○岩村座長 小坂委員、お願いします。
○小坂委員 今の制度といいますか、私どもが労使合意の中で新しい保険という姿の中に来て、まだやっと1年に入ってきたばかりです。先ほど大内委員からもありましたように、船員の特殊性は将来的にも尊重していくという前提でやっている。もう一つは私なんかも多分話をさせていただいたと思いますけれども、保険料率を基本的には変えない。それはいつまでもではなくて、当分の間は変えないという前提で来たわけです。
これは私の表現の仕方が悪いと思うんですけれども、舌の根も乾かぬうちにこういう形というのは、私はいかがかなと思うんです。まだあと1年ぐらい、こういうことが社会全体としてはあるということを十分認識をしながら、議論をちゃんとやっていかなければいけない。ぱっと出てきて、課長からは陸上がやっているから海上もということではないとおっしゃられましたが、やはり普通に考えたときには制度が1つなんだから何でもかんでも合わせるんだ。あと10年もすると船員の特殊性はなくなるんだと聞こえなくもない。
私としては、この議論は余り性急にやるべきではないのではないか。三木委員のおっしゃることも、十分私どもも経営サイドとしては理解をしています。だけれども、やせ我慢はする必要ないが、我慢できるところはやっていかなければいけない。三木さんのところでは我慢も限界にきているというお話しかもしれないけれども、少なくとも赤字の見込みというか、黒字の見込みというか、先ほどは収支差額がだんだん小さくなってきていると言うけれども、まだ今のところ12億ぐらいの収支差額があるというか、出るという姿になっているわけです。
そんなことこんなことを考えると事実は事実として、医療保険部会の議論は議論ということで我々も十分理解をしていますし、2回にわたって資料もいただいておりますので、それは社会の状況は理解しております。
 もう一つ、我々はいつまでもかたくなに一切だめだと、特に漁船は言うつもりはありません。というのは、やはり国庫補助という部分がこういう部門にはすべて付いています。そのときに今日、明日ということではないにしても、将来的には我々が苦しければ苦しいほど国庫補助に頼っていかなければいけない部分、もしくは国庫補助を小さくされては困るという状況も片一方ではあるわけです。そういうことを考えて議論はしていかなければいけないですけれども、すぐにということに対して私は反対です。
○岩村座長 ありがとうございました。江口委員、どうぞ。
○江口委員 先ほど来から船員職業の特殊性は大内委員、三木委員、小坂委員なども、その特殊性はあるということを強調されております。私もそう思います。我々業界全体的に疲弊しております。そういうところから三木委員の言われる本当に厳しい、だから何とかなりませんか、話し合いを持ってくれませんかという話も重々理解できます。小坂委員の言われるとおり、余りにもこれは性急過ぎるのではないかという気が私もいたします。話し合いはしていかなければいけないということは、私たちも理解しております。陸上と比べないということは当然のことですけれども、余りにも高過ぎる支給額については議論をしていく余地はあるのではないかと私は思います。
 以上です。
○岩村座長 ありがとうございます。大内委員、どうぞ。
○大内委員 使用者側の皆さんの御意見ということで今、拝聴いたしました。私どもは何を一番今回のこの問題で懸念をしたかといいますと、陸上がこうしたから海上もこうだということで、移行してから初めての場面なんです。こんなことを許してしまったら、次回以降どんどん陸上がこう決めたから海上もこうだということでやられてしまうのではないかという、ものすごく強い危惧感を持っておりまして、そういうことはやはり我々としては内容のことも当然ありますけれども、まずその辺が今後の船員保険制度の見直しの議論に大きく影響してくるのではないかと思っております。
そういうことで私どもとしては使用者側の皆さんの御意見も含めて、内容的なことも十分に理解し、このような形での初めての懇談会における本件の提案について、強い危惧感を持っているということだけ申し上げておきたいと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。佐々木委員、どうぞ。
○佐々木委員 これまでに出た意見の繰り返しになるかとは思いますが、協会けんぽと何もかも合わせる必要はない。更に先ほど説明の中にありました外国の例も出ております。外国の制度を全部取り入れろという気は毛頭ありません。船員労働、海上労働の特殊性は十分考慮されてしかるべきだと思います。ただ、余りにも船員保険の特殊性を強調することがなく、協会けんぽに合わせるという意味ではなく、保障部分の上限についての検討を始めることは、是非進めていただきたいと思っております。
○岩村座長 ありがとうございます。立川委員、どうぞ。
○立川委員 私も基本的に現時点でこの見直しをするというのは反対であります。先ほど組合の委員からも、経営側の方からも出ておりますけれども、制度が始まってまだ1年です。前回の3分の2に上げた時点は平成19年と聞いております。まだ数年しか経っていない。そういうような制度の変化を急激に、まして統合された移行過程を入れてまだ1年しか経っていない時点で新たな制度に変えることは、ユーザー側としてはなかなか納得できないし、不安定というか、不安感を非常に持つ。そういう意味ではある程度安定感を持つまで、現制度を維持していただきたいというのが私の意見です。
○岩村座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。大内委員、どうぞ。
○大内委員 今日提出された資料の1つに、諸外国における傷病手当金の上限額ということで、イギリスを始めノルウェーまで記述がございますが、挙げられた国のすべてということではございませんけれども、この国の中に船員に対して海上労働の特殊性という観点から、社会保険料の負担額軽減措置をとっている国もございます。そういう中での支給ということで、そういうところもこの中に混ざっていることをあえて申し上げておきたいと思います。今日は手元に資料を持ってこなかったので、どこの国だったかは失念してしまいましたが、そういう国もあるということを是非申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
○岩村座長 小坂委員、どうぞ。
○小坂委員 今の大内委員のお話に関連するんですけれども、基本的に単純にこういう形で比較すること自体が私は間違っていると思います。この国では保険料はこれぐらいで、その中に占める国庫補助がどれぐらいで、結果としてこうなっていますというのであれば比較は当然あってもいいでしょう。しかし、ぱっと金額だけ出てきて大きいものから小さいものまで、イギリスにしてみれば20万か16万ぐらいで、ドイツは42万で、ノルウェーは49万と言われても、これで果たして資料として我々は見ていいのだろうかという気がしております。
 私は先ほども意見を申し上げましたけれども、少なくとも来年度の後半ぐらいまでは、この議論は凍結していただきたいと思います。立川委員のおっしゃっていた期間というか、なじむまでというのとは少し違うかもしれませんが、少なくともせめて2年ぐらいは経ってからという話でないと、何か違和感が先に来てしまう気がしますので、私はそういう意見を述べさせていただきます。
 以上です。
○岩村座長 田中委員、どうぞ。
○田中委員 ただいまの小坂委員の発言に全く同感でございます。私も議論そのものを否定しているわけでも何でもありません。ただ、先ほどは数億にこだわりましたけれども、もともとは不正受給という言葉、これは撤回されておりますけれども、陸上の制度で不正受給があった。要するにある時期、短期間等級を上げて、受給をもくろんでいるのではないかということが陸上の世界ではあった。そういう中で上限の見直し議論があったんであろうと思います。そういう中で今回船員保険でもこういう話がありました。
そこでやはり大事なことは、小坂委員もおっしゃったように性急にやるのではなくて、よく議論をし、必要があれば措置をしていくという姿勢が大事なんだろうと思います。その中であえて数字の話をしましたら、事務局から聞いている限りでは、今の内容であれば大体2,000万円ぐらい収支的に改善をする。これが全体の問題として2,000万円が本当に今やらなければいけないような金額なのかどうなのか。
経費の節減という方策は、工夫をして取り入れていかなければいけないんですが、繰り返しになりますけれども、こういう制度を導入して、そしてこの制度を維持するために本当に今やらないと制度が破綻してしまう。そういう収支状況になるのであれば、それは勿論逆にやらなければいけないわけですけれども、これをやったとして収支で言えば、たったの2,000万円の改善にしかならない。こういうことを提案してきて、また、資料の中では諸外国の例ということである部分だけを抽出して、その国の保険制度あるいは税制を含めて表記をしているものでない資料は、私も傷病手当金の引き下げを前提にした事務局の資料なのではないかと感じました。
ですから、議論を今後しないということでは全くありません。議論をしっかりして、この制度が長く維持できるように工夫をしていかなければいけないわけですけれども、その際に実際の収支の見込みとか、コスト改善の効果もしっかり議論をしてコンセンサスを得て、その後に必要な措置は実施していくというステップを是非踏んでいただきたいということを、要望しておきたいと思います。
○岩村座長 いろいろ御議論をいただきました。1つはやはり海上労働との違いという御指摘があり、陸上というか健康保険のサイドで議論があったからということでは、この議論はしてほしくないという基本的な御立場の表明があったように思います。
 他方で、そうは言っても船員保険として今回の傷病手当金の問題について議論をすることについては、大体皆様は議論すること自体はやぶさかではないという御意見だったと思います。
 ただ、そうすぐにという話でもないという御指摘もあり、更に財政面での検証等も必要ではないかという御指摘もございました。今日のところは前回、今回いただいた御議論あるいは御意見を踏まえて、事務局の方でなおこの問題について引き続き検討をしていただくところで、今日のところはまとめたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村座長 事務局、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 では、議題1については以上のようなところで、また事務局の方で御検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 用意しております議題としてはもう一つ、資料2が用意されておりますけれども、給付の算定基礎が異なるために、労災保険の休業補償給付の額が船員保険法の給付額と異なってしまうケースについての対応というのが、2番目の議題でございます。
それでは、まずこの問題について資料を用意していただいておりますので、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○西辻保険課長 資料2でございますが、A4横の1枚紙でございます。「労災保険の休業補償給付・特別支給金と船員保険の休業手当金・特別支給金との関係」という紙でございますけれども、前回の懇談会で清水委員から問題提起をいただきました。
平成19年の改正により、労災部分につきまして基本的な部分は陸上の制度に統合するということでございましたけれども、従前の旧船員保険と比べてでこぼこがございます。個々の船員の方で見て不利益になるような部分というものは、引き続き新船員保険から手当をするということが、19年改正のときの基本的な労使の合意だったと認識しております。
 その合意の下に、社会保険庁時代の事業運営懇談会において、これも岩村先生始め、御参集の皆様多くの方が関わられていたのではないかと思いますけれども、個別にどういったでこぼこがあるので、それをどういうふうに法的に手当するのかということが議論をされて、それが改正法の内容になったと承知しておりますが、今回御提案のあったものは、そこでは具体的な手当がされていなかったものでございます。
具体的には大きく四角で囲っている枠の部分がございます。これが旧船員保険から法定給付として支出をされていた、いわゆる職務上の傷病手当金の部分でございます。1日目から3日目は労災の方では待機期間になってございますが、船員保険では10割給付をする。4日目から4月目につきましても10割。5月目以降につきましては法定給付として6割なんですが、特別支給金という形でプラスの2割が上乗せをされていたというのが旧船員保険の形でございました。これが19年の法律改正によりまして一部労災に移ったわけで、例えば4日目から4月目のベースの6割の部分は、労災から休業補償給付という形で出ております。5月目から1年6か月目も同じでございます。他方、6~8割の部分につきましては労災の方でも法定給付ではなくて、特別支給金という形で支給するということをやっております。
これによって少なくとも制度に関するでこぼこは埋められたと思っていたわけですが、問題はそれぞれ労災なり船員保険なりで給付をするベースとなる日額の算定方法が違っているということです。労災の場合は端的に言いますと、過去の御本人の賃金の実績をベースにする。陸上の労働者は従前より3月を見るということでしたけれども、船員の方に関しては1年間の実賃金を日額のベースにするということでございます。
 他方、旧船員保険、今の船員保険もそうですけれども、その考え方は、その方の実賃金ではなくて、過去1年間その方が乗船していたであろうということを前提とした金額となりますので、例えば不定期で操業する漁船の方等につきましては、この部分で労災の日額と船員保険の標準報酬の日額との間で、差が出てくることが想定されるということでございます。
 当然、日額の考え方が違いますので、支給額に差が出ることは恐らく19年の段階でも皆様認識はされていたのではないかと思うんですが、それが大きな差になるのかどうかというところで、特段の対応はとられなかったんだろうと承知しております。ただ、19年の改正に際してのコンセンサスからいくと、この部分について大きく不利益が発生している場合については、何らかの手当てをするということ自体は、決しておかしい話ではないと思っております。
 次に、その手法をどうするかということでございますが、実際に差額が出る可能性がある部分を図示しておりますけれども、まず4日目から4月目の6割の労災から出る基本部分の上に薄くマル1と乗っております。つまりこの6割の部分について、日額で差が出る場合には薄く差が出てくるだろう。同じようなことは5月目から1年6か月の6割部分にもありますが、ここでは今度は6~8割の部分にもマル2とありますけれども、これは福祉事業として労災保険から出ている特別支給金の算定のベース、これも同じ日額を使っておりますので、ここでも差が出てくる可能性がある。つまり法定給付の部分で差が出てくる部分と、福祉事業の部分で差が出てくる部分、大きく2つがあると思っております。
 制度的には旧船保の方で法定給付として出ていたものとしてマル1の部分があるんですが、マル2につきましては旧船員保険の時代から福祉事業としてやっておりましたので、仮に今回手当をするにしても、マル2の部分は福祉事業として例えば特別支給金という形でやらざるを得ない。ではマル1を法定給付にしてマル2を特別支給金にするのかという議論もありますが、1つ問題になりますのは、実はマル1の部分というのは省令以下の細かい日額の算定ルールから発生する差異でございまして、法律上明確にその差異を認識できるのかどうかという問題がございます。したがって、法律上の手当ができるのかどうかというのは、技術的な問題ではありますが、政府部内でも調整をしなければいけない話だろうと思っております。
 もう一つは法律改正ということであれば、法律を出すタイミングに合わせてやることになるんですけれども、そこまで待つことを許容できるのかどうなのかということでございます。実際に前回の清水委員のお話ですと、倍違っている方がおられるということでしたので、それは御本人にとってみると大変な問題なんだろうと思っております。
 マル2の部分はどちらにしても福祉事業という形で実施しなければいけないわけですから、マル1とマル2を併せて特別支給金ということでやるというやり方も、救済のスピードという観点、御本人が申請を2種類出さなくて1種類で済むという問題、あるいは協会サイドの決定に関する事務の問題も含めると、簡便な方法ではないのかなと思っております。それで御了解が得られるようであれば、私どもの方から保険者である全国健康保険協会に対しまして、このマル1とマル2について特別支給金という福祉事業の枠組みで実施することについて、働きかけを行っていきたいと考えております。
 説明は以上でございます。
○岩村座長 ありがとうございました。それでは、今の資料2の説明につきまして御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。立川委員、どうぞ。
○立川委員 私どもとしては、清水委員から提案した案件に関しまして答えていただいたということで、今お話をいただいた特別支給金での補足でやっていただければと考えているところです。
○岩村座長 ありがとうございます。今の件につきまして船主側は何かございますでしょうか。
○佐々木委員 ありません。
○岩村座長 よろしいでしょうか。
○立川委員 それで補足させていただきたいんですが、法的な問題もあるということで今、御提案というかお話がされました。特別支給金としてとりあえず入っていただく。その後、法定的なものでカバーされる部分があれば、是非やっていただきたいというのが1つ。
 既に半額になっているという方もおられますので、できましたら遡及実施という形を考えていただけないかということを、御要望として申し上げておきたいと思います。
 更には遺族給付ですとか障害給付という算定ベースが同じ形のものについても、同様な扱いをしていただければと思っております。その辺よろしくお願いしたいと思います。
○岩村座長 保険課長、お願いします。
○西辻保険課長 まず今回とりあえず特別支給金でやって、その後、法的にという話でございますが、そもそも法的にできるのかどうかというところが率直に言って現段階では定かではないというのと、一旦福祉事業でスタートした後、法律改正をして法律に乗せるだけの改正理由が出てくるのかどうかというところも、法制的には結構詰められるところなので、そこは御要望があるのであれば検討はいたしますけれども、ここでお約束はなかなか難しいと考えております。
 既に半額になっている方がいるだろうという話でありますが、仮に特別支給金でやるとなると、全国健康保険協会で実施している船員保険の福祉事業としてどうするのかということですので、形としては特別支給金の実施規定を変えるということなんですけれども、恐らくその前の段階として、船員保険協議会で具体的にどういうやり方をやるのかということは、恐らく議論されるのではないか。少なくとも御報告なり何なりはあるのではないかと思っておりますので、その段階でまた御意見をいただくということかと思っております。
 3点目の遺族給付、障害給付は職務上の話だと思いますが、同じように給付基礎日額を使っておりますので、同じような問題というのはどれぐらいのケースで出てくるかわかりませんけれども、発生する可能性はありますので、それにつきましても併せて特別支給金での対応を働きかけていきたいと考えております。
○岩村座長 高原オブザーバー、お願いします。
○高原オブザーバー オブザーバーの立場で発言をお許しいただきたいと思います。いずれ船員保険協議会の場に移して具体的な議論が始まるのかなと聞いておりましたが、若干実態を申し上げさせていただきます。私どもも手元の資料で平成22年中に発生した労働災害で、労災保険の給付を受けた約540名の被保険者の方につきまして、取り急ぎ集計してみました。そうしましたら、船員保険の標準報酬日額よりも労災の給付基礎日額の方が低いケースが問題になっているわけですけれども、これが約55%。逆に労災保険の給付日額の方が大きいケースが約45%という比率でした。
 問題になっております労災保険の給付日額の方が船員保険を下回るケースについては、乖離幅を平均でとってみますと大体約2,200円。1万円を超えるケースが10件。一番大きいケースで2万円を超えるケースが1件ございました。こういう実態を制度の移行に伴ってやむを得ないものと考えるのか、基本的に従前の給付額の水準を維持するという観点から船員保険で対応するか、そういう考え方の問題が1点。
 2点目ですが、仮に福祉事業で対応することになった場合に対象者をどうするか。乖離のケースというのは一番低いケースは3円とか4円のケースから、1万円を超えるケースまでありますが、そういう場合に仮にすべてを対象にするとした場合、かつ、平均してお一人が受給される期間が6か月と仮置きしますと、ざっくりとした計算で年間の財政影響というのは7,000万円程度という試算です。こういう財政影響をどう考えるかという点が2つ目です。
 最後3点目ですが、今回の問題は短期給付について生じている問題ですが、事柄の性格から言いますと給付基礎日額と標準報酬日額の違いというのは長期給付でもあり、障害年金、遺族年金にも影響してくるものですので、この問題をどう考えるかというのが第3点目です。
 財政影響は先ほど短期給付について申し上げましたけれども、長期給付の場合は非常に不確定要素が多いので、なかなか財政影響を試算するというのは難しい面があります、いずれにしても長期給付にもこういう措置をするとなると、かなり長期にわたって財政影響が生じていく。そういう点をどう考えるのか。ざっと思いつくだけでその3点は、いずれ船員保険協議会で場を移して議論をする際に論点になってくるのかなと思いますので、あらかじめ念頭に置いていただければと思います。
○岩村座長 ありがとうございます。今、御説明いただいたとおり、いずれまた船員保険協議会でこの問題を取り上げることになるでしょうけれども、今、高原オブザーバーからもありましたように幾つかの検討課題があるということですので、またそれも念頭に置きつつ御検討いただければと思います。ほかに御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでしたら、本日の議事についてはこれで終わりとさせていただきたいと思います。
今後の予定につきまして事務局の方から御説明をいただきたいと思います。
○西辻保険課長 今日は遅い時間からの開催で大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。熱心に御議論いただき、ありがとうございました。ちょうだいした御意見を踏まえて、また検討を進めてまいりたいと思います。
 今後の予定でございますが、またいろんな状況を見て座長と相談させていただいた上で、開催させていただければと思っております。
○岩村座長 ありがとうございました。今日は遅い時間の中、皆様に御熱心に御議論いただきまして、他方で議事の進行に御協力いただきまして早く終えることができました。ありがとうございます。
 それでは、今日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
厚生労働省保険局保険課: 03-5253-1111(内線3250)

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