ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第46回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録




2011年3月31日 第46回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成23年3月31日(木)
17時00分~19時00分


○場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)


○出席者

【公益委員】今野分科会長、岩村委員、佐藤委員、平木委員、松矢委員
【労働者代表】石上委員、市川委員、桑原委員、斗内委員
【使用者代表】大島委員、高橋(弘)委員、
【障害者代表】川崎委員、副島委員、松井委員

【事務局】

中沖高齢・障害者雇用対策部長、土田高齢者雇用対策課長、山田障害者雇用対策課長、佐藤主任障害者雇用専門官、上野障害者雇用対策課調査官、西川障害者雇用対策課長補佐

○議題

(1)障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)平成22年障害者雇用状況報告について(報告)
(3)障害者雇用率達成指導の見直しについて(報告)
(4)平成23年度予算及び税制改正事項について(報告)
(5)その他


○議事

○今野分科会長 時間になりましたので、第46回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催します。本日は、菊池委員、高橋睦子委員、新澤委員、萩原委員、鈴木委員、斉藤委員がご欠席です。議事に入る前に、委員の交替がありましたので事務局から説明をお願いします。

○障害者雇用対策課長 委員の交替について報告します。お手元の資料の中で、「障害者雇用分科会委員等名簿」に下線を引いている方が、前回開催の4月以降に新たに委員となられた方です。労働者代表の花井圭子委員、野村泰弘委員、矢鳴浩一委員が辞任され、後任として日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局長の市川佳子様、全日本自動車産業労働組合総連合会副会長の桑原敬行様、UIゼンセン同盟労働条件局長の斗内利夫様が就任されました。また、使用者代表として飯ヶ谷清明委員が辞任され、後任として株式会社日立製作所労政人事部長の萩原靖様が就任されました。先ほど分科会長から連絡があったとおり、萩原委員はご欠席となります。
 なお、事務局についても人事異動がありましたので報告させていただきます。高齢・障害雇用対策部長の中沖部長です。組織改編により、企画課長から名称が変更になっていますが、高齢者雇用対策課長の土田課長です。障害者雇用対策課の調査官の上野です。説明している私が障害者雇用対策課長の山田です。どうぞよろしくお願いします。

○今野分科会長 お手元の議事次第に従って進めます。第1番目の議題は「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。事務局から資料の説明をお願いします。

○障害者雇用対策課長 資料の中の資料1-1と資料1-2が最初の議題の資料になりますのでこちらをご覧ください。資料1-1が諮問の内容です。1頁めくっていただくと「省令改正案の要綱」になっています。省令案の要綱の第一として納付金制度による一部の助成金の廃止、第二として障害者職域拡大等研究調査の廃止、第三その他として施行日等を記載しています。
 第一の助成金の廃止については、後ほど資料1-2で説明します。先に第二の調査の廃止について簡単に説明します。これまで障害者雇用納付金によって実施していた調査について、この調査結果の内容を踏まえて、ここで出てくる調査のアウトプットが事業主のみならず、障害者の就労支援を行う団体等の活動にも資する調査結果であることから、今後は運営費交付金で実施していくことを予定しているため、省令上から削除することになっています。なお、調査自体は今後とも運営費交付金により実施していくことになります。
 第一の納付金助成金の廃止については資料1-2をご覧ください。今回の助成金の見直しについて、その背景と考え方等について説明します。資料1-2の最初の頁です。上の段の見直し概要にあるように、今回、厚生労働省内に設置された雇用対策実態把握PTの指摘を踏まえて、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の第一種と障害者介助等助成金のうち業務遂行援助者配置助成金について支給要件等の見直しを行うとともに、今後はこの事業を雇用保険二事業で実施するというものです。
 見直しの契機となった雇用対策実態把握PTの指摘の概要ですが、下段の四角囲みの中にあるように、最初の○にあるように、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金については、支給の対象範囲や限度額について検討が必要であるというものです。2つ目の業務遂行援助者配置助成金については、支給期間や援助者が行う業務内容などについて検討が必要なものです。3つ目の○については、双方の助成金に共通の話です。ハローワークにおいて、職業紹介、雇用率達成指導に併せて周知、円滑な支給ができるようにすべしというものです。
 それぞれの助成金について説明します。1枚めくっていただくと、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金についてです。現行制度は、この頁のいちばん上の段にありますが、記載がある対象労働者について新規に5人以上雇い入れる。結果、継続して雇っている障害者の方と合わせて10人以上雇用して、その数が労働者全体の20%以上である場合に、新規雇用者数に応じて1.5億、または2億円を限度として支給するのが現行のスキームです。この助成金については、中ほどにあるPTでの指摘にあるように、PTは厚生労働省の職員が実際助成金を受け取っている事業主を訪問して実態調査をするものですが、資料の中ほどの四角囲みにあるように、例えば2つ目の○の支給要件には、障害者の雇用の促進に資するような地域における支給要件を付してはどうかといった指摘。3つ目の○にあるように、助成額が2億円など、障害者1人当たりの助成額が高額であるために支給額の検討が必要ではないかという指摘。4つ目の指摘として、周知不足のためにハローワークにおける雇用率達成指導等と併せて周知を行うことが効率ではないかといった指摘を受けています。
 こういったPTでの指摘を踏まえて、最後の四角囲みにある赤字部分の見直しを行いたいと考えています。具体的には、2つ目の○に相当する支給要件に地域における障害者雇用の促進に関する貢献度を追加するということを挙げています。ここは、赤字で書いていませんが、地域における障害者雇用促進に関する貢献度などを支給要件とした上でという部分です。
 具体的に貢献度は、一体何ですかという話になると、例えばもともとの要件で障害者をたくさん雇い入れていただくことが要件になっていますが、それに加えて、例えば当該事業所において職場実習を積極的に受け入れる。あるいは、ハローワークなどの就労支援機関と障害者雇用に関するセミナーを開催しているとか、知的精神障害者をより多く雇用する事業所であるといったような形で、いわば事業所の所在する地域での障害者雇用に関する規範、モデルとなるような取組みを要件とするところに限って支給することにしています。支給要件では、より多くの障害者を雇い入れる場合を支給対象とするために、新規の雇い入れ人数等も増加させています。一方で、限度額は費用対効果の観点から適正化を行っていることになります。
 さらにハローワークでの周知、円滑な支給をすることと併せて、雇い入れ促進に資するものの趣旨を踏まえて、財源を雇用保険二事業から支弁することにしています。雇用保険二事業における助成金の創設については、これに先立って開催された職業安定分科会に諮問をして「妥当」との答申を得ているところです。
 次の頁の「業務遂行援助者の配置助成金」について説明します。現行制度は、こちらも同じく資料の最上段に掲げています。記載のある対象障害者を雇い入れる際に、具体的に言えば重度知的障害者の方、精神障害者の方ですが、障害者が行う業務について、それを見守りながら指導を行う援助者を配置した場合に、配置1人について障害者1人当たり3万円を3年間支給し、4年目以降は月1万円を支給し、合計10年間支給するという内容が現行の制度の内容です。
 この助成金について、PTで具体的にどういった指摘を受けたか、実際受給している事業所を訪問した実態調査の結果得られた指摘は、中ほどの四角の中にあります。例えば、1つ目の○にあるように、援助者が行うようなマンツーマンでの支援が必要な期間は総じて2月~3年程度であったことから支給期間の見直しが必要ではないかとの指摘や、実際の事業所では助成金をもらう援助者のみが障害者の方を支援しているというよりは、むしろ事業所の労働者全員で支援を行っている場合が多く、助成金を受ける援助者については業務内容の見直しが必要ではないかという指摘が2つ目の○です。3つ目の○にあるように、業務内容の追加と併せて経験要件や資格要件も見直す必要があるのではないか。さらに最後の4つ目の○にあるように、先ほどの助成金同様、周知不足のためハローワークにおける雇用率達成指導と併せて周知を行うことが効率的ではないかといった指摘を受けています。
 こういったPTでの指摘も踏まえて、最後の四角囲みの赤字部分の見直しを行いたいと考えています。具体的には、いちばん下の四角の中です。先に指摘があったハローワークにおいて支給することと併せて、新規の雇入れ促進という助成金の趣旨を踏まえて、財源を雇用保険二事業から支弁するとともに、援助者の要件についても新たな資格要件を設け、業務内容についても障害者が行う業務の管理とか、就業上の相談をすることを追加することとしています。また、限度額と支給期間についても事業所における支援の必要な期間の実態を踏まえて、支給期間を10年間から3年間とするとともに、一方で中小企業に対しては現行の3万円を4万円に引き上げるとしています。
 雇用保険二事業における助成金の創設については、先ほどの重度障害者の助成金同様、先ほど開催された職業安定分科会に諮問をして「妥当」との答申を得ているところです。以上が今回の諮問させていただく省令改正の内容です。ご審議をよろしくお願いします。

○今野分科会長 ご意見、ご質問ありますか。

○高橋(弘)委員 ただいまのご説明の中にもありましたが、先ほど終了した職業安定分科会で、いみじくも労側の委員の方から2つの助成金について雇用保険二事業に財源を移すことについて、雇用保険二事業が大変な財政状況にある中で、なぜ二事業に移していくのかというご質問がありました。私もまったく同じ感想を持ったところです。制度の中身そのものを見直すことは大変よろしいことではないかと思いますが、財源をなぜ二事業に移さなければならないのかということについての質問がありました。先ほどの分科会では、後ほどこの分科会で、より詳しくご説明させていただきますというような答弁があったのではないかと思うのですが、改めてこの分科会の委員の皆さまと情報を共有するためにも、なぜ財源を二事業に移していくのかということについてお答えいただきたいと思います。

○障害者雇用対策課長 いま、ご説明申し上げたように、1つには雇用対策実態把握PTの報告での指摘があります。先ほど、説明の中に埋もれてしまった形になりましたが、なぜ二事業かということについてお話させていただきます。障害者雇用に関する助成金等の施策については、納付金助成金のほかに雇用保険二事業としても実施しています。例えば、特定求職者雇用開発助成金といったものが挙げられると思います。
 これらの制度は、事業主に対して雇入れ支援や雇用管理の改善などを促すことによって、雇入れ促進とか雇用維持、継続を図るものであって、両者完全にきれいに切り分けることがなかなか難しいのですが、主たる目的によって、あえて整理すると、現在雇入れのみを要件とする助成措置は雇用勘定によって行っている。それ以外の雇用継続や中途在職障害者への支援を含む助成措置は、納付金助成金において支援を行っているということで、今回見直しの対象となった2つの助成金については、対象障害者の新規雇入れのみを要件に支給する助成措置であることから、他の助成金との整合性を図ることから雇用勘定において、実施することが望ましいと判断しました。
 そもそも、障害者の雇用にかかわる助成金について、雇用保険二事業における助成金と納付金制度における助成金いうことの両者から構成されています。これについて、根本的にどう考えるかについては、後ほど説明する、今後この分科会でご検討いただくことになるだろう合理的配慮の議論と併せて、本来、公的な助成はどういう形であるのかというところについては、今年から来年にかけて、その2つを併せてご検討いただくようなことにおそらくなるだろうと思いますので、我々もそこでもって助成金の抜本的な形をこれからどうしていくのかということを改めて議論していただこうと思っています。現在、どうしてこうしたのかということになりますと、いまのような説明になります。
 先ほども申しましたが、いま高橋委員からご指摘があったように二事業財政、雇用勘定が非常に厳しいということも我々は十分承知しているつもりです。二事業の助成金ですので、今回創設する2つの助成金についても厳格なPDCA管理を当然行う。旧来の制度以上に助成金が効果的に障害者雇用に資するような形になるようにきちんとチェックして、先に進めていくと考えています。
 逆に言えば、そういった障害者の雇用を進めて、障害者にも雇用されることによって二事業の支え手の側に回っていただくことが、ある意味、効果的効率的に実現できることが、今回お認めいただけた後の話ですが、もし達成できないようであれば、創設したばかりとは言え、抜本的な見直しをしなければいけないことは我々も肝に銘じて対応するつもりです。

○高橋(弘)委員 2点あると思うのですね。ここにいらしている皆さんは既にご存じだと思いますが、1つは雇用保険二事業の財政的な問題ですね。一時期は、安定資金残高が1兆円を上回る時期もありましたがリーマンショックの影響を受けて、その対応として雇用調整助成金の要件の大幅な緩和等を行った結果、いろいろな事業主の方々に雇用の維持の努力をしていただきましたが、安定資金残高は、涸渇をしてほとんど無いと同じぐらいの金額まで落ち込んでいます。さらに、失業等給付の積立金から約5,000億円の仮入れも行っています。今回も痛ましい震災を受けて、さらなる雇用調整助成金の拡充を行う必要が喫緊の課題としてありまして、財源がありませんから、また失業等給付から借入れをすることも含めて対応せざるを得ない状況の中、二事業に財源を移し替えていくことをどう考えるのかということがまず1点目の論点だろうと思っています。2点目は、ここにいらっしゃる先生方は、言わずもがなですが、納付金、助成金は何のためにあるのでしょうかということだと思います。法定雇用率未達の事業主の方々に納付金を出していただいて、障害者を雇入れしていただく事業主の方々に助成金という形で支払いをさせていただく制度に則って、これまでも行ってきているものです。今回のPTでの指摘を踏まえて見直しされたという中を拝見しても、特段その事業の財源に関するご指摘もないようにお見受けします。納付金、助成金制度の中で助成金を移すことをどう考えるのかという2つの問題があろうかと思っています。それについて私個人的には、ただいまの説明について理解させていただく部分もありますが、他方でまだ十分に納得がいきにくい部分もあります。

○障害者雇用対策課長 いまの2点目については、先ほどの私の説明ではほとんど触れていませんでしたので、追加して説明させていただきます。移した先の二事業でのことについて先ほど述べましたが、納付金財政は、入ってくる納付金と法定雇用率を超えて頑張っていただいている企業にお支払いする調整金報奨金で、そのすき間で助成金の支給を行っているものですが、この制度自体を動かす事務費もこの財政の中で賄っています。今回、こういった助成金について検討するに当たって、一方で我々自身助成金制度を運営するに当って自ら身を切らなければいけない部分もあるということで、第4の構成要素である事務費についても、今回平成22年度から平成23年度にかけて大幅に削減することにしています。助成金そのものについても、移した先の助成金だけではなくて、いまの納付金制度に基づく助成金についても、当然これは効果的効率的になるようにそのほかの助成金も含めて検討していかなければいけないことはご指摘のとおりかと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。

○市川委員 いまの高橋委員のご指摘と重なるところもあるわけですが、財源をなぜ雇用保険二事業に移すのかというのは、先ほどの職業安定分科会で労働側として主張しましたので、ここでは省略します。今回、見直しを行うに当たって、いまほどお話が出ていた、現在の納付金制度も含めて、障害者雇用に対してどういう助成制度が全体像としてあって、今回そのうちのこれと重度と、これは財源で要件で変えますという全体像の中で、今回はこうだというものをまずお示していただいた上で、今回のような提案をしていただきたかったと思います。現在、内閣府でも議論されている将来的なあり方と助成のあり方という議論の大きなものが控えていることも承知しています。そこまでいかなくても、いまある制度の中で納付金でやっているもの、雇用保険二事業でやっているもの、このトータルの仕組みをどう考えるのかというところから今回これを見直しましたというような提起をできればしていただきたかったです。先々の大きな議論の前にいまある助成金制度はここでいいのかという議論も併せて、この分科会でできればよりよかったのではないかと思っているのが1点です。
 もう1点は、細かい話ですが、重度の助成金のところで、先ほど地域に貢献度を支給要件にするということで、いくつかの例をご説明いただきましたが、それが何であるか支給を受ける企業にとって支給要件は重いのですよね。具体性が非常に求められていて、あまり抽象的、あるいはどうとでも取れそうなというようなものですと、支給要件となるというのはいかがなものかと思いますので、もしこのように改正されることでしたら、貢献度をある程度、具体的かつ明確に示していただくように、是非、要望しておきたいと思います。以上です。

○障害者雇用対策課長 2点目から説明します。いま、おっしゃられた話は非常にごもっともな話で、いま漠然と「地域における障害者雇用促進に関する貢献度」と書いていますが、10人以上、15人以上と、雇用労働者割合に占める対象障害者の割合が20%ですと、ある意味客観指標なので、実際申請をしていただいたところですぐわかる話です。貢献度についてはおっしゃられるように、あいまいなところがあって、我々もまだ完全に詰め切れていない部分がありますが、ここについては、いま申し上げたような事例について何を貢献度と見なすのかをはっきりお示しすることは当然することになると思います。この助成金は、申請すれば必ず条件をクリアしていればすべて支給するという性格のものではありませんので、地域における障害者の雇用促進に関する貢献度というもので、スクリーニングをかける形で、対象の事業者を決めるというものですので、ご指摘の点を踏まえて、実際の手続きについては、具体的な形でお示しできるような形にしたいと思います。
 1点目の助成金の全体像を示した上でということだったのですが、申し訳ございません。我々の力不足であって、助成金の全体像を詰め切れてなかった中で、最低限の対応として、この2つの助成金について今回お諮りしています。助成金の見直しを今後抜本的にするに当たって、当然ながら、いま障害者の雇用を支えている助成金制度の全体像をお示ししていかなければいけないと思いますので、そこについては今日はお示しできませんが、この分科会においてお示ししていくことを約束したいと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。

○岩村委員 1点だけお聞きします。今度二事業に移る重度障害者等多数雇用施設設置等助成金がいままでのものに比べると、支給要件がかなりハードルが高くなっているので、当然これに則って事業主の行動も変わることが予想されますから、是非きちんとフォローアップをやっていただいて、PDCAで回すのですが、どういう行動の変化が起きて、それがどういうふうに障害者の雇用に影響するのか見ていただきたいと思います。いずれにしろ、障害者の雇用を促進する観点からのものなので、事業主の行動が変わった結果として、促進されたことであれば意味があると思いますが、その点をきちんと検証していただきたいと思います。

○障害者雇用対策課長 たしかにハードルは上げています。後ほど説明しますが、6年連続で障害者の実質雇用率が、たぶん戦後いちばん上っている状況だと思います。例えば法定雇用率未達成でハローワークの指導を受け、事業主が本腰を入れてやろうという場合は、比較的たくさんまとめて雇入れていただけることが最近多くなってきていますので、直ちにいまの5人以上、10人以上という要件が10人以上、15人以上に上がったからといって、多くの事業主が排除されることはおそらくないと思います。PDCA管理は、1つには事業主の方から集めた貴重なお金をきちんと精査して使っていくことでありますが、一方で事業として、せっかくそういった形で拠出されたお金がよりたくさんの障害者の雇用に資するものであって、良い使われ方をすべきだという観点からのチェックでもおそらくPDCA管理はあると思いますので、いずれにしても、きちんとトレースしていく必要があるということで進めていきたいと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。ご意見ありますか。

○川崎委員 いまの資料のほうの介助者の助成金の見直しについてなのですが、実はここのいちばん下の見直し後の制度の中で、職業生活相談員等の資格要件を明確化するということなのですが、実は私ども精神障害者は就労の場だけでなく、生活面の支援が必要ということで、ナカポツセンターがかなり大きな役割を果たしていくだろうと思っていたのですが、なかなかその辺の機能が見えていないところが残念なところなのですが、職業生活相談員は、ナカポツセンターにも対置されるような職員のことですか。

○障害者雇用対策課長補佐 職業生活相談員は、法律上一定以上の障害者を雇われている事業所にそういった相談員を置くことになっています。高齢・障害者雇用支援機構で研修を受けていただいて、資格を付与して、相談員になってもらいます。いま、川崎委員から質問ありましたいわゆるナカポツセンター、就業・生活支援センターは、我々から委託費を支払って、都道府県が指定する法人が生活面も含めて、就業面から生活面までのご相談に応じるというセンターですので、そこは役割が違うのかということです。

○川崎委員 お聞きしたかったのは、ナカポツセンターの職員は現在、特にこういう資格を持っていないですよね。こういうような資格を持った人がこれから配置されているのかということをお
聞きしたかったのです。

○障害者雇用対策課長補佐 手元に資料がないので詳細は申し上げられませんが、就業支援担当者という形で、国の委託費という形でお支払いをしていますので、ある一定程度、就業面での相談をやった経験があるというようなことを、委嘱の要件にしていると思います。職業生活相談員の資格かと言われますと、あくまでも雇用している事業主のところでの研修メニューですので、そこは少し違うのかと思います。

○今野分科会長 ほかにいかがですか。よろしいですか。いろいろご意見をいただきましたが、当分科会としては厚生労働省案を概ね妥当としたいと思っています。高橋委員から納付金制度について、もう少し効率的、効果的に使えという趣旨のご意見があったので、この辺について高橋委員どうしますか。どういう意見ですか。

○高橋(弘)委員 概ね妥当であることについては異存はありません。もちろん財政状況などを見なければなりませんが、答申文の中に納付金助成制度自体について、効率的、効果的なものにしていくように不断の見直しをしていただく必要があるというような使用者側の委員から意見があったことを是非、付記していただければと思います。
○今野分科会長 そうすると概ね妥当。いま、おっしゃられた高橋委員の趣旨の付記をつけてほしいというのが使用者側の意見だと。

○高橋(弘)委員 はい、是非認めていただければと思います。


○岩村委員 法律的な観点からすると、今回の諮問は納付金制度における助成金の廃止なので、いわばメニューを増やすのではなくて、減らす話なのですね。同じように調査研究の廃止ということで、これもメニューを減らす話ですので、諮問に対する答申の中で、助成金の効率的な利用に努めてほしいという意見を入れるのはちょっと違うのではないかという気がするのですが。

○今野分科会長 高橋委員は二事業に移すことが即。

○高橋(弘)委員 そうです。

○今野分科会長 その原因は納付金だろうということですよね。

○高橋(弘)委員 そうです。

○今野分科会長 そういう意味で繋がっているということですよね。

○高橋(弘)委員 そういうことです。

○岩村委員 単純な廃止でしたら、よろしいのですが。

○高橋(弘)委員 財源は変わりますが助成金自体は残ります。

○岩村委員 今日のこの場のやり取りの中では、いわば二事業に移すことは、むしろ助成金の中身の趣旨からして二事業に移すほうが望ましいという説明として私は承っていたので、そうだとすると、そこでも助成金の使い方の適正さということと結びつかないのではないかという気がするのですね。

○今野分科会長 それでは、こうさせていただけますか。概ね妥当ということについては皆さんから同意いただけましたので、あとは高橋委員が言われている内容の付記をどうするかですので。

○岩村委員 止めていただいて。

○今野分科会長 考えさせていただけますか。45分ぐらいから再開しますので、しばらく時間ください。対応を考えます。しばらく休憩です。

                  (休憩)

○今野会長 まだ45分前なのですが、こうしたらどうだろうかという案が出来上がったので、再開をさせていただきます。
 答申文は皆さんに承認いただきましたように、概ね妥当と認めるということにさせていただきます。
 高橋委員から強い意見がありましたので、経営者側の意見からこういう意見がありましたということを、私がもう一度きちんと明確に整理をいたしますので、それを議事録に残していただくという形にさせていただきます。使用者側からの意見は今後の障害者雇用納付金制度の助成については「当概制度の財政状況を十分踏まえつつ、当概制度に基づき、効率的かつ効果的なものとなるよう、不断に見直しを行っていくべきである」というご意見でしたので、そういうことで行政側もきちんと対応していただきたいということを議事録に残したいということで、それでいきたいというように思いますが、よろしいでしょうか。

                 (異議なし)

○今野会長 では一応行政から「ちゃんとやれ」というのが入っていますので、部長、どうぞ何かありましたらお伺いします。

○高齢・障害者雇用対策部長 いま程分科会長のほうからご指摘がありました点、使用者側の意見につきましては、私ども真摯に受け取めて、きちんと対応を今後ともやってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

○今野会長 それでは、そのようにさせていただきます。
 では答申案を配ってください。

                (答申案配付)

○今野会長 よろしいでしょうか。それではいまお配りした案でいきたいと思います。この概要を労働政策審議会会長あてに私から報告し、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申するということになります。この第1番目の議題はそういうことで終わらさせていただきます。
 次に議題2の、「平成22年障害者雇用状況報告」について事務局から説明をお願いします。

○主任障害者雇用専門官 資料2の1枚紙に沿いまして障害雇用状況について、簡単にご説明を申し上げます。なお、調査の時点について、お断りをしておきますけれども、この資料の3行目にあるように「平成22年6月1日現在」です。改正障害者雇用促進法が、22年7月から施行になりましたが、その前の段階の調査ですので、改正法の影響については、直接は反映されていないということでご理解をいただきたいと思います。
 それでは結果の1、集計結果の主なポイントです。まず民間企業の状況は、資料の最初、2番目のポチにありますように、民間企業に雇用されている障害者の数は、過去最高の34万2,973.5人で、前年より3.1%の増加です。2つ目のポチの実雇用率は、過去最高の1.68%となったということです。先ほど山田課長のほうから6年連続でこの雇用率が上がり、過去最高であると発言しましたが、サブタイトルにもそのように書かせていただいております。高橋(弘)委員からお話がありましたように、2年前から雇用情勢が厳しくなっており、実雇用率の分母になる常用雇用者数も増加から停滞ないしは微減のほうに転じてきておりますが、この障害者雇用数について関係者のご尽力もあり、引き続き増加をしております。この22年6月1日では、常用労働者数が0.4%の減少の中で、実雇用率の分子となる雇用障害者数は3.1%の増加ということで、これも関係者のご尽力のたまものと思います。
 続きまして公的機関の、国の実雇用率2.29%というのは、前年を上回って0.12ポイント増加をしております。※で厚生労働省の実雇用率2.61%と書いてありますが、これも0.42%の増加をしております。次のポチに都道府県2.50%、次のポチ市町村2.40%、この都道府県、市町村もそれぞれ0.02ポイント、0.03ポイントの増加をしております。その次の教育委員会ですが、1.78%と、前年に比べると0.06%ポイント増加をしておりますけれども、さらに一層、指導を強めていかなければいけない状況になっております。
 次に独立行政法人等について、実雇用率は2.24%で、これも前年に比べ0.13%の上昇となっております。次のポチに厚生労働省所管の5法人に未達成機関があったことを記載しておりますが、これは具体的には国立ガン研究センター、国立国際医療研究センター、他3機関で、いずれも高度の専門医療に関する研究を行う法人として、22年4月から新しい法律で新しく独立行政法人になり、初めての雇用状況報告を出したところです。これについては厚生労働省において、ただちにトップを呼び出しまして、雇用率の達成を厳しく指導したところであります。以上の状況を踏まえ、2の評価は、先ほど冒頭説明しましたように、厳しい雇用情勢の下、民間企業における労働者の総数は減少したが、障害者数は増加しており、全体として障害者雇用は着実に進展しているということです。
 しかし3.今後の課題もあります。依然として、民間企業の実雇用率が法的雇用率を下回るとともに、法的雇用率を達成している企業の割合が半数に満たない状況にあることで、引き続き雇用率達成指導を厳正に実施していくとともに、ここには記載がありませんが、今後精神障害者をはじめとするいろいろな就職困難な方々に対する施策の充実、企業の助成に対して努力をしていかなければいけない状況となっております。以上でございます。

○今野会長 ありがとうございました。ご質問ございましたらどうぞ。

○市川委員 これは毎回労働側として申し上げていることですが、やはり民間はまだまだ未達成が多いとは言いつつも、実雇用率は着実に増えている中で、公的機関のうちの、とりわけ教育委員会が非常に低い状況であるということはいかがなものかと考えておりまして、一体どういうところに問題があって進まないのか、少し分析をしていただく。あるいは、実雇用率を上げるためには具体的にどういった取組みが必要なのかをしっかりと分析していただいて、実雇用率の目標達成に向けて一段のご指導をお願いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○障害者雇用対策課長 都道府県教育委員会については、まさしくいまおっしゃられたとおりで、特に民間企業が急激に伸びている中で、本来、範たるべき公的機関がこういった状況であるということは我々も問題だと思っております。都道府県教育委員会については一定の資格が必要な教員が9割を占めているということで、他の公的な機関と比べて障害者の採用が困難な状況ではある。ただそういったことを言えば、民間の企業であっても、いろいろな職種、業種があって、中には障害者の雇用が非常に難しいような職場があるにせよ、障害者向けの仕事をなんとか企業の努力によって業務の切出しを行っていただいている。そのことを考えれば、教育委員会においても法律遵守ということは当然ありますけれども、民間の企業に率先する模範として、障害者の採用を進めるべきだというように我々も考えています。
 では、我々として、いったいどういう対応をしているのかということになりますと、各労働局では他の公的機関の具体的な採用事例の提供を行ったり、募集採用時の支援、あるいは知事部局との連携等を行っていただいて、各教育委員会において、採用計画に基づき、計画的な採用が進むように働きかけを行っています。
 すべての教育委員会が障害者雇用率が悪いわけでは必ずしもないので、文部科学省もそういった熱心に障害者の雇用に取り組んでおられる教育委員会の事例を、そうでない教育委員会に対して示したりとか、文部科学省にも努力はいただいております。ただ取組みが遅れている都道府県教育委員会については、今まではやっておりませんでしたけれども、厚生労働本省にその教育委員会を呼んで、直接要請をするということを、今回することにしていました。ちょっと震災の関係で、本来3月にやる予定だったのですが、少し延期にしておりますが、そういった形で厚生労働省としても直接やるということを考えております。

○市川委員 この概要を発表されると思うのですが、公的機関の項目のいちばん下に、右矢印で、「実雇用率は前年を上回った。ただし教育委員会は法定を下回った」というように書くとか、概要にいいことばかり書かず、少し配慮していただいたほうがよろしいかと思います。

○障害者雇用対策課長 わかりました。申し訳ないですが、これは既に発表してしまっているものなので、今年の発表については修正できません。それまでに教育委員会がよくなっていただければいいのですが、いまのご意見を踏まえて対応させていただきます。

○佐藤委員 資料2の元になった参考資料1で、20頁の都道府県別のことですけれども、以前も伺ったかもわかりませんが、これは基本的に本社所在地の都道府県別の障害者雇用率なので、例えば山口は多分ユニクロの本社がここにあるから高いわけであって、山口県の事業所の障害者雇用率ではないのです。なので、ただ労働局からすれば基本的にはそうするところの事業所で障害者雇用率を進めるということですので、やはり政策的には本社所在地、もちろんこれは大事ですけれども、それは都道府県別のそこにある事業所で見たときの障害者雇用率というのが、多分出せば、そういうのを作って、つまり例えば東京労働局で仕事をしていると、基本的にはそこでの事業所の障害者雇用をどう進めるかということですので、それぞれの都道府県ごとに、実際そこの事業所での障害者雇用率が伸びているのか、いないのかということが実は大事だと思うのですが、それは出ないのでしょうか。

○障害者雇用対策課長 いまの障害者雇用の仕組みが企業ベースでやっています。6-1報告でも、除外率の関係があるところについては事業所ごとに書いていただいていますけれども、事業所ごとに書いていただく必要が、いまはない状態なので、集計自体ができないという問題があります。

○佐藤委員 本社で障害者雇用率が低いと、そうすると基本的にはそれぞれ事業所でやってもらうより、そこの事業所がいるところを労働局と連携してみたいなやり方になっていくわけですか。基本的には本社で低いというのはわかるわけですね。本社がある労働局とでも。本社があるところでは事業所は達成してるかもわからないですね。どこかに大きな工場がなくて達成しないと、ここを上げなければいけないわけですけれど、それはそっちの事業所がある労働局で対応してくださいと、やり方としてはこういうことになるわけですか。

○障害者雇用対策課長 1つには障害者雇用の制度自体が企業であることもありますけれども、企業全体として取り組まれることが多いということがありますが、実際のハローワークでの指導のオペレーションはどうなっているかというと、いま上げられたユニクロのような例も含め、本社サイドでの働きかけと事業所サイドでの働きかけの両方をやっているというのが、実態としてはそういう形になっています。

○佐藤委員 障害者の方からするとその地元の近くで働ける機会があるかどうかですよね。山口県にいるといいなと言えるかどうか調べてもわかりませんけれど、山口県におこられるかもしれませんが、もしかすると高くないのかもしれないですその地域だと。これはわかりません。山口県だけで言うとよくないですけれど、データがわかりませんから。ちょっとその辺は、その地元がどうなのかというのは大事ではないかと思いますので、何か工夫ができないか、ご検討いただければと思います。

○今野会長 ただハローワークというか、県の労働局ベースで、障害者の求人数と求職数はわかるのですね。労働需給の状況はだいたいわかるわけです。

○障害者雇用対策課長 ハローワークでの職業紹介という面からすれば、ある意味地域の障害者の状況ということは素直に反映されますけれど、この6-1報告をベースにしてしまうと、どうしても企業の本社があるところに引っぱられてしまうことになるので、両睨みになるとは思います。

○今野会長 何かあれですね、企業がポリシーとしてどうするかというときには事業所に行ってもしょうがなくて、本社に行かないと。具体的にハウツーであれば事業所だとなるのですが。なかなか難しいですね。

○高齢・障害者雇用対策部長 本当に分科会長がおっしゃるとおりです。私は愛知の局長を2年やっておりましたけれども、実は私が局長のときに、社長に会わせろというと、では特例子会社を作りますというような形で、一遍に方向が変わったりしましたので、そういう意味では本社のあるところに、しかもトップの社長に言わないと駄目な部分があるというのは事実です。ただ、個別具体的にこの人を雇ってくださいということをやるときは、それぞれの事業所になりますから、やはり両輪という意味であると考えております。

○今野会長 いずれにしても、すぐには難しそうですね。
 ほかにいかがでしょうか。

○岩村委員 意見というかこの結果を拝見しますと、この何年か連続で実雇用率は民間ですけれども、伸びて過去最高の1.68になったということで、そうしますと、実はこの実雇用率が法定雇用率1.8%というのにかなり近づいてきているということになります。法定雇用率そのものが非常に大ざっぱに言うと、労働者と失業者の数を分母にして、障害者である労働者と失業者の数を分子にする、そして必要な調査を行ってそれぞれの数字を当てはめて出るというように理解しています。非常に単純化して言うと、この調子で実雇用率が伸びていくと、多分、法定雇用率の水準というものにも影響する可能性があるのかなというようにも思います。そこで、厚生労働省のほうでもこうした障害者のこのような状況の進展というものも踏まえて、法定雇用率の算定に必要となるような数字の把握を考えるという必要があるのではないかという気がいたします。

○松矢委員 雇用率を上げていくということで山口県の例が出ましたけれど、山口県はもちろんユニクロはあるのですが、ネットワークを非常によくやっているのですね。そういう意味で、ネットワークの効果というのもあるわけです。相乗効果と言いますか、そういう点も大きいのです。北海道が1.8だという非常に苦しい状況でもそうやってかなり努力があるのではないかというように思われるので、やはりこれからもう一度、ハローワークが中心にネットワークをやっていくという施策になってきていますけれども、地域のネットワークをどううまくしていくかということが要になってくるのではないかというように考えますので、そういう地道な積み上げ方が今後益々必要になってくるのではないかと思います。

○今野会長 今日は大きな爆弾がいくつも出ていますけれど、先ほど高橋委員からは納付金と二事業というのはどういう分担関係にあるのか、考え直さなければいけないと。さらに市川委員からは全体の助成金の仕組みはどうするつもりで、全体像は今後どう思っているかを考えなければいけないではないかということで。3つ目は、雇用率をどうするのだということです。いずれにしても3つとも非常に基本的な問題です。岩村委員が言っておられた問題については、事務局には今後どうしていくのかということを検討していただきたい。この3つのことをいまから議論しだすと、全く時間がありませんので、そういう問題提起があったということをきちんと受けてほしいということで、この問題は整理をさせていただきたいと思いますが、何かありますか。

○障害者雇用対策課長 では若干。いま最後に岩村委員が言われた話については、まずはある意味障害者で働いている人の数は既に把握できていますけれども、実際近年、この6年連続で実雇用率が伸びているというものは、1つには企業の意識が明らかに変わっている、企業が障害者雇用に対して非常におそらく戦後いちばん強い形で障害者を雇うということについて考えていただいているということがありますが、もう一方で障害者自身が、企業で働くことに対して積極的になっているということ。ハローワークの現場でそういった障害者の方々が、とにかく企業で働きたいということで、熱心に通ってきていただいている方が増えています。今年度の就職者数は、まだ3月の今日で最後でまだ集計はできていませんが、おそらく過去最高の就職件数になると思っています。そういった障害者が、いま働けていないけれども、働きたいという人たちの数というのは実は把握できていないので、基礎的な数字も把握をした上で、いま諸々挙げられていた課題について、きちんと議論ができる準備を進めたいと思っております。

○佐藤委員 たぶん、今回6月までのなので、つまり分母が広がったということを考えると、いわゆる雇用率は明らかに落ちますよね。いま既に、どこの企業とは言いませんが、雇用率が高い企業も、それ以上増やさない実数は。20時間伸びても雇用率は実現できるのでこれ以上無理だと言っている企業をいくつか知っていまして、そういう意味では、いままで達成しているところも、落ちても法定雇用率を上回っているところまでさらにやるかというと、なかなか難しいという企業もあるので、私は、あまり安心はできないというように思っています。この20時間までになったときに、短時間のところをどうするかというのが、企業の雇用の仕方もがかなり変ってくると考えないと、やはり難しいと思いますので、その辺ご検討いただければと思います。

○障害者雇用対策課長 あまり議論を深めてしまってもあれですが、去年の7月の改正については、いま先生が言われた短時間の問題と、もう1つは納付金を300人から200人に下げたということの2つがおそらく大きな影響を与えると思います。6-1報告の説明では、そこまでは説明していませんが、1000人以上の規模の企業の障害者の雇用者数が急増していますが、実は、100人から299人の規模の企業も1.35から1.42と、絶対的な水準からすれば、1,000人以上規模の企業は既に1.9まできていますので、それに比べては低いですけれども、今回影響を受けるであろう300から200のゾーンが改正前の数字ではありますが、かなり急激に雇用を拡大してきたということがあります。おそらくこれは改正を見越して、中小企業の事業主の方がその前に努力をされたということもあると思います。いずれにしても300から200の問題、それから短時間の問題については、我々としても状況を把握した上で、これもまた議論の素材にできるようにしたいと思います。

○今野会長 そのうちゆっくり議論をしたいと思います。
 次に「障害者雇用率達成指導の見直し」についてに入ります。

○主任障害者雇用専門官 それでは私から引き続きご説明をいたします。資料3の3頁では、【新旧対照表】と書いてある表の上の図を使って、予め雇用率達成指導というのは、どのように流れるのかというイメージを説明します。
 3頁の横の図の上半分現行の旧の流れです。最初の年の6月1日にその企業の雇用状況が判明をします。従いましてそこで未達成の場合には、早急に是正を図るべく指導を行います。直ぐに改善が図られればいいのですが、改善が図られない場合は、次の表では2つ目に1年目と書いてますが、雇入れ計画作成命令というのをかけます。1月を始期にして3年間の計画になります。この3年間の計画の真ん中に適正実施勧告とありますが、この中間の段階で厚生労働大臣の適正実施勧告をいたします。3年間の雇入れ計画を終了しても雇用率を達成できていない場合であって、計画終了時に全国平均の実雇用率未満の場合には、次の青い図になりますが、特別指導ということで公表を前提とした集中的な特別指導をまた1年間行います。特別指導を終了しても、なお、全国平均の実雇用率未満の場合には公表を行うという形になっています。以上のように雇入れ計画期間の作成から数えても4年間の長い指導になります。こうした中でその前の2頁での、省内仕分けでの指摘事項の最初の○の2行目をご欄ください。省内事業仕分けにおきまして、企業の社会的責任に徴して、その責任を果たすように促すためにもっと早い段階で公表するとか実効性を高めるような効果的措置を講ずる必要があると指摘がありました。こういうものを踏まえて資料3の1頁に戻ります。見直しのいちばん上の四角の概要です。厚生労働省省内事業仕分けの指摘を踏まえ、障害者雇用率達成指導の実効性が向上するよう、雇入れ計画期間及び公表猶予基準の見直しを行うことです。見直し内容は2つあり○1○2です。
 ○1の計画期間の問題です。現行の3年の計画を2年に短くすること。その下に書いてますが、中間段階で行います適正実施勧告も2年目の6月から1年目の12月に移動することになります。○2の見直し内容、公表猶予基準の明確化です。公表基準というのは、その表の上の1行目にありますように、全国平均実雇用率未満。先ほど申し上げましたようにこれで基準として実施をして、ほとんどの場合この公表基準で運用できているわけです。
 しかし、レアケースで直近になって非常に急速に雇用が進んで発表するころには、もう確実に基準を上回るであろうというようなケースもあるわけです。そういうケースまで公表することは、この公表の趣旨に鑑みどうかということもありますので、一定の猶予の基準を設けています。それが猶予基準です。新旧と表現は変わっていますが中身は変わっていません。最初のポチは、速やかに実雇用率が達成できると判断できる。具体的には、採用内定を出している等のケースです。もう直ぐに達成が見込める、確実であると、こういった場合は猶予にする。
 次のポチでは、特例子会社を1年以内に立ち上げて、全国平均実雇用率以上となることを確実に達成できる。そういう場合には猶予をしてます。これらの取扱いは変えているわけではありません。表現は趣旨をより明確にするように少し修正してますが現行と同じです。3つめに、障害者に関する一定の取組みを実施して、その結果一定の雇用率を1.2%を達成することとありますが、この1.2%が現在の全国平均の実雇用率1.68%から大きく乖離してますし、実際上ここ最近の公表猶予企業にはこの基準の該当することがないので、今回この基準については廃止をするものです。以上の雇用率達成指導の見直しとしては○1の雇入れ計画の期間の問題、○2の公表猶予の問題。いずれも業務取扱要領、局長通達レベルで定めていますので、この4月にこれを改正し、適用時期はこの欄外のいちばん下にあるように○1は、今度の雇入れ計画から。○2は今度の公表の時期から、これを適用してまいりたいというものです。以上です。

○今野会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見お願いします。

○高橋(弘)委員 今回大変痛ましい震災の影響を受けている地域に対する配慮とか、あるいは経過措置とかいったようなものを検討する余地があるかについて、予め知りたい。 2点目も同じような話で、今後計画停電がどうなるかはわかりませんが、電力供給量が非常に乏しい中で企業としても供給制約がある中での活動を余儀なくされていきますので、何らかの配慮も必要になる部分があるのではないかと思いますが、その辺どうでしょうか。

○障害者雇用対策課長 まず震災関係であれば、1点すでにやりました話で、通常は3月末が企業名公表のタイミングになっております。本来であれば、今日の議題の1つとして、企業名公表の話もする予定でしたが、公表になりそうな企業がすべて震災地域にあったわけではないですが、やはりそこは、少し考えなくてはいけませんので、発表を見合わせています。
 これからどのような形で進めるのかは、いま部内で検討していますが、震災に配慮した形で、進めていかなくてはいけないとは考えています。いまはっきりしているのは、公表の発表のタイミングを一旦中断しています。ご指摘に踏まえて対応していきたいと思います。

○今野会長 他にいかがでしょうか。よろしいですか。次の議題4にいきます。
 次に「平成23年度予算及び税制改正事項」についてです。事務局からお願いします。

○障害者雇用対策課調査官 それでは資料4、5、参考資料2がいまから説明する資料等になります。
 まず、平成23年度障害者雇用施策の予算の関係です。障害者施策の予算は218億で、対前年度比2.7%の増加でした。十分な出来る限りの予算を確保したと思っています。以下詳細を申し上げますと、ローマ数字の1は、雇用率達成指導の強化と地域の就労支援の強化です。ハローワークが行う雇用率達成指導の強化をするために、未達成企業への集団指導に関する経費を増加しています。チーム支援を始めとするハローワークのマッチング機能の強化のため就職支援ナビゲーターの専門性を向上し、より効果的な就職支援を実施、さらに労働局、ハローワーク主催による就職面接会の開催に関する経費を増額したところです。
 また、障害者就業・生活支援センターについて、前年度から40か所増の322センターとすることといたしています。相談実績も増加しており、地域の障害者の就業・生活の両面からのサポートを行う中核的な組織として、23年度も強力に推進したいと思っています。「トライアル雇用」については9,000人。必要な額を確保しているところです。
 ローマ数字の2では、障害特性、働き方に応じた支援施策の充実・強化です。障害特性に応じた総合的な雇用支援の実施ということで、ハローワークにおいて、カウンセリング業務や精神障害者に関する企業への啓発などを行う「精神障害者雇用トータルサポーター」いうものを今回配置し、さらに精神障害者の雇用の推進というものをやって行きたいと思っています。助成金については、様々な助成金がありますが、「精神障害者雇用安定奨励金」、発達障害者や難病のある方を対象といたしました「発達障害者雇用開発助成金」、「難治性疾患患者雇用開発助成金」の更なる活用の促進というものを進めていきたいと思います。更に、ハローワークや労働局における精神障害者または知的障害者等を雇用する「チャレンジ雇用」の推進で増をしているところです。さらに、在宅就業障害者の支援制度等の周知活動の実施を進める予定にしております。
 ローマ数字の3障害者の能力開発の支援の強化では、訓練の定員数については9,950人で、平成22年度と同規模として必要な訓練機会については確保しています。
 次に資料5で税制改正の部分について、説明します。税制改正については、資料5の1頁のとおり、今回従来の地方税及び国税の特例措置の延長と新たに新設された特例措置と大きく4つの変更点があります。
 1点目では、地方税これは不動産取得税と固定資産税についてです。これの延長措置です。資料1頁のところを見ますと、地方税のところで重多助成金(2種)と書いてある部分では単純延長をする。2点目では、地方税、今度は不動産取得税、固定資産税に加えて事業所税も含まれる特例措置の変更です。先ほどもご答申いただきましたが、重度障害者多数雇用事業所設置等助成金については、今般根拠となる省令等が変わることで、助成金の名称等も変わります。このために連続してできるように必要な手当を行うものです。
 3点目は、今度は国税のほうで、所得税及び法人税における延長措置についてです。あみかけの3年間延長というものが3点目になります。現行の減価償却の割増償却等について特例措置、本日までの延長でしたが、これを3年間延長するというものを行うものです。
 最後に4点目では、これは同じく国税のうちの所得税及び法人税について、特例措置の拡充です。創設とされている○3です。重度障害者の一層の雇用促進を図るという観点から適応要件に○3の部分、法定雇用率を達成している場合で雇用障害者数が20人以上でかつ雇用障害者に占める重度障害者の割合が50%以上であることを追加することで障害者の雇用をより積極的に行う事業所に対して支援を行うものです。これについても3年間の特例措置で現在考えています。詳細については更に後ろの頁に載っています。
 なお、承知のとおりいま説明した税法の改正法案は年度内成立が難しい状況で、これを受けまして今月22日に議員立法により既存の特例措置のうち今年度末で期限が切れるものを6月30日まで延長する、いわゆるつなぎ法案が国会に提出され、私が伺ったところによりますと、本日先ほど成立したとのことです。当面は現行措置が延長される。最後に説明した4点目の創設の部分については、今後の動向によるとのことです。以上です。

○今野会長 ありがとうございました。ご質問、ご意見がありましたら。

○川崎委員 精神障害者家族会です。今回精神障害に対する支援が充実されているのは大変ありがたく思っています。その中で資料4のところでハローワークにおける「精神障害者雇用トータルサポーター」を設置されるとのことで、具体的にどのようなことをするのか、ハローワークすべてに置かれるかを聞きたいです。

○障害者雇用対策課長補佐 これまで精神障害者の方に対して、ハローワークでは、トータルではなく「サポーター」というものを職員として配置していたわけですが、今回拡充ということで、実は関係経費を倍増まではいきませんが、増額をしまして、トータルサポーターという拡充を図りました。これまではハローワークに来ていただいている精神障害者に対しての職業相談とか、職業紹介がメインでしたが、これはお客様を待っているだけではなく、積極的にハローワークの職員が外に出て企業に対し、普及啓発を図ったり、精神障害者の雇用についての理解を図るというようなことを含め、そのサポーターには業務として追加をすると。そういったものを専門でやっていきますので、資格等も有している者に対してそういったトータルサポーターとしてお願いをするという形で拡充を図ったということです。
 すべてのハローワークに配置がされるかどうかという点については、当然予算の状況もありますので、ただ大規模なハローワークとかそういったところには必ず配置がされて十分な支援ができ
るような形にはしたいと考えています。

○今野会長 ほかにいかがでしょうか。

○桑原委員 予算案の参考資料2の中で、4、5頁にかけて障害者の職業能力開発支援の強化という3の中で、全体の中での比率は低いのですが、4の発達障害者に対する職業訓練の推進というところが、削減率で見ると半減になっていますが、単純な質問で、半減にして大丈夫なんですか。6か所になっていますが、ここに対して相当な不利益が出ないのか、そういう観点です。

○障害者雇用対策課調査官 担当部局から聞いて確認はしています。結局昨年度が少し多目に見積もりすぎたところから削減しているのが現状で、必要な訓練額は確保できています。ニーズについては、対応できると聞いています。

○桑原委員 わかりました。

○今野会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それではこの議題については終わります。
 次に「その他」です。その他についても報告がありますのでお願いします。

○障害者雇用対策課調査官 「その他」の前半の部分について私のほうからさらに説明をします。使います資料は、資料6です。今般、起こりました東日本大震災にかかる緊急的な措置です。障害者雇用納付金の納付期限の延長についてです。1頁の下の記の1(1)及び(2)に書いてます。今回の震災被害の全容はいまだ明らかになってはおりませんが、過去に例を見ない程の甚大の被害で、阪神・淡路大震災のときと同様に3月11日以降に納付期限が到来する納付金について被災地域である青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に主たる事務所の所在地を有する事業主は、その納付期限を延長するということといたしました。これは、障害者雇用促進法第62条の規定その例によることとされている国税通則法第11条に基づく措置です。なお、具体的な延長期限については、被災状況を見て後日告示するとしています。
 また、資料6の2頁の2です。被災地域外に主たる事務所の所在地を有する事業主についても震災により財産に相当な損失を受けたというときについては、申請に基づき1年以内の期間納付の猶予を受けることができるという規定がありますので、先ほどの納付期限の延長と併せて、労働局やハローワークまた、高齢・障害者雇用支援機構において周知を行っているということです。以上です。

○障害者雇用対策課長 私のほうから続きまして資料7の障害者制度改革の推進体制のタイトルが付いている障害者制度改革の動向について話をさせていただきます。前回の障害者雇用分科会、昨年4月から大部空きましたのでその間の一連の動きについて説明します。 障害者政策全般については昨年より内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議で障害者権利条約の批准に向けて、必要な国内法制の整備等、障害者施策の推進に関する事項について議論がされています。推進体制については、これは前回もおそらく配りました資料ですが、資料7の1頁に載せてあります。最近の動向については、差別禁止部会を平成22年11月に設置しというのが新しい話として付け加えております。
 3頁では、いま基本的に障害者制度改革の推進のための基本的な方向、政府がどういう形で検討を進めるかということの、道しるべになっているのが、昨年6月29日の閣議決定になります。この中で、左端の横断的課題における改革の基本的な方向と今後の進め方というところを見ていただきますと、そこの(1)で上がっているのが障害者基本法の改正になります。この基本の改正法案については、今国会に提出が予定されています。今月11日に全閣僚が構成員である障がい者制度改革推進本部で、この内容を了承されたところですが、今後閣議決定を経て、国会に法案が提出される予定だと聞いています。
 資料を飛ばしまして、この改正法案の内容について説明します。資料7の6頁からが法律案の内容ですが、特に障害者雇用分科会に関連する部分について、かいつまんで説明します。主な内容は、1障害者の定義の問題、2差別の禁止の問題、3労働と雇用の問題をピックアップして、説明します。資料7頁から障害者基本法の現行と改正案の新旧対照表が載ってます。最初に挙げた障害者の定義については、改正法案の第2条において、「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限が受ける状態にあるもの」と定義をしているのが障害者の定義の部分です。
 8頁では、改正法上の段の第四条に(差別禁止)の規程があります。第1項において、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」というのが規定されていて、第2項で「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない」という規定になっています。
 労働と雇用については飛ばして、10、11頁にかけてになります。いくつか追加された条文があるので、条文が改正法と現行法でずれていますが、改正法の第十八、十九条に(職業相談等)、(雇用の促進等)という項目は元々ありました。この一部が改正されています。ポイントになるのは、上の第十八条の第1項を見ていただくと「障害者の多様な就業の機会を確保するよう努める」と。この「多様な就業機会の確保」ということが、この項目だけではなく、あちこちに追加されている状態であります。
 企業や公的機関における雇用だけではなく、自営とも含めた多様の働き場の創出が障害者の働き場の確保が重要だという観点からこうした条文が修正されたと思います。今後の障害者基本法について閣議決定を経て、障害者基本法の改正が国会で審議いただいてとなりますが、全体のスケジュールでは、本通常国会においては、この障害者基本法の改正、来年平成24年の常会においては、障害者総合福祉法、25年の常会では、差別禁止法の制定が毎年そういった障害者関係の大きな法律の作業が行われるというのが、横断的なテーマについての対応であります。  4頁に戻りまして、個別分野における対応については、どうなっているのかと。いま申し上げたのは、基本法、総合福祉法、差別禁止法はすべて、ある意味各省庁横断的な施策でありますが、個別分野の対応については、これも先ほど示した平成22年6月29日の閣議決定の労働雇用にかかる分野だけを抜き出したものでありますが、労働雇用を含む個別分野については、労働及び雇用分野だけに限らないですが、そこにありますように、事項ごとに関係府省において検討するということで、ある意味障害者雇用であれば、労働政策審議会での議論になってきます。
 労働雇用分野における検討事項については、そこの下に6つ挙げてますが、「障害者」の範囲、差別の禁止、あるいは精神障害者の雇用の義務化に関する検討といったものについては、それぞれ検討の時期がバラバラなのですが、いま申し上げたものは平成24年度内を目途に結論を得るということになっています。
 先ほど少し申し上げました、合理的配慮の問題というのは、職場だけの問題ではない。学校の話もあります、いろいろな施設での話もあります。そういったいろんな合理的配慮は、障害者の方が生活、仕事をされる上での様々な場面でかかわってくる問題でありますが、労働雇用分野における合理的配慮の関係については、皆さん承知のとおり、推進会議に先だって厚生労働省の研究会及び障害者雇用分科会で検討を重ねて22年4月、昨年4月には中間取りまとめを出していただいたところであります。この議論については、先ほどの助成金の話ともかかわりますけど、今後障害者雇用分科会において検討をさらに進めていく必要があると思いますので、皆様には引き続きご協力をお願いしたいと思います。以上です。

○今野会長 ありがとうございました。ご意見、ご質問お願いします。

○市川委員 まず、今ほど説明のありました、制度改革推進のための基本的な方向です。内閣の障がい者制度改革推進会議は内閣府がやっている。厚生労働省もこの分科会でやっているという面があると思いますが、やはり、特に雇用労働にかかる問題については、この分科会の議論を内閣府でも尊重していただくように是非お願いをしておきたいということと、行程表にそって滞ることのないように1日も早く成果を出していただくように厚生労動省からもひとつ働きかけてよろしくお願いしたいのが1点です。
 2点目は、大変な事態になっております、東日本大震災の関係です。納付金の期限延長はこれでいいと思います。話がそれるかもしれませんが、いま連合としては、被災地を中心とした雇用の問題はどうするのかと、現地からも本当に悲痛な声が上がってます。他の分野についても厚生労動省にもいろいろ努力していただき、雇調金、あるいは失業給付等々の要件を運用の面でできるだけ出していただくように取り組んでいただいてますが、失業問題は、やはり現地があれだけ壊滅的な状況になりますと、あそこを離れたくないという気持ちがあっても、とりあえずは少し違う地域で、広域的な職業紹介といいましょうか、あるいは住宅付きの求人といったものを広域的に開拓して是非被災者の方々が早く仕事につけるようにする取組みが求められているわけですが、とりわけ障害を持つ方々は、一般の労働者以上に職を失った場合に次の職を見つけるのが厳しい状況にあるのではないかと推察いたしますので、就業支援、就労支援あるいは生活支援といったことについては、一般の労働者も当然ですが、それ以上にやはり障害を持つ方に対しての配慮、あるいは必要な施策をどんどん打ち出すということをお願いしておきたいと思います。以上です。

○障害者雇用対策課長 後のほうの震災の話から、いま市川委員から話があった広域的な紹介、住居付きの求人等々、おそらくいま省内で雇用対策として震災対策でどういう形で、進めるかということは、法改正まで必要なもの、補正予算の必要なものの前に、運用上前進できるものがあるはずだということで、我々も含めて職業安定局全課で検討しておりますので、それほど遠くないときにその政策パッケージを示すことができると思います。
 障害を持ってない方でも大変な状況ではありますが、より一層こういった震災等の災害で厳しい立場に立たされるというのが障害者の方だということは、我々も理解しています。そういった中で障害者として、いまは納付金の期限の延長ぐらいしか表立ったものは出していませんが、そういった方々がいま雇われている方はそのまま維持される、職を不幸にして失っておられる障害者の方が、次の職につけるような対応について、なんとかそれを後押しできるものについて、検討をそのパッケージの中に入れていくということになろうと思います。
 1点目の質問の障がい者制度改革推進会議と労働政策審議会の話については、それぞれの役割はあるものの、それぞれが趣旨目的に沿って検討を進めているということですが、こういった障害者の方のために雇用対策として何ができるかを考える上で、まずは当時者たる障害者の人たちの話を聞かなくてはいけないことはありますが、一方そういった方々に対する雇用対策について実効性あらしめるためには、基本的に労働の現場をいちばんよく知っている使用者の方、労働者の方それぞれのご意見を十分聞いた上で進めていかなければ、我々が打とうとしている対策が効果的に働かないということになるかと思いますので、そういった場として、労働政策審議会は機能していると思っていますので、ここで十分に議論し、決定していくというものだと思いますし、内閣府に対してもそういうふうに申し上げています。以上です。

○今野会長 ほかにいかがでしょうか。先ほどの震災の件で、書いてあった気はしますが、納付金は本社から会社単位ではないですか。会社が東京にあった場合で、工場が福島にあった場合にそのときは、事業所が福島にあることが要件になりますか。

○障害者雇用対策課長補佐 資料でお配りしている資料6をもう一度ご覧ください。納付期限の延長というのが、1頁の1番に書いています。ここは対象地域5つの県ですが、その地域の中に主たる事務所、これが本社機能。

○今野会長 これ本社ではないね。

○障害者雇用対策課長補佐 本社機能を有するものが主たる事務所だということですので、それを延長しましょうということを措置としては、告示で示しました。実は、納付金制度というのも、先ほど説明したように、国税徴収法の例に倣いましょうということになってまして、そもそも国税徴収法に通常の措置しまして、2頁の2に 個別の申請による、猶予という措置があります。実際は一定の要件と書いていますが、災害によりある一定程度の被害を受けた場合に、主たる事務所の所在地の如何は問うていません。例えば福島に工場があり、本社は東京だといった場合に工場が壊滅的な打撃を受けたという場合に、一定の要件に該当するというふうに認められる場合に個別に申請を行えば、一年間の範囲内では、猶予ができるという規定がありますので、そこは大丈夫かなと。

○今野会長 はい、わかりました。それではよろしいですか。今日の分科会は終わることにします。最後に事務局から日程についてお願いします。

○障害者雇用対策課長 次回の日程は現時点では未定です。また、お知らせします。4月26日をもって実は、現在の委員の方は任期を迎えることになりますので、おそらく次回開始まで4月26日まで1カ月ぐらいありますが、新メンバーでの開催に次回はなるのではないかと思っています。以上です。

○今野会長 それでは最後に議事録の署名です。労働者代表は市川委員でお願いします。使用者代表委員は、斉藤委員が欠席なので、高橋委員お願いします。障害者代表は、川崎委員でお願いします。それでは今日は終わります。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課
調整係(内線5783)

代表 03-5253-1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第46回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録

ページの先頭へ戻る