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2011年4月7日 診療報酬調査専門組織(第18回医療機関のコスト調査分科会)議事録

保険局

○日時

平成23年4月7日(木)      10:00~11:13


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第18~20会議室(17階)


○出席者

田中滋分科会長 荒井耕委員 石井孝宜委員 猪口雄二委員
尾形裕也委員 勝原裕美子委員 川上純一委員 近藤俊之委員
佐柳進委員 椎名正樹委員 須田英明委員 西田在賢委員
吉田英機委員 渡辺明良委員

事務局

鈴木医療課長 屋敷保険医療企画調査室長 他 

○議題

1 基本診療料に係るコスト構造の把握に関するワーキンググループからの報告について
2 コスト調査・分析の実施検討の前提として整理を要する事項について

○議事

議事内容

○田中分科会長 
定刻となりましたので、ただいまより第18回「診療報酬調査専門組織・医療機関のコスト調査分科会」を開催させていただきます。それぞれの組織が、震災対応でお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず、委員の交代について御報告いたします。
 平成23年2月11日付けで、西岡委員が保険医療専門審査員の任期満了で御退任いただくことになりました。
 3月24日付けで、次の2人の方が新任委員として就任されておられますので、御紹介いたします。
 一橋大学大学院商学研究科准教授。荒井耕委員でいらっしゃいます。
 昭和大学医学部名誉教授の吉田英機委員でいらっしゃいます。
 以上、お2人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、委員の出欠状況について御報告いたします。
 本日は、小山委員と松田委員が御欠席でございます。
 では、早速議事に入ります。本日は、1月21日のこの分科会において設置することとされました「基本診療料に係るコスト構造の把握に関するワーキンググループ」より、これまでの議論をとりまとめた報告書の説明をいただきます。続いて、事務局よりワーキンググループからの報告書を踏まえた「コスト調査・分析の実施検討の前提として整理を要する事項について」、長い名前ですが、2番目の資料が提出されています。
 では、初めに、ワーキンググループの議論をとりまとめていただきました石井先生から、その内容について御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

○石井委員 
石井でございます。
 お手元の資料の中に委員名簿があるかと思いますが、2月3日、24日、3月8日の3回にわたり意見交換を行い、整理をしたものがお手元にございます報告書であります。
 この報告書は基本的に5人の委員の一致した意見でございます。その点を前提としながら、概要について御説明をいたします。
 私どもに与えられたテーマは、基本診療料の各診療料に共通する課題に対して、とりあえず入院基本料に焦点を絞りまして、コスト調査の実行可能性と、これを行う上での技術的課題と、医療分野におけるところのコスト調査の視点・手法であり、それらに関して各委員から意見を頂くとともに議論いたしました。
 その結果、3つの大きな視点で整理させていただきました。まず最初に、入院基本料に関するコスト調査の実行可能性。これはどちらかと言いますと短期的な視点での実行可能性であります。
 2番目、コスト把握手法の整理。具体的にコスト、原価というようなものを入院基本料に対応させて集計していくという際に、解決しなければいけない事項を整理いたしました。そして新規に調査設計を行うとした場合の技術的な課題というものも議論させていただきました。最後に、新規に調査設計を行う場合の技術的課題に関して議論しました。
 まず最初に、コスト調査の実行可能性についてということでありますが、お手元資料にもございますように、入院診療料に関するコストの調査を実行しようとした際に、具体的にどういうイメージでそれを行うのかということを整理しなければいけないということで議論いたしまして、基本的には診療報酬点数に定められているところの基本診療料が想定する医療サービスに対応するところのコスト、これを明確にするという作業が、まさにコスト調査となるころを確認致しました。
 その結果、当然のこととして、サービスそのものをきちんと定義していかなければいけない。事務局サイドからの御説明あるいは資料等を検討させていただくと、現在の入院基本料に含まれるもの、内容というのは、説明の中で医学的な管理部分と看護部分と、いわゆる入院環境といいましょうか室料の部分というようなもので構成されているとのことでありますけれども、この一つひとつが厳密な形で定義されているわけではないということが判明致しました。この点に実は技術的な実行可能性に関するところの問題点がございます。
 すなわち、収入に対するコストを対応させようとすると、収入そのもの、対応させるべきサービスそのものの定義付けというのが不可欠となります。しかし残念ながら、現時点においてこれを明確に定義するということはなかなか難しい。どうしてそれが必要なのかということに関しましては、当たり前でありますが、対応する原価要素をきちっと識別しようとする場合には、その医療行為自体の定義がなければ計算自体が出来ない。入院基本料に含まれるサービスの内容をおぼろげでなく具体的にきちっと定義する、これがすべての前提となります。
 もしそういった形の定義をできない状態で、いろいろな前提の下でさまざまなコスト集計をしていくということになりますと、費用そのものに関する説明も定まらなくなる。あるいは当然のこととして、医療サービスを提供するためにはさまざまなコストがございます。直接的なコストは比較的認識が容易でありますけれども、間接費と言われる領域のコストがかなりたくさんございまして、この部分を配賦する基準自体もあいまいになってくる。そういう観点からいきますと、残念ながら、具体的定義をきちっとした形でできないという現状においては、短期的な視点では入院基本料に関するコスト調査を有効に、あるいは客観的に説明ができる形で行うのにかなりの無理があるのではないかと。こういう結論に至りました。
 また、万が一、提供する医療サービスの、例えば入院基本料の定義が明確にされたとしても、幾つかの問題が残ります。このため、その問題を解決しなければコスト計算は有効性を持つことができません。このために議論しなければいけない事項もございます。それは何かと言いますと、入院環境に関する費用がすべて入院基本料の費用ではなくて、他の収益も入院環境に対応しているという事実がございますけれども、それをどうするのか。
 あるいはより具体的な議論で申し上げますと、病室の減価償却費あるいは清掃費、そういう設備を維持するためのコストというのはございますが、現実的には例えば個室病室というようなものがあって、それは公的医療保険と関係のない室料差額というのを徴収いたしますが、当然のこととしてそちら側にもコストを配分しなければいけない話になってくる。そういった辺りの部分の対応関係をどういうふうに具体的に整理していくのか。
 診療上の要請から差額をもらえないというような場合について、それをどのコストとして認識して診療報酬を対応させるのか。こういう部分についてきちっとした方向性を出さなければ、結果としてのコストの切り分けができなくなります。
 このため、サービスの内容が明確に定義されたとしても、その次の段階で技術的にいろんな手法あるいは方法というようなものをきちっと考えて、そしてそれを了解した上で、すなわち当事者が納得した上で作業していかなければいけないという話になります。つまり、原価の算定や配分に関して意見の統一がどうしても不可欠となります。
 今、申し上げましたようなテーマに関して、具体的にそれでもやってみようということになりましたときには、前回の分科会でもお話がありましたように、総花的にこれを行うことがしづらいので、幾つかの病院に限定して個別調査的な手法でやっていこうと。こういう議論がございましたが、それをしようとした場合に、半年、1年という短い単位で客観的で有効な整理ができるかというと、かなりそれは難しいのではないかと思われるということでありまして、報告書には一応過去の事例から予測をした場合には、モデル的に10医療機関程度の財務諸表を共同して精査して、そして作業したとしてもきちっとした結果が出るには5年ぐらい時間がかかるのではないかと思われます。あるいは当然のこととして、それに関わるコスト、こちらの方も認識しなければいけないという話になります。
 以上のような経緯からいきますと、残念ながら現時点で短期的にすぐに半年、1年の研究によって入院基本料というふうに限定したと致しましても、コスト調査の有効性を担保した上で実施することには非常に難しさがあるのではないかということであります。
 次に、現実にそれをやろうとしたときに、2番目のテーマでありますが、コストの把握手法というものをどういうふうに整理していくのかということになります。今までやってきたさまざまな部門別収支調査ですとか、あるいはDPCのコスティングの手法というのが蓄積されておりますけれども、これを活用したとしても、今回テーマとして与えられました基本診療料という特定領域に関するところのコスト調査ということになりますと、例えば特謁診療料あるいは診療報酬で見られない部分のさまざまな医療行為、こういうものとの関係で切り分けをする際に、どうしても追跡調査、追加的調査というのが必要になります。
 追加的調査というのをきちっとしようとすると、当然ですけれども、今まで持っているデータ以外に、さまざまなデータというのを追加的に取得していかなければいけません。既存データを活用したとしても追加的に必要な調査について、これはどうしても意識せざるを得ない。
 あるいは原価というものをどういうふうに認識していくか。つまり、標準原価という考え方で整理するのか、実際原価でいくのか。このような議論の中で実際原価自体はすべての医療機関にとって同じか否かと。例えば、公的病院と民間病院では違うではないかと。入院基本料で申し上げますと、実は固定資産税を全く払っていない医療機関があるかと思うと、固定資産税を払っているところもある。こういう議論をしていったときには、実は標準原価というようなもので整理しようと議論が出てくるんですけれども、例えば今ある議論の中で、室料、入院環境に関するコストで一番大きなものは建築費だと思いますが、この建築費を標準コストでやろうとすると、建築コストの標準化が必要になりまして、この辺りの整理をしていくのが非常に難しい。合意を得ることに関して議論がたくさん出てくる、こういう問題も整理しなければいけない。
 実際原価というものでいこうとしたときに、前回のコスト分科会で議論が出ましたように、渡辺委員がたしか発言されたと思いますが、残渣方式はどうなんだろうと、あるいは積上げ方式はどうなんだろうということでありますけれども、実は残渣方式をとろうとしたときには、残りの部分をコストと見るという話をするわけなので、逆に特謁診療料に関わるところのコストを明確にして、総コストからそれを引いて、残渣の部分をもって基本診療料のコストだという議論をしますので、結果的には特謁診療料の定義付けをきちんとしなければいけない。同じ議論に入ります。
 そうすると、どうしても結論的には積上げ方式ということになるかと思いますが、積上げ方式というのをきちっとしていこうとすると、財務諸表の正確性が必ず必要になります。財務諸表の正確性に関しましては、現在、我が国の病院というのは非常にさまざまな開設主体によって開設されていまして、病院会計準則によってある程度の統一化は行われておりますけれども、それの十分性ということに関しましてはどうも不安感がございます。
 このような流れの中で、現実に作業をやっていこうとしたときにさまざまな整理をしなければいけない事項というのも多々ございます。この辺りのテーマというのは、定義付けがきちっと行われたとしても考えていかなければいけないということになります。
 そして、3番目、現実に新規に調査設計を行うとした場合に、実は細かい議論をいたしてまいりますと、入院基本料というもので今回議論いたしましたけれども、入院基本料は病棟内で発生する原価だけに限られておりませんで、当然、病棟外で発生している原価も入院基本料に対応する部分がございます。そういう辺りの精緻な整理というのをきちっとしていかなければいけないということになりまして、その技術的な手法を確立していかなければなりません。
 あるいはそれを行う前提として、具体的にさまざまなコスト、原価要素というものがございますが、給与費があり、材料費があり、委託費があり、それ以外のさまざまな経費がございますけれども、この経費について合理的な配分基準というものを再構築しなければいけません。
 今までは例えば部門別収支ということになりますと、入院外来別、診療科別という目線でコストの切り分けをしてきました。あるいはDPCコスティングで言いますと、診断群分類別、疾病別あるいは患者別という視点でコストの切り分けをしていましたが、今回テーマでいただいたのは、診療報酬の中の基本診療料と特謁診療料。しかもそれぞれの診療報酬の中身というのは非常に複雑に構築されてきておりますから、それぞれに対応するコストを配分するという作業をしようとすると、その配分の基準というのも必ずここで再構築していかなければいけないことになります。
 以上のような課題をきちっと全て整理して、初めて有効性のある、医療機関側もあるいは支払い側もみんなが納得できる結果が出てくるわけですが、これを現実的に半年、1年という期間でやれるかと言いますと、非常に困難であります。医療における原価計算は非常に限られた医療の資源や財源を適正に配分するという観点から充実していくことが重要だと思います。ただ、それはどちらかというと、ある程度ロングスパンで長期的な視点でもってやっていかないといけないのではないだろうかと考えます。この辺りがワーキンググループとして到達したというところの結論でございます。
 非常に大雑把な概要でございますけれども、あるいは背景領域でわかりづらい部分がございますが、座長としての御説明とさせていただきました。
 以上でございます。

○田中分科会長 
石井委員及びワーキンググループの皆様、短い時間でのとりまとめをありがとうございました。この報告書についての質疑は、事務局から出ていますもう一つの資料の説明が終わってから行うことにいたします。
 続きまして、事務局より、ただいまの報告書を踏まえた「コスト調査・分析の実施検討の前提として再度整理を要する事項について」のタイトルのメモが出ていますので、説明をお願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長 
保険医療企画調査室長の屋敷でございます。よろしくお願いいたします。
 資料のコ-2でございます。ワーキンググループで医療分野のコスト調査に係る技術的な観点からの検討の作業を進めていただいたところでございます。その中で、当然、議論としてさまざまな点が出てまいりました。そこで、ワーキンググループとしての報告書は、実行可能性でありますとかコスト把握手法の整理、技術的課題といった観点からのまとめた形になっておりますが、こちらの分科会の方としては総会からの意見聴取に対しましてお答えをするというミッションがあると考えております。
 ワーキンググループで議論された事項の中で、当然ながら医療分野のコスト分析に関する事項でございますが、今後このコスト調査問題をどのように考えていくかという検討をするに当たり、再度整理を必要と考えられる事項につきまして、事務局の方で議論を踏まえましてまとめさせていただいたのがコ-2の資料でございます。
 まとめとしましては、その1つ目が基本的な視点、あとはコスト調査を実施するといった場合に、何か行うときにはその目的であるとか、使用方法といったものをセットに考える必要があると思いますが、その2つの観点から議論の内容をまとめてみたものでございます。
 1つ目の基本的な視点は3つに分かれております。これは先ほどワーキンググループのレポートの紹介の中でもございましたが、今まで我が国の中で行われてきましたコスト分析の手法とは違う形の切り分けになっているわけでございますが、基本診療料と特謁診療料に分けてコスト調査・分析を行うということでございます。一連の流れの中で医療サービスが行われているという性質を見て、基本診療料と特謁診療料を分けてコスト調査、分析を行うことについてどのような意義づけを行うのか整理する必要があるということでございます。
 2点目が実際消費原価計算と期待償還原価計算でございます。これはワーキンググループのレポートの2の(2)にも対応してくる部分でございますが、中医協総会の議論の中で2号側からの御意見といたしまして、あるべきコスト論という問題提起がございました。あるべきコスト論といいますものを解釈してみますと、あるべきサービスを提供するために必要なコストというものが対応関係にあるかどうかというところで、サービス内容自体のあるべきということと、それを償還するためのコストがあるべきという価値判断的なものが入ってくるかと思いますが、償還されることが期待されるという意味だと思いますけれども、そういうあるべきコスト論が出ていたということでございますので、実際にデータとして取得ができるものと期待償還原価計算、この2つの視点があるのでないかといった問題提起でございます。
 原価データはその観点の取り方次第で変わってくる期待償還原価計算とする場合がございますが、関係者が納得する客観性をどのように確保するのか、考え方の整理が必要という問題提起でございます。
 3点目は医療における原価計算の必要性でございます。こちらは先ほど、石井委員の方からも御紹介があったところでございますが、原価計算という考え方自体は限られた医療財源を適正に配分する観点からも充実していくことが必要であるということでありますけれども、その原価計算に対しますこれまでの取組み状況あるいは浸透状況といった面から見ますと、短期的に集中してコスト調査を行うことのコストという意味だと思うのですが、どのような位置づけを行うのか整理する必要があるといったところで、基本的な視点の3つ、まとめさせていただきました。
 次に、2番目の「コスト調査の目的、コスト分析の妥当性、結果の活用方法」でございます。何のためにコスト調査を行うのか。技術的な課題でありますとか、基本的な視点といったものの整理をしつつ、コスト調査を行うといったときの目的あるいは活用方法といったものでございますけれども、現在の診療報酬点数は保険診療として提供することが適当な医療サービスの価格について以下の記述があります。こちらの方はワーキンググループの中でも、今の基本診療料といったものの把握の難しさといった点からの記載があった部分でございますが、多岐にわたる項目立てになっている、あるいはこれまで累次にわたる診療報酬改定の結果を反映したものになっているというものでございます。
 診療報酬の体系に対しましてコストを反映させていく観点から見ますと、医療サービスのニーズへの対応といった政策的課題、これに答えようとしますと、恐らく診療報酬の項目としてはより細かいものになっていくことが想定されるといった問題はあります。
 一方で、診療報酬の体系自体が非常に細分化され、わかりにくくなっているといった御意見も当然ございます。わかりやすい保険制度とする必要性といった観点から、診療報酬点数の設定改定の際の透明化あるいは包括化の検証といった課題。これは相反するといいますか、違う観点からの課題というものでございますが、それらの課題につきまして、実際にコスト調査を行った際の結果をどのように活用していくのか。
 2点目でございますが、現在の保険診療といいますのは、言わば公定価格でございます。公定価格に対しまして、各医療機関の経営の中では実際原価は発生し、それと乖離が生ずることは当然ございます。それらの乖離が生じた場合に、乖離は小さい乖離もあると思いますし、大きい乖離もあると思います。それへの対応といいますものは、診療報酬点数の改定により行うべきか、あるいは保険医療機関等の経営努力により行うべきか、改定を行うかどうかといった点になるかなと思いますが、コスト調査の結果を用いる際に、その使用・活用方法についてどのように考えるかといった活用方法の見方からの問題提起であると考えております。
 3点目は、1ページ目の「限られた医療財源を適正に配分する観点からも充実していくことが必要である」といった点ともつながってきますが、現在、コスト調査を行うといったものを経営管理につながっていると考えますと、現行の診療報酬体系を前提とした中で、価格と投入資源コストの均衡という視点にとどまらず、経営管理の浸透あるいは医療の効率化の推進についてどのように考え、コスト調査・分析結果を活用するのかといった方法、考え方も問題提起としてありますと考えております。
 コ-2の3ページ目でございますが、これは1つ事務局からの御提案という形になります。本日の分科会での御議論を踏まえまして、総会に付託事項のお返しをする議論はあると思います。その際の分科会としての報告の方法でございますが、本日の資料のコ-1、ワーキンググループの報告書といったものは、例えば別紙1といったもので御報告を差し上げる。あと、その際の整理を要する事項があると考えられる部分につきましては、コ-2の1ページ目、2ページ目の部分を別紙2といった形でコメントを作成し、総会の方に御報告をしてはどうかといった事務局からの御提案でございます。
 以上、ワーキンググループの議論をする中でのさまざまな議論、視点をまとめたものとしてコ-2の方で御提案させていただいたものでございますので、御検討をよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○田中分科会長 
ありがとうございました。では、質疑に入ります。
 初めに、ワーキンググループの報告書について御質問ございましたらお願いいたします。どなたでも結構です。
 西田委員、どうぞ。

○西田委員
 石井委員から詳細に先ほど御説明を伺い、また、私自身もこの分野を研究する中で思っていたことで一致したかと思ったのですが、実質的には原価計算なるものができないという理解でよろしいのでしょうか。
 これは本当に一言で言うと、随分と乱暴な意見にも聞こえるかもしれませんが、実はこの後に続くべき議論として考えられますことが、技術的にはこういうことで難しいということならば、改めて考える立ち位置を想定すべきではないかという議論に進む方がより前向きではないかと思って今のような原価計算の技術的な限界をここで述べているというふうな理解にしてよろしいでしょうか。

○田中部会長
 石井委員、ほかにメンバーだった方から何かありますか。

○石井委員
 とりあえず私から。5人の委員の中のあと2人の委員が今日御出席をされていますから、またその委員にもコメントをいただこうと思いますけれども、とりあえず私から御説明すると、原価計算自体が技術的にその能力を持っているという議論をしているのではなくて、基本診療料とか特謁診療料というもの自体の定義付けが厳密になっていないという歴史的なやむを得ない現実がありますから、そうすると、実はコストを対応させる相手が、前回の分科会でもいろんな御発言がありましたように、おぼろげになっておりまして、おぼろげなものに対してコストを対応していくと、そのコストそのものが適切でないものになっていく可能性がありますから、現実的には現段階では難しいようなというのが非常に直接的にコメントをするとすれば結論だろうと。
 先ほど御説明がありました、再度整理を要する事項についての2番目の(1)のところの記載がまさにそういうことを言っている部分でありまして、診療報酬体系の検証・コストの反映というテーマで記載されていますが、結果的にはこういう歴史的な経緯がありますので、現実的にいろんな過程を前提としながらコスト計算をしたとしても、出てくる成果物を有効に使っていけるかというと、有効に使うというのはどういうことかというと、例えば診療報酬改定に直接的に影響を及ぼすような形で使えるかというと、客観性に関しましては残念ながら今のような経緯の中で現時点には難しいかなと。そういう意味では、西田委員が今、御指摘をされたような問題を非常に長期の目線ではお考えいただかなければいけないのではないかと思います。

○田中分科会長
 荒井委員、渡辺委員の御意見を伺えればと思います。

○荒井委員
 基本的に石井委員がおっしゃった内容のとおりでして、要は計算する対象があいまいなままだと、計算技術的にできることはできるけれども、その結果情報を適切に有効に活用することが困難だということをワーキンググループの報告書では申し上げております。

○渡辺委員
 原価計算の技術的限界以前の課題として、実務面の実態において、医業収益に対応した医療費用を財務諸表できちんと担保されているのかという、財務諸表の精度についても課題があります。ここがきちんと相対しているという検証をした上でないと、そもそも原価計算にも入れないことがワーキンググループの中では御意見申し上げたところでありまして、そういった意味もこの中に入っているのだろうと思います。

○田中分科会長
 西田委員、いかがですか。

○西田委員
 今、お話を伺った上でも、先ほど申しました立ち位置を変えるべきではないかといった部分について、今日は深入り申すような場所ではないと思うのですが、私が念頭で思っておりますことは、国民皆保険制度は実現して今年度で50年目を迎えているわけですが、大きな転換点がもう20年、25年前に起こっていたはずだと思うんです。
 つまり、それまでは量的整備を急いだ25年があったはずで、その後の25年は質への転換を模索している状態だと思うんです。量的なものを整備することを求めた時代は、おおよそ保険医療機関、病院はすべて落ちこぼれなく経営を続けていってもらおうという考えがベースにあったように思うのですが、質を求める段階になったとき、つまり、日本の病院が1万を超えていた1990年、現在、8,700まで減っておりますけれども、恐らくもう日本に必要な病院の姿というものが変わりつつあるのではないかと。そうなったときには、原価を追求するという技術的な面の答えも今日、石井先生を始めお聞かせいただいたわけですが、一方で、ならばすべての病院が経営を持続していることを望む診療報酬体系でもないのではないかと。これは立ち入りますので別の話にさせていただきますが、本日ここでのコスト調査の場面で、原価の限界部分についてもしも確認できれば、是非立ち位置を変えたコスト調査の話が展開されてもいいのかなと思った次第でした。

○田中分科会長
 ありがとうございました。それは我々よりも親の総会の方でそういう作業をしてほしい、あるいはできるかどうかを我々に尋ねれば改めて答えることになるのでしょうね。ありがとうございました。ワーキンググループの大変整理された報告ですが、テクニカルに難しいところもあるかと思いますが、御質問があればお願いいたします。
 また後で戻っていただいても結構ですが、今度は私たち分科会から総会に、言わば回答するための案が出ているわけです。こちらについての質問だけではなくて意見を言わなくてはいけないと思います。コ-2について委員の皆様方の意見をお願いいたします。
 川上委員、お願いいたします。

○川上委員
 教えていただきたいのですけれども、コスト調査分析を行う目的としては、次期診療報酬改定における活用が前提ということでよろしいのでしょうか。

○田中分科会長
 どうしますか。事務局からお答え願えますか。
 室長、お願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長
 昨年度の診療報酬の改定の中医協総会の答申附帯意見書の中でも、コスト分析等の必要性につきまして記述がある部分でございます。2年に1度、改定がこれまで行われてきたことから考えますと、成果がすぐさま出るようなものであれば反映をしていくという考え方はあろうかと思いますが、総会の中の議論で私が受け止めている限りにおきましては、必ず平成24年の改定にその結果を反映させるべきといった御意見までは総会全体としてのコンセンサスとしてはないのではないかなと理解しております。

○川上委員
 調査の目的が立ち位置によって変わるかと思います。すなわち、支払う側から見ると、実態の分からないものには払えないという見方もあると思いますし、診療している側からすると、今の適切なコストや人件費が載っていないのだから、それを見積もった上で、きちんと評価してほしいというのが診療している側の立場だと思うので、その調査がどう活用されるか、その目的も少し踏まえて先を見越した議論が必要なのかと考えた次第です。

○田中分科会長
 ありがとうございます。コスト調査に関するまとめについて、我々の分科会の報告をしなければなりませんので、メンバーの方々の意見をお願いします。
 尾形委員、どうぞ。

○尾形委員
 内容というよりは、報告の形式についての質問ですが、これを報告するということですけれども、こちらのコメントというペーパーとワーキンググループの報告との関係というのは、補完的なものと考えていいのでしょうか。全体として我々の分科会の報告ということにするということなのか、コメントというのはかなり異例な感じがしますが。

○田中分科会長
 これはどういう位置づけにお互いなりますか。私たちから直接出すのは、むしろコメントと書いてある方が我々の回答なんでしょうね。どういうふうに位置づける予定ですか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 総会への報告の段階を考えますと、総会からは技術的な可能性といったものを分科会で御検討してくださいという付託があったということだと思います。そういった意味では、内容そのものの部分については、本日の資料でいきますと、コ-1のワーキンググループでのレポートといったものがその部分に該当すると思います。
 そうしますと、コ-2のペーパーの性格は何かと申しますと、技術的な検討を行う中で出てきました議論あるいは今後先をどうしていくのかといった議論をする際に必要な整理を要する点ということで総会にお返しを併せてしてはどうかという御提案でございますので、補完的か代替的かというような観点から申しますと、代替ではなく補完ではないかと考えてこちらの方の資料の提案をさせていただいているものであります。

○田中分科会長
 近藤委員、お願いします。

○近藤委員
 今の尾形委員のことからも言えるんですけれども、コ-2の表現が、例えば整理する必要がある、考え方の整理が必要である、必要がある、望まれる、どう考えるのか、活用するのか。これはこの分科会が総会に対して疑問を投げかけているのでしょうか。つまり、先ほどの尾形委員と全く同じなんですけれども、コ-1だけで付託された要件は果たしているのではないだろうか。それに今の先をどうするか云々ということは、西田委員のお話のそこまで議論して今後コスト調査分科会というのはこういうふうに考えるがどうなんですかと投げているのと、この表現を見ますと中途半端な感じがするんです。整理する必要がある、だれがするんですかと。総会に対してしてくださいと言っているのか、それともそもそもコスト調査分科会について総会はどう考えているんですかと投げかけているのか、その辺が表現から見ると、尾形委員のおっしゃった意味と言い方を変えた質問なんです。

○田中分科会長
 室長、お願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長
 総会と分科会との関係を考えてみますと、今の段階では基本診療料のコスト調査に関します技術的な整理といったものが諮問事項であると考えております。その意味では、資料でいきますとコ-1の部分だけがストレートに回答に係る部分ではないかと考えられます。
 一方で、医療分野に対しますコスト分析の議論をする中では、更に今後を考えていくときには、さまざまな視点があるということでございます。その視点をこのコスト調査分科会で整理した上で総会にお返しするという考え方もあると思いますが、現段階におきましては、まずは技術的な点につきましては、少なくともワーキンググループのレポートの方をお返しするということが適当であると思いますし、ある意味総会の方に早くお答えのコアの部分はお返しする必要があると思います。
分科会に対しまして技術的な実行可能性を超えた今の諮問事項があるとまだ受け止めができない点もございますので、併せてコ-2の方に対しまして分科会として検討を加え、お答えをつくった上でお返しをするという段階ではないかと思います。

○田中分科会長
 近藤委員、いかがでしょうか。

○近藤委員
 正直言って、今の目的が理解できない。つまり、コ-1だけでは不十分なのかな。個人的には今日お話を聞いていて、コ-1だけまずお返ししたらそれでよろしいのではないかなと。コ-2を出す必然性がどこにあるのかというのが、多分尾形委員はどうかわかりませんけれども、私はここの内容が、これをお返しすることによってここの役割が何を果たして、それは総会にどうインパクトを持つのかなというのが理解できなかったということです。

○田中分科会長
 椎名委員、お願いします。

○椎名委員
 私も今の近藤委員の意見に賛成です。つまり、これは調査専門組織として、あくまでも中医協から付託を受けた事項に関してお答えするというものであり、実際の付託はコストの調査・分析の実行可能性についてです。そうしますと、このワーキンググループの報告で十分言い尽されていると思います。
 当分科会としては、本日、このワーキンググループからの報告をいただいて、それを議論して、これに異論がなければ、この報告書の結果を分科会として中医協にお戻しする。それで私は十分かと思います。

○田中分科会長
 ワーキンググループからの報告書を分科会からの報告書と言わば名前を変えて提出すればよいのではないかと御意見が2つありました。いかがでしょうか。これは皆さんの意見を伺わないと決められませんのでどうでしょう。
 佐?委員、どうぞ。

○佐?委員
 確かによけいなことを言っているのかもしれませんけれども、コ-1だけで戻すと、多分大変だろうけれども、やってくれというような感じの回答、受け止め方になるのではないかという気がするんです。だから、そういう危惧がないならばいいんですけれども、多少よけいかもしれませんけれども、言葉を変えることも必要かもしれませんけれども、非常に困難であるというニュアンスを出すことも必要ではないかなという気がするんです。

○田中分科会長
 猪口委員、どうぞ。

○猪口委員
 私もまずはこの報告書でいいのかなと思います。報告書はいろいろな御意見が書いてありますけれども、要は現状の入院基本料に対応するコストを出すことは極めて難しく、やったとしても5年もかかるし、費用もかかるけれども、余り意味がないということを書いているんだと思うんです。
 だから、それはそれで正しいんだろうと。つまり、逆に言うと、この分科会からもし出すならば、現状はこうですよということを出しながら、今後、どうあるべきかということを言ってはいけないのかなという気がするんです。やはりこれから永遠と続く医療に対して、いつまでもこの訳のわからない診療報酬体系でやっていくことはまずいのではないかと。もう少し透明性があって、実効性のある診療報酬体系をつくる方に向かうべきであるという意見をできればこの際、この分科会の方から出せれば少し意味が出てくるのではないかと思います。

○田中分科会長
 椎名委員、お願いします。

○椎名委員
 まず、佐?委員のお話については、もしこの報告書を上げた場合に中医協本体が調査をやれと言ったら、当然、分科会としてやるしかないと思うんです。それが1つ。
 あと、猪口委員が言われた、あるべき診療報酬について問題提起しなければいけないのではないかと言う点については、それはあくまでも中医協の判断になろうかと思うんです。分科会としては、あくまでも付託を受けた部分に対してボールを投げ返すと。実際、昨年9月からそういう話が中医協であって、半年以上経っているわけです。
 これは早く返してあげて、中医協自身でいろいろ議論してもらって検討してもらって、大きな方針を出すなりすれば、それはそういう方向に進まざるを得ないと思うんです。

○田中分科会長
 ほかの方はいかがでしょうか。
 西田委員、どうぞ。

○西田委員
 私はコ-1の報告書は大変よくできているという感想を持っているんですが、もう一点、コ-2の方では今の議論の中だと違ったところでの質問を1つさせていただきたいのですが、不勉強で申し訳ありませんが、基本的視点の(2)の中で「実際消費原価計算」という用語、「期待償還原価計算」という用語、いずれも初めて目にしている用語なんです。用語としては大変面白い表現だなと思いつつ、私の不勉強なせいかと思うのですが、この用語はどの方がどのように書かれたものなのか勉強させてください。

○田中分科会長
 室長、どうぞ。

○屋敷保険医療企画調査室長
 1の(2)の部分の御質問でございます。こちらは大きく言えば実際原価と標準原価に関連付けられる部分でございますが、事務局の方でいろいろ勉強させていただきながらこのワーキンググループの準備をさせていただく中で、本日、委員でいらっしゃいます荒井先生の本なども参考にさせていただきながら準備を進めている中で、実際消費原価計算、期待償還原価計算といった考え方、用語も出てまいりました。
 先ほども申し上げましたが、言わんとする趣旨の部分としては、総会に対しまして2号側から9月29日に提出されました意見書の中のあるべきコスト論、「あるべき」という言葉が記載されておりましたので、恐らく問題意識的には関連する分野の考え方かと考えまして、こちらの方でもこのような期待償還原価計算といった用語のパラを記載しているところでございます。
 説明が不十分でありましたら、荒井先生の方からもフォローいただければと思います。

○田中分科会長
 荒井委員、お願いします。

○荒井委員
 この文章自体は私がつくったものではないのですが、これらの用語は一般化した言葉では決してないわけですけれども、医療の原価計算の状況を見ると、こういうふうに言えるようなものに分けられるのではないかということで本の中では紹介しています。
 基本的には実際消費原価計算というのは実際に資源がどのくらい消費されているのかということを正確に把握しようという観点からの原価計算のことを指していて、通常の原価計算論の原価計算です。期待償還原価計算というのは、どちらかというと医療側が自ら提供しているサービスの価値の方から割り戻すような形で行っている原価計算です。実際に見られる原価計算をこのように分類できるのではないかということを本では紹介しております。ただ、ここで書かれている意味が私の本で意図したとおりに使われているのかどうかはまた別の話です。

○西田委員
 私の正直な感想は、大変わかりやすい表現の用語だと思うんです。ただ、ここの専門委員会のところで使うときには、事務局の方でよくよく定義等を書かないといけない場面ではないかと思ったのでお尋ねして勉強させていただきました。

○田中分科会長
 ワーキンググループの報告書自体の原価計算に対する勉強になりますね。今、議論していた点は、ワーキングからの報告書だけでいいのではないか、これにかがみのページを付ければいいのではないかという御意見が出ているわけですが、これについて皆さんはどう判断なさいますか。
 佐?委員、お願いいたします。

○佐?委員
 確かに原価の話というのがベースになって、リーズナブルな診療体系とかそういう言葉が1つのコンセンサスで出てくるプロセス、極めて重要だということはよくわかるのですが、半分御質問で石井委員に聞きたいんですけれども、この5年間くらいかけたら、実際に先ほどの立ち位置の話も含めてなんですけれども、何らかのバージョンが1つ変わった診療体系のようなものができ上がるところにいくのかどうかなんです。
 先ほどの御説明の中でいけば、要はサービス、実際にこの分科会に与えられているテーマ自体は基本診療料と特謁診療料、これについて調べろと言っていることだけなので、スタート地点は極めて単純なところからスタートしているんですけれども、それが逆に言うとあいまい過ぎてしまって、何も分析できないのではないかというのがどちらかというとこの趣旨ではないかと思うので、先ほどの話もありますけれども、何らかのもう少し原価計算の趣旨というのを生かそうという話になってくると、当然これは立ち位置変えるとか、望ましいやり方は何なのかというところまで議論せざるを得ないわけです。そこのところまでくみ取ってしかるべく方針が出せるのかどうか。
 この検討会報告書、コ-1だけが出て、恐らく口頭でいろいろと事務局の方が論点を整理して提案するということはあると思うんですけれども、何らかのものがないと、では5年間待とうではないかというような議論をしていると、診療のしかるべく体制というのは変わっていかないという感じも1つ危惧するんです。意見です。

○田中分科会長
 では、石井委員、どうぞ。

○石井委員
 基本的に何点か対応しなければいけないかと思うんですけれども、何のためにコスト調査・原価計算というような作業をするかという話になると、一言で言えばやはり診療報酬の適正化という議論になると思います。診療報酬適正化をどういう視点でコストとの関係でやっていくかということに関しての整理を本来は本質的なところでするんだろうと。つまり、先ほど申し上げましたように、部門別と言われているようなやり方でいくのか、診断群分類別なやり方なのか、患者別なのか、ここで言っている現在の診療報酬を前提とした基本診療料、特謁診療料というような考え方の切り方で見るのか。その再評価は問題が一番奥の背景のところでは存在していると思います。
 少なくとも今回の基本診療料、特謁診療料というのは、今までの歴史の中でつくられてきた、積み上げられてきたものでありますが、非常に明確に定義されているわけでは残念ながらないので、対応するコストを適切に算定することに関しては、もともと非常に厳しさがあります。ただ、それ以外に、先ほど渡辺委員がお話をされたように、現状、コスト計算をしていくという技術的な側面の中で未整理のことがたくさんあって、それは当然のこととしてもう一つ解決しなければいけないものという話になってくると思いますから、本来はかなりどちらかというと中医協と分科会との間でこの議論を進めていくのであれば、インタラクティブにというか、相互通行的にきちんと意見交換をしながら、この報告だよと、しかも上下関係で言えば中医協があって分科会ですから、中医協の方からきちんとした意思表示をこういう形でやってくださいというのを出していただけないと、かなり空転しながら作業するというようなことになります。
 空転しながら作業することがないように、ある意味においてはコ-2で記載しているような基本的な視点を中医協サイドで明確化していただかないと、現実的には効果のある作業はできません。こういう意味で多分コ-2が位置づけられているんだと理解しておりますから、個人的に見解を述べさせていただくと、この形でコ-2の提出をしないのであれば、少なくとも報告書の書き出しのところでは、ある程度この部分を集約して、こういうことに関して明確にしていただかなければというようなことの記載を少し加えていただかないと、ではやりなさいよと言われたときにどうやってやるのだろうかと思って、現実にやる側は立ち往生するだけで、合理的で客観的な作業が十分にできない可能性がございます。
 そうなると、今後行われるかもしれない研究結果のレポートは有効性や客観性を失うことになるのかなというのがありますから、完全にコ-2の部分の文章を全部捨象して要らないという議論も違うのではいかと理解しております。

○田中分科会長
 尾形委員、お願いします。

○尾形委員
 今、石井委員のおっしゃったことは非常によくわかります。そのとおりだろうと思うんですが、どうも違和感のあるのは、報告書としては非常に短いものがあって、それに別紙としてワーキンググループの報告書及びコメントというのが付いているという、形式がどうもおかしいのではないかと思うんです。
 本来であれば、1つのやり方は石井委員がおっしゃったように、ワーキンググループの報告書の中にある程度その趣旨を盛り込ませるか、あるいは報告書の本文にコメントではなく、分科会の意見としてきちんと出すべきだと思います。コメントというのはワーキンググループから出てきたものについてちょっと意見を言ってみたという感じなので、そこが違和感があるのではないかと思うんです。
 ですから、どちらの方法をとっても結構なんですけれども、コ-2の資料をきちんと位置付けていただきたいと思います。

○田中分科会長
 今、出てきた新しい案は、ワーキングの報告書の中にコ-2に書かれている内容を取り込んでしまって1個にした方が形式的にはよろしいということですね。

○尾形委員
 そうですね。それでコ-1を別紙として付ける。あるいは今、石井委員がおっしゃったように、コ-2の内容をワーキンググループ報告書の冒頭に入れるか。どちらかではないかと思います。

○田中分科会長
 ありがとうございます。コメントというものの位置づけがよくわからないので、それを整理する方法として今2つを言っていただきましたが、一本化してしまう案もあります。ほかに皆様の御意見はいかがでしょうか。
 吉田委員、お願いします。

○吉田委員
 初めて出るのでわからないんですが、これはこの委員会が昨年9月29日と言われましたね。実は今回の保険改定のときの中医協が再開したのが一昨年の10月なんです。私は技術評価分科会長ですので、中医協に呼ばれまして、医療技術の進捗状況について報告しろと言われたんです。そのときに、要するに医療技術ですので、各学会から出てくるいろんな技術があるんですが、一番メインは手術です。手術の点数が、だれが、どこで、いつ、何を根拠にしてつくったんだと。何もないわけです。
 もともと外保連では、二十数年前から1つの手術の医師の数、看護師さんの数、麻酔医の数、時間、水、電気と、そういうのをすべて含めた試算というのが出ているんです。結局、遠藤会長も、第5版を出しまして、要するに例えば手術に関してはこういう積み重ねた外保連の試案に則って考えたらどうかということで、私のところへ委託されまして、では平成24年改定のときに全部経営行動、手術に関しては全科平等に横並びで再検討して出すということで、今、2月末に外保連で全科平等に、使った糸の値段からカテーテルの値段まで全部含めて、この手術には大体幾らかかると出したんです。
 ですから、そういう技術に関しては簡単なんです。初診料とか基本診療料、特謁診療料というのは、取っ付きがないので、多分もともとは前の中医協の場合には基本診療料とか特謁診療料は日本医師会がいろいろ考えていたんです。それで突然手術に関して私のところでやると。ついでに1年経って昨年9月に今度は基本診療料と特許診療料のコストの根拠を出せと多分出たと思うんです。
 石井先生おっしゃるみたいに、このこと自体が非常にあいまいで、結論は何かというと、難しいと。不可能であるという結論なのかなと思うんです。というのは、外科の手術に関してもいろんな集積があって、全科が平等にこの手術に幾らかかると出していますので、そういう形があればきちんと出るんでしょうけれども、それに連動して昨年9月に中医協でもって基本診療料と特掲診療料についてもコストの根拠を出せと出たのかなと思って、我々は昔からもう難しいと、医療技術はできますけれども、こういう大まかなものに関しては根拠をどうするんだというと非常に難しいのではないかという意見が多分日本医師会で出ていて、特に日本医師会の方では、2年おきの改定のときに、初診料含めて大体この辺の点数でなければ困るよと。しかも大病院と個人診療所で違うということで、多分結論を出したんです。もしこれで時間があれば、日医総研で数十年かけて基本診療については検討しているんです。その資料を出してもらえればある程度結論が出るのかなと思うんです。
 余談ですけれども、そういう経緯です。

○田中分科会長
 経緯の説明、ありがとうございました。日医総研としては医療機関が成り立つための点数を言うことはできても、コストに基づくことは難しいという感じなんでしょうかね。
 勝原委員、どうぞ。

○勝原委員
 コ-2の方を改めて見てみましたけれども、恐らくここに書かれていることの3分の1から半分ぐらいは中医協には既にわかっていることで、診療報酬の説明がされていたりとかそういうことですので、私も最初にお聞きしたときにはどちらかというとコ-1の方がメインだと考えました。ですので、コ-1だけでも十分だと思いますが、先ほどの石井委員の御意見にもありましたように、コ-2の中である程度集約して表現されているようなことをコ-1の前文のところに持っていくという意見でお答えしたいと思います。

○田中分科会長
 ありがとうございます。事務局はそういう対応は可能でしょうか。コ-1をメインにし、これを分科会からの報告にし、コ-2に書かれているところをもう一度石井先生とも相談しながら中に取り入れて一本化する案は大丈夫ですか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 御意見を受けまして、それは作業的にも可能でございます。

○田中分科会長
 コ-1だけでいいという御意見に対して、コ-2の内容も一部は必要であると、実際につくっていただいたワーキンググループから出ましたので、それを受けてコ-2の中身をどこに入れるか工夫が必要ですが、入れ込んで一本の報告書にして出す案が今のところ主力のようですが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)

○田中分科会長
 では、賛同いただいたようなので、ワーキンググループの報告書をベースにコ-2の一部を組み込んだものを取り入れて、改めて報告する案にします。その場合、つくり直した案文は皆様に一応目を通していただく形になりますね。集まることはしないけれども、手順を説明いただけますか。
 室長、お願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長
 ただいまの御意見を踏まえまして、事務局の方でこの作業をさせていただきます。その作業としまして、今のコ-1のワーキンググループのインデックスとなっております。それを分科会のインデックスとするということにし、前文の部分、コ-1より前の部分がございますが、その前文の部分にコ-2の部分、エッセンスなり、重複の部分がございますので、それは整理をした上で前文の部分にいれまして、修正原案を作成します。
そちらの修正原案を石井座長、田中分科会長の方にもごらんいただきながら、また各委員の皆様方にも送付をさせていただいて、御意見をまとめた上での分科会としての報告レポートの作成をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田中分科会長
 では、今後の取り扱いですが、今、事務局から説明いただいた方法で皆様に一応目を通していただき、最後は私と石井先生で責任を持ってまとめて、それを中医協総会の求めに応じて報告することにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)

○田中分科会長
 ありがとうございます。では、そのような扱いにさせていただきます。そのほか何か御意見とかございますか。
 では、よろしければ、本日予定しておりました中医協総会に対する答えの出し方について、大変建設的に御意見をちょうだいしたおかげでまとめの方向は見えてまいりました。改めてワーキンググループの皆様に感謝いたします。
 これをもちまして本日の分科会を終了したいと思います。事務局から何かございますか。

○屋敷保険医療企画調査室長
 ただいまの作業は速やかに進めさせていただきまして、また御相談をさせていただきますので、よろしくお願いします。

○田中分科会長
 では、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<【照会先】>
厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室: 03-5253-1111(内線3287)

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