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2011年3月8日 第3回がん研究専門委員会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年3月8日(火)14:00~17:00


○場所

法曹会館 2階 高砂の間


○議題

1 創薬に向けたがん研究について
(1)日本の創薬研究の課題
(2)基礎研究のあり方について
(3)橋渡し研究のあり方について
2 基礎~橋渡し研究の論点整理
3 今後の進め方について
4 その他

○議事

出席委員:野田委員長、大津委員、祖父江委員、直江委員、中西委員、平岡委員、間野委員


○鈴木がん対策推進室長
 それでは、定刻より若干早いですが、委員の先生方皆さんお集まりになりましたので、ただ今より第3回がん対策推進協議会がん研究専門委員会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 事務局のがん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、松原専門委員につきましては、ご都合によりご欠席との連絡を受けております。がん研究専門委員会委員定数8名に対しまして、本日は7名の委員の方にご出席いただいておりますので、議事運営に必要な定足数に達していることをご報告申し上げます。
 また、本日は第2回専門委員会の際に、野田委員長からのご依頼により、内閣官房医療イノベーション推進室より土屋次長にご出席をいただき、後ほど日本の創薬研究の課題などについてご説明をいただきます。
 それでは、初めに健康局長のほうからご挨拶させていただきます。

○外山健康局長
 本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 前回の第2回がん研究専門委員会では、これまで3省が取り組んできましたがん関連の研究事業等につきましてご議論いただきまして、また野田委員長のほうからは、日本における基礎的がん研究の現状と課題についてご提示いただきまして、また委員の皆様からも非常に熱心なご意見をちょうだいいたしました。
 本日は、内閣官房医療イノベーション推進室の土屋次長にもお出でいただきまして、特にがんの基礎研究から橋渡し研究までをご議論いただく予定としております。基礎研究から臨床研究へバトンを渡す橋渡し研究の推進は、基礎研究の成果を実用化する意味で、非常に重要な議題であると考えておりまして、本日の議論に期待しているところでございます。よろしくお願い申し上げます。

○鈴木がん対策推進室長
 それでは、以後の進行につきましては、野田委員長にお願いいたします。
 委員長、よろしくお願いいたします。

○野田委員長
 ありがとうございます。
 本日は、第2回がん研究専門委員会におきまして議論されましたがん研究の問題点の整理というのを踏まえまして、まず今回と次回にかけて創薬を目指した研究ということで議論をしましょうということになりまして、その前半部分ということに当たりますが、特に今局長がおっしゃいましたように、基礎研究から橋渡し研究というところについて、重点的に議論をしていきたいというふうに思います。
 流れとしましては、医療イノベーション推進室の土屋次長から、日本の創薬研究全般の現状とか、あるいは課題とかというものをご説明いただいて、その後に間野委員と中西委員から、それぞれ基礎研究あるいは橋渡し研究についての課題や在り方について、ご説明をいただきたいというふうに思います。
 そういうプレゼンテーションまで終わった段階で議論を始めて、大津委員には前回から今回にかけて大変にご努力いただいて論点整理していただきましたので、その大津委員の論点整理に従って議論をしていきたいというふうに思っております。
 そのときに一つだけ、その間のやりとりで平岡委員や何かのほうから、今回のは創薬ということに限ったものなのだろうかというご質問がありました。それで、いろいろ大津委員とも話し合ったんですが、基本、今回の流れは創薬という流れで考える。しかしその中に診断についてのことがあったり、あるいは機器についてのことがあれば書きとめておいて、そこで触れていただいて構いませんが、そこで議論は深く入らずに、いったんこの創薬研究が終わった後で、診断あるいは機器開発という部分を、それほど長くは時間とれないかもしれませんが、次回あるいは次々回に、恐らく次回になると思いますが、置いておくということですので、そこまで忘れてしまうかもしれないという方はこの流れの中で言っていただいて構いませんが、診断及び機器開発に関しては、また改めてまとめる場がありますということだけを触れておきます。
 それでは、事務局より資料の確認等をお願いいたします。

○鈴木がん対策推進室長
 それでは、資料についてご説明させていただきます。お手元のほうに、座席表と第3回がん対策推進協議会がん研究専門委員会の議事次第、それから資料番号は右肩に振っておりますが、資料番号1、がん対策推進協議会がん研究専門委員会の委員名簿、以下、資料2、3、4、5までが一応資料となっております。また、参考資料といたしまして、参考資料1、橋渡し研究加速ネットワークプログラムについて、これは文科省のほうから出ておるものでございまして、それから参考資料2、がんトランスレーショナル・リサーチ事業の成果の現状、この2つが参考資料として出ております。
 また、あと机上配布といたしまして、参考までですが、革新的ながん治療等の開発に向けた研究の推進ということで、がんトランスレーショナル・リサーチ評価検討委員会の事後報告書、それと冊子でございますが、文科省のほうから「動き出したアカデミア発シーズ治験」という抄録集、それと、文科省橋渡し研究支援プログラムの成果発表会の資料集、この2冊の冊子ということが机上配布させていただいていると思います。
 もし、過不足等ございましたら、事務局のほうまでお申出いただきたいと思っております。
 以上でございます。

○野田委員長
 ありがとうございます。
 それでは、先ほどの述べた順番に従いまして、本日の議題に入りたいというように思います。議題1、創薬に向けたがん研究についてということで、土屋次長から日本の創薬研究の課題について、全般的に広くで構いませんので、よろしくお願いいたします。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 医療イノベーションの土屋でございます。よろしくお願いいたします。
 本日、がん研究専門委員会ということでございますが、このタイトルにありますように、創薬の全般的な視点から見た課題について、ご紹介させていただきたいと思います。
 それでは、次の2ページ目をお願いします。医療イノベーション推進室は、今年の1月にできたわけですが、ここに示しましたように目標を掲げております。科学技術の進展、高齢化など、社会的な変化、経済・財政状況等を見据えつつ、世界的な視野で10年、20年、50年後のあるべき姿を想定し、この視点に立って国際競争力の高い革新的な医薬品・医療機器の開発、再生医療の創出を目指すとともに、確実に進みつつある個別化医療の確立に必要なインフラを整備し、医療分野でのイノベーションにつなげ、日本国民に世界レベルの医療を供給するということでございます。
 現在、この目標に向けまして、実際に推進室ではワーキング・チームをつくって種々検討を進めております。ワーキング・チームには医薬品、医療機器、再生医療、個別化医療等々ございますが、本日ここにいらっしゃいます野田先生もこのワーキング・チームのほうでいろいろご助言いただいております。
 本日は創薬研究の課題ということですので、この医薬品ワーキング・チームでカバーされている内容ですが、実際まだこのワーキング・チーム自体の活動はいろいろなものを議論している段階で、どれがアウトプットかというものを示すものはないわけでございまして、今日ここにお示ししますのは、かなり私の私見の入ったコメントということで、ご了解いただきたいと思います。
 次のページをお願いします。皆さんご存じかと思いますが、この図に医薬品の一般的な開発プロセスを示しております。医薬品の開発はハイリスク・ハイリターンとも言われますが、ここに示しますように探索研究着手ですね、基礎研究の着手から発売まで10年以上経て、申請・承認ということになりますが、その確率は化合物レベルで計算して、二万数千分の一というふうに言われております。また、この成功確率は、臨床試験に入ってからもまだ例えばフェーズ1から許可まで10%前後ということで、投資が大きくなるフェーズ2以降でも半分近くの開発品がドロップして発売にこぎつけないという現状がございます。
 この図は研究開発投資の回収と再投資ということをスキマティックに示した図ですが、1品の新薬の開発には成功確率を加味すると、有に1,000億以上かかると計算されております。新製品の利益は、図では発売後すぐに売上が上がるように見えますが、実際発売後、何年かは売上は上がるが、個々の製品で見れば損益はまだマイナスということで、なかなか利益の出ない状態が続きます。米国の調査結果ですが、せっかくジョウシュしても開発費用を回収できる製品は30%以下という統計数字もございます。また、ジョウシュ後に安全性の問題で発売を中止せざるを得ない医薬品もございます。
 このように不確実性の高い新薬開発を行うには、新薬というイノベーションの価値を正当に評価し、開発投資が十分回収できる仕組みが必要ですが、この点では昨年日本で導入されました新薬価制度は、試行的導入とはいえ、十分評価できるものと業界としては考えております。
 しかし一方で、この先ほど述べた二万数千分の一の確率で開発される新薬の種は、非常にそのスタートから発売にこぎつけるまで困難度は増すばかりであって、このため年々開発費用は上昇する傾向にございます。そこで重要になってくるのがアカデミアの先生方との連携ということになります。
 この図は現在、医薬品ワーキング・チームですね。医療イノベーション推進室におけるワーキング・チームで研究している図でございます。非常にビジーなスライドで申しわけありませんが、一番上に創薬プロセスを示しており、一番左の赤い矢からいけば、創薬標的、創薬シーズの発見、それからリード化合物同定、それから最適化研究、非臨床試験、このような形でプロセスを比較的創薬の早い段階に焦点を当てております。ここではいかに大学を初めとするアカデミアの研究成果、発明・発見を製薬企業が新薬開発につなげていくかという点について議論をしております。主に課題としては2つのフェーズであるというふうに考えております。スライドの真ん中の辺に死の谷というのが示しておりますが、アカデミアによる創薬の種の研究が左の三角で示しているアローです。矢が伸びてきて、企業からの興味という、または企業の研究という点では右の三角に示すブルーの三角ですが、この両者がうまく手をつないで橋渡しされることによって、新薬の開発がスムーズに進むわけですが、現時点ではここの両者の連携がまだまだ不十分であるという認識でございます。
 もう一点は、この右の方の臨床試験の開始、またはその進行に関わる点でございます。このような形で、特に最初に述べました死の谷という点に関していえば、アカデミアの先生方はこういうすばらしい発見をなぜ企業はとり上げて創薬にしないのだろうと、そのような思いがありますし、企業からすればまだまだ製薬企業が手を出すレベルのものではないと、そのように両者の思いに大きなギャップがあると考えております。
 ここに今述べた2点を、今日説明させていただく主な創薬における課題として、もう少し詳細に説明します。次のページですが、タイトルとして革新的創薬のための改善点ということで、最初に死の谷というふうにアカデミアの方が言われるフェーズでの日本のアカデミアで優れた発見・発明などの知的資産をいかに活用するかと、そういう第1点ですね。そして臨床試験におけるいかに新薬開発、特に臨床試験をスピードアップするかと、この2点についてご説明します。
 これはまだ医療イノベーション推進室でも話している内容ですが、最初の課題に関しては、やはり学と産の連携をいかに上げていくかということ、特に両者の役割分担をお互いが理解して把握した上でのパートナーシップであろうと。それからもう一方で、バイオベンチャーの育成という課題があると思っております。特にバイオベンチャーは米国で創薬の担い手としての存在価値を大きくしております。その次のスライドをお願いします。これは各製薬企業ですね。日本、米国、欧州、各リージョンにおける製薬企業が、実際に開発品目をどのような形で入手しているかということを示す図ですが、BVというのはバイオベンチャーですね。一番上のバイオベンチャーまたは買収したバイオベンチャーオリジンによる開発品が、全体の約4割を占めるというのが現状でございます。実際、バイオベンチャーのほとんどアカデミアの発見からスタートしているということが言えますので、我々はいかにアカデミアの創薬の種を入手して、それを育てていくかということが大きな課題になるわけです。
 次のスライドお願いします。実際に戦略的投資としてここのスライドで示しておりますが、各社、右のほうのテーブルでは、ファイザー、J&J、メルク、イーライ・リリー、GSKと大手の会社名、それから日本では武田、第一三共、エーザイの名前を挙げておりますが、各社がこの数年大きな企業買収を行っておりますが、その目的の一つにはこういうバイオベンチャーによる発明・発見をいかに自社のパイプラインに入れるかというところに注力しているわけです。この規模も左の棒グラフにありますが、日本企業、米国企業、欧州企業、年々その買収の額とスケールが上がるということです。
 次のスライドで、実際に日系の製薬企業、4社の戦略として最近行われている買収等々を示しております。武田、第一三共、アステラス、エーザイ、それぞれバイオベンチャーを中心とした買収をここ数年行っております。特にがん分野への進出というのは一つの特徴として挙げられると思います。
 しかし一方で、日本ではバイオベンチャーが絶対数として少ないというのがございますが、大体これまで欧米企業もそれから日本企業も買収する相手というのは、欧米のバイオベンチャーでございます。これは日本のバイオベンチャーが歴史が浅いというのもありますし、パイプラインが未成熟という点で、十分にアカデミアの研究がバイオベンチャーのような形で企業のほうへ流れていくという仕組みがまだ日本では成熟していないということの証左と思います。
 このスライドに創薬プロセスにおけるアライアンスの形態というものを図で示しておりますが、大学、それから公的研究機関等のアカデミア、それからバイオベンチャー、製薬企業、探索研究とか、その特許化をするグループはこの3つが考えられますが、それが開発承認申請、主にバイオベンチャーや製薬企業、そして販売はバイオベンチャー、製薬企業、特に販売に関しては製薬企業が主体だと思いますが、このようなグループの中でここに示したような形で創薬の種が流れていきます。しかし先ほど申しましたように、日本においてはバイオベンチャーがまだ十分育っていないという関係で、いかにこの大学または公的研究機関から製薬企業にその知的資産が流れる仕組みをつくることが大事かということになります。現在、我々がいろいろ議論しておりますのは、これをつくる、この流れを促進する仕組みが必要であろうと、それはどのような形であるべきかという議論ですが、ここにおいて我々企業としての考えは、やはりアカデミアと企業は、十分な役割分担をお互いが認識する必要があるだろうと。先ほど言いましたが、企業とアカデミアの間にはいろいろな意味での認識のギャップがございます。例えば基礎研究という言葉を一つとっても、アカデミアの方が使う基礎研究と、我々企業が使う基礎研究、内容が随分異なります。
 ここに書きましたように、アカデミアと企業の役割分担で、アカデミアに我々が期待するのは、創薬標的、創薬シーズの発見とそのバリデーションで、可能であればトランスレーショナル・リサーチということで、我々企業はアカデミアの発見・発明を受けて、それをリード化合物に変え、開発候補品として発展させ、臨床試験を行います。ここにおいて、リード化合物発見以降のプロセスというのは、GLP、GCP、GMP・GQP、市販後まで入れますと、GVP、GPSPと、我々はGシリーズと呼びますが、このような形でいわゆる規制がかかったコントロールの中に置かれた条件で行います。これを我々は企業が行うべき研究だと思っておりますし、これをアカデミアに期待するところではありません。すなわち、両者が得意技を駆使して、パートナーとして連携する仕組みが大切ですが、実際どのような形でこれをつくっていくかというのが今後の課題になっております。そして特に双方の期待感を一致させるということが重要だと思います。ターミノロジーといいますか、言葉一つとっても、両者の意思が十分通じるような形が必要という考えです。
 次のスライドですが、一方でいかに新薬開発、特に臨床試験をスピードアップするかという点に関してですが、これはここに書きましたように、臨床試験環境の整備、コストの低減、臨床研究への積極的な参画ということで、これはこれまで既に日本製薬協がいろいろな意味で提言しているとおりでございます。
 次のスライドですが、例えばこれは一つの指標ですが、国際共同治験実施施設数の比較を上位60カ国で行っているテーブルです。これによりますと、断トツに多いのは米国ですが、日本は34番目ということで、同じアジアの中でも韓国、中国、台湾よりも少ないという結果になっております。これはイコール国際共同治験が少ないと単純には言えませんが、一つの指標だと考えます。
 次のスライドに示しましたのが、これまで製薬協がいろいろな形で革新的創薬促進のための重要施策ということで、主に臨床試験のインフラの整備について提言している内容を示したものです。国により徐々に改善が図られているところだというふうに思いますが、まだまだ改善する余地は多いというふうに考えております。とりわけ日本は治験においては世界で最も高い国と言われており、欧米等の2倍、それからアジアのほかの国と比べれば五、六倍というふうに非常に高価な治験環境です。
 それから次のスライドですが、これは医学論文数の年次推移ということで、基礎研究論文と臨床研究論文における日本の世界の位置づけを示した表でございます。これで言えることは、日本は基礎研究論文に関しては非常に上位にあるけれども、臨床研究論文に関しては中位だということで、やはりどうしてもアカデミアの方のその思考が、基礎のほうにあって、臨床研究に対する思いが少ないのではないかというふうな我々の見方でございます。したがって、我々が基礎または臨床の先生方に期待するのは、その臨床研究に対しても同じような情熱を持って取り組んでいただきたいというところでございます。
 そしていかに臨床のほうに日本における研究のいろいろな意味でのリソースが配分が少ないかということを、研究予算の面で比較した図がございます。次のスライドですが、まずこれは米国のNIHのロードマップというところにおける重点分野別予算額の推移というものを示した図です。米国ではライフサイエンス予算を統括するNIHの全体予算の約4割が臨床研究を含む応用研究に使われているといいますが、実際にそれをもう少し細かく見るために、NIHにおけるNIHロードマップというプログラムがあって、その予算をこのスライドに示しておりますが、ここに示しますように、右から3番目のカラムですね。臨床・トランスレーショナル科学、ここのカラムが最も高く、大ざっぱに言えば全体でやはり4割近くがこういう臨床とかトランスレーショナル科学に使われているというふうに理解されております。
 これと比較する意味で、日本における創薬関係のライフサイエンスプロジェクト予算の推移を見たものですが、これは日本の健康医学プロジェクトで、創薬科学技術会議で取り上げられたものに、科学技術連携施策群として指定されたポストゲノム関連プロジェクトを加えて、創薬プロセスごとに分類し直した図でございます。これで分かりますように、左側に総合データベース、バイオリソース、それから遺伝子、ゲノム、タンパク質、構造解析等とありますが、一番右が臨床用研究というところで、ざっとバーのサイズを見ていただいてもお分かりになると思いますが、日本では臨床研究、臨床応用、そちらの絵の資源の配分が少ないのではないかということを示していると思います。我々が感じるのは、やはり創薬プロセスは基礎から臨床への橋渡し部分、いわゆる死の谷の克服はございますが、もう一方では臨床研究でのコンセプト証明部分にもう少し資源投入なされるべきであり、アカデミアの先生方にもご協力いただきたいというところでございます。
 最後のスライドは、製薬産業の役割という図で示しておりますが、競争力ある製薬産業ができることによって、研究開発に投資して、生命科学への発展への貢献、それから新薬を出すことによって健康で安心な社会への貢献、そして経済成長への貢献というところで、このサイクルが回るというふうに考えております。
 非常に雑ぱくな説明で恐縮ですが、現在の日本の創薬研究の課題という点について、簡単に紹介させていただきました。
 以上です。

○野田委員長
 土屋先生、どうもありがとうございました。それでは、コメントあるいはご質問、基本的に今まで論点を整理してきたものと非常に似ている部分が多いとは思うんですけれども、加えて今回の発表ということにこだわらず、今まで整理されてきた論点に関して、例えば企業サイドはどう考えているのかというような、そういう質問でも構わないと思うんですけれども、あれば。

○大津委員
 まず、一点だけコメントですけれども、今日のテーマとは違いますが、臨床研究のほうに関しては、今のもう既に国際治験等々はもう既に日本の中でがんの領域では非常にポピュラーになりまして、特に我々が関与している領域ではほとんど登録スピード、それからコスト等はもうほとんど世界標準以上、コストに関しても最近の調査、我々個別にしていますけれども、ほとんど変わらないです。アジアの中でもむしろそんなにかかっていないと。ただ、コストの計算の仕方というのは、ちょっと日本でのいわゆる受託研究の仕組みのやつと、海外とはちょっと違いがあって、そこの企業からのお金ということで考えれば、もうほとんど特に日本が突出しているということはないというふうに考えています。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ありがとうございます。特にがんの領域に絞ったコメントではなかったので。ただ、それ以外の恐らく領域でいえば、やはり日本における治験の、例えば1施設当たりの患者のリクルートメント数からいけば、やはり日と欧米と比べれば大きな差があって、それが根本的な最終的にはモニターの費用、契約の費用等々含めての差になっているというふうに思っております。

○大津委員
 モニターに関しては、確かにまだ全部ではないんですが、一部の施設は我々ももう直接、ダイレクトにもうEDCでグローバルに直接対応していますので、多分そこはもうアカデミアの問題ではなくて、CRO等々の問題になりますので、我々としてはアカデミア側としてはもうそういうことをそこにかかっているとは考えにくいです。
○中西委員
 大津先生のおっしゃるとおり、特にがんの領域ではここ何年間か随分と改善があると思っているのですが、どうしても規制を含めた法制上の問題がやっぱり結構重苦しくのしかかっています。その辺りにつきましては、イノベーション室のほうで規制あるいは薬事法をどうするかについて、何かディスカッションは進んでいるのでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 先ほど医療イノベーションのほうで、医薬品、それから再生医療、個別化医療、医療機器という分け口もあると言いましたが、それに加えて今ご指摘のあったレギュラトリーサイエンス、それから知財ですね。この各製品群というか、そういう各ワーキング・チームを横ぐしで刺すような形で、どういう点でレギュラトリーの点でも改善する必要があるのかということを議論しております。
 例えば臨床試験でいえば、これは薬事法を変える必要はなくて、もちろん実際のオペレーショナルレベルできる範囲もあると思いますが、例えばさっき言いましたけれども、施設当たりの症例がどうして少ないかというのは、いろいろな理由がありますけれども、そこにおいてさらに日本の場合はGCPの理解によって、やるべきことが多いというのが我々の業界から見た考えで、ですから一人当たりで持つ施設の数ももちろん少ないですし、手間がかかっているというのが現実的に感じている内容で、その辺もいろいろ相談させていただいて、提案させていただきたいというふうに考えております。

○直江委員
 先ほどアカデミアとメーカーの間に思いにギャップがあるというお話をされたんですけれども、例えばアカデミアの先生があるシーズを見つけられると。これは患者さんのためにきっといい医薬品ができるはずだということで、メーカーといろいろ話をする。ただ、メーカーのほうはいろいろ調べられて、知財の問題、これは大きいと思いますし、マーケットの問題、それから幾つか挙げられたんですけれども、僕はそういうところで結局日本のメーカーがなかなか乗り出してくれないということを、私自身も今まで感じておりましたし、それから乗り出したとしても、アカデミアの先生方の最終的にはもちろん臨床までフィードバックされるといいんですけれども、途中で論文化とか、公表という問題がございますけれども、メーカーの方は非常にシークレットが好きなんですね。
 ということで、恐らくこのギャップの問題というのは、今言ったように知財の問題とか、マーケットの問題というのは、僕は最終的にずっと出てくるように思うんですけれども、ではアメリカはどうしているのかということで、何か先ほどベンチャーの話がありましたけれども、何かイノベーションのほうで、これはもう多分10年も前から同じような議論はあると思うんですが、何かこういうようなことはどうなんだろうとお考えになっているような打開策というのはあるんでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ありがとうございます。思いにギャップあると申しましたのは、創薬をつくりたいという思い自体にはギャップがないと思いますけれども、実際に例えば今先生がおっしゃいましたこういう発見がなぜ薬にならないんだろうかという、先生方が思うこういう発見のレベルが、例えば製薬会社から見ると、まだまだ正直言って海のものとも山のものとも分からないという状況で、大きな投資をするには至らない、そういう双方がこの辺りで手を結べるのではないかというそのステージに対するギャップがございます。
 知財の問題は当然のことでございますが、例えば先生方が何か新しい生体内物質等を発見したときに、これがいろいろな薬になる可能性があるということは当然考えられるわけですが、企業が今そこで投資をしてということになれば、それがどのような薬になるかという絵をある程度、ストーリーを含めて書いて、それがどういうレベルでどのようなことがされたらそのターゲットがバリデートされるかというところを評価するわけですが、例えば米国などですと、何か先生方が発見すればそこにバイオベンチャーキャピタルが入ってきて投資して、バイオベンチャーができて、そしてそこから先の出口までのストーリーを全部書いて企業に売りに来ると。企業もそういううまいストーリーについつい乗ってとは言いませんけれども、非常にストーリーがしっかりしていれば、そこで投資の判断、もちろんそのときにしなくても、彼らは1年ごとまたは半年ごとに来て、進捗も報告して、ここまで来たから全体の成功確度が上がったと、そういう形で売り込みがあるわけですね。
 残念ながら、日本の場合はバイオベンチャーがないことによって、先生方の優れた発見がどのような形で薬になるかという具体的な図を描けない状態で、企業との間でにらみ合うとは言いませんが、静観し合ってしまうという状況があると思います。したがって医療イノベーションの中でも話しておりますのは、どういう形でそれを埋めるのかと。バイオベンチャーに変わるような何らかの仕組みが必要であろうと、そういう議論はしておりますが、まだ中身に関しては具体的に詰めている段階で、今ご紹介できるようなことはないんですが。実際、その辺の双方の期待感のギャップというのを埋める仕組みが必要だというふうに考えております。

○野田委員長
 どうぞ。

○平間委員
 そういう意味では、そこがある意味、国が支援する例えばJSTとかNEDOプロの役割だと思うんですよね。例えばそういうAステップですか、そういうのも始まってしますから、そこに企業にとってはリスクがあるし、アカデミアにとってはなかなかそれ以上行くと、リサーチというか、むしろ実用化なので、学問的なことからは余り深入りしたくないというところで、その合間を埋めるのが私は国プロではないかと思うんですよね。その辺りの議論はされているんでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 実際にいろいろな試みがある中で、今先生がおっしゃいましたようなものが、我々が議論しているところと非常に近いというものもあると思っております。また、最近、例えば創薬のインフラとしての排出量プットなどの機能を日本でも持ったらどうかという議論がございますが、言えますのは全体にスケール自体もやや小ぶりで、それからもう少し出口を見据えた形での研究がなされること、それからそこで働く方がやはりモチベーションを持って、正直言いまして創薬の研究というのはすぐに論文になるわけではありませんし、一番後ろまでというか、製品化するケースというのは非常に実際はすごく少ないわけですね。ですから、そこに働く人がモチベーションを持って働けるような仕組みと一緒に、併せてある必要があるというふうに考えます。
 イノベーション推進室でも話していることの一つには、やはりアカデミアの先生方にもそういう意味でのビジネスモデルも含めて、何らかの形でコンサルテーションとかアドバイスできるような仕組みがあったほうが、商業化にまたは商業化のためのパートナーとしての企業と連携するにおいてもいいのではないかというところで、そういう全体を含めた仕組みが望ましいかというふうに考えております。

○間野委員
 今のにちょっと企業側からの意見に近くなるんですけれども、実際に企業と共同研究とかをしてみた経験としては、前もちょっとお話ししましたけれども、やはり企業は国プロに入るのはすごく嫌がるんですね。それは多分定期的な情報公開ですとか、例えばレビューアーの方に関して、どれぐらい秘密保持契約がちゃんと法的に整備されているか、そういったシステムとして企業側が手を差し伸べにくいようなシステムにやはり今の日本はなっていると思いますの。企業からすれば、それこそたかが数億で自分のこれからのビジネスのネタを開示するのは困ったものだというのが、多分正直なところだと思うので、やはりその企業が一緒にやりたいと思うような法的な整備がどうしても必要なのではないかと思います。

○野田委員長
 法的なところだけで大丈夫なんですか。

○間野委員
 まず。

○野田委員長
 例えば両方が同じ方向に向かっているけれども、今言ったようなハザードがあって、それを除けばというのとは、今のはちょっと違うと思うんですよね。アカデミアの研究指向性の根本的なものと、それから企業の目指すべきものとが、やはり初めから少し角度が違う、それをどう近づけていくかという話なので、法的なというような何か少し環境を整えろというだけではなく、何かもう少し強硬なトップダウンの何かが必要な感じがします。

○間野委員
 おっしゃるとおり、それこそがまさに私がこれから基礎研究の領域で話そうと思っていることなんですけれども、基本的にはさっき土屋先生がおっしゃっていたようなベーシックサイエンスの一流誌に載る数と、TRの一流誌に載る数の圧倒的な差というのは、今や日本はTR関係のアカデミアの熱意とかノウハウはかなりたまっていると思うんですが、個人的な意見としては、むしろ基礎研究が日本は弱いのではないか。その弱いというのはどういう意味かというと、余りにがん細胞学に興味が行き過ぎていて、その知見が本当に患者さんに応用し得るものかということに対する冷静な評価ができる人が極めて少ない。それをどうやったら実際に日本発のコンパウンドでできるようにするかといったら、やっぱりそういう芽を研究費の応援システムとしてサポートしていくしかないと思うんですね。それが1年や2年で結論が出るようなものでは決してないと思いますけれども、そこに行く以外には道はないのではないでしょうか。

○野田委員長
 それはディスカッションのところで出てくると思うので。基本的に土屋先生におっしゃっていただいたこの2つのポイントというのは、大津先生中心に整理したときにも領域としては非常に明確である。それからできればこれから話し合ってまとめていくときに、今の企業側からの土屋先生の目というか、視点あるいは考え方というのも入れていきたいというふうに思います。それでまずは次へ進みたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
 次、今度は基礎研究の部分に特化して、間野先生のほうお願いします。

○間野委員
 間野です。よろしくお願いします。私自身が臨床医出身の基礎がん研究者ですので、その経験を通して思ったことをまとめてみました。簡単なスライド2枚なんですけれども、さっき野田先生からご指摘いただいたんですけれども、私はやはり日本のがん研究そのものが—自分自身の反省でもあるんですけれども—必ずしも臨床を向いていないのではないか。例えばそのような状況で、急にTRが大事だからTRをやりましょうと言われても、TRが実際に可能な研究費と人を動員するに足るような標的が少なくとも今の日本においてはごく限られたものしかないのではないかというのが偽らざる心境です。そこにこそ、アカデミアが考えるシーズと企業側が考えるシーズに大きなギャップがある原因ではないかと思うんですね。
 細胞を例えば増殖抑制するものが全部がんの薬になるかというと、そんなことはないので、それを研究者側が必ずしもそこで正しい判断ができていないのではないかというのが個人的には一番日本のがん研究に足りないものだろうと。つまり臨床を見据えたようながん研究、実際に患者さんの早期診断とか、あるいは治療に向けて役に立つようなことを、ファイナルアウトプットに置くようながん研究が、やっぱり日本は極めて少ないのではないかと思います。
 ですので、それを育てるというのがやっぱり国として必要だと思うんですね。そこではこのスライドでは、対応策としてシーズ探索という項目を入れていますけれども、このシーズ探索というよりは、基本的には標的探索ですね。本当に実際に患者さんの治療に使用し得るような標的探索を、アウトプットに求めるような長期的ながん研究費枠みたいなものが、やはり国として必要なのではないでしょうか。それが日本にはすごく限られていて、やっぱりがんはすごく不思議な生物ですから、生物学としてのがんが余りにおもしろいので、やっぱりアカデミアがそこに閉じこもっているような、自分もアカデミアですけれども、印象があります。標的が見つかった時点で企業へライセンスアウトするか、あるいは標的が見つかった後、企業と一緒にシーズ開発まで持っていくか、それはケースバイケースだと思います。しかしいずれにしろここでシーズ探索という言葉が適切かどうか分かりませんが、この領域が太く大きくならないと、絶対に日本の基礎研究が直接薬に結実するチャンスは極めて低いというふうに思います。ですから、そこを太くするためにはどうすればよいかというと、これは本当につけ焼き刃では絶対に無理なことなので、やっぱりシーズ探索に重点を置いた研究テーマを設定しないといけないでしょうし、そこでの評価は、実際にシーズとして使えるものが出るかどうかしか評価基準はないと思いますね。
 そのような研究の方向性を新たに設定することが必要でしょうし、それを長期的にサポートすることも必ず必要だというふうに思います。やはりこれが3年以内に成果が出るなんていうことはあり得ないので、やはり5年とか10年とかをサポートしていかないと、日本の知財としての日本の薬ができていく可能性は極めて低いのではないかというように思います。またもちろん当然でありますが、それを評価するシステムというのはやはり非常に厳しく、かつ極めてフェアなものである必要があると思うんです。さっきちょっと申しましたけれども、そのような中に、例えば評価委員の方に秘密保持契約を交わさせるといった、企業がより手を差し伸べやすいような法的整備も必ず必要だというふうに自分の経験で思いました。
 それが日本のがん研究に必要な恐らくベーシックな研究としては一番大事な、かつ欠けているテーマだと思うんですね。実際それをでは太くしていくために、やはりサポート体制が必要だろうということで、次のページに応用がん研究のためのサポート体制の方向性について、2点を挙げました。1つは、がんという病気自体がゲノム異常及びエピゲノム異常の病気ですから、当然ながら、がんの新しい治療法を開発する上で、あるいは新しい診断法を開発する上で、ゲノム・エピゲノム情報は必須なわけです、もちろん次世代シークエンサーがあってたくさんシークエンスできればいいというものではないですけれども、でも例えばこの中のピンクの図に書いてありますけれども、次世代シークエンサーの国別数で見ますと、米国が600、イギリスが125、中国が140なので、この3カ国が世界の3大シークエンスセンターなんですね。特に中国はこの147のほとんど全てがたった1カ所の施設に集まっているので、恐らくシークエンスセンターとしての解析能力は恐らく中国の施設が世界一だと思います。それに比べると日本は本当に情けないばかりのシークエンス能力しかないわけですね。実際にがんのゲノムをフルゲノムをシークエンスしようといったときに、では日本でそれを本当にできるところが何施設あるのかというと、さみしいばかりというふうに言わざるを得ません。米国ではさらにやがて将来このゲノムあるいはエピゲノムの情報が実際に臨床の場で使われることを想定して、もっとずっと安く大規模なシークエンスができるような機器を開発するようなバジェットを始めています。いわゆる通称「1,000ドルゲノムプロジェクト」と呼ばれているもので、もう既に今コマーシャルに販売されているものもありますが、次々世代あるいは第三世代のシークエンサーのほぼ全てが、この1,000ドルゲノムプロジェクトでサポートしてきてもらったものばかりですね。ですから、ゲノム・エピゲノムばかりするのがいいとは思いませんが、その解析情報は絶対に必須です。だからがんゲノム・エピゲノムを日本のバジェットサイズでどのように行っていくのかというふうな検討と方向性の提示が必要だというふうに思います。がんゲノム・エピゲノムの解明は、もちろん発がんの原因の解明、あるいは治療標的の発見だけではなくて、それが10年後になるのか分かりませんが、恐らく実際に臨床の場で使われる時代が必ずや来るというふうに思います。
 それからこれはどのスケールで行うか難しいところで、議論が必要なんでしょうけれども、やっぱりもう一つのサポート体制はがん検体バンクだと思います。それをどういう名前で呼ぶかは意見があるかもしれませんが、基本的にはがんのサンプル、できればその人の同じ患者さんの正常部分がペアになったようなバンクシステムというのが必要ではないかと。がんは人間では余り罹患率が高くない病気といえます。10万人当たり200人ぐらいですから、100万人集めたってたった200人しかがん患者さんが集まりません。例えば肺がんを1,000人とか、胃がんを2,000人とかというには、やはりがんを専用とした検体バンク事業がどうしても必要だというふうに思います。そこで扱う検体には当然のことながら臨床情報は必須です。連結不可能匿名化にしても構わないんでしょうけれども、臨床情報、例えば肺がんであれば肺がんの標準的な化学療法にどのように反応したかというふうな情報がついていないと、有効な検体バンクにはならないというように思います。
 ただ、実際にどこが維持をするのか。例えば国で一つのがん検体バンクというのを大規模につくって、そこが維持をするのか、あるいは日本中に幾つか施設のネットワークをつくって、それをサポートするのかは議論のあるところだと思いますし、がん検体バンクを本当に国がやっていこうとすれば、それは膨大なお金がしかも長期にわたって必要ですから、やはり将来を見据えた設定が必要だろうと思います。誰がアクセスできるかということも、当然ながらネットワーク施設が研究者だけに閉じたものであれば、国がサポートする必要はないわけですから、それ以外の方々に開いたものである必要があると思います。ただし、そこも施設以外のアカデミアに公開するのか、あるいは企業まで入れるのか。もし企業まで入れるとした場合に、では日本の企業と海外の企業はどうするのかといったことを考えると、様々な意見があると思うんですけれども、基本的にはがん検体バンクはどうしても必要で、恐らく日本が世界に伍して闘える最後のチャンスはここにあるのではないかと思うんですが、その運営のためには公正な、かつオープンなガイドラインの設置が極めて重要だろうと思います。このがんゲノム・エピゲノムの解析と、がん検体バンクをサポートにして、先ほど申しましたように、臨床を目指した研究を広げていくというのが重要ではないかというふうに個人的には考えております。
 以上です。

○野田委員長
 ありがとうございました。ここでちょっと中西先生3時なので、中西先生のご発表のほうに、ごめんなさい、だんだんちょっととりの時間が詰まってきてしまってすみません。中西先生お願いします。

○中西委員
 それでは、資料4に、私、TRという立場でまとめさせていただきました。実はTR、TRという言葉が叫ばれておりますけれども、まだまだ大学を含めてアカデミアでTRはきちんとその位置を確保したわけではありません。一番最初に表に書いてございますように、橋渡し研究は具体的に、何をするかということを見てみますと、規制当局との連携支援、あるいはCPCの設置、ドキュメントの作成、試験物の品質・安全性の確保、トランスレーショナル・リサーチを支援するコーディネーター、データマネジャー、薬事専門家、知財専門家、実はこれらは企業等については当たり前のことかもしれませんが、大学にはほとんど人材がいません。また、こういった人材を育成するシステムもなかったというのが現状でございます。ただ、文部科学省、あるいは経済産業省、厚労省、それぞれでの連携の中でTRに関するご支援をいただいており、徐々にこういった人材がアカデミアのほうで雇用して活動するシステムができつつあるというのが現状だと思います。
 次のページが、求められる出口戦略で、基本的には治験がやっぱり一番重要だと思います。高度医療評価制度や医師主導の臨床試験ははあくまでもおまけです。そういう意味で、治験をきちんとやって、薬事承認に至る、そこまでのプロセスがTRに求められていると考えております。ただ、市場化まで持って行くことを考えると、幾らアカデミアだけ頑張っても意味がないことで、産学連携をきちんとやること、そしてライセンスアウトに繋げることが必須だと思います。とはいえ、企業が考えているのはマーケティングになってくると思いますし、そこに当然のことながらは利潤追求という目的があります。アカデミアのほうではそれに加えてオーファンディジーズをどうするかという課題にも対応する必要があると思います。あるいは非常にチャレンジングでリスクの高い領域-これはなかなか企業が手を出してくださいません。例えばがんでいえば、遺伝子治療やウイルス療法-こういったものは恐らく非常にリスクもありますから、まずはアカデミアでやって、その上でもしも本当に市場化への可能性があれば、そこで企業との連携ということが出てくるのではないかと思います。
 次のページに、橋渡し研究に必要なものということでリストを挙げておりますけれども、これは必要なものと書いておりますのは、今までまともになかったもの、あるいは今でも足りないものとお考えいただいたらいいと思います。基礎研究の段階ではやはり有望なシーズ、間野先生もおっしゃったことではありますが、とにかくモノになるためのシーズというのが必要です。そのためには基礎研究者はぜひとも必須のものであります。また、知的財産権の確保という意味で、知財の専門家、これもまだまだ不十分です。開発戦略に関して、これは企業がするのか、アカデミアがするかという話もあると思いますけれども、やはり実際には塩漬けになったシーズ、あるいはシーズの前段階のもの、実際に探してみると山のようにあります。それについては、やはり当面は秘密保持の問題もありますので、アカデミアの中で研究者と臨床医、そして一部企業の方々が入った中でシーズ開発戦略を考えていくことは必要かと思います。
 次に臨床開発段階になったときに何が必要かというと、ソフト面では画期的な発見・発明を保護するための知財専門家が必要ですが、バイオ関係でなかなか十分に人材がいないというのは現状だと思います。また、良質な臨床試験の計画を立てるためには薬事の専門家と生物統計家は必須ですし、その実施のためにはコーディネーターとデータマネジャーをきちんとアカデミアに配置する必要があると思っています。ハード面では、小分子化合物ではありませんけれども、CPC-一部のTRの拠点には置かれているわけですけれども-その業務の専門家・技師が必要でしょうし、また非臨床試験がやっぱり大きなハードルになっております。資金もいれば設備もいる。もちろんそのための人材も必要になります。安全性の検証という面でもこれをGMP基準で実施するための検証部門とその専門家がいる。そしてPOCをとりにいくための基礎研究者あるいは臨床薬理学者がいると思います。ただ、あれがないこれがないだけでは、とても前に進むことはないと思います。次のページにどこに力点を置くべきかということにつきまして、私見を書いております。
 シーズはやっぱり広く拾いにいかないと、結局ここで間口を狭めてしまいますと何やっているか分からない。むしろ広く拾い集めた中から、本当に光るものを見つけていくのが必要だと思います。当然のことながら資金の問題もありますから、開発戦力に関しましてはその中から特に市場化可能性があるものに絞っていく必要がある。そういう意味で、拠点化と均てん化というのは同時にやっていく必要があるのではないかと思っております。設備とか人材は重点配備をしないと意味がない。それから地域や技術ごとのネットワーク化をすることでのシーズ探索をすることで、恐らく拠点化の弊害は避けられるのではないかと思っております。人材に関しては、やはりこれは一番困っているのは雇用体系の問題で、この手の人材は全ていわゆる競争的資金で雇用された非常勤で、優秀な人材をここに雇用することはできません。あるいは雇用できても継続ができません。やはり国策としてこの領域を重点化しようとすると、大学の中で評価できないような領域の人材-薬事の専門家、知財の専門家等々は論文が書けません。生物統計もそうです。そういった領域の人材の活躍する場所をきちんと確保することは必要だろうと思っております。また、シーズ開発の支援人材を育成するシステムも必要だと思いますが、これについてもやはり育成はアカデミアの仕事ではないかと思っております。出口戦略に関しましては、明確な出口戦略を有するシーズに対する大型開発資金の配分をしていく必要がありますが、ここのところにどういうふうに重点的に配分するかということは、やはりフェアな、しかも目利きによる審査が必要だと思っています。明確な市場化戦略を立てないと、やはり物にはならないでしょう。
 それともう一つ大きな問題は、結局競争的資金が獲得できても、全て期限付きになります。やっぱり自立性がどうしても必要になってくる。真の意味でのAROが必要だと思います。AROが独立した人事のシステムと資金獲得、そしてその運用システムを保持する。こういう仕組みができれば理想だろうと思いますし、万が一できますと、日本では必ずTRは進むと思っております。
 最後に2つほど書いておりますのは、これは文部科学省のTRの事業で、現在動いているがん関連のシーズというか、出口が近いものであります。診断領域のものもありますし、ウイルスベクター、ワクチン、細胞療法等があります。実際には小分子化合物はほとんどありません。と申しますのも、恐らく小分子化合物に関しましては、これまでの企業の中での開発が一番適切でありますし、そこにあえてアカデミズムが入る必要はないと思っております。ただ、それでも非常に早期の時点でどういうふうに研究者と企業が連携するかということについて、あるいはどうやって目利き支援をするか、シーズを見つけるかということが非常に重要な課題です。実のところ、本当に優れた研究者の下には既にメガ・ファーマが訪問していて、青田買いをしてしまっている状況がありますが、決してそれでシーズが尽きているわけではありませんで、やっぱり企業がすべてのシーズ開発に入ってくることもできません。有望研究についてのある程度のシーズ探索をアカデミア内部で実施して、そして企業との協議に持っていく、そういうシステムが大学にある必要があるのではないかと思っております。
 そういう意味で、例えばTRを実施するところを拠点化するというのは、開発の後期には当然必要であると思いますけれども、そのもっと前の段階、基礎研究をどうやって臨床に持っていくかというところに人材を投入するということは、非常に大事ではないかと思っております。
 そういう意味で、実はもう一つだけご紹介しますが、参考資料2で、文科省の方からの提出資料ですけれども、これは実は今のTRが走る前の「がんトランスレーショナル・リサーチ事業」の成果の現状というものですね。治験に入ったものは1本だけです。これも連携企業ができているかどうか分かりません。それ以外は論文でおしまいなんですね。これはTRが駄目だということを申し上げているのではなくて、これを反省の上に、今の橋渡し研究の拠点事業が行われておりまして、来年度で終了の予定ですけれども、その中から恐らく治験に行くものが30件あるだろうと言われています。ということで、確実にこの領域の認識は高まっておりますし、事業化、産業化という方向で話が進んでいることも間違いないと思います。まだまだ十分産学連携をきちんとやる、あるいは市場化に向けてもう一押しするべきところは必要だと思っています。
 以上です。

○野田委員長
 ありがとうございました。
 それでは、中西先生お時間ですのでありがとうございました。なので、ちょっと質疑、応答はその討論の中でということで、大津先生におまとめいただいたシナリオではないですけれども、今の話をもう一回頭の中に入れて、それでこの大津先生のまとめた課題と対応策というところでやっていっていただきたいというふうに思います。
 それで大津先生に司会をお願いしますが、まず基礎研究の部分とTRの部分と分けてやっていただけるとありがたい。それからこれは私がその間中、ちょっといろいろメモの書き取りしますが、もう一回しつこいようですけれども、ここの委員会のアウトプットは、できれば2段階違うものにしたい。一つはここで本当に問題だ、それをどう解決すればいいというものは、ある程度サイズが大きくなってもいいから提言にまとめたいと思うということで、ここで出てくるような課題のことは触れようと思います。ただ、最もここで本当に重要だし、本当にこうすべきだというものに関しては、やはりがん対策基本計画に入れることがやっぱり必要だと。ただ、ご存じのように、がん対策基本計画をそんなに長々と書き込むことはできませんので、この中の特に重要というところは、がん対策基本背計画に書き込んでいくというこの2段階が出口になります。
 それで、今日話し合ったことの結果は、次回までに原案みたいにして持ってきて、議事録のチェックの代わりにそれをチェックするという時間を次回設けて、それが全部終わったときには、原案は何となくでき上がってもう一回見直すというような感じにするのが一番いいのではないかというふうに思っていますので、それのためのディスカッションであるというふうに考えていただいて、今のように2つ重要な強さがあって、特にがん対策基本計画、これから5年間これはやっぱり忘れてはいけないというものに関しては、その旨言っていただければと思います。ではよろしくお願いします。

○大津委員
 それでは、よろしくお願いいたします。前回から今回にかけまして、各先生方とメール上ですけれども、各先生方が出された問題点とそれから対応策をまとめ、論点整理して、さらにディスカッションを進めていきました。今日、土屋先生、間野先生、中西先生が発表されたところの話とほとんど同じようなところがやっぱり問題になっているのではないかと思うんですけれども、それではまず基礎研究のほうから始めさせていただいてよろしいでしょうか。
 基礎研究に関しましては、最初にその法制度ガイドラインに関する課題と問題点ということで挙げさせていただきましたけれども、このバイオバンクの間野先生が出されたように、公的なバイオバンクの必要性というのは、これはもうみんなアグリーするところであると思うんですけれども、実際上、組織をつくって、そして管理していくのをどのようにするかというお話がちょっと幾つか問題が出てくると思います。一つの論点として、国として一括運営管理したような公的なバンクを設立したほうがいいのか、それともガイドラインとか体制整備して、ある意味、幾つかのグループ、ネットワーク等をつくったところで、それぞれでやってもらうような形式がいいのか、その辺は企業との共同研究等々でやっていっていいのかということはありますけれども、この件に関しましてご意見をいただければと思います。間野先生のご意見は、どちらかというと後者のほうでしょうか。

○間野委員
 例えば肺がん1,000例、胃がん1,000例ぐらいのスケールであれば、そんなに問題なく集まると思うんですけれども、希少がんとかはやっぱりそれぞれ固有のそれを得意とするような臨床施設があると思いますので、1つのところで全てをというのは現実的にはお金もかかりますし、難しいのではないかなというのが個人的な意見です。やっぱり幾つかの臨床施設がネットワークをつくるのが現実的な解決策になるのではないかと思います。ただ、単一の大規模がん検体バンクみたいなものでも国側が大きな予算を投下するのであれば、それはもちろん実現可能だと思いますけれども。

○直江委員
 まず、この検体バンクの中身なんですけれども、先生はDNAを考えていらっしゃる。

○間野委員
 検体バンク自体そのものは、生の凍結検体が主体だと思うんですね。がん部とできれば同じ患者さんの正常部分組織、多くの場合は末梢血の単核球になるでしょうが、それがバンクされていて、可能であればゲノムDNAとcDNAガスでに調整されていることが望ましい。さらに言えばスタンダードな発現アレイとか、SNPのタイピングの情報が附属したような形の検体と正常部分のサンプルそのものがバンクとしては適切だと思うんです。

○直江委員
 私もまずここで非常に重要な、バイオバンクというのか、ほかの会議では例えば検体レポジトリーという言い方もあって、そこのちょっと言葉の整理も今後必要かなと思うんですが、一つはやはり臨床情報とカップルをしていないと、なかなかそのシグニフィカンスという意味では非常に価値が下がるということが一つございます。
 それから今、間野委員がおっしゃったように、単にDNAだけではなくて、やっぱり組織とかできれば細胞とか、将来的にメチル化、それから発現アレイ等ができるような形での組織が正常のカウンターパートとペアで保存されることが望ましいだろうと。

○野田委員長
 ちょっとそこだけ。できるようなですか、それとも今間野先生は、もうそこまで踏み込んで情報付いているものというような言い方を。

○間野委員
 そのほうがいいのではないですかね。でも直江先生も多分おっしゃっていることはそんなに違わないと思うんですけれども、基本的には少なくとも網羅的な発現データと網羅的なSNPデータができれば付いた形で、臨床情報も付いたサンプルがあるというのが望ましいと思いますし、実際海外のがんのサンプルレポジトリーというのも、やっぱりそういう方向に進んでいますね。今、中国でやられているものなんかも、発現データとSNPデータが付いた形で行われている。

○直江委員
 そうですね。おっしゃるとおりで、今、発現アレイを調べたコホートで、今度はメチル化を調べてみる、今度はトータルのゲノムをやっていくということで、一つのサンプルがいろいろな角度からやると、価値がどんどん高くなるということでは、全く私は今のご意見に賛同いたします。
 国の関わり方ですけれども、これはがん種とか研究グループによって今おっしゃったように、非常に全国ネットワーク型のものから、拠点を幾つか結んだものから幾つかあると思いますので、それはがん種によっていろいろな対応があるのかなと。ただ、国として統括すると。どこがそのバンキングをした幾つかのバンク、例えば胃がんバンクとか肺がんバンクをどこかで統括するという仕組みが必要なのかなと。統括すると同時に支援をしていただくということだと思いますけれども。

○野田委員長
 統括の意味が結構大事になってきて、そういうふうにやっぱりもう使える人たちをごく限らせるという。可能性もありますよね。直江先生がおっしゃったように、一つのものを今バンクとして使い切って、とにかくバンクはあったらもうサンプル使えばいいんだというのと、そうではなくて、今、直江先生がおっしゃったように、そのバンクをワーキングバンクのようにして、1回解析をしたもののその人たちのデータがまたそのバンクの価値を上げ、次にまたその次の意味のある人がという、そういう双方向性バンクというか、そういうものをネットワークで組んでいく。それをきちっとした利害関係のない人が統括すべきだというようなのというのは、今までのアーカイブ式だったり、レポジトリー式だったりとはちょっと違う概念を与えると思うんですけれども、僕はそっちのほうが実際にはいいのではないかと。例えばこれは5年計画ですから、5年もすればただバンク絞っておいたって、昔のから何でも分かるようになるかもしれないし、逆に新しい解析は新しいのをとってこなければいけないかもしれないしとなりますよね。それを乗り越えてやっぱりこれが常に動くような。

○直江委員
 だから臨床研究と一緒に、こうやってチェーンみたいにして走るイメージではないかと思うんですね。

○野田委員長
 そうなんです。ですから、結局だからバンキングというよりも、バンキングしてその価値を高める解析が、いわゆる臨床研究ともうカップルして動くような、そういうシステムをつくるというのが大事なのではないかというのが一つ思うんですけれども、そのすそ野が広がれば、間野先生が言っているような全体としてのもののバンキングも進むみたいな。

○大津委員
 臨床情報に関してはもう臨床研究をやる側から言うと、ただプラクティスのデータを集めても余りバイアスがかなり大きいので。ですから、臨床研究に乗ったものがよいと。ただそうなってしまうと、今の新しいところの開発というのはほとんど治験で企業主導で行われていると、どうしてもそこを企業に全部、一番いいデータは企業のところに集まってしまうというのが実際現実だろうと思います。

○野田委員長
 そうしたら、それは企業も話をすれば、全然自分たちと関係ないバイアスのあるのが1,000検体あるよりは、自分たちのフェーズ1、フェーズ2のときの検体で、いろいろな解析ができるのがあったほうがいいし、それはするというわけですけれども、そこにサポートが入って、それの開発のそのフェーズが過ぎたら、それが開放されるシステムというのはつくれないのかという。

○大津委員
 土屋先生、いかがですか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 それはちょっと難しいというか、もちろん企業は臨床試験で集めるサンプルに関しては、いろいろな形での応用を考えますけれども、今そこで全くハンズフリーのコンセントを持ってというのは、ちょっと法的なもの、整備を含めて、難しいのではないかと思いますけれども、そこはいかがなんでしょうか。

○野田委員長
 普通の倫理委員会やうちの研究所の中なんかでやっていると、治験のあれであっても、そのとき同時にそれに向けてのICがとれていれば、それはそういう方向に使えますよね。ですから、単に言い方悪いけれども、がん研だったら治験のIC等をちゃんといっぱい書いてもらって、がん研の臨床研究のICと両方書いてもらって、企業とがん研が契約書を結べばそういう解析はそれでできると思うんですが。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ちょっと私もその辺、そんなに強くないんですけれども、そういう点で問題がなければ、企業側にとってその集めたものを使っていただく意味での、特に反対する理由はないと思います。

○野田委員長
 そうすると、その臨床研究とのカップリングも強く意識してのバンキングというような感じになるんですかね。

○大津委員
 我々の理解としては、そうすると多分企業は逃げていくという状況なんですよね。ですから、もちろんそうしたいのはやまやまなんです。ただ、全体として言ったときに、企業は、いやそれは新薬の開発の分野ですよ、ある程度既承認薬のお話は全然別で、それは研究者側とできると思うんですが、いわゆる新しい新薬の開発治験のときにおいては、現実には多分そこの部分を企業と契約して、企業とは別個にアカデミア側でいろいろな解析をするというのは、極めて非常に難しい状況ですよね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 一定の条件で集めて解析されたものに関して、それを全くオープンにして先生方のいろいろな角度からの解析を勝手に加えられるというのは、それは我々の治験に対するデータを保護するといいますか、自分たちのやったものに対する成果を保護する意味では、余り歓迎できないと思いますね。

○大津委員
 今はそこら辺は、結局企業のほうがパワーが強いので、それは研究費の問題もあります。だから現実にはもしそれで施設側とコンフリクトを起こす場合には、では参加しないで結構ですという、そういうスタンスの企業がやっぱり多いのが現実ですよね。なかなかそこと一緒にやっていくというのは、多分企業と別個に独立してやるというのは、非常に難しい状況だと思うんですよね。

○間野委員
 例えば開示・リリースする時期を1年後とかプロトコールで決めれば良いのであって、治験が終わった瞬間に開示するとか、それはケースバイケースなのか、やっぱりそれはルールさえつくれば、それは開示せざるを得ないのではないですかね。例えばある薬を使って、効く患者さんと効かない患者さんがいて、それは今はなぜか分からないけれども、やがてほかのグループと組んで誰かアイデアがある人が調べたら、これが実は理由だったということは必ず出てくるわけですから、その道を閉ざすのは損な気がします。

○野田委員長
 単純な質問ですけれども、いわゆる創薬コンセプトにのっとったラインだけでもいいから、何でそのPOCをもっと前から追いかけないのという話にどんどんなってきて、例えば今イレッサはあのときに市販後で、市販後のときあのとき組めて……ちょっと出さないほうがいいか、ここで。ちょっとタイミングが悪いな。
 市販後のきちんとした調査のときにPOCもしつこく見ていたからあれが見えたということ、何かが見えたら、それは実際に開発の段階からくっついてやっていれば、もっとより有効性のターゲットも絞れたし、あるいはそれを使って、例えば間野先生のデータと突き合せれば、対象となるがんもあっという間に適用拡大もできたのではないかという時代になってくるのではないか。

○大津委員
 イレッサのときと今とは承認の枠組みが全然違いますので、イレッサのことは余り参考にならないんですが、だからそういう形になると、結局、企業でやっている治験の早期開発のときはできるんですよね。フェーズ1とかフェーズ2の場合だったらほとんど、そんなに施設は多くないので、そのレベルで例えば数施設と企業ともうかなりタイアップをしながら、それこそ産学連携の開発をしていくというところは、そこの部分はできると思う。ただ、3相とかでかい話になると、一施設だけの思惑でどうこうという話は恐らくそれは世界中どこもできないと思うんですよね。

○直江委員
 だからちょっとバイオバンクの話に戻りますけれども、僕はやっぱり漠然と集めるのは余りよくないんだろうと思うんですね。例えばある新薬、もうそれは既に出ている、例えば血液だとプロテアーゼインヒビターがあるメイドが非常に効くと。ただ効かない人もいる。そういうものがもう市販されて出ている。そういうものに例えば何かの臨床研究を組んだときに、そのプロトコルに乗った検体は例えば全て集めるということで、先ほどの例えばアレイだとかゲノムだとかを一緒に解析して、臨床研究としてやるという目的指向性のものが、どんどん臨床研究がこういうふうにして組んでいく中で、そのプロトコルに参加される患者さんの検体を丸ごとずっと集めていく。それも臨床研究が出るや否や、それと並行してゲノム解析をやっていってリンクを見るという、そういうイメージでやるんですね。

○大津委員
 いや、だからそれは既承認薬なら全然問題ないんです。既承認薬であれば。

○直江委員
 はい。分かります。いや、議論はそこなんですよね。

○大津委員
 新薬の場合の話と、既承認薬の話とでは全然話が違ってくる。既承認薬はそのとおりだと思います。

○直江委員
 ただ、未承認薬でも先ほど言ったように、解析の時期がいつ最終解析をするかということによって時間の問題があるのではないですかね。

○大津委員
 いやそれは申請絡みますから。

○野田委員長
 分かるんだけれども、大津先生、そこで一つ切り換えなければいけないのは、何かの方向性は正しいけれども、ほかの理由で物ができないということを、ここでそれまでいっぱい考える必要はないんだよ。つまりその方向性が正しければ、それでも違う理由でできないものはできなくて仕方ない。だから例えばバンキングを考えるときに、ターゲテッドバンキング、つまりある程度焦点を絞ったバンキングというのをこれから考えていかなければいけない。そのときに、例えば臨床研究とカップルしたものも必要だし、市販後薬だったら例えばこういうある薬に絞ってのものとか。

○大津委員
 まさにそのとおりの今話なんですけれども、多分、企業側の視点というのはちょっと違うのではないかと思うんですけれども。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 企業にとっては、例えば自分のところの薬の開発における治験で集めたサンプルをとっておいて、それをだから例えばオープンにした場合、何に使うかによって我々のコンサーンが出てきますよね。ですから例えばもう少し個別化医療に近づけるために、有効性とその背景を遺伝子背景とか、そういうものを見て研究するというのであれば、それは非常にウェルカムだし、もともとそういうことはいっぱい既にやられていると思いますけれども、ただ、全く我々の開発している医薬品と違う視点からというのであれば、それは無条件では出せないということですね。
 ですから、それは目的が我々の願うところに合っていればということになると思いますけれども。

○野田委員長
 では、そっち側はちょっといいとして、このジェネラルな広いバンキングの必要性は訴えなくていいの。つまり、直江先生が、いやそれはと、今までも随分あるじゃないかというふうな、そこを割とできやすいだけに、ここに訴えるかどうか。

○大津委員
 もし、企業側が例えばシーズ開発をする上において、そういうジェネラルなバンキングの組織というのが、どこまで興味というのがあるかどうかということは、結構大きなポイントになると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 これも私も詳しくないので、仮定の話なんですけれども、例えばいろいろな電子カルテをベースにしたデータベースとか、そういうところからデータマイニングして、疾患と患者背景をベースとした原因等を追究するような、そういう研究というのは価値があると思っておりますし、これは私直接自分で経験はないんですけれども、例えば英国なんかで今全部患者の医療情報、1,000万でしたっけ、データベースつくるというのをやっておりますが、あれが完成すると、創薬におけるランドスケープが変わるだろうということが言われておりますが、また正直言って実感としてどんなふうに変わるかというのはまだ余りはっきりしたイメージがないのが正直なところです。

○野田委員長
 ただ、ジェネラルには企業は余り積極的ではないと思うんですけれども、僕が付き合ってきた感じでは。これからもう少し踏み込んで、医療情報をつくるというのは当たり前ですけれども、医療情報とか病理診断情報とかが、例えばうちのがん研だったらこれだけそろっていて、7,000例年間手術をしていて、それをマイクロダイセクションもして、正常とあれして渡しますよと言っても、今、それにフィットするプロジェクトがという感じの言い方が企業は多くて。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 それは企業に資金の拠出とかを求められるからですよね。

○野田委員長
 ある程度はそうですけれども。むしろだからそこは今言ったお金が入れやすい、アカデミアにお金を入れて、それをサポートして、それを間野先生たちとか、そういうアカデミアが調べる。そこから出てきたものを企業が引っ張っていくという形で、そのバンクが機能するということだと思うんです。

○間野委員
 私自身、個人的に付き合ってきた海外の企業は、もうサンプル・検体がほしくてしょうがないように見えます。彼らはパブリックな立場で検体にアクセスできるかということに、もう本当に四苦八苦している感じがします。
 やはり今まではゲノム解析が現実的に薬剤開発に余り役に立たなかったんですよ。でもこれからは違いますから、必ずや将来の薬はきっとSNPあるいはがん遺伝子のゲノム・エピゲノムプロファイルに応じて使用される時代になりますから、これからは今までのようなゲノムバンクの重要性とは全然レベルが違うと思うんですね。だから少なくとも海外の企業はもうそういう方向に一生懸命動き始めていますから、やがては企業側も、もしそこまで検体の病理情報、SNPタイピング、発現解析までがそろった検体があれば、それはほしくてしょうがないと思います。

○野田委員長
 だから企業がほしいほしいならいいのではないか。アカデミアが必要としているかどうか。

○間野委員
 いや、アカデミアは必要ですよ、それは。

○大津委員
 ちょっとかなりのいろいろな複雑な状況にここはなっていますけれども。

○野田委員長
 はい、行きましょう。また後でそれはまとめます。

○大津委員
 基本的には、ではガイドラインとか支援体制を整備してグループごとという形であって、その臨床研究と基本的には臨床試験とタイアップしたような形でのバンクが望ましいと。

○野田委員長
 それも望ましいと。

○大津委員
 それも望ましい。結局、アカデミアにとっては、本当にジェネラルなものでやっぱり必要なんでしょうか。

○間野委員
 それはぜひ必要ですね。例えば私が肺がんの遺伝子を見つけたときに、あの時点で例えば3,000例の肺がん検体が一度に解析できるとなれば、それはすごく臨床的にも意義の高い研究になったと思いますけれども。

○大津委員
 それは臨床情報はそんなに必要ではない。

○間野委員
 それはケースバイケースですよね。例えばALK阻害剤の耐性原因を見つけたいとなれば、必ずや臨床情報のリンクしたサンプルではないと駄目でしょうし、新しい遺伝子を見つけて、それがどういう頻度で存在するのかを知りたいのであれば臨床情報は重要ではないでしょう。それはケースバイケースな気がします。

○大津委員
 そうすると国としてのバックアップをしていくことを考えたときに、ガイドラインとかだけではなくて、ジェネラルな公的なバンクをサポートするような何かしらの資金が必要。

○間野委員
 私はそう思います。できれば治験に関係したようなバンクなんかも、今までだったら治験が終わったところでそれは閉じられていたわけですけれども、それが例えばある一定の期間を経た後、そこに合流するというふうな形になれば、それはそれがベストだと思うんですよね。もともとの。

○大津委員
 基本的にはだから企業側の、まあ我々もそうしたいのはやまやまなんですけれども、なかなかそこの契約がそう簡単にこちらが自由に使える契約には今現実には余りなっていないですよね。例えば申請が全部終了した、申請承認が終了したらば、そこからはある程度自分のところが出したサンプルを使えるようになるとか、それは可能な企業もあるのはあるんですけれども。

○間野委員
 例えば製薬会社が臨床治験の成果を公開するまでは、使った薬自体に関する研究であれば、企業の承諾あるいは企業との共同研究をするとか、それはやり方は幾らでもあるような気がするんですけれども。

○大津委員
 それはその契約は必ず結びますので、そこの部分の共同研究というのは形上はなっているわけですけれども、ではそれを申請が終わった後に、企業側が、では後は研究者側の自由にどうぞ使ってくださいという話ができるのかどうか。

○間野委員
 でもサンプルはアカデミア側が持っているんですよね。

○大津委員
 アカデミアの残っているサンプルに関してはそれは自由ということですよね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ちょっとインフォームドコンセントがどのような形になっているか、ちょっと具体的に見てみないと分かりません。一般的にはその治験の一部として集めて、それでこちらの目的に合わせて解析させてもらうという了承を得ていますが、では全くその治験と関係ないところで、フリーハンズに何でも解析可能というような形が可能なのかというのは、ちょっと考えてみないと分からないということなんです。

○直江委員
 やっぱり薬剤に関わる有効性、副作用とのリンクの中での契約にならざるを得ないのではないですか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 一般的にはそういう。ですから、それが終わった後に、公共のバンクに併せて拠出するというのは、ちょっとまだぴんとこないです。

○野田委員長
 考えるのは、アカデミアの側に残っているやつなの。今言っているのは。そうしたら、例えば日本がバイオシサして残っているものは、単に治験のときのその患者さんのデータを企業が終わったらオープンにしてくれれば、こっちのサンプルはアカデミアのものだもん。ICをそれでとっていればいいだけでしょう。

○間野委員
 企業に行ったサンプルをもう一回バンクに戻すということは、現実的には難しいのではないですかね。

○野田委員長
 難しいと思いますね。

○間野委員
 だから、アカデミアが持っている残りのものですね。ただし、それのあるサンプル、症例が薬が効いた効かないという情報を。

○野田委員長
 そう、その情報をもらう。

○間野委員
 それは企業が承諾しないと多分開示できないですよね。

○野田委員長
 そうなんです。そこだけを今話しているんだ。

○大津委員
 いかがでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ですから、その目的というか、その解析の目的で、勝手にやられては困るというのが正直なところですよね。

○野田委員長
 わかりました。基本的にできるできないのポイントもあるし、もう一つは今やっているときに成り立っているものに対して、アディショナルにそういうことが行われるのに、企業側にとっては、それは何がインセンティブになるんだというところが明確でないと、それはできない。それでおまけにお金は企業が出しているわけだから、治験の場合に。それはあるとは思いますけれども、でも今のを少し入れて。

○大津委員
 いろいろ難しい問題はあると思いますけれども、基本的には産学連携で新しい開発を進めるという上では、そこは協働してやって、積極的にやるべきものだろうと。ただ、どっちがプライオリティをとるかとかという話になると、非常に複雑な問題が絡んでくるので、そこは余りちょっとコメント、ケースバイケースになるでしょうから、コメントはちょっとできかねるとは思いますけれども。積極的にそこは推進していくべきだろうということで、よろしいでしょうか。
 では、次に移ってよろしいでしょうか。

○直江委員
 一つ、ここにもう既に書いてあることなんでいいですか。包括同意のことを後でまた話が出ますか。

○野田委員長
 今やってしまってください。

○大津委員
 包括同意のガイドライン。

○直江委員
 そうですね。あと、これジャームラインの話も結局、やっぱりここの個別化医療ということは出てくるのではないかと思うのですが。

○大津委員
 今、その辺はつくっているという話では聞いているんですけれども、間野先生、知っていますか。

○間野委員
 そこ自身には私は直接は関与していないんですが、そういうことになっているようです。

○大津委員
 3省合同のガイドラインのところが改正、今やっているということで。

○野田委員長
 ジャームラインは入ると思います。

○大津委員
 もうちょっと現場としてはやりやすくなるような話に。

○直江委員
 ではこの会から特に言うことはないですね。言わなくても大丈夫ですね。

○野田委員長
 そうですね。そういうガイドライン整備等による環境のガイドラインの作成、あるいは速やかな改定による環境の整備というぐらいは書いていいと思いますが、ガイドラインのそこにそんなにこだわらなくてもいいと思います。ただ、むしろこの包括同意のガイドラインのほうですか、それがやっぱりもうちょっと広く、例えばどんな施設でもすぐ一括でそれがやってもらえるようなものというのは、今のようにいろいろなところから集めているパターンでは非常に問題。

○大津委員
 がん対策室のほうで情報ありますか。3省の合同ガイドライン、共通指針に関しまして。

○鈴木がん対策推進室長
 いやないです。

○直江委員
 今の施設によっては、包括同意の場合は非連結匿名化ではないといかんという施設もありますよね。だからそこら辺は。

○大津委員
 それは多分施設がちょっと過剰な解釈をしている施設も多くて。

○直江委員
 そうならいいですけれどもね。

○間野委員
 すごい多いです。だからオールジャパンでやるとなると、もうそれぞれの施設のIRBに依存してしまうんですね。だからそこも含めて。

○野田委員長
 共通IRBの話は前に出ていたんじゃない。

○間野委員
 単にルールを決めるだけではなくて、実際の実行する参考案というか、サジェスチョンというか、そういうふうな情報もあると良いと思います。。

○大津委員
 多分、GCPも、臨床のガイドラインとかもそうなんですけれども、日本人はちょっと過剰に反応する嫌いがあって、がんセンターも一時期かなり言ったのがちょっと少し緩くなって、要はお互いが臨床側の情報と、基礎研究の情報とが、お互いが両方知らなければいいという価値観で、そこは通しているという状況になっているんです。ただ、施設によっては物すごい、固くてとても現実的にできそうもないようなことになってきている状況だと思うんです。ただ、そこは結局は施設のIRBごとになっていくのではないかなと思うんですけれども。

○間野委員
 それはガイドライン側にこのレベルだとこれが必要であるとかという形で、判断しやすいようなシステムにしてあげればいいと思うんですよね。IRBに選ばれた委員の方も倫理審査のようなことを多くの方がやったこともないでしょうから、何らかの具体的な指針が提示してあるべきだと思います。

○直江委員
 だから支援体制のところで出るのかもしれませんけれども、例えば研究グループで中央審査体制を整備するとか、むしろそのほうが施設にとっては前向きで。

○大津委員
 その話は臨床研究での話だったんですけれども、この辺の話でも。

○直江委員
 ちょっとこれリンクしてしまうんですけれども、臨床系の話。

○大津委員
 リンクできる話にはなるかもしれません。

○野田委員長
 僕はこれは結局、ここの意味するものはそれなのではないのかなと思っていたんだけれども、これがつまり全体でやるときには、そういうのがむしろ推薦されたり推されたりする傾向になれば、あるいはみんなさっき言ったその責任とかの問題なんですよね。急に分からないところで言われて、みんなこの厳しいほうにただ言っているのはそれであって、例えば中央のIRBが必ず最初に動いて、それをそれぞれが認めるという形になれば、中央のIRBがこういうプロセスで認めていますよという形で来たら、恐らく通るものが多いと思うんですよね。

○大津委員
 現実に、例えば国立がんセンターのIRB通りましたというと、多くの全がん協の病院は、ほとんどOKになってきているんですけれども、一部の大学ではかなりそうではないところもありました。

○野田委員長
 うちも物によっては駄目なんですけれども。でもそういう形のものの書き込みはあっていいのではないかと思うんですけれども。環境整備の一つとして。

○直江委員
 ぜひお願いしたいと思います。

○野田委員長
 あと、大津先生が今から2、3に行くときに、ちょっと一つだけお願いがあるんですが、みんなの共通項として、例の土屋先生の出された基礎と臨床のこのギャップ、ありますよね。距離が届かないとかそこね。死の谷というとあれだけれども。この2と3の丸付いているところは、結構そこに関係するところがあるので、その部分に関してもそこで話し合っていただくと明確でいいと思うんですけれども。

○大津委員
 どうもここが一番大きなポイントだろうと思うんですけれども、土屋先生が出された5枚目のところでしょうか、一番見やすいかと思うんですが、どこまでがアカデミアでどこからが企業かというところの役割分担が必要だというのは、皆、そう思ってはいるんですが、では具体的にどこから役割分担するかというのが、多分アカデミアの思いと企業の思いと、ちょっと少しずれていますよね。多分、その間をつなぐバイオベンチャーがないというのは確かにそうなんですけれども、日本のバイオベンチャーがどんどんつぶれていっている状況下において、その辺のバイオベンチャーの問題点ということに関して、土屋先生、ご意見ありますか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 なかなかすっきりした答えはないと思うんですが、まずはできたバイオベンチャーまたはできるところに関しては、基本的にもう少し資金援助があるような仕組みが国にあっても僕はいいと思いますね。やはりそれがないと基本的にはここが動かないという。
 それからもう一つは、それでは大学の先生方にどんどん右のほうまでやってもらうかというと、やはりそれは僕は基本的には無理な形だと思いますので、何らかの仕組みで、またはそういう機能なり機関をつくって、当面はバイオベンチャーに代わるような橋渡しの仕組みが必要だというふうに思います。

○野田委員長
 仕組みとは。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 仕組み、それはいろいろな議論がまだこれからあると思うんですけれども。

○大津委員
 その代わるような仕組みというのは、具体的にどのようなことが考えられるのでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 本来であれば、アカデミアが発見した種をもう少し右側に持っていくことをサポートするような研究機能を有したグループだと思いますね。

○大津委員
 実際、間野先生、そういったグループはありますか。日本でできそうな。

○間野委員
 研究者によっても多分意見は違うと思うんですけれども、私個人的に率直に言わせてもらえれば、アカデミアにそれは無理ではないかなと。でもそれはそのターゲットにもよりますよね。例えば我々が関係するような低分子な化合物であれば、もうどの道アカデミアにできることは限られていますから、特に今のように極めて進歩・競争が厳しい状況にあっては、やはり単にマススクリーニングできるだけでは駄目で、例えば吸収とか体内のPKとかに応じて、化合物の修飾に関するノウハウとか、そういうふうな、あとインシリコのシミュレーションなんかも、やっぱりプロのテクニックが必要ですから、それをアカデミアが全部請け負うのはもう基本的には不可能。

○野田委員長
 ちょっと待ってください。今言っているのは、土屋先生が言ったところよりもさらに企業側にちょっと近づいているところでというふうに思いますけれども、基本的に今話になっていたのは、私たちから見るというよりは、企業側から見たときに、シーズといっているものがシーズではないと。単なるいい分子標的だと。そのいい分子標的でさえ、間野先生が言うように、やはり本当に臨床のほうを見て見つけないといい分子標的は見つからないよと、これはいいですよね。問題は見つかった後、そこから例えばスクリーニングシステムを立ち上げるぐらいしかアカデミアはできないわけだけれども、そこからの育成の期間が必要だというのが、土屋先生のおっしゃったことで、そこで選び抜かれてきたものが、土屋先生のさっきの何分の一、何分の一で言えば、そこからもう一歩進んだものが、つまりリード化合物が見つかって、そのリード化合物レベルでのPOCがとれたぐらいのものが最適化まで持っていく。そこまでアカデミアに機関をつくるというのは無理だというのが間野先生の話なので、ちょっとフェーズを分けないといけない。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ですから、どのような仕組みなり、機関なりがいいのかというのは、いろいろなイノベーション室でも議論しているところで、答えはまだ出ていないんですが、ただ言えますのは、例えば国の研究機関みたいなところで、そこに働いている人が、創薬におけるモチベーションが高まらないようなものではいけないだろうと。先ほどどなたかあったかと思いますけれども、そんなにペーパーが出るようなお仕事ではないわけですよね。最終的にはそこのアカデミアの種を右に進めて、リード化合物に近い、またはコンセプトのバリデーションがある程度とれた段階で、企業に受け渡すなり、そういうふうな育てるそういう役割ですので、おのずからそこにおける動機付けというのは変わってくると思うんですね。例えば、その先、商業化された場合には、それなりのリターンがあるとか。

○野田委員長
 アカデミアという言葉がもうちょっとまずくなってきて、そこで。そこはアカデミアはどうだというのは。ただ、今言ったような部分というのが、従来のいわゆる大学のシステムや、ナショセンのシステムにはなじまない機能ではないかということはいいですよね、それは。なじまない機能だけれども、その機能がどこかに存在しなければいけないというのもよくて……というのはいいですよね、一つね。それでそこはそれでいいと思うんですけれども、そして間野先生の部分に入りたいんですけれども、それはその次のところはどうすればいい。ベンチャーもない、日本の企業はなかなか今つらくて、そこのところはやってくれないといったときに、それはどうすればいいですか。

○間野委員
 例えば大学側、研究者側がいい標的を見つけたとして、そこに製薬会社が興味を持って手を向こうから伸ばしてくれればそれはそれでいいと。問題はそうではない場合に、でも研究者側がきっとこれはいいものではないかと思うときに、どういう手立てが実際にあるかということですよね。それは現実的にはもう海外のベンチャーに行くしかないんですよ。現実的には。もうアメリカ、あるいは上海のベンチャー、いいのが幾つもありますからもう現実的にはそことディスカッションして、彼らがコンパウンド開発に興味を持ってくれるかどうかというところに、現実的にはもうそれしかない。でもそれをそのような海外まかせのままでいいかどうかということですよね、国として。だから例えば、全臨床みたいなことまでをやるような施設をつくるかどうかとかというふうな議論になると思うんですけれども。

○大津委員
 なぜそれが海外でできて日本でないかですよね。ないからというか、でもベンチャーですよね。国がどうこうしているものではないですよね。先生が交渉しているアメリカなり上海なり、ベンチャーというのは。

○間野委員
 それはもう本当にプライベートセクターです。

○大津委員
 プライベートですよね。

○間野委員
 でもそれはバイオベンチャー用のキャピタルがたくさんありますから、優秀な人も集まってきますし。

○野田委員長
 今のバイオベンチャーのキャピタルなんかだったら、スクリーニングのところもできたり、構造解析もできたり、割とコンパクトにいっていると思う。でも、それとは別に、アメリカだったら何カ所、スクリーニングの施設を大学にお金を落として、ケミカルライブラリのスクリーニング施設はそれはそれで置いていますよね。だから、それで自分でとってそこからベンチャーへ行くんだという人は、それでも行く道もアメリカはある。でも日本はそれはないと言ってしまうと、ナガノ先生のライブラリがあるからあれだけれども、なかなかできない。どっちもない。

○直江委員
 ちょっと心配なのは、日本のメーカーさんの、こう言っては失礼なんですけれども、メーカーさんサイドの研究所の開発の人たちのお話を聞くと、例えば今薬学系でも研究所は非常に就職が難しいと。臨床開発はあるんだけれども、研究所は少ない。それから海外のメーカーも日本に研究所って非常に今少なくなりましたよね。例えば私も以前あるオキナーゼの阻害剤で、アプローチがあったのはやっぱり海外のメーカーなんですよ。すぐ電話がかかってくるのは。日本のメーカーはこちらが幾つか持ちかけていって、ようやく1社が開発をしてくれたという経緯はあるんですけれども、日本のメーカーのほうが、今アカデミアの問題だと言っていますけれども、その日本のシーズをくまなく探して、向こうのほうから熱いアプローチが何か少ないのかなという気にもなっているんですけれども。それはレベルがこっちが低いからか、それともあれなのか、両方なのか、どっちなんでしょうね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 今、正直、先生がおっしゃるように、例えば日米の製薬企業のサイズというか規模、資金力、まだ結構差があって、例えばある会社は1人10億ずつ使っていいとか、エクスターナルアフェアーズ、エクスターナルな研究のオポチュニティに、1人って、そんな何人もいないわけですけれども。そういう形で戦略的に外向けに投資をはっきり打ち出しているところもあります。日本はやはり研究開発費で言ったら、5倍から10倍違うという大手同士の比較でもありますので、そこまで余裕がないというのも事実だと思いますね。
 それから確かに先ほどの間野先生のお話しなのは、海外はやはり大手もそれからベンチャーも、またはベンチャーキャピタルも、そういうところにお金を投じて、そのかわりリターンを得るという、そういう仕組みに対する理解も突っ込みも大きいというのがやっぱり基本的にあると思いますね。

○野田委員長
 すみません。そうするとここでもう一つだけちょっと戻っておくけれども、ベンチャーキャピタルのことを書き込むのか書き込まないのかということです。つまり、ベンチャーキャピタルはやっぱり問題はあるけれども、必要なんだから育成すべきであるということをやっぱりまだうたうのか、ベンチャーキャピタルは駄目なものだという前提で書くのかというところはどうですか。

○大津委員
 現実に、今までは余り芳しくないですよね。

○間野委員
 芳しくないと思いますね。難しいですけれども、ここで多分ベンチャーキャピタルをサポートするべきであると書くと、本当にそれがベンチャーキャピタルが伸びることになるかというと、それは分からないような気がするんですよね。

○野田委員長
 でも、そこにもう一つ踏み込むのは、例えばこれに書いていなかったでしたっけ、前のあっちでしたっけ。言うと、文科省も経産省もJSTの例えばAステップを出してきたり、いろいろ細かい予算を出してくるわけですよ。それぞれにはみんないい先生方が審査に加わっていて、そこに並んでいるものと、目的書かれてすごく一生懸命選んでいるわけじゃない。だけれども、それはトータルとして全然うまくいかないで、そのものがどうなったかよりも、とにかくそれやっているキャピタルはみんなベンチャーがつぶれていくわけです。
 だからそれ自体、もうあきらめて、そういう文化もないんだし、それに代わる何かを探すのか、やはりそれは結構影響は、ここに書き込むか書き込まないかは大きいですよ。いわゆる予算的な問題としては。経産省と文科省の予算的な問題としては僕は影響があるのではないかと思いますけれども。
 渡辺さんどうですかね。その辺。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 突然振られても、ちょっと。書き方とか。

○野田委員長
 でも書き込んであればそれは影響はありますよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ちょっと今すぐ一概にお答えできないんですけれども。ついでにちょっといいですか、少し時間いただいて。今、ベンチャーの話がある中で、もちろんこれまでうまくいっていないという理由は、やっぱりつくったことがないですからね。日本の大学の先生とか、大学の人たちがつくったこともないやつがうまくいくはずはなくて、ただ、そうした中で、ちょっとずつ成功する事例も出てきつつあるような状況も若干あるとは思うんです。

○大津委員
 極端なことを言ったときに、日本にベンチャーキャピタルって本当にいるのか。別に中国にあるならそこに流して、その後日本企業がそこをライセンスアウトするのか、もう買収してしまうとか、そういう発想というのはありますかという話です。やっぱり日本には絶対必要。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 多分、そのキャピタルというお金のほうと実際に企業でやっているほうと、2つ。

○大津委員
 バイオベンチャーのことですね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ええ。区別する必要はあると思うんですけれども、まだなかなか成功していませんけれども、例えばその産業革新機構というのは、一つのツールではあるはずなんですね。さっき、JSTの話も出ましたし、JSTも基本的には大学、アカデミアと企業サイドのマッチングのファンドの大学側ということでもあるので、確かにいろいろな仕組みがあって、必ずしも全てがハーマライズされていっていない。だからいろいろな面にはあるけれども、そいつらが必ずしもうまくつながっていないというのは多分事実で、そういうところをでは本当にどううまく全体を整合させるかというのは、我々も医療イノベーションの枠組みには期待しているところなんです。

○野田委員長
 何で気にしているかというと、さっきの間野先生とあれでずれている2つのフェーズね。本当にターゲットがあって、そこからにっちもさっちも行かないというようなフェーズと、それからちょっとおもしろい阻害剤までとれたけれども、人をターゲットにするといったときに、もう全然その考えようがないというフェーズでは、企業の必要とするお金の規模もあれも随分変わってしまうと思うんですよね。
 そうなったときに、その前半の部分は、公的資金のある程度入れるとモデルケースみたいなものはできてきますよね。土屋先生言われたように、それを研究機関なのかシステムなのか分からないけれども、それが必要だというと、割と公的資金のあれでいけると思うんですけれども、後半はいわゆる研究資金と考えられるようなものでは、片付かないものですよね。だからそこに対する対策と言ったら変だけれども、何も書かなくていいのかということ。外国行けという話になるか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 今までどのような提言をされているかちょっと分からないところがあるんですが、例えば確かにアメリカのバイオベンチャー、日本と比べると、数も3倍以上、それから既に大手製薬会社並みになっている企業もあるわけですけれども、かといって最初からそんなに成功していたわけではないというのが僕は現実だと思うんですね。やはり今から思えば80年代中盤ぐらいからいろいろできてきて、長い時間かけて成功して、それでもまだ本当に10社ぐらいではないですかね。プロフィットを十分に出すのは。だから日本のバイオベンチャーがまだよちよちといいますか、余り進んでいないのは、僕は歴史的にもしょうがないというところがあって、逆に言うと、バイオベンチャーを育成しようとする国策と言っていいのかどうか分かりませんが、それがあれば本来であれば、もう少しサポートする仕組みがあって、やはりベンチャーが自分で収益を上げるようになるまでは時間もかかりますし、どうやってお金を集めるかを学ぶまでにも時間がかかると思うんですね。それがまだ日本では十分でないと思いますので、やはりこういう医薬品、今日はがんの話ですけれども、そういうものに対する一つの創出するメカニズムとして、皆さんが同意いただけるのであれば、そこに対して国として注力するということを記載するというか、提案すること自体は非常にロジカルな結果だと思いますけれども。

○大津委員
 やっぱり日本の中でも、そういうバイオベンチャーというのをもっと育てるべきだと。日本自体で。そこにやっぱり投資をかなり結構なこれはでかい話、分野になりますよね。一応、それをやる方向性ということでよろしいでしょうか。

○野田委員長
 ポジティブな方向で書くのでいいですね。強くそれだけというふうには書きませんけれども。

○大津委員
 研究費レベルでのサポートという話だけで済む問題ではないですよね。これは。

○野田委員長
 こっちは、だから今のは違うんです。

○平岡委員
 ただ現実的にはそういうお金が出ているわけですよね。出ているわけですから、むしろ議論すべきはそういうのは無駄だから、どこかもっと重点的なところにお金を回そうとか、そういう話を僕はすべきだと思うんですよね。そうではないんですか。

○大津委員
 それはさっき私が言ったように、そもそも日本にいらなくてもいいのではないんですかという話ですよね。中国のバイオベンチャーに渡してそこでやっていこうという話ではなく、委員の先生方のご意見というのは、もうやっぱり日本にそれは必要だと、そういうことです。それをやっぱりそこに重点的な投資をすべきだというのが多くの先生方のご意見だったと思いますけれども。

○平岡委員
 ちょっと参考になるかどうか分からないですが、医療機器は逆で、むしろどちらかといえば初期のコンセプトのところに研究費が重点投資されているんですよね。実際は、薬事を通る前後の辺りに一番お金がかかるんだけれども、その他になると突然国のお金が切れてしまい、結局製品化にならないというふうなことがずっと続いていて。今の話を聞くと、医薬品の場合は、もう十分製薬企業が見極め入れたフェーズのものについては、研究費はいらないよという話になるのかなと、でもそれでいいんですかというのが気がするんですけれど。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 すみません。今、ちょっとかき乱すようで申しわけないんですけれども、バイオベンチャー前提の議論になっていますけれども、これは私が言うよりも経産省から言ってもらったほうがいいかもしれませんが、バイオに限らず、そのベンチャーに対する投資については、産業革新機構という組織が設けられたわけですね。これに対しては政府が900億で民間から100億出資していますし、債務保証もこれは8,000億あって、もちろんまだ十分に投資がされていないわけですけれども、ですから、これって物すごく大きな仕組みをつくっているわけで、要するに日本の場合、それはアメリカと当然状況は違うわけで、確かに今、間にどうしてもギャップがあるのを埋めるのに、アメリカの例に倣えばバイオベンチャーがということかもしれませんけれども、またここでバイオベンチャー、ベンチャー育成と言ったって、単純にベンチャー育成ということを言うだけでは駄目で、やっぱり全体の仕組みも含めて必要で、それに対して投資も既に一定規模のものがなされる仕組みができているわけで、ですから、そういう今もう既に進んでいることと、これからやろうとすることが、どういう違うことをやろうとしているのかというのが、恐らく明確なことまで含めて、もちろんこの場で具体的なことまでは議論できるわけはないと思いますけれども、そうした具体的な提言というのは必要なんだというふうに思いますけれども。

○間野委員
 それに関連してですけれども、恐らく国が主導するバイオベンチャー育成で、バイオのエリアで、恐らく一番成功したものは、アメリカの次々世代シークエンサーの開発だと思うんです。1,000ドルゲノムプロジェクトというテーマを持ち上げて、それに対して新しい技術を開発するベンチャーに恐らく5,000万から1億円ぐらいずつを毎年、5年とか10年とかという形でサポートしていく。その人たちが実際に今次々と次々世代シークエンサーとして商品化し始めているわけですよね。だから、バイオベンチャー育成を入れるにしても、適正なテーマを当てたバイオベンチャー育成みたいな形にしたほうがいいのではないんですかね。お金をたくさんただ注げばいいというものではなくて。

○大津委員
 どのようなテーマを。

○間野委員
 それはだから今回の例えば低分子化合物のデザインでもいいですし、インシリコシミュレーションでもいいですし、今回の我々のプロジェクトテーマに沿った形のバイオベンチャー育成というのは、それは書いてもいいような気もしますけれども。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 先ほどの産業革新機構、私もそんなに詳しくないんですけれども、少し知って、非常にいいシステムだと思います。ただ、現実的に余りまだ使われていないんですよね。

○野田委員長
 それは渡辺さんらしく、単にお金が決まっているだけで、何もあれがうまく行っているということはないですから。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 例えば、あれもファンドされる側に対するというか、そのクライテリアが非常に厳しいという意見もあって、もっと積極的に僕は使えばよろしいのではないかと思いますけれども。

○野田委員長
 ここのところちょっと広がってきて、バイオに関してはちょっとこう出ているでしょう。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ただ、申し上げたいのは、要するにそれでも株式会社の組織で国に比べたらはるかにフレキシブルに、まだもちろん15年間という期間で、なおかつ1年半既に経過したので、残り13年ですから、13年後には解散するわけで、彼らとしてもこれから投資は加速していくということらしいんですが、ただ繰り返しで、国はそれほどフレキシブルに投資できるわけではないんです。投資はできないですから、ですから一つの少しフレキシブルなお金の使い方の考えとして、ああいう組織をつくった、まだうまくいっているとは言いませんよ。ですけれども、そういうことをやっているわけで。

○野田委員長
 でもちょっと問題なのは、つまりうまくいっていないというものに、論点に乗って立って、何かを書き込むのか、つまり例えば平岡先生が言われたように、きちっともっと育成のための焦点を絞るべきだとか、いや、そうではないと、うまくいきそうなのが動いているんだからということになってしまうと、そういう書き込みはできなくなるわけだからということですよね。それから今、間野先生が言われたように、このエリアを例えばバイオベンチャーでというのは、確かに気持ちは分かるし、僕もそう思いますが、がん対策基本計画のほうにはなじまない。つまり、本当にそのエリアだけなんですかという話になりがちなので、ちょっとそこはなじまないかもしれない。
 もう一回、ちょっとベンチャーの前のところまでまとめますが、間野先生の先に言われている基礎研究のある程度焦点を当てた投資、基礎研究に対する。ただし、その焦点を当てるのは、基本的に臨床、あるいは出口を見据えた基礎研究に対してきちっと投資することが良質なシーズの開発につながるんだよと。まず良質なシーズを開発すれば、システムはともかくも会社も手を伸ばす可能性もあるんだよという、間野先生の主張の1番目はいいですよね。それから2番目として、ただそれでいかない場合もあるので、今言った土屋先生の言われたそこをサポートする、あるいはそこの機能、つまりアカデミア本来の構造やそのカルチャーではなかなかやれない部分を担う機能を持った組織なり何かが必要ではないかと。そこに関しては余り細かく、阻害剤の前半部分と後半部分を分けずに書くというのも、そこはいいですよね。その2点はね。バイオベンチャーのところが残ったと。

○大津委員
 ありがとうございました。そのバイオベンチャーの話になるとかなり大きな話、なかなか野田先生が言われたように、がん対策基本法というところの枠組みをちょっと超えてしまう話が多くなると思うんですけれども、ではそのバイオベンチャーに関しては余り踏み込まないということでよろしいでしょうか。

○直江委員
 だから、例えばアカデミアと企業の役割分担ということで、今どのような形でサポート、つまりマッチングファンドみたいなものがサポートされているかというと、TRなんかは随分アカデミアがCPCの中で製品までつくるというところまでサポートしているんですが、スモールコンパウンドはさっきから話が出ているように、もっともっと入口のところで、もう企業がかなり乗らなければいけないということですよね。
 なので、例えば役割分担ということと、ちゃんと企業がついたプロジェクトに国としてどういうふうにサポートするかということのほうがいいのではないんですか。だからバイオベンチャーというと、もう事業形態ですよね。だからそういう書き方だと何かこの会でそこまで言うのかという話だから、今の話が役割分担ということを提言されているので、ではスモールコンパウンドにおいてはどういう役割分担があるんだと。そういうものを早くマッチングするメーカーを見つけて、ある進捗管理をしてきちっとした、例えば希少がんに対して、ある人がすごくいいシーズを持っていると。メーカーがなかなかついてくれない。そういうものにちょっとついてくれれば、例えば先ほどなかなか企業が乗らないという話がありましたけれども、でも希少がんに対してはやっぱり患者さんが待っているので、国としてはそういうものに一定度のファンデーションを与えましょうというのは、やっぱりがん対策としてはいいのではないかと気がするんです。

○野田委員長
 分かりました。それはそうすると、ついてしまったものにお金を与えると、ちょっと財務省が文句言うと思うので、つく前のところだと思うんですけれども、要するにその役割分担の明確化をした上で、そのマッチング、アカデミアと企業とのマッチングを支援するようなシステムが必要であると。それを通じてバイオベンチャーが支援されてもいいわけです。

○直江委員
 結果的にね。

○野田委員長
 それがこのギャップを埋めるあれであるというのはいいのかもしれません。

○大津委員
 なかなか非常に明確に書けなくなってきているような感じがするので、書こうとすると非常にあいまいなところに落ち着いてしまいそうな感じがしてしまうんですけれども、あとはアカデミア側の中西先生も出されておられたARO、リサーチオーガナイゼーションをつくって、施設の知財管理とか、薬事面の支援であるとか、そういったことをするというのはこれはよろしいですよね。

○野田委員長
 でも基礎研究だけではないの。

○大津委員
 基礎研究からTRからというところの部分も含めてになりますけれども、これはAROに関しては、重点的に拠点という形で出していくのか……形にはなるんですかね、結局は。今のそこの神戸のTR財団みたいな形の大学でまとめたという話で持っていかれたほうがいいのか、それともある程度拠点のそれぞれの施設、大学が持っていくという方向性の整理になるんでしょうか。

○野田委員長
 ちょっと微妙なところへ来たので、ちょっとそこはだからもうちょっとあれしましょうか。ここであれしても、AROの数は幾つ必要なんだ、どういう形態なんだというと、もうちょっと。

○大津委員
 とりあえずそのAROの施設と整備を進めるということは、これはよろしいですね。

○野田委員長
 AROに当たる機能が必要であるというのは。

○大津委員
 必要であるということですね。具体的なその選定等に関しては記載しないと。
 要検討ということでよろしいでしょうか。
 ここまではよろしいですか。企業との役割分担に関してはちょっと企業側とアカデミア側のちょっとずれはあると思うんですけれども、ちょっと細かな点に関しては、イノベーション室等々で今進めておられるということでよろしいですよね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 この中西先生の資料の2ページにあって、この橋渡し研究に必要なものとある中で、例えば2の臨床開発段階でソフト面とありますけれども、本来、我々が考えることといいますか、先ほどから話に出ているバイオベンチャーなんかにあってアカデミアにないものといいますか、シーズの段階からどのような出口が想定されるのかということを、戦略を描いて、臨床開発プランまで考えて、既存の治療法との差別化まで考えるような、そういうようなビジネスモデルに近いものをもっと基礎段階にも持ったほうがいいだろうというところがあると思います。

○野田委員長
 分かります。でもそれは分かりますが、今の書き込みの量から考えると、TRのところに書き込んだのでいいのではないかという。つまり、TRを切り離して、今まだ基礎の部分をやっていますので、そうすると、シーズで阻害剤を探索しているときからという話になるので、それよりはTRのところにそれを書き込むというのではいけませんか。TRでは遅いですか。もっと前からビジネスプランを持った基礎研究者がほしい。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 企業がなかなかアカデミアの発見に行けないところの理由の一つはそこなんですね。自社の中でいわゆるそれなりのストーリーを持った創薬、いわゆる探索研究をやっている中で、アカデミアの方、大学の研究者が発見したものが、どういうストーリーを持って出口に向かうかというものがない中では、勝手にそこに飛び込むということはまず難しいと思いますね。

○野田委員長
 そうしたらさっき基礎の部分に書き込もうとした1番目が間野先生の提言で、その中に一つその指向性は入れる。それで、TRのところでむしろ今度はそういうものを教えるじゃないですけれども、そういうもののマネジメントまでしてくれるようなサポートが必要だというのがTRのところに入る。そういうふうに分けて書いて。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 分かりました。

○大津委員
 それでは、次に移っていいでしょうか。3番目、間野先生のほうから特に集中的かつ長期的な研究配分を行うというところで、そこに挙げております4つの項目が一応挙げていただいていますけれども、どのように重点的に配分するのかということに関して、間野先生、ご意見はいかがでしょうか。

○間野委員
 どれも大事だと思うんですけれども、ここで書いてあることは、必ずしもこれまでの研究で集中されてこなかった領域ばかりだと思いますので、でも実際には恐らく2と3が中心になるんだと思うんですけれども、これらに関しては少なくともテーマとしては非常に長期的にサポートすると。もちろんそれぞれの研究については、成果が得られそうになければもうあなたは3年で終わりですというのは正しいことだとおもいますが、テーマ領域自体は長くサポートする形で選ぶべきではないかというふうに思います。

○大津委員
 先生のほうが出されたスライドのこの2枚目のゲノム・エピゲノムの解析が大事というふうに書いてあって、そのゲノムシークエンサーのこれをどういうふうに、どのようにしていけばよろしいんでしょうか。

○間野委員
 ここで提言に入れるかどうかは難しいところなんですけれども、先進国でゲノムセンターがない国は、多分日本ぐらいだと思うんですね。だから、国家としてそれは別にがんに限らず生活習慣病なんかもそうなんでしょうけれども、そういうものをゲノムあるいはエピゲノムの面から解析していくというアプローチは、必ずや必須にはなると思うんですが、それをどういうふうに入れますか。

○野田委員長
 どうですか。提言のほうは詳しく書いていいと思うんですけれども、後で削られてもいいので、出口になる計画に関して、もうこれは決まっているのは、先ほど言ったまず意識した基礎研究が必要であって、そのためにはそれにとって必要な分野に焦点を当てた長期的な研究費配分を行うというのはよかったわけですね。その頭のところに何々等のいうふうに入れるかということなんです。だから例えばここは、ちょっと2番と3番を一緒にしてしまったような気がしますが、例えばがんのゲノム・エピゲノム解析、それから分子標的探索とか、そして最後にバイオマーカー開発、バイオマーカー開発も当然入ってくると思うんですね。臨床研究。こういう3つを入れて、等の分野に重点配分すべきであるというのを入れるか入れないかということですね。最初入れて、最後削ってもいいと思いますけれども。一応ここで残しておいて。

○間野委員
 入れたほうがいいのではないですか。

○大津委員
 では、入れるということでよろしいでしょうか。
 それからこういったこの研究に関しては、長期的に研究費配分をしていくということは可能なんでしょうか。がん対策室のほうではどうですか。

○野田委員長
 長期的ってどのくらいを言うんですか。

○大津委員
 5年とか。

○間野委員
 10年ぐらいは。

○大津委員
 最低5年。

○間野委員
 それぞれのプロジェクトは別にしても、テーマとしては10年ぐらい・

○大津委員
 かなりかかりますよね。

○鈴木がん対策推進室長
 テーマをどう立てるか。間野先生おっしゃるように、テーマを残しておくのか、個別の研究者に対して研究費を配るのかというところで、多分差が出てくるんだと思います。

○野田委員長
 また僕が何かいい加減で申しわけないけれども、可能か可能でないかではなくて、それをこうすべきだと言ったら、それを室長や戦略官はどうやってやろうかなと考えてくれるということが流れだと思うんですよ。

○大津委員
 分かりました。長期的なサポートが必要だということですね。

○野田委員長
 それをどういう手段で成し遂げるかは、ちょっとその後の次なのではないかという気がします。

○平岡委員
 ちょっといいですか。アメリカのこの重点分野別予算額の推移というのがありますよね。それを見ると、この分子プローブのライブラリですね。分子イメージングプローブ、これは、人のがんを生物画像を通して解析を進めないと、なかなか創薬にもつながらないということで、出てきているんだと思うんですね。だからバイオマーカー、分子プローブの開発をもっと意識したほうがいいのではないかというのが一つです。そしてこの融合領域科学研究と書いてありますよね。私、実は日本は非常にこれが弱いのではないかと思うんですよね。縦割り重視というか、省庁も縦割りですが、研究も縦割りですね。この融合領域というのは具体的にどういうふうな融合なのかということをお聞きしたいんですけれども、アメリカはこういう融合領域に次世代のがん研究資金を投入しているんだと思うんです。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 すみません。ちょっと原文を見てみないと分からなくて、ちょっと今の段階ではお答えできないですけれども。

○平岡委員
 例えばそういう医工学的な領域とか、ナノパーティクルとか、そういうふうなところ……

○野田委員長
 それはすごい重要な部分で、次世代の医療というのを考えたときに、こういう決まったリニアタイプのイノベーションでできてくる医療が、全体の半分を占めるかというと、占めないんですよね、結構ね。そこに他領域の技術開発だったり何かのものが、いきなり導入されたことによって新たな医療ができるというのが、残り半分来るので、そこをどう言いますかね。つまりそっちの研究までがんばれ、がん研究のためにといったら、もうお金ははてしなくいることになるので、そういうものを取り込むような、そういうところに対する。

○平岡委員
 私は医療機器についてはそれを強く言いたいと思うんです。医療機器はそれがマストですからね。医薬品についても多分そういうのが非常に大事で、薬学はもちろん、例えば農学とか、異分野ですよね。応用研究に関心を持っているライフサイエンスの研究者が、医薬品の開発に結集するような、そういうふうな研究をサポートするというのが大事ではないかと。バイオベンチャーもそういうふうな縦割りだけではなくて、突然どこかから新しいテクノロジーがぼんとやってきて、ぼんと開くのではないかと。
 大学教育とも関係するでしょうが、学際研究の重要性をとり入れたほうがいいのではないかと思います。

○大津委員
 ありがとうございました。

○直江委員
 この3分野、4分野で僕は異論はございませんけれども、ただ、一つ重要なのは、これだとゲノムからシーズ探索、臨床開発ということで、方向はもう左から右ということなんですが、実際問題、そのようにうまくいくのかというか、行っているもの、今成功しているものはどうなのか。グリベックは確かにそうなんだけれども、ほかの有望な、例えば私の領域なんかでも幾つかありますけれども、これは臨床をやっているうち、臨床開発のうちにどちらかというとリバースの関係、例えば臨床開発の中からある疾患群が有効ではないかということで、また始まったと。

○野田委員長
 そこの意味でバイオマーカーもちょっと入ったんですけれども。

○直江委員
 そうなんです。だから、バイオマーカーというところに先生そういう意味をもし込められるならば、何かそこら辺いい言葉が、今リバースTRと言いましたけれども、何かそういう本当の臨床現場のフェーズ1の辺り、それから2辺りのところで、何かいろいろバイオマーカーを見ながらまた絞り込むと。だから1、2、3と行くわけではなくて、1、2、1、2と行きながら、本当に3にまで行くというところだってあるわけですよね。

○大津委員
 いや、もうそれはいわゆる企業治験という中で、今現行においては、現実的にはほとんどがもう企業治験という中の枠組みだと思うんですよ。現実にそれはもう僕らたくさんやっているわけで、一般のフェーズ1のところでは、もうほとんど今組織が必須ですので、企業側とタイアップした形でのバイオマーカーというのは、それはやっているわけですね。それは新薬の話のときに。その既承認薬の話だったら、それはそれでできるかもしれませんけれども。

○野田委員長
 ここに書き込むかという、それは基礎研究のほうに入れるかということがあります。

○直江委員
 まあ、臨床でもいいですけれどもね。

○野田委員長
 臨床研究のところでまたという感じもあります。

○直江委員
 いや、これはこれでいいですよ。ただ、私の前半に言ったことがね。

○野田委員長
 わかります。またでき上がってからでも、そこのディスカッションはできるのではないかと思うんですけれども。

○大津委員
 結局、さっきの契約の問題にはなってきてしまいますけれども、多分、現実的にはではそのアカデミアから研究所主導で新しいシーズをそのまま医師主導治験でフェーズ1でやるという形でなければ、純粋にそのアカデミアだけでのバイオマーカーという話にはならないのではないかと思うんですけれども。

○直江委員
 どこにいても、完全にメーカーとあれとセパレートするというのは難しいですね。

○大津委員
 それでは、次にTRのほうに移らせてもらっていいでしょうか。

○野田委員長
 ちょっとすみません。この?Aとか?Bとかの評価システムやなんかのところは、また祖父江先生のところの一つの項目に入れさせたいと思いますので、今回は一応、次にTRへ行くということで。

○大津委員
 それでは、TRのほうに移らせてもらって、1番目のその法制度・ガイドラインに関する課題・問題点というのは、特に各先生方からは出ていなかったんですけれども、何かよろしいでしょうか、追加はなくて。よろしいでしょうか、特にTRに関しまして。
 ではよろしければ、その2番目の施設と基盤整備に関する課題と問題点ということで。

○野田委員長
 そうしたらここに資料があるので、ちょっと渡辺戦略官に、渡辺戦略官は自分の時間をさっき随分使ってしまったからあれだけれども、まだ時間がありますから、ここを使って文科省のTR事業の説明をちょっとしてください。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 先ほど中西先生が概ねお話になったことと、ほとんどそれほど大きく違うわけではないので、ちょっと資料は幾つかあって、たまたまこの机上の白いほうですね。これとかをすごく参考にしていただけると思うのが、例えば九大の資料が26ページから27ページにあるんですけれども、ご覧いただきたいのは28、29ページですね。このTRの事業そのものは、あくまでも7つの大学、北海道から九州までにおいて、大学でアカデミア発の治験ができるようなシーズ、ここではシーズの定義が若干また違ってきますけれども、大学の研究成果をきちんと治験まで持っていくために必要な、まずは人材とか設備なんかを整備するということが大きな主眼です。28ページのほうは、ここでは人材がどういう人たちから整備されたかという、これは中西先生が先ほどおっしゃっていたことですけれども。
 それと29ページ目をご覧いただくと、こうした各橋渡しの拠点が、実際に大体1拠点当たり10個ぐらいのシーズを育成しているんですけれども、そういうのがどういう段階にあるのかということを、このように全部必要なものについて、これはチェックして開発をしています。これは右のほうに行けば行くほど、症例登録云々というところは治験に至るようなところまで行っているわけで、実際にこれはこの橋渡し拠点がシーズとして認定しているのは、ある程度動物レベルのもう有効性が確認されているようなものが前提になってきます。そういった意味では、通常これまで大学なんかがアカデミアがシーズと言っていたネーチャーサイエンスレベルのものというよりも、より一歩進んでもう数年以内には治験あるいは先進医療、そういったレベルまで到達できるようなものを、アカデミアで支援しているというものがこういうものになります。
 これはたまたま先週土曜日にこの成果報告会をやりましたので、その資料を添付させていただきました。ほかの拠点についても今の同様なものがついていますし、あと、もう一つの抄録集というやつは、それぞれの拠点の中で、特に現在既に治験に入っているもの、あるいはこれから1年以内にほぼ治験に入るであろうとみられるもの、そういったものについて、各拠点からこれを発表したものになっています。
 それで、この緑色の冊子の中で、75ページをご覧いただくと、その75ページの真ん中に拠点別のパイプラインというものがあります。ちょっと小さくて見にくいんですけれども、拠点別に育成しているシーズで、臨床研究の段階から、右に行けば行くほど、これは治験とか先進医療、そういったところまで到達しているもの、あるいはしつつあるものということで、こういったものがさらにこの左側、まだ現在シーズに認定されないものでも、こういった拠点を通じてシーズとして認定されて、開発の支援が受けられるというものになります。ただ、現在このプログラムのまだ十分でない点は、こうした実際走っているシーズに対する開発の経費というのは、必ずしも十分に措置されているわけではなくて、これはいろいろな文科省のみならず、経済産業省、厚生労働省、あるいは民間からの経費を投入して開発を進めています。
 これはちなみに拠点別のパイプラインなんですけれども、例えば疾患別とか、あるいは開発品目別に並べ替えたリストもありまして、例えばがんがどれくらいかというと、大体2割から3割程度、それから開発品目別でいうと、実は低分子化合物というのはかなり少なくて、全体の大体多分1割ぐらいです。そのほか、細胞製剤とかやはりそういったものがどうしても大学のアカデミアのシーズだと多くなっています。
 それで、すみません、順番前後しますけれども、一応お手元のポンチ絵、参考資料の1についてだけ少しご説明すると、こうしたことで橋渡しのプログラムの1ページ目をおめくりいただいて、あくまでもさっき中西先生もおっしゃっていましたがんTRで、参考資料1の1ページ目です。中西先生おっしゃっていたように、がんTRで行ってきた10個あって、まだ治験が1つとおっしゃっていましたけれども、実際今治験は2件、それから治験までもうすぐ行きそうなものも、もう一つあります。こうした5年程度では簡単に治験までいかないということで、それでこうした個別の研究を支援するのではなくて、こうした研究がきちんと出口まで進んでいけるように、必要な設備あるいは人材を大学に整備したというものが第1期のこの橋渡し研究のプログラムでありまして、今年度が第4年目、来年で5年目を迎えます。したがって、今我々が検討しているのは、これをいかにして継続的にこうした今基盤ができたものをつなげていくのかということについて、最も効果的な投資の方法がどういうものであるのかということ、そういったことを今一生懸命検討しているところであります。

○大津委員
 ありがとうございました。

○野田委員長
 質問があります。先ほどの土屋先生の流れの中でのTR部分、小分子あるいは企業がやる部分と、それからこういう大学が主にやるところというのは、ある程度色分けがあるようにも向こう見えますけれども、そうだとすると将来の必要とされる医療の、あるいは使われるイノベーティブな医療の量を考えたときに、日本発のシーズをトランスレートする数として、このぐらいで足りると思って、何か、それは難しいでしょうけれども、それで量的にも、今質的な評価はおっしゃったけれども、量的にもこれをずっと支えていけばいいと思われているのか、それとも例えばこれをモデルにベンチャーがいっぱい広がっていくみたいな、そういうのがあってのことを思っているのか、ちょっとこれの役割が、これがやられているのは分かるんだけれども、どういうふうな、将来に向けてここはどういう役割をするの。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 量的にオールジャパンで見て、この体制で十分かと言われたら、恐らく十分ではないと思います。ここのプログラムでまず取り組んだことは、ある程度ポテンシャルがある大学を中心にまずは始めたということであって、加えて大学で臨床研究、治験に至るまでの取組ができるということを証明した段階に過ぎません。したがって、これをもっとオールジャパン、大学、アカデミアだけでも広げていくためには、これはさらに面として広げていくことが必要ですし、加えて実際開発する経費はここでは十分に措置されていませんので、まさに開発する経費をどういうふうに投入していくかというのが、これからのポイントだと思っています。

○大津委員
 もう一つのポイントとして、今の特にワクチンのとか、これは全部一緒の治験としてやっているんでしたか。違いますよね。一緒の治験ですかね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 出口はこれは様々な出口があります。もちろん一番いいのは、早い段階でライセンスアウトということなんです。今、全部で大体80ぐらいシーズが走っていて、現在既に医師主導治験に入っているのが4件、それから高度医療または先進医療に入っているのが5件、ライセンスアウトが10件です。

○大津委員
 今の高度医療、先進医療という部分という部分に関しては、これはある意味日本だけですよね。それはいいんでしょうかね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 そこは完全に出口として、先ほどの白いやつを見ていただくと、白いやつの表の一番最後には、このプロジェクトの出口という欄があります。これはこのプロジェクトとしてどこまで行くかという出口であって、この先には当然GCPにのっとった治験を通して、世界に打って出るというのが前提としてあります。ですから、高度医療というのは決してゴールではないと考えています。

○大津委員
 我々の施設でもあるんですけれども、結局そうするとその枠組みでやってしまうと、なかなか終わらないんですよね。どう見てもこの先がもう申請には行かないと見えても、結局できてしまうから続けて、結局それは無駄になるという可能性はないですか。
 基本的には、そこの臨床治験でできないとか、企業にライセンスアウトできないとか、企業がサポートしないという話というのは、それはなかなか難しい、その後、医師だけでやっていくというのは極めて難しいのではないかと思うんですけれども。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 基本的にこのプログラムの中でも、高度医療のみが出口というシーズは基本的にないというふうに考えています。例えばさっきのがん、幾つかのシーズについても、治験と先進医療、あるいは治験と高度医療を並行して走っていっているというものを開発しているものもありますけれども、高度医療で終わらせるということを出口としてとらえているシーズはないです。

○大津委員
 いや、だからアカデミアに残してしまうと、いつまでも結局無駄な時間と金を費やすことになりませんかという。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 当然これはGCPで。

○大津委員
 高度医療評価は全然GCPではないではないですよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 高度医療評価自体がGCPではないとしても、この開発の中では基本的にGCPでやるのが前提です。

○野田委員長
 ペプチドも何もみんなGCPになっているの。

○大津委員
 GCPでやっているんですか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 はい。それがこのプログラムの最も大きなポイントであって、要するに大学で治験外の臨床試験は、この福島先生の強いイニシアチブというか。

○野田委員長
 それなら少し違うじゃない。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 基本的には治験外の臨床試験はやらない。

○大津委員
 それはいいのではないですか。そうしたら、一緒の治験という格好でいいのではないですか。GCPでやっていけるのであれば、臨床治験で。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ただ、開発の過程でプロトコルあるいは患者のインクルードも含めて、いろいろなそれぞれのシーズごとに開発戦略がある中で。

○大津委員
 いや、結局そうするとINDを出していないわけですよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 個別の例について、またそれはお話ししたいと思いますけれども。

○大津委員
 それは次の臨床研究のときの大きなテーマになるんですけれども、結局そうするとそれはINDを出さない治験ですよね。出していないでしょう。出しているんですか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ええ。ですから、開発を行っていく過程で、実際どっち、両方のトラック、両にらみで治験に行くことが前提ですけれども、ある程度データを集めるということのために、高度医療も並行して進めているものもあります。

○大津委員
 いやいや、だからそこが日本は二重構造になっているという問題が、それは次回の問題点ですけれども。

○野田委員長
 そこはもうちょっと細かく結果を大津先生に見せてよ。実際に今動いているのはどうかというので、どのくらいの比率で。

○大津委員
 いやいや、多分土屋さん、だからそこが高度医療評価とか、先進医療とかという枠組みがあるので、かえって無駄を生み出している可能性というのはないでしょうかというのが私の疑問です。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 その企業の視点から見て、最終的にNDAに使えるかどうかという点ですよね。早期に臨床効果を見たほうがいいような、新しいコンセプトとかそういうものであれば、企業がGCPでやり直すことに関してはそんなには負担ではないと思いますけれども、それはやはり疾患とか薬の種類によっても違いますけれども、どれぐらいの規模でトランスレーショナルスタディをやるかによると思うんですよね。

○野田委員長
 区別しなければいけないのは、TRというそのフェーズを種類いろいろあるけれども、こういう国の施設としてサポートするということと、そこで走っている研究が全体の医療の枠組みの中でどうかというのは、ちょっと分けて考えないといけなくて、今の前半の部分をここで話し合って、後半のその臨床試験まで含めて一緒のときに、今の枠組みのことについて話し合ってもらったらいいと思う。

○大津委員
 それはでは次回のちょっと大きなテーマに。

○野田委員長
 そのときに逆にお金に関してもそこは分かれているので、要するに拠点の運営費とそこで走っているプロジェクトがどういう形でお金を取っているかは別だから、それを取るときのほうに、例えば後の臨床研究のほうでリサーチINDも含めて、もうGCPで全部やる、そういうことを求めるというのであれば、そこでそちらに求めれば研究支援においては、それを条件にしたほうがいいとかと言えばいいんだと思うんです。

○大津委員
 ここは多分TRの話にも絡んできてしまう話だと思うので、臨床研究……

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 でも繰り返しますけれども、このプログラムの下で進めているシーズはGCPです。高度医療に行くものについて……

○大津委員
 いやだからそれはINDを出していますかという話です。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 INDは出していない。

○大津委員
 治験届出していますか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 治験届は出していません。

○大津委員
 だからそれはまずいのではないでしょうかという、それは多分昔の。

○野田委員長
 分かるけれども、それは高度医療制度のところで一緒にやったほうがいいよ。

○大津委員
 今の話は、でもそれは多分TRをする上で、研究費の投資とかという部分では大きな話になるのではないかなとは思うんですけれども。とりあえず、それは次回またディスカッションさせていただくとしまして、一応、もうではこの小さいところは薬事のコンサルテーションに対してのところの構築ということに関しては、もうアカデミア側のいろいろなTR拠点ではもうほぼできてきていると考えてよろしいんでしょうか。
 いかがでしょう、渡辺さん。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 若干、今趣旨を正しく理解できなかったんですけれども。

○大津委員
 もうこういうこの九大の事例とかを見ますと、もう企業の開発経験者とか、薬事の専門家、知財専門家、臨床試験等々の専門家の支援。

○野田委員長
 この2のところに書いてあるんでしょう。

○大津委員
 薬事部門に関しても、ほぼそれぞれのアカデミア施設がもう基盤整備が進められてきているということでよろしいんでしょうか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 私の参考資料のポンチ絵の1の3ページ目をご覧いただくと、このプログラムで整備したハード面、それからソフト面についてのものがリストがあります。真ん中にレーダーチャートがあって、人材については現時点で赤いところで概ね、多分9割方ぐらいは人材についても各拠点で整備をされてきていると。

○大津委員
 されてきていると。そうすると、施設ごとにもう大分できているということですよね。そうすると、その論点として施設ごとにコンサルテーション体制が必要かどうか、もうこれは施設ごとにほぼ主な拠点病院はできてきていると。今後のサポートとしてはどういうことをすればよろしいんでしょうか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 それで、これはさっき中西先生もおっしゃっていたように、あくまでも大学の定員外で措置されているものですから、したがってこのプロジェクトで雇用されている人たちが大部分なんです。もちろんこれは各拠点に対してはきちんと定員化することについて、このプロジェクト開始当初からそういうことを条件にしていたんですけれども、果たして本当にそこで言うように、全てそのままちゃんと定員化されて措置されるかということを、これから来月にかけて評価をしていくことにしています。

○大津委員
 今後、国としてこの部分のサポートというのはどのようなことが考えられる……

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 これはこれからの評価を踏まえて、ことしの夏の概算要求までに。

○大津委員
 とりあえず、こういったコンサルテーション体制に関する人材の教育と定員化、定員化と人材教育というところでよろしいんでしょうか。

○平岡委員
 というのは無理でしょう。定員化なんて。多分、今の大学の状況を考えて、不可能だと思います。

○野田委員長
 大学も一緒だ。減らしているんだ。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 いや、あの。

○野田委員長
 ちょっと待って。今、大津先生が聞いているのは、いわゆるTR、7拠点におけるこういう体制にはなっているけれども、それだけ今、ここに書いてあるのはそれだけではないでしょう。

○大津委員
 はい。

○野田委員長
 日本全体で行われるべきTRのアクティビティで、こういう体制は十分なのかということではないか。

○大津委員
 そうですね。

○平岡委員
 だから私の理解は、重点化しているというところですら、非常に基盤が貧弱だと思いますよ。こんなのTRセンターと言って、とても世界の人を呼べるようなTRセンターなんて多分ないと思いますよ。京大が最初にできて、人員的には多分もっとも恵まれているけれども、中身は貧弱だと思います。

○大津委員
 それは金の使い方の部分も、大学ごとに違うのもあるからですか。

○平岡委員
 いや、規模もまず違いますよ。全然違うと思いますよ。

○大津委員
 九大が一番整備はされているんでしょうか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 そうではないです。

○野田委員長
 僕のイメージはさっきも言ったように、この大学のTR拠点が果たすべき役目というのは、ある程度、ちょっと偏っている部分があって、それはシーズの面でも偏っているし、もう一つはシーズがその大学にあるという、それに基づいてそこにつくられた。でも、外のものも引き受けられるようになっていますよと、今、渡辺さんは言おうと思っているわけだけれども、でもそういう意味においてのTR拠点としては、今言った色付けがあるTR拠点としては何とかやれているけれども、そういう各フェーズで、TR、うちでやりますよというその引き受けるTR拠点ではない。今、ないわけだから、そういう拠点はいるかいらないか。神戸があるか。神戸の評価が一つあることと、いるかいらないかということと、それから日本全体でもっと支援の体制は必要ではないかということをディスカスすればいい。

○大津委員
 ちょっと聞きたいのは、ではその全てのアカデミアにこういったものが必要かという話ですよね。全ての大学に必要かといったら、それは難しいですよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 当然そういう議論はあると思います。

○大津委員
 その拠点病院に絞って、そこで重点的に整備したいわけですよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 はい。ちなみに、今、京都大学が治験2件走っていて、これは先進医療が1件か、高度医療が1件か走っているんですけれども、今の人員体制では、それだけを走らせるのでも手一杯であるというふうに言っていましたので、したがって、今現在、各拠点である程度確保されている人材の規模というのは、各拠点で恐らく治験2件とか、プラスアルファが走ると、もうそれだけで手一杯ぐらいのポテンシャルしかありません。したがって、今は各大学の拠点がある大学のシーズが中心になって、なおかつ大体10個ぐらいが支援されているんですけれども、よりたくさんのもの、ほかの大学まで含めて支援しようとすると、この体制では十分ではないということです。ただし、4年間かかって、よちよち歩きで、自ら医師主導治験まで持っていける、薬事法をクリアできるだけのノウハウはできたということです。

○大津委員
 ノウハウはできた。それはもう完全にアカデミアだけでいっているわけですね。そうするとそこは一切ベンチャーとかなく。少しは改善……幾つか入り出してはいますよね。今、ワクチンの話にしても、ベンチャーとか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 これは各拠点で走っている各シーズ、これかなり民間企業のお金も入っています。ですから、もう中小で入っているのもありますし、大企業がついているものもあります。ですが、もちろんそういうやつはもうライセンスアウトされているものが多いんですけれども。ですから、徐々にそうやってちゃんと歩けるようになりつつあるという段階だと思っています。

○大津委員
 それでもまだいわゆる企業治験という形ではなくて、高度医療評価の。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 当然、企業治験にいけるものは、もうライセンスアウトすればいいわけで、要するに企業がまだきちんと受け止めてくれていないものが医師主導治験で行っている。

○大津委員
 私が懸念しているのは、それというのは結局企業が全く興味を示さないようなものではないということですね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ただし、結局やっぱりどうしても大学のシーズは、難病とか希少疾患が多いものですから、例えば日本中で患者100人しかいない。

○大津委員
 はい。希少疾患のようなやつですね。それは大事ですね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ええ。幾つかその例はこちら緑のほうに入っていますけれども、どうしてもやっぱりそういうやつは幾ら企業がといっても、今の段階では企業治験まではいかないものがあります。

○大津委員
 希少疾患というところの概念で入れるのは非常に大事なことですよね。この部分は。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 大学のシーズの場合は。

○間野委員
 先ほどから議論になっていますけれども、今、TRの拠点が日本に何拠点かあって、一つの問題は今のTR拠点がそれぞれの担当者がやりたいことがあって、それでTRは行われているわけですよね。でも、それがやがて例えばではめでたくライセンスアウトして、それが企業に完全にコマーシャル移りましたといったときに、そのTR拠点はどうするのか。そこがでは全く新しい一般のほかのところから受け取るようなTRを受けるのかというと、現実的には難しい。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 そこは訂正させて、補足というか、反論しますけれども、このシーズの開発者と拠点のサポートする人は違います。したがってこの拠点というのは、さっきご覧いただいた中西先生の図にあったように、例えばデータマネジャーとかプログラムマネジャーとか、CRCとかそういう人たちなんです。基本的には。

○野田委員長
 ただ、もう一つ、間野先生のほうの肩を持つと、例えば最初のって3つ持っているとかいって選んだよね、あのとき。最低3ついいシーズがあって、幾つあったらいいと言って。その中に中心的な人がいて、それが間野先生の言ったこのシーズがあってその拠点を動かしている人ですよと。だけれども、最初の5年たった段階、4年か、やっぱりそれは永続的にそういうものをシーズを吸い上げながらやるというのが原則なわけでしょう。だから、間野先生に言われたようなことが起こったのでは、それはいわゆるもう駄目なんですよ。その拠点はつぶれるべきことなんです。どこかのカクマクの人がどこかの大学へ移ってしまったというようなことが起こったら、それはどこかの大学がつぶれるかという話になるわけですよ。
 だけれども、それは逆に言うと違うんです。間野先生が言うように。それはそうではなく、ちゃんとその大学であれば次々とそれに当たるシーズが生まれてきて、ただしそれはさっき言ったようにうまく進む確率を考えてみて、キャパシティは2つか3つの臨床試験なり治験をマネージできるぐらいの幅で、その流れはずっとそういくわけです。それが6本あったら日本の中で十分なのかというのを僕が一番最初に聞いたと。

○間野委員
 それもそうなんですけれども、いや僕が思っているのは、例えばさっき平岡先生がおっしゃっていたように、それぞれの大学で公的なポジションを用意するのはどの道難しいのではないかということを併せ考えると、例えば今の渡辺さんがおっしゃるように、大学で次のシーズがもし出なかったときに、スタッフたちは何をしているのかということにもなりますよね。そうすると、一つの案ですけれども、その人たちはむしろ……中央管理のポジションとしてその人たちが雇われて、その人たちがトレーニングされてそのプロジェクトが終わって、そこでまた次のがあればそこでもちろんやってもいいし、もしそこで実際にそういうスタッフ以外に医者側が全部のその施設で自分たちではないシーズを請け負ったときに、本当に一生懸命やってくれるか、それは分からないというのがリアルな世界だと思うので、であれば、そういうスタッフたちは公的な立場で雇って、必要なところにそのサポートをするというふうなシステムも、ちょっと素人考えですけれども、あるのかなという気もちょっとするんですよね。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 よろしいですか。まず、事実関係としてです。さっき最初は野田先生がおっしゃったように、確かにこのプログラム、拠点が選ばれたときには、確かに幾つかシーズがないと当然走る意味がないわけですから、それは選ばれています。加えて、確かに最初にリーダーになっている人たちというのは、自らが大きなシーズを持っている人があります。ただ、これは我々としてもこれは継続的にやっていくパイプラインとしてつくっていくということが前提ですので、今、私なんかが拠点サイトビジット2回やっていますけれども、必ずサイトビジットしたときには、この大学のリーダーシップに合うようにしています。これは拠点によっては学長だったり、研究担当の理事であったりするんですけれども、必ずそういう人たちに対してこのプログラムをきちんとその大学が自らやるようにということで、お伝えしています。
 確かに今でも拠点長というのは、ところによっては学長だったりするんですけれども、医学部長レベルであったりとか、何とかセンター長だったり、そういう人がやっているんですけれども、おっしゃるように、来年5年終わって、今でもまだ……

○野田委員長
 短く。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 すみません。京都大学は多少かなり定員化進めています。間野先生がおっしゃった、終わった後にどうするかという点は、まさにそれは重要で、今我々もこれ一体どういうふうにすることが最もよいのかというのは、いろいろシミュレーションしていますけれども、ただし、恐らく1カ所に集めるというよりも、今あるところできちんと走っていけるように。それからシーズについても、今、10と載っていますけれども、既に各大学でちゃんとその次に行けるシーズというのはどんどん探していまして、ところによっては100以上あったというところもあるし、そこはもうサーチも進めています。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 企業の立場からすると、これは結局出口をどうするかというのがあって、企業が例えばオーファンみたいなものをやるのかやらないのかという、そういう心配もあるんだと思いますけれども、でも最終的に物を売ったりするのは、企業だと僕は思っているんですね。そういう点からすると、我々がそういういろいろなTRがやられているのが、日本の大学全部にあっても全く意味がないのではないかと思うんですよ。だからやっぱりある程度、限られたコアなセンターで、間野先生がおっしゃるように、その大学からもちろん切れ目なくシーズが出てくればいいですけれども、それが出なくても近隣の大学でも違うところから出てきたものでも、ちゃんとしたリサーチがやられること……

○大津委員
 例えば、僕らが利益誘導をするつもりは全くないですが、むしろ我々がんセンター、その大学でシーズ開発はいいんですけれども、そこでちゃんとした臨床試験ができるんですかねというまた問題が生じているし、僕らの場合はそこがもう基盤整備がかなりできているのと、もう治験の部分でかなり慣れていますので、別にそこの部分での安定したそれなりの研究費という部分があるから、CRCとかもその定員化ということも非常にしやすいわけですよね。だからシーズのときだけぽんと来て、それで研究費がなくなって、不安定な雇用状態という話とは、ちょっと違う。
 例えばだから大学でシーズ開発して、ナショセンでその臨床研究をやってという、そういう枠組みみたいな話があっても、それはまずいでしょうかね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 ただ、例えばこの28ページに人員体制とか、見たところ入っていないんですが、やはり最終的にはビジネスとして成立するかとか、ライセンスどうできるかとか、そういうふうな機能、それから定期的にプログラムを見直す、そういうようなもうちょっと出口をしっかり見て、例えばマエナイッチがクレーダーでしたっけ、そういう企業との共同開発を早期からやるとか、いろいろな形をやられているわけですが、そういうのはもう少しバリエーションがあるようなことをやられてはいかがかというのは、ちょっと今日聞いた範囲での私の感想ですけれども。

○野田委員長
 ちょっとそこは非常にクリティカルな難しいところで、やっぱり文科省と厚労省の問題がちょっとあるので、まさに。

○平岡委員
 私もそれはすごく問題で、最初できたときは確かに、いろいろなところから来ていたんですよね。京都大学も。ところがどんどんローカライズしていて、今、京都大学の中のプロジェクトがほとんどなんですよ。多分、ほかの大学もそういう状況になりつつあると思うんですよね。でも本来はそうではなくて、その地域から広くシーズを集めて、それでいいものをやっていくという。

○大津委員
 我々は我々でシーズの開発はやっていますよ。だからそれなりの少しは、大学よりは少ないでしょうけれども、やって上がっています。僕らはそれもそれでやります。だけれども、やっぱり大半の部分というのはやっぱりいわゆる企業治験としてのフェーズ1というほうが圧倒的に多くて、シーズが出てくるというのは、ある程度もう限られていて、逆に治験がたくさんある中でやっているから、別にシーズがちょっと一時期かれたとしても、別に安定した体制の中でできているという部分はございます。

○平岡委員
 がん研、がんセンターが東大のTRと連携できていないわけでしょう。やっぱりそれが非常によくないという。要するにちょうど仕組み的にやっぱり僕はやっぱり機能していないと思いますよ。ただ、それなら逆にまたがんセンターの中に1つTRつくって、がん研つくってというのではなくて、もう少し。

○野田委員長
 そうなってしまっているわけ。ちょっとがんセンターのその意識を余り出すと、ちょっと難しいところがあって、その辺は結局今、支援の対象で言っているから、支援の対象で言っているときのある程度フェアなコンペティションが維持されないと、本当のシーズの育成も行かないという原則論があって、そのシーズが育成されてきたときに、本当に日本の国内で選んで、そういう選択があるところで選んで、がんセンターの臨床に入るときにはやっぱりがんセンターに行かなければなと。門前市をなして柏に行くということなら全然構わないんだけれども、初めから整備はそこだ、人もこれだという形でのあれをすると、ちょっと逆行してしまう。
 そのときにやっぱりむしろだから文科省の今のTRを、文科省の大学病院及び周りのシーズとの関連からどうすべきかという方向で考えてやることをやっぱり今回は、そこでちょっと止めないと。全てがオールジャパンで、どのフェーズにもベストなのがいれば、それがクルーを組めば、アメリカにでも勝てるんだという発想は、僕は決してよくないと思うわけ。それは初めからクルーつくられているじゃないか、誰が選んだんだという話になるわけ。やっぱりある程度のコンペティションは維持しなければいけないわけだから。

○大津委員
 大学の中で、そこを全部整備していくということに関しては、それは別に我々がどうこうということではないと思うんですけれども、ただ、前も中西先生とのちょっと議論で、少しディスカッションになったのは、全てを一施設で賄っていくというのは難しいのではないでしょうかという。

○野田委員長
 全てをというのは。

○大津委員
 シーズ開発から臨床試験から何からという部分を、一施設で全部持っていくということを整備していくというのは、かなりな大変、よほどのことのではないと難しくないでしょうかという。

○野田委員長
 これは可能性の話ですよ。さっきのからすれば、今6つ、それプラス九州入れて7つになっているの。そのままずっと頑張って、それぞれは行くんですと言ってしまうと、それは本当に今言ったように、それでいいんですかという話になる。だけれども、やっぱりアカデミアのシーズが吸い上げやすいアカデミアの中にも、ある程度よそからもシーズが吸い上げられる能力のある施設を幾つか持つことは必要ではないですかというのはおかしくないわけでしょう。それだと思うよね。そうでないと、今のように大学は措置した。措置したところはそれで生き続けるんだとなってしまう。そこまで別に基本法に書かないよ。そんなTR拠点のことを。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 このTR拠点のこのプログラム、今度5年目に入るので、事後評価、事前に最終年度になりますから、次の予算要求に向けて評価を来月、再来月にかけてやる予定にしています。もちろんその中で、我々も今の形でこのまま全てそのまま護送船団のように移行していくということは考えていないんです。それはきちんとした評価をした上で、必要なものを必要なだけ残していくということで、その結果として残るかもしれません。
 もう一点、先ほどシーズの開発と臨床試験を全部1カ所というふうにおっしゃいましたけれども、結局そのシーズ開発と言っても、さっき平岡先生も学内だけのシーズだとおっしゃっていましたけれども、決してそれは学内だけのシーズではないというのが1点と、確かに医学部が中心になりますから、もちろんその医学部中心のその一角になりますけれども、決して特定の数が少ない集団だけで研究開発が行われているということはないというのが2点目と、それからもう一点目は、私の参考資料1の1ページ目、1枚めくっていただいたところに、今回、来年度については、これはもう少し拠点としての点から少しネットワーク、地域に広げた面でのネットワークに広げていこうというプランもあります。これは例えば東北地域であれば、東北6大学のネットワークが既にできていますけれども、そういった地域単位のネットワークと加えて、臨床試験も既に始まっているもの幾つもありますので、その共同の臨床試験についても、このプログラムの中で支援していこうというふうに考えています。

○野田委員長
 分かります。それは。分かるし、それでいいんだけれども、ただ、それを先に向けて別に渡辺さんの文科省のTRが、あるいはこっちのがんセンターのTRセンターがね。先に向けてどう役目を果たしていこうかというときに、同じではないけれども、同じがんのシーズを同じフェーズでやっているのに、そこで話し合いがあったり、それを一緒に見て、日本は将来どっちでどれをやり、こっちでこれをやり、ここはコンペティションでいいなというそういうディスカッションが今まで行われていないというのはやっぱりおかしいのではないかということは、僕はそれは思います。そうした上で、そこで大津君は大津君で、がんセンターはここまで整備されているのに、そっちにはそういうことをやる必要はないのではないか。いや、そっちはというふうになって、やっぱりきちんと整備を日本全体でしていくと。

○大津委員
 もちろん理想形は、それは主なメジャーな大学にはそういうところがあってしかるべきだと思いますし、アメリカのメジャーな大学みんなありますからね。それはそれで全然問題ないと思いますけれども、ただ先ほどの議論で、定員化等々いろいろ難しいという話であれば、別にそれは我々としてはその対応はできますというだけであって、何も大学で整備されることを阻害する考えはないです。
○野田委員長
 その大学の話も、今の状態で大学法人に委ねた形だけとっているからで、例えばですよ、ここでシーズがこれだけ大学にあるんだから、それを育成しなければいけない。オウンサイトで育成しなければいけないんだといって、お金が例えば年間50億円ぽんとつけば、それはそういうセンター機能で大学の幾つかのを運営するということで、人をつけるということは可能で、それはさっきの間野先生が言ったようなシステムになるわけでしょう。だから、そういうふうに少し前向きに考えないと、いや、今回のはいい。今回はちょっともうここでディスカッションは止めましょうよ。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 ちょっと一言だけすみません。あくまでも我々は今の大学に全部押し付けようというつもりではなくて、何のために我々仕事しているかと言ったら、やっぱりプラスアルファを求めて仕事をするわけで、当然そこには今の仕組みでできなければ、やっぱりできる仕組みをつくっていくというのがむしろ我々の仕事なわけですから、まさにそういうことだと思っています。

○大津委員
 そこの部分というのは、TR、神戸のTR、あそこが担うはずなのではないんでしょうか。まだ整備が。

○野田委員長
 だったんだけれども、今はまだ。そこはそれほどイニシアチブをとれる状況にはなっていない。まあ、いいんじゃないでしょうか、それは。ちょっとTRまとまらなくなってしまった。

○大津委員
 さっきの話に戻りますけれども、定員化を各拠点での……定員化ですかね。支援する体制、CRCその他の人の定員化ということを促すということでよろしいでしょうか。国としての支援として考えたときには。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 定員化というよりは、恐らく恒久に雇われる人たちという意味ですよね。

○野田委員長
 そう。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 それはぜひお願いします。

○大津委員
 ということでよろしいでしょうか。サポートするコメディカルの定員化。あとは研究費とか研究費配分に関する問題点としては、この辺もちょっとセンシティブなんで余り細かくは書けないと思うんですけれども、拠点はとりあえず今入っている拠点をさらにもっと増やす方向のほうがよろしいですか。もう今ある拠点をもっと整備を高めるという方向性のほうがよろしいんでしょうか。文科省のほうはどうなんでしょうか。

○渡辺文部科学省研究振興戦略官
 我々としては、別に数をとにかく増やすということよりも、必要な機能が十分に確保されているかということなんだと思います。

○大津委員
 今のTRの拠点のさらに内容を充実させる方向性。

○野田委員長
 定員化も含めて、機能の充実を支援する。経産省も今こんなぐちゃぐちゃになっているところで振っても悪いけれども、経産省もTRというときに研究支援を今までしてきた。そのしてきた対象のところの、こちらは割と枠組みが最初にどんとあるじゃない。拠点という。経産省はそうでなく、事業内容でTR資金を落としてきていますよね。そこのところに関しては、例えば、今必要なものとか、あるいはこれからどうならなければいけないとかというのはないんですか。今の感じでいいかなという。

○経済産業省生物化学産業課
 今、TR事業まで続いているんですけれども、公募自体ができることはなくなっているので、やっぱりこういったところ、経産省の場合は企業がやれるようなTRというものを意識的にやってきたので、ここについても、特にベンチャー企業からの要望というは大きかったので、こういったものも続けていければなというのは思っているので、そういうのも書き込んでいただければいいのかなと。

○野田委員長
 つまりもう一回言うと、やる場所はナショセンだったり、あるいは大学だったりしたけれども、ベンチャーがTRをやるに当たって、資金が不足していたり、そういうサポートがない。そこにお金を落として、ベンチャーがそこに入り込んでやれるようなものを今までやってきたと。その枠組みは残すというか、続けていきたいと。そういう支援は必要だと。

○経済産業省生物化学産業課
 そういう支援は必要だと思います。

○野田委員長
 そうすると、ベンチャー支援とカップルするようなものになる。経産省だからそういうことになる。

○大津委員
 難しいですね。その話を書くのはちょっと。
 それからTR拠点の評価に関しては、どのように記載する方向で考えたらよろしいでしょうか。だんだんと成果が上がってきているのをさらに促進させるというような記載でしょうか。一応、成果としては上がってきているわけですよね。

○野田委員長
 でもそういうミクロの評価と、そもそも全体の日本における医薬品開発の中で期待されている役目はどれで、それはどうだったかという割とマクロの評価、そのときに初めて他省庁とも並べての役目の明確化と、そこでのマクロの評価というのは、やっぱり必要。

○直江委員
 今の議論は、TR全体というよりは、文科省TR拠点の話に何か収束していて、ちょっと僕も話についていけないんですが、だからおっしゃるように、文科省の例えば大学7拠点について、やっぱり大学ではないとできない、例えばそういうCPCの問題、先ほどGCPからどうかという話、IND云々というのは、最初のころは今から5年前は、やっぱり生物製剤とか再生とか細胞というのは、なかなかPMDAへ持っていっても、確認申請だの何だのって、これ何なんだと。つまり医薬品なのかどうかという議論もあって、なかなかなじまなかったと思うんですね。特に今でも再生というのは、ではPMDAが受け付けてくれるのかどうか、よく僕も知りませんけれども、という問題もあって。
 僕の言いたいのは、やっぱりTRの全体の話をして、その中で大学TRは治験がそれぞれ2つも行ったと。がんの中でもそういう枠組みでやっていることをポジティブに評価をして、ただ、がんセンターのやること、それから大学のやることで見ると、やっぱりちょっと違うわけですよね。だからなかなかそのがんセンターでがんのTR拠点だから、こっちへ持ってきてといっても、CPCがそもそもがこれは非常に重要なところなので、ではすぐがんセンターの中で物がつくれるかというと、これはできない。ということが分かった上で、やっぱり役割分担と、お互いが進捗管理というのか、つまり大学の中だけでやると、どうしても身内がシーズを持っていて、そこでつくって、そこの患者さんでつくっていますから、僕は目が甘くなる可能性はあるのかなというふうに思います。そういうところをやっぱり総合評価して、きちっとがんのテーマごとに。いや、拠点をつくるよりはいいと思うんです。拠点にはいろいろ人をつけたとか、治験が行ったということでいいと思うんです。拠点にはいろいろ人をつけたとか、治験行ったということでいいと思うんですが、僕はシーズの中身の進捗と、その科学性や有効性というものをもう少し厳しく、本当にそれ効いていますかというところをやっていくべきではないかと思いますね。

○大津委員
 それは別に大学であれ、がんセンター、我々のところでも同じなんです。だから基礎の人は思い入れがどうしても出てしまうので、その人がそのまま臨床研究まで持っていっても、うまくいかないんですよ。

○直江委員
 うまくいかないと言い切ってしまうとあれだけれども。

○野田委員長
 それをそこでうまくいかないと言い切ったら、だって大学のTRセンターの存在意義がなくなる。そこにシーズがある。

○大津委員
 すみません。

○直江委員
 それはかわいそうですよ。

○大津委員
 違いますよ。同じ人が基礎から臨床まで全部やろうとしても、それは無理がある話で、だからそこでそのプレーヤーを変えればいいんですよ。お互いに基礎の人の思い入れは十分分かるけれども、やっぱり臨床側から見た視点で本当に客観的に見る、別に同じ施設で全然問題ないと思うので。

○直江委員
 僕はだから次のTRの5年間のときには、やはりがんの専門家が集まってシーズごとに例えば進捗だの、有効性だの、プロトコルベースでやはりきちっと臨床研究としての評価をテーマごとにするべきなのではないかなという。今、お互い苦労しているから、よくやりましたというところなんでしょうけれども。

○野田委員長
 正確な評価を行うべきで、その結果、やっぱり同じで行ったら駄目だとなれば。

○大津委員
 必ずしもその基礎のシーズをつくった人が、イコール臨床研究もやっているという話というのはほとんどないですよね。現実に。ありますか。ほとんどの場合は。

○野田委員長
 ちょっとはある。まあいいや。

○大津委員
 大学の中にはね。ではなくて、現実に今まで製品化したようなものの中では、ありますかという話ですよね。

○野田委員長
 だから大津君のスケプティカルな部分は、さっきの例のリサーチINDのないあれとも一緒になっていて、結局、高度医療、先進医療にして、そこで止まって、患者さんにはそれでやってやれる。そしてそれは実際には研究費と称するものでずっとやって、そこで終わって満足ではないけれども、停滞するものがどんどんたまっていくという構造をそれでつくっていいのかというのと、ちょっと今の裏表になっているんだよね。

○大津委員
 やることは何もネガティブには全く考えていないんですけれども、ただ、やっぱり気持ちは分かるんですよ。それは我々のところでもそういう部分はありますので。大学だけが特殊なわけではなくて、がんセンターにもそういうのはあるんですけれども、ただ、やっぱりある程度まで行くともう行き詰るわけですよ。?T相のレベルは行きますけれども、なかなかそこから先が止めなくても、という状況になったときに、なかなか非常に難しい状況が起きるというものがあります。ですから、やっぱりそこは冷静に客観的に判断する人がいないとまずいのではないのかなという。大きな研究費としての無駄を生じる可能性があるという。

○野田委員長
 それはだから少し書き込むのは考えましょう。ただ全体の書きぶりとして、TRのところで、なるべくポジティブに何かすべきことはないかというのがまず先であって、その次、まずそれをちょっとピックアップして、そしてその次に、今言ったこれに注意すべき点はやっぱり書き込むというのはいいと思うんですけれども。

○大津委員
 ほかは一応その話としては、ポジティブに書くべきところは、TRの体制整備というところでは書けると思うんですけれども、それ以外にどのようなことがございますでしょうか。

○野田委員長
 むしろそれは、今の話からすると、大学がカバーしている部分は、運営さえうまくいけば動いているし、そういう部分のシーズだったり、そういう種類の治療法はいいんだけれども、逆にやっぱりそっちでしょう。逆にそっちのTRセンター、つまりよそのものをとにかく日本が取り入れて、日本でTRをやりますよというのを、日本としてその疾患ごとに例えば強化する必要があるかないかという。つまり、それはだからがんセンターだったらがんセンターが、例えば日本で2カ所のTRセンターといって、例えばここをやるという、そういうところの機能を強化するという必要があるのか。それがあれば、例えば企業側は非常に日本に物を持ってきやすいということなのかという、むしろそっちのほうが大きいんですよ。

○大津委員
 それはもう先生、次回の話になりますけれども、それはほとんど整理は大体できてきたので、外資の企業のフェーズ1、ファースト・イン・ヒューマンもかなりやっていますので。

○野田委員長
 そこはだから臨床研究に入れるということ。

○大津委員
 それは臨床研究のほう、ファースト・イン・ヒューマン、だれかからクレームがついたので、ファースト・イン・ヒューマン、ここは外しましたけれども、それはまた別問題ということで、次回。そこの部分の基盤整備というのはもう大体進んできていますので、ですからそこをあともう一息でつながるところだと思うんですよね。

○平岡委員
 先生がおっしゃっているのはこのTRから臨床研究の橋渡し、そういうものをまとめて、例えばがんセンターでやるか、そういうふうなご提案なんですね。

○大津委員
 多分、僕らのところはまだまだ、がんセンターに関しては多分基礎のすそ野が全然浅いですから、大学から見たらば。次々とそういう大学ほど有望なシーズというのは、そう簡単には出てこないというのはよく分かっています。ですから、どうしても主体としては臨床のほう側が主体になっているのは確かです。さっき言われたのは、例えば京大でいい物ができたときに、ではそこから先のファースト・イン・ヒューマンとかという話であればできます。できますけれども、ただそれはあくまでINDとか出した上での話だと思うんですよね。

○野田委員長
 それは出すでしょう。そこを活性化するという。

○大津委員
 中央の研究所のほうと、またがんセンターの中でもちょっとポジジョンが違いますので、我々がやっているところはどっちかというと、純粋な基礎というよりはもっと後ろのほうです。

○平岡委員
 だから今議論している私も大学にこんな7つやって、本当にそれぞれが国際的なものにできるかと言ったときに、ある程度その辺りまで踏み込まないと、多分本格的なものは多分できないのではないかという。

○大津委員
 余り文科省と厚労省の図式にしてもよろしくないので、どうやって全体の話を進めるかになっていくと思うんですけれども。

○野田委員長
 TRのところに戻ろうよ。それでさっきの大津先生の言ったその図式は後ろに持っていくとして、TRはもうこれでいいですかというところに戻って終わらさないと、もう時間が。

○間野委員
  一般論としてTRに付け加えるとしたら、基本的には評価システムが重要なんですけれども、評価システムという書き方は難しいので、支援体制ですよね。だから例えば厳しく評価するとともに、例えば知財、あるいは薬剤開発、あるいは基礎研究者がそれぞれのテーマごとに。

○野田委員長
 それは出ています。

○大津委員
 入れている話だと思います。それはそこの定員化とかという話はもう既に出ている話だと思うんです。

○間野委員
 もともとの定員化をサポートするということと、それぞれの日本で行われているTRをサポートするグループだけではなく、例えば今の大学のTRにおいて、果たしてこのまま進んでいいのか、あるいはこの段階でどこか外部の企業に受け渡したほうがいいのではないかというようなことまで含めて、サポートしてあげるようなシステムがアカデミア側のTRに必要なのではないですか。

○大津委員
 そうですね。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 事業化に関する。

○間野委員
 そうです。それはでも評価という書き方はちょっと提言でしにくいので。

○野田委員長
 そういう支援ね。

○間野委員
 そうです。

○大津委員
 多分、それが医療イノベーション室とかが、そういうサポートのところというのはいかがでしょうか。

○土屋内閣官房医療イノベーション推進室次長
 先ほど言いましたように、いろいろな仕組みを議論していますので、そういう範疇に入ってくるかもしれませんが、まだちょっと今何とも言えないですね。ただ、ここについて、ちょっと言えれば、私は余りよく知らないんですけれども、これを読む限り、例えば1年に2つの治験が走っていることが目標になる。そんなふうな書きぶりなんですけれども、やっぱり目標は僕はコマーシャリゼーションだと思うんですよね。だからそこに向けた活動がどこまでなされていて、今満足かといったら、まだ多分コマーシャルライズされたものがないわけであるので、これをもう少し進めるという格好ではないのではないですかね。

○野田委員長
 だから出口を、必ずしも組織にこだわらないで、オールジャパンで考えるようにしなさいという言い方はいいわけでしょう。

○大津委員
 なかなか、ちょっとポジティブなところがなかなか出てこなかったんですけれども、一応まとめますと、施設の体制整備の支援ということと、それから全体のTRの進捗状況を評価というか、よりサポートして進ませる意味での体制の支援。それから評価に関しては、そういう書きぶりでよろしいですかね。そうすると適切な評価をして、足らないところを支援するというような書き方でよろしいでしょうか。

○間野委員
 事業化の支援体制みたいなことではないですか。それは実際には評価するわけです。

○野田委員長
 事業化に向けただね。

○間野委員
 事業化に向けた、それが必要な気がします。

○大津委員
 事業化に向けた支援ですね。

○間野委員
 実際には評価もすごく大事なんですけれども。

○大津委員
 では、時間過ぎまして申しわけございませんでした。それではこの辺で。ちょっとまとめるのが大変そうですけれども、考えてまた皆様にお送りいたします。

○野田委員長
 では、そういうことでありがとうございました。それで、これからの予定について簡単に話し合っていきたいと思うんですけれども、まず前にはあと2回でと、こういうふうに言っていたんですけれども、今日ので後半の創薬のパイプラインを意識した後半の臨床研究のところというのが次回になりますので、その意見の集約とかそういうところも、ある程度進んでもうあれしていますが、大津先生、この表をつくっていただくということでよろしくお願いします。
 それからもう一つは、そこまで意識して、今日もう幾つか分子プローブや何か出していただきましたが、平岡先生を中心に皆様に今日のは治療でしたけれども、診断及び機器開発を考えたときに今の流れで問題となるようなところ、それを課題を挙げていただき、どう解決したらいいのかというのをお寄せいただきたいと。できればこれ2つを2時間と1時間ぐらいで、あるいはもうちょっと臨床は2時間より長くてもいいけれども、それは次回で終わらせたいというふうに思っています。
 そしてその次に、いわゆるもうちょっと広くがん対策を考えたときに必要ながん研究ということで祖父江先生に、ちょっと今、項目挙げは僕と祖父江先生でこれから次回までにしますけれども、例えば登録の問題だとか、あるいはがん医療の有効性の評価はどういうふうにするんだとか。

○祖父江委員
 まず、予防検診。

○野田委員長
 予防検診がありますね。そういうようなところが項目になってきて、それが次々回になると思います。そして前は2回でそれで終わりのあれでしたが、実際には最後のところで今、ずっと問題になっている評価システム及び省庁を超えた統合的ながん研究の運営、支援についてというのと、最後にあと人材育成という、こういう点を最後に話し合って、ただ、最後は半分ぐらいの時間で、残りはそれまでつくってきた文章をたたき直すということでやりたいというふうに思っています。よろしいでしょうか。
 どうぞ。

○事務局
 すみません。ということは、第6回までということですか。残りあと3回。

○野田委員長
 残りあと3回ですね。

○事務局
 一番最後が評価システムのがん研究支援、それと人材育成と併せて1回。

○野田委員長
 ちょっとその文章をたたくところがもう一回あるような気がするので、4回になる可能性があると思います。

○事務局
 可能性がある。

○野田委員長
 それで7月にがん対策協議会の最後がある。その前の。7月にここの部分の原案を出して協議してもらえばいいですか。

○鈴木がん対策推進室長
 ぎりぎり多分そこだと、今の予定ですと。

○野田委員長
 そうすると、だから6月の半ばまでに、ここがいわゆる原案を提出すると。

○鈴木がん対策推進室長
 まだ新しい、今回次の年度につきましては、新しい協議会になりますので、それ以降の日程についてはまだ決まっていないというのが現状です。ただ、再来年度予算をどうするかという話と、それから最終的に基本計画という成案をつくる期間というものを考えますと、少なくとも7月ぐらいには本体、協議会のほうである程度のこの次期計画の方向性みたいなものがあると、多分予算要求しやすいと思います。

○野田委員長
 やっぱり6月半ばにこれはやっていって。

○鈴木がん対策推進室長
 というので、その前辺りにはある程度の方向性がないと本体には影響されないだろうと思っています。

○野田委員長
 6月に入ったところでやっぱりここでたたくものを、最後に文章をたたく回をつくって、4月、5月で3回やる。6月に入って最後、文章を直して終わりということで4回ですね。
 なので、スケジュール調整のときも、次回のはもう大津先生がいないと話にならないし、平岡先生がとにかくいていただける日にちにとにかくいくと。次々回は祖父江先生がいないと進まないという、そこのところだけよろしくお願いします。

○平岡委員
  検体検査も含めることですか。

○野田委員長
 全部ちょっと拾う。ちょっと今から広がってしまいますけれども、機器とカップルさせますが、それに関わらず、それこそ第2のPSAまで入ってくるんだと思うんですけれども。
 では、それでよろしいですか。それでは、室長にお返しします。

○鈴木がん対策推進室長
 本日はどうもありがとうございました。また次回につきましては、委員長とご相談の上、また日程も各委員のほうにお聞きしながら決めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○野田委員長
 どうもありがとうございました。


(了)
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