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2011年2月25日 第2回緩和ケア専門委員会議事録

健康局総務課がん対策推進室

○日時

平成23年2月25日(金)14:00~17:00



○場所

厚生労働省専用第17会議室(16階)


○議題

1 緩和ケアに関する研修について
2 その他


○議事

出席委員:江口委員長、志真委員、東口委員、丸口委員、前川委員、余宮委員

参考人:川越参考人、木澤参考人


○鈴木がん対策推進室長
 それでは、若干時間が早いですが、委員の皆様方おそろいになりましたので、ただ今より第2回がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 事務局のがん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の欠席状況でございますが、秋山専門委員、大西専門委員につきましては、ご都合によりご欠席とのご連絡を受けているところでございます。また、中川参考人、福井参考人につきましては、招致を依頼いたしましたが、資料提出のみで、ご欠席とのご連絡を受けているところでございます。
 緩和ケア専門委員会の参考人を除く委員定数8名に対しまして、本日は6名の委員の方に出席いただいておりますので、議事運営に必要な定数に達していることをご報告申し上げます。
 また本日は、筑波大学人間総合科学研究科講師、木澤参考人にも参加いただき、後ほど、緩和ケア研修の現状等についてご説明いただくこととしております。
 それでは、以後の進行につきまして、江口委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○江口委員長
 どうも皆さん、お集まりいただきましてありがとうございます。
 第1回目、前回のときに一応、委員の先生方からいろいろなご意見を拝聴したということがありましたが、そのときに、大きく分けて緩和の問題点として、一つは、いろいろな職種にわたって研修とか教育とか、そういったことについて、どういうような取組をしていくべきだろうかということが大きな問題として上がってきたと思います。それからもう一つは、地域連携、それから病院の中・外、それから在宅の中・外、そういうような問題があるんですが、この前の最後のときにお話ししたように、後者についてはこの次の第3回の委員会でまた議論を戦わせようというふうに思っておりまして、今日は緩和医療・緩和ケアの教育・研修について、ある程度の、この専門委員会としての方向性を出したいというふうに考えています。よろしくお願いします。
 今日は木澤先生に参考人として来ていただいたんですが、ご承知のように、木澤先生は筑波大学におられますが、厚労省の研究班等々で緩和ケアの教育・研修に、特に多職種にわたって緩和ケアの教育・研修に携わっておられて、また、学会の理事でもあるというふうなことで、今回、どのような形で日本の緩和医療・緩和ケアの研修体制が動いているかといったようなことについて、ご説明いただこうというふうに思っております。
 お手元の資料をまずご確認いただきたいんですけれども、事務局のほうから。

○鈴木がん対策推進室長
 それでは、まず最初に、以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元のほうに、座席表、それから緩和ケア専門委員会の議事次第という、それぞれ1枚ペーパー、それと、資料の番号が1番、がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会名簿というものから順次、資料2、資料3というのが今回の会議資料になります。
 それから、参考資料といたしまして、がん医療水準均てん化の推進に向けた看護職員資質向上対策事業の概要について、参考資料2、がん診療連携拠点病院の緩和ケア調査に関する総括報告書概要、参考資料3、緩和ケア対策の現状、参考資料4、第1回がん対策推進協議会緩和ケア専門委員会議事概要。
 そのほか、川越参考人、木澤参考人、福井参考人から、それぞれ意見の資料が提出されているところでございます。
 以上でございます。

○江口委員長
 ありがとうございます。
 資料、膨大なものなので、もし足りないものとかございましたらお話しください。
 それでは、最初に木澤先生のほうから、今のような緩和ケアの研修・教育のことについて、お手元の資料でご説明いただきましょうか。大体10分ぐらいを予定しておりまして、あと質疑を少しとりたいと思いますけれども、よろしくお願いします。

○木澤参考人
 よろしくお願いします。筑波大学の木澤でございます。
 私は、お手元の私が作成いたしました資料をまずご参照いただきたいんですが、資料は3種類ございます。一つは、一番表紙にあります「PEACEプロジェクトについて」と書いてありますが、これは医師の緩和ケアの基本教育に関する教育でございまして、そのグラフが終わった後に、ELNEC-Jというのがありまして、こちらが看護師のほうの教育のプログラム、その後、CLICというふうに書いてありますけれども、それは小児科医のための教育プログラムという、この3つの組織的なプログラムを今運用しつつありますので、そのことについてご説明をさせていただきます。
 もしよろしければ、資料を全て用意してあるので、ご回覧いただきながらスタートしていこうと思うんですけれども。全て今、資料を既につくっていて、指導者の養成プログラムをやっているんですが、皆さん、その資料を自由に電子資料で指導者はダウンロードできるようになっていて、講習会をできるような構造をつくっておりますので、見ていただきながらお話を進めていきたいと思います。
 1つ目です。PEACEプロジェクトについてということでご説明します。
 主にはA4、2枚の資料を見ていただきながらいこうと思うんですけれども、背景は、様々なことが書いておりますが、これは基本的に、日本緩和医療学会と、今日いらっしゃっていませんけれども、大西先生が学会長をされておりますサイコオンコロジー学会と、あと研究班で作成をしたプログラムでございます。もともと日本緩和医療学会で、がんに携わる医師のための緩和ケアの教育プログラムである、EPECというアメリカのプログラムの翻訳をして、それをやっていたという経緯があるんですけれども、日本独自のプログラムが必要だということと、がん対策基本法の成立、がん対策推進基本計画における緩和ケアの研修の推進ということで、日本独自のプログラムをつくって、それを運用するということを目的につくられたプログラムです。こちらのほうは、いわゆる開催指針と言われております、緩和ケア研修会の開催指針に沿ったプログラムの運営をということで作成をしていただきました。
 その2番目のところに「PEACEプロジェクトとは」というふうに書いてあるんですけれども、要は……

○江口委員長
 木澤先生、これですね、開催指針。

○木澤参考人
 いや、それは。

○江口委員長
 これは研修会の内容のあれですね。

○木澤参考人
 内容で、開催指針、この中に書いてあります。

○江口委員長
 分かりました。では、これも随時、もし必要であれば。

○木澤参考人
 はい。開催指針は、この緩和ケア研修会開催ハンドブックの……

○事務局
 26ページ。

○木澤参考人
 はい、26ページに書いてございます。
 要は、ここにも書いてあることなんですけれども、基本的な緩和ケアに関する知識をがん診療に携わる医師に身につけていただくということと、早期から切れ目なく緩和ケアが提供されるということが大きな目標になっていて、何をやっているかということなんですけれども、指導者をたくさん養成しようと。各地域で緩和ケアの研修の指導に当たる指導者を養成して、その方々が各地域や病院で研修会をすることで、全国各地に緩和ケアの研修を修了した、知識・技術を持った医師を養成していこうというのが、このプロジェクトの大きな核になっています。
 内容は、3)に書いてある内容なんですけれども、ちょっと細かいことになっていて申しわけないんですけれども、主として疼痛緩和とコミュニケーションと、その他の症状緩和と地域連携という、4つの大きなテーマを持って組まれているプログラムで、特にコミュニケーションと疼痛に重きを置いたプログラムと言うことができるかと思います。
 その次のページめくっていただきますと、開発提供されている資料には4つのものがございまして、要は、それを写せば、そのままもう講義ができるようなプレゼンテーションと、参加者の手にする資料、ハンドブックですね。あとは、さっき見ていただきました開催の手引きで、どういうふうに研修会を運営するかという手引き、及び、そちらに回覧している中に入っていると思うんですけれども、どういうふうに講義を行っていくかというノートや、ファシリテーターマニュアルと呼んでいる開催の実際のマニュアル等を全て整備して、これは大体2カ月に1遍ずつアップデートをしています。というようなものを準備させていただくのと、もう一つは、それに加えて7つの追加モジュール。要は、参加者によって学習のレベルとかニーズが違いますので、適宜、参加者のニーズやレベルに合わせてプログラムを変えられるような、7つの追加モジュールというのを用意してございます。
 大体3年半ちょっとなんですけれども、プロジェクト始まって、運営をしてきまして、今どんな状況かということを次に、2番のPEACE指導者養成研修会開催状況と評価の結果のところでお話をさせていただきます。
 開催状況なんですが、後で事務局でもご整理いただいているんですけれども、2008から2010年度で指導者研修会が15回です。本日も実は運営しております。スタッフ不足で、私もすぐ帰って運営に当たりたいと思っているんですが。15回で、精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会が計9回です。トータルで約1,500名の指導者が出ておりまして、各県、大体10名以上の指導者がおります。これらの指導者の努力で、大体年1万人ペースで修了者が出続けておりまして、昨年12月時点で2万124人という修了者の状態でございます。
 指導者研修会の評価を後でグラフで示しているんですけれども、今年の12月に調査をいたしまして、後で見ていただくとよく分かるんですけれども、指導者の緩和ケアの臨床及び教育に関する自信や行動変化というのは有意に改善したり向上することが、研修会前後で検証されています。
 研修会の評価に関しても、今、尺度開発をしておりまして、テストを既にしているところなんですけれども、今、妥当性と信頼性の評価の途中でございます。
 私が把握している問題点は3つございまして、一つは、プログラムの自由度がなくて多様なニーズに対応できない。ある方にとっては難し過ぎて、ある方については簡単過ぎるという問題がありまして、そういうような問題があること。2つ目は、2日間拘束するプログラムで、現場では参加できないという声がすごく大きいということですね。今、医師の参加者が少し減少してきている傾向があって、どうしたらいいかということが大きな問題になっています。
 これからの展望と提案というところに書いてあるんですけれども、プログラムに柔軟性を持たせて、参加する学習者のレベルも違いますので、多様なニードにこたえるために、かつ、がん以外の疾患にも応用できるということが現実的だと思いますので、開催指針に少し柔軟性を持たせるというのがいいのではないかというふうに考えています。
 2つ目は、特に講義部分についてはeラーニングで応用がききますので、そうすると、参加者も実際に教育をする者の負担も減るということで、eラーニングの併用が望ましいかもしれないというふうに思っております。
 3つ目は、近ごろ医師の参加者が減少してきているということもあるんですけれども、ある程度、要は受講しようという方の受講が終わった感じもちょっとするんですね。大都市部はまだ応募は十分あるんですけれども、特に地方で参加者が減ってきている現状がありますので、今後、均てん化するのにどうしたらいいかという方法性の一つとしては、臨床研修における必修化ということが、今後10年、20年後を考えると、いいだろうというふうに思っていて、例えば臨床研修で必修化すると年間約8,000人が受講することになりますので、あとは掛け算ですけれども、10年たったら8万人、20年たったら16万人ということになりますので、より効果的な研修ができる可能性があるというふうに考えております。
 あとはちょっとご覧いただければよろしいかと思います。
 時間が迫っているようですので、続いて、ELNECについてご説明をします。
 こちらは看護師さんのほうの研修で、これを私が説明する理由というのはなぜかというと、2つ理由がありまして、一つは、私が研究代表者をしていました研究班で開発をしたものであるということと、もう一つは、日本緩和医療学会で今運用していますので、私が今その責任者をしているということで、看護師さんの研修ですが、ご説明をさせていただくようになります。
 こちらのELNECというプログラムも、実は米国でスタートしたプログラムで、これはしっかりしておかなければいけないんですが、一般看護職の方がエンド・オブ・ライフ、緩和ケアや終末期ケアをするのに必要な能力を勉強していただくためのプログラムです。専門家のためのプログラムではございません。それを日本でも広めていこう。もう一つのコンセプトは、医師がPEACEというプログラムをつくって使ってやっているので、整合性がとれるようにですね。お互いが矛盾しないように教育を展開しようということで、これも単なる翻訳ではなくて、かなり日本にアダプトした形で、ELNEC日本版の開発に2007年度から当たっております。
 開発の経緯がそこに書いてございますが、現在も開発続けている途中なんですけれども、本年度で一応プログラムは完成になります。モディファイを加えていますので、そうなっています。
 内容がその下に書いてありますけれども、モジュール1から10まであって、痛みや症状のこと、倫理的・文化的問題、コミュニケーション、死別、高齢者のエンド・オブ・ライフ・ケアといった内容が入っておりますが、これもPEACEと同じ構造で、指導者を育てて、その方が地方や病院に帰って、そこで継続的に、その現場の看護師を教育して広げていこうというプログラムでございます。
 次のページめくっていただきまして、プログラムの開催状況がございまして、2008年から2010年まで、計5回の指導者研修会で300名の指導者を生んでおります。
 こちらのほうはPEACEに比べて、実は後で始めていますので大分知見がたまっておりまして、もう最初から評価研究が組まれておりまして、研修会前後で指導者の教育に関する自信とか意欲とかいうものが有意に改善するということが分かっております。
 これからの展望なんですけれども、これからもこのELNECの指導者養成プログラムを学会として推進していこうということと、あと指導者のフォローアップの研修会を組もうということで、これからの予定と展望というところに、何をやっていくかということを書いてございます。
 5年後の目標に、学会としてどんなことを設定しているかといいますと、今、ELNEC-J指導者養成プログラムを修了した指導者をできるだけ増やしていって、そのサポートを強化して、全国でなるべくたくさんの看護師さんに受講していただこうと。例えばということで試算をしてあるんですけれども、全国のがん診療拠点病院でこれを推進した場合、指導者の養成をしていくと何人になるかということを計算したんですが、現実的な計算をして、7年後に7万人程度かなというふうに思います。
 補足資料を見ていただくと分かるんですけれども、指導者養成研修会を、来年までは年2回、その後、年4回開いていくと、2016年時点で1,600名の指導者ができまして、がん診療拠点病院で毎年開催、40人に対して開催するというふうにしますと、積算しますと、2017年末で7万4,000人という数になります。これはもうざっくり数えたので、現実的にはもう少し減るかも分からないと思うんですけれども、十分実行可能な数だろうというふうに考えておりまして、そうすると、現在労働白書に示されております看護師総数、139万7,300人の約5%ということになるかと思います。
 続きまして、その次のページめくっていただきまして、CLICという小児科医のためのプログラムのご説明をします。
 こちらのほうがなぜ生まれたかといいますと、これも私が研究代表者をしております研究班で開発をしたものなんですが、要は、簡単に想像できると思うんですけれども、大人の緩和ケアと子どもの緩和ケアは大きく違うということを分かっていただけると思います。一つは、もう体が小さいですので薬用量、薬の用量とか親御さんへのケアとか、そういう状況も違うのも一つあるんですけれども、何より違うのは疾患が違うんですね。大人の緩和ケアの多くはがんが対象なんですけれども、子どもの緩和ケア、実はがん以外が、かなり大きな先天性疾患、代謝疾患とか神経系疾患が多くを占めるということで、ちょっとその疾患概念が違うということは言わなければならないんですが、要は、小児にそのまま大人のプログラムは応用できんだろうと、小児に対するプログラムもやはり必要である、小児医療では緩和ケアはほとんどされていないのが現状だということが小児科医の声から分かりまして、ぜひ小児科医のためのプログラムをつくろうということで、こちらは2009年にスタートしています。
 もう一生懸命つくって、2009年度にプログラムをほぼ完成しまして、2010年には2回、この研修会を開いております。こちらの内容もPEACEと非常に似ているんですけれども、小児ならではのプログラム、例えば子どもの疼痛であるとか、処置時の苦痛緩和。例えば、点滴をするときもお子さんを押さえつけたりするんですけれども、そういうようなことをしないで、いかに注射とか処置をするかとか、様々な工夫を取り入れたプログラムをつくっております。
 こちらのほう、次をめくっていただくといいんですけれども、要は、小児の緩和ケアの向上ということをこのプログラムは担おうとしてつくられておりまして、現在まで2回、作成して運営をしております。1つ目は、これは研究班として昨年の5月に開催をしておりまして、もう一つは民間の団体の助成を得まして、研究者3名、私を含む3名が東京で開催をしているという、2回の開催実績がございます。
 こちらのほうは、プログラムがターゲットするのは全く先ほどと一緒で、病院で働いている一般の小児科医がターゲットになります。第一段階としては、今後2年間はこのまま研修会の定期開催を続けまして、その後、指導者に対して全国で研修会を展開していくということで、これは全国各都道府県で30名程度の研修会を年1回実施すると、毎年1,500名の履修者が出ると。小児科医というのは実は1万5,000人しかいないので、本気でやると年10%ずつカバーできるということになります。
 というような試算をしながら、このプログラムのつくり込みをしていますので、ぜひそこら辺のところはご回覧いただいて、内容を見ていただければと思います。
 以上です。

○江口委員長
 ありがとうございます。
 木澤先生は、先ほどお話があったように、またご用事で戻らなきゃいけないということもあるので、今のご説明に関してのスペシフィックなご質問とかコメントとかあれば、今のうちにお願いしたいんですけれども、委員の方々、参考人の方々、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

○川越参考人
 大変なところに手がけられて、本当にありがとうございます。
 質問は、在宅に関しての教育というのがどういう具合になっているか、もしあったら教えてください。

○木澤参考人
 このことに関して、在宅医療に関する教育ですか。

○川越参考人
 在宅緩和ケアです。

○木澤参考人
 在宅の緩和ケアに関する教育。在宅のスペシフィックに、このプログラムで扱っている部分は、一つはPEACEとのプログラムのモジュール9というところがありまして、地域連携と治療・療養の場の選択というところがあるんですけれども、これは在宅に帰る患者さんを扱ったプログラムで、全体でどれぐらいを在宅のことに当てようかということはかなり議論になったんですけれども、この部分で広く、なるべく多くの時間を割こうということで、約1時間半ですかね。全体のプログラムの約12.5%を使いまして、在宅と地域のネットワークのことを扱わせていただいているというふうにご理解いただければよろしいかと思います。
 ただ、実際には、在宅でどういうようなことをやっていくかというプログラムについては、実は追加のモジュールで、在宅用のモジュールをつくれないかというような動きはあるんですけれども、まだ実行には至っておりません。

○志真委員
 追加でよろしいですか。
 私もこのPEACEプロジェクトに関わっておりまして、在宅については全体の開催指針の中に、非常に少ない割り当てしかない、時間的な割り当てが少ないので、まず、その地域連携の部分を優先させようということで現在はつくられているんですが、緩和医療学会としては、在宅緩和ケアガイドブックというのをこの事業の中で作成いたしまして、要望のある研修会には一応提供しております。これは、江口先生がやられておりました厚労科研ですとか、そのほか幾つかの研究のデータをもとにしてつくったテキストを提供しております。
 以上です。

○余宮委員
 きっと全国の企画責任者と交流がおありだと思うので、参考にお聞きしたいのですが。緩和ケア研修会への医師の参加者が徐々に減少しているというお話がありましたが、地方で受講すべき医師がなかなか受講に至っていないというような現状はないのでしょうか。

○木澤参考人
 非常に答えにくい質問なんですけれども、恐らく地域地域で違うというふうに思うんですけれども、一般に言わせていただきますと、2日間連続の研修会にしてしまっているという事情がございまして、開業医の先生方がやっぱりなかなか参加しづらいプログラムになっているんですね。連続した土日とかで開催されるというようなプログラムの組み方をされていると、なかなか参加しづらいという事情があって、そこら辺のところ、なるべく配慮するように、研修会の開き方の工夫はさせていただいているんですが、やはり時間の拘束が長くて、参加が難しいという声は聞きます。

○江口委員長
 ほかにいかがですか。
 はい、どうぞ。

○川越参考人
 かなり米国を参考にしたということで、我が国の事情からいって、ちょっと仕方ないかと思うんですけれども、それに対しての日本の土壌といいますか、それに沿った工夫というのはどういう具合にされているのかということ。もし項目的にまとめてお話しいただければ、説明していただきたいということが一つと、それから、このプログラムを見ると実習は余り重視していないんでしょうか。その辺もちょっと教えていただけませんか。

○木澤参考人
 ありがとうございます。
 一つは、開催指針自体に実習の項目がないということがございましたので、このプログラムはあくまで開催指針に沿ったプログラムになっておりますので、実習は入っていないというのが現状でございます。ただ、これとは別に、緩和ケアに従事したいという方にはぜひ実習をしていただけるように、みんなで工夫はしているところでございます。それは今までは組織的な取組にはなっていないと思います。
 2つ目、米国のプログラムかどうかということなんですけれども、PEACEに関しては、もう全く米国のプログラムを外してしまって、ゼロからつくっているので、もうゼロです。
 ELNECのほうも、ELNECの事務局と話し合いまして、全くさらにすることをオーケーしていただいたんです。もちろん項目立て自体を完全にばらすことはしていないんですけれども、例えば老年期の患者さんのケアというのは全く新しいモジュールで、日本のオリジナルモジュールで、全てをレビューに出して、専門家のレビューで、もうここは要らないとか、ここは文化的に問題があるというのは全部リバイスをかけて、全く新しいプログラムになっているというふうに考えていただいてよろしいと思います。
 CLICのほうは、もう全くのオリジナルなので。

○川越参考人
 専門家のレビューというのは、向こうの方ですか。

○木澤参考人
 いいえ。

○川越参考人
 日本の方ですね。分かりました。

○木澤参考人
 各学会にご連絡を差し上げまして、代表者を出していただいて、その方々に全てレビューをかけております。

○江口委員長
 どうぞ。

○丸口委員
 このドクターの研修ですけれども、がん医療に携わる医師というふうになっているんですけれども、緩和ケアに関心がある先生方はかなり参加されているんじゃないかなというように思えるんですけれども、問題なのは、治療している先生方がどのくらい参加しているのかということが非常に大きな問題かと思うんですけれども、その割合とか分かるんでしょうか。

○木澤参考人
 要は参加者の中の治療医の数を知りたいと。

○丸口委員
 そこまでじゃない。

○木澤参考人
 参考になるかどか分からないんですけれども、指導者研修会に参加した医師が緩和ケアの専門医かというと、実は違うんですね。緩和ケアの専門医は約3割です。これがいいか悪いかはちょっと微妙なところはあるんですけれども、3割が緩和ケア医で、7割はオンコロジーですね。主に外科と内科、麻酔科の先生が参加をしてくださっているということです。これをどうとらえるか、なかなか難しいんですけれども、ご指摘の点は確かで、いかにがん拠点病院の先生たちも初めとして、がんの実際治療に携わっている医師のためにつくったプログラムなのに、そこの参加がなかなか得られないというのは、実はこのプロジェクトの大きな問題にはなっていると思います。

○江口委員長
 どうぞ。

○前川委員
 先日、山口県で山口県のがん対策推進協議会があって、やはり同じ質問をしたんですけれども、県のほうも全く把握していない。本当に人数は少ないんですけれども、把握していなくて、県の方も口ごもって、もう下を向いてしまわれたという状況でした。そうすると全国的にも、どの程度の本当にがん医療に携わっている先生が受けていらっしゃるかというのを、やはりきちんと把握するべきではないかなと思います。

○志真委員
 私は茨城県の緩和ケアの研修会全体を束ねているというか調整しているんですが、県の担当課のほうに、茨城県における、がん診療に携わる医師の数というのを出してくれということを、これをこの研修会が始まったときに要請いたしました。結論から言いますと、現在、行政側が持っているデータで正確な数を出すことは不可能です。恐らくがんを診ているであろうという診療科の医師の数をある程度総合いたしますと、茨城県の場合は大体2万人から2万4,000人ぐらいという推計データを出しております。
 しかし、医師も異動いたしますし、それから、診療科あるいは勤めている病院によって患者さんの内容も変わりますので、現在の各都道府県のそういう担当課の状況からいうと、余り厳密に出せと言われても出せないのが現状ではないかと私は思います。ただ、ある程度、こういう基準でがん診療に携わる医師というのを算出してくださいということを、例えば厚労省がん対策室のほうから示して、それに基づいて参考の数を出すということはできなくはないんじゃないかと思いますが、それが、じゃ実際、現実とどの程度マッチしているかということになりますと、それは非常に難しい。あくまでも推計データにすぎないということになろうか思います。

○木澤参考人
 先生、ちょっとよろしいでしょうか。2万人とおっしゃいましたけれども、2,000人の誤りじゃないですか。2万人は余りに多いです。

○志真委員
 2,000人ですか。失礼いたしました。

○江口委員長
 よろしいですか。今までのディスカッションは当然後半のところにかかってくると思いますので、今のうちにぜひ具体的なことは明らかにしておいたほうがいいと思いますけれども、ほかにありませんか。

○川越参考人
 この教育で一定の基準のプログラムがいいかどうかという評価があると思います。それは今の報告の中にあったと思うんですけれども、要は、これは確かに医者の知識を増やしたりとか、その結果、緩和ケアの質が上がるというようなところにつながっていただければいいんですけれども、このプログラム自体はよくても、現場でそれは余りに役に立たないというような教育だと余り意味がないということがちょっと危惧するところです。これが駄目という意味じゃないです。それは誤解ないようにしていただきたいんですけれども。
 つまり、先ほどから受講者がどんどん減っているということが指摘されていますね。それは、本当に興味ある人はもう受けてしまったと考えていいのか。
 あるいは、もう一つの考え方は、やはり現場に本当に役立つ知識になっているのかということが問われると思うんですね。つまり、本当に患者さんのほうにフィードバックできる形の教育になっているのかということですね。もし本当にそうだとしたら当然、リピーターがいたり、口コミで、あれはいいプログラムだから行ったほうがいいんじゃないかということで、きっと広がると思うんですね。
 ですから、実際にどうやって評価するかという難しい問題がありますけれども、1度受けた方の、例えば周りから何人また来たかとか、そういうことも評価の一つになるのではと思います。ちょっと無責任な提案なんですけれども、そういう、これが本当に魅力ある、臨床に役立つ教育になっているのかということも、ぜひ検討していただきたいなというふうに思います。
 それから、リピーターといいますか、何回も受ける方も結構いらっしゃるんですか。

○木澤参考人
 実際、何回も受ける方はいらっしゃるんですけれども、一応そういう方用に実は追加モジュールをつくったという経緯がございまして、ほかのことをさらに深く勉強したい方に、例えばエンド・オブ・ライフのことを勉強したりとか、スピリチュアル・イシューを勉強したりとか。ということで、追加モジュールのつくり出しをして、それを地域で継続的な勉強会をするというのが近ごろ、いろいろな県とか地方で追加モジュールの勉強会というのが行われてきています。そちらのほうも、またデータの収集を今し始めたところでございます。

○江口委員長
 さっきの川越参考人の意見の続きみたいになるんですけれども、例えば2ページの研修会の評価ですね。これ、学会の理事会なんかでもかなり何回も繰り返し出ていると思うんですけれども、要するに、これをやってどういう評価を、あるいはアウトカムを客観的に評価するか、これはすごく大事なことだと思うんですけれども。
 これは今、PEACE-Q88の開発というのは、一言で言ってどういうもので、どの程度使える、実用化のめどが立ちそうか。

○木澤参考人
 もう本当に、今、最後のバリデーションをしているところで、もうすぐ出ると思うんですけれども、知識の評価のみです。
 これを、実は知識以外のことを評価するという取組が、じゃ、諸外国でされているか。もうかなりディスカッションしたんですけれども、なかなかやっぱり評価ができないんですね、実際に役立つかどうかというのを。まずは知識が見えやすいので、知識を評価しようというふうに考えているんですけれども。例えばオピオイドの使用量を評価しようといっても、本当に、じゃ、研修会でオピオイドの使用が増えたのかどうということはなかなか検証ができないということがありますので、やはり知識が一番簡単に評価できることであろうというふうに思っています。
 ただ、これは後で、この資料には用意しなかったんですけれども、私が個人的にこのプロジェクトを4年間やってきて、一番このプロジェクトでインパクトがあったことは何かといいますと、地域の指導者がまとまらないと研修会が運営できないんですね。なので、各地方で緩和ケアの専門家のネットワークができたということが一つ、すごく大きな仕事で、ちょっと言葉は悪いんですけれども、指導者とは言えないような指導者の人たちが最初生まれるんですね、やっぱり研修会の。本当いいの、この人を指導者にしちゃってという人が生まれるんですけれども、切磋琢磨するんですね。その方々がすごいモチベーションは高まって、困ったときに、ほかの地域の専門家に聞けるネットワークができて、だんだんにその方たちが成長していくというのは、アンケートの結果ですごく見えてくるんです。質的な分析をしたら皆さんにはお見せしようと思うんですが、ご存じのとおり質的分析、今、結果が出たばっかりで、始めたばっかりなんですけれども、物すごく膨大で、なかなか出ないんですが、もうざっと見たところ、やっぱりそういう印象があって、4年間やってきたよかったなと一番思うところは、そういうところが一番大きいんじゃないかなというふうに実は考えています。

○江口委員長
 あと、プログラムの自由度がないということなんですけれども、これについては、今後どういうようなことを考えているんですか。
 かなりやっぱり参加者の人で、例えばオンコロジストで、化学療法をうんとやっているような人は、当然それに関連した質問がどんどん出てきてというようなことが、いろいろあると思うんですけれども。

○木澤参考人
 おっしゃるとおりです。例えばオンコロジストの先生方だったら合併症の治療について詳しく知りたいというようなニーズがございますし、在宅をやっている先生だったらエンド・オブ・ライフ、要は在宅での看取りについて詳しいモジュールをつくってほしいというものがありますし、例えば予後をどうやって予測するかというようなこと興味がある方もいらっしゃいますし、もう本当に様々なんですね。
 ですから、それをこれからも逐次、さっきも在宅のお話も出ましたけれども、モジュールのつくり出しをできる限りして、これは、僕はもうすごく強いお願いなんですけれども、開催指針をぜひもう少し自由度の高い形にしていただいて、そのときの学習者に合わせてプログラムを組み直せるようにしていただくと、恐らく参加者は増えるだろうと思うんですね。今の開催指針、かなりがちがちなので、これに興味がない人は多分参加しないんだと思うんです。もっと広いと参加してくださること、例えばコミュニケーションに物すごく重点を置いてつくるというのもありだと思いますし、痛みだけ一生懸命やるというのもありだと思うので、もう少し自由度が高いとニーズに合わせることができるので、参加者をもっと集めることができるのではないかなというふうに考えています。
 あとは、書いたんですけれども、ぜひこういうものはeラーニングを併用することで、拠点病院も相当開くのが大変になってきているという事実も僕はあるように思いますので、あとは例えば診療所の先生方は、やはり2日休みとるというのはかなり大変だと思いますので、自宅で1日は修了して、1日だけ集合していただくというようなデザインをすると、もっと参加者が増えるんじゃないかなというふうに考えています。

○江口委員長
 そのeラーニングなんですけれども、eラーニングの言葉がかなり先走っていろいろ動いていますけれども、実際、eラーニングのシステムがなかなかうまく動いていかないんじゃないかと思うんですけれども、それ何か、どういうところが隘路になっているんですかね。先生たちがつくって、プログラムとしてちゃんと動かしていこうというときに、幾つかのゲートがあると思うんですけれども、隘路というかですね。

○木澤参考人
 まずは、僕らが思っているのは、どんなところからでも、例えば今、僕はスマートフォンを持っていますけれども、スマートフォンからもアクセスできるというようなことが近ごろもうすごくあるんですけれども、そういうようなeラーニングのプログラムって実は日本にはほとんどなかったりとか。実は、そんなにお金かけなくてできる。eラーニング自体は、基本的にそんなにお金がかかるものではないんですね。それを作成するということになれば、すぐ応用がききますし。
 あともう一つは、どうしても日本のeラーニングは今一方向でしか行かないんですけれども、近ごろ多くの欧米のeラーニング、僕もたくさん受講しているんですけれども、双方向なんですね。そういうプログラムをつくっていくともっといいと思いますので、ぜひ。例えば自分が知りたいことだけつなげて、カスタマイズできるようなeラーニングが近ごろいっぱい出てきているので、もし自分たちがつくるんだったら、そういうものつくろうというふうには思っています。

○江口委員長
 さっきの対象の医師のことなんですけれども、一つは、そういう受けやすくするというのが一つだと思うんですね。もう一つは、どういう対象者というのは、もう義務づけるというふうなことがあると思うんですけれども、ぱっと考えると、例えば学会横断的な組織でいくと、がん治療認定医機構とか、ああいうところの認定医、かなり年間2,000人ぐらいずつ受けていくわけですけれども、そういうところで必ずこれを受けなきゃいけないというような、そういう必須化というのはどう考えますか。

○木澤参考人
 すごくいいとは思います。ただ、もう一つ、僕、ちょっとここで話すのが適切かどうか分からないんですけれども、がんに限ることは、いいことでもあり、悪いことでもあるのかなというふうに思うので。というのは、緩和ケア自体は、がんだけに限ったものではなくて、全ての難治性の疾患に当たるものですし、在宅や総合診療をしていると、もう常に、いつもそういうことを感じるわけです。どっちかというと臨床研修の必修化のほうが現実ではないかなというふうに、個人的には考えています。

○江口委員長
 臨床研修の必須化、もちろんいいんですけれども、それだと、今中堅で動いている人たちに対してはカバーしないですよね。だから、それでなおかつ、それだけを僕は念頭に置いているわけじゃないんだけれども、例えばがん治療認定医機構の試験なんかだと、あれは今、例えば外科でやっている人とか、あるいは内科でやっている人とか、あるいは整形とか婦人科とかみんな、がんをやっている人たちが、それを受けないと資格としてなかなか今は通用しなくなってきていますから。
 だから、そういう制度にひっかけて、少なくともそういう人たちは必須化するということにすると、さっきの県の人が、がんをやる医師が何人いるかなんて、そういうことは、これはもうなかなか、だれも出しにくい数字ですよね。だけど、ある一定のそういうところの制度にひっかけてつくってしまうと、それはもう、そこを通る人たちは必ずがんをやる人たちなので、そういうことがアイデアとしてないかなということをちょっとお聞きしたかったんですね。

○木澤参考人
 それは、もうアイデアとしてはぜひ参考にさせていただきたいと思いますし、十分、今の研修会のシステムで、それは対応可能だと思います。

○江口委員長
 がんの緩和ができなければ、ほかのもできないと思うんですけれども。それ、いいですかね、そのがん以外の疾患についてのものと違うというようなことを言われるご意見に関しては。ベーシックなところは、もう全く同じモジュールでできるという。

○木澤参考人
 そうです。そういうふうにご理解いただければいいと思います。

○江口委員長
 ほかに。

○東口委員
 先ほどの江口委員長のお話は、前回も案を出させてもらいましたが、実際に専門医・認定医制度のなかで、緩和ケア研修の受講は少なくとも更新案件の一つとしては必須化する必要があります。施設の中で研修に参加できる医師は、多くは部長あるいは中堅クラスによって、かなり制限を受けています。したがいまして、その上司の方々が受け、その有用性を理解しない限り、下に受けさせるということはほとんどありません。そこで上司の意向にかかわらず受講できるようにすべきです。
 もう一つは、2日間という受講期間ですが、そういうものもオーガナイズドをしなきゃならないことの一つと思います。
 木澤先生が言われる、いわゆる理論的にはみんながやりたい、受けたい人が来て、川越先生が言われるように、中身がよくてというのが理想ですけれども、現実に現場でやっていると、受講者数が減っている理由というのは、そういう方が既に受けちゃったんですね。しかし、これから受けなきゃならない人たちあるいは受けるべき人たちはまだまだたくさんおられるのですが、先のべたようないろいろな制限が邪魔をしている。この点を突破しない限りは、緩和ケアをがんの治療のベーシックに置くことは難しく緩和ケアチームの活動も制限されますし、いろんなデメリットがでてきます。
 ですから、がん拠点病院の中で医師に対して研修会の受講をデューティーとすべきと思います。臨床研修医の人たちはもちろんのこと、指導に当たる医師も緩和ケア研修を受講し、上からと下からのサンドイッチにしないことには難しいように思います。
 すみません、私も緩和医療学会の理事ではあるのですが、実際の現場でやっている一人の医師としての意見は、その辺のところをやっぱり切に考えていかなきゃいけない議題だと思います。

○丸口委員
 ELNEC-Jのことでもいいですか。看護師の教育は、今、木澤先生に説明していただいたELNEC-Jというのは、私も今日の意見の中に入れているんですけれども、一般看護師の教育ということで、一つのプログラムされたものというのはなかなかなくて、統一されていないということと、現場で患者さんに関わる看護師たちが基本的な知識を持っているということで、やっぱりこういうプログラムされたものを各施設に浸透させていくということは非常に必要なことだというふうに思いますので、私のところでも意見を言わせていただこうと思うんですけれども、木澤先生がいらっしゃるので、今、感想ですけれども、述べさせていただきました。

○川越参考人
 今日、まさに当事者の方である木澤先生や志真先生がいらっしゃって、詳しいことを伺ったんですけれども、私が危惧しているのは、がん対策推進協議会の中の一般の患者さん、あるいはその家族の方のご意見です。結構熱心な方がいらっしゃって、このPEACEの講習会に行ったそうで、その話を伺うと、結構厳しいんですね。患者さんは皆さん、いつも我々医療者に厳しいのは仕方ないのですが、寝ている人が多かったとかですね。この間そんな話をちらっと聞きましたので心配しています。
 先ほど県の方が全然把握していないというか、余りまじめにやっていないんじゃないかと、そういうところがあるんじゃないかというご指摘がありましたけれども。前川さん1人じゃなくて、あるいは何かそういう話があったら、こういう場ですから、ぜひ聞かせていただきたいと思います。

○前川委員
 私も協議会の委員になって最初のころに1度、たまたま行った病院で研修会をやっていたので、私も入らせてくださいと言ったんですね。そしたら、部外者は駄目と言って、もう完全に断られました。じゃ、申しわけないけど資料だけ下さいと、参加者名簿はあげられませんよと言って、参加者名簿だけ外して資料はいただきました。その資料を見て、、緩和ケアを全然分かっていない先生というか、医療現場で患者にいろんな緩和ケアらしくない言葉を発したり、患者とのコミュニケーションができていない先生が指導者としていらっしゃるのを見て、驚きました。あと、もう1件は、県のほうにお願いして医師会主催の緩和ケア研修会に、1日だけ行かせていただきました。そのときに、麻薬を使ったことのない開業医の先生たちが半数以上参加されていて、これはどうなんだろうと思いました。そこのところがあったので、どの程度がん医療に携わっている方が参加されているのかというふうな疑問を持ったんですね。
 そういう感じで、患者会とかでの勉強会で程度知っている者にとっては、簡単な内容なので、もうちょっと何とかならないかなというのが患者委員としての意見です。

○木澤参考人
 まさに、その方々をターゲットにしたプログラムなんです。オピオイドを使ったことのない人が使えるようになるというのが、実はPEACEのプログラムの最もターゲットにした対象だったんです。なので、そういうふうに、そういう方々に来ていただければ僕は物すごくうれしい。その方々が使ってみようかなと思えるようになるのがこのプログラムの実は一番大きな目標で、実はかなり低いレベル設定をしているんですね。
 それだとやっぱり参加したくない人も出るので、追加モジュールで、より高いレベルのものをカバーしていくということが今課題になってきていて、というふうにご理解いただくと非常にうれしいです。

○前川委員
 はい、分かりました。ありがとうございます。

○江口委員長
 だから、今後は、そのレベルを少し変えて、何段階かのものをやっていく必要が出てきているということかもしれないよね。

○木澤参考人
 そうですね。おっしゃるとおりです。

○江口委員長
 それから、PEACEといって、一般のドクターと、それからPEACE指導者講習会という、指導者のほうの講習会と、ちょっと混同しがちなんですけれども、それは2種類並行してやっていると。
 ほかに、よろしいですか。
 それでは、一応、木澤先生のお話はこれで終わりということで。
 もし先生、よろしければ。

○木澤参考人
 よろしいですか。ありがとうございます。

○江口委員長
 ありがとうございました。
 それで、早速ですけれども、残りの1時間半ぐらいを使いまして我々の意見をまとめるということを、作業に入りたいというふうに思います。
 お忙しい中でいろいろなご意見をいただきましたて、ありがとうございました。今日、資料として事務局のほうにまとめてもらっています。資料3にありますね。
 それで、一つ一つをご説明いただくということもよろしいんですけれども、時間的な制約もあるので、私どもでちょっとまとめてみました。資料2というものを参考にしていただいて、それで、これに付随してご意見をいただいたものを、委員のご自分の意見ということで、少しずつ挟み込んで話を進めていくというような形にしたいと思います。
 この今日の会のゴールの目標なんですけれども、やはり緩和医療・緩和ケアの研修・教育ということで、多職種に関して大体どういう方向性を持つべきかということを、少し具体的な面も含めて、先ほどの討論にありましたようなことを織り込んで出して、それを報告書として協議会に提出したいというふうに、そういうような位置づけの今後の進行を考えていますので、よろしくお願いします。
 資料2なんですけれども、これ6枚ありまして、4枚目のところからちょっと外していただいて、それをA4の横型のと縦型のとで照らし合わせながら見ていただくと、もう少し分かりやすいかもしれません。
 それで、論点メモ、整理メモですけれども、最初に縦型のでいきますと、認定研修施設、それから緩和ケアに関する研修会の現状、それから、これは例えば職種別になっておりますけれども、医師ではどうかと、それから看護師、看護分野ではどうかというふうなことですね。それからもう一つ、薬剤師もありますけれども、そういうようなものはどうかというふうなこと。それから、横断的に考えて、実際の研修のシステムそのものに対して、先ほど討議ありましたような問題点というのが、この3番目、3ページ目に、ちょっと箇条書きにして載っているということであります。
 その内容を今度、表みたいな形で書いてみたのが4、5、6の横型のものでありまして、ここに、まず課題、それから対応、これは現状での対応ですかね。それから目標、それから、そういうようなもののプランを実行するための要員とか場所について。それからインセンティブ、そういうようなことを進める際のインセンティブはどうかと。それから、現行の体制が幾つかあると思うんですけれども、そういうものとの調整が必要なのかどうかといったようなことの、討論の論点みたいなものを横にしまして、縦には、4ページ目のところですけれども、医師、分野別で小児というのも入っています。それから、専門緩和ケアと一般緩和ケアというのが一応分けて書いてあって、5ページ目のところですが、看護師、これはやはり専門と一般というふうなことを分けていて、ここには薬剤師というのも出しました。6ページ目には、その他、地域連携のことを考えると、やはり福祉行政とかケアマネージャーとかいろいろな職種の、多職種に関しての研修というのを当然ターゲットとして考えていかなきゃいけないというふうなことなので。
 こういうわけで、横長の資料と、それから資料2の最初の3ページと併せて考えていって、できれば横長のほうに少し書き込んでいこうというふうに考えています。よろしいですかね、今までのところは。
 それでまず、医師の研修会の現状ですけれども、これ、1ページ目にありますが、指導者研修会ですね。指導者研修会は、がんセンターと、それから緩和医療学会、それからサイコオンコロジーの学会、これが共同でやっているものがありまして、そして、平成20年度から始まって、緩和ケア関係のものに関しては約1,000人、それから、サイコオンコロジーも含めたものに関しては約500人が研修を受けているということであります。
 添付資料にもありますように、一般向けの研修会では、指導者が各地でやる、あるいは拠点病院が中心になって各地でやるということで、2万人ほどが修了しているということになっています。
 それから、緩和ケアチームの研修会というのもがんセンターで行われていまして、これは地域の連携拠点病院の緩和ケアチームを集めてやる研修会です。拠点病院のスタッフを対象とした研修会ということで、平成20年度までで大体400名ぐらいが修了しているということになりますかね。
 それから、CLICのほうですが、これ、2ページのところを今読んでいるんですけれども、小児科医のための緩和ケア。これはまだ70名ということで、これは平成22年度からなので、厚労省の班研究としてやっているプログラムであるということですね。
 それから、看護の分野ですが、これは看護師を対象として、国立がんセンターで行う緩和ケアコースというのがありまして、実際にはまだ40名ですかね、これ、丸口さん。すみません、後でちょっと追加していただければ。
 ELNECのほうは緩和医療学会がやっていて、300名強、修了しているということです。
 それから、日本看護協会のプログラムがありまして、これは平成10年度からということで、ホスピス緩和ケアの研修ということですが、それをテーマに1,000人以上、もう講習を受けて、これはたしか認定看護師になるということですかね。それとは別ですか。分かりました。
 この辺が何本もあるので、問題になるかというふうに、調整が必要かというふうに思います。
 これらに関して、まずは医師の専門緩和ケア、一般緩和ケアについて、ここのところでいかがですかね。志真先生、何か追加すること。

○志真委員
 この横の表には、暫定指導医という緩和医療学会が認定している一応専門医ですが、これが拠点病院の55%というふうに書かれているんですが、資料の41ページのところに……

○江口委員長
 資料3ですね。

○志真委員
 はい。資料3の41ページのところに、緩和医療学会の専門医認定・育成委員会の委員長の有賀先生からの資料を提出いたしましたが、全体の、都道府県も、それから地域も含めた、がん診療拠点病院では55%で、そのうち認定施設となっている拠点病院は50%。都道府県になりますと、92%に暫定指導医もしくは専門医が在籍しておりまして、86%の拠点病院が認定研修施設になっているというような状況であります。ですから、地域の診療拠点病院では、やはりまだまだ専門医の数は十分ではないというのが今の現状かと思います。
 こういう学会の専門医と、先ほど紹介されましたいわゆるPEACEの、PEACEプロジェクトで要請している指導者というのはイコールではないんですね。指導者の中にはもちろんこういう専門医や暫定指導医は入っておりまして、特に緩和医療学会は教育歴というのを専門医の要件として非常に重視しておりますので、そういう病院や地域における教育ということがこれらの専門医や暫定指導医には課されているんですが、現時点では拠点病院のカバーをしているのは大体半分程度というのが現状かというふうに思います。これをやはり、これも増やしていかなければならない一つかなというふうには思います。

○江口委員長
 これ、僕らがまとめたというか、この表をつくったときに、まず一つは、専門緩和医療・専門緩和ケアというのは、要するにスペシャリストですよね。だから、そういう人たちというのは少なくとも将来的には拠点病院に1人とか2人とか配置されて、これ、拠点病院というのは、都道府県の拠点病院にはもちろん複数いなきゃいけないんですけれども、地域の連携拠点病院にもやはり望むらくは複数いたほうが、活動としてはより充実してできるわけですよね。その場合に、そういう専門的な緩和医療・緩和ケアということになると、これは緩和医療外来を開いたり、それから地域の中で、あるいは施設から出て地域の中でいろんなところからコンサルテーションを受けたときに、それに対してこたえるような形のものも、要するに、オープンの形の緩和ケアというのを提供できるというのが専門緩和医であり緩和ケア医であるというふうに考えているわけです。
 そうすると、そういうものを育てる場所とか要員とかということになると、当然そういうものを充実させていかなきゃいけないんですけれども、その具体的な目標として、どの辺を立てたらいいかと。それから、それに対して、そういうものを、指導者をつくるための研修体制というのは今のところ、どのくらいのものを考えていったら実現可能なのかということがその実行要員とか場所とかということで、そして、それに対して、そういう講習会とか研修会を応募してきて、その指導医・専門医師の資格を取ることのインセンティブというのはどういうものかというふうなことで、その現行体制との調整点ということになると、これは、専門的な緩和医療の資格というのは今のところ緩和医療学会のものしかないので、余り現行でぶつかり合うところというのはないと思うんですね。
 だから、むしろこの最初の医師の1の段階では、恐らく目標をどこに置くか、あるいはそれを指導する、あるいは研修を企画して実施するための要員とか場所をどこに、どの程度のところを考えればいい、あるいはインセンティブをどうすればいいかという、そこのところだと思うんですけれども、これに対して、例えば東口先生、どうですかね。

○東口委員
 いや、もう全くおっしゃるとおりです。現在のところでは有資格者のインセンティブを含めまして十分な体制は整っていません。このままでは研修や教育と実際の診療の質というところにラグが生じていくのかなという恐れをちょっと抱いています。とにかくベーシックな緩和ケアの普及・啓発体制の構築を大前提に上げなければ、その上に積み上げていくことも難しいので、おっしゃるとおりだと思います。

○江口委員長
 というか具体的に、例えば目標として、大ざっぱに何人ぐらいを育てるべきかというようなこととか、それから、それを例えば5年でやるのであれば、実際に場所が今のようなところで十分なのか、あるいはもっと現実的に増やさないと無理なのかというところ、そういうところはどうですか。

○東口委員
 もっともっと増やさなきゃならないともちろん思います。数を明確に出すというのは非常に難しいですけれども、病院や施設によって規模も違いますが、がん拠点病院などの比較的大きくしかも急性期の病院では、がん治療に関わるすべての診療科に1人ずつぐらい必要と思われます。なかなか明確に、全国でどれぐらい指導者や研修修了者が必要という明確な数字は出せませんが、少なくとも当初の目的の、いわゆる何万人でしょうか、確か以前先生が言われたのは10万人ぐらいでしたっけ。

○江口委員長
 いや、それは私が言ったことじゃない。

○東口委員
 すみません。違いましたすか。
 しかし、本当に緩和ケアをがん治療の中に浸透させるためには本当にそれぐらいを想定しないと変わらないのではないかなと思います。ちょっと悲観的な意見で申しわけありません。やはり、それを具体的に達成するためならば、やはり上からといいますか、国の方から、ある程度の達成基準といいますか、指針あるいはデューティを課していただければと思います。そういうものをつくらない限りは難しいと思います。
 すみません、ちょっと数字としてはなかなか言いづらいところがあります。

○江口委員長
 余宮先生、どうですか。

○余宮委員
 有賀先生の報告書にもありますように、目標値ですよね。10年間でというふうに書いていらっしゃいますけれども。

○江口委員長
 資料3の41ページですね。

○余宮委員
 そうですね。41ページの目標値のところですが、ここには10年間で全がん診療連携拠点病院に1名以上の専門医を育成すると書かれているので、これが現実的かどうか分かりませんが、最低これぐらいは目指したいなと思います。
 また、スペシャリストというのは促成栽培で育たないものだという視点からも、全がん診療連携病院、1名以上の専門医というのは、一ついい線だと感じています。

○江口委員長
 これはだから、そうすると今、大体大ざっぱに言って400人ですよね。専門医が400人ということですけれども、複数名配置するということであれば、やっぱり1,000人弱の専門医を育てなきゃいけないということになりますね。これは、具体的な数字、なかなか出せないと思いますけれども、そういうような概念で、専門緩和ケアとか緩和医療の場合というのは、よろしいですかね。

○川越参考人
 今ずっと考えながらお伺いしていたんですけれども、こういう教育というのは、あるものができて、それででき上がりということはもちろんないわけで、医学教育でしたら、学生教育があって、研修医の教育があってという格好になっておりますのでね。学生教育でも、緩和医療というのはかなり重視されてくるようになりまして、必須項目、国家試験の中にも入っておりますから、やらざるを得ないということがございます。
 それで、研修医のときがどうなるかというようなことが、ちょっと一つ大きな問題じゃないかと思うんですね。その点を志真先生たちはどのように考えていらっしゃるかということをお伺いしたい。それから、こういう緩和医療を専門にしたときにどうするかという目標の数を持ってこなきゃいけない。
 私は在宅しか分からないので在宅のことを申しますと、学生教育でも、もちろん地域医療という形で、在宅での緩和医療は教えられる。そして、研修医になったとき、前期研修でこういうものを選ぼうと思ったら、今は江口先生がいらっしゃる帝京大病院では、公衆衛生の地域の中で私のところへ来られる学生がおりますので、しっかり教育できるということがある。それは選ばれたというか、一部選択した人ということになるんですけれども。あと、それプラス、その先がどうなるかというと、地域の医療を担っている一般医、あるいは在宅医と言ってよろしいかもしれませんけれども、そういう人に対してどのくらい研修をやるのか、目標ですね。それから、さらに言って、緩和ケアを専門にやっていく地域の診療所という。これは今まだ制度的にも全然認められておりませんけれども、在宅療養支援診療所をそういうことにしましたら、在宅療養支援診療所の医師の、特にこういうものに興味を持った人に対しての教育というような格好で、それぞれの目標設定をしていかないといけないんじゃないかなと思っております。

○江口委員長
 具体、ここに在宅診療研修というのを、それぞれ専門1と2に加えたんですけれども、これは先生のご意見をここに、こんな形でしたけれども、ちょっと入れざるを得なかったので入れてしまいましたけれども、例えば在宅診療研修で、先生は専門の在宅診療所みたいなもので研修させるというようなことですけれども、これ、全国にどれくらいあれば、どうなんでしょう。そういうことを。

○川越参考人
 志真先生、今、何施設ぐらいの在宅の医療機関が研修施設として認められているんですか。私たちのところも4月から緩和医療学会の認定研修施設となりますが、今、在宅では幾つぐらいあるんでしょうか。

○志真委員
 ちょっと正確な数字は僕も今記憶しておりませんが、この全認定研修機関、今407施設ですが、大体1割か2割ぐらいではないかと思いますけれども。

○川越参考人
 それでは数が全然少ない。ただ、こういう診療所は緩和医療を片手間にやっているというようなところがありますから、制度的にバックアップしていただければ、本当にふさわしいところがもっともっと増えていくんじゃないかなというような気がします。
 それから、これは、ここで言うのが適当かどうか分かりませんけれども、やはり在宅というのは実地臨床研修抜きには、本当に評論的な話になっちゃいます。適切なところで、学生あるいは研修医、あるいはそれを専門にするという人が実習する形を、やっぱり考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思っております。

○江口委員長
 私も、先ほどの木澤先生のカリキュラムの中で、学会の理事会なんかでも幾つか出ている意見なんですけれども、やはり実技の部分の見学とか実習とかというのが非常に今後は必要になってくるだろうということで、そういうことをいろいろ意見はいただくんですが、例えばこれ、専門の研修施設を考えた場合に、実際、実習を受けられるような施設がどのくらいあるのだろうかということが非常に問題になるわけですね。
 恐らく東口先生のところとか余宮先生のところなんかは、もう自分たちのくだんのデューティーでほとんど時間がない状態で、だけれども、そういう場合に、そこに研修の人たちを受け入れるということは可能なんですかね。どうでしょう。

○余宮委員
 当施設は年単位で受け入れていますけれども、そういう方が多く来られています。

○江口委員長
 年単位ですね。

○余宮委員
 はい。できれば2年と言っていますけれども。

○江口委員長
 それは、だからレジデントみたいな、そういう形になるわけですか。

○余宮委員
 いいえ、そうではなく、緩和医療学会の専門医を目指すことを前提に、最低2年の専従医の経験が必要なので、そういうこととして受け入れているということですね。

○江口委員長
 すると、先ほどあったようなPEACEの指導者講習会とか、そういう方々が先生のところへ行って実際に実習したり見学を受けたりというのは、その2年も1年も行っていられないわけですから、恐らく、だから例えば1日実習で1日講義とか、あるいは、ばらけて、1週間のうち1単位行くとかという話になると思うんですけれども。そういうものを、だから年間ある程度、何人かは受け入れないと、そういうカリキュラムって動かないと思うんですよね。そう考えると、実際それは可能なんでしょうか。

○東口委員
 私のところは、教育を含めてのことになりますが、講座であることもあって年々医師もメディカルスタッフも徐々にですが講座の中に増えてきています。今のところは、がんプロフェッショナルコースも含めてですが、全ての職種に対して研修を受け入れています。1日研修という方も結構おられます。本当は余宮先生が言われるみたいに年単位がいいのですが、なかなか年は難しいものですから、1日であったり1週間であったりと研修期間は個々に対応して、それぞれのご要望に応じたカリキュラムを立てて行っています。
 ただ、それを行える施設がほかにあるかというと、多分、東海地区でもあまりないと思います。むしろ、その研修をやるべき大学から研修に来たいというような方が多いものですから、まだまだそこまで体系づけて多くのところでやれるようにするのは難しいかなと思います。
 ただ、川越先生がおっしゃられるように、在宅をやっている先生方とネットワークは組んでいますので、私たちが地域連携のなかで中核を担いオーガニゼーションすることはできると思います。

○志真委員
 ちょっと問題が幾つかに分かれているので、整理をしたいんですけれども、いわゆる緩和医療学会の指導医を育てる施設、これは学会の認定研修施設ということになっていますが、有賀先生の資料ですと、大体500というのが今の当面の目標であると。恐らく数年というか、三、四年のうちで500というのは可能だと思います。暫定指導医が全部で今600から700ぐらい出ておりますので、それらの先生方が所属している施設が全部研修施設として申請をしていただければ、500ぐらいは現実的な目標かなというふうに思うんですね。ここは主に専門医を育てることが役割になるわけですね。
 今、余宮先生が2年間とおっしゃいましたけれども、今の学会の専門医の条件としては、病棟とチームと在宅を、それぞれ2年間に、ある一定の期間、実習することということが定められていますので、そういうコースが必要になるということになります。
 そうしますと、その中で、先ほど川越先生が言われたような、じゃ、在宅で認定施設になっているところがどれぐらい必要なのかということになってくるわけですが、やはり各都道府県に最低1つはないと。私どものところも今それを2つ、何とかつくっているんですけれども、やっぱり研修がその都道府県の中で受けられないことになってしまいますので、最低50は必要ではないかと思うんですね。各県1つぐらいは、そういう専門医を育てるための認定施設というのが必要になってくるのではないかと。恐らくそういう診療所は、ドクター1人のところはとてもちょっと無理でしょうし、やっぱり複数のドクターがいるとか、ある一定の患者さんの規模を診ているという、研修が短期間可能なような条件がある程度必要になってくるかと思うんですね。
 それと、江口先生が言われているような、いわゆる短期研修。もうでき上がったお医者さんをちょっとしばらく預かって研修してやっていただくというような、短期研修に関しては、現状ではやっぱり手上げ方式をとる以外にはないんじゃないかと思うんですね。例えば私どものところは今、いわゆる専門医を目指す専修医というのが5名おります。この人たちをいろんな施設に割り振るのに非常に大変でありまして、そこにさらに短期研修を受けろというふうに言われますと、やっぱりなかなか難しい。総合診療科というのが筑波大学にもございますが、そこから通年で3カ月研修というのを受けておりますが、それがもう精いっぱいというのが状況ですね。ですから、短期研修を受け入れられるような施設というのは、この認定研修施設とはちょっと別に手上げをしていただいて、どれぐらい、ある意味同じぐらいか、あるいはもうちょっと多いぐらいの数がないと、そういう短期研修のニーズにこたえるのは難しいかなというふうには思います。具体的な数がどれぐらいか、ちょっと今は分かりませんが。

○江口委員長
 分かりました。そうすると早速、4ページの横長の表の中で、専門緩和医療・緩和ケアというところでも、いわゆる専門医をつくるコースと、それから指導者で、なおかつ短期の研修を実施してもらうというものと、ちょっと2つに分けといたほうがいいですね。

○志真委員
 はい、そうですね。

○江口委員長
 そうですね、分かりました。
 短期研修というのは、大体どういうことが必要になりますかね。例えば、その出すほうの側としては。というのは当然、そういうものを受けるということになりますと、その人の所属している施設としては何らかのあれは必要ですよね、財政的なこととかなんとかというのは。どういうことが必要になりますか。

○志真委員
 私どものところは2種類ありまして、他の施設からお受けする場合には、当院からのいわゆる給与の支払いは一切ありません。その派遣元の施設に研修費を出していただくというのが一つです。
 もう一つは、私どものほうの施設で、例えば民間の財団とか、あるいは何らかの補助金をいただいて、そしてその間の研修費をその方に支給するというか、給与として支給するというような形もあります。ただ、その場合には1カ月とかというのはちょっと無理なので、少なくとも3カ月以上、あるいは半年以上の方については、一応、私どものほうが民間の財団などから補助をいただいて給与を支払うというようなことはしております。

○江口委員長
 それから、そういうのを受ける人たちというのは、これは特に専門になろうとは思わなくて、要するに緩和ケアをもうちょっと深くやりたいという、あるいは指導者レベルの段階になりたいという、そういう人たちなんですかね。

○志真委員
 そうですね。今増えてきているのは、将来在宅をやりたいので、どうしても必要不可欠な緩和ケアを研修したいという、そういう、いわゆる総合診療のレジデントコースの要望は、私どもの場合には増えてきております。非常に人気のあるコースで、年間いつも五、六名の応募があるんですが、全員を受け入れるということは今できておりません。せいぜい2人か3人ぐらいしか受け入れられないという状況ですので。それと、がんの専門的な診療をしていたり、あるいは、これからがんの専門的な診療をしたいんだが、その前に受けたいというような方もおられます。

○江口委員長
 もう一つ、こういう質問はナンセンスかもしれないけれども、3カ月でも長いと、出すほうはね。だから、そうすると最低どれくらいというのは、何かイメージとしてありますか。

○川越参考人
 我々のところは期間が1カ月で、来年度は研修医8名が来ていただくことになっています。ただ、志真先生がおっしゃっていたことと目的がちょっと違うかもしれないので、同じ土俵で議論することはできないんですけれども。1カ月いると、本当に知識と、実際に在宅がどのように動いているかということを学ぶことは十分可能だと思う。

○志真委員
 実際に患者さんを持って、いわゆる本当の実のある実習をしていただくためには、3カ月は最低必要です。1カ月では、患者さんを担当していただくことはちょっとできないですね。もちろん見学とか、それの中で知識を吸収することはできますが、患者さんとコミュニケーションをしっかりとって、本当に亡くなるまでのプロセスを経験していただいてというようなことは、ちょっと1カ月ではなかなか難しいと思います。

○江口委員長
 その場合に、だから、その対象者がどういうキャリアを持っている人かにもよると思うんですよ。例えば、この指導者講習会に来る人というのは、先ほどもちょっと木澤先生の話に出ていたけれども、もう臨床としてはある程度、そこそこにやっている人たちで、そんな中で実際にこの指導者になろうとして、あるいはなるべく施設長から言われて、受ける人ということになるので、それでも3カ月は絶対ないとだめですかね。
 あえてこういうことを言うんだ。というのは、2日でもなかなか出にくいとかと言っているわけですよね。だから、それがティーチャーとなるぐらいな能力を得るために、ある程度のキャリアを持った人が、どのぐらいのところまでなら許せる、許容範囲になるんですか。

○志真委員
 いわゆる指導者研修会の修了者、私どもはPEACE指導者と呼んでおりますけれども、この方たちが実習をしたいということであれば、臨床経験はたくさんお持ちでしょうし、緩和ケアのチームがどんなふうに動いているかとか、緩和ケア病棟がどんなふうにやっているかとか、あるいは在宅も含めて、在宅での診療がどんなふうに行われているのかということを実習するという意味で、必要なのは1カ月程度でしょうかね。つまり、実際これからそこに取り組んでいこうという人じゃなくて、そのことを経験して、知識だけじゃなくて、ある程度経験も得てやっていくところが目標だとすれば、先生が言われるように1カ月程度というのが、まあ、いい線かなというふうには思いますけれども。

○東口委員
 私のところは大学の講座という立場から研修医はレジデントシステムで受け入れていますが、研修2年目ですと実際には3カ月が必要です。医療用麻薬が基礎として適切に使えるところまででも最低3カ月は必要なんですが、3カ月間というのは結構大学でも難しいものですから、良くて1カ月です。1カ月間ですと、緩和ケアがいかに大事かということを分かるのには十分かと思いますが、適切な治療としての医療用麻薬の投与とか、あるいは、その他の緩和ケアのコミュニケーションスキルの取得まではいかない。
 今、先生がおっしゃられたように、指導医レベルの方々もよく私の教室へ来ていただいています。研修・交通の経費などは県が出したり勤務されている病院が出したりさまざまですが、大体、実際研修というと40時間が一般に提示されていますが、要するに1週間ですよね。40時間というのは入院してきた患者さんのアウトカムがある程度見えるのにはやはり1週間が必要だからだと思います。ただ、望ましくは80時間(2週間)あれば、さらに踏む込んで、いろいろな麻薬の副作用とか、あるいはその他のスキルに関しても結構身に着けていただけると思います。
 したがいまして、指導医レベルの方ですと、最低40時間、望ましくは80時間以上ということになるかと思います。志真先生がおっしゃるように、今の医師不足の中で1カ月病院をあけるということはほとんど不可能だと思います。

○江口委員長
 この辺はなかなか、現実的な問題も考えなきゃいけないでしょう。

○川越参考人
 私たちのところはちょっと規模が大きいので、今の段階では参考にならないかもしれないんですけれども、一応申し上げておきます。大体一カ月に16人から20人くらい、がんの方は亡くなるんですね、ご自宅で。その中の4分の1の方は2週間以内で亡くなりますので、1カ月という期間がありますと、研修医は在宅が始まってから亡くなるまでの受け持ちができるわけなんですね。ですから、そういうことができるように選択をすることをやっております。それはある程度の人数の患者がいるという一つの前提がないと難しいと思います。
 もう一つは、やはり緩和ケアを学ぶときは、むしろ施設でこういうテクニカルなことを学んでいただくということがいいんじゃないかと思います。けれども、例えばオピオイドローテーションのことは、それは知っているということを前提に話をしていきます。それよりむしろ今、大学病院で患者さんがあまり亡くならなくなったので、医学生や研修医が死そのものを学ぶということが、本当に難しくなったということがあります。ですから、そういうことも含めて、目的を何にするのかということです。つまり、病院の緩和ケアの目的と在宅での目的を一緒にしちゃいけない。
 在宅の場合は、むしろ難しいのは、例えば死亡前24時間以内に診ていないんだけれども、亡くなった時それをどう対応するか、いわゆる緩和ケアとはちょっと離れていますけれども、患者さんを家で診ることにとっては非常に大事なこと。あと家族ケアをどうするか。これは緩和ケアの中に入りますけれども、そういうことを学んでいただきたいということがありまして、そういうことから言うと、僕は1カ月は、そういう期間としては十分できるんじゃないかなと。
 志真先生はケースを持たせるというのは難しいということをおっしゃられましたけれども、確かにそのとおりで、患者数が少ない小さい規模の施設だったら難しいかも分かりませんけれども、ある程度の規模であればそういうことも可能だと。つまり、この専門研修施設というのは、ある程度の数をやって、もちろんケアの質の高い、そういう本当にしっかりやっているところがふさわしい施設ということになるんじゃないかと。それをやると、かなり問題は解決するんじゃないかなと考えています。

○江口委員長
 学会の在宅認定施設というのは、50施設ぐらい必要というのは、これは専門医のことに関して。

○志真委員
 そうです。

○江口委員長
 そうすると、今の短期研修みたいなものに関しては、大体どのくらいの分布があればいいんですかね。各県に1つということでしたっけ、先ほどの、指導医で。

○志真委員
 いや、専門医を育てるための研修ではなくて、とにかく経験してみようということであれば、それは各県1つではとても足りないと思いますね。受け入れてくださる、例えば、今は臨床研修医を受けてくださる開業の先生方も非常に増えてきていますので、とにかく在宅ケアを経験してみようということであれば、手上げをしてくださる診療所であればいいと思いますけれども。

○江口委員長
 これは、大体どのぐらい手上げすれば、このカリキュラムが動いていくと考えられますか。

○志真委員
 2次医療圏に、やっぱり複数必要じゃないでしょうか。2次医療圏に1つじゃ、ちょっと足りないと思いますけれども。

○川越参考人
 今、前期研修の2年目の研修医を、私たちのところで引き受けているんですけれども、研修医が全部うちに来るわけではありません。正直なところ、その研修医レベルで学ぶことというのは、僕らのところに来なくてもいいんじゃないかなという感じがしております。
 一般の診療所で年に数名でも看取る。これはがんだけじゃなくてもいいと思いますから、そういうところがあれば研修先としていいと。そうしますと、前期研修の中のどこに在宅を割り振るかということとちょっと関係してくるんですけれども。研修医の全体数を、ある一定の研修施設としての診療所で受け入れられる年間の数というのを割ったら、大ざっぱな必要数が出てくるんじゃないかなと考えております。
 今、私どもがやっている研修プログラムは、実は研修医にとってはもったいないなという感じがしています。将来、あるいは近い将来に本当に在宅をやりたい方向けのプログラムになっていますので。この辺が、特に在宅のほうは整理できていない、まだ発展途上の段階にありますので、議論がなかなか難しく、かみ合わないところがちょっとあるので、その点も申し上げておきたいと思います。

○江口委員長
 ある程度こちらでまとめるとしたら、やはり実現可能なところを提案しないといけないものですから、ちょっと今しつこくお聞きしたわけですけれども。
 国立がんセンターでは、今、緩和の研修は受け入れられていますよね。

○丸口委員
 研修って、ドクターの研修ですか。

○江口委員長
 そうです。

○丸口委員
 受けていると思います。

○江口委員長
 短い人は、やっぱり1週間ぐらいですかね。

○丸口委員
 すみません、ちょっと把握していません。

○江口委員長
 分かりました。また聞かせてください。

○鈴木がん対策推進室長
 ちょっとすみません、私も混乱してしまっているんですけれども、これまでのお話の中で、いわゆるスペシャリストとしての専門医を育成する、それに対して、それを教えるために暫定指導医という方がいらっしゃって、それの暫定指導医で研修施設が今407で、有賀先生の話だと500に増やしましょう、その中でも在宅というのは今現在1割ちょっとぐらいでしょうと、だから、そっちも増やすかどうかというのは今後検討しなきゃいけないですねという。そのスペシャリストの話と、それからあともう一つ、PEACEの指導者の話が出たんですけれども、少なくとも専門医のほうは、だから数年かけて、非常に長くかけて育てなきゃいけないということと、あと、期間でいえば2日間ぐらいで行う今のPEACEの一般的な研修、非常に初歩的な研修があって、その人たちに対して指導者というのが必要で、指導者については、身体は3日、それから精神は2日のものが必要ですということなんですよね。
 今、もう一つの研修って、その間のところの、間と言ったらおかしいかもしれませんけれども、指導者まではいかないんだけれども、PEACEまでの低くもなくて、ただ、その間で何か研修をしなきゃいけないということをお話しされていたという認識でよろしいでしょうか。

○江口委員長
 PEACEの指導者講習会のことです。これを受ける人たちが実習をどうやって受けたらいいのかというので、現実的には、だから2日でも行けないのが、その1週間行けるかどうかとか、1カ月行けるかどうかという話はあるんですけれども、やはり今までのPEACE指導者講習会でも、あるいはPEACEの内容でも、実際には実習が全くないんですよね。それはやっぱり将来的に、将来的というか今後やる上で、非常に変えていかなきゃいけない部分だろうということで、かなり今しつこくお聞きしているわけなんですけどね。だから、実際対象としては、やはりPEACE指導者講習会のところでどうするか、それから、PEACEそのもので実際実習なんかが組めるのかどうかというところだと思うんです。
 今、順番で、2のほうはまだちょっとそこまで触れていなかったので、今は1の段階でのお話です。1の中に、その専門医コースと、それから指導者講習会の話があるというところで。

○余宮委員
 要するに、PEACE指導者と呼ばれている人たちの質をもう少し上げるためには、実習を組み込んでいきたいというお話の流れということですよね。
 前川委員の意見書にもありましたが、PEACE講習会は地域で頻繁に行われていますが、その質は維持されているのか、講師やファシリテーターの質は本当に担保されているのか。私も現場でこの疑問を感じることがあります。ふだん緩和ケアをやっていないけれども、デューティーなので、いわば仕方なくPEACEのスライドでやっていらっしゃるというところは現実にあると思います。
 そういった先生方に、例えば都道府県拠点病院や学会の専門医が働いているチームや病棟に、1日でも研修に来ていただくということは現実的に可能でしょうし、それなりに効果はあると思います。今お話があったように、1カ月とか1週間となると、相当な覚悟がなければ、現実的には無理だと思います。医師を研修に出す施設側も、患者さんを抱えていますので。
 実は当施設でも、1日研修というものを木曜日に行っております。年間二、三十人来られますが、1日研修であっても病棟、外来、チームの3カ所の診療を見て、みなさんそれなりに衝撃を受けていらっしゃるように感じます。PEACEの指導者研修とこういった1日実習を組み合わせるのは、現実的で無理がなく、また一定の効果もあると思います。

○江口委員長
 これは、そうやって1日来られる方というのは、PEACEの指導者講習会なんかを受けられるのと同じようなキャリアの方が来られるということですか。

○余宮委員
 そうです。実際来られる医師は、様々なキャリアですが、1日研修とホームページに出してみて分かったのは、緩和ケアの診療場面を実地で見て学んでみたい、という医師は多くいらっしゃいます。

○志真委員
 いいですか。私もようやく頭が整理できたんですけれども。
 先ほど木澤参考人が言っていましたが、PEACEの指導者の中にはかなり密接なネットワークができてきています。つまり、お互いに、ちょっと今日、先生のところへ1日見に行かせてよとか、研修させてほしいとかというのは、かなりそれは指導者の中では出てきています。もちろん自然発生的なものですので、それをある程度形にしていくということは、それは専門医の何とかということで、研修施設とかということに比べれば、ずっとやりやすいというふうに思います。ですから、PEACEの指導者の養成の中に実習のあれを組み込むということであれば、それぞれの指導者の間で、例えば1日とか2日とか、特に規定がなければ自由に、そういう研修を組んでやるということはそんなに難しくはないことだと思います。
 もう一つは、いわゆる2に当たる一般の研修会を受けた方の中で、見学させてほしいとか実習させてほしいという要望も私どものところには来ています。今のところは、ちょっとそこまで要望を受け入れるのは難しいところもあるんですが、お一人だけ、開業の先生で、毎週水曜日に約半年間、来ていただいたということはあります。その方はPEACEの基本的な緩和ケア研修会を受けて、もうちょっとやっぱり自分では勉強したいというふうに言われて、私どものところへ来て、週1回、回診に同行していただいたりというようなことはできます。
 ですから、そんなに期間というものをがちがちに決めなければ、緩和ケア研修会に参加した方、あるいは指導者研修会に参加した方が、実際に現場でもって自分たちも体験したいということで、そういう実習のプログラムを組むことは、現在の枠組みの中でもそれほど難しくはないと思います。ただ、1カ月とかそういう時間を必要とするとかというふうに決められてしまうと、かえって難しいんじゃないかと思うんですね。だから、実習のプログラムというのを各県で、あるいは実際のやっている現場で実習プログラムというのを組むというふうに発想すれば、可能だと僕は思いますけれども。

○川越参考人
 僕も自分なりに整理しました。間違っていたら志真先生に直していただきたいんですけれども、今の議論の中心というのはPEACEの話ですね。PEACEは2日間のプログラムで、長過ぎるんじゃないかという議論がございまして、それ、1日をeラーニングにして、実際に集まるのは1日にしたらいいんじゃないかということですよね。そういう議論がなされていたと思います。
 ところが、このPEACEの目的は緩和ケアの指導医をつくるという目的ですよね。

○志真委員
 いえいえ、全然違います。

○川越参考人
 あれとはまた違うの。それは失礼しました。それじゃつまり、指導医をつくるプログラムというのは、また別に用意されているんですか。

○志真委員
 はい。

○川越参考人
 そうしたら、よく分かりました。そこのところには絶対に現場を離れないということを、僕はやっぱりぜひこの教育の中には置いていただきたい、特に在宅は。
 それ、ちょっと僕は誤解していました。1日をeラーニングで、あとちょこちょこやって指導者になられたら困ると思っていて、ちょっと杞憂でした。

○志真委員
 PEACEの指導者研修会のプログラムって、指導者の養成というのは教育法をメーンに教えます。ですから、どういうふうに教育したら受講者を寝かせないでアトラクティブなロールプレーやワークショップやインタラクティブな講義ができるかという、教育法の指導プログラムがメーンなんです。
 それを受けた方をPEACE指導者と僕らは呼んでいますので、もちろんその方たちは現場で実際に緩和ケアをやっている方もいますが、日常的にはいわゆる化学療法を中心にやっている方もたくさんおられますので。そういう方たちが、じゃ実際、緩和ケア病棟を僕は見たことがないので、どういうところなのかというふうなことを見たいというような実習プログラム、そういうものは組むことが可能ですし、それから、基本的な2日間の今のコースを受けて、講義は受けたんだけれども、実際どういうふうにやられているのか、例えば緩和ケア病棟とかチームの回診に、基本的な教育は受けたけど行ってみたいというような実習プログラムをつくれと言われれば、今のプログラムでもつくれますし、それはもちろん見学という以上には多分出ないとは思うんですけれども、それは可能だと思います。

○江口委員長
 大分皆さんの論点が整理されてきたと思うんですけれども、すみません、私のあれも少しあちこちに飛び過ぎたかもしれませんが。
 2のほうにもいきたいと思うんですけれども、確かに実習プログラムを柔軟に決めていくというのは、これ、どこの場面でも通用する話だろうと思うんですね。だから、例えば在宅の先生で曜日を決めて、何回出れば、ある程度はいいとか、実習したことになるとかという、そういうようなことは今後細かく決めていって、とにかく実習が必須だということの認識は、これ、強調したほうがいいと思うんですね。
 それで、一般のほうのPEACEのことに移りますけれども、先ほどちょっと木澤先生のときに話題が出た、強制力を持たせた講習ということですね。これはやっぱり、ある程度はもう必要なんじゃないかと思うんですね。先ほど来再三出ている臨床研修医の場合には、1年目か2年目か、どこかで実際の緩和医療に関しての、緩和ケアに関してのカリキュラムを入れるということをすることと、それから、それ以上の人たちに対して、これは先ほどちょっとがん治療認定医のことをお話ししましたけれども、何かほかにアイデアがあればですね。

○東口委員
 やはり診療報酬に反映するような形をとらないと、なかなか進まないように思います。研修への参加は、臨床研修医に対しては義務化が必要だと思います。先ほども申し上げましたが、上司にあたる医師の方々にも、緩和ケアに関するいわゆる啓発といいますか、目覚めといいいますか、そういうものを促すことが必要なので。そうしますと、本来は現在の診療報酬で、「がん性疼痛緩和指導管理料」の対象を、施設ではなく緩和ケア研修修了した個人にすることが可能ならば、大きなムーヴメントが起こせるように思います。もしそれが無理ならば、がん拠点病院のがん診療医を登録制にして、その方々が研修を受けることを拠点病院の必修項目とする。また、施設長並びにがん診療科の科長や部長はもちろん受けていただくというぐらいのことをしないと、緩和ケアの推進は難しいと思います。
 私たちの施設での経験で申しわけありませんが、もう緩和ケア研修を学びたい医師はほとんど受けられましたし、それこそ地域連携の中でもご興味がおありな先生方もほとんど参加されています。
 しかし、研修に参加していただけない人たちのほうが実は非常に問題でして、その方々こそ緩和ケアをご理解いただかねばならないのです。川越先生がおっしゃられたように口伝えで広がればいいですけれども、我々もそれをやっていますが、現場では難しいとしか思えません。ですから、そういうことを、やはり何らかの方策を考えていくことが絶対必要と思います。前川委員が先ほど言われましたけれども、全くそのとおりだなと私たちは思っています。

○前川委員
 東口委員がおっしゃったとおり、本当に同感で、もっと、今おっしゃったことを、そのとおりと思って聞いていたんですけれども、ぜひ何かそういうのを組み込んでいただきたいなと思っております。
 さっき、ちょっと私の中で整理できていないんですけれども、この緩和ケアの研修会というのは、先ほど私がモルヒネも使ったことのない医師も受けていると言いましたが、いや、実はそれがねらいなんですよとおっしゃったんですけれども、その辺りの本当の目的はどこにあるのかいうのが、ちょっと私、今分からなくなってしまったんですけれども。

○志真委員
 このPEACEのプログラムをつくるときに、どういう医師の層を想定してつくるかという、教育プログラムは必ずそういうことをまず討議するわけですけれども、大体卒後3年目、4年目ぐらいというのを一応想定して、このプログラムはつくられております。ですから、でも実際やってみると、卒後1年目、2年目の研修医も、ある程度、4年目、5年目、少し中堅どころが混じって研修を受けてもらえれば、十分このプログラムは吸収できるということは分かっております。これはいろんなアンケート調査でも、大体8割ぐらいの研修医が理解できたというようなアンケート結果を返してくれていますので。ですから、そういう意味では、特別がんの診療にすごく専門的にやっておられる方とか、そういう方を想定しているわけではありません。大体卒業して3年目、4年目ぐらいの医師を想定しております。

○川越参考人
 一人の医学生が医者になって、ある程度十分専門性を持って働くまでに、いろんなところで研修していくわけですけれども、間違いなくほとんどの医者は、病院医療については学ぶと思うんですね。だけど、在宅に関しては、ひょっとしたら知らないまま医者になって医者を終わっちゃうという可能性もある。我々の世代はまさにそうなんですけれども、それをやっぱり何とか考えなきゃいけない。
 そうしますと、やはり先ほどから申しますように、この在宅医療というのは現場のところに触れないと分からない問題がすごくあります。つまり、病院じゃどんなに頑張ったって教育できないものがあるんですね。例えば福祉との連携とかって、そういうのは病院じゃちょっとやっぱり教えられませんし、そういうもろもろの問題があります。そうだとしますと、医者になって一人前の専門医となるまでの間に、どこかでやっぱり全員が在宅の医療、これは緩和ケアに限らず、そういうものに触れる機会をつくらなければいけないという具合に考えております。
 現状どうかと申しますと、私たちのところへ来る研修医、これは前期研修の医者なんですけれども、1カ月いて、ある程度かなりのことを触れることができています。
 実は丸口さんのところのがんセンターからも打診がありました。そのときは、たしか1カ月の緩和医療か何かの研修医の教育の中で1週間、在宅の緩和医療をちょっと見させてもらえないかということで、我々のところへ打診があったんですけれども、1週間ではあまり意味がないということではっきりお断りいたしました。つまり、がん治療の専門医がちょこちょこっと見て在宅を理解するというのは難しいということで、お断りしたんですけれども、そうしましたら、がんセンターからうちに対しての研修は一切来なくなりました。
 それはいいとしまして、繰り返しになりますけれども、どこかで在宅のことを学ぶ機会は、医者になって専門医になるところまでのどこかへ持っていかなきゃいけないということは考えております。それじゃどこが適当かということは検討しなければいけません。今のPEACEはどうしたって選択制の研修になりますので在宅は外れてしまうことがあるので、その点は指摘したいと思います。

○江口委員長
 ですから、臨床研修医の必須化というのは、カリキュラム必須化というのは、これはここから打ち出していっていいと思うんですけれども。実際に紆余曲折あるかもしれませんけれども、これをやれば、全国の年間8,000人の臨床研修に出ていきますけれども、そういう人たちが必ずどこかでやるということになりますので、将来的には、10年たち、20年たてば、そういう意味では非常に行き渡るというふうに。行き渡るというのは、そういうことがあることを知っている医者が行き渡るということだと思うんですね。
 それで、それとは別に、今の一般のがん治療をやっている医者で、医療スタッフで、なおかつ緩和がなかなかうまくいかないと、あるいは緩和の心を持っていないというふうな人たちに対してどうするかということで、これはだから、PEACE以外に何か強制的なものをつけるというふうなことを考えざるを得ないかなと思うんですけれども。

○志真委員
 東口先生が言われた診療報酬ということも一つはあろうかと思うんですが、やっぱり一つの学会の中での努力という、学会レベルの努力というのも僕は必要だと思うんですね。がん治療認定医もその一つだと思いますし、あと最近、私どもの病院でも、初期研修を終わった研修医たちは、内科系の研修医は大体内科認定医を取っていきます。内科学会はそういった研修医の要件として、もし可能であれば認めていただければ、あるいはこれを受けることによってプラスするとか、認定の中の一つのメリットにするとかというようなことがあればいいかなと。がん関係の学会の場合には、その更新とかそういう場合に、この研修会を受けるということを望ましい要件か何かに入れていただくというのは、自助努力として可能ではなかろうかと思うんですが。

○江口委員長
 私は思うに、がんを直接治療している医師たちというのは、恐らくがん治療認定医機構の認定医というのが一番今ではコモンになってきていると思うんですね。化学療法だけやる人たちというのは、臨床腫瘍学会の薬物療法の専門医ということなので、そのへんのカリキュラムにのっければ、大体どの科でも、がんをやる人にとっては、1度は通る関門になるんじゃないかなと思います。
 内科学会というのは、私も内科学会へ入っているんですけれども、腫瘍分野というのはないんですよね、まだ。だから結局、臓器別になっていますから、そういう意味ではもう本当に縦割りで、腫瘍内科の分野というのはまだできていませんから、これを例えば資格に入れろとかなんとかという話になると、とてもなかなか難しいと。今の段階では難しいというふうに思います。
 ですから、がん治療にタッチするという意味では、婦人科でも泌尿器科でも、ほかの科でも、大体がん治療認定医機構の認定医というのは恐らく取る人が今後も増えてくると思いますので、そういうところをターゲットにしたらいいかなという気がいたします。
 それから、ちょっと話題は違うんですけれども、先ほどの施設長の勉強とか見学とかということなんですけれども、これはたしか拠点病院の施設長会議とかなんとかってありましたよね。毎年やっていますよね。

○鈴木がん対策推進室長
 全国都道府県がん診療連携拠点病院協議会というのはございます。そこは、国立がん研究センターが今事務局を行っておりまして、年に数回行われています。それと、各地域におきましては、その各都道府県が都道府県単位で、都道府県のがん診療連携拠点病院が中心となって、地域のがん診療連携拠点病院を合わせたネットワーク、もしくはその研究会というものを開催していただくというようなことになっています。

○江口委員長
 そういうところで、今みたいな話題は取り上げられたことってあるんですか。要するに、緩和医療をどうするとかなんとかって。

○事務局
 実際、今年度のがん診療連携拠点病院連絡協議会でも、緩和ケアの指導者研修と一般向けの、エンドユーザー向けの教育、基本教育とかの、どうやって受講者数を増やしたらいいかというような問題を提起している先生と、あと、がんセンター主催ですので、がん研究センターの事務局に対して回答を求めていたという経緯はありまして、がん対策推進室も毎回出ておりまして、政策的な発言はしています。

○江口委員長
 だから、むしろその政策的な発言というよりも、おのおのの施設の施設長が、こういうものに関してどれだけ自分のところから、自分のある程度の割を食っても、こういうことは必要なんだというふうな認識を持っておられるかというようなことについての、やっぱりある程度の、毎年毎年そういう教育、口幅ったいですけれども、施設長なり、そういう病院の幹部に対しての啓発とか教育というのは必要なんじゃないかと思うんですけれども、それはどうですか、そういう意味で。
 要するに、例えばこれは、1週間派遣するとかそういうものは、もうとても自分たちのところは駄目だよというのがほとんどなんですよ、地方のがん対策協議会なんかで出ていくと。だけど、それはそうではないという話を、やっぱり浸透させていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですよね。

○事務局
 実際、その会に出て、個々の施設長の先生方とお話ししたときは、その施設長の先生が緩和ケアにご関心があるかどうかで大分その病院全体の取組が変わるというか、そういう格差も感じつつですね。現行、局長通知で一応、年1回は最低緩和ケア研修会をやっていただくというふうにこちらでは求めておりますので、それは最低限クリアしていただいているんですけれども、参加人数が少なかったりとか、いろいろ問題は確かにあるとは認識しています。

○江口委員長
 だから、単に回数とかなんとかという、その報告してもらうのではなくて、やっぱりこっちから積極的に、そういうことが必要なんだということを会議の中で織り込んでやっていただくということで。
 どうですか、前川さん、ちょっと具体的に何かご意見があれば。

○前川委員
 今おっしゃったように、各施設間で施設長の緩和ケアに対する意識の差が大きいと思うんですね。だから、やはりそういう場で、ぜひ皆さん、話題に上げていただくというか、話題に上がるようにならないといけないと思うんですけれども。多分余り自分たちからは上がっていないと思うんですね、がん室からは上げても。ですから、施設長の意識を変えていかなくてはと思います。

○余宮委員
 実は意見書の47ページに、この1月末に埼玉県の拠点病院で、施設長がどれくらい緩和ケア研修会を受講しているか、調査をいたしました。11名の施設長のうち4名が受けているということなので、36%の施設長が受講しているということでした。
 施設長が受講していない理由として挙げられたのは、がんを診療することがほとんどない診療科に属しているということでした。しかし、施設長になったのであれば仮に眼科でも循環器科でも、緩和ケア研修会を受けて、緩和ケアという言葉だけではなく中身を知っていただくことが、施設全体の緩和ケアの向上に資するのではないかと思います。協議会で、施設長には内容を知っていただくために一度指導者研修に参加してくださいと言うのは、一つありなのかなと思います。

○川越参考人
 インセンティブをどうつけるかという問題になっているのかなと思いながら聞いていました。東口先生は診療報酬のほうの担当ということで、診療報酬上のインセンティブをどうつけるかということを考えていらっしゃるんじゃないかなと思いますけれども、幾つかの方法が考えられると思うんですね。つまり、病院長レベルでこういうPEACEの講習を受けていないところが多い、それを是正するということがですね。
 ほかの方法としては、例えば健康局長のほうから通達を出していただくというような、ちょっと荒っぽい方法もあるかも分かりませんし、それから病院評価機能機構のほうで、やはり受けているということを一つの判断基準に持ってくるというようなことも考えられるし、それから、例えば診療報酬上に病院長が行くというのをどうやってつけたらいいか、ちょっと分からないんですけれども、そういうインセンティブをつけるというような方法が考えられると思うんですね。
 その辺、東口先生はどういう具合に考えていらっしゃるかということを、披露していただければと思います。

○東口委員
 診療報酬では、病院長に対して点数をつけるとかはまず無理ですので、一つの策とすれば、先にも述べましたが、まずは「がん性疼痛緩和指導管理料」をこの研修を受けた人に対してだけ点数を申請できるなど、あるいは点数をアップするなどして診療報酬を厚くするという方法論はあります。これは別にお金をもうけるということではなくて、病院の中での研修修了者の地位向上をはかるとともに、参加しない方々に研修を受けさせるすべになるかもしれません。そういうことがないと病院は動きません。本当に全く動きません。しかし、診療報酬がつくと一変します。もう一つの策は、がん診療拠点病院の設置条件案の中にがん診療医の緩和ケア研修受講のルーチン化を組み入れることと思います。
 それと、別の話ですが、現在、わが国のがん治療の在り方は、結構ぎりぎりの所にいるように思います。ここで突破口を開かなければ、WHOが提唱するように、がんと診断されてから同時に始める緩和ケアの実践は難しいように感じています。といいますのは、がん治療の上で緩和ケアをきちっとしようと思っても、がん撲滅のみを重視する治療をやっている方にとっては、緩和ケアを駆使した人間らしい生活をしながらの治療など全く目に入りません。患者さんは亡くなる直前まで化学療法を受けている。こういう実態があるということをやはり多くの人たちに知ってほしい。倫理的な問題だけでなく、高額の診療報酬をかけて何をするのかという別の角度からの評価も加わってきます。
 最近自分が思っていますのは、2010年の日本人の死亡者数はおよそ120万人ですが、2030年、2040年になりますと、170万人ほどになると推定されています。しかし、病院は増えませんので、50万人ぐらいの人が行き場所のない状態で亡くなることになります。そうすると、がんでお亡くなりになる方はその3分の1としても、20万人ぐらいの患者さんが病院ではケアを受けられないことになる。川越先生が今在宅のことを言っておられるのは実はそのことでして、すごく重要なポイントです。でも、そこへ導くためには、急性期病院、回復期、慢性期、そして在宅医療へと移行していくことの有用性を、患者さん個々の主体性を重視したケアへの移行としてとらえるいただく論理的な軸がないと無理です。そして、これを遂行するためには、まずはがん治療を開始する急性期病院でのあり方、すなわち早期からの緩和ケアの重視が最も大切だと考えています。本当にまだまだ緩和ケアは浸透していないのが現実だと私は思っています。ただ、努力をして、少しずつは変わっていくと思います。しかし、それを国策として本気でやるのかということが知りたいですね。どこまでこういうことをしっかりとやるのか、何年かけてやるのかという、そういう長期展望の中でやらないと難しい。
 しかし、先ほどのがん診療連携拠点病院の承認基準の中に、年一回の緩和ケア研修の実施があるとおっしゃいましたが、意外に病院自体は動いておらず、何のインセンティブもなければ事務方はなかなか動かない。実際に緩和ケアを積極的にやっている私たちが全部ボランティア的にやらなきゃならなかったりする。さらに病院長に理解がなかったら、人を派遣することもない。このような中でやっているという現状を知っていただきたいと思います。
 悲観的にとらえるのではなくて、一歩前に出るためには、こういう場で何か発展的な一つを踏み入れる。例えば緩和ケア研修会を病院長に受けていただくということもそうですし、いわゆるがん治療の指導者に関しても受講を義務付けるなどが必要ですそうすることによって、木澤先生が言っておられたことがちゃんと花開いていくと思います。
 研修の内容は非常に良いという意見が多いです。ただ、受ける人が、要するに受けてほしい人が受けていない、この現状をどうとらえるかということです。ですから私たちとしましては、できることとすれば、診療報酬の改正を少しでもしていただけるような努力をしたいと思います。できましたら、がん対策協議会のほうでも何らかのインセンティブをつける努力をしていただきたいと思います。

○江口委員長
 拠点病院の要件、あれの改定というのは2年に1遍でしたか。

○鈴木がん対策推進室長
 2年に1遍という、そういうルーチン的に行っているものではなくて、それ時々により、今見直しを行って変えています。今回につきましては、これの上の本体、いわゆるがん対策推進協議会のほうで、今ちょうど前回まで、拠点病院の在り方について検討していただきましたので、そういったことを踏まえるということが今後考えられるというふうに思います。

○江口委員長
 だから、緩和ケアのところについては、確かにそういう要件で、拠点病院に関してはそういう要件の中に、こういう施設長の問題とか、そういうものを少し織り込んでいただくということは可能ですか。

○鈴木がん対策推進室長
 この専門委員会のお話があり、なおかつ、これが多分上の協議会に上がると思いますので、協議会の中でそういった方向性が是とされるのであれば、そういった方向で要件についても見直すということになると思います。

○江口委員長
 分かりました。
 時間も限られてきているので、少し先へ進みたいと思いますけれども、ここでeラーニングのことが、先ほど木澤先生もちょっと出ていたんですけれども、ここでわざわざ2のところで下のほうに「continuous education」ということを、ちょっと僕、加えてみたんですけれども、eラーニングというのを最初から余り大上段に振り回すというのは、この緩和医療・緩和ケアのカリキュラムについて、ちょっとどうかなという気も少ししているんですね。ですから実際には例えば、先ほど木澤先生に、eラーニングを組み立てていく上でどういう隘路があるのかというようなことをちょっとお聞きしたんですけれども、私自身としては、ひょっとしたらこういうものというのは、PEACEなどのいろんな講習会を受けた後の持続的な教育の面で、セルフ・エデュケーションみたいな形で、あるいはセルフ・テストみたいな形で、随時受けていただくということで活用するのも一つの方法かなと思うんですけれども。
 これ、志真先生辺り、どうですか。

○志真委員
 先ほど、開催指針の柔軟化という提案が木澤先生のほうからありましたけれども、その一環というふうに考えていただければいいかなというふうに思います。いわゆる2日間の現在の講義による研修というのも継続したほうが僕はいいと思います。必ずしもeラーニングで全て講義が済んでしまうわけではないので。しかし、必須の、どうしても受けてほしい講義については、eラーニングでもいいし、実際の講義でもいいしという、そういう柔軟なコースができれば、例えば1日でロールプレーとかワークショップのものを済ませたいというようなニーズの方には、そういう方法もとれるということになりますので。
 今、江口先生が言われたように、いわゆる追加モジュールというのを今幾つもつくってきておりますので、学会としては。それもeラーニングにある程度反映させれば、継続してもう少しステップアップした、必須ではないけれども、そういったことに、もうちょっと進んだ内容を知りたいという方にこたえられるニーズも、そこにはこたえられるようになるのではないかというふうに思います。
 ですから、eラーニングは、この研修会を具体化していく一つの方法論というふうに僕は考えていますし、そういうようなeラーニングのシステムを組めれば、受講者にとってはやりやすいのではないかということだと思いますけれども。

○江口委員長
 丸口さん、何か看護師のほうでeラーニングのことを。

○丸口委員
 ナースのほうでは多分、私もよく熟知はしていないんですけれども、eラーニングというところまではまだいっていないかなと思うんですけれども。
 私は、まず、ELNEC-Jに関しては、今、指導者の人たちがかなりの数育成されていますので。その育成された指導者となる人たちが、自分の都道府県の拠点病院、あるいは地域の連携拠点病院に戻って、そこで職員を対象にした教育の一環としてELNEC-Jを教育していくことによって、全体の質が上がるというふうに考えます。
 だから、eラーニングも一つの方法かも分からないですけれども、裾野を広げていくためには、やっぱり実際に教育していくという場が必要かなというふうに思っています。その上でeラーニングもあると、もっと広まっていくということはあり得るだろうというふうに思います。

○江口委員長
 在宅のほうではどうですか。何か、これを活用してとかなんとか。

○川越参考人
 どういう具合に考えたらいいのかなということを思いながら伺っておりました。これは、むしろここで取り上げてやるよりも、例えばPEACEの中でどういう具合にやっていくかというような問題になっていくんじゃないのかと、思っておりました。

○江口委員長
 在宅のカリキュラムや何かでeラーニングを使うと、こういうところは解決できそうだとかというふうな。現段階では余りそういうことについては。

○川越参考人
 eラーニングということは、正直、余り考えておりません。それよりもやっぱり本当の目の前にいらっしゃる患者さんと家族へのケアをどういうふうにやるかという、これは本当に現場じゃないと教えらないところがあります。
 それから、ちょっと今回の教育の仕方といいますか、これ、eラーニングというのも教育方法の一つになってくると思うんですけれども。僕が準備した資料の中で、どういうことを我々は大事にして教育を行ってきているかというような話をさせていただきたいと思うんです。それは、私が用意しました資料1がメーンになると思います。
 私たちのところでは、医学生や看護大生を対象にした研修プログラムと、研修医対象のプログラム、それから、もちろん医者になってかなり経験積んだ人を対象にした1週間くらいのプログラムを用意しています。資料の説明だけしますと、帝京の医学生に対しての地域保健のカリキュラムというのは資料2で書いて、挙げてあります。これ、ちょっと話したら長いので省略します。

○江口委員長
 ちょっと手短にしていただければ。

○川越参考人
 はい。それで、その後も同じような資料があります。これは省略します。
 それで、我々がこの教育の中で大事にしているのは、在宅というのはやはり、メディカルな問題だけではなくいわゆるライフ、命あるいは生活を、どういうふうに学生に、あるいは研修医に教えていくかということになりますので、緩和医療というくくりだけじゃないんですね。ですから、そういうことを含めたプログラムを用意しております。それが第1点です。
 それと2点目は、先ほど、福祉を勉強する機会が病院ではないということを申し上げましたけれども、もう一つ、看護師の動きということを勉強するって、なかなか病院じゃ難しい面があります。特にこういう緩和ケア・緩和医療というのはナーシングケアが非常に大事なので、我々、医学生と看護大生をペアにして相互に切磋琢磨するという、そういう教育プログラムをつくっております。それが学生教育です。
 それから、研修医の教育で我々が大事にしているのは、やはり病院の中ですと医者としての患者・家族に対するマナーというようなものをなかなか勉強できませんが、在宅では必要なので、医者としての自覚を持ってそれも学んでいただく。その後は後期研修へ入りますので、専門医としての基礎を築くようなことを学んでいただくことになっております。つまり、病院の勤務医となったときに我々のところで学んだ在宅の実習というものが生かして、患者さんと家族を支援することができるような研修プログラムを組んでおります。
 ですから、今回の議論はメディカルなことがメーンなんですけれども、在宅の場合はそれだけじゃ患者さんを支えられないということがございますので、そういう福祉関係のことも含めた、あるいはチームケア、チームアプローチ、そういうことも含めた実習がどうしても必要で、それはやはり現場のところに入っていかないと難しいなということを感じております。
 ちょっと長くなりましたけれども、eラーニングは現段階では全然考えておりません。

○江口委員長
 6ページのところですが、ここにちょっと箱を外してチーム研修というふうなことで書いたんですけれども、地域連携という目で見れば、こういう福祉行政担当者とか、ケアマネージャーとか、調剤薬局の薬剤師さんとか、いろんな関連の人たちがいますので、そういう人たちに対する研修教育というのも今後は考えなきゃいけないと。今はもちろん各地で行われていますけれども、それをどういう形でモデル化する、あるいは基準化するというようなことが可能かというようなことについて、やはり考えていかなきゃいけないだろうということですが、これは地域連携にも関係することなので、次回、もう少し時間があれば検討したいというふうに思います。
 戻りまして、5ページ目の看護師のほうですが、ここも一応専門看護師、あるいは認定看護師、それから最近では何か高度実践コースというのができたということなので、この辺のことも含めてお話をちょっといただくことになるかなと思うんですが、ここで私がちょっと気になったのは、現行体制との調整点ということで、看護協会でもご承知のように、資料もありますけれども、幾つかのがん専門の認定看護師、専門看護師のコースがありますね。そういうものとELNECとか、どういうふうな形で、どこで交わるのか、あるいは交わらないのか、その辺のところの整理をちょっと解説していただきたいと思う。1、2で、ELNECの場合には指導者講習会と、ELNEC-Jの一般看護師向けのということで、これもPEACEの場合と同じことで、ちょっと混同しないようにしていただきたいと思うんですけれども、お願いします。

○丸口委員
 私の資料、資料3の44ページに少し書いているんですけれども、1つは、専門的知識をもっている認定・専門看護師が十分活用できる環境になっていないということが課題で、それに対して、「緩和ケアにおける高度実践専門看護師、及び高度実践専門認定看護師の養成と活用」ということを挙げています。専門緩和医療・緩和ケアのほうの、まだまだ高度実践専門看護師というのは一般的な名称にはなっていませんが、そこに書いていますけれども、いわゆる専門看護師レベルであって、そのうちで緩和ケアについてさらに学び、ある一定の教育を受けて、コンサルテーションができる、実践もできるというふうな人たちを高度実践専門看護師とするということと、認定看護師は高度実践認定看護師ということで、これは、緩和ケア認定看護師とか、がん性疼痛看護認定看護師を対象にして、さらに緩和ケアの実践とかコンサルテーションに関する教育を受けた人たちを、こういう名称で呼ぶというふうに考えています。
 高度実践専門看護師は自分の病院だけでなく、地域あるいは他施設へのコンサルテーションもするということを重点的にやっていただくような役割をとるということ、それから、認定看護師の人たちには、施設内のコンサルテーションを受ける役割をとってもらうというように区別をして考えるということです。
 高度実践専門看護師は、施設内であったり地域の拠点病院、あるいはそれ以外の病院についても、もっと地域レベルで活動してもらって、地域も含めたレベルアップを図っていくというふうに考えています。これについては、がん看護学会と連携しながらやっていくということになるかと思います。その専門の看護師の研修はがん看護学会と連携しながらやっていくということになりますし、その基本的な認定については看護協会で認定されておりますので、その認定を受けた人たちの教育について、がん看護学会と連携してやっていくというふうなスタンスで、今考えているところです。
 がん看護専門看護師育成の目標値というのはなかなか難しいんですけれども、今行われている教育をもとに考えていきますと、CNSは現在が250名くらいですので、2009年度より年間60名ずつ増加していますので、2016年には、約600名ぐらいになるのではないかと考えます。でも、これもかなり偏りがありまして、都市に集中している。ほとんど、そこの書いておりますけれども、専門看護師が全くいない県もありますので、そういうところの格差を是正していくためには、やはり県単位でその人たちが活動していくしかないのではないかというふうに思っております。各施設で育成するということは、難しいのではないかと思います。2016年には600名ぐらいということになりますので、その中で、ここに書いているように、緩和ケアを専門にやっていくという人たちは半分ぐらいですので、なかなか各県に割り振れませんが、かなりの数にはなっていくかと思います。
 それと、認定看護師については、今現在では、がん性疼痛看護と、緩和ケア認定看護師、合わせて約1,500名ぐらいの人数になっております。けれど、前の会議でも申し上げましたけれども、2つの認定コースを合わせて10名以下の県がまだまだ12県もありますので、そのことも考えると、やはり施設内だけのコンサルテーションの役割だけに留めるというのはかなり難しいかなというふうには思いますけれども、この辺りはやはり都道府県の拠点病院が中心になって地域をサポートしていくということを考えるしかないと思います。、この認定看護師についても、次の45ページに数を出しておりますけれども、そこに、緩和ケアチームが今後増えて、110施設ぐらい増えて640施設ぐらいになるのではないでしょうか。認定看護師の数を合わせて1,300名ぐらいで、ざっと計算すると、1施設に二、三人ぐらいしかいないというふうな計算にはなります。しかし、十分ではないと思いますので、その不足しているところをELNEC-Jの指導者研修を受けた人たちもカバーしていくということになればいいかなというふうに考えております。
 先ほどの資料2の国立がん研究センターで行っている研修で、看護師の医師以外に対する研修というので、アのがん看護専門分野の研修、緩和ケアコースの実績ですけれども、これは誤りがありまして、平成22年度までに指導者研修を受けた、いわゆる講義研修を受けた人たちは118名おります。それで、実地研修というのは3カ月の実習を伴う研修ですけれども、この人たちは11名修了しております。そこを訂正していただければと思いますけれども、併せてこういう研修もやっていくということが考えられるかなというふうに考えております。
 ELNEC-Jについては、ざっくり計算して、指導者研修、先ほどの木澤先生の資料で見ていただければいいと思いますけれども、この指導者研修を2016年までにやって1,641名の指導者ができるということで、その人たちが各施設に、それから都道府県拠点病院に戻って研修をすると、あと、2017年までに7万4,000人というこれはかなり実現可能な数字ではないかなというふうに思っています。
 ざっとこんなところなんです。

○江口委員長
 ありがとうございます。
 たしか福井参考人の提出資料の後ろ、4ページ、そこに今の専門看護師、認定看護師の数と、それから領域、これが書いてあるんですけれども、先ほど私、ちょっと冒頭にコメントしたんですけれども、これが、がん関係のものでいっても、ここに緩和ケア、それからがん性疼痛看護、それから乳がん看護とか、緩和ケアに関連するんだけれども、幾つか分かれていますよね。だから、こういうような分かれ方で、なおかつELNECやなんかが出てきたときに、受けるほうというのはどういうような選び方をする。あるいは、施設の責任者としては、どういうようなところに行ってもらうということが一番妥当かというのは、その辺のあれはどうなっているんですか。

○丸口委員
 この認定看護師の領域というのは、教育課程が全く違いますし、それと、ELNEC-Jは一般看護師を対象にしたプログラムになります。一般の看護師の場合、今、学部の教育で、このELNEC-Jのようなプログラムで、きちんとやれるような時間をつくっているところはかなり少ないと思うんですね。ですから、本当に緩和ケアについては一部しか学んできていませんので、卒後教育の中にそれを組み込んでいくということは非常に大事であるというふうに考えています。
 一方、専門・認定看護師の場合は、もう少しキャリアを積んだ看護師が専門的な領域で緩和ケア領域の看護を、学んでいくということになりますので、どの研修に出すかということについて、そんなに問題ないというのもおかしいんですけれども、余り考えなくてもいいのかなと思いますけれども。

○江口委員長
 これ、たしか半年とか行くんですよね。

○丸口委員
 そうですね。認定看護師は600時間以上の研修ですから、約半年です。

○江口委員長
 それで、こういう例えば緩和ケアを取ってきた人と、それからがん性疼痛看護を取ってきた人と、そういう人たち、戻ってきたときに、非常にそういう知識を活用できる場所に配置するのが理想だと思うんですけれども、現実的には必ずしもそうなっていないということも言われていて。その場合に、だからどういうところで、これは違いがあると言ったらなんですけれども、丸口さんとしてはどういうような形で、例えば緩和ケアの人はこういうところがいいだろうとか、あるいは疼痛看護の人はこういうところがいいだろうというのは。配置とかですね。

○丸口委員
 緩和ケアの研修を受けている人たちというのは、私、個人的には、やっぱり緩和ケア病棟のようなところで勤務するのがいいのかなというふうに思っていますけれども、がん性疼痛看護の場合は、一般の治療の急性期の病院等で、チームで活躍するのがいいのかなというふうに思いますけれども。ただ、緩和ケアの認定の資格を持っている人は少し、終末期、どんどん病状が進んでいくことによっての苦痛緩和という視点で患者さんのケアができると思われるので、チームにいてもらっても非常に、役に立つっておかしいんですけれども、活躍する場があるかなというふうに思います。
 今、江口先生がおっしゃったように、この人たちが十分な活動をできる活動時間が与えられているかというと、必ずしもそうではないと思うんです。ナースの場合、病院にとっては、入院基本料7対1看護が第一という、それはやっぱり診療報酬の問題が大きいと思うんですね。1人のナースということになりますので、個人の負担が非常に大きくなっていて、一般病棟で三交代しながら、勤務時間外に、コンサルテーションを受けているという人たちもかなりいるというふうに思いますので、もう少し活動時間を与えられて、もう少し活動できるような、何かインセンティブがつくということは非常に大事かなと思います。
 認定看護師の領域がたくさんありますので、似たようなところはあり、これは私が言うことでもないと思いますが、もう少し、例えば緩和ケアとがん性疼痛看護の認定看護師が乗り入れられるような、一本化できるようなことを考えてもいいのかなというふうには思います。

○江口委員長
 これ、ELNEC-Jの場合には、こういうような分け方というか、それがもう全部一緒になったものと考えていいですかね。非常に大ざっぱな言い方、雑駁な言い方をすれば。

○丸口委員
 ELNEC-Jは本当に基本的な知識だと思うんですね。さらに、例えば症状緩和とか心理的なものだとか、家族のケアだとか悲嘆とかというのにもっと時間をかけて勉強しているのが、この専門的にやっている人たちだというふうに思います。

○江口委員長
 そうすると、やっぱりPEACEのモジュール版をつくらなきゃいけなくなったのと同じように、こういうものは先取りしてあるというふうに考えていいですかね。

○丸口委員
 そうですね。モジュール版というよりも、先ほど言った高度実践看護師という人たちには、コンサルテーションに関する教育だとか、それから、チーム医療をするための知識だとか、それから症状緩和に対する常に新しい知識を学んでいくようなフォローアップの場が必要だろうというふうに思います。

○江口委員長
 ちょっと長くなりましたけれども、何かご意見。

○志真委員
 認定看護師とか専門看護師の方たちが教育するツールが、このELNEC-Jだというふうに僕は理解しているんですね。ですから、それも今まではそれぞれの個人が皆さん教材を用意したり、それぞれの施設でいろいろ工夫をされてやっていたのが全国的にある程度統一されて、一般の看護師たちに統一した、いわゆるジェネラルなことをやっておられる看護師さんたちに提供できるようになったというのが、このプログラムだと思いますので、そういう意味では、認定の方や専門の方が使える教育ツールとして、非常にこれから役に立つんじゃないかなというふうには思っています。
 大体、ELNEC-Jの指導者を5年ぐらいで1,500人ぐらい養成するというのは、PEACEの経験からいっても、それは十分可能な数字だろうというふうに思っていますし、看護師の場合には医師よりも、そういう専門とか認定の人たちがもう既にいますので、そういう方たちが核になっていけば、この指導者養成については問題ないんじゃないかというふうに思います。
 実際、それを今度は現場におろして、各拠点病院とか、そのほか一般の病院で実際にどうやってやっていくのかというときに工夫が要るのかなと。やっぱりそれぞれの拠点では、このELNEC-Jのプログラムを受けてもらうことをある程度要件化していっていただくということと、地域の看護師さんたちに対しても、拠点病院の一つの役割として提供していくという方向性が必要かなというふうに思います。
 私が聞いている範囲では、このELNEC-Jはある程度少しばらしても使えるという話も聞いているんですけれども。PEACEのように何かかっちり組まないとできないというわけではないと。ある程度個別にできるというような話も聞いているんですけれども、それはどうなんでしょうか。

○丸口委員
 すみません、そこまで十分な認識はないんですけれども。このモジュールが10個ありますので、だから、その10個のモジュールを組み合わせて、足りないところを補充していくということは可能だというふうに私は思います。

○江口委員長
 さっきのちょっとインセンティブのことなんですけれども、ELNEC-Jの修了者、こういう人たちというのは、何かそういうものをつけたほうがいいんですかね。それとも、もうこれは自主的なものとしてやるということでいいんでしょうか。

○丸口委員
 修了者にインセンティブつけるのか、先ほどから出ておりますように、その施設にとか、チームにインセンティブをつけるのかという辺りは、ちょっと難しいところだと思うんですけれども。多分つけやすいのは、そういう教育を受けた人たちがその施設に、拠点病院にどれぐらいいるのかとか、指導者の人がどれぐらいいるのかとか、チームにどれぐらい入っているかとか、そういうことで考えていくことは可能なのかなと思うんです。
 インセンティブがつかなければ、なかなかその研修に出せないという現実はあると思いますし、活動できないということもあると思いますので、それはぜひ必要かなということで。福井参考人からも出されている中で、やはり研修参加を推進するための課題ということで、ここにどういうふうなインセンティブをつければいいのかということが出されているんですけれども、非常に難しいところだというふうに思います。

○江口委員長
 でも、難しいんですけれども、ある程度こういうところで何かを……

○丸口委員
 やっていただきたいと思います。

○川越参考人
 ちょっと勉強不足で、今日初めて見たんですけれども、この高度実践専門看護師というのは、もう一般化しているんですか。ナース・プラクティショナーとか特定看護師と同じようなものだと考えてよろしいんですか。

○丸口委員
 今は特定看護師、NPというのが非常に世の中では言われていますので、そこがすごく紛らわしいというふうに思うんですけれども。ただ、今のがん専門看護師の養成コースの方たちの実習では、高度実践専門看護師教育という名称が聖路加看護大学では使われております。

○川越参考人
 専門看護師は、ご承知のように、2年の教育でやっていくんですけれども、これはここの場で議論、つまり制度としてこういうものがあったらいいなということですか。もしナース・プラクティショナーとか特定看護師というと、チームケアの中でも、それは看護協会の意気込みは分からなくもないんですけれども、医師側の受け取り方によっては、こんなのを書いたら、かえって医療が本当にできなくなるという危惧のほうが大きいんですね。ですから、余りこういうのを僕はここの場に掲げないほうがいいんじゃないかなという具合に思いますけれども、いかがでしょうか。

○丸口委員
 ありがとうございます。確かに、私たちもこれを出すに当たっては、非常に混乱する状況になるかなというふうには考えてはいるんですけれども、普通の認定看護師や専門看護師との区別をつけるためにこのような名称を出しました。認定看護師の人たちは全員こういうふうに、もっと勉強してほしい、役割をとってほしいというふうな思いはあるんですけれども、がん看護専門看護師として教育を受けた人たちをさらに教育して、地域に活躍できるような人たちに育てていきたいというふうなところが私たちのねらいであって、そういう教育を受けるためのバックアップとか、少しインセンティブがつくというふうなことがあるといいと考えているところです。制度として何か設けるとか設けないとかいうところまでは、まだいっていません。

○江口委員長
 前川さん、何か。

○前川委員
 全体的な話の中ででもいいですか。委員の中で患者側としては私1人なんですけれども、今日の議論の中で、患者という言葉が余り出てきていないですね。でも、本当の中心は患者だと思うんです。そして、がんと言われたときに、一番つらいのはがん患者です。でも、その患者と言う単語が出てこないのです。
 意見提出のところに、一番前なので、よく目立ちますので、ちょっと見ていただけますか。対応策で、第一段階で緩和ケアとコミュニケーション、「患者の気持ちを理解しよう」と、その下に「患者の痛みを理解しよう」と書いております。その気持ちを根本に持って、これからもこの委員会を活発化していただきたいなというのが私の願いです。

○江口委員長
 今日はちょっと教育制度の話が中心だったんですけれども、やっぱりその根底にはそういうことがもちろんあるわけであって。
 ちょっとこだわるようなんですけれども、ELNEC-Jが逆に看護協会なんかにどういうような形で受け入れられているかというようなことに関しては、すみません、ちょっと追加して解説しておいていただきたい。

○丸口委員
 看護協会にELNEC-Jの教育をどこかの研修に入れていただきたいということで、申し入れはまだ全然行っていません。例えば看護協会でその一部をやっていただくということになれば、非常にやりやすいということはあると思いますし、それはこれからだと思うんですね。現実的にできるというのは、やっぱり都道府県の拠点病院が中心になるのかなと思うんですけれども、看護協会では、ここで福井先生が出されていますような、緩和ケアの研修のプログラムはあるわけですね。だから、そことの整合性とかということも考えていかなきゃいけないと思いますし、それから、看護協会の場合、中央の日本看護協会で行われている研修学校と、それから都道府県の看護協会で行われている研修プログラムは、違ったものをされていますから、そこでどういうふうにお願いしていくかというのは、これからということになると思います。

○江口委員長
 結局、ELNECというのは、ごく基本的なところを看護師の人たちに学んでもらうということだと。そうすると、そういうものというのは基本的に、それこそPEACEと同じで、全部のがんに携わる看護師さんには学んでほしいわけですよね。それを、例えば受講志願制にするということは、やっぱりさっきと同じような、医師の場合と同じような問題がまたこの先起こってくる可能性があるというところは、考えておかないでいいんでしょうか。

○丸口委員
 志願制というか、私たちが考えているのは、例えば拠点病院ですね。都道府県の拠点病院とか地域の連携拠点病院とか、そういうところに指導者、ELNEC-Jの指導者研修を受けた人たちがそこに戻っていくことで、その施設の中での教育をしていくことで一般の看護師に行き渡るというふうに思うんですね。そうすると、先ほどおっしゃったように、直接患者さんに関わるナースが教育を受けることで、質は上がっていくと思います。
 ただ、一般の、がんをやっていない、都道府県がん拠点病院以外の施設の看護師を考えた時には、看護協会というのは大きな力があると思うんですけれども、そこのところは、看護協会にご相談したり、お願いしなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

○江口委員長
 委員の方で、これらの問題について。

○東口委員
 卒前教育といいますか、私が勤務する藤田保健衛生大学には看護学科もありまして、数年前から緩和ケアの講義を開始しています。そのヴィジョンといいますか、目標とでもいうのでしょうか。少しご紹介します。
 例えばアメリカなんかで外来に行きますと、最初に応対するナースの方がとてもお優しくて、ああいいなというか、ホッとすると言いますか、また医師も優しくて、これは医師の数、ナースの数で理由づけられるんだろうけれども、それだけではない気がするんです。1コマ、90分の講義で話ができるのは、それこそ、がんの患者さんの痛みとか、その他の訴えを良く聞いてあげて、痛みをとることはもちろんのことナースとしてそれを優しく包み込むように接してあがて欲しい、ということぐらいしか伝えられません。実際に看護の部門で緩和ケアに関する卒前教育というのは、全国的にどこまでカリキュラムを組んでいるのでしうょか、それを教えていただきたいのですが。

○丸口委員
 看護の大学のカリキュラムの中には、基本的に医師と違うと言っちゃおかしいんですけれども、例えば患者さんとどう接するかというようなことについては、基本的に看護の教育の中では入っていると思うんですけれども、緩和ケアに関しては、大学によってカリキュラムが違うと思いますけれども、成人看護学の中の、急性期の看護、慢性期の看護、などの中に1単位ぐらい入っているところもあれば、1単位も入っていないところもあると思うんですね。私が前いたところは、1週間の実習をしていましたし、講義としても1単位の講義をやっておりました。ただし、選択になっているところもかなりあります。だから、全員が同じように教育を受けているところというのは少ないというふうに思います。

○江口委員長
 やっぱり何らかの形で、少なくとも最低線の緩和ケアということについての知識とか、どういうことを世間ではやられているかということを教育するというのは、これ、がん患者の診療に携わる、あるいは在宅でももちろんなんですけれども、そういう看護師さん全員にやってもらうということを打ち出していいんじゃないですか。拠点病院に集めて、希望者だけやるとかというんじゃなくて。

○丸口委員
 そこまで全員となると、全員集めてやるというのは、やっぱりそれぞれの施設でやらない限りは無理だと思うんですね。

○江口委員長
 まあ、そうなんですけれども。

○丸口委員
 拠点、だから私が言っている……

○江口委員長
 要するに、ベースを全員にするのか、あるいは志望者で来た人だけにやればいいのかという、そのことなんですけれども。

○丸口委員
 私たちが考えているのは、それぞれの施設で、院内教育で、卒後教育でプログラムを組んでやっていると思うんですけれども、その中にこれを入れてもらうといいかなというふうに考えています。そうすると、例えば何年目の人たちにこの教育が行われるというふうになれば、積み重ねていけることになると思いますので。だから、1年目、2年目ぐらいに全員にやらなくても、一度に全部やらなくても、それを積み重ねていくというふうに思います。

○江口委員長
 とにかく何らかの形では、みんな学ぶということでいいですか。

○丸口委員
 そういうふうになっていくように、やっていくべきだと思います。

○川越参考人
 こういう教育が、医者あるいは看護師、医療に携わる者全てに必要だということ、その共通認識はあると思うんですね。
 そうだとすると、志真先生にお伺いしたいんですけれども、これは一つのツールということをさっきおっしゃっていましたけれども、これは要するに標準化して、マニュアル化して、みんなに理解してもらおうということでやった。これ、特にPEACEは指導者の養成のためのプログラムということになっておりますけれども、これを例えば医学教育に持っていくというのはやっぱり無理なんですか。レベル的には、やっぱり高過ぎるんですか。

○志真委員
 それは別のところで既に検討されておりまして、このPEACEでの内容を医学生にも適用できないかということは、今、民間の財団の支援で検討しております。具体的に、実際講義をしてみると、十分医学生でも理解できるということも分かってきていますので。それは川越先生がおっしゃるように、そういう方法論をほかの、卒前に適用していくということも、これ、今後考えられると思います。

○川越参考人
 そうだとしますと、我々が議論しなきゃいけないのは多分、将来的には、今いわゆる医学部の教育カリキュラムの中に入るということで、ある意味で安心していいじゃないかということを言えると思いますし、もし本当にちゃんと学生用にそういう格好でデフォルメしてでき上がりましたらね。問題は、今の医療をどうするかという問題が依然として残るわけで、そういう点で議論していくべきじゃないんでしょうかね。

○江口委員長
 今回、わざとというか、要するに学生の教育に関しては、ちょっと論点からずれるので全部省いてあるんですけれども、当然のことながら、そういうものもターゲットに置いて、一連のものとして考えるということはあると思います。
 ちょっと司会のあれで、大分時間も……

○余宮委員
 江口先生、前川さんに質問させて頂いてよろしいでしょうか。
 前川さんにお聞きしたいのですが、このELNEC-Jのコアカリキュラムというのがありますよね。これを見ていただいて、例えば看護の大学によってはこういったことをやっているところもあれば、十分できていないところもあるという……

○江口委員長
 それは木澤先生の資料。

○余宮委員
 そうですね。ということですが、がん拠点病院、8ページですね。がん拠点病院のようなところで働くナースには、こういったものを必修化して学んでほしいというふうに、患者としては感じられますでしょうか。

○前川委員
 この中ですか。

○余宮委員
 ええ。拠点病院のような病院で働くナースは全員、卒後に、こういったものは改めて学んでほしいというふうに考えられますでしょうか。

○前川委員
 学びは、講義の学びではなくて、本当に患者さんと触れ合っての実体験としての学びでないと、頭で理解しても、その場では声かけとかコミュニケーションが私はできないと思うんですね。ですから、ぜひ実習というか、そういう形がいいんじゃないかなと思います。

○余宮委員
 これはワークショップとかグループワークが主体のモジュールのようですが、患者さんを入れないと駄目ということでしょうか。

○前川委員
 私は、今回の2日間の研修会でワーク—PEACEの—されていましたけれども、医療者同士がすると、何だか患者になっても、やっぱり医療者の考えがでてしまうんですね。だから、何かぎこちなくなっている。やはり患者に入っていただくのが本来はいいのではないかと私は考えております。

○丸口委員
 先ほど志真先生も言われましたけれども、これはELNEC-Jの指導者の育成、どういうふうにこの中身を教えていくかということですので、この中には具体的なパワーポイントが全部含まれていますので、それをそれぞれの研修を受けた人たちが講義していくということになると思うんですね。
 ナースの場合は、実践ですので、この研修を受けることで現場に戻って、また学んだことを展開していけるというふうになると思いますし、基礎的な知識として、これを学ぶ必要があるというところが大前提にあるんじゃないかなと思います。

○志真委員
 今の前川さんのご指摘なんですけれども、私どもはそれ、PEACEをつくるときから考えていたんですね。それで、このPEACEのプログラムは、非常に限られた患者さんなんですけれども、見ていただいているんです、実はつくったときに。それで、いろいろ意見をいただいたんですね。ただ、やっぱり時間がなかなかなくて、それらの意見を全部取り込むことができなかったんですね。
 ですから、次のステップとして、モジュールをできるだけ柔軟にしていこうということを今考えておりまして、そういう実際のプログラムづくりに患者さんに参加していただくということも視野の中に入っております。実際に、例えば患者さんに参加していただくというのは、これはなかなか、いいようで悪い面もありまして、いろんなプラス・マイナスがありますので、僕らは非常に慎重に考えているんですが、教育プログラムをつくっていくときには、やっぱりそういうプロセスがどうしても必要だということは考えておりますし、実際にパイロット的にはやっております。
 それから、このELNEC-Jについても、やっぱりそういうプロセスを今後踏んでいかないといけないんじゃないかというふうに思っています。ですから、これは教育プログラムづくりのときの、ある意味、基本的なルールに今後僕らはしていきたいと思っていますし、それがほかの医学の領域の教育プログラムとはちょっと違うところで、患者さんが実際に教育プログラムをつくる段階から参加していくという、そういう方向性を目指したいなというふうには思っています。

○前川委員
 ありがとうございます。先生のお悩みというか、患者を入れること、プラス・マイナスいろいろあると。本当にやはり患者もいろんなタイプがありまして、入れたばっかりにえらいことになったということもあるでしょうから、そこが本当は悩ましいところだとは思いますけれども、何かきちんと距離感のとれる患者さん、やっぱり自分の立ち位置を分かる患者さんとかとご一緒に、ぜひいいプログラムができますようにと祈っております。ありがとうございます。

○川越参考人
 これはすごく大事な点で、僕らも遺族の方の話を伺うということをやっております。
 それで、志真先生のほうにお願いしたいのは、がんの方というのは、闘病中のサバイバーの方と遺族の方と、両方からの意見を聞かれることを重視したプログラムをぜひつくっていただきたいということです。

○江口委員長
 ありがとうございます。非常に貴重な意見が出ました。
 それで一つだけ、だから看護師のカリキュラムのところまでしかいけなくて、薬剤師のカリキュラムのところまでいけなかったんですが、これはちょっと私たちの手持ちの情報も少ないので、今の段階でいろいろな細かい提案をするというのは何か無理なような気がいたしております。これ、ちょっと私の宿題にさせていただきたいと思います。
 それからもう一つだけ、参考人の中で、今日欠席された中川先生のご意見が50ページに出ているんですけれども、これ、先ほどからちょっとざっと拝見しているんですけれども、一つ課題のほうとしては、今までの5年間の研修が果たして妥当だったのかどうかということで、少なくとも達成がかなり厳しい状況に、目標の達成が厳しい状況になっているということを、どうしたらいいのかというのが一つの問いかけであると思います。その対応案として、これは実地研修プログラムを全国で10カ所ぐらい定めるというふうなことで。ただ、今日いろいろなお話の中で、こういうものに関してかなり似たようなところも出てきたと思います。同時に、その10カ所程度で果たしていいのかどうかということでいくと、今日の話からは、もっときめ細かな対応が必要なんじゃないかという気がしますけれども、いずれにしても、実地研修ということに関しては中川参考人のご意見と非常に合致するところがあるだろうということなので、こんなところも少し考えながら、報告書には盛り込みたいというふうに思っています。
 ちょっと今日は以上、いろいろ時間の制約もあって飛ばしてきたところ、あるいは少し広がり過ぎちゃって、ご理解が必ずしも十分でないところがあるかもしれませんけれども、ざっと振り返ってみますと、一つは、専門緩和ケア、それから、いわゆるPEACEとかELNECの指導者講習会、それから、PEACEとかELNECの一般の緩和ケアの講習会というふうな、3つの位置づけが大体皆さんの頭の中で割合すっきりしてきたというところがあります。
 そうなると、おのおのの目標値というのも、これは大ざっぱですけれども、ある程度のところは出てきそうだということがあります。例えば拠点病院を中心として、その数が、どのくらいが必要になるのかといったようなことですね。
 それからもう一つは、プログラムが非常にかなりがっちり固まっていて、これは当初スタートの時点では同じような内容を出さなきゃいけないと、研修会としてやらなきゃいけない、担保しなきゃいけないということで決められたわけですけれども、それを、よりこれからはやりやすい方向で、いろいろなバリエーションを考えたらどうかというようなことが出てきました。それからeラーニングについても簡単に出たし。
 もう一つの大きな山は必修にするかどうかということで、少なくとも医師の段階では、これはやっぱり臨床研修医の必修化とか、緩和ケアに関する教育の必修化とか、あるいは一般のがん治療に参加している医師に対して、何らかの形でやらなければ、必修化しなければいけないということが討論されましたし、拠点病院でいえば、その施設長の認識というのをやはりこれはきちっと変えていただかなきゃいけないだろうと。そういう意味でも教育・啓発ということは必要になるということで、これも具体的なものを考えれば、仕組みとしてはある程度できそうであるということだと思います。
 それから、看護師に関しては、ちょっとやはりまだまだ、既存の教育カリキュラムなんかとの整合性をもうちょっと調整しなきゃいけない部分はあると思いますけれども、いずれにしても、医師と同じように専門性のある部分とそれから一般の部分で、そこにELNEC-Jのような形のものを導入していくというふうなことで、今日の討論が一応そこまでは来たということで、こういう認識でよろしいですかね。
 具体的な報告書に盛り込む文言については、じゃ、また整理をして委員の先生方とか参考人の方々にお送りして、つくるということにしたいと思います。
 とりあえず今日の緩和医療・緩和ケアに関する教育の分野、研修の分野での委員会はこれで終わりにしたいと思いますけれども、よろしいですか。
 じゃ、事務局のほうへ。

○鈴木がん対策推進室長
 それでは、最後に事務局のほうから、次回、第3回の緩和ケア専門委員会の開催日時、場所につきましては、委員長と調整の上ご案内させて、現時点では3月18日ということを第一候補に考えたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。あと、場所につきましては、改めてまた事務局のほうからご連絡をさせていただきます。
 なお、次回につきましても、各委員からのご意見は予め書面にて、会議開催の2週間前—そうしますと、予定では3月4日ということになりますが—に事務局に提出をいただくということで、ご了解をお願いしたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○余宮委員
 次回の議題は何ですか。

○江口委員長
 地域連携を含めた緩和医療・緩和ケアですかね。ですから、拠点病院の中とか、あるいは地域の中でのコンサルテーションとか、あるいは在宅医療等を含めてですね。それから緩和ケアチームと、それからホスピスのこと、役割、位置づけ、その他。ちょっと広範ですけれども、よろしくお願いしたいと。

○鈴木がん対策推進室長
 また、意見書につきましては、事務局のほうからフォーマットを示させていただきまして、ご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○健康局長
 一言。
 今日、緩和ケアの人材養成というか研修の話、途中から聞かせていただきましたけれども、方向性として、これが最終的にどういう形の提言になるか、僕はよく分かりませんけれども、今日いらっしゃっているいろんな団体なり、あるいは病院、看護協会等の学識経験者との、いろんな協力なくしては政策ってできないんですけれども、なおかつ、厚生労働省の中では保険局のように経済誘導もできませんし、我が局はですね。あるいは医政局のように医療制度そのものを持っていませんけれども、患者さんの立場に立って必要なことは主張していきたいと思っています。このがん対策の協議会とか計画というのは、厚生労働省だけじゃなくて、経済産業省であるとか文科省であるとか、政府全体が主語でつくっていくということになりますので、どちらかというと私どもとしては仕組みをつくっていきたいというふうに思っていて。そういった意味では、しかし、自然発生的なものに任せるという政策もあると思うんですけれども、できればもうちょっとここのところの仕組みをつくれば一般化するといいますか、税金というか、税で主にやるものですから、できる限り普遍的になるような形で、それが余り強制になっちゃいけませんけれども、そういう思考を若干持っております。
 そういった意味で、こういった人材養成も、できれば最終的には何か制度論というか、できる限り一般的な仕組みの中に成熟していってもらいたいなというふうに思っておりまして、ちょっと一般論ですけれども、私どものスタンスを述べさせていただきました。

○江口委員長
 それでは、どうもありがとうございました。

○鈴木がん対策推進室長
 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

健康局総務課がん対策推進室

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