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2011年4月8日 第11回 社会保障審議会社会的養護専門委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成23年4月8日(金) 10:00~12:40


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省専用第18会議室(17階)



○出席者

委員

柏女委員長
相澤委員
今田委員
大塩委員
大島委員
奥山委員
木ノ内委員
松風委員
高田委員
豊岡委員
西澤委員
藤井委員
藤野委員
山縣委員
吉田委員

事務局

高井雇用均等・児童家庭局長
石井大臣官房審議官
田河総務課長
高橋家庭福祉課長
竹林母子家庭等自立支援室長
杉上虐待防止対策室長

○議題

(1)災害対応の状況について
(2)社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案について
(3)社会的養護の課題と将来像について
(4)その他

○配布資料

資料1災害対応の状況について
資料2-1社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案の概要
資料2-2社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案
資料2-3社会的養護に係る児童福祉施設最低基準関係参考資料
資料3社会的養護の課題と将来像についての論点
資料4社会的養護の充実の当面の検討スケジュールについて
資料5社会的養護の現状について
資料64月から実施した実施要綱改正等の概要
資料7里親委託ガイドライン
資料8国連総会採択決議児童の代替的養護に関する指針(仮訳)
資料9社会的養護における災害時「子どもの心のケア」手引き

○議事

○高橋家庭福祉課長
 定刻を過ぎましたので、ただ今から「第11回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」の開催をお願いしたいと存じます。家庭福祉課長の高橋でございます。
 先般3月14日に当委員会の開催をお願いしておりましたけれども、地震の関係で延期となりまして本日の開催となった次第でございます。今般の大震災で被害に遭われた多くの方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、被災者の支援のために最大限の努力をしてまいりたいと存じます。
 本日は榊原委員がご欠席でございます。山縣委員は間もなくおいでになると思いますので、15名の委員にご出席いただいております。また、庄司委員におかれましては、1月17日にご逝去されました。庄司委員には、里親や乳児院関係をはじめとしまして児童福祉に多大に貢献され、今般の「里親ガイドライン」につきましてもご指導いただいていたところでございまして、誠に残念でございます。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは柏女委員長、お願いいたします。

○柏女委員長
 皆さま、おはようございます。年度初めの慌ただしい時期に、また昨夜も大きな余震がありましたけれども、そうした余震が続く中をご参集いただきまして心より感謝申し上げます。
 昨年12月7日に前回が開かれておりますので、約4か月ぶりの開催ということになるかと思います。 最初に、先ほど高橋課長からも話がありましたけれども、このたびの東日本大震災の被災者、特に社会的養護関係者・子どもたちに心よりお見舞い申し上げたいと思います。また、犠牲になられた方々には謹んで哀悼の意を表したいと思います。
 これから、厚生労働省より社会的養護関係の被害あるいは支援の実情等について報告があるようですけれども、被害がこれ以上拡がらないように、そしてしっかりとした支援が行われていきますように心から願っておりますし、また本日の会議の第1の議題にもありますけれども、この会議でも支援について考えていきたいと思っております。
 また、先ほど課長から話がありましたとおり、今年1月にわが国の社会的養護政策や実践を引っ張ってこられた庄司順一先生が急逝されました。心から哀悼の意を表したいと思います。私は日本子ども家庭総合研究所に勤務しておりますが、庄司先生のブースは私の隣のブースです。今でも庄司先生のにこやかな写真が飾られ、花が飾られています。それを目にするたびに、この社会的養護の問題にしっかりと取り組んでいくことが庄司先生の遺志を継いでいくことになるという思いを新たにしております。これまでのご尽力に心より感謝申し上げたいと思います。もし、皆さま方のご承諾がいただけますならば、この会議を始めるに当たり、庄司順一先生ならびに震災の犠牲となられた方々のために、短い時間ではありますが謹んで黙祷を捧げたいと思いますが、皆さまご賛同いただけますでしょうか。ありがとうございます。それでは、恐縮ですけれども傍聴の方々もご協力いただければ幸いです。それでは、ご強力お願いいたします。

「黙祷」

 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。庄司先生や地震の被害に遭いつつも復興を目指している子どもたちや職員のためにも実りある議論にしていければと思います。
 今日は大きく三つの議題がございます。議事に入る前に、まず私から、この間の経緯について触れておきたいと思います。昨年12月の社会的養護専門委員会、前回ですけれども地域主権法案、あるいは子ども・子育て新システムの検討を視野に入れながら、この社会的養護の将来方向について議論していくことになりました。その後、年末から1月にかけての、いわゆる「タイガーマスク運動」をきっかけにいたしまして、行政においても「できることはすぐにやる」という議論も高まりまして急きょ、この委員会と緊密な連携をとりながら検討を進めていく「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」が設けられ、開催されることになりました。この検討委員会は本委員会の委員を中心に構成されておりまして、それ以外に当事者の方々にもお入りいただいて、この本委員会が決定する事項のいわば下ごしらえをする検討会として位置付けられております。ここで、これまで2回にわたって検討してきた事項につきまして今日はお諮りすることになっております。
 なお、3月の専門委員会が延期になったことに伴いまして、とにかくすぐにやるべきこと、通知すべきこと、それから3月末あるいは4月1日付をもって実施していくことが必要なものについては既にメール等を通じて各委員の皆さま方からご意見を頂戴して、それをもってご意見に代えさせていただき、厚生労働省から通知等をいただいたということになるかと思います。今日は、そのご報告もあるかと思います。今日の審議内容としては大きく3点。短い時間に盛りだくさんの議題がありますけれども、ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
 はじめに、本日お手元にお配りしております資料の確認を事務局よりお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 お手元の資料でございますが、議事次第をおめくりいただきますと「配布資料一覧」がございます。資料1は「災害対応の状況について」、資料2-1、資料2-2、資料2-3は最低基準の関係でございます。資料3は「社会的養護の課題と将来像についての論点」という三つ目の議題についての資料でございます。資料4は当面のスケジュールについて整理した資料、それ以降は参考資料でございますが資料5は「社会的養護の現状について」、資料6は「4月から実施した実施要綱改正等の概要」、資料7は「里親委託ガイドライン」、資料8は「国連総会採択決議児童の代替的養護に関する指針(仮訳)」、資料9として災害時の「子どもの心のケア」手引き。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。皆さま、資料はございますか。今日も大部の資料が配布されております。この資料を基に議論を進めていきたいと思います。
 まず、議題1の「災害対応の状況について」事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 資料1「災害対応の状況について」でございます。まず、1の「社会的養護の施設の被災状況」についてでございます。不幸中の幸いではございますが、施設関係では子ども・職員につきまして人的被害はなかったという報告でございます。建物につきましては、倒壊等はありませんでしたが、外壁タイルの脱落や水道管破裂、壁に亀裂、さまざまな機器の物的損害や停電・断水等、災害後しばらくは物資が届かないといった苦労をされたということでございます。委託中の里親につきましては、家屋の倒壊で今は別の所へ行っておられますが、子どもは大丈夫でございます。また、残念ながら委託中の里親さんで死亡された方と行方不明の方がおられます。これは両方とも親族里親のケースでございまして、子どもは大丈夫です。その下の「所在施設数」は、それぞれの県にこれだけの数の施設があるということでございます。
 次の2は「児童福祉関係職員の現地への派遣等」でございます。震災が発生いたしまして、3月15日付の通知で被災地以外の各自治体に職員派遣の協力をお願いいたしました。その結果、396人の派遣が可能という回答をいただきました。主に児童相談所の職員を中心に現地への応援の依頼をしたわけでございます。まず、厚生労働省の専門官と東京都の児童相談センターの職員が現地へ状況の把握に行きました。また、被災地自治体からの要請を受けまして、児童福祉司・児童心理司等を派遣しまして、地元とチームを組んで各避難所等を巡回して、要保護児童の状態を調査するという作業を今も進行中でございます。岩手県につきましては3月25日から17名を派遣、宮城県へは4月5日から33名を派遣、福島県については14名を来週からのスタートでございます。
 3の「震災孤児数の確認状況」でございますけれども、このような調査を教育機関等とも連携しまして把握に努めているわけですが、これは全くの途中段階の数字でございます。4月4日現在、岩手県44名、宮城県17名福島県7名となっておりますが、今後増える見込みでございます。
 次のページの4「要保護児童の受け入れについて」でございます。児童相談所で把握した子どもの状況に応じまして、できるだけ親族による引き受けを調整し、その際、必要に応じて親族里親等の制度も活用するということでございます。また、親族による引受けがされない場合は、養育里親やファミリーホームなどへの委託を調整し、必要な場合には一時的な生活の場所として児童養護施設への入所を行う。「参考1」にありますように、阪神淡路大震災では、兵庫県内の震災孤児68名のうち60名が親族引き取りで、知人引き取りや自宅生活等で、施設は1名であったということです。今回は昼間の災害でありますので、これよりも多くなると見込まれておりますが、親族引き取りが中心となると見込まれております。「参考2」では、被災した自治体内での里親や施設での受入可能数の状況でございます。各自治体において調査しておりますが、直近の登録里親数と委託里親数、未委託登録里親数の状況はご覧のとおりでございまして、未委託の里親のうち、今回直ちに受入可能というのはこれよりも若干少なくなりますけれども、かなりの数が地元でも対応可能ということでございます。この他、児童養護施設等におきましても一定数の受入れが可能な状況でございます。また、「参考3」にございますが、3月15日付で被災地以外の各自治体を通じまして受入可能数の調査をしております。里親が2,189名、ファミリーホーム116名、乳児院315名、児童養護施設が2,550名の受入れが可能ということで、全国的にも十分な数がありますが、できるだけ住み慣れた地域での対応が可能になるように調整していきたいと思っております。
 次は5の「子どもの心のケア」でございます。今後の支援者向け、あるいは施設の職員向けに本日の資料9として付けておりますけれども、本委員会のメンバーであります奥山委員、西澤委員を中心に作っていただいた心のケアの手引きがございます。これを現地に提供しております。
 また、6の「経済的支援」でございますが、次のページの別紙に整理しております。できるだけ親族で引き受けてもらう等の場合のためのさまざまな経済的支援もあるわけでございます。まず、一番左側に「労災保険」が出ておりますけれども、仕事中あるいは通勤中に死亡した場合には遺族補償年金がございます。また、年金につきましては両親が亡くなれば、その子どもに遺族基礎年金6万5,000円が支給されるわけでございます。次の「児童扶養手当」でございますが、遺族基礎年金の加入期間数が足りない等で年金が出ない場合は児童扶養手当の支給が可能ということになっております。それから、一般的な制度でございますが「子ども手当」があります。それから、今回は特に親族里親の活用を柔軟に適用したいと思っております。3親等以内の親族の場合、あるいは祖父や叔父・叔母が預かる等の場合は親族里親の制度の活用が可能でございまして、子どもの食費・被服費として月額4万7,000円に教育費が加わるようなものになっております。また、4親等以上の場合には通常の養育里親の適用が可能でございまして、できるだけ親族で引き受けていただく際の経済的支援をしてまいりたいと思っております。資料の説明は、以上でございます。

○柏女委員長
 どうもありがとうございます。今回の震災の関係では、それぞれの団体でも実情の把握に努めていただき、また多くの受入れ可能なキャパを想定していただいて、心より感謝申し上げたいと思います。また、個別の施設協議委員会等で検討されており、厚生労働省とも個別に打合せ等をしていらっしゃることも多いのではないかと思いますけれども、もしご意見等がありましたら、このような仕組みをつくるべきではないか、あるいはこのような運用をすべきではないかといったことがありましたら、ぜひご意見を出していただければと思います。時間の関係ですが、今日は三つのテーマがありますので、この震災関係を説明も含めて30分、次の最低基準関係を30分、そして社会的養護の今後のあり方についての検討を1時間という時間的な目安でいきたいと考えておりますので、ご協力をお願いします。
 それでは、この震災関係で何かありますでしょうか。

○木ノ内委員
 今、課長からも話がありましたけれども、里親とファミリーホームでの被災児童の受入可能人数を調査しました。そうしましたら、全国から「被災児童はどうなっているのだ」という問い合わせが全国里親会にありまして、行くしかないということで2名で調査に行きました。3月26日から29日までの4日間で宮城県と岩手県に行ってきました。里親会、児童相談所、社会福祉協議会、被災した里親宅へも行きました。避難所などで見ると、昼間は子どもの姿もないので子どもの調査はかなり難しいと思いました。被災した児童も民間の家に入っているようなこともありまして、私ども全国里親会で何か活動するとすれば、保護者はいるけれども養育が困難であるというような子どもたちをどうやって救うかということに調査の方針を切り換えたのですけれど。そういうことで、市役所・町役場を中心に、被災地ですので大変厳しい状況の中で回ってきましたけれども、基本的には保護者がいても養育が困難であれば私どもは受け入れられますよという協力依頼をしたという格好になります。市役所が避難場所にもなっていたりという状況でした。
 明日、日本財団でその報告会をやろうと思っています。全国里親会としては、親以外の人が子どもを養育しているケースが現在あるだろうと思いますので、そういった人たちを丸ごと支援していきたいと思っています。感触として、どうも地域の中で懐が深いといいますか「要保護児童」ということで表面化するのではなくて、近隣の人が養育しているケースが見られますので、それならば具体的にそこを支援していきたいと思いますので、そのような話し合いを明日しようと思っています。
 もう一つ、ぜひ言いたいのは、被災者の受け入れが全国的に始まっていますけれども、その中に要保護児童がいる場合が見られます。児童相談所がかかわってきちんとしてくれればよいのですが、地域にいくと社会的養護の認識が薄い感じがしますので、ぜひ要保護児童に関してはきちんとかかわってやっていただけないものだろうかと思います。以上です。

○柏女委員長
 一つ一つ回答をいただいている時間はありませんので、ご意見ということで頂戴したいと思います。
 藤野委員、お願いします。

○藤野委員
 失礼いたします。児童養護施設関係につきましては、北海道ブロックには21施設あるのですが、震災直後はそこからバス2台に食料等をたくさん積んで、西からよりも北海道からの方が物資が届けやすいだろうということで、今のところ大船渡と気仙沼と福島の3施設がかなり厳しい状況にあるということで、特に大船渡の施設に関しては未だに電話も通じていない状況で、職員の家族も被災したりして、かなり長期戦が見込まれる状況だろうと思います。
 阪神淡路大震災のときが被災直後は48名で、そのうちの40名が親族、7名が知人で児童養護施設に来たのは1名だけということでした。しかし、その後やはり親族が見きれなかったり、いろいろな形で社会的養護が必要とされたことがあると思います。今回の場合はもっと規模も大きいし、かなりの数の震災孤児が出るだろうと思います。それから、今のような震災直後では同じようにすぐに動きがとれない状況があると思います。ただ、昨夜も震度6強という余震といえるのか、そのような状況があって、建物にはほとんど被害はなかったと報告されていますけれども、実際には亀裂が深まったり、かなりの被害が出ているだろうと思います。そういう意味で一つは建物等ついても専門家による診断をきちんと早くするという体制をつくる必要があると思います。
 もう一つは、人的なことについては長期にわたって、特に3施設の施設長をはじめ職員については、既にかなり疲弊しています。そういう意味では長期的な支援が必要だろうと思います。
 それから、これは次の議題になると思いますけれども、やはり社会的養護の子どもたちは日常的に被災しているような状況を我々は見ていますので、そういう点でいえば「子どもは未来である」というように、今後の日本の復興ということを考えれば、この社会的養護の部分にピンポイントで投入してもらって底上げをお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。
 それでは今田委員、お願いします。

○今田委員
 ありがとうございます。現実には今のマンパワーその他が施設的にも乳児院の部分では大丈夫だということですが、少し時間を追って、今お話がありましたように職員の疲弊や子どものPTSDといったことが恐らく時間が経つごとに起こってくる可能性もあるといった場合に、全国乳児福祉協議会としてサポートする体制を今考えているということが一つでございます。
 それから、今回の震災を経験して考えてみますと、たまたま今回は昼間でしたけれども、これが夜間に起きたとしたら、乳児の場合は一人で歩けるわけではありませんし、言語的な手段で連絡がつくわけでもございません。前回の委員会でも申し上げましたけれども、夜間一人で11人強を見ているのが平均的でございます。現実に子どもが避難した施設もありますけれども、避難するとなると、夜間ですと1人で2~3人を抱っこするのがせいぜいだと思います。これを、どう安全を担保するのかということになってくると、次のテーマだと思いますけれども、最低基準のところで災害を踏まえた形での対応・体制ということも、特に歩けない乳児ということになってきますと、ご配慮いただく必要が出てくるのではないだろうかと考えております。昼間もそうですけれども、夜間ですと人を集めるにしても、今回のように連絡手段が取れないということになってきます。急に人を呼ぶということはおよそ不可能だと思いますので、現実にいる職員を増やすしかない。時間帯であまりにも差がないような形で増やすしかないということになってきますと、つくづく今回の災害で幸い人的被害はありませんでしたけれども、これからのことを考えるとどうしてもそれが危惧されてなりません。それが一番今心配なことでございます。
 また、次の最低基準のところで触れさせていただきたいと考えます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。では大塩委員、お願いいたします。

○大塩委員
 失礼いたします。この震災により震災孤児となった子どもたちの人数把握については、県なり児童相談所がきちんと把握してくださることと思いますけれども、母子世帯あるいはひとり親に対しては児童相談所の枠ではないので、社会的養護の中ではありますけれども別の枠になりますから、ほとんど把握されていないというのが現状だと思います。市町村も壊滅状態の所もありますから難しいことではあるかと思いますけれども、急いで母子自立支援員さんなどによって、きちんとひとり親世帯のニーズを把握していただきたいというのがまず1点です。できましたら、この震災によりひとり親になられた世帯に対しての相談ブースのようなものを設けていただいて、今後の生活の目途に対してきめ細やかな相談に乗っていただけたらと思います。そして、その中に母子生活支援施設では、ひとり親といいましても母子世帯に限りますけれども、その日からきちんと生活ができますから、避難したいと思っていらっしゃる方々に関しては積極的に活用できる社会資源として母子生活支援施設の機能も提供していただけたらと思います。その際には、市町村や県をまたいで広域入所の措置を積極的に推進していただきたいということをお願いしたいと思います。
 資料の確認ですけれども、先ほど課長からご説明いただきました資料2ページ、4の「要保護児童の受け入れについて」です。参考3のところの受入可能数の調査ですけれども、母子生活支援施設は907人となっています。これは世帯数ではないかと思いますので、そこのところの確認をお願いします。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは奥山委員、お願いします。後ほど、総括的に事務局からご回答いただきたいと思います。

○奥山委員
 ありがとうございます。いろいろな施設あるいは里親の状況を伺って、今回の災害は今までになかった災害だろうと思います。今までの災害で培って組み立ててきたシステムが、うまく働いていない部分があるように私自身には見えているのです。それが何かというと、県から県への依頼ですべてが動くとなっていたところが結構問題であった。今回は県がとても広くまたがっているということがあって、その中である意味これまでそういうシステムを持っていなかった家庭福祉課が、こうやって国が主体で支援していくということを行ってきたのは非常に有意義だったのではないのかと思います。場所によって何が起きているのかが違うのを県対県で行っていては困難であり、国がリードするという形は社会的養護に関しては引き続き採っていってほしいと思います。
 もう一つは、これからどうなるのかという予測を立てることが非常に重要ではないかと思っているのです。木ノ内委員さんたちが行ってくださったときには、まだ避難所に皆でいた時代だと思います。今は、場所によっては避難所が縮小して家や親戚の家などに行き始めているのですけれども、それも場所によってで、聞いた話ではありますけれども、避難所が保育園になっている。ボランティアさんが保育所をやっているという状況が見られるようになってきている。要するに、何が起きているかというと、家族・親戚中が皆忙しいわけです。そうすると、子どもはある意味放っておかれている状況になりつつあるのではないかと思います。ですから、この先何が起き、子どもがどうなっていくのだろうということを相当予測して動かないと、今回も震災孤児が残念ながら多くおられるのではないかということを予測して動いてくださったおかげでこれができていると思いますので、この先の予測も皆で知恵を出し合いながらやっていかなければいけないのではないかと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。では相澤委員、お願いいたします。

○相澤委員
 先を予測して動くという点では、例えば里親に孤児をお願いするということを考えておられるようですけれども、里親の認定の流れや認定の基準など、その実態に応じてどのようにそれを運用していくのかということについても国レベルで速やかに考えて、県に働きかけることも必要になってくるのではないかと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。他は、よろしいでしょうか。山縣委員、どうぞ。

○山縣委員
 短く2点です。委員の皆さま方の意見の中になかったもので1点、緊急対応としていろいろな職員を地方自治体から召集されたことについては評価しますが、地方自治体も今は職員不足で苦しんでいるはずなのです。その中でこれだけの協力をいただけるのは非常にありがたい話ですが、長期的には無理です。調査等については可能だけれども支援としては無理ではないかと思います。その辺の配慮、短期的な措置でもよいから、震災への特別の対応ができないのか。それは地方自治体でも退職者等をうまく活用しておられる地域があるようですから、そのような形で短期雇用的なものでもよいから、何か現地支援を実際の支援がある程度の期間できるような仕掛けをした方が良いのではないかというのが1点です。
 2点目は、私の里親さんに対する期待は非常に高いのですが、一方でこのようなもともと1人でやっておられるような仕組みに実際にはなっているわけです。里親自身への支援をしておかなければ。施設についてはいろいろな社会的な関心もあるし、行政もかかわりを持っていくだろうし、建物の損傷等についても一定の配慮がされるのではないかと思っているのですが、恐らく里親さんは家が壊れても全部自分でやるしかない仕掛けだと思います。その辺の里親自身の疲弊をサポートするような里親支援機関を今つくっておられますが、そこに対するメッセージをしっかり出していく必要があるのではないかというのが2点目です。以上です。

○柏女委員長
 奥山委員、どうぞ。

○奥山委員
 すみません。山縣委員のご意見を聞いて、一つ忘れていたことを思い出しました。今、壊滅的になっているのは、社会的養護の底辺の市町村部分が状態として一番悪い所が幾つかあると思います。ですから、国があって県もある程度、県ももちろん被災しているわけですけれども、その県の児童相談所なり何なりというところもあるのですけれども、一番は市町村の人的な被害がものすごい。例えばある市では保健師さんが相当数亡くなってしまって、今は保健師さんを募集中というような市もあると聞いています。その中で、地域のネットワークは割と強い所かもしれないと思いますけれども、どのようにそこに地域の方で1人でも2人でも残っている中心となる方をいかに支援してその地域の社会的養護としてのシステムをつくっていくかというのは非常に大きな問題だろうと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。本当に貴重なご意見をいただいたと思います。特にひとり親家庭の実態把握がどの程度なされているのだろうか。あるいは、ひとり親家庭、特に母子世帯に対しての相談ブース、ワンストップサービスを早めにつくるべきではないかといった貴重なご提言もいただきました。また、国がこうしてリードして社会的養護の把握を進めていただいていることを今後も続けてほしいということと、将来どのようになっていくのか。それも含めながら対策を考えていく必要があるという貴重なご意見もいただいています。また、里親関係も含めて要綱を弾力的に運用していくことも今後必要ではないかといったご意見。さらには、緊急雇用のようなものを用意して、人材として活用していくことも必要ではないかといったご意見も出ました。これらにつきまして、もし事務局の方で何かございましたら、ぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 いろいろご提言いただいて、そのとおりだと思っています。段階を追って震災への初期の対応、中期的な対応、長期的な対応になってくると思います。当面の対応は、まず避難所等を回って震災孤児を探し把握することになるわけです。それから、その次の親族への支援や里親への支援は中長期的に、ご指摘にあったように里親支援機関、親族里親あるいはそうではない親族も含めて支援していく枠組みをつくっていく必要があると思っております。短期的に取っ替え引っ替え人を送り込む体制は当座の体制でございまして、これは現地で専門家を確保してやっていくような、そこのところの体制づくりをしていく必要があるという話はしています。
 また、施設等に対しまして措置費や施設整備費などはできるだけ柔軟な対応をして、現地が少しでも余裕が出るようなことをしてまいりたいと思っています。
 資料の件でおたずねのありました母子生活支援施設の受入可能数につきましては、各施設から世帯数で上がってきたところは、母子でございますので掛ける2をしまして、それで合計をとりあえずした数字になっています。説明が足りず、すみません。児童相談所の関係は総務課から補足していただきます。

○杉上虐待防止対策室長
 若干、補足させていただきます。重複する部分もあるかと思います。まず、被災地以外の部分での児童相談所のかかわりというご質問がありました。今回のケースは広域的なことでございまして、また、町中が避難しているという状況にあります。被災地以外についてもできるだけ把握に努めて児童相談所のかかわりを持ってほしいと思っておりますし、既にその点についても被災地以外の県について通知しており、かかわりを持っていくことが必要と思います。
 親族に引き渡すのはよいのだけれども、長くなることもあるがどうか。これも同じでございます。我々としましては親族に渡すというのは良いことだと思っているのですが、預けっ放しということではなく、長く児童相談所がかかわりを持っていくことが必要だと思っております。それから、震災孤児にかかわらず、震災遺児やひとり親家庭についても同じように要保護状況にあることは十分認識しております。さらに、現地への派遣の支援について高橋課長から若干コメントがありましたが、当面の措置ということで岩手については既に行って帰ってきております。また、どのような支援がさらにできるのかについては、現地と調整した上でやっていきたいと思います。また、現地におきましては、例えば児童相談所OBの活用ということを今検討しておりますし、それ以外の方法があるのかないのか、厚生労働省においても十分考えていきたいと考えております。以上です。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。この問題は今後も継続して随時ご報告いただきながら議論をこの専門委員会でも進めていきたいと思います。スピード感が要求されると思いますので、個別に各委員に問い合わせ等が厚生労働省からあることもあるだろうし、また委員から厚生労働省に投げかけることもあるだろうと思います。随時、そうした形で緊密な連携を取りながら進めていただければと思います。この件につきましては以上としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 続きまして、2番目の議題に移りたいと思います。「社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し案について」ということでございます。事務局より資料の説明をお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 資料2-1の当面の見直し案の概要につきましてご説明したいと思います。児童福祉施設最低基準につきましては、人的配置の拡充でございますとか短期的課題や中長期的課題、大きな課題があるわけですが、まずは当面すぐにできる見直しはすぐにやろうということで、今回は現状の措置費あるいは施設の現状の建築状況を見ながら、できるものを見直そうという観点で取りまとめているものでございます。
 1ページ目の職員配置基準の関係でございますけれども、現在は措置費で加算職員を計上できるようになっておりますが、義務化されておりません。そのような意味で、全施設に配置可能になっているもので配置度が高いものにつきましては義務化することによりまして、まだ置かれていない施設には必ず置いてもらうということを進めたいということでございます。一つは家庭支援専門相談員・ファミリーソーシャルワーカーでございます。それから個別対応職員、心理療法担当職員、この3点でございます。
 それから(2)の「現行の措置費に含まれている直接職員で最低基準に明記されていないものを明記」ですが、これは実際上最低基準におかれていなくても実際に配置はされているわけでございますけれども、そこのところをはっきりと明記しておこうということでございます。例えば「乳児院」につきましては乳児についての基準、現在は乳児の1.7:1しか書いていないのですが、措置費上は1歳児、2歳児、3歳児それぞれの比率がありまして、実際はこれで配置がされているわけでありますので、その辺りも明記する。また、小規模施設への加配を最低基準上明記する。また、「母子生活支援施設」につきまして母子支援員及び少年指導員につきましての配置の数でございますとか、現在は各1人しか書かれておりませんけれども、そこのところを明記する。また、「児童養護施設」での小規模施設での加配でございますとか、乳児を置いた場合の看護師の配置、このようなものを規定しています。また、加算職員の配置の義務化につきましては、今回の省令の改正、6月目途になると思いますが交付して即施行しますと、人の確保などの観点でいろいろ支障もあろうかと思いますので、年度いっぱいの経過措置は設けていきたいと思っております。
 次のページは、施設の「設備基準関係」でございます。居室面積の下限の引上げでございます。乳児院につきましては、1人1.65?を2.47?に。畳1畳から1.5畳に。母子生活支援施設につきましては、1人概ね3.3?以上となっておりますが、世帯単位で1室単位で数えた方がわかりやすいということで、実際の住生活の基準は国民一般の住生活の基準というものがございまして、その居室面積の基準なども参考にしながら、1室30?以上と設定しています。また、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、自立援助ホームにつきましては、1人3.3?を4.95?に、畳2畳を3畳分にということでございます。この辺りも最低居住面積水準という国民一般の居住の最低のラインを参考にしながら設定したものでございます。
 ?は居室定員の上限を引下げるものでございまして、昭和23年の最低基準の制定以来変わっていなかったわけでございますが、児童養護施設では15人以下となっておりまして、あまりに大部屋すぎますので、これを4人以下にしたい。幼児の場合には、実際の分布を見ますと幼児部屋につきましては6人以下というのも現状ではかなりありますので、幼児については6人以下ということでございます。実際これは15人以下ということで、まさかそういうものはつくらないだろうと思うと、最近施設整備したところ、建物を建て替えるときに従来の部屋割りと同じような形で大きな部屋をつくる施設もごく一部ですが意外とありますので、最低基準の上限の引下げは急いでやった方が良いということでございます。
 ?は相談室の設置などが記載されておりませんでしたので、これを記載する。
 それから今回、各施設の運営の理念的な規定が最低基準にございます。実際の理念などはそれぞれの施設ごとの運営指針で今後さらに細かく書いていきたいと思っておりますけれども、最低限の表現の見直しを図っております。乳児院につきましては「乳幼児の心身及び社会性の健全な発達を促進し」という言葉。母子生活支援施設につきましては、「生活指導」という言葉を施設の名称が「生活支援施設」になりましたので「生活支援」に改める。また、施設の特色を端的に表す表現といたしまして「母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の再構築等及び退所後の生活の安定が図られるよう」という規定や表現を入れております。また、「授産場」という規定がありますが、実際に設置されておりませんので削除しています。児童養護施設につきましては、「養護」全体についての規定がございませんでした。今までは生活指導や学習指導などばらばらの規定でございましたので、養護全体につきまして「児童に対して安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、職業指導及び家庭環境の調整を行いつつ児童を養育する」という表現を入れています。また、学習指導、職業指導、生活指導につきましても「将来自立した生活を営むために必要な知識及び経験を得る」、あるいは「適性、能力等に応じた学習や職業選択」というような表現にしています。情緒障害児短期治療施設につきましても、保護者との関係ですとか表現を見直しています。
 また、最低基準につきましては全体の「総則」部分がございまして、ここのところも表現の修正を図っております。設備構造の運営の一般原則はあるのですが、運営自体の一般原則はございませんでしたので、その辺り人権と人格の尊重ですとか、地域との交流連携、保護者等への説明、施設の自己評価、このような言葉を入れています。施設職員の一般要件の規定として「人間性と倫理観」。当たり前の表現ですけれども、保育所保育指針のような既存のもの、あるいは各施設団体の倫理規定からも拾っております。「衛生管理の規定」で、従来は入浴回数を1週間に2回以上という非常に古い規定がそのままになっていましたので、このようなものを希望等を勘案して清潔が確保できるようにと直しております。「食事の規定」につきましては、食育という新しい概念も入れ込んでおります。
 このような形で入れておりまして、後ろは参考資料として表に整理しております。資料2-2はこれを条文に落としたものでございます。これまで各委員にご協議いただきまして整理させていただきました。資料2-3はその関係の参考資料でございます。資料の説明は、以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。この最低基準の当面の見直し案につきましては、先ほど申し上げました社会的養護の課題検討委員会で十分議論をし、また施設種別関係あるいは里親の団体等からもご意見をいただきながら修正作業を進めてまいりました。できれば今日の専門委員会で内容をご承認いただければと考えております。何かございましたら、ご質問・ご意見をお願いしたいと思います。藤野委員、今田委員、大塩委員の順でお願いします。

○藤野委員
 この最低基準の改正について当面できることということでは、現状より下がらないようにするという意味で、非常にきちんと入れていただいたと思っております。ただ、この前の課題検討委員会でも小宮山副大臣が、最低基準については3:1にするということを記者発表もされ、一部の新聞では既に「このたび最低基準が3:1に変わった」と言われるくらいで、私たちも今も期待しております。そこのところは次の今後の最重要課題というところかと思いますけれども、それこそ今の震災孤児がたくさん出るであろうとか今の施設の現状等を見ますと、特に地方分権の流れの中で、今後のことを考えますとそこの抜本的な底上げ、あまりにも低い状況を底上げすることが今後の課題だろうと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。当面できることとしては本当にきちんとやっていただいたと思っております。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。では今田委員、お願いいたします。

○今田委員
 ありがとうございます。乳児院もいろいろな努力をいただいたことは本当にありがたく思っております。今まで人的な配置についてどうしてもこだわらざるを得ないことがあるのは、先ほど申し上げたような震災時の対応についても、とても子どもの安心・安全を守る状況では現在のところないというところがございます。従って、どの程度にすればある程度万全とはいえないまでもいけるかということになってきますと、今の状況を考えてみると、夜間7人ぐらいを1人でということであれば、ある程度通常ではまかなえるということになってきます。いろいろ計算していきますとどうしても1:1という線が出てきてしまうということであります。ご承知のように、0歳児の子どもの場合には突然死の問題もあります。日本人の死因の0歳のところを見ますと、3番目が突然死であります。つまり、生まれたときのストレス、障害・奇形等を除くとトップが突然死ということになってきます。しかも、そのハイリスクを見ますと、これは当然のことながら乳児院にいる子どもたちに高い傾向があります。例えば母乳で育てる子どもは少ないのですが、乳児院で母乳はとてもかないません。乳児院でできることは、頻回の見回りとうつぶせ寝を防ぐくらいしか方法がないのです。厚生労働省のホームページを見ましても、保育所でも0歳児が死亡のほとんどを占めています。1年間のうち12人亡くなっているのですが、そのうち5名はSIDS、突然死ないし突然死の疑いとなっております。そうなってきますと夜間に多い、あるいは早朝に多いということに鑑みますと、どうしても先ほどの話に戻っていってしまう。15~10分間隔の見回りということになってきますと、11人を1人で見ている状況でとてもそのようなことは物理的にも不可能であります。従って、ぜひ子どもの安心・安全を守るということから言いますと、これは1:1が最低の基準。文字どおり最低基準になるのだろうと解釈しております。どうしても個別対応職員のことに触れざるを得ませんが、乳児院そのものはご承知のように定員20人以下というのが120数施設のうちの50施設と、大多数でございます。従って、定員で割り振るという条件を付けることになってきますと、乳児院は不利といいますか、どうしてもそういうことが出てまいりますので、そういった要件を見直していただきたいということはどうしても出てくるところです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。では大塩委員、お願いいたします。

○大塩委員
 失礼いたします。今回、児童福祉法の最低基準の見直しということで、新たな予算措置を伴わないものについてスピードアップして最低基準を底上げする、というところでは最大限努力していただいたと思っております。しかしながら、いつも申し上げているのですけれども、母子生活支援施設は入所の仕組みが市町村の福祉事務所が窓口であり、運営費の面でも国が2分の1、県が4分の1、そして市町村が4分の1ということになっております。入所の窓口が市町村の福祉事務所で、運営費も4分の1は市町村が負担するということにより、各市町村の財政状況や、母子生活支援施設への理解度により職員配置などの施設間格差が非常に開いております。そのことで今回の母子生活支援施設の職員の配置基準の底上げにはならなかったということが非常に残念です。
 先ほど課長からご説明いただきましたけれども、資料の4ページの母子生活支援施設の欄をご覧いただきたいと思います。「母子指導員の20世帯未満1人、20世帯以上2人の配置、少年指導員の20世帯未満1人、20世帯以上2人の配置」と明記していただきました。このことは画期的なことだと思います。しかしながら、これは20世帯の母子生活支援施設では、最低基準では施設長と母子指導員2人と少年指導員2人と調理員の6人しか配置されないということです。20世帯で大体50人前後の母子が入所しておりますから、それを6人で支援するということは夜間管理もできない最低基準がそのまま残っているのが現状です。居室面積やさまざまなところでは非常にご努力いただいて底上げしていただきましたけれども、一番の願いであった職員配置に関してはほとんど変わらなかったということが非常に残念です。次の課題でもあります長期的な展望の中では、ぜひ夜間管理もきちんとできて家族支援ができるような職員配置にしていただきたいというお願いです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。では続いて吉田委員、お願いいたします。

○吉田委員
 施設最低基準の見直しという点で、従来は最低基準に入っていなかったものが、この基準の中に盛り込まれた意味はとても大きいと思います。地域主権の絡みで、やはり従うべき基準ということでこのような形で整備されて、しかも自治体に対してある程度の縛りを掛けることによって、自治体間の格差が少しでも減るだろうということで私はとても評価したいと思います。ただ、今後のことを考えると、今、大島委員がおっしゃったように、この次が大事になってくるだろうと思います。この辺りはまた後で今後の検討課題というところで具体的にどのような段階を踏んで、実際の配置基準等が変わっていくのかを我々も含めて検討しなければいけないと思っております。
 これとの関連で、施設最低基準と児童相談所の一時保護所の関係です。児童相談所の一時保護所は、確か養護施設の基準に準じてということで、この辺りが果たしてどうなっていくのか。これも当然含まれるのではないかと思いますけれども、この点についてお教えいただければと思います。

○柏女委員長
 これもまた最後に事務局からご意見をいただくことにして、西澤委員、お願いいたします。

○西澤委員
 今回の改正に関して皆さま評価されていてというか、藤野委員がもっと吠えるのではないか、なぜこんなにおとなしいのだろうと思っているのですが、問題点の指摘は皆さまのおっしゃるとおりだと思います。もちろん評価はしますけれども、実際にこれでやると、子どもとケアワーカーや心理職員・ファミリーソーシャルワーカーを含めて全国平均はどれぐらいの比率になるのかを算定してみて、やはり小宮山副大臣がぶち上げた1:3で2倍化するということがどこまで達成できて、どこまで達成できていないのかということも、やはりもう少し市民に明らかにしていかなければいけないのではないかと思います。
 もう1点気になっているのは、お金に全然関係ないことですけれども「児童養護施設における養護全体の規定を設け」という部分です。私が不勉強で申し訳ないのですが、これは理念的なものですよね。ということは、規則の原理といいますか哲学の部分で、そこで「指導」という言葉をまだ残すのか。児童に対して安定した生活環境を整えるというのは非常に上から目線ですよね。そもそも私は「児童」という言葉も駄目だと思っているのですけれども法律用語なので仕方がないとしたら、例えば「児童が安心した生活を実感できるよう、安定した生活環境を整える」などと、もう少しこの文言をきちんと考えないと、やはりこのように出しましたでは済まないのではないか。生活指導ではなく「支援」だと思います。学習も「指導」ではなく「支援」だと思います。指導しようと思うから、その先に殴るという行為が起こってくるわけです。ある意味で名は行動を整えるというか、指導をやろうとするからいろいろな問題も起こってくると考えると、やはり今のソーシャルワークの基本原則は「支援」だと思います。ですから、そういった面で、少しここのところは考えていただけないかと思いました。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。では山縣委員、お願いいたします。

○山縣委員
 3のところでやった方が良いのかもしれないのですが、「当面の」ということで私は言って、当面のものとしてこれは是だという前提になりますけれども、今後のことを考えたときに、既に複数の委員から出ていますが、養護施設が代表的ですけれども、今は年齢による配置しか示していないのです。やはり時間による配置は細かくなりすぎるのだろうかどうか。例えば夜間の問題です。というのは、学生などに最低基準を読ませたときに「乳児院には職員がたくさんいるのですね。2弱いるのですか」と言います。8時間労働を原則に考えたら単純にいえば3番だということを説明しなければなかなか通じないのです。そのことが恐らくこのやり方である限り、ずっと誤解されたままになる。24時間フルにこの人数がいるというイメージでどうしても伝わってしまう。そこをどうにかしなければ、正直なところ、むしろぜいたくだと一部の人たちは思っている。やはり乳児院がぜいたくだと一番よく出てくるのです。そんなことはないのです。8時間で考えたら大変だということをいちいち説明しなければならない私たちのもどかしさ。そこがどうにかならないかということが1点です。
 もう一つは、児童自立支援施設に関してです。ずっと歴史的にこだわってきた小舎制と夫婦制。特に夫婦制がほとんど崩れつつあるという前提で、どうも今の考え方は未だに夫婦制を想定したような配置なり労働体系になっているのではないかと。私は専門ではないのでわからないのですけれども、そのような気がします。交代制を考えたときに、この配置で大丈夫なのだろうかと。その辺がひょっとしたら児童自立支援施設や児童相談所で使いにくい理由になっているのか。あるいは公立であるということがそもそも使いにくい理由なのか。よくわかりませんけれども、児童自立支援施設に対する部分が十分に説明しきれていない、わかりづらい部分があります。ここも3のところで主になると思いますけれども議論いただけたらと思っております。
 最後に、これは単純な質問ですが、先ほど吉田委員からもありましたけれども、仮に今は少し中断していますけれども、最低基準は都道府県の原則にするとなったときに、この児童福祉施設最低基準というのは全体が従うべき基準になるのか。職員配置や面積などは従うべき基準ですけれども、理念や一部のところは参酌すべき基準で緩められるのか。一括でこれはいくのか分断されるのかというのが私は理解できないので、それを単純に教えてほしいということです。以上です。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。今、幾つかご質問等がありますので、それらを含めて事務局からご説明いただければと思いますが、よろしいでしょうか。今田委員、どうぞ。

○今田委員
 今、山縣委員からご指摘いただいた件で言い忘れたのですが、時間的なことも一つなのですが年齢要因も、乳児院の場合に2歳以上になってきますと、もちろん配置基準が変わってくるのですが、現状の乳児院の年齢の高い子どもを見てみますと、やはりその半数以上が何らかの障害を持っている。つまり、次のステップがないからいるという形になってきますので、つまり2歳を過ぎたから手がかからなくなるということにはならないのです。従って、今ご指摘いただきました時間と現在いる子どもたちの実情を併せた形での現実があります。そういった形の人的配置もやはり見ていただきたいということが追加です。ありがとうございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。要望・ご意見も踏まえていただきながら、幾つか質問がありましたので、それについてご回答いただければと思います。繰り返しませんけれども、よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 幾つかいただきました。まず、乳児院の個別対応職員20人以下は義務付けの対象と今回はできなかったのですけれども、これは現状の予算上の措置で全施設配置分の予算計上をしていなかったので、まずは今の予算の範囲内で書ける範囲を今回は書くということで、このようになっております。20人以下の所につきましても、今の予算上の対象児童が8人以上いる場合には個別対応職員の措置費が出る仕組みですが、全施設の予算の充実ということにつきましては、ぜひまた次回の予算も努力してまいりたいと思っております。
 全般に今回の最低基準の人員配置の部分ですが、人員配置は今の予算上ある範囲での規定ですので、そういう意味でこれで足りるかと言われると圧倒的に足りないということです。ここのところの引上げにつきましては、今後の課題としてぜひ検討していかなければいけないと思っておりまして、今回のさまざまな検討は3段ロケットと言っておりますけれども、まず第1段はできることはすぐにやるという部分です。また、第2段の部分として来年度の概算要求など比較的短期に次のステップでできることを考える。3段ロケットの3段目と言っておりますのは、子ども子育て全体では「子ども・子育て新システム」の議論をしております。このような中で併せて社会的養護の充実という点も、そういう意味でできるだけステップを踏みながら順次やっていきたいと思っております。
 それから、一時保護所につきましてのご質問をいただきました。ご指摘のように、児童相談所の一時保護所につきましては児童養護施設の基準を準用することとなっております。今回も児童養護施設の基準が変更しても、そのまま準用した状態を維持したいと思っておりまして、実質的にその部分が引上がるわけです。一時保護所は児童相談所に附設されておりまして、児童相談所の設備や職員で賄いながらやっているような状況もありますけれども、そのような中での対応をしてまいりたいと思っております。
 規定の中で未だに「指導」という言葉なのかということ。これは今まで半年間議論している中で出ていた残された議論かもしれませんけれども、どうしても児童福祉法上、法律の規定が「児童」という言葉であったり、「指導」という言葉であったり、児童養護施設などの「養護」という言葉であったり、その基本ワーディングは省令ですので法律のワーディングで書かざるを得ない部分でこのような表現を採っておりますが、今後はこれをさらに具体化する施設ごとの運営指針を作る作業にすぐに入っていきたいと思っております。施設ごとの運営指針の中では、言葉や理念や考え方のところは、ぜひとも深めた表現にしていきたいと思っておりますので、いろいろとご指摘いただきたいと思っております。
 また、今の人員配置はどうしても施設での配置の6:1という表現も交代制で早番・遅番、土日もありますから、実際には3倍に薄まるわけで、6:1というのは大体大人1人で子ども18人ぐらいの配置になってしまっているということです。そこのところをいちいち説明しなければいけないのがもどかしいというのは、そのとおりだとは思っております。現状の規定や予算などはそのようになっておりますが、そこのところは説明をわかりやすくしていく工夫もしっかりとやっていかなければいけないと思っております。
 それから、母子生活支援施設につきまして、この配置ではいろいろな支援ができないと。まさに本当におっしゃるとおりで、今の配置ですと支援員が母子の支援のために施設を空けると空っぽになってしまうなど、そのようなさまざまな支援をするための配置になっていないというご指摘をいただいております。今後の課題として、とりあえず現状は第1段ロケットですが、2段目、3段目のところでどこまでしっかりとできるかを一生懸命に考えていきたいと今は思っております。
 それから、地方分権との関係ですけれども、地方分権の法律はまだ国会に上程されておりますけれども、これが施行された場合には、最低基準は地方自治体の条例で定めていただくことになるわけです。このうちの人員配置や面積基準のような部分につきましては国で準則を作りまして、その数字のとおりにしていただけるように、いわゆる従うべき基準という整理です。それ以外の理念的なものや考え方も参酌基準ということにはなりますけれども、実際上は条例準則を示して、それよりもより良いことを書く自治体は多分あるかと思いますけれども、それより下回ることは実際上あまりされないのではないかと思っておりますが、規定上は人員や面積のところは従うべきという整理でやっていきたいと思っております。

○柏女委員長
 ありがとうございました。今の説明でよろしいでしょうか。それでは、この最低基準の当面の見直し案ですが、将来に向けて、次のステップに向けてのご意見はたくさんいただきましたけれども、当面の見直し案については概ねご了承いただいたということでよろしいでしょうか。西澤委員が少し苦虫を噛み潰したような感じですけれど。

○西澤委員
 最初から結果が見えていたような。

○柏女委員長
 ありがとうございます。次のステップにぜひ生かしていきたいと思います。こうして文章化することによって、それこそ「指導」という言葉も長年懸案になりながら乗り越えられないできた文言の一つですけれども、こうした大きな課題がより明確になったと思います。今日の議論も踏まえまして、厚生労働省で省令改正の手続に入っていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
 続いて、3番目の議題に入りたいと思います。今までも既にこの第3の課題に関連してご意見が出されておりましたけれども、この「社会的養護の課題と将来像について」の議論に入っていきたいと思います。事務局から資料の説明をお願いします。また、資料3の他、参考資料5~8についても必要に応じて説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 資料3です。この資料は1月、2月に課題検討委員会を2回開催しましたけれども、1回目のときに各委員からプレゼンテーションいただいて、その中からエッセンスを取り出して2回目でご議論いただいたものです。すべてのページに「未定稿」と書いてありますように、今後引き続き議論して詰めていきたいと思っておりますし、この社会的養護専門委員会でもまたあらためてご議論いただきたいと思っております。
 表紙をおめくりいただきまして、社会的養護についてということですけれども、やはり保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任でしっかりと社会で養育していく。このような基本が大事だと思っております。
 次の2ページにありますように、要保護児童・要支援児童の対策の全体像につきましては、上の方の部分に市町村の丸い輪が書いてありますが、市町村行政の中でさまざまな社会資源を連動させながら、市町村の子育て支援事業の中で「要支援児童」という法律の用語がありますけれども、やはり市町村の虐待防止ネットワークや子育て支援の中で家庭を支えて支援していく。その一方で、下の方ですけれども家庭で養育できない、何か不適切な場合に家庭と離して施設で養護する。あるいは家庭的な環境である里親などで養護する。このような枠組みがあるわけです。施設の養護、家庭的養護とそれぞれ連動しながらやっていく。全体的に上の方が市町村行政で、下の方が都道府県行政ということですが、連携しながらやっていく必要があるということです。
 次のページの「児童養護施設」につきましては、かねてからいわれておりますように施設規模が大きい、あるいはケア単位が大きいという課題です。将来的にはすべての施設を小規模グループケアにするような、できるだけ家庭的な養育ができるような単位にしていくということで、本体施設自体は小規模化し、一方で高機能化し、小規模グループケアにしていく。その上で、施設が地域支援をしていくということで施設の機能を地域分散化して、ファミリーホームや里親を支援していく。そのためにも施設の職員の充実やケアの質の向上などを図っていく必要があるということです。
 次のページの「参考1」のところにありますように、家庭的養護の推進ということで施設の小規模化、ファミリーホームや里親の推進などです。
 その次のページの5ページにつきましては、児童養護施設の形態の現状ということで、7割の施設が大舎制です。定員が100人を超えるような大規模施設もありまして、この辺りが課題だということです。
 次の6ページは「乳児院」の課題ということです。乳児院につきましては先ほど今田委員からありましたように、言葉で意思表示もできない、一人では生活できない乳幼児の命を守って発達を保障するという大事な使命です。被虐待児・病虚弱児・障害児等への対応がしっかりとできる専門的養育機能を持つということです。中ほどの「課題」のところにありますが、被虐待児・病虚弱児・障害など医療や療育が必要な子どもが増えている。また、かかわりの難しい子ども、かかわりの難しい保護者を含む支援を必要とする家族が増えているという課題があります。そういう意味で、将来像としましては養育のベースとしまして医療・養育的な機能、医療機関の連携も含めて、また虐待等で心が傷ついた乳幼児の治療的な機能や子育て支援、親子の再統合後の支援、あるいは里親支援といったことについての機能の評価が重要だということです。
 次のページは「情緒障害児短期治療施設」です。虐待経験の影響などで心理的な不調をきたしているなどの情緒行動上の問題を持つ子どもに対して比較的に短期間で平均在園期間は2年4か月ですけれども、家庭復帰や里親、児童養護施設などの療育につないでいくような役割です。
 「今後の課題」にありますように、情緒障害児短期治療施設の設置推進がやはり大事で、施設がない地域につきましては人員配置が十分でない児童養護施設で対応せざるを得ないということです。各都道府県や政令市に最低1か所の設置、多い地域では複数設置ということを推進していく必要がある。短期入所によるレスパイトやアセスメント、このような社会的養護の施設、里親等の全体の中でのそのような短期的機能のそのような活用の仕方が大事ということです。また、外来機能の充実ということです。
 かねてから情緒障害児短期治療施設の名称問題がありまして、情緒障害児という名称は嫌がられるということで、何かよい名称が必要という議論がありまして、関係者の間でもご議論いただいているところです。
 次のページの「児童自立支援施設」です。子どもの行動上の問題、特に非行問題を中心に対応する施設でしたけれども、平成9年の児童福祉法改正で家庭環境その他の環境上の理由により、生活指導を要する児童も対象に加えましてやっているわけですが、非行ケースへの対応はもとより、他の施設では処遇が難しいような子どものへ対応という役割も増してきているわけです。小舎夫婦制の伝統があるわけですが、主に交代制ということが増えてきておりまして、その中での対応力の充実が必要になってくる。被虐待経験や発達障害・行為障害などのさまざまなケアの難しい対応への充実が必要ということです。平成18年に「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」で報告書をまとめております。そこでもさまざまな課題が掲げられておりまして、そのような取組が必要ということです。
 次のページが「母子生活支援施設」です。当初は母子寮という名称でしたので、生活に困窮する母子家庭に住む場所を提供するということでしたが、近年の役割は入所者の自立促進と生活支援ということで名称も変わっておりますが、実際の利用につきましてはDVの被害者あるいは虐待を受けた子どもが半数を占めておりまして、その意味で社会的養護の施設の中で母子が一緒に生活をしながら共に支援を受けられる。このような特性を生かしながら機能強化が必要ということです。母親に対する支援として生活支援、子育て支援、就労支援などの総合的な支援をしていく。また、子どもに対する支援、母子支援、それから地域の母子に対する支援も重要です。下の方に書いてありますように、先ほど大塩委員から指摘がありましたように、施設間での取組の差が非常に大きい施設類型です。DV被害者中心の受入れをしてさまざまな支援を展開する施設がある一方、比較的従来型の部屋貸し的な機能にとどまっている施設もあります。そこのところを、基本はすべての施設が支援型の施設になっていけることが課題かと思っております。
 次は「自立援助ホーム」の課題と将来像です。自立援助ホームは近年かなり急速に数が増えております。「子ども・子育てビジョン」でも平成26年度は160か所を整備ということで、去年10月現在で73か所となっております。今後の課題としては、20歳に達してもなかなか自立生活が難しい子どもへのアフターケア支援などがあります。自立援助ホームは非常にホームごとにさまざまな個性を持ちながら実践の取組みをしておりまして、その特色を生かしていくことだろうと思っております。一方で、児童養護施設の小規模化や自立支援の取組をしっかりとやっていく中で、自立援助ホームとの関係も変わっていくのではないかと思っております。
 次のページは「里親」の推進です。養育里親、専門里親、養子縁組希望里親、親族里親の四つの類型の特色を生かしながら推進していくわけですけれども、やはり里親を推進するためには里親の支援をする里親支援機関の充実が大事です。都道府県が里親支援を行うということを平成20年改正で位置付けまして、その委託ができる。委託先には守秘義務の規定を設けて、委託しやすいような法律の規定も設けたわけです。里親支援事業は今年度から全都道府県および政令市で実施することになっているわけですが、実際の取組の内容をしっかりとしていくことがこれからは大事だと思います。また、里親会あるいは児童家庭支援センター辺りの専門家のいる施設による里親支援。また、児童養護施設や乳児院などからの里親支援。さまざまな方面からの支援で里親が孤立しないような取組が重要ではないかと思っております。
 次の12ページは「ファミリーホーム」です。このファミリーホームも平成21年度に創設された事業で、里親が大きくなったものということです。そういう意味で、軸足は里親に置きながらファミリーホームはファミリーホームなりの課題もあります。そこのところがしっかりとできるようなことをやっていく必要があると思っております。子ども・子育てビジョンでは140か所を整備するとなっておりますが、これは今後さらに増やす必要がある分野だろうと思っております。現状は里親の中で比較的大きなものが移行してきて104か所となっておりますけれども、今後はこのようなものに加えまして、児童養護施設の職員が独立して開設するなど、今は児童養護施設がグループホームをつくることをやっておりますけれども、グループホームをさらに前に進めまして、ファミリーホームの開設を支援するというタイプを増やしていく必要があるのではないかと思っております。いずれにしましても、特色としては個人の養育者の家でやるというコンセプトでありますので、そこのところの軸足を里親に置いておきながら、養育者の研修や里親と同様に取組が孤立化しないような支援体制というような構築が必要ではないかと思っております。
 次が「児童家庭支援センター」でございますが、児童家庭支援センターにつきましては児童相談所の機能を補助するような役割で制度がスタートしてきております。同じように市町村の役割も高めていく中で、さらに今後は児童家庭支援センターの数を増やしながら、地域支援の機能を充実させていく必要があると思っております。そのような意味で、今回は実施要綱の改正もいたしまして、里親支援機能を明記いたしました。児童家庭支援センターのケースワーカーや心理士の専門職が配置しておりますので、そういう拠点として里親支援を図っていくような拠点になるのではないかと思っております。
 次の14ページでございますが、「施設の運営の質の向上」という課題でございます。社会的養護の施設につきましては施設ごとに古い本があったりもしていますが、乳児院などは比較的新しく運営指針のような冊子を作ってきております。各施設ごとにそういう取組みもこれまでに行われておりますが、行政的にしっかりと位置付けた運営指針は今までありません。保育所には保育所保育指針がありますけれども、この分野にはありませんので、まずそこのところを作る作業を今年度内にやっていきたいと思っております。また、児童養護施設につきましては、ケアの標準をつくろうという作業を平成22年度でケア内容の検討会をやっておりまして、そこでたたき台のさらにたたき台のようなものを作る作業をしておりますが、今年度はその検討ワーキングを設置して、そういうものを作っていきたいと思っております。このようなものは順次作っていく必要があると思っていますが、そういう中で各施設の中で自己点検あるいは第三者評価ということでの質を高めていく必要があると思っております。
 次のページでございますが「施設職員の専門性の向上」ということでございます。少ししか書いていないのですが、この分野につきましては基幹的職員の配置もしましたが、職員研修システムの構築という具体的なことはあまり記載しておりませんが、今後はこの辺りの充実が必要だと思っています。
 16ページは「自立支援の充実」ということでございまして、社会的養護で育った子どもたちが、自立して社会の共通の平等なスタートラインに立っていけるようにということで、自立生活能力を高めるような養育を児童養護施設自体がしっかりとしていく必要がある。また、自立のための支度費が少ないという話がありまして、これの引き上げや民間の奨学金の活用、措置延長で18歳から20歳までの延長制度がありますけれども、制度はあるのですがあまり使われていないという現状もありますので、これを積極的に使っていく。あるいは自立援助ホームですとか、そのようなことでの自立支援の充実が必要です。
 次のページは「施設類型間のネットワーク」を論点として掲げています。これはかねてから施設類型の見直しというような議論でもありますが、その中で重要なのは施設が地域の中で相互に連携して全体としての充実を図ることが大事ではないかということを論点として書いております。児童自立援助ホームや情緒障害児短期治療施設は広域的には設置されておりますが、児童養護施設や里親での問題を抱えた子どもを一時的にケアする機能もあるわけでございます。
 18ページに簡単な図にしてありますけれども、情緒障害児短期治療施設や児童自立支援施設は都道府県単位の広域的な施設として、比較的短期間での治療や生活指導を行うような施設です。また、真ん中の児童養護施設・乳児院・母子生活支援施設は広域の単位で、家庭的な部分で担えないような分を担うような施設です。また、家庭的養護ですとファミリーホームや里親。これは各地域で展開していくようなもので概念的イメージ図でございます。この数字は子ども・子育てビジョンの数字でございますので、ご参考にということでございます。
 次は19ページでございますけれども、社会的養護の高度化については、計画的な推進という手法も一つ必要ではないかという点でございます。基本的にはすべての施設の底上げが必要でございますけれども、その中の一つの手法としては、施設の方で計画を立案して高度化する。そのような場合にはさまざまな行政上の支援もするというのも一つのアプローチではないかと思っております。今回は小規模ケアの予算の適用の仕方につきましても、施設の方で施設機能の地域分散化や施設全体の小規模化、ファミリーホームをつくっていく等の計画を立てていただいたところには、小規模ケアの数を優先的に配分するようなこともやりましたけれども、そういう手法も一つ誘導的な施策としては、一生懸命努力した施設に厚くということもあろうかと思っております。
 次の20ページは、人員配置の課題でございます。児童養護施設の6:1を3:1へというような改善提案をいただいております。6:1という勤務ではその3倍に薄まりますので1人の職員で15人とか18人の子どもを見なければいけないということで、現状の労働基準法ぎりぎりのところでやっておられるわけでありまして、労働基準法を遵守できるような職員配置というご指摘もさまざまいただいております。各施設類型ごとにご提案いただいておりまして、これをどのように実施していくのかが課題だろうと思っております。
 次のページは同じく「加算職員の配置」ですが、里親支援や自立支援など、そういう加算職員も必要だというご提案をいただいております。
 次の22ページは、社会的養護の整備量のイメージ図でございます。全体の児童数は今後、少子化で子どもの数が減ってくるわけでありますけれども、そのような中で里親委託率を当面16%という目標がありますが、欧米では3~7割ですから、さらに引き上げていく。そういう中で、施設は高度化していきながら、里親やファミリーホームなどは相当増やしていくようなイメージも必要ではないかと思っております。
 参考資料の方ですけれども、資料5は今までも何度も出ている資料でございますが、この中で1点。資料5の6ページにタイムスタディ調査があります。昨年一昨年その前からずっとやってきておりまして、その中でこの資料は今までのデータを再集計し直した見せ方を変えた資料でございますけれども、前回去年5月の時点の集計の仕方では、情緒・行動上の特徴の難しい子どもであるほど職員の手間がかかるということがきれいに出ておりませんでしたけれども、集計の仕方を変えまして、なるほど難しい子どもほど手間がかかるなということが出るような集計として入れております。
 資料6は4月実施の実施要綱改正の概要でございます。小規模グループケアにつきましては原則6人でございますところを6~8人とする定員要件の弾力化。グループ数要件は1施設3グループまでのところを6グループまでできるようにする。毎年度指定するというのを一度指定すればよいように改める。報告書も書類も簡素化するなど、やりやすいように推進しやすいようにさまざま要綱を見直しました。それから、地域小規模児童養護施設につきましても同様でございます。
 裏面の2ページでございますけれども、自立援助ホームやファミリーホームにつきましては、特に自立援助ホームにつきましては措置費が現員払いになっておりまして、これが非常に児童数の変動が大きいために運営上の不安定になっているというご要望を大変強くいただきましたので、これにつきましては定員に基づいて算定するような方式に今年度4月から実施要綱改正をいたしました。ファミリーホームにつきましても、設立当初しばらくは人数どおり入らないから運営がつらいということも伺いまして当面、設置新設後6か月間は定員払いということに改めております。それから、児童家庭支援センターにおける里親支援の位置付け。それから、里親支援機関につきましても里親会や児童家庭支援センター、施設の利用等につきましての規定を明記しております。里親制度運営要綱につきましては、里親の要件ですとか手続きをわかりやすく整理いたしまして、里親委託ガイドラインなどを作りました。
 資料7が「里親委託ガイドライン」でございます。今回のガイドラインの特色は里親優先の原則、保護者の理解、親族里親の活用、新生児の養子縁組を前提とした里親などの点につきましてガイドラインに明記いたしまして、各児童相談所の職員に積極的に里親推進を図っていただけるようなガイドラインとしたものでございます。
 その他、資料8につきましては国連の代替的養護の指針でございます。これにつきましては日本語訳を作るというのが課題になっておりまして、この辺りが家庭福祉課仮訳としておりますので、参考にしていただければと思っております。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。大部の資料について簡潔にご説明いただきました。時間が今11時40分ですので、若干時間が押しておりますけれども、委員の皆さま方のご了解を得られれば10~15分ほど時間を延長させていただきたいと思います。
 どこからでもご意見を頂戴できればと思います。奥山委員、西澤委員、藤野委員。まず、奥山委員お願いします。

○奥山委員
 ありがとうございました。大体の構想をお聞かせいただいたと思いますが、非常に心配をしているところは、今の施設体系の中で中間ケアがどれぐらいうまくいくのかというところです。本当に分離しないと危険という状況の方々を、何とかケアしようとすることで手いっぱいというのはわかるのですけれども、その方々を少なくする意味でも中間ケアが必要です。今は児童家庭支援センターのようなところだけしかないといってもよいのかもしれないのですが、もう少し中間ケアがないと、今は「再虐待」という言葉すら出てきている状態で、ケアをしてうまく良い形で返すというところもできていないわけです。そのような意味の中間ケアをこの構想の中で位置づけると、すべての施設がそれを担うと考えられるような図に見えてしまう。それで本当に大丈夫なのですかというのが疑問の一つです。
 二つ目の疑問は、先ほど西澤委員が言葉の問題をおっしゃったのですが、私も常に引っ掛かっている言葉が「病虚弱」。これは何なのかというのが全然わからないのです。言葉の問題もあるのですが、一体何を示しているのかというのが一つで、乳児院の方には書いてあるのですが、実は資料5の7ページを見れば、児童養護施設でも障害や慢性疾患の子どもはどんどん増えているわけです。その対策については一切触れられていない。これは乳児院だけではなくて当然養護施設も増えていきますし、嘗てあった虚弱児施設がなくなったこともあり、現在は例えば透析をしていて要保護の方。それから糖尿病で注射をしなければならない要保護の子どもを預ける施設を探すのはとても大変です。その「病虚弱」という言葉に関してですが、虐待を受けた子どもは全然別問題というように扱っているのですが、こちらから考えればChildren with Special Health Care Needs(CSHCN)(特別な健康のケアを受けるニードのある子ども達)として一つの箱に入るべきものだと思います。そういうニーズがある子どもに対してどうしていくのかというのが、明確ではありません。少しだけ乳児院のところに書かれていますで終わっているので、これは全体の問題ではないかと思っていて、そこに対するケアをどうしていくのかということも非常に重要な問題ではないかと思っています。とりあえず、その二つです。

○柏女委員長
 ありがとうございます。とても大切なご指摘です。今後、考えていかなければいけない問題で、ここだけでやれるのか。あるいは今、障害児福祉の見直しも考えられていますけれども、そことも連携をしなければならない問題が出てくるのではないかと思います。ありがとうございました。
 西澤委員から、ずっとこちら側を順番に。それから、こちらに戻って恐らく全員にご発言いただくのではないかと思います。時間は手短にお願いできればと思います。

○西澤委員
 手短にということなので早口で話そうと思います。いろいろな問題を感じているのですけれども、まず施設に関して、いつかの委員会のときに、課長がどなたか忘れましたけれども、小規模化すれば子どもに対して効果があるというエビデンスを出せばよいのかと私が聞いたら、答えは得られなかったのですが、得られないからやろうと思って東京都と協働で、小規模棟になっている施設の子どもたちの状況と大規模の所を比べてみたら、小規模の方が子どもたちは随分良いのです。一方で職員のメンタルヘルスも取っているのですが、まだ分析中ですが、それも良いのです。それから、小規模の方が子どもに対してかかわる時間が増えます。これもデータが出ました。このような大規模なタイムスタディをやらなくても私個人でもできました。これは少し皮肉です。そういうことから小規模になれば良いということが明らかになってきているのだけれども、一方で今の状況を見ると、なぜ大舎が75%なのか。あるいは地域小規模を持っているパーセンテージがこんなに少ないのかということを厚生労働省としてどう考えるのかということです。現場からいえば、要は小舎制にするとか地域小規模を持つことが職員の配置数によって無理だからです。職員が疲弊して倒れていくので、小規模を閉じている所もあります。その辺の問題を明らかにしていって、市民にも示していきながら、小規模の方が効果があって、それをできない現実をどうするのかという論点をきちんと提示しなければいけないと思います。
 もう一つは、この間いろいろ起こっている子ども間の施設内における課題、子ども間暴力。特に一番深刻なのは、ほとんどどの施設でもあるであろう「子ども間の性加害被害」です。これが連鎖をしている。これは主に夜間に起こっているはずです。そのことは地域ごとにある程度データが取れている。例えば埼玉県はその調査をしていて、夜間に子ども間の性加害被害が起こっていることも把握できてきている。なぜ夜間かというと、先ほどの話題ではないけれども、手薄いからです。そもそも宿直体制を考えないで夜勤体制にしていかないと、子どもたちの安全保障が守られないです。施設に子どもが入ることによって子どもが傷つくという現象が現に起こっていることを、今まで我々は業界内だけの秘密にしてきた部分があるのですが、もっと市民にも知ってもらう。もちろん養護施設にいる子どもたちのスティグマを考えなければいけません。そのような問題はありますが、現に何が起こっているのかをもう少しオープンにしていって、それに対して「皆さん、どうしますか」という議論を起こしていかなければいけないのではないか。一つは施設の方では思います。
 他にもたくさんあるのですが、虐待の子どもたちの90%が在宅支援で、今の在宅支援は主に親支援である。そもそも親を支援するのだけれども、地域が直接子どもに支援する枠組みをつくっていかなければいけない。例えば保育園の強化、保育園の保育内容の強化や放課後子育てクラブ、要するに児童館や学童保育です。その部分の質の担保をしていくことによって、親支援はもちろん必要だけれども、もう少し地域が直接子どもを支援する仕組みをつくっていかなければいけないと思っています。
 職員の養成に関しては、いろいろなスーパーバイザー研修などいろいろ組まれていますけれども、そもそもカリキュラム、養成課程に手を付けなければいけない。例えば精神保健福祉士が社会福祉士等を借りながらある程度専門特化したように、子ども福祉士のようなものをつくって、それを社会福祉士の養成課程の中に新たにカリキュラムを起こしていくとか、あるいは4年制保育の問題がずっとありますが、保育所保育士と施設保育士を分けるような形で、ここだけの問題ではないですけれども、保育の養成課程というところにも手を付けていかなければいけないのではないかと思っています。早口で話したので3分でした。

○柏女委員長
 ご協力いただき、ありがとうございました。また、とても大切なご指摘をいただいたと思います。では藤井委員、お願いします。

○藤井委員
 ありがとうございます。児童家庭支援センターも、今回は支援の中で課題と将来像の部分を入れていただきましてありがとうございました。中身自体は、求められる役割と今後のビジョンとのすり合わせがまだ難しいと思っております。つまり、児童家庭支援センターは市町村との関係を強化していくという方向性が必要ですけれども、市町村の要支援児童・要保護児童への対策。質・専門性が上がっていけば、児童家庭支援センターのできる役割がどこになっていくのかというのは、もう少し議論しなくてはいけないと思います。
 里親支援の位置付けを与えられたというところでございますが、いかんせん3名の職員で相談を受け付けて里親の支援をしなさいという現状は、いかにも酷ではないかと思っております。現実的には365日24時間、特に電話に関しては相談体制を確保するという条件でございます。それ自体を維持するだけでも大変ですので、里親支援にかかる部分をこれからどのようにつくっていけるのかというところで、児童家庭支援センターとしての不安は残るという状況でございます。
 提案されている全般の社会的養護のイメージに関しては、全体像が明らかになってきているのではないかと思いますが、今あるものをまとめている感じを受けるのです。つまり、子ども・子育て新システムが今後どうなるのか。もっと大枠の中で社会的養護というのが、名称としてきちんと出してくださいという議論までしか今のところきていないように私は思っております。ですから、全体の子ども・子育て新システム、日本全国の全体像の中での社会的養護という位置付けをはっきりさせるべきではないかと思います。この中身自体は、基本線が出ているのは良いのですが、西澤委員が言われたように現実的な日常のところまで落とし込んでいくと、本当に整合性を保てるような問題が整理できるのかということが不安です。現実の問題に置き換えたときにどうなのかというところまで、もっと言えば今利用しているたった1人の子ども、ここの子どもの幸せのためにというところまで検証ができるようなシステムがほしいと思っています。
 「小規模化と高度化」で、高度化が必要ですという大枠の説明になっております。高度化という中身が見えないところが一つ心配です。児童養護施設はそれぞれの施設、大規模を小規模にするといったときの基準が45人以下と出てきております。45人という数字はどこからきたのかとか、わかりづらい根拠だと思いますので、その辺が全国的にわかりやすい基準にしていくべきではないかと思っております。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。では藤野委員、お願いいたします。

○藤野委員
 たくさん言いたいことはあるのですが、時間がないので簡単にします。まず、資料6資料7でいわれる小規模グループケアの推進、地域小規模児童養護施設の推進、あるいは自立援助ホーム、ファミリーホームうんぬんということで、この点に関しては既に4月1日からの実施ということで、実施要綱が各都道府県に流れております。非常にうれしいのですが、例えば小規模グループケアを6か所までは認めるとか、地域小規模も内出しでも外出しでもよくして、あるいは暫定90%の条件は外すということがあったり、特に自立援助ホームが現員払いから定員払いになったということについては、本当にありがたかったです。そのようなことや児童家庭支援センター、里親支援機関うんぬん、当座のことについてはごまをするわけではありませんが、感謝申し上げたいと思います。ただ、その実施に当たっては、既に各都道府県で混乱が起こっております。これをどのように解釈するのかということが起こっていまして、各都道府県によって、私たちのところでもたくさん問い合わせが入っています。その点に関しては、ぜひ「仏造って魂入れず」ではなく、何とか小規模化などを推進していくということで、実行体制を各都道府県で実施するようよろしくお願いしたいと思っております。
 その中で、今後の将来構想にも関連するのですけれども、例えば小規模ケアを推進するに当たっては、ここにあるように里親やファミリーホームを推進することを条件にということが入っているのです。これは予算を増やさずにこれをやるということで、私たちもある意味では妥協の産物だと思っております。その点については、各都道府県と施設現場では常に多分火種になるだろうと思います。施設の小規模化と里親推進をリンクさせて加算の条件とするというのは、元々無理があります。そのような条件でうんぬんということではないと思います。ですから、今後の課題としては、冒頭にも言いました施設最低基準の底上げが必要なのです。全体の底上げがないと駄目なので、そこを何とかしてほしいということ。そこをベースにして、先ほど奥山委員や西澤委員から出ていました例えば高機能化という場合には、奥山委員が言われた中間的なケアです。現に児童養護施設等は、市町村の事業で私の所でも、児童家庭支援センターで家庭訪問事業を受けていたり、ショートステイ、トワイライトステイ、あらゆる家族支援、家庭支援を現に受けております。高度化という場合に、私はそこだと思います。里親支援を特別なことではなくて、そういう家庭支援の一貫としての里親支援なのです。ショートステイやトワイライトステイもそうです。ですから、その辺のことは、私は平成9年の児童福祉法改正のときに、児童養護施設に通所門があってもよいのではないか。そういうことで児童家庭支援センターができたのです。そのような意味では、今回のように里親支援をするところには加算するというものではなくて、根本的にはそこのところを将来展望では議論してきちんとしてほしい。まず大事なのは全体の底上げだと思います。
 これは最近聞いた北海道の話ですが、耐震性の施設整備を21施設のうち9施設で計画しているというのです。ところがその計画のほとんど全部が大舎であると。それは人員配置ができないから、それしかできないということでそうなっている。この前も言いましたけれども、小規模化を今までやっていた所もできないから結局もう1回大舎に造り直しているところもあって、今回せっかくこういう大改革の前兆をきちんとつくっていただいたので、その辺をぜひ進めていただきたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。山縣委員、お願いします。

○山縣委員
 3点だけ、お話しさせてください。1点目は既に出ていますが、私も従来は多機能化という言葉を使っていたのですけれど、高機能化あるいは高度機能化の方が良いのではないかと感じます。その方向が出ていることを非常にうれしく思います。特に今、藤野委員からも例がありましたけれども、私のイメージは典型的な児童養護施設になりますけれども、今、現場で求められているのは、心理支援部門を施設単位で心理職を置くのではなくて、きちんとしたホーム制のようなものをつくって、その部分、心理支援が強化されたホームであると。小規模児童養護施設の一つが心理支援を強化して、そこには情緒障害児短期治療施設的な職員配置がされているという方向です。もう一つは中高生からの入所、いわゆる支援機関が非常に限られている部分です。最初から非常に短い期間で対応せざるを得ない部分についての強化です。そのようなところへの職員配置も含めていくことによって、措置変更を伴わずに対応できる仕組みができるのではないかということが1点目です。
 2点目は、児童家庭支援センターのことが今、藤井委員から出ていましたけれども、一部ではどうなのだという声があるようですが、私は児童家庭支援センターに未だに期待していまして、その強化の方向として、単に数の目標ではなく、私は設置レベルに問題があるのではないかと思っています。これを福祉事務所レベルにまで落とすことができないのかどうか。そこで家庭児童相談室の整理を行って、積極的に24時間対応ができるような、少なくとも市レベルでの対応機関に持っていくという方向があるのではないかと思っています。県レベルに置いておくと、「うちの県ではもう二つありますので結構です」というような答えになってしまうので。福祉事務所レベルに持っていくと、ないという所が圧倒的多数になってきますから、設置の促進も行われるのではないかというのが2点目です。
 それから最後ですが、3点目はここの中に入っていないのですが、社会的養護の中で育った子どもたち・当事者への支援です。自立援助という意味ではなくて、当事者組織の育成と支援という視点もはっきりと入れた方がよいのではないか。児童養護施設については一部の地域でかなり進んでおり、発言力もどんどん持ってきていますが、今、私が関心を持っていますのは、ある里子との付き合いの中で、全国里親会の中でも彼が手を挙げて話したのですけれど、里子の自助組織、仲間をつくりたいと。彼は11月までは海外に勉強に行っている大学生ですが、はっきりとした意見を持ち、話を聞いていても我々が耳を傾けなければいけないような意見をはっきりと言っています。里子がどうしても個別で育って、結局世の中に出ても里親自身がずっと支援している関係、これは認めているのですが、横のつながりも我々社会が少し仕掛けをしたらどうかということが3点目です。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。吉田委員、何かありますか。お願いします。

○吉田委員
 私も3点です。一つは、先ほどお聞きした点と同じことで、要は3段ロケットの2段目がよく見えないのです。今やることと子ども・子育てビジョンの目標値はわかるのですけれども、その中間のところがよく見えないのです。平成23年度中に基準ガイドライン等を策定するということはわかりましたけれども、先ほどお話がありましたような予算要求の中で、どのようなことを盛り込まれようとしているのかということが、私自身よく見えないので教えていただきたいです。
 それから、細かい話ですけれども、4月実施の実施要綱で小規模グループケアに関しては、定員要件が弾力化されています。単純に見ると、ケアの単位の小規模化という流れの中で、これも弾力化して原則6人を6~8人とされましたけれども、この意味が、私だけかもしれませんけれどもわからないので教えていただきたいということです。
 3点目は、施設の運営の質の向上というのがありまして、特に第三者評価の推進とありますが、これは前も話しましたように、措置施設として第三者評価を受けるインセンティブがあまり働かないのです。契約型であればマル適のような形で利用者が選ぶということが、選ばれる施設というインセンティブがあるかと思いますけれども、こうした措置型の施設の場合には、これをもっと受けるよう促進するような働きかけが必要だろうと思います。多くの理由としては、この第三者評価の受審のための費用をどうするかということが課題でしょうし、もう一つは受けても受けなくても同じだったら受けないわけで、そういう意味でもう少し施設の側にとって、受けることによってメリットがあるのだというような受審を第三者評価推進を考えるときに、そのインセンティブまで含めて検討する必要があるのではないかということで、この3点です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。ご質問については、最後に事務局から合わせてお願いできればと思います。相澤委員、お願いします。

○相澤委員
 私も3点です。一つは権利擁護システムの構築です。被措置児童等虐待が法律に規定され平成21年4月に施行されたばかりですし、苦情解決の仕組みも含めて、権利擁護システムをきちんと構築していくことも課題だろうし、この将来像の中に入れてほしいと思っています。先ほど当事者のことが出ましたけれども、例えば、施設運営にも当事者OBを参加させることなども今後は必要になってくるのではないかと考えています。
 それから、奥山委員も言っていましたけれども、私もスモールステップシステムのようなものがきちんと構築できるようにしてほしいです。特に、中間的ケアという補完的な機能が非常に不足していますので、充実を図ってほしいです。特に、年長児童の自立支援については施策が乏しいので、拡充をぜひお願いしたいと思います。
 3点目は、マンパワーの問題ですが、先ほどカリキュラムや国家資格化の問題が出ましたけれども、それに加えて施設長の資格要件も最低基準上にはきちんと書いていただきたいです。これだけ専門的なケアの必要な子どもが入っていますので、施設長の要件についてもきちんと明記してほしいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今田委員、何かありますか。

○今田委員
 2点あります。先ほど、奥山委員からご指摘がありました「病虚弱」ですが、私もこれは違和感を覚えておりまして、何か良い言葉があればと思います。特に乳児院では、虐待の場合はほとんどが身体虐待を伴うことが多くて、それも身体的な後遺症を残す場合が多いです。特に、視力の問題が出てきますので、今でいう病虚弱と虐待は表裏の関係に乳児院ではあるということが1点です。
 もう1点は、社会的養護の高度化の計画的な推進ということで、総論的には何も反対するものではないですし、ぜひそうあってほしいと思いますけれども、この手順としまして、まずその最低基準がなされた上で、高度化が進むのが順番ではないだろうかと。高度化を先に上げてそれに続いて最低基準を上げるということであれば、これは手順前後になるのではないだろうかという危惧があります。その2点です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。大塩委員、お願いします。

○大塩委員
 母子生活支援施設の立場からお願いがあります。まず、先ほど西澤委員からご発言がありましたけれども、「地域における親支援は充実してきているけれども、子ども支援が今度は必要なのだ」とおっしゃいました。確かにそうだと思いますけれども、実際に現場で親子の生活を支援している立場から申し上げますと、親支援というのは生活の場で支援をしていますと、地域で支援しているよりもっと必要だと思います。ですから、地域の中で親支援ももっと必要ですし、さらに子ども支援も必要になってきて、両方が地域の中でもっと必要な質と量が確保されないといけないと実際に感じています。
 2点目ですけれども、施設の高度化という計画案が出されています。それに対して、それは本当に必要なことでありますし、課題の多い子どもたちや、世帯を支援していくためにも必要だと思いますけれども、皆さまから出ていますが、この高度化の前には最低基準を丸ごと底上げをしないと、高度化だけをしていっても、さらに施設間格差が広がってしまいます。そうすると、端的に申し上げますと、児童養護施設や乳児院や母子生活支援施設で、高度化された施設とされなかった施設に入所する児童や世帯の支援に差が出てきてしまいます。それは、あってはならないことだと思っていますので、高度化する前に最低基準を底上げしていただかないと、高度化には乗れないというのが2点目です。
 最後にもう1点ですけれども、母子生活支援施設が未定稿の中の9ページには、きちんと「今後充実・強化の求められる機能例」の?母子支援による親子関係の再構築の中に、虐待などで母子分離に至った場合でも、母子双方の支援を通じて、安全で確実な再統合を行うと掲げられています。実際に、親子再統合を行っている施設もあります。しかし、母子生活支援施設は加算職員等が配置されている民設民営の施設が45%です。その他55%の母子生活支援施設が公設公営であったり、公設民営で指定管理を受けていたりする施設ですから、その施設は最低基準の底上げされないと、職員の配置が保障されません。そうすると、このような親子再統合をやろうと思ってもできないのです。もちろん、職員や施設の力量もありますから、人が増えればできるというものではないということは重々承知していますけれども、その前にきちんと人の手当てをしなければ、これはできないと思っています。
 それから、「上記の機能を果たすために必要な措置」で、かっこ?の「施設の適正配置と広域利用の確保」ですけれども、今、把握しているだけでも、都道府県に一つしか母子生活支援施設がない県は5県もあります。5県もあるということは、そこの母子は施設を選ぶことすらできないことになります。ですから、本当に利用したいと思われた方が、きちんと利用できるような施設の適正配置もお願いしたいと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは、大島委員お願いします。

○大島委員
 全国自立援助ホーム連絡協議会です。まず、4月の実施ということで、実施要綱の改正で現員払いから定員払いになったということにまずお礼を申し上げます。資料3の10ページに自立援助ホームの今後ということが書いてありますが、定数払いになったこともあり、新設の施設は非常にやり易くなって運営が楽になったということで、平成23年4月1日で3か所がオープンしているようですけれども、今月末に全国の自立援助ホームのホーム長会議が東京で開かれます。そのときに、今後ということを考えたときに、160か所を目標にしていますので、ここ3~4年の間に2倍以上になるということです。
 それから、3番目に書いてありますけれども、ホームごとにさまざまな特色を持ちながらということで、それは生かしていきたいと思いますけれども、統一的なものが図られていかなければならないだろうということで、今、事務局では理念の統一を、理念づくりを統一しましょうということで、4月のホーム長会議にも了解を取るという形で今、事務を進めているところです。今までは、児童養護施設あるいは児童自立支援施設のOBが中心になって自立援助ホームを立ち上げてきましたけれども、今はフリースクールや知的障害の施設を経験された方や宗教家など、いろいろと幅広いところから自立援助ホームが立ち上がってくると思いますので、これから全国の協議会の運営のあり方というものが大きな課題になってくるのではないかと、今、考えているところです。ありがとうございます。

○柏女委員長
 ありがとうこございます。それでは、木ノ内委員。奥山委員は飛ばしてもよろしいですよね。すみません。

○木ノ内委員
 それでは、一言だけ。社会的養護と要保護児童の問題について議論する場ですけれども、予防的な視点も必要なのではないかと思いました。大塩委員が盛んにお話しされている母子世帯の問題、すぐ貧困に入り要保護児童も出てくるという周辺の問題で、どうも過剰な家族依存というような問題にこの場からも発言していくということがなければいけないのではないかと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。松風委員、いかがですか。

○松風委員
 里親やファミリーホーム関連で数点と、それから高機能化と中間支援について発言したいと思います。まず、里親関連ですけれども、今回の震災の関係で大阪府でも子どもを受け入れようではないかと募集しましたところ、里親ではなくホームステイですけれども、2日で300件ほどの応募があったのです。里親の募集をいろいろな形で広報もしていますけれども、なかなか応募していただけない。けれども、今回の震災のホームステイではこれだけの反響があった。これをいかに活用させていただくかということを考えなければいけないと考えているのです。  一方で、現実の里親というのは受託可能な調査を何度かしましたけれども、そこで短期委託については非常に積極的にやっていただけるのですけれども、長期委託についての対応が非常に難しいということがわかってきました。こういう気持ちがある方々に、段階的に長期委託の子どもまで引き受けていただけるためには、どういう仕組みを考えたらよいのだろうかというところを今、考えているところが1点です。
 それから、里親関連がまだあるのですけれども、この将来像の中で、施設がファミリーホームの開設を支援とか、委託推進または支援ということが書かれていますけれども、先ほど藤野委員がおっしゃいましたように、施設と里親とがどのように協働していくかということについては、大きな課題があります。いわゆる支援や里親推進というような施設が役割を担うということを掲げることが、里親側から見ていかがなものなのだろうかと。要するに、里親にしてみれば、我々は対等な立場でやっているのだという認識が強いと思います。そういう言葉の問題だけではなくて、そういう関係をいかにつくり上げていくかということを考えたときに、大阪府では小学4年生の施設入所をしている子どもたちの状況調査をしまして、長期入所になっている、またはさまざまなニーズを抱えていて個別支援が必要だという子どもたちを調査して、かなりの数の子どもを把握したのですけれども、対応をどうするかというところで、長期ニーズに対応していただけるまたは高年齢の子どもに対応していただける里親は少ないということで、非常に苦慮しているところですが、その一つとして、週末里親として、要するに施設での生活と里親宅での生活を一緒にした処遇ということをもっと強化していけないだろうかと。今、週末里親については、家庭生活体験事業というように事業化されているのですけれども、もう少し明確な方針を打ち出しながら、施設と里親との協働での子育てを打ち出せないだろうかと考えます。それが1点です。
 それから、ファミリーホームですけれども、ファミリーホームは第二種社会福祉事業の届出ですので、かなり多くの問い合わせがあります。「物件があって職員を雇用してファミリーホームをやろうと思っている」や「高齢者施設をやっているけれども、高齢者のグループホームと同じようにファミリーホームをやりたい」などです。ファミリーホームの成り立ちからしますと、里親により多くの子どもを育てていただくという成り立ちだったのですけれども、制度上そういう契約施設として理解をされている傾向が強いと思います。今回、里親ベースから施設ベースへと拡大しようというご提案があります。児童養護施設等ということですが、これは運営指針の中で明記していただくことになるかと思いますけれども、明確な内容の規定が要るのではないかと考えています。それが里親関連です。
 高機能化ですけれども、これは奥山委員や山縣委員がおっしゃった子どものイメージに合わせた対応を施設の中でどうするのかという体制整備をしていくことが必要だということです。この委員会の最初のころに、例えば措置費体系を子どものニーズに合わせて考えたらどうかという考え方もあったかと思いますけれども、施設一律にすべて同じ条件にするというよりは、もう少し子どもの状況に合わせたこれは最低基準というのか体制整備というのか、そこはどのように整理したらよいのかわかりませんが、まずそこをもう一度考える必要があるのではないかということです。
 最後に、中間支援についてです。私は平成23年2月と3月に幾つかの市を回りまして、要保護児童対策地域協議会の台帳の進捗管理や市町村で抱えていらっしゃる虐待家庭または虐待になるかもしれない家庭についての対応状況について聞かせていただきました。その中で、市町村の中では多くの問題を抱えた、または気になる家庭を抱えておられて、20万人都市ぐらいでも100人以上200人ぐらいの台帳を持っておられて、それをずっと心配しながら抱えていらっしゃるのです。この人たちはサービスや支援を必要としている人たちなのです。例えば、こんにちは赤ちゃん事業や家庭訪問事業などいろいろな形で市町村では事業化されているのですが、要保護児童対策地域協議会の中で一本化されればよいという仕組みにはなっているのですけれども、市町村支援としてトータルになっていない印象を受けまして、要保護児童対策地域協議会を抱えているところが一番不安を抱えていて、いろいろと足りないところをどう埋めるかと苦慮していらっしゃると思いました。そういう意味では、市町村でのトータルな支援の仕組みづくりということをここでやるのかどうかは私もわからないのですけれども、もう少し視点をそちらに向けた議論が要るのではないかと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは、高田委員お願いします。

○高田委員
 もちろん、最低基準の底上げは当然のことですけれども、そのときにまず考えていただきたいことがありまして、そもそも職員の給与の積算基準自体がこの児童福祉の世界はかなり低いと私は思っています。例えば、介護休業や育児休業を喜んで出す施設がどこまであるのかということも含めて、考えに入れていただきたいと思っています。例えば小規模化は、私はリスクが割と高いと思っています。やってみるといろいろ大変だと、それはそのとおりです。1、2年で養育者が代わってしまう、子ども同士の問題が起これば、一緒に住んでいる子どものメンバーも代わってしまう。こういう環境が目指されている家庭的な養育なのかというと多分違うと思います。もし、安定的な養育環境を数年にわたってということを目指すのであれば、それができるような基準、どうすれば職員が続けられるか、子どもたちがいられるかということも、指針として考えていかなければならない。そのためには職員の安定的な勤務状態を考えなければいけないと思います。
 もう一つは、職員の手が足りないから小規模がうまくいかないのか、もしくは子どもの問題が大きくて、なかなか小規模に適さない子どもがいるのかということも、もう1回考え直していく必要があると思います。児童養護施設の中で1割近くの子どもが知的障害を抱えているというデータがあるわけで、これは決して「普通の子どもたち」という仮定ではできないわけです。特別な支援が必要と考えざるを得ないわけで、その支援に合わせた養育というのはどうあるべきかということを、指針の中で考え直していただきたいと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、豊岡委員よろしくお願いします。

○豊岡委員
 皆さま、いろいろとおっしゃっていますので、重複するところは避けます。私が一つ申し上げたいことは、実は施設の小規模化それから里親委託を上げていくということは賛成ですし、どんどん進めていくべきだろうと思っています。ただ、里親に委託していくに当たっても、児童相談所の立場といいますか、児童相談所の児童福祉司も里親に委託する場合に、かなり手をかけ時間をかける必要があります。こういう虐待、被虐待の対応の状況の中で、児童相談所も児童福祉司の数も、非常に厳しい状況にあるわけです。従って、里親に預けることがなかなかできにくいということが一つあるということです。そして、里親の開拓といいますか、どんどんやっていただける方を増やしていくということについても、積極的に国として動いていかないと、なかなか増えないという状況があると思います。従って、里親をどう増やしていくのかを考えていかなければいけないということと、先ほど触れました児童相談所の相談体制についても考えないと、絵に描いた餅になってしまうような気がしますので、その辺も併せて考えていく必要があるのではないかということです。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。既に時間が12時半近くになっています。まだまだご意見があるかと思いますけれども、時間もかなり過ぎていますので、恐縮ですがここで議論を区切らせていただきたいと思います。本当に貴重なご提言・ご意見を頂戴しました。今、たくさんのご意見とともに幾つかのご質問あるいはこの専門委員会の幅をもう少し広げて、今もありましたが相談体制や地域生活支援ということまで議論していく必要があるのではないか、幅を広げることも検討すべきではないかというご意見もありましたけれども、事務局としての考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 さまざまなご意見を、ありがとうございました。本当に大事な貴重なご意見をいただきましたので、今後の検討の中でさらに深めていきたいと思います。ご質問いただいた中で、一つは来年度の概算要求の検討状況はどうかというご質問をいただきました。それはまさに、これからの第2段の話で、どのようにやっていくかということで、幾つか課題は既に浮上しているものもありますけれども、どういうものから予算の枠組みの中でやっていくかというのは、これから検討していきたいと思っています。また、課題検討委員会や社会的養護専門委員会も5月、6月とありますので、そこでいろいろな将来課題を詰めていく中で、ではどれをすぐやろうかと、前倒しでやっていくかというようなアプローチでの検討をしていきたいと思っております。
 それから、1点ご質問いただいた小規模ケアの定員を6人から6~8人にした意味はということですけれども、小規模ケアですからあまり大きくない方がよいというのはそのとおりでありまして。ただ、実際に6名が定員でございますので、実際に6名の定員でやると大体5名ぐらいしか入らない。実際に運営していく中ではそのような感じになりますので、実際の個々の施設の中での部屋の構造等の中で少し弾力性を持った方が。同じ施設の中でもそれぞれ大きいユニットや小さいユニットなどいろいろある中で、施設側のやりやすさを考えたという意味でございます。  それから、この委員会は社会的養護の専門委員会という名称ではありますが、社会的養護の周辺、その前の入口と出口の先など、当然その周辺の領域も含めながら検討していくことになると思います。実際に、この全体像のところでもありましたように、社会的養護ではない市町村等の役割の中をどのようにやっていくかということも含めた検討もこれからの課題の検討の中でやっていければと思います。
 このようにいろいろなご意見をいただきましたので、そこのところをしっかりと生かして、また検討したいと思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございました。議論は尽きないわけですけれども、今日で終わるわけではございませんので。今、事務局からお話がありましたように、今日いただいたご意見を、さらに先ほど申し上げた議論を集中的に詰めるという社会的養護の検討会の方で議論をし、かつ、こちらへまた上げてご意見をいただきながら進めていく形でもっていきたいと思います。
 今、5月6月という話も出ましたけれども、今後のスケジュールについて、事務局からご提案をいただければと思います。

○高橋家庭福祉課長
 お手元の資料4という紙がございます。「社会的養護の充実の当面の検討スケジュールについて」という表題の紙でございます。これまで12月7日、前回の社会的養護専門委員会で、まず現状のご議論をいただきまして、その後1月2月と柏女委員長からも話がありました課題検討委員会で粗ごなしの議論をして今日の専門委員会へという流れでございます。そこの右側にありますような「里親委託ガイドライン」や実施要綱改正など、すぐにできるものはやっていく。今日おまとめいただいた最低基準につきましては省令改正になりますので、パブリックコメントの手続をし1か月さらしてご意見を伺います。そういたしますと、6月ごろの公布となるのではないかと思っております。
 また、課題検討委員会の3回目・4回目の議論になりまして「課題と将来像について」、本日いただいたご意見を踏まえながら、さらに詳細を詰めてまいります。一方、施設ごとの運営指針を作る作業につきまして5月6月辺りでその骨子の議論もしていきたいと思っています。その上で、2回の課題検討委員会の課題検討委員会でのものを踏まえまして、また6月ごろに、若干流動性があると思いますが6月7月ごろの次回の社会的養護専門委員会で課題と将来像を。6月辺りで一度中間的なとりまとめをして概算要求に反映できるものはしていきたいと思っております。
 また、施設ごとの運営指針につきましては、施設類型ごとのワーキングチームでしっかりと検討する必要があると思っていまして、6月辺りには各ワーキングチームを設置して、夏から秋にかけて検討して、何とか年内にまとめたいと思います。これにつきましては、また社会的養護専門委員会を秋にもお願いすることになると思っております。当面のスケジュールは、そのような予定でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございます。今、当面の今後の進め方について提案がありましたけれども、いかがでしょうか。何かご質問がありますか。

○奥山委員
 これがロケットの2段目ですか。

○高橋家庭福祉課長
 1段の後半というのがあるかもしれません。4月実施というのが1段目ですね。1段目の後半といいますか、この当面の最低基準の改正が出ます。それから、施設ごとの指針を第2段でやっていきながら概算要求も作って。そうすると、その次の新システムの関係をどうしていくかというのが第3段になると思います。新システムの方の制度ワーキングでの議論は4月は開催がないようですけれども、そことの関係については、社会的養護は新システムの給付とは別の体系で、かつ、そことの連動を図りながらやっていくというコンセプトがございます。では、その連動の中身をどうしていくか、市町村事業との関係をどのようにしていくのかという課題があろうかと思います。また、そこでの人員配置の引上げも段階を追ってやっていく必要があると思っています。そういう考え方でございます。

○奥山委員
 ありがとうございます。その中で、先ほどからの話を伺って気になっているのは、どうも「施設類型はこのまま」という感じが強いのですけれども、新しい中間ケアなどで何か新しい体制やシステムが必要かどうかという議論はどこでやれるのでしょうか。

○柏女委員長
 とても大事なテーマです。事務局、お願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 それは、まさに「課題と将来像について」の中で検討していく課題であると思っています。おっしゃるように、これから5月6月に向けて、今日いただいたご意見も含めて検討を進めていきたいと思っています。時間的制約の中で具体的な案としてどこまで詰められるかというのはあるかと思いますけれども、今のは大事なご意見でございますので、検討してまいりたいと思っています。

○柏女委員長
 よろしいでしょうか。今、お話がありましたように、幾つか視野に入れながら戦略的に進めていかなければならないところがあります。「子ども・子育て新システム」がもし予定どおりということになりますと平成25年度からという形になりますし、その前には「税と社会保障の一体改革」による財源確保の議論なども踏み越えていかなければなりません。それから、今回の震災の問題です。復興のための支援がどのような影響を及ぼすのか。その辺も非常に不透明な中でございますので、それらも睨みながら各委員の皆さま方もご意見をお寄せいただきたいと思いますし、また、厚生労働省では、そうしたところでしっかりと戦略を組みながら、スケジュールを立てていかれると思いますので、少し予定が変わったりすることもあるかもしれません。急きょ委員会を開くこともあるかもしれませんけれども、ぜひご協力をよろしくお願いしたいと思います。
 今日は最初から最後まで高井局長と石井審議官にご同席いただいております。最後になりまして恐縮でございますけれども、高井局長から一言ご挨拶を頂戴できればと思います。突然で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

○高井雇用均等・児童家庭局長
 去年の夏からおります高井でございます。これだけの議論を皆さまからいただいておりますので、ぜひこの社会的養護の改善・充実に私も全力を尽くしたいと思っております。
 ただ、委員長からの話にありましたように、今回の最低基準の話は、例えば地方分権の話が出てきたり、子ども・子育て新システムの動きがある中で、どのように対応していくかということもありまして、いろいろな風を見ながらやる面がございます。今、委員長が言われたように震災の関係が予算面でどのようなことになってくるのか等、いろいろありますので、それはそれで見ながら、ぜひこの社会的養護の基本的な考え方や理念、そしてそれに伴う充実策、最低基準をはじめいろいろな基準や考え方をしっかり詰めていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございました。では西澤委員、お願いいたします。

○西澤委員
 お手元の資料9で「社会的養護における災害時『子どもの心のケア』手引き」を、これは今回の震災を受けて、特急作業でしたが日本子ども虐待防止学会で作らせていただいて、厚生労働省の支援もいただきながら関係部局には電子媒体で既に届いていると思います。一方で、この手引きは実際の被災地ではインターネット環境が滞っていることもあって印刷媒体が必要だという意見をいただいたので、学会で紙媒体で印刷して、たぶん今日、出来上がっているのではないかと思います。これもまた関係各団体に協力をいただきながら必要なところに配布させていただきたいと思いますので、配布へのご協力もよろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それぞれのところで、これからまさに日を追って震災の被害支援に向けての行動が次々と起こってくるのではないかと思います。できるだけ情報交換をしながら社会的養護関係を進めていきたいと思いますので、また事務局へお寄せいただければと思います。また、事務局へ寄せられたさまざまなご提案、あるいは作成された文書等について委員へもご提供いただければありがたいと思います。
 それでは、予定を大分過ぎてしまって恐縮ですが、今日の委員会をこれで終了させていただきたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

措置費係: 03(5253)1111内線7888

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