ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム> 第9回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録




2010年10月14日 第9回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成22年10月14日(木) 18:00~20:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

阿式構成員、岡崎構成員、河岸構成員、河崎構成員、栗林構成員、柴田構成員、
長野構成員、野澤構成員、野村構成員、東構成員、広田構成員、松浦構成員、
松本構成員、三上構成員、三根構成員

○議事

○福田精神・障害保健課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第9回「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。
 本日も、委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。
 本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。朝田構成員、西田構成員、渕野構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、早速ですけれども、議事の方に入らせていただきたいと思います。議題(1)は「検討すべき論点について」でございます。本日は、第6回から第8回まで3回にわたり実施いたしました構成員の皆様からのヒアリングと、それに対する皆様方からの御意見等を踏まえまして、今後本検討チームにおいて検討すべき論点について整理をいたしたいと思います。
 まずは、事務局でまとめました論点案につきまして事務局より説明をいたします。それでは、事務局からお願いいたします。

○中谷課長補佐 事務局でございます。それでは、資料の御説明をさせていただきます。
 お手元の資料、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(第2R)論点(案)」をご覧ください。こちらの方に、これまでの構成員の皆様の意見を踏まえまして、また既存の今後の精神保健医療福祉の在り方に関する検討会ですとか、当省の認知症に関係する検討会の報告なども参考にして、現時点で考えられる論点を案として以下のようにまとめさせていただきました。
 こちらの構成は、大きく論点を2つに分けさせていただいております。まず、1ページ目の「論点1 認知症患者に対する精神科医療の役割の明確化」ということで、精神科医療がどういう関わりをするかというところ。それから6ページで、最後の1枚をめくっていただきますとありますが、大きな論点の2としまして「現在入院している認知症患者への対応及び今後入院医療を要さない患者が地域の生活の場で暮らせるようにするための取組(案)」ということで、こちらは医療ではなくてその受け皿をどうするかといった、主に介護側との関わりという観点で論点を大きな2番としてまとめさせていただいております。
 それでは、1ページ目にお戻りください。こちらは「認知症患者に対する精神科医療の役割の明確化」ということで、まずは今回いろいろな御意見をいただきました中から、あるべき姿、どのような医療があるべきなのかというところを役割としてまとめさせていただいております。今日、こちらの論点に対してこれを実行するにはどこが現実的なのかというような御意見も当然あると思いますので、その御意見をいただくために、まずはあるべき姿、役割とは何かということでまとめさせていただいております。順に御説明します。
 論点1の1番目、「地域での生活を支えるための精神科医療」ということで、基本の考え方として入院を前提として考えるのではなく、できるだけ地域で暮らしていけるよう支援するため、以下のような役割を担っていくべきではないかとさせていただきます。
 まず1番として、「専門医による早期の診断」です。これは、症状が出てから精神科を受診するのではなくて、早期から専門医を受診して正確な診断を行うことをすべきではないかとしておりまして、現行制度としては認知症疾患医療センターがございますが、そうした認知症の専門医というところをどのように位置付けていくかといったことが考えられる点でございます。
 それから2番目、「認知症の経過や状態像に応じた診療と生活のアドバイス」ということで、早期の正確な診断で判明した原因疾患や、認知症の経過や状態に応じた診断を適宜行うことで、予測される症状や経過を踏まえて、本人、家族、介護者等に適時適切な生活のアドバイスを与えることができるようにすべきではないかということであります。
 3番、「家族や介護者への相談支援や訪問支援」ということで、これは訪問診療や訪問看護、必要なときには24時間365日いつでも連絡可能な電話相談、前回上野先生からヒアリングでお話があった点でございますが、そうしたことを通じて患者だけでなく家族や介護者に対する適時適切な支援を行う役割を担うべきではないかということであります。
 それから4番、「施設等に入所する認知症患者への訪問支援(アウトリーチ)」とありまして、こちらはその施設などに入所している認知症の患者様へ訪問診療を積極的に行うことにより、施設等で安心して認知症の人を受け止めることができるような支援をすべきではないか。訪問するということで再入院を防いだりといったことも御議論がございました。
 2ページ目ですが、それに関わる現行の制度ということで、主に診療報酬で今そうした訪問診療や訪問看護がどのような評価をされているかということを一覧でまとめさせていただいております。こちらは、医療の点数と訪問看護ステーションで取られます訪問看護療養費と2種類の点数が訪問看護ではあるのですが、ざっとその施設にいる方、それから居宅にいる方で2段階の点数設定になっているのですが、今ここの一覧にあるような点数設定がされているところです。
 それから、現行制度の囲みの3つ目の黒い四角です。下の方ですが、「精神障害者アウトリーチ推進事業、概要」ということで、平成23年度の概算要求といたしまして在宅の精神障害者の方が地域で安心して暮らせるように、自分からサービスを受けることができない方に訪問による丁寧な支援を行うための事業を今、要求させていただいております。
 内容としては、多職種チームによる訪問の活動やこれに従事する人への研修、地域での一時的な住まいの場の確保、医療機関による地域移行の支援という内容が含まれた事業がございます。現状の制度として、このようなものがそれを支える仕組みとしてあるのではないかということです。
 次に5番、「精神症状への24時間の対応体制(ソフト救急)」とありますが、精神科医療機関が訪問診療や訪問看護などのアウトリーチなどで、在宅であっても精神症状に対応できる体制を構築していくべきではないかということです。
 それから6番、「精神科作業療法や重度認知症デイ・ケアの提供」ということで、退院後の療養にスムーズに移行できるように必要な外来医療体制を提供する役割を担うべきではないかということでありまして、現行の制度としては以下の診療報酬で作業療法やショート・ケア、デイ・ケア、ナイト・ケアというものが点数査定をされておりまして、認知症については重度認知症デイ・ケアという点数が別に設定をされている状況であります。
 次に3ページ目です。今のことが地域での受け入れを支える精神科医療ということですが、2番と3番は主に入院医療という観点です。
 まず、2番は認知症の周辺症状でありますBPSDを有する患者さんへの精神科医療ということで、BPSDを合併する場合など、地域での対応が困難となった場合に迅速かつ十分な精神科医療が提供できる体制の充実を図るべきではないかとしまして、まず1番が「認知症の周辺症状への適切な治療」ということで、認知症に合併する精神症状や異常行動に対して患者の背景や生活状況なども考慮し、BPSDの要因が精神疾患などの精神科医療が必要なものであるかどうかを判断した上で、これは前回もお話がありますが、その環境によるものなのか、そうした精神疾患が背景にあるのかをきちんと区別して対応すべきだというような御意見がございました。それを指しております。それから、必要最小限の適切な薬物治療を行える認知症に習熟した精神科医を養成すべきではないかということが1番です。
 2番、「BPSDを伴う認知症患者の円滑な受入れ(地域との連携)」ということですが、日ごろから外来診療や地域の事業所と連携を保ち、認知症患者の情報交換を行っておくことで周辺症状への対応が必要になった場合の円滑な受入れが行えるようにすべきではないかという点です。
 3番、「認知症患者に必要な入院医療」ということで、短期間で周辺症状を落ち着かせるような質の高い入院医療を提供できるよう、マンパワーの充実、特に夜間を図るべきではないかということで、夜の体制が非常に大変だというお話がありましたので、その点を入れております。
 現行制度では、認知症の治療病棟入院料という点数につきましては、入院早期の部分により手厚い体制になっておりまして、短期間で質の高い医療を評価するような点数設計がなされております。
 4番、「治療抵抗性の重度の認知症患者の病態像とその受入れ」ということで、重度の周辺症状を有する認知症患者の状態像の条件を整理し、その条件に該当する患者について十分な入院医療が提供できるよう、適切な精神科病棟の配置などを検討すべきではないか。
 加えて、重度の精神症状を有する認知症患者へ質の高い入院医療を提供するために身体合併症も見られるように、内科医の配置や地域の医療機関との連携確保等について検討すべきではないかということで、前回、渕野先生から重度認知症病棟というようなお話がございましたし、治療抵抗性の患者さんがいるというようなお話もございまして、そのような方たちに質の高い医療を提供するという観点でこちらを書かせていただいております。
 3番目、「身体合併症を有する認知症患者への入院医療」ということで、その認知症患者様はほとんどが高齢者の方で身体合併症を有しているということで、それへの対応力の向上について検討してはどうかということです。
 1番は「合併症の状態像に応じた精神病床の受入先(総合病院精神科と精神科病院の役割分担)」ということで、身体合併症については急性期の合併症治療は総合病院精神科など、他の専門診療科とのリエゾンが可能な入院先が必要であり、基幹型認知症疾患医療センター運営事業などを活用して急性期の身体合併症の受入れができる体制を確保していくべきではないかということであります。
 現行の制度で認知症疾患医療センター運営事業の基幹型の要件としては、身体合併症に対する救急医療機関としての機能として身体合併症の三次救急または二次救急医療機能や、精神科と一般身体科の院内連携、休日、夜間においても入院に対応できる病床の確保、以上に加え、人員配置や検査体制は有していることとなっておりますが、例えばこうしたものを使ってきちんと整備していくべきではないかということです。
 次に2番、「慢性疾患を合併している認知症患者への対応」ということで、先ほど1番で主に想定している合併症は、例えば骨折ですとか、そういう急性期の合併症ですが、そうではない慢性の身体合併症も多いという御意見がございました。こちらについては、慢性の身体合併症を有している場合が多いことから、慢性の身体合併症を持つ認知症患者であっても、入院治療が必要となるような認知症の周辺症状が発生した場合、円滑に精神科病院への入院が可能となるよう、地域型認知症疾患医療センター運営事業などを活用し、体制を確保するべきではないかということを入れております。
 現行制度の御紹介ですが、現行制度では入院料に加えて精神科身体合併症管理加算350点というものが7日間まで算定できることになっておりますが、7日間のみで慢性疾患に想定がされていないというような状況がございます。
 それから2点目は、認知症疾患医療センター運営事業の地域型はこちらにあるように一般医療と精神医療を連携しているということなどが要件になった事業でございます。
 3番です。「精神科医療機関と一般医療機関間の連携のあり方」ということで、認知症患者が精神科以外の専門医療が必要となった場合に、他の専門診療科と連携が容易な総合病院、精神科を受け皿とするが、地域の医療資源を考慮し、必要に応じて精神科医療機関に他の専門診療科の医師が訪問診療を行うことや、精神科の医師が他の一般医療機関に訪問診療を行うことなど、医療機関間の連携強化につながる取組みの推進について検討が必要ではないかということで、実際にはこうした医療機関に対する訪問診療というところが、例えば診療報酬では減算のルールがありましたり、なかなか難しい、やりにくいといったことがございますので、そのようなこともありましてここに書かせていただいております。
 5ページ目であります。4番目、「地域全体の後方支援機能」といたしまして、認知症患者への総合的なケアの中に精神科医療があるということをかんがみると、認知症患者、在宅介護を行っている家族、認知症を受け入れている事業者、行政機関などとの連携を強化していくべきではないかといたしまして、1番で「地域住民や地域の他施設との連携強化」ということで、地域連携会議など、地域住民、地域包括支援センター、地域の事業者などとの会合や情報交換を定期的に行い、地域における診療連携の強化や退院支援・地域連携クリティカルパス、これは論点2の方に出てきますが、それらを積極的に進めるべきではないか。また、ケアマネジメント機能を拡充するため、介護支援専門員が中心となって行う個別支援会議にも積極的に参加すべきではないかということを入れさせていただいています。
 2番、「地域住民への啓発活動」ということで、認知症の症状や対処法に関して地域住民や関係事業者向けの説明会などを行うべきではないかとさせていただいております。
 続きまして、論点の大きな2番についてもまとめて御説明させていただきます。この論点2について、基本的な考え方としましては、現在入院している認知症患者で必ずしも入院医療を要さないと判断される患者が地域の生活の場で暮らせるようにするため、及び今後このような方が地域の生活の場で暮らせるようにするために、身体合併症や治療抵抗性のBPSDのような入院せざるを得ない場合を除き、認知症患者を地域で受け入れることが基本となるような取組みを進めるべきではないかということを基本の考えとして書かせていただいています。
 1番目、「認知症に対する医療側と介護側との認識を共有化するための取組」としまして、こちらは医療機関側から見れば認知症の症状がある患者を介護施設や事業者が受けてくれないのが現実であるという指摘がある一方で、介護施設側から見れば医療機関が認知症患者への退院後の医療的支援が不十分というような指摘もございます。認知症患者を地域で受け入れるためには、医療と介護が連携してサービスを提供する体制が必要であることから、医療側と介護側との認識を共有化するための取組みが重要ではないかということで、1から4を挙げさせていただいています。
 1番は「医療側の介護サービスに対する理解の向上」ということで、医療側において認知症患者を地域で支えるために必要な介護サービスや生活支援に対する理解を深めることが重要であり、そのような理解を深めるための情報提供、研修機会を提供するべきではないかということです。
 2番は、「入院せずに地域で暮らせるための医療機関の関わりの強化」ということで、入院を要するような周辺症状が出なければ地域で暮らしていけるということなので、日ごろから認知症患者や家族、介護事業者等との関係を築き、周辺症状の兆候が見られた場合には早期から訪問支援などの適切な医療を提供できるようにすべきではないか。
 3番は「医療側から介護施設へのアウトリーチ」ということで、認知症患者や認知症患者を受け入れている介護施設に対して積極的に相談支援や訪問支援を行えるよう環境整備すべきではないか。この辺りは、先ほどの大きな論点1と共通する部分もありますが、違う切り口で同じ項目が入っているということで見ていただければと思います。
 4番、「介護側の対応力の向上」ということで、介護側においては精神科病院を退院する認知症患者であっても積極的に受け止められるよう、周辺症状への適切な対応など、医療機関との連携、対応力の向上を図るべきではないかとさせていただいています。
 7ページ目です。こちらは、「入院医療を要さない認知症患者の円滑な移行のための受け皿や支援の整備」ということで、入院医療を要さない認知症患者が地域で安心して生活することができるよう、地域の認知症の方に対する必要なサービスの整備を推進すべきではないか。また、そのためには認知症患者の状態の的確な把握や、地域での生活に必要な支援の内容について十分な検討、吟味を行うべきではないか。
 1番が「居住系施設やサービス支援の整備」ということで、介護保険事業(支援計画)の策定に当たっては、その地域の認知症患者のニーズを的確に把握した上で、認知症支援策の充実について地域の実情を踏まえて記載することを検討してはどうか。また、その際、既存の精神病床の活用についても検討すべきではないかということで、介護の制度との調整なりに検討という点を入れさせていただいております。
 2番は、「退院支援・地域連携クリティカルパスの導入」ということで、受け皿の整備に加えてその移行を円滑に行うことも重要であるため、入院早期に症状が改善するまでの診療計画、退院先、退院後の医療的支援を含めた退院支援・地域生活医療支援計画、クリティカルパス、地域連携パスなどとよく呼ばれていますが、そういったものを推進できるようにモデルとなるパスを開発・普及させるべきではないかということを入れさせていただいております。
 こちらは、事前にお配りしたものでご覧になっているものと、一部語句の修正はありますが、内容的に変更はございませんのでよろしくお願いいたします。
 説明は以上です。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの説明について御意見、御質問等がある構成員の御発言をお願いしたいと思います。本日と、それから次回の21日の2回でこの論点案について御議論をいただきたいと思っております。
 本日は、論点1を中心に御意見をいただければと思っておりますが、ただ、本日、御出席の構成員の皆様のうち、複数名の方々から21日は御出席がかなわないという御連絡もいただいておりますので、中心は論点1からという形でありますけれども、基本的には相互に関係する論点でもありますので、それに限らず論点2についての御意見でもかまわないということで、これから活発な御意見をお願いいたしたいと思います。
 それでは、御意見、御質問、その他ある方はお願いをいたしたいと思います。

○東構成員 この論点の整理を読ませていただきまして大変残念でありましたことは、私もヒアリングで老人保健施設の役割ということを大分インパクトのあるように申し上げたつもりなのですが、この論点の中に一言も老人保健施設という文言が入ってないことを私は非常に残念に思いました。
 老人保健施設のことについての認識がまだ皆さん薄いのかなということで、こちらも反省をしなくてはいけないのかもしれませんが、老人保健施設というのは一体この中で施設というふうに認識されていらっしゃるのか、医療機関というふうに認識されているのかはわかりませんが、私は老人保健施設の持っている、前回もヒアリングで申し上げました認知症に対するリハビリ機能、認知症の方を緊急でお預かりしたりする機能、それから精神病院から在宅へ至るまでに、一たん老人保健施設でお受けして円滑に在宅にお返しする機能等も是非、評価をしていただけたらと思います。
 また、最後の方にありましたクリティカルパスですが、これはもう既に脳卒中等のものに関しては急性期病院から老人保健施設を経るクリティカルパスができております。認知症の患者さんに対しても、私は是非クリティカルパスの中に老人保健施設を組み入れていただければというふうに要望したいと思います。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございますでしょうか。

○松浦構成員 お尋ねしたい点があるんですが、論点1の1に「専門医による早期の診断」と書かれておりますが、認知症の専門医というのは今どのぐらい、前回の会議で人数が出ているようですが、その人数だけでこの体制ができるのかどうかということをちょっと疑問に思いましたので、この「精神科医等の専門医を受診して」というところがうまく理解できませんでした。
 それで私は今、介護の方ではサポート医を養成しておりますので、専門医とサポート医との関係をどういうふうにお考えになられるのか、それをお尋ねしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 では、事務局の方で答えられる範囲で。

○中谷課長補佐 こちらにつきましては、専門医というよりは、専門の診断ができるところできちんとMRIですとか、そういった高度な診断機器も踏まえたような専門の診断を早期から行うべきではないかということでございます。
 どこに行けばそういった診断をしてもらえるのかというところがわからないと、そのような患者さんを診たときにも紹介できないということがありますし、そういう意味では当然そういった疾患医療センターには専門医がいるということで整備をしておりますので、そういった趣旨でございます。

○福田精神・障害保健課長 よろしいでしょうか。それを踏まえて、何か追加の御意見はございますか。

○松浦構成員 ありがとうございます。やはり実際に地域で認知症かなと思った人が、どこに診察に行ったらいいのかがわからないというのが現実の問題としてあると思います。
 それから、神奈川県ですと東海大学が認知症のセンターになっておりますが、やはりそこを紹介しても非常に待ちが長くて、予約を入れるだけでも満杯な状態でございますので、その辺のイメージができなかったので、相談の入り口がどこで、その後どういうふうに発展していけばいいかという仕組みがもう少し具体的に見えてくるといいかと思いました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 日精協の河崎です。今、松浦構成員のおっしゃられた御質問に関してなんですが、地域によっては行政の方が主導して、どの医療機関が認知症を診断可能なのかとか、あるいは認知症の方の関わりを行うのかというところを精神科病院、あるいは精神科のクリニック、そういうようなものをきっちりとした資料をつくって各医療機関に配布したり、あるいは介護保険関係の施設等に配布しているようなところも結構最近出てきていると私は思っておりますので、全体的にまずどこできっちりとした診断をつけてもらえるのかというようなところは、行政側がそういう啓発も含めてしっかりと構築をしていくことがひとつ重要なのかなと思いました。
 それから、違う点で幾つかお聞きしたいこと、あるいは質問したいことはあるんですが、1つは1ページ目の3の「家族や介護者への相談支援や訪問支援」というところで、先ほどの事務局の御説明で「必要な時には24時間365日いつでも連絡可能な電話相談等を通じて」というところを、例示として前回の上野先生がやっておられるような携帯番号を教えられて、いつでも相談に乗りますよというようなことをイメージなされているような御説明だったというふうに聞いたのですが、それはそれぞれのドクターがその先生なりのやり方でやっていくことであって、それを普及するというようなことが果たしていいのか、悪いのかというのはもっと検討が要ると思うんです。
 それよりも、こういう「必要な時には24時間365日いつでも連絡可能な電話相談」ということこそ、公的なところが行うというような位置づけをつくっていくことの方がまず先決ではないかと思います。ですから、この提案は非常に私は大事だろうと思っていますが、この内容に関しては個々の臨床医がそういうふうにしていきましょうというような認識で御説明されたのであれば、それはちょっと違うんじゃないかなということを指摘したいと思います。
 それから、4番目です。アウトリーチのことを書かれておりますが、このことと、多分4ページの「3精神科医療機関と一般医療機関間の連携のあり方」、この辺りとも少しは関係してくるのかもしれません。先ほどの御説明にもありましたけれども、診療報酬上の問題が随分ここには関係してくると思います。特に4ページ目の「精神科医療機関と一般医療機関間の連携のあり方」というのは、これが非常にスムーズに行えるようにするためにも、現状の診療報酬の仕組みをどうにか抜本的に考えていっていただかないと、現状ではこういうようなことを幾らうたってもやりづらいというのが現実だろうと思っております。
 例えば、極端な話、対診というようなことを行うべきというようなことが前提にあるのかもわかりませんが、その場合でも対診に対してしっかりとした診療報酬上の何か評価があるのかというと、実はないわけですね。それは医療機関同士で話し、合意をするというようなあいまいな形になっているかというふうに理解していますが、その辺りのこともやはりしっかりクリアしていかないといけないと思います。精神科医療機関と一般医療機関が連携をすると言っても、入院している患者さんに対する診療行為を他の医療機関から行うということの難しさをクリアして初めてこの辺がうまくスムーズにいくのかなと思いますので、これはここでどうこうするという話ではないかもしれませんが、非常に重要な課題としてこの論点の中では取り上げていっていただきたいと思います。
 とりあえず、今の状況ではこれぐらい発言させていただきます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。三上構成員、お願いします。

○三上構成員 最初の「専門医による早期の診断」についてですが、先ほど認知症サポート医についてお話が出ましたけれども、認知症サポート医は専門医ではなく、いわゆる相談に乗る、もしくは専門医への紹介を担う医師であるとの認識で、現在1,000人以上が養成されております。そして、認知症サポート医の所在については、都道府県もしくは地域の医師会に問い合わせていただければ、恐らくわかるかと思います。
 それから、「家族や介護者への相談支援や訪問支援」について、「24時間365日いつでも連絡可能な電話相談」とありますが、これについては、認知症強化型の地域包括支援センター等に相談員を置かれて、きちんと連絡が取れる形にされるのが一番望ましいのではないでしょうか。先ほど河崎構成員がおっしゃったように、勤務医がそれぞれ携帯電話等で患者、患者家族、介護者と連絡を取ることは、恐らく相当個々の先生のやり方によって変わってきますし、それぞれの勤務医に連絡用の携帯電話等を持ちなさいという制度にするのは、現状無理があるだろうと思います。
 それから、4ページの「慢性疾患を合併している認知症への対応」のところですが、下の枠の中にあるように、現在あります精神科身体合併症管理加算について書かれている要件、対象疾患の中に、確かにインスリン投与を要する糖尿病として慢性疾患もあるわけですけれども、しかし、算定期間が7日間ということで慢性疾患に対応しておりません。
 それから、医療課の方も、精神科身体合併症管理加算として診療報酬上、評価しているのはここに書かれているものであって、急性期対応であると言っておりましたし、このあたりにつきまして、慢性疾患へも対応していただけるよう、診療報酬改定の際には、もう一度きちんと精神・障害保健課長からもしっかり意見を言っていただければと思います。
 また、認知症疾患医療センター運営事業において、地域型の施設基準として、急性期入院治療を行えることが要件にされておりますが、認知症については慢性期の入院医療を行えることについても、評価するという形で書いていただく方がいいのではないかと思います。
 それから、「精神科医療機関と一般医療機関間のあり方」につきまして、先ほど対診についてお話が出ましたが、対診でよく話題にあがりますのは、麻酔科の出張麻酔に関する問題ですが、非常に複雑で難しい制度だと伺っておりますので、今後、整理をしていただけたらと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他いかがですか。
 では、長野構成員お願いします。

○長野構成員 確認ですが、論点を整理して中身はまた後で議論をしていくということですか。中身の議論もある程度、出してもよろしいですか。

○福田精神・障害保健課長 中身の議論とおっしゃいますと……。
 基本的に今日と次回でいろいろ御意見をいただいて、それをまた整理をしていわゆる報告的なものにするものは11月ぐらいに議論していこうという全体の流れですので、基本的に思っていらっしゃること、御意見、何でもまずはおっしゃっていただければと思っております。

○長野構成員 わかりました。さっきの議論の続きの中で1点、24時間365日の電話に関しては私も全く同感で、医師が個人でというのは限界があると思っているので、それをイメージして制度化するのはやはりノーだと思っています。
 というのは、私自身やってきて患者さんが300人超えたぐらいから覚えられなくなってきて、500人を超えたぐらいから本当に誰が誰だったかというか、適切なアドバイスがある程度できなくなってきたりとか、お酒を飲んでいるときとか、やはりいろいろな状況があって、逆にストップをかけてケアマネさんに1枚かんでもらってというふうにしていきました。
 カルテが手元にない状況でのアドバイスというのはやはり限界があって、記憶にも限界があるので、それはあやふやな体制になりかねないので、個人的にドクターがやる分にはそれはオーケーだと思うんですけれども、制度としてやるのはやはりノーだと思います。
 そのドクターの話もあるのですが、24時間365日の相談というのは、一方、頑張られているケアマネさんたちの問題もとてもあって、制度としてされていなくて皆、個人の携帯も含めて、事業所の携帯を24時間365日持って、常に24時間体制で携帯を持っているケアマネさんが世の中にたくさんいらっしゃると思うんですね。
 これも限界がくるだろうと思っていて、大きな事業所に関しては交代で夜勤当番をつくられているところもぼつぼつ出てき始めましたけれども、それでも担当のケアマネさんは常に24時間相談体制にいらっしゃる。一緒にここに出張に来ても、常に電話をしていたりする。この状況は長くは続かないだろうと思っていて、そういう24時間365日相談できる体制に関してはもう少し何か手厚く考えたり、人が増やせる体制だったり、お互いの情報共有できるという体制を医療だけではなくてつくっていかなければいけないと思います。
 あとは、論点の中で論点1の2のBPSDの対応で2のところですけれども、通常から情報交換をきちんと行っていて円滑な受け入れが行えるようにというところで止まっているんですが、出口の話をやはり明確にここでもしておくべきじゃないかと思います。論点2のところで出口は出てくるんですけれども、この時点でやはり入院をして、更にその入院中にちゃんとケアマネジメントの連携をする。ケアマネージャーさんが、入院をした。やれやれということで、医療機関から退院しますよという連絡まで動けないというケアマネージャーさんもいらっしゃったり、逆にその間きちんと面会にもいらっしゃって状況を確認しながら、いつでもよくなったらすぐ退院できるようにサポートされているケアマネさんもいらっしゃる。
 そういうケアマネさんのときは結構早く退院できたりしますので、そういう地域のケアとの連続性を入院中もちゃんと持って、症状が改善次第すぐ帰れる体制にというところで、この2の論点のところには出口のこと、退院に向けての取組みのこと、ケアマネージャーさんたちとの連携のことも書かれたらどうかと思いました。
 それから、3番の認知症患者に必要な入院医療というところが非常にシンプルな書き方になっていて、今の日本の現状だと我々もそうなんですけれども、周辺症状、BPSDが出たときの対応が入院だとなってしまっている問題はあると思うんですが、先般スウェーデンなどを見学に行ったり、日本の中でも先進なところは、やはり鑑別診断をするための短期入院というのが将来的にはいってくる可能性が高いんじゃないか。
 日々、臨床していて鑑別診断、鑑別診断と言うんですけれども、私が勉強不足なのだろうとは思いますが、認知症の鑑別診断は決してやさしくはなくて、長い間、経過を追わせてもらってようやくつくようなものがあるので、外来で数回診て本当に鑑別診断ができる専門医というのはそんなにたくさんいらっしゃらないと思うんです。
 今も私たちはどうしても目安がつかないような鑑別診断は大学の方にお願いをして、2週間ぐらい集中的に入院をしてそのときの生活状況などをみていただいて鑑別診断していただく方もあるし、北欧で見てきたのはルンバールであったり、様々な検査も含めてきちんと鑑別診断のための入院というものが位置づけられていて、将来的に地域ケアの量と質がきちんと整ってくると、BPSDが云々というよりは本当に困難ケースの鑑別診断のために入院がというふうになってくる可能性は十分あるだろうと思っていて、そこの機能に関してはやはりちょっと考えておかなければいけないなと思っています。
 あとは、適切な入院医療を提供できるようにマンパワーというふうに書かれているんですけれども、とても気になっているのは認知症治療病棟のハードの施設基準なんです。ハードの施設基準が認知症治療病棟を実際に見ていくととんでもなく広さが要ったりとか、逆に広過ぎて手すりから手すりまでいくまでに転倒してしまうようなところとか、何かあってスタッフが駆けつけても運動会をしなきゃいけないというか、とても手を差し延べられない距離にあったりとか、施設基準そのものがケアに適しているかどうかというところは見ていかないと、随分、昔にできた施設基準がそのままきているような印象を受けていて、認知症ケアに適したハードの基準もちゃんと入れていくべきだろうと思います。
 それで、論点2になるのかもしれないんですけれども、精神科の入院医療というふうに引っくるめられているんですが、今回精神科医療を明確化するという点では、精神科医療の機能分化の中で認知症治療病棟なのか、精神一般にいらっしゃるのか、療養病棟にいらっしゃるのかということも随分大きな問題だと思っています。
 私たちは小さな病院なので病棟ごとの機能分化がとてもできない。一般病棟で受け入れざるを得ない。その中でユニットを分けるしかなかったんですけれども、他の患者さん、慢性期の患者さん、統合失調症の患者さんたちと一緒に認知症の方をケアするときには従来出てこないような問題がいっぱい出てきて、認知症の方が他の部屋に入ったときに、ぽかんとたたかれる。
 徘徊ということになりますけれども、それも皆さんにとっては意味のあることなので、従来の介護施設だったらそう問題にならないことが精神科の病院の中だと問題になってしまって、御本人を保護するために状況によっては隔離室で保護しなければいけないとか、本末転倒なことが起きてくるので、認知症治療病棟と、一般病棟での認知症の方の処遇と、療養病棟での処遇というのはやはり似て異なるものだと思っています。
 そこは機能分化で病棟別できちんと考えていかないと、認知症治療病棟だけをどんどん手厚くきちんとしたところで違う問題が起きてくる可能性があるので、それは論点として必要なんじゃないかと現場から思います。
 あとは、論点2のアウトリーチのところです。医療側から介護施設というのはとても大事なことだと思うのですが、先ほどの対診の問題、対医療機関に往診に行く場合、診療報酬が取れない場合も結構ありますし、私たちも行って向こうの先生とお話しして、向こうの先生に指示を出してもらったりとか、いろいろイレギュラーな工夫をして現場では回しているのが現実です。
 施設としても非常にここは実は難しいところがあって、やはりそういうところはきちんとやっていかなければ、診療報酬が要るだけということではなくて、逆に何かあったときの責任が取り切れないというか、責任の所在という点でも外での診察がきちんと位置づけられ、施設の中での診察が位置づけられるような仕組みはやはり必要になってくるだろうと思います。
 それから、アウトリーチとかでちょっと強調したいと思うのは、ドクターだけがかけずり回るのはとても量的に無理で、私たちも比較的地域でちょっとましになってきたかなと思い出したのは、ナースが、保健師が、OTが、自らが出て他の施設と連携を取り出したときに、ようやく重層的に日常的に連携が取れるなと思い出したところもあって、医療イコールドクターというふうにならないような記載がどこかに1つでいいのでほしいと思いました。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。それでは、河岸構成員お願いいたします。

○河岸構成員 今のお話は、とても私にとっても参考になりました。
 家族にとって、3ページの2番の2ですが、やはり地域との連携というところでは家族としても入院したときに入院の目的、それから治療方針をきちんと明確化して、どうなったら退院になるとか、どうなったらどこの施設に行った方がいいとか、その辺を家族にきちんと説明してくれると、家族というのは意外とそこで了解できるんですね。
 ただ、どたばたで入院して、ああ、よかったとなってしまうと、後になって、ではもう退院しましょうといったところで納得できないということがよくあるので、やはり最初の段階というのは非常に重要じゃないかと思いました。
 これは、7ページのクリティカルパスとか退院支援というところにも通じるのではないかと思います。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございませんでしょうか。
 岡崎構成員、どうぞ。

○岡崎構成員 全体の構成は、こういうふうにあるべきだろうと思います。やはり入院を前提として考えるのではなくということが最初に書いてありまして、「できるだけ」というふうになっておりますが、私としては「できるだけ」ではなくて、こういったものは影響が大きいので、後でちょっとBPSDのことを言いますけれども、「できるだけ」と書いてあると、やはりBPSDなどがあると御家族も、あるいは医療する側も大変だということで入院というふうになりがちだと思うんです。やはり「できるだけ」ではなくて、地域で暮らしていけるように支援することを原則とするといったように、もう少しきちんと強調してここを徹底してやらないといけないということが伝わるような表現にするべきではないかと思います。
 それで、最初の治療と言いますか、先ほど長野先生は鑑別診断とおっしゃいましたけれども、最初にお会いして、きちんと評価をして、その方を取り巻く状況も含めて治療計画をしっかり立てるための時間を十分取っていただくということが非常に大事だと思うんです。
 それで、たまたま昨日、京都府立洛南病院の先生方と話す機会があったんですけれども、外来医療を原則としてやっていらっしゃるんですが、どうしてもという場合に入院医療を限定的に使うという考え方なんですが、そういうふうにするには最初のときにやはり2時間ぐらいどうしても時間が要るということです。
 そこで計画をしっかり立てておくと、その際に医師だけではなくてPSWを始め看護師、OT、その他が関わってそういう評価をするのですが、そうすると、その後、そういうチームで立てたプログラムに従ってやっていきますので、非常に効率よく、いろいろな角度からのケアと治療ができていくということを聞きましたけれども、最初のときにしっかりそういう時間とマンパワー、人手をかけて計画を立ててやっていくということはすごく大事だと思いました。
 そういうことをやるには、やはりそのために診療報酬上もきちんとそういったことができるような保障があるべきだろうと思いました。そうすると、その後の医療資源というものが効率的に配分できると思いますので、そういったことをもう少し強調していただければと思います。
 それから、1ページ目の論点1の1の3に「家族や介護者への相談支援や訪問支援」ということが書いてあります。確かに、医師個人あるいはその他の職種の方の個人的な努力ではやはりこういったものは長続きしないだろうということで、システム化する必要があるだろうと思うんですが、最初に相談をされ、それから診断を受け、治療を受け始めたところの情報というのはすごく大事ですので、それがちゃんと伝わるようなシステムにならないといけないのではないかと思います。
 それから、もう一つは先ほども既に言われましたけれども、アウトリーチのところではやはりチームで行うんだということを是非強調して書いていただきたいと思います。
 それから、次の2の周辺症状に対する記載です。上野先生もたしか言っておられましたけれども、周辺症状といいましても2種類あって、それは1の中に書いてあると思うんですが、認知症が生じたためにその反応性の症状を起こしやすくなっている問題と、認知症そのものの病理過程のために生じている、例えば幻覚とか妄想というのはやはり入り組んでいるんですね。
 ですから、まずやることは環境調整をして、その周辺症状を起こしている要因をなるべく軽減する、ないしは除去するということに努めるべきだということははっきりしていると思うんです。まずそれをしっかりやって、その上で、なお内的な原因と言った方がいいんでしょうか、内的な原因で起こっているものについては薬物療法も含めた対処が必要だと思うんですけれども、その最初の環境の調整の方をしっかり行うということがまず大事ではないかと思います。そういったことも少しわかるように書いていただけるといいかと思います。そうしませんと、3の認知症患者に必要な入院医療というのが、周辺症状はすべて入院医療の対象だというふうに誤解されかねないと思いますので、そういう区別が必要かと思います。とりあえず、以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他ございますか。
 では、柴田構成員お願いします。

○柴田構成員 この論点1と、論点2というのは行き来することなんだろうと思います。
 例えば、1の「専門医による早期の診断」の前にあるのは、家族への教育だったり、地域での住民に対する講演会とか、そういうものが本当は第一にあるべきだろうと思うんです。私は川崎市住民で、川崎の精神保健福祉センター、病院だとかクリニックがどれぐらいあるのかを実は調べてみましたらかなりあるんですけれども、実は意外と知らないんですね。調べてみて初めて、ああ、こんなところにこういうところがあった。
 私たちは医療の方にもかなり関わりはしていますけれども、現に私自身もあまり知らない状況があって、一般市民の方々は本当に御存じないんじゃないかと思うんです。そういう意味では、やはり広報活動というか、講演会だとか、そういうことが大前提になければ、多分市民の方々は知るすべがないと思います。その上で、そういう教育ができて初めてこの1番の方につながっていくのかなと思いました。つなぐためのドクターだとか、いろいろな支援の在り方があるということでしたが、そういう意味では私はすごく今いろいろな先生方のお話を伺いながら勉強になるなと思いました。
 それから、先ほどから診療報酬だとか責任の所在ということをいろいろな先生方がおっしゃっているんですけれども、介護の立場あるいは生活をしている御本人たちの立場を考えると、それは全く実は関係ないことなんですね。論点1は、精神科医療の在るべき姿と役割ということで非常に重要なお話かと思いますけれども、本人や家族にしてみればそうではなくて、どうしてくれるんだということが一番にあると思うんです。
 ですので、やはり私は先生方を始め訪問看護師さんや、いろいろな立場の方々がやはり地域に出るということがこれから当たり前になるような世の中にしていかない限り、家族がいつまでも泣くし、本人にとって決していい状況は続かないような気がする。これから更に認知症の方が増えてくるわけですので、そういう意味からもここ数年のうちにストップをかけることがすごく重要なのではないかに思っているんです。
 先生方の数が絶対数足りないということは十分に知った上で、でも、何かの対策をとらざるを得ないような状況というのはあって、今でも足りない状況ですからとにかく何かのきっかけづくりを地域の中でしていかなければいけないのかなと思いました。
 1つは、普段の介護や先生方のいろいろなお話を聞いている中で、大変失礼な言い方になるのかもしれませんが、内科の先生やいろいろな先生が認知症の方を診断します。その診断をしたときに、私ども介護の立場からして、えっというようなことが結構あるんですね。これは本当に失礼な言い方かもしれません。でも、そんなんじゃないんじゃないですかということがよくあるし、耳にするし、目にするんですね。
 そういう意味で何が大事かというと、もちろん病院で長い時間をかけながら診断してくださることはすごく重要なことだと思いますけれども、その人がどんな暮らしをしていて、日常生活がどのように行われて、家族関係がどうで、というようなことも実はその認知症の方々に対する判断と言いますか、その中には非常に重要なキーワードになるのではないかと思うんです。それがほとんど地域の中では、精神科医療の方では行われていないのが現状なのかなというふうに、現状をきちんと知らないで大変失礼なことを言っているのかもしれませんが、その辺りはお許しいただきたいと思います。
 家に足を踏み込んでいかない限り本当の生活がわからないし、その方のことは真にわからないんです。介護の私たちでさえ、表面上のデイサービスの役割のところだけでは本人の日常生活はわかりません。家に出向いて、夜の生活がどうなのか、そして家族がどうしているのかというところがわかって初めてその人の生活全体がわかってくることになります。
 その辺りで、もちろん情報収集というのは非常に重要かと思いますが、現在のケアマネージャーさんはそこまでは情報収集できていません。そういう方々が非常に多いんじゃないかと思うんです。そうだとしたら、認知症の方々を24時間支える機能をどういうふうなチームの中でつくっていくかというのも、論点1なのか、論点2なのか、重なるかもしれませんけれども、考えていく必要があるかと思っています。
 それからもう一つ、できるのか、できないのかはわかりませんが、例えば川崎は百数十万の都市です。本当に何万人規模、何十万規模の地方の都市とは対応が全く違ってくるのかなと思っているんですね。そういう意味では、最近は大きな都市の中でも特養をできるだけ解体をしながら、地域にサテライトとしていっぱい出していこうというところがたくさん出てきているお話は、きっと皆さん方のお耳にも入っているのではないかと思います。
 そうだとしたら、私は可能なことであったとしたら医療機関もそういうふうなことに少し手を貸せないものなのかなと思いながら、そうすることで地域住民が医療に関わるときにもっともっと身近になってきて相談がしやすくなるし、いろいろな関わりが早期にできていい治療にもつながるでしょうし、場合によっては本当に緊急に入院しなければいけないときもすぐにそれが対応可能になってくるのではないか。
 まだまだわからない状況がある中で生意気なことをお話ししていますけれども、そんなことを思って、是非、身近なところでたくさんの医療が受けられるような環境づくりができればと思っています。論点1と論点2というのは決して切り離すべきものではなくて、かなり行き来をして初めていい状況がつくれるような感じがしますので、ひとつ意見として発言させてもらいました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。阿式構成員、お願いします。

○阿式構成員 1つ質問ですけれども、基幹型の認知症疾患医療センターとか、地域型の認知症疾患医療センターが全国で今どの程度できて、それがどのように機能しているのかを教えていただければと思います。
 そういうシステムができれば全てができるというわけではないですけれども、そういうシステムの中からいろいろな診断にしても、24時間の相談にしても、精神科の専門医だけが訪問といってもこれからどんどん認知症の患者さんは増えてきますし、かかりつけ医の方の認知症の一般的な診療とか、そういうふうな教育とか、チームの教育とか、そういうものも全てそういうところが中心になって教育をしたり、研修をしたり、それが地域と密接につながっていけばもっといいものになるかと思うんですが、岡山ではまだないような気がするのでどういうふうになっているのかということをちょっとお聞きしたいのですが。

○福田精神・障害保健課長 では、まず事務局の方から総論的なことを答えていただいて、あとは今日、構成員の方々の中でも実際にやっていらっしゃるところが幾つかございますので、補足があればいただければと思います。まず、事務局の方からお願いします。

○中谷課長補佐 まず、認知症疾患医療センターの今の整備状況ですが、全国に92か所ございまして、都道府県別では30弱ぐらいなので半分ちょっとぐらいになります。
 内容としては、この事業の中では診断以外に認知症の普及啓発のための情報センターですとか、地域に顔の見える関係づくりといったような研修会の実施ですとか、そういう連携担当者を配置して介護のセンターですとか、またサポート医とも連携するというようなことを進めようということでやってはおりますが、平成20年から整備を始めていまして、その機能がどこまで果たせているかというところはまだ正直、今のところデータはあまりないという状況であります。

○阿式構成員 それが整備をすれば、連携がきちんとできるというふうに思って……。

○中谷課長補佐 この整備だけでいいかというのはすごく疑問があると思うんですけれども、これを活用していただきたいと思っております。

○福田精神・障害保健課長 三根構成員、お願いします。

○三根構成員 論点1の1が「地域での生活を支えるための精神科医療」ということで、もちろんそのとおりでして、前提として考えるのではなく、できるだけ地域で暮らせるようにと、このとおりだと思っています。
 ただ、いろいろなタイプの認知症の方がおられまして、例えば前頭側頭型の認知症で非常に大変な困難なケースもございます。最近、直近で見た方は性的逸脱行為がありまして、起訴するかどうかということで、これは病気なのか、法律で裁くべきかというようなことになった例もございますし、アルツハイマー型認知症のある時期、あるいはある程度進行した例では本当に目も離せないという状況もございまして、あまり地域でということを強調しますと、実は一番お困りになるのは御家族ではないだろうか。
 それはそれ、御家族の環境、心構えもあります。私が見たある方は、3人の娘さんが週2日ずつ、ほぼ寝ずに認知症の終末を家で看取った方がおられまして、残りの1日は配偶者がやる。配偶者は高齢なので1日しかできない。例えば、そういう支援をしながら、公的なサービスを受けながらということであればそれはできるでしょうけれども、そういうことを全ての方に求めると実は一番困るのは御家族ではないだろうかという感じがします。
 では、どんなサービスかというところで常日ごろ私が思っていたのは、例えば医療系の訪問看護がありますけれども、使いづらいんですね。介護サービス、介護保険優先ということがありますので、なぜ訪問看護が病院から必要かということに注釈をつけなければいけません。そういう使いづらさがございますし、または夜の訪問看護、夜間の訪問看護があれば大分助かる部分もあるかと思いますし、今、認知症の方は介護保険でのショート、短期入所もありますけれども、精神科での重度の認知症デイ・ケアに例えば夜間のサービスを付け加えたら、随分そこでの使い勝手がいいものになるんじゃないだろうか。
 つまり、何が言いたいかというと、非常に大変な認知症の方こそ夜間体制というものを整えていくことが1つのポイントになるような気がいたします。以上でございます。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 この介護で確認していただきたいと思うことがあります。今後の基本的方向性と原則についてですけれども、精神科医療の役割ということで、私は3つのことが確認されなければいけないのではないかと思います。
 1つは診断ということでして、これは先ほどお話も出ましたけれども、御本人、患者さんの生活を知っていらっしゃる介護をしているスタッフの方とか家族と一緒に診断を考えていく。その診断の結果、その診断された病気と言いますか、病名が介護の質を高めることに役立たなければ仕方がないだろう。ただ名前をつけるだけで、それがさっぱり役に立たない、もしくはかえって間違えた診断名などを出されるようではどうしようもないので、正確な診断をきちんと出すのが医療機関、精神科医療の役割である。
 2番目としては、例えば入院したりするときに、それは効果がきちんと認められるような入院でなければいけないだろう。その人のBPSDがちゃんと改善されていくことがはっきり認められるような形での入院でなければいけないだろう。今後の方向性として、原則としてそういう入院しか認めない。
 それから、最後の3番目がアウトリーチはやはりきちんとすべきではないか。御本人が暮らしていらっしゃる暮らしの場に出かけていって、医療を提供していく。そして、その方が人間として本当に豊かな生活ができるように最後まで協力を惜しまないという姿勢が必要であろう。この3つの役割が精神科医療の大切な点だろうと私は思います。それをこの会議で確認していただければと思います。
 それから、それに合わせて考えなければいけないことは、現在、過渡的状況にありまして、精神科の病院にやむを得ず入院している方というのはたくさんいらっしゃいますし、それから家にいて家族が本当につぶれかけているところもありますが、この状況をできるだけ早く整理して年度計画を立てまして、どのようにさっき私が申し上げた原則にきちんと合わせていくか、当てはめて整理をしていくかということを精神科の医療では考えていかなければいけない。そのことを、この会議で確認しなければいけないのではないかと私は思っております。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。広田構成員、どうぞ。

○広田構成員 たくさんありますけれど、まず1点は2ページ目の5です。「認知症状への24時間の対応体制(ソフト救急)」で、「精神科医療機関のアウトリーチ等」と書いてあるんですが、これは24時間の精神科救急も含まれるという考え方でよろしいでしょうか。そのアウトリーチである以前の本体の救急車などで行く救急のことも含まれる「等」でしょうか。

○中谷課長補佐 そうです。

○広田構成員 だとしたら、昨晩、救急救命士と話してきたんですけれど、これは単に認知症だけではなくて全国の自治体の救急車で精神科の患者を乗せないというところが非常にあるんですね。そういうところに対して総務省がきちんと精神科の患者さん、この場合は認知症も含めて精神科救急を位置づけるということをやっていただいた方が、年間4,000人の精神疾患者を搬送している横浜市救急救命士からも是非望みたいという意見を昨晩いただきました。これが、1点です。
 それから、9年間、国の委員会に出ていますけれど、本当にいつもお金のかかる話ばかりで、今朝もたまたま私のおじが危篤状態だということで、昨日の夕方、内閣府の作業部会の懇親会をやっているところに電話がかかってきて、明日の朝10時に来てくださいということで行きましたら、何か呼吸器を付けると。それで、お金がないんですと言ったら、生活保護ですというから、900兆の赤字なんですけれどと言ったら、医者が、そういう大きな話はいいんですけれど、と言うんです。10万人それを使ったら6兆円の話だから大きな話なんですけれど、そういうふうなことがあって、常にお金のことを考えています。
 それから、たまたま私はこの間、10月2日から9日まで、人生で最悪の体調の中で長崎、対馬、韓国と取材に行って参りましたが、対馬で対馬南警察署と対馬北警察署、それから対馬の救急隊を取材しました。そうしましたら、対馬全島に認知症の患者さんいらっしゃる、でも、私が暮らしている横浜市内のように、警察の現場に認知症の患者さんがいらっしゃることはない。つまり、島の住民が許容したり、見守っているということです。
 それは、ただ単に認知症の患者さんだけではなくて、高齢のお1人暮らしの家庭に対しても、明かりが何日も夜についていると警察に安否確認、安全かどうかという確認が地域住民から入るということなんですね。こういうふうな抜本的なことをやらないと、ただ単にここで精神・障害保健課に言っているわけではなくて、厚生労働省全体に言いたいと思います。そういうことをやらないと、いつも言っているけれど、地域住民の啓発だ何だと言っても、例えば警察の現場とか、町を歩いていた認知症の方が一番困るのはどこの誰かわからないことです。
 それを、例えばここの5ページ目の「地域住民への啓発活動」というものをやるときに、ただ単に講演会をやって面白おかしくもないことをやっているのではなくて、紙芝居か何かを持っていって、誰もが認知症になると。
 そのときに、私でもそうです。認知症にまだなっていないと思いますが、一瞬、名前とか住所を忘れたらわかるように名札を付ける洋服をファッションではやらせるとか、そういうふうにしないと本当に警察の現場ではその人がどこの方かというのを調べるのにものすごい時間を要している。
 これは前回、野澤さんもお話をされていましたけれども、都市部だけではなくて、例えば私が横浜からある東北地方に精神疾患患者の相談ケースで行ったわけです。行きまして、いろいろなその方の周辺にお願いをして回ったときに、本当に大きな東北地方の家の中に認知症の患者さんはいらっしゃるわけです。それで、鍵をかけている状態です。鍵を外せば、町の中を歩いて都会と同じように警察に保護される。
 そういうふうな日本列島の中で、最初から予防の話は言うなと言われているけれども、やはり対馬市の市役所の若い非常に笑顔のすてきな女性職員と何で話が盛り上がったか。対馬市はお金がない。横浜市もない。国もない。うつや認知症の予防ですという、この2点です。これが広田和子と対馬市役所の職員が一致した点です。
 そして、若い男性は私の話を聞いていて、国民の社会貢献ですと、ですから是非どこかのところで、ここのところで出せなくても、老健でもどこかのところで予防を入れないと、この間、松本委員も言っていましたが、包丁を持ったらよくなったとか、いろいろなことがあるわけです。だから、そういう形で年を取ったからやらないという社会ではなくて、年寄りが、83歳の高齢者が、私がボランティアに行っている高齢者施設でボランティアをやっている。そういうことを受け入れられるような社会づくりをすることが結果的に予防になり、医療と結び付けるとしたら医療費抑制になるということをやはり頭の中のどこかに入れておかないと、24時間の相談はいいんですけれど、精神障害者の24時間の相談だって相談とは言えない。
 ただ話を聞いている傾聴、共感で、それが相談かというふうなことで相談支援事業者だけが何か膨らんでいくような話が精神の方でありますから、私は認知症の家族らしい人がいたけれど、その人は入院で亡くなっているからあまりいろいろなことは言えませんが、そういうふうに感じます。
 それから、3ページの上の方で「必要最小限の適切な薬物治療」というふうに、敢えて必要最小限の薬物治療と入れたのは、やはり精神科医療は薬が多いと、前回他の出られた医者も言っていたし、私もそれに危惧をすると意見を言ったし、そういうふうなことを前提として入れているのか。そうではなくて、現在これは必要最小限だからそのまま守りたいというふうにおっしゃっているのかということをお伺いしたいと思います。
 もし、さっきのすてきな女性の補佐がおっしゃったように、医療を含めた精神科のソフト救急だとしたら、精神科のソフト救急全体が全国都道府県とか政令市でまだシステム化されていません。多くの患者が反対しているところの警察官通報から24時間化が制度化されるきらいがあります。ですから、是非全ての患者の視点に立って救急車で行ける精神科救急の整備と、さっきお願いした総務省にきちんと厚生労働省から申し入れて、他の病気と同じように精神疾患も救急車で行く。これが当たり前の世界の先進国の日本ですということを言っていただきたいということです。
 それから、総合病院の話が4ページ目に出てきて、さらっと4ページの下の方に「精神科医療機関と一般医療機関間の連携のあり方」と出てくるんですね。ここで認知症患者さんのことが出てきて、「総合病院精神科を受け皿とするが」と言うんですけれども、いろいろなところで発言させていただいていますが、ソウルには25の総合病院に精神科がある。でも、我が国では本当に総合病院の精神科が少ない。それは、精神科医療そのものの医療費が少ないという中で、総合病院の中の精神科も安いから、総合病院の中の精神科がお荷物になっちゃっているわけですね。他の科から嫌がられている。全国的にそういうふうなことになっているわけです。
 ですから、そういうことも含めて総合病院が足りない。総合病院を増やしたいということをどこかに入れておかないと、この後のことを聞いていると医者が訪問診療を行うと言っているんですけれど、今、内閣府とか厚生労働省がいろいろやっていますから、近い将来なのか、遠い将来かはわかりませんけれど、本当にいつも言っている社会的入院の患者を減らして、精神病床も減らして、社会的入院の患者を開放して精神病床を減らして、マンパワーを他の医療並みにして、診療報酬もちゃんと他の医療並みにするというところまでくれば、その訪問等はやっていられるんでしょうけれど、現状では先日お話を伺ったときには、ある精神科の病院では夜中に当直に1人も精神科医がいない。これが実態で、そういう病院があるということですから、そういう手薄の中でどうやって訪問するのか。
 1人もいないのにどうやって訪問するんだという漫画チックな話になっていますから、もっと現状の精神医療の話をするときにはいろいろなところで全体の底上げを入れていく。そして、トータル的にだんだんあっちからこっちから張りぼて式じゃないけれど、気がついたときには精神医療が本当に世界の先進国並みに安心してかかれて、木倉部長がやがて認知症になっても安心して救急車で行けますとか、そういうことなんです。
 そして、行った先で必要なのは、やはり認知症の方だって合併症するわけですよ、私も将来その可能性がある。そのときには、総合病院に行く。医者がわざわざあっちからこっちから行くんじゃなくてやるという形で、1つ何かをやるときには本当に欠けているところがだんだんデパート方式に上がっていくような形で、積み上げ方式ですか。そういう形で、欠けているところを絶えず絶えず入れていく。そういうふうな報告書づくりであってほしいと私は思います。
 それと、2は次回やるとおっしゃいましたか。

○福田精神・障害保健課長 次回御出席が可能であれば、そちらの方で。

○広田構成員 出席しますから、では次回に回します。そういうことで、是非よろしくお願いします。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。3ページの上の「必要最小限」の部分のところの御質問について、事務局の方でコメントいただければと思います。

○中谷課長補佐 「必要最小限の適切な薬物治療」というところは今、薬物治療が多いことが前提というのではなくて、そこは今、調査をしているところですが、基本的に必要な薬物を最小限という意味です。

○広田構成員 では、ここは是非外さないで入れておいてください。ありがとうございます。

○福田精神・障害保健課長 河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 最初の方で発言させていただいてから多くの方々の御発言を聞かせていただいていたのですが、1つはやはり早期の診断あるいは鑑別診断が重要だというのは、多くの構成員の先生方がおっしゃっておられたと思います。
 それで、これは認知症疾患医療センターがやはりそういう機能を果たすために設置されたというのは間違いないと思います。一応全国で150か所を目標にしているというふうにうかがっておりますけれども、現状は92病院です。それで、先ほど補佐の方から、まだそれぞれの医療センターがどういうような機能を果たしているのか、十分に厚労省側としても把握できていないというような御発言があったと思うんですけれども、やはり早急に各地域、地域でどのような役割を果たしていて、将来的に150か所で果たしていいのか。あるいは、もっとその目標値を上に上げなければいけないのか。やはりその辺は検討する課題じゃないかと思います。
 それと、先ほど柴田構成員の方から、医療機関の方がすぐに診療報酬の話を持ち出すというようなお話がございました。もちろん医療機関、あるいは精神科医、あるいは精神科病院が地域へ出ることが当たり前になっていく時代が早く構築されなければいけない。それは、私もまさしくそうだと思います。
 そのためにも、やはりそれを評価することが重要です。今の日本のこの情報では、その評価をするのがやはり診療報酬という枠組みだろうと思っておりますので、それはやはりしっかりと担保するということがないと、そういう理想に向かってなかなかパワーが生じてこないという現状があろうかと思うんです。
 もし、そういう診療報酬上のことで裏づけをしないというのであれば、そういうことは全部公的に各行政が税金を使ってそれを行うということの方にシフトすべきだと思います。民間の資源を利用するのであれば、それをきっちりと評価するということがあって当然だと思いますし、そういう仕組みをつくり上げていくことが重要かと思います。
 それと、野村構成員の方から3つの点を皆で確認されたいというお話がございました。確かに鑑別診断、早期診断、それとアウトリーチ、地域で認知症の方が生活されることを支えていくためのアウトリーチ機能というのはもちろんだろうと思うんですが、1つ気になったのはBPSDが入院によって治療効果がないようなケースは入院をさせないというおっしゃり方をされたと思うんですが、これはどの時点で判断するのかというのは非常に難しいかと思いました。やはり全ての入院をせざるを得ないBPSDの方に入院をしていただいて、適切な最小限の薬物療法を用いながら、環境要因もいろいろと勘案しながらの治療をして、100%全部うまくいくのか。これは、なかなかやはり難しいところがあろうかと思います。
 ですので、おっしゃっていることは多分、入院が必要なBPSDをしっかりとそこで精神科的な入院加療を行うということが必要だという意味の確認をなされているんだろうなと思ったのですが、それでよろしいのでしょうか。

○福田精神・障害保健課長 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 もちろんそうです。今のところは、家族があまりにも大変なために病院にお願いしているのが現状です。家族はどれほど助かっているかわかりません。心から感謝しております。
 ただ、そこに入った方が社会的入院になっていくということは、一生涯そこで生活を終えるということが前提で入られると、それは非常に悲しいことであるんですね。家族としては、自分が倒れて死ぬかというところもありますから、預かっていただいているだけで文句は言えない。それでもありがとうございますと。御本人がそこで何年で亡くなるかはわかりませんが、人間としての生活ではなくて、本当に収容されて社会に迷惑をかけないための居場所でしかなくて、御本人はずっと我慢してそこで一生を終えるという状況が今、多々あるんですね。それは、誰も悪いわけではないと私は思っております。
 ただ、そういう方でBPSDに関係なく、そこにずっといさせられるということは私はとても悲しいことだと思いまして、それをどういう場で社会で支えていったらいいかということはこれからの課題であると思いまして、例えば精神病棟が空いたりしたら、そこをどう使えば人が尊厳のある一生を送れるのかというようなことの研究をこれからしなければいけないと私は考えております。以上です。

○福田精神・障害保健課長 河崎構成員、どうぞ。

○河崎構成員 わかりました。その辺りは、多分論点2の今後入院医療を要さない患者さんが地域の生活の場で暮らせるようにするための取組みの部分と非常に密接に関係することかと思います。
 それから、追加をよろしいですか。ちょっと細かな話になりますが、2ページ目で「精神科作業療法や重度認知症デイ・ケアの提供」ということで、現状こういうような制度があるということで枠内に書いていただいていますが、やはりこの中で重度認知症デイ・ケアを今後は充実させていくということは、地域の中で認知症の方が生活を行っていく場合に重要な、かなり必要な関わりだろうと思います。
 そういう意味で、また診療報酬のお話になって申し訳ないんですが、これが平成18年のときに随分評価が下がりました。それ以後、何ら評価の見直しというのは行われていないと思っております。今後、こういう認知症の方のデイ・ケアというようなものを、医療の立場からのデイ・ケアをどうするのかということをもう一度しっかりと考え直して、それに相応するふさわしい評価というものがやはり必要になってくるんじゃないかと思っています。
 多分、介護保険の方のデイサービスとの違いとか、対象の方はどういうふうに考えていくのかということも含めての論議になるんじゃないかと思いますが、地域の中での生活ということを考えると、重度認知症デイ・ケアの今後の評価ということももう一度考え直す必要があるんじゃないかと思います。
 それから、5ページ目に「地域全体の後方支援機能」というものがございます。これは、論点1の中の4番目という位置づけだろうと思うのですが、これは事務局の方に少しお聞きしたいんですが、1の「地域住民や地域の他施設との連携強化」とか「地域住民への啓発活動」、これがここに書き込まれているということは、精神科医療を提供している立場の者がこういうことをしっかりとやっていきなさいという形での書き込みなんですか。

○中谷課長補佐 先ほど、認知症疾患医療センターでの機能ということをお示ししましたが、そのとおりです。

○河崎構成員 ですから、その認知症疾患医療センターが中心となって、こういうようなことをしっかりと連携強化とか啓発活動していっていただきたいということでよろしいのでしょうか。
 これはやはりセンターだけの話じゃなくて、ここにもありますように地域包括支援センターとか、いわゆる介護保険の方との連携という中で国の方も絵をかいているかなというふうに理解しているんですが、そういうものも非常に重要になってくると思いますので、ここは医療だけではなくて介護あるいは福祉の方面のこととの連携をどう考えていくのかということにも話はつながっていくと考えていきたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 松本構成員、お願いします。

○松本構成員 すみません。次回、欠席させていただきますので、論点2につきまして御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず、7ページのところでございますが、先ほど来も議論にありました「入院医療を要さない認知症患者の円滑な移行のための受け皿や支援の整備」ということの、ここに書かれている項目については、私は大賛成であります。これを具体化してどう実現していくかというのが、大げさに言えば介護保険サイドの役割であり、使命であるのではないかと思います。
 そこで御質問なのですが、まず1に書いてあります「居住系施設等やサービス支援の整備」の中で、介護保険事業計画の策定に当たっては、その地域の認知症患者のニーズを的確に把握するというふうにありますが、現在の事業計画では、精神病床に入っている方のニーズまで把握をして計画を立てているところというのは多分、私の知る限りないと思うんです。ですので、今後そういうことをやっていくのであれば、どういうふうにニーズを把握していくのかというところが質問の1つ目です。
 もう一つは、認知症支援策の充実について記載をすると。認知症の一般的な施策については事業計画に書きますけれども、精神病床からの受け入れということについては、このようなことを書くということが今までなかったものですから、多分こういうことを言うと、では実態はどういうふうにやっていくのかなというふうに思いをめぐらせなければいけないので、どういったことを想定して記載していくことを検討していくかということです。
 最後の質問ですが、既存の精神病床の活用についてということですが、この具体的な中身について、現時点でお答えできる範囲で教えていただければ助かります。以上です。

○福田精神・障害保健課長 では、事務局からお願いします。

○宮崎老健局企画官 御質問があったうちのまず1点目の、認知症患者の方のニーズをどのように把握するか。これは、第5期の介護保険事業計画の把握の仕方につきましては、今まさにこれから具体的にどうしていくかということを決めていく段階です。現時点で言いますと、それぞれの地域にどのような方がどの程度、日常生活圏ですので中学、高校ぐらいでどれぐらいの方がいらっしゃるかということをきちんと把握していこうということを、検討している段階です。
 その中で、こういう入院医療を要さない、現在入院されている方で今後退院が予定されるような方を、どのように反映することができるのかはこれからの検討課題であり、まだ現時点で詳しく述べられるものはありません。
 ただ、これは精神病床がある地域、ない地域、市町村あるいはその市町村の中の日常生活圏域でも随分違ってきますので、それがどのような形で反映できるかというのは、その前提となる入院されている方の中でどの程度の方が退院できる見込みがあるのかとか、そういうここでの議論なども踏まえた上で検討していかなければいけないだろうと思っておりまして、現時点でこういう形で把握することを申し上げる内容は持ち合わせていないところでございます。
 また、同様に地域の実情を踏まえて記載する支援策などにつきましても、ここでの議論ですとか、あるいは認知症患者で入院されている方の状態像ですとか、あるいはそれに対する医療の必要度ですとか、そういうことを検討していただいた上で、例えば地域によってはそういうことを計画の中に盛り込むこともあり得るのだと思います。
 ただ、いずれにせよ、まずその認知症の方全体について、例えば今日の構成員の方の中にもいらっしゃいますように小規模多機能サービスですとか、そもそも数が足りない状況でありますので、そこをどのように増やしていくのかということが今、大きな課題でございます。その中で、そういう退院の患者さんの方にもどの程度対応できるのかということを、その地域、地域で判断していただくということだと思っております。

○本後課長補佐 介護保険事業計画のことに関しましては今、宮崎企画官からお答えいただいたとおりだと思います。
 松本構成員のお話の中で、具体的にどうやってやるのかがわからなければなかなか自治体でも進むことができないというのはそのとおりだと思っております。そういう意味では、この2に「退院支援・地域連携クリティカルパスの導入」とありますけれども、こういったものをモデル的にでも開発あるいは実行する中で、地域で実際にどういう医療機関がどういう役割をし、どういった地域の介護の事業所がどういう役割をするか。そういうことを具体的に一つひとつ積み重ねていくという中で、実際にそれを介護保険事業計画の中でどう反映させていくか。あるいは、医療計画の中でどう反映させていくか。あとは、障害福祉計画の中でどう反映させていくかという具体論につながっていくんだろうと思っています。そういう意味で、この1と2というのは非常に深く関係しているということだろうと思います。
 その中で、やはり医療機関の役割ということが出てまいりますので、既存の精神病床の活用ということは、この御議論の中では特に御意見は出ていなかったわけですけれども、敢えてここは論点として記載して、あるいは御議論いただきたいということで論点の一つとして書かせていただいたということでございます。

○福田精神・障害保健課長 松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 ありがとうございました。これからいろいろ検討をして詰めていかなければいけないと思いますが、ただ、市町村の立場から申し上げますと、日常生活圏域の中で考えると言ってもそこは中学校区なので、中学校区で精神病床の認知症の患者をその圏域で受け入れるというのは、多分受け切れない感じがします。いろいろな他市町村から入ってきていますので。
 ですので、やはり2に書いてありますクリティカルパスを導入するのであれば老人福祉圏域とか、ある程度大きなところで、医療の方は都道府県がやっていますから、都道府県と連携して仕組みを何かつくっていかないとなかなかうまくいかないのかなと思っています。
 したがって、例えばですけれども、第5期は都道府県単位で一つの圏域でこういうことをモデル的にやってみて、第6期、第7期につなげていくようなスケジュール観とか方向性とかを持って自治体はやっていくべきなのかなと思います。これは意見です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございますか。
 では、野澤構成員お願いします。

○野澤構成員 1ページの3のところですけれども、「必要な時に24時間365日いつでも連絡可能」とありますが、ここは極めて大事なところで、やはりこれがないから過度な病院依存、施設依存も状況を変えられないんじゃないかと思ったんです。「連絡可能な電話相談等」と、こういう書きぶりでいいのかなとちょっと思っていて、いざというとき、必要なときには駆けつけてくる相談支援というのがやはり私は必要だと思います。
 千葉で前に御紹介しましたけれども、中核センターをやはりやっていますが、体制がないと、こういうことをやるとせいぜい留守電にして緊急のときだけ対応しますよということになっちゃうんですね。私は、ここは最優先してやらなければいけないところで、必要な体制というか、人員や予算をきちんとかけてやるべきだと思っています。もっと強く、インパクトのあるような書きぶりにした方がいいのではないかと思います。
 それから、先ほどもお話が出ていましたけれども、5ページの「地域住民への啓発活動」ですね。ここがやはりちょっと気になるんです。認知症の症状や対処法に関して説明するだけでいいのか。もちろん、医療的な説明、医学的な説明は必要かもしれませんけれども、もっと社会的な説明をしなければいけないんじゃないかと思うんですね。
 昨日もちょっとある人からお話を伺ったんですが、ある地域でやはり障害者のグループホームをつくろうとしたら反対運動が起きちゃっている。その反対運動の中心になっているのが民生委員と保護師だと聞いて私はがっかりしちゃって、これを言ってしまうと記録に残ってしまうのでやめますけれども、もっとがっかりすることがあるんですね。とんでもない人たちが反対しているわけです。やはりここをやらないと、私は本気で地域でやろうと思っているのかと思っちゃうんです。
 そこも、これまではグループホームとか、そういうのをつくろうとするときに、地域住民で同意書を取ってこいと行政に言われて、そこでだめだったんですね。皆、だめになっちゃうんです。今はさすがにそういうのはなくなった。ただし、説明をしなさいということで、説明会をやるとやはり反対運動が起きる契機になっちゃうんです。
 先ほども言われていましたけれども、これは誰がやるんですか。主語がないんですよね。これは医療側にこういうことを求めているだけでいいのかなと私は思っていて、ダムをつくったり道路をつくったりするときには行政が説明するわけで、施行業者には説明させないですね。どうしてグループホームだとか、障害者のものをつくるときだけ事業者と利用者に説明をさせて行政は引っ込んじゃうのか。むしろ、こういうところにこそ公的なお金を伴う事業をやるわけで、行政がきちんと責任を持ってやらなければいけないんじゃないかと思うんですね。
 これは、ひょっとするとこの課のあれを超えるものかもしれないし、厚生労働省というあれを超えるものかもしれませんけれども、やはり本気で認知症や精神の人たちの地域生活についてやるのであればもっと踏み込んでやらないと、私はここで行き詰まって現実は変えられないんじゃないかと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。栗林構成員、お願いします。

○栗林構成員 今の話は大変心強く感じました。それで、「地域での生活を支えるための精神科医療」の部分の最初に出てくる早期の診断という部分で、どうしても医療というとお医者さんの役割がしきりと言われているような感じがするんですけれども、そのチームで、チームでと言いながら、そのチームの顔が見えてこないというような感じがするんです。
 このチームという中には、地域も医療機関もセットになってやってくれるというのはやはり相談機能ではないか。マネジメントと言ってしまうとそれで片付いてしまうかもしれませんが、今の24時間の部分を支えるにも、前から在宅介護支援センターというものがゴールドプランで平成2年からあるわけですね。それが機能していないからということで、一概に機能していないと言われるのは大変心外なんですけれども、そういうところがあったということからこれがやがて消えて包括支援センターになってくる。
 この包括支援センターも、では果たして本当に機能しているのかというと、機関はできても、やはり機関ではなくて人が機能しないとこれはうまくいかないんだということを認識してほしいと思うんです。先ほど広田構成員が言ってくれた、相談、相談ばかりでというふうに言われるとつらいんですけれども、実際に人がワンストップの機能を持てるようなものがそこに成長できないと、幾ら機関をつくられて、うちの方にはこういう包括ができましたよとか、支援センターがありますよと言われても、それではいけないんじゃないかと思うんです。
 いわゆるこの相談業務というものが評価されてこないというのは、そういう力のないところがあるからかもしれませんが、医療機関においてもMSWですとかPSWが評価されていない点が結構あるのではないか。これは、ある種お金にならないからこういうものを配置しなくてもいいというようなところもあるかもしれませんが、前回MSWの方に、あなたが自分で医療機関を探してきなさいと言われる事例もあったんだというふうなことから見ると、そもそも支えるということは一番の接点となる相談業務というものを見直す必要があるんじゃないかと思います。
 お医者さん一人でできる部分とできない部分ということを考えた場合、24時間の体制ということに関しましては、以前から在宅介護支援センターがやっていた機能というものを、今もそれを継続している地域、財産として持っている地域があるので、ここら辺をお金が欲しいとかというふうなくだりではなくて、それを評価する。その評価というものは、先ほど報酬というふうなことを言いましたけれども、そうではなくて、やはり役に立っていないという言葉ではなくて役に立っているという賛辞を送ってほしい。そうすることによって、認められることによって地域で活動するところがまた復活してくるんじゃないかと思うんです。どれもこれもそれもだめだというふうなとらえ方でやられると、やはり従事する者とすると、自分たちは認めてもらっていないんだということになってくるのだろう。
 例えば、精神疾患のある事例もそうですし、認知症のある事例もそうですけれども、そういう包括や在宅の支援センターというものは現場経験が豊富で、これを地域で共有知として見るような事例集の積み重ねが、やがてマニュアルというようなことになってくるのではないかと思うので、是非そこら辺のところを大事にする仕組みを考えていただければと思います。
 合わせまして、その予防的なこともそうなんですが、早期に医療に結び付けるというところで、言葉は悪いんですけれども、偏見や抵抗もあるところに対してはやはり地域での広報活動で、今ちょっと書いてきたんですが、あまりにもいっぱいあるんじゃないか。安心生活創造事業もそうですし、地域包括ケア推進事業ですとか生活介護支援サポーター、認知症サポーター、認知症地域支援体制構築等推進事業とか、探せばもっともっとあるんじゃないか思うのですが、そうした事業をやっているにもかかわらず、これらのところをもうちょっと地域啓発をしているんですよというふうな宣伝が逆にあると、我が地域もやりましょうよということになってくるんじゃないか。
 これらが機能していると、早期にお宅はそろそろこういうふうなところに行ってもいいんじゃないかなということを言ってくれる、本当に心に響くアドバイスというものが出てくるんじゃないか。いきなり誰かがつなぐということではなくて、そういうふうな地道な活動があるから医療に結ぶような関係性がある。これらをコーディネートするのが、もしかすると在宅介護支援センターや地域包括支援センター、そして資格とすると精神保健の福祉士ですとか社会福祉士等がいるということで、それらの方々とセラピストの関係は見えてくるんですけれども、そういう関係の仕事が見えてこない。
 一番、住民に近いところで仕事をしている方々をもうちょっとクローズアップすることによって、介護保険の内側にはケアマネージャーがいるんですけれども、介護保険の外側にいる相談機能を持っているところにもクローズアップしてあげることによって、早期ですとか、それから医療につなぐということが出てくるんじゃないかということを感じたものですから、言わせてもらいました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。長野構成員、どうぞ。

○長野構成員 全く同感なんですが、今回の後方支援機能の1、2というところが基本的には認知症が発症してからの話になっていて、精神科医療にやはり一番欠けているなと思って一生懸命やろうとしているのは、そもそも認知症になったときに安心してここだと何とか暮らせるよねという町づくりそのものに精神科医療が寄与する、貢献するということは、どんどん議論を深めていくところかどうかは別にして、一文、別枠でほしい。病気になる前ですね。地域づくりそのものに貢献する。
 実際、私たちがやっていて、啓発活動も十数年前から地域の集会場を年にずっと回り続けて120か所を超えてやり続けているんですけれども、それをやって見えてきたことは、とても行政がきちんとお膳立てをしてくれて私自身が話しに行くというスタイルが、行政の責任と私たちの役割を果たせているなということと、初めの5年はほとんど効果が見えなかったのが、5年を超えたぐらいから早期に受診される方がどんどん増えてきたり、認知症グループホームを7年前に初めて地域でつくったときに説明会の説明を、私自身が他の法人だったのでさせてもらったときは大荒れだったんですけれども、それが今となっては全くなくなってきたりとか、やれば必ず効果の出るところで、野澤構成員のおっしゃったように、ここは本当に力を入れて書いておきたいと思うんですね。
 先ほど栗林構成員がおっしゃったように、やり始めて認知症サポート医で初めて研修会に行ったときに、名古屋だったと思うんですけれども、驚いたのは、そのサポート医を受けに来られている先生方に精神科医が実は少なくて、内科の先生とか外科の先生たちが逆にものすごく意識を持ってサポート医を勉強に来られている。精神科の領域だと思っていたので、僕はそこでカルチャーショックだったんですね。
 逆に言うと、今、老健局の方でもキャラバンメイトにしても、認知症サポーターにしても、いろいろな事業が大々的に展開されている中に、精神科医療がどれぐらい貢献できているかということになると、実はちょっと分離しちゃっているんじゃないかなと思っていて、そういう町づくりそのものにつながるような事業もきちんとここに書き込んだ上で、ここも精神科医療はちゃんと地域の中で手伝うし、貢献させてもらうんだということを役割として書き込んでいくというのはどうかと思います。
 せっかくいろいろ走っている事業がまた分離して、何もなかったかのごとく違う視点で始まってしまうのはもったいなくて、先日もキャラバンメイトの養成研修で話に行かせてもらったんですけれども、熱を持った方々が随分出てきていて、隣町だったんですけれども、実際にその方々は精神科医療と今まで全くつながらずにやってきていたなどという話があったりとか、遠くの車で5時間もかかるようなところの専門医を呼んできてやっていたりすると、その後が全然地域につながっていないというようなことが結構あるものですから、地元の精神科医がきちんとそこで地域に出て、こういうところに貢献させていただくというのはもちろん自分たちのためにもとてもいいなと思っていて、老健局側の事業は実は精神科医療の中で知らない人がいっぱいいらっしゃるんだろうと思っていて、逆に今回こういう機会を得たら、役割としてそこに貢献するというようなことが書き込めないかなというふうに今日の議論を聞きながら思っていました。以上です。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。河崎構成員、お願いします。

○河崎構成員 今の長野委員のおっしゃった、認知症のキャラバンメイト云々の話も、私のところは認知症疾患の医療センターをしているんですが、この1年ほどの多くの仕事の内容としてキャラバンメイトの講習会に医師を派遣してほしいというようなことが一気に増えてきています。
 それが増えた理由は、やはり今回新しくその認知症疾患の医療センターになって、地域包括支援センターも含めて地域の人の連携というのをかなり密にやらなければいけなくなってきました。ですから、これをしっかりやっていけばおのずから認知症疾患医療センター、あるいは精神科医療がそういう地域の中の認知症のいろいろな啓発活動とか、そういうところにコミットしていくことが可能になっていくと思います。
 先ほど申し上げましたように、5ページの4のところはここでの話だけではなくて、やはり老健局等も含めて認知症全体の関わりの中の、特に啓発とか地域での問題ということを論議するという大きな話になってくるのかなという印象を持ちました。
それから、1点よろしいでしょうか。さっきからずっと気になっているんですが、この3ページ目の大きな2番の1の書きぶりです。「認知症の周辺症状(BPSD)への適切な治療」というところですが、多分これは前回の上野先生のお話を受けてのところなのかなと思うんですけれども、2行目で「BPSDの要因が精神疾患等の精神科医療が必要なものであるかどうかを判断した上で」と書かれていますが、意味するところがちょっとわかりづらくないですか。

○福田精神・障害保健課長 ここは、先ほど岡崎構成員の御指摘にもあったところかと思いますけれども。

○河崎構成員 この辺りの書きぶりをもう少しわかりやすくしていただいた方がいいかと思います。
 それから、ここのところは適切な医療ということについて書いているところだろうと思うんですが、文章の流れからいくと、認知症に習熟した精神科医を養成すべきではないかというところが結論のように見えるんですね。ですから、例えば必要最小限の適切な薬物療法を行うべきではないかというような終わり方の方が、ここのところでは非常にすっきりするのかなという気はするんですが、どうなんでしょうか。
 そのような適切な医療を行うためにもちろん認知症に習熟した精神科医を養成することも必要であるというような形で書かれておいた方がわかりやすい内容になるんじゃないかなと、最初からここは思っておりました。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございます。御意見として、また次にリバイスするときに御意見の1つとして考えていきたいと思っております。その他ございますか。
 では、柴田構成員お願いします。

○柴田構成員 21日に参加できませんので、論点2のところで少し意見を出したいと思いました。
 6ページのところで、医療側から見ればとか、介護施設側から見ればという表現がされておりまして、現状そのとおりだと思っています。
 しかし、あちらがどうだ、こちらがどうだは、本当にそのサービスを利用する側にとっては非常に不幸なことでして、それをどうかしなければいけない。介護の立場で言いますと、私は是非、先生方にもいろいろ御協力をいただきたいということと、介護現場が頑張れば頑張るほど、頑張るところに、いわゆる認知症の重度の方、困難を来す方々だけが集まってくるんです。
 そういう状況であるとしたら、その介護現場で幾つかの拠点になっているところが長続きしなくなってきてしまうというのがあるかと思います。そういう意味では、現場の力を蓄える、力をつけていく取組みというものが今後非常に大事になってくるのではないかと思っています。
 少しこの資料を読ませていただいて考えたのが、先ほどからおっしゃっているように、精神科の先生、それから介護現場で実際に認知症のケアをしている人たちのいわゆる演習、ロールプレイみたいなものが短期的な研修ではなくて、やはり少しずつ積み重ねて1年、2年やっていくような研修をしなければ、恐らく介護現場の方々が困難性のある方々を受け入れるのをどうしても一歩引いてしまう状況がこれからも続くような感じがしてしようがないんです。
 ですので、そういう取組みをするプログラムと言いますか、何かそういうものをひとつ今後検討していただくようなことができないかと思っています。
それから、2になるのか、1になるのかですが、先ほど栗林委員がおっしゃっていました、地域包括支援センターだとか、専門性のあるMSWとか、そういう方々の活用がまだまだ十分ではないのではないかというようなお話がありましたけれども、前々回、事例を出させていただいて、精神科に入院なさっている方が退院できて今、在宅で暮らせているのは、まさに精神保健福祉士の方の努力と度重なる話し合いの結果、そこに至っているかと思うんです。
 そういう意味で、その専門の教育を受けてきた方々にもっともっと光が当たるような感じと言いますか、そういうものに是非取り組んでいただく。どこかにこの文字を入れていただくこととともに、でも、その方々だけではなかなか活動するには足りないところがあります。そういう意味では、やはり精神科の先生方の御協力と介護現場の協力がなければできないのではないかと思いますので、何かそういう一文があるとこれからの取組みというのがまた一歩進むかと思いますので、是非お願いしたいと思います。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。予定の時間になっておりますけれども、特に次回御出席がかなわない構成員の方で御意見がございましたらお願いしたいと思います。
 では、野村構成員が手を挙げておられたので、手短にお願いできればと思います。

○野村構成員 ありがとうございます。今は高齢者がどんどん増えていく時代でありまして、日本は特別にそうです。これから先、高齢者が4人に1人、3人に1人という時代になっていくという話も聞いておりますから、それに伴って認知症もどんどん増えていくという状況の中で今、高齢者の方がたくさん仕事を終わって家にいてやることもなく過ごしていらっしゃるんですけれども、その高齢者の方に啓発をどんどん行って、認知症のまだ軽いうちにどんどん支援をすることのお手伝いをする。ボランティアでお手伝いをするということを啓発なさってはいかがかと私は思うんです。
 オランダで、大きな大きな高齢者の共同住宅を見学に行ったことがあるんですけれども、そこでは元気な高齢者の方たちがそうでない高齢者の方をお手伝いして一緒に仲よく暮らしていらっしゃる。それから、近所の子どもたちも出入りして、高齢者の方々に勉強を教えてもらったりして、高齢者の方は地域の中でも自分の役割が与えられて、それをとても喜んで元気になっていらっしゃる姿を見て、そういうことも日本でそろそろ考えて、地域住民の高齢者の方たちも一生懸命頑張って支えるし、自分が認知症になったら自分を支えてもらうというような関係性をつくる。
 それから、地域の子どもたちも認知症がちょっとある方たちだったら多分一緒に過ごせるので、お互いに生きがいというものを高め合うような関係性ができるのではないか。オランダの場合には、そのコーディネートを専門家の方たちがやっていらっしゃったんですね、心理も勉強していらっしゃるでしょうし、そういった方たちも交えて、地域でそういった啓発を進めて、皆が楽しい地域の生活を形成していく、特に高齢者の生活を明るくしていくというのは、これから啓発が必要なのではないかと思います。以上です。ありがとうございました。

○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。それでは、続きの議論はまた次回、21日にということで、事務局の方から次回の検討チームのテーマ、それから日程等について御説明をお願いします。

○本後課長補佐 日程につきましては、来週10月21日木曜日の18時から、場所は本日と同じくこちらの省議室でございます。
 次回ですけれども、前回、御欠席のために実施できなかった朝田構成員からのヒアリングを実施いたしますとともに、本日の論点案について引き続き御議論をいただきたいと思っております。
 なお、次回の検討チームですけれども、検討チーム全体としては16時から開催をいたします。16時から17時15分までは、アウトリーチに関して御議論いただきました第1ラウンドの構成員の皆様方によりまして、新しいテーマであります保護者制度、あるいは入院制度について御議論をいただきたいと思っております。
 それで、18時から20時までは今いらしていただいています第2ラウンドの構成員である皆様に、本日に引き続き御議論をいただくこととしております。第2ラウンド、認知症のみの構成員の方は18時から、第1ラウンドの構成員も兼ねておられる方は16時からいらしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○福田精神・障害保健課長 どうもありがとうございました。
 本日も大変お忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。
 以上をもちまして、第9回の検討チームを閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部
精神・障害保健課企画法令係

電話: 03-5253-1111(3055)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム> 第9回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録

ページの先頭へ戻る