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2011年2月18日 第2回 医療計画の見直し等に関する検討会

医政局指導課

○日時

平成23年2月18日(金)13:00~16:00


○場所

厚生労働省専用15・16会議室


○出席者

委員

武藤座長
伊藤委員 尾形委員 神野委員 齋藤委員 末永委員 鈴木委員
池主委員 長瀬委員 椎名参考人(布施委員代理出席)
山本委員 吉田委員 河原参考人

○議題

1.今後の検討会の進め方について(案)
2.医療計画の新たな評価手法の導入等について

○配布資料

資料1今後の検討会の進め方について(案)
資料2「現行医療計画の問題点について」
資料3「医療計画におけるPDCAサイクルによるマネジメントについて」
資料4「医療連携体制に係る各都道府県の取り組み状況の差異について」

○議事

○武藤座長 ただいまから第2回医療計画の見直し等に関する検討会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、各委員の先生方にはお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 今日の出席状況を確認いたします。中沢委員、伏見委員、布施委員からはご欠席のご連絡をいただいています。布施委員に関しては、代理として椎名参与がご出席です。それから、今日は参考人として、このあとにご講義をいただく東京医科歯科大学の河原教授にご出席をしていただいております。よろしくお願いいたします。
 議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○猿田室長 議事次第、座席表、委員名簿、資料1「今後の検討会の進め方について(案)」、資料2は河原教授のご発表の資料、資料3は尾形委員のご発表の資料、資料4-1から資料4-5が武藤座長のご発表の資料です。資料の不足等がございましたら、事務局までお声をお掛けください。

○武藤座長 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
 まず議題1の「今後の検討会の進め方について(案)」です。資料1の説明をお願いいたします。

○猿田室長 資料1「今後の検討会の進め方について(案)」です。検討会の進め方については、座長とご相談してまとめた資料1を案として提示させていただきます。まず、第1回から第2回までということで、昨年の第1回検討会において、座長より現行の指針について、関係の学会に意見照会をするようにとご指示をいただき、関係の学会に意見照会をさせていただいております。
 照会をお願いした学会につきましては、日本脳卒中学会、日本循環器学会、日本糖尿病学会など、現行の指針策定時にご協力いただいた学会に、照会をお願いしております。
 次に第2回ということで、本検討会です。本日、議事次第のとおり、河原教授、尾形委員、武藤座長から医療計画の新たな評価手法の導入等について、ご発表をお願いいたします。また、本日ご欠席の伏見委員のご発表は、第3回にお願いすることといたします。第3回は、各都道府県の医療計画への取り組み状況について、第4回は、医療連携のための実際的手法などについてということで、青森県、千葉県、岡山県、神奈川県、全国衛生部長会から中沢委員、全国保健所長会から山口県の惠上保健所長、資料にはありませんが循環器疾病の医療連携について、順天堂大学の田城先生に、ご発表をお願いすることといたします。第5回以降については、また座長とご相談しながら、詳細が決まり次第お知らせしたいと考えております。
 以上が、資料1「今後の検討会の進め方について(案)」です。事務局からは以上です。

○武藤座長 この進め方について、ご意見、ご要望等はございますか。また後ほどでも構いませんので、ご意見、ご要望等がありましたら、お話をしていただければと思います。
 次に議題2「医療計画の新たな評価手法の導入等について」ということで、河原教授からのご発表をお聞きいたします。

○河原教授 本日はこのような発表の機会を頂戴いたしまして、御礼申し上げます。資料2に基づいて発表させていただきますが、地図の部分などは流させていただきまして、時間内に終えたいと思います。
 申すまでもございませんが、いまの医療計画は約5、6年前に見直しがありまして、4疾病5事業で平成20年から、各都道府県一斉にスタートしたわけですが、いまの議論としては、精神医療をどうするか、10本目の柱にするかどうか。そういうことが検討されていると伺っております。
 次の頁で、「医療計画制度の目的」です。これは皆さんご承知のことと思いますが、昭和60年の医療法改正で創設されたものです。議論としては、昭和47年の医療基本法のときの議論で、昭和47年当時から出てきている考え方ですが、制度化されたのが昭和60年の法改正によるというものです。
 今日ご提示したいのは、5、6年前に見直しがあったときに、それがどのような内容だったのかを「医療計画の見直しのねらい」に書いておりますが、1つの視点としては、住民・患者の視点に立って、わかりやすく、医療がどのように行われているかを提示する必要があるということが提案されています。
 それ以外を見ていくと、次のスライドの(1)から(8)までの事項です。医療機能の分化あるいは連携、質の問題、補助金や診療報酬との関係、福祉との連携など、いろいろと見直しの視点として挙げられたわけです。
 それから5、6年経って、再来年ぐらいに、次の新医療計画というか、見直しの時期にきているわけで、この委員会の議論もその延長線上にあると思いますが、果たして、私の印象あるいはいままでやってきた研究の結果から、1つは、私も新医療計画の考え方を打ち出したときのメンバーでしたが、パラダイムシフトを起こしていない、つまりやり方というのが、昭和60年の医療法の改正のときに医療法がスタートしたときから変わっていない。いわば病床規制と医療圏の設定、設立当時の必要的記載事項の部分が未だに機能している。この機能の良し悪しは別としまして、ほか社会目標を表明したにすぎない。例えば救急医療を充実する、医師を確保するといっても、社会目標を充実しただけで、そこから先の具体的施策あるいは事業計画に至る詳細なプロセスが、全然見られない。
 つまり、そういう現状から考えますと、本当にこの医療計画が必要なのか。何を目指すのかということが、はっきりしなくなっている。まして、TPPをどうするかという時代にきて、20年あるいは25年前の医療計画の考え方でいいのかということを、1つ議論する必要があると思います。
 それから、住民にとってわかりやすい計画なのかということで、医療機能情報提供制度を設けて、県内の各病院、診療所、歯科診療所、助産所に至るまで、やっていることの情報、差額ベッドの状況、どういう術式ができるか、そういうことも公表することになっているわけですが、これが一昨年ぐらいの研究でやりましたが、アクセスできない。医療計画、医療法、そういう制度論的なことまでいくと、比較的アクセスが容易でしたが、例えば疾病あるいは症状ということで、一般の方が連想する選択肢では、なかなかアクセスできない。アクセスしても、その情報が単に羅列してあるだけで、非常に使いにくい、専門用語も非常に多いということで、国民あるいは住民が利用しやすいような情報になっていない。
 それから、この制度設計のときに、1つは47都道府県の仕様がバラバラです。47都道府県見てみたのですが、10県は少なくとも同じ会社が手掛けた仕様になっていますが、ほかは全然違うので融通性がないと。それから、その情報を求める厚生労働省において、電子媒体でまとめる仕組みになっているのか、紙媒体なのかわかりませんが、私が当時お聞きしたところでは、紙媒体にしかまとめていないということで、1つはいろいろな情報を集める基本的な、有益なツールだと思いますが、こういうところも活用されていないと。住民にわかりやすく伝わっていないということが、医療機能情報提供制度、わかりやすい医療を国民にというところでは、問題があると思います。
 実効性を上げてきたのは病床規制だとは思いますが、病床規制は多いところは減らせないわけですので、こちらは実質的に在院日数の短縮あるいは建替えの時期に減らすようなことで、医療計画に頼らなくても規制はできるわけです。
 それから、医療圏の設定に関しては、すでに疾病ごとに医療圏を超えた移動は周知の事実になっていると。5頁の下のスライドは、ある東京都のA区ですが、これを見てもおわかりのように、外来、入院とも、隣の医療圏あるいは医療圏は異なるわけですが、隣の自治体に行っているということで、移動が出てきているわけです。
 次のがんで、東京都の事例を参考にさせていただきますと、私の研究で、住民にわかりやすく、かつ専門家もそのデータに基づいて分析ができるということで、地図情報と。地図情報というのは、ある客観的なデータを落としますので、専門家並びに住民の両方がわかるというツールです。これで見ますと、がんの専門医、あるいはCT、MRI、つまり中央区、文京区の辺りに集中しているわけで、これを見ても東京都のがんの体制に関しては、容易に交通手段での移動が完結しますので、医療圏を設定する実益はないわけです。まして、東京で診療されているがん患者の4割は、東京以外から来ていると。逆に、療養病床に関しては、東京が少ないということで、山梨あるいは長野、周辺県に移動しているわけです。そういう意味では、4疾病の中でも、その医療圏で終えないといけないような急性期対応の形もあると思いますが、がん以外の急を要する疾患、それ以外の比較的時間的な余裕のある疾患で、医療資源を集中したほうがいいような疾患に関しては、医療圏をもう1回考えることが必要だと思います。
 次に10頁です。三次救急は東京は22カ所ありますが、23区に関しては14カ所あります。試しに学閥、障害は別にして、23区の14カ所の救命救急はアクセス時間に影響せずに、どれぐらい減らすことができるかを考えると、6減らして8にしても、アクセス時間の観点で見ると、カバーできるわけです。多摩地域は、1カ所減らしただけでも需給に大きな影響が出ます。こういうことも、客観的な資料で、学閥、人の配置の問題は、病院のエゴとかいろいろありますが、そういうのを抜きにして、アクセスだけを考えると、このような形でも医療の問題を取り上げることができると思います。
 下の「救急活動時間」ですが、医療計画を策定する立場から都道府県にお願いしたいのは、総論的な記載より、都道府県のどこに問題があるかを見ていただく必要があります。救急の時間の定義が変わって、いま東京はすべて50分ぐらいかかっています。これは平成21年当時ですので、いまの基準と違うときですが、東京はその当時も全国でいちばん搬送時間がかかるところです。ですけれども、この3つのパーツを見ていきますと、電話を掛けてから現場に到着する時間は6.1分、移動距離は2.1?q、真ん中の19.9分、約20分が現場に滞留している時間です。これはなかなか東京消防庁がデータをくれないので、分析できませんが、インタビューしますと、1つは東京の都市問題で、道が狭くて救急車が入らない、あるいはマンションのセキュリティが高くて、患者を搬送できない。もう1つは、病院が断ったケースがありますが、消防隊から病院に入った情報で、例えばホームレスの方がいた、あるいは精神の方がいた、そういう福祉あるいは経済的な問題、医療以外の問題を付加した人の救急があるわけです。
 いまのシステムでは、病院に医療の解決プラス福祉の解決まで要請しているわけです。ですから、いくら救急施設や隊員を増やしても、この問題は解決しないので、ほかの都市計画などとリンクさせないといけない。つまり、都市問題で、道路やマンションの問題、10本柱の1つになるかもしれませんが精神科救急の問題、福祉が絡む救急の問題、それを解決して初めて救急問題が解決するので、単に施設整備だけでは解決しないと思います。
 それから、A区での三次救急、東京ばかりを例示して恐縮ですが、東京の1つの問題は環状7号線、環状8号線を取り巻く領域の南北の移動が悪い。杉並区によく三次救急がいくということが、区議会でも質問が出ますが、これを見ると、つくっても搬送時間は変わらないのです。このデータで、それ以来区議会での質問はなくなったみたいです。住民に対して、正しい情報をいかに伝えて、合意を得ていくかということが、医療計画には抜けていると思います。
 次の頁です。これは地区別に、現場の救急車の三次医療施設までの搬送時間です。
これを見ると、東北は31.7%の方が1時間以上を要する。私が1つ言いたいのは、首都圏に関しては1.7%と非常に少ないのですが、いまある資源量でやっていくような医療計画、もちろん人が確保されればそれに越したことはないですが、最悪の場合、いまの資源量でもやっていけるような、現実に即した医療計画を作っていく必要があると思います。
 次は、療養病床の調査です。人口当たりにすると、東京都あるいは神奈川県の療養病床というのは、全国の5から4割ぐらいしかないのです。これで今後やるかどうかといったとき、あるいは療養病床を運営している施設にアンケートをしたわけですが、いずれにしても赤字の施設は、例えばいまやっているところでは37%あります。16頁ですが、これからやるかといったときに、「検討したことがない」というのが過半数になっています。東京あるいは大都市で、こういう療養病床、福祉関係、老人関係の施設ができないのは、1つは土地単価、人件費が地方に比べて高い。その中で、診療報酬という公定価格、全国一律の価格でやっているということが問題で、医療計画がさらに実効性を上げるためには、手足が要ると思います。先ほど社会理念を表明した計画と言いましたが、例えば診療報酬とリンクさせるとか、この場合でしたら東京版の診療報酬を作るとか、地域の多様なニーズに応じたような診療報酬の振分けも必要になってくると思います。
 次は山形県の事例です。山形県の病院に何分ぐらいでアクセスできるかを調べたことがあるのですが、そのまとめを18頁に書いてあります。山形の方は、12分ぐらいで最寄りの病院にアクセスできると。このアクセス時間というのは、400床以上の病院に対しては25分ですが、500床を超えると急激に延びると。だから、役割分担するときも、脳卒中あるいは心筋梗塞とか、こういう形で地域の基幹病院を考えると、医療圏の区分けに関係なく、医療資源の公平な分配ができると。
 次は救命救急のエリアで、これも県境を超えて考えれば、都道府県の色分けはこのような色分けになります。これは繰り返しますが、あくまでも救急車が直接三次救急まで搬送した時間で、遠い所は現実の問題として、それまでの途中にある病院に入れたりすると思いますが、三次救急だけを見て、時間的に考えれば、こういうことになります。
 次は医療計画には関係ありませんが、もっと詳細に分析して、焦点を絞った計画を立てるためには、これは私のもう1つの研究で、血液事業をやっているのですが、献血者の動向、地理的分布です。どこから来て、どこを開拓すればいいのか。いま献血者の不足がありますから、見ていくことができます。
 21頁は、福岡県の献血ルームで、例えばイムズというところは若い女性の献血者が多いと。若い女性はなかなか献血に来てくれないところもありますが、ここは女性を引き付ける専門店の施設が多いところです。だから、この地図情報一つ応用するにしても、住民がわかりやすい形、そして細かいところにも及ぶ医療計画ができると思います。
 次が周産期母子医療センターへのアクセス時間です。これは全体に改善していますが、ジニ係数を取ると、1万人未満ぐらいの市町村の改善度合いが悪いことがわかります。悪い二次医療圏としては、23頁の上に書いています。
 災害医療絡みで分析していくと、これも東京になって恐縮ですが、地震が起こったときに、東京の東半分に死傷者が多くなっています。そのときに、医療計画では総論的に捉えられますが、これは防災計画の仕事だということではなくて、両方をリンクさせてやらなければいけないわけです。★の多い東のほうに関しては、千葉県との連携システムも必要になってくるわけです。少なくとも、人の移動とか、こういう広域的な問題を考えますと、県単位ではなくて、医療法の中にも県境の問題は書いていますが、首都圏の場合は、1都3県で共同の医療計画を作るとかいう形が必要になってくると思います。
 24頁以降は、いまあるデータでどのくらい分析できるかということですが、地震のときにどうなるか。例えばトリアージ研修を増やすとか、そういう記載は見られますが、現実問題を考えたときに、首都直下型地震が起こったときに、数万人が救急の依頼をすると思いますが、東京消防庁の救急車は230台しかないわけです。どのように配分していくかというのも、医療計画の問題だと思います。
 これを見ても、環7沿いの南北の連絡が悪い形になりますが、さらに、どの地区で15分以内に搬送できるかということも、既存の資料を詳しく分析すれば出てくるわけです。世田谷区を見れば9.45%で、これは23区でも悪いところですが、これは道路が狭いと。246号線と駒沢通りぐらいしかないという都市計画の問題があるのです。だから、ほかの計画とのリンクも重要になってくると思います。
 次に精神です。精神に関しては、疾病系で位置づけられるのか、事業系で位置づけられるのかわかりませんが、去年こちらの研究もさせていただきまして、精神というのはまさしく社会問題で、疾病系にも事業系にも位置づけられる、すべてが絡むということで、いままでの9本柱とは違うような取組みが必要だと思います。
 26頁の下に「医療職種の入学定員」とありますが、看護師に関しては、これは「国民衛生の動向」から私が計算したので、6万6,000人となっていますが、5万6,000人と言う方もいます。それは別にして、薬剤師は薬学部の定員を書いていますが、いまは薬学部は全員が薬剤師にはなりませんが、この4つの職種で9万人ぐらいいるわけです。医療、介護を運用していくために、いまの体制を維持するとしたら、何十万人が必要なわけです。出生数を考えれば、いまで107万人で、人口問題研究所の最悪のシナリオでは、2030年に54万人ぐらいになるわけです。当然、生まれてくる数人に1人が医療にいかないといけない。そんな馬鹿な算定になってしまうわけで、もう1回定員の問題を見直す必要があると思うのです。
 ですから、医療計画の中で定員の確保ということはたくさん出てきますが、現実的にこれを見ても、子どもが少ない状況で、いまの定員すら確保できない状況です。ですから、集約するとか、いろいろと効率性、生産性を上げていく方策が必要だと思います。
 27頁に図を書いていますが、医療計画は5年ごとに見直しとなっていますが、それは上の部分の基本計画、上位計画の部分で、いちばん大事なのは下の部分、下位計画です。事業をどのように展開していくかというサイクルが回っていないのです。これが1年あるいは半年ごとに回さないといけないサイクルですが、これが回っていない。これすら5年に1回の評価でいいと考えている誤解があると思います。
 ですから、基本計画だけは決めますが、そこから下の計画が決まっていない。それについては、あとでまた述べます。
 いままでのまとめとしては、施策体系、事業計画の下位の計画がない。診療報酬とか、ほかの有益なツールとリンクしていない、政策手段とリンクしていないから、社会表明に終わる。防災計画などとは関係が不明瞭、医療従事者の確保とか、医療施設自体も医療従事者の数によりますから、これすら確保できるかどうかという問題もあると思います。
 28頁です。各県の医療計画を分析したところ、死亡率を下げるなどいろいろありますが、バラバラなのです。少なくとも階層性は要ると思います。例えばいちばん上の理念として、私が勝手に設定しましたが、QOLの向上あるいは健康寿命の延長でもいいと思いますが、それを実施するためには死亡率を低下させたり、要入院、要介護率を下げる、あるいは入院期間を短縮する。そして、死亡率を低下させるためには、予防を強化する、医療体制を整備すると。短冊状に次々と課題が出てくるわけです。ずっといって、赤で囲って「できる」「できない」と書いていますが、例えば職員を確保できるかとか、そういう問題に及んでいます。つまり、下にいくような構造がないのです。各県の医療計画が、上の2行ぐらいで終わっているのです。だから、実効性を持たすためには、下の施策体系、予算を伴うもの、伴わないものはもちろんあると思いますが、さらに下の事業計画、実施計画という体系が必要になってくると思います。そうなれば、5年ごとではなくて、事業計画、実施計画の部分は、毎年でも評価しないといけない。
 それから、大事なのは通知表を作ることだと思います。献血に関しては、いま通知表を作って、献血率がいいところと悪いところと。献血というのは、地元でやるのと、遠隔地でやるのがあるので、いままで献血率がわからなかったのですが、私の研究で献血率を測りましたので、それを市町村あるいは都道府県ごとの率を比較して、競争をあおるとか、住民の支援をいただくとか、そういう形でいろいろと向上させていくことができると思いますが、医療に関しても同じで、データを通知表で提示することによって、下のところの予算を使わずとも、住民の力、圧力で改善するような仕組み作りが要ると思います。
 災害に関しても、災害医療でいちばん大事なのは、災害だけを取らせてもらいますが、災害による死傷者の減少です。これを挙げている医療計画はなかったです。そのためには減災対策で、こちらのほうが防災計画とリンクしてくるわけです。それから医療対策として挙がってきますが、トリアージ研修の受講者を増やすとか、そのようなどうでもいいことを目標に挙げているところも結構あります。DMATの病院を増やすとか。それよりずっと下の体系で、例えば医療というのは水がなければ動かないわけです。阪神淡路大震災のときに水がなかったために、ミネラルウォーターを医療機器に入れたらミネラルが析出して動かなくなったとか、中越地震のときに、中核病院は刈羽郡総合病院でしたが、あそこは自衛隊が1日100トンの給水をしていました。普通の医療をやるときに、1日病床当たり0.8トンから1トンの水が要るのです。そういうところまで考え、水道管は耐震化されているかどうかまで、こちらは都市計画かもわかりませんが、リンクさせないと医療計画の実効性は担保されないと。下にいくプロセスをもう少し充実させる必要があると思います。
 最後に、これはある県の医療計画の目標です。マル1は予防で、がん対策です。「脂肪エネルギー比率の減少」と書いていますが、これはどこから出てきたかというと、「健康日本21」です。がん医療に関しては、マル2はがん対策推進基本計画の目標値で、マル3は特定健診・特定保健指導の参酌標準です。そういうところから取ってきて、要は、当たり障りのない、評価に耐える数字を引用している都道府県はたくさんあります。事業系を見ても、達成しやすいようなこととか、そういうことを数値として挙げています。そういうことで、医療計画の問題点は多々あると思います。これで終わります。

○武藤座長 ご意見、コメントはございますか。

○神野委員 確認と質問です。この中で、4疾病5事業でも、がんのように待てるものと、心筋梗塞、脳卒中のような救急のものと、別な医療圏を設定すべきだというご主張ですよね。今後の考え方に対するご提言だと思うのですが。

○河原教授 はい。

○神野委員 もう1点は、いままでの医療計画について、冒頭に「社会目的を具現化したに過ぎなくて、パラダイムシフトがないのではないか」とおっしゃっていました。これからの社会を考えたときに、今日はあまり触れられていませんが、少子高齢化、特に急速に進む高齢化社会、その中でいろいろな計画を進めていくときに、例えば介護、在宅といったものと、医療圏、介護圏、在宅医療圏といったものとリンクする可能性はあるのでしょうか。

○河原教授 これは私の私見になると思いますが、リンクする必要はあると思います。それから医療に関しては、35%税金が投入されて、介護に関しては58%税金投入されているということは、少なくとも介護は公的保険制度ではないので、負担者と受益者の関係がわからなくなっている。
 それから、これからの高齢化を考えれば、要介護3、要介護4、要介護5ぐらいしか残らずに、老人医療と融合する形になると思います。
 それから、医療圏と介護圏は重ねていく必要があると思いますが、あと20年は、いまは65歳以上は2,900万人ですが、3,600万人で止まってしまうわけです。もちろん後期高齢者は比率としては高まりますが、あと20年耐えることができれば、3,600万人分のベッド、介護のサービスを提供する。ただ、生産年齢人口は減りますから、費用の問題は出てきますが、老人に関しては落ち着いてくるとは思います。
 ただ、サービスの提供を考えれば、圏域を一致させるということは重要になってくると思います。

○長瀬委員 医療圏と病床規制は要らないと言っているわけではないのですね。

○河原教授 医療圏は整備の単位になりますが、いまの区分けでは、現実に対応できないと。
 それから、病床規制に関しては、どちらとも言い難いです。新規の有能な人の参入を妨げているということが、5、6年前の医療計画の見直しの発端というか、総合規制改革会議からの指摘だったわけですから、それが今後とも規制が要るかというと、私はいろいろと状況を見ながら判断していくというように思います。

○池主委員 いまのご質問にも関連するのですが、いまの体制に明確に組み込まれている職種の方々、医師、看護師など、病院などに中心におられる方々の参画というのは、それなりに機動的に動くところがあるのですが、例えば歯科とか、病院にほとんどおらずに、地域に展開しているような職種の方、薬剤師の方々もそうだと思うのですが、そういう方々がそれに総合的に参画するときに、いまの医療圏というものはかなり矛盾が出てくるのです。
 我々の組織的な集団は、医療圏と違う形で作っていて、そこの中でまとまっている部分があるので、そういうところの情報を的確に我々の参加している歯科医師に伝えたり、住民の要望をそこの中で吸収するためには、歯科医師会というのは、1つの組織体の中のレベルで動くしかないところがあるわけです。
 ですから、先生がおっしゃっているような医療圏というものの考え方を、もう少し柔軟に変化していくというのは、私も素晴らしいことだと思うのですが、そういう感覚でよろしいのでしょうか。

○河原教授 例えばインフルエンザとか、すべてを言ったらあれですが、ほかの分野でも医療圏を単位に考えているので、それが現実に合っていない事例がたくさん出てきていると思うのです。
 医療圏自体を考えるとしたら、いま350ぐらいありますが、昔の藩の数が350です。問題なのは、都道府県の中で医療圏を設定しているのですが、もし圏域を超えてだったら、本当に藩の設定の医療圏がプライマリーケアに関してはいちばんいいと思います。だから、佐賀県と長崎県は東と西で同じ医療圏とか、文化とか、すべて生活圏域は一緒ですので。
 それともう1つ、歯科医師会に関しては、いろいろな情報伝達の手段、都市部で問題が起こっていると思うのです。歯科医師会に入っていない方が、東京などは非常に多いわけです。そういうところにいかに伝達していくかということが、課題としてあるのかなと思います。

○鈴木委員 医療圏は疾病、患者の受療動向によって変わるべきだというお考えですと、例えば東京などは、千葉、埼玉、神奈川を一緒にという話だと、都道府県地域医療計画そのものが単独では策定できないことになりますが、それに関してはどのようにお考えでしょうか。

○河原教授 それは単独ではできないと思います。できるところもあると思いますが、少なくとも大都市部では無理だと思います。
 そのときに都道府県で物事を考えるより、利用者の立場を考えれば、そういうような圏域設定、都道府県を超えた枠組みになると。それをどう処理していくかということは、医療計画を都道府県レベルでどう考えていくかという問題ですが、それはいくらでも解決の方法はあると思います。消費者の立場を考えれば、神奈川県と多摩川を境にして救急搬送はここまでだとか、そういう事例はよくないと思うのです。現に通勤にこちらまで来ているわけですから、住民のメリットを考えれば、必要に応じて県境を超えたことは要ると思います。その1つの例は、救急搬送に関して、関西の自治体で広域連携をやりました。それは1つの例だと思います。

○鈴木委員 そうしますと、大都市圏だけではなく、地方でも県境を越えて他県に行ったりする例はあると思うのです。そうすると、県境が山などではないところは、そういった広域で考えないと実効性のある計画にはならないということでしょうか。

○河原教授 人の移動、施設の有効利用を考えれば、それが効率的だと思います。
 それから、いちばん大事なのは、パラダイムシフトを起こしていないと言いましたが、いまのままでは新しい医療計画を作れと言っても、また同じようになってしまうのです。ですから、何らかの評価のポイントをわかりやすく、住民、国民が評価できて、計画を作るような仕組みが要ると思います。だから、先ほど言った通知表というのはそういうことで、平成20年から始まって平成24年に終わる医療計画の、どこが問題であったかとか、内容がほかの県に比べて不足していないかとか、少なくとも通知表は要ると思います。いまの数値目標では、評価に耐え得ないものがたくさんあります。医療の実態がわからない、どこに問題があるのかというのが、その都道府県の問題がわからないような記述になっていると思います。

○武藤座長 いま言った評価ポイントを含めた医療計画の仕組み作りというところで、通知表というのは具体的にはどのようなものですか。

○河原教授 通知表というのは、ある項目は何位とか、都道府県ごとに順位を出すのです。

○武藤座長 それを評価していくということですか。

○河原教授 ただ、一面的な評価になると思いますが、こういう視点から評価したとか、こういう視点で評価するとワースト5はこの県で、ベスト5はこういう県でと。ベスト5がそれで手を抜くわけではなくて、毎年最下位が出ますから、全体として底上げになると思います。

○吉田委員 事務局に質問です。いまのお話のように、私も医療計画に、都市計画、経済的要因、福祉など、いろいろ絡んでくるとは思うのですが、最初の会の議論にもありましたが、この検討会ではどこまで踏み込むべきなのかという線はないと考えていいのでしょうか。それとも、踏み込むところはどんどん行こうではないかということなのか、その辺の方向性はどう考えればよいのでしょうか。

○武藤座長 私の理解している範囲では、この検討会は地域医療計画の作成の指針を各都道府県に向かって出していくということですから、いま言ったような、医療圏のあり方をどのように設定するとか、それを作成する上でのいろいろなガイドラインを出す議論には、こうした議論が必要だと思います。

○吉田委員 そうすると、例えばこういう問題に関しては計画書だけではなく、県とも調整してくださいとか、そういうアドバイスをするということですか。

○武藤座長 はい。それと、いまさまざまなお話の出た救急、がん、在宅、介護、そうしたデータに基づいて、それの計画を作成する上でのガイドラインを出すという理解です。

○末永委員 医療計画をここでいろいろと提出しますと、局長通達、課長通達など、そういう形でくるわけですが、ほとんどの都道府県というのはそれをなぞって作ってしまうのです。ということは、それぞれの地域の特性が発揮できない形になってしまうわけです。
 先ほど聞いていまして、なるほどと思いましたのは、この4疾病について、まずQOLの向上を上に置いて、上から下へいくプロセスが必要だと言われましたが、そのプロセスというのは、地域によって絶対に違うわけです。それをがんじがらめに計画はこうすべきだという方針を出しすぎますと、そういう特性が見逃されてしまうことがあるのではないかと思います。まず緩やかに目標を決めて、それぞれの地域に合ったというものを出していったほうがいいのではないかと感じました。

○武藤座長 大変よい意見だと思います。

○河原教授 医療計画というのは本来自治事務ですから、あまりにも出すと昔の機関委任事務的になるので、それはよくないと思いますが、そうかといってこのままにしておくと、また同じようなことで全然進歩しないので、少なくともポイントを示すような形で、気づかせるような形で都道府県を誘導しないと、地域主権とかいろいろ言っていますが、生き残れるのは東京都ぐらいしかないと思います。だから、そういうところまで誘導してあげないと駄目だけれども、その一方で、自治事務的なことも考慮するというバランスは必要だと思います。

○鈴木委員 人口の減少に伴って若い方も減るので、医療関係職種の確保が難しくなるということですが、現在ある社会保障国民会議のプランなどを見ても、どんなに効率化をしても、いまよりも医療従事者が増えることを前提にしています。そういうことに関しては、どうやって確保するとお考えですか。

○河原教授 人口の推移は、社会保障・人口問題研究所や日大など、いろいろなところから出ているので、少なくとも出てくると思うのです。5、6万人も看護師が必要だといったら、生まれてくる子どもはいまでも100万人で、看護師は女性が95%です。50万人の子どもで、進学率を2分の1ぐらいにしたら、25万人中6万人ぐらいが看護にいかないといけない。まして、低い出生率で推移したら、20年後には54万人、25万人のうちの進学率を半分にしても、10数万人のうちの5、6万人は看護にいかないといけないという、矛盾したような状況の数字が出てきているわけで、医療関係の定員や必要数は、もう1回弾いていく必要があると思います。
 今日のこの場の議論に馴染むかどうかは別にして、語学の問題はあるにしろ、足りなければ入れるしかないと思います。

○布施委員(代理椎名参与) 先ほどの吉田委員の質問に関連するのですが、この検討会の守備範囲は座長から、作成指針の辺りを議論することだと。そうすると、今日いただいた河原教授のお話はアトラクティブだし、参考になると思います。例えば病床規制のあり方、医療圏の設定とか。しかしながら、この話を聞いて、いろいろ議論を進めたいと思うのですが、そうするとこの検討会の範囲を超えることになるのです。
 逆にいうと、社会保障審議会医療部会などで、こういったお話をしてもらって、病床規制のあり方、医療圏の設定といった部分を議論してもらわないといけないのではないか。このプレゼンテーションはこの検討会に馴染まないと思うのですが、いかがでしょうか。

○武藤座長 事務局からお願いいたします。

○新村指導課長 昨日医療部会が行われまして、医療圏の設定については昨日も出ましたし、昨年12月の医療部会でも出ました。二次医療圏の設定というのは、住民の日常生活に合っていない、行政的な圏域を基にして作られているとか、そういったご意見がありまして、したがって医療部会でもすでに議論されております。 病床規制も含めて、これはほかのいろいろな動きもありますし、県による見直しでどうなっているかの実態も掴みつつありますので、それを含めて、基本的に医療部会で議論いただくことにはしております。
 ただ、昨日も医療部会でご発言があったので申し上げたのですが、今日のプレゼンテーションにありましたように、具体的な患者の受療動向、がんそのほかの救急疾患、それによってのアクセスまでの時間、このような分析というのは、この検討会で詳しく検討いただく価値もあるのではないかと思いますので、それと二次医療圏の設定というのは密接に絡んでくると思いますので、病床規制の話は医療部会向きかと思いますが、それ以外のいろいろな疾病や病態に応じた圏域設定のあり方とかは、こちらの検討会でご議論いただいていいのではないかと思います。
○鈴木委員 幅広く議論させていただいて、だんだん集約していくというのが、座長の腕の見せどころと言いますか、先生の役割だと思いますので、あまり制限しないでいただければと思います。

○武藤座長 河原先生のご発表を、いかに定型化して県レベルに落とし込んでいくかが課題になると思います。河原先生、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○河原教授 ありがとうございました。

○武藤座長 次は尾形先生、よろしくお願いいたします。

○尾形委員 それでは、私から資料3、パワーポイントの資料に沿ってお話します。時間の関係もありますので、今日は3点に絞ってお話したいと思います。1つは、医療計画におけるPDCAサイクルの導入に関すること、2つ目は昨日も社会保障審議会医療部会でも議論が出たところですが、医療計画で在宅をどう扱うのかという話、3つ目はその他若干の論点ということで補足的なものと、この3つについてお話しようと思います。
 2頁をお開きください。「医療計画におけるPDCAサイクルの導入」ということですが、この図は厚生労働省の医療制度改革のホームページから取ってきたものですが、そこに書いてありますように、計画の作成・実施・政策評価・計画の見直しを目指して新しい計画を作るのだというのが、2006年の改革の1つの大きな柱だったのだろうと思います。まさにPDCAですが、私は当時これを指して「はじめの一歩」と言っておりました。つまり、別にこれで完ぺきな医療計画ができるわけではありませんが、少なくとも改善のプロセスは動き出すのではないかと。そういう意味では、PDCAサイクルを導入したということは重要なポイントだろうと思います。
 3頁です。今日発表する内容は、そこに書いてありますように、平成18年度から平成20年度の3年間、厚生労働科学研究費をいただいて、「医療計画におけるPDCAサイクルによるマネジメントに関する研究」を行いました。私は一応主任研究者で、成果については今日持ってきましたが、3年間でこれほど厚いものを出しております。厚生労働省のホームページで厚労科研は全部公表されておりますので、ご興味のある方は是非そちらをご覧いただきたいと思います。今日お話する部分については、そこに名前が書いてありますが、都道府県の47の医療計画の比較を行い、福岡県の保健医療介護部主査をしている宮崎さん、現役の県の役人ですが、私どもの大学院に県から派遣されて、学生として来られていて、そのときの成果ということです。
 4頁です。PDCAサイクルをどう評価するかということで、指標あるいは数値目標をどう捉えるかですが、ここではDonabedianという非常に古典的な1966年の論文「Structure-Process-Outcome」という三分法を援用して考えてみようということです。Donabedianの三分法は、もともとは医療の質をどう測定するかという議論で出てきたアイディアで、Donabedian自身はほかの分野に援用するのは問題があると言っております。実際に作業してみると、Structure、Process、Outcomeという分類については、どうしても恣意性が入ってくるところがあります。しかし、先ほど河原先生から指標の構造化みたいな話がありましたが、指標や目標を構造化する、あるいは相互の関連性を把握することについては有用ではないかと思っております。
 5頁です。この辺りは皆さんもよくご存じかと思いますので、省略します。
 6頁です。平成21年1月時点で公表されていた全国の医療計画を持ってきて、4疾病5事業に関連した設定目標が、数え上げたところ1,188件ありました。それをStructure、Process、Outcomeで分類しますと、細かい数字はともかくとして、大体Structure、Processが指標の8割弱を占めており、Outcomeは2割強という結果です。
 7頁です。特にOutcome指標については、何らかの形で年齢調整をしたような死亡率や周産期死亡率等、死亡率に関連した指標が7割を占めているということです。これは、死亡率がいちばんわかりやすいOutcome指標ということで、各都道府県が設定しているのだろうと思います。そういう意味では無理もないのですが、一方で先ほど河原先生からQOL指標みたいなお話がありましたが、死亡率だけを取っていると、医療の成果を過小評価する可能性があります。つまり、死亡率が下がることだけを目標にいろいろな施策を立てていくと、それは過小評価をする可能性があるのではないかと思われます。また、実際の指標の設定については都道府県で相当大きな格差があって、たくさん細かくやっている所からかなり少ない所まで、そこに書いてあるような大きな格差があるということです。
 8頁です。具体的に数値目標をどのように設定しているか。1つは具体的な数値目標を設定しているか。多くの所はしているのですが、必ずしもそうでない所もあって、例えばそこに書いてあるように「現状より改善」とか、「増加(減少)」「実施する」「導入」といった書きぶりになっている所もあります。また、目標水準をどう設定するか。これもさまざまで、例えばある率を100%達成するというのもあれば、全国平均値に持っていく、最も優秀と考えられる都道府県のデータにする。興味深いところでは、近隣の類似の都道府県の値まで持っていく。二次医療圏単位で作っておられる所は、いちばん良い二次医療圏の値まで持っていくといった設定、さまざまなやり方を取っているということです。
 こういったことを踏まえて、9頁から「医療計画におけるPDCAサイクル(改善)の課題」ということで、何点か整理しております。第1は、具体的かつ有効な数値目標の設定ということで、先ほど「導入」という設定の仕方をしている所がありましたが、同じ導入にしてもどういう範囲、例えばある特定の種類の医療機関についてこういうものを導入するとか、そういう導入範囲の明確化等の工夫はあり得るだろうと思います。Outcome指標は死亡率以外に設定するのが難しいというのはそのとおりですが、ここも工夫次第で、OutcomeだけではなくOutput、あとで在宅のところでお話しますが、Outcomeに代わるOutput指標を設定するという工夫もあり得るのではないかと考えます。この報告書を出した時点では、まだ電子レセプトは緒に就いたばかりだったので、この報告書では、電子レセプト情報を活用すれば、相当いろいろなことができるのではないかということを述べております。
 先ほど河原先生からもありましたが、数値目標の相互の関連性をどのように明確化していくかですが、StructureやProcessの指標を挙げている所が多いわけですが、あくまでもこれらは「代理指標」であると。つまり、最終的には先ほどの河原先生のお言葉ではQOLの改善とか、何らかの形でOutcomeの改善に結びついていくと、そこの関連性は明確にしていく必要があるだろうと思います。
 10頁です。次はPDCAサイクルそのものについてですが、PとDがつながっていないと。つまり、指標を設定して、各都道府県についてこういう施策を5年間で打ちますということが書かれているのですが、極めて総花的な事業が羅列されているだけで、どの事業をどの程度やると、どうしてこの数字がこれだけ改善するのか、そこが全く切れているのです。各事業の貢献度の記載といったことがほとんどないということで、ここは改善の余地のある部分だろうと思います。
 また、この時点ではまだ作ったばかりでしたので、Check、Act、あるいはActionをどうつないでいくかという手法の確立も課題として挙げております。先ほど河原先生から通知表の話が出ましたが、私の研究班では通知表までいっていなくて、「ベンチ・マーキング」をしようと。つまり、せっかく47都道府県があるわけですから、それぞれの中で特色のある所、個別の事業でもいいですが、それごとに取り出して紹介するなり、それを目標にするなり、そういうベンチ・マーキングみたいなことを考えてはどうかということを提案しております。  4疾病5事業が2006年の医療計画で大きく前面に出されて、それはそれで結構だと思いますが、それの反動というか、昨日も医療部会でも申し上げましたが、ほかの部分が影が薄くなっているところがあるのは否めません。特に在宅の辺りは4疾病5事業と並ぶ重要な柱と位置づけられているのですが、実際の医療計画を見ると、必ずしもそうなっていないところが多いように思います。
 11頁からは、医療計画の工夫ということで、在宅の事例の紹介をしております。私どもの研究班では、福岡県と千葉県の医療計画を作るお手伝いをしており、今日は福岡県の医療計画についてご紹介しておきたいと思います。何をやったかというと、福岡県の在宅療養支援診療所の全数調査を、追加的な調査ということで県と協力して行いました。そこに書いてありますように、対象は福岡県内に所在する全在宅療養支援診療所654件です。回収率は75%と、この手の調査としては非常に高いのですが、これは県の医師会に全面協力していただいて、そういう意味で非常に高い回収率になっていると思います。その結果については、県の医療審議会の医療計画部会に諮って、正式に福岡県の県医療計画に反映されているということです。
 調査結果の概要を、抜粋ですが、簡単にご紹介します。第1は、昨日の医療部会でも出ておりましたが、在宅療養支援診療所の活動条件には相当大きなばらつきがあるということです。そこに書いてありますように、積極的に取り組んでいる診療所、これは例えば1カ月間に訪問診療実施患者が10人以上いるような診療所は全体の3分の1程度、実績ゼロという、1カ月間全くなかった所も15%ぐらいあるということで、かなり大きなばらつきがあるということです。
 医師数は、常勤医師1人の診療所が8割ということで、規模的にはかなり小さいという状況です。
 13頁です。訪問可能エリアについても質問しています。中央値ですが、片道5kmが20分程度という答になっております。
 これは福岡の調査の1つの特色ですが、実際に訪問されている患者の状態像を記入してもらいました。ご案内のとおり、療養病床の医療区分とADL区分で患者の状態像を見るという診療報酬がありますが、それを在宅に適用したらどんな感じかというのを書いていただきました。大体予想した結果で、医療区分1が6割ぐらいと、通常の療養病床よりは値が高くなっています。これは想像されることですが、医療区分2や3を合わせると4割近くの人もいるということで、重い医療サービスを受けている方もおられるということです。この辺りは興味深い結果だったと思います。
 14頁です。今後の在宅医療拡大の可能性について、これは福岡県の話ですが、各診療所に聞いています。今後増加することが可能だという所が6割ぐらい、5年後にどのぐらい訪問診療患者が増やせるかという質問をしていますが、現状より10人ぐらい増やせると。倍まではいきませんが、かなり増加することができるという答になっております。
 課題としていくつか挙げていただいたのは、患者の経済的負担、連携医療機関の確保、診療報酬の引上げ等といった答が返ってきておりました。これは1つの事例ですが、在宅医療を4疾病5事業と並ぶ医療計画の1つの柱として位置づけるために、在宅療養支援診療所だけに限ったのはいろいろな制約があってこうしたわけで、本来は全診療所についてやるべきだったのかもしれませんが、こういうデータを基に県の医療計画の在宅の部分を記述したということです。
 15頁です。最後に、「その他若干の論点」です。1つは、医療計画を実効性あるものにしていくためには、これを作る人材の養成が非常に重要だと思っています。都道府県の人材養成ということで、「ヒト、モノ、カネ、情報」と書きましたが、特にヒトの部分が非常に重要だと思います。次に書いてあるように、「専門的知識、スキルを身に付けた人材養成が急務」だと思います。前回の医療計画を作るときにも、保健医療科学院の研修等いろいろ行われているようですが、さらにその辺りを充実させるとともに、今日の河原先生のお話もそうですし、私どもの大学院もそうですが、各地の大学あるいは大学院との連携みたいなものも少し考えていってはどうかと思います。
 先ほどからの議論にもありますように、単に医療計画だけではなく、医療・介護政策全体についての幅広い知見が望まれると。部分最適ではなく、全体最適を図るような人材が求められると思います。特に都道府県ですと、非常に短いサイクルで人事異動がありますので、そういったことを踏まえると、基本的なスキル、基本的な知識については、何らかの形で可視化する、マニュアル化することも必要ではないかと謳っております。
 16頁です。「病床規制のあり方」ということです。これは、先ほどの議論ですと医療部会の議論だということなので、簡単に触れます。前回の2006年の医療計画を作るときに、この検討会の下にワーキンググループを作って、河原先生も私もそこのメンバーだったのですが、そこでの結論は、病床規制については河原先生はどちらもあり得るというお話でしたが、まさにワーキンググループの結論がそうで、仮に基準病床数を廃止するとした場合には、そこに掲げているような4つの条件が満たされる必要があると。これは2004年9月ですが、おそらくこの時点ではそれは満たされていないので、当面維持をすることになったわけですが、それから7年近く経っているので、この辺りについてはもう一度検証する必要があるだろうと思っております。
 17頁です。病床規制の議論というと、規制を撤廃するかどうかというところにだけに目がいきがちですが、病床だけを規制対象としていることから生じている問題もいろいろあるのだろうと思います。一言で言えば、資源配分にゆがみが生じているということで、諸外国の例で言うと、病床だけではなくて(高額)医療機器なども含めて規制の対象にすると。それが良いかどうかは別としても、日本は病床だけを狙撃ちしてやっているところがあるので、その辺りについてどう考えるかという問題はあろうかと思います。ただ、その場合には開業規制とか医療技術規制等をどう考えるかという基本的な問題に関わってくるだろうと思います。
 最後に、「政策手段」です。これは先ほど河原先生がおっしゃったことと関係するのですが、経済的な評価、インセンティブ、補助金あるいは診療報酬政策とのリンクが重要だと思います。最近は、DPCの新たな機能評価係数などでも4疾病5事業をかなり意識したようなものが入ってきているだろうと思います。そういったことを踏まえると、補助金でいくのか診療報酬でいくのかについては、1回関係を整理する必要があるだろうと思います。以上です。

○武藤座長 尾形先生、ありがとうございました。これに関して、何かご意見、ご質問はございますか。

○鈴木委員 実際、具体的に福岡県の在宅医療の調査の回収率でこんなに高い結果が出たということですが、やはり都道府県医師会が全面的に協力しないと、こういったものができないと思います。前回の計画は地元の県で関わったのですが、県が作ったものを医師会が少し見せてもらって、意見を言って終わりみたいな感じで終わっていますから、今回はそうならないように、在宅や介護等を含めた関係の医師会を初めとした団体との協力が絶対に必要だと思いますので、それを確認したいと思います。

○尾形委員 おっしゃるとおりだと思います。副会長をしておられる横倉先生が当時会長で、全面的に協力していただいたので、こんなに高い回収率になっているのだろうと思います。

○伊藤委員 いまお話いただいた、病床規制だけが問題になっているということで、高額医療機器等に関してはいかがかというお話がありましたが、ある側面を捉えると、高額医療機器がたくさん配置されていることによって、日本が健康国家であるという側面は否めないわけですが、これに関しては、十分な科学的データを検討された上でご議論いただきたいというのが希望です。カナダだったか、どこかで医療機器の計画配分を行ったら、検査待ちの時間が大変長かったという事例もいくつかあるようです。これに関しては、是非科学的データをお示しいただきながらご検討いただきたいということが1点です。
 また、地域医療計画に関して県なり地方に、過剰の部分をいかに規制するかに関しては十分議論されているのですが、補完に関してもう少し具体的な、あるいはある程度強制力のある権限を持たせることが可能かどうかをご議論いただければと思っております。

○尾形委員 病床規制はここでの議論ではないという話なので、手短に済ませます。私自身はあまり規制しないほうがいいという立場なので、ここに書いてあるのは一般的な議論として病床だけを狙撃ちすると、こういうひずみが生ずるという観点の意見があり得るということです。諸外国では、むしろ両方やっているということをご紹介したので、実際に医療機器まで規制対象とするとすれば、おっしゃるとおりだと思います。科学的なデータに基づく規制でないと、混乱が生ずるだろうと思います。

○山本委員 在宅の件ですが、とても興味深いデータが出ていて、すばらしいと思っております。一方で、県の全面的支援があったということですか。県医師会はもちろんそうですが、担当されているのが県の医療計画部ですね。そういった意味で、在宅療養支援診療所が対象になるのはやむを得ないと思うのですが、先生がおっしゃるように、今後在宅の中でどういう形を取っていくかとなると、おそらくADL区分でケアをしつつ、その中には在宅医だけではなく、歯科もいれば看護もいれば薬局もあるわけですから、そういう幅広な調査が必要なのかなと思います。
 その意味で、中央省庁以上に地方庁は縦割という傾向がありますので、調査にしても明確に国から指示を出さないと、医療計画だけの話で終わってしまうと思います。先ほど、鈴木先生が最後に少し見せてもらったとおっしゃいましたが、最後に少ししか見られないものを我々薬剤師は見ていないわけです。それでは話が進まないと思います。もし、この先在宅という新しい切り口で4疾病5事業の別の部分で計画に入るとしたら、都道府県の中できちんとしたことができるような仕組みを打ち出していただかないと難しいのかなと思います。とりわけ、先ほど死亡率を1つの指標に挙げておられましたが、介護の部分もそうかもしれませんし、もっと言えば薬剤に関わるQOLとか、あるいはそれを測るパラメータはものすごく出しにくい状態ですので、その辺りもこの先議論が要るのかなというのが1点です。
 また、PDCAでレセプトデータが使えるのではないかというご指摘があったのですが、この部分について考えると、現在のように日本中を患者が移動している環境で、レセプトデータは患者が住う地域に集まってきて、医療を提供しているのはそうではない所というと、その辺りのギャップが出たときに、東京で診療を受けて、患者のお住まいはその他の地方というときの評価の仕方が1点あるのではないかと思います。その辺りはどのようにお考えかを教えていただければと思います。

○尾形委員 2点いただきましたが、1点目については先ほど説明するときにも申し上げたように、非常に限られた資源で、私どもの大学院しか人数がいなくて、県も1人の担当者の方だけだったので、そういう意味では今回は絞りに絞ったと。本来であれば、医療と言っても在宅療養支援診療所だけではなくて、ほかの診療所でやっておられる所もたくさんあるので、そこも入れるべきだし、訪問看護ステーション、薬局、歯科診療所まで広げてやるべきだというのは全くそのとおりだと思います。これは持っていた資源の限界で、とにかくここだけ絞ってやってみたということです。これについても、最近は在宅療養支援診療所についていろいろ調査等が出ておりますが、当時としては割と新しい知見だったのかなと思っております。
 2点目ですが、レセプトデータのことです。これも2年前の報告書なので、少し知見としては古いのですが、大都市圏については、先ほどの河原先生のお話にもあったとおり、二次医療圏などが機能していない部分があるというのはそのとおりだろうと思います。一方で、かなりの医療圏、あるいは県で、過去のまだ電子化される前のレセプトデータ分析等を見ると、意外に閉じているという結果も出てきているのです。ですから、もちろん大都市部はそれなりの配慮をしなければいけない部分はあろうかと思いますが、かなりのところがわかるのではないかと思います。そういう調整をすべき部分とベースになる部分は、分けて考えたほうがいいのかなと思います。

○神野委員 これからの医療計画の見直しに関わる問題として、先ほど河原先生のお話のときにも冒頭で質問しましたが、いま尾形先生のご説明にも出てきたいままでの4疾病5事業に精神科と、今回在宅医療が考慮しなければいけない問題として挙がってきました。在宅療養支援診療所だけではなくて、昨年の診療報酬改定から在宅支援病院も出てきて、これも相当数が出てきておりますので、ここに対してのきちんとした計画、あるいは数を設定する必要があるのかなと思いました。
 また、先ほど来のレセプトの話ですが、この検討会マターではないのはよくわかりますが、国民背番号といった問題もどこかで提言することによって、どこへ行っても同じ番号で医療あるいは介護、福祉、いざとなれば税金まで統合される世界を夢見ないと、より効率的な医療は提供できないのかなと思いましたが、この番号制についてはいかがかなと思います。
 もう1点、繰り返し申し上げますが、これもここではなく老健局なのでしょうけれど、介護圏との兼合いというか、医療圏と介護圏との組合せの問題も捉えていかなければいけない問題なのかなと思いました。

○尾形委員 全く個人的な見解ですが、番号制については、少なくとも社会保障に関しては、社会保険方式を維持していこうとするのであれば必須だろうと思っています。完全に税方式にするとか、そういうことであれば別かもしれませんが、社会保険方式を維持していくときに、給付と負担の公平性を維持していくためには、必須ではないかと思っております。ただ、もちろん個人的な意見です。

○齋藤委員 私も、今回の医療計画の見直しについては在宅医療の拡充は必須であろうと思っている者の1人です。在宅療養を支えるサービスは、医療だと在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、24時間の開業薬局、在宅歯科診療を積極的に行う歯科診療所等々さまざまありますが、一方で市町村が介護保険事業計画を立てて、どれだけ介護保険のサービスを必要とする人が見込まれるかの推計を市町村で行った上で、都道府県の策定する介護保険事業支援計画とも連携していくことになるのですが、在宅医療の場合はどうしても医療と介護が連動していくような領域ですので、その医療計画と介護保険事業計画、あるいは介護保険事業支援計画がリンクしていかないと厳しいのではないかと思うのです。そこが可能なのかどうかは、事務局サイドとしてはいかがお考えなのでしょうか。

○猿田室長 本日資料1で示したように次回在宅医療というテーマでお話するのと、本日事前の勉強会として、この会が終わったあとで在宅医療について先生方にお話しようと思っています。前回の資料でお配りしましたが、いま局長通知には在宅医療等について書くようにとなっていますが、課長通知は4疾病5事業で止まっているわけです。これはまさにこれから決めるのですが、精神についてこういうものを書いていったらいいのではないかとか、在宅医療についてもこういうものを加えていったほうがいいのではないかということを、皆様のご意見、関係学会の意見を踏まえて、資料1に示したように今後の基本的方向性を決め、年内に新しい指針を出していくという作業を進めていきたいと考えております。

○吉田委員 雑駁な恐縮ですが、医療計画と在宅とをどう結びつけるかは、結構難しいのではと思います。在宅がペイしない場合は、医療計画でいくら何%と書いても誰もやらないし、逆に診療点数が高くなって、ものすごく儲かるということになると、放っておいてもどんどん増えてしまうということがあり得ます。例えば在宅死亡率を何%にしようという目標を掲げたとしても、在宅の重要性は十分わかっているつもりでおりますが、実際問題として医療計画よりは、むしろ保険や経済的要因のほうほうが強いのではないかという気がするのです。これから高齢化社会にむけて、医療計画が先陣を切らなければいけない話なのでしょうが、一方では、訪問看護ステーションを紹介した開業医の所に入るお金がほとんど残らないという現状もあります。ですから、それぞれの方が潤うような保険診療体系を構築するというようなことを前提とする中で、我々が医療計画の中でどう取り組むかというような方向性を持っていないと、雰囲気に流されてしまうような気がするのですが。

○布施委員(代理椎名参与) 吉田委員の大変大きな質問から離れて、少し細かい話ですが、尾形委員にお尋ねしたいと思います。13頁の医療区分とADL区分ですが、在宅の患者でこういうデータは非常に貴重だと思うのです。お尋ねしたいのは、パーセンテージで表されていますが、実際これに関わった在宅支援診療所の数と患者の数、つまりN数がわかったら教えていただきたいと思います。

○尾形委員 少しお待ちください。

○布施委員(代理椎名参与) 続けてよろしいですか。N数はあとで教えていただくことにします。この区分は患者特性調査に基づいて行うわけで、それなりに慣れないと簡単にできる分類ではないのです。こういう形で在宅の患者の区分がわかったということは非常に貴重だと思うのです。さらにこういったものが広がっていけば、病診連携、つまり療養病棟と在宅に戻った患者との良い指標になるのかなと思います。そういう意味で、今後のこういった方面の深掘りというか、研究の発展的な部分を非常に期待しています。

○尾形委員 対象になっているのは、訪問患者がその1カ月にあった419の診療所ですので、人数としては相当な数になっています。例えば、総数は出していないのですが、医療区分1、ADL区分1がいちばん多い39%ぐらいですが、ここが2,257人です。そのぐらいの数字ですので、数字としては結構なものになっています。
 もう1つ、それとの関係で補足ですが、我々も本当にこういうものがわかるのかどうかとこの調査をするときに考えて、熱心に訪問診療されている先生方の所を何軒か回って、「こういうものに答えていただけるのでしょうか」と聞いたところ、「答えられます」という自信を持った答をいただいたので、それに基づいて調査を行ったということです。

○鈴木委員 吉田先生は地域の基幹病院の院長先生なので、先生から見ると在宅などは4疾病5事業で取り上げるまでもなく、診療報酬で対応すればいいのではないかと思われるかもしれませんが、地域の先生方にしてみると、身近な在宅医療が4疾病5事業といったところに位置づけられることは、非常に大きな励みにもなります。中医協でも、最近在宅の話ばかり毎回出ていますから、そういった診療報酬で評価するということもありますが、こういった計画の中にきちんと盛り込まれることも非常に重要な意味があると思いますので、是非それはお願いしたいと思います。
 ただ、来年度が在宅元年とすれば、あまり最初からハードルを上げてほしくないというか、幅広く参加していただくことを優先していただいて、始めていただきたいと思います。その辺りは考慮いただければと思っております。

○武藤座長 ありがとうございました。それでは、次に進みます。私から発表させていただきます。資料4-1から資料4-4まであります。
 資料4-1をご覧ください。これが全体の概要を取りまとめたものです。これは平成20年度の医療施設経営安定化推進事業で行った研究ですが、簡単に言うと、各都道府県の医療計画を集めてそれを分析するのと同時に、医療計画の作成担当者にインタビュー、ヒアリングを行い、いろいろなご意見を集約したということです。実際に研究を行った時点は、平成20年、つまり現在進行中の2008年からの医療計画がスタートした時点で、先ほども河原先生からお話があったように、今回は非常に大きなパラダイムシフト、4疾病5事業、目標値設定といったことがあったものですから、県の担当者もかなり戸惑ったというか、その前の計画とはだいぶ趣が違ったということです。結果、各都道府県の計画を並べると、かなりばらつきがありました。そうしたことを、この報告ではしております。メンバーですが、今日ご参加の尾形先生、河原先生、伏見先生、松田晋哉先生等という検討会のメンバーで行いました。
 資料4-2の2~3頁ですが、この企画委員会の委員構成と「調査研究の実施フロー」があります。2頁の「調査研究の実施フロー」が概要を示しておりますが、大きく3つ行いました。先ほど言ったように、各都道府県の医療計画を集めて、特に目標値、4疾病5事業に係る目標数値の分析を行いました。また、2番目に都道府県の医療計画担当者のヒアリング・アンケートを行いました。3番目として、今後の医療計画の策定に向けた提言を行っております。是非とも、この報告書が次の医療計画に向けての作成指針の基礎資料になることを願っております。
 概要をざっとお話します。資料4-1のサマリーに戻りますが、「4疾病5事業別の実績値及び採用率の状況等」という項目があります。少し説明が必要なのですが、実績値とは何かというと、4疾病5事業の指標を県の担当者が作成するにあたって、計画の根拠となった既存統計の実績数値のことです。目標を設定するときには、既存の統計類から、あるいは県独自で調査をかける場合もありますが、ベースラインの実績データから次の5年後の目標値を設定するという作業です。例えば、がんで言えば検診率とか受療率、死亡率などの既存データを参照して、それを見て現状を把握した上で次の計画目標値、あるいは計画項目を設定するという作業です。
 採用率とは何を示しているかというと、前回の医療計画作成指針の中で提示した指標のうち、都道府県が採用した指標の採用率を見ております。前回の作成指針で提示した指標項目を見ると、資料4-4の4頁ですが、前回の医療計画の見直し等に関する検討会の中でこれを提示したわけです。4疾病5事業に関して、このような指標を各都道府県で把握してはどうかというご提案というか、ガイドラインが出ております。この指標に関して、都道府県がこの項目からどれを選んで採用したか、ガイドラインにどれだけ参考にされたかどうかといったことを検討しました。
 同じ資料で見ると、資料4-4の13頁ですが、資料3とあります。これが先ほど言った実績値です。例えば、ここにありますように、がんに関する年齢調整受療率ですが、これも既存のデータから引いてきて、横軸は各都道府県になっております。このように実際のデータを基に、県の担当者は今後県において策定すべき項目を選定し、目標数値を既存データから作成するという作業になるわけです。これだけでは比較できないので、資料4に偏差値を与えて整理しました。
 21頁です。資料5ですが、これが採用率で、先ほどの作成指針でお示しした項目をどれだけ各都道府県が採用したかどうかです。○とか△とか打ってありますが、それぞれの県の事情がありますから、採用項目も違ってばらつきがありますが、こうしたものを集計しました。これも偏差値を与えております。
 先ほどの実績値と採用率を縦横でクロスして、それがどんな結果になったか、結果をご覧ください。代表的な県を見てみたいと思います。資料4-2の9頁ですが、実績値の標準偏差が50以上、採用率が50以上の都道府県を挙げました。千葉県、新潟県、熊本県、岐阜県等が挙がっております。
 このパターンを10頁で見ております。簡単に言うと、パターン2を見ると、千葉県、大阪府、和歌山県は、実績値、つまり実際の成績も良いのと同時に、作成指針のガイドラインを採用した項目が多い。実績値が悪い、つまり成績の悪い所に関しても指標の採用率が高い。我々は、こうしたパターンに着目しました。このパターンを実際に見てみると県のばらつきが全部で9パターンあって、逆のパターンですと、パターン4、5以下、実績値も悪いけれど、成績の悪い項目に関する指標の採用も悪いと。こうした所は問題かなと思います。学校の成績で言うと、成績の悪い生徒が、成績向上の目標として成績の悪い科目を目標に取っていないとか、そんなことも言えるかと思います。是非、次回の作成指針の中でも特に県の担当者の方に、こうしたことが現状としてあったということをお知らせしていきたいと思います。
 次に、アンケート調査を行いました。これは都道府県の医療計画作成担当者のアンケート調査です。資料4-2の22頁をご覧ください。いくつかの項目で聞きましたが、例えば医療計画の策定プロセスについて、医療計画策定のために新たに行った調査は何かと聞くと、「医療機能調査」と答えております。
 23頁です。今日のご議論とも関係しますが、4疾病5事業と同様に、特に重点的に取り組むべき事業は何かと聞くと、「在宅」がトップに挙がっています。2番目が精神、難病、歯科保健、感染症といった順になっております。これはあくまでも都道府県担当者レベルの回答ですが、非常に今日のご議論の参考になると思います。24~25頁は、さらに詳細なご意見です。
 26頁です。先ほど、冒頭にも河原先生からお話があったように、今回の医療計画は住民意見を反映させるということですが、どのような形で反映させたかというと、パブコメがいちばん多くて、次が医療計画策定に係る審議会、委員会等への住民代表の参加ということでした。
 27頁ですが、医療計画の広報活動です。これはホームページの掲載です。また、河原先生がおっしゃったように、様式が各都道府県でばらばらで、それを電子的なファイルに活かしても集計が難しいといったご意見もありました。
 28頁ですが、各都道府県の新たな医療計画全般に関する意見、要望等です。たくさん出てきまして、ここにあるように、さまざまなご意見が出てきました。こうしたご意見を取りまとめる形で、この報告書にもまとめました。それが29頁以降です。
 29頁以降は、この報告書の作成メンバーで提言を行ったということで、1番目の提言は数値目標の重み付けの実施ということです。概略をお話すると、先ほどお話したように、実績値が良くない疾病・事業に対して、重点的に数値目標の設定を行ってはどうかと。そういった重点的な重み付け、あるいは数値目標、評価項目の選択のときの選び方の重み付けを行ってはどうかということです。
 2番目の提言は、各都道府県のパターン別のアプローチです。これは先ほど言ったように全体で9パターンぐらいあったのですが、これも都道府県間のばらつきがありますので、パターン別にアプローチをして、作成指針のマニュアルに活かしてはどうかというお話です。
 3番目の提言は、現状調査における役割分担の明確化ということです。都道府県の担当者の方の調査項目がかなり重複している、例えば国で行うべきことと各都道府県で行うべきこと、独自調査で行わなければいけないこと等ありますので、少し役割分担してはどうか。また、先ほどの医療圏の設定の中で県境を跨ぐような問題に関しては、県が共同して調査を行わなければいけないので、そうした問題を提言しました。
 4番目の提言ですが、これは情報の有効活用及び質の向上ということです。いくつかありましたが、その中でもレセプトデータ、DPCデータを是非とも活用してはどうかといったことを提言しました。
 5番目の提言ですが、これも先ほどから議論にありますように、医療計画を診療報酬、あるいは補助金とのリンクによってより実効性のあるものにしたらどうかということです。
 6番目の提言ですが、県の担当者から、ガイドラインを早期に出してほしいというご要望が多くありました。特に前回は非常に大きな見直しだったので、それに対する県側の担当者の準備作業や、さまざまな調査をかけなければいけなかったということもあってそうしたご意見があったのだと思いますが、先ほどから出ていますように、医療計画はそのほかの人材計画やさまざまな計画に非常にリンクするものですから、それに先駆けて出すということで、医療計画も早急にと、それにはガイドラインを早急に出すことが必要ということです。
 そのようなご意見があるということを、まず紹介したいと思います。以上ですが、これについて何かご質問、ご意見はございますか。

○神野委員 最後のご意見のところですが、先ほど来の議論で国がどこまで細かく指示するかということと、このご意見が相反するところがあります。このご意見の多くは、都道府県サイドではこと細かに指示してほしいというご意見だし、先ほど来のお話の中では、ある程度地域の特性があるのだから、自分たちで考えろという議論もたくさんあったわけで、どちらを目指すのかは議論していく必要があると思います。

○武藤座長 そうですね。このアンケート調査を行って気がついたのは、都道府県の担当職員は人事ローテーションでかなり動くので、それほど医療計画に精通した方がいるわけでもありません。そうしたことを考えると、ある程度のガイドラインが必要になってくるのではないかと思うのです。あまり箸の上げ下ろしまで細かいことを言うのはいかがなものかと思いますが、大枠に関しては示していく必要があるのではないかと思います。

○吉田委員 私も青森県の医療計画の策定に携ったことがあるのですが、担当者の言い分は、ガイドラインは一歩も超えてはいけない。Copy&Paste、これなのです。独自のことをやると叱られると思っている。そういう医療計画では絶対意味がないので、その辺りをもう少し緩和してあげたほうがいいと思います。また、先生のいまのご発表の中で資料4-2のように診療報酬と医療計画がリンクすることによって新しいインパクトを出すという意味では、先ほどの在宅医療の話もそういった形で提言していったほうがいいのではないかと思います。

○鈴木委員 パターンを9つに分けていただいて、わかりやすいような気もするのですが、どこがいちばん良くてどこが悪いのか。ベンチ・マークという話もありましたが、良い所を参考にするにはどの都道府県が良いのか、ここまでおやりになったのなら、47都道府県に順位をつけろとまでは言いませんが、もう少し教えていただければと思います。

○武藤座長 千葉県が出てきましたが、千葉県はこの調査では大変上位に上がっております。実績の良い所を評価目標にするばかりでなく、実績の悪い所に評価項目を設定して、数値目標を設定するというやり方が必要ではないかということです。逆に悪い所を言うと、実績も悪くて、さらに実績の悪い項目に関して全く目標を設定していないと、それはいかがなものかという感想は持ちました。

○末永委員 先ほど私が言ったことを、神野先生が「でも、地方はそんなに力がないんだよね」という形で看破されましたが、まさにそのとおりで、いままでのあり方ですと地方は全然考えなくて、厚労省から提示されたものに沿ってやっているだけなのです。そうすると、地方が全然育たないわけです。にもかかわらず、国から地方へと言われているものですから、その辺りの矛盾を私自身は感じているわけです。
 でも、国から地方のほうが現状が把握できるのは事実ですから、ガイドラインはガイドラインとして大まかなもので作っておいて、あとはそれぞれの地域で考えさせて、その中でここの都道府県はこういうところで良いというものを提示していただくことによって、駄目だった所はそれを参考にして改善していくと。そのような形のものを作っていくことになるのではないかという感じがしております。

○武藤座長 尾形先生、何かこの調査に関してご発言はありますか。

○尾形委員 先ほどベンチ・マークと申し上げたのは、悪い所を叱るのはどうかなと思ったのです。いまの話ですと千葉とか、私が関係した福岡などもそうですが、確かに国からのガイドラインやそういうものに縛られているのは確かです。しかし、その中で独自性を出そうと思えば出せることは結構あって、在宅はまさにそういう部分だったのではないかと思います。そういう意味では、今度の見直しでも、前回の中での良い事例を紹介することは有益なのではないかと思います。

○武藤座長 ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。

○山本委員 先ほどの話にこだわっているのですが、東京などを見ると、国から示された標準事項の採用率も良いし実績も良い。反面、採用率も悪いし実績も悪いということは、つまり国が出したものをみんな採用してしまったということになるのでしょうか。出した参酌標準にしても何にしても一定のものを示して、あとは地域に任せると、とりあえずみんな入れてしまおうという感じの所は、いちばん最後のパターン9なのでしょうか。そうすると、国の指針には従ったもののそれはとても悪い所という計画になりませんでしょうか。

○武藤座長 悪いというか、もう少し重み付けをしたほうがいいと。重み付けを与えるのは、それこそ各都道府県の裁量だと思いますので。

○山本委員 そういう意味で、先ほどから言われている国の示した標準を地域の実態に合わせどう拾っていくかという意味では、パターン9のような形にならないように誘導しつつ、一定の参酌標準なり数値目標を示さないと、都道府県はみんな9のような形になってしまうのではないかという気がするのです。

○武藤座長 確かにそうかもしれません。

○池主委員 河原先生の最初の講演にあった内容なのですが、この計画目標は住民・患者の視点に立ってわかりやすく示すことが基本の目的になっています。その辺りの住民の本当のニーズが、どこまでこの制度で取り入れられているかという観点は、たぶん県レベルとか大きなレベルがどこまで制度的に完備されているかということでは出てこないのではないかという気もするのです。その中で欠けているものはどこにあるのかを、もう少し緻密に調べていただいて、その中でエリアは小さくても、本当にこういうものが完備されている、制度的なものが機能している場所はどこかという視点で見ていくことが、極めて必要なのではないかという感じがしますので、そういう観点からの分析も、時間はあまりなさそうですが、分析というよりも検討を進めていただきたいと思います。

○布施委員(代理椎名参与) いまのお話に関連して、住民・患者の視点を取り入れたのは、今回の医療計画の見直しの大きなポイントだと思うのです。実際、それに関してどんなことをやったのかというと、パブコメがいちばん多いとか、審議会等への参画とかもありますが、それではパブコメをやって実際どうだったかといったものも吟味しなくてはいけない。計画策定のときにいろいろな方策をやるだけではなくて、出来上がったものを継続的に患者・住民にオープンにして、いろいろ批判をいただく。医療計画は県によってだいぶ違うとのことですが、その辺も含めて患者・住民に見てもらって、隣の県はこうなのにとか、そういった批判に耐えるような医療計画を作っていかなくてはいけないと思います。せっかく患者・住民の立場の尊重というものを取り入れたので、それを実効あるような形でフォローしていくことが必要かと思います。

○武藤座長 ありがとうございました。そのほかに、全体を通じて何かご意見はありますか。

○伊藤委員 尾形委員が提案されたPDCAの考え方は、大変良い考え方だと思うのです。ただ、それを5年の医療計画の策定の段階、5年のスパンでやるのか、これをどういう形で継続的に行うのか、Continuous quality improvementと言われるような、1年ごとに行われるのか、そういう期間の問題を一度どこかで議論しなければいけないと思います。医療機関は、ご存じのように機能の縮小や拡充が大変素早く行われますから、それによって地域で果たすべき役割は非常に早いタイミングで変わるのです。そこをいかに実際の計画の中に取り入れていくか、時間的な検討をお願いできればと思います。

○池主委員 先ほどから、いわゆる介護の問題と在宅、在宅が中心の課題になるのはわかっていますからいいのですが、介護の問題も課題にというご意見が多いようです。それはどういうことかというと、医療計画なのだけれど、医療と違うケアの部分みたいなものが、医療だけを追求しているとなかなか表に出てこないという意味なのではないかという気もするのです。医療というのは、短期間で治癒しなければならないという課題を持っていますから、患者があまり理解できない部分があってもいいところが多いのだろうと思うのですが、介護の部分は本当に生活そのものですから、今回の介護給付費分科会等のデータでも、そちらのニーズが極めて多いというびっくりするようなデータが出ております。そのような流れの中で、この辺りの問題を、もう少し視点を生活の部分、ケアの部分に広げていただくことが必要なのではないかという感じがします。

○鈴木委員 先ほどの話の中で、医療機器の配置などの計画の話が出ましたが、我が国の医療提供体制は民間中心ですので、それは民間の経営を考えて計画されて行動されているわけですから、それを公的中心のフランスみたいに強制的にやってしまうとか、そういうことは日本では無理だと思います。そのために、フランスよりもはるかに安く、競争原理が働いていて、低コストで充実した医療を提供をしているわけですから、日本は日本に合ったやり方を当然考えるべきだということは言っておきたいと思います。

○齋藤委員 私は、本日は途中からの参加だったのですが、今日プレゼンテーションされた河原先生の資料を見て思ったのですが、エリアの問題は結構大きくて、例えば訪問看護などはすごく大事だと言われつつも、事業所が非常に交通の利便の良い所に集約している地域もある一方で、北海道などは1つの訪問でも片道何十キロも移動するという状況で、全然ペイしないという状況があるのです。いまのサービスでどこが空白になるのか、たぶん訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所、病院、ほかの診療所等々を地図上にプロットしていくと、どうもこのエリアでサービスが欠けると。でも、そこは65歳以上の人口がどうなのかとか、介護保険の要介護認定を受けている方々がどのぐらいいるのかを合わせて実情をあてはめていくと、スポット的にここは空白になると。だから、将来的にはここに何のサービスが必要だということが出てくるのではないかと思うので、GISを使ったような調査も、全部とは言いませんが、可能な限りはしていただくほうがいいのかなと思います。

○武藤座長 ほかによろしいでしょうか。ひとわたり皆様方からご意見をいただきました。今日はお三方からレクチャーを通じてお話をいただきました。さまざまなご意見、それに対するご意見も出たと思います。この作成指針に関わるということで言えば、医療圏の設定の問題です。どのようなデータから医療圏を設定するか、そうしたことが都道府県の担当者にとっては非常に重要になってくると思います。
 そのほか、さまざまな指摘がありました。在宅の問題、精神の問題、歯科問題といったことも、今後の医療計画の作成指針の中に、どのように盛り込んでいくかということも、議論の争点になっております。
 また、作成指針については、どれだけ、どの範囲で、どのぐらいの都道府県に対してどこまで細かく行うか、その範囲の問題も議論になると思います。そうしたさまざまなことがありますが、皆様方のご意見を活かしながら今後の議論につなげていきたいと思っております。
 それでは、この検討会はこれで閉じさせていただきます。次回は2月28日10時からということでよろしくお願いします。ご協力ありがとうございました。


(了)
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