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2011年1月20日 第9回今後の介護人材養成の在り方に関する検討会議事録

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成23年1月20日(木)10:00~12:00


○場所

全国都市会館3階第2会議室


○議題

(1)「今後の介護人材養成の在り方について」(報告書案)について
(2)その他

○議事

○駒村委員長 おはようございます。若干早いですけれども、皆様お集まりになりましたので、始めたいと思います。
 ただいまより、第9回「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用のところ出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況について、事務局より御報告をお願いいたします。
○事務局 本日は、藤井委員、堀田委員が御欠席との連絡を受けております。
 また、馬袋委員の代理といたしまして、民間事業者の質を高める一般社団法人全国介護事業者協議会の佐藤副理事長に、樋口委員の代理といたしまして、高齢社会をよくする女性の会の袖井副理事長にお越しいただいております。
 続きまして、本日配付いたしております資料の確認をさせていただきます。
 本日は、資料1、資料2及び樋口委員提出資料を配付させていただいております。欠けている資料等がございましたら、事務局までお知らせください。
 なお、机上のファイルは前回までの資料でございます。乱丁、落丁などがございましたら、事務局までお申し出ください。
 以上です。
○駒村委員長 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、議事「『今後の介護人材養成の在り方について』(報告書案)について」を議論したいと存じます。
 それでは、議事についての資料に関する説明を事務局よりお願いいたします。
○泉福祉人材確保対策室長 それでは、資料の説明をさせていただきます。資料1をご覧ください。
前回の検討会におきまして、報告書の骨子(案)を御議論いただきました。それを皆様方からの御指摘を踏まえまして、報告書の形にしましたものが、この(案)でございます。
 表紙でございますが「今後の介護人材養成の在り方について(案) ~介護分野の現状に即した介護福祉士の養成の在り方と介護人材の今後のキャリアパス~」という副題を付けてございます。
 目次です。構成は「はじめに」から「介護人材を取り巻く状況」「介護福祉士割合の目安」に触れた後、主題であります「介護人材の養成体系について」の考え方を整理し、最後に「おわりに」ということで結ぶという構成でつくってございます。
 1ページ目から、本文の説明をさせていただきます。
 最初に、我が国の高齢化率、あるいは世帯構造の変化などについて触れてございます。
 真ん中から下は、介護人材の資質向上の必要性となる背景について書かせていただいております。
 下の方からは、19年の法改正の概要について紹介をしております。
 2ページ目、上から2つ目の段落です。しかし、人手不足が生じているという課題があり、きめ細かい配慮も必要となってきているということ。
 中ほどで、本検討会においてどのような議論を行ってきたのかということについて、概要を述べております。
 3ページ目「介護人材を取り巻く状況」としまして、介護職員数の推移から説き起こしまして、介護福祉士の数、介護福祉士の割合について記述しております。
 中ほどからは、介護福祉士数の割合について記述しております。
 下の方は、潜在介護福祉士の数、そして介護福祉士登録者数の推移について記述しております。
 4ページ目は、上の方から、労働市場の状況について、平成20年現在は6,600万人であるけれども、平成37年には5,800万~6,300万人ということで、減少傾向になるということ。そして、近年の介護分野の労働市場の動向について、有効求人倍率の数字の紹介をいたしております。
 4ページ目の取り結びでは、中長期的には、必要となる介護職員は増加していく一方で、労働力人口が減少していくことから、人材難の状況が続くと考えられ、引き続き介護人材確保対策に取り組んでいくことが重要であるという問題意識で結んでおります。
 5ページ目以降は、概要ではなく、読み上げる形で御紹介をさせていただきたいと思います。
 「介護福祉士割合の目安」
・本検討会では、介護人材の養成体系を今後どのように整備していくべきかという点だけではなく、介護福祉士割合について、当面、どの程度の水準を目安と考えていくことが適当かという点についても議論を行った。
・「介護人材を取り巻く状況」の部分にも記載したとおり、平成20年現在の介護職員数は128.0万人、介護保険事業に従事する介護福祉士数は40.6万人、介護福祉士割合は31.7%となっており、平成18年以降は、介護福祉士割合が毎年2~3%程度上昇している。
 利用者に対して質の高いサービスを提供していくという観点からは、介護福祉士割合が高ければ高い方が望ましいが、一方で、「団塊の世代」が全員75歳以上になる平成37年には212~255万人程度という多数の介護職員が必要となることも併せて考慮する必要がある。
・このように、質の高いサービスの提供と、介護人材の確保という二つの目的を両立させていくという観点からは、介護福祉士割合については、当面5割以上を目安とすることが概ね妥当ではないかと考えられる。
 6ページ目です。「介護人材の養成体系について」
1 基本的考え方
・「介護人材を取り巻く状況」の部分にも記載したとおり、平成37年には212~255万人程度の介護職員が必要になるため、今後は、毎年5~7万人程度の介護職員を増加させていくことが必要となる。
 一方で、労働力人口が今後とも減少していく中で介護人材を安定的に確保していくためには、介護現場を魅力ある職場としていくことが課題であり、このためには、介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようなキャリアパスを整備していくことが重要である。
・我が国の年齢別人口をみると、若年層は減少傾向にあり、今後も出生率の大幅な上昇は見込めない状況であり、このような中で、介護人材を安定的に確保していくためには、介護福祉士養成施設卒業者等を中心とした若年層だけではなく、介護福祉士等の資格を取得しながら介護等の業務に従事していない潜在有資格者の復職支援を進めるとともに、子育てが一段落した主婦層、他産業から介護職への転職を目指す人々、社会貢献に関心のある定年退職者などにも焦点を当てる必要がある。
 このように、多様な経歴の人々が介護の仕事へ参入できるようにするためには、介護職の間口を広くしておく一方で、段階的な技能形成とキャリアアップを可能にすることにより、量の確保と資質の向上が両立できるような養成体系を整備していくことが必要である。
・介護人材の養成体系の今後の在り方については後述のとおりであるが、事業者が職員の研修受講を積極的に支援するとともに、現場職員が積極的なスキルアップに努めることが、質の高いサービスの提供につなげるためには不可欠である。
 また、研修内容についても、現場のニーズや介護技術・理論の深化等を継続的にフォローした内容となっていなければ、研修受講の意欲は高まらない。研修を担当する講師についても、質の高い教育を提供できるよう、不断の努力をすべきである。介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)では、平成21年度から実践を重視した新カリキュラムによる教育が行われているが、ここでの教育上の成果やノウハウを教育関係者が介護人材の養成体系全体に展開していくことが必要である。
 介護人材の養成体系の整備と併せて、人材養成に関わるすべての関係者のたゆまぬ努力を期待する。
・併せて、本人のキャリア形成に応じた適切な評価がなされるよう、介護報酬面での担保をしていくことも必要である。
 例えば、平成21年度の介護報酬改定においては、介護の専門性等に対する評価及びキャリアアップを推進する観点から、介護福祉士等が一定程度雇用されている事業所に対する加算措置が設けられたが、このような評価を更に進めていくことについて、今後、所管の審議会において検討が進められることを期待したい。
 2 キャリアパスの全体像
・介護人材のキャリアパスを検討していく上では、入職時点、一定の実務経験を経た後など、それぞれの段階ごとに求められる役割や能力を明確にした上で、その能力の修得を目指した資格・研修体系を構築していく必要がある。
・介護分野には、現在、訪問介護員(ホームヘルパー)養成研修(1級と2級)、介護職員基礎研修、介護福祉士など、様々な研修・資格が存在している。
 また、ホームヘルパーは主として訪問介護等の在宅サービスを念頭に置いた研修、介護職員基礎研修と介護福祉士は在宅・施設を問わず介護職として必要な知識・技術の修得を図る研修・資格であるが、それぞれの研修・資格が十分に連動した関係とはなっていない。
 さらに、介護福祉士資格取得後のキャリアパスについては、現在のところ、十分な仕組みがない。
・そこで、介護人材のキャリアパスを簡素でわかりやすいものとするとともに、介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようにするため、今後は、以下のように整備していくことを基本とする。
 ただし、例えば、「介護職への入職段階(初任者研修修了段階)」から直接「介護福祉士資格取得段階」に至るのではなく、知識・技術の修得や現場での能力評価等により、段階的にステップアップしていくことが考えられる。
 介護職への入職段階~初任者研修修了段階
・この段階で求められるのは、在宅・施設を問わず、職場の上司の指示等を受けながら基本的な介護業務を実践する能力であり、介護現場で働く上で必要となる基本的な知識・技術を、後述の「初任者研修」を通じて修得することが必要である。
 一定の実務経験後(実務3年以上)/介護福祉士養成施設卒業~介護福祉士資格取得段階
・この段階で求められるのは、利用者の状態像に応じた系統的・計画的な介護や医療職との連携等を行うための幅広い領域の知識・技術を修得し、的確な介護を実践する能力であり、介護福祉士資格の取得者の期待される能力である。
 8ページ目です。
 介護福祉士資格取得後更に一定の実務経験後~認定介護福祉士段階
・この段階で求められるのは、養成課程で修得した知識・技術を、実務経験を通じて確固たるものとした上で、それを十全に活用し、多様な生活障害を持つ利用者に質の高い介護を実践するとともに、介護チームの中で、介護技術の指導や職種間連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善していく能力であり、後述の「認定介護福祉士(仮称)」のスキームを通じて修得することが望まれる。
 図はご覧のとおりですので、省略をさせていただきます。
 8ページの下からです。
 3 介護福祉士に至るまでの養成体系の在り方
 (1)ホームヘルパー研修、介護職員基礎研修、実務者研修(仮称)(6ヶ月研修)の関係
 (ホームヘルパー研修)
・現在のホームヘルパー2級相当の研修を「初任者研修(仮称)」と位置付けるとともに、研修内容について、現在の在宅中心の内容から、在宅・施設を問わず介護職として働いていく上で基本となる知識・技術を修得できるものとなるよう、今後改めていくことが適当である。その際、在宅サービスに必要な知識・技術の水準が確保されるよう配慮する必要がある。
・なお、ホームヘルパー1級研修については、平成24年度に介護職員基礎研修と一本化される予定である。
 9ページ目です。(介護職員基礎研修)
・今後、介護福祉士資格を取得しようとする実務経験者が介護福祉士国家試験を受験する際に実務者研修の受講が義務付けられることにより、ホームヘルパー2級と介護福祉士との間に、「介護職員基礎研修」と「実務者研修」の二つの研修体系が存在することになる。
 しかしながら、介護職員基礎研修と実務者研修の関係が必ずしも十分に整理されておらず、同様の研修が併存することにより、養成体系が複雑化する嫌いがある。
・そこで、介護人材の養成体系を簡素でわかりやすいものとする観点から、実務者研修の施行に合わせて、介護職員基礎研修を実務者研修に一本化することが適当である。ただし、その際には、既に介護職員基礎研修を修了している人々に対する十分な配慮が必要である。
 これにより、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修の両方が、実務者研修に一本化されることになる。
 (2)実務者研修(6ヶ月研修)の見直し
 (平成19年の法律改正の趣旨)
・「はじめに」の部分にも記載したとおり、認知症高齢者の増加、「措置」から「契約」への変更(介護保険制度や障害者自立支援法の施行)、成年後見・権利擁護への対応など、介護福祉士に新しい役割が求められている中で、実務経験だけでは十分に修得できない知識・技術を身に付けることが必要であり、平成19年の法律改正により、介護福祉士国家試験を受験する実務経験者に対して、実務者研修(6ヶ月研修)の受講が義務付けられた。
・この実務者研修は、「幅広い利用者に対して、基本的な介護を提供できる能力を修得する」という、介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における教育上の到達目標と同等の水準に到達することを目指しているものであり、また、この研修を通じて、今後の制度改正あるいは高齢化の進展の中での新たな課題や技術・知見を自ら把握できる能力を獲得することが期待されているものである。
 (研修時間数)
・一方、介護分野における人材不足問題が顕在化する中で、本検討会で各種調査(介護福祉士の資格取得方法の見直しに関する意見等)や現場職員からのヒアリングを実施したが、これらによると、継続的な自己啓発の必要性は感じているものの、実務者研修の目的・内容等についての理解が十分に浸透していない状況であり、「研修時間が長すぎる」などといった負担感を感じている現場職員が少なくない。
 このような現状を踏まえると、介護福祉士の資格取得を目指す現場職員の意欲を減退させないような配慮が必要である。
 10ページ目です。
 また、社会福祉制度や医学的な知識などは実務経験だけでは十分に修得できないが、利用者や家族とのコミュニケーションや信頼関係の構築などは、実務経験を通じて身に付けるものもあるとの意見もある。
・これらの点を踏まえ、「幅広い利用者に対して、基本的な介護を提供できる能力を修得する」ために必要な研修内容は確保するという考え方は維持しつつ、実務経験を通じて修得できる知識・技術を改めて検討・整理し、平成19年の法律改正当時は600時間と想定していた実務者研修(6ヶ月研修)の時間数については、450時間として施行することが適当である。
 (受講しやすい環境の整備)
・実務者研修は、実務経験者を対象とした研修であることから、その施行に際しては、現場で働きながらでも研修を受講しやすい環境を整備していくべきである。
・実務者研修は、法律上は「学校又は養成施設において、6月以上知識・技術を修得」と規定されているものの、これは必ずしも「6か月間連続して学ぶ場所に通うこと」を意味するものではない。
 数年間かけて少しずつ研修を修了すればよく、また、働きながらでも無理なく勉強することができるよう、教育水準を担保する措置を講じつつ、通信教育を積極的に活用することを想定している。同様に、インターネットやテレビ放送を利用した教育も考えられる。
・また、現場で働きながらでも研修を受講できるようにするためには、身近な地域で受講できる環境を整備していく必要がある。
 とりわけ、都市部以外の事業所で勤務する現場職員にとっては、スクーリング(通学)のためだけに都市部に出てくるというのでは大きな負担となる。
 そのため、介護福祉士養成施設はもとより、社会福祉協議会や事業者団体など、多様な主体による実務者研修の実施を促すとともに、通信課程におけるスクーリングを地域の団体等に委託できるような仕組みとすることも検討すべきである。ただし、教育水準の低下を招かないよう、一定の要件を満たした場合に限りスクーリングを委託できるようにする必要がある。
・さらに、現場職員の継続的なスキルアップを促していく観点から、過去に受講した研修を評価する仕組みを入れ込むことも有益である。
 例えば、ホームヘルパー2級の修了者については、実務者研修の研修内容からホームヘルパー2級の研修で得られる分を免除するなど、研修の読替を可能とすることが適当である。
 読替可能とする研修は、介護保険制度や認知症ケア等といった実務者研修の中で教育する内容に限定し、当該研修内容に相当する実務者研修の部分を読み替えて免除することが適当である。その際、科目単位での読替も可能となるよう、実務者研修の研修内容を検討していくべきである。また、社会人としての基本を教える研修や接遇等に関する研修等は対象外とすべきである。
・読替可能となる研修の具体的な判断基準については、厚生労働省が統一的な基準を具体的に示すべきである。
 その際、地域の社会福祉協議会や事業者団体、人材育成に熱心に取り組む事業者等で行っている研修についても、研修内容が読替できるレベルに達しているものについては読替が可能になるようにすべきである。
 このような取組を通じて、地域における研修活動が広がり、現場職員にとっても、身近な地域での研修受講が更に容易になることを期待したい。
・実務者研修の受講に当たっては、一定の費用負担が必要となる。
 そのため、実務者研修の受講費用を教育訓練給付の対象とする、あるいは、現在介護福祉士養成施設の入学者等に対して実施している修学資金貸付の仕組みと同様に、受講費用の一部を貸与し、一定の要件を満たした場合には、返還免除とするなど、受講費用の支援策を講じていくことが必要である。
 なお、本検討会としては、実務者研修の実施主体に対して、可能な限り低廉な費用での研修実施を強く求めたい。
・介護福祉士の資格取得を目指す現場職員が実務者研修を受講しやすい環境を整備していく上では、雇用主である事業者の理解・支援を得ることも重要である。
 そのため、研修期間中の人員確保に事業者が苦慮することのないような配慮が必要であり、代替職員確保のための支援策などを講じていくことも必要である。
・併せて、これらの内容について、現場職員や事業者等に対する積極的な情報発信に努めていくことが必要である。
・各種調査やヒアリング結果からも明らかになったが、多くの現場職員は、利用者に対してより良いサービスを提供できるよう、自己研鑽の機会を求めている。このような現場職員の意欲を汲み取り、希望と意欲を持って働き続けられるようにするためにも、「1 基本的考え方」の部分にも記載したとおり、現場職員研修を受講しやすい環境を整備していくことが事業者の使命であると言って良い。
(施行時期の見直し)
・介護福祉士を取り巻く環境が急速に変化している中では、実務経験者に係る介護福祉士国家試験の受験要件としての実務者研修の修了義務化の施行時期についても、再検討が必要である。
 即ち、介護福祉士による医療的ケアについての検討が行われており、その実施に向けて教育内容を検討していく必要があること、介護福祉士に至るまでの養成体系の在り方を抜本的に見直し、その具体化を図っていく必要があること、実務者研修の受講に当たり十分な研修支援策を講じる必要があること、実務者研修についての十分な広報をし、現場の理解を得る必要があること等を総合的に勘案すると、施行に際し一定の準備期間を要する。
・そのため、実務経験者に係る介護福祉士国家試験の受験要件としての実務者研修の修了義務化の施行時期を3年間延期し、平成27年度とすることが適当である(平成28年1月実施予定の試験から適用)。
 なお、実務経験者が働きながらでも無理なく研修を受講し、国家試験を受験できるよう、実務者研修自体はできるだけ速やかに実施されることが望ましい。
・また、介護福祉士国家試験に係る実技試験の取扱いについては、平成18年12月に社会保障審議会福祉部会でとりまとめられた意見(介護福祉士制度及び社会福祉士制度の在り方に関する意見)の中で、実務者研修を経る場合の実務経験ルートについては実技試験を免除すべきとされているが、実務者研修の修了義務化の施行延期に併せて、実務経験ルートに係る実技試験の免除についても、平成28年1月実施予定の試験から適用することが適当である。
 (3)介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付け
・平成19年の法律改正は、一定の教育課程を経た後に国家試験を受験する形に資格取得方法を統一化するという趣旨で行われたものであり、その結果、介護福祉士資格を取得しようとする実務経験者に対しては、国家試験受験前の実務者研修の修了が義務付けられるとともに、介護福祉士養成施設卒業者に対しても、国家試験受験が義務付けられ、試験に合格しなければ資格を取得できないこととされたものである。
・また、介護福祉士による医療的ケアの実施に際しては、介護福祉士の養成カリキュラムに医療的ケアの内容を追加する必要がある。そのため、今後、介護福祉士養成施設における教育内容や試験内容について検討を進めていく必要があり、さらに、その検討結果を踏まえて、各養成施設においても医療的ケアの追加に伴う教員の確保や体制整備が必要となるが、そのためには一定の猶予期間が必要である。
・このような点を観点すると、実務者研修の施行時期を平成27年度に延期することに併せて、介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付けについても、平成27年度まで延期することが適当である(平成28年1月実施予定の試験から適用)。
 13ページ目です。
・「はじめに」の部分にも記載したとおり、平成19年の法律改正においては、介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験の義務付けに加えて、養成課程における教育時間が1,800時間まで充実されるとともに、教育内容についても抜本的に見直された。介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)では、平成21年度から実践を重視した新カリキュラムによる教育が行われているが、教育関係者の努力もあり、概ね円滑に実施されているものと評価できる。
 今後とも、質の高い介護福祉士の養成に向けて、教育関係者のより一層の尽力を期待したい。
 4 介護福祉士資格取得後のキャリアパスの在り方
 (認定介護福祉士(仮称)の構築)
・「2 キャリアパスの全体像」の部分にも記載したとおり、介護福祉士資格取得後のキャリアパスについては、現在のところ十分な仕組みがないため、資格取得後の展望を持てるようにするためにも、その後のステップアップの仕組みをつくっていくことが必要である。
・この点については、本検討会での議論の中で、医師や看護師の専門資格(専門医、専門看護師等)のように、特定の分野の専門性を追求していく形を志向していくべきか、あるいは、知識・技術の幅広さに着目したものとすべきか、様々な観点から意見が出された。
・その結果、まずは、介護福祉士資格取得後一定の実務経験を経て、幅広い知識・技術を身に付け、質の高い介護を行い、他の現場職員を指導できるレベルに達した介護福祉士を職能団体が主役となって認定する仕組み(認定介護福祉士(仮称))を設けていくことが適当であるとの結論に至った。
 なお、その上で、認定介護福祉士の運用状況や、介護・福祉分野における研究成果等を踏まえて、特定分野により深化した専門的知識・技術を持つ介護福祉士の養成等の在り方を然るべき時期に検討していくことも考えられる。
・「幅広い知識・技術を活かした質の高いサービス提供能力」や「指導力」を評価するという趣旨に鑑み、認定介護福祉士の研修課程では、基本的にはすべての介護福祉士に同一の研修内容を提供していくべきであるが、当該介護福祉士が勤務する事業所の対象者(高齢者・障害者など)やサービス種別(施設・在宅など)に応じて研修内容を追加していくことも考えられ、この点については、今後、更に議論を深めていく必要がある。
 14ページ目です。
 (検討主体)
・認定介護福祉士の具体化に向けた検討は、介護福祉士の職能団体が主役となって行うことが望まれる。
 その際、検討段階から関係団体や学識経験者の参画を求めるともに、現場の介護福祉士や事業者等の意見も十分に聞くことで、制度が現場で機能する仕組みにすることが必要である。
 なお、具体化に向けては、職能団体加入者だけではなく、すべての介護福祉士を対象とすることを前提とした検討をしていくべきことは当然である。
 現場への周知に当たっても、職能団体に加入していない介護福祉士や、これから介護福祉士の資格を取得しようとしている現場職員に広く周知し、認定介護福祉士の認知度を高める不断の努力をしていくべきである。
(今後の検討の視点)
・資格取得後のキャリアアップを目指す介護福祉士が一人でも多く認定介護福祉士になろうという意欲を引き出すとともに、認定介護福祉士が国民の理解を得られるものとするためには、認定介護福祉士が「できること」を明確化する必要がある。
 例えば、利用者のQOL(生活の質)を向上させる質の高いサービスを提供できる、医療職との連携を進めていく上でのキーパーソンとなる、指導力を発揮してチームケアの質を改善していくことができるなど、認定介護福祉士が「できること」を国民にわかりやすい形で明確に示していくことが必要である。
・このように、認定介護福祉士が「できること」が明確になることで、処遇面でも一段高い評価をされるような仕組みを構築していくことが可能になる。
 また、認定介護福祉士の認知度を高めるとともに、その役割や位置づけを明確化するためにも、福祉人材確保指針などに明記することも考えられる。
・なお、認定介護福祉士が現場で真に求められる存在であるためには、介護福祉士を取り巻く状況や最新の研究の動向、介護技術の進展等を継続的にフォローし続けた研修内容である必要がある。
 この点については「1 基本的考え方」の部分にも記載したところであるが、改めて付言しておきたい。
・同様の趣旨により、一旦認定介護福祉士になったとしても、その後の制度改正や介護技術・理論の深化を継続的にフォローし続けていけるかどうかを確認していくため、「認定」を更新制とすることも十分考えられる。
 15ページ目です。「おわりに」
・本検討会では、限られた時間の中ではあったが、幅広い論点について闊達な議論を行い、今後の介護人材の養成体系等についての基本的な方向性を示したところである。
 ただし、介護り取り巻く環境が急速に変化している中では、介護人材の養成の在り方についても不断の検証や見直しが必要であることから、これらの点については、引き続き当検討会としても注視していきたい。
・今後、更なる少子高齢社会を迎えていく上で、介護人材の量的確保と資質向上の両立を図るという困難な課題を達成していかなければならない。
 厚生労働省においては、本報告書の内容の具体化に向けて速やかに取り組むべきであり、関係団体や教育関係者、学識経験者等においても、介護職場を魅力と働きがいのあるものとすべく、それぞれの役割を十二分に果たしていくことを期待するものである。
・併せて、介護人材の養成体系の全体像や、継続的な研修の必要性・目的、研修を受講しやすい環境を整備するための様々な取組について、厚生労働省はもとより、関係団体や学識経験者等が一体となって、現場職員や事業者にわかりやすい言葉で伝え、国民に支持されるものとしていくべきである。
 本文は、以上でございます。
 16ページ目に検討会の開催経過、17ページ目に皆様のお名前と現職を記載した表を付けております。
 以上でございます。
○駒村委員長 資料の説明、ありがとうございました。
 それでは「今後の介護人材養成の在り方について(案)」について、議論をしたいと存じます。各委員の御認識、お考えをそれぞれ発言していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 因委員、お願いいたします。
○因委員 今回のとりまとめは、大変よくまとめられていると基本的には思っています。ただ、幾つか不安がありまして、特に昨日、今日とその不安が大きくなってきたんですが、私自身がこのヘルパー養成研修でヘルパーとして育ったということは、前回の委員会でもお話をしたとおりです。そして現在では、このヘルパー養成研修の講師という立場で後輩の育成を担っております。
 この不安は何かというと、1つは、ホームヘルパーの専門性がこれで確保できるかということです。もう一つは、人材が確保できるかということです。
 まず、専門性の話からしようとしているわけですけれども、ホームヘルパー養成研修というのは、あくまでも訪問介護員の養成研修であり、昭和の終わりぐらいから在宅の介護を担う者は、このホームヘルパー養成研修を受講しなければいけないとされ、ヘルパーになるためには、この養成研修の修了が義務付けられておりました。それぐらい利用者の家庭に入って行う介護の質というのは、やはりいろんな介護がある中でも、特に個別性の支援だとか、生活の継続の支援だとか、一対一で行う介護の専門性だとか、そういうことが求められて、ヘルパー養成研修はそういうことに特化した研修であったと思っております。これが初任者研修というふうに変わった場合、果たしてどこまで訪問介護の専門性が担保できるのかということを、やはり心配しております。
 この報告書の中では、初任者研修の中でも在宅のことを十分配慮すべきだと書かれておりますが、更にホームヘルパーの専門性というところを考えていかないと、過去に訪問介護の専門性というのは大事なのでということで、この研修を入れてきた。しかも、ヘルパーをするためには、この研修の修了が義務化されているということを考えると、この辺は更に検討し、専門性に配慮をしていただきたいと思っています。
 次に、人材確保です。私自身も養成校や短大や大学で介護福祉士の後輩育成に当たってきました。卒業生が訪問介護にほとんど来ません。介護福祉士の養成校の卒業生は、ほとんど施設に行ってしまいます。最近、若干訪問介護に行く卒業生も増えてきましたけれども、本来、介護福祉士を取得すれば、施設の方に行ってしまうという状況の中で、このホームヘルパーの養成研修で人材確保をしてきているという大きな役割があったと考えています。このことをこれからどうしていくのかというのは、大変重要なことになってくるだろうと思っています。
ホームヘルパーの養成研修でヘルパーの人材確保をしてきた。このことを忘れないで、今後対応していかなければいけないかなと思っています。以上です。
○駒村委員長 ありがとうございます。
 一通りお話を聞きたいと思います。袖井先生、お願いします。
○袖井委員代理 本日は樋口さんの代理で出ております。皆様のお手元に、樋口さんの書いた「所感」があります。これはお目通しいただければいいかと思いますので、全部は読みません。1番目は「養成施設卒業者の国家試験3年延期について」ということで、他のあらゆる専門的業務と並んで介護福祉士が専門性と社会的評価を得るためには、国ないし都道府県による公的資格試験合格が条件になる、と主張しておりまして、この点は私や私ども高齢社会をよくする女性の会でもいろいろ議論いたしました。あらゆる士や師というもので、国とか自治体による資格試験がないものというのは、余りないのではないかと思うんです。多分養成校出身の介護福祉士だけではないかと思います。例えば鍼灸とか歯科衛生士とか柔整体師とか、みんな資格試験を受けています。そういう資格試験を受けることによって、専門職としてのプライドが生まれるのではないか、介護の質が担保されるのではないか、あるいは社会的評価も上がるのではないかと思います。私どもとしては、この3年延期というのを今回は仕方がないとしても、これ以上延ばさないでほしいと考えております。
 2番目の実務者研修の問題ですけれども、そこで幾つかのポイントを挙げておりますが、やはり研修を受ける人にとっての喜びとなるような、あるいはプラスになるような研修であるべきということで、?@現場の人々が受講しないと損だと思うように内容を充実すること、?A過去から将来への研修の積立て預金ができるシステムを構築すること、?B介護人材の需要増大を見越して介護職員への入り口はできるだけ幅広にとること、?C研修実習が頻繁にあることが“向上できる職業”として介護職の魅力となり、また仲間との出会いの場となるよう設定すること、?D事業者はOJTのみならず従業員の研修参加を推進する義務を自覚すること。行政はそのような事業者への支援を講ずること、?E国・自治体は研修を促進する奨学金制度等をすすめること、等をお願いしますということです。やはり受講をする人のモチベーションを高めるようなものにしていくことが必要かと存じます。
 私は今回初めて出ただけですが、多分これは非常に難しい問題だと思うんです。この案を読んでわからないところがたくさんありました。例えば現場の能力を評価するという文章がありましたが、どうやって評価するのかということが余り見えない。7ページの真ん中辺りです。「例えば、『介護職への入職段階(初任者研修修了段階)』から直接『介護福祉士資格取得段階』に至るのではなく、知識・技術の修得や現場での能力評価等により、段階的にステップアップしていく」ということですが、現場での能力評価とはどうやってやるんだろうかとか、いろいろわからないところがたくさんあります。
 11ページの真ん中辺りで、代替職員の確保の支援策という話も出ていますが、どうやって代替職員を見つけるのだろうかとか、その辺、私自身非常に疑問に思います。
 それから、今、因委員からお話がありましたが、全体の印象としては、施設の職員には多分クリアーできるハードルだと思いますけれども、在宅のホームヘルパーさんにとっては、非常にハードルが高いのではないか。ここまで来てしまったので、今更いろいろ直すのは難しいかと思いますが、私自身も大変疑問に思いました。
 以上でございます。
○駒村委員長 ありがとうございました。
 石橋委員、お願いします。
○石橋委員 私たち日本介護士会といたしましては、これまでの主張と変わりなく、今、求められている多様で高度な介護ニーズに対応できる介護福祉士を養成していくためには、やはり質の担保がますます重要であると考えております。このことは、介護福祉士の資格をほかの専門職と同等の資格となるように評価を高めるためということでもありますし、またそのことを通じて、介護福祉士、介護職員の待遇の改善を図り、介護現場での定着を目指すという良循環になることを期待しているわけでございます。
 したがって、先ほどのお話にもありましたように、資格取得方法の一元化も、やはりできるだけ早い時期に行うことが必要であると考え、予定どおり、平成24年度から行うべきという考え方は変わっておりません。
また、実務者研修という名前に変わりましたけれども、この研修におきましても、資格取得時の到達目標に達成するためには、やはり1,800時間と同等の教育が必要になることが前提でありますので、3年間の実務経験を配慮しても、最低限6か月以上、600時間以上の教育課程が必要だという基本的な考え方は変わっておりません。このことについては、本会の支部の皆様方にも、昨年から骨子案が出た段階でいろいろ御意見を伺ったところでございますけれども、ほとんど御賛同の御意見をいただいているところでございます。
 なおかつ、今、医行為についてのカリキュラムがモデル事業として50時間程度行われておりますけれども、今回の報告書(案)におきましても、それを含めて450時間と示されております。したがって、当初予想されていました600時間の研修が、実質400時間に減っているわけでございます。この研修時間のどこが1,800時間と同等になるのか、これではきちんと説明できないと思っております。少なくとも、医療行為の研修となる50時間は別枠で設けるべきだと思っております。
 介護職員の負担を減らすために時間数を削減しなければならないとここにも書いてありますけれども、このことはいずれにしても介護福祉士の国家試験というのは、1,800時間のカリキュラムに沿って試験が行われるわけでございますので、結局削減された時間というのは、介護者自身が足りない部分を補わなければならないということになります。
また、介護者が安心して働くためにも、利用者が安心して介護サービスを受けられるようにするためにも、介護者に対する一定の研修、教育というのは必要であるということから、公に受けられる教育時間数を削減するということは、ある意味、現場の者にとってはデメリットになるということを、是非わかっていただきたいと思っております。
それよりも大切なのは、やはり行政とか事業者の方たちが介護者の方に対して、働きながら学びやすい環境づくりをどのように行っていくかを十分検討していただいて、それを実現することが大切でありますし、同時に、介護の現場において、キャリアパス、キャリアラダーの仕組みを介護施設や事業所に構築、実行、定着できるようにしていくことが何よりも大切かと思っております。今回の報告書におきましては、これまで私たちが申し上げてきたことが書かれており、環境整備については評価するところでございます。
 ただ、併せてこれも何回も申し上げておりますけれども、やはり今後の介護人材の確保、定着の一番の支援策としては、介護職員の賃金の向上を含めた待遇面の向上など、介護労働環境の改善と介護福祉士の社会的評価の向上を行うことが何より重要になってきますので、その取組みを国、事業者の皆さん方にもお願いしたいと思っております。
 これは今後の要望になるかもわかりませんけれども、いずれにしても、介護を担う人材というのは、介護福祉士であれ、介護福祉士以外であれ、よりよい介護サービスを提供していくためには、自己研鑽、教育などにより、常に自分の専門的知識、技術、職業倫理を高めていく努力を怠らないことが求められてきます。特に職業教育においては、初期の段階で職業所での知識と技能を向上させる意識を根付かせることが極めて重要であり、介護サービスの担い手として継続して仕事に就き、生きがいを持って仕事をしていくためにも、将来の展望を一定の範囲で獲得するというキャリア教育が重要になってくると思います。
 したがって、ここに書いてあります初任者研修、実務者研修においては、介護の現場で働く者に求められるそのような基本的な考え方とか、介護福祉士を修得したら、職能団体に入団するのは当然であるということの理解とか、生涯学習の必要性などを理解できるようなプログラムを研修内容に含めていただき、体系的な学びができるようなカリキュラムにしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 資格を取ってから、キャリアパスに応じた研修につきましては、ここに書いてあるとおり、私たち職能団体がこれまでファーストステップ研修など、積極的に取り組んできているところでございますが、その経験を生かしながら、更にここで示されている認定介護福祉士についても、できるだけ早く教育関係者、その他の関係の皆様方の御協力を得ながら、今後も本会が中心となって取り組んでいく所存でございますので、是非皆様方の御協力をお願いしたいと思っております。
 なお、認定介護福祉士については、ここに書いてあるように、施設、事業所、国民から評価されるための努力をしていかなければいけないと同時に、施設、事業所などにおいて、今後は人員配置基準において明確化されるとか、介護報酬上の評価の対象にすることなど資格に対する評価を明確化していくということが、認定介護福祉士の定着化につながってくると思っておりますので、国の方でもそのようなバックアップを是非お願いしたいということを最後に申し上げまして、私の発言とさせていただきたいと思います。
○駒村委員長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
 河原委員、お願いします。
○河原委員 検討会の報告書(案)につきましては、一通りの内容を確認させていただきました。
 受け止め方につきましては、前回12月22日の第8回検討会で既に発言させていただいているとおりでございます。介護労働市場の現況と中長期の展望の分析をベースにとりまとめられており、介護人材の安定的な確保と資質向上を同時並行で進めていく。つまり、現実とあるべき姿がジョイントされた報告案だと受け止めております。したがって、事務局案につきましては、支持したいと思います。
 特に、担当局の縦割りの政策を1つに、かつシンプルにされた今後のキャリアパスのイメージは、この検討会が開催された大きな意義であり、成果であったように思います。私はできる限り、現場で働く者の視点で議論に参加することが役割だと思っておりましたので、働きながらを1つのキーワードにまとめられた報告書(案)は、現場の者にもしっかりとこれからメッセージできるのではないかと思います。具体的には、必要かつ重要な対面授業も確保しつつ、現場の業務に穴を開けないで、期間的にもゆとりを持たせて、読替可能な研修の検討など、受講しやすい環境が整備されている方向性は、非常に安堵しております。
 また、所得が低位にある方が多い中で、受講するに当たっての費用支援策への言及も歓迎したいと思っております。
その上で、テーマは若干外れますけれども、3点だけ、意見をしておきたいと思います。
 1点目は、6ページの終わりから7ページにかけて記載してありますキャリア形成と評価です。
 「処遇上の評価」と記載されなかったこと、結びの言葉が「期待したい」で終わっているのは、少々残念でございます。組合風に言えば、実現を強く望む順番として、要請、要望、要求となりますけれども、せめて「期待したい」ではなく「要望したい」ぐらいで結んでほしかったと思っております。評価されるべき資格を持っている人は、評価されるべき処遇が絶対に必要です。納得できる処遇上の評価がないと、人材難は間違いなく続きます。現場の意見として主張しておきたいと思います。
 2点目、介護福祉士の割合を増やす方途の1つとして、介護福祉士試験の受験回数と受験地の拡大を担当局には是非要求をしておきたいと思います。
現状では、全国統一で年1回、同一日にしか受験日が設定されておりません。同一事業所で複数の受験者がいる場合は、代替人員の手配にも苦慮しております。一部では受験をあきらめざるを得ない現状もあると報告を受けております。更に、受験地も限定されておりますので、受験地に赴くために、時間的あるいは経済的に大きな負担を本人は余儀されておりますので、是非検討していただけないかと思います。
 3点目、この検討会の方法と内閣府の介護人材ワーキンググループにおける実践キャリアアップ制度の方向がうまく連動できるように、ややこしくならないように、事務局の方にはしっかりと連携を密にしておいてほしいということです。私もそのワーキンググループの一員ですので、お願いの仕方が非常に難しいんですけれども、よろしく今後とも御配慮をお願いできないかと思います。私からは、以上です。
○駒村委員長 ありがとうございました。ほかの委員の方、いかがでございましょうか。
 中尾委員、どうぞ。
○中尾委員 今回の報告書(案)については、この委員会で検討されてきた結果ということで、以前と比べて私たち国民にもすごくわかりやすい報告書になっているということをひとまず評価したいと思います。けれども、これが報告書として出来上がったから、すぐに質の確保、人材の確保につながるかというと、現場はそう甘くないということを、今、つくづく思い知らされているところです。
 働きながら資格を取れる環境を十分にここで整えていただいたということに関しては、現場で働く者としては、すごくありがたいことだと思うんですけれども、ここの上にもう一つ、一定の資質、体制を確保する方策、はっきり言えば賃金ですが、そこの部分が出てこない限りは、やはり人材の確保という面では、まだまだ前途多難な過程があるのではないかと、現場の者として思っているわけです。
 それともう一つ、人材育成の面から意見を申し上げますと、初任者研修についてきちんと組み入れていただいたというところは、一応評価したいと思うんですけれども、これもきちんとした内容が出てこない限りは、私自身も少し不安を覚えています。今の2級ヘルパー研修の中で講師をしていて、実際に目の前の生徒さんたちがいろんな意欲をもって受講できるようなというか、希望を持って介護の仕事に進めるような内容にしていくことがとても求められるなと思います。
 現場の者としまして、本当にわかりやすくこの報告書をまとめていただいて、私自身もすごくよくわかりますし、訪問介護員、ホームヘルパーの方もわかりやすい内容になっているという面では、何回も言いますけれども、私も評価はしたいんですが、やはり現場はこれができたからといって、本当に不安が拭い去られたものではないということを、改めて厚生労働省の方にも広く知っていただきたいなと思っています。以上です。
○駒村委員長 ほかの委員、いかがでございましょうか。
 是枝委員、どうぞ。
○是枝委員 この報告書については、おおむねいろいろなことが盛り込まれているし、整っているかなと思うんですが、よくよく読み込んでいくと、何か具体性に欠けるのかなというところが散見すると思います。でも、こういうものなのかなと受け止めたいと思っています。
 それでお願いなんですが、1つ目は、教育という場から、1,800時間ということで、今、新カリキュラムは行われておるんですけれども、これに医療的ケア、「医療的ケア」というのが正式名称なんですか。「医療行為」と言うのか「生活行為の延長」と言うのか、何て言うのかちょっとわかりませんが、その言葉も明確にしていただきたい。ここでは「医療的ケア」と言っているので、その医療的ケアを1,800時間の中に当然入れるわけですね。でも、それはプラス50時間ではなく、1,800時間の中に入れてほしいと思います。
 それから、この新カリキュラムの1,800時間の見直しというのをして、そこにきちんと入れ込んでほしい。どうしても今、教育の場でやっていると、4年制大学であっても、1,800時間のカリキュラムでやっていくと割と知識を受け身的に教えるということが多いんです。やはりそうではなくて、課題を見つけて、調べて、研究するという、考えるということを養成していかないと、よい介護はできないと思っていますので、その辺は見直しをしていただきたいと思います。ですから、1,800時間の中にこの医療的ケアというものの教育を入れ込んでほしいということをお願いしたいと思います。
そして、当然それが入るということは、実習をするということになると思うんです。この実習ですけれども、医療機関等で行うことになれば、当然実習生の受入れについて、医療機関等では理解を示していただけるようなことを国の方で方策としてしていただきたい。そして、実習生が速やかに実習できるような体制をつくらないと、これを入れ込むといっても、実現はどうなのかなという不安を感じます。それが1点目です。
 2点目ですが、介護福祉士の養成については、やはり平成19年の法改正のときの状況に応じた介護ができるという多様性ですね。ニーズの多様性に対応できるような職員を養成するという基本線は、外さないでいただきたいと思います。ここがやはり基本的にいろんな研修をしても、教育をしても、ここに基本がないと意味がないのではないかと思います。ただ、養成に関しては、だれもが介護福祉士ということではなくてもよいと思うんですよ。いろんな間口があってもいいと思うんです。
その間口ですけれども、当然、大学とか短大、専門学校とか高校とか、特例校とか、あるいは実務者研修とか訪問介護の養成とか、いろいろありますが、その到達点とか特性を明確にしていただきたい。そして、いろんなルートがあり、いろんな養成がある現状がなかなかわかりにくいんですよ。ですから、それをわかりやすい表にまとめていただいて、遠まわしの言葉ではなくて、平易な言葉で、だれが読んでも、そうなのかということがわかるような文章で出していただきたいと思います。
 3点目は、先ほども言われたことですが、やはり労働環境、待遇改善の整備の強化は何としてもしていただかないと、いろんなことを言っても、ここを置き去りにしたら離職率も高くなるし、当然、介護職になろうという人も少なくなってきてしまうと思いますので、キャリアアップも当然ですが、それとともに、ここのところも早急に何とか整備していただきたいと思います。
 この3つです。以上です。
○駒村委員長 ありがとうございました。ほかの委員、御意見、御感想はいかがでしょうか。廣江委員、どうぞ。
○廣江委員 この検討会にヘルパーの代表の方がいらっしゃるのでお聞き申し上げたいのですが、私どもの法人でもヘルパー研修を年間10回近くやらせていただいてまして、実習が終わってからいろいろ感想を聞くんところでは、実習が不足している、もっと実習を充実させてほしいという声が一番多いんです。初任者研修は、今、老健局の方で検討されているということをお聞きしましたけれども、その辺の実習の時間とか、そういうものの見直し。勿論、カリキュラムの見直しもやっていただかなければいけないということと、実習施設の基準をきちんと明確にしておかないと、どこでもいいような形になってくると、実習も在宅系と施設系といろいろなところがありますから、その辺の組合せというのも、制度が変わるのだったら、この際きちんと整理しておかなければならないのではないだろうかと思います。
 それから、先ほども河原委員からございましたけれども、受験地の問題と受験日の問題。これは本当に深刻な問題ですので、できれば年間に2回ぐらいやっていただきたい。同じ人間が同じ年に2回受けて、どちらか合格ということではなくて構いません。
また、少なくても各県で1か所ぐらいはやっていただいて、身近なところで受けさせてもらいたいです。身近なところで受ければ1日で済むものが、移動も含めて2日かかってしまうようなことになってしまうと、やはり職員間のやりくりが非常に難しい。受験日を2回に分けるのが無理なら、受験地だけでも各県でやっていただきたいというのが切実な問題です。
 もう一つは、認定介護福祉士制度は早くスタートしてもらいたい。現に資格を持っている人はたくさんいるわけですから、ある程度、施行のめどをはっきりと明示していただくことも必要ではないかと思いますし、それと同時に、前回も言いましたけれども、介護福祉会の入会促進の経営者の責任的なところにおいて、質を上げる応援をしていかなければいけない。認定介護福祉士とか介護福祉士をどんどん養成していかなければいけないということと併せて、入会促進も事業主が促進しろよというぐらいのことが制度の一文に入っているのもいいのではないかなと思いました。
 それから、書いてはございますけれども、この3年間の期間中に450時間勉強する。これがいわゆる自分の自己研修をしていくんだということの位置づけになって、それが専門性を持った次の認定介護福祉士なり、もう一つ上の資格をつくっていくきっかけになるので、その辺をうまく連携していくようなことをやらなければいけないということを、もうちょっとはっきりしていただくといいのかなと思いました。
 この間も言いましたけれども、やはり小規模のところだと、1人夜勤など、どうしても労働基準法が守りにくくなっている現状もあります。この辺の労働環境が、今度は法改正等で違法になれば指定取り消し等に関わるなどということもあります。我々は労働基準局が来られると、グループホームの1人夜勤は違法だとやられて、これはどのように対応したら良いか悩んでいますので、そういう環境整備もしていただかないと、事業者も違反していると取られますので、何とか整備していただきたいなと思います。
 それと同時に、やはり看護師さんのステータスが非常に上がってきたというのは、専門性を持ってこられたと同時に、賃金がかなり高くなっています。一遍に同等とは言えませんけれども、先ほどから出ていますが、やはり介護職の賃金をある程度上げて、介護の人は給料がいいんだねと世間が言うように、今は逆に安いんだね、労働環境が悪いんだねと言われて、みんな逃げられてしまっていますので、もう少し本気で労働環境や賃金を上げてもらうことをやっていただかないと、幾らいいことをここで言っても、絵に描いた餅になって、なかなか介護職員が集まってこないようになると非常に怖いなと思っています。
 そのようなことを是非書いていただくなり、また、実現するように、厚生労働省には強く要望したいと思っています。以上です。
○駒村委員長 ありがとうございました。平川委員、どうぞ。
○平川委員 老健施設協会の平川でございます。今回のとりまとめは、この間いろいろ意見が出ましたが、おおむねそれも含まれていますし、若干心配な点はありますが、これ以上議論したからといっても先に進まないですから、初めの一歩として、このとりまとめには賛成です。
 この間、老健施設協会の研修を担当している関係で、常に現場の介護職と話す機会も多いので、彼らの意見もとりまとめながら、自分の意見として述べてきました。そういう観点では、今回の案は、間口を広げる、研修負担をなるべく少なくするという配慮がある程度付いたので、受験候補者の立場からしても、いいのではないかと思います。
 一方、老健施設を経営する事業者としても、それこそまだ具体策は出ていませんから、安心はできませんが、一定の支援策を講じていただいて、これで何とかやっていってみようかと思っております。
 また、老健施設協会の立場からしますと、これまでにも評価をいただいております老健施設協会の研修が、今回の研修時間に読み替えられることも示唆させていて、これで、無駄や二度手間にならなくなると信じております。
 ただ一方で、今後の検討課題として、幾つか意見を述べたいと思っております。
 1つは、今回、600時間が450時間になったのですが、時間の多い少ないも大切ですが、問題は、450時間の内容だと思います。
余談ですが、先日、医者仲間が集まった時に、たまたま国家試験の話になりました。国家試験については、6年間の医学教育も大事だったけど、試験対策としては国試対策の予備校の授業が一番有効だったなどと笑い話になりました。勿論冗談ですが、今回の制度についても、今からカリキュラムをつくるのであれば、その内容は十分吟味すべきで、3年間延びたという批判の声もありましたが、検討には3年ぐらいは当然必要だと思います。じっくり吟味して、可能であれば将来、准看護士や看護師、PTやOTといった他の職種ともある程度の共通のカリキュラムが作れればいいなと思っています。共通項目を読み替えてもらって、他の職種にキャリアアップできるようなそんな研修プログラムができれば良いと思っています。今ならば作れると思います。
 もう一つ、これも余り議論になかったのですが、国家試験問題自体のことです。先ほど言ったような、予備校に行けば受かるような国家試験問題にするのか、450時間汗水流して学んだ実務研修によって、解くことができるような問題でなければ、結局は何百時間というものは無駄になってしまうわけです。国家試験問題とか、カリキュラムの具体的な内容の辺りを、是非これから先、検討していただければと思います。
 最後にキャリアアップの問題です。この会でも言ったように、介護福祉士となることは勿論大事なのですが、そこを深く掘り下げ過ぎずに、その上につなげていく資格を作るべきだと思います。しかしそうした場合、気になるのは、認定とか専門といい切れるような介護学のエビデンスが出来上がっているのかいう点です。そういう身分資格とか、ラベルを作るのは簡単ですが、やはりそれの専門性を研究する機関や、国内外の学会の開催、研究論文の投稿といったものは、まだまだほかの職種に比べると足らないと思います。ラベル欲しさで先につくってしまうのではなくて、エビデンスを蓄積、充実させて、だれが見ても、やはり専門性がある、認定すべきだという世論を作っていかなければならないと思います。そのためにも、やはりこの3年間の延期というのは必要だと思います。ですから余り功を急いで、題目ばかりつくってしまうのは心配です。私も含めて、ここにおられる皆さん方が、それぞれがお持ちの経験、実績等総力を出して、エビデンスの構築、あるいは学術性というものを高めていくのが、今からの仕事と思っています。
 いろいろ言いましたが、本案については、私としては納得できる範囲だと思っております。以上でございます。
○駒村委員長 ありがとうございます。ほかの委員はいかがですか。
 北村委員、どうぞ。
○北村委員 日本在宅介護協会の北村でございます。よろしくお願いします。
 この報告書は、本当にさまざまな意見を網羅していただき、大変ありがとうございます。報告書の説明をお聞きする中で、私自身はこの委員会の中で、中長期の中でもう一度短期的なところの労働市場の変化というのが見直しをすべきだろうなということをずっとイメージしておったんですが、そうではなくて、この教育・養成というところは、もっと長いタームで安定的にちゃんとベースをつくっておいてやるべきものなんだなということを再度認識したようなところがございます。
当然制度改正もそうですし、私が所属している法人も、1年、半年、四半期、その都度ぐらいでいろんな制度変更に対応するとか、事前の準備をしていくということが必要ですが、教育とか養成というところは、やはりもう少し長い、本当に10年、20年、このシステムを使っていただきながらできる。そして、それを目指していけるということが必要だなと。そういうこととは逆に、いろんな細かいところの部分はありますけれども、基本方針は変わらない会社も当然、基本理念とか基本方針というのはベースがあって、そこが変わることはございませんので、そんなことを是非いろいろと工夫が必要かと思います。
制度自体はシンプルなっているというところは、大変ありがたいなと思っています。逆に、これによってさまざまな組合せであったり、その他の仕組みとか、取組みがしやすくなるのではないかということで、大変評価をさせていただいております。
 少し中身の話でございますが、先ほど、因委員から指摘がありましたが、介護福祉士は仕事として、訪問介護はなかなか入りづらい。施設系に入職されると提供する場と教育、育成する場が同じで、施設系ではチームでケアをして、指導とか、日々いろんなOJTができやすい環境となっています。訪問介護の場合はチームケアは同様ですが、単独でサービスをする場合というところの仕事の場所、形態が違う、距離感やすぐに見えないというところに差があると思います。
 最近、新卒の介護福祉士、私どもは新卒専門職と呼んでいます。そういった方が現場に入った場合に何のギャップがあるのだろうと検討しました。それで再度教育が必要という疑問、中身を解いてみようかという話があって、実際に知っていることとできることが違うというところは、当然のことですけれども、単純には、二層式の洗濯機の使い方を知らないとか、ほうきの使い方とかが上げられます。あと調理の関係は、単純に新卒の方というのは、若い方というイメージでしょうから、経験がある熟年の方は、主婦で子育てが終わってというイメージでいくと、当然、調理の仕方とか調理器具の使い方といったところで、あるもので臨機応変にやれるというのが一般的な人物像です。実務経験者とは経験の浅い方は不得意なところがあるのと、着眼点が違う、知っているけれども、それを総合的に見る、課題抽出するということは、なかなか経験がないと見づらいというところの指摘もあります。あと年齢のジェネレーションギャップがあります。当然、お年寄りが好きであったり、この仕事を是非やっていこうという仕事への熱心さや意欲、希望は十分わかるんですけれども、やはりそこにジェネレーションギャップがありまして、そうしたところは、当然これから指導を、私ども業界団体も、新卒の方に対して足りないところ、疑問、課題のところをやっていくことが必要です。その様な差があって、訪問介護にはなかなかすぐに介護福祉士が取組みづらい、入職してもという環境があるので、そこの部分もこれから是非業界団体として整えていかなくてはいけないなと思っている次第です。
 それと、河原委員と廣江委員の指摘にありました受験地もそうですし、回数もそうなんですが、今、隣から是枝先生が、それだと試験問題をたくさんつくらなければいけないし、費用もかかるし大変だなという話もありました。確かに費用もかかるし、試験問題はたくさんつくらなければいけないでしょうけれども、回数は是非増やしていただきたいと思います。広く人材確保のためにも、そういったものを求めていきたいなと思っている次第でございます。
 それと医行為の話が再三出てまいりました。これからのところについては、中に含めるかどうかというところをもう少し明快にお答えいただきたいのですが、450時間の中、1,800時間の中なのか、どうかという話と、既に資格を取得している方に対してどのようにやっていくかというところのご説明をお願いいたします。当然、医行為につきましては、別の検討会で、そちらのマターかもしれませんが、この文言の中にそんなものを入れておくべきなのかどうか。検討はされていますけれども、そこについても何らかの研修であったり、やるべきであるという文言が全く入っていないので、その辺はどうなのかなという疑問があります。
 もう一つは、同じように細かい指摘でございますが、13ページの下から2つ目のなお書き、認定介護士のくだりでございます。特定分野により深化した専門的知識・技術を持つ介護福祉士の養成等の在り方を然るべき時期に検討していくことも考えられる。これも考えられるのは当然ですが、もう少し強いトーンで「べきである」ぐらいで、是非残しておきたいなと私自身は思っております。そんなところも御検討いただければと思っている次第です。
 大変微に入り細にこの文章の中身を見ていただきながら、各委員の意見も反映されているということで、大変いいまとめ方になったということで、長くこれを使っていける、また、希望を持ってこの仕事ができるという方向性を示せる報告書になっていけばと思っている次第でございます。
 大変ありがとうございました。
○駒村委員長 まだ御意見があると思うのですが、ここで1回切らせていただいて、幾つか具体的な御意見、御質問に近いものがあったと思いますので、事務局から何かコメントなり、回答はありますでしょうか。
○泉福祉人材確保対策室長 それでは、今までのところでお答えできるものについて、お答えいたします。
 まず、因委員から、ホームヘルパーの専門性が新しい初任者研修に変わったときに、確保できるかどうか非常に心配であるということがございました。
因委員の御意見は非常に理解でき、また、問題意識としては共有させていただきたいと存じます。8ページの下にホームヘルパー研修の記述があるわけですけれども「在宅サービスの必要な知識・技術の水準が確保されるよう配慮する必要がある」という一文を、原案段階ではなかったわけですが、付け加えさせていただいております。
 なお、ある意味施設介護のこともわかっているホームヘルパーの養成という意味では、在宅、施設を問わない形での知識・技術を修得できるような研修体系にするということでいかがかということで書かせていただいており、問題意識自体は、十分わかった上での記述ということでございます。
 現場の職員の方々が受けられる研修支援策は非常に重要であるという御趣旨の御発言が、袖井先生を始め、ほかの先生方からもございました。現在、この報告書におきましては、受講しやすい環境の整備ということで、10ページの中ほど以降に、1ページ強に渡って記述させていただいております。もうちょっと具体性がという御指摘もあったかと存じますけれども、これは制度を具体化していく中で、支援策も具体化していくということになりますので、現状においては、皆様の問題意識を共有しつつ、この程度の記述にとどめさせていただいております。
 処遇改善につきまして、非常に多くの委員の先生方から御発言がございました。御発言がなかった先生も、恐らく問題認識としては共有しておられるものと思います。具体的な処遇改善につきましては、別の審議会などがございますので、そちらの検討に委ねられるところではございますが、この検討会での認識は、6~7ページ目にかけて書かせていただいているところでございます。
 なお「具体的に期待したい」を「要望したい」に変えてはいかがかという具体的な提案もございましたので、調整をさせていただきたいと思います。
 更に、600時間が450時間になったときに、その内容をそもそもとして450時間についていかがなものかという御発言があったわけですが、仮にやむを得ないものとしたとしても、その内容が非常に重要なものになるという御指摘が複数の委員からありました。この点の御指摘は誠にそのとおりでございますし、また、単なる受験対策講座にいたしてしまっては何ともならないというのは、そのとおりでございます。今後の具体的な検討の中で、きちんとしたものにしていくことが必要かと考えております。
 それから、国家試験の件について、これも複数の委員から、受験地の箇所数を増やすのと、受験回数を増やすことについて御要望がございました。まず、受験地でございますが、現在24の受験地ということで、ただ、それは24の都道府県という意味でございますので、実際の会場数としては、それに倍する以上の数になっております。この件についても、今年の試験からは、島根県で増やすとともに、北海道におきましては、札幌だけではなくて、釧路でも実施するという改善をさせていただいており、少しずつ増やしております。他の国家試験との比較をするのも、御発言の趣旨とは違うと思いますが、他の国家試験におきましては、全国の10都道府県でやるぐらいが目いっぱいなところをここまで拡大しているという状況でございます。
 ただ、受験回数につきましても、年2回できないのかという御要望をいただいておりますが、これはプラクティカルな問題として、試験問題の質の確保をいかにして図るかという問題と、具体的に受験料の上昇をどう考えるかという2つの問題が主としてございまして、現状ではなかなか難しい状況にございます。ただ、なるべく受験しやすい環境をつくるという問題意識は共有させていただきたいと思います。
 国家試験の具体的な問題の内容につきましては、事の性質上、恐縮ですが、この場での発言は控えさせていただきたいと思いますが、問題意識につきましては、指定試験機関であります試験センターと試験委員会の皆様に伝達をさせていただきたいと思います。
 そのほか、医行為の問題について、450時間、1,800時間の中に医行為を入れていくのかという件でございますが、介護福祉士の業務として位置づけられることに伴い、当然、その養成課程の中には、必要な医行為の課程が入っているということになります。450時間の中に医行為のカリキュラムを入れることについては、石橋委員から御批判があったところでございますが、この450時間の中に医行為も併せて含めていくということで考えさせていただきたく思っております。
 また、1,800時間課程の中にも当然入っていくことが考えられるわけですが、その1,800時間の内枠になるのか、少しプラスになるのかというのは、なお今後の検討とさせていただきたいと思います。現在におきましても、人体の構造などにつきましては、既に一定の学習が行われておりますので、それとの兼ね合いをどう考えるかということかと思います。ただ、法律案が通りませんと、具体的にどうするというのがなかなか決めづらいところがあるわけですけれども、なるべく速やかに具体策を詰めていきたいと考えています。
以上でございます。
○駒村委員長 ありがとうございました。
それでは、関連することでしたら、北村先生お願いします。
○北村委員 先ほどの私の言葉が足りなかったのですが、既存の介護職員と介護福祉士の医行為のカリキュラム等をどうするかという文言は一切ないですし、別途に検討もされているのですが、そこを書くかどうか。書かなくていいんですかという疑問があるのですが、そこはどうでしょうか。別の検討会でもあるのですが、どうするかということには全く触れていないので、その部分を今後どうするかというのは、形に、文章にならないのかなという疑問でございます。
○泉福祉人材確保対策室長 それは別の検討会で検討されておりますので、そちらの検討に委ねております。
○北村委員 こちらでは書かないということですか。
○泉福祉人材確保対策室長 そうです。
○駒村委員長 是枝委員、どうぞ。
○是枝委員 すみません「医行為」という言葉で呼ぶのですか。「医療的ケア」という言葉で呼ぶのですか。どちらでしょうか。
○泉福祉人材確保対策室長 まだ厚生労働省の公式な見解ではないと思うのですが、確かに「医療的ケア」という言葉がいささか、その行為の範囲は何かということについて、若干御議論があるところであります。一般的に何か定義のある言葉ということではなくて、この報告書の中では、一般的な呼称として使わせていただいております。
 ただ、法律の中で、本検討会における直接の検討事項ではありませんでしたが、介護福祉士が行い得る行為については、法令の上できちんとした定義を置くことになろうかと思います。
○清水社会・援護局長 医行為かどうかというのは、確かに御懸念のとおり、医師法上の問題が絡んできて、そこを論点にされている方もいらっしゃいますので、「医行為」という言葉、あるいは定義のない「医療的ケア」という言葉を使わずに、端的に「たんの吸引等」という形で置き換えておく方が誤解はないのかなと思いますので、そこは事務的に「医療的ケア」を「たんの吸引等」という形に置き換えさせていただければと思います。
○駒村委員長 先に桝田委員、その次に、田中委員お願いします。
 先に、桝田委員、お願いします。
○桝田委員 今回のとりまとめの中で、いわゆる450時間という、受ける方にとっては歓迎される内容になると思うんですね。ただ、内容をどうしていくかというのは、今後かなり詰めていく必要があると思うんですけれども、この中で初任者研修と実務者研修というところに、今までのいろんなものがちゃんと収まっていく形を早急につくっていかなければいけない。早急につくって、やはり早く示してあげるというのが、これから介護の現場で働こうという人たちの一番の動機づけにつながっていくんだろうと思います。
 もう一つは、この部分の受験の形ができて、介護福祉士を目標とする。では、介護福祉士を取ったときに、次の目標という今回つくります認定介護福祉士というのも、同時期にある程度の内容を示してあげる必要があるだろうと思います。多分、認定介護福祉士の部分は、これから議論されると思うんですが、ちゃんとした権威付けも要るのではないかと思います。研修を受ける、研修を受ける前に、実務経験的な部分。介護福祉士の資格を取って、どの程度の期間でいわゆる認定介護福祉士の部分に入っていくのか。研修部分というのは、直ちに入っていってもいいと思うんですよ。でも、ある程度その名称を使えるための試験も必要ではないか。研修を受けて、試験を受けた。その結果として、認定介護福祉士という部分がつくり上げられる。その中で、やはり認定介護福祉士になれば、例えばいろんな介護現場で働けばどういうことができますよという部分をつくってあげる必要があるのではないかと思います。
 今回の初任者研修、実務者研修の部分も、実際に、例えばヘルパーさんの場合、サービス提供責任者になるためには、1級ヘルパーさん云々とか、経験の問題もありますけれども、そこは実務者研修でスライドでOKですよと、今、細かな少しずつあるものをきっちりこの中に全部収めてしまう。カリキュラムをつくるときに、それが収まるようなつくり方をしていく必要があると思うんです。ここの部分で階段を上っていっているけれども、違うところでは、また別の研修を受けなければいけないというのは非常に無駄があるので、一本化していって、やはりこのステップになれば、ここまではちゃんとOKですよというのを早急につくっていく。3年延長ということで、時間的なゆとりがありそうで、実は3年先に試験が始まるわけですから、もうすぐに示してあげて、準備にかかって、頑張ってくださいよと言える体制づくりというのが、一番重要ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○駒村委員長 関連ですか。平川委員、どうぞ。
○平川委員 私が聞き落したのかもしれないですが、今、言われた認定とか専門という資格は、国家資格ですか。違いますよね。通常は、学会とか、そういう機関が認める形でいいんですね。
○石橋委員 そうです。
○駒村委員長 それでは、田中委員、どうぞ。
○田中委員 日本介護福祉士養成施設協会の田中でございます。今回の最終まとめ(案)について、若干の感想を述べさせていただきます。あと、少し幾つかの点について、意見を申し上げたいと思います。
 まず、各委員から、実施の延期について議論がございました。私どもは、19年改正の新カリキュラムをもう2年前から実践しております。それは介護課程の実践力を中心とした、考える介護福祉士という観点で養成を行っているわけでございますが、無論、それができたから現場ですぐに役に立つということではないと思います。職場でしっかりとしたOJTを継続してやっていただくことが前提でございます。
 そういうことで、忠実に19年改正の内容を実践してきつつあります。まだまだ内容については検討していく必要があると思いますけれども、そういったことを踏まえて、国家試験につきましても、樋口委員から御指摘がございましたが、私たちも十数年前から協会で国家試験に準じた共通試験というものを実施しております。したがいまして、この国家試験を受けることについても、それは19年の改正について守っていくということでやったわけでございます。これはもう一点、この委員会の中で出ましたように、実務経験者についての養成の在り方、つまり、6か月、600時間ということで、新たな提案が出てきたわけでございます。
私たちは、この検討会でも提出いたしましたけれども、この600時間について、1,800時間との整合性に基づいて、どのように教育を展開するかということを、不十分ではございますが、しっかりと示したつもりでございます。そこには、平川委員がおっしゃいましたように、ある程度のエビデンスを持った介護ができるような中身のものを、実務経験者に対して、できるだけ修得してもらおうというスタンスできたわけでございます。しかしながら、人材の不足ということで、この検討会で言われたものでございますから、性急にこのことを決めるよりも、少し時間を置いて、グランドデザインというものを考える必要があるのではないかということで、介養協としては、3年の延期はやむなしということで、条件付きだということを改めて申し上げたいと思います。
 2点目は、報告書の中身についてでございます。待遇改善については、これは私も異論はございません。卒業生が就職するのはいい職場であるということは望まれるところでございます。したがいまして、最低限の条件の整備ということで、待遇改善ということは必要でございますが、やはりもう一点大事な点は、一人ひとりの能力を高めていくという形で、この待遇、処遇を変えていくという視点も必要ではないか。それがキャリアパスだということでございますので、是非ともこういう単なるレッテルだけでそれが収まるのではなくて、その職場の中できちんと、キャリアパスの中で、その人はどういう能力があるのか。その能力について、どういう結果が得られるのかということをはっきりとここで考えていく必要がある。そういう形で待遇を改善していくことも、大変大事な点ではないかと思います。
 3点目は、10ページで通信教育のことについて、あるいはいろんな実務者研修のスクーリングについて述べられております。ここに幾つか、特にスクーリングに対する質の担保ということが書かれてございますけれども、現在、私たちの養成校は、この法令の基準によりますと、専任教員は5年以上の実務経験プラス300時間の研修を受けることになっております。したがいまして、この実務者研修の委託先ということも、こういうことと水準が一致するという理解にしております。
 4点目は、13ページのキャリアパスの在り方のところでございます。3つ目の黒ポツの最後の2行目「特定分野により深化した専門知識・技術を持つ介護福祉士の養成等の在り方を然るべき時期に検討していくことも考えられる」という点でございますけれども、これは前回にも申し上げましたように、私たちは教育体系の中できちんと資格というものを考えております。したがいまして、いわゆる高等教育の中で幾つかの段階を設けて、こういった専門家を模索していくべきと考えております。このことについては、是非とも継続して議論していただきたいと思います。以上です。
○駒村委員長 ありがとうございました。山田委員、どうぞ。
○山田委員 今日の報告書を読ませていただいて、まずヘルパー2級、基礎研修、実務者研修、介護福祉士に至るさまざまな資格がシンプルに整理されたということを評価しています。
 それから、ヘルパー2級の資格取得者については、基礎研修から実務者研修が統合されるときに、読替が規定されていることとか、いろんな意味で非常に複雑だったものが整理されていて、大変評価しています。
 450時間については、他の委員からもありましたように、1,800時間の新カリキュラムがこの3年間の実務経験を経て、実務の中でどれだけ修得できるかということが、やはり課題になっているわけです。医療行為、たんの吸引等々も含めて、多分今後の課題として残った部分かと思います。
 ただ、やはり前回も発言しましたが、この3年間の実務経験という部分ですが、袖井委員から、本来資格というのは、しっかりとした研修教育を受けてから現場に立つというものが資格だという発言があったように、そういう視点も今後の課題としつつ、実務経験の部分をやはりファーストステップのところで、いわゆる自職場課題というところは100時間課しているわけです。科目ごとに自職場課題のレポートを出して、それをスーパーバイズして、実務経験を実習として位置づけるような仕組みをつくっているわけですが、是非この3年間の実務経験の中で獲得したものをどうして知識に転化していけるかという仕組みも、別の仕組みとして検討していただいたらどうかと思います。
 それから、現在、要するに訪問介護以外の介護職につきましては、資格は問われないというのが介護保険です。要するに、無資格、未経験の方も現場に立てる。ここはやはり給与の問題とか、いろんな介護職員の評価が複雑になっている基本的な要因だと思っています。
 そういう意味で、今回ヘルパー2級を導入研修とするという8ページの部分に注目しています。8ページに「在宅・施設を問わず介護職として働いていく上で基本となる知識・技術を修得できるようなものとなるよう、今後改めていくことが適当である」という表現があります。やはり、介護職が成熟していくプロセスだと思いますので、こういう時期として、ホームヘルパー2級というものが導入研修、初任者研修として必ず必要ということになっていくのかどうか。これが1つの課題ということと、その後、基礎研修を統合した実務者研修。例えばここで終える人ですね。要するに、介護福祉士へ至らない方についての職種ごとの在り方みたいなことについても、少しあいまいです。
 これは介護福祉士の割合が50%という話と重なってくるわけですけれども、これらについて、今後どういうふうに考えていくのかというのは、この検討会でも課題になっていたと思いますし、課題として残ったと思います。
 そういう意味では、前回発言させていただきましたが、いわゆる支援が必要となる高齢期に予防の段階から最後のターミナルに至るまで、切れ目のないサービスというのが、今、キーワードになってきているわけです。そういう意味では、やはり中重度の要介護の方、あるいは認知症の中重度の方に対する、要するに状態像に応じた資格区分のようなことも、今後多分検討課題になる中で、業務独占のような議論がなされていけばいいなと思っております。それはこの検討会の議論内容とは少しずれるんですけれども、やはりそういう介護職が成熟過程にあるプロセスという意味では、今回の報告書というのは、一定の方向性を示されるということで評価しておりますけれども、今のような課題が残っている。
最後になりますけれども、ここで出てきました個々の介護職をどのようにキャリアアップしていくか、あるいは専門職として養成していくかという課題が中心に述べられているわけですが、一部書かれていますように「チームケア」という言葉がこれから大変大事になってきます。要するに、介護職から離職する理由として、賃金の問題、研修をもっと受けたいという問題と同時に、人間関係とか利用者との関係性の問題はかなり深刻な課題として必ず上がってくるんですが、そういうことを解消していくのが、チームケア、チームリーダーのスーパーバイズの力、チームマネジメントの力です。そういう意味では、個々の介護職の力量を上げていくと同時に、このチームケアというものをかなり重視していくとすれば、認定介護福祉士という方が職種間連携のキーパーソンとなると同時に、チームマネジメントができる。キャリアアップという意味で、大きなポイントだと思っております。
 あと「おわりに」のところで、今後の成り行きを注視するという表現があります。是非こういう検討会は、介護職の成熟過程でいろいろ環境や社会の評価が変わっていく。勿論、改善されていくという意味で変わっていくわけですけれども、特にたんの吸引等も含めまして、やはり介護職の職務内容、業務の内容も変わっていく中で、是非この検討会のようなものを今後も継続されていくことを強く望みまして、コメントにさせていただきます。
 以上です。
○駒村委員長 ありがとうございました。
では、川原委員、お願いします。
○川原委員 小規模多機能の事業者団体の川原です。今回の報告書(案)は、本当にシンプルでわかりやすいものになったのかなということですね。非常に評価したいと思います。
 特に現場でいろいろな研修をやっているものを読み替えて、その中に組み込むことができるという形がうたわれてきたことを特に評価したいと思っているんです。認知症の実務者研修とか、いろいろな研修がありますけれども、それと全く別に研修を受けなければいけないという話ではなくて、そこが一体化できるという形が、今回見えてきたということが非常に評価できることだと思っています。
 特に私たちが感じているのは、これから先、先ほどホームヘルパーの研修のお話がありましたけれども、施設、在宅という形で、在宅はホームヘルパーの研修という話ではなくて、もう施設、在宅の垣根がなくなっていく、そういう時代なんだろうと。それに合わせた研修が必要なんだと。ですから、初任者研修というのが、そういうものの位置づけに変わっていく。当然在宅の方をきちんと支え切れないと成り立たない研修になっていくんだろうと思います。ですから、そういう中身に是非なっていただきたいと思います。
 ですから、今後具体化されるところ、初任者研修の中身とか、実務者研修の中身とか、あるいは読み替えをどうするかというところが、本当に非常に大事なことになっていく。そこがきちんとなされないと、何か形だけつくって中身はという話になりますので、そこの中身を本当に丁寧につくっていくことが、今から問われるのかなと思います。
 ただ、やはりこれからの高齢化社会の中で、本当に多様なニーズが出てくるんだろうと。それにこの研修が対応できないと始まらない。ですから、本当に今のニーズに合う形でカリキュラムなども変化ができる。中身をどんどん高度化できるようなものにしていっていただきたいということが要望です。
 最後に、やはり働きがいということを考えると、賃金のアップがどうしても必要なので、そこだけは改めてお願いしたいと思います。
 以上です。
○駒村委員長 袖井委員、お願いします。
○袖井委員代理 この8ページのところのキャリアパスですが、とても気になることがあります。何か介護職だけで上まで行くということで、もうちょっと横に出るのも考えたらいいのではないか。先ほど、たしか平川委員もおっしゃっていたんですが、例えばケアマネになるとか、教員になるとか、施設長になるとか、もうちょっと横にスライドして上がっていくパスも考えないと、介護という職種の中だけで上がっていって、何か行き止まりのようになっては余り納得できないですね。もうちょっと指導的な地位に上がれるような図を描いていただけないかと思います。
○駒村委員長 ほかにいかがでしょうか。佐藤委員代理、お願いいたします。
○佐藤委員代理 民間介護事業者の質を高める全国介護事業者協議会の佐藤でございます。私どもとしましては、やはり事業主側から見ていきますと、全体的に専門性、質を高めていくという視点での介護福祉士の格付け、あるいは資格に対する権威付けについての考え方は、非常に共感できますし、この形のものを是非、28年1月のところで実行できるように、我々も進めていきたいと考えております。
 ただ、もう一方で、やはり人材を確保する視点がございまして、新卒の若者だけで、これから毎年6万人の介護従事者を確保していくということは当然不可能になります。そうすると、やはり産業構造の変化に伴って、ほかの産業からの労働力をいかに介護の労働力として転換するか。そういうふうに考えていきますと、やはり純粋培養的なもの以外の他の産業からの切り替えということを考えたときには、ずっと議論をしていただきましたように、やはり間口を広げておくことが非常に大事で、この初任者研修の位置づけというのは非常に大事だと考えております。
 しかし、その後、やはり質を高めていくことが利用者や御家族にとっても、これから我々も老後を迎えるわけですが、そういうことを視点に置くととても気になるところで、そういうことを支えるための専門性の高いものをこういう資格できちっと明示していただけるということが、とても大事だということを感じているというのが1点です。
 2点目は、では、資格を取る上で、28年1月の資格を取るまでの間に、11ページに載せていただいておりますが、読替可能となるという判断基準が出ておりますが、これは厚生労働省に統一的な基準を具体的に示すべきであるという御指示が出ているわけですけれども、その下の段に「社会福祉協議会や事業者団体、人材育成に熱心に取り組む事業者等で行っている研修についても」というところについて、やはり明確なものを早く出さないと、要するにお膳立ていただいたものに乗っかろうというだけでは、とても間に合わないという気がします。ですから、人材育成に取り組む事業者のカリキュラムの質について、もう少し踏み込んだ形で、早い時期に御提示いただけることが、我々事業者としてもそれに沿った社内での研修に、当然職員の質を上げるための、あるいはそういう受験機会を広げるためのステップに踏み込むことができますので、是非早い時期にこれを御提示いただきたいというのが2点目です。
 3点目は、やはり各委員からも出ておりましたとおり、職に対しての権限と責任が明確になればなるほど、それに対して、やはり報酬というものが当然出てくるわけですので、この報酬を決められる機会を是非、制度であるとか、この前段のところでも各委員が触れられたとおり7ページのところで「所管の審議会において検討が進められることを期待したい」と載っておりますとおり、やはり制度としてそれを補完できるような仕組みを是非24年改定のところで現実的になるような、そういう進展を期待したいということを意見として付記したいと思います。
 以上3点でございます。
○駒村委員長 ありがとうございます。一当たりしたようですので、後半の部分について、事務局から何か御回答かコメントはございますか。
○泉福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。研修体系を整理したことについて、引き続き評価するとの御意見を賜ったところでございます。ただ、その具体的な中身については、早急に検討すべきという御意見をいただきました。誠にそのとおりかと思います。
 また、読替可能となる基準についても早急に示すべきという御指摘がございました。それもそのとおりと思いますので、その旨受け止めさせていただきたいと思います。
 そのほか将来像につきまして御指摘をいただいておりますけれども、その部分につきましては、報告書にすぐに反映されるというわけではありませんけれども、問題意識として受け止めていきたいと思います。
 1点、8ページ目の図について、介護職として必要な知識・技術の取得、研鑽を積んでいって、受け止めた上でまっすぐ上に行って行き止まりというようなイメージに取られはしないかという御懸念をいただいたところでございます。当然のことながら、この介護福祉士資格を取得された後、教職の世界にお就きになる、あるいはケアマネジャーとして、介護ではあるけれども直接の介護職ではないという形で御活躍になられる方も多数おられるところでございます。
 ただ、この図を用意した1つの意図は、介護福祉士になった後、更に介護の技術、知識を極めていくことが、現状では非常に不明確であるということについて、そこを明らかにするという意味で、この上の認定介護福祉士というものを位置づけたというのは、この図のひとつの大きな意味かと思います。脇にそれていくという表現は正しくないと思いますが、それていくところを図にしますと、若干その趣旨が不明確ではないかということもあり、今はこのような図にさせていただいております。
○定塚福祉基盤課長 補足をいたしますと、今回の検討会の中で、どのような方を検討の対象にするかという議論があったかと思います。この報告書の「?T はじめに」の3つ目のポツにも書かせていただいておりますが、本検討会の対象としての介護人材は、あくまでも介護サービスの担い手である介護をしている職員の方ということで検討していただいたと思いますので、そうした介護職としての介護人材の方になると思います。
 また、今、室長から申しましたように、認定介護福祉士、更にはほかに専門的な介護人材の検討ということで、やはり将来に夢を持って介護職の中で人材が育って行くという形を目指したいという思いを図に示していると考えております。
 450時間につきまして、再度600ではなくて450について大丈夫なのかという御指摘もあったかと思います。御説明しておりますとおり、1,800時間課程と同等の目標をということで、今回の報告書にも書かせていただいております。450時間、スクーリングも含めて質を落とさないということで、これからカリキュラム作成をやっていきたいと思っておりますので、御理解のほどお願いしたいと思います。
○駒村委員長 ありがとうございます。なかなか議論が尽きないところでございますが、そろそろ時間もまいりましたのでとりまとめたいと思います。今回は、資格と技能と処遇に関して、整合性の取れた制度にしたいということで、各委員問題意識は共有されたと思います。ただし、労働市場における現状を考慮しながら、いろいろすり合わせなければいけない部分もあったということで、そういう意味では各委員思うところもあると思いますけれども、調整せざるを得なかった部分がある。あるいは内容の具体化についても、まだ専門的な部分で議論していただく部分が残っているかと思いますけれども、基本的なトーンについては、この原案でとりまとめるということで御承諾いただきたいと思っております。
 その上で、文言について幾つか加筆するところがあったと思います。事務局から何かございますか。
○定塚福祉基盤課長 それでは、文言の修正についてお諮りしたいと思います。
○泉福祉人材確保対策室長 まず、介護報酬面での担保ということで、6ページ目~7ページ目のところ、具体的には7ページ目の上から2行目、所管の審議会において検討が進められることを期待したいというところを「要請する」と変えてはどうかという御発言があったかと思います。この場で皆様の御了解をいただけるのであれば、そのように「要請する」との記述に変えさせていただければと思います。
 また「医療的ケア」という言葉についてですが、先ほど局長から申し上げましたように「たんの吸引等」ということで書かせていただければ、なお趣旨が不明確にならないで済むかと思います。
 具体的には、12ページ目の下から8行目に「医療的ケア」という言葉が出てございますし、そのほかにも幾つかございます。11ページ目~12ページ目にかけて幾つか出ておりますので、そこについては「医療的ケア」から「たんの吸引等」という用語に変えさせていただきたいと思います。
 もしその2か所の修正でよろしければ、これで報告書は確定ということで、いかがかと思います。
○駒村委員長 いかがでしょうか。因委員は、8ページの文面でよろしゅうございますか。
○因委員 多分思いは伝わっているということですので、今後の動きの中でしていただければと思います。
 もう一つ言っていいですか。ヘルパー養成研修の最大の欠点がありまして、それを初任者研修に今後変えていくわけですけれども、寝ていても取れる資格と言われていたんです。要するに、出席しているだけでも取れる資格と言われていて、これでは質が上がりませんでしたので、どうぞ初任者研修の中では、明記していただくとなおいいと思うんですが、修了認定などをしていただきたいと思っております。
 もう一つですが、ヘルパー養成研修の果たした役割は大きいということを何度も言っているわけですけれども、このヘルパー養成研修の修了生というのは何百万といるんですね。その方たちがヘルパーになったわけでも、施設職員になったわけでもないんですが、この委員会のテーマではなかったのでずっと言わなかったんですけれども、社会的教育というか、国民の介護力アップには大きな影響があったと思っています。実際に家庭介護や地域介護やボランティア、いろいろなところでこの養成研修で付けた力は発揮されていると思っていますので、それが初任者研修に変わることによってどうなるのかということは、どうぞ行政の方で何か影響が出るようであれば考えてほしいと思っています。
○駒村委員長 ありがとうございます。今の因委員の思いというのは、その研修内容の中できちんと反映いただくということで、議事録も残っておりますので、今後検討するということでございます。
 ほかに、よろしゅうございますでしょうか。山田委員、お願いします。
○山田委員 この8ページの図ですが、先ほど袖井委員の方から、例えば施設長にという例も挙げて、この図について御意見があったんです。たしか福祉人材の確保指針の見直し、あれは2007年ですかね。あのときはキャリアアップという言葉を使われていました。それから、全国社会福祉協議会の障害研修体系のところでは、キャリアラダーという言葉が専門性を向上させていく表現として使われている。
 それから、廣江先生の社会福祉施設の経営協ではキャリアパスという言葉の定義を、組織内での昇進と定義づけられている。そういうキャリアパスというのが、昇進の道筋、例えば施設長に至るとか、こういう定義をしたケースもありましたし、ここに書いてあるのはどちらかというとキャリアラダーに大変近いんだと思うんです。ですから、パスとかラダーとかアップとか、この辺の表現も一度御検討になったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○駒村委員長 それは言葉の整理で、例えばパスであれば昇進と近いので組織内でのという感じで、ラダーだったら専門職で組織内外かかわらず技能として上がっていくことが強調されている。こういう整理を、パスとか、ラダーとか、アップとかあるけれども、それを整理した方がいいのではないかということだと思いますが。この辺はどうしましょうか。何か定義があればと思います。
○定塚福祉基盤課長 以前もキャリアパスという言葉でいいのかという御指摘を、この検討会でいただきまして、そのとき事務方としても、キャリアパスという言葉がどのような場面で使われているのかいろいろ調べましたが、特段、組織内で外でということもなく、中でも使われている。また、人材体系全体においてキャリアパスという言葉が使われることも多いということで、ここではキャリアパスという言葉を使わせていただいております。勿論、キャリアラダーでもほぼ同じ意味かと思いますけれども、一般的にはキャリアラダーという言葉よりキャリアパスと言った方が、国民にはわかりやすいのではないかと思います。まだ、ラダーという言葉は熟していないのかなと考えまして、キャリアパスという言葉を使わせていただいております。
○駒村委員長 河原委員、お願いします。
○河原委員 今の山田委員の御指摘は、私の方も先ほど触れました内閣府の人材ワーキンググループで同様の発言をしたんです。医療的ケアとか、医行為とか、医療行為とか、結構いろいろな言葉が使われているんです。今、課長がおっしゃったような御認識なんですけれども、できましたら厚生労働省の方で何か一つに、まとめにくいかと思いますけれども、あちこちで使われていると、こちら受け手としてすごく迷うんです。何かそこに意味があるように思いますので、その辺はまた厚生労働省一本で御解釈をお願いしたいと思います。
○駒村委員長 それでは、石橋委員、お願いします。
○石橋委員 この報告書において、施行時期の見直しと実務研修の見直しにつきましては、ほかの委員の皆さま方はこの案で賛成ということでございますが、我々職能団体としては、あくまでも終始一貫、平成24年度施行と600時間の研修については、譲れないところです。
 介護福祉士の質の担保を行い、それを社会的評価、待遇改善につなげるというような良循環を期待するためにも、この提言は必要なことです。
 そこで一つ確認ですけれども、資格取得方法の一元化を先送りすることなどを実現するためには法律改正が必要になるのでしょうか。もし今の政治状況などから、法律改正ができなかった場合については、予定どおり平成19年度に改正された通り、平成24年度に資格取得の一元化を行わなければならないと思いますので、その準備もしておいた方がよろしいのではないかと思いますけれども。
○駒村委員長 事務局からお願いします。
○定塚福祉基盤課長 法律改正が必要かという点、3年延期については法律改正が必要でございますので、この点についてはこの検討会の報告書を踏まえて、3年延期という形での法律改正案を国会に提出するということを目指したいと考えております。
 それから、時間数につきましては、これは法律では実務者研修の場合は6月以上、養成施設等の場合には2年以上と書かれております。具体的な時間数は省令で定めることになっておりまして、現在、省令は定められておりませんので、450時間というのも省令で定める形になるわけでございます。
○駒村委員長 よろしゅうございますか。少し言葉の使い方のところは、さっきの課長の見解を注に入れていただくか、それとも厚生労働省からどこかで示していただくかということは残っているかと思いますけれども、あるいは先ほど文言の修正点が幾つかあったと思いますし、石橋委員には思いがあるというのは承知しておりますけれども、これで報告書とさせていただいて、今後の取扱いについて事務局から少しお願いいたします。
○泉福祉人材確保対策室長 今、御相談申し上げた修正についてとりまとめまして、座長の駒村先生に御確認いただいた上で、報告案とさせていただき、速やかに公表の手続を取らせていただきたいと存じます。委員の皆様には公表と同時にお送りするという形にさせていただければと思います。
 報告書を踏まえまして、私ども行政といたしましては見直しに向けて、今、課長から説明申し上げましたような必要な手続を進めさせていただくという段取りでございます。
 最後に、社会・援護局長の清水より一言あいさつを申し上げたいと思います。
○清水社会・援護局長 本日もお寒い中お集まりいただきまして、大変熱心な御議論、本当にありがとうございます。昨年の3月にこの検討会をスタートしていただきまして、10か月、9回に渡りましての御議論でございます。私どもも大変貴重な機会をいただいたと思っております。本当にありがとうございます。
 この検討会、介護福祉士の資質向上と量的確保という、どちらも大変クローズアップされている課題でございますが、その2つをどう両立させるかということ、そういう条件下で今後の介護人材養成の在り方ということを御議論いただいたわけでございます。大変いい整理をいただいたと思っております。課長の定塚からも申し上げましたように、この報告の内容には法律改正を要すること、すなわち施行時期の延期でございますが、そういうものも含まれております。省令改正が必要なものもございます。それらの具体的手続を私どもで進めてまいりたいと思っております。委員の皆様方におかれましても、いろいろとまた御協力賜れば大変ありがたいと思っております。
 当然のことでございますが、本日、先ほど泉室長が申し上げましたような形で報告書を確定いただきますと、この検討会は一つの区切りを迎えることになるわけでございます。ただ、私どもこの検討会のテーブルに座らせていただいて、本当にこの介護の分野、介護人材の分野に関する論議の場として、大変ありがたい場であると改めて認識した次第でございまして、仮に近い将来何らかの介護人材に対して有識者の御意見を伺うことが生じた場合には、大変勝手なお願いではございますけれども、また皆様方に御参集賜れば大変ありがたいと思ってございます。したがいまして、この検討会は本日をもって直ちに解散という形にはしないということで御理解賜れば大変ありがたいと思っております。はなはだ勝手なお願いでございますけれども、御理解賜ればと思います。
 改めまして、この11か月間、大変熱心に御論議賜りましたことに御礼を申し上げまして、簡単ではございますけれども、事務方からのごあいさつとさせていただきます。本当にありがとうございます。
○駒村委員長 ありがとうございました。それでは、これで「今後の介護人材養成の在り方に関する検討会」第9回の会議を閉会いたします。長時間にわたる御議論、ありがとうございました。


(了)

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