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2011年3月2日 障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合第2回議事録

○日時

平成23年3月2日(水)16:00~18:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

委員

市川宏伸委員 内山登紀夫委員 加我牧子委員
川崎葉子委員 齋藤万比古委員

○議題

(1) 知的障害及び発達障害に係る障害認定基準について

(2) その他

○議事

○(座長)ただいまより障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合の第2回を開催します。本日は大変お忙しい中、会合にお集まりいただきありがとうございます。
 議事次第の内容に沿って事務局のほうから説明したいと思います。
○(事務局)本日は事業管理課長が国会対応の関係で欠席しています。よろしくお願いします。
 資料の確認をします。お手元の議事次第の下に、資料1、認定基準の改正案(修正版)及び診断書改訂案(修正版)の検討事項を1枚付けています。資料2が今回の修正版です。認定基準の改正案及び診断書改訂案(修正版)。ここで議事録について、取り扱いを委員の皆さまにお諮りしたいと思いますので、座長のほうで確認をいただいてよろしいでしょうか。
○(座長)議事録をどのようにするかについて皆さんのご意見があれば、いかがでしょうか。○○委員のほうから何かありますか。
○(○○委員)これを確認している時期に当事者から電話がありました。議事録が出て、まだ最終案が出ていない段階で、途中の発言について1人ずつがいろいろ質問を受けるのはきついと思いました。電話そのものは話しているうちに納得して切られたので問題はないのですが、このようなことが次々に来るときついということはありました。
○(座長)幾つかの会合や検討会で最近はホームページに載せますが、委員の名前を特定できないようにして載せるのが時の流れかと思います。自由に発言ができるように、各先生方にもう一回目を通していただいて、配慮した上でホームページに載せるということでよろしいですか。各委員がよろしければ私と事務局のほうで最終的に詰めたいと思います。
○(事務局)ありがとうございました。後ほど先生のほうに修正版で送りたいと思います。
○(座長)本日の進め方です。資料1の両面印刷をしたものがお手元にあると思います。「認定基準の改正案(修正版)及び診断書改訂案(修正版)の検討事項」の項目ごとに事務局から説明をいただき、資料2の改正案の修正版を確認していくことにしたいと思います。事務局のほうから資料1の項番1からの説明をお願いします。
○(事務局)資料1で各項目を挙げていますが、資料2を一緒に確認したほうがいいと思いますので、お手元にご用意ください。
 今回の資料2の認定基準です。Dの知的障害で修正をした部分について先生方に1つ1つご確認いただきたいと思います。項番1です。Dの(2)各等級の一部例示のところですが、障害の程度、1、2、3級それぞれの障害の状態について記載したものです。前回示したものから変更した点をまず説明します。
 1級ですが、全面的な「援助」と書かれていたところを全面的な「介助」に修正しています。こちらについては現在診断書の注意事項で「援助」とは助言指導を言い、身体介助を含まないと定義しています。1級を全面的な「援助」という書き方にすると、手出しをしなくて指示をすれば身の回りのことができる程度の方が入ってしまうことがあるので、1級相当の方が拡大してしまうのではないかということがあります。現在1級相当の人たちを対象ということで、1級相当は動作に対していろいろ手助けが必要な状態ですので、それを表現する意味で「介助」という言葉を使っています。実際に「介助」がいいのか「介護」がいいのかというところで、いろいろ調べたのですがあまり定義がありません。強いて言えば「介護」には老人や病人が家庭や施設で療養生活をしているときの世話や支援というイメージがありました。知的障害者の日常生活における支援は、本人ができないことを家族や支援者がやる、または一緒にやるということであれば「介助」という言葉のほうがふさわしいのではということで「介助」と置き換えています。
 2級については助言や指導、環境を整備するということが2級程度だということで、そのまま「援助」という言葉を使っています。他は一部で「または」を「かつ」と換えています。実際に1級、2級、3級の障害の状態の表現がこれでいいかどうかも併せてご議論をいただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○(座長)事務局からの説明について委員の皆さんから意見や質問はありますか。
○(事務局・日本年金機構)日本年金機構の障害年金業務部で認定の担当をしています。本日は私どもの認定医が所用のため欠席されていますので、認定医からいただいた意見を披露しまして、先生方にご議論をいただければと思っています。
 1級の3行目の「生活への適応が困難で」というところです。「への適応が困難で」が表現として非常に分かりづらいので、「への適応が困難で」を削ってはどうかというのが1つです。2つ目は、2級の1行目の真ん中ほどに「身のまわりのことを行うのに援助が必要であって」の「を行うのに」の5文字を削除して「など基本的な行為を行うのに」としてはどうかということです。上のほうで全面的な援助が必要であるというところに対して「など基本的な行為を行うのに援助が必要」という区別をつけたらどうかという意見です。よろしくお願いします。
○(座長)2点の提案がありましたが、これについてはいかがですか。○○委員、どうぞ。
○(○○委員)先ほどの1級の「介助」と「援助」の区別ですが、知的障害の人は手を添えていなくてはいけないということは多くはないが、見守りが必要な場合が多く、いわゆる「介助」よりも「支援」というほうが現状に合っている気がするのですが。「介助」は、先ほどの説明では身体的な介助というか、手取り足取り的な介助という意味で言われたのでしょうか。
○(事務局)実際に1級程度になると言葉だけで済むのか、手を掛けなければ駄目な程度を1級と認定するかというところだと思います。○○先生、その辺はどうですか。言葉でフォローするだけで1級相当の人というのができますか。
○(○○委員)知的障害のところは従前通りで発達障害のことが問題となっているのですね。
○(事務局)そうです。表現を変えただけですので、今までの1級の取り方からするとどうかというところです。
○(○○委員)「援助」というと、ほとんどの人が「援助」が必要の項目に該当するとつけてきます。他の先生方はどうでしょうか。
○(事務局)「支援」と書いたらどうですか。今○○先生から「介助」ではなくて「支援」のほうがいいのではないかと。「援助」と「支援」の使い分けなのですが。
○(座長)他の委員の皆さんはいかがですか。「介助」は身体的なニュアンスが強いので「支援」のほうがいいという○○委員からの話でした。先ほどの事務局の説明は「介護」では身体的な問題になるが「介助」はそうではないということだったと思います。認定基準ですから、認定する側の先生がどう取られるかだと思います。一般的には知的障害で「介助」という言葉はあまり使ってないので違和感があると言われたのではないかと思います。
○(事務局)「支援」は「援助」よりも少し狭まるというか、どうですか。
○(座長)「援助」という言葉をずっと使っていたのだが、途中から「支援」になった記憶があるのですが、どうですか。
○(事務局)最初は「介護」と使っていたらしいのですが「介護」ではないということで、14年ごろから「援助」に変わっています。他のものを見ても大体「援助」を使っています。「援助」「支援」「介護」「介助」をどう使い分けているのか調べてみたのですが、曖昧な定義であり、どの表現が1級相当の方のイメージに合うのかというところです。手助けが必要なのか、多少手を掛けて何かをやってあげることが「介助」かなと。実際に体に全体的にいろいろなことをやってあげることが「介護」のイメージでしたので、そこで使い分けたのですが。「支援」のほうが一般的で、先生方が分かりやすいということであれば「支援」だと思いますが、どうですか。
○(○○委員)その場合は「支援」のほうが「援助」よりも、手を掛ける度合いが大きいというコンセンサスがないとならないです。ところが「支援」は非常に広範に使われているので、そのニュアンスを持たせるのは難しいと思います。「支援」「援助」のあたりで収まりがいいのでしたらどちらかに決めて、表現をより重いというか、全般的な「支援」なり「援助」が必要だという表現に変えたほうがよいと思います。あえて「支援」と「援助」を両方使うのは混乱を招くような感じがします。それに比べると「介助」と「援助」では、「介助」はより介入度が大きい印象を持ちますが、本当にランクの差にしていいのかどうか、言葉そのものでは私は確信がありません。
○(座長)実際に認定する側の委員がどう考えるかという問題かもしれません。1級は「全面的な援助」になっていて、2級はただ「援助」になっています。これを別の言葉に置き換える必要があるのか。片方は「全面的」が付いていて、片方は付いていないということかと思うのですが。
○(○○委員)「介助」というと、身体障害のために行動が難しくて手伝うという感じを受けます。知的障害に関しては、今回あえて換えなくてもよいかもしれません。知的に重くても他の障害が全くない方だったら、日常生活習慣はできる方もいるし、言葉での指示でできる方もいるし、全くできないので全面的にやってあげなければいけない方もあって自立の程度は人によってかなりちがうと思います。言葉を変更すると混乱してしまうかもしれないという気がします。
○(座長)現在は「援助」で、特に「介助」に換えないで両方とも「援助」で、片方は「全面的」が付いていて、片方は付いていないという現状ですか。
○(事務局)それでは「全面的な援助」ということで、四六時中手を貸さければいけないというイメージで、2級は「援助」といっていますので、常時ではなく必要に応じて援助しているというところで「援助」の中身の重さの違いを付けるという形で変更したいと思います。
○(座長)先ほど部長から、1級について「日常生活への適応が困難で」というのは除いたほうがいいのではないかという発言がありました。これについてはいかがですか。
○(○○委員)適応が困難なのは明らかですので、確かに書かなくてもいいのかもしれません。
○(座長)どうぞ。
○(○○委員)先ほどご指摘があった話を聞いて「日常生活への適応」という概念がかなり曖昧だということだと思うのです。しかし「日常生活への適応が困難」というのが全部消えてしまうと、意思の疎通のところだけで判断するかのごとく読めてしまうという点もあります。ここはご指摘の点を取り入れると、「日常生活が困難で常時援助を必要とするものへの適応」という言葉が微妙なのかと。「日常生活が困難で援助を常時必要とする」にすると、コミュニケーションと日常的な生活スキルということでいえると思うのですが。
○(座長)これは「への適応」を除くということでよろしいですか?2級は「身のまわりのことなど基本的な行為を行うのに援助が必要であって」としてはどうかというご提言でした。これについては提言を取り入れる方向でよろしいですか。
○(事務局)分かりました。
○(座長)あとは全体として1、2、3級の程度の違いはこれでよろしいかという事務局からのご提言でした。3級については「労働が著しく制限を受けるもの」ということですが、現状はこうなっているのですか。
○(事務局)はい。ここは変わっていません。1級と2級の表現を今までよりも細かくしたということです。
○(座長)どうぞ。
○(○○委員)2級と3級の表現が非常に簡単ですので、イメージで教えていただきたいのですが。例えば保護的な環境での労働、就労は何とか行っているが、日常生活そのものの支援はそれなりに必要だというケースは、身の回りの基本的なことに援助が必要だというほうを取って2級になるのですか。
○(○○委員)認定は複数でしているので全部の意見を完全に集約できるかどうか分かりませんが、先生が言われるように、保護的な就労、配慮された就労はしているが日常生活が自立できない場合が2級に当たると、従来そうになってきたと思います。
○(○○委員)分かりました。
○(座長)項番1のところはそれでよろしいですか。
○(事務局)ありがとうございました。
○(座長)次の項番2をお願いします。
○(事務局)項番2は(5)のところです。前回就労の関係で、支給停止に関わるような労働に関してを丁寧にということで追記した部分です。前回「デイケアや授産施設」と書いていたところを「就労支援施設」と修正しています。障害者の自立支援法の関係で「デイケア、授産施設」という言葉がなくなって、継続就労支援のA型やB型に変わっていくということでしたので、ここでは「就労支援施設」とまとめました。そういう保護施設で働くという意味合いを残さなければ、事務方も含めて分かりにくいと思い、こういう言い方をしました。これでいいかどうかということです。
 前回、追加した意図は説明しましたが、これで就労と支給停止をするほどの日常生活能力の向上というところをうまく確認してくださいということが十分に伝わっているかどうかということもあります。そこも先生方にご意見をいただきたいというところです。
○(座長)(5)については先ほどの○○委員の発言と関係しているかもしれません。就労という言葉にどういうイメージがあるのかと関係すると思いますが、これについて委員の皆さんはご意見等がありますか。
○(○○委員)お聞きしたいのですが。一般就労という言い方で、保護的配慮のある事業所で雇用契約による一般就労というのは、現在一般的に障害者就労と呼んでいるものに当たるんですか。
○(事務局)現在は、障害者枠という形でやっているもの、また、そういった枠を使わなくても、中には慈善的な事業主がいて、障害者を積極的に雇用しているようなところです。労働契約をきちんとしているようなケースを含めてこういう表現にしています。
○(○○委員)分かりました。
○(座長)他の委員はいかがですか。○○委員、どうぞ。
○(○○委員)「就労支援施設や小規模作業所などに参加する者、あるいは保護的配慮のある事業所で雇用契約による一般就労している者は、援助や配慮のもとで労働に従事しているものであり」と続いていますが、これは文章が複雑で分かりにくいと思います。例えば「一般就労している者であっても援助や配慮のもとで労働に従事しています。そのような労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えない」と続けるのはどうですか。「者」を「者であっても」と換えるということです。
○(座長)○○委員の今の発言は文章が少し分かりにくいと。
○(○○委員)分かりにくく、少し誤解を与える感じがあると思います。
○(座長)どのように換えたらいいですか。
○(○○委員)2行目の「者は」を「者であっても」に換える。「契約による一般就労している者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事しているものであり、そのような労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず」と続けていく。
○(座長)3行目で1回切るということですか。
○(○○委員)そのほうがいいかもしれないです。少し長いのではないですか。
○(座長)内容的にはどうですか。「従事する期間」のところに線が引いてあるのは、事務局としてのどういう配慮ですか。
○(事務局)発達障害のほうは従事している期間があるのですが、知的のほうは従事している期間を抜いています。前回は入れていましたが、知的障害の人たちにとってはあまりそぐわないのではないかという意見がありましたので抜いています。実際に長さではないと、長く勤めているから日常生活がよくなっていると見られるものではないので比較はできないという意見をいただきましたので、そこの部分を除いています。
○(座長)今のは発達障害のほうには入っているが、知的障害のほうには入っていないということで確認しました。
○(事務局)要るか要らないかは後で確認します。
○(座長)文言のところは3行目で1回切ってはどうかという○○委員の発言です。
○(事務局)内容的にはこのままで、途中で文章を切って整理する形でよろしいですか。
○(座長)続いてEの発達障害をお願いします。
○(事務局)項番3です。Eの発達障害の(1)です。発達障害の定義ですが、前回、発達障害の自立支援法の定義に合わせたほうがいいのではないかという意見がありました。こちらについては「発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう」と、法律のところに書かれている定義をそのまま持ってきていますが、よろしいですか。
○(座長)これについてはよろしいですか。
 続いて項番4をお願いします。
○(事務局)項番4は、発達障害については、知的障害を伴わない方、知能指数の高い方も障害の対象になるということを知らしめるために前の3行があります。次のページの「また」以降です。前回も説明しましたが、実際に発達障害とうつや統合失調症を併発しているケースが多いと聞いていますので、これを診断する側もしくは認定する側が分けて見るのは難しいと。診断書も結局1つとして書かざるを得ないと聞いていましたので、実際に認定するに当たって、主たる症状でうつが強ければうつの認定基準がありますので、それをベースにプラスアルファで発達障害はプラスにする。逆に発達障害が主症状として出ているのであれば、今回つくる発達障害を主にして、プラスアルファはうつにするという形で見るのが妥当ではないかということでこういう書き方をしました。ここは「主症状」と書いていたのを「現在症状」と直しました。座長に相談しましたときに、発達障害がもともとの主症状で、あとから出てくるものをそう書いたほうが医者が分かりやすいという意見があったので直しています。そこを含めてご議論をいただければと思います。お願いします。
○(座長)ご説明がありましたが、いかがですか。
○(○○委員)すごく分かりやすいのですが、発達障害というのは通常生来的な障害とされており、それをベースに合併精神障害が途中から重なってくるという出現の仕方をします。ですから、年金の対象として何を対象とするかというときには、最も困っているものが対象になるべきだと思います。ベースである発達障害よりも重なっている精神障害のほうを重視すべき状態像もあるでしょうし、発達障害のほうの特性が不適応の主たる要因になっている場合にはこちらを重視すべきです。という意味ではこれはとてもよく分かり、この書き方でいいのですが。「現在症状」という言葉は普通でしょうか。医者の世界では「現症」と呼んでいるのが多分これだと思います。どうですか。
○(座長)私が事務局と話したときに、「主症状」というときにどちらを指すか分からないので、現在一番困っている症状という意味で「現在症状」という言葉はどうかと申し上げました。より適切な言葉があればそちらのほうがいいと思います。
○(○○委員)現在最も困っている症状、あるいは現在最も問題となる症状という形のほうが診断書は書きやすいかもしれないです。
○(座長)○○委員はどうですか。
○(○○委員)認定する時にどちらなのかは分けられないと思います。総合してどれだけ困っているか、支援が必要かという観点だと思います。知的障害のない発達障害の方々で、年金の申請になる方は、並列診断があってそのために生活ができないということがあります。発達障害と並列診断とどちらを基礎としてというとらえ方は現実問題としてできないのではないでしょうか?発達障害は生来性ですが、並列診断の「うつ」は一過性である可能性があるわけです。そういう方たちは、状況が改善されて見直しもあると思います。
○(座長)「現在症状を基礎として」ではなく「総合的に判断しなさい」としたほうがやりやすいということですか。
○(○○委員)そうではないでしょうか。
○(座長)例えば幻覚妄想様の訴えがあったり極端な気分変動があっても、それがどちらであるかを完全に分けることはできないというご発言ですか。
○(○○委員)その方たちは常に症状の推移で見直すことになっていくのだろうと思います。
○(○○委員)○○先生の意見に賛成です。発達障害の場合は、発達障害の要素がかなりその人の生活全般を規定しているので、表面的なうつがあったり、一過性の幻覚があっても、発達障害の基盤があれば支援の必要度が高くなるし、幻覚や妄想が一過性であっても発達障害の特性はずっと一貫するので。「現在症状を基礎として」と書くと、現症だけで、うつがよくなったから要らないという医師の誤解を招く可能性があると思います。「現在症状」を抜いて「総合的に判断する」のほうがいいと思います。
○(座長)「現在症状を基礎として」という文章を抜いたほうがすっきりするということですか。
○(○○委員)そのほうが誤解しないのではないですか。
○(座長)認定する側が、そのほうがやりやすいということであればそれでいいと思います。いかがですか。
○(○○委員)基本的にそれでいいと思います。発達障害と合併精神障害を持つケースは、発達障害だけでいるケースよりはいっそう困り度が高いわけです。その点が配慮されるという意味で「総合的な」と表現していただければいいと思います。
○(座長)事務局の考えは、中心の症状で取ったらどうかということですが、実際はなかなかそれが分けられないという委員の発言があります。この文章を抜いて、認定する側が総合的に判断するということでよろしいですか。
○(事務局)複数あるときに「主たるものが発達障害」と診断書に書かれてしまうと、発達障害のほうの基準に当てはめればいいということでそれしか見ないと、別のほうが見てもらえなくなるといけないので、統合失調があるなら、そこもきちんと加味して全体像で見てほしいという意味でこのような文章を入れています。○○委員が言われるように、全体で見ているのでなかなかということであれば、総合的に見てほしいということが伝われば意図は伝わっていますので大丈夫です。
○(座長)専門官はどうですか。
○(事務局)他の通知の文章を見ていると、こういう場合には「諸症状による全体を見て総合的に判断する」という文章をよく使っています。そのような趣旨と一致するのであれば、そういう文言で統一したほうがいいと考えています。
○(座長)今申し上げたような文に換えれば同じ趣旨ではないかと。
○(事務局)「諸症状による全体を見て総合的に判断する」が、この場合に一致するかどうかですが、このような表現もありますので参考にしていただければと思います。
○(座長)それほど今の趣旨とは違わないと思います。それを入れていただくということでよろしいですか。
○(事務局)分かりました。
○(座長)お願いします。入れるか入れないかの問題だと思います。
○(○○委員)入れたほうがいいです。
○(座長)項番4についてはそういうことで、項番5についてお願いします。
○(事務局)項番5、(3)の「発達障害は」というところです。前回自閉症やアスペルガーという表記をしていたものを、全体的に発達障害のほうがいいのではないかという意見がありましたので「発達障害は」と直しています。また「通常低年齢」と直していますが、実際には20歳前に既に発達障害の症状があるということです。例えば知的障害の部分が軽度で日常生活に支障があまりなかった方が、大人になって生活環境が変わって発達障害の部分が重くなって初めて病院にかかるケースについては、知的については日常生活、年金に該当しなかった方が発達障害の部分が悪くなっていたということであれば、そこを初診として、厚生年金に加入中であっても、そこから出すということでいいのではと。網膜色素変性症や先天性の心疾患を潜在的に持っており、少しずつ悪くなってくるものについては症状が重くなって病院にかかったところで初診とする取り扱いをしています。こちらについても同様の取り扱いでいいということで、このような形を取りました。その辺を(3)で書いています。これで問題がないかを確認させていただきたいと思います。
○(座長)事務局のほうから、横並びでという発想で、このような文章にしてはどうかという発言ですが、いかがですか。
○(○○委員)実際問題として知的障害だけを考えていた時代と違い、発達障害となると、学生時代は割と問題なく済むケースもたくさんあります。問題が就労を目前にしたところから始まるケースが実際に多いのを考えると、こういう発想で支援を考えていくのは妥当な線だと思います。
○(座長)他の委員はいかがですか。それでは、この文言についてはこういう方向でお願いします。
○(事務局)ありがとうございます。
 項番6、(4)です。知的障害と同様に各等級の一部例示です。実際に各等級の表現が妥当かどうかというところです。今回初めて発達障害について障害の状態をこのような形で表現しています。例示に当たって、高学歴で発達障害のある人、または20歳を過ぎてから発達障害について顕著に出てくる方について、日常生活に支障があるとはどのような状態をいって、年金としてどの程度を対象にするかということをある程度定義しなければ、発達障害の方が今たくさんいらっしゃる中で、適切に定義しなければいけないと考えて書いています。
 他の精神疾患の1級と比べて発達障害の基準が甘くなるのも困りますので、他の疾患と合わせた形を考えています。逆に、日常生活が全くできないにもかかわらず年金が出ないのも困りますので、その辺の兼ね合いが難しいと思います。就労できるかどうかというところが、今問題になっていると聞いています。就労だけをとらえると、発達障害の方が就労できないとか、就労しても離職せざるを得ないことが多いと聞いています。それに着目してしまうと、皆さんを全部年金制度で救済することになります。救済することで年金で収入を得られ、就労意欲がなくなっては本末転倒です。その辺が難しいところだと、この前ご議論をいただいたところです。就労ができるか否かは、日常生活能力全般を判断する中の1つのはかりではないかと考えています。
 年金の場合の社会生活という大きなカテゴリーよりも、日常生活にすごくこだわりを持って障害の度合いを考えています。そこに着目しなければいけないので、発達障害の方についても日常生活、社会生活、就職よりももう少し中の日常生活にどのぐらい支障があるかというところで見ていただきたいと考えています。ここを「社会的な」とすると、基準が広がることになりますので、年金財政を考えると難しいところもあります。今まで1級相当、2級相当、3級相当で実際に認定してきている方々が、これからももらえるような基準で表現したいと考えています。そのようなことを踏まえて先生方にご議論をいただきたいと思います。
○(座長)増えないようにするということではなくて、適切に認定されるようにということです。これについては事務局からこれでいいかということですが。
○(○○委員)2級の「異常行動」という表現が不適切だと思います。
○(座長)1級のところにも使っていますが、当事者団体の方から批判を受けるかもしれません。
○(○○委員)「あなたは異常行動があります」とはなかなか言いづらいです。「不適応行動」という表現のほうがいいと思います。あとはコミュニケーションのことが強調されていますが、アスペルガー症候群の人も日常生活能力が非常に乏しい人がいます。アスペルガー症候群の場合、知的に非常に高い成人でも、コミュニケーションだけではなく、日常生活能力が低いというデータはたくさんあります。そういう点では知的障害と似ているところもあります。コミュニケーションにあまり特化するのはどうかと思います。例えばADHDの場合はコミュニケーション能力は基本的には保たれているわけで、そうすると自閉症圏だけになってしまう恐れもあるし、その辺を議論したほうがいいと思います。
○(座長)「異常行動」という言葉ではなくて他を使ってもいいのではないかということと、コミュニケーションだけが欠如しているのかという発言です。「異常行動」ではなくどういう言葉がよろしいですか。
○(○○委員)不適応行動とか。
○(座長)それについてはどうですか。これは確かに文言を考えたほうがいいと思いますが、他の委員から何か適切な表現はありますか。これを「不適応行動」に換えるということでよろしいですか。どうぞ。
○(○○委員)基本的に「異常行動」というのはどういう行動をイメージするのですか。それをイメージした上で、どれが適切か。
○(座長)逆に「異常行動」というなら「正常行動」はどこかにあるということになりますから、何が「正常行動」かよく分からないですが。
○(○○委員)広汎性発達障害のある種のこだわりや、言語発達の障害に基づく現象は、通常ではないとはっきり見えるものです。それを表現するのに「異常行動」という言葉が必ずしも適切だとは思えないですが、確かにアブノーマルではあると思います。それに対して非常に短気、衝動的であるというレベルは異常という言葉に当てはまるのかどうか。「異常行動」という言葉の枠組みが曖昧な感じがします。「不適応」は逆に広がり過ぎるのではないかということで、どのように折り合いをつけたらいいでしょうか。
○(座長)どちらも難しいですが、より適切な、このようなときに使う言葉があれば。似た言葉としては「逸脱行動」とかいろいろありますが、発達障害全体をカバーする言葉として何かありますか。
○(○○委員)自閉症症状の幾つか、広汎性発達障害の自閉性障害ではなくても多少持っている、それは「逸脱行動」でもないです。症状そのものというところがあるし、しかしADHDで見られる、非常に衝動的で結果的に適応を著しく阻害する行動を次々と展開するようなものは「逸脱行動」という言葉がぴったりです。この辺りを全部含むと、「著しい不適応行動」というのは両方を含んでいると捉えていいのですか。
○(○○委員)「逸脱行動」とすると、完全に引きこもっている人が逸脱しているのかどうか。逸脱はしていないが困っているとかです。偏った行動という言い方はありますが、逸脱行動は入ってこないかもしれないし。いろいろ文言を並べていくか「不適応行動」でくくるか、どちらかになると思います。
○(座長)似たり寄ったりで難しいです。○○先生はいかがですか。
○(○○委員)「異常行動」とはどういうことかという電話での問い合わせが最近ありました。この会議と関係があるかどうか分かりませんが。最初にイメージするのは自傷や他害ということだと思いますが、別の言葉を使ったほうがいいと思います。発達障害の方は、○○先生がおっしゃったように、よそには迷惑は掛からなくても困った行動というのはたくさんあります。学習障害の方では、そういった行動面では全く問題がない方も多いので、3級の「社会行動に問題がみられるため」という言い方をしたときにどうなのか。回答ではないのですが「不適応」が近いのではないかと思います。
○(座長)あとは何かいい言葉ないですか。「特異的な行動」というのはまずいか。あまり主観が入らない言葉がいいと思いますが。どうしましょうか。
○(○○委員)自分の発言も含めて皆さんの発言を全部聞いていますと「著しい不適応行動」というのが一番近いような感じがします。賛成したくなってきました。
○(座長)「著しい不適応行動」ということでよろしいですか。
○(事務局)分かりました。この辺は全く未知の世界で、先生方に言葉を選んでいただきたかったので、そちらで直します。
○(座長)そこの文言を整備してということで。
○(事務局・日本年金機構)私どもの認定医から1点言われています。1級では「著しい」という言葉を「常時見守りを要する」に換えて、「異常行動」を取るか「不適応行動」を取るかはお任せします。2級では「必要に応じ見守りを要する異常行動」、または換えるということであれば「不適応行動」という形になると思いますが、そこで1級、2級を分けてはどうかという意見です。よろしくお願いします。
○(座長)今の発言では「著しい異常行動」を「常時見守りを要する行動」にしてはどうか。2級は「常時」ではなく「見守りを必要とする行動」ですか。
○(事務局・日本年金機構)「必要に応じ見守りを要する」です。
○(座長)「見守り」という言葉のニュアンスですね。
○(○○委員)ずっと家にこもっていて、別に見守りはやらないが、一切生産的な活動をしていない人はどうなんですか。
○(座長)見守りだけの問題ではないということですか。他の委員はどうですか。どうぞ。
○(○○委員)「不適応行動」と換えることによって、今のニュアンスも含んで「著しい不適応行動」は、おっしゃった案と大体似ているのではないかと思います。
○(座長)今のご指摘もほぼ同じ文言ではないかということで、ここは「著しい不適応行動」に換えるということで、次は「不適応行動」ということでよろしいですか。
○(事務局)(5)です。前回は知的のほうにも入れてはどうかという指摘をいただきました。入れるに当たって、先ほどお話しした「従事している期間」という言葉が必要かどうか。知的には要らないのではないかということで除きました。発達障害も同じような状態であれば、ここは除いたほうがいいと思いますが、確認をさせていただきたいところです。
○(座長)これについてどうぞ。
○(○○委員)これも知的障害と同じで「期間」は要らないと思います。発達障害の場合は、長く就労していても特性が継続するので、だから支援が要らないということにならない。ここは抜いたほうがいいと思います。
○(座長)「期間」の問題ではないということです。他の委員の方は今の発言に対してどうですか。○○委員、○○委員もよろしいですか。これは除くということで。
○(事務局)分かりました。除くという形にします。
 その他のところです。参考の資料で入れたところで説明します。後ほど診断書についてもう一度ご議論をいただきますが、それに入る前に若干整理をしたいと思います。参考資料の1枚目、障害等級と日常生活能力の程度の相関性ということで示しています。左側の障害の程度が、今の認定基準の中で全体的な基準の1、2、3級の考え方を記載しています。精神疾患の場合はこれだけでは読み切れないということで、各精神疾患に1、2、3級の例示をしています。知的の場合については今回修正している部分で書いています。全体でいう1級相当を知的でいうと、知的障害があり、食事の、身のまわりのという形になります。これを基に実際に認定するに当たって、診断書の裏面の、最終的に日常生活の能力の程度ということで、前回、精神疾患と知的を分けたほうがいいのではないかということで提示した部分に、最終的に丸が付いて、全体的な状態を見て、1級、2級、3級という判断をしていただくことになると思います。現状で(1)、(2)、(3)、(4)、(5)というものを大体等級に当てはめていくと、表面を見て判断しますので、ここだけで判断をしているわけではないはずですが、イメージからすると(5)と(4)の一部が1級相当で、(4)と(3)が2級相当、(3)と(2)が3級相当で、(1)に丸が付いている場合には3級非該当ぐらいではないかという判断をしていただいていると思います。
 それを踏まえると2枚目は発達障害を同じように考えた場合ということで、一番左は同じですが、真ん中は障害の状態の一部例示のところを現行版で書いています。これをもって同じように分けるとしたらこういう形になります。実際にこのようなイメージでいいのかと、逆にこのイメージでいきたいという気持ちもありますが、これでよろしいかどうかのご確認をいただきたいという意味で示しています。両方を見ていただき、発達障害のほうはここがおかしいとか、もう少しこういう表現にしたほうがいいということがあれば教えていただきたいと思います。
○(座長)ありがとうございます。戻りますが、先ほど○○委員からのコミュニケーション能力だけを欠如として例示するのはおかしいという検討が抜けたかもしれません。
○(事務局)ここはどのようにしたらいいですか。
○(○○委員)著しいADHDと重度のLDの人をどう救うかということです。コミュニケーション能力等と「等」を付けるのも1つの方法です。
○(座長)コミュニケーション能力が欠如していると、そこばかりを差しているので、コミュニケーション能力等にすればいいという発言ですか。
○(○○委員)そうです。それは1つの方法です。LD、ADHDに関しては、○○先生のご意見はいかがですか。
○(○○委員)広汎性発達障害とADHD、LDを考えたときに、広汎性発達障害の重症例、知的な意味ではない症状の重症例で、この人たちの適応できなさのレベルに比べると、ADHDやLDの場合、その症状がどんなに厳しかったとしても、広汎性発達障害の最も重い水準までの支援度が必要になるとは思えません。どうしても広汎性発達障害が障害度の上のほうに集中することになるのかもしれません。それに比べると、一般にADHDはもう少しランクが下の支援で、年金にしても何にしてもそういう支援ですむような気がします。一番重いほうにはコミュニケーションの障害がはっきりあるものということが集中していくのはしかたがないと思います。
○(事務局)3級は「等」と入れたほうがいいですか。今○○先生がおっしゃるのでは、3級相当には該当する方が出てくると思うのですが、このままではそういう方が抜けてしまいます。
○(○○委員)2級ぐらいまではADHDのかなり重いケースは、2級に該当するケースは多くはないが出てきます。広汎性発達障害の内容を含んだコミュニケーションの問題とは違うのですが、あまりにも衝動的であったり、持続スパンが短過ぎたりして、きちんとした交流ができないという点では、2級あたりの表現までは触れるケースはLDでもあります。だから3級は「等」でもいいですが2級は付けなくても、ADHDは2級ぐらいまではたどりつくケースは出てくると思っています。
○(座長)先ほどの○○先生の質問では、アスペルガーなどもあるのだからという発言でしたが、DSMではコミュニケーションの障害が、一応はないことになっています。もっと両方に共通するのだったら、対人関係の問題とか、そちらのほうがより大きな問題になってくるのではないですか。
○(○○委員)そこも言いたかったのですが、アスペルガーはDSM的にはコミュニケーション障害がないとされているのですが、実際にはコミュニケーション障害があります。ただ、それが認識されにくいわけです。多弁で、やや一方的に話す人をコミュニケーション能力なしとか乏しいと判断するのは専門医でないと難しいのかもしれないと思います。例えば、社会性・コミュニケーションの異常とかそのようにしたほうがいいと思います。DSM-5で一緒になるみたいだったが、コミュニケーションに限定すると、よくしゃべっていると言われると困るので、社会性・コミュニケーションと併記してはどうですか。
○(座長)○○委員はいかがですか。
○(○○委員)診断基準からすると、アスペルガーはコミュニケーション障害がないということになっていますので、社会性・コミュニケーション能力と併記したほうがイメージがわくと思います。
○(座長)社会性・コミュニケーションでよろしいですか。
○(○○委員)社会性ポツというと「かつ」なのか「or」なのかですが、本来は「あるいは」です。
○(事務局)中ポツにするか。
○(○○委員)「社会性や」じゃないですか。
○(○○委員)「や」です。そのほうが「or」がはっきりしていいです。
○(○○委員)英語だとスラッシュです。
○(座長)今のような表現に換えて。
○(事務局)コミュニケーションの前に「社会性や」ということで、これは1、2、3級全てに入れたほうがよろしいですか。
○(座長)全てでよろしいです。そのようにしていただくと、コミュニケーションだけに偏っていないということでよろしいですか。
 その他のところで、事務局部門から話があったのは、発達障害の障害等級の例示と日常生活能力の程度について、1級は(5)と(4)の一部、2級は(4)の一部と(3)の一部、3級は(3)の一部と(2)の一部という分け方で、知的障害とほぼ平行した格好になります。同じようにこの場合も障害等級等もコミュニケーションだけではなくて、社会性とコミュニケーションという格好にしていたいだくことになると思います。このような感じでよろしいかという事務局からの問い掛けですが、委員の先生方はいかがですか。○○委員は実際に審査する側としてそのような方向でよろしいですか。
 裏側の診断書改訂案(修正版)の検討事項です。
○(事務局)診断書について変更点があります。項番1は裏面の?I障害の状態欄のウの「2日常生活能力の判定」のところです。前回は「適切な食事」、「身辺の清潔保持」というところなどにそれぞれ説明文を付けたのですが、この説明文がこれらの項目に適正かどうかということが1つで、もう一つは判定の項目、「できる」とか「自発的にできる」というところです。前回「自発的にできる」とすると、発達障害の方は自発的にやるのだが適正さを欠くことがたくさんあるので「適正」を入れたらどうかという意見がありました。「適正」を入れたという形で、事務方のほうに意見を求めましたが、逆にハードルが高くなるのではないかと。健常者であっても、金銭の管理や買物が適正にやれるのかというと、少し意思の弱い人たちはやれない。そうすると「できない」のほうに丸が付くのではないかという意見があり、極端に言うと両方で取れてしまうので「適正」という言葉を入れるとハードルが高くなってしまうというのが1つです。○○委員が言われたように、勝手にやってしまうのを「できる」と取るのもおかしいとなると、また「できる」だけに一時的に戻しました。ここは先生方に判断していただくということで、いったん「できる」という一番シンプルな形に戻しています。
 2番目、3番目、4番目の「自発的にできるが時には助言や指導を必要とする」、「自発的にかつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」、「助言や指導をしてもできない若しくは行わない」。こちらの助言指導というところは、もともと「援助」と書かれていたところを、前の診断書は「援助とは助言や指導いい」と言い換えていましたので、丁寧に「援助」と言わずに「助言や指導」と言い換えています。そこはどちらでやるかというところだと思います。そういったところを含めて(1)から(7)までの適切な食事から社会性までのところの表現方法と評価についてご議論をいただければと思います。
○(座長)このブルーのところが考慮をしたところですか。
○(事務局)ブルーのところが前回から換えたところです。
○(座長)ほとんど文言は同じです。まとめてということでよろしいですか。
○(事務局)(1)と(2)のところは、右から2番目のところが「自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる」という言い方です。その下の金銭管理のところから下は「助言や指導があればできる」というように直しています。これは前の診断書のほうもここで言い回しを換えていましたので、このほうが適切なのではということで換えています。
○(座長)(3)の「買い物が一人で行え」というのも追加したところですか。
○(事務局)そうです。(6)の身辺の安全保持のところですが、ここに最初は「パニックになる」という言葉を入れていましたが、普通の人でも緊急時になると基本的に「どうしよう」と思いながら落ち着かなければとなり、誰でもパニックになります。つまり、みんなできないに○が付くことになるので、そこは抜いた経緯があります。
○(座長)まとめて委員の皆さんの意見を伺うことにします。どうぞ。
○(○○委員)「できる」のほうがすっきりしていいと思います。
○(座長)これのほうがよろしいということですか。
○(○○委員)このほうが。適切な食事で「配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる」と細かく書いてあるのに、その上に「自発的かつ適正にできる」というようになると、かえって解釈が広がります。単純に「できる」でいいのではないでしょうか。
○(座長)他の委員の方はいかがですか。たくさんありますので、全部目を通すのは大変ですが、ざっと読んでいかがですか。よろしいですか。どうぞ。
○(事務局・日本年金機構)1点だけ認定医からの話をさせていただきます。(3)の「金銭管理と買い物」のところです。その後の「金銭を独力で適切に管理し、やりくりができる」というところまではいいのですが「また」以下のところが、先ほどもあったようにハードルが高い表現になるのではないかということで、削除したらいかがかという意見です。
○(座長)年金機構の認定医が言われたのは(3)だけですか。(3)について意見を、どうぞ。
○(○○委員)「金銭管理と買い物」と、買い物が付いていますから、その説明がないと、どの水準を取ったらいいか分かりにくいのではないですか。「また」以下を取ると、買い物については触れられなくなる。
○(座長)他の委員はどうですか。○○委員、どうぞ。
○(○○委員)前に戻って適切な食事で「配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができる」と書いてありますが、これは私の前任者も同様で、私も任期切れですので、次の先生が担当することになりますが、その先生方も同じように困ると思いますが、大学卒の方で日常生活能力について「全くできない」という項目につけられている場合です。どう判断していいのか。大学はどうやって通っていらしたんでしょうかと問い合わせをしていますが。適当量、バランスよくということになるととてもやれていないということになるのかもしれません。しかし発達障害のない今の大学生のイメージをすると、どこに丸が付くでしょうか。適量、バランスよくなどという点までつきつめると解釈によって該当する項目がばらけると思います。
○(座長)発達障害ではなくてもこんなことはできないという話ですか。
○(○○委員)どうでしょうか。
○(座長)これは量と質のことを書いているのだと思います。ただ「適切に」ぐらいにしておきますか。
○(○○委員)先生がおっしゃっているのは、例えば大学を出ているのにこういうところに付く人が、大学にどうやって通っていたんだという意見が委員から出てきてくるということでしょうか?
○(○○委員)大卒で「全くできない」という右端に付いてくる現状を見ると、確かに「適当量をバランスよく」まではできないというような解釈をしているのだろうと思います。
○(○○委員)右に付くけれども、そんな人はたくさんいるから別に支援は要らないじゃないかという話になるということですか。
○(○○委員)知的に重度の遅れがあるために「全くできない」という方々も右端に付く。大卒も右端に付くということが現状起こっています。
○(座長)基本的に発達障害ではない方は書類を出すことはないわけです。出す方を前提として、発達障害が疑われる方、あるいはある方が出す書類なので、その辺はどうでしょうか。
○(○○委員)例えば、現実に大学生でも毎日車でお母さんに送ってもらう人は結構いますから、そういう説明を加えればいいのですか。発達障害の人のバランスがよく摂れないというのは、定形発達の人でもバランスはとれない人は大勢いますが、その次元が違っていて、本当にいつも同じものしか食べないとか極端になることが多いので、それがうまく審査する人に伝わればいいと思います。伝わりにくいですか。
○(事務局)発達障害と知的以外の分裂やうつで、全体でこれを使っているので、そこも含めてと考えていただけるとありがたいです。
○(座長)精神障害もこの文言を使っているということですか。
○(事務局)はい。この診断書自体は精神疾患全般的に使っていますので、発達障害やうつについてどう説明をつけるかというよりも、精神疾患全体として日常生活にどう支障が出るかを表現していただくという感じで議論をいただければと思います。
○(○○委員)一つ一つの例示を見ると、100%パーフェクトにできると読むか、そういうことが大体できるということを言っているのだと読むかの違いがあると思います。100%の人間だけを正常だと取ることはできないと思います。大体75%の適当量とバランスとを意識したら、これは正常だというのが普通の判断の仕方です。どうしてもこの言葉がパーフェクトなイメージを与えるとするなら、おおむねできるとか、ほぼできることを適切な食事ができているというのであって、自発的にほぼ、あるいはおおむね適当量をバランスよく摂ることができているという感じが正常な姿、通常なスタンダードな人間だと思います。これが100%だと思うと確かにいない、自分も違うとみんなが思ってしまうということが起きているのだと思います。
○(座長)精神障害なども全く同じ文言になっているということですが。
○(事務局)この診断書をそのまま同じように使います。
○(座長)「おおむね」という言葉を入れておいたほうが安全ではないか、厳しく取り過ぎないのではないかというご発言ですが、それでよろしいですか。どこまで「おおむね」という言葉を入れますか。1番は入れる。
○(○○委員)食事は「適当量をバランスよく摂ることがほぼできる」とか「おおむねできる」という表現になると思います。これは絶対的に適当量とバランスを決定できる人はいませんから。(2)はどうですか。「衛生保持や着替え等ができる」というのは大体そこそこにできる人をできるといっているのだと思います。
○(座長)○○先生、2番はみんな右にいきますか、そんなことはないですか。
○(○○委員)そんなことはないです。
○(座長)2番はこのままでいいです。3番は、今、年金機構の認定医のご発言が紹介されましたが、買い物をやはり入れておくべきだという発言でした。
○(○○委員)これも「やりくりはほぼできる」です。完全にお金をコントロールできる人は、われわれも自信がないというところがありますので。
○(座長)「欲しいものだけを買い求めるのではなく」というのはくどいような感じがするので、計画的な買い物にみんな入っているような気もしますが、どうですか。これは長くなっているので。
○(○○委員)「ほぼ」を入れて「買い物がほぼできる」。
○(座長)4番はいかがですか。
○(○○委員)これでいいのではないですか。
○(座長)これはこのままでよろしいですか。5番はいかがですか。これもこのままでよろしいですか。
○(○○委員)いいのではないですか。
○(座長)5番はよろしいですか。6番はどうですか。このままでよろしいですか。7番もいいですか。一応一通り目を通していただいたということでよろしいですか。
 次の項目をお願いします。
○(事務局)右側の3の日常生活能力の程度のところです。前回は、発達障害を精神障害と知的障害のどちらで判断するかということで、その方の障害の状態に合わせてどちらかを選んだほうがいいのではないかということでした。日常生活能力の程度の「該当するものを一つ○で囲んでください」というところの下に米印で「日常生活能力の程度を記載する際には、状態をもっとも適切に記載できる(精神障害)または(知的障害)のどちらかを使用してください」という説明を入れています。これでどちらかを選んでいただければと思いました。そこが一つです。
 先ほど申し上げたように、知的発達障害以外に、うつやその他認知症も含めた精神疾患全てがこの診断書を使っていますので、基本的に一般的な精神疾患は上の精神障害のほうで、知的障害者については下で日常生活能力の程度を判断していただくということで、(1)から(5)のそれぞれの言い方については、今までの診断書の言い方をほぼそのまま使っています。その下の小さい字がその状態を説明しているものです。(5)は「介護」と書いてあったところを「介助」と換えました。これは先ほどの話からすると、換える必要があるところもありますので、そこも含めてご議論をいただければと思います。
○(座長)委員の皆さま方からご発言をお願いします。どうぞ。
○(○○委員)発達障害の場合に、先生によっては知的用に書く人がいるかもしれないと思います。そうすると、簡単な読み書きができうんぬんというのが、大体高機能の人はできますから、かなり甘く取られると思います。知的障害のある人は知的障害を取ってもいいと思いますが、ない人の場合は上で取るか下で取るか、精神で取るか知的で取るかで、例示を見ながらやると全然番号が変わると思います。知的障害のない発達障害は精神障害を取ると明示したほうが混乱はないと思いますが、どうですか。
○(座長)下のほうは知的障害のある者で、上は知的障害のない者としたほうがすっきりするという発言ですか。
○(○○委員)特に青い文章は読み書きの説明がかなり詳しいですが、アスペルガーなどは読み書きはたいてできますから、かなり軽く取られると思います。
○(○○委員)下は全部「知的障害を認め」だから、このままでいくと高機能の方はここに付けようがないです。
○(○○委員)発達障害のIQ70という人は下か上か分からないです。ボーダーの人は。そこが危惧されるところです。
○(○○委員)今の○○先生の提案を整理すると、要するに知的障害があるかないかを1つの基準にして、知的障害がある広汎性発達障害は当然知的障害のほうで付ける。知的障害がない発達障害を含めて、知的障害がない場合は精神障害のほうで付けなさいとはっきり言わないと混乱が起きるのではないかということですか。
○(○○委員)その混乱も起きるかも。知的障害についてはIQ70以下とか75以下のような見方が一般にはされていますが、日本の法律には知的障害の定義そのものがないわけです。だからどうするかです。
○(座長)今○○先生が言われた境界域をどうするかということでしょう。はっきり知的障害があるかないかをどうやって分けるのかということになるかもしれません。
○(○○委員)下の欄の知的障害のイメージは読み書きができる、できないが問題になっていますから、境界域は入っていないと思います。どちらかというと軽度知的障害でもIQが50に近いような中度知的障害に近いような人を想定している印象をうけます。これは少し混乱するのではと思います。
○(○○委員)一応知的障害として扱われているのは、おおむねIQ70より下です。
○(○○委員)「状態をもっとも適切に記載できる(精神障害)又は(知的障害)のどちらかを使用してください」とあるので、例えば「状態をもっとも適切に記載できる」というところを赤で注意を喚起するのはどうでしょうか。
○(座長)○○先生が指摘した中では、境界域の場合は「書く側がどちらかを選んで書きなさい」というぐらいにしたほうがいいですか。それ以上細かくは事実上難しいかもしれません。それでは、○○委員が言われたように「もっとも適切に記載できる」というところを色を変えてということでよろしいですか。この項番についてはそういう方向でお願いします。どうぞ。
○(事務局・日本年金機構)最後に認定医からですが、精神障害のところで(3)と(4)です。最後のところに「金銭管理ができない場合など」と「金銭管理が困難である場合など」という表現があります。この困難度が逆ではないか、表現が逆ではないかという意見です。ご検討いただければと思います。
○(座長)確かに管理よりはできないほうが厳しそうです。(3)と(4)の記述が逆ではないかというご指摘です。これは事務局でよろしいですか。
○(事務局)引っ繰り返します。
○(座長)ありがとうございました。他に認定医のご指摘はないですか。これは逆にするということでお願いします。
 項番3はいかがですか。
○(事務局)項番3です。左側の真ん中より少し下のエのところです。現症状の就労状況ということで、知的と発達障害のところは就労状況を考慮して判断するという文言を入れていますが、それを見るに当たって情報が必要だということで、事務方からこのようなことを聞いたほうがいいのではないかという意見がありましたので記載しました。実際に書く側の先生としてはここまで細かいと書きづらいという意見があるのか、認定する側としてはこのように書いてもらったほうが分かりやすく、こういうものがあるほうがいいのか、その辺を含めて確認をさせていただきたいと思います。
○(座長)細か過ぎるのではないかということです。何カ所かに勤めたときに、ひと月の給与がみんな違うときとか、そういう意味ですか。
○(事務局)この診断書を出される時点で、今の就労状況。
○(座長)現状だけでよいということですか。
○(事務局)はい、結構です。その前に表面の真ん中辺りの右側に職歴というところがありますので、こちらに今までの職歴を簡単に書いていただくのですが、今どのような状態で就労しているかが判断の材料に。
○(座長)現在だけでよろしいということですね。
○(事務局)はい。
○(座長)分かりました。ここまで細かく必要かというご提言だと思いますが。これについては委員の皆さんはいかがですか。どうぞ。
○(○○委員)審査をされる方がどのように見るかを知りたい。例えば郵便局に勤めていると、勤め先は郵政省になったりします。一般企業でジョブコーチが付いて何とかやっている人でも、大企業に勤めていたりすると「もう年金は不要だ」と判断される可能性があるのではないでしょうか、その辺りを書かなければ。私の経験では、そういう企業に勤めていてジョブコーチ付きで何とかやっている人は、就労していること自体を書きたくないと。書いたら通らないのではないかと不安になって相談される方が多いので、その辺りをどのように判断されているかを知りたいのですが。
○(座長)記入したくないと言った場合にどうするかということですか。
○(○○委員)年金を審査する側が、ジョブコーチが付いてなんとか頑張っているんだと思うのか、普通に仕事ができていると思うのかです。そういうところを書く欄がないと書きづらいと思います。
○(○○委員)この最後は仕事場での援助の状況のところにジョブコーチというように記載?
○(○○委員)ジョブコーチとかを付けるとかなり援助が必要だなと判断されやすいのでは。
○(○○委員)援助の状況のところにジョブコーチが付いていると記載することになる?
○(○○委員)あるいは職場で非常に配慮されているとか、そういう記載をすればいいのですか。その辺りも一般の精神科の先生がどこまで書いてくれるのか。
○(座長)あまり大ざっぱでは書いてくれないので、細かく書いておいたほうが書きやすいという考えもありますが・・・。
○(事務局)できるだけ援助の状態、就労をしていて援助を受けていることが分かるようなところは書いていただきたい。認定基準の中で「労働に従事していることをもって」と書きましたので、そのようなところが見えるようにという意図があって、事務方のほうから案が出てきています。ここまで細かいのが必要かどうかというのはありますが、就労先でいろいろな援助を受けているというところを書いていただければと思います。
○(座長)就労の実際をぜひ記入していただくと、就労といってもこういう状況だというのが分かるということです。
○(事務局)基準で、働いているからというだけで、日常生活能力が向上したと見るなというところにつながってくるのではというところです。
○(座長)どうですか。
○(○○委員)項目があったほうが伺いやすいということがあります。確かに就労はしているがお給料はものすごく低い方が多いので、それを記載することで援助の必要性を分かっていただける機会が増える気はします。
○(○○委員)作業所という中には、昔の更生施設というような全く労賃がゼロのところも入っていると考えていいのですか。いわゆる就労ではない方たちは。
○(事務局)実際に働いているのであれば書いていただいて、その下にひと月の給料とありますので、そこがゼロ円と書かれていれば、作業のみで訓練のような形だと解釈をします。
○(座長)就労の実際をぜひ書いていただきたいということで、書ける範囲で書いていただくことをお願いする方向でいいですか。
 項番4をお願いします。
○(事務局)4番については隣の欄のキのところです。福祉サービスの利用状況ということで、どのようなサービスを受けているか、援助を受けているかというところを記載していただきたいということです。もともと欄はありましたが、どのような援助があるかという例示を今回少し丁寧に書きました。このようなものでよろしいかどうかを確認させていただきたいと思います。
○(座長)これについてはいかがですか。記入するのが医療関係者ですから、医療関係者が福祉サービスをきちんと知っているかどうかです。このほうがよほど問題かもしれません。福祉サービスの内容を調べられるように何か付いていればいいですが。
○(事務局)本人だけでなく家族の方が一緒にいらっしゃったり、施設の方が見えて一緒に診断書を作成するケースが多いと聞いていますので、そういったところの方からこういうサービスを受けているとお話しいただけると思います。その上で書いていただければと思っています。
○(座長)いかがですか。よろしいですか。これは医療関係の人たちは勉強するようにということです。
 項番5です。
○(事務局)5については、一通りこのような形で変更するということで事務局側のものを示したのですが、これ以外に何かこういう判断材料があるといいのではないかというものがあれば教えていただきたいということで取りまとめています。何かあれば教えていただければと思います。
○(座長)今日議論した以外のところでも何か気が付いたことがあればということですが、いかがですか。
 本日の予定はこのようなところだと思います。一通りご意見をいただきましたので、一応お開きにしたいと思います。本日のご意見を踏まえて事務局で少し修正等をお願いしたいと思います。次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○(事務局)次回の日程は3月24日木曜日の開催を予定しています。後日改めて開催場所等の連絡をしたいと思います。本日いただきましたご意見を踏まえて認定基準、診断書について整理した最終案を示したいと思いますので、改めてご議論をいただきますようお願いします。本日は長時間にわたりありがとうございました。
○(座長)事務局からお話がありました議事録に目を通していただいて、そちらもよろしくお願いします。今日はお忙しいところご苦労さまでした。
           
 


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局事業管理課

代表: 03-5253-1111(内線3603)

直通: 03-3595-2796

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