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2011年2月7日 第1回船員保険制度に関する議事概要

○日時

平成23年2月7日(月)15:00~16:43


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

岩村委員(座長)、大谷委員、菊池委員、田付委員、大内委員、田中委員、立川委員、
清水委員、小坂委員、佐々木委員、三木委員、中澤オブザーバー、高原オブザーバー
(事務局)
外口保険局長、唐澤審議官、武田総務課長、西辻保険課長、
城全国健康保険協会管理室長

○議題

(1)船員保険制度に関する懇談会について
(2)船員保険制度を取り巻く課題について
(3)傷病手当金等の見直しについて
(4)その他

○議事

○ 冒頭、唐澤審議官から、懇談会開催の挨拶があり、その後、委員の紹介が行われた。
○ 岩村委員が座長に、菊池委員が座長代理とされた。懇談会の運営に関して、以下の事項について、各委員が了承した。
 ・ 会議、議事概要及び資料は、原則公開であること。
 ・ 委員が欠席する場合の代理出席の手続として、委員はあらかじめ代理出席の連絡を事務局に行い、当日、了承を得た上で代理人は出席すること。
○ 事務局から資料の説明が行われ、続いて質疑が行われた。

《懇談会開催の挨拶》
○唐澤審議官
 船員保険制度は、昭和15年に施行され、船員に対する総合保険として、船員労働の特殊性を踏まえた給付を行い、船員やその家族の安定と福祉の向上に大きく寄与してきた。
 制度を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、平成19年に改正が行われ、平成22年1月より、労災保険と雇用保険に相当する部分をそれぞれの制度に統合し、それ以外の医療保険の部分は新船員保険として、全国健康保険協会が運営する仕組みとなった。このような大きな改正であったが、円滑に運営いただいているのは、関係者のご尽力のおかげであり、とりわけ制度改正まで、労使の関係者、学識経験者の真摯な議論の積み重ねがあり、それを踏まえて制度的な対応ができたことによるものと考えている。
 この間、船員保険制度は、旧社会保険庁運営部長の下に船員保険事業運営懇談会が置かれ、関係者に議論いただいた。現在、船員保険の事業運営に関する議論の場は、全国健康保険協会に船員保険協議会が置かれ、皆様に参画いただいているが、こうした経緯を踏まえ、今後も船員保険制度をめぐる課題に対し、議論をきちんと行う場が必要であるという関係者の理解の下、今般、厚生労働省保険局に、船員保険制度に関する懇談会を設けることとした。委員におかれては、船員保険の円滑かつ安定的な運営に向けて、忌憚のない意見をたまわるよう、お願い申し上げる。

《議題1及び議題2:やりとり》
○大内委員 
 第1回目であるので、この懇談会に関して確認したい。労災部分と雇用保険部分の移行の議論をした当時、船員保険部分の特殊性について様々な確認をした。その中で、全国健康保険協会に移っていくが、船員保険に関する意見を反映する場は、どこなのかという議論があった。全国健康保険協会に船員保険協議会が立ち上がるが、上部の審議会の陸上の関係者だけで船員保険を勝手に変えられては困るということで、船員保険協議会でまとまった内容は、意見は尊重すると整理して、事実上、船員保険協議会で決めたことは勝手に変えないという説明が当時あった。
 そこで、本懇談会の位置づけを含め、この懇談会でまとまった結論は、どういう扱いになるのか。また、この場で出された意見の反映は、どのように扱われることになるのかを確認したい。

○武田総務課長 
 挨拶でも触れたが、社会保険庁運営部長の下に船員保険事業運営懇談会があったが、制度が変わって、全国健康保険協会に船員保険協議会が置かれ、制度を実施する立場として、様々な運営に関する諸問題を議論していると承知している。しかし、ご指摘のように、船員保険の当事者である労使の意見を尊重する場や、制度にどのように反映させるかを議論する場として、制度を持っている保険局としても、このような場が必要と考え、発足させていただいた。
 懇談会は、当事者の意見や提言を、私どもが制度所管の立場で受けとめる場として、考えていただいていいのではないか。また、他の制度の改正に併せて、制度に関して議論いただく必要が出てくるが、そうしたときに関係者の合意形成を図る場として活用してはどうかと考えている。

○大内委員
 船員保険協議会は全国健康保険協会の中にあるため、船員保険協議会で決めた内容を変えるなとはいえないので、全国健康保険協会の理事会はこれを尊重するという整理になっていた。
 この懇談会でまとめられた内容が、例えば社会保障審議会の医療保険部会の場に上げられて、また議論されて内容を変更されることになると、この懇談会は不満のガス抜きの場でしかないと言いたくなるので、そういうことになるのかならないのかを明確に説明いただきたい。

○唐澤審議官 
 この場は、船員保険を運営する当事者としての労使の場であり、当事者の自治によって運営されているので、その当事者の意見を主に聞く場だと思っている。
 医療保険部会との関係は、端的に言えば、医療保険部会でも諮問答申事項はないので、審議会の場で決めるということではなく、決める責任は、最終的には私ども厚生労働省にある。したがって、この場は当事者同士で責任持って議論いただき、私どもは制度所管者として意見を受けとめる位置づけと考えていただきたい。

○大内委員
 社会保険庁が廃止になり、事業運営懇談会がなくなってしまい、制度の内容や変更を議論する場がないではないかと盛んに申し上げてきた。そのときは船員保険協議会で議論し、その内容を尊重するという整理だったが、今般、我々の申し上げてきたことが、1年遅れでこういう懇談会の開催になったと理解している。後ろ向きの議論をするつもりはないが、こういう経緯は非常に大事な部分であるので、申し上げておきたい。

○唐澤審議官
 船員保険制度の改正について、労使の意見を反映しない改正はあり得ないし、できない。保険料を払っているのは労使であり、そういう位置づけで制度の改正を受けとめている。医療保険部会は、決定の場ではなく、意見をいただく場であるので、この懇談会の位置づけは、非常に大きな位置づけと受け止めている。

《議題3:やりとり》
○清水委員
 傷病手当金の見直しの議論について、どうしてこの問題が出てきたか、議論の経過や背景について、もう少し説明いただきたい。

○事務局(高木課長補佐)
 平成21年のときも要望があったが、昨年9月に協会けんぽから見直しの要望があり、医療保険部会で9月と11月に議論した。要望は、主に3点ある。1点目は、現在の傷病手当金の支給額は、生活保障としての性格や財源の制約を考慮すれば、極めて高い水準・過大な給付なので、一定の上限額を設けるべき、併せて下限を設けてはどうかという要望である。2点目は、社会保障の相互扶助の観点から、受給要件として、最低限の加入期間の要件を設ける。3点目は、不正請求への対応として、医師や事業主への質問、調査権限に関する法律上の規定の明確化である。
 医療保険部会では、支給限度額の設定は、方向性として考えられ得るという議論があった。一定期間の平均額を基準に支給額を算定することは、こうした考え方があり得るという議論があったが、事務的な手続きの課題を引き続き整理することになった。加入期間要件の設定は、期間を設定した場合、それを満たすために受診抑制が起きる可能性があるので、対応としてはよくないという議論があった。調査権限については、保険者が行う質問調査がより適正かつ円滑に行われるよう、法律上可能な範囲でルール等の明確化について、引き続き検討することになった。

○清水委員
 医療保険部会の議論に介入するつもりはないが、標準報酬月額の最高等級の引上げが行われたのが平成19年4月からであり、まだ最近のことである。支給限度額の設定の問題は、そのときに当然議論されなければならない問題だったのではないか。最高限度額を引き上げたときの決定は、どういうことだったのかというところまで戻って、議論し直さなければいけない問題ではないか。
 報酬の平均額を基準に支給額を算定する手法は、標準報酬月額は何のためにあるのかということを考えると、平均の平均を取るような話になってしまう。定時決定が基本であることからすると、随時改定のやり方に問題があるのではないかという気がする。
 加入期間要件の設定は、医療保険は健康保険だけではなく、船員保険、国民健康保険などいろいろな制度があり、異なる制度間で出たり入ったりするケースで問題が生じる。船員保険の失業部門と雇用保険の間を異動する場合があり、両制度の被保険者の期間通算がなぜできないか20年を超える議論をして、統合によってある意味解消した。このように加入期間要件を持ちこむと、異動する人の問題が発生するため、かなり慎重に検討すべき問題ではないかと思う。
 医師や事業主への質問調査権限に関する法律上の規定の明確化は、現在の船員保険法の48条、49条でカバーできていないのか、それらの規定だけでは不十分な問題が現実に出てきているのかどうかが気になる。

○事務局(同)
 18年改正の当時、標準報酬月額の等級引上げに伴う、傷病手当金の上限の議論は行われていない。むしろ、健康保険では、給付が6割から3分の2に引き上げられ、任意継続の期間中に疾病にかかった場合には、傷病手当金の支給は行わないといった改正が行われた。
 随時改定については、健康保険では、現在も3か月間の報酬の基本給が変わった場合には随時改定をしているが、不正請求の実態の中には、3か月間、基本給そのものを変えてしまうという場合もあるので、ご指摘のような実務的な問題もあるので、検討する必要がある。
 加入期間要件の設定については、受診抑制という問題もあるし、ご指摘のとおり、制度間を出たり、入ったりする問題がある。

○岩村座長
 19年の標準報酬改定は、長く改定していなかったということで改定したいきさつがあり、傷病手当金の6割から3分の2の引上げとセットでやったが、記憶するかぎりでは、上限額を設けようという議論は無かった。それは、傷病手当金が高額になることをめぐる問題自体が、おそらくほとんど認識されていなかったことによるものと思う。
 随時改定については、協会けんぽでも随分気づいているが、実態として、随時改定があった場合に怪しいことをどうやって調べて証明するかということに、非常に苦慮しているのが実際だと思う。保険者の質問・調査について、現在は協会けんぽの段階では、やろうとすると関係当事者の理解が得られないので、円滑さが欠けるので何らかの措置をしてほしいという要望だったと記憶している。

○事務局(同)
 船員保険法49条は、健康保険法にも同様の規定があるが、厚生労働大臣が保険給付に関して必要があると認めるときは、医師に対して質問・調査を行う規定であり、厚生労働大臣は、この権限を地方厚生局長に委任している。協会けんぽからは、医師等に対する直接の調査権限の要望をいただいているが、日本年金機構と地方厚生局、更に協会けんぽの間で連携して、医師等への調査に対応することになっており、現在も健康保険では連絡調整会議を設置しているが、まずは実務的な連携をきちんとやっていくことを併せて考えている。

○大内委員
 資料は、なぜこういう制度になっているか正しく理解されないまま、給付期間の上限が健康保険よりも長いから縮めろと受け取れる比較だけが目立つ書き方となっている。1件当たりの支給額も、健康保険と比較して高いことが書いてあるが、報酬月額に基づき高い保険料を払っているから高い支給額が出てくるのであり、そういうところを説明しないで、平均支給額だけで高いと言うのは納得しがたい。この考え方には、全く同意できないということをはっきり申し上げておきたい。

○小坂委員
 標準報酬月額はより高く、給付はより低くという発想になっているのではないか、船員を冷遇しようとする姿があるのではないか、もう少し議論をしっかりして欲しい、という要望が傘下から上がっている。漁船としては、組合側がいう部分で、もう少し整理させていただきたい。

○田中委員
 傷病手当金の現時点での見直しはすべきではない、という意見をまず申し上げておく。どの程度、財政を圧迫していて、船員保険の維持に支障が出ているかどうかが議論されていない。陸上の協会けんぽから出た話を、そのまま船員保険の世界に引っ張ってきている印象を持っている。
 標準報酬月額が高ければ、給付が高いのは当たり前であり、傷病手当金の見直しで本当に財政がどれほど改善するのか。見直さなければ、この保険制度が維持できないのかということを議論しないで、平成19年に標準報酬月額の改定を行ったばかりで、こういうことを議論するのは乱暴な印象を持つ。
 不正受給がぴんとこないが、もし船員保険の世界であるのであれば、具体的な事例を教えていただきたい。船の世界は、事業者と船員、被保険者の関係は、非常に明確になっている。船員保険の中で不正受給の実態があったのか、なかったのかを教えていただきたい。

○高原オブザーバー 
 不正受給の実態は、協会けんぽの場合、昨年の医療保険部会にもデータを示しているが、最高標準報酬月額の層の傷病手当の受給割合が異常に高いとか、最高標準報酬の設定での資格取得、改定の直後に傷病手当を受給するケースが多いといった、ある意味不自然な実態が見られる。一方、船員保険の方は、運営を担当する立場で受給の実態を確認したが、協会けんぽで問題になっているような不自然なケースは、今のところ見当たらないのが事実である。

○事務局(同)
 資料の船員保険と健康保険の支給期間は、健康保険と船員保険には違いがあるという趣旨のものであり、長いことが問題という趣旨で書いたつもりはないので、誤解があったら申し訳ない。疾病部門の財政状況は、単年度収支差で22年度は約5億、23年度は7億7千万円の赤字であり、準備金の戻し分も含めて、こういう状況を踏まえたものである。傷病手当金の支給額は、標準報酬の額に応じて決まる点は、ご指摘のとおりであり、20年度の平均標準報酬月額は、船員保険は39万4678円、健康保険は28万5156円という実態である。

○岩村座長
 私自身が医療保険部会の議論に出ていたので、補足させていただきたい。今回の傷病手当金の見直しの議論の主たる目的は、傷病手当金の支出を削減したいということではないと理解している。基本的には、協会けんぽを中心として、極めて不自然な傷病手当金の請求が近年目立つようになっており、これを放置すると制度そのものに対する信頼を失わせてしまう、そこから発している議論だと理解している。
 もちろん、保険料を払っているのになぜ上限を制限するのかという問題はあり、私自身も医療保険部会で発言したところであり、そこの議論は整理する必要はある。ただし、他方で、このまま何も手を打てないのかということになると、制度そのものへの信頼が揺らいでしまう危険を考えざるを得ない。ほかにも協会からいろいろな提案があったが、いずれも難点もあり、今すぐに有効な手立てを打てないのが現状であり、支給上限額の設定は、実施する方向で準備したいというのが、少なくとも健康保険の対応であると思う。
 そうすると、船員保険で、全体の財政状況を踏まえつつ、この傷病手当金の問題をどのように考えるのかであり、一方で保険料の負担ということと、他方で現在はないけれども、こういうやり方があると知れると、やる人が出てくる可能性もある中で、そこのところをどう対応するのかということを議論いただくことであると思っている。

○小坂委員
 このままの資料では、船員に対して誤解を生む可能性があるので、認められない。船員保険では不正が見当たらないという前提がある。財政が悪化しているから議論しなければいけない話であれば分かるが、月額の保険料の支払いの違いは隠して、世間受けするところは出すのでは、公平とは言えない。腰を落ち着けて議論ができるような資料を出していただきたい。制度がつぶれてしまっては船主側としても困るし、組合側としても困るので、どこかいいところを探していかなければいけないし、変えるべきところは変えていかなければいけない。

○田中委員
 不正受給がないようにチェックしていくことは重要だが、船の世界では、例えば1等機関士が機関長よりも高い等級で申請してくるのは、それだけで変である。不正受給がないのに「あるのか」と記載する必要はない。不正受給の実態はないと書けばいいのではないか。

○武田総務課長
 資料の内容と説明について、事務局として不十分な点があったことは、お詫び申し上げたい。資料は、改めて適正な形にしてご相談したい。資料は、一般制度に比べて船員保険を冷遇する、より厳しくするという意図は全くない。また、一般制度に比べて船員保険が有利とか、不正受給があるのではないかという問題意識ではなく、むしろ、一般制度でこういう問題点が指摘されているので、船員保険では、必ずしも実態は確認されていないけれども、予防的な意味も含めて、同様の制度を考えてはいかがかという投げかけであり、それが資料だけ見ると、そういう意図が正確には受け止められていないという指摘であるので、改めて資料を直してお出ししたい。
 支給上限額の設定について、医療保険部会では、設定する方向で関係者の合意が得られたが、前回の改正のときは、上限額を120万円まで引き上げ、3分の2で80万円の給付がされることについての問題意識は、座長からも話があったように、私の知るかぎりでも、おそらく当時の問題意識はなかった。その後、協会けんぽから指摘を受けて、現在、そういう問題が一般制度にあることが認識された状態にある。経緯としては、そういう経緯である。

○清水委員
 傷病手当金の見直しは、不正受給の実態があるから予防的な意味で上限を設けるということなのか、社会的に見て保険給付において高額の傷病手当金を支給することが妥当なのかということか、今回の見直しはどちらの理由で行おうとしているのか。また、税と社会保障の一体改革との関連があるのかどうか、スケジュール的な問題も含めて、お伺いしたい。

○武田総務課長
 大きな論点として、協会けんぽの要望では、不正受給の問題も指摘されたが、そもそも給付水準としてこの金額が妥当かどうかという点もあった。医療保険部会の議事録を精査して、次回に説明させていただきたい。税・社会保障一体改革との関係は、6月に政府全体の社会保障改革の全体像をまとめるということで聞いているが、例えば傷病手当金などの個別制度の話は、基本的には税・社会保障改革の話とは別途整理をされていくものではないかと受けとめている。

○清水委員
 高額療養費の件は、現物給付化の方向性は大変結構であり、これによって非常に助かる患者や扶養家族の人たちもいると思うので、これは是非お願いしたい。出産育児一時金は、保険者への支援が半分になるが、次世代の子どもを育てていくことが安定した社会保険を維持していくためにも必要であり、継続いただくことで是非お願いしたい。

○岩村座長
 高額療養費と出産育児一時金は、特段異論がなかったと思う。これに対し、傷病手当金は、いろいろ議論もあったので、もう一度議論の場を持つという形にしたい。それまでの間、事務局で今日の意見や議論を踏まえ、内容の整理、精査をお願いしたい。それでよろしいか。
(「はい」と声あり)

《議題4(その他)について:やりとり》
○清水委員
 平成19年改正に伴い、船員保険の職務上給付が労災保険に統合されたが、従来保障していた給付を労災でカバーしきれない部分は、新しい船保で補完するという基本的な構造になっている。この仕組みは、船保の標準報酬日額と労災の給付基礎日額に大きな差がない前提で制度設計されていたが、想定外とはいえ、実際に運営をスタートさせると、かなり大きなギャップがある事例が出てきた。把握しているケースでは、標準報酬日額は1万3千円強、給付基礎日額は6千数百円で半分以下というケースも出ており、船員側にとっては制度変更に伴う大きな不利益が生じていることになる。関係方面にも機会があるごとに、是正、救済をお願いしてきた問題である。
 この問題は、休業補償給付で大きな差が出るが、障害給付や遺族給付に関しても、同じような問題が生じ得る可能性がある。かなり広がりのある問題を内包しており、例外的なケースとして個別に手当するのではなく、制度的に手当することが必要ではないか。そういう措置をできるだけ早い機会に取っていただけないか、この場でも是非検討いただきたい。いろいろな手法があると思うが、給付範囲の面で広がりがある問題であり、法定給付上で対応いただきたい。

○武田総務課長
 一般制度への統合によって、細かく見ていくと、必ずしも従前の給付額が保障されない場合があることは、私どもも認識している。一般制度へ統合する際の合意として、制度改正によって不利にならないようにという意見は承っており、可能なかぎりそういうことが生じないように努力すべきと思っているが、現時点の認識としては、少なくとも、一般制度である労災保険の枠組みの変更として、この問題に対応していくことは困難と認識している。
 しかし、例えば特別支給金という仕組みを設けており、個別に不利益が生じないように対応することは可能と考えている。全国健康保険協会との助言協議の中で、こうした不利益が生じないような運用が行われるように働きかけていきたい。改めて検討の要請をされたこともあり、ご要望の点については、改めて労災部局とも相談してみたい。

○清水委員
 制度上の対応は、労災保険だけではなく、船員保険でも対応が可能である。そこは検討しないということか。

○大内委員
 船員保険で対応している給付は、不利益にはならない前提で、制度上詳細にでこぼこの部分を見ていき全部整理した。ところが、その段階では気づかなかったが、実態的に運用していったら落とし穴があったという話である。そういう前提で指摘していることを申し上げておきたい。

○事務局(同)
 制度的な対応は、それが法律改正を要するものなのか、政省令事項なのか、そうしたことも含めて、整理する必要があると思うので、今この場でお答えをすることは難しいが、併せてそうしたことも整理して、また報告させていただきたい。

以上


厚生労働省保険局保険課: 03-5253-1111(内線3250)

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