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2011年1月24日 新人看護職員研修に関する検討会第8回議事録

医政局看護課看護サービス推進室

○日時

平成23年1月24日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省5階共用第7会議室


○出席者

石垣 靖子 (北海道医療大学看護福祉学部教授 )
猪又 克子 (北里大学病院 教育看護科長)
海辺 陽子 (がんと共に生きる会副理事長)
上泉 和子 (青森県立保健大学副学長)
北村 聖 (東京大学医学教育国際協力研究センター教授)
熊谷 雅美 (恩賜財団済生会横浜市東部病院副院長・看護部長)
坂本 すが (東京医療保健大学医療保健学部看護学科長)
庄野 泰乃 (徳島赤十字病院看護部長)
西澤 寛俊 (社団法人全日本病院協会長)
福井 次矢 (聖路加国際病院長)
藤川 謙二 (日本医師会常任理事)
村上 睦子 (国際看護交流協会技術参与)

○議題

1)助産師ワーキンググループ及び保健師ワーキンググループ検討結果
2)新人看護職員研修に関する検討会報告書(案)について
3)その他

○議事

○岩澤看護サービス推進室長 
 定刻となりましたので、ただいまより、第8回「新人看護職員研修に関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ、検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず、はじめに委員の交代がございましたので、紹介させていただきます。
 羽生田俊委員に代わりまして、日本医師会常任理事藤川謙二委員です。
○藤川委員 
 よろしくお願いいたします。
○岩澤看護サービス推進室長 
 次に、委員の出席状況ですが、本日は、海辺委員は少し遅れて出席でございます。
 引き続きまして、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。
 医政局長は大谷泰夫でございますが、遅れて出席いたします。
 篠田幸昌審議官です。
○篠田審議官 
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
○岩澤看護サービス推進室長 
 勝又浜子健康局総務課保健指導室長です。
○勝又保健指導室長 
 勝又でございます。よろしくお願いいたします。
○岩澤看護サービス推進室長 
 看護課看護職員確保対策官玉川でございますが、遅れて参ります。
 私は、看護サービス推進室岩澤でございます。
 次に、お手元に配布いたしました資料の確認をいたします。
 クリップを外していただきまして1枚目、議事次第です。
 続きまして、座席表。
 検討会のメンバー表。
 資料1 「新人看護職員研修に関する検討会 助産師ワーキンググループ検討結果」1枚です。
 別添1として、「助産技術についての到達目標(案)」です。別添2として「新生児に対する援助技術~新生児の心肺蘇生~(案)」全部で7ページございます。
 続きまして、資料2 「保健師ワーキンググループ検討結果」表裏1枚でございます。
 資料2の別添、これは資料3の別添2も兼ねておりますが、「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編(案)」。その別冊として、技術指導の例でございます。
 資料3 本検討会の報告書(案)でございます。これが全部で4ページございます。
 資料3の別添1「新人看護職員研修ガイドライン(案)」これは全部で22ページございます。そして、その別冊として、技術指導の例は、全部で39ページまでございます。
 次に、参考資料の1が「助産師ワーキンググループ開催要綱」1枚です。
 参考資料2は、「保健師ワーキンググループ開催要綱」これも1枚でございます。
 参考資料3「新人看護職員研修事業及び平成23年度保健師人材育成関連予算(案)」でございます。
 参考資料3-2は、「平成22年度新人看護職員研修事業の実施状況」1枚でございます。
 次に、参考資料4「看護教育の内容と方法に関する検討会第一次報告」全部で30ページでございます。
 最後に、参考資料5「保健師助産師看護師学校養成所指定規則の一部を改正する省令の交付についての通知」全部で3ページございます。
 乱丁落丁がございましたら、事務局にお申し付けくださいませ。
 それでは、石垣座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 改めまして、こんにちは。
 1年ぶりにお目にかかりますが、この間、「中間まとめ」としてまとめましたガイドラインを、各委員におかれましては、普及と定着に向けて活動なさってくださったことに感謝申し上げます。おかげさまで、大変よい評価を得ていると聞いております。
 本日は、議事にありますように、「保健師ワーキンググループ及び助産師ワーキンググループの検討結果」について御報告をいただきます。そして、「新人看護職員研修に関する検討会報告所(案)」について御議論いただく予定となっております。
 21年12月本検討会の「中間まとめ」で、新人保健師・新人助産師についての研修ガイドラインを策定する必要性を指摘しておりましたが、その後、事務局と調整して、保健師・助産師それぞれのワーキンググループを設置し、検討をしていただきました。
 ワーキンググループの座長は、保健師については上泉委員、助産師については村上委員にお願いをしましたが、参加いただいた先生については、参考資料1と2に記してございますので、ごらんください。
 では、早速議事に入りますが、資料の説明が一通り終わりました後に、質疑も含めて議論を進めたいと思っております。
 それでは、はじめに「助産師ワーキンググループの検討結果」について、助産師ワーキンググループ座長の村上委員から御報告をいただきたいと思います。資料について御説明をお願いいたします。
○村上委員 
 それでは、「助産師ワーキンググループの検討結果」につきまして御説明いたします。資料1について説明させていただきます。
 1番目に「検討の経緯」です。
 助産師としての基本的な実践能力の獲得を目的とした研修については、平成21年12月25日にとりまとめられました「新人看護職員研修に関する検討会中間まとめ」において、別途、助産師のワーキンググループでガイドラインを策定することとされたことから、平成22年2月よりワーキンググループにおいて検討を行ってきました。
 本ワーキンググループでは、新人助産師の研修が、多くの場合、新人看護職員研修と同様の施設において行われていること等から、研修の理念、あるいは基本方針、研修体制、指導者の育成等については、新人看護職員研修と同様のものとすることとして、新人助産師の助産技術についての到達目標、助産技術を支える要素及び技術指導の例を作成いたしました。
 2番目に、助産技術の到達目標について御説明します。資料1別添1を横に置いていただければと思います。
 助産技術の到達目標について、助産師免許を取得後に初めて助産師として就労する新人助産師、1年以内に経験し、取得を目指す助産技術の到達目標及び、マル2番目として、助産技術を支える要素について検討しました。
 この新人助産師の助産技術の到達目標の作成に当たっては、基礎教育との連動が重要であるという考えから、看護教育の内容と方法に関する検討会において検討されていた「助産師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度(案)」との整合性を図りながら作成をいたしました。具体的には、正常妊産褥婦及び新生児の対応については、基本的には、レベル1「できる」を目標とすることとしました。
 一方で、異常を伴う対象への対応や、母子の1か月健康診査と保健指導のような母子の健康診査に関する知識・技術とともに、地域における母子の生活を適切にアセスメントし個別のニーズに合った指導等、知識・技術の応用が求められるものについては、レベル2「指導のもとでできる」といたしました。
 資料1について少し説明をさせていただきます。
 助産技術についての到達目標の欄がございますが、1年以内に経験し、取得を目指す項目として、到達の目安が1「できる」と2「指導のもとでできる」という項目に分けてございます。先ほど説明したように、正常の範囲でも、直接保健指導のような母子保健の健康診査に関するものと地域における母子の生活に関連するものにつきましては、期間等必要ということで、レベル2で到達目標を置かせていただきました。
 妊産褥婦証明書につきましては、当然、管理の視点で助産師の専門的な公文書等の取り扱いがございますので、当然、お産をすることになりますから1になりますが、妊産婦の妊娠期分娩時の異常への対応、新生児の異常の緊急への対応、褥婦の1か月健康診査と助言、産褥期の異常への対応と援助については、レベル2「指導のもとにできる」というふうに置いてございます。
 続きまして、裏面をごらんください。3番目の「技術指導の例について」御説明いたします。資料1の別添2をお手元に置いていただきたいと思います。
 技術指導の例の作成については、どのような技術指導が必要かということを委員で検討しまして、助産師教育でもう既に正常なお産については、あるいは出血時の対応等、技術の項目が挙がりましたが、それは助産師教育で既に到達していることを基本に意見を出し合いまして、ここにあります新生児に対する援助技術として、新生児の心肺蘇生を挙げました。ここに書いてありますように、技術指導の例の作成に当たりまして、新人助産師は分娩介助や産後の母体のケア等について基礎教育の臨地実習等を通して経験していることを考慮して、新人助産師が臨床実践において遭遇した場合に、緊急的な対応が求められる可能性の高い新生児の心肺蘇生という作成をいたしております。
 新生児の心肺蘇生については、近年のハイリスク分娩の増加等を背景に、その必要性や重要性が国際的にも認められ、分娩時のケアの一環として修得すべき手技と認識されるようになっております。今回の技術指導例においては、日本において標準化された方法として確立された新生児蘇生法(NCPR)を参考に作成をしております。
 この新生児心肺蘇生については、助産師教育の到達の段階では、卒業時に、学内演習で実施できるという形の到達になっておりまして、それも、実際に心肺蘇生の手技を学ぶには、そのインストラクター、認定を取った指導員から学ぶことになっておりまして、すべての教育でそれを学内演習で行っているということでないこともありまして、新人助産師の技術の到達目標の中に入れることが適切ではないかという考えのもとにつくっております。
 その他、ワーキンググループでの検討の結果、助産師が就職して1年以内に経験して修得を目指すべき助産師技術の到達目標、助産技術を支える要素及び技術指導の例については、新人看護職員研修ガイドラインの該当箇所に追加することが適当であるということで、助産師の別紙としてのガイドラインはあえて作成しておりません。
 以上、御報告までです。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、保健師ワーキンググループ検討結果につきまして、保健師ワーキンググループ座長の上泉委員からお願いいたします。
○上泉委員 
 それでは、資料2をごらんいただきたいと思います。保健師ワーキンググループの検討結果を御報告いたします。
 「検討の経緯」といたしましては、平成21年12月25日にとりまとめられました「新人看護職員研修に関する検討会中間まとめ」において、別途ガイドラインを策定することがございましたので、平成22年6月からワーキンググループにおいて検討を行いました。
 新人保健師については、その就労先が、市町村、病院、保健所、工場、事業所等、行政機関または医療機関、産業分野等の多様な分野で就労している状況にございます。
 本ワーキンググループでは、このような新人保健師が就労する機関が多岐にわたることを念頭に、その研修体制が多様であること、また、研修内容についても、個人・集団への保健指導、また、地域活動の促進、保健福祉医療行政への参画等、保健師特有のものがあることから、これらを勘案しました「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~」として作成することといたしました。その別添にございます「保健師編」につきましては、構成は、看護職員研修の構成と同じになってございます。
 なお、「新人看護職員研修ガイドライン」の看護技術についての到達目標等についても、各所属機関において新人保健師研修に必要な場合は、適宜取り入れる等の工夫をする必要があるということを書き添えております。
 新人保健師の研修体制ですが、別添2のガイドラインをごらんいただきながら説明をお聞きいただければと思います。
 新人保健師の研修体制については、就労先が多岐にわたり、さらに、配置される新人保健師や指導に当たる保健師の人数、その他の職種の人員配置等様々であることから、所属機関の差異が大きいと考えました。このため、外部機関との連携がより重要になることが考えられました。本ガイドラインにおいては、人材育成の中核となる保健所等との連携の例等もガイドラインに示しました。
 また、小規模な地方公共団体、企業、医療機関等が当該機関単独で研修を実施することが困難な場合には、前述の人材育成の中核となる保健所等の外部機関が実施する研修を活用すること、各所属機関の人員配置や特性に適した方法の選択について示しました。
 また、改めてガイドラインの方でこの内容を御説明いたします。
 なお、保健師の配置数が少ない場合には、実地指導等の一部を他職種の職員が実施することもあるため、研修に当たって、所属機関内の全職員が研修方針や研修内容等を共有することが重要であるという点も書き添えております。
 新人保健師の到達目標についてですが、1年以内に経験し、修得を目指す到達目標、及び保健師活動に関する技術を支える要素について検討いたしました。
 到達目標の作成に当たりましては、「看護教育の内容と方法に関する検討会」において出されました「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標と到達度(案)」との整合性を図りながら作成しております。こちらは、本日の参考資料4にございます。
 また、到達目標の内容は、新人保健師の就労先であります行政、医療、産業分野等で活用できる、個人・家族・集団・組織・地域に対する活動の計画及びその活動の展開、社会資源の活用、具体的な施策化等に関する内容を設定いたしました。
 技術指導の例については、新人保健師が現場で実施することが多く、保健師活動の基本的な技術である家庭訪問及び地域診断の2つについて作成いたしました。
 なお、地域診断については、本来であるならば、情報収集、対象の理解、アセスメント、それから、課題の明確化、健康課題に対する支援計画の立案・評価という過程がございますが、新人保健師の1年間の到達目標でございますので、今回の例においては、客観的・主観的情報収集からアセスメントまでの過程を作成してございます。
 それでは、ガイドラインをごらんいただきたいと思います。
 「はじめに」等はスキップさせていただきます。
 4ページになりますが、理念です。こちらは看護職員研修のものと同様になってあります自己研鑽を積む基本姿勢を育成するということ。
 マル2番として、保健師活動の基本的視点を形成するための基礎となる研修であるというような位置づけ。
 また、マル3番としては、指導者のみならず全職員が新人に関心を持ち、皆で育てていくという組織文化の醸成が重要であることを記載しております。
 「基本方針」です。
 まず、新人研修においては、現場である地域や事業場等を実際に見て学ぶことが不可欠であるということ。
 また、保健師基礎教育との連続性を持って実施されるべきであること。
 それから、マル3番としては、どのような所属機関においても、この新人研修のための体制を整えるということ。
 マル4番としては、指導者が役割モデルとなるような教育環境を整えること。
 また、マル5番としては、継続的に自己研鑽を積むことができる実効性のある研修体制や指導体制であること。
 それから、マル6番としては、常に見直され、発展していくべきものであるというようなことを書いてございます。
 「研修体制」です。
 先ほども、「基本方針」で申し上げましたように、様々なことについて、理念、基本方針等、全職員と共有すること。
 それから、マル2番においても、指導者だけでなく、スタッフ全員が新人を見守ってほしいということ。
 それから、マル3番目としては、職場対応のサポートやメンタルサポート等の体制づくりを必要であるということ。
 それから、マル4番としては、保健師以外の地域保健従事者等の新人職員と合同での研修、あるいは他の専門的な知識・技術を有する方々の保健師研修への参画を期待する。また、連携を密にし、新人保健師が多職種の業務を理解できるような機会を設けること。
 それから、マル5番としては、積極的に地域(事業所等)に出向くことが重要であり、新人保健師は、まずは特定の地域(部署等)を担当することが望ましいということを書いてございます。
 研修体制ですが、新人保健師にOJTが実施できる組織体制を基本とすることを示してございます。
 次のページに、図1「組織における研修体制の例」でお示ししてございますが、ここは看護職員研修のガイドラインと同様ですが、研修責任者、教育担当者、実地指導者、新人保健師というような担当者を置いてございます。ただ、機関あるいは施設によっては、研修責任者、教育担当者が同一人物の場合もあり得るとしてございます。
 続きまして、その下が「研修における連携の例」としてお示ししております。この例としては、各都道府県及び政令指定都市の人材育成の中核となる保健所が、新人保健師研修のプログラム企画及び運営に対する指導・助言などを行い、各所属機関の連携を図るというようなことを示してございます。
 また、この図では、中核となる機関として保健所を書いてございますが、都道府県及び政令指定都市本庁、大学、関係団体等がその役割を担うことも考えられると明記いたしました。
 次の機能、体制については、少し省略させていただきます。
 また、7ページ中ほどからの役割についても、少し省略させていただきます。
 8ページに行きまして、「研修体制の工夫」がございますが、規模がそれほど大きいということではありませんので、実現可能な研修を計画することのために、他の所属機関との連携の工夫、研修・教育機関の活用、研修方法の工夫といったようなことをここに書いてございます。
 次のページの10ページに行きまして、こちらは「研修内容と到達目標」についてお示ししております。図3ですね。「新人保健師の保健師活動実践能力の構造」として、この真ん中のらせん状のものがございますが、この中核にありますのが保健師活動に関する技術を支える要素ですが、これらは基盤となる能力の上に成り立つと。そして、右側ですが、「専門職としての能力」、それから、「組織人としての能力」、「自己管理・自己啓発に関する能力」の3つの能力をここに示してございます。
 「到達目標」は、次のページの表2に新人保健師の到達目標を示しております。「組織人としての能力」が5項目、「専門職としての能力」が36項目、「自己管理・自己啓発に関する能力」の5項目から成り立っております。この表の右側の「到達度の目安」の数値については、1が「できる」、2が「指導のもとでできる」ということで、1と2。それから、★印は「1年以内に経験し、修得を目指す項目」としております。
 次の12ページにおいては、「保健師活動に関する技術を支える要素」として、これも先ほどの図3に示してあるところです。
 また、13ページには「研修方法」、14ページには「研修の評価」、そして、15ページ「研修手帳(研修ファイル)の活用」等を書いてございます。
 また、16ページからは「実地指導者の育成」、18ページは「教育担当者の育成」、そして、20ページに「研修計画、研修体制等の評価」ということで、ガイドラインをまとめております。
 最後に、技術指導の例ですけれども、別添をごらんいただきたいと思います。「家庭訪問」と「地域診断」の2つを挙げております。
 報告は、以上です。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 続けて、「新人看護職員研修に関する検討会報告書(案)」と、参考資料の新人看護職員研修事業についての御説明を事務局からお願いいたします。
○岩澤看護サービス推進室長 
 一昨年の「中間まとめ」以降、保健師ワーキンググループ、助産師ワーキンググループで検討いただきましたものを踏まえて、最終的に、この検討会での報告書(案)を次のように作成しております。
 まず、「はじめに」では、検討の背景について。そして、新人看護研修についてのこれまでの取り組みについてということで3点書いてございます。
 次のページをごらんください。
 そして、新人看護職員研修ガイドライン作成の経緯について、「中間まとめ」とそれ以降の保健師・助産師のガイドラインの作成の経緯について書いてございます。
 そして、1番「新人看護職員研修ガイドライン」ですが、これについては、新人看護職員が就労後1年以内に経験し、修得を目指す項目と、その到達の目安、到達目標を示すとともに、研修体制や方法については、医療機関等の特性、研修に対する考え方、職員の構成等に合わせて柔軟に実施できることを目的として、参考例として示したものです。
 到達目標の作成に当たっては、基礎教育との連動が重要であることから、基礎教育卒業時の到達目標と到達度との整合性を図りながら作成しております。
 また、研修プログラムと技術指導の具体例を参考として示しています。
 研修ガイドラインは、医療機関等で研修を実施する際に必要となる以下の5つの事項により構成しています。
 新人助産師研修については、多くの場合、新人看護職員研修と同様の施設において行われること等から、理念、基本方針、研修体制、指導者の育成等については、新人看護職員研修と同様であると考え、助産師が就労後1年間で到達すべき助産技術の到達目標、助産技術を支える要素及び技術指導の例について作成し、中間まとめで示した「新人看護職員研修ガイドライン」に追加しております。後ほどガイドラインを見ていただきます。
 新人保健師研修については、先ほどの報告にありましたように、「保健師編」として作成しております。
 次に、「今後の課題」ですが、今後の課題については、普及について、そして、中長期展望に立った課題について、2つの観点からまとめております。
 まず、普及についてですが、中間まとめにおいて、新人看護職員研修の普及に向けて、マル1これまで新人看護研修を実施していなかった医療機関等に対するアドバイザーの派遣、マル2施設の研修責任者に対する研修、マル3総合的な研修を実施している施設の院内研修の公開等の方策が提示されたところです。
 こうした指摘を踏まえ、厚生労働省において平成22年度から新人看護職員研修事業が創設され、マル1病院等が実施する新人看護職員研修ガイドラインに沿った新人看護職員研修、マル2都道府県が実施する医療機関等の研修責任者に対する研修、マル3新人看護研修の実施が困難な施設に対して都道府県が実施するアドバイザーの派遣等に対する支援が行われている。
 さらに、23年度予算案において、新たに、新人保健師や新人助産師の研修や教育担当者、実地指導者を対象とした研修に対する支援を行い、新人看護職員研修の充実を図ることとしている。
 今後、都道府県及び医療機関等が、新人看護職員研修事業等を活用して新人看護職員研修に取り組み、さらに、その研修の質の向上が図られるよう、国には新人看護職員研修に関する都道府県、医療機関等の取り組みに関する情報提供や研修の質向上に関する研究の推進等、積極的な取り組みが求められる。
 また、新人看護職員研修の実施状況を外部評価団体等の評価基準の一つに盛り込むことも新人看護職員研修を普及する上で効果的と考えられる。
 とまとめております。
 2点目「中長期展望に立った課題について」。
 1点目は、新人看護職員研修ガイドラインは、新人看護職員を受け入れる医療現場等の状況や看護基礎教育の教育内容の見直し等の諸事情を勘案して、適宜見直すことが必要である。
 2つ目として、新人看護職員研修の目的の一つは、看護の質の保証であり、これを明確にするため、新人看護職員研修ガイドラインに基づいた新人看護職員研修を修了した者に対して修了証を交付することが一つの方法として考えられる。修了証を交付する場合には、交付基準をどのように設定するのか、到達目標の達成状況を勘案するのかといった点を検討することが必要である。
 3点目。また、新人看護職員研修実施医療機関・施設の認証等についても今後検討すべき課題である。
 最後に、新人看護職員研修は、新人看護職員の実践能力向上を図るものであり、看護の質の保証に資するものであることから、今後さらなる財政支援や診療報酬上の取り扱い等について議論が求められる。
 という案でございます。
 そして、この別添として、資料3別添1「新人看護職員研修ガイドライン(案)」でございます。
 目次を見ていただきますと、2の「新人看護職員研修」の1「研修内容と到達目標」に、助産師ワーキンググループで検討をいただきました新人助産師の到達目標、技術を支える要素が加わって構成されているものでございます。
 また、別冊としてございます「技術指導の例(案)」を開いていただきますと、新人看護職員には、「与薬の技術」と、「活動・休息援助技術」を盛り込んでいたところですが、今回の案では、新人助産師の「新生児に対する援助技術」を加えてございます。
 そして、先ほどの保健師ワーキンググループからの報告にございました資料の別添でございますが、「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~」もガイドラインの一つとして、この報告書に付ける予定でございます。
 今の報告書(案)の中で、予算についての記載がございましたけれども、参考資料の3-1、3-2で、予算のことについての資料でございます。
 参考資料3-1が、22年度に創設いたしました新人看護職員研修事業について、ガイドラインを使用した研修への支援、あとは、都道府県が実施いたします多施設の合同研修、あるいは、研修責任者を対象とした研修を22年度から始めているところでございますが、それぞれのところに赤で囲んでありますように、新人保健師、助産師を対象とした研修をその形で、また、右下にございますように、研修責任者研修に加えて、23年度案では、教育担当者・実地指導者研修についての予算案を作成しているところです。
 また、その裏には、保健師人材育成関連予算、大きく4点について、このような予算案が作成されているところでございます。
 そして、参考資料3-2ですが、今年度の新人看護職員研修事業の実施状況を、事業別・都道府県別に集計いたしましたのがこの一覧表になってございます。
 簡単ではございますが、説明は以上です。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 それでは、ガイドラインの検討に入っていきますが、その前に、新人看護職員研修事業について御質問がありますでしょうか。今年度から、また新しい事業が始まる予定でございます。
 もしありましたら、ガイドラインについて御意見をいただく中で、御発言いただきたいと思います。
 はじめに資料3別添1の「新人看護職員研修ガイドライン(案)」、次に保健師編について御議論いただきたいと思います。
 資料3別添1「新人看護職員研修ガイドライン(案)」について御意見をいただたきいと思います。よろしくお願いいたします。
 これは、基本的には「中間まとめ」で、21年12月に出したものに沿ってつくられておりますけれども、内容についていかがでしょうか。
 庄野委員、お願いします。
○庄野委員 
 臨床の現場からの反応ですが、このガイドラインが示されて、私が知っている限りということにはなるのですが、おおむね好評で、非常に具体的でわかりやすいという評価は現場の方からはいただいております。特に、今まで研修をなかなか体系的にできてこなかった中小規模の数十床から100床、200床単位の病院の方々から、そのような評価をよくいただいております。
 1点だけ、どの研修場所に行っても、共通して、少し理解がわかりづらいというところがございました。13ページの「到達目標の設定手順」で、「詳細さの設定例」、それから、「難易度の設定例」、「到達時期の設定例」というところのこのページだけが、どの研修場所に行っても、読み取るのにちょっと苦労したというところで、こちらの方から少し補足説明をしているところでございます。おおむね、それ以外は具体的に書かれているのでよくわかったと。
 ガイドライン自体が、どの表現も全体的にそうですが、「ねばならない」ではなくて、「それぞれの施設の特性とか機能に合ったものでアレンジして工夫して参考にしてください」というところが書かれていますので、最初は示されたときに、「このようにしなければいけないのか」というちょっとあわてたような印象を少し現場の方からは受けたのですが、問い合わせとか、いろいろなところで、「それはアレンジしていい」ということで、少し安心したようなところが印象的には見受けられます。
 現場の感想としては、知っている限りで以上でございます。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 この「到達目標の設定手順」について、もう少し具体的にというか、補足説明があるともっとわかりやすいという御意見でございますか。
○庄野委員 
はい、そうです。どの会場に行っても、そこのところが質問にございました。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 このことに関して、あるいは、ほかのことでもいかがでしょうか。
 具体的な内容については、「中間まとめ」ガイドラインにほとんど沿っておりますので、助産に関するものが加わりましたが、それも、先ほど村上委員から御説明がございました。
 新しくつくられた「新人看護職員研修ガイドライン~保健師編~」に移ってもよろしいでしょうか。これは新しくガイドラインとしておつくりいただいたものですけれども、これについて御意見がございますか。
 実際に就労の場が非常に広がっていることと、それから、技術の内容というか仕事の内容も多岐にわたっているという上泉委員からの御報告がありましたけれども、上泉委員の方で、何か補足説明とかございますか。
○上泉委員 
 就労場所が多岐にわたることにつきましては、ワーキングの際にもいろいろな意見が出ておりまして、技術指導の例についても、例えばもっと職域の方の例をとかということで、意見もかなり出たことはございますけれども、これをもとにして、それぞれの施設に合ったような研修プログラムをつくるということで、皆さん了解していただいたように思いますので、そういうことを今後普及するに当たりまして、そういう点にも留意しながら、このガイドラインの使い方を普及していったらよろしいかと思いました。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 技術指導の例でも、保健師の方は、家庭訪問と地域診断におけるアセスメント、それから、助産師の方は、新生児の心肺蘇生ということで挙がっておりますが、こういうことも含めて御意見はございますか。
 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員 
 ガイドラインを助産師さん、保健師さんが今回全部入ったということで、保健師さんの場合、上泉先生がおっしゃっていたように、働く場所がいろいろな場所であるということで、多分これからいろいろなところで御説明をしながら推進されていくのだなと思って伺っておりました。
 「技術指導の例」ですが、看護師の技術指導の例を考えていったときに、まず、研修をするときに、基礎教育で習ってきたことを想起させるところを意識したというところで。具体的には、看護師の方で見ますと、例えば1ページとか13ページに、まず研修内容で基礎教育での知識や技術を想起させたりという一文があるのですが、保健師・助産師のところでも、その保健師教育や助産師教育での知識・技術で学んだことの確認というようなところを一文入れるのはいかがでしょうかということなんですが。
○石垣座長 
 今、基礎教育との連携ということの重要性を助産師・保健師の方も、本文では強調しておられるのですけれども、具体的な技術指導のところで、基礎教育とのレディネスを確かめるというか、想起させるという一文を入れることは非常に大事なことだと思いますが、いかがでしょうか。おつくりになった先生方。
○村上委員 
 熊谷委員の御指摘どおりだと思いますが、新生児の心肺蘇生については、多分、卒後1年の間にこの技術を学ぶことはかなり画期的な技術プログラムになると思います。多分、現場におかれても、心肺蘇生のテクニックについては、今一生懸命取り組んでいるところだと思いますが、学校で教育で学んだことをということをどこのレベルまでここに入れるかという、基本的な知識のレベルではそれを入れるけれども、技術のところで、今その辺をもう少し勘案してみたいとは思っておりますが、重要なことかなと思っています。
○石垣座長 
 あちこちでこの説明をしているときに、技術指導の例では、基礎教育のレディネスを確かめるというところについては、皆さん方が今までそこにはあんまり関心が行ってなかったということもあって、このたった一行ですけれども、非常にインパクトがあると私自身は実感しておりますけれども、そういう一行を入れることに関してはどうでしょう。
○上泉委員 
 今の御意見についてはもっともだと思います。看護職の方にあります基礎教育での知識と看護技術の確認というところを入れていくことについては、全く異論はございません。
○石垣座長 
 ほかの委員の皆様もそれでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 先ほど庄野委員から出ましたガイドライン(案)の13ページの到達目標の設定手順を、もう少し具体的に、あるいは補足説明を加えるというこのことについて、何か御提案あるいは御意見はございますか。
 これは施設の状況に応じてこういう考え方もあるよ、こういうふうなこともできるよということを例示したのですけれども、ちょっと説明不足のところがあるのかもしれませんが、坂本委員はどう考えますか。
○坂本委員 
 庄野委員の御意見についてでしょうか。
 具体的な記述に直しても、どこかに一例であることを注釈か何かで付けるのであればよろしいかと思います。具体的な記述に直してさらに例示であることも記述し直すということは、もう「中間まとめ」で出ていますので、よろしいかと思います。
○石垣座長 
 そのままでよいと。
○坂本委員 
 本文のところは、もうあまり変えないで、どこかに注釈を付けるならば付ける。付けるならば最後のところですね。
○石垣座長 
 庄野委員、どうぞ。
○庄野委員 
 それでいいかと思います。いろいろなところから質問とか会場とかでありましたときに、こちらの方からも補足説明をして理解を得られているというところでありますので、それでよろしいと思います。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
○坂本委員 
 保健師の新人研修のガイドラインですけれども、恐らく保健師さんの働いているところは多岐にわたっていて、看護師や助産師とは全然違う特徴があると思います。ガイドラインに記載するかどうかはわかりませんが、全体的なガイドラインを実施した後にその内容について評価がするかどうかを示したほうが良いのではないでしょうか。ただガイドラインを出すだけではなくて、どこかで見直すといいますか、もう一度御意見をもらうというか、その後の経過を追うプロセスのようなものがあった方が良いのではないかという気がします。
○石垣座長 
 それは保健師のガイドラインについて今おっしゃっていらっしゃいますね。
○坂本委員 
 ええ。看護師や助産師はこのような新人職員研修は、8割ぐらいがすでに実践していますので、そんなに新しい取組みとして取り入れることはないと思いますが、保健師については初めて新人職員研修が示されたので、何らかの形で一般化できるかどうかというところも少し気にしておかなければいけないのかなという気はします。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 今の坂本委員の御提案に関していかがでしょうか。
 先ほど、事務局からの御説明もありましたが、保健師人材育成関連予算(案)が、23年度は8,500万出ているのですね。これについて、事務局の方で少し御説明は先ほどしていただきましたが。
○野村看護課長 
 今の御質問は、保健師の人材育成関連予算(案)のこちらの方の内容でございましょうか。
○石垣座長 
 はい。
○野村看護課長 
 それでしたら、担当からお答えいたします。
○勝又保健指導室長 
 健康局でございますけれども、「地域保健従事者現任教育体制の構築」に、坂本委員からは、初めて保健師のガイドラインを作成したというようなことなんですけれども、これまでにも、平成15年から地域保健で働く人たちのガイドラインが、各都道府県において作成をされておりまして、それに基づいて人材育成をやっていたという経緯もありまして、今回の新人保健師のガイドラインには、それらを含んだ内容で御検討をいただいたところでございます。
 各都道府県ごとにこの新人保健師のプログラムを中心として、これからも人材育成に関するガイドラインを都道府県、それから、政令指定都市等で、それぞれのところで御検討いただき、実施をしていただきたいということで、2分の1の補助を付けさせていただいたところでございまして。中核となる保健所というようにはなっていますけれども、都道府県の本庁でやっていただいたり、それぞれの都道府県に合わせてこれから研修責任者等も決めていただいて、やっていただくために、8,500万円の全体的な予算を付けているというところでございます。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
○坂本委員 
 そうすると、それは少し実施しながら評価をしていくというところも入っているということですね。
○勝又保健指導室長 
 はい、そうです。
○坂本委員 
 はい、わかりました。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 そのほかに。
 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 
 細かい点で、文言の訂正ですが、保健師編のガイドラインの12ページの一番下の(6)ですが、「健康危機管理」となっていますが、これが新人看護職員の方の14ページの表6の(1)が、同じ項目で、こっちは「医療安全の確保」となっています。前回も「医療安全の確保」だったはずなので、保健師の方を直していただければと思います。保健師のガイドラインの12ページの一番下の(6)。
○石垣座長 
 そして、新人看護職員は、14ページの(1)「医療安全の確保」ということになっていますね。
○西澤委員 
 ええ。中のマル1~マル3まですべて同じですから、これは合わせた方がいいので。
○石垣座長 
 これについて、上泉委員、何か御意見がございますか。
 新人看護職員研修ガイドライン(案)の方は、表6で、同じマル1~マル3までを「医療安全の確保」と、これは臨床にいると、こういう表現が一般的ですね。保健師の方は、(6)で「健康危機管理」という表題になって、3項目は同じ文言になっています。
○上泉委員 
 ただ、保健関係でございますので、「医療安全」ということだけでは説明できないのかなということがありましたので、「健康危機管理」というふうに文言を改めております。内容についても、少し変わっておりまして。マル2が「地域・職域・医療分野」ということで、文言を変えております。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 西澤委員、いかがでしょうか。
 医療だけでなく、もっと広い意味を含めた表現というふうなことなんですが。
○西澤委員 
 わかりました。
 ただ、私たちは、医療の方では、リスクマネジメントという言葉について、「危機管理」という言葉を「医療安全」というふうに置き換えてきたということが現場サイドではありまして、「危機管理」という言葉にすると、意味が違ってとらえられるおそれがあるので、ちょっと発言させていただきましたが、保健師の方は、事業もそれより拡大ということであれば、これでよろしいと思います。
○石垣座長 
 いいですか。
 ほかの委員の御意見はいかがですか。
 福井委員、どうぞ。
○福井委員 
 今の資料3の別添1の16ページの「評価方法」のところで、この修了証は、各施設で出すようですが、全体の把握はどこかが行うのでしょうか。補助金を出して、サポートしたプログラムで、実際に何人ぐらいの人が修了しているのか、どのレベルに達しているのかを、厳密でなくてもいいのですが、どこかが把握した方がいいのではないかと思います。
○石垣座長 
 事務局の方で、何か御意見はありますか。
○岩澤看護サービス推進室長 
 補助金の実施状況の報告の中に、何人を対象として実施したのかということについては報告いただく予定でおります。到達度も含め、また、修了したかどうかも含めての把握については、少し実績報告を作成する際に検討させていただきたいと思います。
○石垣座長 
 これまでの経過の中でも、努力義務が義務化になるために、このガイドラインの成果を何らかの形で残していくことは非常に大事だと各委員から御発言がありましたが、その評価というか、成果というか、それをどのようにまとめていくか、あるいは積み重ねていくかということも考えていかなければいけない課題の1つではあると思いますが、福井先生、何か御意見はございますか。
○福井委員 
 緩いものでいいですから、自分たちが行っていることを報告するなり、ちゃんと監視されているという体制はつくった方がいいのではないかと思います。
 もう一点は、気がついたことですが、「評価方法」のマル2の2行目に「総括的な評価」という言葉と、マル4に「最終評価」という言葉があります。私たちが今、医学教育で、マル3の「ポジティブフィードバック」的なことは「形成評価」と言って、それから、修了証を与えるか与えないかという判断は「総括評価」という言葉を使っています。あいまいに聞こえるかもしれませんが、マル4番の「最終評価」が「総括評価」という言葉に、教育用語では相当します。したがって、「総括的な評価」というマル2で使っている言葉は、「総合的な」ぐらいの言葉にしておいた方が、教育用語としては混乱が少なくなると思います。
○石垣座長 
 御指摘ありがとうございます。
 事務局として、何か御意見はございますか。
○野村看護課長 
 用語につきましては、実際の内容等を確認いたしまして、また、座長と御相談をして整理をしたいと考えております。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 北村委員、どうぞ。
○北村委員 
 今、福井先生がおっしゃられたとおりで、用語もそうですが、そのところのマル3に「ポジティブフィードバックを行う」という言葉が書いてあって、フィードバックは、当然、ネガティブフィードバックもポジティブフィードバックも同時にやって、そして、それが将来へつながる方向に行くわけで。ポジティブフィードバックは、ここに書いてあるとおり、褒めるばかりで、できないところは「できない」ときちんと言わないと次につながらないと思うので、この文章だけで言うと、褒めるばかりで、できないことは「できない」と言ってはいけないみたいな、そんなようにも取れるので、少し文章を考えていただいたらと思いました。
○石垣座長 
 さて、この表現に関してはいかがでしょうか。看護職の方々はどのようにお考えでしょうか。
○上泉委員 
 「ポジティブフィードバック」という言葉の意味ですけれども、これは私どもが考えましたのは、ただ褒めるということだけではなくて、叱るも含めて、妥当な叱ることが、それが不合理ではなく叱ることで、向上を目指した、叱るも含めたものとして「ポジティブフィードバック」ということを考えました。ですので、何でもかんでも褒めることよりも、むしろ、もう少し向上を目指したフィードバックというような意味で使いました。
○北村委員 
 片仮名の「ポジティブフィードバック」を使うと誤解が生まれますので、「向上を目指したフィードバックを行う」あるいは、「形成的評価をして、向上を目指す」とした方が誤解がないかと思います。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 海辺委員、どうぞ。
○海辺委員 
 資料3別添1の16ページですが、「研修手帳の活用」にいろいろ書いてあって、いいものだなということがすごく使ってみたいなと思われる方が多いかなと思うんですけど、実例のようなものというか、そういうふうなものが全くここにはないのかなと思ったものですから。例えばどこかで「このようなものです」という見本があったら、ちょっとそれもお示しできるといいのではないかなと感じました。というのが1点と。
 あと、21ページに、「研修体制等の評価」で、「実践の場での事後評価を行うことによって」となっているのですが、主語がないので、どなたが評価するのかなというのをちょっと思ったのですけれども、ちゃんと評価して、その後、また次のことに生かすのはすごくいいことだと思うので。ただ、どうやってだれが評価するのかなということをちょっと思ったものですから、どういう手段で評価するのかなということをちょっと感じました。
 あと、すごく細かいところでは、14ページの先ほど西澤先生がおっしゃっていた箇所のマル3が、「防止」の「止」が抜けているなと思ったので。
 以上です。
○石垣座長 
 研修手帳の例示については、委員の方々があちこち行くと、必ず「例えばどういうものなんでしょうか」というような質問がいつもあると思うのですけれども、この例示についてはいかがでしょうか。
○野村看護課長 
 一昨年になりますが、これを作成したときにも、その例示を示すかというようなことを議論したかと思うのですが、一方で例示を示すと、それだけが走っていってしまうので、まだ例示を出す段階ではないのではないかということであえて示さなかったという経緯があったかと思います。1年が経過して、状況が変わったのであれば、また、考える必要もあるかと思いますが、そういった経過だったと思います。
○石垣座長 
 このことについてはいかがでしょうか。
○熊谷委員 
 今、課長の方からお話があったと私も理解していて、この1年いろいろなところの研修会等の中で、こういったことは看護協会等々から、ガイドラインの説明するような形でのいろいろな文献等が出て、その中で御紹介をされていたり、あと、各看護協会等でお示しをしておりますので、現場にあんまりわからないというような混乱は、もう1年たってそうないかなというのは実感をしております。当方でもオリジナルにつくって、もう始めておりますので、この例示の仕方で理解はできるのではないかなというふうには感じております。
○石垣座長 
 ということなんですが、海辺委員何かございますか。
○海辺委員 
 こういうものが一般的なところですと、ホームページなどで「こちらをアクセスするとダウンロードできます」などというのがかなり一般の世界ではあるので、そういうふうなのが、「例えば1例としてこういうふうなのがありますよ」というのがあると、より具体的になるかなと。こういうのが、あんまりマンパワーのないところだと、何をどうつくっていいやらということになるのかな。パッとダウンロードできるような、ちょっと簡単なひな型的なものがあった方が、忙しい現場ではより役に立つのかなという感じがしたのと。
 あと、この研修手帳の趣旨自体が、ちょっと母子健康手帳的にずっと使えるものであるといいのではないかというようなところがあったかと思うので、そういった点では、そんなに細かくなくていいから、何かひな型があるといいのかなという印象を持ちました。
 以上です。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 実際になさってみて、先ほど熊谷委員からもありましたけれども、猪又委員、何か御意見ありますか。
○猪又委員 
 ただいま熊谷委員がおっしゃったように、私も幾つかのところでお話をして、具体的に質問を受けることは余りなかったというのが1つと。日本看護協会とか、都道府県の看護協会でつくっていて、それが今お話ありましたように、ダウンロードできる形になっていますので、独自につくっていらっしゃるところと、そうではなく、それを活用しているところがあるようで、実際に質問とかは余りなかったということと、これまでにも、自分の施設でそれなりにファイルをつくっていた施設が多かったようなので、余り混乱はないので、そこまでつくらなくてもいいかなという印象を持っています。
○石垣座長 
 実際に、これは新人を対象としているのですけれども、これを機会に、全職員が研修手帳を持つようになったというところも出てきておりまして、この提案はかなり現場で生かされているなという感じもいたします。
 もう一つ、21ページの「実践の場での事後評価」に、もっと具体的な主語を入れた方がいいという海辺委員の御意見ですが、いかがでしょうか。修了後の評価のことであります。ガイドライン(案)の21ページの一番最後の2ですが。
 庄野委員、どうぞ。
○庄野委員 
 評価をする人ですが、基本的には、そこの施設の管理者であったり、例えば研修責任者の方が責任を持って経年的に、1年終わればどうであったかという総括的な評価が必要かと思います。
 その視点は、一番は、新人看護師さんからの意見ですね。受けてどうだったのかという意見、それから、臨床の指導者側からの意見、それから、研修を主催する施設側からの意見という形で、いろいろな多方面から、側面をとらえて、もし、ここにだれがというので入れるのであれば、それをまとめる責任は、研修責任者であったり、そこの施設の管理者、それはそこの施設で決めればいいかとは思うのですが、その人が一番評価の元締めとしたら大きな役割があるのではないかと思っています。
○石垣座長 
 事後評価はだれがするのか、そのことをきちっとうたっておいた方がいいということについては。
 坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 
 実は、私はこのガイドラインをつくる前に、22施設の研修の評価状況を調べたのですが、ほとんどの施設で新人が御自分で評価をしています。それから、上司といいますか教育担当者とか実地指導者が評価をしているというのがありました。ここであまり評価者を明確に書いてしまうと、また、特定の方が評価をしなくてはいけないという決まりごとをつくってしまう可能性があるので少しぼやかしておくこと。そして、ここでは教育担当者が、新人看護職員がやっている評価と関連づけて研修体制を評価していくということを示していると思いますので、そこは分けて、事後評価の内容と研修プログラム等の1年間の評価とを分けて書く方が良い気がします。
○石垣座長 
 企画の評価と、実際にやった実践の評価ということを分けて書いた方がいいと。
○坂本委員 
 はい。
 そして、実践の評価は、ほとんど新人職員自身が行い、それを担当者が少し見ているという状況で、病床数がとても多い病院などは、4人ぐらいで評価をしていました。余り評価、評価とやっていくと手がかかってしまうので、その辺はうまく書いていただければと思うのですが。
○石垣座長 
 という御意見でございますけれども。
 上泉委員、どうぞ。
○上泉委員 
 保健師編におきましては、最後のページになりますが、研修終了後、実践の場での事後評価は、「研修受講者の自己評価」と、「所属長など他者評価による評価」の2つを書いてあります。自己評価も書いた方がよろしいと思いますが、ここは、研修計画とか、研修体制の評価ですので、「研修責任者は」というような主語を入れてはいかがかと思います。
○石垣座長 
 「研修責任者は」と言うとわかりやすいですね。
 ありがとうございます。
 ガイドラインについて、ずっと今御意見をいただいておりますが、先ほど説明のありました、今後の課題も含めて、「新人看護職員研修に関する検討会報告書(案)」の方も、また、御意見をいただきたいのですが、資料3でございます。
 北村委員、どうぞ。
○北村委員 
 情報提供に近いような今後の課題ですが、医師の新人の研修が必修化されると同時に、指導者研修がかなり活発に行われました。私自身は規制は余り好きではないのですが、この場合、指導者たる者は、決まった形の研修会を受けて、そして、それが修了すると、医政局長の印のある修了証をいただいて、もう5年たったので、その卒業後7年の臨床経験があり、その判このついた修了証を持っている者でないと指導者になれないというような制度ができまして、それが実は非常に機能しています。一般臨床医であっても、若い人を育てることに対して、技術的にも伸びましたし、何よりもマインドが高まったように私は思っています。
 それを踏まえまして、教育担当者あるいは実地指導者研修をもう少し制度化、できれば、近い将来にお役所の人の判このあるもの、あるいは、決まった形のきちんとしたものを準公的資格みたいなものにして、その人でないと教育担当者になれないとか、実地指導者になれないといった方向を目指すのがいいかなと。人数的に言えば、保健師の教育担当者辺りはそんなに人数がいるものでもないでしょうから、その辺りから始めてもいいかなというような気がしましたが、いかがでしょうか。
○石垣座長 
 今、先生が御提案くださったのは、検討会報告書(案)の3ページの「今後の課題」の中の1つと考えてもよろしゅうございますか。
○北村委員 
 はい。
○石垣座長 
 教える人の教育について、もう少しシスティマティックにオーソライズされるようなことができないものだろうかと。将来に向けてということをおっしゃってくださいましたけれども、この御提案に関してはいかがでしょうか。
 熊谷委員、どうぞ。
○熊谷委員 
 先生の御発言のとおりだと私も実感をしておりまして、今、ガイドラインが始まって1年の中で、臨床の現場の中で、一つの母集団、ある特定な病院ですが、「今、何が一番困っていますか」という調査をかけたときに、教育担当をする人の育成が少し課題だというのが1番に出てきました。ですから、このガイドラインをいろいろなところで活用していただくと同時に、そこに携わる人たちの研修というか育成に今後は力を注いでいきたいと思っているのと。
 先ほど事務局から御説明があったところで、新規事業に研修会がまた入っておりますので、こういったところで一つずつ積み重ねて、将来、先ほど北村先生がおっしゃったような形につなげていけたらいいなというふうには思っております。
○石垣座長 
 庄野委員、どうぞ。
○庄野委員 
 全く私も同意見でございます。
 それに1つ追加しまして、報告書(案)の4ページの一番下の○になりますが、最後の行に、「財政支援や診療報酬上の取り扱い等について議論が求められる」というところが、中間のところから引き続いて文言に入れてくださっているのは非常に有り難いことだと思っています。たしか去年の議論の中でも、その新人研修に携わる時間、それから、今すごく重要だよという話題になっている教育担当者、実地指導者の育成・研修の時間という確保が、現場の側から見ると、非常にその時間を確保するのが困難という実情があります。その意見は、現場では多々聞くところでありますので、是非、去年からの引き続きの議論ですけれども、7:1の時間から抜くのが非常に困難なところが施設は多いです。それが結局、時間外の研修になっているというのも事実です。それと、土日の研修になって、その土日の研修に振休がないというところも少し聞くところもございますので、その辺りは今後の大きな課題として、ここの報告書(案)の中にも引き続いての議論というのを書かれておりますので、是非、臨床側からの要望として、今後検討していただきたいと強く思います。
○石垣座長 
 そういう御意見は非常にあちこちで強うございました。研修は勤務というふうにカウントされないので、厳しいマンパワーの確保の中で工夫しながら出しているのですけれども、現場ではそれが非常に苦しいという御意見もたくさんいただいております。ありがとうございます。
 海辺委員、何か御意見がありますか。
○海辺委員 
 いろいろそういうステップアップのための資格を取るというための研修をどういうふうに考えるか、位置づけるかというのは非常に難しいかなとは思うのですけれども、ただ、一般社会だと、普通の企業に勤めていても、こういう資格を持っていないとこの仕事ができないというようなのが取らなければいけないときには、結局、みんなそれの講習を受けるのも自費だし、試験を受けるのも自費だし、勉強する時間も会社が終わった後だしというようなことが一般社会ではあることだし、患者会などは特に私どもの会などは、みんな仕事が終わった余暇にやっていたりするので、そういう自分のステップアップのための研修は土日で、振休がなくても、ある程度は仕方ないかなという感じはちょっとするんですが。
 ただ、その一方で、なければできないというふうな資格だったら、その病院として、そういう人たちを置かなければいけないという状況になりますから、どう考えるのかというのは非常に難しいとは思うのですけど。ただ、自分で任意で取る資格であったら、その資格を取ったら、資格がステップアップして、ちょっと報酬とか資格が上がるとか、何がしか、こういうルートだったらこういうふうな手当があるということをパターンとして考えた上で、では、このパターンで行きましょうということにしないと、大変なばかりで報酬も上がらないしみたいなことだったら、やる人がいないのが当たり前ということになるかと思いますので、何かそこら辺をうまく組み合わせて考えることは必要ではないかなと思います。
○石垣座長 
 一般社会の例を挙げて御説明していただきましたが、先ほど北村委員からありましたが、今年度の事業の実施状況を見ても、各都道府県で研修責任者事業をやったところは勿論たくさんあるのですけれども、全くやってない×印の県もたくさんありまして。この研修責任者研修というか、施設で責任を持つ人が、まずこのガイドラインを知ったり、それから、実施施設のプログラムのことをもう一度考え直したりというためには非常に必要な研修だと思います。また、今年度、そのことについて予算が計上されておりますし、さらに、教育担当者や実地指導者の研修も予算化されておりますので、厚労省としては、ステップを踏みながら研修事業の普及をはかっていることだと思います。
○北村委員 
 賛同を得たことに心を強くして、もう少し言いますと、実は医師の場合は省令が制定されるのが遅れたのです。そのために、省令前に研修を受けた人は本来の正規の証明書がもらえなくてかなり混乱を。むしろ、最初に受けた意識の高い人が正式なものがもらえなくて後になったので、こういうことを始めるならすぐに始めないと、去年のを今年のちゃんと正規の指導者ですというのを早く認めないと、3年後にそういう制度ができてしまうと、今年、去年の人が認められないということになりますので、今日、局長もいらっしゃるので、是非、この点はお願いします。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 これまでの経過の中で、医師の委員の方々から、医師の臨床研修も、努力義務化から義務化になるのに30年以上も経過したというお話を伺って、その義務化になることがいろいろな意味で重要だという御意見をいただきまして、私どももようやく努力義務化になり、義務化に向けて様々な準備をしていかなければいけないと思うのですけれども、医政局長のような立場の人の印鑑をもらうという、オーソライズされることに向けて、実績を少しずつ積み重ねていくことが大事かと思います。建設的な御意見をありがとうございました。
 さて、ガイドライン、報告書(案)を含めて、引き続き、もう少し御意見をいただければと思います。
 この報告書は、基本的にはこの線で進めていってもよろしいでしょうか。
 坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 
 北村委員が言われた話が終わってしまったので、何かいい方法はないかなと今考えていました。急に指導者としての研修を受けられる人たちがどれだけいるかという問題が有りますし、競争のようにたくさん出せるところからどんどん参加していくのもよくないと思います。看護では、参考資料3-2を見ると、まだまだ指導者側の研修をやってないところもあります。指導者研修を受けた人たちの中には一応修了証書をもらっておくという形で、おいでになった人たちや中小病院の人たちも結構いらしているのを私は見かけています。むしろ、大きな病院の方があまり研修を受けていないような状況もあったりしますので一気に医政局長というところまでは行かなくても、何らかの形で修了証書等を出すという取組みを、段階的に実施して、指導者研修参加への動機づけをしてもいいのかなという気はします。
○石垣座長 
 今は都道府県が看護協会に委託して、研修責任者研修をほとんどやっていると思うのですけれども、そうすると、修了証書はだれが出すべきなのでしょうか。出した方がいいのでしょうか。
○北村委員 
 医師の場合は「修了したことを認める」というのは主催者です。だから、医師会の場合は医師会長とか、病院会の場合は病院会長です。そして、その下3分の1に「この研修会は省令の何条に認められたものであることを認める」というので、厚生労働省医政局長印があって、正確に言うと、個人を認めるのではなくて、「その研修会が正当なものであることを認める」という形になっています。
○石垣座長 
 医師の場合は義務化になっておりますので、そのようになっておりますが。
○藤川委員 
 参考資料3-2や、参考資料3-1の予算案のところなどを見ていただくと、新人看護研修事業が大きくうたわれていまして、来年度は11億8,100万、今年度が16億8,800万組まれている割には、参考資料3-2を見ると、全くやってないところが15都道府県ぐらいあるのですね。ほかの分野も見てみると、一番多いのが研修責任者研修事業が30都道府県ですね。あとは、多施設合同研修が13府県、新人看護研修推進事業が7府県と、予算を組んでいる割には、都道府県で実施されてないという実態があります。ここでは議論されていますが、都道府県での対応は現実的には実施されてないというところに、来年度11億円の予算が組まれていることに対する少し反省の気持ちを持っていただきたい。必要性は勿論ですけれども、なぜ実践されないのかというところをきちっと検証しないと、机上の空論に終わるのではないかと考えます。
 今、北村先生から医師の方の義務化の問題も言われていますけれども、相当エネルギーが要るのですね。地方で皆さんやられていますけれども、その研修を受ける人も、大体各病院で中核を成すドクターが多いのですね。それが泊まり込みで土日かけて来て、それをまた指導する医師が来るのですね。だから、本当に予算の問題ではなくて、受けるドクターと指導するドクターが本当に真剣になって、新人のドクターを育てるために努力をしているのですね。まだ看護界においては、少し責任感が不足しているのではないかというような印象を抱きました。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 このことについて、事務局で何か御意見はありますか。
○野村看護課長 
 この新人研修事業は、22年度からスタートした新しい事業でございます。こちらも大分普及に努力をしたところですが、初年度は都道府県がなかなかうまく動いてくれなく、予算を計上していただくことが難しかったり、それぞれの事情があって、こういう結果だったと思っております。ですので、これからは、23年度にもまた普及に努力をしていきたいと考えております。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 ガイドラインができたのが21年の12月で、それに予算が付いたのは初めてでございます。それをどのように使うか、都道府県が先取りしてやっているところはいいのですけれども、そうではなく、予算が付いてから動き出した県もございました。22年度は最初の年でしたので、せっかくついた予算をうまく消化できなかったという現状があります。今年はこの予算をどのように使えばいいかということが普及してきたと思います。しかし予算は実績に基づいておりますので、今年は予算が少なくなりました。今年はもっと活発に予算を使いながら、研修の普及と、それが各施設の状況に合わせて活かされるようになることを期待しております。国が看護職員の研修に予算化したのは初めてですので、なかなか現場でもなじまないことだったのかもしれません。都道府県の予算計画の遅れもあったことと、国の予算が執行されたのが8月以降だったこともあって、初年度はいろいろ課題がありました。しかし、かなりの予算が執行されたことは評価されることだと思います。
 海辺さん、どうぞ。
○海辺委員 
 予算のことだと、がん対策の方でいろいろとみんなで協力したりして、地域の患者会の方々などは県庁などに働きかけて、いろいろと事業をやってもらうようにしむけているのですけれども、国の方で予算が固まるのが2月ぐらいにやっと固まるときには、県も2月に来年度予算を組まなければいけなくて、がん対策予算は何が起こったかというと、せっかく取っていただいた予算が全然使われないでいっぱい残ってしまって、いっぱい残ると、今度は減らされてしまうということがあるので、これはせっかく付いたのを使わないと、今度大変なことに多分なるのだろうなというのが予測がつくのですけど。
 ただ、新しい事業とかだと、県の職員の方々が全然御存知ないということがあったり、あとは、2分の1事業だと、その残り2分の1が負担できないとか、いろいろな問題があって。国が移り気で突然生まれた予算がなくなってしまうと、一度組み始めた予算は、県の職員さんは本当に大変だと怒っていらっしゃるというか、大変だ大変だという声はよく聞くので、その辺は多分県の職員の方々にまず働きかけて、呼ぶなり何なりして、すごく知っていただかないと多分使っていただけないだろうなというのは、多分看護のこれもそうなる可能性があると思うので、「使ってください」というのを県庁というか地域に働きかけないと、残って、減らされる可能性があるのではないかなと思いました。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 ほかに、御意見はございますか。
 それぞれ県によって事情があるのだと思うのですけれども、この3つの事業が全く行われてない県もありますので、今後、そういう県に対しては積極的に働きかけて、是非、予算を使いながら研修をしていただくということも必要なことかもしれません。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 
 今言われたように、2分の1の負担を県が出さなくてはいけない場合に、地域で地方交付税が削られたりすると、各県は看護教育よりももっと大事な方に予算を組むと、2分の1の負担分の予算を組まないのですね。そうすると、国の方も出せないのですね。これはドクターヘリのときもそうだったのですね。結果的には、今は、厚労省が半分出して、そういう財政基盤の弱い県は、最大で残りの4割まで総務省が出すということになりました。ドクターヘリを運用していないところは地方の方が多いのですけれども、財政基盤の弱いところには国が最大9割負担をすることで、ドクターヘリの配置を推進するように、予算を組んでいるのですね。
 だから、こういう問題でも、大きな大都市と地方とは財政基盤が違いますし、財政基盤の弱い県ほど看護師さん不足が多いところですので、さらに、そういうところには少し傾斜配分をするなりして、追加の応援をしてやらないと、なかなか地方で手を挙げられないのではないかなというようなことを感じました。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 この予算の執行については、ここで議論しても限界がございますので、御意見として伺いながら、できるだけ働きかけるということしか今はできないかなと思います。藤川委員の御意見も尊重しながら今後進めていければいいと思います。
 そのほかに、御意見はありますか。
○福井委員 
 では、何もなければ、本当に字句のことで申しわけないのですけど。新生児の心肺蘇生のところで、資料1の別添2で2か所、皆さん「シュミレーション」と書くので。そうではなくて「シミュレーション」ですので、これはちょっとみっともないですので。
○石垣座長 
 ありがとうございました。「シミュレーション」でございます。
 ただいまのような語句も含めて、何かございますか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 
 「新人看護職員研修ガイドライン(案)」資料3別添1の13ページに、「到達目標の設定手順」の中で、マル4「車椅子による移送」とあり、これは非常にすばらしい勉強かと思います。「車椅子による移送」は、看護業務つまり療養上の世話として認識しておいていいのですね。
○石垣座長 
 はい。
○藤川委員 
 わかりました。
 以上です。
○石垣座長 
 ほぼ議論は尽くされたというふうに解釈してもよろしいですか。
 坂本委員、どうぞ。
○坂本委員 
 どこかでお話しされたかもわからないのですが、22年度からこの事業を行ってきて、どうであったかというようなところは、どのように見ていくのでしょうか。ちょっと気になるのです。
○石垣座長 
 先ほど、福井委員からもその御意見がございましたけれども、今後、どのようにこの成果を確認していくかというか、そのことですね。
○坂本委員 
 はい。
○石垣座長 
 先ほど、事務局からも報告がありましたけれども、研修自体については、どこで、どういう研修をし、何人が受講したというそれは把握することはできる。しかし、その成果については、これまでのところは考えていない。各都道府県の看護協会の研修担当者に任されているところもあると思いますけれども、事務局としてはいかがでしょうか。
○野村看護課長 
 研修事業を行っているところのデータはある程度挙がってくるわけですが、深い内容のものについてはなかなか把握することが難しいかと思っております。この研修事業が始まる前に、上泉委員を座長とした厚生科学研究で、その足もとのデータを取る研究をしていただいたかと思います。その足もとデータ(研修開始前のデータ)がございますので、ある意味ではこれがある程度進んだ段階で、また、研究的にそういったことを行うということも可能ではないかと思っております。
○石垣座長 
 是非、そういう方向で進めていっていただけたら有り難いと思います。
 ほかに、御意見ございますか。
 藤川委員、どうぞ。
○藤川委員 
 研修手帳(研修ファイル)は、新人教育の場合は1年ですね。1年たったらこれはお蔵入りするのですか。例えば医師の場合は2年間研修しますね。その後、6年間で専門医取るまで、大体ずっと継続して持っている場合が多いのですね。この場合は、ゴールというか、いつまでを研修期間として設定しているのですか。看護教育の場合の卒後研修として。
○石垣座長 
 前回も議論の中でございましたが、これは専門職業人として仕事をしている限りずっと続けるということが望ましいと。これは強制ではありませんが、望ましいということです。
○藤川委員 
 母子手帳などは、佐賀県の場合、成人式のときに「卒業」として、母子手帳を母親から本人にやるわけです。成人になると結婚する可能性が高まってきますので、母子手帳の20年間の自分の誕生からの歴史と、親への感謝の気持ち、親の苦労と、近々自分が親になるための心の準備を持つために、成人式の日に本人にやるというのがいいのではないかというのが出て、佐賀市などは、それを奨励して、産婦人科部会と佐賀市と協力してスタートし始めているのですね。
 だから、研修ノートをいつまで持ち続けるか。半永久的というのは聞こえはいいのですが、実際どのくらいを看護協会、看護大学などは考えているのかなと思いまして。
○石垣座長 
 これまでの検討会の中では、専門職業人として、自分がどんなふうに学んできたかということを振り返ったり、評価したりする意味もあるし、ローテーションをしたり、ほかの病院に転職したときも、それがきっと生きるのではないか。勿論、経験が重なるにつれてその内容は変わってくると思いますが、専門職業人として自分が学んできたプロセスをファイルしておくのは望ましいことですし、是非、それを継続していただきたいと思います。
○藤川委員 
 財産としてずっと持ち続けるということですね。
○石垣座長 
 はい。それを推奨しているわけで。先ほど申し上げましたが、新人だけでなく、これをきっかけにして、ほかの看護職員も、経験のある人も始めたという施設もあります。これが動機づけになっているような気もいたしますが、母子手帳のように、今のお話は非常に温かいお話ですよね。
 北村委員、どうぞ。
○北村委員 
 医師の場合も同じように、ポートフォリオと呼んでいますが、学生時代の臨床実習で経験した症例、臨床研修で経験したもの、あるいは、専門医を目指すときのこれは一連のものとしていけたらと思って、各方面に働きかけている途中です。だから、是非、看護の方も、看護学校、あるいは看護大学に臨床実習のときからこのようなものをつけ出して、そして、新人研修が終わり、専門看護師、あるいは特定看護師(仮称)とか、そういうのを目指すときも、自分の生涯においてこういう経験をしたというのがわかるようなポートフォリオが残っていったらすばらしいと思います。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 臨床の現場では、これまで評価はかなり技術に偏っていたことがありますが、この研修手帳を持つことによって、学習してきたプロセス全体を見ながら評価・面接ができるとおっしゃっていたところもあります。この研修手帳の提案は、かなりインパクトを与えていると思います。ありがとうございます。
 さて、時間がだんだん迫ってまいりましたが、本日御要望があった点、御指摘いただいた点につきましては、今後、微修正をしながら、ガイドラインを整えていきたいと思っております。最終案につきましては、皆様方の方にお配りすることになると思います。今日は、ほとんど大きな修正はありませんでしたので、微修正をしてまとめていくことについては、座長預かりで進めさせていただいてもよろしゅうございますか。
○石垣座長 
 ありがとうございます。
 ここで検討会の議論は終わりますが、今後の予定等について、事務局からもし何かあったら御説明いただきたいと思います。
○岩澤看護サービス推進室長 
 御指摘いただきました点につきましては、再度、座長に御相談の上、報告書としてできるだけ早い時期にまとめて、公表したいと思っております。その際に、出席の先生方にも別途お知らせさせていただきます。
 最後に、今回でこの新人看護職員研修に関する検討会は最後になりますので、医政局長より一言ごあいさつ申し上げます。
○大谷医政局長 
 医政局長の大谷でございます。今日は遅れて参りまして、大変失礼しました。
 新人看護職員研修に関する検討会の閉会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 委員の皆様方におかれましては、平成21年6月に開催いたしました第1回の検討会から8回にわたりまして、活発に御議論を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 少子高齢化の進展や医療の高度化、複雑化、医療を取り巻く状況が急速に変化する中で、質の高い医療を提供するために、看護職員に期待される役割は大変大きいということで、看護職員の資質の向上が不可欠と考えております。ガイドラインにもございますが、医療従事者として、看護職員が生涯にわたって研鑽を積んでいく上で、新人看護職員研修は、その基礎を形成するものでありまして、本検討会において、新人看護職員研修ガイドラインとして、その具体的な方針、内容をお示しいただいたということの意義は極めて大きいものと考えております。
 今後は、新人看護職員を迎えるすべての施設で、ガイドラインに基づいた研修が実施されるように普及を図ってまいりたいと考えております。また、さっき御指摘いただきましたが、こういった成果を踏まえまして、今後の新たな改良方策についても不断の努力をしてまいりたいと思います。
 委員の皆様方におかれましては、今回、大変御協力いだきましたが、今後とも、医療行政、看護行政について、御協力を賜りますようにお願い申し上げまして、御礼のあいさつかたがた終了のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
○石垣座長 
 ありがとうございました。
 これで、新人看護職員研修に関する検討会を終了させていただきます。委員の皆様には、長期間にわたって大変熱心で建設的な御議論をしていただいたことに心から感謝申し上げます。
 どうぞ、今後、このつくったガイドラインが定着し、医療の質、看護の質の向上に貢献できますように、また、お力添えをいただきたいと思います。
 本当にありがとうございました。これにて終了させていただきます。


(了)
<照会先>

医政局看護課看護サービス推進室

長谷川: 03-5253-1111(内線4174)

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