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2010年7月27日 平成22年度第1回適正使用調査会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

2010年7月27日(火) 16:00~18:00


○場所

はあといん乃木坂 413会議室


○出席者

出席委員:

稲田委員、稲波委員、大戸委員、兼松委員、
河野委員、小山委員、佐川委員、鈴木(洋)委員、
高橋委員長、田中(純)委員、田中(政)委員、種本委員、
益子委員、三谷委員

欠席委員:

鈴木(邦)委員

参考人:

田中参考人、牧野参考人、
日本赤十字社

○議題

1 前回の議事要旨について
2 輸血用血液製剤の供給量について
3 アルブミン製剤の供給量について
4 2009年輸血業務・輸血製剤年間使用量に関する総合的調査報告について(日本輸血・細胞治療学会)
5 「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の改正案について(日本輸血・細胞治療学会)
6 平成22年度血液製剤適正化方策調査研究事業について
7 その他

○議事

○血液対策課課長補佐 それでは定刻より少し早いですが、皆様おそろいになりましたので、ただいまから「平成22年度第1回血液事業部会適正使用調査会」を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、本日大変暑い中、お越しいただきありがとうございます。
 なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日の出欠状況ですが、鈴木邦彦委員より御欠席との連絡をいただいております。
 本日は参考人として、日本輸血・細胞治療学会より、国家公務員共済組合連合会虎の門病院輸血部、牧野茂義先生、東京医科大学八王子医療センター輸血部、田中朝志先生、奈良県立医科大学輸血部准教授・副部長松本雅則先生にお越しいただいております。
 また、日本赤十字社血液事業本部より、副本部長石川隆英さん、副本部長石井博之さん、供給管理課長大西雅彦さんにお越しいただいております。どうぞよろしくお願いします。
 なお、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
 それでは、今後の進行につきましては、高橋座長によろしくお願い申し上げます。
○高橋座長 本日は大分タイトスケジュールでございます。暑い中、皆様お集まりいただいてありがとうございます。
 それでは、まず初めに事務局より資料の御確認をお願いします。
○血液対策課課長補佐 それでは、お手元の資料一式の説明をさせていただきます。
 1枚目が議事次第となっております。
 2枚目、座席表です。
 3枚目、委員名簿となっております。
 その次ですが、資料A、平成21年度度前回の使用調査会議の議事要旨でございます。
 資料B、「輸血用血液製剤の供給量について」。
 資料C、「アルブミン製剤の供給量について」。
 資料Dですが1~3までございまして、「年間使用量に関する総合的調査報告書」一式となっております。
 資料Eは2種類ございまして、E-1「『輸血療法の実施に関する指針』改定案について」。
 E-2、「『血液製剤の使用指針』改定案について」。
 資料F、「血液製剤使用適正化方策調査研究事業に係る企画募集要領」。
 委員の方のみになりますが、そのほか参考資料1として、製剤の調査比較報告書。
 資料2として、指針の現行のもの。
 資料3として、同じく使用指針の現行のものを配布しております。
 不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 資料の確認は以上でございます。
○高橋座長 まず、議題1の前回の議事要旨でございますが、資料Aの内容について、御意見があれば、後日事務局まで御連絡をいただきたいと思います。
 それでは議題2の「輸血用血液製剤の供給量について」、まず事務局から資料の御説明をお願いします。
○血液対策課需給専門官 資料Bについて、御説明申し上げます。
 輸血用血液製剤の供給量の推移をお示しした資料でございます。1ページ目をごらんください。
 3つ3枚に分かれておりますが、上段が赤血球製剤、中段が新鮮凍結血漿、下段が血小板製剤でございます。いずれの製剤も、平成18年度以降を見ますと、増加傾向にございます。
 2ページ目は、それぞれ月ごとの供給量でお示しした折線グラフでございます。特に中段の新鮮凍結血漿につきましては、平成19年7月から8月にかけまして、供給量が大幅に増加しております。これは、前回の調査会でも御議論いただきましたけれども、平成19年1月16日採血分の全血から、保存前に白血球除去を実施しまして、同年8月から新鮮凍結血漿LRとして、用量が従来の1.5倍のものの供給を開始した。このことによる影響と思われます。
 それから3ページ目でございますが、この新鮮凍結血漿の供給状況をより詳しくお示ししたものでございます。この資料の図2及び図3をごらんいただくとおり、用量が変更となったことによりまして供給の本数は減ってございます。
 供給量自体につきましては、先ほどお示ししたとおり、増加傾向にあることを図3で示しております。
 以上のように、輸血用血液製剤の供給量につきましては、平成18年以降、すべて増加傾向にあるというところがポイントかと思われます。
 この増加の要因につきましては、適正使用の停滞に起因するのか、あるいは製剤のニーズそのものが増えていることに起因するのか、残念ながら、現在、確たるデータはないということで、不明でございます。
 以上が資料Bの御説明でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○高橋座長 血液製剤全般的に上がっている。FFPは少し白除の製剤の導入に伴って単位数の実質的な用量変更という要因があったわけですけれども、全体的なこういう傾向について、委員の先生方から御意見、御質問ありましたらお願いいたします。
 このFFPの単位数の問題は、その後検討は日赤の方では加えられているんでしょうか。
○日本赤十字社 単位数の検討、表示とかそういうことですか。
○高橋座長 そうですね。
○日本赤十字社 製剤の方の表示につきましては、用量を入れさせていただいているところでございます。今後、特に献血由来の5単位製剤につきまして、用量的に全血由来の1単位、2単位とその倍数の関係が不整合のところがございますので、そのあたりも、今後併せた形で、一応今のところFFP5という表示になっているんですが、4倍の量を含めた形で検討をしているところです。
○高橋座長 ちょっとFFPは特殊事情でございますが、全体の製剤の上昇傾向が、先ほどの適正使用の停滞か、ニーズが間違いなく増加しているのか、そういう点、いかがでございましょうか。
 後ほどの参考人の先生方の御発表と併せてまた必要だったら議論を続けていきたい。そういうふうに思います。そういうことを踏まえて、どうやったら適正使用が更に進むかということを、引き続き事務局の方で検討していただきたいと思います。
 それでは、議題3の「アルブミン製剤の供給量について」、事務局からまず御説明をお願いいたします。
○血液対策課需給専門官 それでは、資料Cについて御説明いたします。
 こちらは、血漿分画製剤のうち、アルブミン製剤の供給量及び国内自給率についてお示ししたものでございます。
 1ページ目は、我が国におけるアルブミン製剤の供給量の推移をお示ししております。
 御承知のとおり、1980年代前半の我が国のアルブミン製剤の使用量は、世界の生産量の3分の1に達しまして、当時問題になったわけでございます。その後、適正使用の推進、普及によりまして、使用量は暫時減少してまいりましたところでございますが、グラフにお示ししましたとおり、平成21年のデータでございます。これは、13年ぶりの使用量が増加に転じている。144が146ということになっております。
 この増加の要因につきましても、輸血用血液製剤と同様に、適正使用の停滞に起因するのか、あるいは製剤ニーズそのものが増えていることによるものか、現在、確たるデータが得られていないことから、不明でございます。
 また2ページ目でございますが、こちらは国内自給率の推移をお示ししたグラフでございます。平成19年まで上昇しておりましたアルブミン製剤の国内自給率が、平成20年以降低下傾向を示している。62.8%まで平成19年までに上がっておりましたが、これが50%台に低下しているという状況でございます。
 この国内自給率の低下の要因につきましては、DPC包括医療制度の環境下で、薬価が多重構造でございますので、より安価な輸入製剤が選択されやすい傾向にあるということが指摘されております。
 この点につきましては、前回の調査で御議論をいただきまして、インフォームド・コンセントの際に、国内献血由来のものなのか、外国産のものなのか等を、患者様、御家族に説明しているかということ。あるいは、病院で製剤を採用する際に、しっかり血液法の趣旨である国内自給の達成ということが話し合われているかということなどを確認しながら、適正使用を進めていく必要があるといった御意見をいただいているところでございます。
 以上が資料Cの説明でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○高橋座長 このアルブミン製剤の事柄について、委員の先生方からいかがでしょうか、御意見、御質問ございましたらお願いしたいと思います。
 どうぞ、鈴木先生。
○鈴木(洋)委員 今事務局から説明をいただきました、そのことについて、お伺いできればと思います。
 もともとの検討会の資料を拝見しましたら、平成25年度、このあたりに向けて、国内自給率をほとんど100%にしようということで目標を立てられていたと思います。
 先ほどのDPCの問題ということも御指摘いただきましたけれども、供給量が思ったほど伸びていかないという、例えばそういうような問題というのはないんでしょうか。十分な供給というのは、されているんでしょうか。
○血液対策課需給専門官 供給量自体の問題でございますが、当然各メーカー、製造販売業者は、ニーズに応じて出荷をしている、供給をしていることになりますので、需要にはこたえていることにはなるんですが、これが既に輸入製剤が一定程度シェアがございますので、これが一気に変わることはない。逆にDPCという要因のもと、若干自給率が低下している。そして全体量につきましては、低下傾向にあったものが少し増えているといったところ。実際には輸入製剤が、若干増えているということになろうかと思いますが、そうした状況にあるというふうにとらえています。
○鈴木(洋)委員 最近でも非常に問題になっていますけれども、組換え型のアルブミンというものが、いつぐらいに再開されて、それがどれくらいサプライできるかとか、そのあたりの見通しはいかがでしょうか。
○血液対策課需給専門官 御指摘の点につきましては、遺伝子組換え型のアルブミン、メドウェイ注でございますが、田辺三菱製薬の方が供給していたものでございますけれども、残念ながら薬事法違反ということがございまして、つい先だって処分の方が決まったところでございます。これにつきましては、改善計画等、企業の方からいただいておりまして、今後どのような形でこれを再開するのかどうなのかといった部分につきましても、承認の関係もございますので、少し不透明な部分もございますが、これから検討をすることになるかと思います。
○高橋座長 小山先生、どうぞ。
○小山委員 今DPC絡みでもって、少し供給が下がっているということですが、はっきり言えば、少し値段が高いということだと思います。ここら辺については、何か方策を考えているんでしょうか。
○血液対策課需給専門官 今、御指摘いただきました薬価、ないしは実勢価格につきましてでございますが、アルブミンに関しては、先ほども申しましたとおり、薬価が多重構造になっている。わかりやすく申しますと、日赤を筆頭に国内産のものが1本当たり7,000~8,000円という薬価になっております。対しまして外資のものにつきましては5,000円台の薬価というふうになっております。
 遺伝子組換えについては一番高かったわけでございますが、包括医療制度のもとで安い方の製剤が当然選択されやすいという環境にございますので、ここは薬価の保険上の施策とも関連しますので、簡単に解決する話ではないとは思いますけれども、分画製剤を取り巻くこうした問題につきまして、先の血液事業部会の方でも御審議をいただきまして、これらの問題点についてきちんと審議をする場が必要であるという御指示をいただいております。
 今年度、この血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会を立ち上げる予定でございます。この中で、価格面を含めたコスト構造ということになろうかと思いますが、あるいは供給の問題につきまして、御審議をいただく予定でございます。
○高橋座長 いかがでしょうか。
 先ほど御紹介があったように、80年代はとんでもない状況で過剰使用という世界でも有名な問題があったわけでございます。それで適正使用を推進するということが第一だということできて、そのころに比べると大分減ってきて、特に血液法施行以降は、進行が順調だったと思うんですけれども、全体は下げどまってきた。更に自給率自体は、全体の使用量よりも更に早目に上げどまっていると、そういう問題がございます。
 今の事務局からの説明に追加するならば、実は等張製剤の方が著しく自給率が低くて、高張製剤の方は比較的高いというような構造がある。勿論内外価格差の問題、供給の問題がありますけれども、一つは等張製剤の十分量の国内製造供給をどういうふうにしていくかという問題もあります。
 昨年議論されたような、本当に患者さんに十分な情報が行って選択されているかというそういう問題もあるのではないかと思います。先ほど御紹介のあった血漿分画製剤に関する供給のあり方についての検討委員会というのは、たしか前にもサブワーキングができて、私も参加したことがあって、さまざまな議論がされたんですけれども、もう一回現状を更に精査して、何が解決策として重要かということを調べようと、そういう段階でございます。
 佐川先生、どうぞ。
○佐川委員 久留米大学の佐川です。
 今、高橋先生が説明されたように、今後いろんな審議会等々で、そのあたりの詳しい検討がなされると思うんですけれども、私がひとつ申し上げたいと思っているということがあります。それは、厚労省のポジションです。
 2003年に新血液法ができて、そして同時に省令が発布されて、その中には数値目標として2008年度までに、国内自給を100%達成するという文言が書いてありました。
 2008年度になって、それができないということがわかって、それ以降に数値目標が消えました。つまりちょっと腰がぐらついてきたのではないかと僕は思います。しかし、いろんな要因があるので、それは複合的なところで解決しなければならないでしょうが、国としては、やはり当初のいわゆる薬害によるいろんな感染症の結果を踏まえて国内自給をするという大義名分をもう一度確認すると同時に、そして数値目標として何年度までにやるんだと、もう一度新規巻き直すんだという、そういうことをもっと公式に旗色を鮮明にした方がいいんじゃないかと私は思います。
 以上です。
○血液対策課需給専門官 御指摘ありがとうございます。
 今の目標値でございますけれど、血液法の基本方針というものがございます。勿論、基本理念については今も不変でございますので、基本方針の中で当初、平成20年までに達成ということではございましたが、残念ながら達成できていないことを踏まえて、平成25年目途にということで、改めて基本方針の中で目標を設定している状況でございます。
 ただ、その後、先ほど御説明しました、遺伝子組換えアルブミンの問題ですとか、さまざまな問題が生じておりますので、これらをどう考えるかということは、今後の検討だと思います。
○高橋座長 まだまだ大きな問題がいろいろあるわけですけれども、少しずつあり方委員会の検討も踏まえて、更に適正使用を推進し、国内自給達成の道のりをまた考えていただければと思います。
 それでは、少し駆け足ですけれども、議題4「2009年輸血業務輸血製剤年間使用量に関する総合的調査報告について」でございます。事務局及び参考人の牧野先生、田中先生から資料の御説明をお願い申し上げます。
○血液対策課課長補佐 調査の背景について、事務局より簡単に御説明させていただきます。
 本議題にございます「2009年輸血業務輸血製剤年間使用量に関する総合的調査」は、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、国が昨年度日本輸血・細胞治療学会に委託し、実施いただいたものでございます。
 本日は本調査の実施主体である同学会の牧野先生、田中先生にお越しいただきまして、調査結果を御発表いただくことになりました。
 牧野先生、田中先生、どうぞよろしくお願いします。
○牧野参考人 牧野です。先ほど事務局からの説明でもございましたけれども、血液製剤、血漿分画製剤いずれも使用量が増加してきている。その原因がどこにあるかということを含めまして、今回行いました「輸血業務・輸血製剤年間使用量に関する総合的調査」の報告をいたしたいと思います。
 今回は特に「各地域における輸血管理体制と血液使用状況について」ということでまとめておりますので、よろしくお願いします。
 まず、表1から見ていただきたいと思います。血液製剤の使用が増えた理由として、やはり輸血が必要な患者さんの絶対数が増えたのか、それとも不適正な使用が増えたために使用量が増えたのか。そのあたりをはっきりさせるために、まず輸血を実施する患者さんの実数というものがどれぐらいで、それが変化しているかどうかというのを今回のアンケート調査をもとに計算しました。
 今回の7,616の施設にアンケート調査を行いまして、2,332施設から回答を得ています。
 その中で輸血を実施しているという実施率というものがわかりますので、更に、実際に輸血を行いました患者さんの数というのがわかりますので、それを計算したところ、2009年の「年間同種血同輸血実施予測数」というものが、103.7万人という計算になりました。
 同じような計算で2008年度のデータを解析しますと、大体90万人弱、86.9万人というデータが得られました。しかしながらこの結果というものには、若干のバイアスがかかっている。それから日赤の方からのデータで、2009年度の血液を供給した施設の数というのが7000とか8000とかではなく1万1,000を越えているというデータをいただいていますので、実際使用量が非常に少ない施設のデータが入っていない可能性は十分あるかと思います。しかしながらそのデータを考えましても、年間の輸血実施数というのは、大体百数万だろうというふうなことが予想されます。
 ではこの数というのは、ここ2~3年の間で増加しているかどうかというのを図1に示しております。これは輸血・細胞治療学会で毎年答えてくださっている施設の中で、1病床当たりの輸血実施患者数というものを計算しました。
 そうしましたところ、棒グラフが全体の平均なんですが、明らかに2009年度で上昇しています。その理由としましては、大規模病院を中心に輸血実施患者数が増加しているというのが理由だと思います。
 2009年の実施数を103.7万人と先ほど計算しましたので、それでいきますと2008年度は90.2万人、2007年が88.5万人ということで、ここ2~3年の間でも、輸血を実施する患者さんの数が増えてきている。そのために血液の使用量というのは増えてきている可能性があるというのが、ひとつわかりました。
 図2からはアンケートに対する回答率です。小規模医療施設の回答率がちょっと悪いというのが当然あります。
 それから図3になりますと、都道府県別に回答率の差がありまして、非常にいい県と余りよくない県の差というものが、2倍以上あるということです。
 図4になりますと、合同輸血療法委員会というのが設立されていますが、現在、合同輸血療法委員会が設立されている都道府県が32都道府県ありまして、設立されていないところが15あります。
 この合同輸血療法委員会が設立されてある、なしで、アンケート調査の回答率を見たのが、図5になります。これを見ますと、回答率の低いところは、若干、合同輸血療法委員会が未設立の都道府県が多く含まれているのがわかるかと思います。
 更に日赤から年間に供給されています血液の量を県別に示したものが、図6になります。今回アンケートで答えていただきました都道府県の使用された血液のトータルが、日赤の供給量の何%に当たるかというのを見たのが、図7になります。これが実際の回答率になってくるかなというふうに思います。平均で56.1%。ですから、今回のアンケートで返ってきた血液使用のデータというものは、日赤から供給された血液の半分以上のデータを反映しているということがわかるかと思います。
 実際ここからが、輸血管理体制と血液使用状況のまとめになります。表2を見ていただきますと、この輸血の調査というものは、2005年、2008年、そして2009年に行っております。その中で輸血管理体制がどのように変化しているか、改善しているかというもの、それから、血液製剤がどういう形で使われているかというものをまとめたものです。
 図で示していきますが、図8を見ますと、輸血管理体制の整備状況というものを年度別に見たものです。これで見ますと、輸血業務の一元管理、輸血責任医師の任命、輸血担当技師の配置、輸血検査の24時間体制、それから輸血療法委員会の設置、いずれの項目も2005年、2008年、2009年と徐々に増加しておりまして、輸血管理体制が着実に整備されてきているということがわかるかと思います。
 図9になりますと、血液法とか輸血療法の実施に関する指針、血液製剤の使用指針について、院内で十分周知徹底しているかというアンケート調査に関しまして、していると答えていただいた施設の割合を示しております。病床数が多くなるにつれて、院内周知率は高くなってくる傾向がありますけれども、全体では50%にまだ満たない。43.61%と、若干改善はされていますけれど、十分ではないということが、この結果でわかるかと思います。
 図10になりますと、院内周知実施率というものを各都道府県別に示したものです。周知徹底している県というのは愛媛県、沖縄県、山口県で非常に高い院内周知率だと思います。低い県もあります。千葉県、高知県では若干低い傾向があるということで、地域による差が結構あるんだということです。
 図11にいきますと、これは血液製剤の使用状況を年度別に示したものです。これで見ますと、昨年2008年度は、血小板を除きます血液製剤は大体横ばいできていたんですが、2009年の1病床当たり使用量というものは、赤血球も血小板FFP、アルブミン、γ免疫グロブリンのいずれも増加しておりまして、増加率は大体15~20%の増加があるということです。
 図12になりますと、1病床当たりの血液使用量、すべての血液製剤を足したものですが、その使用量というものは、これも都道府県別に非常に大きな差がありまして、一番使うのが広島県や東京都が多いわけです。少ない高知県、佐賀県のまさに4.67倍の使用量の差があるということがわかりました。
 それでは、この差というものが、現在、合同輸血療法委員会が設置されている県とまだされていない県があるわけですけれども、その合同輸血療法委員会のあるなしで差があるかということを見たものが、表3になります。一覧なんですが、図表で示していきます。
 図13になりますと、まず輸血管理体制の比較ということになります。先ほど5項目を合同輸血療法委員会がある都道府県とない県で見たところ、余り差がないんです。むしろ合同輸血療法委員会がない県の方が、管理体制が整備されているように見えます。
 逆に言いますと、輸血管理体制が不十分であるがために、合同輸血療法委員会を設立し、今、頑張っているというふうにも見えるかと思います。
 図14になりますと、都道府県別に輸血管理体制の実施率を見ております。これは先ほどの5項目の整備率というものを縦積みにしたもので、すべて100%であれば500になります。それぞれ見ていますけれども、非常に整備されている秋田県、山梨県があるわけですけれども、逆に整備がまだ遅れている佐賀県、宮崎県というものがあります。
 これを合同輸血療法委員会があるなしで分けたものが、図15のaになります。合同輸血療法委員会があるという32都道府県も、昨年できた6都道府県と以前からできているものに分けています。その中でも結構な差があります。例えば合同輸血療法委員会があるという中での秋田県、山梨県と、それから比較的低い岩手県、北海道になりますと、やはりその整備状況に1.5倍近い差があるということがあります。
 図15bになりますと、合同輸血療法委員会がなくてこういう輸血管理体制が低いところは、早く合同輸血療法委員会を新規に設立させ、そして設立した都道府県は軌道に乗せて整備していく必要があるだろうというふうに思われました。
 「適正輸血量への取り組みと指針の院内周知」というのも都道府県で差があることがわかりまして、合同輸血療法委員会のあるなしでも、その中でも差があるというのが、図16、17ではっきりわかってくると思います。
 図18になりますと、血液の使用量と血液廃棄率というのを、合同輸血療法委員会あるなしで見ていますけれども、余り大きな差はありませんでした。平均するとありませんでした。
 血液製剤ごとに見ていきますけれども、赤血球の使用量でも多い都道府県と少ない県があるんですが、若干使用量の多い都道府県の中に、合同輸血療法委員会が設立されていない県が多く含まれているというのがあります。
 2005年と2009年で比較しまして、ほとんどの都道府県が使用量が増加しているわけですけれども、その中でも合同輸血療法委員会がない、もしくはできたばかりの都道府県が、増加率が多いかなという傾向がありました。
 図21は血小板製剤ですけれども、同じような傾向が認められました。
 図23になりますと、凍結血漿ですけれども、多いところと少ないところがあるんですが、これに関しましては、合同輸血療法委員会の差は余り明確でないように思いました。
 図25にアルブミン使用量の多い、少ないで都道府県別に見たんですが、若干使用量が多い都道府県が合同輸血療法委員会がない、もしくはできたばかりの都道府県が多く含まれている。
 そして2005年との比較で、増加率の多い都道府県が、合同輸血療法委員会が未設置の地域が多く含まれているかなというふうな傾向が認められました。
 図27の免疫グロブリンの使用量は、上位の4つの都道府県が飛び抜けて多いというのが目立ちます。2005年の比較でも、やはりこの4つの都道府県で、使用量が非常に増加しているということがわかります。
 廃棄率を見たのが、図29になります。やはり都道府県別の差というのは、どうしても多く認められまして、合同輸血療法委員会のあるなしで分けたのが、図30のa、bなんですが、この中でも非常に差があるなというふうなことです。まだまだ合同輸血療法委員会はできて間もないということもありまして、十分な使用量、それから廃棄率の差というものが出ていないというところは、まだ認められます。
 図31と32はアルブミンとFFPを赤血球で割った比で、輸血管理量の基準の中に含まれるんですが、こういう形でやはり都道府県別に、非常に大きな差があるということがわかりました。
 図33、最後なんですが、先ほど問題になりました国内自給率ということを、都道府県別に見たものです。これで見ますと、国内自給率の非常に高い都道府県の多くが、合同輸血療法委員会が設置されている施設が含まれているというところがあります。ですから、ここらあたりも合同輸血療法委員会で討論議論し、改善していく一つの項目ではなかろうかというふうに思いました。
 まとめですけれども、今回、2009年の推計年間輸血者数というものを行ったところ、100万人強であるということがわかりまして、これは少し増加傾向にあるということがわかりました。特に、500床以上の大規模病院で増加していると。
 それから、輸血管理体制というものは、着実に進んでいるということがわかりました。
 都道府県間の血液使用量には、いまだ大きな差があることがわかりまして、合同輸血療法委員会が設置されている、されていないということで、血液の使用状況、それから管理体制を見たんですが、まだ明確な相関関係はないようであります。
 しかしながら、経時的なものを見ますと、合同輸血療法委員会が設置されている都道府県の方が、血液使用量の増加傾向が少ないように思われました。
 ということで、今回全体のアンケートでまとめましたのが、地域による輸血管理体制、血液使用状況には差が認められるということと、合同輸血療法委員会というのは、今後の活動に期待されるということです。
 以上です。
○田中参考人 続きまして東京医大八王子医療センター田中の方から、資料D-3の説明をさせていただきます。
 私の方では2009年の10月に行いました、アルブミン製剤についての緊急調査並びに輸血管理料についての調査結果について、御報告いたしたいと思います。
 図1では、「輸血部・検査部でアルブミン製剤を管理している比率」を示しています。どの規模の病院でも、2005年以降、徐々に増えているという傾向が見られます。
 図2で「アルブミン製剤の使用状況を把握している比率」を見ていただきますと、管理はしていないんですが、使用状況、データ等をもらって把握しているということですが、これを見ると、2006年以降急激に上がって、更にそれ以降も上がっているという状況です。これは2006年に輸血管理料の診療報酬への収載がありまして、その中にアルブミン製剤の使用状況を把握しているということが、条件の一つに加わりましたので、そのことが影響しているものというふうに思います。
 次に図3ですけれど、アルブミン製剤の採用を決定するのがどこの部門なのかということを調べましたところ、どの規模の病院でも圧倒的に薬事委員会で採用を決定しているということでありまして、輸血部門での採用決定は非常に少ないという結果でありました。
 図4~図6までは、それぞれ5%、20%、25%製剤のそれぞれの種別の総使用量の推移を示しております。2008年から2009年にかけて、各規模の病院での総使用量の推移であります。5%製剤につきましては、国産のところを中心に御説明いたしますが、小規模、中規模ではほぼ変化はないんですが、大規模ではわずかでありますけれども、1.3%程度ですが、国産の使用量が減っているという状況でありました。
 次の図5ですけれども、20%製剤の使用量推移を見ています。こちらでは、小規模、中規模の国産の割合はそれほど変わらない。変わらないといっても、もともと80%以上のシェアをこの製剤は占めているんですけれども、大規模病院のみ若干低下しているということでありました。
 次に、25%製剤につきましては、こちらはもともと国産のシェアが高いのでありますけれども、こちらは大規模病院ではむしろシェアが拡大して、国産の割合が増えております。ただ、小規模と中規模では若干減っているという状況でありました。
 次の図7では、先ほどの議論でもちょっと出ましたが、DPCを導入している病院とそうでない病院とで、国内自給率の平均値に差があるかというのを見たんですけれども、やはり差があるということでして、どの規模の病院でもDPCを導入しているところでは、自給率が低いという結果でありました。特に大規模では約20%程度、2割ぐらい差があるということです。
 次の図8では、手術室とそれ以外の部門での国産の製剤の使用量に差があるかどうかということで、自給率の差異を見たんですけれど、手術室ではDPCを導入している病院でも出来高算定ができるということで、手術室での使用とそれ以外のところでは、差異がある可能性があるのであえて調べてみたわけですけれども、差異がある。手術部門とそれ以外の部門で差異があるというところでは、やはり自給率が低いという結果でありました。これはどの規模の病院でも同じであります。
 次の図9については、ここからはインフォームド・コンセントの有無による差異を見ております。まず、図9では、原料血液の採血国についてインフォームド・コンセントしているかどうかということで、それぞれの病院での差異を見ています。
 常に実施しているという白い棒はどの規模の病院でも20%前後というところで、不実施、全くしないところが圧倒的に多いという現状であります。
 図10では、原料血液の今度は献血、非献血の別について、インフォームド・コンセントをとっているかという結果でありますが、これもほぼ同様でして、各規模の病院とも献血、非献血のインフォームド・コンセントをとっている施設は約2割と、圧倒的にとっていないところが多いという結果であります。
 では、次の図11ですけれども、図11と12は原料血液の採血国のインフォームド・コンセントの有無、並びに献血、非献血のインフォームド・コンセントの有無が、アルブミン製剤を管理している部門によって差異があるかというのを見たんですけれども、輸血部、検査部、薬剤部、その他と分けて調べましたが、管理部門の差異はほとんどないという結果でありました。
 次に図13をごらんいただきますけれども、こちらでは原料血液の採血国について、インフォームド・コンセントの有無別に使用製剤の差異を見ておりますけれども、やはりインフォームド・コンセントをとっているところの方が、それぞれ国産の使用割合が高いという傾向であります。それほど差がないところもありますが、5~15%ぐらいの差があるという結果でありました。
 図14では、原料血液の献血、非献血別にインフォームド・コンセントの有無別の使用製剤の差異を見ておりますが、これも同様です。インフォームド・コンセントをとっている方が国産のシェアが高いという傾向でありました。差異は約10~15%ということであります。
 図15をごらんいただきますけれども、こちらは採血国についてインフォームド・コンセントをしているところとしていないところで、国内自給率に差があるかを見ておりますが、やはりインフォームド・コンセントをとっている方が自給率が高いというところが示されております。
 図16については、大規模病院だけを対象にしておりますが、これを自給率が0~1まで、順番に各病院をプロットをいたしまして、2008年から2009年までの差異を調べています。これは全部で152病院あるんですけれども、全部示しますと見えにくいので、0と1とは除いて、91施設について上位3分の1、中位3分の1、低位3分の1と分けまして、細かく示したのが図17~図19まででありますけれども、まず図17では、2008年の自給率が下位3分の1の施設で、2008年から2009年にかけてどのように変化しているかということを示しています。減っているところと増えているところ、拮抗しているような状況が見受けられます。
 図18は中位3分の1の施設についての変化を示しておりますが、これも多少増えているところと減っているところとありますが、36施設目などは、かなり20%以上下がっている施設もございます。
 図19については、上位3分の1の施設についての変化を示しておりますが、ここで特徴のあるのが、太い矢印で示しました2施設です。これは2008年が90%、100%と非常に高かったんですけれども、2009年は棒がない。つまり0%になっております。恐らく病院の使用方針の変更があって、外国産のみに切り替えたと思われる施設であります。
 今までの変化があった91施設について、変化率と全体への寄与率を図20で示していますが、こちらでは減った施設が左側の棒グラフ4つ、増えた施設が右側の3つということで、先ほどの80%以上減った2施設で、減った総量の19%を占めております。20~30%減ったのは5施設でその5施設で25%を占めているということで、かなり変化率が高い施設が多いとそれだけ影響も大きいということを示しています。
 また、右側の棒グラフで増えた施設を示していますが、増えた施設は全体的にはそれほど多くないということです。
 次に図21と22をごらんください。21と22では、自給率が減少した施設並びに増加した施設でどのような特徴があったか。どのような病院としての輸血医療に対する取組みがあったか、なかったかということを示しております。
 まず減少した施設では、左側の棒グラフが全施設の平均値でして、右側の棒グラフが減少した施設での平均値です。こちらを比較しましたところでは、ここに書いてある4項目で、輸血症例に対する症例検討、評価システムの導入、専任医師並びに輸血担当技師の任命などが少ないという傾向が見られました。
 図22では、増加した施設の特徴を示していますけれども、こちらで多く取り組まれていた事項としまして、輸血部・検査部でのアルブミン製剤の管理やアルブミン製剤輸血部移管、また査定状況の検討や医師への情報の周知、評価システム導入などが、客観差異がある事項として挙げられています。
 以上がアルブミン製剤の報告でありますけれども、図23からは、輸血管理料の状況について御説明します。まず図23については、過去4年間の輸血管理料の取得状況の推移をお示ししています。小規模、中規模、大規模と分けてお示ししていますが、中規模病院と大規模病院については、管理料の取得率が年々上がっております。ところが小規模病院については、2008年から対象施設が変わったので、若干その影響もあるかもしれませんが、全体として見ると、管理料の取得率が下がっているという状況が見受けられます。
 中規模病院と大規模病院で管理料が取れないという施設での理由としては、A/R比というのは、アルブミンとRCCの比率の方が引っかかっての取れないという理由が多いんですが、小規模病院についてはそういったFFPやアルブミンの数値基準ではなくて、その他の問題、恐らく輸血管理体制の問題だと思うんですが、そちらが問題になっているということでした。
 次の図24以降は、FFPとRBCの比率並びにアルブミンとRBCの比率で大規模病院と中規模病院におきまして、このグラフの見方としては、横軸で各病院のFFPとRBCの比率を示していまして、その病院での1病床当たりのFFPの量並びにRBCの量というのをお示しております。
 図24につきましては、緑色のFFPがFFP/RBCが1ぐらいまでは、FFPの量が増えるほどFFP/RBCもが上がるという形になっておりますけれども、1を過ぎますとどんどんFFPの量が増えるかといいますとそうでもなくて、赤いRBCの量が若干少ないために、比率として増加しているという施設が見られるという状況であります。
 図25については、もう少し焦点を絞りまして、FFPとRBCの比率が1.5までの施設についてプロットしてお示ししております。やはりFFPとRBCの比率が1までは、FFPの量が増えているという傾向が見られるんですが、1を超えて1.5までは横ばいないしは減っておりまして、この点については、若干FFPとRBCの比率という問題がかぶっているということが見受けられます。
 次は図26については、中規模病院についてのグラフでありますけれども、これも大規模と余り変わらない状態であります。
 図27については、FFPとRBCの比率が2までの施設の状況を示しておりますけれども、やはり1を超えてどんどんFFPが増えている施設がありながら、さほどFFPの量は多くないんですけれども、RBCの量が少ないために比率が増加している施設もあるという状況でありました。
 図28からは、アルブミンとRBCの比率を示していますけれども、まず図28では、大規模病院でありますけれども、アルブミンについてはFFPと若干異なっていまして、アルブミンとRBCの比率が多くなるほど、アルブミンの量も実際の使用量も多いという傾向になっています。
 図29については、特に使用量が多い施設におきまして、低張アルブミンと高張アルブミンとありますので、低張5%、高張は20%、25%と両方合わせてお示ししておりますけれども、どちらの使用量が多いのかというのを示していますが、ほぼ同じという施設もありますけれども、総じてこのピンク色でお示ししております高張アルブミンの方の使用量が多いという傾向が見られております。
 図30につきましては、中規模病院の比率を示しておりますけれども、中規模病院につきましても、アルブミンとRBCの比率が4ぐらいまでは、アルブミンの使用量が多いほど、アルブミンとRBCの比率も高くなっているという状況が見られております。
 こちらの中規模病院につきましても、使用量の多い施設について、低張と高張と分けて、どちらが多いのかというのを調べたものが、図31にお示ししているところでありますけれども、こちらでもやはり中規模病院でも使用量の多い施設については、多くは高張アルブミン製剤の使用量が多いという傾向が見られております。
 以上ですけれども、今回のアルブミンの緊急調査でわかりましたことは、まず低張製剤の国産由来のシェアが非常に低いということです。そして、それも2008年から2009年にかけては、大規模病院で少し下がっているということで、低張製剤に対する対策が何らか必要かなというところが見受けられます。
 また、インフォームド・コンセントについても、実際にとっている比率は、採血国についても、献血・非献血の別についても約20%でありまして、現状が少ないということでありました。
 輸血管理料につきましては、中規模、大規模では、徐々に努力のかいがあって取得している施設の割合が増えていますけれども、小規模病院で増えていないというところが問題でして、その他の理由ということで、具体的な理由ははっきりわかっておりませんけれど、この理由を把握する必要があるかもしれません。
 そして、FFPとRBC並びにアルブミンとRBCの比率を見ますと、各施設で特徴があるんですけれども、アルブミンにつきましては使用量が多いほど、原則としてはアルブミンとRCCの比率が高くなっている状況でして、特に使用量が多いところでは、高張製剤の使用が多いという結果でありますので、こちらの方を検討する必要があるということであります。
 以上です。
○高橋座長 どうもありがとうございました。膨大なデータを要領よくまとめていただいて、委員の先生方から、この牧野先生、田中先生の御説明に関して御意見、御質問があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 種本先生。
○種本委員 図8なんですけれど、今のアルブミンの件の図8の説明で、手術室とそれ以外の出来高算定ができるところとそうでないところで差異があるかという問いで、差異があるというところの方が国内自給率が低いですよね。これは差異があれば、手術室のときには高額のものを使って国産のものを増やせるわけで、逆のような気がするんですけれども、これはむしろ差異がないというところの方が、全く病院経営のことを考えていなくて国産を使っているという理解でよろしいんでしょうか。
○田中参考人 これが質問事項が、差異があるかないかということしか聞いていなくて、具体的にそれが手術室の使用でもって国産を多く使っているかということの質問内容になっておりませんので、済みません。具体的な状況までは把握できておりません。
 ただ、一応質問の意図として考えましたのは、手術室では出来高算定ができるというところで、手術室では少し国産割合を増やし、それ以外の部分では余り国産を使わない。
 つまり経営にうるさいというんでしょうか、割と使用状況についてアルブミン製剤の国産、海外産の使用について、病院としての方針を持っているというか、介入している施設とそうでない施設とで差があるかないかを見たいというふうな目的で、この質問をつくったものであります。
○種本委員 であれば、むしろ差異なしという施設の中で、先ほどお示しいただいた、どこかの施設で、年度によって、国内産が0になっているところがありましたね。ああいう施設、極端なことをやっておられる施設を分けて統計をとれば、国内産と国外産の価格をそろえることで、国内に導けるというデータが出せると思います。
○田中参考人 ありがとうございます。
○高橋座長 三谷先生。
○三谷委員 アルブミン製剤のことなんですけれども、やはり自給率を考える際に、DPCの問題は無視できないと思うんですが、アルブミンの使用を考えた際に出来高として使用されたものと、DPC下で使用されたものの比率はわかりますか。
○田中参考人 それは質問項目に入っていなくて、データとしてはありません。申し訳ありません。
○高橋座長 そのほかいかがでしょうか。益子先生。
○益子委員 血液製剤の中の免疫グロブリンのデータの図27なんですが、ほかの血液製剤と比べて、免疫グロブリン製剤が、茨城、福井、岐阜、山口という4県で突出して多いんですが、これは原因はどのように考察されていますでしょうか。
○牧野参考人 この4つの県が本当に飛び抜けて多いということで、例えば血漿交換とかγグロブリンの大量療法とか、そういうのが非常に多かったのかどうかというのがちょっとわからないです。どういう疾患に使ったかという、疾患の区別が全くつきませんので。
 しかしながら、この4つの県というのは、飛び抜けて多いですので、ちょっと詳細を検討しないといけないと思っています。
○高橋座長 佐川先生。
○佐川委員 田中先生、アルブミンの件で、インフォームド・コンセントを実施している割合は、どのような統計でも20%ぐらいですよね。80%のところでやられていないんだけれども、なぜやられていないかということに関する、それ以上の質問項目とかデータはありますか。
○田中参考人 なぜやられていないかということについては、質問項目は今回はありませんでした。ですので、はっきり現状でお答えしかねます。
○佐川委員 事実としてやっているところはもう20%だということですね。
○田中参考人 はい。
○佐川委員 ありがとうございました。
○高橋座長 そのほか、いかがでしょうか。大戸先生。
○大戸委員 図4と図5、6の差で国内製品が競争力があるのと、それから5%製剤では競争力がないというのは、何か原因がわかるか教えてください。
○田中参考人 原因までは調べる質問項目でなかったので、ちょっとわかりかねるんですけれども、自院の例などですと、やはり海外産の5%製剤の導入時期が早かったようなので、それがずっと今でも尾を引いているところがありますので、5%製剤、海外産献血由来の販売時期と院内の導入時期が、関係している可能性はあろうかと思います。
○高橋座長 事務局の方からお願いします
○血液対策課需給専門官 今の5%製剤、それから高張製剤、20%、25%の差異でございますけれども、私ども手持ちのデータでは、現状の全体の平均の国内自給率は今58%ぐらいでございます。少し前は60%ぐらいでありましたけれども、等張製剤については非常に低い、14%とかそのぐらいでございました。高張製剤は逆に80%ぐらい。
 大きな要因として、国産のアルブミンの中で、等張製剤をつくっているところが4社のうち2社しかない。現状で化血研さんと日赤さんの方が供給できていない状況でございますので、こうしたことが大きな要因ではないかというふうに考えています。
○高橋座長 どうぞ、兼松先生、お願いします。
○兼松委員 長崎大学の兼松でございます。
 やはり血液製剤を使うからには、その対象となった疾患、どれくらい地域差があるのかというのが非常に重要なことだと思います。また治療方法、どういう目的で使ったかという、手術で使ったのか、あるいは出血の救急のために使ったのか。先ほどおっしゃったような血漿交換で使ったのか。現在の病態を改善するために使ったのかというようなことで分析すると、どこの部分を適正化していけばいいかということが、かなり現場としては明らかになるのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○牧野参考人 ごもっともだと思います。血液製剤をどういう疾患にどれぐらい使っているかということが、年度別にわかってきますと、やはり非常に大きな情報になってきて、今後の予想に非常に有用だと思っています。
 今回のこのアンケート調査の中では、疾患、目的、そういうものが入っていなかったものですから、考察できないんですが、今後、アンケートの中で目的というものを追加することによって、もっと詳しく解析できるかもしれません。
○兼松委員 ありがとうございます。
○高橋座長 難波江先生。
○血液対策課課長補佐 今の兼松先生からの御指摘の点でございますが、以前の調査で、一度どのような疾患にどのような製剤が使われるかというのを把握した経緯がございますが、大変な作業でございました。記入者負担の軽減から、昨年の調査にはそういったものは入っていないのですが、以前やってから大分時間が経っておりますので、今年度はまた調査を行う予定ですので、その点についてどのようにできるかというのは工夫してまいりたいと思います。
 それから、佐川先生から御指摘のありましたアルブミンのインフォームド・コンセントなんですが、これは速報として12月の血液事業部会にも、一度報告させていただきましたが、アルブミン製剤を投与するということ自体のインフォームド・コンセントについては、8割以上の病院でやられていると。ただし、内容で採血国別であるとか、献血、非献血の違いについて、そこまでやっているのは2割程度であったという内容でございました。
 その理由については今回の調査では把握できていないのですが、今のインフォームド・コンセントのあり方については、研究班を立ち上げまして、研究班の中でも御検討いただいているところでございますので、その辺の背景も含めて、どのようなインフォームド・コンセントができるかということを検討してまいりたいと思います。
○高橋座長 どうぞ、河野先生から。
○河野委員 合同輸血療法委員会の件でお聞きしたいんですけれど、これがある県は非常に適正な輸血に取組みがなされているような感じがするんですけれども、かなりの県でまだ委員会がないと。これはちゃんとした理由があるんでしょうか。また、これに関しては何かそういうことをしなさいというような指導はあるんでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
○高橋座長 難波江先生、お願いします。
○血液対策課課長補佐 合同輸血療法委員会につきましては、古くからあるというわけではなくて、むしろ最近の取組みと。世界的にも先進的な取組みではないかということが言われているところでございます。
 平成16年度に一度、どのような取組みが都道府県などでやられているかということを調査しまして、その時点で設置されていたのは18都道府県でございました。昨年度が32で、今年度で更に増えまして36できる予定でございます。これはあくまでも地方、地方の取組みでございますので、国としてはこういった先進的な事例があるということをこれまでお知らせしまして、またその活動をサポートするという意味でも、後ほど御紹介させていただきますが、財政的にも調査に係る費用を一部国からも出させていただいて、そういったことができるような環境を整えておりますが、あくまでも地方、地方の取組みにお願いをしているというところでございます。
○高橋座長 少し追加で申し上げますと、やはり各施設の輸血療法委員会の設置の有無ということで、いろいろ調査をしたこともございますが、それ以上にどのくらいの活動度、実効が上がっているか。そういうことが差異に結び付くわけでございます。この合同輸血療法委員会に関しては、例えば東京都などはないということになっているんですけれど、実質的に類似のことが行われているというようなこともあります。あるいは設置しているけれども、まだ十分機能していないというようなところもあるので、なかなか解析は難しんですけれども、牧野先生が先ほどおまとめになったように、やはり前後の変化に勢いがついて適正化に進みつつある。大きく見ればそういうところではないかというふうに考えています。
 佐川先生、お願いします。
○佐川委員 牧野先生に質問です。この3年間ほど、輸血した患者数自体が年々増えていること、それから大規模病院にそれが顕著であるということ、この2つの要素から、冒頭に説明されたこの3年間は、右肩上がりで全国の使用量が増えているということが、今の牧野先生のデータで説明されたように思うのですが、先生はどのように思われますか。
○牧野参考人 恐らく血液使用量が増えた、すべて大規模病院での輸血実施患者が増えたということだけでは説明ができないとは思うんですが、一因だとは思っています。
 昨年1年間に、日本全体で血液を使用した血液の使用量の多い順に各病院を並べた場合に、上位100施設の中の62施設が国立病院でした。やはり大規模病院に患者さんが集まる傾向が出てきているのではないか。つまり、小規模施設での、例えば医師不足とかそういうものが拍車をかけて、大きな病院に医者が集まるし、患者も集まってくる。
 そこで、血液の実施する患者も増えてきているということが、一因としてあるのではないだろうかというふうに思います。
 ただ、そればかりではなくて、非常に多くのファクターが作用しているようには思います。
○高橋座長 稲田先生。
○稲田委員 一番最初の質問のところで、今、輸血用血液の使用量が増えているという原因で、一つとしては患者数の増加とともに、もう一つは適正使用が不十分ではないかということで、例えば例えばD-2の図1の資料を見ると、実際に推定される患者数というのは10%以上の増加。先ほどの88万、90万、103万という輸血患者の伸び率からいっても、そうするとこれはむしろ適正使用は進んでいるといった見方ができるのか。あるいは実際の回答数から見ますと、七千数百のうち、実際の回答率は30%程度で、このところで示されている施設は454と更にまた4分の1ぐらいということで、全体から見ると非常に少ないところの推計で、そういった前提のもとに話を進めていいのかというのが、私の第一の質問です。
○牧野参考人 はい。ごもっとものことだと思います。2005年、2008年、2009年と3回行っているのですが、そこで回答してくださった施設の数というのは、最初が4,300程度、それから次が3,000台、今回は2,000台と1,000ずつ減ってきている。そういう状況の中で、同じ頻度とかそういうことで、実施の患者数を算定するというのは、非常に危険だろうというふうには思っています。
 そういうのがありましたので、全く同じ施設の中でどうかと。まだ少ない、400、500ぐらいの施設ではあるんですが、その中で患者数は増えている。1ベッド当たりの患者数は増えているのかという一つの傾向を見たところ、やはり増えてきているというのがわかりましたので、今回、計算上ではあるんですが、2008年、2009年の患者実数というものが、増えてきているということを一つのサポートするデータとして用いました。
 ですので回答率が少ないというものを使っていますので、リスクは当然御指摘のようにあるかと思います。何とか回答率は増やすような努力というものも、ひとつ考えていかないといけないだろうなというふうに思います。
○高橋座長 確認ですが、最初の秋山さんからのテーマであって、使用量の増加は患者数の伸びなのかどうかということです。患者数は確かに伸びているけれども、それに比べて適正使用は検討していて、何とか使用量の伸びはそれほどではないという結論でよろしいでしょうか。
○牧野参考人 患者数の伸びは、明らかに10%近く伸びているというのがあると思います。あと例えば1人当たりの使用量ということに関しましても、1ベッド当たりの使用量というのは、当然患者数が増えてくると増える可能性があるんですが、適正な血液使用ということを考えますと、やはり輸血管理体制が整ってきている環境がまずあるということが、一つ。
 それから、先ほど赤血球とか血小板とか血漿とかの使用量を見たときに、最もたくさん使う都道府県と最も少ない都道府県の差というものが、実は徐々に減ってきているんです。その差が減ってきているということは、ひとつ適正輸血が実施されてきているのではないだろうかという、一つの予想はできるかと思います。
 ですので、今回使用量が増えてきているのは、適正使用がうまくいっていないというそのために増えているということではないんじゃないだろうか。なかなか適正使用を示す検査データというか、アンケートのデータというのがないものですから、予測になってしまいますけれども、そういうふうに考えています。
○高橋座長 稲田先生、お願いします。
○稲田委員 もう一点は図12、1病床当たりの血液使用量ということが出ているわけです。先ほど疾患別で分けるのは難しいということがあったと思うんですが、ただ、病院に関しては、例えば救命救急センターがある。あるいは心臓血管手術があるといったところ、いろんな病院の区分がされていて、こういった都道府県の中でそういった非常にハイボリュームのところがどれくらいあるかといったことについてのデータはおありになるんでしょうか。
○牧野参考人 そこもなかなか詳しいものはないんです。
 図12を見て広島、東京は使用量が多いんだなというふうに思うんです。実際は人口10万人に対する、例えばこういう輸血をする一般病床数といるものは、地方によってかなり差があります。例えば東京はかなり少ないんです。10万当たりの一般病床数は少ない。逆に高知とか九州は多いんです。
 ですから、1病床当たりの使用量という形にしちゃいますと、ちょっと不公平なところが出てきますので、こういう形になるんですが、今回のアンケート調査では使用の目的というものは、余り考慮していませんので、やはり救急で多く使う施設、それから血液疾患が非常に多い施設、ある程度そのあたりを加味しないといけないかなというふうに思っています。
○高橋座長 どうぞ、小山先生。
○小山委員 D-2の資料図7なんですけれども、血液使用量から見た回答率というのを平均値が56.1になっているんですけれども、このグラフから56.1は見えないんですけれども、56.1は合っているんでしょうか。
○牧野参考人 これは、日赤から各都道府県に供給される血液の量は、はっきりデータとしてあります。今回回答されました各都道府県で使われた血液のトータルの量というものを分子にして、分母が日赤から供給された、全血液製剤というものなんですが、これで56.1になるか、そうですね、何かならなそうですね。
○小山委員 問題は、平均で見ると40%を割っているぐらいの量じゃないかと思うんです。それをもってしていろんな使用量の議論を進めることに、少し危機感というんですか、危険な感じがしてならないんです。もうちょっと、せめて6割とか7割ぐらいのもののデータを持ってくれば、これはと思うんですけれども、恐らくこれを見ると、半分以下じゃないと思うんですけれども、どうでしょうか。
○牧野参考人 済みません。同じような計算をしますと、2005年の統計では83%ぐらい。2008年がやはり64~65%でした。ですからこれぐらいの回収率であれば、非常に説得力があると思いましたけれども、今回のががくんと下がっておりまして、ちょっと出すのを何とかいい感じで見えないかなと思って書いたところです。
 やはり回答率をもっと上げる工夫というか、努力というのはしていかないといけないだろうなと思います。
○榎本委員 いいですか。左のグラフは、座標は施設ベースのパーセントで、56.1は製剤ベースのパーセントだと解釈したんですけれども、違いますか。いずれにしても低いですね。
○佐川委員 今、小山先生が言われた56.1%というのは、このアンケートに答えてくれたすべての施設が使用している血液の量は、その年度に全国に供給されたうちの56.1%だけは捕捉していると。このアンケートは、56%の日本の輸血の実態を反映しているんだとそういう意味ですね。
○牧野参考人 この縦棒のグラフは各都道府県における使用量の話ですので、若干この56.1%が示しているものは、ちょっと違いますけれども。
○血液対策課課長補佐 恐らく図7のバックグランドの棒グラフというのは、図5そのものではないかと思います。
○高橋座長 非常に大分な資料ですので、議論をし出すと相当のものがございます。
 それから、昨年のこの会議でアルブミンの自給の議論があったときに、実際インフォームド・コンセントがどこまで正確になされているかという議論があって、それを踏まえて緊急調査をやって、先ほど田中先生が御説明くださったように、実質的には内容を伴うインフォームド・コンセントは2割であると。そういうことが判明したわけですね。それで、ステップ・バイ・ステップでどんどん進めていくことが大事かなと、そういうふうに考えます。
 このアルブミンの件で、献血、非献血の別、国産、外国産の別というのは、厚生労働省としても通知で依頼していると思います。それから、血液法の中に、血液製剤の安全性に関する情報の収集と周知というような文言が、医療従事者の責務として規定されていると思うんですけれども、本当のところ、ぎりぎりだと思うんですけれども、直接的に彼我の差が相当あるという現状では、実質的にはないと思うんですけれども、使用される患者さんの側からすれば、献血、非献血の別、あるいは国産、外国産の別というのを、周知されるというのは望ましいことは明らかなので、そういう点を切り口にまたもう少し工夫をしていけばいいのではないかと、私は思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○血液対策課課長補佐 献血、非献血の違い、それから採血国の表示については、平成15年の薬事法改正の際に、国会の付帯決議として表示義務として薬事法上位置付けられたものでございます。
 それを施行した際には、当然これは患者及びその家族の選択の機会を確保するためのものということと、ただ、これが安全性に優劣があるということを意味するものではないということを併せて、医療機関など、地方自治体、業界団体などに通知させていただいております。
 この調査結果を踏まえまして、昨年度の血液事業部会でも御審議いただきましたが、改めてこれをお願いをするのか。一方で現場の方からは、実施状況が20%程度ということで、実際に忙しい中でどこまでそれができるのかといったお話や、実際に安全性に優劣のないものをどのように説明したらいいのかというようなお話もございましたので、現時点で改めて通知を出すということはやっておりませんが、先ほど秋山からも申しました、血漿分画製剤に係る検討会、それからまた研究班での研究状況を踏まえまして、対応を検討してまいりたいと考えています。
○高橋座長 大分さまざまな御議論をいただいたところですけれども、今までの議論、それから今後の検討、更にそれを踏まえた調査が、また今年度実施予定ということですので、是非効果的な調査を実施していただいて、それをまた反映させる格好の施策につなげていただければと思います。
 それでは、議題5に移ります。「『輸血療法の実施に関する指針』及び『血液製剤の使用指針』の改正案について」、事務局及び参考人の松本先生から、資料の御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 そうしましたら、資料E-1とE-2をごらんください。
 この両指針につきましては、これまで複数ございました血液製剤の適正使用に関します基準ですとかガイドラインなどを整理いたしまして、平成11年6月に医薬安全局長通知の別添といたしまして発出しております。これまでにも、その時々の最新の情報ですとか知見などを参酌いたしまして、今日まで改正を重ねております。
 直近の改正は、平成21年2月に行っております。
 本日は、日本輸血・細胞治療学会輸血療法委員会から、奈良県立医大の輸血部、松本先生にお越しいただいておりまして、輸血学会で取りまとめていただきました改正案の内容につきまして、御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○松本参考人 奈良医大輸血部の松本と申します。
 私は輸血・細胞治療学会の適用と基準小委員会というところで、輸血療法の実施に関する実施指針と血液製剤の使用指針、以下使用指針と略させていただきますけれども、その2つを改訂するようにということを仰せつかって、この1年ほど改訂案について、学会員の先生方及び学会外の先生方にも意見を聞いて、取りまとめをさせていただきました。
 それがE-1とE-2なんですけれど、それぞれ表紙に概要をつけさせていただいて、その次から対比させたものをつけてありますので、それを御説明させていただきたいと思います。
 まず、実施指針の方からいきたいと思うんですけれど、責任医師につきまして、今まで簡単に述べてあったんですけれど、それをもう少し具体的な責任のあり方といいますか、どういうことが必要であるかということを記載させていただきました。
 次に、GVHDのことなんですけれども、最近は未照射でGVHDが起こっているという報告もありますので、それをもう少し詳しく書くということで、照射の対象製剤を「リンパ球を含む輸血用血液製剤」と書かれていたんですけれども、それを「FFPを除くすべての血液製剤」ということに、もう少しわかりやすいように修正させていただいて、院内採血もGVHD予防のために放射線照射を行うということを記載させていただきました。
 また白血球除去、これはLR製剤で白血球が除去されているわけですけれども、それのみではGVHDを防止できないということをはっきりと記載させていただきました。
 2ページ目の下の方になりますけれど、血液型検査、不規則抗体スクリーニング、いわゆる輸血検査なんですけれども、これは原則として患者の属する医療機関でやるということが、今でも記載されているんですけれども、患者の属する「医療機関等自施設内で実施できない場合には、専門機関に委託して実施する」という文言を加えさせていただきました。
 続いて3ページ目、不適合輸血の防止のために、のところなんですけれど、頻回輸血患者では1週間に1回程度不規則抗体スクリーニング検査を行うということを追加させていただきました。3ページ目の一番上です。
 続いて、緊急輸血時なんですけれども、今までもこのことは書いてあったんですけれども、「O型赤血球の使用」というふうに書かれていたんですけれども、それを照射O型赤血球の使用と修正させていただいて、またO型RhD陰性血が入手できないときには、陽性血を使用するということも書かせていただきました。
 続きまして、3ページ目の一番最後から4ページ目にかけてですが、大量輸血時ですが、これは少し訂正があります。3ページ目の一番下にAB型のところを加えさせていただいたんですけれども、「A型はもしくはB型を第いろいろな選択とし、どちらの」となっていますけれども、「どちらも入手できない場合にO型を選択する」とさせていただきたいのと。
 その参考文献として、「危機的出血対応ガイドライン」を挙げさせていただいているんですけれども、これを次に5学会とかいてあるんですけれども、この5学会を提唱したのは、産科的危機的出血の方ですので、これは間違いでして、「危機的出血対応ガイドライン」は、日本麻酔学会と日本輸血・細胞治療学会の2学会の方から出ておりますので、最初の3学会は消去していただきたいと思います。
 大量輸血時はそういうことで、AB型ではOABを並列で今まで書いていたんですけれども、AまたはBを優先するというふうに、今のように訂正させていただきます。
 続いて、4ページ目の中ごろなんですけれど、外観検査ですけれども、外観検査項目として溶血の色調変化とスワーリングなどを具体的に加えさせていただきました。
 4ページ目の患者検体の保存ですけれども、輸血前の検体としてどのようなものを保存するかということを具体的に書かせていただいたんですけれども、「輸血実施後に感染症検査を確実に行うために、未開封の分離剤入りの採血管に保存した検体を遠心後、-20度以下で2年間程度保存することが望ましいが、困難な場合は、輸血前に交差適合試験等で使用した血清あるいは血漿約2mlを-20度以下で2年間程度保存してもよい」とするということにさせていただきました。
 続いて、5ページ目の副作用ですけれども、遅発型の溶血について詳しく説明させていただきました。また、最近、輸血関連循環多負荷、TACOというふうに我々は呼んでおりますけれども、TACOについても注目されてはっきりしてきておりますので、その説明を加えさせていただきました。
 続いて6ページ目、遅発性副作用についてここで修正させていただきました。これは輸血感染症の確認の話なんですけれども、「輸血による感染を確認するため、輸血前に感染症検査が実施された場合でも、輸血前検体を必ず保管する」。「輸血後検査は、輸血を受けた患者すべてに別表に掲げる検査を行うこととするが、一部困難な場合」云々という形のように改訂させていただきたいと思っています。
 続いて7ページ目、院内採血ですけれども、現在でも特に離島とか僻地でないところで院内採血が行われてGVHDが起こったというような事象があるようですけれども、もう少し今の記載を厳しくさせていただいて、特別な事情がない限り行うべきではないから、必要となるのは限られた場合であるという形で記載を変えさせていただきました。
 最後に8ページ目、最近、我々のところでもよく経験するんですけれども、非常に強い免疫抑制をかける場合がありますが、その場合、特に血液疾患などで輸血が行われることが多いんですけれども、輸血後にB型肝炎が起こって、それが輸血によるものなのか、免疫抑制でB型肝炎が再燃したのかということが、よく議論になるんですけれども、そのことについて、日本肝臓学会の方からガイドラインが出ておりますので、そのことを記載させていただいて、参考3という形で追加させていただきました。
 実施指針の方は以上ですけれど、続いていってよろしいですか。
○高橋座長 はい。
○松本参考人 ちょっと速足で申し訳ないですけれども、続いて使用指針です。使用指針の方は3製剤に分かれておりますが、本当はこれについて抜本的な使用指針の項目を検討したかったんですけれど、なかなか今のところ、エビデンスがあるような使用の指針が出せる状況ではないということで、少し小手先のような変更案にさせていただきました。
 まず以前から言われているように、3製剤で使用上の注意点というのがばらばらのような書き方をされておりますので、その使用上の注意点を統一させていただきました。
 2ページの、例えば赤血球製剤では、使用法の輸血フィルターの使用と白血球除去フィルターは必要ないという記載を書いておりますが、それが血小板、FFPすべてについて、そのような記載にさせていただきました。
 また、外観検査ですけれど、検査の目的を追記した記載にそろえさせていただきました。
 血小板製剤に関しましては、4ページ目の3段目に書かれていますが、これもまた先ほどの実施指針のところでも出てまいりましたけれども、スワーリング等の外観検査をすることを追加させていただきました。
 FFPに関しましても、外観検査が必要であるということで、5ページ目の下のところに新たに追加させていただきました。
 続きまして、GVHDの件なんですけれども、赤血球製剤の2ページ目の半ばのところに白血球除去による防止は不可能であるということを追加させていただいて、血小板の項目に関しては、4ページ目の3段目でGVHDの予防の目的であることを追加させていただきました。
 続いて洗浄血の製剤についての項目についてなんですけれども、これは赤血球製剤と血小板製剤についてあるんですけれども、目的として非溶血性副作用、発熱、アレルギー等を繰り返し起こす場合、有効な場合があるということで記載させていただきました。
 結構、臨床でよく話題となるこのABO不適合輸血の取扱い、Rh不適合輸血の取扱いについて記載をもう少し詳しくさせていただいたんですけれども、赤血球製剤に関しては、ABO不適合に関して緊急時には異型輸血も考慮するということで、先ほどまとめのところ、輸血指針参照になっていますけれども、実施指針参照で先ほども述べさせていただいたように、不適合でも使っていい異型輸血というのを記載させていただいた。
 Rhに関しては、Rh陽性者にRh陰性製剤を使用しても医学的には問題はないということを、赤血球製剤に関しては、はっきりと書かせていただきました。
 血小板製剤に関して、ABOの不適合輸血に関しましては、十分な効果が期待できないことがあるということを記載し、Rhの不適合に関しましては、緊急時にRh陰性者にRh陽性製剤を使用してもよいということを書かせていただきました。これは5ページ目のところに記載してあります。
 FFPに関しましては、ABO適合輸血の取扱いに関しまして、新鮮凍結血漿の抗A抗B抗体による溶血が起こる可能性があるということを記載いたしました。
 それぞれの製剤の個別の項目なんですけれども、最後のその他のところなんですけれども、赤血球製剤は急速大量輸血の際には、専用加温機で加熱するということを2ページ目に書かせていただきました。
 また、その下の照射の有無にかかわらず、保存に伴い血清中のカリウム濃度が上昇するので注意するという項目を入れさせていただきました。
 血小板製剤に関しましては、DIC、TTP、HITヘパリン起因性血小板減少症について、情報を更新したことを書かせていただきました。
 FFPに関しましては、大量投与によるクエン酸中毒には、「必要な場合にはグルゴン酸カルシウム含有製剤を」静注するということを、6ページ目の一番上に書かせていただきました。
 この3製剤については、このような記載を追加させていただきました。
 最後にアルブミン製剤なんですけれども、これは内容について踏み込むというのではなくて、参考という形で「非代償性肝硬変におけるアルブミンの使用」ということを追加させていただきました。これは具体的には、3つぐらいあるんですけれども、1番目は「大量の腹水穿刺時には、循環血漿量の減少による、腎障害、低ナトリウム血症などの副作用を回避する目的で排液1Lあたり8-10gのアルブミン投与が有用であると報告されて」いますので、そのことを記載しました。
 2番目としましては、?T型の肝腎症候群、これは急速に腎不全が進行する方のようなんですけれども、このような場合には、「強心剤とアルブミン製剤の投与が推奨されている」ということを紹介させていただきました。
 3つ目としまして、致死的な合併症であります特発性細菌性腹膜炎に対する抗生剤のみと抗生剤とアルブミン投与群との臨床試験では、抗生剤とアルブミンを投与した方が、肝腎症候群の発症と死亡率の低減化が示されていますので、このような場合、アルブミンを使うということは有効ではないかということを紹介させていただきました。
 以上、駆け足でちょっとわかりにくかったかもしれませんが、我々の意見を紹介させていただきました。
○高橋座長 どうもありがとうございます。
 改訂してから、小改訂は、時に応じてやってきたわけですけれども、本格的な見直しが必要だろうということで、輸血・細胞治療学会の方でたたき台となる案を検討していただいた報告をいただいたわけです。
 委員の先生方は、いかがでしょうか。
 三谷先生、どうぞ。
○三谷委員 実施指針に関してなんですけれども、繰り返し問題になってきたことだと思うんですが、患者検体の保存に関しまして小児科の患者さんの場合は、やはり血清あるいは血漿の2ccを保存することがほぼ不可能なんですけれど、恐らく小児科の先生の意をくみますと、指針においても小児科はその限りではないという一文が欲しいということなのかなと思うのですが、それに関しましては、いかがですか。
○松本参考人 そうですね。別立でこういう実施指針というのが必要なのかもしれないんですけれども、小児輸血の専門家の先生方はいろいろ検討されているので、今回間に合えばお聞きしようと思ったんですけれど、少しそこはまだ提案できるところまで至っていないということなので、今回は別に2ccとらなくてもクロスマッチに使ったやつを残すという形で一応逃げ道をつくったつもりですので、そちらの方で何とかならないかなというふうに思っています。
○高橋座長 ほかにいかがでしょうか。
○益子委員 救急救命センターの立場から申し上げたいんですが、GVHDを未然に回避するということは全く大事ですし、そのことに対しての重要性というのは、十分理解しているつもりでございます。
 ただ、一方で緊急輸血を行うような救命救急センターに運ばれる重症の出血性状況の患者さんは、輸血までに10分も待てないという状況がございます。したがいまして、今まではユニバーサルドナーであるO型の未交差、未照射を入れているという現実が一方でございます。
 これを照射したO型赤血球を使用するというふうに明記されますと、照射していないものを入れたらけしからんという話になりかねませんので、そうなりますと今度は、病院の方で事前にすべての緊急用のO型の血液を照射して準備しておかなければならないということが起こると思います。
 そうした場合には、手術で輸血製剤をたくさん使うランニングストック方式のことができる大規模病院の場合ですが、それがなかなかできないで、ストックが1週間、10日と長引くようなところですと、今度は高カリウム血症の問題が当然出てこようかと思いますので、その辺を何とか照射が必須というところを変えていただきたいのと。
 もう一つ、大量輸血のとき、今までは血液型がわからないからO型という形にしていたんですが、もし患者さんの情報が事前にAB型とわかっていった場合にどうするかという問題が、もう一つ出てまいります。我々はわからないものは、情報がABであってもO型を入れているわけです。
 こういうAまたはB型を優先するというふうになった場合に、それを優先しないでO型を入れるということに関して問題はないのかという議論が出てこようかと思います。その辺はどのように対処すればよろしいのかということを御議論していただきたい。
○松本参考人 ありがとうございます。
 まず、O型の未照射の件ですけれども、私の認識では、未照射がそんなにあるとは思えないんですけれども、その辺は先生、いかがでしょうか。
○益子委員 大量出血で出血性ショックで来た患者さんに最初に入れる10単位は、未照射です。しかしその後入れる分には、もうタイプもわかりますし、照射したものがシッピングして出てくるようにするんですが、最初の10単位。
○松本参考人 先生のところの病院では、未照射のO型が結構それだけある。
○益子委員 結構だけでなく最初だけです。最初だけは使っている。待ったなしの状況、我々のところの緊急度1、2、3、4としていまして、緊急度1の場合には待ったなしの、10分で輸血したいという状況でございますので。
○松本参考人 それはクロスマッチをしないということ、未照射ということでなくて。
○益子委員 未照射プラス未交差という意味です。ですからそれを照射ということになると、あるいは日赤からシッピングしていただく段階で全部照射していただいた血液を出していただくということでよろしいのであれば、それでいいんですが、その辺はいかがでしょうか。
○松本参考人 私は全国のレベルはわからないんですけれども、私の知るところでは、夜間の救急があるようなところは、ほとんどもう照射したものを準備して、血液型は合わせないといけないですけれど、未照射血を置いているというのは、私は余り認識していなかったんですけれども、全国的にもそういうことなんでしょうか。
○高橋座長 今、松本先生が言われたのは、院内で照射施設を持って。
○益子委員 持っています。ルーチンには照射しています。ただ、ルーチンでない場合のお話をさせていただいている。
○高橋座長 多分そういう。自施設で照射している病院が昔に比べると大分減ってきて、日赤が照射したものを購入しているという施設がドミナントになったということですから、前からRh-+の問題と同じように、あるいは交差、未交差の問題と同じように、救命措置として待ったなしでやる場合、それしかない場合は仕方ないかという規定はあったと思うんですけれども、そういう格好で対応するということではないでしょうか。
 一番はっきりしたいのは、未照射を余り正当な理由がないときに使わないでほしいというそういう趣旨で書かれたんだと思います。
○益子委員 よくわかりました。
○稲田委員 これは、危機的出血への対応ガイドラインの中にもありまして、放射線照射に関しては省略化というふうに書いてあります。その一つの理由は、今、益子先生がおっしゃったように、時間的な制約があるということで、院内にそういった照射血がない場合は仕方がないということだと思います。
 私たちの調査でも未照射血を使っているところが、かなりある程度あるということで、一つは、取り寄せるときにやはり照射施設がある施設であっても、日赤から照射したものを取り寄せるということと。
 今までの事例を見ていますと、照射をしていないものを取り寄せて自分のところで照射をしてというときに、輸血オーダーがあってから照射をするようではまず間に合わないというので、とったらもうすぐに使う、使わないにかかわらず、もう照射するというようなことをお勧めしているんです。
 余り厳しい縛りがあると、益子先生がおっしゃったような問題点が現実には出てくるという気がします。
○松本参考人 わかりました。
 2番目のAB型の方ですけれども、今おっしゃったように、大量の輸血の実施指針でAB型の場合、AもしくはBを使ってOというような形のことが記載されていますので、そのようにこれも合わさせていただいたんですけれども、我々のところ、自施設も今の現状では、先生がおっしゃるように、間違ってはいけないのでO型にするようにしているんですけれども、その辺はケース・バイ・ケースというか、施設で決めておかれたらいいんじゃないかなと思うんですけれども
 その辺は。
○高橋座長 佐川先生。
○佐川委員 実施指針の件について質問します。
 質問内容は、先生が述べられた中での輸血前後の感染症検査の件です。私は以前、日本輸血・細胞治療学会のワーキンググループの一員として、現在の遡及調査ガイドラインを基盤にして作られた輸血前後の感染症検査のガイドラインは、現場のニーズと少し違うんじゃないか、もうちょっと簡便な方法がないかという立場でディスカッションをして、日本輸血・細胞治療学会の輸血前後の感染症検査マニュアルをまとめました。それは論文にもなっていますが、その柱の1つは、感染症の輸血前の検査は、あれほどのことをしなくても、もっと手術前の検査に準ずるような簡単なものでいいですよということ。
 2つ目の柱は、輸血前の検体を保管しておけば、輸血後の検査はある程度省略してもいいですよと、そういうガイドラインというか、マニュアルを出しました。今回の先生の提案されたのを見ると、以前の原則的なガイドラインというか、実施指針にのっとった形で書かれていて、余りディスカッションされていないんじゃないかなという気がするんですけれども、いかがですか。
○松本参考人 ありがとうございます。
 僕も先生のお考えと同じで、輸血前の検査はもう、はっきり言って、しなくても、検体をとっておけばいいのではないかということにしたかったんですけれども、やはり急激に変えると混乱するんじゃないかという意見が皆さんから出まして、結構、折衷案というような形になっています。
 私的には「望ましい」でとめていますけれども、結構検体保管を必ずしてほしいというような意味にとりたいというふうに思っています。
○佐川委員 というのは、前よりも厳しくなっているような印象を僕は受けたんです。ですから、現在のリスク、限度、いわゆる輸血後の感染症、特に3つのウィルスの感染症のリスクというのは非常に下がってきていますね。そういうリスクが少ない中で、これだけの労力とお金をつぎ込んで、全体的な医療のバランスがとれているのかなというのが、僕のベースにありますので、そういうことも含めて、ここはもう少し以前のガイドラインが実施されて、かなり年数が経っていて、現場の声もかなり聞こえてきますので、そのあたりを考慮した形で、もう少し何というか、実態に応じたガイドラインに見直された方がいいんじゃないかという気がして申し上げました。
○松本参考人 先生は後の方が結構厳しくなったというふうにお感じになられますか。
○佐川委員 はい。
○松本参考人 極論をすれば、前も後も検体保存をしておけばいいんじゃないかという考えもあると思うんですけれども、後の方が、各施設とも今のガイドラインでやっと動き始めたのに、そこで変えるのかという意見が、何人かから聞かれましたので、結構そちらの方が抵抗があるのかもしれないんですけれども。
○佐川委員 更に追加して申し訳ないんですけれども、検査項目自体も、縦断爆撃的にもう何もかもやっているという感じがするんです。ここまでやらなくていいんじゃないのという気もあるので、検査項目についての検討も、もうちょっと見直してほしかったなという気がするんですけれども、いかがですか。
○松本参考人 ありがとうございます。なかなかその辺まで踏み込みたかったんですけれども、今の検査がかなり浸透してきたということをおっしゃる先生が多くて、この時期に変えるのは得策ではないというふうに、数人の先生から言われましたので、そこで余り踏み込まなかったという経緯があります。
 是非その辺も検討させていただきたいと思います。
○高橋座長 兼松先生、お願いします。
○兼松委員 資料E-2の6ページ目をお願いいたします。今回新たにできました非代償性肝硬変でアルブミン使用というということですが、私も肝臓を専攻しているものの1人として、先ほどの御説明で1、2、3という大量の腹水、あるいは肝腎症候群、それから特発性細菌性腹膜炎というところの御説明がございますけれども、内容としてはこれはそのとおりだと思うんですが、指針としては少し詳し過ぎるのではないか。
 例えば数値が入ったりして、ここに有名な雑誌の引用文献がありますけれども、確かにそういうことが出ているかもわかりませんけれども、細かい数字、例えば何グラムとか、抗生剤の名前とかない方が、指針として一般には受け入れやすいかなと思います。その参考としましては、日本消化器病学会のガイドラインでこういうこともございますので、そういう総論的なといいますか、というところでの指針であれば、ちょっとよろしいかなと。
 最初の説明のところで、アルブミン血漿が高度、2.5g/dl以下のときには云々というようなことがございますけれども、これが一応現在の保険診療の適用になっているかと思いますので、そこら辺のところ、読む人が保険適用とそうでないところとの区別といいますか、そうところもちょっと配慮した記載をしていただければ、大変ありがたいという感じをいだきました。
 どうぞよろしくお願いします。
○高橋座長 稲田先生。
○稲田委員 不適合輸血、先ほど益子先生が御指摘になったところですが、ここで最初の実施に関する指針のところの3ページで、ABOの問題のところ、血液型が確定している場合ということで、血液型が確定しているのをどこでとるかというので、一度の採血での確定なのか、あるいは二度の採血での確定なのか、この辺はかなり怪しいところがあるだろうというふうに思います。
 もう一つ、それに関連して、新鮮凍結血漿、こちらは使用指針の方になるんですが、6ページ目のところで、まず同型のというところで、次にABO血液型不適合のを使用してもいいという書き方になっていますが、これをしますと、この前のように例えばO型の新鮮凍結血漿を使用してしまうということもあるので、この辺もわかりやすいように、ABならAB型のものをまず優先するというような書き方の方がいいのではないかと思います。
 指針を読むのは、普通の医師たちなので、わかりやすい表現というのが重要だろうと思います。
○松本参考人 先生、今のは、FFPはもう少し詳しく血液型を書いた方がいいという御意見と理解してよろしいですか。Aの場合はこれを使う、優先するというような大量の指針のような書き方がいいという。
○稲田委員 そちらの方が、多分誤解がないと思います。
○高橋座長 まだまだいろいろな御意見があると思います。
 不適合という表現も確かに厳しいので、例えば異型適合とか表現をちょっと工夫するとか、さまざまな要因があると思います。佐川先生や兼松先生が御指摘されたように、指針に書き込むには、どのあたりにまとめるかというような勘所もあると思います。ある程度総論的なことにして、それから、また松本先生がおっしゃったように、今までの流れ、それに伴ってエビデンスを踏まえて変えていく。そういう流れも考慮して更に追求していかなくてはいけないと思います。
 この場で出た議論だけでなく、是非、先生方にこの資料を持ち帰っていただいて、更に御意見をお願いしたいなと、そういうふうに思います。
 今後の具体的な改訂作業について、事務局の方から御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 今日御審議いただきまして、この指針(案)にはまだ幾つか問題点があるようでございます。
 この秋にまた適正使用に関する調査を行います際に、先ほどいただきました未照射のことですとか、実態の調査がどうなっているか、そのようなこともある程度踏まえなくてはいけないのではないかというふうに思いますので、またその結果をいただきまして、もう一度更にいずれかの場で御検討をさせていただきたいと考えております。
 また、検体保管に関しましても、幾つかお話をいただきましたけれども、遡及調査ガイドラインとの兼ね合いなどもございますので、その辺は安全技術調査会の方でも議論をさせていただくかもしれないということを一応補足させていただきたいと思います。
○高橋座長 昔のガイドラインのつくり方に比べると、大分手順を踏むようになって、今回は輸血・細胞治療学会がたたき台を出して、それを軸にしてまた順次検討を進めていく。
 できればはっきりしたエビデンスに基づいて、合理的な改定をしたい。そういうことでございます。ほかの議題もそうなんですけれども、ここでの議論だけではまだまだ不十分なので、お気づきの点があれば、事務局の方に御連絡をいただければありがたい、そういうふうに思います。
 それでは、最後の議題6「平成22年度血液製剤使用適正化方策調査研究事業について」、事務局から御説明をお願いします。
○血液対策課課長補佐 お手元の資料Fをごらんください。本議題は報告案件になります。
 平成18年度より実施しております血液製剤使用適正化方策調査研究調査事業につきまして、今年度も実施するという御報告でございます。今年度も各都道府県にございます合同輸血療法委員会のうち、約10を選定いたしまして、調査研究を委託する予定でございます。既に募集は始まっておりまして、締め切りを8月20日と設定させていただいております。本日の調査会の結果と併せて、改めて都道府県には周知を行う予定でございます。
 以上でございます。
○高橋座長 具体的には、これは合同輸血療法委員会の推進ということですか。
○血液対策課課長補佐 はい、そこに調査研究を行っていただくというものでございます。
○高橋座長 今の件について、委員の先生方から御意見、御質問があればお願いします。
 これはかなりうまくいっている自治体、合同輸血療法委員会の事例というのも大体集積されて、それについて国で合同委員会の合同報告会みたいな形で、毎年やっているように思うんですけれども、それがどのくらいまたフィードバックされて、各合同輸血療法委員会の参考になっているかというようなことは、どうなんでしょうか。
○血液対策課課長補佐 実施していただきました県につきましては、報告書を提出いただいております。それと併せて、すべてではないのですが、先進的な取組みということで、毎年9月に実施しています都道府県担当者の会議、その後に、この合同輸血療法委員会の会議を設けまして、そこで御発表いただいて、すべての都道府県の方に聞いていただく。またその報告書につきましても、ホームページにアップして皆さんに見ていただくということをやっております。
○高橋座長 それでは、この件に関しては、よろしいでしょうか。
 そのほか、何か全般的なことでも結構でございますが、何かございますでしょうか。
 稲田先生。
○稲田委員 アルブミンのインフォームド・コンセント、何度も何度も出てきて、ここでもう付け加えることもないと思うんですが、我々はインフォームド・コンセントのベネフィットとリスクを考えて、リスクよりもベネフィットが上回るとはっきりしないことには難しいということと、価格の面でこれだけ差があって、我々は安全なものだったらお金を出しましょう。ただ、安全かどうかよくわからないものを、ただ国産、あるいは非献血、献血だということでお金を出しましょうということにはならないし。
 やはり国民の医療、お金という点でも医療経費というものも非常に重大なもので、国としてもそれから最終的には国民が払うという視点は、忘れてはいけないだろうというふうに思います。
○高橋座長 安全面で違いがあるということは、なかなか言い難いんですけれども、情報の周知というような、国民の声といいましょうか、それは実現しなくてはいけない。
 医療費全体の問題で言えば、総使用量をどう抑制していくかというようなことが、また大きな問題になると思います。その話をしていると、また切りがないので、もしほかになければ本日の議題はこれまでにしまして、次回の日程などについては、後日調整して事務局から連絡をしていただくようにします。
 司会の不手際で、大分せわしくなってしまいましたけれども、御多忙のところ、本当にありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 (03-3595-2395)

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