ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会> 第1回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会議事録




2011年1月28日 第1回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会 議事録

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

○日時

平成23年1月28日(金) 9:00~11:30


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省共用第6会議室(2階)


○出席者

委員

柏女委員長
大塩委員
大島委員
木ノ内委員
高田委員(辻委員代理)
平田委員
藤井委員
藤野委員
武藤委員(山口委員代理)
渡井委員

事務局

小宮山厚生労働副大臣
高橋家庭福祉課長
竹林母子家庭等自立支援室長

○議題

(1)社会的養護の在り方の見直しに関する当面の検討課題について
(2)社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の現状について
(3)子ども・子育て新システムの検討状況について
(4)その他

○配布資料

資料1-1藤野委員・武藤委員提出資料
資料1-2藤野委員提出資料
資料1-3(1)(2)平田委員提出資料
資料1-4(1)(2)高田委員提出資料
資料1-5相澤委員提出資料
資料1-6(1)(2)大塩委員提出資料
資料1-7木ノ内委員提出資料
資料1-8大島委員提出資料
資料1-9藤井委員提出資料
資料1-10(1)(2)渡井委員提出資料
資料1-11柏女委員長提出資料
資料2-1社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直しの検討項目案
資料2-2社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直しの検討項目案(条文対比表)
資料2-3児童福祉施設最低基準について(社会的養護関係)
資料2-4職員配置基準の改正経緯
資料2-5最低基準等及び措置費における職員配置基準について
資料2-6福祉施設の居室面積・定員
資料2-7最低基準における居室面積(1人当たり)の改正経緯
資料2-8居室面積・定員の分布
資料2-9住生活基本計画における居住面積水準
資料3-1里親ガイドライン(検討素案・未定稿)
資料3-2新生児里親委託の実際について(愛知県)
資料3-3里親関係資料
資料3-4里親関係資料(法令・通知)
資料4施設の小規模化等の推進のための実施要綱改正の検討事項(未定稿)
資料5社会的養護施設の現状と当面の課題

○議事

○高橋家庭福祉課長
 定刻となりましたので、ただ今より「第1回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」を開催させていただきます。私は家庭福祉課長の高橋でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。委員の皆さま方におかれましては、急な開催のご案内にもかかわりませず、ご参集いただきまして厚く御礼申し上げます。
 開会に当たりまして、小宮山厚生労働副大臣より挨拶がございます。

○小宮山厚生労働副大臣
 おはようございます。本当に急な呼び掛けにもかかわらず、朝からお集まりいただきましてありがとうございます。皆さまご承知のように、年末以来タイガーマスクを名乗る皆さまから、全国で児童養護施設に善意が寄せられまして、それは大変ありがたいことだと思いますけれども、これを機に、この厚生労働省も行政としてすぐにできることがまだたくさんあるのではないか、そして中長期的な課題も審議会の専門委員会などでは皆さま方にもご検討いただいていますが、この児童養護施設の問題は大事な問題ですけれども、いつも地道に少しずつ少しずつということですけれども、ここで少しアクセルを踏んで、ぜひこの機に厚生労働省としてもできることはすぐにやりたいということで、私から呼び掛けをさせていただきました。私自身も児童虐待防止法の改正などにずっとかかわってまいりましたので、児童養護施設が抱えている問題には本当にいろいろなものがあることはある程度は認識しているのですが、ぜひここで現場に近い皆さま、あるいは現場そのものの皆さまから、本当はこのようなことが必要なのだということをぜひ伺いまして、すぐにできることには4月からでも取り掛かりたいと思いますし、来年度の予算要求でできるものはそこでやりたい、中長期的なものにつきましては審議会の専門委員会に挙げるなど、とにかくできることはスピーディにやりたいということで集中的にご審議いただきたいと思っています。
 この検討会は施設の関係者の方など現場に近い方々にということで、先日1月19日にこの設置について私から記者発表しましたときのメンバーは7名でしたが、その後やはりもっと現場の方の声を多くした方が良いということで、児童養護施設に入所された経験をお持ちの方、あるいは社会的養護の中でも児童養護施設以外の施設類型の関係者の方にも参加していただくということで、さらに4名の方に加わっていただきまして11名になりました。現場からの声、そしてお知恵を十分にお聞かせいただきたいと思っています。
 検討課題といたしましては、後ほどご説明しますけれども、ご承知の施設の小規模化のこと、施設機能の地域分散化、里親の推進など家庭的養護の推進のための具体的な方策、施設基準の見直しを含む社会的養護の質的向上、本当に子どもの施設についてはとても遅れているという認識を持っております。また、18歳で出なければいけないので、なかなか大学に進学できないなど、自立のための支援のあり方、そしてまた社会的養護の将来像や課題など、課題が山のようにあると思いますけれども、ぜひ子どもたちのために、そして現場で働いている皆さま方の声が少しでも子どものために良く働きますように、私どもも精いっぱい努力いたしますので、忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 本日は第1回ですので、委員のご紹介をさせていただきます。お手元の資料の議事次第の次の次ですが、本検討委員会の設置についての設置要綱がございます。「検討会の設置について」という紙ですけれども、設置の目的は今、小宮山厚生労働副大臣がおっしゃったとおりでございまして、構成、主な検討事項は記載のとおりでございます。その次に検討委員会の委員名簿がございます。この委員名簿の順にご紹介させていただきます。
 まず、委員長をお願いいたしました淑徳大学総合福祉学部教授の柏女霊峰先生でございます。

○柏女委員長
 柏女です。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 名簿では、全国自立支援協議会顧問、国立武蔵野学院院長の相澤委員でございますけれども、本日は別の用件が入っておりまして、次回は参加いただけるということでございます。
 次に、全国母子生活支援施設協議会副会長、鳥取県の倉明園施設長の大塩委員でございます。

○大塩委員
 大塩でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国自立援助ホーム連絡協議会監事、ベアーズホーム施設長の大島委員でございます。

○大島委員
 大島です。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国里親会理事の木ノ内委員でございます。

○木ノ内委員
 木ノ内です。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国情緒障害児短期治療施設協議会幹事、横浜いずみ学園施設長の高田委員でございますが、本日は別の所用がございまして、同協議会より滋賀県さざなみ学園施設長の辻副会長においでいただいております。

○辻委員代理
 よろしくお願いいたします。辻でございます。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国乳児福祉協議会副会長、清心乳児園施設長の平田ルリ子委員でございます。

○平田委員
 平田でございます。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国児童家庭支援センター協議会副会長、愛泉こども家庭センター施設長の藤井委員でございます。

○藤井委員
 よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国児童養護施設協議会副会長、鳥取こども学園施設長の藤野委員でございます。

○藤野委員
 よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、全国児童養護施設協議会制度政策部長、二葉学園施設長の武藤委員は、本日体調不良のため、同協議会の山口副会長がおみえになっています。青森県の幸樹園施設長でいらっしゃいます。

○山口委員代理
 山口俊輔です。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 次に、NPO法人日向ぼっこ理事長の渡井委員でございます。

○渡井委員
 渡井です。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 ありがとうございます。それでは、議事に入っていただきたいと思います。柏女委員長、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○柏女委員長
 それでは、私からも短くご挨拶させていただきます。このたび、委員長を拝命いたしました淑徳大学の柏女と申します。社会保障審議会社会的養護専門委員会の委員長を務めている関係で、いわば現場の先生方の意見を取りまとめよというご指示があったものと思っております。この種の会に、政務三役の副大臣においでいただけるというのは、私が記憶している範囲では初めてではないかと思います。心から歓迎いたします。よろしくお願い申し上げます。実は、私は以前厚生労働省に勤務しておりまして、その折には小宮山厚生労働副大臣が中央児童福祉審議会の委員としておられました。そのときは、私は事務方としてお支えしたといいますか、お助けいただいたのですが、今回は立場が逆になりましたけれども、ぜひ応援させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 今、小宮山厚生労働副大臣からお話がありましたように、この検討委員会では短期的なこと、それから中長期的なこと、それぞれについて区分けをしながら進めていく形になるかと思います。短期的なことは、速やかに進めていくというスピード感が大切だと小宮山厚生労働副大臣のご挨拶にもございましたとおり、それは随時進めていき、中長期的なことについては、こちらで原案を揉んで、それを専門委員会に挙げながら、両方でタッグを組んで社会的養護の問題に取り組んでいければと思っております。皆さま方のご協力によりまして、より効果を上げていきたいと思っておりますので、どうぞ、ご協力をお願いいたします。
 それでは、ここから座らせていただき、議事を進めさせていただきたいと思います。
 はじめに、本日お手元にお配りしております資料の確認を、事務局からお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 大部の資料を用意させていただいていますけれども、名簿等に続きまして、資料一覧がございますが、右上に資料番号を振っております。本日は、各委員からご発言の資料をいただいております。資料1-1の藤野委員から始まりまして資料1-11までございます。その中で、資料1-7には番号を振っておりませんけれども、この資料の束の他に置いてある「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討会」という木ノ内委員の資料が束のセッティングに間に合いませんでしたので別に置いてありますが、それが資料1-7でございます。それから、その後に資料2としておりますのが、「社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直しの検討項目案」の資料2-1から資料2-9までの一連の資料でございます。その後、里親ガイドライン関係の資料としまして、資料3-1から資料3-4までございます。その後、「施設の小規模化等の推進のための実施要綱改正の検討事項(未定稿)」の資料4、参考資料として資料5となっております。その他、渡井委員からNPO法人日向ぼっこから出しておりますハンドブック2冊をご提供いただいております。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。大部の資料ですけれども、皆さま、ございますか。よろしいですか。議事を進めていく中で、資料が足りないということがあればお申し出いただければと思います。
 それでは、早速、討議に入ってまいりたいと思います。議題を見ますと、大きく三つ、「その他」も入れると四つということで、時間が11時半までとなっておりますので、時間配分を事務局と検討させていただきました。このような形で進めたいとご提案させていただきますが、まず、(1)の「社会的養護の諸課題について」はペーパーをご用意いただいていますので、お一人5分程度で意見開陳いただきまして、それだけで1時間ほど経ってしまいますので、その後10~15分ほど補足的なご意見を頂戴できればと思っています。そして、今日ご報告いただいたことを事務局で全体的に取りまとめていただいた上で、次回もう一度議論するという形にさせていただきたいと思っています。それが1の方法です。それで10時半近くになってしまいますので、次の(2)、(3)の議題については、事務局から簡単にご説明いただいた後、20分ほど意見交換をさせていただき、最後の「その他」のテーマで10分程度という流れで進めていきたいと思いますが、それでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、そのような方法で進めていきたいと思います。
 それでは、資料1について藤野委員、よろしくお願いいたします。時間は5分ということで、よろしくお願いいたします。

○藤野委員
 とても5分では話せないと思いますが、鳥取こども学園の園長をしております藤野です。全国児童養護施設協議会からの児童養護施設関係の資料ということで、資料1-1と資料1-2を出しております。今日は、武藤委員がインフルエンザなので急遽ピンチヒッターとして山口副会長に代わっていただきました。
 資料としては、その他に別途配っておりますのが、「鳥取こども学園要覧」、「資金不足運営ピンチ社会福祉法人鳥取こども学園」という記事と、「もっともっと知ってほしい児童養護施設」、「養育単位の小規模化を一層進めるために」というパンフレット、「子どもの権利を擁護し、養育条件を高めるために」というものです。
 まず、このような機会をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。実は、児童養護施設というのは、戦災孤児に始まって、その時代時代の日本社会が生み出してきた子どもの問題をずっと引き受けてきたと思っています。その中で、戦災孤児に始まって、不登校が増えれば不登校の子ども、あるいは非行がピークになれば非行の子ども、現在は虐待が社会問題になっていまして虐待を受けた子どもたち、それから発達障害が社会問題になればそのような子どもたちをずっと引き受けてきた経緯があります。そういう中で現在は4万7,000人ぐらいの社会的養護を必要とする子どもたちがいます。その66%ぐらいが児童養護施設に入所しています。資料5-1の1ページに表がありますけれども、そのような状況の中で児童養護施設をはじめ、社会的養護は2000年の児童虐待防止法制定以降パンク状態になっていると思います。児童虐待防止法は4回ぐらいの改定で、母子分離の体制を進めてきたのです。児童相談所の権限を大幅に強化するなどして、どんどん社会的養護に送り込む体制は強化されたと思います。ところが、その後社会的養護の部分については手が付いていないというか、そのような状況の中で、私は社会的養護の現場、特に施設現場は野戦病院のような状態だと言ってきましたし、現にそうだと思います。そういう中で、現場の職員は本当に一生懸命で、凄まじい状況の中で働いています。
 そういう状況の中で、例えば去年「資金不足運営ピンチ」というような記事が、鳥取方面の地方紙に出ました。大幅に赤字を抱えてどうしようかという状況の中で、この新聞記事では鳥取こども学園は全国でもトップレベルの体制をつくってきたけれども、大幅な赤字を抱えてピンチだということなのです。資料1-2に書いていますが、赤字要因として施設の小規模化があります。今、厚生労働省の方でも施設単位の小規模化、あるいは生活単位の小規模化が大きな課題になっているのですが、それを進めれば進めるほど赤字が増えるわけです。生活単位の小規模化をめぐってということで、私どもの場合、制度に子どもを合わせるのではなく、子どもに必要なことは何でもやろうということで、10人ぐらいのホームであったものを6人ぐらいのホームに減らして、きめ細かく家庭的な養護を保障しようと考えて、そのような体制をつくりました。例えば45名定員で7ホームをつくりました。6~7人の子どもに対して3人の職員を配置しました。ところが、ご存じのように、施設の最低基準では6対1が基本ですから、6対1というのは結局365日休みなしで6対1ですから、現実には1日24時間なので8時間労働に直せば3倍ですし、休みが入れば少なくとも4倍になります。例えば1人の職員が6×4で24人の子どもを見なさいというのが、この最低基準なのです。それを3対6~7人にすれば、当然大きな赤字になるわけです。実際に1,000万円の赤字です。しかも鳥取こども学園の場合は、1,000万円ぐらいの寄付金を常に投入して、そのような体制をつくっているわけで、さらに1,000万円ぐらいの赤字が出てしまったのです。これをどうしようかということで、結果的には7ホームを6ホームに減らさざるを得ないということになりました。すみません。すぐに5分経ってしまいました。小規模化については、高橋家庭福祉課長から資料4にとてもうれしいことを出していただいていますので、これについては来年度から実施していただけるのだろうと思っています。
 それから、2のところの自立援助ホームの現員払を巡ってということですが、自立援助ホームも大幅な赤字でした。1,000万円ぐらいの赤字が出てしまいました。それもどうしようかということだったのですが、結局、その要因は定員払から現員払に制度が変わったということで、現員払ということになると自立援助ホームの平均在所期間はわずか10か月ですから、自立援助ホームは社会内処遇なのです。施設内処遇ではないと思います。社会に出てからが勝負という施設ですので、そこで6人の定員で例えば4人とか3人とか、しかも20歳を過ぎたら駄目ということでしたので、20歳を過ぎた子どもが3人いて、20歳までの子どもが6人定員で6人いるのにお金はその半分も入ってこないという状況で、結局ここも赤字部門だったのです。それを何とかしてもらいたい。
 それから、児童家庭支援センターや里親支援事業など児童養護施設等の退所児童アフターケア事業等の補助金事業ですが、今の制度で言いますと補助金事業に手を付ければ付けるほど赤字が膨らみます。だから、例えばアフターケア事業については、渡井委員が来ていらっしゃいますけれども、私どもも「ひだまり」という事業をやっていますけれども、そこもやればやるほど赤字が出ます。そういう点では補助金というのは定額ですし、しかも年度内に全部清算しなければならない。余ったら返さなければならない。足りないことが普通なのですが、そういう状況の中で苦しい運営をやっています。しかし、非常に必要な事業がたくさんあります。そこで、何か方法がないかと。それというのは、人件費なのです。人件費はやればやるほど年数が経ちますから、ずっと臨時職員のままというわけにはいきませんので、例えば2年ぐらい定着したら何らかの形で人件費も保障してもらえるというような制度をつくってほしいと思います。それから、里親との連携強化のあり方というのも。
 それから、地域児童福祉の拠点としての児童養護施設にということと、社会的養護施設等の高機能化。要は里親と施設とが本当に連携を取って、里親か施設かということではなくて連携を取ってやれればよいと思います。それから、今後は、例えば精神障害を持つ親や発達障害を持つ児童等の増加に対応して、乳児院や母子生活支援施設等への心理職の配置は不可欠である。これは一例です。それから、私どもでは職員の採用試験をようやく今ごろやりましたけれども、そういうところでは今、来る人がなくなる状況ですので、よろしくお願いいたします。すみません。これで何分だったでしょうか。

○柏女委員長
 10分強です。

○藤野委員
 そうですか。すみません。

○柏女委員長
 申し訳ございません。本当に思いのたけを語っていただく時間があるとよいのですけれども、本当に恐縮です。私は障害関係の審議会にも出ているのですけれども、5分の発言ですと4分でベルが鳴るのです。それで5分でやめるという話なのですが、そこまではしたくありませんので、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
 どうしましょう。順番にいきましょうか。

○山口委員代理
 同じ児童養護施設ですので、よろしいですか。

○柏女委員長
 それでは、児童養護施設関係ということで、手短にお願いできればと思います。

○山口委員代理
 本来ですと武藤委員が述べるところではありますが、インフルエンザということで、急遽私が代打としてまいりました。今の藤野委員のように現場実践の発言ではありませんけれども、施設が望んでいることを大まかにお伝えしたいと思います。レジュメに沿った話になりますが、はじめに、虐待を受けて入所する子どもが増えています。児童養護施設に入所する子どもにとって、最も必要なことは、子どもとの生活に直接かかわる保育士や児童指導員のかかわりでございまして、つまりは愛情です。先ほど藤野委員もおっしゃいましたけれども、残念ながら現行の配置基準では6人に対して職員が1人です。しかも24時間365日の子どもたちの営みを考えれば、先ほどの藤野委員のお話では4倍で24人に1人ということでしたが、それくらいの養育をしていることになりまして、子ども一人一人に本当に丁寧な扱いはできない状況であるということが、まず申し上げたいことであります。
 そのようなことで、今「緊急的に必要な対応策」としては次のとおりでありまして、1番目に職員配置基準の改善でございます。現行は6人に1人でございますけれども、最低でも抱えている子どもの質は重篤でございまして、子どもの質は一般的にさまざまでございます。例えばアスペルガーの症状を持った子どもたちやADHDを持った子どもたちなど、とても手間のかかるといいますか、非常に重篤な問題のある子どもたちが非常に多いので、ぜひとも3対1くらいにしてほしいというのが切実な願いでございます。2番目は子どもの居住環境の整備、3番目は養育単位の小規模化に向けた施策誘導をしてほしいということであります。その中で先ほど藤野委員もおっしゃっておりました施設の小規模化ということで、小規模グループケアの実施要件の緩和ということでございます。現在1施設3か所までの設置の範囲になっておりますけれども、もう少しこれを拡大していただきたい。それと小規模グループケアにおける原則6人という枠をもう少し柔軟化してほしいということが現場の意見でございます。それと地域小規模化、小規模児童養護施設におきましては定員外で実施している本制度を定員内でも実施できるようにしていただきたいということであります。詳しくは現行90%以上となっている暫定定員の規定の柔軟化。それと単年度事業申請の見直し。それと賃貸住宅で実施する際の運営費を加算してほしいということであります。なお私どもの協議会では養育単位の小規模化の移行事業を提案しておりまして、養育単位の小規模化のスピードアップを早めることを提案させていただいているところであります。
 次に「子どもの生活・自立にかかわる課題と対応」ということで、1番目は大学進学等自立生活支度費、就職支度費の充実、就職時の資格取得支援ということであります。つまり、児童養護施設退所児童の大学進学率は、いわゆる一般的な高卒の全国平均であれば53.9%ですが、ここに書いているようにわずか10.8%という非常に低いパーセンテージで推移しております。自立後のハンディキャップを少なくすることにつながりますので、よろしくお願いしたい。そして緊急に一番関係あることは、高校を卒業して自動車免許の取得にかかわる支援制度というのは、県担分では各県ありますけれども、国としての方向性としては、それに実態はどうかというようなことでありますので、高校生にとって少なくとも自動車免許というのは最も必要欠くべからざる取得免許でありますので、何とぞよろしくお願いしたいということであります。その他、2番目3番目4番目は端折りたいと思います。
 次に4番目の厚生労働省の「児童養護施設の形態の今後の在り方」についてでございます。厚生労働省は平成22年12月7日の「社会保障審議会児童部会第10回社会的養護専門委員会」で、児童養護施設の形態の今後の在り方について、小規模化と施設機能の地域分散化による家庭的養護の推進として「ケア単位の小規模化」「本体施設の小規模化・高機能化」「施設によるファミリーホームの設置、里親の支援」を提案しております。提案の基本的な方向性は、児童施設協議会が平成15年にまとめました「子どもを未来とするために~児童養護施設の近未来像?U~」に沿ったものでありますけれども、今後以下の条件整備を図ることを必要としております。それは本体施設はファミリーホーム、里親支援の機能強化が必要であるということ。二つ目は、本体施設は職員の専門性を高める場として機能させること。三つ目は、本体施設はより厳しい課題を抱える子どもの養育が必要だということで、4番目が退所後の支援を担う職員が必要であるということです。
 5番目としまして「子ども・子育て新システム」における社会的養護」についてであります。子ども・子育て新システム検討会議作業グループ「基本制度ワーキンググループ」は昨年暮れの12月28日に提示された論点整理の中で、社会的養護等については、虐待を受けた児童等の増加に対応しながら、可能な限り家庭的な環境において養育し、自立支援や心理的ケア等を行う観点から、こども園(仮称)に準じた質の改善を行うことを検討しているということであります。保育所の職員配置基準は4・5歳児は30対1、ケース1として20対1。ケース2が25対1で、あわせて各種加算、職員の処遇改善を行う際の試算提示をしています。しかしながら、先ほど藤野委員も言ったとおり、児童養護施設は24時間365日、1日の休みもない営みの養育であります。現行保育所の基準をベースにした質の向上という考えでは、現在児童養護施設が抱える課題に到底対応でき得ない。最低でも、強く言いますが「子ども3人に職員1人」という本協議会提案の現行配置基準引き上げを基本として、そこに新たに各種加算、職員の処遇改善を行うための試算が前提となるわけであります。
 最後に「労働基準法を遵守できる職員配置が必要」ということであります。労働基準法32条の適用除外許可条件の中に法に抵触すると考えられている事項が実際に施設現場ではございまして、例えば常態として、ほとんど労働の必要がないこと。通常の労働の継続ではないこと。宿直が1週間に1回以内であることというのは、ほとんどの施設はこれに抵触しているわけです。このことをぜひ我々は正面突破でぶつかっていかなければいけない。そのためには職員増は切り離せない問題であると思っておりますので、そのところをよろしくご配慮をお願いしたいということであります。
 以上、駆け足で申し上げましたけれども、職員の環境改善・待遇改善は施設で暮らさなければならない子どもたちに直結する課題でございます。何とぞご理解とご支援のほど、よろしくお願い申し上げまして、駆け足ではございましたけれども、藤野委員に対する補足も加えた形で発表とさせていただきます。よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございました。続きまして、資料1-3に基づいて平田委員からお願いしたいと思います。

○平田委員
 福岡で乳児院の仕事をしております平田と申します。今回、この委員会が開催されるにあたり、喜ぶべきか悲しむべきかという複雑な気持ちが多くありました。といいますのは、1-3(1)の資料にありますように、柏女委員長が委員長を務めておられる社会保障審議会の社会的養護専門委員会でこの3年間、社会的養護関連の制度改革の質と量を抜本的に改善するための検討が行われており、さまざまな調査も厚生労働省からしていただきました。この国の児童福祉が変わると現場は多大なる期待をもってこの委員会に参画してきたと思っています。その最中、タイガーマスクの報道で、こうして国からあらためて目を向けていただけるというくらいに子どもたちの世界は遠いところにあるのかという思いがあります。あらためてこの委員会が今の社会的養護の子どもたちの現状が変わる、副大臣がおっしゃってくださったように、スピーディに変わっていくものになるということに期待をしたいと思いますし、委員長の柏女先生には、ご尽力を重ね重ねお願いしたいと思います。
 資料1-3(1)の1の丸の五つ目にありますように、この社会的養護は国の責任において措置制度の維持と財源確保ということを前提に進んでいくことを、あらためてお願いしておきたいと思います。また、こうして種別がそろうと種別それぞれの状況をお伝えする形となります。子育てはこの種別すべてが連動しています。私ども乳児院は赤ちゃんをお預かりします。乳児院の入所理由は子どもより保護者の状況が優先されますので、入所理由の統計がそのまま乳児院で生活している子どもたちの状態を反映しているとは限らないといえます。以前は、乳児院でお預かりする子どもの80~90%が健康な子どもでしたが、今では何の疾病も持たずに入ってくる子どもは平成21年度の全国の乳児院の入所状況実態調査では48%でした。生まれながらに何らかの疾病を有していたり、障害を抱えていたりする子どもたちが50%を超えています。その保護者が家庭引き取りを目指してもうまくいかず母子生活支援施設や児童養護施設に措置変更していくこともあります。それは身体的・精神的な課題を持った子どもが児童養護施設で生活する中で情緒障害児短期治療施設へつながる可能性を持ちます。今家庭で起きているさまざまな課題が社会的養護関連施設の中に反映されていることを認識し、対処していければならないと思います。主な検討課題として、小規模化の推進の中でも求められている「家庭的養育」の定義づけを明確にする必要があります。制度政策がハードや形が先行して、その質や質を担保するために必要な条件の検討が間に合っていません。養育単位を小規模化し赤ちゃんを一対一でおんぶ抱っこして育てていければそれに越したことはありません。より良いかかわりには当然人の手当てが必要になります。だから養育現場の職員配置増員の要望がでてきていると思います。
 乳児院の特徴は赤ちゃん、子どもは言葉で意思表示ができないということと、1人で生活ができない子どもたちの生命と成長を保障していく場であるというところが一番大切なところだと思いますし、今乳児院にいる子どもに保護者のいない子どもはほとんどおりません。実親がいらっしゃいます。ただ、その中で育てたくないという保護者も少なからずおられますが、ほとんどは育てたいという意思を持っておられます。しかし、産後うつも含め精神疾患等を抱えている保護者特に母親が非常に増えています。平成21年度の乳児院の入所状況では、入所理由の第一が母親の精神疾患となっています。この場合、子どもは必要な時間にミルクを飲まされていないとか、肌ケアのかかわりを持たれていないというネグレクト状態にあります。乳児院は一時保護所を介さない直接入所なので、母親の精神疾患でお預かりするのですが、ほとんど構われていない子どもにもう1回肌の触れ合いからやり直すというような事例がたくさんあります。乳児院の虐待状況は入所後に判明することが非常に多いのです。資料でいくと1-3(2)で少し説明をさせていただいています。
 乳児院の短期的課題については、現在対応していただいています。最低基準の改正では将来設計で2歳未満児の職員配置を一対一でお願いしています。乳児院は唯一夜勤体制の施設なので、現状では日中に職員を多く配置し子どもへのかかわりを行うため夜間の職員が手薄になっています。乳児院でも乳幼児突然死症候群(SIDS)による死亡事例が報告され、損害賠償裁判等も行われています。最近病院で出た判例では10分視診が必要とされました。現在乳児院ではSIDSの予防対策として「15分視診」、15分おきに子どもの顔の向きをチェックし、うつぶせ寝になっていないかを確認、また呼吸確認を行っています。大体一巡するとまた立って一巡するという夜勤での業務になります。また、保護者の育児相談にも対応します。たとえば、自宅帰省中に「子どもが熱を出しているが病院に行った方がよいだろうか。」「今夫婦げんか中で殴られそうなのでどうしたらよいだろうか」などの電話が入ります。夜勤体制も強化するためにも一対一の職員の配置をお願いしているところです。
 中・長期では、乳児院の入所児の増加の傾向を見ますと、先ほど言いましたように、病虚弱児・障害児等の増加、発達の緩やかな子どもの増加が顕著です。育児相談の中で母親に養育能力がないと判断された子どもをお預かりすると、知的障害の疑いがあったり、育ちの穏やかさにより非常に育てにくい子どもだったりします。まだ病名は付けられないけどかかわりに人の手が必要な子ども、かかわりが難しい子どもが増えています。里親委託を進めていくという施策を見れば、乳児院がお預かりする子どもは、ますます病態等で手当ての深い子どもをお預かりするようになるのかとも考えられます。そのような課題に対応する将来機能として右側にあります五つの機能を可能にするためには、その質を担保していくことを考慮し専門的な職員、ST/OT/PTなどの嘱託や小児精神科医の嘱託等の関係の職員も必要になってくると思っています。現場は、とにかく子どもとのかかわりをより良くしていくためにはまず人の手当てがどの種別も必要です。最後に乳児院は入所期間が短期と長期に二極化する特徴があります。乳児院の家庭復帰率は以前は約70%くらいでほとんどが家に帰っておりました。今は50%を超えるくらいまで落ちているのですが、そもそも子育て支援的に利用していただく場合と、児童養護施設や里親へお願いするような長期に利用する場合と利用施設と措置施設の二つの機能を果たしてきました。お葬式があるから、出張等、次子の出産のために子どもを預かってほしいと少しご家庭のお手伝いをすれば問題なくまた家庭生活が続けられるような支援をする利用施設的なところと、専門的なケア機能的なところを併せ持っている施設でもあるということを知っていただいて終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○柏女委員長
 ありがとうございます。大変申し訳ございません。今、お一人十数分かかっておりますので、このままでいきますと全員の報告が終わると11時を回ってしまってこの議論だけで今日は終わってしまうという形になります。ペーパーをお出しいただいておりますので、あとはペーパーを読んでくださいということで、ペーパーに書いていないことを中心にお話をしていただければと思います。大変申し訳ございませんがご協力をお願いしたいと思います。お一人5分を厳守でお願いします。
 続きまして、資料1-4、高田委員よろしくお願いします。

○辻委員代理
 高田委員は本日所用で欠席しておりますので、辻が代わりにということで。今、委員長が配付資料に書いていないことを話すようにとのご指示ですけれども、私は書いてあることを簡潔にお伝えをさせていただきます。情緒障害児短期治療施設はあまり広く知られていない施設で、私たちはいかに認知度を高めていくかという辺りを考えているところであります。児童福祉法では第43条5ということで、情緒障害の定義は何だろうということがいつも語られることになるのですが、「心理的・環境要因でつまずきや混乱を生じている」子どもたちを家庭から施設に生活環境を変え、施設内での治療を行う。子どもと保護者を一緒に療育していく施設です。そのやり方としましては、「総合環境療法」ということで書かせていただいているのですが、子どもたちの生活する施設のすべてが治療の場であるというかかわりを持たせていただいています。例えば炊事の方がご飯を作りながら、一緒に食事をしながら食育の観点で子どもたちにマナーのことやいろいろ栄養のことなどを語っていただくこと。そして学校の先生が休み時間に子どもたちとかかわっていただくこと。当然、学校の中でもいろいろな子どもたちの行動が起こってきます。それに対しては学校の先生も介入していただきます。こうしたいろいろな専門職の者が集まり、情報を共有しながら子どもたちを導いていきたいという観点で考えています。そういう中で当然家族に対してどうかかわっていくのかという辺りも考えなければならないところでございますし、子どもたちは施設にずっといるわけではありませんので、関係機関そしてこの場におられる先生方の施設や皆さま方とどう協働していくのかということも我々は日々考えさせていただいているという状況があります。
 今日は皆さま方とどう協働していくのが理想なのかという辺りの話をさせていただきたいと思います。そのような中で心理治療や生活指導、そして学校教育など、それぞれの実際をここに書かせていただいておりますので、またご一読を賜りたいと思います。ただ、学校教育について子どもたちは地域の学校に行っているわけではなくて、施設内学級であったり、そして私のさざなみ学園は鳥居本養護学校という特別支援学校と一緒にやらせていただいています。ここにも書いていますが「習熟度別学習」といっているのですが、本来は中学2年生の子どもであっても小学校2年生・3年生の実力しかない子どもについては、そこからのやり直しができる。小規模でかかわりの深い教育を行っているところに特徴があると思っています。
 「情緒障害児短期治療施設の現状」ということで、これは2009年10月の調査ですので、当時は33か所ということで被虐待の子どもが72.5%。そして軽度、中度の知的な課題を持っている子どもたち、そして広汎性発達障害の子どもが19.5%。これはかなり少なく見積もった数だと私は思っております。さざなみ学園に昨年、今年と子どもがどんどん入ってきているのですが、先日の医療相談で入所してくる児童が28人続けて発達障害の診断が付く子どもたちが入ってきています。ですから、被虐待と発達障害を併せ持った子どもがどれだけたくさんいるかという話になってくると思います。そのような子どもたちに加え他の施設、児童養護施設や児童自立支援施設から措置移管として入ってくる子どもたちが14.6%という形になっております。そして児童精神科病棟に入院して施設に入ってくる子どもたちも5.2%いる。児童精神科病棟側については早く退院させたいけれども出すところがない。やはり情緒障害児短期治療施設だということで、こちらへ入ってくる子どもたちもたくさんおります。ですから、引き続いて精神科医療でかかわる子どもたちが約4割ということになりますし、3割を超える子どもたちが服薬しているという状況があります。その他、情緒障害児短期治療施設という「短期」という名前をいただいているのですが、平均在園期間としましては、28.1か月ですので2年と4か月という在園期間になっています。以前は1年までに治療して外へ出すという形で努力してきた経過があるのですが、被虐待の子どもたちを早期に治療して出すところがないという現状の中で、少しずつ在園期間が長くなってしまっているという形になっております。そして当然子どもたちへの面接、保護者への面接を繰り返しますし保護者への面接も80%を超えている状況があるということ。そして家庭復帰できる子どもたちが68.4%ということで、被虐待の子どもについては62%ほどの子どもたちしか自宅に帰ることができない。そうすると、その後はどうするのか、高学齢児については社会的自立をどう目指していくのかということも含めて我々は考えていかなければならないと思っています。
 次の資料ですけれども、これは児童相談所に対してのアンケートで、情緒障害児短期治療施設に何を期待するか。何のために情緒障害児短期治療施設に措置したのかという辺りを付けさせていただきましたので、ご一読を賜りたいと思います。
 続きまして、我々が抱える課題ということで考えてきたのですが、ここにも書いていますように、虐待等によって当然施設の中でいろいろな子どもとの関係の中で、そしてその子どもの持っている課題等でフラッシュバックが起こり、それが攻撃性のような形で他者への暴力や器物破損、女の子に関しては自傷行為という形で表出されてしまう傾向がものすごくたくさんあります。それに対してのデータということです。このような他者への暴力は特にあってはいけないことですが、そういうことが頻発してしまう現場の現状をご理解いただきながらこの話を聞いていただきたいのですけれども、ほぼ毎日他者への暴力が頻発している施設が10施設あった。そして職員への暴力も毎日起こったというのが3施設同じような形であったということで、2009年9月の調査に関しましても週1回以上起きている施設が33施設の中の19施設ですので、ものすごい数ということになります。そして職員への暴力も10施設であったということで、そういう環境は他の子どもに対しても良い影響はもちろん与えません。ですから、我々としては子どもたちにより近いところで、その時・その場のHere and nowの対応を心がけているのですが、十分ではありません。その辺が我々の課題として捉え、かかわれる職員の数を更に増やし、より近い所で見ていかなければならないと思っております。
 そして今「情緒障害児短期治療施設」という名称がどうなのか。入っている子どもたちが「私は情緒障害児短期治療施設に入っている」という話になりますし「短期」というのが短期であるかどうかということであったり、毎年1、2施設が皆さま方のご努力のもとで増えています。しかし、精神科の医師に来てもらえないとか心理の職員が雇えないとか、ここに書いているさまざまな課題を有しております。当然よく施設を地域につくる場合は地域の理解もありますしその後の関係機関とどう関係をつけていくのかも課題になっているということです。
 その次の資料は我々情緒障害児短期治療施設がかかわることによってどれくらいのことが改善していくのかということを提示させていただいたのですが、ASEBAという世界で60か国ほどが採用している心理社会的な適応/不適応状態を包括的に評価システムに沿った判定基準の質問用紙があります。それに基づいて職員が子どもたちを見て、子ども自身もそれをつけるというシートがあるのですが、それで算定させていただいたのがこれの引きこもりケース、引きこもり尺度が64%。その他のほとんどの尺度が50%以上。そして身体的訴え尺度、注意の問題尺度では40%です。これは2007年10月から2008年の9月の調査ということで2年後にどれだけ臨床域に入っていた子どもが良くなっていたかを算定したものです。そして、その斜め上になりますけれども、特に被虐待の子どもたちを生活の中で見ていて、どの点が改善するのかということをここに出させていただいています。やはり、大人との関係の中でそこが大きく変化していくということが見て取れるように思えます。
 今日、私は冒頭で周りの方々とどのように協働していくのかという視点でお話ししたいと申し上げたのですけれども、この「セーフティネットの視点」ということです。やはり我々に課せられているというか期待されているのは、各施設の難しい子どもたちを治療ベースで何とか情緒障害児短期治療施設でケアできると良いと思います。そのような心理的な支援を一番に考えています。前にも述べましたが、児童精神科医のかかわりであったり、他の施設ではなかなかできない治療的なかかわりを持つことができるのではないかと思います。そういう必要性があると思っていますので、各県に一つずつは情緒障害児短期治療施設をつくっていただき、周りとの関係の中で一緒に子どもたちを育てる。どこか一施設で子どもたちを育てていくのは困難ではないか、そしてそれが協働の中で、例えば児童養護施設でご苦労いただいている課題のある子どもを情緒障害児短期治療施設で受け、また児童養護施設にお返しできるというようなことになれば、そして里親のところでも同じような連携がとれるといったように、広い意味で協働ができれば良いと考えています。
 それから「短期的な課題・中期的な課題」を出しています。そのような施設ですので、いかに子どもたちの安心・安全を高めていくのか、パニックが起こった場合にどうするのかというのは、やはり落ち着ける場所が必要ではないかということで、タイムアウトができる落ち着ける場所をきちんと持っていく必要もありますし、先ほどからお話しさせていただいていますように、16ページの下にありますが、普通子どもたちにとって必要なかかわりの支援の時間というのは1週間に882分必要ではないかということですが、これは職員に対する調査の中で出てきたものです。そして実際に行われている支援の時間は565分ということで、それを差し引きしますと1週間に317分の支援が足りないということで、それが積み重なっていってしまうということではどうなのか。ですから3対1ぐらい、子ども3人に職員1人の形で、先ほど児童養護施設の委員の方からもお話がありましたけれども、同じような考えの中で増員をお願いしたいと考えています。
 そして、先ほどからお話させていただいています児童精神科医の協力というのは、施設の療育にとっては非常に重要です。子どもたちへのかかわり方であったり服薬のことなどで困ったときには精神科医と連携しながら、どのようにしていくのかということを一緒に考えていただかなければなりません。施設に児童精神科医を常勤で置くという形は、費用の面で置けないという状況がありますので、その辺の裏打ちもお願いしたいということで、この資料を提出させていただきました。
 そしてもちろん子どもたちを迎え、家族に対しても支援しています。その支援については、虐待の家族にはなかなかお越しいただけないので訪問することになり、出ていくばかりという形になってしまいますので、支援相談員等も含めてここでお願いしています。もちろん情緒障害児短期治療施設は入所、通所、外来相談という三つの機能を備えているわけですが、外来相談については充実させるということ、そしてその充実の中に短期的に各施設からお迎えし、見立てやしばらく治療的なかかわりをして、どのようなかかわりが必要なのかということを含めてまたお預かりした施設にお返しするとか、里親にお返しするというレスパイト的なこともできると良いと思います。今日私がお話ししているのは、制度委員が集まった話し合いの中で、高田委員と私が一緒にまとめたものを提出させていただいています。ですから、2月の中ごろに全情緒障害児短期治療施設の全施設長が集まる場面で、我々が提案し、コンセンサスを得た上で本来は出すものでございます。ですから、このすべてがコンセンサスを得た形で出しているものではありませんので、その辺は割り引いてご配慮をお願いしたいと思いますけれども、今後の展望を含め情緒障害児短期治療施設はこのような状態であり、このようなことを考えているということです。最後に、さざなみ学園の正面から見た写真を載せました。これは宣伝のような話です。以上でございます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは続いて相澤委員ですが、今日はご欠席とのことで資料1-5を頂戴しておりますので、次回の取りまとめの中にはこの相澤委員の意見についても取り入れていただくよう事務局にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料1-6(1)(2)について、大塩委員からご報告いただきます。

○大塩委員
 このたびのタイガーマスク現象で児童養護施設が脚光を浴びまして、このように社会的養護を受けている子どもたちに光が当てられるということは、とてもうれしいことだと思っています。しかしながら、母子生活支援施設は利用者がDV被害者であることもあり、情報を漏らすことができないという側面を持っていますので、なかなか広く知っていただくことができず、残念ながらタイガーマスクは母子生活支援施設では秋田の2施設にしか来られませんでした。今日はこのような機会をいただきましたので、母子生活支援施設の利用者の方々がどのような状態で生活していらっしゃるか、そしてどのような支援を必要としていらっしゃるかをまとめてお伝えしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 では、資料に基づきましてお伝えしたいと思います。資料1-6(1)から説明させていただきます。母子生活支援施設は児童福祉法第38条に規定されている児童福祉施設です。そして母子家庭の親子が入所して生活している施設で、全国に265か所、4,056世帯、10,608人の母子が生活しています。この10,608人という数字は社会的養護の中の児童養護施設に次いで多い人数となっています。昭和23年に児童福祉法に規定された当時、母子生活支援施設は母子寮と呼ばれていました。当時は戦争で夫や父親を失くした母子への施策として低所得対策いわゆる貧困対策、そして住宅対策いわゆる屋根対策の一つとして機能を果たしてまいりました。しかしその後、利用母子の抱えている課題がDV、児童虐待、貧困など大きく様変わりして変化してきました。それに伴って求められている支援を行うには、現在の施設基準では大きな困難が生じています。そのことについて、資料を基にお話させていただきたいと思います。
 まず、母子生活支援施設を利用している世帯の状況ですけれども、2ページの2の(1)です。母子生活支援施設で暮らしている子どもたちの年齢は乳幼児が41.3%、小学生が36.5%で、実に77.8%が小学生以下となっています。つまり、きめ細やかな子育て支援を必要としているということです。
 3ページに移ります。3ページの入所理由ですけれども、入所理由で一番高い比率はDV被害です。48.7%の利用母子がDV被害を受けて入所しています。続きまして(3)ですが、虐待を受けたことがある子どものパーセンテージですけれども、41.4%の子どもたちが虐待を受けています。次に?A「障害がある母と子どもの増加」です。母親自身に障害がある比率は22.9%です。4ページに移りますが、子どもに障害がある比率は10.6%となっておりまして、母親と子どもたちそれぞれに障害があるということがわかります。次に?Bですが、低所得世帯が多いということで表を載せていますけれども、この中で利用者の70.3%の方たちが働いておられます。しかしながら、そのうちの8割が非正規雇用です。そして年間就労収入が表8と表9にありますけれども、非常に低くなっています。ここに載せていますけれども、一般母子世帯1世帯当たりの平均所得は211万9,000円ですが、母子生活支援施設の年間就労収入は112万5,000円と、その約半分となっています。日本の貧困調査の中では母子世帯の貧困率は54.3%でしたけれども、母子生活支援施設の利用者の方々はほとんど貧困線以下の生活をしていらっしゃるということです。
 それでは次に、「母子生活支援施設の現状」についてお伝えしたいと思います。5ページです。まず職員配置についてですけれども、先ほどお伝えしましたが、母子生活支援施設の利用者の方の課題は、かなり大きな支援を必要としておられる状況が浮き彫りになっていますが、それに伴ってはいません。施設設備の最低基準を6ページに載せていますのでご覧ください。表12ですが、最低基準による職員配置を並べてみたところ、定員の規模にかかわらず4人しか配置できないのが最低基準です。夜勤体制も組めないような状況です。先ほどお伝えしましたように、利用者の抱えている課題について支援をしていくためには、24時間体制で見守り、DV被害者や障害のある母子、被虐待児等への個別対応をしていくためには、国の加算制度、これは表の右側に載っています「加算による職員配置」ですけれども、これを配置することにより、何とか最低ラインの体制が可能になっています。しかし、この最低ラインの支援を可能にするための加算配置につきましても、7ページにありますように、母子生活支援施設特有の大きな課題が横たわっています。表13「1施設あたりの職員数平均」をご覧ください。一番下のブルーの丸のラインは公設公営の施設の職員配置です。平成20年に6.21人ですけれども、それに比べて一番上の三角印の民設民営の施設では11.21人の職員配置をしています。この開きは実に5人です。施設間にこれだけ職員配置の差ができているということは、民設民営の施設で行うサービスと公設公営の施設で行うサービスに大きな開きができてしまっているということです。それは表14、表15にも表れています。表15の現員の定員に対する充足率もご覧ください。このように充足率にも大きな差が生じてきています。施設の運営主体によって施設間格差が生じてしまっています。8ページをご覧ください。施設の建物築年数ですけれども、実に42.4%の施設が築後30年以上経過しています。施設が老朽化していることも大きな問題です。さらに8ページの(5)「施設の地域偏在(サービスの偏在)」の表もご覧ください。途中で都道府県の県が切れていますので少しご覧になりにくいかもしれませんけれども、東京都のように36施設設置しているところもあれば、山形県や福井県などは1施設の設置しかありません。さらに母子生活支援施設の定員と当該都道府県の母子世帯数を基に指標化すると、秋田県では3.14%に対しまして長崎県では0.13%と、実に24.2倍のサービス提供量の格差が生じてしまっています。また、9ページの(6)は、母子生活支援施設特有なのですけれども、社会福祉施設でありながら指定管理者制度が導入されてしまっています。28.8%の施設に指定管理者制度が導入されていますので、適切な利用者支援、施設運営が困難になっています。
 それでは10ページに移りまして、4「母子生活支援施設が社会的養護施設であることの意義と必要な機能」についてお伝えしたいと思います。これはご覧になっていただけたらと思います。まず(1)「さまざまな課題のある母子世帯の児童の適切な養育を保障し、権利を擁護する機能」、(2)「母子の親子関係を保障し、母子分離することなく母と子の育ちを支援する機能」、(3)「安定した生活基盤の形成や子どもの進学・就職を支援し、「貧困」「虐待」などの世代間連鎖を防止する機能」です。この(3)は、全国母子生活支援施設協議会が行った母子生活支援施設利用者調査によりますと、母親自身が子ども時代の経験についてアンケートした結果ですけれども、母親自身が子ども時代に児童福祉施設に入所していた母親が6.6%ありました。社会的養護の中で生活してこられた母親が6.6%、それから子ども時代に生活保護を受けていた家庭であった母親が10.0%、親から虐待を受けていた母親が20.5%、親のDVを目撃していた母親が34.5%という非常に高い値の結果が出ています。まさに子ども時代に貧困や虐待、暴力などの過酷な体験をした母親が利用者として母子生活支援施設にたどり着いているという状況がここに表れています。これらの母親たちや子どもたちに適切な支援の提供によって貧困や虐待などの世代間連鎖を防止することは、母子生活支援施設が果たさなければならない大きな機能だと思っています。そして(4)「地域の中の児童福祉施設としての母子生活支援施設の機能」について書いています。この(4)につきましては、資料1-6(2)「母子生活支援施設における支援事例」を配付させていただいていますので、後ほどご覧ください。この資料1-6(2)の中に各施設にヒアリングを行って具体的な支援を事例として挙げていますが、9ページには子育て支援を通して母が母になる事例、それから14ページには(1)「要保護児童児童養護施設入所児童の再統合家庭の支援」ということで、それぞれ母子生活支援施設が行っているなかなか外に出して言うことができない事例を載せていますので、後ほどご覧いただけるとありがたいと思います。
 それでは5番目ですけれども、ここがメインになると思います。短期的課題と中長期的課題についてまとめています。まずもって母子生活支援施設ももちろんですけれども、社会的養護そのものが充実することが第一だと思います。そして社会的養護とともに母子一人親家庭の支援制度や施策の抜本的な改善が必要だと思います。その中でも母子生活支援施設の短期的課題につきましては、先ほどの職員配置基準にありました加算職員の部分を最低基準に加えていただきたいということ。それから保育士も最低基準の中には入っていませんので、これだけ乳幼児が多くなっていて子育て支援を必要としている家庭が多くなっていますので、保育士も最低基準の中に加えていただきたいということ。それから家庭支援専門相談員を配置してほしいこと。現状の20世帯を標準とした職員配置から、地域の実情等に合わせた10世帯等の小規模施設でも適切な運営を確保できる職員配置としてほしいこと。それから、母親たちの自立支援を行っていくために相談室の設置を最低基準に加えていただきたいことを挙げています。(2)「中長期的課題」ですけれども、DV被害者や被虐待児の増加、離婚の増加などにより、母子生活支援施設の利用ニーズは増加しています。しかしながら、現在はそれに応え得るべき配置基準になっておりませんので、それらの機能を果たしていくために母子生活支援施設の職員配置基準の拡充をお願いしたいと思います。ここに挙げている表は、できればこれぐらいの配置基準にしていただきたいということです。5世帯について1人の母子指導員を配置していただきたいと挙げていますけれども、2月7日に全国母子生活支援施設協議会の拡大正副会長会もありますので、ここで再度議論いたしまして真に利用者支援をしていくために必要な職員配置というものを、もう少しきめ細やかな割合の中で提出させていただきたいと思っておりますので、また2月15日にご報告させていただきたいと思います。これで終わらせていただきます。

○柏女委員長
 ありがとうございました。続きまして、今日お配りした資料で番号が付いておりませんが、木ノ内委員のお名前のある2枚紙のものと、もう1枚の資料です。よろしくお願いいたします。

○木ノ内委員
 それでは、里親関係についてご報告します。今日用意しましたのでファイルと別になっています。レジュメともう一つは裏表のコピーで季節里親の関係資料です。5分ですので要点のみと思っています。五つほど挙げています。基本的な認識としまして、社会的養護を施設中心から家庭的な養護に切り替えるということは、かなり急務だと思っているのですが、平成21年度に児童福祉法が改正になりまして、社会的な養護を担う里親として養育里親というものが受け皿になってきましたけれども、まだ始まったばかりですので里親自身にもあまり自覚がありませんし、行政にも、さらに言えば社会にもまだこの趣旨が徹底されていないというようなことだと思います。特に養育里親ということになりますと、新しくできたのですけれども量と質においてまだまだだと思っています。そういう意味では里親会の課題も大きいと思っています。皆さま要望とされているのですが、課題として考えてみたいと思いまして五つほど挙げました。
 一つは、社会的な養護がどうして家庭的な養護にいかないのだろうということで、実は制度と体制の二つが相乗作用しているのではないかと考えています。子どもの福祉がほとんど市町村にあるのに比べて社会的な養護は都道府県ですので、どうしても社会的養護の子どもたちが市町村では理解されにくいという問題があります。市の職員に聞きますと、「県の子どものことですね」というようなことで終わってしまうのです。そういうことでは困ると思っています。さらに都道府県に行った子どもたちが、今度は施設に行くということで、それもまた生活の場から非常に離れた施設に行くので、社会的な隔離機能が働いてしまっているのではないか。そのようなことを考えてみますと、制度と体制というものが社会的養護の認知を得にくくさせているという感じがしています。これは、どのようなことを起こしているかと言うと、要保護児童への認識が低いだけではなく里親の存在もなかなかわかっていただけませんし、それには里親制度も社会に理解されにくいという要素を持っています。さらに言えば、里親が増えないという現状もこの辺りにあるのかと思っています。ですから制度と体制の一体になった問題を考えていただけないかと思っています。
 2番目は、我田引水のような要素ですけれども、里親会の体制が非常に脆弱であるということについて、ぜひお考えいただきたいと思っています。実は調査をしてみますと、地域の里親会は今66あるのですけれども、7割が児童相談所や社会協議会の中の職員で、事務所もそこにあるという形で、体制はほとんど脆弱といってよいと思います。そういった中で里親支援機関が来年度から本格化するわけですけれども、その中に里親家庭支援は入っているのですが里親会支援というのはないので、それは別でよいということになってしまうのです。児童相談所からも追い出され、支援機関からも対象にならないとすると、里親会の運営、当事者間のところが非常に手薄になってしまうので、里親支援期間の業務に里親会の業務もぜひ入れていただきたいと思っています。当然ながら当事者といいますか、里親家庭、里親や里親家庭で育つ子どもたちが一生懸命やっていくということは当事者の責任としてありますけれども、そのような支援は必要だと思います。
 課題の3番目です。親族里親にもう少し注目していただけないかと思っています。社会的な養護というのは養育里親によって担われるということがあるわけですけれども、これは海外を見ても海外の里親でも十分資源があるとはいえないのです。要保護児童の数に比べて里親が十分ではないという事情はどこの国でもあるのですが、その中で親族里親というものが注目されています。祖父や祖母といった方たちが養育する。この制度を整備していただくことによって子どもを生活の場から切り離さなくて済むということもありますので、養保護児童になったとたんに学校からも切り離し、地域からも友だちからも切り離される、そのようなことのない仕組みを親族里親は機能として持っているのではないかと思いますので、ぜひ注目していただきたいと思います。日本ではどうしても血縁者が見るのは当然だということになってしまいがちです。父母が育てられなければ祖父母が育てるのは当然だという風潮があるのですけれども、やはりここに制度的な形を入れていただけないかと思っています。
 課題の4番目です。季節里親、週末里親の現状は資料として添付しました。要保護児童も現在9割が施設で養育されているわけですけれども、どんなに一生懸命頑張ってもすぐには変えられない現状だと思います。そういう中で、施設で養育された子どもたちに家庭的な体験をさせてあげたい。そういう意味では、夏やお正月、土日の週末に家庭を体験させるような事業を、これは国の事業になっていないために里親会がやっていたり、あるいは県の取組みであったりするところもありますが、個別にやっているところがあります。もちろんやっていないところもありますけれども。資金的なこともありますが、これは子どもたちの生活技術の向上にもなりますし、家庭モデルを理解するという意味もありますし、それからとても大事なことは実家機能といいますか帰る家である実家として考えていただけるようなつながりができるとよいと思います。そのような面で地域の里親会の取組みとしてさまざまな取組みがありますけれども、実態を見ていただければと思います。
 課題の5番目ですけれども、現在、大変不調になっているケースが見られます。これは里親にとっても子どもにとっても大変不幸なことですので、できるだけそのようなことのないようにと思います。虐待を経験した子どもが非常に増加しているわけですが、さらには発達障害等の障害を持った子どもたち、そういった子どもたちの増加によって養育が非常に難しくなってきているということがあります。そういう中で、不適切な養育をしてしまう。虐待をしてしまうということではなく希望して養育を始めたのですが、不適切な養育をしてしまうというケースが生まれてくる。そのようなことのないように、ぜひ不調の実態を見ていただいて、調査をしていただいて、里親支援につなげていただけないかと。現在の里親支援機関の動きというのは、児童相談所の業務を代行するアウトソーシングのような形で考えておられますけれども、里親家庭に寄り添った形での支援を考えると、こういった不調のケースなどを見ていただきながら支援に生かしていただければと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。続きまして、資料1-8について、大島委員にお願いいたします。

○大島委員
 自立援助ホーム、ベアーズホームの大島です。よろしくお願いいたします。少し風邪をひいておりまして、いつもはいい声が出ているのですが。まず、資料に付けましたのが「自立援助ホーム実態調査から見えてくるもの」ということで、これは調査研究委員会の方です。ただ、運営委員会の中で調査研究委員会ができたのがすごい。そういう組織です。基本的な事柄の意見聴取ということになりますが、「退居後の支援で必要なことは何ですか」「ホームにとってどんな助成があると助かりますか」「平成21年度で対応に苦慮した出来事は何ですか」「ホームの課題は何ですか」と、非常に大まかな4項目で、これは文章を書いていただいて、その中から委員がピックアップした。今日これを付けさせていただいておりますが、ベアーズホームは平成13年にオープンしております。ベアーズホームが全国で22番目のスタートです。この項目にあります、これが一昨年の年度末の数値だと思いますが、66ホームです。ですから、ここ7、8年の間にぐんと数が増えている。さらに平成26年度までに160か所にという厚生労働省で示された目標値があるということで、さらにこれから増えてくるだろうと思っています。埼玉県では、私のところは県で3施設、それからさいたま市で1施設、都合4施設を持っておりますけれども、さらにさいたま市で4月から1か所オープンできる見込みが立っています。全国で今オープンしているところが、昨年10月の全国大会で71か所という報告がありまして、自立援助ホームは事務局に聞いたら現在も71だということです。増えたところがあるけれども、閉鎖したところもあるということでした。私どもの施設は、あまりランドセルとは関係ないのですけれども、事務局に聞きましたら、伊達直人名義で図書券が送られてきた施設が1か所だけあると聞いているということです。
 まず私どもが10年やって、一番仕事の量が変わったのが1番のアフターケアです。自立援助ホームの真骨頂と文章は書いてありますけれども、アフターケアなのです。退所後のケア。これが10年やりますと、いろいろなところで生活をしている子どもたちから、SOSやら、他に寄る辺がないですから、結局自立援助ホームに連絡をしてくる。中には良い連絡もあります。ベアーズホームの場合は昨年から今年にかけて出産ブームのようなことで、大丈夫かなというような生活をしている子どもたち、あるいは弁護士さんにお願いして、一緒に離婚問題等を考えていかなければならないような指導も最近は出てきております。この項目の中で特徴的なのは、やはり運営費が厳しいということです。職員配置も十分ままならないようなことです。どこも小規模で行っておりますので、定数6が一番多いですけれども、やはりその中で2.5という職員配置ということになります。2.5ですと、月にどうしても主だった者が12、3日宿直をしなければならない。入所児童によっては、宿直などという問題ではないということで、夜勤に近いような状態で夜も見なければならない。あるいは無断外出中の子どもが保護されると引き取りに行く。引き取りに行ってしまうと空き家になってしまうわけですから、そのときにはホーム長が夜中に呼び出されるようなことがあって、非常に小規模の難しさといいますか、もっと手厚い職員がいないと。それから、私もベアーズホームの前はずっと非行児の指導をやってきましたけれども、やはり非行で落ち着かない子どもの引き取りには複数で行くべきだというのが私どもの中でありました。けれども、そんなこともできないという状態でございます。それから、大きな問題は入所児の問題です。お金の問題、職員の問題、そして入所時の問題。先ほどから話が出ておりますが、非常に難しい子どもたちが入ってきているということで、まず非行のある子どもたち。全国で立ち上げのときに、地域から反対運動が出るような状況があった。私どもも聞かされているのですけれども、自立援助ホームというと何か非行児の溜まり場所のように世間一般の方は見ていらっしゃるのでしょうか。古い施設はどこも家庭裁判所の補導委託契約を結んでおりますけれども、最近、地域の方たちと話し合うときに、施設をオープンしても補導委託契約は結びませんからということで、非行児が入ってくる場所ではないですよというご了解をいただかなければならない施設も出ています。それからお金の問題では、やはり設立のときに一番お金がないときに補助がない。箱払いから人払いになりましたので、生徒数もいない、収入が全くないというような状況でスタートしなければならないのが、今大きな課題になっているようです。非行の他に発達障害、あるいは虐待でのトラウマを抱えた子どもたちは、もう義務教育は終わっていますから、どういう対応をしたらよいかすら私たちにはよくわからない。今、ここに社会的養護の先生方がお集まりですけれども、一番心理が必要なのが自立援助ホームではないかと私は思っているぐらいです。非常に難しいです。
 もう一つはお金の問題になってきます。社会的養護、例えば養護施設ですと、月額生活費が4万7,000円ほど計上されておりますけれども、自立援助ホームは要保護性が薄いということがありまして、ほぼ1万円という形で生活費が認定されています。その差額は、どうするのかということになりますと、入所者が働いて払うことになっています。全国的にベアーズホームは3万円取っていますから、3万5,000円とか4万円とか、入所児からその程度の生活費の一部を徴収することになります。そのお金が、ベアーズホームの場合はほとんど入ってきていません。少なく見積って、年間で子どもから入れてもらうお金が150万ぐらい。予算は立てるのですけれども、現時点でベアーズホームは今年度は30万程度しか入ってきていない。働いてもすぐに辞めてしまう。あるいはなかなか仕事に就けない。働かないというよりこの子は働けないのではないかというような子どもたちの受け入れです。ただ、生活費がないということになりますと、食事や光熱費を削るわけにはいきませんので、やはり運営費の中から補填していかなければならないという苦しい状況が出てきてしまいます。冒頭で藤野委員から、鳥取フレンドでも経済的に非常に難しい問題を抱えて、1,000万もの赤字が生じたということも言われましたけれども、まさにそのとおりで、なかなか運営は難しいという状況になってきています。それから、子どもの問題だけではなくて、今子どもがアルバイトするにしても就労先がないという訴えをしてくる地域の方がございます。私どもは埼玉県上尾市に施設がございますので、あまり選ばなければアルバイトの仕事はあるのですけれども、地域によっては就労がほとんどない、求人がないという訴えをされるところも出てきております。
 何にしましても、自立援助ホームというのは社会的養護の最後の場所ということで、これからまた増えてくると思いますけれども、いろいろな形で、今度は協議会をまとめていく、強くしていくということで、研修機能や職員の資質向上、それから施設ごとの理念の統一ということが協議会としては大きな課題になってくるのではないかと考えております。要求項目が非常に多い施設がある。やってみて、非常に難しい。それだけにやりがいもあるという職員もおりますけれども、今後様子を見ていっていただいきたい。私どもも発言させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。続きまして、資料1-9に基づきまして、藤井委員からお願いいたします。

○藤井委員
 全国児童家庭支援センター協議会、副会長の藤井と申します。よろしくお願いいたします。5分という時間での説明は非常に難しいですけれども、資料の中身から言いまして、1ページに箇条書きでまとめさせていただきました。短期・長期・中期という項目を厳密に分けるのは難しいという感じも受けますけれども、端的に今は何が課題で、今後どのような課題があるのかといったものをまとめてお話ししたいと思います。
 まず児童家庭支援センターという施設ですが、社会的養護の枠の中ではいつも名称がやっと出ているというような状態の中に置かれておりまして、入所型の施設と違って、地域の一般家庭から相談を受け付けて具体的な支援活動を行うという、相談援助機関としての位置付けをされているのが児童家庭支援センターです。大半のセンターは、全国の児童福祉施設に併設されているセンターが圧倒的に多いのですが、全国にまだ80か所程度の数しか設置されておりませんので認知度は低いのではないかと思っております。ただ、社会的養護という全体の枠の中でとらえていきますと、今日協議されているのは主に施設ということで、一般家庭や一般住民、地域というところが抜けてしまっている感じを受けております。つまり、社会的養護の枠組み自体が要支援児童と要保護児童に分かれると思います。要支援児童を中心に担当しているのが児童家庭支援センターだと思っております。今日は要保護児童の方に焦点が当たっているように感じますが、社会的養護という全体のイメージや枠組みをきちんとつくって議論していかないと、いろいろなところで整合性が保てなくなるのではないかと危惧しております。
 大きくは、市町村の児童福祉担当課が地域のいろいろな問題を受け付け、地域住民の状況を把握するとなって、平成17年度の児童福祉法の改正で、第一義的な窓口が市町村になったといういきさつがございます。それを受けて、児童相談所の機能も主に要保護児童虐待の問題に特化していったというのが今までの経過です。その流れを受けて、児童家庭支援センターは市町村に単独設置されるものでなく、隣接の市町村を含むいろいろな地域の相談も受け付けるような位置付けになりますので、かなり大幅な動きができる、自由な動きもできるというのが、このセンターの特徴です。市町村の体制で見ますと、要保護児童対策地域協議会が各市町村に立ち上がっているという前提ですが、なかなかその中身がまだ充実していないということもあります。社会的養護の入口部分、最初の市町村の状態把握といいますか、市町村の中でいろいろなケースが起こり、それが児童相談所に上がって要保護児童になっていくという流れです。母子として扱われるケースも自立援助ホームの対象になる子どもたちも、市町村がきちんとその状態を把握しているというのが前提だと思います。その流れの中で、社会的養護に今後必要なビジョンはどういう形になっていくのであろうかというところが、きちんと議論されていかないといけないと感じております。ですから、長期的な話にもなるかもしれませんけれども、子ども・子育て新システムの中にきちんと社会的養護の枠組みを入れていかないと、一般住民の方々は、例えば保育所・幼稚園に通っている子どもを抱えている親でも、いつどこで何があって、要保護・要支援の状態に陥るかわからないという危険な状態があるわけです。ですから、ぜひその社会的養護の枠組みを、子ども・子育て新システムの中できちんと議論できるような内容に盛り込んでいただければということをお願いしたいと思います。それから、児童家庭支援センター自体は、365日・24時間の相談受付体制を整えるということを前提にします。職員配置が最大3名というのが基準になっておりまして、その人数で365日24時間をまかなっていくこと自体が、少し無理があるわけです。ただ、本体施設の宿直要員といいますか、宿直担当者がその電話を受け付ける。夜間の電話については各施設の本体が担当するというやり方で切り抜けてきているという現状があります。ですから、児童養護施設の人員配置や条件の問題がありましたけれども、現実的に労働基準法をクリアできる配置を考えていただきたいとお願いしたいです。職員の権利、労働基準法に照らした権利の確保ができなくて福祉の職場が成り立っているとしたら、それ自体がかなりボランタリーな現状にあると私は思います。ですから、まず労働基準法がクリアできていないという現状をしっかりと見つめなければいけないと思っております。細かくは箇条書きにしてあります。私は児童養護の職員でもあるのですけれども、児童養護の世界では、やはりかなり過重労働が現実です。ただ、条件を改善してくださいというばかりでなく、現場が現場として、ケアの質を担保できるのかということを真剣に考えなければいけないと思います。すべてはケアの質やニーズに応えるための条件整備と思っておりますので、そういう視点から早急に打てる手を打っていただければと思います。短いですが以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは、次は渡井委員ですけれども、その前に皆さま方にお諮りしたいのですが、このままいきますと11時にご報告が終わるという形になってしまいます。もし皆さま方のご了解が得られれば時間を延長させていただきまして、今、副大臣にもご了解を得ましたので、最大限12時までという形にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)


○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、私は授業に遅れることを連絡してこなければならないので、中座します。お待たせしました。渡井委員よろしくお願いいたします。資料10と、それから1枚紙があるかと思います。よろしくお願いいたします。

○渡井委員
 社会的養護の当事者団体として退所児童等アフターケアの受託や当事者の声の集約・啓発事業を行っております日向ぼっこの渡井さゆりと申します。私自身も、親から望まれて生まれてきたわけではなく、その後、児童養護施設や母子生活支援施設でお世話になったのですけれども、18歳、高校卒業と同時に退所してからは、生かされてしまった命といいますか、何のために生きていけばよいのかという思いを抱えて、生きづらいというか、本当にどうやって生きていけばよいのかわからない状況だったのですけれども、実際に今も施設を巣立った方々が、生まれてきたのが間違いだったと言ったり、小さい子どもの訃報に触れると代わりに死ねたらいいのにと、生きることに対して肯定感が持てていない現状があります。それはやはり社会的養護が十分ではなかったことの顛末だと思うので、何のための措置だったのかということのないように、すべての子どもたちが「生まれてきてよかった」と思え、それがひいては国力になるような社会を築けるように、本日は当事者から見た社会的養護の課題をお伝えさせていただきます。
 まず措置される前は、先ほど藤井委員からも要支援児童の話がありましたけれども、やはり要支援やそれ以前の段階で家庭や子どもたちが安定した状態を担保されることが必要だと思いますが、今の状態では、ここに書いてあるように「自らSOSを出せない要保護児童の家庭に対して、サポートがほとんどなされていない」ので、その家庭は放置されたままの状態にあると思います。「こんにちは赤ちゃん事業」が始められ、すべての赤ちゃんが行政と接触する機会はあるので、自治体による格差があるかと思いますけれども、どの自治体でもしっかり赤ちゃん、家庭のことが把握できて、支援が必要であったり必要になったときにしっかりサポートできる仕組みを、市町村の児童福祉課の担当や子ども家庭支援センター、保育所・幼稚園・学校すべてが子どもとつながりを持とうとすれば持てるので、そこがきちんとを連携していく必要がある。それと同時に、若輩者の私が失礼ですけれど、児童福祉司や市町村の児童福祉課の方々など、子どもとかかわる方々の質の向上。この子たちは大変になるかもしれない、この母親・父親は大変になるかもしれないと、きちんと最初に出会う方々がキャッチしてくれているかが大切だと思います。伝えそびれたのですけれども、出産された病院との連携もとても大切だと思います。
 次に措置中ですけれども、1)の里親、家庭的養護に関しては、資料の3-1に里親ガイドラインがあっても基本的には里親優先と明記されていたので、こちらはとても喜ばしいことだと思っています。2)に「体制の不十分さゆえ、子どもたちが充分に養育・保護されず、自立に必要な力が育まれていない」と記載させていただいたのですけれども、この体制の不十分さというのは、集団養育や養育者の力量の乏しさ、専門知識やスキルを持ち合わせていないことや、子どもの状態、親がいるかいないか、障害があるかどうか、虐待体験があるかどうかが考慮できていない状況を挙げています。これは養育者を増やすこと、養育者の養成に力を入れる必要があります。先ほど伝えそびれたのですけれども、措置以前の行政の方々の連携や、行政の方々の支援する人の養成は短期的課題だと思いますけれども、こちらも短期的に改善されることが望ましいと思います。
 時間がないのであまりお伝えできないのですけれども、この羅列している「愛情や安心感の欠如」は、例えば先日伺ったある施設で、子どもが職員がいつ誰が来るかわからないと言っていて、普通の家庭だったら親がいついないか、コロコロ変わるかわからないというのは非常に子どもの不安定につながると思います。同じように施設の中では、職員がいつ誰が来るかわからないというようなことがあって、子どもたちはもともと不安定なのにさらに不安定な状況を押しつけられている現状があります。それから、相談や必要な情報を得ることができないというのも、とても残念なことです。例えば入所している子どもは自立援助ホームの存在を知らなかったり、退所してから、もう少し先で出てくるのですけれども、次のページの身元保証人確保対策事業があるということも知らないので、漠然と親がいないから保証人をどうしたらよいのかということで悩んでいたりします。そういう情報を得ることができなかったり、きちんと相談できずに、子どもたちは暮らしています。それから、「育ちの連続性が保障されていない」ということも、普通の家庭だったら考えられないことで、養育者がコロコロ変わったら不安定になることは当たり前だと思います。その他にも「自発的な言動への制約」、自発的な言動が許されていないので、だんだん自立の力が育まれるどころか、自立心を職員、養育者から摘まれているという現状、入所以前から課題があって当たり前なのですけれども、それが放ったらかしにされていて、結局自分は人と違うという感覚を持つので、学校に行けなかったり、その後働くことが難しかったりという現状があります。それから「家族関係・生い立ちの未整理」、本当はこれをきちんと、誰もひとりぼっちで発生したわけでなく、親がいない子でも必ず親がいたはずで、その親がどんな人だったかがわからないことはとてもつらいことですけれども、そのことに養育者の方々が思いを馳せる余裕もないくらい、今の現場は大変なようです。結局わからないまま退所して、自分のルーツがわからないことに、20代30代40代とその後ずっと悩まされている。60代になっても悩んでいる方もいらっしゃいます。あとは施設に入所した理由や、その子どもが虐待を受けたことや不適切な扱いを受けたことも、子どもは子どもなりに解釈して、自分が悪かったのではないかという思いを持って、そのまま大きくなっています。そういう育ちの中で得た歪みを、子どもが信頼できる養育者ときちんと話し合って、そうではなかったと。親には育ててもらえなかったけれども、私たちがあなたのことをとても愛して、大切に大切に育んでいるよということを、社会的養護の下でぜひ伝えられるように、職員たちの体制を充実していただきたいと思います。それから、「年齢がきたから措置解除」と挙げているのですけれども、高校を卒業したから退所しましょう、中学校を卒業したり高校を中退したから退所しますという現状です。けれども、資料5の中にもある措置延長制度もほとんどの現場で活用されていない。というのは、恐らく中卒や高校中退の子どもたちが児童養護施設内にいたら、他の子どもに悪影響を与えるからと伺うのですけれども、そういう事情で子どもたちは本当はまだ措置してもらえるのに措置してもらえずに、無防備なまま社会に放り出されている現状があります。きちんと学力・就労体験などを入所中に受けさせて、もう安心だよね、ひとり立ちできるよねという状態で、家庭もそうだと思いますが、家庭とあまり変わらないように社会に出していただきたいと思います。
 次は、これも短期的な課題として取り組んでいただきたいのですけれども、社会の中で一番弱い立場なのが社会的養護を受けている子どもたちだと思います。親もいない、自分で生活することもできない子どもたちで、その子どもたちが社会的養護の下、権利侵害を受けている場合もあります。現場の職員は一生懸命にやってくださっているのですけれども、それでも子どもたちの間で、少し変わった職員がいたりということもあるので、自浄作用に依拠してはならない。第三者評価を絶対義務化して、第三者評価のシステムもどうするか。今、行っている施設はそれぞれまちまちだと思いますけれども、きちんと子どもが「この人なら話せる」という相手として第三者評価の人を選んだり、システムをつくる必要がありますし、第三者評価の人が来るとか電話するという前でも、必ず担当の児童福祉司さんがいらっしゃるので、私も施設に約9年間いたのですが、入所中に児童福祉司さんとお会いすることはなかったですし、そういう現状なので、担当の児童福祉司さんにいつでも気軽に自分が困っていることや悩んでいることを相談できるような状態も必要ですし、児童福祉司さんも無理だし、第三者委員の人とも合わない子どもがいるときの場合に司法書士や弁護士、そのような方々を活用できるという、子どもたちにいろいろな選択肢を与えられるような第三者評価の義務化や権利擁護体制を考えていく必要があると思います。
 次に、こちらも短期的な課題ですけれども、ケアの質がまちまちなので、私は児童養護施設を2種類体験したのですが、一つは大舎制でもう一つはグループホーム形態です。どちらもそれぞれ良かった点と悪かった点があるのですけれども、最終的に高校卒業まで生活していた所はグループホーム形態の施設で、いろいろな経験もできましたし、かなり個別に私のことを育んでくれたというのは本当にありがたいことだと思いますが、それは私がラッキーだっただけで、他の全く個人として尊重されず、いろいろな経験も認めてもらえないどころか剥奪されてきた経験をしてきた方々にとっては、ただその人がアンラッキーだったと済ませてよいのかという問題があります。先ほど、平田委員が養育の質の定義をつくる必要があるとおっしゃっていたのですが、まさにそうだと思います。オレンジ色のハンドブックを配布させていただいているのですが、こちらは私たち当事者がもっとケアがこうなってほしいというのをまとめたものです。これはあくまでたたき台というかご提案ですけれども、このくらいは担保される必要があるというのを、誰が見ても誰でもアクセスできるものが必要だと思います。
 次のページは「自立援助ホームの課題」ですけれども、中卒で就ける仕事がないのは当たり前のことで、高校卒業資格認定試験に合格させたり、手に職をつける支援ができるように、子どもたちが働ける状態ではないというのは、自分の命を認めてもいないのに働けるわけがないと思います。そんな子どもたちを無理やり働かせようとしても無理ですし、寮費を支払えと言って支払えないから出て行くことになったら、何のための社会的養護なのかという感じになるので、今は拡充の方向で進んでいらっしゃるようですけれども、拡充する前に在り方そのものをもう一度検討していただきたいと思っております。ここに「15~20歳の前途洋洋であるはずの若者たちが未来に絶望している日本は本当に豊かな国なのか?!」と記載させていただいているのですが、実際に自立援助ホームがどのようなところなのかを、お忙しいかと思いますが、小宮山厚生労働副大臣にぜひご視察いただければと思います。自立援助ホームだけではなくて、すべての児童福祉施設にぜひ一度視察いただいて、ご自身がここで生活したらどうだろう、ご自身の子どもがそこで暮らしていたらどうだろうということに思いを馳せていただけるとありがたいと思います。

○小宮山厚生労働副大臣
 何か所かは行ってます。まだ全然足りないと思いますが。

○渡井委員
 不勉強ですみません。失礼しました。次に、措置解除後ですが、短期的な課題として、子どもが措置されている間に親御さんにはサポートが全くないので、ファミリーソーシャルワーカーをつけるとか、必ずファミリーソーシャルワークがきちんと機能するようにした上で、家族再統合がなされるのが望ましいと思います。
 次も短期的な課題ですが、自立の力が十分に育まれていないということと、成人していないにもかかわらず、15~18歳で自立しなくてはならないというのはとてもギャップがあります。身元保証人確保対策事業がありますけれども、これも施設長が保証人になってくれないと意味がないので、これをきちんとした事業にするのであれば、施設長が必ずなることとしないと施設長から「あなたとは信頼関係を築けないから無理だよ」と言われるような子どもも中にはいると思います。そうしたら、その人はどうやってアパートを借りて社会の中で生きていくのかということになると思うので、きちんと抜けというか穴がないように考え直していただきたい。孤立したときや困ったときに相談できる人がいないということにも多くの方々が困っていらっしゃいます。それには退所児童等アフターケア事業といって、私たちも受託している事業ができたので、一部の方々にはサポートさせていただいているのですが、望ましいのはこちらは長期的な課題になると思いますが、かかわった児童福祉施設なり里親が長くつながりを続けられるような体制が本当は一番大切で、いつか退所児童等アフターケア事業がなくても大丈夫だといえるのが家庭に近い社会的養護の在り方だと感じております。
 次も短期的な課題ですが、措置に対する検証が行われていないので、措置・援助の可否が解明されていないのです。現場の皆さまは一生懸命されていて、その後も子どものことを気にしてくれたりしてくれるのですけれども、その措置が良かったのかとか援助が良かったのかは、その子どもがその後どのような人生を歩んでいるのかということから検証される必要があるので、特に措置費の下で行っていることなので、垂れ流しの現状はいかがなものかと感じています。
 最後に、社会的養護に対する無理解が、社会的養護の当事者の生きづらさに直結している。生きづらさというのは、制度そのものの貧困さということと、知られていないことで社会で感じる冷たさの二つの側面があるのですが、義務教育の中で、関係ない一部のマイノリティの人たちのことと捉えられがちなのですが、親は誰も選べないですし、急に両親ともいなくなって社会的養護が必要になるということもあるので、社会のセーフティネットとして社会的養護を義務教育で伝えていただきたいと考えています。
 本当に最後ですけれども、長期的な課題として社会全体の子育て力が衰退しているので、社会的養護が子育てのお手本となるようにレベルアップする。それくらいのレベルに、下の層に表せるのではなくて、社会的養護が望ましい育ちのお手本となるくらいに今回の課題の検討で良くしていきたいと考えています。長くなってしまい、すみません。どうもありがとうございました。

○柏女委員長
 ありがとうございました。それでは私も手短に、資料の1-11でペーパーを用意させていただいておりますが、中身に書かれていることは、お読みいただければと思います。私からは4点申し上げさせていただきたいと思います。1点目は、先ほど木ノ内委員も触れられましたが、社会的養護の構造的問題をそろそろ解決すべきときではないかと思います。社会的養護は都道府県、そして保育在宅支援サービス、子育て支援は市町村、ここでトレードオフの関係が起こっていて、その結果社会的養護が社会に開かれていかないという問題が起こっていたり、あるいは両方とも制度が伸びていかない。子育て支援も伸びない、社会的養護も伸びないという問題が生じております。これを解決していくことが大事ではないかということが、1点目です。
 2点目は社会的養護の各委員がおっしゃった、いわば短期的に取り組むべき課題です。その中で触れられていなかったのが、妊娠時からの社会的養護という問題です。「こうのとりのゆりかご」には3年近くで57人の子どもが預けられておりましたけれども、生後すぐに預け入れられています。望まない妊娠、あるいは思いがけない妊娠等に対する支援のサービスを考えていかなければならないだろうというのが2点目です。
 3点目は、先ほどから何人かの委員もおっしゃっていましたが、公的に対応すべきことと、地域の方々や民間の方々のご協力・ご支援をいただきながら、取り組んでいくことの区分けをしていく必要があるのではないかということです。先ほど藤野委員もおっしゃっていました。藤野委員のところでは年間1,000万円ほどの寄付金があって、その寄付金も活用しているけれども、できないというお話がありました。本来は公的に対応すべきお金と、それから寄付金等の浄財によって子どもたちに還元していく部分、そこは分けて考えていかなければならないのではないかと思っています。全国社会福祉協議会が昨年末に「福祉ビジョン2011」を出されました。とても素晴らしいビジョンだと思います。制度内福祉の充実とそれから制度外福祉を開発していく。あるいは、それらと協働していける体制をつくるべきだと提言されていますが、そうしたことがとても大事ではないかと思います。これが3点目です。
 4点目は、先ほど渡井委員あるいは平田委員がおっしゃっていました社会的養護のケア内容の標準化を図る必要があるだろうということです。それぞれの種別の団体は、それぞれの施設の中でどういう養育を行っていくのかという指針を持っております。しかし、行政でその指針を持ってはいないわけです。保育は保育所保育指針があります。児童相談所は児童相談所運営指針。それから、今回はまた小宮山厚生労働副大臣のお声掛かりで児童館のガイドラインをつくることにもなりました。さまざまなガイドラインが出されておりますが、社会的養護のガイドラインは一つも出ておりません。そういう意味では、そうしたガイドラインづくりも進めていかなければならない。それが社会的養護を社会に開いていくことにつながり、また運営の透明化にもつながっていくのだろうと思っています。そうした4点について意見を述べさせていただきました。詳しくはまた資料をご覧いただければ幸いに思います。
 皆さま方からご意見を頂戴しました。私の進行の不手際等もございまして、2時間を少し過ぎてしまいました。また皆さま方のご協力をいただいて、12時まで延長して私の学生たちも30分待ってくれていますので、このまま最大12時まで、ご予定のある方もいらっしゃるかと思いますけれどもご容赦をいただきたいと思います。これについての意見交換の時間は省略させていただきまして、今日報告がありました社会的養護の現状、それから短期的な課題、中長期的な課題等について、各委員からのご意見をぜひ事務局でおまとめいただきまして、また次回に総括的なご議論をいただこうと思います。事務局の方、よろしくお願いいたします。
 続いて、議題(2)に入らせていただきたいと思います。議題(2)では「社会的養護に係る児童福祉施設最低基準の当面の見直し項目について」ということです。まずは、できるところからやっていこうということで、それについての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高橋家庭福祉課長
 手短に説明をさせていただきます。資料2-1からでございます。お話がありましたように児童福祉施設最低基準でさまざまな底上げを図っていかなければならないわけでございますが、まずは今の予算なり現状の整備に照らして、すぐに直せるところはすぐにでも最低基準を直すべきであると考えておりまして、そういう意味で、まず第一段階の直しをする。その上で、さらに底上げというのは予算でございますとか、そのところを踏まえながら検討してまいりたいと思っております。その際の当面の検討項目としてまとめましたのが資料2-1でございます。例えば「職員配置基準」につきましては、現行の措置費でさまざまな手当をしておりますが、措置費で左側に項目が書いてありますが?@にありますように、措置費の単価に含まれていながら、最低基準に明記していないもの。その右側に整理していますが、そのようなものもございます。このようなものは例えば書き込む。また?Aでございますが、措置費で全施設が加算対象となっていながら、最低基準に明記していない。そのようなものもございます。家庭支援専門相談員の配置ですとか個別対応職員の配置、全施設適用できるように予算上は用意してあるのですが、最低基準に書いていない。従いまして、実際には配置あるいは措置費の申請をしていない施設も実際にはあったりするわけでございますので、そのようなところはすべての施設で置くということを最低基準化していくことも重要と思っております。次の?Bでございますけれども、現状の措置費で一定以上の要件で加算対象としている。例えば心理療法担当職員は、子ども10人以上で心理療法が必要であれば、専任の心理担当職員を1人置くとなっております。このような点はゆくゆくは10人以上という要件は解消。すべての施設に必要というところではあるのですが、当面現状の予算措置はこうなっておりますので、少なくとも予算措置されているものは最低基準に書き込みまして、該当の施設ではすべて置いていただけるようにするということが必要だと思っております。
 次の2ページ目でございますけれども、「施設整備基準」でございます。小規模化等の内容あるいは生活単位のユニット化を進めていくわけでございますが、現状の施設の最低基準は非常に古いものになっておりまして、教室面積が1人当たり3.3?uとなっております。そこのところにつきましては最近の施設整備の実態を踏まえながら、また住生活基本計画ということで国民の住居の最低水準というものがございます。現状の養護施設等の最低基準。この国民の最低水準の目途を下回っているような記述になっているものがありますので、少なくともここは早速直さなければいけないと思っております。1人当たり3.3?uとなっておりますけれども、これはまずは4.95?uに。この辺りにしますと最低居住面積水準という規定の就寝・学習等の子どもの面積をぎりぎりクリアできるようなレベルになります。また、実際上の児童養護施設での整備の分布を見ましても、その辺りは少なくとも9割がたの施設はカバーされているレベルでございます。乳児院等も1人1.65?uとなっておりますけれども、その辺りの引き上げ。あるいは母子生活支援施設につきましては1人当たりの表記になっていまして、1人当たり概ね3.3?uとなっておりますが、最低居住面積水準をクリアするには1室30?uくらいに引き上げる必要があるのではないかと思いまして、この水準はまだまだではありますが、少なくとも現行の予算ですぐにでも変えられるものとしては、このようなものをご提案したいと思っております。
 次のページでございますけれども「居室定員」につきまして、現状の最低基準は例えば児童養護施設では居室定員が上限15人以下と、これは昭和20年代の制定当初からそのままの規定になっています。実際の施設の分布、後ほどの資料にありますのでご覧いただければと思いますが、最近施設整備したところでも、10人部屋や15人部屋が実際にあるわけでございます。古い施設だけではなくて近年整備のものでもあるわけでございまして、そのような意味でこの最低基準を引き上げるというのは緊急の対応が必要だと思っております。実際の実態などを見まして、例えば4人以下あるいは幼児については1室6人以下と、そのようなところへの引き上げをまずは行う。その上で、これは最低基準でございますので、中学・高校生であれば個室化を図るとか、そのようなものはさらに進めていくということだろうと思っています。?Bでございますけれども、例えば今の最低基準では相談室を置くとか、そういう基本的な記載もなかったりするので、そういうものは書き込む必要があるのではないかと思っております。
 次の4ページは「その他の検討項目」でございますけれども、この最低基準には施設のそれぞれの運営の基本的となる記述が幾つかございます。例えば乳児院における「養育の内容」や児童養護施設等における「生活指導」等はどのように行わなければならないということは短いフレーズで書いてありますが、ここにつきましては、まさに各施設、種別で考えておられるような理念を短い言葉できちんと書き込むような、今様の新しいものに書き換えていく必要があると思っておりますので、次回までにご提案いただきながら検討していきたいと思っています。また、いろいろな養護が「母子指導員が指導する」というような上から目線のような用語も残っておりますので、「生活の支援」というような今様の言葉にも切り換えていきたいと思っております。資料2-2~2-9まで、現状のさまざまな資料がございますので、お持ち帰りいただきまして、ご覧いただいた上で次回に向けた議論をしたいと思っております。簡単な説明でございますが、よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。この「最低基準の当面の見直し」について、現状で考えられることということで、事務局でおまとめいただいておりますが、これについて、何かご意見はございますでしょうか。ご意見・ご要望等がございますでしょうか。

○平田委員
 何度も説明も受けているのですが、職員配置基準の最初のページです。乳児院にも個別対応職員が配置されて、まだ2年経っておらず、まだ配置率が半分くらいです。これから進んでいくところでもあるので全施設に配置していただきたいというのが、根本にはございますので、その対応ができるような形ですすめていただければと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。藤井委員、どうぞ。

○藤井委員
 最低基準の見直しということが行われるのを機会に、措置費の体系と最低基準の体系の整合性を図るべきではないかと思います。いわゆる経費や予算、お金の方の問題を考えていくと措置費上の保護単価の設定の仕方が一番施設の運営に影響を与えるわけです。そこがどうも措置費の体系で一番わかりにくいところです。一般の職員の方は保護単価と聞かれても直接処遇職員はまずわからないという中身ですから、もう少しわかりやすい体系にしていかないと説明ができないと感じますので、可能な範囲でご検討いただければと思います。

○柏女委員長
 とても大切なご意見ではないかと思います。可能な範囲でということでお話がありました。できる限り、お願いしたいと思います。
 他にはいかがでしょうか。大塩委員、どうぞ。

○大塩委員
 資料2-1の母子生活支援施設のところですが、私も何度も説明を受けているのですが、ここの一番上の欄にあります「保育所に準ずる設備のある場合の保育士30:1による配置(最低1人)」のところですが、この保育士30:1というのは4・5歳児の基準になっていると思いますけれども、母子生活支援施設の子どもたちは4・5歳児だけではありません。0歳から5歳までおりますので、ここの基準を緩和していただきたいと思います。できましたら、これは現在施設に配置してある職員配置の状況によってできているということはよく存じておりますけれども、子育て支援を必要としている家庭の方々が入所しておられるので、保育士は最低1人は各施設に配置していただきたいというのがお願いです。よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。他にはいかがでしょう。なければ、間を縫って一つ。児童指導員の任用資格の一つに「大学の学部で社会学・教育学・心理学を修めて卒業した者」というのがあるのですが、社会福祉学が入っていないので。昔は社会福祉学はまだ学問として学士の称号を出せなかったり、博士の称号が出せなかったりしたので書いていなかったのですが、今はもう博士(社会福祉学)や学士(社会福祉学)、私どもの学生たちもそうですけれども出せますので、社会福祉学をぜひ入れていただけるようにお願いしたいと思います。お金がかからないし、現実的にも大丈夫だと思いますので、よろしく検討をお願いしたいと思います。
 他にはいかがでしょうか。藤野委員、どうぞ。

○藤野委員
 今さらと言われるかもしれませんが、当面直せるところから直すということでわかるのですが、例えば6対1を3対1にするということに関して、今はそこのところをぜひお願いしたいということと、私は乳児院とも母子生活支援施設ともしょっちゅう行き来があるものですから、そういう意味でいうと冒頭のところにも書きましたけれども、個別対応職員、心理の職員はぜひとも乳児院にも母子生活支援施設にも要ると思います。直せるところはぜひお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。恐らく最低基準の改正は今はかなり緊急に「当面」ということで、その後は次のステップは子ども・子育て新システム等と連動しながら、あるいは税と社会保障の一体改革等と連動しながら実現に向けてということになるのではないでしょうか。2段階のロケット方式になるのではないかと期待したいと思っております。
 他には、いかがでしょうか。お願いいたします。

○山口委員代理
 児童養護施設においては3、4年くらい前から塾の費用や自主的な基礎学力を上げるための加算というものがつきました。ただ、聞くところによると同じような生活施設である母子生活支援施設はその辺を認められていないというか、学習が生きるための財産になりますので、小さいときからモチベーションを高く上げてやらないと、どうしてもその辺がおざなりになった子どもたちが入ってきますので、児童養護同様、母子生活支援施設も学習意欲を高めるために基礎学力の心配はしなくてはならないという観点から、塾や教えてくれる人の賃金も含めて雇入れというものを充実させていただきたいと、私は全国児童養護施設協議会の事務局から、ないということを聞いて、かわいそうというか差別ではないかという部分で思いましたので、よろしくお願いいたします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。関連して、ですね。大塩委員、先にお願いします。

○大塩委員
 ありがとうございます。大変ありがたいお言葉です。タイガーマスク現象が起きたときも、母子生活支援施設にはタイガーマスクさんは来てくださらなかったので、非常に残念に思っております。母子生活支援施設の母親たちは非常に厳しい経済状態の中で、子どもたちを育てておられますので、塾の費用もですし入学に当たっての入学準備金も全くない状態の中で、ランドセルも机もそろえてやれない家庭も非常に多いです。ある企業の善意によってランドセルをその年だけ寄付していただいたり、今年はタイガーマスク現象で机の寄付のお話をいただきました。入学するときに机やランドセルはどこかで誰かにそろえてもらうという一般生活をしている子どもたちと大きく異なるこの現状を、何とかしていただきたいと思っておりますので、ただ今のご発言は非常にありがたいことです。お願いいたします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。私がかかわっている施設でも児童養護施設に来たものを母子生活支援施設に回させていただきました。辻委員代理、お待たせしました。お願いいたします。

○辻委員代理
 少し違う話になるのかもしれません。情緒障害児短期治療施設につきましては、それぞれの施設が学校を持っています。ところが、教育については施設から、かなりの持ち出しという形で出して設立されている。児童自立支援施設にしてもすべてが教育の配置を行われていないという、それも各県のものの考え方等の問題で格差が出ているものとして私は捉えます。私たちも文部科学省に出向き、説得もしているところですけれども、厚生労働省と文部科学省とのすり合わせの中で、ご協力方よろしくお願いしたいと思っております。加えて、私は自立援助ホームの理事もさせていただいておりまして、その運営のお金のことなどもいろいろ一緒にやらせていただいているのですが、これで本当にやっていけるのかと、自立援助ホームの職員さんたちは大変だと思います。その辺の裏打ち等もよろしくお願いしたいと思っています。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。まだ、たくさんご意見があるのではないかと思いますが、当面のものあるいは中期的なものを含めてで結構ですので、ぜひ事務局に最低基準改正に関するご意見をお寄せいただければと思います。
 私から委員の皆さま方に一つお願いがあります。それは、先ほど高橋家庭福祉課長からありました、最低基準の養育の基本のところです。文言の問題ですけれども、先生方は現場で仕事をしていらっしゃるので、なかなかこの最低基準を見ないかもしれませんけれども、学生たちに授業をしていますと、何とも今様ではない文言が並んでいます。それから、施設種別ごとに平仄が合っていないというようなことがありますので、その部分は各委員の種別でご検討いただいて、また事務局にご意見、改善案をお寄せいただければと思います。
 もう1点は、事務局にお願いですけれども、ここは社会的養護の部分だけですけれども、保育もありますし、それから部局は違いますけれども、障害児の部分が、児童福祉施設最低基準に障害児関係の施設のことが書かれていますので、そこも平仄を合わせて、今のこの地域主権法案がもし通って、最低基準の地方委譲という形になるとするならば、今のうちにそことも合わせて、児童福祉施設最低基準全体を見直していただけるように、ご尽力をお願いできればと思います。
 それでは、この件についてはよろしいですか。

○藤井委員
 最低基準の見直しに直接リンクするかどうかわかりませんけれど、前回の専門委員会の中で提案させていただいた養子縁組の問題です。子どものケアの質を確保するという話は今出てきていますけれど、そもそものニーズを把握するという方法が、この業界では少し弱いのではないかという感じを受けています。第三者がわかりにくいという弱点があって、例えば障害児の話ですと、介護度は明らかになっています。老人関係でもそうです。それをそのまま適用するということではないのですけれど。ニーズを把握する、明らかにするということをしないで、どのような支援が必要なのかは見えてこないと思います。養子縁組という尺度を、社会的養護の中にもしっかりと定着させるとか、判断基準として明確にしていくという作業が必要ではないかと思いますので、最低基準と少し違うかもしれませんけれど、よろしくお願いします。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、今日いただいたご意見あるいは後ほどお寄せいただけるご意見を基に、次回までこの最低基準の改正についてよろしくお願いします。
 三つ目の議題です。「里親委託ガイドラインについて」に入りたいと思います。事務局から、資料のご説明をお願いします。

○高橋家庭福祉課長
 今回、里親委託推進のためのガイドラインを、資料3-1でその素案を提起させていただいています。文章でありますので、これは各委員にご覧いただきまして、どのような表現を採ったらよいか、このような事項を盛り込んだらよいということをお寄せいただければありがたいと思っていますが、その背景をご説明いたします。資料3-3で里親関係の資料を載せています。簡単にかいつまんで申し上げますと、「里親制度の充実」ということで、いろいろと里親手当の充実や法律の位置付けの明確化などをしてきました。その結果、その後の取組で、例えば3ページにありますように、里親委託率の上昇と。ここ5年間で平成14年の7%が、昨今は10.8%までということで、だいぶ伸びてきました。しかし、4ページにありますように、諸外国と比べますと、例えばドイツでも里親委託率は3割前後、イギリスでは6割前後、オーストリアなどは9割ほどということで、まだ日本の1割ほどが里親という割合で施設養護に依存しているというのは、もう少し努力が必要ではないかと思っています。では、現実はどのようにというのは、なかなか難しい現状があるわけですが、例えば5ページの4にありますように、「都道府県別の里親等委託率」は、このように低い県から高い県まで、10倍近い開きがございます。そういう意味で、いろいろな取組をすれば数字は上げられると思っています。
 次の6ページにありますように、施設が多いところまたそれぞれの地域での里親委託率などがありますけれども、それぞれの中での取組には、この中で里親委託率が高い地域並みに他の地域も引き上げていけば、まだまだ伸びるのではないかと思っています。なかなか日本人の国民性からいうと難しいと諦めるのでなくて、どのようにすればできるのかと考えていきたいと思っています。
 次の次の8ページにありますように、そのためには里親の質の向上ということも大事ですから、里親研修に力を入れたいと思っていますし、次の10ページにありますように、里親の支援にしっかりと力を入れていかなければいけないと思っています。そのためには、児童養護施設や乳児院等の施設からの支援、あるいは里親会員の強化等が必要ではないかと思っています。次のページにありますように、「里親支援機関事業」をスタートしていますけれども、その辺りの充実を図っていきたいと思っています。
 各都道府県からは14ページにありますように、里親委託を推進する上での課題が、アンケート結果で出てきていまして、その辺りの取組の推進に必要な事項も出てきています。そのようなことを進める中で、今般の里親委託の取組状況につきましては、各都道府県さまざまな温度差、あるいはこれまでの慣例などがあったりします。そこのところをより前向きな方向にそろえる意味で、今般ガイドラインをつくりたいと思っています。ポイントだけを申しますと、資料3-1の1ページの2「里親委託優先の原則」ということで、里親委託を優先して検討することにしたいと。次の2ページ、里親に委託する子どもにつきましては、限定的に考えるのでなくて保護者のいない児童、あるいは将来引き取れるけれども今は養育できない児童、また子どもの年齢も新生児から大きな年齢の子どもまで。また、施設入所が長期化している子どもをどのようなポイントでチェックしていくか、検討していくか等です。
 また、5ページにありますように、保護者への説明はどのように理解をもっていくか。保護者の承諾がない場合はどのようにするか等のポイントを整理しています。
 また、7ページにありますように、里親家庭の選定や打診等の流れですけれども、その辺りもスムーズに行くようなことが必要かと思っています。それから、先ほどご指摘いただいたように、専門里親、養子縁組里親といろいろと種類はありますけれども、親族里親の活用という点もあるかと思います。
 次の10ページにありますように、先ほど柏女委員長からも「こうのとりのゆりかご」を契機に、その課題に対して、ということでありましたけれども、新生児の段階、出産前から児童相談所が相談に乗るということで、特別養子縁組を前提としたような新生児の里親委託の取組という点も記載させていただいています。それから11ページにありますように、里親と会うと子どもが不調になった場合の課題も整理しています。
 12、13ページは里親の認定の点や里親の年齢などにあまり客観的な要件をはめない方が良いのではないか、里親への支援をどのポイントで進めていくかという点をまとめています。まだ検討素案ですので、いろいろとご意見を出していただいて、書き込んでいきたいと思っています。
 次の資料3-2に、これは愛知県から提供いただきましたけれども、児童相談所が出産前から予期せぬ妊娠・出産という場合の子どもで養育できないという方の場合に、できるだけ早い段階から児童相談所が相談に乗って、里親に結び付けていくという取組の事例の記載を出していただいています。資料は以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございます。事前にお送りさせていただいたとはいっても、ギリギリのときでしたので、まだ十分に読み込んでいらっしゃらない委員も多いのではないかと思いますので、後ほどまたご意見もお送りいただければと思いますが、今の段階で、これは伝えておいた方がよいということがありましたら、ぜひお願いしたいと思います。
 平田委員、どうぞ。

○平田委員
 里親委託、施設もそうですが、子どもをお願いすることが中心になります。乳児院でもほとんどの子どもに保護者がおられますので、里親に委託する場合そこに実親がおられること、特に小さければ小さいほど、親はその子どもとの縁をつなぐことに揺れが生じます。実際に育てられないけれども親でいたい。だから悩み、里親委託に同意できないことも多いので、この実親との調整や支援をどうしていくかは、とても大きな課題だと思います。
 それから、愛知県の赤ちゃんに関しては、特別養子縁組が前提であることと、「どのような子どもであろうが拒否しない」との前提です。実際に生まれてきた子どもに障害があったりすると、実親でも障害の受入れには、非常に期間がかかるとても大事な問題だと思いますので、養育里親での委託、社会的な養護での委託とするのであれば「この子どもを私は育てられない」という意思表示を明確にしていくことをきちんと保障していくということが、子どものためにも非常に大事なことです。子どもにはルーツを知る権利があると思うので、実親がどういう状況で、どんな思いで出産したのかを伝える準備を、里親それは乳児院でも児童養護施設でもすべてに関してそのような準備と保障ができていくことが良いのではないかと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。とても大切なご指摘をいただいたと思います。
 他に、いかがですか。渡井委員、お願いします。

○渡井委員
 5ページに、「保護者の承諾がなくても児童福祉法上、委託は可能である。ただし、できる限り承諾が得られるよう努めることは必要である」とあるのですが、6ページの?Aの下の方に「最終的に理解が得られない場合は、児童福祉法第27条の」ということで、結局意に反して措置をとることはできないので、里親委託はできないと記載されているのですけれども、もし子どもが希望する場合でも、この委託は不可能なのか。子どもや子どもの回りの養育者が、里親委託ということが子どもにとって最善の措置だと考えられる場合でも委託が難しいのかということを伺いたいことと、もう1点は11ページの(8)に「里親と子どもが不調になった場合」ということがあり、この後段に「不調の兆しをできるだけ早く把握するよう定期的な支援を行い」とあるのですけれども、恐らくこの書き方でしたら、各自治体任せになってしまうということが少し心配だということと、不調となる前に里子の権利擁護や苦情解決をガイドラインの中にきちんと明記してほしいと考えています。
 ?Aに「委託解除」があるのですけれども、「無理を重ねては、子どもにも里親にも不幸であり」ということはそうだと思いますけれど、どの家族でも少し不調になるときはあると思いますけれど、それで簡単に親子の縁を切らないと思いますので、里親・里子の場合でも、これも恐らく簡単に縁を切るというわけではないと思いますけれど、この文言があるために自治体の児童福祉司などが結構簡単に措置変更を判断する材料になってしまったら困ると思いますので、児童福祉司などへの研修もきちんと行っていただきたいと思います。以上です。

○柏女委員長
 ありがとうございました。今のご質問の点だけ、よろしいですか。

○高橋家庭福祉課長
 1点目のところは、親の同意がない場合は、現行の児童福祉法ですと意に反して措置をとることができないということがありまして、反対の意がはっきりとしていて承諾を得ない場合でも、反対がはっきりしていなければできるのですけれども、明確に反対した場合には通常そのままではできないとなっています。ただ、児童福祉法第28条の措置という規定がありまして、これは裁判所との関係もとるわけですが、虐待などのような重要な場合には、親の意に反してもできる手続きはあります。そういう意味で、そこのところの個別ケースのしっかりとしたケースワークの中で、子どもの思いというものをしっかりとくみ取っていくことが大事だと思っています。渡井委員がおっしゃるように、いろいろな研修や自治体での取組をどのように向上させていったらよいか、その体制づくりは、支援をどうするかということをしっかりやっていく必要があると思っています。

○柏女委員長
 ありがとうございます。それでは、藤野委員お願いします。

○藤野委員
 その辺の先ほど平田委員が言われたようなことや、要するに例えば乳児院で面会が一切ない。それは、週末帰宅などをさせたい、里親を利用したい。ところが親が拒否するということが、やはりあるのです。その辺のことや、あるいは特別養子縁組に出したい。やっと説得して出すという段になったら、相手がなかなか見つからないというようなさまざまなことがあって、そういう点で私どもも来年度は里親支援機関に名乗りを上げてやろうとしているのですけれども、その場合に、冒頭で言いましたように、また赤字部門をつくるのかと理事会などで言われるのです。本気でやろうと思えば、明らかに赤字になるのです。そういう意味では、先ほど冒頭でも言いましたように、例えば情緒障害児短期治療施設も乳児院も養護施設もあり、最近では診療所で精神科の医師も2人いて、そういう体制をつくってきたのですけれども、先ほども言いました補助金事業を何とかクリアする方法を考えないと。例えば鳥取こども学園は「不幸の会」といわれています。要は、ボランティアのようなもので、子どものためにといって、職員がつぶれるまで使うというようなことを。ですから、その辺はやはり何かの。そういう意味で、今回はもう何年ぶりかの最低基準の見直し、タイガーマスクの後押しも含めて、今、何とかしないといけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○柏女委員長
 ありがとうございます。まだ、ご意見があるのではないかと思いますが、12時までに終わりたいと思いますので。
 木ノ内委員、里親の関係ですので、どうぞ。短くお願いします。

○木ノ内委員
 3点ぐらいです。ざっと読んでの考え方ですが、一つは、施設の小規模化を「家庭的ケア」と呼んでいますが、果たして家庭的ケアあるいは家庭的養護という安易な言葉の使い方をもう少し定義化する必要があるのではないかと思いました。
 それから、子どもに里親制度の意義を説明するということが書いてありますけれども、その中で年長児童には、里親が良いのか施設が良いのかという選択もあってよいのではないかと思ったことと、緊急で里親委託する場合に「仮委託」という表現がありますけれども、仮委託は制度になっているのかどうか。私も勉強不足なのですけれど、緊急一時保護で預かることは最近非常に増えています。仮委託をどう制度化してあるのか、その辺を疑問に思いました。

○柏女委員長
 ありがとうございます。その他にも各委員からのペーパーの中に、里親について触れられている部分もありますので、それらも参考にしていただいて、ガイドラインのブラッシュアップをお願いしたいと思いますし、委員の方からも個別に事務局にご意見をお寄せいただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題の(4)の「その他」として、資料4の「施設の小規模化等の推進のための実施要綱改正の検討事項(未定稿)」について、事務局より資料の説明をお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 資料4です。これは冒頭の藤野委員からの提言等にも、いろいろなところに出ている事項で、すぐに来年度の実施要綱改正から着手したいと思っています。小規模化推進のためにいろいろとネックになっていることの中に、小規模グループケアの定員要件が原則6人と書いてあることが、現場ではなかなか使いにくいと。6~8人などと少し柔軟化してほしいなどとお寄せいただきました。また、小規模グループケアのグループ数の要件です。小規模グループケアが始まった時は、被虐待児など特定の一部の子どもたちだけというイメージで進めたため、1施設で二つまでという条件があるわけですけれども、本来的には施設を丸ごと小規模化グループケアに変えていくということが大事です。そのような意味で、いろいろな地域化を推進するという施設には最大6グループまでと拡大してはどうかと思っています。
 また、地域小規模児童養護施設の問題点として、本体施設が入所率90%を下回りますと、地域小規模の指定が取り消されるという問題が困るというようなご指摘もいただいています。このようなところを撤廃することなどをやっていきたい。また、児童家庭支援センターにおける里親支援なども盛り込んでいきたいと思っています。そのような意味で、予算の大きな仕組みは決まっていますが、その細かい実施要綱のレベルでチューニングすることによって改善できるようなこと、また他にもあれば、ご指摘いただいて、改善していきたいと思っています。
○柏女委員長
 ありがとうございます。これも非常に意欲的な取組をしてくださっています。関係の施設等あるいはその他のところでも結構ですので、ぜひご検討いただいて何かありましたら、規制の緩和・廃止等となるかと思いますけれども、ご意見をお寄せいただければと思います。今この場で何かありますか。よろしいですか。それでは、その方針でぜひご意見を出していただければと思います。
 時間が20分以上オーバーしましたが、この間ずっと小宮山厚生労働副大臣にはご参加いただき、拝聴いただきました。最後に、できましたらご意見・コメントをお願いできればと思います。

○小宮山厚生労働副大臣
 今日は現場からのいろいろなご意見をありがとうございました。最初にお約束したとおり、すぐできることはすぐになるべくやる。その意味で、短期集中的にと事務方にも強く要請しています。先ほどからお話がありますように、財源の問題などいろいろなことがありますが、私も議員になって13年、その前に解説委員をしていたころから合わせると、子どもの問題はずっとこの国で後回しになってきた。いろいろな子どもの問題をやってきましたので、今のこの厚生労働副大臣という立場でできることを可能な限りスピーディにやりたいと思っていまして、今、柏女委員長にもご参加いただいている「子ども・子育て新システム」も中心になって取りまとめていますので、社会的養護のところもきちんとそこに組み込めるようにしたい。それには、まずお金が要るということで、今年この政権として、社会保障の改革と税制改革を、これはもうねじれの中で本当に大変なのですが、何としてもやらないと政権交代した意味もないと私も思っていまして、その社会保障制度改革について、子どもの部分は4月にその社会保障制度改革についての案を、厚生労働省としてまとめることになっていますけれども、「子ども・子育て新システム」も私が責任者で、全部連動してかかわっていますので、可能な限りやりたいと思いますから。今日は本当に時間がないので、柏女委員長からもおっしゃったように、この機会にぜひ、タイガーマスクは後押しの機運にしたいと。こういうときにやらないでどうするのと言っていますので。その善意と私ども行政のすることはまた違うと思いますけれども、日ごろから地道にやってきたところを何としても加速させる機会にしたいと思っていますので、どうぞ思いっきり意見を事務局にお集めいただきたいと。有能な事務局がきっと良い案をつくってくれると思いますので、その際にまた皆さまにも後押しをいただきながら、少しでも子どもたちにとって良いことに尽力したいと思っていますので、よろしくお願いします。今日は本当に貴重な意見をありがとうございました。

○柏女委員長
 ありがとうございました。後押しをしていただけるお言葉をいただいて、うれしく思っています。
 予定の時刻を25分オーバーしてしまいました。今日はここまでにさせていただきたいと思います。何度も申し上げます。各委員におかれましては、今日の四つの議題それぞれについて、さらにお気付きの点がありましたら、今、小宮山厚生労働副大臣のお話にもありましたように、事務局にぜひお寄せいただければと思います。それを受けて、次回を開催させていただきたいと思います。次回の予定について、事務局よりお願いしたいと思います。

○高橋家庭福祉課長
 次回ですが、本日いただきました社会的養護の諸課題を整理したものを出して、議論していただきたいと思っています。また、最低基準、里親ガイドラインについても、さらにご意見をいただきまして、詰めていきたいと思っています。
 次回の検討委員会は、2月15日火曜日18時から、厚生労働省の12階の専用第12会議室で行うこととしています。どうぞよろしくお願いします。

○柏女委員長
 今、小宮山厚生労働副大臣のメモ帳にメモしていただきました。次回もご出席していただけるのではないかと期待しています。

○小宮山厚生労働副大臣
 ここに入っている予定をどう動かそうかと今、思いました。

○柏女委員長
 それでは、今日はこれにて終了します。各委員におかれましては、時間を延長してしまって申し訳ありませんでしたが、お忙しい中をありがとうございました。


(了)
<照会先>

雇用均等・児童家庭局家庭福祉課

措置費係: 03(5253)1111内線7888

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 子ども家庭局が実施する検討会等> 児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会> 第1回児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会議事録

ページの先頭へ戻る