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2010年10月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年10月29日(金)


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○出席者

出席委員(14名):五十音順 敬省略

 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、 鈴 木 邦 彦、

 手 島 玲 子、○永 井 良 三、  野 田 光 彦、 林   邦 彦、

 檜 山 行 雄、 古 川   漸、 ◎松 井   陽、 松 木 則 夫、

 村 田 美 穂、 本 橋 伸 高

 (注) ◎部会長 ○部会長代理

 他参考人2名


 欠席委員(4名):五十音順 敬省略

 大 石 了 三、 千 葉   勉、  成 冨 博 章、 西 澤   理

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)

 成 田 昌 稔 (審査管理課長)

 俵 木 登美子 (安全対策課長)

 内 海 英 雄 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 森   和 彦 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

 三 宅  真 二 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)

 赤 川 治 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 ただ今から薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催します。本日は、
お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況です。大石委員、千葉委員、成冨委員、西澤委員より欠席の御連
絡をいただいています。また、松井部会長、鈴木委員より、遅れていらっしゃる旨の御連
絡をいただいています。本橋委員は御出席の予定ですが、遅れておられるようです。 現
在のところ、当部会委員数18名のうち、11名の委員が御出席ですので、定足数に達して
いることを御報告します。
 本日、その他の事項として、独立行政法人国立循環器病研究センター先進医療治験推進
部長の山本先生、独立行政法人国立成育研究センター臨床研究センター治験推進室長の中
村先生を参考人としてお呼びしています。
 本日、松井部会長から所用により遅れていらっしゃるとの御連絡をいただいています。
松井部会長が到着されるまでの間、永井部会長代理に以後の進行をお願いします。よろし
くお願いします。
○永井部会長代理 審議に入ります。配付資料の確認、審議事項に関する競合品目・競合
企業リストについて、事務局から報告をお願いします。
○事務局 資料の確認をします。席上に、議事次第、座席表、当部会の委員名簿を配付し
ています。議事次第に記載の資料1~7をあらかじめお送りしています。
 このほか、資料8「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取り扱い、毒薬・劇
薬の指定の要否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料9「専
門委員リスト」、資料10「競合品目・競合企業リスト」を配付しています。また、当日
配付資料として、資料11「医療用配合剤の取扱いについて」、資料12「緊急避妊薬(ノル
レボ錠)の承認申請への対応について」、資料13「医薬品オベスケアカプセル10mg及び
同15mgの承認申請の取り下げについて」を配付しています。
 続いて、本日の審議事項に関する資料10「競合品目・競合企業リスト」について御報
告します。各品目の競合品目選定理由について御説明します。
 1ページ、ナーブロックです。本品目は「痙性斜頸」を効能・効果としており、この効
能・効果を有する薬剤として、資料に掲げるとおりの競合品目を選定しています。
 次のページ、シュアポストです。本品目は「2型糖尿病における食後血糖推移の改善」
を効能・効果としており、この効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる3品目を競
合品目として選定しています。
 次のページ、GSK2402968です。本品目は「Duchenne型筋ジストロフィー」を効能・効
果としており、既承認で筋ジストロフィーに係る効能・効果を有するものとして、「アデ
ノシン三リン酸二ナトリウム」がありますが、これについての使用実態が確認されておら
ず、また、他の承認品目・開発品目もないため、競合品目はなしとしています。以上です。
○永井部会長代理 今の説明について、何が御意見はございますか。よろしいでしょうか。
特になければ、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の
了解を得たとものといたします。
 次に委員からの申出状況について御説明をお願いします。
○事務局 議題1のナーブロックです。退室委員はなし、議決に参加しない委員は、古川
委員、松木委員、本橋委員です。
 議題2のシュアポストです。退室委員はなし、議決に参加しない委員は、加藤委員、永
井委員、本橋委員です。
 議題3のGSK2402968です。退室委員はなし、議決に参加しない委員は、古川委員、松
木委員、本橋委員です。以上です。
○永井部会長代理 本日は審議事項は四議題、報告事項が二議題、その他の事項が四議題
です。本日は参考人の先生にお出でいただいている、その他事項の議題1、適応外薬の公
知申請の事前評価から始めます。また、審議事項4は関連した内容ですので、併せて審議
を行います。まず、その他議題1について、山本参考人から御説明をお願いします。
○山本参考人 循環器ワーキング担当の山本です。本日は循環器ワーキングが担当してい
る4品目の公知申請への該当性に関して、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検
討会議」での検討結果について御説明します。
 資料7の3ページです。バルプロ酸ナトリウムについては、日本頭痛学会及び日本神経
学会より、片頭痛予防の効能・効果を追加する要望書が提出されています。片頭痛は発作
発現時の苦痛だけではなく、日常的な発作への不安もあり、日常生活に著しい影響を及ぼ
す疾患と考えています。本邦における慢性頭痛ガイドラインでは、片頭痛の発作抑制に使
用できる既承認のロメリジン塩酸塩よりも、発作の抑制のために使用されることが推奨さ
れていますので、バルプロ酸ナトリウムについては、医療上の必要性は高いと判断されま
した。
 本剤による片頭痛の予防については、米国では、1日500~1000mgの用量で既承認され
ていまして、欧米の神経内科学の教科書あるいはガイドラインにおいても、片頭痛の予防
を目的に使用することが強く推奨されています。国内では、神経内科学の教科書、頭痛診
療ガイドライン、日本頭痛学会の慢性頭痛の診療ガイドラインで、片頭痛の予防を目的と
したバルプロ酸ナトリウムの投与が推奨されていまして、報告書の14~15ページにその
ことを記載しているように、片頭痛の予防目的で、日本人には1日400~800mg、最大
1000mgの本剤投与がされた際の片頭痛の予防についての有効性が、おおむね確認されて
います。
 以上より、検討会議では、バルプロ酸ナトリウムを片頭痛の発症抑制に用いる際の有効
性及び安全性は医薬薬学上公知であると判断されました。
 次に25ページです。こちらはビソプロロールフマル酸塩です。日本循環器学会、日本
心不全学会より、慢性心不全の効能・効果を追加する要望書が提出されています。慢性心
不全は、進行性で死に至る極めて予後不良な症候群であるということで、現在本邦で慢性
心不全の効能を取得しているβ遮断薬はカルベジロールのみですが、欧米の診療ガイドラ
インでは、カルベジロール、コハク酸メトプロロールとともに、本剤の使用が推奨されて
いまして、欧米において標準的療法に位置付けられていることから、本要望について医療
上の必要性は高いと判断しています。
 本剤は、イギリス、ドイツ、フランスなど、海外約90か国で慢性心不全の効能・効果
で承認されており、国際的教科書や日・米・欧の慢性心不全治療ガイドラインにおいても、
標準的治療薬として推奨されています。また、国内でも適応外使用の実績が、学術論文、
学会報告等で多数報告があります。
 報告書の38~40ページに、過去に実施された国内の臨床試験について記載しています。
この試験では、主要評価項目が心血管系の原因による死亡、又は心不全悪化による入院と
設定され、本剤の既承認効能の用法・用量の国内外差を考慮したために、開始用量は
0.625mg/日、患者の忍容性を見ながら、段階的に目標最高維持用量の5mg/日まで増量さ
れましたが、本剤群で一過性の心不全悪化が多く認められたことなどから、プラセボに対
する有意なリスク減少は示されませんでした。ただ、心不全悪化が2.5mg~5mgへの増量
時に、一過性に多く見られているということから、中間用量として、3.75mgを追加する
こと、また頻回の外来の必要性等が示唆されたために、現在この増量幅をより小さくした
用量調節法を用いて、新たな実薬対照二重盲検比較試験が実施されています。しかしなが
ら、本剤による一過性の心不全の悪化に対しては、増量時に追加試験と同じような細心の
注意を払うことでリスクを最小化する使用法が、国内の臨床現場において既になされてい
るものと考えています。
 以上より、現在、本剤を使った実薬対照二重盲検比較試験が進行中ではありますものの、
β遮断薬による副作用の発現を考慮した慢性心不全の治療が、国内の臨床現場で既に浸透
している実態を踏まえて、検討会議では本剤の慢性心不全に対する有効性及び安全性は、
医学薬学上公知であると判断しています。
 続いて51ページです。ベラパミル塩酸塩です。こちらは日本小児循環器学会より、頻
脈性不整脈に対する小児の用法・用量を追加する要望書が提出されています。頻脈性不整
脈は生命に重大な影響を及ぼす疾患で、本剤は欧米において小児の頻脈性不整脈に対する
標準的療法に位置付けられていることを踏まえて、医療上の必要性は高いと判断しまし
た。
 まず、注射剤の小児の用法・用量を、1回0.1~0.2mg/kgとすることについて御説明し
ます。米国、イギリス、ドイツにおいて、小児の投与量は0.1~0.3mg/kgで承認されてい
ます。国内の教科書の『臨床発達心臓病学』では、上室性不整脈の治療薬としての本剤の
小児用量は、0.075~0.15mg/kgと記載されていまして、「小児不整脈薬物治療ガイドラ
イン」「不整脈薬物治療に関するガイドライン」では、本剤は発作性上室性頻拍及び非発
作性上室頻拍の治療薬、又は房室結節を適度に抑制して、心室拍数を調節する薬剤として
記載されていまして、小児の推奨用量は0.1mg/kgとされています。国内の公表論文にお
ける中心投与量が0.1~0.2mg/kgでしたので、注射剤については、この0.1~0.2mg/kgと
しています。
 次に錠剤の小児の用法・用量を、3~6mg/kg/日とすることについての御説明です。こ
ちらはイギリス、ドイツ、フランスにおいて、小児の投与量は40~360mg/日、80~360mg/
日、5mg/kgとそれぞれ承認されていて、国際的に標準的な教科書においても、推奨用量
は2~8mg/kg/日となっています。また、国内の教科書である『臨床発達心臓病学』では、
上室性不整脈の治療薬としての本剤の小児用量は、3~10mg/kg/日と記載されていて、前
述の国内の「小児不整脈薬物治療ガイドライン」「不整脈薬物治療に関するガイドライン」
では、これらの小児の推奨用量は、3~6mg/kgとされています。日本人の小児の平均体
重で換算すると、国内での推奨用量や使用経験は30~240mg/日となるので、各国の承認
用量の範囲と大差はありません。
 さらに安全性について、心疾患の合併、β遮断薬との併用、推奨用量を超える投与では、
本剤の陰性変力作用や陰性変時作用による心停止、あるいは低血圧等の副作用を起こす可
能性がありますが、疾患性の重篤性を勘案して、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監
督して適切に使用するということで、ベネフィットがリスクを上回ると判断されました。
 以上から、検討会議では、小児の頻脈性不整脈に対して注射剤を1回0.1~0.2mg/kgの
用量で投与すること、及び錠剤を3~6mg/kg/日の用量で投与することは、医学薬学上公
知であると判断されました。
 75ページです。乾燥抗D人免疫グロブリンについて、日本産科婦人科学会からD抗原
陰性の母体が妊娠中にも投与するということで、要望書が提出されています。
 D抗原陰性の女性が分娩あるいは流産によってD因子に感作された後に、新たにD抗原
陽性の児を妊娠し血液型不適合による胎児溶血性貧血が発症した場合に、児の予後は不良
であることが報告されています。分娩後の感作抑制について既に承認されていますが、分
娩後に加えて、妊娠28週前後にも、抗D人免疫グロブリンを投与することにより、感作
率がさらに減少したとの報告などに基づいて、国内外のガイドライン、教科書等で、妊娠
中の抗D人免疫グロブリンの投与が推奨されていることから、本要望については医療上の
必要性が高いと判断しました。
 本剤の妊娠28週前後の投与については、米国、ドイツ、フランスで、約300μgの用量
が承認されています。国内では、抗D人免疫グロブリン250μgを妊娠28週前後で1回投
与することに関して良好な成績が報告されていまして、教科書においても推奨されていま
す。
 国内使用実態調査結果でも、本剤1瓶(約250μg)を投与しているとの回答が多くあり
ました。したがって、妊娠中の抗D人免疫グロブリンの投与は、妊娠28週前後の1回250
~300μgが適切であると考えています。さらに海外の添付文書、教科書、ガイドライン
において、妊娠28週時及び分娩後の投与以外に、妊娠に関連したD因子感作が疑われる
場合の投与に関しては、抗D人免疫グロブリンの投与が推奨されています。
 以上より、検討会議では妊娠中にD因子感作のリスクがある場合に、抗D人免疫グロブ
リンを投与することの有効性及び安全性は医学薬学上公知であると判断されました。
 なお、103ページの上の方と、104ページの中ほどですが、効能・効果、用法・用量に
ついては、今回の変更に伴ってそこに記載されているとおりの整備がなされることが適当
と判断されています。以上です。
○永井部会長代理 今の最後の件については議題4と関連があるので、事務局から概要の
御説明をお願いします。
○事務局 ただ今、説明のあった乾燥抗D人免疫グロブリンの事前評価に関連して、審議
議題4、資料4「生物学的製剤基準の一部改正について」御説明します。
 4ページ以降を御覧ください。生物学的製剤基準ですが、薬事法第42条第1項の規定
に基づき定められているもので、生物学的医薬品の製法、性状、品質、貯法、表示事項等
に関する基準を定めたものです。ただ今、公知申請の該当性に関して御説明いただいた乾
燥抗D人免疫グロブリンについても、表示事項等の基準が定められています。
 5ページに新旧対照表を示していまして、左が現行の基準、右が改正案です。「表示事
項」の3の中で、D(Rho)因子で未感作のRh陰性の婦人にのみ分娩後72時間以内に
投与することが規定されていまして、直接、製剤の容器等にこのような記載をすることが、
この基準によって義務付けられているものです。
 ただ今、御説明にあったとおり、これについて今後、妊娠28週前後の適用が追加にな
ること、効能・効果、用法・用量が変更になり、具体的には分娩後のほか、流産後、人工
妊娠中絶後、異所性妊娠後、妊娠中の検査・処置後、腹部打撲後の72時間以内が追加に
なり、また、妊娠28週前後の筋肉内注射が追加になるので、これに伴ってこの表示事項
を、右にある改正案のとおりに修正したいと考えています。
 なお、実際の改正時期については、本日の御審議の後、パブリックコメントの募集等の
手続きを進め、効能追加の承認と同時に行うこととしたいと考えています。以上です。
○永井部会長代理 ただ今の御説明に関して、委員の先生から御質問、御意見はございま
すか。
○本橋委員 二つ目のビソプロロールフマル酸塩ですが、これは今まで適用禁忌になって
いたわけです。それを削除する作業が必要になるかと思うのですが、そういった作業は比
較的速やかに行えるものなのでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えいたします。本日、事前評価をいただきましたら、その後、
企業に申し伝えまして、承認申請がなされるわけです。実際に承認が行われる際に、効能
・効果の変更と併せて、禁忌についても修正したいと考えています。
○本橋委員 それほど問題なく行われるわけですか。
○事務局 承認内容の変更ということですので、併せて審査をしたいと思います。
○永井部会長代理 いかがでしょうか。よろしければ審議議題4の議決に入ります。
 本議題について、改正を可としてもよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので改正可、として薬事分科会に報告とさせていただきます。ど
うもありがとうございました。
 公知申請の事前評価に戻ります。中村参考人から御説明をお願いします。
○中村参考人 資料の109ページです。レボカルニチン塩化物の公知申請の該当性につい
ての検討結果を御説明します。本品目は日本先天代謝異常学会より、カルニチン欠乏症の
効能を追加する要望書が提出されています。重篤なカルニチン欠乏症では低血糖発作によ
る昏睡など、生命を脅かす臨床症状を呈し、重篤で不可逆的な臓器障害をきたすこと、ま
た既存の療法が国内にないということを踏まえて、本要望の医療上の必要性は高いと判断
されました。
 156ページの(3)です。今回企業から提出された資料は、要望対象であるレボカルニチ
ン塩化物に関するものに加えて、フリー体に関するものが提出されました。これらの塩化
物とフリー体は、経口投与されて薬剤が溶出した場合、同じくレボカルニチンとして吸収
され薬効を示すことから、用量を換算して根拠資料として用いることが適切であると考え
ました。
 その上で、日本人における要望内容に係る本剤の有効性・安全性については、各国での
承認状況に加え、臨床試験成績、標準的教科書、ガイドライン等の内容や国内での適応外
使用の実態を踏まえ、海外と同様に十分に期待できるものと判断されました。
 157ページの中ほどの下です。本邦における効能・効果としてはカルニチン欠乏症、160
ページの(2)で、用法・用量は記載のとおりの用量を通常量とし、欠乏状態に応じて適宜
増減することが適切であると判断されました。
 以上より、検討会議では本剤のカルニチン欠乏症に対する有効性及び安全性は、医学薬
学上公知であると判断されました。
 次に175ページのビンブラスチン硫酸塩です。本品目は、日本LCH研究会等よりラン
ゲルハンス細胞組織球症(以下「LCH」)、その効能を追加する要望書が提出されていま
す。LCHの病変が進行すると、その病変が存在する臓器の機能不全を生じるほか、病変
のある臓器によっては尿崩症等重大な合併症を生じることなどから、病気の進行が不可逆
的で日常疾患に著しい影響を及ぼす疾患であり、既存の療法が国内にないことから、医療
上の必要性は高いと判断されました。
 有効性については、202ページの下の表にまとめています。海外の臨床試験により、一
定の有効性が認められており、海外での承認状況、教科書、ガイドライン等で標準的薬剤
として記載されていることから、本剤の有効性は海外では確立していると考えられまし
た。さらに、国内での適応外使用の使用実態等を踏まえ、有効性は日本人においても期待
できると判断しました。
 203ページから安全性です。海外で実施された臨床試験では、本剤を含む化学療法を施
行した際に、高頻度に認められた有害事象は、白血球数減少及び血小板数減少等の骨髄抑
制でした。204ページの国内の症例報告でも、同様の有害事象が報告されています。これ
らの認められた副作用は既知の副作用であり、本邦において本剤を適切な用法・用量及び
使用上の注意等に基づき用いる場合には、海外と同様に安全性は許容可能と考えました。
 効能・効果はランゲルハンス細胞組織球症とすることが適当であり、用法・用量につい
ては205ページにあるとおり、国内外の臨床試験で採用された用法・用量を参考に、導入
療法は通常、ビンブラスチン硫酸塩として6mg/?u(体表面積)を週1回、維持療法は2、
3週に1回とすることが適当であると考えられました。
 以上より、検討会議では本剤のLCHに対する有効性及び安全性は、医学薬学上公知で
あると判断しました。以上です。
○永井部会長代理 御意見、御質問がありましたらお願いします。
○清水委員 ビンブラスチン硫酸塩のところで、安全性・有効性については御説明の内容
は納得できるのですが、この薬剤については既存の用法・用量が、/kg/doseで設定され
ている薬剤かと思います。エクザール注射用10mgの製剤です。既存適用については、
/kg/doseで設定されている中、今回の用量が体表面積当たりのドースで設定されている
ことへの注意喚起が必要かと感じました。そこはどのようにお考えでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えいたします。この品目についても、この後企業から承認申請
が行われれば機構において審査をして、再度この部会に御報告することになりますので、
審査の過程の中で注意事項等についても検討させていただきたいと思います。
○永井部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○檜山委員 同時にたくさんのことが説明されたので整理が付かないのですが、製剤につ
いては、すべて日本に存在するものに対して適応を広げるという話なのでしょうか。これ
を見ていると、未承認薬というのがありまして、そうでないもののケースもあるようで、
その辺はどのように処理されるのか。これは質問としては一般的な質問なのですが、海外
で使用実績があって、その製剤は的確性は分かっているのですが、そのまま持ってこよう
とすると、ズバリそのものを持ってこなければいけないことになると思うのですが、具体
的にこの辺については、もの自体が既に日本にある場合はいいのですが、そうでないもの
に関しては、どのようにされるのでしょうか。
○事務局 今回の事前評価の位置付けですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬
検討会議において、公知申請を行うものが適当とされたものとしてリストアップされてい
ますが、基本的にはすべて適応外薬で、既存の効能の承認は別の効能が承認されています。
ですので、製剤そのものは国内にあるものです。
○檜山委員 それはいいのですが、それ以外の無いものを含めて検討されて、これからと
いうことを考えられているのでしょうか。
○事務局 全く国内にない、未承認薬と言われるものについては、基本的には公知申請の
対象にならないと考えています。検討会議でどのような試験が必要かの検討を行っていま
すが、公知申請を行うことが適当という判断でこの部会に報告のあるものには、リストア
ップされてこないと考えています。
○永井部会長代理 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、ただ今の公知申請の事前評
価については御確認いただいたものといたします。
 参考人の先生方におかれましては、本日お忙しいところありがとうございました。
──山本参考人、中村参考人退出──
○永井部会長代理 議事を進めます。最初の議題に戻りますが、議題1の概要の説明を機
構からお願いします。
○機構 議題1、資料1「医薬品ナーブロック筋注2500単位の生物由来製品及び特定生
物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の
指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 本剤の有効成分であるB型ボツリヌス毒素は、B型ボツリヌス菌により産生され、末梢
のコリン作動性神経終末からアセチルコリン放出を阻害することで神経伝達を阻害し、筋
麻痺作用を示す薬剤です。なお、本邦では類薬として、A型ボツリヌス菌により産生され
るA型ボツリヌス毒素が2001年6月に痙性斜頸の効能・効果で承認されています。海外
では□□年□月より臨床試験が開始され、2000年12月に米国で最初に承認された後、2010
年2月現在、欧州等32か国で承認されています。本邦においては、□□年□月から臨床
試験が開始されまして、今般、痙性斜頸に対する有効性及び安全性が示されたと考え、製
造販売承認申請が行われています。
 本申請の専門委員としては、資料9に記載されています10名の委員を指名しました。
 審査内容については、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず有効性について
は、審査報告書25ページの表を御覧ください。国内用量反応性試験において、主要評価
項目であるFASでの投与直前から投与4週後の痙性斜頸の評価指標であるTWSTRS合計
スコアの変化量で評価しています。本剤投与のいずれの用量群においても、プラセボ群と
比較して統計学的に有意な増加が認められています。
 また、審査報告書37ページの図を御覧ください。本申請はブリッジング戦略に基づく
もので、海外臨床試験成績の外挿可能性を検討しています。海外臨床試験と比較して国内
臨床試験では、TWSTRS合計スコアの変化量が小さいものの、本剤各用量群の用量反応関
係に大きな差異は認められず、国内外臨床試験ともに、プラセボに対して統計学的に有意
な増加が認められていることを踏まえると、本剤の有効性は類似しており、海外臨床試験
成績を外挿して評価することは可能と判断しました。
 次に安全性についてです。審査報告書45ページの表を御覧ください。国内外臨床試験
における嚥下障害の発現状況は、多くは軽度ではあるものの、1万単位で発現率が上昇し
ています。また、審査報告書46ページの上の表を御覧ください。国内外臨床試験におけ
る口渇・口内乾燥の発現状況についても同様であり、1万単位で多く発現しています。
 以上を踏まえ、認められた嚥下障害、口渇・口内乾燥の多くは軽度であるものの、1万
単位で多く認められていることから、本剤の開始用量は2500~5000単位、最高用量とし
て1万単位を設定することとしました。
 また、審査報告書46ページ下の表を御覧ください。海外臨床試験において、本剤とA
型ボツリヌス毒素における嚥下障害、口内乾燥の発現率を比較した結果、本剤の発現率が
高かったことから、添付文書の重要な基本的注意(6)において、これらの事象の発現に留
意するとともに、患者に対してもこれらの事象が認められた場合には、医師の診察を受け
るよう指導することとしています。
 また、審査報告書54ページを御覧ください。本剤については既存のA型ボツリヌス毒
素製剤と同様に、講習を受講した医師のみが施注できるよう資格講習制度を行うこと、失
活廃棄を徹底することを承認条件として付与し、適正使用を図ることとしています。
 以上の審査を踏まえ、本剤の痙性斜頸に対する効能・効果を承認して差し支えないとの
結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
 本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも毒
薬に該当し、生物由来製品に該当し、特定生物由来製品には該当しないと判断しています。
なお、薬事分科会には報告を予定しています。
 また、檜山委員より事前に御質問をいただいていますので、その件について御説明しま
す。本剤のマスターセルバンクに関して、審査過程で臨床試験で使用されたものから変更
されており、本邦の市販製剤は変更後のマスターセルバンクが使用されることから、変更
されたマスターセルバンクでの製剤における有効性及び安全性について質問がございま
した。マスターセルバンクを変更した製剤については、海外では2008年より出荷されて
いまして、2010年1月までに、約25000例程度使用されたと推定されています。有効性
については、マスターセルバンクの変更前後の製剤で、同等性はきちんと確認されていま
して、有効性に差異はないと考えられています。安全性については、マスターセルバンク
の変更前後で有害事象等、問題となる事象は認められておらず、これまでの安全性プロフ
ァイルと大きな差異は認められていません。以上から、マスターセルバンクの変更により、
本剤の有効性及び安全性に大きな差異はないと考えています。以上です。御審議のほどお
願いいたします。
○永井部会長代理 御質問、御意見を伺います。
○佐藤委員 安全性についてお伺いします。私が読み取った範囲では、サイドエフェクト
が口腔乾燥ということから始まっていますが、終局的には嚥下性肺炎に至るまでの死亡例
もあるというのが、A型のタイプの方に出ています。このA型がはっきりしていないにも
かかわらず、B型の方がサイドエフェクト等、46ページの有害事象の発現率の表を拝見
しても、高くなっているわけです。しかも、これはブリッジングで、まだ実際に使用して
いるわけではないということですと、なぜ死亡例まで出てくるものに対して、取り上げな
ければいけないのか、使用しなければいけないのかということが質問の一つです。
 もう一つは、この中にこの症状は自律神経への作用が強いために起こってくる反応では
ないかと書かれています。技術的なものですぐに起こってくるものではなく、ある時期が
経って症状が出てくる、と書いているので、もしかすると単剤で使うのではなく、自律神
経の作用であれば拮抗薬、サイドエフェクトを抑えるような薬を併せて使う手はないの
か。そこまでしてB型のタイプをここに上げてくる理由を教えていただきたいと思いま
す。
○機構 機構よりお答えいたします。本剤については、確かにA型と比較すると口内乾燥
及び嚥下困難等が多く認められるのが実態です。国内の臨床試験でも、それなりに発現率
は高い傾向は認められています。しかしながら、国内で認められている多くの事象に関し
ては軽度でして、海外の使用実態若しくは臨床試験の一部で死亡例は認められています
が、この薬がこの適用において、特に1万単位までの単位で使用されるにおいては、大き
な問題はないだろうと考えています。
○佐藤委員 その予想はどこで付くのでしょうか。
○機構 一つは、海外では臨床試験としては、2500~25000単位まで使用されているとい
うところです。国内では当初、臨床試験を実施する際に検討した結果、有害事象は用量依
存的に出てくるという話もありまして、有効性に関しては1万単位が頭打ちになっている
だろうということから、海外の状況も踏まえまして、国内では1万単位を上限に臨床試験
をやりました。その結果、国内での試験結果からは軽度という事象しか認められていない
ということもありますので、大きな問題はないと考えています。
○佐藤委員 もう一つの、拮抗薬と言っていいのかどうか分かりませんが、それを減らす
ような目標のものを使う療法は考えられないのでしょうか。
○機構 拮抗薬に関しては、実際の臨床試験で認められている事象は軽度でもあり、そこ
の中で、事象が出たときには何らかの対応はあると思いますが、最初から併用を考えてい
るわけではありません。
○永井部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○清水委員 審査報告書の51ページに、A型からこの製剤に切り替えたときのデータと
解説が書かれていますが、本剤からA型に切り替えている事例等の報告が出ているようで
したら、御紹介いただきたいと思います。
○機構 本剤からA型ボツリヌスへの切替えという例に関してはありません。海外でも、
その実態は確認しましたが、そこまでは分かりませんでした。海外の使用状況はその前の
治療薬がどのようなものだったかが明確ではないので、判明しないということでした。
○清水委員 今回の承認の内容を見ると、B型からA型に切り替えることを不可とはして
いませんね。そこの根拠はどう考えればいいでしょうか。
○機構 今の段階で、使用経験がないことをもって使用できないと設定するのは難しいと
思います。今、少なくともA型とB型の違いに関しては、先ほど御説明させていただきま
したように、B型で口内乾燥若しくは嚥下障害等が多く認められる可能性があるというこ
とは十分に注意喚起させていただいていますし、また用法・用量に関連する使用上の注意
で、本剤からの切替え、若しくはA型ボツリヌスからの切替えに関しては、その患者の状
況等も慎重に確認しながら投与いただきたいということは注意喚起していますので、そこ
で対応したいと考えています。
○清水委員 この薬剤も事前に研修を受けることが義務付けられていて、その中にA型か
らB型への切替えの注意事項を含んでいくと読み取れたのですが、これは他社のメーカー
の教育になってしまうので、ここで御回答いただけるものではないかもしれませんが、既
存のA型のものの教育課程の中に、B型に関する知識、特にドースも随分違うことは問題
点として報告書にも取り上げられているところなのですが、そういったところを新たに追
加していただくことが今後必要になるだろうと感じられるのですが、その辺の御返答が可
能であればお願いします。
○機構 講習会に関しては、他社のことでもありますので、明確なことは言えません。し
かしながら、添付文書に書かせていただいているA型からB型の切替え、若しくはB型か
らA型の切替えという、他剤への切替えということと同時の注意喚起をしていますが、こ
の添付文書の記載に関しては、A型ボツリヌスに関しても今から十分に書かせていただく
ことで対応したいと考えています。
○松木委員 A型のあるところでこれを承認する、ということに関してやはり少々引っ掛
かります。どのようなスタンスでいくかということで、新薬を承認するときは、何かベネ
フィットがあるこということが全面にあった方がいいと思うのですが、拒否する理由がな
いとか、A型があってA型と同じ程度だからB型もいいというようなことになってしまっ
ていると思うのです。新たに講習を受けなければいけないとか、ドースが違うような、似
たような、しかも結構副作用が強いようなものを2種類出すメリットなど、臨床の現場で
混乱が生じるのではないかと思うのですが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○機構 この薬に関しては、海外では臨床試験をやっているのですが、A型で治療抵抗性
という定義の患者さんを対象に、本剤を投与したときの有効性を確認しています。その中
で、本剤の有効性は認められておりますので、A型で実際に抗体等が産生されて、治療抵
抗性のような患者さんに関しては、本剤が効果を示す可能性は当然あると考えています。
その意味では、A型が使用されている患者さんで、効きづらくなっている患者さんにこの
薬を投与することは、想定される話かと考えています。
○松木委員 A型を既に使用している人も、もう1回講習を受けてということになるので
すか。
○機構 そうです。B型に関する講習を受けていただきます。申請者であるエーザイ株式
会社の講習をきちんと受けていただくことが必要になります。その中で、A型とB型の違
いも含めて、きちんと説明させていただく対応をし、違いを理解した上で投与いただくこ
ととしています。
○松木委員 A型抵抗性はどのくらいの割合であるのですか。
○機構 明確な数字は持ち合わせていませんので何とも言えないのですが、治療をやって
いく上で抗体が認められて悪くなる、若しくは今回の海外の臨床試験の定義としまして
は、直近の2回の投与で有効性が認められない場合となっています。そういった患者さん
がどのくらいいるかに関しては、データはありません。
○松木委員 B型を認めるメリットはそこにあると思うので、是非そういうデータを積極
的に出すように指導していただきたいと思います。
○永井部会長代理 よろしいでしょうか、データとしては非常に重要だと思います。
○村田委員 今の件ですが、松木先生のおっしゃるとおりなのです。実はA型の治療抵抗
性というのが、A型の抗体ができたための抵抗性と、もともとボツリヌスが効かないとい
う人もいるのです。ジストニアというのは大変難しい病態のためにそういうこともあっ
て、そういうデータは出しにくいのです。ですから、企業に言われても無理かとは思いま
す。むしろ出せるとしたら、経過とともにA型の抗体が出てくる方がおられますので、そ
の抗体の出る確率がどのくらいなのかと、交差耐性もあり得るということも書いてあるの
で、A型で抗体が出る人はB型でもできやすいような気もしないでもないですが、その辺
のことを市販後にきちんとデータを出していくことを言っていただければと思います。
○機構 御意見ありがとうございます。この薬に関しても全例調査を実施する予定ですの
で、その中で抗体の産生の有無等も確認しながら、対応したいと考えています。
○永井部会長代理 ほかに御意見がないようでしたら議決に入ります。古川委員、松木委
員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮
いただきます。
 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
ありがとうございました。
 議題2について、松井部会長にお願いします。
○松井部会長 本日別の会議で遅くなりました。議題2に入ります。機構から概要の説明
をお願いします。
○機構 議題2、資料2-1、資料2-2「医薬品シュアポスト錠0.25mg及び同錠0.5mgの生
物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定
並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明します。
 本剤の有効成分であるレパグリニドは、速効型インスリン分泌促進薬であり、スルホニ
ルウレア剤(以下「SU剤」)と同様に、膵β細胞スルホニルウレア受容体に結合し、イン
スリン分泌を促進することにより血糖降下作用を発現します。しかしながら、速効型イン
スリン分泌促進薬の作用時間はSU剤と比べて短く、また、効果の消失も早いことが特徴
であり、食直前に投与することにより、食後早期のインスリン分泌を促進し、主に食後血
糖推移を改善します。国内では、同じ作用機序の既承認薬として、ナテグリニド及びミチ
グリニドカルシウム水和物が販売されています。本剤は1997年に米国、1998年に欧州で
承認されており、2010年6月現在、世界90か国以上で承認・販売されています。
 本品目の専門協議では、資料9に示す先生方を専門委員として指名させていただいてい
ます。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。なお、有
効性については、単独療法とα-GI併用療法に分けて説明します。
 単独療法の有効性については、審査報告書54ページの表21を御覧ください。第III相
実薬対照比較試験において、主要評価項目とされた最終評価時における投与開始前からの
HbA1cの変化量は、既承認類薬のナテグリニド群では-0.81±0.39%、本剤群では-1.17±
0.62%であり、本剤群のナテグリニド群に対する優越性が検証されました。長期投与時の
有効性については、48ページの図1を御覧ください。長期投与試験において、主要評価
項目とされた最終評価時における投与開始前からのHbA1cの変化量は、-0.84±0.55%で
あり、図1に示しましたように、1年間にわたり効果が持続することが確認されました。
α-GI併用療法の有効性については、58ページの表26、表27を御覧ください。本申請
において、α-GI効果不十分例に対して本剤を併用した場合の有効性の検証を目的とし
た検証的試験は実施されていませんが、前期第II相試験(D4101006試験)及び後期第II
相試験(D4101049試験)において、表26と表27に示したように、主要評価項目とされた
HbA1c変化量、食後血糖値AUC変化量のいずれにおいても、改善が認められています。
 長期投与時の有効性については、53ページを御覧ください。長期投与試験において、
主要評価項目とされた最終評価時における投与開始前からの食後血糖値AUC変化量と
HbA1c変化量は、表19のようにいずれも改善が認められ、また、図2のとおり、1年間
以上にわたり効果が持続することが確認されました。これらの結果と、先ほど説明した単
独療法における結果を比較した場合、59ページの表28、表29に示したように、α-GI
併用療法の有効性を疑うものではないと考えられたことから、α-GI併用療法にかかわ
る効能・効果の承認に当たって、検証的試験の追加実施を求めることまでは必要ないと判
断しました。
 安全性については、59ページからの「(3)安全性について」の項に記載しています。
まず、経口血糖降下薬の投与時に、最も留意すべき低血糖の発現については、60ページ
の「1)低血糖」にあるように、実施された国内臨床試験において重度又は遷延性の低血
糖は見られていませんが、単独療法の第III相実薬対照比較試験における低血糖関連の有
害事象の発現割合は、62ページの下から4行目以降の文章中に示したように、既承認類
薬であるナテグリニド群の6.1%より本剤群では17.2%と高いこと、参考資料とされてい
る第III相実薬対照比較試験においても、SU剤であるグリクラジド群の6.3%よりも本
剤群では12.3%と高いこと、及び本剤のインスリン分泌作用は、ナテグリニドよりも持
続する傾向が示されていることから、添付文書において低血糖に関して注意喚起を行うの
みでなく、医療現場に対しても情報提供を行う必要があると考え、申請者にその旨の指導
を行いました。
 次に63ページの「2)心血管系リスク」を御覧ください。心血管系リスクについても詳
細に評価した結果、現時点では本剤を承認することに心血管系リスクの観点から重大な支
障はないものと考えますが、国内臨床試験における検討例数及び投与期間は限られている
ことなどから、製造販売後調査において、引き続き心血管系リスクに関して情報収集する
必要があると考えています。
 製造販売後調査については、78ページの「(5)製造販売後調査について」を御覧くだ
さい。登録症例数を3000例、観察期間を3年間とした長期使用に関する特定使用成績調
査が計画されており、当該調査において低血糖を重点調査項目とし、高齢者、腎機能・肝
機能障害患者における安全性、心血管イベントの発生状況等についても検討される予定で
す。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「2型糖尿病における食後血糖推移の改善」を効
能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議さ
れることが適当と判断しました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断し
ています。原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品の
いずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議
のほど、よろしくお願いします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○野田委員 64ページの表36、表37の辺りを拝見しますと、この表は左側に書いてある
薬剤と比較してのハザード比ですね。そうすると、グリベンクラミドないし例えば一番下
のグリベンクラミド、グリクラジド併合群に比べても、例えば表37ですと有意に重篤な
心血管系有害事象のハザード比が高かったという理解でよろしいのでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。今回、海外の成績から併合した心血管リスクについての
データが出ています。これは、患者背景はmatched cohort studyとして解析されていま
すが、先ほどの先生の理解で結構なのですが、今回の心血管系リスクの総合的な判断とし
ては、海外のこれらの成績を併合した場合に、患者間の背景のばらつきの影響があるもの
ですから、この結果をもって、本剤はリスクが高い、あるいは低いといった一定の結論は
出せないということで、国内において今後の製造販売後調査において必要な期間、必要な
例数で調査すべきという結論に至っております。
○佐藤委員 今のとは違う質問です。食前に投与する血糖調整剤で、かなりいろいろ出て
きていると思います。新しく出てくるからには、以前のものよりも良いというメリットが
あるから出てきている、ここに上がってきていると考えてよろしいかと思います。そうい
たしますと62ページ等に書いてありますように、低血糖というのはこういう薬には付き
ものだということは先ほどからおっしゃっていますし、当然のことかもしれません。安全
性と言っていいかどうか分かりませんが、Comaに陥った例もあるほどの、リスクを持
っているような薬が出てくることは、今までに出てきたものよりも、より血糖の調整が容
易にできることがメリットでなければあり得ないと思うのですが、その点について総合的
にどのようにお考えなのでしょうか。
○機構 今回、作用機序からの分類としては速効型インスリン分泌促進薬、いわゆるグリ
ニド薬という言い方もしますが、そういう同じ作用機序の類薬と比べてパワーが強いけれ
ども、低血糖のリスクも高い、効果と安全性の裏腹の関係のものです。
 我々としては、そういう有効性・安全性のバランスからすると、SU剤と従来のグリニ
ドの中間ぐらいの感覚で見た方がいいだろうと考えております。本品目の専門協議におい
ても、先生からそのような御意見をいただきました。従来、既承認薬は2剤ありますけれ
ども、それらと同じグループの薬剤なのだという感覚で使われると、低血糖のリスクは懸
念されますので、その辺の注意喚起を重点的にすべきだということで考えております。患
者さんの血糖コントロール状況に応じて、食後の血糖値が高い患者さんであれば、既承認
薬より、この薬剤を使うメリットはあろうかと思います。ただ、使う以上は低血糖のリス
クも十分注意しながら使っていただくということで、そこは臨床医の御判断で適正に使っ
ていただくことが前提になると考えております。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○林委員 64、65ページの結果の件で確認させていただきます。65ページの図は市販後
データを使っていると理解していいですか。先ほどの説明だと、臨床試験を統合された結
果だという説明だったような気がするのです。
○機構 これは、海外の市販後臨床試験です。
○林委員 市販後ですね。ですから、患者さんの背景、リスク等が違っているので、それ
で調整するようなmatchをかけたり、propensity scoreか何かで調整されているのだと
思います。それをしても調整しきれているかどうか分からないのですけれども、相変わら
ずリスクとしては高い方に向いているという理解でよろしいですか。
○機構 結論として、高いという明確な結論も出しにくい、どうしても背景の違いが調整
しきれていないということです。ただ、ある程度の規模の試験を併合して見ていますので、
我々としてもそういうリスクは否定しきれないという見方です。ただ、事実としては、こ
の薬剤は海外でもそれなりに使われているということで、こういう結果をもって使われな
くなっているというような状況ではないようです。現在でも問題なく市販されていること
は確認しております。
○林委員 お聞きしたいのは、この結果をもって、この薬剤のefficiencyがないとは判
断できない、つまり、医薬品として認めることに別に私は反対をしないのですが、ただ、
市販後の調査として、これは通常要求されていないようなアウトカムに近いようなことも
要求されていると思うのです。このままでいくと、通常の枠組みですから、この薬剤のア
ウトカムは分かると思うのです。ところが、ここで示されたようなSU剤との比較となる
と、多分答えは出ないと思うのです。その辺りをどうされるのか。
○機構 なかなか難しい問題だと思います。今のところ特に糖尿病患者さんの場合は、重
篤な低血糖が将来の予後にかなり影響することも分かってきていますので、単に血糖値を
下げるだけではなくて、いかに低血糖を防ぎながら使うかということが非常に重視されて
いると思うのです。この薬剤については、既承認類薬よりもパワーが強いということが国
内の臨床試験で見えますので、SU剤に近いぐらいのパワーがありそうなデータが出てい
ますので、長期で使う場合には低血糖に関しては十分注意が必要だということは言えると
思います。
 市販後調査においては、心血管リスクファクターと考えられている血圧であるとか脈
拍、脂質といったものの変動についても詳細に検討されるということです。その結果を見
て、あるいは市販後のこれからの低血糖の発現の状況等も含め、その辺は慎重に見ていか
なければならないと考えております。既存のSU剤との長期のリスクの比較という意味で
は、現時点ではまだ明確に比較できるようなデータはないと思われます。
○林委員 コメントなのですが、確かにおっしゃるように通常の枠組みだと、これでやっ
て低血糖の発現頻度等、若しくはメジャーなアウトカムの発現頻度は抑えられると思いま
す。それがSU剤と比べて低いかどうかというのは、別に大規模な臨床試験をやれという
意味ではなくて、これと同じような枠組みの観察研究でも構わないと思うので、そういう
ものを要求することはできないのですか、若しくはした方がいいのではないですか、とい
うことなのです。通常は求められないと思うのです。当然、自分の薬剤についての情報を
得ることが市販後に要求されていると思うのです。ただ、こういうデータがあるからには
事前にそれなりの対応をされる、若しくは日本ではこういうことが起きなかったというこ
とを早めに得るというような枠組みの調査とか研究を要求されることはないのでしょう
かという質問です。
○機構 先生のおっしゃることは私も賛成なのですが、個別の申請企業に対して求めるの
はなかなか難しい話かという気がします。そういう研究が、今後日本発で出てくれば非常
に有用だとは思っております。特に、最近は糖尿病の新薬の評価は海外も含めて長期の心
血管系リスクが非常に重視されてきておりますので、単に短期間の低血糖を下げる力がど
うなのかという話ではなくなってきているとは思いますが、現状ではそういうデータが出
てくる、あるいは要求するというのは難しいように思いますが、必要だというのは私も賛
成です。こちらから答えられるのはこのぐらいかと思います。
○野田委員 低血糖と心血管イベントとの間に何らかの因果関係があると示唆するよう
なことがあったのかどうかということ。それから、グリニド系薬のレパグリニドですが、
既存の二つの同じクラスの薬剤に比べるとかなり作用が強いということですが、そこのと
ころの差別化を、最近も糖尿病のお薬で思わぬことが起こったりすることがありましたの
で、そこをいかに徹底して伝えるかというのが重要なのではないかと思うのです。その辺
りは何か方策がありますか。
○機構 最初の御質問については即答できませんので、また検討したいと思います。後者
については、最近のDPP4阻害剤の低血糖の問題かと思います。確かに先生がおっしゃ
るように、我々も同じようなことは繰り返してはならないと思っています。現在は添付文
書だけではなくて、医療機関向けの資材という点でダブルで注意喚起を考えております。
引き続き適切に指導してまいりたいと考えております。
○清水委員 繰り返しになりますけれども、「速効性インスリン分泌促進薬」という言葉
は、この薬剤について使うつもりですか。
○機構 構造上なかなか否定するのは難しいかという気はします。例えば、添付文書には
よく何々系という表現が付いてまいりますが、そこが独り歩きしないような形で指導して
まいりたいと考えています。
○清水委員 もう一点、添付文書の中に、「SU剤と併用しないこと」という記載は明確
にされているのですが、この薬剤が市場の中で評価されてきたときに、SU剤から切り換
えて使うことの発想が起こってくる場合があると思うのです。57~58ページ辺りに、S
U剤から切り換えの参考試験が載っています。こういうデータの情報提供というのも必要
かと考えるのですが、その辺のところを添付文書に入れる等のことはどのようにお考えで
すか。
○機構 我々としては、SU剤からの切り換えというのは、現場ではされないだろうと考
えています。今回、参考資料で出てきたSU剤からの切り換え試験を見ても効果は出てい
ません。これは、安全性の参考資料というつもりで審査報告に記載しておりますが、正に
臨床現場では想定されない試験をやってしまったということで、デザインとしては適切で
はないという判断を我々はしています。切り換えということは想定していないつもりで
す。この辺は野田先生にお聞きした方がいいのかもしれませんが、我々としては想定して
おりません。
○野田委員 投与回数が増えますので、切り換えは確率的には少ないかもしれませんけれ
ども、あり得ることだとは思います。
 それから、先ほどの思わぬことというのは注射薬のお話でもあったのですが、いろいろ
な使用法を、臨床家は原則的な方法に則りながらも、それだけではないという使い方も状
況によって行われると思いますので、必ずしもその切り換えがない、ということはないと
思います。
○機構 我々としては、という意味でお答えしましたけれども、今の御意見を踏まえて、
そういう場合でも安全に使っていただけるような、十分な注意喚起をするように、申請者
に対しては改めて指導してまいりたいと考えております。
○松井部会長 ほかに御発言はございませんか。特に無いようでしたら、委員の先生方か
らの御質問、御意見は十分に出たと思いますので議決に入ります。本議決においては加藤
委員、永井委員、本橋委員は利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠
慮いただきます。
 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告
といたします。
 引き続き事務局より議題3の説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、資料3「GSK2402968を希少疾病用医薬品として指定することの可否
について」御説明いたします。医薬品医療機器総合機構が事前評価を資料3の評価報告書
に取りまとめておりますので、これに沿ってこの希少疾病用医薬品の指定要件であります
対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について御説明いたします。
 本剤は、ジストロフィン遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドです。本
剤の予定される効能・効果はDuchenne型筋ジストロフィーです。申請者はグラクソ・ス
ミスクライン株式会社です。
 対象患者数について御説明いたします。本邦の筋ジストロフィーの総患者数は、平成
17年度の患者調査報告において約6000人とされております。そのうちDuchenne型筋ジ
ストロフィーは4300人程度と推定され、そのうちの10%程度が本剤の治療対象と推定さ
れます。したがって、希少疾病用医薬品の指定要件であります5万人未満を満たすものと
判断しております。
 次に、医療上の必要性について御説明いたします。筋ジストロフィーは進行性の筋力低
下を伴います遺伝性の疾患であり、そのうちジストロフィンタンパクが産生されないこの
Duchenne型は最も頻度が高く、症状の進行が早い重症な病型です。平均寿命は28歳前後
とされております。Duchenne型筋ジストロフィーに対しては、病状の進行を抑制するた
めに、副腎皮質ステロイドが投与されております。本剤の投与により、ヒトジストロフィ
ンのプレメッセンジャーRNAにおけるエクソン51を人為的に読み飛ばしたある程度の
機能を保持する短縮型のジストロフィンタンパクが産生され、筋力低下の防止や、延命効
果が期待できると考えられております。現在、Duchenne型筋ジストロフィーの根本治療
が存在しないことから、本剤の有効性・安全性が確認できれば、医療上の必要性はあるも
のと判断しております。
 最後に、本剤の開発の可能性についてです。現在、海外で実施中の臨床試験があること、
本邦でも第III相の国際共同治験の実施の計画があることから、開発の可能性はあると判
断しております。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を検討した結果、本剤は希少
疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお
願いいたします。
○松井部会長 御質疑をお願いいたします。このDuchenne型筋ジストロフィー症は、私
が学生のころよりも7~8年平均寿命が延びているように思いますので、なおさらこうい
うお薬が必要なのだと思います。
 いかがでしょうか、特に御意見、御質問等はございませんか。それでは議決に入らせて
いただきます。古川委員、松木委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出
に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告
といたします。次は報告事項議題1をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料5「優先審査指定品目の審議結果について」御報告いた
します。優先審査の取扱いについては2ページに概要をお示ししております。この制度は、
薬事法第14条第7項に基づき、希少疾病用医薬品や、その他医療上特に必要性が高いと
認められる品目について、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たって
は、適応疾患の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断することになります。
 1ページです。今回の対象品目は、販売名アンセジャー注750mg、一般名ホスフェニト
インナトリウム水和物です。本剤については記載のように、てんかん重積状態(けいれん
重積状態を含む)、てんかん発作頻発状態、脳外科手術又は意識障害(頭部外傷等)時のて
んかん発作(けいれん発作を含む)の予防及び治療、フェニトインの経口投与が不可能又は
不適切である場合の効能で承認申請がなされたものです。
 本剤の対象疾患であるてんかん重積などは、重篤な疾患であり、また既承認のフェニト
イン注射薬で認められている血管炎などの有害事象について、フェニトインのプロドラッ
グである本剤が、その発生を抑制できる可能性はあります。しかしながら、本剤を既承認
のジアゼパムやフェノバルビタールを含めた既存治療と比較した場合、必ずしも優れてい
るとまでは言えず、本剤の適応疾患の重篤性及び医療上の有用性を勘案して総合的に評価
した結果、本剤は優先審査に該当しないと判断いたしました。
 本剤については、通常の審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただくことになる
かと思いますので、その際にはどうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 続いて議題2をお願いいたします。
○機構 議題2、資料6-1~6-4「医療用医薬品の再審査結果について」まとめて御報告
いたします。これらは、いずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料6-1、一般的名称はインターフェロンアルファコン-1(遺伝子組換え)。販売名は
アドバフェロン皮下注1200ほか。資料6-2、一般的名称はL-アルギニン塩酸塩、L-ア
ルギニン。販売名は、アルギU配合顆粒ほか。資料6-3、一般的名称はダナパロイドナト
リウム。販売名はオルガラン静注1250単位ほか。資料6-4、一般的名称はコレスチミド。
販売名はコレバイン錠500mgほかです。
 これらの品目について、市販後使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて、再審査申
請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由の
いずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更
の必要がないカテゴリー1と判定したものです。以上です。
○松井部会長 以上の報告事項について御質問がありましたらお願いいたします。
○清水委員 資料6-3のオルガランなのですが、13ページの評価の一番最後のパラグラ
フの最後の方に、「一方、再審査期間中の本剤の適応外使用の状況を見ると、本剤の承認
以降、申請者が本剤の適正使用に努めていたとは評価できない。今後、本剤の適正使用に
向けた明確な対応を、上記の通り徹底すべきであると考える」という評価になっています。
改めての評価というのは何か考えていることはあるのですか。これは、そのように注意す
ると、それで終わりになってしまうものなのでしょうか。
○機構 適正使用部分についての報告内容は前の方に書いてあるかと思います。その部分
の評価は半分ぐらいではありますが、できているという判断をしております。
○松井部会長 今の説明でよろしいですか。
○清水委員 今後何かされるんでしょうか。
○機構 今後ですけれども、報告書の中にも書いてありますが、適応外部分については本
邦で既にほかの薬が承認されていて、今後はその部分での使用がなくなっていくと考えま
すので、ここで終わりということを考えております。
○松井部会長 ほかにないようでしたら、以上御確認いただいたものとします。次はその
他議題2をお願いいたします。
○事務局 その他議題2、資料11「医療用配合剤の取扱いについて」を事務局から御説
明させていただきます。趣旨ですが、前回8月26日の当部会において、リオベル配合錠
の御審議をいただきました。その際に委員の先生方からいただきました御意見を踏まえ、
事務局において配合剤の取扱いについての考え方を含めて取りまとめております。本日は
この考え方について御説明をいたしまして、委員の先生方の御意見をいただきたいと考え
ております。
 「1.背景」の配合剤については平成17年に通知を改正して以来、下に示しております
1.~4.までのいずれかに該当するものを承認してきています。前回御審議いただきまし
たリオベル配合錠については、このうち4.その他配合意義に科学的合理性が認められる
ものとして審査が行われております。前回いただきました御指摘は、4.に該当する経口
配合剤についてのものであったと考えております。
 二つ目の○は、4.に該当するこの配合剤については、具体的には配合剤の臨床試験で
単剤に勝っている、あるいは併用で単剤に勝っていて、なおかつ生物学的同等性が確認さ
れている。このいずれかの試験成績を踏まえて、これまで承認をしてきているところです。
 次ページ別紙を御覧ください。リオベル配合錠における二つの単剤の承認状況をまとめ
てあります。ピオグリタゾン塩酸塩については、アクトス錠というのが元の剤になります
が、平成11年9月に承認が行われています。もう片方のアログリプチン安息香酸塩(ネシ
ーナ錠)については、平成22年4月に承認が行われていて、チアゾリジン系薬剤との併用
は、今回の配合の効能ですけれども、平成22年8月20日に承認をされております。
 次ページの表は、これまでにありました高血圧と糖尿病に係る配合剤を一覧にしてお
り、配合剤の薬剤名の下に配合剤の承認日、その下に組合せの元となる単剤の承認日と再
審査期間満了日を記載しております。糖尿病薬の1番のところにリオベル配合錠が記載さ
れておりますが、単剤の承認後、間もなく配合剤の申請が行われたということです。ほか
の剤と比較してみますと、このようなケースはこれまでになかったことが分かります。
 一方で、高血圧症治療の4番のミコンビを見ますと、単剤の再審査期間中に承認された
配合剤もあります。これは6番のレザルタス、9番のミカムロ配合錠等も同様です。状況
はこのとおりです。
 1ページ、2番の考え方です。前回の御指摘を踏まえ、事務局においてまとめておりま
す。1番目の○は、単剤の承認後、使用経験の少ない段階では、配合剤で生じた有害事象
が一つの成分によるものなのか、あるいは配合したことによるものなのか分からない場合
があるなど、適切な安全対策、適正使用に影響を及ぼす可能性がある。このため、リスク
・ベネフィットバランスを考慮し、より安全サイドに立った措置として、上記の4.に該
当する経口配合剤については、原則として単剤の承認後一定期間を置いて承認することと
してはどうかということです。
 「一定期間」の具体的な期間ですが、参考としていくつか挙げております。販売開始後
に、安全対策のために行われる市販直後調査については、販売開始後8か月のうちに報告
が行われることになっております。あるいは、企業が行う使用成績調査でありますが、過
去、承認後1年を見ますと、大体1000例程度の登録が行われています。それから保険上
の取扱いではありますが、販売開始後1年間については、新薬の販売開始後14日を超え
る処方が制限されているということなどが参考になるのではないかと考えております。最
後の○は、配合剤の承認審査では、こうした間に収集される情報も踏まえて、併用実態に
ついて確認を行うこととしてはどうかということです。事務局からの説明は以上です。
○松井部会長 以上でよろしいですか。
○事務局 補足させていただきます。一番最後の4ページ以降に、リオベル配合錠の申請
者であった武田薬品工業株式会社から、配合剤の意義についてどのように考えるかという
ことで回答をいただいておりますので、参考までに付けております。
○松井部会長 単剤として承認されて、併用されている期間を、一定期間置いてから配合
剤を承認すべきではないかと言ってよろしいですか。
○事務局 はい。
○松井部会長 御意見、御質疑をお願いいたします。その一定期間として提案されたのが、
1年間ということですね。
○事務局 正確に申しますと、単剤の承認後、単剤の安全性がある程度得られる期間とし
て1年間としてはどうかということです。
○松井部会長 前回の部会ではほとんど全員の委員が御発言なさったことでしたが、いか
がでしょうか。
○清水委員 考え方の中で二つ取り上げられていて、一つは一定期間後の承認にするとい
う考え方はどうか。二つ目としては、その使用実態についての確認をしてからということ
でどうか。これは一つひとつの御提案という意味ですか、それともそういうコンビネーシ
ョンを考えてはどうかという御提案と受け取っていいのか、その辺のところはいかがです
か。
○事務局 一定期間ということについては、客観的に決めることとしてはどうかというこ
とで考えております。その期間に出てきた情報についてはもちろん確認をするのですが、
この併用の実態については何か基準を置くということになりますと、その基準はどのよう
な基準であるのかというところが論点になってまいりますので、これについてはコンビネ
ーションで、一定期間を置く間にその確認も併せて行う。確認を行うことが条件ではない
ということです。
○清水委員 もう一つ確認ですが、期間についての提案は、単剤としての承認後という提
案になっています。別紙2を見ますと、今回の(1)(2)について、単剤としての承認は平
成22年4月16日になされていて、配合剤の対象となったチアゾリジンでの併用は平成
22年8月20日に承認になっています。このような状況にあって、対象配合薬剤がチアゾ
リジンであっても、ネシーナとしての承認をスタートのところとして考えて、一定期間を
考えるとしたのは何か理由があるのですか。
○事務局 考え方の1.に戻りますけれども、あくまでここでは単剤の使用経験が少ない
状況で、配合剤の安全性を評価することは困難な場合があるのではないかということで論
点として挙げております。そのことから、それぞれの単剤の承認後ということで考えてお
ります。
○清水委員 いずれにしろ、このような一定期間を考慮した上で、配合剤を今後認めるよ
うにするという、その方向性としての考え方は一定の意義があるのではないかと感じま
す。
○松井部会長 確認しますけれども、単剤Aが承認されて、単剤Aと併用する単剤Bが承
認されるまでの間が1年。1年あれば、配合剤が認められるということなのですか、そう
ではないのですか。かえってわかりにくくなったでしょうか。
○事務局 単剤Aと単剤Bがあって、Aの承認後1年、Bの承認後1年、両方が過ぎた後
に配合剤を出していただきたいということです。
○松井部会長 両方が1年過ぎたらですね。
○事務局 はい。
○松井部会長 先生方もよろしいですか。
○清水委員 いいということにすればですね。1年というのは今の仮定の数字ですね。
○松井部会長 はい。二つのことですよね。併用が認められた後に、配合が認められるの
だと。その期間として1年という提案がなされています。永井先生はいかがですか。
○永井部会長代理 1年で妥当だと思います。
○松井部会長 ほかに御意見はありませんか。
○佐藤委員 ここには書かれていないのですが、その組合せのときの量の組合せというの
があったように思うのですが、それについては全く考慮せず、配合がいいと決まったら、
量の組合せはその場に応じてということでよろしいのでしょうか。
○事務局 量のことについては、個別に一つひとつの薬ごとに審査の中で判断していくこ
とになろうかと考えております。今回は、量の組合せということについて、一律に今後ど
うしていくという方針ではお示ししておりません。
○松井部会長 それは、文字どおり「背景」の4.の配合意義に科学的合理性が認められ
るという、これはもちろんいけるわけですね。
○事務局 はい。
○檜山委員 1年の起点がどこであるのか、もう一度確認のためにおっしゃっていただけ
ますか、なかなか理解できないのですが。両方のものが承認されていて、その1年後には
何をするのですか。
○事務局 単剤が二つあって、その二つの組合せとして配合剤が出てくるという順番の中
で、単剤Aが承認されてから一定期間、さらに単剤Bが承認されてから一定期間、その両
方が過ぎた後でなければ、配合剤については承認をしないこととしてはどうかという趣旨
です。
○松井部会長 両剤が併用される期間が1年あって、その後に配合が認められる。
○檜山委員 ですから、併用はスタートしているということですか。
○事務局 各単剤の承認後です。
○松井部会長 もちろん承認後です。
○野田委員 分かりましたけれども、A、Bの薬剤の承認の日の1年後で、より時間が後
の方という理解でよろしいでしょうか。その間に、併用についての申請が下りている必要
はあるのかないのか、突然配合剤が出る可能性もあるのでしょうか。
○事務局 これは糖尿病だけの扱いですけれども、併用の臨床試験を行って、単剤に対し
て勝るというデータをもって、この配合剤の承認を取るというときには、同じ臨床試験を
もって併用の効能も取れますので、併用の効能は取得するのが通常であろうと考えており
ます。
○手島委員 単剤が承認されて1年というのを示した理由として、参考資料によると市販
直後調査の報告が、販売開始後8か月のうちに行われることがあって、1年経てば最小限
の副作用の報告は出るだろうということで、1年が設定されたのでしょうか。
○事務局 そうです。
○村田委員 二つの薬が使われるようになってから一定期間経ってから配合剤を、という
のは当然だと思うのです。その場合には、当然A、B単独のものと配合剤とで非劣性の治
験がなされるわけですね。それで、ここに書いてある1.、2.という感じになるのだと思
うのです。1年以上経ったら、そういう治験を始めていいですよという意味なのですか、
それとも承認申請をしている間に、そういう治験をしてしまっていて、きっと通るに違い
ないと思って、それがあって1年経ったら承認申請をしてもいいという意味ですか。それ
とも、1年経ったら医薬品部会に出るという意味なのですか。その辺を教えてください。
○事務局 ここでは、実際に市場に販売するということの是非を論じていて、承認をする
ことが一定期間後であるべきであるという趣旨です。
○村田委員 大抵最初はA、Bのどちらかだと思うのですが、Aがもともと既存にあって、
Bという薬の単剤での治験をやって、そのときに一緒にA、Bの配合剤という治験も少し
遅れてかなり急いでやってあって、という状況でということなのですか。それを想定して
いるわけですね。
○事務局 臨床試験が行われる時期というのは、企業によって様々な計画があると思いま
す。ここの部会で御審議いただいて、承認をすることについては、このような取扱いにし
ようということで提案をしております。
○村田委員 同時に治験をやっていたとしても、後から出た方が承認されて、仮に同時に
治験をしていたとしても、1年間経たないと承認はしませんよ、という意味なのですか。
○事務局 はい、そうです。
○松井部会長 村田先生がおっしゃるような状況を実現するのは難しいのではないかと
思います。
○審査管理課長 御説明させていただきます。2ページ目の別紙の一番下に「なお」書き
の○があります。経口剤に関しては、臨床評価ガイドラインを新しく組み換えたものを出
していて、平成24年7月以降は、糖尿病薬については併用の相手ごとに併用先を承認し
てきましたが、新しい糖尿病薬が出るときには、最初から組合せを考えて出していただく
ということです。高血圧のように、個別に併用相手を承認していかない形です。最初から
想定される併用についても試験をやっていただくという形で考えております。後1年少々
ですけれども、それ以降は、この取扱いですと、併用は最初からできるのだけれども、配
合剤は承認されてから1年後という考え方になろうかと思います。
○加藤委員 今の趣旨は分かるのですが、1ページにある「考え方」の1番目の○に書い
てあるのは、単剤の使用経験が少ない段階では、単剤で起こったのか配合剤で起こったの
か区別できないということが一つの目的だということなので、単剤で十分エビデンスがあ
る段階を経ないと併合投与したときの問題が判定できないというのが、この考え方の1番
に書いてあります。今のお話は、併用したときの問題点が上がってきて1年なり何なりの
時間が経っているかどうかということで、問題が少しずれるように思うのですがいかがで
しょうか。
○審査管理課長 新しいガイドラインで出てきたときには、当然ながら単剤での使用もあ
ると思いますので、そこも当然ながら市販直後調査の中では単剤の使用状況、あるいは併
用状況という形で分かれてくるものと思いますから、単剤についての一定程度の安全性の
データは情報集積されるのではないか。併用は認められておりますけれども、配合剤とい
う意味では1年後ということでいかがだろうかという考え方です。
○加藤委員 そうすると、今までの議論で混乱しているのは、AとBそれぞれ1年という
ものと、それからA、Bの併用の経験が1年というのとは少し混乱した議論になっている
と思います。
○審査管理課長 併用の経験については、この案では直接的には問わなくてもいいのでは
ないかということです。
○加藤委員 ということでいいのですね。
○審査管理課長 はい。
○加藤委員 併用がどのぐらいされているかということに関しては、少なくともここでは
配合剤を認めるかどうかの議論には必要ない、という立場で考えていいということです
か。
○審査管理課長 ただ、審査する際には、実態はどのぐらい使われているか分かりません
けれども、ある程度併用の使用実態は確認させていただこうということです。
○野田委員 確認ですが、これは経口薬についての配合剤取扱いガイドラインという理解
でよろしいでしょうか。
○事務局 注射薬等については、また別途考えるべきものと考えております。
○審査管理課長 それから、HIV薬等については別な扱いと考えております。
○古川委員 先ほど、併用の実績を確認するとおっしゃられたと思います。ここに、会社
からの見解が後ろに2ページあります。この見解は、「ガイドライン等で十分A、Bとい
う二つの薬剤が併用されているというのを踏まえて出すのだから」というような趣旨が書
いてあります。ですから、A、Bが出て1年というのはいいのですけれども、併用してい
る実績というのを、そのガイドライン等でこの薬は駄目になって、この二つを併せて使う
のだ、というようなことが一般的に使われるようになると思います。それがまた1年ぐら
いかかるのか分かりませんが、先ほど来言っている、AとBの併用はいつから行われてい
るのかということが問題になります。ですから、ただ単に薬が売られているという実績だ
けの問題ではなくて、二つの薬を同時に使ってきたのかということです。
 これは、ガイドラインがあれば、ガイドラインは3年前からあってAとBを使うという
ようなことがあった場合、こういう薬はある程度配合剤というのはいいと思うのですが、
ただ単に、AとBがガイドライン等ではなく、曖昧に使われている場合の配合剤を果たし
て認めていいかどうかという問題があると思うのですが、いかがですか。
○事務局 もともとの議論に戻りますけれども、有効性・安全性の観点から申したときに、
二つの併用における臨床試験を行って、有効性・安全性の確認をしていることがもちろん
大前提です。その上に、さらに単剤の承認後、その使用経験が少ない段階では、さらに安
全を慎重に判断すべきではないかということで、このように御提案させていただいており
ます。併用の実態というのは、もちろん確認をすべきであると考えておりますけれども、
具体的にその条件として、これは過去何割以上ということで基準を引くことは困難である
と考えております。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○古川委員 審議に入るときに、その辺を確認しておく必要があるのではないかと思うの
です。例えばガイドラインで、いつからこういうところは同時に使っていますとか、そう
いう実態を是非出していただければ審議しやすいかと思いますが。
○松井部会長 そうでないと、配合意義に科学的合理性が認められないということです
ね。
○古川委員 それをそのままだと、少し抵抗があります。
○松井部会長 そうですね。ありますね。古川委員の御意見は、一定期間の併用があって、
そしてなおかつ有効であるという科学的合理性が認められれば、本部会は認めていいとい
うふうに解釈してよろしいですか。ですから、ただ単に1年経ったというだけでは駄目だ
という御意見ですね。
○古川委員 はい。
○審査管理課長 そこはガイドラインであるとか、臨床試験データであるとか、使用実態
等を踏まえて、併用や配合剤について合理性があるということを審議していただくという
ことでよろしいでしょうか。
○松井部会長 よろしいでしょうか。
○古川委員 そうですね。
○松井部会長 ほかの先生方もよろしいでしょうか。それでは、この点はきちんと議事録
に残していただいて、以後の審議に活かすことにしたいと思います。
○事務局 説明のときに「一定期間」と申しておりましたけれども、1年であるというこ
との妥当性についても併せて御確認をいただければと思います。
○松井部会長 いかがでしょうか、1年でよろしいですか。皆さん反対ではないというこ
とでしょうか。
○清水委員 明確な数字はなかなか難しいのだろうとは思うのですが、ここに書かれてい
る参考の内容を勘案すると、1年は妥当な線かと思います。
○松井部会長 いかがですか、村田先生もよろしいですか。
○村田委員 単に感想ですが、発売されて1年という時点で、既にガイドラインに出てい
るようだということは、日本のドラッグ・ラグの現実を強く言っているだけだと思って、
少しがっかりしていただけです。
○鈴木委員 小さな議論の中では、単剤ごとに非常に頻繁に使われていて、実際に単剤と
して一緒に投与されているようなものがあったりするような場合、ケース・バイ・ケース
ですけれども、そういう場合に普通は発売後1年間は2週間投与ということですけれど
も、これを最初から枠を外すというようなことも決められておりますので、方向性として
は、1年というのはそういう意味ではケース・バイ・ケースということで、場合によって
はもう少し短いこともあるかと思うのです。
○野田委員 今、ガイドライン云々の辺りの議論が私にはよく咀嚼できていなかったので
すが、治療ガイドラインに載ることがサポーティブなデータになるという理解でよろしい
のでしょうか。私にはガイドラインの議論が少々。
○審査管理課長 先ほどの議論の中で、併用してからどのぐらいの期間というお話があり
ました。そもそも併用については1年数か月後になりますが、その時点以降は、最初から
糖尿病薬の新薬を承認するときには併用ありと決まってしまうということを申し上げて
おります。併用期間というところではなくて、新薬としての承認の期間から1年という形
になってしまいますということです。
○野田委員 その点は理解しているのですが、いずれにしても平成24年の新しい臨床評
価ガイドライン導入の時点までの状況ですね。
○審査管理課長 平成24年7月までは併用相手ごとに承認を追加していくということで
す。
○野田委員 5ページに、併用療法の実績が少ない状況下であっても治療ガイドラインに
おいて云々、というのは、どういう意図で書いてあるのかがよく分からないのです。
○審査管理課長 これは、申請者からのお話ですけれども。
○野田委員 申請者の意図をそちらにお聞きするのは少し変かもしれませんが。
○審査管理課長 併用のいろいろな組合せがあると思うのですが、相手方としては、当然
ながらいろいろな会社が出しているわけです。併用の組合せとして少なかったとしても、
ガイドラインで示されているということであれば、少なくとも配合剤としての意義はある
のではなかろうかという意味ではないかと思っております。
○野田委員 このガイドラインというのは、諸外国のものを含んでいると考えるのでしょ
うか。実際には、日本の糖尿病のガイドラインで特定の組合せを推奨するということは、
現状では今のところありませんし、そういうことは、改訂を経ても、その組合せまで推奨
するというような形にはなかなかならないのではないかと思うので、これがどういう意図
で書かれているのかがよく分からなかったのです。
○審査第二部長 申請者側の意見ですので想像して言うのはいかがかとも思いますが、一
応ここは我が国のガイドラインで、糖尿病治療などの際に、作用機序の異なる薬剤を併用
して投与することが、一般的に推奨されているということを言っているのではないかと思
います。
○松井部会長 この議論の最初の時点の私の解釈では、むやみに配合剤を承認していくこ
とに関して、委員の先生は批判的だったと理解しておりました。ですから、何らかの歯止
めを設けるべきである、というのが先生方の御意見だったと思ったので、こういう議論を
先生方にしていただいて、その上で機構の方にも考えていただいたという背景だと思いま
す。もし先生方がよろしければ、これでしばらくやってみる。ただし、先ほどの配合意義
に科学的合理性が認められるということは堅持するようにしたいと思いますがよろしい
でしょうか。
○清水委員 配合剤を認めるに当たっては、より安全に使えていること、より安全に担保
されていることが大事だろうと思うので、部会長が今おっしゃられたような背景になって
くるのだろうと思うのです。ここで発言するのが適切かどうか分かりませんが、今後は企
業倫理という問題が出てくる可能性もあるのではないかという気がしております。そうい
うところも、これからは考える必要が出てくるだろうという感想を持ちました。
○松井部会長 医療用配合剤については、今回の議論を踏まえて今後は御対応いただきた
いと思います。それでは、議題3の説明をお願いいたします。
○事務局 その他議題3、資料12「緊急避妊薬(ノルレボ錠)の承認申請への対応につい
て」御説明いたします。緊急避妊薬のノルレボ錠については、これまで承認されている性
交前から使用する計画的な避妊薬と異なり、計画的な避妊に失敗した場合などに、性交後
に服用する避妊薬です。本剤については、総合機構での審査が終わり、次回以降の医薬品
第一部会での御審議をお願いする予定としておりますが、本剤が緊急避妊という効能・効
果であるため、社会的な関心の高まりが予想されます。
 このことから、通常よりも慎重な手続をとることとし、資料にあります総合機構の審査
報告書をマスキングした上で、添付文書案等とともに、厚生労働省のホームページに掲載
し、パブリックコメントを実施したいと考えております。本剤については、改めて御審議
いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 御質疑は何かありますか。パブリックコメントを求めるということです。
○檜山委員 パブリックコメントを出すのに、どういう資料が配られるのですか。
○事務局 今、パブリックコメントで予定しておりますのは、今回の資料に付けておりま
す審査報告書、これは一部企業の利益に関する情報であるとか、個人情報の部分はマスキ
ングした形でお出ししたいと思っております。
 それから最後のページにある、現状のノルレボ錠の添付文書案と臨床試験を実施したと
きの参考資料リストの3点をパブリックコメントの際にお出ししたいと考えております。
○檜山委員 パブリックコメントに、頭書きも説明もないこの審査報告書そのものを出し
て意見を求めるのでしょうか。先ほどおっしゃられた、社会的にどう受け止められるかと
いうことなのですが、もう少し何か説明があった方がいいのではないかと思うのです。最
初の方のパワーポイントのようなものがないと、いきなり我々に出されたこういうものだ
けを見せて、パブリックコメントというのはどうでしょうか。パブリックコメントという
のは、誰でも見られる厚生労働省のホームページですね。
○事務局 はい、厚生労働省のホームページで意見募集をします。
○檜山委員 ですから、全員誰でもコメントできるものですから。
○審査管理課長 分かりました。パブリックコメントをする趣旨については簡潔にまとめ
て、分かる形でパブリックコメントを実施させていただきたいと思います。
○松井部会長 先生、それでよろしいですか。
○檜山委員 はい。
○松井部会長 ほかにないようでしたら次は議題4をお願いいたします。
○事務局 その他議題4、当日配付資料13「医薬品オベスケアカプセル10mg及び同15mg
の承認申請の取り下げについて」御報告いたします。本剤はSNRIであり、ここに括弧
で記載してあります効能・効果で承認申請されておりました。本剤は、2009年7月に医
薬品第一部会で審議され、9月の分科会への報告が行われました。その分科会では、海外
の死亡例の詳細や、高血圧患者についての定義に関して委員より御質疑いただき、その詳
細等を確認した上で対応を検討することとなっておりました。
 その後11月に、海外で実施中でありました心血管系のリスクの高い患者を対象とした
SCOUT試験(海外の試験)において、本剤群ではプラセボ群と比較して致死的ではないもの
の、心血管系リスクが上昇したとの結果が得られました。その結果を受け、欧州ではEM
Aが2010年1月に、本剤の販売承認の差し止めを決定いたしました。米国においては、
心血管系リスクを有する患者への注意喚起を2010年1月に実施し、販売は継続されてお
りましたが、同年9月に開催されたAdvisory Committeeの議論を経て、FDAは10月に、
米国での製造販売業者であるアボット社に本剤の自主回収を要請いたしました。アボット
社はこれを了承したところです。
 日本における対応ですが、このような経緯を踏まえ、国内での申請者であるエーザイ株
式会社は、本邦での承認取得は困難と判断し、2010年10月28日付で承認申請を取り下
げるとともに、本剤の開発を中止したという連絡がありましたので、以上御報告いたしま
す。
○松井部会長 御質問はありませんか。ないようですので、御確認いただいたものといた
します。本日の議題は以上ですが、事務局から報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、現時点で審議品目が11品目、報告事項が5議題、公知申請に
係る事前評価が2品目ということで、品目等が多くありますので、11月24日(水)の午後
4時からと、11月26日(金)の午後4時からの2回に分けて開催させていただきたいと考
えておりますので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 野村(内線2746)

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