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2011年1月20日 第4回レセプト情報等の提供に関する有識者会議議事録

○日時

平成23年1月20日(木)10:00~12:30


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○議題

1.ガイドライン(案)等のポイント
2.模擬申出・審査について

○議事

○城室長 ちょっとお見えでない委員がおられますが、定刻になりましたので、ただいまより第4回「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。
 会議に先立ちまして事務局からですが、この有識者会議の座長をお務めいただいておりました開原先生が、先日急逝されました。
 私どもといたしましても、このデータベースの創設から、この枠組みを作成するに至りまして、この間、非常な御尽力をいただいた上で、まさにデータの利活用が始まろうとするこの直前の時期にお亡くなりになられたことを、大変残念に思っております。
 この場をかりまして、慎んで御冥福をお祈り申し上げますとともに、ここで故人の冥福をお祈りするために黙禱をささげたいと思います。御協力をお願いいたします。ギャラリーも含めまして、よろしくお願いします。
 それでは、着席で結構でございます。
 それでは、一同、黙禱。
 (黙  禱)
○城室長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に委員の出欠につきまして確認をさせていただきます。
 本日は、武藤委員、それから田中委員、宮島委員が御欠席との連絡をいただいております。印南委員がちょっと遅れておられますが、追って御到着されると思います。
 それでは、本日を含めまして、今後の進行につきましては、副座長の山本先生にお願いしたいと思っております。
 それでは、先生、よろしくお願いします。
○山本副座長 皆さんおはようございます。突然の開原先生の御逝去で、しばらくの間、座長を代行させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
 まず、事務局より、議事1のガイドライン(案)について、ポイントについて説明をお願いいたします。
○城室長 それでは、資料をごらんください。資料1として「ガイドライン(案)のポイント」、そして資料2、それから資料3としてガイドラインの関係の関連資料をつけさせていただいております。ガイドラインの本体そのものにつきましては、相当細かくなるということもございまして、事前にお送りしてごらんいただいてはおりますが、なかなか逐一で今回見ていただくという時間がございませんので、ポイントで御説明をさせていただきたいと思います。
 それから、このガイドラインにつきましては、できれば今回確定をと思っておったのですが、私どもの方でまだ調整中のところがございまして、本日御議論いただいて、あらあらのところでもし御了解がいただけましたら、この後、細かい調整をした上でパブリックコメントにかけるなりの手続に入っていくということで、本日あらあらのところまでお決めいただければという趣旨で御提示いたしております。
 それでは、資料1をごらんください。ポイントということで、幾つかの要点について図示したものを用意いたしております。
 まず1ページ目でございます。これは、全体のデータ提供のこの枠組み・流れの確認的な整理をしたものでございます。
 まず、一番上の四角の中に書いてございますように、これは、行政が行政として行うものではなくて、行政上持っているデータなのだけれども、処分としてではなくて、契約として提供するという枠組みになるということも確認的に書いてございます。何が違うかといいますと、これは、私どもの方で普通に処分として行ったものが行政不服審査の対象になるということですが、これはほかのデータ提供なんかでもそうですけれども、処分性がないという扱いなので、行政不服審査の対象にならないという関係の整理でございます。
 それから、法的な根拠が、現時点においては罰則とかそういったものについては設けられておりません。したがいまして、当面、試行していくこの間におきましては、不適切利用に対する対応につきましても、契約上、データ提供する際に、利用者の方と契約をしているその契約の中で執行していくというか、処理をしていくという形になります。ですので、司法上の契約ということになりまして、これは契約協定というか利用契約ですが、この中身につきましてもリーガルチェック等をかけて結んでいくということになります。
 それから、患者個人の方の識別可能性をなくしていく、できるだけ低めるための処理をどうするかということがございまして、当面、この試行期間中については、個別に有識者会議のこの場におきまして判断していくということになりますが、将来的には、できるだけ、ある程度定型化したものというのを用意しておいて、個別にそのデータセットの中で対応できるものであれば、そのデータセットをお渡しするということで、標準化・定型化していくということをしなければならないと考えておりまして、ガイドラインの中では、そういった検討をするようにということを規定いたしております。
 流れでございますが、これはこれまで御説明したような流れがまとめてあるものでございまして、基本的には、事前相談を受けて、それに基づいて中身が、データがあるとか、そういったものをきちんと確認した上で申し出を受け付けると。それから、事務的審査におきまして、そもそも対象外とかといったものについては、ある程度整理をいたしまして、中身について御判断をいただくものについて有識者会議にかけるということになります。そこで御判断をいただいた上で、決定するのは、有識者会議の責任ということではなくて、それを踏まえて、私どもの方の決定という手続になります。その後は、実際にデータ提供した後、結果、それから成果、こういったものについて報告をするという流れになっております。
 それから、2ページをごらんください。これは、対象者、対象者というのは、提供依頼の申し出を行える者の範囲ということでございます。これも従来御説明しているものをもう一度、再整理をしたものでございます。特に変えたところはございません。国の行政機関、都道府県、研究開発独法、大学(大学院)、それから、医療保険者の中央団体、医療サービスの質の向上等を目的とする国所管公益法人、それから研究費等をその研究に対して受けている者ということで、これは民間を含むということでございます。
 この考え方でございますが、改めて整理をしておりますけれども、試行期間中でございますので、これは手数料等のこういったものないし機密漏えい、情報漏えい等に対する罰則も法的には定められていないということ。それから、実際、まだ試行ということで、体制が私どもの方もまだ万全ではないというところ、こういった中で、できる限り優先度の高いものということで考えておりまして、その関係で、提供依頼申出を行う者も一定の範囲に限定するという形にいたしております。
 これは、この上のマル1からマル7の方たちの申請があればすべてということではなくて、この範囲内で個別の審査の際に、また実際の中身も見ながら御判断をいただくということになっております。
 3ページをごらんください。これは、個別の実際の審査をするときの関係の資料でございます。本日も、模擬審査ということで後ほど議題として予定しておりますが、それとはちょっとやり方が変わります。それについては後ほど御説明申し上げます。これは、一般的に来年度から行うものについてということの関係の整理をしようとしております。
 これは、個別の申出ごとに、できるだけデータの匿名性を高める、識別可能性を低めるという観点で議論していただくということであります。
 ただ、試行期間中については、技術的な問題で提供ができない場合ということもありますので、これはデータ提供を行わないという結論になることもあります。
 先ほど申し上げたように、形式要件の審査は事務局で行うということを考えております。
 それで、具体的な運営の詳細につきまして、別途、開催要綱等で定めるということが必要だと考えているものを幾つか挙げてございます。これは、守秘義務を規定するとか、それから、これは余り想定はされないのですが、自ら知り得た情報を使用するというようなこと、それから関係者、これもどういった範囲にするかというのがございまして、所属する機関全体の関係者というと大学なんかの場合には膨大になりますので、どこまでで区切るかということはございますが、こういった関係者については審査に参加しないといったこと、こういったものの規定をこれから更に用意したいと思っております。
 それから、4ページをごらんください。これは、このガイドラインの中からセキュリティの関係についてまとめております。
 これは、考え方としては、他の情報との照合とか、こういったものについての識別性が上がるという問題がございますので、すべて個人情報に準じた措置を講ずる必要があるという御議論がありまして、これを踏まえまして定めております。これは御示唆がございましたが、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」というものがございまして、これに準じて体制を整えることにしたらどうかということで、それを参考にして定めております。
 概要でございますが、下にございますように、基本的事項については、もともと申し出た場所での利用、それから外部ネットワークへの接続禁止、第三者への貸与禁止、こういったものを定めておりまして、それに加えまして、その所属機関が一般的に具備する条件として、個人情報保護に関する方針、それからISMSを実践していること、組織的な安全対策を講じていること等々を定めております。それから、レセプト情報等の利用に際して具備すべき条件として、物理的な安全対策、技術的な安全対策等々も定めております。これにつきましては、必ずしもその所属全体で対応するということではなくて、その利用する範囲の中で、適切な規模で、適切な範囲でということであります。それから、ISMSなんかでも、必ずしも認証を取れということではございませんで、そういった対策が講じられているという話でよいのではないかということで考えております。
 更に、下に※で書いておりますが、利用の形態、態様次第で、全部を備える必要がないということもあるかということもありまして、そこについては個別の利用者の方に立証してもらうという形でどうだろうかということを考えています。そういった案になっております。
 それから、5ページをごらんください。不適切利用等についての罰則、これも従来御説明しているものを再度まとめたものでございまして、特に今回新しいものはございません。
 基本的には、先ほど申し上げたように、契約に応じて、契約に従って科される罰則という表記になっておりますが、ペナルティでございます。法的な罰則ではありません。ですので、効きがどうかというような御意見も途中御説明しているときにございましたが、こういった形で定めております。返却が遅れた場合とか違う形で使った場合とかについてレセプト情報の提供をしないとか、紛失したとか、それから漏えいした場合については、場合によっては氏名、所属機関の公表、それから漏えいとかという場合はもっと重いですから自動的に公表にするとか、こういったものの措置を講じております。それから、不当な利益を得た場合には、利益相当額を違約金として支払うという、あらかじめそういうお約束をさせていただくというようなことを考えております。
 6ページをごらんいただきますと、これを利用規約として定めまして、あらかじめ同意書、誓約書を出していただいて、この利用規約を受けてやりますということを前提にデータ提供するということにいたしております。
 あと、利用契約上は、これは、実は先ほどの資料3に本体はつけておりますが、簡単に申し上げますと、利用の関係、それから利用機関の関係、立入検査をしますよということについて受けますということを了承していただくと。それから、その利用後、データを返す、もしくは途中のものを消す、こういった処理をきちんとやりますといったこと、こういったことを定めて、それに従っていただくということを考えております。
 それから、7ページ、最後のページをごらんください。これは、規約というか、全体の責任関係の整理を最後にしております。途中で御議論の中で御心配がありました、そもそもこのデータを提供した医療機関、それから保険者、審査支払機関等の責任、それから何かあったときの、この下の利用者と書いていますのは研究者になりますが、実際のこのデータを使った方、それからデータベースを持っている厚生労働省に対してそれぞれ、もし仮にデータが漏れて、その関係でどなたかがプライバシーを侵害されたといったような被害があった場合につきまして、どういう責任関係になるかという粗々を図示したものでございます。
 一番左の保険者とか医療機関におきまして、これは、法律に基づいて提供しているものですので、ここについては責任を問われるということではない。どこから漏れるかということで考えますと、研究者の方から、更にそのときの利用形態の中でということかと思いますが、第三者の実際に被害を受けたというような方がおられた場合に、どこに対してするかということがございますが、それは、厚生労働省に対してということもございますし、研究者の方に対してということで責任を追及するようなこともあるかもしれません。その関係で、このマル2とマル3というのを、矢印を引いておりますが、この研究者の方から厚生労働省に対して求償というのは基本的にないということを、あらかじめこれは定めるということはさせていただこうと思っております。
 それから、途中で、この御説明をしている中で、こういった何かあったときに、一元的にそういった相談、苦情を受けられる場所が要るのではないかというお話が実はございまして、その関係については、厚生労働省の私どもの方で受けられる体制を整える必要があるかなと思っております。
 そういうことで、この関係についての御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○山本副座長 ありがとうございました。それでは、この点につきまして御質問、御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 城室長からお話がありましたように、大体においては、このガイドラインのあらあらを一応この会議で御承認いただければ、この後のプロセスに進むという予定にはなっておりますが、御意見、御質問いかがでしょうか。どうぞ。
○猪口委員 全日本病院協会の猪口と申します。
 前にも議論があったかと思うのですが、レセプト提供の申出を行う範囲ですけれども、ここにあるマル6の公益法人と書いてありますが、これに関しては旧、いわゆる現行で言う民法法人という解釈で、今後、公益法人、公益性のあるものと一般社団に分かれるわけで、これは一般社団も一応オーケー、新たにつくられる一般社団もオーケーということですね。
 それで、今回まだ過渡的な決め方なのでしようがないかなとも思いながら、ここまで民を排除する必要があるのかどうかということは、もう一回ちょっと確かめたいと思っております。我々も民間病院の団体ですので、官民ということで言うと、民でも立派な研究者もしくは総研等がたくさんありますので、今回、全くそれを排除しているということに関して、ちょっとやはりいかがかなという気がするのですが、いかがでしょうか。
○山本副座長 この点はいかがでしょうか。現状は、4月からかもわかりませんけれども、提供が始まってからしばらくの間の事務処理量とか、ここでの審査の効率を考えて、余り広げると扱い切れなくなるのではないかという判断も一応入っておりますし、試行を重ねていくうちに、その範囲をもう一度再検討する機会もあろうかと思いますが、皆さんはいかがでしょうか。
○城室長 御議論いただいて、御意見があればということではあるのですが、私どもの方でここで整理をいたしましたところでは、途中、思い出しますれば、宮島委員からもたしかそういったお話はあったと思います。おっしゃるように、公だからよくて民だからだめという、そういう価値判断をしているということではなく、手数料を取るとか、そういった形の体制を整えるということもできない中で、ある程度絞る。そのときに、公益的な研究であるかどうかというところの判断をするということになろうかと思います。
 主体が公的かどうかというところと直接関係があるかないかというのは、実は議論はあると思うのですけれども、一定の公益性のある研究を最終的には絞らなければいけないという中で、公益的な主体が行うものは、公益性のある研究であることが見込まれるというのと、公的な研究費の補助金を受けているものについても、民が行っても公益性があると見込まれるということを念頭に置いて、ある程度、私どもの事務上も勘案してという整理でございますので、一定のところでどこか線を引くというときの線の引き方でございます。試行ですので、その間、試行期間中、変えないということでもありませんので、途中の御議論もいただきながらということでいかがだろうかという案でございます。
○山本副座長 ありがとうございます。当面ということで、これでよろしゅうございますでしょうか。
○猪口委員 公益性ということと公が行うということは違うのだということを、もう一回念を押させていただいて、今回はやむを得ないかなと。でも今後、必ずそこが、恐らく民間のシンクタンク等にとっては、どうして自分たちの発想で、自分たちの考えで研究をやらせてくれないのだという、必ずそういう意見は出てくるはずです。ですから、そこはもう一回きちんと議論していただきたいということを申し添えておきたいと思います。
○山本副座長 それでは、この点については、試行を重ねていく中で再検討をいずれは行うであろうということで、当面、この7つの提供依頼申し出者の範囲ということで進めさせていただくということにさせていただきたいと思います。
 あとはいかがでございましょうか。どうぞ。
○新保委員 慶應義塾大学の新保と申します。
 2点ございます。まず1点目は、6ページの利用規約についてでありますが、利用規約につきましては、「厚生労働省が定める利用条件(利用規約)に同意するとの誓約書を提出した上で、レセプト情報等の利用を行う」ということで、これは当然このような形での提供が行われてしかるべきと思いますけれども、この点につきまして、誓約書の提出に当たって、研究者側からすると、機関決裁をとるべきかどうかということを悩むことがあるかと思います。
 これはどういうことかといいますと、例えば利用者が民間の、例えば私立大学の研究者の場合には、個人情報保護法の適用を受けるわけですけれども、そうしますと、個人情報保護法の58条の罰則規定は両罰規定になっております。両罰規定とは、法律に違反した行為の従事者をだけでなく、当該従事者が属する法人に対しても責任を問う形での罰則が定められている規定をいいます。そうしますと、誓約書はあくまで個人、つまり研究者個人がその誓約書に同意をしたということをもって、結果的に第三者の権利侵害が発生した場合に、事後的には、その法人の責任も問われる可能性が法律の構成としてはなっていると。そのために、この点に気づかずに研究者個人が単に個人の誓約として同意をするということも当然出てくると思いますけれども、事後的な問題としては、罰則規定の適用によっては両罰規定という観点からすると、機関決裁をとるべきか否か判断を迫られる場面もあるかと思います。
 今後、どのような方針で誓約書を取得するかについては、利用規約、ガイドラインが確定してからで構わないと思いますけれども、この点につきましては、今後の検討事項として、個人情報保護法の58条の両罰規定との関係における誓約書の取り方、特に私立大学等の民間部門の個人情報保護法が適用される研究者における決裁のとり方というものについては、若干検討が必要かと思います。
 2点目でありますけれども、利用規約についての次の7ページの関係者の責任の考え方という点でありますが、こちら、関係者は今、関係者それぞれの当事者間の責任のあり方というものが図で示されておりますが、こちらにつきまして、文章で関係者の責任を明確に記すということはまた別の問題と考えます。というのも、法的責任として現行の法令に基づいて当然負うべき責任がございますので、こちらにつきましては、責任については、大きく道義的・倫理的責任と法的責任に分けて当然考えることが必要になってくるわけでありますが、本研究会では、場合によっては、道義的・倫理的責任、例えば審査の過程における情報の取り扱いの問題とか、データ提供に付随する、それに関連する道義的・倫理的責任というものも当然発生すると考えられますので、この点につきましては、あくまで検討事項として議論をするということになるかと思います。
 その一方で、法的責任につきましては、法的に当然負うべき責任として、特にガイドライン、指針等で定めることなく、当事者が負うという形になります。とりわけ、この利用者が負う責任というものは、現行の法律に基づいて負うべき責任、それから提供側が、行政機関保有個人情報保護法に基づく責任を負うかどうかということについては、これは、ほとんどそのような場合はないとは思いますが、そのような場合があるとすると、そもそもこのガイドラインに基づく仕組みが何らかの不適正な提供に当たるという場合が考えられますが、通常これは考えられないと思われます。
 そうしますと、責任の関係についてここで触れられていないところとしては、当事者、第三者と厚生労働省と保険者、審査支払機関、利用者とありますが、提供に当たっての判断は、今後、有識者会議が行うとなっておりますので、そうしますと、提供に当たって判断を下した有識者会議の責任はどうなのかとか、提供を行った厚生労働省が、実際にデータを提供した際に、間違って本来提供すべきでないものが混在してしまった場合、例えばどうするかとか、あと、文字どおり、利用者が予期しない形で漏えいを発生させてしまった場合の責任とか、この点について、あくまで議論として検討すべき責任と、それから当事者、どこまでが当事者になるのか。とりわけ、最近では、この有識者会議のように、その提供に当たって、またその判断を下した者の責任、いわゆる認証機関の責任と同様ですけれども、その場合にどの程度の責任を負うのかということも議論にはなっておりますので、その点についても今後、あくまで議論として、どこまでの責任があるのかということよりも、だれが関係してくるのか、どこまでその責任を負う可能性があるのかということは、一応議論として検討が必要かと思います。
 ただし、この点については、あくまで議論が必要ということでありますので、法的責任については、現行の法律に基づいて当然負うべき責任ということで、ガイドラインで、例えばこの「責任を負わないことを定めることとする」という形で定めなくても、当然利用者が、この提供した厚生労働省に直接責任を追及するということは、逆に言うとこれはあり得ない話ではないかと思いますので、その点について整理をするということについて、今後検討してはいかがかというところが意見であります。
○山本副座長 ありがとうございました。非常に重要な2点を御指摘いただきました。事務局から何かございますでしょうか。
○城室長 1点目の所属機関の関係でございますが、実際に誓約書そのものについての規定というものを設けてはいないのですけれども、ガイドライン上、この研究をするに当たって、データ提供依頼をすることについては、所属機関の了解を取って、その旨の書面を提出していただくことにしております。その過程で、誓約書のお話も含めてやっていただくことが必要だろうかとちょっと今考えましたので、整理をいたしたいと思っております。
 2点目については、引き続き議論をということでございますので、是非そのようにと思っております。
○山本副座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、府川先生。
○府川委員 福祉未来研究所の府川と申します。
 1つ御質問と、1つコメントですが、最初の御質問は、5ページの不適切利用等についての罰則の点ですが、マル1の返却期間までに返却しなかった場合の措置内容の意味が、日本語がわからないので、ちょっと御説明いただきたいということです。
 そしてコメントですが、これは、提供する範囲に関して先ほど御議論があったのですが、民間の研究費と公的研究費を分けて、公的な研究費だけに絞るとか、入り口で絞るのは大変不適切だと思います。民間の研究機関あるいは民間の研究費を入り口で制限するというのは大変不適切だと私は思いますので、その点をコメントしたいと思います。
 以上です。
○山本副座長 ありがとうございます。後段については、またこれからも御議論をして、広げるものは広げていくということにしたいと思いますけれども、前段に関しては、どうぞお願いいたします。
○城室長 申し訳ございません、確かに言っていることが何なのかということがわかりにくかろうというのは、私どもちょっと心配はしておりました。これは、例えば1週間返す期限が遅れたら、その日から1週間更に貸しませんと。実際そんなもので効果があるのかというのは確かにございますが、例えば1年返さなかったら、更に1年、その返した日から1年、貸し出しをしません、そういう趣旨でございます。
 これは、どうしてこうなっているかというと、バランスでございます。紛失したとか、それから漏えいしたということの重さと、単純に手元に持っていて、紛失も漏えいもしていないけれども、ただ返してこないというものとの重さのバランスを考えましたときに、やはりその徒過した期間に限って、それは次貸しませんという程度のバランスを取らせていただいたという趣旨でございます。どれぐらいの抑止力になるのかという御議論がちょっと途中であったということもございますが、このぐらいでいかがでしょうかということでございます。
○府川委員 わかりました。
○山本副座長 よろしゅうございますでしょうか。
 これは、利用期間の延長願というのはできるのでしょうか。
○城室長 はい。本来そういう形で、更に1年延長するというふうにしていただくべきものでございますので、そういった形になろうかと思います。
○山本副座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、三浦委員。
○三浦委員 滋賀医科大学の三浦でございます。
 利用する研究者の立場からですけれども、先ほどの利用規約の6ページのところ、今の利用期間のお話と関係がありますが、利用期間最大1年間という案になっております。例えば公的な研究費で研究する場合でも、一般には3年間の研究だったりしますので、1年間で完結させるのはかなり難しい場合があるのではないかと思います。複数年の利用期間ということも視野に入れてはどうかと思っています。
 延長が1年間可能という点ですが例えば論文投稿をした場合、査読の結果直したり、再分析したりということが必要になってきたりしますので、そういった点で、延長が1年できるということは非常にいいと思います。しかし、最初の申請の利用期間で1年間というのは、ちょっと厳しい場合があるのではないかと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。延長1回とか、そういう規定があるわけではないですよね。それから、最大1年というのは、これはもうあれですか。
○城室長 シャープな書き方をし過ぎて誤解を招くところまで行ってしまって申し訳ございません。原則として1年という、期間については、後の実際の模擬のところでもそこの問題は確認いたしましたので、原則として1年という形で、もし個別の事情があれば、もう少し長いということもあり得るという形の書き方を今いたしております。
 それから、延長については、同じく原則1年になりますが、1回の延長ができるという規定に原案ではなっております。
○山本副座長 ありがとうございます。これは後で、模擬審査も通じて、期間の蓋然性についてはちょっと御議論いただければと思います。
 ほかにいかがでございますか。では、はい。
○貝谷委員 全国健康保険協会の貝谷でございます。
 これは御質問ですけれども、5ページの不適切利用についてのペナルティの資料を拝見しますと、これは大変重要なところだと思いますが、多くの場合はないと思うのですが、やはりいろいろな対応の中で、我々保険者としても大変困るのは、マル4の漏えいとか、紛失も似たようなケースかと思いますが、ここでペナルティの中身を見ますと「保険局が定めるまでの間の提供禁止」ということになっています。こういうマル4のようなケース、大抵の場合は故意が絡んでいるようなケースのような気もしますので、このようなケースでは、一定期間の提供禁止というもので本当に足りるのかなという気がします。ここは定め方だと思いますが、もうちょっと重くするか、あるいは書き方を少し変えないとどうかなという気がします。それが1つ。
 それから、マル5については、目的外利用ということで、これも保険者の側からは大変困ったケースだろうと思います。ただ、目的の書き方によって、恐らく実際の研究をされる場合にはいろいろなケースが想定されるので、目的に合致しているのか外れているのかという判断はなかなか難しいと思いますが、それでこの措置内容を見ますと、やや微妙に書き分けているような感じがいたします。2つ目のところで「医療機関コード等が含まれている場合には公表する」ということになっておりますけれども、ここは何か、そういう書き分けている趣旨を御説明いただければありがたいと思います。
○山本副座長 お願いします。
○城室長 今の部分でございますが、これは、特に医療機関コードとか保険者番号については、個人情報保護法に定める個人情報にも当たると。個人リツのものについてはですね。そういったものとか、それから、そこを限定すること、そこが明確になることによって、その範囲内でデータを分析しているその表とかそういったものについて、患者さんとかの個人にたどり着く可能性が高くなるといったことから、前回でしたかの御議論の中で、ここについては、特に医療機関コードとか薬局コード、保険者番号については、基本的には提供しないものとして扱った上で、もし提供する場合には、厳しく提供するという形で御議論させいただきましたので、それを踏まえて、少し重くなるような書き方にいたしております。
○山本副座長 あと、紛失、漏えい、これは故意であれば、私は恐らくマル6に入るのだろうと思うのですけれども、このマル3、マル4はあくまでも過失でという前提ですよね。そういうことで、故意性が認められれば、もうそもそも問題外の犯罪に近いことですので、マル6に相当するということでいいかと思いますが、その点はいかがでしょうか。それでよろしゅうございますか、事務局の解釈としては。
○城室長 はい。一定の期限、全くの無期というか、永遠にという形がいいかどうかというのはありますが、期限について、期限を定めずにというような形もとれるようにはなっております。ただ、本当に定めないでいいのかというのがありますので、ちょっとそこは、もう一度精査をさせていただきたいと思います。
○山本副座長 では、森委員。
○森委員 4ページ目をごらんいただければと思います。1つは、情報を取り扱うということでセキュリティは非常に重要だと思うのですが、この中のマル2に記載してあります所属機関が一般的に具備すべき条件ですが、これは、例えば研究機関等が、現状、一般的にこれは具備しているのか、それとも、セキュリティの点から、現状では具備していなくてもここまで求めるということなのか。もう一つは、これだけでいいのか、これ以外に何か求めることがあるのかどうか、教えていただければいいと思います。マル2のところですね、1)か7)までありますが、現状では、一般的に研究機関はこういうことを具備しているのか、それとも、していないけれども、やはりきちんとこういうことを求めるのか。もう一つ言えば、これだけでいいのか、それ以外に何か考えられるのか、ちょっと教えていただければと思います。
○城室長 今ほとんど一般的に備えているかということでいけば、そうではないものも多かろうと思います。特に、どのレベルで備えるかということがございまして、この1)はいいとして2)のISMSの認証を取っているかと言われると、相当どこの機関でも厳しいだろうということがございます。ただ、上の括弧書きにございますように、今回、例えばその研究室の中でそういったものを定めて、明らかにしておいていただいて、その範囲内でということができるようにということを考えています。
 それから、もう一つは、自分のところの解析をする範囲内では、スタンドアローンで、全くネットワークに接続しなくて、自分以外にだれもさわらないというふうにもともとつくってあるようなマシンでしか使わないという場合であれば、そういった要らないというものも項目としてあろうと思いますが、そういったものは立証していただくことになるかと思います。
 この条件は、基本的に望ましい具備すべき条件として一般的に評価されているものだと私ども聴いております。
○山本副座長 よろしゅうございますでしょうか。ほか。どうぞ。
○大久保委員 筑波大学の大久保ですが、話が少し違うのかもしれませんが、返却した後は、厚生労働省側では、それをすぐ消去してしまうのでしょうか。つまり、例えば5年間ぐらい保存していただけると、手続の延長ではなくて、再申請をしたときに、すぐ出てこれる、もしくは論文を書いた後、返却後、論文を書いている途中などで、計算ミスしたのではないかとか、計算ミスしたのだとかというときに、延長手続ではなくて、再申請でまた出てくるということはあるのでしょうか。
 すみません、前回ちょっと欠席したので、もしかしたら議論になったかもしれませんが。
○城室長 返却いただいたそのものを保管するということではないですが、提供したデータセットがどんなものであってというものを私どもの方で残します。それと、どういうロジックで引き出したかということも残っております。ただ、実際に回した結果として、相当手を加えられた後のものまで置いておきたいという場合は延長、もとのデータセットを再度お渡しするのでよければ再提供という形になろうかと思います。再提供の場合につきましては、以前一度お渡ししているものですので、形式審査でお渡しできるだろうということを考えております。
○山本副座長 では、石川先生。
○石川委員 日本医師会の石川でございます。
 罰則規定のところですけれども、もし仮にいろいろな漏逸とか、そういったものが起こった場合に、これを提供している国民が、大変な不安を生じることは明らかであるわけですね。恐らく取り返しがつかない状態になるのではないかと思います。そういう点で、このレセプト情報等を紛失した場合以下、マル3、マル4、マル5、マル6につきましては、ほとんどもう失敗は許せないという形で厳罰に近いものが必要だと考えております。
 我々のいろいろな点での医療のIT化にとって、いろいろなところで国民の不安とかそういったものがあるのですね。ですから、そういう点で、私たちは、この23年、24年というものを法的整備に向けた試行期間ということできちんと位置づけて、抑制的に行うのが基本だと僕は思っているんです。ですから、例えば研究する側の先生から言うと、1年間の期間というのは、ほとんどこういう問題というのは、経年的に変化を見たいとか、そういったことに対しては、大変その要求を削ぐような内容だと思うのですけれども、私は、やはり国民のそういう個人情報等のセキュリティを守るために、法的整備を目標にした抑制的な2年間の使い方ということを考えていただきたいと考えております。多少窮屈でも、それで抜かりなく国民データベースを運用することが大事だと考えております。
○山本副座長 ありがとうございます。これまでの議論でも、一応、当面は抑制的にという結論を得ていると思いますので、今後はそのように運用することになろうかと思います。
 どうぞ、稲垣先生。
○稲垣(明)委員 4ページのセキュリティ要件の考え方ですけれども、このマルの3つ目ですが、私も今までは個票情報と集計表情報ですと、集計情報はこのぐらいでいいのかなと思っていたのですが、集計表情報のオーダーの仕方では、かなり秘匿性の高い情報にもなり得るのですね。特に今回の模擬申請でわかったのですけれども。そうすると単純に、「以下のセキュリティ要件を審査基準とはしないこと」で、すべて下のセキュリティ要件を外すというのが、これはかなり危険なのかなという考えがあるんですね。この辺はいかがでしょうか。
○山本副座長 これは、あくまでもこの有識者会議で安全な集計表情報と認識された場合で、集計表情報であっても、危険性がある場合は、当然下の全部が適用されますということだと思います。
○石川委員 その辺をきちんと、所属機関のセキュリティも一定のものでないとまずいと思いますね。
○山本副座長 ほかにも、もしかするとまだ御質問、御意見がございますかもしれませんけれども、あと模擬審査に入って、その結果も踏まえて、もう一度そのガイドラインの妥当性の御意見をお聴きする機会もあるかと思いますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 本日は、模擬審査を実際に行い、審査を行うに当たっての審査書類や審査内容等についての検討を進めていきたいと思います。
 それでは、まず事務局より、模擬申出・審査についてに関しての説明をお願いいたします。
○佐原室長 それでは、説明させていただきます。資料は、資料4というものと資料4-1をごらんいただきたいと思います。
 資料4-1の方から御説明させていただきますが、模擬申出ということでたくさんの委員の方から申出をしていただきましてありがとうございました。一番左に研究の名称、それから申出者、それから実際に利用していただく方、それから一番右が、実際のデータ利用をされたいのかどうかということで、一番上が三浦委員からになっておりますが、三浦委員からは、個票情報を利用したいということでありますし、2番目、印南委員からは、集計表情報を利用したいと。以下、そういうことを記載しております。本日は、このうちから書類が整いました上の3つについて御審議をお願いしたいと思っております。
 本日の進め方ですが、資料4をごらんいただきたいと思います。「模擬申出・審査について」というものでございます。
 まず、1の目的・概要というところで、この模擬審査というのは、ガイドライン等の作成のため、有識者会議の構成員の御協力をいただいて行うものであり、今日は公開で行うということでございます。
 それから、あらかじめ事務局において、実際にこの御要望いただいたデータ抽出が技術的にできるかどうかということについての確認をした上で、更に、実際に提供するに当たっての論点というものを整理させていただきまして、本日の会議に諮らせていただいております。
 次ですが、今回の模擬審査で、実際にレセプト情報等の提供を受けて学術研究を行うことを予定している委員の皆様につきましては、本日の審査でよしと認められた場合に、実際にレセプト情報の提供を行いまして、更にいろいろな検討を進めていただきたいと思っております。
 なお、本日の模擬申出におけます学術研究の利用というのは、この提供のガイドライン作成のために行われるものでありますから、ガイドラインが確定するまでの間は、事務局とも相談の上、利用される構成員の方々において適切なセキュリティ対策を講じていただくこととして、ガイドラインを策定した後は、ガイドラインに沿ったセキュリティ要件のもとでしっかりと利用していただくこととしてはどうかということでございます。
 なお、実際の有識者会議における審査は、先ほどもございましたが、非公開を原則としてやっていきたいと思っております。
 本日の審査の進め方でございますが、まず、事務局から別途の申出の様式に基づいて出していただきましたものの概要と論点について説明し、その後、質疑・応答で、実際の審査の場合は、申出者の方はいらっしゃらないことを想定しておりますが、本日は、お申出をしていただきました委員の方からも、適宜、補足説明等をいただければと思います。
 そして3番目、議論を踏まえて、提供の可否について座長より取りまとめをいただければと思っております。
 以上のような進め方でやってはいかがかと思っておりますが、よろしくお願いします。
○山本副座長 ありがとうございました。ただいま御説明のありました審査の進め方につきまして、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ、石川委員。
○石川委員 ちょっと質問ですけれども、マル3のところですが、これは、例えば今日、3人の先生方の模擬審査をやるとして、これで了承されれば、そのまま使っていただくことになるということですか。
○佐原室長 はい、そういうことです。
○石川委員 これは、公開のところで審査するということですよね。そうすると、その非公開と公開というもののこの違いというのは、どういうふうに把握されているのでしょうか。
○佐原室長 本日の模擬審査は、審査の問題点、どういう審査の内容でやっていったらいいかとか、その際の留意点はどういうことなのかということを明らかにするということでありまして、そこは公開でやっていきたいと。また、研究の内容について、実際には非公開でやるということは、研究のスタディデザイン等も、それ自体がアイデアでございますので非公開の中でやっていく必要があると思いますが、今回の場合は、3人の先生方には、その点は御了解いただいて、公開のもとでやってもよいという御了解のもとでやっていくという整理でございます。
○山本副座長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。
 よろしければ、では、早速1つ目の模擬審査に入りたいと思います。それでは、本件は3件について審査を行いますけれども、まず、1件目につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○佐原室長 それでは、1件目は、三浦委員から御提出いただきました資料でございます。資料は4-2というものをごらんいただきたいと思います。
 4-2をお開けいただきますと2部から成っております。最初の2ページが事務局審査様式というものでございまして、事務局の方で作成させていただいた論点等を仮に整理したものでございます。
 それから次に、3ページ目から、下に1ページと書いてございますが、これが「レセプト情報等の提供に関する申出書」というもので、前半で御議論いただきましたガイドラインの中に申出書の記載事項というものがございましたので、これに基づいて記載いただいたものとなっております。まず、こちらの申出書の記載事項について簡単に説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページ目は、提供依頼申出者のお名前、あるいは所属機関等ということになっております。
 それから、2ページ目に移りまして、一番上ですが、1番が、提供するレセプト情報等の類型ということで、三浦委員からは、今回は集計表情報以外の個票情報が必要だというお申出をいただいております。
 2番目が、所属機関の了承の有無、3番目が、今回の学術研究の概要ということで、ちょっと読ませていただきます。
 これまで各都道府県における生活習慣病対策立案においては、従来の老人保健法による住民健診データを用いて生活習慣病危険因子の現状が把握されてきた。しかし、特定健診導入によって自治体実施の健診が国保加入者対象となったため、都道府県単位の偏りのない現状把握がさらに困難となった。しかし一方で特定健診データのレセプト情報等データベース作成の開始により、健保を含む全国民の健診データを用いて、より偏りの少ない都道府県単位の現状分析が可能となった。
 そこで、本研究では、このデータベースによる滋賀県の特定健診データを用いて、滋賀県民の血圧でありますとか、血清脂質、血糖値等の分布あるいは異常者の割合、及びこれらに関連する要因を明らかにする。また、その分析に当たりましては、以下にありますように、性・年齢階級別の分析、市町村、市部・郡部別の分析、保険者種類別の分析等をされるという内容でございます。
 次に4番が、提供するレセプト情報等の内容ということで、上にレセプト情報が書いてありますが、これはなしと。下にあります特定健診等の情報につきまして、平成20年度の特定健診のデータが必要であると。
 そして、この際のどんな方についてのどんなデータが必要かということについては、その抽出条件というところに書いてありますが、特定健診受診者属性データということで、下に※が書いてありまして、必要なデータ、詳細な抽出条件については別添に記載ということで、これは、4-2の一番最後のページをごらんいただきたいと思いますが、一番最後のページに模擬-マル1別添というものがございます。データ抽出条件ということで、4のところをごらんいただきますと、必要な項目というのは、受診者情報、保険者の種類、それから健診結果・質問票情報。
 そして、今回は、匿名化が必要な項目としては、患者さんの生年月から実年齢ではなくて受診時年齢を5歳階級ごとに分類すると。それから、特定健診の場合は在住されている方の郵便番号が入っていますが、郵便番号ではなくて、それは市町村ごとにそれを丸めて提供する。それから、保険者は種別ごとに分類。個々の保険者ということではなくて、保険者の種別ごとに分類して、国保であるのか組合健保であるのかといったような形にして利用されるということでございます。
 2ページ目と書いてあるところに戻りまして、5のレセプト情報等の利用目的が、マル1学術研究の名称、マル2学術研究の必要性というのがありまして、次、3ページ目でございますが、学術研究の内容、利用する方法というところをごらんいただきますと、このデータを用いて、以下の指標について各種要因との関連を分析されると。全体の血圧の平均値、高血圧の有病率、治療率、コントロール率等といったようなものにつきまして、その下に(1)、(2)、(3)とありますが、先ほど申し上げたように、性・年齢階級別等の分析をされるということでございます。
 それから、マル4で提供を依頼するデータが研究内容に鑑みて最小限であるとする根拠ということを記載していただいております。
 それから、マル5で学術研究の計画及び実施期間ということで、2月1日から平成24年3月31日までということでございます。
 それから、マル6他の情報との照合の有無はない、外部委託もないということで、次のページですが、これをどのようにお使いになるのかということについては、論文で平成24年3月ごろ、学会発表としては平成23年10月ということでございます。
 そしてマル9、どのように公表されるのかということについては、例でお示ししていただいておりますが、市町村別の高血圧の有病率といったようなものを性・年齢階級別、保険者種別で棒グラフ等でお示しするという研究内容になっております。
 6が、レセプト情報等の利用場所、保管場所及び管理方法ということですが、このセキュリティに関しますところは、まだ、そもそもガイドラインの御審議いただいているところでありますので、本日は対象外とさせていただきたいと思います。
 そして、ずっと飛びまして9ページをごらんいただきたいと思います。9ページが、レセプト情報等の利用期間ということで、平成23年1月20日から24年3月31日ということになっております。ここは、先ほど御議論いただいたのですが、1年を超えるということになっておりますので、そこをどうするのかという議論があるかと思います。
 次のページ、レセプト情報等を取り扱う者ということにつきましては、三浦委員と同じ教室の方がお使いになると。逆に言えば、この方だけで使うということでございます。
 9は過去の実績、10は、現にあるいは今、他のレセプト情報を受けているかということなので、現段階ではこれはありません。
 11番は、レセプト情報等の提供方法がDVDで、ファイルとしては2ファイルいただきたい。
 そして、過去の提供履歴ということで、これは勿論、今の段階ではないということになります。
 こういうような申請書をいただいた上で、4-2の1ページ、最初のページに戻りたいと思いますが、事務局審査様式というものを仮につくらせていただきました。こういう形式でいいかどうかも含めて御審査いただきたいと思います。
 まず、三浦先生から集計表情報以外が必要であるということがありまして、提供にあたっての論点ということを幾つか書かせていただいております。
 まず、(1)は学術研究の公益性についてということで、これは公益性があるかどうかということになりますけれども、類型マル1と書いてあります、特定健診の健診データから滋賀県民の健康状態に関するデータを分析することにより、将来の生活習慣病予防対策立案のための基礎資料とするものと。
 仮に、ここで事務局で仮分類をつくってみたものでありますけれども、類型マル1というのは、一般的な事実を把握・分析するもの。それから、類型マル2は、より具体的な問題点を解決する、例えば仮説が既にあって、仮説の検証、更に対策の立案といったようなものまで考えているもの。それから、類型マル3としては、特に緊急の対応を要するものでございます。
 (2)が、研究方法については、これらのハイリスク集団等を特定するということ。
 それから、(3)が、提供するデータの範囲についてということで、提供するデータのすべてが、今回申出者によって予定されている研究内容に盛り込まれることになっているかどうか。逆に言えば、不必要なデータをお渡しすることになっていないかどうかということで、事務局としては、適切ではないかという判断をしておりますけれども、この点も御議論いただきたいと思います。
 それから、今回は外部委託はない。
 それから、(5)で公表形式についてということでありますが、個票情報をお渡しするわけでありますけれども、最終的には、市町村別の高血圧有病率等を性・年齢階級別、保険者種別等に集計したものを公表されるということですので、個人の特定、医療機関の識別可能性は極めて低いのではないかと考えられます。ただし、この対象前に保険者種別を分類した集計を行う場合には、事実上、市町村国保について特定され得ることとなり、保険者番号については原則提供しないとするガイドラインのルールとの関係で、公表形式には留意する必要があるのではないかと考えております。また、対象者が極めて少ない市または町単位がある場合にも、留意が必要なのではないかということでございます。
 ちょっとこの点は、実際のガイドラインを見ていただきますと、ガイドラインは資料2になりますが、資料2の12ページの一番下のところをごらんいただきたいと思います。資料2のガイドラインの12ページは、真ん中に書いてありますが3の審査基準というところでございまして、その下の(2)利用の必要性等というところがございまして、そのマル4ですが、「医療機関・薬局コード及び保険者番号を利用するものではないこと」と書いてありまして、これは、こういうものを提供すると、結果として、その個人の方が特定されやすくなるのではないかということから来ているわけでありますけれども、今回、三浦委員からは、保険者番号の利用の申出があるわけではないのですが、例えばA市、ある市のデータを分析する場合、国保と健保と分けていきますと、A市の国保ということは、結局分けた段階でA市国保のデータの状況がわかるということになりますので、そういうことについてどういうふうに考えるのかという論点があろうかと思います。
 それから、事務局審査様式(6)に戻りまして、他のデータによる代替可能性、これはないのではないかと考えております。
 それから、(7)のセキュリティ要件については、本日は審査の対象外ということでございます。
 最後に、これは御確認いただきたいと思うのですが、匿名化処理ということで、どのような処理を行っていったらいいのかということで、年齢は5歳階級毎、それから、先ほど申しましたが、郵便番号は、そのまま出すのではなくて、市町村ごとに丸めて出す。それから、保険者は、個々の保険者番号ではなくて、国保であるのか否か、組合健保であるのか否かということだけをお示しするということと、それから、ちょっとここには書いてありませんが、利用期間ということについて、来年3月までということになっておりますが、それは、そういうことでお認めいただくのか、1年間ということで出していただいて延長申請をしていただくのかということがあるかと思います。
 以上でございます。
○山本副座長 三浦委員、何か補足説明はございますでしょうか。
○三浦委員 特にありません。
○山本副座長 そうですか。それでは皆様、御意見、御質問等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。石川先生。
○石川委員 特定健診のところからいろいろとそういう公衆衛生的な分析をするというのは大変有意義だと思うのですけれども、この標題にあります「滋賀県民における」ということで名称をつけておられますが、特定健診の滋賀県民の実施率というのは、恐らく2008年、35%ぐらいだったと思うのですね。特定健診そのものを受けている実施率がですね。それで、例えばこの「滋賀県民における」というところへどういうふうに持っていくかということについて、何かお考えがあったら、ちょっとお聴かせいただきたいのですけれども。
○山本副座長 どうぞ。
○三浦委員 私がお答えすればよろしいですか。従来から、その地域あるいは都道府県でも、そこの住民の健康状態、特に生活習慣病関連の指標を見るという意味では、老人保健法による住民健診でしたが、健診データを使うしかなかったわけですが、それで、受診率はいつもネックになっているところですが、ほかに生活習慣病対策立案に当たって使用できるデータがないということで、それをもとに立案してきた経緯があります。受診率が低いという限界はありながらも、今回、特定健診ですべての保険者のデータが集まってくるというメリットを生かして、今後の、今回は滋賀県ということですが、将来的には全国での分析のための方法論をつくっていくというところを大きな目的にしております。
○石川委員 有識者会議でこういう審査をするときに、どういう議論をするのかというのは、僕もまだ、初めてだからわかりませんけれども、基本的には、35%の実施率から、なぜ受診をしなかったという、65%もいるわけですよね。そこの部分のこういう因子の分析というものをどうやって推測するかということなしでは、これは不可能だと思うんですね。「県民の」と言えないと思うんですよ。特定健診上でわかる分析であってと思うんですね。それは、これからこの有識者会議でどういうことをやっていくのかわかりませんけれども、そういう点では、標題について、名称というところで「特定健診」というものが抜けておりますので、特定健診から見た例えばそういう現状と分析ということはいいと思うのですが、「滋賀県民」と大上段に言ってしまうとちょっと無理があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○三浦委員 私がお答えすればいいですね。おっしゃるとおりで、厳密に言えば、「滋賀県における特定健診受診者における現状」ということで対策の立案に役立てていくということになろうかと思います。
○山本副座長 どうぞ。
○城室長 事務局として、その部分の御議論がどうかということとともに、そういった場合に、私どもと、それから有識者会議のこの場で、どういう形で審査をすればいいかという論点だと私は聴いておりまして思いました。御本人の方を実際の本番ではお呼びしていない状況のもとで、疎明を求められないということと、それから、実際この研究の標題として申請してこられたものが、データベースの我々のここら辺のものを過大にアピールしているようなものになっていて、国のお墨付きのあるような研究でございますみたいなことを言われるのはどうかということもはねてくるだろうと思われます。そのときに、この研究については、この条件があるので、こういうものとしてきちんと標記をつけてやるようにみたいな条件を付して、標題についてこういうことに留意すべしみたいな条件を付してデータ提供をするという道があるのかなと思いますので、ちょっとそういったことも御検討いただくのかなと思います。
○山本副座長 (1)の公益性のところに多分当たるのだろうと思いますけれども、その公益性の程度をどう評価するかということと、それから、タイトルによっては、研究の成果が過大に受け取られて、かえって公益を阻害することがあるかもしれないみたいなところは、多分論点として重要だろうと思いますので、そこは御議論いただいてしかるべきかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、稲垣先生。
○稲垣(明)委員 これも多分審査で出てくると思う、最後の匿名化処理ですけれども、患者の方々の生年月日から受診年齢を5歳毎というのですが、これは市町村コードと、それから高齢の方ですと、これはほぼ個人が特定される可能性がある。それから保険者も、市町村コードを出すと国保ですとわかるという形で、この辺はどう考えたらよろしいでしょうか。この匿名化については。
○佐原室長 事務局からお答えしますが、これは特定健診ですので、対象者は75歳未満ということになりますので、超高齢の方のような者はいないということになりますので、匿名化処理の中で、トップコーディングといいまして、例えば85歳以上の方を丸めるとか、そういう処理は、今回は必要ないのではないかと思っております。
○稲垣(明)委員 保険者は。
○佐原室長 保険者も、保険者番号自体を今回はお示しするわけではなくて、滋賀県に例えば国保がたくさんありますが、国保の保険者番号を一つひとつお示しするということではなくて、滋賀県の国保であるかどうかということのデータをお示しすることになりますので、そのこと自体では、個々に保険者番号をお示しすることに比べれば、個人が特定されるリスクは低くなるのではないかと。
○城室長 今の話は、その保険者番号と今の条項との兼ね合いとともに、集計結果の箱、1箱につきどれぐらいの件数になるかという兼ね合いと両方あろうかと思います。仮に、これは正直やってみないとわからないところもございますでしょうから、そこは、もしそういったものが起きたときには、実際、ここについては懸念があるから、提供するけれども、公表前に再度協議すべしみたいな条件をつけるという道があるかどうか、ちょっと御検討いただければと思います。
○山本副座長 論点が2点あろうかと思いますけれども、1つは、事実上、その市町村の国保が特定される。したがって、これは保険者コード等を用いないという原則からは一応外れると理解せざるを得ないわけですね。ただ、外れるからこの研究はできないわけではなくて、それがこのガイドラインの13ページにあるような条件を満たしていれば、お認めすることも可能なわけですね。
 それから、もう一つは、市町村によって非常に対象者が少ない場合に、例えば数名みたいなときに、それを例えば一つの市町村のデータとして発表中あるいは論文中に出してしまうと、5~6名の方に特定されてしまうというリスクが生じるので、これを、例えばメディケア・メディケートにあったように、1セルの値が11人とか10人とかというところで、事後といいますか、公表前に一応そういうことをチェックしていただくことを条件につけるかみたいなことが、論点が2つあろうかと思います。
 これ、実際にそんな小さなセルになるかどうかは、やってみないとわからないので何とも言えないのですけれども、もしなった場合には、ですから、こういったことをすることが条件ということが御議論の中で出てくればと思います。
○稲垣(明)委員 ちょっと公開ということでいろいろ問題があるかと思うのですが、少しこのモデルケースにおいては、具体的に提供するデータのサンプルみたいなものを是非出していただきたいと思うんですね。それでないと、まだちょっとわからないです。
○山本副座長 事務局の方で、この参考資料を使って少し説明していただければと思うのですけれども。
○佐原室長 机上配付資料の1というものがございますけれども、これは、今のデータベースの構造等について書かせていただいているものでございます。
 1ページ目は、お開けいただきまして、大体データのサイズがどのぐらいなのかということで、1カ月分のレセプト情報でありますと167ギガバイトぐらいのものになるというものでございます。
 次のページを開けていただきまして、今、レセプトがどういう形で入っているかということにつきましては、レセプトデータはCSV形式という形で入っておりますので、例えば左の方ですが、診療データのところを見ていただきますと、こういうような薬剤の情報は、電子レセプトの中ではIYというコードの中で、IYというのは医薬品というコードでございますが、そして、それぞれに、このプルゼニドについては612350038といったような数字がついておりまして、こういうようなもので保存していると。
 この紙自体は、これらのデータをデータベースの方では持っているわけですが、実際にお使いいただくに当たっては、下のような表形式に変換し直して使っていくという形が必要であろうということで、次のページを見ていただきますと、例えばレセプトデータサンプルというものがございまして、取込前データと、下に取込後データというものがございますが、上の取込前データというのは、今のデータベースの中にはこういう形で入っているわけですが、集計するに当たっていろいろ技術的な課題があるので、下のような個々の行の前に、だれのデータであるかということを同定するようなコードを入れていく作業が必要だということを書いてございます。
 次の紙は、実際にどういうレコードが入っているかということでございますが、今の稲垣委員の御質問に戻りますと、実際にどのぐらい個々のセルで、特に滋賀県の場合、例えば小さな市町村で国保といった場合に、どのぐらいのセルになるのかということは、今回、模擬審査でございますので、例えば三浦委員と一緒にやっていく中で、その辺のことも明らかにしていくという形もあるのではないかと思っております。
○山本副座長 それは、セルの大きさは、やってみないとわからないですね。
○石川委員 ただ、公開の場なので、この審査の場に出すことができないので、何かその辺は考慮して、ちょっとその辺を。
○山本副座長 多分、実際に研究をやっていただかないとわからないので、ここの結論として、提供した上で、したがって、こういう条件になったら公表を、例えば2市町村まとめてやるとかという形でお願いするという条件づけは、この審査会でやっていいと思うのですけれども。
 どうぞ。
○佐原室長 事務局で調べまして、滋賀県の一番小さい町は、約7,000人の人口のところがございまして、男女別のデータが入っていますので、例えば男だけで見ますと3,600人ぐらいの方がいらっしゃる。この中で半分ぐらいが恐らく国保だとして、かつ、特定健診の対象年齢だとしても、恐らく何十人になってしまうということはなくて、何百人ぐらいのオーダーにはなると思いますし、10を切ってしまうということはないのではないかと思いますが、その辺も確認しながらやっていく必要があるのかと思います。
○山本副座長 特定健診の受診者になると大分減ってくる可能性もありますよね。
○佐原室長 受診率30%ちょっとです。
○山本副座長 国保の場合、10%台のところが結構ありますからね。
 どうぞ。
○頭金委員 国立医薬品食品衛生研究所の頭金です。
 今の議論を聴いて、私も非常に重要だと思うのですけれども、審査する際に、あらかじめあらあらでもいいのですが、大体これでやったときに最小単位がどのぐらいになるのかということについての情報もいただければ、判断がしやすくなると思います。厳密なことは、実際に研究をやってみないとわからないと思いますけれども、データ数が1けたなのか、3けたなのかということで、この審議会での判断にも影響するのではないかと思います。
 以上です。
○山本副座長 ありがとうございます。今後、模擬、それから試行期の審査を含めて進めていく中で、そういったデータを可能であればつくっていきたいということになろうかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○新保委員 まだ1件しか拝見していないので、今後の申請によってどういうふうになるかということも含めて検討が必要かと思いますが、申請書からは、適正で適法な取り扱いであることが確認できる場合であって、提供データの利用に関しても形式要件をすべて充足していると判断されるという場合に該当するけれども、例えばその提供するデータの匿名化の方法によっては何らかの問題が生ずる蓋然性が高いと判断されるような場合に、この審査会の位置づけそのものの問題ということになってくるかと思いますが、今の段階では、その点について、かなり審査会における裁量の範囲で判断ができると解釈してよろしいのでしょうか。
 それとも、あらかじめもう決まったある程度の形式要件が具備されていれば、今のように適法で適正な取り扱いであって、提供データについても、そのデータの提供に関して、すべて形式要件は具備している、充足していると判断されるので、そのまま提供して可と判断される場合でも、今の各委員からの御指摘のとおり、特定できるかもしれないデータが含まれるとか、匿名化の方法によっては、その蓋然性は否定できないという場合も、場合によっては出てくるかと思いますけれども、そのような場合に、審査会において、ある程度裁量を持って判断できるのか、それとも、審査会では、あくまで形式的な要件が満たされていればそのまま通してしまうのかということは、今後非常に大きな判断に当たっての課題となると思いますが、その点についてちょっと疑問に思いました。
○山本副座長 本来、申請時に蓋然性が存在する場合は、それに対する処置を含めた申請があるべきで、そうであれば、その審査会としては提供できるという結論になるのですけれども、個々の申請書の中に、その蓋然性に対して触れていないときに、審査会としては、触れていないから、それで却下して、もう一遍出し直せという話をするのか、あるいはそれを条件づけとして、そういうことを必ずやっていただくことを条件として可とするのか、あるいは不可とするのかという判断になろうかと思っております。
 いかがでしょうか。どうぞ。
○大久保委員 集計表でいただくときは、もうそれ以外に使えないので特に問題ないのですが、こういった形でこういったデータをそのままもらうときには、やっているうちに、こういう解析もしたいとか、ああいう解析もしたいとだんだん増えてきて、例えば今、申請書には幾つか例が出ていますが、一見すると単純集計的なものが多いのですけれども、いろいろなクロス表、ここに出てこないクロス表もいろいろ研究しているうちにやりたくなるわけですが、それはどの程度まで記載すればいいというか。
○佐原室長 そこは僕らもどうしたらいいかよくわからないところですが、今回は、公表する集計表の例として三浦委員から幾つかを出していただいたのですが、最終的な、例だけではなくて、もっとそこを網羅的にきちんと出していただいた上でオーケーとするのかどうなのかと。最も望ましい形は、そこまでやるということなのではないかと思います。
 それから、もし当初の計画と違う内容で分析等をしたいということであれば、それは追加の申請をしていただくことになると今のガイドラインではなっております。
○山本副座長 少なくとも、ここに書かれた目的以外に、方法ではなくて、目的以外に使用することは問題で、それをやってもらっては困るということですけれども、研究の方法論については、確かに、やっている中で、別の処方を使ったりとか、それはあり得ることだろうと思います。
 あと、セキュリティのところがこれからということですけれども、中間生成物の処理みたいなことをもう少し書いてもらった方がいいのかもしれませんね。原データは返していただいたけれども、中間生成物は全部残っているみたいなことになるとちょっとあれですからね。
 どうぞ。
○石川委員 ここは模擬審査ということなので、先ほど私ちょっと名称のことで言いましたけれども、例えば匿名性のところで、市町村と保険者の分類をやりますと、やはりかなり確定する要素がすごく多いので、例えば審査会のところで、それでは、保険の種別はなしにしてねとか、そういう形で議論するということになるのでしょうか。
 それから、そうすると相当やりとりが必要になってくるのではないかと思います。先ほどの過大な名称はまずいという御指摘があったときに、そのときに、では、こういうものを入れてくださいとかということで了承を得てやりとりできるかどうかということが一つ出てくると思うんですね。
 それから、もう一つお聴きしたいのは、これは、僕はやっていただきたい研究だと思うのですけれども、これは、やはり経年的にやらないと意味がないですよね。そっちの方が研究としてはより効果がありますよね。例えばこの集計したデータを大学の方でお持ちになっていて、21年度、22年度と積算していくわけですね。このときの20年度のこの生成物とかそういったものは、これはどういうふうになるのでしょうか。それは、研究の結果として保存していてよろしいという感じになるのですか。
○城室長 まず、今の生成物については当然公表されますので、これは当然、そのまま成果物としてお持ちいただけるものになります。
 それから、中間生成物等の消去は必要になります。
 その前の質問は、匿名化をどこまで匿名にするかですね。
○山本副座長 匿名化に関しては、匿名化というか保険者の特定ですけれども、これは、特定できるという前提でこの審議をせざるを得ないので、このガイドラインの13ページの1)提供されるデータが地域性の分析・調査にのみ用いる目的であり、その目的に照らして最小限の範囲内で利用されることというものに相当する。なおかつ、それ以外に副作用がないといいますか用いられないことが明確な場合は、これは、地域性の分析をしようと思うと、やはりこの情報なしではとてもできないことになりますので、原則は使わないけれども、この例外条項に入るかということを御審議いただくことになろうかと思います。
 どうぞ。
○城室長 その関連で、ちょっと何を言おうとしたか忘れました。すみませんでした。
 やりとりをするかどうかということだったと、そういう部分の論点が今あったかと思いますが、本番で、もし個別の研究者の方から申請書をいただきましたら、我々で事前に委員の先生方にもお送りして、論点として、実際のこの場になる前に相当程度洗っていただくというお願いをせざるを得ないかと思っておりまして、そこで、事前にいただいた論点を我々の方で事務的に照会して、不備があったら確認するとかという事前のさばきといいますか作業は事務的にしていきたいと思っております。その上で、非公開にはなりますが、審査の場で出た論点もしくは疑義等につきましては、差し戻しをするか、条件づけをしてそのまま通すかという御判断をいただくことになろうかと思います。
○山本副座長 ほかにございませんでしょうか。どうぞ、新保委員。
○新保委員 今の点につきましては、方式審査を事前に行うということかと思いますけれども、例えば、研究者は、申請するときに遵守すべきガイドラインとかそういうものを把握していない場合も場合によってはあるかと思います。そうすると、審査の際に、それを事前に方式審査で確認できることになりますが、本研究に関しては、例えば平成16年の疫学研究に関する倫理指針の適用はあるのかどうかとか、そういうことについては、現在のフォーマットでは、審査様式ではそれを記載する欄はございませんが、そういった遵守すべきものについても当然確認が必要と思われますけれども、この点について、研究者側は、やはり研究という観点から関心を持っているところとは別の、ガイドラインなどについては、当然私も含めて認識していない部分も非常に多いと。特に厚生労働分野はそういうガイドラインが非常に多いという現状がありますので、この点については、その点はフォーマットとして確認するのか、それとも適宜確認するのか、どちらを選択されるのでしょうか。
○佐原室長 フォーマットとして、そういうことも入れていく形にしたいと思います。
○山本副座長 この有識者会議の議論としては、疫学の倫理指針の対象となるということになっておりますので、これは、フォーマットの方に入れていただくことにしましょう。
 ほかにいかがでしょうか。
 ちょっと1つ目で少し時間がかかってしまいましたけれども、したがって、公益性があることは多分間違いないと思いますので、1つは、特定健診から得られる情報であることを明確にしていただくことと、それから2つ目は、市町村の国保を特定するということがございますので、公表結果について、極めて少数になった場合は、公表の際にまとめる等の配慮をしていただくことを条件として提供を可としたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。具体的に何人というのは、ちょっとどうしましょうかね。メディケア・メディケートですと10と11でしたけれども、アメリカのように広く散らばった国ですから10と11でいいのかもわかりませんが、日本のようにかなり密度の高いところは、もう少し高くてもいいかなという気はしますけれども。
 どうぞ、佐原さん。
○佐原室長 そこの具体的な数字については、また別途整理して、御相談させていただきたいと思うのですが。
○山本副座長 これは、特に三浦先生の方から模擬を承知で出していただいたことですので、有識者会議の知見としても、結果的に一体どれぐらいになるかということを、もし可能でしたら公表前に御報告いただければ、その際にもまた検討できると思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、この件に関しては、そのような結論でよろしゅうございますでしょうか。
 では、2つ目の模擬審査につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○佐原室長 それでは、資料4-3をごらんいただきたいと思います。4-3は、印南委員から出していただいたものでございます。
 2ページ進んでいただきまして、まず、申出書の方でございますが、それの2ページ目をごらんいただきたいと思います。
 印南委員からは、これは1のところですが、提供するレセプトの形態は集計表情報、個票情報ではなくて集計表情報が欲しいということでございます。
 3の学術研究の概要ということを読ませていただきますが、「医療は、救命から健康維持まで多様な機能を果たしていると思われるが、社会保障制度として見た場合、医療の最も重要かつ基本的な機能である救命救急にどれだけの費用がかかっているかを知ることは意義があることだと思われる。あわせて、保険者間でその額にどれだけの違いがあるかも、重大な関心事になる。本研究は、機能別の医療費把握の第一歩として、救命救急医療にかかる費用、亜急性期医療にかかる必要を推計し、医療保障制度の設計を考える上での基礎資料としたい」ということでございます。
 4の提供するレセプトにつきましては、2009年6月から12月までの6カ月間のレセプトで、対象は、医科の入院と、それからDPCのデータということでございます。抽出条件は、ここに書いてありますように、救急医療管理加算等の各種の加算が算定されているレセプトについて抽出したいということでございます。
 次に、下の5に行きますが、レセプト情報等の利用目的等ということですが、ここは学術研究の名称のところ、急性期、亜急性期の医療費把握に関する研究ということであります。
 それから、マル3をごらんいただきますと、学術研究の内容、利用する方法ということがありまして、救急医療管理加算等を算定しているレセプトを抽出し、これは、まず2009年6月のレセプトを抽出し、患者IDを手がかりに、その患者さんのその後の入院医療費を合算して算出するということで、次のページをお開けいただきますと、提供を依頼するデータが研究内容に鑑みて必要最小限であるかどうかということは、これは総点数情報のみの集計データでよいということでございます。
 別添という一番最後のところをごらんいただきまして、データの抽出条件ということでございますが、6カ月間の医科とDPCのもので、3、レセプトの抽出条件は、全国の市町村国保、後期高齢者、協会けんぽ等のレセプトについて、以下の診療行為コードを有するレセプトというものをまず取ってきて、その後、そのうちのどの情報を使うかということにつきましては、4のところですが、必要な項目ということで、保険者種別、それから実施件数、総点数(月ごとの推移も)。
 集計方法につきましては、若干繰り返しになりますが、上記の診療行為コードを含む対象月のレセプトを抽出し、抽出したレセプトの患者IDをもとに、更に対象月以降のレセプトをひも付けして抽出すると。そして、対象月とそれ以降半年間の総点数を算出する。また、保険者ごとに、総点数を集計する。集計表データのみの提供を受けるということで、匿名化が必要な項目というのは、特段ないのではないかということでございます。
 資料4-3の1ページ目に戻っていただきまして、事務局審査様式というところでございますが、提供にあたっての論点のところをごらんいただきまして、まず(1)の学術研究の公益性についてということで、これは急性期及び亜急性期の患者に対する医療費を算出するとともに保険者毎での比較を行い傾向を分析するものということですので、仮の類型としては、類型マル1の一般的な事実を把握・分析するものと分類されるのではないかと思います。
 それから、(2)の研究方法についてということで、急性期、亜急性期の患者に投入される医療費を推計する方法として、以下の加算の算定があるレセプトの抽出を行うということですが、この上記の抽出方法でありますと、急性期、亜急性期に係る医療費をすべて含んでいない可能性があることに留意が必要ではないかというのを事務局として書かせていただきました。これは、例えば救急医療管理加算というものを算定しているレセプト以外にも、急性期医療あるいは救急医療のレセプトがございますので、そういうことについてどう考えるのかということでございます。また、次のところですが、6カ月間のレセプトデータを必要とする理由を明示していただく必要があるのではないかということでございます。
 それから、(3)で提供するデータの範囲については、これは、不必要なデータは含まれていないと考えておりますし、それ以外については、特段のことは記載しておりません。
 若干、事務局として悩みましたのは、(2)の研究方法について、研究デザインということについて、どのぐらい事務局として言うことが適切なのかとか、あるいは我々にとって言う能力があるかどうかということも含めて、ちょっとそこも含めて御議論いただきたいと思っております。
○山本副座長 印南先生から何か追加がございますでしょうか。
○印南委員 2点ほど。1点は単純な修正でございまして、この加算の中に、加算といいますか算定の中に救命救急入院料と救急搬送診療料をまじめにきちんとデータをいただいてやるつもりですので、これはまじめな申請として、修正として追加したいというのが1点です。
 それから、次は論点にかかわると思うのですが、先ほどもちょっとされた議論と関係するのですけれども、タイトルと、それから中で使われる研究のコンセプト、この場合には急性期医療という言葉は、特に一見して問題になると思うんです。それから、急性期医療と、それから、今度はメジャーメントの方の加算、これが一致していないということですね。こういう場合、もし研究者がこういうものを出してきた場合、有識者会議が、ある意味でパターナリスティックに、ここまでこうですかとか、追加してあげたり、削除する方がいいと思うんですね、余計なものを入れているのではないかというのをですね。そういうことを果たすべきかという論点がちょっとあるのではないかと思っておりまして、私の個人的な意見では、基本的に、例えば研究のタイトルとか、中に使われている概念、仮説、メジャーメントの不適切性とかまずさは、すべて研究者が負うべきものであって、この有識者会議は、何かそこまで、中身まで審査することによって、権威づけもすべきではないし責任も負うべきではないと基本的には考えておりますということでございます。
 あと、6カ月のレセプトデータを必要とする理由というのは、もし御質問があれば、後で述べさせていただきたいと思います。
○山本副座長 今おっしゃっていただいても結構です。
○印南委員 はい。というのは、別の先行研究がありまして、これは救命救急医療に関する某先生の研究ですが、病院に実際こういうデータがないので、特定の病院について、全部レセプトを集めてやってこられた研究は、救急車で搬送されて、そのまま半年間ぐらい最悪の場合には植物状態で入院するという事例もあって。ですから、救命救急医療という場合に限っても、医療費を推計する上では、その後の半年間ぐらいの医療費の動向を見る必要があると考えたからでございます。
○山本副座長 先行研究からこの期間が適切ということですよね。
○印南委員 はい。
○山本副座長 御意見、どうぞ。
○新保委員 形式要件についてでありますけれども、審査会委員の除斥、忌避、回避の必要性についてという点であります。印南先生は、今回、所属機関、医療経済研究機構ということで御申請されておりますけれども、私と同じ慶應義塾大学の教授です。この点につきまして、申請者が委員と同一の機関の場合、または、申請者が所属する機関が委員と関連する組織がある場合、過去に関係がある場合または研究関係がある場合といったような各関係があるかと思いますが、この場合において、私のように、例えば審査会の委員となった場合に、除斥、忌避、回避すべきなのかどうかという点であります。
 例えば、この後申請の一覧に出ております大久保先生に関しては、私は、前職は筑波大学ですので、そうしますと、慶應義塾に現所属している場合であっても、過去に筑波大学に所属してその後も研究において関係があるということになりますと、どこまでの範囲で除斥すべきか、忌避または回避すべきかという点については、これは議論が必要かと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。最初の事務局からの説明でもあったように議論すべきだと思いますけれども、何か今この点に関して御意見ございますでしょうか。さすがに大学全体になると、余りにも多くの人が多分関係しているし、現実には、一つの研究にかかわる人は、その大学の中のごく一部で、むしろ審査委員が、その研究との実質的なかかわり性の方を重んじる方がいいと思いますね。例えば一つの研究室あるいは教室等になると、やはりこれは少し問題だと思いますけれども。
○新保委員 その点につきまして既存の制度がございますので、例えば厚生労働科研とか、科研費等の例えば審査の体制でありますとか、そういった既存の、既に審査が行われている体制が厚生労働省の内部でもあるということがございますので、その点に準拠するということで問題はないかと思います。
○山本副座長 ありがとうございます。なかなかいい解決法で。
 どうぞ、稲垣先生。
○稲垣(明)委員 集計表情報なので、例えば今回の研究の名称あるいは内容と、いわゆるその研究の内容と成果物は、どのようにデータを集計していくか、研究のデザインとかそういうことを、うちの方はいわゆる受けてやるわけで、オーダーとして最終的に集計表としてお渡しするのですが、そういう一連の過程で、研究デザインの妥当性とか、それから成果について、何となくこの有識者会議が一定のお墨付きをしてしまう可能性があるのだと思うのですね。その辺はどうしたらよろしいですか。
○山本副座長 研究デザインにお墨付きを与えるということはあり得ない話で、議論も、研究デザインではなくて、私は、あくまでも(1)の公益性に関してだと思うのですね。公益性を、例えばこの研究方法では、この(1)の結果が絶対得られないみたいなことだと、これは無駄なデータ提供になりますし、リスクだけを与えることになるので、そこは議論が必要だと思います。
 ただ、研究のやり方のデザインを我々が議論するにしても、これは多分できないことですし、やったところで、その結果に責任を負える話でもないので、そこは、むしろ研究者が、その後の公表に際して非難を受けるべきところ、もしも間違っていれば非難されるべきところで、そこまで踏み込む必要はないだろうと思います。むしろ重要なのは、公益性があるのかということと、それから、必要最小限度のデータなのかということと、それから、そのことによって思わぬリスクが生じないのかということをきちんと審査できればいいのだろうと思います。
 公益性を言うときに、結果が出ないのに公益も何もないので、結果が出ることが予測されるという意味での計画、方法というものは、ある程度見ないといけないだろうと思いますけれどもね。
○稲垣(明)委員 例えば、先ほどの参考データですけれども、レセプトの電算システムというのは、CSVの中にいろいろなデータが入っていますよね。必ずしもその研究者の方がすべてそれを理解しているというわけではないので、その集計表情報としてオーダーされるところで、この研究の結果と必ずしもそれですべてを網羅的にしているわけではないので、その辺のところが少し、集計表でオーケーを出しても、何となくこの研究の成果というものが正しい状況を、この研究とは限っていませんよ、そういう点が非常に不安ではあって。
 そのときに、この検討会で一応承認された研究だから、これについては妥当性があるのだということは、くれぐれもその辺はないようにしていただきたい。
○山本副座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、府川先生。
○府川委員 研究の目的についてちょっとお伺いしたいのですが、2ページの3、学術研究の概要というところを見ますと、最初の文で、救命救急にどれだけの費用がかかっているかを知ることが重要だとあるのですが、その次の文章ですと、「救命救急医療にかかる費用、亜急性期医療にかかる必要を推計し」とあって、この文章で「急性期」を除いているのですが、それで、事務局審査様式のところで見ると、「急性期及び亜急性期の患者に対する医療費を算出する」となっていて、どこに焦点があるのかがよくわからないのです。
 そして、2009年6月のレセプトで、下記の診療行為コードを有するレセプト、つまり救命救急だけではないように思うのですが、それを選んで、その後6カ月間のレセプトをみることによって、例えば救命救急の費用がすべて把握できるのかどうか、6カ月間の医療費の中で救命救急の医療が確実に把握されているのかどうか、がわかりません。
○印南委員 中身に関しては議論できると思うのですけれども、本当の議論は、そういうものをここで議論するかどうかという話だと思うのですが、中身について言えば、重点は救命救急医療にあって、急性期ではありませんと。特に、急性期は概念的にも非常に把握が難しいですね。しかも、それを実際にこのレセプトとデータを使って測定できるのかという非常に難しい問題があると認識しておりますので、書きぶりが非常に悪かったということもあるのですが、仮にこういう書きぶりの悪いものが出てきたときに、この有識者会議がそこまでパターナリスティックに何か言うべきなのかどうかという話ですね。それが論点だと思うんです。
 中身について、実際にそれが把握できるかどうかは、そうやって把握して、概念と測定とのずれがあると思いますので、それは、論文審査とか投稿論文の査読でやるべき話ではないかと私は思っております。基本的には、勿論、完全に把握できるとは思っていません。
○府川委員 そうですか。今の件ですが、例えば有識者会議では、ここではどこに重点があるのかはっきりわかりませんとかということを指摘して、例えば救命救急の医療費を把握するにはこうやらなければいけないですとか、そこまでは言えないけれども、このままではどこに重点があるかはっきりしませんというようなことは、有識者会議で指摘していいのではないかと思います。
○印南委員 それは、むしろ事前の厚生労働省との相談の段階でやるべきではないかと。ある程度のことはですね。実際に、最終的に本当に細かい点は、やはり分析して、それをきちんと論文化して審査するという別のプロセスが必要なので、有識者会議ではそこまでやるべきではないというのが私の個人的な意見で、座長がおっしゃったとおり、公益性の判断とデータ提供に伴ういろいろなリスクを中心に、有識者会議がきちんと判断すべきだと考えます。
○山本副座長 どうぞ、石川先生。
○石川委員 最初にちょっと質問したものと関係するのですけれども、今日は公開ですよね。公開したときに、私としては、この研究については全く何が何だかわからないので、ですから、これはどういうふうにお考えになっているのかということをもっと根掘り葉掘り聴きたかったということもあるわけです。これが、今の状況ですと、私なんかから見ると、やはりこれはどういうことをやるのか全くわからないという、私の能力の問題もあるのかもしれませんが、わからない。
 そういうときに、国民のナショナルデータベースを公共性ということで、座長さんはそういうふうに言いましたけれども、公共性について、わからない研究なのに、それを使っていいかどうかということは、そもそも判断できないわけですよ。だから、私は、確かに研究する方たちのデザインとか、いろいろな問題については干渉するつもりはありませんけれども、しかし、提供する側として、やはりその研究のわかりやすい説明と内容の提示というものがなければ、この会議そのものの意味がないと思うんです。いろいろな方面から皆さんが集まって、データベースをどういうふうに使うといったこの会議の意味がそもそもなくなるので、私は、きちんとディスカッションして、ここがわからないのですけれども、どういうことですかということも含めて追及する必要があるのではないかと思います。
 それで、これが、今日は公開でやるということで、ちょっと僕はまずさみたいなものも感じたので、最初に言った次第です。
○山本副座長 事務局から。
○城室長 まさに御指摘だと思います。本番は、本番といいますか、実際の個別具体の申請があったときに、まさにその役割を私どもが、まず事務的な段階できちんと、というのは、御本人をお呼びできないので、ここで委員の皆様方から、これどうなっているのと言われたときに、私どもがきちんとお答えしなければならないという立場に、その申請した方に代わってお答えするという立場になりますものですから、事前に詰めておく必要があるということと、御疑問があるかどうかというのは、私どもの目もそんなにあれではないものですから、各委員にあらかじめメール等々で概要を見ていただくとかということをしながら、専門の方にお知恵をおかりしながら、そういう意味での有識者会議でもございますので、そういう運営方法で何とか試行期間中まずやってみて、どれぐらいの体制が必要かと。私ども、体制的な問題は実は相当認識しておりまして、そこも含めて、何らか次の手を考える必要があるかと思いますが、そんな事務的審査の段階の充実というか、そういう形でまずそこを解決できればと思ってはおります。
○森委員 日薬の森です。
 実は私も、この研究を見ていて、急性期、亜急性期の患者に投入される医療費が、抽出条件の中に5つの診療報酬がありますが、これから出るというのが正直言ってわかりませんでした。私も調剤であればある程度のことはわかりますけれども、審査をする上で、専門家の人の意見を聴く必要もあるのかなというのが1点と、結果的に、申請されたいろいろな研究が、公益性があって、その成果が出るというのを一応この中で判断することを考えると
 先ほどから研究デザインとか研究方法に余り踏み込まないという話でしたが、有識者会議の中で、適切に評価をするということは、結果的には研究デザイン等まで踏み込むことになるのではないかと思っております。
○山本副座長 何度も申し上げますけれども、我々は、研究の新奇性とかユニーク性とかというものまで評価することは慎むべきだと思うのですね。ただ、(1)の公益性は、これは評価しないと公益目的で利用するというものに外れてしまいます。その公益性が研究の目的に書かれているだけで、方法論がそれに一致していないというのは、やはりこれは公益に資するとは言えないので、方法が(1)をできそうだという程度の理解はやらないといけないと思うのですね。ですから、その部分は事務局と有識者の中の全員か何名かはわかりませんけれども、御相談申し上げながら、申請者との間で詰めていって、(1)ですごく勇猛壮大なことが書いてあるのに(2)が全然だめだというのは、やはりこれはだめはだめなので、そういったことがないような申請に事前に調整していただくことが多分必要だろうと思いますね。
 大分時間が超過してしまいましたけれども、本件に関してはいかがいたしましょうか。1つは、これは集計情報であって、しかも総医療費だけという意味では、どなたかのプライバシーを侵害する可能性はゼロと言っていいと思います。ただ、レセプトデータベースを利用するに当たって、各委員からいただいた意見は、公益性とその研究方法についての関連に若干疑問があるということだと思いますけれども。これは、もう少し公益性がわかるという形にお書き直しいただいて、もう一度再審議ということでよろしゅうございますでしょうか。よろしゅうございますか、印南先生。どうぞ。
○城室長 実は、実際の上の場は多分そうなると思うのですが、私ども、お忙しい中、御無理をお願いして、ざざっと、とにかく出してくださいと言ってやった事務局の立場から申し上げますと、できれば、書き直してということはあると思いますが、次回の会議が3月になって、また先になりますものですから、今日お願いしている3件分は、何とか継続にはならないように、どっちに振ってもいいですが、継続にはならないようにお願いしたいと思います。
○山本副座長 了解いたしました。
 それでは、大変申し訳ありませんけれども、これは、印南先生もこのことだけで救急医療のすべてがわかるわけではないというのは勿論よく御承知だと思いますので、少し公益性が十分に理解できる形で事務局に再提出いただくことを条件に、この会議では、この集計情報をつくるということでお認めいただければと思います。あと、内容につきましては、事務局と私の方で確認をして進めるというふうにさせていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
 はい。では、そのようにさせていただきます。
 時間が少し押し迫って申し訳ございませんけれども、本日、もう1例の模擬申請まではやっておきたいと思いますので、3番目の模擬申請についての説明を事務局からお願いいたします。
○佐原室長 それでは、資料4-4について御説明いたします。
 3ページ進んでいただきまして、模擬申出書のところの2ページ目でございますが、松田委員からは、集計表情報以外が必要であるというものでございます。
 3の学術研究の概要ということですが、簡単に読みますと、現在我が国が直面している医療問題の一つに、医療資源の適正な配置をいかに実現するかがある。このための制度的枠組みとしては地域医療計画があるが、これまでの計画は二次医療圏ごとの病床規制としての役割が強く、適正な配分のツールとして十分機能しているとは言えない状況にある。
 その原因の一つとして、1つは、地域の傷病構造がこれまで十分に明らかにされていなかったこと、そして、そのために現状の医療提供体制とのギャップが明確になっていないことがあるということで、そこで、2行下がりますが、本研究では、今後各都道府県で策定される医療計画の基礎資料を作成することの目的で、レセプトデータベースに入っているデータを用いて、二次医療圏ごとの傷病構造、医療提供体制を把握することを試みるということで、期待される効果としては、(1)で都道府県別と書いてありますけれども、実際には、今回は福岡県のデータでやっていただくということになっておりますが、二次医療圏別の傷病構造がどうなっているのかということ、それから、(2)が二次医療圏別にどういうような医療提供体制になっているのか、どのような医療提供ができているのか、(3)で、この(1)、(2)に基づく医療サービスの需給ギャップを明確化して、(4)ですが、医療計画の策定方法の試案をつくるというもの、併せて、現状のレセプトデータベースを分析する際の問題点についても明確化していただくというものでございます。
 研究期間につきましては、松田委員からは、外部委託も含まれておりまして、最初に北海道大学で分析用のデータベースを構築するということ、これは特殊な技術なので外部委託をした上で、データ分析を産業医科大学の方でされて、4月末をめどに報告書を出していただくというものでございます。
 使用されるレセプトにつきましては、医科、調剤、DPCのデータということでございまして、その次のページをおめくりいただきまして、3ページ目の(5)のマル2学術研究の必要性の一番下のところですが、本研究では、福岡県を事例として、県内13医療圏の傷病構造を急性期入院、慢性期入院、外来別に記述し、圏域内での自己完結率や連携の状況を数値化、各医療圏の医療提供体制の現状と課題を明らかにするというものでございます。
 下のマル3学術研究の内容、利用するデータということですが、実際に使用されるデータということにつきましては、最後に別添とつけておりますが、最後から2ページになりますが、データ抽出条件というものがございます。22年4月から10月までの医科、DPC、調剤のレセプトを抽出してきて、必要な項目としては、(1)で二次医療圏別の疾病構造の分析を行うために、すべての傷病名、それからレセプトの共通レコード、それから初診料、再診料、外来診察料に係る、SIというのは診療行為に関するレコード、それから入院料に関するレコード、解釈番号がKで始まるレセ電算コードというのは手術の関係でございますが、それの診療行為のレコードというものであります。
 併せて、地域連携に関する分析というものも計画されておりますので、マル1が脳梗塞に関するもの、その次、マル2が胃がんに関するもの、マル3で大腿骨頭置換術に関する地域連携に関するデータということでございます。
 マル1の脳梗塞に関するところにつきましては、ごらんいただきますと、症病名が脳梗塞に対応するレコードが振られている入院患者さんで、使用薬剤から急性期と判断されるレセプトを抽出していきたいと、非常に具体的に御指摘いただきました。
 今日、机上にコード表を松田委員から御提出いただきまして配付させていただきましたけれども、これの例えば44ページをちょっとごらんいただきますと、脳梗塞に対応するコードが振られているレセプトといっても、脳梗塞といっても、症病名コードはレセプト上2万件以上ありますので、そのうちのどれに該当するものなのかというのは、ここに書いてあるようなリストでということでございます。そして、実際に急性期と判断されるレセプトというのは、使用している薬剤がtPAとかエダラボン等の薬剤を使用しているということですので、次のページの後段をごらんいただきたいと思いますが、実際に使用している薬剤、これらが出てくるレセプトを抽出して分析をされたいということでございます。
 以上が抽出条件の概要でございます。
 申請書の方に戻っていただきまして、申請書の11ページのところをごらんいただきますと、8番でレセプト情報等を取り扱う者というものがございまして、これは、松田委員と、外部委託されるということですので、藤森さんと一緒にされるということでございます。
 最後に事務局審査様式というところに戻りまして、1ページ目でございますが、まず、提供にあたっての論点ということで、学術研究の公益性については、これは、仮に類型マル2ということで、二次医療圏毎の傷病構造と医療提供体制のギャップを分析することで、地域医療計画の策定に資するという具体的な政策課題を研究目的とすると考えられているということで、マル2と分類しております。
 研究方法については、被用者保険の被保険者の居住地が、これはレセプト上、明らかでありませんので、これは、国保の被保険者の居住地が保険者の所在地と同様との仮定を置いた上でされるということでございます。
 それから、2つ目の○で、脳梗塞と地域連携のことについて分析されると書いてあるのですが、申請書の中ではその点が十分、3行しかそこのところがありませんでしたので、もう少し明確に書いていただく必要があるのではないかと思いました。
 それから、(3)で提供するデータの範囲につきましては、先ほど別添のコード表も見ていただいたように、具体的に示していただいておりますが、これで適切かどうかは御議論いただきたいと思います。
 それから、(4)で外部委託について、これは、外部委託する理由がきちんとあるか否かということですが、今回の場合は、委託先が独自に有する技術を使用するということで、あるということでございます。
 (5)で公表形式についてということでございますが、二次医療圏毎単位での集計が前提となっておりますので、個別医療機関毎の集計をすることになりますと、医療機関名は匿名化されているといっても、福岡県内の医療機関であるため、事実上医療機関が特定されてしまうというようなことがないように、先ほどのセルの問題、数の問題のような問題がございますが、公表に当たって留意する必要があるのではないかと。福岡県の二次医療圏で病院が最も少ないのは9というところがございますので、そういうことについてどう考えるかということがあるかと思います。
 また、特定疾病前の集計についても、公表に当たっては、患者個人の識別情報に留意していただく必要があるのではないか。
 それから、申出書における公表内容は、二次医療圏毎の疾病別患者数、連携割合であり、全体としてみると、特定個人の識別可能性は低いと考えられるのではないかということでございます。
 最後に、匿名化処理のところで、患者個人のIDは匿名化し、本研究による連番を付与。年齢階級は5歳階級でということでございまして、それから医療機関コードについては、それ自体を提供するわけではなくて、医療機関コードは匿名化しまして、連番を付した上で、どこの二次医療圏にあるかだけはわかるようにするということでございます。
 それから、最後の○ですが、傷病コードの提供に当たって、希少疾病に留意する必要があるのではないかと書かせていただきましたが、今のレセプトのコードは2万2,000件のコードがありますので、かなり細かいものまでありますが、それをそのままお渡しするのがいいのか、ある程度丸めてからお渡しするのがいいのかという点があろうかと思います。
 以上でございます。
○山本副座長 ありがとうございました。御意見、御質問がありましたら。
 松田先生、何か追加がございましたら。
○松田委員 医療圏単位での集計ですので、個々の医療機関単位での集計は表に全く出ません。
○山本副座長 御意見、御質問いかがでしょうか。どうぞ、森先生。
○森委員 ちょっと細かいことですけれども、先ほどの審査で必要最小限のデータであるかという話がありましたが、このデータ抽出条件の中の2ページ目に、一番最後の方を見ていただければ、抽出するデータの中に、1つ、在宅に関する分析では調剤レセプトデータというものが、これは連携という点でわかるのですが、実は、胃がんの患者さんで、調剤レセプトで胃がんに適用のある医薬品をここで抽出する必要性がちょっと理解できないので。胃がんであるかどうかは、いわゆる医科の方のレセプトだけで把握できるのではないかと。そこをちょっと教えていただければと思うのですけれども。
○松田委員 実際にレセプトの中には、現在、治療対象となっていない病名まで入っていますので、それを確認するためには、行われた医療行為から把握するしかありませんので、ですから、その胃がんというフラグをまず立てた上で、それに対応する、その治療に関連する行為が発生している患者さんだけを、今回は胃がんの患者さんとする形でやりたいと考えております。
○森委員 そのためには必要だということですね。
○松田委員 はい。ですから、階層的にデータを抽出しますので、これがあるものを全部和集合で取るわけではありません。
○山本副座長 稲垣先生。
○稲垣(明)委員 これは教えていただきたい。匿名化処理のところですけれども、患者IDを匿名化し、本研究における連番を付与で、既にデータベースの中には2段の形でハッシュ化されていますよね。それを更にまたハッシュ化するのか。それから、連番の付与の意味は。
○佐原室長 事務局の方からお答えしたいと思いますが、今、データベースの中には個々の患者さんごとのIDが入っておりますけれども、それ自体をお示しするということではなくて、そこから再度、ハッシュ値、乱数等を掛けて、別のIDを、今回のこの松田委員の研究用のIDをそれぞれの患者さんにつけて、ただし、それは勿論連番になっているので、それぞれ患者さんがデータベースの上で特定できるようにしていくという意味でございます。
○稲垣(明)委員 わかりました。そうすると、いわゆるその匿名化したものと連番との相関の表みたいなものは、全部国の方で持っているということですね。
○佐原室長 国の今、我々が持っているIDからハッシュ化をして別のIDをつくりますが、その際に使う乱数というのは、その後廃棄して、二度とわからない、対応関係がわからないようにするとしてはどうかと思っております。
○稲垣(明)委員 1つちょっとあれは、この連番を付与してお渡しすると、例えば、これを今度経年的に調査していくときに、それは追いかけられなくなってしまいます。それでもこういう形でよろしいですか。
○松田委員 一応、今回の研究は、集計単位として各地域の傷病構造がどうなっているかということですので、患者単位では経年的に追跡することは想定していません。
○稲垣(明)委員 その辺があれならばあれなのですけれども。
○山本副座長 ほかにいかがでしょうか。
 これ、申請書の最後の方の11ページに、すべてそうなのですけれども、レセプト情報等を取り扱う者ということで、松田先生、藤森先生、2名のお名前が書かれているわけですが、これは、本当にこのお2人しか取り扱わないという意味ですか。
○佐原室長 そこは、そういう理解でというか、ガイドライン上も、実際に使っていただく方を書いてくださいということになっております。
○山本副座長 了解しました。
 どうぞ。
○新保委員 そうしますと、ガイドライン上との関係で、この言葉もそうなのですけれども、利用者と従事者と委託者と例えば微妙に違ってくるところがありますが、例えば法的な義務の観点からすると、法律では「従業者」という用語を置いて監督義務を課しているわけです。ですから、従業員と従業者と従事者は厳密に言うと若干違ってくる部分があると思いますので、例えば大学の場合などは、大学院生が場合によっては関係してくるというところもありますが、ただ、その点については、あくまでこの利用者がその監督責任のもとでその従業者も監督するということで法的には問題ないと思います。
○山本副座長 どうぞ。
○城室長 出入りしているとか、その作業のお手伝いをしている方というのはさておき、実際にデータを回す方については、一通り全部あらかじめリストアップしてくださいという、今そういう形にしておりまして、その人たちに対して、監督責任を含めてどういう責任が生じるかという点は、今お話しいただいたような形のことが係ってくると思います。とにかく今、リストは全部出していただこうという規定にしております。
○山本副座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、石川先生。
○石川委員 これは、医療機関データも提供するということでありますけれども、それは匿名化してということですよね。これ、研究の内容を見ますと、要するに、そこの地域のいろいろ疾病構造で、急性期入院とか、慢性期入院とか、外来で分けていろいろ分析すると書いてありますが、基本的には、やはり医療機関と、匿名化しても、そこに付随する病床の数とか、そういったものがわからないといけないですよね。特定していないとだめなのではないかと思うのですけれども、どうなのでしょうか。
○松田委員 基本的には、まず、それぞれの地域の傷病構造を推計するということだけで今回は行いたいと思っています。ですから、急性期入院というのは、基本的に、例えばDPCの方で入院期間というものが大体決まっていますので、それに合わせるような形で、急性期の定義を考えようと思っています。一応、今までの研究でも、そういう形で急性期・慢性期入院、外来という形で整理をしていますので、それに沿う形で推計したいとも思います。個別の医療機関のベッド数に応じて何かそれを推計するということではなくて、医療圏全体で推計するということで今回はやろうと思っています。
○石川委員 ただ、これは、文面の中で医療提供体制の現状と課題という感じになっていますよね。それは、医療提供体制というところでは、やはり病床規模とかそういったものも当然入りますよね。
○松田委員 基本的には、そこの部分は、今回は自己完結率だけで評価しようと思っています。自己完結率と、それから、いわゆる例えば脳梗塞であれば、その後の連携がどのように、地域内で完結しているのか、あるいは地域外に出てしまっているのか。あるいは脳梗塞の急性期の患者さんに関して、どのくらいの連携が行われたのか、それが多いのか、少ないのかということを医療圏単位に対する形で、いわゆる提供体制の評価ということをやろうと考えています。今回はそこまでで一応止めておきたいと考えています。従いまして病床規模別のような分析は考えていません。
○山本副座長 二次医療圏というものが本当に閉じているのか、実は閉じていないのだろうかという勉強ですよね。
○松田委員 これまでDPCのデータだけで少しそういうことをやっているのですけれども、研究班のメンバーで、東京医科歯科大学の伏見先生がやっているのですが、例えば医療圏によっては、急性心筋梗塞が全く医療圏で閉じていないという医療圏があったりするわけでして、そういうものをまず明らかにするということが今回の目的です。
○山本副座長 ほかにいかがでしょうか。
 特にクリティカルな問題はなかったように思いますので、松田先生の御申請に関しては、提供を可とするということでよろしゅうございますでしょうか。
 それでは、そのようにさせていただきます。
 これはこの有識者会議の意見でありまして、実際は、これは厚生労働省として決定するということになっておりますので、大臣名で決定されるのだと思います。
 本日は、もう時間の関係でこの3件の模擬審査に止めたいと思います。
 今行いました模擬審査も踏まえて、全体、ガイドラインも踏まえて何か御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。どうぞ、新保先生。
○新保委員 1点要望だけですけれども、ガイドラインにISMSと書いておりますが、これはJISQ27001に基づくISMSなのか、それとも単に情報セキュリティのためのマネジメントシステムなのかということで大きく違ってくると思いますので、現時点において、大学でISMSを取っているのは6つしかございませんので、その点について、情報セキュリティのための対策ということで、ISMSという用語を使うかどうかもちょっと御一考いただければと思います。
○山本副座長 もともとの病院に課しているガイドラインは、ISO27001に基づくISMSという意味で書いているのですけれども、認証取れとは書いていなくて、その考え方に従ってアセットクラシフィケーションから始めて、管理をして見直してくださいという趣旨で書かれていますので、ここもそう取っていただいていいのではないかと思うんですね。したがって、ごく当たり前のことをやっていただくということにはなるのですけれども、特に認証を取れとかそういう話ではないです。
 ただ、どうしていいかわからないという人にとっては、参考書としてISMSはいいのではないかと思いますので、そういう意味だとお取りいただいていいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 ガイドラインが、本日の御議論で若干御意見をいただきましたけれども、大筋といいますか、骨子の点で大きな変更はなかったように思いますので、これから後、細かいところは、まだ事務局の検討もありましょうが、これから構成員の皆様と調整をさせていただいた上でパブリックコメントにかけたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
 はい。では、そのようにさせていただきます。
 あと、ほかに事務局の方から何か連絡ございますでしょうか。
○城室長 特にはございません。
○山本副座長 それでは、今回御審議いただく事項は以上ですので、今回の有識者会議は、これにて閉会とさせていただきます。次回は3月ごろの開催を予定しているということですが、より詳細については、追って事務局の方から連絡させていただきます。
 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

保険局総務課医療費適正化対策推進室
 TEL:03(5253)1111
    (内線3180)

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