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2010年7月29日 介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第3回) 議事録

老健局振興課

○日時

平成22年7月29日(木)13:00~15:00


○場所

全国社会福祉協議会 灘尾ホール
(住所:東京都千代田区霞が関3-3-2新霞ヶ関ビル1階)


○議題

法制度の在り方、研修の在り方(?U)

○議事

○土生振興課長 それでは、若干遅れられている先生もいらっしゃるようでございますけれども、定刻でございますので、ただいまから「第3回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を開催いたしたいと存じます。
 本日は、すべての委員に御出席いただく予定となっております。
 最初に、事務局の方で人事異動がありましたので紹介いたします。
 7月27日付、三輪に替わりまして金谷審議官が着任しております。
○金谷審議官 金谷でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
○土生振興課長 それでは、議事の進行は大島座長にお願い申し上げます。
○大島座長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。
 前回までに、安全で確実な技術移転の方法、具体的には研修体制をどう築いていくか。そして、それを引き受ける介護職員が安心して行うことのできるような法整備を含めた環境整備をどうつくっていくかというような具体的な内容について、議論をしていこうということで、2回の議論でその方向に向かってきたと思います。
 何よりも介護現場で非常に需要が高まっておりますので、できるだけ早く必要な人のところに必要な技術を届けるということがこの会議の一番大きな目標ですので、よろしくこれからも御協力をお願いしたいと思います。
 今日も山井政務官は御出席ですので、最初に一言ごあいさつをいただきたいと思います。
○山井厚生労働大臣政務官 皆様、御苦労様です。本当に暑い中、逆に今日は雨が降っておりますが、足元のお悪い中、全国から委員の方々にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 特に大島座長におかれましては、前回もおっしゃっておられましたように、このような困難な課題をまとめるリーダーシップをとっていただきまして、誠にありがとうございます。
 今の大島座長の冒頭の発言に、まさに集約されていると思います。やはり安全で確実にたんの吸引などを介護職員の方にやっていただくにはどうすればいいか。安全確実の担保ですね。それと同時に、大島座長もおっしゃいましたようにこの拡大を待っている方が多くおられますので、一日も早く必要な技術を習得して実地で行うためにはどうしたらいいのか。安全確実とスピード感というものをどう両立させていくのかということが重要な論点であろうかと思います。
 更にもう一つ付け加えさせていただくとするならば、既に実際に行って違法性阻却などの形で行っておられる方もおられますが、逆に今、行われていることが行うことができなくなるということになっても、またこれは困るわけでございます。
 そういうふうな3つぐらいの連立方程式でありますが、委員の先生方の御議論を通じまして、そのような一見矛盾するような課題でありますが、前向きに前進をさせていただければありがたいと思っております。
 もう少しだけ付け加えさせていただきますと、私も今から十数年前、2年間、スウェーデンで福祉と医療の勉強を留学してさせていただいておりましたが、そのときに日本と違うなと思ったのは、やはり在宅でお亡くなりになられる方が非常に多いということであります。
 1つの理由は、スウェーデンの病院はそんな簡単に入院できない。日本は、フリーアクセスですから、入院しやすい。やはりアメリカやイギリスやスウェーデンからすると、日本という国はある意味で天国のようで、今はもちろん入院しにくいということが日本では問題になっていますけれども、それでも欧米諸国と比べるとけた違いに医療へのアクセスというのはいいわけであります。
 まさにそういう国民皆保険を私たちは守っていかなければならないわけでありますが、逆に入院をいざというときにしにくいということと裏腹なのかもしれませんが、在宅医療、在宅の訪問看護、または24時間体制のホームヘルプなども通じて、在宅で望めば人生の最期まで暮らしやすい体制というのはスウェーデンでも整っているなということを私は十数年前から感じておりました。
 そのときに思ったのはなぜかというと、スウェーデンは同居していないんですね。3世代同居がないんです。日本は3世代同居が当時は多かった。つまり、本人が自宅にいたいと例えば思っても、逆に家族、介護者がギブアップしてしまうというようなこともあってかえって家族と同居している方の方が家に最期までいにくいというような逆転現象があったように、私はスウェーデンで感じました。
 その意味で何が言いたいのかというと、やはりこのたんの吸引等の問題につきましても、これから厚生労働省が医療においても、看護・介護においても在宅重視、そして御本人の自己決定重視ということを看板に掲げれば掲げるほど、本人のみならず介護しておられる方をどう社会全体で支えていくのか。やはりケアラーをケアするといいますか、御本人をどう支えるかと同等に、御本人を支えておられる家族を同じぐらいきっちり支えるということがなければ、在宅重視や御本人の自己決定重視というようなことも絵に描いたもちに終わってしまうのではないかと思っております。そのような大きな私たちが描いているビジョンの実現の一つが、今回のこの検討会であると思っております。
 今日は、試行事業についても御議論いただくと聞いております。各論になればなるほど、さまざまな賛否両論も出てくると思いますが、前回もお願い申し上げましたように、まさに歴史的な重要な議論をこの検討会で大島座長を中心にやっていただいているというふうに期待をしております。賛否両論をしっかりと闘わせていただきながらも、一歩一歩前進をさせていただければありがたいと思っております。
 冒頭だけ、言いたいことを言って中座するのは非常に恐縮ですが、公務が重なっておりまして、これで中座をさせていただきます。
 本日もどうかよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、早速議事に入っていきたいと思います。前回の議論を踏まえまして、事務局の方で今後の議論の進め方及び具体的方向に関する資料、研修内容や医療職との連携の在り方等を検証するために必要な試行事業の在り方に関する資料等を作成しておりますので、この資料に基づいて今日は具体的なところに踏み込んでいきたいと思います。
 最初に、事務局の方から説明をお願いします。
○土生振興課長 まず、配布資料の確認をさせていただきます。
 座席表に続きまして、議事次第でございます。
 ただいま座長から御紹介がありました「今後の議論の進め方及び具体的方向(案)」が資料1、縦長の資料でございます。
 それに付随する資料といたしまして、横長で「介護職員等によるたんの吸引等の試行事業(案)の概要」が資料2です。
 資料3はまた縦長になりまして、「たんの吸引等の試行事業について(案)」ということでございます。
 以下、各委員から御提出のありました資料、白江委員御提出資料、中尾委員御提出資料、橋本委員御提出資料、三上委員御提出資料です。
 資料は以上でございます。遺漏がないようでしたら、説明に移らせていただきます。
まず、資料1をごらんいただければと存じます。先ほどの座長の御発言、あるいは政務官のあいさつの中でも触れさせていただきましたけれども、前回の議論、あるいは座長の総括を踏まえて作成したものでございます。
 まず、1としまして「今後の議論の進め方」ということでございます。「必要な人に必要なサービスを安全に提供することを基本とする。」ということでございます。
 また、合わせまして「介護サービス事業者の業務として実施することとするなど、現行の違法性阻却論に伴う介護職員等の不安や法的な不安定を解消する方向で議論を進める。」ということでございます。
 具体的な議論の順序・スケジュールでございますけれども、前回座長からもお話がございましたとおり、まずは本日から具体的な制度の在り方について御議論いただくということでございます。その案につきましては、2のところに記載をしております。
更にその後、「制度の在り方の具体的方向性に沿って試行事業を行うこととし、その状況を踏まえつつ、更に議論を行うものとする。」ということでございます。
その際、合わせまして具体的な制度の在り方を踏まえ、これを医事法制や資格制度等との関係について、どのように位置づけるかについて御議論をいただくということでございます。
スケジュールとしましては、いずれにいたしましても関連の閣議決定を踏まえ、議論を迅速に進めていただきまして、年度内のできるだけ早い時期に結論をお願いしたいということでございます。
また、既に医療・介護サービス、あるいは報酬等の在り方、さまざまな御意見をいただいているところでございます。所管の審議会等での議論というものも必要になるわけでございますけれども、当検討会としても引き続き意見交換を行い、必要に応じ御提言をいただくということでどうかということでございます。
「2 制度の在り方の具体的方向」ということでございます。前回以来の論点に沿って、1つの案として整理をしたものでございます。
「1 対象とする範囲について」でございますけれども、まず実施できる行為の範囲でございます。政務官のあいさつにもございましたが、これまで運用により許容されていたものができなくなるということは大変困るわけでございまして、そうした範囲が縮小されないよう配慮をするということ。更に、制度の迅速な実施を実現するという観点から、これまで運用により許容されてきた範囲を制度の対象としてはどうかということでございます。特別支援学校、あるいは在宅、特別養護老人ホーム、それぞれ範囲の違いというものはあるわけでございますけれども、その範囲の一番広いところをつなぎ合わせたものということでございます。
具体的には、吸引につきましては口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部。ただし、口腔内については咽頭の手前までを限度とするということでございます。
経管栄養につきましては、胃ろう、腸ろう、経鼻ということでございますが、胃ろう、腸ろうの状態確認、経鼻経管栄養のチューブ挿入状態の確認は看護職員が行うという案でございます。
最後の丸でございますが、ただし、「上記の整理は、将来的な対象行為の範囲の拡大の道を閉ざすものではない。」ということでございます。
 2ページでございます。前回の御議論でもございましたが、上記の範囲の行為であっても、ターミナル期であることや状態像の変化等により、介護職員等が実施することに適さない事例もあり得るということでございます。介護職員等が実施可能かどうかについては、個別に医師が判断するものとするという案でございます。
 次に(2)で介護職員等の範囲でございますけれども、「一定の追加的な研修を修了した介護職員等とする。」ということでございます。この介護職員等には介護福祉士も当然入るものということでございますが、その他の介護職員の方もこれに含まれるということでございます。
 それから、前回も確認がございましたとおり、特別支援学校におきましては教員を含み得るものとするということでございます。
 「実施可能である場所等の範囲」ということでございます。一定のニーズはありますけれども、看護職員だけでは十分なケアができない施設等ということを対象としてはどうかということでございます。具体的には、介護関係では特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人。 障害者支援施設等ということで、通所施設及びケアホームを含むということでございますが、医療機関である場合を除くということでございます。
 特別支援学校につきましても、なお検討を進めていただければと思います。
 いずれの場合につきましても、医療職と介護職等の適切な連携・協働が必要ということでございますので、そうしたことが可能な場合に認めることとするというものでございます。
 また、在宅におきましてもニーズがあるということでございまして、医療職と介護職等の適切な連携・協働が可能な訪問介護事業所が実施できることとしてはどうかということでございます。
 「2.安全確保措置について」でございます。
 (1)は連携体制の確保等の要件ということでございますけれども、現行の運用による対応も踏まえまして、そこにございます5項目ということで整理をしてはどうかということでございます。
 また、これに関連して施設や研修等の監督、あるいはサービス提供体制の整備など、行政の役割についても御議論があるところでございます。引き続き御議論をいただくということではどうかということでございます。
 3ページでございます。「教育・研修の在り方について」でございますが、先ほどの案にもございましたとおり、介護福祉士を含め、一定の追加的研修を行った者に限り認めるということでございます。
 教育・研修につきましては、後ほど試行事業の案は御説明させていただきますけれども、基本研修及び実地研修、いわば実習でございますが、可能な限り施設、在宅等の現場で行うものとするということでございます。
 「ケアの安全性を前提とし、現場で対応可能なカリキュラムとする。」ということ。
 あるいは、「知識・技術の修得には個人差があることを考慮し、研修効果の評価を行い、評価結果を踏まえ必要な対応を行うものとする。」ということでございます。
 また、前回、前々回でも既に多くの御意見をいただいておりますけれども、個別性の高いケアを行う場合の研修について、更に検討をすることとしてはどうかということでございます。
 また、既に相当の教育・研修歴がある方もいらっしゃいますので、その点は考慮できるものとしてはどうかということでございます。
 こうした具体的方向性を踏まえまして、試行事業の案でございます。資料2と資料3でございます。資料3の方が文章編といいますか、より詳しいものでございますけれども、基本的に説明の時間もございますので、資料2のイメージ図の方でまずは御説明をさせていただきたいと思います。
 資料2をごらんいただければと存じます。試行事業の案ということでございますけれども、最初に米印を2つ御説明いたします。
 まず、この基本的内容につきまして、これから検討会で御議論いただくわけでございますけれども、具体的な実施に当たりましてはテキストの作成、評価基準の設定、あるいは実地研修の実施方法等、極めて詳細な技術的な事項もあるということでございます。
 大変恐縮でございますけれども、当検討会から大島座長、内田委員、太田委員、川崎委員、川村委員に試行事業のアドバイザーをお願いしたいと考えております。また、この事業の実施に当たりましては、老健局あるいは障害保健福祉部の予算を活用いたしまして調査研究事業、あるいは基本研修及び実地研修につきましては研修の委託費等を活用して費用負担を行わせていきたいと考えております。
 具体的な試行事業のスキームでございます。左から順に、時間を追って御説明をさせていただきます。
 まず、中央研修といいますか、指導者講習でございますけれども、各団体あるいは現場の医師、看護師の方に、この方は既に医療につきましては専門的な知識、経験をお持ちなわけでございますが、今回の講習の内容、ポイント、制度の趣旨等を御説明する機会をつくるということでございます。1日程度で各団体、公募された団体から24人程度、それから現場で御指導いただく看護師の方、40人程度を想定しているわけでございます。
 基本研修、実地研修、これらはいずれも介護職員に対する研修ということで、2つのパーツに分かれているものでございます。
 基本研修につきましては、公募で6団体程度にお願いをいたしまして、先ほど申し上げました指導者講習を受けた医師、あるいは看護師の方に講義、演習というものをやっていただいてはどうかということでございます。予算的な面も考慮いたしまして6団体、120人程度ということで考えております。
 その後、研修がきちんと効果を上げているかどうかということを指導者の方から評価をしていただきまして、その後、実地研修あるいは実習に移っていくということでございます。できる限り現場で、施設あるいは在宅等で実地研修を行っていただくということでございます。
 その後、最低限の回数等も規定しておりますけれども、評価を指導されている方にしていただきまして、現実に独り立ちといいますか、もちろん連携の上ということではございますが、ケアの試行に移っていただくという案でございます。
 検討会の報告につきましては、議論のスケジュールとの兼ね合いもございます。評価?Aというところがございますが、研修の効果が上がったかどうかというところで、まず検討会に御報告をしてはどうかということでございます。
 その研修カリキュラムの案につきましては、その裏の2ページの方で御説明をさせていただきます。これは、基本的には不特定多数の方に安全にたんの吸引、あるいは経管栄養を実施するために必要なカリキュラムということで、たたき台ということで本日出させていただくものでございます。当然さまざまな議論があると思いますので、よろしく御議論をお願いしたいと思っております。
 たんの吸引、経管栄養だけをやる場合というのも一応想定をしておりますけれども、両方の研修をやるということで考えてみますと、その次のページに具体的なカリキュラムの案がございますが、50時間の講義ということでございます。また、それぞれ必要な実技につきましてシミュレーターを活用して、演習をその後、行っていただくということでございます。
 それも先ほど申し上げましたとおり評価があるわけでございまして、その次に施設、在宅等の現場での実地研修ということで、最低限の必要な回数というのはそこに記載しているとおりでございます。
 その後、実際に試行するまでの間にもう一度評価というものを行っていただいてはどうかということでございます。実地研修を実施する際の施設等の要件は、一番下の?@から?Jまでに記載をしているとおりでございます。
 3ページは、その具体的なカリキュラムの案ということでございます。
 それから、その裏面に参考としまして、准看護師の場合の教育課程のカリキュラム、これは第1回に出された資料でございます。
 資料3だけ、重複するところを飛ばして簡単に御説明をさせていただきたいと思います。基本的な試行事業の案のイメージは今、御説明したとおりでございます。それを文章化したものが、この資料3ということでございます。
 構成だけ簡単に御紹介させていただきますと、1ページの下に介護職員が行う行為の範囲を、先ほどの案と共通でございますけれども、整理をさせていただいているものでございます。口腔内については咽頭の手前までを限度とするということ。それから経管栄養でございますけれども、胃ろう、腸ろうの状態の確認は1日1回以上看護職員が行う。経鼻経管栄養につきましては、チューブの状態確認を看護職員が行うという案でございます。
 2ページ、3ページの「実施主体及び費用負担等」につきましては、先ほど御説明をしたとおりでございます。
 3ページの「研修及びケアの試行について」も先ほどの図で御説明したとおりでございます。
 なお、5ページ以降、具体的な実地研修の実施方法、更にはケアの試行の実地方法、別紙1、別紙2ということで整理をしているものでございます。基本的な考え方は同じでございますけれども、実地研修中は当然その技術の修得状況を見ながら、どこまでやっていただくか、指導看護師の方に御指導をいただくといったところが違うわけでございますが、基本的な考え方は同じでございます。詳細にわたりますので、一言一句の御説明は省略をさせていただきたいと思います。さまざまな御意見をいただければと思います。
 資料の説明は、以上でございます。
○大島座長 ありがとうございました。
 今日は、4人の委員の方から資料の提出がありますので、それぞれについて簡単に御説明をいただいて、それから議論をするという方向でいきたいと思います。
 まず、最初に白江委員の方からお願いします。
○白江構成員 白江と申します。お手元の資料1ページ、2ページにつきましては、この後、本題の議論となりますので省略させていただこうと思っております。
 ただ、研修につきましては、これは言うまでもないことなのですが、ある意味で実施体制と一対のものですので、研修制度だけに高いハードルを設けて実施体制がおろそかになるようでは、私としては問題があると思います。この両面にきちんとした体制を取っていかなければならないという意味で、少し案を書かせていただきました。
 今、試行事業のお話がありましたけれども、このハードルは余りにも高過ぎるということで、私としてはこれについてはにわかには賛成しかねると思っております。この後、幾つか疑問点につきましては議論の中でお伺いしたいと思っておりますが、そういう前提で、この1ページ、2ページの案を書かせていただきましたので、この後の議論の中でお話させていただきたいと思います。
 3ページ目に、今日の本題ではないのでちょっと心苦しいところはありますけれども、前回の議論の中で資格制度のことと、それから医行為のことにつきまして若干の議論がありましたので少しだけ書かせていただきました。
 資格制度について、私は特に必要ないというふうに考えておりまして、その理由をこの中に書いております。資格制度の設計にまた時間がかかってしまうことであるとか、まずは安全性、安心して実行できる体制を取るために、先に資格があるというのはいかがなものかとも考えておりますので、あとはまたご覧いただければと思っています。今後の議論になろうかと思います。
 それから、医的ケアにつきまして、私は前回「医的ケア」という概念につきまして少し提案をさせていただきましたけれども、医行為からそれを外して欲しいというふうには思っておりません。同じ吸たんであってもやってはいけない状態のときもあろうかと思います。それから、幾つかここに条件を書きましたけれども、全身の状態が安定しているとか、生活援助行為であるとか、それから一定の条件下の研修、あるいは体制が整っているという前提の中で医行為としてあるものが一部、医師の判断等で認められるようになればいいと考えております。つまり、吸引を医行為から外して欲しいとか、経管栄養を医行為から外して欲しいとか、そういうふうな提案を私としてはしておりません。そこはまた後ほどの議論になると思いますけれども、前回少し議論になったので補足させていただきました。以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、中尾委員よろしくお願いします。
○中尾構成員 前回と同じような意見ですが、まとめさせていただきました。
 「実施者について」は、一定期間の従事経験のある介護福祉士等が必要な研修を受けることにより実施することが重要ではないかと考えております。
 「研修について」も、医学的知識の基礎的な共通研究等、ここに示されておりましたのでこれ以上、言う必要はないかと思いますけれども、利用者個別の特性に応じた実施指導と、両方が必要ではないか。
それと、「実施後」でありますが、もう何回も私たちは申し上げてきましたけれども、もちろん実施前の研修も必要でありますが、継続的な研修が必要です。最初の研修で終わりではなく、継続的な研修を望むところです。
それから、「実施体制」につきましては医療、訪問看護、訪問介護の三者によるチーム体制がとても重要ではないかと思うんです。連携は当たり前ではありますが、24時間365日の連絡・連携がとれるチーム体制が必要ではないかということをここに再度書かせていただいております。
次のページに移りますけれども、法改正についてです。これは、在宅における「業務としての実施としての位置づけ」となる対応を是非お願いしたいということと、もう一つは「その他の医行為について」です。これも今まで私はお話ししてきましたけれども、グレーゾーンである今やっている医行為についても、今回の検討と同様に早急に検討・対応することを必要としていると思います。
次のページには、参考として「ホームヘルパーによるたんの吸引実施事例」を載せております。参考にちょっと見ていただいたらと思っております。 
それから、最後のページは、「たんの吸引を実施しているヘルパーの意識」について書いておりますので、これも参考資料として目を通していただければありがたいと思っております。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、橋本委員お願いいたします。
○橋本構成員(代理) 橋本の代理で説明させていただきます。
 橋本委員提出の資料の方は後ほどゆっくりお読みいただければいいと思いますが、主に橋本が述べたいことは、先ほど白江委員がおっしゃったことと全く重複いたします。やはりお示しいただきました事業モデルは非常にハードルが高いということで
す。私ども2003年から重度訪問介護というヘルパー養成研修事業の中の追加研修で医療的ケアを教えてまいりまして、実際に在宅でヘルパーに吸引等のケアをしてもらってきました。
 それがもう7年間続いてまいりまして、前回お示ししました橋本の資料の中でも、東京都の約半数の人工呼吸療法の人がこのシステムを使って、既に安全に在宅で医療と看護と連携して生活しております。これが現実であり、事実でございますので、この辺を是非評価していただいて、これ以上のことを私どもにしなさいというのは酷でございますので、是非考直していただきたいというふうに申しております。
 それから、吸引の方はできるところはやっているんですけれども、やはり一番、今問題になっているのが経管栄養でございます。モデル事業の案の横の方に、経管栄養のスタートは看護職でなければというふうに書かれておりましたが、やはりこの検討会で一歩踏み出していただきたいのは経管栄養をヘルパーでできる体制をつくっていただくということでございます。それができなければ、はっきり申し上げましてこの検討会の意味がございません。
 経管栄養ができないから、呼吸療法に進めない患者がたくさんおります。毎日、何回も訪問看護のサービスを受けられれば問題ないんですけれども、それができない。週に2回とか3回しか訪問看護を受けられないという患者が大変たくさんおりまして、そういう患者、あるいは障害者の家族が結局仕事を辞めて家で看るならば呼吸器を付けてあげるとか、気管切開をしてあげるという条件になっております。
 それがクリアできないと、結局生存に必要な医療を受けられないということで、たくさんの方が泣く泣く亡くなっている状況でございます。そこを是非認識していただいて、まずはとにかく経管栄養が安全にできるように検討会で一歩進めていただきたいと思います。
○橋本構成員 現実に訪問看護は週に1回だと思うので、残りの6日を安全に生活できるように議論を進めてください。以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 それでは、三上委員よろしくお願いします。
○三上構成員 6月18日の閣議決定で出されたものは、医行為の範囲の明確化、介護職によるたんの吸引、胃ろう処置の解禁等ということでございますので、今日の会議の進め方として、医行為の範囲を決めずに既に医行為であることを前提にこういったことを研修するというモデル事業をやるんだというふうな進め方というのは少し疑義があります。
 その上で、今日出しました資料は、本来厚生省資料として出していただきたかったんですけれども、出せないということで私の方から出しましたけれども、平成17年7月26日に出されました医師法17条、歯科医師法17条、保助看法31条の医政局長の解釈通知なんですが、これによると医業をするのは医師……。
 医業とはということで、前回平林委員が説明されたことが書いてありますが、ある行為が医行為であるかどうかについては個々に応じて判断する必要があって、最近の状況の変化によって、高齢者介護や障害者介護の現場において、その医行為の範囲が拡大解釈されている。それをはっきりさせるために医行為の範囲、医行為でないものを限定するという通知です。
 2ページ目に1、2、3、4、5と書いてあって、体温測定や血圧測定など、あるいは軽い切り傷、擦り傷、やけどなどが書いてあります。
 それから、注1の?@から?Eも追加して、医行為の範囲から除けるというふうに書かれたわけでございます。
 注2には、この1から5と注?@から?Eの問題については医行為の範囲にならないと考えられるということ。ただ、3行目に書いてありますが、「病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もある。このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる」。それで、病状が急変した場合には速やかに連絡をとる必要があるということが書かれています。
 注3でもそういったことが書かれているんですが、4ページで「業として行う場合には実施者に対して一定の研修や訓練が行われることが望ましいことは当然であり、介護サービス等の場で就労する者の研修の必要性を否定するものではない。」と、非常にうまく書かれています。
 注5にも、1からすべての行為について「看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。」というふうに、非常にこの通知はよく書かれていると思うのですが、私はこの書きぶりの中で、現在問題になっている行為を付け加えることによって解決できるのではないか。そこで、以前から非常にスピードを持って決着できるのではないかということを申し上げているわけでございます。
 今回のように、進み方として医行為のままで40時間、50時間の特殊な独占業務資格をつくるようにカリキュラムをモデル事業としてやるというのはかなり乱暴な話ですし、本来、医療というような専門職にしかできないようなものについて50時間程度の研修で独占業務というふうな形にするというのは、逆に現場としては非常に混乱をする。資格制度ではないと言われましたけれども、当然、研修を受けた人しかできない医行為であるということで決めれば、それはもう業務独占資格ということになりますので、是非この点はもう一度考えていただきたいと思います。
○大島座長 ありがとうございました。
 今の議論は本質的なところに触れたお話で、今までの議論は医行為を前提とした議論になっていて、研修制度等についてもそれを前提としたものであるから、それでは具合が悪いんじゃないかという三上委員からの御指摘です。これは法律や制度に関わる問題なので、この点に関してまず最初に少し議論をしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 平林先生、どうぞ。
○平林構成員 それでは、今、三上先生がおっしゃられたことに関連して、少し私の考え方を申し上げたいと思います。
 私はこの通知がいいとは思っていないのですが、仮にこの通知に乗せるとして、今日の資料1に挙げられた吸引と経管栄養全部この通知に乗せて処理できるのでしょうかというところに問題の1つがあると思います。
 例えば、口腔内の吸引とかは、医行為からはずしてもいいのではないかというようなことを先ほど会議が始まる前にお話をしてお伺いしたんですが、ただ、カニューレを付けて人工呼吸器を付けているような場合にはやはり医行為だというふうなこともおっしゃっていたようにも思います。また、経管栄養の場合はどうなるのでしょうか。
 そうすると、仮に三上先生がおっしゃるようなことを前提として考えたとしても、今、我々が議論して行為がすべて医行為ではないということにはならないわけで、通知だけでは問題の解決はできないだろうと思います。
 こういう問題を考えるとき、私は3つのポイントがあるだろうといつも考えております。
 1つは、その行為を認めることが有効であり、有用であるかどうかということです。その有効性、有用性ということを考えていきますと、先ほど来、現場の方々からお話がありましたように、現場は一刻の猶予もなく、ここに挙げてあるような行為はすぐにやってほしいというふうに言われているわけです。そうすると、その中の一部分を限定して医行為ではないから云々というのは、少し議論を矮小化するものではないかと思っております。
 それからもう1つは、安全であるかどうかです。これは、先ほど来ずっと言われてきておりますように、必要なサービスを安全に提供することが基本だということの確認がされております。しかし、安全であるためには、教育あるいは研修を受けるということが必須の要件になっているわけで、その必須の要件である教育とか研修を1つの通知で義務化できるかというと、これもやはり難しいだろうというふうに思います。
 それを義務化するためには、やはり何らかの形での法制度化することが必要です。それをどういうふうにつくるかはこれからいろいろと工夫をしなくてはいけないですし、今やっている人ができなくなるようにすることは私も断じてあってはならないと思っていますので、そこはいろいろと工夫をしていかなければならないと思っています。それは工夫のしようはあると思いますので、そういう意味できちんと制度化して、安全性を確保できるための教育と研修を確保するということがやはり必要なのではないかと思っております。
 それからもう1つの問題は、医行為であろうとなかろうと、仮に医行為でないとしても、その対象である者、患者さんなり利用者さんが医学的な管理の下にあるという以上、その責任はやはり医師が負うべきであろうと思います。そして、そのことは白江委員のお話の中でもメディカルコントロールという形で出てきておりますが、事前のメディカルコントロール、事後のメディカルコントロール、あるいはその行為をやっているときのメディカルコントロール等、いろいろな形で医師が関与していかなければならないと思います。もっとも、実際には医師が直接関与するか、あるいは看護師に関与させるか、この点についてもいろいろな関与の仕方があろうかと思いますが、そういう点を考えていきますと、むしろどういうふうなシステムをつくって考えていけばいいのかということを問題にしなければならないと思います。
 今申し上げた3つの要件が満たされるためにはどういうものが必要なのかという、いわば各論の問題をきちんと議論して、その結果を見て、ではそれを医行為とするべきなのか、あるいは医行為ではない医的なケアとするべきかを議論すべきではないでしょうか。しかし、医行為と言おうと、医的なケアと言おうと、結果的にそれには医師が関わってくるとすれば、医行為であろうとなかろうと、医師がきちんと関わることができるようなシステムをつくっていきましょうということを今、我々は議論しているのではないでしょうか。これが医行為であるかどうかということを最初に議論しなければ話が進まないという点については、ちょっと私は意見を異にするということになります。
○大島座長 どうぞ。
○三上構成員 基本的に今、言われたように、現在されていることができなくなるようでは困るんだということが1つです。医行為であるか、ないかということが大事だというのは、医行為であればこれは業務独占できるということで、独占業務というふうに位置づけられているので、これを無資格の方がやることはできないために今、研修という1つのハードルを付けて資格らしきものを作り、その人たちだけができるようにしようというのが今、進められているような話です。ですから、資格化の話です。
 今、ここで大体全員の意見が一致しているのは、新しい資格をつくるのはよくないということですけれども、業務独占の行為をできるような認定というのは、それは資格というふうに考えるんじゃないんでしょうか。そうでないと、認定を受けていないでその行為をやれば医師法違反になるわけですから、医行為の範囲を考える必要が最初にあるんだということを申し上げているので、どうなんでしょうか。
○大島座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○平林構成員 ですから、そこをどういうふうに現行法の枠組みの中で工夫をするのか。新たな資格をつくる必要はないと私も思ってはいますけれども、ただ、1つの選択肢として、一応置いておくべきだと思います。そして、それとの関わりの中でどういうふうにするのが今、一番現実的であるかということを考えていくために、前回資格ということも試行するためには一応留保してくださいということを申し上げました。ですから、私は新たな資格をつくらなければこれはできないのだ、ということを言っているつもりは全くありません。
 そして、仮に介護福祉士に一定の研修を受けさせてそれらの行為をやらせることは、今の法律の枠組みではできないわけですから、どういうふうな枠組みを新たにつくっていけばできるようになるのかが検討されなければならないわけです。また、仮に資格をつくったとしても、それがすべて独占業務になるという点については、現に業務独占をしていない資格はたくさんあるわけですから、そこら辺の折り合いが、今ある法律の枠組みの中で解決できるかどうかが考えられるべきだろうと思います。また、もし現行法の枠組みではできいとするなら、新たにどういうものをつくっていけばいいかを検討すべきでしょう。それが全体として先ほど言ったような安全で、必要な人に必要なサービスが迅速に提供できるということが実現できるならば、新しい法的な枠組みをつくればいいだけの話だと私は思っています。
 ですから、ちょっとそこら辺の理解の違いがあろうかと思います。
○大島座長 ほかの委員の方、もし、質問があれば手を挙げて、この点に質問がある、疑問があるということを言っていただいて構いませんので、どうぞ。
○三上構成員 今の法律の中でできるということは、違法性阻却か、医行為から外すか、あるいは新しい資格をつくるか、この3つしかないと私は思います。
 ですから、その法律を変えないということであれば、なおかつ違法でなくて資格もつくらないということであれば、医行為から外す選択しかないのではないかと思って提案をしているわけで、それができないかどうかについては、私が出した17年の局長の解釈通知によってできるのではないかということを申し上げているのですが、これでできないということを言われる方があれば、そういう意見を言っていただいたらいいと思います。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○橋本構成員 医行為から外れなければ医師の独占業務であることは、皆さんが共通理解すべきです。
○大島座長 よろしいですか。ほかに、どうぞ。
○島崎構成員 基本的に先ほど平林委員がおっしゃったとおりだと私は思いますが、その前提として申し上げれば、医行為から外れれば、医業ではない。
 医業ではなくなれば、だれでもそれができてしまうわけです。先ほどお示しになった通知に書いてあるように、例が適切かどうかわかりませんけれども、耳かきは医療行為から外したわけです。その結果、耳かき業というんですか、耳かき屋というのかよくわかりませんけれども、そういうものが街中にいっぱい出てきているという実態があるわけです。つまり、医行為から外れれば、だれでもできてしまう、医業職に限定されているわけではないという実態ができるわけです。
 たんの吸引とか経管栄養について言えば、日常的にそういうケアが必要なものという類型ができてきていますが、それに対して、でも一定の医学的なコントロール、メディカルコントロールが必要だということでやってきたわけです。つまり、そこはだれでもやってよいという状態をつくり出そうとしたわけではなかったわけです。
 その際、医師法や保助看法といった、そういう法律との抵触をどうクリアするのかという問題があったわけですが、一種の「便法」というとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、違法性阻却論という形でやってきたというのがこれまでの経緯だったと思うのです。
 ただ、これは1回目、2回目の検討会でも申し上げたとおり、そういうやり方できたけれども、そろそろそうしたやり方はもう限界にきたのではないか。それから、現状は非常に法的に不安定な状態だということがある。例えば、ホームヘルパーの方が在宅でたんの吸引をやるということは、ホームヘルパーの業務として行っているわけではなく、それは一種のボランティア行為というふうな位置づけにならざるを得ない。その意味で、非常に不安定な状態に置かれているのです。
 重要なことは、どういう実態をつくり出そうとするのかということが検討会のテーマであり、また、それが先であって、それを法律的にどう構成するかというのは厚生労働省のお役人に任せておけばよいと思います。
 その上で、議論を明確にするためにあえて三上委員にお尋ねしますけれども、たんの吸引と言っても口の中だけという場合と、経鼻の場合と、気管カニューレ内での吸引と、対応は違うと思いますが、三上委員はたんの吸引、具体的に言えば気管カニューレ内の吸引も医行為ではないということをおっしゃっているのですか。
○三上構成員 気管カニューレ内と口腔内、咽頭手前というのは、いわゆる見える範囲で噴いてくるようなたんですね、それを吸う分には医行為ではないというふうにした方がいいんじゃないかと思います。
 ただ、私が出した17年の局長通知にも書いてありますように、程度が重ければ当然ここにも医行為であるものがいっぱいあるわけです。例えば軽微な切り傷、擦り傷、やけどについては一般の人がやっても医行為じゃないけれども、大きな切り傷や重度のやけどとか、こんなものは医行為に決まっているわけです。
 ですから、そういう意味では口腔内と気管カニューレ内等については医行為じゃないとしてもいいわけで、その場合でも、なおかつ出血をしているとか、感染があるとか、そういう場合には当然医行為となる。そういう判断で、そこにこういうふうな書き方をされているので、この書きぶりでできないかということを申し上げているんです。
○大島座長 この問題は皆さんが、なるほどなという納得だけはしていただいて前に進みたいと思います。
○島崎構成員 そうすると、お尋ねしたいことは、三上委員のお考えですと、例えば気管カニューレ内、あるいは経鼻吸引について、それは例えば介護職の方、あるいはホームヘルパーを含めてやることを認めようとしているのですか、認めてはいけないということをおっしゃっているのでしょうか。
○三上構成員 原則、認めるということです。
 ただ、業としてやる場合には訓練をしてくださいということです。気管カニューレですよ。
○島崎構成員 口の中ではなくて……。
○三上構成員 口の中とカニューレについて、見える範囲については医行為でない。見えないところについては、一応だめだと。
○島崎構成員 そうすると、見える範囲の部分についてはメディカルコントロールが必要だということをおっしゃっているのですか。それも必要ないということをおっしゃっているのですか。
○三上構成員 基本的には、皆メディカルコントロールが必要です。ですから、ここは業としてやっておりますので、サービス業をやる前にはサービス担当者会議で一応どういう状態かを判断して、これは大丈夫であるかどうかということをまず判断するということはここにも書かれているわけですから。
○大島座長 業としてやる場合には、一応、形の上では医行為から外せばだれがやってもいい。ただし、訓練は必要だ。訓練は、別に介護職員でなくてもだれでも普通の人が訓練を受ければ業としてやることもできると、こういう解釈ですか。
 要するに、業としてやる場合、医行為ではない。医行為ではないから、だれがやってもいい。別に医療職、介護職でなくてもだれがやってもいい。ただし、業としてやる場合には訓練は必要だと。
○三上構成員 だれがやってもいいという言い方が誤解を招くのですけれども、だれがやってもいい違法性は問われないが、業としてやる場合には当然訓練を必要とするということなんです。
○大島座長 その訓練を必要とする場合に、介護職という限定は必要がないと。
○三上構成員 それは、これから考えられたらいいんじゃないですか。介護職と言っても、介護福祉士もあるし、2級ヘルパーもあるし、そうでない介護職の方もいらっしゃるわけですから、どの程度の研修が要るのかということがあるし、例えば介護の職場で介護サービス事業所で多く働かれる介護職ということを考えれば、介護福祉士のカリキュラムの中にこういったものがかなり入ってくるというふうなことになれば、当然全体としての質は上がってくるというふうに思いますけれども、名称独占でありますが、そういう医療的ケアですね。医行為でない医療的ケアも相当できるというふうなことで、質が担保されてくるのだろうと思います。
○橋本構成員(代理) そこのところで平林先生に質問ですが、業としてやるから医行為なのではありませんかということです。
○平林構成員 業としてやるかどうかというのが今、問題にされましたが、その「業」というのは法律的には、反復継続の意思があればいいといわれていまして、それを商売としてやろうと、商売でなくてやろうと、関係がない。ただ、反復継続の意思を持ってその行為を行えば、それは法律的にはすべて業というふうに法律の方では解釈をしていますので、それを仕事としてやるかどうかということはここでは問題にはなりませんし、業としてやるから医行為になる、ということにもならないと思います。
 むしろ問題は、医行為であるかどうかということについて、ある時は医行為になり、ある時は医行為にならないというその考え方にあります。
 私は、この通知のそういう考え方自体が、我々の常識から言うと少しおかしいのではなかと思っています。我々の法律家の常識は世間の非常識と言われるかもしれませんが、少なくとも法律の方では、抽象的な危険があればそれは医行為だと考えられています。なぜそういうふうにしたかというのは、前に、御説明をさせていただきましたので繰り返しませんが、そういうふうな枠組みで問題を考えていきますと、ある時は医行為になってある時は医行為ではないというのは、それは実は医行為なんだというふうに私は思っています。
 そして、この通知では、医行為になるかならないかは、サービス担当者会議で最終的には医師とか看護師が決めるんだというふうに注の2か3で書いてあります。では、そのサービス担当者会議に問題を持ち上げるのはだれかというと介護職です。介護職が問題を提起しなければそれは議論にならないということになると、ではその責任は介護職が負わなくてはいけないということになり、現場はとても苦労しているし、これが出たことによって何人かのヘルパーさんはとても悩んでいると思います。したがって、こういう通知に立脚して議論をすることに、やはり少し問題があるだろうということが1つです。
 それから、仮に医行為でないとしてだれがやってもいい。ただし、訓練を受けなければならないんだということになりますと、ではだれがどういう形で教育とか研修というのを義務付けるのか。これらの行為がある程度の危険性を持っていることは明らかなのですから、これは訓練がなければできないということになると、そのことを義務付けるためには一定の法制度が必要でしょうということを申し上げているのです。
○大島座長 ありがとうございました。どうぞ。
○白江構成員 先ほど三上委員がおっしゃったように、現行法の中で考えると三上委員のおっしゃることも私はよくわかるんです。何回も前から申し上げていますけれども、第3の概念といいますか、今、平林先生の方からある時は医行為である時は医行為でないというのはおかしいというお話がありましたけれども、ただ、現実にはそういうことがありうるというか、現場ではそういう判断が現実には可能になってきているということがあると思うのです。
 今回の検討会は、そういう現実を踏まえてどう法整備していくかという議論であるのだろうと思います。先ほど三上委員がおっしゃっていることも私は非常によくわかるし、そこから始めていくのがいいのか、あるいは実際の具体的な話から始めていくのかという議論はあるかと思いますけれども、私としてはとにかく議論できるところは詰めていって、最終的にはどういう行為が医療的な行為かを整理することが適切だと思います。
 先ほどのメディカルコントロールはすべてに関わってくるわけですので、そういう意味ではすべてはやはり医行為であると思います。その中で介護職員ができることは何なのか、それについてどう安全性を担保するのかという具体的な法整備をきちんとここで議論していけば、非常にスムーズにいくのではないかと思うのですけれども。
○平林構成員 私も全く白江委員と同じことを言っているつもりなので、ある場合は看護師がやらなければいけない。あるいは、医者がやらなければいけない場合もあるかもしれません。あるいはまた、介護職に委ねてもよい場合があるかもしれません。その時に、この吸引は介護職に任せてもいいということをきちんと判断した上で、業務を分担し連携をしていく。そのためのシステムをつくりましょうということですね。それができるようにしましょうということです。
 今までは、表立ってはそれができなかったわけです。違法性阻却という個別的にしか問題の解決ができず、非常に不安定な形で、ヘルパーの業務ではなかったわけです。それを、ヘルパーの業務として報酬も付けてきちんとやりましょう。そのための法制度的な整備をしましょうということを言っているつもりなので、白江委員がおっしゃっていることと私は全く同じことを言っているつもりなんですけれども。
○大島座長 ありがとうございました。どうぞ。
○内田構成員 前回も申し上げましたけれども、私は医療行為から外してしまって本当に医療が関係ないみたいなことになってしまうことは全く望んでおりませんし、現に例えばたんの吸引が必要であるとか、あるいは胃ろうというものを使うということでしたら、それは当然健康上からいけば本当に医療が必要な状態なわけですから、私は医行為ということになっていて、だけど現実としては介護職がやらなければいけないというのであれば、おっしゃるように何かの新たな枠組みでやっていくことができるようになった方がいいんじゃないか。
 それで、別資格というのは前回お話ししたように、それはより複雑になってしまうので、それも私としては賛成できないところです。
○大島座長 ありがとうございました。どうぞ。
○黒岩構成員 どうもやはり議論のための議論をしているとしか私には聞こえないんです。前回も言いましたけれども、医療行為であろうがなかろうが、どっちでもいいんです。必要な人に必要なサービスを安全に提供するということ、それをやればいいだけの話であって、医療行為、医療行為と言うけれども、医療行為をすべて書き上げることはできるんですか。まさに今、三上委員がおっしゃったとおり、傷1つにしても、では傷は何センチ以上が医療行為なのか。そんなことを書き込めるんですか。
 つまり、医療行為というのはグレーゾーンは当然あるわけだし、その一連の流れの中での処置、トータルとして医療行為かどうかということであって、個別のことを取り上げて医療行為かどうかをわあわあ言うということは議論のための議論にすぎないと私は思うんです。
 だから、医療行為でもいいし、医療行為でなくてもいいし、どうでもいいから早く今、橋本さんはこの現状にいらっしゃる。非常にわかりやすいと思います。それだけのサポートがあるから、今はこうやって元気でいられるわけでしょう。その体制を制度化すればいいということで考えればいいわけであって、これが医療行為かどうかなんてどうでもいいんですよ。
 それで、三上委員がどうしてもそれが医療行為に入っているなら私は納得できないというんだったら外せばいいだけの話であって、ごちゃごちゃとくだらない議論をするのはやめてもう決めましょうよ。
○大島座長 どうぞ。
○島崎構成員 黒岩委員がそこまでおっしゃると、ちょっと私は困るのです。
 なぜ困るかと言うと、もう一回繰り返しますけれども、医業というのは医行為を反復継続してやることですから、その医行為から外れたらそれはだれでもできてしまうのです。
 確かに、この通知はあります。ただ、率直に申し上げれば、私は、この通知がどこまで法的に実効性があるかどうかということは疑わしいと思います。なぜかと言うと、医行為から外れたものについてどうしてそれを行う者に対し、研修の義務であるとか、いろいろな報告の義務を課せるのですか。法律的に言えば、非常に根拠がない通知だと私は思います。
 その上で申し上げれば、私もたんの吸引が医行為であるかどうかということについて、個別にみたら、口の中の吸引についてはだれでもいいということはあるかもしれません。だけれども、具体的な試行事業を行う中で、それはほかの人でも安全にできるかどうか、あるいは一定の訓練が必要であるかどうかということを検討すればよい話だろうと思います。
 以上を前提に、黒岩委員がおっしゃるように、それを早く患者さんのために、入所者のために、あるいは在宅で苦しんでいる人のために、確実に安全に早くサービスを送るためにはどうすればいいのかということを検討していく。これが議論の順番だというふうに私は思います。
○大島座長 ありがとうございました。
 ここで、もう1時間たちました。全体の意見としては、とにかく現場で非常に困っている状況が起こっている。しかも、既に、たんの吸引、あるいは経管栄養だけじゃなくて、もっとすごいと言っていいのか、もっと先の医療行為ですら現場ではもう行われているという状況があって、この状況というのは更に加速化しつあるが、どうやってこの状態を正常な状況に戻していくのかということが今、求められているわけです。
 一方で、科学技術というのはどんどん進歩していきますから、こういった問題はこれから更に大きな問題になっていくだろう。
 いつも過渡期と言えば過渡期なのですが、今までに既にいろいろな形で整理がされてきている。整理されてきていることを今、改めて正面からみてみると、なかなか整合性がうまくつかないなというようなことも幾つか出始めてきていて、将来を考えるとどういう形にしていくのがいいんだろうかということも大きな問題になってくる。
 私も含めて、多分ほかの委員の方もそうだろうと思うのですが、法律上の整合性というのが極めて重要だということはよくわかるけれども、しかし、法律の文言をわっと並べられても何が何だかよくわからないというのが本当のところではないかと思います。
 そういうことになりますと、やはり法律の専門家には十分にこの部分については考えていただいて、できるだけ早く必要な人のところに必要な技術をより安全に、確実に、しかもその技術を引き受ける方たちが安心してやれるような状況を、今の法整備の中でどうやって整理できるのかということを提示していただくということをしていただくしかないだろうと思います。
 今日、三上委員からの提案に1時間も取ったのは、皆さんにこういう状態にあるということをわかっていただきたい。わかった上で、先に進みたい。法律のことはよくわからないから法律家に任せろというだけではなくて、問題について共通に理解を深めるところは深めたいと考えたからです。
 医行為から外してしまったら素人でもだれでも皆できるから、その人たちがちょっと研修したら皆やれるようにすればいいよと、それは幾ら何でもちょっと乱暴過ぎるんじゃないかとは思います。
 したがって、介護職の方がヘルパーを含めて介護福祉士かどうかというのは多少議論があるかもわかりませんが、それなりのトレーニングなり研修なり、あるいは国家試験まで受けてきている人たちですし、そういったところに技術移転をしていくというのは普通の流れからいって極めて当たり前ですから、そういう流れの中で法整備も含めた環境の整備の在り方というのをどう準備できるのか。これは、むしろ厚労省の事務局の方が十分にそういったことについてはプロだろうと思いますので、今日議論があったようなことを十分に踏まえた上で、次回にはきちんとまとめて提案をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○三上構成員 さっきから言っていますけれども、だれでもいいという言い方をいつもされるのですが、これは逆に言うとネガティブなイメージを与えるための言い方だと思います。
 私が言っているのは、どなたがやっても合法であるというか、違法だと言われないということを言っているだけですから、だれがやってもいいと言っているわけではないんです。そこをいつもそういう言い方をされるとすごく危険じゃないかというふうな印象を与えると思いますが、違法性を問われないというだけの話ですから。
 それともう一つ、白江委員の言われている準医療行為が出来るようなものをつくるということで別のジャンルをつくるというのも、それも独占業務です。ですから、全体の現場を混乱させないために、ここで今、新しい資格をつくらないことがいいんだということが全体の意思であれば、その案は却下されるべきだと私は思います。そういう新しい独占業務をつくるということ、資格をつくるということですね。
○大島座長 資格をどうするかとか、あるいは研修修了書だけで済ますとかというような議論はこれからだろうと私は思っていますが、個人的には何もなしでは済まないんじゃないかとは思っています。
 では、どうぞ。
○岩城構成員 いろいろお話を伺いましたが、私は重い障害の親としまして今の資格云々ではないんですが、やはり今回のことは国の検討会として初めての決まりになっていくわけですね。ですから、より慎重になっていただきたい。それがまず、第1です。
それから、今もヘルパーさんなど一般の方たちがその規定の下に行われている行為に対しても、その行為を受ける子どもにとっては本当にまちまちなんです。ただ吸引をしていただくことだけでも全く何の影響もない場合、それから一つの吸引の同じ行為をしていただいても本人からは何も言えないわけですね。もうちょっと右の方がよかったか、左がよかったか、非常にデリケートなんです。
ですから、この辺りも私たちはよく理解いただいて、このことが決まっていくと本当にうれしいんです。でも、やはり本当に慎重になって、ただ単に三上先生もおっしゃったようにだれでもいいと言うと、非常にこれは何でもないんだとなりかねない。確かに本人、子どもたちにとっては、それからそういう障害者にとってはなくてならない日常の生活行為であるかもしれません。でも、そこはやはりきちんとして皆さんで納得のいく研修等を受けた人たちに、そして一対一できちんとそれを積んでやっていただく。最初であるからこそ、なおそれは必要じゃないかと思います。
○大島座長 ありがとうございます。三上委員も再三繰り返していますように、私もちょっと軽く言い過ぎているところがあるかもしれませんが、決していい加減な研修だとか、それでいいというようなことを言っているわけではなくて、それはきちんと押さえた上です。
 この問題は、先ほど私が整理させていただいたような方向で、事務局の方で現状の法整備とかを確認し、今日の議論を踏まえてどういう形で制度設計ができるのかを提案していただくということでよろしいでしょうか。
 そういうことで、1時間15分この問題に使いましたので、今からは、今日進めようと思っていた方向に少し話をシフトしていきたいと思います。
 まず、「対象とする範囲について」ですが、何か御意見ございますでしょうか。
○内田構成員 「実施可能である介護職員等の範囲」というところで、前回のこの委員会で座長がおまとめくださったのは、介護福祉士とヘルパー2級とおっしゃって、皆でうんと言ったような気がするんです。それ以外に教員の方ですね。
 でも、この書きぶりでいくと、その他の介護職員ということになってくれば全く無資格の人も入ってしまうのではないかというのが非常に心配されますが、この点はいかがなんでしょうか。
○大島座長 この議論について、事務局の方から何かございますか。
○土生振興課長 一定の追加的研修は皆さんにやっていただくということです。
 ただ、もちろんこの書き方ですと、ヘルパーでない介護職員というのも入り得るということですので、もしそうでない方がいいということであれば、そこは検討会で御議論いただくべき課題だと思います。
○大島座長 どうぞ。
○内田構成員 本当にこういうことに関して議論されるのは初めてのことで、わざわざそういう初めてのことをちょっとやってみようかという試行事業のときに、無資格の方まで入れ込んでというのはいかがなものか。
 私としては、介護福祉士会としては介護福祉士というふうに本当は言いたいところですけれども、数としてはちょっとそれではということもあるので、2級のヘルパーの方もということで納得したわけですが、やはり介護福祉士というのは幾ら名称独占とは言え、国家試験を受けてある知識を持っているというふうに認められているものでございますので、そういう人と全くその無資格の方々も入れ込んで一緒くたというのはいかがなものかと思いました。
○大島座長 いかがでしょうか。どうぞ。
○橋本構成員 内田構成員の御意見に対してですが、全く無資格のヘルパーというのはいません。そういったヘルパーはあり得ません。
○内田構成員 施設には、いらっしゃるんです。
○橋本構成員(代理) 第1回目から何回も申し上げている重度訪問介護のヘルパーの養成課程の追加研修の中で、吸引などの行為を10時間で教えて、非常に間口の広いところでたくさんの方に参加していただいて、その中で実際に長く就労できる者を絞り込む感じで研修をしてきております。
 それで、何度も申し上げましたけれども、東京は先進的な地域でございますが、その中でも療養者の半数は重度訪問介護制度を使って地域の医療職と十分に連携してできているという実績がございますので、是非これはエビデンスとして評価していただきたいと思います。
 最初は無資格ですけれども、彼女(橋本構成員のヘルパー)もそうですが、研修を積む中で本当に優秀な介護職に育ってまいりますので、どちらかと言えば実地研修をしっかりやるというところで講習、研修を考えていただきたいと言っております。
○大島座長 ありがとうございます。どうぞ。
○因構成員 国の方ではたしか平成16年だったと思うんですが、介護職は基本的に介護福祉士にするということを確認されていると思うんです。それで、現状としては介護福祉士が即ということにはならないと思いますけれども、これは試行事業だけではなく制度を考えるのであれば介護福祉士で、そして経過措置を入れて一定の量が確保できるまではその他の……。
 その他という言い方は私も好きではありませんが、少なくともヘルパーの資格を取った人というふうに入れることが妥当かと思います。
○大島座長 ありがとうございます。どうぞ。
○岩城構成員 障害児施設や重症心身障害児者の通園・通所施設には介護福祉士というのはむしろおりません。そして看護師、保育士、児童福祉士等が介護支援を行っております。そういう人たちもこの範疇に入っていると思うのですが、いかがでしょうか。
○河原構成員 今日は大分、学者の皆さんの大変難しい話を聞いていて、発言をどのようにしようかと思っていたんですけれども、例えばサービス提供責任者というのがありまして、これを今度非常勤でもできるようにするということで、多くの方が反対だったんですね。常勤でないと安心できないとか、おっしゃっていました。
 私は、非常勤でも構わない。理由は、やれる人がやるんだということです。今回のたんの吸引云々の問題についても私が言っているのは、現場は早く安心したいんです。これは医療行為じゃないと。他にもどのような種類があるかをきちんとしてほしいですし、もちろん研修も要るんでしょうけれども、今だれでもできるということが問題だとおっしゃっていましたが、これも誤解を招かれないように言いますと、私はだれでもできていいんじゃないかと思っているんです。
 例えば今、私は主に在宅のことをイメージして言いますが、たんの吸引が必要な人は私はそんなにいらっしゃらないと思います。そこでできる人がチームをつくって必要な研修を受けてすぐにやるということでないと、私はいけないと思います。また、研修は、全員介護職の方だとか、どのような範囲にするかは別にして、全員がやらなければいけないという必須科目にしてしまうと、これもまた違うと思うんです。現場ではヘルパーが不足をしております。今度、こういった医療外行為を多少増やしていって研修をするということが必須になってしまいますと、恐らく介護の現場ではますますヘルパーさんのなり手がいないということもありますので、研修は介護職全員の必須にすべきではないと思います。私は、必要に応じて周りの方たちが必要な研修を受けて、すぐにそれをその方のためにやるというのが本来のやり方じゃないかなと思います。
 それから、労働組合として言いますと、大抵この話になりますと働く人たちは何に気持ちがいくかと言いますと、研修が50時間とかいろいろありますが、このお金は一体だれが出すんだろうということに現実的にはなります。ですから、もし高いお金が云々であるならばそれだけでも気持ちが引いてしまいますので、国の補助でしっかり研修にかかる費用については面倒を見ていただきたいと思います。
 それから、今日ここには事業者の団体の方はいらっしゃいませんが、私が知る限り、在宅事業者の方はそういった紛らわしい、苦情がいっぱい出そうな医療外行為のサービス提供については、すごく消極的です。ほとんどの事業者は許可していないはずです。事故があったときの責任問題は当然会社の方にきますから、すごく嫌がります。そういった事業者の方をどのように安心して責任問題がいかないようにするかというのは変ですけれども、援護してあげるかということも合わせて議論すべきだと思っております。以上です。
○大島座長 ありがとうございます。どうぞ。
○太田構成員 ただいまの議論は、恐らく当事者のセンスと言うか、考え方と、ケアを提供する側の意識の差が出てきているものだと私は理解しています。私は医者ですが、現場から見た景色で申し上げますと、やはり対象者が自己決定できる人と、認知症や重身などで意思の確認が困難な人といらっしゃるということに配慮することがとても大事だと思います。
 それで、自己決定できる方があなたにやってもらいたいということで、これは二人称の関係とここで仮定しますけれども、そういう二人称の関係でやるケアは非常に個別性が高くて、ある特異な身体状況の理解もお互いにできます。
 ところが、私が彼らをケアするといういわゆる三人称のケアですね。これは、より安全性を担保する必要があると思うわけです。
 ただ、自己決定できるから私の気に入るようにやってくれというわけではなくて、そこにはやはり医学的に正しい手技というものが求められると思います。自分にとって安全であればいいというのではなくて、ここで非常に重要な部分というのは、例えばそのケアを受ける側がインフルエンザに感染すれば、正しくケアをしないと拡大するおそれがあるし、出血したときに血液を介して感染するような疾患を対象者が持っていた場合は、危害を加えてしまうというのではなくて、ケアをされた側がケアをする人に何らかの不利益を与える可能性もあるということです。安全性の議論の中にその視点がなかったと思っています。以上です。
○大島座長 ありがとうございます。どうぞ。
○橋本構成員(代理) 橋本の意見ですけれども、橋本は不特定多数の人が研修を受けて、このような行為ができるようにしてほしいとは望んでいない。
 ALSを例に挙げますと、最初は医行為は必要ない状態です。だんだんと麻痺してきますから介助という形でヘルパーがケアに入ります。だんだん進行していくに従って医療的なケアが必要になってまいります。その過程で、その本人に慣れ親しんだ介助者にその病気が進行する度合いに従って学んでほしいのです。その人に継続してケアをしてほしいから学んでほしいわけです。要するに、先にコミュニケーションとか信頼関係がある人に、そういう行為が必要になったときにきちんと研修を受けて継続してほしいということなんです。
 それは多分、利用者の病態というか、症状によってニーズが違うものです。私は今まで先生方のお話を、どの方ももっともだなと思ってお聞きしていたんですけれども、例えば高齢者の場合や子どもの場合はALSと最初から条件が違うと思います。それは、意思決定ができず、自分のニーズがはっきり言えない人に対しては、やはりヘルパーはその人のために最初からきちんとしたケアができないといけないわけです。そういうことをおっしゃっているんだと思います。
 ALS等の障害者の場合は全く逆で、本当は本人が自分で動ければ自分がしたいわけですけれども、それができないから誰かに代行をしてもらうという考え方ですので、やはりその辺はニーズが全く違うところをもう一回考えてください。例えば研修の仕方でも何でも一本化しなければいけないんでしょうか。それが、私が今、聞いていて疑問に思っているところでございます。
○大島座長 ありがとうございます。制度に落とそうとすると、どうしても平均的なところに物事を考えざるを得ない部分が出てくるかと思います。理想的な姿は一人ひとりに最も合った状況をまんべんなく行き渡らせることでしょうけれども、それは制度として成り立つかというと、それではとても成り立たないということはわかります。
 そうすると、どうしても平均的なところで何かまとめざるを得ないと、そこに矛盾がいっぱい多分出てくるんだろうということです。特に人に対する技術ですから、個別性というものをとにかく徹底的にきちんと大事にするということが1点ですね。
 個別性を大事にしていくということとにしても、全くの無資格者ということについてはやはり問題があるだろう。しかし、現実、今まで行われきたプロセスだとか、既に行われているものを否定することはできませんから、移行的な措置というのを何らかの形で考えていく必要があるのではないかという御意見だと思います。そういったようなことを十分に踏まえた上で、制度設計をしていくというようなことかと思います。
 それでは、具体的な行為の範囲ですけれども、たんの吸引と経管栄養ということで事務局の提案を軸に御意見があればどうぞ。事務局案でよろしいでしょうか。
 では、どうぞ。
○三室構成員 特別支援学校では導尿等の補助等も今までもやってきているのですが、その辺についてはどのような見解を持たれていますか。
○大島座長 いかがでしょう、導尿というのが今、具体的に出てきました。
○厚生労働省医政局 医政局でございます。本日、ちょうど三上委員から御配布をいただいております医行為でないものを列挙した通知の中で、注1の?Dでございますが、「自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと」という項目がございます。この項目につきましては、平成17年のこの通知の整理で、原則としては医行為ではないというふうに整理されているところでございます。
○大島座長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○三室構成員 導尿に関わることについてはどうでしょうか。今は補助だけだったのですが、例えば導尿の指導を含めて教員が関わるような場合の扱いについてはどうとらえていったらいいのか。
○大島座長 いかがでしょうか。
○厚生労働省医政局 この範囲を超える場合には医行為とみなされる場合があるということでございますので、それを今回対象とすることが適当かどうかということは御議論いただくべき事項であると思います。
○大島座長 いかがでしょう。どうぞ。
○齋藤構成員 まずはこのお示しされた試行事業で進められるのがいいと思います。これに自己導尿その他を含めますと、研修の時間が50時間では済まなくなるだろうと思います。施設あるいは在宅等で一番ニーズがあると言われているものから着手をすることがよろしいかと思います。
○大島座長 ありがとうございました。
 いかがでしょう。当面、とにかく事務局提案から始めるということでよろしいでしょうか。
 では、どうぞ。
○三上構成員 研修の内容はこういう形でいいとは思うんですけれども、前提は実施できる人、いわゆるこの研修を受ければ今のところ医行為の範囲に入っているわけですから、これができるんだということをするための研修なんですか。
 だから、いわゆる資格というか、新たなジャンルの有資格者をつくるための研修のモデル事業というふうに考えるんですか。
○大島座長 その議論は先でというふうに先ほども言ったのですが、要するにまず安全にできるだけの能力をどうやったら確保できるのかというのがこの研修の意味である。それで、その能力を獲得した人をどう処遇するのかということについては、後で御議論いただきたいと考えたんですが、具合悪いですか。
○三上構成員 具合悪いというか、前に特養の場合もそうですけれども、違法性阻却の中でモデル事業なので大丈夫なんだと言いながらやっていたわけですね。今回もそれを広げて、違法なんだけれどもモデル事業なので違法性阻却で大丈夫だよと言ってこの事業をやるんですねということです。
○大島座長 その辺の整理については事務局の方で、現行の中で法整備も含めてどういった整理ができるのかということを提案していただくということで先ほどお話させていただいたつもりですけれども、よろしいですね。
 では、具体的な範囲については事務局提案のところから進めさせていただく。個人的に私は、1ページ目の一番下の「上記の整理は、将来的な対象行為の範囲の拡大の道を閉ざすものではない。」ということを特に強調しておきたいという感じがいたします。
 「実施可能である介護職員等の範囲」については、議論をいただきました。
 「実施可能である場所等の範囲」についていかがでしょうか。どうぞ。
○三上構成員 まず、先に介護職員の範囲の方は、先ほど橋本委員が言われたようにすべての介護職員を対象にする方がいいと思います。介護福祉士、あるいはヘルパーの資格があっても、こういった医行為の範囲というか、医療の問題については特別に一般の方と比べて実習を積んだというか、学習をしたということはないので、喀痰吸引とか経管栄養の問題についてすれば皆、同じラインに入っていると考えますし、いろいろな方ができる方がいいし、研修の中でその実績を積む方がいいので、ここはこの書きぶりでよくて、すべてのものを含むような書きぶりの方がいいと私は思います。 
それから、実施可能な範囲について、これは介護関係施設で特養、老健、グループホーム、有料老人ホームと書いてありますが、もしこういうことであれば介護療養型医療施設は病院なので看護補助者、いわゆる看護助手と言われるような人たちがたくさん介護職のような形でおられるわけですが、こういった方々も当然介護療養型医療施設は20%近い方が喀痰吸引をしょっちゅうされているということで、見る頻度もやる可能性も十分あるんだろうと思うので、対象として入れたらどうかと思います。
○大島座長 前段のところは先ほど御意見がありましたけれども、いかがですか。
○内田構成員 確かに、介護福祉士の教育の中に喀痰の吸引などはないですけれども、ただ、例えばここの対象とする施設等といったところでいけば、グループホームとか、あるいはそういう施設ですね。そこは、今は2級のヘルパーを取っていなくても、今まで全く介護の経験もなければ何でもない人たちが実際に働いているというような状況もありますので、その安全性を確保するといったようなことからいけば、やはり私は辞めてしまうから時間数としては短くみたいな話はどうかと思います。
 介護職で安全にやれるというような安心感を得るためには、一定程度の研修は当然必要ですし、昨日介護職になりましたという方々と、介護福祉士は3年なければ取れないわけですから、そういう人たちと一緒かどうかというとちょっと違うと思います。
 ですから、ここに研修のカリキュラムもお示しいただいていますけれども、本当にもしそうやって無資格の方を入れてしまうんだとか、あるいは2級のヘルパーの方がということでしたら、やはり何か研修内容に差を付けるなり、時間数に差を付けるなりというようなことなども私は必要じゃないかと思います。
○大島座長 ありがとうございました。ほかに御意見をどうぞ。
○川崎構成員 施設を見ておりますと、やはり今、皆さんがおっしゃられたように資格のない方もいらっしゃるんですが、基本的なことを知っていただくには相当な時間がかかります。そうなりますと、やはり介護職員等という中には介護福祉士はもちろんですけれども、最低ヘルパーの資格を持っているというところで体の構造ですとか、それから機能ということがある程度わかる段階から始めるのと、全くわからないところからこの研修時間を積んでというのでは更にかかりますので、やはりここには資格要件として必要ではないかと思っております。
○大島座長 ありがとうございました。どうぞ。
○三上構成員 今のお2人のお話は、やはり業務独占資格取得のための研修ということでハードルを付けているという形になりますので、私はその前提で話をされるのは少し問題があると思います。
○大島座長 どうぞ。
○岩城構成員 先ほど申し上げましたように、重症心身障害児者の通所や通園施設には保育士とか、それから児童指導員等もおりますので、その方たちにももっと範囲を広げて、三上先生がおっしゃったようにそういうところにいる者においてはやはりその対象にすべきだと思います。
○大島座長 ほかはいかがでしょうか。
 現実に行われている状況、現実にある状況と、新たな制度設計をしようというときに幾つかの大きなギャップというのか、いろいろな問題が改めて浮かび出てきているというのが今の状況かと思います。新たな制度設計をするときに、幾つか大事な要件が出てきていると思いますけれども、それに合わせると現実が合わなくなってしまうというようなことが起こってきます。
 だからと言って、今の現実をなくせばいいなどというと、これは非常に乱暴な話になりますから、そこをどううまく乗り切っていくのかひとつ知恵を出していただきたいと思います。どうぞ。
○太田構成員 基礎資格を前提に研修させるかどうか判断するという議論がされているわけですけれども、在宅では80歳の高齢の方でもしっかりケアされているんですね。そういった方々は、バックグラウンドは何の資格もない一般の主婦であったりということです。
 したがいまして、現実的な解決策をと言われているわけですから、これはやる気のある人を皆、研修させるということでいいんじゃないかと私は考えています。
○橋本構成員(代理) 太田先生と同じで、現実的なところでは24時間在宅では1人のヘルパー、あるいは2交替くらいでずっと付きっきりで介護しておりますので、なかなかその場を離れることができないという現実がございます。
 50時間の研修を座学でとなりますと、その時間がまず取れないということがございます。他の人と介護を代われないんですね。個別性が強くあるので他の人と交替ができないです。
 私は橋本の吸引はできますけれども、読み取りができないのでケアができないんです。彼女(橋本構成員のヘルパー)は読み取りができるのでケアができます。吸引もできますけれども、そういうような状況がございますので、やはり現実的なところ、実行可能性を是非考えてください。さくら会関係の28団体に昨日聞きましたら、今は20時間の中でやっておりますけれども、これ以上の研修義務を課されたらどこもできない、ALSに派遣するのは辞めるというふうに言われました。
○大島座長 ありがとうございました。どうぞ。
○太田構成員 先ほどちょっと申し上げたんですけれども、目の前の対象者1人、特定のケアの対象者に対して行う場合と、不特定多数のケアの対象者に行う場合で、研修時間が異なるということには合理性があると私は思います。
○大島座長 ありがとうございました。具体的な研修のプログラムについては、今の議論も含めてこれから先に少し議論をいただきたいと思っています。
 では、どうぞ。
○橋本構成員 施設と在宅の研修を同じ内容でするのは無理です。施設だと看護師をお1人呼んでやれますが、在宅では実現性を考えると訪問看護師しかいません。以上です。
○大島座長 ありがとうございました。
 具体的な研修の在り方だとか、研修内容というような御意見がいろいろ出てきましたけれども、その前に1つだけ、三上委員の方から介護療養型等の医療施設も含めたらどうかという御意見ありましたが、いかがでしょうか。どうぞ。
○齋藤構成員 私は、医療施設での実施には反対をいたします。今の療養病床は、急性期の在院日数の短縮に伴い非常に患者さんの状態が非常に重度化しています。なぜそれらの患者さんが医療施設にいるのかというと、どうしても家に帰れない状態であり、それはつまり容態が安定していない状態であるということです。そのため、医療施設で介護職の方が医療行為を行うことについては患者さんの状態等を考えて適切ではないと考えております。
 それから、実地研修の場所につきましても、「具体的方向(案)」には「可能な限り施設、在宅等の現場で行うと記載されてあります。では、可能な限りでない場合は医療施設も含まれるということでしょうか。介護職の方に医療行為が求められるニーズのメインは在宅でどうするかだと思います。医療施設のように医薬物品も、人員の体制も整っている条件下でいくら研修をしても、結局在宅では限られた資源の中、そして患者さんが暮らしている環境の中でそれぞれ判断が求められると思います。そのため、医療施設は実施する範囲としても、実地研修の場所としても適切ではないと考えております。
○大西座長 ありがとうございます。どうぞ。
○三上構成員 基本的に、研修は医療機関でする方が安全なんです。看護師や医師がいるところで介護福祉士なり、介護職員が研修をするのが一番本来は安全なはずなんです。連携を十分取れるのも、そういう医療施設の方がそばに看護職なり医療職がいますから安全なので、こちらはだめでほとんどいないところの方が大丈夫なんだという話の方が矛盾しているというふうに私は思います。
○大島座長 どうぞ。
○岩城構成員 研修の在り方につきまして、基本的には研修というのは本当に安全で安心なものでなければ、そしてまた、きめ細やかでなければいけないことは申し上げるまでもありませんが、この提示されております50時間という時間につきましてお伺いしたいと思います。
 これまでの資料の中で、特養のことであるとか、それから特別支援学校の時間数から比べるとかなり多目ではないか。本当に小さな施設等から、通常勤務の中でこの時間をそれぞれ1人ずつ出していくのは大変困難が伴うのではないか。それから、もう既にそういう職場でずっと働いている者は、基本的なことに関しましてはかなりそういう教育を受けていると思うんですね。その辺りでいかがかと思います。
○大島座長 研修の方まで話がいってしまいましたが、それも同時に議論をお願いします。
 では、どうぞ。先ほどの医療施設をどうするかという御意見ですね。
○桝田構成員 医療施設の場合、とりあえずある意味で養成するために一番いい環境というのは確かなんです。例えば、特別養護老人ホームで今回の部分を全部しようとしても、経鼻の経管栄養の方はなかなかいないとか、そういう問題が起こってきます。モデル事業的に行える部分というのは、ある程度それを終了するといろいろな領域の方を対象の部分として、一般論でいわゆる教育を受けるという形になります。
 そうすると、やはり2つの考え方というか、違法性阻却の部分として今、特別養護老人ホームでやっている研修、そのようなものも残さざるを得ないのではないか。それは、そこの施設内で研修を行って対象者は限定されますね。今いる方を1人ずつ見ながら研修をして、こうするんですよという教え方をする。一般的な研修の場合は、いろいろな対象者の方を想定して教えていくという部分と、多分ALSの方も同じだと思いますが、1人の方に対して細かな部分をちゃんと教わって対応していくというのと、汎用的な部分とは変わってきますので、研修時間もおのずから変えてもいいと思うんです。
 ですから、50時間云々というのが耐えられないという問題と、やはり違法性阻却からスタートする分とは、2つの方法論を持って今は動かざるを得ないのではないかと思っています。
○大島座長 そこで実際に行うかどうかというのは別にして、研修の場所としては非常にいいんじゃないかというのが今お2人の……。
○川村構成員 よろしいでしょうか。意見があります。
 今、私は看護系の大学で教えておりますけれども、今の病棟の状況といいますのは、非常に病態の変化が激しい方が多くて、看護学生でさえもなかなかこういった研修をするということは難しい状況のところが多くあり困っているところです。やはり病棟での実習は難しいのではないかと思います。
 それからもう一つ申し上げさせていただきたいのですが、先に進んだということで、「実施可能である場所等の範囲」に入ってもよろしいですか。
○大島座長 どうぞ。
○川村構成員 私は訪問看護をずっとやってきましたので、訪問看護師と介護職とが協力し合っていい関係でこの吸引を行えるようになることを大変望んでおります。
 そのことを考えますと、(3)の「実施可能である場所等の範囲」の4番目の丸のところに「訪問介護事業所が実施できるものとする」ということになっておりますが、今、訪問看護の事業者におきましても両者を雇用するという形でやっている、または同じ管理者の下で2つの事業所が協力し合っているというところもありますので、是非、訪問看護ステーション、訪問看護事業所も研修を実施できる場所の中に入れていただきたいと思っております。なるべく幅広い方々のサービスに貢献したいと思っております。
○大島座長 ありがとうございます。実施場所についての御意見は、ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○因構成員 訪問介護について言うと、やはり在宅という場所、家に入って教えていただくということの方が、より仕事に結び付きやすいんですね。それで今、資料2のところを見ているんですけれども、実地研修についても在宅であればやはりその方の家で実際に研修をしたいし、それを受けた上でケアの試行に移っていきたいと思っています。
 もう一つ、50時間が多いとか少ないとかというお話が出ておりますが、現場はすごく不安感を持っています。これは1回目からずっと言い続けていることですが、私にとってはこの50時間でも安心感が持てれば大変いいし、50時間でも足りるのかなと思うぐらいの気持ちを持っています。
○大島座長 ありがとうございます。どうぞ。
○中尾構成員 今の因さんの意見に反対するわけではないんですけれども、在宅で実施、その方の個々のところで実施する方がいいのではないかという意見だったと思うのですが、私たちは現場で不安なんです。とても不安です。それはなぜかというと、今まできちんとなされていないから不安なんですね。それを少しでも取り除いてもらうには、専門的な医学的な分野でもう少し勉強したい。病気に関してもALSだけではなく、やはりターミナルに関してもいろいろなことが現実にあるわけです。少しではあるけれども、あるわけなんです。
 実技の研修も、最初は医療機関の場で実施することを基本としたい、そこだけは主張していきたいと思っているんです。そのことがあって初めて在宅で個々に研修をしていただきたい。そうじゃないと、私たちの不安というのは取り除けない状況にあるのではないかということをお願いしたいと思います。
○因構成員 私が言っているのは、当然そうだと思うんですが、基本研修を受けた後にここに書かれている実地研修というのは、実際に指導訪問看護師さんが付いて、その家でその方のやり方を指導するということでしょうから、それが私はいいんじゃないかと言ったんです。
○大島座長 太田委員、今のお話ですが、在宅での研修というのは十分に可能であると。
○太田構成員 そういうふうに私は考えています。ちょっと時間も迫っているんですけれども、以前こんなに在宅医療が進んでいない時期に、訪問看護師は在宅には医者がいないので不安だと言ったんですね。それと同じことが今、看護師と介護職の間で語られているんだなというふうに感じました。
○大島座長 ありがとうございました。
 ちょうど時間ですので、積み残しが今日はありますが、場所については訪問看護事業所を加えるということで、基本的にはここで提案されているものですね。それから、介護療養型という言葉は付いていませんが、特に医療施設を研修場所として適切かどうかという議論は多少考えてみる必要があるのかなと思いました。
 そういうことで、次回は安全確保措置について、それから具体的な研修内容については各場所によって随分いろいろな在り方があるのではないかという御意見がたくさん出ましたので、次回にこのことについてまとめて結論を出したいと思います。
 それでは、時間になりましたので、これで第3回目の会議を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○土生振興課長 次回は、8月9日16時から開催予定でございます。
 詳細につきましては、追って御連絡差し上げます。よろしくお願いいたします。


(了)
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