ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業能力開発分科会)> 第56回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録




2010年12月17日 第56回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

職業能力開発局

○日時

平成22年12月17日(金)10:00~12:02


○場所

厚生労働省19階 専用第23会議室


○議題

○今野分科会長
 今日は第56回の労働政策審議会職業能力開発分科会です。
 本日は、水町委員、澤田委員、高倉委員、荒委員、大野委員がご欠席です。
 それでは、早速議題に入りたいと思います。
 今日は「ジョブ・カード制度の見直しについて」と「第9次職業能力開発基本計画について」の2件でございます。
 それでは、1番目の「ジョブ・カード制度の見直しについて」に入りたいと思います。
 まず説明をお願いします。

○高森実習併用職業訓練推進室長
 おはようございます。実習室の高森でございます。
 ジョブ・カード制度の見直しに関してご説明を申し上げます。
 お手元の資料1-2というのをまずご覧いただきたいと思います。
 10月27日に特別会計の事業仕分け、個別事業としてジョブ・カード制度に関しまして、ジョブ・カード制度普及促進事業というものと、それからキャリア形成促進助成金(ジョブ・カード制度関連)、この2つの事業が個別事業の対象として仕分けで取り上げられたところであります。
 評価結果につきましては、仕分けの委員12名の方でございましたが、事業廃止が7名、それから事業の見直しを行う4名、予算要求の圧縮2名ということで、トータルとしまして7対5といったことでございまして、事業廃止という結果でございました。しかしながら、ただし書きがございまして、「同様の政策目的を持った類似事業との整理統合を図り、OJTによる能力開発という本来の政策目的を実現できる新たな別の枠組みを設ける」といったただし書きをいただいております。また、取りまとめの内容の中でも、1行目の後段でありますが、「OJT、企業の現場でトレーニングを積んで能力を開発するという政策目的自体は極めて重要だと思うので、他の同種の予算と整理統合し、求職者のためという本来の目的をしっかりと実現できる新たな別の枠組みを設けることで対応してはどうか」、こういった指摘をいただいたところでございます。
 この指摘を踏まえまして見直し案を検討してまいりました。お手元の資料1-1でございます。
 見直しに当たっての全体的な考え方でございますが、上のほうから書いてございますが、ジョブ・カード制度本来の目的に立ち返った見直しを行いたいといったコンセプトでございます。
 左のほうに仕分けでの指摘について、主な点を3点にまとめてございます。1点目が、関連予算の大半が、既に雇用関係にある労働者への訓練助成に投入されていて、ジョブ・カードの取得が就職に結び付いていないといった点。それから、ジョブ・カード制度の普及促進が求職者のためという本来の目的に沿っておらず、企業に対する助成金の紹介といったことに力点を置いたものにとどまっているのではないか。それから、助成金に関してでありますが、関連する助成金との整理が必要ではないかと。こういった大きな3つのポイントがあったと考えております。
 それに対応する対応案といたしまして、まず1点目でありますが、求職者支援という観点で、本来の求職者支援ということを拡充していくという考え方から、これまでのジョブ・カード制度の訓練体系でありますが、雇用型訓練と委託型訓練という2類型でございましたが、より幅広い求職者の方を対象にして支援を行っていくという観点から、これまでに加えまして、公共職業訓練、あるいは基金訓練でございます、来年度からは求職者支援制度ということで当分科会でもご審議いただいておりますが、こういった方々も対象に幅広い求職者を念頭に置いた制度に変えていこうといった点でございます。
 それから、2点目でございます。求職者のためという本来の目的を達成するために、国
(労働局)が中心となりまして推進体制を新たに構築して、企業と求職者双方への支援を実施してまいりたいといったことでございます。
 これまでジョブ・カード制度の推進体制の中心は、各地の商工会議所に設けられておりましたジョブ・カード運営本部といったところで推進を行ってきたところでありますが、やはり対企業に対しての普及に関しては事業主団体ということのメリットがございまして、うまく機能したわけでありますが、やや求職者という面で限界があったことから、この機能を労働局に移管をしたいと。それから、これまで事業主団体を使った普及促進については、企業向けの普及促進に特化をしていきたいというふうに考えてございます。
 具体的には次のページをご覧いただきたいと思います。
 普及促進事業の見直し前と見直し後の絵でございます。現在、左側の絵でございますが、22年度予算額26億円でございまして、ほぼ事業の中心が日本商工会議所を通じまして、各地の商工会議所を活用しまして、地域ジョブ・カードセンター、あるいは地域ジョブ・カードサポートセンターといったものを各地に設置いたしまして、制度の推進を図ってきたところでございます。
 見直し後でありますが、予算については23年度当初要求で一定程度縮減を行ったところでありますが、さらに事業の効率化、合理化という観点から現在財務省と折衝中でございます。それから、運営本部でありますが、ご説明したとおり労働局の下で関係各機関に集まっていただいて、連携を密にした推進を行っていこうという考え方であります。
 それから、ジョブ・カードセンター、ハローワークを通じまして、企業、求職者それぞれに支援を行っていく新たな枠組みを構築していきたいという考え方でございます。
 それから、恐縮です、もう1回最初の表に戻っていただいて3点目の助成金の整理統合でございますが、ジョブ・カード制度関連助成といったことで、これまで特別に助成メニューを設けて、雇用型訓練を実施する企業に対して支援を行ってまいったところでありますが、これをいったん廃止いたしまして、一般のキャリア形成促進助成金、企業が計画的に在職者の方に対してOff-JTの能力開発をするといった際に助成金をお支払いする制度でありますが、その中で整理統合を行っていきたいといったことでございます。
 3枚目をおめくりいただきたいと思います。
 現在の平成22年度の助成金をご覧いただくと、職業訓練、それから能力評価、初回の導入に対する制度導入奨励金、それからキャリア・コンサルティングに対する助成ということで、相当手厚い、あるいは非常に高い助成率で今現在実施しているところであります。これを平成23年度当初要求でございますが、この時点でやはり今年度負担が非常に膨らむといったところもございまして、一定程度の見直しを図ったところでございます。しかしながら、今回の仕分けを受けまして、こういった特別のメニューとしてジョブ・カード制度関連という助成メニューについては廃止をいたしまして、右上のほうでございますが、一般メニューのOJT付き訓練として整理統合をすると。OJTに対する評価というのは仕分けの場でも一定程度いただいておりますので、OJT付き訓練に対する特別の助成は一部残した上で、一般メニューの中で対応していきたいといったことを考えてございます。
 今、ご説明した見直しの方向性でありますが、去る12月9日、当分科会の今野会長も委員でございます内閣府のジョブ・カード推進協議会といったところでもご説明申し上げまして、概ね方向性については了承をいただいているところでございます。
 私からは以上であります。

○今野分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見、お願いいたします。

○新谷委員
 今、ジョブ・カードについてのご説明をいただきました。このジョブ・カードについては10月の労働保険特別会計の事業仕分けにおいて仕分けられた内容でございますけれども、一昨日、12月15日に行われました雇用戦略対話において、「雇用戦略・基本方針2011」が政労使で確認されたわけです。来年度予算の編成が大詰めを迎えたこの時期に、政労使で来年度予算編成に向けて雇用戦略に関して合意ができたということは非常に大きな意義を持つのではないかと思っております。
 今回、合意された主要政策の中で、仕分けの対象となっておりました雇用保険二事業について、「必要性の低い部分については、雇調金を除いて特別会計では行わない」という仕分け結果に対して、今回の雇用戦略対話の合意の中では、「より効率的・効果的な事業として、必要な見直しを行った上で、今後とも実施する」ということが確認されておりまして、これも非常に意義深いことだと思っております。
 また、ジョブ・カードについても、もちろん効果的な見直しをするという前提の下でありますけれども、「関係府省が一体となって、制度を推進する」ことがこれについても確認されております。これも政府として、公労使三者合意の中で方針を決定されたということについては、連合としても評価を申し上げたいと思っております。
 ただ、今回の仕分けにおいて、やはり効率的な運営であるとか、本来の趣旨に沿った制度運営なのかといったご指摘もいただいたわけでありまして、これはこれで真摯に受け止める必要があると思っております。今後、ややもすると一般会計と違って、特別会計の事業については、国会を初め、様々な監視が届きにくいと言われております。そういった意味では、この労働政策審議会における審議がそうした事業の効率化なり、適正な制度なりのチェックを果たすという意味では、重要な役割を担っていると思いますので、今後、事務局におかれては、今回仕分けをされたということの反省ではありませんけれども、この分科会の運営についても、もう少し情報開示の密度を上げていただくとか、今の労政審の中にも点検評価部会というPDCAサイクルの部会もできておりますけれども、そういった場での情報開示をさらに進めていただくことをご要望申し上げたいと思っております。
 以上です。

○今野分科会長
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○上原委員
 一番最後に説明があった一般メニューのOJT付き訓練として整理統合という、キャリア形成促進助成金、ここを財務省と調整するというのは、ぜひ予算実現をお願いしたいということと、いずれにしても雇用型というのは多分残るんでしょうから、企業が制度を理解して受け入れて、雇用しながら訓練するというのは、負荷がかかるのは間違いないわけで、いきなりばっさり切らないで、少しソフトランディング的な財政措置が必要ではないかと思います。

○黒澤委員
 このジョブ・カード制度、当初は汎用的な企業内訓練の支援ということと、それから実践的な職業能力を評価するということが非常に重要なポイントとしてあったと思うんです。つまりコンサルタントにより詳細な履歴書を書かせるということももちろん大事なんですけれども、どういった経験があるかではなくて、何ができるかという、その実践的な能力を客観的に評価できる制度である。それはなぜかというと、訓練を実施することを通して評価し、それによって客観性、正確性というものが担保されるのだということだったと思うのです。その方向性があったからこそ、日本版NVQにつなげるという構想になったと思うのですけれども、その辺りが今回の見直しでちょっと見えなくなってしまったような印象を受けるので、やはりそれを念頭に置きながら見直しをぜひしていただきたいというのがお願いです。
 それについて、昨日JILPTでジョブ・カード制度に関する委員会がございまして、そこに高森室長もご同席されましたが、実際ジョブ・カード制度を利用している企業というのは、実はやはり中小が非常に多く、しかも自分たちで今までできなかったような企業内訓練、しかも汎用的な事業内訓練の促進に非常に役立っているというようなヒアリング及びアンケート調査というものが出てきておりました。そこで挙げられた問題点と今後の方向性をちょっと皆さんで議論いたしました。
 その際に出たことというのが、この制度では雇用主の関与というのが非常に重要なので、特に自前で訓練を提供することが難しい中小企業に対して、例えば業界団体ですとか、あるいは何らかの公的な機関が、複数の企業の訓練ニーズにこたえられるような訓練プログラムをコーディネートしたり、あるいは提供したりする枠組みが必要なのではないかと。そのプロセスで客観的な、実践的な能力を評価するということを通してNVQのようなものにつなげていければ、よりすばらしいものができ上がるのではないかと思いますので、ぜひそういった視点もご考慮いただければと思います。よろしくお願いします。

○阿部委員
 今回の見直しによって、地域ジョブ・カード運営本部が国に移管され、労働局やハローワークの関与が現行よりも大きくなることは本当に評価したいと思います。厚生労働省においても、職業能力開発局と職業安定局とが十分に連携し、ハローワークにおいて求職者に対しジョブ・カード制度の周知や誘導を強化していただきたいと思います。
 また、ジョブ・カード制度における職業訓練を実施する企業の8割強が中小企業でございます。したがって、中小企業にとって分かりやすく、使いやすい制度としていただきたいと思います。特に現在の厳しい経済状況の下では、中小企業は経費的にも人的にも余裕がございません。これらを考慮し、キャリア形成促進助成金については、現行の助成率、助成額を維持することが望ましいと考えますが、少なくとも経過措置を設ける等の対応をお願いしたいと思います。以上でございます。

○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。事務局からはまとめて何か発言されますか。それとも、もう一回り。

○小野職業能力開発局長
 では、一言だけ。いろいろなご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。先ほどのいろいろなご意見を踏まえてきっちりとした見直しをして、先ほどご意見もありましたけれども、政府としてはこのジョブ・カード制度、これは新成長戦略の中にも大きく重要施策として盛り込んでおりますし、今後とも一定の見直しはしながらも、強力に推進をしていくと。関係省庁、また関係の労使団体も含めて、ご協力いただきながら推進をしていくと。こういう方針でございますので、今いただいた意見を踏まえて、しっかり推進していきたいと思います。
 それから、黒澤委員ご心配の点は、この資料1-1の対応案の一番上のところ、3つほど対応案を書いていますけれども、実は元々ジョブ・カード制度は、キャリコンをして、それから職業訓練をして、その結果をしっかり評価をして就職に結び付けていくと、こういうプログラムですから、これは枠組みはしっかり維持をしていくという前提で、今のご懸念のところは、むしろ今現行では雇用型訓練と委託型訓練、1、2と書いていますが、これが基本的にジョブ・カードの訓練の対象になっているプログラムなんですけれども、そこに矢印で右側に4つほど書いています。公共職業訓練全体にこれを広げていく、あるいは今やっている基金による第2のセーフティーネットの訓練、それからこれが来年度から求職支援制度ということで、新しい法案もつくって、新しい制度をつくるということになっていますので、こういう恒久化された訓練もこのプログラムの対象にするということで、むしろ今よりも対象の訓練が広がっていくということになりますので、そこがちょっと飛躍化するというご懸念、印象を持たれるとすれば、全くそうではないということでありますので、JIL等でもいろいろな企業調査をしていただいて、企業で非常に高い評価を得ている制度でもありますから、今後も実際の状況を調査等で分析をしながら、より発展的な枠組み、これはここの一番右端にも書いてございますけれども、実践キャリア・アップ制度ということで、今大久保委員のところでも別な場で議論いただいていますけれども、こういう中でもこのジョブ・カード制度は重要な位置付けをするということになっておりますので、そういう形で進めていきたいと思っております。

○黒澤委員
 そういう意味では、訓練を通した評価というものが広まるというのはすばらしいことだと思います。ただ1点だけ、先ほど私が申し上げた新しい流れというのは、昨日のJILPTの調査から分かってきたことに基づいているのです。現在利用している中小企業の方々が、特にOff-JTの部分をどこにお願いすればいいのか、どういうカリキュラムをつくったらいいのか、そういったコーディネートしてプログラムに落としていくという部分が非常に難しいということでした。なのでそういったところを例えば地域的でもいいですし、業界団体が音頭を取って、プログラムのコーディネートですとか、プログラムを実際に提供するですとか、フランスなどではそういった枠組みで業界団体がやっているわけですけれども、そういったことを支援するような枠組みをつくっていただけると、より使い勝手がよく、しかもNVQ的なところでは、公共訓練以外の部分での訓練の評価というものが対象としても広まっていくのではないかとに思い、お願いしたわけです。よろしくお願いします。

○高橋委員
 今回の制度自体で見たときの見直しの方向性としては適当だと思うんですが、私が1つ問題提起したいのは、やはり財源との関係です。この制度の運営は雇用保険二事業ですので、やはり見直しに当たっても、企業が拠出する保険料で行うのであるならば、事業主に対する助成を基本にするべきものだと考えておりまして、ちょっと言いにくいですけれども、求職者の立場に立ったという形での見直しをするのであるならば、そういう部分の拡充については、基本的には一般財源で手当てをしていく方向性を検討していくことが適当ではないかというふうに思っています。
 それから、ちょっと前からずっと気になっておりまして、私の単なる懸念かもしれませんが、今回の3番目の見直しのキャリ形の見直しとも絡むんですけれども、事業仕分けで指摘をされた結果、ほかの助成金等が何となくとばっちりを受けて見直しをされてしまうというような嫌いがないのかどうかと。キャリ形はキャリ形自体として見直しをするべきであって、ジョブ・カード関連の助成金も何とかして見直さなければいけないから、キャリ形を見直すんだというような形になると、非常に制度の見直しとしては不適当ではないかと、これは私の単なる懸念でございます。以上です。

○井上総務課長
 まず1点目のご指摘でございますけれども、これは今回のジョブ・カード制度関連の仕分けの中でも種々ご意見がございました。その中で、確かに事業主を対象としてでなく、求職者を対象としてといった趣旨のご意見もございました。恐らくそこのご意見の意味するところは、最終的に働く労働者の方自身に訓練を行って、そして訓練によって得られた能力、こういったものが帰属するということを念頭に置いてのご発言だと思っております。私どもとしては、雇用型訓練が典型的でございますけれども、これは事業主で訓練を行っていただいて、そこに対して支援するというスキームでございまして、それは実際やっていただいことについて支援していくという枠組みですので、そういった考え方については今回の見直しにおいても維持しているものでございます。それが1点でございます。
 それから、2点目です。ほかの助成金に影響が及ぶのではないかという部分でございます。前回、これまでの事業仕分けの流れを申し上げたところでございますが、関連する部分について申し上げますと、まずいわゆる第2弾の事業仕分け、春に行われた事業仕分けの一環として、キャリア形成助成金の一般分、これ自体について仕分けが行われ、その評決結果を踏まえた見直しが求められておるところでございます。
 それから、この秋の第3弾、労働保険特別会計の事業仕分けの一環といたしまして、ジョブ・カード制度関連、普及促進事業とともにキャリア形成助成金の雇用型訓練の助成の部分が仕分けの対象となり、評決結果が出たということでございます。
 今回、23年度要求に向けましての中では、キャリア形成助成金については、今申し上げたような形で一般分も、それから雇用型訓練に関する助成の分も、それぞれ評決結果を踏まえた見直しを行うことが求められておりまして、それをそれぞれ今進めておるところでございます。

○今野分科会長
 ほかに。どうぞ。

○浅井委員
 客観的に研究者の立場で技能の実態、製造現場の実態、中小企業の実態を研究してきた者としましては、このジョブ・カードの実態、有効性というのは非常に分かっているつもりです。ただ、非常に悩ましいなと思うのは、パフォーマンス的なやり方で、ショー的なやり方で、ジョブ・カード廃止というのが出て、特にこのことがマスコミのほうにもものすごく大きく取り上げられてしまったという非常に悩ましい状況があって、客観的な立場としてはすごくこの状況は分かっている。だけれども、そのときに次にリスクマネジメントという意味合いから考えますと、実態も分かっているし、この対応策も非常に理解できるんですけれども、これを今度上げていったときに、また非常におもしろおかしく実態を知らない人が言うときには、最悪の場合を想定して、何て言われるのかなということを考えると、「要は廃止と言ったのに、全然廃止する気ないんですね」というふうに、また追い詰められるような口調で切り返されるんじゃないかというのを非常に危惧しておりまして、そのときに担当者の方はすごく悩ましいというか、つらい思いをされるんじゃないか、実態を分からないのにそういう言い方をされるのかというふうになるのではないかということをずっと考えているんですけれども、そのときにどういうふうに切り返していくかということは、非常にナーバスになってやらざるを得ないのかなというのを私としてはつらく思っております。
 それともう一つ、根本的な問題は、こうした政策はいろいろな形で厚生労働省として取り組んでいて、そして結局見られるのは費用対効果、投資対効果ということを問われると思うんですけれども、一生懸命職業訓練しても、ジョブ・カードをつくっても、そもそも論として企業が元気にならなければ雇用が拡大しない、創出しないと。その結果として、これは意味がないというふうに言われて、財源もないからねみたいな形になってしまうというのは、これは悪循環で、どんどんまた下に行ってしまうのかなという気がしております。
 どちらかというと、この対応策と同時に、リスクマネジメントという意味からも、あれだけ華々しくショー的に、これはやめなんだよというふうにやられてしまって、それを一般国民が見ちゃって、マスコミに言われてという状況がある中で、そうじゃない、実態はこうなんだ、中小企業も非常にこれは活用しているんだということを、できたら上手に何とか訴えていくことができるといいなということを、客観的に見ておりますと非常に悩ましく思っています。これはリスクマネジメントという要素もかなり出てくるんじゃないかなというふうに思っておりますが、非常に重要なことだと思うので、皆さんぜひとも頑張って切り返していただきたいなというふうに思っております。

○今野分科会長
 要するに、しっかりやれということだから。
 何かございますか。今のと関連していますか。ちょっと待ってください。何か井上さんありますか。

○井上総務課長
 今回の評決結果の取りまとめ内容の中でも、このジョブ・カード制度の政策目的自体は重要なので、本来の目的をしっかりと実現できる新たな別の枠組みを設けることで対応してはどうかと。現在の具体的な事業の在り方は、見直した上できちんとやっていくということが今回の仕分けでも求められているところでございます。今回の見直しはそうした考え方を踏まえて行っているものでございますし、委員ご心配いただいている点につきましても、私どもはしっかり対外的にも説明していきたいと考えておるところでございます。
 それから、ジョブ・カードについて、どれだけ一生懸命に取り組んでも、全体として成果が上がらなかった場合に、またそのジョブ・カードのほうに原因が寄せられるのではないかという部分については、まさにそのとおりでございまして、元々このジョブ・カード制度自体、成長力底上げ戦略といった形で、雇用の面もそうですし、それから産業といった面でもきちっと活性化を図っていくという一環で始まったものでございますので、そうした全体の枠組みで向上が図れるようにしていくことが必要だろうと考えております。以上でございます。

○今野分科会長
 どうぞ、浦元委員。

○浦元委員
 私は、このジョブ・カード制度そのものは、いわゆる求職者支援のための本当に有効なツールだと思って、ぜひきちっとやらなければいけないと思っておりましたので、これが事業廃止云々といったときには非常にがっかりした者の一人でございます。具体的に、私どもの会社にこの制度を利用した形で何人も入社した人がおります。もちろん母子家庭のお母さんだとか、博士課程の人まで、いろいろな方がいるわけですけれども、やはりお願いしたいのは、このネーミングも含めてなんですけれども、認知度というか、正しい理解をきちっとさせていただいて、世の中に普及していくような、そういうことをきちっとやっていただくことをぜひお願いしたいと思います。以上です。

○大久保委員
 ジョブ・カードがこういう形で仕分けをきっかけに見直し案がつくられて、概ねこういう方向で行けそうな状況になったことは大変結構なことだと思うんです。ジョブ・カードに関しては、立ち上がった当初から、ジョブ・カードそのものの正しい認知とは普及に関しては、なかなかうまく進まないところもあって、大変悩ましいところがあったんですけれども、今回の仕分けをきっかけにとてもよくジョブ・カードが認知をされ始めまして、ジョブ・カードはどうなんだということに関して、マスコミからも日々聞かれることが非常にあります。この状況をうまく活かして、これを見直しの構造だけではなくて、この次の具体的な計画とか、攻めの戦略設計をなるべく急いでつくっていただいて、それをマスコミが関心を持っている間にきちんと発表して、認知促進にむしろ逆手をとって使っていただきたいというふうに思っています。
 特に今回私が少し中身のところを思っているのは、1つ、労働局をうまく地域のジョブセンターの中で活かしていくというところが、今後のジョブ・カードの問題を含めたところでは大きいと思っていまして、この地域ジョブ・カード運営本部のほうの、こちらの機能とか稼働のところを、なるべくうまく進めていただいて、また一般にも広報していただきたいというふうな気持ちと、もう一つは、ジョブ・カードが公共職業訓練や基金訓練全体に対象を拡大していくということで、これはいわば職業能力開発行政全体のある種基本システムのような形でジョブ・カードを使っていくということでしょうから、そこは大変大きな変化だと思っていまして、その公共職業訓練や基金訓練、これは求職者支援法になるわけですけれども、そういうところにジョブ・カードの当初本来の目的であるキャリア・コンサルティングによる就業意欲の向上であるとか、企業を重視した職業訓練の実施とか、汎用性のある評価基準による職業能力の評価とか、そういう訓練そのものは何を目的としてそのプログラムはやるのかとか、実際そのことを受けた求職者がどういう形で実践的な力を身につけたのかとか、そういうことがちゃんとこのジョブ・カードに表現されるように、特に公共職業訓練の中身や基金訓練の中身にも、うまくこのジョブ・カードの精神の一部が入り込めるように検討していただきたいなというふうに思います。

○今野分科会長
 ほかにいかがですか。どうぞ。

○三村委員
 これまでちょっと議論されていなかった部分かと思うんですけれども、就業意欲の向上やジョブ・カード制度の普及促進を考えますと、今後ジョブ・カードの利用者となる新卒者に対してどう考えているかというところをお伺いしたいと思います。やはり高卒の内定率や大卒の内定率というのは、まだまだ非常に厳しい状況です。無業で卒業していくかなり多くの高卒者、大卒者がいるわけですが、そういった新卒者に対しての普及ということを考えますと、先ほどのジョブ・カード運営本部の中には県が入っていますから県教委も入り高卒者も対象になるでしょうし、あるいは大学等のキャリアセンター、就職支援室等も巻き込んで、大卒者への普及ということで考えていくことについてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。

○桑田審議官
 今おっしゃった、そういった新卒者に対してという意味では、もちろん私どもは労働行政の世界で精いっぱい頑張っているわけでございますが、もう一つ制度全体の枠組みで見たときに、先ほどあったジョブ・カードの推進協議会の中には文科省の方も幹事としてしっかり入っていただいて、そういった意味では政府一体で進めていくという意味は、もちろん内閣府、それから労働行政までありますが、文科省も一緒になって進めていこうという中で、文科省のほうでも大学だとか専門学校という中でしっかりと位置付けて活用していこうといったことで考えておりますので、今後は私どもも文科省と連携しながら、内閣府と連携しながら、そういったこともきちっと捕捉できるような形で進めてまいりたいと思っております。

○三村委員
 ジョブ・カードの様式も、やはり一般に就業した方がまた職業訓練を受けるようなシステムで、新卒者用のジョブ・カード、その辺の普及も含めてお考えなのかどうか、いかがでしょうか。

○高森実習併用職業訓練推進室長
 今のジョブ・カード様式につきましては、やはり一般の求職者の方向けという性格が強いものですから、学生の方向けの様式について何らか、もちろん文科省のご協力がないと、現場で使っていただける方の声がないと、なかなか様式作成ということは難しいと思いますので、またよく協議して検討していきたいというふうに考えております。

○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 最後に1つだけ私のほうからいいですか。訓練が、公共訓練とか、基金訓練とかそっちのほうに広がるし、助成は少し一般の助成のほうに変わっていくとなると、ジョブ・カードともう言う必要もないんじゃないか。つまり大久保さんが言われたように、全体の職業訓練の政策の中にぐっと吸収されていっているという感じですよね。そうすると、ジョブ・カードというと文科省とか省庁を超えた点というのはありますけれども、厚労省の中でいうと、極端なことを言うと、ジョブ・カードで全部の職業訓練をカバーするみたいな話になるのでそのうちジョブ・カード制度というのはなくなりますかね、そういう点で。どうですか。

○井上総務課長
 いろいろとご指摘があったところですが、今回の見直しも1つの契機としてジョブ・カード制度を発展させていくと。それは今回の見直しにおける対象訓練の拡大にも見られますように、職業能力開発、職業訓練の様々なシステムの中に基本的な施策ツールとして入ってくると。そこにビルトインされてくるということになってこようかと思います。その意味で、将来的には、今座長のご指摘のありましたように、ジョブ・カードというものが非常に職業能力開発、職業訓練の基本的な仕組みになって、それとして意識されなくなる時期が来るかもしれません。

○今野分科会長
 ありがとうございました。では、皆さんから今日いろいろ意見をいただきましたけれども、要するにいいプロジェクトだからしっかりしろということと、せっかくこの機会だから、さらに前に行くように攻めの戦略を考えろというご意見が多かったと思いますので、事務局としてもまた大いに頑張っていただければと思います。
 それでは、次に行きたいと思います。
 2番目の議題は、「第9次職業能力開発基本計画について」です。
 それでは、事務局のほうから説明をお願いします。

○井上総務課長
 それでは、資料2-1、職業能力開発についての検討の視点をご覧いただきたいと思います。
 前回までに柱立てとして1から7までのお示しさせていただいております。今回、後ほどご説明いたしますが、8の部分を新たにお示ししております。1から7までにつきましては、前回いただきましたご指摘、ご意見などを基に赤字で修正をしてございます。1から7までにつきましては、その修正した部分を中心にご説明をしたいと思います。
 まず、1の(1)の中で1ページの最後から始まるパラグラフでございます。「また、機構、都道府県」以下のパラグラフでございます。これはこの能開分科会におきまして、今後の指導員訓練の在り方として、ハイレベル訓練について方向性を出していただいたことを書いているものでございます。
 2ページをご覧いただきたいと思います。そこに赤字で、「その際、民間企業の技能者としての経験を有する者等、幅広く人材が確保されるようにする必要があるのではないか」と。指導員となる人材の確保の必要性ということを加えてございます。
 それから、同じく1の中では(2)のところでございます。3ページをご覧いただきたいと思います。
 そこの3ページの3つ目のパラグラフ、「また、国と都道府県の役割分担」以下のところでございます。ここでは、前回都道府県においても訓練を行っているケースもあると、これまでの当分科会でのご議論の内容に沿った形での修正をということでございましたので、「国は、高度な施設・設備や指導員等を要し、スケールメリットを活かすことで、実施可能となる高度なものづくり分野における職業訓練を実施し」という形で修正をしてございます。
 1についての修正は以上でございます。
 続きまして、2、非正規労働者等に対する雇用のセーフティーネットとしての能力開発の強化の部分でございます。具体的には6ページをご覧いただければと思います。
 ここの(3)のジョブ・カード制度の普及促進につきましては、前回申し上げましたように、事業仕分けがあり、その見直しの方向、本日ご説明させていただいたところでございますが、それを待った形で整理をしたいということで考えておったところでございます。整理しました結果として、3つのパラグラフにおいて修正をしてございます。
 1つは「こうした中で」という以下のパラグラフでございまして、「これまで企業に対する支援を通じてジョブ・カードの普及を図ってきたところであるが、これに加えて求職者支援という観点からジョブ・カードの普及を図っていくことが必要ではないか」と。
 それから、その次の「このため」以下のパラグラフでございます。「このため、ジョブ・カードの活用対象となる職業訓練について、現行の企業における雇用型訓練等に加え、公共職業訓練等に拡大していく」ということを修正してございます。
 それから、3つ目、「また、ジョブ・カード」以下のくだりでございます。普及促進体制につきまして、地域ジョブ・カード運営本部を国に移管し、そうした枠組みの中で企業と求職者の双方に対するジョブ・カードの普及を推進するといったことを修正してございます。
 2についての修正は以上でございます。
 続きまして、3、教育訓練と連携した職業能力の評価システムの整備についてということでございます。
 具体的な修正は、まず8ページのところでございます。1つ目のパラグラフで、ここで職業能力評価制度の意義、必要性を書いているところでございますが、ご指摘を踏まえ、「また」以下の文章を加えております。業種・職種について、横断的に制度を設計・運用する必要があるのではないかということでございます。
 それから、4つ目のパラグラフ、「現在は、新たに就業した者」以下のパラグラフでございますけれども、その後段のところで、職業能力評価基準の今後の進め方について、「導入が進んでいない業種については、業界団体や企業のニーズを踏まえつつ」という形で修正してございます。
 それから、その次のパラグラフ、「併せて」以下のパラグラフですが、「実践キャリア・アップ制度」の後に、分かりやすくということで「キャリア段位制度」と付記しております。
 その次の「実践キャリア・アップ制度」以下のパラグラフですが、同様の修正を行うとともに、この実践キャリア・アップ制度の対象となる分野について、当面重点的に取り組まれることになる介護・ライフケア分野などの分野を列挙してございます。
 それから、9ページの下から2つ目のパラグラフ、「さらに、国が」以下のパラグラフでありますが、技能検定の在り方の見直しについて、不断の見直しということをもう少ししっかり書くべきではないかということで、「定期的に受検者、業界団体等のニーズを検証しつつ見直しを行う」と修正してございます。
 それから、続きまして4の職業生涯を通じたキャリア形成支援の一層の推進についてということでございまして、具体的な修正箇所は、11ページの「キャリア教育の推進」ということでございます。ここについてはもう少しきちんと書き込む必要があるのではないかといったご指摘を踏まえて修正をしてございます。「初等中等教育から本格的な進路決定に至るまでの各学校段階での計画的なエリア教育の推進に関わり、労働行政の立場で、若者雇用対策上の意義を踏まえ、キャリア教育推進の担い手となるキャリア・コンサルタント等の専門人材の養成・評価、これら人材による効果的なプログラムやジョブ・カードを含むツールの活用促進等に取り組む必要があるのではないか」というふうに書き改めております。
 続きまして、6、特別な支援を必要とする者に対する職業能力開発の推進についてということでございます。
 この中の「ニート等の若年者に対する能力開発」ということでございまして、ここは一部表現をより具体的にする修正と、「高校中退のリスクが見込まれる生徒へのアウトリーチ」、それから「継続支援事業を活用した、訓練へ移行した者に対する生活指導等を含めたきめ細かいフォローアップ」という形で修正してございます。
 そして、その次のパラグラフでございますが、地域若者サポートステーション事業の書き方といたしまして、「また、『子ども・若者育成支援推進法』のスキームも活用し、地域の関係機関・専門家とのより幅広い連携構築、支援人材の計画的養成を推進するなど」という形で書き改めております。
 1から7まで修正部分については以上でございます。
 17ページの8のところをご覧いただきたいと思います。
 8、我が国全体の職業能力開発のプロデュース機能の強化ということでございます。
 これは1から7までの部分がそれぞれの分野別に課題、あるいは施策の方向性を書いているのに対しまして、それを裏打ちするものとして、国全体で職業能力開発訓練を効率的・効果的に行っていくための国のプロデュース機能ということで書いているものでございます。
 (1)でございますが、国のプロデュース機能の強化の必要性といたしまして、その背景になる部分を書いてございます。一番上のパラグラフ、「今後、成長が見込まれる」のところでは、成長が見込まれるその分野の求人ニーズに即した人材を供給していくことが必要ではないかと。
 それから、2つ目のパラグラフ、「また、雇用失業情勢」以下でありますが、雇用のセーフティーネットとしての離職者に対する公共職業訓練、新たなセーフティーネット、こうしたものの必要性を書いてございます。
 それから、3つ目のパラグラフ、「さらに」以下でございますけれども、ものづくり分野を支える人材育成の重要性を書いてございます。
 4つ目のパラグラフ、「OECDの報告書によると」ということでございますが、我が国の職業訓練等への公的支出は必ずしも高いと言えない状況にありますことから、今後とも職業能力開発施策の充実を図っていく必要があるのではないかという問題意識を書いてございます。
 下の「一方で」以下のパラグラフでは、その一方で、職業訓練に係る政策資源については、全体として制約がありますことから、その中でどういった訓練をやっていくかということについて、選択と集中を行い、効率的・効果的に訓練を実施していく必要があるのではないかということでございます。
 その次のパラグラフ、「このため、国は」以下でございますが、職業能力開発のプロデュース機能について大きく2つに分けて整理しております。1つは、我が国全体の職業能力開発のビジョンを策定すると、それから2つ目は各種職業訓練のインフラ整備を行うということでございます。これによりまして、国、都道府県、民間の教育訓練機関、民間企業等、多様な担い手によって我が国全体としての職業訓練がよい形で実施されるようにしていきたいというものでございます。
 次の「具体的には」以下のパラグラフで、この職業訓練のインフラとして考えているものを列挙してございます。1つ目が次のページにわたってまいりますが、国全体や地域の訓練のニーズを把握し、あるいは訓練分野の決定等を可能とする仕組みの構築。それから、2つ目に訓練カリキュラム等の開発・普及。それから、3つ目に訓練に係る情報の提供。これは訓練の品質でございます、品質の確保。それから、4つ目に教える人材である訓練指導員等の育成確保。5つ目に職業能力の評価システムの整備。それから、6つ目に職業訓練の実施体制の整備という形で整理してございます。
 続きます(2)では職業能力開発のビジョン、それを受けての訓練計画の策定について書いてございます。
 1つ目のパラグラフ、「国は、我が国全体の」以下でございますが、これはそうした中期的なビジョンをつくっていく必要があるのではないかと。現在、検討いただいております第9次職業能力開発基本計画がこれに当たるものと考えてございます。
 2つ目のパラグラフ、「また、国は」以下のところでございますけれども、中央レベルにおいて関係者、関係機関の参集をいただき、職業訓練のユーザーである労使等のニーズを踏まえた訓練の実施分野等の決定、訓練計画の策定を行っていくという仕組みが求められているのではないかというものでございます。
 その次のパラグラフ、「さらに、地方レベル」のところでは、今度は地方レベルについても同様に、関係者・関係機関の参集を求め、労使等のニーズを踏まえた訓練計画を策定し、実施していくことが必要ではないかというものでございます。
 (3)は職業訓練のインフラについて、それぞれ触れておるところでございます。
 まず、1つ目の訓練カリキュラム等の開発ということでございます。
 1つ目のパラグラフ、「国、都道府県」以下のところでございますけれども、職業訓練の実施に必要不可欠な訓練カリキュラム等を広く利用できる政策資源として整備していく必要があるのではないかということでございます。
 18ページの一番下のパラグラフ、19ページにわたってまいりますが、ここではどのようなプロセスで進めていくかということで、成長が見込まれる分野やものづくり分野における技術革新等に対応していくため、職務内容や、そこに必要となる能力分析など、必要な基礎研究をまず行う必要があるのではないかと。
 そして、次の「また、基礎研究が」以下のパラグラフでは、そういった基礎研究を踏まえ、訓練カリキュラム等を開発し、さらにそれを見直していくということを書いてございます。
 それから、その次の「さらに」以下のパラグラフでございますが、ここではキャリア・コンサルティング等の就職支援技法の開発と普及を、これまで以上に強化する必要があるのではないかということでございます。
 最後のパラグラフ、「加えて」以下のところでございますけれども、これら開発した訓練カリキュラム等について、普及・活用促進を図っていく必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、職業訓練に係る情報の提供・品質の確保ということでございます。
 ここではまず職業訓練の受講者の選択に資する情報提供の仕組み、それから職業訓練自体の品質の確保を図っていく必要があるのではないかと。その際には、訓練実施機関等、様々な情報を適切に提供することが必要ではないかというものでございます。
 次のパラグラフ、「なお」以下でございますけれども、この9月に発行しました新たな国際企画、民間教育サービスに係る国際規格、ISO29990におきましても、訓練実施機関に対して訓練内容等についての情報開示が求められているところでございます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。「ISO29990を活用することにより」以下のパラグラフでございますが、この新たな国際規格を活用することにより、訓練の品質の維持・向上を図っていくことが必要ではないかというものでございます。
 続きまして、訓練指導員等の育成・質の確保ということでございます。
 ここでは具体的に訓練指導員、キャリア・コンサルタントについて触れているところでございます。そして、具体的には以下のくだりにつきましては、ハイレベル訓練あるいはスキルアップ訓練を実施していくことについて、それからその次の2つのパラグラフでは、ハイレベル訓練、それからスキルアップ訓練の進め方について書いてございます。
 21ページをご覧いただきたいと思います。
 「その際」以下のパラグラフでは、就職支援技法のカリキュラムにおいて重視すべき事項を挙げてございます。
 それから、その次にキャリア・コンサルタントの育成については、以下のパラグラフにおきましては、キャリア・コンサルタントの育成に際し重視すべき事項を書いております。また、特定の業種等について専門的知識を有するキャリア・コンサルタントの育成が重要な課題ではないかということでしております。
 続きまして、職業能力の評価システムの整備ということでございます。これは職業能力開発のインフラとして職業訓練を行った結果なども踏まえ、客観的に評価する物差しとしての評価制度がインフラとして必要ではないかということでございます。
 3つ目のパラグラフ、「社会全体で」以下のところでございますが、これは現在検討が進められている実践キャリア・アップ制度、キャリア段位制度に関するものでございます。
 それから、「また」以下のパラグラフ、次ページに続いてまいりますが、これは現在職業能力評価制度として存在しております職業能力評価基準、技能検定制度などの政策資源についても活用していく必要があるのではないかということを書いてございます。
 最後に訓練の実施体制の整備ということでございます。
 1つ目のパラグラフ、「国は」以下のところでは基本的な考え方を書いておりまして、多様な主体によって全国的に必要な職業訓練が着実に実施されるよう、職業訓練の実施体制を整備することがインフラ整備として必要ではないかと。
 その次のパラグラフ、「その中で国は」と、これは国自らが訓練を行う場合について書いてございます。
 その次のパラグラフ、「一方、国は」以下でございますが、これは国が民間教育訓練機関に対して講ずべき支援内容などについて書いてございます。
 それから、その次の「また、国は」以下のところでございますけれども、委託訓練につきましては23年度から都道府県に移管することを予定しておりますが、そうした際にも国では都道府県に対する支援を適切に行っていくということを書いてございます。
 以下、23ページにわたりまして、訓練協議会と訓練基準、訓練カリキュラムの見直しなどについて書いてございます。
 説明については以上でございます。

○今野分科会長
 ありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見をお願いいたします。どうぞ。

○大久保委員
 3つございまして、1点目は6ページのほうに先ほど議論したジョブ・カードの内容のところを書き加えていただいたところなんですけれども、まさしく先ほど最後のほうで申し上げたとおり、このジョブ・カード制度の話の書き出しのところが、非正規雇用となっている者のキャリア・アップのための有効なツールという話から入っていくんですけれども、余り古くジョブ・カードが起こった成り行きを遡るのではなくて、これから5年間を見据えたところで言えば、せっかくもう一つバージョンアップして、職業能力開発の基本ツールとしてこれを位置づけていこうというふうに言っているわけですから、そういう文脈でこのジョブ・カードが登場したほうがいいのではないかというのが1点目であります。
 それから、8ページの一番最後のところにキャリア段位制度の話が出てくるんですが、「増加する非正規雇用者が正社員に転換する等の場面で」云々かんぬんという文脈でキャリア段位が出てくるんですけれども、キャリア段位制度は正規・非正規問題は一切やらないことにしておりますので、この文脈で出すのはやめていただきたいというのが2点目であります。
 それから、3点目は、細かい文言のお話で大変恐縮なんですが、18ページなんですけれども、(2)の最初のパラグラフなんですけれども、「今後における公共・民間部門、ものづくり、非ものづくり」と書いてあるんですけれども、「非ものづくり」という言い方はやめていただけないでしょうか。ものづくりにあらずという、「サービス」と言っていただくか何かお願いしたいと思います。以上です。

○井上総務課長
 今、3点ご指摘をいただきました。それぞれご意見の趣旨を踏まえて整理をさせていただきたいと思います。

○新谷委員
 何点かありますので、まとめて申し上げます。
 毎回の議論を中に盛り込んでいただいて、だんだん内容が豊富になってきたことはありがたいと思っています。1.のところのタイトル、「成長が見込まれる分野・ものづくり分野における職業訓練の推進」ということで、中身が(1)と(2)、2つに分かれていますが、これらはいずれも今後の日本の成長なり競争力を支えるための人材をどう育成していくか、訓練を施すのかという視点で書かれていると思います。これは非常に重要な視点だと思っております。
 それで、具体的にはこの(1)の最初の○のところで、まず最初に成長が見込まれる分野の人材育成ということで、これは新成長戦略との連携をとって記述をしていただいています。これの〆が戦略的に施策を打ち出すことが必要となっているのではないかということなんですが、これは今年度末までに今後分科会の論議内容をまとめていくということでありますから、その具体的な内容について、今後さらに踏み込んで記述をいただく必要があるのではないかと思います。
 ただ、そのときに、例えば介護ですと、たしか平成20年の厚労省の方針でポリテクセンターでは介護の訓練を行わないというのが決まったということになっておりますし、介護の訓練は今、都道府県と民間で分担していただいているのではないかと思うんですけれども、そういった機関ごとの役割分担をどうするかということについても言及をしていく必要があるのではないかというのが1点です。
 もう1点、特に介護の場合は、人材を育成して、この分野に送り出すということが重要なんですけれども、実は定着の問題でかなり問題があって、非常に離職率が高いという現状がありますので、どんどん人を送り込むというのはいいんですけれども、同時に労働行政の一貫性という意味からいくと、そこの労働条件の在り方についても、何らかの言及が必要ではないかというふうに感じているところであります。これが?@のところです。
 それと1ページの一番下のところに「また」ということで、機構などの指導員の育成の記述が出てくるのですけれども、この文脈からいくと、ここはものづくり分野における職業訓練の推進ということなので、これはどちらかというと後のほうにありますインフラの問題で、指導員の育成ということが触れられるべきだと思います。(1)のところにぽんと入ってくるというのも少し違和感がありますので、今後整理をされるときに、どの場所にこれを記述すればいいのか整理をお願いします。
 それと、20ページのところに同じような表現で丸々同じような文面になっていますので、この重複感はどのように整理するのかということも今後整理をしていただきたいと思っております。
 それと、2ページの最初のほうのところに行きまして、ここの指導員の育成のところは6月、7月にこの分科会でも、総合大学校の在り方について、養成課程をどうするかということで大分激論を交わした中で、一定の方向性が結論づけられておりますので、その中で総合大学校の位置づけがきちっと確認されたものがあると思いますし、また質の高い指導員の安定的供給というキーワードが確認されているはずなので、それらもどこか、多分20ページのほうに移すんだと思いますけれども、きちっとした記述をお願いしたいと思います。
 それと、2ページの下から2つ目の○と一番下の○との関連なんですけれども、特に大学、専門学校との連携を深めるということについて、効果的なカリキュラムを開発ということが書かれているんですけれども、単なるカリキュラムだけではなくて、今後の検討の中では、諸外国ではそんな制度があるというふうに聞いたことがありますけれども、例えば不況時に企業を一時休職扱いにして、大学に行って勉強をして、雇用調整的に行うという制度があり、好況時になったら、また企業に戻ってきて、戦力として働いていただくということを聞いたことがございますので、そういった政策的な連携の在り方についても、ぜひ検討していく必要があるのではないかと思います。
 一番下の○のところのグローバル人材も同様でありまして、大学や企業内の訓練が多分中心になると思いますので、具体的な方向を検討するに際しては、国の関与というのは、グローバル人材については直接に、例えば能開機構を使って何かやるというのはたぶん難しいと私は感じていますので、企業内訓練に対する助成の在り方とか、大学との連携の在り方とかいう方向に多分なるのではないかと思いますけれども、さらにこの内容の豊富化なり具体化をお願いしたいと思います。
 それと、5ページの上から4つ目の○のところに「民間教育訓練機関の活用の際は」とあります。ここに関連して、実は昨日あるポリテクセンターを視察させていただきました。離職者訓練において施設内訓練の就職率が非常に高いというのは皆さんご存じのとおりで、約8割の方が就職をされている。民間に委託した訓練は7割弱ということで、ちょっと落ちるということです。なぜこんなにポリテクセンターの就職率が高いのかというのを実際に拝見しますと、やはり教育機関自らが職業紹介ができるという強みがあるんじゃないかなと感じた次第です。指導員の方が一緒に面接の会場に行って、中小企業の社長さんに、この訓練を受講された方の強みはここにありますとか、こういうことがきちっとできますということを積極的にPRするような活動までやられていると聞いておりますので、民間の活用に際しても、今後、委託訓練が能開機構から都道府県に移管されるということもございますし、また求職者支援法では民間中心に訓練をやるということになりますので、そういった職業紹介機能を民間の方々がどういうふうに高めていくのかというところについても、ぜひ積極的に考えていく必要があるのではないかと思っております。
 あと字句の問題で1点ちょっと気になったところがございます。18ページの一番下に、訓練のインフラ構築ということで、訓練カリキュラム・指導技法の開発について具体的に書いてあるんですけれども、冒頭には、「国は、求職者支援制度が創設される中で」と書いてありますが、その後に「成長が見込まれる分野」と書いてあって、次の19ページの上には「技術革新等に対応した訓練」と書かれてあるんですけれども、どうも最初の求職者支援制度の創設というのと、その後のものづくり分野における技術革新といったところが、直接的には結び付かないのではないかという感じがしておりますので、この辺も一度よく見直していただいて整理をしていただきたいと思います。たくさん申し上げますが、以上であります。

○井上総務課長
 今、幾つかご指摘いただきましたが、まず1のところの関係でございます。新成長戦略との関係についても、踏み込みながらもう少し具体的に書いていくべきではないかというところについては、次回お出しするまでに整理をさせていただきたいと思います。
 それから、ポリテクセンターでは介護はやらないと、施設内訓練としては介護は行わないというのは、基本的にそのとおりでございます。これは民間教育訓練機関を活用してということでの役割分担で考えてございます。
 それから、介護の離職率が高いと、これは非常に重要な問題でございます。ただ、職業能力開発基本計画という中にどこまでのものを書くかというところがございますので、そこについては少し整理の仕方を検討させていただきたいと思います。
 それから、1ページの最後の段落、「また、機構」以下の段落について、20ページなどとのダブり感ということについてはご指摘のとおりでございます。
 私ども事務局といたしましては、本日、各分野の施策、あるいはそれを裏打ちするプロデュース機能ということで、一巡目のご議論をいただいた形になりますので、本日、それからこれまでいただきましたご意見、ご指摘を踏まえまして、全体の構成、表現ぶりなども整理した上で、また年明けに改めてお示しをさせていただきたいと考えてございます。
 それから、指導員訓練の議論の中で、質の高い指導員の安定的な確保と、これはそのような形で方向性が取りまとめられておりましたので、この記述の中に反映させていただきます。
 それから、2ページの最後のほうでございますけれども、大学等との連携ということで現在行っておりますのもカリキュラムの開発だけではなく、例えばポリティックセンター等が指導員を大学のほうに派遣してお手伝いするとか、あるいは施設の貸与を行うという形での連携も図ってございます。新谷委員ご指摘の不況期に企業から大学に派遣するといったような点についても、私どもも調べた上、整理をさせていただきたいと思います。
 それから、2ページのグローバル化対応、グローバル人材の育成でございます。確かにグローバル人材の育成というのは、先ほど8のところでもご説明申し上げました、職業訓練に係る政策資源に一定限界がある中で、選択と集中ということを考えた場合に、国など公的な主体が自ら訓練する対象かどうかというところの議論もあろうかと思います。こういったグローバル化に対応する部分について、どのような対応をしていくかということについては、整理した上で、またお示しをさせていただきたいと思います。
 それから、5ページのところです。民間教育訓練機関の活用の際は、以下のパラグラフで、職業訓練機関の紹介機能を高めるというご指摘でございます。そこはまさにおっしゃっておられるとおりでございます。紹介、そしてその前段階にありますキャリア・コンサルティングなど、就職支援、これらについて民間教育訓練機関において訓練を実施することに加え、そういった就職支援などについて充実・強化した取り組みを行っていただく必要があるだろうと考えてございます。
 それから、18ページでございます。求職者支援制度が創設される中でということと、その後の文章のつながりが悪いという点についてご指摘のとおりでございますので、整理してまたお示しをしたいと思います。

○今野分科会長
 それでは、ほかに。どうぞ。

○上原委員
 1の成長が見込まれる分野でいろいろ書いてあって、このとおりなんですけれども、例えば観光なんていうと、イメージが少し湧きにくいと思うんです。職業訓練という意味で。だから、例えば観光資源の問題もあるし、ガイドさんを教育訓練するとか、ホテルとか旅館で研修するとかというようなことになるんだろうと思いますけれども、視点というレベルなんですけれども、いずれ中期ビジョンとして出すときに、もう少し具体的な中身について書くのかどうか、そこをちょっと伺いたいというのが1つ。
 それから、8番目、GDPに占める職業訓練の比率が低いということなんですけれども、自分が感じているのは、日本は失業率が一番悪いときでも5.6とか5.7で、今は5.2とかという数字なので、例えば欧州の20%とか、アメリカの最近の9.8なんていうのに比べると、非常に成績がいいんじゃないかと思うんです。だから世界的な位置づけ、失業率という視点だけでとらえると優秀なんだろうと思うんです。だから、そういう意味では自信を持っていいのかなとちょっと気がするんです。あとは、例えば予算やGDPに占める教育訓練費や、関連する職員の数なんかもそういう意味では影響するわけで、そういうところまで調べられるのかどうか知りませんけれども、そういう視点。
 それから、ジョブ・カードなんか典型ですけれども、モデルにしているイギリスの失業率はちょっとどのぐらいなのか知らないんですけれども、その辺がどうなっているのか。もう少し自信を持っていいんじゃないかというのが1つです。
 一方で、若年の失業率が10%ぐらいだと聞いているわけで、5%の失業率で300万とか言われているわけですが、若者の比率がどれぐらいなのか。特に若者の10%をたたいて下げることが、全体的な失業率を下げることに大きく寄与すると思うので、並列的にいろいろ書いてあるんですけれども、さっきも出ている選択と集中じゃないですけれども、そこの6、その前の13ページのいろいろ書いてある部分について、もう少し充実させるというか、総合的に若者の、雇用対策をどう充実させていくかというのが1つの大きなポイントなのではないかと思います。
 それから、国際協力の話がどこかに出ていましたけれども、例えば総合大学校の職業訓練の見直しで、一般の4年生をハイレベル訓練に移行するというようなモデルが考えられていて、そうなると留学生受け入れの制度がなくなってしまうのかなという気がするので、その辺についての以降の代替策みたいなのがあるのかないのか、そこをちょっと教えていただければと思います。
 あとは、最後に雇用能力開発機構という名前が幾つか出てきて、例えば18ページ、(2)の○の2個目、「また、国は」の中の3行目にあるわけですけれども、これが見直しを図っていて、高齢者・障害者雇用支援機構に一緒になるようなことが、法案としてまだ通っていないわけですけれども、考えられているわけで、5年間の中では多分そういうふうになるのかなという、可能性があるので、アスタリスク等を打って、そういう呼び名が5年後に消えている可能性があるので、説明はしておく必要があるのかなと思います。

○井上総務課長
 まず、1ページでご指摘いただきました、観光など具体的な分野についてどう書いていくかというところでございます。まず観光に関する訓練、どういったものがあるかと申しますと、確か公共訓練ではホテル観光科といったような訓練科を置いているところがあったと思います。あと、観光の関係は特に民間教育訓練機関のほうが発達しておりまして、例えばコンダクターの関係の訓練などは民間教育訓練で既に広く行われているところでございます。そして新成長戦略に挙がっております分野について、どういったことをやっていくかということにつきましては、この計画が今後5年間の計画、中期の計画であるということ、その中で今の時点でどの程度見通せるかということを踏まえながら、また整理してお示しをさせていただければと思っております。
 それから、17ページのところで、OECDの諸国の公的支出との比較だけでなくて、もう少し多角的に書いたほうがよいのではないかというご指摘のつきましては、私どももう少し調べた上で、整理してお示しをさせていただきたいと思います。
 それから、若年者の失業率が高い、10%近くで高止まりしてございます。そういった中で、今後将来のことも考えて、若年者の施策の強化、重点化ということを考えていくべきではないかという点につきましては、検討の上、整理させていただきたいと思います。
 それから、国際協力の部分で、開発途上国等からの指導員訓練への受け入れについてでございます。指導員訓練につきましては、指導員訓練自体、これまでの4年生の訓練から新たなハイレベル訓練に見直しを進めていくこととされているところでございます。今後、ハイレベル訓練の内容を含めた検討、制度設計をしていく中で、また開発途上国等の意見などもお聞きしながら、検討していきたいと考えております。
 最後に、雇用能力開発機能の名称というところでございます。実はこれは大変重要なご指摘でございまして、この計画、23年度からその後5年間にわたる計画ということになりますので、計画策定当初の名称と、それからその5年後の姿がずれるということは出てまいります。そこで、雇用能力開発機構については現在法案が継続審議中ということがございますけれども、そうしたことも踏まえながら、5年間分かるような記述になるように工夫をしていきたいと。他の部分についても同様な点については工夫をしていきたいと思います。

○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○阿部委員
 5ページ目の下段に第2のセーフティーネットの創設についての記載がございますが、最後の行に「『積極的労働市場政策』の視点を踏まえ、生活保障とともに」という文言がございます。救援者支援制度の給付等について議論している職業安定分科会雇用保険部会では、求職者支援制度の趣旨、目的の中で、給付の位置づけを訓練期間中の生活を支援するためとしていると聞いておりますが、つきましては資料の5ページ目の最後の行は「生活保障とともに」ではなく、「生活支援とともに」と変更する必要があると思います。
 また、実践キャリア・アップ制度について申し上げます。21ページの下から6行目になります。ここでは「職業能力評価基準等の既存の評価制度や資格制度について最大限活用しながら」と記載されています。これについて「職業能力評価基準等」という文言と「最大限」という文言を削除する必要があると思います。理由は、実践キャリア・アップ制度は現在内閣府で制度の在り方が議論されています。本分科会では、この制度について、時間をかけて議論をしたことはなかったかと思います。したがって、既存の評価制度や資格制度の活用につきましては、特定のものを例示したり、活用の程度を記載することは適当でないと考えます。
 同様の理由で、9ページの上から1行目の「最大限」という文言も削除する必要があると思います。以上でございます。

○松本総務課企画官
 まず御指摘のうちの5ページの件でございます。「生活保障」という表現でございますけれども、その点につきましてはまさに御指摘のとおり、雇用保険部会では「生活支援」と議論されていると承知しております。ここも含めまして、雇用保険部会や職業能力開発分科会で議論されている内容は反映させなければならないと考えております。御指摘ありがとうございます。しかるべく対応いたします。

○今野分科会長
 それ以外の指摘については、また検討ください。
 ほかに。

○黒澤委員
 委託訓練についての質を担保するための仕組みについて、もう少し踏み込んだ記述があったほうがいいんじゃないかなという印象を受けております。22ページの最後の辺に国が委託訓練に係るノウハウを提供して、その際は訓練の質と量を確保することが求められているというような記述があるんですけれども、そこで1つ欠けているとすれば、先ほど新谷委員もおっしゃった、いわゆるカリキュラムや教授法の伝授ということだけではなく、出口支援の部分、就職支援の部分ですが、それが今やはり国、機構の施設内、特に施設内では非常に重点的になされているという部分、それをどういうふうに担保していくのかということの記述が必要だということ。
 それから、もう一つは、全体的に見て、民でやれることは民に任せると、それでオーケーみたいな感じなんですが、やはり委託の形をとる限りには、何らかのクオリティコントロールが必要で、そこでは例えば5ページにインセンティブ、「成果報酬制度の拡充により」というような文言はあるんですけれども、それだけでいいのかどうか。インセンティブ付与のこの文言が、5ページの非正規労働者等に対するというセクションにあるのがちょっと気になって、こういったクオリティコントロールに関する記述として書くのであれば、例えば22ページの辺りに位置付けた形で、もう少し踏み込んだ形でインセンティブというだけではなく、クオリティコントロールをどういうふうにするのか。そこで国と都道府県でどういった役割分担があるのかということには、いろいろ議論があると思うんですけれども、いずれにしてもそういった記述をする必要があるのではないかと思います。よろしくお願いします。

○井上総務課長
 今、幾つかご指摘いただきまして、国が都道府県に支援する場合に、カリキュラムなどの部分だけでなく、就職支援技法のいわばトランスファーも重要ではないかと。ご指摘のとおりだと思います。そこは整理させていただきたいと思います。
 それから、民間教育訓練機関への委託訓練という場合にも、インセンティブといったことのみならず、国と公的な主体の関与というところについても、訓練の品質を引き続き維持、確保していくという観点から重要なご指摘だと思っております。そこも整理させていただきます。
 それから、それぞれ記述する場所につきましては、1から7までが各分野、そして8のところがそれを裏打ちするものということで現在組み立てておりますが、これは先ほど申し上げましたように、全体の構成を含めまして整理した上で、また年明けに改めてお示しさせていただきたいと思っております。

○今野分科会長
 それでは、中村委員。

○中村委員
 今日、新たに提起されました8番目の我が国全体の職業能力開発のプロデュース機能の強化についてでありますが、17ページの○の4番目、日本のGDPに占める職業訓練等への公的支出の比率はOECD諸国の平均よりも低くなっていると、このような指摘がされておりますけれども、データ上はそのとおりであるというふうに思っております。しかしながら、先ほど上原委員から出されましたように、いろいろな視点から分析をしてみる必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
 ただ、言えることは、資源が恵まれない日本にとりましては、人材こそが最大の資源であるというふうに思っておりまして、したがって具体的な公的支出の増額につきましては、大変厳しい状況にある、困難な状況にあるということは十分理解をしておりますけれども、ぜひ重点的な取り組みを進めるべきではないかということで要望をしておきたいというふうに思います。以上です。

○今野分科会長
 それでは、ほかにございますでしょうか。井上さん、どうぞ。

○井上委員
 2点、意見と質問です。まず1つは質問なんですが、19ページの2行目、下線が引いてある部分です。「職務内容や必要となる能力分析に必要な基礎研究」、これは1ページにも入っているんですけれども、この基礎研究というのがどんなイメージを持っているのかなというのを教えていただきたいと思います。というのは、現在能開機構が所有をしている生涯職業能力開発体系の能力体系のほうは、この能力分析というところに当てはまるのかなと思うんですけれども、基礎研究となると、例えば事業仕分けで、JILPTが似たような仕事をやっているかと思うんですが、あのときに例えばプロ野球選手の仕事は打つ、とる、投げる、走るというのを言って失笑を受けたことがあるかと思いますけれども、そことつながるようなイメージを私なんかは持ってしまうので、何か基礎研究をやる、具体的に実施する機関が想定されているのかどうか、それを教えていただければと思います。
 それから、もう一つは意見なんですが、3ページ目、今回修正で「高度な」という赤文字が入って修正していただいた説明がありましたけれども、この「高度」とか、それから「真に高度」というのは能開機構でも使われておりますし、ずっとこの間の基本計画の中でも使われていると思うんですけれども、これは机上の理論としては「高度」と「真に高度」というのは理論づけされているんだと思うんですけれども、実際に職業能力開発をするに当たっては、体系的、段階的に行っていくものだと思いますし、重なり合う部分というのは当然あるんだと思います。ですので、言葉の使い方になってしまうんですけれども、例えば「国としての労働政策における先導的な役割」とか、「都道府県としての地域ニーズに密着した役割」とか、何かそういう使い方をしてもいいのではないかと。実際、能開機構でも、「高度」というのは離職者訓練で、在職者訓練では「真に高度」というのが使われているのはあるんですけれども、やはり実際に職業訓練をするときに、ものすごく領域を狭められてしまって、これは真に高度じゃないから能開機構ではできないとか、そんなこともあるのではないかというふうに思います。また、「高度」といっても、基礎レベルから積み上げて高度になるというのもあるんだと思いますので、ちょっと言葉の使い方ですが、もう少し領域を広げる意味では考えたほうがいいのかなというふうな意見でございます。

○井上総務課長
 まず、19ページのところ、基礎研究の関係でございます。委員からご指摘のありました生涯職業能力開発体系、これはこの基礎研究の成果、さらには次のパラグラフにあります訓練カリキュラムのデータベースになるものと考えております。
 それから、今後どこでどのように進めていくかということでございますが、総合大が現在訓練カリキュラム、あるいは訓練指導技法、就職支援技法等について調査研究を行っております。引き続き総合大において、これらの取り組みを充実させながら行っていきたいと考えてございます。
 それから、前回、今年の4月から5月に総合大が各地のポリテクカレッジ、ポリテクセンターの協力を得ながら、業界団体、企業等に人材ニーズの調査を行いました。こうした取り組みも、調査として、この基礎研究の一環として考えてございます。
 それから、2つ目のご指摘、3ページのところでございます。委員からご指摘のありました「真に高度の」というのは、現在の雇用・能力開発機構法の中で、在職者訓練について雇用能力開発機構が行うことができる範囲について書かれているものでございます。その考え方といたしましては、官民競合とならないようにという趣旨で加わっているものでございます。その意味で、「真に高度の」というのがどういった意味合いで書かれているんだろうというところはあるかと思いますが、そのような意味でございます。
 この部分の表現につきましては、「高度な」というだけでなく、「先導的な」とか、あるいは「地域に密着した」というふうな貴重なご提示をいただきましたので、そこを踏まえながらまた整理をさせていただきたいと思います。

○今野分科会長
 ほかに。上原委員、どうぞ。

○上原委員
 14ページの障害者に対する能力開発のところで、これはこのとおりだと思うんですけれども、事業主のほうからすると、全体で障害者がどれぐらいいるのかという数字というんですか、そういうのがあったほうが、今、雇用に対するプレッシャーもかかっているので理解が進むのではないかなと。しかも体であったり、精神であったりすることがあるわけで、その辺の数字を少し出してもらったほうが、目標ができるのかなという気がするんです。
 所沢の国立障害者リハビリテーションセンターの30周年のときに聞いたんですけれども、30年間で1万人の要するにリハビリができたというような報告を聞いたので、非常に手間暇かかることなんだろうと思います。大手の会社の特定子会社みたいな形で、自分も大分の太陽の家というのを見学したことがあるんですけれども、やっぱり相当志が高かったり、力が入っていないと、なかなかあそこまで行かないわけです。普通の中小企業の事業主なんかにこういうことを展開しようとするときに、やはり経営側の理解がやはりどうしても要ると思うので、現実を余り知らないまま、それどころじゃないという現実があるんだろうと思うので、現状分析を少し踏まえた数字を出してもらったほうが落ちやすいのかなという印象なので、検討していただきたいと思います。

○今野分科会長
 今のことを言うと、ほかの分野も全部そうなります。今、障害者のことでお話しになったけれども、例えば若年の問題だって現状分析しろ、高齢者の問題も現状分析しろとなるので、その辺の現状分析のデータをどう入れて分かりやすくするかというのは、最終報告をつくるときに考えさせていただければよろしいですか。今ここでやると、全ての個別の問題でそういうことになってしまうので。ですから、今、上原委員が言われたのは、障害者を例にして挙げられたというふうに思いますので、ですから、その辺は最終報告を書くときの工夫としてご意見をいただいたということにさせていただければと思います。
 障害者について、何かありますか。

○田畑能力開発課長
 今、会長からご指摘いただきましたので、次回までに必要なデータを整理させていただいて、報告にどう盛り込むかにつきましては、検討させていただければと思います。

○今野分科会長
 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○浅井委員
 こちらの会議に出席させていただきまして、そしてたくさんの資料を読ませていただけばいただくほど、厚生労働省さんがこの職業能力開発について非常に努力されているということを改めて思い、9次に向けて非常にいいものができてきているなということは実感してはいるんですが、ただこの会議にも製造業の代表の皆様、そして製造業関係の組合の方も出席されていらっしゃいますけれども、日本という国の論理と、日本に本社がある、あるいは日本に拠点がある企業の論理は、経済合理性においては、そもそも出発から離れていて、それがますますどんどん離れていくなということをちょっとだけ心配しているんです。先ほども支援が恵まれない日本は人材開発がというお話もございましたけれども、資源が恵まれない日本はやはり外貨を獲得せざるを得ないという宿命があるわけです。そうなりますと、もちろん中にも「我が国の基幹産業であり国際競争力を有するものづくり分野を支える人材育成」ということも書かれてはいるんですけれども、ただこの資料の最初が内需の話ですよね。介護、福祉、医療、これは成長が見込まれる分野であると。そこからの始まりでいいのかなというのが、ちょっと不安を感じるんです。
 そして、また、中にもちろん太陽光発電システムや環境・エネルギー分野等の新しい分野の訓練を拡充させる必要があるんじゃないかというような話も出てきますけれども、例えば韓国や中国の国を挙げての意気込みなんかを見ていますと、リチウムイオン電池でも太陽電池でも有機ELでも、最初は日本がばっと走るんですけれども、あっという間に国を挙げてばーっと、国の強力なバックアップの下に、国レベルで見ますと、1位は韓国、中国がばっととっていっちゃうという形に変わっていくという状況があって、さらに15ページからの国際協力の推進、もちろん内容としてはおっしゃるとおりで、非常に大切なことだと思うんですけれども、これをずっとやっていって、海外が強くなって、じゃ海外にみんな生産拠点を持っていくから、日本の雇用は小さくなってごめんねという話になるようなことになると、これと併せて国際協力をして、海外の生産拠点が強くなった分、日本の生産技術と開発が日本に増えて、日本で生産技術、製品開発のレベルでの雇用が拡大すると、日本に本社を置くことの意義がもっと増して、もっと強くなれるような形で、セットでくっつけておかないと、大丈夫かなと。
 例えば、今回の税制の話を見ていても、もちろん実効税率5%下げると言っているけれども、一方で研究開発のほうはちょっと冷遇されると、特に素材メーカーは不平が残るような形も出ておりますし、温暖化ガス削減の問題おいてもしかりですけれども、そうしますと国のあるべき姿として、国を挙げてこの国を強くすると、そして外貨もしっかり稼ぐ、そして国が豊かになって雇用が増えるから、それで職業能力開発もしっかりやるんだという形にならないと、一生懸命やってきた結果、日本では雇用が縮みました、内需では生きていけないけれども、内需のための人を育てましたという形にならないかなというのがちょっと不安になるんです。
 これはもちろん厚生労働省だけでどうなるという問題ではないので、全体のトーンで見ながら海外を強くするのであれば、では日本はどうするのか。また、成長分野として、もちろん内需が必要だし、そこの部分で雇用が期待できることはもちろんなんですけれども、それと同時に国の経済を活性化させる、成長戦略でも3%を目指すということになっている。そのためにせっかく霞ヶ関、皆さんのそばにほかの省庁もあるわけですから、総合的に整合性のとれた形でこういったものができてくるといいかなということを少し懸念しております。

○今野分科会長
 それでは、ご意見としてお伺いしておいて、全体として反映させていただければと思います。
 どうぞ。

○高橋委員
 時間がないのでコメントは結構ですので、聞いていただければと思いますが、今回17ページから8番を挿入していただきましたが、やはり1から7との重複が非常に多くて、既知感が強いので、ぜひ次回以降は全体をうまくまとめて、なるべく同じことが2回書かれないように工夫をしていただくようにしていただきたいという要望です。
 あと、2点細かいことだけ申し上げますと、まず20ページのところで、下から2番目の○なんですけれども、一番最後の行に「短期間で訓練指導員を供給できるようにする」。これ自身に反対するわけではないんですが、短期間でやることが主のような感じなんですが、短期間で優秀な訓練指導員を供給できるという形の趣旨にしていただいたほうがよろしいんじゃないかということ。
 それから、18ページのところで、(3)に「職業訓練のインフラの構築」というのがあって、小見出しで「訓練カリキュラム・指導技法等の開発」というのがあって、19ページの上から2つ目の○の下線を引いてあるところに、「就職支援技法の開発」ということの言及があります。他方で、21ページのほうにまいりますと、一番上の○、3行目のところに、「就職支援技法のカリキュラム」についての言及があって、これは「訓練指導員等の育成・質の確保」のくくりになっておりまして、18ページの訓練カリキュラム指導技法等の開発のほうにかかわるところでもあるのではないかと思いまして、整理をしていただくことが必要なんじゃないかということでございます。以上です。

○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。

○黒澤委員
 すみません、たびたび。17ページのOECDの統計について、何名かの委員の方から言及があたので、改めて読んで気づいたことなんですけれども、このOECDの公的支出比率というのが低いということは、必ずしも日本のこれまでの職業能力開発投資の量とか質とかが低いというわけでは全くなくて、今までは企業がやってくれていたからですよね。それが、なぜこの低さからこれから充実を図っていく必要があるかということを考えたときに、それは○でいうと2つ上の「雇用失業情勢の変化に的確に対応するため」というよりも、今まで企業がたくさんやってくれていたのだけれども、経済成長の鈍化だとか、国際競争の激化だとか、いろいろな環境の変化によって今までのように企業による豊富な能力開発機会を得ることのできる人が減ってきたからだということだと思います。それは統計的に見ても、正社員の中でもそうですし、また非正社員がそれだけ増えていることからもわかります。ですから、その中でやはり公的に支援を受けて、能力開発をしなければならない人が増えてきたのだという文脈のもとで、このOECDのことが入ってきて、だからこそ今後充実を図っていくという流れだと、もう少しすっきりいくと思います。今のままこういうふうに出てくると、非常に唐突な印象を受けると思います。

○今野分科会長
 ほかにはいかがですか。もうそろそろ最後でしょうか。

○三村委員
 恐らく8番が全体にわたる大きな総括的な部分かと思います。そして、17ページの一番下に?@から?Eまでが、インフラ整備として挙がっているわけですけれども、いわゆる職業能力開発においては、その基盤となる職業能力そのものに対する興味関心というものの涵養というのは非常に重要だというふうに考えますと、学校教育とのつながりというのは全くここに言及されていません。その辺を少しお考えいただければと思います。

○今野分科会長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後なんですけれども、私、いいですか。ずっと順番を待っていたんですけれども。
 後ろのほうには指導員のハイレベル訓練とキャリア・アップ訓練でしたか、大きく書いてあるのですけれども、ハイレベル訓練で想定されている指導員の人材像と、キャリア・アップ訓練で想定されている指導員の人材像が、同じなのか違うのかというのはよく分からないんですけれども、これはどう考えていらっしゃいますか。以前ここでも指導員訓練については議論したのですけれども、この点については余り議論していないのですよね。その辺はどうですか。そうしないと分からないですよ、これはちょっと分かりにくいので。

○井上総務課長
 記述のほうはまた整理したいと思いますが、基本的な考え方といたしましては、ハイレベル訓練は訓練指導員候補といったような形で、例えば国、雇用能力開発機構、都道府県、あるいは民間教育訓練機関などで採用された方が一定レベルの指導員になっていただくための訓練と、その指導員を育成するための訓練と考えております。キャリア・アップ訓練につきましては、既に指導員になっている方、在職の指導員の方が先端の技術変化に対応しての知識の習得や、あるいは就職支援技法などについてブラッシュ・アップするということで考えております。その意味では、キャリア・アップ訓練のほうは、いわば一人前の指導員になった方に対しての訓練ということで考えております。

○今野分科会長
 ということは、ハイレベル訓練は一人前の指導員養成訓練で、キャリア・アップ訓練は一人前プラスアルファ訓練。

○井上総務課長
 さようでございます。

○今野分科会長
 もう時間がないですが、もう一つだけいいですか。これは聞くだけ。先ほどジョブ・カードとの関係で、中小企業で訓練を自分のところだけでやるのは大変なので、周縁的なサポートが必要だという話がありましたけれども、全体的に中小企業等の人に対する在職者訓練については今回どう考えるんでしたか。ほとんど書いていないんだけれども、それはどう考えているんでしたか。

○井上総務課長
 引き続き必要なものをきちんとやっていくという考え方でございます。ただ、この記述の中では、確かに明示的に現れていないところがございますので、この後、整理する中で、そこは工夫させていただきたいと思います。

○今野分科会長
 ちょっと確認ですけれども、とりあえずはその分野について、新しいことを提案しようとかいう、今のところそういうアイデアはないという段階であると。

○井上総務課長
 どういった技術とか、あるいはどういった分野について在職者訓練をやるというのは、その時々に決まってくる話だと思いますが、在職者訓練の実施方法については基本的にこれまでと同様にと考えてございます。

○今野分科会長
 最後、私が余計なことを言いまして、失礼しました。
 それでは、よろしいでしょうか。それでは、今日はこの辺で終わりにさせていただきます。
 最後に、署名の委員に署名をお願いいたします。労働者側の委員は井上委員で、使用者側の委員は浦元委員でお願いをいたします。
 それでは、終了いたします。ありがとうございました。

(了)

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業能力開発分科会)> 第56回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録

ページの先頭へ戻る