ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 審査支払機関の在り方に関する検討会> 第10回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録




2010年11月25日 第10回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

○日時

平成22年11月25日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

飯山委員、岩田委員、遠藤委員、小木津委員、齋藤委員、高田委員、
高橋委員、田中委員、長谷川委員、村岡委員、森田委員(座長)、山本委員
横倉委員、渡辺委員、高智オブザーバー
(事務局)
外口保険局長、唐澤審議官、武田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民健康保険課長
鈴木医療課長、佐原保険システム高度化推進室長

○議事

○森田座長 皆さん、おはようございます。皆さんおそろいになりましたので、ただいまから、第10回の「審査支払機関の在り方に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。
 まず、本日の委員の出席状況につきまして、事務局から報告をお願いいたします。
○吉田保険課長 本日は、粟生田委員から御欠席の連絡をちょうだいしております。
○森田座長 資料の確認は終わっておりますので、早速、本日の議題に入りたいと思います。
 第8回及び第9回の会議におきましては、まず、第一に事務局から示されました「総括的議論に向けたこれまでの議論の整理について」をたたき台にいたしまして、2番目といたしまして「検討会における議論の構造」、ポンチ絵でございます。それを踏まえまして、3番目として「都道府県単位の審査体制」、「直接審査における紛争処理の在り方」、また「審査委員会の体制」について御議論いただいてきたところであります。
 それに引き続きまして、本日は、まず、第一に、前回に引き続き、「審査支払機関の競争環境の整備」について議論をしていただきたいと思います。
 そして、2番目に、その後、第8回及び第9回の議論を受けて事務局が整理いたしました「審査体制の在り方に関する諸論点」、これは議論を整理していただいたものですけれども、それについて御議論いただき、3番目といたしまして、新たな資料による「診療報酬の支払早期化」、「レセプトデータの活用」を含めて御議論いただき、最後に、前回御了承いただきました前提に基づいて、事務局が作成いたしました「組織の統合、競争についての定量的な検証(試算案)」を取り上げまして、統合・競争促進について全体的な議論を行っていただきたいと、かように考えているところでございます。
 少々盛りだくさんでございますが、最後の点、定量的な検証につきましては、じっくりと御議論いただきたいと思っておりますので、御協力お願いいたします。
 それでは、まず、審査支払機関の競争環境の整備について、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 事務局、保険課長でございます。
 資料の中、資料2とございます「審査支払機関の競争環境の整備について」を御確認いただければと思います。
 資料の1ページ目の上にございますように、競争環境、競争促進につきましては、1つ目の○にございます、平成19年の閣議決定において、審査支払業務のオンライン化に伴う効率化を伴って、審査支払機関間において競争原理を導入することが必須条件であるという方向が示されています。これまでもこの検討会において、例えば統合・競争促進という論点の中で、統合によって査定率が下がる、あるいは統合によってコストが高くなるということに関しての御懸念、あるいは、いろいろな保険者の方によって選択する、重視する点が違うのではないかという御指摘をいただいたところでございます。
 事務局といたしまして、これまでの流れの中で考え方を整理させていただきましたが、1つ目にありますように、いわゆる完全な競争環境というものを審査支払機関-場合によっては個別の審査委員会ということも念頭にはあろうかと思いますが-を確保しようと思えば、いわゆる県を超えて、例えば大阪府の健保組合が東京国保連にお願いするということまで、非常にラジカルにといいましょうか、自由に選択できるというものも頭の中では考えられ、論理としてはあり得る。また、2つ目に、民間の審査支払機関が請求・支払コストで参入可能な環境を整備するということも、まさに選択、競争という意味では必要ではないかということであろうかと思います。これについては、イ、ロ、ハと書かせていただいてございますように、医療機関側の問題、あるいは審査委員会ごとにレセプトを抽出、転送するという今の実務の問題、また、現実に各県の審査委員会が重点化・効率化して審査しているという現状から見たときに、審査の適正化あるいは効率化における審査のコスト削減という視点なども考慮すべきではないか。これが論点ではないかと思います。
 また、大きく2つ目の柱といたしまして、現在、支払基金と国保連との間ではレセプトの受付・転送、決済について共通のシステム基盤というものに完全になってございません。そういうものが整備されていく中で、他の民間機関も審査システムに参入することが容易になるという視点もあるのではないかと考えてございます。
 このようにいわば「競争」というものを一番最初に戻った論点から整理をさせていただいた上で、私どもとしては、中期的にこのような課題に取り組む中で、まずは都道府県単位で保険者が支払基金と国保連を相互に選択できる仕組みというものに取り組んではいかがなものかと思っておりますし、その整備が必要であると思っております。
 2ページ目でございますが、そのような流れの中で、これまでの類似のいろいろな御指摘を踏まえて、受託競争促進のための環境整備としては-下の箱でございますが-3点ほどの項目について、私ども事務的には、今年度内を目途に、必要な行政通知の発出など、ルールの明確化あるいはルールの定立を行いたいと思っております。
 念頭に置いておりますのは、例えばでございますが、ある健保組合が地元の都道府県支払基金支部ではなく、国保連の方に委託をするという場合においては、それをまず国保連に対するレセプト提出という意味で、そこを明確にしていただくための実務的には被保険者証の保険者番号を変更していただくような手続をしていただく。国保連は逆に受託する側として、国保保険者以外の保険者からの委託に対しての審査手数料を明示し、また、審査に当たっても再審査の場合の扱いを明確にしておくということがまず前提として必要ではないか。これを実務的に落とした場合ということで3ページ目に書かせていただいております、私どもが今、念頭に置いております構図といたしましては、(1)対象レセプトはすべてとし、(2)保険者の方々に対して、保険者と審査支払機関間でのモデル契約案、あるいはそれに当たって変更する場合の手続、例えば、変更3か月前に御連絡をいただくなどのこと、あるいは変更を行った場合の公表あるいは関係者への通知などのルールを明らかにする。(3)一方、審査支払機関における事務といたしましては、審査手数料の問題、特に国保連において、国保保険者以外の手数料をお示しいただく。あるいは、保険者が選択するに当たっての必要な財務諸表であるとか、あるいは、支払基金においてホームページで公表されている審査ロジックなどを参考にいただくなどなどの形が必要かと思っております。(4)また、医療機関の方々にとってみれば、従来、例えば健保組合の被保険者ならば支払基金に請求がいくんだということが当然の前提によって動いているかと思いますが、先ほどの保険者番号も含めて、保険者が選択をして別のところになった場合には、そこが正しく請求をしていただくという仕組みにいたしませんと、そこで事務の混乱が生ずる可能性もあるので、そこの徹底も必要かなということを考えております。
 最後、実務的なことも申し上げましたが、競争環境の整備ということについて、私どもの考えている点で御報告を申し上げました。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの支払機関の競争環境の整備についてということですが、どうぞ御意見を御自由に発言。
 では、順番に高田委員の方からお願いします。
○高田委員 中期的な方向なんかでレセプトの受付とか抽出、転送を一本化するという仕組みは非常にいいなと思います。
 それで、次のページのところの受託競争促進のための環境整備の中で、先ほど事務局からも御説明がありましたけれども、これは、例えばどこかの健保組合が国保連に委託する場合に、そのために被保険者証をわざわざ回収して、つくり直さなくてはいけない。ちなみに、私どもの健保組合は4万2,000~3,000人ぐらいの加入者がいるんですけれども、今回、その保険証をちょうど3月ぐらいに更新しましたけれども、そこで400~500万かかるんですね。ですから、これが10万を超えるような大規模な健保組合の場合は、1,000万オーダーで費用もかかってしまう。そういうことを考えますと、受託競争促進のための環境整備と言いながら、また新たな障壁となるような考え方をするのはいかがなものかという論点があります。
 それから、そういったことになれば、こういうことこそITをもっと活用して、レセプトを送る側に、この保険者番号は、いわゆる国保連なんだよということをシステム的に落とし込むことを考えていただくとか、そういう観点じゃないと、要は、1回、例えば一つ国保連に変えて、それが保険者としてもしも満足できなかったら、また支払基金に変える場合も可能性としてはあり得ると思うんですけれども、そのときにまた新たな費用が発生するとか、そういうことは、一般的に競争環境を整備するところに、選ぶ側にまた費用が新たにどんどん負担するような仕組みを設けるのは、余り適切ではないと考えます。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 今、事務局からお示した文書の言葉の意味なのですが、資料2の四角の中の一番下に、保険者が支払基金と国保連を相互に選択できると。相互にというのは、いずれか一方をという意味ですね。そして、その選択は、審査についてですよね、勿論。支払は、支払と審査と両方になっている機関があるけれども、審査について保険者が支払基金や国保のいずれかを選択できると、そういう言葉の意味にとってよろしいですか。
○森田座長 事務局、お願いします。
○吉田保険課長 まず、前段につきましては、今の仕組みの上から言えば、国保連もしくは支払基金-先日来この場でも議論をいただいております直接審査というのは横に置かせていただきますと-ということですので、いずれかを選択するということかと思います。
 審査と支払ということについては、支払については、現在の実務処理上の制約から言えば、審査と一連のものとして取り扱われていると思いますので、健保組合が国保連を選択された場合には、審査及びその後の支払の流れも一括して国保連の作業の中で行われます。そういう意味では、観念的には齋藤委員おっしゃっておられるように、審査をどちらかが選択し、支払というのはもっと共通基盤でということも考えられ得るかと思いますけれども、現状の実務体制から申し上げれば、一体のものとして選択をいただくということかと思います。
○齋藤委員 審査と支払は非常に大きな格差のある機能ですので、そこをごちゃごちゃにして議論すると一歩も進まないという可能性もありますので、よろしくお願いいたします。
○森田座長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 審査支払機関を選択して、そこに医療機関が請求するというようなお話で出ているわけですけれども、選別そのものをまたまた医療機関の方に負担をかけるということになると、何のためのIT化かなという感じがするんですけれども、先ほど高田委員の方から、IT化で処理しろということが出ていましたけれども、我々としてもどこに請求していいのか分からないような状況は困る。もちろんコード化されるわけですから、請求としてはほぼ正しく出るとは思いますけれども、複雑になればなるほど誤りが出やすいし、現在でも請求先がないレセプトがみられます。保険者変更がたびたびあったりする場合、特に現在、リストラされていますので、社保から一旦国保に移って、また社保に移るというようなケースも結構出てくるわけですね。実態としてそういうケースの場合、間の国保の部分が非常に短いとそれが抜けちゃっている。でも、保険者としては加入日、脱退日で責任をとるわけですから、そうすると、払えませんということになると、医療機関が、じゃ、この保険はどこかと探さなければいけないということになります。実際はなかなか探せないわけですね。治療も終わっていると、こないということですから。そういったことが実際起こっているのに、更にそれが複雑になって、しかも、そのやりとりを医療機関側が選別でちゃんと出せということになると、非常に難しいというか、またまた負担がかかるということで、IT化であるのであれば、もうちょっと負担がかからない方法でやっていただきたい。
 特に、請求先がいろいろ変わるのであれば、一括で請求しておいて、何らかの機関がIT化で振り分けるということをやっていただかないと、医療機関としては非常に負担が重いと思います。
 また、現在のように、行き先のないレセプトが出るということが実際あるわけですから、そうすると、我々は国民皆保険ということで、どなたも保険に加入していることを前提に医療を当たっているわけですね。医療としては、国保であろうと、社保であろうと、変わらず必要な医療を提供しているわけです。そうすると、その間に保険はありませんでしたと言われても非常に困るわけですね。しかも、実際には加入しなければいけない部分がどこかに行っちゃっているということがしばしばあるわけで、そういったことはIT化であるならば、支払の中で調整していただきたい。患者さんから徴収するのであれば、そちらでやっていただきたい。医療機関がなぜそこまでやらなければいけないのかというのは非常に疑問に思っていますので、IT化の中でこれらをやるのであれば、IT化の中できっちり責任が取れるようにやっていただきたいなと思います。
○森田座長 この点、事務局は何かございますか。
○吉田保険課長 この検討会で最後まで御議論をいただくのか、事務方として引き取らせていただいて、また関係者の方々と実務的なご相談をさせていただくのかということはあろうかと思いますが、本日の資料の2ページ目の下のところにも書かせていただいていますように、今、高田委員、あるいは遠藤委員からの御発言をいただいたことに関して言えば-IT化という大きな流れの中で、どこまで事務処理を簡略化することができるかという点については引き続き追求させていただくとして-現に、まだその途上にあり、紙レセプトもある中で、医療機関から出たレセを、今の遠藤委員のお話で言うと、だれかが振り分けるということになったとして、仮に従来どおり被用者保険は支払基金に提出いただくことにすれば、支払基金がその中からピックアップをして、その保険者の方の分だけの紙レセを含めて国保連にお渡しする。それも全国に散らばっている国保連にお渡しをするということは、実務的にはなかなか難しくて、やはり医療機関から出るときに国保連を選択される保険者の方のレセプトについては、当該国保連の方にお願いする、伝えていただくということが現実的だろう。とすれば、そこのときにどうやって医療機関の方々が、このレセプトについては支払基金ではなくて、地元国保連に請求するものだということを認識していただくかというところの方法論として、私どもとしては「保険者番号」という形で-すべて今、記号化されたものが流れておりますので、高田委員のおっしゃったように、一定の保険証の切りかえに関してのコストがかかるという事実もあろうかと思いますが、そのあたりは、タイミングを含めていろいろと御検討いただくような形ができないだろうか。「保険者番号」という認識のところにおいて、行き先が分かるようになれば、それをもってして、国保の流れの中に自動的に組み込めるような仕組みとすることが現実的ではないかということで、このような提案をさせていただいております。
○森田座長 遠藤委員、どうぞ。
○遠藤委員 今のお話の中では、要は、保険証が適切に確認されている場合は、当然そのように流れると思いますし、今、レセプトコンピュータでやっていますから、振り分けは自動的にできると思うんですけれども、問題は、その保険証が正しく提示されているかどうかということが、現在でも、これは健保連その他の方の保険証であっても、辞められたその日に回収されていないんですね。ほとんどの場合。ひどいものになると、数カ月にわたって回収されないのもある。全く回収されないまま、残っている保険証もあるわけですね。そうした中で、間違いが起こったときに、今度は、請求先の問題、また、トラブル等で簡便なのかということなんですね。ちゃんと確認されていれば、ルールどおりでそんなに大きな問題は出ないかもしれませんけれども、実際には未確認、又は古い保険証の提示とか、そういった問題が実際起こっているわけですから、そういったときのトラブルで、現在、医療機関というのはかなり負担がかかっている。それが、こういった複雑なことになって、請求先も違うと。それぞれ責任の取り方も違うといった場合に、本当にいいのかなという部分があるわけです。その辺のところを解消していただけるのだったら、それこそIT化で一括請求した際に自動的に振り分けていただければ、それはありがたいということでございます。
○森田座長 齋藤委員、どうぞお願いします。
○齋藤委員 さっきの続きで、選択の問題なんですが、保険者の方がそれぞれの審査機関にいろいろな注文というか、評価を持っておられるのは事実だと思うんですが、一方、医療機関側も、審査の内容等についていろいろな意見や希望、あるいは評価を持っているわけなんですね。そうすると、国保と支払基金を選ぶというときに、保険者だけが選んでよいのかと。医療機関の評価があって、ここは非常に不当な審査を行っているとか、それから、この間もちょっとある評価をいただいたんですが、その審査について不服があっても、説明が非常に不備であるというような御指摘があって、そういうことが適切に競争原理の中に入ってこないと、保険者による選択だけが入ってくるというのは、いささか片手落ちではないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。
○森田座長 事務局、お願いします。
○吉田保険課長 事務局がお答えするに重いテーマだと思いますので、まさにこの場で御議論いただければとは思います。今回提案させていただいたのは、これまでの議論の流れの中で、そもそも「審査支払」というものが保険者が行っておられる業務を外に委託をするもので、そうはいっても相手方である医療機関の方々との間は公報上の契約であるということもあるので、いろいろな面で関係を持ち、合意をしながら進められているという前提をもとに「審査の委託先についての保険者側の選択肢を増やせられないか」という視点から本日は整理をさせていただきました。
 齋藤委員がおっしゃるように「そもそも競争ということをどう考えるか」ということまで出てくるかと思いますので、また必要があれば、この場において御議論いただければと思います。事務局としては、まず「保険者側の選択肢ということに着目した整理」を本日はさせていただいたつもりであります。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、横倉委員からどうぞ。
○横倉委員 先ほど来、遠藤先生と齋藤先生のおっしゃるとおりなんですね。実は、被保険者が正しい保険証を常に使っていただいているという前提であれば、そういういろんな提案が通るわけですが、実際は、1万件のレセプトの中に10件ぐらいの割合で、期限切れといいますか、被保険者でない保険証を使用されているのが現実にあります。それで、その処理に医療機関は非常に大変な思いをしているということと、それと、今の審査の在り方ですね。何をもって審査のコストを反映をするかと。本来、審査というのは適正な医療がされているかどうかというのが評価の対象であろうと思いますで、そうなれば、査定率の高いところがいい審査だという評価には当たらないのではないかということで、そこら辺のできれば共通した認識のもとでの議論をお願いしたいと思っています。
○森田座長 あと、手を挙げられたのは。高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 私どもの方は、保険者は1つですけれども、支部ごとに見ても47ありますが、一番小さい鳥取の支部でも加入者は20万人おります。ですから、先ほど来からこの資料を見ていて、これは私ども、今の段階でこれをするつもりはありませんけれども、これでどうですかと言われても、要は、協会けんぽにとってはできないことを言われているのも同然でありまして、議論のそもそも出発点にも立っていないのではないかという感じがします。
 それは別にして、ここに書かれている、保険証をまず変えてくれという話は、これは土台、保険者に対して非常に無理を強いている話でありまして、しかも、今ここに書かれている前提、2ページの四角の2つ目の最初の?@で、保険者番号を変える必要があると書いてありますけれども、これを読んでおりますと、その前提は、ある保険者が、自分が現在、審査委託をしている、例えば支払基金、どこかの県の支部、そこに自分のレセプトを一括全部、100%そこに委託をするという前提で書かれているように読めるんですけれども、それは保険者にとっては非常にリスキーな話で、幾つか分けて出したいとか、そういうニーズがあるはずなんですけれども、ある日突然、全くシミュレーションも予備演習もなく、ボンと100%別のところに出すというのは、普通の保険者は行動としてとらないと思います。ですから、ここに書かれている前提は、まず、非常にやりにくい話が書かれているということだろうと思います。
 ですから、一括じゃなくて分割というのはないのかと。普通は、例えば、民間の査定の専門の業者さんがいらっしゃいますけれども、使う場合には、少しずつ分けて出して、使いながら様子を見ていきますから、ある日、支払基金でどこかの支部から、どこか別の県のここにお願いしますよと、100%全部移すという決断は、まず普通は誰もしないだろうと思います。
 それから、今、ここは保険者側の話を書いてありますが、審査支払機関の側にとって、これは私は受けられない話じゃないかと思います。といいますのは、例えば、はっきり言えば、私どものところがおたくの支払基金の支部とは今度は100%やりませんと。ほかのところの国保連に行きますと言った瞬間に、そこの支払基金の支部は、経営的には多分半分でレセプトはなくなりますので、どういう経営になるのかなと。
 あるいは、国保連だったら地元の市町村がかなり集団で出て行かれた場合、経営的に一体どういうふうにするのか。もう一つは、今度は逆にいっぱいきたときに、どういう運営体制をとれるのかと。特に、お医者さんの確保などが要るはずですから、そこの考慮がないと、手続の話を今ここで議論されていますが、受け入れ態勢の議論は全然ないので、それはかなり無理がかかっているんじゃないかという気がいたします。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。山本委員、どうぞ。
○山本委員 一緒にする話は、ここの議論ですから、競争議論のところがこうしたまとまり方をするのは一定の理解をするんですが、一緒にしようということなので、保険者側の論点しかないと思うんですが、実は、請求する側からしますと、先ほど遠藤先生がおっしゃったように、極めて負担が増えてくる。一方で、保険番号、多分医科の場合、歯科の場合は、明確に患者さんは見せる習慣がありますけれども、調剤では、見せろと書いてあってもほとんど見せませんので、フォローアップができない。しかも、かなりの率で誤転記というのがありますので、そこのフォローができない。加えて、競争関係は一体何を機軸に競争させるのかというと、ここは、費用なんでしょうか、それとも査定率なんでしょうか、そこが見えてこない。もし査定率であれば、うまくいった結果、どんどん査定される方へ回されて、しかも保険番号が分からない。手間がかかる。一体、医療提供側は何をすればいいのか。ちょっと論点がはっきりしないので、そこは正確に、どういう機軸で選ぶのかということを、使う側の方のこともお考えいただいて御提案いただければありがたいなと思います。
○森田座長 ほかにいかがでしょうか。
 では、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 山本委員の言われることに賛成なんですが、競争と言った場合に、もうちょっと国民が利用する医療保険の審査に求められる機能は何なのかと。そういうような、ある程度基本論に立たないと、いろんな技術論で、保険証を発行したらいいけれども、手間は大変だとか、そういう末梢のことを議論しても、なかなかまとまりに到着しにくいのではないかなと思っております。そもそも求められている競争の機能は何なのか。そういうことをある程度意思統一していかないと、結論に到着しにくいのではないかと思っています。
○森田座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。どうぞ、渡辺委員。
○渡辺委員 今まで各委員のおっしゃったこと、全く同感で、私もこの会、今日で10回日目ですが、そもそも何のためにこの会議をやっているかということを考えると、はっきり言って、国民に物すごく分かりにくいんですね。だから、そもそもスタート地点は、民主党政権が、この2つの機関が競争原理が働かないから統合するといったような発想だったと私は記憶しているんですが、それに応えようとすると、統合と競争ということは相矛盾するという第1回目の会合でもたしか高橋委員もおっしゃったと思うし、相矛盾するものをある意味では抱えながらやっている。まさに齋藤先生おっしゃったように、国民のサイドから、あるいは医療提供体制、あるいは保険者、そういったサイドが何が大事かといったら、とりあえず今のところは手数料が不透明じゃないか、あるいは格差があるんじゃないかという問題、それから、査定率の問題、とりあえずその2つがこの議論の中心だったんじゃないかと私は考えています。
 ただ、査定率に関しても、あるいは査定の在り方に対しても、この委員会で随分医療提供者の方から議論が出たように、例えば、本当に田舎に行ったら、何か月分の薬を出さなければいけない場合もあるといった現実がある。つまり、地域性があるという問題も随分出されたので、ある程度の幅というか、そういったものも考えないと、現実に、ただ審査、支払を効率化すれば済むという問題ではないという意味で、齋藤先生おっしゃったこと、私は理解いたしました。
 問題として、とりあえず今できること、そして、国民が分りやすく、納得して進んだぞというものは何かと言えば、例えば手数料をもうちょっと明らかにしろ、あるいは、審査の過程といったものを、例えばこういった地域事情があるからやむを得ないなんだということも含めて明らかにすること、そういったことをしないと、ただ効率化、ただIT化ばかりやっていて、まさに全然進まないし、失礼ながら、私も含めてなんですが、聞いている方は全然分からない。議論が。というような気がするので、もうちょっと絞って、とりあえず今、改正することは何かということを絞るべきじゃないかと私は思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 ちょっと議論を整理させていただきますと、これまでのこの検討会の審議ですけれども、少なくとも基準の統一化ということについては、皆さん御了承いただいていると思います。現在、審査支払体制につきましては、民主党もそうですし、いろいろと論点というか、批判として指摘されておりますのは、要するに、2つの体制が存在していて、それぞれが独占的な形で運営されている点。そして、両者の間で必ずしも連携がとれていない。この形そのものが問題ではないかというのがそもそもの問題の指摘だったと思います。
 どう変えていくかというときに、一元化し、統合してはどうかという論点も出ました。これは御検討いただいたところでございます。他方では、競争原理を入れた方がいいのではないかという議論がされているわけでして、競争原理を入れるとしたら、どういうことが考えられるのかというのが、今日提出した論点でございます。
 競争といいましても、統合の場合には、基金の方と国保連の方を一緒にするという話ですから、比較的具体的なイメージが得られやすいと思いますけれども、競争の場合には、どことどこが競争するのかというのは、今日の1枚目にありますけれども、いろんな形が考えられるわけですし、一方の最もラジカルな形と言っていいのかどうか知りませんけれども、直接審査まで入ってくるということです。
 その中で、どういう形で競争を考えたらいいのかというのが、本日、御議論いただいているところでございまして、具体的、現実的なものとしては、国保連と基金の間で相互乗り入れをすることによって、もう少しその両者の間での競争というものが可能ではないかということです。
 そもそも、競争ということが一本化、一元化した場合には、経済学的に言えば、独占の弊害といいましょうか、いろいろな問題が出てまいります。その方がガバナンスがうまくいって効率化するという可能性もありますけれども、今までの経済学なり何なりの言うところでは、競争のもたらす効率化のメリットというのも相当あるのではないか。ただ、適正な競争を行うためには、それ相当の環境条件が必要であるということで、その環境条件というのが現実にどの程度可能であるのかというのがここで提議されているところだと思いますし、本来、御議論いただきたいところでございます。
 競争条件を成り立たせるために、例えば先ほどの被保険者の番号などもそうですけれども、テクニカルな問題というのはかなりございます。そのテクニカルな問題をクリアーするために、どの程度、例えばIT化によってそれをクリアーできるのか、あるいはできなくて、医療機関側に負担がかかってくるのか、この辺は、ある意味で言いますと、詰める段階で御議論いただくところだと思いますし、もう一つは、番号にしましても、将来的に共通番号なり統一番号なり、あるいはそれを処理するための仕組みという、コードを連携させるような仕組みも技術的には可能なわけでして、それに発生する経費というのは、移行期に伴う経費であると言えます。移行期に伴う経費が非常に大きいから、これ全部競争の仕組みというのが不適切だというのは、やや議論としては論点がずれているのかなという気がいたします。
 そうした意味で言いますと、そもそも競争をもたらすときに、何をもたらすのか。齋藤委員が御指摘になったところですけれども、それはいわゆる理論的、抽象的には、競争はある意味では効率化をもたらすということを言われているわけですけれども、この場合に適用して、それがどのような形でうまく動くのか、何が障害なのか、その辺について少し御議論いただければと考えているわけです。
 これは、選択肢は競争だけではなくて、先ほども申し上げましたように、統合の方もあるわけでして、最終的にここでどうするかということについては、もう少し御議論いただいた後で、それぞれの評価というものもしなければいけないと思っております。この時点でこういう整理をさせていただきましたけれども、その点も踏まえて、更に何か御意見ございましたら、御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 競争をすることによって一般に物事がよくなるとか、そういうことは底流にあるのですが、競争によって生まれてきたものが我が国の国民皆保険制度のもとにおける保険の審査にとってプラスになるのかどうかという視点が常に持たれていなければいけないと思うんですね。そうすると、国民皆保険制度のもとにおける保険の審査の体制で、今、不適切なところは何なのかとか、どこが是正されるべきなのかとか、そういうあるべき姿に照らして統合したり競争することが、よりあるべき姿に近づくのだと、そういう感触がないと、細かい技術でIT化を使って競争すればよくなるだろうというと、必ずしもそうではないような気がするんですね。逆に言うと、今のままだっていいじゃないかという見方だってないとは言えないわけなので、それなもので、何となく各委員は御意見を出しにくいし、意見が出ても、瑣末なことに終始しているような場合も少なくないんですね。ちょっと失礼な言い方ですけれども、そんなような気がしております。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかに。長谷川委員。
○長谷川委員 横着な言い方かもしれませんが、現況について改善余地がないかといえば、これはあるというのが、この検討会の出発点だと思います。それを確認させていただくと、実際、審査基準については、査定率という結果で見ると、どうもばらつきが大きいんじゃないかというのが1点であると思います。
 2点目は、高コストではないかという疑問です。これは見方によって違うのですが、組織によって経費率が違うということを考えると、高コストの組織があるのではないかというのが2つ目の問題点だと思います。
 3つ目は、せっかくレセプトの情報が、医療の透明性を高めるとか、標準化に寄与するということで非常に重要な情報なのですが、十分活かされていないだろうとの疑問です。この3つが出発点だったと思います。
 こういった議論をするきっかけになったというのは、IT技術の飛躍的な進歩です。ITを前提に、ITであれば何でもいいという話ではないと思いますが、もう一回見直すというのは、この検討会の大きな存在理由であると考えます。競争についても確認しておく必要があります。競争というのは、別にコストだけの競争ではありません。今、申し上げたような3つの問題を解決するのに寄与するような組織が、今後中心的なプレーヤーになっていただくような、そういった方向性をどうやって設定するかも競争です。競争というのは、ルールをどのようにつくるかによって、どんな競争になるかは決定的に変わってきますので、ここは是非この検討会でむしろ議論を深めていただく、そういった内容ではないかと認識してございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 議論しにくいという御意見もございましたので。
○長谷川委員 遠藤委員が先ほど御指摘になった保険者の資格確認については、現行の仕組みにかなり問題があります。恐らくICカードのようなもので、サーバーにつないで、受診の都度、資格確認をするという仕組みさえあれば、今、医療機関を悩ましている問題はほとんど解決がつきます。それは事務処理の問題でもありますし、最近ですと、例えば無保険者の問題で、1枚の保険証を複数の方で使い回しすることがあります。そうなると、個人確認の点で医療安全上も問題が生じるということで、ただのカードがいいのか、生体認証を取り入れるのがいいのか、これは技術的な議論だと思うんですが、その部分で恐らく解決がつく話だと理解します。それをもって、今、保険証がどうも従来の効力が薄れてきているから、審査支払の議論はそこを解決しないとだめだというのではなくて、これは並行してむしろ議論していただければ良いと思います。
○森田座長 どうぞ。
○渡辺委員 今、長谷川委員のおっしゃったこと、ほぼ賛成というか、そのとおりだと思うのは、まさに今、何が問題か、つまりどこに改善すべき点があるかと言えば、審査基準の問題は、確かに余りにもばらばらだなと。私はある程度のばらばらさはあっていいと思いますが、余りにもばらばらだなという点。査定率も同じようなことが言える。それから、コストとおっしゃった。手数料ということも含めたコスト。あとは、レセプト情報という3点を長谷川委員はお話しになって、そういう改善すべき点は全くそのとおりだと思いますので、今、問題なのはそれで、ただ、そのときに、先ほど来言っているとおり、あるいはこの委員会でも随分議論が出たとおり、査定は、医療側からすると、これはこっちのあれでは認められたのに、こっちでは認められないといった意味の不満が逆に一方であるし、それから、逆のケースも、今度は保険者の方から、つまり、見る方によって全然違った意味の査定率のある意味の不満というか、あるいは基準に対する不満、不信というのもある。つまり、一言で言うと、医療現場、あるいは地域性ということもこの委員会で随分議論出たわけですが、そういったものも反映させながらやらないと、この問題は進まないという難しさは、この検討会には私はあると思っておりますので、大変難しい作業なんですが、それをやらなければいけない。
 一方で、また、先ほど遠藤委員がおっしゃったような、被保険者の確認、確かに我々、毎回毎回、1か月たつと病院でまた被保険者証を出すということをやっていますけれども、一方で、それこそ数百万人単位の無保険者がいるという現実もある。あるいは、もっと言えば、地域によっては、患者3割負担の3割をもらわなくてもやっているという医療機関もある等、いろんなそれが先ほど言った地域、現場の実情で、そういったものも反映させなければ、結局ここだけで、いわば中央で、この委員会でこうだと結論を出しても、地域はついてこれないと私は思いますので、その辺も先ほど言ったように包含しながら、改善すべき点を進めていくと。大変難しい作業かもしれませんが、そういうスタンスでやる必要があると私も思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 幾つかの論点で、大体皆さんの御意見は共通するところがあろうかと思います。これはまた統合化、競争化ということについて、どういう形で整理をするかということを、いずれにしても、また御議論いただかなければならないところだと思いますので、本日のところは、この議論はこれくらいにさせていただきたいと思います。
○吉田保険課長 今のような仕切りで、統合あるいは競争促進という点についてこの会議で御議論を深めていただければと思いますが、事実関係だけ申し上げますと、この議論をお願いしている中で、今の状況の中でも、被用者保険の枠内にいるけれども国保連に受託をしたいという保険者の方の声もありまして、それをどう対応するかということも事務方として抱えているということだけ1点申し上げたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 また少し整理させていただきますと、少なくとも診療報酬に関しては全国一律の基準です。それで、裁量の幅はありますけれども、その幅の中で地域差が出るという場合には、齋藤委員の御指摘もございましたけれども、合理的な、リーズナブルなローカルルールが適用されなければ、保険の仕組みとして必ずしも望ましいことではない。その意味で言いますと、基準が共通で一定の地域差があるにしても、合理的な形で基準が適用されるということになりますと、査定率による競争ということ自体の競争の余地というのは論理的には余りないのが望ましいということになろうかと思います。
 そうしますと、次の競争の話は、いわゆる事務的なコストの話になりますけれども、それが国民経済的に見て効率化されるという話、ただ、その場合のコストが医療機関ないし保険者の側にある程度発生するとなりますと、これはまたちょっと別の問題だということになります。その辺を総合的にもう一度事務局の方で御整理いただいて、そしてまた統合の方と併せて御議論いただければと思います。
 それでは、この議論、これぐらいにさせていただきまして、では、次に、第8回及び第9回の議論を受けて、事務局で整理していただきました審査体制の在り方に関する諸論点について。これは前回も御議論がありましたところ、整理をしていただいたものです。これについて御説明いただきまして、それから、併せまして、支払の早期化、また、レセプトのデータ活用、先ほどもITの話が出ましたけれども、それに関する資料についても、簡潔に御紹介いただけばと思います。よろしくお願いいたします。
○吉田保険課長 まずは「参考資料1」。行政刷新会議事務局から11月10日に私どもの方に要請をいただきました。具体的には、これまでの刷新会議における事業仕分けの結果を確実に反映するようにという趣旨で受けとめておりますが、特に3枚目、本検討会において御議論いただいています国保連及び支払基金の統合という事項につきましても、指摘内容のところにございますが、「第1弾の評価結果を受け、議論を行っているとのことであるが」「レセプト審査率と手数料の連動及び国保連・支払基金の統合といった見直しが行われていない」との御指摘をいただいたところでございます。引き続き、この会議において御議論をいただいていることかと思いますけれども、このように刷新会議からは評価をされているということを、まず1点、冒頭御報告したいと思います。
 その上で「参考資料2」「5」に、これまでの8回、9回、あるいはこれまでの議論についてまとめた資料がございますので、適宜御参照いただくとして、中心となりますのは、「資料3」審査体制の在り方に関する諸論点についての第8回、9回の議論(事務局整理案)でございます。
 前回、前々回御議論いただきましたことによって、従来、オープンクェスチョンになっておりましたところで一定の方向をおまとめいただいたものを整理しました。
 1つは、専門診療科におけるレセプトや中央レセプトについて、一定の高度・専門性を有するレセプトについては集約をしていく。その場合には、一定の高額なレセプト、あるいは希少性のあるもの、エビデンスが確立していないものを集約化していくということがこの会議での御議論だったと思います。この具体的内容については、引き続き、私ども事務方の方で実務的に検討させていただきます。また、集約した機関をどこに置くかという点についても、少し実務的に議論をさせていただきます。2つ目といたしまして、現在あります特別審査委員会については、支払基金及び国保中央会での合同審査を目指すという方向をいただきました。また、そこ時点までにおいても、審査の均一性の確保のための取り組みを進めるべしというお話だったと思います。
 大きな事項の2つ目。再審査につきましては、上級の審査組織が一定回数以降の再審査を行う仕組みを設けるという御指摘あるいはコンセンサスをいただいたと思っております。具体的なその対象につきましては、実務的に詰めさせていただきます。なお、※2に書かせていただいておりますが、これまでの御議論の中で、特に上級の審査組織の判断を県単位の審査委員会の判断に的確に反映させていく必要があるという点については、私ども実務的にも少し工夫の要るところかと思っていることを申し添えさせていただきたいと思います。
 2ページ目、三者構成の仕組みにつきましては、いろいろと御議論をいただきました。私ども事務局としての受けとめは、現時点において積極的に廃止すべきというコンセンサスまではいただかなかったかと思いますけれども、この議論の過程で諸点御指摘をいただいております。例えば、そこに5点ほど個別事項を書いてございますが、4つ目にありますように「ルールメイキングの問題」と「ルールに基づき判断する仕組み」というような切り口からこの問題を議論したらどうかという御指摘も含めて、種々御議論をいただいたと思いますので、私どもとして引き続き並行して検討させていただきたいと思います。
 それから、調剤レセプトについては、支払基金の審査委員会に薬剤師さんを位置付けるというコンセンサスをいただいたかと思います。具体的な時期につきましては、いろいろと諸手続ございますので、少し私どもの方、実務的な検討にお時間をいただきたいと思います。
 それから、保険者の直接審査に関しましては、現在の調剤レセプトの審査において認められている紛争処理の仕組みを医科・歯科のレセプトに活用するという御議論をいただいたと思っております。なお、これに関しましては、「紛争処理の仕組み」についてのコンセンサスとは別に、現在のルールにおいて対象の保険医療機関の同意が前提条件となっている点についてもそれぞれの観点からの御指摘があったということでございますので、これについては引き続き検討が必要かと思っております。
 以上のようなことを踏まえまして、3ページ目以降に、既に第8回に提出させていただいたペーパーから、少し整理ができたものについては三段表を二段表に整理させていただきました。
 そういたしますと、特に今後御議論をいただければと事務局が思っておりますのは、3ページ目にございますような、本日、この後に御説明申し上げます「定量的な検証」を統合あるいは競争促進という議論の中でどのように扱うかなどなどの点かと思います。以下は整理をさせていただいたものでございますので、また御議論の中で取り上げいただければと思います。
 以上のようなものを踏まえまして、頭の中の構造といたしましては、本日の「資料1」にございますような競争あるいは統合志向というそれぞれの議論があったかと思います。先ほど来多くの委員の方々、あるいは座長から、分りやすくもう少しこれについて整理をすべしという御指摘をいただいておりますので、今日これからの御議論も踏まえまして、事務局として次回までにまた少し委員の皆様方の整理をしていただくためのたたき台のようなものを整理し、またお諮りをしたいと思っております。
 なお、支払基金の方から「参考資料3」として、前回までに議論になりました、医療の地域差と審査の地域差の関係、あるいは、医療の地域差を勘案した審査の実施、あるいは審査委員会に対する保険者の関与、あるいは原審査の査定に関する情報の開示について、コメントをいただいておりますのでお配りしております。
 また、これは後ほど適宜補足いただければと思いますけれども、「参考資料4」として、全体の議論の論点について高田委員からの「意見」がペーパーでお示しいただいておりますので、お配りしております。
 以上が全体の関係でございますが、手短にあと2点、本日新たに配付をさせていただきました「資料4」早期化と「資料5」レセプトデータの活用について、簡単に御報告をいたします。
 審査支払の早期化につきましては、過去、この会議において、現在の検討状況、IT化などの取組みを含めて早期化できないかという検討を始めているということを御報告申し上げました。その後、「資料4」の3枚目でございますが、各関係団体との間で検討、あるいは調整を進めさせていただいた結果として、現時点においては、現在の審査支払の期日から、国保及び広域連合については短縮をする-現在、例えば4月診療分のレセプトについて言えば、国保に関係、地域保険においては、6月25日もしくは末日となっておりますものを早期化する-という方向を来年度における実施を目指して進めておるところでございます。なお、被用者保険者サイドにおきましても、関係者の方々と議論をしておりますので、引き続き、御理解をいただいて、早期化に向けて、できることから進めさせていただきたいと思っております。また、今後のレセプトの電子化については、来年4月から歯科の原則レセプト電子化、あるいは保険者におけるレセプトのオンライン化というものも始まりますので、このような取組みも踏まえて進めたいと思っております。なお、早期化につきましては、去る11月15日の医療保険部会でも報告をしております。
 それから、最後でございますが、「資料5」レセプトデータの活用に関しましては、これまでも本会において、審査支払機関が行う審査にどのようにレセプトデータを活用するかという観点、あるいは広く、世のため人のため、国民の方々に情報を開示することによって、公衆衛生や健康政策というものに対して活用するという視点からのデータの活用というものを御報告し、また、御議論いただいたかと思います。そのような形を加えまして、いわゆる審査支払の点検業務の効率化だけではなく、保健事業への活用ということも、特に保険者サイドにおいて行われている、あるいは行われることが期待されるという資料を用意をさせていただきました。具体的には2ページ目でございますが、これは広島県の呉市の国民健康保険における取組みを事例として紹介させていただいております。レセプトデータを活用することによって、後発医薬品の差額通知を行い、使用促進を図る。あるいは、生活習慣病の二次予防、三次予防に対して、レセプトと突合した各種のデータにおける受診勧奨ですとか、個別指導による重症化予防という形にレセプトデータを活用している先例、実例があるということ。あるいは、複数の医療機関に同一の傷病名で受診されている方をレセプトデータから抽出をし、訪問指導などを行うことにより、いわゆる重複受診、あるいは頻回受診ということに対して対応をされているということ。あるいは、調剤レセを点検することによって、別々の医療機関で同一成分の薬剤を重複して利用されている方をピックアップし、地域の医師会などのご協力をいただきながら、これに対しての必要な対応をとるということも行われている。一つの例ではございますが、レセプトデータの活用ということからは、このようなことも期待され、そういう意味からもIT化というものに対して期待は高まっていると私どもとしては承知をしております。
 3ページ目、4ページ目につきましては、先ほど長谷川委員からもお取り上げいただきましたけれども、過去、この検討会においても御報告をした、国におけるレセプト情報あるいは特定健診情報データベースについて、去る10月から始まっております『レセプト情報等の提供に関する有識者会議』で具体的な提供ルールを検討し始めているということ。前回、この会議において御報告させていただいた以降の新たな動きとして、今日、追加で御報告をさせていただきました。事務局からは以上でございます。
○森田座長 ただいまの御報告、幾つかの論点が含まれているかと思いますけれども、最初のところは、前回いろいろ御議論いただきました再審査等について少し整理をしていただいたというものでございますが、それ以降、それも踏まえまして、支払の早期化の問題、そして、レセプトデータの活用の問題ということについても御報告いただきました。これについてはいかがでございましょうか。
 横倉委員、どうぞ。
○横倉委員 刷新会議の御意見の中に「レセプトの審査率と手数料の連動」ということが出てくるんですけれども、本来的には、これはレセプト審査ということを考えていく場合には、連動というのは非常に問題があるなと、そういう受けとめ方をされると大変だなという思いがあるのと、いわゆる連動しない場合、固定的な経費というのは幾らかあるんだと思うんですね。審査をするための。それプラス査定率の問題というのは、どれだけ変動率があるのかということについて、何か基金か公庫でデータをお持ちであればと思うんですが。
 それと、審査率と手数料の連動ということについて、委員の先生方はどのようにお考えなのかということをお聞きしたいと思いますけれども。
○渡辺委員 それに関連して。これは吉田課長に伺うのは酷というか、筋違いかもしれないですが、今の仕分けのあれで、要するに、11月9日、まず、今、横倉委員がおっしゃったレセプト審査、手数料の連動は9名が賛成したということですね。それから、国保連の基金の統合が15人中11名。更に、指摘内容を見ると、下から3行目から2行目、要するにこの仕分け会議としては、レセプト審査率と手数料の連動が1つ、及び統合、この見直しが検討会で行われていないと言っているわけですね。検討会はやっていると言っているけれどもと、こうなっていますから。ということは、最初からこの検討会に対して、審査率と手数料の連動と統合、2つを早く結論を出せと言っているんですか。吉田課長を責めてもしようがないんだけれども。ならば、是非、だれが仕分け人をやっているか知らないけれども、国会議員と民間人だと思いますが、是非いい意味での議論公開という意味で、仕分け人の方、何人でもいいから、是非この会議に出てきてもらいたい。私の個人的要望として言っていただいても結構だけれども、議論が進まないですよ。あっちで勝手に仕分けをやっていて、こっちはこっちで議論をやっていたんじゃ、国民の前で公明正大な議論をやるならば、堂々と仕分け人と私たち検討会が議論しないと、検討会はこの2つをすべきであると言っているわけですね。どうしてもこれでは意見がいつまでたったって一致しないという気がしますので、これは要望としてお伝えします。
○森田座長 課長、お答えになりますか。あるいは、これは刷新会議の方からの通告といいましょうか、文書なものですから。
○吉田保険課長 事務局としては、今の御発言を受けとめさせていただきたいと思います。
○森田座長 今の仕分けの見直しで、前回の仕分けの結果に対して、まだ答えが出ていないところに対して、こういう文書が来ているわけですけれども、こういう要望に対して、私たちとしましては、この検討会できちっと専門家の方が集まって、筋の通った形での結論を出すべく、ただいま努力しているところですので、議論の結果、きちっとしたものを出すというのが、一番適切なお答えになるのではないかと思います。よけいなことを申しましたけれども。
 では、刷新会議についていろいろ思いはおありになると思いますけれども、これは余り議論をする意味もないと思いますので、これを除いて、ほかの先ほどの吉田課長の説明についての御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 高田委員、どうぞ。
○高田委員 資料3の1ページ目のところなんですけれども、下の段の再審査の仕組みでございます。前回いろいろ議論が出て、今回、事務局整理案の方を右のところにまとめていただいているんですけれども、ちょっと私の理解が悪いのかどうか。要は、○のところで、「県単位の審査委員会の決定では納得を得られない個別事案について、上級の組織が一定回数以降の再審査を行う」ということは、結局、もともとの県単位の審査委員会で1回以上再審査をやって、その上で上級の再審査を行う仕組みを設けるということを整理されているんだと思うんですけれども、ただ、いろいろな意見が出たと思うし、今のベースのままやったら、確かに数とかは増えるでしょうけれども、といういろいろなことを絡めないと、仕組みとして、そこがまだちょっと議論的にどうなのかなと思うのと、前回ちょうど所用で欠席だった高橋委員にもこの辺、保険者側として御意見をいただけたらなと思いまして、済みません、振らしていただきました。
○森田座長 高橋委員、御指名ですけれども、何か御発言ございますか。
○高橋委員 私もずっと不在にしておりましたので、資料を見るのは今日初めてなんですけれども、「一定回数以降」というのは、意味がよく分からないですが、普通は、原審査をした審査委員会が1回は再審査の受付をやるというのは私はそれは当然だと思うんですね。1回査定して戻してしまうと、知らない間に上に行っちゃって、全然、保険者側あるいは医療機関からも出るかもしれませんが、そういうことの話が何もなくて急に上へ行くというのは変だと思います。1回やって、ある程度話をした後、その後、一定回数以降というのは、2回も3回もやる、そういう意味だと妙な感じがするんですが、1回こなして、あるいはもう一回あるのか、4回とか5回とかするのは非常に変だなという気がしますので、そこのイメージがよくつかめないんですけれども。
○森田座長 これは言葉の問題ですので、吉田課長、お願いします。
○吉田保険課長 まず、事実関係から申し上げますと、先ほどお配りしました「参考資料5」の8ページあたりに、前回、前々回における議論を事務局としての整理としてまとめてございます。高田委員の御指摘もございましたが、私ども事務局としては、いろいろな御議論のあった中で、今、高橋委員もおっしゃいましたように、1回やったものの再審査が全く通らずにすぐに別のところに行ってしまうというのはいかがなものかという御議論があったということを踏まえて、このような表現にさせていただきました。
 高田委員がおっしゃいましたように、今の仕組みを前提にした件数だけで物事を考えるべきではないとか、あるいは、具体的にどのような形にするかについての御議論は幾つかあったかと思いますが、まさにこの会議のコンセンサスとしては、ここまでではないか。そういう意味で言えば、一定回数が-今の高橋委員の言葉を借りれば4回とか5回というところまで、事務局としては率直に言って念頭に置いておりませんが-保険者側からいただいた1回はいいけれども、医療機関側から、それに対してもう1回きたときは、また別のところに行っちゃうのかみたいなところは、実務的に整理をする必要があるので、ある程度の原審査を行った審査委員会を通しながらも、そこでこの検討会の言葉を引用すれば、堂々巡りにしないような仕組みが必要である。それは費用対効果も含めて全体として考えるべきではないかというのが、私ども事務局が受けとめております前回までの御議論であったと思います。もしそこに齟齬があるようなことならば、御指摘いただければと思います。
○森田座長 「一定回数以降」の意味はそういうことだそうですが、よろしいでしょうか。
 このこと自体は、前回の議論、若干混乱したところがあったかと思いますけれども、整理をしていただいてこういうことになったということで、私が記憶しているところでも、特段こういう整理に対して御異論はなかったように思いますが、いかがでしょうか。
 あとは、今の論点を含めて、もう少し事務的に詰めていただくということで、これはよろしゅうございますね。
 では、その後の支払早期化、あるいはレセプトデータの活用についてはいかがでしょうか。
○横倉委員 ちょっとその前にいいですか。1つは、今の資料3の再審査の仕組みの※印の2番目ですね。判断基準の統一化の観点から、上級の審査組織の判断を県単位の審査委員会の判断に的確に反映させていく必要があると。基本的にはこれはそのとおりだと思うんですね。あるべきである。しかし、その部分で個別に見ていった場合は、どうしても少し食い違いが出る場合があるということも事実でございます。いわゆる文章にできるようなルールと、文章に書いていないようなルールの範囲では、少しそういう点があるかなと思うので、多分、上級の審査組織の判断を斟酌しながら実際は審査を行っていくというような状況になるのかなという思いがございますが、その点、事務局、どういうふうな思いでお書きになったか。
○森田座長 では、事務局、お願いします。
○吉田保険課長 事務局としては、裁判所の例を引かれて、この場合、この会議においても「二審、三審があるんだから」という指摘があったかと思います。それに対して委員の中からの御意見として、裁判所と今の審査支払機関における審査委員会の構造の違い、あるいは-これは委員のお言葉そのままではございませんので、吉田の受けとめの言葉が足されておりますが-司法の場合は、言わば法源として判例というものが規範性を持つものとして確立しておるかと思いますが、医療の場合には必ずしもそうなっていない中で、どうこの問題を考えるか。ただ、ルールの適用の問題ですとか基準という意味で言えば、やはり個別の審査委員会で合意が得られなかったものを整理をするための上級の審査組織というものを設ける以上は、何らかの形でそれがフィードバックして、それがある程度標準化にきちっと棹さすようなものにすべきという御意見があったやに思っておりますので、そのような関係からここを書かせていただいております。
 ただ、横倉委員おっしゃいますように、では具体的にどういう形でやるのか。私どもとしては、一定の上級の審査委員会-これは上級に限らず、審査委員会の審査結果ということかと思いますが-、結果を公表していくことによって、あるいはデータを処理していくことによって標準化していく、あるいは標準化に対しての一定の働きかけになるということが、これまでのこの会議でのコンセンサスかなと思っておりますが、実務的な点については、また個別に検討させていただきたいと思っております。
○森田座長 山本委員、どうぞ。
○山本委員 資料3のところでありますけれども、最初の2ページ目でしょうか。これまで議論をしていただきまして、薬剤師を支払基金の審査会の方に配置するということについて、御理解とコンセンサスを得られましたこと、ありがとうございます。ここにも書いてありますように、当然、厚生労働省の方で検討していただいているわけですが、法の関係もございますので、できましたら、なるべく早い時期に、我々の希望としては来年度からと思っておりますけれども、なかなかそうは容易ではないのかもしれませんので、現在、今年の5月から各支払基金に調剤専門役を配置をされましたので、その任期が多分2年ということになりますので、できればその任期が切れるまでの間に一定の数の薬剤師の審査委員を支払基金の方の審査会に配置できるような手立てを講じていただきたいというのがお願いであります。
 もう一点、資料5の部分ですが、レセプトデータの活用について少し弁解をしておかなくてはいけないのかなと思うんですが、呉の事例で、さまざまな突合をしてみた。レセプトデータを使ってみるといろいろなものが見えてくる中に、調剤点検の中で、同一成分の薬が重複して使われているという御指摘がございました。この部分につきましては、同一薬局で同じ患者に対して同じものを出すというのは、いささか問題でありましょうけれども、現在、それぞれの患者さんが御自分で御自由に薬局を選べる中で、結果として一緒になってしまったという事例も中にはかなり含まれているのではないかということで、単に同じものをたくさん出しているぞというだけの比較ではなくお願いしたい。そのために、私どもとしては、かかりつけ、なるべつ一つの薬局で調剤してほしいとか、あるいは、手帳を持って、それを医療機関ないし薬局で見せるようにという動きをしておりますので、こうしたデータは大変貴重なデータとして私ども真摯に受けとめなくてはいけませんけれども、現実にはそうしたことを対応しつつ進めておりますことを御理解いただきたい。
 併せて、これはお願いといいましょうか、要望になりますけれども、その続きの最後に3ページになりますけれども、国におけるレセプト情報・特定健診等情報データベースの活用の中で2.でありますけれども、どうも我々性格でしょうか、長い間こういうところにいますと、医療費適正化というとお金を下げるというふうに常に取ってしまいまして、言葉に微妙に反応するのでありますけれども、レセプト情報を使った結果、ただ下げる方向に進むのではなしに、ここでも御議論ありましたように、患者さんに提供する医療が極めて適切な方向に進むようなそういう適正化という方向でお使いいただくような研究なり検討をしていただきませんと、単にここでの議論が査定率であったり、あるいは手数料であったりということになりますので、是非このあたりは事務局、データを使うときにもお考えをいただきたいというのを事務局の方にお願いしておきます。
○森田座長 ありがとうございました。
 最後の点について、長谷川委員、今まで何回か御発言があったところだと思いますけれども。要するに、私の理解で言いますと、レセプトデータの情報というのは、お薬が使われているときに、どういうお薬が使われていて、どういうのが非常に薬効があるかということについて、データ、情報が入りますと患者さんのためになると。そういう形でのデータ活用であって、適正化という言葉についての反応があるというのは分かりますけれども、ここはそういう趣旨ではないと私は理解しております。
○長谷川委員 適正化というのは、いろいろな意味で実際使います。ただ、適正化と言った場合、我々が評価軸をマネタリーターム、すなわち金銭以外に持たないと、適正化という言葉は、お金を減らすという意味にしかなりません。むしろ別な価値尺度をいかに導入するかということで、山本委員のお考えも変わってくるであろうし、我々はそれを変えるために努力しないといけないという点では、全く同じ認識だと思います。
○森田座長 高田委員、どうぞ。
○高田委員 関連して、私ども保険者の中で、さっきの呉の話もありまして、いわゆる薬の併合禁忌とか、その話だったと思います。それで、これは薬局さんとか医療機関云々ではなくて、先ほどの保険証の話と同じように、仕組みの問題だと思うんですね。ですから、今のマイ病院構想とか、国でもいろいろ考えていますけれども、そういった中で、医療機関に行ったときに、この方は、どこの医療機関でどういう薬が出ているとか、そういう情報を共有できるようにすれば、そこはおのずとなくなっていく。
 私どもは、高齢者の訪問事業をやっているんですが、その中で多いのは、結構お医者さんに行って、行くのはいいんですけれども、そういう情報をお互いに、本人にも伝えていないし、聞かれてもないみたいなので、ものすごい量の薬が出ていて、それは見たら、医者に行って、かえって危ないんじゃないかという場合が正直あるんです。そういう意味で、もっと大きいところで仕組みの問題で変えていく必要があるのかなというのが1点。
 それと、今ごろ私どもの中でもいろいろあるんですけれども、今、1枚のレセプトの審査の話がこの中でいろいろ論議されていますけれども、それ以外に、例えば向精神薬なんかでいきますと、自殺の関係なんかでも、山本委員も発言されていましたけれども、1つの医療機関で適正な量をもらって、その方が他の4つの医療機関から5つ適正な量をもらったとします。同じときに5倍もらっても、今の保険診療ルールではOKなんですね。ですから、そういうことを含めて仕組みの問題でそういうことがないような仕組みを早急に整えていかないと、これは国民のためにならない仕組みの部分であると思いますが、そこら辺はここではないんですけれども、本当に実際ありますので、御紹介させていただきました。
○森田座長 どうぞ。
○横倉委員 今のに関連して、おっしゃるとおりで、私どももできるだけかかりつけ医を持ちましょうということでお願いをしていますが、実は最近、長期投薬、非常に増えたんですね。それで、この前からある地域で、長期投薬をして、医師が見て、いろいろな弊害があったかという調査をしたら、結構多いんですね。今、3か月とか、一番長いのは6か月とか投与されている場合があるんですが、ある程度月に1度は受診をしながらというようなルールづけをもう一度、昔はこれは療養担当規則であったんですが、それが外れたために、いろいろな弊害が起きつつあるということも御報告をさせていただきたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかに。どうぞ、高智さん。
○高智オブザーバー 資料4と5の関係で申し上げたいと思います。
 まず、資料4でございますけれども、私、2回ほどこの会合を休ませていただきましたけれども、3回前でしょうか、診療報酬の支払早期化につきましては、たしか今では大企業の健保であっても資金繰り等の関係から難しいということを申し上げた経緯がございます。そのときの続きのお話を申し上げますと、経済誌の記者の皆さんはよく、大企業の健保組合というふうにくくって言われることが多いわけでございますが、御承知の方は多いと思いますが、健保組合の構成としては、そのほかに相互組合というくくりがございます。一定の業種、業態を集めて、相互組合、ゼネラルソサエティという言い方もあるわけなんですけれども、そういった相互組合におかれましては、常務理事さんが300人、400人の事業主と紐付けになっておりまして、保険料の徴収に日夜勤しんでいるわけでございますが、そういった方たちの御意見を聞きますと、とてもではないけれども、コストはともかく、手間が大変だということでございます。そして、医療保険部会でもこの資料が出されましたけれども、私は機運といたしましては、何も健保組合だけではなくて、前々々回の御意見を承っておりましても、ほかの保険者グループにおきましても、そう簡単なことではないと理解いたしておりました。したがいまして、厚生労働省さんの方でもくろんでおられる、意図されている、できるだけ早期にこの仕組みを導入したい。それから、その背景、意図、目的、趣旨ですね。これを勘案させていただいたとしても、なかなか前へ進まないのではないかと思っております。
 それから、もう一つ、保険者グループのみならず、審査支払機関、サラリーマン保険の場合の支払基金さんにおきましても、一定の最小限のシステム改編が必要だと考えておりまして、新たなコストが発生する。また、このコスト発生ということが有意なことか、効率的な方向に向くから、当座の支払としていいのかということをよくよく考えてみましても、なかなか合点がいかないと思っております。
 関連いたしますと、私ども健保組合、健保組合だけのことを言っているわけではなくて、医療保険全体がそうだと思いますが、なかんずく健保組合は、いろいろな負担に耐えておりますが、800億から900億円台にかけての審査支払機関へのコストがかかっております。それは、サラリーマングループ全体でございますけれども、その800億ないし900億という大台が、とにかく高コスト体質だということで、先ほど渡辺委員からもございましたが、そこは何とか、何%、できれば2桁台でばっさり切れるような方向に持っていかないと、制度の屋台骨にも大きく影響してくるものと考えております。したがいまして、もう少しフレームの大きさを変えて、グレードアップして、また、パノラマチックに見えるような形で御議論が必要かと思っております。
 次に、資料5でございますが、レセプトデータの活用について。以前の状況から多少物議を醸すのかもしれませんけれども、健保連、健保組合は、レセプトを分析して健康対策事業をやるのかと。レセプトというのは単なる請求書じゃないかという御議論をいただいた経緯もあるわけでございますけれども、私どもの保険者団体、あるいは保険者といたしましては、レセプトしかないという厳然たる事実もあるわけでございまして、この有効活用というものは非常に重要な事業だと位置付けております。
 このページの2ページでございますが、医療保険者におけるレセプトデータの活用、呉市のお話が今日多々出ているわけでございますけれども、先月でございますけれども、一番上の○、後発医薬品の使用促進。これはなかなか、はっきり言って、この事業に勤しんでも、力を入れても、おいそれと効果が出るわけではございません。特に後発医薬品を使っていただける加入者の意識が変わりませんと、ここに手が伸びないわけでございますので、そういう背景がございます。
 今回、私ども、初めての試みで、協会健保さん、私どもの共済、厚生労働省の御後援も得まして、更には日本ジェネリック医薬品学会、そして、呉市の副市長さんにゲストスピーカーとしてお越しいただきまして、初めてのセミナーを早稲田大学で開催いたしました。400人ぐらいお集まりいただいたわけでございますが、まだ模索している保険者が相当あることも事実でございます。
 それから、お医者さんの中でもまだジェネリックについて快く思っていない、あるいは信頼性をお持ちでない、そういうところもあるわけでございますけれども、厚生労働省から専門官にお越しいただきまして、非常に分りやすい御説明をいただく中で、認識が深まったものと思っております。
 今後もこういった事業、レセプトデータをもとにした、有意な、そして納得性のいく、見える化につながる事業を展開していきたい。それもサラリーマン保険同士の連携を更に有意に展開してまいりたいと思っております。
 それから、この下に、○、幾つか書いてございますが、特に加入者側に対する啓蒙活動も力を入れていきたいと思います。ここに書いてございますが、重複受診でありますとか、頻回受診対策、その陰にはコンビニ受診でありますとか、特に時間外の受診、そういったことで勤務医の皆さん方が疲弊してしまう。そういったことについても一定の責任が保険者にもあるものと思っております。そういったところにつきましては、今後一層力を入れていく。そのためにもレセプトのデータというのは有効に活用しなくてはならない。その背景には、もう一度申し上げますけれども、非常に高コスト体質であるから、なおさらこういうふうに有効に使っていかなければいけないと感じております。
 以上でございます。
○森田座長 ありがとうございました。
 ただいまの御意見を踏まえて、更に御発言いかがでございましょうか。
 横倉委員、どうぞ。
○横倉委員 今のレセプトデータの件ですが、セキュリティの問題をしっかりしてやっていただきながらやっていただきたいというのが私どもの願いでございます。やはり健康情報というのは究極の個人情報でございますので、そこのところのチェックをお願いしたいということ。
 それと、後発医薬品の使用促進ですが、これは当然なことだと思うんですが、本来であれば、この場の議論ではないかもしれませんが、特許が切れた薬剤を、ジェネリックの値段まで下げて市販していただければ何も問題ないなという思いが非常に私どもはしているんですね。患者さん方にジェネリックに変えましょうと言うと、いつも言われるのが、今まで飲んでいた薬をなぜ変えなければいけないかという話になるわけですね。ですから、どっちみちジェネリックが出るということは、特許が切れるわけでありますから、その時点でそこまで値段を下げることができないのかなという思いがあるんですが、高智さん、どうですか、それは。
○高智オブザーバー いろいろな選択肢が、私どもは今まで、医療費の適正化というくくり、あるいはその前には抑制という言葉を使ってまいりましたけれども、現状は、先ほども申し上げましたように、医療保険制度、国民皆保険制度、それぞれ屋台骨がつぶれてしまうのではないかという危機感を持っております。そういった中で、少しでも効率化につながることであれば、どんなものでも拾い上げて、金魚すくい的にすくい上げて、試してみる、実験的にやってみる、そういう試行的なトライする構えというのは非常に重要だと思っております。その中のただ一つの一コマの事例にすぎません。ですから、先ほど申し上げましたように、ジェネリック医薬品について、あるいはその周辺の事業について、こうこうこうすればいいではないかという具体的な御提案がありましたら、是非横倉先生からもお聞きしたいし、それからまた、被保険者向けのアピールを、今までとは違った形で、マンネリとならないような形で、サラリーマン保険全体を通じたやり方でも模索していかなければならないと考えております。先生から言われましたように、レセプトのマスキングとか、そういったことについては、各医療保険者は、今、真剣に、また重大に考えていると思っております。どうぞよろしくお願いします。
○森田座長 ありがとうございました。
 それでは、この議題、大体よろしいでしょうか。
○渡辺委員 ちょっと事務局に。このレセプトデータのは、吉田さんに伺いたいんですが、いわゆる開原委員会ですか。開原先生が併せてやった。それはいつごろ結論を出す予定なんですか、あっちの方は。
○吉田保険課長 ちょうど今並行して、その有識者会議も行われておりますが、まずはガイドラインを作成をした上で、あとは個別の御要請に対して審査といいましょうか、イエス・ノーを言うという仕組みを設けようと動いておるかと思います。必要に応じて、また別途、今後の具体的な流れですとか、現在の検討状況などについて御報告をさせていただきたいと思います。
○森田座長 それでは、このテーマについてよろしいでしょうか。
 それでは、最後、ある意味で本日一番重要なテーマになりますけれども、組織の統合、競争促進について、全体的な御議論をいただきたいと思います。
 まず、定量的な検証、試算案ですけれども、これにつきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 お手元の「資料6」、前回いただきました試算の前提からも更に幾つか仮定を置かせていただきまして、非常に割り切った試算を今回初めての試みとしてさせていただきました。なお、この試算につきましては、別途「参考資料3-2」として、支払基金の方から事前に御意見をいただいております。このあたりも適宜引用させていただきながら、まず、この試算結果について御報告をさせていただきたいと思います。
 1ページ目に「組織の統合イメージ」ということで、前回お示しいたしました試算の前提とも絡みますが、支払基金を国保連に統合する場合で言えば、国保連が被用者保険のレセプト審査をも行い、支払基金が行っておられます審査支払以外の業務は、他の機関に移管するという前提。逆に、国保連を支払基金に統合する場合には-この会でも共通認識となっておりますように、国保連においてはいわゆる保険者業務ですとか高齢者介護等の審査業務という、いわゆる医療の審査以外のものもございますので、そこの部分は支払基金に審査を統合したとしても、国保連が実施するという前提のイメージにしております。
 全体としての試算結果として、2ページ目が審査支払機関の業務コスト、3ページ目が医療費の適正化効果、そして具体的に2ページ目の定量的な検証(試算案)の時系列になっておりますのが4ページ目、全体を通じて、この試算を考える前提としての効果、あるいは留意点についてが5ページ目という形で資料を編綴してございます。
 まず、2ページ目の定量的な試算案について御報告をいたします。
 大きく「統合」と「競争」-一番左のところをごらんいただければと思いますが-それと「業務合理化」という3つのカテゴリーで整理をしてございます。結論から申し上げれば、競争については、業務コストとしての数字は-これまでのこの会議でもできるのかという御指摘ございましたけれど-、私どもとしては、本日の御報告では「-」ということで、定性的には、下の※4にございますように、システムの共同開発などによるコスト減も考えられますが、数字として見込むことはできませんでした。したがって、統合の2つのケースと、業務合理化の数字を挙げております。
 なお、業務合理化につきましては、※1に書かせていただいておりますが、これは競争の場合でも、あるいは統合の場合でもいずれでも生じるということで、そういう意味では、統合についても、業務合理化効果も含めた部分で考えるべきではないか。競争についても業務合理化効果は望めるのではないかという数字だと御理解ください。
 数字としては、国保連に統合する際を一つの例として御報告いたしますと、当然統合するわけでございますから、管理部門あるいは総務部門というものがそれぞれ削減されます。現在の国保連あるいは支払基金の数字をいただきながら、それを管理部門については5割の削減、総務部門については3割の削減、このあたりもある程度我々としての一つの仮定を置かせていただきまして、都合、人員削減効果806人ということをもとに、それに伴う給与削減効果を盛り込んでおります。
 なお、これにおきましては、数点コメントがございます。従来この手の行政改革効果などを考えるときには、どのような形で人を減らすかということが大きな問題になろうかと思います。ただ、この試算におきましては、理念的に先ほど申しました管理部門あるいは総務部門の一定率が減るということでございますので、どういうふうに減らすかという方法論ではなく、減ったとしたときに幾らの給与が削減できるかということを機械的に計算をさせていただいているというのが、まず1点でございます。
 一方で、そのために、増加要素としては人員削減に伴う退職金というものを支払わなければなりません。方法論としてどのように削減するかというところまでの仮定を入れておりませんので、一括して、ある時点においてバサッと人が減って、その時点、バサッと一時金として退職金がかかるという前提でこの数字をつくらせていただいております。
 また、支払基金の資料3-2の方にも指摘をいただいておりますが、国保連に統合する場合の人員削減効果が806人、支払基金に統合した場合の削減効果が806人というふうになっています。新しいニュートラルな組織をつくったときの人員体制等を念頭に置いて試算しましたので、例えば47の組織を持ったときの管理コストと、あるいは1組織としてブランチを持った場合には厳密に言うと組織の編成というのは違いが出てこようかと思いますが、今回は、そこについては割り切らせていただいて、どちらでも同じだけのニュートラルな人員削減効果806人という試算にさせていただいております。
 国保連統合の削減におきましては、当然削減効果が見込めるものとして、システムの独自開発経費、あるいは、現在支払システムの更新費用が削減されるということを見込んだ数字を入れております。
 また、国保連に統合したケースで御説明申し上げれば、当然それに伴い、現在、支払基金が保有されている事務所については不要になりますので、売却をする。その売却益が発生するということも考えられるかと思います。ただ、これにつきましては、下の※にございますように、国保連に統合した場合に浮く支払基金の保有資産、あるいは支払基金に統合した場合の国保連に浮く保有資産、それぞれ価格としては145億円、もしくは67億円というふうに数字としては見込ませていただきましたけれども、これを今回の統合効果として見込めるのか。あるいは例えば本来から言えば、国保連の資産を売った場合の利益は、まず、これまでの資産の形成に寄与していただいた市町村の方々に一旦そこでお返しして、言わば清算をするというような考え方もあろうかと思いますので、この資産に当たっては、数字はこのように算出いたしましたけれども、効果の中には計上してございません。
 また、増加に伴う部分につきましては、国保連の方への統合の例で申し上げれば、先ほど申しました退職金の支払、あるいは被用者保険のレセプトに対応した国保システムの改修など、当然統合に伴うコストがかかります。諸費用、例えば国保連の事務所の借り上げなどなど、引き継いだスペースなど統合後のかかり増しコストなどを考えてございます。
 以上、非常に雑駁ではございますけれども、後ほど4ページ目をごらんいただきますと、それをどこでどういうふうに年次で区分したかということも書かせていただいておりますが、それを御参照いただいた上で、2ページ目のところの数字で御報告を申し上げます。
 初年度に退職金の支払など諸費用を積んでございますので、その効果もございまして、国保連へ統合した場合の削減効果額が52億円、増加が269億円。これは退職金などの増も出てきております。ということで、初年度については増減で217億円の増。7年後の累積という形で、この効果を順番に引き延ばしていった場合が、削減効果は581億円で、最終的な増減としては27億円増という数字を今回の試算でははじいております。
 なお、「7年後」と申しましたのは、それぞれ、現在のシステムの更改が、支払基金においては7年サイクル、あるいは国保連については6年サイクルということを承知をしておりまして、言わば7年をとれば、その間に1回はシステムの見直しがくるだろう。そういう意味では、その費用に対する配慮もできるということで、7年後というのを1つの次の区切りとして行わせていただきます。当然ながら、一時的な効果については、この期間をずっと長くとればとるほど減殺してまいりますので、特に増加要素についてはそれが小さくなって、削減効果という例年に計上できる部分が大きくなるというような数字であるということを御留意いただければと思っております。
 なお、業務合理化につきましては、競争、あるいは統合の場合、いずれも生じるということで御報告申し上げましたけれども、例えば、支払基金につきましては、先日、この会議でも御報告がありました新しいサービス計画の見直し案、あるいは国保連合会につきましても、一定のそれぞれの見直し効果というものをそこに書かせていただいております。例えば人の削減効果、あるいは給与水準の見直し効果などを積ませていただいておりますし、特に国保サイドではシステムの仮想化などに伴うシステム更改費の費用の削減というものも、統合であろうと、削減であろうと生じるという形でここに計上させていただいております。
 以上のような形で申し上げると、初年度について業務合理化を織り込んだ全体の数字は国保への統合が初年度が増減で217億円、7年後の累積が27億円の増。支払基金へ統合した場合の初年度の増減がプラスの266億円、7年後の累積については292億円ということで、今回の前提試算においては、この時点では統合により費用がかかるという部分がまだこの時点では計算されるという時点でございます。
 なお、業務合理化につきましては、先ほど申しましたように、いずれも生じますけれども、初年度につきましては▲8億億円、7年後の累積としては▲518億億円という試算結果でございます。
 3ページ目でございます。このような業務コストと併せて、統合もしくは競争によって生じるであろう医療費適正化についても一定の定量的な評価をすべしという御指摘をこれまでちょうだいいたしました。
 前回お示ししました前提案に沿いまして、統合の場合、国保連に統合する、基金に統合する、いずれも同じでございますが、査定率という形で表れる削減効果については、両方の現在の査定率が真ん中に収れんする。これも割り切りでございますが「真ん中に収れんする」ということから、医療費を適正化効果という意味で、初年度80億円、あるいは7年後に32億円ということで-これは基金の方が査定率が現在高くなっておりますが-高い方が真ん中に落ちるという効果の方もありますので、この時点における試算ではこのようになっております。競争の場合は「高い方に収れんする」という形でございますので、この前提の置き方からして、今よりも査定率は上がっていくということになりますから、最終的に初年度については16億円、7年後においては累積で112億円の競争による査定による削減効果が見込めるというふうにこの試算ではさせていただいております。
 なお、それ以外にもこの場で御議論いただきました、縦覧あるいは突合審査を導入することにより、幾つかの医療費適正化効果、ここで言えば削減効果ということも見込まれるかと思いますけれども、そのあたりにつきましては、現在、なかなか難しゅうございまして、精査をさせていただいているところでございます。また、定性的には審査格差が縮小するということで-統合の場合には縮小すると思っておりますが-これにつきましても、支払基金からいただいておりますペーパーにも書いておりますが、47の組織として統合した場合の統一化効果と、1つの組織の47ブランチとして統合した場合の効果などについては、種々御議論があろうかと思いますが、今回はそこまでの言及はしてございません。
 4ページ目は、それを年次で動かしてみた数字であり、5ページ目は、以上のような試算を踏まえてといいましょうか、試算に当たって、私どもとして考えた効果もしくは留意点でございます。
 「効果」につきましては、統合については、管理部門あるいは総務部門の人員削減、バックオフィスによる経費削減、あるいはシステムの開発経費などなどの削減、査定率の差異は収れんしていくであろう。既存施設の処分により経費の削減ができるだろうということを効果としては考えられるかと思っております。一方の「留意点」として、関係者、少なくとも現時点において国保連については、会員たる市町村の関係者の方々の合意が得られているわけではないということから始め、審査支払以外の業務の確保の問題、あるいは保険者の選択肢が結果的に狭まるのではないかという点、あるいは民間の参入者の方々からどう見えるか。退職金の財源というものを別に手当をしなければならない。あるいは、当然統合に当たっての一時的なコストが発生する。また、システムの問題としましては、被用者保険では、この場でも何度か出ましたように、非常に地域保険と違って、他県分の医療機関レセが多うございまして、現在、支払基金はそのような被用者保険の構造に着目した全国1本のシステムとなってございます。国民健康保険は、基本的には都道府県内で行われながらも、中央会における全国審査が統一的な電算処理を現在構築中ということでございますので、それが必要になるのではないかという点もここに書かせていただいております。
 競争につきましては、「効果」としては、民間業者の参入の問題、あるいは保険者の選択肢、あるいは手数料の引き下げ効果、査定率の問題などなどを挙げさせていただいておりますし、「留意点」といたしましては、いわゆる管理部門等が併存し続ける。システムの二重投資という問題をどのように取り組むか、あるいは支払基金と国保連間の査定率の差異という問題をどのように解消をするかという点については必要かと思っております。
 また、欄外には、この会において何回か支払基金の方から説明がございましたように、現在、厚生労働に代わって行っていただいている業務、あるいは国保連と併せて審査支払として行っていただかなければいけない業務であって支払基金が行っておられる業務、いろいろとあろうかと思いますが、そういう部分を、統合であれ、競争であれ、どのような形でどこが担って、そのコストをどのように負担するかという問題もあるという御指摘もいただいておりますので、注記させていただきました。
 非常に雑駁ではございますが、説明は以上でございます。
○森田座長 ありがとうございます。
 なお、今回の資料、最後に数字の訂正が入っております。
○吉田保険課長 申し訳ございません。お手元の資料の中の2ページ目の下の方、業務合理化の箱でございますが、現資料においては、支払基金の削減幅を「▲598億円」とございますが、「589億円」の誤りでございました。おわびを申し上げて訂正をお願い申し上げます。
○森田座長 ありがとうございました。
 今、御説明にもございましたように、一定の仮定、前提を置いての数字でございますけれども、これから統合、競争、その効果を考える上での重要な資料ではないかと思っております。
 なお、これにつきましては、補足の参考資料が出ておりますけれども、それについて、何か最初に御発言ございますか。
○小木津委員 それでは、資料に書かれていることに関して、補足して御説明させていただきたい点がございますが、まず、数字になっている部分でございますけれども、私どもの資料の参考というところ、5ページ、6ページにかけて、基金独自で粗い試算を試みました。詳細は省略しますけれども、この中で、厚生労働省から提示されたこの資料と相違している点が1カ所、明らかに相違している点がございますので、御指摘させていただきたいと思います。
 6ページの一時的なコストというところでございます。私どもの資料です。参考資料3-2の6ページのところに、コンピュータシステムの関係の一時的に切替時に発生するコスト、私どもの試算では100億というふうに承知しておりまして、これが一方で定量的な検証の資料6の方の4ページ目の「参考」の「支払基金に統合」と書いてある欄の中の「物件費」の初年度の数字が161億なってございますが、私どもの試算では、ここは100億でいけると認識しております。この点が1つ数字で御検討いただければと思うところでございます。
 それと、せっかくの機会ですので、ついでに御説明させていただきますけれども、いろいろな仮定を置かれて試算をされているということでございますので、その点については何とも申し上げられないんですけれども、例えばコンピュータシステムの開発及び運用に関しまして、3ページで御意見を申し上げておるところでございますが、被用者保険の特質で、実際に医療機関から請求がある地域と、実際に保険者が所在している地域が違っているという問題、これに関しまして私どもは対応しているわけでございますが、そうした中で、新たに被用者保険に対応するというシステムの開発というのは、私どもの経験ですと、結構コストがかかってきているということでございまして、このコストから想像しますと、今、支払基金に統合する場合と国保連に統合する場合で、システム切替えの経費等について、かなり差が出ておりますけれども、そんなに差は出ないのではないか。あるいは、その点の配慮をされると、場合によっては数字が変わってくるのではないかという点がございます。これは、請求支払、そして、私ども、前に新計画を御説明したときに、審査自身も別な受け付けをした所在ではない支部で審査もできるようなシステムをつくっておりまして、全国対応するようなシステムができておりますが、そういうレベルにしていこうとなると、またかなりここに見込んだコストよりも多めのコストがかかってくる可能性もあるという点を御指摘させていただきたいと思います。
 あとは事務局から御説明をいただいた中に含まれてございますので、以上であります。
○森田座長 ありがとうございました。
 この資料に基づきまして、どうぞ御発言をお願いしたいと思います。
 飯山委員、どうぞ。
○飯山委員 今、基金さんからお話がありましたコンピュータシステムの開発のお話なんですけれども、国保連合会では、これまで分立してきた各個別のシステムを共通基盤の上に乗せて、受付から審査支払、保険者のレセプト返還まで、すべて言ってみれば一気通貫できるシステムをつくっております。したがいまして、システムの改修も個別の連合会が個々に行うのではなくて、開発している国保中央会で1つ改修すれば、それを全国の連合会で使えるという状態になっておりますので、技術的にもうちょっと詰めてみないとはっきりしたことは言えないかもしれませんが、ここで書かれているような問題は恐らくないのではないかなと、次のシステムにおいてはそう思っております。
 それから、事務局の資料6の5ページのところに、「統合・競争の効果と留意点」で、留意点の欄の2つ目、統合の場合の2つ目に、審査支払以外の業務の実施体制の確保が必要と書かれております。私どもといたしましては、審査支払事務と保険者業務を分けるということが単純な話ではなくて、これが実に市町村国保の運営に非常に大きな密接な絡みがあるわけなんです。これは国保組合についても同じなわけで、審査支払を行っていて、そのデータを常に保有しているからこそできる仕事というのはいっぱいあるわけですね。そこのところにつきましては、お話ししていくと長くなりますので、次回、文書の格好でメモを出していきたいと思っております。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。高田委員、どうぞ。
○高田委員 コストの関係の方は、前提がいろいろあるので、今回いただいた分でそれがどうなのかというのは、根拠も含めて分かりにくいので、そこは差し控えるんですけれども、2ページ目の下のところに※印の4のところに、「競争であっても、支払基金と国保連の間でシステムの共同開発が行われればコスト削減」。これは、統合であろうと、競争であろうと、そういう方向に進んでいただきたいし、8月に両方のシステムを見せていただいたときに、正直言って、ある一方の方がかなりよかったかなという感触を受けましたものですから、こういうところでは、あえて個々に競争を持ち込むのではなくて、いい方をベースに、システムチェックなんかは、どうもいろいろ話を聞いてみると、強いところがいろいろ違うみたいなところもありますので、その辺も持ち寄って、将来的に診療報酬改定があったときに、またシステム改良が出てきますから、それを共通にすることによって、コストも半分に抑えられるということもありますので、両方で競り合うような話ではなくて、よりコスト的に見て、内容的にも見て、国民のためになるような方向で考えていただきたいというのが1点。
 最後の5ページ目のところなんですけれども、統合・競争の効果と留意点のところで、効果とか留意点とか、いろいろ整理していだたいておりますが、後ほど時間があれば、私も意見を出させていただいている部分もあるんですけれども、競争のところの効果で、民間業者の参入促進とか、直接審査云々、3つぐらい○がありますけれども、これは、統合したから民間の業者の参入を促進しないとか、直接審査しないということと、直接審査とか、そういうことを入れるのとは矛盾するものではないので、統合して1本だけになったら、これがないということではないと思いますので、統合のところの右の留意点のところで、保険者の選択肢が狭まるとか、民間参入者の公平公正な競争を阻害するとか、これは別の観点で考えないと、統合したらこれがなくなるとか、そういう話ではないと考えますので、そこが矛盾するものではないということだけ申し述べたいと思います。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。山本委員。
○山本委員 事務局の方のお出しになった資料6なんですけれども、いずれにしても、どちらに統合するにせよ、現場の方でかなり混乱が生じるのかなという気がしますので、例えば、現在、国保に対しては、地域で行っている保険をそのままできますが、社会保険はできないといったような問題がありますので、仮に支払基金を国保に一緒にしようが、国保を支払基金に一緒にしようが、そうした部分で、現在でも複雑な仕組みが更に複雑になってしまうというのは是非避けていただきたいというのと、もう一点、資料を拝見すると、競争しないで国保に一緒にした方がいいなというふうに見えるんですけれども、そういう意味では別にないんですよね。数字からするとそんなように。
 それから、もう一点、余分なことなんですけれども、基金さんがお出しになられた資料の中で、冒頭の議論の、今回、事務局の資料の1にもありましたように、この先、支払基金の地域格差をなくして、質を上げていこうという御議論だと思うんですが、これだけ、なかなか動いていただけなかった事務方の方でもきちんと薬剤師の配置を義務付けながら、この中の地域格差の中に全く触れられていないというのは、やる気がないということの理解でよろしいんでしょうか。
 例えば、参考資料3の5ページのところには、そうした意味が何も、匂いすらしない。お金がかかることはよく分かりますけれども、少なくともこの中で議論をしてきて、質を上げよう、レベルをそろえようということですから、統合とか競争とかの以前に、そもそもの質をそろえていただくというお考えはないんでしょうか。そこは是非支払基金の方にお伺いしたいと思います。
○森田座長 ここの趣旨に合うかどうかはともかく、お答えください。
○小木津委員 今の点は前々から御説明させていただいておりまして、不合理な支部間格差を解消していくという努力はしていかなければならないだろうと思いますし、その点については、統合のこの関係の資料にも、私どもから出した資料の中でも、審査の不合理な差異の解消という問題意識は、4ページに書いてありますが、十分持っているところでございまして、ただ、この資料自身は厚労省事務局からおつくりになった資料ですので、その点について触れられていないという点については、私どもからお答えは。
○森田座長 参考資料3-2についての御質問です。
○小木津委員 失礼しました。
 繰り返しになりますけれども、当然そういう問題意識を持っておりまして、最大限重要な課題として取り扱わなければならないと認識しております。
○森田座長 吉田課長。
○吉田保険課長 今の山本委員、あるいはその前に小木津委員からも若干コメントがございましたので、2つ併せて。
 まず、意図としてはございません。我々としては、前提を置いた上で試算をした。そういう意味では、前提の置き方自身に-こういう言い方は事務方として申し上げるのがいいのかどうか-万般の自信がある訳ではありませんが、幾つか今回の試算をさせていただくに当たって、一定の仮定を置かせていただきましたので、仮定について、あるいは最終的な数字を含めて、この点についてというお尋ね等あれば、積極的に私ども承らせていただきながら対応させていただく。そういう意味では、私どもとしても初めての試みの中での試算案ということでお示ししているということを御理解いただきたいと思います。
 その上で、資料6の4ページ目、年次推移のところに項目ごとの数字が掲げてございます。先ほど小木津委員からもお話しございましたが、細かくなって恐縮ですが、統合ケースで言う削減のシステム更改経費が国保連にした場合には▲181億円、支払基金に統合した場合には、システムの更改に関わる削減効果として▲71億円となってございますものにつきましては、私ども、それぞれ関係者からいただきましたデータを見る限り、システムの更改にかかっておる経費というのは、勿論ぴったり同じではありませんが、オーダーとしては近いものがあるものの、国保連の場合には、先ほど統合のイメージのところで申し上げましたように、保険者業務のところが残りますので、システム更改経費として今回の審査支払のところだけに計上するものではなく、引き続き残った保険者業務の方の審査更改と、今は一体のものとして行っておりますコストを、審査側に計上できるものと、保険者側として引き続き残るものとして計上するものをある程度区分させていただくということもあって、現システムとして行われているものについては余り変わらないものが、ここに掲げております計上経費ではこのような数字になっております。などなど、一定の割り切りを置かせていただいていることが積み重なってこの試算になっているというふうに御理解をいただければと思います。
○渡辺委員 吉田課長の御説明、よく分かるし、理解できるんですが、私もメディア出身の男として言えば、この数字がメディアに乗れば、まず、一人歩きする危険性と言うとおかしいんですが、可能性は十分にあるわけですね。ただ、こういった数字は是非出すべきだし、出してもらいたかったから大変結構なので、そういった意味からすると、基金に統合するとかえってお金がかかっちゃうみたいな話はいいんですが、一、二点、さっき支払基金の方から反論というか、異論があった点について、その精査というのかな、特に国保連の事務所を売却するとなっているところについて、私もよく分からないんですが、これについてどうなんですか。
○吉田保険課長 資料6の2ページ目にお戻りください。先ほどちょっと触れましたが、言葉足らずで恐縮です。※2のところにございます。片方に統合すると、統合された方のオフィスは、基本的には要らなくなりますので、まず、この試算では全部売るという形になっております。売った場合に、支払基金は145億円の売上で、国保連が売った場合には67億円で売れます。これはこれで、いわば形見分けが行われてしまうであろう。清算されるだろう。その結果残った、国保連が支払基金に行った場合には、国保連が行わなければいけない引き続きの保険者支援業務が残りますので、その保険者支援業務に係るオフィスの借上経費、確保経費は、費用として新たにかかるであろうからプラスとして計上している。そういう意味では行って来いで、ネットになっているわけではございませんで、一遍全部チャラにしたところの売上はここに示してございますが効果額に計上せず、それとは別に、新たに確保するための費用というものは別にかかるという前提でございます。 数字が分かりにくいという御批判をいただく可能性があると思いましたので、売上額はこのように示しましたが、効果額には入れていないというのが現状でございます。
 ですから、そこは、基金の方からお話がありましたように、いやいや、国保連さんの方が支払基金に統合する場合に、今使っておられる資産があるわけですから、新たに買うというのはおかしいんじゃないかという御指摘は、御議論としてはよく分かりますが、この試算の前提がどうなっているかという意味で言うと、一遍それは売って、それは清算しちゃって、別に要る部分は計上しているという性格のものだと、そういうことも込みで比較をする場合、もしそういう視点からごらんいただくならば、御評価いただければと事務方としては思います。
○森田座長 よろしいですか。
 ほかにいかがですか。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 大変な計算をしていただいて、ありがとうございます。
 公法人の処理は分からないんですが、例えば、退職金の引当金が初年度経費になっていますが、これは引き当てていれば、ツーペイになるはずですよね。不動産についても、売却益は数字としては挙がっているが、試算の結果には反映されていません。新たにオフィスを調達するコストは試算に含まれています。そうすると、統合の効果がむしろ過小評価されるのではないかなという印象を受けます。まず、人件費についてどんなお考えなんですか。人件費というか、退職金の引き当てに関しては。
○森田座長 お願いします。
○吉田保険課長 企業決算という趣旨ではございませんので、今、長谷川委員からお話しございましたように、退職金の引き当て部分がどれだけになっていて、実際に清算する場合にどのようなキャッシュアウトが出るかということについては、別に御議論あろうかと思います。先ほど申しましたように、今回の試算に当たりまして、具体的には806人の削減というものは、今まで準備していた通常の退職ベースとは別に、理念的にここはダブっているだろうから要らないですよねと。要らないということは、この方々には退職していただきましょう、人件費が浮きますね。という場合に発生している費用でございますので、その金がかかるという意味で計上しています。それをどのように引き当てているか、あるいは財源として確保しているかという御議論で言えば、ここにも一部掲げておりますが、引き当ての中で対応できるものもありますが、これだけの一斉退職が一遍に発生した場合のキャッシュアウトに対応するだけの引き当てはないかと思いますので、キャッシュの問題として引き当てがどうなっているかという議論と、かかるコストとしてこれだけの退職金を認識する必要があるだろうということは、私どもでは整理して、この試算では後者について計上させていただいている。ただし、そこの下にも注で※3に書かせていただいておりますように、引き当てが十分できている、できていない、普通考えれば、このような形の整理というのは考えておりませんので、引き当て財源がありません。キャッシュとしても別に財源を確保する必要があるということは注意書きをさせていただいているところでございます。
○森田座長 要するに、統合する場合に一時的に発生する経費と、統合して、いわば安定状態になったときの経費と、そこをどう調整するかという問題だと思いますけれども、今回の試算におきましては、一時的に発生する経費は最初に全部前倒しにしたということでこういう結果が出ている。ただ、その分については長期的に清算していかなくてはいけないということですので、それをどう見込むか。7年分のコンピュータの更新をやれば、ワンサイクルがおわるであろう、そういう前提で数字が出ているということです。
 したがいまして、単年度だけどうというよりも、むしろ、最初の7年間全体で見てどうなるか、そして更に、その後は一時的なコストはなくなった状態でどういうことになるか、そういう観点からこの資料を見ていただく必要があるのではないかと思いますけれども。そういうことですね。
 どうぞ、村岡委員。
○村岡委員 一応、市町村国保の保険者の立場で発言をさせていただきたいと思うんですが、これまでも申し上げましたように、国保連合会の審査支払業務の中で、市町村国保の保険者としての業務も相当多く代行していただいているという実態があります。先ほどのレセプトデータの活用事例の中でも呉市の事例が紹介をされているんですが、高知市の場合も、こういったレセプトデータを活用した形で、後発医薬品の使用促進であったり、また、市民に対して広く啓発をするということだけでは、なかなか医療費の適正化というものが図られていかないですから、一定ターゲットを絞って具体的に効果が上がる部分を対応していくということが必要になっておりますので、そういう意味では、レセプトデータというのは切り離すことができないという実態がございます。
 特に、保険者でそういったレセプトデータを活用するということになれば、審査支払業務を切り離されるということになってしまうと、また新たにレセプトデータを分析する組織を設けるとか、システム的な開発ということも必要になってきますので、ここで出されております国保連合会が基金に統合されるということになれば、保険者としては、新たなシステムだとか、コストがかかっていくという構造になってきますので、そのことだけは是非回避をしていただきたい。特に、国保連合会を解散するということであれば、当然、開設をしている市町村の意見ということが非常に重要になってきますので、そのあたりは十分配慮していただく必要があるかと思っております。
 以上です。
○森田座長 ありがとうございました。
 ほぼ予定された時間になりましたけれども、最後に何か御発言ございますでしょうか。高田委員。
○高田委員 最後なので、参考資料4ということで、今までのずっとやってきた議論を踏まえまして、私ども健保組合の中でも種々話し合いをした中で、今後のことを含めまして意見を出させていただきました。いろいろ書いておりますけれども、一番言いたいのは、1ページ目の1と2と、裏面の7ぐらいなんですけれども、特に1のところ、今後の対応につきまして、真ん中の黒ポツですけれども、要は、厚労省の事務局におかれまして、集約された意見で早急に実現するよう法律改正等にも適切に対応いただきたい。その中で、法改正を伴うものと伴わないものを仕分けして、できることから早くやっていただきたいということと、2番目の審査支払機関の組織、統合・競争、今日の議論もありましたけれども、その中の2番目のところですが、先ほども申し上げましたが、統合と民間参入・直接審査、これは全体、大きいフレームで見ると矛盾するものではないということに是非御注意いただきたいということと、先ほど、いろいろ委員からもありましたが、コストの関係、いわゆる高コストというところがございますので、3番目のポツの審査支払に要するコストを削減すること、これは重要であろうということがありますので、いろいろ書いておりますが、例えば支払基金におきましては、業務範囲を拡大していただいて、柔整費の審査・支払とか、出産育児一時金の受託とか、そういうことも実施していただきたい。
 それから、裏面の7ですけれども、レセプトの電子化に対応いたしました審査体制を構築していただきたいということと、8番にその他がありますが、そのためには、今のレセプトでは不十分なところがあるということで、そこも含めて厚労省としても見直しを早急に検討いただきたいということを申し上げておきます。
○森田座長 ありがとうございました。
○横倉委員 このまま全部この委員会の結論というか、高田委員の意見ということでは分かりますが、5番、6番等々にはこの中でもいろいろ御意見を申し上げましたので、その点だけは御留意をいただきたい。
○高田委員 今後、それは議論していただければいいと思います。
○森田座長 委員のお一方の御意見ということですので、これがここで決定では勿論ございませんので、御意見として承っておくということで、これについての議論はまた改めてさせていただきたいと思います。
 時間がまいりましたので、そろそろこのあたりにしたいと思いますけれども、ちょっと私の考えを述べさせていただきますと、競争する場合も冒頭に議論がございましたけれども、かなりいろいろ問題があるというお話は十分承知しております。そして、統合する場合にも、今もございましたように、算定の根拠も含めて、いろいろと難しい問題があるというのは十分理解しておりますけれども、要するに、今の二元的な体制で行っていくことに対しては、刷新会議、仕分けもそうですし、規制改革の方もそうですけれども、非常に厳しい批判が寄せられているわけでして、現状維持という選択肢というのは、よほど合理的な説明ないし、論証をしない限りは、なかなか提言としては受け入れていただけないということですので、その意味で言いますと、現実に具体的に詰めていけばいくほど多くの障害があるのかもしれませんけれども、いずれにしましても、競争原理を入れるか、あるいは統合するか、高田委員の御意見ですと、必ずしもそれは二者背反のものではないということですけれども、そうした形でそれぞれの関係者の方もそうですし、厚生労働省もそうですけれども、思い切った決断をして踏み出すということが求められているのではないかなと思いますので、そのことだけは私の印象といいますか、まとめる立場として言わせていただきます。
 それでは、本日の議論はこれくらいにさせていただきまして、なお、事務的なことになりますけれども、次回は、当初、事務局から話がありました年内に議論を一巡という意味では最後の機会になるかと思います。本検討会の重要なテーマである組織の統合・競争促進について、更に議論を深めたいと思っておりますけれども、特に、各委員の方々から、これまで取り上げた論点の中で、検討会として更に議論すべき事項についてございましたら、私ないし事務局、事務局を通してですけれども、お知らせいただきたいと思います。
 検討会といたしましては、引き続き骨太の議論を行うこととしたいと思っておりまして、並行いたしまして、実務的な課題は、資料8に整理いたしましたように、厚労省、あるいはそれぞれの審査支払機関で御検討いただくということになるかと思いますけれども、せっかく関係者、有識者の方がそろってこれまで御議論いただいてきたところでもございますので、次回、どうしても取り上げてほしいというテーマがございましたら、全体の進行も考えて、適宜対応させていただきたいと思っております。
 いろいろな論点がありますので、最初から論点そのものを排除して、そして結論を出すということは極力避けたいと思っております。
 ただ、時間の制約もございますので、その辺、どのような形で取り上げるかということにつきましては、私と事務局の方にお任せいただければと思っております。
 その点よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 本日は、予定しておりました項目については以上でございまして、大変効率的に議論をしていただいたというふうに感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、次回の開催等につきましては、事務局から御説明をお願いいたします。
○吉田保険課長 ありがとうございました。
 次回は、第11回ということで、12月10日金曜日、10時から省講堂において開催を予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○森田座長 それでは、どうもありがとうございました。
 本日はこれで終了させていただきます。


(了)
厚生労働省保険局保険課: 03-5253-1111(内線3249)
厚生労働省保険局国民健康保険課: 03-5253-1111(内線3265)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 審査支払機関の在り方に関する検討会> 第10回審査支払機関の在り方に関する検討会議事録

ページの先頭へ戻る